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1978/01/29 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第3号
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1978/01/29 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第3号

#1
第087回国会 本会議 第3号
昭和五十四年一月二十九日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第三号
  昭和五十四年一月二十九日
    午後一時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時十四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#3
○議長(保利茂君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。多賀谷真稔君。
    〔多賀谷真稔君登壇〕
#4
○多賀谷真稔君 私は、日本社会党を代表して、大平総理の施政演説を中心とし、当面の主要問題について質問いたしたいと思います。(拍手)
 まず、総理は、「時代認識と政治姿勢」の中で、現在は「経済中心の時代から文化重視の時代」に入ったと言われております。文化の土台は経済であります。文化と経済を切り離すことはできないのであります。経済の変革なくして、新しい文化の華は開かないのであります。
 率直に言えば、戦後経済の発展の結果生じた矛盾と不均衡、インフレと不況、失業や倒産、公害や災害事故、病気や老後の不安、受験地獄や交通戦争、富と所得の不平等、この深刻な経済の行き詰まりと国民生活の不安を克服することなくして文化の時代は到来しないのであります。(拍手)
 私的利潤の追求のみに走り、弱肉強食の社会経済の現実の中から、どうして温かい思いやりや豊かな人間性が生まれてくるでしょうか。健全な家庭基盤がどうしてつくれるでしょうか。私はまず、総理の現在認識をお尋ねいたしたいと思うのであります。(拍手)
 たとえば、昨日の反社会的三菱銀行の事件を総理はどういうように判断をされますか。
 経済の近代化、物質的な豊かさだけ見て、これが文化の時代に発展するという総理の時代認識は、総理はいわゆる待ちの政治家ではなく、現実回避の逃げの政治家であると言わざるを得ないのであります。(拍手)
 総理は、また「信頼と合意の政治」を強調されました。しかし、いま、ロッキード裁判の片づかないうちに、またしてもダグラス、グラマン、航空機の対日売り込みの不正工作の疑惑がアメリカの証券取引委員会で暴露され、岸元総理大臣を初め有力元閣僚の名前が浮かび、わが国を覆う航空機商戦に関連して深刻な疑惑が広がりつつあります。
 この件に関し、一月九日、大見出しに報道された新聞を見て、国民は一体どう感じたでしょうか。私は、この事態をまさに民主政治の危機と感ずるのであります。この事件は単なる刑事事件として矮小化すべきではありません。(拍手)
 ロッキード疑獄といい、今度の事件といい、全部アメリカ側から知らされてきたのであります。総理の司法、検察任せの消極的な姿勢では、国民は絶対に承服しないと思います。自衛隊機の購入に不正があれば、それは、政府は行政上の当然の責任者として、自民党も政党として当然の政治責任者として、徹底的に究明をすべきでしょう。(拍手)また、国会も、議会制民主政治の信頼を回復するため、国会の調査権を発動して、国民の前に真相を明らかにする責任があると思うのであります。(拍手)また、政府はこれに協力をすべきであります。
 私は、次のことを要求いたします。
 ロッキード問題の際に国会は決議をいたしました。そうして、政府高官名を含む一切の未公開の資料を提供されるように上院並びに政府の特段の配慮を願うようにする。政府においても、右の趣旨を体し、特使の派遣等を含め本問題の解明のために万全の措置を講ずべきであるという決議がなされております。
 大平総理も、この件について少なくともこの程度は措置されるべきである。自民党としても国会決議に応ずる用意があるかどうか。三木総理と同様に、親書あるいは特使を派遣する意思があるかどうか。まず総理、総裁としてお答えを願いたいと思います。(拍手)
 国会に証人を喚問し、資料の提出を求め、十分な究明をすべきです。
 また、アメリカの証券取引委員会の資料というのは、日本側から大部分が提供されておるのであります。でありますから、日本政府並びに国会としては、当然関係会社から提供を要求すべきであると思うのであります。大平総理は、当然国民の信頼に足る措置をなすべきであると思いますが、御所見を承りたい。(拍手)
 さらに、遺憾ながら新年度の予算に疑惑のE2C機の購入費が計上されております。これはまさに国民と国家を愚弄するものであると言わざるを得ません。まさに削除をすべきであると思うのでありますが、総理の明快な御所見を承りたいと思います。(拍手)
 政治姿勢について大いに哲学を述べられた総理も、財政、経済政策については旧態依然たる大資本擁護、国民生活圧迫の政策を続けられようとしております。
 政府は、景気は順調と言っておりますが、利益を出しておるのは大企業だけであります。その裏には、減量経営による人減らし、百二十万人の完全失業者、年間六万件を超える中小企業の銀行取引停止、さらに勤労者所得の停滞など、格差と不平等は拡大をしておるのであります。新年度の予算案に示されておる大平内閣の政策は、一層これらの矛盾を激化し、不均衡を拡大するものと言わなければなりません。
 第一に、それは国民の租税等の負担の不公平を拡大をし、大衆生活を圧迫しております。
 新春早々、国鉄料金の値上げを初め、私鉄運賃、消費者米価、授業料、たばこ、医療費負担、公共料金は次から次へと引き上げの発表、さらに、ガソリン税など四千四百億円の増税を行う一方では、不公正税制の見本でありました医師優遇税制の改正は骨抜きになり、土地取引業者の要請に応じて土地の譲渡税は緩和され、大企業、資産家を優遇する。国民には高負担を求めておる。
 その上、五十五年度を予定されておるようでありますが、一般消費税の問題です。仮に五%といたしましても、一世帯八万三千円の負担増、消費者物価は、わが党の計算によると三・六%の引き上げになる。また、中小企業に対しては大きな圧迫になってくるのであります。
 口に信頼と合意を強調される総理は、多数国民の反対を押し切ってこの悪税、一般消費税を強行するつもりであるかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。(拍手)
 赤字財政の再建には、わが党が主張する、大資本と高額所得者を優遇する税制の抜本的改正が必要であります。高度成長の中でぼろもうけをした階層への土地の増価税、富裕税などの資産課税を優先的に実施すべきであると思いますが、総理の御所見を承りたい。
 第二の問題は、物価高、インフレを激化させる最悪の借金予算であるという点であります。
 政府は、卸売物価、消費者物価、ともに鎮静していると称しております。しかし、楽観は許しません。すでに卸売物価は上昇の機運にあります。相次ぐ公共料金の値上げ、原油価格の段階的引き上げ、海外商品市況の上昇、さらに、一般会計十五兆円、そうして、政府保証債、地方債を入れると二十六兆円の公共債になる、これが発行されるのであります。史上最高の借金財政により、必ずインフレは刺激され、国民は物価高の脅威にさらされることは必至であります。
 政府は、この物価上昇の危険に対していかに対処しようとするのか、まず具体案をお聞かせ願いたい。
 また、最悪の赤字財政をどういうように再建し、累積する公債をどのように処理されるのか、まず国民の前に明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 第三は、防衛費増強、福祉後退の予算であります。
 防衛費は二兆九百四十五億円、前年比一〇・二%増と言っております。しかし、そのほかに艦艇の建造費、航空機や武器購入のための新たに五千五百億円を超える継続費、国庫債務負担行為が入っておるのであります。でありますから、実質的には二兆六千億の予算になるのであって、その中に問題のE2C機四機が含まれていることは御存じのとおりであります。
 社会保障の関係費の予算は、一般会計の伸びにも及ばないわずか一二・五%。総理があれだけ文化の時代を強調されながら、教育費はわずかに一一・六%増、そのうち文化庁予算は三十八億円にすぎません。総理の哲学も、本予算を見る限りまさに羊頭狗肉と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 第四の問題は、政府が盛んに安上がり政府を標榜しながら、実は多くの不要不急の経費が含まれておるということを指摘したいのであります。
 政府は、景気刺激のために、新年度また公共事業費をふくらませまして、前年比二二、五%増、六兆五千億の公共事業費を計上し、十六兆八千億の財政投融資を行おうとしております。われわれも、国民の生活福祉に役立つ公共投資には大いに賛成であります。しかし、政府の事業の中には、あるいは原子力船「むつ」のごとき、また事業団、公団の中には、幾多の莫大な投資をしながら実際はむだな投資に終わっているものも少なくないのであります。(拍手)
 政府は、この際、一般会計、特別会計、政府関係機関等の投資事業の内容を洗い直し、その効果の評定を行うべきであると思いますが、総理はどういうようにお考えでありますか。
 ことしの春闘において、賃金を政府と財界一体の姿で抑制をするならば、最大の需要要因である個人消費は停滞するでしょう。しかも、物価の上昇は、政府見通し四・九%を上回る情勢にすでにあります。その中にあって物価調整減税すら行われようとしていないのであります。このような政府予算と春闘の結果によっては、実質六・三%の成長目標達成はきわめて困難であり、前年度と同様に大幅な貿易黒字になり、対外摩擦を大きくすることは避けられないと思うのであります。
 総理は、一体、国内需要を喚起し、六・三%の経済成長を達成する自信があるのかどうか。一体、六・三%というのは、国民の暮らしの水準はどういうように変化するのか、また、東京サミットでは約束をするのかどうか、明快な御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。(拍手)
 次に、雇用問題であります。失業、雇用問題は、現下日本経済の最大な課題であります。
 わが国の失業率は、外国に比べて統計上低いと言われております。しかし、私はその深刻さは例を見ないと思います。欧米では失業者の多くは若年層わが国の場合は中高年齢者であります。世帯の責任者であります。それは、欧米では勤続年数の長い者は容易に解雇できないという、いわば先任権的な協約があり、法律があるからであります。人生の一番大事なときに首を切られて何が終身雇用制ですか。終身雇用制というのは大企業の重役だけに通用する言葉であります。五十五歳以上の中高年齢者はまた、有効求人倍率によると十人に一人しか就職ができません。しかも、最近の雇用情勢はまさに一変をしております。
 労働大臣、高度成長時代に設備の拡大競争を行った産業界は、いま減量経営という大合唱で人減らし競争をやっておるのです。とても、合理化は不況を乗り切る一時的な緊急避難なんていうような状態ではありません。私は恐るべき傾向にあると思うのです。でありますから、私は次のことを提案をいたします。
 まず第一に、わが党が言っております雇用予算二兆、七十万人雇用増、自治体二十万、特定不況開発事業で十万、雇用奨励金による民間雇用で高齢者二十万、教育、医療、社会福祉施設二十万の雇用の創出を要求しております。
 第二に、誘導政策ではとても私は今日の雇用情勢は解決できないと思います。それには西ドイツのように企業に一定の雇用責任を課するという解雇制限法、スウェーデンのように三十五歳以上で勤続年数の長い者は解雇の対象にしないという雇用保障法、アメリカに見られるように年齢による差別禁止法、また総理が総裁選挙中に約束をされたと聞いておりますが、身障者と同じように中高年齢者にも雇用義務を法制化をする必要があるのではないか、かように思います。
 第三は、就業構造が大きく転換に向かっておるわけです。日本の場合は、外国に比べますと、もう第三次産業といいましても、卸、小売はいっぱいであり、まさに失業のプールになっております。でありますから、われわれとしては、外国に比べて就業構造の著しく劣っております教育あるいは医療、保健、ここに雇用の場を設ける必要があると思うのです。
 私は、以上、労働時間の短縮の推進とともに、これらの政策が必要であると考えるのです。一体、政府はどういうようにお考えですか。とても今度の雇用奨励金程度ではこの難局は救えない、かように考えておるわけであります。(拍手)
 次に、総理が、自立自助の精神で、家庭基盤の充実により日本型福祉社会を建設しようと言われております。このことについて質問を申し上げたいと思います。
 国民は、石油ショック以来、急激な所得の停滞にもかかわらず、将来の生活設計に不安を感じ、老後、病気あるいは住宅、教育のため、世界一高い貯金をしております。しかし、もはや個人の努力では解決し得ない大きな限界に来ております。だからこそ、各近代国家では社会連帯による福祉政策が実施をされておるのです。
 日本の現在の社会保障の水準は、御存じのように、ヨーロッパ水準の二分の一以下であります。総理の見解はまさに時代おくれ、あるいは国の責任の回避、家庭の破壊、これにつながると言わざるを得ないのです。わが党は、年金は最低賃金の九割、最低賃金は平均賃金の二分の一、こういうように考えております。
 一体、総理は、経済大国としてどのぐらいがふさわしい年金所得のミニマムであると考えられておるか、福祉年金の増額を含めて明らかにしていただきたいと思います。
 第二は、大平総理、国民の負担する総医療費は本年実に十一兆六千億に達し、国民一人十一万円になります。急速に膨張する医療費をだれが一体負担をするのか。また、だれでも、どこでも、いつでも、よい医療を国民にどうして保障するのか。総合的、抜本的な医療改革が必要であります。
 新年度の予算の基盤になっておる健康保険法改正案は、昨年国会に提出されて、いまだたなざらしになっておる。自民党は、改正案の国会提出は認めるが、内容には反対である、こういうことで自民党と医師会の間に話がなされておると聞いておる。これ、まさに国会の権威を踏みにじるものではないですか。
 自民党総裁である大平総理は、政府みずからが提出した健康保険法改正案についてどう考えておるのか、責任ある回答をお願い申し上げたいと思います。(拍手)
 総理が言われるゆとりある家庭の基礎は、やはり住居なんです。民族移動とも言われる大都市集中の中で、総理が言われるような親子三世代の住める住宅を求めることが、果たして勤労者でできるでしょうか。「高い・狭い・遠い」で住めない公共住宅は、ついに持ち家の需要をあおって、今日、住宅ローンで借金返済に苦しんでおる国民は非常に多くなりました。住宅取得の困難な元凶は土地価格であります。すでに土地価格は上がりつつあります。不動産業者は、いまや土地は売りから買いへと、土地税制緩和とともに、再び投機の対象になりつつあります。
 総理は、土地政策について何ら言及されておりませんが、一体宅地政策をどういうようにお考えになり、家庭基盤の強化を図らんとしておられるのかお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 私は、政府が盛んに安全保障の問題を言っておりますけれども、これは一つはエネルギー問題であり、一つは食糧問題である、こういうように思います。
 すでに、国際エネルギー機構は、石油による火力発電の建設停止を提案をしておる。イランの国情不安から輸出が停止をされておる。OPECでは一四・五%の原油値上げを言ってきておる。量と価格の両面で輸入国はいまから苦しまなければなりません。
 政府は、新エネルギー、省エネルギーと言っているけれども、予算はわずかに百五十二億円、アメリカの約十分の一であります。エネルギーの長期展望は、いま原子力に頼っておるけれども、しかし、この原子力発電の安全性、信頼性、ことに廃棄物処理は、人類の生命にかかわる完全処理がいまだ不可能であります。われわれは原子力発電だけに頼っておるわけにいかない。どうしても今後は石炭、地熱、太陽熱、波力、水素エネルギーの開発をしなければならぬ。しかも、省エネルギーは単に宣伝や啓蒙だけではだめです。システム化の研究が要るわけです。日本では、電力においても約六十数%が実はロスされておる。これをどうするか、こういう問題を含めて、今後の政府のエネルギー政策に対する転換を求めたいと思います。
 私は、もう一つ気になります。それは石炭の問題ですが、現在、御存じのように、国内石炭はわずかに千九百万トンしか出ておりません。その千九百万トンが、実はそのうち三百万トン以上が貯炭になっておるわけです。円高で高いということです。そういたしますと、また石炭がかつての石油のように、圧迫をされ、つぶされたように、今度はほかのエネルギーからつぶされる、外国炭からつぶされる可能性なしとしない。
 私は、将来海外開発をするためにも、これだけの石炭の技術と拠点が必要であると思う。そうするならば、一体どういうようにするつもりであるか。価格プール制を設けるつもりであるかどうか、お聞かせ願いたい。
 次に、食糧です。政府は、国民食糧の安全保障について食糧自給体制を言われております。しかし、現実にはだんだん輸入の依存度が高くなっております。御存じのように、もう一九六〇年、池田内閣のときの八三%から三七%に落ち込んでおる。世界のどこかで凶作があれば、直ちに日本の食糧危機を招く。一体どうするつもりであるか。
 政府は、米の減反にむだな金を使うような政策を改めて、米をもみの形で買い上げる、あるいは備蓄をし、家畜飼料への転換を図り、麦、大豆及び家畜飼料等の自給自足体制を早く確立し、その目標を定める必要があると思いますが、政府はどういうようにお考えですか。
 森林資源を守るために、国営の造林事業を推進し、国の責任で漁業基盤を拡充し、高度成長時代に置き忘れられた山村漁村の振興に思い切った政策を講ずべきであると思いますが、御所見を承りたいと思います。(拍手)
 日本の中小企業を、一体どういうように産業上の位置づけをしようとするのか。中小企業はわが国特有の重層下請のもとで苦しんでおる。公共事業は当然現金で支払われておるけれども、末端の下請には手形で行っておる。中小企業転換法ができても、十分な成果を得ておりません。今後、福祉成長型の担い手として、生活関連、余暇時代の新しい分野をむしろ開発すべきではないか。同時に、中小企業の特性を生かして、一体どういう方法で中小企業の安定を図るつもりであるか、お聞かせ願いたい。
 元号法制化についてお尋ねいたしたいと思います。
 元号は、法律の条文をどう扱おうと、天皇の一世一元の号を意味している。私は、日本国憲法の国民主権の基本原則に抵触するものであると思う。政治の反動化を増すものであると思うのであります。(拍手)権力志向の政治を排すと言ってこられた総理は、元号法制化の提案をやめるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 郵政の労使関係の紛争から、ことしは年賀郵便が大変おくれ、国民は迷惑を受けました。これについて、政府はいかなる責任をとろうとするのか、明らかにしていただきたい。
 皆さん、郵政の職場ほど陰湿な職場は他にありません。田舎に転勤させるのに、全逓を脱退しなければというようなことが平然と行われておる。こうした不当労働行為や、人事差別や、人権侵害の例は枚挙にいとまがないと思うのです。このような前近代的な労務政策は当然やめさすべきであると思いますが、総理の御所見を承りたいと思います。(拍手)
 次いで、公企体のスト権の問題について所信を承りたいと思います。
 公企体であるから、あるいは国や自治体が経営しておるからスト権を剥奪するという国は欧州にはありません。公企体の労使の円滑化を図るためにも、速やかに回復すべきものであると思いますが、総理はどういうようにお考えですか。
 さらに、私は、今日依然として社会的差別として存在をしておる未解放部落の問題について総理自身どうお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
 なお、同和対策事業特別措置法延長の際の附帯決議に盛られた事項、すなわち、実態調査の実施、法改正及び運営の改善に関する総合的な検討、地方自治体の財政負担の軽減、部落問題に対する国民への啓発活動の充実などについて、具体的にどのような手続と方法、計画を持っているのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、教育問題についてお尋ねいたしたいと思います。
 最近、連日のように少年少女の痛ましい自殺が伝えられております。昨年一年間に、八百八十人前後の子供がいたずらに死を急いだそうであります。受験戦争の悩み、授業についていけないなどの教育にかかわる理由がその大半だと言われております。また、世界の青年の意識調査からも、日本の青年は職場、家庭、社会、学校への不満が、世界で遺憾ながら一位、二位、こういう比率を示しております。総理は、経済時代から文化の時代へ、そういうように提言されておりますが、残念ながら、教育のこの荒廃について政府の果たすべき役割りが明確でないのであります。
 わが党は、昨年、国際シンポジウムを開き、教育改革を論議をいたしました。今日の教育の荒廃を招いている根本原因は、学歴社会と深く結びついた差別、選別の教育政策にあると考えるのです。この発想を転換し、全面的発達の機会を保障するような平等主義の理念に立つ、行き届いたゆとりある教育にしなければなりません。
 この観点から、教員の定数の増員、高等学校の義務化、大学の格差の解消を推進したいと思います。また、働きながら学べるように、社会人に対する大学の公開、教育のための有給教育休暇制度、これらを整備をして、生涯学習の体制をつくらなければならないと思います。さらに、学歴社会を是正するために、まず上級職公務員資格試験制度を廃止したらどうか、あるいは官庁や会社の採用の際の学校指定制度の廃止を私はしたらどうかと提案をいたしたいと思います。総理の御所見を承りたい。
 今年四月、統一地方選挙が行われます。八〇年代は地方の時代とも言われています。人間の価値観の多様化により、集権的な行政では処理できない問題が山積しているのであります。豊かな人間関係、伝統や文化に強い関心が向けられるようになりました。住民は分権と参加の自治を要求していま立ち上がっております。
 しかし、このたびの施政演説には、地方自治体のあり方について一言も触れられておりません。総裁選挙中は、総理は、中央集権への傾斜を改め、地方政治に行政機能の大幅な権限を移譲すると説かれておるのに、何ゆえ触れられなかったのか、官僚が一体削ったのかどうか、統一地方選挙を前にぜひ国民にお聞かせ願いたいと思うのです。(拍手)
 総理は田園都市構想を強調されましたが、遺憾ながら、新経済計画を見ても明確でありません。分権への具体的方向も、自治体行財政の強化の方策もありません。環境アセスメント法案一つ提案できないような政府では、しょせん田園都市構想は絵にかいたもちである、こういうように終わるであろうことを予言をしておきます。(拍手)
 次に、大平内閣の外交方針についてお伺いいたしたいと思うのであります。
 昨年の日中平和友好条約の締結に続いて、本年一月一日から米中の国交正常化が実現されました。これは古い冷戦構造の崩壊であり、アジアの新しい夜明けを意味しておるのであります。総理、あなたの日米安保条約を基軸とした待ちの外交姿勢では、八〇年代に向けて激動をするこの国際情勢に対応できないと思うのであります。安保条約の指向する極東の範囲や韓国条項は、いまや有名無実の虚構になっておるのであります。
 総理は一体どういうようにお考えであるか、この際、英断をもって安保条約の再検討を真剣に考慮すべきときであると思いますが、総理の御所見を承りたいと思います。
 昨年の国連安保非常任理事国選出の際のこのぶざまな敗北は、対米追随に終始し、大国にばかり目を向け、アジア諸国に背を向けた日本外交の思い上がった姿ではないですか。(拍手)園田外務大臣は、この敗北を過去における日本の国連外交に対する世界各国の採点と受けとめ、大いに反省をすると述べられましたが、今回の施政方針には何ら言及をされておらない。これは一体どういう理由ですか。
 大平総理は、経済援助の拡大を強調しておりますが、わが国の経済援助は量的にも質的にも劣っており、世界各国の非難を受けていることは御存じのとおりであります。また、わが国の経済援助はほとんどはひもつき援助である、海外援助という名に値しない、日本企業のための対内援助とさえ非難を受けておるのであります。五月にはマニラで国連貿易開発会議が開催されます。六月には東京サミットでも南北問題が恐らく取り上げられるでしょう。
 この際、総理の南北問題に対する考え方と、発展途上国への経済援助のあり方について御所見を承りたいと思います。(拍手)
 朝鮮問題に対する総理の認識と決意についてお尋ねをいたしたいと思います。朝鮮半島の緊張を取り除き、民族の悲願である自主的平和統一の一日も早い実現のために、わが国政府のとるべき態度であります。
 今日まで朝鮮の分裂を固定化させた要因の一つは、何といっても日本政府の朝鮮民主主義人民共和国に対する敵視政策、冷戦構造の中で、韓国だけを支援をしてきた政策の過ちであると思うのです。いまや、日中平和友好条約、米中国交正常化を契機に、南北対話の兆しも前進しようとしておるこのときに、従来の方針を大きく転換し、民族統一のための環境づくりに積極的に努力すべきではないか、具体的対策を明らかにしていただきたいと思います。(拍手)
 わが党は、昨年十一月バンクーバーで、オーストラリア労働党、ニュージーランド労働党と、アジア・太平洋地域非核武装地帯に関する共同声明を出しました。十二月には朝鮮民主主義人民共和国とアジア・太平洋地域非核化構想の具体化について意見の交換をいたしました。
 申すまでもなく、非核武装地帯の設置構想は、過去二度にわたってこの国会で全会一致で決議をされておるのです。すでに国民的合意を得ているのであります。この非核武装地帯の設置こそ、核戦争への危険を除去し、平和を一歩一歩築いていくための有効な方法であると思うのでありますが、(拍手)総理は、世界で唯一の被爆国として、この構想を一日も早くアジア・太平洋地域で実現するよう積極的な努力をしていただきたいと思うのです。(拍手)総理の率直な見解を承りたいと思います。
 多極化する国際政治全体の潮流の中で、わが国が超大国のパワーゲームに組み込まれないためにも、北方領土問題を解決して日ソ関係を速やかに改善をする必要があると思います。政府は、対ソ外交については、ただ粘り強く交渉を継続すると言い続けるだけで、積極的に現状をどう打開するかという姿勢が見受けられません。日ソ改善は大平内閣に課せられた命題であると思うのですが、具体的対策をお聞かせ願いたいと思います。
 福田前総理は、外に向かってはわが国は軍事大国にはならないと胸を張っておられましたが、一方国内においては軍事力重視、防衛力強化、有事立法研究を進められてまいりました。また、昨年十一月、日米防衛協力のための指針が合意され、共同作戦計画や作戦実施要領が想定されました。しかし、今日のアジアの国際情勢から、軍事力増強や有事立法想定を訴えるような条件は全然ないと思うのです。
 総理は、総裁選挙中に、現行法で有事にも対応できる、有事立法は慎重かつ冷静に対処すべきであると言われましたが、いまもその考えに変わりはないかどうか、お聞かせ願いたい。それならば、防衛費増大や有事立法研究を、この際やめさすべきではないでしょうか。
 わが国は、アジア、ひいては世界の平和と繁栄のために、内政においても外交においても、平和憲法の原点に返り、平和国家としてすべてに対処する政策をとるべきであると思うのです。このことは、日本は一体世界のために何ができるのか、何をしてくれたのかという、世界やアジアの人々の問いに答えるゆえんであると思うのであります。八〇年代から二十一世紀に向かう日本の進路について、大平総理大臣の御所見を承りたいと思うのであります。(拍手)
 最後に一点、沖繩の問題に触れていきたいと思います。
 沖繩復帰、実に八年目を迎えるのでありますが、沖繩の現状は、失業者は本土の三倍という状態で慢性化をしております。あるいは振興開発計画も大幅におくれ、本土との格差はむしろ拡大をしております。加えて、安保体制のもとで、最近、米軍の無謀な軍事演習の激化は、民家目がけて機関銃が乱射され、あるいはB52核戦略爆撃機の飛来も相次ぐなど、県民の生活と権利がじゅうりんをされて、美しい自然も破壊されようとしております。
 政府は、この沖繩の現状をどう認識し、県民の切実なる要求にどうこたえていくのか、この際、具体策を明確にしていただきたいと思います。(拍手)
 以上をもって私は質問を終わるわけでありますが、どうかこの際、大平総理から、国民の皆さんに向かって、わかるような、明確な答弁を要求をいたしまして、質問を終わる次第であります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(大平正芳君) 多賀谷さんは、まず、私の時代認識についてお尋ねがございました。
 経済を軽視するものではないかという御指摘でございますが、私は、経済至上主義はいかがなものか、文化をあわせて重視しなければならない時代を迎えたのではないかということを指摘したものでございまして、経済成長に伴うもろもろの問題の解決におきましても、文化を重視する姿勢が大切であることを指摘したものでございまして、いささかも責任を回避しようというようなものではございません。
 最近の三菱銀行北畠支店事件についての所見でございますが、これとても、いわば経済至上主義のもたらした痛ましい悲劇であると考えるのでございまして、文化重視、人間性重視の必要をいよいよ痛切に感じております。
 次に、外国航空機の輸入に関する疑惑の解明についてのお尋ねでございました。
 この問題につきましては、政治の信頼にかかわる問題でもございまして、いささかも疑惑を残さないように徹底的に解明しなければならぬことは申すまでもございません。政府は、当面、捜査当局を信頼いたしまして、捜査の進展を見守ることにいたしておりますが、先般アメリカ側の非公開資料を入手する必要を捜査当局が認めましたので、それの入手の手続を踏んでおるところでございます。
 国会決議等がございました場合にどう対処するかということでございますが、これの決議がどのように――なされるのか、なされないのか、どういう形においてなされるのかわかりませんので、もしそういうことがなされた段階におきまして、慎重に対処してまいります。
 それから、E2C機の予算問題の取り扱いでございますが、この機種の選定は、純粋に防衛上の見地から専門家の検討を加えて行ったものでございまして、また一方、防衛上の措置は一日もゆるがせにできないものでございますので、この問題は、疑惑の解明と別個に導入を考えることにいたしたわけでございまして、これを削除するとかあるいは凍結するとかいうようなことは考えていないのであります。
 次に、多賀谷さんは、財政問題についてお尋ねがございました。
 一つは、財政再建につきましての財源問題についてでございますが、かねて社会党として御主張もございました富裕税あるいは土地増価税等、新税を起こしていくことの方が大事でないかという御指摘でございます。この問題につきましては、かねがね国会を通じて論議が展開されたところで、多賀谷さんもよく御承知であろうと思いますけれども、富裕税につきましては、税源の把握、評価等に問題がありまするし、土地増価税というのは、まだ実現しない利益に対する課税である等の見地から、政府としてはまだなかなかこれは踏み切れないでおる問題であることは御承知のとおりでございます。
 そこで、それではどういう財源を再建のてことして考えておるかということでございますが、政府の税調でも御答申をちょうだいいたしておりまする一般消費税導入の問題がございます。しかし、私は、一般消費税の問題であろうと何であろうと、こういう大きな税負担をお願いするに当たりましては、歳出の洗い直しあるいは現行税制の見直しが前提にならなければならぬと存じまして、この五十四年度予算の編成に当たりましても、そういった点につきましては政府として可能な限り努力をしてまいった次第でございます。したがって、この財政再建問題という国民的課題に対しまして、五十四年度は国会の内外で大きく議論を深めていただきまして、結論として、一般消費税というような問題を明年度導入することについての御理解を得たいものと考えておるわけでございまして、直ちにことし導入しようとはいたしていないのであります。今後一層御議論をいただきまして、御理解を深めていただきたいと願っております。
 それから、国債政策でございますが、今日のように大量の国債依存の財政を持つということ、また、国債の累積発行残高がこんなに累増してまいったということはゆるがせにできない問題でございまして、財政再建は焦眉の急務であると考えております。したがって、ことしの予算の編成に当たりましても、歳入歳出、洗い直しを行いましたけれども、この予算案の御審議を通じまして一層財政に対する御検討を進めていただきまして、財政がここ数年の間に、赤字公債の発行という事態から脱却ができる展望を開きたいものと考えておるわけでございまして、御協力を願ってやまない次第でございます。
 それから、物価政策とインフレ対策につきましてのお尋ねでございました。
 多賀谷さんが御指摘のように、いま財政面におきましても、金融面におきましても、産業面におきましても、また内外にわたりまして大変インフレ要因がございますことは御指摘のとおりでございまして、私どもは、物価のこの安定基調を維持してまいることが政治の一番基本だと考えておりまして、物価とインフレ対策につきましては、周到しかも厳正に対処していくつもりでございます。したがいまして、諸物価の動向、通貨発行の実情等を十分注意しながら、かたがた、生活必需物資の供給の安定を図り、公共料金の調整等にも十分配慮いたしまして、御指摘のインフレ対策、物価安定基調の維持に対しましては最善を尽くしてまいる所存であります。
 それからその次には、経済運営の問題につきましてのお尋ねでございました。一体、六・三%の成長率を目途といたしておるようだがその達成は可能かどうか、また、それを来るべきサミットにおいて約束をするつもりかどうか、そういう御質問でございました。
 私は、最近の経済諸指標の動きから見まして、消費は堅調でありまするし、在庫の整理も進んでおり、経済全体にはやや明るい展望が開けつつあるように思うので、設備投資の増加も期待されるところであると考えております。したがって、内外に大きな条件変化がない限り、この成長目標は達成が可能であると考えております。
 この成長率をどのように目安をつけてまいるかということは、もとよりわが国自体の経済政策の問題でございますが、首脳会議におきまして成長問題がどう取り上げられるか、いまのところわかりませんけれども、われわれとしては、これが問題になりました場合におきまして、当然これを説明して関係国の理解を求めることになろうかと考えております。
 その次は、福祉政策についての御質問でございました。
 この点につきましては、後ほど厚生大臣からもお話がございますけれども、私は、多賀谷さんが御指摘のように、福祉政策を推進する場合に、公的福祉ということを軽視しておるものでは決してないのでありまして、民間の自助努力はもとより大事でございますけれども、住宅政策、年金政策その他社会保障政策の推進に当たりまして、公的資金を充実して配分してまいるということは大変必要であると考えております。したがいまして、ことしの予算におきましても、一般の経費は相当思い切って節減いたしたわけでございますけれども、福祉政策につきましては、可能な限り財源を確保申し上げてあるつもりでございます。
 それから、エネルギー政策についてのお尋ねでございました。
 これは施政方針演説におきましても申し上げてありますとおり、資源の乏しいわが国といたしましては、石油その他エネルギー資源の安定確保を図るということ、それからエネルギーの消費の節減を図る、そのためには節減技術の開発等に力を入れること、それから石油代替エネルギーの開発、新エネルギーの開発、外国との技術協力の推進等を鋭意行ってまいるわけでございます。けれども、御指摘の石炭政策でございまするけれども、あなたの御推進されておる石炭火力の問題、石炭液化の問題等につきまして、政府も力をいたさなければならぬと考えておるわけでございますが、輸入石炭との価格調整、価格につきまして価格プール制を設けてはどうかという御提言でございますけれども、私はまだその時期は熟していないように思うのでありまして、ただいまのところ、需要家筋に石炭の増加引き取りをお願いし、需要対策といたしまして需要の拡大に努める、ことしの予算にもその措置をとっておりますが、それが現在われわれの行うべき石炭対策であると考えております。
 それから、農業政策でございますが、これは、わが国の食糧の総合的な自給力の向上を生産性の高い中核農家の担い手に期待をいたしまして、農業の再編成を図るという方向と、不足の食糧につきましては、海外から安定した、バランスのとれた輸入を確保するということで対処していかなければならぬと考えております。
 中小企業対策といたしましては、中小企業の持つ活力と創造力と特徴、個性というものを十分生かしながら、環境の変化に応じましてその体質、技術等の改善を図りながら、新しい時代への活路を開拓する手助けをしなければならぬと考えております。
 それから、元号問題でございますが、私は、今日、元号が国民の日常生活の中に定着いたしておるという事実と、大多数の国民がこれを望んでおるという事実を重視いたしまして、今国会でこの法制化をお願いしたいと考えております。(拍手)
 それから、労働政策につきまして、まず郵政の労使関係について御指摘がございましたけれども、去年の暮れ以来、郵政労使が緊張した関係にありますことは大変私も心配をいたしておりまして、労使双方がそれぞれの責任を自覚されまして、平和裏に話し合いを通じて問題の解決されることを望んでおります。
 公共企業体のスト権問題でございますが、これにつきましては、いろいろ問題がございますことは私が申し上げるまでもないことでございまして、政府も、昨年の十一月に審議会の審議が開始されておるわけでございまして、私は、今後こういう審議会の審議、労使間の話し合い等によりまして、この問題の健全な解決が可能であるように期待をいたしておるところでございます。
 同和対策でございますが、これは、従来どおり同和対策は推進してまいらなければならぬと思いまするし、国会における審議の経過並びに附帯決議等につきましても、真剣に検討をいたしてまいる方針に変わりはございません。
 それから、教育政策でございますが、高校の義務化、大学の開放、有給教育休暇制度の創設、職場における学歴差別の規制等についての御提言がございました。私は、御提言の趣旨は理解するものでございますが、今後そういう方向に問題の検討を進めてまいるつもりでございます。
 地方自治問題でございますが、これは、もとより今日の政治は地方の個性と自主性を尊重しなければできないことは当然でございまして、そういうラインに沿って今後施策を進めなければならぬと思います。私は、その一つの構想といたしまして田園都市構想なるものを提示いたしておるわけでございますが、これは、今日行われておる諸政策と別個にこの政策を提言しておるものではないのでありまして、いろいろ今日行われているもろもろの政策をこういう見地から見直しながらその配列を考え、その推進を図っていこうという政策理念の問題でございまして、この理念をどのようなものにしてまいりますかということについて、目下政府部内におきまして鋭意検討をいたしておるところでございます。
 それから、最後に外交問題につきまして御質問がございました。日中平和友好条約の締結、米中外交関係の設定は安保体制に重要な影響があるので、これを見直すべきじゃないかという御指摘でございます。
 御案内のように、日中平和条約の締結も、米中外交関係の設定も、安保条約とは一応かかわりなく達成されておるわけでございまして、私ども、この安保条約の改定という問題をこれに関連しては考えていないわけでございます。ただ、こういう事実がありましたということにつきましては、日米間、両条約当事者といたしまして十分意見の交換を遂げ、理解を深めていってまいる必要はあろうと思いますけれども、安保条約の改定ということにつきましては、私どもは考えておりません。
 それから、バングラデシュに国連の理事会の構成の問題で敗れた理由はどうかということでございますが、これは回教国あるいは非同盟国等の組織票の見方を誤ったわけではないかと反省をいたしております。私どもは、この反省の上に立ちまして、今後の国連外交の推進に当たろうと考えております。
 それから、これに関連して南北問題についての私の心構えをお聞きになりました。
 私は、南北問題は、協力を与える国ではなくて、受益国側の立場を考えながら、その身になって資金、技術その他の供与をなさねばならぬと考えておるわけでございまして、また、したがいまして、タイドローンというものに固執することなく、できるだけ一般的にアンタイドの資金を供与するように努力してまいらなければいけないと思いまするし、とりわけ、政府援助を増大していくという方向を貫いてまいらなければならぬと考えておりまして、そういう方向に今年度の予算も頭に置いて編成いたしてあるつもりでございます。
 それから、朝鮮半島の問題でございますが、この南北朝鮮の緊張が緩和されまして、統一の機運ができますことはわれわれとして望むところでございまして、先般来、南北朝鮮の間にそういう話し合いの機運が漸次出てきておるようでございまして、こういった機運が定着いたしまして、実のある成果をおさめられるような国際環境の形成に、わが国としてもわが国の立場で協力しなければならぬと考えております。
 それから、多賀谷さんは、アジア・太平洋地域の非核武装構想というものをお持ちのようでございまして、いま拝聴いたしましたが、これは、一般論として核の拡散防止に貢献するものでございまするし、私どもも理解できるところでございますが、直ちにこれを実行する現実的な条件がいま熟しておるかというと、そのようにはまだ考えておりません。
 それから、米中ソのパワーゲームの中に不用意に組み入れられることのないように外交の展開をやらなければならぬという御指摘につきましては、謹んで拝聴し、そういう方向に私どもも外交運営上心がけてまいるつもりでございます。したがって、ソ連との関係におきましても、従来とも手がたく経済協力を進め、交流を進めてまいっておりますが、懸案の領土問題につきましては、しんぼう強くその解決を図る、そして平和条約の締結に及ぶという方向で推進してまいるつもりでございます。
 それから、防衛庁が有事立法につきまして検討をするということ、それから防衛費につきまして、財政、経済、その他の状況を見ながら防衛費の若干増額した予算を組むということ、そういうことは何も軍事的緊張を意味するものではないのでございまして、当然政府としてやるべきことをやっておるにすぎないものであるというように御理解をいただきたいと思うのでございます。
 沖繩につきましての御指摘につきましては、私どもも重々心がけておるつもりでございまして、大きな基地を抱えた沖繩県に対しましては、その実情に即しまして施策を誤らぬようにしなければならぬと考えております。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#6
○国務大臣(金子一平君) 総理から、財政再建の問題、一般消費税の問題等につきましては、すでにお話がございましたから繰り返して申しません。
 私から申し上げたいと思いますのは、物価調整減税を行えということでございますが、多賀谷さんも御承知のとおり、わが国の所得税の課税最低限は世界で最高の水準にございます。夫婦子供二人の標準世帯で二百一万五千円の課税最低限ということになっておりますので、これ以上の減税はむずかしい。特に、今日大変厳しい財政状況にございますし、今後の財政再建のことを考えれば、まあ物価調整減税はむずかしいというのが私どもの考え方でございます。
 次に、公共事業に重点を置き過ぎて、福祉予算、文教予算等を圧縮しておるじゃないかという点でございますが、御承知のとおり、社会保障関係の予算の相当大きな部分が人件費、物件費でございますけれども、物価、賃金の伸びが御承知のとおりの物価水準で推移しておることを考えますると、社会保障関係の伸び率だけで見ますと、新年度は本年度に対して一二・五%でございまするけれども、中身は相当きめ細かい配慮をいたしております。生活保護基準を引き上げたり、各種年金を改善したり、心身障害者対策に手を打ったり、老人対策、母子福祉対策にそれぞれの配慮をいたしておりますので、実質において昨年より下がっておるということはございません。御承知のとおり、昨年は社会福祉予算総額が六兆七千億でございましたが、新年度は七兆六千億になるというような状況になっておることを御承知いただきたいと思うのでございます。
 文教関係の予算についても同様でございます。公立学校を初め、私立についても相当の助成をいたしておりますることは、本会議ですでに申し上げましたとおりでございます。
 それから、公共事業の予算は、災害復旧費を省きますと、伸び率は二二・五%、相当の伸びになっておりますが、これはまあ景気維持のために重点的につぎ込んでおりまするけれども、しかし、公共事業の中身全体を見直して、生活関連の施策に重点的につぎ込んでおります。たとえば住宅、下水道、環境衛生等の諸施設の拡充に重点を置いておることを御了承いただきたい。こういった姿勢は、今後も予算編成の際に貫き通したいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#7
○国務大臣(栗原祐幸君) お答えをいたします。
 まず、多賀谷先生の御質問は、雇用情勢は非常に厳しいじゃないか、それに対して政府の対応は十分でないじゃないか、特に、社会党が七十万人の雇用創出ということを考えておるが、これに対してどう考えるかということでございます。
 私は、社会党が雇用創出七十万という壮大なプランを立てる、その熱意に対しましては敬意を表します。しかしながら、先生御承知のとおり、いわゆる地方自治体による雇用創出あるいは地方自治体が請負形式によりまするところの雇用創出というものは、過去の経緯からいたしまして必ずしも現在においてはとるべきではない、むしろ慎重であるべきであるというのが率直な私どもの考え方であります。
 しかし、むしろ、御指摘の中に、民間の活力を活用しろ、この御指摘がございますが、これについては賛成でございます。今度私どもが中高年齢層の雇用開発給付金を大幅にふやし、期限と補助率を上げましたけれども、それはまさにそれに、いまおっしゃるような趣旨にのっとりまして民間の活力をフルに利用しよう、民間にひとつがんばってもらおう、そのために思い切った助成をしようということでございまして、この点につきましては社会党の意見を十分にくんでおる、そういうようにお考えをいただきたいと思います。
 なお、公共事業の重点配分につきましてもいろいろ御注文のあるところでございますが、私どもは、いわゆる不況地域あるいは失業多発地帯につきまして公共事業の重点配分をしなければならない、こういうことで建設省にもこの話を詰めております。建設省も、そういう雇用情勢というものをよくわきまえた上でこれは配慮したいということでございますので、今後の経過をお見守りをいただきたいと思います。
 なお、いわゆる社会福祉、教育、医療、そういう方面でも雇用を創出すべきじゃないかという御意見でございますが、これも同感でございまして、各省庁によく連絡をとりまして、各省庁でどの程度の雇用創出ができるか、そういったものにつきましても鋭意検討を進め、具体的にやっていただいているわけでございます。これも今後の推移をお見守りをいただきたいと思います。
 これを要するに、いろいろ御指摘がございましたが、社会党初め野党の皆さん方の御意見も十分に配慮いたしまして今度雇用対策を組んだつもりでございますので、どうぞ御理解と御協力を賜りたいと思います。
 それから、これは総理に対する質問なのか私に対する質問なのかわかりませんでしたけれども、総理からお答えがございませんでしたので、私からお答えをいたします。
 解雇制限あるいは年齢差別、高年層の雇用率を義務化すべしという御提案でございますが、解雇制限につきましては、経営上の理由によりまするところの解雇ということはきわめてデリケートな問題でございまして、これはやはりいまの段階では労使双方の話し合いに任せるべきではないか、こう思います。
 それから年齢差別とか高年層の雇用率の義務化でございますが、これも御案内のとおり、日本の年功序列賃金体系というものがございまして、労使の間におきましていろいろと検討しなければ、まだ決着をつける問題ではない、こう考えております。
 なお、総理の方からもいろいろと、高年層の雇用の義務化の問題につきましては御注文といいますか、検討を指示されておりますことをここでお答えをしておきます。
 次に、就業構造の変化に伴って雇用の場をどうするかということでございますが、雇用の変化は、構造不況といいますか構造変化と申しますか、きわめて就業構造がむずかしい状況でございます。それに伴ってどういう方面に誘導するかというのはまさに現下の大きな課題でございまして、私どもはこの点について鋭意検討を進めておりますが、ただいま一般的に指摘されておりますことは、知識集約的な企業、産業あるいは第三次産業、特に生活、福祉、文化、医療、教育、情報、そういった方面について雇用を誘導するためにやっていくべきじゃないかという御意見がございます。大局的に見ますとこれはそのとおりだと思いますが、現実的には、正直言いましてまだ、労働省におきましても通産省におきましても、どういう第三次産業がよろしいか、第三次産業の実態というものを十分に把握していないということが現状でございまして、遅まきではございますけれども、通産省も労働省も、今回、そういう産業実態につきまして調査をするために予算に調査費を計上したところでございます。
 なお、こういったことと関連をいたしまして、今後転換をしなければならぬ業種につきましては、職業紹介あるいは職業訓練、その体制を万全なものにいたしたい、こういうことで努力しておりますことを御了承いただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#8
○国務大臣(橋本龍太郎君) 多賀谷先生からお尋ねのありました点、二点について、総理の御答弁を補足をさせていただきます。
 最初に、年金所得のミニマム、それに関連しての福祉年金というお尋ねでございました。
 先生御承知のように、わが国の厚生年金の水準、ほぼ国際的に見ても遜色のないところまで参っております。それを踏まえまして、明年度さらに物価スライドを実施することによりまして、厚生年金の標準的な年金額は約十万八千円にまで上昇をいたします。
 ただ、一つの問題点は、国民年金における経過的年金、ことに福祉年金等の問題でありまして、この点が必ずしも十分でないとの御指摘をちょうだいをいたしたわけでありますけれども、福祉年金につきましても、明年度、物価上昇率を上回る九%程度の改定をいたしたところでございます。
 そこで、一般会計負担により賄われております福祉年金をさらに引き上げていくとすれば、一つは財源の問題がございます。同時にもう一つは、保険料により賄われております国民年金の経過年金とのバランスをどうするかという問題がございまして、現在、これを含めまして、今後の年金水準のあり方について、厚生大臣の私的諮問機関としての年金制度基本構想懇談会において御審議をいただいておるところであります。近く御報告の取りまとめをしていただけるということであります。私どもとしては、この報告をちょうだいをした上で慎重に検討をしてまいりたい、そのように考えております。
 また、もう一点は、医療費が十一兆円時代を迎える、これは一体だれが負担するのだ、同時に抜本対策はどうするのだというお尋ねでございました。
 確かに、国民医療費は、五十三年度において十兆円、五年後の五十八年度にはこのままでまいれば二十兆円に達すると見込まれておりまして、これをだれがどういう形で負担をするかというところは、確かに御指摘のとおりに重要な問題点であります。しかし、この増高する医療費というものは、保険料でちょうだいをいたしますにせよ、患者から患者負担でお願いをするにせよ、いずれにしても国民の方に返ってしまいます。それだけに、医療保険制度の抜本改革については五十二年の十一月に、医療制度、医薬品制度、健康管理対策等を含めました十四項目にわたる制度改革の基本的な考え方をすでにお示しをいたしておりまして、その方針のもとに、昨年の通常国会に、制度の根本改革の第一歩としての健康保険法を提案をいたした次第であります。このねらいは、給付の平等、負担の公平、すなわち社会的公正の確保ということを考えて提出をした次第でありまして、どうかできるだけ早い機会に慎重な御審議を賜りますとともに、速やかな健康保険法の御可決をよろしくお願いをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(保利茂君) 河本敏夫君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔河本敏夫君登壇〕
#10
○河本敏夫君 私は、自由民主党を代表して、大平内閣の施政方針に関し、政治姿勢、財政、経済、外交、文教等について若干の質問を行うものであります。
 第一にお伺いしたいことは、大平総理の政治姿勢及び基本的な物の考え方についてであります。この問題では三点についてお伺いをいたします。
 まず、大平総理は、先般の施政方針演説において、現代は物質文明自体が限界に来たことを示していると分析され、経済中心の時代から文化中心の時代に至ったものと表現をされました。
 このような傾向は確かに存在をしておりますが、しかしながら、一面、科学技術は日進月歩の勢いで進み、石炭の液化や高速増殖炉は実用化の時代が近づきつつありますし、核融合も、各国相協力して、二十一世紀前半には研究開発の成果が上がるものと期待をされております。海洋や宇宙の開発も、いまわれわれが挑戦すべき大きな課題であることは、総理自身も演説で述べられております。
 換言すれば、二十一世紀は科学技術の発展を基礎とする新しい、さらに豊かな物質文明の時代を迎えようとしているとも言えると存じますが、この点はいかに理解をしておられるか、お伺いをいたします。
 第二に、外国航空機の購入をめぐる疑惑問題については、総理は、事態を解明するため最善の努力をする所存であるとその決意を述べられ、現にその方向に進んでいるものと理解をしておりますが、なお具体的にどのような手順で解明を今後進めようとしておられるのか。これは内閣の基本的な政治姿勢にも関する問題でありますので、先ほども御答弁がございましたが、さらに重ねて明快な御所見をお伺いするものであります。
 第三は、元号問題でありますが、いまや元号法制化を求める声は全国的に広がり、すでに多くの地方議会でその法制化の要望意見が決議をされております。総理も法制化を果たしたいと願っておると述べられましたが、これは単なる願望ではなく、その実現の決意を述べられたものと理解してよろしいか、お伺いをいたします。
 第二にお尋ねすることは、経済政策についてであります。
 現下のわが国の最も緊急な政治課題が、今年度こそは物価の安定を図りながら景気回復の基調を定着させ、深刻な雇用不安を緩和することにあることは言うまでもありません。
 今回提出されました五十四年度予算案も、公共投資の大幅拡充を中心とする内需の拡大等によって、六・三%の実質経済成長を目標としていますが、この目標は、雇用の安定からも、国、地方を通ずる税収確保の上からも、さらには世界経済発展への貢献と国際収支の黒字減らしという国際的責任を果たすためにも、ぜひ達成をしなければならない目標であり、決して努力目標であってはならないのであります。ところが、民間の調査機関の多くは五%台の成長と予測しており、経済界においても政府見通しを疑問視する向きも多いのであります。
 私は、六・三%の成長という政府の見通しには、それなりの十分な根拠があると信じております。この際、その根拠を改めて明らかにされたいのであります。
 経済政策について第二にお伺いしたいことは、民間経済の活力の積極的な展開であります。
 大平総理は、就任に際して特にこの点を強調されましたが、本来、経済の安定成長は、民間経済の自力による発展を中心とすべきであることは当然であります。現在のように民間企業が停滞を続けているときには、財政主導による景気浮揚が必要ではありますが、同時に、民間経済がその活力を発揮できるような条件を整えることが必要であります。
 そのためには、まず金融政策の弾力的な運用であり、特に長期貸出金利の引き下げや、中小企業にとっては最大の願望であり、いまだに是正されていない歩積み両建て等の拘束性預金の全廃等が企業の活力発揮に最も実効ある措置であると思いますが、いかがでありましょうか、御答弁をお願いをいたします。(拍手)
 経済問題に関し第三にお伺いしたいことは、円相場の安定についてであります。
 わが国の経済成長の程度を決する基本的な条件の一つは、国際経済環境であります。五十三年度の経済成長が、内需においては八%成長を可能にするほど順調に拡大をしておりますが、円の急騰のため貿易に変調を来し、七%成長の目標が困難になったことはまことに遺憾であります。五十四年度六・三%成長を達成するためには、自由貿易体制の維持と国際通貨の安定が前提条件であり、特に重要なことは、円の為替相場を適正水準に安定させ、輸出の正常な増進を図ることであります。これについてはさらに申し上げますが、わが国は国際通貨不安による最大の被害国として、積極的、効果的な国際通貨政策を推進することが政府の重要な責任と思います。
 以上、通貨問題について御答弁をお願いをいたします。
 経済政策に関連をいたしまして最後にお伺いしたいことは、六月下旬に東京で開催が予定されております先進国首脳会議に臨む態度についてであります。
 わが国は招請国として、当面をする国際経済の諸問題解決に積極的に貢献しなければならないことは当然であります。
 この首脳会議においてわが国が重視しなければならないことは、わが国の国際信用の回復と、さらにこれを一層高めることであろうと思います。アメリカを初めEC諸国がわが国に最も不満を抱いていることは、経常収支の黒字減らしの約束が一向に実行されていないということであります。この問題は、過去の先進国首脳会議においても主要な課題として取り上げられ、そのつど、わが国は当該年度の黒字減らしを約束をしてきたのでありますが、これがそのとおり実行されたためしがないのであります。五十四年度の経済見通しでは、経常収支の黒字を七十五億ドルと見込んでいますが、欧米先進国が、過去の実績から見てこれを過小見積もりとして信用しないことは想像にかたくありません。
 私は、わが国で初めて開催される先進国首脳会議において、わが国の国際信用を高め、その責務を果たすためには、何よりも経常収支の黒字減らしを実績をもって示すことが必要であると存じます。それには、円高による自然の黒字減らしだけではなく、内需の拡大や政策的な製品輸入の増進、さらに緊急輸入政策の推進等が肝要であると存じますが、政府は具体的にいかなる黒字減らし対策を進めていくのか、お伺いをしたいのであります。(拍手)
 首脳会議の第二の重要な問題は、欧米先進国に台頭しつつある保護貿易主義の傾向を阻止することであります。
 欧米先進国にこのような傾向が台頭してきたのは、世界経済の停滞、貿易収支の不均衡、失業の多発等で、背に腹はかえられないといった事情からではないかと思います。そもそも保護貿易主義は、世界貿易の拡大を阻害し、世界経済の発展にブレーキをかけるものであります。先進国の最高首脳者の会議においてこのような傾向を阻止する合意に達することは、東京首脳会談の重要な課題の一つであり、わが国はこれを強く推進すべきであると存じます。(拍手)なお、このためには東京ラウンド交渉を早期に妥結することもきわめて重要な課題であります。
 首脳会議の第三の問題は、さきにも触れました国際通貨の安定についてであります。
 現在のところ、アメリカ関係機関の市場介入によりまして、一応ドル相場は小康を得ていますが、大体、ドル安の根本は、五千億ドルと推定される世界の過剰ドルと、アメリカの貿易収支の大幅赤字、アメリカ国内のインフレにあるので、この根本が是正されない限り、いつまたドル安の国際通貨不安が再燃をするかもしれないのであります。また、欧州通貨制度の発足は、その運用いかんによっては円の動向にも大きく影響するものと考えられます。
 東京首脳会談は、国際通貨安定のための根本対策を話し合うためにも絶好の機会であります。政府はどのような方針と態度をもって東京首脳会談に臨まれようとしているのか、お伺いをいたします。
 第三の質問は、雇用対策についてであります。
 現在、わが国で最も深刻な社会問題は雇用不安であります。わが国経済は、ここ三年間、年率五%以上という、先進国では最高の実質経済成長を続けてきたにもかかわらず、失業者はむしろ増加の傾向を示しており、現在は百二十万人前後という高水準で推移をいたしております。この数字は政府の統計にあらわれた完全失業者の数でありますが、このほかに、いわゆる失業予備軍と言われている企業内の過剰雇用が二百万ないし三百万も潜在すると推定をされており、雇用不安を一層深刻にいたしております。
 大平内閣が、五十四年度予算において雇用対策を最も重視し、一般会計、特別会計を通じて一兆七千三百億円の巨額を計上し、十万人の雇用の創出、九万人の失業予防、百六十三万人の失業者の生活安定を図ることとしたことは画期的な雇用対策であり、私はこれを評価するものであります。
 しかし、現下の雇用不安は、このような財政による雇用対策だけでは解消されるものではありません。わが国が先進国中最高の経済成長を続けながら、失業が年々増加しておりますのは、一つは、労働力人口の増加によるものであり、他の一つの大きな要因は、企業の減量経営による雇用の縮小であります。
 労働力人口の増加に対応する雇用対策の根本が有効需要の増大にあることは言うまでもありません。したがって、五十四年度に六・三%の経済実質成長を達成することが雇用対策の基本でありますが、企業の減量経営の傾向が続く限り、失業者の減少は困難と思うのであります。私は、企業の減量経営にも、失業の防止という社会的責任から、一定のルールを確立することが必要ではないかと思うのであります。
 雇用問題において、いま一つ重要なことは、学校の新卒業者、特に大学の新卒業者の就職確保についてであります。将来、社会の中核となるべき大学卒業者の多くが、働くに職がないという実情については、真剣に考慮をすべきことであります。政府は、大学新卒業者の雇用確保についてどのような対策をとられようとしているのか。
 以上の雇用対策について御見解を承りたいのであります。(拍手)
 第四の質問は、財政、税制対策についてであります。
 今国会に提出されました昭和五十四年度予算案と、近く提出を予定されています一連の税制改正案は、国民生活の安定充実の前提である景気回復の定着と、当面最大の政治問題であり、社会問題でもある雇用の安定という緊急な要請にこたえながら、一面においては長期的展望に立って赤字財政再建の足がかりを整えるという、両面の性格を備えているところに画期的な意義があります。
 ただ、私が心配することは、政府の努力にもかかわらず赤字公債の急増することであります。政府は、これが抑制のために、経常経費を厳しく査定をするとともに、財源充実のため租税特別措置等の大胆な整理縮減を行うことにしておりますが、それでも八兆円という、前年度に比べ三兆円も多い赤字公債の発行を計上しており、これがさらに公債依存度を高める悪循環をもたらす原因でもあります。根本対策としては、経済を拡大をして税の自然増収をふやすこと、経常経費を抜本的に洗い直して節減効率化すること及び必要な財源を国民に負担していただくこと以外には道はないのであります。国民がまず第一に求めることは、単に人を減らすとか、機構を簡素化するとかいったことだけではなく、貴重な税金をむだなく効率的に活用することにあると思います。
 財政再建のためには、歳出の節減合理化とともに、財源の増強の必要なことは言うまでもありません。政府とわが党が五十五年度中にいわゆる一般消費税の導入を決意したのもそのためであります。しかしながら、との新税の最終案の決定までには、さらに国民の意見も十分に聞き、理由のあるものはこれを取り入れるという配慮がなければならないと存じます。
 以上、財政再建について御見解を承りたいのであります。
 第五の質問は、教育問題であります。
 大平総理は、政治姿勢として、文化の時代の到来を述べられ、また、人間性の回復、家庭基盤の充実を説かれましたが、それらの大平政治の根本は、何よりも教育の再建にあると存じます。戦後における教育の荒廃が人間性を失わせ、家庭基盤を弱くしている根本であり、学校教育、社会教育、家庭教育を通じて心の豊かな創造性に富む人間を育成することこそ、総理の言われる文化の時代の建設、人間性の回復、家庭基盤の充実を進める大前提であると存じます。(拍手)
 それには、教育政策全般にわたり刷新充実をいたさなければならないと考えますが、いかがでございましょうか、御答弁をお願いいたします。
 第六の質問は、外交政策についてであります。
 まず、日米関係はわが国外交の基軸であります。最近、両国間の貿易不均衡は順次改善の方向には向かっておりますが、いまなおその数字はきわめて大きいものがあります。貿易不均衡問題は、単に二国間だけではなく、世界的な規模において判断すべきものでありますが、東京首脳会談を前にして、両国の十分な意見調整が必要であると思います。この点について総理の御見解を求めます。
 それから、日ソ関係については、北方四島返還を引き続き求めなければなりませんが、さしあたり、この二月に予定されている両国の経済協議についてであります。シベリア開発プロジェクトについては、日ソ両国で進めているものと日米ソ三カ国で取り組んでいるものがありますが、今後の日ソ経済協力をどのように進めようとしておられるのか。
 また、日中平和友好条約第三条に基づく経済、文化の交流について、今後ますます重要性を生じてくるでありましょうが、政府はいかに対応されるのか。特に、二月には長期貿易協定の大幅拡大が進められようとしております。貿易を円滑に進めるためには、金融上の諸問題を至急に解決することが何よりも必要であります。それから、同時に、中国石油の輸入に積極的に取り組むことも大きな課題であります。
 以上につき御答弁を求めます。
 私は、この際、外交実施体制についてお伺いをいたします。
 わが国の外交実施体制が他の先進国に比べ、きわめて弱体であることは定評があります。人的機構はイギリスの三分の一、西ドイツやフランスの二分の一、イタリアにも及ばない実態であります。私は、わが国がわが国の国際的地位にふさわしい外交を積極的に展開するためには、外交実施体制を質、量にわたって充実することが先決であると考えております。(拍手)
 以上の外交政策に関し、御見解を承りたいのであります。
 第七の質問は、大平総理の政治目標とされている家庭基盤の充実と田園都市の建設についてであります。
 これらの構想はいずれも、健全で物心ともに豊かな人間生活、社会的ひずみのない住みよい国土の建設の基盤をなすものであり、速やかにその具体的な施策を実行に移すことを望むものであります。
 第一の家庭基盤の充実については、経済の成長による所得の向上、物価の安定、住宅を初め良好な居住環境の確保、健康の増進、教育、文化の向上等、物心両面にわたって広範な条件が整わなければなりませんが、中でも、すべての人々が生涯を通じて安定した生きがいのある生活が送られるような生涯福祉社会を建設することが、豊かな充実した家庭基盤を培う基本的な条件であると信ずるものであります。
 この生涯福祉社会は、安定成長下にふさわしい効率的で体系的な社会保障と、みずからを助ける自助の努力、社会連帯感で結ばれた相互扶助とが有機的に結びついた福祉体系、だれでも、いつでも、どこでも学べる生涯教育、働く意思と能力を持っている者はだれでも働く場が得られるという完全雇用、以上三条件を備えたものでなければならないと思います。
 第二の田園都市構想でありますが、私は、さきに決定された第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総の中核をなす定住圏構想こそがまさにそれに該当するものであると信じます。これを強力に推進することが、大平総理の提唱する田園都市を実現することであります。そのために何よりも必要なことは、関係各機関がばらばらに独走することのないよう、統一をした計画のもとに総合的に施策を進めることであります。
 五十四年度予算に計上された田園都市関係の予算を見ますと、国土庁のモデル定住圏調査費、自治省の新広域市町村調査費、建設省のカルチュアパーク事業費、農林水産省の緑の村整備事業費等、メニューが花盛りの感がありますが、私は、このようなことでは効果的な田園都市を建設することは困難であると思います。統一のある推進体制を整備し、一律的に施策を進めることが田園都市を効果的に実現する要件であると考えますが、政府の御見解を承りたいのであります。(拍手)
 第八の質問は、エネルギー対策についてであります。
 エネルギーの安定供給の確保は、大平総理の言われる総合安全保障の重要な要件の一つであります。五十四年度予算においても、石油国家備蓄の倍増を初め、エネルギー対策には相当な配慮が払われておりますが、世界第二の石油産出国イランの政情の混乱は、たちまち世界の石油需給に大きな影響を及ぼし、わが国においても石油供給の減少を来すことは必至と見られております。
 このことは、石油のほとんどすべてを外国に依存するわが国のエネルギー供給力が、いかに不安定であるかを事実をもって証明するものであります。私は、今後一層エネルギー対策を強化しなければならないと痛感をするものであります。特に重要なことは、昨年秋決定をいたしました総合エネルギー政策を確実に実行することであり、このためには、十年間、七兆円と想定される公的資金の調達を具体化することにあります。この点についての政府の見解を求めるものであります。
 最後に、婦人問題について質問をいたします。
 来年デンマークで開催予定の、国連婦人の十年・一九八〇年世界会議についてであります。総理は婦人問題企画推進本部長を兼ねておられるようでありますが、わが国としてはどのような方針で臨まれるのか、御見解を承りたいのであります。
 内外諸情勢のきわめて厳しいときに当たって発足をした大平内閣に対し、国民は期待と希望を持ってその施政を見守っておるのであります。大平総理はこの国民の期待にこたえるためにも、私の質問に対し明快に答弁されるよう要望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(大平正芳君) 河本さんの御質問に御答弁申し上げる前に、先ほどの多賀谷さんの御質問に対しまして答弁の補足をいたしたいと存じます。
 外国機輸入問題で国会決議をすべしとの御意見がありましたが、この問題につきましては、国会内で各党問において協議して妥当な結論を出していただきたいと存じます。
 なお、国会で決議がなされた場合には、その趣旨を十分尊重する所存であります。
 河本さんは、まず、政治姿勢につきまして三つの御質問をいただきました。
 一つは、時代認識でございます。現代は物質文明自体に限界が来たと言われるけれども、二十一世紀は科学技術の発展によりましてさらに豊かな物質文明が期待できるのではないかという御意見でございました。
 私もその点につきましては河本さんと同感でございます。私が申し上げましたのは、現代の物質文明にトータルな人間性の立場から反省を加えたものでございまして、物質文明の発展自体を否定したものでは決してないのであります。仰せのように、科学技術の発達はわれわれの挑戦すべき重要な課題でございまして、二十一世紀にはさらに総合的な豊かな発展が期待されるものと存じております。
 それから第二に、外国機輸入をめぐる疑惑の解明でございますが、この点につきましては先ほど多賀谷さんにお答えしたとおりでございますので、重複を避けさしていただきます。
 それから、元号法制化につきましても、多賀谷さんにお答えしたとおりでございますが、私が申し上げたのは、単なる希望の表明ではなくて、御審議をいただき、早期に成立を図っていただきたいという強い念願を込めての意見でございます。(拍手)
 それから第二に、経済問題につきましてでございますが、まず、成長目標の達成につきまして具体的に自信のほどを示せということでございました。
 本件につきましても、多賀谷さんにお答えしたとおりでございますが、民間の調査機関等が出しました明年度の成長目標と政府のそれとの間には、相当距離があるというので御指摘をいただいておるようでございますけれども、詳細に吟味をしていただきますればおわかりいただけますように、政府と民間の計算の基礎には一つの大きな相違がございまして、それは海外要因につきましての見方が違っておるわけでございますが、内需の見方等におきましては、民間と政府の間に大きな相違がございませんことは河本さんにも御理解いただけると思うのでございまして、私ども、内外に大きな条件変化がない限り、この成長目標は達成できるもの、また、達成させなければならぬものと考えております。
 それから、円相場の安定策についてのお尋ねでございました。
 昨年十一月のアメリカのドル防衛策、それからその後各国通貨当局の協力姿勢が整いましたこと等によりまして、現在のところ、円相場は比較的小康状態にあるわけでございますが、この安定基調を続けてまいりますためには、わが国といたしましてもこれに十分協力するところがなければならぬと考えております。
 その一つは、わが国経済の対外均衡の達成にわが国自身が精力的に努力するということ、それから、わが国が関係通貨当局と十分協調いたしまして、相場の乱高下を避けるために努力するということでもって、この安定基調を何とかして維持したいものと考えております。
 それから、東京サミットに臨む方針でございます。
 わが国の世界経済に占める役割り、わが国が担う責任を踏まえまして、国際協調の精神に立ちまして、最大限の努力をしてその成功を期さなければならぬことと考えておりますが、そのためには、先ほど申しましたように、わが国自体が、内需の拡大を通じまして、わが国経済の対外均衡化の方向に精力的に努めるということが、まず第一の対処方針でなければならぬと考えております。
 第二は、いま申し上げました通貨の安定につきまして、各国と協調いたしまして努力すること、さらに、御指摘のように、世界が保護貿易主義へ傾斜することのないようにどうして歯どめをするかということにつきまして、国際協力体制を推進してまいるということがわれわれの対処方針でなければならぬと考えております。
 さらに、申すまでもなく、わが国の経常収支の黒字幅、ただいまのところ漸次縮小する方向をとっておりますものの、さらにこの傾向を強化いたしまして、その縮減に努力してまいる、そういうことが東京サミットを成功に導くものであろうと考えております。
 それから、財政問題についてのお尋ねでございまして、この財政再建の問題といたしましては、当然のこととして歳出面の洗い直しが必要でございまするし、現在、経常経費の節減合理化に鋭意努めておるところでございますが、御指摘のように、歳入面におきましては、制度面ばかりでなく、執行面でも税負担の公正を図るようにしなければならぬと心得て、その方向に努力中でございます。
 そういうことをいたしましてもなお財政のバランスを回復するということは容易でございませんので、税制調査会におきましては、一般消費税の導入ということを答申してよこしておられるわけでございます。もとより、この導入に当たりましては、先ほども申し上げましたように、歳入歳出両面にわたりまして十分見直し、洗い直しを行わなければ、国民の納得は得られないわけでございますので、その方向に私どもはいま各方面の理解を得べく、もろもろの資料を整えまして、国会内外の論議を深めていただく努力をいまいたしておるところでございます。
 それから、教育政策についてでございまして、すべてのことは教育政策が基本になければならぬという御指摘はそのとおりでございます。私は、施政方針演説でも申し上げましたとおり、教育につきましては、国民の自発性と活力を尊重してまいる。政治の側から不当な介入はできるだけ避けたいと思いますけれども、しかし、政治の責任は果たさなければならぬと考えておるわけでございまして、教育水準の向上、良質な教員の確保、それから入試の改善、施設の充実等には、政府といたしましても重点を置いて努力をいたさなければならぬと考え、その方向で努力いたしておるところでございます。
 外交問題につきましては、若干の御質問がございましたが、第一は、日米貿易不均衡問題についての対処方でございます。
 この問題が最近、日米間の問題になっておりますことは御承知のとおりでございまして、わが国はこれに対しまして、まずわが国自身が対外均衡化の努力をしなければ米側の理解が求められないわけでございますので、わが国自体が十分な努力をしながら、同時に米側に深い理解を求めなければならぬと存じておりまして、そういう用意をしながら、特使の派遣等につきましてもいま準備を進めておるところでございます。
 日ソ間の経済協力でございますが、これはシベリア開発を中心に、長期的展望に立ちまして、引き続き努力をしてまいるつもりでございます。すなわち、問題になりまするプロジェクトにつきましては、そのフィージビリティーを確かめた上で、適宜信用供与のことも考えていかなければならぬと考えております。
 日中経済文化の協力でございますが、これは申すまでもなく、互恵平等の立場に立ちまして交流を進めてまいる方針でございます。しかし、その際、日中両国が排他的な態度をとることのないように、アジア全体を踏まえて処理していかなければならぬと考えております。
 貿易金融につきましては、日中関係者の間でいま協議中と聞いております。政府としても、貿易拡大のため、諸般の事情を考慮いたしまして、適切に対処していかなければならぬと考えております。
 それから、外交機能、外交実施体制の整備が必要でないかという御指摘でございます。同感でございます。わが国の外交が、比較的少ない要員と比較的少ない予算の中で実行されておりますることは、御指摘のとおりでございます。ただ、政府といたしましては、一般に行政機構につきまして、その合理化、膨脹の抑制ということを一般の方針として急いでおるわけでございまして、外交機構もその例外ではないわけでございますが、そういう制約がございますけれども、御指摘の方向に沿いまして、できるだけの配慮はしてまいらなければならぬと考えております。
 家庭基盤の充実と田園都市構想というものを提言いたしまして、わが国のこれまでの教育政策あるいは住宅政策、あるいは地方に対する公共事業計画、その他もろもろの政策をもう一度この立場から吟味し直すべきではないかという提言をいたしておるわけでございます。これは、先ほども申し上げましたとおり、新しい政策を提示しておるわけではないのでありまして、いまわれわれがやっておりまする政策に光を当てて、そうしてゆとりと、そして豊かな田園都市をつくり上げる上におきまして、現在のもろもろの政策をどのように調整したらいいかという政策理念を探求いたしておるところでございます。
 したがいまして、仰せのとおり、この理念につきましてもろもろの考え方があってはならないわけでございまして、いま政府におきまして一つの壮大な構想を練りつつあるわけでございまして、それを確立いたしまして、各省庁がこれに沿って、現に実行いたしておりまする政策を方向づけていく、肉づけていくということにしてもらいたいものと私は念願いたしておるわけでございます。その中におきまして、生涯福祉計画というものにつきましても十分の検討を加えなければならぬものと考えております。
 それから、エネルギー政策に関連いたしまして、公的資金の確保が何よりも大事じゃないかという御指摘、仰せのとおりでございます。民間の資金の動員のほか、公的資金を可能な限り確保しなければならぬことは御指摘のとおりでございます。そのために、昨年からは石油税を創設いたしまして、当面緊急を要する経費に充当いたしておりますが、今後とも公的資金を豊富に確保するように努力をしていかなければならぬことは御指摘のとおりと心得ております。
 それから、国連婦人の十年に関連いたしまして来年開催予定の一九八〇年世界会議に、わが国としてはどのように対処するかということでございますが、わが国としてはもとより積極的姿勢で臨む決意であります。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#12
○国務大臣(金子一平君) 河本さんにお答え申し上げます。
 御質問の趣旨は、民間経済の活力を引き出すために、金融政策の運用に当たって長期の金利をさらに引き下げ、あるいは拘束性預金を全廃したらどうかという御質問でございますが、昭和五十年四月以来の相次ぐ公定歩合の引き下げで、長期、短期とも金利は戦後最低の水準にございます。こうした金融の量的緩和の措置を反映いたしまして、現在企業の手元流動性が潤沢になっておりまして、資金繰りも緩和基調で推移しておりまして、企業活動が積極的に展開されるための金融面の措置は十分に整備されておるのじゃなかろうかと考えておるのであります。
 ただ、歩積み両建ての問題です。これも相当長い問題で、やかましく取り締まりを続けてまいりましたけれども、その効果もあり、特に最近の金融緩和の基調を反映いたしまして、漸次最近改善の跡をたどっておりまするけれども、なお政府といたしましては、今後行き過ぎの拘束性預金につまきしては、その解消に全力を挙げてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#13
○国務大臣(栗原祐幸君) 河本先生の御質問は、一つには減量経営のお話、これは通産大臣の方からお答えをいただくことになっておりますので、私は省略いたします。
 いま一つは、大学を卒業した連中が非常に就職難じゃないか、確かに……(「連中とは何だ」と呼ぶ者あり)まあ、大学を卒業した人たちが就職難ではないか、そういうことで、これは非常に重視すべきだという御意見でございますが、確かに、金の卵と言われた時代から見ますと、大学を卒業した人たちが非常に選択の幅が狭くなってきておるということは私どもも痛感しているところでございます。しかし、総体的に見ますと、大学を卒業した人たちは大体就職先は決まっているようでございます。昨年もそうでございますが、ことしも、三月卒業される方々の実態を調べてみますと、採用予定者というのは昨年と比べてみますと若干多いようでございまして、中小企業等も含めますと大体就職は可能ではないかと考えております。ただ、御案内のとおり、求める職種と、それから企業の動向とが離れておる。また、出身地において職業を求めたいというUターン現象等もございまして、そこら辺をどう調整するかというのが今後の大きな課題でございます。
 労働省といたしましては、公共職業安定所と学校の担当と十分に協力いたしまして、今後これらの問題について対処していきたい。それから、東京、大阪のほかに、日本で四カ所ばかり学生職業センターというのがございます。この職業センターをフルに利用いたしまして、今後こういった問題について善処していきたい、こういうことでございます。(拍手)
    〔国務大臣江崎真澄君登壇〕
#14
○国務大臣(江崎真澄君) お答え申し上げます。
 雇用の安定について通産省はどう対策しておるか、こういうお尋ねでございました。
 通産省としましても、過剰雇用の実態等を踏まえて、構造不況業種対策の拡充や強化を図る、また、中小企業対策等をきめ細かに実施をしてまいるということはすでに実行に移しておるわけでありまするが、企業の面から雇用の安定を図るという点を一口に申しまするならば、やはりまず企業の活力をどう生かすか、これが第一だと思います。したがって、私ども、就任をいたしまして以来、各業種別に鋭意、懇談会を開いておりまするたびに、企業経営者は減量経営に終始するというような態度ではなくて、雇用の機会の維持、それから雇用の創出に果たすところの社会的な意義を十分お考え願いたい、しかもまた社会的な責任を感じられたい、そして、どうぞひとつ、ただ減量経営ということで人員を整理するという安易な道を絶対とらないようにということをしばしば要請をいたしておるわけであります。したがいまして、今後とも産業政策を機動的に実施いたしまして、こうした企業努力を積極的に支援してまいりたいと思います。
 それから、何かこういう減量経営に名をかりた、たとえば希望退職とか人員整理などということをとめるためにルールづくりをしたらどうだという御提案、これは貴重な御提案だと思います。一月の中旬、本来企業というものは経営者と労働者によって成り立っておりまするから、労働省と通産省というものは一体的な感覚でこの雇用問題に取り組んでいこう、また、労働省も企業の経営者の立場というものにも十分認識を深めていただこう、こういうことで、両省大臣も出まして幹部が一堂に会して、いろいろ情報交換をしたり意見を交わしたことであります。したがって、河本さん御提案の問題等につきましては、今後もそういった機会を通じて、十分ひとつ両省間において検討をしてまいりたいと考えます。
 第二点は、中国石油の輸入にもっと積極的に取り組め、所見いかん、こういうことであります。
 石油は、わが国の一次エネルギー供給の七割を占めております。その七割のうち八〇%、八割が中近東地区から輸入をいたしておるわけであります。したがって、今後の安定供給という面から考えまするならば、アジア地域、この中国に依存することは絶対必要である、全く私同感であります。
 そこで、計画的には、昭和六十五年ごろにはわが国石油の三〇%、三割程度を中国を含むアジア地域から輸入できるようにすることを計画しておる次第であります。昨年の二月、民間ベースで日中長期貿易取り決めが締結されました。これをフォローアップする意味で、河本さん、通産大臣のころ、九月に中国を親しく訪問されて、この石油の供給についても安定的長期に供給される道をしっかりお約束願ったわけであります。したがって、両国間の合意はできておりまするので、ぜひひとつこれを積極的に進めたいというふうに考えます。
 そのためには、いま一つつけ加えて申し上げますると、中国の石油は言うところの重質油であります。びんの中に入れたものを逆さにしても、コールタール分が多くて下に流れない非常にかたいものであります。したがって、これを分解して、日本で歓迎されるガソリンであるとか灯油であるとか、そういった軽質油に研究開発をしていくために、政府は、ことし十七億ではありまするが、向こう三年間ぐらいで鋭意ひとつこの技術開発をしたい、またこれが燃料使用の対策を図りたいということで、民間の協力を得て協力体制をとっておるわけであります。本来、余り使いたくない重質油をそれぞれの使用者に供給することになりまするので、政府は思い切って、この研究費には四分の三を助成するという画期的な挙に出て、重質油の分解研究開発に努力しておるというのが現況でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#15
○副議長(三宅正一君) 兒玉末男君。
    〔兒玉末男君登壇〕
#16
○兒玉末男君 私は、日本社会党を代表しまして、大平総理の施政方針並びに五十四年度政府予算案に関し、総理を初め関係閣僚に質問をいたします。(拍手)
 まず、質問に入る前に、大阪の三菱銀行支店におきまして不幸にも殺害されました四人の方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、政府に対し、銃刀剣類の所持にはもっと厳しい許可条件を設けるよう強く要望したいと存じます。(拍手)
 まず初めに、総理がかねてから強調されております、落ちつきと思いやり、ゆとりと風格を理念とする日本型福祉社会を実現するためには、何よりも先に日本型競争社会をなくすることが必要であります。
 わが国では、所得と雇用を初め育児や教育、医療や老後など生活の基礎的な条件が社会的に保障されないで、国民一人一人の個人的な努力がなければ、働いても働いても十分な生活が保障されない現状でございます。すなわち、わずかなつまずきがもとでまともな暮らしや人並みの暮らしができなくなり、社会から落後するような不安に絶えず脅かされ、他人を押しのけてでも、より安全な方向を求めようとするところに日本型競争社会の現実があります。このため、国民は心から憩いと潤いを楽しむことができないという実情にあります。総理が文化の時代とうたうならば、このように国民の暮らしの中に横たわる不安と焦りの原因に対し、一つ一つ丹念にメスを入れられ、次の三つを国政の基本目標に置くべきであります。
 第一は、生活条件を社会的に整備確保すること、第二は、国と自治体の責任を明らかにすること、第三は、生活安定の手段としての経済運営を確立すること、以上三つを国政の基本目標に置くべきだと考えますが、いかがでございますか。
 総理は、自民党の幹事長時代からチープガバメント、つまり安上がりの政府と言われ、国民は政治に余り期待をするなと説かれておりますが、一体その真意は、総理、何でございますか。国民生活を安定させなければならないという行政責任を逃れる口実ではありませんか。
 たとえば五十四年度予算を見ましても、二年続きの国鉄運賃の引き上げ、消費者米価の値上げ、たばこ二〇%、国立学校の受験料や授業料の値上げを初め、ガソリン税、タクシー料金、私鉄運賃、医療料金、高速道路料金など、合計一兆五千億円もの国民負担の増大を図ることで、政府はみずから国民のインフレ不安を一層深刻なものにしているのであります。
 しかも、総理は、国民に負担増を求める前に、あらゆる歳出のむだがないか、税制に不公平がないか、全部洗ってみる必要があると言われておりましたが、不要不急経費の削減が財政再建に欠くことのできない条件であるにもかかわらず、たとえば補助金制度の整理でもわずか千四百億円にすぎず、原子力船「むつ」のように有害無益なものにまで税金が使われており、不公平税制を是正されたとは言えません。総理は、その公約を実行するために一体どのような努力をされたのか、疑わざるを得ないのであります。(拍手)このように、私には期待するなと言いつつ、相手にはパンチを食わせている、このようなことでは、信頼と合意の政治が一体どこにありますか。
 加えまして、五十五年度からは一般消費税として税率五%、三兆円という過酷なむちを当てようとしております。その一方では歳出のむだや税制の不公平を改める壮大な計画もまた当然あるべきだと思いますが、いかがなものでございますか。
 なお、五十四年度予算に関連して重ねてお尋ねしたいのは、航空機汚職の疑惑の真つただ中に、グラマンE2Cの購入予算になぜそれほど総理は固執されるのか。E2C予算は即時削除すべきであります。政府は、敵機侵入を早期に発見するためと言いますが、一体どこにいるかもわからない、UFO以上と言うべき敵機なるものを国民の税金を使いながら探す手間と暇があるならば、確実に存在する汚職関係者を探し出すことに全力を挙げるべきではございませんか。(拍手)総理の見解をお伺いしたいのであります。
 次に、私は、国民の暮らしの中に横たわる不安と焦りの原因について具体的な質問を行います。
 まず、雇用対策でございます。今日の雇用不安をもたらす原因が、先ほど先輩多賀谷書記長も指摘しましたように、企業側の減量経営と称する人減らし、合理化にあることは周知のところであります。この効果によって、日本と同様のスタグフレーションに苦しむ諸外国と比べて、わが国は抜群の労働生産性の伸びを示す一方、減収増益という新たな熟語がはやっているように、企業の売り上げは減っても企業のもうけはふえているという傾向でございます。
 このような現状のもとで、政府が雇用の確保を図るためには、何よりもまず財界に対して減量経営の中止を求めなければなりません。これをしないで十万人の雇用創出などと言っても、しょせんは企業側があと十万人首を切り、政府がその受け皿を用意をするという結果にしかなりません。政府が財界に対し何をどう指導されたか、今後の方針とあわせて御答弁をいただきたいのであります。
 また、たとえば身体障害者の雇用を含めた雇用安定資金について、五十一、五十二年度予算の実績は、その九割が未消化という現状であります。政府施策は現実に対応する効果がないのではないかと考えます。来年度予算六百六十一億についてはどのような効果を期待されるのか、この際、明らかにしていただきたいと思うのであります。
 さらに、雇用対策で問題なのは働く婦人の問題であります。近年の雇用の構造変化は、重化学工業など経済成長期の花形産業から第三次産業へ、大企業から零細小企業へ、そして常雇いから臨時、日雇いへという流れを示していることは周知のとおりであります。これらの変化は、いずれも婦人に対する依存度の高い方向への流れを意味しており、ここに新たな問題が生じております。すなわち、ふえている婦人労働者の実態は、四十歳以上の者がふえて全婦人労働者の四〇%を占め、さらにまた臨時や日雇いの婦人がふえ、婦人労働者全体の六〇%以上を占める事態になっております。要するに、子供たちから手が離れた母親が、家計補助の役割りを果たすために、無権利、不安定な就労に絶えず耐えていることを意味しており、企業側もこのような安上がりの婦人の職場進出を期待する傾向にあります。
 そこで政府は、婦人ならば低賃金で利用しやすく、母性保護の規定さえなければもっと利用しやすいという企業の側に立たれるのか、それとも、妊産婦死亡率が依然世界二位というわが国では、保護と平等の両立を目指す立場をとるのか、端的なお答えをお願いしたい。
 なお、一九七七年のILOの研究報告は、夜間労働についても男女とも非常に厳しく制限せよと提言しておりますが、これがわが党の言う保護と平等の両立の考え方の一例であり、もはやこれが主要諸国の趨勢となっていることに政府は深く思いをいたすべきであります。このILOの研究報告に対し、政府の評価をお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。(拍手)
 暮らしの中の不安要因として老後問題があります。今日、雇用と年金とをつなぐべきだとの世論が圧倒的になっておりますが、政府はこれにどうこたえるつもりでありますか。これに関して政府は、五十五年度に向けて抜本的な改革案を示すとしてきましたが、その案がまだできないうちに、各種共済年金の支払い開始年齢を現行の五十五歳から六十歳におくらせるための法改正案を今度の国会に提出しようとされているが、一体どういうわけでございますか。これに伴って定年の六十歳までの延長措置は当然とられるのが方針であろうかと思いますが、いかがでございますか。雇用と年金とがつながる保証がないままに、支給開始年齢のみ改悪するといったつまみ食いのような卑劣な施策をわれわれは断じて許すわけにはまいりません。
 また、在宅の寝たきり老人が全国におよそ三十万人いると推定されております。総理の言う家庭基盤の充実とは、たとえばこの人々に対して何をされようとしているのか、具体的に示していただきたいのであります。
 たとえば、全国に一万三千人程度しかいないホームヘルパーは、週に一、二回、二時間程度の訪問しかできず、しかも、その身分は不安定な臨時雇用が大半であり、政府の予算も、その補助金額はわずかに十二カ月分の人件費しか計上されておりません。政府も言う在宅福祉あるいは地域福祉のかなめとなるホームヘルパーがこのような現状では、介護に疲れた家族の一家心中といった事件の後を絶つことはできないではありませんか。このように、家族に寝たきり老人や障害者、重病人を抱えた家庭が崩壊の危機に瀕することを考えるとき、医療や福祉サービスの拡充が急務とされている今日、自立自助の精神などと説いても全くナンセンスと言わざるを得ません。
 総理は、これらのことを含めた老後保障についてどのように対処されるつもりか、具体的な方策をお伺いしたいのであります。(拍手)
 次に、医療保障の確立についてお尋ねをいたします。
 第一は、医師及び医療機関の適正配置という問題であります。
 国民は強制的に保険料を取られておりますが、医療サービスは大都市に偏り、保険あって医療なしという山村僻地では、医師一人に年間二千万から三千万円の金をかけてもなかなか定着しないという現状にあります。これに対して、武見太郎氏のように自由診療しかしない者は別として、保険医たる者はすべて保険加入者たる国民の医療に責任を持つ立場にありますから、僻地離島や休日夜間における診療に全員が参加し、交代でこれをカバーすべきではありませんか。保険医の指定はこれを条件にすべきであると考えますが、総理、いかがでございますか。
 医療に関する第二は、薬害、とりわけ訴訟原告だけでも四千人、患者数で二万人近いと言われるスモン患者の問題であります。
 金沢、東京、福岡判決では、すでにその責任が明らかにされたにもかかわらず、国はあえて控訴しましたが、この際控訴を取り下げ、患者と話し合って、生活救済と治療、リハビリなどの保障に関し恒久対策を確立をすべきだと思いますが、考えはいかがでございますか。
 第三は、昨年末、自民党の齋藤幹事長と武見医師会長との間で交わされましたメモの趣旨についてでございます。
 このメモは、プライマリーケア重視の方向とか、政管健保と組合健保の負担の不公平是正とか、きわめて抽象的な表現でございますが、一体具体的には何を意味しているのか、その内容を今後どのように実行しようというのか、自民党総裁でもある総理に明確な御答弁をいただきたいと存じます。
 また、この齋藤・武見メモは、開業医師優遇税制を是正するための取引条件として与党が提示したものと伝えられておりまするが、もしそうだとすれば、密室政治として今国会でわれわれは断固追及しなければなりません。いまこそ国民の前にその実情を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、学歴社会をどのように改革するのか、総理の所信をただしたいと存じます。
 近年、家計に占める家庭教育費の割合が高まるに伴い、大学進学者が金持ちの階層の家庭に偏る傾向を示し、所得の低い方から二〇%の家庭出身者が、四十年度では一二・六%、最近では七%前後にまで大幅に減少しております。貧乏人の家庭からは大学まではやりにくいという傾向は、私立大学のみならず国立大学もその例外ではございません。東京大学における学生の父兄の職業を調べますと、経営者と管理職が何と七〇%を占めているという事実があります。
 日本の大学は大衆化したかに見えながら、その実は、有名大学を中心に、出身家庭の所得や地位においてふるいにかけるという憂うべき事態に対し、若かりしころ苦学をされたと聞く総理はどのように対処される方針か、お伺いしたいのであります。
 なお、五十四年度養護学校義務化実施に伴い、障害児が校区の普通学校に行きたくても、その意に反して養護学校に入学させられる問題が起きておりますが、文部省の言う父母の意思を尊重するとは、具体的にどのような対応をいうのか、お答えをいただきたいのであります。
 次に、住宅並びに土地対策についてであります。
 政府は、景気回復の手段として、大規模開発、住宅産業の育成、土地譲渡税の軽減などを図ろうとしておりますが、基本となる土地の取引並びに利用についてコントロールし、計画化しない限り、これらの措置は地価の上昇、土地投機、乱開発の危険を招くばかりではないでしょうか。いま必要なととは、土地利用の計画化のかなめとなる公有地を拡大することであり、このため、土地を自治体に売却する者には土地譲渡税をかけないといった大胆な政策が必要と考えますが、いかがでございますか。
 また、住宅については、年間百五十から百六十万戸の新設住宅のうち、公共住宅はわずかに十万戸余であり、しかも、その住宅も家賃が高くて住み手がなく、四万戸も空き家で放置されている現状にありますが、これをどのように改善されるのか、承りたいのであります。
 また、五十三年度から実施されました住宅宅地関連公共施設整備促進事業は、土地の造成及び住宅建設の費用を五%から一〇%切り下げる目的で五十四年度も六百億の予算が組まれておりまするが、この実効を上げる自信があるのかどうか、お伺いしたいのであります。
 なお、国土の保全に関連しましてお尋ねしたいのは、第一に、国民生活に重要な生活用水の確保にいかなる配慮がされているのか。
 第二は、大都市における地震の問題でございますが、特に仙台市におけるところの例でもわかりますように、建築物の欠陥による被害がその中心でありまして、この際、特に高層ビルあるいは地下街について建築基準、構造基準を全面的に改定する必要があると考えますが、この点はいかがでございますか。
 次に、中小企業についてお尋ねします。
 今日、中小企業対策は、国の産業政策の中で最大の比重を占めなければなりません。いま必要な施策は、第一に、政府系金融機関の貸出金利の引き下げ、融資枠の拡大を行い、特に四十九年、五十年の融資金利がいまだに一〇%という高い金利を取っているのは、当然これを是正すべきではないかと考えます。
 第二に、国や地方自治体の仕事である官公需の五〇%を中小企業に割り当てることとし、特に不況地域の中小企業に優先配分を行い、雇用の確保を図るべきであります。
 第三は、思い切って無利子の資金の供給や事業転換に対するところの税の免除、技術と経験のある専門家を民間からスカウトし、不況企業再建コンサル制度の導入等を図り、企業の倒産防止に全力を挙げるべきであります。
 第四は、問題の下請企業を保護するため、長期手形の規制、書面による下請契約の徹底、労賃部分の現金払い、親企業と下請企業組合との交渉による下請単価の決定等の改善を行うべきであります。
 以上四点の中小企業対策にいかなる見解をお持ちか、明らかにしていただきたい。(拍手)
 次に、交通政策についてお伺いします。
 先国会における地方陸上公共交通維持整備に関する決議は、これが五十四年度の予算でどのように生かされているのか、その実行はどのように行われるのか、これをお伺いしたい。
 また、国鉄を初め公共交通は、政府の自動車偏重の政策のために大きな衰退をもたらし、都市における交通渋滞、交通公害、過疎地におけるところの生活路線の廃止という事態を招いております。さらに陸海空を中心とする総合的な交通体系の早期確立を図るべきでありますが、いかがでございますか。
 さらに、国鉄再建についても、五十二年十月閣議了解事項によりまして、ローカル線、地方線対策、公共割引あるいは新幹線建設整備五線等に対するところの問題戦時中五十八万に及ぶ職員の入れかえに伴うところの要員問題等に基づく構造的赤字あるいは経費分担等に対するところの明確化を通じての再建の対策を明らかにしていただきたいと思うのであります。政府の見解をお伺いします。
 次に、農林水産業対策についてでございます。
 総理は、国民食糧の総合的な安定的な確保は政治の基本と言われました。自民党政府のもとで、わが国の食糧自給率は毎年下がる一方であります。穀物の自給率で見ると、五十一年度には三七%まで落ち込み、欧米諸国の三分の一あるいは二分の一といった水準にあります。乳製品、卵、肉類などは八、九割の高い自給率を示しておりますが、乳牛、肥育牛、豚、鶏などのえさは八五%を輸入に頼っている現状であり、しかも、わが国に食糧を輸出している諸外国でも、世界人口の増加に備えて備蓄に向かい、将来にわたり日本に食糧供給を十分保障してくれる目当てはどこにあるのか。
 お尋ねしたい第一点は、諸外国の食糧供給について政府はどのような見通しをお持ちであるのか、第二に、わが国の食糧自給率を高めるための転換作目について年次計画を持っているのかどうか、第三には、政府の過剰米対策は十分な効果を上げることができるのか、第四に、水田の畑作転換を目的とする土地改良事業について、わが党が提起している通年五万ヘクタールの資金金利二%、これによるところの対策をどのように考えているのか、お伺いしたいのであります。
 また、林業につきましては、林業振興に関する国会決議を尊重し、国営分収造林法及び林業労働法を制定することによって、山林労働者の労働条件を改善し、治山治水及び木材の安定供給を図り、国有林の再建を図るべきだと考えますが、農林大臣、いかがに考えますか。
 また、水産業につきましては、二百海里内の漁業体制を見直し、水産資源の調査研究体制の確立、新漁場の開発を積極的に進める中で、一つには漁業に関する基本制度の確立、二つには無秩序な輸入規制と魚価安定斜度の確立などによって日本の漁業を守らなければなりません。そのために、当面の課題である入漁料の国庫負担やカツオ一本釣り等、資源的に余裕のある業種等の再建策を緊急に図るべきでありますが、農林大臣、いかがでございますか。
 加えて、沿岸漁業に重大な影響を与える大隅開発は、環境アセスメント法もできない現状から断固反対であります。
 次に、行政管理庁が指摘しておりますところの、構造改善事業について、自営農家の育成を対象とする本事業がいまだに三〇%にもその作業が進んでいないという現状。一体その目的は何なのか。これについて、行政管理庁の指摘について政府はどのような見直しを考えているのか、お答えをいただきたい。
 次に、食品に対する放射線照射についてでございます。これは特に消費者に対する重要な課題でございますが、現在家畜飼料やあるいは魚類の飼料等にも無制限にこれが使用されている現状でございます。人体への影響につきましても、一体この危険性について化学的、物理的なメカニズムの解明がなされない今日、食品の製造工程等に対しましても十分な監視体制ができない今日では、このような制度を十分改めて、食品なり家畜なり魚類のえさについては、当面一切の放射線の利用を禁止すべきでありますが、政府の御所見を承りたい。
 次に、地方自治の強化拡充に関してお伺いをいたします。
 総理は、御自身の政策集でも、税財源は、雇用機会、教育文化機能を地方自治体に配分し、福祉等の行政機能も大幅に地方に移譲するというのであります。この考えに変わりがないとするならば、なぜ政府は自治体の財政自主権を保障しないのか。つまり、自治体の状況に応じた独立税の創設を許し、固定資産税など地方税の課税方法にも自治体独自の創意と工夫ができるようにすることができないのか、その見解を伺いたい。
 さらには、自治体財政の歳入割合については、地方税五〇%、地方交付税二〇%、国庫出資金二〇%、地方債一〇%となるような税財源の再配分を行うべきだと考えますが、政府は今次方針にどのように生かしているのか、その見解を総理から承りたいのであります。
 最後に、東京サミットについてお尋ねをします。
 カーター・アメリカ大統領が大平首相あてに親書を送り、昨年のボン・サミットの公約を守り、経済成長と経常収支による黒字減らしに努力するようにと求めてきたのを初め、サミットの準備会議でも、成長率と貿易不均衡が厳しく批判されましたことは周知の事実であります。
 政府はこれに対し、五十四年度は成長率六・三%、経常収支七十五億ドル達成を目標にしておられるようでございますが、五十三年度の経過から見てもその達成はきわめて困難でありますが、見込みがありますか。
 緊急輸入の中に航空機の外国へのリース制も考えているとの指摘がありますが、真意はどうなのか。
 私は、一時しのぎの黒字減らしよりも、産業貿易構造の改善等、長期、抜本的な対策をとるべきだと考えるが、総理の見解をお伺いしたいのであります。
 以上、私は、国民生活に密着した問題を中心に質問いたしましたが、それは、総理が重視される文化とは、要するに国民生活のあり方であると考えたからであります。
 総理、その目を大きく開いて見てごらんなさい。私を含めて、国民の暮らしは大きくゆがんだものになっているではありませんか。子供たちは、落ちこぼれまいとして懸命に点数を追いかけ、その親たちは、生活不安を克服しようと必死に働いております。総理が施政方針の中で言われた活力とは、まさかこのようなゆとりも潤いもない不健全なものを意味するものではないでしょう。
 国民の生活安定のために、政治がその責任と役割りを十分果たすこと、このことが一億国民の健全な活力を引き出す最大の条件であることを私は強く訴えまして、質問を終わる次第であります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(大平正芳君) 最近の三菱銀行支店の事件に関連いたしまして、銃砲刀剣類の規制をさらに強化せよという趣旨の御質問でございます。
 本件の犯人のような者に許可が与えられるようなことがあっては問題でございますから、許可基準の見直しを初め、とりあえず基準の運用をより厳しくするなどいたしまして、本件犯人のような者の排除に努める所存であります。
 兒玉さんの最初の御質疑は、日本型福祉社会というのは、日本型競争社会の克服がなければ不可能ではないかという御趣旨でございました。
 私は、日本型競争社会の弱点を克服しなければならないという意味でございますならぼ、全く同感でございます。そのために、兒玉さんは三つの基本目標を提示されたわけでございます。いずれもごもっともな御提言と存じまして、私も賛意を表します。
 その次に、安くつく政府というのは、責任を回避することであってはいけないではないかという御注意でございます。
 私もそのように思って、責任を回避するものとは思っていないのでありまして、不要なものをできるだけ節減してまいる、合理化してまいるということは、行政が国民のものである以上当然の道行きであろうと思うのでありまして、今日のように行政が煩瑣になり、財政が肥大化した現実に目を覆うことはできないと考えておるわけでございます。
 また、国民に対しましても、政府の政治に期待を持つことは結構でございますが、過度の期待はお慎みいただきたいと申し上げておるわけでございまして、これは決してわれわれの当然の責任を回避しようとするものでないことは御理解をいただきたいと思います。
 第二に、財政問題でございますけれども、政府は財政の再建をうたいながら、歳入歳出の見直し等につきましてなすところが十分でないじゃないかという御指摘でございました。
 ことしの予算の編成に当たりましては、よく御審議をいただきますればおわかりいただけると思いますけれども、一般の行政経費を極力圧縮、抑制いたしてあるつもりでございます。
 また、既存の税制につきましても、社会保険診療報酬の課税の特例、有価証券譲渡益課税の強化、価格変動準備金の段階的な整理というようなことに努めまして、既存の税制の中の検討もわれわれといたしましては鋭意行ったつもりでございますことを御理解いただきたいと思います。
 それから、外国航空機の輸入に伴う疑惑の解消でございますが、これは先ほども申し上げたとおりでございまして、いささかも疑惑を残すことのないように解明に当たらなければならぬという決意は御理解をいただけたことと思います。
 それから、雇用政策につきましては、後刻労働大臣からお答えがあると思いますが、減産経営に精進しておる民間に注文を出すつもりはないかということでございます。私どもは、景気の回復を通じ、操業度の向上を通じまして雇用の拡大を祈っておるわけでございますが、いま自由企業体制でございまするので、企業の一々の行動につきまして政府が注文することはいかがかと考えておるわけでございまして、積極的に、雇用機会の拡大につきまして民間に協力していくということが政府の方針であることを御了承いただきたいと思います。
 それから、国家公務員の定年制でございますが、これは人事院の意見をいま求めておりますので、その見解が提出されました段階で検討を加えていきたいと思います。
 それから、社会保障につきましては、まず第一に在宅老人対策の御質問がございました。この問題に対しましては、本年度から、在宅のまま入浴でございますとか給食でございますとか、そういうサービスを受けることができるように、そして家族の労苦の軽減を図る措置を講じたつもりでございます。御指摘のホームヘルパーにつきましても、若干の増員を図りまして、現在一万三千余名を配置いたしておるところでございます。
 それから、僻地離島、休日夜間等の診療問題でございます。この問題につきましては、地域の実情に応じまして、また関連機関の協力を得まして、医療、診療が行き届くように努力してまいるつもりでございます。
 それから、住宅政策につきましては、公営住宅を中心にすべきじゃないかという御意見でございますけれども、われわれといたしましては、基本的には国民の需要動向を見ながら対処していくべきものと考えておるわけでございます。
 それから、齋藤幹事長と医師会長との話し合いにつきましての御質疑でございました。この問題は、プライマリーケアの重視と、それから政府管掌健康保険と組合管掌健康保険の負担、給付の不公平の是正とい二点について話し合いが行われたと承知いたしております。本件につきましては、自民党におきましても検討中と聞いておりますが、政府は、その結論が出た段階で慎重に対処する所存であります。
 それから、教育政策についての御質疑の第一は、最近大学進学者の父兄が高額所得者の方に傾斜する傾向が顕著に見られるということで、それに対する対策についてのお尋ねでございました。これにつきましては、育英奨学資金の増額でございますとか、私学に対する経常費の助成の強化というような形で対応いたしてまいりたいと思います。
 それから、身体障害児を普通の学校に受け入れる問題でございますが、この問題につきましては、障害の程度、それから種類等に応じまして対処していくべきものと考えております。
 それから、土地政策につきましての若干の御質問がございました。
 われわれといたしましては、地価の安定を図り、住宅用の土地の供給促進を図るために、これまでも税制、金融、行政、いろいろな面から土地に対する政策の推進を図ってきたつもりでございますが、本年度も若干の改善を加えてまいりまして、今後もこの方針を堅持して対処していく所存でございます。
 土地の取引及び利用の規制につきましては、国土利用計画法に基づきまして、その的確な実施に努めてまいるつもりでございます。
 それから、住宅宅地関連公共施設整備促進事業でございますが、これにつきましては、通常の国庫補助事業に加えまして、別枠で補助を行うことにいたしておりますので、地元との調整が円滑に進み、住宅宅地開発事業の促進が図られ、造成原価が引き下げられることに寄与しているものとわれわれは評価いたしております。
 それから、いまの建築基準は地震対策等には不向きで、まだ十分でないじゃないかという御指摘でございますが、現在の基準は、関東大震災クラスの地震に対して十分安全であるように定められておりますので、現在の基準によって十分耐震上の安全は図られるものと考えております。
 それから、中小企業対策でございますが、中小企業に対する官公需の問題でございます。これにつきましては、年々歳々鋭意努力をいたしてまいりまして、地方公共団体の分を加えればすでに五〇%を超えておると承知いたしているわけでございますが、今後とも一層努力してまいるつもりでございます。
 それから、下請企業に対する遅延防止対策でございますが、これは公取当局、中小企業庁等で調査の徹底を図っておりまするし、法律の厳正な適用で対処していきたいと考えております。
 企業倒産の防止につきましては、政府資金の活用でございますとか、倒産防止共済制度の活用によりまして対処してまいるつもりでございます。
 金利の引き下げでございますが、先ほどもお話がありましたように、ただいま戦後空前の低金利時代を幸いに迎えることができているわけでございます。そして、いま実効貸出金利が逐次下降の方向に向かっておりますることは御同慶にたえないのでありまして、この方向をさらに強めてまいるように努力をいたすつもりでございます。
 それから、交通政策でございますが、これは三つ御質問がありました。
 一つは、地方陸上公共交通維持整備に関する決議に対しましてどう対処するかということでございますが、従来からも鉄道、バス等に対しまして助成措置を講じておりますが、今後も決議の趣旨を尊重いたしまして施策の充実を図るつもりでございます。
 それから、総合交通体系の確立でございますが、これは四十六年の十二月に臨時総合交通問題閣僚協で基本的考え方がすでに示されております。その内容は、各交通機関の競争原理を活用いたしまして、それぞれの特性に応じた分担と連携の関係を確立しようというものでございまして、今後もこの方向に沿い、経済、社会の変化に応じて努力をしてまいるつもりでございます。
 それから、国鉄の問題でございますが、国鉄のみずからの原因によらない欠損対策といたしまして国はどう考えているかということでございますが、これは、ローカル線対策につきましては一月二十四日、審議会の答申を受けましたのでございまして、それをもとにいたしまして具体化を急いでおるところでございます。また、ことしは国鉄に対する助成を一千億にいたしまして、こういう構造的な欠陥対策といたしまして配慮いたしておるところでございます。
 地方問題でございますが、地方と中央がそれぞれの責任を持ち、それぞれの特徴、それぞれの力量を発揮しながら行財政の衝に当たらなければならぬことは当然でございまして、兒玉さんがおっしゃるように、魅力のある地方をつくってまいりますためには、産業、福祉、教育、情報等の機能が適正に分散配置されることが必要でございまして、そういう御趣旨には私も賛成でございます。
 また、それに応じましてどのような財政政策を考えるかということにつきましては、これまでにも税調等の答申もございまするし、現実の必要もございますので、私どもといたしましては、とりあえず地方財政が支障を起こさないような措置は講じておりますが、独立税でございますとか地方債でございますとか、財政の調整制度につきましては、今後総合的な検討を財政再建の推進と相まちまして考えていかなければならぬと考えております。
 農業政策につきましては、農林大臣からお答えすることにいたします。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#18
○国務大臣(金子一平君) 兒玉さんから、公有地拡大のために、土地を自治体に売却する者には土地譲渡税をかけないといった大胆な施策が必要ではないかという御提案がございましたけれども、現在、もうすでに土地税制では、土地が地方公共団体に譲渡される場合には、かなりの場合に三千万円の特別控除が認められておりまするし、さらに、新年度の土地税制の改正におきましてもへ公的な土地取得の促進に資するものにつきましては譲渡所得税の軽減を図るとととしておりまするので、実質的には、兒玉先生の御趣旨に沿ったものとなっておると考えております。しかし、全面的に、地方公共団体に土地売却した場合に非課税とするというところまではとてもできないと考えております。
 それから次に、総理からも御答弁がございましたけれども、政府関係金融機関の貸出金利の引き下げでございますが、補足的に申し上げますと、長期はもう民間の最優遇金利の七・一になっております。これ以上引き下げを行える段階ではないと考えております。
 それから、既往の貸し付けのものにつきまして、一〇%以上の金利のものがまだ残っているじゃないかということでございまするけれども、五十二年十一月から不況業種、赤字企業に対しましては金利軽減措置を講じておりまして、一般的な既往金利の引き下げまではまいりませんけれども、必要なものには、十分実態に即した対応をいたしておるということを申し上げておきたいと思うのであります。
 それから、貸付限度の引き上げでございますが、新年度から、中小公庫、国民公庫につきましても、それぞれ限度額の引き上げをいたすことにして、中小業者の要望に沿うことにしておることを申し上げておきたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#19
○国務大臣(栗原祐幸君) 御質問の第一点は、減量経営と十万人の雇用創出の関係はどうだというように承りました。
 先ほども通産大臣から話がございましたけれども、余力のある経営で、企業が減量経営に藉口して人減らしをするということは、これは厳に慎んでもらわなければならない。私どもは、その点につきましては、通産省ともよく連携をとりまして、企業の社会的責任を強調し、求めていきたい、こう考えております。今度の十万人雇用創出との関連でございますけれども、十万人の雇用創出の問題は、それと直接的に関係があるというわけじゃございません。私ども見ておりまするのに、景気はいささか堅調ぎみになってまいりましたけれども、やはり、新規の労働力を見ますと、婦人を中心といたしまして非常に大幅にふえておる。それから、企業の雇用に対する態度も慎重である。その上に、構造不況業種からの離職者も予想される。これをずっとほうっておきますと、昭和五十三年度の完全失業者が百三十万人と予想されるわけでございまするけれども、それがもうだんだんだんだんふえるのではないか。そうなったらこれはえらいことだ。そういう意味合いから、もう絶対に、予想で言われておりまする百三十万人をふやさない。そのためには政府がこの際思い切って中高年齢層に対して施策をしなければならぬというのがこの趣旨でございまして、そういう意味で、首切りをした受けざらをするというようなものではございませんので、どうかこれは誤解のないように御理解を賜りたいと思います。
 それから、雇用安定資金について、五十一年、五十二年度を見るとどうも資金がうまく使われてないじゃないかという御指摘でございます。
 これは、率直にそういうことでございます。なぜそうなったかというのをよく調べてみますと、五十年度は、御案内のとおり、景気変動に伴うところの雇用調整金というのがずいぶん出ております。これは予算よりもよけいになっておる。ところが、五十一年、五十二年になりますと、事業転換等に伴うところの雇用調整金ががたっと減っておる。一つには制度の発足がおくれたということと、企業の対応の仕方が遅かった、というよりもむしろ私はPRが行き届かなかったと思います。そういう意味では、これからはPRを徹底をさせなければならぬと思っておりますが、今度の雇用安定資金制度におきましては、昨年業種の指定期間の延長とかあるいは支払い要件の大幅な緩和等をいたしましたし、特定不況地域につきましては雇用安定資金を全面的に適用する、こういう方途をとっております。したがいまして、PRと相まってこの制度が健全に運用されることを期待しております。
 なお、雇用安定事業の中に、先ほど来申し上げておりますように、十万人の雇用創出の制度がございます。これにつきましては、いまのところ各方面から大変な関心を持たれておりますし、また、これにこたえるような施策をしなければならぬと思っております。いずれにいたしましても、第一線の職業安定所を中心といたしまして、PRを重ねて、御指摘のあるようなことが再びされないように注意をいたしていきたいと思っております。
 それから、婦人の保護と平等の問題についての御指摘でございます。
 私が言うまでもなく、憲法では男女平等でございます。したがいまして、就職の機会というもの、あるいは雇用の実態につきましても、同じようにいかなければならないと考えております。特に最近の女子の大量の進出、それから社会情勢の変化等から見ますと、この平等という観点に大いに力を注がなければならぬと思っておりますが、兒玉さんも御案内のとおり、女子の保護規定の中で、保護措置の中で、時代的に見ましてその合理性を失ってきておるというものもございます。そういう合理性を失ってきたものにつきましては、この際解消することが必要ではないかと考えております。いずれにいたしましても、労働基準法研究会というのでこれは報告を受けておりますので、今度私どもはそれを中心といたしまして、各種審議会の審議を経て善処いたしたいと思っております。
 男女の深夜作業につきましては、ILOからいろいろと御指摘がございますが、よく聞いてみますと、まだ議論が煮詰まっておらないというのが現状でございます。そういう意味で、私どもはILOの議論の煮詰まりを見ながら善処したい、かように考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#20
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私に対しましては十三問ございます。非常に長いものですから、総理大臣のうち、そのうち四問、私がかわって答えさしてもらいます。最初から一問、二問、三問は総理にかわってお答えをいたします。簡単に、わかりやすく、時間も経過しておりますので、簡潔にお答えをします。
 まず第一問でございますが、わが国の自給率が年々減っていって、そうして心配だ、これは本当にそれで大丈夫なんかね、輸入の方は確保できるのかねと、一言に言えばそういう御質問であります。
 これに対しましては、自給率が減ると申しましても、御承知のとおり、米は余っておる、野菜、大根も、全部ほとんど一〇〇%大丈夫だ、鶏も余っておる、卵も余ってどうしようもない、豚肉もほとんど九割以上の自給をしておる。問題はえさだけです。ここが大事なところなんです。(発言する者あり)ちょっと聞いてください。これはどうしてえさがそんなに加速度的に減ったかということは、問題は、牛肉、豚肉、鶏を食べるようになったということなんです。つまり牛肉をキングサイズ、でっかいやつ、スモールサイズ――二百五十グラムのキングサイズを一枚食べると、バケツで四杯一遍にえさを食ってしまうわけです。お嬢さんがミニの牛肉を食べれば、バケツで一杯えさを食べたことになる、このことが問題なのであります。(発言する者あり)ちょっと話を聞いてください。したがって、その輸入をしないというわけにはいきません。仮に、二千万トンいま輸入しておりますが、これを国内でもし生産するとすれば、三百万ヘクタール以上の、六百万ヘクタールぐらいの土地が必要です。そういうことはできない。しかしながら、できるだけ国内で生産するように努力をいたしますということが大事です。第二番目は、それでは輸入は確保できるのか。このことについては、おおむね食糧はいま世界じゅう過剰基調にあります。したがって、当面その心配は要らない。大体、世界全体として二億トンぐらいの穀物の期末在庫がありますから、これは多角的な輸入というものに心をかけていけば当面心配はないと思いますということであります。
 それから第二番目は、食糧自給率を高めるための転作の作物について、きちんとこれだけことしは転作の作物をつくりますということを年次計画で作物別に発表しないか。これは、実際のところはなかなかむずかしいのです。それは長期にわたって大体この程度ということはできますが、作物ごとに一年一年にきちっと計画を政府が立てましても、地域的に天候の問題とかいろいろな問題が実はございまして、なかなかそれはぴたっといかないというような問題もございますので、大まかな計画は立てますが、作物ごとに一年一年ごとの計画を立てることは考えておりません。
 それから、過剰米の対策については、政府のやっていることは十分な効果があるのですかということでございますが、これは、効果が十分にありますかと言われましてもなかなかむずかしいのですが、一つは、やはり水田再編対策を強力に推し進める。それからもう一つは、何としてもこれは工業用、輸出用、まあ援助も考えないわけではありませんが、そういうようなもので計画的に処理させていただきます。
 それから四番目は、土地改良事業の圃場整備、これについて、うんと金利を低くして二%ぐらいにしないかということでございますが、これは要求としても、土地改良全額国庫でやったらどうだというような要求もあります。ありますが、日本は私有財産制度でございまして、田畑については個人のものであって、それをどういうふうに利用するか、農業の範囲内で利用することも御自由でございます。したがいまして、それらの問題については、利用しやすくして財産を増加をさせるわけですから、かなりの高額補助でこれをやるということになっておりますと、これはただというわけにはもちろんいかない、適正な、ある程度の受益者負担はやむを得ないものと考えます。
 補助残について二%くらいにというお話でございますが、確かに補助残については五・〇五とか六・〇五とかいう、ものによって違いますが、補助率があります。十年据え置きとか、そういうことでございますけれども、二十五年返還、これにつきましては、補助残ですから、補助が、県とか国とか全部足して六割五分とか七割とか、ものによってはもっと補助があるものもあります。その残りの部分の点でございますので、その補助残について全部これを二%に下げるということは当面考えておりません。
 それから、林業振興に関する決議を実施をしろ。これは国会決議のことでございますが、昭和四十六年の国会決議であります。これは非常に尊重いたしまして、年々政府としては林業振興の決議の趣旨を踏まえまして、従来から造林、林道、それからそれぞれの基盤整備、治山、構造改善、そういうような、いずれも国会決議にあるようなことを一つ一つやってきたわけであります。特に五十四年度におきましても、これは森林の総合整備事業の新設というようなことや、あるいは林業金融でも四十五年間なんという、いまだかつて日本にないような長期の、低利の金利を設けるとか、またその植林から保育までかなり長期間にわたって助成制度をとるとかというような、かなりきめ細かいことをやっておるのであります。これは国会決議を尊重いたしましてやらしていただいておるわけであります。
 その次は、国営の分収造林法及び林業労働法の制定、こういうものによって治山治水というようなものや木材の安定供給というようなことで、国有林野の再建その他を図っていかぬかという大体御趣旨でございます。
 この問題につきましては、これはなかなかむずかしい問題でありまして、これは、森林所有者が自発的に、自主的に造林をやる、あるいは県有林とか村有林とかいろいろございますし、また民間のものでも、森林開発公団あるいは林業公社、こういうようなある程度公的なものがやっておるわけであります。それに国有林野までも参画をしてやれたらどうか。国有林野事業ですね。ところがこれは、なかなか自分のハエも追えないといいますか、自分のところでも大赤字になっておるというような状態の中で、現在、民間まで出かけていく、民間の方も請け負って、国有林が植えてあげますよというところまではなかなか、いかがなものであろうかと考えておるわけであります。しかし、これはそういう御意見もあるので、いま学者の意見も聞くことになって、審議会等にも検討はお願いをしておるわけであります。
 それから、林業労働法、こういうようなものを何かつくらぬかというふうなお話もございますが、これを一元的にやるということは、民有林の所有者というものは非常に零細で規模が小さい、それであちこちにいろいろな作業の特殊性もある、季節の問題等もある、それから農業者との兼業に依存する割合が非常に多い、一人親方なども多いというように、労働の実態というものは個々まちまちで、いろいろあります。したがって、これに画一的な法律を全部当てはめるということはいかがなものであるか。これはちょっといまのところ考えておらないわけであります。しかしながら、労働者の労働条件の改善ということは当然に必要なことでございまして、それにはいろいろな、林業構造改善事業の促進やら、あるいは経営基盤の強化やら、あるいは退職金の共済制度の適用促進というようなことなどを通しまして労働条件の改善を図っていきたい、かように考えておるわけでございます。
 その次は、二百海里時代のわが国の漁業の再建の基本対策はどうだということでございますが、これは実は非常に重大な問題であります。これはもう本当に重要なことでございまして、われわれといたしましては、この本格的な二百海里時代というものを迎えまして、これにつきましては、予算もことしなどもかなり、四割とか七割とかというふうに、あるいはサケ・マスのふ化放流なんというのは八割九分とかというふうな、ほかの予算で見られないほど非常に大幅な増額を図って取っ組んでおる。これはとりもなおさず沿岸、沖合い、こういうようなものの振興を図ろうというあらわれでございます。また、新漁場の開発、新資源の調査、開発、海外漁業への協力、こういうようなこともやらなければならぬ。遠洋漁業の新たな展開、このために、総理の演説の中にもあるように、この漁業問題については漁業外交というものも新しく展開をしていくというようなことで、これにつきましては大いに今後力を入れてまいるつもりでございます。
 それから、秩序ある輸入について実行して、要するに魚類の価格安定制度、こういうものをやるべきではないか。これにつきましては、水産物の輸入については、わが国の沿岸・沖合い漁業の主要魚種を輸入割り当て制度の対象といたしております。したがって、この制度の適切な運営によって秩序ある輸入が行われるように十分に配慮をしてまいりたい。また、多獲性魚、カツオ・マグロ等、これらのものについては、漁業生産者団体が価格の低迷時にこれを買い取って、これを調整保管の上、価格の上昇期に放出する。損したときには、その差額についてある程度国が無利息の金を貸してひとつ援助するというようなことなどをうまく利用いたしまして、この秩序ある輸入と価格の安定というものに一層心を用いてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 それから、入漁料のことでございますが、入漁料について、これは全額国費にしたらどうかというような御議論でございますけれども、これにつきましては、本来入漁料は操業者自身の経費の一部として負担をすべきものであるというふうに私は考えております。しかしながら、カツオ・マグロの主漁場であるところの南太平洋諸国の入漁料がべらぼうに高い。そうしてアメリカのように精算払いで、とりにいかなかったときには返してくれるというのならいいけれども、とりにいかなくても払ったものは返さぬということですからね。それを全部ともかく民間ではお気の毒であるというような関係から、政府としては今回強力なる漁業外交を展開する一方、入漁料の適正化をそこで図っていくという交渉をいたしております。いまニューギニア等においてもまさにそれをやっておるわけでございます。もっと下げてくれということを一方やっておりますが、その反面、漁業者の入漁料に充てるための資金の積み立てがありますが、それらに対する利子補給というようなことで、ことしなども約九億円というような三カ年分の利子補給を認めていただいたような次第でございます。
 なお、カツオ・マグロ等の一本釣り漁業の再建についてはどうかということでございますが、これにつきましても、各船の三十日間の休漁による生産調整というものを実施をいたしておりますし、生産調整期間中に必要なる経営資金については低利資金の融通措置を講じておるところでございます。
 なお、カツオ・マグロの消費拡大ということについては、意を用いて、一緒になって大いに宣伝をし、それが実現できるように協力してまいりたいと思っております。
 それから、農業構造改善事業についての行政管理庁の指摘はどう受けとめるか。この問題につきましては、私はけさ新聞で見たばかりでございますが、きょう行政管理庁から正式に受け取るということになっておって、原本は私は受け取っておりませんが、これは本当になかなかいいところをつかれているなというところも実際のところあるのです。しかし、こういうものは謙虚に一遍読み直して、やはり謙虚に反省をして、むだになっているようなものがあれば、それはやはり私は率直に直すべきものは直す。しかし、これは認識不足でもう一遍よく説明しなければいかぬなというものは説明をして認めてもらう、その両方で参りたいと考えておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
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#21
○玉沢徳一郎君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明三十日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#22
○副議長(三宅正一君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○副議長(三宅正一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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