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1978/10/18 第85回国会 参議院 参議院会議録情報 第085回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
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1978/10/18 第85回国会 参議院

参議院会議録情報 第085回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号

#1
第085回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
昭和五十三年十月十八日(水曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二日
    辞任         補欠選任
     秦野  章君     大谷藤之助君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                金丸 三郎君
                小林 国司君
                宮之原貞光君
                多田 省吾君
                内藤  功君
    委 員
                上原 正吉君
                小澤 太郎君
                大谷藤之助君
                郡  祐一君
                竹内  潔君
                中西 一郎君
                中村 啓一君
                片山 甚市君
                栗原 俊夫君
                三木 忠雄君
                向井 長年君
                青島 幸男君
                円山 雅也君
   国務大臣
       自 治 大 臣  加藤 武徳君
   政府委員
       自治政務次官   染谷  誠君
       自治省行政局選
       挙部長      大橋茂二郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       自治省行政局選
       挙部選挙課長   岩田  脩君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等
 の臨時特例に関する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
○公職選挙法改正に関する調査
 (選挙に関する件)
○継続調査要求に関する件
○閉会中の委員派遣に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原文兵衛君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤自治大臣。
#3
○国務大臣(加藤武徳君) ただいま議題となりました地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 御承知のように、都道府県及び市区町村を通じて、全国多数の地方公共団体に「おきましては、議会の議員または長の任期が明年三月、四月または五月中に満了することとなるのでございまして、現行法によりますと、その任期満了前三十日以内にこれらの地方選挙が集中して行われることになるのでございます。
 政府といたしましては、前例にもかんがみ、これらの選挙の円滑な執行と執行経費の節減を期するとともに、国民の地方選挙に対する関心を高める意味において、これらの選挙の期日を統一する必要があると考えたのでございます。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由でございます。
 次に、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、期日を統一する選挙の範囲につきましては、(一)明年三月から五月までの間に任期が満了することが予定されている地方公共団体の議会の議員または長について、その任期満了による選挙を三月以降に行う場合、(二)これらの議会の議員または長について、任期満了による選挙以外の選挙を行うべき事由が発生し、三月から五月の間に選挙を行うこととなる場合及び口明年三月から五月までの間に任期が満了することが予定されていない地方公共団体の議会の議員または長について、選挙を行うべき事由が発生し、三月から五月の間にその選挙を行うこととなる場合について、これらの選挙の期日を統一することといたしております。
 第二に、選挙の期日につきましては、四月中に任期が満了するものが最も集中していること、年度末の地方議会の会期、選挙運動期間等の諸事情を考慮して、都道府県及び指定都市の議会の議員及び長の選挙についてはこれをまとめまして四月八日とし、指定都市以外の市、町村及び特別区の議会の議員及び長の選挙につきましてはこれをまとめまして四月二十二日とし、いずれの期日も、選挙人の便宜、投票所施設の確保の必要性等を配慮いたしまして日曜日といたしております。
 第三に、この法律の規定により統一した期日に行われる各選挙は、同時選挙の手続によって行うものとし、選挙管理事務の簡素化を図るとともに、都道府県の選挙の候補者となった者は、関係地域において行われる市区町村の選挙の候補者となることができないこととして重複立候補による弊害を除くことといたしております。また、任期満了による選挙について、後援団体に関する寄付等の禁止期間を各選挙の期日前九十日から選挙の期日までの期間とすることとしたほか、都道府県の議会の議員の選挙に立候補するため昭和五十四年三月二十七日から同月末までに退職する市区町村の議会の議員について共済給付金の計算上不利がないようにいたしております。
 なお、この法律の規定の適用を受ける選挙が行われることに伴い必要とされる事項につきましては、政令で必要な規定を設けることができるものとし、選挙の円滑な執行を図ることといたした次第でございます。
 以上が地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案の提案理由及びその要旨でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
#4
○委員長(原文兵衛君) 以上で趣旨説明は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○宮之原貞光君 ただいまの提案説明にもありましたが、「選挙の円滑な執行と執行経費の節減を期するとともに、国民の地方選挙に対する関心を高める意味において、」と、こうあるわけでございますが、「執行経費の節減」というのはよくわかりますが、ただ統一してやれば「選挙の円滑な執行」とか「国民の地方選挙に対する関心」を一緒にやれば高める云々と、こういう意味はどういう意味ですか。
#6
○政府委員(大橋茂二郎君) お答えいたします。第一番に「地方選挙に対する関心を高める」という意味でございますが、ただいま御提案しております全国の三、四、五月の選挙を多数行うということによりまして、報道あるいはその他の機関におきまして地方選挙の今回の意義、あるいは国政に対するその地位その他がいろいろ論ぜられるということで、おのずから国民が地方選挙に対して関心を高めるということが従来の調査の例等からも出ておりますので、そのような効果を期待しているわけであります。
 かつまた幾つかの選挙というものを同時に行うということによりまして、それぞれの事務が町村は町村あるいは県は県という別にやります場合におきましても、その事務を並行して行うことができるということにおいて事務の円滑化を期することができるというふうに考えている次第でございます。
#7
○宮之原貞光君 いまの説明ですと選挙の円滑な事務ですね。選挙業務が円滑に行われる、こういう意味なんですね。
 これは選挙というのは、私はやっぱりあくまでも有権者本位で、一緒にやれば有権者に一体どのように有利なのか、どういう有権者にメリットがあるのか、そこのことをやっぱり第一に考えてやるのが選挙の本旨だと思う。付随的に業務の方がそれに加わっていくというならわかりますが、どうもいまの御説明だと、選挙業務の円滑あるいは選挙業務本位に統一選挙日を指定をするというようなかっこうにどうもこれは受け取られてなりませんが、これは。あるいはまたたとえば国民が関心を持つ、こう言っても、いずれにしてもその前後に集中することはこれは間違いないわけですから、ただ八日とか二十二日でなければ国民の関心が薄くなるということはちょっと常識的にはこれは考えられない。
 どうも原案で提示されたところのものを見ますと、選挙業務本位にこの選挙というものを皆さんは考えられておるんじゃないだろうかという疑念がいたしますが、その点はどうなんですか。
#8
○政府委員(大橋茂二郎君) ただいまのお話でございますが、地方選挙に関する関心を高めるとともに選挙の円滑を期するということの場合におきましては、もちろん選挙事務そのものもそうでございますが、選挙人が一回投票所に足を運ぶことによって幾つかの投票に参加することができるというような便宜もあることでございまして、決して単なる選挙事務執行だけのことではないというわけであります。さらにまた選挙事務の執行自身というものは、まさに選挙人が投票を行って自分らの代表を選ぶということを円滑に行うということの意味があるわけでございまして、そのような意味におきまして選挙人自身が選挙に関する関心を高めるとともに、かつそれが選挙権を十分に行使するという事務が円滑に行われるというようなことで、あわせもって選挙の目的が達せられるものというふうに期待しておるわけでございます。
#9
○宮之原貞光君 じゃ、関連してもう一つ聞きますが、提案理由の第二に述べられましたところの「任期が満了するものが最も集中していること、」云々と、こうありまして「選挙運動期間等の諸事情を考慮して」八日とか二十二日に決めたというふうに出ておるんですが、これはどういう意味ですか。
#10
○政府委員(大橋茂二郎君) お答えいたします。
 明年の三月、四月、五月というふうに統一の期日を考えますと、大体四月中に任期を満了する予定のものがおおむね九割に相当するわけでございます。したがいまして、その実情を考えますと、やはり四月中に統一の期日を設けることが適当であろうというふうに考えているわけであります。
 なおかつ従来の例によりますと都道府県と指定都市を先にし、そうして市区町村を後にするということ、あるいは都道府県、指定都市及び市区町村との間を二週間置くということ、それから日曜日に選挙期日を設けるということも過去の例でございますので、それらをしんしゃくしますと、四月八日に都道府県及び指定都市の議会の議員及び長の選挙を行い、指定都市以外の市、町村及び特別区につきましては四月二十二日に行うことが適当であるということで提案さしていただいたわけであります。
#11
○宮之原貞光君 ちょっと時間が制約されておりますので、どうもいまの御説明ではよく理解できませんが、ただ先ほどの御答弁といい、いまの御答弁といい、どうしても皆さん方の考え方は選挙業務を円滑にする、選挙業務の煩瑣を除く、これを非常に中心に物が考えられておると感じられてなりません、これは。
 その点から申し上げますと、たとえば第三条の四月八日の選挙をやる方を見ますと、所によっては知事と県会議員、指定都市では指定都市の長並びにその指定都市の議員、一回に四人の人を選ぶわけですね。これ実際たとえば参議院選挙などで投票所に行って一人の人が二回投票するんでもいろいろ煩瑣なんです。一回に四人も一緒にやりなさい、こういうことでしょう。これ果たして有権者の立場ということを考えられて皆さんがこの規定をされておるのかどうかということに私疑問を持たざるを得ないんですよ。
 なるほどそれぞれの選挙管理委員会によりましては、御丁寧に今度は知事ですよ、今度は県会議員ですよ、今度は市長さんですよと、こうやるところもありますけれども、一括して四枚渡すところもあるんです。そして投票箱だけ四つ置いて御随意にというんです。これはお年寄りの方などはとてもそういうことはできませんよ、これ正確には。無効が出たり、いろんなところに入れたりするんですよ、これは。
 どうもそこらあたりが私は先ほども申し上げたように余りにも選挙本位じゃないだろうかと、こう思うんですが、その点をどういうふうに皆さんは行政指導しようとお考えになっておるんですか、そういう点は。
#12
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどお答えしましたように、指定都市と都道府県の選挙を同時に行うことによりまして多い区の場合は四つの選挙が行われることがあるのではないかということでございます。現在予定されるところでは、神奈川県における神奈川県と川崎市、それから北海道における北海道と札幌市というものについて長及び議会議員につきまして四つの選挙が行われるということになっております。
 これは県が指定都市と同じように行われるようになった理由につきましてもかなりいろいろの議論は従来からあったわけでございますが、御承知のとおり指定都市の長ないし議会の議員の選挙期日というものは、長につきましては二十日、議員については十二日ということでございますので、県と市区町村との間の十四日という期間だけでは大変その間の事務処理ができないという事務的な面もあるわけでございますが、関係の選挙管理委員会に十分いろいろ意向を聞きましたが、関係の選挙管理委員会も単にそれを自分のところの事務便利ではなくして、やはり住民の意識からいって、指定都市としては都道府県と一緒にやった方が適当であるというような御意見等もありまして、県と同じようにするというふうな取り扱いに従来からされているわけであります。
 この実務の執行に当たりましては、特に指定都市の選挙管理委員会はその指定都市の選管以外に区の選挙管理委員会というものを持っておりますので、先ほど言いましたような御趣旨の問題については十分に配慮して、たとえば投票をする場合におきましても順番に投票するということに対する適切な指導をする。さらにはまた投票箱は一応形式的には分けてありますが、実質的には共通投票箱にするということによってもし間違った人がありましても無効投票は生じないとか、そのようないろいろな配慮をいたしている次第でございます。
#13
○宮之原貞光君 しかし答弁はそうだが、実際はそうじゃないんですよ。たとえば県会議員選挙、統一地方選挙のときに、補欠選挙を行う場合あたりも、三回、三人一緒にやる場合もあるんですよ。そうすると、皆さんは答弁でそうおっしゃいますけれども、それぞれの県の委員会にみんな任されておるでしょう。きわめて不親切で、そういう間違いというのはあるんですよ。それをあなたがおっしゃったように知事の箱の中に市会議員のものを入れたからこれは有効ですとは言えぬでしょうが。これはやつぱり無効ですよ、明確に言うならば。
 そういうようなことに対しても私はやっぱりきちんとしたところの皆さんこういう指導がなければ――だから私は先ほど言うように、きわめて皆さんは事務本位だというのはそこなんです。常に有権者の立場を考えて、四日、四回もあるようなところは具体的にこう指導しますと、ここのところまでは私はやっぱり明確に自治省として指導していただきたいですね。そのお約束はこれはできますわね、今度は徹底するように。よく統一選挙の後はそういういろいろな問題が新聞ざたになるでしょうが。皆さんも御存じのはずなんですよ。その点はきちんと指導してくれますか、どうですか。
#14
○国務大臣(加藤武徳君) 宮之原委員が御指摘になられましたように、単に事務を円滑に執行いたします観点からだけ物を考えてはならぬことば仰せのとおりでございまして、やはり有権者本位の考え方の理念の上にまた事務の便宜をも考慮していく、これが基本の考えでなければならぬ、このことを私も痛感いたします。
 そこで、いま御指摘のございました神奈川県と川崎市、北海道と札幌市は御指摘のように四つの選挙が同一に行われるのでございますから、やはり有権者の利便を十分に考慮いたしまして、お年寄りなんかが投票所で迷われたり、また無効票の出ないような最大の配慮をしなければならぬことは御指摘のとおりであろうと思うのでございますから、さようなことの指導の徹底を期してまいりたい、かように考えます。
#15
○宮之原貞光君 もう一つ関連をしてお聞きしたいんですが、四月八日といいますと、従来は大体私の記憶では四月の下旬の方に統一選挙の日取りが多かったと思うんですが、特別にこの八日というふうに今度は繰り上げたような感がいたしますけれども、ただこれ官庁や民間の年度末の人事異動の多い時期なんですね。私は相当棄権者が出てくるのではないだろうか、そういう関係者。こういう点はこの日を設定をされる場合にはいろいろ御検討いただいたんだろうかどうだろうか。特に教育関係者はほとんど御承知のように三月末異動ですからね。全国で申しますと相当な異動が出てくるわけなんです。あるいは民間の会社にしてもやっぱり年度末異動というのは相当ある。官庁の中にもある。
 そういうような形で、非常に異動期に近接をするところの投票日なんですが、この八日というものを設定をされた場合にはそれはどういうふうにするとか、あるいはその問題に対してどういう立場からこうなんだという検討をされたことはあるんですかどうですか、そこをお聞かせ願いたい。
#16
○政府委員(大橋茂二郎君) 四月がちょうど年度初めであり、また異動も行われるというようなことも予想されますし、それからまた別なところで御指摘もございましたのですが、一部の農村地域においては非常に業務の忙しい時期にもある。いろいろな事情があるということは承知はしております。
 ただ、先ほど申しましたように、四月に九割からの任期が満了するという事実を前提といたしますと、余り四月からずらすというと、これを統一する場合において長なりあるいは議会がない状態が長く続くとか、その他の状態があるということでございますので、一応その四月中におきまして二週間の間をあけてしかるべき日ということを考えました結果、今日におきましては八日と二十二日というふうに考えさしていただいたわけでございます。
#17
○宮之原貞光君 その日を決めたのはわかりますが、いま申し上げたように、実際国民の中には三月末の異動期ということで相当公務員関係あるいは民間の方も異動するのが多いんですよね。特に八日となりますと私は従来の四月の十八日とか二十二日よりも相当棄権せざるを得ないところの層が出てくるんじゃないだろうかと思いますよ。赴任したばかりのところですからね。だからそこは皆さんはそういうことを予想したところのいろいろな手だてというものについては検討されてございませんかというのですよ。大臣もお答えいただいたように選挙はあくまでも有権者本位にやるとするならば、そういう部面があるのだから、実際問題として。それはどういう指導で最小限度にそういうことのないように防止するとかいろいろな指導の面もあってしかるべきなんですよ。そういうことは検討されたことはありませんか、またどういうように指導するんですかと聞いておるんですよ。
#18
○政府委員(大橋茂二郎君) それぞれの人によりましてかなり事情が違いますが、たとえば異動等によりまして県内におきまして住所を移動することがありましても、当該都道府県の選挙に関して選挙権を行使することができるというような法律の規定になっております。そのような法律の規定の趣旨を徹底するとか、さらに不在者投票というような仕組みというものについての懇切なる説明をするとか、その他関係の都道府県機関に十分に指導いたしたいというふうに考えております。
#19
○宮之原貞光君 だから私は皆さん机の上だけで物を考えておると言うのですよ。隣から隣の町に行くなら話はわかりますよ。同じ県内でも相当距離がありますからね、県内の異動についても。行くとすればやっぱり相当金も使って行かなきゃならぬですよ。だから、そういうことをいろいろ考えると、どうもこれは八日というのはますます皆さんは不在者投票に期待をするということだけでこういう問題を処しようという物の考えしかない。言うならば、先ほどあなたが説明したように、八日、十五日、二十二日、二十九日のうち八日がいいと、こう決められたところの節が見えてならぬのです。
 もう少し本当に国民の貴重な投票権を行使するというなら、国民の立場本位に統一日を――私は統一日を指定したことが悪いとは申し上げない。しかしながら、そういうきちんとしたところの手だてが全然皆さんの提案説明や本法にもない。いまの御答弁を聞いても、それは県がやりますとか、指導しますという抽象的な話しか上がってないんですよ。それでは本当に私は国民の貴重な意思表示であるところの一票の行使ということについての温い血の通ったところの指導というのが足りないんじゃないかと、こう指摘しておるのですよ。
 ぼくはこの点を相当考えていただかなければならないところの問題だと思いますので、多くは申しませんけれども、、ぜひともひとつそういう点をきちっと指導していただきたい。非常に場所によっては不在投票さえも欠勤して行くのを認めないというところもありますから、会社あるいは官庁の中には。おまえ転勤してきたんだから棄権せいと言わんばかりのところもあるんですよ。もしそういうことで訴訟問題でも起きてきたらどうしますか、皆さん。だから便宜的に考えるのは、円滑にすることを考えるのはいいけれども、やっぱり有権者本位というものでこの問題を処していただきたいということを私はこの機会に強く御要請申し上げておきますよ。
 それからもう一つお尋ねしておきたいことは、第四条の「重複立候補の禁止」の問題でございますが、この意味は知事とか県会議員に立候補した者は後の二十二日の選挙には同一県においては全部だめだという意味なんですか。どうなんですか、これは。
#20
○政府委員(大橋茂二郎君) その条文に書いてございますように、都道府県のたとえば議会の議員に立候補いたしますと、その選挙区ないし――選挙区がない場合あるいは選挙区がある場合でも、その選挙が行われる地域と重複するところでは行われない。したがいましてA県の都道府県議会に立候補しました場合においてはA県内における次の市町村の中には行われない、しかしながら別な都道府県の地域に行って立候補するということについての規制はないということでございます。
#21
○宮之原貞光君 そうすると、これはできないわけですか。たとえば一つの県会議員がA市ならA市が選挙区であった、そこで出た、落ちた。そうすると、その県会議員は同じ県のB市に行ってたとえば市長に出るとか市会議員に出るとか、それもだめなんですか。
#22
○政府委員(大橋茂二郎君) ただいまの御指摘は、A市という選挙区において県会議員に出られた方が地域は重ならないところへ行くということでございますので、可能であると考えます。
#23
○宮之原貞光君 さっきのお答えはその人が別の県に行けばとかというような話だったが、そうじやゃないんでしょう。
 この意味は、たとえば同じ県でも、これは私がお尋ねしているのは、A市という選挙区がございますね、県会議員ですから。ここではだめだったけれども、今度は別な選挙区のB市からそこの市長選挙に出るとか、あるいは市会議員選挙に出るというのはそれは可能なんでしょう、これは。
#24
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほど申しましたのは、例示までによその県にたとえば行けばということを申し上げましたので、いまの御指摘の件も可能でございます。
#25
○宮之原貞光君 可能ですね。
 じゃ、終わります。
#26
○多田省吾君 私は初めに選挙期日の問題で二、三お尋ねしたいと思います。
 統一地方選挙につきましては、昭和二十二年から第一回として始まったわけでございますが、第一回目には都道府県議会選挙、それから市町村、特別区議会選挙が同じ日に行われました。しかし第二回目の昭和二十六年の統一選挙から都道府県とそれから市町村、特別区議会選挙、期日をずらして二回行われるようになりました。それが第五回目まで続いております。ところが第六回、第七回は二回ではございますけれども、指定市、特別区が都道府県議会議員選挙と一緒でございまして、この前の昭和五十年の第八回統一選挙と今回は特別区が後の方になったわけでございますが、その第七回と第八回のときに特別区が後の方になった理由ははっきりした理由がおありだと思うんです。その辺の事情をまず初めにお尋ねしておきたいと思います。
#27
○説明員(岩田脩君) お答えを申し上げます。
 私どもが聞いておりますところでは、ちょうどこの時期に例の区長の公選が始まったと聞いております。それまではいわば都の段階では都知事選挙と都議会議員選挙、まあ途中で都議会選挙が抜けましたけれども、それと区の選挙の三つやればよかったわけでございますけれども、このときに区長選挙が入りましたので、区の選挙管理委員会、さらには都の選挙管理委員会の意向も聞いて、この区長選挙と区議会選挙につきましては市区町村一括して後の段階に回すということをやったというように承っております。
#28
○多田省吾君 それから次に、都道府県議会議員選挙はほとんど統一選挙でございますけれども、茨城と東京と沖繩だけは統一選挙にならないわけでございます。東京都議会選挙は昭和四十年にあのような事情がございまして、ちょうど統一選挙と二年間ずれることになったわけでございます。また沖繩も本土復帰ということでこれはずれたわけでございますが、茨城の場合も不祥事がございまして、約半年早まったわけでございます。
 ただ茨城の場合はことし十二月初め行われるわけでございますけれども、来年の四月と比べますとわずか五ヵ月しか違わないわけでございます。それで自治省当局としては、これはやむを得ないことだとして、ずっとこのままいくよりしょうがないとお考えなのか。賛否はいろいろございましょうけれども、自治省当局のその辺の御意見をまずお聞きしておきたいと思います。
#29
○政府委員(大橋茂二郎君) ただいま御指摘のように、都道府県議会議員につきましては、東京、沖繩、茨城につきまして御指摘のように統一ではないわけでございます。
 私どもといたしましては、地方公共団体の議会の議員というものはなるべく統一的な時期に行われます方が選挙人のこれに関する意欲というものもわきますので、なるべく統一した方がよろしいというふうには考えておりますが、ただ余り長期間における分を統一するということになりますと、町なり議員――今回の場合は議会の議員でございますが、議会の議員が長い間ない、あるいはまたその間に関する一体任期を延長したらどうかするかとか、かなりいろいろな問題が生ずるわけでございます。したがいまして、たとえば任期を延長するということ自身も、たとえばその議員が選挙される場合におきましてはこういう任期であるということで住民から選挙されたものでありますから、余り安易に任期の延長というような手続をとるということもいかがかと思います。したがいまして、これらの諸般のことを考えながら、今後の課題として検討させていただきたいと考えております。
#30
○多田省吾君 次に、私は統一地方選挙時における選挙公報についてお尋ねしたいと思います。
 選挙公報というものはいろいろな世論調査によりましても、共通いたしまして一番役に立つもので、選挙公報を根拠として投票を私は決めましたという方が非常に多いわけです。ところが都道府県議会議員以下の各選挙につきましても、いわゆる選挙公営を法定化することが望ましいのでございますけれども、さしあたっては今回の統一地方選挙で選挙公報だけは必ず出すようにというような指導ができないものかどうか、また指導を行う気持ちがあるかどうか。特に私は県議会選挙等で出してないところ出した方がよろしい、また出すべきだと思いますけれども、その辺の指導をどうなさるのか、お尋ねしたいと思います。
 ちなみに昭和五十年統一地方選挙で都道府県議会議員選挙等で補欠選挙も含めて選挙公報を発行したところをおっしゃっていただきたい。
#31
○政府委員(大橋茂二郎君) 県議会における選挙公営についてのお尋ねでございますが、御承知のように選挙公営につきましての任意制について、ポスター掲示場、立会演説会、選挙公報の三種が条例でそれぞれ定めることができるようになっておりまして、お尋ねの選挙公報につきましては、前回の統一地方選挙におきましては十五都道府県、そのうち東京都の補欠選挙一を含めまして十五都道府県で任意制の選挙公報の制度が行われたところであります。
 さて、すべての県に選挙公報を発行するように指導してはどうかということでございます。選挙公報が選挙民が候補者等を知る場合において非常に有力なるものであるということは私どもも承知しておりますのですが、何分にも都道府県の議会の選挙の運動期間というものは十二日間という期間でございます。そうしますと、それぞれの都道府県の選挙区と申しましても、その区割りの状態であるとか、あるいは面積であるとか、あるいは交通網とか、それぞれの県会議員の選挙によってかなり違うわけでございます。さらにそれぞれの地方公共団体における印刷、配布の問題というような問題を考えますと、やはり一律に都道府県の議会議員についてはやれと、こういうふうに指導するということが現状においてはなかなか無理でございまして、やはり当面はそれぞれの地方公共団体がそれぞれの実情に合わして任意制の選挙公営を行うというような形で、それぞれの自主的な判断というものにまちたい、こういうように考えている次第でございます。
#32
○多田省吾君 それでは、昭和五十年の統一地方選で十五都府県が選挙公報を発行したとおっしゃいましたけれども、その十五都府県の名前を挙げていただきたい。
#33
○政府委員(大橋茂二郎君) 栃木県、神奈川県、富山県、石川県、長野県、静岡県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、徳島県、香川県、高知県、佐賀県、それと先ほど申しました補欠選挙の東京都でございます。
#34
○多田省吾君 その十五都府県の選挙公報の出されたいわゆる効果について自治省はどう考えておりますか。
#35
○政府委員(大橋茂二郎君) 私どものところで、統一選挙を行われる場合におきましてその後においていろいろな調査を行っておりますのですが、実は先般の統一選挙の場合におきましては任意制の選挙公報の効果の調査というものは調査項目でございませんので、直ちにそれによって知るということばできませんが、ほかの選挙におきまして選挙公報に関しましていろいろ調査をしましたところでは、大体二位、三位ぐらいのところに選挙公報によって候補者を知るというような形の調査がありますので、当該選挙においてもかなり効用を持っていたものであるというふうに考えております。
#36
○多田省吾君 投票者の方々はやはり選挙公報の効果について一般的に二位、三位に挙げておられると。
 私は、昭和五十年度の統一地方選でもやはり十五都府県選挙公報を都道府県会議員選挙で行っているわけですから、もう当然私は調査を行うべきであるし、また来年昭和五十四年の統一地方選挙でも私はこの選挙公報の効果については調査をはっきり行っていただきたい。また行うという明言をしていただきたいと思います。またそのような効果を認めておられるならば、私は自治省の先ほどのような答弁の態度ではなしに、やはりいろいろ事情はありましょうけれども、とにかくできる限り選挙公報は都道府県議会議員選挙では発行するようにしたらどうかという、私は指導を行うべきだと思います。
 ちなみに、先ほど十五都府県挙げていただきましたけれども、まあ長野県なんかは区割り面積といいましても岩手県、福島県、新潟県に次ぐような全国で四番目の大きな県でございます。面積的には。そういった県でも行っているわけですから、区割り面積あるいは印刷配布等の問題等もある程度私は解決できるんじゃないかと、このように思います。もう一回ひとつその辺の御答弁をお願いします。
#37
○政府委員(大橋茂二郎君) 御指摘のとおり、それぞれ選挙公報を発行している県においてはかなり有効な効果をおさめているものと考えます。したがいまして、それぞれの都道府県が先ほど申しました都道府県のそれぞれの選挙区の実情なり印刷配布のルートというものを十分に研究して実施していくようにというふうに指導いたしたいと思います。
 なお任意制の選挙公報の効果につきましてでございますが、今回の統一地方選挙の後におきましてもその選挙における効果というものについての調査をいたしたいと思いますので、そのときの調査項目に入れるかどうかということにつきまして検討いたしたいと思います。
#38
○多田省吾君 選挙公報の発行等につきましては、これは本当に大変選挙民の方々にとっても有効な手段であり、また民主的な手段でございますから、前向きに御検討いただきたいと思います。
 次に、私は在宅投票制度について若干お尋ねいたします。昭和五十年の統一地方選挙ではやはり在宅投票の利用率は残念ながら非常に低いわけです。不在者投票のうち、延べにしても一・三%、また昭和五十一年の衆議院総選挙では〇・八九%、昨年の昭和五十二年の参議院選挙で一・〇%にしかなっておりません。これは対象者の約一〇%しか利用しなかったことになりますけれども、自治省としましてはその理由をどのように考えておられるのか。
 また、われわれが従来主張しておりましたように、私は巡回投票という制度をとらない限り、なかなかこの投票率アップというわけにはいかないんじゃないかなと、このように思います。現行の郵便投票という方法そのものに私は問題があるのではないかと、このように思いますが、自治省はどう考えておられますか。
#39
○政府委員(大橋茂二郎君) いわゆる在宅投票制度でございますが、御指摘のとおり五十年四月の統一地方選挙から統一地方選挙では実施されたわけでございます。利用状況は大体統一地方選挙では一万三千四百九十六件、それから五十一年の総選挙では一万三千百六件、それから五十二年の参議院の通常選挙では一万四千六百二十二件ということでありまして、したがいまして大体御指摘のような割合になるのではないかと思います。
 この実情につきましても私どもも調べておるわけでありますが、対象者の中にはこの在宅投票制度以外の方法で投票しているのがかなりあるのではないかと思われます。一つは病院とか老人ホームなどの指定施設で投票するという制度がありますので、在宅投票の事由に該当する方であっても病院、老人ホームの指定施設で投票するという形の方がかなりあるのではないかと思います。それからもう一つは、これも一部の市について抽出した結果でわかったわけでございますが、在宅投票事由に該当するのであるけれども、自分はあくまでも投票に行きたい、こういうようなお気持ちから、親戚や知人などが付き添いまして当日投票所へ行って投票しているというケースがこれもかなりまた目立っているようであります。
 しかしいずれにしましても、御指摘のようにこのような利用ということについての趣旨の徹底ということは大変必要であろうと思います。何分にも五十年度から実施されたばかりで日が浅いことでございますので、先般六月、各選挙管理委員会に対しまして在宅投票の趣旨の徹底をするように通知を出したところであります。
 ところで、巡回投票ということで、郵便投票によらないで一種のそれぞれ票を集めて回るというのでしょうか、そういうような形にしたらどうかという御意見でございます。これは恐らく五十年におきますこの制度の発足のときにも議論があったように承っておりますが、そのときの議論の経過等を伺いますと、まあ選挙管理委員会の職員が回って歩くということでありますが、やはりそういうような回って歩くような職員というのは多分だれでもいいということでありませんで、かなりやはり公正にして練達というような人が必要でありますので、そのような人たちが、やはり選挙管理委員会の職員が直接全体の管理執行に当たっているという最中に、この部分だけ回って歩くということはやはりいまの選挙管理委員会の能力から見てちょっと困難であるということが第一に言えると思います。それから特に非常に対象者が多い大都市の場合だとかあるいは逆に今度は離島とか僻地の場合など、こういう地域に対して適切に回るということはなかなか困難であろうかと思います。かつまたこれが適切に行われなければ、逆においては選挙における公正さということにも支障を来す問題でありますので、一応巡回制度ということはとられず、郵便の制度というものがとられたというふうに承知いたしております。
 本制度につきましてもいろいろ問題点はあるかと思いますが、今後とも趣旨の徹底をいたしまして、この利用が図られるようにいたしたいと考えております。
#40
○多田省吾君 私は、在宅投票制度につきましては今後対象者の拡大の問題とか、いわゆるいま御答弁なさった郵便投票から巡回投票制度への移行の問題とか、それから利用率が低い問題でも、いま病院施設等のところで投票する方あるいは付き添いで投票所に行かれる方もかなり多いんじゃないかというような、私は希望的観測にすぎないと思いますけれども、そういうことをおっしゃった。それも決して調査の結果ではないと思います。そういった問題もあります。これは非常に大事な問題がたくさん含まれておりますので、私は次の機会に御質問を回そうと思いますが、ひとつ前向きにこれも御検討いただきたい。
 最後に、私は選挙の啓発事業についてお尋ねをしたいと思うんです。来年の統一地方選挙を控えまして、ことしは自治体の汚職が非常に多かったわけです。首長などの汚職辞任あるいは職員の汚職事件なんかも相次いでおります。私はこの原因というものがやはり選挙の際の買収などの実質犯が相変わらず多いし、また野放しにされているというようなことが不祥事にも大いに影響されているんじゃないか、このように思います。ですから、私はせっかく金を使って啓発事業をやっておられるんですから、この啓発事業もそういう選挙の買収なんかをもっともっと厳しく追及するような方向でなければならない、このように思います。
 ですから、私はテキストもあるいは推進委員もあるいは指導員の問題も全部問題があると思いますし、また啓発の指導用テキストなんかも、昭和四十年に「啓発運動のすすめ方」なんというのが出ておりますけれども、もう十三年前の説明に終わっているわけです。こういった面で、啓発事業ももっと私は真剣に前向きに、またそういう買収等の実質犯が根絶されるような方向でやられなければならないと思いますが、その点に関して御答弁願います。
#41
○政府委員(大橋茂二郎君) 御指摘のとおりでございまして、選挙が買収というようなこともなく明るく行われるということがやはり大切であろうかと思います。そのためには国民の一人一人が政治や選挙に強い関心を持って、主権者としての自覚と豊かな政治常識あるいは政治道義を身につけるということが必要であろうかと思います。そのような趣旨に沿って啓発運動を進めているわけであります。そのために各種のいわゆる研修講座であるとか、あるいはそれぞれの報道機関あるいは雑誌等を通じてのいろいろな啓発事業とか各種の事業を行っているわけであります。
 その一環として啓発運動を進めるためのテキストというものを数種発行しております。御指摘の「啓発運動のすすめ方」というテキストでございますが、恐らく財団法人の明るい選挙推進協会が編集した「啓発運動のすすめ方」というものであろうかと思います。これは第一線の市町村における啓発担当者や市町村の明るい選挙推進協議会のメンバー等でこの運動に比較的日の浅い方々に対する研修資料ということで発行されているようでございます。したがいまして、テキストの性格上、具体的な問題を取り上げてない、あるいは突っ込みが足らないというような御批判があるということでございますが、反面また初心者用としてはそれはそれなりに役に立っているというようにも聞いております。
 いずれにしましても、常時啓発の資料というものはこれだけでございませんで、各種選挙管理委員会あるいは明るい選挙推進協議会というものはいろいろな資料を使いまして、それぞれの地域の実情に合わせたような創意工夫をやっておりますので、そのような方向で今後とも指導してまいりたいというように考えております。
#42
○委員長(原文兵衛君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。−別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#44
○委員長(原文兵衛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#46
○委員長(原文兵衛君) 次に、公職選挙法改正に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#47
○片山甚市君 まず最近の選挙無効の裁判の動向についてお聞きをしたいと存じます。
 まず国民の合意を得た整合性のある選挙制度は議会制民主主義を確立するための根幹である、こういう考えでございますが、大臣としてはいかがですか。
#48
○国務大臣(加藤武徳君) 私も全く同様に考えるのでございまして、ことに最高裁の判決等にございますように、一票の重さをしみじみと感じておる、かような感を深ういたしております。
#49
○片山甚市君 今日この選挙制度の最も重要な部分について国民から多くの疑問が出されておると思いますが、最も大きな疑問とは何でしょうか。
#50
○国務大臣(加藤武徳君) 選挙が公正に行われ、そして選挙民の意思が選ばれた方々に十分に反映しなければならぬことは申すまでもないことでございまして、選挙に関して国民が疑念を持ちますようなことが断じてあってはならぬのでございます。
 そこで、いま御指摘の点は国民が制度のことに関してどのような関心を持っておるか、かような御指摘であったかと思うのでございますけれども、先般の最高裁の判決なりあるいは東京高裁の判決等に見られますように、やっぱり一票の重さをどのように感ずるか、このことがやはり国民の最大の関心ではないであろうか、かように感じております。
#51
○片山甚市君 大臣の御答弁のように、一票の重みをどのように行使するか、すなわち一人が二票を行使するような状態はいけない、こういうようにおしかりを受けたと立法府が考えるべきだと考えます。
 そこでまた金のかかる金権選挙というものをやめなきやならない、こういうことで昭和五十年にも改正の問題で大変な御議論があったところでありますが、私はこれらについて速やかな解明がなされないことがいわゆる今日の政治不信の土壌をつくらせ、裁判による判断を求めておるものと思います。結果的に議会ナンセンス、行政機能軽視の風潮、また政党政治への不信を強めていると思う。行政の責任者としてどういう御認識を持たれますか。
#52
○国務大臣(加藤武徳君) 選挙は金のかからない選挙でなければならぬことは申すまでもございませんで、金が多くかかります選挙は勢いりっぱな方が選ばれにくいことにつながってくる、このことが恐れられるのでございますし、まして選挙に当たりまして買収、供応などがあってはならぬことは申すまでもございませんし、そういうことのありますことが政治不信を招く大きな原因でございますから、さようなことのない方向で制度の改正も努めていかなければなりませんし、また指導啓発の面でも、あるいは取り締まりの面でも、そのことに十分な配意が要る、かように感じます。
#53
○片山甚市君 そこで、大臣の御答弁のように、今日選挙制度に関する問題点のうち、最も重要な部分と見られる一票の重さについて、これからお聞きをしたいと思います。
 まず昭和五十一年四月十四日の最高裁判決の趣旨はどんなものであるのかについてお聞かせ願いたいと思います。
#54
○国務大臣(加藤武徳君) 昭和五十一年四月十四日に千葉一区の選挙に関しまして、最高裁の判決がございました。この判決は昭和四十七年十二月に行いました衆議院議員の総選挙に関するものでございまして、総選挙の定数配分についての判決でございました。この判決は昭和五十年の法律改正後のものについての判旨ではないのでございますけれども、私どもは一票の重さをこの判決の中において十分にかみしめなければならぬことを教えられたと、かような感を持っております。
#55
○片山甚市君 大臣が言われたように、選挙区において一票の重さに差があるのは「法の下の平等」の憲法十四条にもとる。いわゆる最高五に対して最低一という割合を否定し、立法府の責任においてその是正を図れと言われたと思いますが、いかがですか。
#56
○国務大臣(加藤武徳君) さような趣旨であったと承知をいたしております。
#57
○片山甚市君 昭和五十一年十二月の総選挙をめぐり一票の重みについて東京高裁から二つの判断が示されました。すなわち九月十一日にいわゆる安藤判決民事九部と九月十三日のいわゆる、安岡判決民事十五部でありますが、これらをめぐり当時の行政府の態度に問題はなかったかについてお聞きをしたい。
 まず第一、安藤判決に対してはマスコミや多くの知識人からも否定的な評価が与えられておるとき、そこにおられる大橋選挙部長は「妥当な判決」と評価した。そのことは一票の重みに格差があってよいということを認めたのではないかと思いますが、いかがでしょう。
#58
○国務大臣(加藤武徳君) 御指摘がございましたように九月十一日東京高裁の第九部での判決がございまして、判決の趣旨は、法改正後の議員一人当たりの全国平均との格差は国会の裁量権の範囲内であって、合憲だと、かような趣旨であったと思うのでございますけれども、選挙部長が発言をいたしたことにつきまして私もその後報告を受けておるのでございますけれども合憲であったことに対してほっとしたような感じを述べたことは事実でございますが、しかしなおこれが上告をされまして最高裁に係属されておるのでございますのと、それから翌々日の九月十三日には異なった判決が出まして、これもまた最高裁に上告をされており、ただいま裁判の係属中でございます。
 選挙部長が発言をいたしましたことは、私はほっとした感じを述べた善意なものであって、この判決でよかったんだ、かような意味ではなかったと承知をいたしております。
#59
○片山甚市君 マスコミの報道でありますから、その表現について若干の異論があろうかと思いますが、妥当な判決だと言われる場合は、一票の重みについて立法府がしっかり国民の疑惑を解きなさいと言われるときに、非常に私は議員として不穏当な、そのときにはやはり検討さしてもらうというのが正しいんじゃないかという意見を述べます。大臣に御回答を求めたいと思いません。
 そこで、国会の裁量権による妥当性を評価しながら、安藤判決は過疎地域の過疎化を防ぐためには住民は大きな政治的影響力を持つことが必要などと政治的あるいは政策的判断を示しているが、このことをも含め自治省はほっとして評価されたのですか。
#60
○国務大臣(加藤武徳君) 自治省と申しましても私を初め選挙関係の職員が大ぜいおりまして、おのおの人々によりまして受け取り方が違っておる点がなきにしもあらず、かように考えるのでございますけれども、私は九月十一日の判決のございました翌日に記者会見をいたしました際にも、まだ裁判所としての最終的な最高の意思決定ではないので慎重に対処しなければならぬ、かような発言もいたし、なお九月十三日の判決後もほぼ同様な発言をいたした記憶があるのでございますけれども、そこでお尋ねの点の九月十一日の判決につきましての過疎に関します考え方でございます。
 実は昭和五十一年四月の最高裁の判決の中にも明確に過疎という表現ではございませんが、人口の都市集中に関する評価に関してはいろいろあるけれどもと、かようなことでやはり過密過疎の問題に若干触れた判決であったのでございまして、九月十一日の判決はその点を過疎の問題について敷衍をいたした考え方を述べたのだと、かように理解をいたしております。しかしこれまた最高裁に上告をされまして審査のさなかでございますから、九月十一日の高裁におきまする判決の可否につきましては軽々に論評すべき立場ではない。このことの御理解をいただきたいと思います。
#61
○片山甚市君 軽々にお尋ねしたのではなくて、大橋選挙部長がやっておるのでありまして、お言葉を返しておきます。
 その判決の中で、この判決は憲法第四十三条により国政全般に関与する国会議員が地域利益代表的性格を強めることを含め、人口比という第一次基準自体を否定をし、全国平均から見てその偏差に合理性を求めると論理的にはいわゆる一人二票以内、一対五が違憲とした最高裁判決に対して、それを可能にする一人が二票を使えるというように考えられます。余りにも非人口的要素への配慮をした結果の政治的判決であり「より大きな問題を残した」という憲法学者の談話も十二日の新聞に出ておりますが、大臣は御承知でしょうか。
#62
○国務大臣(加藤武徳君) 私も新聞を丹念に見てまいりまして、そして各紙によりまして若干のニュアンスは違いますけれども、やはり多くの学者が二対一という表現をいたしましたり、また学者の表現ではなしにマスコミの考え方としてさような対比を明らかにいたしておりましたものを見ました記憶がございます。
#63
○片山甚市君 私はやはり一人が二票を行使をするというような状態でなくて、一人が一票を行使するというような状態が、いわゆる人権といいますか権利の保障になる。そういうように考える立場から、いまの大臣の答弁を受けとめておいて、後からもう一度御質問したいと思います。
 国会にあっても一票の重みについては今日の格差が合理的であるかのような認識をしていると受けとめているようでありますが、大臣はいかがでしょう。
#64
○国務大臣(加藤武徳君) 御質問の趣旨が明確につかめませんでしたので、的を外したことになろうかと思うのでございますけれども、手元にございます二、三の新聞の投書欄等の記事におきましても、やはり学界の多数は二対一を超えれば云々とか、あるいは二対一の格差まで許さるべき云々と、かような表現もございますし、ただこれは投書などを掲載しているものもございますのと、それから視点あるいは論説的な表現の点等もあるのでございまして、現在の格差は妥当と認めている、かような趣旨――御質問の点がよくわかりませんでしたけれども、現在の格差は妥当と認めているのかということでございますね。
 なかなかむずかしいのでございまして、その五十一年四月の最高裁の判決は選挙法改正後のものではなくて、昭和四十七年の選挙に関しての判決でありますことは先ほど申したおりでございますし、また九月の十一日、十三日の判決につきましては、日を間一日置きまして異なる判決が出ておりますことは御承知のとおりで、そしていずれも最高裁におきましてさらに審理が進められている、かようなことでございますから、そこで昭和五十年に改正されましたあの改正に基づきます現行の制度の格差が認められておるかとおっしゃいますと、私は少なくも現時点においては九月の高裁判決の結論が最終判決ではないという前提に立ちますれば、やはり現段階においては認められておる、少なくも判決の中におきましてこれを最高権威的に否定はいたしておらぬ、かように理解をいたします。
#65
○片山甚市君 それならば、去る第八十回国会において、参議院地方区定数是正を求め、公選法の
 一部改正で、社会党ほか三党で出しました共同提案について、提案趣旨はどんなものであったか、どのように選挙部長としては受け取っておるか。大臣じゃなくてそのときここで質疑をやりましたからお聞きをしたいんです。わかりませんか。
#66
○政府委員(大橋茂二郎君) 質問の御意味を取り違えているかと思いますが、五十年の選挙区の定数配分を含むときの趣旨はどうかという御質問でございましょうか。
#67
○片山甚市君 違います。第八十回国会において社会党、公明党、共産党、民社党など御相談をして出しました共同提案がございます。私の方で出しておる議員立法。あなたの方は大体政府提案しか頭にないんじゃないですか。
 われわれが出した案はどんな案かというと、人口の動態はいわゆる工業化によって大都市に集中した、そのために過疎の問題でなくて過密になったところの人たちに対する人権を守ろうではないかということから十八名増の案を出したでしょう。そんな、忘れて、前の部長呼んできなさい、そんな引き継がぬとか。私たちがそういうようにちゃんと提案をしておるわけです。
 国会では何も審議してないなどとマスコミの人たちは知らないから書いておるでしょう。やらないのは自民党だけじゃないですか。そうでしょう。少なくとも野党はおおむね一致をしていわゆる人口が増加したところの人権、いわゆる一票の重さをきちんと昭和二十一年なら二十一年に決めたときの趣旨に沿って直せばいいじゃないかというのに対して、それをやられたら大変だ、おれのところの党が沈むかわからぬから、日本沈没じゃなくて自民党沈没になるかわからぬと思ってあわてふためいて阻止をしているのが本当でしょう。与党の政府だから自民党の言うことを聞くのはあなたの仕事でしょうけれども、われわれのことをどう聞いておるのかと聞いたら――五十年のいわゆる衆議院の定数是正の話をしておるのじゃないです。いわゆるわれわれはそれを踏まえてもなおかつ、そのときもなおかつ一度も訂正をされてないことについて、単に人口比を言うておるのじやありませんよ。あなたたちが言うまでもなく、各県代表一名ずつを過疎だから鳥取県を取っ払って島根県と一緒になれなどというような、あなたたちのような厚かましいことを言いませんから、あなたたちだって言いそうなこっちゃから。
 いわゆる大都市へ人口が工業化のために集まったその人たちに対する人権をどうするのかということが野党の共同提案。そのときには二院クラブの方々に御参加を願いませんで賛成はしていただきましたが、野党全体で皆さんに言うた。しかし自民党はいわゆる御承知のように全国区というものをパッケージにしてやらなきゃならぬということでけんもほろろに門前払いであったのですが、時の中西委員長でございましたか、剱木だったか、とにかく全国区問題も含めて議論をしたいと
 いう前提でここで質疑をしたことがあるんです。私は提案説明する方ですから、審議をした記録があります。ここに。それを知っとるんですかと、こう聞いておる。
#68
○政府委員(大橋茂二郎君) 失礼いたしました。第八十回国会におきまして、社会、公明、民社の各党を共同提案といたしまして、参議院の地方区の定数是正に対する提案がされたということは承知いたしております。
#69
○片山甚市君 提案趣旨についてはどう理解をされましたか。
#70
○政府委員(大橋茂二郎君) 人口の激動に伴いまして、地方区の定数についての何らかの措置をしなけりゃならぬということについては多くの意見の一致しているところであろうかと思います。しかしながら、この定数是正をどういうふうにいたすかということにつきましては、これはしばしば総理その他がお答えしておりますように、やはり政党の選挙における土俵づくりという意味もありまして、これは関係の各党ということで十分やはり御審議を願ってからお決めいただくというようなことであろうかと思います。私どもはただ黙っているだけではございませんで、それは議論も拝聴しつつ検討を進めたいというふうに考えております。
#71
○片山甚市君 それでは、ここに提案理由説明書があるが、言えますか。一番大きな意見があるんですよ、私が提案したのだから、発議者だから。ここにあるんですよ。あなたたち、そんな持ってないでしょう。よく読んで、帰ってから見ておいてください。そんないいかげんな、総理大臣ばっかし言いなさんな。総理大臣は国会で選んだんです。われわれが選んだんですよ、議会の中で。
 それから皆さんの方の都合がございましょうが、私の方が提案しておるのは、具体的に県別を挙げて増員すべきものはこういうこと、こういうようにすればこうだと言っておるんです。ですから地方区の定数是正、これについて提案をしておる、それは受けとめておる、しかし、それは私の方でしてくれと言っていませんよ。あなたにいまそんなことをこれについて回答を求めてないです。賛成か反対か、どうせわかっておる。そんなことを役人が答えたら大変になるから、それだから大臣に答えてもらわずにわざと選挙部長に答えてもらった。あなたは知らぬと言うから勉強しておいてほしい。
 非常に失礼な言い方ですけれども、野党はそれぞれの党の体制があり、意見が違ってもなおかつまとめたというところについて、自民党の方は全然できないじゃないですか。かつて全国区の制度の改正でも、社会党が拘束比例代表の問題を言ったときでも、あなたの方の政府というか、与党の自民党の方がまとまらずに今日でもなおいわゆる金のかかる選挙が野放しになっておる。これは事実であります。
 私はこれをきょう質疑をして大臣に答弁を求めようとしておるのじゃないのです。もう少し公平な政府になってほしい。いつもいつも福田なら福田、三木なら三木という大臣の顔、総理大臣の顔を見たり党のいわゆる幹部の顔を見ながらうろちょろしておるようなことでは私はまかりならぬ。われわれの顔の方を見てください。われわれの方の、野党の方の顔を見て物を言うようにしてください。これは言っておきます。時間おいておくということです。これは答弁必要ありません。
 私が質問しておることに答えられないのはなぜかといったら、私が提案説明したときの八十回国会のやつについて引き継いでない。野党はそのときから新しい提案をしていないんです。あなたの方が何ら動いていないんです。これは自民党がおられるから自民党の皆さんよくおわかりですから、私はいま自民党に質問する意思はない。政府がどう知っておるか。政府でさえ知らぬのだから、むしろ自民党の方は、ああ野党がぐずぐず言うために出しておらぬじゃないかと思っておられるかもしれぬ。野党はそうでありません。そういうふうに申し上げておきます。
 これは意見でありますが、ひとつ真摯な気持ちでなければ、国会の中では何の議論もないじゃないか、野党ですらそういうことについて熱心でないじゃないかなどと、それは衆議院の方へ言ってもらいたいんです。参議院の方ではそんなことをしていないんです。党利党略でもないんです。日本社会党などそんな議席がふえたからといってわが議員がふえるというような予定はないんです。申しわけないけど、余り。十八名ふえたって一人もふえるか二人もふえるかわからぬです。よその党がふえることはわかっている。それでもなおかつ社会党は国民の負託にこたえなきやならぬ。わが党の情勢から言うてそう簡単でなくても、勇気を鼓してやっておるわけです。それが民主主義じゃないですか。
 大臣、気持ちはわかりますか。私はこれについてイエス、ノー、野党が出した案についてきょう賛成せい、反対せいと言うんじゃない。加藤大臣としては私の言うようなことについての野党の気持ちがわかるかわからないかぐらいの気持ちの話です。お答え願いたい。
#72
○国務大臣(加藤武徳君) 第八十国会におきましてただいま片山委員が御指摘になりましたように地方区の定数是正の十八名増、かような案の出ましたことは私もよく承知をいたしておりますし、同時にまた自民党からも地方区の定数是正並びに全国区の制度改正につきましての案の出たことは承知をいたしておるところでございます。
 で、申すまでもなく、法案の発議に当たりましては政府みずからが提案いたします場合と、所定の手続を踏まれまして議員発議をなさいます場合と両者ありますことは申すまでもないことでございまして、政府といたしましては政府みずからが提案した法案ではなく議員発議の法案でありましても十分な関心を持ち、またこれが審議の促進につきましては政府といたしましても最大の努力をいたしますのが当然のことである、かように承知をいたしております。
#73
○片山甚市君 大臣の神妙な御答弁ですから私はこれを信用いたしますが、しかし大橋選挙部長にもう一度言っておきますが、私たちが出しておるのは大した内容でありませんものですから、少なくとも参議院では野党がこういう意見を持っておって審議をしておる最中に、いわゆる廃案になっても――廃案になりましたよ、これは。なりましても大体そこが出発点である、そこからどうするのかということについてはやはり十分に理解をしておいてもらいたい。頭の中から抜けて出て、いわゆる衆議院の定数是正をしたときのことをお話しになるならば、昭和五十年の話をするなら別だけれども、私はいましておりませんから。
 さて、私たちは立法府の責任と権能においてこれら公選法の諸問題をなおざりにしてきたことはない。私はないと思う。各党ともそれぞれの立場から国民の合意を得られるものとして提起し討議している経過をまず言っておきたい。あなたの方はしなかったかもしらぬけど、私の方は国民から合意を得られるやつにしようとした。それについて各党ともやられたけれども実っていない。その責任を全部挙げて自民党だけだとは言いませんけれども、
  〔委員長退席、理事小林国司君着席〕
いわゆる政府を構成しているのは与党の自民党でありますから、これにこたえるのには政府が与党と話をして、野党同士で話をせいと言っても、野党はまとまっておるんですから。何を言っておるのですか。もう自民党が席に着いてどうするかというしかない。こういうようなことを考えます。
 私はここでいばって格別なことを言おうとしているんじゃありません。新聞論調によれば、国会議員というのはそういうことについて全然熱心でない、こう言われると、それは括弧して、自民党においてはと書いてくれたらわかる。野党の方は、いい悪いは別です。二院クラブの先生の中でも、定数は動かさずにこうしたらどうだという改正案もあります。それで二院クラブの方が入ってなかったことは事実です。おわかりですね。
 われわれは若干の意見が違っても国民が願っているものについて近づこうという努力をするのが、それをやれば政権、政府の座を失う、こういうことに余りにも未練がましく思っておるのかと思うと残念でたまりません。これは私は、与党の大臣でありますから、議員として厳しくこれを受けとめてもらいたいと思います。
 いわゆる安藤判決に対して私が受け取った印象は、手放しでこれはよかったと表現をされたと思われましたから、先ほど大橋部長の妥当な判決だという新聞の記事に相当の疑問を持っております。先ほど大臣は、それはそうではない、ほっとした気持ちだ――ほっとしたというのはいろいろありましょう。ですから、そういうような少し微妙な言葉でいいでしょう。
 そこで次の問題。九月十三日民事十五部安岡判決は昭和五十一年の最高裁判決を一歩前進させたものとして当時のマスコミや法曹界は十一日の安藤判決とは正反対に評価していますが、自治省としてはどう認識をされておられますか。十三日の判決についてもほっとした気持ちですか。
#74
○国務大臣(加藤武徳君) 九月十三日に同じ東京高裁におきまして、部は違いますけれども十五部で違憲判決が出ましたことは御指摘のとおりでございまして、で、判決の趣旨は、昭和五十年の法律改正の時点においてすら三対一という格差があった、さらにこの格差が増大することが予想されておるのに是正措置を講じなかったことは違憲である、ただし選挙それ自身は有効だ、かようなことでございました。
 そこで、格差が現在のような広がりのもとにおいては、昭和五十年に改正をいたしました法律それ自身、改正法それ自身が違憲だ、かような結論でございまして、ただこれに対する所見はどうか、かような御質問でございますが、さっきも申しましたように、九部の判決とともに関係者が上告をいたしましたし、なおかつ政府もこれに参加をいたしまして裁判が行われておる、かようなことでございますから、この判決の可否につきましては論評を避けるのが至当である、かように考えます。
#75
○片山甚市君 第九部のときはほっとした、また妥当な判決だと言う。第十五部の安岡判決については何も言わない。使い分けがうまいのは皆さんのお仕事の都合でよろしゅうございますが、国民から言うとやはり納得できない。
 近代選挙制度は法のもとの平等、平等選挙主義によって成り立っておる。この平等原則というのは、投票の数、投票の価値、政党の平等、この三つが認められることと思います。で、この判決がこのようにして違憲だと出されたことについて、私国会議員として、立法府におる者としてはえりを正して、この判決を最高裁を待つまでもなくわれわれの手で解決する努力をすべきだと考えますが、いかがなお考えでございましょう。
#76
○国務大臣(加藤武徳君) 裁判機関におきます最高意思決定ではないといたしましも、東京高裁におきましての判決でございます。
 そこで、九月十一日の判決の受けとめ方もありましょうし、また九月十三日の判決の受けとめ方もありましょうけれども、人おのおの受けとめ方が違うかと思うのでございます。ですけれども、かような判決が出たことは事実でございますから、その判決につきましてはえりを正すべき点は正しますのが判決に対しまする国民の対処の仕方ではないであろうかと、かような感じを強く持ちます。
#77
○片山甚市君 選挙制度は私たちがつくったものでありますから、つくった者が早く直して最高裁の手数を煩わさずに解決するというようなことがわれわれ議員としての、国会として立法府としての責任だと思いますが、いかがでしょう。最高裁判決をいただくまでじっとがまんの子でしんぼうした方が得だと思っておりますか。
#78
○国務大臣(加藤武徳君) やはり立法の府である国会といたしましても非常な関心をお持ちでありますことは事実でございますし、また行政府の立場といたしましても、またかような判決の出ましたことは十分な関心を持ち、そしてこれを分析をいたしながら対処すべき問題については対処いたします基本の心構えが必要である、こう思います。
#79
○片山甚市君 まあ大臣御答弁、私は何としても最高裁の判決を得て追い込められて追い込められて何回も選挙法の改正をしていくようなぶざまなことは立法府としては恥だと思う一人であります。いわゆる十分考えなくてもどういうような点が指摘されておるのかわかっておるのでありますから、それについてのお金もかかるでしょう、いろんなものがかかりましょう。しかし国民の疑問にこたえていく態度は裁判所ではなくここである、こういうことを申し上げておきます。もうお答えをいただけないようでありますから。
 私は、裁判官に私たちを裁いてもらうほどぶざまなことはない。最高裁をまちたいとおっしゃるのはわかるけれども、私はまちたくない。あしたでもいいから、われわれは全党を挙げて、各政党が謙虚に、どこかの党の責任だなどと言わないで、押し寄せて解決するようなことでなければマスコミからもばかにされるだけではありませんか。
 その両判決を通じてマスコミを見てみますと、有権者の声として、都会の投票率の悪いことを問題にすべきだ、兵庫五区豊岡市の後藤さん。過疎過密は国の政策によって生まれた一時的現象だ、これを考えずに言うな、鹿児島三区鹿屋市の竹内さん。正反対の判決に驚いた、基本的人権が軽くなったり重くなったりでは問題だ、千葉四区の柏市の柳田さん。過疎問題は本来政治問題だ、裁判所が言及するテーマではない、東京十一区八王子の吉岡さんと、さまざまであるが、過疎過密それぞれ有権者としては当然の指摘であると思うが、私はこういう意見があると思うが、その指摘はどう受けとめられますか。
#80
○国務大臣(加藤武徳君) やはり受けとめられます人によりましておのおの違ってまいるでありましょうし、ただいま御指摘のございましたように、いろいろ意見があろうかと思うのでございます。
 ことに過疎の地域に住まっていらっしゃいます方々は、やはり人口が少ないからとは言いながら過疎の地が政治の場において十分に反映されなければならぬと願望されるでございましょうし、また人口の過度集中によりましていろいろの弊害が生じておることも事実でございますけれども、同時にまた人口に対応する政治の場のあり方を強く考えられまする立場に立ちますならば、ぜひ是正をして格差を縮めなければならぬ、かような声が強く起きてまいりますのも当然のことであろうと思うのでございますし、ですから、政治の場におきましてもさような各種各様の意見を受けとめて対処されるでございましょうし、また行政の場にあります者も、そういう御意見に対しまして絶えず十分に耳を傾けてまいらなければならぬ、こういうぐあいに思います。
#81
○片山甚市君 首都圏を中心とする工業地帯、京葉京浜工業地帯、中京地帯、大阪を中心とする阪神工業地帯などというところはいわゆる工業を立地さした。日本の国の工業生産の六割を太平洋ベルト地帯でつくった。そこへ集められた人たちの人権が今日問題になっておるのでありまして、過疎の人の権利は当然いままでどおり保障されるべきだという立場を私は持つでいます。私は。
 ですから、あなたたちのお考えと私たちの違いは、人を駆り集めてきて工場をつくり、日本が外国へいわゆる集中豪雨のように輸出ができたのはいわゆるこの人権を無視された市民、大都市にかき集められた農民から転化した労働者、勤労者、知識人、こういう人々であると思います。この人たちに対する相応のいわゆる人権といいますか、基本的な権利といいますか、これについての努力をすべきだと私は思いますが、大臣、数の問題の前に、いわゆる農村は国土を守らなきゃならぬのですから、いまよりも減すというようなことは私はできないと思う。しかしながら、大都会において日本の国が世界有数のアメリカに次ぐ工業国家になったというのは、いま言いましたように、公害に悩まされ、環境公害の中からでもしっかりと働いておるこの過密地帯における勤労者、勤労市民の人たちのお力ではないかと思う。これにこたえようとするのかしないのかということが問われておると片山委員としては思いますが、加藤大臣、裸になってそのことについてお答え願いたいのです。
  〔理事小林国司君退席、委員長着席〕
#82
○国務大臣(加藤武徳君) 現在の相当開いておりまする格差をできるだけ縮めていかなければならぬ、この認識に関しましては各党会派、私はほぼ一致した認識であろうと思うのでございます。ただ格差を解消してまいりまする方法といたしましては、二つが考えられる。
 その一つは野党の三党が提案されましたような定数を増加してまいりまする定数増の中において格差を解消していく。この考え方も一つの考えではございましょうけれども、また反面格差を解消しなければならぬ、この点では意見が一致をいたしましても、具体的には現行定数内において格差を解消する方法があるではないか、かような考え方もまた一つの考え方であろうと思うのでございます。
 そこで、格差を解消する点では一致いたしましても、具体的な手段につきましては各党間に必ずしも十分な一致点を見出しておらない現況下にあり、そして定数や選挙区の問題は選挙の基本に関しますことでありますだけに、政府といたしましては軽々にこのことに関してどちらの考え方が正しい、かような立場をとり得ない立場にございますし、総理がしばしば言っておりますように、いわば土俵をつくりまする基本の問題でございますから、なるべく早く各政党間の合意ができまして行政的にもスムーズに事が運び得ますような状況をつくっていただきますことが行政者といたしましてはありがたいことだ、この感じを強く持ちます。
#83
○片山甚市君 それでは、民事十五部の安岡判決の後、マスコミによると安藤判決直後と一転して、先ほど言われたように、大臣は「両判決の評価をこの段階ではすべきでない」とし、今日定数是正について国会には「具体的動きは皆無に近い」と述べておられるが、先ほど言ったように、私ら野党が出しておる――私たちはやりたいと思ってきた。しかし皆さん御承知のようにロッキードの問題がある。三木おろしの問題がある、福田内閣になると構造不況問題が出てくる、赤字公債の問題が出てくる。こういうような形の中でむしろこういう委員会が開かれなかったのは与党側に見解の一致が見られない。たとえばワンパッケージといっても、全国区の問題を一つとってみても自民党の方が意見が一致していない。また前委員長のような方々は、秦野さんのような人は憲法改正を前提にした話をされる。大体その話は大変恐ろしいことであります。私たちが何かやろうとすれば憲法空洞化、憲法改正、こういうような形に走るようなことでは議論ができない。
 いまあるのは明確に国民の権利がひとしく保障されるためにどうあるべきかであって、政権をどうするのかということではない。いわゆる政権、政治の権力、どの政党が政権を維持するためには動かしたらいかぬとか、動かすべきだとか言うべきでないと考える立場から言って、大臣は、いま私が申しましたように、今日定数是正について国会の具体的動きは皆無に等しいと述べられておるようでありますが、本当ですか。
#84
○国務大臣(加藤武徳君) 九月十三日の判決がありました後の記者会見におきまして私の発言をいたしましたことが記事になりました。恐らくそれをいま御指摘になられたのではないかと思うのでございますけれども、この判決は御承知のとおり参議院の選挙のことに関することではございませんで、衆議院の選挙に関することでございました。
 そこで、昭和五十年に法律改正が行われ、そして選挙区並びに定数是正が行われまして後、最初の選挙が行われたのが五十一年十二月の総選挙であったことは御承知のとおりでございまして、それで東京高裁の判決で指摘をされたけれども、しかし事衆議院議員の選挙に関する点では目立った動きはございませんなと、かような私は私の感想を述べた記憶はございますけれども、動きが皆無に等しいという言い方をした記憶はないのでありますが、あるいはその席におられた記者諸君が私の発言をしましたことをそういうとらえ方をなすったのでございましょうけれども、私は法改正が行われてまだ衆議院議員の選挙が一回あっただけなんだ、そこで第二回目の選挙があるとしても、さてそれまでに具体的な動きが生まれ定数是正にまで行き得るのかなどうかなという疑念を持ちまして、その発言がいまのような記事になったのではないかと、かように理解をいたしており、事参議院に関してのことではございませんで、参議院に関しましては地方区の定数是正やまた全国区制度のあり方につきまして長い間真剣な討議が行われておる、このことは私もよく承知をいたしており、そのことに関しての私の発言ではなかったと御理解をいただければありがたい、こう思います。
#85
○片山甚市君 この判決は衆議院に関するものでありますから、そのように受けとります。
 さて、東京、神奈川地方区については昨年の七月の選挙、参議院地方区の定数格差について選挙無効を求める訴訟が係属している。今月二十七日には結審の予定であり、早ければ年内に判決が言い渡されると言われております。そういうような状態の中で、やはり大臣としては衆議院のことも大切でございましょう。しかしわれわれ両院があって国会が成立しておるという立場から言えば、非常に大きな立場からこの取り扱いを考えてもらいたい。
 わりに衆議院は手前勝手でございまして、ゲリマンダーもつくるのが好きでございまして、定数是正等は人口動態において二回やりました。参議院の場合は保革伯仲といいますか、与野党全くの接近といいますか、大変厳しいときでありますから、自民党の方々が御心配することはわかりますけれども、それをする余り国民の基本の権利が失われてはならぬ。こういう立場から、いわゆる東京地裁にかかっている案件がございますから、このような委員会が開かれ、また各党が協議をして前に進めていくようなことが望ましいと思われるかどうか、大臣としてお答えを願いたい。
#86
○国務大臣(加藤武徳君) 東京と神奈川と大阪の参議院議員の地方区定数に関しまして、ただいま東京高裁におきまして事件が係属中であることはよく承知をいたしております。
 そこで、最高裁におきましては過去何回か定数問題に関しましての判決がございますし、昭和三十九年にもまた四十九年にも判決がなされたことを私は記憶をいたしており、いずれも合憲である、かような判決であったことを承知をいたしております。しかしその後の人口動態等を踏まえまして、また格差も広まってきておることも事実でございますし、衆議院議員の別表に付記してありますような付記の仕方が参議院にはなく、また衆議院と性格の異っておりまする点も承知はいたしておりますものの、近く最高裁におきまして判決が行われる、かような現時点におきまして、裁判係属中の事件に関し、こういう方向がいいんだとか、こうなければならぬとか行政府が言うべき立場ではないと思うのでございますけれども、しかし東京高裁の判決の出方に非常な注目をいたしておる、このことは事実でございますから、その結果を見守ってまいりたい、かように考えております。
#87
○片山甚市君 そこで、最高裁の判断まちというのですけれども、すでに示された最高裁判決をさらに一歩進めたという安岡判決が示された段階で、そのような態度をとり続けることについては、私はやはり国民から政治に対する不信を取り除くことはできない。一日も早く、裁判をまつのではなくこちらからきちんと討議を始めてこれを解決する方法を見つけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#88
○国務大臣(加藤武徳君) 東京高裁の判決はございましたけれども、しかし上告してなお原告、被告の間に争いが係属中なのでございますから、東京高裁の判決は判決として十分に受けとめながらも、その判決が、先ほど来御指摘もございましたように、第九部の判決と第十五部の判決は間を一日置いたのみにして相異なる判決が出ておるのでございますから、さような事情も勘案して十分な関心を持ち、そして対処いたしまする心構えが必要であることは申すまでもございませんが、この段階において行政府が行動を起こしますことはいかがであろうか、かように考えております。
#89
○片山甚市君 そこで、参議院にしぼって申しますと、いわゆる参議院の地方区の是正の問題、あるいは全国区の制度の改正等については、最高裁の判断を待つまでもなく今後の対策を明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#90
○国務大臣(加藤武徳君) 参議院の地方区定数やまた全国区の制度改正につきましては、各党が非常な関心をお持ちになりながらここ数年努力を重ねてきていらっしゃるのでございまして、そこで先ほど申しましたように、やはり選挙制度は選挙の基本に関しますことでございますから、行政府が余り出しゃばりますことはいかがであろうかと、かような気持ちを終始持ってまいりまして、各党間の合意が早期に成立することを期待をいたしながら見守ってまいっておる、これが偽らざる状況でございまして、そこで一日も早く各党間の合意ができますことを私どもしんから期待をいたしておる、これが現在の心境でございます。
#91
○片山甚市君 そういたしますと、選挙制度をめぐるこの種の訴訟で最近判断が示されるものというのは、先ほど申しました東京、神奈川地方区に対する裁判以外にどのようなものがあるか御返事を願いたい。
#92
○国務大臣(加藤武徳君) 私は十分心得ておりませんのであるいは落ちがあるかと思うのでございますけれども、国会議員の選挙、なかんずく格差の問題に関しまする選挙といたしましては、参議院の地方区に関しての先ほど御指摘のございました東京、神奈川、大阪の案件が東京高裁に係属いたしまして、いま審理が行われておる。これが一件と、それから東京高裁の九部並びに十五部の判決を関係者が上告をいたしまして、最高裁でいまさらに審理が慎重に行われておる。この二件がトピック的なものとして把握をいたしておりますけれども、その他の件につきましてはつまびらかに承知をいたしておりませんので、あるいは選挙部で承知をいたしておりますならば補足をいたしたい、かように思います。
#93
○片山甚市君 それは一覧表がありましたら、後で資料としていただくことにいたします。
 次ですが、議員定数についてはアメリカなどにおける多くの判決によると、連邦議会選挙における一人の投票は可能な限り近似して、他人の投票と同等な価値を持たねばならないとし、また一人一票の原理を強く打ち出した判決として、一対一・三というアンバランスでもいわゆる違憲だという判決がアメリカにあります。
 私はアメリカの国に学ぼうという意味ではありませんが、そういうようなことについて御参考にされながら、これから行政府としても審議の場に臨んだ場合、対処していただけますか。
#94
○国務大臣(加藤武徳君) 日本国内の選挙とは申せやはり外国の例なども十分に参考にいたさなければならぬのでありますし、私もただいま御指摘がございましたような、アメリカにおきまして連邦議会の格差につきましての判決のことも承知をいたしており、そういう事例もやはり参考にいたしてまいりますのが行政府の通例であろうと思うのでございまして、今後各国のさような運びなんかも参考にすべきだと思います。
#95
○片山甚市君 先ほど多田委員の方からいわゆる啓蒙、啓発について御指摘ありました。全国市区選管委員会連合会から要請があり指摘のあることですが、常時啓発事業費予算が昭和五十年度より漸減の方向にあり、補助金の増額を強く求めておりますが、大臣、先ほどお話しのように、買収、供応、いろいろありましょうが、これらをなくするためにも、もっと大きくそのようなことについてはお金を使うことが必要だろうと思う。
 啓発の費用を少なくしたというのは、どうも金権金脈以来余り言うと困ると思うんでやらなくなった、昭和五十年から漸減をしておるというように私ども見るんですが、ふえてますか。選挙部長でよろしいし、また大臣でもよろしいが、とにかくこれはふやしてもらいたい。ただふやしてもらいたいという意味だけでなくて、マスメディアを使う、いろんなことがありましょうけども、あらゆるところで啓発事業を起こしていく。これは金のかからぬ選挙への一番大きな全国民の合意、コンセンサスを得るものと考えますが、いかがでしょう。その質問をして終わります。
#96
○政府委員(大橋茂二郎君) 選挙の常時啓発に関します予算でございますが、昭和五十年にきれいな選挙を進める国民運動の分が五億つきまして、従来の啓発費の六億と五億で十一億になりました。それから五十一年に従来の常時啓発分六億、それから国民運動分六億、十二億ということでございまして、本年まで大体十二億ということで経緯を見ております。
#97
○片山甚市君 漸減してないということですね。減ってないと。
#98
○政府委員(大橋茂二郎君) 減っておりません。
#99
○片山甚市君 わかりました。
 大切なことは、先ほどから言うこの二つの判決が出されたのをどう生かすかということについては、立法府と行政府が適切な手段を講じて、いわゆる司法の権威を損なうというか、最高裁からいろいろ言われなければわれわれが手を下せないことはないようにすべきだということについて、ここに集まっておる御一同の委員がまた党に持ち帰って、しっかりとにかくやらなきやならぬ、こういうことについて私の所見を述べて、結びとします。大臣、いかがでしょう。
#100
○国務大臣(加藤武徳君) 裁判所から指摘をされましてそれに対応してまいりますような後追いの姿ではございませんで、やはり国会は国会独自の立場におきまして問題と取り組んで解決を図るべきでございましょうし、行政府におきましてもまた同様の心構えでやっていかなければならぬ、こう思います。
#101
○片山甚市君 終わります。
#102
○委員長(原文兵衛君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後は一時から再開することとし、休憩いたします。
   午後十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
#103
○委員長(原文兵衛君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、公職選挙法改正に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#104
○多田省吾君 私は、国会議員の定数問題、また政治資金規正法の運用問題について主に質問をさしていただきますが、その前に午前中に続きまして若干加藤自治大臣に確認しておきたいことがございますので御質問いたします。
 午前中の質疑で申し上げましたが、選挙公報につきましては、略歴や政見等国民の知りたいことを記してありますところの選挙公報というものをやはり都道府県会議員選挙にも活用した方がよろしいと私は思います。各種世論調査でも一番役に立つものだという評価もございます。それで、先ほど選挙部長からは、前回の五十年統一地方選では十五都府県が公報を発行したといわれております。長野県等の大きな県も区割り面積、印刷配布等の諸問題があるにもかかわらず実施しているというような点から見て、私はお金も若干かかりますけれども、選挙の公営化あるいは望ましい民主的な選挙を実施するためにも少なくとも特に都道府県会議員の選挙に関しては自治省で選挙公報を出すべきことを指導したらどうかという提案をしたわけです。
 それからもう一点は、前回の五十年の統一選挙ではこの選挙公報の効果についての調査は残念ながら行っていなかった。今度の来年の統一選挙では、これも行った方がよろしいんではないかと、このように私は思います。
 この二点に関して選挙部長も検討なさるようなことを御答弁ありましたけれども、大臣からもどう思われているのかはっきりした御見解をお伺いしたいと思います。
#105
○国務大臣(加藤武徳君) 私も任意制の選挙公営三つのうち、やはり有権者としては選挙公報が届き、それに目を通しますことが候補者の選定に非常に役に立つ、かような世論調査の結果でもございますし、また実際そうであろうと思います。ただ都道府県議会議員十二日間というきわめて短い選挙運動期間でございますことや、また交通事情あるいは区域、区割り等でいろいろむずかしい問題がありまして、強制的に全都道府県に対して選挙公報を発行いたしなさいと、かようなことはなかなか言いがたいのでありますけれども、しかし事情の許す県におきましてはやはり積極的に考えてまいりますことが有権者に対します親切であり、有権者基本の考え方に合致するものだ、こういう考え方を持っております。が、個々の都道府県におきましていろいろ事情等もあろうかと思うのでございますから、さような事情等を十分に聴取いたしましたり勘案いたしながら、できればさらに選挙公報を発行いたします都道府県が多くなりますような方向で努めてまいりたい、かように考えております。
 それから選挙後の調査のことにつきましては、午前中選挙部長が答弁したとおりに私も考えておりまして、やはり調査をいたすべきであろうと、かように考えます。
#106
○多田省吾君 次に、在宅投票制度につきましても非常に利用率が低くて残念でございます。それにつきましては私どもは現在の郵便投票を巡回投票制度に漸進的に考えていくという問題、あるいは対象者をもっと拡大していくという問題、それから三番目には、選挙部長がおっしゃったような、対象者の方々の中には病院、施設等のところで投票される方、あるいは投票所に行きたいというお考えで付き添いの方と御一緒に行かれる方もかなり多いんじゃないかというお話がありましたが、これは調査の結果も出ておりませんし、私は希望的観測にすぎないのではないかと思いますが、こういったこともやはり可能な範囲で調査していただければこれはよろしいと思いますが、それから、やはり在宅投票の趣旨の徹底の問題とか、こういった問題で大臣はどのようにお考えなのか、お伺いしておきたいと思います。
#107
○国務大臣(加藤武徳君) 御承知の昭和五十年の統一選挙から復活したという言い方が正しいかと思うのでありますけれども、昭和二十六年まで実施をしておりましたものが、十数年間途切れておりまして、昭和五十年に復活をいたしましたのでありますから、まだ十分にこの制度が理解されておらない節がございますので、ことしの六月、選挙管理委員会に対しましてこれが制度の周知徹底方を通知をいたした、このことも午前中答弁をいたしたとおりでございますが、そこで在宅投票の対象範囲を広げることにつきましては、歩行困難な状況等をどのあたりで線を引くかの技術的なむずかしい問題がございますけれども、しかしやはり有権者の便宜を考えるという観点から物を判断していかなければなりませんので、今後よく研究してまいりたい、かように考えております。
 それから介添え等によりまして投票所に不自由なのに足を運んでくだすった方々の調査は、ある市を抽出いたしまして調査をいたしましたところ相当数があった、かようなことでございましたが、やはりこの制度を生かしてまいりますにはその実態を把握しなければならぬのでありまして、各選挙におきまして一万三千人ないし一万四千人オーダーでは十分な成果が上がっておらないと見なければならぬ節もございましょうから、やはりよく実態を把握いたしますように努めてまいるべきだと、こう考えます。
#108
○多田省吾君 次に、私は一つの提案でございますが、自治省は総選挙、通常選挙、統一地方選挙のたびごとに最近は全国的世論調査を実施しておられます。私は、来年の統一地方選挙につきましては全国的調査はやるのは結構ですが、その他にあわせてモデル地域ごとに世論調査を実施してみたらどうか。
 ねらいというのは、住民意思の地方自治への具体的な反映ということをとらえて、住民意思による選択が具体的に、民主的、能率的に自治として活用されることになりますので、住民参加の形態にはなるんじゃないかと思います。投票所の出口などで投票行動を妨害するようなことではなくて、投票行動についてではなくて、その自治体の行政執行上の諸問題について世論調査を行うとか、これを四年間の行政の指針としてある程度尊重するとか、そういうお考えがないかどうかお尋ねしておきたいと思います。
#109
○国務大臣(加藤武徳君) やはり選挙のたびごとに実態はできるだけ正確、豊富に把握をいたしますことが諸政策を進めてまいります上で必要であることは申すまでもないことでございますから、いままでも選挙のたびに財団法人組織の明るい選挙推進協会の委嘱をいたしまして調査をいたしておりますが、やはりできるだけ深く調査ができますような心配りのもとに今後も対処いたすべきだと、こういうぐあいに思います。
 ただ包括的、一般的な調査はいたしておりますけれども、地方の個々の問題などにつきましての調査はいたしておらないのでございまして、ただいまの御指摘は、さような地域の特定問題についても選挙の機会に住民調査をしたらどうか、かようなことであったと思うのでございますが、なかなか調査をいたします対象を選択いたしますことも容易ではございませんことと、それから地方団体などが政策決定をいたしますそのことに影響を大きく与えますような調査の結果を公表したりしますことはどうであろうか、かような感じがいたすのでありまして、これはむしろ地方団体みずからが選挙の機会に表明された住民意思などを把握いたしますために調査をしてしかるべきテーマではないであろうか、かような感じを持ちますが、自治省といたしましてもよく研究してまいりたいと思います。
#110
○多田省吾君 それから加藤自治大臣にお尋ねしたいのですが、大臣は岡山県にお帰りになったとき、駅頭等で赤い羽根や緑の羽根あるいは各種の募金運動なんかを数多くやられておりますけれども、「どうぞ赤い羽根」と出されたときにどうなされますか。
#111
○国務大臣(加藤武徳君) ここにもつけて参っておりますように、十月一日から共同募金が始まりまして、私は地方団体におったこともございまして、みずから共同募金に御参加願うような呼びかけをいたした立場でもございまして、十月一日に積極的に参加をいたしたのでございますけれども、ただ街頭募金等がなされております場合、あるいは街頭署名などがなされておりまする場合には、私個人のやっておりますことを端的に申しますならばやはりその呼びかけなりあるいは募金なりの目的などを吟味いたしまして対処する、かような根本の心構えで対処してまいっておるような次第でございます。
#112
○多田省吾君 そうしますと、大臣は岡山県知事をなされていたときもございまして、共同募金は非常に御推進なさったと思いますが、岡山駅頭にお帰りになった場合は赤い羽根の共同募金には少なくとも参加されるということでございますね。
#113
○国務大臣(加藤武徳君) そうでございます。
#114
○多田省吾君 いまの公選法の寄付禁止規定から見ますと、赤い羽根というのはどうなんですか、選挙部長。
#115
○政府委員(大橋茂二郎君) 大変むずかしい話でございますが、一応公職選挙法の百九十九条の二では、公職の候補者は選挙区内にある者に対して寄付することができない、こういう規定でございます。したがいまして、たとえば選挙区内にある者に対してはたとえ善意の寄付であっても、社会福祉施設等に対する寄付であっても一応これの対象になるというのが条文のたてまえであろうかと思います。
 ただ、いまのような場合について果たして厳密にそのような適用をするかどうかということについては、やっぱり一つの社会通念的なものがあるのではないかと思います。
#116
○多田省吾君 私がこの前自治省の課長さんに聞いたときには、赤い羽根といえどもこれはやれないのだ、特に全国区の議員は全国どこでもできない、地方区の方はその県ではできない、はっきりそういうお答えがあったわけですよね。いま何だか選挙部長のお話を聞きますと、社会通念でこのぐらいはやってもいいのじゃないかというようなことがあるからというような、はっきりした御答弁じゃないように思いますけれども、はっきり言って、赤い羽根、地方区の方はその県で、全国区の方は全国区でできるんですか、できないんですか。はっきりしてもらいたい。
#117
○政府委員(大橋茂二郎君) お答え申し上げます。
 たてまえとしては、寄付に該当する限りはやはりたとえ赤い羽根でもできないということであるべきだと思います。
#118
○多田省吾君 そうでしょう。法律上はできないんですよ。それを自治大臣が平気で岡山県に帰ったとき、共同募金、赤い羽根やりますかと言ったら、やりますと、それなら公選法違反じゃないですか。こういう法律だからわれわれはこの前反対したわけですよ。
 それで、赤い羽根だけじゃありません。全国区の議員候補はそのほか社会福祉事業にも、あるいは学校の寄付とか、そういうものに対しても全然できないんですよね。だから去年の参議院の予算委員会では、まあ個人的な名前申し上げて申しわけありませんが、当時の鳩山外務大臣、去年の秋でしたか、平気で予算委員会室に赤い羽根つけてきているわけです。それで、二院クラブの方が質問したら、自治大臣じゃなくて法務大臣がこれはできるんだと答弁しているんですよね。だから、そのように非常に政府部内でもこういった公選法の寄付禁止規定というのは混乱しておりますしね。社会通念上そんなばかなと思われるようなことが禁止されているわけです。これは私はちょっと行き過ぎだと思うんですよ。
 ですから、特に参議院全国区のような場合、自治大臣は岡山県じゃなくて東京に来れば堂々と赤い羽根もできますけども、これは東京で買われたものだと思いますけどね。全国区の場合はもうすべてできないんですから。だから私はこういう少なくとも参議院全国区のような場合は、まあ特定のものに限って特定の地域に限って考慮すべき面もあると思いますし、また赤い羽根とか、こういう社会福祉事業なんかはやはり禁止規定を解くような方向で改正も考えなくちゃいけないんじゃないかなと、このようにも思いますけれども、まあ罰則こそありませんけれども、やはりこれは国会で決めたはっきりした国法でございますし、この寄付禁止規定というのは余りにも評判が悪い。これは趣旨を生かして何らかの考えるべき余地があると思いますが、大臣はどう思いますか。
#119
○国務大臣(加藤武徳君) 十月一日は衆議院の予算委員会がございまして、私は郷里に帰っておりませんし、弁明しておかなければなりませんのは、この羽根は東京でいただいたものでございますから、少なくも違反ではない、かような理解をいたしております。
 が、しかし現行法律がやはり選挙区内におきます公職の立場にあります者の寄付などを禁止しておるのでありますから、厳密な法解釈からいたしますならば、やはり選挙区におきまして、すなわち全国区の議員の皆さん方は、全国的に、地方区はその地方におきましては寄付は許されない、これがたてまえでございますから、かつてたばこの葉事件につきまして最高裁で一厘事件というのがありまして、たばこの葉一枚だってやはり窃盗になるんだ、かような判決のありましたことを私も勉強した記憶がございますけれども、事軽微だからということでそれを看過いたしますようなことがありますと、やはり制度全体が一穴から崩れる、かような心配もございますから、やはり厳密に対処してまいりますのが筋である、かように私は考えます。
#120
○多田省吾君 ですから、国法ですから厳密に対処すべきものというのはわれわれ国会議員にとって当然の考えでありますけれども、それはわかりますけれども、ですから社会通念上参議院全国区の議員の百人だけが赤い羽根を全然国民の中で法律上つけられないなんて、ちょっとおかしいと思うんですよ。ですからその辺から考えて訂正すべき面も今後考えられるんじゃないか、こういうことを質問しているんですよ。
#121
○国務大臣(加藤武徳君) いろいろ議論のあるところでございますが、さような方向での法改正がなされれば格別、現行法制下におきましてはことに選挙法が改正されましてまだ間のない時期でございますし、行政当局といたしましてはやはり現行制度を忠実に守っていく、かような基本の態度を現段階において崩して改正しなきゃならぬという意欲を盛り立てていきますほどの考え方はいまだ持っておらないことの御理解をいただきたい、こう思います。
#122
○多田省吾君 私はこういったおかしなことは法改正すべきだと、このように思います。
 次に、国会議員の定数問題についてお尋ねします。
 去る九月の東京高裁の二つの法廷における五十一年総選挙定数配分不均衡を理由とする選挙無効民事訴訟の裁判というものが九月十一日の九部の判決と十三日の十五部の判決が合憲、違憲ということで入り乱れました。特に神奈川三区とか千葉四区とか、同じ選挙区の訴訟が合憲、違憲と相反する結果になったわけでございます。訴訟はいずれも現在上告されておりますけれども、訴訟は訴訟といたしまして、定数問題ばかなり混乱状態にあると思います。
 先ほども午前中質問がございましたけれども、新聞報道によりますと自治省は十一日の九部の合憲判決を妥当な判決として歓迎したと報道されておりますけれども、そのような態度表明をおっしゃったのかどうか。それからその理由をひとつ御説明いただきたいと思います。
#123
○国務大臣(加藤武徳君) 九月十一日の判決は、御承知のとおり昭和五十一年十二月の総選挙につきましての定数配分に関します原告側の主張に対します判決でございました。で、結論的には両者棄却でございましたけれども、しかし十一日、十三日の判決の内容が相当異なった内容であったことは事実でございます。そこで、昭和五十年に衆議院議員の選挙区並びに定数が改正になりまして最初の選挙の判決でございますだけに、自治省といたしましてもその判決の帰結につきまして関心を持っておったことは事実でございまして、それで合憲であるという判決が出ましたことでほっとした感じを持ったのは私は否めないと思うのでございますが、午前中も答弁しましたように、ほっとした気持ちが記者の皆さんの前であらわれまして、そしてそのことが妥当な判決と評価したような受け取られ方をしたのでございまして、あるいはそうであったのかもしれませんけれども、しかしまだ高裁の判決であり、裁判機関の最高意思決定ではないものであったのでございますから、このことのみをもってして妥当であるとか妥当でないとかというような結論を出すのは早計であろうと私は考えておりますことも午前中申したようなことでございます。したがって、ほっとした気分であったことだけは否めないと思うのでございますから、そのことの御理解はぜひいただき、なお表現に関しまして不十分な点があったのかもしれませんが、その後慎重な対処をいたしますような選挙部長の基本の心構えでございますので、これまた御了承願いたい、かように思う次第であります。
#124
○多田省吾君 私はここで単なる裁判批判ではございませんが、両極端の判決の結果、現在混乱状態にある定数問題につきまして、その指針を見出すために、重ねて自治省の見解をただしていきたいと思います。
 まず定数配分及び再配分につきまして、人口比率優先基準原則というものがあるわけでございますが、それをどう考えておられるか。また人口比率以外の要素についてはどのように考えておられるのか。これは高裁の十一日判決は人口比基準を優先させないということで、過疎化にあるというような問題で、政治的な判断であのような判決が出たと思いますけれども、十三日の判決でははっきりと人口比基準を優先さすべきだというたてまえに立って判決を下しているように見えます。これを私はこの二つの判決を離れまして自治省の見解はどうなのかということをお聞きしたいわけです。
 で、五十年の是正につきましては、国会で過疎過密などの差異など全然考慮いたしませんでした。私ははっきりと人口比基準によったものと思いますけれども、人口比以外の要素があるとすればそれは何と何で、その範囲と限界はどうなのか、自治省のお考えをお聞きしたいと思います。いかがですか。
#125
○国務大臣(加藤武徳君) 昭和五十一年の最高裁の判決は、もとより定数の配分が人口比率を基本にすべきことを明確にいたしておりながら、行政区画、選挙区としてのまとまりぐあい、人口密度、地理的な状況、人口の都市集中等各般の要素があり云々と、かような言い方をいたしておるのでございますけれども、去る九月十一日と十三日の両判決につきましては、午前中来何回も繰り返しておりますように、両判決とも上告されまして最高裁に事案が継続をいたしておる、かようなことでございますことと、それから東京高裁におきましては国は裁判に関与しておらなかったのでありますけれども、上告審におきましては国が、すなわち法務省が訴訟参加をいたす、かようなことでやってまいっておりますようなことでもございますから、やはりこの段階においてこの判決の当不当、妥当非妥当のことにつきまして行政当局は意見を述べますことは差し控えるべきだと、かような基本の認識でありますことの御理解をいただきたいと思います。
#126
○多田省吾君 ですから私は二つの高裁判決を離れて、自治省が現在どう考えておられるかの自治省見解を求めたわけでございますが、それすら御答弁できないということですか。
#127
○国務大臣(加藤武徳君) もとより自治省の選挙に携わっております者の個人的な受け取り方には差があり、個人差があろうと思っておりますけれども、しかし自治省として基本的に対処いたします姿といたしましては、先ほど来申しておりますような最高裁の判決をまちたい、これが統一した考え方でございます。
#128
○多田省吾君 じゃ、現在のところは五十一年の最高裁の判決のいわゆる人口比率優先基準原則を認めるという立場ですか。
#129
○国務大臣(加藤武徳君) 最高裁の違憲判決といたしましては昭和五十一年のものが最高の裁判機関の意思だと判断をいたしておりまして、そしてこの判旨の中におきましても、判決の内容にやはり基本的には定数配分は人口比率をたてまえとすべきでありますことが明示されておるのでありますから、その原則は当然のことだと受けとめております。
#130
○多田省吾君 十一日の判決では、投票価値の格差の判断基準といたしまして、全国平均値を一として二以下ならば合理性を逸脱しないというような考えを示しております。これは実際の最低最高の開きは約四倍になるわけです。で、これを合理性の範囲内とすることにつきまして私は大変これはよくない、とんでもないことだと、このように思います。
 自治省の制度論的な御見解では、どうですか。最高最低、衆議院の定数において四倍も開きがあってもよろしいというような、そういうことに対しては現在どういう御見解を持っておられますか。
#131
○国務大臣(加藤武徳君) 人口格差ができるだけ縮まりますことを理想としなければならぬことは何回も申しているとおりでございますけれども、しかしその格差がどの程度までが許され、どの程度を超えますと違憲であるかに関しましては裁判所の判例も明解な線を引いておらないのでありますし、なおかつ九月の時点の東京高裁の判決につきましては九部の判決と十五部の判決が著しく異なった判決でありますので、くどいような言い方を何遍もいたしますけれども、やはり裁判所の最高意思決定をまたなければならぬと、かように考えますので御了承願いたいと思います。
#132
○多田省吾君 十三日の判決では、人口数を定数改正時、選挙時の現在数から判断いたしまして国調人口を厳密には使用していないわけです。で、公選法施行令百四十四条では、人口は国調人口数によることになっておりますけれども、ですから国会でこの前改正したときには昭和四十五年に国調人口でやったわけでございますが、厳密な意味では国勢調査の人口によるべきだと私たちは考えております。それはもう援用をするのは現在数とか、あるいはある場合には有権者数とか、それによってもよろしいとは思いますけれども、正確な意味の厳密なやはり判断は国調人口数によるべきだと私は思うんでございますけれども、自治省の見解はどうですか。
#133
○国務大臣(加藤武徳君) やはり定数の配分や選挙区を決めますことは国調人口を基本にすべきであろうと考えております。
 ただ九月十三日の判決におきましては、昭和五十年の国調を使わなかったことそれ自身を取り上げて、そのことが憲法違反だと、かような論旨ではなかったように承知をいたしております。それは時間的にも五十年の国調を使いますことがなかなかむずかしかったことも大きな原因ではなかったであろうかと、かような判断をいたしておるようなわけであります。
#134
○多田省吾君 私は衆議院の定数問題に関しましては当然十一日の判決は否とし、十三日の判決はほぼ妥当とする考えでおります。
 まあこの問題はおきまして、次に参議院地方区の定数問題につきまして、最近どうも参議院の特殊性ということを問題にして人口比を基準にするのみではいけないんだ、こういうような議論が幅をきかしているようでありますけれども、私はこれは大変誤った考えだと、このように思っております。やはり参議院地方区といえども、この定数を決めた当時の姿、あるいは現在の状況から見ても、あくまでもこれは基本的人権あるいは投票価値の平等という問題を中心といたしまして、人口比基準を原則にすべきだ、このように考えております。
 自治省としては定数配分及び再配分においては、参議院の特殊性というものを定数問題に絡めるべきだと考えているのか。そういう特殊性があるとすればその内容をどう考えているのか。現在の考えでよろしいんですけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
#135
○国務大臣(加藤武徳君) 何回も申しておりますように、衆議院参議院を問わず地方選挙におきましてもできるだけ人口格差がない、少なくなりますことが理想でありますことは申すまでもないことでございますが、ただ具体的にどの程度の格差が許されるかにつきましては判旨におきましても明確ではないということも先ほど述べてまいりました。
 そこで、公職選挙法の別表に付記がございますが、それは「更正するのを例とする。」と、かような書き方もなされておるんでありますが、しかし参議院の場合にはさような書き方がされておらないのでございます。それから参議院の地方区の特性といたしましては、やはりその地方その地方の意思が国会に反映しますような基本の考え方のもとに各都道府県ごとに定数が割り振られており、それも半数改選のたてまえでございますから定数が偶数であることは御承知のとおりでございまして、そして二人から八人までと、かような四段階に分かれておるのでございます。
 かような参議院地方区の特性は踏まえていかなければなりませんが、だからといって人口あるいは有権者を基本にいたします理念を大きく変えていくべきかどうか、そのことに関しては大変な議論がありますことも承知をいたしており、そして午前中に社会党の片山委員からいわゆる野党案なるものが提示されておる、その御指摘もございましたし、また自民党提案なるものも私はよく承知をいたしておりますけれども、やはり基本的には選挙の根本に関する問題でございますから、やはり各党の合意を得ながら取り運んでいかなければならぬし、一方的にどの政党が土俵をつくりますようなことは許されないと思っておるのでございますから、できるだけ早く各党間の合意ができまして、そして私どもにその線をお示しいただき、行政府といたしましてもこれに対処いたす、かような基本の考え方で臨んでまいりたいと考えておるのであります。
#136
○多田省吾君 定数の問題についてはまだ多くの問題がありますけれども、私は次の機会に譲りまして、次に政治資金規正法の運用状況について若干質問いたします。
 五十二年の収支報告の要旨の公表は地方の一号団体の分もすでに済んだことと思いますけれども、五十一年、五十二年度を通じて一号から三号団体全部につきましての違反事実の有無あるいは違反についての監督上の措置というものを御報告願いたいと思います。
#137
○政府委員(大橋茂二郎君) 政治資金規正法の趣旨をいまさら申し上げるのもいかがかと思いますが、政治団体の収支につきましてこれを公表しまして、それで主権者である国民の批判にまつということでございまして、収支報告を出されたものに対しまして形式的な不備とかあるいは記載事項の不十分とか、そういうものがあったときに一応形式的な審査を行うということでございまして、御質問のありましたような違反の事実があった、たとえば寄付の量的な違反があったじゃないか、あるいは質的な違反があったというようなことまで自治省として行政当局として調査ないしは審査するというような権限もないものでございますので、まことに遺憾ながら御質問のような事実についてお答えすることはちょっとできません。よろしくお願いいたします。
#138
○多田省吾君 私は政治資金規正法の運用につきましても、自治省としてはその程度のことは当然調査もできるし、また公表もしなければならない、このように思います。はなはだ遺憾な答弁だと思います。
 で、現行の規正法は五年後の見直し規定がありますけれども、たとえば政治献金のあり方では献金は個人に限るべしというような見直しが私は必要ではないかと思いますけれども、それはおきまして、運用上の問題としてもいま直ちに改善すべき点というものが少なからずあると思います。
 四つほど挙げてみますと、一つは主義、施策の推進団体、これは三条一項一号、それから研究団体、これは五条一項一号の主宰議員名の公表ぐらいはやってもいいんじゃないかと思いますが、この点はどうですか。
#139
○政府委員(大橋茂二郎君) ただいま御指摘がありまして、公表する内容として三条一項一号あるいは五条一項一号の主宰議員の氏名を公表したらどうかと、こういうことでございますが、実は公表につきましてはこうこうこういうことについて公表するということで、現行法の七条の二でございますが、政治団体の名称、代表者、会計責任者、主たる事務所の所在地等ということでございまして、御指摘のような主宰議員等を公表するということは示されておりません。何分にも報告の中のものを公表するということでございますので、報告に法律上にないような形のものをちょっと直ちにここで公表するというようなことはいかがかと思っております。
#140
○多田省吾君 いまの法律でできないというならば法律を改正してやるべきだ、見直し規定もあるわけですからね。そのようにも思うんですよ。
 次に、二番目には後援団体、三条一項二号の推薦議員名とかあるいは候補者名立候補予定者名、これも公表してもよろしいんじゃないか、このように思いますが、そのように改善すべきだと思いますが、どうですか。
#141
○政府委員(大橋茂二郎君) ただいまの推薦議員の氏名につきましても先ほどのような形でございまして、法律上公表すべき事項にありませんので、単なる法律運営の問題としてこれを出すということはいかがかと思っております。ただ御指摘のとおり五年の経過において検討するという附則の条文もありますことでございますので、今後とも検討いたしたいと存じております。
#142
○多田省吾君 じゃ、これは法律改正しなくてもできると思うんですけれども、毎年十二月三十一日現在で政治団体一覧表というものを自治省で作成しまして、これも一号団体から三号団体までの団体全部について作成することがやはりガラス張りになり、また政治活動に対しての国民の認識というものがさらに私は強まるものだと、このように思いますが、そのようなことをなさる御意思はございませんか。
#143
○政府委員(大橋茂二郎君) 政治団体の数は大体われわれの自治省で扱っておりますものが二千三百、全国で二万四千という非常な大きな数になります。それに対しまして一覧表をつくるということは大変事務的には大きな仕事でございます。ただ御指摘のように全国の政治団体がどうなっているかということ自身も全く役に立つことでございますので、事務的には大変労力を伴うものでございますが、できるだけそれが作成するように努めてみたいと考えております。
#144
○多田省吾君 そして、できますればこういう政治団体一覧表を作成していただいて、たとえば違反事実の有無ですね。量的制限とか質的制限とか、届け出前の寄付の受領とか報告書の提出義務違反等の問題、こういったもの及び監督上の措置も一覧表にするとか、こういうことは私はできるんじゃないかと、このように思います。――時間ですから、それじゃ大臣は結構です。
 私は、このような以上の四項目が確実に履行されなければ、政治資金規正法の目的と基本理念、二条の基本理念が損なわれるのじゃないか、少なくとも規正法の目的と基本理念に沿わないんじゃないかと、このように憂えているわけです。
 アメリカでは去る九月の末に政府の倫理に関する法律というものが成立いたしまして、国会議員、候補者、政府高級職員等十九万人が毎年一回資産の全容と収入の詳細を、一件百ドル以上の収入、贈り物、一件千ドル以上の投資もすべて届け出ることになったと聞いております。日本ではロッキード再発防止案というものがいま全くだめでございますし、規正法も団体だけ。それも一依然として実態がわからない。一件百五十万円以上の寄付の超過分を借入金にするなど新たな不透明度の強い問題も新しく起こっております。
 ですから、私はこれからの政治資金規正法の運用上の改善事項として、自治省はもっと態度を厳格にしまして、そして今後臨んでいただきたいと思いますし、また先ほど申しましたように、五年ごとの見直し規定というものもあるわけでございますが、それも近くあるわけでございますから、そういった点を踏まえて私はもっともっと政治資金規正法の厳格的な運用というものに努められたらどうかと、このように思うわけでございますが、選挙部長はどのようにお考えですか。
#145
○政府委員(大橋茂二郎君) 政治資金の規制に関しましては去る五十年に大改正が加えられました。それに基づきまして寄付等に対する質的、量的な制限を加えるとともに、収支の報告ないし公表につきましても大幅な改正が行われました。この改正に基づきます収支の公表はことしで二回目でございまして、昨年と今回と二回公表されたわけでございます。これに対しますいろいろ国民の批判というものも十分に私どもも留意いたしまして、いま御指摘得ました今後の改正検討の資料といたしたいと考えております。
#146
○金丸三郎君 私も午前中から各委員より御質問のございました衆議院の定数の区分の問題を中心にしてお伺いをいたしたいと思います。
 私の論点は、問題になっております九月十一日、十三日の東京高裁の判決、昭和五十一年の最高裁の判決、これは裁判所でございますので、現行法を前提にして、その解釈、適用あるいは執行という立場からの見解であろうと思いますが、私はその法の執行や適用を無視するわけではございませんけれども、立法府として立法政策的な見地からこれをどういうふうに考えたらよろしいのかという観点で御質問をいたしたいと思います。法律的な事項にわたり過ぎるかもわかりませんので、せっかく政務次官おいででございますが、必ずしも政務次官でなく選挙部長でも結構でございます。
 私が非常に奇異に感じますのは、九月十一日東京高裁の判決、十三日も同じ東京高裁の判決、しかも対象は千葉県の四区と東京の七区、これは両判決の対象になっておる選挙区であります。これについて十一日の判決は東だと言い、十三日の判決は西だと言っております。国民の立場から見ますというとまことに不可解な現象で、裁判官の独立性を尊重することからやむを得ないのだろうと思いますけれども、東京の高裁と大阪の高裁が同じ事件を扱って結論を別にするのは余り異とするに足らぬかもわかりませんが、同じ東京高等裁判所が全く同じ内容について東と西の判決を下すということは、私は裁判所のあり方としてどうなんだろうかという実は疑問を持っております。最高裁の判決で全国的な裁判官のいわば思想統一が形成されていくのでやむを得ないんだろうと思いますけれども、私は非常に割り切れません。そういう意味で何らかやはり立法政策的な見地からこの問題に解決を与える努力をする必要があるんじゃなかろうか。実はこういうような気持ちを持っておるのでございます。
 お尋ねの第一は、国会議員の選挙区別の定数の配分は選挙区の人口に比例しなければ違憲となるのか、人口以外の要素を考慮することも立法政策の問題として憲法上認められるとお考えになっていらっしゃるかどうか。この点をお伺いいたします。
#147
○政府委員(大橋茂二郎君) 国会議員の選挙区別定数の配分でございますが、何分にも定数の配分というのは高度に政治的な判断を伴うものであるということは御承知のとおりでございます。しかしその場合におきましても選挙区の区分と定数の配分につきましては、各選挙区の選挙人数または人口数、その比率が基本的な原則であるということはもちろんであると思います。
 ただ五十一年四月の最高裁でも申しておりますように、単なる人口以外の、このほかにも行政区画であるとか、従来の選挙の実績であるとか、選挙区としてのまとまりぐあいがどうなっているか、面積、人口密度、さらには住民構成、交通、地理的状況、さらには社会の変動やその一つのあらわれとしての人口の都市集中度というような各般の要素がありますので、これらを総合判断して定数を配分するということが立法政策上の問題としても憲法上容認されておるのではないかと考えております。
#148
○金丸三郎君 憲法第十四条の法のもとにおける平等というのが五十一年の最高裁の判決の基本の考え方、また九月十三日の東京高裁の判決の基本的な考え方のように思われます。
 実は四十九年とか、それ以前に参議院の選挙区、地方区の問題につきまして最高裁の判決がございます。これも法のもとにおける平等について論議はいたしておるのでございます。また九月十一日の高裁の判決、これも法のもとにおける平等ということを無視した判決ではないと私は考えておりますが、この憲法十四条の法のもとにおける平等というのは、たとえば普通選挙を保障するとか、一人一票とか、複数選挙とか累積投票とか、いろいろございますので、そういう意味で一人一票と当然のことのようなことを申しておるのですが、それから男女無差別、所得による選挙権の差等がないことが普通選挙でございますけれども、こういうようないわば質的な平等を言うのであって、議員の選挙区別の定数と人口の比例といったような量的な問題もやはり含めて考えるべきだというふうにお考えなのかどうか、その点をお伺いいたします。
#149
○政府委員(大橋茂二郎君) 憲法第十四条の「法の下の平等」とはどういうことかということでございます。御指摘のとおり憲法第十四条における「法の下の平等」におきましては、根本的には普通選挙であるとか、あるいは一人一票であるとか、男女無差別の原則というものに意を示すものであることは御指摘のとおりであります。
 ただ、さらにその量的な問題までも含むかどうかということについてはかなり議論の存するところであろうかと思いますが、先ほど来たびたび引用さしていただいております五十一年の最高裁の判決におきましては、憲法の要するに平等におきましてはまたその選挙における各選挙人の投票の持つ価値の平等、そういうものもこの憲法十四条の平等の中には含まれておるという解釈をしております。そのような投票の価値の平等というものに立って、先般の判決も行われているように承知しておりますので、その趣旨を尊重したいと思っております。
#150
○金丸三郎君 その点でございます。五十一年の最高裁の判決はきわめて詳細であります。多数意見と少数意見が詳細に述べ尽くされております。私もその点は十分に承知いたしております。九月十一日と十三日の東京高裁の判決は、五十一年の最高裁のその判決を前提としながら、しかも十一日の判決は東だと言い、十三日の判決は西だと言っておるんです。ここに問題がございます。
 法の解釈や適用であって、同じ高等裁判所に属する裁判官が千葉県の四区と東京の七区という同じ選挙区ですよ。一方の判決は東京の選挙区、一方の判決は東北の選挙区じゃないんです。同じ選挙区について同じ高等裁判所の裁判官が東と西の判決を下したということは私は非常に問題があると思う。それはいわば法の解釈適用について非常に見解が違い得る。しかも最高裁は五十一年に判決を下しておるんですけれども、なおさらに違った高裁の判決が出てきておる。ここを私がやっぱり立法の立場から考えなければならないじゃないか、こう思うのでございます。
 十一日の判決は、ただいま選挙部長から答弁がございました量的な平等でなく質的な平等が一番大事だということです。しかし私は選挙というものは国民にできるだけ平等に選挙権を与え、政治に参加させるのが筋合いだと思います。しかしたとえば米国を例にとりますと、五十の州が上院には二人ずつ出しておることはよく御承知のとおりでございます。これは選挙権の平等じゃありません。政治的な平等であります。
 選挙というのは国政に参加させると同時に、国政の運用をどのようにやっていくか、地方自治団体の政治行政の運営をどのようにやったら一番いいかという高度の国の政治のあり方、運営の仕方を考えて私は決められるべきものではなかろうかと、かように思うのであります。
 九月十一日の判決は平等を廃するのではございません。そういう意味では最高裁の五十一年の判決を否定する思想に立っておるのじゃありませんが、十一日の判決の理由書をよく読みますというと、実質的な国民の平等、選挙区の住民の政治的な国の政治に対する発言権の平等を考えなければならないと、一言で申しますというと私はそういう思想の判決ではないかと読んでおります。
 現在わが国では人口が集中した府県の参議院の選挙、衆議院の選挙についてそういう関係区域の住民に不平があるので訴訟が起こってそういう声は非常に出ております。しかし人口が減って経済的にも社会的にも文化的にも非常に困った地域の国民の声というものは反映しておりません。私はそこを考える必要があるんじゃないか。九月十一日の東京高裁の判決はまさにそれを指摘しておるのであって、ただ数字の上で格差があるから当然に修正したらいい、それが選挙権の平等だという機械的ないわば平等ではなくて、やはり地域に住む国民の政治的な発言、そういうものを立法政策的に考慮すべきじゃないか、そういう見地から十一日の判決は現行法でも立法政策上許されるものだという趣旨の私は判決になったんだろうと、実はこういうふうに思うのでございます。
 今回の東京高裁の判決や五十一年の最高裁の判決理由を見ますというと、余り議員一人当たりの人口の選挙区ごとの差がひどくなければそれは立法政策上妥当な範囲で違憲とはならない、こういう結論のようでございます。衆議院についての判決でございますし、また四十九年以前には参議院についての判決もございますが、今回の東京高裁の判決は衆議院であります。これは一対三で違憲だという結論です。
 ところが参議院の地方区につきまして、府県別に議員一人当たりの人口を調べてみますというと、鳥取県は二十九万六百五十六名です。神奈川県は実に百五十九万九千四百三十七人、東京都は百四十五万九千百九十四人、東京、神奈川はいずれも鳥取県の五倍以上に実はなっております。これにもかかわらず四十九年の最高裁の判決は参議院について違憲と言っておりません。この点について自治省ではどういうふうにお考えなのか、この点をひとつお伺いいたします。
#151
○政府委員(大橋茂二郎君) 衆議院の定数の問題につきまして、基本的には人口と議員定数との比例という問題はあるけれども、しかし幾多の考慮すべき問題があるというようなことがあるということは、先ほど五十一年四月十四日の判決を引いて申し上げたとおりであります。九月十一日の判決は、特にその中にも指摘しておりまするように、社会の急激な変化、その一つのあらわれとしての人口の都市集中化の現象をどのように評価するかというような問題を敷衍してあのような結論に達したのではないかと思います。ただ、しかし反面そういうような政策的な判断も合理的に是認できなければ憲法違反の問題があるという観点から今度は九月十三日というものにつきましては違憲であるということでありまして、数量的な感じとしてはまことにわれわれとしてはどちらとも言えないということでございまして、この点大臣がかねがねお答えいたしておりますように、司法権における最高の判断を仰ぎたいというふうに考えているわけです。
 なお御指摘になりました参議院の定数につきまして四十九年に最高裁の判決がございました。これはむしろどう考えているかというようなことよりも、一体その四十九年の最高裁の判決のときにどうなっていたかということであろうかと思います。その点につきましては御指摘のとおり四十九年の最高裁が判決の際踏まえた事実関係としましては、先ほど言いましたような格差があり、あるいはときによってはいわゆる逆転現象というようなものも生じておるという事態を踏まえてあのような判決が出たということに承知いたしております。
#152
○金丸三郎君 参議院の地方区の定数が現在のままでいいと思って私はおるわけでは決してありません。きょうは法律論を言っておるんです。法のもとに平等という主張をしながら、参議院については明らかに五倍の差がある、衆議院については三倍の差が違憲だと断定しておる。おかしいじゃないか、なぜ参議院については違憲でないのか。参議院の選挙区の制度は地域的な性格が強いという考えを裁判所も持っておることは私も承知いたしております。これは立法政策を認めたことです。それなら衆議院についてどうしても人口だけでなければならないか。現行法はそうなっております。それならこれを立法政策的に解決する方法はないんだろうか。
 御承知のように公職選挙法の十五条の第七項に府県の議員の選挙区は「人口に比例して、条例で定めなければならない。ただし、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、」――おおむねですよ。「おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができる。」と、こうなっております。衆議院や参議院についてはこのただし書きの規定がありません。これは立法府だから、こんなただし書きの規定を置こうが置くまいがわれわれの考えでこういうようなことはやり得ると、私はそういうような考えもあるのかなと実は思っておりますが、この思想は特別な事情というものがあれば人口だけにこだわらないで、やはり地域の住民の政治的な発言権を確保するという必要性に応じられる道が開かれておるんじゃなかろうか、こういうふうに考えます。この点について自治省どういうふうにお考えになりますか、これが一つ。
 私もいま結論を得ているわけじゃございませんけれども、どうも衆議院の選挙区のあり方、参議院の地方区のあり方、これは府県の議会の議員の選挙区と違います。違いますけれども、選挙区という根本、選挙権という問題、選挙権の平等価値という問題については同じなんです。同じなんですが、適用についていろいろ違い得る理由は那辺にあるのか、それをどう考えたらいいのか。大きく申しますならば衆議院の定数の是正というのは、これは国民の立場から見ても必要でございますけれども、この是正は国の政治全体の動向に関係があるわけであります。これが裁判所の認めておるような高度の政治的な判断、高度の立法政策に属するんだと言われておるのは私はそういうような点からじゃなかろうかと思いますが、それらについて政府にも法律案の提案権がございますので、自治省としてはどういうふうにお考えなのか、お伺いをいたします。
#153
○政府委員(大橋茂二郎君) 御指摘の中に都道府県の議会の議員の選挙区別定数に関しましてただし書きがあるということでございます。特別の事情があればということでございますが、この中でもやはり人口を基準とするということは原則として出ていると思います。したがいまして、都道府県あるいは衆議院、参議院、それぞれ団体としての性格を異にいたしますが、やはり基本となるのは憲法の十四条以下で示している各種の原則ということであろうと思います。そういうような憲法に示している各種の原則を踏まえながら、それぞれ衆議院、参議院あるいは都道府県の議会というものの性格を考えまして、いわゆる選挙区の人口のほかにも、選挙区の実態あるいは社会的な変動その他の要素を総合的に判断するということは現行の憲法でも認められておるところではないかと考えておる次第でございます。
#154
○内藤功君 まず九月十一日の高裁の第九民事部の判決が出た後で選挙部長が妥当な判決だということを言われた。選挙部長の言われた内容と、それを言われた真意をまず伺いたいと思います。
#155
○政府委員(大橋茂二郎君) 九月十一日の判決が妥当であるということをまた私が申したということが報道されたということでございますが、これは先ほど来大臣がしばしば御説明申し上げましたとおり、正直なところ、昭和五十年に改正されました後の第一回の選挙であるということが私も頭にありまして、それが結論として合憲であるということで、ほっとしたというような感じの実は率直な感想を持ったということがあのような報道をされたということでございます。
 それから十一日の後すぐ十三日ということで、全く同じ東京高等裁判所というところで同一の選挙区に関しまして判断内容としましてはかなり違うものが出ましたので、私としてはやはり最高裁の判断というものをまちたいというのが現在の心境でございます。
#156
○内藤功君 そのほっとしたというのは、この安藤判決と言われている主文のことでほっとしたのか、理由のことでほっとしたのか、どういうことなんです。
#157
○政府委員(大橋茂二郎君) あの判決が出ました直後でございまして、判決の内容の詳細については承知いたしておりませんで、合憲であるという趣旨の判決が出たということでそのような感想を述べたというふうに記憶いたしております。
#158
○内藤功君 そうすると、あの談話は判決の中身は全然読まないで、合憲だという結論だけ聞いたところで発言したんですか。
#159
○政府委員(大橋茂二郎君) 詳細なる内容をまだ読む時間的な余裕がありません段階でございまして、先ほど言いましたように、五十年の改正直後の第一回の選挙の結果ということで、合憲であるということで私としてもほっとしたという感想でございます。
#160
○内藤功君 そうすると、あの談話は大臣の御了解なり大臣の意見を聞かないで発言したんですか。
#161
○政府委員(大橋茂二郎君) 談話の発表というよりも、まあ一つの感想ということで言ったものでございまして、正式には大臣の言われたとおりであると考えております。
#162
○内藤功君 いや、大臣の了解を得ないでの発言ですか。
#163
○政府委員(大橋茂二郎君) 正式に大臣と話をした結果、こういうふうに言うということではございませんが、少なくとも合憲であれば望ましいということはかねがねから大臣とは話をしておりました。
#164
○内藤功君 ところが、あなたの発言を新聞で見ますと、そうじゃなくて、それだけにとどまらないですね。「昭和五十年の改正の趣旨が評価され、妥当な判決と思う」というだけじゃなくて、その後に「今度の判決が、極端な過疎県との比較を排して全国平均値との比較方式をとったこと、そのうえで現状を「国会の裁量権の範囲内であり合理的な差に属す」とするなど、各選管の主張がほぼ全面的に認められたとして歓迎している。」と、こういうこれは朝日新聞の記事ですね。ただ合憲だと認められた、中身は読まないでほっとしたというだけにとどまらない。中身に触れても妥当だと、こういう談話のようになっています。
 これで全国の人は政府を見るとき、自治省を見るときに、いまのここでの答弁じゃなくて、みんなこれで見ますからね、これで。これには責任を持たなくちゃならぬのです。これには。どうなんですか。
#165
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほど申しましたように、詳細なる内容というものをまだ読む時間的余裕がなくして聞かれたときでございました。たしかそれを思い出しますと、平均との格差ということを判決では言っているけれども、被告の方はそういう主張をしたのかというようなことを聞かれたように覚えております。したがって、私の方では被告の主張の中にも平均と比較すべきであるはずだという答えをしたことを記憶しております。
#166
○内藤功君 そうすると、最初の答弁の五十年の選挙区是正が判決で合憲と出た、それでほっとしたというだけじゃなくて、この過疎県との比較の問題、こういういわゆる判旨といいますか、理由の中の論旨、そういうものも踏まえた上で妥当だと言ったんですか。
#167
○政府委員(大橋茂二郎君) どうも記者の方と話したときにそこまで突っ込んだ話はした記憶はございません。
#168
○内藤功君 これが大きな問題になる談話なんですから、その点はっきり聞きたいんですが、そうすると、過疎県との比較、これが憲法で許される範囲かどうかという点についての判旨は読まないでこの談話を出したと、こういうふうに伺っていいんですか。
#169
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほど来申し上げていますように、談話というよりも五十年の法律で定数改正後の第一回の選挙の結果ということでございますので、それが合憲であるという判旨に関しましてほっとしたという感想を述べたのでございます。
#170
○内藤功君 ですから、この過疎県との比較についての論旨がありますが、この点についてはそれも含めて妥当だと言ったんですか。それともそれは見てなかったというんですか。どうなんですか。
#171
○政府委員(大橋茂二郎君) 論理の詳細をたどるまでの時間的な余裕がなかった状況でございまして、結論のみについて感想を述べたというふうに考えております。
#172
○内藤功君 その結論というのが問題なんですが、結論というのは主文のことをいうんですか。それとも理由のある部分のことをいうんですか、結論というのは。
#173
○政府委員(大橋茂二郎君) そのとき承知しておりました私の知識は、東京高裁は五十一年の選挙を有効としたという判断、有効としたという情報を得た上でのことでございます。
#174
○内藤功君 そうすると、この過疎県と過密都府県との間の格差の問題については判決がどう言っているかということは全く知らない段階でその発言をした、こういうことなんですか。
#175
○政府委員(大橋茂二郎君) 全く知らないということでいきますと厳密性を欠くと思いますが、論理を十分にたどった上での発言ではないということでございます。
#176
○内藤功君 そうすると、過疎県と過密都府県との格差についての論旨は、詳細はたどっていないけれども、結論は知った上でその発言をした、こういうことですか。
#177
○政府委員(大橋茂二郎君) 過密過疎の問題について論及しているということを部下よりは承知しておりました。
#178
○内藤功君 大体わかってきましたが、詳細な判決文の検討をしないでこの発言をした、これは認めますね。
#179
○政府委員(大橋茂二郎君) 詳細に判決文を読むべき時間的な余裕がなかったという状態での発言・であるということでございます。
#180
○内藤功君 九月十三日の十五民事部の判決の後には、あなたはどういう発言を報道機関に求められたときにいたしましたか。
#181
○政府委員(大橋茂二郎君) その節は大臣が会見されました。大臣といたましては、同じ時期に二つの、要するに結論としては棄却ということで内容は同じであるけれども判断内容の著しく異なるものがあるので最高裁判所の判断をまちたいということを大臣から発表された、私の方から記者会見ないしは記者に意見を述べるということがなかったということでございます。
#182
○内藤功君 大分細かく聞きましたが、私は本音が出たというのが本当のところだと思う。つまり九月十一日の判決はこれは妥当な判決だ、そうして特にその本音というのは選挙区の定数是正をさらにやらなくてよいと。これは衆議院の判決だけれども、同じ理論は参議院にも私は適用されていくべきものだと思いますよ。定数の是正はこれはしなくていい、そのことを考えなくていい、そうしてほっとしたというのが私は本音ではないかと思うんですね。これいかがですか。
#183
○政府委員(大橋茂二郎君) 正直なところを申しまして、改正するとかしないとかということは、そこまでは私は実は考えておりませんでした。むしろ率直なところ、先ほど申したように昭和五十年に各政党の方々を含めて国会で十分議論された上で決められた五十年の改正の直後の第一回の選挙でございますので、それが合憲であるという結論であることに対してはほっとしたということでございます。
#184
○内藤功君 私はやはりいまの御答弁には半分正直なところもあるように思いますが、やはり今度の判決の評価について、安岡判決のときは何にも言わない。最高裁にいずれ上告されるだろうから判断をまつという態度で大臣もいたし、あなたもそういう態度に従われた。ところが安岡判決のときには大臣から特に御指示もない、それから判決詳細の検討もしない段階であなたが妥当な内容だ、しかもこの過疎過密論というものについても詳細の検討はないにしてもそういう論述があることを知った上で妥当な判決だと選挙部長が発言をされるということは、ここで安藤判決は妥当で安岡判決は不妥当である、こういうふうな立場に自治省が立っている、こういう印象を与えるんじゃありませんか。
#185
○政府委員(大橋茂二郎君) 大変率直なことを申し上げますが、同じ裁判所がほとんど同じ時期において全く異なるあのような判決を出すということは、私本当に正直なところ考えてもみなかったわけでございまして、その点あさはかと思いますが、十一日のときには、まああのような感想が出たということでございます。
#186
○内藤功君 その点ですが、九月十一日が第九民事部で十三日が第十五民事部、それぞれ合わせて二つ判決が出るということはもう事前にわれわれ一般国民も報道機関の報道で前に知っておったわけです。当然選挙部長は知っておるはず。これは答弁求める必要もない。うなずいておられるから、そうでしょう。
 そうすると、二つとも同じ判決の場合、同じような判決の場合、二つとも同じような判決が出る場合と、それから一つ一つが食い違って今回のように合憲、違憲、あるいは違憲判決だが一方は選挙の無効を宣言する、一方は選挙無効を宣言しない、二つの食い違った判決が出る場合、これはもう関係の役所としては当然考えているはずなんですね。最初のが出たところですぐにこれに妥当だということ、そう言った場合に、あと十三日に今度は妥当じゃないと言ったら語弊があるけれどもそれと違う判決が出る、こういうことも考えなきゃいかぬはずですね。考えなきゃいかぬはず。きょうは妥当と言ったが、あさっては違う判決が出る。選挙部長として判決に対する態度としてはさような思慮はなかったんですか。
#187
○政府委員(大橋茂二郎君) 御指摘の点でございますが、私としましても十一日の次に十三日の判決があるということは承知しておりました。裁判所が違えば異なる判決があるということはもちろん裁判としてあり得べきことではありますが、私はもちろんニュアンスの違ったものは出ることはあるかもしれませんと思いましたが、もしはっきり言いまして不敏を恥じれば、ここまで違った内容のものが出ると全く予想しておりませんでした。
#188
○内藤功君 これは非常に軽率だと思うんです。十一日にはあなたが妥当だと言う合憲判決が出たからといって十三日に必ずそれと同じものが出るとは限らない。むしろ最高裁の昭和五十一年四月十四日大法廷の判決を貫いていくと、あの判決はよほどひどいことがない限りは相当の期間内に著しい差別というもの、差等というものをなくさなければ憲法違反になるという判断なんですからね。あの最高裁の論理を推していくと、むしろ十三日のような判決が予想されるわけだ。十一日の判決で妥当だと言ってしまえば、十三日の判決で別なのが出れば、そこではこれは妥当ではないとか遺憾であるとか言わなきゃならぬはずですね。そういうことになるでしょう。それを見ておいてどう処すべきか。
 これは九月十一日にはどんな判決が出ても、これはなお十三日の判決もあり最高裁の判決もあるから、これについては意見を差し控える、少なくとも妥当だというようなことを言ったのは軽率のそしりを免れないと私は思うんです。いかがですか。
#189
○政府委員(大橋茂二郎君) 十一日の判決につきましては、これは後からの読んでの話でございますが、五十一年四月の判決自身が都市の急激なる人口の集中化等の問題をどう評価するかということも考えるべき要素に入れるということをさらに敷衍するという一つの延長線上にあるとも考えられるのではないか、また十三日の判決につきましては、いま御指摘になりましたようにこれもまた五十一年四月の判決を踏まえてのものである、そういうふうに私としましては正直なところいずれも五十一年の最高裁の判決を踏まえての上の論理の展開であったということでございまして、率直なところやはり最高裁の判断を待たなきゃならぬというのが現在の心境でございます。
#190
○内藤功君 そうすると、判決は二つあるがいずれも本家は一つで、四月十四日の最高裁の判決から出た、全く同じ根元から出た二つの判決だ、こういう御論旨のようだけれども、そうなると九月十三日のとき、後の安岡判決のときも、これも妥当である、こういうふうに言わなければならぬわけですね。前のも妥当だし後のも妥当だと、こうなりますか。
#191
○政府委員(大橋茂二郎君) 妥当である妥当でないという論理的な発言ではありませんで、先ほど申しましたように、五十年の改正後の第一番目の衆議院の選挙が合憲であるということを言われてほっとしたという感想でございます。
#192
○内藤功君 それじゃ、こういうふうに聞きましょう。九月十一日の判決も九月十三日の判決もいずれも最高裁の判決から出てきている、五十一年四月十四日。そうすると、ここに持ってきたのは最高裁の四月十四日の判決ですが、この中に過疎の県の人に投票権を与えなくちゃいかぬ、もっとより多くの政治力を与えなくちゃ、いかぬ、過密の都府県の人により大きな価値の投票権を与えるとかえって不平等になる、こういう理論のもとになるのがありますか、この五十一年四月十四日の判決には。前の判決が出てきたもとになるような、ソースになるようなものがあるんでしょうか。あったら御指摘願いたい。どの部分ですか。
#193
○政府委員(大橋茂二郎君) 便宜判決の理由要旨、これも裁判所で発表されたものでございますので判決要旨を引用させていただきますと、幾つかの配慮すべき要素を掲げております中に「社会の急激な変化や、その一つのあらわれとしての人口の都市集中化の現象をどのように評価し、」云々と、こういうようなこともございますので、このようなことを敷衍したのかと私は考えた次第でございます。
#194
○内藤功君 その部分だけですか。その部分だけですね。
#195
○政府委員(大橋茂二郎君) その部分だけと申しますと、あれですが……
#196
○内藤功君 ほかにどこにありますか。
#197
○政府委員(大橋茂二郎君) 過密過疎という問題についてはここでございますが、しかし全般的な論調については、五十一年の判決というものを前提として各種の論理を展開されたものであると思います。
#198
○内藤功君 だめですよ、この判決について、過疎過密論について質問するということを通告してあるんだから、事前に。判決の全文持って来なきゃ。要旨というのは最高裁の調査官室がこれ勝手にと言っちゃ語弊があるけれどもつくるので、裁判官がつくるのは判決のこの原本であり正本ですよ。
 こう書いてあるんですよ。「社会の急激な変化や、その一つのあらわれとしての人口の都市集中化の現象などが生じた場合、これをどのように評価し、前述した政治における安定の要請をも考慮しながら、これを選挙区割や議員定数配分にどのように反映させるかも、国会における高度に政策的な考慮要素の一つであることを失わない。」、確かに要素の中に「人口の都市集中化の現象」ということを挙げているんですね。これはしかし、いいですか、あなたの言うのと逆なんですよ。人口の都市集中化が行われて、さっき片山委員が言ったように、京浜工業地帯だ、中京工業地帯だ、大阪の阪神工業地帯だなどなど、人口が急激にふえてきている。そういうようなところは人口がふえているんだから、有権者もふえているんだから、有権者に比例してそこから選出される議員の定数もふえなくちゃいかぬと。当然でしょう。そういうことを言っているんです。これは。ところが一まずそこのところどうです。そういう意味でしょう、これは。
#199
○政府委員(大橋茂二郎君) 何分にも係争中の判決のことでございますので、私がどうかと思いますが……
#200
○内藤功君 係争中じゃないよ、確定判決だ、これは。いまぼくの読んだのは。
#201
○政府委員(大橋茂二郎君) いえ、それが敷衍したか否かということが言われている判決につきましては係属中の判決でございますので、言うのを控えたいと思いますが、先ほど御指摘になりました「社会の急激な変化や、その一つのあらわれとしての人口の都市集中化の現象などが生じた場合、これをどのように評価し、前述した政治における安定の要請をも考慮しながら、これを選挙区割や議員定数配分にどのように反映させるかも、国会における高度に政策的な考慮要素の一つであることを失わない。」ということと当該判決は関係があるのではないかと私自身は考えた次第でございます。
#202
○内藤功君 だんだん怪しくなってきて、今度は「のではないか」になってきたんですね。
 そういうふうに結局人口の都市集中化が出てきて人口がふえ、有権者がふえて、したがってそれに比例をして、まあどのくらい比例させるかは別として、議員の数をふやすということを考えるべきだ、それをどのくらいふやすかは国会の高度の政策的考慮だと、こう言っているんですよ。ですから、社会党、公明党、民社党と日本共産党が出したものは論理的にいけばもっとふやすべきだけど、十八人で抑えて出したんです。こういう政策的考慮を払った。だけどもあなたの引用している東京高裁の安藤判決ですか、第九民事部、この判決は逆なんだね。
 つまり人口がふえてきている、人口のふえてきているところにさらに議員をふやすということは都市の政治力をふやしていくことになる、かえって不均衡になる。逆なんだ。都市はふやすな、農村は減らさなくていい。農村は減らさなくていい、都市はふやすな。もっとはっきり言うと、いまのままでいいということになるんですね。ですから、ぼくが指摘してあなたも基本的に八分ぐらい認めたこの人口の都市集中化の現象というここの最高裁の判旨と、いまのこの東京高裁の安藤判決というのはつながらない。
 もっとはっきり言うと、縁もゆかりもない判決が出てきた。総論では最高裁の総論を言っているけれども、論理の発展はつながらないんです。これは。十三日の判決はつながりますよ、十一日はつながらない。どうですか。
#203
○政府委員(大橋茂二郎君) つながるか、つながらないかというところ、まさに理論の分かれるところであろうかと思います。私どもとしてはこれについての最高裁の判決をまちたいということでございます。
#204
○内藤功君 最高裁の判決またなくていいんですよ。いまの判断、判決の読み方が間違っているとこれから同じあなた方と土俵について定数是正の問題論議できませんよ。ですからはっきりさしておきたいんです。どういうふうにしてつながりますか。
 この最高裁判所の「人口の都市集中化の現象などが生じた場合、」というのは、この中に人口のふえた都市はふやさなくていい、ふやせば不公平になる、ふやせば都市の方の政治力が大きくなるから、これはふやさなくていいという論旨がこの中に入っていませんよ、ちょっとも。それが含まれるというんなら、どういう論理過程で含まれると見るのか。わからないならわからないでいいんですよ。わからないならわからないでいい。わからないこと言っているんなら、それなりにこっちも対応がありますから。どうなんです。
#205
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどから申し上げているように、それぞれ二つの高等裁判所の判決は係争中であるので、私がどちらに弁護したような言い方をするのは実は差し控えたいと思いますが、九月十一日の判決中に「社会の急激な――主として経済的――発展に伴う人口の都市集中化、とくに東京・大阪・名古屋等の大都市及びその周辺部への集中、これに伴う関係選挙区における多数の選挙人の流入、その反映としていわゆる過疎地域における人口の稀薄化の現象が著しく、」というような言い方をしているところを見ますと、五十一年の最高裁も考えて言っているのかというふうに私も考えた次第でございますが、ただ何分にもこの最高裁の判決をどう読むかということ自身が、まさに今度は高等裁判所の判決をどう判断されるかということになることでもありますので、ひとつこれ以上の論評は差し控えたいと思っております。
#206
○内藤功君 それはおかしいんですよ。そこを読むんじゃないんです。そこのところは書き出しのところなんだから、書き出し幾ら読んだって、入り口読んだって、中身を読まなければだめだ。その次のページを読まなくちゃだめなんだ。いまあんたの読んだのは七ページの裏です。いいですか。私は正確なあなた方との前提を得るためにこれ厳密に言おうとしている。
 この八丁ですね。いいですか、この裏のところですよ。ここを読まなくちゃいけない。「過疎地域における経済的、文化的等の魅力を増大させこれを実現するためには、一きわ大きな政治的影響力の可能性を持つことが当該過疎地域の住民にとって必要である。すなわち、選挙における投票の価値が大きくなってはじめてその政治力に大きく影響する可能性を有するのである。」というふうに言っておるんですね。
 その次に、九丁の表の真ん中ぐらい、「人口の集中した都市それ自体が政治的に大きな影響力を行使しうる可能性を有するのであり、それ以上に大きな政治力が行使される可能性を与えることは、過度に経済的、文化的などの利益を広くかかる都市に与える可能性を加えることになり、」と、こういうふうに言っているんです。ここのところです。
 こういう論旨が最高裁判決理由十五ページの――これは十五ページでいきますね。最高裁はでいきます。十五ページの「人口の都市集中化の現象などが生じた場合、」、これとは全く関係がない。「都市集中化」という五つの文字は似てるんです。同じです。だけど論旨、つまり判決がどういう結論に論理をもって述べていくかというのが判決なんです。判決の生命ですね。これ違うんです。全然。いいですか。どうです。
#207
○政府委員(大橋茂二郎君) それがどういうふうにつながるのか、あるいはどういうふうに読むのかということは、むしろこれからの裁判の経過を見るべきであると思いますので、これ以上申し上げるのを差し控えさせていただきます。
#208
○内藤功君 「これから」じゃなくて、九月十一日に判決があって、あなた方も判決をそのころ入手して、きょうは委員会ですよ。国会の委員会きょうしかないんですよ、今国会は。委員会では大きな議題はほかにもありますけど、何といってもトピックのある話題は、その閉会中に行われた二つの判決をどう見るのかというのが論点じゃありませんか。一月あるじゃないですか、この判決から。「これから」じゃないですよ。自治省の読み方を聞いているんです。どうです。
#209
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどからも繰り返しておりますように、二つの高裁に関しましてはそれぞれ上告中でございますので、これと最高裁の判決との関係というものを私どもで言うのは差し控えたいと思います。
#210
○内藤功君 そうすると、上告中の判決については論及すべからず、こういうお立場ですか。
#211
○政府委員(大橋茂二郎君) 何分にもこのような問題はいろいろなる影響力を持つものでございます。特に、要するに司法に関する問題でございますので、最終的に最高裁の判決が出るまではわれわれとしては何らかの発言をするのは差し控えたいと思います。
#212
○内藤功君 それなら、なぜ九月十一日に、司法に関する問題でありながら、新聞によると、にこにこしておったそうじゃないですか。それはともかくとして、にこにこしながら「妥当な判決と思う」と、司法の問題に関するならばなぜこれ言うたんですか。これ取り消しますか、その「妥当な判決」というのは。ずいぶんいまから取り消したって遅いけれども、取り消さないと論理は通じないよ。
#213
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどから申しましたように、論理的なものを踏まえて言ったものではございませんで、率直な感想として、ほっとしたという、先ほどから大臣が言われましたが、そのような気持ちのあらわれでございます。
#214
○内藤功君 あなたが失礼だけども御家庭にお帰りになって、御家庭の方と一緒にビールでも傾けながら、ああほっとしたと、こう言うのはもう御自由であって、大いにおやりになって結構。あるいはお役所にお帰りになって、大臣、政務次官、課長方とああほっとしたと、あるいはトイレットの中でおっしゃる。自由です。これは。そんなぼくらはやぼなことを言わぬ。
 しかし新聞記者の方が来て、急とはいえ判決のコメントを求められた人が、ほっとしたという気持ちで妥当だということを言ったって、活字になるんですから、活字になったものはみんなこれはほっとした気持ちのあらわれだなんて見ませんよ、これは。これはやっぱり部長の見解、自治省の見解としてみんな見るわけです。これに憤慨した人もいると思う。私も、憤慨とまではいかぬけれども、問題だな。ぜひ国会開かれたらこれをお聞きしてしかるべき処置をとっていただかないと、これからの自治省のあり方、選挙制度のあり方というのは裁判との関連で非常に問題だと、こう思うんですよ。
 これはもう率直にお取り消しになることが必要である。そういう誤解を与えたとすればこれは取り消すというふうにしないと、あんたは司法の関係ではこれは係属中の判決については誤解を与えるからコメントすべきじゃないと一方でそういう正論を大臣の言っているように言っているんだから、これは取り消しなさい。はみ出た部分です。論理がつながりません、これは。どうですか。
#215
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどから何回も申しておりますのですが、十一日の現在におけるまさにほっとしたという心境を述べたものでございますが、その後十三日の判決が出ましたときにおきましては自治大臣から先ほど申したような見解を発表されまして、それも新聞に載っておりますので、それが自治省の見解であるということであるかと思います。
#216
○内藤功君 そうすると、十一日のこの判決について妥当だという見解は自治省の見解でないということになったわけですから、これは取り消しなさい、はっきり。
#217
○政府委員(大橋茂二郎君) どうも私が答える限りではないかとも思いますが、その後十一日、十三日の判決を踏まえて大臣よりの御意見の発表がありましたので、それによって目的は達せられていると考えます。
#218
○内藤功君 ですから、これは取り消すと率直におっしゃい。
#219
○政府委員(大橋茂二郎君) 取り消すというよりもまさにほっとした感想ということはどうも正直なところでございまして、その点はお認め願いたいと思います。
#220
○内藤功君 ほっとした感想じゃないんですよ、これは。記者団に対する談話なんですよ。ほっとした感想というふうには書いてないんです。ここに書かれたものについてのあなたの責任を私は問うているわけです。これからのことがありますから。これは率直に男らしく取り消された方がいいです。
#221
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどからも何回も申しましたように、五十年における法改正がされました第一回目の選挙の結果ということでございまして、それが合憲であるという判断をされたということに対してほっとしたという感想でございまして、これは正直なところ偽りのない心境でございまして、理論的なものとしての妥当であるかどうかということと新聞の記事と関連さしてお考えいただくのは、やっぱり私としてはちょっと困るんではないかと思います。
#222
○内藤功君 感想を述べたものであるから、そういうように「コメントを発表。」ということでこれが紹介をされている。それであるならばこれは取り消すということをはっきりおっしゃるべきものだと思いますよ、これは。
#223
○国務大臣(加藤武徳君) 選挙部長の心境を私なりに推しはかってみますと、昭和五十年に法律改正が行われ、そして五十一年十二月に初めて新しい定数選挙区割りの選挙が行われまして、そのことについての裁判でございました。恐らく選挙部長の耳に入りましたのは最初は判決の結果だけであって、合憲であり違憲ではないと、このことが耳に入り、そして判決文などはもとよりそのときでは入手しておらなかったのでございましょうから、詳細に判決文を読みまして消化いたしますような時間的な余裕がないままに、結論だけの違憲ではない、かようなことを知りまして、で、ほっといたしたと、かような気分であったと思うのでございまして、にこにこしておったかどうかは私は現場におりませんのでよく承知をいたしておりませんけれども、さようなことであり、そしてその気持ちがあらわれましたのが御指摘のような活字になったと思うのでございまして、ですからこの判決が妥当であるとか妥当でないとかというような、何せ高裁の判決でまだ上告審が制度的に残っておるのでございますから、東京高裁の九部の判決に関してのことでございますので、恐らく上告することも予想されたでございましょうが、その段階で結論的なことは私は述べなかったのではないかと、かように理解をいたしておるのでございますけれども、私なりにそういう心境であったことを推察をいたしておりまして、この点の御了承はぜひいただきたい、かように思う次第でございます。
#224
○内藤功君 私は納得できませんが、いま大臣の弁明、これはもう弁明としてははなはだ私はいただけないんですが、大臣の話がありましたし、これは納得しませんが、ほかの質問点もありますからこれ以上この究明を選挙部長に対して加えることはここでは一応やめておきます。
 しかし選挙部長は新任早々の大きな判決だったのでしょうけど、こういう判決についての発言としては十分にこれから留意をしていただくように大臣からもこれはしかるべきやはり注意を私はしていただかないと私は納得できない。このことを申し上げておきます。
#225
○国務大臣(加藤武徳君) よくわかりました。
#226
○内藤功君 そこで、残念ながら時間の関係で次の問題に移ります。
 それはもう一遍安藤判決なんです。安藤判決というのは、これは過疎過密論というものが特徴なんです。まず選挙部長伺いますが、この安藤判決に出ているような過疎過密論は本件原告、被告の主張したものですか。主張もしないのに裁判所が書いたんですか。これはさっき新聞記者から質問を受けているというからわかるでしょう。
#227
○政府委員(大橋茂二郎君) ちょっと手元に準備書面を持っておりませんので正確なことはお答えできないわけで……
#228
○内藤功君 判決文はありますか。判決文の正本は持っていますか。
#229
○政府委員(大橋茂二郎君) コピーでございますが、判決文持っております。
#230
○内藤功君 それによるとどうですか。
#231
○政府委員(大橋茂二郎君) ちょっと準備書面がありませんので明らかに……
#232
○内藤功君 準備書面がなくても両方の主張は書いてあるのでしょう、判決に。
#233
○政府委員(大橋茂二郎君) ちょっと詳細に検討した上のお答えでありませんが、現在ここにあるところでは過密過疎論というものを主張の段階で詳細に被告の方において展開したというふうにはないように記憶しております。
#234
○内藤功君 「詳細に」じゃないんですよ。全然ないんです。これは。「詳細に」と言うとちょっとはやったように聞こえますが、全然ないんです。どうですか、その点。主張がないのにやったというところが問題があるんです。
#235
○政府委員(大橋茂二郎君) 正直なところ私としましてはこの過密過疎論が被告の主張とどういうふうな関係において述べられたかということについては、私自身としてもお答えしかねます。
#236
○内藤功君 これは主張をしたかどうかは、この判決文の、さっきから言っているように、お手元にあるでしょう、それを見ればはっきりしているんで、ここにないんですよ。ですから私はまずこれが一つ。
 とにかくいま議論をもっと中身に入ろうとしているんだが、前提の一致が見られないからこれはなかなか進まないです。これでは。そういうことではいかぬということを一言申し上げておきます。
 それから選挙部長伺いますが、いままでこういういわゆる過疎過密論、中身はもう一々読まない。あなたはもう読んでいると思うから一々読みませんが、こういう過疎過密論が定数是正問題に関連をしていわゆる学説や判例などで主張されたことがありますか。あればどういうような人がそういうことを言っておりますか。
#237
○政府委員(大橋茂二郎君) どうも私ども承知しているところでは、このものずばりの議論は展開しているのを承知しておりません。
#238
○内藤功君 いないですね。
 昭和五十一年四月十四日の最高裁の判決は当時の村上最高裁長官以下十五人の裁判官方が下されて、意見が四つぐらいに分かれているんです。これは。この中で多数意見、少数意見を通じてこういう過疎過密論がありましたか。こういう東京高裁安藤判決のようなあれがありましたか。
#239
○政府委員(大橋茂二郎君) 五十一年四月の最高裁判決におきましては、過疎過密論の展開はなかったように承知しております。
#240
○内藤功君 そういうふうに答えてくれると非常に早く進むわけです。
 そこで、とっぴな理論なんです。これは。つまり裁判所は原告、被告の主張する事実上、法律上の主張にないものを越えてこの理論を打ち出したということ。学説、判例にもそのものずばりのは少なくともないということをはっきりいまおっしゃっている。最高裁の少数意見にもないというものが突如ここに出てきた。突如と私はあえて言う。
 つまり過疎の地域の人は政治的にもっと国の中央にいろんな要求を出す必要がある、そのためにはいまの定数是正をされちゃ困る、国会議員の数が減らされちゃ困ると、こういう議論です。つまり過疎の解消という、これは経済、教育、文化、産業あるいは交通、国の全般政策に絡まる問題の解決を議員の数でもって解決しようという、こういう考え方であります。これは。
 それは失礼ながらたとえば政府与党の中で行われるなら私は御自由だと思いますよ。しかし裁判所の判決で一票の価値の平等ということが論ぜられているときに、平等でなくてよろしい、過疎圏の方は国会議員の衆参両院議員が少し割合からいくと多くても、つまり一票の価値というものが高いものであってもいいんだ、一票の平等よりも過疎過密の解消の方が大事なんだと、私はうんと縮めて言ったけれども、そういう議論なんですね、これは。
 これどうですか。これは全く私は筋違いの議論だと思うんです。まあこれを言ってもあなたの方は、さっきの判決はいま最高裁でというのでお逃げになるという答弁は私は百も承知の上ですが、大臣どうですか、いまのような議論。大臣は自治大臣でいらっしゃって、地方財政、地方行政ではこれは私は専門家であるとかねがね敬意を表しておるんです。どうです。大臣。過疎過密の問題は票の問題票の価値の問題で解決するんですか。そうじゃないと思うんですね、これは。いかがでございましょう、お教えを願いたい。
#241
○国務大臣(加藤武徳君) 人口の過度集中を排除をして地方分散を考えていき、かつまた過密の地帯に対しましてはそれなりの政治的な配慮が必要でありますことは、政治論といたしましてはまさに私はそのとおりであろうと思いますけれども、ただそのことが短絡的に議員の定数に結びつきますことにつきましては、事第九部の判決とも関連をいたすことでございますから軽々には言いがたいのでありますが、しかし政治論といたしましてはまさにさような議論がなされており、また翻って考えますと大都市から選出をされた議員だから過疎の問題は全く考えなくて過密の問題だけでよろしい、あるいは過疎の地域から選ばれた議員は過疎の問題を議論すれば事足りると、かようなことではございませんで、やはり政治全体の中において論議さるべき性格の問題で、過密過疎解消のために政治的に大いに配慮いたしますことは、これは当然の筋であろうと、かように考えます。
#242
○内藤功君 こういうことですね、大臣。過疎過密の解消の問題と議員の定数の問題を短絡的に結びつけることはできない、こういうことですね、一つは。
#243
○国務大臣(加藤武徳君) その点に関して私が明確な言い方をいましませんでしたのは、そのことは東京高裁の第九部、いわゆる安藤判決におきまして過疎論が展開され、それを立論の根底といたしておる、かように見えますだけに、最高裁において上告中の事件でございますだけに、その点には触れたくない、かようなことからあいまいな言い方をいたしたことの御理解はいただきたいと、こう思います。
#244
○内藤功君 理解はいたしますが、ここは国会ですから、余り腹芸みたいなことば委員会には通用しないんです。委員会の外へ出たら私もわかるつもりですけれども。ここは、大臣のおなかの中というのは、これは短絡的にこの二つは結びつかない、しかしいま係属中の案件だから明確には述べたくないと、こういうことですね。
#245
○国務大臣(加藤武徳君) そうです。
#246
○内藤功君 大臣は、またこういうふうなことですか。政治論としては地方財政、経済、産業、文教、あるいは交通、もうこういった過疎の問題いっぱいある、これを積極的に解決しなきゃいかぬというのはよくわかる、しかし同時に議員というものは、たとえば東京などの大都会を中心に選ばれた議員であっても過疎のことを考えなくちゃいかぬ、逆の場合もそうであると。これはもう国会議員というのは全国民を代表するものであって一部の代表者ではない、全体の代表者、奉仕者であるということから言われたんだと私は思うんです。そういうふうに理解をしてよろしいですね。
#247
○国務大臣(加藤武徳君) 国会議員は国政の場におきまして国政を論じてまいり、国全体の発展や福祉の増進を考えての日々の活動でありますことは申すまでもないことでございますけれども、ただそれだけが国会議員の任務かと申しますと、やはりおのおの選挙区が設けられ、そしてその選挙区を基盤に選ばれておるのでありますから、その選挙区のことをも十分に心に配りながら国政を担当してまいる、これが議員の姿ではないであろうかと、こう私は理解をいたしております。
#248
○内藤功君 いま大臣もまあ非常に歯切れの悪いところがあったけれども、過疎過密論についての意見を言われて、私は基本的に正論のところも少なくなかったと思う。
 過疎過密論なんというのは、選挙部長、この安藤判決の中の過疎過密論というのは、一票の価値の平等ということを否定する論拠が何にもなくなっちゃって、追い詰められて、何か理屈はないかと。学説にもない。判例にもない。最高裁の少数意見も言ってない。原告、被告も一言ってない。しかし何とかしてこれ理屈を――どういう心境か私はなぜそうなったかわかりませんよ。こういう結論を出すためには、もうこの過疎過密論しかないということで、本当に俗論です。これは。私は俗論だと思う。こういうものをつくった。もっと口をきわめて言えば後からつけたへ理屈にこれはすぎない、この過疎過密論は。そう思います。ここには一票の価値の平等を大事なものとするとうとい精神のかけらもない、こう言っても過言じゃない。
 先ほどもどなたか同僚議員がお話しになりましたが、世界各国いろんな判決なり法令、学説がある。たとえばアメリカ連邦議会の有名なるウエスペリー対サンダース事件、一九六四年連邦最高裁、これはどういう判決か御存じですか、選挙部長。
#249
○政府委員(大橋茂二郎君) 概要については承知しております。
#250
○内藤功君 どういうような民主主義の理念を展開しておりますか。
#251
○政府委員(大橋茂二郎君) その概要について私ども承知しているところを申し上げますと、連邦憲法の第一条第二節の代議院は各州の人民によって選挙されるという規定がございまして、この規定は、連邦議会選挙における一人の投票は実行可能な限り正確に他人の投票と同等の価値を持たなければならないということを意味するから、ジョージア州の議員配分は著しく均衡を失する、選挙区割りとして違憲であるという趣旨の内容であるというように承知をいたしております。
#252
○内藤功君 わが国の憲法の前文もそのしょっぱなに「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」――「正当に選挙された」と、もう言うまでもありませんが、宣言をしておるわけですね。これが民主主義の根本理念であることはもう私が申し上げる必要もない。こういうものがこの高裁の九月十一日判決には一かけらも見られません。最高裁の判決は引用してますが、この判決独自の部分はかくて過密過疎論という、いま自治大臣も基本的に否定をされたと思いますが、こういう最高裁判決や民主主義の精神とは似て非なるものになってきている。
 ゆえに、私は結論を急ぎますが、最高裁の五十一年四月十四日の判決から二つ出ているんじゃないということなんです。私の言いたいのは。一方は全く本流の判決、九月十三日の判決。一方は最高裁の判決を頭にちょっと書いていますけれども、別の方角に行っちゃった。これは異質の判決なんです。二つの判決は。ですから最高裁の、五十一年四月十四日の判決をあなた方が尊重するとすれば、この十五民事部の判決の方の考え方に立たなくちゃいかぬです。いろいろ仕事をする場合に。国会もそうだと思うんです。私はそう思うんです。ところが、あなたは二つの判決があると。同質、同等なふうに見ているのは、私はこれはもう少し、きょうは読んでない部分もあるというから、勉強してもらいたいと思います。これは。
 そこで、次の質問でありますが、午前中に社会党の片山委員からの御質問に対して、選挙部長は第八十国会において公職選挙法一部改正の法案について議員より提案があった、議員立法の提案があったと。これは私の聞き間違いかもしれぬが、社会党、公明党、民社党の提案というふうに聞いておりますが、これは日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の各会派が長年の間――長年というのは昭和五十年ごろから協議をしてきている。そして十八人案というのを各党のそれぞれの基本的立場はありながら一致さして、そしてこの委員会に提案をしたものなんですよ。まあ答弁の間違いと言えばそれまでだけど、日本共産党はやはり四十八人の地方区増員案をかねがね主張し、昭和五十年には二十六人増員案を主張し、そしてこの昭和五十二年には十八人増員案を主張し、まあほかの党も熱心におやりになるが、わが党もこの地方区の定数是正について人後に落ちるところはないとかねがね自負しているのに、答弁の中で落とすのは、これは小さな問題としては見られないから、この点明確な答弁、どの党が共同提案をしたのかということを改めてここではっきり話して議事録に残しておいてもらいたいと思います。
#253
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどの片山委員の御質問の際に、五十年改正と八十国会を間違えまして大変失礼いたしましたが、さらにその際八十国会に定数の是正に対して改正案が議員提案されましたときの党名につきまして、御指摘のとおり間違いがあったように思われます。
 同法案は日本社会党、公明党、日本共産党、民社党の各会派の共同提案によるものでございます。もし違った発言がしてございましたら訂正さしていただきます。
#254
○内藤功君 この地方区定数是正問題は昭和五十年の七十五国会で野党四党が二十六人増員案を出した。ところが選挙法には合意が必要だと称している自民党が全党一致の原則を無視して、選挙期間中の特定の印刷物の配布を禁止する法案を強行的に出してきたものですから、まず先決問題たる地方区の定数是正問題がどこかにいっちまった。そして八十国会、去年はさっきからお話の四野党の共同提案出したのに、自民党は全国区問題、各党間で意見の一致のない全国区問題をパッケージとして出してきたものだから吹っ飛んじゃった。
 毎国会ごと総理大臣初めとして各大臣は、各党合意でやってください、こう言っているわけです。各党合意でやってくださいと。ここに大臣いないから質問できないけれども、これはどうなんですか。政務次官おられますか。自民党がおくらしているんですよ、自民党が。政務次官ね、自民党にやっぱりあなたの政治力をもって働きかけて、速やかに各党合意になるように働きかけてくださいよ。お願いします。これ。どうです。
#255
○政府委員(染谷誠君) 検討してみたいと思います。
#256
○内藤功君 検討だけじゃなくて、やっぱり積極的に――結局議員立法で出てもここで説明するのは政府なんだからね、法案の説明するのは。よくこれも、政務次官、きょう初めて出てきて、いきなり質問受けたからとっさの答えだろうけれども、検討って口だけでなくてやってもらいたいと思います。
 そこで、最後に自治省選挙部長に伺いたいのですが、さっきも多田委員から御質問があったようでありますが、議員定数是正についての規定は、現在は公選法の別表の末尾に書かれているものですね。しかも義務規定になっていない。私はこれは諸外国の例を見ると、法律本文中に書かれておって、しかも義務規定になっているのが多いのです。こう思うのです。
 そこで、公選法を改正するなら、いろんな言論制限みたいなことはやめて、こういう人口変動によって定期的に定数是正ができるように法律の本文で義務づける、このことをやっぱり真剣に検討してもらわぬと、いつものれんに腕押しみたいな議論になってしまうんですよ。これをきちんと義務づけるということ。こんな最高裁の判決があっても、自由民主党がおくらしているのでしょう。各党がみんな平等におくらしていると書かれるのは迷惑千万。自民党の内部問題でおくれているのですから、かくなる上はもう義務規定をやっぱり検討する時期にきていると思うのですが、いかがですか。
#257
○政府委員(大橋茂二郎君) 議員定数に関する外国の例も御引用されましたが、アメリカにつきましては、たとえば大統領は人口調査によって確認された各州の人口と、これに基づいて連邦統計局が均等比例式によって算出した各州への配分議員定数を記載した声明書を議会に提出する、以下そういう手続きの規定がございます。それから西ドイツにつきましては、上下三十三ヵ三分の一%を超えたときには新たな区画を行うというような規定がございます。ただ、たとえばフランスにはそういう規定がございませんし、イギリスにつきましては、大きな一般的な県の区域を割ってはいけないとか、その他のような抽象的な規定があるということで、必ずしも国によって同一な規定ではございませんが、そういう問題についての立法が可能かどうかということは引き続き検討したいと思います。
#258
○内藤功君 九十分を私要求したのですが、いろんな都合で六十分にされてしまったのですね。もうやめざるを得なくなってきたんですが、私はきょうの質問で特に九月十一日の判決、過疎過密論、これはもう私は唖然としたです。こういう議論が出てくることについて。まあさすがに自治大臣も直接判決に対する批判という形ではないという慎重な前置きながら、いわゆる過疎過密論というものは政治の問題であって、短絡的にこれを議員定数と結びつけるということについては、これは批判的な見解を示されたし、また国会議員というものが当然のことながら過疎地域から出された人は過疎のことだけ考えておればいいというものじゃないということ、また逆の場合もそうであるということを認められた。
 しかしこれは大臣としての見解であって、今後はやはり地方区定数是正問題を議論する場合の前提としてはやっぱり五十一年四月十四日の最高裁の判決と、その流れを正確につないでいる九月十三日の東京高裁の十五民事部のいわゆる安岡判決、この線でいかないといけないんで、二つあるからどっちにしようか、その最高裁の判決までと言うことは間違っている。これは間違っている。二つあるんじゃなくて、一つが正しくて一つは間違っている。こう言うと語弊がありますが、一つは最高裁判例の線上にあり、一つは線外に離脱しているものだと、こういうことを私は主張をして、質問時間が来ましたから終わります。
#259
○青島幸男君 先ほどから先に質問されました方々の御意見と御答弁をずっと伺っておりまして、私も十一日、十三日に出ました東京高裁の判決について種々お尋ねしようと思いましたが、論点が核心に触れてまいりますと、司法の最高の機関の決定を見てないからということでしょう、御答弁を避けられているようでして、これ以上何回同種の質問を繰り返してもただ反復するのみで、何ら結論が得られないと思います。
 繰り返し反復することの繁雑さを避けまして省略さしていただきますけれども、しかし五十年の改正を見るまでにかなり国民的な規模で論議はなされていた問題なんですね、これは、定数是正は。しかも国勢調査の基本になったのが戦後間もないころで、いまの実態とはまるで違うような人口の分布があるようでしたね。それを基本にして持ってきて、五十年で改正するというのはもうぎりぎりのときだったわけですね。そしてやっと改正してでき上がったものなのに、さて定数について問題があるんだということで訴訟事件になりまして、こういう過疎化、集中化ということはますます進んでくるという状況の中にありますし、ましてやこれから参議院の地方区の定数の是正なんかも考えますと、こういう事案が次々続発してくると、その都度自治省としてはほっとしたり青くなったりというような状況を繰り返していなきやならないということになりますと、自治省の権威も問題ですけれども、それを別にわれわれ怠っているわけじゃないんですけれども、遅々として進まない。結論を見ない。次々に繁雑な問題が出てきて押せ押せになってきてしまっている。
 こういう事態を国民が見ていたら、先に質問した方々のお怒りになるのも大変よくわかるわけでして、国民の一人としてもこれを何とか早急に結論を出してくれ、あるいは納得のいくような解決をしてくれなければ選挙に行く気にもならないということになってくると、これは重大な欠陥、民主主義に対する冒涜につながっていくということになりますので、今後こういう問題が次々にあらわれるような状況の中でどういうふうに処理していこうという基本的な考えをお持ちなのか、まずそれを聞かしていただきたいと思います。
#260
○政府委員(大橋茂二郎君) 定数配分につきまして幾つかの判例が出るというような状態で、いろいろ論議のあることにつきましては御指摘のとおりでございます。
 ただ議員の選挙区割りなりその配分というものはきわめて高度な政治的な配慮も伴うものでございまして、基本的には先ほどからしばしば御指摘になりますように、有権者とかあるいは人口ということの関係でやるものでありますけれども、さらに最高裁も言うように幾多の要素も勘案してという場合において、一体どういうふうにするかというような幾つかの考慮すべき問題もあります。
  〔委員長退席、理事小林国司君着席〕
しかも基本的にはいわゆる選挙の土俵づくりというような問題でもございますので、各党間の積極的な御議論というものをやはり私どもも踏まえながら対処してまいりたいと、そういうふうに考えます。
#261
○青島幸男君 学者の見解とか各党の見解とか、それぞれ国民一般の方々がどういうお考えをお持ちなのかということも考慮に入れて、自治省がこうしたらいいだろうというんで独自な見解を先走ってつくられてしまうというのも大変迷惑な話だと思いますけれども、しかしここまで煮詰まってまいりますと、もうどうして進まないのかということは、私がここで申し上げるまでもなく、もう十分御理解なすっていると思うんですよ。ですからここの場で自治省責めるのも酷かとも思うんですけれども、そういう面もあることは確かだと思いますけれども、しかしこのままの状態でほうっておいたんじゃどうにもならないということも確かなんです。
 その上に、これちょっと話が飛びますけれども、この問題を論議すると、必ず衆議院の定数の是正の問題を論議すれば参議院の定数の是正を一緒に考えなければならないんじゃないかということですね。もう一つそれと重なって全国区の問題も考えなきゃならないんじゃないか、同じ土俵づくりなんだからということで、いつも避けられてきていたわけですね。基本的に言えば全然違うものだと思うんですね、私は。衆議院の選挙のあり方と参議院の選挙のあり方と、参議院地方区と全国区のあり方というのはそれぞれ別途のものであるべきだと私は思うんです。少なくとも衆議院と参議院というのは基本的な考え方を異にして当たらなければならないんではないかという認識を持っているんですけれども、この辺自治省はどういうふうにお考えでしょうか。
#262
○政府委員(大橋茂二郎君) 先ほどからも御質疑ございますが、それぞれ参議院の制度、衆議院の制度あるいは都道府県の制度、それぞれの本来の性格を持っているということでございます。
  〔理事小林国司君退席、委員長着席〕
特に参議院の全国区というものはわが国の参議院制度のやはり大きな特徴になっているということは、やはりいろいろな問題を検討するときに当然の前提として考慮すべき事項であろうかというふうに考えております。
#263
○青島幸男君 ですから、わが国の特徴であることはよくわかるんですけれども、特徴的な選挙であることもわかるんですが、違った選挙のやり方をもって衆参両院二院が立法府の中に存在するということは、違った性格のものが二つあって相互に牽制し合い、切磋琢磨という状況の中で民主主義をはぐくみ育てるというのが基本原則だと思いますけれども、ですから違ったものを生じさせるためには違った母体から発生させなきゃならないですね、同じところからは同じものしか出てきませんから。それで参議院の選挙には全国区というものが存在するんだと思うんです。
 ですから、ある意味ではそういう意味合いから踏まえますと、衆議院の選挙のあり方と参議院の地方区のあり方はおのずと別の考え方があってしかるべきではなかろうかということを御質問したいんですけれども、いかがでしょうか。
#264
○政府委員(大橋茂二郎君) 参議院とそれから衆議院とそれぞれ国会の二院を構成するものとしてそれぞれの特徴があるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、選挙法におきましてもそれぞれ実態に即して参議院に関する選挙方法あるいは衆議院に関する選挙の方法というような規定をいたしているわけでございます。
#265
○青島幸男君 とかく選挙のやり方についての話になりますと技術論になりがちでしてね。どういうふうにやったら合理的な選挙ができるだろう、どういうふうにやったら有権者の方が選挙しやすいだろうというような技術論に先立ちまして、どういう性格のものを生ぜしめるためにこの選挙を行うかということをまず考えなきゃならないと思うんですね。
 そのことで、ちょっと本論から離れるかもしれませんけれども、さかのぼっていろいろ貴族院から戦後衆参両院になったころのいきさつを考えてみましても、参議院はある意味では参議院の地方区というのも全国区というのも職能代表制――職能をあるいは代表するものであるべきなのか、あるいは地方区というのは地方利益を代表するものであるか、しかも参議院が良識の府であって衆議院の行き過ぎをチェックするという実にあいまいな言い方をしているんですけれども、それでは参議院と衆議院と本質的にはどう違うのか、どうあるべきなのかという議論はなされてないんですね。これは私の不勉強で、なされたのに知らないのかどうかわかりませんが、私の見たところでは、さまざまな議論はなされておりますが、そういうことが明確にうたってある条文あるいは個条書きにした文章で公のものというのはないように私認識していますが、その点いかがでございましょうか。
#266
○政府委員(大橋茂二郎君) 法文的に参議院議員及び衆議院議員の相違というものを明確にしたものはございません。ただ私どもでは一応参議院が例の二院制度をとりましたときの憲法の経緯なり、さらにはそれぞれの選挙法のときの経緯というようなものによっていま御指摘のようなことを承知しているということでございます。
#267
○青島幸男君 そうすると、たとえば小学校で社会科の先生が子供たちを教えるような場合でも、この論理的な根拠になるというものは明確には存在しないわけですか、参議院と衆議院の違いについては。
#268
○国務大臣(加藤武徳君) いま選挙部長が答弁をいたしましたように、法的には衆議院と参議院との性格を明確に性格づける条文はございませんけれども、しかし憲法が制定され、そして新しい参議院と衆議院が誕生いたしました、さような経緯につきましての速記録などは有効な文献であろうかと思うのでございますけれども、やはり学校の社会科等におきまする教科書にも国会のことが記述してあるのを私は見た記憶がございますが、一般的には一院よりも二院でありますことが事を慎重に運ぶことが可能でございますし、一院における足らざる点を補い、また行き過ぎをチェックいたす、これが二院制度の性格であろうかと思うのでございます。そういう観点から、衆議院は解散がございますが参議院には解散の制度もなく、かつまた地方区と全国区、かような両種の選び方によって院を構成いたす、かようなことに相なっている、こう私は承知をいたしております。
#269
○青島幸男君 私もかつてからそのように認識しておったんですが、いま申し上げましたように、また大臣からも御答弁ありましたけれども、明確な条文というようなもので記述したものはないんですね。われわれの共通の認識は大体いま大臣御答弁になったようなものに漠然とは感じてはおるわけですが、そうなりますと、たとえばこういうことなんですね。一部地方利益の代表者であるということでもありながら、また一方では良識の府としてチェックする機関の良識者でもあるということですね。
 そうすると、利益の代表者であるということと良識のチェック機関のメンバーであるということは実は両立しないんではないかという気さえするんですね。地方のエゴのために地方から選出して――地方のエコと言ってはなんですが、地方の発展に寄与するためにあるいはみずからの良識を放てきしなければならないような立場に追いやられるケースもあるかもしれないですね。そうなりますと、良識の府というような、あるいはチェックの機関のメンバーであるということのあいまいさというものはもう一つ問題になってくると思うんです。
 ですから、私はいままで先輩たちが考えてきたことは、同じものが二つあっても一つよりはまさっていると思います。慎重を期す上では。しかし違った異質のものが二つあって相互に補い合いながら慎重に審議していくことの方がより効率的だと私は思いますし、そのことのために、これも大変漠然とした私の認識でしかないんですが、あるいは参議院はより形而上的なものですね。文化的なものあるいは精神的な面を重点的に考える。衆議院は即物的な面と言ってはなんですが、経済的な面あるいは物質的な面の配慮を実際的に行うという分野に比較的偏る。その精神的な部分と物質的な部分がお互いに相チェックし合いながら存在するようなかっこうであれば一番望ましいんではないかという認識を私個人は持っておるわけですけれども、そういう考え方はどうでしょうか。自治省の中ではどんなふうにこれはとらえられますか。
#270
○国務大臣(加藤武徳君) 自治省内でただいまのような両院の性格論争をいたしたことも余り多くないかと思うのでございますけれども、ただ傾向といたしましては、衆議院の場合は全議員が地方区、地方から選ばれる、かようなことでございますから、国政を論議し、国の進展や発展を考えていき、国民全体の福祉を考える立場と同時にまたその地方の実情を十分に国政に反映していかなければならぬ、かような両面の性格を持っておると思うのでございます。ただ衆議院の傾向が物の面に偏りやすいという傾向を持っておるかどうかにつきましては私は明確には申しがたいのでございますけれども、やはり人おのおのその人によりまして非常な差がありはせぬであろうかと、こういう感じを強く持ちます。
 が、参議院の場合には地方区から選ばれますものと同時にまた全国から選ばれる方々が大ぜいいらっしゃるのでございますから、ですから傾向的に申しますならば、衆議院はローカル的なことに非常な関心が強いでございましょうが、参議院の場合はその点は全国区の皆さん方がいらっしゃるのでございますからローカル的なことを考えがちな傾向は衆議院よりもやや希薄なのではないであろうか、これを形而上的という表現をなすったそのことに当たるかどうかは別にいたしまして、私は傾向的にはいま申し上げたようなことが言えるのではないだろうかと、こういう理解をいたしております。
#271
○青島幸男君 その点、先ほどの過疎過密の問題に戻るんですけれども、十一日の判決に出てきた過疎過密の問題も、一面は参議院の地方区だったらあるいは納得ができるかもしれないというような議論も私はここでしょうと思ったんですけれども。という意味は、地方の量的な人間、人口比に対する議員の数で国会の中の発言権を獲得するということではなくて、地方の文化とか地方の芸術とかというものを代表するというかっこうで地方区の定数が大事にされる、保護されるというような考え方だったらあるいは納得ができたかもしれないということを論じようと思ったんです。
 ところが、いま大臣のおっしゃられるように、衆議院はより地方的である、より具体的に地方の利益を代表するようなかっこうであるということになりますと、先ほど伺いました内藤先生の議論に全く私も同調するようなかっこうになりまして、それだったら集中している方の都市の有権者の考え方だって大事にしなきゃならぬはずじゃないかということになると思うんですけれども。ですから、何もかも一緒くたに考えないで、これからも参議院の地方区の問題も出てくるわけですから、参議院がどうあるべきかということをまず明確にして、選挙のあり方でも裁判に対処する仕方でも決めていかなければならないんじゃないかという気がしましてね。
 それにいままで大臣の答弁を伺っていてもそうですけれども、きわめて参議院と衆議院の差が明確でないし、参議院がどうあるべきかということの決定的な論拠もないですね。ですから何か事案が起きたときに対決していくための基本姿勢を形づくる論理的根拠は成り立たないということになるんで、結果態度があいまいになるんじゃないかという気がするんですけど、その辺いかがお考えでしょう。
#272
○国務大臣(加藤武徳君) なかなかむずかしい御質問でございまして、現在まで最高裁が判示いたしておりますのは衆議院議員の選挙の選挙区並びに定数のことでございまして、午前中も御審議がございましたように、参議院の地方区に関しましては、ただいま東京、大阪、神奈川に関しまして高裁で審理がなされており、近い機会に判決があるのではないであろうか、かように考えておりますが、もとよりどのような判決が出ますか予断すべくもないことでありますけれども、ただいま青島委員が御指摘になられましたような衆議院と参議院の性格的な相違、かようなことがあるいは浮き彫りにされるのではないであろうか、かような予測も全く見当外れのことではないと思うのでございます。
 ことに公職選挙法におきましては別表に付記がされておりまして、そして衆議院議員の選挙の場合にはやはり「更正するのを例とする。」と、かような言い方がなされておりますが、参議院の場合は地方区につきましてもさような表現がなされておらぬのでございますから、かようなことも性格的に異なることを根底といたしましての選挙法の取り決めではないであろうかと、こういう理解をいたしております。
#273
○青島幸男君 そうですね。これがまた問題を生んだきわめて基本的な問題だと思うんですけれども、「国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」ということですね。こういうあいまいな言い方で、大体どういうふうにアンバランスになったらどうせいとか、有権者何人当たりに一人議員さんが必要だというのが妥当だというような明確な規定がないんですね。それでいままでこういうふうになってきてしまったのではなかろうかという気がするんです。ましてや参議院の地方区はそれもないわけですね。私それも大変心配するのです。
 それからもう一つは、こういう事態でありながら、次々と選挙の時期はめぐってくるわけですし、次々にこういうアンバランスは是正されないまま、不満を残したまま有権者の方々に選挙の投票所へおいでいただくというようなことになるわけですね。これはわれわれもここに籍を置いていて大変恥ずかしいといいますか、歯がゆい思いをするんですけれども、先ほど私申しましたように、これから先の御質問は再三皆さん方御質問になったことと重複いたしますし、これ以上質問いたしますと、これはまだ最高決定が出てないんだからここでとやかく言う筋合いのものではないのではないかという御答弁で終始いたしますので、これ以上続けようと思いませんけれども、とりあえず次々にこういう問題が出てくるということに対決するために基本的にどうあらねばならないのかということはお考えいただかないと困るんじゃないかという気がします。
 つまり参議院と衆議院のあり方とか、全国区の制度ができたときにはどういう趣旨でできたんだろうかとか、そういう歴史的な経緯だとか、あるいは占める使命だとか、そういう責任だとかというものについて明確な追求をなされておいた方が何かにつけてきちっとした態度で対処できるということのためにも必要であろうかと私は思いますので、ぜひその方の追求を怠らずに行っていただきたいということを御提言申し上げますけれども、そのお答えをいただけましたらそれで私きょうの質問を終了したいと思います。ありがとうございました。
#274
○国務大臣(加藤武徳君) やはり末枝末葉なことでありますとか、あるいは技術的なことに終始いたしますようなことがあってはなりませんし、その基本に絶えず立ち返って見直してまいる必要があろうかと思うのでございまして、そこで自治省といたしましても、先ほど来申しておりますような衆議院議員の選挙区定数等についてもいろいろの判決が出ており、かつまた近い機会に神奈川、東京、大阪の三地方区に関しての判決もなされることが予想されるのでございますから、やはり根底的なことに絶えず留意をいたしまして、そのことを腹に持っての対処の仕方でなければならぬ、かように感じますので、明確な追求をせよと、かような御指摘でございますから、私ども一生懸命に過去にもさかのぼって勉強いたしてまいりたい、かように考えます。
#275
○委員長(原文兵衛君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#276
○委員長(原文兵衛君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 公職選挙法改正に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#277
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#278
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#279
○委員長(原文兵衛君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中委員派遣の必要があります場合には、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#280
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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