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1978/02/13 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第7号
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1978/02/13 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第7号

#1
第087回国会 本会議 第7号
昭和五十四年二月十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十四年二月十三日
    正午 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律
  の一部を改正する法律案(第八十五回国会、
  社会労働委員長提出)
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
  提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時四分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○玉沢徳一郎君 議案上程に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、第八十五回国会、社会労働委員長提出、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法
  律の一部を改正する法律案(第八十五回国
  会、社会労働委員長提出)
#6
○議長(灘尾弘吉君) 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長森下元晴君。
    ―――――――――――――
環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔森下元晴君登壇〕
#7
○森下元晴君 ただいま議題となりました環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、近時における環境衛生関係営業を取り巻く諸情勢にかんがみ、営業の健全な発展を図るとともに、消費者の利益の擁護を図ろうとするもので、その主な内容を申し上げます。
 まず第一は、過当競争の防止のための措置でありまして、環境衛生同業組合が大企業者との間に締結する特殊契約の対象に、大企業者がその事業活動を実質的に支配する企業も加えることといたしております。
 第二は、環境衛生同業小組合制度の新設でありまして、営業者の自主的な組織による共同施設事業等の一層の充実を図るため、環境衛生同業組合の同意を得て、組合の地区内の一部の区域を地区とする環境衛生同業小組合を設けることができることといたしております。
 第三は、振興指針の策定及び振興計画の認定でありまして、営業の健全な発展を通じて公衆衛生の向上及び消費者の利益を図るため、厚生大臣は、振興指針を策定するとともに、同業組合または同業小組合の作成する振興計画を認定し、これに基づく事業に対する税制及び資金のあっせんについての措置を講ずることといたしております。
 第四は、経営指導体制の整備でありまして、衛生水準の維持向上及び消費者の利益の保護を図るため、各都道府県に一個の都道府県環境衛生営業指導センターを、全国に一個の全国環境衛生営業指導センターを設けることといたしております。
 第五は、営業方法または取引条件に係る表示の適正化等に関する制度の整備でありまして、消費者の選択の利便を図るため、全国環境衛生営業指導センターが厚生大臣の認可を受けて、役務の内容等の表示の適正化等に関する標準営業約款を作成し、この約款に基づき営業しようとする営業者を都道府県環境衛生営業指導センターに登録することができることといたしております。
 本案は、第八十五回国会に提出され、以来継続審査となっておりましたが、本日の委員会において採決の結果、原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する件について決議を行いましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#10
○議長(灘尾弘吉君) 内閣提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣金子一平君。
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#11
○国務大臣(金子一平君) 租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 租税特別措置につきましては、現下の厳しい財政事情と最近における社会経済情勢に顧み、税負担の公平確保の見地から、社会保険診療報酬課税の特例の是正を初めとしてその整理合理化をさらに推進し、あわせて交際費課税を強化する一方、産業転換投資及び優良住宅地の供給の促進等に資するため必要な措置を講ずるほか、揮発油税等の税率を引き上げる等、所要の改正を行うことといたしております。
 すなわち、第一に、既存の租税特別措置の整理合理化等につきましては、まず社会保険診療報酬課税の特例の是正を図ることとし、社会保険診療につき必要経費に算入する金額をその収入金額の七二%相当額とすることができる現行の特例を改め、収入金額が五千万円超の部分については、その五二%相当額、収入金額がそれ以下の部分については、社会保険医の公共性等に配意して、五七%から七二%までの四段階の率により計算した金額を控除することができることといたしております。
 次に、有価証券譲渡益課税につきましては、同一銘柄の株式等を相当数譲渡したことによる所得を課税対象に加える等、課税の強化を図ることといたしております。
 また、企業関係の租税特別措置につきましては、価格変動準備金を段階的に整理するとともに、工場立地法に基づく認定を受けた施設の償却の特例等、五項目の特別措置を廃止する等、一層の整理合理化を行うこととしているほか、交際費課税について、定額控除額を、中小規模の企業に配意しつつ、現行の年四百万円から原則として年二百万円に引き下げ、損金不算入割合を現行の八五%から九〇%に引き上げる等、一層の強化を行うことといたしております。
 その他、登録免許税の税率軽減措置等につきましても所要の縮減を行うことといたしております。
 第二に、産業転換投資等の促進に資するため、特定の不況産業に属する事業者及び緊急に産業構造改善を要する業種に属する中小企業者等が事業転換等のために取得する機械設備等について、二年限りの措置として、一定の要件のもとに、その取得価額の一〇%相当額の税額控除を認める措置を講ずることといたしております。
 第三に、土地・住宅税制につきましては、長期譲渡所得の課税の特例について、公的土地取得の円滑化と優良な住宅地の供給の促進に資する一定の土地等の譲渡に限り、二〇%の比例税率が適用される譲渡益の金額を現行の二千万円から四千万円に引き上げるとともに、これを超える部分につき現行の四分の三総合課税を二分の一総合課税に改めるほか、既存住宅の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置を創設する等、所要の措置を講ずることといたしております。
 第四に、同居している自己または配偶者の直系尊属が老人扶養親族に該当する場合には、現行の老人扶養控除に加えて五万円の特別控除を認めるとともに、特定不況地域中小企業対策臨時措置法に基づく認定を受けた中小企業者に対して、欠損金の繰り戻しによる還付について特例措置を講ずるほか、老年者年金特別控除、中小企業構造改善計画を実施する商工組合等の構成員の機械等の割り増し償却、森林計画特別控除等、期限の到来する租税特別措置について、実情に応じ適用期限を延長する等、所要の改正を行うこととしております。
 第五に、揮発油税及び地方道路税の税率の特例措置について、第八次道路整備五カ年計画に必要な財源確保等の見地から、税率を二五%引き上げるとともに、その適用期限を昭和五十八年三月三十一日まで延長することといたしております。
 以上、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#12
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。沢田広君。
    〔沢田広君登壇〕
#13
○沢田広君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、数点にしぼって質問を行うとともに、提言もいたしたいと存じます。
 租税特別措置法は、今日まで毎議会を通じて論議をされ、先日の予算委員会におきましても、多くの質問、提言が行われてまいりました。今回、ささやかながら一部の改善、前進が図られたことを認めないものではありませんが、租税特別措置法の持つ社会的、経済的、政治的意味は、きわめて重要なものと存じます。
 第一には、租税特別措置法はすでに既得権という立場より惰性となっていることでありましょう。今日的政治視点に立てば、その政策目標はすでに失われているものが大部分であって、単に既得権というには古過ぎるものだと存じます。新しい政策理念に立って、選択と優先性が問われなければならないものと存じますが、いかがお考えでありましょう。
 総理は、たてまえと本音を一致させる、税の不公正を正すことが前提で新たな歳入源を求めたいとも言っております。特に、政治家は約束したことはどんなにつらくても果たさなければならないとも、きわめて謙虚に勇気のある発言をなされております。私も、その言葉を評価をするとともに、敬意を表するものであります。しかし、このことは、租税特別措置法に関する限り、空疎な言葉としか受け取ることができません。きわめて残念に存ずる次第であります。余りにも言うことと事実が違い過ぎるからであります。
 租税特別措置法は、時の政治、政府、大平総理の顔と言っても過言でありません。総理、あなたが国民の前に提案をするこの優遇措置は、今日の不況、雇用不安、失業などに泣く庶民の願いとはかけ離れ過ぎているからであります。この提案は、総体的に見れば、不公正の拡大につながるだけではありませんか。
 総理の顔と申し上げましたが、総理みずからが記者会見において、責任の持てる顔でありたい、もともと目鼻だちの造作はよくないが、つけかえるわけにはいかないと言われたそうでありますが、せめて、この税の不公正、でこぼこだけでも正す勇気はなかったのでありましょうか。その真意をお聞かせいただきたいと存じます。(拍手)
 第二には、今日の経済が重大な危機にあることは私から申し上げるまでもありません。赤字国債が約四〇%を占める予算、六十兆円に及ぶ累積赤字、過剰流動資金や各公共料金の値上げ、土地の急騰など、インフレの懸念進行、減量経営の名による首切り、失業者の増大、雇用不安、医療、教育の荒廃、高齢化社会への対応欠如、外貨のため過ぎ、財政再建の無策、内需の停滞などなど、国民生活はあすへの展望も希望も持ち得ない、ただ営々と働きバチのごとく強いられているのが現状ではないでしょうか。この事実の認識についてどうお考えになっているか、お伺いをいたします。
 第三には、これらの問題解決と当面の雇用、景気、福祉のために、国民の納得する歳入源を見出さなければなりません。そのためには、まず税が公平であり、だれでもが自分たちや子孫のためにと納税する気持ちがほうはいとして起こるような税制でなければならないからであります。果たして今日この状況は存在しているのでありましょうか。大企業だけが救われ、弱者が虐げられる弱肉強食の政治は今日許されるものではないと存じますが、いかがでありましょうか。
 この機会に、一切の租税特別措置法を一たん白紙に戻し、総理の言う信頼と合意のもとに、与野党が一致をするもののみに限定をして整理することが最も大切なことだと思いますが、その所見を伺いたいと思います。(拍手)
 第四には、今回提案の中に医師優遇税制がありますが、残念ながら、一般社会では不公正の看板のように言われてきたことは御承知のとおりであります。私も、開業医各位が、職業的に、社会的に、その価値、功績がきわめて高いものであることを否定するものではありません。これから国民に多くの負担を求めなければならない時代を迎えつつあるとき、適正な負担が求められることは当然のことではないでしょうか。
 今回の提案は、税制調査会の答申から三年も放置をされてきたこと、また、開業医の五〇%に及ぶ人たちはすでに青色申告になっていることなどを考えたとき、この措置が何のためで、だれのためにのみであるのか、疑わざるを得ないのであります。党利党略というのか、ごり押しというのか、その声もなくはありません。このようなことで国民の理解が得られるはずはないと申さなければなりません。願わくは、時代の先端を歩まれる関係者が、その英知とともに、国民、勤労者との税の不均衡是正に当たって、対立関係を速やかにみずからの手で解決されることを私は期待してやまないものであります。
 第五には、土地税制についてであります。
 今回突如として提案されたことは、きわめて遺憾なことと言わなければなりません。税制調査会の答申も得ないで住宅供給の美名のもとに提案し、調整区域の線引きの見直しも進められ、都市銀行だけでも七兆円もの不動産貸し付けが行われ、焦げつき土地を救済する意図は明確であります。提案の声だけで土地が急騰し、政府、日銀も貸し出し自粛を要請するに至ったではありませんか。ますます土地投機を行わせる手助けをしているのは果たしてだれでありましょう。
 総理、果たして庶民に土地を十分に供給することが約束できるのですか。総理、果たして土地価格を下げて安く庶民の手に届くように約束できるのですか。明快に回答を求めたいものであります。
 第六には、のどから手の出したいような、不足している歳入源をどこに求めたらよいかということであります。
 もちろん、歳出の洗い直し、行政の改革は当然としても、私は次の提言を行いますが、どうお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
 一つには、土地再評価税であります。今日までのインフレによって、土地の価格は昭和三十年を基準としても三十倍以上になっております。再評価を実施すれば、少なくとも含み資産、法人だけでも二百兆円を下らないと言われております。五年間の分納としても一年間六兆円の収入源に達します。また富裕税として、資産二億円以上について一%ないし三%の累進課税を考慮すべきではないでしょうか。
 なお、広告費についても、年間一兆四千億、今回一部改正をされました交際費において年間四兆円と言われております。それぞれ若干の負担増は可能と考えられますが、いかがでありましょう。
 三つには、利子配当所得の総合課税、有価証券の譲渡課税であります。預貯金金利の支払い額も十二兆円に達しております。分離課税が圧倒的に多く、この優遇額だけでも一兆円を超えるのであります。速やかに是正すべきだと思いますが、いかがでありましょう。
 第四には、法人の累進税率の適用についてであります。資本金別に見れば、実質負担率は、百万円未満で二七・四八%、一千万円で三一・七三%、一億円で二九・八一%、十億円で二八・九二%、百億円を超えれば実に下がって二四・八二%と一番低い率になるのであります。まさに、大企業、大資本に甘く、中小企業資本に厳しいということを物語っております。七七年の大蔵省の発表でも、一億円以下三五・一%、百億円未満三七%、百億円を超えるものが三四・五%となっております。前述の事実をまさに証明するものでありましょう。これを不公正と言わずに何と言うのでありましょう。速やかにこの是正を迫るものでありますが、なぜ手がつかないのか、明らかにしてほしいと思うものであります。
 最後の提言として、社団法人、財団法人などにも税のあり方について再検討されることを求められているものと存じますが、いかがでありましょう。
 最後に、政府の企図している一般消費税についてであります。
 かかる不公正税制の中に取り入れられることは無謀と言うほかはありません。国民は絶対に承服しないし、私たちも絶対に反対するものであります。この税がわが国になじまないばかりか、無用な混乱と不公正を拡大するからであります。
 総理、さりながら、万々々一という言葉がありましたが、この税の導入をしたいと考えたとき、いままで言われた野党との合意、了解なしには強行することはあり得ないものと私たちは理解いたしますが、よろしいのでしょうか、御答弁を願いたいと存じます。
 私は、多くの欠陥を持つこの租税特別措置法が、私たちの提言を真剣に受けとめ、新しい時代に対応した適正なものにするため、どう具体的に対応されるのか、答弁を求めるものであります。
 以上をもちまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(大平正芳君) 沢田さんの御質問の第一は、租税特別措置法は、新しい政策理念に照らして、優先順位を踏まえて厳しく対処しなければならない、既得権の温存は許すべきでないという御意見でございました。
 私、全く同感でございます。われわれもそういう考え方に立ちまして、年々歳々、わが党内閣は租税特別措置法の見直しを行っておるわけでございます。五十四年度におきましても、特に批判の強いアイテムにつきましては、社会保険診療報酬課税の特例を初めといたしまして、主なる項目につきましてかなりの改善をいたしたつもりでございます。
 それから、この際、いっそ白紙に返して、与野党の一致のものに限定して特別措置を考え直したらどうかという御意見でございますが、年々歳々、鋭意検討を加えた上でやってきておりますので、これを白紙に返すというつもりはございません。野党の御意見につきましては、国会の内外を通じましてこれを承りまして、可能な限り私どもは尊重いたしておるつもりでございます。
 それから、今日の不況、国民の不安に対してどう考えておるかという御質問でございました。
 最近の経済情勢を見ますと、生産、出荷は順調に伸びておりまするし、在庫整理も進んでおります。それから最終需要、消費も堅調でございますので、景気は順調な改善を示しておるものと思いますけれども、しかし、御指摘のように、雇用の不安はまだとどまっておりませんし、また、海外からは経常収支の不均衡是正が迫られておりますることは御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましては、内に対しましては雇用の拡大、外に対しましては経常収支の均衡化ということを目標にいたしまして、内需の振興を中心にいたしました経済政策を着実に進めてまいらなければならぬと考えております。
 また、物価につきましては、特に石油情勢に険しい状況が出てまいっておりまするので、これを見きわめながら、通貨供給等にも十分配慮をいたしながら、この安定基調は堅持してまいるつもりでございます。
 それから、一般消費税の導入につきましての御質問でございました。
 私は、かねがね申し上げておりますように、こういう大きな歳入をお願いするにつきましては、この前提条件といたしまして、歳出の見直し、それから既存の税制の見直し、そういった点を徹底的にやりまして、国民の理解を得ながら導入を図るべきだと考えまして、ことし取り急いで導入することは取りやめまして、今年度、そういう歳入歳出全般につきまして財政再建への論議を深めていただきまして、そしてその結論としてどうしても新しい歳入が必要だという御認識の上に立ちまして考えた場合、一般消費税の導入ということについて御理解が初めて得られるのではなかろうかと考えておる次第でございまして、やみくもにこのことをお願いしておるわけでは決してないのでございます。野党が御理解をいただけないとなりますと大変やりにくいわけでございますが、どうぞ十分財政につきまして御審議をちょうだいいたしまして、この導入につきまして御理解が得られればと、いま念願をいたしておるわけでございまして、国会内外を通じましての御論議には十分私どもも対応いたしまして、極力御審議に御協力を申し上げてまいるつもりでございます。
 自余のことにつきましては、大蔵大臣から御答弁いたします。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#15
○国務大臣(金子一平君) 沢田さんにお答え申し上げますが、まず第一に、現在の租税特別措置法でございまするけれども、金額的には六割以上が、たとえば少額貯蓄の利子非課税制度でございますとか、勤労者財産形成制度でございますとか、住宅取得の対策、中小企業者の機械の特別償却など、中小所得者や中小企業者のための措置が過半数を占めておるので、結局は国民大衆に密着した制度であることを、まずもってお断りしておきたいと思うのであります。
 ただ、制度自体が、経済の変化に伴って見直しを要するものも出てきますから、今後も引き続いて中身については検討さしていただきます。本年度は三十項目について廃止ないし圧縮をしたことを御理解いただきたいのでございます。
 それから、医師優遇税制でございまするが、過去二十五年間手がつきませんでしたものを、今度初めて是正することにいたしたのでございまするが、収入金額五千万円以上のものについては五二%の控除に切り込むことにいたしておる次第でございまするから、相当の前進とお考えいただきたいと思うのでございます。
 それから、土地の優遇税制について御意見を承ったのでございまするけれども、宅地の供給は今日大きな政治問題でございます。したがいまして、私どもといたしましては、今日の長期譲渡所得の骨組みはそのまま残しながら、公共用地として、あるいは優良な宅地として役に立つものについて、非常に限定をした姿において税の緩和を図って、少しでも宅地供給に役立たせたいということで御提案を申し上げておる次第でございます。
 それから、いろいろな御提言をいただきました。
 土地再評価税の問題につきましては、沢田さんも御承知のとおり、これは所得課税としてつかまえれば、未実現の利益に対する課税というようなことになりますし、保有課税として考えれば、固定資産税の評価との関係をどう考えるかというような問題がございますし、また、土地だけ再評価をしてほかのものは再評価しなくてもいいのかというような問題がございますので、この問題は検討を加えておるところでございます。
 広告費、交際費の課税につきましては、交際費につきましてはそれこそ根元から今度は見直しを行いました。ただ、広告費につきましては、御承知のとおり社用的な要素がないという見地から、各国でも課税をいたしてない、また理論上もいろいろな厄介な問題がございますので、今日この問題を取り上げる段階に至っておりません。
 それから、利子配当の総合課税の問題でございますが、これは五十五年度の税制改正の時期までには総合課税を行うことにして、目下政府の税制調査会で専門的に詰めてもらっておる段階であるということを申し上げておきたいと思うのでございます。
 有価証券の譲渡所得課税につきましては、今回御提案いたしました。段階的に課税を強化してまいりたいということでございます。
 それから、法人の累進税率を考えたらどうかということでございますが、この問題は、法人税の本質に関する問題でございまして、各国でも法人に累進課税を適用しているところはまずないと言っていいくらいでございますので、この点については、私どもは否定的な考え方をとっておる次第でございます。
 それから、引当金と準備金の問題でございますが、各種引当金は、所得の計算の合理的仕組みとして設けられたものでございまして、全面的にこれを廃止することは適当でないと考えております。しかし、準備金の方は、たとえば今度も御提案申し上げておる幾つかのものがございますけれども、社会情勢の推移に応じて圧縮してまいりたいということで作業を進めておる段階でございます。
 なお、公益法人、社団法人、財団法人の税制上の見直しをしたらどうかという御意見につきましては、課税対象となる収益事業の範囲が適切であるかどうか、これもやはり社会、経済の進展に伴って随時見直す必要があると思いますので、今後も検討を続けていきたい。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(灘尾弘吉君) 宮地正介君。
    〔宮地正介君登壇〕
#17
○宮地正介君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、総理並びに大蔵大臣に対し、若干の質問を行うものであります。
 まず、私は、五十四年度における政府の税制改正に対する取り組みの姿勢の甘さを強く指摘するものであります。
 政府は、財政再建を理由に、所得税の物価調整減税すら見送り、さらにたばこの値上げ、揮発油税の引き上げ、一般消費税の五十五年度の導入など、大衆課税の強化を本格化しようとしています。このことは、まさに国民生活を圧迫する経済運営と言わざるを得ません。
 財政再建のみを目的とし、大衆課税を国民に強いることは、経済の不均衡回復、とりわけ内需の拡大にマイナス要因となり、結果としては角をためて牛を殺すことになりかねないものであります。
 その理由の第一は、わが国の内需は最近になってようやく上昇機運に入ったと言われておりますが、それはまだまだ安定とはとうてい言いがたい経済情勢にあるからであります。
 第二は、政府の経済見通し六・三%から見ましても、雇用者所得の伸びは昨年と変わらない七%と低く見込まれていることや、卸売物価の騰勢が強まっていること、消費者物価の動向についても政府見通しの四・九%がすでに危ぶまれていることなどから、個人消費支出の伸び悩みを来し、景気は回復どころか、さらに停滞を招くことが十分に予測できるのであります。
 第三は、所得税減税の見送りが国民生活の実質低下を余儀なくしていることであります。たとえて見ますと、五十三年の年収が二百五十万円の標準世帯で、五十四年のベースアップが五%で試算してみますと、所得税、住民税のアップ、戻し税のカット、消費者物価上昇による支出増は、収入増の十二万五千円を上回り、十二万八千四百六十八円となるのであります。
 第四は、われわれが政府に撤回を強く迫っている財政収支試算では、税収の弾性値を一・二〇と見込んでおりますが、これは五十四年度の弾性値〇・八や、最近の弾性値を見ましても、四十九年度〇・九、五十年度マイナスの〇・三五、五十一年度一・〇、五十二年度一・〇八、五十三年度〇・七であることなどからも、相当高いものであり、現実性に全く欠けていると言わざるを得ないのであります。したがって、政府が今後の弾性値を平均で一・二〇に推移することを望むならば、五十四年度において、雇用及び所得の増加を初め、所得税減税など、個人消費支出の下支え対策を講じ、民間の自力回復力をつけるという土壌づくりの必要が生じてくるのであります。
 私は、以上の立場から、五十四年度において、少なくともわれわれが要求している昨年度の戻し税三千億円の確保と、いわゆる物価調整減税を含め、五千億円程度の所得税減税は当然に実施すべきと強く主張するものでありますが、総理の所見を伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、五十四年度の実質経済成長率六・三%の達成は、五十三年度の七%成長の断念が諸外国から批判を受けていることからも、いわば至上課題であります。したがって、年度途中でその実現が困難視される場合は追加施策を措置されるのかどうか。また、その場合、所得税減税など、個人消費の喚起策が有効であると考えるものでありますが、あわせて総理の所見を伺うものであります。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたします。
 まず第一に、今回の租税特別措置法の改正に当たって、利子配当所得の分離課税制度は、五十五年度に期限が到来するから、その時点で改正するとして放置されております。しかし、この制度による税の減免額が、大蔵省の試算でも、五十四年度には四百九十億円にもなると言われており、貯蓄の奨励という政策目的が経済の変化等によってなくなってきていることから考えましても、その是正をいたずらに延ばすのではなく、速やかに総合課税に移行すべきであります。
 また、利子配当所得の総合課税について、政府は納税者番号制の導入を検討するとしておりますが、このように税の公平化かプライバシーの侵害かという二者択一的な選択を国民に迫るのではなく、政府ができ得るものから実行すべきであります。
 たとえば、少額貯蓄の非課税制度を見ましても、五十二年三月現在の郵便貯金は、口座数が全人口の二倍を超える二億五千三百八十六万口もあり、金額も三十兆五千億円で、これを世帯数で試算すると、一世帯当たり八百九十万円の貯金高になります。比べて、同年の総理府統計局の貯蓄動向調査による世帯数当たり平均貯蓄高は、預貯金、株式、債券などをすべて含めて一世帯当たり四百二十七万円と報告されており、郵便貯金の非課税制度が富裕者の課税逃れに悪用されていることは明らかであります。
 これらについては、名寄せ、仮名、無記名預貯金の廃止等の徴税技術面の整備を図るべきと考えますが、大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 同時に、有価証券の譲渡益に対する課税も、個人については実態の掌握が困難という徴税技術上の理由で原則非課税とされておりますが、これについても総合課税化を進めるとともに、今回の改正のような、一銘柄二十万株以上の譲渡益に課税をするという糊塗的な措置ではなく、せめて現在の非課税限度、一年間に売買回数五十回以上、かつ二十万株以上の取引を二分の一に縮小する程度の改正はぜひ必要と考えるものでありますが、あわせて大蔵大臣の所見を伺うものであります。
 第二は、いわゆる医師優遇税制と言われるところの社会保険診療報酬の課税の特例についての問題であります。
 今回、政府が二十五年越しの懸案に着手したことは認めるものでありますが、これによって国民の医療制度に対する不安感や税の不公平感が解消したものとは言えないのであります。また、この問題は国民の生命と健康にかかわることからも、歳出の医療費、診療報酬の適正化などを含む総合的観点から、その改革を図るべきと思うのであります。したがって、今後の社会保険診療報酬の課税の合理化の進め方について大蔵大臣の所見を伺うものであります。
 第三は、法人税関係についてでありますが、政府も五十一年度以来、租税特別措置の縮小合理化に努力を払っています。しかし、これらについては、縮小したからそれでよしというものではなく、実態から見て、真に適正化されたかどうかが重要であります。
 たとえば、政府は五十四年度に貸し倒れ引当金の縮小を図っておりますが、これを税務資料に基づく実際の貸し倒れ発生率と引当率を比較してみますと、卸売、小売業では貸し倒れの発生率が千分の六に対して引当率は千分の二十、同じく製造業では千分の二に対し千分の十、五十二年度に縮小した金融保険業でも千分の一に対して千分の五となっており、いずれも実態の三倍から五倍の引当金を認めて優遇している事実が明らかであります。
 したがって、今回の是正で手をつけられなかった退職給与引当金の縮小など、法人の各種引当金や租税特別措置につきましては、今後ともその実態に即応した縮減を図り、課税の適正化の必要があると思うのでありますが、大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 第四は、土地税制の緩和についての問題でありますが、今回の改正が国民の期待に応じた優良宅地や公共用地の供給につながっていくのかどうか、むしろ、かえって土地や住宅の価格を引き上げる結果を生じさせないのか、さらにインフレの助長要因となる懸念はないのかという率直な心配を国民の多くは抱いていると思うのでありますが、大蔵大臣の所見を伺いたいのであります。
 私は、最後にもう一度総理にお尋ねいたします。
 総理は施政方針演説において、一般消費税の導入など、税負担の問題について、国会内外の論議が深まることを望んでおられます。
 先ほどから述べてまいりましたが、政府の今回の税制改正案は、経済、財政、いずれから見ましても、きわめて整合性を欠いていると思うのであります。この点については、過日の予算委員会におきまして、わが党の矢野書記長が厳しく指摘してきたとおりでもあります。
 また、われわれは、中期的に財政再建を行うべきであると主張するものであります。基本的には、法人擬制説から実在説への是正、今後の景気回復による自然増収、大企業の法人税の見直しなどによって、赤字国債を縮小し、財政再建が可能である方途をすでに提言をしております。このわれわれの提言も含め、少なくとも政府が具体的な財政計画を速やかにこの国会に提出することを強く主張するものであります。
 さらに、一般消費税の導入につきましては撤回すべきことを要求するものであります。
 これらの点につきまして、総理の所見を伺うものであります。
 以上をもちまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(大平正芳君) 私に対する第一の御質問は、五千億程度の減税が今日の場合必要でないかという御意見を含めての御質問でございました。
 私どもは、五年前の石油ショックがございまして以来、大幅の空前の歳入欠陥を記録した財政運営に当たりまして、国民の側にこの波のしぶきをかぶせるようなことのないように、財政で全部一応受けとめて、経済の回復を待つ姿勢をとったわけでございます。おかげさまで、経済の方は、先ほども御説明申し上げましたようにようやく回復の徴候が出てまいったわけでございまして、今日、犠牲になってまいりました中央、地方の財政、このような状況で推移することはできませんので、ことしあたりからぼつぼつ再建に手を染めさせていただきたいという考えを持っておったのであります。しかし、御指摘のように、まだ大幅の歳入を期待するような状況でもございませんので、物価の安定基調を外さない範囲内におきまして若干の微調整をやらしていただいたのでございますが、大幅の減税をやれという御意見につきましては、にわかに賛成いたしかねるわけでございます。
 それから第二の、六・三%の経済成長は至上課題ではないかということでございます。
 仰せのとおり、内におきましては雇用の拡大を図らなければなりません。外に対しましては経常収支の圧縮を図らなければならぬわけでございますので、この程度の経済成長は何としても確保いたしたいものと考えておるわけでございます。しかし、いま、年度内にその目標が達成不可能になった場合には追加措置を講ずる用意があるかという御質問でございますが、私どもは、いま御審議をいただいておりまする予算案をベースにして、持っておりまする政策手段でこの達成は不可能ではないと考えておるわけでございますので、これが困難になった場合どうするかという課題に対しましては、まだお答えいたすには時期尚早と考えております。
 それから第三の、一般消費税の導入は撤回せよ、明確な財政計画を立てろという御質問でございます。
 この財政計画をできるだけ綿密なものを立てまして、その展望に立ちまして財政再建を図ってまいらなければならぬことは御指摘のとおりでございまして、この仕事は大変むずかしい仕事でございますけれども、いま財政制度審議会と相諮りながら政府の方で検討を進めておるわけでございまして、御検討をいただく段階になりますならば御提案申し上げて、御審議をいただきたいと考えております。しかし、一般消費税は、まだ提案いたしておりませんけれども、来年度からの導入ということを一応もくろみまして、政府の方ではいろいろ準備をし、国会におきましてはその論議をお願いいたしておるところでございまして、これを撤回するというよりは、ことしは、私もお願いいたしておりますように、財政全体についてひとつ論議を深めていただきまして、こういった措置が必要であるということについての御認識をいただくことが私どもの希望でございますので、いま撤回という考えは持っておりません。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#19
○国務大臣(金子一平君) 宮地さんにお答えいたします。
 利子配当の総合課税について、ことしからでもやるべきではなかったかという御意見でございますが、これは五十五年度の税制改正に当たりまして実施に持っていきたいということで、目下税制調査会で検討をしてもらっておる最中でございます。
 それから、それに関連して、名寄せと申しますか、国民総背番号というようなことを検討しているようだがということでございますが、総合課税をやるといたしますると、どういう方法が資料の収集について最も合理的かという点について、慎重に検討してもらっておることを申し上げておきたいと思います。
 特に、郵便貯金の名寄せを厳格に実施しろ、あるいは架空名義の預貯金を廃止しろという御意見、これは全くそのとおりでございまして、郵便貯金につきましては、郵政当局において適正な限度額のチェックをやっていただいておるのでございます。また、架空名義等につきましては、それをなくするように金融機関に常時自粛を要請しておるということを申し上げておきたいと思うのでございます。
 それから、有価証券の譲渡益課税の強化の問題でございますが、今回、段階的にこれからこの問題を片づけたいということで、一銘柄二十万株ということで御提案をいたした次第でございますが、一方において、今日有価証券の取引を把握する体制がまだ十分確立されていない、整備されていないという現状にもございますので、その整備を考えながら段階的に片づけてまいりたい。中途半端なことで総合課税をやると、またそこに新しい不公平を招くというような問題があることもひとつ御考慮いただきたいと思うのでございます。
 それから、医師優遇税制でございますが、医療行政全般の改革とあわせて手をつけるべきではないかというお考えだといたしまするならば、私どもは、やはりそれとは切り離して、今日、診療報酬課税の特例について、広く国民の各界、各層からこの是正の要望が出ておる際でございまするので、この際、診療報酬等の医療行政全般の改正とは切り離して取り上げた次第でございます。
 それから、法人税関係の各種引当金につきまして御指摘がございました。
 引当金につきましては、先刻も申し上げましたとおり、法人の所得計算の合理的な仕組みの一環として設けられておるものでございまして、これを不公平是正に含めることは必ずしも適当ではないと思うのでございまするが、実態が大分遊離しておるじゃないかという御指摘でございます。この点につきましては、今後も極力実態に即した改正を行うように努力をしてまいりたいと存じます。
 最後に、土地税制の緩和をやろうとしておるが、インフレを誘引することにならないかということでございますが、今日、金融機関等について調べてみますと、仮需要というものは全然ございません。実需によっての貸し出しが増加しておるというふうに私どもは考えておるのでございます。ただ、いまの税制そのままにしておくことによって、土地供給が、宅地供給が促進されるかというと、それはなかなか簡単にいかぬものですから、優良宅地に提供されるものに限って、厳しい条件のもとで、税制面からでも少しでも宅地供給にお役に立ちたい、こういうことで今回の改正案を提出いたした次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(灘尾弘吉君) 高橋高望君。
    〔高橋高望君登壇〕
#21
○高橋高望君 私は、民社党を代表して、ただいま提案されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、総理並びに大蔵大臣の見解をただしたいと思うものであります。
 まず、総理にお伺いいたします。
 租税特別措置法が、ある時代ある時期、時の政権担当者によって、特定の政策目的を達成せんがために、本来あるべき税負担の公平さを犠牲にして行われるものであることはよく知られるところであります。政策目的を達成せんがための租税の軽減、繰り延べ等、誘導手段とも言えようかと思います。しかし、同時に、税の公平原則を侵す危険性があり、その適用を受ける人々と受けざる人々との間に絶えず不公平感を引き起こすことは忘れてはならないと思います。この不公平感、国民相互に起こる信頼関係、社会的連帯感の揺らぎをどのように対処なさるのか、お考えを承りたいと思います。
 私は、この対処に当たって、絶えず租税特別措置法を施行せんとする原点を考え、また、すでに施行されているものであれば、原点との正確な調査、比較検討することが政権担当者にとって必須の条件であり、もしこの純正さが消えて、他の要因で特例を設けたりするならば、まさに政治を私するものであり、国を誤るものとなるであろうと言わざるを得ません。
 この特例は、一部の圧力によってつくられるものではなく、あくまでも広く国民各層の声を聞き、その声の命ずるところによって、期限を切って施行し、その効果を見きわめ、次の対策を打つことが肝要であると思います。時期的に有限であることが、施行条件の重大な要素であることを忘れてはならないと思います。
 低成長下に入って、個人の収入も伸びが期待できず、税のごとき非消費支出のふえることは、全般に強い抵抗感を与えるものであります。さらに、過去の経済政策の失敗から政府みずから認めるような財政危機の中で、一般消費税を含む増税路線をもくろもうとしているのであればなおのこと、われわれは国民の立場に立って、少なくとも従来以上の税負担の公平さを求めるものであり、また、今日ほどその是正を迫りたいときはないのであります。(拍手)
 現実に税負担の不公平があれば、まずそれを是正することが第一であり、この不公平を残して増税を意図いたしましても、国民の理解を得られるものではありません。政権担当者の意思が大きく影響する租税特別措置法であり、従来とかく言われてきたものであるので、新たな不公平を生み出しかねないものでもありますので、総理の決意を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、大蔵大臣にお伺いいたしたいと存じます。
 税制の仕組みは複雑ですが、所得税については累進構造がたてまえになっていることもよく知られているところであります。所得の高いほど税負担が重い、これが今日の公平の原則となっておりますが、今日なお利子配当所得課税を優遇する特別措置があります。
 戦後の経済復興期に貯蓄を奨励し、それによって資本市場を育成して次の発展に向かわしめたわけで、これによって得る利子配当所得を他の所得とは分離して安い税金で済ませた、いわゆる政策減税であり、また、この所得が不労所得であるところも考え合わせて、過去何度となくこの取り扱いの是正が求められ、ようやく昭和五十二年に大幅な是正が行われ、五十五年度末をもって制度自体の廃止すら取り上げられるようになってまいりました。
 この利子配当分離課税と並ぶ不公平税制の代表とも言われる、むしろ、国民に今日不公平税制と言わしめれば、まず第一に考えられる社会保険診療報酬課税制度の特例、いわゆる医師優遇税制について、ようやく今年度その改正へと動きを示されましたが、ずいぶんと緩慢なものであったと言わざるを得ません。税制調査会ですら昭和五十年度の税制改正答申の中で具体的な答申案を示し、その後も改善案の実現を政府に迫ってまいりました。しかし、その都度見送られてきたのであります。
 さらに、五十二年十月の政府税調は、中期的税制のあり方を答申いたしましたときに、「当調査会が多年にわたり答申してきた社会保険診療報酬課税の特例の改善合理化については、いまだに具体的な措置が講じられていないのは極めて遺憾である。」と述べ、異例とも言える「遺憾」という言葉が述べられているのであります。私は、この税調の言葉はそのまま大蔵省の心情を示したものであると思いますが、大臣の率直な所見を伺いたいと思います。(拍手)
 そして、今年度提案されました改正案が、果たして国民大多数の支持するものであるかどうか、私はあえて中途半端なものとしか受け取れないと申し上げたいのであります。どこからこの中途半端さを感じるのでしょうか。私はこの問題を考えるに当たって、医師税制のルーツを思い返す必要があろうと思います。
 昭和二十九年という創設時の社会状況を考慮したときに、診療報酬制度の不備を補完するために、いわゆる政治方程式で議員立法により定まり、以後改正されずに五十三年に至ったことを考え合わせますとき、たとえば七二%の必要経費を云々したところで合理的な結論を引き出すことはできず、創設後二十五年間そのままにして、ことしもまた十分な論議なしになぜか七二%を検討の基準にしているところに、私たちは中途半端なものを感ずるのではないでしょうか。
 私は、この一例に見るごとく、国民の納得を得るためには、まさに政治の勇気と実行を行うものであれと言いたいのであります。今日、政治に決断を求める国民の声の高いときに、今年度この特別措置について多くの国民の共感を得るよう、十分な配慮と説明を望みたいと思います。
 私たち民社党は、かねてからこの問題の抜本的な検討を要求し、政府が国民とともに、少なくとも二十五年前とは異なった調査能力を駆使して、医師側の意向も十分に検討し、一例として技術料の適正化、診療報酬の適正化と相まった段階的な是正を行うことにより、わが国の医療制度そのものを見直し、少なくとも医師が、税制上の不備のままに乱診乱療、薬づけ等と言われるような、本来から遠く離れた方向に評価されないよう望むものでございます。
 権力者の特権とも言える租税特別措置法が、できるだけその適用範囲を少なくし、また短期化することを望んで、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(大平正芳君) 高橋さんは、租税特別措置法に取り組む姿勢につきまして御質問がございました。この租税特別措置は、申すまでもなく、政策目出の達成上公平を犠牲にするものである、特権を与えるものであるから、その原点を常に踏まえて純正な態度で臨めということでございまして、私も全く同感でございます。それから第二点は、各層の意見を十分聴取し、また、それについては期限をつけなければならぬという御主張でございまして、私、全くそのとおり考えております。それから第三の、現存する不公正の是正が先であって、新しい負担をお願いする前に現存する不公正の是正に努めよということでございまして、私、全く同感に存じております。そういう厳しい姿勢で対処しなければならないと考えております。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#23
○国務大臣(金子一平君) 高橋さんにお答えいたします。
 医師の優遇税制の問題でございまするけれども、四千万円以上のものにつきましては政府税調の答申どおりになっておるわけでございまして、特に五千万円超のものにつきましては五二%の率を適用することにいたしておりまするから、これは相当の前進と私ども考えておる次第でございます。
 七二%が残ったりしておる点につきましては、この特別控除は、大都市から僻地に至るまで広く地域医療を担当して、ひたすら住民の健康維持に努めておられる中小規模の診療所に重点を置いて考えておるというふうにお考えいただきたいと思います。
 今後も、租税特別措置法全体の問題につきましては、お話もございましたとおり、制度の面においてもあるいは執行の面においても、公正を旨としなければこれは長く維持できない制度でございまするから、今後そういった点についての検討は常時繰り返してまいりたい、こういうふうに考えておることを申し上げます。
 以上でございます。(拍手)
#24
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#25
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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