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1949/01/27 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第7号
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1949/01/27 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第7号

#1
第007回国会 大蔵委員会 第7号
昭和二十五年一月二十七日(金曜日)
   午後二時三十九分開会
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  本日の会議に付した事件
○税制改正に関する件
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#2
○理事(黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。
 公報には、臨時通貨法の一部を改正する法律案、大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案を載せて置きましたが、都合によりましてこれは後日に廻しまして、本日は大蔵省主税局長から、近く提出になりまする税制改正に関する説明を煩したいと思います。
#3
○政府委員(平田敬一郎君) 先般税制改正に関する要綱につきまして閣議の決定を経まして、予算その他それでこの要綱に基きまして編成して国会に提案しておる次第でございます。又税制改正の法律案につきましては、目下最後の仕上げをいたしておるところでありまして、近く国会に提出する見込みでございます。なるべく国税、地方税を通じまして一括して提案する考えでございまするが、ただ相当尨大なものに亘つておりまするので一部所得税、法人税と、国税の主要税を先にいたしまして、残余の分は若干遅れて提案することになろうと考えておりまするので、その点本日御参考迄に申上げて置く次第であります。
 税制改正につきましては、すでにシヤウプ勧告が出ましてから相当経つておりまするので、改めて一般的なことを皆様方に御説明する必要もなかろうかと思います。いずれ法律案を提案いたします際におきまして、重ねて詳細な御説明をいたすことになると思いまするが、本日は取敢ず要綱に基きまして大要の御説明をし、尚御疑問の点と御質疑にお答えいたしたいと思う次第であります。
 改正の方針、その他の点につきましては、もはやたびたび申上げておりまするので、本日はこれを省略をして頂きまして、今回提案することに相成りました改正案は、シヤウプ勧告に対しまして、ある程度の調整を加えておるのでございます。ただ基本的なこの方針及び大体の方向という点につきましては、極力シヤウプ勧告に則るという方針でいたしておるのでございますが、私共一つは二十五年度予算の状況等に照しまして、でき得る限り更に一層の負担の軽減を図るということにつきまして修正を加えております。
 それからもう一点はシヤウプ勧告に、いろいろこの技術的な勧告が行われておりまするが、それにつきましては更に仔細に検討いたしました上、余りにも手数の煩雑化を来たすとか、或いは実施がなかなかうまく行かんだろうといつたようなものにつきましては若干これを端し折つておる部分もあるのでございます。そういう諸点につきまして極力調整を加えまして、できる限り現在の日本の実情に即応するような法律案として提案することで、目下進めておる次第でございます。
 先ず所得税でございますが、お手許にお配りしてございまする税制改正に関する基本要綱という書類がございますが、これに則りまして各税ごとに若干御説明申上げたいと思いますが、先ず所得税でございます。所得税は一番この負担の影響のある大きな問題は、基礎控除と扶養控除と勤労控除、並びにこの税率をいかように定めるかという点が最も基本的な点でございまするが、この点につきましてはすでに御承知のように、基礎控除が今一万五千円になつておりまするのを、二万五千円に引上げることになつております。シヤウプ勧告は二万四千円になつておるのでございまするが、千円だけ引上げることになつたのであります。扶養控除は現在税額で千八百円の控除でございますが、これは今回は所得で一万二千円の控除になります。この点は勧告と同様でございます。実は扶養控除の税額千八百円控除を一万二千円控除に改めるというと、簡単な改正のようでございまするが、負担関係に相当変動を生ずるわけでございまして、例えば一番上の部分の所得に適用になるところの税率が、まあ仮に四〇%だといたしますると、所得税を控除するということになるますと、一万二千円の四〇%、即ち四千八百円に相当する税額を控除することになるのでございます。従いまして現在千八百円の税額控除が四千八百円になりますると、相当、二倍半以上の控除になるわけでありましてこの点扶養控除の改正は、中堅層の所得税には相当な影響があるのでございまして、そういう点から考えましても扶養控除は今回といたしましては、勧告案ぐらいの程度でよいのではないかという考え方で、控除の金額は動かしておりません。一万二千円でございます。
 それから勤労控除はシヤプ勧告では、主として中小の事業所得とのバランスを図るという意味におきまして、従来二割五分の控除でありましたのを、一挙に一割まで圧縮するという改正でございます。これも実は簡単な改正のようでございますが、小所得者におきましては、相当重大な負担の変更を来たすのでございます。今まで勤労所得者と農業所得者、或いは中小の、就中小の商工業者との間におきましては、所得税の税法における負担の開きは相当著しいものがあつたのでございますが、今回はそれをシヤウプ勧告によりますと、勤労控除は一割に圧縮することによつて、その開きが相当大幅に縮まつて来ることになつたのでございます。でありまするが実際問題としまして、私共将来の方向としまして確かに一つの考え方だと思いますが、現状におきましては、一挙にいたしますことは如何であろうかというふうに考えまして、勤労控除については一五%の控除を設けることにいたしたのであります。これを一五%控除に改めることによりまして、約百億円程度の減税になつておるのであります。簡単なようでございますが相当な修正でございます。この改正によりましてシヤウプ案によりますと、後の表で御覧になれば分りますように、独身者の勤労所得の場合は、所得税はほんの僅かの減税にしか過ぎなかつたのでございますが、今回の改正案によりますと大体一割乃至二割程度の減税になるようでございます。勿論家族の多い人は四割、五割も軽減になる人が相当ございます。尤もシヤウプ勧告におきましても、改正の少なかつたところの独身者の勤労所得税の場合も若干の減税になるわけでございます。さような点に修正が加えられてあるのであります。
 それから次は税率でございますが、税率につきましては、いろいろ検討いたしたのでございますが、大体やはり所得税の最高税率は或る程度低くして置きまして、その反面資産所得には重課は止めて、富裕税を高額資産者に課税する。このシステムは実はシヤウプ勧告の一つの重要な特色でありますので、その体系はそのまま採用することにいたしたのであります。従いまして所得税の税率におきましては、百分の五十五は如何にも低いようでございますが、ただ今回は新らしく市町村民税に、所得税割というものを認めまして、最高所得税額の場合は、二〇%の住民税を賦課し得るということになりますので、五十五の二割を超えますと百分の六十六という税率に相成るわけでございます。さような点から考え、更に高額の所得者の場合におきましては、富裕税が申上げますように百分の三課税になるわけでございまして、従いまして二割を一割といたしますと、百分の三という富裕税は所得税に対して、百分の三十の課税になるのであります。従いまして地方税を加えて考えますと、やはりこの資産所得、高額所得者の場合は約九〇%という相当高率な負担に相成るのでございます。これは所得税のシステムの上におきまして一つの重大なる改正案でございまして、この考え方は前々から申上げておりますように、所得税といたしましては余りにも高率な課税をするとどうも勤労意欲並びに企業の活動意欲を阻害する、今一つは所得税の課税が適正に実際問題として行きにくいというような点を考えて、所得税としましては税率を低くして、できるだけ適正化を図つて置いて、その代り一旦財産が蓄積されまして、相当な資産家になつた場合は、その資産から生れた所得に対しては相当高率の課税をするという趣旨にできておりまして、経済上の関係、それから累進課税、この方法で調整するというのが一番よいのだというシヤウプ勧告の重大な一つのポイントをなすという一つの考え方のようでありまして、その点はそのまま採用いたしたのでございます。ただ如何にもシヤウプ勧告によりますと、三十万円を超えて百分の五十五になつておりますが、三十万円というのは少しどうも低過ぎやしないかというわけでありまして、五十万円のところに最高度を持つて行くことにいたしたのでございます。ただ税率全体といたしましては、殆んど累進課税としてはいろいろ問題があろうかと思いますが、総体の租税収入四千四百六十億確保するという前提の上に立つてその他の税につきましても相当な整理を行なつた後でございますので、その程度の税率は本年度としてはいたし方なかろう、かように考えておりますわけでございます。
 次に所得税制度につきましていろいろな改正を加えております。これはできる限りシヤウプ勧告に則してやつているのでございまして、例えば扶養親族の範囲等につきましても、今までは未成年者、妻、配偶者、及び老年者で現実に同居している者に限つたわけでありまするが、今回はやはり未成年者でなくても、親族で現実に扶養をしている場合につきましては、その扶養は控除することにいたしたいのであります。学生等も当然引くことに相成るかと思います。
 それから所得の合算につきましても御承知の通りこのシヤウプ勧告案の趣旨によりまして、配偶者と未成年の子供の勤労所得は合算いたしません。小さいお子さんが働いているような場合には合算しません。奥さんの勤労所得も合算いたさないのであります。併し配偶者と未成年の子供の資産所得、株式の配当とか、或いは不動産の貸付け、地代、家賃とかいつた収入、そういう収入所得は、これは合算して課税する建前になつております。その他のものは原則として合算いたしません。ただ扶養親族に所得ある場合におきましては、その扶養親族につきましては扶養控除を認めるわけでございますから。これはやはり合算して課税をする。従いまして、扶養親族として控除の申請をした人が所得のある場合におきましては、その所得は合算して課税をするということになるのであります。大体そういうような方向によりまして、所得合算の問題を解決することにいたしております。
 それから不具者等につきましては、特別な控除をいたしまして、これはそれぞれ扶養親族は、或いは基礎控除等を行いました外に、不具者につきましては特別に更に一万二千円の控除を認めるというふうに相成つたのであります。
 それから医療費、雑費、雑損、雑損と申しますものは、これは例えば火災で損失を受けたとか、災害でやられたとか、こういつた場合の損失、こういうものにつきましては、やはり相当まとまつた被害があつた場合におきましては、損失があつた場合におきましては控除をするということになりまして、所得の一割を認めまして、こういう被害があつた場合にはそれを控除することになります。ただ医療費につきましては十万円、最高十万円を押えております。
 それから譲渡所得の計算方法につきましても、これはシヤウプ勧告に基いて相当合理化を図つているのでございます。再評価の場合にも御説明いたしたと思いまするが、大体再評価を全面的にやるわけでございますが、今までのインフレによる増加資産と認められる分につきましては、つまり再評価額のところまでは六%の課税にいたしまして、再評価額を超えまして、更に売買、高く売れた場合、その場合において譲渡所得税を課税する。その代りその分につきましては、全額総合して課税することになつております。現在は二分の一、これを総合して課税をしているのでございますが、全額を総合して課税することに相成つたのでございます。それと今回は譲渡所得を売つたときだけに課税するわけですが、売らないで譲渡資産を持ち続けておりますと、結局従来譲渡所得だけは課税が全然行われないという関係がありますので、財産を相続によつて相続した場合、この場合の譲渡所得を課税することにいたしております。その際にやはり財産税を課税いたします場合、財産を評価いたしたわけでありますが、その財産税の評価額がその人が所得した財産額よりも高い場合におきましては、その差額は譲渡所得と見なしませんで所得税を課税する。その所得税を控除した残額に対しまして所得税がかかつて来るということに相成ります。その辺は所得税のシステムの上におきましては相当の改正であります。一面株式等につきましては法人につきましての規定に準じて、二重課税の防止の措置を考えております。一体株式が値上りして、相当利益を得ておるという面につきましては、今売れば課税しておるわけでありますけれども、売らないで、ずつと引続き所持して、相続すれば相続税だけの負担になりますが、所得税としましては、やはり相続税で一応けりをつけまして、課税をする、こういうことになるのでございます。この辺も制度の上におきましては相当な改正でございます。これもシヤウプ勧告に従つたわけであります。ただ若干再評価損、再評価に伴う損失の計算につきましては特例を設けております。利益を見る場合は飽くまでもやはりノミナル利得と申しますか、これは排除するような方法をとるのでございますが、その損失計算で再評価額を基にして計算いたしますると、如何にも今までの債権者、預金者等がインフレによつて損しておりまするが、そういうものとのバランスを余りに失すると考えられまするので、損を計算する場合は飽くまでも実際の所得価額並に或いは財産税の評価額、いずれかによりまして損失を計算することにいたしております。その他若干細かい点がありまするが、大体そういうふうに決めてあるわけでございます。
 次に変動所得の課税、これはシヤウプ勧告の案の方法をとつておりますが、これは具体的には普通の所得に対しまして、変動所得が二割五分以上ある場合には特別課税を認めることにいたしております。普通の所得に対しまして僅かの場合におきましては、負担に相当大きな開きがございませんし、却てこんな面倒なことをやる必要はなかろうと考えております。例えば普通所得が五十万円ありまして、ちよつと譲渡所得が五万円だけ発生した。そういう場合におきまして、五万円分だけ五年間平均課税をするというところまで必要はなかろうという方法でございます。それから金額が二十万円以下という小額の場合の変動所得、これを一々やはり変動所得として五年間平均課税をいたしますと大分面倒になりますから、その場合におきましては一年限りの五分の一にいたしまして、それに対して出て来た数額を五倍にする、あとの年度には持越さないという簡単な課税を選択的に附随さしております。いずれにいたしましても、変動所得の平均課税は納税者において選択して申し出た場合に限るとなつております。それがなかつた場合におきましては、普通の所得税として総合課税するということになつておるのであります。損失の通算につきましては、大分徹底してやつております。全部通算する考えであります。ただ賭博の損失だけは……賭博で利益を挙げますると一々所得税として課税しますが、この損失まで見るのは行き過ぎだろう、競馬と賭博の損失は見ないことになります。その他の損失は一切、株で損した場合にも、或いは不動産売買で損失した場合にも、営業上の損失でも一切通算する、こういうことにいたしております。商売で損した場合、その場合にはその人がどこかの会社の重役をして月給があるという場合には、その月給からも差引くということに改正になるわけでございます。
 それから繰越、繰戻しですが、これは繰戻しの方は一年間だけ繰戻すという考えであります。繰越は個人の方は三年間繰越す、これはシヤウプ勧告によりまして、この計算の適正を期さなければならんので、青色申告書を提出した者に限ります。前に遡つて計算して繰越して引きます場合におきましては、あとで青色申告書を提出した者に限るということになつております。
 それから配当所得につきましては、シヤウプ勧告にあります現在二〇%源泉課税をいたしておりまして、その代り全額配当所得を総合して税額を出して、その税額の中から一五%の控除をいたしておりますが、今後は二〇%の源泉課税はとり止めまして、その外に配当は一応個人に総合して課税するのですが、算出した税額から二五%を控除してシヤウプ勧告案通りにいたしております。
 それから申告納期等につきましても、それぞれ改正をいたしておるのでございますが、納期は大体、まあ昨年と原則は同じでございます。六月、十月、一月です。農業についてだけは一月だけずらせまして七月、十一月、二月、とこの三回にいたしております。而も単作地帯におきましては、十一月と二月の二回にすることができるという改正を加えておるのでございます。尚、若干ございますが、さような点が主な点でございます。
 次は法人税でございますが、法人税につきましては、大体シヤウプ勧告案通りですが、違いますのは積立金に対する税率をシヤウプ勧告によりますと、百分の一にしてありますが、これを百分の二にいたしまして、これは日本の金利水準からいいますと、百分の二ぐらいでなければ不十分であろうという点からであります。それからあとは、特別法人、これは勧告案通り、百分の三十五にいたしますが、譲渡所得と生産所得は止めてしまいますが、廃止の時期は昭和二十五年、今年四月一日以後に終了する事業年度分につきましては超過所得税は一切課税しない。それから、生産所得税は昭和二十五年四月一日以後に解散又は合併になつた分から、生産所得税は課税しないと、こういう考えであります。ただそうすると四月の、例えば末日に終る事業年度で、決算期が一年の場合、こういう場合におきまして、一年、全額、前の分も遡つて計上するのはどうかと思われますので、そういう法人は最初の六ヶ月経過したときに中間申告をしておるわけですが、それで超過所得は納めております。その分はやはり課税しよう、その分を課税しないで行くということは考えものであろうと思います。ただ飽までも正しい超過所得税を計算して、そのうち六ヶ月分だけは、課税する、そういう方針にいたしたいと思つております。それから公益法人の収益事業に対しましては課税する、これはシヤウプ勧告によりますと、相当細かに、全部課税か免税かを決めてしまつたらという意見でございますが、到底その仕事はむづかしいと考えますので、むしろ普通半営利企業の形態で行われる事業、そういう事業を公益法人が営んで、その事業から差引計算いたしまして所得がある、剰余金がある、こういう場合には、その剰余金に法人税を課するという方が適正だと考えまして、物品販売業とか、出版業とか、製造業とか、そういう業種を政令ではつきり規定いたしまして、それに該当する事業の収益に対して課税するということにいたしております。それから他の法人から来る配当、これは二重課税防止の意味で控除することにいたしております。
 それから損金の繰越し、これも認めるわけでございますが、法人の場合は、個人の場合よりも繰越しの方は計算がはつきりしておりますので、二ヶ年延長しまして、五年間通用する考えでございます。それから固定資産の減価償却、棚卸し資産等につきましても、シヤウプ勧告によりまして、その評価の選択は濫りにできない、変更をする場合は審査を要する、こういう方法に変へたいと考えております。金融機関の貸出準備金につきましても、それぞれ一定の方法によりまして、損金に計算することを認めております。その他の雑多な点につきまして改正をしておりますが、主なる点はそういうところであります。
 次に相続税ですが、相続税は前にも申上げたと思います。相当根本的な改正でございます。今までは一体被相続人の、つまり亡くなつた方の財産を全部纒めまして、累進税率を適用していたのでございますが、今度は貰つた人ごとに課税するわけでございます。従いまして、一番根本的なこの税負担の変更は、税率の表面上の改正よりも、実質的には財産が相続された場合に、その財産が、一人で相続されたか、或いは数人で相続されたか、それによりまして、相続税の負担が、今のところとがらりと変つて来るのでございます。例えば一千万円の財産があつて、その財産を全部一人の人に相続せしめた場合、これも今よりも軽くなりますが、それでも仮にその人に相続人が五人おりまして、五人の人が均分して相続した場合、そうすると、二百万円ずつに課税する。一方累進税率の関係で、二百万円にそれぞれ分けて税率を適用した場合と、一千万円を全額に適用した場合とでは、負担は恐らく三分の一ぐらいになると思います。非常な違いになるわけでございます。その点従いまして相続税は相当根本的な変更に相成るのでございます。その外に妻控除、未成年控除、あらゆる点を考えましてでき上つておるのでありまして、国税庁は果してそれがどこまで実行できるか問題にしているようでございまするが、立看板としては世界でも最も面白い課税のシステムにでき上つておるようでございます。最高は九〇%という高率課税であります。それは世界で一番高い相続税であります。その代り、先つき申しましたように、多数の人に分散すると低くなつて来る、それから公益事業に移しますと全額非課税であります。今度のシヤウプ案は、非常に蓄積財産については批評が多いようです。今度の富裕税竝に相続税両者を通じて考えますと、財産権に対しては相当容赦なく課税をいたしておるようでございまして、その点総合して税制のシステムを考えて貰いたいというのが、シヤウプ博士の意見のようであります。所得税の税率を下げるというのは、それだけのことにあらずして、一方におきましては富裕税を設け、他方におきましては相当思切つた相続税を課する、その相続税も従いまして資本蓄積の意欲を阻害しないように、寄附すればかからないわけですね、多数の人に分散して財産を与えれば、非常に負担が少くて済む、非常に何と申しますか、不当な……不当なというのは言い過ぎでありますが、非常に多くの財産が或る人にあつて、引続き持つておるというような体形は、恐らく今度のシステムでは、なかなかそうは行かんだろうと思います。従いましてこの点はいろんな意味において、相当注目に値する改正ではないかと思つております。その案をそのまま採用することにいたしたのであります。配偶者に移転する場合は五割を控除する、従つて、五千万円の財産でも、奥さんが相続される場合は、五千万円を半額にして相続税を課税しますから、これは非常に結構なんです。それからお子さんが取れば、まだ赤ん坊のお子さんが相続人である場合、この場合ですと、一年一万円ずつ、十八歳に達するまで、即ち十八万円控除する、ところが相続人が成年者ばかりでありますと、そういう控除はない、これによりましても小さい子供が多い場合に亡くなられたときと、皆お子さんが大きくなられてから亡くなられた場合と、同じ百万円を残した場合におきましても、相続税は相当違つて来る、その辺は確かに理窟に適つておるわけでございまして、最高税率は非常に高くて、お困りになる方があるかも知れませんが、一方あらゆる方法によりまして、負担の均衡を図つて、現在の制度の下におきまする財産課税の公平を期しようという考えのようでございます。今まで一年のですね、贈与の額も一人三千万円まで免税ですね、今度は小さいやつはこれは相続税で追つかけるのは馬鹿くさいという考えからいたしまして、十倍に引上げまして、三万円までは課税になりません。やつた人と貰う人とコンビにして、同じ場合でございますが、違つた人にやつたのは別として、同じ人にやつた場合は、一年間通算して、それを合算しまして、三万円までは今度は課税になりません。額面百円の株を三百株ぐらい一年に子供に分けてやるというぐらいのことは、相続税に関係ない、従いましていろいろな寄附金なり贈与金等も少々の贈与金でありますれば、関係ございません。そういう点は、この辺三万円と申しましても昔の貨幣価値に較べますと大した価値でございません。徒らに小さくして置きますと、たまたま見つかつたものだけが納めて、そうでないものは納めないという不公平がありまして、私はこの辺は極力額を引上げまして適正化を図りたい考えでございます。税率も今の税率と較べますと、中間層までは相当引下げになつております。でございまするが、上の方になりますと相当きつくなつておりまして、五千万円を超えまするものには百分の九十という素晴しく高い税でございます。そういう案に相成つておるわけでございます。それから相続の免税規程等も相当詳細に合理化を図ることになつております。相続税は相当面白い注目に値いする税金のようでございます。
 次は富裕税でございますが、富裕税につきましては、これは大体シヤウプ勧告案通り五百万円を超えた場合に課税する、それぞれ下から超過累進で行きまして、五千万円を超えました場合に百分の三を課税する、百分の三ということは、所得に対しては三十%になる、五百万円をちよつと超えた場合は幾らになるかと言いますと、六百万円にしますと、六百万円から五百万円を差引きました百万円に対して千分の五でございますから税金としては僅かなものでございます。私共所得の附加税としては、この程度設けるのがやはり有効な案だろうと考えております。次は免税規程等につきましても、国又は地方公共団体において公用又は公共の要に供する家屋及び物件、それから国宝、重要美術品にも課税を除外しておる、それから生活に通常必要な家具、什器、衣類その他の動産、これも非課税とするようになつております。生活に通常必要な家具、什器、衣類、これはなかなか法律としてはこれ以上書方がありませんで、こういうようにいたしておるのでありますが、その人の資産の額に応じて通常必要な程度のものは、適当な物指で非課税とする考えでおります。
 それから課税の方法は、毎年十二月三十一日でバランスを作つて頂きまして、勿論積極財産、あらゆる積極的な財産からその人のあらゆる借金を、負債を差引きまして、その差額の純資産、これを課税標準にしまして、さつきの税率で課税されるものでございます。従いまして十二月末日にバランスシートを作つて頂きまして、それに基きまして翌年の二月一杯に納めて貰う、所得税を一月一杯に納めるから、それより一月遅れまして二月末日までに申告納税をするものとなつております。納期は一回ということにいたしておるのであります。
 それから次は通行税ですが、通行税は三等乗客に対する課税を廃止することにいたしました。その反面一、二等の運賃に対する税率は、現在普通運賃百分の五、急行料金等百分の二十でございますが、これを一率に百分の二十にいたしたのであります。これに対応しまして、一面料金といたしましては、一、二等の料金の改訂案は目下運輸省で進められておりまして、まあ今の倍率三倍、六倍を二倍、四倍に変えるそうであります。そうするとこれと合わせまして丁度いいのじやないかと、かように考えております。それから通行税の減税によりまして、当然鉄道の収入が変わるわけでございますが、これをいかに通行税の廃止に伴つてこの点を改正するか、これを研究いたしまして、長期定期券の割引率を多くする、もしくは遠距離逓減をする、そうすることによりまして、通行税の廃止によつて少くなつた財源と運賃の補正を図つて、全体として三十億円、そういうような改訂を目下進めておるようでございます。これはまだ確定でございませんで、御参考までに申上げます。
 それから有価証券移転税は廃止いたします。それから酒税についてはシヤウプ勧告は余り殖やすことはむずかしいだろうから、相当大幅の税率の引上げをやつて増収を図つたらどうかという意見のようであります。併しながら私共といたしましては極力原料を増加いたしまして、それによつて数量を殖やしまして、増収を図るという考えにいたしたのでございます。シヤウプ勧告もございますので、この際といたしまして若干の補正的引上げをいたすのではなかろうかという意味で、その次の表に示してありますような、小売価格になるような改正を行いたいと思います。尤も現行のものは先般取引高税の廃止に伴いまして若干引下げてありましたので、引下前の値段と比べますと、実はもつと高い税でございまして、基本的に申しますと、むしろ合成酒の二級等は売行き状況がよくございませんので下げております。焼酌はこれに反しまして売行き良好でございますので或る程度引上げております。二級清酒は大体据置きのつもりでありましたが、先般取引高税の廃止によりまして若干下りました。千円低くなりました。その他若干そういう考え方にいたしまして引上げをするということになりました。酒税の収入は原料が大分増加いたしまして品物が増加いたしますので、来年度千三十億という数字になります。勿論地方の酒の消費税も総合して考えております。そういう関係もあると思います。煙草が千二百億円と相成りまして、やはり国税における間接税としては大分昔に戻つて来つつあるようであります。まあ将来できるだけ数量を殖やして行きました、余り値段を無理にしないで、相当国家の収入になるような方向に行きたいと考えておる次第であります。それから資産再評価及び再評価税、これはシヤウプ勧告に詳しく載つておりますので、細かい点は他日法案提出の際申上げますが、シヤウプ勧告に対しましてこの点も相当調整を加えております。一番大きな調整は事業の企業用資産にありましては再評価するかどうかは企業の任意にしたということであります。やるかやらないかどの程度にやるか任意であります。ただ併し私共は任意ならばやらんだろうということは前提に考えてないのでありまして、再評価は企業にとつて少くとも適正な価格まで再評価する限りにおいては、必らず将来を通じて有利になるものでありますれば、全部の企業はやはりやるだろうという前提の上で、物事を考えることにいたしております。そういたしまして、ただシヤウプ勧告におきます六%の税、これは大分皆さんから意見がございますが、この辺は率直に申しましてまだ穏当なところではなかろうか、六%の税率は動かさない。ただ納期につきましては、シヤウプ勧告は全体の二分の一を最初の一年に納さめさせまして、後の二分の一、つまり再評価差額の百分の三を最初の一年に納めさせて、後の百分の一・五づつ二年目三年目に納めさせる。これを一律に強制いたしますと、現在収益が十分でないが将来は大丈夫収益が上る、資産の価値も十分あつて再評価をいたしたい。こういう企業に非常にきつくなりますので、今利益の状態の悪い場合におきましては、減納を認めるということにいたしたのでございます。そうしまして結局物指は減価償却前の利益から、今までの償却高を差引いた額、つまり従来の方法で利益を計算したその利益の額の三五%、もう一つは再評価によりまして減価償却額が増加しますが、その増加する減価償却額の三五%、それを最高限としてこれを超える、或いは超えた場合は延納を認めるということにいたしております。そうしますと再評価したことによつて今までより負担は殖えません。ただ最初の一年は減価償却によりまして、経費の落ちるものが殖えるわけでございますが、それによる減税額と、再評価税が差引とんとんとなるという場合ができるかと思います。少くとも増税にはならないというようなことにいたしております。それによりまして再評価を極力促進いたしたいという考えを持つております。それからその他若干細かい修正がございますが、シヤウプ勧告は五年間は特別資本金としてそのまま積立てさせる案ということになつておりますが、それを大体三年後には特別積立金の四分の三までは資本金に振り替えることを認めるという規定を設けております。後の四分の一だけは最後まで残して行くという考えであります。そういうような特例を考えております。その他相当実際の細かい実行面につきましては、シヤウプ勧告に対しまして実情に即した修正をすることにいたしております。主な点は以上の諸点であります。
 それから最後に租税の執行に関する制度の改正に関しまして若干申上げます。これも前々から申上げておりまする、税法を極力公平化すると共に、税法通り執行いたしまして、徴税の合理化を図るというのが基本精神でございまして、そういう意味からいたしまして、例の青色申告の制度、これを認めることにはつきりと法律でいたした。青色申告を出した場合に、その帳面を税務官吏が調査した上でなければ、更正決定ができないという特例を設けることにいたしております。と同時に損失の繰越し、繰戻し等は青色申告書を提出した者でなければ認めないといつたようなことでありまして、記帳の励行と、それに基く適正化ということに進む案に相成つておるのであります。それからもう一つは、予定申告の際に、その年の所得を見積ることはなかなか実際にどうもうまく行かない点が多うございますので、今後は原則として前年の税金を予定申告の段階で納めさせ、翌年の一月に確定申告で修正をする。ただこの場合におきましても、明瞭に災害を受けたことがはつきりしている場合、或いは営業の一部を譲渡した場合、こういうふうに原因がはつきりしている場合におきましては、勿論前年の課税決定額以下の申出をすることも妨げない。その場合には、税務署に届けさせまして、承認を与えるということにいたしておるのであります。
 それから異議処理につきましても、シヤウプ勧告にあります通り、専門の協議団、これは勿論役人であります。ただこの審査の処理に専ら専念する役人を置きまして、それを国税局所管にいたしまして、適当な所に分駐せしめまして、審査を付託するということにいたしております。この点はシヤウプ勧告通りに実行することにいたしております。有価証券等に対する所得税等の課税の適正を図るために、所要の規定を整備することにしたのであります。これは例えば匿名預金の禁止とか、或いは社債の登録では、或いはこれは若干まだ問題がありますが、株式の名義書換等の規定を整理する考えでありますが、株式の問題は新聞紙上にも、出ておりますように、先ず名義書換の代行機関を作るということ、それを作る方向で目下進んでおりますが、それがはつきりした上で決定いたしたいと思います。差し当りにおきましてはそれは設けられることになつております。
 それからその他といたしまして、外国人及び外資に対する課税の臨時特例を設けまして、これは外資の導入に関しまして、どうしても本国から来て貰わなければうまく行かんという人が相当多いだろうと思いますので、そういう者に対しましては、一定の業種を限定して所得税の若干の軽減を考えたわけであります。それから外資が入つて来ました法人の事業の収益に対しまして、重要物産に類似した免税をする、そういう問題につきまして、目下研究中でございますが、まだ具体案は決まつておりません。
 それから土地台帳、家屋台帳に関する事務は大体税務署から登記所に移す。必要に応じましては大蔵省、法務府の方で或る程度は監督する。
 それから従来の加算税及び追徴税につきましては、相当整理いたしまして、従来の加算税は十銭でございますが、これを四銭にする。これは常に所定の期限から遅れておる場合は、それは常に納めるまで四銭を課する。それから今まで追徴税として二五%であつたが、この税を少し合理化いたしまして、期限内に申告をした場合におきまして、その申告額が低かつた場合は、低かつた差額に対して五%加算税を課する。但しこれもその後自発的に修正申告をして来れば五%を取らない。それから期限内に申告して来ない場合が起りましても、最初の一月の間に見付かつた場合は一〇%、一月ごとに順次逓増して、三月の後まで無申告の場合は二五%、順次に加算徴収するということにいたしております。非常に申告納税の意味を重要にする意味からいたしまして、とにかく申告をしないというのは一番よろしくないというような趣旨の法律に今度はなつております。期限が遅れれば、常に取られる。但しあとで、期限が遅れた後に追加申告をして来た場合においては、五%だけは軽減する率があつて、五%以外の分、従つて四ヶ月後に追加申告をして来た場合に、少くとも二〇%はフルに申告しても、期限まで申告しなかつたという意味において、無申告加算税をそれだけ取る。こういう規定を置きまして、それによりまして、期限までに申告が常に行われることを誘発しようという考えであります。それから無申告に対しては、今のところでは、ただ申告しないというだけでは罰則がない。申告をして、虚偽の記載をした場合に罰則がある。申告しない場合に罰則がないということはおかしいというので、正当な理由がなくして申告しない場合に、加算をする外に、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金、そういう規定を置く考えであります。それからもう一つの改正は、とにかく脱税しておれば、もう要するに起訴するか、或いは全然起訴しないか、それだけになるのでございますが、どうもいろいろやつて見まして、それだけではうまく行かん場合がありますが、中間の段階では、起訴するのではないけれども、全然放つて置くのは工合が悪いということでありまして、税務行政がうまく行かん場合がございます。それで今度は、税額の五〇%、虚偽の行為をやりまして、それによつて脱税している場合には、税額の五〇%の加算税を、一種の民事的な懲罰税として徴収することにいたしております。そういう規定を設けることになつております。これはシヤウプ勧告に謳つているものを制度化したのであります。最後に、直接税の方は、現在は五万円以下の罰金になつておりますが、これは実際の場合に、五万円に重過ぎて面白くないので、罰金額は税額と同額、これは大幅に軽減することになつておりますが、そういうことに直接税については規定することになつております。次に、これは附けたりでありますが、会社の重役、社長、専務その他会社を事実上主宰している方及び経理担当の最高責任者、この方々にみずから自署して頂く方法をとつております。それによつて責任を感じさせるというわけであります。
 そういう改正を行いまして、極力申告課税の合理化ということを図ろうということになつております。それから災害減免法、国税徴収法等の改正、それはいずれも補正的な小さい問題であります。尚今滞納になりますと、二十銭取ることになつておりますが、これを改めて、先ず利子税として四銭取る。その上に、督促状を出した後は、更に四銭の加算税を課ける。これはただ一種の徴罰的な加算税でありますから、余り累積して殖えるのはおかしい。上に乗つかるのは最高五%止りでしよう。従いまして延滞金に関する限りにおきましては、最近の経済情勢に即応しまして大幅の改正が行われるというふうに考えております。さような点で改正いたしまして、極力実際に即応するようにいたしたいと考えております。尚計数はいろいろ沢山お配りしてございますが、御覧願いますれば分るのでございますけれども、所得税におきましては一番負担の軽くなりますのは事業所得者の小事業所得者で家族の多いものですね、これは一番負担が軽くなります。恐らく農家の所得者は大体三分の一から半分ぐらいになる人が大部分だと思います。所得に増減がなければ……
 それからその次は勤労所得者の場合ですと、家族の多い人は相当下ります。私共の場合ですと三割六分下ります。私の場合でも、大蔵省の或る局長が、もう少し余計下るようにしたいということを……これが独身者になりますと、同じ所得でありましても、僅か一割五分ぐらいしか下らないという表になつておりますが、御覧願いますれば分ると思います。
 それから地方税の問題は、まだ最終確定に至つておりません。目下成るべく早く取纒めまして決定するように取計らいたいと思つておりますが、税率等の問題につきましても、まだ若干未定のところが残つております。一応表にしまして、大体シヤウプ勧告に近いラインで、国税と地方税を通じまして、直接税の負担がどうなるかということを計算したのは別に表にしてお手許にお配りしております。これも一つの仮定計算でありますからなかなかむずかしいのでございますが、勤労所得者のうち割合小さいところでは殆んどすれすれぐらいですね。従いまして、この辺では場合によると、ちよつと事情の変つた人は殖えるかも知れません。併し例えば年所得十五万円、月所得一万幾らの所得者の場合は、夫婦でお子さんが三人ありますと、地方税は大分殖えますが、やはり税金は相当下ることになつております。従いまして比較的現在生活の苦しい、家族の多い人は、確か直接税だけでも負担が下ると考えております。ただ独身者の給与所得者の場合には、場合によつては下らないというようなこともあるだろうと考えておるのであります。
 尚間接税の廃止と、それから補給金の撤廃等に伴います生計費の増加、そういうものにつきまして、一応大蔵省として試算しましたのを見て頂こうと思いまして、これもお配りしましたから御参考に願います。尚これにつきましては物価庁で更に精細な検討を続けておりますので、若干の変更があるかも知れませんが、大体以上予算に関しまして、全体の増減はどうかということを御説明いたしました。その他は説明するに及ばないと思いますが、甚だなんですが、以上を以て……
#4
○玉屋喜章君 今おつしやつた中で相続税ですが、息子に相続させんと、孫に、未成年者の孫にやるのは構わんですか。
#5
○政府委員(平田敬一郎君) それは構いません。
#6
○玉屋喜章君 その場合の税金は……
#7
○政府委員(平田敬一郎君) それはお孫さんにかかるわけです。
#8
○玉屋喜章君 併し未成年者には……
#9
○政府委員(平田敬一郎君) 相続人が未成年者の場合には、これは未成年の控除は贈与の場合は引きません。相続の場合だけです。
#10
○玉屋喜章君 次男については……
#11
○政府委員(平田敬一郎君) 贈与の場合は同様ですから、未成年者控除のような方法は行いません。
#12
○玉屋喜章君 ないのですね。
#13
○政府委員(平田敬一郎君) それをやりますと、息子にやらずに孫にやつてしまうようになるから……
#14
○小川友三君 ちよつとお尋ねします。資産再評価の問題ですが、この間日本工業倶楽部で民間の税制研究会とかいうのができて、話があつたのですが、この資産再評価を大蔵省側では再評価は有利であるから相当やるという予想だそうですが、実業団体の場合だと資産再評価は自由だからこれはよかつたと言つて喜んでおりますが、あなたのお話を伺いますと、殆んどこれは全部がやるようなお話ですが、どういう点でそういうことになりますか。民間団体としては資産再評価ということで、これは強制的にやるような意味があつたけれども、殆んど全部が資産再評価されるというようなことをあなたは申されますけれども、その点について民間団体の解釈と違いますから、ちよつとお話し願いたいと思います。
#15
○政府委員(平田敬一郎君) 再評価をやりますと、結局それによりまして、減価償却額が再評価によりまして、財産価額の殖えた分の一年分ございますね。これは毎年経費を落せるわけでございます。従いまして経費を落せる分の三五%、これが今後資産を持ち続けている間、資産に利益がある以上軽くなる。これは間違いございません。それだけ課税した分が減るわけでございますから三五%だけ軽くなる。再評価税はこれに対しましてその再評価差額、つまり将来に亘りまして経費で落し得る額、それに対しまして六%かかるわけでございますから、その差額は必ず会社にとつて有利になる。ただ再評価税は今後二、三年の間に納めてしまう。法人税が軽くなるのは今後何十年、短かいのは十年、長いのは四、五十年に亘つて軽くなる。従つて六%税を先に納めることでございますから、これに対する金利はこれは財産に入れなければならん。これは六%と三五%の差額、これが会社にとつて有利、軽減になるわけです。従いまして将来若しも再評価をしても、それに応ずる利益が上らんだろうという場合におきましては、これは法人税の軽減が償却が殖えても落すことができませんから、結局何にもならん話で、そういうときはこれは又私は再評価もできないし、そういう企業の場合におきまして、資産の価値が相当高いと見るのは無理なんで、これは又企業としてでつかい設備がありましても、今造るとすれば高くなるでしようけれども、実際問題としていろいろな関係でもう能率よく動けないものが、シヤウプ勧告による陳腐化というものでございまして、そういうものは当然それに応じた評価をすべきじやないか、従いまして少くとも今将来の事情と見合せてこれだけは大丈夫、そういうものが出た場合におきましては、その限度におきましてはシヤウプ勧告をやつた方がいいだろう、こういうように考えるのです。従いまして企業によりましては、殊に重工業その他では、単純に今の再取得価額を計算しますと相当尨大になるわけです。そこまで再評価するのはこれは行過ぎだと思います。やはりこれは将来の利益その他を考えまして、或る程度のところでやる、こういう意味におきまして、前の更正の場合におきましては、その程度を一々役所が査定しなければならんという問題があつたのですが、今度は自分で十分に算盤は弾いて妥当なところで決める、こういうことによりまして、任意にした効果は非常に大きいと思います。併し大体におきまして、私はいい方向に行くのじやないか、こういうふうに見ておりますが、無理だ無理だという企業の声が大きく出ますから、恐らく小川さん、そういうふうにお聴きになつたかも知れませんが、普通の業績を上げている場合は今から決めているようです。
#16
○小川友三君 それから大蔵大臣は資産再評価を六百億円取れるという見込があるということを言われましたが、その当時の見通しは……
#17
○政府委員(平田敬一郎君) これはいずれ法案が出ます際に正確な資料を作つて差上げるつもりでありますが、大体再評価差額が六百億か、幾らでございますか、六%六百億という差額が出て参ります。ですけれどもこれは再評価で見積りの場合におきましては、それより若干ズレる見込でおります。
#18
○小川友三君 それから個人の評価に対してはこれを認めないということが書いてありますが……
#19
○政府委員(平田敬一郎君) 個人の事業用の資産については任意で認める。任意にしましてそれから個人事業用以外の資産、例えば株式だとか、自分の住宅、こういうのは実は譲渡所得税の場合にだけ問題になるわけでございます。従いましてこれは任意とか任意じやない問題は通り抜けまして、当然譲渡所得税を課税する際は再評価額を出しまして、それまでのところは六%、それを超えた場合に初めて所得は当然再評価したものとみて税金を計算するということにいたしております。これは併し現実に六%かかりますのは譲渡したとき、或いは相続したとき、そのときにしかかかりません。
#20
○油井賢太郎君 今の再評価の場合、一遍に再評価しなくても何年間に亘つてあげて行くということはできるのですね。
#21
○政府委員(平田敬一郎君) これは研究して見ましたのですが、事務の煩瑣に堪えんだろう、それからそういうことをやりますと全くその場限りでイージーなやり方でやつて行くだろうというので、再評価は今回一回限り。今やらなかつたら会社は損をする。ですからさつき申しましたように利益になることは必ずやるだろう、将来の状況を見通して適当なところでこの際株主総会に諮つて資産の本当の価値のところに……
#22
○油井賢太郎君 期限はいつまでですか。
#23
○政府委員(平田敬一郎君) 期限はシヤウプ勧告通り、今年の八月末日限り。そのときやらなかつたら、今後遡つてやることはいたしませんから必ずやるだろう、こう見ております。
#24
○小川友三君 もう一つ相続税の問題ですが、このくらい課税が高いと形が化けて行つてしまうわけですね。一千万円、五千万円という資産を持つておる人は非課税のものに化けて行く虞れがあるわけですね。化けてしまつてかからないという形式。実際は二億万円で五千万円くらいに税金を払う場合に化ける虞れがあると思いますが……
#25
○政府委員(平田敬一郎君) 財産が相続その他の機会に或る程度分けられるということはいたし方ないと思います。
#26
○米倉龍也君 今の再評価の問題ですが、棚卸し資産は除くですね。その考え方はいいと思うのですが、今の棚卸し資産というものは普通のときの原材料と違つて、非常にあのインフレの変動の時機ですから、この時機のものは非常な混乱をしておるのですけれども、こういうのはやはり普通の考え方であれを除くというだけで、何か考慮されないのですか。
#27
○政府委員(平田敬一郎君) 棚卸し資産につきましては、短期に回転するわけでございますから、再評価といつたような考え方は必要ないんじやないかという考えでございます。企業によりまして、今までに売つて利益に出した企業は損をするかも知れません。たまたま持ち続けておれば再評価して特別な利益に与かる、売つていれば課税になるというのもちよつと必ずしも公平を得るゆえんではございませんから、棚卸し資産につきましては再評価はみないということにいたしたわけであります。
#28
○米倉龍也君 それからもう一つ簡単ですが、税法を見れば分るのですが、直ぐに金利の問題に関係するからちよつとお聴きしたいのですが、貸倒れ、この率をどのくらいにお考えですか。
#29
○政府委員(平田敬一郎君) この率はシヤウプ勧告によりますと毎事業年度の年利益の百分の二十ですね、二割以内、それともう一つは期末の貸出金或いは未収金、そういつた債権の残高の何%かというその二つの物差を以て制限することになつております。そのパーセンテージをどうするか今研究中ですが、いろいろ研究して見ますと百分の二くらいに認めれば相当な額になるようでございます、その辺のところで、これは具体的にはいろいろ事情も変るかと思いますので、その辺で比率等は決定して行きたいと思います。
#30
○油井賢太郎君 一つ伺いたいのは、個人の営業とそれから法人の営業、これはどつちが政府としては税金が上りが多いか、同じ段階で、今まではどうも個人じや都合が悪いから法人にする、法人じやどうも税金が高いから個人にする、いろいろあつたのですが、それはどつちにウエイトを置かれるか、それをちよつとお聴きしたい。
#31
○政府委員(平田敬一郎君) 税法では法人にしましても個人にしましても負担が余り変らないようにするというのが税法を作る物差でございます。ただ個人は累進税率がつきますし、法人はフラツトの税率がつく、従いましてすべてのクラスに亘つて同じというわけに行きません。或るところでは法人が軽い、或るところでは個人が軽いという差は出て来るかも知れませんが、できるだけ両者の間に負担のバランスがとれるというのが税法立案の場合の一つの基本的な考えであります。同族会社等の場合は従いまして配当しないとうんと税が軽くなりますので、今度は今までのような加算の方式を改めまして積立金課税の率を高くしたのであります。シヤウプ勧告では六%ですが、一%だけ上げまして百分の七くらいにすれば結局両者のバランスがとれるだろうということであります。
#32
○油井賢太郎君 それで結局方針として法人にどんどんやつて貰うことを今までは税務署なんか奨励した傾きがある。今度はそういつたようなことは余りないということになるのですか。青色申告によればどつちやつても大体似たようなところで中小企業はやつて行けるということになる……
#33
○政府委員(平田敬一郎君) 青色申告でやればどちらも大体同じことになります。繰越控除は二年近くまでは残つておりますが、所得の計算方法も若干法人と個人と変つて来ると思いますけれども、成るべく併し建前を合せる方向に持つて行つて、いずれになつても大体税の負担としてはそう大差ないという方向に持つて行くような考え方を持つております。尚従来も法人にした方がいいということは役所としては言つたことはございません。むしろ法人にする必要のないものが経済的には法人になることによつて税金の計算を適当にやるというような傾向が多くて、むしろその方向を如何にチエツクするかということに問題がある点は確かにございます。
#34
○理事(黒田英雄君) 大分問題になつた金融機関の預金の検査などは今度認めるのですか。
#35
○政府委員(平田敬一郎君) 今でも調査の権限があるのです。ただ調査に際しましては必要以上のことはやらないようにということは……
#36
○油井賢太郎君 それからついでに昭和二十四年度の徴税の実況ですね。実情はどうなつておるかということを国税庁長官に一つ来て貰つて資料を提出して貰つて、委員会で検討願いたいと思うのですが、お諮り願いたいと思います。
#37
○理事(黒田英雄君) 主税局長適当な機会に今の油井君の……
#38
○政府委員(平田敬一郎君) 委員会の方から御連絡願いましたから……
#39
○油井賢太郎君 今のは主税局長……国税庁長官は別です。ですから国税庁の方から……
#40
○政府委員(平田敬一郎君) 委員会から御連絡願いましたら……
#41
○理事(黒田英雄君) よろしうございます。この次の機会にでも……それでは本日はもうよろしうございますか。この程度で散会いたすことにいたします。
   午後三時四十九分散会
 出席者は左の通り。
   理事
           黒田 英雄君
           伊藤 保平君
           九鬼紋十郎君
   委員
           玉屋 喜章君
           油井賢太郎君
           高瀬荘太郎君
           川上  嘉君
           木村禧八郎君
           米倉 龍也君
           小川 友三君
  政府委員
   大蔵事務官
   (主税局長)  平田敬一郎君
ソース: 国立国会図書館
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