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1978/03/15 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第14号
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1978/03/15 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第14号

#1
第087回国会 本会議 第14号
昭和五十四年三月十五日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十三号
  昭和五十四年三月十五日
    正午開議
 第一 賠償等特殊債務処理特別会計法を廃止す
    る法律案(内閣提出)
 第二 国家公務員等の旅費に関する法律の一部
    を改正する法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員中村正雄君に対し、院議をもつ
  て功労を表彰することとし、表彰文は議長に
  一任するの件(議長発議)
 北陸地方開発審議会委員の選挙
 日程第一 賠償等特殊債務処理特別会計法を廃
  止する法律案(内閣提出)
 日程第二 国家公務員等の旅費に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
 放送大学学園法案(内閣提出)の趣旨説明及び質
  疑
    午後零時三分開議
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(灘尾弘吉君) お諮りいたします。
 国会議員として在職二十五年に達せられました中村正雄君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員中村正雄君は国会議員として在職すること二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(灘尾弘吉君) この際、中村正雄君から発言を求められております。これを許します。中村正雄君。
    〔中村正雄君登壇〕
#6
○中村正雄君 このたび、院議をもって永年在職議員として表彰されましたことは、私の生涯を通ずる光栄として、まことに感激にたえません。(拍手)
 ここに謹んで、議員諸君の御厚情に対し、謝意を表する次第でございます。(拍手)
 また、今日まで御指導をいただきました西尾末廣先生を初め、いまは亡き片山哲、水谷長三郎、西村榮一、伊藤卯四郎の諸先生の霊に対し、心より御礼を申し上げます。(拍手)
 顧みますれば、昭和二十二年四月、新憲法のもと第一回の各級選挙が施行されました際、参議院議員に当選いたしました私は三十代の前半の青年でありましたが、今日、六十代の半ばに達しました。
 この戦後三十有余年の歳月は、日本にとっても、わが国の議会政治にとっても、さらにまた私自身にとりましても、まことに激しい転変の時期でございました。
 占領下という特殊情勢のもとにおいて、片山内閣、芦田内閣を組閣し、政権担当の苦労をなめたこと、新しい日本の諸制度を確立するための法律体系の整備に情熱を傾けて、夜遅くまで法案の審議に熱中した委員会の思い出等、私の脳裏によみがえってまいります。
 特に、占領下における議会政治としては、当然のことではありますが、若い私にとって、ときには屈辱的とさえ感じられる総司令部の命令にたびたび涙をのんだこともありました。
 いまなお私の頭に焼きついておりますことは、第一回国会の最終日であります昭和二十二年十二月九日夜半の、参議院本会議における審議であります。
 衆議院より送付される農林省関係の四つの法案を今国会中に成立させよという、総司令部の国会担当の一課長よりの厳命でございました。衆議院より送付されました時刻が夜半十二時の数分前、委員会は質疑、討論を省略して可決後、本会議に上程されました。松平参議院議長の「過半数と認めます。よって四法案は可決せられました。これにて散会いたします。」と宣言されました時刻は、私の時計ではすでに十二月十日に入っていたと思いますが、本会議場の時計の針は十一時五十七分を示しておりました。この十一時五十七分という時計の針は、占領下の政治を象徴するように私の脳裏に深く刻み込まれております。
 以来三十有余年、わが国の議会政治も、各種の先例、慣行の積み重ねによって定着いたしました。日本民族の英知は焦土から立ち上がり、経済大国としての今日を迎えることができました。
 これらの思い出を通じ、私は、政治に対する信念というものをいつも大切にして歩んできたつもりであります。
 しかし、その反面、生来の未熟のゆえに、足らざるところが多かったことを反省もいたしております。今日の栄誉を契機に、心を新たにし、今後、微力ながら最善を尽くしたいと決意をいたしておる次第でございます。(拍手)
 申すまでもなく、わが国を取り巻く国際情勢の前途は容易に楽観を許さぬものがあります。転換期を迎えた国内情勢もまた懸案が山積みいたしております。わが国の議会政治は、一層重要な段階に立ち至っていると考えます。
 私は、今後一段の努力を払い、もって微力を、日本の民主政治の確立を通じて、世界の平和と日本の繁栄に尽くしたいと考えておる次第でございます。
 終わりに臨み、長期にわたる国民各位の御支持と議員諸君の御厚情に重ねて深く感謝申し上げるとともに、今後とも変わらざる御支援と御指導を賜りますようお願い申し上げて謝辞にかえたいと存じます。
 まことにありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 北陸地方開発審議会委員の選挙
#7
○議長(灘尾弘吉君) 北陸地方開発審議会委員の選挙を行います。
#8
○玉沢徳一郎君 北陸地方開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#9
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 議長は、北陸地方開発審議会委員に伏屋修治君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 日程第一 賠償等特殊債務処理特別会計法を
  廃止する法律案(内閣提出)
 日程第二 国家公務員等の旅費に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出)
#11
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、賠償等特殊債務処理特別会計法を廃止する法律案、日程第二、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長加藤六月君。
    〔加藤六月君登壇〕
#12
○加藤六月君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 初めに、賠償等特殊債務処理特別会計法を廃止する法律案について申し上げます。
 賠償等特殊債務処理特別会計は、戦後の平和回復に伴う各種賠償等特殊債務の処理に関する政府の経理を明確にするため、昭和三十一年度に設置されたものでありますが、これらのうち、賠償につきましては、フィリピン賠償を最後に、昭和五十一年度をもって解決の上、支払い済みであり、同会計の主要な使命は終了いたしております。現在残されておりますのは、対日私的請求権の一部のみでありますが、これも近く解決が見込まれることとなっております。
 したがいまして、同会計をこれ以上存続させ、一般会計と区分して経理する必要はなくなったものと判断されるに至りましたので、本法律案は、賠償等特殊債務処理特別会計法を昭和五十三年度限り廃止することとしようとするものであります。なお、同会計の廃止に伴い、必要な経過措置を定めるとともに、同会計に属する権利義務は一般会計に帰属させることといたしております。
 以上がこの法律案の内容でありますが、本案につきましては、審査の結果、一昨十三日質疑を終了し、昨十四日採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 この法律案は、最近における国家公務員の旅行の実情等にかんがみ、内国旅行における日当、宿泊料、移転料等の定額を改定するとともに、現下の財政状況等にかんがみ、当分の間、特別車両料金等の支給対象者の範囲を縮小するほか、所要の規定の整備を行おうとするものでありまして、その主な内容を申し上げますと、
 第一に、最近における宿泊料金の実態等を考慮して、内国旅行における日当、宿泊料等の定額を、一八%ないし二七%程度引き上げることとし、また、移転料についても、一〇%程度引き上げることといたしております。
 第二に、特別車両料金等については、当分の間、行政職俸給表(一)の一等級相当以下の職務にある者には、原則として支給しないことといたしております。
 そのほか、内国旅行の車賃の定額の引き上げ等を行うことといたしております。
 以上がこの法律案の内容でありますが、本案につきましては、審査の結果、一昨十三日質疑を終了し、昨十四日採決いたしましたところ、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、本案に対しましては、全会一致の附帯決議が付せられましたことを申し添えます。以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(灘尾弘吉君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 放送大学学園法案(内閣提出)の趣旨説明
#15
○議長(灘尾弘吉君) この際、内閣提出、放送大学学園法案について、趣旨の説明を求めます。文部大臣内藤誉三郎君。
    〔国務大臣内藤誉三郎君登壇〕
#16
○国務大臣(内藤誉三郎君) 放送大学学園法案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 わが国の高等教育は、近年急速な発展を遂げ、国際的に見ても高い普及率を示すに至っておりますが、科学技術の進歩や経済の伸展に伴い複雑、高度化してきている今日の社会において、国民の高等教育の機会に対する要請は一段と高まり、かつ多様化しつつあるところでございます。
 このような状況において、放送を効果的に活用する新しい教育形態の大学を設置し、大学教育のための放送を行うことにより、広く一般に大学教育の機会を提供することは、生涯にわたり、多様かつ広範な学習の機会を求める国民の要請にこたえるゆえんのものであると考えます。
 さらに、この大学が既存の大学等との緊密な連携を図ることにより、大学間の協力、交流の推進、放送教材活用の普及等の面において、わが国大学教育の充実、改善にも資することとなることが期待されるものであります。
 この大学の設置形態につきましては、種々検討を重ねてきたところでありますが、新たに特殊法人を設立し、これが大学の設置主体となるとともに、放送局の開設主体ともなることが適切であると考え、特殊法人放送大学学園を設立するため、この法律案を提出いたした次第であります。
 この法律案におきましては、特殊法人放送大学学園に関し、その目的、資本金、組織、業務、大学の組織、財務、会計、監督等に関する規定を設けるとともに、学校教育法、放送法その他関係法律について所要の規定を整備することといたしておりますが、その内容の概要は次のとおりでございます。
 まず第一に、放送大学学園は、放送等により教育を行う大学を設置し、当該大学における教育に必要な放送を行うこと等により、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえるとともに、大学教育のための放送の普及、発達を図ることを目的とするものであります。
 第二に、放送大学学園は、法人といたしますとともに、その設立当初の資本金は一億円とし、政府がその全額を出資することといたしております。
 第三に、放送大学学園の役員として、理事長一人、理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事三人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は文部大臣の認可を受けて理事長がそれぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年といたしております。
 なお、この学園の設置する大学の学長は職務上理事となることといたしております。
 また、この学園には、その運営の適正を期するために理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。
 第四に、放送大学学園の業務については、放送等により教育を行う大学を設置すること及びこの大学における教育に必要な放送を行うことを規定するとともに、この学園の施設、設備及び教材を他大学における教育または研究のための利用に供することもできることといたしました。
 なお、この法人は、これらの業務を行うほか、主務大臣の認可を受けて、その目的を達成するため必要なその他の業務を行うこともできることといたしております。
 第五に、放送大学学園の設置する大学の組織等についてでありますが、この大学が、特殊法人によって設置される大学であること、放送を利用して教育を行う大学であること等をも考慮し、大学の運営が適切に行われるよう所要の規定を設けることといたしております。
 まず、この大学に、学校教育法に規定する学長、副学長、教授その他の職員を置くこととし、学長は理事長の申し出に基づいて文部大臣が、副学長及び教員は学長の申し出に基づいて理事長が、それぞれ任命することといたしております。
 なお、学長及び教員の任命の申し出は、評議会の議に基づいて行われなければならないことといたしております。
 次に、学長、副学長及び教員の任免の基準、任期、停年その他人事の基準に関する事項は、評議会の議に基づいて学長が定めることといたしております。
 また、この大学に、学長の諮問機関として評議会を置き、大学の運営に関する重要事項について審議するとともに、この法律の規定によりその権限に属させられた事項を行うこととし、学長、副学長及び評議会が定めるところにより選出される教授で組織することといたしております。
 さらに、この大学においては、その教育及び研究の充実を図るため、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携し、これらの機関の教員等の参加を積極的に求めるよう規定いたしております。
 第六に、放送大学学園の財務、会計及びこれに対する主務大臣の監督等については、この学園の業務の公共性にかんがみ、一般の特殊法人の例にならって所要の規定を設けておりますが、この法律における主務大臣は、文部大臣及び郵政大臣といたしております。
 第七に、放送大学学園の設立と関連する関係法律の一部改正についてでありますが、まず、学校教育法につきましては、この学園が大学の設置者となり得ることを規定するとともに、通信により教育を行う学部の設置に関する規定を設ける等所要の整備をいたすものであります。
 また、放送法につきましては、この学園の放送等について、放送番組の政治的公平の確保、広告放送の禁止等所要の規定の整備をいたすものであります。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 放送大学学園法案(内閣提出)の趣旨説明に対
  する質疑
#17
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。中西績介君。
    〔中西績介君登壇〕
#18
○中西績介君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました放送大学学園法案に関しての質問をいたします。
 その第一は、この大学は、学校教育法体系の大学なのか、または成人教育、生涯教育機関としての大学講座的各種学校なのかということであります。
 もちろん、政府は学校教育法体系の大学としているのでありますが、この大学は、学校教育法と電波法、放送法の二つの法体系を基礎に設立される特殊な大学だけに、その性格は、法体系上きわめてあいまいになっております。
 学校教育法体系の大学は、憲法二十三条によって保障された学問の自由を、研究と教育において最も高度に保障されなければならず、教授は、自己の研究による学問的見解を素直に学生に披瀝する自由を有しています。しかるに、放送法では「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と規定して、学者としての学問的見解を述べることが許されず、研究、教育の自由を否定しているのであります。
 もちろん、大学の講義でも、対立する他の意見に触れることなく、一方的に自己の解釈のみを教え込むことは、教育の自由の名においても問題がありますが、その対立する意見のいずれが是か非かの自己の解釈論を述べることは、大学教育の当然の前提であり、目的の一つであります。
 しかるに、放送法によれば、対立する意見の論点を明らかにしても、その是非について自己の学問的見解を述べることが許されず、したがって、研究、教育の自由を否定するものでありますから、学校教育法体系の大学とは言えず、成人教育、生涯教育の機関としての大学講座的各種学校に類するものになるのであります。
 このことは、学校教育法は学校教育法なりに、放送法は放送法なりに、その基本的価値にかかわるだけに、技術的に解決しようなどの安易な妥協は許さるべきではありません。
 この点についての見解を、文部、郵政両省にまたがっておりますので、大平総理大臣に御答弁願います。
 質問の第二は、いま申しました放送法の規定は、限りある電波によって不特定多数を対象とする国民への思想統制の配慮からでありますが、そのことは、基本的には電波法の国営放送を禁じている思想にあるのであります。したがって、戦後、わが国の放送体制は、全国放送を担当する公共放送、すなわちNHKと、地域密着型の一般放送、すなわち民放の二系列のもとに行われております。
 しかるに、この法案による放送大学の電波は、この大学の特定の学生及び不特定の国民だれもが視聴し得る第三の新しい系列の電波であり、今日の放送体制の基本的変革につながるものであります。そして、より重要なことは、特殊法人という全額国庫支出による電波だけに、いわば準国営放送であります。
 このことは、電波法の国営放送禁止の思想と相反する性格を持つだけに、放送体制変革に対する所見を郵政大臣にお伺いします。
 質問の第三は、特殊法人たるわが国初めての大学の自治に関してであります。
 法案は、特殊法人なるがゆえに理事会や運営審議会を置くことを規定していますが、大学を特殊法人として設立することは、他の特殊法人と根本的に異なるものであります。すなわち、他の特殊法人は、理事会や運営審議会で決める方針によって行われることが業務のすべてでありますが、大学の目的は教学であって、その教学のための管理運営であり、教学が主で管理運営が従であって、教学の自治は最大限に保障されない限り、理事会や運営審議会は不要ではないかと考えるものであります。
 さきに述べましたように、第三系列の電波による準国営放送として政府の国民への思想統制が危惧される上に、さらに加えて、文部大臣指名の理事長以下の管理機関は、その危惧を一層深めるものであります。
 逆に言うならば、もし電波法の国営放送禁止がなかったら、この大学は国立大学として設立されることは明らかであり、国立大学には理事会も運営審議会もないのであります。もちろん、他の大学と異なり、放送に関する業務がありますが、それは学長指名の副学長制の活用で事足りるものであり、特殊法人なるがゆえに他の特殊法人同様置かなければならぬと安易に考えたとしたならば、わが国初めての特殊法人である大学の特殊性とその大学の自治の重要性の認識に欠けるものと言わざるを得ません。(拍手)文部大臣の所見をお伺いいたします。
 時間がありませんので、要点のみを申し上げ、以下質問をいたします。
 質問の第四は、この大学の完成年次についてであります。
 計画では関東一円の第一期のみが計画されていますが、この大学の目的の一つは、全国のいかなる僻地においても就学できることにありますが、その完成年次は何年後になるのでありましょうか。もちろん通信衛星の問題もありますが、これとて不確定要素のものであり、仮にNHKの九七%のカバレージまで電波の届くのは何年後になるのでしょうか。
 もし大変時間がかかるとしたならば、憲法二十六条に言う教育の機会均等の原則に対し、準国営であり、唯一の大学でありながら、電波の届かぬゆえに就学の機会が保障されないという憲法違反になると考えるが、文部大臣の所見をお伺いいたします。
 質問の第五は、この大学の教官の確保についてであります。
 言うまでもなく、この大学は電波を媒体としますが、大学教育は媒体のみによって成立するものではないだけに、スクーリングが重視されなければなりません。その都道府県に設けられるであろうセンターの教官は非常に多くの数を要する上に、レポートの添削を含める大変過酷な仕事であり、しかも五年程度の任期制で、かつ教育公務員特例法の適用除外による身分、待遇の不安定があり、その上に学者としての研究の保障が確立されていないことから、教官の確保に疑問を持たざるを得ません。
 この教官の確保なくしてこの大学の成立はあり得ないし、加えて、地方公立大学の教官の兼務でできるものでないだけに、その見通しについて、文部大臣にお伺いいたします。
 質問の第六は、大学の名称であります。
 法案では、放送大学学園が大学を設置することを規定していますが、その大学の名称は明らかにされていません。俗に放送大学と言われていますが、わが国の国公立大学の名称は、その地方名か、あるいは医科、農業、工業、芸術というごとく、教育、研究の目的を冠していることからすれば、放送大学はあたかも放送学の学問、研究の大学のごとき名称でもあり、仮に大学の名称が公開大学となるとすれば、当然、学園の名称も、放送大学学園ではなく、公開大学学園となるのが常識であり、したがって、本法案の名称も変更すべきものでありましょう。
 なぜ大学の名称が決まらないのかを含め、文部大臣にお伺いいたします。
 質問の最後は、有給教育休暇についてであります。
 文部省設置基準によれば、通信教育は毎年六週間のスクーリングを義務づけていますが、たとえば中央大学の通信教育を見ますと、毎年三千五百名ほどの入学者中、卒業者は五百名程度になっています。実に七分の六の学生は途中挫折しているわけであります。その理由の最大のものは、スクーリングに通えないことであります。このことは、放送大学の実験放送をしている広島大学の報告もまたそのようになっています。
 すなわち、職場を持つ人たちが中心なだけに、有給教育休暇制度が確立し、職場における休暇と身分、そして賃金の保障が、この大学が成功するか否かの学生側からの絶対条件であります。
 政府は、最小限、ILO第百四十号の有給教育休暇に関する条約の批准を提案し、国内法の整備をする考えがあるかどうかを労働大臣にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(大平正芳君) 中西さんの私に対する御質問は、放送大学は、学校教育法体系の正規の大学か、それとも各種学校的なものであるかというお尋ねであったと思います。
 放送大学は、学校教育法に基づく正規の大学として構想しております。しかしながら、放送という手段を用いるという特色を生かしまして、御指摘の成人教育、生涯教育の面におきましても大きな役割りを果たすことを期待しておるところであります。(拍手)
    〔国務大臣栗原祐幸君登壇〕
#20
○国務大臣(栗原祐幸君) 私に対する御質問は、職場に働く人たちが有給休暇を得て放送大学で学べるようにする、そのためにはILOの百四十号を批准すべきではないか、こういうような御趣旨でございます。
 実態的には、すでに昭和五十年度からこの趣旨に沿うような奨励金制度ができております。それを活用いたしたいと思いまするけれども、条約の批准につきましては、条約の規定の解釈につきまして若干問題点がありますので、今後検討を続けていきたい、こう考えております。(拍手)
    〔国務大臣内藤誉三郎君登壇〕
#21
○国務大臣(内藤誉三郎君) 中西議員の御質問にお答えいたします。
 まず、特殊法人による大学の設置の問題でありますが、放送大学につきましては、大学と放送局とを一体のものとして設置するという観点から、特殊法人としての放送大学学園がこれを設置することといたしたものでありまして、理事長等の役員、運営審議会と放送大学との関係につきましても、放送大学の学問の自由、大学の自治に十分配慮しているところであります。
 なお、総理に対してお尋ねのありました放送と教授の自由の問題につきましては、教育を放送で行うことによる当然の要請にかかるものであって、これによって学問の自由が制約されるものとは考えておりません。
 次に、放送大学の対象地域の問題につきましては、関東地区を対象とすることといたしておりまして、その他の地域につきまして、当面、放送大学を利用できないという状況がありますことはやむを得ないことと御理解をいただきたいと存じます。(発言する者あり)何年にするかということはこれからの問題でございますが、将来の対象地域の問題につきましては、放送大学の実施の状況等、諸般の状況を勘案しながら検討してまいりたいと存じております。
 次に、教員の確保の問題でありますが、放送大学の教員については、専任の教員のほか、客員教員等として全国の国公私立大学の教員の協力を得ることを予定しているところであります。このように、放送大学が所期の成果を上げるためには、他大学その他の教育研究機関と緊密に連携することが不可欠でありますが、このような協力は十分に得られるものと確信しているものでございます。
 最後に、放送大学の名称の問題がございますが、放送大学は文部大臣の認可により設置されることといたしておりますので、その名称につきましては、学園の成立後、学園において、この大学の性格を適切にあらわすような名称を定めて大学の設置認可の申請を行い、文部大臣がこれを認可することによって決められることになるわけでございます刀その場合、学園の名称と必ずしも一致する必要はないと考えております。文部省といたしましても、各方面の御意見を十分参考にしながら、学園とも協力して、適切な名称が考えられるようにいたしたいと考えております。(拍手)
    〔国務大臣白浜仁吉君登壇〕
#22
○国務大臣(白浜仁吉君) 中西議員の郵政大臣に対する御質問にお答えします。
 放送法制定の際の趣旨説明によりますと、わが国の放送体制といたしましては、受信料にその存立の基盤を持つ全国的な放送事業者たる日本放送協会と、民間の発意により、みずからその収入を確保しつつ自由濶達に放送文化を高揚する自由な事業としての一般放送事業者の二本立ての放送体制をとることにいたしております。したがいまして、法律により設立されたNHKと同様に、大学教育のための放送を行うことを本来の業務として法律により設立される特殊法人放送大学学園の放送につきましては、一般放送事業者の放送とはその規律を異にすることが適当と考えたものであります。このように、学園の放送は大学教育のための放送に限られておりますため、既存の放送秩序に及ぼす影響は少なく、NHK、民放の二本立ての放送体制の基本的な変革にはならないものと考えております。
 また、放送大学学園の放送は準国営放送的性格を持つと思われるが、国営放送禁止のたてまえに反するものではないかとの御質問でございますが、今回提案中の放送大学学園は特殊法人であり、国とは別の法人格を有することとなりますため、国営放送には当たらないものと考えております。
 しかしながら、学園の放送は事実上の国営放送的性格を持つものであり、放送法の精神になじまないものではないかとの御意見ではありますが、この法律では、主務大臣は、学園及びその設置する大学に対し、財務、会計以外の監督命令は行うことができないなど、大学の自治の保障、放送番組編集の自由の保障等の見地から特に配意した措置を講じておりまして、国からの独立は十分確保されており、御指摘のような国営放送としての心配はないものと考え、大学教育の機会に対する広範な国民の要請にこたえる放送大学の意義に着目して、放送大学学園の放送を認めることが適当と判断したものであります。(拍手)
#23
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#24
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十一分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        大 蔵 大 臣 金子 一平君
        文 部 大 臣 内藤誉三郎君
        郵 政 大 臣 白浜 仁吉君
        労 働 大 臣 栗原 祐幸君
 出席政府委員
        文部省大学局長 佐野文一郎君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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