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1978/03/22 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第7号
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1978/03/22 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第087回国会 地方行政委員会 第7号
昭和五十四年三月二十二日(木曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 松野 幸泰君
   理事 大西 正男君 理事 染谷  誠君
   理事 中村 弘海君 理事 中山 利生君
   理事 小川 省吾君 理事 佐藤 敬治君
   理事 和田 一郎君 理事 西村 章三君
      相沢 英之君    愛知 和男君
      石川 要三君    木村武千代君
      谷垣 專一君    地崎宇三郎君
      塚田  徹君    中島  衛君
      藤井 勝志君    与謝野 馨君
      伊賀 定盛君    加藤 万吉君
      新村 勝雄君    古川 喜一君
      細谷 治嘉君    小川新一郎君
      権藤 恒夫君    斎藤  実君
      永末 英一君    三谷 秀治君
      加地  和君    川合  武君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣 澁谷 直藏君
 出席政府委員
        自治政務次官  大石 千八君
        自治大臣官房審
        議官      石原 信雄君
        自治大臣官房審
        議官      花岡 圭三君
        自治省行政局長 柳沢 長治君
        自治省財政局長 森岡  敞君
        自治省税務局長 土屋 佳照君
        消防庁長官   近藤 隆之君
 委員外の出席者
        大蔵省証券局企
        業財務課長   冨尾 一郎君
        国税庁調査査察
        部調査課長   五味 雄治君
        建設省計画局宅
        地企画室長   木内 啓介君
        自治省財政局財
        政課長     矢野浩一郎君
        自治省税務局府
        県税課長    吉住 俊彦君
        参  考  人
        (全日本農民組
        合書記長)   谷本  巍君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十二日
 辞任         補欠選任
  小沢 辰男君     中島  衛君
  松野 頼三君     塚田  徹君
  宮澤 喜一君     愛知 和男君
  北山 愛郎君     伊賀 定盛君
  加地  和君     川合  武君
同日
 辞任         補欠選任
  愛知 和男君     宮澤 喜一君
  塚田  徹君     松野 頼三君
  中島  衛君     小沢 辰男君
  伊賀 定盛君     北山 愛郎君
  川合  武君     加地  和君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 第一九号)
 地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出第二八号)
 地方財政に関する件(昭和五十四年度地方財政
 計画)
     ――――◇―――――
#2
○松野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出に係る地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西村章三君。
#3
○西村(章)委員 これまで何度も議論の対象になっているように、地方の財源不足というものは五年目を迎えました。しかし、政府の今回の地方財源の充実策は依然として当面の措置を繰り返すだけでありまして、抜本的な改革というものが内容的に盛り込まれておりません。地方財政の未曽有の危機に直面をして、地方税として今後どのように対応していくのか、これがきわめて重大でございます。国税におきましては、そのいい悪いは別にいたしまして、一般消費税を五十五年度の早い時期に導入したい、おおむねそういう構想が提示をされておるわけでありますが、これに対しまして地方税では本年度初めに自治大臣の所信表明で、一般消費税については「そのうち地方公共団体に配分される額の一部を地方消費税とすることとし、昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める」、こう述べておられるにすぎないわけでございます。
 そこでまずお尋ねをいたしますが、地方消費税とはどのような構想の税なのか、それから単に地方消費税の創設だけでいま重大な危機に陥っておる地方財源の充実策というものが果たして図られるのかどうか、まずこの二点について見解を承りたいと思います。
    〔委員長退席、染谷委員長代理着席〕
#4
○澁谷国務大臣 一般消費税、その一部を地方消費税という形で五十五年度から導入したい、こういうふうに考えておるわけでございまして、その地方消費税の具体的な内容はどうかという御質問でございますが、これは目下大蔵省の方で一般消費税をどういう内容のものにするかということを現在鋭意最後の詰めを行っているわけでございます。まだ最終的にその案が固まっておりませんので、したがいまして、地方消費税の具体的内容についてもここで申し上げる段階にまだ至っておらないということで御理解をいただきたいと思います。
 それから、大変な地方財政の財源不足、その再建という大問題に対して地方消費税の導入ということでやれると考えておるかという御質問でございますが、これだけで地方財政の再建ができるとは私は考えておりません。ただ、地方財政再建計画の一つの大きな柱である、こういうふうに認識をしておるわけであります。
#5
○西村(章)委員 まだ具体的に固まっておらぬということでございますが、仮に新税が導入された場合、地方財源対策の重要な柱になるものはいわゆる国と地方との配分比率、これであるわけであります。ここに新聞記事がございますが、昨年十二月の二十六日に、自治省としては税額の三分の一は地方税として自治体が直接集める、国税部分も新たに地方交付税の対象税目として地方財源に回す、いわば二重の形でほぼ半分を目指しておる、こういう記事が載っているわけであります。今日までいろいろ大蔵省と折衝されたと思うのでありますが、その折衝の経過なり今後そういうことを目指すのかどうか、もう一度お答えをいただきたいと思います。
#6
○澁谷国務大臣 一般消費税が導入された場合の国と地方との配分をどうするかという問題点につきましては、自治省の現在考えておる点は御質問のとおりでございます。私どもといたしましては、ぜひひとつそういう方向で実現をいたしたい、こういう基本的な立場に立ちまして大蔵省と折衝を重ねておるわけでございますが、先ほど答弁申し上げましたように、何分まだ消費税そのものの具体的内容も詰まっておらない段階でございますので、そういう問題とも関連しながら大蔵省と最終的な折衝を行って、私どもの主張をぜひ実現をしたい、このように考えております。
#7
○西村(章)委員 野党を初め各小売団体等多くの団体の反対論が強いわけですから、まだまだ行方はわかりません。しかし、仮に導入されるとした場合には、当然のことながらいま大臣がおっしゃったような方向で地方財源の重要な柱になるような努力を願いたいと思うのであります。
 もう一つ、この一般消費税の、特に地方消費税の地方財政収支試算の中における扱い、これは一体どのようになっておりますか。
#8
○土屋政府委員 御承知のように、地方財政収支試算における地方税の見方というものは、一定の前提を置いた非常にマクロ的な見方で試算をしておるわけでございます。御承知のように、新経済社会七カ年計画の基本構想に示されております昭和六十年ころの国民の所得に対する租税負担率が二六・五%といったことを頭に置いて、その間に現状から次第にその負担率に近づいていくという形を一定の前提を置いて試算をしておるわけでございます。その場合に、また国の収支試算との調整を図りまして、国と地方との税の割合、大体二対一でございますが、それぐらいの形で税を分け合う、そういう前提を置いて、その上で試算をしておるわけでございます。したがいまして、そこまで負担率を上げていくということになりますと、当然現在のまま増税がない場合に伸びていくであろうという税収と負担を上げる場合の差が出るわけでございます。これを三兆七千八百億と一応試算をしておりますが、そういう形で、その程度上げないとそこには至らないという形での試算はございますけれども、それではその中の増税を必要とする場合、何をもって充てるかということについては、実はこの試算では明確にしてないわけでございまして、ただ、先ほどから大臣もお答え申し上げましたように、いまの税制度から見ましてそれほど大きなものもございませんので、私どもとしても地方消費税というのは一つの大きな柱にはなるだろうということでございます。いつから、どういう形でどうという精細に詰めて計算したものではございません。
#9
○西村(章)委員 消費税の導入はまだまだ客観情勢も非常に厳しゅうございます。しかし、地方自治体は間断のない安定した行政サービスを図らなければならない。その意味で、地方税源の拡充強化はもはや一刻の猶予も許さないわけであります。こういう立場を考えますと、一般消費税の導入を待って地方税制の改革を行おう、こういう前提はいわば当たらないわけでありまして、現在の時点ではきわめて非現実的であります。したがって、地方独自の税源の拡充策、これをいかに行うかということがきわめて大切だと思うのでございます。この点についてお考えはございますか。
#10
○土屋政府委員 お話しのございましたように、私どもとしては地方の税源の充実強化ということは常に考えておるわけでございまして、ただ、現在における租税負担の状況と、それからいまの制度のもとにおいてどういうものが充実できるかという点については、なかなかこれという大幅に増収が見込めるようなものもございません。五十四年度においても、お認めをいただきますと、千二百三十億ぐらいの差し引きの増税を考えておるわけでございますけれども、四兆を超える財源不足というような状況のもとにおいては、なかなか大幅な財政収支の赤字をカバーするというまでには至らないわけでございます。
 そういったことで、あれこれ検討いたしておりますが、結果的には地方消費税的なもの、一般消費税的な新税というものに期待せざるを得ないという立場にあるわけでございます。もちろんその中におきましては、たとえば所得課税において現在住民税で課税しにくい問題もございます。技術的にむずかしい問題も、何か方法をもって課税ができる方法はないかといったような問題等も含めて検討しておるわけでございますが、なかなかいまの所得課税、法人課税という点においては、改善する面もないわけじゃございませんけれども、限度がすべてあるといったようなことでございまして、現行制度のもと以外に、何か大きなものを考えるとしたら新税しかないのじゃないかということも踏まえ、それ以外のものについて検討いたしておりますが、直ちにこれをこうしたいというところまで詰め切っているものでもございません。
#11
○西村(章)委員 増税を導入する前には、やはりやらなければならぬことがたくさんあるわけであります。
 まず、不公平税制を是正するという面から考えてまいりますと、五十四年度の地方税における非課税措置、これの整理が五十三年度よりも少なくなっております。先般の予算委員会に提出をされました地方税の非課税措置による項目別減税額、これによりますと、五十三年度の三千四十六億円、五十四年度は三千三百三十九億円、二百九十三億円も多くなっているわけであります。せめて減収見込み額を対前年度と横並び、それぐらいの額まで整理をしていく努力というものが必要ではないかと思われます。それができないというのであれば、いままでの非課税措置の見返しだけではすでに限界に来ておる。限界であるならば、今後新たな基準を設ける必要がないのかどうか。
 たとえば、通常非課税等の適用を受けるパターンは、特別法で定められた法人あるいはその法律に基づく施設あるいは活動を中心として行われているが、まずこれを廃止する。もちろん社会経済的な情勢の変化に対応する必要もございますから、一挙に廃止するのが無理であれば、三年間程度の期間を区切って一たん廃止をする。その後必要性のあるものにつきましては再度創設するようにする。今後の改革等を考えますと、この際、整理を行うための新しい基準というものを設ける必要があるのではないか。これと積極的に取り組まれる御意思はございませんか。
#12
○土屋政府委員 いまお話しのございましたように、非課税措置につきましては、地方財政に与える影響あるいは租税負担の公平といった点から毎年見直しもしておりますし、今後ともその見直しは十分していかなくちゃならぬということについては、もう私ども同じ気持ちを持っておるわけでございます。
 ただ、非課税措置等の中には、御承知のように、少額預金利子非課税制度とかあるいは生命保険料控除制度といった個人が利用しておるものもございます。あるいは中小企業対策とか農林漁業対策といった点で有効に活用されておるというものもございまして、政策効果といった点からなお存続させるべきものもかなりあるわけでございまして、全部が全部直ちに廃止というわけのものでもないと思っておるわけでございます。
 そういったことで、五十四年度も廃止が九件、縮減合理化を十五件、合わせて二十四件、ほかに電気税の非課税品目の整理等もいたしておりますが、全体としてはおっしゃるように少ないという感じをお持ちいただいたのかもしれません。
 しかし、これに至るまでには、関係省庁とも相当詰めて、できるだけの整理をしたわけでございまして、それともう一つ、ただいま申しました効果的なものもございますので、存続するということになったわけでございますが、しかし、そういったものでございましても、既得権化するとかあるいはこれが慢性化するとかといったことでは問題がございます。いま、三年ぐらいで、段階的にやるという一つの計画を持ってやったらどうかといったようなお話でございますが、やはり私どもとしては、政策税制でございますから、その税の制度の政策的な効果、社会における必要性、そういったものを十分踏まえませんと、一律にはなかなかまいらないという点がございます。しかし、おっしゃる趣旨はまことにごもっともな点もあるわけでございますので、私どもとしては、絶えずその情勢の変化に応じて新たな見地から見直しを行うという点も含めまして、今後ひとつさらに検討させていただきたいと存じます。
#13
○澁谷国務大臣 ただいまの問題について、私からも一言お答えをしたいと思うのですが、とにかく国、地方を通じての空前の財政危機、これをどう再建するかということがこれからの政府の最大の課題になってきておるのは御承知のとおりであります。したがって、来年度の予算編成の際にこういった問題とどう取り組むかということは、これはもう大変大きな課題になってきておるわけでございまして、財政再建の一つの柱として一般消費税を導入しようという考え方は固まっておるわけでございますけれども、この消費税の導入だけで国、地方の財政再建ができるというようなことではないわけでございますから、したがって私は、消費税の導入もさることながら、国、地方を通じての支出面の徹底的な洗い直し、これが一方において当然必要だと思います。
 同時に、また収入面におきましても、消費税だけに頼るというような安易な考え方では、これはもうとうてい間に合わないわけでございますから、税収全般についても、新たな発想と申しますか、新たな基準、考え方で、全面的な洗い直しをやる必要がある、このように私は考えております。
 したがいまして、ただいま御指摘の点につきましても、それぞれ合理的な理由があってそういう特例措置が講ぜられてきて、それなりの役割りを果たしてきておるわけでございますけれども、いま申し上げたような全般的な、いままでにない異例の状態でございますので、私は、そういう新しい事態に即応してやはり新しい発想で全面的に見直していくということが必要であると考えますので、ただいまの御指摘の点は、貴重な御意見として私ども考えてまいるつもりであります。
#14
○西村(章)委員 大臣から特に決意についての御発言がございました。私ども今後一層の努力をお願いするものでございます。
 引き続いて次の質問に入りますが、省エネルギー政策について若干お尋ねをしたいと思っております。
 御承知のとおり、四十八年の石油危機以降、わが国でも省エネルギー政策が検討されまして、その法案もつくられてまいりましたが、鎮静、回復に向かうにつれて、ややもすれば忘れられがちになって、省エネルギー法案自体も前の通常国会で宙ぶらりんになったままであります。のど元過ぎれば熱さを忘れるという言葉がございますが、最近またまたイランの政変をきっかけといたしまして第二の石油危機かと言われるような事態が発生をいたしております。すでに政府も五%の石油の節約、この方針を打ち出されました。しかし、この措置はあくまでも当面の応急措置でございまして、このことによってエネルギー問題が解決するものではございません。特に、資源少国のわが国は、将来の石油不足に備えて中長期的な省エネルギー対策、これに本格的に取り組むことが強く要請をされておるわけであります。
 そこで、この省エネルギー法案の制定と並行して、省エネルギーのための税制、金融措置、これがきわめて重要な課題になってまいります。この問題の所管は大蔵省、通産省が主でありましょうけれども、自治省としても自治体なり地方税の立場から当然これに対応して協力すべき部分がございます。この省エネルギー政策そのものにつきまして、大臣の方から基本的な見解を承っておきたいと思います。
#15
○澁谷国務大臣 もう御指摘を待つまでもなく、わが国におけるエネルギー問題の重要性は、これは幾ら大きく見ても見過ぎることはないと思われるほどの最も重大な課題であると思います。これは日本の国運を左右するほどの重大な問題でございます。したがって、御指摘のように中期、長期的に日本全体のエネルギーの政策を確立していかなければならぬというのは、全く同感でございます。そういう観点に立ちまして、政府におきましては総合的な角度からエネルギー全般の中長期政策と真剣に取り組んでおるわけでございまして、したがって税制面においても、もちろんこれはそういう点も十分配慮した政策を実行していかなければならぬ、もう御指摘のとおりでございます。したがって、自治省としてもこれは主役ではございませんけれども、もちろんかかわり合いがあるわけでございますから、私どもの担当する分野においてもただいまのお話しのような日本の死活的な大問題である省エネルギーという立場から最大の努力を傾けていかなければならぬ、このように考えております。
#16
○西村(章)委員 今回の改正の中で若干具体化をされておるようでございます固定資産税の課税標準の特例措置として、一定の機械と設備、いわゆる省エネルギー政策に沿うような形の機械と設備、これにつきましての特例措置が設けられておりますが、単にこれだけではなしに、たとえば固定資産税におきましては一般家屋の断熱材の使用であるとかあるいは断熱化の工事、こういったものにつきましても今後拡充をしていかなければならぬと思うわけであります。この点についてはどういうお考えをお持ちでございますか。
#17
○土屋政府委員 エネルギー問題に関するわれわれの基本的態度は、大臣からお答え申し上げたとおりでございます。
 今回、五十四年度におきましても未利用資源の活用とかあるいはエネルギー資源の節約に著しく寄与するようなものについては、固定資産税を取得後三年間三分の二の課税標準ということで特例を設けることにいたしておるわけでございます。
 そのほかに、断熱材を用いておる住宅等についてもそういった点を配慮してはどうかというお話でございますが、個人住宅の問題につきましては、いまのような意味での省エネルギー効果、エネルギー資源の節約にどの程度著しく寄与するのであるかどうかといったような問題とか、あるいはこれに対して税法上の施策を講ずるとした場合に、その政策的な効果というものをどう評価をしたらいいのか、いろいろな面が非常に個々人によって事情も違うという点もございますので、なかなか明確な位置づけができないという面もございますので、現段階において直ちに固定資産税等の軽減対象とすることが適当かどうかということについては、私どもちょっと慎重に考えざるを得ない感じはするのでございます。しかし、今後省エネルギー住宅の建設促進に関するいろいろな総合的な対策等も検討されておるようでございます。そういったものとあわせて、税制としてはそこらの詰めをやりながらどう対応するかということは研究してみたいと存じております。
#18
○西村(章)委員 次に、住民税について伺います。
 今回の改正で、昭和五十二年以来二年ぶりに減税が行われました。標準世帯夫婦子供二人で課税最低限が百四十九万円に引き上げられたわけであります。私どもは努力は多とするわけでございますが、かつて住民税の課税最低限は所得税の八割程度が妥当だ、こう述べてこられました政府自身の水準にもこの金額ではまだほど遠いものである、政府は今回の減税額の課税最低限、これは何を基準に決定されたのか、お答えをいただきたいと思います。
#19
○土屋政府委員 住民税の課税最低限につきましては、基本的に最低限の生活費部分については課税しないというような趣旨であるわけでございますが、従来から地域社会の費用について住民が能力に応じてできるだけ広く負担を分任するということが望ましいという考え方に立ちまして、あわせて国民の生活水準なり税負担の状況なり、あるいは各地域における納税義務者数の推移とか、特にまた地方財政の状況等を総合的に勘案して水準を定めて引き上げを行ってきたわけでございます。今回の減税につきましても、そういった点からいろいろ検討したわけでございますが、一つには明年度の厳しい地方財政の状況が私どもの頭にあったわけでございまして、なかなか減税に踏み切るというのは容易じゃなかったわけでございますけれども、最近における国民生活水準の推移とか住民負担の状況、特にいわゆる所得税における控除失格者の住民税負担の問題といったことを考えまして、できる範囲内で減税するということにしたわけでございまして、一万ずつの引き上げがそれでは具体的にどう計算してどうなったんだということになりますと、そこはそれ以上明確なことを申し上げるものはないわけでございますけれども、ある程度低所得者層を中心に減税はしたい、地方財政の状況から見ればそれも限度がある、そこらから、できる範囲内で減税を行うということにしたわけでございます。それにいたしましても、今回の引き上げをしても七十数%でございますから、お示しの八割には至っていないわけでございます。
 そこで課税最低限を所得税の課税最低限の八割程度とすることが妥当であるかどうかということにつきましては、当時四十四、五年ごろからちょうど四十九年ぐらいの四十年代後半におきましては、大体八割程度で推移しておったということもあって一応のめどを立てておったわけでございますけれども、具体的な課税最低限をどう決めるかということにつきましては、その時点における財政状況とかいまの負担の状況とか、納税義務者数の推移といったようなことを総合的に勘案して決定すべきものだと思っております。具体的に、いまおっしゃいますように何割が妥当というような線で決めていくということはなかなか容易でない面がございます。ただ、できればそういった過去の推移の状況等を見て、それを頭に置きながらいろいろ考えて、その他の状況を含めてできるだけのことを私どもとしてはやっていくという以外にはどうもないように考えておるのでございます。
#20
○西村(章)委員 課税最低限を決定するいわば決め手ともいうべき基準は何もないようでございます。
 自治省の提出されました五十四年度の消費者物価の上昇見込み四・九%、これだけ引き上げる場合の所要額は、初年度で約五百二十二億円、平年度で六百二十一億円、今回の減税規模の正当性を主張されているゆえんでございますが、しかし消費者物価の上昇の見地から言いますと、前年度五十三年度の改正において、初年度で約七百二十三億円、平年度で七百九十億円、これだけの分の減税が見送られているわけであります。この減税分は当然考慮に入れられて今回の課税最低限を決定されるべきだ、こう思うのでありますが、この点についてはどうお考えでございますか。
#21
○土屋政府委員 住民税におきまして今回課税最低限の引き上げ等を行うことにしておりますのは、先ほどるる申し上げたような低所得者層の問題と、それから地方財政の問題等を総合的に勘案して引き上げたわけでございます。そういうことで、現在の百四十一万八千から百四十九万で約五・一%の引き上げということになるわけでございますが、大変技術的なことでございますけれども、住民税の場合は常に前年所得に課税するということでございますので、私どもとしては特に物価と並べて考えたわけではございませんけれども、五十三年度の消費者物価の上昇率が四%ということでございます。それを上回っておるわけでございます。それと、おっしゃるように五十四年度は大体四・九%と見込まれるということで、それをどう考えるのだということでございますが、私どもは、この前年所得課税という立場からは、比較する際は一応前年と比較して考えるということにしておるわけでございます。ただ、この物価調整減税というものをどういうふうに位置づけるかという問題もございますが、わが国の所得課税である所得税なり住民税の課税最低限というのは、全般的に見れば、諸外国の課税最低限よりは高くなっておるということもございます。そういったことで、税制調査会等でも、いわゆる物価調整減税については物価の上昇に見合って毎年必ずこれを調整しなければならぬと考える必要はないというような言い方もされております。といって、そういったことを全然無視するわけでもございませんし、私どもとしてはもろもろの状況を見て判断をするわけでございます。そういったことでございますので、先ほど申されました昨年、五十三年が四%、それから五十四年に四・九%、こう見ていけば、その分を考えるべきじゃないかということは、おっしゃる意味は私どもよくわかるわけですが、住民税の仕組みあるいはその他のもろもろの条件から見まして、今回は五十三年度の四%を上回っておることでもあるし、財政状況等を勘案いたしますと、この程度ができる範囲であったというふうに考えておるわけでございます。
#22
○西村(章)委員 国税では五十年から基礎控除、配偶者控除、扶養控除、それぞれ同額になっているわけでございます。住民税の方は、いまだに扶養控除だけが他の二控除より一万円少ない。この三控除を一致させない理由というのは何なのか、それが一点。
 それから、今回の改正で障害者控除等の引き上げも図られておるわけでありますが、将来福祉型の国家を目指すという立場から考えますと、やはり社会的な弱者、これの救済も非常に重要な課題になってまいります。したがって、社会的弱者に対する養護というものに対して十全な措置をとってもらいたい。障害者控除、特別障害者控除、老年者控除、寡婦控除、勤労学生控除、この控除の引き上げにつきましては、他の控除の改正とは切り離して別途に毎年見直しをする、これくらいの努力姿勢というものがあってもいいのじゃないかと思うのでありますが、こういうお考えはございませんか。
#23
○土屋政府委員 各種控除の決め方について、住民税の場合は住民税の性格に応じて決めておるわけでございまして、所得税とも違うし、また、いまおっしゃいましたように、基礎控除、配偶者控除と扶養控除とが違う、こういった経緯になっておるわけでございまして、先ほど申し上げたような総合的な見地から負担の状況なり納税義務者の推移とか、財政状況とか、いろいろな点を考慮してまいった結果が今日こういうことになっておるわけでございます。
 ただ、私どもがなぜそこは分けたかという点につきましては、そういった経緯を踏まえてではございますが、その世帯主の基本的な生活費である基礎控除と配偶者控除というものは、家族である子供、被扶養者よりはやはり一般的には高く控除してもいいのではないかといったような判断から差をつけておるわけでございます。将来これをどうするかということについては、なお検討しなければならないというふうに私どもも考えております。
 それからその他の勤労学生控除等の全体の取り扱いについては別途いろいろ検討する必要があるのではないかということでございますが、私どもとしても、その控除額を決めるに当たりましてはそれぞれの基礎控除なり配偶者控除、いま申しましたような扶養控除、それから勤労学生なりその他の方々の控除はそれぞれの実情に応じて検討をしていかなければならないと思っておりますし、今後地方財政の中で住民税というものをどう位置づけていくかということ等も含めまして、その課税のあり方というのは考えていかなければなりませんが、そういう過程においていま御指摘のいろいろな点については私どもも十分検討していきたいと思っております。
#24
○西村(章)委員 住民税の課税最低限の変動というものを見てまいりますと、必ずしも物価上昇に合致をしておらない。また生活保護費の動静、所得税の課税最低限とも連動しておりません。このように見てまいりますと、何を基準に課税最低限を考えておられるのかよくわからないわけであります。今後は国民に納得のいくようなはっきりとした基準を定めて、それに財政状況を勘案した数字をプラスする、こういった対応の仕方が必要になってくると思うのでありますが、自治省として今後住民税の課税最低限を決める合理的な基準をつくるお気持ちがございますか。
#25
○土屋政府委員 私どもとしては、最初に申し上げましたように、基本的には住民税の課税最低限というのは必要最小限の生活費には課税しないということでございますから、それを判断する、それが基本にございます。したがいまして、それを判定する際にどういった基準で考えるかということでございますけれども、それは、先ほどから申し上げましたような住民税の基本的な広く負担を分任するという性格、それから地方財政の状況といったようないろいろなものを考えてやるわけでございますから、機械的にこの場合はこうだというようなものはなかなか決めにくいと思うのでございます。しかし、いまのようなことでございますから、その際はもちろん頭の中には物価の上昇等の問題もございますし、あるいはまた、一方では生活保護等のことも考えなければなりませんし、そういった要素は私どもも議論する過程ではできるだけ盛り込んで議論はしておるわけでございます。ただ、御指摘のございましたように、全般としてこういった考え方をわれわれとしても配慮に入れようという意味の整理というものはきちっとしなければならぬというふうに思っております。
#26
○西村(章)委員 これは大臣にお尋ねをしたいわけですが、わが党は今回の住民税減税に対しまして、これまで物価上昇に見合うように引き上げてこられなかった課税最低限を少しでもどれに近づけるために基礎控除、配偶者控除、扶養控除の額をそれぞれ現行よりも二万円ずつ引き上げ、二十二万円になるように公明党とともに予算審議の段階で修正の形でこれを要求したわけでございます。結果的にはこれにこたえてもらうことができなかったのでありますが、ここでこの要求につきまして自治大臣としての御見解をぜひ聞かしていただきたいと思います。
#27
○澁谷国務大臣 私どもとしても、住民税の最低課税額を引き上げるということはぜひやりたい、できるだけ大幅に引き上げたいという考え方は基本的に持っておるわけでございますが、しかし、何分御案内のような財政状態でございますので、これをやるには当然限度がある。そこでいろいろな要素を考えながら知恵をしぼったわけでございますが、その最終的の結論として今回提案申し上げたようなところに落ちついたわけでございまして、その控除額を二万円ずつに引き上げたらどうかという提案も、そのお気持ちは私どもよくわかるのでございますが、残念ながら現在の財政状態ではそれにおこたえすることが不可能である、こういう事情でございますので、御理解をいただきたいと思います。
#28
○西村(章)委員 今後、そういうことにつきましては来年度なり再来年度さらに御努力をいただきたいと思います。
 住民税と関連をいたしまして、いわゆる土地税制の問題につきましてお尋ねをします。
 今回の改正の中にも、土地等の長期譲渡所得につきましては、譲渡益が四千万円以下の部分につきましては、現行二千万円でありますが、一定税率による分離課税、それを超える部分については譲渡益の二分の一、現行は四分の三、これを総合課税することになっているわけであります。この措置は、所得の総合課税化による租税負担の公平化、これに逆行するのではないかと思われるのでありますが、この租税負担の公平化につきまして、見解を尋ねておきたいと思います。
#29
○土屋政府委員 土地譲渡所得に対する課税の問題につきましては、今回五十四年度の税制改正においてもいろいろと議論をされたところでございまして、現行の税制が宅地供給を阻害しているかどうか、いろいろな点も議論されたわけでございますけれども、また、最近の地価上昇傾向から見て、大幅緩和ということはどうであろうかということもございました。
 そういったこと等を踏まえましていろいろ検討をされたわけでございますが、住民税におきましては、これまでも所得税と同様の措置を講じておるところでもございますし、また、所得税の改正がいま申し上げたような問題がございますけれども、当面の住宅政策なり土地政策の緊要性にかんがみまして、税制調査会でも検討していただいた答申の趣旨に沿いまして、短期譲渡の重課制度、それから法人の土地譲渡益重課制度等の現行の土地税制の基本的な枠組みは堅持をするという前提で、特に優良な住宅地の供給と公的な土地取得の促進に資するものに限って部分的に手直しをする、そういったような改正をされたわけでございます。そういったことから、私どもとしても、全般的な改正というところではない、こういった部分的な手直し、しかも当面緊急に必要な住宅政策という観点からされたものでございますので、所得税と同様の方向で改正するのがよかろうということにしたわけでございます。もちろん住民税の改正規定の適用は五十五年度の住民税からでございますけれども、土地税制全体のあり方の中で、ただいま申し上げましたような趣旨から、長期所得については部分的な手直しという点においてそう大幅な変動はない、そういう前提で私どもとしても同じような形をとったということでございます。
#30
○西村(章)委員 この長期譲渡所得の総合分離課税その他一連の土地税制の緩和というものを昨年から建設省は非常に強く要求をされているわけで、この一連の土地税制の緩和によって、果たして優良な宅地の供給というものが可能であるのかどうか。このことを行うことによって、いま手詰まり状態にあると言われるこの住宅政策、なかんずく宅地の提供というものがどの辺まで展望として見渡せるのか、この辺についてまずお尋ねをしたいと思います。
#31
○木内説明員 お答え申し上げます。
 今回の土地税制の個人の長期譲渡所得税の改正に関しましてどういう効果あるいはどの程度の効果があるかということだと思うのでございますけれども、今回の土地税制改正は、先ほど御説明ございましたように、特に優良な宅地供給というふうなものに焦点を置いて改正させていただいたものでございまして、現在宅地供給は、先生御承知のように、計画に比べて大分落ち込んでいるという状態でございます。それで、その原因の一つに、やはり土地税制が絡んでいるのではないかということを私たちは考えているわけでございます。
 ちょっとそれを具体的に申しますと、計画的開発が非常に落ち込んでいるわけでございますけれども、そういう計画的開発とか、マンション用地とか、そういった用地を買収することを考えますと、かなりそういう用地の提供者、土地提供者は大口と申しますか、たとえば五千万とか一億とか、そういうふうな用地買収代金になる場合が多うございます。そういう方々が用地買収に応じていただけるかどうか、これがそのプロジェクトの成否に大きく影響しているわけでございます。そういうふうな大口の土地所有者と申しますのは、たとえば五千万とか一億とか、そういうふうな譲渡所得金額になるわけでございますが、現行の譲渡所得税は、御承知のように五十一年度から非常に重課になっておりますので、どうしてもこういう方々が土地の売却をちゅうちょするか、あるいは売却するにしましても、細切れという形で出してくるという傾向が強うございます。そういうことでございますので、なかなか計画的な宅地開発等が進まないというのが現状でございます。そういうふうなことを取り除くために、こういった四千万まで控除額を上げるとか、あるいは四分の三を二分の一にするというふうなことをもって用地買収を従来よりはしやすくさしていただくというのが改正の趣旨でございます。
 そういうことでございますので、効果があると思いますけれども、これを数字的にどのくらいということは、他の経済情勢あるいは土地所有者、お百姓さん方の意向、意思の問題、そういう問題がございまして、数字的に申しますのはかなりむずかしい問題でございます。
    〔染谷委員長代理退席、委員長着席〕
ただ、一つの目安としまして、私どもが試算しているところによりますと、他の条件が一定ということで仮に試算してまいりますと、大体計画開発で新規の宅地供給量としましては、ミディアムグロスという単位でございますけれども、年間約六百ヘクタール程度の増加はあるのではないか、これはあくまでも試算でございますけれども、目安として申しますとそのくらいになるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#32
○西村(章)委員 土地税制ということになりますと、昭和四十五年から五十年にかけまして宅地供給の拡大、こういう美名のもとに土地譲渡税の軽減が行われました。その結果は余り大きな宅地供給に結びつかずに、むしろ土地成金をたくさんつくった、こういう苦い経験があるわけでございます。現在は、地価の問題は高値安定といいますか、都心部におきましては徐々に高騰を続けておる、こういう中でございますので、特に土地税制の改正につきましては、努めて私どもは避けるべきだと考えておるのであります。いま御答弁がございましたが、建設省の考えておられるほど他の省が効果があると考えておるかということにつきましては、必ずしもそうではないようでございます。さらに、現行税制におきましても、優良宅地の供給につきましてはすでに特別措置がいろいろと講ぜられております。たとえば地方税の特別土地保有税につきましても、開発用の取得土地、これなどは課税対象から適用が外されております。むしろ優良な宅地供給の問題の中心は、開発に伴う関連公共公益負担、これの問題ではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。
#33
○木内説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、確かに私たちが土地税制の効果として期待しているのは、先ほど申しましたように、試算として見ましても六百ヘクタールとかという数字が出てまいるわけでございます。ただ、これに対しまして、現在の宅地供給あるいは需要とのギャップと申しますのは、需要が一万二千八百ヘクタールくらいで供給が一万そこそこくらいでございますから、大体三千くらいはあるわけでございます。そういうことから申しましても、私たちは土地税制だけで相当のギャップを埋めていくというふうなことは必ずしも期待していないわけでございます。ただ、土地税制も一つの手段として、幾つかの中の一つと考えているだけでございます。
 そういうことで、土地対策は総合的にしていかなければならないというふうなことでございまして、その総合施策の中としましては、公的機関による宅地供給の推進とか、あるいは民間の優良な宅地開発についての政策金融というものを拡充していくとか、それから現在やっております都市計画の線引きの見直しをしていくとか、いろいろな方策があるわけでございますけれども、なかんずく、その中でも関連公共公益施設整備をどういうふうに進めていくか、どういうふうに助成していくかということは最も大きな事項だと考えておるわけでございます。これにつきましては、昨年から別枠制度を設けていただきまして、ことしも昨年の当初予算の倍の六百億円という金額がついております。そのほか、こういった別枠以前の問題といたしまして、いわゆる根っこの方の宅地開発関係の公共事業費というような予算も、五十三年度は二千億程度でございましたけれども、五十四年度は三千億ぐらいにふやしていきたい。これは建設省全体の問題でございますけれども、そういうことを考えておるわけでございます。
 さらに、最近問題となっております開発指導要綱、こういうものにつきましても、自治省と御相談の上いろいろ考えられることは考えていきたいというふうに考えておるわけでございます。先生御指摘のように、関公の問題が非常に大きな問題であるということは私たちも認識しておりますので、宅地供給の不足については、総合的に対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#34
○西村(章)委員 関連公共公益負担を規制しておりますのは、いわゆる人口急増都市の開発指導要綱であります。これは人口急増に伴うやむを得ざる措置だというのが自治体の言い分でございます。本年三月自治大臣は建設大臣と、この点につきましての行き過ぎを是正する、こういう合意がなされたと新聞に報道されております。特に、近く国の手で開発事業の負担水準の目標を決める、地方自治体がこれに従うように通達を出すと報道されておるわけでありますが、合意された内容というものが公表できればひとつ教えていただきたい。特に地方自治団体にとりましては、これはきわめて重要な問題なのです。その点について大臣から御答弁をいただきたいと思います。
#35
○澁谷国務大臣 人口急増都市の抱えておる問題はきわめて大きな問題でございまして、私は先般来この委員会で答弁申し上げておるのですが、これに対する対策は、関係する分野が非常に広いわけでございますから、そういった関係省庁が緊密な連絡をとりながら、総合的な対策を講じていかなければこの問題は解決しない、これが私どもの基本的な認識です。
 そこで、先般、建設大臣、それから両省の幹部が一堂に会してこの問題を討議したということでございますが、これは、新聞が報道されておるように開発指導要綱の行き過ぎを是正するためにこの会合を持った、そういうことでは全くございません。あくまでもあの会合を持ったねらいは、いま申し上げたように、とにかく人口急増都市は大変な問題を抱えておるわけでございますから、これに対して政府として、特に一番関係の深い建設省と自治省の両省がいままでやってきたことを反省しながら、今後どういう姿勢で取り組まなければならないか、そういう点に一番重点を置いて相談をしたわけでございます。ただ、指導要綱が行き過ぎだからそれを是正しなければならぬ、そんなことで集まったのではないことを申し上げておきます。
 それから、当日、一応基本的な数点について合意をしておるわけでございますが、その点については政府委員から答弁をいたさせます。
#36
○森岡政府委員 大臣からいまお話し申し上げました経緯でございますが、主要な点は三点でございます。
 関連公共公益施設の国庫補助金制度ができておるわけでございますが、その事業執行につきましての地方の負担をさらに軽減する方策を講じてほしいというのが建設省の第一の問題でございます。
 第二の問題は、開発指導要綱に関連いたしまして、政府といたしましても総合的な人口急増対策というものを拡充していかなければならぬが、同時に、開発指導要綱に行き過ぎがある場合も見受けられる、それについては是正を指導していこうということでございます。
 第三点は、建設省、自治省だけではございませんで、教育施設あるいは保育所その他いろいろ問題がございますから、それらについて両省が関係省庁に強く要請していこうということでございます。
 このような点について討議をいたし、おおむね合意を見たわけでございます。
#37
○西村(章)委員 よくわかりました。
 事業税について一つだけ御質問をいたします。
 消費税の導入がなされない場合、あるいは仮になされましてもまだまだ時期的には明確ではございません。そこで、この委員会でもたびたび問題になっておりますし、毎年議論の対象になっておるようでございますが、事業税の外形標準課税の問題は、消費税が五十五年度に導入されなかった場合、そのままたなざらしにするのかどうか、この点についてはいかがでございますか。
#38
○土屋政府委員 事業税の外形標準課税の問題は、御承知のように長年の懸案であったわけでございます。ぜひとも企業の活動量を的確に反映する基準というものを外形標準に求めようということで検討してまいりました。たまたま今回出てまいりました一般消費税との関連におきまして、その負担の帰着関係あるいは課税標準においてきわめて類似しておるということから、一般消費税、新税の一部が地方の独立税として配分されるということになれば、長年の懸案は実質的に片づくだろうと思っております。そういったことから、導入できないときはどうするかというお尋ねでございますが、その考え方そのものは私どもはずっと持続しておるわけでございますけれども、現在の状況から見れば、税制調査会の答申の線に沿って五十五年中に実施できることを願っておるわけでございまして、そのための諸般の準備を進めておるわけでございますから、それができないときはどうするかということについては、私どもとしてはその問題の実質的解決というのは常に頭の中に置いておくということでございます。現段階でどうするというところまではちょっと申し上げかねるわけでございます。いまのところでは導入を強く期待しておるわけでございます。
#39
○西村(章)委員 次いで自動車税の問題についてお尋ねしたいと思います。
 今回自動車税のアップというものが提案をされてまいったわけでありますが、端的に申し上げて今回の自治省の提案は余りにも唐突過ぎたのではないか。自動車にかかわる増税につきましては、運輸省が昨年七月に陸上輸送整備特別会計を押し出しました。さらに自動車重量税の五〇ないし六〇%の引き上げあるいは新税の創設、また、建設省は昨年の九月にガソリン税二五%ですか、地方道路税の税率をそれぞれ引き上げるという意向を表明しました。各省との折衝を行っておるわけで、論議も深められておるのでありますが、自治省の提案は昨年十二月の中旬であります。私どもも初めて活字を読ましていただきましたのが昨年十二月の中ごろでございました。明けて本年一月十六日に改正案をまとめております。これでは事前に論議する時間的な余裕も何にもない。税調の中での論議も十分ではなかったのではないかと思うのでありますが、この辺の提案のおくれたいきさつにつきましてまず説明を伺いたいと思うのです。
#40
○土屋政府委員 私どもが税制改正をいたします場合は、その年度あるいはまた翌年度の社会経済情勢とか、財政状況等をある程度見きわめをつけながら改正の是非を検討して税制調査会に諮って最終的な決定をするということでございますから、最終的には年末になっていくのは例年のことでございます。
 そこで、お尋ねの今回の自動車税の税率引き上げに当たりましても、ただいまお話しがございましたが、たとえば運輸省あたりの考え方、あるいは建設省における揮発油税、軽油引取税に対する引き上げの要望、そういったものが検討されます際に、私自身もいろいろな機会に地方における自動車関係諸税の引き上げ、軽油も含めて全体の中で検討をお願いしておりましたし、それは事実そういうことで進んできておったわけでございます。
 率直に申し上げまして、実はあのころ、御指摘のございました公共輸送整備税とか、そういったものが非常に大きく取り上げられておったような関係もございまして、どうも私どもの声が大きく取り上げられなかったような感じは自分自身でも持っておるわけではございますけれども、制度としては全体の絡みでございますから、これは最初から意見としては私ども出しておったわけでございます。そういったことでございますので、特に諮問がほかに比べておくれたということはないのでございまして、報道等におきまして、これは突然十二月半ばに出たというような記事も私も存じておりますけれども、そのころ非常に脚光を浴びたと申しますか、そういうことはあったかと思いますけれども、率直に申し上げまして、私どもとしては自動車関係税全体の絡みで車体課税、燃料課税あわせまして議論しておったわけでございます。そういった点で遅かったではないかというおしかりがございますと、それは十分社会的に認識されなかった点について、あるいはPRが足らなかったのじゃないかということは私どもとしても存じておりますけれども、特にそれをきわめてせっぱ詰まってから出したということはございません。
#41
○西村(章)委員 御承知のとおり、自動車はいまではほとんどの事業所、家庭で持たれております。一世帯一台の割合で普及しておるものであります。その意味では、自動車税の増税は所得税の増税と同じだ、これくらいの意味を持つものでありまして、その増税は国民生活に多大な影響を与えるものである。したがって、事前に十分な国民的な論議を行うべき性質のものであるにもかかわらず、国民の目には突如として提案されてきた、こういう受け取り方をされております。私どももそのとおりでございまして、この点はまことに遺憾でございます。今後はもっと早い時期から増税幅も含めて改正案をオープンにして、広く論議して国民の納得を得ることが必要であろう、かように考えます。その点につきまして、今後税改正の提案方法の改善の余地があればぜひ考慮をいただきたいということです。
 さらにもう一つ。今回のこの提案は、いわば一番取りやすいところから取ったという安易な考え方がこの中にうかがわれるのであります。税額的に、自動車税の増収額が軽自動車分も含んで六百二億円、一方住民税の減税に伴う減収額は五百六十八億円、きわめて数字が類似をしておるわけであります。だれがどう見ても、住民税減税分の穴埋めとして自動車税が引き上げられた、そうとしか思えないのでありますが、この両者には全く関係はございません。この点についてはいかがでございますか。
#42
○土屋政府委員 今回自動車税の税率引き上げをお願いいたしておりますのは、現行税率が設けられました昭和五十一年度以降、年々自動車の販売価格も上昇しておることとか、道路の維持管理の費用も大きくなっておるといった事情を考慮しまして、税制調査会の答申の線に沿って引き上げるということにいたしたわけでございまして、住民税減税とは直接関係がないわけでございます。お示しのございましたように、たまたま住民税の減税が初年度五百六十八億で、この自動車税の引き上げが初年度五百六十九億と、計算したらまことにぴったりの数字になっておりますので、その点からおっしゃったわけでもございますまいけれども、私どもとしては、そういうただいま申し上げましたような自動車税の性格、社会環境、そういったものを考えて引き上げに踏み切ろうとしたわけでございます。
 また税制改正を考える場合は、先ほども申し上げましたけれども、当該年度なり翌年度の経済状況とか財政の状況等をいろいろと検討した上で、是非を検討して税制調査会に諮って最終的な決定を下す、こういったことでございます。これは最良の方法であると考えておりますので、こういったやり方は今後も続けていくことになろうかと思いますけれども、関係方面のいろいろな意向とか、どうとか、そういった点について不十分なところがあるといたしますならば、今後そういった全般的な調査ということ等については十分私どもは戒心をして研究をしてまいりたいと思っております。
#43
○西村(章)委員 いまの答弁の中で、今回の引き上げは販売価格が高騰している、こういうことでございます。昨年年末に税調へ出されたときの原案は、軽自動車も含めておよそ一五%の引き上げというものが出ておるわけであります。販売価格が高騰したとおっしゃるにはそれなりの根拠があると思いますが、五十一年度に比べてどれくらい上がったとお考えでございますか。
#44
○土屋政府委員 ただいまお話しがございましたように、私どもといたしましてはいろいろと検討する過程において原案と申しますか、われわれの意向としてこうしたいという考え方の際は、引き上げ率を一五%というふうに考えておりました。そのとき、いろいろな関係資料というものがございまして検討したわけでございますが、私どもの手元の一番正確な数字といたしましては、自動車取得税の課税標準額なりあるいは課税台数等をもとにいたしまして、どういった形で推移してきておるかということを調べます。それでいきますと、五十一年度、五十二年度両年度にわたって上がってきたものが一七%くらいあったということがございました。そういうことを頭に置いて一五%の線を考えたわけでございます。
 ただ、その後いろいろと議論が出てまいりまして、いわゆる自販連とかその他のいろいろのところから事情等も聞きまして、そういった自版連あたりで調べておられます自動車ディーラーの経営状況調査報告書等から見ますと、それよりは低い。ただ、最近における、五十三年度あたりの引き上げの状況というのが全然つかめなかった。そこで五十一年度、五十二年度あたりの伸び率等を聞かせていただきまして、そういったことを全体的に勘案いたしまして、自動車税の財産課税的な性格と、それから一方道路損傷負担的な性格といったもの等を勘案していま提案しておりますような税率に落ちついてお願いをしておる、こういうことでございます。
#45
○西村(章)委員 きわめて根拠が薄弱であると私は思います。本来自動車税と自動車価格と結びつける根拠というものは全くございません。わが国もそうでございますが、諸外国におきましても、自動車税は排気量や馬力、これによって決められておりまして、およそ車両価格とはリンクしないものであります。今回の提案では、増税の根拠を車両価格が五十一年度から一七%くらいだ、これだけアップしたんだからというのでありますが、これはおかしいのでありまして、私はぜひ再考を願いたいと思うのです。いま仮に百歩譲って増税の根拠を車両価格のアップに求めたといたしましても、いま局長からも御説明がありましたように、自販連の調査によりますと八・五%、かなり差がございます。それから最近の取得税等でごらんになったのだろうと思いますが、車種構成の変化というものがございます。これはいわゆるユーザーのニーズというものが、小型から中型化、中型から大型化へだんだんと上級傾向へ志向いたしております。この上級志向は必然的に排気量のアップとなります。現行の自動車税は、言うならば軸距となっておりますけれども、実質的には排気量、これで決められておるわけでありまして、排気量が大きくなればなるほど税負担が重くなってくる、いわば価格と排気量の二重取りになる、こういうことも言い得るわけでございます。
 そこで、先ほど局長が答弁をされました一七%とこの自販連の調査の八・五%の差、これについてどう考えられるのか。いま申し上げました二重課税的な性格があるということについてはどう考えられるか、聞かしていただきたいと思います。
#46
○土屋政府委員 私どもといたしましては、従来から自動車税の性格そのものを資産課税的な性格と、一時は奢侈的な性格もあるということを言われております、そういったものと、それから道路損傷負担金的な性格を有する税である、そういった考え方で従来からずっと来ておるわけでございます。そういったことを考えます場合に、最近における自動車の急激な増加に伴って道路需要というものが非常に高まっておるわけでございます。そういった点から見まして、個々の自動車について見ると、新車と中古車では違いますし、また道路走行の多い車と少ない車とではいろいろと資産価値も違うといったこと等もございます。そういうことはございますが、いま申し上げましたような意味において、道路を走行することに起因していろいろな行政サービスを享受しておるということもまた事実でございまして、社会的な費用を分担すべきであるという点では余り変わらない。そういったこと等もございまして、私どもとしては一応資産課税的な面における価格というものを頭に置いて検討をしておるわけでございます。その数の取り方についてはいろいろ見方がございまして、それを調整しながらそれにプラス道路損傷負担金的な意味において社会的費用を負担してもらう、そういうことをあわせて考えたわけでございますから、そういう総合的な意味で今回の引き上げというものをやったということでございます。なお、そういった、いまおっしゃいました意味においてさらに精細な価格の問題、あるいは自動車の性能の問題、あるいは道路損傷的な意味においてどういうふうに見ていったらいいのかということについては、なお私どもとしては仮に今後改正をするという場合は、そういう点は十分検討しなければならないと思っておりますが、今回行ったものはただいま申し上げましたようなことを含めて総合的な見地から税率を決めた、こういうことでございます。
#47
○西村(章)委員 いろいろな性格を持っておるようでありますが、これもいろいろとり方がございます。仮に固定資産的な性格と見て増税するのであれば、その場合には、やはり当然のことながら減価償却、この考え方を取り入れる必要がございます。したがって、残存価格に課税するのが本来的な筋でございます。固定資産税的な性格と見た場合に、他の資産との均衡はどのように考えておられるのか。また、減価償却の考え方についてどういう見解を持っておられるのか、聞かせてください。
#48
○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、資産的な点で考えますと、新車と中古車とでは違いますし、また使い古したと申しますか、道路走行が多い車と少ない車とではそれぞれの自動車について資産的な価値は異なるだろうというふうに思います。ただ、そういった面で厳格に減価償却をして価格を決めていくということではなくて、そういった資産的な価値にプラスいたしまして道路を走行することによります種々の行政サービスに対応する負担というものも持ってもらいたい、こういうことでございますから、現在すべて定額による課税、定額課税ということを行っておるわけでございまして、そういった点で、おっしゃる意味において資産的な価値に着目をすれば償却的な考え方というものもあり得るだろうとは思いますけれども、自動車税というのは、るる申し上げておりますような形で構成されております。そういった結果、定額課税ということになっておるわけでございます。そういった意味において、現行制度については今後もその税率等についての決め方はより合理的な検討はするにいたしましても、制度としては現行制度を維持してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#49
○西村(章)委員 今回の改正では、自家用車のみが一〇%引き上げられております。営業車用はほとんど据え置かれたままであります。一部に営業用のバスがわずか五%ですか上がっておりますが、営業車は据え置かれて自家用車だけが上がった。この理由は一体何でございますか。
#50
○土屋政府委員 今回の改正案はおっしゃるような形になっておるわけでございますが、引き上げるといたしました場合に、それが運賃なり料金等の引き上げを引き起こすということはあり得るわけでございます。ひいては消費者物価の上昇とか国民生活費へのはね返り等の影響ももたらすことはあり得ると思います。そういったことから、公共輸送機関としての性格等から営業用自動車については据え置くということにしたわけでございます。この点については昨年末の税制調査会においてもそういった公共輸送機関としての配慮というものをすべきであるということがございまして、そういったことを勘案して据え置いたということでございます。ただ、そういう中でも営業用自動車のうちで一般乗用のバス以外のもの、主として観光用の貸し切りバスでございますが、そういったものについては一般乗用のバスに比べてただいま申し上げましたような公共輸送機関としての性格が希薄であるということもございますので、その半分、五%程度の引き上げということにしたわけでございます。そういった趣旨から営業用との差を設けたわけでございます。
#51
○西村(章)委員 今回の改正によりましてこれまでの営業用と自家用の格差は一段と広がったわけであります。増税の結果、自動車税におきましては自家用車は営業車の約四倍ぐらいの税負担になる。そのほか取得税でも二倍、重量税でも二倍強、もう格差はどんどんと開いてきておるわけであります。道路を利用することは、これは同じでございますし、それに伴う負担も当然同一化すべきでありまして、きわめて不公平だと思うのであります。さらに営業車の値上げというものは、いま述べられましたように公共料金にはね返る、こういうことでありますが、営業用はこれらの税金は全部経費で落ちるのでありますが、勤労者サラリーマンの自家用は経費として落とすことができない。その負担感は非常に大きいわけであります。税制と物価対策、これを混同することは余り好ましいことではございません。これ以上営業用と自家用の格差を広げることは、私は大きな問題になってくると思います。今後この格差がさらに広げられるのか、あるいはもうこれでストップするのか、その辺についての見解はいかがでございますか。
#52
○土屋政府委員 今回、営業用と自家用の格差を設けましたのは、先ほど申し上げたようなことでございますので、繰り返し申し上げませんが、私どもとしては営業用と自家用の差というものはあってもいいのではなかろうかと思っております。ただ、どの程度が合理的であるのかというようなことにつきましては検討する必要はあろうかと思っております。
 なお、営業用と自家用ともに非常に使用形態が類似しておりますトラックとか三輪の小型については、御承知のようにいわゆる営自の格差というものは余り設けてないわけでございますけれども、一般の自動車についていわゆるマイカーと営業用のタクシー等との関連において差が相当あるということでございます。この点について今後どういうふうに考えていくかということについては、私どもとしてはその時点におけるいろいろな、もろもろの社会的な情勢というものを判断していかなければならないと思っておるわけでございまして、どうするということではございませんけれども、ただ、おのずからその営自の格差についても、それは限度があるだろうというふうには考えておりますし、おっしゃった御意見については十分注意をして今後考えていきたいと思っております。
#53
○西村(章)委員 昨年の当委員会の地方税法の改正の質疑の中で、自動車税について車検の回数に応じて負担の軽減を図るべきではないか、こういう質問に対して、当時の森岡局長は車検に応じて税負担を軽減することは自動車税を一種の財産税的なものとすることである、現在の自動車税はそういう財産所有的な性格もあるが、むしろ道路損傷負担的な性格の方が強い、したがって新車も中古車も定額税率としている、わが国の社会の実情からすれば定額税率で道路損傷負担的な性格を強めた税制の方が望ましい、こういう答弁をされておるのであります。それならば、新車と中古車が同じように、自家用も営業車も変わらないのであります。通常、道路損傷率は軸重の四乗に比例すると言われておりますが、この観点に立ちますならば、自家用自動車のみが負担率が非常に高い営自格差を設けるのはきわめて問題でありまして、不公平を増大すると一層不信感を強めるのでありますが、先ほどの、昨年の委員会の質問の繰り返しになりますが、車検の回数に応じて負担の軽減を考えること、これをもう一度御検討いただく余地はございませんか。
#54
○土屋政府委員 自動車の資産的な価値の面に着目をいたします場合は、車検回数を多く重ねた自動車は車検回数の少ない自動車よりも一応資産価値というものは減少したというふうに考えられると思うのでございます。しかし、やはり昨年お答え申し上げましたとおり、自動車税の道路損傷負担金的な性格から見れば、資産価値の大小に応じて道路損傷の程度に差ができるんだということも言いにくいわけでございまして、先ほどから申し上げておりますように、むしろ定額によって課税する方が合理的であろうというふうに考えておるわけでございます。資産課税的な面、道路損傷負担金的な面、そこらをどういうふうに絡めて現実にマッチするような税制にするかということは常に研究はしなければなりませんが、現段階においては昨年お答えしたところと私どもは同じ考えを持っておるわけでございます。
#55
○西村(章)委員 自動車は、国民の重要な交通機関として保有台数も今日では三千二百万台、これを超えておりまして、冒頭に申し上げましたように一世帯一台の割合で普及をいたしております。特に地方の農漁山村、大都市から離れたところほど、所得水準がきわめて低いにもかかわらず車の普及率は非常に高くなっておる。澁谷自治大臣の御出身地であります福島県でもそうでございます。全国平均よりも所得水準は低いけれども、車の普及率というものは全国水準より高い、こういうことでございまして、これは自動車がもう生活に欠かせないものに、重要な輸送用具、必需品になっていることを端的に示しているものであります。ところが、今日現在自動車には九種類もの税金がユーザーの負担としてかかっておるわけでございます。買うときには物品税、自動車取得税、持ったときには自動車税、自動車重量税、走るときにはガソリン税、軽油引取税、石油ガス税などでありまして、自家用ユーザーの税額負担は、仮にいま九十万円で新車を買いますと、その後五年間で八十五万円、年間約十五万円以上となっておるのです。これは就労者の平均所得税より高くなっておる。昨年度の予算でも自動車関係税収は国の歳入の約一〇%に当たるほどの金額、三兆円強であります。国税、地方税を合わせた租税総収入、金額にいたしまして二十八兆百七十七億円の約一割を占めていることになります。
 本来、車は持つことによって価値がないのでありまして、むしろ利用することによって初めて価値が出てくるものであります。したがって、利用段階での課税に今後は重点を置く、固定資産税的な性格のものについてはもっと軽減をするべきだ。自動車に対する考えを自治大臣としていま申し上げた点からどのように考えられるか。固定資産税的な評価ということでありますと、三年に一度見直されるわけであります。およそそのようになっておりますが、できればこの今回の見直しで最後にしていただきたい、こういう気持ちが強いわけであります。いかがでございますか。
#56
○澁谷国務大臣 国民がほとんどが車を利用するという時代に入っておるわけでございまして、そういう意味で自動車が国民にとって欠くことのできない大事な輸送機関である、こういうこと、それともう一つは、その自動車に対して国税、地方税を通じて非常に大きな税負担がかかっておるということ、御指摘のとおりでございます。
 先ほど来の議論を私は拝聴しておったのでございますが、やはりいろいろな問題があるようであります。今後こういった問題に対してどうしていくかということは、やはりこれからの国全体の税負担のあり方というものを全面的に見直していかなければならぬ、こういうときでもございますから、ただいまお示しいただきました議論というようなものも十分ひとつ私ども頭に入れて検討してまいりたいと思います。
#57
○西村(章)委員 自動車税につきましては、いま申し上げたような観点から今後十分そういった点を考慮して税のあり方について御検討いただくことをお願いいたしておきたいと思います。
 きょうは本会議が一時からだそうでございまして、若干質問が残っておりますが、時間の関係上これで終わります。
#58
○松野委員長 次に、三谷秀治君。
#59
○三谷委員 法人二税の落ち込みが非常に極端になりまして、これが大都市財源を直撃しております。欠損法人と称して課税を免除される企業が年年増加してまいりました。
 五十二年度の欠損法人の数、そうして全企業に占める比率はどれくらいになっておりますか。一億円以上と十億円以上に分類をしてお知らせを願いたい。
#60
○土屋政府委員 一億円以上の全法人数が百二十五万九千七百七十一という数でございますが、欠損法人数が五十八万三千八百九十三、その割合は四六・三%というふうになっておるわけでございます。
#61
○三谷委員 十億円以上はどうですか。
#62
○土屋政府委員 大変恐縮でございますが、ちょっと手元に十億以上だけを分離した数はございません。後ほど調べてお答えをいたします。
#63
○三谷委員 資本金十億以上の大企業の欠損法人、大阪で見てみますと、四十九年で一二%程度でありましたが、五十一年、五十二年ともこれは二五、六%に達しております。ですから、一億以上の会社でも欠損法人が約半分、いまおっしゃいました四六・三%は五十一年度と違いますでしょうか。五十年度はもう少し増加をしておるはずでありますが、その点どうでしょうか。
#64
○土屋政府委員 五十一年分でございます。
#65
○三谷委員 五十二年度におきましては、その比率はさらに高くなっております。四八%程度ではないかと思いますが、いずれにしましても、企業の約半数が欠損法人として事業税もあるいは府民税の所得割も免除されるという状況になっておるのでございます。これが地方財政に与えます影響はきわめて大きなものであることは言うまでもありません。そこで、欠損法人というのは一体どういう企業だろうか。概念的にはどういうことなのか、これを私お尋ねしたいと思うのです。たとえば、配当しているのかしていないのか、あるいは役員報酬を出しているのか出していないのか、正常な企業としての運営がなされておるのかいないのか。そういう点から見て、欠損法人の概念について私はお尋ねしたいと思う。
#66
○土屋政府委員 税法上の欠損法人として考えます場合は、当該年度の益金の額から当該年度の損金の額を控除したもの、それが所得でございます。それがいわゆる赤字になれば欠損法人ということに税法上はなるわけでございまして、それ以外の活動面においては、法人のそれまでの積み立てなりいろいろな問題もございますから一概には申せませんが、当該年度については、大ざっぱに言ってそういった企業の決算に基づく利益の額と所得とが一致する、その所得が欠損であるかどうかということで判定するということだと存じます。
#67
○三谷委員 企業会計上黒字決算を出しながら欠損法人として申告をしておるという会社があるのではないか。
 その内容を調べてみますと、それは多くの場合、租税特別措置によりまして内部留保が行われていく、つまり、所得の圧縮がなされておる。これが一つの状況でありますが、また会社の決算が明白に黒字であるにもかかわらず欠損法人として扱われておる企業もあるのではないかというふうに思いますけれども、そういうことがあり得るでしょうか。
#68
○土屋政府委員 税法上の欠損法人であるかどうかということと、それから、商法上の欠損とは違う場合がございますので、おっしゃるようなことはあり得ると存じます。
#69
○三谷委員 そうしますと、黒字を出してそして利潤が上がっておりましても欠損法人になり得るという場合は、どういう場合なんでしょう。
#70
○土屋政府委員 黒字を生じてということの意味でございますが、たとえばこの商法上決算において欠損を生じた場合におきましても、過去の課税済みの利益を取り崩して埋めるというようなことができます。そういったこともできますが、税法上は特に繰戻還付のようなものを受ける場合以外は、欠損金は翌期以後の利益から繰越控除をすることができるというかっこうで清算をいたしますから、税法上と商法上とは違う。だから商法上においては、一応税法上の欠損法人であっても利益を生ずるということはあり得るということが言えるかと思いますし、また本来の事業について欠損を生じた場合におきましても、税法上益金に算入されないほかの企業からの受取配当によって決算上黒字になるというような例もございます。そういったこと等もございますから、税法上の欠損でございましても、それは黒字処理と申しますか、他の方法によって商法上は欠損を生じないというような場合もあり得るかと存じます。
#71
○三谷委員 これは説明が非常に総括的ですからよくわかりませんが、それでは具体に少しお尋ねをしたいと思いますが、いわゆる欠損法人というものが出ます一つの根拠として、租税特別措置ないし法人税法によります内部留保といいますか、引当金、準備金等がかなり大きな影響を持っておると思いますが、いまの企業の全体の状況から見まして、そういう特別措置や法人税法等によりまして欠損法人になっている企業はどれくらいになるのでしょうか。
#72
○土屋政府委員 私ども直接この課税をしていない立場でございますので、にわかのお尋ねでは、ちょっと具体的にはお答え申し上げにくいわけでございます。
#73
○三谷委員 五十二年の決算で大蔵省の方でお調べいただいていると思いますが、丸善石油、東洋工業、東洋紡績、東洋レーヨン、帝人、三菱油化、住友化学、富士電機等は、これは欠損法人でございますか。
#74
○冨尾説明員 お答え申し上げます。
 いまお名前の挙がっておりました会社のうち、商法上黒字で、商法上利益を計上している会社を申し上げます。丸善石油、東洋工業、東レ、帝人、三菱油化、住友化学工業、富士電機製造、以上の会社でございます。
#75
○三谷委員 この会社が、何ですか、これは。
#76
○冨尾説明員 商法上当期の利益を計上している会社でございます。
#77
○三谷委員 これらの会社は、しかし欠損法人になっておりますが、これはどういうわけなんでしょうか。
#78
○冨尾説明員 お答えいたします。
 いま御質問の趣旨は、税務上欠損法人になっているかどうかというお尋ねと思いますが、その点につきましては、私ども企業会計の所管でございまして、税務上のことはちょっとわかりかねます。国税庁の所管でございますので、そちらの方にお答えをいただきたいと思いますが……。
#79
○五味説明員 お答えします。
 せっかくのお尋ねの件でございますけれども、お尋ねの件は、個別法人の申告なり調査の内容の事柄にわたりますので、答弁は差し控えさしていただきますが、ただ制度といたしまして、法人税法百五十二条の規定によりまして、年間の申告所得金額が四千万円を超える場合にはその法人名あるいはその所得金額等を公示する制度となっておりますので、昭和五十二年度において公示された法人はどれかというお尋ねであればお答えできると思います。
#80
○三谷委員 私の質問とお答えがどこやらが焦点が違っているようでよくわかりませんが、私の調べましたのでは、いま申し上げました企業は欠損法人として税金を払っていない。法人税はもちろんでありますが、事業税も払っていなければ住民税の法人税割も払っていないという会社であります。もっとも、これはもっとたくさんありますけれども、羅列しておりますと限度がありませんから代表的なものを幾つかここで指摘したわけでありますが、これらの会社はいずれも税務申告は所得なしになっております。しかし、商法上といいますか証券法ですか、例の有価証券報告書、これなどを見ますと、いずれも黒字が出ております。しかし税務上は所得なしということで扱われておりますが、これは一体どういうことになるわけでしょうか。
#81
○土屋政府委員 私ども先ほど申し上げましたように、直接課税する立場にございませんので、個個の状況はわからないわけでございますが、総体的に考えますと、先ほど申し上げましたように、税法上の所得と商法上における決算のやり方というものは違うわけでございまして、本来の事業では赤字になっても他企業からのたとえば受取配当によって決算上黒字になるというようなことがあるわけでございます。こういった場合は、税の仕組みといたしまして益金不算入といったような制度に基づいて差ができておるわけでございます。たとえば、課税済み所得に対する二重課税等を排除するためにできてきた、こういう説明ができるわけでございまして、税法上欠損である法人が配当を行うということの是非とは直接には関係がない、それはまさに税法上の仕組みの問題であろうと思っておるわけでございます。
#82
○三谷委員 それもまた、私ようわかりません。黒字として黒字が出ておる会社の報告書によりますと、経理上黒字が明らかに出ておる。そこで、たとえば税法上のいろんな処置、繰越欠損の処置だとかいろいろあるわけでありますが、そういうものを行った上でなお黒字が計上されておるというのが無税というのはどういうわけだろうかということでございます。
#83
○土屋政府委員 税法上は、当期の課税所得を算定いたします場合に、先ほどから申されましたようないろいろな特別措置もございますし、税法上のいろいろな制度に基づいて所得を計算するわけでございます。損金の幅がどうだというようなことで決まった方法に基づいて所得を計算し、それに課税するということになるわけでございますから、その当期決算において税法上赤字を出すということになりますと、それは先ほど申し上げましたように、繰戻還付というようなことがあれば別でございますが、それ以外は繰越控除をするという形で出るわけでございます。それは形の上、税法上では赤字というかっこうで処理をせざるを得ないわけでございますけれども、ただ、たとえばその企業が従前までは非常に景気もよかったというようなことであって一定の積立金を持っておる、それはすでに課税済みの利益を積み立てておったという場合に、当期は欠損であったがそれを取り崩して埋めるといったようなことになりますと、有価証券報告書においてはそこらはそれを取り崩した形で報告をされてくるわけでございますから、差は出てくるわけでございます。それとまた、税法上すでにもう課税された受取配当、益金不算入にされております受取配当によって結果的には赤字にならないといったような実態がある場合でも、税法上は赤字、損金を生じたということで繰越控除をするということはあり得ると思うわけでございます。そこらの制度の問題だろうと私の方は考えております。
#84
○三谷委員 この問題の一つの重要な点は、いわゆる租税特別措置等によります取り扱い、つまり内部留保という処置がきわめて不合理なものがあるという点です。日本航空というのがありますが、これは五十二年度の有価証券報告書によりますと、税引き前の当期利益が百三十二億になっております。ところが前期の繰越損失金が百六十六億ありまして、これをこの利益から控除する。そこで、五十五億の欠損となっております。ところがこの欠損処理の中では、特別償却準備金というのが三百五十三億あるわけです。これは普通の償却準備金ではありません。特別償却準備金だけで三百五十三億になっている。合わせますと、四百二十五億であります。そういう準備金というものが利益から控除されておる。それから納税もしておりませんけれども、法人税の引当金が二十二億、これも利益から控除されている。しかし、これは赤字法人ということで実際には税金を払っておりません。ですから、払っていない税金まで引いたことにして期末の決算の数字が出されておる、こういう状態になっております。こういう状態を見ますと、これでは欠損法人は幾らでもできるだろうという印象を私は持つわけであります。
 これは丸善石油についてもそうでありますが、五十二年決算で見ますと、税引き前の利益が七十六億円になっておりますが、ここから法人税等の充当額、つまり税の充当額二十四億円控除しております。さらに前期繰越損失金が五十一億円、これは充当される。そこで、当期の未処分利益金がわずか千六百万円になってしまう。そうしてこれが欠損法人となっておる。この法人税等充当額二十四億というのは、いわゆる欠損法人ですから払われるものじゃありませんが、払われないものが会計処理上は払ったということにして支出としてこれが計算されておる。こういう状態を見てみますと、どうも私は欠損法人というものの内容がよくわからないのです。それをひとつよくわかるようにお知らせしてほしいと思う。
#85
○五味説明員 ただいまの御質問でございますけれども、私、国税庁でございますので、税務上申し上げますと、いま御指摘になった丸善石油でございますね。これは五十三年三月末の事業年度でございますが、これは所得が公示されておりますので、赤字法人ではございませんので、念のためお伝えしておきます。
 それから、あと一般論として、企業会計上黒字で当期の所得が税務上赤になる。先ほどいろいろ税務局長もお話しになっておられましたが、かなり大きいのは繰越欠損金があるということでございますけれども、繰越欠損金は法人税法五十七条の規定によりまして五年間繰り越しができるということでございますので、特に不景気の後はかなり大法人も赤字を抱えておりますと、それを繰り越しで埋めていくのに大分かかるということで、当期は黒であっても繰り越しを埋めたためにその黒が出ないというようなことがあることを申し上げておきます。
#86
○三谷委員 繰越欠損金というのは、当期の利益を計上しました後、そこから前期の繰越損失金とか未処分損失金を控除するという措置がとられておりますから、いまの御説明では私は少し納得ができません。当期の利益の計算が一応行われまして、それから繰越損失金等が算入されるという様式になっておるのでございます。
    〔委員長退席、染谷委員長代理着席〕
ですから、この繰越欠損金の問題は当然ここにも出ておりますからよくわかるわけでありますが、それをのけましても、なおいま申しましたように、黒字でありながら欠損法人の扱いを受けておるのはなぜだろうかということでございます。
 それから、丸善石油は、いまの話では赤字会社ではないということでありますが、それではこれは五十二年度におきまして、国税、地方税を払っておるのでしょうか。私の調べた範囲では、これは欠損法人として税は免除されております。
#87
○五味説明員 お答えいたします。
 丸善石油は、決算期が五十二年四月から五十三年三月期分については、公示された所得が十一億六千七百万ということでございますので、税金が納められたかどうかは確認しておりません。ただ、公示された所得金額があるということをお伝えして答弁にかえさせていただきます。
 それから、先ほどの繰越欠損金後の金額、これは税法上の所得金額ということになっておりますので、私がお答えしたことは間違いがございませんので、念のため申し上げておきます。
#88
○三谷委員 いまおっしゃいました繰越損失金などを差し引きまして、そして当期の最終的な決算が出るわけですが、その場合でもなお黒字がたくさん残っておる。たとえば五十二年で申しますと、東洋工業で二十億の黒字になっておる。東洋紡績も十八億の黒字です。東洋レーヨンも四十三億の黒字、帝人も五十二億、三菱油化も十五億、住友化学も十五億、富士電機で十八億、こういう黒字額が最終的には計上されておりますが、しかしこれも欠損法人として税を払っていないというふうに私は調べておりますが、その点はいかがでしょう。
#89
○五味説明員 ただいま掲名された法人、東レ株式会社でございますが、これも五十二年四月から五十三年三月期は公示されております所得金額二億四千六百万、それから帝人も同じ事業年度、五十二年四月から五十三年三月期でございますが、九億四千九百万、それから三菱油化は五十二年一月から五十二年十二月ということで二十三億三千六百万、それからもう一つ言われました……(三谷委員「住友化学、富士電機ですね」と呼ぶ)富士電機製造株式会社は五十二年四月から五十三年三月まで三十一億九千六百万ということでございまして、いま最後に言われた法人は公示されておりません。ですから、税金を払ったかどうかということについてはいまお答えするわけにはまいりませんが、所得金額はこういうことになっております。
#90
○三谷委員 そうしますと、これは欠損法人ではないということだと思いますが、これがもしも税を払っていなければどうなるわけでしょうか。
#91
○五味説明員 仮定の問題なのでちょっとお答えできませんが、ただ理論的には、やはり課税所得にならないようなといいますか、税額控除ということで納付税額がなくなるということはあろうかと思いますし、そのほかにも私が気がつかない点があるいはあるかと思いますが、とりあえずいま気がつく点はそういうことでございます。
#92
○三谷委員 税額控除というのはどういうことなんでしょう。
#93
○五味説明員 専門家でないのでちょっとあれでございますが、たとえば所得税、源泉徴収で受取配当なり利子、そういったものについて税金を払っている場合には、それは法人税から税額控除する。それからまた、外国などでいろいろ事業をやっている場合には、外国法人税も税額控除する、外国に納めた税金も控除するというようなこともございますので、いろいろな控除項目がほかにもあると思いますが、税額控除はそういう意味でございます。
#94
○三谷委員 そうしますと、いまおっしゃるようなことがいろいろな面で活用されていくとしますと、企業が払う税金なんというものはほとんどなくなってしまうじゃないですか。
 そこで、特に地方財源の面から申しますと、一番支柱になる収入でありますが、これがいろいろな利益を上げておりながらいまのような形でいろいろな控除が行われまして、実際には税収にはならないというようなことが一般化しているとしますと、私は重大な問題だと思いますね。その点についてはどうお考えなんでしょうか。
#95
○土屋政府委員 税制におけるいろいろな課税の仕組みというものは、いろいろな政策的な配慮とかいったことも含めましてその時点における合理的な方法で形成されておるわけでございますから、そのやり方についての考え方はいろいろあろうと思うのでございますけれども、私どもとしては、一般的に課税標準を事業税において算定する際は、大体国税の課税標準となる所得に準じてやっておるわけでございます。ただ、地方税において国税の特別措置の影響を排除しようというものもあるわけでございまして、たとえば法人住民税におきます試験研究費の額が増加した場合、法人税額で控除を受けますが、それは除くとか、たとえば海外関係に絡む特別控除等は排除しておるといったような問題、それから受取配当の益金不算入の特例の問題等につきましても、これを事業税でははねておるといったようなことでございます。
 いろいろ中では操作をいたしておりますが、大きな部分については、同じ企業の所得計算でございますから、国税と大体方法を同じくしておるわけでございます。それはそれなりの意義があるものとして現在確立されておるわけでございますから、その制度自体をどうするかということは別といたしまして、全般的に所得計算上そういう仕組みである以上、その計算においてあるいは申告等において誤りがあれば別でございますけれども、あとはその政策の是非の問題でございます。私どもとしては、政策的に意味のないものはなるべく見直しをして、非課税なり課税標準の特例的なものは排除したいと思っておりますけれども、現在やっておるものはそれなりに合理性があるということでやっておるわけでございます。
#96
○三谷委員 この租税特別措置の不当性を証明する事例の一つとして、安宅の倒産に伴います住友銀行の決算処理といいますか財務処理、これが一つあります。これは安宅に対する貸出金の回収不能、つまり貸し倒れに対する処置でありますが、本来このような巨額の貸し倒れに対しては、法定の貸し倒れ引当金が積み立てられておるわけでありますから、それを取り崩して支払っていくというのが当然の処置であります。
 ところが、住友銀行は五十二年の九月に貸し倒れの一括処理をしたわけでありますが、五十二年の期末残高として貸し倒れ引当金は依然として五百二十九億円が積み立てられておる。つまり、この巨大な貸し倒れの決済をしますのに、法定の貸し倒れ引当金は全く手をつけていない、こういう状況になっておるわけであります。これはその他の措置として法定外の貸し倒れ引当金といいますか、こういうものなどを利用しまして決済を済ませたようであります。株の売り渡しも若干やったようでありますが、貸し倒れ引当金というものがこのようにしまして実際には貸し倒れの際の処理に使われずに内部留保として、いわゆる利益隠しとして利用されておるという状態を見ますときに、いままで申し上げましたようないろいろな各社の経理状況などから見まして、この租税特別措置などにつきましては、もっともっと整理する必要が当然あるというふうに思うわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
#97
○五味説明員 お答えいたします。
 個別の法人の課税所得に関する内容でございますので、その点は答弁は差し控えさせていただきたいのでございますが、ただ、一般論として申し上げれば、貸し倒れが生じたという場合でも、貸し倒れ引当金の計上はいわゆる洗いがえという方法をとっておりますので、ある時期に多額の貸し倒れが出たという場合には、それを貸し倒れ引当金で充当して、さらに足りない分を貸し倒れ損にするということをいたしました後で、事業年度の末においてさらにほかの貸し金があれば、それに対して所定の率によって貸し倒れ引当金を積めるということになっておりますので、継続的に見ますと、その貸し倒れ引当金を全然使ってないかのごとく見える場合もあるわけでございますが、実際問題としては洗いがえになっているので、その分を充当して新たに積んだというふうに考えていただいても結果は同じということになりますので、その辺を御説明させていただきます。
 それからなお、誤解があってはいけないと思いますが、先ほど三谷委員が御指摘になった四法人について公示所得金額がある、これは税金を納めているか納めてないか確認できないということを申し上げましたので、税を納めてないということを前提での御議論であると、これはそうではないということでございますので、念のため申し上げさせていただきます。
#98
○三谷委員 いまの説明はぼくはよくわかりませんが、そうしますと、先ほど指摘しました企業が税を払っておるのかいないのか、これは調べて知らせてください。
 それから、いまおっしゃいました問題でありますが、措置がいろいろある。私ども素人ですから、会社企業の決算の方式とかあるいは経理の操作等につきましては全く無知識であります。ですから、聞きましてもよくはわかりませんが、しかし、一般国民がこれを聞きました場合、果たしてそういう説明で納得ができるかといいますと、なかなかこれは納得しにくい。私自身もそのように納得しにくいのであります。これは単に一つ一つの技術的な問題だけでなしに、全体としての制度上の問題として考えていく必要がある。たとえば東京都の新財源構想研究会がその研究の結果として発表しました貸し倒れ引当金の期末残高でしょうか、これは十億以上の会社だと思いますが、二兆七千二百七十八億円になっている、それから退職給与引当金が四兆二千四十二億円に達しておる、合計六兆九千三百二十億になる。この巨額の積立金は事実上は留保利潤となっておって本来の目的には使われていない。この留保金を実際の実績と比較してみますと、貸し倒れ引当金の累積額が現実の貸し倒れ額の百四十一倍になるという。それから、退職給与引当金の積立額も実支給額の十二倍にもなるという状態でありますから、これが結局もうけを内部留保することによって、そしてこれによりまして所得の圧縮を図りまして、そして税法上の欠損がつくり出されていく、こういう状況について是正する必要があるということを東京都の新財源構想研究会、これは主として行財政学者の集団でありますが、発表しておるのであります。これを課税所得に算入して課税する根拠が十分にある。それをしました場合、仮に二分の一を算入したとしても二兆四百億の増収が見込まれるという計算が出ておるわけでありますが、こういう点、いろいろこの説明を聞きますけれども、いろいろと技術的な説明をなさいますが、全体としてこの制度というものについて斧鉞を加える必要があるということを私は痛感しますが、その点はいかがでしょうか。
#99
○土屋政府委員 ただいまお示しのように、東京都の新財源構想研究会等の試算等も示されておりますが、私は直接的に関与しない面も多いわけでございますけれども、いろいろ企業関係については優遇税制として挙げられているもののうちで軽減税率適用分、配当軽課制度の問題、それから受取配当益金不算入制度といった問題、こういうものは法人税と所得税との負担の調整を図るという仕組みで設けられておるものもございますし、各種の引当金といったようなその所得計算の合理的仕組みに関するものでございまして、本来不公平税制に含めるべきではないのじゃないかといったようなもの等もございます。そういったこともございますけれども、全般的にいろいろといま例を挙げてお話しになりましたが、個々については申し上げませんけれども、全般的に合理化すべきものはいろいろあろうと存じますし、この事業税よりも先に法人税の問題が大きいわけでございますけれども、大蔵当局においても五十五年の改正時までに必要なものは妥当の結論を得たいということでございますし、そのほか五十四年度においてもこういった引当金的なもの等についてはいろいろ改善もされております。国税における数値ははっきり覚えておりませんけれども、かなりな整理もされておるわけでございますが、今後ともこういったものは当然に合理化すべきものでございますので、時代に応じて検討はしていくべきものだと思っております。
#100
○三谷委員 今回の税法の改正は、一般消費税導入のための前提として不公平税制の是正を行うというかけ声だけは盛んに出たんです。ところが、かけ声が出ましたわりには実体上の改正がなされていない。元来この種の税の特免といいますのは高度経済成長政策の制度として行われたものであって、高度経済成長政策を今日もはや放棄した段階におきまして、依然として高度経済成長の仕組みが税の上では残されておるというところに問題があるのであって、これが不公平税制の一番の大きな課題として論議されてきたわけでありますが、この点から見ますと、いま幾らか例を挙げましたけれども、なかなかこれは根深い特権的な減免税が行われておるということがわかるわけでありますが、これについては当然改善すべきではないか。今度の税法改正を見ましても、税の特別措置が若干増加しておる。土地税制の緩和、不動産取得税、それから特別土地保有税、固定資産税などの法人に対する優遇措置が拡大されておるようでありますが、これは不公正税制という面から見てどういうことになるのでしょうか。
#101
○土屋政府委員 非課税措置全般については、私ども年々洗い直しをしてまいりましたし、先ほどもお答えしたわけでございますが、今回も二十四項目にわたって整理なり縮減合理化というものを行ってきたわけでございます。しかし、課税標準の特例を設ける必要のある政策税制として考えざるを得ないようなものもいろいろあるわけでございまして、たとえば一つの例といたしまして、省エネルギーということが非常に政策的に問題にされておりますが、この場合に未利用エネルギーの有効利用の促進とか、あるいはエネルギー資源の消費の節減に著しく資する機械設備等については課税標準の特例を設けるといったようなこと等もやっておるわけでございます。
 非課税措置というものは一切いけないものであるという前提に私どもは立つわけにはまいりません。やはり税制の面においても、時の全体の政策上必要があるというようなものは補完的にそれ相応の対応をしておるわけでございまして、原則として私どもは洗い直しをして落としていく、新規はなるべく認めないということで来ておりますけれども、やはり時代の要請に応じて国民の納得の得られるようなものはある程度期限を限ってでも対応しなければなるまいというふうに考えております。しかし、この地方財政の苦しいときに、また不公平税制について見直すべきだという世論の前において、私どもとしてもそういった点について全体として十分配慮しなければならないことは当然でございまして、努力不足の点は今後ともなお十分研究も加え、努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#102
○三谷委員 歯切れの悪いことおびただしい。法人の約半数が地方税を納めないという状態。これは御承知のように、企業というものが地方自治体の行政上の恩典を受けて、水の提供を受け、あるいは港湾埠頭の提供を受け、あるいは産業道路の提供を受けて企業をやっている。しかも災害対策、公害対策費などの負担も地方自治体にかけておる。そういう状態の中でこういう大企業が税金を払わないということでは、これは応益的な観点から見ましたって合点のいくものじゃない。
 そこで、私は前回から言っておりますように、事業税は元来所得に対する税ではないのです。これは事業活動そのものに着目しているわけであって、事業をやっておれば所得があるなしにかかわらず担税をするという性質のものになっている。ですから、いわゆる受益者負担的な要素のものであって、それが欠損、しかもいわば人為的な欠損ですね、私が見ておりますと。そういうことによりまして税の負担を免れるということでは、地方自治体はたまったものじゃありません。ですから、これは当然物税として、事業そのものに対する税としてこれを徴収するという、そもそも事業税ができましたその初心に返って措置していくということが特に大事だ。このような状態を見ますと、ことさらその点が重要になってきますが、その点いかがでしょう。
#103
○土屋政府委員 企業がその地域で活動をいたします場合は、当該地方団体からいろいろな行政サービスを受けておるわけでございますから、仰せのとおり、それに対応して一定の負担というものをするのは当然でありましょうし、事業税というものはそういった意味で物税的な性格を持っておるだろうと私どもも観念をしております。
 ただ、その事業が行政の提供を受け、それに対応する負担をするという場合に、その活動規模に応じた負担であるべきでございますし、その活動規模をとらえるのに何を用いるかということで現在所得をとっておる。その所得が出ないために課税ができない、こういう御指摘でございます。
 そういったこともございまして、実は私どもとしてもかなり以前から事業税において外形標準課税というものを持ち込んで、そこらの的確な課税負担をしていただきたい、こういうふうに考えておったわけでございます。その考え方はいまでも変わらないわけでございますが、たまたま国及び地方を通ずる財政収支の大幅な赤字をカバーするために一般消費税と申しますか、そういった形で新税構想というのが出てきておる。その新税の構想が事業税の外形標準課税で考えられておったような一種の付加価値、今回の場合は消費型の付加価値でございますが、そういったものを課税標準とするというようなことで、非常に類似しておるということでございますので、納税者の便宜等も考え、その中でいまの問題を片づけようということで努力しておるわけでございます。
 もちろん、これはまだ帰趨がわかりませんから、その際はできるかできないか。そういう帰趨も見きわめて対応しなければなりませんが、現在においてはそういったこともカバーできるようないまの制度が実現できるように私どもは期待をして努力をしておるつもりでございます。
#104
○三谷委員 いま、たまたま一般消費税の問題がいろいろ取りざたされておるという状況ではありますが、しかしまだ確定したものでも何でもない。しかし事業税を所得を基準にして取る逸脱したやり方というものは早くから指摘されておる。ですから、いま所得を基準にして事業税を、事業の内容を捕捉するとおっしゃっておりますが、所得課税をやるのであれば、これは事業そのものに対する税にはならぬわけだ。これは所得以前の問題なんだ。事業をする際に、所得以前の前提として一定の受益的な負担をする。地方自治体に対してもやっていくというたてまえのものであって、たまたま事業をやったけれども、経営がうまくなくてもうからなかった。それなら税金は払わぬでいいという性質のものではない。物税はそんなものじゃないでしょう。物税という観点に立った改善処置をなぜとらないのかということなんです。それでいまたまたまおっしゃいましたが、それじゃどういう外形標準をとるかという問題になっていきますと、いろいろ議論があります。ありますが、私どもは、資本金や内部留保金を対象にすべきである。元来内部留保されておりますいろいろな引当金や準備金などは税がかかっていないわけですから、それを対象にして課税するというのは道理のある話であって、そういう処置をとりますならば物価にはね返る心配もない。そして、一定の税収増も図り得るという観点から私どもは以前から主張してきておりますが、一向にこれを実施されようとしない。もっとも知事会の外形標準課税というのは一種の付加価値的なものでありますから、内容が若干違いますけれども、しかし知事会でもそのことを主張しておるという状況の中で、なぜこの問題に真剣に取り組もうとされぬのか、まことに私は不審にたえません。その点はいかがですか。
#105
○土屋政府委員 事業税の性格にかんがみて外形標準課税的なものを取り入れたい、これはいまおっしゃった考え方と私どもと変わってないと思うのでございます。ただ、そのやり方として、たまたまいまお話しのございました知事会等では、一応、基準となる外形の見方を一種の付加価値でございます所得プラス給与プラス利子プラス地代、家賃、こういう表示をされておりますが、要するに付加価値として取り上げられておるわけでございます。そういう見方もございますし、ただいまは留保金というものに着目したらどうかということでございますが、内部留保というものも企業の総売り上げの中から出てくるわけでございまして、今回考えられております新税というものは、そもそも全体の売り上げの中から仕入れを控除した、そういったものが全体的に一種の消費型の付加価値でございますけれども、これを課税標準として考えておるわけでございまして、非常に幅は広いわけでございますから、その姿から見れば、私どもが事業税の外形標準課税で考えておったものと変わらない、そういった意味で実質的な解決になるのではなかろうかということでございまして、所得よりもそういう新しい課税標準というものを頭に描いて新税を考えておるわけでございます。そういった方向で解決が図れれば従来の私どもの考え方も実質的に解決される、こういうふうに思っておるわけでございます。
#106
○三谷委員 あなたのお答えは大変長いけれども、中身が非常に乏しくて満足できないのですが、先ほどから私が指摘しておりますのには一つの理念があって、それに基づいて物を言っているのであって、一般消費税というものは一般消費者全体を対象にして、しかも所得の低い人ほど負担が重くなるというような性質を持っているものであって、私が言っている事業税の改善の方向とはまるきり反対のことなんだ。
 私が言っているのは、大企業というものが非常に税の軽減がなされておる、これに対して物税を課して――事業税を払わぬというような状態、つまりいま企業の半数が事業税を払わない、地方財政に対する負担をしないという不都合なことがあっていいのか、だから、それを是正しますためには、事業税本来の目的である事業そのものに対する課税を実施すればこれは解決する問題だということを言っている。ところが、一般消費税なんというものは、単に事業だけではなしに、たくさんの国民大衆を対象にして重課をやろうという性質のものであって、これとそれと同一のものではおまへんがな。それを一緒にして問題を提起してもらっては困ります。
 それで、いまの点から申しますと、たとえば、私は大阪におりますが、堺の臨海工業地帯、これは局長も当時大阪に在任されておって御承知だと思うけれども、これが関連投資一兆七千億と言っているのです。この中には国の金も入っておりますが、地方自治体の単独事業もずいぶん入っておる。その中で税収はどうかといいますと、昭和三十六年から五十二年まで十七年間に税収は三百六十一億にすぎないのだ。投資一兆七千億に対して三百六十一億の税金が十七年間に入った。しかも、府下の工業に占めます堺・泉北の位置を見ますと、汚染物質NOxの四一・八%を吐き出している。大阪府下全体の約半分がこの臨海工業地帯から出てきておる。そして電力は府下全体の企業の四一%を使っている。工業用水は府下全体の二二・三%を使う。そして大阪府下の工業用地の一七%の面積を占めておりますけれども、事業税は府下全体の企業のわずか一・七%にすぎない、こういう状況になってきている。つまり、今日、行政受益を受けます上から見ましても、いかに不合理な状態になっているかわかるわけなんだ。この一・七%というのは、さっき国税庁や大蔵省が説明されたように、いろいろ複雑な大企業優遇の税の制度を設けておって、それによりまして事業税の収入が妨げられておるとするならば、何も所得にリンクさせる必要はないのであって、これはもともとが所得を基準にして設けられたものではない。もともとは事業そのもの、その物そのものに対する税として設けられたものでありますから、その税の設立されました本来の目的に沿った課税をやるということがなぜできないのか、これはどこがよくないのか、この点を私はお尋ねしたいと思うのです。
#107
○澁谷国務大臣 先ほど来からの御議論に対してお答えをいたします。
 三谷委員先ほど来から不公平税制ということで取り上げておられるわけでございますが、それは恐らく現在まで実施しておる政策減税を指して不公平税制と、こう言われておると思うのでありますが、私どもはあくまでも政策減税というとらえ方をしておるわけでございまして、それが即不公平税制だというとらえ方に対しては、賛成するわけにはまいりません。ただし、税が公正でなければならぬというのはおよそ税の基本原則でございますから、どのような税にせよ、その内容が不公平である、公正を欠いておる、こういう点があればその点は是正しなければならぬという点については、私どもも全く同じような考えを持っておるわけであります。
 それからもう一つ御指摘がございましたように、確かにいままで実施してまいっております政策減税は、その大部分のものが高度経済成長時代に立案をされ実施されてきたものであることは、もうまさに御指摘のとおりでございます。しかも、現在は経済の様相が全く変わって新しい状態に直面をしておるというのもそのとおりでございますから、そういう意味で、高度経済成長時代につくられてきた政策減税というもののあり方、その内容、それも新しい立場で見直さなければならぬ、そういうことも、私はその点で全く同意見でございます。大蔵省におきましても、そういったような考え方に立ってことしも相当な政策減税の見直しもやり、一部分は実施に移しておるわけでございまして、これはもう総理も大蔵大臣も予算委員会でもたびたび今後ともそういった政策減税の見直しは引き続きやってまいりたい、このように答弁をいたしておりますので、御了承をいただきたいと思います。
 それから、先ほど来御質問のございました外形標準課税をなぜ採用しないかという御質問でございますが、確かにこれは、私は素人でございますけれども、現在の事業税を外形標準課税に直すべきではないかという議論、大分前から熱心な議論が交わされておったということを承知いたしております。それは確かに一つの考え方でございます。そういう形にすれば地方税の税収が相当大規模にふえるわけでありますから、財源不足に悩んでおる地方自治体にとっては、それが実施できれば相当な財政状態の改善になるわけであります。ただし、現在までは、とにかく利益が上がったところからその上がった度合いに応じて税金をいただく、こういう仕組みでやってきた。それを利益のあるなしにかかわらず事業活動が行われておればそれを対象として税金を取る、こういうことに切りかえるということは、これは税制上の大変な変革でございますから、その点は各方面の意見も聞きながら、本当に掘り下げた検討が必要であると考えております。
 いずれにしても、私、この委員会でたびたび申し上げておりますように、とにかく国、地方を通ずる財政再建というものが最も緊急な、最も大きな課題になってきており、それに対して全面的な取り組みをしなければならぬというときに来ておるわけでございますから、そういう全体的な取り組み方の中で、ただいまの御議論等も私どもも十分頭に入れながら取り組んでまいりたい、このように考えております。
#108
○三谷委員 この問題は、もともとが事業税というものはそういう目的でできたものであるというものであって、途中、今日において目的を変更して特殊な税の徴収手段をとるべきだと言っておるわけではありません。これは所得税の付加税扱いになっておるわけであって、そういう性質の税ではないということは、これは自治省も私も認識を同じくしておると思いますが、にもかかわらず依然として所得課税が行われておる。今日のように半数が税金を納めないという状態になってもそれが放置されておるという状態を見ますと、本当にこれは地方の財政問題について真剣に討論されておるのか。しかも、今日不況の中で失業者もふえ、倒産もふえておりますが、中小企業の扱いは別としまして、大企業などが、特にさっき申しましたように、いろいろな地方自治体などの行政上の恩恵を受けながらやっているわけですから、それに対して税を払わない、全く払わずに済むというようなことは、これは常識上から言いましてもがまんできることではありません。
 それから、大臣は、不公平税制ではない、政策減税だとおっしゃいましたが、世上では政策減税のことを不公正税制と言っている、私はそういうふうに認識しておるのであります。ですから、高度経済成長の過程におきまして、日本の大企業を国際的な競争力に耐え得るものにするために、税の面でも金融の面でも予算の面でも、いろいろな特例措置をおとりになった。その税の面の特別措置がいまだに残ってきておる。今日、政策はかなり転換されたわけですから、実態は知りませんが、一応方針としてはそうなっているわけでありますから、当然それに基づいた転換を行って、そうして不公正を是正すべきである、その幾つかの例を私はきょうはここで申し上げたわけでありますが、時間の関係もありますので詳しいことは質疑もできませんでしたけれども、幾つかの例を申し上げたわけでございます。それについて、まあいま大臣が最後にそういうお答えをなさったようでありますから、繰り返してお聞きはしませんが、今度は少し具体の点についてお尋ねしたいと思います。
 今回の地方税法改正案の中に、昨年成立しました特定不況地域中小企業対策臨時措置法に基づく認定中小企業者に対する税法上の優遇措置、これが決められております。法人につきましては租税特別措置法の改正で同様の措置が講ぜられております。これは通産省の認定しましたいわゆる三十の特定不況地域に限定されておるものですか。自治省が指定しました百三地域につきましては適用されないのでしょうか。適用してしかるべきではないでしょうか。
#109
○土屋政府委員 いまのお尋ねの点は、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の認定中小企業について特例を設けておるわけでございまして、自治省施策の地域については特別の繰越控除の特例措置は講じてないわけでございます。この認定中小企業、例の中小企業対策臨時措置法の認定中小企業におきましては、国税で純損失あるいは欠損金に係る税額の繰戻還付の特例を受けた個人、法人について、地方税法上は繰越控除の特例を設けて三年から五年に特別延長するというやり方をしておるわけでございますが、この自治省の特定不況地域振興総合対策の場合には、現在の事業税なり住民税の課税の仕組みから、住民税だけでそういった企業に対応してそれを繰越控除するということは、いまの仕組みからはなかなかできにくいわけでございます。特に今回の繰戻還付は、通常前年との関係で、前年の欠損の繰戻還付をすることはございますけれども、それを三年延ばそうということでございます。国で特別とった場合はやり得ますけれども、地方自治体自体でそれを別な観点で、その分を繰越控除というかっこうで通常の三年から五年に引き延ばすということでございますから、地方自治体だけで、国がやっていない場合にやるということは、これは税の仕組み上なかなかとりにくいということでございまして、地方税ではこれは技術的に措置することはできないというふうに考えております。
#110
○三谷委員 これは大蔵もお越しになっておるわけでありますから、大蔵の意見もお聞きしたいわけでありますが、特定不況地域中小企業対策臨時措置法に基づきます特定不況地域は政令で定められておるわけでありますが、その基準は、中小企業庁の説明によりますと、特定事業所の相当規模での廃止それから縮小によって中小企業に影響が出ていること、工業出荷額全体に占める特定業種の出荷額の割合が三分の一以上であること、常用求職倍率が全国平均の一・五倍以上であること、この三点がこの基準だと聞いております。
 一方、自治省が指定しました不況地域ですね。大阪にも十市町がありますが、これについて見ますと、これらの基準にほぼ合致しております。同じ状況にありますけれども、たまたま通産省が指定をしました特定不況地域、それから自治省が指定をしました、認定をしました特定不況地域、大体不況の内容、企業の当面しております問題は一緒であるけれども、通産が指定したものはそういう特例措置をとる、自治省が指定したものはそれをとらない。こういうことになってきますと、なぜだろうか、役所によって差があるのかという単純な疑問も出てくるわけであって、同じ不況地域として扱うのでありますならば、これは自治省が指定しようと通産省が指定しようと、当然これは同一の制度を適用すべきであると思いますが、どうでしょうか。これは大蔵省でしょうか。
#111
○五味説明員 せっかくの御質問でございますけれども、税制改正に関することでございますので、それは大蔵省の主税局で、所管が違いますので、お答えする立場にございませんので御容赦願いたいと思います。
#112
○澁谷国務大臣 基本的な問題でもございますから、私からお答えをいたします。
 私は率直に申し上げますと、自治省が指定した地域も、不況を受けた被害、そういったものは実態的にはそう大きな変わりはないわけですから、同じように税制上の優遇措置を講じた方がいいと思っているのです。
 ただし、いずれにしてもこれは法律でやっておるわけでありますから、法律では、御案内のように三十一ですか、こういうふうにも限定をして政令で決まってしまっておるわけでありますから、この法律を改正しないで、自治省が幾らそういうふうにしたいと思っても、これはどうにもなるものではありません。
 大事な問題でございますから、今後の研究課題としてひとつ取り組んでいきたいと思います。
#113
○三谷委員 おっしゃるようにこれは法定されたわけでありますが、法定以前に、当然これは自治省、通産省、大蔵省などは協議をしまして扱いの平等を期するという措置をおとりになるのが至当ではあるまいかと私は思っております。
 それで、これにつきましては自治省指定の特定不況地域をも同率に扱うということのために早急に御尽力願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
#114
○澁谷国務大臣 基本的には、自治省も中に入って、通産、労働、自治省、こういったものが一体になって法律をつくるということが私は望ましいと考えております。私が就任以前のことでございますが、自治省も大分努力はしたようであります。ところが、なかなか通産、労働あるいは大蔵との話し合いがまとまらないで現在のような形になったいきさつだそうでございます。しかし、とにかくこの問題は、御指摘のように問題があることは事実でございますから、今後とも私は、自治省の主張もできれば法律の中に取り入れて、政府が一体としてやれるような方向に持っていきたい、このように考えております。
#115
○三谷委員 大蔵の方、主税局の担当者はいらっしゃいますか。――来ていませんか。主税局の方をお願いしておきましたが、この優遇処置が白色申告者には適用されない、つまり、青だけ適用されている、ここの理由はどうでしょうか。わかりませんか。
#116
○吉住説明員 私から御答弁申し上げるのが適切かどうかは問題がございますが、法人税の繰戻還付は、継続して青色申告をやっていらっしゃる方について認められるということでございますので、それに対応いたしまして、繰越控除も同様の取り扱いということになっております。
#117
○三谷委員 それはそのとおりですが、白色申告はなぜ対象になりませんかというのが私のお尋ねした趣旨であります。
#118
○吉住説明員 やはり過去にわたりまして帳簿を保存しておきますとか、あるいはその帳簿の信憑性といったような観点から青色申告に限られているというふうに私は理解いたしております。
#119
○三谷委員 白色申告、青色申告は申告者の自由であって、どういう手法で申告をしようとそれは納税者の選択に任されておるという性質のものでありますが、白の場合でもこれは当然根拠もありますし、税務署もこれを認めて税額を決定するということでありますから、白だけを除外するというのは片手落ちではないかと私は思っております。たとえば円高関連中小企業対策臨時措置法に基づきます融資などは、通産省は白とか青とかの区別はしておりません。そして公平に融資を行っておるわけでありますが、この場合も、税制面で差別するというのはおかしいではないかと思いますが、どうでございましょう。
#120
○土屋政府委員 国税の分まで私がお答えをする立場にはないわけでございますが、いまのような融資の場合は企業の実態等を見てそれなりの判断ができると思うのでございますけれども、非常に厳正な所得計算等をいたします税制の場合は、それを判定いたします場合は、過去にこういう状況であったという正確な信憑性を持った帳簿というものがなければ判定しにくいということもあって、ただいまのような制度にしておるのだと思います。そこは、全般的に、融資をするという場合と厳密な税制計算上とではやはり差を設けざるを得ない。特に、現状の判定と過去にどうであったかということでさかのぼる場合とではやはり差があるのじゃなかろうかという考えを持っておるわけでございます。あるいは国税当局の違う意見があるのかもしれませんが、私はそのように認識しております。
#121
○三谷委員 国税にかわってお答えになったお答えが大変よくないと私は思いますね。
 それならお尋ねしますが、申告書が優遇処置を申請する場合は根拠を示すわけです。書類を整えるわけです。恐らくそういう制度になっていると思います。ですから、その書類や、あるいは示す根拠を審査するということが行政の事務であって、白とか青とか、概念的に頭から決めてしまうという扱いをすべきものではないのです。ただ青でやっておりますと、あなたがおっしゃいますように帳簿が完備しているということですと、根拠が非常に示しやすい、説明もしやすいということになってくる。白の場合に、これが全くでたらめなものであるか、あるいは帳簿もろくにないものであれば、申請段階におきまして、これは書類が不十分であるし、根拠もない、だからだめだと、こうなってくるわけです。つまり、申請をする権利は同じ状況に置かれている者はすべてあるのであって、ただそれを認定します場合に、青色の方がより正確だからやりやすいとか、白の場合は不正確だからやりにくいとか、あるいは除外されるとか、そういうことはあり得るでしょう。しかし、頭から青と白とを分別して、白には権利を認めない、そういうことはすべきことじゃありません。それは行政の公正に反する問題です。だから、これは変えてもらう必要がありますが、果たして国税庁がそういう方針かどうかはわかりません。恐らく連絡はあるでしょうからお答えになったのだと思いますが、それでありますならば、そこのところはやはり改正してもらう必要がある。
 それから白色申告にしましても、これは毎年毎年税務署にちゃんと申告をしまして、税務署が一定の調査をしながらこれを認定するわけでありますから、当然帳簿もあれば根拠もあるというものですから、白色申告者はまるででたらめな申告でもしているというふうな言い方、そういう見方、考え方に立ってやられますと、いまのように差別が出てくるわけです。まあ、しかしこれは大蔵の問題らしいが、大臣がお聞きになっておりましてどうお考えでしょうか。
#122
○澁谷国務大臣 とにかく税務局長は自治省の税務局長でございまして、国税をどうするという立場にございませんので、適切な答弁ができないのはまことに遺憾でございます。大事な問題であると思いますので、三谷さんからこういう趣旨の質問があったということは私の方から大蔵省の方に十分伝えまして、それに対する対応をどうするか、準備するように連絡をしておきますので、いずれ別の機会に改めて大蔵省に質問をしていただく方が正確な答弁が得られると思いますので、そのようにお願いをいたします。
#123
○三谷委員 自治省の指定しました地域にかかわる問題は、これは自治省の権威の問題にもなりますから、自治省の指定なんというものは業者は直接大した効果がないということよりも、自治省の指定は非常に効果的であったという方がやはり望ましいわけですから、その点は前段の問題。
 後段の問題は、住民はひとしく平等に扱われる、そしてそれが採否の決定をされます場合に、資料が足りなければそのときに否決されるという行政上の当然な処置がなされるべきだと思いますので、大臣からもそういう点についてひとつ大蔵の方に、何というか、取り次ぐんでなしに、大臣の所見として大蔵の方に申し入れしてほしいと私は思います。
#124
○澁谷国務大臣 何分、税については私は素人でございまして、とっさの質問に対して自信を持ってお答えするほどの勇気を持ち合わせておりません。しかし、御議論の趣旨はもう十分理解できますので、明日閣議がございますから、御趣旨の点は大蔵大臣によくお伝えを申し上げます。
#125
○三谷委員 最後に、交付税の関係はお越しになっていますか。――それではお尋ねしておきますが、これは後で交付税の審議があるわけでありますが、その審議以前にちょっとお尋ねしておきたい。
 大阪の松原市などの例を挙げまして、交付税の基準財政需要額の算定の基礎となる単位費用について、実態を十分反映したものでないという点を昨年私は指摘しました。小学校の経常経費について、光熱水費が単位費用に用いられている単価と実際の支出額とではかなりの差があるということを指摘しましたが、自治省は調査を約束されましたが、調査されましたか、そして改善されるかどうかお尋ねしたい。
 それからもう一つは、ごみ処理に伴います最終処分に関する費用について、経常経費については単位費用に含まれていない件を指摘しました。これは十分でないとはいえ、一定の改善がなされました。しかし、投資的経費については、処分場そのものの確保難が依然として続いております。仮にこれが確保された場合には設置費がかかることになりますが、厚生省の設備補助も最近始められておりますが、交付税上も何らかの措置をとるべきではないか、これについてお尋ねをしたのでありますが、もしも何らかの方針が決まっておればお聞きしたいと思います。
#126
○石原(信)政府委員 お尋ねの第一点でありますが、小や学校費における光熱水費を初めとする学校の需要費につきまして団体によってかなり交付税算定と実態との間に乖離があるという点について、昨年度もこの問題が指摘されたわけでありますが、私どももその後さらに全国の各地について実態を調査いたしております。
 その結果、現在の交付税算定の額につきましては、全国的な水準としてはおおむね妥当な水準になっているのではないかと考えております。ただ、大阪周辺など地域によってかなり違いがある、また大阪市周辺の都市につきましても個々の市ごとにかなりばらつきがあります。そこで、これらのばらつきの内容が各市の方針の問題、やり方の違いによるものなのか、あるいはその地域全体の客観的な条件の差によってその水準の差が出てきているのか、これらの点をいろいろ検討してみたわけであります。
 それで全体として、五十四年度の単位費用の積算におきまして光熱水費に例をとりますと、私どもは前年対比で一九%以上の増額を予定いたしております。また、そういたしましても、なお大阪周辺などの例からしますと十分でないという見方もありますので、この点は各地域の財政需要の差を反映させますための態容補正係数の決定の際に加味してまいりたいと考えております。
 それから、ごみ処理の問題でありますが、特に埋立処分地施設につきまして五十四年度から補助制度ができましたので、この地方負担額につきましてはいわゆる事業費補正の対象として取り上げ、その財政需要への算入を的確化してまいりたいと考えております。
#127
○三谷委員 従来は小学校言三十二万という電気料金でありましたか、これは百五十八万に、中学校は百四十六万を面七十五万に改善する、こういう処置がとられるわけですか。
#128
○石原(信)政府委員 そのとおりでございます。
#129
○三谷委員 それから、ごみ処理施設の設置費につきましては、五%は交付税の事業費補正でやる、二〇%は財源対策債を充てる、元利償還は一〇〇%交付税で見る、残りの七五%分は地方債を認める、この元利の五〇%は交付税で処置する、こういう改善処置が行われるわけですか。
#130
○石原(信)政府委員 地方負担額につきまして九五%の起債充当を行う、それから残りの五%は単位費用の積算上カウントする。その九五%の地方債のうち七五%分、これは従来から充当率七五%でございますが、これにつきましては、いわゆる事業費補正を通じましてその元利償還金の五〇%を基準財政需要額に算入いたします。また九五%のうち二〇%分、これは財源対策として充当率を引き上げた分でございますが、これにつきましてはその元利償還の全額を基準財政需要額に算入する、このような扱いにいたしております。
#131
○三谷委員 最後に一つお聞きしておきます。
 宅地並み課税、これはことしもまたほおかむりして、いまの根を残したままで三年間現行の処置を延長することになったようであります。これは昭和四十四年に新都市計画法が施行されましてからすでに十年たっておる。十年たってもなおこれが実施できないということは、実施ができない社会的な根拠が明らかにあるわけだ。これにつきましては、私はしばしば質問してまいりましたが、憲法上の問題も含む重要な問題ですから、これは容易に実施できるものではない、だから撤廃すべきだということを申し上げてきました。昨年の十月にもそういうことを申し上げてまいりました。これが三年間延期されたというわけでありますが、これを廃止する意思はないわけでしょうか。
#132
○澁谷国務大臣 この問題は全く対峙する二つの意見、考え方があることは御承知のとおりです。したがって、今回の税制改正の際も、どうしても両方の意見がかみ合わないわけです。したがいまして、非常に基本的な性格を持つ問題でもございますので、あと三年間かけてじっくり相談、討議をしよう、こういうことになったわけでございますので、これを廃止するとかどうとかということは全然決めてもおりませんし、とにかくこれから真剣に三年間かけてじっくり討論をし、意見の交換を行って結論を出したいと考えております。
#133
○三谷委員 これはずっと特例が延び延びになってまいりまして、その都度議論してきた。依然としてルーツが残されておりますから、農民の方は安心して都市農業に従事できないというような事情もあるわけであって、これは速やかに結論を出して、こういう不当な税制は廃棄するなら廃棄するということをやるべきだと思います。
 いまここでそれを即答なさいませと言っても無理でしょうから、この議論はまた別にするとしまして、そのことを強く要望しておきます。
 終わります。
#134
○染谷委員長代理 午後三時より再開することとし、休憩いたします。
    午後零時五十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時開議
#135
○松野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 地方税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。川合武君。
#136
○川合委員 今年度、国庫補助金の整理統合といいますか、国庫補助金について件数で言うと何件廃止されたか、その件数をお示しいただきたいと思います。
#137
○矢野説明員 昭和五十四年度における国庫支出金の整理統合の状況でございますが、合理化廃止、合理化減額、統合あるいは期間のないものにつきまして終期を設定する等によりまして件数で六百七十五件、これは地方公共団体に対する補助金のみの整理でございます。
#138
○川合委員 地方公共団体に対する国庫補助金は大体十兆円ぐらいだと思いましたけれども、総計で幾らであって、廃止された地方団体への国庫補助金の金額は合計幾らぐらいか、お示しをいただきたいと思います。
#139
○矢野説明員 昭和五十四年度地方財政計画に掲上いたしておりますところの国庫補助金の額は十兆九十四億円でございます。
    〔委員長退席、染谷委員長代理着席〕
 先ほどお答え申し上げました地方団体に対する補助金の合理化、整理統合によるところの金額は八百四十三億円、このように聞いております。
#140
○川合委員 十兆円のうち八百億円。それから件数は六百件。そうすると何件のうち六百件廃止したのか。もとの数字というか、何件のうち六百件廃止したのか。
#141
○矢野説明員 国庫補助金の件数はその分け方によって大変異なってまいります。また数も非常に多うございまして、現在私の手元に国庫補助金の全体の件数は持ち合わせておりませんので、まことに恐縮ながら御答弁いたしかねる次第でございます。
#142
○川合委員 だけど、おかしいのじゃないかしら。六百件廃止したというのだから、何件のうち六百件という、もとの数字が出そうなような気がしますが。資料はたまたまいま持っていないのか、それとも役所へ問い合わせてもすぐにはわからないのか、どっちですか。
#143
○矢野説明員 先ほどお答え申し上げました整理件数は、これは大蔵省の方でこの件数につきましてのまとめをされたものでございますが、件数の数え方は、整理したものの中身として、たとえば合理化廃止したものが百七十四件、合理化減額をしたものが三百二十八件、あるいは統合したものが、九十二件ございましたものを三十三件、あるいは期間、終期を設定したもの、これが三十八件、定員削減したもの三十六件、その他七件、こうなっておるわけでございますが、全体の件数ということになりますと、これを目の段階で数えるのかあるいは細目の段階で数えるのか、いろいろ計算の仕方もあると思います。地方団体に対する国庫補助金の件数そのものをずばり出す資料は現在ございませんし、またそのような件数をどのような形で出していくかということについてはちょっと時間がかかるのではないか、かように考えます。
#144
○川合委員 いまの話を聞くと、私らが承知しているのは、たとえば補助金便覧なんかを見ると、目で数えていると千百ですね。そうすると、いまの数字から察すると、目で数えた千百のうちの百七十四とは思えない。それでさっきから財政課長の話を聞いていると、どうも補助金の数え方、件数の数え方というのは非常にむずかしくて、何かそういうものの資料はなかなかないのだという話なのですけれども、これは非常におかしな話だと私は思うのですね。われわれは補助金の全廃を主張しておる。それはいますぐにはできないにしても、補助金を整理統合すべきだということをかねてから主張している。これは私だけではなくて、各先輩、同僚の委員もそういう趣旨の質問を繰り返しておる。それからまた、補助金の整理統合は世論だと思うのです。世論だと思うのに、手元に資料がないというならまだわかるけれども、あなたの言葉じりをつかまえて責めるわけじゃないけれども、しかし、考え方というか姿勢として、補助金の数、件数は基本がどのくらいあるのだかわからない、こういうことは非常におかしなことだと思うのですね。それは決して財政課長を責めるのではなくて、私に言わせると、いかに補助金、地方団体の国庫補助金が複雑多岐でわけがわからなくなっているかという現実の姿を示しているのじゃないかと思うのです。
 そこで、私は資料を持ってないのですが、知事会が五十年度の分で調べた補助金の――たとえば一番最初にあったのは建設省の分で、公営住宅事業だったように思いますが、あるいは記憶が違っているかもしれませんけれども、補助金を受け取るのにいかに出張を繰り返しておるかというある県の調査、その資料、いろいろな種類の補助金についてこれだけ出張が重ねられている、これだけ出張が重ねられているという資料がありましたね。五十年度分の調査か何か――いまそれを聞こうとしているのじゃないから矢野さん、探さなくてもいいですが、ああいう資料を見て自治省はどういう感想を持たれるのか。知事会がああいう資料をつくって発表しているのは、これだけ補助金というものの手続が煩瑣であって、そして出張を重ねなければならないのだ、旅費もかかっているのだ、こういうことを言わんとしているのだと思うのですね。自治省はあれを見てどういう感想を持つか。そのとおりだ、知事会の要望どおりだ、これは何とかしなければならない問題だと思っているのかどうか、ひとつ答えていただきたいと思います。
#145
○矢野説明員 御指摘のように、六団体等におきましても補助金の統合整理及びその交付手続の簡素化という点につきましてはたびたび意見を出しております。私どもの方もこういった六団体側の要請を受けまして、毎年度各省に対しまして補助金の交付手続の簡素化なりあるいは補助金の整理ということをたびたび申し入れておるようなわけでございまして、先ほどお答え申し上げましたような合理化の進捗もそういったことが反映しておるものと思います。
 ただ、基本的には、交付の手間暇なりあるいはその事務費に比べて補助金が余りにも少ないというものにつきましては、これはもう当然に整理を図るべきものだと考えられておりますが、実際問題といたしまして、こういった補助金を全面的に一定の基準でもって全部整理してしまうという点は、予算編成の段階におきましてもなかなか困難なようでございます。地方団体側の意見をも踏まえまして今後とも努力をすべきものである、こう考えておる次第でございます。
#146
○川合委員 若くて優秀な財政課長の答弁としては少し心細いような気がするのですね。補助金の統合は一生懸命やるけれども何となくむずかしいのじゃないかと思いますというように、いま聞こえたのですよ。そんな敗北主義では自治省の財政課長としてちょっとどうかと思いますよ。
 これも私の記憶だけれども、十年くらい前だと思いますね、いま横浜市長の細郷氏が財政局長だった時代ですから。あの時代に、自治省の外郭団体といいますか、どこだったか忘れたけれども、それの機関誌に準ずるようなものの中で、これは私の記憶だから、財政局長見ていらっしゃるようだから、間違っていたら直してもらいたいのですが、いまの手続も非常に複雑であるので、地方団体が補助金を受け取るために大体一割から二割の諸掛かり――諸掛かりというのは、さっきの知事会の調査に示されているように、出張旅費だとかいう意味だろうと思うのですが、諸掛かりというか雑費が一割か二割使われている。ですから、算術的に言えば、百万円の補助金をもらっても二十万円そのために諸掛かりがかかっている。何かこういう論文があって、彼の言わんとするところも、補助金を整理統合しなければならないというところだったと思いますが、やはり私も細郷氏の論文になるほどと思ったし、なるほど一割、二割ぐらい雑費がかかっているのじゃないかと思いましたね。それから、なおかつさっきから言う知事会の調査を見ると、あれだけ出張が重ねられているのではなるほどそうだろう、百万円もらうのに二十万円ぐらいは雑費を使わなければならないのだ、こういう感じを持ちましたね。
 自治省としては、地方自治体が補助金を受け取るのにいまの煩瑣な手続でどのくらい諸掛かりがかかっているか――くどくなりますが、細郷氏の言によれば一割か二割というのですが、どんな程度かかっていると――これは調べた科学的な数字じゃなくてもいいですが、勘でどんなものでしょうか。財政局長なんか長い経験者なんだから、大体勘でもってそう間違っていないいい線の答えが出るのじゃないでしょうか。ひとつ伺いたいと思います。
#147
○澁谷国務大臣 参議院の方に行っておりまして失礼いたしました。
 補助金の整理の問題を御質問なさっておられるわけでございますが、これは、川合さん、私はこう考えているのですよ。
 私は就任の所信表明の中でも申し上げたように、従来の中央集権主義から地方分権の方向に移行しなければならない時代にもう来ておる、こういう基本認識に立っておるわけでございますが、長い間の中央集権的な行政の手法の柱になっておったのがいわゆる補助金制度であるわけですね。それで、小さな、極端に言うとはしの上げおろしまでいわゆる補助金という形で中央政府の指示を受けてやってきた、これがいままでの行政のあり方なんですが、このあり方というものにやはり根本的なメスを加えなければならない時代に来ておる。これをやらないで地方分権なんと言ってみたって、それは全く架空なものであり、絵にかいたもちになってしまう。そこで私は、地方分権というものの具体化に当たって取り組まなければならない大きな課題の一つが、ただいま御指摘になっておられる補助金制度の整理統合だ、こういうふうに理解をしております。
 そういうことで、今回の予算編成に当たっても政府全般としてかなりの補助金の整理はやったわけでございますけれども、しかし、やったといってもこれはまだもうほんの序の口でございまして、巨大なる補助金制度に支えられた行政全体の姿というものは全然微動だにもしておりません。私は、やはりこの問題は政府全体としてこれから取り組まなければならない最も大きな課題の一つである、こういうふうに考えておりますので、今後ともひとつ私どもの努力を傾けてその実現に進んでまいりたい、このように考えております。
 私も長い間役人をやっておりましたから、補助金をもらうために地方からわざわざ旅費をかけて出てくる、そういった諸掛かりがやはりそう軽視できない額になっておるということは承知しておりますが、ただ補助金の額の一割になっているかどうかというようなことは、これはなかなかっかまえにくいわけでございますけれども、そういった経費の面だけでなくて、時間的にも労力的にも非常なロスが伴っておると私は思うのですよ。そういう点も含めて補助金の整理統合というものはひとつ真剣に精力的にその方向に向かって実現するように努力をしてまいりたい、このように考えます。
#148
○川合委員 いま大臣の非常に明快なお答えを聞きましたから、補助金の問題についてはもうこれ以上質問しませんで、また別の機会がありましたらさせていただきますが、ただ、大臣もおっしゃったように、まさにこれが地方分権を妨げているものだと私も思います。のみならず、そのことと裏表でございますけれども、大臣が答弁の終わりの方に言われましたように、諸掛かり、いわゆる旅費というだけでなくて手間暇、エネルギー、そういうものもこれによって非常に消費されているということは、――私は近き将来補助金制度を全廃すべきだと思うのですが、少なくとも第一歩として整理統合をすることによって相当の行政経費の節減もなされる、こう思うわけです。いま国、地方を通じて財源難と言っているときに、この問題を解決するように努力すべき、ことに自治省はその使命があるのだと思います。
 同時に、いまの制度は、私は、国、地方自治体が同じ仕事を両方でもっていじくり回しているといいますか、いわゆる二重行政ですね。もう地方自治体に任せて責任を持ってやらせればそれで済むものを、中央政府が管理するというか、最終的な判断の権限を留保しているというような二重行政、あるいは極端なのは三重行政があることが、これまた同様に、いまの補助金と裏表でございますが、非常なお役所の経費のむだ遣いですね、非効率な使い方になっていると思うんですね。たとえば、よく言われる例ですが、公園なんというものは地方自治体の持ち味でつくるべきであって、横浜市の公園と鹿児島県の何々市の公園とが同じタイプだなんということは、それはそれ自体がこっけいなんで、公園なんというのはその町にふさわしい公園をつくるべきだということは、これはもう常識だろうと思うのですが、公園をつくる場合に、その大きさあるいは形まで建設省はチェックしている。また、よく言われる例で、バスの停留所を三十メートル動かす、五十メートル動かすのに、しかも市営のバスですね、市営のバスの停留所を動かすのに運輸省の陸運局が権限を留保している。こういうようなことは、これはどうなんでしょうか、これは、いつまでも地方自治体のために闘うべき使命を持っている自治省がこんなことぐらい改められないのでしょうか、もう長年言われている問題ですけれども。これはどなたでも結構ですが、財政局長……。
#149
○澁谷国務大臣 私から答えましょう。
 この中央の権限を地方に委譲するという問題も、まさに地方分権を実現するための中心的な課題の一つだと思います。いまお話しがありましたように、とにかく地方の実態というものは自治体が一番知っておるわけですから、自治体の特殊性というものを生かした、その特殊性にぴったりマッチする施設をつくるというもの、これは自治体が一番適当であるということは、これはもうどなたも異論がないと思うのです。ところが、とにかくいままでは何でもかんでも中央が計画をして、その計画どおりにやらないと補助金を出さない、こういうことでやってきたわけでございますから、このいままでのあり方というものは、やはりこの際、根本的なメスを入れなければならぬ、私はこのように考えております。したがって、この問題は、先ほどの補助金の整理の問題とまさにうらはら、一体的に取り上げて取り組まなければならない課題でございますが、私は、やはり根本は、いままで中央政府が何もかも中央でなければ承知しないというそのあり方は、地方自治体というものに対する不信感が根本にあると思うのです。また、一面、二十年前の時代の地方自治体というものを考えますと、確かに、自分たちが自主的に主体性を持って計画を立て仕事を実行していくという能力について、私は、やはり不十分な点が多かったと思うのです。しかし、戦後三十年、地方の自治体もだんだんと成長をして、みずからの主体性を持って自主的に計画を立て実行していく力を備えてきておると思うのです。こういった実態も踏まえて、私は、従来中央ですべてやってきたというあり方を改正して、地方に任せるべきものはもう思い切って地方に任せたらいい、これが行政事務の再配分の問題だと考えておりまして、補助金の整理統合という問題と一体的に、ひとつその実現に向かって努力をしてまいりたいと考えます。
#150
○川合委員 大臣の答弁で了解いたします。
 くどくなりますが、つけ加えて言いますが、私はこの公園の問題、バス停の問題を取り上げました。あるいは自治省の人は、そんなものはうちの問題でなくて建設省の問題だと言うかもしれない。しかし、これはやはり自治省が地方自治体のために、こんな非常識なことがいつまでも続けられているということに対してがんばってもらわなければならない。私は建設省の人に、委員会じゃありませんけれども、担当の建設省の人にこの公園のことを聞いてみました。そうしたら、いや川合さん、地方から上がってきたものは、大体みんなフリーパスなんですよ、こう言うんですね。チェックしていると言いましても、制度はそうなっているだけで、みんなフリーパスですよ、こう言うんですよ。私はその答えの中に、その当該のお役人さんはいい人で、意地悪をしているわけじゃないんで、それでフリーパスだと、こう言われる。そこに私は問題を二つ感じたんですね。一つは、建設省が、公園の場合に何か型を、Aタイプ、Bタイプ、Cタイプと幾つかのタイプを示しているのじゃないか。だから、みんなそれにのっとって持ってくるのだから、みんなフリーパスなんですね。そうしますと、洋服のレディーメード、既製服か、あるいはせめてせいぜいイージーオーダーみたいなもの、さっき言ったような持ち味ある公園はできない。
 それからもう一つ、もっと問題は、フリーパスになるぐらいならば、地方自治体へもう任しちゃっていいわけですね。にもかかわらず、権限だけは、やはり一たん持っている権限は、一寸の領土でも手を放さないというような気持ちで中央の役所が持っているというのは、これはおかしいと思うんですね。地方自治体に任してもいい。さっきから言いますが、ほとんどフリーパス、だけれども権限は放さない、こういう実態ですね。
 私、この補助金の問題についてちょっと大臣に、別に反駁するわけじゃありませんが、大臣が、地方自治体にも過去は不十分な点があったんだ、私もそう思います。現在でも至らざる点があると思います。だけれども、いまのように地方自治体が、責任範囲がはっきりしないで、大体、案をつくったって、チェックする役所は上にあるというのだったら、やはり責任観念が生まれないと思うんですね。これは鶏と卵だと思いますが、地方自治体が不十分な点があるから、中央政府はなかなか任せ切れないということと、鶏と卵だと思いますが、しかし、基本はやはり責任の範囲、分野というものがはっきりしていない。事務配分がはっきりしていない。それで二重行政が行われている、こう思います。
 私は、最後にお尋ねしたいのですが、自治省は一般消費税についてどういう考えを持っているのか。先輩の委員の質問もあられたと思いますけれども、何か私の受けるところが誤りでないならば、一般消費税が導入されたときには、そのどのぐらいを地方団体分として持ってこようとしているかとかなんとか、そういうことに非常に興味を持ってというか、熱心で情熱を傾けておるかのごとき感じを持つんですね。間違っていたら訂正してもらいたい。しかし、私どもは、一般消費税というものには反対ですが、一般消費税を導入しなければならないというのは、これはあくまでも財源難からだと思うんですね。財源難のときこそ、事務再配分をやり、財源の再配分をやるチャンスだと思うんですね。二重行政で国と地方とがチェックし合ったり、二重行政でむだがあるんだ。補助金も煩瑣な手続で諸掛かりがかかってむだがあるのだ。これは打ち切らなければ、いまこういう財源難のときにはしようがない。国、地方を通じて財源難だ。この財源難のときこそ事務再配分、税源の再配分のチャンスだと私は思うんですね。しかるにかかわらず、何か一般消費税の誘惑の方に自治省はばかに熱心で、そして地方団体のためにがんばるぞというような、一般消費税の分捕り合戦のような感じも持つ。そうでなくて、いまこそ自治省が地方分権のために、また財源難打開のためにがんばってもらいたいと私は思いますが、大臣の考えを伺いたいと思います。
#151
○澁谷国務大臣 五十五年度から消費税の実施に入ろうということはまあ決めておるわけでございますが、その導入に当たって、国と地方の財源の配分というものは適正にしてもらわなければならない、地方自治体の財政難の状況は御承知のとおりでございますから。したがって、自治省の立場としては、地方自治体の行政需要に見合うような配分を当然主張しなければならぬ。そういう点では、私どもこれは真剣に、熱心に大蔵省と折衝をしておるわけでございます。しかし、御指摘のように、一消費税という制度を導入することによって、現在私どもが直面しておる国、地方の財政難というものがこれでもう解決できるんだというような短絡的な、安易な考え方は私は毛頭持っておりません。そんなことで解決できるようななまやさしい問題ではないわけであります。ですから、川合さんがいま提唱されたような、こういう財源難のときこそ、いわゆるむだを削って、仕事の再配分というものを実行するチャンスではないかという御指摘には、私は全く賛成であります。まさに私はそう思うのです。ですから、最近のはやり言葉で言えば、この非常な長期の不況の中で、わが国の企業が本当に血の出るような減量経営をやってきておりますね。これはやはり政府も自治体も、この民間が本当に血の出るような、歯を食いしばって努力をしてきた減量経営に対する取り組み方は、私どもは大いに参考にしなければならぬ。親方日の丸で、民間はもう血の出るような苦労をしておるけれども、国、自治体はそんな苦労をしないで、ぽかんとしているというような状態で、消費税の導入をお願いしますなんて言っても国民は納得いたしません。したがって、とにかくむだを徹底的に削り落としていくという努力を本気になってやらなければならぬ。これをやるかやらぬかが、一面においては消費税の導入というものが国民の理解を得られるかどうかという一番のかぎになっている、私はこういうふうに考えておりまして、御質問の考え方、全く同感でございまして、そういう方向でとにかく努力してまいります。
#152
○川合委員 大臣のお答えを了承します。ひとつがんばっていただきたいと思います。
 与えられました時間も少なくなりましたので、最後に宅地並み課税につきまして若干お尋ねしたいと思います。
 この前もお聞きしたと思いますが、減額条例都市といいますか、減額条例をやっている減額条例都市は、全体の都市の数のうちで幾つの都市がやっているか、何割ぐらいやっているのかということを念のため伺いたいと思います。
#153
○土屋政府委員 宅地並み課税をやっております特定市街化区域農地に係る団体が、特定市の総数が百八十三ございますが、そのうちで百七十四の団体が、これは五十二年度のベースでございますが、減額条例をつくっておるわけでございまして、そして、ついでで申し上げますと、五十二年度の課税の状況を見ますと、特定市街化区域農地の税額が固定資産税で百七億くらいでございます。そのうち減額されておりますのが六十億で、減額率は五六・二%、都市計画税で三十一億程度のもののうち、十六億ぐらいが減額されて、五三%が減額率ということに相なっております。
#154
○川合委員 いまの局長のお話を聞くと――私は、本来地方税というものは、いまのようなああいうがんじがらめの地方税法で規律すべきものではなくて、もっと地方団体が自主的に決めるべきものだというふうに思っておるのですが、この宅地並み課税の減額条例の姿を見た場合に、たとえば、私は宅地並み課税制度そのものに反対なんですが、仮に宅地並み課税のこういうものを行うとするならば――これこそ国が一律に宅地並み課税でぱあっと網をかぶせてそれで減額条例でぽろぽろ抜かしていくという方式で、ほとんど減額条例都市だと言うわけでしょう、いまのお話を聞くと、何らかの条例をやっているのは。そうするならば、この宅地並み課税、仮にこういうものをやるとしても、どうなんでしょうか、これこそ一つの条例基準を決めて、そしてそれぞれの都市が自主的に条例でやるというべきなんじゃないでしょうか。これなんか、一つの見本みたいなものじゃないんでしょうか。
 意味がわかりますか。もともと私は、いまのように地方税法で細かく規定して、よく言われますように、それぞれの都市の条例あるいは県の条例を議会へかけるときに、地方税法に書いてあると同じような文句をもう一遍繰り返して議会に提案している、そういう例が多いわけですが、それはおかしいので、それをもっと自主的に、それぞれの都市の、町の、県の、地方自治体の条例があるべきだ。しかし、このように一たん一律にやって、そしてどんどん減額条例でやっているというなら、それならば、条例基準を示すことは必要かもしれないけれども、都市の自主的な条例というふうに任していいのじゃないかと思いますが、局長はどうお考えですか。
#155
○土屋政府委員 基本的に、固定資産に対する課税という場合は資産価値に着目して課税するわけでございますから、全般的には、全国的に一律に公平が保たれなければならないと思うのでございます。そういった中で、現在のいわゆる宅地並み課税の制度がとられましたのは、特に三大都市圏でございますが、市街化区域内において農地のあり方というのがいろいろ問題になって、実際には農業として余り営まないで、家と家の間にわずか囲まれたものまで農地として周辺の宅地よりも非常に低く課税されておる、これは不公平ではないかといったような意見等が出てまいりました。市街化区域というものが、そもそも市街化した地域であり、かつまた、十年以内に優先的、計画的に市街化する区域だ、そういう前提で線引きが引かれたというところから見れば、それはやはり周辺宅地等との均衡、負担の均衡、それからそこらの宅地化の促進、そういった面から税制上においても一つの促進剤として考えていこう、こういうことで生まれたわけでございますから、全般的にそういった同様の立場にある農地等については一律に考えるべきものではなかろうか。ただ、減額をするという場合には、現実に、先ほど申しましたような非常に家と家の間にあるような、〇・一ヘクタール以下のような狭いところはもともと減額対象にしない、やはり農業としてある程度現実に営んでおり、三年以上保存することが適切であるというところについてのみ減額の対象とする、こういうことであって、その減額の内容は市町村が条例によってある程度率を決められるということでございまして、一〇〇%のところからいろいろと段階があるわけでございまして、そういった裁量というものは経験者を集めた農地課税審議会で検討するわけでございますけれども、要するに、宅地並みの課税をするか、どういう条件でし、どういう場合はやらないか、そういった基本的なところは、これはやはり法律で決めるべきであって、その中でどの程度やるかという実態に合った処置は条例で決めるという余地を残してあるわけでございまして、やはり市街化区域というものを、あるいはまたその中における農地のあり方、農政のあり方というものをどう考えるかということは、これはやはり国、地方を通ずる一つの大きな政策課題であるわけでございますから、そういったものを踏まえてやる以上、一定の、一律に考えなければならぬところと、それから地方団体に任すべきところと両方やはりあり得るのだろうと私は考えております。
#156
○川合委員 私は、時間がなくなりましたので、結論的なことを急いで言ってわかりにくいかもしれませんけれども、いま局長は、いわば不公正税制みたいなことを主眼にして言われましたけれども、それならばまたそれで真っ向から行くべき方向があるんじゃないかと私は思うのですね。これは不公正税制ということもあるかもしらぬが、しかし同時に、私どもの聞いているところでは、やはり宅地供給という一つの大きな問題から、これはそのときの流れとしてどうしても必要だということで宅地並み課税の制度がとられた。しかし、私が住んでいるところのみならず、宅地並み課税が実施されているところの町の姿を見ると、いろいろな問題がそこに出てきて、これは何遍も先輩同僚委員が質問されたでしょうから省略しますけれども、現実に宅地並み課税というものが、いま局長は条例でそれを実情に合うように補っているんだと言われたけれども、しかし、私から言わせると、何か一応やってはいるが骨抜きみたいになっている感じがする、条例でやって。しかし、それは地方自治体を責めるべきじゃなくて、やはりこの制度そのものに致命的な欠陥がある。国の政策である宅地供給というようなものを税で、しかも地方税でこれだけでやろうとしたというところに非常に無理がある。本来はやはり土地利用計画というものがもっとはっきりしてなければならない。しかも、地方自治体とそれぞれ十分協議した――あるいはこの町とこの町では多少考え方は違うかもしらぬ、宅地供給について。それはまた一つの理由があるならば、あるいは間違った考えとするならば、それは国の方でいろいろ説得もしなければならない場面もあるかもしれない。しかし、地方には地方の実情がある。それらは十分それぞれ地方自治体と国とが協議して、そしてきめの細かい土地利用計画というものを立てる、それが先決じゃないか。それがなくて、いきなりこういう地方税でこういうものをやっていくということは、これは間違っているんじゃないか、こう私は思うのですね。やはり宅地並み課税というものは一遍ここで廃止してしまって、そして土地利用計画を十分国と地方自治体とが協議してつくって、それから再出発すべきじゃないか、こう思うのですが、税務局長のお考えを聞きたいと思います。
#157
○土屋政府委員 率直に申し上げまして、いまお話しのように、税収を上げるために宅地課税をまず強化しよう、こういう趣旨で出発したものではなくて、やはり全体の政策的な意味、すなわち市街化区域というものは、これは土地政策として都市計画法上決められた地域でございます。その線引きもいろいろな民主的な経過を経て決められたわけでございます。そういった形での一つの土地利用計画ができて、それに基づいてその性格上時間をかけて市街化していこう、こういうことになったわけでございますけれども、現実問題としてはお話しのように、市街化するにしても都市施設なり環境整備というのが十分進んでいないという面もございまして、なかなか市街化が進んでいないということもございます。かたがたその一方では、周辺宅地と比べて本当に指弾されるような、これはもう値上がり待ちだと思われるような所有の仕方もございますれば、まだなかなか都市化するための基盤が進まないということから、現実に農業を営んでおられるところもある。そこのための調整をする意味で、いまの減額措置というものができたわけでございまして、どっちか一方に徹底的に進めればよかったわけでございますが、現実は複雑でございますから、まさに現実的な処理の方法として、課税はするという方針を立てながら実態に応じた減額措置もとる。その措置のとり方は全額やる場合もあれば、あるいは五〇%というところもある。そこらは地方に任しておりますが、基本のところは法律で制度を決めた、こういうことでございます。
 したがいまして、ただいまお示しのございましたように、本質的にはやはり土地利用のあり方が優先するものであって、その土地利用を有効に促進する意味で税制というのは補完的につくられておるわけでございますから、そこらの問題はおっしゃるように、全般として見直す点があれば見直す必要があると思うのでございます。今後、市街化区域内でありましても、土地の有効利用というものをどういうふうにするのか、そしてまた、その中に介在する農地であっても、こういう条件の場合はどうするのか、基本的にそういう総合的な土地利用のあり方というものを見直して、そのうちで実態に合った政策というものを決めるべきだと思うのでございまして、そういった意味で私は現実を見て、直ちに廃止するのは、今度は逆な意味で不公平もあるということから、三年間これを引き延ばした上で、おっしゃいました意味も含めて十分検討する必要があるのじゃないか、こういうことで、今回の改正案には廃止じゃなくて現状のままで、かつまた減額制度も三年間延ばすというかっこうで研究期間をおこう、こういうことにいたしたいと思っておるところでございます。
#158
○川合委員 私の質問は一応これで終わりますが、私は三年なんということを言わないで、もう一年間馬力をかけて、そして一応いまある宅地並み課税制度は廃止して、先ほどから言われる総合的であるという言葉がいいのかどうか、私に言わせればもっと現実的な土地利用計画――いま土地利用計画がゼロとは言いませんよ。しかし、いまのような一律的な土地利用計画じゃなくて、もっときめの細かい現実的な土地利用計画をまず立てるということで、この一年間ひとつそれにエネルギーを傾けられて、そして宅地並み課税は廃止すべきだ、こういうふうに思いますが、私の質問はこれで一応終わりまして、後で同僚の委員から質問がございます。
#159
○染谷委員長代理 速記中止願います。
    〔速記中止〕
    〔染谷委員長代理退席、委員長着席〕
#160
○松野委員長 速記を開始してください。
 次に、加地和君。
#161
○加地委員 一番最初に、一般的なことなんでございますが、自治大臣にちょっとお尋ねしたいのでございます。
 これは予告してない項目なんですが、一般的なことでございますので、もしあれでございましたら後刻お答えいただいても結構なんですが、実は、地方自治体といいましても、いろいろと府県があり市町村があるわけでございますが、市町村の市の中にも、人口何百万人という市もあれば、人口四万程度の市もあるということで、現在の地方財政関係の法律は、その何百万人という大都会も、人口四万程度の市も同じような制度に画一的になっておるところに非常に問題点があるのでなかろうかと思います。
 大都市の事務配分の特例として、地方自治法の第二百五十二条の十九などに定めてございまするが、この権限と仕事が与えられても、それに伴う財政需要に対する税制上の措置は、道路目的財源を除いてはなされていないという状態でございます。そのために、どの指定都市も全部地方交付税の交付団体に転落をしておるという状態でございます。たとえば、法人所得課税の配分につきましても、国税が六六・八%、道府県税が二五・一%、市町村税関係で八・一%。この市町村税関係の中に、指定都市も人口四万の市も全部画一的に入れられておるという状態でございます。
 この大都会、いわゆる指定都市の自主財源不足ということにつきまして、大臣はいかにこの地方の時代におきまして考えておられますか、ひとつ所感をできればお聞きしたいと思うわけでございます。
#162
○澁谷国務大臣 実態を先に政府委員から……。
#163
○森岡政府委員 いまお話しのように、税財源配分の面で指定都市とその他の市町村とで際立った区分というものがあるかということでございます。それはございません。道路目的財源につきまして、指定都市型の市町村と異なった措置が行われておりますが、これは指定都市が国道、府県道を管理しておるものですから、それに見合って措置されておるわけでございます。
 ただ、指定都市が他の市町村と異なったいろいろな行政権能を別途与えられておりますが、それにつきましては、地方交付税の基準財政需要額を計算いたします際に、全部これは見込んでおるわけでございます。
 税源配分を行ってその財源の付与をすべきではないかという御意見も、かねがね指定都市からあるわけでございますけれども、その点につきましては、私どももいろいろ検討を続けてまいっておりますが、当面は、交付税の算定を通ずる財源付与によって措置をしてまいっており、それで実質的に不都合は生じていない、かように思っておる次第でございます。
#164
○加地委員 自治省の方はそれで不都合が生じていないというお考えでございまするが、現実には指定都市の方では、指定都市であるがゆえに莫大な財政需要があるということでございまして、全国的な指定都市の市長会その他からもいろいろな声が自治省の方にも出てきておると思うのでございまするが、自治大臣、いまの指定都市に対しての特別の、その特殊性を配慮したいわゆる税源措置等については全くお考えになる考えというのはございませんですか。
#165
○澁谷国務大臣 いまの指定都市というものは、実態からいっても、また普通の市町村と違う行政権限も与えられておるという、その両面から考えまして、ちょうど都道府県と一般市町村の中間にある、そういう実態を持っておると思うのです。したがって、四万とか五万という都市とは違う行政需要があるということも、これはもうそのとおりだと思うのです。
 それだけの行政需要があるのだからそれに見合う財源措置を、指定都市に限って特殊な財源措置を講ずべきでないかという議論は、これは当然出てくると思うのです。ただ、現在の制度は、いま財政局長からお答えしましたように、地方交付税あるいはまた地方財政計画の策定の中にそういう指定都市特有の行政需要に見合う財政需要も、これはもうちゃんと計算をして手当てをしておりますと、こういうことだと思うのですが、そういうことではなくて、都道府県、一般市町村、その中間に位する特殊な性格、実態に見合う特別な財政措置というものを考えるべきでないかということは、私は、これはもう考慮に値するものだと思いますけれども、これをやるということになると、これはもう大変な、相当な改革でございますから、ここで私が軽々しくやるとかやらぬとか、そういうことは申し上げません。しかし、そういう御意見が出てくることは十分私は背景のあるものだと考えておりますので、御意見は十分に拝聴いたしておきます。
#166
○加地委員 この問題、また地方交付税の機会にも論議させていただくことといたしまして、どうか、その特殊性に今後目を向けて、実情に合った、地方の時代にふさわしい税制、地方財政が実現されることを強く望んでおきます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 昭和五十三年の三月三十日に参議院の地方行政委員会の方で地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議というものがなされております。いまから一年ほど前にでき上がった附帯決議でございますが、その中に数項目ずっと書かれておりますが、この附帯決議に盛り込まれておる内容について、その後どのように実現しておるかということについて順次お尋ねしていきたいと思います。
 まず、この中に「家庭用電気税の軽減に努めること。」という項目がございますが、今度の税法改正では、ガス税については何か軽減措置が行われておるようでございますが、家庭用電気税についてはどういう作業が進んでおる段階でございましょうか。
#167
○土屋政府委員 昨年の附帯決議がつけられましたものについては、私どももいろいろと検討しておるわけでございますが、その一つの家庭用電気税の軽減の問題でございますけれども、御承知のように、従来から免税点を設けて、現在は二千四百円ということになっておるわけでございますが、いろいろ検討した結果、実は昭和五十四年度は据え置くことにしておるわけでございます。
 その理由は、電気料金の改定が五十二年以降全然行われていないということと、それから明年度も改定の見込みはないというふうに聞いておりますし、現在の月当たり二千四百円の免税点におきましても、なお四四%の家庭が免税となる見込みであるということでございますので、いまのような厳しい地方財政の状況等を勘案いたしました結果、特に新しく変化が出たわけでもございませんので、この際は、私どもとしては据え置かざるを得ないということで、新しい改善はいたさなかった次第でございます。
#168
○加地委員 去年の附帯決議ができた時点で、その時点よりも軽くするように努めるべきであるというのが附帯決議の本来の趣旨であったろうと思うのです。いまの御答弁でございますと、いまよりも軽くするという熱意は見られない。また、今度電気料金の改定があって、値上げがあるころにはいろいろ考えるという趣旨のように受け取れますが、自治省の方としては、電気料金の値上がりの時期に電気税の軽減措置も講ずるというお考えなんでございましょうか。
#169
○土屋政府委員 ただいま申し上げましたのは、料金値上げがあれば減額するといったような、連動する関係があるという意味で申し上げたわけではございませんで、御趣旨はよくわかるのでございますけれども、いろいろと諸条件に変化がない上に、地方財政だけはますます大変に厳しくなっていくという状況のもとで、なかなか減税の余地がない。そういったことから、率直に申し上げまして、こういった附帯決議があったことは気にはかかっておったわけでございますけれども、それだけの余力がない。そしてまた、やらないことによって大きな変動が来るかどうかといえば、いま言ったように料金値上げもないし、かなりな家庭が軽減されておるというようなこともあるので、ひとつこの際は御勘弁願いたいといった趣旨で申し上げたわけでございます。
#170
○加地委員 同じく附帯決議で七項目に「国税の租税特別措置による地方税への影響を遮断するよう努めること。」となっております。国の方で租税特別措置をそれなりの政策でおやりになることはそれなりに意味のある場合もあるかもしれませんけれども、地方自治体としては、安定的な税源が国の一方的な政策によって覆されていくということで、非常に悪影響があるように聞いておるわけでございます。ことしの地方税法の改正でも、若干租税特別措置法によって受けておる影響を遮断するための措置もなされておると思うのでございまするけれども、まだなお遮断されていない、残っておる租税特別措置のそれぞれの税目につきまして、それぞれがいつごろ地方税への影響を断ち切れるものかどうか、あるいはまた大蔵省あたりとの折衝はどのようになされたのかということにつきましてお尋ねいたします。
#171
○土屋政府委員 お話しのございましたように、国の租税特別措置による地方税への影響というのは相当あるわけでございまして、私どもといたしましては、従来からできるものならばそれを回避したいということで検討もしておったわけでございます。事業税の中で、たとえば海外に関連するようなものは、もともとこれは地方に及ぼすべきでないということで、回遊しておるものもあるわけでございますけれども、全般的に見て、国の租税特別措置の中には、地方税においても同様の軽減を行うことが適当なものもございますし、また、国の租税特別措置を地方税で回避することが課税技術上なかなか困難なものがあるわけでございます。同じような企業で同じような所得の計算をするという場合において、いまのような海外に関連するものはともかくとして、なかなかこれを回避し、遮断するということができにくいわけでございまして、できれば国の方において、われわれとしても問題になるものはできるだけ整理合理化をしていただきたいということを折衝しておりまして、五十四年度においても、国の租税特別措置法が準備金等についてもいろいろ検討され、合理化が行われ、その結果地方税への影響が参りまして、それで増収をするというようなものが相当額に上っておるわけでございます。
 しかしながら、ただいま申し上げましたように、全般として、同じような所得計算の中において、地方だけがこれを別にするといって遮断するのがなかなか技術的に困難なもの等もございますので、基本的に共通なものは国税において整理をしてもらう。なおそれ以外に、地方税独自の立場に立って見直しも行いまして、必要なものがあればそれは遮断するということについては、私どもなお努力しなければならないわけでございますけれども、ただいま申し上げました、非常に多くの租税特別措置の中で、地方だけ特別に切り離すというものは、現段階ではこれ以上はなかなかできにくいといったような状況でございます。なお今後とも努力をいたしたいと思っております。
#172
○加地委員 国の方で税制上の改正がなされたのに地方税関係で改正がなされていないものに、事業税の社会保険診療報酬の所得計算の特例、これが地方の方では残ったままでございます。これもなかなか政治的にはデリケートな問題でございまして、また、お医者さんの果たしておられる社会的役割りについてわれわれ尊敬の念を惜しむものではございませんけれども、そういうようなことについては、特別の補助金なり何なり、別の方法で考えるべきであって、やはり国税の方で改正がなされる動きの中で、事業税関係だけが何ら手をつけられておらないというのは、何か特別の理由があったんでしょうか。また、私の聞きますところでは、前大臣のときにも、これを改正するという旨の委員会での御発言もあったように聞くわけでございますけれども、私は、これについて賛成、反対いずれの立場でもなしに、国の考えを聞かしていただきたいと思います。
#173
○土屋政府委員 国との関連で御指摘があったわけでございますが、所得税の今回の経費率の改正につきましては、住民税においても、五十五年以降は同じような改正をいたしたい。一年おくれでございますので、そういうことに考えておるわけでございますが、事業税については、御承知のようにいろいろ経緯がございまして、これは昭和二十七年から設けられたものでございますが、当時議員提案によって設けられた経緯がございます。それでどうというわけではございませんが、そういった経緯があるわけでございまして、その後の社会事情の変遷を経ながらも今日に至った。特にその間、昭和二十九年に、国税の方におきまして現行の七二%の経費率が設けられた際も、事業税においては、社会保険診療報酬については全部非課税といったことがそのまま残されておるという経緯があるわけでございます。
 経緯はそれといたしまして、そのときの考え方としては、社会保険診療報酬の単価等を考慮して、社会保険診療促進の見地からそういった措置がとられたわけでございますし、事業税そのものが性格上事業の経費とされるということから、仮にこの社会保険診療事業に対して課税をするということになりましても、結果的には転嫁が行われてこの被保険者がそれを負担するということになるというようなこと等もあるわけでございまして、他のサービスの提供と異なる社会保険診療の性格から若干問題があるのじゃないかという意見もやはりあったわけでございます。また、公益上の理由から非課税とされております他の事業との均衡も考慮する必要があるのではないか、こういった意見もいろいろあったわけでございまして、従来から事業税においてもこれをどう扱うかということは、お尋ねのございましたように非常に問題であったことはもう間違いないわけでございます。しかし、今回も住民税はそういう、先ほど申し上げたようなことでいたしますが、事業税そのものについてはただいま申し上げましたようないろいろな点をさらに慎重に検討を行う必要があると考えて、今回改正するまでには踏み切れなかったのでございます。
 ただ、今回所得税においても社会保険診療報酬に係ります経費率について改善が見込まれておるわけでございますので、事業税におきましてもこうした措置を念頭に置いて今後十分検討いたしたいということでございまして、いろいろと過去の経緯なり複雑な問題もございますので、問題の意識は十分持っておりますが、今後そこらを念頭に置いて十分検討したいと考えておるわけでございます。
#174
○加地委員 大臣はこの問題についていかがお考えでございましょうか。何とか地方の税収をふやさなければいけない、またトラブルを受けるのは地方でもございましょうし、いろいろな問題が絡まっておると思うのでございますけれども、国の方で改善といいますか改革がなされ、地方の方がただ取り残されていっておるというのもまた妙なものだとも思うわけですし、また、前大臣の御発言等の絡みもやはり出てこようかと思うのでございますが、澁谷自治大臣のお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
#175
○澁谷国務大臣 医師税制の問題でございますが、これは御承知のように二十五年間ずうっと据え置きの形で現在までやってきた。今度初めてこの優遇税制の改正が行われることになったわけでございますが、その地方分については手がつけられておらない、これをどうするか、こういうことでございますが、とにかく二十五年間手のつかなかった本体である医師税制というものに対して今回改革、改正の手がつけられたわけでございますから、しかも税制全般についてやはり手直し、見直していかなくてはならぬという全般的な状況にも置かれておるわけでございますから、その中でこの医師税制の地方分をどうしたがよろしいか、これは社会保険診療という特殊な性格も持っておりますので、これはいろいろな角度から慎重な検討が必要であることは言うまでもございませんが、とにかく私どもも全般の見直しの中でこの問題についても真剣に検討してまいりたいと考えます。
#176
○加地委員 じゃ次の、同じく附帯決議の中に書いてあるところの「利子及び配当所得については、速やかに総合課税に移行するよう努める」、こうなっておるわけでございますが、これについては地方税関係ではどのような改革が進みつつありますか。
#177
○土屋政府委員 所得税におきまして源泉分離課税を選択いたしました利子配当所得等に対しましては、住民税は現在この課税技術上の難点から課税されていないわけでございます。そういったことから、何とかこの把握に努めませんと、いろいろと財源上の問題もございますし、税の公平の問題もございますので、研究をしておるわけでございますけれども、住民税独自で総合課税を行うということにいたしましても、現実問題としてこの課税体制や課税技術上の困難性がございまして、なかなか容易ではないわけでございます。したがいまして、この問題を根本的に解決をいたしますためには、所得税におきまして総合課税制度へ移行する必要があると思っておりますし、そのことは大蔵省当局ともお互いに共通の意思を持っておるわけでございまして、五十四年度の答申の際にも、それ以前から税制調査会でいろいろと御検討もいただいたわけでございます。そして税制調査会においても今後さらにこの特別部会等の場を設けて細目にわたって審議を行って、できるだけ早く結論を得ることとしたいというふうにされておるわけでございまして、現在この方策が審議をされておりまして、引き続いてこれが検討されることになっておるわけでございます。
 ただ、御承知のように、総合課税ということになりますと、なかなか把握体制というものの確立がむずかしいわけでございまして、いろいろな方がいろいろな預貯金をされておるというようなことがございまして、本人の確認とか名寄せとかいったような意味で、理屈の上はともかく、その具体的な面で非常にめんどうくさいといいますか、非常にやりにくいという問題がございます。そういった把握体制が十分に進まないうちに踏み切るということになりますと、また逆な意味で、把握された者とそうでない者との負担の不均衡という問題も生じてまいりますので、私どもとしては、本年も税制調査会でこれは一つの議題として取り上げていただけると思っておりますので、そこらの経過、結果を見た上で対処いたしたいと考えております。
#178
○加地委員 この利子及び配当所得の総合課税については、いまおっしゃいましたように預金者と本人との確認と、それからいろいろなところで預金をしたり配当を受け取ったりしておる分を一人の人物ごとにいわゆる名寄せをするという作業が完全に行われなければ、これまたかえって不公平になり、収拾しがたい混乱を生ずるであろうと思うのです。
 そうしますと、どうでございましょうか、いまいろいろと研究しておられる中で、納税者番号制というものをやはりコンピューターを使って導入しなければ、これは実施が不可能な制度なんでしょうか。それとも努力次第では、納税者番号制とか国民総背番号制というものなしにやれるような種類の物事なんでしょうか。どうでございましょうか。
#179
○土屋政府委員 今日まで、非常に具体的な問題については国税庁を中心にいろいろ御検討いただいておるわけでございまして、私どもも一緒にこの相談にあずかっておるわけでございますけれども、いわゆる納税者番号制度というものにつきましては、プライバシーの保護といったような問題等もあっていろいろ議論をされておりますが、いまの体制のままで、おっしゃいますような所得把握の体制が十分確立できるかということは、非常にむずかしい問題がこれはあるようでございます。私自身もそういう点で専門家ではないわけでございますけれども、たとえばアメリカあたりでは、社会保険制度とあわせてその台帳番号等を使ってやっておるといったようなこと等も聞いております。それぞれの国の制度なりいろいろなものがございますから、どれがいいのかよくわかりませんけれども、いまの体制で市町村がどういう形で協力をするということになるか、いまの市町村の状況ではなかなか課税上の事務にそう全面的に協力できるかどうかということは非常に問題があるようにも思いますし、番号制度抜きでどういういい方法があるかということになると、まだまだこれから模索しなければ、なかなか一概には申せないと存じております。
#180
○加地委員 そういうようないろいろな問題点を抱えながらどう克服してやっていくかということは、政府関係ではどこが所管で主に研究していることなんですか。たとえばプライバシー保護の問題があるとすれば、そのプライバシー保護について何か完全な歯どめができないかどうかという方向での考え方もありましょうし、また諸外国でも幾つかは現実にやっておるようでもございますし、それに伴ってやはりプライバシー保護の問題も出てきておると思うのですけれども、そういうことはどこが専属的に研究して、いまのプライバシー保護についてどういう歯どめが有効であるかというような研究は、御発表いただけるようなものはまだできておりませんですか。
#181
○土屋政府委員 事柄は徴税上の問題から出発しておるわけではございますけれども、税オンリーだけでなくて、いまお話しのございましたようにいろいろな方面に影響を及ぼす問題でございますから、一応私どもとしては各界の方が集まっておられます政府の税制調査会でこれを基本的に検討していただくという体制になっておるわけでございまして、その場合のいろいろな資料なりあるいは実態の調査というものは他の各省庁にも御協力をいただかなければなりませんけれども、事務的には国税庁が中心にやっていただいておるというのが現状でございます。
#182
○加地委員 それでは、その次の問題をちょっとお尋ねをします。
 同じく附帯決議の九項目に「地方道路財源、特に市町村の道路財源の充実を図るとともに、昭和五十四年度から有料高速道路に対する固定資産税の課税、又はこれにかわる措置を講ずるよう努めること。」と、こうあるのでございますが、この有料高速道路に対する固定資産税の課税問題、これはどのような進展を見ておりますか。
#183
○花岡政府委員 有料道路に対する負担問題につきましては、昨年の六月に関係省、学識経験者、それに地方公共団体の代表、日本道路公団、まだほかにもございますが、こういうところで構成いたします有料道路負担問題検討委員会というのを設けまして、この附帯決議の趣旨に沿うように、五十四年度の予算編成に間に合うようにいろいろと御議論願ったわけでございます。しかし、もともとむずかしい問題でございまして、結局、議論がかみ合いませず、五十四年度の決着がつかなかったわけでございます。現在ちょっと中断しておりますが、近くまたこの委員会は再開されることになっておりますので、この委員会の検討結果を待ちまして具体的な措置を講じてまいりたい、このように考えております。
#184
○加地委員 これはある程度時間をかければ実現できる方向に進んでおるのでしょうか、それとも、この附帯決議の趣旨は時間とともに風化していくような運命をたどりつつあるのでしょうか、どちらでございますか。
#185
○花岡政府委員 御承知のように、この問題につきましては基本的に各省の意見がかみ合っておらないわけでございます。自治省あるいは地方団体の意見と申しますのは、料金収入によって賄われます高速自動車国道、これは一般の国道、地方道とは違うじゃないか、したがって課税をすべきであろう。また建設省なり道路公団は、高速国道も公共道路であるからこれに特別な課税を行うことは適当ではない。また、運輸省なりあるいはこれを利用されるトラック協会等の御意見は、高速国道に固定資産税等の負担が課せられる場合には高速国道の整備がおくれる、あるいは物価上昇の原因ともなるので国民生活に大変な問題が起こる、そういうふうなことでございますから、非常にむずかしい問題ではございます。
 しかし、附帯決議の趣旨もございますし、この委員会におきまして相当突っ込んだ議論が行われております。風化するというふうなことがございましたけれども、そういうことのないように、私どもとしましては、できれば遅くとも来年度の概算要求の時期までにはこの委員会の結論を得たい、このようなことで努力しておるところでございます。
#186
○加地委員 いまの御発言を大いに激励したいと思います。「固定資産祝の課税、又はこれにかわる措置」ということがはっきりと書いてございますので、いずれにいたしましても五十五年度の概算要求には、いわゆるその財源はいずれの形でも結構だと思いまするけれども、関係地方団体にその金が回るように十分御努力をいただきたいと思います。
 それから、これも言い古されておる問題だと思うのでございますが、日本銀行の国庫納付金相当額に対する地方税の問題でございます。
 日本銀行の方が市中銀行に対する貸し出し、外国為替の売買、保有証券の運用等によって多額の収益を得ておりまして、地方税法においても日本銀行のこのような収益活動に着目し、法人住民税及び法人事業税が課されております。そして現実に昭和五十二年度ごろまでは課税がされ、納税されていたわけでございますけれども、五十三年度から国の方が日本銀行から先に国庫納付金を納めさせるようにしましたために、この国庫納付金については非課税、すなわち損金算入扱いというように日本銀行法の方でなっておりまして、国の方が方針を五十三年度から切りかえてしまったために、地方自治体の方へはそれだけの税収、それに該当する金に課税できたはずの税収が入らなくなってしまっておるというのが現状でございます。
 それで、全国知事会等は政府に、日本銀行の国庫納付金については法人関係税の課税対象となるよう法改正措置をとってほしいということ、それからその法改正措置ができるまでの間は国において減収補てん措置を講じるべきである旨の申し入れ等が行われておると思いますが、その趣旨に沿った制度改正の動き、いかになされておりますでしょうか。
#187
○土屋政府委員 ただいまお話しのあったとおりでございまして、実態はお話しのとおりでございまして、五十三年の三月期と九月期と二期連続して税法上欠損法人ということで事業税、住民税の納付はないわけでございます。御承知のように、日本銀行につきましては業務の特殊性から国庫納付金制度があるわけでございまして、課税所得の計算上納付額は損金に算入する特例が認められておるわけでございまして、日本銀行法におきましては、御承知のとおりでございますけれども、純益金から法定積立金等の所要の内部留保額を除いた残額はすべて国庫納付をする、発券銀行という立場でそういうことになっておるわけでございますので、課税対象所得というのはその年度において内部留保をした部分の額に限られておる、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、この法律が変わらない限り、いまの仕組みというのは変わりません。したがいまして、いまのような為替差損等が生じて非常に赤字になってきたというようなときは、税としては出てこない。ただ、国庫納付金が出てまいりましたのは、課税済みの準備金を取り崩して埋めたというようなことでございまして、私どもとしてはいままで事業税がかかっておったのが、国庫納付金があるのに、法人税もそうでございますが、法人税、地方税がないというのは、どうも、何かいい方法はないものであろうかという考え方でいろいろ議論もしたわけでございますけれども、基本的にいまのこの日本銀行の特殊性等もございまして明確な結論を得ていないわけでございます。
 それならば、そういった点でもっと――かつては相当税収が上がっておったときから一挙になくなるということになると、地方団体としてもこれは非常に困るという点がございますので、何かそういった点についてうまくいく方法はないかということで関係省とも協議をしたところでございますけれども、今日まで結論を得てないわけでございます。何せ非常に特殊な日銀法という問題でございますので、なおひとつ引き続いて検討させていただきたいと思っておるところでございます。
#188
○加地委員 大臣にお願いとお伺いをしたいのでございますが、いまの日本銀行の収益に対する課税の問題は、現実に五十二年度までは行われていたのが、国の方針が変わったと申しますか大蔵省の考えが変わったために金が入らなくなってきたという問題でございます。大平内閣になって、特に地方重視の時代に変わってきたわけでございますから、やはり自治大臣が大蔵大臣あるいはまた総理の力等を得て――いずれにしてもこれは国民のために国を通って使われるかあるいは地方自治体の方へ直接入って使われるかで、目的とするところは同じだろうと実は思うのでございます。そういうことにつきまして、自治大臣、ひとつ大いに政治力を発揮して、五十二年度以前の状態に戻るように御努力をなさるお考えはございませんでしょうか。
#189
○澁谷国務大臣 実態はただいま政府委員から答弁申し上げたようなことでございますが、従来地方税として税金が取れておったものが取れなくなった、こういうことでございますから、私としては何らかの形でその穴埋めができるように大蔵大臣とも十分ひとつ話し合ってみたいと考えます。
#190
○加地委員 終わります。
#191
○松野委員長 この際、申し上げます。
 ただいま参考人として全日本農民組合書記長谷本巍君が出席しております。
 谷本参考人の意見の陳述は、質疑応答の形でお述べいただきたいと存じます。
 小川省吾君。
#192
○小川(省)委員 地方税法の改正点等についていろいろお尋ねをいたしたいわけでありますが、時間の関係でそれが許されません。そこで、きょう参考人として出席をいただいております全日農の谷本さんにしばってお伺いをいたしてまいりたいと思いますので、お許しをいただきたいと思います。
 宅地並み課税全般にわたる問題についてなのでありますが、最初に都市農業をどう見るかという点についてであります。
 大都市の市街化区域内の農地は価格が非常に高いわけであります。しかも過密状態にあります。その中で農業を営むこと自体、都市農業を営むことは全く不合理であるという見方があります。あなたは都市農業というものをどう見ておられるのか、見解をお伺いをいたしたいと思います。
#193
○谷本参考人 都市農業をどうとらえているかという御指摘でございました。
 工業ないし都市の立地条件は、平場であって労働力の調達がわりに簡単にいく、あるいはまた工業にとって不可欠な水の調達も簡単にいくところだとされております。そういう点を見てまいりますと、まさしく農業適地、農業の立地条件と工業の立地条件とは相対立するものではない、言いかえるならば同じものだということができると思います。そうであるとするならば、都市と農業とは対立的にとらえるべきなのかどうかということが問題になってくると思います。
 私は、都市と農業とは対立的にとらえるものではなくて、共存共栄でなければならないというぐあいに思います。御承知のように、都市の形成は人口が集中化されてくるわけでありまして、その人口の集中化は消費人口の膨大化を意味するわけであります。消費人口がふえていくということは、とりもなおさず都市また都市の周辺に生鮮食料品の供給基地などを求めざるを得ないという条件が形成されてまいります。またさらに消費人口の集中化に伴い食品加工業等々が発達してまいります。食品加工業の発達はたとえばかす酪農などに見られますような畜産農業の発展も促していくことになってまいります。
 このように見てまいりますと、都市の発展は同時に一定程度農業が存立しなければならないという条件を他面では形成することになってまいります。現に、現在の大都市で見てまいりましても、農業粗生産額の二八%は都市または都市近郊農業が生産しておるところであり、とりわけ野菜、牛乳などについて見ますと実にその四分の一を都市そして都市近郊農業が供給しているという状態がございます。
 そうした問題とともにもう一つの点として見ていかなければならないのは、環境保全の問題があろうと思います。流れる水は自浄力を持っておりますが、今日の都市を見てまいりますと、とりわけ三大都市圏の大都市などの場合は自浄力を失ってきている、ないしは失いつつあるというのが今日の状態だと言って差し支えないと思います。そういう点では都市農業は防災としての役割りを果たすと同時に、環境保全の上でも大きな役割りを果たしていると言わなければなりません。したがって、宅地並み課税を全面的に実施することによってこれを宅地化し、都市農業をつぶしていくということは都市にとっての自殺行為だとしなければならないと思います。しかも、農地は一たん宅地に転用してしまえばもとへ戻すことはできないのであります。この点は他のものとは違った条件なのでありますから、そういう点も見ていく必要があろうと思います。
 過般建設省が都市の住民を対象に世論調査を行ったところ、農地のままでの保全を望むという住民が実に八〇%に上っておるということもそうした事情を反映したものと言ってよいと思います。さらに大阪で農業会議所、農業委員会が調査した結果を見てみますと、都市住民の九六%が農地のままの保全を望んでいるという結果が出ております。かつては都市の住民は、都市の農業はむしろつぶした方がいいのではないかという反応を示す者が少なくなかったのでありますが、最近そういう点では世論の形成は大きく変わってきているのであります。
 なぜ変わったのか、これは過密化が進むと同時に、農業の存在を必要とするような状態が広まってきたからにほかならないと思います。
#194
○小川(省)委員 次に、お答えに関連して伺いたいのですが、大多数の都市の住民が農地のままでの保全を望んでいることはわかりました。とはいうものの住民の多くは、しかもアパートに住まっておる住民たちは安い宅地の供給を切実に望んでいると思いますが、その点についてはいかがですか。
#195
○谷本参考人 宅地並み課税は、御承知のように、重税で農民が農業経営ができないようにして土地を手放させる、つまり、宅地の供給力を高めるというところにねらいがあるわけであります。そうした宅地並み課税のあり方で見てまいりますと、土地の供給はふやすことはふやすが、後は業者任せであるということがもう一つの特徴だと言ってよいと思います。
 アパートなどに住んでいる人たちは、一戸建ちの都市住民と違って、宅地並み課税を望んでいるのではないかといったような御指摘がございましたが、そういう人たちが期待する安い土地の供給というものが今日の宅地並み課税のあり方からして実現されるかというと、決してそういう状態にはなっていないというぐあいに申し上げなければならないと思います。そのように見てみるならば、宅地並み課税が全面的に実施、強行されるというようなことになってまいりますと、言うなれば、生きた都市ではなくて死の都市づくりに業者という名のハエを群がらせるという結果になっていくことが落ちではないのかというぐあいに私どもは考えております。
#196
○小川(省)委員 次に、宅地並み課税が現在三大都市圏の百八十三市ですか、実施されておるわけでありますが、何らかの形で還元をされております。自治体自体が宅地並み課税に反対をしておるところが多いわけであります。農民と一体となって反対をしている自治体もあるようでありますけれども、これらの自治体の動きについてはどのように見ておられますか。
#197
○谷本参考人 現にいま宅地並み課税が実施されております三大都市圏で見てみますと、百八十三市のうち九五%が何らかの形で税金は取ったが返しているというような状態があるわけであります。そのうち約四割ほどが一〇〇%還元しているというような状態であります。それでは、残りの五%はどうなのかという問題があるわけでありますが、残りの五%の市の場合は、A、B農地がきわめて少ないというような状態があるとか、あるいはまた市が独自的に減額措置を行っておるといったような例も少なくございません。そのようにして見てみるならば、宅地並み課税は実施の段階でいわば全面的な形に近いような形でもって骨抜きされているというぐあいに申し上げてよかろうと思います。
 それでは、多くの自治体がそうした対応を示しているのはなぜなのかという問題があろうと思います。その点については、私は三つの理由を挙げておきたいと思います。
 第一点として挙げておきたいと思いますのは、農業を継続したいという多くの農家の反対が強いという点がございます。もちろん多くの農家が反対をしているから、それだけでもって自治体がさきに申し上げたような対応をしているのかというと、決してそうではございません。
 そういう点で第二点として挙げておきたいと思いますのは、宅地並み課税の実施は都市住民の利益と一致しないということであります。この点は、先ほども申し上げましたように、宅地並み課税で本当にそれだけの税金を農家から取りっ放しというような状態になっていきますと、過密化が一層促進されるというような問題が出てまいります。またさらに、勤労者が要求しているところの安い土地の供給といったような点についてもこたえ得るような条件がないといったような問題もございましょう。ともかくも都市住民の利益と一致しないというような点が二番目の問題としてあるということを挙げておきたいと思います。
 三番目の問題として挙げておきたいと思いますのは、地方財政との関連の問題であります。御承知のように、宅地並み課税が実施されまして以降、評価額が評価がえが行われるごとに上がっていくという状態が生まれてまいりました。またさらに、課税の仕方、計算の仕方にしましても漸次変えられてまいりました。そうした中で税額が膨大なものになってきております。税額が膨大なものになってくるにつれて、それと同時に、農家に対する還元の金がまた膨大になってくるわけであります。そういう悪循環が繰り返される中で、地方交付税との見合いでいきますと、市の持ち出し分がふえる、このような状態が生まれてきております。このことは、現行宅地並み課税制度は地方財政を圧迫し、地方財政の危機に拍車をかける重要な要因をなしてきている、こんなぐあいに申し上げてよかろうと思います。
 それでは、宅地並み課税を奨励金などで還元していくやり方というのをやめてしまったらどうなのかというような問題も生まれてくるわけであります。この点につきまして、大阪の枚方市で私どもの仲間が調査した結果を見てみますと、次のような結果が出ております。それは、枚方の場合はA、B農地が六百ヘクタールほどございます。この六百ヘクタールの農地が宅地にかえられていった場合にどのような状態が起こるかについて調査をいたしたのであります。この場合、過去十年間の農地の宅地への転用と人口の増加ぶりとを対比しながら計算をしてみますと、六百ヘクタールの農地が宅地に転換されることによって、人口増として見込まれるのが十四万六千人であります。なお、この六百ヘクタールが住宅用地だけに転換されていった場合にどうなるのかを計算してみますと、何と三十六万人の人口がふえるという調査結果が出ております。
 このような人口がふえていけば、当然のこととして保育所をつくったり、あるいはまた上下水道をつくったり、あるいはまた学校を建設しなければならないという問題が自治体にとっての課題となってまいります。私どもが計算をいたしましたのは、学校建設の場合であります。この枚方市の場合、たとえば十四万六千人ふえた場合にどうなのかということを見てみますと、大阪の場合には一万人の人口について学校を一つ設けるというような形になっておるわけでありまして、それでもって見てみますと何と十四校つくらなければならない。高槻の場合で見てみますと、一校建設するのに二十六億円かかるという算定結果が当時出ておりますが、枚方の場合には十六億円という、経費をかなり抑えた形で計算をしておるのでありますが、十五校で二百四十億というようなことになってまいります。当然国からも援助があるわけでありますが、そうした援助を計算に入れましても二百億の自己負担になってくるということになります。また他方、人口が三十六万人ふえた場合にはどうなのかというようなことで計算をしてまいりますと、学校建設の費用が五百七十六億円になってまいるわけでありまして、市の自己負担がその場合は四百八十億というようなことになってまいります。これは学校建設だけにかかる費用なのでありまして、先ほども申し上げましたように、他に保育所を建設するとかあるいは上下水道の整備といったようなものを入れるとするならば、その経費ははかり知れないほど膨大なものになってくるというぐあいになるわけであります。
 そうした場合に、市がたとえば地方起債を行うというようなことにいたしましても、この枚方の場合で言うならば、昭和五十一年の現在で歳出の一九・一%に相当する地方起債を行っております。御承知のように、地方起債は歳出の二〇%までというようなことになっておるわけでありますから起債もやれない、人口だけがふえる、こういうふうな結果になってくるであろうということが容易に推測されるわけであります。そして、さらに市が馬力をかけて学校建設なり保育所建設なり上下水道の建設をやるとするならば、それは市にとって財政負担が一層ふえるということになるわけでありまして、宅地並み課税で他方では税収はふえることはあるとしても、差し引き勘定すると、市の財政にとって負担額が膨大なものになっていく、こういうような結果になるわけでありますから、いずれにいたしましても、宅地並み課税制度は地方財政の危機にさらに拍車をかけるものになる、こういうぐあいに言わなければならぬと思います。したがって、自治体がそうした立場からも農民、地域住民などと一緒になって宅地並み課税に反対をするというような対応が生まれてきたのは当然のこととしなければならないと存じます。
#198
○小川(省)委員 次に伺いますが、宅地並み課税の実施地区では農民はこの税制の全廃を主張をいたしておるようであります。政府は当面現状のままという方向を示しているわけでありますけれども、なぜ全廃を主張しているのか、見解を明らかにしていただきたいと思うのであります。
#199
○谷本参考人 なぜ全廃を主張するかというお尋ねでございますが、その第一点として強調さしていただきたいと思いますのは、現状凍結をどうとらえるかという問題があろうと思います。宅地並み課税が実施されて以来三年ごとに現状凍結、現状凍結といった状態が続いてきておるわけでありますが、そうした結果になってきているのは、端的に申し上げて宅地並み課税を拡大をしていきたいという力と宅地並み課税はやめるべきだという反対の力、そういう力関係のバランスの中で決まった応急的な措置なのではないかというぐあいに私は思います。でありますから、宅地並み課税の現状凍結ということの中には、宅地並み課税は漸次廃止をしていきましょうという考え方ではなしに、拡大をしていきたいという考え方が大きく含まれたものでしかないというぐあいにとらえていくことが正しいのではないかと思います。そういう立場で現状凍結問題をとらえるときに、私どもは、この際全廃を要求せざるを得ないということになってくるわけであります。
 私どもが宅地並み課税の全廃を主張している理由について、四、五点申し上げてみたいと思うのであります。
 第一点として強調さしていただきたいと思いますのは、日本の経済は御承知のように輸出中心の産業構造でございました。そういう産業構造がつくられる中で、太平洋に面した港湾施設の整った、そして優良農地などが多いところで、農地をつぶしながらこれに反対する者を悪者扱いをするという状態で進められてきたわけであります。その結果どういう状態が起こったか。一方で過疎の状態が起こる、そして他方で過密都市が形成されるというようなことになってまいりました。そうした過密都市、とりわけ三大都市圏がそうでありますが、その過密問題にさらに拍車をかけるために宅地並み課税が実施されてくるというようなことになってきておるわけでありまして、してみるならば、そうした経済政策のあり方のしりぬぐいを農民に行わせる、農民の犠牲でしりぬぐいを行うというのが宅地並み課税なのではないかというぐあいに思います。そのしりぬぐいも、先ほど来申し上げておりますように、農民を犠牲にするだけではなしに、自治体そして地域住民の要求にもかなっていない、そういう形での市の都市づくりと言っていいものになっていくわけであります。したがって、私どもが宅地並み課税に反対するのは決して農民のエゴイズムだけではなしに、都市住民の利益にもかなった立場で私どもは全廃を要求しているというのが強調申し上げたい第一点であります。
 次に、第二点として申し上げたいのは、当面三大都市圏の限定実施という形での凍結だと言っても、これはやはり時代逆行なのではないかと思います。御承知のように、三全総が出されておりますが、政府の三全総の目玉になっているものは地方定住圏構想だとされております。このことは一体何を意味するか。三大都市圏がすでに過密になってしまったということを政府みずから告白したものではないかと思います。そうであるにもかかわらず、三大都市圏でいまなお宅地並み課税の実施を継続していくというようなことは、そうした政府の施策と比べてみても自己矛盾なのではないのかというようなことが言えるわけでありまして、私どもはそうした点からも三大都市圏での宅地並み課税は当然全廃すべきだということを申し上げたいのであります。
 次に、第三点として挙げておきたいと思いますのは、宅地並み課税は実施の面ですでに死に体化しているということであります。先ほども申し上げましたように、宅地並み課税は実施はされているが、多くの市町村は、税金は取るがまた農家に還元をするというような施策を行っておるわけであります。こうしたことは、宅地並み課税は政府は法律はつくったが実施面では骨抜きされているということにほかなりません。戦後の地方行政の中で、政府が行いました施策がほぼ全面的に自治体によって拒否されたあるいはまたそれがつくり変えられたとかいうような状態というのは、この宅地並み課税が最大なものだと言ってよいのではないかと思います。そうした現状からしてみても、宅地並み課税は全廃すべきことではないのかというぐあいに考えるわけであります。先ほども申し上げましたように、三年ごとに現状凍結、現状凍結というようなことで来たわけであります。そういうぐあいに三年ごとに現状凍結、現状凍結を繰り返さざるを得なかったのはなぜなのか、ここのところをよく考えていく必要があるのではないか。そしてまた、宅地並み課税を継続をしていっても、実際には自治体段階で骨抜きされるというのはこれまでと変わらないわけでありますから、そういう点から言っても宅地並み課税制度はすでに死に体になっておるのであって、これを認知するのかしないのか、認知するとするならば全廃だというぐあいにいかなければならないのではないかと思います。
 第四点として挙げておきたいと思いますのは、農民にとって宅地並み課税というのは職業の自由も否定するような、大げさに言うならば憲法違反のような、そういうものではないのかという点がございます。したがって、農民といたしましては宅地並み課税については絶対反対であるということであります。
 以上の四つの点からしまして、私どもは宅地並み課税は全廃すべきである、このように主張しているわけであります。
 なお、最後にもう一つこれにつけ加えて申し上げておきたいと思いますのは、宅地並み課税の全廃とあわせて、都市農業を振興させるための施策の充実を期すべきではないのかという点を申し添えておきたいのであります。
 御案内のように、市街化区域の場合は農政の対象から外されております。しかしながら、宅地並み課税が問題になりましてから以降、三大都市圏について言うならば、地域農業の見直しが盛んになるようになったというような状態がございます。たとえば野菜についての価格保障制度を自治体がみずからの力で確立し、拡充をしていくというような状態が生まれてきております。また、さらに進んだ市町村の場合でしたら、市町村が主体になって野菜の産直運動を行いながら、都市農業を見直すといったような活動も生まれてきております。またさらには、地域的な特産物についての助成政策を市独自が行う、あるいは府が行うといったような状態等々も生まれてきておるわけでありまして、そうした自治体の都市農業を守るための施策充実、これに対応しても、国の段階で市街化区域の農業をよくするための施策を講ずべきではないのかということを加えて申し上げたいと存じます。
#200
○小川(省)委員 宅地並み課税全廃の主張についてはよくわかりました。私もそのとおりであろうというふうに思っています。
 しかし、宅地並み課税廃止の主張については反論もないわけではありません。反対をするのは土地成金の擁護ではないかという見解もあります。これについては、いかがお思いですか。
#201
○谷本参考人 宅地並み課税反対というのは土地成金擁護ではないかといったような指摘も、私どもこれまでたびたび受けてまいりました。
 申し上げたいのは、私どもが言っておる宅地並み課税反対とは、現に農用に供されている農地についての宅地並み課税反対だということであります。したがいまして、農業はやらないでぺんぺん草を生やして、値上がり待ちの農地について宅地並み課税反対だということを言っておるのではないということをこの際申し上げておきたいと思います。
 なおまた、重ねて申し上げたいのは、土地成金擁護論を持ち出して宅地並み課税反対はおかしいと言うのは、論理のすりかえでしかないということであります。
 御承知のように、遊休農地の場合は、現行の税制の仕組みの中でも宅地並み課税ができるわけであります。たとえば、農地法の許可を受けて宅地に転用することが決まっている農地、そしてすでにそうした中で一部土盛りなどの工事が行われている農地については、宅地比準方式で宅地並み課税を行うことができます。あるいはまた、不耕作地の場合にしても同じでありまして、不耕作地については雑種地扱いで、近隣の売買実例価格に準拠した形でもってみなし課税ができるというような状態もございます。さらに、耕作地かあるいは不耕作地か認定が困難だといったものについては、市町村の課税審議会の調査によって、みなし課税を必要に応じて行うことができるというような仕組みになっているわけであります。したがいまして、ぺんぺん草を生やして、そして値上がり待ちの農地について宅地並み課税反対だというぐあいに農民団体が言っているかのように言われるが、決してそうではないのでありまして、何も宅地並み課税をつくらなくとも、そうした農地については宅地並み課税がやれるというような仕組みがあるのでありますから、すりかえの論理だというぐあいに申し上げなければならないと思います。
 なおまた、これに若干付言させていただきたいと思いますのは、資本が農地を宅地にするために買い占めて野放しにしてあるといったような例は別にいたしまして、農民が持っている農地で農業がやれなくなったために農耕の用に供されてないという現状になっているものも一部ございます。こうしたものについては、やはり農地として利用できるような施策を講ずるというようなことが先なのではないかと私は思います。現に大阪の場合で見てみますと、水質汚濁あるいはまたカドミ災害などで水田としてもう利用できなくなったというようなものについては、府が助成を講じて、土盛りなどで土地改良を行う、そして農地として使い得るような条件整備を行っていくといったような地方農政といいますか、地方行政なども行われている実例等もあるわけでありますから、現況が農地として必ずしも利用されていないというような問題についてもそうした点を考えていくべきではないのかと思います。
 また、そうした点を考えた上で、どうも農地として利用が不適だというものについては、農協等が行っている農住型の土地利用といったようなものもあるわけでありますから、そうしたペースに乗せていき得るような助成政策などを整備すべきではないのか、こんなぐあいに考えます。
#202
○小川(省)委員 ありがとうございました。本日は御苦労さまでした。終わります。
#203
○松野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#204
○松野委員長 この際、本案に対して、佐藤敬治君提出の修正案、小川新一郎君及び西村章三君提出の修正案、三谷秀治君提出の修正案並びに加地和君提出の修正案がそれぞれ提出されております。
 各修正案の提出者から、それぞれ趣旨の説明を聴取いたします。佐藤敬治君。
    ―――――――――――――
 地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#205
○佐藤(敬)委員 地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
 私は、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本社会党を代表し、その提案理由を御説明申し上げます。
 今回の改正案については、わが党の各委員からそれぞれ質問において詳細に指摘したごとく、数多くの不満を持つものであります。
 たとえば、不公平税制の最たるものとして悪評高い国税の医師優遇税制の是正については、つめのあかほどにも足りない形式的なもので、まことに不満でありますが、同時に、わが党が以前より指摘しているごとく、所得税よりもさらに不公平な事業税における医師の非課税の特例を廃止する案をなぜ今回提出しなかったのか、まことに理解に苦しみます。また、住民税の課税最低限の引き上げの不足、県民税の二段階比例税率の是正、事務所事業所税の適用拡大、軽油引取税率の上げ方等々であります。
 しかし、今日、土地問題が重大問題化しているのにかんがみて、いわゆる宅地並み課税一本にしぼって修正案を提案するものであります。
 現在、農地をめぐり都市と農村とが対立関係にあるように伝えられていますが、本来都市と農村とは共存の必然性を持つものと言わなければなりません。それは都市農業が生鮮食料品の供給や都市環境保全、防災等に果たす役割りを見ればきわめて明瞭であります。
 いわゆる宅地並み課税は、農家収益をはるかに上回る重課税であり、これによって手放された農地も、その後は不動産屋任せという現状では、勤労者への安い土地供給には何ら結びついていないのが実態であります。
 現在、多くの地方自治体においても、この宅地並み課税に反対しておりますが、これは、これ以上都市を過密にすることが住民の利益につながらないばかりか、この農地の無制限の宅地開発などによって地方自治体の財政負担が莫大なものになることに理由があります。これはひとり農家だけの主張ではないと確信しております。
 このような理由からわが党は本修正案を提案いたしたわけでありますが、修正内容といたしましては、一九七九年から農地に対する宅地並み課税を全面的に廃止し、従来宅地並みに評価されていた農地に対する固定資産税につきましては、一般農地と同様な税負担とすることといたしております。
 以上が本修正案の提案理由とその概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#206
○松野委員長 次に、小川新一郎君。
    ―――――――――――――
 地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#207
○小川(新)委員 私は、公明党・国民会議並びに民社党を代表して、ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。
 不況に端を発した地方財政危機は年ごとに深刻化しておりますが、地方財政危機の根本原因は、戦後の高度経済成長中心の画一的な中央集権体制時代の制度、慣行に何ら手を加えないことなど構造的欠陥によるものであることが明白になってきております。これまでの中央集権体制は、過疎、過密、公害、人間疎外など幾多のひずみをもたらすとともに、住民の生活様式、地域に根差した伝統文化などがないがしろにされてまいりました。
 今後は、国中心の経済偏重政策から、潤いのある住民生活、地域の特殊性を生かした郷土の構築を図るいわゆる地方の時代を迎えようとしております。
 新しい時代を築くため、従来の政治、経済、行財政制度、生活様式など社会全般について根本的見直しを図る新しい秩序を確立しなければなりません。こうした観点に立って、今後の地方行財政を進めるに当たり、地方税についてもこれらの点を重点に大胆な改革を行わなければならないことは当然であります。
 公明党並びに民社党は、今日の地方財政の危機を打開し、地方自治の本旨を達成し、ゆとりと潤いのある地域社会の構築を目指す立場から、国、地方の税源配分の根本的改革を強く要求するものであります。しかるに、政府の地方税法改正案は、従来の税制度における小手先の微調整にとどまっており、これら根本的問題について何らメスを加えようとしておりません。住民税についても、言いわけ程度の減税のみに終わっております。また、自動車関係税についても、国民生活に大きな影響を与えるものであるにもかかわらず、各種の問題について十分な論議がなされないままに課税強化を図ろうとしており、今回の改正案は、むしろ住民負担を強化する改悪案と言わざるを得ません。
 したがって、当面、住民の税負担の軽減を図ることを目的とし、特に緊急と思われる事項について所要の改正を行うこととしたのであります。
 以下、修正案の概要を御説明申し上げます。
 第一は、個人住民税についてでありますが、基礎控除、配偶者控除、扶養控除をそれぞれ二十二万円に引き上げるとともに、障害者、老年者、寡婦及び勤労学生の各控除をそれぞれ二十一万円に引き上げ、その他特別障害者控除、老人扶養控除を二十二万円に引き上げております。これにより、住民税の課税最低限を百五十八万四千円といたしております。
 第二は、自動車税、軽自動車税についてでありますが、自動車税、軽自動車税の税率を従来のまま据え置くこととしております。
 以上が本修正案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#208
○松野委員長 次に、三谷秀治君。
    ―――――――――――――
 地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#209
○三谷委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案について御説明申し上げます。
 政府提出の地方税法改正案は、引き続く地方財政危機下の財源不足対策について、主として国民大衆にのみ負担を求める内容となっております。
 すなわち、予算編成当初におきまして、明年度の地方財源不足額は四兆二千億ないし三千億円程度見込まれたのでありますが、これについて交付税法違反の措置を繰り返して交付税特別会計の借入措置や地方債への振りかえ措置を行う一方、地方税において自動車関係税中心の大衆増税によって千二百三十一億円の増収を図り、地方財政の収支バランスをとっております。
 地方税改正によります増収内容を見ますと、自動車関係税が増収分の千八百億円の三分の二を占めるに至っております。また、住民税関係におきましては、ごくわずかの減税となっておりますものの、内容的には物価上昇分さえ吸収できないわずか五・一%程度の減税であり、昇給を見込みますとむしろ増税になるものであります。
 一方、懸案の大企業、大資産家の優遇税制については、改正案にはそのごく一部についてびほう的な改善が行われておるにすぎません。高度経済成長期につくり上げましたさまざまな特別措置は、低成長下に入った現在におきましてもそのまま温存されようとしております。
 政府は、地方財源不足に対置するとして一般消費税とその地方配分について盛んに試算を示しておりますが、今回の政府改正案は、大企業優遇措置はそのままにして大衆課税のみを強化するというまことに手前勝手な措置であると言わなければなりません。同時に、政府によって用意されております一般消費税導入の地ならしであると言えるものであり、わが党としてはこれを認めることはとうていできないのであります。
 わが党は、以上の立場から、政府提案の改正案に次の修正を加えようとするものであります。
 第一は、住民税であります。さきに述べた不十分な課税最低限を改めるため、基礎控除、配偶者控除、扶養控除を二十九万円に引き上げ、標準世帯の課税最低限を二百一万四千円としております。
 また、社会的弱者に対する負担減を図りますために老人扶養控除を三十七万円、障害者、老年者、寡婦、勤労学生の各控除を二十九万円、特別障害者控除を三十三万円に引き上げております。
 さらに、土地に関する長期譲渡所得に関する優遇措置の新設、強化、延長を行わないこととしております。
 第二は、固定資産税、都市計画税であります。
 私どもは、従来から都市近郊農業が生鮮食料品の供給、都市環境保全、防災上重要な役割りを果たしてきたことを重視しまして、昨年九月に政府に農地の宅地並み課税強化に反対する申し入れを行いました。そして、一貫して宅地並み課税に反対してまいりました。
 また、数年来、全国の農民、農民団体や多くの自治体首長が宅地並み課税廃止を要求しております。
 この立場から、宅地並み課税を昭和五十四年度から全廃することといたしております。また評価がえに伴う増税を防ぎますために、農地、生活用固定資産税の税額を据え置くこととしております。
 さらに、大企業優遇税制を是正する立場から、今回政府が行おうとしております民鉄、省エネルギー関係の優遇措置の新設、日本自動車ターミナル株式会社に対する優遇措置の延長は、これを行わないこととしております。
 第三に、自動車関係税であります。
 平均して一〇%の税率引き上げとなる自動車関係税は、今回の地方税増収分一兆三千五百億円の一七・五%を占め、かつ大衆課税分の増収の四分の一を占めておるとおり、大衆課税の重要な柱となっております。こうした大衆課税である自動車税の引き上げを行わないこととしております。
 第四に、電気税であります。
 今回、政府は三品目の非課税措置を廃止することとしておりますが、これだけにとどめておく理由は必ずしも明確ではありません。不公平税制を是正する立場から、産業用の非課税措置を全廃することといたしております。
 第五に、事業所税であります。
 現在の人目二十万人以上の課税団体の制限をなくして、地域環境及び都市施設の整備のため、すべての市町村が目的税として条例で課税できることといたしております。
 そのほか、今回の改正で政府が行おうとしております特定船舶製造業安定事業協会等に対する不動産取得税及び特別土地保有税の減額措置の新設、中小企業の負担強化となる軽油引取税の引き上げなどの措置を行わないことといたしております。
 以上が修正案の提案理由及びその概要であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
#210
○松野委員長 次に、加地和君。
    ―――――――――――――
 地方税法等の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#211
○加地委員 私は、新自由クラブを代表して、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 このたびの修正は次の二点について行おうとするものであります。
 まず第一は、市街化区域農地に対する固定資産税及び都市計画税の宅地並み課税制度を昭和五十五年度から廃止することであります。
 現在、首都圏等三大都市圏の特定の都市の市街化区域のA、B農地につきましては、近傍の類似宅地に比準した評価額に基づく課税が実施されているのであります。
 このいわゆる宅地並み課税は、昭和四十八年度から実施され、その実施理由として、農地の宅地化の促進と周辺宅地との税負担の不均衡の是正にあるとされております。しかしながら、宅地並み課税の行われている三大都市圏の農地の転用状況を見ても、この制度により著しく宅地化が促進されたとは決して言えません。また、宅地並み課税が行われている三大都市圏内の自治体では条例による減額措置が実施され、昭和五十二年度では、宅地並み課税が実施されている都市百八十四市のうち、実に百七十四市で減額条例が制定されております。さらに、条例で定めている減額率が一〇〇%と、全く一般農地並みの課税となっている市が全体の四割近くにも達し、その他の大部分の市でも減額率が七〇%以上となっております。
 このように宅地並み課税は制度として存在していますが、その制度の目的は全く達成されておらず、またその内容に至っては全く骨抜きとされ、形骸化されております。私どもは、こうして有名無実化した宅地並み課税制度を廃止して、土地利用の実態等に合わせた税制に戻ることが正道であると思うのであります。また、大都市地域における宅地の供給促進は、土地対策本来の手法で対処すべきものと考えます。
 ところで、市街化区域の農地の評価につきましては、言うまでもなく宅地並みに評価され、一般農地としての評価は行われておりません。しかも、昭和五十四年度は、評価がえの年に当たり、現在各市町村においては、評価がえの作業が一段落して、固定資産税台帳の縦覧期間中と思われます。
 このような事情を考慮すると、宅地並み課税を廃止するにしても、昭和五十四年度から一挙に廃止するとすれば、市町村において短期間に、新たに市街化区域農地について一般農地としての評価を実施しなければならず、現在の市町村の事務処理体制のもとでは、時間的にも、事務的にも評価がえの作業を実施するのは困難と思われます。残念ながら、準備期間として一年の経過措置を置きまして、この一年間に評価がえの作業等、諸般の準備を完了させ、また、この間に国、地方自治体がともにきめ細かい土地利用計画を策定するような法制の整備を行い、昭和五十五年度から、市街化区域農地に対する固定資産税及び都市計画税の宅地並み課税を廃止すべきと思います。
 第二は、昭和五十五年度を目途に地方税源の抜本的拡充を図ることであります。
 御承知のように、現在、国と地方自治体との租税の配分割合は、国二、地方自治体一の二対一となっており、地方自治体の実際の仕事の量と内容から見れば、まことに不合理なものとなっております。しかも、今後の経済の低成長のもとでは、現行の税制度のままで税収入の増加を図るには限界があります。
 そこで、今回、地方分権の確立の具体的な第一歩として、地方税源の拡充のため国税の地方自治体への移譲等、国と地方自治体との税源の再配分を昭和五十五年度を目途として実施することであります。
 その内容は、附則に「地方団体の税源の充実強化を図るため、国税及び地方税を通じて税制全般にわたり基本的な検討を加え、その結果に基づき、昭和五十五年度を目途として国税の地方団体への移譲等国と地方団体との間の税源の再配分を実施し、国及び地方団体の租税収入総額の二分の一を下回らない額の地方税収入が確保されることとなるよう必要な措置が講ぜられるべきものとする。」と規定しようとするものであります。
 以上が、本修正案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
#212
○松野委員長 以上で各修正案についての趣旨の説明は終わりました。
 各修正案については別に発言の申し出もありません。
    ―――――――――――――
#213
○松野委員長 これより本案及びこれに対する各修正案を一括して討論を行うのでありますが、別に討論の申し出もありません。
 これより採決いたします。
 まず、佐藤敬治君提出の修正案を採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#214
○松野委員長 起立少数。よって、佐藤敬治君提出の修正案は否決されました。
 次に、三谷秀治君提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#215
○松野委員長 起立少数。よって、三谷秀治君提出の修正案は否決されました。
 次に、加地和君提出の修正案を採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#216
○松野委員長 起立少数。よって、加地和君提出の修正案は否決されました。
 次に、小川新一郎君及び西村章三君提出の修正案を採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#217
○松野委員長 起立少数。よって、小川新一郎君及び西村章三君提出の修正案は否決されました。
 次に、原案について採決いたします。
 原案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#218
○松野委員長 起立少数。よって、地方税法等の一部を改正する法律案は否決すべきものと決しました。
 この際、お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#219
○松野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#220
○松野委員長 この際、地方財政に関する件について調査を進めます。
 昭和五十四年度地方財政計画について説明を聴取いたします。澁谷自治大臣。
#221
○澁谷国務大臣 昭和五十四年度の地方財政計画の概要について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度の地方財政につきましては、昭和五十三年度に引き続いて厳しい状況にありますが、現下の経済情勢に適切に対処するとともに、財政の健全化に努めることを目途として、おおむね国と同一の基調により歳入面におきましては、住民負担の合理化にも配慮しつつ地方税源の充実強化を積極的に図るほか、昭和五十三年度に引き続き見込まれる巨額の財源不足については、これを完全に補てんする等地方財源の確保に努める一方、歳出面におきましては、住民福祉の向上と地域振興の基盤となる社会資本の整備を推進し、あわせて景気の着実な回復に資するよう投資的経費の充実を図るとともに、一般行政経費の節減合理化に努める等財源の重点的かつ効率的な配分と節度ある財政運営を行うことを基本といたしております。
 昭和五十四年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし策定いたしておりますが、以下、その策定方針及び特徴について申し上げます。
 まず、第一に、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、自動車税、軽自動車税及び軽油引取税の税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化等地方税源の充実強化と地方税負担の適正化に努める一方、個人住民税の所得控除の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ等住民負担の軽減合理化の措置を講ずることとしております。
 なお、地方譲与税については、地方道路譲与税を増強し、市町村に対する譲与割合の引き上げを図るとともに、航空機燃料譲与税の増強に伴いその一部を空港関係都道府県に譲与するための措置を講ずることとしております。
 第二に、地方財源の不足等に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、
 (一) 昭和五十四年度の地方財源不足見込み額四兆一千億円については、地方財政の重要性にかんがみ、これを完全に補てんすることとし、昭和五十三年度に制度化された地方交付税所要額の確保のための方式の活用及び臨時地方特例交付金による地方交付税の増額で二兆四千六百億円、建設地方債の増発で一兆六千四百億円の財源措置を講ずることとしております。
 (二) また、地方債資金対策として政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額を図るとともに、公営企業金融公庫資金の貸付利率の引き下げ等の措置を講ずることとしております。
 第三に、最近の経済情勢にかんがみ、景気の着実な回復を図ることに配意しつつ、地域住民の福祉の充実、生活環境の整備及び住民生活の安全の確保等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、投資的経費の充実を図ることにより、生活関連施設を中心とする社会資本の整備を推進するとともに、社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることとし、また、人口急増地域対策を拡充するとともに、過疎地域に対する財政措置を引き続き充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図り、あわせて年度途中における事情の変化に弾力的に対応するよう配慮するほか、地方財政計画の算定内容について所要の是正措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに昭和五十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、三十八兆八千十四億円となり、前年度に対し、四兆四千六百十八億円、一三%の増加となっております。
 以上が昭和五十四年度の地方財政計画の概要であります。
     ――――◇―――――
#222
○松野委員長 次に、内閣提出に係る地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。澁谷自治大臣。
 地方交付税法の一部を改正する法律案
    ―――――――――――――
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#223
○澁谷国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 最近における地方財政の状況にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、昭和五十四年度分の地方交付税の総額の特例を設けるほか、各種の制度改正等に伴って増加する地方団体の財政需要に対処するため、地方交付税の算定に用いる単位費用を改定する等の必要があります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、昭和五十四年度分の地方交付税の総額については、現行の法定額に、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金三千七百六十六億円及び同会計において借り入れる二兆二千八百億円を加算した額とするとともに、借入額二兆二千八百億円については、昭和六十年度から昭和六十九年度までの各年度に分割して償還することとしております。
 さらに、後年度における地方交付税の総額の確保に資するため、地方交付税法附則第八条の三第一項の規定に基づき、昭和五十四年度における借入純増加額の二分の一に相当する額一兆八百九十五億円を昭和六十年度から昭和六十九年度までの各年度において、臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとし、これにより当該各年度の地方交付税の総額を増加させることとしております。
 次に、昭和五十四年度の普通交付税の算定方法については、児童福祉、老人福祉対策等社会福祉施策の充実に要する経費及び教職員定数の増加、教育施設の整備等教育水準の向上に要する経費の財源を措置するほか、道府県分に特殊教育諸学校費を新設することとしております。また、市町村道、公園、下水道、清掃施設等住民の生活に直結する公共施設の計画的な整備及び維持管理に要する経費の財源を措置するとともに、過密対策、過疎対策、消防救急対策、防災対策等に要する経費を充実することとしております。
 さらに、昭和五十三年度において発行を許可された地方税減収補てん債及び財源対策債並びに昭和五十三年度の国の補正予算に伴い発行を許可された地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入するとともに、地方道路譲与税、自動車取得税交付金等の基準税額等の算定基礎を前年度の譲与額または交付額とすることとしております。
 以上が、地方交付税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#224
○松野委員長 以上で本案の提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#225
○松野委員長 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○松野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選、出頭日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#227
○松野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、来る四月十日午後二時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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