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1978/05/25 第87回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第28号
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1978/05/25 第87回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第087回国会 本会議 第28号

#1
第087回国会 本会議 第28号
昭和五十四年五月二十五日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十七号
  昭和五十四年五月二十五日
    午後一時開議
 第一 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正
    する法律案(内閣提出、参議院送付)
 第二 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内
    閣提出)
 第三 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき
    所に関する法律の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
 第四 附属機関、地方支分部局等に関する規定
    の整理等に関する法律案(内閣提出)
 第五 許可、認可等の整理に関する法律案(内
    閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの
  件
 日程第一 肥料価格安定等臨時措置法の一部を
  改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
 日程第二 郵便貯金法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第三 郵便切手類売さばき所及び印紙売さ
  ばき所に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
 日程第四 附属機関、地方支分部局等に関する
  規定の整理等に関する法律案(内閣提出)
 日程第五 許可、認可等の整理に関する法律案
  (内閣提出)
 民法及び民法施行法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内
  閣提出)
 澁谷自治大臣の地方財政法第三十条の二の規定
  に基づく地方財政の状況報告についての発言
  及び質疑
    午後一時五分開議
     ――――◇―――――
#2
○議長(灘尾弘吉君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○議長(灘尾弘吉君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。
 海部俊樹君から、五月三十一日より六月十二円まで十三日間、木村俊夫君から、六月四日より十二日まで九日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 宇宙開発委員会委員任命につき同意を求めるの件
#5
○議長(灘尾弘吉君) お諮りいたします。
 内閣から、宇宙開発委員会委員に吉識雅夫君か任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右の申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#6
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、同意か与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第一肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、参議院送付)
#7
○議長(灘尾弘吉君) 日程第一、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。農林水産委員会理重山崎平入郎君。
    ―――――――――――――
 肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    ―――――――――――――
    〔本号末尾に掲載〕
    〔山崎平入郎君登壇〕
#8
○山崎平八郎君 ただいま議題となりました内閣提出、参議院送付、肥料価格安定等臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における農業及び肥料工業をめぐる状況にかんがみ、肥料の価格の安定と輸出の調整を図るため、肥料価格安定等臨時措置法が廃止するものとされている期限を昭和五十九年六月三十日まで五年間延長しようとするものであります。
 本案は、三月三十日参議院から送付されました。
 委員会におきましては、五月九日渡辺農林水産大臣から提案理由の説明を聴取し、次いで、五月二十二日及び五月二十三日の両日にわたり審査を行い、特に五月二十二日には三名の参考人から意見を聴取するなど、慎重に審議を重ねてまいりました。
 かくて、五月二十三日質疑を終了し、日本共産党・革新共同より反対の討論が行われた後、採決いたしましたところ、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの共同提案による附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(灘尾弘吉君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#10
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
本案は
 日程第二 郵便貯金法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第三 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
#11
○議長(灘尾弘吉君) 日程第二、郵便貯金法の一部を改正する法律案、日程第三、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。逓信委員長石野久男君。
    ―――――――――――――
 郵便貯金法の一部を改正する法律案及び同報告書
 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔石野久男君登壇〕
#12
○石野久男君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、郵便貯金法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、郵便貯金の預金者貸し付けの限度額を引き上げることを内容とするものであります。
 郵便貯金の預金者貸し付けは、預金者の生活上の必要を満たすため、定額郵便貯金等の預金者に対してその貯金を担保として貸し付けを行うものでありまして、その限度額は、現在一人につき五十万円でありますが、預金者の利益の増進を図るため、これを七十万円に引き上げようとするものであります。
 なお、この法律の施行期日は、公布の日となっております。
 次に、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、法律により定められております郵便切手類及び印紙の売りさばき手数料の額を、省令により定めることに改めようとするものであります。
 売りさばき手数料の額につきましては、国などが委託しております類似の事務の手数料の額が、現在省令などで定められていることをも考慮し、社会的、経済的諸情勢の推移等を勘案して弾力的に改定することができるようにするため、今回これを省令で定めることに改めようとするものであります。
 なお、この法律の施行期日は、昭和五十五年一月一日となっております。
 両法律案は、五月八日本委員会に付託され、五月九日白浜郵政大臣から提案理由の説明を聴取、五月二十三日質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(灘尾弘吉君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 附属機関、地方支分部局等に関する規定の整理等に関する法律案(内閣提出)
 日程第五 許可、認可等の整理に関する法律案(内閣提出)
#15
○議長(灘尾弘吉君) 日程第四、附属機関、地方支分部局等に関する規定の整理等に関する法律案、日程第五、許可、認可等の整理に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長藏内修治君。
    ―――――――――――――
 附属機関、地方支分部局等に関する規定の整理等に関する法律案及び同報告書
 許可、認可等の整理に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔藏内修治君登壇〕
#16
○藏内修治君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 附属機関、地方支分部局等に関する規定の整理等に関する法律案は、行政の効率化に資する等のため、各省庁設置法等における附属機関、地方支分部局等の設置等に関する規制の内容を改めるなどの措置を講じようとするものであります。
 許可、認可等の整理に関する法律案は、行政の簡素化及び合理化を図るため、興行場法等十二の法律を改正して、二十四事項の許可、認可等の整理を行おうとするものであります。
 両法律案は、いずれも三月十六日本委員会に付託され、三月二十日金井国務大臣から提案理由の説明を聴取し、五月八日より両法律案を一括して質疑に入り、慎重に審査を行い、五月二十四日質疑を終了いたしました。
 引き続き、附属機関、地方支分部局等に関する規定の整理等に関する法律案を討論に付しましたところ、自由民主党の竹中修一君より賛成の意見が述べられ、日本社会党の上原康助君及び日本共産党・革新共同の柴田睦夫君より、それぞれ反対の意見が述べられた後、採決の結果、本法律案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、許可、認可等の整理に関する法律案については、日本共産党・革新共同の柴田睦夫君より修正案が提出され、趣旨の説明を聴取した後、採決の結果、修正案は否決され、本法律案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(灘尾弘吉君) これより採決に入ります。
 まず、日程第四につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#18
○議長(灘尾弘吉君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
 次に、日程第五につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#20
○玉沢徳一郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、内閣提出、民法及び民法施行法の一部を改正する法律案、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#21
○議長(灘尾弘吉君) 玉沢徳一郎君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 民法及び民法施行法の一部を改正する法律案(内閣提出)
 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内閣提出)
#23
○議長(灘尾弘吉君) 民法及び民法施行法の一部を改正する法律案、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。法務委員長佐藤文生君。
    ―――――――――――――
 民法及び民法施行法の一部を改正する法律案及び同報告書
 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔佐藤文生君登壇〕
#24
○佐藤文生君 ただいま議題となりました両法案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、民法及び民法施行法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、準禁治産宣告の要件を合理化するとともに、最近における民法法人の実態等にかんがみ、いわゆる休眠法人の整理等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、民法の規定中、準禁治産の宣告を受け得る者のうち「聾者、唖者、盲者」の文字を削ること、
 第二に、民法法人でない者が、その名称中に「社団法人」もしくは「財団法人」等の文字を用いることを禁止すること、
 第三に、主務官庁が、民法法人に対し監督上必要な命令をすることができることを明確にし、その命令に違反した場合、理事等を過料に処するとともに、法人については、その設立許可を取り消すこと等によりこれを解散させることができること、
 第四に、民法法人が正当な事由がなく引き続き三年以上事業を行わないときは、主務官庁は、その設立許可を取り消すこと等により解散させることができること等であります。
 次に、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、土地家屋調査士の制度の充実強化を図るため、その資格に関する制度を合理化するとともに、その職責、業務等に関する規定を整備しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。
 第一に、土地家屋調査士は、その業務に関する審査請求の手続について代理することができること、
 第二に、土地家屋調査士となる資格は、現行の土地家屋調査士試験に合格した者のほか、法務局等において一定の職歴を有する者であって、法務大臣が土地家屋調査士の業務を行うのに必要な知識及び技能を有すると認めたものもこれを有すること、
 第三に、土地家屋調査士会は、その所属会員に注意または勧告をすることができ、また、日本土地家屋調査士会連合会は、法務大臣に対し建議等をすることができること等であります。
 当委員会においては、四月二十四日両法案の提案理由の説明を聴取した後、土地家屋調査士法の一部を改正する法律案については、参考人の意見を聴取する等、両法案について慎重審査を行いました。
 かくて、本日質疑を終了、直ちに採決を行った結果、右両法案はいずれも全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、右両法案に、それぞれ附帯決議が付されましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(灘尾弘吉君) 両案を一括して採決いたします。
 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(灘尾弘吉君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について)
#27
○議長(灘尾弘吉君) 自治大臣から、地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について発言を求められております。これを許します。自治大臣澁谷直藏君。
    〔国務大臣澁谷直藏君登壇〕
#28
○国務大臣(澁谷直藏君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づいて、先般政府が国会に提出いたしました地方財政の状況につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、地方財政が国民経済に果たす役割りについてでありますが、昭和五十二年度の地方の支出は国民総支出の一三・二%を占めており、国民経済における地方の役割りは近年特に大きくなってきております。
 次に、昭和五十二年度の地方財政のうち、普通会計の決算について申し上げますと、決算規模は、歳入三十四兆百四十三億円、歳出三十三兆三千六百二十一億円でありまして、これを前年度と比べますと、歳入において一五・三%、歳出において一五・四%、それぞれ増加しております。
 また、決算収支は三千三百四十七億円の黒字となっており、前年度と比べますと五百十四億円黒字額が増加しております。
 歳入の内容を見ますと、地方税、地方交付税等の一般財源の増加率は前年度を下回っておりますが、建設事業の主たる財源であります国庫支出金、地方債等の増加率が高くなっております。
 歳出の内容を見ますと、義務的経費の歳出に占める割合は、公債費が増加したものの、人件費及び扶助費が前年度の増加率を下回る伸びとなったことによりまして、前年度よりやや低下しております。他方、投資的経費の歳出総額に占める割合は、社会資本の整備と景気回復に資するため、事業規模の拡大が図られたことにより、高くなっております。
 しかし、経常収支比率や公債費比率等財政構造を示す諸指標は、いずれも悪化した水準で推移しており、また、地方債残高や交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金などが累増しております。
 次に、地方公営企業につきましては、昭和五十二年度の決算規模は七兆三千七十億円でありまして、前年度と比べますと一六%増加しております。収支の状況は依然として厳しく、単年度の経常損失は二千七十八億円、累積欠損金は九千五百六十七億円となっております。
 今後の地方財政につきましては、厳しい財政状況のもとにおいて、住民に直結する行政の担い手である地方公共団体が、よくその責務を果たし得るよう地方税財源の充実強化を図るとともに、財政運営に当たっては、現情勢下において行政が真に責任を持つべき分野を的確に見きわめ、行政の簡素合理化を推進し、財源の重点的配分と経費の効率化に徹することにより、財政の硬直化を打開し、安定成長下にふさわしい財政体質を確立することが必要であると存じます。
 また、地域の実態に即した新しい生活圏づくりを展開するため、立ちおくれている生活関連社会資本の整備を中心とする総合的な地域社会づくりを推進することが重要な課題とされております。
 なお、地方公営企業につきましては、引き続き、経営の合理化を徹底し、料金の適正化、負担区分制度の適正な運用を図るとともに、地方公営企業を取り巻く環境の整備を推進する必要があると存じます。
 以上、地方財政の状況につきまして、その概要を御報告申し上げた次第であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について)に対する質疑
#29
○議長(灘尾弘吉君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。吉原米治君。
    〔吉原米治君登壇〕
#30
○吉原米治君 ただいま報告のありました地方財政の状況につきまして、私は、日本社会党を代表して、大平総理並びに関係各大臣に質問を行います。
 昭和四十八年以来、わが国経済の構造的矛盾の深まりは、長期の不況とインフレ再燃の兆しとなって国民生活を直撃し、自治体の行財政を大きく変動の渦に巻き込み、もはや倒産寸前とまで言われるほど、地方財政は深刻な危機状態となっております。また、もう一つ注目しなければならないことは、地域の経済社会にも大きな変動をもたらしていることであります。
 すなわち、特定産業に依存をする地域にあっては、特定不況地域として極度な経済的地盤沈下に見舞われ、高度成長下で進行した過疎地域にあっては、人口のJターンあるいはUターンによって一見過疎化がストップしたかに見えますが、その実態は、流出する若者の数が大幅に減っていることが主たる原因であります。さらに、県庁都市やその周辺に人口が集中し、過疎の中の過密化が進み、県内格差がますます拡大をしております。また、大都市の過密地域では、大木の胴枯れ現象にも以た過密の中の過疎化が進み、大都市の経済力を低下さしております。こうした地域社会の変動は、今後の地域振興あるいは地域政策の立案遂行に当たって十分留意すべき課題であると同時に、実情に即した諸施策が講じられなくてはなりません。
 大平総理は、田園都市構想において、従来の中央集権的諸機能を見直しすることを強調されておりますが、特定不況地域立法を初め、過疎法や新産都に対する財政措置法など、さまざまな地域立法を根本的に見直し、地方に一定の権限移譲と財源付与を行い、自治体を中心とする総合的な地域振興対策を確立すべきであり、そのことが実現されてこそ初めて地方の時代と言えるものと考えるものであります。大平総理の基本姿勢を伺いたいのでございます。(拍手)
 次に、地方財政計画と決算の乖離の問題について質問いたします。
 言うまでもなく、地方財政計画は、地方交付税法に基づき、自治体の財政運営の指針となるべく、毎年度策定されるものであり、計画と決算額が全く一致しないまでも、ほぼ近接することが望ましいわけでございます。ところが、最近の傾向は、財政規模の点では確かに乖離幅は縮小の傾向を見せておりますが、費目別に見ますときわめて遺憾な傾向が見られるのであります。
 すなわち、昭和五十二年度歳出決算額は計画額を八・八%上回り、前年度に比べわずかに乖離幅は縮小しておりますが、逆に、投資的経費のうち自治体の単独事業の決算額は計画額を九千九百五十一億円も下回り、実に二一・一%も圧縮されているのであります。国庫補助事業が一一・七%も計画額を上回っているのに対し、単独事業だけがこのように大幅に落ち込んでいるのでは、当初の計画は一体何のための計画かと指摘をせざるを得ないのであります。
 単独事業がこのように大幅に圧縮された原因の第一は、この事業が地方財政の規模を確保するためのクッション剤とされ、自治体財政の実態とは全く無縁に見積もられているためであり、第二は、景気対策の名のもとに進められた政府の公共事業によって、自治体の貧弱な一般財源はほとんど公共事業の裏負担に充てられ、単独事業に充てる余裕を全く失っているためであります。大臣は、毎年度単独事業の拡大に努力してきたと強調されておりますが、事実は全く逆であることを示しているではありませんか。
 このような計画と決算の乖離をなくし、地方財政計画が真に自治体の財政運営の指針となるものにするためには、少なくとも、自治省の専売特許であるかのような一方的な計画策定をやめて、自治体の代表を加えた地方財政計画策定委員会などを設けて民主的に策定すべきだと考えますが、自治大臣のお考え方を伺いたいのでございます。(拍手)
 質問の第三は、地方交付税についてであります。
 地方交付税は、昭和五十年度以降、その所要額を満たし得なくなり、交付税総額を確保するため、交付税特別会計においての借入額は実に六兆七千億円にも達しております。この特別会計の借入金は、市町村にとっては、地方債による借入金のほかに共同の借金を持っていることと相なり、昭和五十四年度の地方財政計画ベースでの借金依存率が一八・五%にも達していることは御承知のとおりであります。
 低成長時代に入った今日、税の増加に大幅な期待が持てない現状の中で、自治体の交付税に依存する度合いはますます高まっており、計画的財政運営を確保するためにも、現在のような二分の一ルール化によるつかみ金的な借金政策は即刻やめるべきであります。そして、交付税法第六条の三第二項の規定によって、交付税率をこの際大幅に引き上げるべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせ願いたいのであります。(拍手)
 次に、地方債についてお尋ねをいたします。
 着実な景気回復を図るために公共投資などの充実促進に当たって、財源不足のため、やむなく地方債の増額によって対処してきているところでございますが、その結果、地方自治体では元利償還金の累増によって、ますます財政硬直化が高まってきている現状であります。言いかえれば、現行制度の中では、多様化する住民福祉の充実と、立ちおくれている社会資本の充実のために、無理やり借金政策を強いられている実情にあると言えるのであります。小規模の団体においては、経済発展のレベルが低く、経済の高い成長率を将来にわたって期待できないために、地方債の累増に歯どめをかけるべき時期にきていると思うのであります。
 したがって、財政力の弱い市町村に国の施策を押しつけている現状をも認識をして、後年度の財政負担に対処するためにも、国の責任において対策を講ずべきだと思いますが、どのようなお考え方を持っておられるのか、お伺いしたいのであります。
 第五は、国庫補助負担金に係る超過負担の問題についてお伺いいたします。
 補助基準単価、補助対象範囲、基準数量等については、ここ数年来の実態調査の結果、かなりの改善がなされておりますが、しかしながら、自治体側の主張との間にはなお大きな数字の開きがあります。特に運営費についての改善の跡が見られません。
 一例を申し上げますと、公立保育所の運営費について調査したところ、一市の公立保育所の国庫負担基準額二億二百八十三万円に対して、超過負担は実に八千七百万円であり、園児一人当たり年額十二万三千円、一園当たり七百万円にも達しております。この超過負担の原因は、保母の勤務年数の積算の相違による給料差、あるいは保母数の配置に当たって、基準の中で小数点による配置がなされているという不合理があるからであります。これらを早急に是正するとともに、長時間保育、乳児保育、過疎地域の小規模保育園など、実態に即し、実績により算定をし、補助対象とすべきであると考えるものでございます。
 また、国民健康保険事業の老人医療費については、国保から切り離し、単一の保障制度とすべきであります。過疎地域においては老人人口比率が高く、収入の乏しい世帯に対し保険料の賦課はおのずから限度がある反面、医療費の増高は最近特に著しいものがあります。このため、老人医療費に対する臨時調整交付金の残額について、やむを得ず一般会計で負担を余儀なくされているのが実情であります。
 このほか、高額療養費に対する臨時財政調整交付金の交付率が年々低くなっていることなど、国保会計の負担区分についてもっと明確にすべきだと考えますが、厚生並びに自治大臣はどのように考えておられるのか、しかとお聞かせ願いたいのであります。(拍手)
 次に、過疎法の改善と延長についてお尋ねをいたします。
 御承知のように、今年度末で期限切れとなる過疎地域対策緊急措置法は、過去九年間にわたって同地域の振興に大きく寄与し、一定の成果を上げ得たものと評価できますが、なお十分とは言えない現状であります。したがって、期限切れを機に、過疎債に対する地方交付税充当率の引き上げ、対象事業の追加、また、指定要件の緩和を図り準過疎団体の救済を図るなど、中身を改善し、さらに延長すべきものと考えますが、担当大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいのであります。(拍手)
 最後、大平総理にお尋ねをいたします。
 政府は、一般消費税の創設によって今日の財政危機を打開しようとされておりますが、この一般消費税ぐらい悪名高い税制はございません。国民大衆はもちろんのこと、業界のほとんどが反対をしている現状を見ても明らかであります。今日の日本経済は、輸出に大きく期待できず、ひたすら内需を高めていくことが必要な段階であることは、大平総理みずからも認めているところであります。にもかかわらず、強引にこの税制を導入することは必然的に物価の高騰を余儀なくし、内需を高めるどころか、逆に深刻な不況をもたらすことは間違いございません。まさに、温めるべき病人を逆に冷やそうとしている逆療法と言っても過言ではございません。
 こうした悪税の導入によって一般大衆に負担を強制するのでなく、大企業などに対する優遇税制や不公平税制を廃止することこそ緊急の責務であります。これらによる財源を基本とし、実質的な地方振興による地方の時代を目指すべきであると信ずるものでありますが、大平総理の見解と反省を強く求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣大平正芳君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(大平正芳君) 吉原さんの私に対する御質問は二点ございました。
 一つは、地方の時代を実現するための総合的な地域振興対策いかんという趣旨のものでございました。
 特定不況地域立法でございますとか過疎法でございますとか、そういう特定地域立法は、今後も引き続き必要に応じて見直してまいる必要があると考えております。新しい地域社会づくりのための総合施策といたしましては、御指摘のように、国と地方の間の合理的な行政事務の配分も考えなければなりませんし、それに伴う自主的な財源を確保する等の必要がございますので、この点につきましては、各方面の御意見を聴取しながら、地方の個性、活力、自主性を生かしながら今後も検討していきたいと考えております。
 第二の点は、一般消費税の導入よりも、既存の税制の見直しによって地方振興財源を求めるべきではないかという御意見でございました。
 仰せのとおり、既存の財源につきましては鋭意検討を進めなければなりませんので、これまでも見直してまいってきておりまするし、ことしも数点にわたって見直しておりますることは吉原さんも御承知のとおりでありますが、今後も、既存の税制の見直しにつきましては政府もおろそかにするつもりはございません。他方、歳入ばかりでなく、歳出の合理化につきましても特段の工夫を講じなければならないと考えまして、ただいま政府では慎重な検討に入っておりますることも御案内のとおりでございます。
 こういった努力を重ねましてなお財源が不足するという場合はどうするかということが、われわれにとりましての現実の課題でございます。その場合には、一般消費税の問題も一つの検討項目として真剣に御検討いただきたいというのが、私が施政方針演説でお願いいたしたところでございます。私どもといたしましても、仰せのような線に沿いまして、既存の歳入歳出全体にわたりましての見直しを加えながら、しかも不足する場合の財源対策について、鋭意いま工夫を加えておる段階でありますことを御了承いただきたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣澁谷直藏君登壇〕
#32
○国務大臣(澁谷直藏君) 私に対する質問は七問ございますが、順次お答えをいたします。
 最初の質問は、歳出決算額と地方財政計画を比較した場合に、補助事業は上回っておるが単独事業は大きく下回っておる、この乖離がひど過ぎるではないか、これは地方財政の規模確保のために、地方自治体財政の実態とは無縁に過大に見積もって、この公共事業の裏負担のために一般財源が食われておるのではないかという御質問でございます。
 単独事業について、地方財政計画と決算との間に生じておる御指摘の乖離は、主として計画と決算との技術的な計上方法の差異、すなわち、財政計画におきましては単独事業に計上している事業を決算では補助事業に計上しているものがあるという、方法の差異によるものが大部分でございます。
 なお、公共事業に係る地方負担額につきましては、その所要額を地方債及び地方交付税で十分措置しているところでございまして、公共事業の消化のために地方単独事業にしわ寄せが行われておるということはないものと考えております。
 これに関連しまして、この計画と実態の乖離を防ぐためにも、地方財政計画を策定する際に、自治体の代表も含めた地方財政計画策定委員会を設けて民主的にやるべきではないかという御質問でございますが、地方財政計画は、御承知のように、地方交付税法第七条の規定に基づいて、政府の責任においてこれを作成することとされているものでありますが、この策定に際しては、地方団体を初め関係各方面の要望を十分踏まえまして、さらに、地方団体の推薦する委員も含めて構成されておりまする地方財政審議会の意見も伺っておるところでございます。したがって、現行の制度によって地方団体の意向は十分に反映されていると考えております。
 第三問は、地方交付税については、現行の二分の一ルールのつかみ金的な措置ではなくて、法第六条の三第二項により交付税率の大幅な引き上げを行うべきではないかという御質問でございますが、御承知のように、現在は経済が非常な変動期にあるということ及び国においても巨額の財源不足が生じているという実態等を考えた場合、昭和五十四年度においては、国、地方間の恒久的な財源配分としての交付税率の引き上げは困難な状況にあると存じております。したがいまして、昭和五十三年度において設けられました当面の制度によることとしたものでございまして、まことにやむを得ざる措置と考えておるわけであります。
 第四問は、景気対策のための公共事業拡大によって地方債がだんだんふえてきておる、その償還については国の責任で対策を講ずべきではないかという御質問でございますが、この償還費については、今後、毎年度の地方財政計画の策定に際し、これはきちんと所要財源をこの計画の中で確保いたしまして、地方財政の運営に支障が生じないよう適切な措置を講じてまいる所存でございます。
 第五問は、超過負担の問題でございます。国と地方団体の主張に大きな開きがあり、特に運営費について改善されておらない、早急にこの解消を図るべきではないかという御質問でございますが、御承知のように、この超過負担の解消の問題につきましては、この数年間精力的に取り組んでまいっております。御指摘の運営費関係の国庫補助負担金につきましても、実態調査の結果等に基づいてその改善に努めてきたところでございまするし、昭和五十四年度においても、保健所の運営費、御指摘のございました保育所の措置費等に係る給与格づけの改善、補助対象範囲の拡大等が図られたところでございます。今後とも、物価の上昇等に配意しつつ常に見直しを行うとともに、補助単価の積算の基礎となる職員の配置基準等の補助基準の改善、明確化を促進してまいりたいと考えております。
 第六番目は、老人医療費や高額療養費の増高によって国保会計への一般財源の繰り入れが増大しておる、この解消措置についてどういう見解かという御質問でございます。
 国民健康保険事業については、大変な財政状態になっておることは御承知のとおりでございます。この財政健全化のため、自治省としては関係省庁に対し、今後とも、国の助成の強化等を要請するとともに、老人医療制度等に関する総合的な対策の確立とあわせまして、国民健康保険制度の抜本的な改善を図るよう強く要請してまいりたいと考えております。
 最後に、過疎法について、交付税措置率の引き上げ、対象事業の追加、指定要件の緩和、準過疎団体の救済など、中身を改善して延長すべきではないかという御質問でございます。
 過疎地域対策緊急措置法の継続につきましては、主管である国土庁と十分協議しながら、中身の改善も含めて積極的に対処してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣橋本龍太郎君登壇〕
#33
○国務大臣(橋本龍太郎君) 保育所の運営費の改善につきましては、従来から特に意を用いて改善に努めたところでありまして、いわゆる超過負担問題の解消につきましては、ただいま自治大臣からも御答弁がありましたように、保育所運営の実態につき各種の調査を実施いたしながら、これらの調査結果を踏まえて是正措置を講じてきたところでありまして、今後ともに努力をしてまいりたいと考えております。
 また、長時間保育につきましては、保母さん方の時差出勤なども考えながら、できるだけこれに対応できるように保母の加配も行っておるわけでありますし、乳児保育につきましても、乳児保育特別対策を実施し、措置費のかさ上げ措置を講じております。
 また、小規模な保育所につきましては特別の保育単価を設定しておるわけでありまして、今後ともこれらの施策の充実に努めてまいりたいと考えておりますが、ただ、運営費につきましては、国は全国的な視野に立って公正かつ妥当な額を基準として負担をしておるわけでありまして、自治体がこの基準を超えて実際に支出された費用のすべてを対象とすることは、制度上困難であろうと考えております。
 また、国民健康保険事業につきましていろいろお話がございましたが、現在、老人保健医療対策のあり方について鋭意検討を行っておる最中でありまして、できるだけ早期に実施をいたすように努力をしてまいりたいと考えております。
 ただ、同時に、先ほどお話がありました臨時財政調整交付金等につきまして、私どもは、近年の老人医療費及び高額療養費の増加にかんがみて、特別の財政措置として臨時財政調整交付金千三百十二億を計上いたしております。また、同時に、こうした措置を全部合わせますと、国民健康保険全体に対する国の助成総額は一兆九千五百億円に上るわけでありまして、これは十省庁分の予算の総計よりもむしろ多いというくらいの数字でありまして、私どもとしては全力を尽くして今後とも努力をしてまいります。(拍手)
    〔国務大臣中野四郎君登壇〕
#34
○国務大臣(中野四郎君) 私に対する御質問は、過疎法は成果を上げたと評価しているがなお十分でない、指定要件の緩和、準過疎団体の救済など、中身を十分改善して延長すべきだと思うがどうか、こういうお尋ねでございます。
 お答えを申し上げたいと思います。
 過疎地域の振興は、国土の調和ある発展と住民福祉の向上という点から非常に重要な問題であると考えております。このため、昭和四十五年以来、過疎地域対策緊急措置法に基づきまして計画的に過疎対策を講じてきております。相当の成果が見られるところであると存じますが、過疎地域の現状を見ると、他の地域との間に依然として格差が存続する等、なお残されている課題も多いので、今後とも積極的に過疎対策を実施し、これら地域の振興を図る必要があると考えております。
 なお、過疎地域対策緊急措置法は明年三月末をもって効力を失うこととされておりますが、御指摘の事柄を初め関連する諸問題につきましては、この法律が議員立法で制定された経緯にもかんがみ、関係各方面と十二分に御相談を申してまいりたい、かように考えております。(拍手)
#35
○議長(灘尾弘吉君) これにて質疑は終了いたしました。
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#36
○議長(灘尾弘吉君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時五十八分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  大平 正芳君
        法 務 大 臣 古井 喜實君
        厚 生 大 臣 橋本龍太郎君
        農林水産大臣  渡辺美智雄君
        郵 政 大 臣 白浜 仁吉君
        自 治 大 臣 澁谷 直藏君
        国 務 大 臣 金井 元彦君
        国 務 大 臣 金子 岩三君
        国 務 大 臣 中野 四郎君
 出席政府委員
        自治大臣官房審
        議官      石原 信雄君
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ソース: 国立国会図書館
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