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1978/03/01 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第11号
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1978/03/01 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第11号

#1
第087回国会 本会議 第11号
昭和五十四年三月一日(木曜日)
    ―――――――――――――
  昭和五十四年三月一日
    午後一時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 高田富之君の故議員鴨田宗一君に対する追悼演
  説
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を
  求めるの件
 日本専売公社法等の一部を改正する法律案(内
  閣提出)の趣旨説明及び質疑
   午後一時四分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(灘尾弘吉君) 御報告いたすことがあります。
 議員鴨田宗一君は、去る二月八日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において去る二月二十一日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
    〔総員起立〕
衆議院は多年憲政のために尽力しさきに商工委員長大蔵委員長法務委員長の要職にあたられた議員従三位勲一等鴨田宗一君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 故議員鴨田宗一君に対する追悼演説
#4
○議長(灘尾弘吉君) この際、弔意を表するため、高田富之君から発言を求められております。これを許します。高田富之君。
    〔高田富之君登壇〕
#5
○高田富之君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員鴨田宗一先生は、去る二月八日逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。
 私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、謹んで哀悼の言葉を申し述べたいと存じます。(拍手)
 私は、先生とは昭和三十三年の第二十八回総選挙以来今日まで七回にわたり、ともに選挙を争い、互いに所属党派は異にしておりましたが、先生の誠実で温厚なお人柄には常々深い親しみと尊敬の念を抱いてまいりました。
 私が去る一月中旬、入院先にお見舞いに上がって、地方選挙の状況などお話し申し上げましたときには、二度三度私の手を握り締められ、激励の言葉をいただいたのであります。その折の先生の明るい表情と、握り締められたたなこころの力強さに、私は、寒さが過ぎればきっとお元気になられるに違いないと信じ、一日も早い御本復を祈ってやまなかったのであります。
 しかるに、二月に入ってから容態が急変し、御家族の手厚い看護のかいもなく、ついにこうして先生と幽明境を異にすることとなろうとは、いまさらのごとく人の命のはかなさを痛感せざるを得ないのであります。
 鴨田先生は、明治三十九年九月埼玉県熊谷市にお生まれになりました。大正十四年に県立熊谷中学を御卒業の後、弘前高等学校を経て、昭和六年東京帝国大学経済学部を卒業され、その後十二年間にわたり、関東各都県の中等学校の教諭として教壇に立たれたのであります。
 先生が教員生活を離れられてからしばらく後、昭和二十年八月十五日未明、まさに終戦を迎えようとする直前、熊谷市の戦災に遭遇されたのであります。この出来事が先生のその後の人生の大きな転機となったのであります。人一倍郷土愛に燃えたきっすいの熊谷っ子である先生は、一夜にして灰じんと化したふるさとの惨状を目の当たりに見て、市の復興は自分の手でと心に深く期し、政界に入る決意を固められたのであります。
 かくして、昭和二十一年二月には熊谷市議会議員に当選され、同年六月には、その識見、力量が認められ、請われて市助役に就任され、翌二十二年には公選第一回の熊谷市長選に立候補して、みごと当選されたのであります。(拍手)
 自来、昭和三十三年まで三期十一年にわたり熊谷市長の要職につかれ、戦後の困難な時代にあって、市の戦災復興に全力を傾注され、今日の熊谷市発展の基礎を築かれたのであります。(拍手)
 その間、先生の文字どおり十年一日のごとき御奮闘と輝かしい実績、並み並みならぬ手腕力量は、郷党の高く評価するところとなり、推されて、昭和三十三年五月、第二十八回衆議院議員総選挙に出馬し、みごと初当選の栄を担われたのであります。(拍手)
 それ以来今日まで連続して当選すること七回、在職二十一年の長きに及んでおります。
 本院議員となられた先生は、熊谷市長時代の豊富な行政経験を生かされて、日夜政策研究に励まれ、やがて国政の各分野に精通したすぐれた政策マンとして、政界に重きをなす素地を着々と築かれたのであります。
 昭和三十八年には建設政務次官に、昭和四十年には経済企画政務次官として国の行政に参画されましたが、やがて昭和四十六年七月には商工委員長に選任され、次いで翌四十七年十二月には大蔵委員長に、さらに昨年一月には法務委員長の要職につかれたのであります。
 この間、特に商工委員長、大蔵委員長在任中は、時あたかもドルショックによりわが国経済が深刻な影響をこうむり、また、国際経済は変動相場制移行に伴うまことに多事多難な時期に当たりました。先生は委員長として、与野党委員の信頼を一身に集められ、終始真剣にこれらの困難な諸問題と取り組んで、その解決を図られた功績はまことに大なるものがあります。(拍手)
 他方、自由民主党内にあっては、商工部会長、中小企業調査会長、政調審議委員などを歴任されて、党の政策の立案と推進に当たられ、また、全国組織委員会副委員長あるいは副幹事長として、席の暖まるいとまもなく党務に東奔西走されたのであります。
 このように、先生の御活躍は多方面に及びましたが、先生の政治生活の中でひときわ光彩を放っておりましたのは、中小企業対策でありました。
 鴨田先生の御父君は、熊谷市の商店街で時計商を営んでおられましたが、先生はみずからの少年時代を述懐して次のように語っておられました。「毎年暮れになると朝早くから夜中まで、寒さにふるえながらたった一人で集金に駆け回った。余りのつらさに涙を流したこともあったが、こんなとき母親がやさしく慰めてくれたことをいまでも忘れない」と。このように、少年時代から中小企業者の苦しみを身をもって味わってこられた先生は、国会議員として中小企業者のために情熱を燃やし、身を挺して奮闘されたのも決してゆえなしとしないのであります。(拍手)
 昨年十一月十三日、埼玉県商工会青年部、婦人部創立記念式典が東松山市で挙行されました。このとき、鴨田先生はすでに病状重く、奥様を初め周囲の方々は先生のお体を案じて、式典への出席を止められたにもかかわらず、どうしてもこれだけはと、病を押して出席されたのでありました。そしてその翌々日から、ついに再び帰れない入院闘病の身となられたのであります。思えばこの式典でのごあいさつが先生最後の演説となったのであります。
 先生は、本院に議席を得られて以来、数々の中小企業関係法の制定、政策の立案に直接参画してこられましたが、特に中小企業の税制と金融面での改善や、信用組合の強化、発展等に大きな貢献をされたのであります。
 さらにまた、大規模小売店舗の進出から中小企業を守るために、関係議員連盟の会長として中小企業の分野調整を大きく前進させたことは特筆さるべき功績の一つでありまして、全国の中小企業者がこぞって先生を中小企業の恩人と仰ぎ、感謝の念を惜しまなかったのもけだし当然のことと申せるでありましょう。(拍手)
 先生はまた、郷土にとってかけがえのない存在でありましたことは申すまでもありません。立ちおくれた埼玉の県北地域の発展のためにたゆまざる努力を傾注されたのでありまして、その数々の業績はとうてい枚挙にいとまがないのであります。先生御逝去の報に接した地元の人々は、皆異口同音に、「先生は地元のことには何事によらず骨身惜しまず努力してくださった、これからも先生にお願いしなければならない問題が山積していたのに」と涙ながらに語っております。
 熊谷に生まれ、熊谷に育ち、郷土熊谷を愛し続けた先生に対し、昨年十二月、熊谷市は名誉市民の称号を贈って、全市民こぞっての感謝の意を表されたのであります。(拍手)
 「政治は最高の道徳である」これが先生の政治信念でありました。自己一身の利害、栄達など寸毫も意に介せず、権力主義を排し、徳をもって政を行うこと、そして、清潔で一点の曇りない政治、国民のたれもが心から信頼できる政治の実現を念じつつ、ひたぶるに精進してこられたのであります。
 また、先生は、ときに失意に打ちひしがれているようなときでも、意外に泰然として、御趣味の小うたや清元を口ずさむ心のゆとりを持っておられましたし、また、首尾よく事が運んで、さぞかし得意満面かと思われるようなときにも、決しておごることなく、みずからの功績を誇ろうとはしなかったのであります。このような奥ゆかしさこそ、たれにもまねることのできない鴨田さんならではのお人柄でありました。(拍手)
 先生亡き後、奥様のお漏らしになったところによりますと、数年前ごろから先生は、高校生時代を過ごしたなつかしい弘前の地にぜひ一度奥様をお連れして、奥様日ごろの御労苦を心ゆくまでお慰めするとともに、御自身の若き日の思い出を新たにしようと、何度も何度も奥様にお約束されていたとのことでございました。しかし、それもいまは見果てぬ夢となってしまったのであります。長い、厳しい政治生活を、このようにおやさしかった先生と御一緒なればこそ、ともに耐え抜いてこられた奥様の御胸中、お察し申し上げるに余りあるものがございます。(拍手)
 享年七十二歳。先生のお命のともしびは静かに消えて、熊谷の菩提寺のもとで永遠の眠りにつかれたのでありますが、その全生涯をひたすら大衆にささげられた先生の魂は、多くの人々の胸の中にとこしえに生き続けていくことでありましょう。(拍手)
 現下内外の情勢は激動を続けております。このときに当たり、庶民の中から生まれ、庶民とともに歩み続けられた大衆政治家鴨田宗一先生を失いましたことは、ひとり先生の所属する自由民主党のみならず、本院にとっても、わが国にとっても、まことに大きな損失と申さなければなりません。(拍手)
 ここに、謹んで、尊敬してやまない鴨田宗一先生の御遺徳をしのび、生前の御功績をたたえ、心から御冥福をお祈りして、追悼の言葉といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 中央社会保険医療協議会委員任命につき同意を求めるの件
#6
○議長(灘尾弘吉君) お諮りいたします。
 内閣から、中央社会保険医療協議会委員に圓城寺次郎君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#7
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日本専売公社法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#8
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、日本専売公社法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。大蔵大臣金子一平君。
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#9
○国務大臣(金子一平君) 日本専売公社法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国財政は、昭和五十年度以降、特例公債を含む大量の公債発行に依存する異常な状況にあり、わが国経済の発展のためには、財政の再建が最も緊急な課題となっております。昭和五十四年度の予算編成に当たっては、歳出の一層の節減合理化に努めるとともに、税収及び税外収入について制度の見直しを行い、歳入の確保に努めることとしたところであります。その一環として、小売定価が昭和五十年末以来据え置かれてきた結果、製造原価の上昇に伴い、売り上げに占める専売納付金の比率が相当の低下を見ている製造たばについて、その小売定価を改定することとし、所要の改正を行うことといたしたものであります。
 また、現在の専売納付金制度のあり方等につきましては、従来から種々の論議があり、制度の改正の必要を生じております。このため、昨年十二月の専売事業審議会の答申を踏まえ、製造たばこの価格形成方式の明確化、財政収入の安定的確保と日本専売公社の自主性の向上、その経営の効率化を図る見地から所要の改正を行うこととしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、製造たばこの小売定価を改定するため、その種類ごと、等級別に法定されている最高価格を、紙巻きたばこについては十本当たり十円ないし三十円、パイプたばこについては十グラム当たり十二円、葉巻きたばこについては一本当たり十円ないし四十円、それぞれ引き上げることといたしております。
 第二に、専売納付金制度の改正につきましては、現在、専売納付金の額は日本専売公社の純利益から内部留保の額を控除した額とされておりますが、これを製造たばこの種類ごと、等級別に応じ、小売定価に売り渡し数量を乗じた額に法律で定める一定の割合を乗じて得た額から地方たばこ消費税の額を差し引いた額とすることとし、財政収入の安定的確保を図るとともに、小売定価に占める国及び地方の財政収入となる金額の割合を明らかにすることとしております。
 第三に、専売納付金制度を改正することに伴って、日本専売公社の経営がその企業努力だけでは吸収し得ない原価の上昇によって圧迫されるおそれが生ずることとなることにかんがみ、現行の最高価格法定制を基本的に維持しつつ、たばこ事業において損失が生じた場合または生ずることが確実な場合に限り、大蔵大臣は、あらかじめ専売事業審議会の議を経た上、法定された限度内で暫定的な最高価格を定めることができることとしております。
 このほか、専売納付金制度の改正に関連し、輸入製造たばこに係る関税率を改定する等、所要の改正を行うこととしております。
 以上、日本専売公社法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本専売公社法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#10
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。佐藤観樹君。
    〔佐藤観樹君登壇〕
#11
○佐藤観樹君 昭和二十四年に日本専売公社が大蔵省の専売局から独立いたしまして、ことしはちょうど三十年目に当たるわけでございます。この意義ある年に、ただいま説明がありましたような日本専売公社法等の一部を改正する法律案によりまして、専売公社発足以来初めての大幅な制度改正がなされるわけでございますけれども、いまや喫煙人口二千五百万人、国民三人に一人がたばこを吸う、たばこ事業関係者が四十数万人、年間売上高二兆円を超えるという、一つの産業秩序を形成しつつあるこのただこ専売事業が、将来を誤ることのないよう、私は、日本社会党を代表して、重要な数点のみ質問をいたします。(拍手)
 まず第一は、何といっても、たばこの民営化問題と専売制度の将来に関する点であります。
 昨年一年間は、たばこ事業関係の公社職員、葉たばこ耕作者、たばこ販売人等にとりましては、この民営化問題に振り回された一年と言っても決して過言ではありませんでした。昨年六月十九日、公共企業体等基本問題会議は、「たばこ事業の経営形態については、専売制度を廃止し、日本専売公社を分割して、民営化するのが適当である。」との意見書を提出し、現在大蔵省においてこの提言を検討しているようであります。まさに、この意見書は、たばこ事業関係者四十数万人にとりまして、その将来を奈落の底に突き落とされたようなものでございました。なぜなら、アメリカのレイノルズ、フィリップモリス、イギリスのブリティッシュ・アメリカン・タバコ・コーポレーションなどのように、自由世界市場の約六割を独占をしている国際たばこ資本は、自由世界市場第二のたばこ消費国である日本市場を虎視たんたんとねらっており、もし公社を分割をして民営化した場合には、この巨大資本に日本市場は一たまりもなく席巻され、たばこ事業関係者四十数万人は、直ちに雇用不安に見舞われ、路頭に迷うことは、火を見るよりも明らかであるからであります。
 総理は、四年前の値上げのときに、大蔵大臣として、参議院本会議場で、たばこ事業は七十年余にわたって、専売制度のもとで、国民生活の中で慣熟してきましたし、都鄙を通じて支障なく運営されておるので、専売制度をにわかに改める考えは持っていない旨を述べています。しかし、その後公企体等基本問題会議の意見書が出されているのですが、専売制度七十数年の歴史は、深く国民に根差し、国や地方自治体への財政貢献を初め、地域産業や雇用確保に多大の実績を残していることは疑う余地はありません。
 総理は、仮にたばこ専売制度を民営化した場合の混乱や問題をどう認識されているのか、また、今回の制度改正は民営化への一里塚ではない、全く関係のない改正と理解してよいのか、その見解を承りたいと思います。(拍手)
 さらに、今回の改正の大きな柱である納付金率の法定化や定価法定制の緩和につきましては、後で詳しくお伺いいたしますけれども、これらの改正は、政府の財政収入を上げる上で大変都合のいいところだけを手直しをいたしまして、公社がかねてから経営効率を上げる上で必要な事項は何ら改正されていないことは全く不満であります。たとえば、原料や資材などを安いときにいつでも買えるよう、単年度の予算制度や資金調達を緩和をするとか、労使の当事者能力を高めるために給与総額制を改めるなど、経営者の自主的判断を行う場合の阻害要因を取り除き、専売事業が企業的能率運営ができるようにすべきだと思いますけれども、その施策について明確にしていただきたいと思います。
 第二の問題は、値上げによるもろもろの影響であります。
 ただいまの説明では、平均二〇%値上げをいたしまして、国庫への納付金は二千二百四十億円増収になると計算をしております。しかし、平均二〇%の値上げということは、消費者一人につき年間一万円の負担増加となり、消費者物価を〇・三七引き上げる、こういう大きな影響になるわけでありますから、決して影響は小さくありません。四年前の値上げのときを見ましても、消費本数が回復をするまでにはかなりの月数を要していますから、政府がもくろむような財政収入が確保できるかはきわめて疑問であります。たとえ政府の言うとおり、値上げによる消費減退が三千二十億本でとまったといたしましても、専売公社の生産能力との差は百八十億本でございまして、これは公社の工場三カ所をつぶすことになりますし、葉たばこ耕作面積に換算をいたしますと、約四千ヘクタールもの作付面積の減反となるのであります。これらが公社職員や葉たばこ耕作者にとって重大問題であることは、言うまでもありません。
 政府は、この値上げによる消費減退で引き起こされるこれらの不安をどう考え、どのように対処していくのかをお伺いをしたいと思います。
 さらに重要なことは、最近のたばこ消費の長期的停滞とたばこ事業の将来の問題であります。五十年の値上げ以前はコンスタントに百億本ずつ消費が伸びておりましたけれども、五十年の値上げのときにはこの伸び率は約半分に落ち、五十一年にはついに前年を下回る事態となったのであります。昨年は若干消費回復の兆しは見えたものの、ことしは横ばいないしは下回るのではないかと予想されております。との理由には、成年人口の伸び率の鈍化や喫煙と健康の問題などがありますが、値上げの影響もまたこのたばこ離れの大きな原因であります。
 値上げで消費本数が減る、財政収入確保のためにまた値上げ、こうしてたばこ離れを一層促し、関係者の労働不安を起こすという悪循環を、政府は一体どう考えているのでありましょうか。まさか、高価格のたばこにすれば喫煙本数が減って国民の健康のためにいいし、一定の財源だけは確保できる、こう考えているわけではないと思います。たばこ消費の長期停滞傾向の中で、価格引き上げがさらにたばこ離れを起こすというこの悪循環をどう考えているのか、たばこ事業の将来展望をお聞かせ願いたいと思います。
 値上げの問題に関連をしまして、もう一点だけ触れておかなければならないのは葉たばこ耕作の問題であります。いま日本の葉たばこの価格は輸入葉の約二倍に達していますが、専売公社の買い入れ葉の約七〇%はこの高い国内葉に依存をしております。これは明らかに国内の葉たばこ耕作者を守るためであり、ひいては、米の減反を強いられる日本農政のしりぬぐいをしているわけであります。これを日本専売公社だからこそできるものでありまして、もし、たばこ事業が民営化した場合には、日本の葉たばこ耕作者は壊滅的打撃を受けて、なくなってしまうでありましょう。この農政負担分が約千五百億円で、国庫への納付金の約二割に達する額でありますから、決して小さくはありません。
 本来なら、この農政負担分は農林省予算の中で見るべきでありますけれども、それは別といたしまして、農林水産大臣は、直接葉たばこに関しては担当でないにしろ、以上のような背景を持った葉たばこ耕作を、日本農業の中でどのように位置づけようとしているのか、育成しようとしているのか、お伺いしたいと思います。
 第三の問題は、納付金率の法定化についてであります。
 従来は、大蔵省と専売公社の覚書によりまして、売り上げから原材料・諸経費、地方たばこ消費税、それに販売手数料を引いた残りを、そのときどきの財政状況を勘案しながら、大蔵省の意向によって専売公社の内部留保を差し引いて国庫納付金の額が決められていたわけであります。したがって、定価の改定、値上げと申しましても、その理由が、コストアップによるもののためなのか、それとも納付金率、つまり税率が上げられるのかわからない、こう長らく指摘をされてきたところであります。その意味で、納付金率の法定化は、たばこ税相当分が消費者にもはっきりとわかることになり、その意味では理解できるところもあります。
 しかし、その納付金率が平均五六%という高率なのは、一体どんな根拠によったのでしょうか。現行の地方たばこ消費税率が二八・四%なので、これを動かさず、かつ国もほぼ同率のたばと税をいただくということで、この倍の五六%を平均の納付金率にすると大蔵省は説明をしています。だが、消費にかける税率が、それも庶民のささやかなリフレッシュ剤に五〇%を超える高税率を恒久的に課税することは、決して国民の納得を得ることはできないと思います。間接税に多くを依存する国には、たばこにこれ以上の高税率を課している国があることも、また、わが国の過去の納付金率が五五%前後であったことも私は知っていますけれども、国民の皆さん方にも、そうか、わかったと説得できるように、この納付金率五六%の根拠を説明を願いたいと思います。
 第四は、定価法定制を緩和する問題についてであります。
 今回の改正案の大きな柱として、専売公社が一定の条件のもとで、国会の承認を経ずして暫定最高価格を定める、つまり値上げができることになっております。しかし、これは財政法第三条に違反すると私は思います。三条にははっきりと「事実上国の独占に属する事業における専売価格」は「すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」となっていますし、財政法第三条の特例に関する法律でも同趣旨が書かれております。いわゆる国鉄運賃は私鉄や飛行機などと競合があり、いまや国の独占に属する事業には当てはまらないと政府は言ってきましたが、専売公社のたばこ事業は明らかに国内に同種類の事業や競合する産業はない、完全な独占体であり、その価格は専売価格であることは明らかであって、いかなる条件をつけようとも、この専売価格を決定するのは国会の承認を財政法第三条は求めていると思いますが、いかがでございましょうか。
 この質問に対して恐らく政府は、たばこの価格が専売価格であることは認めても、財政法三条は、国会の議決に基づけばいいのであって、専売価格そのものを国会の承認を求めなくても、専売価格を決定する条件、手続、プロセスを国会で承認されていれば、政府は独自に専売価格を決定できる、したがって財政法第三条に違反しないと答えるでありましょう。よしんば、この解釈に立つにいたしましても、それならばその条件どおりに事態が立ち至っていることをはっきりと国会でわかるシステムになっていなければ、財政法第三条は空文化したに等しいのであります。(拍手)
 今度の改正では、定価改定の際の四条件といたしまして、一、専売公社が赤字または赤字が見込まれるとき、二、物価変動率の範囲内で、三、法定価格の一・三倍まで、四、専売事業審議会の議を経てと、四つの条件をつけております。定価値上げの際、これらの条件がどれも満たされたことが国民にわかるためには、単に貸借対照表や損益計算書、資産や事業損益の推移などだけではなく、さらに立ち入って原価の公開をしない限り、値上げの一番重要なファクターである、専売公社が赤字かあるいは赤字が見込まれるということを確認をすることはできないわけであります。まは、暫定価格を決める専売事業審議会も、生産者や消費者の代表を含めた民主的構成でなければ、この四条件を国民の側で担保することはできません。
 政府は、このような原価の公開や専売事業審議会の民主化をするつもりがあるのかどうなのか、所信をお伺いをしたいと思います。
 以上、大変長くなりましたけれども、本法案は事ほどさように多くの重要問題を含んでいます。したがいまして、私たちは、あわただしい統一地方選挙を終え、メーデーから連休も安いたばこで済まし、後に慎重にじっくりと、たばこ専売事業の将来に禍根を残すことのないよう審議していくことを申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#12
○内閣総理大臣(大平正芳君) 私に対する佐藤さんの御質問は、公社の民営化問題についての政府の基本的な考え方でございました。
 日本専売公社法の今回の改正でございますが、これは従来からの国会での御論議を踏まえまして、製造たばこの価格形成方式を明確にし、財政収入の安定的確保を図りますとともに、公社の企業性を高めることをねらいといたしておるものでございまして、直ちに公社の民営化につながる意図を持って提案いたしておるものではございません。
 たばこ事業の民営化は、現在、国民の経済、生活の中に定着いたしておる専売制度のもとにありまする関連産業、とりわけ葉たばこの耕作の維持、またその製造たばこの販売店の取り扱いその他影響するところ、御指摘のように大変広範でございます。したがって、政府としては、関係各方面の御意見を十分聴取しながら、今後慎重に検討、対処していくつもりでございます。
 その他の問題につきましては、所管大臣からお答えいたします。
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#13
○国務大臣(金子一平君) 佐藤さんにお答えいたします。
 専売公社の予算制度及び給与総額制のあり方につきましては、公共企業体等の基本問題調査会の意見書の趣旨を尊重しながら、現在検討を進めておるところでございます。
 それから第二点の、値上げによって消費の本数が減少する問題につきましては、これは御指摘のとおり、定価改定によりまして本数の減少が見込まれまするけれども、これは公社の営業面の努力によって克服して、対処をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 また、耕作面積につきましては、たばこ耕作審議会等の意見を十分聴取いたしまして、耕作者の納得を得ながら対策を講じていくつもりでございます。
 それから、値上げによってまた財政収支バランスが崩れるために、再び値上げが行われるような悪循環についてどう考えるかということでございまするが、たばこ消費は一時的減少の後回復して、そのまま大体安定的に推移すると考えます。もちろん、長期的には昭和四十年代のような高い伸びは期待できませんけれども、たばこに対する消費は安定的に推移すると考えておる次第でございます。
 それから、納付金率の五六%を決めた根拠いかんということでございますが、一つには、過去における専売納付金と地方たばこ消費税の額の定価代金に占める割合、二つには、たばこ事業の国及び地方に対する財政寄与の割合を平年度においておおむね等しいものとすることとし、三つ目には、諸外国におけるたばこに対する税率が売上税等を含めますと大体七〇%以上でございまして、たばこ消費の財政寄与の割合を五六%程度としても決して高いものとは考えられないこと等を考慮いたしまして、関税収入を含めておおむね五六%程度となるように定めたものでございます。
 それから、たばこ定価法定制の緩和が財政法第三条に違反しないかという問題でございますが、財政法第三条は、御承知のとおり、国の独占に属する事業の価格、料金については法律に基づいて定めなければならない旨規定しておりまするけれども、いかなる基づき方にするかについては、その事業の独占性の程度でございまするとか、当該事業が提供する給付を利用することの国民生活上の必要性の程度等を総合的に判断して結論を出すべきものと考えます。今回の製造たばこの定価決定方式の変更は、専売納付金に関する制度改正に伴いまして、公社の経営がその企業努力で吸収できない原価の上昇により圧迫されるおそれが生ずることを考慮いたしまして、一定の厳格な条件のもとで大蔵大臣による最高価格の改定ができるように法律で定めようとするものでございまして、財政法第三条の規定に違反するものではないと考えております。
 なお、個別原価を公表できないかということでございまするが、個別原価は、これは企業上の秘密に関することでございますので、御容赦をいただきたいと思います。
 それから、四条件を国民にいかにして確認させるのか、そのために必要な専売事業審議会の改組を考えたらどうかという御提言でございまするけれども、御承知のとおり、暫定最高価格を決めるに当たりましては、専売事業審議会で審議をお願いすることといたしておりまして、法律、政令で定める条件を充足しておるかどうかは、当然のことでございまするけれども、その審議会で確認されることになると考えておるのであります。審議会は、現在、学識経験者、民間人、たばこ耕作者、公社の職員代表で構成されておりまして、当然のことながら、消費者、生産者等の利害を含む広い見地から御審議いただけることと確信いたしておる次第でございます。
 なお、暫定最高価格の決定に当たりましては、あらかじめ物価安定政策会議の意見をも聴取することとしておりまして、この会議でも各方面からの忌憚のない意見を伺って、それを反映させることになると考えておりまするので、現在の審議会の委員の構成は妥当なものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣渡辺美智雄君登壇〕
#14
○国務大臣(渡辺美智雄君) 答弁いたします。
 葉たばこ耕作が日本農業の中でどういうような位置づけをされておるか、こういうような御答弁でございますが、葉たばこの耕作は、われわれとしては非常に重要な農産物と考えております。これは農林省の直接の所管ではございませんが、何と申しましても、葉たばこの総生産額というのは、五十一年度で見ると約二千三百四十七億円。これは、畑の作物の中ではこれが最大なんです。面積から申しますと、大体葉たばこは六万三千ヘクタール。大豆の十二万七千とか、バレイショの十三万一千よりは少ないけれども、金額に至ってははるかに葉たばこの生産高の方が多い。バレイショの約二倍、それからお茶の葉っぱ、お茶の生葉の約三倍弱、こういうことになっておって、これは農業の、米とか豚とか鶏とか、そういうものも含めましても、葉たばこ関係というのは大体ベストテンのうち七番目に入っておるわけであります。したがいまして、これは人員も十一万六千名もおりますし、これは減っては困るわけであります。反当収量は、反当たり三十五万円を超える高収入の作物でございますから、農林省といたしましても、今後ともいろいろな農業基盤の整備、構造改善事業の推進あるいは特産物の畑作振興対策事業あるいは近代化資金の貸し付け、こういうような諸般の助成策を講じて葉たばこの振興には努めてまいりたい、かように考えております。(拍手)
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#15
○議長(灘尾弘吉君) 坂口力君。
    〔坂口力君登壇〕
#16
○坂口力君 私は、公明党・国民会議を代表しまして、ただいま議題となりました日本専売公社法等の一部を改正する法律案について、総理及び大蔵大臣に対し、数点の質問を行うものでございます。
 まず、この法律案を一読しましたときに、たばこは嗜好品であり、国民からも生活必需品のような反対はあるまい、という政府の安易な考え方を読み取ることができるのであります。しかしながら、たばこは、いまさら述べるまでもなく、一度その習慣を身につけてしまえば心身をとりこにし、容易にやめることのできないものであり、単なるアクセサリーではなく、国民にとって、ある意味では生活必需品以上の性格を持ったものであることを、まず申し述べておきたいと思います。
 さて、総理、最近の物価動向をどうごらんになりますか。昨年十一月以来、四カ月連続して上昇を続けていますことや、輸入物価も二・九%の四年半ぶりの大幅上昇となるなど、その先行きが大きく懸念されているのであります。また、政府関係でも、経済企画庁長官や日銀総裁が、予算委員会におけるわれわれの質問に対し、物価はすでに警戒水域に入ったと答弁されていることや、マネーサプライの動向などから、今後の経済運営の重要な柱が物価の安定にあり、その動向によって今後の経済が左右されることは明らかであります。
 しかし、政府は、物価動向の先行きに懸念を抱きながら、一方では、本日議題になりましたたばこの値上げを初め、すでに引き上げられました消費者米価のほか、国鉄運賃、医療費負担増加、公立学校の入学金など、一連の公共料金の引き上げを予定をいたしております。特に、近年の消費者物価と公共料金の推移を経済企画庁の資料で見ましても、昭和五十年度を一〇〇としました場合に、五十二年度は消費者物価が総合で一一九・三であるのに対し、公共料金は一四一・一と、いわば公共料金主導型の物価上昇になっているわけであります。また、国民生活は、予算案で見るとおり、所得税減税が見送られ、それによる実質増税や、それほど多くのベースアップが期待できないなど、負担増を余儀なくされているのであります。したがって、予定どおり公共料金の値上げが実施されるとすれば、すでに懸念されている物価高騰は避けがたく、国民生活に重くのしかかってくることは必至と見なければなりません。
 私は、この際、政府が英断をもって、少なくとも公共料金は当面引き上げないことを原則とすべきであると思いますが、総理の見解を伺っておきたいと思います。(拍手)
 次に、今回の改正案は、たばこ定価の三〇%以内の引き上げならば大蔵大臣に引き上げをする権限を与えるという、いわゆる法定緩和を盛り込んでおりますが、これはとうてい納得できるものではありません。
 なぜならば、たばこの専売制度は他の税金と同じ性格を持つものであり、課税については憲法第八十四条で租税法律主義が規定されております。また、先ほども議論になりましたように、財政法第三条、財政収入と国会の権限では、租税のほか、「国権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上国の独占に属する事業における専売価格若しくは事業料金については、すべて法律又は国会の議決に基いて定めなければならない。」と規定しているとおりであります。しかるに、今回の政府の改正案は、立法府たる国会の地位を軽んずるものであり、また、国会議員の審議権を縮小化するものであると言わなければなりません。
 しかも、たばこ専売制度は、政府・自民党が昭和五十二年度に強引に成立させた国鉄運賃の法定緩和とは異なるものであります。すなわち、たばこはほかに全く競争相手がいないことなどから、その条件を異にすることは明らかであります。法定緩和後の国鉄運賃が毎年値上げをされていることから考えましても、今後、たばこ定価が安易な値上げに走るおそれは十分にあります。
 したがって、この法定緩和は憲法及び財政法の本旨に反し、削除すべきことを主張しますとともに、先ほども答弁がありましたが、納得しかねますので、総理より、より理論的な見解をお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、製造たばこの輸入と対外諸国の経済調整問題についてお伺いをいたします。
 現在、わが国政府の経済運営について、対外諸国、とりわけ米国から強い批判を受けております。特に最近では、電電公社の機械調達の門戸開放が強く要求されるなど、政府調達の物資の自由化が求められております。専売公社の製造たばこ及び葉たばこの輸入には、政府調達物資ではないにせよ、専売制をとっている以上、その自由化を強く求められることは必至であります。
 私は、この意味から、葉たばこの輸入については、現在輸入量が使用量の約三四%となっていることや、葉たばこ生産農家の実情から見て、その量を急激に拡大することには賛成しがたいものであります。
 しかし、製造たばこにつきましては、今回の改正で関税をEC諸国並みに下げたからそれでよしということにはならないと思います。外国たばこが販売シェアに占める割合は約一%であり、フランスなどヨーロッパの一〇%にははるかに及ばず、これを放置しておくことは、すでに米国の議会で強まっている保護貿易の立法化に輪をかけ、わが国の経済に重大な影響を与える危険が十分にあります。
 私は、そうした危険を未然に防ぐ意味から、少なくとも海外製造たばこについては、さらに関税率を工夫するなど、調整を早期に進め、葉たばこ農家に配慮をしつつも、決断をしなければならないときが来ていると思いますが、総理の大局的な立場からの所見を伺いたいと思います。
 さらに、最近には、嫌煙権が叫ばれ、ましてや喫煙いたします本人の健康問題には大きな関心が寄せられております。多くの疫学的データから、肺がんを始めとする呼吸器疾患との関係、さらには脳卒中や心筋梗塞など血管系とのかかわりが研究され、統計的に有意な相関のあることは多くの学者が指摘しているところであります。この問題は、昭和五十年の大蔵委員会においても、科学的な研究を一層強化し、国民がより安心して吸えるたばこの供給に努めることを附帯決議としております。
 しかし、専売公社はいままで、研究を依託してもその結果の発表を差し控えるなど、消極的な姿勢が目立っています。日本で製造するたばこには、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と書かれていますが、吸い過ぎではなくて、平均的な喫煙ですら疾病との相関が強く指摘されていますので、「健康のため吸わないように注意しましょう」とまでは書かなくても、少なくとも「健康のため喫煙に注意しましょう」ぐらいの的確な表現で書くべきではないかと思います。さりながら、一方、喫煙が習慣となってしまった人間にとって、吸わないことは精神的に、ときには肉体的苦痛を伴うものであり、静かにくゆらす一服のたばこから、迷える人生に歴史的決断の生まれることのあるのもまた事実であり、喫煙と健康の関係をさらに研究し、国民に公表すべきであると思いますが、大蔵大臣のお考えを伺っておきます。(拍手)
 さらに大蔵大臣への質問を続けますが、たばこ専売事業の経営問題についてであります。
 たばこ専売の経営については、昨年の六月、公共企業体等基本問題会議より、公共性及び経営の効率性から民営化が有効であるとの意見書が提出され、閣議においてもその意見を尊重するとの決定がなされております。また、この問題は、意見書にあるように、葉たばこ生産農家、外国たばことの競争、あるいは専売公社の職員の処遇など、多くの課題を抱えていることも事実であります。
 したがって、問題の中心が労働問題にあることからも慎重を要する事柄であり、大蔵大臣は今後どのように取り組まれるのか、また最終回答をいつごろ出すつもりなのかもあわせてお伺いをしたいと思います。
 第三に、たばこ定価と消費者の納税についてでありますが、今回の改正案でその率が明らかになったことは、われわれの主張してきたところであり、評価するものであります。しかし、消費者及び納税者の立場に立って考えるならば、これで十分とは言えないのであります。
 特にたばこの原価について、クラス別には明らかになっていますが、製品別には全く公表されていないのであります。しかも、製品の多様化や新種化については、昭和五十年度の値上げ以降、紙巻きたばこだけでも十一種類に及んでいます。
 このように単に販売拡張のみに努力するのではなく、消費者が納得できるように、製品別の製造原価を公表されることを要求いたしますが、御答弁をお願いいたします。
 同時に、専売公社は、いわゆる円高差益が五十二年度で百七十八億円、五十三年度で二百五十七億円も見込まれています。これらも、何らかの形で消費者に還元する具体案を示すべきであると思いますが、あわせて大蔵大臣の答弁を求めるものであります。
 最後に述べたいことは、今回のたばこ定価の値上げと法定緩和による将来の値上げの可能性をあわせて考えたとき、専売公社の経営状態とは別に、大衆増税化路線の中に、たばこが税の対象として明確に位置づけられたということであります。
 景気回復いまだの感が深い現在、可処分所得、消費支出、いずれも改善の兆しが不十分な状態であり、たばこ値上げの結果起こる実質的なマイナスと、心理的な国民への重圧感ははかり知れないものがあります。言うまでもなく、その影響が低所得層により強く出ることは必至であり、安易な値上げを見送られることを要求して、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#17
○内閣総理大臣(大平正芳君) 坂口さんの第一の御質問は物価政策についてでございます。すなわち、経済の運営の最大の問題は物価の安定であるが、政府はことしも公共料金の若干について引き上げを行っているのは理解できない、真意はどうかという御質問でございました。
 仰せのように、物価の安定基調を維持してまいりますことは、政府にとって最大の任務であると考えております。こういう観点から、公共料金の取り扱いについて慎重を期さなければならぬことは申すまでもないことでございまして、関係企業の経営の合理化を一層徹底して、そして物価、国民生活への影響等に十分配慮しながら公共料金の策定に当たらなければならぬと考えております。五十四年度の予算編成に際しましても、一部公共料金の改定を予定いたしておりますが、これは真にやむを得ないもので、時期及び値上げ幅等におきましては国民生活への配慮を十分いたしました微調整のものでございまして、御理解をいただきたいと思います。
 第二点は、たばこ法定制緩和は憲法や財政法にもとるものではないか、これはむしろ削除すべきではないかという趣旨の御質問でございました。
 製造たばこの定価は、もとより租税そのものではございませんので、憲法第八十四条に直接抵触するものと思いませんけれども、しかし、製造たばこの定価の中には相当税金分が含まれておりますことは明らかでございますので、ここにいうところの租税法律主義の趣旨に反しないように十分配慮していかなければならぬことは、十分政府も心得ておるつもりでございます。
 財政法第三条は、国の独占事業の専売価格につきまして、法律に基づいて定めなければならない規定になっておりまするけれども、これにつきましては、今回の製造たばこの定価決定方式を考えるに当たりまして、一定の厳格な条件のもとで大蔵大臣による最高価格の改定ができるようにするという、法律でこれを定めようとするものでございまして、財政法第三条にもとるものとは考えていないのでございます。
 その他の点につきましては、大蔵大臣からお答えいたします。(拍手)
    〔国務大臣金子一平君登壇〕
#18
○国務大臣(金子一平君) 坂口さんにお答えします。
 第一点の、製造たばこの関税の決め方でございますが、今回改正される製造たばこの関税率は、他の輸入物品と同じように、製造たばこの内外の価格差等を基準として設定したものでございまして、妥当な水準となっておると考えます。
 それから第二の、喫煙と健康の関係でございまするけれども、喫煙の健康に及ぼす影響につきましては、専売公社において研究機関に委託したりいたしまして、引き続いて医学的な研究の充実に努めておるのでございますが、今日までの研究の成果からいたしますると、なお多くの研究の余地が残っておると考えます。しかし、喫煙と健康の問題がニコチンやタールの量との関連で論じられておることもございますので、公社ではニコチン、タールの低い製品の開発にも努めて、安心して吸えるたばこの供給に努力いたしております。
 特に、「吸いすぎに注意しましょう」というあの表示をもっと強くしたらどうかという御提言をいただきました。たばこのみの念頭に、現在の「吸いすぎに注意しましょう」という言葉が常に定着しているように考えますので、現在の表現でも適切なものでないかと考えますが、なおこの点につきましては十分に検討さしていただきます。
 それから、民営化の問題でございます。公共企業体等基本問題会議意見書におきまして、たばこ事業の経営形態に対して民営化が適当であると提言されておることはそのとおりでございますが、たばこ事業の民営化は、現在専売制度のもとにある国産葉たばこをどう処理するかとか、販売店の取り扱いをどうするか等、その影響するところが大きな問題を抱えておる次第でございますので、大蔵省といたしましては、この問題につきましては昨年来、学識経験者の意見を聴取しながら検討を進めておる次第でございます。したがいまして、こういった重要な問題を含んでおりますので、現在の時点で、いつまでに結論が得られるかということをお答えすることは困難な状況にございます。
 それから、個別銘柄の製造原価を明らかにしたらどうかということでございますが、これは、世界のどの国のどのメーカーでも企業の最高の機密としておることでございまして、専売公社の個別原価を公表いたしますると、外国メーカーとの競争等においていろんな不利益が予想されますので、この点は御容赦いただきたいと思うのでございます。
 それから、輸入葉たばこについて、円高による小売価格の減少が生じるが、葉たばこは、たばこに製造されるまでに二年程度熟成させる必要がございまして、購入原価の減少がすぐ製造たばこの原価の減少には反映しないのでございます。
 さらに、輸入葉たばこが製造原価に影響する時点においても、それまでの間には、ほかの原価、たとえば国産葉たばこでございまするとか人件費の価格の上昇が見込まれまして、これが輸入葉たばこのコストの下がった分と相殺されることになるわけでございまして、今回の定価改正案と公社の五十四年度予算案は、こうしたいろんな事情を総合した結果を基礎として作成されておるのでございまして、五十四年度に発生が見込まれる円高差益のみの効果はすでに織り込み済み、こういうふうに御理解いただきたいのでございます。
 以上でございます。(拍手)
#19
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#20
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十三分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 金子 一平君
        厚 生 大 臣 橋本龍太郎君
        農林水産大臣  渡辺美智雄君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      前田 正道君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       名本 公洲君
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ソース: 国立国会図書館
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