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1978/01/30 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第4号
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1978/01/30 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第4号

#1
第087回国会 本会議 第4号
昭和五十四年一月三十日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第四号
  昭和五十四年一月三十日
    午後二時開議
  一 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
    …………………………………
 第一 国土総合開発審議会委員の選挙
 第二 九州地方開発審議会委員の選挙
 第三 四国地方開発審議会委員の選挙
 第四 中国地方開発審議会委員の選挙
 第五 北陸地方開発審議会委員の選挙
 第六 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 第七 国土開発幹線自動車道建設審議会委員の
    選挙
 第八 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 さきに設置したロッキード問題に関する調査特
  別委員会については、その目的を航空機輸入
  に関し徹底的に調査しその真相を解明するた
  めとし、その名称を航空機輸入に関する調査
  特別委員会とするの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
 日程第一 国土総合開発審議会委員の選挙
 日程第二 九州地方開発審議会委員の選挙
 日程第三 四国地方開発審議会委員の選挙
 日程第四 中国地方開発審議会委員の選挙
 日程第五 北陸地方開発審議会委員の選挙
 日程第六 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 日程第七 国土開発幹線自動車道建設審議会委
  員の選挙
 日程第八 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
    午後二時四分開議
#2
○副議長(三宅正一君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 特別委員会の設置目的並びに名称の件
#3
○副議長(三宅正一君) お諮りいたします。
 さきに設置いたしましたロッキード問題に関する調査特別委員会につきましては、その目的を航空機輸入に関し徹底的に調査しその真相を解明するためとし、その名称を航空機輸入に関する調査特別委員会といたしたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(三宅正一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑   (前会の続)
#5
○副議長(三宅正一君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。竹入義勝君。
    〔竹入義勝君登壇〕
#6
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表して、大平内閣の施政方針に対し質問をいたします。
 まず、大平内閣の試金石である五十四年度予算政府案の第一印象は、国民の期待に反した暗いイメージでしかありません。予算案を見ても、過日の総理演説を聞いても、その言葉の端々に五%台の成長、二%台の失業率、これがあたりまえであるという考えがありありとうかがえるのであります。
 総理、五%台の成長率というのは、わが国経済を安定成長路線に乗せた後の一つの姿ではありますが、少なくとも、過渡期の今日にこれを適用するならば過ちであると申し上げなければなりません。
 加えて重要なのは、二・三%の完全失業率を引き下げる努力が必要であります。そのためには、政府は、いま不況脱出と財政均衡の二兎を追おうとされていますが、財政再建は二年早いのであります。日本経済は六年越しの不況、さまざまな摩擦の中で体力が衰えているのであります。特に、民間自力回復力はいまだに十分ではありません。
 総理、もし衰弱した体力のままで財政再建という民間自力回復力を奪う手術を施せば、恐らくそれは日本経済の健康回復を長引かすだけの結果となり、事態はますます悪化するのみであります。
 したがって、体力をつけて手術をする、すなわち、当面財政主導で日本経済が順調な経済成長、景気の回復、上昇局面に移っていく状況をつくり出すことこそが必要であります。しかしながら、政府案は、余りにも中途半端であり、いわゆる二兎を追う者は一兎も得ずの結果に終わる懸念がきわめて強いことを私は憂うるのであります。
 さて、総理の「信頼と合意」の政治理念の試金石となるのは、米証券取引委員会資料から発覚した、グラマン、ダグラス両社の対日軍用機をめぐる不正支払い疑惑事件に対する政府の姿勢いかんであります。しかも、さきのロッキード事件では民間機でありましたが、今回は軍用機の導入をめぐる問題であり、国民の血税によって購入する航空機であるとともに、防衛問題に直接連動するものであるがゆえに、最も国民の合意を必要とする安全保障政策に重大な影響を与えるものであります。この事件はまた、自民党の中に根深く横たわっている腐敗構造があることを如実に物語っているのであります。(拍手)
 したがって、この問題の究明は、何よりも政府と自民党が率先してみずから国民の不信解消に努めねばならないのは当然であります。
 また、三権分立の立場から、司法によって純粋に法的解明をゆだねることは当然でありますが、主権在民の憲法体制から、国権の最高機関である国会がその真相を究明することは、国民の信託にこたえる重大な責任であります。国会が政治家の道義的責任を明らかにするために、国会の国政調査権の発動に対して、政府はあらゆる便宜と協力を惜しむべきでないと思いますが、総理の決意を伺いたいと思うのであります。(拍手)
 同時に、再びこのような疑惑と事件を起こさないために、公明党を初めとする野党側が強く要求した再発防止法の制定にいかに取り組まれるのか、明確なる答弁を求めるものであります。(拍手)
 同時に、あなたは、五十四年度予算案に、グラマン、ダグラス事件の疑惑と防衛政策上E2Cの購入とは別だとして、これを予算計上されたのでありますが、疑惑解明が始まろうとしているときに、こうした総理の姿勢は国民の信頼獲得に逆行するものであると言わなければなりません。(拍手)国民の合意なくして何の防衛かと申し上げたいのであります。(拍手)
 そこで、少なくとも事実関係が明らかになるまで、その購入予算を予算案から削除ずることが当然だと思うのであります。(拍手)総理の決断を承りたいのであります。
 また、この問題に対し、総理は、国会の事件究明に全面的に協力する姿勢を明確にし、予算審議の障害としないことが必要であります。五十一年のロッキード事件による経済運営の停滞が、政策の誤りと相まって、不況打開におくれ、大きなマイナスとなったこの轍を再び踏まないためにも、総理の決断が重要であることをあえて申し上げておきたいのであります。(拍手)
 以下、当面の課題について具体的質問に入る前に、まずお伺いしたい。
 大平内閣は、五十三年度七%成長を六%成長に下方修正し、また、五十四年度を六・三%成長にされました。本来、経済成長の数字は、その表現のあり方いかんを含めて、国際的公約とすべきものではないと思うのでありますが、昨年のボン・サミットにおいて国際的に七%成長を公約したことは、カーター米大統領の二度にわたる総理あての抗議書簡が如実にこれを物語っております。
 このような状況が、日米通商交渉、東京ラウンド交渉、ひいては六月の東京サミットに政治的な圧力加重を妥当づけ、五十四年度の日本経済にマイナスの影響を与えるおそれはないのか。もし、総理がそのような懸念がないと確信されるならば、明確にお答え願いたいとともに、東京サミットにいかなる構想で臨まれるのか、お聞きをしておきたいのであります。
 さて、日本経済が抱える当面の最大課題は、わが国が主体的になし得る内需主導型経済によって不況克服に全力を挙げ、雇用の安定と国際収支の均衡回復を図ることであります。
 そとで、最も基本的な疑問は、総理は、日本経済がいまや不況のトンネルを一歩抜け出たと認識しておられるとしか受け取れないことであります。私どもは、日本経済はオイルショック以来五年を経過して、新しい中成長期を生む中間期の苦しみの中にあると認識をいたしております。まず、この点について総理の基本的な認識を承りたいのであります。
 私どもがかねてより再三要求してまいりました中期経済計画も、ようやくその基本構想を発表されました。これが総理の言われる日本型福祉社会建設というビジョンとどう結びつくのか。福祉社会の建設を長期ビジョンとすることは、言葉においては公明党が提案した福祉社会トータルプランと同じ方向であります。しかし、あなたのビジョンと中期経済計画基本構想、それを踏まえたとされる五十四年度予算案との関係は一体どこでどう結びつくのか、読み取れません。(拍手)その間の結びつきについて、国民が納得できる御説明を総理から伺いたいのであります。(拍手)
 政府が、この中期経済計画を、昭和三十年の経済自立五カ年計画から数次の経済計画の中で初めて福祉社会の建設を目指すものとして、八〇年代の日本経済と国民生活、社会の態様を決める重要な計画とする決意であるならば、名実ともにその態様を整えた計画となるべきであります。
 したがって、総理は、この計画に対して野党の意見を取り入れ、国民合意形成に全力を傾注されるべきであると考えますが、総理はこれからの策定作業についていかようにお考えなのか、率直な御意見を示されたいのであります。(拍手)
 次に、雇用の問題についてであります。
 雇用問題の深刻化は、百二十万人に近い完全失業者と、二・三%の完全失業率、有効求人倍率〇・五倍だけを見ても、戦後最悪の状態を示していますがへその内容を見る場合、労働人口のうち、中高年齢者が昭和六十年には四〇%を占める確実な老齢化社会の土台の上に、雇用、就業の伸びは労働人口の伸びに追いつけないのが現状であります。
 しかも、大企業での雇用機会が五%以上減り、家計を担う男子常雇い労働者の失業者が増加し、とりわけ中高年齢者にしわ寄せされているのであります。その反面で、臨時雇いやパートを中心とした女子の就業が増加しているなど、表面にあらわれる統計数字以上に中身が深刻なのであります。
 政府は、産業構造の転換の中で、第三次産業への就業増加に期待されているようでありますが、それも近く限界に達するものと予測されております。
 さらに政府は、五十四年度経済見通しで、辛うじて労働人口の増加を吸収できるものとしておりますが、この点についても、すでに完全失業者が百三十五万人に達するとの専門家の予測があります。しかして、五十四年度予算案においてめどとする十万人の雇用創出も、政府の算術計算的な希望的数値であるとしか言えないのであります。
 たとえば、それらの予算措置が果たして所期の施策効果を上げたか否かは、五十一年度の実績をとってみても、雇用安定事業費は、四百七十七億円の予算計上に対してわずかに使われた額は百億円、雇用改善事業費は、百九十億円に対して五十八億円でしかないのであります。それらの原因は、実態とかけ離れた適用要件をつけたことにあります。
 雇用政策の基本は総需要を盛り上げることでありますが、現状は、民間企業は減量経営に徹し、政府は財政支出をしぼり、公共料金の値上げや実質増税で家計負担をふやしながら国民に需要喚起を求める、全く矛盾した方針をとっているのであります。
 いま一つは、産業構造と需要構造の転換の中で、どの職種が失業で人が吐き出され、どの職種が不足しているという情報すら政府は掌握していないという基本的欠陥をどうするかであります。このことは、わが党が五十二年に行った中小企業実態調査においても経験したことであり、各種資格や職種の監督官庁はあっても、それらの資格、職種を持つ労働者が労働市場の中でいかに過不足状態にあるかという情報を一元的に収集する組織すらないのが現状であります。
 たとえば、失業者が職業訓練を受けようと思っても、どのような職種を目指したらよいのか、全く予測がつかない状況であります。これでは、的確な対策と予算の効果的運用が図れるわけがありません。アメリカや西ドイツで見られる政府発行のガイドブックのようなものをつくることがぜひとも必要であると考えるものであります。
 そこで私は、幾つかの提案をいたし、総理の率直な答弁を求めるものであります。
 まず、確実な高齢化社会への移行に対処して、将来は六十五歳を目途とし、当面六十歳まで事実上定年を延長する、中高年労働者の雇用に年齢差別を禁止する法律を制定することが必要であります。(拍手)同時に、現行中高年雇用率の法定を遵守する雇用義務を確立することであります。
 総理、戦後の日本経済の発展に欠くことのできない重要な役割りを果たしてきたのが現在の中高年の人々であります。青春時代は戦争の中に灰色の日々を送り、戦後の貧しい時代には日本復興の中心的働き手として活躍し、ようやくの年代にたどりついた今日、長期不況の中で真っ先に首を切られ、再びあすからの職場を求めて得られないというのでは、余りにも残酷ではないでしょうか。いまや、中高年は弱者であります。政治はここに最大限の配慮をいたすべきであると私は考えるのであります。(拍手)
 第二には、職種別にこの労働需給実態を一元的に把握する機関をつくり、また、中央と地方に、各界の協力を求め、積極的かつ合理的な雇用創出のための機構を設け、雇用創出の基本機構を確立することであります。
 第三には、以上と結びつけた職業訓練制度を民間機関での職業訓練とあわせ充実し、就職あっせんについて政府の責任体制を確立することであります。
 第四には、失業率、有効求人倍率を勘案して、失業給付日数とその全国延長についで弾力的に運用できるよう基準の緩和を図ることであります。
 以上の提案に対する総理の所見を承りたいのであります。(拍手)
 次に、五十四年度予算案について重点的に質問をいたします。
 総理は、景気に関係ある投資部門をできるだけ伸ばしたと力説されました。しかし、その内容は、災害復旧関係を除いた一般公共事業費を前年度比二二・五%増としたものの、依然として道路、鉄道など大型公共投資の色彩が強く、学校や病院、福祉施設など、地域経済に結びつき、中小企業への受注増や雇用創出に結びつく生活基盤整備には相変わらず消極的であります。こうした大型投資一本やりの施策では効果の薄いことを、五十二年、五十三年度が事実をもって示しているではありませんか。総理は、これで景気回復に積極的であると強弁されるのかどうか、伺いたいのであります。
 一方、個人消費の喚起に直接つながる生活、福祉への対策にはむしろ圧迫要因が目立っております。
 たとえば、社会保障の中心的施策である年金では、老齢福祉年金が月額千五百円のわずかな伸びに抑えられましたように、全体では一二・五%増という二十一年ぶりの低水準にとどまっております。
 その上に、公共料金の引き上げは、医療費、国鉄、国立学校、たばこ、米などメジロ押しで、家計の負担を増加いたしております。それのみならず、これが消費者物価を一・二%も押し上げることになるのであります。
 また、所得税の物価調整減税すらなく、住民税の減税を含めて計算すると、夫婦子供二人の年収三百万円の家計で、五%賃上げの場合、税引き後の手取り額の上昇率は四・五%となります。しかし、政府見通しの消費者物価上昇率は四・九%であり、手取り額の上昇は実質的にはゼロないしマイナスとなり、しかも社会保険料の負担増がこれに加わることになるのであります。
 総理、こうした状況の中で、真実個人消費が伸びると考えておられるのか、見解をしかと承りたいのであります。(拍手)
 また、倒産の危機にあえぐ中小企業への対策も、中小企業対策費が一二・七%と消極的で、これでは、円高デフレ効果の浸透や産業構造転換の摩擦の中で、中小企業危機の打開に対処されたとは言えないのであります。
 政府が円高の小康状態を頼りにし、五十三年より国際経済環境がやや好転すると見込むとして、民間の経済研究機関との見通しの差を外需の伸びに求めるとしても、その不確実性は、すでに五十三年度において、特にボン・サミット後の急変を見ても明らかであります。
 かくして、五十四年度の予算案で、果たして景気の維持、回復は可能であるのかと、国民のだれしもが疑問を抱くのは当然であり、民間経済研究機関の成長率の予測も四ないし五%台といたしております。
 そこで私は総理にお伺いをしたい。五十四年度に六・三%の実質経済成長は可能なのか。また、それは、当面の最重要課題として掲げられている景気回復、雇用創出、財政再建など、わが国経済が直面している問題解決を果たし得る目標値なのか。その内容指標とともに、総理が何が何でも達成しようとする目標値であるのかどうかを明確にお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 次に、総理が景気回復よりウエートを置いたと思われる財政再建についてであります。
 政府の言う財政の健全化が重要な課題であることは申すまでもありません。しかしながら、内外経済の現状から見て、この際、財政健全化を最優先させ、それ自体を目的化して一方的な増税に踏み切るのであれば、さきに申し上げたとおり、景気の停滞は依然として続き、それが税収の先細りに循環して、逆に財政健全化を遠のかせる懸念は十分に予想できるのであります。
 総理、あなたの論理は、まさに国民の負担をふやして、その上、国民に需要を増人せよということであり、これは国民に対する信頼と協力の押しつけにほかなりません。これで果たして国民の信頼と協力が得られると確信されておられるのか、総理の確信のほどを承りたいのであります。
 私は、当面は、歳出面では行政事務経費を思い切って削減し、歳入面では不公平税制の是正を思い切って断行するとともに、五十四年度、五十五年度を緊急経済再建期間として、積極的な財政運営による景気の着実な回復と経済成長の質的転換を、あなたの言われる福祉社会建設を目標に実現すべきであると主張いたします。(拍手)また、そうすることが、迂回するように見えても、財政健全化を着実に進めることになると私は考えるのでありますが、総理の御所見を承りたいのであります。
 さらに、総理の言われた安上がりの政府の実現を断行すべきであります。経費節約も、グリーン車の使用をカットしたと言いながら、その一方で宿泊料や日当をふやすといったこそくなものではなく、真に効率的な改革を行うべきであります。
 景気回復、財政再建、新しい日本経済の軌道建設という観点からも、中央官庁の統廃合を含めて、民間の活力を引き出すことを中心目標とした大胆な行政改革を断行することは、政府の最優先の責務であると言わなければなりません。(拍手)総理の決意と所見を具体的に承りたいと思います。
 一般消費税は、消費者物価の上昇から個人消費を停滞させ、景気回復の障害となることを初め、税負担の不公平の拡大など国民生活に多くの犠牲を強いるものであることは明らかであり、それを財政再建の柱とすることは、高度成長型税体系の遺物である不公平税制のなまぬるい改正の問題とあわせ、国民の政治信頼を損なう最大のものであります。一般消費税の導入はやるべきではないと強く主張すると同時に、不公平是正を徹底して断行することを要求するものでありますが、総理の所信と決意を求めるものであります。(拍手)
 また、財政が国債に依存せざるを得ない状態の中で、重要なことは、国債発行が過剰流動性をもたらし、インフレを招来することのないように万全を期すべきであります。そのためには国債管理政策を確立することは急務でありますが、その具体策を明確に承りたいのであります。
 さて、お年寄りや身障者、母子家庭、生活保護世帯など社会的に弱い立場にある人たちを初め、多くの国民は、今日、長期不況、円高、景気の先行き不安や住宅、年金など社会福祉の貧困の中にあって、あすへの生活不安におびえております。総理、あなたが福祉社会の建設を口にされるのであれば、まずこの身近な福祉の充実に配慮がなされるべきではないでしょうか。
 そこで、次の諸点につき、それぞれ総理の明快な答弁と決意のほどを伺いたいのであります。
 まず第一点は、社会保障制度の根幹をなす年金制度の改善についてであります。わが党が提唱する国民基本年金制度の早期実現を目指しつつ、当面、老齢福祉年金を二万円にし、国民年金の五年年金、十年年金、厚生年金の遺族、障害年金等、年金最低保障額を引き上げることであります。
 第二点は、在宅の寝たきり老人及び身障者に対しては、保健指導、リハビリテーションを通じ、生活の向上が図れるように訪問看護を制度化すること。
 第三点は、交通遺児及び事故後遺症者の生活を守るため、自賠責保険の限度額を引き上げ、あわせて交通遺児奨学資金制度の拡充など救済制度の強化を図ること。
 第四点は、公団住宅の家賃引き上げを抑制し、分譲住宅のローンの金利を引き下げるため政府出資金を大幅に確保すること。また、特に公庫、民間住宅ローンとともに、失業者に対する返済猶予措置を確立すること。
 第五点は、土地政策、地価安定対策の確立はきわめて重要であり、現に地価の上昇が顕著となり、企業では土地の放出をストップして値上がりを待つ様子さえ見えます。片手落ちな土地税制の改正は、もともと土地を手放す必要を感じない土地所有者に土地保有の有利性を確信させ、宅地供給の不足、政府の三全総出発とともに土地ブームの再来すら思惑させていると言えます。それが今後に、住宅政策と国民経済、国、地方の公共事業に大きな障害となることは明白であり、土地は商品ではないとの基本に立ち、思い切った地価安定策と土地供給策を確立すること。
 第六点は、消費者物価の上昇は、定期預金金利よりも低く保つことを基本目標にし、その安定のために綿密かつ機動的な物価対策を実行すること。また、公共料金を家計の側から一体的にとらえ、受益者負担、所得応能負担、生活必需的サービス最低保障の三原則の適用、組み合わせによる国民福祉料金体系を確立して、安易な値上げを抑制すること。
 以上、六点に要約いたしましたが、私は、その実現を総理に強く要求するものであります。責任ある御答弁をお願いをしたいのであります。(拍手)
 次に、地方財政問題について伺いたいと思います。
 政府の三全総計画においても、地方の時代の重要性が唱えられるほど、中央集権から分権化への要請が強まってきております。にもかかわらず、五十四年度予算案に示された地方財政対策は、五十三年度と全く同じパターンを踏襲し、地方自治体へ借金を押しつけただけであります。これでは地方財政再建どころか、政府みずからが認めざるを得なかった「地方の時代」の要請にさえ、およそこたえるものにはなっていないのであります。
 昨年三月に自治省が出した地方財政収支試算のケース1によれば、地方財源の不足額は五十五年度には五兆三千億円、五十六年度は六兆三千億円、五十七年度は実に七兆四千三百億円に達するとされております。地方自治体が交付税特別会計から借り入れた額の二分の一について、国の肩がわりを当分の間ルール化することになっておりますが、その当分の間が五十七年度まで続くと仮定すれば、この間の地方自治体の借金累積額は巨額なものとなり、近い将来、地方財政対策そのものが成り立ち得ない危機状況に陥るであろうことは明確であります。
 したがって、いまなすべきことは何か。それは、地方財政の構造的欠陥を打開し、地方の自主性ある行財政運営を図るために、基本的には現行の中央集権的行財政構造の改革を目指すことであります。
 それには、まず、地方交付税率を四〇%を目標に引き上げ、地方税については、各種の非課税措置の洗い直しと国税の租税特別措置の改廃によって、それに連動する税収を確保し、また、大企業の法人事業税に外形標準課税制を導入するとともに、事業所税の課税団体の拡大を図るべきでありますが、総理の御所見を伺いたいのであります。(拍手)
 また、現在約七千億円に達している超過負担の完全解消を図るため、国と地方自治体の代表から成る地方超過負担調査会を設置することとし、五十四年度においては少なくとも三千億円を確保する措置をし、さらに、地方債の円滑な発行を行うために、政府資金の拡大と起債条件の改善を図るとともに、地方債の引受機関として、現行の公営企業金融公庫を改組し、地方公共団体金融公庫を創設し、適用事業の拡大と十分な資金を確保すべきであると考えるのでありますが、総理の見解を明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 最後に、日本外交が直面する懸案問題について質問をいたします。
 カンボジア情勢の急変ととれに伴う中越緊張の激化、ASEAN諸国のベトナム不信、中ソ対立、さらには米中国交正常化、イラン情勢の混迷、南北朝鮮の新しい動きなど、国際環境の変化はここ数カ月の間にきわめて激しいものがあります。これらの諸問題は、いずれもわが国に直接、間接を問わず、密接なかかわり合いを持つものであって、傍観者的立場は許されるものでないことは言うまでもありません。
 大平総理の施政方針演説においては、何らこれらの情勢を踏まえたわが国の具体的な外交方針が示されていないのであります。特に、わが国がアジアの真の平和と安定のためにはいかなる役割りと具体的な施策を講ずるかというアジア政策が欠落していることを指摘せざるを得ないのであります。総理の具体的なアジア政策を伺いたいのであります。
 大平総理は、総裁選出馬の際の政策要綱において、環太平洋連帯の実現を言い、この主要国外相会談を六月までに開催することを提唱したのでありますが、この構想は今回の施政方針では一言も触れられていないのはなぜでしょうか。また、この構想の対象国、目的など、具体的な内容を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、当面する外交課題について、以下、項目別にお伺いをいたします。
 まず第一に、今回のカンボジアなどインドシナ情勢に対し、政府はいかなる認識を持ち、どう対応しようとしておられるのか。特に、昨年十一月に約束をした五十四年度百四十億円の対ベトナム経済援助をどうするつもりなのか。また、わが国はベトナムと話し合いのできる数少ない国の一つでありますが、今回の問題に関し何らかの外交行動をベトナムにとるつもりかどうかを明らかにされたいのであります。
 第二に、朝鮮問題は、新たに南北の対話の機運が生まれようとし、今後の発展が期待されるのでありますが、これをどう評価し、また、わが国としてはいかなる対応をなさるつもりか。また、中国、米国等関係国といかなる協力をしていくおつもりなのかどうか、伺いたいのであります。
 第三に、日中関係について、平和友好条約に基づいて今後両国関係の発展がより期待されるわけでありますが、中国留学生の受け入れなども踏まえ、文化交流の協定、また科学技術の交流に関する協定などを締結する用意があるのかどうか。また、中国沿岸での海底資源の開発について日中間で進めるつもりがあるのかどうか、それぞれ明らかにしていただきたいのであります。
 第四に、日ソ関係の今後についてどのような方針で臨もうとしておられるのか。特に、北方領土の返還、平和条約締結の展望並びにソ連の主張している善隣協力に対する考え方、経済協力に対する政府の見解を承りたいのであります。
 第五に、イランの情勢並びにイラク、シリアの合併など、今日の中東情勢をどのように判断しておられるのか。中東情勢の変化によって、わが国に対する石油の安定供給は確保できるのかどうかの見通しもあわせて伺いたいのであります。
 以上、重要な問題にしぼっての質問であります。真正面から取り組む姿勢で総理の答弁を求め、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(大平正芳君) 最初に、竹入さんは、五十四年度の予算編成がいかにも中途半端であって、今日の時代要請にこたえるところが乏しいではないかという御指摘でございました。
 われわれは今日の予算を組むに当たりまして、まず、多くの税の自然増収を期待できない状態にありますことはあなたも御承知のとおりでございます。また、国債をむやみに増発できない状況にありますことも御理解いただけると思うのであります。そういう中にありまして、今日の要請にこたえる精いっぱいの答案といたしまして五十四年度予算案を編成いたしたつもりでございます。中途半端であるという御批判はあろうかと思いますけれども、与えられた状況のもとにおきましては最善を尽くしたことでございますので、政府の苦心のあるところも御理解をいただきまして、御審議の上御協力をお願いいたしたいと思います。
 第二に、軍用機購入問題についてのお尋ねでございます。
 申すまでもなく、疑惑の解明におきまして、私どもは積極的であらなければならないと心得ております。国会の本件に関する国政調査権の発動がありました場合、これに御協力申し上げるのは当然だと考えております。
 それから、この種の事件の再発防止についてどう考えているかということでございます。
 かつてロッキード事件が問われた際に、政府におきまして、再発防止につきましての閣議決定をいたしました。そのうち幾つかは実行されておりまするし、また検討中のものもありますことは御案内のとおりでございまして、ただいま、そのときに示された方針に沿いまして、逐次その実現を期してまいるつもりでございます。
 また、E2Cの予算の削除でございますけれども、たびたび申し上げますように、この予算の計上につきましてはそれなりの理由があっていたしておることでございまして、疑惑の解明と予算の計上とは、これは切り離して措置いたしまして、解明は解明、予算の執行は執行ということで御理解をいただきたいものと思います。
 それから、七%成長を下方修正いたしたことは内外に大きな影響をもたらすことであって、自重すべきであったのではないかという意味の御質疑でございました。
 この七%成長を去年政府が決めまして、それに対しまして政府は、当初予算ばかりでなく、補正予算も組みましてその実現に努めまして、それなりの成果をおさめましたことは竹入さんも御承知のとおりでございます。すなわち、内需の喚起につきましては予想以上の成果をおさめておるわけでございまするし、経常収支の黒字幅も逐次縮小の方向をたどっておりますることも御案内のとおりでございます。しかし、何さま去年は為替相場の変動が余りにもはなはだしく、海外余剰の部面におきまして政府の予想どおりいかなかったことにつきましては、政府がその努力を怠ったゆえではなくて、客観情勢がしからしめたところでございます。その点につきましては、国の内外におきましてそれなりの評価もあるし、理解も得ておるものと私は考えております。私の場合、前内閣の基本方針を踏襲、尊重いたしまして、その政策の推進に当たっておるわけでございまして、前内閣の方針を断念したとか、下方修正したとかいう性質のものではないことを御理解いただきたいと思うのでございます。つまり、政策推進姿勢には変化がないということで御理解を願いたいと思うのであります。
 それから、サミットにつきましては、それではどういう方針で臨むかという御質疑でございます。
 主催国といたしまして、この大事な会議でございまするので、関係国の協力を得まして成功を期さなければならないと考えておるわけでございますが、そのためには何をおきましても、経済の内外にわたる均衡をできるだけわが国みずからが達成する方向に鋭意努力をいたしまして、そして世界経済に対するわが国の責任を果たしておるという姿勢自体が、まずこのサミット会議を成功に導く一番大きな要素の一つと心得て、その方向に努力をいたしておるつもりでございます。
 それから、貿易問題、通貨問題 エネルギー問題あるいは南北問題等、この会議で取り上げられるであろういろいろな問題につきましても、関係国と十分意思の疎通を図りまして、世界の諸国民が世界経済の中期的な展望について不透明な状態を払拭すべく、関係国と協力をいたしまして、サミット会議に課せられた責任を果たしていかなければならぬと考えておるわけでございます。
 それから、竹入さんはその次に、日本経済の現状をどう把握しておるか、経済はいまや不況のトンネルを一歩抜け出たと認識しておるかどうかという御質疑でございました。
 四十八年末に起こりました石油危機以来、わが国経済は、それは大きな日本経済に対する衝撃でございましていこれから立ち直るのに非常に苦心を重ねたことは御案内のとおりでございます。この間の推移を見ますと、まず、激動を続けてまいりました物価も落ちついてまいりまして、ようやく安定基調を取り戻したように考えられるのでございまして、景気も五十年初頭以来、緩やかではございますが、回復の基調をたどっておると思います。
 最近の景気の状況を見ますと、石油危機以降初めて内需を中心といたしました景気の回復が進んでまいりまして、企業収益もかなりの回復を見せております。しかし、雇用情勢はなお依然として頭が重い状況にございますので、政府としては、物価の安定を期しながら、雇用拡大のために最善を尽くして、回復の基調をいよいよ確実なものにしなければならぬと考えております。
 それから、雇用政策につきまして幾つかの御提言がございました。
 一つは、六十五歳を目途とし、、当面六十歳まで事実上定年を延長する中高年労働者の年齢差別禁止法を制定してはどうかという御提言でございます。
 われわれといたしましては、これを御提言されるお気持ちはよく理解できますけれども、労使の関係は原則として労使の話し合いにまつという基本姿勢をとっておりますので、これを法制化するということには抵抗を覚えるものでございます。しかし、その中高年齢者の雇用率を達成するための具体的な手段につきましては、いま鋭意検討を進めておりまして、御期待の方向にできるだけ持っていくつもりでございます。
 それから、職業別に労働需給状態を一元的に把握する機関をつくり、それから雇用創出機構の確立を図れ、こういう御提言でございます。
 雇用創出機構の設置につきましては、新たに機構を設けることについては種々の問題があり、適当でないと考えておりまするけれども、英知を結集いたしまして、中高年齢者の雇用の助成を強化するという趣旨には賛成でございます。政府としても来年度予算におきまして、中高年齢層の雇用の拡大を中心とする雇用開発事業の創設、雇用問題政策会議等の設置を考えておるところでございます。
 職業訓練、就職あっせんについて充実を図れということでございます。
 最近の厳しい雇用情勢に対処いたしまして、離転職者の再就職を容易にするために、離職者に対する職業訓練の実施規模の拡大、訓練校への入校時期の多様化、民間教育訓練施設への訓練の委託等、機動的な措置を講じておるところでございます。
 また、最近の厳しい状況にかんがみまして、中高年齢者を中心に、高年齢者職業相談室等の増設、専門の職員の増員等を通じまして、きめ細かな職業指導、職業紹介を実施してまいりたいと考えております。
 それから、失業給付日数全国延長についての基準の緩和を行えという御提言でございます。
 御提言の御趣旨は理解に苦しくないところでございますけれども、この問題は、地域、年齢、業種を限りまして御趣旨に沿いたいと考えております。
 それからその次に、竹入さんは、行政改革につきまして御提言がございました。
 私どもは、効率的な行政を実行すべく、国民の負担を軽減するために、これまでも行政機構の膨張を抑止し、定員の増加を極力抑制いたしてまいったわけでございまして、ここ十数年の政府の予算をごらんいただければ、その苦心の跡はわかっていただけると思うのでございます。しかしながら、私どもといたしましては、さらにこれを強化充実しなければならぬと存じまして、この一月十六日には閣議で、さらにその方向に沿いまして努力を強化してまいるという方針を決めておるわけでございます。行政の改革は、言うはやさしく行うはむずかしいものでございますけれども、今度の予算の編成に当たりましても、この点につきましては一番力点を置いて苦労いたしたところでございます。この点についての御理解を得たいと存ずるのでございます。(拍手)
 それから、一般消費税につきましての反対の御意向が示されたのでございます。
 竹入さんの御指摘を待つまでもなく、こういう大きな歳入計画について国民の理解と協力を得ようとすれば、歳出歳入全体にわたりまして見直しを徹底的に行いまして、国民の理解を得なければならぬことは当然でございまして、その点につきましては、政府も鋭意努力したつもりでございます。
 一々の事項につきましては御説明を省略いたしますけれども、しかし、いろいろなことをやりましても、結局大きな公債財源にまたなければ予算ができないという事態は竹入さんも御理解をいただけると思うのでございまして、われわれが現行税制の見直しあるいは歳出の見直しによりましてこの危機、財政の困難な時期を克服できるのでございますならば問題はないのでございますけれども、余りにも問題は大きく深刻でございます。したがいまして、どういたしましても新たな歳入計画というものを御提示申し上げて国民の理解と協力を得るよりほかに道がない段階に来ておると思うのでございます。しかしながら、一挙にこれを導入するということにつきましては、まだ十分国民の理解が熟していない状況でございますので、五十四年度におきましては、国会の内外を通じましてこの論議を深めまして、五十五年度からの導入への素地を開きたいものと念願をいたしております。
 不公平税制の是正につきましても、社会党の多賀谷さんからもお話がございましたけれども、富裕税にいたしましても土地増価税にいたしましても、税制体系上、いろいろ吟味いたしましたけれども、いろいろの問題点があることは竹入さんも御承知のとおりでございまして、われわれはにわかに実施に踏み切ることにちゅうちょせざるを得ないと考えておりますことも御理解をいただきたいと思います。
 それから、国債管理政策についてのお尋ねでございました。
 国債がこんなに多量に出て、円滑な市中消化が可能かどうかということにつきまして御心配をいただいておりますことはありがたいことでございます。私どもといたしましても、その点につきましてはことしの財政金融運営の最大の問題と心得ておるわけでございまして、この消化につきまして、民間、政府、あらゆる資金源につきまして慎重な配分、調整を行わなければなりませんし、国債自体の多様化も考えてまいらなければならぬと考えておりまして、この円滑な消化につきましては周到に配慮してまいるつもりでございます。
 それから、中小企業政策についてのお尋ねでございました。
 中小企業が引き続き非常に厳しい環境のもとでおられますことは申すまでもないことでございまして、われわれはこれに対しまして、金融対策の拡充、下請対策、それから倒産防止対策の拡充を図っておりまするけれども、今後の中長期の展望を踏まえまして中小企業の活路の開拓を推進いたしますために、新たに産地の中小企業の振興対策、それから高度化事業、それから指導情報化事業、組織化対策等、それぞれ拡充いたしまして、御要望の線にこたえることにいたしております。
 その次に、このような状況で果たして、六・三%の成長率を一応目途といたしておるけれども、これは実行可能かという御質問でございました。
 これにつきましては、最近、先ほども申しましたように、経済がやや明るい回復の歩調を示しております。物価も安定基調にございます。雇用も、わずかでございますけれども、改善の方向をいまとりつつあるわけでございます。とりわけ、最終需要は大変堅調に推移いたしております。
 したがいまして、そういう状況から見まして、内外によほど大きな条件変化がない限りは、私は、六・三%の目標達成は不可能ではないと考えております。民間のいろいろな調査機関の調査報告を見ましても、政府の考えと大きな開きはないように見ております。
 次に、年金政策につきまして――大変盛りだくさんのようでございますから――年金政策でございますが、年金水準の引き上げにつきましては政府も大変努力をいたしておりまして、その改善を図ってきたところでございます。来年度におきましては、老齢福祉年金について消費者物価の上昇率を上回る九%の引き上げを行いますとともに、国民年金の五年年金、十年年金及び厚生年金の遺族、障害年金等の最低保障額については、物価スライドの特例的な措置を講ずることによりまして、その水準の引き上げを図ることといたしております。
 高年齢化社会を控えまして、今後の年金制度のあり方につきましては、公明党を初め、各方面からさまざまな御提言をいただいておりますが、政府といたしましては、現在、厚生大臣の諮問機関でありまする年金制度基本構想懇談会で審議をお願いいたしておりまして、その結論を踏まえて慎重に検討してまいりたいと考えております。
 在宅寝たきり老人対策、それから身障者に対する訪問看護の制度化でございます。
 これは、きのう多賀谷さんにも申し上げたとおりでございますが、在宅寝たきり老人対策につきましては、本年度から新たにサービスの改善を図り、ホームヘルパーの増員も図っておるところでございます。それから在宅身障者につきましては、五十三年度から、従来の医師、看護婦による訪問診査・指導に、新たに作業療法士等による訪問指導を加えまして、その充実を図っておるところでございます。
 それから、自賠責保険の限度額の引き上げ、交通遺児奨学資金制度の拡充等につきましても、それぞれ所要の助成措置を講じておりますけれども、今後その充実に一層努力したいと考えております。
 公営住宅に関連した問題がございます。
 公団住宅の家賃及び譲渡価格の引き下げにつきましては、利子補給を行うほか、関連公共施設整備事業の拡充、政府出資金を行うこと等によりまして、その低減を図ることといたしております。
 それから、住宅金融公庫の貸し付けにつきましては、償還の繰り延べ等を講ずることにいたしておりまするし、都市銀行からの借り入れにつきましても、返済期限の延長等の方法も認めることといたして、五十四年度以降も引き続きこれを推進することにいたしております。
 土地政策につきましては、優良な住宅地の供給を確保し、地価安定のたてまえから税制、金融、行政等各般にわたりまして、総合的な宅地供給政策を推進してまいるつもりでございます。
 公共料金につきましては、たびたび申し上げますように、この管理は厳正にやってまいりまして、軽々にその引き上げを行うつもりはございませんが、真にやむを得ないものにつきましては、厳正審査の上、微調整の調整をやらせていただく分を予算に計上いたしたのでございます。
 地方財政でございますが、ことしも御案内のように四兆一千億の欠陥が出ておるわけでございまして、とりあえず交付税交付金の増額あるいは地方債の増発によりまして措置いたしておるわけでございます。これが正常な姿とは考えていないのでございまして、経済情勢がいま流動的な状態にございまするので、経済情勢分安定化と相まちまして、この中央、地方を通ずる財政、税制全体の調整には政府として検討を進め、実現の方向に努力を重ねたいと考えておるものであります。
 外交につきましては外務大臣からお答えすることにいたしますけれども、私といたしましては、わが国がアジアに位するものでございまするし、アジア諸国との連帯関係、友好関係はきわめて濃密でございます。アジアにおけるわが国の役割り、責任ということを十分考えて外交の推進に当たってまいることは当然と考えておりまして、先進国ずれがしないように十分心得てまいるつもりでございます。
 環太平洋連帯構想でございますが、太平洋、アジア圏にまたがるところの多くの国々との連帯関係、友好関係を進めてまいることはわが国の外交の大きな責任でございますが、この国々はわが国との関係が千差万別でございます。また、発展の段階もそれぞれ違っておるわけでございまするので、どのような取り組み方をするかにつきましては十分な検討を遂げなければなりませんので、国会に御提案するにつきましてはまだ熟しないおそれがございましたので今回は取り上げないことにいたしておりますが、構想が固まり次第、逐次御審議を願うことにいたしたいと思います。
 残余の点につきましては、外務大臣からお聞き取りをいただきます。(拍手)
    〔国務大臣園田直君登壇〕
#8
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 米ソの関係、中国とソ連の関係を大きく踏まえつつ、アジアの地域において紛争が火を噴くことのないように、アジアの平和と安定を願うことが日本外交の第一義でございます。そのために、まずその懸念の第一はインドシナ半島であり、第二は朝鮮半島であることは、竹入委員長の御発言のとおりでございます。
 インドシナ半島における事態はまことに遺憾でありまして、少なくとも物事を戦争によって解決をしようとし、武力を他国に進駐し、そして内政干渉を行うことは、わが日本が断じて賛成し得ざるところであります。したがいまして、このような紛争は、両国民が平和的に話し合いをして解決するよう強く要請をしているところでありますが、また一方には、この紛争が大きくならないよう、ベトナム、カンボジアと国境を接する国々に対しては、慎重に行動をなさるよう強く要請しているところであります。
 わが国は、この援助については、五十三年度分はすでに約束済みであり、すでに実行に移っております。五十四年度は、これはいまから御審議を願う予算に入っていることでもありますし、国連その他の場所等において、ASEANの国々と足並みをそろえつつ、今後の援助についてはベトナム、カンボジアの動向を見守りつつ慎重にやりたいと考えておるところであります。
 朝鮮半島は、近く南北が対話を始める気配が見えたことは同慶の至りであります。一方は、南の方は政府同士の話し合いを主張いたしております。北の方は、政党または民間各種団体の話し合いを主張しておりまするから、本質的にはまだ大きな隔たりがありますけれども、一方が物を言えば直ちに一方が答え、一方が答えれば直ちにまた一方が声明を出すという敏感、敏速なる反応を示していることは歓迎すべきところでございます。わが日本は、日中平和友好条約、米中正常化という変化をてこにしつつ、この朝鮮半島で南北の対話が行われ、終局には南北両方が話し合いで平和的に統一できる環境をつくるよう、最善の努力を尽くす所存でございます。
 次に、日中問題でありますが、竹入委員長が提唱されました、まず文化協定の問題でありますが、まだ中国から正式に話は承っていないところではありますけれども、日本と中国の長い伝統、特殊な文化関係等に基づきまして、この交流が進むにつれて文化協定の話が出れば前向きに検討する所存でございます。
 なお、科学技術協定につきましては、すでに話が出ておりますので、わが方では、中国の科学技術の実態把握、続いてこの協定を結ぶための準備として調査団を派遣するよう検討いたしているところでございます。
 なお、渤海湾周辺の開発については、民間同士が話し合いを進めているところでありますが、政府としてもこれには前向きに検討、対応していく所存でございます。
 次に、日ソの問題でありますが、これはしばしば申し上げまするとおり、国民のかたい合意と揺るぎなき決意のもとに、つらくとも粘り強く努力をする必要があると考えまするが、その前提として、両国の交流、経済等、実務的な話し合いを積み上げていきたいと考えております。昨年一月モスクワにおいて、昨年九月国連総会において、グロムイコ外務大臣と直接会談をし、日ソ外相定期会議に訪日されんことを強く要請いたしております。グロムイコ外務大臣はこれに対しては承諾をしつつも、まだ日時が決定いたしておりません。これを早急に実現されるようさらに努力するとともに、実務的な交渉は逐次進んでおりまするから、こういう実務的な問題を一つずつ積み重ねていって、誠意をもって日ソ友好関係を進めていきたいと考えておるところでございます。
 中東の問題は、御承知のとおりに二つありまして、一つはキャンプ・デービッドから端を発しまする和平工作、これが行き詰まっております。アメリカは盛んに努力を続けているところであります。もう一つはイランの紛争であります。
 中東の和平工作については、わが日本は、わが日本が持てる経済力と政治力を振りしぼって、この和平工作が何とかまとまりまするようさらに格段の努力をする所存でございます。
 イランにつきましては、なかなか混迷をいたしておりまするが、これがどのように安定するにしても、いまの状態よりも、安定した後のイランの産業復興がきわめて重大な問題であります。わが日本は、日本航空の二機をギリシャのアテネに待機をさせ、不慮の場合の引き揚げの準備をしつつも、このイランの情勢が安定した後、イランの産業復興に最善の努力ができるよう、周密なる準備をいたしているところでございます。しかし、このイランの情勢は、最悪の場合にはさらにこれが周辺に及ぶ。トルコ付近の情勢までこれを考えますると、一九八五年代の日本の燃料エネルギーについては十分配慮しなければならぬと考えておるところでございます。これについても最善の努力をする所存でございます。
 以上、お答えをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○副議長(三宅正一君) 佐々木良作君。
    〔佐々木良作君登壇〕
#10
○佐々木良作君 私は、民社党を代表いたしまして、先日の政府演説に対し若干の質問をいたします。
 施政方針演説とただいままでの政府答弁を通じまして、大平哲学につきましては、その格調高い美文調の表現とともに、私もたっぷりと伺いました。けれども、率直な私の実感は、失礼ながら、大平政治は、結局、旧態依然たる自民党政治の惰性の中で、相も変わらぬ事なかれ主義とその日暮らしを続けるのではあるまいかと心配を深めておる次第でございます。(拍手)
 まず、政治姿勢から伺います。
 第一点は、おのおの触れられましたダグラス、グラマン事件についてであります。
 総理が、大平政治に対する国民信頼を本当に獲得されようとされるならば、一番先になされるべきことは、今回の事件の疑惑究明に対しまして確固たる姿勢を明らかにされることであることはどなたも指摘されておるところであります。しかるに、どうやらこの問題に対する総理の態度は、一切を司直の手にゆだねるということのようであります。この種事件の法的裁断には、時効、形式的職務権限の有無など多くの障害がありまして、事件の政治的、道義的責任の解明はきわめて困難なものであります。しかも、この解明をこそ国民の最も多くが強く求めておるものであります。
 わが党はすでに、国会に公職者の倫理をただすべき常任委員会を設置し、常時この種疑惑の徹底的解明と予防措置をも検討すべきことを提唱いたしておりますけれども、目下、今回の事件に限って調査すべき委員会の設置さえ、各党合意が困難な状態と聞いております。かくては国民の政治不信をいよいよ高める結果と相なりましょう。
 この際、総理は、日本国の政治の最高責任者として、先ほどの竹入委員長の質問にありましたような、国政調査権の発動があった場合にはこれに協力する、こういう受け身の立場ではなくて、むしろ逆に検察当局の犯人捜しということとは別に、公職者の政治的、道義的責任を解明し、政治倫理を高めるという意味で積極的に国会の委員会が活動すること、そのことの当否について見解を明らかにされるべきだと思います。総理の責任ある御所見を承ります。
 同時に、政治的、道義的責任の解明のために、刑事訴訟法第四十七条ただし書きを援用して、アメリカとの司法取り決めによる資料などの国会提出を考慮する用意がありましょうか。先ほども、竹入委員長は昭和五十一年三月における予算審議の状態を御提示いただいておりました。同様な意味におきまして、あのとき同様な措置が行われたわけであります。民社党と政府・自民党との間におきまする約束によりまして、この刑事訴訟法四十七条ただし書きの援用を考慮したわけであります。そのような事実を想起されながら、責任ある答弁を求めるものであります。
 第二点は、行財政改革と公務員の姿勢についてであります。
 安上がり政府への行財政改革は、総理のたびたびの公約であります。しかるに、去る十六日の閣議了解に見られる行財政改革に対する総理の姿勢は、前内閣に比しても著しく後退の色が濃く、とうてい積極的な意欲をうかがうことはできません。ただいまの御答弁で、言うはやすく行うはむずかしいと言われました。そのむずかしいことをやるのが転換期における政治家の任務というものであります。(拍手)私は、中央省庁の統廃合や特殊法人の大幅整理とともに、特にこの際、各省の地方局廃止に対して、ここに本当の意味で踏み切るべきでありますることを強く要望するものであります。
 さらに、総理は、公務に従事する者の姿勢について施政演説で厳しく言及されました。きのうまた本議場における質疑応答の中で、この問題との関連で、今回の郵政省紛争に関し、総理は、双方が責任を自覚し、平和的に解決することを望んでいる旨の答弁を行われました。今回の反マル生運動と称する違法なストライキ、サボタージュが……(発言する者あり)年末年始の最も重要な時期に郵政業務を大混乱に導き、一般国民に対し甚大なる迷惑と多大なる損害を与えたことに対し、総理は一体どのような責任を感じておられるのか。同時に、このような公務員のあり方について、さらにまた違法ストというものについて、どのようにお考えになっておられるのか、総理の責任ある答弁を求めます。(拍手)
 政策論に入りますが、現在は最も大切な政治転換の時期と考えまするので、まず総論的に私の基本認識を申し述べ、これに対する総理の御見解を承ります。
 わが国はいま、わが国特有の重要な問題に直面しておると思います。その一つは、余りにも急速な経済成長、社会変化を遂げた結果、国内の各方面に不均衡や不安定を生じ、その調整が急がれ、それが産業社会の構造改革という政策課題を不可避的にしておることであります。他の一つは、日本の急速な発展の結果、国際的な義務と責任という分野において、国際社会から日本に対し応分の貢献を求められており、これに対応する政策整備が急がれているということであります。
 わが国の国民総生産は約二百十兆円、言うまでもなく世界第二位の経済大国であります。しかるに、いつでも引用されまするように、政府開発援助の対GNP比率は〇・二〇%、世界第十三位であります。この二つの数値に象徴される日本の国際社会における地位の矛盾解消こそが、信頼され得る日本の国際的立場を築く唯一の足がかりでありましょう。そしてその場合、日本に対する評価の物差しは、多分南北問題に対する取り組み姿勢となりましょう。このような意味から、南北問題は協力的社会づくりという理想からだけでなく、日本が生きるための不可欠の政策目標と考えるものであります。
 一方、内政問題の象徴的数値として、私は、国民総生産に対する経常移転支出比率を注目いたしております。日本のそれは八・四%、先進諸国中最低であります。つまり、このことは、日本が世界第二位の経済大国でありながら、その富が国民生活の下支えに回されている部分は先進国中最下位であることを意味するものであります。
 御承知のごとく、日本人の貯蓄率は国際的に異常と言われるほどの高さであります。しかも、国民は、貯蓄が物価上昇のため目減りすることをよく承知しておるのであります。それにもかかわらず貯金をするというのは、各種アンケート調査によりますれば、病気、老後、住宅、教育の四つに代表される国民不安に対し、国が適切なる保障措置を講じてくれないからであります。やむを得ざる自己防衛なのであります。このような貧しく不安な庶民感覚と、常に総理や前総理がおっしゃいましたGNP経済大国意識との感覚的矛盾の解消こそ、今後のわが国内政の最優先政策路線でありましょう。(拍手)
 日本型福祉社会建設の理想論も結構でございますけれども、総理は、まずわが国福祉水準の現状を正確に把握され、これを計画的に引き上げていく最も現実的な態度をこそ優先さるべきであります。総理の真摯なる御所見を承りたいと存じます。
 さらに、八〇年代を展望する福祉政策を追及するに当たって、私は二つの特徴的な社会構造の変化について注目いたします。
 その一つは、日本が高齢化社会の入り口に立っていることであります。高齢化社会というのは、若年中心の就業構造を中高年と均衡のとれた形に組み立て直していく社会の意味でありますから、そのための諸政策の立案、施行が急がれなければなりません。雇用とか年金政策などが飛躍的な重要性があることを強調せざるを得ないわけであります。
 他の一つは、地域社会の問題であります。総理の諮問機関である国民生活審議会の小委員会は、最近「二十一世紀への国民生活の展望」と題する報告書において、二十一世紀を「地方の時代」と位置づけております。脱経済から、心豊かな人間味あふれる社会の実現という、まさに大平哲学を地でいく手法で二十一世紀社会を展望し、このような社会への変化は、地方自治体の役割りを拡大させ、財源や権限の地方分散化、産業や中枢管理機能の地方分散につながることを強調いたしております。
 私も全く同感でございまするが、総理の行財政改革に取り組む姿勢は、この趣旨の実現からははなはだ遠いものがあるように感じます。総理の率直なる御意見を承りたいと存じます。
 以上のような基本認識に立ちまして、以下、具体的に、まず内政問題から伺ってまいります。
 内政問題の第一は、当面の経済運営についてであります。
 まず、五十三年度経済運営について、福田前内閣は、不況克服を中心的政策目標に掲げ、一貫して七%成長を公約してまいりました。しかるに、大平内閣誕生と同時に、この公約はあっさりと放棄されましたが、それは公約実現が手段的に不可能となったと判断されたからでありましょうか。それとも、すでに不況克服という政策目標は大体達成したとの見解に立たれたからでありましょうか。七%成長放棄の政策的位置づけを明らかにされることを要求いたします。
 次に、明年度予算案は、中心的政策目標となるべき産業社会の構造改革という中期的課題を放棄し、財政再建の経過措置的予算となっておりまして、他方においては、ガソリン税、公共料金、消費者米価などの引き上げなどによって、国民負担増を強要しております。このことは、消費者物価を押し上げ、民間消費支出の伸びを抑制し、景気回復をますますおくらせる結果となることは必至であります。したがって、このままでは政府目標の六・三%の達成はとうてい不可能と思われます。総理はただいまの答弁におきまして、それが可能ではなかろうか、不可能ではないという意味のお話でありましたけれども、その根拠ははなはだ希薄だと存ずるわけであります。
 政府は、一体この六・三%程度の成長が、目下、経済対策上なお必要であるとの認識に立っておられるのか、いやもっと下がってもいいのだ、こういう観点なのか、このことを明らかにされることを望みます。同時に、その実現のためには、実現が困難になった際、追加措置も考慮され得るのか、総理の責任ある答弁を求めるものであります。
 第三に、政府は中期経済計画づくりを進めておられますが、この作業との関連において、社会保障の中期計画づくりも当然に進められておらねばならぬと考えるのでありますが、社会保障五カ年計画とでも言うべき作業がいま進められつつあるのかどうか、明確に承りたいと思います。
 第四に、わが党の中期計画によれば、財政再建につきまして、第一に、景気回復による自力回復力を取り戻し、第二に、行政改革の断行と不公平税制の是正によって国民の理解を求め、第三に、国民自力回復力を確かめながら五十五年度より法人税の引き上げ、富裕税の創設など、一連の増税措置を考えておるものであります。
 これらの準備対策も進めることなく、財政再建の名において、安易に国民負担増を強い、さらに一般消費税を導入せんとする政府の態度は、断じてわれわれの認容できないところであります。(拍手)大平総理の再考を促し、御所見を求めるものであります。
 この項の最後に一つの提案をいたします。
 御承知のとおり、わが党を初め野党各党は、それぞれ中期経済計画を作成し、検討を重ねております。政府もこのほど、新経済社会七カ年計画の基本構想をまとめられました。私は、この際、真に国民合意の中期経済計画を検討、作成するために、政府は党派を超えた協議の場づくりを呼びかけるべきだと考えます。話し合い政治を模索される大平総理の真剣な考慮を求めるものであります。
 内政問題の第二として、老齢化社会と地域主義社会の台頭を展望しながら、社会福祉を進めるべき具体的問題につき質問を進めます。
 その第一は、雇用についてであります。その中心課題は、言うまでもなく中高年齢者の問題であります。
 政府は、来年度予算案におきまして雇用開発給付金の改善を行っておられまして、これは私も評価するものでありますけれども、これは地域における雇用チャンスの積極的拡大には余り役立つものではありません。
 とこに一つの提案を行います。わが党及び全日本労働組合総同盟が提唱する雇用創出機構の設置についてであります。
 これは、政労使の協力によって雇用創出の研究、雇用開発の方法並びに情報収集を図る中央雇用創出機構と、開発研究された方法を現実に地域において具体化する地方雇用創出機構とを設置し、地域の潜在需要未充足分野における民間主体の企業化を促進し、これら企業の助成と中高年の雇用促進とを図らんとするものであります。総理が大胆に一歩を踏み出されまして、ともにこの構想の具体化のため立法作業に取りかかられんことを切望し、総理の御所見を求めます。(拍手)
 さらに、中高年の離職者防止のための年齢による雇用差別禁止法問題につきましては、先ほど竹入委員長の質問に対しまして御答弁がありました。答弁は不満でありまするけれども、時間の関係上割愛いたします。
 第二に、年金につき伺います。
 現在、老齢年金受給者の六割以上がいわゆる経過的年金の受給者でありますが、その金額は御承知のごとくきわめて低く、年金の名に値するものではございません。
 わが党は、個人の拠出とは無関係に、ナショナルミニマムとして、老齢者に対し可処分定期給与の三〇%、夫婦で四五%相当額を保障せんとする基礎年金構想を提示しております。この基礎年金の上に現在の厚生年金など比例年金を加味し、新しい年金制度の確立を図ろうとするものであります。
 老齢化社会の入り口に立って、年金制度の充実改革は焦眉の急であります。基礎年金だけでも早急に確立すべきだと考えるのでありますが、いかがでございましょうか。
 第三に、住宅建設についてであります。
 総理の言われる家庭基盤強化の基本は、言うまでもなく快適な居住環境であります。しかるに、快適な住宅の取得は、そのむずかしさは先進諸国中比類がなく、その価格もまた抜群であります。
 その最大の原因である土地問題については、土地は公共のものであるとの哲学的認識に立って抜本的な対策が講じられなければなりません。しかし、少なくとも、国土法の許可区域指定を機敏に行うよう行政指導を強化することや、宅地価格を低下させるために、公共公益施設整備費をそのための地方債の利子補給に切りかえるなどの措置はいますぐでも行えるのでありまするから、断行されることを望みます。
 住宅ローンについても、融資枠の拡大だけでなく、民間ローンヘの利子補給を行うべきであります。民間住宅投資の拡大が景気回復に大きく寄与することは申すまでもございません。総理の見解を伺います。
 第四に、補助金について、地方の時代促進への一つの提案を行います。
 従来、複雑な縦系列の操作によって地方の自主性を抑えてきた公共事業関係の補助金を一括して第二交付税制度を創設し、地方へ交付することの提案でございます。特色ある町づくりを自発的に促す結果となり、同時に、国、地方を通ずる行政の合理化、簡素化を進める有力な手がかりとなりましょう。総理の理解ある答弁を望みます。
 以上、私は、内政につき重点的にわが党の考えを提示しながら政府の見解をただしましたが、最後に、話し合いによる予算修正を要求いたします。
 わが党は、最小限、所得税減税、雇用、年金、住宅などについて、一兆円規模の需要拡大が望み得る、そのような予算の修正を行い、景気対策を追加することを最低限の修正目標といたしております。総理の謙虚にして率直なる答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、外交及び安全保障について質問を進めます。
 内政同様、外交についても、八〇年代を展望するとき、いまその根本的転換が迫られております。
 わが国の戦後外交は、第一に自由諸国との連帯、第二に国連中心主義、第三にアジアの一員としての立場の三本の柱から成り立っておりましたが、事実上これらの方針はすべて破綻しつつあると存じます。それは、日本外交には確かなる戦略目標が欠如していたからであります。
 その戦略目標の第一は、相互依存の国際社会の中で果たすべき日本の役割りを明確にすることであります。第二は、世界の平和と安全との関連の中で、わが国の安全につき総合的な保障体制の確立を明らかにすることであります。このようなわが国の外交戦略の確立を前提として、当面する具体的な外交課題について若干の質問を行います。
 その第一点は、先ほども触れられておりました本年六月の先進国首脳会議、東京サミットについてであります。一般方針を承りました。そこで、この会議において、いま政府が考えておられる最も大切な課題は何でありましょうか。われわれは、先述のごとく、南北問題こそ最優先し、政府が最も積極的な姿勢を示すことを要望するものでありますが、いかがでございましょうか。
 第二は、従来からの課題でありましたエネルギー問題について、最近これを主要テーマから外そうとする動きがあるやに聞くのでありますが、もしそうであるとするならば、世界石油戦略の中で日本の孤立感が憂慮されている現状に照らし、事は重大と思うのであります。真相を明らかにされ、日本としての対処方針を明らかにしていただきたいと存じます。
 次の問題は、南北問題についてであります。この問題を重視される園田外相のお考えは、外交演説でも承り、評価いたしております。しかし、残念ながら、この姿勢はいまだ日本の政治全体のものとはなっておらないと存じます。
 具体的質問の第一は、まず政府開発援助についてでありますが、三年倍増の国際公約は、円べースなのでありましょうか。それともドルベースなのでありましょうか。OECDの開発援助委員会は、昨年十月、円ベースならば実質的に二九%増にしかならないことを指摘し、日本批判の発言をいたしておるようであります。国の内と外とに異なった印象を与えてはなりません。政府はこの指摘にどうこたえられるのか、明確な答弁を求めます。
 第二に、一昨年の福田ドクトリンの発表にもかかわらず、その後、途上国の貿易環境改善問題は必ずしも進展を見せておりません。ASEAN諸国の一次産品の輸出所得保障制度の実現要求に対し、すでに政府には明確なる回答が準備されておると考えるのでありますが、その概要をここに明らかにされ、あわせて、とれと共通基金構想との関係を明らかにされるように望みます。
 第三に、ベトナムに対する援助凍結の問題に触れます。先ほどの竹入委員長の質問に対しまして、外務大臣は、この問題について、五十三年度は実施いたしました、五十四年度については情勢を見て判断いたしますと、私が聞き間違ったのかもしれませんけれども、そのようにお答えになったと思います。それでありまするならば、援助凍結ということが既定の事実のごとくにいま述べられておることは、何だか大変おかしなことであります。援助凍結、援助凍結と言うそのことが、いろいろな意味でいろいろな影響を与えることを十分ひとつ御考慮をいただかなければならぬと思います。インドシナ情勢については一層の緊迫化や紛争の長期化がうわさされているのでありますが、政府は、これをどのような情勢判断をされて、そして、これから考えるのではなくて、凍結という方針らしきものを打ち出されたのか。そうすると、今後どのような状態になればその凍結らしき措置を解除されようという考えに立っておられるのか、少なくともその考え方の基本は示していただかなければならないと存じます。
 第四に、総理は、環太平洋諸国家の連帯について新たなる構想をお持ちのようでございます。しかし、ただいま伺いますと、まだその構想は熟していないようでございますが、それを、構想の概要でも承りたいのでありますけれども、私の方からも一つの提案をいたします。
 それは、一部学者、経済人等によって検討が進められている太平洋貿易援助開発機構構想についてであります。私は、いま同志と検討を重ねておりまして、折を見て一つの提言にまとめたいと考えているのでありまするが、この構想についても総理の御所見をあわせて承りたいと存じます。
 質問の第三点は、中国に対する経済協力についてであります。
 昨年末訪中の際、ケ小平副首相との会談において、私の質問に答える形で、ケ副首相は、政府借款問題につき、従来の否定的態度を放てきし、積極的に受け入れる方針を明確に打ち出されました。このときの一連の中国近代化推進路線の態度表明以来、アメリカ、西独などの対中国経済協力の動きはきわめて活発化いたしております。私は、対中国経済協力について、日本も一つの決断の時期を迎えていると考えるのでありまするが、政府借款についての政府の方針、特に民間ベースのプロジェクトについても政府借款を拡大する意向ありや、明らかにされることを要求いたします。あわせて、対中国経済協力の今後の進め方について、政府の基本方針を承りたいと存じます。(拍手)
 質問の第四点は、今後の日ソ関係についてであります。これも先ほどお話が出ておりましたが、ひとつはっきりと承りかねたものでありますから、重複するかもしれませんが、御了承いただきます。
 私の質問の第一点は、ソ連が提唱しておる善隣協力条約について、大平内閣は、この際、何らかの新たな対応を考えられるのか、それとも領土問題の解決を基本とした平和条約の締結という従来路線をあくまで貫かれるのか、この点をまず明らかにしていただきたいのであります。
 第二の点は、二月に予定されている日ソ経済会議を目前にして、日中間の長期貿易取り決めに見合った長期貿易協定をソ連との間に結ぶ考えがおありになるのか。さらに、その中に、現在中断状態にあるシベリア開発について、大平内閣は積極的に協力する方針なのか、具体的姿勢を明らかにしていただきたいのであります。
 質問の第五点は、朝鮮半島の情勢についてであります。
 これも先ほど出ておりました。ただ、最近、南北朝鮮の対話再開について朴大統領の提案が行われ、北朝鮮側もまたこれに対応する姿勢を示しつつありますが、一方、アメリカにおいて、在韓米地上軍撤退計画に対する再検討が行われつつあるとも承ります。このような動きに対しまして、政府は、どのような展望を持って、具体的にどのように対処されようとしておるのか。南北対話の再開が好ましいということだけでは政府の方針ではないと思います。私は、展望と措置をお尋ねいたしたいと存じます。(拍手)
 第六点は、わが国の経済協力体制の強化についてであります。
 いまや、国際協力はわが国の最重要課題であるにもかかわりませず、国際協力をめぐる各省庁のなわ張り争いは総合的な政策の樹立推進に大きな障害となっております。行政改革の一環として、経済協力問題の一元的推進を図るために、私は、経済協力省の設置を真剣に考えられんことを望むものであります。フランス、イギリス、西ドイツ、アメリカなどの実例を吟味され、中央省庁の統廃合を前提に積極的検討を望むものであります。総理の御所信を承ります。
 次に、総合的安全保障体制について質問を進めます。
 この問題について、わが党はすでに、政治、経済、社会の三面を包含する整合性ある構想を明らかにいたしておるのでありまするが、総理の言われる総合的安全保障体制という考え方、言葉はわかりましても、中身はどうもはっきりしないのであります。内容を明らかにしていただければ幸いであります。
 しかし、総合安全保障という概念は、少なくとも、国の安全のための諸要素をバランスさせ、総合して安全力を強化させるべきものでありますから、軍事力の役割りの相対的低下だけを強調するものであってはなりません。軍事力以外の諸要素の一層の充実にこそ、この構想の力点が置かれるべきであります。(拍手)
 そのような立場に立って具体的な問題について伺いたいのでありまするけれども、そしてその中心がエネルギーであり、食糧であります。このエネルギー、食糧を中心とする経済的安全保障の課題、昨日来、同僚からたびたびこの問題について触れられておりますけれども、どうもこれに対する答弁は、われわれお伺いいたしましても納得しかねることでありまして、要領を得ない答弁が繰り返されております。私も質問を準備いたしておりましたけれども、同じような答弁が繰り返されるだろう、こう思いまして、これらの問題は、これからの実りある質疑応答をすべて予算委員会に期待いたしまして、省略することといたします。
 安全保障に関連して、付言し、お伺いいたします。
 私は、かつて有事立法問題が騒がれた際、その論議の混乱ぶりに驚嘆したものであります。けれども、総理、一つの独立民族国家として、避けて通れない問題があることは御存じだと思います。自衛隊問題にいたしましても、元号問題にいたしましても、歴代自民党内閣はことさらにこれを避け続けてまいりました。歴代内閣の怠慢と申して過言ではありません。(拍手)けれども、二十年も三十年も国民の目の前からは完全に問題の本質論議を封じておいて、ある日突然その決着を迫っても、それは無理というものであります。少なくとも民主的態度とは申せません。しかし、避けて通れない問題は避けては通れないのであります。
 今後、このような、やらねばならぬがやりにくい問題、これにどう取り組まれるのか。大平総理は、この辺のやり方は最も私は上手なように感ずるのでありますけれども、やらねばならぬがやりにくい問題、これにどう取り組まれるのか、大平新総理の責任ある態度表明を求めます。(拍手)
 さらに、私は、外国の大規模テロ事件や地震、大災害などの報道に接するたびごとに、このような社会混乱がもし日本に起こった場合、戒厳令はもちろん、危機管理とでも言うべき体制化手段が皆無であることを承知いたしておりますがゆえに、深刻な不安を感ずるのであります。しかし、このような問題提起自身もまた、有事立法的騒ぎを起こすだけでありましょうか。(拍手)私は、大阪三菱銀行事件の犯人の異常性格などを思い合わせ、先ほど来この問題もたびたび出ておりました、そのような問題を思い合わせ、社会秩序維持の現状に寒々としたものを感ずるのでありますが、社会混乱時における危機管理の問題も総合的安全保障の一翼を担うべきものでありますから、総理の率直な御見解を承りたいと存じます。(拍手)
 あわせて、グラマン、ダグラス事件に関連し、E2C軍用機の扱いがにわかに政治問題化いたしてまいっておりますが、正直言って、特別関係者を除き、われわれ議員も国民も、この軍用機を自衛隊に配置することの重要性については、ほとんど無知と言って過言ではありますまい。このような防衛論議は国会で完全にタブーとされておって、封じられておったからであります。シビリアンコントロール体制と言っても実態はこのようなものでありますが、総理、これで国の政治目的のために自衛隊自身を使いこなせるものでありましょうか。わが党年来の主張である防衛委員会の設置と国防会議の改組を、この際、改めて要求するものであります。総理の責任ある答弁を求めます。(拍手)
 以上で質問を終わりますが、混迷の経済社会、激動の国際情勢の中で政治に求められるものは強力なる指導力であります。新大平総理に求められている国民的な要請もまた同様であります。総理がこの国民的要請にこたえる努力を傾けられんことを最後に強く要請いたしまして、発言を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(大平正芳君) 軍用機の輸入に絡まる疑惑解明に関連いたしましては、たびたび申し上げておりますとおり、いささかも疑念を残さないように徹底的に解明しなければならぬと考えております。それでは、政府はこの問題の疑惑の解明を捜査当局の手にゆだねっ放しかという御質問でございますが、政府は、捜査当局に一切を任せておるわけではございません。捜査当局の捜査の進展を見守りながら、関係当局はあらゆる努力を尽くして解明に当たるつもりでございます。
 国会におきまして、決議がございましたり、あるいは証人喚問等の措置がとられようとする場合、それ自体は国会の問題でございますが、政府といたしましては、国会の国政調査権の発動に対しましては、できるだけの御協力をしなければならぬと考えております。ただ、捜査当局の本問題の解明に支障がないように、国会においても御配慮を願いたいと思います。
 それから、アメリカとの司法取り決めによって入手した資料でございますが、これは、厳格な機密保持、公開禁止の約定がついておりまして、もっぱら捜査及び裁判にのみ使用すべきものとされておりまして、当該資料自体を国会に提出することはできないものと思っております。
 なお、国会の国政調査権の行使につきましては、いま申しましたように、十分協力をしてまいるつもりでございます。
 第二の御質問は、行政改革についてでございました。
 行政改革につきましては、常々申し上げておりまするように、機構の膨張を抑止し、定員を節減してまいるということにいままで努力を結集してまいりましたことは御案内のとおりでございますが、一月の十六日、閣議におきまして、さらに、機構、定員の膨張抑制と合理化、公社、現業等政府事業の合理化、適正な人事管理の推進等、一連の措置を決定いたしまして、これを実施に移しておるところでございます。
 佐々木さんの言われる地方部局の廃止でございますが、政府は、国、地方の出先機関につきましても、目下、末端機関を中心に一千カ所の整理を進めておるところでございますが、引き続き、国、地方を通ずる行政体制の効率化を検討いたします際に、御提案がございました件についても検討させていただきたいと思います。
 それから、最近の郵政労使間の問題についての見解を求められたわけでございます。
 今回の郵政労使の交渉におきましては、国営事業としての事業の運営、人事管理の基本にかかわる重要な問題が争点になっておったと承知いたしております。このため交渉が難航し、また、その間の全逓の違法な行為を含む闘争によりまして郵便が大混乱をいたしまして、(発言する者あり)国民に大変御迷惑をかけましたことは、私としても大変遺憾に存じております。
 申すまでもなく、郵政事業の労使関係は公労法によりまして律されておりまして、同盟罷業、怠業等、争議行為は厳に慎まなければならぬことになっておりまして、私としては、交渉はあくまでも平和裏に進めていただかなければならぬと考えております。今後とも、労使双方がその社会的な責任を十分自覚されて、労使関係の正常化に努め、国家公務員として正しく行動し、国民へのサービスに努められるよう希望いたします。
 次に、南北問題についてのお尋ねでございました。
 佐々木さんが仰せのように、わが国が経済大国といたしまして、世界の当面する南北問題につきまして重い責任を負っておることは御指摘のとおりでございます。しかるにもかかわらず、今日までのわが国の経済協力は、量的面におきましても、また質的な面におきましても、改善すべきものを多く含んでおりますことも、御指摘のとおり、私も承知いたしておるわけでございます。
 われわれは、これまでも経済協力の推進、またその質的向上に努力をしてまいりましたけれども、今後一層の努力を重ねてまいるつもりでございます。とりわけ、政府援助を三年間に倍増するという方針は、いかに財政が苦しくてもこれを貫いてまいる覚悟でありますことは、かねがね申し上げておるとおりでございます。
 その次に、七%成長につきまして、これは公約困難になったという判断は私どもいたしておるわけでございますけれども、それは政府の目的が達成されたからというわけでもございません。これは申すまでもなく、対外経済の均衡化に、いまその過程を順調にたどっておるとはいえども、その目的を達していないわけでございますし、対外からのわが国に対するクレームもまだ強いものがあるわけでございまして、達成されたとは考えておりませんけれども、このラインに沿いまして政府は全力を挙げた。そしてそれ相当の成果をおさめておるということにつきましては、国の内外がこれを評価しておることと承知いたしておるのでございます。しかしながら、今年度中に七%を完全に達成するということがどの角度から見ましても困難になってまいりましたという認識を持っておることは御指摘のとおりでございます。
 それから、中期経済計画と並行いたしまして、社会保障の中期計画を進めておるか、またその必要を認めておるかという御質問でございました。
 今日、私どもが考えておる中期経済計画は、社会保障の中期計画を外して成り立つものではないと思っております。高年齢社会に移行いたしておる状況を踏まえた上で、年金と医療の問題を中心といたしまして厚生省で鋭意審議を進めておるところでございますが、これはとりもなおさず、われわれの中期経済計画の一つの柱になることと私は期待いたしております。
 財政再建についての民社党の御提言を含めての御質問でございました。
 佐々木さんのおっしゃるとおりの手順によりまして財政再建というのは進めなければならぬことを私も承知いたしておるわけでございます。けれども、そのような努力を重ねましても、先ほども申しましたように、依然として大量の公債に依存しなければならないような事態でございまするので、われわれといたしましては、こういう努力と並行いたしまして、一般消費税等新たな収入につきましても考えなければならぬような状態になっておるということと、しかし、それを急いでことしから実行しようとするのではなくて、十分財政全体についての論議を深めていただきまして、その中で国民の理解と協力を得まして、この問題につきましては、五十五年度から実行に移させていただきたいということを念願いたしておるところでございます。
 それから、中期経済計画の作案に当たりまして、民社党ばかりでございませんで、各方面からの御意見もちょうだいいたしておるわけでございます。また、経済審議会におきましては分科会等を設置いたしまして、学界、財界、労働界、消費者代表等の御参加もいただいておるわけでございますが、今後は、国会における御議論も十分踏まえまして、できるだけ国民的合意の得られる計画に持っていくように努力をしたいと考えております。
 次に、雇用創出機構の創設の御提案でございました。
 これは竹入さんにもお答え申し上げましたとおり、この問題につきましては、新たな機構を設けることにはにわかに賛成いたしかねますけれども、政府といたしましては、来年度予算案におきまして、中高年齢者の雇用の拡大を中心とする雇用開発事業の創設、雇用問題政策会議等を設置いたしまして、御期待に沿うように努力したいと考えております。
 それから、年金制度につきましてのお尋ねでございました。
 高年齢化社会を控えまして、今後の年金制度のあり方につきましては、これまた民社党を初め各方面から御提言をいただいておるわけでございますが、現在、先ほど申しましたように、厚生大臣のもとで年金制度基本構想懇談会というものを設けて、そこで御審議をしていただいておりまして、その検討の結果をまって考えていきたいと思っております。
 次には、土地政策でございます。
 土地政策は、御指摘のように、あらゆる政策の基礎に横たわっておる困難な問題でございまして、われわれは、宅地の確保、公共用地の確保、また、地価の安定ということに努力をしてまいりましたけれども、なかなか実効を挙げ得ていないことを遺憾としておりますが、国土利用計画法の精神に基づきまして“今後とも推進してまいるつもりでございます。
 御指摘の国土利用計画法の規制区域の指定につきましては、当面指定条件を満たす例はないものと考えておりますけれども、必要な場合には機動的かつ効果的な指定を行うことができるよう指導しており、要件該当の蓋然性の高い地域については、常時土地取引等の実態について監視に努めるよう指導しているところでございます。
 それから、公共公益施設整備費負担軽減のための地方債利子補給制に改めるなど考えないかということでございますが、関連公共公益施設整備につきましては、国庫補助事業の優先採択、立てかえ施行制度の改善、国庫補助率の引き上げ、地方債のかさ上げ及び利子補給、さらに、昭和五十三年度に創設された住宅宅地関連公共施設整備促進事業を大幅に拡大するなどにより、開発者負担の軽減に努めるつもりでございます。
 なお、御質問の趣旨は、かねてから民社党が主張されている地方債の利子補給制度であると思いますが、これについては、一般的に公共施設の整備に対する国の助成は建設補助事業という形で行われておること、また、個々の宅地開発の置かれた自然的条件の差異、地方財政の実情から見て、全額地方債負担とすることには問題があると考えております。
 それから、第二交付税とも言うべき思想で、地方分権、地域主義の時代に対応してはどうかという御指摘でございます。
 この問題は、根本的な制度の改変の御提言でもございまするので、国と地方との行政事務の配分とも大きく関係するものでございますので、御提言を承りまして検討さしていただきたいと思います。
 それから、一兆円の需要拡大について、民社党といたしましてはこの予算について追加措置を求めたいのであるが、考え方として受け入れられるかどうかということでございますが、先ほども申し上げてまいりましたとおり、今日の状況におきまして最善を尽くした予算と私どもは承知いたしておるわけでございます。いろいろな御批判があろうかと思いますけれども、私どもといたしましてはこれ以上名案はないと考えて御提案申し上げておるわけでございますので、まげて御協力を願いたいと思います。
 外交につきましては外務大臣からお願いいたしまするけれども、二、三私に関連したことを御答弁申し上げます。
 サミットに対する方針でございますが、これは、主催国といたしまして成功に努力するよう、関係国の協力も取りつけつつあるわけでございます。このサミットを成功に導く第一の要件は、何と申しましても、わが国自体が、対外経済均衡を図る上において、あるいは佐々木さんのおっしゃる経済協力の推進におきまして、誠意のある努力を示さなければならぬわけでございまして、そのことにつきましては、政府全体、緊張した姿勢で対処いたしておるところでございます。
 また、この会議におきましては、従来、エネルギーの問題、貿易の問題、通貨の問題、南北問題等が取り上げられましたけれども、あなたが御指摘のように、今度の会議がアジア・太平洋地域で行われることもございまして、また、今日の世界の状況から申しまして、南北問題は特に力点を置くべき議題ではないかという御指摘でございました。私どもも同感に存ずるのでございまして、準備会議等を通じまして、その認識は各国にも伝えて、御協力を得るように努力をいたしたいと考えております。
 経済協力省を設置したらどうかという御提言でございます。
 行政機構をつくるということに対しましては、私どもは強い抵抗を覚えるばかりでなく、経済協力行政自体も、経済協力省をつくることによって整備されるというよりは、経済協力省をつくることによってなおまた複雑になる懸念を覚えるのでございまして、にわかに賛成いたしかねます。
 それから、総合安全保障体制の整備に当たりましては、軍事力以外の要素に特に力点を置いていかなければならぬという御見解は、全く傾聴に値する御提言、私もまた同感でございまして、そういう方向に努力いたしたいと思います。
 その他の外交案件につきましては、外務大臣からお答えを願いたいと思います。
 そのうちで食糧の問題、エネルギーの問題等の御提議がございましたが、食糧につきましては、きのうからも本席を通じまして申し上げておるような方針に従ってやってまいるつもりでございますが、なお各委員会を通じてさらに論議を深めていただきたいと希望いたしております。
 やらねばならぬことはやらなければならないという、仰せのとおりでございます。そのためにはどういう案件であろうと、私が常々申し上げておりまするように、十分の話し合いを通じましてコンセスサスを広げていかなければならぬと考えておりまして、政府といたしましては、押しつけでなくて、国民の理解を得ながら、国会の御審議も十分していただきながら、一つ一つの問題を避けないでやってまいりたいと考えておるわけでございます。
 元号問題につきましても、そういう趣旨で近く御提案申し上げる予定にいたしておりますけれども、御協力を願いたいと考えております。(拍手)
 危機管理体制の確立でございますが、今日、われわれ民族の力量におきまして、わが国の危機がわれわれの手によって管理されなければならぬことは当然でございます。しかし、どういう体制をつくりましょうと、それは国民の理解と協力と支持がなければならぬわけでございまして、今日、佐々木さんの言われる戒厳令というようなものがいま国民の納得と支持が十分得られる状況にあるかどうかということにつきましては、いろいろな御意見があろうかと思いますけれども、私はまだ熟しないものを感じておるわけでございます。今日の段階におきましては、社会混乱を生じないよう、現行法のもとで全力を挙げて対処しなければならぬものと考えておりまして、戒厳立法というような問題につきましてはただいまのところ考えておりません。
 国防会議の改組問題、国会における防衛委員会の問題でございますが、国防会議につきましては、制度につきまして、国防会議議員の定数をふやしていくということをいたしましたわけでございますけれども、さらにその運用に工夫をこらしていきたいと考えております。
 防衛委員会の設置は、これは国会の問題でございまして、私は、国会がこの問題につきまして妥当な結論を出していただくことを期待いたしております。(拍手)
    〔国務大臣園田直君登壇〕
#12
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 わが国の外交で、国際的な相互依存の社会体制の中で、わが国が経済、政治のすべてを国際社会に貢献すること、そしてまた、安全保障等につきましても総合的な相互依存関係にあるということは全く御発言のとおりでありまして、しかもそれが、国民の徹底した合意に基づくということが日本外交の起点である、これはお説のとおりであると考えております。
 次に、サミットの会議で南北問題が議題になるべきだ、これは仰せのとおりでありまして、各国とも、初めてアジアでサミットが開かれるのであるから南北問題は重点になるべきだという意見は、委員長の発言のとおりであります。
 なお、この議題に対して、先般西独に参りましたときに、エネルギーを入れることは西独は反対だといううわさがあったがという話でありますが、さようなことはございません。エネルギーを議題にすること、反対でありません。むしろ、西独が言ったのは、一九八五年代を展望すると、エネルギーの問題で、核を持たないドイツと日本が一番困る、したがって、核保有国から西独と日本が縛られないように注意しようという趣旨の話でございまして、その誤解でございます。
 次に、朝鮮半島の問題で、韓国から米軍が撤退するのを見直すというお説でありましたが、これは、まだ見直すということが正式決定されたわけではなくて、先般韓国に参った調査団からの報告を国防省が聞いている程度であります。いずれにいたしましても、その段階でありますから私がコメントをする段階ではありませんが、わが日本としては、重大な影響と関心のある地域でありまするから、せっかく南北対話の機運が出てきたわけでありますから、この均衡が破れないよう、細心の注意をする必要があると考えております。
 次に、日ソの関係で、いまソ連から出されておる善隣友好条約、これはどうなのか、領土は抜きにしてもよろしいのか、こういう御質問でありますが、私は、昨年九月グロムイコ外務大臣に会った際に、ただいま出されておる善隣友好条約は話の対象にはなりません。なおまた、国民のかたい合意と揺るがざる決意と、とう申し上げましたのは、一貫して日本が唱えてきております北方四島の祖国復帰というのは前提にしているわけでございます。その他のことについては、話し合いは幾らでも応ずる所存でございます。
 次に、政府開発援助の倍増の問題について、これはドルベースかという話でありますが、ドルベースであります。
 なお、OECDその他で、日本の開発援助は比率が少ないと批判を受けているではないか。これはともに、援助する方が、国民の総生産、GNPの比率が少ないという批判を受けております。今年度の予算で、財政上苦しいながらも、実質三年間倍増ができるような予算をお願いしているわけでありますが、それにいたしましても、GNPの比率は〇・三一になるわけでございまして、世界の平均は、目指すところは〇・七、こういうわけでありますから、三年間倍増ができましても、質、量及び援助の方法の改善等、さらに努力すべきことであると考えております。
 次に、ベトナムに対する援助、これは凍結か、こういうわけでありますが、これは、私の方が正式にベトナムに通知いたしておりまするのは、五十四年度からの経済援助、第一に、ベトナムに対する経済援助については、昨年ASEANの首脳者会議の際に、ASEANの国々からは、ベトナムに経済援助をされると、それが結局はベトナムの軍事援助になって、隣国の国々に対する脅威となる、したがって日本は注意されたい、こういう強い申し入れがあったが、その点は十分注意をするということで日本は援助に踏み切りました。しかし、その日本が援助をするゆえんのものは、アジアの平和と安定のためという願いのためにやるわけでありまするから、ベトナムがアジアの平和と安定を撹乱をし、他国に侵略し、あるいは内政干渉するということがあれば、今後の援助は凍結せざるを得ない、こういうことを警告しているわけであります。そこで今後の問題については、ASEANの国々とよく相談をしながら今後の態度は決定したいと考えておるわけであります。
 大体、以上が私に言われた質問であると存じます。以上、お答えをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○副議長(三宅正一君) 瀬長亀次郎君。
    〔副議長退席、議長着席〕
    〔瀬長亀次郎君登壇〕
#14
○瀬長亀次郎君 私は日本共産党・革新共同を代表して、総理大臣に質問いたします。
 まず第一に、底深い構造汚職の様相をますます鮮明にしてきた航空機導入をめぐる疑惑についてであります。
 ロッキードに次ぐダグラス、グラマン事件は、戦後の航空機導入が、日米の財政界の癒着の中で腐敗の温床となってきたことを示すものであり、わが党の訪米調査によっても、その根深さ、規模の大きさはいよいよ明らかであります。ところが、施政方針演説では、つけ足しのようにただ触れるだけ、しかも、疑惑に包まれたグラマン社のE2C早期警戒機導入を決定し予算化したことは、国民に対する重大な挑戦と言わなければなりません。私は、E2C予算の削除を強く要求します。(拍手)政府は、疑惑解明と切り離して導入を決めたなどと言いますが、それならば、不正が明確になった時点でもなお不正と切り離して導入計画を進めるつもりなのかどうか、はっきりお答えください。
 そこで、E2C導入をめぐる疑惑の焦点となり、総理自身外務大臣として参加された一九七二年八月の田中・ニクソン・ハワイ会談についてお伺いしたい。
 総理はかつて、ロッキード疑獄と関連し、会談では航空機の機種の話は公式、非公式にも話題にならなかったと答弁されました。しかし、グラマン社と日商岩井が、ハワイ会談の検討リストにE2Cが載るように日米両政府に働きかけ、米政府関係者がE2C導入を日本側に要請した事実が、グラマン社のチータム前副社長及び当時の米国務次官補グリーン氏の最近の証言で明らかとなりました。ハワイ会談が日本政府の国産化方針をE2C輸入に逆転させる決定的な舞台となった疑惑はますます深まっています。当時、外務大臣として、この会談の準備を含め、全過程を知り得る立場にあった総理は、今日なお、ハワイ会談で公式、非公式を問わず、航空機の話は一切出なかったと断言できますか。ロッキード公判で田中被告側が、総理のかつての国会答弁を最大限に利用しているだけに、明確にお答え願いたい。(拍手)
 第二は、日本の安全と平和の根本にかかわる若干の問題についてであります。
 ダグラス、グラマン事件が、安保条約がらみの戦後最大の軍事汚職であるなら、基地に由来する被害の続発は、国民を犠牲にする日米軍事同盟の重圧の典型例と言わなければなりません。横浜市緑区における米軍機墜落事件の傷もいまだにいえず、今日なお病床に伏している被害者や、肉親を失った遺族の涙は乾いていないというのに、昨年暮れには沖繩で、民家に向かって米軍の水陸両用車が機銃を乱射した事件が起こりました。間一髪で住民の命は助かったものの、危うく大きな惨事となるところでありました。こうした粗暴きわまる米軍の行動を許しておいて、だれが安らぎに満ちた社会などと口にすることができるでしょうか。(拍手)乱射事件に対し、政府は米側に抗議一つしておりませんが、平和と安全を確保することは、政治の最大の責務であると、そう言われた総理は、国民の平和と安全を脅かしているこの事実に対し、そのまま放置しておくつもりかどうか、お答えください。(拍手)
 さて、いわゆる有事立法の問題、つまり戦時立法づくりの問題について伺いたい。
 国民の厳しい批判の中で自民党総裁選挙中、総理は、それに消極的であるかのような印象を振りまきましたが、果たして、前内閣当時の有事立法推進の態度をきっぱりとやめたのでしょうか。総理はこの問題で必要があれば国会の判断を求めると述べていますが、現に、情報保全の名のもとに、国民の目や耳をふさぐ秘密保護法など、有事立法を必至とする日米共同作戦の指針、すなわちガイドラインの具体化は大平内閣によって進められているのであります。これは、大平内閣もまた恐るべき戦事立法の推進者であることをみずから証明するものではありませんか。(拍手)有事立法に対する疑問の余地のない明快な説明を求めます。
 このガイドラインは、前内閣が総辞職三日前に駆け込み的に閣議で了承されたものです。それは第一に、自衛隊の戦争参加の仕組み、アメリカに対する軍事的義務の範囲を飛躍的に拡大し、第二に、米軍の核兵器使用作戦に自衛隊を導き入れ、第三に、有事立法の策定への圧力を必然的に強めるものであって、全体として、日米安保条約の実質的な大幅改定とも言うべき、新しい重視すべき事態をつくり出しています。
 核兵器作戦について言えば、ガイドラインは、日米共同作戦の前提となる柱として「米国は、核抑止力を保持する」旨を明記した日米合意文書であります。一部報道によれば、この合意文書に沿って、わが国も核兵器使用に関し独自み構想を持ち、米側と進んで話し合うことを防衛庁首脳は考えているということであります。従来から、歴代自民党政府は明らかに非核三原則を迷惑がり、アメリカの核戦略への協力を事実上強める方針をとってきましたが、このガイドラインはわが国への核持ち込みを公認し、日本がアメリカの核戦争に協力するための最も危険な道に足を踏み込んだものではありませんか。率直な答弁を求めます。(拍手)
 ガイドラインは、さらに、米軍の作戦や補給に対する自衛隊の協力を全面的に拡大し、日米共同作戦をいよいよ本格的に確立するものとなっています。米軍が日本から出動する場合には、米軍に対する弾薬や装備の補給までが自衛隊の責任範囲とされています。これに加えて、米本土から一万キロ離れたアジアに伸びるアメリカの軍事干渉のための海と空の兵たん線の大きな部分までも、自衛隊の主たる責任範囲にされつつあります。とれが自衛隊の名目とは全く無縁であることはもはや明らかであります。(拍手)
 これまで、米軍の実質的指揮下にある自衛隊の存在と行動を自衛権の名による詭弁で弁護してきた歴代政府は、従来、米軍を守る共同作戦を公認する、いわゆる集団的自衛権までは合理化できず、理屈の上では、集団的自衛権は憲法上認められないとの立場をとり続けてまいりました。しかし、今度の日米共同作戦のガイドラインの内容は、まさに集団的自衛権の名によらない限り合理化できない内容のものでありますが、政府は、この際、あえて憲法の解釈改悪を大きく推し進め、歴代政府の立場からも踏み出そうとするのか。それとも、たてまえと本音の一致をうたっている総理は、虚像を実像に描き出し、この新事態を覆い隠して国民を大きく欺こうとするのか、総理は、いまこそ謙虚に真実を語っていただきたいものであります。(拍手)
 第三は、日米共同作戦体制、戦時立法と結びつ、た最近の政治の反動化についてであります。
 昨年の防衛白書は、教育に国防上の配慮を払うことを明記し、軍国主義教育の推進を公然と宣言する一方、内藤文部大臣は、就任早々、本院ですでに排除決議された教育勅語を、形式がよくないのであって内容はよいと述べた上、真理と平和を希求する人間の育成をうたった教育基本法には理念がないとの重大発言をしているのであります。しかも、文部大臣は、教育勅語のような教育憲章を制定したいとたびたび主張してきました。
 総理、あなたは、閣僚の一員である文部大臣のこの発言を肯定されるのかどうか。もし否定されるなら、文部大臣の教育勅語礼賛発言を取り消させるべきだと思うが、明確な答弁を求めます。(拍手)
 政府・自民党は、元号法案を早くも二月二日に国会に提出することを決めましたが、これは反対世論への挑戦というほかありません。公的機関に元号使用を義務づけ、住民生活に直接かかわる部分にまで元号使用を強制する元号法制化は、現行憲法の主権在民の原則に反するばかりか、天皇中心主義の戦前の明治憲法時代に逆行させようとするものであります。
 元号推進勢力は、元号法制化を憲法改悪の布石だと公言し、元号法制化のねらいはどこにあるかをみずから語っています。しかも、元号法制化に反対する歴史学者に対しては暴力で脅迫する事態まで生まれています。新聞の世論調査を見ても、大多数の国民が法制化を求めていないことは明らかであります。それをあくまで強行することが、果たして国民的合意を形成するというあなたの基本姿勢に合致すると言われるのか。私は、法案提出の中止を強く要求し、総理の見解を求めます。(拍手)
 第四は、経済と国民生活の問題についてであります。
 まず、大平内閣の経済政策の前提について伺いたい。
 施政方針演説で、総理が、不況、倒産、失業という言葉を一言も使わなかったことは奇妙というほかありません。昨年の企業倒産は、一昨年に続き史上第二位、失業者はふえ、雇用不安はかってない厳しさを加えているではありませんか。また、総理は、経済的豊かさを求めて、顕著な成果をおさめたなどと述べましたが、最近発表された日経連の資料によってさえ、購買力から見た日本の労働者の時間当たり賃金水準は、一九七七年でアメリカのわずか四割、西ドイツの半分、イギリス、フランス、イタリアの七割にすぎないのであります。社会保障の水準が世界の二流、三流であることは、いまさら言うまでもないことであります。
 今日の経済危機は、大企業本位の高度成長破綻の結果であります。しかも、大企業は、この危機を利用して、厚い利益を手に入れるために減量経営を進め、これが失業増大の最大の原因となり、また、各地で地域経済を崩壊させる事態をつくり出しているではありませんか。大企業本位の放漫財政の連続は、ついに世界に例を見ないサラ金財政を生み、五十四年度予算では、国債費は四兆円、予算規模の優に一割を超え、国民生活関連予算を圧迫しています。
 施政方針演説には、こうした過去の自民党政治がつくり出した大いなる災いに対して一言の反省もありません。その上、総理演説からは、国民生活の安定と経済危機打開の展望について、何一つ具体的なことが聞けませんでした。あるのは、国民へのしかかる高負担と増税、一般消費税導入のプログラムだけではありませんか。
 わが国の現実が、政治に解決を求めている課題が山積しているとき、その現実を直視せず、過去を反省せず、国民に見通しを示さず、あえて政治への過度の期待はこの際改めよと言われるのは、昨日弁解はされましたが、国民に、生活安定のための積極的な施策を一切あきらめてほしいと脅迫しているとしか言えないではありませんか、はっきり答えてください。(拍手)
 次に、経済危機打開の基本方向についてであります。
 私は、一年前この演壇で、従来型の景気対策を続けるのではなく、根本的転換を行う、すなわち、経済民主主義に立って、全国一律最低賃金制、社会保障、福祉の拡充、大衆減税などにより国民の購買力を高めること、及び生活密着型公共投資を重点的に進めること、この二つの柱を進めることによって国内市場を着実に拡大し、投資の流れを転換する経済再建の道を提起いたしました。
 今日の経済危機の根源は、長年にわたり、国民の生活、福祉を犠牲に、大企業の相次ぐ設備投資で、国民の消費の伸びに比べ、余りにも大きな生産能力をつくり出したことであります。したがって、国民の生活を守り、向上させる方向、国民生活優先の方向でしかこの危機を打開し得ないのは、もはや明白ではありませんかか。(拍手)
 ところが、大平内閣が打ち出した負担増の計画は、健康保険の改悪、国鉄運賃、消費者米価、たばこの値上げ、ガソリン税、所得税の増税、この六つだけでも年間一兆五千億円、国民一人当たり一万三千円に上ります。こうした負担増を押しつけておいて今日の不況が打開できると本気で考えているのかどうか、総理の答弁を求めます。(拍手)
 その上に一般消費税の導入であります。自民党総裁選挙のとき、総理は、現在の予算を徹底的に洗い直し、不公正を是正しなければ国民の納得は得られない、手軽に増税案を提案することには賛成いたしかねると述べました。ところが、総理になると、予算を徹底的に洗い直すどころか、五十五年度の早い時期の一般消費税導入を目指した今国会への法案の提出であります一不公正是正をやると言いながら、産業転換投資減税の創設など、不公正を逆に拡大しているではありませんか。(拍手)一般消費税についての消極的ポーズは総裁選挙向けだけのものであったのかどうか、はっきりお答えください。(拍手)
 一般消費税は、言うまでもなく、若干の例外を除いてあらゆる商品、サービスの取引、それこそ揺りかごから墓場まで課税されるのであります。生活保護世帯や年金暮らしのお年寄りを含め、五%の税率でも、四人世帯で実に十万円を超える新たな負担を強いる一般消費税の導入は、国民生活を圧迫し、不況打開をもおくらせるととは明白であります。それを承知の上で導入しようとされるのかどうか、答弁を求めます。(拍手)
 国民生活を守り、日本経済再建の道を進めるため欠かせないことは、大企業の目先の利潤追求の行動が経済を撹乱し、国民生活の困難を大きくしていることに対する民主的規制であります。その点で、総理は、雇用の維持、拡大と言いながら、この一番大事な問題の解決を避けて通り、大企業が減量経営の名で進めている首切り、人減らしを放置して、一体雇用政策を打ち立てることが本当にできるとでも思っているのですか。
 日本銀行の主要企業五百三十四社の調査によっても、大企業は過去四年間に三十四万七千人も雇用を減らし、しかも、うち六十六社は国内で十三万三千人も人を減らしながら、海外では逆に八万一千人もふやしているのであります。こうして、大企業は不況のもとでも利益を大きく伸ばしているのが特徴であります。
 わが党は、労働者代表を含む雇用対策委員会を中央、地方につくり、人減らし合理化計画の事前届け出を義務づけ、必要な調査、勧告ができるようにすることを提案し、また、こういう時期にこそ週四十時間制、週休二日制の確立、厳しい時間外労働規制に踏み切ることを提起していますが、応ずる用意があるかどうか、答弁を求めます。(拍手)
 最後に、財政再建について質問します。
 五十一年度に三〇%に達した国債依存度は、五十四年度予算では四〇%に及びました。これは、他の資本主義諸国に類を見ない驚くべき高さであり、まさに破局的段階であります。国債のとめどなき乱発はすでに市場価格の暴落の危険としてあらわれており、もしも日銀が買い支えに出れば、財政インフレは必至であります。二年ものなど短期の国債の発行で切り抜けようとするならば、近い将来の国債償還財源の枯渇と、これによる信用不安の爆発は避けられません。
 総理、あなたは果たしてこのような危機を回避できると考えているのかどうか、はっきりお答えいただきたい。(拍手)
 国債乱発による破局から抜け出るために、いま真剣に取り組まれなければならないのは、歳出の徹底的洗い直しと不公正税制の抜本的改革であります。
 ロッキード、グラマン、ダグラスがらみでふくれ上がり、世界第八位、二兆円の大台に達した軍事費、さらに大企業本位の大型プロジェクトや大企業向けの補助金、これら国民にとって不要不急の経費の徹底的削減をなぜ総理はできないのですか。
 税制改革では、大企業、大資産家優遇の仕組みを改めることこそ急務であります。資本金五千万円から一億円の中小企業に比べて、資本金百億円以上の巨大企業の税負担率は六%も低いのであります。個〜の所得税でも、株の売買益は原則として非課税、株式配当も四百万円までは一円の税金もかからないのであります。租税特別措置法の部分的な手直しにとどめるのではなく、法人税法、所得税法の本法に立ち入り、本気で不公正税制の改革に取り組めば、二兆円程度は直ちに生み出せるはずであり、一般消費税を導入しなくとも、財政再建に向けて確実な一歩を踏み出すことができるのであります。(拍手)
 このような諸施策をとる決意があるのかどうか、総理の答弁を求めます。
 私は、戦前、国債乱発と間接税強化が、侵略戦争の拡大で危機を切り抜けようとした当時の支配層の政策と不可分であった歴史の教訓にこそ、謙虚に学ばなければならないと確信するものであります。(拍手)このような暗黒の歴史を二度と繰り返してはならないことを強調して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(大平正芳君) E2Cの予算を削除しろということの御質問でございますが、この点につきましては、たびたび申し上げておりますとおり、技術的、専門的に検討いたしまして、純粋に防衛上の見地から導入することを決めたものでございまして、一方、疑惑は疑惑として解明しなければなりませんけれども、防衛上の問題は一日もゆるがせにできませんので、これと切り離して措置することにいたしておりまして、削除することには賛成いたしかねます。
 ハワイ会談についてのお尋ねでございます。この点につきましては、すでに国会において御説明申し上げておるとおりでございますが、ハワイにおきまして私が出席した会談で、航空機の機種の問題が話題にならなかったことはたびたび申し上げておるとおりでございます。また、私自身が出席しなかった場において航空機の機種が話題になったとの報告も一切受けておりません。
 それから、横浜の米軍機墜落事件、沖繩の機銃乱射事件、いずれも不幸な事件でございます。これらの事故につきましては、政府として米側に徹底的な事故原因の究明、事故の発生防止に対しまして厳重な申し入れをいたしておるところでございます。
 それから、有事立法の研究についてのお尋ねでございました。
 現行の自衛隊法によって、自衛隊の任務遂行に必要な法制の骨幹は整備されていると考えておりますけれども、なお残された法制上の不備はないか、不備があるとすればどのような事項か等の問題点の整理を行うことを目的とする有事法制の研究は私も必要であると考えております。このような問題は、時間をかけて慎重に進めるべきものと考えております。
 それから、日米共同作戦の指針、ガイドラインというものについてのお尋ねでございました。
 この問題は、安保条約の運営に当たる安保協議委員会のもとに日米間の小委員会ができまして、そして安保条約の実施について周到な配慮で当たろうとするものにすぎませんので、安保協議委員会のもとにあるということ、そしてその指針の作成に当たりましては、その前提条件といたしまして、非核三原則は研究協議の対象としないということにいたしておるわけでございまして、御懸念のようなことはございません。
 それから、このガイドラインはもとより憲法の範囲内において行われることは当然でございまして、わが国の憲法が集団的自衛権を認めていないこともよく承知いたしておるわけでございまして、いわゆる個別自衛権の行使に限られておるということも累次申し上げておるとおりでございますし、米側もよくそれを承知いたしておるところでございます。
 それから、内藤文部大臣の御発言についてのお尋ねでございまして、御指摘の内藤文相の発言は、教育勅語の中には、形式を超えて、昔から今日に通ずる道徳の基本を示した部分があるということを述べたものにすぎないものであり、教育勅語を復活することを意図したものでないと私は考えております。
 元号法案は、近く提出申し上げて御審議をいただくことになっておりますが、これは、政府といたしましては、元号が国民生活の中に定着しておる事実、そして国民の多くがその存続を望んでおるという事実を素直に尊重いたしまして、元号制度を明確で安定したものにするために、その法制化をお願いしようとするものでございます。
 それからその次は、経済政策を中心のお尋ねでございまして、私は、国民が政治に過度の期待を持っていただかないようにと申し上げておるわけでございまして、期待を持たれるのは当然でございますけれども、過度にわたらないようにということだけをお願いしておるわけでございまして、私の責任の回避を申し上げておるわけでは決してございません。
 いまのお尋ねで、この予算によりまして不況の打開が正直にできるかということでございます。私ども、いまあらゆる政策手段を動員いたしましてこの予算をつくり上げたものでございまして、この予算の執行を通じまして、不況の打開、景気回復を軌道に乗せてまいるということはできるものと確信をいたしております。
 一般消費税を導入することは、前々は手軽にやってはいけないということを言っておったが、これからどうするのかということでございますが、私も、総裁選挙の過程におきまして、これを手軽にやってはいかぬということは申し上げたわけでございます。したがって、歳入歳出の十分な検討を遂げて、国民の理解と了解を得ながらやっていかなければならぬものだという問題意識は常々申し上げておるわけでございまして、今日も変わりはないわけでございます。したがって、五十四年度の予算の編成に当たりましてもその点に注意を払いまして、歳入歳出にわたりまして、政府は誠心誠意洗い直しをいたしたわけでございます。これについてはいろいろな御批判があろうかと思いますけれども、御審議を通じまして十分御理解をいただき、できれば評価をお願いしたいと考えております。
 それから、大企業の海外投資についての御質問でございました。
 御質問の趣旨は、海外で雇用をふやしているが、これを放置して雇用対策が打ち立てられるかということでございますが、今日の国際経済交流の中におきまして、大企業であれ、小企業であれ、海外に投資するということは認められておるし、また、認められてしかるべきものと思うのでございまして、不況対策は、われわれが、民間、政府を通じまして、一体となっていま当たっておるわけでございまして、海外投資と直接関連いたしまして不況対策、雇用対策というものを論ずるのはいささか過当な評価ではないかと考えております。
 雇用対策委員会を設けてはということでございますが、新しい機構をつくることにつきましては賛成いたしかねますけれども、かねがね御答弁申し上げておりますように、企業において大量の雇用変動が見込まれる場合には、事前に公共職業安定所に届けさせまして、公共職業安定所はこれをもとに再就職の援助等について努力することになっておりますので、新たな組織を設ける必要はないのではないかと考えております。
 労働時間の短縮、週休二日制の問題でございますが、これは一昨年十一月の中央労働基準審議会からの建議がございますし、昨年五月に衆参両院で採択された雇用の安定に関する決議がございます。こういう決議を踏まえまして、その普及に現在鋭意行政指導を行っておるところでございます。
 国債の乱発とインフレとの関係につきまして深い憂慮をいただいておりまして、私全く同感でございまして、こういう国債の大量発行という事態は軽視できないわけでございまして、したがって、財政再建は国民的課題であるという趣旨のもとで、るる政府の意のあるところは御説明申し上げておるところでございまして、私どもといたしましては、この大量の国債を適正なものにいたすべく、鋭意財政再建に努力をしていかねばいかぬと考えておりまして、御協力のほどを願いたいと思います。
 それから、予算の中で軍事費、大企業の大型プロジェクト、企業向け補助金等、不急不要の経費は削減しろという御趣旨でございます。御指摘の防衛関係費、公共事業関係費、各種補助金等、政府にありまして十分検討いたしまして、今日の現状から見て真に必要なものだけを計上いたしてあるつもりでございます。
 税制の改革につきまして御提言がございました。
 御指摘の点は、私やや理解に苦しむところがあるわけでございますが、御質問の配当控除、配当軽課、法人受取配当益金不算入制度、そういったものの改廃に触れられておりますけれども、それは法人税と所得税との負担を調整する技術的な問題でございまして、これを大企業優遇税制であるというようには私は理解いたしていないのでございます。今度の税制改正におきましても、私どもといたしましては、主なる特別措置のアイテムにつきましてはそれなりの改善の措置を講じたものでございますので、御審議の上御協力を賜りたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(保利茂君) 河野洋平君。
    〔河野洋平君登壇〕
#17
○河野洋平君 私は、新自由クラブを代表し、大平総理に対し、施政方針演説と当面する諸問題について、若干の質問を行いたいと思います。
 今日、国民は、急速に訪れつつある高齢化社会や、転換を迫られている経済など、不安と混迷の時代から一日も早く抜け出して、健康と公正が保証される社会の実現を望んでいます。いまこそ、政治は未来への明確な指針を示すべきときだと考えるのであります。
 しかし、総理の就任以来の政治姿勢を点検してみると、私たちは、総理が硬直した発想を否定しながらも、実効の上がる政治を目指すという目標に向かって確実に前進しているとはどうしても思えないのであります。ある著名な学者は、あなたのきらびやかな言葉は、いまや国民の政治意識からどんどん離れていくばかりの保守木流を自任する勢力が、精いっぱい、国民をつなぎとめようとするためのごまかしの言葉でしかないとさえ指摘しております。
 私は、総理に対し、福田前総理に申し上げたのと同様に、速やかに官僚主導政治を転換し、総理みずからが、旧来の体制のかきねを乗り越えて国民の中へ飛び込み、ともに汗を流すことを望みたいと思います。
 あなたは、演説の中で、議会制民主主義及び自由主義経済体制の存続については国民の合意が形成されていると述べられました。しかし、私たちは、政治が時代の流れに応じた発想の転換と改革を片時でも怠れば、国民の政治不信はさらに拡大し、そのことが自由社会の危機を招きかねないことを憂慮するのであります。総理の御決意を重ねて伺っておきたいと思います。
 古い体質に取り囲まれて、理想に向かって進むことを断念したとしか思えない総理の政治姿勢は、初めて編成された昭和五十四年度予算案の上に具体的に幾つかあらわれております。
 まず第一に、不正取引の疑惑がますます深まっている中で、米国グラマン社の早期警戒機E2C四機分の購入費を計上したことがそのあらわれであります。早期警戒機導入の必要性は認めるとしても、国民の合意と理解なしに国の防衛は成立しないというあなたの総合安全保障論がらすれば、これだけ国民の間に疑惑の広がって、いるこの航空機の導入をことさら急ぐことは、きわめて不可解と言わざるを得ません。
 日米安保体制の維持と節度ある自衛カの保持は、私たちの基本方針であります。しかし、その私たちでさえ、これ以上疑惑が深まれば、E2Cの導入費を予算から削除するか、少なくとも疑惑の解明が国民が納得する段階に及ぶまで、その執行を凍結するよう要求せざるを得ないのであります。(拍手)
 この疑惑こそ、あなたが主張してきた一害を除くことの最大の対象ではないでしょうか。この問題に対する総理の決断いかんが、この予算全体に取り組む私たちの態度決定に大きく影響することを付言して、総理のはっきりとしたお考えをお聞かせいただきたいと思います。(拍手)
 政府提案の五十四年度予算は、もう一つの問題を抱えています。それは、政府が予算編成の前提として、昭和五十五年度からの一般消費税を初めとする増税路線の導入を考えているということであります。
 まず、事実関係からお伺いをいたしておきます。
 政府は、一般消費税を昭和五十五年四月から導入して、三兆円の財源を見込んでいると伝えられておりますが、それは事実でしょうか。そのとおりであるとすれば、私たちは、総理がその前に払うべき十分な努力を怠っていることを指摘せざるを得ないのであります。
 増税路線に踏み切る前になすべきことは、行財政の改革であり、不公平税制の是正ではありませんか。総理もかつてそう言明しておられたではありませんか。今度の演説でも、行政は簡素で効率的なものでなければならないと一応述べられてはおられますが、この予算案にはほとんど見るべきものはありません。今日なすべきことをあすに延ばすことのないようにしたい、これは一体どなたがおっしゃられた言葉でしょうか。
 私たちは、立党以来一貫して簡素な政府を提唱し、前国会でも、政府が大胆な歳出削減に取り組むよう決断を求めてまいりました。財政再建に手がかりをつけるためには、既成の仕組みを抜本的に改める必要があるのではないでしょうか。国鉄のグリーン車使用を本省の局次長クラス以上に制限をしたとか、役所の経常事務費を前年度並みに抑えたとか言われるかもしれません。しかし、この程度の節約は、民間企業や家計を守る主婦たちから見れば大した評価ではないのです。「国民をばかにするにもほどがある。ことしは公共料金の値上げラッシュで物価がはね上がるおそれがあるというのに、政府の怠慢には本当に腹が立ちますよ」という、ある主婦の私への投書に何と弁明をしたらいいのでしょうか。
 そこで、総理、私はここで補助金制度についてひとつお尋ねをいたします。
 十兆円を超える補助金の事務に携わる公務員は、中央で二万五千人、地方で十三万人と言われ、それにかかる費用は、中央、地方を合わせて二兆七千億円になると言われています。この補助金制度を整理して、権限の移譲が行われれば半分以上の経費が節約されるとも言われているのです。具体的に年次計画を立ててこの問題に手をつける御決意があるかどうか、お伺いをいたします。
 もとより、私たちは、国の財政運営が、景気刺激の側面と財政再建を目指さなければならないという側面とをあわせ持っていることを否定しているものではありません。しかし、納得のいかない医師税制の是正、土地税制の改正などを考え合わせると、総理、あなたの予算への取り組みで最も問題とされるべきは、既成の仕組みや既得権益の壁に挑戦する積極的な姿勢がほとんど見られないことではないでしょうか。すでにアメリカで活発化している納税者の反乱を聞くにつけ、総理はどう不公平税制の是正について考えておられるか、お尋ねをいたします。総理は恐らく、精いっぱいの努力をし、改革の糸口はつけた、こうおっしゃるかもしれません。しかし、総理、私たちには、あなたの姿勢はむしろ形ばかりの改革で、世論の追及と批判をかわそうとする官僚政治特有の巧妙な手法としか映らないのです。
 ここで私は、総理の難解な施政方針演説に頭をかしげている家庭の主婦に、ひとつ具体的にあなたのお考えを示していただきたいと思います。
 それは、国民経済における貯蓄の役割りについてであります。打ち続くこの不況のもとでも、国民の貯蓄心は衰えず、二二%前後と、諸外国の二倍以上の高さを貯蓄率は示しております。一円、二円を切り詰めて、せっせと貯金に回すのは日本の美風であるかもしれません。しかし、その本当の気持ちは、政府が福祉を初め、医療、教育、住宅、老後、これらの不安の解消のために十分な対策を講じてくれないので、何とか自分の力で将来への備えを固めておこうということにある、そう私も考えます。
 しかし、あなたも了承したと言われる新経済七カ年計画の構想によれば、昭和六十年には十兆円の増税を目指し、租税負担率を一挙に七%程度引き上げて二六%程度にし、社会保障負担も二%増の一一%にすると言われております。そうであるとすると、増税による増収分が、福祉の充実や教育、医療などの施策に重点的に回されて国民に安心を与えない限り、国民は、それこそつめに灯をともすようにして生活を切り詰め、せっせと貯金に励まざるを得ないでありましょう。それは必要なものでも買い控えるということで、直ちに個人消費の冷え込みにつながるはずであります。その結果は、心理的な影響も重なって、経済の低迷を招く大きな要因となることになると思うのですが、いかがでしょうか。
 あなたは国民に対し、一体、貯蓄に励めとおっしゃるのでしょうか。それとも、政府が生活環境を整え、貯蓄の動機になっている四つの不安を解消するようにするから貯金はほどほどにとおっしゃるのでしょうか。財政の赤字解消を至上命令として、国民の負担増だけを先取りにした新計画を了承されるようでは、貯蓄を指向する以外に道のない国民は、生活を切り詰めるほかにないではありませんか。家計を切り盛りしている主婦のためにも、明快に、貯金に対する、貯蓄に対するあなたのお考えを示していただきたいと思うのであります。
 もう一点お伺いいたします。あなたが、演説では、政治の国民生活への過剰介入は改められねばならないと述べられました。それ以前からも、民間の活力を生かした経済運営を目指すとも言われておられました。それにもかかわらず、今回の予算には、そうした考え方が何ら生かされた形跡がないというのは一体どうしたことでしょう。私たち新自由クラブは、かねてから、経済運営の基本を官僚主導から民間主導に移すべきだと主張してまいりました。たとえば、利子補給などの発想の転換を行って民間資金の活用を図れば、日本住宅公団など特殊法人の改組や民営移管も可能になると思うのですが、いかがお考えでございましょうか。総理は、今後いかなる方法で政府の過剰介入を改めるおつもりなのか、具体的に御説明を求めたいと思います。
 次に、外交問題についてお伺いをいたします。
 長年の懸案であったわが国と中国との間の国交の正常化ができ上がり、わが国外交の当面の課題は、日本とソ連との間の関係改善にその焦点を移したと言っていいと思います。私は、日ソ関係の前進なくして極東、ひいてはアジアの平和と安全は確保されないと判断して、昨年十一月末にモスクワを訪問し、コスイギン首相らソ連政府及び共産党首脳と率直な意見の交換を行ってまいりました。
 その際、ソ連首脳は、日中平和友好条約について、その本質は日米中準軍事同盟ではないかと述べ、警戒心を示されました。私たちは、もちろん、この条約が何ら反ソ的意図に立つものではないことを力説してまいりましたけれども、ソ連首脳はその態度をなかなか改めようとはしませんでした。
 ソ連首脳はまた、懸案の北方領土問題について、一九五六年の日ソ共同宣言は日米安保条約の六〇年の改定と今度の日中条約の締結によって完全に根拠を失ったとして、北方四島返還論は自分たちにとって何らの説得力を持たないという、全く納得しがたい見解を示しているのであります。私は、日ソ共同宣言は厳然とした外交効力を持つものであり、北方四島の返還要求の正当性を主張してまいったのは当然でありますが、ソ連側の見解はなかなかかたいものがございました。
 総理、そこで私はお伺いをいたします。あなたは、対ソ関係の改善はむずかしいとは思わないと記者会見で述べておられます。むしろ楽観さえしておられるようにわれわれには見えだのですが、その根拠をまず挙げていただきたい。私には、日中条約をソ連側に正しく理解させる努力が政府にはまだ十分でないとさえ思えるのでありますが、具体的に日ソ関係の修復をどう図っていかれるおつもりか、お聞きしたいと思います。
 福田前総理は、前国会で私の質問に対して、昨年の末かことし一月にグロムイコ外相の来日が期待できるとの判断をこの場で示されました。しかし、コスイギン首相は私に対し、その問題は検討されていない、日本から提案があればそのときに検討すると十一月の末に述べています。日ソ関係修復のきっかけとすることができるかもしれない日ソ外相レベル会談の提案は、一体公式ルートでいつ行われたのでありましょうか。提案済みとおっしゃるのであれば、その実現の見通しはいかがでしょうか。先ほどの外相答弁では、その日にちがまだ決まらないとの御答弁がございましたが、重ねて総理の御判断を伺っておきたいと思います。
 北方領土について言えば、ソ連側は、国後、択捉両島に本格的な軍事基地を建設し、地上部隊を配備していることが、このほど防衛庁によって確認されたと伝えられております。そこで、わが国固有の領土にソ連側がこうした実効的支配を着々と進めていることは、北方領土四島の返還がますます、このままいけば困難になっていくことを意味すると思わざるを得ないと思います。政府は、ただただしんぼう強く情勢の変化を待っているだけなんでしょうか。それではますます四島返還の壁が厚くなってしまうように思えるのですが、総理の明快な方針をお聞かせ願いたいと思います。
 朝鮮半島の情勢もまた、わが国及び極東の安全と平和にとって重要な要素であります。総理は、ただ南北両当事者間の対話の再開と緊張緩和の進展を期待するというだけではなくて、たとえば、再度来日するケ小平中国副総理と、朝鮮半島の平和統一のためになし得る方策などについて意見の交換を行うなどの具体的なお考えがいまあるかどうか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
 もう一点、総理に伺っておきたいのは、各国に対する経済文化協力の問題であります。
 経済文化協力の推進は、人的交流の推進と並んで、日本が国際社会で信頼と理解を得るための必須の条件であると私たちは主張してまいりました。事あるごとに噴き出してくる対日批判の根の深さを考えれば、政府開発援助資金の対GNP比率は、経済協力開発機構の平均値への到達では事足りず、むしろトップグループに加わるぐらいの決意で臨まなければならないと思います。政府資金援助を三年間で倍増するという公約は、円高の恩恵もあって五十五年末で達成される見込みと言われますが、その後の具体的な方針を、この際できることなら数字をもって内外にお示しを願いたいと思います。抽象的な環太平洋連帯の樹立構想を唱えるだけでは、日本の国際的な信用は拡大するものでないと思うからであります。
 これに関連してお聞きしたいことがあります。それは、総理が外務省の中南米局の新設を認めた見返りとして、文化事業部を廃止したことについてであります。この措置は、あなたが日本の国際的地位の向上と文化の時代の到来を唱えていることを考えれば、これに逆行するものではないでしょうか。仮に新しい局の新設が必要だと判断するのであれば、各省庁の枠を超えて、行政府全体を見渡して不要となった部局の廃止が行われることが本来のスクラップ・アンド・ビルドだと私は思います。(拍手)あなたの指導力が、縦割り行政や官僚のなわ張り意識を突き崩すことができなかったという事実を見ると、今後の文化政策や行政改革には余り大きな期待がかけられない、そんなふうに思うのですが、事の経過を明らかにするとともに、総理の説明を求めたいと思います。
 次に、特に教育費及び地方自治についてお尋ねをいたします。
 文部省の調査結果によれば、全私立大学の七〇%が学生納付金の値上げに踏み切ろうとしております。その平均は一三・一%、学生一人の納付金は年平均六十五万円になったと言われるのです。月額五万円を超える金額は父兄にとって大変な負担であると思います。国公立義子の入学金なども来年度から値上げされようとしておりますし、私立の医科大学に至っては、初年度納付金の最高は、何と千五百三十万円という気の遠くなるような数字であります。高等学校でさえ、父兄は、公立四万円、私立十六万円程度の授業料を負担しなければなりません。
 総理は、国公私立を問わず、政府の果たすべき役割りは責任を持って遂行したいと述べられておるわけでございますから、父兄負担の軽減策について具体的に何を考えておられるか、お答えを求めておきます。
 地方自治の問題にしても、総理が美しく描いてみせた田園都市構想は、地方自治の確立なくして実現できるはずがないのであります。
 中央に権力が集中したために画一化されてしまった地方の町や村を、古くからの伝統と文化を生かしたふるさとにするには、地方への権限の移譲と、財源の振り分けが必要なことは言うまでもありません。すでに地方自治体の中にも、広島県は五十種類六十項目の権限を市町村に移譲したと言われますし、愛媛県、神奈川県などの各県もこの春から思い切って市町村に権限を移譲しようとしているのに、国の方は一向に財源の裏づけのある権限、事務の移譲が進んでいないのは一体どういうわけでしょう。決意のほどをお伺いを申し上げます。
 今国会に提案をされると言われる元号法について、私たちは基本的に賛成であります。しかし、総理が主張される日本型社会――総理は施政方針演説の中でしきりに、日本型福祉社会あるいは日本的手法の解決、日本型、日本的という言葉をお使いになりました。私どももまた、日本の歴史と伝統を継承するために、日本型、日本的な考え方を歓迎するものであります。しかし、一方で、日本型社会は、国際社会との間の調和も必要ではないでしようか。この問題も、さまざまな国民の生活の知恵を大切にしながら法律をつくっていかなければならないということは言うまでもないと思います。元号の法制化に当たって、日本の歴史がはぐくんできた貴重な伝統文化を国際社会と調和させる、そのためにそのことが大切なのであって、西歴との併用を認めないとか、強制的になにをするのではないかなどという心配がかなり出ているというととを考えて、これらの心配に対して十分の配慮がなされるべきだと私どもは考えます。総理の御所見を伺っておきます。
 さて、総理、私は質問を締めくくるに当たって、ぜひ確認をしておきたいことがあります。
 総理は、「長く苦しかった試練を経てようやく黎明が訪れてきました。あたりはまだやみでも、頭を上げて前を見れば未来からの光が差し込んでいます。後ろを向いて立ちすくむより、進んでその光を迎え入れようではありませんか」と、総理、あなたはおっしゃいました。まことに美しい表現ではありますが、しかし、総理、すでに指摘した予算に取り組む総理の姿勢を初め、就任以来あなたが進めてきた政治は、こうじた美辞麗句とはうらはらに、無原則な妥協の連続であったと言わざるを得ないではありませんか。(拍手)党内の派閥のしがらみに縛られて、先見性に欠けた古びた発想と既得権益の擁護に狂奔する人々の圧力に屈してみずからの理想を放棄してしまったことに、あなたは良心の痛みを感じないのでしょうか。総理は、故池田総理に、長期政権を夢見てはならないと進言されたと聞きますが、その心は、国民の幸せのために敢然と政治を進めよということではなかったのでしょうか。
 総理が、真に旧来の発想や使い古された手法にとらわれてはならないとお考えならば、政権の長きを願って理想なき妥協を図ることのないよう切望をしてやまないものであります。あえて総理みずからの前言を引いて総理の決意の表明を促したわけでありますが、総理の決意のほどをお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(大平正芳君) 全体の御質問を通じまして感じますことは、河野さんのおっしゃるとと、大変よく理解はできるわけでございますけれども、非常に性急であられるということでございます。私は、政権を預かりましてまだ一カ月そこそこでございまして、いかにがんばりましても、そんなに顕著な成果を上げるというような離れわざはできないのであります。
 議会制民主政治と自由主義体制を守るためには、発想の転換と改革を怠ってはならぬという御趣旨、ごもっともでございます。私といたしましても、この基本的な枠組みをいかにかして維持して、それを定着させて、その中から進歩と発展を企図していかなければならないと考えておりまして、謙虚に真実を語って、困難を訴えて、そして国民的合意を、しんぼう強くその輪を広げてまいるように努力をしていくのが私の任務であると心得ておるわけでございまして、これから御協力を得ましてそういう方向に漸次歩武を進めさせていただきたいと思います。
 それから、E2Cの導入につきましては、たびたび申し上げておるとおりでございまして、この疑惑は疑惑として解明いたしますけれども、導入予算につきましてはこれをお認めいただきたいということでございます。御理解を願いたいと思います。
 それから、一般消費税につきまして、その導入につきましては、その前提として、当然、行財政の整理をやらなければいかぬし、不公正税制の洗い直しをやらなければならぬ。その他万般の措置を講じながら考えるべきものであるという趣旨はごもっともでございまして、そういう方向で私どももいま前提の整理をいたしておるところでございます。今度の予算編成に当たりまして、われわれがこの点にどういう配慮を払っておるか、不公正税制の整理にどういう改善を施したかということにつきましては、河野さんもよく御承知のことと思いますけれども、それは河野さんにとりましては大変不満足なことかと思いますけれども、私どもはそれなりに努力をしたつもりでございます。小さいかもしれませんけれども、誠意を持ってやったことにつきましては、それなりに評価をしていただきたいものと考えております。
 それから、補助金整理の問題でございます。あなたの御質問を聞いておりますと、そういうことがすっぱりできますと大変爽快なことでございますけれども、なかなか、現実にわれわれは政府を背負っておりまして、一歩一歩前進するにつきましては相当な努力が要るわけでございます。したがって、われわれといたしましては、補助金の統合整理につきまして、何もやっていないようなお口ぶりでございましたけれども、これまたよくよく御検討をいただきまして、その整理合理化にわれわれがどのように進めておるかということにつきましても、正確な見直しをお願いいたしたいと思うのでございます。私どもといたしましては、この統合整理のために大変な努力をいたしておるわけでございますが、なおあなたの期待にはまだ沿い得ていないけれども、努力をしておるということは十分認めていただかなければならぬと思います。
 それから、行政機構の問題でございますが、これにつきましても、その膨張をまず抑止しなければならぬ。定員の増加は抑えなければならぬ。既定の定員の削減計画は着実に進めなければならないし、同時に、これは政府ばかりでなく、関連政府機関につきましても、人事管理の推進等に当たりまして注意をしなければならぬということで、一月十六日には閣議でもその方針を決めまして、推進に当たっておるところでございます。
 貯蓄についてどのように考えるかということでございますが、貯蓄の問題は、日本のような慣行制度があるところにおきましては、たとえばボーナス制度がある、諸外国と違ったところがございます心また、自営業に当たられておる方の貯蓄が個人貯蓄に計算されておるというようなこともございまして、他国に比較いたしまして、わが国の個人の貯蓄は非常に高いということは御指摘のとおりだと思うのでございまして、貯蓄をすべきであるかどうかというようなことを私は国民に指令する権限もなければ、そういう意図もございません。それは国民の判断にまたなければなりませんが、私の任務は、かくして大事に貯蓄されたものを有効に、有利に、確実に運用して、国民の利益に還元できるように措置することであろうと考えまして、そういうことにつきましては最善の努力をいたしたいと考えております。
 それから、政府の行政の民間に対する過剰介入ということについて、何をやっておるかということでございまするが、これは、認許可の整理でございますとか、特殊法人の民営移管というような問題につきましても、いろいろ施策をいたしておることは御案内のとおりでございまして、今後も、こういうことにつきましてはさらに一層努力をしてまいるつもりでございます。
 それから、外交についてのお尋ねでございますが、日ソ関係につきまして、私は、過去の、これまでの日ソ関係の進展につきまして満足をいたしておるものでございます。ただ一点、領土問題が未解決であることは残念でございますけれども、これはしんほう強く話し合いを通じて、この解決を通じて平和条約の締結に持っていきたいという基本方針は変えないでいこうと存じております。
 グロムイコ氏の訪日の問題につきましては、先ほど外務大臣からお答えしたとおりでございまして、まだ日時ははっきりいたしておりませんけれども、早急に御来日を期待いたしておるところでございます。
 いま御指摘の、国後、択捉におけるソ連の基地の問題に触れられたわけでございますが、この問題は、最近防衛庁がいろいろな状況から総合的判断として明らかにしたように聞いておりますけれども、なお詳細につきましては引き続き確認の努力が行われておると承知いたしております。もしそうだとすると、この問題は、北方領土問題の平和的解決の精神に逆行するものでございまして、私どもとして重大な関心を抱かざるを得ないと考えております。
 それから、ケ小平氏の最近の御訪日の機会に、どのようにアジアの問題、朝鮮半島の平和的統一等について話し合うつもりかということでございます。
 日中の外交関係が開かれたことは、日中両国のためばかりでございませんで、この地域、とりわけアジア全体の平和と安定に寄与しなければならぬわけでございますので、あらゆる機会を通じまして、日中両国の接触におきましては、両国の問題ばかりでなく、朝鮮半島その他アジア全体の問題につきましても話し合いの機会を持ちたいものと考えております。わが国といたしましては、この地域に平和的な国際環境をつくり上げる上におきまして、わが国なりの努力は重ねてまいらなければならぬと思っておりますので、こういう問題も機会を見て話し合いたいものと考えております。
 それから、ODAのことについてお触れになられたわけでございます。
 政府は、これまでも質、量ともに経済協力の改善を図ってまいりましたし、その執行率の改善にも努力してまいったわけでございますけれども、この三年間にODAを倍増するということは、どんな苦しい状況でございましても貫いてまいることはかねがね申し上げておるとおりでございます。その後どのようにしてまいるか、その三年間が満了いたした後にどうするかという問題につきましても、当然のことといたしましてこの基調は堅持いたしまして、なお一層の改善に努力しなければならぬと考えております。
 中南米局の設置についての所見を求められたわけでございます。政府全体としてスクラップ・アンド・ビルドの原則の適用を考えて、文化事業部の廃止など考えるべきでないという御意見でございます。
 今日、行政機構の膨張を抑制するということは容易ならぬことでございまして、はたから見ておりますと、かたくなとも言えるような方法を用いて膨張を抑制いたしておるわけでございまして、河野さんのおっしゃるような弾力ある措置を講じたいわけでございますけれども、なかなかそのように事が運びません。したがって、外務省全体の機構を見渡しまして、その機能を壊さないように努力しながら、機構の改編につきましては、スクラップ・アンド・ビルドをできるだけ外務省内において推進していくことにいたしたことを御了承いただきたいと思うのであります。
 それから、教育費負担の軽減の問題でございますけれども、教育の機会均等を確保する見地から、かねて努力を傾けているところであることは御承知のとおりでございます。昭和五十四年度の予算におきましても、日本育英会の育英奨学事業につきましては、私学を重点に置いて、貸与月額、貸与人員を通じ、大幅な拡充計画を実行に移すことにいたしました。また、私学に対する経常費の補助の充実につきましても考えておるところでございますので、御了解を得たいと思います。
 それから、地方への権限と財源の移譲の問題でございますが、この点につきましては、今日のように頭でっかちになりました中央集権につきましては、これは健全な姿とは決して思っていないのでございまして、これを御指摘のような方向に逐次持っていくように、総合的に国、地方を通じて努力をいたしたいと考えております。
 以上、お答え申し上げました。(拍手)
#19
○議長(保利茂君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 国土総合開発審議会委員の選挙
 日程第二 九州地方開発審議会委員の選挙
 日程第三 四国地方開発審議会委員の選挙
 日程第四 中国地方開発審議会委員の選挙
 日程第五 北陸地方開発審議会委員の選挙
 日程第六 豪雪地帯対策審議会委員の選挙
 日程第七 国土開発幹線自動車道建設審議会
  委員の選挙
 日程第八 日本ユネスコ国内委員会委員の選
  挙
#20
○議長(保利茂君) 日程第一ないし第八に掲げました各種委員の選挙を行います。
#21
○玉沢徳一郎君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#22
○議長(保利茂君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#23
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、国土総合開発審議会委員に竹本孫一君
を指名いたします。
 次に、九州地方開発審議会委員に
      山崎平八郎君及び 田中 昭二君を指名いたします。
 次に、四国地方開発審議会委員に越智伊平君を指名いたします。
 次に、中国地方開発審議会委員に大村襄治君を指名いたします。
 次に、北陸地方開発審議会委員に
      森  喜朗君 及び 小林  進君を指名いたします。
 次に、豪雪地帯対策審議会委員に
      亀岡 高夫君 及び 塚田  徹君を指名いたします。
 次に、国土開発幹線自動車道建設審議会委員に河村勝君を指名いたします。
 次に、日本ユネスコ国内委員会委員に池田克也君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#24
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 古井 喜實君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 金子 一平君
        文 部 大 臣 内藤誉三郎君
        厚 生 大 臣 橋本龍太郎君
        農林水産大臣  渡辺美智雄君
        通商産業大臣  江崎 真澄君
        運 輸 大 臣 森山 欽司君
        郵 政 大 臣 白浜 仁吉君
        労 働 大 臣 栗原 祐幸君
        建 設 大 臣 渡海元三郎君
        自 治 大 臣 澁谷 直藏君
        国 務 大 臣 上村千一郎君
        国 務 大 臣 金井 元彦君
        国 務 大 臣 金子 岩三君
        国 務 大 臣 小坂徳三郎君
        国 務 大 臣 田中 六助君
        国 務 大 臣 中野 四郎君
        国 務 大 臣 三原 朝雄君
        国 務 大 臣 山下 元利君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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