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1978/02/27 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第10号
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1978/02/27 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第10号

#1
第087回国会 本会議 第10号
昭和五十四年二月二十七日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十号
  昭和五十四年二月二十七日
    午後一時開議
 第一 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規
  制に関する法律の一部を改正する法律案(第
  八十四回国会、内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 核原料物質、核燃料物質及び原子炉
  の規制に関する法律の一部を改正する法律案
  (第八十四回国会、内閣提出)
 澁谷自治大臣の昭和五十四年度地方財政計画に
  ついての発言及び地方交付税法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時四分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 核原料物質、核燃料物質及び原子
  炉の規制に関する法律の一部を改正する法
  律案(第八十四回国会、内閣提出)
#3
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長大橋敏雄君。
    ―――――――――――――
    〔大橋敏雄君登壇〕
#4
○大橋敏雄君 ただいま議題となりました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、原子力発電所からの使用済み燃料を計画的かつ安全に再処理するための再処理事業の民営を認めることにより、わが国における自主的核燃料サイクルの確立の推進を図ろうとするものであります。
 本案の主な内容は、
 その第一は、動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所以外の者も、内閣総理大臣の指定を受けた場合には、再処理事業を行うことができることとすることにより、再処理事業を行うことができる者の範囲を拡大するとともに、指定の基準等を明定することであります。
 第二は、再処理事業者は、再処理施設について内閣総理大臣の使用前検査及び定期検査を受けなければならないこととする等、再処理事業の規制に関し、その充実強化を図るとともに、関係規定の整備を行うことであります。
 本案は、去る第八十四回国会に提出され、昭和五十三年四月七日本会議において趣旨説明と質疑が行われた後、同日当委員会に付託されました。委員会におきましては、同年四月二十日政府から提案理由の説明を聴取した後、質疑を行い、参考人の意見を聞く等、慎重な審議を重ねましたが、結論を得るに至らず、今国会まで継続審査に付されてまいりました。
 今国会におきましては、内閣総理大臣及び主管大臣に対し質疑を行い、去る二十二日質疑を終了いたしました。
 引き続き、自由民主党、民社党及び新自由クラブの三派共同提案により、再処理事業者の指定等についての原子力委員会及び原子力安全委員会の意見の尊重義務の規定を十分に尊重しなければならないこととする旨の修正案が提出され、討論の後、採決の結果、本案は多数をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、「再処理を中心とした核燃料サイクルに関する自主技術の早期確立を図るという我が国の基本的立場を国際的に貫くよう最大限の努力を傾注すること。」等の附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(灘尾弘吉君) 討論の通告があります。これを許します。渡部行雄君。
    〔渡部行雄君登壇〕
#6
○渡部行雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論を展開せんとするものであります。(拍手)
 すなわち、本法案の主たる内容は、使用済み核燃料の再処理を行って核燃料サイクルの確立を図ろうとするものであります。そのため、使用済み核燃料再処理工場の設置を民間にゆだねて事業を推進しようとするものであります。
 そこで、本法案から想定される主なる問題について申し上げますならば、その第一点は、核燃料再処理工場の持つ直接的危険性についてでありますが、この工場は、一日当たり何百万キュリーという膨大な放射性物質が処理される化学工場でありまして、その処理される一日当たりの放射能の量は、職業人一日当たり摂取許容量の十兆倍以上に相当すると言われております。化学爆発や火災などの事故の危険性は、一般の化学工場と同様に常時存在していると言われ、その上、強い放射能のために、溶媒やイオン交換樹脂などの放射線分解によって起こる化学事故の危険性は一層大きいとされ、さらに、複雑に組み合わされた総延長何百キロメートルにも及ぶパイプや数々の反応槽、貯液タンク、排気糸、冷却系などの一部にでも損傷や故障が生じると直ちに放射能漏れ事故となって、労働者の人身被曝や環境汚染を引き起こすのであります。さらに恐るべきことは、臨界事故と申しまして、プルトニウムや濃縮ウランは御承知のとおり核分裂物質でありますから、その取り扱いを間違うと、核分裂の臨界条件に達して連鎖反応が起こり、核爆発を誘発するという危険が絶えず背中合わせにつきまとうと、批判的立場の学者、専門家は多くの実例を挙げて指摘しているのであります。一方、このような立場に対して、推進派がその一つのよりどころとしてきたものは、かの有名なラスムッセン報告でありましたが、米国の原子力規制委員会、NRCは、去る一月十九日、この報告に対するこれまでの支持を撤回し、改めて原子炉の危険性軽視の思想に対して警告を発したのであります。このことは、再処理工程の危険性を改めて認識すべきではないでしょうか。
 第二点といたしましては、再処理工場で生産されるプルトニウムとウラン235及び放射性廃棄物の問題に関してでありますが、御承知のように、プルトニウムは原子爆弾の原料でありますから、一つには軍事転用の危険性であり、もう一つの問題は、核ジャックが起きた場合のことであります。しかも、今日では、イギリスやアメリカの大学生が、低廉かつ簡単な手製原爆をつくれるという論文や設計図を発表して問題になっていることは御案内のとおりであります。ましてや、これから十年先にもなれば、原爆をつくることなど朝飯前といったぐあいになってしまうでありましょう。もし、狂人のような不心得者に原爆が渡ったときのことを考えるならば、世界は恐怖のどん底に陥れられ、人類の平和も自由も、そして生命の尊厳も、すべて失われてしまうのであります。まさに、この危険性は、確率ではかっては断じてならないと思うのであります。しかも、この危険を防ぐために警察国家にもなりかねないということでございます。
 第三点は、放射性廃棄物処理の問題であります。これは今日、原子力にとって最大の問題であり、解決のめどがつかない致命的欠陥を持っていると言われております。しかも、再処理工場は、原発一年分の廃棄物を一日で出すという膨大な放射性廃棄物生産所なのであります。日本では、太平洋など海洋投棄を考えているようでありますが、絶対に安全であるという保証は何一つないのであります。ただひたすらに安全を期待するということだけが頼りになっているだけなのであります。
 第四点といたしましては、原子力エネルギーは石油の代替エネルギーとしてどうしても開発しなければならないという論点に対してでありますが、石油がなくなった後、これ以外にかわるべきエネルギーがないというなら話のつじつまとしては一応合うのでありますが、学者、専門家の話によれば、石油資源よりウラン資源の方が早くなくなるそうであります。そうなると、日本は今日の推定埋蔵量が総量で約一万三千ウラントンくらいしかありませんから、無に等しいのでありまして、ほとんど外国からの輸入に頼らなければどうにもならないのであります。それに、将来掘り尽くされていくにつれ、輸入は全く困難に陥ると見るべきでありましょう。しかも、この事業を推進すれば、逆に石油消費産業になるとさえ言われているのであります。これでは石油の代替どころか、居直り強盗に遭ったようなものではありませんか。(拍手)
 そして第五点には、コストの問題であります。今日まで原子力エネルギーは最も低廉なエネルギーとして考えられてまいりましたが、今後は火力や水力発電よりもはるかに高いコストとなり、採算がとれないだろうと指摘する学者もいるのであります。そこで、この採算もとれない最も危険な事業を、厳格な守秘義務を負わせながら強行しなければならない理由は一体どこにあるだろうか。それは隠された軍事目的があるからだと想像されてもいたし方がないと思うのであります。
 以上は、賛否両論の学者や専門家の意見の中から私なりに考え方を整理したものでありますが、これとて、しょせん素人の判断でしかないのであります。と同様に、本案に賛成される方々も素人以外の何物でもありません。したがって、原子力に対する専門家同士の討論や理論の相違点などを科学的に検証し、審査し、判断する能力がこの国会にはないと言っても過言ではなかろうかと思うのであります。これを真に決め得る者はだれかということでありますが、それは学者でもなければ権力者でもなく、また国会の多数決でもありません。それこそまさに、将来に向かって人類の安全と繁栄をこいねがう哲学的道義心の問題であり、人類に対する限りなき愛情と良心ではなかろうかと思うのであります。(拍手)
 今日、世界じゅうの再処理工場がどこでもうまくいっていない現実を直視するとき、あえて未知の危険性に挑戦するか、それとも、絶対的安全性が確認されるまでは営業をやめて、最小限の研究にとどめておくべきかの選択は、むしろ賛否両論の中のその共通部分に目を向けることではないでしょうか。つまり、全世界の学者、専門家が間違いなく一致している点は、原子炉が学問的にも技術的にも一〇〇%安全であると断言することができないという事実と、万一大事故が発生すれば、はかり知れない危険と損害を社会と人類に与えるという点なのであります。
 よって、私は、このような重大決定は国民的規模において判断を下すべきことを強調いたしますと同時に、安全性に確信なき問題についての冒険は、国民に対して責任を負うべき政治家としては断じて行ってはならないということを強く訴えるものであります。(拍手)
 よって、私は、危険きわまりなきこの使用済み核燃料の再処理を商業的に民間会社にやらせようとする本法案に対する反対をいたしまして、討論を終わります。(拍手)
#7
○議長(灘尾弘吉君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#8
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十四年度地方財政計画について)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#10
○議長(灘尾弘吉君) この際、昭和五十四年度地方財政計画についての自治大臣の発言を許し、あわせて、内閣提出、地方交付税法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣澁谷直藏君。
    〔国務大臣澁谷直藏君登壇〕
#11
○国務大臣(澁谷直藏君) 昭和五十四年度の地方財政計画の概要及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和五十四年度の地方財政につきましては、昭和五十三年度に引き続いて厳しい状況にありますが、現下の経済情勢に適切に対処するとともに、財政の健全化に努めることを目途として、おおむね国と同一の基調により、歳入面におきましては、住民負担の合理化にも配慮しつつ地方税源の充実強化を積極的に図るほか、昭和五十二年度に引き続き見込まれる巨額の財源不足については、これを完全に補てんする等、地方財源の確保に努める一方、歳出面におきましては、住民福祉の向上と地域振興の基盤となる社会資本の整備を推進し、あわせて景気の着実な回復に資するよう投資的経費の充実を図るとともに、一般行政経費の節減合理化に努める等、財源の重点的かつ効率的な配分と節度ある財政運営を行う必要があります。
 昭和五十四年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし、次の方針に基づいて策定することといたしました。
 第一に、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、自動車税、軽自動車税及び軽油引取税の税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化等、地方税源の充実強化と地方税負担の適正化に努める一方、個人住民税の所得控除の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ等、住民負担の軽減合理化の措置を講ずることとしております。
 なお、地方譲与税については、地方道路譲与税を増強し、市町村に対する譲与割合の引き上げを図るとともに、航空機燃料譲与税の増強に伴い、その一部を空港関係都道府県に譲与するための措置を講ずることとしております。
 第二に、地方財源の不足等に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにするため、一、昭和五十四年度の地方財源不足見込み額四兆一千億円については、地方財政の重要性にかんがみ、これを完全に補てんすることとし、昭和五十三年度に制度化された地方交付税所要額の確保のための方式の活用及び臨時地方特例交付金による地方交付税の増額で二兆四千六百億円、建設地方債の増発で一兆六千四百億円の財源措置を講ずることとしております。二、また、地方債資金対策として、政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額を図るとともに、公営企業金融公庫資金の貸付利率の引き下げ等の措置を講ずることとしております。
 第三に、最近の経済情勢にかんがみ、景気の着実な回復を図ることに配意しつつ、地域住民の福祉の充実、生活環境の整備及び住民生活の安全の確保等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、投資的経費の充実を図ることにより、生活関連施設を中心とする社会資本の整備を推進するとともに、社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることとし、また、人口急増地域対策を拡充するとともに、過疎地域に対する財政措置を引き続き充実することとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等、財政秩序の確立を図り、あわせて、年度途中における事情の変化に弾力的に対応するよう配意するほか、地方財政計画の算定内容について所要の是正措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに、昭和五十四年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は三十八兆八千十四億円となり、前年度に対し四兆四千六百十八億円、二二%の増加となっております。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和五十四年度分の地方交付税の総額は、現行の法定額に一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金三千七百六十六億円及び同特別会計における借入金二兆二千八百億円を加算することといたしました結果、七兆六千八百九十五億円となり、前年度に対し六千四百九十五億円、九・二%の増加となっております。
 また、後年度における地方交付税の総額の確保に資するため、地方交付税法附則第八条の三第一項の規定に基づき、昭和五十四年度における借入純増加額の二分の一に相当する額一兆八百九十五億円を、昭和六十年度から昭和六十九年度までの各年度において、臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとしております。
 第二に、昭和五十四年度の普通交付税の算定に当たっては、地方財政計画の策定方針に即応し、社会福祉施策の充実、教育水準の向上、公共施設の計画的整備等に要する経費の財源を措置するための単位費用の改定を行うほか、道府県分に特殊教育諸学校費を新設すること等の改正を行うことといたしております。
 以上が、昭和五十四年度の地方財政計画の概要並びに地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十四年度地方財政計画について)及び地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#12
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの地方財政計画についての発言及び趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。加藤万吉君。
    〔加藤万吉君登壇〕
#13
○加藤万吉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十四年度地方財政計画及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。
 地方財政計画が発表されるや、各社説はもとより、地方行政に関係する各界から、慢性的借金財政とその硬直化の重圧に苦しむ自治体にとって、この計画は何ら解決の方途を示していないばかりか、長期的な再建への足がかりすら見出せないものとして、強く非難の声が上がっているところであります。私もまた、この計画は数字の単なるつじつま合わせで、大蔵省地方財政特別会計のそしりを免れない無策な計画であることと、強く指摘しないわけにはまいりません。
 総理にお伺いをいたします。
 五年続きの財源不足は、今年は四兆一千億円となり、また、年度末地方債残高は二十五兆円で、これに国が二分の一を負担することになってはおりますが、毎年の交付税借入金残高の七兆一千六百億円を加えると、住民一人当たり三十万円弱、一世帯実に百十万円を超す税の先食いということになります。公債費は二兆六千三百億円で、交付税借入金を上回ること三千五百億円、借金を返すために借金を積み重ねるという悪循環を繰り返し、財政はさらに硬直化をし、改善への見込みは全くもってありません。
 総理は、この場当たり的財政計画をいつまでお続けになるおつもりですか。財政計画が数量の枠組みの中から抜け出すことができず、官僚の作文と化し、財政の仕組みそのものに踏み込むことのできないところに大きな欠陥のあることにお気づきになりませんか。現状からの脱出は、現在の財政構造を根本から見直し、勇断をもって改革に一歩踏み出すべきときです。改革の手法を安易な数量的拡大に求め、財源不足分を一般消費税の創設とその一部を地方消費税に回すことによって補うなどという、弱い者泣かせの増税手段は厳に排除すべきであります。
 総理は、この際、地方財政再建の基本的な方針に基づく改革の年次計画を策定し、その具体化を明らかにすべきと思いますが、総理の御所見をお伺いいたしたいと思います。(拍手)
 私は、再建のキーポイントは、日本の高度成長過程で活用され、著しく強化をされた一元的中央集権的な財政構造の見直しと改革にあると思います。税の自然増加がある程度見込まれた高度成長期の時代にあっては、地方団体もこれを受け入れる余裕を持ち合わせておりましたが、いまや、国の経済政策の失敗を地方公共事業によって肩がわりをした地方自治体は、温存された強固な中央の支配と統制の中に、国の赤字財政と地方団体とを遮断することを許さないまでに拘束をされ、地方の自主的、自立的改革への道すら閉ざされているのであります。洪水のような公共事業と投資的経費の多くを地方債に振りかえたこと、交付税の基準財政需要額の算定方式に疑問を持ちながらも、報復処置を恐れてひたすら交付税特別会計の借り入れと地方債とに依存している地方団体に、総理のおっしゃる再建への熱意も民主主義の根源である地方自治も生まれるはずがないではありませんか。
 総理並びに大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 中央に集中された権限を思い切り地方に分権する御意思はありませんか。国の予算の三分の一を占める国庫支出金に集中的なメスを入れ、国及び地方の責任区分を明確にする中で、現状においても可能な委任事務を地方に移譲し、縦割り行政と重複行政のむだを排除することによって、地方及び国の行政費の軽減を図るべきであると思いますが、いかがでしょうか。(拍手)
 また、補助金についても、資産取得の補助金を除いてこれを整理統合し、包括的補助金制度を大胆に取り入れ、さらに進んで、すでに地方団体になじんでいるものはこれを自治体に移譲をし、交付税の基準財政需要額に算入をして自主財源を強化をする中で、地方団体の選択権と弾力的運用を確保する方向を与えるべきだと思いますが、所見をお伺いをいたしたいと思います。
 現在、地方交付税率は国税三税の三二%であります。しかし、今年度もまた交付税借入金の二分の一を政府負担としておりますから、実際の交付税率はこれを上回り、さらに臨時地方特例交付金を加えれば、国税三税との比は五十三年度で四二%、五十四年度は四七%となります。さらに補助金の整理統合分を加えれば、地方との財政再配分は五〇対五〇にすることが可能です。
 大蔵大臣並びに自治大臣にお尋ねをいたします。
 この際、現にあるこの交付税率を法制化をし、交付税法第六条の三の第二項を満たすとともに、さきに述べた政府の中央支配としての一元的、集約的管理を少し譲歩をし、財政再建の道を地方団体に大きく開くことによって、自己革新をするエネルギーを生み出し、行政が本来負担をすべき責任と範囲、住民の側の負担の公平等について説得力を持ち得る条件をつくり出すべきと思いますが、御所見をお伺いをいたしたいと思います。
 今年度の財政計画の歳入のうち、交付税においては二兆二千八百億円の借り入れ、地方債は七兆四千億円の発行という借金依存の不健全財政計画であります。国債の消化すら困難と言われている中で、これだけの地方債の消化は可能でございましょうか。特に、三兆三千億円に上る民間資金からの調達については、金利差を含めて特別な援助をしなければならないと思いますが、いかがでしょうか。元利償還金が交付税借入財源を上回るばかりか、元金返済一兆一千七百億円に対して利子返済分一兆四千六百億円と、利子分が上回った今日、高金利時代に借り入れた地方債、なかんずく政府資金については、利子補給を含めて何らかの措置を講ずべきと思いますが、いかがでしょうか。
 自治大臣にお伺いをいたします。
 財政計画では一三%の増加率にもかかわらず、給与関係費は四・四%、行政経費で一一・七%、特に生活保護費は一〇%、児童保護費が八%、老人医療費に至っては五%の増加率であります。これに対して投資的経費は二〇・三%で、しかも、五億円のお金があれば百億円の事業を行える借金強要型投資と言わざるを得ません。この福祉後退、弱い者いじめの積算の基礎はどこにありますか。
 また、投資的経費は十五兆二千億円で、財政計画の二分の一に迫るわけですが、この事業投資と、総理のおっしゃる田園都市構想、建設及び国土庁の定住圏、モデル生活圏構想と自治省の広域市町村圏計画とはどこが違い、どこにその整合性があるのですか。各省の統一された見解があるならばお聞かせをいただきたいと思います。
 労働大臣にお尋ねをいたします。
 五十三年度は公共事業拡大によって雇用効果を生み出し、失業率も二・一%から二%に低下をすることが期待できると言われました。現状は百三十万人を超える失業者であります。今年度の公共事業拡大の中で、今日の失業状態を緩和をし、雇用効果がどのように生まれると判断をされておりますか、数字的にお示しをいただきたいと思います。
 また、自治省においては、特定不況地域振興対策として百三地域を指定し、特別交付税や起債による地域振興を図ろうといたしておりますが、前自治大臣においては、これを立法化するかの答弁をいたしております。このような対策は当然法制化を行うべきであると考えますが、自治大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。私は、むしろ、雇用効果を求めるとすれば、福祉産業における拡大こそ期待が大きいと思いますが、その所見をお聞かせください。
 また、特定不況地域、失業多発地帯における公共事業と雇用創出については、各地方団体、特に市町村段階で、労働省の出先機関との間にその協調性を欠いていると指摘をされておりますが、どのような協議をし、具体策を持って機能的効果を期待されますか、労働大臣から御答弁をお願いをいたしたいと思います。
 最後に、一般消費税と地方財政との関係についてお伺いをいたします。
 一般消費税の導入については国民の大多数が批判的であり、この反対の声を逆なでするかのごとく、自治大臣が、地方財源不足をよいことに、その一部を地方消費税として導入することを率先誘導されていることに不快感を持たざるを得ません。国は、租税負担率を、昭和六十年度、現状の七%アップの二六・五%と見込み、財政収支試算を提起をいたしましたが、地方財政収支試算においては、この地方消費税を見込んで収支試算をお立てになるおつもりですか。その場合、国との財源配分についてどのようにお考えになっておられますか。また、地方消費税を導入される場合の料飲税、軽油引取税等現行消費課税との関係はどのように整理をされますか。
 以上の諸点について自治大臣の明確な答弁を求めますが、これらの諸点について今日答弁ができ得ない条件下にあるとするならば、いたずらに納税者に不安と動揺を与えるべき発言を厳に慎まれるよう注意を喚起をして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(大平正芳君) きょう説明がございました地方財政計画には地方財政改革の方向性が定かでないじゃないかという御指摘でございます。
 自治大臣からの御説明にもありましたように、今度の計画作案に当たりまして、政府といたしましては、投資的な経費につきましてはその充実を図り、経常的な、消費的な経費につきましてはその節減を図るという方針を貫いたつもりでございまして、そうすることによって地方財政確立の糸口をつかまなければならないと苦心いたしたつもりでございます。
 一方、歳入面につきましては、地方税源の増強に極力努めてまいりまして、なお、巨額の歳入不足がございまするので、交付税特会の借り入れ、建設地方債の増加発行によってこれを補っておるわけでございまして、赤字の地方債の発行という点は用心深く回避いたしておるつもりでございます。こういう努力を積み重ねてまいりまして、地方財政の着実な再建に持っていかなければならぬと、いま努めておるところでございます。
 それでは、いつごろまでに年次計画を立てて、いつごろまでにその改革を実行するつもりかということでございますが、御案内のように、中央、地方を通じましていま大きな財政危機に直面いたしておるわけでございまして、中央、地方、ともどもになるべく早くこの状態を脱却しなければならぬわけで、およそ昭和六十年を目安といたしまして、中央におきましては赤字公債の発行ということの事態にならぬように、財政計画をいまから詰めていくつもりでございます。それと並行いたしまして、地方財政の充実につきましても配慮してまいりたいと考えております。
 第二の点でございますが、中央の持っておる権限、財源を思い切って地方に移譲すべきではないかという御主張でございます。
 私も全く同感でございますが、本来、地方は中央と相協力いたしまして、その役割りをそれぞれわきまえながら、相協力して国民の福祉に奉仕しなければならぬ責任があると考えておりますが、住民の身近なところにございまして、住民の意思を十分反映しながら実行することが適切な事務につきましては、御指摘のように、できるだけ地方の方に引き受けていただくのが適当であろうと考えております。今後とも、中央と地方との間に適切な機能分担を考えながら、両者の間の合理的な行政事務の配分、またこれに伴う税源の配分に努めてまいる所存でございます。
 その他の件につきましては関係大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#15
○国務大臣(金子一平君) 加藤さんにお答えいたします。
 御質問の第一点は、補助金を整理統合して、総括的な補助金のようなものに改めたらどうかという御趣旨でございますが、国庫補助金は、特定の施策を実現するために必要なもので、行政目的を異にする補助金等を一括して地方団体に交付するということであると、補助金制度の意義から見て、これは大変困難なことであると考えます。
 また、地方の自主的な措置にゆだねるべき事項については、これを安易に補助対象に取り上げるべきでないことは当然でございまして、これらの経費については、各自治体で交付税その他の自主的な財源で措置されることが適当であると考えます。
 しかし、政府は、地方公共団体の自主性の尊重、資金の効率的使用あるいは事務の簡素化という見地から、従来から、補助金制度の趣旨を踏まえながら、必要に応じて補助金の統合、メニュー化を幅広く推進してまいりまして、五十四年度予算の編成に当たりましても百十九件についての統合、メニュー化を行っておるような次第でございまして、今後におきましても、この点につきましては実情に即した改善に努力してまいりたいと考えております。
 次に、地方債の政府資金と民間資金との金利差を埋めるために、利子補給制度を含めて国が特別の援助をすべきではないかという点でございますが、地方債計画総額の六割相当額までは、実質的に政府資金金利並みとなるように特別の措置を講じておりまして、これ以上の国の特別の援助はただいまのところ考えておりません。
 また、高金利時代に借り入れした地方債について、利子補給を含めて何らかの措置を考えろということでございますが、地方債の元利償還費につきましては、地方財政計画上公債費として計上いたしまして財源措置を講じておる次第でございまして、さらに国が特別の措置を講ずることは考えておりません。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣澁谷直藏君登壇〕
#16
○国務大臣(澁谷直藏君) お答えをいたします。
 国庫支出金を思い切って地方に移譲すべきで、総括的補助金制度を取り入れるべきではないかという御質問に対しては、ただいま大蔵大臣から答弁がありました。基本的には同じように考えておるわけでございますが、自治省といたしましては、国庫補助負担金の整理合理化は、地方行財政の自主性の確保、行政の効率化等の見地から、特に零細補助金等については積極的にその整理合理化を進めていくべきだと考えておりまして、今後ともその方向で努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、地方交付税率は三二%になっておるけれども、実質的には五十三年度は四二%、五十四年度は四七%となっている。この際、地方交付税法第六条を改正して、実質的には交付税率を五〇%まで引き上げるべきと思うがどうかという御質問でございますが、この問題は、御承知のように、国、地方間の財源配分をどうするかという基本的な問題でございまして、今後われわれが取り組まなければならない大きな問題であることは、もう御指摘のとおりであります。この点につきましては、地方財政の長期的な安定を確保するという見地に立って、今後、国、地方を通ずる租税負担の増加を図りつつ、地方税財政制度の基本的な改正を行い、地方税、交付税等の一般財源の増強を図る方向で対処してまいりたいと考えております。次に、国債の消化が困難なときに地方債の消化は可能と考えておるのか、特に三兆三千億円に上る民間資金の調達はどうかという御質問でございますが、五十四年度の地方債計画においては、できる限り政府資金及び公営企業金融公庫資金の増額を図った結果民間資金は三兆三千八百八十億円、対前年比一七・五%となったわけであります。
 そのうち、公募地方債八千億円については、従来から毎月計画的に発行してきておりまして、消化に支障はないと考えております。
 次に、縁故地方債二兆五千八百八十億円については、対前年度当初比では一四・九%の増となっておりますが、昭和五十三年度の補正後の現行地方債計画と比べると二・七%の増にとどまっておるわけでございまして、消化は可能であると考えております。
 なお、資金調達の円滑化を図るため、資金配分に当たっては、資金調達能力の弱い市町村へ政府資金、公庫資金を優先的に配分することとしておりますし、また、民間等引き受けの地方債については、自治、大蔵両省が協力して、その円滑な消化に努めてまいりたいと考えております。
 地方債の政府資金と民間資金との金利差を埋めるための利子補給はどうかという御質問に対しては、大蔵大臣が答弁いたしましたので私は省略をいたします。
 次に、五十四年度の地方財政計画は前年度に比して全体で二二%伸びている中で、給与費はわずかに四・四%、一般行政経費は二・七%と低い。特にそのうち、生活保護費一〇%、児童保護費八%、老人医療費五%については特に低いものとなっておる。このように給与費や社会福祉行政費が後退しているのはなぜか、こういう御質問でございますが、昭和五十四年度の地方財政計画における給与関係経費が対前年度比四・四%という低い伸びになったのは、昭和五十三年の人事院の勧告において給与改定率が三・八四%と低いものであったこと及び期末、勤勉手当の支給率について〇・一カ月分の減となったことによるほか、現年度分の給与改定に備えてあらかじめ計上する給与改善費が従来の五%から二・五%に下がった、こういうことでこのようになっておるわけであります。
 また、生活保護費、児童保護費及び老人医療費については、国の予算に計上された国庫支出金の額を基礎として計上しているわけでございます。
 次に、十五兆二千億円の投資的経費の中に田園都市構想をどう取り入れて策定しておるのか、定住圏、モデル生活圏、広域市町村圏計画との関連はどうなのかという御質問でございますが、田園都市構想は、国づくり、社会づくりの政策理念でございまして、三全総の定住構想は、その政策理念を実現するためのサブシステムである、このようにとらえておるわけであります。このような定住構想に沿って、広域市町村圏あるいは生活圏といったような既存の広域生活圏に関する施策を充実しようとする政府の基本方針でございますので、今後、新広域市町村圏計画の策定及びこれに基づく事業の実施を展開してまいりたいと考えておるわけであります。昭和五十四年度の地方財政計画の策定に当たっては、この方針に沿って新広域市町村圏計画等に基づく地域の総合的な整備を推進するため、地域総合整備事業の大幅な充実を図っているところでございます。
 それから次に、特定不況地域に対して、前の大臣は法制化しようとしておった、これを断念したのはどういうわけだ、こういう御質問でございますが、確かに、この特定不況地域に対しまして、通産省や労働省、それに自治省が一体となって、総合的な法律化を図るべきであるという考え方で折衝をしたわけでございますが、最終的には各省間の意見の一致を見るに至らなかったのは御承知のとおりでございます。そこで、現在は、御案内のように、自治省の特定不況地域振興総合対策実施方針を定めまして、この方針に沿って百三地域を指定し、特定不況対策を進めておるわけでございますが、将来一体どうなんだという御質問に対しましては、今後の事態の推移を踏まえてひとつ検討してまいりたいと考えております。
 最後に、地方財政収支試算の中で一般消費税や地方消費税をどのように取り入れて試算をしておるのか、こういう御質問でございますが、これにつきましては現在検討中でございます。具体的な内容を申し上げる段階には至っておりません。ですが、新経済社会七カ年計画の基本構想及び国の財政収支試算の考え方を踏まえまして、租税負担率の上昇を見込むという方向で現在試算中でございまして、間もなく国会に提出をいたしたいと考えております。その中で、当然これはいろいろな不可測の事態を取り込んでおるわけでございますから、一定の前提のもとにおいて地方税及び地方交付税を含めた一般財源の推移を示すものでございまして、増税をどれでやって、これはどうするんだという具体的な計画を示すものではございません。したがって、一般消費税、地方消費税につきましても、具体的な増税内容を含んだものにはならないわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#17
○国務大臣(栗原祐幸君) 私に対する第一の質問は、五十三年度から五十四年度にかけて雇用情勢はどういうふうになるかという御質問のように承ります。
 いま加藤さんからお話のありました数字につきましては、これは五十三年度当初の数字でございます。その後の五十三年度を達観して見ておりますると、雇用は若干、求人等に明るさが見えておりまするけれども、しかし、婦人労働を中心といたしまして労働人口が非常にふえておる、これが就業を上回っておるというようなことから、なかなか楽観を許さない。大体百三十万人程度の失業者になるのではないかと考えております。
 五十四年度でございまするけれども、五十四年度も引き続き構造不況業種等からの離職者も予想されますので、よほどの政策努力をしなければ百三十万人にとどめられないということで、御案内のとおり、中高年齢者を対象といたしました大幅な雇用対策を実施している最中でございます。そういうことで御了承を賜りたいと思います。
 次に、公共事業と雇用創出について、職業安定所と地方自治団体とがさらに連携を密にすべきじゃないか、現状は不十分ではないかという御指摘でございます。
 特定不況地域等の失業多発地帯におきましては、公共職業安定所と市町村との間で連携を図っておりまして、御案内のとおり、地域雇用対策連絡会議を設けて、公共事業の重点配分とか失業者の吸収率の的確な運用などでいま鋭意やっているわけでございますが、御指摘のようにさらにがんばれという趣旨に承りまして、この行政指導、こういう連絡会議をさらに充実していきたい、かように考える次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(灘尾弘吉君) 斎藤実君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔斎藤実君登壇〕
#19
○斎藤実君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま説明のありました地方交付税法の一部を改正する法律案並びに昭和五十四年度地方財政計画について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 今日、わが国経済は、長期にわたる不況からいまだに脱出することができず、長いトンネルの出口を模索している状態であります。早急に景気の回復を図り、経済を安定成長路線へ移行させることが今日の最も重要な課題であります。
 しかしながら、政府の五十四年度予算は、景気回復の上に、さらに財政再建というもう一つの役割りを果たすために、その財政規模は一二・六%の伸び率にとどまり、昭和四十年以来の低い伸び率になっております。このことは、政府がこれまで、景気回復のためには財政が主役を果たさなければならないと言い続けてきたことから考えて、景気回復に対する認識がうかがわれないのでありますが、この点についてどのように認識されているのか、お答えをいただきたいのであります。
 しかも、五十四年度予算は、国鉄運賃や大学の費用負担の増大など、各種公共料金の引き上げを盛り込み、国民負担の増大を強いる予算となっておりますが、このような国民負担の増大は、一般大衆の最終消費支出の伸びを抑え、景気回復の足を引っ張る結果となることは明らかであります。このような政策で、五十四年度に政府の目指している六・三%の実質経済成長が達成され、安定成長の軌道に乗ることが果たしてできるかどうか、きわめて疑問であります。総理の率直な見解を伺いたいのであります。
 ところで、五十四年度の地方財政計画によりますと、財源不足は、五十三年度より三四%も上回る四兆一千億円にも上っております。また、地方財政の歳入に占める借金の割合、すなわち借金依存度は、五十三年度の一六・二%から五十四年度は一八・五%へと増大し、地方財政の借金依存の構造が浮き彫りにされております。
 今日の多様化した社会にあって、住民生活を取り巻く問題は複雑化し、そのために地方の財政需要も増大の一途をたどっております。これら住民に直結した事務の増大は、機関委任事務という形で地方自治体に押しつける傾向が最近特に顕著になっております。従来から指摘してきたところではありますが、このように地方の事務が増大し、地方の財政需要がふえ続けても、国税の地方への移譲も行わず、また交付税率も四十一年度以来据え置かれているのが実情であります。地方の時代と言われ、政府も日本型の福祉社会を目指すと言っておりますが、こうした事態に対応するために地方自治体の自主財源を拡大し、自主的な行財政運営ができるよう改革することが急務であります。
 これとともに、地方交付税においても、現行の地方交付税率では、過去四年間に講ぜられた臨時応急的措置によっても明らかなように、地方交付税の所要額を確保できず、交付税制度本来の機能を果たし得ないのが現状であります。したがって、この際、恒久的な制度改正によって本来の機能を回復し、安定的な一般財源を確保するために、交付税率を当面少なくとも四〇%に引き上げるべきであると思うのでありますが、引き上げる意思があるかどうか、伺いたいのであります。(拍手)
 また、最近の大量の国債発行下においても、国と地方団体の財政秩序は当然ながら維持されなければなりません。しかしながら、国債発行によって国の財政規模は増大しても、これに伴う地方負担の増大については何ら安定的な財源が確保されておりません。したがって、国債発行額のうち一定割合を交付税とする特別措置を講ずるべきであると思いますが、どのように対処されるのか、見解を伺いたいのであります。
 また、最近地方財政支出に占める公債比率は増大の一途をたどっておりますが、政府は一般財源に占める公債費の割合をどの程度が限度と考えているのか、お答えをいただきたいのであります。さらに、増大を続ける公債費に対し、どのように対処していくのか、伺いたいのであります。
 次に、地方債についてでありますが、財源不足による地方債の増発が続いておりますが、地方自治体が憂慮することは、一つにはその消化であります。今後、民間資金需要が増大した場合、地方債にしわ寄せされることは、これまでの経験からして起こり得ないことではありません。この消化に対する見解を伺いたいのであります。
 また二つには、地方債の中に占める政府資金の比率が最近著しく低下しております。利差補給制度はあるものの、償還期限等の問題に対しては縁故債はきわめて不利であります。良質な資金確保のために、政府資金の枠の拡大と、公営企業金融公庫を改組して地方公共団体金融公庫とすべきであると考えるのでありますが、率直な答弁を求めるものであります。
 次に、超過負担についてであります。
 超過負担は、中央集権的な補助金行政によって地方財政圧迫の元凶となっております。この超過負担の実態に対して地方六団体が調査したところによると、四十九年度ベースで実に六千億にも上る膨大な額となっております。しかし、これに対する政府の措置は、言いわけ的対策しか講ぜられておりません。このために、保育所、保健所措置費、これらの多額の超過負担は一向に解消されておりません。今後、OPECの原油値上げを初め各種公共料金の引き上げが予想されておりまして、五十四年度は政府が考えている以上の物価上昇となることは明らかであります。五十四年度では国費ベースで三百六十億円計上しておりますが、この額では地方財政は一層圧迫されることが明白であります。政府の超過負担解消に対する前向きの答弁を求めるものであります。
 さらに、超過負担に対する大きな問題は、国、地方の見解が異なることであります。わが党は、これらの問題を解決するために、国と地方の代表が協力して超過負担調査会をつくり、その解消に当たることを主張しておりますが、これに対する見解もあわせて伺いたいのであります。次に、国民健康保険会計についてであります。自家営業者や退職者等を対象として赤字に悩んでいる国民健康保険は、政府が約束した老人医療の別建て制も見送られ、また国民健康保険の抜本改革も行われないため、その経営はますます深刻化をしております。国保会計は、加入者の負担増にもかかわらず、市町村の一般会計から多額の繰り出し金が行われており、これはまた他の福祉施策等を圧迫する結果となっております。こうした事態を打開するため、療養給付費等に対する国庫支出金の割合を、現行の四八・三%を当面少なくとも五〇%に引き上げるべきであると考えるものですが、答弁をいただきたいのであります。(拍手)
 さて、高度経済成長時代の行政は肥大化に次ぐ肥大化を重ね、今日に至っております。これは国の地方出先機関の存在による行政の二重、三重のチェックあるいは必要以上の書類の提出などが義務づけられておりますが、こうしたことがそのまま地方自治体の行政の肥大化となって、むだな人手と経費が増大する一方となっております。現在、国の行政改革が大きな課額となっておりますが、こうした地方自治体の事務量の増大に対処するためには、地方自治体の努力には限界があります。どうしても国の行政改革を徹底的に進めなければならないと考えるものであります。
 総理にお伺いしますが、大平内閣の行政改革は福田内閣よりも大幅に後退しておりますが、今日の政治に求められている行政改革についてどのように対処するのか、伺いたいのであります。
 また、政府の関係部局から地方自治体に一片の通達で仕事を押しつける傾向が、最近とみに高まっております。地方に事務をおろす場合、財源もつけることは地方財政法の趣旨からいっても当然であります。しかし、これに対する十分な財源もつけないために、これらの事務に要する経費が地方の一般財源を圧迫することとなって、地方の自主的かつ弾力的な財政運営に困難を来していることが実情であります。その他、今日の縦割り行政は、地方自治体のあらゆる面にわたって補助制度が細かく張りめぐらされております。このために、零細補助金や同じ目的の補助金が各省にまたがっており、地方の自治行政を複雑化させております。しかも、補助申請手続が複雑なために、補助金の金額よりも申請手続に要する費用の方が多いという事例も少なくありません。こうした事態は、地方行政を一層圧迫し、混乱させるとともに、国と地方の秩序を乱すものであって、緊急に解決しなければなりません。
 この問題の解決は、当面の課題として零細補助金を廃止し、これを一般財源に振りかえるべきであります。また、補助金のメニュー化を図り、根本的には法令及び事務の洗い直しを行うとともに、国と地方の責任分担を明確にしなければならないと考えるのであります。政府は、国と地方の事務、財源の洗い直しに対し、どのように考えているのか、伺いたいのであります。
 以上、内政の重要課題につきまして質問いたしましたが、明確なる答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(大平正芳君) 第一の御質問は、財政のこの程度の伸び率をもってしては政府の言うところの景気の回復はおぼつかないではないか、また、六・三%の成長を確保することも至難ではないかということでございました。
 斉藤さんも御承知のように、今度の予算の編成に当たりまして、私ども、財政規模自体は一二・六%の増額にとどめたわけでございますけれども、その中にありまして、投資的な経費につきましては一八・五%の増を確保いたしてあるわけでございます。これは、去年の予算で三〇%程度の増額を記録いたしましたものを、さらに一八・五%ふやすものでございまして、社会資本の整備を促進することによって、景気の回復を着実な軌道の上に乗せようというてこにしようといたしておるものであることは御理解をいただきたいと思うのであります。この公共投資についての契約も順調に進んでおりまして、ただいまの経済状況は、生産、出荷も順調でございます。在庫整理も順調に運んでおるようでございまして、内需の拡大を通じまして、ただいま政府がもくろんでおりまする六・三%の成長ということを実現することにつきまして、特別の支障はないものと考えております。
 その次に私に対する御質問は、行政改革についてのお尋ねでございました。
 政府は、御案内のように、昭和四十二年以来、機構の膨張、定員の増加という点を極力抑えてまいったのでございまして、この十二年間に中央官庁におきましては六局削減いたしております。特殊法人は三つ廃止いたしております。国家公務員の定員は七千九百二十三名減少いたしておるわけでございまして、この定員の削減、機構の膨張を抑えることにつきましては、引き続き私の内閣におきましても踏襲をいたしておるわけでございまして、特にわれわれは今度の予算を通じまして、補助金の整理、廃止を千二百七億実行をいたしております。それから、地方の出先の支所、出張所等一千カ所の整理を実現することにいたしております。さらに、認許可事務の整理を千件ばかり実行いたすことにいたしております。さらに、特殊法人の合理化の徹底、それから適正な人事管理の推進等を実行いたしまして、仰せのような行政改革の実を上げなければならないと、せっかく努力をいたしておるわけでございます。御理解を賜りたいと思います。
 それから、その次の御質問は、地方に対しまして、中央から法令の根拠もないのに仕事を押しつけるというようなことがあってはならないじゃないかという御指摘でございました。
 私も全くそのとおりに感じるわけでございまして、国が通達を発するに当たりましては、地方公共団体の自主性、主体性を十分尊重いたしまして、適切な配慮の上行うことは当然であると考えておりまして、われわれとしては、今後、中央地方の事務の分担、合理的な配分を考えながら、また財源の配分も考えながら、仕事をお願いする場合におきましては十分気をつけてまいるつもりでございます。
 自余の案件につきましては、関係大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#21
○国務大臣(金子一平君) 斎藤さんにお答えします。
 質問の第一点は、国債の一定割合を交付税にリンクしたらどうかということでございますが、国が将来返済しなければならない国債収入を地方の財源として交付することは、国と地方の長期的な財源配分の仕組みとしては合理的なものとは考えられませんので、お説のように国債の一定割合を交付税にリンクすることは適当でないと考えます。
 次に、地方債の政府資金の比率を上げるべきでないかという点でございますが、五十四年度の地方債計画におきましては、厳しい原資事情のもとにおいて、交付税特別会計への貸し付けに二兆二千八百億円を割きながら、なお地方債向け政府資金を財投計画全体の伸び二二・一%よりも高い一九%の伸びとしております。さらに、公営企業金融公庫資金を二三・六%増と大幅に増額しております。この結果、財政資金比率は五四・二%に上昇しておることを御了承いただきたいと思うのでございます。
 第三に、公営企業金融公庫を改組して地方公共団体金融公庫にすべきであるという御主張でございますが、五十三年度から公営企業金融公庫の機能を大幅に拡大して、いわゆる臨時三事業を融資の対象に含めておることは御承知のとおりでございます。地方公共団体の資金の調達は、指定金融機関から行われて再び地元の金融機関に公的預金としてあるいは地方企業の預金として還流されるという、地域金融の地縁的関係の仕組みの中で初めて円滑に行われ、地方公共団体金融公庫による中央での一括資金調達は円滑に行われるとは私どもは考えていないのでございます。五十四年度の地方債計画においては、地方債の円滑な消化を図るためいろいろ配慮しておりまして、また、現在のところ地方債の消化は円滑に行われておりまするので、公営公庫の改組は必要ないと考えておる次第でございます。
 次に、超過負担の解消の問題でございます。
 国庫補助負担金の補助単価については、物価の動向等を勘案して適正な単価の設定に努めるとともに、関係の各省庁との共同実態調査等に基づきまして、単価の改善措置をことしも相当講じております。面積基準等の補助基準についても、補助政策の問題として検討を加え、必要に応じて改善を図っておるのでございまするが、地方財政に及ぼす影響も非常に大きゅうございますので、新たな超過負担を発生させないよう努力いたしまするとともに、規格、規模等の補助基準についても、社会情勢の推移を見守りながらその改善に今後も努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
 最後に、零細補助金とか同種の補助金の整理統合、補助金のメニュー化の問題でございますが、本年度におきましても相当積極的に整理合理化を進めており、廃止、減額の額は、新年度の予算では千二百七億円になっております。今後におきましても、地方公共団体の自主性の尊重、資金の効率的な使用の見地から、補助金制度の趣旨を踏まえながら、統合、メニュー化を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣澁谷直藏君登壇〕
#22
○国務大臣(澁谷直藏君) お答えをいたします。
 最初に、地方団体の公債費がだんだんと上がっていく、その公債費増大に対してどう対処するのかという御質問でございます。
 御指摘のとおり、地方財政全体として公債費がだんだんと上がっていっておるわけでございますが、その際に公債費比率の限度を設定したらどうかという御質問がございましたが、それは地方財政全体について、この限度まではいい、この限度以上はいかぬという限度を設定することは困難でございますが、毎年度の地方財政計画の策定の際に公債費の所要額を計上いたしまして、それを土台にして、地方財政の運営に支障が生じないように十分の配慮をしてまいっておるわけでございます。
 それから、基本的には将来どうするのだ、こういう御質問に対しましては、これは国の財政再建計画ともうらはらの問題でございますが、基本的にはとにかく経済を一日も早く安定成長軌道に乗せて、その新しい経済社会の情勢に即応した地方行財政制度を確立しなければならぬ、その中でこの問題も解決していくべきである、このように考えております。
 次に、地方交付税率を四〇%に引き上げてはどうかという御指摘でございましたが、確かに、地方財政だけの立場から考えますると、まさに現状の状態は交付税率の引き上げを実行すべき状態にあることはもう御承知のとおりであります。他方、しかしながら、これを実現するためには国の財政がやはり相当しっかりしておりませんと、実際問題としては交付税率の引き上げを実行することはきわめて困難なわけでございまして、現在の国の財政状態の中では、直ちに交付税率を四〇%に引き上げることはきわめて困難である、かように考えております。
 次に、民間資金需要の増大が地方債にしわ寄せされると思うがどうか、こういう御質問でございますが、五十四年度の地方債計画においては、できるだけ政府資金、それから公営企業金融公庫資金の増額を図って、民間資金への依存をできるだけ抑えたつもりでございます。これは五十四年度の政府経済見通しのもとにおいて、着実な景気の回復と民間資金需要の増大が想定されるという点も配慮してとった措置でございまして、民間資金による地方債の消化には支障はないものと考えております。
 超過負担の解消についてはただいま御答弁がありましたから、これを省略したいと考えます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#23
○国務大臣(橋本龍太郎君) お答えを申し上げます。
 国民健康保険財政は、昭和五十二年度において、赤字の市町村、赤字額、ともに減少はいたしましたが、老人医療費や高額療養費の増大によりまして、依然として苦しい状況にあるのは御指摘のとおりであります。
 このため、国としては、五十四年度予算案におきまして、国民健康保険助成費として総額一兆九千五百十四億円を補助することといたしておりまして、特に市町村の財政逼迫に対処するため臨時的な財政措置として、対前年度比一七%増の千三百十二億円の臨時調整交付金を計上いたしておるわけであります。これによりまして、国の助成費は市町村の医療給付費の六三%に達しておるわけでありまして、他の保険制度には例を見ない手厚い助成を行っておるところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○副議長(三宅正一君) 中川秀直君。
    〔中川秀直君登壇〕
#25
○中川秀直君 私は、新自由クラブを代表して、ただいま説明のありました昭和五十四年度地方財政計画及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、総理大臣並びに自治大臣に質問をいたします。
 私たちは、今後の日本の課題として、集権と画一から分権と多様の論理に立った個性豊かな、活力ある地域社会を建設する必要があると考えております。そのためにも、国と地方自治体がそれぞれ責任分野をはっきりさせ、それに伴う財源の裏づけを明確にすべきだと考えております。この見地に立つとき、現在の地方財政計画並びに地方交付税制度のあり方に大きな疑問を感じざるを得ません。
 自治大臣、まず、地方財政計画についてお伺いをいたします。
 地方自治の充実という観点から見ると、地方の自主財源たる地方税の充実強化こそが重要と思われます。しかし、地方財政計画を見る限りでは、地方税あるいは地方譲与税についても地方財政計画の全体増加率を下回っています。これでは地方財政計画の策定方針の言う「充実強化」とはとても言えないと思いますが、いかがでしょうか。
 さらに、地方財政計画における単独事業の位置づけについてお伺いをいたします。
 私たちは、それぞれ持ち味のある個性豊かな地域社会が生まれることこそ、地方自治の真の姿と考えます。したがって、地方自治体が国庫補助事業を消化するのに追われているこの現状は改めるべきであり、自主的創意で行う単独事業こそが活発になるべきであります。
 ところが、地方財政計画を見ると、国庫補助事業と単独事業の割合は、この五年間を通じて変わらず、単独事業を積極的に伸ばそうとする意欲も努力も見られません。大平総理は、これからは地方の時代と言われ、地方自治を推進されるような姿勢を見せておられましたが、こうした数字を検討すると空念仏としか言いようがないのであります。
 この二点について、自治大臣の明快な御答弁をお願いをいたします。
 さらに、自治大臣に、地方交付税制度についてお伺いをいたします。
 現在、不交付団体は、都道府県で言えば全国でわずか東京都だけであり、他はすべて交付団体であります。もともと、交付税制度は地方自治体間での財源調整のためにあったはずでありますが、それが、いまやほとんどの地方自治体が交付団体となっており、地方交付税制度の本来の意義はすでになくなってしまったも一のと思われます。たとえば、財政力指数が〇・五を割る県が三十三県もあり、財政力指数で全国四番目の神奈川県ですら最低行政費が賄えず、財源調整のため三百十七億円の交付税が必要になっています。
 こうした現状を考えるとき、いまこそ国、地方を通じる税体系の全面的な見直しを断行すべきだと思われますが、いかがでありましょうか。
 また、改正案の内容、すなわち、国から借りたり返したりの複雑な姿を見ますと、ますます国への依存度を強めているように思えます。改正案に見られるようなその場限りの間に合わせでは、地方財政確立の道はほど遠いと思われます。むしろ、恒久的な制度改正として地方交付税率の引き上げや、所得税を地方に移譲し、安定的な一般財源を確保することが地方自治の本旨にかなうものと考えますが、いかがでありましょうか。自治大臣の明快な御見解をお伺いをいたしたいと思います。
 ところで、総理に、国庫補助金のあり方について質問いたします。
 補助金行政は、国が地方自治体のはしの上げおろしまで指図すると言われ、その弊害について関係方面から強く指摘されながらも、根本的な解決を見ておりません。五十四年度の予算案についても、補助金総額の伸び率が一般会計予算額の伸び率を上回るようでは、私たちは政府の努力を認められないと考えるものであります。
 補助金は税源の再配分を適正化することによって全廃されるべきですが、たちまち当面の改善策として、政府は、補助金の徹底した点検を行い、具体的な期限、そして科目を明らかにして、整理統合をしていく必要があると考えます。このことは、大平総理の言われる行政改革の重要な中身になると思いますが、総理、いかがお考えでありましょうか。
 地方自治は、文字どおり、地方における自治形成の原理であり、それぞれの地域社会を活力ある、魅力ある地域社会に変えていく重要な役割りを果たすものと私たちは考えております。それゆえ、地方自治推進の中核的担い手である地方自治体の創意と活力を生かし、現在見られるような中央集権的な行財政をもっと分権化する必要があると思います。
 このように考えるとき、ただいま説明をされました両案件のいずれも、地方自治確立のための具体的な苦心や努力が見られません。大平総理の言われる、地方の時代や田園都市構想などは、基本的に正しい認識だと考えます。しかし、そうしたことも、具体的な地方行財政制度の改革があってこそ初めて実現できるものではないでしょうか。
 地方財政計画、地方交付税制度、国庫補助金の改革について、総理の決意と答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#26
○内閣総理大臣(大平正芳君) 私に対しては、補助金の整理を初めとする行財政の整理についてのお尋ねでございました。
 先ほど斎藤さんにも申し上げましたように、政府はことしの予算の作案に当たりまして千二百七億の補助金の整理をいたしましたと答えたのでございますが、中川さんから、それにもかかわらず一三・八%の伸びになっておる、一般の補助金の伸びは財政規模の伸びより大きいじゃないかという御指摘でございました。この点は、中川さんも御承知のように、公共事業あるいは国鉄再建という関係の補助金等がことしの予算で特に多く所要でありましたゆえでございまして、一般の補助金につきましては、その廃止、減額、統合、メニュー化等につきましては鋭意やったつもりでございます。今後も一層努力をしてまいるつもりでございます。
 第二の、行財政の分権化の問題でございます。
 仰せのように、分権と多様を求める時代になってまいっておりますことは、私も認識を同じくするものでございます。また、それが実行されない限りにおきまして、中央、地方を通ずる気のきいた政策の推進がおぼつかないことも御指摘のとおりに考えておるわけでございまして、したがいまして、先ほども申し上げましたとおり、住民の身近なところで住民の意思を反映しながら行われることが望ましい事務につきましては、極力地方公共団体でやっていただくようにやらなければならぬと考えておりまして、中央と地方との間の機能分担につきましては、今後、この合理的な配分につきまして鋭意努力をいたしますとともに、これと並行いたしまして、財源の配分にも適実を期してまいるつもりでございます。
 その他の点は、自治大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣澁谷直藏君登壇〕
#27
○国務大臣(澁谷直藏君) お答えいたします。
 最初に、地方財政計画の策定方針で税財源の充実強化を図ったと述べているがどうか、こういう御質問でございますが、御承知のように、現在の情勢は、増税はきわめて困難な情勢でございます。他面、個人住民税の面におきましては、どうしてもある程度減税せざるを得ないという状況があったわけでございます。約六百億円程度の個人住民税の減税を行うことにいたしておりますが、それの中で、自動車税、軽自動車税及び軽油引取税の税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化を図るなど、地方税源の充実強化に努めたわけでございまして、その結果、初年度、いまの六百億円の減税を差し引いて、ネットで千二百三十一億円の増収を確保したわけでございます。今後ともこの地方税源の充実には十分に努力をしてまいりたい、かように考えます。
 次に、補助事業と単独事業の割合が大体同じくらいである、単独事業の割合をもっとふやすべきではないかという御質問でございますが、基本的には私はその考え方に同感でございます。ただ、この問題は、現行の補助事業をどうするかという問題とうらはらでございますので、そう簡単に大きくこの比重を変えるということは困難でございますが、地方財政計画の策定に当たりましては、この単独事業の投資的経費も、地方団体が自主的に、かつ地域の実情に即して事業が行えるように、十分配慮をしておるわけでございます。
 次に、近年不交付団体が減少してきておって、これは交付税制度が本来の調整機能を失いつつあるのではないか、国、地方を通ずる財源配分を根本的に見直すべきではないかという御質問でございますが、御指摘のように、確かに近年不交付団体の数は減少してきておりますけれども、それぞれの地方団体間にはまだかなりの税源の偏在があるわけでございまして、このばらつきを調整し、地方団体の財源を保障する制度としての地方交付税制度はまだまだ重要な役割りを持っており、またその機能を果たしてきておると考えております。
 なお、将来の問題としましては、地方交付税の総額について、その一部は暫定的制度によって確保しておるという現状は御承知のとおりでございますので、今後、地方税財政制度の根本的な改正によって、全体としての財源の増強に努める必要があると考えております。
 最後に、地方交付税特別会計の借金でカバーしておるような地方財政措置では、地方団体はますます国への依存度を強めていくのではないか、恒久的な制度改正によって、交付税率の引き上げ、所得税などを地方へ移譲するような、安定的な一般財源を確保すべきだと思うがどうかという御質問でございます。
 この御質問は、われわれが当面しておる国と地方の財政再建の問題と非常に深いかかわり合いを持つ問題の御指摘でございまして、われわれは、この地方財政の再建の問題は、これからわれわれの取り組まなければならない最も重要な課題と認識をしておりますので、今後各方面の意見を十分に拝聴しながら、最善の解決策を見出してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#28
○副議長(三宅正一君) これにて質疑は終了いたしました。
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#29
○副議長(三宅正一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十八分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 金子 一平君
        厚 生 大 臣 橋本龍太郎君
        労 働 大 臣 栗原 祐幸君
        自 治 大 臣 澁谷 直藏君
        国 務 大 臣 金子 岩三君
 出席政府委員
        自治大臣官房審
        議官      石原 信雄君
        自治省財政局長 森岡  敞君
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ソース: 国立国会図書館
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