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1978/03/13 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第13号
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1978/03/13 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第13号

#1
第087回国会 本会議 第13号
昭和五十四年三月十三日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十二号
  昭和五十四年三月十三日
    正午開議
 第一 食糧管理特別会計法の一部を改正する法
    律案(内閣提出)
 第二 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給
    臨時措置法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
 第三 特定市街化区域農地の固定資産税の課税
    の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の
    一部を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 日程第一 食糧管理特別会計法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 日程第二 農地所有者等賃貸住宅建設融資利子
  補給臨時措置法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 日程第三 特定市街化区域農地の固定資産税の
  課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
    午後零時四分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(灘尾弘吉君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 毛利松平君から、海外旅行のため、三月十五日から三十日まで十六日間、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一 食糧管理特別会計法の一部を改正
  する法律案(内閣提出)
#5
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
#6
○加藤六月君 ただいま議題となりました食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 御承知のとおり、最近における米の需給は、連年の豊作による生産量の増大、米消費の減退傾向等から供給過剰の状態が続き、このため、食糧管理特別会計の国内米管理勘定はいわゆる過剰在庫を四百八十万トンも抱えることとなっております。
 このため、一方で米の生産調整と他作物への転換を内容とする水田利用再編対策を推進するとともに、米の消費拡大を図り、米需給の均衡の回復に努めているところでありますが、他方、現に保有しております過剰在庫の米穀については、やむを得ず、これを一定の計画のもとに加工食品の原材料の用、飼料用その他食糧以外の用途に売り渡し、または輸出を目的として売り渡す方法によって処理することといたしております。
 この場合、過剰米の売り渡しに伴い国内米管理勘定に生ずる損失は相当多額に上るため、その発生の年度に全額これを一般会計から補てんすることは財政上困難でありますので、本案は、前回の過剰米処理の例にならい、食糧管理特別会計法の一部を改正して、この損失の一部を国内米管理勘定において繰り越し整理するとともに、七年度内の期間において一般会計から同勘定へ計画的に繰入金をしてこれを補てんすることができることとしようとするものであります。
 本案につきましては、審査の結果、去る三月七日質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 農地所有者等賃貸住宅建設融資利
  子補給臨時措置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第三 特定市街化区域農地の固定資産税
  の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置
  法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#9
○議長(灘尾弘吉君) 日程第二、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案、日程第三、特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。建設委員長伏木和雄君。
    〔伏木和雄君登壇〕
#10
○伏木和雄君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。本案は、農地の所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅の建設等に要する資金の融通について、政府が利子補給金を支給する契約を結ぶことができる期間を三カ年延長し、昭和五十七年三月三十一日までとするとともに、対象融資の利率を年五・五%以内で政令で定めるものとすること等としております。
 本案は、去る二月九日本委員会に付託され、二月二十八日建設大臣より提案理由の説明を聴取、三月二日質疑を終了し、三月八日採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 次に、特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、特定市街化区域農地の宅地化を促進するため、特定市街化区域農地の所有者が市に対して土地区画整理事業の施行の要請をすることができる期限及び特定市街化区域農地の所有者等が当該農地を転用して中高層の賃貸住宅または分譲住宅を建設する場合における住宅金融公庫の貸し付けの特例を適用する期限を、昭和五十七年三月三十一日まで延長しようとするものであります。
 本案は、去る二月十四日本委員会に付託され、二月二十八日建設大臣より提案理由の説明を聴取、三月二日質疑を終了、三月八日討論を行い、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(灘尾弘吉君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#13
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正
  する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#14
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣金子岩三君。
    〔国務大臣金子岩三君登壇〕
#15
○国務大臣(金子岩三君) 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 原子力の開発利用を進めるに当たりましては、安全の確保を図ることが大前提であることは申すまでもありませんが、さらに万一の際における損害賠償制度を確立し、被害者の保護に遺漏なきを期することにより国民の不安感を除去するとともに、原子力事業の健全な発展に資することが必要であります。
 このような観点から、原子力損害の賠償に関する法律が昭和三十六年に制定され、原子力事業者に無過失損害賠償責任を課すとともに、原子力事業者への責任の集中、損害賠償措置の義務づけ等の一連の制度を導入してまいったのであります。
 しかしながら、この法律では、従来、一般人の受けた原子力損害を対象としており、原子力事業者の従業員の業務上受けた損害は、その対象とはしていなかったのであります。この点については、国会を初めとして各方面より、原子力事業者の従業員の受けた損害を対象とすべきであるとの指摘が行われており、一般人と従業員とを特に区別せず、従業員の受けた損害の賠償体系を整備することが必要と考えられます。
 また、昭和四十六年の法改正時よりすでに八年を経過しようとしており、この間の情勢の変化に照らし、賠償の履行を確実ならしめるため用意されている賠償措置の額についても見直しを行う必要があるとともに、原子力損害賠償補償契約及び国の援助の制度についても、今後の原子力の開発利用を進めるに当たって、引き続きその存続を図ることが不可欠であります。
 これら諸点につきましては、従来原子力委員会において鋭意検討してまいりましたが、このたびその結論が得られましたので、これに沿うて改正案を取りまとめ、ここに提出いたした次第であります。
 次に、本法律案の要旨を述べさせていただきます。
 第一に、現在本法の対象から除かれている原子力事業者の従業員の業務上受けた損害を本法の賠償の対象とするとともに、労働者災害補償制度による給付との間で所要の調整を行うこととしております。
 第二に、現在の賠償措置額六十億円について、諸般の事情を勘案し、百億円に引き上げることとしております。
 第三に、原子力損害賠償補償契約及び国の援助に関する規定の適用を延長し、昭和六十四年十二月三十一までに開始された原子炉の運転等に係る原子力損害について適用するものとしております。
 以上が、原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#16
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。安島友義君。
    〔安島友義君登壇〕
#17
○安島友義君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案されました原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案について、その幾つかの基本的問題について、総理並びに関係各大臣にお伺いいたします。
 申し上げるまでもなく、今日の原子力開発は幾つかの基本的問題を抱えているのであります。政府は、わが国のエネルギー供給見通しの中で、原子力エネルギーに大きな比重を置いて位置づけているのでありますが、一方では、既存の原子力発電所の稼働実績、廃棄物処理、核燃料再処理、核の不拡散問題、さらには炉の安全性など、幾つかの重要な諸点について深刻な問題を残しているのであります。
 今回提案された原子力損害賠償法改正案は、原子力開発におけるさまざまな対策や制度の中で最後の位置を占めるべきものであり、わが国においては、この制度が実際に適用されるようなことがあってはならない性格のものであります。
 したがって、私は、まず、この制度が発動されるような事態が現実に起こらないようにするための手だて、すなわち安全性にかかわる現行制度の問題について若干申し述べてみたいと思います。
 原子力基本法においては、安全性の確保がうたわれ、同時に、自主、民主、公開の原則をうたっております。特にこの中で、公開の原則が、平和利用を確保する問題とともに、安全性確保においても不可欠の要件であることは、十数年にわたる論議ですでに明らかであります。原子力関係のデータが公開され、原子力事業によって直接利益を受ける立場にない人々からも積極的な検討が行われ、それによってチェックがなされるという体系は安全性優先の基本をなすものであります。(拍手)
 このような観点から、まず、総理にお伺いいたします。
 総理は、かつて、企業秘密によって安全性が損なわれるようなことがあってはならないとの言明を国会で行っておりますが、わが国の制度の現状では、企業秘密の名目で不必要なまでに秘密主義が拡大しております。総理は、この事態を抜本的に改め、安全性にかかわる資料を公開し、広範な、公正かつ科学的な判断にゆだねる措置を講ずべきと思いますが、総理の見解をお伺いしたい。
 次に、法律の具体的内容についてお伺いいたします。
 今回の主たる改正は、原子力事業者の従業員の業務上受けた損害についても新たに賠償の対象としたこと、さらには、賠償措置額を現行六十億円から百億円に引き上げた二点でありますが、この改正点に関連する幾つかの重要な問題が残されており、したがって、制度の改善措置としては大きな欠陥が残されたままになっているのであります。
 まず第一は、原子力発電所などの施設内で作業を行う従事者、特に下請企業の従業員に危険な作業がしわ寄せされている実態であります。さらに、現実の問題として、法律で定められた放射能被曝許容量が十分守られていないという疑いさえあるのであります。
 なぜこのような事態が生じているのかと申しますと、本来、今日の軽水炉が安全性について十分実証され、かつ政府の安全審査が信頼に足るものであれば、人が立ち入る必要のない場所においてまで、作業員が入って補修などの作業を行う事態は起こらないのでありますが、現実にはこのような事態が頻発しているのであります。さらには、個々の従業者の被曝量が、三カ月あるいは一年間の累積量が一定に定められているため、作業可能な技術者が不足し、下請作業にしわ寄せされているからであります。現状の実態は、たとえば、ある作業者が過去一年間にどのくらいの累積被曝があるかどうかについて十分チェックされていないのであります。さらに、弱い立場にある下請作業者が幾つかの発電所を渡って作業するような場合は、累積許容量を超えても、そのことを明らかにしないで仕事を続けざるを得ない例も少なくないのであります。
 そこで伺います。放射線被曝のおそれのある作業を行う者は、全国的な登録センターへの登録を義務づけ、それぞれの作業地域での被曝量や健康状態を集計する制度、あるいは下請を含めてすべての作業者に被曝管理手帳を交付し、個々に記録を行う制度など、何らかの対策を講ずることが必要であると考えますが、科学技術庁長官の答弁を求めるものであります。(拍手)
 第二の問題は、万一基準を超えた場合の損害の認定であります。
 大量の放射能を浴びて、やけどや脱毛などの症状があらわれた場合を除きますと、放射能による健康への悪影響については、因果関係の立証はきわめて困難であります。時期がたってから、がんやあるいは体がだるくなるなどの症状が起こった場合、労働者の権利を守り得るかどうかははなはだ疑問と言わなくてはなりません。したがって、無過失損害賠償責任制度は設けても、このままでは、実際には役に立たない制度になるおそれが十分あり、因果関係の立証についての思考の転換や、因果関係の推定について弾力的な運用が不可欠であると考えざるを得ません。これは、通常起こり得る放射線障害についての労災認定基準についても同様な問題であると考えますが、労働大臣、科学技術庁長官の見解を伺いたいのであります。(拍手)
 このように、現行制度はいろいろな矛盾や欠陥が指摘されます。したがって、新たな観点から補償制度を定め、激しい症状が出なくても、労働者の生活と権利を守る体制を別途検討すべきであると考えますが、政府の見解を伺いたいのであります。
 第三は、アイソトープの利用にかかわる問題であります。
 現在、工場や工事現場での溶接検査など、放射性物質の利用が広範に行われ、科学技術庁の許可事業となっておりますが、そこでの従業者の被曝防止や被曝量の管理はきわめてずさんになっているのが現状であります。このような分野についても、全く同様の措置がなされなくてはなりません。現在の制度を抜本的に改めるべきと考えますが、政府としての方針を伺いたいのであります。
 第四は、低線量の被曝の人体に対する影響についての解明の問題であります。
 現在の研究の現状では、今日の許容量が、健康や遺伝に全く影響があるかないかは必ずしも十分解明されておらず、とりあえずの規制値であるという性格を免れ得ません。政府は、比較的少量の被曝の影響についての研究を抜本的に強化すべきでありますが、長官の考え方を明らかにしてほしいのであります。
 第五は、賠償措置額を六十億から百億に引き上げておりますが、四十六年に六十億に定めて以来、物価等の上昇を考えますと、百億では実質的には減額になっていると言わざるを得ません。金額を大幅に引き上げるべきであると考えますが、政府の見解を求めます。
 最後に、総理に伺います。
 初めに申し上げましたように、この賠償制度は、実際に発動されるようなことがあってはならないのであります。しかし、万が一そのような事態が生じた場合、その社会的影響はきわめて重大であります。したがって、最小限度に被害をとどめ、無用な混乱、摩擦を生じないために、政府はいかなる緊急措置をとるおつもりか、また、政府の政治的責任について、総理の明確なる答弁を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(大平正芳君) 私に対する第一の御質問は、安全性にかかわる資料公開に関してのことでございます。
 仰せのように、原子力開発利用は、安全性の確保を大前提として進められなければならぬことは仰せのとおりでございます。政府といたしましては、原子力安全委員会の意見を十分尊重しながら、安全性に関する国民の理解を得るため、できるだけ資料の公開にこれまでも努めてまいったわけでございますが、今後とも、資料公開との関係におきましては、不必要なまでに仰せのように企業の秘密の問題が利用されることのないよう、十分配慮してまいる所存でございます。
 第二の御質問は、万一不測の事態が生じたときの政府のとるべき措置と、政治的責任についてのお尋ねでございました。
 不測の事態が仰せのように生じないよう、原子力施設の安全性確保につきまして、法令に基づきまして厳重に規制してまいり、また、万一原子力施設に事故が発生した場合におきましても、周辺の公衆に影響を及ぼすことがないよう慎重に措置してまいっておるところでございます。しかし、万一不測の事態が生じた場合におきましては、原子炉等規制法、災害対策基本法等に基づきまして、その災害の拡大を防止するための所要の対策をまず講じなければならぬと考えております。そして、原子力損害賠償法によりまして、被害が起きた場合におきましてはその救済に万全を期してまいるつもりでございます。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#19
○国務大臣(栗原祐幸君) 私に対する御質問は、放射線による健康への悪影響は、時期がたってから症状が出てくることがあると思われる、このような場合にも、因果関係についてきわめて弾力的に運用を行って、労災認定の対象ますべきではないか、こういう御質問でございます。
 確かに、放射線による健康障害につきましては、御質問のように、その業務を離れて相当の期間がたってから症状が出てくるということでございまして、因果関係の立証や、それが業務上であるのかあるいは業務外であるのか、判断の非常に困難なものが考えられます。
 労働省といたしましては、このような場合をも十分考慮いたしまして、電離放射線に係る疾病の業務上あるいは業務外の認定基準を設けており、これに基づいて迅速適正な処理に努めているところであります。
 なお、被災労働者の疾病の立証のための資料が不十分な場合は、労働基準監督署において被曝の可能性や症状の経過等を十分調査するなど、適正な認定を行うよう配慮してまいりたいと考える次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣金子岩三君登壇〕
#20
○国務大臣(金子岩三君) お答えいたします。
 まず、従業員の被曝対策でございますが、下請従業員をも含め、原子力発電所等で働く従業員については、法令に基づき被曝管理を義務づけるとともに、被曝線量の一元的な登録管理を行う放射線従事者中央登録センターを一昨年発足させ、放射線管理手帳の交付についても事業者を指導してまいっておるところでございます。今後とも、被曝線量の中央登録や放射線管理手帳の所持について、対象事業所を放射性同位元素の使用事業所に拡大するなど、この制度の普及、推進に積極的に努力してまいる所存であります。
 次に、因果関係の認定の問題につきましては、十分な被害者救済のためにその認定を容易にせよとの御指摘はごもっともなことでございます。認定を容易にするためには、原子力事業の従業員につき、特にふだんの健康管理など、被曝線量等の資料の把握が重要でありますので、法令によってこれらを事業者に義務づけるほか、さきに述べたように、被曝線量の中央登録管理、放射線管理手帳の普及等に努めているところであります。
 また、御指摘のように、低いレベルでの放射線が人体にどのように影響するか等の研究も、損害の認定にも関連するものとして大事な問題であります。政府としては、放射線医学総合研究所等において鋭意研究を進めているところでございます。
 さらに、軽い症状でも新たな観点から十分な補償制度を設けよとの御指摘につきましては、まず、十分な安全規制により被害が発生しないよう措置することはもちろんですが、必要に応じて、円滑な救済が可能となるよう、関係省庁の密接な連絡のもとに、現行諸制度の機動的な運用を行うことによって対処してまいることといたしたいと存じます。このような措置によりまして、被害者の救済が不十分とならぬよう努力してまいる所存であります。
 次に、放射性同位元素を使用する事業所に係る安全対策につきましては、放射線障害防止法、労働安全衛生法等に基づき、放射線障害防止のための厳重な規制が行われているところであります。政府におきましては、特に昭和四十九年以降、関係省庁の密接な連携のもとに放射線障害防止対策の強化に努めており、この結果もありまして被曝事故は著しく減少しております。今後ともなお一層事業者の指導監督に努め、安全の確保に万全を期す考えであります。
 なお、万一放射性同位元素の利用に伴う被害が発生した場合についても、労働者災害補償保険法等により、これに対して十分な救済措置が講じられているものと考えております。
 最後に、賠償措置額百億円では不十分ではないかとの御指摘であります。この賠償措置額は、昭和四十六年に六十億円に引き上げられてからすでに八年近くを経過しておりますので、その間の物価上昇等を考慮いたしまして、今回見直しを行ったものであります。具体的な額につきましては、原子力委員会において十分検討いたしました結果、保険引き受け能力上の制約もございまして、百億円に引き上げるのが限度であるとされたものであります。万一賠償措置額を超えるような損害が発生した場合でも、わが国では原子力事業者が無制限の責任を負っており、必要に応じて政府が原子力事業者を援助することにもなっておりますので、被害者の保護に欠けることはないと信じておるものでございます。(拍手)
#21
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#22
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 金子 一平君
        労 働 大 臣 栗原 祐幸君
        建 設 大 臣 渡海元三郎君
        国 務 大 臣 金子 岩三君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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