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1949/02/06 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第9号
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1949/02/06 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第9号

#1
第007回国会 大蔵委員会 第9号
昭和二十五年二月六日(月曜日)
   午後二時三十分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
二月三日委員岩間正男君辞任につき、
その補欠として板野勝次君を議長にお
いて指名した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○臨時通貨法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○金融政策並びに制度に関する調査の
 件
  ―――――――――――――
#2
○理事(黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。本日は先ず臨時通貨法の一部を改正する法律案を議題といたしまして御審議をお願いいたします。政府委員の理財局の伊原局長が見えておつたのでありますが、どうしても行かなくちやならん、差支えができましたので、本日は説明員として理財局総務課長の酒井俊彦君が見えておりますから、説明員の説明を聞くことで御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○理事(黒田英雄君) 御異議なしと認めます。それでは御審議をお願いいたします。
#4
○小川友三君 臨時通貨法の一部を改正する法律案ですが、今ここで原本を拝見しまして、従前のこの貨幣が非常に間違いやすいと思つているのですが、それは形を又変えてぎざぎざをつけるとか、変えて貰いたいと思うのです。まだ造つておらない筈ですけれども、もうちよつと一廻りくらい大きくしてやつて貰いたいと思います。それについて先ずお伺い申上げます。
#5
○説明員(酒井俊彦君) 只今のお尋ねの点でありますが、十円の貨幣は、今回の臨時通幣法の一部を改正する法律案が国会で成立をいたしました後で、製造することになつております。まだ製造には着手しておりません。で今回の十円の硬貨につきましては素材が洋銀でございまして、今までの五円、一円のような黄銅とは異つております。従いまして、尚大きさも若干違うのでありますので、これで十分見分けがつくのじやないかと我々は考えているのであります。
#6
○理事(黒田英雄君) ちよつと今度の十円の説明を一応して頂きます。それで質問を続けて願います。
#7
○説明員(酒井俊彦君) それでは今回の十円の補助貨幣の形式、その他について御説明申上げます。先ず大きさでありますが、これは直径二十ミリでございます。即ち現在流通いたしておりまする一円の黄銅貨幣、これと直径が同じでございます。それでそれに穴があいております。有孔でございます。その孔の大きさは五ミリ、それから貨幣の円周、いわゆる刻みといいますか、ぎざはついておりません。重さは二・七五グラムでございます。素材といたしましては洋銀を使つておりまして、洋銀の品位はニッケルが一六乃至一八%、銅が五五乃至六〇%、その残りこれが亜鉛でございますが、大体白銅に近い素材でございます。十円の補助貨幣はさつき申上げましたように穴あきといたしましたのは、これによつて素材が幾らかでも節約できるということと、同時に大きさの同じくらいの一円の黄銅貨と区別しよう、こういう意味で穴をあけたわけであります。五円の貨幣も有孔でございます。穴があいておりまして、これは素材は黄銅でございまして、この十円の、今回の補助貨幣の大きさよりも一廻り大きく二十二ミリになつております。この辺で見分けがつくのじやないか、私共はそう考えている次第でございます。
#8
○小川友三君 今の御説明ですが、二十ミリ、一円のと同じ大きさですね、というのは非常な間違いが起きます。それは頭と尻の方に十円のをつけまして中に一円を入れて束にしまして、そうして五十枚だから五百円ということにしまするというと、銀行預金の方ではみな束にしましてやつておりますから、一枚づつ数えておりませんから、これは非常に見分けができないで、一円と同じミリになつているということは非常な間違いが起きると思います。つまり不正な預金ですね。これが横行すると思いますが、その点は全然あなたの方で考慮していらつしやらないと思うのでありますが、同じ直径で行くということは、これは非常な間違いが起ると思います。十倍差がありますから。例えば我々が集金に行くといつて、それで十円の貨幣ということで、そうして一枚ひんむいてしまいますと、十円のところを一枚取つてしまいますと、そうして中に一円のやつが入つていて、それで十分の一しか集金できないということになつて非常な間違いが起ると思います。これはどうしても直径ミリを変えなければいけない、一円と十円のものがあるということは、これは銀行又は、銀行は間違わないかも知れませんが、普通の取引においては大きな間違いが起ると思います。それで私は千円札を出すということは、片山内閣のときに主張した議員で目的を完遂したのでありますが、同じ直径でこの十円と一円とあるということは非常な間違いが起きると思います。そうして束になつたものをいちいち崩してみまして、勘定して行くというと又面倒だ、銀行及び普通の会社、民間でも手間がかかつて困ると思うのでありますが、どうでしよう、丁度銀行局長も見えておりますが、局長からこの一円の場合の貨幣と十円が直径二十ミリで同じであるというのですが、これは非常に困ると思うのであります。これはまあ局長さんにお願いしておつたのであります。これはよく間違えると思うのです。これも一番はしつこに十円を、真中に一円を入れて束ねて一本で勘定しますと、これは何百本も取扱うことになると勘定ができません。例えば銀行に行つてそれを取ろうとすると、多いといつてあけて見ると、ばらばらになつてしまつてリックサックでも持つて行かなくちや拾い切れないと思うのであります。ですからミリをちよつとでも変えて貰いたいと思うのであります。手触りで分るように、一つ如何でしようか。
#9
○説明員(酒井俊彦君) 只今のお話でございますが、一円の方はさつき申上げましたように黄銅貨でございまして、色は相当黄色い色をしております。今度の十円の補助貨は洋銀を使つておりますのでほぼ銀貨に近い色をしております。その色で見分けをつけますことと、それから一円の補助貨の方は、いわゆるぎざぎざが円周についております。今度の十円の方は円周のぎざぎざがございませんので、大きさは同じでございますが、その辺で相当見分けがつくと思います。
#10
○小川友三君 紙で包んで持つて歩くのでありますから……。
#11
○説明員(酒井俊彦君) これは非常に大きな直径、変つた形のものを作りません方が、銀行の方で貨幣を計りますときに計るものがございますが、その秤は従来の一円の補助貨を計る秤さえあれば、今度の十円は計れるというふうなことに対しまして、成るべく銀行に無駄な設備を新らしく作らないでできるというようなことを考えまして、直径をやはり同じ二十ミリにいたした次第であります。
#12
○小川友三君 銀行局長さんにお伺いしたいのですが、この点についてぎざぎざがありましても、五十枚ぐらい紙に包んであるのですから、ぎざぎざがあるかないか本当にひんむいてばらばらになつてしまうということになりますと、非常に不便だと思うのですが、うんと間違いがあると思うのですね、ですから銀行局長さん如何でしよう、もう少し大きくしたらよいと思いますが……。これからお造りになるんでしたら、あと三銭も金額を増せばよいと思いますから、ちよつと大きいので直ぐ分りますから。その点如何でしようか。
#13
○政府委員(愛知揆一君) 実はこの問題は製造の技術的な面とか、素材の方面の外に、最も多く動きまする銀行等の技術的な操作の面の意見も十分徴しまして、只今酒井課長からお答えいたしましたように現在の秤の器械とか、それから何といいますか仕訳をいたしますのに、却つて現在の道具がそのまま利用できるというような点でいろいろの意見は勿論ございましたけれども、これでよかろうと、ぎざぎざがついておる方と、色で相当明瞭に見分けが付くというので銀行側の意見も十分徴しました上でこういう結果になつたわけであります。勿論小川委員の御指摘のような意見も十分あつたわけでありますが、多数派に従つたというわけであります。
#14
○小川友三君 もう造つてしまつたわけですか。
#15
○政府委員(愛知揆一君) 造つてしまつたというわけではないのでございますけれども、計画としては多数の意見がこうであつたと申上げたわけであります。
#16
○油井賢太郎君 これは題目と或いは違うかも知れませんが、一円以下の補助貨はなくすというようなことが新聞に出ていましたがどんな工合に進行しておりますか。
#17
○政府委員(愛知揆一君) 只今考えておりますのは、政府関係の国庫金の端数の計算については、円未満を切捨てにするということにいたそうということを現在考えております。
#18
○油井賢太郎君 補助貨はそのままですね。
#19
○政府委員(愛知揆一君) 補助貨は一応そのまま残るわけであります。
#20
○説明員(酒井俊彦君) 新たに一円未満の補助貨を造ることはなしておりません。現に一円未満の補助貨は造つておりません。これは従来も厘未満切捨てを行いましたのも、国庫金の端数の計算については厘未満を切捨て、銀行その他はこれに追随をして右え習えで厘を切捨てておるわけであります。従いまして貨幣法自体で不要に切捨てられた單位の貨幣は無効だというような措置は講じておりません。今度計画しておりますのも、大体国庫の端数計算だけについて行なつておりまして、従来通り民間その他はこれに倣つて頂くというようなことで進んでおります。
#21
○油井賢太郎君 ついでに今度の新しい貨幣の製造原価、これはどのぐらいですか。
#22
○説明員(酒井俊彦君) 今度の十円硬貨の予定原価でございますが、これは明年度から大量生産に移りますために、若干現在の五円、一円に掛つておりますような管理費が相当安くなるのではないかというように見ておりますので、大体一円八銭程度でできるのではないかと見込んでおります。
#23
○油井賢太郎君 古い十銭とか五銭の硬貨は、これはそうすると今の価格にすると相当値打があるということになるのですか。
#24
○説明員(酒井俊彦君) 物によりましては相当値打のあるものもございます。
#25
○油井賢太郎君 そういうものは強制的に回収する方策を講じておりますか。
#26
○説明員(酒井俊彦君) 別に補助通貨を強制的に回収する計画はございません。そのまま流通いたしておりますが、素材価値が高いというような補助貨につきましては、これは鑄潰しは法律上禁止になつておりますけれども、事実問題としては相当行われておるかも知れないと思います。
#27
○小川友三君 十円の札を印刷するより丸い貨幣を作る方がずつと安く上ると思いますが、十億枚ぐらい作るのですか。
#28
○説明員(酒井俊彦君) 大体今度の十円補助貨は少くとも十億枚程度は超えるだろうと思います。二十五年度には六億枚作ります。これは造幣局の能力からいたしまして、六億枚程度が限度ということであります。二十六年度に入つては大体十億枚は必要だと思います。勿論お説のように十円の日銀券を製造いたしました方が原価といたしましては安井わけであります。併し硬貨を作りますと、これは非常に耐久力がございまして、只今の十円札は紙質も悪うございますので、命数が短いのでございます。そういう点を比べますと必ずしも硬貨の方が高いとばかり言えないと思います。
#29
○伊藤保平君 この説明を見ますと十円の補助貨は二百円まではこの補助貨で受取るけれども、それ以上はこの補助貨を受取らないでいいことになつておる。だから小川委員の心配は余りないと思いますが……。
#30
○説明員(酒井俊彦君) 二百円以上は受取らないでいいわけです。
#31
○理事(黒田英雄君) 他に御質疑ございませんか……なければ私からちよつと伺います。どうも見本を拜見すると、いろいろ事情もおありのことと思いますけれども、全体として見て、五十銭その他のものを見ても、そのときどきのなんでやつて行かれたようで一貫した方針というものがないように思う。従来の観念ですと、ぎざぎざは大体効果の補助貨に付ける。金貨とか銀貨とかに付けてありまして、そしてぎざぎざを付けるのは大体同じ素材であつてもいいものにぎざぎざを付けるということが従来の我が国の貨幣の慣習のように思うのですが、国民も大体そういう頭を持つておると思うのです。又その中に穴があくというのも、ぎざぎざよりも下位の補助貨に使用されておつたと思います。今度はそれがあべこべなのですが、勿論素材は成る程違うかも知れませんが、素材が白色とか黄色とかなつておりましても、暗闇では手探りでは分りません。むしろ五十銭とか一円というものにぎざぎざが付いておつて、そして十円がぎざぎざのつかない、穴が明いているということは、ちよつと今までの国民の常識に反するように思うのですが、先程小川委員もいろいろお話がありましたが、この銀行などは晝間仕事をするので、これはもう銀行員は随分その点は馴れていますから間違いもないだろうと思うのですけれども、大衆がこれを使用して行く、晝夜の区別なく、又非常に忙しく取扱うというような場合などは、余程これは明確にして置かんというと間違えやすいと思うのですが、その点は非常に遺憾なように思われますが、何か御意見ありますか。
#32
○説明員(酒井俊彦君) 只今委員長から御指摘がありました点は、確かに従来の通貨の系列というものが一貫したものがなかつたということは、我々も痛感いたしておるのでありますが、これは一つには御承知のように終戰後毎年のインフレーションによりまして、貨幣価値が段々変つて来る。その場合に例えば今の御指摘の一円の補助貨でございますが、これが製造を始めました当時には、可なりまだこれも価値のある通貨であるというふうな考えで、まあぎざぎざがつくというような形式になつたわけでございますが、その後又段々貨幣価値が変つて参りまして、今日から見ますと、まあ一円にぎざぎざがついて、十円にぎざぎざがついていないのはおかしいというようなことになつたのでありますが、ただ製造の設備、それから能率、素材といつたような関係でまだ形式が統一されておりませんです。将来はおつしやるような方向で整備したい。尚只今流通いたしております五円の穴の明かない方の古い補助貨でございますが、これは非常に見分けがつきませんので、これはできるだけ回収するという方針の下に、全部この穴明きの五円に統一するように製造いたしたい。おつしやるように通貨の体系がまだ整備されていないという点につきましては、我々も痛感いたしておりますので、将来の問題としまして、できるだけ一般の常識に合つたような体系に整備をして行きたいと思つております。
#33
○理事(黒田英雄君) それから今度十円の硬貨が出ますと、今までの十円の兌換初は、あれはどういうふうにやられるのですか。もう日本銀行は発行しないことになるのですか。
#34
○説明員(酒井俊彦君) 日本銀行券の十円券でございますが、これは御承知のように只今は十円は全部札でございます。この札の間に硬貨が混つて、少しぐらい混つて流通をいたしますと、非常に不便でございますので、甚だ使いにくいというのは従来の一円、五円で、我々それから皆さん方も痛感しておいでのことと思うのでありますが、そういう意味で今度の十円の硬貨につきましては、可なりの量がまとまりましたところで、相当大量に引換えて行きたいと考えておりますから、少くとも来年度中は、尚来年度終り頃まではこの十円の貨幣、硬貨の方は流通市場に出さないで溜めて引換えて行きたい、こう考えております。従いまして来年、恐らく来年度中は、日本銀行券の十円も尚発行されることになると思います。その後十円硬貨が引換の準備が整いましたならば、その後は十円の銀行券のほうは発行停止いたしまして、もつぱら硬貨で発行して行きたい、こういうふうに考えております。
#35
○理事(黒田英雄君) それではなんですか。発行の見込は来年の末頃になるのですか。来年度の末ですか。
#36
○説明員(酒井俊彦君) 二十五年度の末になります。大体今の十円の流通量が円にしまして約百億円流通しておりますが、来年度の終りになりますと、二十六年の三月頃になりますと、大体この十円の硬貨がさつき申上げましたように六億枚、六十億程できます。まあその程度できますれば、相当部分を十円札を貨幣に置き換えることができる、これを僅かに一割とか二割とかということであると非常に使いにくい、そういう意味でございます。
#37
○小川友三君 分りました。
#38
○油井賢太郎君 この際ちよつとお伺いしたいのですが、さつきのお話の製造原価が一円八銭というのですが、これは製造は造幣庁の特別会計で一遍お拂いになると思うのですけれども、この特別会計で支拂つて一般会計から借入て支拂うということになつているのですが、その場合の返還はどういうような措置でやつて行くのですか。いわゆる一応借入となりますね。一般会計の方から……、今度それに対する返還というのはどういうふうにしますか。
#39
○説明員(酒井俊彦君) これはおつしやるように今度の造幣庁関係の特別会計の会計法の改正によりまして、一応一般会計から借りてやるという建前になつておりますのですが、これは将来発行に立ちました補助貨が回収されました場合に、回収した貨幣の額、それを計算に含まれるということになつております。
#40
○油井賢太郎君 そうしますと、回収したときは一円八銭の原価のものを十円として回収する形になるのですか。
#41
○説明員(酒井俊彦君) 御説明が足りなかつたかと思うのですが、将来はこの貨幣が発行に立ちました場合に、これは発行いたします場合に製造し、その他の関係は一般会計から繰入れる。ところがこれが損傷いたしまして回収されます。回収されました場合には、これは造幣庁の会計に回収されまして、その資金を以て一般会計の金に返して行く、こういう関係になるのでございます。
#42
○小川友三君 銀行局長さんの今朝の公報に出ております金融政策ですか、あの説明を承りたいのです。あとは予備審査ですから、「金融政策並びに制度に関する調査」ということについて、銀行局長さんがここにおいでになつていますから、この方を先にやつて、今やつている方は審議を打切るようにお願いしたいのですが……。
#43
○理事(黒田英雄君) 只今議題にいたしておりまする法案について御質疑はございませんでしようか。
#44
○伊藤保平君 もう審議を打切つて貰いたいのですが……。
#45
○理事(黒田英雄君) 御質疑がなければこの程度にいたしまして、この「金融政策並びに制度に関する調査」を問題にして、銀行局長から一つ、政府が現在執つておられる金融政策、つまり資金融通の方面についてのいろいろな御計画等についてお話を承りたいと思います。或いは見返資金のことについても、一ついろいろ伺いたいと思います。
#46
○政府委員(愛知揆一君) それでは金融政策及び制度につきまして、現在事務の方で研究いたしておりますことの概要を最初に御説明申上げたいと思います。金融政策の問題につきましては、現在資金計画を作つておりますわけでございまして、その概要は安定本部の方から御説明がある筈でございますが、大要を申しますると、二十五年度の見込を申上げますると、設備資金が千二百五十億、運転資金三千七百二十億というような程度が一応想定されるわけでございまして、二十五年度の資金の供給の総量が四千九百七十億というような計算が一応出ておるわけでございまするが、これは後に申上げますように、一応の計算でございます。それから飜つて二十四年度の実績はどうかと申上げますると、第三四半期までは実績がはつきり分つておりまするが、第四四半期の推計を入れますると、二十四年度の合計は設備資金が千九十二億、それから運転資金が四千二百七十四億円、合計五千三百六十億円という程度のものになりはせんだろうかという推計ができるわけでございます。二十四年度中の運転資金が二十五年度の見込よりも多いのでございますが、これは主として最近の滯貨金融の関係等から、運転資金という名目で或る程度の資金が予想よりも実績は出るだろうというような関係から、来年度の一応の見込よりも多くなつておるわけでございます。
 それからその次に現在の最も大きな点を拾いまして、それについての対策として考えておりますることを申上げたいと思います。その第一は、長期の設備資金の調達の問題でございます。それから第二は中小金融の問題であります。第三が農林、水産金融ということに、概して申しますれば大きく分けられるかと思います。その外に当面の問題といたしまして証券金融の問題等がございまするが、大体今申上げた順序で大体の考え方を御説明いたしたいと思います。先ず第一は、長期の設備資金の問題でございますが、これにつきましては見返り資金の問題が何と申しましても一番大きな部分を占めるわけでございます。見返り資金につきましては、すでに一応その担当の方から御説明申上げたかと思いまするが、これ又一応見込まれておりまする来年度の見返り資金の計画は公共事業に対して四百億円、直接融資について四百億円、それから債務償還が五百億円、留保が二百八十億で、これはアメリカの会計年度とこちらの年度の相違等もございまするから、今俄かに的確な総額を見込むことはむずかしいのかも知れませんが、大体二十五年度は千五百八十億ということに只今の数字を推計いたすとなるわけでございますが、この見返り資金の直接の融資四百億円、公共事業費四百億円、公共事業関係の方は更にその内訳は国鉄の関係が四十億、通信電気事業んかけいが百二十億、その他の公共企業百十億、住宅が百億その他ということになつておるわけでございますが、この公共事業関係の四百億と、直接融資の内容はまだ不明瞭のようでございますが、この両方が見返り資金の直接の資金の骨子ということになるわけでございます。併し同時に只今申しましたように、長期の設備資金が非常に現在涸渇しておるということ、特に不動産金融が非常に適切な対策でないということが直接の一番大きな問題でございます。この問題につきましては、御承知のごとく、いろいろ経緯がございまして、ここでちよつと金融制度の方に関連して申上げなければならんかと思うのであります。金融制度の問題につきましては、一昨年の八月にいわゆる金融業法案の示唆というものがございましたが、その後だんだん考え方が変つて参りまして、昨年になりましてからともかく現在の銀行法、現在の金融機構の法律を整備することが適当であつて、徒らにドラスティックな改変をすることは不適当であろうというような考え方が強くなつて参りました。ところが極めて最近になりましてから、昨年末からでございますが、更にその考え方が変つて参りまして、成るべく日本の現状において最も習熟しておりまするような制度を活かして、そうしてそれらの制度を強化することによつて、只今申しました長期の資金の調達というようなことを図るべきであるというふうな意見が、非常に有力になつて参つたわけであります。その有力なる意見が出て参ります前には、例えば不動産担保の金融問題などは、昨年の前国会のときに申上げる機会があつたかと思うのでありますが、例えば不動産金融というものを、自主的に設立をするというような案も考えられたわけでございまして、その後いろいろ事務的にやつて見ますが、独立の不動産金融機関というようなものの具体性というものが、かなり危ぶまれるような結論が出るわけでございます。そういうような情勢の中におきまして、昨年の暮に一つの有力な意見が出て参つたわけであります。その意見の中で設備資金に関係いたしまする部分を申上げまするならば、一方において見返り資金は、直接融資といつてもなかなか手続も煩瑣でありまするし、見返り資金を活用することによつて、既存の金融機関を強化することが考えられないかという観点から、その意見が出て来たわけでございます。具体的に申上げますると、先ず興銀、勧銀等のいわゆる特殊銀行、それから農林中金、商工中金というような特殊の金庫、これらを始めといたしまして、普通の銀行についても優先株制度というものを考える。でそれらの特殊の銀行、金庫のみならず、一般の銀行におきましても若し望むならば優先株式の発行をさせる。併しその優先株式を発行した場合は、金額を見返り資金が保有する。その見返り資金が保有いたしました優先株と、固有の資本金或いは積立金等を合算いたしましたものの二十倍までは預金も吸収できるし、場合によれば債券も発行してもいいというような考えが出て参つたわけであります。その考え方を具体的に進めることが、当面の長期の設備資金の調達のためには最も実際的であるというように私共としては考えまして、その線に副うた具体案を只今のところ鋭意積み上げておる最中でございます。これの一例を申しまするならば、興業銀行について申上げまするならば、現在の資本金十五億に対して二十倍の債券の発行の限度があるわけでございますが、私共の見込では大体年度末までに興銀の資金の源というものは大体底をつくことになるわけでございます。それに対しまして例えば優先株式を十億発行いたしますれば、直ちにそれに対して二十倍の債券の発行が許され、二百億の資金がこの面から調達されるという結果になるわけでございます。それから勧銀について申しまするならば、勧銀はすでに預金銀行として発展いたしておりまするので、現在の資本金十億に対して十億の優先株を発行いたしましても、その十億に対してまるまる二百億は債券の発行はできないかも知れませんけれども、とも角相当程度の設備資金がこの面から調達することができる。農林中金については現在四億の資本金を、自力で約四億増資しようという計画が進められておりますが、それと並行いたしまして、仮に八億の優先株の発行ということが考えられれば、大体その二十倍程度までは新たに債券の発行ができるということになるわけであります。商工中金についても同様でございます。この数日中に……、今細目を関係方面と打合せをいたしておりますが、大体銀行等の債券発行等に関する法律案というものを、数日中に国会に提案できる運びになるかと思つておるのであります。今申しましたところはまだ私共の、仮に例として申上げたわけでございまして、果して興銀に十億の優先株の発行ができるか、或いは勧銀について何億発行できるかということは、これは仮定の数字でございますが、希望としては、これによりまして二十五年度中に四百億程度の新たな資金源を作りたいものであるというふうに企図いたしておるわけでございます。そこでこれら金融制度との関連でございますが、先程申しましたように、只今有力意見として考えられておりますのは、ひと口にいえば既存の日本の金融機関をできるだけ利用して新たに見返資金を活用することによつて、それらの金融機関の資本力を充実するということ、それからそれに対して一定の倍率以内の債券を発行することによつて、新たな資金の源を求めようとすることでありますから、金融制度それ自体に対しては、そう大きな改変をする必要ないのみならず、むしろ現状を活かして行こうという考え方に近いと思うのでありまして、そういう点から申しますと、かねて前国会から御説明する機会がありましたような、銀行法の改正案というようなものは、この際私共の率直な考え方からいえば、これを見送つた方がよかろうという結論にならざるを得ないわけでございます。ただ今日見返資金の問題と関連して問題になつておりますのは、見返資金によつて優先株を発行しない普通の銀行についても、預金と資本金との比率を一定にした方がいいのではなかろうかという意見が一部にございますが、これは別個の問題でございますから、私共としてはそれとこれとは切り離しまして、とり敢えず先程申しました銀行等の債券発行に関する法律案というものだけを、独立に御審議を願いたい。で、これが成立いたしますれば、相当設備資金等に明るい見通しができるのではなかろうか、若しそうなりますれば、先程二十五年度の見込として設備資金千二百五十億と申しましたが、これは相当大巾に拡げ得ることができるのではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。大体そういうことでございますので、金融機構の問題として一時私共も相当具体的に成案を作つておつたのでありますが、それは例えば今申しました資本の構成が預金に対していつも何倍なければならんことでありますとか、或いは一人に対する貸付金はその一人の法人でありまする場合は、資本総額の二分の一以内に貸付金を止めなければならんことでありますとか、或いは預金の支拂準備制度を作ることでありますとか、或いは預金保險を作ることでありますとかいうようなことが、銀行法の改正としては考えられる問題でありますけれども、これらは今何もかにもアメリカのフエデラル・リザーヴ的な、形式的な変改をしないで、むしろ問題は実質的に資金の調達が容易になるような方策を講ずることの方がより必要であろうということから、それらの研究案は研究案として一応先に残したらどうかというのが、今日の大蔵省の事務当局における考え方であるわけでございます。
 それで今残つております問題は、この見返り資金で債券を発行いたしました場合に、その償還を具体的にどういうふうにして行くかというようなこと、それから見返り資金に対する優先配当を何分にすることがいいかというようなことというような経理上の拘束その他について、細かい点のまだ関係方面との折衝が残つているだけでございまして、恐らく大体の筋書は、今申しましたような線で、法律案を数日中に御提案申上げる運びになるのではなかろうか、こういうふうに考えているわけであります。
 それから、その次に中小企業の金融の問題でございますが、これにつきましては、御案内の通り格別新らしい考え方はないのでありますけれども、それぞれ従来からも引続き考えておりますようなことを、具体的に推進して行くほかに方法はないと考えているわけであります。ただ見返り資金の直接融資の中で、御承知のように一四半期三億円は特に見返り資金のために放出することがよろしいということが、やはり昨年の末に決定いたしまして、例えば輸出の振興等我が国の経済の再建に寄與するところが大きな事業であつて、而もその業態は中小企業であるというようなものにつきましては、できる限り取扱い銀行の創意によりまして、簡單に融資の方法が採れるような方法がすでに発足いたしているわけであります。この細かな内容は非常に詳しくなり過ぎますので省略いたしますが、例えば中小企業というのは、大体この際におきましては拂込み資本金が三百万円以下であつて、従業員二百名以内の会社又は同程度の組合とするというようなこと、それから融資條件は一件の貸付金額は三百万円以内とする。その中の五割は見返り資金で、残額は取扱い銀行の自己資金によるというようなことで、一四半期三億というのを倍にして使おうというわけでございます。それから利率については、見返り資金の分が七分五厘、取扱い銀行の自己資金だけ一般の金利、即ち二分四厘、二分六厘というようなことになるわけでございます。それから使途は設備資金というようなことが明瞭であるものというようなことになつておりまして、償還期間は最長五年ということになつております。それから取扱い銀行の出します半額の方の償還は、見返り資金による融資に優先して償還されるということで、銀行の自己資本の方に回収の優先権を與えているわけでございます。これは実は金額が極めて少いので、倍に使わせましたところで一月二億になるわけでございますが、これ又私共の気持は、一四半期三億でありますので、例えば一月中に三億使いきつてもいいというぐらいにして、むしろその時期の初めの中になるべく多く融資をするという気持で、これらの担当の向きに指示をしているようなわけでございます。
 余談になりますけれども、土地柄によりまして、例えば大阪方面では先般も実情の調査に私も行つて参りましたが、あまりまだ利用されてはおりません。その一つの理由が、やはり一種の政府資金なので非常にしち面倒くさい制約があるに違いないというような先入観からと、金額が少いためにあまり喜ばれておりません。併しながら名古屋方面においては非常な期待を持たれて、融資の申請の件数も非常に多いというような状況でございますが、これらは率直に言えば早いもの勝ちというようなことでどんどん処理をすべきものだと考えております。
 この見返り資金の直接融資が、金額こそ少いのでありますが、最近に出ました一つの新らしい制度でございます。それから第二には御承知のごとく昨年末預金部資金百億円を金融機関への預託が許されたわけであります。その際に、従前の例にはなかつたのでありますが、無盡会社の或る程度以上の資金量のありますもの、全国で無盡会社五十六社だつたかと記憶いたしますが、そのうち大体二十二社を選びまして、直接に預金部資金の預託をいたしたわけでございます。これ又無盡会社の一社当りの金額は僅かなものではございましたが、銀行等に預託いたしましたものは、止むを得ないこととは思いますが、七割程度は日本銀行への借入金の返済にこの金が使われたのでありますが、他面無盡会社に預託いたしましたものは、相当有用に庶民の小企業等に、実際に年末の資金が流れたように思います。今後若しそういう預託が、更に金融が殖えるということがございますれば、相対的にそういう無盡会社、或いは信用協同組合という方にむしろ重点を置いて預託をしてみたいというふうに考えておるわけです。それから先程申しました見返資金の優先株の問題は、商工中金には当然適されるものと思います。商工中金は現在一億五千万円の資本金で、比較的小さなものでありますが、これを優先株で補強するということによつて中小企業の安定、長期に亘る設備資金的なものも商工中金に期待し得るではないか。商工中金は申すまでもなく現在資金量が非常にないので、貸したいのは山々であつても、それだけの資力がないというのがいつわらざる実情でありまして、いわゆる日本銀行の枠外融資というもののみに依存しておつたのでありますが、今度見返資金が間接に使えるということになりますれば、その面も非常に明るくなりしないかと思うわけであります。その他は毎々申上げておりますように、日銀からの枠外融資を更に拡げること、それから信用保証協会ができましてから一年間ばかり経過いたしまして、いろいろ改善を要することもあり、又補強を要することもございますが、信用保証協会を通ずる保証制度に一層の努力を拂つて行きたいというような考えでおるわけであります。これに若し勧業銀行が再建発行ということになりますると、いわゆる不動産金融が勧業銀行に非常に期待される。これは従来の勧業銀行の例から見ましても、興業銀行ほど大規模な企業に貸すというよりは、むしろ中小の商工業関係の、例えば店舗を担保にする金融とか、住宅を担保にする金融とかいうようなことが勧銀の面に相当新しく期待されてくるというふうに考えておるわけであります。大体中小企業対策については今申しましたような手が打たれておるわけでございます。
 第三には農林水産関係でございますが、この面は何としても農林中金をできるだけ自主的に拡大強化いたしまして、そうしてそれに見返り資金を結び付けるということによつて、日本側の希望としては、これを最大限度に活用するということに重点を置いて参りたいと思つておるわけであります。一面例えば農業手形というようなことも一昨年始めたのでありますが、あまりこれは利用され過ぎますと、一種の青田売りみたいな恰好になりますので、農業手形制度については、その対象或いは方法なりを改善する必要は多多あると思いますけれども、あまりこれを拡げない方が今日となつてはいいのじやなかろうかという感じも持つておるわけでございます。この点は主として農林中金というものの拡大強化に期待するということで考えて参りたいと思います。
 それから最後に証券金融はしばしば大臣等からの説明が直接もあつたかと思うのでありますが、これはざつくばらんに申しますと、昨年の十一月頃までは証券金融問題というものを、実は金融側では、かなり金融政策上では冷遇されておりましたことは御承知の通りでございますが、その後事態の変遷に伴いまして、例えば融資準則上全部これを甲の扱いにするということを初め、いろいろとでき得る限りの手は打つておるつもりでございます。その結果証券業者に対する金融は、昨年の八月の十五日に融資準則を改正いたしましてから後、例えばその八月までには証券業者に対する金融は三億円ということに全国的に枠がかかつておつたのでありますが、八月末には十六億円になりまして、その後九月末には三十三億、十月末には三十四億、十一月末には四十六億というふうに、漸次増加をいたしております。一方一般の投資者に対する金融機関側の金融残高は、八月末十五億、九月末二十四億、十月末三十億、十一月末三十九億というように、漸次広がつておるわけであります。併しこれらの対策は、現在の証券金融に対する対策としては、非常に不十分だということも言えると思いますので、御承知のごとく証券金融会社の設立、それから証券投資会社の設立というようなことを別に案を作りまして、関係方面と折衝いたしておるわけでございます。この証券投資会社の設立が若しできまして、而もその所要の資金が見返り資金等から相当程度期待できるということになりますれば、或る程度の株もたれの状況を相当抜本的に処理することができるかとも考えるのでありますが、この折衝については私の所管が違いますので、極めて最近の状況を承知いたしておりません。
 尚又金融機関の株式の買入れにつきましては、昨年の十一月ごろから十二月にかけまして、例えば生保団は十二月だけで十億円を買出動いたしております。何分生保団の資力も現在ではそう十分でもございませんし、又マーケット・オペレーションをやるにいたしましても、保有の国債の量がそう多くございませんので、一時のごとく生保団に非常に大きな期待を持つことはできないわけでございます。それから市中銀行は、十二月中に約四億円の買いをやつております。興業銀行は大体三億円程度と称せられております。一月に入つてから大体推計はしておりますが、十二月から一月までの合計で大体十億円程度を買つておるのではなかろうかと思うのでありますが、これは申上げるまでもなく、市中銀行としては利潤証券としての採算をどうしても考えなければなりませんので、こういう金融機関の株式の買入れというようなことに、そう今後大きな幅を期待することは、それ自体が無理ではなかろうかというように考えるわけでございまして、結局現在のところでは証券金融の問題よりは、むしろ証券対策という大きな観点から問題を採り上げなければならんのじやなかろうかと、こういうような感じでございます。
 大体以上で盡きたつもりでございますが、金利につきましては、御承知のごとく原則的に二厘下げるということを去る二月一日から実行いたしましたが、これには併し実際上中小金融を生かすために、形式論理からいえば、却つていけないことかも知れませんけれども、実際は中小金融は、金利の問題よりは資金量の問題である点も考えまして、例えば五百万円以下の貸付については、特に一厘下げで止めることを認めるというようなことをいたしまして、金利の引下げは余り大巾にやらない代りに、資金を中小金融に出して呉れることに、市中銀行の活動を期待いたしておるわけであります。
 尚又高率適用が非常な問題にされたわけでございますが、これも一般貸出金利の二厘下げに伴いまして、二月一日から第一次、第二次のそれぞれの高率適用を、大体一厘がた全部に亘りまして下げることに決定して、日本銀行がさように実施をいたしておるわけであります。一応最近の状況を以上の通り御説明申上げました。
#47
○小川友三君 局長さんにちよつと伺いますが、この間金利を下げられたのでどうも困つたということを市中銀行、五大銀行どこえ行つても言つておりますが、一気に下げられても、銀行の経営費だけが無くなつちやつたということを言つておりますが、これにつきまして銀行の内容は悪くなるだろうと思いますが、いかがなものでございましようか。これに対して相当銀行側では無理だと言つておりましたのですが、経費が非常にかさんでおるからして、例えば百億貸しますと一千万円であつて二厘下げられたんでは二千万円違うわけでございますから、その点に対して悪影響を受けないでしようか。御説明願いたいと思います。
#48
○政府委員(愛知揆一君) 銀行の経営が苦しいかとをかということでございますが、これは実は、帳簿上では非常な利益が上つておるわけでございます。従つて計算上は金利は原則でなくて全部二厘下げましても算盤は一応合うというので、金利調整審議会を数回開きましてもそういう結論が出るわけでございます。ただ問題は、二厘下げでも、亦世俗な例でありますが月給を切らなければいかんとか、或いはその他非常に経営を直接に困難ならしめるという問題は全然ないのでありますけれども、御承知の如くこのインフレーションが終熄と申しますか、むしろデフレ的な様相に入りつつあるような今日の状況では、貸倒れ等に対しまして、十分償却をしたいというのは、これは銀行経営者として当然のことでございますが、そういう点から申しますると、帳簿上の一応の償却前の利益が相当出ましても、相当部分償却もしなければならん、仮に金利を或程度以上下げますと、貸倒れなり、或いは今後の回収困難なる面について、相当程度銀行の望む程に償却をすることが困難になる虞れがあるということで、銀行側と我々と、その他関係の方々で十分に各銀行の現在のポジションを詳細に検討いたしました結果、大体が日歩にすれば一厘下げなら全然そういう心配なくやつていけるという結論になりましたので、後はむしろ政治的な折衝の問題として原則として二厘下げるが、併し例えば書替え書替えで六ケ月を越えて、一種の遅滯みたいになつておるものも随分ありますが、そういうものについては、止むを得ず現在の金利でもいいようなことで、総体的に算盤をとつて見ますれば、日歩にして一厘三毛、或いは一厘五毛という程度に銀行の経営は影響される、それならば十分の償却をしてもやつて行けるということになりまして、一月の下旬に金利調整審議会の答申というものが満場一致でできたようなわけでございます。
#49
○小川友三君 ああ、そうですか。
#50
○政府委員(愛知揆一君) 従つて今日のところでは、まあ銀行の側から見ますれば少し下げ過ぎた、下げられ過ぎたという感じは、或いはあるかと思いますけれども、客観的に見ますれば、先般の決定は私共としては妥当であつたかと考えておるわけであります。
#51
○委員外議員(木下源吾君) 当委員会の議事運営につきまして一言……。
#52
○理事(黒田英雄君) 今済みましてから……。
#53
○委員外議員(木下源吾君) 発言を許して頂きたいので……。
#54
○理事(黒田英雄君) 委員会を済ましてからでいいでしよう。
#55
○委員外議員(木下源吾君) 委員会中にちよつと……、皆さんにお願いして……。
#56
○理事(黒田英雄君) それでは今木下委員から当委員会の議事運営について発言を求められているのでありますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#57
○委員外議員(木下源吾君) それでは委員長のお許しを得てお願いしたいのですが、昨年の暮私は人事院の給與改訂勧告の予算化に関する決議案という決議案を出しているのでありますが、その後連合委員会で審議しまして、そうしてこの委員会にかかつているわけであります。これを一つ何とか速く御審議を願いたいのであります。御案内の通り決議案でございますので、そうして又その案件はこの予算に関しては一番重大な影響を持つているのでありますから、希くばあらゆる案件に先立ちまして一つ早急にこれを上程して御審議を願いたい、かようにお願いする次第であります。
#58
○理事(黒田英雄君) それは一つ理事ともよく懇談しまして方針を決めるようにいたしたいと思います。御趣旨はよく分りました。
#59
○委員外議員(木下源吾君) 成るべく早くそのことをやるようにお決め願つて、一つ私共の方へお知らせを願いたい。以上お願いする次第でございます。どうもありがとうございました。
#60
○玉屋喜章君 ちよつとお尋ねしたいのですが、この二十五年度の見返り資金の中から船舶のことについて第六次計画についても御考慮を願えることになつておりましようか、船舶の内容で……。
#61
○政府委員(愛知揆一君) この点は私の所管ではございませんので、大体考えられつつあると思いますけれども、はつきりした答弁はその所管の政府委員からお答えいたしたいと思います。
#62
○玉屋喜章君 これは銀行局の所管と思いますが、業界の非常な声で随分我我のところへ申込んで来ておりますが、無盡会社の改訂ですね。無盡を庶民金庫にしてくれとかいう、あれは銀行局においては考慮の余地はないと認めましようか、どうでしようか。
#63
○政府委員(愛知揆一君) この希望が非常に沢山あること、並びにそれは相当御尤もだと思うのでありますけれども、特によく御承知の事情の通りでは、どうも無盡会社というものは、アメリカにこういう制度がないという関係からこれを具体的に解して行くことが当面なかなか困難に見受けられます。従つて先程銀行法について申上げましたように、まあ現在の段階では無盡業法がそのままにうまく運営されて、例えば預金を取るというようなことは禁止されるというようなことにならないよう、現状を以て今暫く推移して頂きたいというふうに、業界にもお望みしているようなわけでありまして、一面において積極的に無盡銀行というような案ができることは望ましいと思いますが、そういう案を提起することによつて却つて預金問題等を惹起することは、現在の実情として好ましくないのではなかろうか、こういうふうな気持で私共おるわけでございます。
#64
○玉屋喜章君 そういたしますと、大変御理解があることだが、無盡としてそうして手形の割引とか預金とか、まあ銀行業務見たいなことを、或る程度まで扱つて貰うということは御考慮まで行つておりましようか。
#65
○政府委員(愛知揆一君) そこのところは極めて微妙でございまして、先ず現状で暫く御満足を願いたいというふうに考えております。
#66
○油井賢太郎君 先程お話の中で滯貨金融の制度は商業手形の金融で以てやつて行くということは原則で、在庫に対する滯貨金融ということをお認めになるというようなことはないんですか、その点をお尋ねいたします。
#67
○政府委員(愛知揆一君) 今般考えておりまする案にはそこまで行つておりません。つまり商品直接の担保までには行つておりません。ただこれは申すまでもなく統制が全面的に解除になりまして、商品の移動なり、倉庫に置くことなり、これを積出すことなりが自由になりますれば、当然商品なり、倉荷証券が、担保物件というものが平常経済の上に活発に行われる時期が近いのではないかというように考えておるんですが、只今のところはそこまでは行つておりません。商業手形が中心になると思います。
#68
○油井賢太郎君 そういたしますと、いわゆる倉荷証券あたりで金融を認めるというのはいつ頃になるんですか。
#69
○政府委員(愛知揆一君) これは私の個人的の意見でございますが、できるだけ早くそういう時期が来ることが望ましいと思つております。これはもう随分前から案としては考えておるんでありますが、まだ全体の動きがそこまで熟しておりませんので……。
#70
○油井賢太郎君 個人的でもよろしいですが、どんな見当ですか、いつ頃になる見込みです、早ければ。
#71
○政府委員(愛知揆一君) 今後数ケ月はかかるんではないかと思うのですが、その時期の見込みは……。
#72
○油井賢太郎君 それからもう一つお尋ねしたいのは、こういう金詰りの世の中に、大体企業家というのは金利が多少高くとも、金融の面において緩和して貰いたいという意向になつておりますが、そういう際に金利を引下げて却つて金詰りを助長するというようなことは、これは矛盾していやしないかと思われるんですが、それについてどんなような意見が出たんですか。
#73
○政府委員(愛知揆一君) ただこれは銀行の経営の内容を御覧になりますれば、その他の産業に対して合理化を要請しておる立場からしても、或る程度は避けなければならないということは、当然に出て来る一つの結論ではなかろうかと思うんです。それでこれも率直なことを申上げますけれども、昨年の八、九月頃までの金利調整審議会では、産業資本家側の御意見では、何も金利を下げなくてもよろしいと、むしろそれよりも貸して呉れという御意見が非常に強かつたんですけれども、今回の委員会におきましてはそういう意見はございませんで、むしろ貿手の問題などはもう一層下げてほしいという意見の方が強かつたのであります。これはやはり主として九月の決算が公表されております。その公表された決算で、ここにちよつと資料を持つて参りませんでしたけれども、御覧になりましてもやはり銀行としては或る程度外に影響のないことですから、金利を下げるべきだという意見が全体を通じての意見だつたように思います。ただ先程申上げましたように中小金融等につきましては、表面から考えると中小金融等を1厘アップにして置くことはおかしいと言えるんですけれども、経済の実情からいえば、中小金融では一厘でも大事であるということで、一件五百万円以下は一厘下げということになつております。
#74
○油井賢太郎君 そこで先程あなたのお話のうちにもあるのですが、デフレ的様相を大分帶びて来ているんですが、現在経済界が三月危機というようなことを言われております。そういうような今のような手形取引、やはりこれは金詰りの打開というような恰好から手形取引をしておるというような形になつております。若し三月危機というようなものが本当に出現して、銀行において割引された手形が片端から不渡りになつてしまうというような場合、支拂能力のない企業家は倒産に至つたという場合、銀行の内容は極端に悪くなることが予想されるが、そういうときを予想しての対策は何か考究されたことがおありですか。
#75
○政府委員(愛知揆一君) これは一つに銀行の内容の問題でありますが、なかなかむずかしいところでございますが、現在のところ私共の見ておりますところでは、銀行については何らの心配はございません。と申しますのは、結局償却をどれだけして置くかということでありまして、これも極端な例かもしれませんけれども、例えば或る不正事件があつたというようなことで、相当大きな穴があいて、普通ならばどうしようか、或いは相当なところへ発展するのじやなかろうかという場合でも、幸いに現在の收支の状況がいいから、極めて短期間に償却ができたという事例も最近にあるわけでありまして、現在の收益の状況や償却をやつております実情から見ますれば、私はむしろ楽観しておるようなわけであります。
#76
○油井賢太郎君 これはいずれ又大臣等にもお伺いしたいのですが、もう一つの問題は、大体統制経済が解除されて、あらゆる物資が自由経済に復帰しつつある際に、金利だけがどういうわけで、今尚統制して置かなくてはならないのですか。例えば火災保險料のごときものも、こういう鉄筋コンクリートの建物のごときは、非常に安い率で掛けることができる。バラック建には高い率を掛ける。併し金融機関から見ての貸付金においてもやはり安全性の高いいい貸出もあれば、相当懸念される貸付金もあるのですが、そういうものを殆んど統制された金利で、これを左右されるということはどうかと思うのです。それに対して金融界の金利の自由に復帰するというようなことはお考えになつておられんのか。
#77
○政府委員(愛知揆一君) これは誠に御尤もでございまして、私共としても金利はもう少くとも政府の力で統制すべきものではないというふうに考えております。で、これはまあ釈迦に説法なんでございますけれども、一昨昨年でございますか、臨時金利調整法ができましたゆえんは、従来なれば協定金利でございまして、それも貸出金利はむしろ最低を決めて、預金の金利は最高を決めるために協定ということが、どこの国でも行なわれておると思うのですけれども、それがたまたま事業者団体法、独占禁止法に抵触するということで公正取引委員会の審査がございまして、これはどうしても違反するということで、併しながらそのときの情勢ではやはり協定は必要だということで、あの調整法ができましたような関係で、今から見れば今日の状態でああいう恰好で、そうして外の例を取りますけれども、日本銀行自体の割引歩合は、政策委員会ができて以来大蔵大臣の認可も要らなくなつた。ところが一般の金利の方は、私共が法律上委員に参加しておりまして、まあ十五人の中で何人か役人も入つておるわけでありまして、役人の発言権が相当強い状況になつております。この仕組自体が今日となつてはおかしいとも言えるが、ただ独占禁止法違反という問題がありますので、協定ができないというために止むを得ずああいう制度が残つておるので、恐らく今後の模様としては別に手を用いずとも、いい貸付先があれば争つて貸すようになるので、当然金利はどうしても下ると思うが、今後においてはそうプラステイツクに、政府側から金利をこれだけ下げろというような意見を強く出すということはなくなるであろうと思うし、又そういうようになつてほしいと考えます。
#78
○小林米三郎君 戰前においては大変銀行の合併が強制されましたのですが、今度いろいろそのために銀行の不足で、地方におきましては困つているのでありまするから、新らしく或る銀行を許可するような考えを持つているかどうかそれを伺いたい。
#79
○政府委員(愛知揆一君) 長年大蔵省で伝統的に一県一行主義を取つて、それによつて随分合併を奬励して参りましたが、最近の事態に鑑みまして、前回の予算演説にはつきりその意図を出したのでありますが、一県一行主義は、もう看板を私共としては降ろしましたような次第で、一定の規模で、まあ失礼な言分でありますけれども、まじめな計画であれば、これを育成助成して行くことに積極的な協力をしようという態度を昨年の暮からはつきりしたのであります。それでその後の実情はどうかと申しますと、一、二具体的な計画をお持ちの方もございますが、まだ認可まで行つたものはございません。それはなぜかと申しますと、やはり、資本金を集めることはそう大変困難でないようでございますけれども、預金が果して集まるかどうか、それから大体私共の計算では、銀行の收支を償うためには、銀行の行員一人頭五百万円は預金が欲しいのでありますから、その域に達するまでにはどれだけの月日がかかるか、例えば一年先にその程度になるならば見込があると思いますが、二年先、三年先にその程度になるということでは最初の三期、四期がずつと赤字の連続になりますので、そういうことでいろいろ御相談いたしておりますと、これはまだ計画が熟さないということで、もう少し情勢を静観しようということになつておる例も二、三ございますが、今直ぐにできそうなものはございません。ただ場合によりますと信用組合等が、例えば中小企業協同組合法というのが昨年できまして、これが一月一日から実施されておるわけであります。そして三月一杯までに解組をしなければなりません。それをきつかけにして、只今信用組合等をこの際銀行に解組して新設銀行を作つたらどうかというような御意見も出ておるようなわけであります。そのいずれを問いませんで私共としてはいい計画であれば積極的に助成して行く、こういうふうに考えております。
#80
○理事(黒田英雄君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
   午後三時十五分
 出席者は左の通り。
   理事
           黒田 英雄君
           伊藤 保平君
   委員
           玉屋 喜章君
           油井賢太郎君
           小林米三郎君
           小宮山常吉君
           高瀬荘太郎君
           高橋龍太郎君
           米倉 龍也君
           小川 友三君
  委員外議員
           木下 源吾君
  政府委員
   大蔵事務官
   (銀行局長)  愛知 揆一君
  説明員
   大蔵事務官
   (理財局総務課
   長)      酒井 俊彦君
ソース: 国立国会図書館
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