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1978/06/01 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第16号
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1978/06/01 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 地方行政委員会 第16号

#1
第087回国会 地方行政委員会 第16号
昭和五十四年六月一日(金曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 松野 幸泰君
   理事 大西 正男君 理事 中村 弘海君
   理事 中山 利生君 理事 小川 省吾君
   理事 佐藤 敬治君 理事 和田 一郎君
   理事 西村 章三君
      石川 要三君    森   清君
      与謝野 馨君    加藤 万吉君
      新村 勝雄君    古川 喜一君
      小川新一郎君    斎藤  実君
      山本悌二郎君    三谷 秀治君
      加地  和君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     澁谷 直藏君
 出席政府委員
        内閣法制局第一
        部長      茂串  俊君
        警察庁刑事局長 小林  朴君
        外務省アジア局
        次長      三宅 和助君
        自治政務次官  大石 千八君
        自治大臣官房長 石見 隆三君
        自治省行政局長 柳沢 長治君
        自治省行政局公
        務員部長    砂子田 隆君
        自治省財政局長 森岡  敞君
        自治省税務局長 土屋 佳照君
 委員外の出席者
        警察庁警備局参
        事官      柴田 善憲君
        環境庁企画調整
        局企画調整課長 川崎 正道君
        環境庁大気保全
        局調査官    片山  徹君
        国土庁土地局土
        地利用調整課長 下  壮而君
        法務省刑事局刑
        事課長     根來 泰周君
        外務大臣官房儀
        典官      荒  義尚君
        大蔵省銀行局中
        小金融課長   吉居 時哉君
        文部省初等中等
        教育局地方課長 加戸 守行君
        厚生省環境衛生
        局水道環境部計
        画課長     三井 速雄君
        厚生省児童家庭
        局障害福祉課長 佐藤 良正君
        資源エネルギー
        庁長官官房省エ
        ネルギー対策課
        長       高沢 信行君
        資源エネルギー
        庁公益事業部計
        画課長     木下 博生君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 田淵 孝輔君
        建設省計画局民
        間宅地指導室長 斉藤  衛君
        建設省都市局都
        市再開発課長  小林  実君
        建設省都市局区
        画整理課長   和田 祐之君
        建設省河川局治
        水課長     川本 正知君
        建設省道路局路
        政課長     山本 重三君
        地方行政委員会
        調査室長    岡田 純夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月一日
 辞任         補欠選任
  永末 英一君     山本悌二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  山本悌二郎君     永末 英一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方自治、地方財政及び警察に関する件
     ――――◇―――――
#2
○松野委員長 これより会議を開きます。
 地方自治、地方財政及び警察に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斎藤実君。
#3
○斎藤(実)委員 私は、エネルギー問題、なかんずく省エネルギーと廃熱利用の問題につきまして関係各省庁に御質問を申し上げたいと思います。
 戦後わが国は、狭い国土で一億を超える国民の生活の場を確保するということで工業化が促進をされてまいりました。さらにまた、国民生活の向上ということで民生用のエネルギーの需要も拡大をされてまいりました。エネルギー資源に乏しいわが国が世界有数の消費国に変貌してきたわけでございます。そのためにエネルギーの海外依存度は先進工業国の中でもきわめて高いものとなってまいりました。昭和四十八年の第四次中東戦争を契機として、石油危機はわが国の経済に深刻な打撃を与えたわけでございます。エネルギーの安定供給確保ということは国家の将来を左右する重大な問題であることをいまさらながらに痛感させられたわけでございます。特に最近の国際石油事情にかんがみて、国民は石油の安定確保にきわめて大きな不安を抱いておるわけでございます。
 そこで、石油の九九・七%を輸入に頼っているわが国としては、輸入石油の依存度をできるだけ低くすることはきわめて当然でございます。このために、各国にも増して代替エネルギーあるいは新エネルギーの開発に力を注ぐということは当然でございますが、この点についてどうお考えになっているのか、また、通産省はわが国の省エネルギー化促進のために現在どういう施策を講じているのか。まず最初に伺いたいと思います。
#4
○高沢説明員 私の方から現在進めております省エネルギー政策の概要について御説明を申し上げます。
 現在私どもが進めております省エネルギー政策は、中長期的なエネルギー情勢に対応するためのわが国の経済、社会の体質の省エネルギー化、いわば使用効率の向上という政策、これが一つの体系、それから御承知のように、最近のイラン情勢に絡みます主として短期的な節約対策ということに大きく分けられるかと思います。
 まず最初の中長期的な省エネルギー対策につきましては、四つの柱で推進をしております。一つが現在参議院で御審議をいただいておりますエネルギーの使用の合理化に関する法律案による規制、誘導的な措置、二番目が金融上、税制上の助成措置、三番目が指導事業であるとか啓蒙普及活動であるとかそういった措置、それから四番目がムーンライト計画で推進しております省エネルギーの技術開発の問題、こういった四つの体系で進めているわけでございます。
 簡単にコメントをしてまいりますと、エネルギーの使用の合理化に関する法律案は、産業、民生、輸送というわが国のエネルギーを消費する各部門の使用効率の向上をできるだけ図るということで、それぞれの部門における使用効率の向上対策を中に盛り込んでいるわけでございます。これがわが国の今後の省エネルギー対策の中心になるものと考えておりまして、その早期成立を強く期待しているわけでございます。
 二番目の金融上、税制上の助成措置につきましては、省エネルギーの設備投資、これは使用効率化を進めるためにはどうしても新たな設備投資が必要になるわけでございますが、そういった省エネルギーの設備投資を進めていくに当たりましての金融面であるとかあるいは税制上の助成措置、これは、税制面では国税において四分の一の特別償却制度、地方税では固定資産税の軽減措置、そういったことを講じているわけでございます。
 三番目の広報活動等につきましては、政府広報の充実であるとか、あるいは総理府に設けられております省エネルギー・省資源対策推進会議を中心とした広報活動、それから財団法人の省エネルギーセンターを通ずる指導事業、そういったことを柱に進めているわけでございます。
 四番目の柱であります技術開発につきましては、ムーンライト計画といたしまして五十四年度で約二十八億円の予算を計上いたしまして、高効率のガスタービンの発電であるとか、御指摘のような工場廃熱の有効活用の問題、そういった研究開発を進めているわけでございます。
 それから、イラン情勢に伴う短期対策につきましては、去る三月のIEAの理事会におきまして約五%の消費節減を先進国が一致して進めていくという合意がなされましたけれども、それを受けまして三月十五日に省エネルギー・省資源対策推進会議で、冷暖房温度の調整であるとか、マイカー使用の自粛といった措置を中心とした約五%の消費節減対策を講じておりまして、現在周知徹底策を大いに努めているところでございます。
#5
○斎藤(実)委員 いま答弁がございましたように、省エネルギーの推進のために政府は今国会にエネルギーの使用の合理化に関する法律案を提出して審議中でございます。私は当然早目にこういう法律案を出すべきだというふうに考えておりましたが、まあそれはそれとして評価をするわけです。この法律案の内容は、節約であるとか、合理的な使用だとか、あるいはリサイクル、省エネルギーの全般的な問題をとらえるのではなくて、その一部の使用の合理化だけに限っておるわけでございまして、またこれは初めての法案ですから完璧なものとは思わないのですが、一歩前進だという評価はしているのですけれども、この点が大きな問題が残るのではないかと私は思うわけです。
 それからもう一つ、政府の省エネルギーの推進母体が明確でないのですね。たとえば総理府、経済企画庁、通産省というふうにいろいろ会議、センターを設けておるわけでございまして、私は、こういうふうにばらばらでは省エネルギーの実効をどの程度上げられるかというふうに危惧を持っている一人でございますが、この点についてどうですか。
#6
○高沢説明員 現在の推進母体の問題でございますが、先ほどちょっと触れましたが、総理府に総理府総務長官がヘッドでありまして各省庁の全事務次官で構成をしております省エネルギー・省資源対策推進会議というものが設けられているわけでございます。現在進めております約五%の石油消費節減対策もこの省エネルギー・省資源対策推進会議が母体となって推進をしているわけでございまして、関係各省庁それぞれ御協力をいただきながら、全部門における節約対策の徹底を期しているわけでございます。そういった意味で資源エネルギー庁が中心になって立案その他はしておりますけれども、省エネルギーの推進母体としましては、政府ではこの省エネルギー・省資源対策推進会議が中心になって、各省庁の協力のもとに進めているというような現状でございます。
 それから、民間につきましては、財団法人省エネルギーセンターというのがございます。これは、産業部門では中小企業を中心とした企業の省エネルギーのための診断指導事業であるとか、あるいはエネルギー管理従事者の研修事業であるとか、それから一般の民生部門につきましては、一般的な広報活動を幅広く展開している団体でございます。そういった意味で、民間ではこの財団法人の省エネルギーセンターがいわば中核的な推進母体という位置づけになっているわけでございます。
#7
○斎藤(実)委員 いま答弁がありましたように、通産省には省エネルギーセンターというものがありますね。それから経企庁には省エネルギー国民運動中央推進会議というのがあります。総理府では省資源対策推進会議、私は大きく分けて三つだろうと思うのですが、それを取りまとめて指導的な立場に立って総括をしている省庁はどれですか。
#8
○高沢説明員 いまの御指摘の三つの関係でございますが、企画庁がやっております資源とエネルギーを大切にする国民運動と、私どもが所管をしております財団法人省エネルギーセンター、これはともに、おっしゃるとおり、いわば省エネルギーの国民運動を推進する母体でございます。その上に政府の省エネルギー・省資源対策推進会議が位置をするというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。残りの二つはその下にあるということでございまして、内閣審議室が中心になって事務局を務めております。私どもも御協力をしていますが、務めています省エネルギー・省資源対策推進会議、総理府総務長官が議長でございます、この会議がいわば全体の総括的な推進母体ということでございます。
#9
○斎藤(実)委員 私の調査によりますと、たとえば給湯、冷暖房あるいは台所の厨房、照明用の電気、これら民生用エネルギーは、国民の生活環境の向上とともに年々その使用量が増加をしてきているわけでございますが、この民生用エネルギーが全エネルギーの約二〇%にも達するのではないか、こう言われておるわけです。その民生用のエネルギーの半分が冷暖房用のエネルギーだというふうに言われている。この民生用のエネルギー、なかんずく冷暖房用のエネルギーがこれからますます増加をするだろう、こう思うわけです。そこで、省エネルギーの推進のためには、この民生部門の省エネルギーが重要であると思うし、この面に力を入れなければならぬと私は思うわけですが、そのために特に都市の建築物等のエネルギー消費の低減を図ることは、もちろんこれは重要なことであると思うわけですが、冷暖房あるいは給湯のエネルギー源の見通し並びに供給体制の合理化を図ることがより重要だろうと思うわけですが、この点について通産省はどういうふうに認識をされておりますか。
#10
○高沢説明員 民生部門の省エネルギーというのは、確かにおっしゃるとおり、これから着実な増加を示すと思いますので、その部門における省エネルギー対策の推進ということが今後のわが国の全体の省エネルギーの推進のためにきわめて大きな位置づけを占めるだろうと思っています。したがいまして、先ほど申し上げましたエネルギーの使用の合理化に関する法律案でも、民生部門につきましては、まず住宅と一般ビルの省エネルギー構造化ということを取り上げておるわけでございます。それから、クーラーであるとかあるいは冷蔵庫といった民生用機器の効率改善といったこともこの法律の中で取り上げているわけでございます。
 それからもう一つ、当面の問題としましては、なかなかコスト面でなお問題があるかと思いますが、より長期で見た場合には、工場の廃熱であるとかあるいはごみの焼却場の廃熱であるとか、そういったことを広域的な場で有効活用をしていくことが重要ではないかと思っておりますが、これは確かにエネルギー的には省エネルギーになるのですが、現状では、まだコスト面で必ずしも引き合わない等の問題点があるかと考えております。
#11
○斎藤(実)委員 フランスあるいはイタリア、それから西ドイツ、イギリスを含めて、欧米先進諸国では、確かにいま答弁がありましたように、都市ごみの焼却炉あるいは火力発電所、これらの廃熱を古くから都市的なスケールで利用しているわけですね。歴史が日本と違いまして、確かに国が取り組む姿勢、これは法律もずいぶんつくっておりますし、それから財政的な援助あるいはあらゆる角度から手厚い保護をされておりまして、日本とは大分違う。確かに省エネルギーには大きな貢献をしていると思うんですね。その面についてはまた後で触れますが、いまわが国においてもサンシャイン計画だとかあるいはムーンライト計画など、結構新技術開発も進んでいるようでございますが、ごみ焼却炉あるいは工場、火力発電所などの廃熱、これは非常に有効だと思うし、あるいは大気汚染防止という立場からもきわめて大きな効果がある。省エネルギーはもちろんですが、財政的な面で問題があるということは、事実私も承知しております。しかし、大気汚染あるいは省エネルギーということで考えれば、むしろ前向きにこの廃熱利用ということについて私は政府として積極的に取り組むべきでないか、こう思うわけでございますが、いかがですか。
#12
○高沢説明員 御指摘の点は、私どもも同感でございます。五十四年度、今年度でございますが、先生御指摘の観点から、私どもも、有効利用のための問題点はどこにあるか、それからどういった点を解決をすれば、そういった御指摘のような工場の廃熱等を広域的に有効活用ができるであろうかといったことを研究をしようということで、財団法人省エネルギーセンターに委託をいたしまして、現在、横浜地区での実地、これは現場に即した研究を進めているところでございます。そこの研究をもとにいたしまして、どのようなネックがあるのか、あるいはどういった問題を解決すれば実地に広域的な有効活用が図れるかということを研究をしていきたい。今後も場所を選びまして、そういったことをできる限り続けてまいりたいと考えておるわけでございます。
#13
○斎藤(実)委員 先ほど、コスト面で大きな問題があるということを言われました。確かにそのとおりなのです。しかし、こういう社会的に責任がある、あるいは民生用に大きな影響のある地域冷暖房については一民間に任せっ放しではなくて、やはり国として大きく育て、助成をするという姿勢が望ましいのじゃないかと私は思うわけですね。たとえばイギリスの例でございますが、環境省、これは日本で言えば建設省に当たるのですが、この環境省が地方自治体に対して地域暖房導入計画を研究することを奨励し、優遇措置がとられているわけでございます。それで、こういうふうに国として大きく前向きな姿勢をとっているわけですな。特に西ドイツでは、この冷暖房廃熱利用については、公共投資の中で三五%の返済の必要のない金額をその事業に助成をしているわけです。それから、これはエネルギーの節約に基づく大きな事業だということで、別な法律で七・五%の補助もしている。こういうふうにいろいろな法律をつくって、省エネルギーあるいは大気汚染ということと前向きに取り組んでいるわけですね。こういう姿勢を政府としてもとるべきではないか。いまのところ民間に全部任せっ放しで、確かにコストが高いというのはおっしゃるとおりですが、しかし、これではいつまでたっても解決しないだろうと私は思うのです。その点はいかがですか。
#14
○木下説明員 地域冷暖房に関しましては、昭和四十七年に熱供給事業法という法律ができまして、それ以来、全国、特に北海道を中心でございますけれども、二十九地点について地域冷暖房事業が行われております。地域冷暖房事業は、省エネルギー効果あるいは公害防止、それから火事等の災害防止に大いに役立つということで、通産省としてもこれを積極的に奨励いたしておりまして、そのために、地域冷暖房事業に対しましては固定資産税の減免措置、それから開発銀行あるいは北東公庫等からの融資による助成措置等を行うようになっております。
 具体的に申し上げますと、固定資産税につきましては、課税標準の特例といたしまして当初の五年間は課税標準を三分の一にする、それから次の五年間は三分の二にするという制度をとっておりますし、日本開発銀行及び北東公庫からは六・七五%の特利の融資を行っております。
#15
○斎藤(実)委員 自治省にお伺いしますが、地方自治体においては、ごみ公害と言われるごみ廃棄の問題についてはいろいろな論議がされておるわけですが、また別に、焼却炉の設置場所の問題等で、自治体行政の面で重大な問題になっているわけですね。そこで、ごみ焼却の廃熱利用によって地域住民に対して積極的な利益還元をすればこの問題の解決に役立つのではないかと思うわけでございますが、いかがですか。
#16
○森岡政府委員 ごみ焼却場などの廃熱の利用の問題は、一つには、先ほど来お話のありましたような資源の有効利用という観点と、いま一つは、いわゆる迷惑施設ということになりますから、地元でそれ相当のいろいろな環境整備をやってもらいたいという要望が強うございます。それにこたえるという両面で大変意義が大きいと思うのでございます。
 現在までのところ、この廃熱利用で具体的に運営されておりますのは、その付近に温水プールをつくるとか、あるいは老人福祉センターを設けまして、そこに給湯その他冷暖房等の施設をつくるとか、率直に言ってそういうやや狭い範囲になっておろうかと思います。それらにつきましては、自治省といたしましても、その建設事業費について地方債を弾力的に運用いたしまして必要な財源を措置しておるわけでございますが、いまお話しのように、単にそういう温水プールとか老人福祉センターに対する施設だけではなくて、もう少し大幅に地域冷暖房とか、そういう方面まで持っていくということができれば、これはもっとその効果といいますか、意義が大きくなると思います。
 ただ、日本の都市構造とか、ことに住宅なり家屋の実態が必ずしも西欧と同じようなことではありませんので、考え方といたしましてそういうふうな廃熱利用をかなり大幅に推進するといたしましても、なかなかそういう面でのむずかしさはあろうかと思います。基本的な考え方といたしましては、御指摘のような方向で資源の有効利用なり、あるいは地域の要請にこたえるという意味合いでの廃熱利用はもっと積極的に推進していく方が望ましいと思いますし、関係省庁とも相談してまいりたいと思います。
#17
○斎藤(実)委員 いま局長から答弁がございましたように、これはきわめて大きな問題でございますので、自治省としてもぜひ取り組んでいただきたい。
 次に、各自治体ではごみ廃棄物の処理を行っているわけでございますが、このごみ焼却施設の数は現在どれくらいあるのか伺いたいと思います。そして、その中で廃熱利用を行っている焼却炉施設はどれくらいなのか、その中で一般住民に利用されている例がどれくらいあるのか、伺いたいと思います。
#18
○三井説明員 ごみの焼却施設でございますけれども、古いものを除きまして、四十年以降建設されました新しいものということで見てみますと、現在、全国で千三百五十四基の施設がございます。そして、それらの施設においてその廃熱を一体どういうふうに使っておるかということでございますが、いろいろな使い方がございます。先ほど財政局長からいろいろ御説明がございましたような地域に対する還元ということもございますが、まずその前の段階といたしまして、このごみを燃やすことにつきまして実は補助燃料というものが要るわけでございます。まず第一には、その補助燃料をできるだけ少なくする、効率よく燃やすということで、ごみ焼却炉から出てくる熱を逆に使っていくということがございます。それから施設内でいろいろ熱を使うということがございます。そういったことでその燃焼効率をよくすること、それから焼却工場内でいろいろな利用をするということがまず第一にございます。実はこの千三百五十四のほとんどのものが何らかの形でそういうことをやっておるわけでございます。
 それから、外部に熱を供給するということになりますとかなり規模が大きくないと意味がございませんし、それからやはり二十四時間運転ができるような機械でないと、昼間は運転するけれども夜はとまるというものでは困りますので、そういう意味からもある程度規模が大きくなる必要がございます。そういうことでありますと、これは集めてくるごみでありますので、その市町村の清掃事業の範囲がある程度大きくなければいけない、小さな田舎の市町村までこれを全部するのはなかなかむずかしいという問題がございます。そういうふうなことで申し上げますと、現在のところ約七十六カ所というふうに計算しておりますが、若干不正確かと思いますけれども、まあ七、八十カ所のものがいろいろな形で外部にエネルギーを供給しておるということをやっておるわけでございます。
 そこで、その内容でございますけれども、若干の実例で申し上げますと、たとえば東京都のものにおきましては、ほとんどのものがまず発電をやっております。これは外部に売電をして電気を供給しているものもございます。それから、先ほどもお話がございましたように、温水プールであるとか老人ホームであるとか、あるいは公民館であるとか保育所であるとか、あるいは植物園であるとか、そういったいろいろな、いわばその地域の公共施設に対する供給というのをやっております。これは先ほど先生御指摘のとおり、そういうものをつくることによりまして、清掃工場の設置、運営を地域と調和させていくという観点からやっておるものでございます。
 なお、特別な例といたしまして、これはまだ一つしかございませんけれども、札幌市におきましては、現実に、焼却炉から出てくる熱を地域の住宅に熱として供給しております。これは四十九年からでございますが、札幌市の地域暖房公社というのがあるそうでございますけれども、私どもの聞いておりますところでは、約五千戸ほどの住宅に供給されておるということでございます。
 それから、これは現在なお調査中でございますけれども、ごみ焼却炉の熱を使いまして海水を淡水化するという調査をやっております。これは水事情のいろいろなところがございますので、現在沖繩をモデルにいたしまして、沖繩の水事情は大変深刻でございますので、ごみの焼却炉の熱を使って発電をし、これによって淡水を一般水道水として供給するという方向を検討しております。
 現状はそんな状況でございます。
#19
○斎藤(実)委員 いま答弁がございましたように、七十六カ所から八十カ所ぐらいがエネルギーを供給して地域住民のために貢献をしておるということですが、確かに省エネルギー、廃熱利用ということを考えるときに、熱を利用しているこれらの公共的な施設に対してやはり補助金をつけて積極的に推進をすべきだと私は思うわけでございますが、これら地域住民に大きく貢献をしている廃熱利用のために補助金等の具体的な例と、これからどう進めていくのか、財政的な援助をどう考えているのか伺いたいと思います。
#20
○三井説明員 ただいま申し上げましたその焼却工場の中での熱を集めるいろいろな施設につきましては、これは廃棄物処理施設整備費の一部といたしまして通常の補助対象にしておるわけでございます。たとえば公害防止地域の中でございますと、補助率二分の一ということでその焼却施設そのものの一部という形で現在補助の対象にしておるところでございます。
#21
○斎藤(実)委員 わが国においても都市的規模でのエネルギーの供給方式として地域冷暖房事業が行われておるわけですが、通産省においては熱供給事業法が制定され、具体的な指導を行っているわけでございます。この事業の現状はどうなっているのか、将来の構想に対する認識を私は伺いたいと思うわけでございます。
 確かに熱供給事業法が昭和四十七年に施行されたわけですね。この内容を見ますと、事業の育成、消費者保護、公共の保安の確保という三本の柱から成っておりまして、規制することが先行しているような法律だろうと私は思うのですね。これはもう少し育成援助あるいは強化していくという方向になるべきではないかと私は思うのですが、これらを含めて御答弁をいただきたいと思います。
#22
○木下説明員 昭和四十七年にできました熱供給事業法でございますが、これはガス事業あるいは電気事業ほど大がかりなものではございませんけれども、その地域に熱を供給するような施設を設けますと、一種のその地域についての熱の供給についての独占的な感じになりますものですから、したがいまして、料金等について規制をし、不当な値段をつけるというようなことを防止する必要があるかと思います。それから、設備につきまして事故等が起こらないようなちゃんとした設備をつけるという意味での規制が必要ではございます。しかし、私どもといたしましては単にその法律に基づいて規制をするだけではなく、このように熱の有効利用にも役立つ事業につきましては積極的に育成すべきだということで、別途先ほど申し上げましたような助成措置を講じているわけでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように全国二十九地点ございますが、そのうち住宅用の地点が十一地点、それから業務用が十八地点ということになっておりまして、今後もこのような事業が拡大することを私どもとしては期待し、また推進しているわけでございます。
 それで対象となっておる住宅でございますが、北海道地区が一万三千戸、それからその他の地区が約五千戸ということで、今後もかかる事業が発展するように、これらの戸数が伸びていくように大いに進めていきたいと考えております。
#23
○斎藤(実)委員 現在全体の地域冷暖房施設で使用している燃料は何を使っているのか、どれくらいの量を使用しているのか、伺いたいと思います。
 それから、北海道の熱供給公社は札幌都市部での地域暖房を行っているわけですが、そこでは当初燃料に石炭を利用していたわけですが、その後石油にかわったのはどういう理由なのか、伺いたいと思います。
#24
○木下説明員 熱供給事業につきましては多種多様な燃料を使っておりまして、一番大きなものは都市ガスと灯油を使ったものでございます。それ以外に灯油だけのもの、あるいは重油だけのものというのがありますし、石炭を利用したものもございます。
 いま先生おっしゃいました札幌地区の事業は都心部の事業でございますが、現在でも石炭を利用しております。
#25
○斎藤(実)委員 次に、地域冷暖房供給事業の経営状態は非常に悪化しているというふうに聞いているわけでございますが、この経営状態の実態について通産省は掌握をしているのかどうか、伺いたいと思います。
#26
○木下説明員 熱供給事業法におきまして料金を規制しております関係で、各熱供給事業については経営状況を通産省としては把握しております。
 御承知のように、熱供給事業を始めますのは通常地方自治体がニュータウンをつくるあるいは都市の再開発を行うというような事業を行いますときに、それとあわせて実施する場合が非常に多いわけでございますが、そのようなことになりますと、ニュータウンの造成を行いますものをあらかじめプラントを設け、それでパイプを広げまして先行的に設備投資をする必要がございます。したがいまして、予定どおりニュータウンの建設が進み、そのアパートに人勝者が予定どおり入ってくるというような形になりますと、事業としては二、三年ぐらいは赤字かもしれませんが、それ以降は期間的には黒字になって累積赤字は十年ぐらいで一応解消するという形になるわけでございますが、残念ながら地点によりましてはニュータウンの建設事業がおくれる、あるいは建設されても入居者が十分に集まらないというような場合には、どうしても最初の設備投資の負担がずっと後までかかってくるということで経営が悪くなるケースがございます。したがいまして、現在までのところ、この事業はまだ新しい事業でございますので、累積的な感じで申し上げますと、すべての事業が赤字ということが言えますが、しかし地点によりましてはその経営の改善が進んでおりまして、現行二十九地点で二十社の会社がございますけれども、昭和五十二年度は期間損益で五社が黒字になっておりますし、五十三年度になりましては七社が黒字になるということで、徐々に経営は改善の方向を見せております。
#27
○斎藤(実)委員 確かに先行投資に莫大な経費がかかるわけでして、いろいろ赤字になる要因というものはあると思うのですが、しかし地域冷暖房事業というものはやはり国家的な大きな、国民に対する大きな責任を持っておりますし、民生安定あるいは省エネルギーということで重要な事業だと思うわけですが、この地域冷暖房事業に対する政府並びに地方公共団体の助成措置の現状はいかがですか。
#28
○木下説明員 先ほども簡単に申し上げましたけれども、政府及び地方公共団体両方からいろいろな助成が行われております。
 国の措置といたしましては、まず第一に、税制上の措置といたしまして、熱供給事業用償却資産に対する固定資産税の課税標準の特例ということで、最初の五年間は三分の一、次の五年間三分の二という形で固定資産税を安くする制度がございます。それからもう一つ、法人税法によりまして、工事負担金の損金算入措置ということが認められておりまして、需要者の方で一部工事負担金を払って工事が行われた場合には、その工事部分につきましては事業用資産から控除するというような形で法人税法で税金の軽減される措置が行われております。それから、開発銀行及び北東公庫から、先ほど申し上げましたように、特利の融資が行われておりますし、それに加えまして、地方公共団体からは各種の会社に対して出資あるいは融資を行うという形で援助措置が行われております。全国二十社ございますけれども、そのうち九社につきましては、北海道庁あるいは札幌市と市町村から出資、融資が行われておりまして、事業の健全なる発展を助けておるという形になっております。
#29
○斎藤(実)委員 いま御答弁がありましたように、北東公庫、開銀の金利は通常利息が七・一%、特別利息は六・五%でございますが、これはこの事業に対して、さきに質問したように、社会的、公益的な要請を考慮すれば最低の特利を適用してこの事業の育成を図るべきだと思うのですが、いかがですか。
#30
○木下説明員 日本開発銀行及び北海道東北開発公庫からの融資に対しましては、通常、通利が七・一%であるのに対しまして、現在は六・七五%、それで融資比率は設備工事費の五〇%、それから、期間は十五年というような形での融資が行われております。毎年予算の時期には、私どもといたしましてはこの条件がより改善されるように要求しておりますけれども、一応特利ということで現在のところは六・七五%が認められておるというのが実情でございます。
#31
○斎藤(実)委員 私は、電気ガス事業と同じように六・〇五%ぐらいの金利でもいいのではないか、なおかつ、償還年限も十五年程度にして、融資比率もやはりもっと上げるべきだという考えを持っているのです。これはまた別な機会に質疑をしたいと思いますが、ひとつ社会的、公益的な立場で、省エネルギーということで事業が民生安定のために貢献しているわけですから、ひとつ前向きに御検討いただきたいと要望しておきます。
 次に、わが国においての地域冷暖房が企画された当初の動機は、都市の大気汚染防止という観点から出発したわけですが、その典型的なものが札幌市街地で設立されました地域暖房会社でございます。これは、各ビルから石炭燃料によるばい煙、ばいじんを除去する目的で地域暖房が導入されて、公害防止ということで大きな効果を上げてきたわけですが、この地域冷暖房事業は大気汚染防止の効果があると思うわけでございますが、環境対策上どのように対処をしているのか、環境庁の見解を伺いたいと思う。
#32
○片山説明員 地域冷暖房の導入によります大気汚染の改善効果につきまして、ケーススタディーをしたわけでございますけれども、その結果によりますと、高質燃料の使用あるいは脱硫装置等の公害防止施設の設置というものが非常に容易になりまして、大気汚染物質の排出量が軽減できるという結果を得ております。
 第二点は、地域冷暖房施設の機器の大型化による効率が増大いたします。また、熱管理の高度化あるいはごみ処理施設の廃熱の有効利用等によりまして省エネルギー化が進みまして、大気汚染防止効果の面から見ても増大するという調査結果を得ております。
#33
○斎藤(実)委員 いま環境庁は、都市部における現在の地域冷暖房事業が大気汚染防止のために大きな効果を上げている、なおまた省エネルギーの大きな効果も上げているという御答弁でございました。確かに地域冷暖房は、個々の家庭で燃料を使う場合よりも効果的に燃料を使えるので、大気汚染物質の発生量が少ないということ、これは当然だと思うのです。また、汚染物質の排出量を減らす対策をとりやすいというメリットもあるわけでございますが、私は、いま環境庁から答弁がありましたように、大気汚染を防止する効果があるという御答弁でございましたので、その前提に立って御質問をしたいのですが、地域冷暖房事業に対しては、今日公害防止事業団法による融資対象になっていないわけですね。私は、当然大気汚染防止という観点から、こういう地域冷暖房事業に対しての融資が行われてもよいのではないかと思うわけであります。融資対象にならない根拠を明確に御答弁をいただきたいと思います。
#34
○川崎説明員 お答えいたします。
 公害防止事業団がどういうものに融資ができるかということは、つまり融資の対象範囲は、公害防止事業団法第十八条に規定がございまして、その規定で対象が限られておるわけでございます。
 先生お尋ねの地域冷暖房について融資できるかどうかということにつきましては、この十八条の規定に該当するかどうかということで決まってまいります。したがいまして、具体的に申し上げますと、地域冷暖房もいろいろな形がございます。地域冷暖房につきましても事業団法の十八条の規定に該当するかどうか個々に検討いたしまして、その検討の結果によりまして融資するしないは決めておりまして、地域冷暖房の場合におきましても融資できる場合はございます。その事業団法に照らして検討して決めておるというのが実情でございます。
#35
○斎藤(実)委員 いままで地域冷暖房事業が公害防止事業団に融資の申し込みをされた件数はどれくらいですか。
#36
○川崎説明員 私の存じておるところでは、北海道の熱供給公社が一件ございます。
#37
○斎藤(実)委員 それ以外は融資の申し込みはなかったのですか。
#38
○川崎説明員 先ほども申し上げましたように、事業団法の十八条の規定に該当するかどうかということで検討しておりまして、正式の融資でない段階でいろいろ照会はございましたけれども、十八条に該当するケースとしましてはこの北海道の熱供給公社が唯一の例というふうに伺っております。
#39
○斎藤(実)委員 私の質問しているのは、この熱供給事業、地域冷暖房事業というものが省エネルギーに大きな貢献をしているし、また民生安定のために大きな事業だ。やれば赤字を相当抱えて、先行投資も相当莫大な費用がかかるわけです。これは一挙になかなか踏み切れないのですね。しかし、あえてそういう立場から事業をなさる方は相当な犠牲を払う覚悟でやるわけです。したがって、当然やはり長期、低利の資金でやりたいという希望は皆持っているわけです。それでいままで二十八、九の事業がぜひ公害防止事業団の融資をお願いしたいということでずいぶん私は行っていると思うのですが、その件数は何社くらい来ているかということを私はお尋ねをしているわけです。
#40
○川崎説明員 先ほども答弁いたしましたように、正式に申し込みのありましたのは北海道の熱供給公社一件だけでございます。
#41
○斎藤(実)委員 それでは、北海道熱供給公社が申し込んで特別に融資をしたという背景は、どういうことが理由になって融資されたのですか。
#42
○川崎説明員 先ほども申しましたように、事業団法の十八条の規定に該当すれば融資申し上げるわけでございまして、北海道熱供給公社の場合は、事業団法の十八条の規定に該当する施設であるということで融資申し上げた次第でございます。
#43
○斎藤(実)委員 非常に歯切れの悪い答弁で、具体的にもっと細かく言っていただけませんか。
#44
○川崎説明員 事業団法の十八条の五号に融資の規定がございまして、「第一号に規定する施設その他の産業公害を防止するための施設であつて政令で定めるものを設置しようとする者に対し、その設置に必要な資金の貸付けを行なうこと。」というのがございます。政令、それから業務方法書によりましてさらに細かくブレークダウンされておるわけでございますが、その中のいわゆるばい煙の処理施設というのがございます。そのばい煙の処理施設に該当するということで融資申し上げた次第でございます。
#45
○斎藤(実)委員 これから国民のいろいろな要請なりあるいは省エネルギーということで正式に公害防止事業団に融資を申し込む事業がふえてくると思うのですね。
 それで、これは札幌市の例の公社の問題ですが、地域冷暖房の対象となるビルの暖房による大気汚染は従来から産業公害の一部として取り扱われているので、これらのビルは公害防止事業団法に言う事業に当たるから、特に同法を改正する必要がないという、これが一点だと私は思うのです。
 それから二番目は、地域暖房は共同公害防止施設に当たるものであって、これは取り扱ってもよろしい。それから融資対象はボイラーあるいは煙突、集じん器、配管、熱交換器等の共同処理施設並びにプラント用の用地を含む、こういう取り扱いが決定されたという経緯を聞いておるわけです。なお、資本金が十億円でも従業員が五十人以下であれば中小企業に対する融資条件で取り扱うというきわめて前向きな扱いをされているわけです。
 そこで、なぜこの地域冷暖房について融資の対象にならぬかというと、公害防止事業団業務方法書の共同公害防止施設として地域冷暖房をいままで加えていなかったわけですね。だから、相談に行きますと、これは対象になっておりませんと言って、ばんとはねられるわけですが、やはり公害防止事業団法の中へ防止施設として地域冷暖房を一項加えるということが時代の要請でもあるし、省エネルギーあるいは大気汚染防止ということにも貢献すると思うのですが、いかがですか、この点は。
#46
○川崎説明員 公害防止事業団という法人の性格上、公害防止という観点からの融資ということになるわけでございます。地域冷暖房というものも、先生御指摘のように結果的に公害防止に非常に役立つということはそのとおりであろうかと思いますが、その地域冷暖房ということを前に出してということはなかなか規定しにくいわけでございまして、われわれの方の公害防止事業団は公害防止に役立つ施設であるかどうかという観点からの規定の仕方をしているわけでございます。したがいまして、その地域冷暖房も公害防止に役立つという形において融資することができるわけでございまして、現在の規定もそういう観点からの規定の仕方になっておるわけでございますが、先ほども申しましたように、事実公害防止に役立つということで北海道の熱供給公社の場合には融資をしておりますし、今後とも公害防止に役立つという形で出てまいりました場合には、そういう地域冷暖房の場合においても北海道の熱供給公社と同じようなケースでございましたならば融資を検討していくということに相なろうかと思います。
#47
○斎藤(実)委員 ぜひひとつそういう前向きな姿勢で取り組んでいただきたい。要望申し上げておきます。
 先ほど答弁がありましたように、東京都、札幌市のように地域冷暖房事業を積極的に進めている地方自治体もあるわけですが、他の自治体についてはなかなか進んでいないというふうに聞いているわけですが、現状はどうなっているのでしょうか、伺いたいと思います。
 また、全国的にこの地域冷暖房事業をやることは大気汚染防止、また省エネルギーということできわめて大きな事業だろうと思うのですが、政府として全国的に本事業の可能性を調査すべきではないかと思うのですが、いかがですか。
#48
○木下説明員 先ほど申し上げましたように、北海道を中心といたしまして北海道庁あるいは札幌市、苫小牧市というようなところで積極的にこの事業育成のために出資あるいは融資を行っているところはございます。北海道以外では千葉県と岡崎市にも一つずつございます。
 御承知のように、地域冷暖房事業といいますのは、やはり寒い地域で事業を行うことが多うございますので、北海道地区の事業が非常に多いわけでございますが、それ以外の地域でも徐々に広がってきておりまして、東京地区あるいは大阪、関西の方面、それから九州でも地域暖房を行っている事業がふえてきております。
 たとえば大阪なんかの場合には、地方公共団体自身は事業に参加しておりませんけれども、大阪瓦斯というようなガス会社自身がそれに加わるということで、公共事業的性格の強い会社がその事業を行うという形で公共的性格を強めているものがあるわけでございます。
#49
○斎藤(実)委員 建設省に伺いたいのでございますが、この地域冷暖房事業について都市計画法あるいは再開発法での位置づけについて伺いたいと思います。
#50
○小林説明員 地域冷暖房施設につきましては、法的には都市計画法の方が関係があるわけでございまして、いままでの扱いといたしましては、都市計画法に定める都市施設として当該都市計画区域で必要なものを都市計画決定しているわけでございます。現在までに十三都市において決定されております。今後とも都市計画区域におきまして必要な地域冷暖房施設は都市計画決定するように地方公共団体を指導してまいりたいと考えております。
#51
○斎藤(実)委員 調査によりますと、都市計画法の適用を受けている地域冷暖房の事業がなかなかふえないというふうに聞いているわけですが、ふえない理由はどういう理由なのか、建設省としてどういうふうに指導しているのか伺いたいと思います。
#52
○小林説明員 都市計画決定するかどうかは当該市の判断によるものでございまして、他の道路等に関係ない当該地区内だけで処理できるものにつきましては、別段都市計画決定する必要もないわけでございます。
 御質問の趣旨は、都市再開発事業を行った場合にあわせて行っているかどうかということかと思いますが、御承知のように、再開発事業につきましては既存の住宅その他をクリアランスいたしまして高度利用を図る、新しいビルをつくりまして高度利用を図るということで、再開発事業そのものが非常にむずかしい事業でございます。
 地域冷暖房関係の事業につきましては、事業の問題とか採算性の確保の問題もあるわけでございまして、そういう両面からある程度限定されざるを得ないというふうには思っているわけでございます。私どもが扱っております再開発事業の中では、現在までに二地区地域冷暖房をやっておりまして、私ども、補助できるものにつきましてはその施設につきまして補助をしているわけでございます。
#53
○斎藤(実)委員 この地域冷暖房事業は株式会社がほとんどなんですが、どうしても先行投資に莫大な金がかかるということ、それから、燃料のいろいろな問題で料金が低く抑えられるということで事業はなかなか大変なわけですが、これはやはり民生安定という意味からも第三セクター的な立場が望ましいのではないかと思うわけですね。たとえば、札幌の熱供給公社のように、株式会社でありますが、北海道庁も融資している、あるいは北東公庫も融資している、あるいは札幌市も融資しているというように非常にバランスのとれた経営内容でございます。こういう第三セクター的な事業がこれから望ましいと思うのですが、政府としてもこういうふうに指導して育成していくという考えはないのでしょうか。いかがですか。
#54
○木下説明員 先ほど御説明申し上げましたように、北海道を中心に、北海道庁あるいは札幌市等が出資して会社をつくり、いわゆる第三セクターとしての事業を行っているところがございます。それ以外に、北海道の中でも従来民間事業で行っていたものがございますが、その事業につきまして経営が必ずしもよくないというようなことがありましたために、昨年、これは札幌の周辺の一地点でございますけれども、その事業に対しましては過去の赤字を全部従来出資しておりました民間会社が負担して、そこをきれいにした上で、北海道庁とそれから町と二つが出資いたしまして新しく会社をつくったということもございます。したがいまして、ニュータウンの造成等は通常地方公共団体が行いますので、私どもとしてはアパート自身が地方公共団体が行う事業であるとすれば、熱供給につきましても何らかの形でその公共団体と結びつきのあるような形で事業が進められる方がよろしいのではないかと思いますので、先生がおっしゃいましたように、今後も地方公共団体との連携がうまくいくような形での事業の進め方を奨励していきたいと考えております。
#55
○斎藤(実)委員 先ほど答弁がございましたように、地域冷暖房事業というものが先行投資で、その中でも特に大きいのは、配管の設備投資が大きく事業運営に影響を与えておるわけでございます。そこで、共同溝の整備に関する特別措置法には電電あるいは電気、ガス、水道、工業用水、下水の六事業しか入ってないわけでございまして、この地域冷暖房事業の配管はこの共同溝の中には入れないわけですね。したがって、共同溝の中に入れないものですから、自力で自分で掘って埋設をしているという。これは大変な負担になるわけでございまして、この地域冷暖房事業の公共公益性というものを配慮して共同溝等の利用にこういうものを入れてもいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#56
○山本説明員 先生御承知のように、共同溝の整備等に関する特別措置法、いわゆる共同溝法、この法律のねらいとしますところは、地下の占用工事によりまして道路の掘り返しがひんぱんに行われる、これによって道路の交通に著しい障害を与えるとか、あるいは道路の不経済な損傷をもたらす、こういうことを防止するために、特に交通が著しくふくそうしております道路等につきまして一般に占用需要の多い水道とか、電気とか、ガスとかいった公益事業施設を収容するものとして道路の付属物として整備するための特別な制度が定められているものでございます。
 そういった意味で現在地域冷暖房につきましては、その道路の占用の需要の実態あるいは普及の度合い等からいって、この法律の目的からは直ちに加えることはなかなかむずかしいのではないかと考えておりますが、しかしながら、ここ数年来共同溝につきましては、いままでの共同溝法のねらいとしておりますような、単に道路の掘り返し防止という観点から整備するというだけでなくて、都市の防災だとか、安全とか、美観とか、その他いろいろの観点からむしろ道路の空間の適正な利用を積極的に図っていく、こういう観点から共同溝を整備すべきではないか、そういう要望も近年非常に強くなってまいっております。そういう意味で、私どもはそういう観点から共同溝法の全面的な見直しをこの時点でいたすべきではないかということで、現在その検討の準備を進めておるところでございます。そういった検討の中において、ほかに新都市施設として、たとえば廃棄物処理管だとか、CATVとか、その後新しいものがいろいろ出てまいっております。そういったものを含めて地域の冷暖房の施設、こういったものも共同溝内におさめる形で整備する方策はないかどうか、今後十分検討してまいりたいと思います。
#57
○斎藤(実)委員 私は、省エネルギーという立場あるいは大気汚染防止という立場でこの地域冷暖房事業が民生安定のために大きなウエートを占めているということで御質問をしてまいりましたが、地域冷暖房というものはやはり国としても、特に民間の強力を得なければなりませんし、私はこれからますます大きなウエートを占めてくると思うわけでございまして、こういう公益公共的な事業に対してやはり政府と民間の協力の上で強力な事業団のようなものをつくって育成発展をさしていくべきではないかと思うわけですが、御見解があれば承りたい。
#58
○木下説明員 お答え申し上げます。
 地域冷暖房事業といいますのは地域に非常に密着した形で事業を行うわけでございまして、供給範囲も一般的にはガス事業や何かに比べますと非常に小さい範囲の供給を行う事業でございます。したがいまして、私どもの考えといたしましては、それぞれの地域コミュニティーに即した供給のやり方等をやっていく必要があろうかと思いますので、むしろそれぞれの地域の特性に応じた供給の仕方でやる方が適当かと思います。したがいまして、全国一律のそのような機関をつくりますよりは、必要に応じて地方公共団体の出資等も求めるというようなことで事業を進めていく方が一番適当ではないかと思うわけでございます。
 具体的な事例といたしまして、北海道の札幌市の周辺に幾つか事業がございますが、この事業を一つにまとめる構想も一時あったわけでございますが、事業ごとに料金等も違うし経営の内容も違うということで、やはりみんなを統合することもなかなかむずかしいというようなことがございましたし、そのような経験からいたしましても、いま申し上げましたように、個々の地点の実情に応じた合理的な経営を行わせる方が地域冷暖房事業の発展のためにはむしろ有効かと考えている次第でございます。
#59
○斎藤(実)委員 以上で私の質問を終わります。
#60
○松野委員長 与謝野馨君。
#61
○与謝野委員 まず警察庁にお伺いしたいわけですが、最近の広域暴力団の抗争、大分おさまってきたとはいえ暴力団の活動ぶりというものは目に余るものがございます。最近の広域暴力団についてまずお伺いしたいと思います。――まだ警察はお見えになっていないですか。
#62
○松野委員長 来ておられるところから始めてもらいましょうか。――自治省から始めてください。
#63
○与謝野委員 それじゃ自治省から。
 きょうは自治大臣がお見えになっておりませんが、一般消費税、新税の導入と絡みまして地方の行財政制度の抜本的改革ということも必要になってまいっておりますが、自治省として行政改革にかける熱意、決意というものは一体どういうものか、それをまずお伺いしたいと思うわけでございます。
#64
○柳沢(長)政府委員 行政改革につきましては、政府としましては五十二年十二月の閣議決定で行政改革の推進を決めております。それから、ことしの一月に閣議了解で行政の簡素合理化ということを決定しております。その線に沿いまして行政のチープガバメントという形で努力しておりますが、地方団体の方におきましても行政機構の簡素化、事務の見直し、定員管理のあり方というふうな点につきまして努力しております。
 なお、最近の経済情勢の中で国、地方を通じて非常に財政が逼迫しておるということで、一般消費税の導入というふうな議論も出ておるような状況でございますので、まず国、地方を通じて行政の簡素合理化を図っていかなければならない、このように考えております。
#65
○与謝野委員 そこで、地方の行財政制度は地方議会あるいは地方自治体が本来主導権をとってやるべきものではありますけれども、地方自治体任せではこういう問題はなかなか進まないということであると私は思います。そこで、自治省としては昭和五十四年度、地方自治体あるいは地方公共団体に対してどのような指導方針で臨んでいるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#66
○柳沢(長)政府委員 先ほど申し上げましたように、五十二年の行政改革の推進の閣議決定の後で、行政機構、組織の見直し、事務の総点検、定員管理のあり方あるいは給与水準等について十分見直しを進めるようにという次官通達を出しております。なお、地方公共団体としては例のオイルショック以降行政の見直しをしなければならないということで、五十年以降地方公共団体自身もかなり行政の簡素効率化をしておりますが、われわれとしましては、さらに一層その努力を進めていただきたい、このようにお願いしておるところでございます。
#67
○与謝野委員 そこで、地方公共団体全体を通じまして、警察官、看護婦、消防官あるいは教員等を除いて一般行政職の数の傾向は漸減なのか、漸増なのか、横ばいなのか、一体どういう傾向をたどっているでしょうか。
#68
○砂子田政府委員 一般的に申し上げまして、四十九年から五十三年までの地方公共団体の人員の増加は二十万八千人でございます。このうちの大部分は、いま先生が申されましたように福祉関係でありますとか、教育関係、警察、消防というものでございまして、一般行政部門の福祉関係を除いたその他の部門ではむしろ減少しておるという姿でございます。
#69
○与謝野委員 それと同時に、特に自治省にお願いしたいのは、景気浮揚のために地方で公共事業をどんどんやれということで地方公共団体もいろいろな施設を持ったわけです。レクリエーションセンター、体育館等々、こういうものをこれからさらにどんどんふやしますと、そういうものの一般管理費、一般経常費というものは恒常的な経費として地方自治体の支出に繰り込まれるわけでございまして、景気浮揚だからといって将来の財政支出を恒常化するような公共事業等については、今後物の考え方として相当考えていただかなければならないと私は思います。
 それと同時に、給与水準ですが、一般で信じられておりますことは、地方公務員の給与水準というのは非常に高い。現に昨年、ことしと大学卒あるいは高校卒の就職難もありまして、地方自治体の地方公務員の募集に対しましては非常に高い倍率の応募者があったわけでございますが、給与水準、ラスパイレスは、昨年お伺いしましたときはたしか一〇七・九ということでございましたが、最近の統計で、厳密な数字でなくて結構でございますが、国家公務員に比較いたしまして、国家公務員に近づく方向にあるのか、あるいはさらにこの幅が広がる方向にあるのか、その傾向だけをお伺いしたいと思います。
#70
○砂子田政府委員 いま先生申されましたように、五十二年のラスパイレス指数というのが一〇七・九でございますが、五十三年のラスパイレスにつきましては、給与実態調査の結果が実はまだ出ておりませんので、いまその集計を統計局にお任せをしておるところでありますが、この傾向といたしましては、むしろ一〇七前後になるだろうと見ておりまして、若干下がる傾向にあるというふうに考えております。
#71
○与謝野委員 そこでもう一つの問題は、これは東京都の問題で、一般的に非常にけしからぬという話になったことでございますが、一般の中小企業あるいは大企業と比べましても、地方公務員の退職金はいろいろな点で非常に恵まれている。特に勧奨退職制度があって五割よけいに退職金をもらえたりということでございますが、退職金の傾向はいかがでしょうか。
#72
○砂子田政府委員 全団体を見てみますと、毎年退職金をもらってやめる職員の数が大体九万三千人ぐらいございます。五十二年度の決算で申し上げますと、これに要しました退職金の総額は七千七百二十億ぐらいになっております。この傾向は毎年大体一割弱ぐらい伸びている傾向にございます。お話しの東京都の場合には、もう御存じのとおりだと思いますけれども、一般の他の道府県と違いまして、東京市と東京府が合併をしたという従来のいきさつがあったということにはなりますけれども、依然としてほかの団体より高いことになっております。ほかの府県は大体国並みの退職金を払っているわけですが、東京都だけがそういう合併のいきさつがございまして、若干高いと申し上げますか、一般の国家公務員でありますれば六十九・三カ月を最高限度にしているのに東京都は九十カ月を最高限度にしておる、あるいはそれに役付加算をするというふうな形のものがございまして、どうしても高目に退職金が払われているというのが実際の姿でございます。
#73
○与謝野委員 自治省にお願いしたいのは、国家公務員であれ地方公務員であれ、私たち国民からいたしますと公務員であることは間違いないわけでありまして、国家公務員と地方公務員の間で給与水準が逆転をいたしまして地方公務員が高かったり、退職金が逆転をして地方公務員の方が高いということはどうもわれわれの常識からはすぐには理解できないことであります。そういうことで、地方公務員、国家公務員を通じましてなるべく平準化した給与水準あるいは退職金制度というものを目指して御指導をいただきたいと思うわけであります。
 いままで申し上げてきました話は、地方自治体それぞれの固有の問題でありますけれども、国が地方自治体に機関委任事務その他の事務を委任をしているわけでありますが、こういうものも非常に複雑である、あるいは地方自治体から自治省に物をお願いする、あるいは政府に物をお願いするというときに、非常に複雑な手続、人手、手間こういうものがかかるという苦情が全国の知事会あるいは市長会からも出ているわけですが、国と地方との事務あるいは機関委任事務との関係で今後行政の簡素化というものを一体どういうふうに図っていくのか、この点をお伺いしたいわけです。
#74
○柳沢(長)政府委員 国と地方との事務配分の問題はかなり前から言われておるわけでございまして、地方制度調査会あるいは臨調等の答申がございまして、いろいろあるのですがなかなか実現に至っていない、こういうのが実情でございます。
 基本的な考え方としましては、住民の身近なところで処理しなければならぬ行政というものはできる限り市町村あるいは県が処理する、こういう形で、しかもその財源は保障する、こういう基本的な考え方を持っております。
 そこでいま御指摘の機関委任事務等の問題につきましては、これは廃止しろという議論と同時に、それは機関委任事務が指揮監督をするとか、あるいは議会の関与はできないとかいうふうな点で廃止した方いいのではなかろうかという議論もございますが、その反面、機関委任事務ということで国の責任を担保できるということで地方団体に任せる、地方団体としてはその地方みずからの事務と一緒に処理できる。これが国が委任しない場合には、国が出先機関でやるということで二元行政が行われるという形になります。そういう点で機関委任事務はある程度必要である、こういうふうな議論もございます。そういう点で現在第十七次の地方制度調査会におきまして、この機関委任事務の問題も含めて、国と地方公共団体との機能分担あるいは事務の配分あるいは許認可の問題、補助金の問題等を議論していただいております。そしてできる限り国、地方を通じまして行政の簡素合理化を図るというふうな形で御審議をいただいておりますので、これが九月の末には答申が出ると思いますので、その答申をいただきましてからひとつ十分に検討したい、このように考えております。
#75
○与謝野委員 行政改革をどうしてもやっていただかなければならないわけですが、森岡財政局長にお伺いをしたいのですが、地方財政全般を通じて、地方財政を立て直すためには一般消費税等の新税がぜひとも必要なのか、あるいは各地方公共団体を通じての行政改革を行うことによって、あるいは財政の運営の方針を変えることによってこの財政の窮迫、逼迫を克服することができるのか、いずれでございましょうか。
#76
○森岡政府委員 きわめて一般的に結論を申し上げますと、いまおっしゃったこと全部が必要だと私は思います。と申しますのは、行政改革は御指摘のとおりもちろん必要でございますし、また地方行政について言いますれば、大きなウエートを占めております人件費につきまして、やはり合理化の努力を引き続いて続けていくことがもちろん必要でございます。しかし、それだけですべてのこれからの国、地方を通じます国民の要望にこたえる歳出を賄っていけるかというと、これは恐らく不可能だろうと思うのであります。もし仮に、福祉あるいは社会資本の整備というものを思い切って水準を切り下げてしまうというふうなことについての国民的なコンセンサスがあればそれは可能だと思いますけれども、しかしそういう状況には恐らくならない。やはり老齢化社会をこれから控えておるわけでございますので、いろんな面での歳出の増加要因というのはどうしても出てきておるわけでございます。これを一遍に切り下げるということはこれはできないと思いますから、そういう意味合いで行政改革、財政運営の効率化及び新税を含めました国民の租税負担の増加、三者を行うことが財政再建のためにぜひとも必要だと私は思います。
#77
○与謝野委員 そこで自治大臣にお伺いしたいのですが、地方公務員のあり方ということは、国民が身近な問題を処理するときに、結局は区役所、町役場、県庁等に行って処理するわけですので、われわれに接触する公務員は地方公務員なわけであります。そこで、労働省を中心にいたしまして公務員、銀行主導型の週休二日制を導入するのだということが一部で報道されておりますが、私どもの考え方では、公務員あるいは銀行というのは週休二日制の制度が導入されたときに最後に週休二日制を採用する団体ではないかと思うわけでございますが、自治大臣はその点はどういうふうにお考えでしょうか。
#78
○澁谷国務大臣 この問題は先般も当委員会で質問を受けたわけでございますが、私は与謝野さんの考え方と全く同じく考えております。基本的な方向としては、先進国ほとんどやっておるわけでありますし、わが国においても大体六割近い企業が週休二日制を実施しておるという最近の調査結果も出ておりますので、雇用の問題等も考えますと基本的にはそういう方向に行くべきものだという認識を私は持っております。しかし、これをどういう順序で、そのタイミングはどうかという点が問題だと思うのでございまして、私は、順序としては、いま与謝野さん御指摘になったように、少なくとも公務員は最後になって実施すべきものだと考えております。特に私が心配しておりますのは、自治大臣という立場で地方をお預かりしておる立場から言いますと、国家公務員が実施する、当然それは地方に波及する、これを実施するということになりますと、私の所管だけを考えましても、まず警察、消防といったような分野は相当な増員なしには週休二日制の実施は不可能であります。そういったようなかなりの量に上る増員をやれる財政状態にあるかどうかということを考えますと、これは改めて申し上げる必要はございません。国、地方を通じて来年度の予算編成が果たしてできるのかどうかということが最大の問題になっておるというこの時期に、国、地方を通ずる公務員について直ちに週休二日制を実施するというようなことはとうてい現実的でもございませんし、適当ではない、こういうふうに私は考えております。
#79
○与謝野委員 そこで、多分八月ですか九月ですか――恐らく人事院あるいはその他の機関で地方公務員の定年制ということを御審議になっていると思うわけでございますが、自治大臣は現在のような地方公務員法のあり方をどういうふうにお考えなのか。地方自治体がそれぞれの立場で定年制を設けることができるような条文を地方公務員法の中につくるべきだとお考えなのか、そうでないのか、それをお伺いしたいと思うわけでございます。
#80
○澁谷国務大臣 定年制の導入につきましては、国も地方も定年制を導入すべき時期に来ておる、このように私は認識をいたしております。導入するに当たってどういう方式で導入するかという御質問でございますが、これは従来から自治省としては、定年制導入の基本を法律で定めて、実際のそれぞれの自治体の実施のやり方は法律に基づいてそれぞれの地方自治体が条例によって定めていく、こういう方式を考えてまいっておるわけでございまして、私はやはりその方式が適当ではないかと考えております。
#81
○与謝野委員 そこで、ことしの夏人事院が恐らくその問題についての一応の勧告と申しますか考え方を示すと思いますが、そのとき、自治省はこれを受けて直ちにそれを法制化する御決意あるいは準備あるいは心の用意があるかどうか、自治大臣にお伺いしたいと思います。
#82
○澁谷国務大臣 ただいまお答えしましたように、私は定年制の導入をやる時期に来ておる、こういうふうに認識をしておりますので、人事院の勧告か出て――勧告という形になるかどうか、まだ未定でございますけれども、いずれにしても人事院のこれについての見解が公にされるわけでございますから、国も恐らくそれを受けて、やるということはもうすでに閣議で決定しておりますから、その準備に取りかかると思います。
 自治省としては地方公務員について、これは自治省は二回も法案を出しているわけでありますからもう準備は十分できておるわけでございますから、国がやるということになれば、これに歩調を合わせていつでも国会に法案を提出できる、そういう態勢でおるわけであります。
#83
○与謝野委員 自治大臣にお伺いしたいのですが、なぜ国家公務員と地方公務員とこの問題について同一に考えなければならないのでしょうか。
#84
○澁谷国務大臣 定年制の実施という問題は、基本的に公務員の労働条件にかかわる大きな問題であります。それで、給与その他の労働条件について現在の法制は、地方公務員については基本的に国家公務員に準ずる、こういう考え方に立って法律ができ上がっておる。こういう法律の立て方、制度の実態、こういうものを踏まえて、国の公務員が実施するということになれば、これは当然地方公務員についても並行して実施すべきものだ、こういうふうに考えておるわけであります。
#85
○与謝野委員 そこで、給与水準その他の条件は国家公務員に準ずるというふうに書いてございますけれども、私は余り国家公務員に準じた姿になっていないと思うわけでございます。特に東京都下でもありますし、また大阪府下でもありますし、異常なラスパイレス指数を示している地方公共団体、こういうものをたびたび自治省に申し上げているのですが、ラスパイレスが一〇七とか一〇八とかというのは諸条件を考えましてもまだ許容できる範囲でございますけれども、一三〇とか一四〇を示している団体に対して自治省がまだまだ強力な指導措置をとっていないというふうに私は考えておりますが、自治大臣はこういう異常な給与水準、異常な退職金を払っている地方公共団体に対して、一般消費税の導入が話題になり財政窮迫が告げられているときに全く野放しにしているという状況、これは一体どういうふうにお考えでしょうか。
#86
○澁谷国務大臣 御指摘の点は非常に大きな問題の一つであります。地方の団体によって国家公務員の水準よりも非常に高い水準の給与を支払っておるという地方団体があったわけでございますし、現在もまだ残っているわけでございます。これは言うまでもなく高度経済成長が続いた中で、税収が、自然増収が毎年毎年予想以上に入ってきたという期間がかなり長く続きました。そういう全体的な財政のゆとりのあった中で、自治体によっては、いま言ったようにどんどん役人の月給を上げていった。その結果として国家公務員の水準よりも場合によっては二割も高い、あるいは三割近くも高いというような状態ができ上がった、こういうことでございます。ところが、言うまでもなく現在は経済はもう成長率が鈍ってきた、税収は入らない、仕事はやらなければならないということで、毎年毎年地方の借金も累積をしてきた、こういう状態、財政はずっと赤字続き、したがって、この赤字の地方の財政をどう再建するかということが最大の問題になってきておるというのが現状でございますから、そういう中で国家公務員よりも一割も二割も高い月給を払っておるというような状態が許されるものではございません。自治省としては、この数年来そういう基本的な考え方に立って、この地方公務員の給与の高い自治体についてはこれを是正するように強く指導をしてまいっておるわけであります。大分よくなってまいっております。しかしながら、東京都を初めとしてまだかなりの地方団体でそういった状態が残っておるわけでございますから、ただいま申し上げたような地方財政の置かれておる現状というもの、それから、これからどうするかという展望の中で、この問題に対しては一層厳しく是正の指導を進めてまいりたいと私は考えております。
#87
○与謝野委員 そこで、地方公務員の定年制の話に戻りますが、仮に八月に人事院からある程度の答えが出るというように仮定をいたしまして、次の通常国会に自治省としては地方公務員定年制導入の地方公務員法の改正案をお出しになる御決意あるいは御用意がございましょうか。
#88
○澁谷国務大臣 私は、基本的に、国よりも先行して地方公務員の定年制を導入するということについては消極的なんです。やる場合は、国と一緒にやる、こういう考え方を持っております。したがって、人事院の考え方が公にされて、それがやるという方向で出されると思いますが、それを受けて国もやるということになれば、私どもは、これと並行して、恐らくそれは次の通常国会になる公算が強いと考えておりますが、いつでもその事態に対応して法案を提出する、そういう準備を固めてまいりたいと私は考えております。
#89
○与謝野委員 その場合、考え方として、地方公務員法で全国の地方公共団体一律のある年齢の定年制を設けるのか、あるいは定年制を導入していいという、地方議会に任せる、あるいは地方公共団体に任せるという、そういう二つの方法があると思いますが、自治大臣の現在のお考えはいずれの方でしょうか。
#90
○澁谷国務大臣 御指摘のように、やり方はいろいろあるわけです。この点については人事院の見解がまだ明らかにされておりません。したがって、国の、国家公務員がこれにどういう方法で取り組むのかもまだもちろん明らかにされておらないわけでありますから、私は、人事院の考え方が明らかにされて、国がそれにどういう対応をするかということを見きわめた上で、地方公務員についてはどういう方法が一番適切であるか、そういったことで結論を出していきたい。現在はまだはっきりした結論を持っておりません。
#91
○与謝野委員 公務員部長にお伺いしたいのですが、前二回の法案の内容はどちらの方向でしたでしょうか。
#92
○砂子田政府委員 前二回の地方公務員法の改正に係る定年制の施行の問題は、いずれも公共団体の任意に任せるという法案でございます。
#93
○与謝野委員 そうであれば、別に国家公務員の定年制と連動しなくても、地方議会あるいは地方公共団体がそれぞれ判断をして決める問題として地方公務員の定年制を設けるということであれば、何も国家公務員がやらなければおれの方はやらないんだということではなくて、地方公務員の定年制をそれぞれの地方公共団体の任意に任せるということは、むしろ自治権の拡大だというふうに自治大臣はお考えにならないでしょうか。
#94
○澁谷国務大臣 この問題は、お説のように、それぞれの地方自治団体が自主的に判断をしてこれを採用する、採用しないを決めていくのが地方自治だ、こういうふうに私は考えます。しかしながら、いままでの経過を考えてみますと、そういうことでは実際問題としてなかなか実行に移せない、こういう事情のあることもこれは事実でございます。しかも、私が先ほど来からお答えしておりますように、日本の社会経済情勢全般の動向がいまや公務員の定年制の導入というものが必要であるという状態になってきたと私は考えておりまして、そういう実態を踏まえて国家公務員についても定年制を導入しようということはすでに閣議で決定しておるわけでございますから、そこまで来ておれば、私は何も半年や一年焦って地方公務員を国家公務員よりも先にやるというようなことはかえって波乱を起こす原因にもなりかねないわけでございますから、私は、国と地方と足並みをそろえて、そして定年制の導入に踏み切ることが適当であろう、こういうふうに判断をしておるわけであります。
#95
○与謝野委員 地方公務員の定年制の問題はここまでにいたしまして、次に東京都の問題です。
 大方の予想を裏切りまして、東京都の赤字再建団体転落は回避できたわけでございますが、そのとき自治省と東京都の間でなされた約束の内容について御説明を願いたいと思います。
#96
○森岡政府委員 当委員会でも、経過に関連いたしまして若干御説明した部分もあるわけでございますが、五十三年二月に東京都が提出されました財政健全化のための緊急措置について申しますと、各種の措置がこの中に盛り込まれておったわけでございますが、その中で、いわゆる目玉と私どもが認識をし、東京都自身もそういうふうに考えておられました定期昇給の延伸、これは実施されないで、五十三年三月に新たに自治省にお申し越しの財政の健全化のための措置の中では、定期昇給は復元をするということになったわけでございます。しかし、その他の項目につきましては、健全化計画で盛られた事項はほとんど実施をされました。
 そこで、五十三年三月に東京都からお申し越しの健全化のための措置の中では、いま申しましたように定期昇給の延伸は復元せざるを得ない、しかし別途職員定数の削減、四千三百数十人でございますが、を行うということ、それから給与改定の実施時期を繰り下げるということなどの五項目の内容の健全化のための措置をとる、こういう申し入れがあったわけでございます。
 私ども、東京都の財政健全化につきましては非常に関心を持っておりますし、また、首都東京都がいわゆる起債制限団体に転落するというようなことがあっては都民のためにこれはまことにゆゆしいことでございますので、何としても健全化の措置は徹底していただきたいというお話をいたしました。その結果、東京都といたしましては、そのほかに、先ほど来お話がありました退職手当につきまして、その合理化の措置を早急にやりたいということで、指定職につきましては速やかに切り下げを行う、こういうふうな申し越しがございました。それらを総合的に勘案いたしまして、私どもとしては、当面の健全化の措置として、定昇復元をなすったことは非常に遺憾だとは思いましたけれども、まあ東京都の誠意というものも私どもとしては了承いたした、こういう次第でございます。
#97
○与謝野委員 鈴木新知事が生まれましてから、自治省と東京都は蜜月時代に入ったんだろうと思いますが、鈴木新知事が持っております七月以降の予算というものは一千億しかありませんで、私どもの選挙区でも、いろいろな福祉施設あるいは幼稚園、保育所というところが、一体予算が来るのかどうかということを非常に心配をしているわけでございます。実際、七月から明年の三月までの残余の期間を運営するためには、一千億の金では常識的にとても無理なわけでございまして、自治省として、何か制度的な救済をされる用意があるのか、あるいは東京都からそういう面で特例の措置をとってくれというような要望があったのかどうか、あるいは制度的救済、特例措置といっても、他の地方公共団体とのにらみで、東京都だけに特別な扱いをするというわけにはいかないというふうに自治省はお考えなのか、いずれでしょうか。
#98
○森岡政府委員 私ども伺っておりますところでは、いま新知事のもとで六月に提案すべき補正予算を鋭意御検討のようでございますが、お話しの中にございましたように、留保されておる財源でこの年度内に適切な財政運営を行っていきますことは私どもも率直に言って非常に苦しいだろうというふうには思っております。しかし、東京都の財政の健全化を進めますためには、一つには、やはり東京都自身に血の出るような内部努力をやってもらわなければいかぬと私は思うのです。同時に、政府といたしまして、東京都の税財源につきましてあとう限りの措置を講じていく必要があろうかと思います。しかし、その場合に、いまお話がございましたように、東京都だけをねらい撃ちに特別の措置をとるというのは、地方財政全般の立場からいうとなかなか困難なことでございますし、また、そういうことがいいかどうかといいますと、私は消極的に考えております。
 いずれにいたしましても、東京都は補正予算編成等が済みましたら財政の状況を明確にして、都としてどういう措置を講じるか、また政府にどういう措置をとってもらいたいという要請をまとめて公にしたいという気持ちを持っておられるようであります。それらが出ました場合、それらが可能かどうかという点も含めまして私どもとしては十分検討いたしたい。まだ、こういう措置をとってもらいたいという御要望は現段階では出ておりません。
#99
○与謝野委員 自治省に対する質問は以上でございます。
 次に、建設省にお伺いしたいのですが、最近、都市の中小河川がはんらんをいたしまして、住民が非常に迷惑しているわけです。先日も神田川、妙正寺川がはんらんをいたしまして、新宿区、豊島区という東京の中心地帯で洪水があり、床上浸水もあったという状況でございますが、建設省の都市部における中小河川に対する対策は今後どういうふうにされるのでしょうか。
#100
○川本説明員 お答えいたします。
 最近、都市河川の災害が非常に頻発している、いわゆる流域の都市化に関連いたしまして河川の改修が立ちおくれているという実情がございます。そういった点を踏まえまして、五十二年度から始まっております第五次の治水事業五カ年計画におきましても、都市河川に重点を置いておりまして、中小河川の整備率が全体では一四%を二〇%まで上げようという計画でございますが、都市河川につきましてはさらに重点を置いて、二六%の整備率を四四%くらいまで上げようということで促進を図っておるところでございます。
#101
○与謝野委員 このはんらんの後、東京都から建設省に対しまして、この河川改修事業を促進するための特別な強力な措置をやるから、建設省も頼むという御要望はあったでしょうか。
#102
○川本説明員 先生御指摘ございました神田川水域につきましては、昨年の四月にも実は災害がございました。また今回、御指摘のように五月に災害がございました。そういったことで、最重点として改修を進めておりまして、工程的に申しましても、限度いっぱいのような仕事をいまやっております。私どもといたしましても、さらにそれを促進できないかというようなことも都と相談しておりまして、現在の見通しといたしましては、昨年の災害にかんがみまして、従来中小河川改修でやっておった一部のところを激甚災害の緊急対策の特別事業ということに採択もいたしまして、そういったものもあわせて改修を促進しておるところでございます。いま先生お話しございました東京都とも十分協議をして、今後さらに促進を図ってまいりたいと思っております。
#103
○与謝野委員 そこで、これは自治大臣の所管ではございませんが、災害救助法という法律、多分厚生省の主管でございますが、今回の洪水でも、私の選挙区の新宿区では浸水戸数が災害救助法の対象になって、災害救助法が適用になったわけですが、道路一つ隔てた豊島区側では、浸水戸数が災害救助法のミニマムに達しなかったということで災害救助法が適用にならないというばかげたことになっているわけでございます。東京都の行政区というのは、災害救助法などの場合は一律に適用していただかないとおかしいわけでございまして、そういう点をもし御了承いただければ、ひとつ厚生省の方にもお話しをしていただきたいと思います。
 次に、警察庁の方にお伺いしたいんですが、昨年から広域暴力団の抗争あるいはなわ張り争い、ピストルの乱射事件、殺人事件、こういうものがいろいろ相次いだわけでございます。せっかくつかまえた稲川組の組長が十日有余で釈放されるということもありまして、暴力団摘発に警察は相当力を入れておられると思いますけれども、現況はいかがになっているか、その点からお話しを願いたいと思います。
#104
○小林(朴)政府委員 お答えいたします。
 最近五年間におきます暴力団の対立抗争事件というのがございしまして、これの調べによりますと、五十年におきましては八十九件、これが一番多いのでございますけれども、五十一年に六十六件発生をいたしております。翌五十二年は二十八件、五十三年十八件というふうに、逐年減少はいたしておるわけでございます。本年におきましては、昨日現在でございますけれども、九件発生をいたしておりまして、これは昨年の同期とほぼ同数というようなことでございます。
 ただ、ここで問題になりますのは、対立抗争事件におきまして、銃器類を使用して人を殺傷するということでございますが、本年になりまして暴力団員が街頭で銃器を発砲した犯罪は、現在までのところ十件発生をいたしております。暴力団員がそれによりまして三人死亡いたしており、六人が負傷しておるということでございます。また他に一般市民二名も傷害を受けておるというような状況で、これは昨年の同期に比べまして五件ばかり増加をしておるというような状況になっております。
#105
○与謝野委員 暴力団の資金源というのは約一兆円、一兆円産業だと言われておりますが、その中で覚せい剤関係は一体どのくらいの割合を占めているでしょうか。
#106
○小林(朴)政府委員 覚せい剤の関係が一番多いわけでございまして、覚せい剤に関係するものは年間に推計いたしまして一兆円のうちで四千七百六十億円、大体四七%――これは一兆円と申しましても暴力団の中で金が動いたというものではございませんで、暴力団以外から入ってくる粗利益と申しますか、粗収入を言うわけでございますが、その中で大体四七%が覚せい剤の売買利益である、こういうような状況でございます。
#107
○与謝野委員 覚せい剤、マリファナその他の関係は亡国にもつながりますので、ひとつ今後重点的に取り締まりを強化していただきたいと思うわけであります。
 それともう一つは、右翼の動向でございますが、東京都内におりますと、最近の右翼の活動ぶりというのは目に余るものがあります。ソ連大使館、中国大使館あるいは国会周辺、新聞社その他の企業等に押しかけまして、きわめて威圧的な街頭宣伝活動をやっているわけでございまして、国際関係、あるいは他の方々の言論の自由、業務を遂行するための静ひつ、こういうものを全部壊しているわけでございますが、警察はどちらかというと右翼に甘いんだという話も一部の方々はしているわけでございます。また、たとえば日教組が集会をいたしますと、機動隊が三千人も出ていかないと右翼を鎮圧できない。ソ連大使館の周辺を見ましても、機動隊の相当数が日夜をたがわずこれの警戒に当たっている。労力も大変ですし、精神的にもあるいは予算の面でも大変なことであろうと私は思っております。特に右翼の方々が車の上に乗って、きわめて高い音量で街頭宣伝をしている。きわめて威圧的である。この点、現在の取り締まり法規がこれらの街頭宣伝活動に適用できないといたしましても、警察としてこれらを規制する法律があれば規制をしたいのか、あるいは言論の自由という立場からやむを得ないことなのか、あるいは新法が必要なのか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
#108
○柴田説明員 最初に右翼に対します警察の態度でございますけれども、実は私どもは決して右翼に甘いというようなことはないのでございまして、ただ、警察は不偏不党という立場でございます。したがいまして、いかなる者に対しましても違法な行為をやる者は絶対に看過しない、そのかわり違法に当たらない行為に対しては警察としてもいかなる手も打てない、こういう立場を貫いておるわけでございます。
 現に、去年一年間で違法行為を行いましたもの二百六十八件、四百四十六人の右翼を検挙いたしておるわけでございます。ことしに入りましてからも、四月末までにすでに六十一件、百五十五人を検挙しておりまして、警察といたしましては鋭意努力をいたしておるというところでございます。
 次に、特に御指摘の騒音の問題でございますけれども、この右翼の騒音の取り締まりにつきましては、御案内のとおりどうも有効な取り締まり法規がないのは事実でございます。私どもも、有効とは言えないながらも現在あります法規をフルに使って、いろいろな工夫をこらしてさらに取り締まりに努力を続けてまいりたいと思うわけでございます。
 ただ、特に御指摘を受けます国会周辺におきます右翼の騒音の問題につきましては、私どもも国会周辺の静ひつが保たれますように最大の努力はいたしておるわけでございますが、御指摘のような点でいま一つ法的な手段が少し乏しいうらみはあるように感じておるわけでございますので、そこらのところを今後さらに検討してまいる必要があるな、このように考えている次第でございます。
#109
○与謝野委員 国家公安委員長にお伺いしたいのですが、多分東京都の騒音防止条例等も、政治活動には使ってはいかぬというふうになっているはずでございますが、これだけの警察官あるいは機動隊員をお願いして、外国公館の周辺、国会の周辺あるいは日教組の集会等を警備しなければいかぬというのは異常だというふうに国家公安委員長お考えにはならないでしょうか。
#110
○澁谷国務大臣 正常な状態であるとは私は考えておりません。
#111
○与謝野委員 先ほど参事官からお答えがございまして、有効な法規がないということでございますが、有効な法規があった方がいいというふうにお考えでしょうか。
#112
○柴田説明員 私どもも、いま少し足りないところを何かカバーできるものがあればいいなと考えている次第でございます。
#113
○与謝野委員 それは道交法を強化するという考え方なのか、あるいは騒音を規制するということなのか、あるいはああいう威圧的な行動を規制するということなのか、いずれでしょうか。
#114
○柴田説明員 先生御案内のとおり、道交法には交通の安全と円滑という法の大きな目的がございまして、やはりこの問題は場所、態様を限って、端的に申しますれば、国会周辺というようなことになるのでございましょうが、そこらにつきまして何か特別な立法が必要ではないのだろうか、このように感じておる次第でございます。
#115
○与謝野委員 柴田参事官に具体的な例をお話し申し上げますと、国会周辺、外国公館の周辺ばかりでなく、一般企業あるいは新聞社等も非常に迷惑をしているわけでございます。これはいわば恐喝事件に発展するような事例もございまして、先日も簡単にお話ししましたが、こういう事例があります。
 ある民族系の石油会社が新宿区にガソリンスタンドを出したいと周辺住民と折衝過程に入った。そこの民族系の会社が中国原油を輸入するということを発表した。それを聞きつけました右翼がその石油会社の本社の前に参りまして、住民の迷惑を考えないで、ガソリンスタンドを出すことはけしからぬ、特におまえらは民族系の石油会社のくせに中国原油を輸入するということはもっとけしからぬ、こういうことを延々と演説をいたします。ボリュームが高いので会社の業務も円滑に遂行できない。決議文を読んで、これからでもおまえらが悔い改めない限り毎日でもやってきてここで演説をするということになりますと、会社の方は金で片をつけた方が早いという話になりまして、これは一種の街頭からの恐喝であると私は思うわけでございます。会社の方は驚いて、間に人を立てて四百万円の金品を右翼に払う、こういうことで街頭からのそういう威圧的な宣伝が一種の恐喝になっているわけであります。会社の方も、こういう問題が表ざたになりますと会社の名誉にもかかわる、さらに他の右翼からのいやがらせも入ってくるだろうということで泣き寝入りをするという事例が、私の知っているその一つの事例のほかに、恐らく数多くの事例があると思うわけでございますが、会社が告発する、告訴するということを待たずに、そういう情報に対しては警察の方で積極的に犯罪ありと思量された場合には捜査に着手をいたしまして、被害者からの届け出とか供述を待たずに、客観的なある程度の資料があれば、私は強制捜査をするべきだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
#116
○柴田説明員 いま御指摘のような、言うなれば暴力団まがいと申しますか、そのような者が行いました犯罪につきましては、私どももどんどん検挙してまいるつもりでございます。ただ、これは捜査の常道なんでございますが、やはり被害者のない犯罪というのはこの場合ないわけでございます。そういう意味で、私どもも大いに積極的にやるわけでございますけれども、ぜひ勇気をふるってと申しますか、被害を届けていただけると、私ども警察の立場といたしましては大変捜査がやりやすくなるわけでございますので、これはぜひそのようにお願いしたいと思うわけでございます。よろしくお願いします。
#117
○与謝野委員 最近の傾向は、暴力団からの落ちこぼれ組が右翼に行く。右翼、暴力団、総会屋がワンセットになってこの資金をつくっているという説がございますが、右翼と総会屋との関係はどうなっているでしょうか。
#118
○柴田説明員 御指摘のようなことで暴力団に対します警察の取り締まりが非常に強化されておるものでございますから、右翼団体を隠れみのとして逃げ込むと申しますか、そういうものがふえてきておるようでございます。これらのものに対しましては、暴力団担当の部門ともよく連携をとりまして、それらの者が行います違法行為につきましては、断固取り締まりをいたしますと同時に、悪質なものにつきましては壊滅まで追い詰めていくという覚悟で取り締まってまいりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思うわけでございます。
#119
○与謝野委員 統一地方選挙、東京都知事選挙の最終日に太田候補あるいは鈴木候補が新宿で街頭の最後の演説をしておりましたときに、サイレンを鳴らした右翼、候補者を持った右翼をも含めまして、右翼の多数が周辺に乱入をしたという事件がございましたが、相当数の右翼を検挙したと思いますが、その後の措置はいかがになっているでしょうか。
#120
○小林(朴)政府委員 当時五十五名の右翼の関係者を公務執行妨害で検挙をいたしまして、現在はすでに釈放になっておるという状況でございます。
#121
○与謝野委員 この六月に東京サミットがあるわけですが、一部の右翼は東京サミット粉砕ということで走り回っているようですが、東京サミットの関係で右翼の動向はいかがでしょうか。
#122
○柴田説明員 東京サミットに対します右翼の態度でございますけれども、大部分は静観あるいは賛成といった態度でございます。ただ、一部にこのサミットは結局戦後の日本体制、ヤルタ・ポツダム体制、YP体制と称しておりますが、これを強化することになるのだから反対であるといったような趣旨でサミットに反対しておる団体がございまして、すでにビラ張り活動等が行われております。これはだんだん迫りますとともに活発になってくると思っておるわけでございまして、私どもといたしましては十分警戒を強めながら、違法行為があれば十分取り締まりをしてまいりたい、このように考えて鋭意準備を進めておる、こういう状況でございます。
#123
○与謝野委員 成田空港も開港一年になりましたが、成田空港周辺の過激派の状況、そして東京サミットに向けての赤軍等の過激派の動向については、現時点ではいかが相なっているでしょうか。
#124
○柴田説明員 まず、成田の周辺におきます極左の状況でございますけれども、現在も周辺に百数十名がそれぞれのいわゆる団結小屋と称するものにたむろいたしまして、いろいろな活動を続けておるわけでございます。現に先月の二十日に開港一周年の記念日闘争があったわけでございますが、このときもこれらを中心に四千三百名ばかりが集まりまして、二期工事は絶対やらせないということで、次の闘争目標を二期工事に置きまして、さらに活動を強めよう、こういうのが成田におきます極左の現状であろうかと認識をいたしております。
 それから、東京サミットと極左の関係でございますが、極左は、この東京サミットは絶好の政治的テーマである、この東京サミット反対闘争を通じて八〇年代闘争への展望を切り開いていくのだ、こんなような位置づけをいたしまして、各セクトとも会議当日を中心にいたしまして相当な反対闘争が繰り広げられる見込みでございます。これまで四回ありました主要国首脳会議のどこでも見られなかった状況が、残念ながら東京で現出してくるのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましてもこの極左の違法行為を何とか抑え込みまして、東京サミットが無事に終了いたしますように、現在最大の努力をここへ集中して行っておる次第でございます。
#125
○与謝野委員 それでは最後に、自治大臣は、自治大臣としては列国の首脳をお迎えする立場にあるわけですが、国家公安委員長としては、この会議が無事に終了することを念じつつ、あるいはそのために努力をされる立場にあるわけですが、東京サミットに向けての国家公安委員長としての警備に対する御決意をお伺いしたいと思います。
#126
○澁谷国務大臣 言うまでもなく、東京サミットは日本始まって以来の国際的大行事でございまして、しかもその会議の持つ中身が世界経済全般に対して非常に重要な役割り、意味を持っておるわけでございますから、日本国政府としては、全力を挙げてこの東京サミットを成功に導かなければならぬ、このように考えております。そのためには、何といっても警備の万全を期するということが基本の条件でございますから、そういう意味でこの東京サミットの警備の万全を期するというわが国の警察に課されておる使命、責任はきわめて重大だと認識をいたしております。
 そういうことで、昨日も全国の警察本部長の会議も招集いたしまして、もちろんこれは東京警視庁が中心になるわけでございますけれども、極左集団なりあるいは右翼というものは全国に連動しておるわけでございますから、東京警視庁を中心に全国の警察が一致団結してこの東京サミットの警備の万全を期する、きわめて士気旺盛でございまして、不肖私はこの治安を担当する所管の大臣といたしまして、その先頭に立って私の全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。
#127
○与謝野委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。
#128
○松野委員長 午後は二時より再開することとし、休憩いたします。
    午後零時五十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時開議
#129
○松野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 地方自治、地方財政及び警察に関する件について質疑を続行いたします。山本悌二郎君。
#130
○山本(悌)委員 久々に質問の機会を与えていただきまして、感謝にたえません。
 私は、きょうは過日来問題になっております大光相互銀行の粉飾決算問題につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 ただ、最初に関係官庁あるいは皆さん方にお願いを申し上げておきますけれども、七百四十億という多額に上るものでございますので、地元の銀行としても非常に重要な問題を抱えております。一朝間違えば取りつけ騒ぎになるというような状態もあるわけでありまして、私どもはそういうことを望んでいるのではないのであります。できることならば、その方の手当てというか、処置というものは何とかひとつめんどうを見てやっていただきたいということをこいねがっております。また、そこで働く千二百数十名の従業員の方も真剣に再建に取り組んでおりますので、そのことはひとつ十分心得て対処をしていただきたいということを冒頭お願いいたしておきます。
 だが、しかし、それにいたしましても、航空機問題で松野さんが五億円もらったとかもらわないとか大騒ぎをしているさなかに、七百四十億にも上るいわば預金者から預かった金が不正な債務保証に回っておる。いわゆる記載されない裏金であります。そんなことが横行しておるということは、国民の一人としても許されないものであります。この問題は、毎日のように当委員会あるいは参議院でもいろいろな観点から御質問され、論議されております。あるいはまた、大光相互自身も一生懸命内部の問題を整理をされておられるようでございますので、大きくは二つの面から、小さくは細かきにわたって、時間の許す限りにおいて御指摘申し上げ、御答弁を賜りたいと思うのであります。
 端的に申し上げますると、七百四十億の債務保証という事態になったもともとの原因というのは、新聞、テレビで御承知のとおりでありますから、詳しい話は申し上げませんけれども、駒形前社長、いわゆる駒形一族とわれわれ言っておりますけれども、駒形一族の乱脈きわまる経営の実態が今日こういう問題を引き起こしたと覚えております。そこで、まずその点について、これも大蔵委員会で指摘をされておりますから、詳しい答弁は要りませんけれども、駒形一族の乱脈きわまる経営に対してどういう処置をとっていくつもりでいるか、大蔵省の方にお尋ねを申し上げます。
#131
○吉居説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘がございましたように、大光相互銀行におきましてこのような問題が生じましたことは、われわれも大変遺憾に存じておるところでございます。
 ただ、私どもことしの一月に検査に入りまして、このような事実がだんだんわかってきたわけでございますが、本件は先生の御指摘にありましたように、信用機関に関する問題でございますので、これが預金者の保護に欠けることのないように、また信用秩序の問題からも粗漏がないようにという点で、一たん二月末におきまして検査を中断している次第でございます。そして御承知のように、万全の措置をとって現在に至っておるところでございますが、そういう事情でございますので、まだ詳細について事実の解明が済んでいない点もございます。そういう意味で、今後なるべく早い時期に検査も再開し、なお把握すべき事情も十分把握してまいりたい、こう思っているわけでございまして、先生御指摘の旧役員の処分の問題という点につきましても、これらの事実の解明を待った上で適正な措置をとっていきたい、こう思っております。
#132
○山本(悌)委員 しさいにわたって調べておられることだと思いますが、わかっているところでひとつ御答弁をしていただいて結構だと思います。
 昨年の暮れ、それからことしの二月にかけまして赤字に転落をしているんですね。二十二億の赤字決算をしておって、そしていわゆる無配に転落をしておるのでありますから、もうすでにそのことは、この決算が出る前から相当わかっておったのではないだろうか、こう思うのです。大臣でなければ、なかなかそんな政治的な詳しい答弁はできないかと思いますけれども、事務屋さんとして見てどうでございますか。これは数年にわたっての問題だと思うんですよ。ことしの春二月あるいは昨年の暮れに起きた問題ではないのですが、いかがですか。
#133
○吉居説明員 ただいまお答え申し上げましたように、一月に入りまして検査をいたしたわけでございますが、本件が一体いつごろから発生したのかという点につきましても、まださらに十分調査を続けなければならない点がございます。
 ただ、いま申し上げられますことは、この三月期におきまして当然はっきりさせなければいけない点はすべてはっきりさしているわけでございまして、その結果約六十億円の不良資産の償却ということを行わざるを得ない。その結果、約二十二億円の当期利益での赤字を生ずる。そして、その結果また無配になる、こういうことになった次第でございます。
#134
○山本(悌)委員 私は、たくさんあるんですけれども、そこで一つ非常な疑問を持っているんです。それは、法律的に申し上げますと、こういうことになると思うんです。銀行法、相互銀行法によりますと、毎年ちゃんと検査をしなければならないし、そういう不正というか、怪しいものに対してはちゃんと大蔵省が検査をすることになっておりますね。ところが、政治的な観点からこれを見てまいりますと、四十五年以降、これも新聞にも出ておりますし、佐藤観樹委員も質問されておりますから、詳しくは申し上げませんけれども、田中元総理大臣が大蔵大臣のとき――同じ選挙区でありますよ。それからまた、昨年おやめになられた村山大蔵大臣のときまで、決してわからないでいた状態ではないと思うのであります。いかがですか。それは課長のあなたから言いにくかったら結構でありますけれども、私どもはそういう受けとめ方をしたいと思います。間違っておるなら間違っておる、いや、そうだというなら、そうだと言っていただきたい。
#135
○吉居説明員 お答え申し上げます。
 私ども監督官庁といたしまして、相互銀行の業務報告書というのを取っているわけでございますが、その詳細につきましては施行規則などに書いてございますけれども、私どもは、その業務報告書を受理するに当たりまして、内容については説明を徴しているわけでございますし、個々の相銀の業務の状況を、その限りにおいて把握するわけでございますが、本件のように、全く未計上というような債務保証につきましては、このような説明の徴求の過程では、われわれとしては全くうかがい知れないこういう性質のものでございまして、今回の検査を通じてその概容がわかった、こういう次第でございます。
#136
○山本(悌)委員 それでは、もう少し詰めましょう。
 課長さんにお尋ねしますけれども、いまこの時点で発覚をいたしました、わかりました、こういうことであるならば、銀行法違反、相互銀行法違反、証券取引法違反、いわば商法上の違反としてはこれは適用されますね。適用されませんか。
#137
○吉居説明員 相互銀行法の規定に不実の記載を行って欺罔をするというような場合の刑罰の規定がございます。本件がこれに該当するかどうか、その可能性もあると私は思いますけれども、先ほど申し上げましたように、まだ事実の解明あるいはその背景ということが十分調査されておりませんので、それらの結果を待って相銀法の問題についてどうなるかということを考えていきたいと思います。
 なお、有価証券報告書の問題等々の問題もございますが、これらにつきましても現在公認会計士の監査中というようなこともございますので、いずれこれらの解明を待った上でやはり関係各省庁において検討さるべき問題だ、こういうように考えております。
#138
○山本(悌)委員 大蔵省から派遣された大塚社長、今度またかわられますけれども、大塚社長は記者会見で粉飾決算になるかという質問に対してはっきり粉飾決算ですと言っているのですよ。粉飾決算ですと記者会見で言っているのだから、粉飾決算だということになれば、決算書類の問題はいろいろ残る、会計監査上の問題も残るかもわからぬけれども、それは粉飾決算として取り上げて監査をしているのでありましょう。違いますか。そうでなかったらこんな大きな記事になる必要はないのだ、七百四十億のそんな裏保証をしているなんというようなことが問題にならなくてもよかったのですよ。ところが帳簿上に記載をしてないということで問題になったからこそ粉飾決算の色が濃いし、またいまの大塚社長は粉飾決算ですと言っているのですね。違いますか。ここはあなたの職務をかけて答弁してください。これは重要なことなんです。そうでなければ――私これだけ焼き増しを持ってきていますから、全部これを見せますけれども、間違いだということになります。それなら新聞記者さんに間違いなら間違いだと皆言ってください。何でこんなでかい記事になったのですか。この後に続く質問の中に、それは重要なことなんですよ。大蔵省としては、どういうことなのか。
 それはまた同時に、――もう少し申し上げます。後ほど出てくる刑事責任の問題にも大きく影響してくるのです。何にもなかったなんというようなわけにいかないでしょう。違いますか。
#139
○吉居説明員 先生御承知のとおり、この債務保証それ自身は損益に直接関係するものではなくて、いわば有価証券報告書に記載されるバランスシートの上で支払い承諾とそれから支払い承諾見返りという両建て勘定がこの未計上部分だけ少なく表示されたというわけでございます。現段階では、この未計上であった債務保証につきまして過去において損益に影響を与える操作があったかどうか等も含めまして、詳しい事情を把握しておりません。そういう意味で、御質問の点につきましては今後の当局の検査やあるいは公認会計士の監査結果等を踏まえまして関係局において判断すべき問題だ、こういうように考えております。
#140
○山本(悌)委員 私、納得しません。じゃもう少し詰めてお尋ねします。
 大蔵省は四十八年に債務保証比率が高過ぎる、こういうことでその決算書に対して指示を与えておりますね。与えておりませんか。いわゆる通常取引先の企業から見ると〇・二%も保証料が高いので、それを下げなさいということを言っていると思うのですよ。それが一つあります。
 それからまた預貸率も非常に高い、こういうことも指摘をしている。
 そういうことで、もう明らかに四十七、八年ごろからこういう問題が起きていることは事実ですね。だけれども、今度明らかになった七百四十億というものは、それはそういう意味で検査をした結果が出たんだろうと善意に解釈してあげますけれども、もともとそういう問題を含んでおった。預貸率が非常に高い。たとえば大光相互銀行が八七・七%だと、第四銀行が、新潟の場合はメーンでありますけれども、七七・九六%、同じ相互で新潟相互が八五・八六%という、いわばかなり高い預貸率を持っている。預貸率は必ずしもこういう問題を引き起こすとは限りませんけれども、いわゆる預金量と貸し付けとのその差がはっきりしてくるわけでしょう。それが表向きそうであるのに、裏にまたそれに全然関係のないこういう問題が出てくるということは、私は大蔵省としても大きな責任を感じなければならないのじゃないかと思います。無論知っておったと思うのですよ。村山さんだってよく知っておったと思うのです。しかも、村山さんは大蔵大臣になる前までこの銀行の顧問をしておったんだ。選挙はどうのこうのなんて、そんなやぼったいことは私は申し上げませんよ。だからよく知っておったと思うし、同時にまた、知りながら――知りながらというのは変だけれども、一応そういう監査を受けておりながら見逃しておったというところにも問題があるかと思いますけれどもね。
#141
○吉居説明員 先生御指摘のとおり、昭和四十八年以降の検査におきまして、この大光相互銀行における債務保証の比率が高い、これを是正しなさいという指導を検査においても指摘し、また行政の段階においても指導をしてきているところは、先生の御指摘のとおりでございます。
 ただ、先ほどお答えいたしましたように、今回の検査を通じまして初めてこの概容がわかったわけでございます。もちろんまだ二月末をもって中断しておりますので、さらに詳細な事情を把握しなければなりませんけれども、ただ、これまで実はこの未計上の債務保証の事実が把握できなかったという理由として考えられますことは、この未計上の債務保証が、特定の役職員のみがこの問題を処理しておったと思われること、また保証料を徴求していなかったと推定されること等によるものでございまして、いま申しましたように、今回の検査を通じてこの概容がわかった、こういうわけでございます。
#142
○山本(悌)委員 そういうふうに課長さんがお認めになるということは、粉飾決算を認めたと私は理解をいたします。
 そうしますると、こういうことになります。特定の役員、いわば社長を含めた自分の側近の特定の役員が不実記載をしておる、あるいは記載をしない、そういう結果で債務保証がどんどん進んできておった、その中に、われわれもこれをいろいろ調べた中でありますけれども、債務保証をしている大口の会社が三十八社ですか、それから一族に、いわゆる社長自身が手をかけている会社に金を出しておるのが五社、合計しますと三百二、三十億ぐらいなものが出ておるのですね。おわかりになっておりますか、まだそこまで調べておりませんか。
 そこで、それじゃ大蔵省はその辺にしておきますが、警察庁の小林さん、いま大蔵省とのやりとりをお聞きになっておられたと思いますけれども、私どもはこの問題は、いま申し上げましたように駒形一族のそういう乱脈きわまる行為だと理解をいたしております。しかも、それは長期にわたってのものであります。早い年次では四十五、六年ごろからであります。いわば四十五年の前の駒形十吉社長が斉社長にかわるときのお家騒動から始まったのでありますけれども、しかし、その後の経営の行き方というものは決して芳しいものではなかった。それが今日こういう問題を引き起こしておるのでありますが、当然これはもう責めを負ってしかるべき問題だと思います。ということは、こんなことは子供の論議になるかもわかりませんけれども、銀行というのは人の金、いわゆるお客さんの金を預かって貸し付ける、それが業務であります。国からの金というようなことを言う人もおりますけれども、それであっても税金であります。ですから、一円たりとも間違いがあるとすれば、それは当然刑事的責任を負わされるのがあたりまえだと理解をします。
 そこで、いまのやりとりをお聞きになっておられまして、私時間が余りございませんから、限られた時間でできるだけ御質問をし、お答えをしていただきたいのでありますが、和田さん、それから佐藤観樹さん等々の質問も全部読ましていただきましたが、その中で私が疑問に思っているところを御指摘を申し上げたいと思うのです。
 第一点は、大蔵省の検査が終わらなければ捜査の開始をしないと御答弁をしておりますね。そういうことでございますか。そこらをお尋ねします。
#143
○小林(朴)政府委員 お答えいたします。
 前の大蔵省の方のお話にもございましたように、預金者の保護ということをまず第一に考えておるわけでございます。それから二番目には、行政官庁の検査結果というものを踏まえてやった方が捜査といたしまして競合して帳簿を取り合うというようなことにもならないわけでございますので、そういう意味とをにらみ合わせながら捜査をするという意味でございます。
 何もやってないかと言われることに対しましては、私どもはそういうものに直接手を下さない範囲で情報を収集しておるというのが現状でございます。
#144
○山本(悌)委員 大蔵省さん、それでは大蔵省の検査はいつごろまでに終わるめどでございますか。
#145
○吉居説明員 検査のことでございますので詳細は差し控えさせていただきますけれども、なるべく早く再開して、なるべく早く終わりたい、こう思っております。
#146
○山本(悌)委員 いまはやっていないのですか。休んでいるのですか。
#147
○吉居説明員 ただいまは中断中でございます。
#148
○山本(悌)委員 どうして中断をしておるのですか。
#149
○吉居説明員 先ほどお答えいたしましたように、二月末まで検査をしたわけでございます。その段階で未計上の債務保証が多額に存在するということがわかってきたわけでございまして、これに対して預金者の保護やあるいは信用秩序の維持といった観点から万全の策をとらなければいけない、これをまず先にやるべきだということで、その方にいわば全力を挙げて現在まいっておるわけでございますけれども、先般決算役員会も終わり、決算の案ということが発表された段階でもございますので、この後なるべく早い時期に検査を再開したい、こう思っているわけでございます。
#150
○山本(悌)委員 吉居さん、検査を休憩しているのでしょうけれども、休んでいる間に、あるいはまた休まなければならなくなったいろいろな事情があると思いますけれども、こういう問題が出て新聞に報道されるようになってから政治的圧力を受けているのじゃないですか、いかがでしょう。
#151
○吉居説明員 いま中断しておりますのは、全く先ほど申し上げましたような事由によるものでございまして、それ以外の一切何ものもございません。
#152
○山本(悌)委員 それでは警察庁の小林さんにお尋ねしますけれども、私が先ほど大蔵省さんとのやりとりの中でも申し上げましたけれども、幾つかのわれわれが知る範囲でのこういったいわゆる粉飾決算事件というのはかつてたくさんございました。銀行としては珍しいケースかと思いますけれども、そうなってまいりますと、私どもが知る範囲でのこの法律の適用を受けるというものはどんなものがありますか。
#153
○小林(朴)政府委員 ただいま決算に関係をいたしまして、全体的な決算に関係いたしまして虚偽の報告があるというようなことでございますと、相互銀行法だとか証券取引法とかいうようなものに違反をする問題が出てこようかと思いますが、そのほかに個々の貸し付けのケースと申しますか、そういうものに一般的に申しまして担保を設定された以上、あるいは担保なしで貸し付けたというようなものになれば背任のケースが考えられると思うわけでございます。これは背任罪になるか、商法の特別背任罪というようなケースのものが考えられると思うのでございます。
 その他一般的には、こういう銀行、金融機関の犯罪といたしましては、横領というようなケースもあるいはあるかとは思いますが、これは私どもの方が今後捜査を続けてまいってからのことであろうかと思います。
#154
○山本(悌)委員 そうすると、捜査の初歩の段階では当然銀行法あるいは相互銀行法違反、証券取引法違反、こういうことになりますね。
#155
○小林(朴)政府委員 もしそういうことが事実として把握できれば、私どもは証拠によって話をするわけでございますから、いま直ちに本件のケースがなるというふうに断定するのには、捜査をした結果でないとちょっと何とも言えませんが、そういう容疑がある、こういうことじゃなかろうかと思います。
#156
○山本(悌)委員 法務省の根來さん、おいでですか。大蔵委員会で御答弁をなさっておりますけれども、そういうにおいが非常に強いということでできるだけ捜査をさせるような発言をしておりますけれども、間違いございませんか。
#157
○根來説明員 私が、いま先生のお話あるいは新聞等の報道を前提にして、この事件を取り調べろとおっしゃれれば、いま警察庁からお話があったような証券取引法とか、商法とか、あるいは業務上横領とか、詐欺とか、そういうものを念頭に置いて取り調べると思います。
 ただ、誤解のないように申し上げますが、検察庁はこの点について現在は全く白紙でございますので、そういう具体的な罪名については、現在のところ検察庁としては犯罪の嫌疑を持って調査しておるということではございませんので、その辺御了察願いたい、こういうふうに考えます。
#158
○山本(悌)委員 そうすると根來さん、法務省としてはいつごろ検察庁に指示し、あるいは検察庁としても指示をし、いわゆる捜査の始動というか、開始というか、そういうものを指示されるのですか。
#159
○根來説明員 すでに御理解いただいておると思いますが、検察庁と法務省との関係というものは、原則的に具体的な事件について指揮監督は行わないというたてまえでございます。したがいまして、検察庁といたしましては、こういういろいろな情報あるいは新聞報道をにらみまして、適切な時期に関係官庁と協議をして適切な時期に捜査に着手するというふうにしか私どもとしてはお答えできないということでございます。
#160
○山本(悌)委員 小林刑事局長、いかがですか。まだその段階ではないとおっしゃっておりますけれども、むろんそれは帳簿を見るというような非常に膨大な仕事があろうかと思いますけれども、しかし事件がこれだけはっきりしているのです。しておって、しかもそのこと自体に対して駒形前社長も認めておるのですね。ただ刑事事件としてまだ呼び出されてもいないしなんというようなことを言っておるようでありますけれども、いかがなんでしょうか。警察庁としてはどういうふうな……。
#161
○小林(朴)政府委員 この事件のむずかしさというのは、生きておる銀行でございますので、先ほども申し上げておりますように、預金者の保護ということが第一の対策という形で、いま大蔵省も検査を休んでいるという話でございましたが、私どもの方もできるだけそういう銀行の業務に影響を与えない範囲におきまして責任を追及したいというのが大前提でございます。したがいまして、できるだけ早い機会に捜査をやりたいと思いますけれども、いまの段階は内偵、資料収集というような段階で来ておるわけでございます。
#162
○山本(悌)委員 そうすると、内偵をしながら、ひそかに調べながら資料を集めている、いずれ近々にはこれは着手する、こういうことで理解をしてよろしゅうございますか。
#163
○小林(朴)政府委員 いずれ監督官庁の方の検査結果も出ると思いますので、そういうものを踏まえまして捜査を開始するというようなことになるのではなかろうかと私は思っております。
#164
○山本(悌)委員 きょうは大臣――国家公安委員長おいでですね。
 私は率直に申し上げて、警察庁さんも大変そういう配慮をされて、銀行だから取りつけ騒動やその他そういう問題が起きては困るということで御配慮されていることは、ある意味ではりっぱだと思うのです、いいことだと思うのです。しかし、そうかといっていつまでも大蔵省が何か資料を全部整えてくれるまで、あるいはその間に、警察庁には恐らくそんな横やりは入っていないと思いますけれども、何か政治的な圧力があったりというようなことがあっては困るのでありますけれども、そんなことで捜査をしないということになりますと、これは大変な問題だと私は思うのです。最初にも申し上げましたように、大光相互が憎くて、銀行そのものが憎くて言っているのじゃないのです。地場の銀行でございますから、本当に育てなければならないと思いますけれども、余りにも乱脈がひど過ぎるのではないか。先ほど申し上げましたように、自分の一族に、あるいは自分のかわいい子分の取締役に全部会社を持たせて、あるいは関係させて、そしてそれにみんな裏打ちをしている。みんな知っていることなんです。こんなことはいつまでも続くだろうかなんて地元では暮夜ひそかにささやかれている事実がちゃんとあるのですね。そういうことがあって、今度はこういう問題が出てまいりましてもまだ何か奥歯に物がはさまったような形で、むしろそういう経理的な問題というのは大蔵省と会計士との間できちっとした経理面の整理をして、そして粉飾しているところあるいは不実記載しているところ、そういう問題を指摘してもらえばそれでいいのじゃないか。むしろ警察庁の方はするべきこと、そういう側がもう知っているようなことであっても、暮夜ひそかにやる必要はなくて、やはり呼んできちっと話を聞いて捜査を進めるべきではないかと思うのです。最初に申し上げましたように、もし村山さんとかあるいは田中元総理とか、選挙区から出ておりますいずれも大物でございますけれども、そういう人たちが無論かんでいると思いますよ。かんでいないなんということは絶対ないんで、かんでいるのです。この問題にかんでいるかどうか別でありますけれども、大光相互にはかんでいるのですよ。だから、かんでいるということがあって、そのことを何か考慮して先へ進まないということであったなら、これは許せないと思うのですが、刑事局長、どうですか。
#165
○小林(朴)政府委員 そのようなことは全然ございませんので、純粋な捜査の立場から私どもはこの事件を見てまいりたい、かように考えております。
 なお、検察庁と私どもの方との間におきまして近いうちに連絡の会議を持って両者で共同でやっていくという形をとりたいというふうに私は考えておりますので、早々にそういうような方向に進みたいと思っております。
#166
○山本(悌)委員 私に与えられた時間がもう過ぎておりますから、この辺で終わりますけれども、どうか、何度も申し上げますけれども、法務省さん、警察庁さん、ぜひひとつ――それもまた庶民の味方だと私は思うのですよ、率直に申し上げて。ぜひひとつ、悪は悪として、また善は善として、しかもそういう大衆の利益をちゃんと保護するような立場から、徹底的に追及をしていただくことをお願いいたしておきます。
 無論私どもも、できる限りの資料やあるいは情報は収集するつもりでありますし、機会がありましたら、皆さん方が手ぬるければ手ぬるいだけ、また御質問申し上げ、追及したい、こう思っております。
 本日はありがとうございました。これで終わります。
#167
○松野委員長 新村勝雄君。
#168
○新村委員 私は金大中事件について幾つかの点をお伺いしたいと思うのです。
 この問題は、事件発生以来、昭和四十八年ですから六年近くの時間がたっておりますが、依然としてその事件の真相が解明されていないし、また、国民の間にも多くの疑問を投げかけておるわけでありますが、まず国家公安委員長としての澁谷大臣にお伺いいたします。
 この問題の経過を概観して、所管大臣として、捜査当局の最高責任者としてどういう御感想であるか、まずお伺いしたいと思います。
#169
○澁谷国務大臣 本事件は、主権侵害というきわめて重大な性格を持つ事件でございます。しかしながら、それが韓国の公権力によって行われたかどうかという確実な証拠がつかめない、そのままで現在に至っておる、最終的な決着をまだ明らかにすることができない、そういう点では私どもきわめて遺憾に考えておるわけであります。
#170
○新村委員 依然として事の真相がわからないということでありまして、捜査は継続をされておると思うのですが、全体を通じてのわれわれ国民の印象からいたしますと、他の一般の刑事事件とはかなり性質も違いますけれども、捜査のやり方、この事件を扱う政府の態度全体をずっと通して見てみまして、国民の立場からは、何か捜査そのものにすっきりしない点がある、そういう印象がぬぐい切れない。また、一貫して厳しい刑事事件としての追及よりは、むしろ政治的な決着を最初から予想していたのではないか、また政治的決着にすべてを依存していたのではないかという印象があるわけでありますけれども、こういう点についてもう一回大臣のお考えをお願いしたいと思います。
#171
○澁谷国務大臣 本事件は、その真相が最終的に明らかにされないままに、御承知のような経過を経ていわゆる政治決着がつけられた、こういうことになっておるのはもう御案内のとおりでございます。
 しかし、私どもこの捜査の立場にある者としては、本事件についての捜査はいまだに続行しておるわけでございまして、何とかしてさらにこの事件の真相を解明するに足る新たな証拠というものをつかめないものか、そういうことでこの捜査を継続しておるということを御理解いただきたいと思うわけであります。
#172
○新村委員 そこで、幾つかの点についてお伺いしたいのですが、まず事件発生の当初において、いわゆる初動捜査の段階で十分でなかった点があるというふうなことが言われておるわけであります。たとえば、この事件が発生したのが四十八年八月八日の午後二時十四分、これに対して一一〇番の通報が二時四十一分にあった。ところが、現場に到着したのが三十一分経過した後、それから羽田空港、東京港に手配が及んだのが四十一分経過後、それから警察庁が全管下に緊急配備をしたのが六十一分経過後ということでありますので、私ども素人が判断をいたしましても、これは大変スローな配備ではないかと思うわけでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
#173
○柴田説明員 捜査の立ち上がりが遅かったのではないかという御指摘でございますが、本件は、誘拐という非常に特殊な事件でございまして、つまり、そこに被害者も加害者も全然おらないという状況が現場として残ったわけでございます。そこで、事実関係の確認に多少手間取ったということはあったようでございますけれども、ただ、実は第一報が入ることそのものが非常におくれまして、発生後の一時間十分後に第一報が入ったわけでございます。それから間もなく、一時間半後の二時四十一分でございますが一一〇番が入ってきた。一一〇番を受けましてからすぐ無線指令室から指令しまして、パトカーが現場に二時四十五分に着いておりまして、さらにその七分後には署長以下幹部が現場に到着するというような状況であったわけでございます。
 初動措置で検挙に結びつかなかっということは、私ども捜査の立場では大変残念であったわけでございますけれども、私どもといたしましては、非常に希有な事件、それだけに多くの教訓を残した事件ということで、詳細検討を加えまして、教訓を引き出すものは捜査の実務に教訓として生かしてまいりたい、このように思ってきておるわけでございます。
 ただ、当時の発生直後の感じとしては、警視庁としては相当やれるだけのことはやったというのが感触ではなかろうか、このように思っているわけでございます。
#174
○新村委員 現場到着が三十一分経過、それから全国配備が六十一分経過ということのようでありますが、この種事件といいますか緊急事態が発生した場合の全国手配あるいは必要な地域に対する手配、これは通常どのくらいの時間で行われるものでしょうか。
#175
○柴田説明員 現場到着は二時十四分という時間から数えますと三十分余り、三十一分後という形になるわけでございますけれども、実は一一〇番が入りましたのは二時四十一分なんでございます。
    〔委員長退席、佐藤(敬)委員長代理着席〕
その直後に、四分後に現場に到着をしておる、こういう状況でございます。この十四分に入りました電話につきましては、事実の確認と申しましょうか、非常に混乱しておりまして、一一〇番が入る時点まで、実際何が起こったのか、正確にわからなかった、その確認にちょっと手間取った、このようなことのようでございます。
 そこで、緊急配備にどれくらい時間がかかるかというお尋ねでございますけれども、これはやはり事態の確認をいたしませんと、つまり犯人はどんなような者であるか、現実にどんなことが起こっていたのか等が確認できませんと緊急配備の手配ができませんので、これはそのケースによりまして区々になってまいろうかと存ずるわけでございます。
 ただ、私どもといたしましても、この事件の教訓をも踏まえまして、いわゆる広域緊急配備というようなものも十分研究いたしまして、ことしも訓練を繰り返している、このような状況でございます。
#176
○新村委員 そうしますと、警察としては最善を尽くされたわけでしょうけれども、この事件についてある種の反省なり、不十分であったという点はお認めになるわけですか。
#177
○柴田説明員 現場は非常に混乱しておりました関係もありまして、初動措置が検挙に結びつかなかった、この点を私どもは残念だと思っておるわけです。ただし、あの事態の中においては警視庁としては最善を尽くしたもの、かなりよくやった、こういう感じで見てやっていただいてよろしいんじゃないんだろうか、私どもはこのように感じておるわけでございます。
#178
○新村委員 次に、問題になっておりますKCIAについてですけれども、当時KCIAの日本国内における活動の状況はどの程度に当局は把握しておられたのでしょうか。
    〔佐藤(敬)委員長代理退席、中山(利)委員長代理着席〕
#179
○柴田説明員 いわゆるKCIAにつきましては、いろいろうわさは耳にしておるわけでございますけれども、ただ、事件当時も、また現在も、その具体的な実態は全く把握をしておらないということでございます。
#180
○新村委員 当時は十分でなかった。その後、この組織については非常な世論の中で問題になっておるわけですし、現在もすでにアメリカの公文書の中にも見えているということで問題になっておるわけでありますけれども、それから現在までの五年以上の経過の中で、この組織についてどう認識をされ、調査をされていらっしゃいますか。
#181
○柴田説明員 御指摘のようなことは巷間いろいろ言われておるわけでございます。ただ、巷間言われるような実態であればあるほど、これはその存在を極度に秘すものと思われるわけでございますが、私どもといたしましては、何ら具体的につかんだものはないということでございます。
#182
○新村委員 それでは、次に事件が発生した当時の状況ですけれども、金大中氏の日本の滞在は、どういう態様あるいは法的な根拠によって滞在をしていたのか、これは通常の形ではなかったようでありますけれども。また、そういう状況の外国人というのは、通例はどのくらい毎年入国するのか、これを伺いたいと思います。
#183
○柴田説明員 金大中氏の日本滞在の形でございますが、これはその後私どもの捜査等によっても判明しておるわけでございまして、これはいわゆる入管令に基づきますところの特在許可というようなことであったようでございます。
 詳細につきましては、入管当局の方からあるものかも存じませんが、特に件数等につきましては、私どもはつまびらかにいたしておりません。
#184
○新村委員 ということになると、普通の旅券ではないわけですね。そうして、しかも韓国の政界の大物である。そういう人物が、通常の形ではなくて例外的な形で入国をし、そして滞在をしていたということに対する当局の警戒というか注意というか、そういった点についてはどのような配慮をなさっておられましたか。
#185
○柴田説明員 警察といたしましては、金大中氏の来日当時は、同氏の身辺に危険が迫っているといったような特異な情報は全く把握しておらなかったわけでございます。また、御本人からも何ら身辺警護の依頼がなかったのみならず、御本人は偽名でホテルに宿泊される、あるいは宿泊先を転々とされるといったようなことで、実はわれわれとしてもその所在をむしろつかみかねるという状況に御本人の方からなさっておったという状況でございます。
 さらに、たとえば外務御当局あるいは入管御当局等からも、金大中氏がそのような身辺事情にある警護を要するような特別な立場にある方というような通報を全く受けておらなかったわけでございまして、したがって警察としては格別な警護等は行っておらなかった。そこらはその後のいろんな調べで判明した状況でございます。
#186
○新村委員 申し出がなくとも韓国の政界の大物であるということはわかっていたはずでありますし、また、同氏が日本あるいはアメリカの間を往来していたというようなことも当然わかっていなければならないはずであります。仮に偽名であったとすれば、なおさらそこらを究明して注意をすべきであったと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
#187
○柴田説明員 金大中氏自身の御身辺がそのように非常に危機が追っておるということがわかれば、もちろん警察としてもほっておくわけはなかったわけでございます。そういう意味では、警察といたしましては、やはり金大中氏のお申し出と申しましょうか、御協力がぜひ欲しかったところだと思うわけでございます。
 そこで、私どもも当時入管から伺いまして、金大中氏の宿泊先というようなものにも実は捜査官を派遣してみたわけでございますけれども、いらっしゃらない。さらにその後の捜査によりますと、御本人は偽名でホテルを転々となさっておった、われわれの目から見えない状況になっておられたという状況なんでございまして、警察としてはそういう事情が迫っておるとは知らない、御本人があるいは御存じならば警察に知らせていただきたいわけですが、御本人もおっしゃらない、行ってみてもいらっしゃらない、こういうような状況であったわけでございまして、そこらをよろしく御了承いただきたいと思うわけでございます。
#188
○新村委員 通常、外国のVIP、大体金大中氏程度の大物ということになれば、これは在野であろうが権力の座についていようが、当然一定の注意をし、警戒をすべきだと思うのですが、外国のVIPに対する通常の注意あるいは警戒はどの程度になさっているわけですか。
#189
○柴田説明員 警護をつけますのは、主として身辺の安全という目的でございますので、したがいまして、情報的に身辺に危機が迫っている、危険である、何かあるかもしれないというようなことがない場合、あるいは御本人がちょっと身辺を警戒してくれないかというようなことをおっしゃらない場合、これはVIPの場合でありましても警護をつけない場合がよくあります。むしろVIPという言葉そのものがややあいまいかとは思いますけれども、相当の地位にある方の場合であっても、と申し上げておいた方がいいかもしれませんが、そのような場合でも警護をおつけしない場合は間々あることでございます。
#190
○新村委員 VIPについての警戒は全然なさらぬということはないわけだと思います。
 そこで、権力の座にある者についてはどの程度、あるいは在野についてはどの程度というような基準がおありでしょうか。そして、仮に金大中氏の場合にこれがわかっていればどの程度の警戒をなさったはずでありますか。
#191
○柴田説明員 通常つけます基準と申しますか、大体つくというラインは、外務御当局で御指定になります国賓、公賓でございますね、そこらのところが大体つくという基準になろうかと思います。
#192
○新村委員 次に、この種の事件はかつて日本でいつ、何回ぐらい起こっているのか、先例があったら教えていただきたいと思います。
#193
○柴田説明員 私どもが知る限りでは、わが国におきまして御指摘のような事例はほかにはなかったと思います。
#194
○新村委員 そうしますと、この事件について取り締まり御当局としては反省をなさる点、あるいは不十分であったという点が全然なかったのでしょうか。それとも、この場合でももう少しこういう注意をすれば未然に防げたというようなことがございましたでしょうか。
#195
○柴田説明員 これは先ほど来申し上げていますように、御本人の身辺にあのようなことが迫っておるということがわからなかったわけでございます。そこで、何ら警戒等の措置はなかった。
 それから、警察といたしましても、入管から御通知を受けたものですから、御本人にせめていらっしゃるところでも確認したいと思って行くわけでございますが、これまた全然いらっしゃらない。さらに、御本人か、あるいはいらっしゃらなくても電話でもあればまた何か手を打てる余地もあったのではないか。そういう意味では、私どもはやはり日本の警察を信頼していただきたい。そこらが大変残念であった、このようなことを感ずるわけでございます。そういう意味では非常に残念であったと思うわけでございます。
#196
○新村委員 そして、こういう事件が起こったわけですけれども、その後における事件の取り扱いでありますが、この中心的な課題は何といっても原状回復を図ることが事件の究明のためには絶対に必要であったわけでありますけれども、この原状回復についてどういういままで努力をなさり、またその結果はどうであったかということの概略を御説明願いたいと思います。
#197
○柴田説明員 被害者の方から被害の状況をお尋ねするというのは、これは犯罪捜査の第一歩なわけでございます。そこで、私どもといたしましてもぜひ事情はお聞きしたいわけでございます。このため、事件発生直後から、韓国に対しまして、外交ルートを通じまして、何とか被害者の金大中氏にもう一度日本に来ていただけないものかということで再三再四申し入れを行ってきておるわけでございますが、実現しないままに今日に至っておる、このような状況でございます。
#198
○新村委員 後になって金東雲一等書記官の指紋が発見されたということでありますけれども、これが確認されたのはいつでしょうか。
#199
○柴田説明員 金東雲元一等書記官の指紋が確認されましたのは、あの年の九月に入って早々でございます。
#200
○新村委員 その間かなりの時間があるわけですけれども、これは技術的にもっと早く割り出しの方法はなかったのでしょうか。
#201
○柴田説明員 これは捜査の実務といたしましてはかなりうまくいったと申しましょうか、時間経過それくらいでいけばかなりいいんじゃないかなという感じは実務的にはいたします。と申しますのは、現場からの指紋採取はそう時間はかからないわけでございますけれども、指紋は対照する指紋がございませんと合致ということにならないわけでございます。そこで、捜査的には対照指紋の入手というものにいつも非常に苦労するわけでございまして、そのために時間がかかることが多いわけでございますが、この場合はそこそこのところで入手できて合致を確認できた、こういう感じでございます。
#202
○新村委員 そして、この金東雲元一等書記官がKCIAのメンバーであったということがいま広く言われておりますけれども、この問題について事前にわかっていたと言われておりますが、その辺の事情について伺いたいと思います。
#203
○柴田説明員 私どもも捜査をしております中で、その犯行の動機あるいは背景等も当然捜査をすることになるわけでございますけれども、その中であるいは捜査的に判明してくることは将来はあるかもしれませんけれども、現在は、金東雲元一等書記官がいわゆるKCIAの要員だったということは捜査的には全く証拠をつかんでおらない、こういう状況でございます。
#204
○新村委員 これは仮にですけれども、好ましくない外交官が外国公館の中にいる場合、それは当然召還の要求というのか、国外退去の要求ができると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#205
○荒説明員 外国の外交官の着任の際でございますけれども、当該在京大使館の方から着任の口上書の提示をしていただくことになっております。その口上書と同時に旅券の提示も求めまして、それにより氏名、国籍、それから官職等を確認するということでございますけれども、それ以上の調査はやっておりませんし、国際的な慣例としましても、そういうのが各国ともやっておる方式でございます。
#206
○新村委員 好ましくない人物ということがわかった場合に、退去を要求することができると思いますし、それがそういうことがあった場合の普通の処置ではないかと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#207
○荒説明員 ウィーン条約に申します「ペルソナ・ノン・グラータ」あるいは「受け入れ難い者」ということで、金東雲元一等書記官についてもそういう措置をとっております。
#208
○新村委員 金東雲氏については、受け入れがたい人物として通告しておるということですか。
#209
○荒説明員 金東雲元一等書記官に関しましては、昭和四十八年十月二十六日付で「受け入れ難い者」ということで通報いたしております。
#210
○新村委員 次に、金東雲元一等書記官の指紋が確認をされたことによって、これは容疑が強く固まったと思うのですけれども、その引き渡し要求の経過はどういう経過をたどっておるのか、それを伺いたいと思います。
#211
○柴田説明員 この金東雲元一等書記官の指紋と、それから目撃者がありましたので、これで割り出したわけでございます。犯人グループの一人に間違いない、こういうことで、実は昭和四十八年九月五日に外交ルートを通じまして任意出頭を求めたわけでございますが、外交慣例ということで出頭を拒否されたわけでございます。
 金東雲元一等書記官は四十八年八月十九日に出国しておりまして、それ以来入国しておりませんので、警察としてはまだ同人の取り調べを行うには至っておらない、こういう状況でございます。
#212
○中山(利)委員長代理 新村君に申し上げますが、質問がよく聞き取れないそうなので、大きな声で……。
#213
○新村委員 こういう場合に犯人の引き渡しを要求するということは、国権の発動というか主権の発動ということで、国際間の慣例として、仮に条約がなくとも慣例として認められていると思いますけれども、それはいかがでしょうか。
#214
○荒説明員 外交関係に関するウィーン条約の第三十一条におきまして、外交官につきましては「接受国の刑事裁判権からの免除を享有する。」こういうふうに規定されております。
#215
○新村委員 そうしますと、外交官の場合には免責をされるということですか。
#216
○三宅政府委員 もちろん要求はできるわけですが、その大使館側としてウィーン条約に基づいて拒否できる。金東雲の場合は九月五日に任意出頭の要請をしたわけでございますが、そのときに韓国大使館側は、金東雲は全く関係がないということで拒否したわけでございます。
#217
○新村委員 関係ないということは、これは言えないと思うのですけれども、指紋の確認されたその後における交渉の中で、それで引き下がってしまうわけですか。
#218
○三宅政府委員 私が申し上げたのは、その中身をわれわれがどうこうという前に、外交特権として向こうが拒否したということでございます。
#219
○新村委員 その外交官が容疑の事実があるという場合でも、それは国際慣例として認められることですか。
#220
○荒説明員 先ほど申し上げました外交関係ウィーン条約の解釈といたしまして、そういうふうに解しております。
#221
○新村委員 そうしますと、外交特権というのは、犯罪もその中で免責をされるというふうになるわけですか。
#222
○荒説明員 訴追ができないということでございます。
#223
○新村委員 そうしますと、その段階でこの問題は刑事的にはもうお手上げ、もう追及の法的な根拠はないということになるわけですか。
#224
○三宅政府委員 その後、金東雲は韓国に帰りましたものですから、日本側といたしましては、いろいろな捜査の資料を提供してもらうように韓国に繰り返し繰り返し要請したわけでございます。
#225
○新村委員 そうすると、それは犯罪を犯してもそれで追及できないということではなくて、それは外交のルートとしては、一応のそういうルールがあるけれども、刑事事件として日本の国権の作用としてこれを追及することはできる、こういうことになると思いますけれども、警察御当局はいかがお考えですか。
#226
○三宅政府委員 必ずしも質問の意味を正確に把握しているかどうかわかりませんが、私たちはこの金東雲の容疑ということを指紋で――それで任意出頭を捜査当局の要求に応じまして外務省が要求したわけでございます。それに対しまして向こうは、本事件に金東雲は関係ない、したがいまして、そういうことを根拠にウィーン条約に基づく外交特権として出頭を拒否した。そこで、その後、金東雲が韓国に帰りまして、韓国内での捜査は続けられていたわけでございます。日本側といたしましては、もちろんこの事件の解明ということに努力しておるわけでございます。それとの関連で韓国側から捜査の結果を通報するよう、繰り返し繰り返し要求いたしまして、随時、報告を受けたということでございます。
#227
○新村委員 これは、外国公館あるいは車両の中というようなことではなくて、それを離れた、日本の一般の社会の中で起こされたわけですね。そういう場合でも外交特権を主張することができるのかどうか、お伺いします。
#228
○三宅政府委員 金東雲元一等書記官は、その当時韓国の在京における外交官であったわけでございます。したがいまして、その当時、外交特権を享受していたということでございます。
#229
○新村委員 外交特権を享受はしているでしょうけれども、それは外国公館を離れて、一般社会の中で特定の人間が犯罪を犯したということになれば、これはそれをもし外交特権ということでその中に逃れることができるのかどうか、お伺いします。
#230
○荒説明員 外交官の身分を失う、すなわち離任いたしますれば一切外交特権とは関係なくなる、こういうことでございます。
#231
○新村委員 そうしますと、この場合に、金東雲元一等書記官の犯行を日本の警察当局は追及できるわけでしょう。
#232
○柴田説明員 外務省の御専門分野なんでございますけれども、私ども捜査の立場から申し上げますと、金東雲氏が外交官の身分を保有しております限りは訴追ができないことになるわけでございます。ただ、金東雲氏が一般人になってしまった場合、これはまた別の問題でございます。
#233
○新村委員 よくわからないのですが、外交官であっても、個人が公館を離れて別のところでやっても、それは特権を主張できるのかということなんですけれども、これはできるわけですか。
#234
○荒説明員 そのとおりでございます。
#235
○新村委員 そうすると、金東雲を引き渡せという要求、それもできなくなるということにならないのですか。その要求です。
#236
○荒説明員 外交官である限りはできません、こういうことでございます。
#237
○新村委員 そういたしますと、警察御当局がこの引き渡しの問題についていままでおやりになったのはどういうことでしょうか。
#238
○柴田説明員 外務御当局の専門分野になってくるわけでございますけれども、相手方が外交官ではあるけれども応じようと言って、外交特権を放棄してくれれば、これはそれでいいわけでございます。
 それから、外交官である限りは訴追できないのですけれども、外交官でも、たとえば退職する、あるいは今度の場合、解職されるというようなことがありますと、それはまた別の議論もあろうか、このように存じます。そこで、私どもといたしましては、そういう立場でこれまでもいろいろお願いをしてきておる、こういうわけでございます。
#239
○新村委員 そうしますと、理屈ではなくて、この問題についての事実に即してたどってまいりますとどういうことかということなのですが、事件発生当時は、これは現職の外交官であった。その段階では引き渡しができなかったのか。その後、身分を失ったようでありますけれども、失った段階で初めて引き渡しを要求したのか、その事実の経過について伺いたいと思います。
#240
○三宅政府委員 九月五日に金東雲の任意出頭を要求したわけでございますが、先方が、再三御説明いたしました外交特権を理由に出頭を拒否したわけでございます。その後、十月二十三日に離任しておりますが、その後、ちょうど第二次決着との関連でございますが、一九七五年の七月二十二日に韓国側から口上書が参りまして、金東雲元書記官はその前の年、すなわち一九七四年の十二月三十一日付をもって公務員の地位を喪失した、したがいまして七四年十二月三十一日以降は一私人となっているわけでございます。しかしながら、片やこの七五年の七月二十二日に第二次決着を両国間でつけたわけでございます。確かに金東雲書記官につきましては、日本側としては、依然として容疑があったけれども、確実な証拠は得られていないし、韓国側はこれをいろいろと審査したけれども、これを裏づける最終的な証拠は得られなかった、しかしながら公務員の品位を傷つけることとして、公務員の地位を喪失せしめたという口上書が参ったわけでございます。このような韓国側の行為を日本側では一応評価いたしまして、今後新事実が出ない限り、日本側としては問題を提起しない、しかしながら、日本側では捜査は依然として続けるという第二次の決着を見た次第でございます。
#241
○新村委員 そうしますと、政治決着の中で、指紋が発見されたというような事実、これを中心とする容疑についても、これは一切そこで解消したということですか。
#242
○三宅政府委員 日本側といたしましては、その後も引き続き捜査を続ける。と申しますのは、一応韓国側の捜査というものにそれなりの評価は与えましたけれども、依然として真相究明という努力を続けたい。その捜査努力の結果といたしまして、新事実、公権力の介入を裏づける確固たる証拠が出た場合には、私は、すでに申しました外交的決着を見直し得るという了解になっている次第でございます。したがいまして、捜査は依然として続ける。決してあきらめているわけじゃございません。
#243
○新村委員 それはわかるのですが、指紋が確認されたというこの動かない事実というか、動かない容疑、これを政治決着の中でその事実は放棄したのか、その事態は放棄したのかということですが、その点はどうでしょう。
#244
○柴田説明員 捜査的観点からいまの点を申し上げますと、指紋が合致したという事実をわれわれは早い段階で韓国側へ通報いたしておるわけでございます。ただ、にもかかわらず韓国側としては、金東雲元一等書記官が本件に加担したという証拠は見出すことができないということで、捜査打ち切りの通告をいたしたわけでございます。非常にはっきりしているものがあるのになおというのは、非常に不思議に思われる点ではなかろうかと思うのでございますけれども、これは国が違う立場での捜査でございまして、したがいまして、私どもといたしましても、この点につきましては何とも言いかねる点ですが、しかしわが方は、指紋の合致については確信を持っておる、こういうことでございます。
#245
○新村委員 ですからお伺いしたいのは、そういう確証を持っているけれども、政治決着という政治のレベルでそれは解消されたというか放棄したというか、あれですけれども、そこで、一応その問題についてはもうないものにするということなのかどうかという点です。
#246
○柴田説明員 これは、捜査はあくまでも継続いたしておるわけで、現在も鋭意捜査は続けているわけでございます。
#247
○新村委員 いや、捜査は継続されているということはよくわかるのですが、指紋が検出されたということについて、それを根拠とする追及はしないということですか。
#248
○澁谷国務大臣 金東雲の指紋を確認した、したがって日本の捜査当局としては、金東雲がこの犯行に加担しておるに違いない、こういう確信を持って金東雲を取り調べたい、任意出頭してもらいたい、こういう要求をしたという説明を先ほどからしておるわけでございますが、外交特権のゆえをもってこれを拒否して出てこない、そのうち韓国へ行ってしまった。そうすると、韓国は言うまでもなく外国でございますから、日本の捜査権は及ばないわけであります。したがって、韓国の積極的な協力なしには、取り調べようとしても実際上取り調べる方法がないわけであります。まことに残念なことでありますが、国と国との関係でございますから、日本の国内で日本の警察が任意にどこでも調べられるという状態ではないわけでありますから、そこに基本的に大きな一つの壁があるということでございます。
 そして向こうは、先ほど答弁しましたように、日本からしつこくいろいろ照会し、要請をしたわけでございますから、金東雲元書記官について韓国の側でいろいろと取り調べをやったその結果、金東雲元書記官がこの犯行に加担したという明白な証拠がどうしても出てこない、したがって韓国側としては、金東雲に対する取り調べはもうこれで打ち切りにする、こういう通告が日本側に対してなされてきた、これが事実の経過でございます。
 したがって、日本の捜査当局としては、あくまでも金東雲について、これは指紋も出ておるわけですから、疑わしいと思っておるわけですから、取り調べをしたいと現在でも思っておるわけです。ところが、とにかく外国に行ってしまって手が届かない。そういう点で捜査当局としては、やりたいけれどもやれないというもどかしさを痛感しておるわけでございます。しかしながら 事柄が事柄でございますので、われわれ捜査当局としては、あくまでも捜査は断念しない、二十人ほどの専従の職員の体制を温存して依然として捜査を続行しておる、こういうことでございます。
#249
○新村委員 わからない点があるのですけれども、しようがないですね。
 そうしますと、金東雲元一等書記官に対する追及はまだ放棄していないということですね。それから、指紋が確認されたという容疑についても、その事実も依然として残っている。それを根拠として追及することも今後するのだということだと思いますけれども、それでいいのですか。
#250
○柴田説明員 そのとおりでございます。
#251
○新村委員 わかりました。
 それでは次の問題として、最近アメリカから発表された一連の資料がございますが、この新資料について十分に検討し、その評価をなさっておるわけですか。これは外務省にお伺いします。
#252
○三宅政府委員 アメリカからは百四十四点、三百三十ページぐらいの膨大な資料が参りまして、現在これをいろいろな角度から総合的に鋭意検討してございます。また、われわれといたしましては、アメリカ及び韓国に対して照会すべき点につきましては、現在照会しつつございます。それで、とりあえずの返事といたしましては、アメリカは、いろいろとやってみたのですが、現在までのところ、しょせんこの問題は日韓関係の問題であって、アメリカはこれに介入したくない、したがってノーコメントである。それから、特にこの百四十四点の資料の中のいわゆるスナイダー大使発の電報、これが一番重要と目されているわけでございますが、これにつき韓国側に照会したわけでございます。これに対しまして韓国側は、当時の金東祚外務大臣に聞いてみたけれども、記憶はない、それから当時の韓国の外務部の記録を当たってみたけれども、記録がない、したがってそれ以上のことは言えない、また実際問題としてこのようなことはあり得ないと思うというとりあえずのコメント、返事が参っております。もちろん、私たちはこの資料をさらに検討いたしまして、照会すべき点は今後ともさらに照会しながら、これに基づいた真相究明の努力を続けてまいりたい、こう考えております。
#253
○新村委員 このスナイダー文書を中心とする諸資料について 警察はどういう御感想を持っておられますか。
#254
○柴田説明員 これはかなり膨大な資料でございますし、また、いま外務御当局からお話がございましたように、現在外務省におきまして全体的な検討、調査を進めておられるところのようでございます。そこで、私どもといたしましてもその結果を踏まえさせていただいて、捜査的に慎重な、全面的な検討をしてみたいと考えておるわけでございます。
 そこで、いまとりあえずどうかということでございますが、とりあえずの感触で申し上げれば、特に重要と言われておりますいまのスナイダー公電の関係で、注目されている点が二点あるわけでございますね。一つは、あの事件の犯人の一人が金東雲元一等書記官であるという点、もう一点は、金東雲元一等書記官がいわゆるKCIAの要員であると書いてある点だと思います。
 そこで、捜査的にこの二点をどう評価するかということでございますが、まず第一点の方は、先ほど来申し上げておりますように、この電報で指摘を受けるまでもなく、まず私どもの方でのっぴきならない証拠をつかんでおるわけでございまして、そういう意味では新たなものではない、このように思います。
 それから第二点の、いわゆるKCIAの要員であるという点は、これも実はこれまで、いろいろな万がいろいろな角度から言ってこられた点なのでございまして、私ども、その際に毎回申し上げておるわけでございますけれども、そういう結論ではなくて、なぜそう言うのかという手がかりが欲しいのだ、こういうことを申し上げてきておるわけでございますが、残念ながらこの電文にも、いまのところその手がかりのようなものは認められない、こういうわけでございまして、この重要な二点を中心にして、とりあえずの感触といたしましては、残念ながら新たな手がかりを与えるものではない、このように見ておるわけでございます。
#255
○新村委員 外務省にお伺いをいたしますが、外務省には現在、この事件を解明するに足るそのほかの資料は全然ないのですか。
#256
○三宅政府委員 この資料以外にはございません。
#257
○新村委員 これは新聞報道等によると、外務省はアメリカの発表によって大変困惑をしているというような報道もございますが、外務省の立場あるいはこれは日本の政府の立場といってもいいのでしょうけれども、こういうことが、この事件が解明をされ、場合によってはこれは主権侵害だということが明らかになることは政府としては困ることなんでしょうか、あるいは喜ぶべきことなんでしょうか。
#258
○三宅政府委員 外務省としては困惑しておりません。実はこの電報が過ってと申しますか、アメリカ側の説明によりますと本来秘であって渡すべきでないものを情報の自由化に関する法律に基づいて渡してしまったということで申しわけないという通報を受けましたけれども、それはアメリカが本来渡すべきでなかったものを渡してしまった、そういう手続上のミスをして申しわけなかったという話がありますが、われわれはそれはそのものとして受け取っております。外務省といたしましてあくまでも真相を追及するという観点で別にこの情報に困惑しているというふうなことは全くございません。
#259
○新村委員 困惑してない。そうしますと、外務省としては、これは外交上の秘密はもちろん全然ないとは言えないでしょうけれども、外交上の秘密といえども国民に対しては極力その範囲を狭めて、できるだけ情報については国の基本的な利益を害されない限りは公開するという姿勢がおありですか。
#260
○三宅政府委員 外務省といたしましては公表して差し支えないもの、内容的に差し支えないもの、特に相手国政府との関係を十分配慮いたしましてその都度新聞その他国会で報告させていただいています。
#261
○新村委員 それでは最後ですけれども、大臣にお伺いしたいのですけれども、最終的な評価はまだ終わっていないというようなこともございましたが、今回の文書あるいはこれからまだ発見されるかもしれないわけですけれども、今回の文書について大臣はいまの御感触としてこれは政治決着を見直すに足るものであると思いますか、それともないと思いますか。
#262
○澁谷国務大臣 先ほど柴田参事官からお答えしましたように、内容は二つある。一つは、金東雲元書記官がその犯人であるということ。この点については、先ほどお答えしましたように、日本の捜査当局みずからが指紋という動かざる証拠を発見して、金東雲が犯人であるというふうに捜査当局は思って取り調べたい、こう言っているわけでありますから、これは新しい事実ではございません。
 問題はそのあとの方なんですよ。KCIAの要員であったということ。その後、金東雲がKCIAの要員であるということが明白な証拠で裏づけることができれば、これは韓国の公権力が関与しておるということになるわけであります。ところが、先ほど来からお答えしておるように、その韓国側は金東雲はKCIAの要員なんかではありませんと全面的に否定しておるわけでありますから、われわれとしては韓国側が否定しておってもその否定はうそであるということを立証できる具体的な証拠をつかみたい、こういうことでございます。ところが、それはなかなかつかめないで現在に至っておる。しかし、われわれはまだあきらめない、こういうことでありますから、その限りにおいてはいま言われておるスナイダーの公電そのものが、ああいうものがあったというだけで政治決着を見直すに足る新たな証拠というふうには私どもも受けとめておらないわけであります。
#263
○新村委員 最後でありますが、この問題については依然として国民も釈然としないと思うのです。そこで、捜査御当局におかれては、大変国際上の問題あるいは多くの制約条件があると思うのですけれども、ひとつ初志を貫徹されて、この問題を完全に解明をして国民を納得させていただくような御努力をこれからもぜひお続けいただきたいと思うわけであります。それから大臣におかれましても、そういうことで国民を納得させる、そしてこういう国際間の問題がうやむやのうちに葬られないようにひとつ国家公安委員長としても十分の御指導と御努力をいただきたいということをお願いいたしまして、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#264
○中山(利)委員長代理 小川新一郎君。
    〔中山(利)委員長代理退席、委員長着席〕
#265
○小川(新)委員 私は二、三当面の問題についてお尋ねをいたしますが、まず第一番目に秋田市の国民健康保険税条例にかかわる訴訟問題について若干の質問をいたします。
 国民健康保険というのは、もうこれは国民の大体八〇%ないし七〇%と言われているほどの加盟の中で国家的大きな推進の保険でございますけれども、この国民健康保険の料金を取ることそれ自体が税なのか料金なのか、これは定義的には一体どちらなんでしょうか。
#266
○土屋政府委員 私どもも地方税の形で、国民健康保険税という形で所管をしておる立場でございますから、国民健康保険事業そのものについて私がお答えを申し上げる立場にない点もございますけれども、基本的に、この国民健康保険事業というものは被保険者が自分たちの療養の給付等に要した金をそれぞれが負担し合うという形のものでございます。一部負担等がございますけれども、全体でそういった費用を負担し合うという形でございますから、本質的には料と申しますか料金的なものだろうと思っております。ただ、それについて負担する形が、現実的にも料で取る場合も、また税で取る場合も規定されておりますから、これはそういった制度上現に確立している以上はそういう税もあり得るということでございます。それは容認せざるを得ないわけでございます。
#267
○小川(新)委員 料で取るも税で取るもお金を払う側にとれば支出をすることには変わりはありませんけれども、料金と税金では本質的に違うのではないでしょうか。これは法的にはどう違うのでしょうか、法制局にちょっとお尋ねいたします。
#268
○茂串政府委員 お答え申し上げます。
 まず規定といたしましては、国民健康保険法の七十六条に 原則としては保険者は国民健康保険事業に要する費用に充てるために保険料を徴収するという規定がございますが、その同じ規定にただし書きがございまして、「地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。」というような仕組みになっておるわけでございます。
 そこで御質問の点でございますけれども、やはり国民健康保険税という形で賦課徴収いたします以上は、これは地方税の一税目としまして文字どおり地方税法の規定に基づきまして賦課徴収はされるわけでございますが、保険料という形で徴収いたします場合には、これは国民健康保険法の系統の規定によりまして賦課徴収がなされるということでございますが、いずれにいたしましても、先ほど税務局長が申し上げましたように、これはいわば国民に対して国民健康保険事業に要する費用に充てるための金額を強制的に賦課するという意味合いにおきましては、本質的には同じ性格のものではないかというふうに考えられます。
#269
○小川(新)委員 確かに国民健康保険もその目的を達するためのお金を集めることにおいては、同じ目的であっても、税として取る場合と料金として取る場合ではその内容が違ってくる、ここが秋田市を初めいま問題になっている事例でございます。
 去る四月二十七日に、国民健康保険税の税率、税額をはっきり定めていない秋田市国民健康保険税条例は違法であるという判決が一審でございました。
 秋田市のように、条例では確かに保険税という条例であって内容が保険料というやり方でやっている公共団体は日本全国でどれくらいあるのですか。
#270
○土屋政府委員 全国の市町村三千二百七十六団体のうちで国民健康保険税の実施市町村が二千九百八十四団体ございます。したがいまして、相当多数のところが保険税で徴収をしておるということでございます。
#271
○小川(新)委員 今回のように係争問題に発展して、裁判では確かに訴訟を起こした側、原告側が有利になりました。こういうことは地方自治団体に対して自治省としては当然指導していると思います。どうして地方公共団体がこの指導のとおり言うことを聞かないのでしょうか。それと同時に、こういうように係争問題になってどのように処分をなさるのでしょうか。これが一点です。
 二点目をあわせてお尋ねしますが、内閣法制局ではこの問題について法的根拠から見て違法性があるのかないのか、これはどうなんでしょうか。
#272
○土屋政府委員 国民健康保険税の税率につきましては、私どもといたしましては従来から国民健康保険税条例準則を示しているところでございまして、この準則によりまして税率は定率あるいは定額で具体的に規定するように指導してきておるわけでございます。
 ただ、秋田市の国民健康保険税条例は税率を具体的な形で定めていない、そういったことから憲法八十四条違反であるという判決が秋田地裁であったわけでございますが、私どもとしては、ただいま申し上げましたような準則に従って税率は定率あるいは定額で具体的に定めることが適当である、こういう指導をしておるわけでございます。
 それについて、なぜそうしなかったかというお尋ねでございますが、結果的には、御承知のように国民健康保険税というものは課税総額が確定した上で具体的な税率が決まる。要するに、その年の初めにおきまして療養の給付の見込み額というものをまず見込んで、それから大体この程度の予算を組めばよかろうということで予算に組んで、実際に賦課するのは七月ごろになりますが、課税総額が決まるのがそのころになるわけでございますから、ある意味では本当にぴったりとした税率が定め得るのは、その時期にならないとわからない。そういったこと等もございまして、確定的な定額、定率というような形ではなくて、こういった課税総額を何々で除して得た率とするといった形で自然的に出てくるような仕方をしているところがあるわけでございます。
 そういったことで、そういうものが私どもとしては当然租税法定主義に違反しておるというふうには考えておりませんけれども、自治省といたしましては、準則にも示しておりますとおり、納税義務者が容易にその税率について理解ができるような形で規定することが望ましいわけでございまして、今後ともそういった方向で考えております。こういった問題がございましたので、その点特にまた強く指導してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#273
○茂串政府委員 秋田市の国民健康保険税条例につきまして秋田地裁で過日租税法律主義の観点からする無効判決が出たことは私も承知しております。ただ、何分にもこの訴訟はいま控訴されておりまして、現在高裁において審理中のものでございますだけに、この地裁の判決について生々しい具体的な御意見を申し上げることは、恐縮でございますが差し控えさせていただきたいと思うのでございます。
 ただ、関連する事柄を一般論として申し上げますと、いわゆる租税法律主義の原則というのは御承知のとおりでございまして、単に租税の種類とか根拠を法律によって定めるということを要求するだけではなくて、納税義務者、課税物件、課税標準、税率等の課税要件をも法律で定めるべきことを要求するものと解しております。
 地方税について申しますと、これも御承知のとおりでございますが、地方税法三条一項において「地方団体は、その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定をするには、当該地方団体の条例によらなければならない。」という定めをしておりまして、これはまさに租税法律主義の原則の趣旨を体したものであるというふうに解されるわけでございます。
 しかしながら、この趣旨は、たとえば税率について申し上げますと、課税権者の恣意的な裁量が介入し得るようなものでない限りにおいては、必ずしも定率あるいは定額によって条例で定めなければならないというものではないわけでございまして、税目によりましては一定の算定方式によって条例で定めるということも許されないわけではないということが言えようかと思います。
 以上、一般論で大変恐縮でございますが、感想を申し述べた次第でございます。
#274
○小川(新)委員 係争中でありますから、どっちがどうという生々しい問題は避けるということでございますが、お聞きしておりますと、両面の言い分が法的根拠として示されておるわけでございますが、いずれにいたしましても、一審では秋田の地裁ではこれを認めているわけでございますから、私はいまの法制局側の見解を憲法違反、法律違反というふうに解釈せざるを得ないのでございますけれども、自治省はこれついて明確にしておかないと今後ともこういう問題が起きてまいりますから、これはやはり指導をきちっとしておかなければならないと思います。いずれこの問題が出た暁には、またまた問題が変わってくると思いますけれども、四月二十七日の判決が出ましたので、改めてこれからはもっと厳しい指導をなさるのですか。
#275
○土屋政府委員 最終的結論は、ただいま申し上げましたように控訴をしておりますので、その段階にならなければわからないわけでございますが、私どもとしては、結論としては憲法違反とは考えていないと申し上げたわけでございますけれども、現実問題としてこういった係争事件を起こしたという事実がございますので、これを契機にもう一回よく連絡をいたしまして、その点できるだけ明確にするように指導いたします。
#276
○小川(新)委員 次に、同じく憲法、教育基本法に触れた係争問題についてお尋ねいたします。
 教育問題でございますが、これもややこしい問題でございまして、先日、五月二十五日東京都中野区の区長が住民投票のもとに教育委員を選ぶという教育委員準公選条例を公布いたしました。御案内のとおり、教育委員は任命制でございます。その前はたしか公選制であったと思いますが、いずれにいたしましても、この任命制というのは非常に不明朗な点が多いのです。実はある市町村または都道府県といった公共団体の内幕を本当にわかっていただきますと、お互いの人脈の中で、おまえは農業委員の方へ出ろとか、あるいは教育委員の方にあれをしてしまった方がいいとか、必ずしも教育委員に適格な人物を任命されているとは言えない。政治的な人脈的な一つの争いの中、人と人との争いの中、また栄達を目的とするポジションの争いの中からお互いにその後がまを決めたり移したりするような傾向が非常に多くなっております。そういう大事な教育の荒廃という中でこういった地方公共団体の姿勢がいま問い直されて、大平内閣も、地方の年、また田園都市構想、定住圏、いろいろな地方中心主義的な、中央集権的考えを打ち破るための発想がいま方々で起きてきておりますが、政府、特に文部省とか、自治省、内閣法制局はこのような問題に対して一体どう評価なさっておるのでございましょうか、順次お答えをいただきたいと思います。文部省からお願いします。
#277
○加戸説明員 お答え申し上げます。
 先生のいま御指摘ございました中野区におきます教育委員のいわゆる準公選条例の問題につきまして、住民運動の対応の仕方ということにつきましては、それぞれ立法論という意味においては理解できる面がないわけではございませんけれども、現在の地方教育行政組織運営法の第四条第一項の規定によりますれば、教育委員会の委員は「人格が高潔で、教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する。」というシステムをとっているわけでございまして、この中野のいわゆる準公選条例は、住民投票を実施いたしまして、その結果を尊重して教育委員候補者を選ぶというシステムをとっているわけでございますので、地方教育行政組織運営法上地方公共団体の長の専属的権限とされております教育委員の任命権を侵す、この四条一項に違反する、そういう内容を持ったものであると同時に、現在の地方教育行政組織運営法がかつての教育委員会法時代の公選制から任命制に切りかえられた趣旨が、教育の場にあるいは教育行政の場に政治的中立を確保したいという観点からの制度改正でございました趣旨からいたしましても、私どもは地教行法に違反すると考えておるわけでございます。そういった観点から、この問題に対しましては、少なくとも法律に違反する条例ということにつきましてはきわめて遺憾に考えている状況でございます。
#278
○茂串政府委員 お答え申し上げます。
 御質問にございました条例につきましては、制定の過程におきましていろいろと論議があり、また経緯があったと伺っておりますが、法律的な側面につきましてはただいま文部省当局の答弁にもありましたような地方教育行政の組織及び運営に関する法律上の問題があると考えております。
#279
○澁谷国務大臣 立法論としてはいろいろな考え方は当然あるわけでございますけれども、現行法の解釈としては、ただいま文部省から答弁がありましたように、これはやはり法律に違反する条例である、私はこのように解釈いたします。
#280
○小川(新)委員 そこで、内閣法制局、文部省、自治省、ともに現行法からの判定ではそうでありますが、これに対して是正措置要求が当然出ると思います。自治省は地方分権、権限移譲、住民参加、個性のある地域づくりや人づくり、こういった問題でこういったあらわれが出てきたことに対して、好ましいことと思い、または好ましくないと思い、それに対する法的な是正や改正を考えておられるでしょうか、大臣。
#281
○澁谷国務大臣 教育という場で最も大事なことは中立性を守ることだと私は信じております。そういう観点から、戦後かなり長い間公選制で実施されておりました教育委員制度が現行の任命制、しかもそれは住民を代表する議会の同意を得て長が任命する、こういう現行組織に変わったわけでございまして、その最大のねらいは教育の政治的な中立性を確保するという点に最大の重点があった、こういうふうに私は理解をいたしております。この政治的中立性を守り抜かなければならぬという要請は今後ともずっと教育の中で守り続けられなければならない基本的な原則だ、私はこのように考えております。
 そういう点から考えますと、現在中野区で見られておるようないわゆる準公選制といったような運動の背景にいわゆる政治的な、政党が介入するというような動きがあるのかないのか、私ももう少し実態を調べた上で正確な答弁を申し上げたいと思います。
#282
○小川(新)委員 そういたしますと、こういう新しい住民の発想を中野区が取り上げてきたということで、当局としてはこれからいろいろと御調査をする、そしてその結果を公表する。そのことは、この委員会で大臣のお考えを改めて示していただけますか。
#283
○澁谷国務大臣 結構でございます。
#284
○小川(新)委員 私はそういうことを期待して、新しい大平内閣の地方政策を見つめていきたいと思います。
 次は、同じ教育問題ですが、学校主任手当制度の範囲の拡大、これは保健主任や研究主任などまで拡大していく考えがあるのですか。
#285
○加戸説明員 先生御指摘の主任手当の範囲拡大の問題でございますが、御承知のように、人材確保法に基づきます第三次改善の一環といたしまして、その前半分といたしまして主任手当制度を創設し、その後半分といたしましてすでに支給されております主任と同等程度の負担を課しております、あるいは勤務で御苦労をかけております主任に対しまして範囲を拡大していくという考え方で、国家公務員、国立学校の教職員につきましてはすでに昨年の七月一日以降の実施が行われておるわけでございまして、各都道府県の段階におきましても現在まですでに二十六県が範囲拡大を完了いたしておりますし、そのほかに十七県が範囲拡大の検討中、あるいは具体的にそういう方向に向かって作業が行われておるという状況でございます。
#286
○小川(新)委員 現在学校主任手当制度については日教組や野党の間でも反対が非常に多いわけであります。教員の主任手当拡大は、昨年十月二十六日文部省が、国立学校で主任手当の対象が二つの分野に拡大されたので公立学校もこれに準じて行うようにとの通達を出した。この通達に準じて全国一律の行政で押しつけるようなことは地方公共団体の主体性を失わせるのではないか、私はそう考えますが、自治大臣としてはいかがお考えでございましょうか。
#287
○加戸説明員 主任手当の制度といたしましては、主任が行います職務に着目いたしまして特別な手当を出すわけでございまして、すでに支給されている主任と同等程度の御苦労をかけているという観点で、国では教育主任並びに教育実習主任の二種類を範囲拡大したわけでございまして、すでに二十六県で範囲拡大されましたものについて調べてみますと、一般的には多種多様なものがございまして、それぞれ地域の実情に応じまして、たとえば研究主任であるとか研修主任であるとか、小学校の場合の生徒指導主任あるいは中学校におきます進路指導主任、高等学校では図書主任、いろいろな形でその地域におきまして連絡調整、指導助言の機能で負担をかけていると思われる方々についての手当拡大でございまして、画一的にそれを押しつけた形のものではございませんし、各県の地域の実情に応じた支給体系になっておると理解しておる状況でございます。
#288
○小川(新)委員 通達行政がいろいろな面でいろいろな影響が出ることはよく存じておりますが、時間が余りありませんので議論を深くできませんけれども、ひとつ十二分に御配慮していただきたいと思う点がいろいろありますので、大臣に特に御発言を求めたのでございますが、まだ御判断ができていないようでございますので、後日にこれは譲りたいと思います。
 同じく公立学校の養護教諭、これは公立学校管理規則によって保健の現場の中心者として働きながら保健の責任者である保健主事になれず、専門職ではない他の教諭が保健主事になってしまうという矛盾がありますが、文部省はこの規則を改めて養護教諭にも保健主事への道を開く考えはないのかどうか。
 たとえば学校教育法施行規則第二十二条の四第二項には「保健主事は、教諭を以つて、これにあてる。」これを少し改正いたしまして、「または」を入れて、養護教諭を充ててもいいというような文面に直せないかどうか。埼玉県の場合は、公立小中学校管理規則がこの法律に従って十五条の五でやっておりますし、同じく公立高等学校管理規則第九条の二の七でこれをやっております。
 でありますから、実態を申し上げますと、養護教諭の職務というものは直接児童生徒の生命にかかわりの深い健康、安全問題であり、学校保健の推進力になっておりますが、現在ほとんどの学校において保健主事が行うべき学校保健業務は養護教諭が行っているのが実情であります。実際の仕事は養護教諭がやっているわけです。しかしながら、学校保健に対する深い知識と専門の技能を持っている養護教諭が、経験も浅く、専門的知識も備えていない一般の教諭がなっている保健主事のもとで指導され働くという不合理な点はどう考えられているかということであります。
 埼玉県養護教諭委員会が県下の小、中、高等学校四百六十五名の養護教諭を対象にして行ったアンケート調査によりますと、一般の教諭がなる保健主事は、今年度初めてなった人が四六・九%、一年目でなっているわけですね。二年目の人が二〇・六%、三年目の人が一二・五%で、保健主事になって三年目までの人が実に八〇%になっている。これが全然経験のない一般の教諭の人が保健主事になっているわけです。そうして、ベテランである養護教諭がそのもとについて仕事をする。また学校保健計画の立案と実施を主にやっているのは、養護教諭が八一・七%に対し、いま指摘いたしました素人に近い保健主事は一六・九%の人しかその仕事をやり得ない。児童生徒の健康診断を主にやっているのは、養護教諭八四・〇%に対し保健主事はたったの二・三%であります。学校保健に関する行事を主にやっているのは、養護教諭が八五・三%に対し保健主事は一〇・四%であり、十五種類全体の保健業務のうち、養護教諭が主にやっている業務は八四・〇%を占めているのに対し、保健主事が行っている業務はわずかに六・八%という実態であります。こういう実態をそのままにしておくことはまことに不都合でございますので、養護教諭から保健主事になる道を開いてあげる、これは当然のことであると私は思うのでございますが、法改正の意図ありやなしやお伺いいたします。
#289
○加戸説明員 養護教諭は、具体的な職務といたしまして児童生徒の健康管理あるいは保健指導といった専門的な職務に従事する職種でございます。一方、保健主事の考え方といたしましては、これは学校の全職員あるいは学校医、学校歯科医その他薬剤師等の協力を得まして、全校的な学校保健計画の策定あるいは学校保健に関します全般的な管理という仕事に従事するわけでございますから、本来的な機能というものの違いはございます。ただ、もちろん保健の大部分を占めます事柄が養護教諭の職務に深い関連を持つことは事実でもございます。
 そこで、養護教諭について保健主事への道を開いたらどうかという声があることは事実でございますけれども、いま申し上げた専門的な職種と総括的な職種との違い、あるいは現在養護教諭自体がまだ全校配置には至っていないというような状況、あるいは現在の養護教諭の資質の問題についてこれをどのように向上させていったらいいか、そういった問題との相互関連の中で十分検討されるべき事柄だと思うわけでございまして、文部省といたしましては、まだこの問題についての結論は得ていないというのが実情でございます。
#290
○小川(新)委員 いま私が実態を数字を挙げていろいろと御説明を申し上げましたが、そのような残酷なお答えは私は余り了解できないのでございますが、何らかの発展したお答えを求めたいと思います。
 また、これに対してどういうお考えが今後されるのか、自治大臣もお聞きになっておって、こういう実態でございますので、ひとつアドバイスまたは御援助方を期待するものであります。
#291
○澁谷国務大臣 ただいまの御質問を伺っておりまして、私は私なりに一つの判断を持つわけでございますけれども、私が文部大臣であったらこうしたいという考え方は持ちますけれども、私は自治大臣でございまして、文部行政の所管の大臣ではございませんので、私のそういった個人的な見解はここで表明いたしません。文部省として、御指摘のような実態があるようでございますから、さらに真剣に検討して取り組むように文部大臣に私からもお願いを申し上げます。
#292
○小川(新)委員 いまの大臣の心温まる言葉をひとつあなたは大臣にお伝えいただきたいのですが……。
#293
○加戸説明員 ただいまの自治大臣の御発言の趣旨は、文部大臣に十分お伝えしたいと思います。
#294
○小川(新)委員 内閣法制局の方、お忙しいのでこれでお帰りいただきますが、その前に一問だけお聞きしておきますので、この質問が終わったら退席していただいて結構でございます。
 地方自治体の宅地開発指導要綱の見直しについてでございます。これも非常に法律に抵触している問題でございますので、法制局のお考えをひとつお尋ねしたいのですが、これまでに全国三千二百五十六市町村のうち二七・二%に当たる八百八十五市町村で宅地開発指導要綱が制定され、生活環増の整備と乱開発の防止に取り組んでおり、さらに強化しようとする動きがありますが、八百八十五市町村のうち三百六十三市町村、四一%が三大都市圏の人口急増地域に集中しております。
 しかし、東京武蔵野市とマンション業者との訴訟問題に代表されるように、開発業者とのトラブルが生じたり、また要綱による開発規制が宅地供給不足を招いている一因であるとも言われておりますが、宅地開発指導要綱についてはどのような点を見直し、どのような点に行き過ぎがあるのか。またどのようにして指導していくのか。武蔵野市の水道供給禁止のいま係争中の問題でございますが、こういった法律に定められている以上の条例の厳しい開発要綱、こういうものについては、法制局としては法的根拠から見て見直しをした方がいいのか、行き過ぎなのか、現況のままではどうでありましょうか。
#295
○茂串政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のいわゆる行政指導の性格を有する宅地開発要綱等の問題につきましては、私どもといたしましても新聞報道を通じまして承知いたしておるつもりでございます。ただ、いわゆる先生御指摘の宅地開発要綱の中の、こういう点が問題があるのでこう直すべきだとかいう具体的な点につきましては、この席でお答えするということは、私どもの立場から申しましても、またその内容に必ずしも私熟知しておらないという点から申しましても御容赦をお願いいたしたいと思うのでございますが、一般論として申し上げますと、これはもう先生御承知のとおり、行政指導といいますものは、行政機関が一定の行政目的を達成するために相手方に働きかけまして、その任意の協力を得て意図する結果の実現を図る行為であると私ども心得ておるわけでございます。
 したがいまして、法律に定めがない場合にも行政指導が許されるといいますのは、それ自体もともと国民に義務を課したりあるいはまた国民の権利を制限することとなるような強制力を伴うものではない点に行政指導のいわば本質があるわけでございます。したがいまして、行政指導という名において事実上強制力を伴うというようなことになりますると、これは行政指導の範囲を超えるものであって、適法とはいえないという場合もあろうかと思います。一般論で恐縮でございますが、そういったいわば一般的な物差しに当てはめました上で個々具体的な問題につきましてそれぞれ検討を進められるべきであると私どもとしては心得ております。
#296
○小川(新)委員 そこで建設省にお尋ねいたしますが、昨年十一月十七日の住宅宅地審議会の建議の中に、根拠が明らかでない寄付や負担金を要求しているなどの行き過ぎがあり、公共施設の整備は自治体の負担でやるべきだ。罰則についても一部行き過ぎがあるのではないか。これは要するに武蔵野市の水道補給の禁止の罰則であります。また、五十三年度三百五十億円、五十四年度六百億円の住宅宅地関連公共公益施設整備事業費を今後ともふやすなど、地方自治体に対する財政措置を強化する必要がある。これについて建設省の御見解を承りたいと思います。
#297
○斉藤説明員 先生いま御指摘ございました点、順不同になろうかと思いますが、住宅宅地関連公共施設整備促進事業費の方でございますが、これは御案内のように五十三年、当初三百億という形で発足いたしました。これによりまして、主として三大都市圏におきます公共施設の整備を公共団体が行います際の負担の軽減を図ろうということで進めたわけでございます。その点につきましては、再度、五十四年度に入りまして充実を図りまして、今年度の当初予算では六百億という倍額になっているわけでございますが、こういう面での充実のほか、御案内のような立てかえ制度、こういうようなものもございます。いろいろな融資条件、立てかえ条件、こういうものの改善ということも進められているわけでございます。
 それと、もう一つ御指摘ございました昨年十一月の建議の内容でございますが、いろいろな部分について報告がなされているわけでございまして、その中にはいまおっしゃいました負担区分を明確にしろ、こういうような御提案もなされているわけでございます。そういう点につきましては、もう少し時間をかけながら、当然自治省の方とも御相談をさせていただきながら検討を進めていく、こういう状態でございます。
#298
○小川(新)委員 そこで私が聞いているのは、そういう問題でこの開発要綱やそういった行政指導が厳し過ぎるのではないか。しかし、財政の負担という問題については、自治省に意見を聞くこともなく、自治体側に意見を聞くこともなく、ただ単に建議をまとめて、いろいろなことをいま述べておりますけれども、地方財政の危機の中で地方自治体としては当然そういう開発要綱をつくってスラムを防いだり、財政的措置を講じたりせざるを得ないという状態がありますので、この開発要網というものは建設省の一方的な建議や指導ではとどまらない。ただ、いま内閣法制局の見解では、行き過ぎや罰則があってそれが行政指導の範囲を超えた場合は違法である、こういうことをおっしゃっておりましたから、自治省としてはどうなんでしょうか。
#299
○澁谷国務大臣 この問題は、当委員会においてもしばしば論議された一つの当面しておる大きな問題でございます。それで、従来も私が答弁申し上げておるように、このいわゆる人口急増地帯、三大都市圏に一番多いわけですが、これは一種の異常な事態であるという基本認識を持たなければならない、通常でないわけですから。短期間のうちに人口が非常に急激にふえていく。そのために住宅はもちろんでございますけれども、関連する公共公益施設の整備をどうしても図っていかなければならぬという必要に迫られる。これを受け入れる人口急増地域の地方自治体、市町村の側から言いますると、いま言ったようにどんどん人口がふえていく、学校もつくらなければならない、幼稚園もつくらなければならない、道路もつくらなければならない、ところが、金がない、こういう非常に困った状態に追い込まれておるというのが人口急増地帯における地方自治体の実情だと私は思うのです。そういう異常な状態の中でいわば自分たちの自治体を防衛しなければならない、そういう緊急避難あるいは緊急防衛というような実情から行政による指導要綱というものをつくらざるを得なかった。そういう意味でいわゆる要綱行政というものを私は評価しておるわけであります。
 しかしながら、これはあくまでも行政指導でございますから、法律を超えるわけにはいかない、法治国ですから。これはしばしば当委員会で私も答弁したとおりでございまして、法律を超える行政による指導というものは見逃すわけにいきませんから、その点については是正しなければならぬと基本的に考えております。
 それで、それは法律論でございますけれども、行政の実態からいって、この問題を解決するにはどうしたらいいか、これを解決しないことには問題の解決にならないわけでありますから、そのためには基本的にこの人口急増地帯における地方自治体の膨大な財政需要といったものに対して国がもっと積極的な対応をしなければならぬ、こういうふうに私は考えておるのです。これはもう率直に認めなければならぬと思いますが、この点に関する政府の対応策が非常におくれておる、不十分である。しかし、幸いに、ただいま建設省から答弁がありましたように、昨年三百億、ことし六百億、こういったいままでになかった新しい対応策も生まれてまいりましたし、私ども自治省としては、もちろんそれだけで決して十分でございません、これはもっともっと予算をふやさなければなりませんし、建設省だけではなしに厚生省あるいは文部省といった関係省ももっともっと補助対象の拡大であるなりあるいは補助率の引き上げであるとか、そういった各般にわたって政府の対応策をもっと充実させなければならぬ、こういう基本的な考え方に立って建設省とも十分話し合いを続けておる、こういうことでございます。
#300
○小川(新)委員 建設省側がよく予算をつけたこと、しかしそれ以上に行き過ぎを是正する方へ頭を使い過ぎますと、いろいろな問題が出てまいりますので、いまの自治大臣の御答弁とよくマッチした考え方をお願いしたいと思います。
 そこで私は具体的な例を建設省と自治省にお尋ねいたします。
 私の住んでおります埼玉の伊奈町というところ、大宮市のすぐ北部でございますが、この伊奈町の北部土地区画整理組合の保留地の公売に投機買いが入った。五十三区画売り出されたのでございますが、五十三区画の土地を買うのに二千四百人の人たちが押しかけまして、入札を行ったわけですが、当初三・三平方メートル、一坪当たり十一万五千円から十四万三千円という条件であったのが、一挙に最高三十八万余円の値がついた。この伊奈町は東北新幹線、上越新幹線、東北高速道路、こういった高速道路や新幹線の用地をどうしても取得しなければならない国鉄また埼玉県は、このためにこういう公共用地取得の予算が大幅に上がってしまった。私も住んでおりますが、ここは陸の孤島と言われておりまして、大宮にわずか六キロか八キロ、その間に国鉄の駅がない。そういったために大体坪八万円か十万円ぐらいで取引されておったのが、福永健司運輸大臣の時代に新幹線を通す見返りとしての通勤新線、そしてこの伊奈町から大宮に新交通システムをつくるということを約束しました。そのためにモノレールをつくるとか、ガイドウエーバスを通すとか、いずれにしても地域住民の反対を抑えるために大きな交通総合システムの中に組み込まれました。そのためにきのうまで一坪わずかに八万円足らずであった土地が一挙に十四万円にはね上がった。それがさらに入札をしてみたら三十八万円に上がった。畑知事もびっくりいたしまして、記者会見を行いました。これは国土法に従ったところの指定を行って、伊奈町の地価が高騰することを抑える。この国土利用計画法で地価が急上昇するおそれがあると認めた区域、規制区域、これは都道府県知事に権限をゆだねられております。日本全国で、この国土利用計画法で規制を受ける規制区域というものが現在どこかで発動された事例がございますか。
#301
○下説明員 国土利用計画法に基づきます規制区域制度につきましては、現在までのところ発動された例はございません。
#302
○小川(新)委員 坪単価が一晩に二十万円も上がってしまったような土地、これが地価高騰の引き金になってしまったのですが、企業や大会社が名義を変更して自分の利益追求のために入ってきたということが新聞に報道されております。私はきょうは何もその企業を追及するためにやっているのではなくて、私が一番聞きたいのは、建設省の計画が示されたために、その地域の付加価値が上昇して、たった一晩に土地が一挙に二倍も三倍もはね上がるようなところこそ、いま言った国土利用計画法の規制区域に該当するのではなかろうかと思うのですが、いまお聞きいたしますと、日本全国でこういう法律がありながら一つも発動されていない。これは地価高騰を抑えるブレーキになる法律は一体何のために動かないのでしょうか。
#303
○下説明員 この規制区域の制度は、地価が非常に高騰する、と同時に土地の投機的な取引が非常に盛んに行われまして国民経済上非常に弊害を及ぼすという事態に対処いたしまして、緊急非常の措置といたしまして、一定の区域を限り、かつ年限を限りましてそこの区域の土地取引を許可制にかかわらしめる、そういう趣旨の制度でございます。
 この伊奈町につきましては、先生御案内のとおり昨年の新交通システム構想の発表以来、地価の高騰あるいは取引の活発化というような問題が懸念されましたので、私ども埼玉県とも密接な連携をとり、埼玉県におかれましても、この地域につきましては特に濃密な監視のための調査を行っていただいておるわけでございます。
 いままでのところ、地価につきましては、気配として若干高いというようなことは言われておるわけでございますけれども、現実の取引を埼玉県の調査されたところで見ますと、そう異常に高いものはない、また取引が投機的になっておるという兆候も特に見当たらないということで現在まで来ておったわけでございます。
 いま御指摘の区画整理の保留地の売却に絡みまして若干のトラブルがあったわけでございますけれども、これも私どもが埼玉県から承っておりますところによりますと、今回の保留地処分が四回目でございまして、前三回は値段も非常に安定しておりましたし、また逆に売れ残りも出たというような状況がございまして、区画整理組合の方で、今回は最後の売却でもあり少し広告等に力を注がれたというような状況もあったようでございまして、現在これをもってなお投機的な取引が活発になってきたというふうな断定を下すのは早計ではないかという判断を私どもも埼玉県も現在のところではしておるわけでございます。ただ、こういう状況でございますこの地域が監視を要する地域であることは否めないところでございますので、埼玉県と連携をとりましてさらに監視を強化いたしまして、必要があれば時期を失せず規制区域が発動されるように対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#304
○小川(新)委員 大臣、私の話をよく聞いていただきたいのは、国鉄が入ってくる、バスが通る。大宮という埼玉県最大の都市にわずか六キロかそこらのところでそういうものがなかったから、いままでは競売して入札しても国民が、住民が、また業者が見向きもしなかった。新交通システムという公共工事が大量に投下されることが政府の国土利用計画で明確になった。そこで土地の価値が上がってきた。一晩に三倍になってきた。五十三区画を売り出す。一区画一人ですから五十三人しか貰えない。そうでしょう、一区画一人と言えば。その五十三区画に二千四百人も来るなんて異常じゃないですか。どうして建設省は私にそんなのんきな答弁をしておるのですか。余りにも人をばかにした答えじゃないでしょうか。三倍ぐらいなら私も容認します。五十三区画を売るのに二千四百人。あぶれて問題が起きて、競輪、競馬じゃないけれども大騒ぎした。機動隊が出た。どこにそんな騒ぎをするところがある。それほど土地の付加価値が生じたからこれだけの大騒ぎになった。しかも、そこには業者や思惑買いのメーカーが入っておるじゃないですか。私は名前を言いませんけれども、出ておるじゃないですか。しかも一晩に二倍も三倍もはね上がる。十四万円でも最高これだけもらえばもう結構でございます、近傍類地の取引価格も十一万円だ。それが三十八万円なんて値がついちゃった。だから、三十八万円が基準になって公共用地の取得に応じなければならないという、国鉄の試算によりますと、約百億円予算がオーバーになると言われておる。
 それは確かにこういった規制地域を指定するということは大きな政治問題も絡みますし、憲法で言う私有財産権の侵害にもなるでしょう。こういった問題を踏まえれば軽々に発動できないことはわかりますけれども、建設省は、地方自治体である埼玉県の知事に権限を移譲したから、こういった面はもう知事の責任管轄であるからおれは知らないんだと言うんじゃ、これは余りにも日本の土地の問題に対して不明確でございます。こういった面については何らかの指導を強制的にしなければならぬ段階に来ております。そのいい例が、その一週間後に川口の区画整理組合が売り出した土地、これが一挙に五十八万円にはね上がっちゃった。これはもっと殺到した。五十八万円ですよ。一般の土地じゃないのですよ。区画整理事業組合の保留地という公共性のある土地の売り上げが、川口は一坪五十八万にもなっちゃった。それは、伊奈町でさえも三十八万するのだから、川口ならこのぐらいだろうと値をつけてしまった。これをもってなおかつ土地の高騰というものにまだ水を差さなくてもいいと判断しているのならば――石油狂乱物価の時代、あの列島改造の時代がもう一遍来るようにいま石油危機がささやかれている。しかも公共料金の値上げが六月から殺到する。諸物価高騰の引き金はいつも地価が先導していく。卸売物価がはね上がってくることは地価の高騰と相まっている。こういった要素の中で当然何らかの措置を講じなければならぬ段階にいま来ております。これは地方公共団体の問題でございますし、知事の権限問題でございますので、自治大臣所管の問題でございますから、建設省、国土庁、埼玉県、――いな他の県ともそういうことがあれば御相談する、何らかの措置を講じなければならない時期がいま来ていると思いますが、いかがでございましょう。
#305
○澁谷国務大臣 お話を伺いますと、事態はもう正常な状態ではないというふうな感じがいたします。しかし、所管外のことについて私が余りはしゃぎ過ぎますとしかられますので、発言は控えますけれども、国土庁長官に私から御質問の趣旨を伝えまして、早急に検討してもらうようにひとつ努力をいたします。
#306
○小川(新)委員 確かに所管は違うのでございますが、法律を改正してまで地方公共団体の長、知事に権限を移譲したという問題で、これは自治省も注目してもらわなければならぬ問題であります。建設省、国土庁にはそれぞれの言い分もございますでしょう。しかし、私はいまの大臣――大臣、こうやって何か私から言われますといつも必ずお約束してくださいます。いままで余り例を見ない大臣の前向きの姿勢、私本当に感謝します。やはり閣僚会議やそういったところで大臣が発言なさるということは非常に大きな前進でございます、一官僚が言っているのではなくて最高の指導者が言っているのですから。自治大臣というのは総理になるべき人もしくは副総理格の人がなってもいいのじゃないか。それはなぜかと言いますと、地方制度調査会でも行政改革の問題で議論が出たのですけれども、どんなに地方自治体に国から権限や財政を移譲しようとしても、地方制度調査会で答申しても、一遍も実現ができない、ほんのわずかしか実現できないということは、その所管の大臣の力が弱いのではないかという学者の意見すらある。これはこの間の地方制度調査会で現実に出ておりますから後で議事録をお読みになればわかりますが、その中で学者諸公が言っていることは、自治大臣は副総理格の人がなるべきほど重要な位置にある、国と地方の財政の両輪論からいっても当然だ。その澁谷自治大臣は官僚のことをよく御存じ、またこういった行政に詳しい方でございますから、私はあえていま言っている、いろいろな問題をこうしてお尋ねしているので、どうかひとつ、おれの関係外であるというようなことでなく、御発言をいただきたいと思う。
 建設省か国土庁、何か言い分があったら言ってください。
#307
○下説明員 この伊奈町の問題、規制区域の問題につきましては、私ども、もちろん埼玉県知事の権限であるから埼玉県にお任せをするということではございませんで、相互に密接に連絡をとりまして情勢の検討をいたし、時期を失さないようにということでやってまいるつもりでございます。
 ただ、一点だけつけ加えさせていただきますと、伊奈町のこの問題でございますけれども、入札方式をとったということにも一つの問題があるのではないか。実は昨年の秋にもある地方自治体が公有地を売却いたしますときに、入札方式でやりましたところが、やはり相当希望者が殺到いたしまして、値段も予想外にはね上がったというような問題もございますので、この点につきましては、区画整理事業の御担当である建設省の方にお願いをいたしましてかねて指導していただいておったわけでございますが、今回の問題をきっかけといたしましてさらに指導を強めていただくようにお願いしておりますし、また建設省でもそういうふうにやっていただいておりますので、そういうことの成り行きもまた見守ってまいりたいというふうに考えるわけでございます。
#308
○小川(新)委員 ありがとうございます。入札制度よりも抽せん制にした方がいいという御意見でございますから、私もその方が問題を大きくしないで済むのではないかという考えの持ち主でございます。今後ともよろしく建設省、国土庁、自治省で埼玉県を踏まえた上で対処方をひとつお願いしたいのでございます。
 時間がなくなりましたので、あとの問題は読み上げますので、お答えをいただければ結構でございます。
 一つは、精神薄弱者の雇用対策についてでございます。
 地方の時代とは福祉の時代であると言われておりますからひとつよろしくお願いしたいのでございますが、現在厚生省が行っている福祉事業の中で、身体障害者のためには、五十名以上の働く能力のある人たちを対象とした企業性の強い身体障害者福祉工場の制度があります。これは身体障害者だけを対象としているものであり、精神薄弱者が対象になされていないのはなぜですかという問題が一点。
 次に、精神薄弱者に対する雇用対策については、厚生省は全く考えていないのかという点であります。厚生省の対策としては、社会福祉法人が行う精神薄弱者二十名以上の社会福祉施設、いわゆる通所授産施設、これは個人事業とか会社です。それから、精神薄弱者親の会がボランティア活動として行っている事業、これの十五名以上の事業に対しては、全国で四十七カ所、一カ所七十万円の助成を行っていると聞いております。しかし、民間の善意の企業で十人も二十人もの精神薄弱者を雇用しているところに対して援助する制度は全くないのかどうなのか、これが第二点目でございます。
 埼玉県の川口市にアポロン企業という会社がありますが、十年前から精神薄弱者を引き受けて、世間では全く相手にされない精神障害者を十六名も使っております。自動車の部品の加工やガラスびんの検査、川口市の町の真ん中でシイタケの栽培などを行っておるのです。一昨日、アポロン企業十周年記念のときの視察に私は行ってまいったのでございますが、精神薄弱者の施設である浦和学園の生徒も社会復帰の職場として見学に来ておりました。そこで言っていたことは、国や地方自治体の福祉事業に熱心に協力してもらっているこのアポロン企業のような工場にはもっと伸びてほしい、援助もしてほしいという趣旨で、私も心から賛同したのでございます。聞けば聞くほど大変な努力の中で十七、八名の方々を職につけて、世間でも親でも家庭でも相手にされない者を、この企業では、一人前とは言いませんけれども、とにもかくにも仕事につかせて生きる喜びを与えております。こういった精神薄弱者に対する雇用対策としての心身障害者多数雇用事業所、いわゆるモデル工場に対する特別融資制度がありますけれども、このモデル工場の基準は、従業員のうち身体障害者を常時五〇%以上かつ十人以上雇用する事業所となっております。これは身体障害者の例でございます。しかしこの場合、精神薄弱者を一人前の労働者として最低賃金法で定めた金額、たとえば毎月六万五千円以上支払うというような雇用関係のはっきりしたものだけが対象とされているように労働省では言っておりますが、実際は六万五千円は払えないという中で、援助として、身体障害者雇用制度としても事業主に対しては一力月一万三千円ないし一万五千円の奨励金が出ております。これを精神薄弱者にも幅を広げてあげられれば、六万五千円の最低の賃金以下で使うことは労働省としては許可をしないということであるならば、また採算が合わないという企業者の立場から言っても、身体障害者に一万数千円の補助金が出るのであれば、そういったモデル工場として指定ざれた場合に精神薄弱者にも拡大できないだろうか、こういうことで地方公共団体もいま非常に、川口や埼玉県でも注目をしております事業でございますので、この二点について関係当局から御意見を承ります。お願いいたします。
#309
○佐藤説明員 最初の二点についてお答え申し上げます。
 第一の御質問は、身体障害者に福祉工場があるけれども精神薄弱者の場合にないじゃないかという御質問でございます。
 この件に関しましては、身体障害者の場合、身体の障害は重度でございますけれども作業能力等については十分カバーできる人が相当多いということでございますので、その点ちょっと身体障害と精神薄弱の場合違っておりまして、いわば特性と申しますか、そういう形でもって工場をつくるということについてはやや消極的な形になっております。この点については十分検討はいたしておるわけでございますが、まだ踏み切れない状態でございます。
 それから、第二の精神薄弱者の雇用対策を考えないのかというお話でございます。
 先ほどお話がございました通所授産施設と、それからいわば親の会が中心となるグループ活動、通所援護事業、この二つでございますが、これは、一つはいわば職業につくための前職業的な能力を獲得する、あるいは必要な適応訓練を充実していくという形で実施しておるわけでございまして、この訓練段階を終わって雇用に結びつけていくという形でございますので、ストレートに雇用という形ではございませんが、そういうような努力の結果いまの事業をやっているということでございます。
 なお、先ほどお話が出ました雇用の関係の助成でございますが、これは労働省の方で何か出ているというお話も伺っておるわけでございます。
 以上でございます。
#310
○田淵説明員 労働省の方で助成できますのは一応使用従属の雇用関係がある場合に限られるものでございますので、少なくとも賃金台帳あるいは労働者名簿が備えつけられ、正当な労働の対価としての賃金が支払われなければいけないということになっております。
 ただ、いまお話がございました最低賃金の件でございますが、原則としては最低賃金以下で使用してはならないわけでございますが、労働能力等に問題があります場合は、労働基準局の許可を得ていただきますと最低賃金以下でも使用することが認められておりますから、そういう手続をきちんとしていただければ雇用関係があるなしには関係はないと思います。
 なお、雇用関係があります場合には先ほどお話ししたモデル工場融資制度がございますが、これも要件がありまして、私どもは精神薄弱者も身体障害者と同じように扱う要件に数えております。また納付金制度に基づきます助成金制度につきましても多数雇用事業主に対して五分の四の助成制度がございますが、これにつきましても精神薄弱者も身体障害者と同じようにカウントするという取り扱いにいたしておりますので、制度の趣旨を十分関係者に理解していただきまして活用をお願いしたいと思います。
#311
○小川(新)委員 大変ありがとうございます。関係者の方にはひとつよろしくお願いしたいのでございます。
 時間の関係で本当に申しわけないのですが、もう少し、五、六分でございますので、土地区画整理法について一点だけお尋ねしておきます。
 土地区画整理事業は、「都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため」有力な手法でありますが、公共用地の確保を用地買収しないで減歩によって生じた土地を充てることがいつもあります。そういった事業には年数が非常にかかる。これが施行計画年度は一体どのくらいなのか。一年から十年以内といわれておりますが、どういう実態になっているのか、これが一点でございます。
 第二点は、埼玉県内においても現在百七カ所の土地区画整理事業が行われておりますが、一例として挙げれば、埼玉県久喜市において久喜駅を中心として三つの土地区画整理事業が行われております。
 その中の一つ、久喜市吉羽土地区画整理組合の場合は、組合員の数が五百六十七名、区画総面積八十三・九ヘクタール、設立認可が昭和四十九年六月二十五日、施行計画年度が四十九年から五十六年度の八カ年、総事業費が約二十三億、平均減歩率が二一・八九%であります。そして、昭和五十一年十月に仮換地原案を発表いたしましたが、組合員の約六割に当たる三百四十二通の要望書が出され、それに基づき仮換地の修正作業を十数回にわたって行ってきましたが、完全な同意を得るに至らず、いまだに仮換地の措置ができない状態であります。その間、この久喜市吉羽土地区画整理組合は市から一億円、県から二億一千三百万円、市中金融機関から約一億円、合計四億一千三百万円の借金をして必要な事業費に充てておりますが、その償還期限がもう近づいておるのに、いまだに解決してない。先ほど私が申し上げました川口の区画整理組合の件、また問題になりました例の伊奈町の件、いずれにしても、この区画整理事業が都市計画の面で大きな貢献をなしていることは事実でございますとともに、また半面いろいろな影響や内面に問題を抱えております。組合の代表であります当整理組合の理事長も設立認可の四十九年六月二十五日以来三人もかわっておりますが、いずれも取りまとめることができないで、深刻な状態になっている。
 そこで私がお尋ねしますことは、もしもこの事業が現在の仮換地の指定にも至らず、借金だけ残して挫折してしまった場合には、その責任や借金の返済はどうなるかということであります。こういった事例は全国的にもあるのかないのか。
 また、仮換地の指定のおくれによる事業のおくれの影響は、吉羽土地区画整理組合だけにとどまらず、公共用地の取得ができなくなるわけであります。
 実はそのことで、久喜市が浄水場用地を特別保留地として買うことが決まっておる、また、昭和五十六年度から久喜市が利根広域水道から県水を買い、そのために必要な浄化施設をつくる、その他駅の移転とかいろいろな公共工事が約束されておるのですが、そういう面も全部御破算になってしまいます。その他、保育施設や学校施設の取得のめども立たなくなってしまいます。仮換地の指定ができなければ、一般保留地の公売もできず、組合財政の立て直しもできない。
 こういった行き詰まったような区画整理組合の実態調査の中で、私がお願いしたいことは、「国の貸付金の償還期間(四年以内のすえ置き期間を含む。)は六年以内、」「都道府県の貸付金の償還期間(三年以内のすえ置き期間を含む。)は五年以内とする。」ということを法律で定められておりますが、こういった面を何らかの面で改正ができないのかどうか。また、その対策を講じられるのかどうか。
 こういった面を踏まえまして、最後の質問でございますのではしょって全部読み上げて質問させていただいた御無礼をお許しいただきながら御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#312
○和田説明員 まず初めの御質問の組合土地区画整理事業が大体何年くらいかかっているかということでございますが、最近五カ年間に土地区画整理事業としまして認可したものの実績で見ますと、組合土地区画整理事業の施行期間につきましては一年から四年までのものが九・七%、それから五年から七年までのものが五四%、それから八年から十年までのものが二三・二%、十一年から十五年のものが一一・四%、十六年以上のものが一・七%ということで、平均しまして約七年ぐらいという数字になっております。
 それからもう一つ、土地区画整理組合の事業が事業の中途で挫折したものがあるか、そういったものに対してどうするかということでございますが、現在までのところ、先生御質問のような吉羽土地区画整理組合のような段階で挫折したという例は聞いておりません。ただ、過去に事業の最後の段階、換地処分の段階でそれができなくて、他に引き継いだという例は聞いております。それで、組合事業といいますのは、スタートのときに地権者の方々の大部分の同意を得てスタートしておる事業でございますので、事業中途で生じます種々なトラブルというのも、地権者、組合員の方々の理解と御協力の中で、組合内部で自主的に解決されることが望ましい性質のものかと思います。しかしながら、どうしても組合内部の問題として解決できないといったような場合には、法律上、都道府県知事が組合に対して監督権を有するものということとされておりますので、国といたしましても、組合事業の円滑な遂行を図る観点から、このような監督権が制度の趣旨に沿って適切に行使されるよう都道府県知事を指導してまいりたいと思っております。
 なお、このような都道府県知事の監督権の行使によりましても円滑に進まないという場合には、事業を公共団体の方に切りかえて承継するという可能性もあるわけでございます。
 それでもう一つ、現在この組合に対しましては、国の無利子貸付金というものを県を通じまして貸し付けておるわけでございます。これに対しましては、都道府県が組合に対しまして、災害、経済事情の著しい変動その他特別な事情により償還が著しく困難であるということで、貸し付けの償還期限を都道府県が延長しました場合には、法によりまして国の貸付金の償還期限も延長されることになっております。ただ、御質問の吉羽の組合の場合には、国から県への貸付金は、償還計画に基づきましてすでに償還されております。
#313
○小川(新)委員 どうもありがとうございました。
 以上をもって終わらせていただきます。御苦労さまでございます。
#314
○松野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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