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1978/10/17 第85回国会 参議院 参議院会議録情報 第085回国会 文教委員会 第2号
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1978/10/17 第85回国会 参議院

参議院会議録情報 第085回国会 文教委員会 第2号

#1
第085回国会 文教委員会 第2号
昭和五十三年十月十七日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月十六日
    辞任         補欠選任
     勝又 武一君     高杉 廸忠君
 十月十七日
    辞任         補欠選任
     高杉 廸忠君     勝又 武一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         望月 邦夫君
    理 事
                後藤 正夫君
                世耕 政隆君
                粕谷 照美君
                小巻 敏雄君
    委 員
                岩上 二郎君
                高橋 誉冨君
                内藤誉三郎君
                増田  盛君
                吉田  実君
                勝又 武一君
                久保  亘君
                松前 達郎君
                宮之原貞光君
                柏原 ヤス君
                白木義一郎君
                田渕 哲也君
   国務大臣
       文 部 大 臣  砂田 重民君
   政府委員
       内閣法制局第二
       部長       味村  治君
       文部大臣官房長  宮地 貫一君
       文部省初等中等
       教育局長     諸澤 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省学術国際
       局長       篠澤 公平君
       文部省管理局長  三角 哲生君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        瀧  嘉衛君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    宮脇 磊介君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (中華人民共和国留学生の受入れ問題に関する
 件)
 (松本、福岡両私立歯科大学の不正入学及び寄
 付金問題に関する件)
 (和歌山市におけるスト参加教員の氏名公表問
 題に関する件)
 (国際バカロレア制度問題に関する件)
 (情操教育問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(望月邦夫君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず委員の異動について御報告いたします。
 昨十六日勝又武一君が委員を辞任され、その補欠として高杉廸忠君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(望月邦夫君) 教育、文化及び学術に関する調査を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○松前達郎君 きょうは、特に留学生問題を中心として質問をさしていただきたいと思うんですが、まず最初に、これはやはり留学生受け入れに対する基本的問題であろうと思うので、大臣にお伺いしておきたいんですが、留学生受け入れに関して、政府の基本的な考え方ですね、これについて御説明いただきたいと思います。
#5
○国務大臣(砂田重民君) 同世代の若い人たちが交流を図ってまいりますことは、やはり国際化してまいります日本の場合、特に必要であろうと信じますので、従来から国費留学生、私費留学生に対しますわが国の処遇等の改善を図ってまいりましたけれども、五十四年度からもさらにその数をふやし、いろんな施策をさらに拡充していきたい、充実させていきたい、こういうふうな基本的な考えを持っているわけでございます。いろんな施策の充実につきましては、そのことが一つ一つば細かいことでありますけれども、各様なことをやらなければならないと考えております。
#6
○松前達郎君 お伺いしたがったのは、政府の基本的な考え方ということで申し上げたんですけれども、理念的な問題ですね、たとえば留学生というのは、一体個人の勉学のために受け入れをするのか、あるいは外国の特定の国に対する配慮から、その留学生の受け入れの問題も取り扱わなきゃいけないのか、また同時に日本の国益とかそういうもの、たとえば経済的な面の効果とか、そういうものをねらってやるのか、あるいは平和友好、文化交流といったヒューマニティックな考え方に基づいてやるのか、そのほかいろいろあるわけなんですけれども、その辺をお伺いしたがったんです。
#7
○国務大臣(砂田重民君) やはり世界人類に貢献をしていく日本であり、日本人でなければなりませんから、基本的には諸外国のそれぞれ勉学を志を立てて日本で留学をしたいと思っておられる方、個人の勉学、その教育を提供をしていく、こういうことを基本的に考えます。そのことがそれぞれの母国であるそれぞれの留学生のそれぞれの国のお役にもまた立っていくこと、つながっていくことであろうと考えますけれども、基本的には個人の勉学を考えていきたい、かように考えております。
#8
○松前達郎君 そういう考え方で留学生を受け入れるということでありますけれども、最近になって日中友好平和条約が締結される。これに伴って中国からの留学生の受け入れの問題、これが非常に大きな話題となり、また今後いろんな問題を提起しているんじゃないかと思うわけです。日中ムードというのがいま非常に高まりつつある現状であります。今度もケ小平副主席が来日されると。これは当然日中友好平和条約の批准後の、そういう目的を持って、締結の目的を持って一つは来られるということですから、これは結構なんですけれども、どうも日本人といいますと、そういうふうな一つの大きな問題が出るとお祭り騒ぎになりがちなんで、ケ小平フィーバーと言っていいのか、そういうふうな感じがあるというふうなことまで言われておるわけなんですけれども、そういった日中交流ですね、これからの、留学生を通じての交流の問題、これについてお伺いをいたしたいと思います。
 それから、今日まで日中の交流を通じながら、平和条約締結も含めて、留学生問題というのがまず持ち上がったのは一体いつごろ、中国側から申し入れを受けたのか、受けないのか、その辺についてお答えいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(砂田重民君) まず、松前委員の冒頭の御発言についてお答えをしておきたいと思うんです。日中の間の留学生問題が、大変やかましくなってきておりますけれども、文部省といたしましては、どこの国に対しても留学生の窓は同じようにあけていこう、このことは今後も変えない方針を基本的に持っております。
 中国からの留学生の問題でありますけれども、文部大臣として私が一番初めに聞きましたのは、園田外務大臣が訪中をいたします二日ほど前に、北京にあります日本大使館からの電報で、留学生を相当数日本に派遣をしたい、こういう中国側の意向があるようなので検討をしてほしい、こういう話が園田外務大臣から私にございました。そのときが初めてでございます。ただ、留学生を日本に派遣したいという御希望が中国にあったとしましても、その数はどれくらいであるのか。留学生と一言に言いましても、学部の学生であるのか、大学院の学生であるのか、あるいは研究者であるのか、そういうことも全く不明でございます。その後、不確実情報として聞こえてまいりました数字は、二百という数字があったり、五百という数字があったり、多いのは一万という数字もあったわけでございます。実は少々戸惑ったわけでございますが、文部省といたしましても、中国の大学へ行くまでの間の学校の制度がどうなっているのかということも、実はよくつかめておりません。そういうふうなことをできるだけ早く承知をしたいし、日本の事情というものも中国側によく理解をしてほしい、こう考えましたので、在日中国大使館の参事官が帰国をされるということで、文部省にあいさつにみえましたから、いろんな資料をお渡しをいたしまして帰国願ったわけでございます。園田外務大臣が訪中をいたしまして条約に調印ができました後、お互いにもう少し意見交換をする必要があると考えましたので、政府として中国から中国の教育次官を団長とする教育代表団を日本に招聘をいたしまして、実務者同士の会議を相当長時間、二度に持ったわけでございます。これが今日までの経過でございます。
#10
○松前達郎君 どうもその政治的な中国留学生を歓迎するというのが先走ってしまって、内容的にいまおっしゃったような中国の教育状況、教育の内容等もまだ把握されていない、そういう現状は確かだと思うのですが、これは私のところにも実は中華人民共和国の駐日大使館の一等秘書の金さんという方がお見えになって、一体、私も大学に関係しておりますから、どのぐらい引き受けてくれるんだろうか。そう言われても何かなぞなぞみたいなものでしたから、一体じゃあなた方はどのくらい希望しているのですかという線を出してみましたら、二百名という数字を出された。二百名というのは相当一つの大学にとってみると大きな数字でございます。そうかと思うと、これまたデンマークの文部省の国際局長のドロスビーという人がおりますが、その人とつい数日前会ったときも、デンマーク政府も相当大きな数を打診された。ですからどうもそういうことを考えてみますと、中国そのものもどのぐらい、どこに頼めるのかということがわからなくて、いろんな数字をあちこちに言われているのじゃないか。そういうところがいまの状況じゃないかと私思うわけなんです。ですから、この問題についてやはり基本的に、もうちょっと話し合いを続けて、お互いの事情等も理解した上で、数字等もはじき出していかなければならないことだろうと、特にその一万名なんという数は大変な数ですから、これが全部学部留学生とは限らないと思います。短期のものもあるかもしれませんけれども、その辺も今後検討の課題であると私思うわけなんで、その辺ひとつ十分今後検討していただきたいと、かように思うわけです。そこで、その研究者の交流ですね。いまのはただ数だけで言いますと何名何名という申し入ればあるかもしれませんが、その内容的な問題として、研究者の交流とか、技術者交流について、これについて何らかの話し合いが持たれたでしょうか。
#11
○国務大臣(砂田重民君) 今回の教育代表団をお招きをいたしましたこととは別に、技術交流と学術交流、その二つの動きがいまございます。その一つは、技術交流につきましては、技術調査団が先般中国から見えまして、これは科学技術庁が担当いたしまして、科学技術会議との交流を図っておられるわけです。科学技術会議を中心として、日本から今度は訪中をする計画でお話し合いを進めているというふうに承っております。文部省といたしましては、もう一つ学術振興会に委嘱をいたしまして、学術振興会が窓口になって、これは外務省と文部省の間で相談をいたしました上でそうしたわけでありますが、学術振興会から外交ルートを通じて、中国の大学長を五名ほど日本に十月の末か十一月上旬に招聘をすることにいたしております。そして、これからの日中の間の学術交流について、先方から大学学長が五名ばかり見えましたならば、こっちもそれに対応いたします大学人等のチームをつくりまして、その協議の場で今後の日中の学術交流について、篤と懇談、協議をしたい、かように考えております。
#12
○松前達郎君 新聞の報道なんですが、それによりますと、十月の七日に中国からの教育使節団が来られたと。そして文部、外務、法務、労働の四省との間で、留学生問題に関しての話し合いが行われたという、こういうことが言われておるわけなんです。そこで、中国の提案というのは、第一が理工系の若手研究者をことしからでも日本に送りたいという希望、これが提案の第一であったというふうに書いてあるわけですが、また同時に日本側がそれに対応して、どのくらい引き受けられるのかということについても打診があったんじゃないか、こういうふうに書いてありますけれども、このときの模様は一体どういうことになったんでしょうか。それについてちょっと。
#13
○国務大臣(砂田重民君) 十月三日から十三日まで日本に、いまお話のありました教育代表団の一行は滞日をいたしました。各様の学校も見ていただきました。文部省と代表団の間では、実務者同士の会議を二度持ちました。相当長時間の会議をやったわけでございます。日本の事情も説明し、中国の事情も承ったわけでございますけれども、お互いに現状を認識し合うことにまだ物足りない点が一つは残っております。それが大学の学部であれ、大学の大学院であれ、大学の入学選抜は大学の自治に関することであって、文部省で決定できることではないことを御理解いただくのも大変時間がかかることでございます。そこら辺のことはほぼ御理解をいただけたと思いますけれども、中国の学制について、日本の六・三・三と違う学制が、五・三・二であるというふうに聞いてはおりましたけれども、その五・三・二が確立しているのかどうかということは、実はどうももう一つはっきりしないまま会議が終わってしまいました。ただ、取りまとめますと、中国側から理工系を中心にてきるだけ早く進修生を――進修生という言葉を使われました。これは大学院段階の研究生のことでございます。これを相当数派遣したい、こういう申し出がございました。学部留学生の派遣については、中国において、日本語や数学、理科などの予備教育を施したい。その上で学部留学生を派遣をしたい。そこでこの予備教育をするについて、日本からの教師を派遣してほしい、こういう協力要請がございます。この二つの点が比較的具体的な先方の御要望だったわけです。日本といたしましては、中国との留学生交流が日中両国の友好協力関係発展の基盤となる重要なことでございますので、その申し入れを可能な限り受け入れたいと考えまして、そこで受け入れの選考に必要な詳細な資料の提出を中国側にお願いをいたしました。たとえば、細かいことを言うようでありますけれども、大学院の研究生ということになりますと、理工系と言われただけでは大学側と協議をするのに文部省としても困ります。大学としてもお困りであろうと思います。どういう学科であるのか、ある場合は何々大学の何々学部の何学科の何教授に張りつけるというところまでいたさなければなりませんから、中国側が派遣を考えておられる一人一人、個人個人の人たちの、いま何を研究しておられるかというような資料をいただきたかったわけでございますが、代表団はその資料を用意しておられませんでした。
 また、日本からの教師派遣につきましても、基本的に協力をいたします方向で、日本からの派遣を承知いたしましょうとお答えをしたんでありますが、現地での待遇等具体的条件をお尋ねをいたしましたけれども、これもまだ最終的な計画をお持ちではなかった。こういうことから、幾つか問題が残ったわけでございます。そこで、そういう具体の詳細の点を、両国でお互いに理解し合うことが大切でありますから、合同委員会をひとつ続けて持とうではありませんか、こういう御提案をいたしました。そのことを検討してみるというお答えをいただいております。先方で検討結果、合同委員会をさらに続けていこうという御回答がありますならば、できれば今度は十一月にでも、文部省から北京に文部省の実務家を派遣をしたい。そしていま申し上げたような具体のことを、さらに中国側が言われる進修生の日本語習熟の程度等についても承知をしなければなりません。そういうことも北京へ参りましてなお一層協議を進めていきたい、このように考えております。
#14
○松前達郎君 そうしますと、いまの打ち合わせの場合、いま相当数とおっしゃいましたけれども、相当数というんじゃ全然話が、内容がはっきりしないわけなんで、たとえばいまの大学院相当の進修生ですか、それについて大体どのぐらいを向こうが希望しているか、あるいは学部留学生に関して、何か数字的なもので向こうからの希望が出てきているのか、それについてちょっと。
#15
○国務大臣(砂田重民君) 進修生につきましては、いろいろお話を進めております中で、当方が推測をいたしましてつかんだ数字は約四百名でございます。学部の学生については数字のお話は一切まだございません。
#16
○松前達郎君 そこで、先ほど冒頭に大臣から留学生受け入れの基本的な理念というもの、個人の教育というものが中心であると、こういうふうにおっしゃったわけなんですが、中国側として、これは中国に聞いてみなきやわからないことかもしれませんが、留学生の送り込みの目的は、中国としてはどういうふうに考えて送り込もうとしているのか、これは推察になるかもしれませんが、どうもその点は少しギャップがあるような気もしないではないんですが、その点についていかがでしょうか。
#17
○国務大臣(砂田重民君) 中華人民共和国が国としてどういう目的を持っておられるかというようなことは、いま私がここでどうこう申しますことは、これはまさに中国の内政の問題でございます。わが国としては、教育基本法を根幹に置いた教育をやるわけでございますから、個人個人の教育を提供をする、この姿勢を変える気持ちは毛頭ございません。
#18
○松前達郎君 いま話に出ている留学生というのは、これはあくまでもいわゆる国費留学生と同じような国が受け取る留学生ですね。そういう問題での話し合いが続いているのか、それとも日本の場合私学が多いわけです。大分多くの留学生を私学においても抱えているわけなんですけれども、国・公立、私立とも全部引っくるめて受け入れについてお考えになっておられるんですか、その点お伺いしたいと思います。
#19
○国務大臣(砂田重民君) 中国側は国・公立を希望しておられます。こちらからは国・公立に限ってということはまだ申しておりません。それから、日本で従来から言ってまいりました国費留学生ではございません。中国政府がその費用分担をされて送ってこられるように中国側からは説明を聞いております。したがって、いままでの日本の留学生の制度というのは、国費留学生と呼ばれる人たちと、私費留学生と呼ばれる人たちでございますから、これは日本で言う私費留学生になるわけでございます。
#20
○松前達郎君 その点は、さっき私ちょっと触れました一等秘書の金さんという方もおっしゃっておられた、全部中国のお金でやりますと。そうなりますと、受け入れる方が受け入れると言えば、お金の問題としてはある程度の解決ができているはずなんですね。問題は、それじゃ受入体制が果たしてあるかどうか、いままでの留学生全般の問題からしましても、どうも日本の場合には、留学生受け入れに関してはまだまだ不備であるというふうな声が多いわけであります。そういうところに、さらに加えて中国からの留学生を受け入れる、こういうことになるわけですから、その点非常に大きな問題が幾つかますます拡大された形で提起されてくるんじゃないか、かように私は思うわけなんですが、その中の幾つかの問題として取り上げられているのが、先ほどお話がありました中国の五・三・二といいますか、教育年限ですね。これと日本の大学が受け入れる場合の、外国における教育が、十二年という数字がちょっと差があるわけです。これはもう法律に書いてありますので、その辺の処理をどうするかという問題、これがまず最初に大きな問題となってくるんじゃないか。たとえば中国において日本語教育を半年、一年やったにしても、それを加えてもまだまだ差があるんじゃないか。この問題をまず解決しませんと、特に学部留学生の場合は、受け入れに対して問題が出てくるんじゃないかと思うんですが、その点どうお考えになりますか。
#21
○国務大臣(砂田重民君) まだ合同委員会を提案をいたしましたのもそういう問題が解決してないからでございます。日本の学生については、十分に説明をいたしまして、日本の法律で決められておりますことを理解をしていただくような努力をいたしました。日本の実情については承知をしていただけたものと考えております。日本語だけではなくて、中国で言うところの高等学校を卒業した人に、さらに教育を施そうという基本的な考え方は、中国も持っておられることがわかってまいりました。数学、理科、日本語等を、一年半積み上げよう、それでもまだ簡単に言えば半年足りないということになるものですから、そこのところをどう調整を両国の間でそれぞれしていくか、そういうことをこれから引き続いてやりたいと考えております合同委員会で、わが方も文部省の中で検討しながら、先方と協議をしていきたい、こう考えております。
#22
○松前達郎君 いまの年限の問題ですね、これは学校教育法の中にあるわけですから、これを何とか変えてでも受け入れるというやり方が一つあると思うんですね。例外というか、そういうものを設けて受け入れるということ。ところが問題なのは、それをやったにしても、今度中国における教育内容が、果たして日本の学部留学生の場合、日本の大学の教育につながるような内容を、レベルを持っているかという問題、これも一つあると思います。この二つの問題を兼ね合わせて今後配慮しなければいけないんじゃないか。
 そこで、何らかの法律的な措置をしても受け入れようという積極的な考えでもって今後臨まれるのかどうか、あるいは、もっと検討をして日本の制度、日本の取り決めを、決まったことを向こうに理解をさして、それに合わせるように申し入れるのか、その点についてひとつ御意向を伺います。
#23
○国務大臣(砂田重民君) まさにこれからの検討事項でございまして、まだその方向を決めておりません。ただ、いまおっしゃいました年数も年数だけれども、どの程度のそれぞれの学科の習熟度でいるか、そのことも問題でございます。中国で国家試験を行う場合でも、それはそれで、その意義は私どもは認めていかなければいけないと思いますけれども、さはさりながら、大学がそれぞれ行います選抜の試験、それはありますよということは理解いただけるように説明がしてございます。
#24
○松前達郎君 そうしますと、大学が選抜試験をして、いわゆる学カテストをして、大学へ進学できると判断した者を受け入れるのだ、そういうふうに日本側から説明してやるということですね。そういうふうになれば、学力の点はそれでいいわけですが、さっきの十二年との差ですね、五・三・二と六・三・三の差です。これについての措置はどうされますか。
#25
○国務大臣(砂田重民君) 学校教育法に決められていることは明確でございますから、やはりそのことを踏まえて先方と協議をしなければならない残された非常に大きな課題の一つだと考えております。
#26
○松前達郎君 あくまでも、じゃあその学校教育法にのっとってやろうということにしようとされておるのか。さっき私は申し上げましたけれども、この学校教育法に特例を設けるのかどうか、その点について。
#27
○国務大臣(砂田重民君) 学校教育法の原則にのっとって、理解を深めていきたいと考えております。
#28
○松前達郎君 そういったいろんな問題があるわけなんですが、もう一つの問題として、現在国費、私費留学生、この留学生に対しても同じ問題があるわけなんですけれども、受け入れた場合、宿舎ですとか、そういうものが余り整っていない。人数が多ければこれは大変な問題になってくるのじゃないか。この宿舎の問題については、今後、これは何も中国からの留学生だけのためにやるわけじゃなくて、留学生全般問題として、どういう対策を立てられていくつもりか、その点についてお伺いいたします。
#29
○国務大臣(砂田重民君) 中国からの留学生がこういう形で灼熱化する前から、実は宿舎の問題が頭痛の種の一つでございました、もう率直にお答えすれば。
 そこで、いままでも国立大学での学生寮、留学生のための学生寮をふやしてまいりましたけれども、五十四年度からこれの整備を急ごう、こういうことを考えておりましたやさきに、中国の留学生の問題が出てまいったわけでございます。国立大学での留学生の寄宿舎、寮の整備、増設を図ってまいるだけではなくて、私立大学についての経常費補助金の配分、留学生の多い大学への特別補助等も実施をしておりますけれども、このことも念頭に置きながら、同時にまたそういう大学自身で整備をいたします寮だけではなくて、民間の下宿屋さんもたくさんあるわけでございます。国際教育協会に下宿屋あっせんの仕事も引き受けていただかなければならない。このようなことを考えていま検討しておるところでございます。
#30
○松前達郎君 中国からの留学生受け入れに関して、いまいろいろな問題があるということで御質問申し上げたのですけれども、現実として出てくる問題、これは私が多分こういうことが起こるのじゃないかというので、考えてみたわけなんですが、いま台湾からの留学生が大分来ていると思うんです。この台湾と中国の問題というのは、政治的な問題としては非常に複雑な関係を持っている。この台湾留学生というのは一体現在どのくらい、これは国費はないかもしれませんが、私費ばっかりかもしれませんが、一体どのくらい現在日本に来ているか。
#31
○政府委員(篠澤公平君) 現在、昨年の統計でございますが、五千八百人の留学生が日本に国費私費合わせまして来ておりますが、そのうち台湾からの留学生は約二千四百名でございます。
#32
○松前達郎君 これは国費も来ておりますか。
#33
○政府委員(篠澤公平君) 国費留学生につきましては、昭和四十八年の日中関係の国交正常化の折に、国費留学生の制度を一応やめまして、したがいまして、現在おりますのはすべて私費留学生でございます。
#34
○松前達郎君 現在では私費だけ。
#35
○政府委員(篠澤公平君) 厳密に申しますと、その当時大学院に国費として入っておりました台湾の留学生が、現在まだ二名おります。したがいまして、現在は国費留学生は二名、近々のうちに卒業、修了の予定でございます。それ以外はすべて私費でございます。
#36
○松前達郎君 それともう一つはソビエトなんです。これもまあソビエトと中国の政治的な問題ですね、外交上の問題、いろいろあると思うんですが、ソビエトの留学生は現在国費、私費どのくらい来ておりますか。
#37
○政府委員(篠澤公平君) ソビエトとの留学生交流は現在ございません。研究者の交流はございますけれども、留学生の交流はございません。
#38
○松前達郎君 私費留学生も――私費留学生というのはちょっとソビエトの場合考えられないわけですけれども、私の関係しているところでは毎年十名、これは交換留学で引き受けておるわけですから、それも日本語課程に入っておりますから、それもやっぱり留学生として認めておられるのでしょうね。
#39
○政府委員(篠澤公平君) ソ連との留学生のお話につきましては、学校基本調査によりますと、昨年の五月一日現在で五名おるわけでございます。私のただいまの説明はおりませんと申しましたが、厳密に言いますと五名おります。ただ留学生と呼び得るか、あるいは研究者として来日しておって、研究者としてしかるべき大学の教授のところで研究に従事しておるということとの、その辺が必ずしも分明ではなかろうと思いますので、留学生としては私ゼロと申し上げたわけでございますけれども、そういう問題というのはございます。指定統計によりますと五名という数字が一応出ております。
#40
○松前達郎君 ちょっとその数字は現実とは大分離れているような感じなんですけれども、日本に入国をするときに法務省、外務省関係でビザがおりて、これは文部省を通じておりてくるわけですから、当然おわかりじゃないかと思うんですけれども、現実は五名どころじゃなくて、もっとたくさんの人が、これは私が知っている範囲でも、少なくともこの倍以上の留学生だと思います。これは。文部省がお認めになっている教育機関の中に在学をするわけですから、その辺またひとつしっかり調査をしていただきたいと思います。このソビエトの留学生との――これはいるわけですから、現に。これの関連ですね。こういったことを考えていきますと、これはよっぽど留学生受け入れに対して、さっき大臣がおっしゃった、これは個人の教育であるという制度ですね。これをあくまでも貫いていかないと、キャンパスの中に国際関係が持ち込まれる、こういうことになりはしないか。大量に引き受ける大学あたりになりますと、当然中国が送り込んでくる目的と、日本が受け入れる目的が食い違っていますと、そこで初めて政治の問題、あるいは国際的な紛争の問題も含めて、キャンパスの中に持ち込む可能性がある。最近ではどうも大学あたりは自分の大学のキャンパスの中にどういう人がいるかもわからないのがたくさんあるわけです。コントロールできない状況にある大学もあるので、そういうところがもしか引き受けたら果たしてどうなるか、非常に心配をするわけなんですが、そういった台湾留学生、ソビエト留学生、そのほかもあるいは出てくるかもしれませんが、それとの関連ですね。これについてはどういうふうに取り扱っていかれるのか。これはまだ来てないんですけれども、もしか中国からの留学生を受け入れた場合、どう取り扱われるか、その点について。
#41
○国務大臣(砂田重民君) やはり勉強の場ではどの国からの留学生も一緒に勉強をしていただこうと考えております。
#42
○松前達郎君 それは理想的にはそうなんですが、その一言で言ってしまえばそれでおしまいなんですけれども、恐らく引き受けた大学の方が大変困る、困るというか、問題が起きた場合解決に苦慮するんじゃないかと思うんで、その点もひとつ頭の中に置いていただいて、はっきりと受け入れる方の姿勢と、送り出す方の考え方、これを詰めておいていただきたい。その辺がやはり基本じゃないかと思うんです。というのは、中国がその留学生、特に科学技術を中心とする理工系とおっしゃいましたが、その留学生を送り込むというその裏には、これは当然その国の方針として、中国の将来の発展のために、こういう方面を伸ばしたいということがあるわけなんですね。ですから、国の事情が違いますから、あるいは国から送られた代表みたいなかっこうで、代表というか、将来国へ帰ってその分野をやるんだという、国の発展のためにその個人がやってくるという意識があるかもしれません、そういう意識があると、うっかりするといま申し上げたようなことが起こりかねないので、その点をひとつ詰めておいていただいた方がいいんじゃはないか、こういうふうに思うわけです。
 現在までは、私の経験では体制の違う国から留学生を引き受けて、一緒に教育をしても、その問題は現在は起こっておりません。というのは、個人の教育である、体制を超えているんだからそういうことは持ち込むなとはっきり言ってから受け入れてますから、それはもう問題起きてないんですけれども、その点ちょっと心配になったものですから御質問申し上げたわけです。
 それから、これは中国からの留学生というのは、何もいまに始まったわけじゃなくて、戦前からずっとあったわけですね。そのデータ前もっていただいておけばよかったんですが、戦前の中国からの留学生の数、戦後はあるかどうか、その点についてお伺いいたしたい。
#43
○政府委員(篠澤公平君) 中国からの戦前の留学生のことを先に申し上げたいと思います。中国からの留学生は、日清戦争終結の後、下関で講和条約が結はれました明治二十九年に、清国から十二人の留学生が来たのが最初でございます。それから逐年増加いたしまして、明治三十九年には約一万人の中国人留学生が在日していたという記録がございます。その後、いろいろ中国の国内の事情もありましたけれども、数千人の留学生がおったわけでございますが、日支事変の始まります昭和十二年までの四十二年間、数千名の留学生が来ておった。日中戦争の開始に伴いまして、中国留学生がほとんど引き揚げたということでございます。最大のときには約一万人ということで、日中戦争の始まります前年、昭和十一年ごろでもなお約五千人の中国留学生がおったというふうに記録されております。
#44
○松前達郎君 そうすると、大分数の多い留学生が戦前から、また体制はその当時といまとは大分違いますけれども、日本に留学をしていたということになるんですが、最近はどうですか、最近ではそういう例はございませんか。
#45
○政府委員(篠澤公平君) 最近の中国からの留学生といいますか、従前御承知のように民間ベースで行われておりまして、入管の統計によりますと、昭和五十一年度は非常に多うございまして五百数十名、五百名を超えております。それから昨年の統計によりますと、これが非常に少のうございまして、五十名そこそこという数字になっております。それが入管の統計でございますが、昭和五十三年度におきます中国からの留学生で、文部省関係と申しましょうか、におきましては、東大外三大学、合計二十三名の留学生が現在こちらに来ております。
#46
○松前達郎君 そうしますと、いま申されました留学生については、どういう取り扱いをして、たとえば民間ベースでやっている留学生は金銭的面も含めて、どういうふうな取り扱いをされておりますか。
#47
○政府委員(篠澤公平君) 現在の中国政府派遣といいましょうか、留学生でございますが、ただいま申し上げましたように、合計二十三名、東京外国語大学に十一名、大阪外語に三名、創価大学に二名、それから東京大学に七名、合計二十三名でございますけれども、これらはすべて民間の団体のあっせんによりまして来日し、その団体が直接大学に入学を求め、入学している者でございます。
#48
○松前達郎君 その民間団体があっせんして大学に入っているということですが、経費とか、たとえば授業料とか、国費留学生と大分違うんじゃないかと思うんです。その辺はどうなっているんですか、経費負担の面で。
#49
○政府委員(篠澤公平君) 東京外国語大学、あるいは大阪外国語大学等に入学しております者につきましては、現在私費で入っているわけでございますから、私費留学生の扱いということで、それなりの、御存じのように国立大学におきましても、私費留学生に対する手当てはいたしているわけでございますので、同様な扱いをいたしております。
#50
○松前達郎君 そうしますと、私費でいまの学生、二十三名ですか、これすべてが私費でやっている。一般の学生と同じ、一般の外国人学生ということになるわけですね。そういうことで、現在でもある程度引き受け手はいるというのが現状だろうということになるわけですが、今後これは、いままでいろんな問題が出てまいりましたけれども、今後中国からの留学生受け入れに対する政府の方のプログラムですね、将来のことですから、それをどういうふうな内容、ステップでもって進めていかれるのか、その点についてひとつお答えいただきたいと思います。
#51
○政府委員(篠澤公平君) 中国から派遣されますのはすべて中国政府が経費を持つという前提でのお話が従前ございまして、今回の代表団のお話でもそのことは代表団の方からお話があるわけです。私、日本で受けとめました場合には、先生御案内のように、国費留学生及び私費留学生いずれかの範疇ではございますけれども、特に計画的に中国の方から派遣されるということでございますれば、基本的にはやはり大学側に対するプレースメントという点では、国費に準じた形でお願いをしなくてはならぬ、それ以外のことにつきましては、原則としては私費留学生並みの扱いということを現在の時点では考えておるわけでございます。
#52
○松前達郎君 国費に準ずるというのはどういうことなんでしょうか。ちょっとその辺が。国費というのはこれはあれですね、税金でもってやるわけですから、その国費留学生を中国だけに特別の枠をどんと大きな枠を上げるというのは、さっきの最初のたてまえからどうも反するようなことになるんで、その点国費に準ずるというのが出てきたんだと思うんですが。
#53
○政府委員(篠澤公平君) その点が一番実は重要な問題だという認識をしているわけでございます。今後の検討事項ではございますけれども、ただいま申し上げましたように、プレースメントに対して大学の協力の要請をしなくてはいけないという問題は、どうしても起きようかと思うわけでございます。具体的な例を申し上げますと、すでにやはり数十名の研究者受け入れということを中国からの御提案もあるわけで、これは従前と同じような形で、民間ベースと申しましょうか、お話がございました。しかしながら、受けとめた大学の方は、若干、数十名とは申しながら、やはり、たとえば東大の場合には十数名という話、大学側としては、今後の中国側のやはり研究者受け入れの数字が恐らくふえるであろうということから、文部省の方に全部まとめて調整をして扱ってもらいたい、統一的に扱ってもらいたい、こういう大学側の御希望もございました。これは東京大学だけではございません。そういう意味でプレースメントは、文部省の方である程度責任を持ってやらざるを得なかろうという点では国費と同じだと思います。それ以外に、私費と国費の区分につきましては、先生御存じのとおりだと思いますけれども、国立大学におきます私費留学生の扱いと申しますのは、国費の留学生と現時点ではほぼ一〇〇%処遇が同じでございます。たとえば、私費留学生として国立大学に入っております者につきましては、学生当たりの経費であるとか、あるいは国内の研究のために必要な旅費であるとか、その他細々した経費を見ているわけでございます。そういう点から見まして、今後の中国の学生の場合も同様なことを考えるべきか否かということを検討中だということでございます。
#54
○松前達郎君 そうすると、受け入れについては、いまおっしゃったような大学側の協力を求めて受け入れてもらう。その国費か私費かというのは、いま国立大学では違わないとおっしゃいましたけれども、留学生側にとってみると大分違うんじゃないですか、経費の問題は。国立大学においての私費留学生というのは、国が何かその大部分を負担しているんですか。国費と大分経費で違うんじゃないかと思うんですけれども。
#55
○政府委員(篠澤公平君) その点まだ中国側と十分いろいろ問題点を詰めなくてはいけない点が多々ございます。これも実は五十三年度からの措置でございますけれども、私費の留学生に対しましても、現在日本国際教育協会で奨学金を月額四万円出すということをお認めいただきまして、現在その線を進めているわけでございます。そういう細かいところまでの経費の問題が入りますが、その点については中国側が全部持つと言っている全部持つ内容を、もう少しこちら側といたしましても、十分話をしておきたいという気持ちがございます。
#56
○松前達郎君 中国の方からはその経費は全部中国側で持つという、こういうふうなのがたてまえとして言ってこられておるわけですね。ちょっとその辺よくわからないんですが、いま日本と中国とのお金の何といいますか、レートといいますか、たとえば中国のお金を日本に持ってきてそのままかえることもできるんですか、それともそれは政府レベルで何か適当な手を打たれて、適当なそれに相当した円を支給するのか、その辺はまだ詰められてないんですか。
#57
○政府委員(篠澤公平君) まだ詰めておりません。ただ、現在先ほど申し上げましたように、二十三名の留学生が、研究生が来ております。それなりの生活をしているわけでございます。必要な経費もそれなりに学生の側でカバーしてやっているようでございますので、詰めておりませんけれども、そういうことでございます。
#58
○松前達郎君 なぜそんなこと言うかといいますと、たとえば、いわゆる共産圏、社会主義国あたりから来る留学生の場合、ドルがないからドルを持ってくるわけにいかない。ですから日本との何らかの交換協定を結んで、お互いに来るときの費用は向こうで持つけれども、滞在の方は日本側で持ってくれ、日本というか、受け入れ側で持ってくれ、そのかわり受け入れ側から出ていく留学生についてはお互いに等価でもって持とうじゃないか、こういうことがいままで行われているわけなんですね。これは経済的な意味も含めての交換留学になるわけなんですけれども、その辺がやはり、これちょっと余りささいな話かもしれませんけれども、中国がお金を持つといわれても大きな問題になってくるんじゃないかと思うんです。とにかく中国が日本からプラントを買いたい、何を買いたい、いろいろ買いたいことばかりで、お金が出る一方じゃないか。それに対して、これは日米間のアンバランスと同じような問題が出ようとしているんじゃないかという気もするわけなんです。そうなってくると、やはりこの問題も一つの交流に関して、留学生の受け入れについての問題点になるんじゃないか。その辺、私は通貨の問題よく知りませんので、中国との問題はどうなっているかわかりませんけれども、それも一つの問題じゃないか、検討する必要があるんじゃないか、かように思うんです。
 そういうことで、中国からの留学生引き受けについて、とにかく政治的発言が先行しちゃったものですから、調子のいいことを言っていられないと。受け入れ態勢果たして大丈夫かというと、どうもこれは、文部省の皆さん方は大変心配しておられるんじゃないかと思うんですが、この態勢を政治発言に引きずられるよう制してつくり上げなきゃいけないというつらさも大変だと思うんですが、しかし、留学生を引き受けるということは、その意義から言えば、確かに推進してしかるべき問題であろう、私はそういうふうに思うわけなんで、この問題、これからまだ検討しなきゃならぬ点が十分あるということですから、これらについて詰めていただいて、法律的に対処するべきところはする。あるいは、これは何も中国だけじゃないんですね、十二年というのがひつかかって、日本に留学生を受け入れられないというケースが幾らでもほかにあるわけですね。そういうものも含めて、何か特別の措置ができるものかどうか、これも含めて考えていただいて、する必要ないとおっしゃるのでしたらそれでも結構ですけれども、数々の問題を、その意思を疎通する中で、調査をする中で、ひとつ進めていただきたい、かように思うわけです。
 中国留学生に関してはまだたくさんありますけれども、そのぐらいにいたしまして、今度は一般留学生なんですね。こっちの方が中国留学生の受け入れの基礎になる基本の問題だと私は思うものですから、一般留学生に関して、関連して質問をさせていただきたいと思うんです。
 現在、これは数字的に大体大枠はわかっておりますけれども、わが国で諸外国から受け入れている留学生の数というものですね、多いところ三つぐらいを例に挙げて、全体の数、ちょっとおっしゃっていただけませんでしょうか、現在です。
#59
○政府委員(篠澤公平君) 現在受け入れております留学生は、昭和五十二年五月一日現在、昨年の基本統計でございますが、五千七百五十五名でございます。その地域別なことを申し上げますれば、五千七百五十五名のうちの七六%はアジアでございます。次に多い地域が北米でございまして、六百二十名でございます。あとは一けた台になりまして、ヨーロッパが三百二十一という数字でございます。そういう状況でございます。
#60
○松前達郎君 五十三年のは出ておりませんか。
#61
○政府委員(篠澤公平君) 現在集計中でまだ、もう近々のうちに出る予定でございますけれども。
#62
○松前達郎君 そうですか、もう半年近くになるんですけれどもね。
#63
○政府委員(篠澤公平君) 基本調査の集計を速報でいまやっているところでございます。
#64
○松前達郎君 留学生のトータルの数、これはここ数年、そう大きく変わっておりませんですね。
#65
○政府委員(篠澤公平君) 大きく変わっておりません。五千六、七百人から五千八百人という台でございます。急激な伸びは見られておりません。
#66
○松前達郎君 その中で、国費留学生と私費の分類ですね、どの程度国費、どの程度私費という問題と、それから、これまとめて申し上げますけれども、その留学生五千名以上の相当大きな数の留学生が、宿舎ですね、これはいろいろ宿舎の問題も数年前にストライキがあったり、いろいろ問題があったんですけれども、この宿舎の手当てが一体どうなっているか、その点についてちょっと御説明いただきたいと思います。
#67
○政府委員(篠澤公平君) 五千七百五十五名の昨年五月一日の数字で申し上げますと、そのうちの国費外国人留学生は千八十一名でございます。残り四千六百七十四名が私費留学生でございます。
 次に宿舎のお話でございますが、現在留学生のための宿舎として特に設けておりますのが、国立大学で八校ございます。そのほかに、文部省所管でございますが、日本国際教育協会の経営のものが二つございます。それ以外に民間のものとして九つ、合計十九の施設がございます。
 収容定員を申し上げますれば、合計で千二百二十九人でございます。その総数に対する比率は約二一%ということに相なります。なお、このほかに大学の一般寮に入っている者も若干いるようでございまして、留学生総数の二四%というものがただいまの大学の一般寮を含めまして入居しているものと考えるわけでございます。なお、政府所管の団体として国際学友会がございますが、この日本語学校には百名収容の宿舎がございます。最近改築されたものでございます。これは、そのうち日本語学校に入学する者という限定でございますので、ただいまの数字には含めませんでした。
#68
○松前達郎君 二四%ということですけれども、これは留学生の方の希望として、もっとそういう宿舎をふやしてもらいたいとか、もう宿舎は要らないんだ、普通の町に住みたいんだとか、そういうふうなことはお聞きになっておられますか。もしか少ないとすれば、絶対的に足らないとすれば、宿舎に対する今後の増強計画がありましたらひとつお話しいただきたいと思います。
#69
○政府委員(篠澤公平君) 一般的には御指摘のように宿舎が足りないということは言われております。現在国立の八大学がわずかに宿舎を持っているだけでございますけれども、文部省といたしましては、積極的に大学の方に宿舎建設については勧奨して、積極的に宿舎建設を大学側から出させるということはやりたいと思っております。
 なお、話が前後いたしますけれども、特に大学以外の宿舎につきましては、その地理的な場所によりまして、当初は入居するけれども、しかし通学をしてみると大変不便であるというようなことも現実にはございまして、一たん入居した者が出ていって、大学の近所の下宿に入るというケースも見られております。したがいまして、宿舎の整備というのはやはりそういった地域的な問題、地理的な問題等を十分考えながら計画的な設置をやっていく必要があろうというふうに考えております。
#70
○松前達郎君 宿舎の問題、これはそうしますと要求を増強するといいますか、ふやしていくという方向でお考えになっておられるんだということですけれども、これは次年度というか、今度の予算要求に入っておりますか。
#71
○政府委員(篠澤公平君) 来年度は東京近辺に一つ、関西に一つ、合計二つはぜひ建設したいと思っております。
#72
○松前達郎君 収容人員は。
#73
○政府委員(篠澤公平君) 収容人員は、東京近辺に置きますものが百五十名でございます。それから関西地区のは六十名でございます。これはいずれも学校が設置するというものでございます。
#74
○松前達郎君 それじゃ宿舎の問題、これも、宿舎を用意しますと、留学生は、みんなで入っているのがおもしろくなくて、町に出ていきたいと。ですから、たとえば近郊の宿舎に入れますと、そこが余ってくるというんですか、収容しようと思っても、希望者が少ないという点が出てきますね。どうしてもどうも都会の中の方が、国によっては来た人はおもしろいらしいので、多少お金がかかってもいいから、都合に出ていきたいという希望もあるようです。しかし絶対数からいくと、まだまだ足らないだろうと思いますから、これもひとつ大いにふやしていただきたい、かように思うわけです。
 それから、この前の九月三十日の参議院本会議で、総理の答弁の中に、ちょっとこんなことあるのかと思ったのですが、留学生のアフターケア、帰国後の連絡については相当な成果を上げていると胸張っておっしゃったわけなんですが、私が聞いた範囲では、こういうことは全然ないと思うんですね。その点、これはどういうことを意味して総理が言われているのでしょうか。これはもしか御承知でしたらお答えいただきたいと思います。
#75
○国務大臣(砂田重民君) 総理の答弁、これは私の推測だと思っていただきたいと思いますが、実、は福田総理が大蔵大臣のときに、東南アジア留学生で日本で卒業して、それぞれ国へ帰った人たちを何にもしないのはおかしいでないかという発想を持たれまして、そして、毎年五十組ぐらいを御夫婦で日本に招待して、それで一週間ないし十日、そういう事業を総理の大蔵大臣のときに始められまして、いま外務省予算で、ことしが五回目になります。これは大変喜んで皆さん毎年日本に来ておられます。
 それから、やはりこれもASEANですが、ASEANの日本留学生のOB会、ASCOJAという略語で呼んでおりますけれども、一昨々年元日本留学生ASEANの評議会というものをこれらの人たちがっくりまして、ことし二回目の総会がジャカルタでありまして、私も招きを受けて行ってまいりました。本当に日本からもたくさん学校時分の友達なども行って、まさに同窓会、大変いい空気でございましたが、このASEANの元日本留学生評議会の集会場を、ASEAN五ヵ国に日本の政府でお手伝いをして、本年度予算で計上をしてございます。このことはASEANの元日本留学生たちには非常に大きな喜びを持っていただいております。
 それから、これもことしから文部省で始めた事業でありますけれども、日本に留学して一遍国へ帰る。帰るけれども、日本で勉強していた当時の指導を受けた教授と連絡をとり続けていきたい。さらに、本国へ帰ってから、本国で学位が取れるような勉強を続ける、そういういろんな資料等をこっちから送って差し上げる、学位を取るためのいろいろなお手伝いをする、何年かたってもう一遍日本へ来て学位を取るための留学をもう一度する。そのような制度を国際教育協会にお願いをしましてことしから始めたことでございます。
 こういったふうなことが大変好感を持って迎えられておりまして、恐らく総理はそれらのことを総合的に先ほど松前委員の御発言のような趣旨で表明をなさったものだと考えます。
#76
○松前達郎君 その後の方で申されたことは、確かにこれは教育的な方から文部省のとられた措置は評価をしていいんだと思うのですが、夫婦で招待するとか、そういうやつはどうも日本的発想で、まあこれが相当な成果を上げているということに入るかどうかですね。もしかそういうことだとすれば、たとえば私の経験では、東南アジアから来る留学生が卒業したときに、本国に帰って、いろいろな集会があるときは、日本以外の大学から出た連中はガウンか何かを着て国王の前に出たり、何かそういうことがあるんだそうです。日本の留学生だけがそのガウンがもらえない、ぜひガウンをつくってくれという話がある。これはもう何かこうおかしな話なんですが、卒業したというプライドのためか何か知りませんが、まあそれも招待と同じような意味だろうと思うのですね、もしかあるとすれば。そういうふうなことなんですが、しかし私は、アフターケアというものは、たとえば大学院を出て、それぞれの国へ帰って大学の先生になるとか、指導者になるというふうな場合に、その人たちに対するその後の何というのですか、指導、あるいはその要求に応じてやる。一つの例から言いますと、たとえばコロンボ計画で、いまタイ国でモンクット工科大学の建設をやっておりますけれども、ここに日本からも先生が出ていっているわけですね。モンクット工科大学つくりますが、しかし実際にはその先生がずっといるわけじゃなくて、やはり日本で教育を受けた大学院卒業生が先生になって、向こうでそのバトンタッチをすると。そのときに器材の面とか、教育方法の面とか、いろいろな面で指導をしてくれというふうな話があるわけなんです。こういうことをやるのがアフターケアだとこういうふうに思うんですけれども、先ほど大臣の言われた留学、帰国した者の指導教員との連絡ですとか、あるいは学位を取る資料をこちらから送るとか、これは大いに結構なことだと思うんです。
 それからもう一つ、やはり本会議での答弁の中で、これは園田外務大臣の答弁ですが、中国教育関係者が来日するので、これさっきの話だと、文部省と検討の上対処すると。その中で、国費は文部省、私費は外務省というふうな形態であるが、現在ですね、そういうふうになっているのかどうかしりませんが、私費、国費とも文部省にするんだと、こういうことをおっしゃったような気がするんですが、これは一体どういう意味なんでしょうか。
#77
○国務大臣(砂田重民君) 園田さん余り留学生のことを御存じないんじゃないかと私はそう思いながらあの答弁聞いてたんですが、恐らく国際学友会をいままで外務省が、これは戦争前からずっと経営をしてまいりました。先ほどちょっとお話にありましたような騒ぎもあったわけでございます。五十四年度予算からは文部省で国際学友会をお預かりをしよう、こういうことを決めましたので、そのことを言われたんではないかと思います。
#78
○松前達郎君 外務大臣は留学生のことを本当は知ってなきゃいけないんじゃないかと思うんですけれどもね、まあそれは外務大臣にお尋ねすればまたはっきりすることだろうと思いますけれども。
 それから、今度学部留学生じゃなくて、研究留学生といいますかね、これがやはり、いわゆる技術交流ですとか、文化交流の中の技術的な面の交流等を含めて考えますと、相当重要な分野だろうと私は思うんです。
 そこで、これは私が聞いた話で、たとえばいろいろな財団がございますね、外国には、日本にもありますが。その中で、たとえばドイツの財団でフンボルト財団というのがある。これのフェローシップ、いわゆる研究留学生といいますか、このデータを取り寄せたときに、どうもフンボルト財団からお金をもらってドイツに留学したという人は、これは日本のノーベル賞級の学者も含まれております。これは非常に多いんですね。フンボルトが取り扱っている中では世界で二番目なんです。数が圧倒的に多い。ところが、その逆が全然ないというんですね。そういうふうにその財団の人から言われて非常に恥ずかしい思いをしたんですけれども、日本への留学のための奨学金体制ですね、これは大学に入るとか、学部留学生とか、そういうもの以外に、奨学金体制というのがどうも貧弱じゃないかと私思うんですが、これは民間も含めて一体現状としてどういうふうになっているか、どのぐらい引き受けているという数字までわかりますれば、大まかなことをひとつお願いいたしたいと思います。
#79
○政府委員(篠澤公平君) 民間の団体でございますが、御指摘のように非常に少のうございます。外国人留学生を対象として奨学事業を行っております民間団体は、たとえばロータリー米山記念奨学会、とうきゅう外来留学生奨学財団、国際文化教育交流財団、守谷育英会、それから岩谷国際奨学金、あるいは東京スカラシップ、これはアラビア石油の関係でございます。外国からの留学生の受け入れのために奨学金を出しておりますのは以上の六団体でございます。その人数等でございますが、昨年の資料になりますが、たとえばロータリー米山記念奨学会が一番多いかと思います。そればロータリークラブのある国から、おおむね二年という期間でございますが、二百四十名を受けております。対象は大学院に在籍する四十歳未満の留学生、それが一番多うございまして、あとは年間五名であるとか、あるいは年間八名という非常に細かい、小さいのもございます。ただいまのロータリー米山記念奨学会が一番多うございまして、二百四十名でございます。
#80
○松前達郎君 さっきのフンボルトあたりですと、一九七六年の例だと、これ七十三名ぐらいフェローシップで受け入れておるわけなんで、その一つだけとってもそのぐらいになるわけなんですけれども、しかし、これも今後、やはり民間団体でもずいぶんそういうことを痛感して、財団をつくって受け入れようじゃないかと、こういう動きがありますので、これについてもひとつ文部省の方も大いにその後ろ押しをしていただきたい。やはりそういう中で国際的な交流を進めて平和を維持――平和を維持するというと大げさですけれども、相互理解をするというのがやはり重要なことであるし、また同時に、文化の交流、技術の交流も行えると、こういうことでしょうから、この辺もひとつよろしく御支援お願いいたしたいと思います。
 それから、もう一つお伺いしておきたいんですが、これ留学生の声というのがいろんな文献等で出てくるんですけれども、その中で非常に大きな問題の一つとして挙げられるのが、さっきから申し上げています国費留学生と私費留学生の格差なんですね。これは前からいろいろと言われている問題なんですが、私費留学生というのは勝手に向こうが志望してきて、大学が引き受けたから、これはもう仕方がないんじゃないかと言えばそれっきりなんですけれども、やはり日本に留学し、大学の教育機関、あるいは研究機関、その他の機関が引き受けた以上、責任もあるんじゃないか。この格差が、たとえば国費留学生の場合は、これ奨学金が出る、研究旅費が出る、往復航空運賃が出る、授業料は免除される、着後一時金は払われる、医療費は――これは私費も同じですか、八〇%負担をされる、それから宿舎の補助が出ると、こういうことですね。これに対して私費留学生は、医療費の八〇%が補助されるのみであると、こういうことになっていますが、これについて最近になって少し、四万円ですか、手当――ただし、これも二百名でしたか、非常に数少ないんですが、少しは改善されたと思えますが、この私費と国費の留学生の格差について、今後文部省としてどういうふうにこれを縮めていくおつもりなのか、何か具体的な対策ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#81
○国務大臣(砂田重民君) 国費留学生と私費留学生の格差という言葉で指摘をされますと大変実ば困るわけでございまして、国費留学生はやはり教育、学術、文化の国際交流を推進するという観点から歴史が古く、まさに国費で実施をしてきたわけでございまして、具体的な方策というお尋ねでございましたけれども、私はいま先生のお話しになりました学部の私費の留学生に四万円を支給する。ことしスタートをしたばかり、二百人という数を確保するのも相当な財政当局との議論の上でとったものでございまして、なお私費留学生で学部から大学院へ進学をする、大変よく勉強のできる人を大学院段階で国費留学生に採用するという新しい制度も、ことしからやっとスタートをさせることができました。この数をやはり私費留学生ではふやしていくということであって、もう一つは、国費留学生の数をやはりふやしていく、こういう方向で考えて当面はいかなければならない、そういうふうに考えております。
#82
○松前達郎君 まあ、その四万円の二百名というのは、数は――数といいますか、金額としては少ないんですが、これはだんだん努力してふやしていく方向であろうと私は拝察いたしますけれども。
 それからもう一つ、これちょっとおかしな問題なんですが、たとえば奨学金を学生に与える場合、奨学金の内容によっては贈与になるという税務署があるんですね。このことは非常におかしな話だと私思うんですが、贈与として取り扱うからと。最近どうも財源がないものだから何でもかんでも取ってやれというのが大蔵省の考え方かもしれませんけれども、こういうものがちらほら聞こえてまいります。これについても、私の方でもいまこれからその見解ははっきりさせていこうと。留学生は贈与にならぬとか、あるいは奨学金、一般の国内の学生に対する奨学金は贈与として扱わないとか、そういう線をはっきりできればいいんですけれども、その点これから確かめてみようと思っていますが、こういう問題もありますので、それもひとつ頭に置いておいていただきたい、かように思うわけです。
 それからもう一つ、これはきょうの新聞でしたか、共通一次の申し込みといいますか、願書の受け付けが発表になりましたですね。この中に外国人二十七名というのが入っていると思うんですけれども、これは一体どういうことなんですか。これは外国人というのは留学生と関係ないのか、ただ在留外国人、日本に滞在している外国人という意味なんですか。これについておわかりでしたらひとつ。
#83
○政府委員(篠澤公平君) 大学によりましては、外国人留学生に対して共通一次は受けなくてもということの大学もございます。それは、たとえば国立、公立で見ますと、約半数強、半数以上の大学はやはり受けてもらいたいという意向もあるようでございますが、そういう絡みで出てきた数字かと思いますが、もう一つは私費の留学生が自発的にそれを受けるということで恐らく出てきたのではないかという感じもいたしますが、ただいまのお話でございますので、少し調べてみたいと思っております。
#84
○松前達郎君 これは新聞によりますと、外国の学校修了者四十三名、うち外国人二十七名と、こういうふうになっているんですがね。これは留学生が共通一次を受けるという問題については、前にたしか問題になったんじゃないかと思うんですね。それで、それについて共通一次試験を行うときの一つの問題として、今後考えていくんだというふうなことをたしか言明されているんじゃないかと思うので、それとの関連があるのかと私思ったものですから御質問申し上げたんですが、それはそれだったらそれでひとつ調べておいていただきたいと思います。
 それと、最後になりますけれども、さっきの中国の問題でちょっと一つだけ。これは私の方の提案みたいなかっこうなんですが、中国からの留学生受け入れというのは、レベルとかいろいろな問題について食い違いがあるかもしれない。こういうことも調査していくとわかっていくと思いますが、大学、大学院に入るということだけじゃなくて、留学生受け入れを専門学校レベルでもやったほうがいいんじゃないか。というのは、中国の希望が技術教育、あるいは短大も含めて技術教育という面で相当強い希望があるんじゃないかと私は思うんです。ですから、何といいますか、この受け入れの幅を専門学校まで含めて、広げて考えていったらどうだろうかと私は思っておるわけなんですけれども、その点、私のこれは提案になりますけれども、それについて何かお考えがありましたらお聞かせいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
#85
○国務大臣(砂田重民君) 同じような考えを文部省も持ちました。そこで訪日しました代表団に高専のことでありますとか、短大のことでありますとか、よく説明をいたしまして、方々学校を見てもらう中に、高専も見てもらっておるわけで、恐らくそういう事情を代表団の皆さんが持ち帰って、検討しておられることと推測をしております。
#86
○委員長(望月邦夫君) 本調査に対する午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後は一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時二十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
#87
○委員長(望月邦夫君) ただいまから文教委員会を再会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 きょう十七日、高杉廸忠君が委員を辞任され、その補欠として、勝又武一君が選任されました。
    ―――――――――――――
#88
○委員長(望月邦夫君) 休憩前に引き続き、教育、文化及び学術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#89
○勝又武一君 私は、まず松本歯科大学の問題につきましてお伺いをいたします。
 松本歯科大学は、五十一年度の不正入学の問題、あるいは大学設立時の見せ金の問題、そしてまた五十二年、五十三年度とわたりまして、入学者に対する寄付金の問題等、大変な問題を起こしている大学だと存じております。そこで、私は昨日文部省の担当の方に、この松本歯科大学の五十二年度の決算報告書の提出を求めておりますが、これについていかがなったでございましょうか。
#90
○政府委員(三角哲生君) 昨日、勝又委員より、ただいまお話しのように、五十二年度の決算書の提出の御要請があったわけでございますが、これにつきまして、私どもといたしましては、これまでの考え方等もございまして、結論的には差し控えさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
 そういうぐあいな考え方をいたします理由といたしましては、文部省は私立学校振興助成法に基づきまして、国及び地方公共団体からの助成を受けている場合には、その角度から収支決算書等の財務書類の提出を受けるわけでございます。
 それから、こういった助成を受けていない学校法人は、現行制度上は、所轄庁に対して、毎年度の収支決算書等の財務書類を提出することを義務づけられておらないわけでございます。文部省といたしましては、私立学校法第六条の規定によりまして、学校法人の運営に関し、指導及び助言を行うために、必要な場合はその都度必要な資料の提出を求めているところでございます。
 お尋ねの収支決算書につきまして、この収支決算書そのものの提出につきましては、これを受けております事情が、文部省の指導及び助言に資するという目的で、文部省と個々の学校法人との関係において提出を求めておるものでございまするし、それから一般的に申しますと、決算書の内容そのものが個々の学校法人のいわば内部的な問題を含んでおりますようなことでもございますので、制度論的に申しまして、当該学校法人がみずからが自主的にお出しになる場合は別といたしまして、文部省が所轄省としてこれを当該学校法人に対する指導、助言を行う目的以外に、決算書そのものを使うということを従来から差し控えさしていただいているわけでございます。
#91
○勝又武一君 できるだけ簡潔にお答えいただきたいと思います。
 二つあると思いますが、一つは助成金を受けていないから財務諸表の提出を義務づけていないというお話でありますが、私の存じているところでは、いわゆる民法三十四条にいう財団なり、社団なりを、たとえば県等が認可をした場合、当然そこは助成金なり、補助金の有無にかかわらず、財団、もしくは社団で認可をされたところが、定期的に財務諸表を出すということはむしろあたりまえじゃないかというように思うんですね。それが何で学校法人の場合に助成を受けていなければ要らないのかということが一つと。これは実際に文部省には義務づけられていないというのですが、財務諸表の提出はないわけですか。あるけれども出さないのか、どっちですか。
#92
○政府委員(三角哲生君) 私立学校法は、私立学校行政上の基本的な法律でございますが、これに基づきまして、必ずしも財務書類を所轄庁に提出するということが義務づけられておらないわけでございます。その点は財団法人と扱いが異なっておると思います。ただ、松本歯科大学につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、学校法人の運営に関し、指導と助言を行うために必要であると考えまして、財務諸表含めて提出を求めているところでございますが、先ほど申し上げましたような私どもの考え方、並びに事情で、これをその書類そのものを提出することは差し控えさしていただきたいというふうに考えているわけでございます。
#93
○勝又武一君 そうしますと、法律的な根拠は別にして、文部省の手元には財務諸表はありますと。しかしそれは出せません。こういうことでありますので、実は私の手元にこの松本歯科大学の資金収支計算書の写しがございます。五十二年四月一日から五十三年三月一三十一日まで、つまり五十三年度分の計算書でありますが、これによりますと、寄付金収入という科目がありまして、その科目の内訳が二つあります。一つは特別寄付金収入五百十九万五千円、一般寄付金収入十一億九千七百三十四万三千二百三十円とあります。この数字には間違いがないでしょうか。
#94
○政府委員(三角哲生君) 松本歯科大学の収支計算書におきます記載は、ただいま勝又委員おっしゃいました寄付金収入に関しまして、そのとおりの記載がなされております。
#95
○勝又武一君 そのとおりですと、あるいは違いますというように、ぜひ簡略にお願いをいたします。
 そこで、この十一億九千七百三十四万三千二百三十円というこの数字は何でしょうか。内容はどういう内容でございますか。
#96
○政府委員(三角哲生君) これはいわゆる入学時寄付金の収入の金額でございます。
#97
○勝又武一君 これは公式の簿記的に言えばいろいろ議論はあると思いますが、五十二年度分だけなのか。五十三年度分も入っているのか。つまり五十三年度分として入学寄付金というのは二月、三月等に集められていると仮定をしましたら、本年の三月三十一日まででありますから、この数字に入っていますか、いませんか。
#98
○政府委員(三角哲生君) これは年度間の収入でございますので、いわゆる 入学時という、入学の時点との結びつきというのは必ずしも計算書類の年度と一致しないということがあり得るわけでございますが、私どもが調査をしたところでは、この金額の中には五十三年度入学者にかかる寄付というものは入っていないというふうに理解しております。
#99
○勝又武一君 そうしますと約十二億、この金額。つまり父兄からの寄付金が五十二年度に集められていた。そして、この公式の決算書に表示をされている、そのものだけでも約十二億になる。こう理解してよろしゅうございますか。
#100
○政府委員(三角哲生君) そのように理解されて結構かと存じます。
#101
○勝又武一君 次に、松本歯科大の過去の経緯についてお伺いをいたします。
 松本歯科大が設立されまして、つまり四十八年度以降五十一年度までの決算書には、この項目の寄付金は載っていましたか、いませんでしたか。私はこの決算書には一度も載っていなかったんではないかと思いますが、この点はどうでしょうか。
#102
○政府委員(三角哲生君) ただいまの御質問に対応する資料を現在ここに持っておりませんので、ちょっと明確なお答えがいたしかねる次第でございます。
#103
○勝又武一君 この四十八年度から五十一年度まで一度もあったかなかったかという程度のことは、これは局長の段階ですぐおわかり願っていてしかるべきだと思いますが、いまのお答えですので、これは私は一度もないというように、私の調査で判断をしてお聞きをいたします。
 警察の方にお聞きをいたします。
 昨年の十月三十一日、長野県警がこの松本歯科大の責任者を公正証書原本不実記載、同行使、私文書偽造、背任、業務上横領の疑いで書類送検をした。その内容は百八億の資産を八十四億と過小に記載し、その差額二十四億円のうち、十一億九千何百万かが理事会にも報告をされず、架空名義の口座で三億とか、四億とか分散して朝鮮銀行等に預金してあったという事実が明らかになり、そういうことに基づいて、この書類送検がされたというように私は承知をしておりますが、大筋で間違いありませんか。
#104
○説明員(宮脇磊介君) 御質問は、昨年長野県警察におきまして捜査をした事件を御指摘のことと存じます。この事件は、昭和五十二年七月二十一日、元松本歯科大学の理事の方から、当時の同大学理事長らにかかる公正証書原本不実記載罪の告発を受理いたしまして、捜査の上、同年十月三十一日告発事案に加えて、さらに判明した事実とも長野地方検察庁松本支部に送付並びに送致済みのものでございます。送付及び送致の罪名は、当時の同大学理事長らによります大学の資産等の登記に係る公正証書原本不実記載、理事会議事録を偽造した文書偽造、同行使、特定の学生等に対する授業料免脱等による背任、かつての医師法違反事件の弁護料を大学当局の会計から支払っていた業務上横領等でございます。
 なお、これらの事件につきましては、目下送付及び送致を受けました長野地方検察庁松本支部におきまして、さらに捜査中でございますので、具体的内容等につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
#105
○勝又武一君 そうしますと、大筋間違いないと思いますが、この事件が起きて、初めて父兄からの入学に絡む寄付金約十二億が明るみに出てきた、こう解してよろしゅうございますね、局長。
#106
○政府委員(三角哲生君) 実は、御承知のように昨年来医科歯科大学問題が非常に重大な問題として取り上げられました際に、私ども松本歯科大学についても調査をいたしまして、その相当部分については国会でも御報告申し上げたかと存じますが、その際いわゆる入学時寄付金なるものを、この大学が徴収していたということは調べてございまして、そしてそれまでも調べておりました数字と、さらにより多額の金額に上るものも徴収しておったというようなことが言われたわけでございまして、そうして、当時いわゆる二重帳簿といいますか、二重経理ということで、この大学に非常に責任があるということで、いわゆる再建の計画を指導したという経緯がございます。その際挙げられました数字といたしましては、百二十七億余りの金額を、昭和四十年以降五十二年度までに集めておったということを調査していたわけでございます。
#107
○勝又武一君 つまり、文部省への決算報告書では寄付金はゼロであったということが、この事件を契機にして大学の正式の会計にのせなければ、当然背任、業務上横領になる。そこでそれを逃れるためには、いままで架空名義口座、つまり裏金であったものを急いで架空名義口座から、正式の大学会計に振りかえた、こう思わざるを得ません。そこで、当然、この四十八年度以降、五十一年度までゼロであったのが、初めて五十二年度の決算報告の中で、寄付金十二億というのが明るみに出てきた、こういうように考えるわけです。
 そこで、五十二年度の寄付金の実情についてお伺いをいたします。
 文部省は、最近松本歯科大の理事長と責任者を呼ばれて事情聴取をされておりますが、新聞によりますと、大学側は、五十三年度の寄付金は集めていない、十月一日以降三十五億円の寄付目標を十二、三億に減額しても、これから寄付を集めたいと言っているとありますけれども、文部省もそのように理解し、承知しているのですか。
#108
○政府委員(三角哲生君) 簡単に申し述べたいと思いますが、前段の決算書類のことでございますが、ただいま現物が手元にないわけでございますが、私どもの資料によりますと、収支決算書に、昨年の夏の時点の、いわゆる不祥事件の際には、当該学校の収支計算上記載してあった金額が約百四億で、しかし実際の金額は百二十七億、そういう一種の二重経理ということでございまして、ゼロというわけではなかったかと存じます。
 それから、ただいまの五十三年度の問題でございますが、五十三年度につきまして、勝又委員のお話のように、新聞紙上にも報道されまして、私ども事情を調査したわけでございますが、ただいまのところ、学校側はそういった事実を否認をいたしておりまして、そうして募集の時期を十月以降とするということとか、募集目標額につきましても、約半額に縮小するというような説明を受けてございますが、私どもとしては、これらの説明ないしはこれらの事柄の理由づけ等について、必ずしも十分に納得のいくものであるというふうには考えかねておりますので、さらに事実の確認を進める必要があると思っております。
#109
○勝又武一君 納得がいかないのでさらに事実を調べるとおっしゃっていますが、それでは現在、二月段階、三月等で、この寄付金が強制されているという事実については、文部省はまだ独自で調査したとか、あるいはそういうことの事実を知っているとか、そういうことはございませんか。
#110
○政府委員(三角哲生君) 本年度入学選抜の実施中と申しますか、入学決定前にいわゆる父兄説明会といったたぐいの会合を持っておるという、そういう情報を得まして、その際は私どもといたしましては、学校側に事情の説明を求め、そのようないわゆる入学選抜の公正に疑いを持たしめるようなことを実施することはおかしいではないか、好ましくないのではないかという指導をいたしまして、それは途中で打ち切ってやめたというふうに理解をしておったわけでございまして、そのほかの事実については、ただいまのところいまだ了知するに至っておらない次第でございます。
#111
○勝又武一君 大学の側の状況を聞いて不審には思っているけれども事実は知らない、こういうことでありますので、私自身の調査で判明をしました具体的事実について申し上げます。
 もちろん住所、氏名、金額、月日、銀行名、振出小切手、手渡した大学経理課員の氏名も明らかであります。ただ、私は当事者が学生でありますからもちろん氏名の公表をするつもりはありません。しかし、文部省には具体的事実を知らないとおっしゃっていますので、それを明らかにする意味でこれを文部省にお渡しをいたします。
 いま文部省にお渡ししましたので、もし不明をかおかしいとか怪しいとか、うそだと思いましたら、もちろん文部省で直接確かめてくださって結構であります。
 ただいま文部省にお渡しした資料で明らかでありますが、仮にA君とします。このA君は中部地方のG市の人であります。S銀行振り出しの小切手を二月十八日つまり入学手続の日に大学に持参し、大学の経理課員のY氏、Uさんの二人に手渡したというものであります。この点について大臣いかがお考えになりますか。
#112
○政府委員(三角哲生君) 昨年の事件以来、昨年九月七日の管理・大学両局長名通知にも示しましたし、それから私立歯科大学協会でも申し合わせをしておるわけでございますが、入学の条件となるような寄付金を集めることは一切取りやめるということできているはずでございますので、このようなことが事実とすれば、この九月七日の通達にかんがみましても、それから私立歯科大学同士の申し合わせに照らしましても、非常に遺憾な事例であるというふうに考えます。
#113
○勝又武一君 遺憾とかどうとかでなくて、具体的にお聞きしているのですよ、私は。つまり、Aさんは入学のためにこの寄付金一千七百万円を小切手で大学にお渡しをしました。大学の経理課員が受け取りました。しかし、大学側は文部省に対して、寄付金は取っていないと言っている。管理局長もいまのようなお答えをしているんです。そうなりますと、正式の大学会計に寄付金として入金しているはずはないということになる。つまりAさんの一千七百万円はどこにいったんですか。
#114
○国務大臣(砂田重民君) 松本歯科大学につきましては、五十三年度の寄付金募集、入学者選抜方法等について、不適正な点があると文部省も考えたものでありますから、同大学の理事または副学長から数度にわたって事情の聴取をしてまいりました。しかし、細部にわたりまして、文部省として納得のできるだけの御説明がまだございません。そこで、詳細な事実、真実を把握しようといまも努めているところでございますので、いま勝又委員から御提示のありましたことについても、その中で学校に問いただし、調査をしたい、かように考えます。
#115
○勝又武一君 それでは警察の方にお聞きします。
 大学口座に入っていなければ、背任横領罪になると思いますが、どうでしょうか。
#116
○説明員(宮脇磊介君) 私立の大学の寄付問題につきましては、所管外のことでございますので、意見を差し控えさせていただきますが、ただいまのような事柄等につきまして、これが犯罪になるかならないかという点につきましては、もう少し具体的な事実関係を承知しなければなりませんので、さような点については、現在の時点では犯罪があるのかどうかということにつきましても、差し控えさせていただきたいと思います。
#117
○勝又武一君 あのね、こう聞いているんですよ。一千七百万円という小切手を渡したと、ところがそれを大学は受け取っていないと、こう言っているけれども、もしこの大学口座に当然――受け取っているわけですからね、受け取っているという事実はある、その前提として。それをもし受け取っていない、あるいは大学口座にも入れていない、こうなれば、当然背任横領罪になるんじゃないんですか。それが何でいまお答えできないんですか。どうしてもわかりません、それだけは。
#118
○説明員(宮脇磊介君) 犯罪が成立するかしないかということにつきましては、いつ、どこで、だれが、なぜ、どうのというようなことで、犯罪を構成する事実を確認しなければなりません。そういう点で、ただいまのお話、御指摘だけではいかんとも判断をしかねるというようなことでございます。
#119
○勝又武一君 私は、昨年の長野県警の捜査のことからいきましても、当然大学口座に入れておかなければ背任横領になるというところから、急遽大学口座に振りかえた。そして、寄付金十二億という決算を行ったという経緯から言っても、もうこれは当たりまえだと思います。そこで次に、私はいま具体的な事例を挙げましたが、新聞報道によりますと、たとえば「私も一四〇〇万円払った」という、こういう大見出しの「松本歯大寄付金で父兄が告白 銀行の隠し口座あて」というようなショッキングな記事もありますし、また「入試前に個別要求」「禁止通達を無視一千万円以上」、こういうような新聞報道が幾らでもあるわけですね。私は教員をやっておりましたし、長く教育運動にも携わってまいりましたので、いろいろの観点から調査もいたしました。Bは幾ら、Cは幾ら納めたという事実もほかにもよく承知をしています。しかし、事、教育上の問題でありますから、これ以上の事実指摘は差し控えますが、恐らく一千万から二千万の寄付金が、ほぼ全員からこの五十三年度についても集められていると類推ができるのであります。ことしは取っていないと言っておりますけれども、世上ではすでに三十億以上の寄付金が松本歯科大後援会とか、架空名義の口座で、つまり裏金として集められているというようにしか考えられませんが、この点はどうでしょうか。
#120
○政府委員(三角哲生君) 預かり金でございますとか、架空名義の口座で、一時お金をどこかに置いておくといったようなたぐいの一種のやり方と申しますか、そういうことで、表面から物事を隠しておるというようなことでありますれば、非常にゆゆしき遺憾なことであると考えまして、そのあたりにつきましては、先ほど申し上げましたように、なお事実の確認に努めたいというふうに考えておる次第でございます。
#121
○勝又武一君 歯科大学協会の申し合わせによりますこの学生納付金、つまりこれは昨年九月の文部省通達を契機に寄付金を廃止する、それにかわる措置としてこれがされたと思います。歯科大学のいわゆるこの学生納付金は、前年の約四倍に当たる平均八百七万円となっておりますし、松本歯科大は八百五十万円と大幅アップをした上で、しかも前年並みの入学寄付金を集めている、こうなりますと、全くもってこの協会の申し合わせば無視されているというように考えますが、この点はどうでしょうか。
#122
○政府委員(三角哲生君) 昨年度の通知の趣旨におきましても、本来医科歯科大学の経常的経費に充てるために必要なものは、やはり原則として学生納付金、あるいは経常費補助金、あるいは本来の自主努力による収入というもので賄うべきでございまして、寄付金とか学債は、やはり施設とか大型設備といったような特別のものに充てるために、真に任意の形で集めるということが基本線でございます。そういった趣旨で、昨年度は必要な経常経費を、どうしても必要なものは正規の学生納付金の形で明示するということで、ただいま勝又委員御指摘のように、五十二年度に比べますとかなりの高額の線まで正規の学生納付金として定めておるわけでございますから、もしそのほかにただいまお話しのようなぐあいで別途の寄付を入学に関連して収納しているとすれば、これは当時の通達ないしは歯科大学協会内の申し合わせ等の、いわば裏をかくような話になるというふうに理解いたします。
#123
○勝又武一君 これも同様でありますが、昨年の九月の七日の文部省管理局長、それから大学局長連名の御承知のこの通達がございます。この通達を、いま手元にもありますが、一つずつ拝見をいたしますと、この松本歯科大学の場合には何とこの項目のすべて、この通達のすべての項目を、遵守してているどころか全く無視をしている、こういうように私は考えざるを得ませんけれども、この点について大臣いかがお考えになりますでしょうか。
#124
○国務大臣(砂田重民君) 御指摘のような事実があるとすれば、昨年の九月七日の大学局長、管理局長名をもっていたしました通達の趣旨にも反くことであり、私立の医科大学協会の申し合わせにも反することでございます。私ども私学のこういう遺憾な事態が発生いたしましたときに、当然調査をいたしますが、私自身といたしましても、少しもどかしい気持ちがするくらいでございます。しかし、それはやはり捜査権を持たない文部省、調査権しかございません。しかし、それは学問の自由、大学の自治という大変重みのあることで、もどかしい気持ちをしんぼうしながら、粘り強く真相の追及に努めなければならない、かように考えるものでございまして、今後とも、きよう勝又議員が御指摘になりましたことも参考にさせていただき、事実の把握に懸命に努めてまいりまして、必要な改善の措置は強く要請をしてまいりたい、かように考えます。
#125
○勝又武一君 私は、去る八月二十九日の当委員会で、いわゆる国・公立の共通一次テスト問題について質問をいたしました。その際にも、八割以上の私学の入試改善を考えない、国・公立だけの大学入試改善ではだめだということを強く主張をし、意見を申し上げました。大臣の御見解も承りました。そこで、当然来年の入試を控えています受験生にとって、最重要時期ですね、いま。かかる時期に、このような私学問題が起きていることは、私は大変深刻な問題だと思います。そういう意味では、来年の入試を控えたこの時期に、文部大臣としてどうお考えなのか。去る、紛争調停法を参考にという意味の、たしかこれは九月二十三日の新聞だったでしょうか、拝見をしたこともございますが、大臣として特にこの受験生のことを真剣に考えた場合の、これに臨む御決意のほどを承りたい。
#126
○国務大臣(砂田重民君) 幾つかの私立大学の大変遺憾なあり方が、私学すべてに対する国民の信頼感を失なわせてしまうようなことがあっては断じてならないと思います。
 いま新聞の記事をお挙げになりましたけれども、それは必ずしも正しく報道をされておりませんで、私は何か法的な権限を文部大臣が持たなければというようなことを考えなければならない事態は困ることなんだという趣旨のことを申したわけでございます。私学みずからが、学問の自由、大学の自治、真の大学の自治を放棄するような行動は、国民の許すところではありません。そういう姿勢で、今後ともこういう誤った行動をなさる私学については、強い姿勢で指導、助言を進めてまいる、かように決意を改めていたすものでございます。
#127
○勝又武一君 文部省が警察と同じような捜査権がないという点は、これは理解できます。しかし、社会的にこのような問題を起こしていることに関しましては、後で福岡歯科大学のことにつきましても申し上げるつもりでおりますが、文部省として独自の調査ということは、もっともっと積極的に私はできることじゃないか、きょう私がおあげしたデータ等も当然調べることはできるでしょうし、たとえば父兄にいろいろ当たってみるというようなことも文部省の積極的な姿勢ではできるというように私は考えます。
 そこで、特にいま大臣の御決意を承りましたが、こういう事態が依然として解決しない場合には、これは委員長にも特にお願いをしたいわけでありますが、松本歯科大学の理事長である百束極氏、あるいは学監である加藤倉三氏、あるいは歯学協会の代表の方に当然やはりこの本委員会においでをいただきまして、十分ひとつ事態の究明を図らせていただくということを私としては特にお願いをしたいと思いますので、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
#128
○委員長(望月邦夫君) 理事会で検討しますから。
#129
○勝又武一君 大変な問題ばかりで、いやになるくらいの感じですよ。教育をやってきた私としては、全く遺憾にたえません。
 そこで次に、松本歯科大というのは、こういう乱脈経理だけでなくて、入学試験ですね、特にこれにかかわって学科試験の成績を全く無視して、受験生の合否を決めている。たとえば五十一年度の場合に、五百点満点で三百八十六点、この成績でも不合格、受験生中最下位から六番目の成績の九十二点の者が合格している、こういうことが学内関係者の証言でわかってきているわけです。トップの者が落ちて、最下位に近い者が合格をしている。全く一般の入試制度では考えられない、こういうことが横行しておりまして、当然このことがいわゆるやみ入学寄付金と結びついている。学内の有力者、政治家のコネと結びついて、合否の基準になっておる、こういうことについては、文部省も御存じでありましょうか。
#130
○政府委員(佐野文一郎君) 五十一年当時の入学者選抜のあり方がきわめて不適正なものであったということについては、私どもも承知をしております。
#131
○勝又武一君 いま警察庁の方がお帰りになると言いますので、ちょっとだけ福岡の問題で。
 松本の問題いろいろありますけれども、この福岡の歯科大学のまた乱脈については、まさに恐れ入っているわけであります。そこで当然これは、いま福岡の方はすでに捜査段階に入っていることでありますので、私がもうとやかく申し上げるまでもないと思います。いまの松本と同じように、合格ラインをはるかに上回って成績を取った受験生に対しても、点数が不足をしている、寄付金を納めてもらわないと入学はむずかしいと電話をして、寄付金の督促を図る、そしてもちろん納付金以上の寄付金を、数百万から一千万を超すというものを追加をしてさらに集めている、こういうことがいま福岡地検などの調べで具体的になっております。あるいは学科試験の成績は、学内の一部だけが知っていて、マル秘資料になっているのが、合否判定後すべて焼却をしている。お話にならないことばかりが続くわけであります。あるいは福岡の歯科大学の設立資金も、架空の寄付金であったというような事実、こういう事実がいま捜査段階ではありますけれども、軒並みに明らかになってきておる。大学の入学寄付金徴収機関であるこの会の担当者が、当然大学関係に移すべきこの会計から、総額四千四百万円を着服をしている、こういうことが幾つとなくこの捜査の段階で明らかになってきています。これらについて、警察の方もいらしゃいますけれども、文部省としてこの福岡歯科大学のこのような状況ですね、特にこれは先ほどの通達なり、申し合わせとの関連もありますので、どのようにお考えなのか。
#132
○国務大臣(砂田重民君) 福岡歯科大学で、昨年の文部省の通知にかかわりませず、高額の学債、予納金の事前収受による不公正な入学者選抜、また違法な聴講生の編入学等が認められましたことは、まことに遺憾なことであると考えます。これは理事者の学校運営に対します基本的に誤った姿勢、教学の責任体制の不備にその原因があると私どもは考えております。
 文部省といたしましては、理事長、理事、学生部長等の責任者から事情を聴取をいたしまして、事実関係を把握をいたしますとともに、十月十三日に理事体制の刷新、教学の責任体制の確立、入学者選抜方法の公正化等、八項目につきまして、今月中に具体的な改善措置をとるように求めたところでございます。同大学の文部省の方から要請をいたしました今月中にというその期限内に、文部省から求めた改善措置を大学がどのようにとっていくか、大学の再建が軌道に乗るように、その措置を見ながら強力に指導をしてまいりたい、かように考えております。
 八項目についての文部省からの要請等につきまして、詳細は担当局長からまたお答え申し上げます。
#133
○勝又武一君 警察の方。
#134
○説明員(宮脇磊介君) 警察といたしましては、実態の把握に努めまして、犯罪がありと思量されます場合には、これを十分に遂げてまいるという方針で臨みたいと思っております。
#135
○勝又武一君 先ほど私幾つか申し上げましたが、これ新聞紙上の問題ですので、いま警察としてどこまで進展しているのか、このことについて、少し具体的に明らかにしてください。
#136
○説明員(宮脇磊介君) ただいま御指摘の福岡歯科大の分につきましては、これは福岡地検の方に告発がございまして、福岡地検で捜査をしておるものでございます。
#137
○勝又武一君 内容です。
#138
○説明員(宮脇磊介君) したがいまして、福岡歯科大の件については、私どもとしては承知をしかねる、さようなことでございます。
#139
○勝又武一君 私は、いまのこの捜査の発展段階の問題で、これだけのものが具体的に判明をしてきているわけでありまして、ここをいま判明をし、そして、新聞紙上が伝えていることを見るだけでも、全くこの通達や申し合わせには一〇〇%背反をしている、これはもう大変な事態だというふうに考えます。
 そこで、こういうような事態の中で、福岡と松本と関連をしまして、私学全般にかかわって二、三お伺いをいたしたいと思います。
 いま文部大臣からありました、たとえば福岡の場合に、経営者総退陣を初めとする八項目の勧告で対処する、こういういま大臣の御見解がありましたが、たとえば福岡の場合にも、直ちに総退陣をすると、こういうように明確にはしていませんで、何か文部省にげたを預けたようなかっこうになっているというように受け取られますが、文部省としてはこの点はいかがですか。
#140
○政府委員(三角哲生君) 私どもまだ直接学校法人側から、先ほど大臣から申されました、わが方の要請に対する答えを受けておりません。相手側の私どもの要請に対する態度を十分確かめた上で判断いたしたいと存じますが、先ほど来御説明申し上げておりますように、私どもとしては極力大学の官治と申しますか、あるいは私学の自主性というものに立脚して対処いたしたいと存じますので、みずからの刷新と申しますか、再建と申しますか、その覚悟と方針を決めていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#141
○勝又武一君 文部省としましては、いままでの調査で背任横領とか、業務上横領とか、こういうような点についてはどう理解されているんですか。
#142
○政府委員(三角哲生君) 私どもも検察官当局側の調べを直接承っておりませんで、新聞紙上で見ておるわけでございますが、そのようなことが事実であるとすれば、これは学校法人の責任者としては、はなはだ遺憾な、あるべからざる事柄であるというふうに考えております。
#143
○勝又武一君 たしかこれはきょうの新聞報道でありますが、文部省「福岡歯大問題機に」「大学後援会も監査」というこの記事がありますが、私に言わせますと、大学後援会の監査にメスを入れると、これは当然だと思うんですが、全く文部省のやっていることが、後手後手の対策だというようにしか思われません。つまり、日常的に当然やっておくべきことが欠けていた、本格的な欠陥の是正というようなことが、文部省ともあろう方々が放置をされていた、こういうように指摘をせざるを得ません。
 そこで具体的にお聞きをしますが、監事がありますね。この監事という職責は何なんですか。私も承知しているつもりですけれども、この監事が役割りを本当に果たしていたんでしょうか。不正が生じないようなチェックをするというようなことを監事はやっていたんでしょうか。監事の任務を果たしていたんでしょうか。この点はどうですか。
#144
○政府委員(三角哲生君) 後援会の監査につきましては、後援会というのは、まあいろいろなものがございまして、これまで学校のある種の事業を支援するために、後援会というものの存在があったわけでございますが、いわゆる入学時寄付金だけを扱いますような、一種のいわばトンネル的な後援会といったものは、そもそもそういったものの存在自体も好ましいものとは思われませんし、したがいまして、私どもただいまそういったものができるならば廃止して、学校法人が直接に経理を行う方が好ましいと存じますが、後援会のようなものにつきましても、ただいま申し上げたような性格のものについて、監査の手が及ぶことが望ましいわけでございますので、ただいま、目下、学校法人の監査に当たっております公認会計士協会と相談いたしまして、検討を依頼をしておるということでございます。
 それから次に、監事についてでございますが、監事は学校法人の役員として二名以上を必ず置かなければならない必置の職でございまして、その職務権限といたしましては、私立学校法におきまして、学校法人の財産の状況の監査、理事の業務執行の状況の監査、それから学校法人の財産の状況、あるいは理事の業務執行の状況について監査の結果、不整の点のあることを発見したときは、これを所轄庁、または評議員会に報告する。それからこの報告のために必要があるときには、理事長に対して評議員会の招集の請求をする。それから財産の状況、あるいは理事の業務執行の状況について理事に意見を述べるといったような権限を持っておるわけでございます。これはやはり私学法の基本である自主性を重んずるために必要なことでございまして、監事による自主的な内部監査によって、さらには公共性を確保するということでございますので、監事にはただいま勝又委員がおっしゃいましたような機能が期待されておるわけでございまして、昨今の福岡歯科大学に見られますような状況にかんがみて考えますとき、監事が必ずしもその必要な機能を十分に発揮をしていたというふうには言いがたいものがあるというふうに考えておる次第でございます。
#145
○勝又武一君 この松本歯科大の監事名簿というのがあります。これでお聞きします。設立時は松本歯科大の監事は歯科医師の方と公認会計士の方のお二人です。この公認会計士の方は公認会計士としての職責を果たされていたんでしょうか。それが一点です。
 それからもう一つは、すぐに監事がかわっておりますね。三名の監事の方のうちの一名は歯医者さん、あとのお二人は大建設会社の相談役と顧問の方ですよね。こういう方は本当にこの松本歯科大学のこのような不整に対する、監事としての職責が果たせるような行動をやっていたんでしょうか。つまり、監事としての能力のあるそういう人をこそ監事として選ぶべきじゃないのか。肩書きだとか、形式的だとか、学校にきわめて密接な関係があるとか、こういうことで非常にイージーに、安易に監事の選出がされる。監事の責務が、日常的な仕事がされていなかったから、大変こういう事態の発見がおくれている。こういうように指摘せざるを得ませんが、この点はいかがですか。
#146
○政府委員(三角哲生君) 監事の人選につきましては、やはりその職責を遂行するに十分な識見、能力を備えていなければならないということは、勝又委員の御指摘のとおりでございます。ただ、学校法人の役員の選任につきましては、やはり当該学校法人の責任において行っていただくというのが基本でございますので、個々の学校法人において、十分にその各役員の職責の重要性を認識して人選をし、選任をしていただきたいというのが基本的な立場でございます。
#147
○勝又武一君 第一点はどうなったんですか。つまりね、私の言いたいのは、やや勘ぐりだと思うかもしれませんけれども、事実を言ってください。設立時は公認会計士という方が監事になっておる。この方はいつまで監事をやっていたのか。つまり設立時だけは公認会計士の方で、後は歯医者さんと建設会社の相談役と顧問になっている。もしこの公認会計士の方が、やっていた期間に、この不整の問題がこの期間中にあったとすれば、この公認会計士の方の公認会計士としての職責とどうかかわってまいりますか、これを明らかにしてください。
#148
○政府委員(三角哲生君) この松本歯科大学設立当初は、いまの経常費補助の仕組みから申しまして、補助金を受ける対象になりません関係上、いわゆる法律に基づきます公認会計士の監査ということはなかったと思うのでございますが、しかし、通例歯科大学のような大きな学校法人が設立された場合には、そういった法律上の要請がなくても、公認会計士による監査を行うということが行われておる例が多うございますし、この学校についてただいま事実関係をはっきりと資料を持ってございませんが、通常、しかし公認会計士の監査を入れます場合には、当該学校の役員以外の公認会計士の方に、当該監査を依頼するのが本来あるべき姿でありまして、監事という職責はそれとは別個に、学校法人内部の監査機構と申しますか、内部監査機構として存在すべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
#149
○勝又武一君 松本の場合、同様に理事の方のお名前を拝見をいたしますと、文部省との関係でお聞きをするんですが、理事の中に参議院議員の方もいらっしゃる。それから特に建設会社の役員の方もいらっしゃる。それからこれは福岡の方を見ますと、福岡歯科大の設立時の理事の方の中には元文部大臣、元文部事務次官の方も、いらっしゃるし、衆議院議員の元大蔵政務次官の方もいらっしゃる。これはもう文部省よく御存じと思いますが、こういうことについてはそのとおりですね。
#150
○政府委員(三角哲生君) ただいまのお話のとおりでございます。
#151
○勝又武一君 この文部省と深い関係があったと当然だれもが考えます政治家の方が、福岡の歯科大学には関係している。そして先ほどから指摘をいたしましたように、寄付金の額、あるいは政治家とのつながり、そういう人たちが、特に成績の順序からいきましても、上位の者が落ちて、下の者が入るという先ほど指摘したことともかかわってきている。こういうことについて、私は文部省に重大な責任があるというふうにも思うわけです。これらについてはどうお考えですか。
#152
○国務大臣(砂田重民君) 両大学の役員等に政治家が入っておられること、私も承知をいたします。大変気になることでありますから、そういう方々と文部省との間に何かの接触があったかということを事務当局にも十分調べさせたわけでありますけれども、一切そういう接触は文部省とはございません。
#153
○勝又武一君 私は正直に言いまして、先ほど松本のところでも理事長と学監の参考人としての本委員会への御出席を、こういう事態が解決しないならぜひお願いをしたいということを申し上げました。この福岡歯大につきましても全く同様でありまして、こういうことを速やかに解決することが、来春の受験期を控えての重大な文部省の責務だと考えますが、もしこういうことがいつまでも続くようでしたら、当然この福岡歯科大学の最高責任者の方々に、松本歯科大学と同様に本委員会に御出席を願って、事態の究明に当たらしていただきたいというように考えます。これはぜひ、この点も委員長にお願いいたします。
#154
○委員長(望月邦夫君) 理事会で相談させていただきます。
#155
○勝又武一君 それではこの問題にかかわって二、三お伺いをいたしますが、つまり私学の問題が、私先ほど触れましたように、日本の大学の八割以上に及んでおる、こういう中での問題でありますだけに思うわけです。つまり、能力があっても金がなければ進学できない、能力は劣っていても、金があったり、特定の権力者と関係のある者は大学に進学できる、こういうばかげたことが行われていいのかという問題でありますね。こういう問題については、そういう意味で、大学の入試改善を含めて、この抜本的な改善を図らない限り、国・公立のこの共通一次テストの改善だけでは全く入試改善にならないというように思います。そういう点につきまして、いわゆる教育の機会均等、こういう点からも、私学の振興助成の問題なり、あるいは抜本的なこの私学の入試制度の改善なり、こういう点について、文部大臣のひとつ具体的な御見解を承りたいわけです。
#156
○国務大臣(砂田重民君) 入学者選抜方法の公正が守られないというようなことは、教育基本法に言うところの「機会均等」に弓引く行為でございます。許されることではありません。福岡歯大のことにつきましても、文部省が要請をいたしました八項目の改善について、いずれの項目についても文部省としては一切の妥協する気持ちは毛頭ございません。あの八項目の要請を大学側が文部省の要請どおり、指導助言どおりの措置をしてくれることを期待をいたしているものでございます。私学の助成につきましては、勝又委員も御承知のように、五十三年度予算で相当な改善ができたわけでございますけれども、私学振興助成法の精神が一〇〇%達成できたものとは、率直に私は考えておりません。五十四年度予算におきましても、さらにこれの充実については、懸命に努力をする決意でございます。
 入学試験のあり方につきましては、国・公立については共通一次入試を、初めてこの問題と取り組むわけでありますけれども、八割にも及びます私立大学の入試選抜のあり方についても、私学の各団体の中で、積極的なこれが改善方策についての取り組みを期待をいたしますとともに、そうあっていただかなければ困るという指導助言は今後も続ける決意でございます。
#157
○勝又武一君 この松本、福岡を初めとしまして、私学の問題につきましては、もっと時間をかけて検討したい問題がたくさんあります。しかしきょう、もう一つ緊急に和歌山市の教育委員会の管轄で起きている問題がありまして、この問題を特に二、三承りたいので、この松本と福岡の問題はまた別途、先ほど申し上げましたように、事態の解決しない限り、先ほど言いました方々を参考人として喚問をしていただきまして、本委員会でさらに明らかにしていきたいというように思いますので、次の問題に移ります。
 そこで、和歌山の問題ですが、実は和歌山市教育委員会がストライキに参加した教職員の氏名を公表するという事件が起きまして、市の教育が混乱をしております。これは四月の二十五日午後三時以降行動開始というものでありまして、実際の参加時間は二時間、あるいは一時間、あるいは三十分以下という程度のものであります。そこで、五月二十五日にすでに法律上の処分である戒告は、組合役員二名、参加者は文書訓告という処分を受けているのであります。一般的にはこれで終わりであります。ところが、このいま和歌山の市の教育委員会が、参加者全員の氏名を公表するということを言い出しましてから事件が発生したわけであります。市の教育委員会が、この参加者の氏名を実際に公表したのは、七月の二十七日であります。これは前代未聞の事件であります。問題は、その前に参加者の氏名が漏れ、特定の者が参加者の氏名をビラに印刷をして一般の人々に配布をしました。ここに写真もあります。教育委員会、あるいは市の中心街に、大きな看板で、参加者全員の氏名を掲示したのであります。現物の写真がここにそれぞれありますが、特にわかるのはこれですね、ここにありますが、大変な大看板です。これは執行官が撤去したのでありますけれども、撤去するまた立てる、撤去するまた立てるで、四回にわたってこれ立てられたと、こういう事実でありますが、こういう事実について文部省は御承知でありますか。
#158
○政府委員(諸澤正道君) 御指摘のその立て看板に、スト参加者一覧を記載して掲示したという件につきましては、そういう事実があったこと、それに対して仮処分の申請があって、撤去されたこと等は、教育委員会からの報告で承知いたしております。
#159
○勝又武一君 教職員のこのストライキの参加につきましては、違法である、違法でない、これをめぐりまして両論があります。御承知のように裁判所で係争中であります。私はきょうはこの基本議論に触れるつもりありません。この基本議論は別といたしまして、実は私も二日ほど現地に行ってまいりました。事実を調査してまいりました。全くこの教職員が大変な迷惑を受けているのであります。参加した者がもうすでに教育委員会から文書訓告といういわゆる処分を受けているのであります。法律上の処分ではありませんが、受けております。それにもかかわらず、社会的にその処分以上の処分を受けている。ごらんください、この写真。まあ封建時代、江戸時代の街角でのさらし者ですね、さらし首。これよくありました、徳川時代に。この街角でのさらし者扱いにされている、これは余りにも行き過ぎと言うようにお考えになりませんか。行政として許される範囲、許容される限界というものが私はあると思います。明らかにこれを越えていると思うのであります。このようにしてまで、この社会的な制裁を加えるということは、余りにも酷だというように考えますが、この点はいかがでございますか。
#160
○国務大臣(砂田重民君) こういう立て看板が立ったことを、行政に許される範囲というお言葉がございましたけれども、私は行政の場にある人たちが、そのような立て看板を立てたとは聞いておりません。経過等を初中局長から一遍御説明したいと思います。
#161
○政府委員(諸澤正道君) それでは、先生現地で御調査なさって十分御承知と思いますが、簡単に私どもが承知しております経緯を申し上げますと、ことしの春闘の一環として、四月十五日にストをやるということで、その前に、教育委員会としては校長等を集めて、どうしてもストをやるなと、そっちに非常に力点を置いたんですけれども、もしやるようなことがあれば今度は名前を公表することがあるぞと、こういうことを言うたようなんです。そこで、実際には、ふたをあけたらストをやったと。そこで、いま御指摘の立て看板というのは、七月の七日を皮切りに、何度か分けて教育正常化促進委員会という団体の名前でスト参加者が公示されたと、こういうことのようでございますが、これは、和歌山市の教育委員会に聞きますと、この団体の存在自体を大体自分らは知らないんだと、こういうことでありまして、この行動とは別に、市の教育委員会が校長やPTA会長会の際に、このスト処分者名一覧というものを印刷して渡したのは七月二十七日になっております。そして、その後PTA等の要望もあって、単にPTA会長のみならず、PTAの役員の方にも、九月十一日に至って、その名簿と処分をした経緯を書いた市の広報を配った、こういうふうに承知しておるわけでございます。
#162
○勝又武一君 いやいや、経緯は私よく知っているわけです。ですから、これを市の教育委員が立てたとも言っておりません。それもよく知っているんです。ところが、まさに徳川時代のようなさらしものの扱いに結果的になっていることは事実ですね、だれがやろうとも。
 そこで、こういう教育委員会というのは、すでに文書訓告という処分を行っている。一般的にはこれで終わりであります。ところが、市の教育委員会が参加者の氏名を公表するということを契機にして、その他の人がビラを配ったり、立て看板を立てたり、四回もこれは和歌山市の市役所の前、最大の中心街に立てられている。こういうことは余りにもひどいではありませんか、余りにも行き過ぎではありませんか。文書訓告を受けたということをもって、これは教育委員会としてはそういう処分がされれば、それをもって足りるんじゃないか。余りにもひどいとお考えになりませんか、こうお聞きをしているわけです。
#163
○国務大臣(砂田重民君) 和歌山市の教育委員会が承知してないと言われる団体が、そういう立て看板を立てた、それを文部大臣どう思うかという御質問でありますけれども、ちょっと検討さしていただきたいと思うんです。それは一方表現の自由という問題もありますから、文部大臣としてどう考えればいいのか、これはちょっと検討させていただきたいと思います。
#164
○勝又武一君 私はこれはまさに教育行政上の人権的な、人道的なミスだというふうに考えます。と申しますのは、公務員の身分保障の原則、人権の侵害、団結権、不当労働行為、こういうことを一々あげつらう気持ちもきょうはありません。しかし、実は石川県で、これは教育委員会ではありませんが、一般の方が氏名を公表するという事件が確かにありました。そのときには、日本弁護士連合会が、全くこれは行き過ぎだという警告をしているのであります。そこで私が言いたい意味は、街角でさらしものにされるというような、こういう社会的な制裁、−社会的な制裁ですよね。これはお認めになるでしょう。これが徳川時代のように街角に立っている。まさに社会的な制裁を加えられている。このことは文部省もお認めにならざるを得ない。これは和歌山市の教育委員会が参加者の公表ということを言い出したのを契機にして発生した。事実、局長のおっしゃるように、PTA会長とか、校長会とか、そういうのに和歌山市教育委員会が正式に公表したのは七月二十七日。後ですよね、ずれてますよね。ところがその前に、ある者によってこれが漏れて、そしてビラになったり、看板になった。和歌山市の教育委員会が氏名公表ということを言い出さなければ、そういう事件は起きなかった。こういうことについて、そういう影響を及ぼしたということについては、私は行政官としてもそういう意味での越権行為だと、そういうことを結果として生み出したということにつきましてね、こういうことを言っているわけです。この点はどうでしょう。
#165
○国務大臣(砂田重民君) 行政の場の者としてという御指摘でございますけれども、私どもは、さっき勝又委員、両論あるとおっしゃいましたけれども、行政の場の私どもとしては、教員のストは違法だという見解の立場に立つものであります。したがいまして、和歌山市の教育委員会がやりましたことは、七月二十七日の校長会とPTA会長会との合同会議において、一般にいわゆる公表したのではなくて、PTA役員並びにPTA会長に、スト参加者の氏名の一覧表を配付をしたのでございます。
 立て看板のことについて、和歌山市教育委員会がやったものではない、したがって、和歌山市の教育委員会も、文部省としても承知をしてない団体がやった行為を、その判断を勝又委員から求められましても、これはちょっと検討をさせていただかなければ、即答いたしかねます。
#166
○勝又武一君 それでは、こういうようにお聞きをいたします。
 大臣にお伺いしますが、市の教育委員会の教育長としての主要な任務は、私は教育条件の整備である、そして教育を行う人々の和を図ることにある。この点は大臣と全く見解が同じになると思いますね。教育の主人公は子供である。子供や父母に悪い影響を与えることはできるだけ少なくするように心がけるべきだというように思います。
 そういう意味では、出発の気持ちは別にして、このような教育現場を混乱させ、いたずらにいま社会的に混乱を引き起こしている、こういう事態については、好ましいというようにはお考えにならないと思いますが、この点は大臣、いかがでしょう。
#167
○国務大臣(砂田重民君) 教育長、教育委員会がやらなければならない心構え、いま勝又委員がおっしゃったところは、全部同感です。しかし、教育現場に混乱を起こさないようにする教育長の努力の中に、違法ストをやめてくれという努力も含まれると、私はそう思います。
#168
○勝又武一君 いまの大臣の最後のところは、大臣の御見解でしょう。しかし、くどく言っていますように、さらしものですよ、だれが何と言おうと、この写真にありますようにね。これは余りにもひど過ぎるんじゃないか。このぐらいのことは検討しなくても、大臣、余りにも行き過ぎている、ひど過ぎている。法律的な議論は別ですよ。
 それから、市の教育長が、ストライキに参加をしてもらいたくないという気持ちを持っている。これも市の教育長として私はどうこう言うつもりはありません。だから、その辺だけは、大臣どうなんですか、これは市の教育長がやったとは言いませんよ、こんな事態を引き起こしていることだけは、せめて好ましくないんじゃないでしょうか。
#169
○国務大臣(砂田重民君) 文部省と直接関係のないことであって、そういった事態をどう思うかと言われて即答いたしますのを私がちゅうちょしておりますのは、やはり憲法に保障された表現の自由というものを、私は憲法を大切にしますから、やっぱりそこら辺のところもひとつ検討をさせていただきたい、こうお答えをしているわけでございます。
 なお、その事態について、和歌山で警察がいま調べているようでございますので、その結果も待ちたいと思います。
#170
○勝又武一君 短い時間ですから十分に言えないのが残念でありますが、実はビラを配ったり、立て看板を立てた者を、市の教育長は勇気ある行動だとほめそやしているわけですね。市の教育委員会が公表する前に漏れているわけです。そうして、これを勇気ある行動だとほめているんです。県の教育委員会の態度は、私二日行きましたが、行政的な責任回避ともとれる向きがあるわけです。
 そこで、こういうような場合に、県の教育委員会はどういう方針をとったらいいんだろうか、どういう方針をとるのが県の教育委員会として最も妥当であるだろうかという点について、文部省としてはどうお考えですか。
#171
○国務大臣(砂田重民君) スト参加者の訓告等は市の教育委員会の権限、責務でございますから、その県全体の教育事情を承知をしていなきやならない県の教育委員会ですから、まずは県の教育委員会は和歌山市の教育委員会から事情を聞かれるべき筋合いのものと思います。
#172
○勝又武一君 局長と御相談されて大変お苦しい答弁をされていますので、これ以上の追及はやめます。
 そこで、質問時間もちょうどなくなりまして意を尽くしませんが、私は、以上のような混乱を起こしているのは、教育現場にとってきわめて好ましくない、速やかに解決してほしいと思います。もちろん告訴、告発等、市の教育委員会の公表前に漏れた事件について、人権侵害、あるいは名誉棄損、秘密を流した、そういうような問題についての公務員としての地公法上の秘密を守る義務、いろいろな問題が派生しておりますね。そういう問題があるのはよく承知をしておりますが、私はこういうようなことは速やかになくして、やはり子供を主人公にした、教育の現場に混乱を起こさせない、子供や父母にこういうことでつまらない不生産的な議論がたくさん出てきている、こういうことを速やかになくしてもらいたいというのが私の個人的な念願です。
 しかし、もし今後も依然としてこういう事態が続くような場合がありましたら、私はその場合には当然、当面の責任者であります和歌山市の教育委員会の教育長、あるいはその関係者、さらし看板を立てた方とか、県教委の責任のある方々とか、ぜひこういう方々に当委員会においでをいただいて、問題解決に当たるべきだと思いますので、このこともまた委員長に御要望して質問を終わります。
#173
○白木義一郎君 前国会に引き続きましてインターナショナル・バカロレア、略称IBについて若干お尋ねをいたします。
 IBに関するロンドン会議に初出席をされた文部省の大塚審議官の話によれば、わが国は各国からその加盟を大変強く迫られたと言われております。今後のわが国と世界各国の関係を考えますと、各国のわが国の加盟を要請することについては、当然とも言えますし、わが国もこのことについて、積極的にこたえるべきであるということは言うまでもありませんが、それ以来文部省としては、この問題についてどのように検討されたか、まず御報告をお願いしたいと思います。
#174
○国務大臣(砂田重民君) もうバカロレアのことで御説明する必要はないと思いますが、バカロレアの問題につきましては、三段階の問題があると思うのです。まず第一に、資金参加をすること、資金を拠出をして、バカロレアの機構にわが国も参加をするということがまず一つ。それから、IBの各国にあります参加国国際学校の卒業生を日本の大学へ受け入れるということが二つ目。三つ目に、日本にあります国際学校にもIBへの参加を勧誘をしていくPRの問題。三つの問題があろうかと思うのです。
 これは段階的に進めていかなければなりません。資金参加をしようという決心はいたしました。五十四年度概算要求の中ですでに要求をしているところでございます。財政当局の理解を得て、五十四年度で資金参加の実現を図りたいと考えております。それから第二番目の、IB参加国の各国際学校、その中から日本の大学への進学を希望する者が増加してまいることが予想されますので、それを受け入れよう。受け入れようという方針は、姿勢は決めております。しかしそのためには、国際学校の修業年限でありますとか、入学資格であるとか、卒業要件でありますとか、IBのカリキュラム、あるいは試験、事務局の組織運営等の実情を承知しなければなりませんので、そういったことについて在ジュネーブの国際機関代表部員を通じまして、現在調査をしているところでございます。いまそういう調査段階であります。受け入れようという姿勢は決意をいたしましたものの、調査段階でありますから、日本の国内にあります国際学校のIB参加を求めていくというところまではまだいってないわけであります。
#175
○白木義一郎君 そこで、この参加については大変文部大臣が積極的だと伺っておりますが、私どもの感じでは、各国に比べますと非常におくれてきた。それは、閉鎖的であり、非常にわが国の硬直的なために、IB参加におくれてきた、まあそういうように感じているのですが、このIBに参加するきっかけとなったのは、中国が、いまお話の中にありました修業年限の二ヵ年という差の問題について、中国の学生が日本へ留学する資格として、何とかこの問題が検討されないかというようなことも含めて、今後において検討されるというようなところまで参りましたけれども、非常におくれたように思うのですが、その辺について、その背景、お考え等をお聞かせ願いたいと思います。
#176
○国務大臣(砂田重民君) IBのことを私どもが検討をし出しましたのは、中国の留学生問題に火がつく大分前のことでございます。先生いま御指摘の大塚審議官をIBに派遣をいたしましたのも、大分前のことでございまして、やはりIBの存在はおぼろげにしか知らずにおりましたので、IBというものの実態をよく承知をしたいと思ってIBの総会に大塚審議官を派遣をしたわけでございます。中国の留学生問題でIBに火がついたわけではございません。確かに中国の留学生の問題は、まだ白木委員から続いて御質疑があると思いますけれども、大学入学までの学校の制度、年限等の問題は一つのまだ解決していない問題点として残しております。IBについても同様なことが言えるかと思いますので、そういうことがあるので、いま調査をしているわけでございます。
#177
○白木義一郎君 いずれにいたしましても、文部省、特に文部大臣がこのIB参加に対して積極的になられた、大変結構なことだと思いますが、いまもお話がありましたように、国民全体に対しては、大変PRが不足をしておるということば、いまお話しいただいたとおりですが、今後の、おくれを取り戻すという意味で、政府としてこの国際大学入学資格検定制度、IBの普及について本腰を入れていただきたい、このように思うんですが、そのPRの面も含めて、大臣の推進方に対するお考えを伺っておきたいと思います。
#178
○国務大臣(砂田重民君) 先ほどお答えをいたしましたIBの活用のことについて、基本的な姿勢は決心をいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたようなことをいま調査をしておるわけでございますから、実情をしっかり把握をいたしましたその後で、PRを始めるべき筋合いのものと、こう考えております。
#179
○白木義一郎君 そこで、この十三日に東京に日本IB情報センターが設立されまして、発会式が行われたようでありますが、これはスイスのIB本部の窓口として、今後の活動が期待されているわけですが、当然文部省もこのIB情報センターの活動に、積極的に応援をすべきである。かつまた大きくその利用をしていかなければならないと思いますが、具体的に、現在の段階において、情報センターに対してどのように政府はお考えでしょうか。
#180
○政府委員(篠澤公平君) ただいま先生御指摘のように、九月一日でございますが、九月一日を期してという表現で、太田垣幾也という方が、日本IB情報センターを設立するということについての、実は文部省に対しまして、私どもに対しましても設立のごあいさつというレターをいただきました。先般、どういう仕事をするかにつきまして、本人に文部省に来てもらいましてお話を伺ったわけですが、まだざっくばらんに申し上げまして、一つ内容がはっきりしないと申しましょうか、IB制度の紹介、あるいは普及等の事業を行うということでの御説明はいただきましたけれども、詳細についてはまだはっきりつかみかねておる面がございます。なおまた、情報センターが設置されまして、たまたまイギリスからピーターソン教授がお見えになるというときに、あわせて御披露したということもございますけれども、事務所の方はまだ太田垣先生お一人でいろいろ調査をしておられるという段階でございますので、なお今後のセンターの活動を見守った上で考えていきたいと、このように思います。
#181
○白木義一郎君 いまお答えになったとおりだと思いますが、いずれにしても大変な、参加各国から見ると立ちおくれているような現状で、今後この情報センターの育成といいますか、応援については文部省も大いに力を入れるべきじゃないかと、このように考えております。先ほど大臣は、資金参加を決意をしたと、五十四年度の概算要求をされた、こういう御答弁ですが、この参加公認をいつごろなされる予定ですか。それからその資金参加の額、また今後の国会の国・公・私立大学に対する指導等についてのお考えをお述べいただきたいと思います。
#182
○国務大臣(砂田重民君) 財政当局が私どもの要求を聞き入れてくれまして、年末と予想される予算編成の中に、一万五千ドルのこの拠出資金が認められ、来年の国会でその予算が成立をいたしました後に、正式に参加するということに相なろうかと思います。そういう時期までに私どもの各様にわたります調査を何とか済ませたい、こう考えているわけでございます。
#183
○白木義一郎君 ぜひひとつ予算要求を取り上げ、通過をされることを切望いたします。
 次には、参加いたしますと、将来の問題ですが、わが国の教育行政との絡み合いでいろいろな問題が起きてくると思いますが、やはり現段階においては、このIB参加について、またこの制度活用については、主体性、また弾力性を持って対処していくべきだろうと思いますが、先ほどもお話がありましたように、諸外国との学校制度の違いがあります。それについては文部省として省令改正、学校教育法の改正というような問題について、お考えになっていらっしゃるかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。
#184
○国務大臣(砂田重民君) 当面、学校教育法の改正について考えておりません。それは年数が足らぬではないかという御指摘でございますが、私どもそういうふうに聞いておりますけれども、いずれも明確に実はなっていないわけでございます。たとえば、これは違うことのようですが、留学生の数にしても、二百と伝わってきたり、五百と伝わってきたり、千と伝わってきたり、中には一万人の留学生をというふうな話も伝わってまいってきております。直接、先般日本においでをいただいた教育代表団から伺ってみますと、大学院段階におきます研究生も、明確な数字のお示しはありませんでしたけれども、協議の過程を経てわれわれがつかめ得た数字は、四百というところではないかと思うわけでございます。学校の制度についても実はきわめて明確に御説明があったわけではございませんで、五・三・二と言われますけれども、それがどこまで定着していることであるのかということも、まだ不明な部分が大変多いわけでございます。バカロレアの参加各国のバカロレア参加の学校についても、また同じようなことが言えるわけでございますから、明確なデータをつかみたいと思って、いま調査をしているところでございますから、その上で調整、検討を加えるべきものと考えております。したがって、当面、直ちに学校教育法の改正等というようなことは考えておりません。
#185
○白木義一郎君 現段階では大臣としてはそういうお答えしかできないだろうと思いますが、私の考えでは、この学校教育法の十二年間の問題については、あくまでも国内的な問題として発生した規則じゃないかと、このように思います。ところが、いま現実問題として中国の問題、国際学校の問題という問題が大きく焦点を当てられた時点においては、この辺を十分国際的に世界的な立場に立って考えるべきじゃないかと、こういうように思いましてお尋ねをした次第です。
 そういうことで、この学校教育法施行規則第六十九条の中に、大学入学資格検定の規定がありますが、これについて簡単に御説明を伺いたいと思います。
#186
○政府委員(佐野文一郎君) 大学入学資格検定は、御案内のように、高等学校を卒業していないなどの理由によって、大学に入学する資格をお持ちでない方に対して、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定をする、そういう趣旨で実施をしているものでございます。毎年一回、国が各都道府県ごとに試験場を設けて実施をいたしております。合格者となるためには、規定の十三科目ないし十五の科目に合格することが必要でございます。五十二年度で申しますと、受験をいたした者が二千八百三十五名、合格をいたした者が一千百五十九名、合格率が四〇・九%、こういった状況でございます。
#187
○白木義一郎君 そこで、そういったような規定がありますが、今後このバカロレアに参加した場合に、どうしてもこの問題が世界各国との入試資格について取り上げられなければならないと思いますが、いずれにしても、いま大臣がおっしゃったように、研究不足、資料不足というようなことで、はっきりしたお考えを伺うことば無理だろうと思いますが、これもひとつPRのうちと考えて、今後のIBに臨むお考えを、大臣は大変積極的だということを伺っておりますんでお尋ねをするわけですけれども。
#188
○政府委員(佐野文一郎君) 国際学校の出身者も、いま申し上げました大学入学資格検定を受けて、わが国の大学に入るということは制度的には可能でございますが、実際問題としては、いま行っている大検の内容からして、国際学校の出身者が、これによって大学入学資格を得るということは困難だと思います。したがって、先生御指摘のように、いわゆるIBに合格した者について、大検とは別途にわが国の大学入学資格を与えるかどうかということが課題になるわけで、それについて、先ほど来大臣から申し上げておりますように、さらにIBの内容について調査をし、検討をした上で、IB合格者に大学入学資格を与えるための学校教育法施行規則の改正ということを考える、そういう段階に進んでいくわけでございます。
#189
○白木義一郎君 そこで率直にお尋ねしたいんですが、これはあくまでも将来のことなんですが、この制度に来年度の予算が認められて資金参加になり、加入したと。いよいよ国際的に加入するという、その最初の加入の国立大学は、一説によると筑波大学であろうというような風説もありますか、いかがでしょう。
#190
○政府委員(佐野文一郎君) IBに資金参加をするということと、IBをわが国の大学入学資格の上に導入をするということは、事柄が先ほど大臣がお答え申し上げましたように別でございます。資金参加については、すでに概算要求をいたすべく財政当局に要求をしているところでございますけれども、IBを大学入学資格の中に取り入れるということを、学校教育法の施行規則の改正によって実施をいたしましても、それはIBの合格者に一般的にわが国の大学への入学資格を認めるということであって、具体的な各大学の入学試験というのは、それぞれ各大学が実施をする、その入学試験に合格をするということが必要になるわけでございまして、IBについて、それを大学入学資格として認めるという制度を開く、それを受けてわが国の国・公・私立の大学が、大検に合格した者と同じように、それを、それぞれの大学に受け入れることが可能になるというそういうことにとどまるわけで、特定の大学がIBと対応するというようなことではないわけでございます。
#191
○白木義一郎君 当然資金参加とIBに加入するというのは制度的にもまた別だろうと、そんなことは当然のことですが、局長さんは賛成の立場ですか。私はこの質問を、文部省は可及的にこの問題に参加すべきだという考えのもとに伺っているわけですけれども。
#192
○国務大臣(砂田重民君) 佐野大学局長は私の指示を受けて、きわめて積極的に取り組んでくれております。
#193
○白木義一郎君 どうですか。
#194
○政府委員(佐野文一郎君) 大学を国際的に開かれたものにしていくというのは、これからの大学に課された大きな課題でございますし、そういり意味で、入学資格の問題についても、できるだけ積極的に対応を考えていかなきゃならぬと、そのように考えております。
#195
○白木義一郎君 ただこの新聞報道を見る限りでは、文部省がこのIB制度に関心を持った動機が、海外の帰国者子女の大学受験問題の打開にあったようだと。もし今後もこのような姿勢だけを持ち続けるならば、他の諸外国、加盟国と歩調の乱れが生ずることが懸念されます。要は広く教育の国際自由化という目的に照準を合わせるべきだと思いますが、いま大臣並びに大学局長、大変積極的だということを伺って、この杞憂は消えたわけですが、そこで、このIB事業への参加ということになりますと、当然留学生の受け入れ等の問題がたくさん出てまいります。宿舎の問題等、先ほどからも文部省は大変その受け入れ体制を整えていると、こういうお話を伺ったわけですが、今度は外国人の立場に立った場合に、外国人の留学生にとって最大の悩みは、日本語の習得、また宿舎問題だと、これが大きな問題だろうと思いますが、日本語の学習について、科学的、体系的な方法がわが国では確立していないように思います。で、私たち日本人は、これまで外国語の習得には大きな努力を続けてきているわけですが、外国人にこの難解な日本語をいかに習得をさせるか、また、勉強をしてもらうかということについては、余り積極的ではなかったんじゃないかと、このように承知をしておるのですが、この外国人に日本語をしっかりと習得してもらうという問題について、どのようなことをお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしておきたいと思います。
#196
○政府委員(篠澤公平君) 外国人の留学生に対します日本語の教育問題につきまして、二点についてお答えを申し上げます。
 一つは、その教育の方法等の問題についてでございますが、数年前に国立国語研究所に外国人のための日本語を研究する施設ができたことは先生も御存じかと思います。そこでは、たとえば母語別による教授法、その他のことについて鋭意調査研究を進めていると、それから、外国におります外国人の日本語教師の再教育も行うということで、調査研究を進めておるわけでございます。それと別に、具体的に留学生として参ります者に対する日本語教育は、これもすでに御案内のとおりに、学部学生につきましては東京外国語大学の附属日本語学校で一年間、これは学部留学生でございますし、研究留学生につきましては、大阪外国語大学の留学生別科で六ヵ月間集中的に日本語教育をするというたてまえで、その内容の充実等には平生意を用いているところでございます。
#197
○白木義一郎君 次に、これは当委員会で私からお尋ねをした問題ですが、この中国の留学生を受け入れるについて、指紋をとらなければならない、こういう問題について、若干この前お尋ねしたわけですが、文部大臣は、当時はまだ友好条約締結というようなところまでいってませんので、きわめて事務的に法律をあくまでも守っていくんだというような御答弁でしたけれども、現実問題として、日中友好のいよいよスタートに入ったという段階について、この問題もう一度お考えを願った方がいいんじゃないかと、こういうように思うわけです。
 そこで、先般衆議院の予算委員会で、公明党の方からこの問題をお尋ねをしたわけですが、改めてもう一度日中友好条約がスタートしたと、いよいよ自主的にこれから日中両国が友好関係を深めていかなければならないという時点に立って、この中国人の指紋をとられるということについて、非常な抵抗があるということは御承知だろうと思いますが、何とかこれも解決をしておかないとならない、こう思いまして、再びお尋ねをするわけです。
#198
○国務大臣(砂田重民君) 三日から十三日まで日本に滞在をいたしました中国教育代表団と文部省との実務的な会談の席でも、他の国からの留学生と同様の取り扱いでやってくださいということでございますから、日本の現行制度を中国の側も理解をしてくれたもの、かように考えるわけでございます。
  〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
#199
○白木義一郎君 その際、具体的にこの指紋の問題が取り上げられているわけじゃないと思うんです。大枠でそういう意思が交換されたんだろうと思うんですが、今後合同委員会等で、だんだんだんだん実質的な問題に触れた場合に、当然出てくる問題じゃないかと思うんですが、あるいは中国の方が大きな立場で、まあそういうことにこだわらないというように出てこられた場合に、むしろわが国の政府としては、メンツを重んじる中国の人たちに対して、特に政府はこの問題について積極的に解決をすると、いわゆるほかの外国人はこの問題についてさほど抵抗を感じてないようですが、中国人はそういう伝統的な抵抗を感じるようですので、交渉の過程の中で、友好という立場から何とか先手を打って、この問題の解決をすべきじゃないか、こう私どもは考えているわけですが、民族の長い伝統というもの、習慣とかそういうものは、なかなか取り去れないと思うんで、むしろ政府の方から実は指紋をとっていただくようになっているけれども、引出物ということもありますし、その辺お考え願えたらと思うんですが、いかがでしょうか。
#200
○国務大臣(砂田重民君) いずれの国の留学生の取り扱いについても、一切差のない取り扱いをしていきたいと、このように考えておりますので、同時に現在二十在名ばかり来ております中国の留学生は、いまの指紋のことも理解をして、手続をした上で日本に留学をしているわけでございます。そのことを先般の中国の教育代表団も十分御承知のことでございましょうから、先ほどお答えをいたしましたとおりに、他の国からの留学生と同じ取り扱いで結構という言葉が出ましたのも、大国としての日本の風習、日本の法律を理解されてのお話であったと考えておるわけでございます。
#201
○白木義一郎君 衆議院の予算委員会では、外務大臣はこの点について、この際よく文部大臣とも協議をしていくというような答弁をされておりますが、そういう御相談をされたことありますか。
#202
○国務大臣(砂田重民君) 外務大臣の答弁は、中国からの留学生の問題全般について、文部大臣と協議をするとお答えになりました。私はそのそばにおりました。もしも、この指紋の問題だけで協議を外務大臣がなさるんなら、私じゃなくて法務大臣であっただろうと思います。
#203
○白木義一郎君 法務大臣の答弁は、まるっきり話にならぬ、ボーン・ヘッドといいますかね。大先輩ですから、なかなか時勢、時流に対処していくというのは、立場上も無理じゃないかと思いますけれども、こういう点は人情的にも人間的にも非常に微妙な点があるんで、外国も一部調べてみましたら、先進国はやっていないところが多いというようなこともありますんで、ひとつ文部大臣、この際、日中問題を含め、留学生問題も含めて、こういう壁も少し穴をあけていただきたいと、こう思うんですが、最後にひとつ。
#204
○国務大臣(砂田重民君) 心情的には白木先生がおっしゃること私にはよくわかるんですけれども、やはり本当の友好親善関係というのは、お互いの立場をしんから理解し合うところからスタートをすると思います。日本の外人登録法の指紋登録が、犯罪に絡んでのものではないことを十分理解をしてくださっておればこそ、先般の教育代表団と文部省との実務者会談の席でも、そういうような御要求はなかったのではないか、こういうふうに理解をしております。
#205
○白木義一郎君 この法律は、成立はやっぱり犯罪に絡んだ問題としてでき上がっている、成立の過程はですね。まあ、それはいまだんだんに薄まってきているようですが、ちょっと前時代的じゃないかと思うんですがね。まあ心情的にわかってくだすったからこれでやめますが、ひとつそういう心情的なお考えを持っていらっしゃるなら、なおさらひとつ機会があったらお考えいただき、推進をしていただきたいという希望を申し上げまして、私の質問を終わります。
  〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
#206
○小巻敏雄君 まず、文部大臣に御質問申し上げます。
 本国会は、有事に関する立法制度の問題が非常に大きく問題になったわけであります。衆議院の予算委員会で福田首相は、有事の研究については単に防衛庁だけではなくて、政府全体として取り組むというふうに答弁をされたわけであります。また、本年度の防衛白書を見ますと、その中に、緊急事態に際しては、有事立法だけではなくて、運輸、通信などとあわせて教育関係に至るまで国防上の配慮を加える必要があるということも述べておるわけであります。その点に関連をしまして「国防」という雑誌を見ますと、この中に対談がありまして、防衛審議官と軍事評論家の間で苦心談が書かれておるわけですけれども、関係各省庁との意見の調整を終わったと、非常に骨を折ってやった結果が、この防衛白書に盛り込まれているんだ、こういうふうにも書かれておるわけであります。文部大臣は、防衛、あるいは有事立法に関して、文部省の果たす役割り、教育の果たす役割りということについて相談をお受けになり、これに意見を出されて、かような方向が進んでおるものと受け取れるわけですが、どういう状況でございますか。
#207
○国務大臣(砂田重民君) そういう御相談を受けたことは一遍もございません。
#208
○小巻敏雄君 文部大臣に相談をせずに、教育問題をだれに相談をしてやっておるのか、ゆゆしい問題だと思います。この件については、ひとつこういう各省庁の意見取りまとめ、教育に関して国防における配慮をするというようなことが、連絡済みのものとしてこの雑誌等にも出されてくる、「国防」に書かれてくる、首相答弁も関連して受け取られるということではゆゆしい問題でありますから、その点については、今後に問題を留保しておきたいと思います。今後の機会に、ひとつ責任を持って文部大臣の目の届くところで、こういう問題は厳格にやっていただきたいと思うわけであります。
 特に、三次防以来、教育に国防上の配慮を加えて、そして有事への環境整備を図るというようなことは、防衛庁関係の文書にはしばしば出てくるわけであります。これが言葉だけで内容がないものであるということになれば、それはそれで問題であります。
 そこでお伺いをするわけですけれども、いまの時点で文部大臣は、有事研究、すなわち戦時体制下における状況想定のもとにおいて、文部省に一体役割りがあるのか。国防上文部省は、文部大臣は教育上に配慮し検討すべき事柄があるのかないのか、考えを聞かしていただきたいと思うんです。
#209
○国務大臣(砂田重民君) 先ほどもお答えをいたしましたとおりに、国防についてどういう御相談も受けたことが一遍もありません。そうして、いま小巻議員か御発言になりましたような問題、まさに政治問題でございます。政治から教育の中立を守るべき責務を負います文部大臣が、そういう政治的なことを積極的に私の方から申し出ていく気持ちは毛頭ありません。
#210
○小巻敏雄君 前海部文部大臣のときには、三原防衛庁長官が、ひとつ君が代は国歌にするようにしてもらうというようなことも放言をされまして、海部文部大臣に聞いたら相談は受けなかったと言われたのでありますけれども、従来から君が代ということで学習指導要領に記載されてあったものが、国歌君が代というふうに直されておる。大臣に答弁を聞くと、従来と処置は一つも変わりませんと言われるようなこともあったわけであります。話を伺っておると、文部大臣はどうも教育上に国防上の問題が反映していくプロセスの中では、圏外にあるかのごとき話になっておると、――積極的にやってくれというのでは決してありません、その反対でありますが、これは憲法を守り、教育基本法を守る上からも、厳正に対処をされなければならぬ問題だと思うわけであります。その頭の上を素通りをしまして、首相の発言、あるいは歴代首相の発言等、教育勅語問題で、国民にさまざまな影響を落としているわけであります。まあ文部大臣自身は、教育基本法を中心にして教育をやっていくという答弁を前回にされましたし、教育勅語については、いいところもあるというようなことも言われましたけれども、これを中心に据えるとなれば、ゆゆしき大事というような答弁もされておるわけでありますが、その発言と正反対に、いわば勅語問題について前委員会で文相発言についてもお伺いをしたわけでありますが、それを先取りするかのように、実は八月三日のことでありますが、香川県で一つの問題が起こっておるわけであります。
 香川県教育センター次長と言えば、私はこれは県教育委員会の禄をはむ、いわば教育行政に関する職員であろうかと思いますが、これが香川県香川郡大野小学校というところで、夏季道徳教育研修会ですね、ここで、題目は現在当面する教育の諸問題という題名でもって講演をやったと。その講演の中で、今日の道徳教育も、戦前の修身教育も同じことであってよろしい、戦前の修身、道徳教育は、いま適用してもちっとも間違いはない、いまの先生が道徳教育に熱心と言えないのは、教育勅語と修身教育に関する罪悪感があるからだ、こういったふうなことを述べて、地元紙で問題になり、有識者から指弾をされるというような状況が起こっておるわけであります。この件、文部省では承知しておられますか。
#211
○政府委員(諸澤正道君) 担当課でその事実について、県の教育委員会に照会をいたしました結果を御報告申し上げますと、いまおっしゃったような道徳教育の研究会で、教育センター次長の東原という人が、教育勅語に関連して発言をしたわけでありますが、ただいま先生が御指摘のとはちょっと違うんですけれども、要するに、現在学校教育というものが知識教育に流れ過ぎておる、もっと道徳教育にしっかり取り組まなければいけない、その道徳教育を振興するためには、研究として戦前の修身教育も十分知る必要があり、そのためには教育勅語の内容も研究する必要があるんだと、こういうような発言をし、それが地方紙に取り上げられたということでございますが、教育委員会として本人を呼んで真意を確かめたところでは、自分の言おうとするところは、道徳教育の振興を図るためには、道徳教育の観点から教育勅語を研究してみる必要があるということであって、教育勅語を礼賛したり、復活させる意味で述べたものでない、こういうことでございました。
#212
○小巻敏雄君 もし本人からそういう報告が県教委を通じてなされたとすれば、本人自身には公然化されればけしからんことだという罪の意識があったのかと思うわけであります。その研修会に参加をした人のノートから出てきて問題になった内容は、そんな生やさしいものじゃありません。教育勅語の内容は、昔も今も日本だけでなく、外国においても変わらない徳だと、こういうふうに言っております。教育勅語の中には、確かに「之ヲ古今二通シテ謬ラス」、「之ヲ中外二施シテ悖ラス」と、こういうふうに書かれておるわけですけれども、そのことは間違いなく言われておるわけであります。昔も今も通用し、日本だけでなくて外国においても変わらない徳だというふうに文部省としては考えられますか。その点をお伺いしておきましょう。どうですか。
#213
○国務大臣(砂田重民君) 少しロジックに混乱があると思います。教育勅語を研究するとか、教育勅語を対象にして議論をすることには誤りがある。それは教育勅語というものは昭和二十三年に衆議院において排除され、参議院においても失効決議をもって、もう消滅をしているものでございます。立憲君主国家の時代の教育の根幹に据えられた教育勅語が現憲法下の民主国家の中で通用するものでは絶対にありません。ですから、教育勅語がどうだとか、教育勅語の内容を研究するとか、そういう考え方は誤りがあると思います。しかし、教育勅語の中に書かれていた人間の情愛、人間の一倫理観というものが、今日教育基本法を基盤にした教育の中でも、「真理と正義を愛し、」とは、その中は何であるか、個人の価値を尊ぶと書かれている、それはどういうことを意味するのか、そういう人間の倫理、人間の情愛、人間の連帯感、こういう教育勅語以前からの人間の持っているべき好ましき資質として、その資質そのものを論議するのが私は正しい教育議論であろうと考えております。
#214
○小巻敏雄君 総理の発言は、何も福田首相に始まったことではなくて、朝鮮戦争の前夜、吉田首相の教育勅語――修身のあった昔と今日の問題以来、天野文相あるいは池田首相の時期からもずっと続いてきて、特に、有事が論じられるということになれば、教育勅語が論じられるというような相関関係になっておるのは、少なくとも文部大臣の言われるような筋からしても憂うべきことだと私は思っておるわけであります。特にこの問題については、県に照会をされたということで、無難な報告が上がっておるようですけれども、現地では、少なくとも当事者は教育行政の重要なポジションにあって、教職員を恐らく集めて道徳研修会を行ったであろう場所で、この道徳教育というものが、あるいは修身、教育勅語に対して今日の先生が罪悪感を持つのはイデオロギーに毒されておるとか、こういうことを申しまして、現在の道徳教育にも従来の修身を適用して差し支えないというようなことを言うのは、それは軽視されるべき問題ではないと思うわけであります。
 私は修身の本をその際に明治以降ずっと読んでみたのですけれども、小学校の二年生というようなものに対して、これは大体大正末期生まれの人まで習った修身の本だと思うんですけれども、「キゲンセツ」というので一体何を子供に教え込んだのか。「ワが國ノダイーダイノテンノウヲ、ジンムテンノウトマウシアゲマス。ソノコロ、ワルモノが大ゼイヰテ、人人ヲクルシメテヰマシタ。テンノウハ、ワルモノドモヲゴセイバツニオ出力ケ」になりました。奈良県民のことでしょうかね、悪者というのは。どうなんでしょう。和歌山、大阪の一部をも含む、土地の大王でない、いわば曾長のような小さな部落共同体の中の人たちでしょうか。「ワルモノ」というわけで、「オタヒラゲ」になりましたと、こういうようなことを小学校の二年生から、科学的でもありませんし、教え込んでいくというようなものが、いまでも生きておって差し支えがないと言うような人は、私は今日の教育者たる資格があるのか。一々挙げる煩にたえませんからこのくらいにしておきますけれども、この点は厳重に注意をしていただきたいと思うわけです。
 時間も限られておりますから、私は先ほどの勝又委員に続いて、和歌山で起こった問題について少しく文部省の見解をただしておきたいと思うんです。私ども現地については、つぶさに調査をしたつもりでおります。文部省の方はどのぐらいの連絡をとり、相談をした上で状況を把握されておるのかわからないのですけれども、先ほどからついぞ勝又委員に対しては一反論のごとき答弁をされておるわけでございますので、お伺いをするわけです。
 ストライキに参加をした者の氏名、行政機関が外部に発表をするというような方法をとった例は、ほかのところにありますか。
#215
○政府委員(諸澤正道君) いままでそういう例は聞いておりません。
#216
○小巻敏雄君 いわば前人未到の仕事をやるというようなことですが、市教育委員会ですね、これは県教委と相談してやったのかどうか、あるいは文部省は相談を受けた上で、一定の準備をしてやったのか、その辺のところはいかがですか。
#217
○政府委員(諸澤正道君) 先ほどもお話しましたけれども、事の発端は、四月二十一、二十二日の校長会で、県の教育委員会当局が二十五日のストをぜひやめるようにしてくれ、もしやめない場合には氏名公表もありますよということを話したということでございますが、その段階では文部省は知っておらなかったわけでございます。二十五日ストがありまして、その後、先ほどお話がありましたが、正常化促進委員会等で立て看板が出されるというような動きがあったようですが、その前にストについてこういうことを、氏名公表をやりたいというような連絡があって、それについて法的に問題があるかどうかというような質問はあったようでございます。それからまた県当局に対しましても、その経緯は市の教育委員会の方から、まあその都度でしょうか連絡しておったように、これはまあ私ども当事者でありませんから、具体的にはわかりませんけれども、連絡はしておったというふうに聞いております。
#218
○小巻敏雄君 要するに七月二十七日ですか、これを小中学校の校長会とPTAの会長、PTAの役員を集めて、これに対して発表するという以前には相談がなかったということですね。
#219
○政府委員(諸澤正道君) 発表をする以前に、発表をしたいと、ついてはその発表することに法的に問題があるだろうかというような質問はあったそうでございます。
#220
○小巻敏雄君 文部省はどう答えたわけですか。
#221
○政府委員(諸澤正道君) その点につきましては、文部省としては法的に見た場合に、発表すること自体に問題はないであろうというふうに答えております。
#222
○小巻敏雄君 文部省のだれがどういう責任でそういう答弁をしたのかわかりませんけれども、いつやったのかもわかりませんが、私はゆゆしい問題だと思うわけです。それに力を得たものかどうかわかりませんが、市の教育委員会は九月九日付で、通常は教職員全員に数千部を配布しておる市の「学校教育広報」という発刊物を利用いたしまして、これをPTAの幹部、役員あるいは会員、また学校長等に送り届けたものがあるわけです。これはまあ九月九日付で事後のものだから御存じと思うわけですけれども、この中には、「文部省見解」というサブタイトルを付して、「教職員組合の反対に対して 法的にも問題ないスト参加処分者氏名公表」というようなものがございまして、名誉棄損罪で多分攻撃してくるだろうが、名誉棄損罪には当たらないというようなことがしきりと書
 いてあるわけでございますが、これが大体文部省の見解であるわけですか。
#223
○政府委員(諸澤正道君) その点は、市の教育委員会の広報に載ったのは、ある教育雑誌の記事でございまして、それに文部省見解と書いてあったそうでございます。しかし、そのことがはっきりしましたときに、こちらでも調査しましたが、別に文部省見解としてそういうことを教育雑誌に載せたことはないということでありますんで、それは文部省見解ではありませんよということを市に連絡をし、その後、市はその部分は訂正削除したというふうに聞いておるわけでございます。
#224
○小巻敏雄君 そうすると、ここに書かれた教育長が正式に発行をしておる教育委員会の出版物ですね。定期出版物です。これは百八号特別号として出されておりますが、ここに教育長の冒頭の文章を初め、次長の文章、PTA会長の文章、校長会長の文章というようなものと並べて出された文部省見解というものは、これは文部省の見解ではないわけですか。
#225
○政府委員(諸澤正道君) 繰り返しますが、文部省見解ではございません。ただ、その後それについて県の方からこういう見解――見解というか意見はどうであろうかということで、その中身はいまお話がありましたように、氏名を公表することが刑法上の名誉棄損になるかどうか、あるいは民法上の不法行為になるかどうかというような点の解説であり、文部省の担当課としても、そのような見解を持っておりますという返事はしておるようでございます。
#226
○小巻敏雄君 少なくとも文部省の見解でないものを、文部省の見解と偽って、少なくとも市の財政の中から出費された文書で公表したというようなことは、これまた小さい問題でないと思うわけです。この是正の確認はされました。
#227
○政府委員(諸澤正道君) どの段階でそういう発表をしたか、詳細には存じませんけれども、それは削除をしてくれということで、市の方も削除しますということで是正をしたように聞いております。
#228
○小巻敏雄君 それは是正をしたと聞いているんではなくて、是正をすると約束をしたと聞いておるわけですね。その結果どんなふうに是正をしたのか聞いておらないわけでしょう。どうなんですか。
#229
○政府委員(諸澤正道君) 具体的にどういう方法かということは、詳細は承知していないそうでございますが、削除をしたという報告は受けているそうでございます。
#230
○小巻敏雄君 実はそれが何をしたのか決して言わないし、校長も知らないし、PTAの会長も知らないから、私は教育次長に会ったときに、その問題を詰めて聞いたんです。これは文部省の見解ですかと。私が見たところでは、少なくとも書かれておる部分は「学校経営」という一民間の出しておる雑誌に書かれておる文章と一言一句違わない。それでは「学校経営」の無署名の文章が文部省見解であるということになれば、これはかなり問題だから文部省で詰めますと言ったら、実は訂正しましたと言うのです。訂正をしたのはどのように訂正したかと言うとこう紙を持ってくるんです。校長連絡――幸いこの文章には非常に誤植か多かったとみえて、たとえば罰金と書くべきころを罪金と書いた、これを訂正しますというようなのを五項目挙げて、その中に文部省見解という五字を削除いたしますというのが入っておるわけですね。それだから、文部省見解でないものを文部省見解と書いたということも何にも明らかにしないで、誤植と、うっかり間違った活字がここへ飛び込んできたかのごとくしてこの五項目の誤字、脱字の訂正文の中にこれを一つ書き入れているわけですね。それではこれを配布先の方に渡されたのかということを改めて聞いてみますと、どうも校長にもPTAの会長にもよく通じていないのであります。中には電話でもらったような気がするというのもあれば、この文章を見たような、見ないような気がするということで、出すときほど熱心には訂正はしていない。しかも自分のやったこのよろしくない行為を、周知させるようにやっていないわけです。この点は、こういうことが引き続き行われては相ならぬと思うわけですから、きっちり文部省の見解でないものを文部省の見解というふうに取り扱ったことを訂正するんだ、これは少なくともこの文書を配布した範囲に確実に徹底されなければならぬと私は思うわけですけれども、そう思われるのか思われないのか。思われるなら、その点結果まで見届けるという約束をしてもらいたいと思うんです。どうです。
#231
○政府委員(諸澤正道君) 文部省見解でない文章が「文部省見解」というタイトルをつけて発表されておることはやはり事実と違いますから、御指摘のようにさらに市の教育委員会の方に連絡をして、撤回方の周知徹底について一層努力してもらうように連絡をいたします。
#232
○小巻敏雄君 実はこの雑誌に載った文章は、一校長の名で、市の教育委員会がこのスト参加者氏名を公表することは是か非かという質問に答える形で書かれておるのであって、六月号に載っておりますからね。鋭意この文章を利用して文部省見解と称して、そうして市のPTAの役員などを洗脳の道具に文部省の名をかたって使ったに違いないのでありますから、その点ははっきりと決着をつけてもらいたいと思うんです。皆さん方はこの「学校教育広報」というものをごらんになったことありますか。どなたか見ていますか、どうですか。
#233
○政府委員(諸澤正道君) 私も先般見ました。
#234
○小巻敏雄君 それじゃ、ごらんになったということなら話は通じやすいと思うわけですけれども、ここには冒頭にこの職員氏名公表というかつて行政機関が一つも行ったことのなかった方を取り上げるに当たって、その意義が強調されておるわけですね。このいわば例のない参加者教職員の氏名発表ということは何を目的にして、どういう効果をねらって行われたものであるか、この点についてどう把握しておられますか。
#235
○政府委員(諸澤正道君) 私がそれを読んだり、報告を受けたりして、総合的に判断しますところでは、教育委員会としては、一つにはその氏名を公表してくれというような一般の父兄、父母等の要望にこたえ、そして発表することによって、参加をした先生全般に今後を自粛していただくということを期待したことであり、さらには教育長の談話でしたか、あの中にもあったかと思いますけれども、ストに参加をする先生についてこれを見るならば、一人一人の先生の中には、自分では大して参加するつもりがなくても、引きずられて、ストだから出ろと言われて出ていく先生がいる。そうして、その後に仄聞ではあるがと書いてありましたけれども、たしかそう書いてありました。仄聞ではあるけれども、中には出ろとおどかされて出る人もあるように聞いている。そういうことでは本当に困るので、いまの学校の先生は、やはり自分で自主的に物を考えて、ストに出るにしろ出ないにしろ自分で判断してやるべきだ。そういう責任を持った態度というものをやってもらうためにも、やはり教育委員会はこの名前を発表しました、そういうふうに言っておりましたから、私はそれがその発表の理由ではなかろうかというふうに見たわけでございます。
#236
○小巻敏雄君 ずばり言って、ストライキというのは違法行為だが年々参加しておると。これは参加者を減らすために、スト参加者がなくなるためにやるというふうにずっと言ってきておるわけであります。そのことは聞いていませんか。
#237
○政府委員(諸澤正道君) この点はたしか和歌山市は小学校の方はここ四、五回のうちに大分参加者が減ってきております。しかし、中学校の方は依然として同じような数だということで、ぜひその参加者をなくしたいという希望を持っているということは書いてございます。
#238
○小巻敏雄君 どうも普通の読み方をされたらそんなたくさん答える必要はないと思うんです。これは間違いなく県教育委員会がここに書かれてあるところを読み取っていきますと、全員戒告してもらいたいという市の教育委員会の意に反して、わずか二名戒告、あとは文書訓告ということにしたので、懲戒効果が不十分だと。したがって、懲戒権は県だけにしかないから、市の方では懲戒権がないから、制裁を加える方法をこの道に求めた、こういうふうになっておるわけであります。冒頭の文書を読まれたでしょう。泣いて馬謖を斬る、馬謖というのは何ですか、これは。むずかしい字でありますが。
#239
○政府委員(諸澤正道君) 中学校で習った漢文を思い出しますけれども、正確ではございませんけれども、要するに支那の話で、せっかくの自分の忠良な臣だけれども、規律を破った者はこれを切り捨てた。そしてその全軍の秩序の維持のために愛する部下を殺したということだというふうに聞いております。
#240
○小巻敏雄君 これは少なくとも教育者でなくて、軍人であることは間違いありませんね、馬は。切ったのは諸葛孔明であります。諸葛孔明はペスタロッチと違って教育者ではないんですよ。軍人が軍の規律のために、自分の愛する部下を死刑にした。これにならって私は諸葛孔明として馬謖も含めて、和歌山県教組の先生の名前を公表すると言うておるのでありますから、これは間違いなくこの軍事規律を例に引きまして、そして罰を与えると、こういうことが冒頭に出てくるので、読まれたでしょう、これは。それでその次にはそのことをもって県に対する批判とするということですね。県は文書訓告というような軟弱な方法に落として戒告をやっていない。これは文書にも明らかです。もし参加者全員の戒告が行われれば問題はなかった。しかしながら、行われなかったので公表をした。間違いなく処分権のない地教委が処分という方法をこの公表ということによって達成をしようとして行ったものだ。こういうふうに見るのが普通の見方であります。やむを得ない氏名公表。法に照らして厳正な処置のできない本県においては、次善の措置として、参加者氏名を公表し、教師の自主性を期待し、同時に責任を感じてもらいたい。行った行為に責任をとらせるというのは懲戒の内容であって、これは県が行うべきことであり、市が行うべきことでない。だから監督権という職権を乱用をして、公表という行為を選択をした、こういうふうに私は読むのでありますが、いかがですか。
#241
○政府委員(諸澤正道君) 私は職権を乱用したというふうには思わないのですけれども、市の教育委員会はおっしゃるように任命権がございませんから懲戒権もない。そこで、職務の服務監督をする立場において、ストという違法行為をした先生方に注意をします。そういうことをしないようにしなさいよという注意をします。それを文書でやったのが訓告でございます。そこで通常の場合であれば、それを一般に発表するということはしていないわけですけれども、和歌山市の場合、教育委員会においてもこれまで、ここ二、三年のうちに数回のストがある、幾ら注意してもストをやめない、これは親の立場からいってもはなはだ困るという要望が非常に強い。そこで、その先生方の名前をこの際、決して教育委員会の談話等見ましても、進んでというよりも、これはやむを得ない措置だ、やむを得ない措置だけれども、今後のストをなくすためにこういうことをしましたというのでありますから、私はそれを肯定せざるを得ないというふうに考えております。
#242
○小巻敏雄君 人事に対する処置というのは、県が統一をして取り扱うというのが、これが通常懲戒ばかりでなく、人事について行われている今日の教育行政のあり方なんですね。百歩譲って、公表という行政上の行為が、行政が公表するのですから、正当と考えたら市の行うべきことは、県に意見具申をして、県の判断で全県に整合性ある行為として、それはそういう行為をとるかどうかを私は建議するか、意見具申をするべきであったと思うわけであります。なぜなら、和歌山市のスト参加率は小学校において五十数%、中学校において七十数%、他の田辺市その他他の地域はおおよそ九〇%等なのでありますから、この点についてもしそういう正義感に燃えて適法にそれを進めようとするなら、意見具申権を出すのがもっともなやり方だったと思うけれども、どうですか。
#243
○政府委員(諸澤正道君) おっしゃるように懲戒処分をするということであれば、これは市の教育委員会はできませんから、内申をして県の教育委員会において全県的立場において処分をしてもらう、こういうことになるわけでございますが、その点については和歌山県としては、単なる参加者は懲戒処分にはしない、こういう方針であったようであります。そこで市の教育委員会の立場は服務監督権者として、しかしいま申したように、和歌山市としてはこの訓告をするのだ、注意をするのだという立場に立ってやったわけでありますから、それは懲戒処分で必ずやるべきだということにはならないんではないかというふうに思います。
  〔委員長退席、理事世耕政隆君着席〕
#244
○小巻敏雄君 いや懲戒処分でできなかった後で、訓告になった者を氏名発表するとしても、県が統一をしてその氏名を発表する方が、よく趣旨にかなうのではないか、市は意見具申権を持っておるのでありますから、意見具申をするのが真っ当な行政上におけるやり方だ、もし県が統一的に考えてやらないということになれば、それに従うのが市町村の教育委員会の当然な姿ではなかろうかと思うわけであります。ところが、実際問題には、文部省には跳躍をして相談したけれども、県に対しては――私は県教委とも、まず筋をただして県教委から先に事情聴取しましたからね。県教委にはこの点相談があったかと言うて聞きますと、七月二十七日当日、夜校長とPTAを集めて、その直前に教育長がほかの者は暑くて皆上着を脱いでおるのだけれども、かみしもを着るように上着を着て、緊張して、投げ捨てるようにそのPTAに発表する封筒に入った文書を置いていった、あれは通告であって相談はありませんと、県教委に対しては、いわば敵対的感情もあるのか、一切相談をしないで発表をしておるわけであります。これは行政と行政は相通ずで、どっちかといえば、県教委は議会等に対しては、市教委の立場を庇護する発言をしておりますけれども、この「学校教育広報」では県教委に対しては非常に行政的な非難を加えているわけです。軟弱な措置であると、昔の措置の和解をして、そして学校の中での融和と、それから正常性の確保をねらっておる。しかし、これはまず違法を行うものを処分するのが先決だというようなことを書いておるわけです。この行為は、明らかに一つは面当てと申しますか、県教委の人事方針に対して反対意見表明としても行われておると、こういうことを言わなければならぬ。とうてい妥当なこととは言えない。それが背後から文部省が支援をしたことになるわけですね。県教委に対抗するためには文部省の権威を借りなくてはならぬから、偽りの「文部省見解」というようなものをここに書き入れておるわけであります。
  〔理事世耕政隆君退席、委員長着席〕
ところが、文部省の態度には問題があるんです。それは差し支えなかろうというようなことを、県の頭越しに一市教委に対して、どういう係官が言ったかしれないけれども、そういういわば指導を行った。ここで私はお伺いをしますが、内閣法制局の方に、一体市教育委員会には制裁の意図をもって、行政行為をする権利があるのかないのか、懲戒の問題と、あるいは訓告の問題等について、法制上はどうなっておるのか、ここで明らかにしてもらいたいと思うのです。
#245
○政府委員(味村治君) 地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりますと、いわゆる県費負担職員に対します懲戒権は、これは都道府県の教育委員会が持っておるわけでございます。したがいまして、市町村の教育委員会は懲戒をすることはできないということになっております。しかしながら、市町村の教育委員会は、この県費負担職員の服務を監督するという職務権限を持っております。「服務を監督する。」と申しますからには、適正な仕事を職員がやっていただくように指示監督をするということでございますので、仮に職員が何らかの職務上の義務に違反するような行為でもありました場合に、今後はそういうようなことはするなよという意味で、矯正的なと申しますか、そういう意味で注意をするということはできるわけでございます。
#246
○小巻敏雄君 文書訓告というのは、これは一体人事上でどういう内容を持つものですか。
#247
○政府委員(味村治君) 文書訓告ということが法律に書いてあるわけではございませんし、それは恐らく今回の場合に、その市の教育委員会がした、書面で訓告をしたということであろうかと存じます。ごく一般的に申し上げまして、訓告というのは、先ほど申し上げましたように、何か職務上の非違があったというような場合に、それに対して、今後するなよという注意処分をする、注意をする、それを文書でするというのが文書訓告であろうかというふうに考えます。
#248
○小巻敏雄君 私もこの点について、本人に不利益を与えるような処置、これを地方公務員に対してどう定めておるか、若干調べてみたのですが、いま内閣法制局で言われたとおり、懲戒権というのは任命権者、懲戒権者が行うのであって、それ以外の者が行うことはできない。それから、懲戒の内容は、これは地公法で定められてある免職、停職、減給、戒告という四つの処分であって、それ以外に懲戒の処分はないということは明確にされておるわけであります。そればそのとおりですね。
#249
○政府委員(味村治君) そのとおりでございます。
#250
○小巻敏雄君 しからば、訓告というのは何かという場合には、これは本人に不利益を与えない範囲で行う注意としての処置だというふうに私は理解するわけであります。念のために訓告について、今枝信雄という人が書かれた「逐条地方公務員法」というものの第三次の改訂版によりますと、なかなか周到に書かれてある。訓告というのは、一体非違のあった者に対して、職務上の義務に違反した場合、これに対して、訓告というのは法令上に根拠がないからやれないんじゃないかと、それともやっていいのかという問いに対して、やっていいと書いてあるわけですね。ただし、これは「訓告が懲戒処分としての制裁的実質をそなえるものである限りは許されないが、」「制裁的実質をそなえないものである限りは許されるものと解される。」と。訓告者に対しては、これは将来に対する戒めとか、あるいは励ましとか、いろんな意味を持つであろうけれども、いままで行った非違に対する一つの償い、責任追及としての制裁の実を備えてはならない、こうなっておるわけであります。特に、この点については、この解釈でよろしいわけですか。
#251
○政府委員(味村治君) 訓告は、実質上の懲戒に当たるという場合は、それは懲戒でございます。たとえ名前は訓告でございましてもですね。したがいまして、そういうことは監督処分としてはできないわけでございまして、要するに、懲戒かどうかということは実質によって決まるわけでございます。そういうような意味で、先ほどお読み上げになりました本のとおりであろうかと存じます。
#252
○小巻敏雄君 少なくともこの市教委が文書に公開して公表の目的を書きあらわす上で、懲戒処分が軟弱だと、だから、これにかわるものとして訓告権だけ与えられておるが、訓告では手ぬるいから、この名前を公表することによって、いわば処分にかわる制裁の実を上げようとする目的で、公表という行政上の処置をしたのだから、私は公表というものは一体どうなっておるのか調べてみたわけであります。
 この林修三以下歴代の法制局長官が共編であらわしておる「法令用語辞典」というのがあります。この中に「公表」というのがあるのですけれども、一般の公表というのは、たとえばここに新聞記者が入ってやってもよろしいというのが公開公表でこれは公にするということで、公示、告示、公布、声明等との類例のものですけれども、行政が行政上の一つの非違をただしていく上での措置としての公表というのは、今日の法観念では新しい法律には幾つか用いられてきておるわけですね。明らかに制裁としての。不利益を担保にして勧告や命令に従わせるための公表というのがあるのです。「勧告」という項目に「公表」というのが出てくるわけであります。たとえば、一例を挙げますと、下請代金支払遅延等防止法、こういうのには、勧告に従わなかったときは公表することができると。その意味は、「勧告に従わなかったときはその旨を公表し、従ったときはある不利益を及ぼさないとする」と。つまり本人に不利益になる公表という行為を社会的制裁として加えて、そうして、そのことによって従わせていこうとする、これが今日で行う公表の概念で、幾つもの法律にこういう公表という概念が行為として適用されてくるわけです。法制局の方ではこういう法律が幾つもあることは御承知のとおりだと思うのですが、法律名を少し挙げてみてくれませんか。
#253
○政府委員(味村治君) 先ほど小巻先生がお挙げになりましたほかに、身体障害者雇用促進法の十六条、国民生活安定緊急措置法の六条、七条、農業振興地域の整備に関する法律十五条の七、ほかにもいろいろございましたけれど、そういったような類似の規定がございます。
#254
○小巻敏雄君 これらの法律の立法過程での議事録も読んでみました。ある法律は公明党の小平さんが質問して、他の大臣が答えているようなものもあります。大体公表というのは制裁であります。この制裁によって、たとえば、ある企業は身体障害者を定率まで雇うぐらいなら罰金を払った方が安くつくと、罰金を何も恐れないようなものに対しては、公表をするぞということによって従わせていくというようなのもあるわけですね。まさにこういう公表を処分権なき市教委がやっておるんだというようなものを、文部省が安易に気楽に下部官僚でこれに対して結構ですよというような答弁をやっておるというのは、私は重要な問題だと思うんです。明らかに職権にない制裁を企図して行った行為に対して、これは事前に周到な準備をして、法的対抗策として、こういう文部省見解をかたるようなことをやっておる。しかも、この公表というのを恐らくされて、人事委員会に持っていったら不利益処分として受け付けてくれないと思うんです。まかり間違って自分はストライキに参加していないのに、その名前を発表されたって、どこにも対抗手段がない。すべてほかの不利益処分は対抗手段が付されておる。ところが、これ名前発表して、間違っておったら裁判に訴えるよりほかしょうがないですよ、名誉棄損罪であるか、それとも民法の損害賠償のところで訴えるよりほかない。学校経営には民法の損害賠償の項目に載っておりましたら、わざわざそういう部分は切り落として引用しておると、こういうことです。
 まあひとつ、きょうは時間が来ておりますから中途でおきますけれども、こういう非常に問題のある市教委の態度をよく調査していただきたい。先ほど勝又委員からもありましたけれども、右翼の団体にあらかじめ資料を提供して、これにビラ配布、もしくは立て看板をさせて、数回の仮処分にもかかわらず繰り返し行ったと、四回目のものなぞは恐らく砂田文部大臣も御存じであろう場所に掲示したんですね。初めは市教委の前に張り出した。教育長がよく見えるように道の方を向けずに、教育長室の方を向けて、裏向けの看板張り出したんですよ。お金をもらったのか、もらわないのかわかりませんけれども。ところが、四回目には盛り場の「ニューヨーク」という元ダンスホールの前に、そこに集まる人に見えるように張り出したんです。その日には中西という自民党の議員さんの応援のために、午後三時から中曽根さんと砂田さんが行かれるようになっておったかのように聞いておりますが、これだけいままで仮処分に出動しなかった東警察署というのが、出動をしてこれを差し押さえましたから、砂田さんは見ることができなかったわけであります。しかし、さらしものにするというのも、偉い方が来られるといったら、そこにやっていますよというのを見せにくいというところまで行われたわけです。こういったことが市と呼応して行われ、これを市の教育長は勇気ある行動と言って称賛をしておるのでありますから、これももう明明白白たることです。こういったふうな問題については、よく調査をしてもらいたいと思うんですね。
 それから、公表というのは、幸いにしてまだ行政が行った公表というのは一つです。このことが行われれば、よしんばストについて意見が違ったにしろ、翌日から超勤手当をくれとも言わずに七時、八時まで非行問題と、あるいは落ちこぼれの問題のために校長も、教育も力を合わせて、学校教育に従事しておる者に対して、この問題をめぐって、片づくまで職場の中で争わさせることであります。こういうことを行政が挑発する。少なくとも懲戒権なきところを懲戒の代行にこれを乱用し、このことによって、教組の弱体化を図り、職制の強化を図るというようなことは許されない。この点を申し上げておいて、きょうの質問を終わります。
#255
○岩上二郎君 大臣以外の方、それぞれお仕事おありだろうと思いますので、どうぞひとつお帰りいただいて結構でございます。実は文部大臣という立場にありますので、いわゆる文部行政のドクトリンが一番本日お伺いしたいところでございますので、行政的な皆さん方にとうとい時間を一緒にお座りいただくのは非常に恐縮でございますので、どうぞひとつお帰りいただいて結構でございます。
 昭和五十二年七月、小学校の学習指導要領が出ておりますが、これは昭和五十一年の十二月十八日、教育課程審議会において小・中・高教育課程基準の改定について答申をされたものに準拠していると思いますが、その基本方針の中に、「児童生徒の知・徳・体の調和のとれた発達を目指し」云々と、このような文書がございますが、その中で徳というのは一体何だろうか、徳の中にあるエスプリは一体何なんだろうか、その背景にあるものは、日本の縦社会の中にバックボーンと言ってもいいような、一つの徳という、一般に使われているそういう意味の徳なのか、あるいは儒教の中にある、中庸は徳の至れるものなりという徳を目指すものなのか、あるいはまたその徳と言われる背景には、情操とか、美術とか、芸術とか、あるいは宗教、そういったものが含まれているものなのか、徳についての概念をまず大臣にお伺いしておきたいと思うんです。
#256
○国務大臣(砂田重民君) 私は決して言葉じりをとらえる意味ではなくて、日本社会の中だけという考え方を私はとりません。やはりこの狭い領土の中で、一億二千万の日本人がこれだけ高度の生活をしている、しかも資源がない。国際社会の中に日本人の将来の生きる道もあると考えますので、国際社会に通用するやはり日本人として尊敬され、愛され、親しまれる、そういう資質、こういうものが私はやはりこれからの青少年、児童、生徒に持ってもらいたい徳である、かように考えます。
 そして、知、徳、体のバランスのとれたということを学習指導要領改定のときにも申しているわけでございますけれども、私にもそこのところがもうひとつよくわからないことでありますが、知、徳、体のバランスがとれたということを言うんならば、情操教育というものは徳の中に入るんだろうか、あるいは知、徳、体のバランスのとれた教育のほかに、情操教育というものが別の柱として必要なものであるものか、実は私にもよくそこの点がわかりません。わかりませんけれども、これは学校だけではなくて、社会教育の場でも、情操教育というものが国際社会の中に通用する日本人の好ましい資質として、青少年たちに持ってもらうためには、情操教育に大いに力を尽くしていかなければならないということは、明確に私どもの一つの責務として感じているところでございます。
#257
○岩上二郎君 大臣の御答弁をお伺いいたしますと、非常に徳の概念がはっきりしていない。しかし、日本人の体質には、はっきりしてないのが特徴だ、こういうふうに言われております。だからこそ日本の今日の文化があるんだとさえも言われているわけですけれども、元来、歴史的に見ましても、日本民族は自然神を崇拝する、素朴な神道を持っていた。そこにすんなりと仏教が入ってくる。さらに、きわめて異質なキリスト教文化というものもどんどんと入ってきてもそれほど矛盾を感じない。また、漢字導入後においても、日本独特のひらがな、かたかな文化、こういうようなものをつくり上げた古代から中世にかけてのけんらんたる文化を築き上げた歴史もあるわけでございますが、非常に包容力を持っている、それだけにこれだと決める決め手が実はないというところに、徳の非常に包括的な内容を持っているようにうかがわれているのであります。
 したがって、徳とは何か。英語で言えばバーチューというものなのか。いや、そうじゃなくて、もう少しモラルの入った内容のものなのだと。しかし、これがはっきりしていないわけであります。これは外国語を翻訳する場合に、非常にすべての日本語の表現そのものがむずかしくて、どれが本当なものなんだろうかということで、翻訳者は非常に苦労するものでございますが、そういう体質を元来日本人は持っている、このように私は思うのです。現にわれわれの社会生活の中にあっても、たとえば、午前中に仏教のお葬式では数珠を持ち、それから、午後のお葬式ではサカキを挙げて、また、帰ってくればキリスト教の集会にも出ていく。あるいはまた、一家の家庭においても、生け花をやっている娘が、今度はベ−トーベンのシンフォニーを聞くとか、あるいはまた、お茶をやっていて、今度はミニスカートをはいてロックの踊りに出ていくというか、そんなことが平気で行われているような、そういう日本民族の一般的な表情であろうと思うんです。
 そういう中で、外国の文化の摂取、これも非常に何というか、融合性があって、それかといって、それに完全に巻き込まれない、何かそういうふうなものを抱きながらも、自分のものとして消化していくような、そういう体質を日本は持っているんじゃなかろうか。
 特に、日本人は自然とともに楽しむというか、自然合一の姿を追っていくとか、そういうふうな性格もあって、これは最近読んだ本でございますが、アメリカの女流社会学者であるフローレンス・クラフフォーンという方が、日本人はマン・イン・ネイチャーである、いわゆる自然の中に人間がある、こういうふうな特徴をとらえております。で、欧米人はどちらかというと、マン・オーバー・ネイチャーである、自然の上に人間がある。そこにやはり物質文明をどんどんとつくらせていった、あるいは発展させていったそういう一つの性格を持っている。しかし、おくれているたとえば開発途上国の性格はどういう性格かというと、マン・サブジェクティド・ツー・ネイチャー、いわゆる自然の中に支配される人間。これが開発途上国における人類一般の姿であると、このように端的に表現している言葉を、私は非常に心に銘記した言葉でございますが、そんなふうに日本人は、自然というようなものと、人間の関係というものは非常に大事にする。ところが、最近はいろいろな近代化を追い過ぎたために、自然が破壊される、これに対する抵抗、こういうようなものも非常に熾烈になってきていることは、ある意味においては非常に一つの国民運動としても、われわれは大いにこういう運動は大事なことではなかろうかと考えている一人でございますが、しかし、一面近代化を追い過ぎたために、いわゆる欧州近代文明に支配されていくというか、そういうふうな傾向が非常に最近の傾向としては顕著である。確かにそのために貧困とか、あるいは病気だとか、あるいは戦争と、こういうようなものに対する考え方も大分変わってきておりますし、経済的な大国だなどと言われれば、そうかしらと、このような感じを持つようなところになってまいりましたけれども、しかし、一面精神文化というものはだんだんと崩壊しつつあるような、そういう感じがしてならないわけでございます。
 そこで、私はいまの教育課程の答申を拝見いたしまして、たとえば道徳の授業時間はどのくらいを基準にしているんだろうかということを調べてみてまいりますと、小学校では全体八百五十時間のうち、わずかに三十四時間、これ一年ですね。それから中学校では千五十時間の中でわずかに三十六時間、こんな程度なんですね。これで果たして知、徳、体の均衡ある発展を云々という、この目指す人格教育というのか、人間教育というのか、目指そうとしていることが可能なんであろうかどうか。もう少し徳育教育という、漠然としたこれは道徳も含めて、芸術も含め、宗教も含める、そういうふうな全体の一つの内容を持っているんではなかろうかと思いますけども、それにしても余りにも時間が少ないんじゃないか。特に、私は先ほど申し上げましたように、日本は自然を愛する、特に自然は外国と違いまして四季折々の変化を持っている。そうしてその四季折々の変化に対して心が動く。そうしてその動きの中に、たとえば、俳句なり、それから和歌なり、これは外国にもないようなものがいっぱいありますね。川柳でもしかりです。日本画、墨絵とか、あるいは尺八とか、お琴とか、いろいろな文化の表現というようなものがあるわけです。特にお茶とか、あるいは生花とか、禅とか、そういうようなものがまだ日本人の心の中に依然として生き続けている、そういうふうなものをこの学校教育の中にもう少し取り入れてみてはどうであろうか、具体的に。そういうようなものを取り入れる、――取り入れるということはなかなか大変でしょうけれども、たとえばお茶室を設けるとか、あるいはそれにあわせて生花を教えるとか、そういうふうなものを通して、人間と自然との関係をそれとなく心で、体で教えていくという、そういうふうな努力をされてはどうであろうか。それはもちろん時間の問題も関係いたしますけれども、あわせて私は日本の教育を進める際に建築、いわゆる文部省の画一的な建築のスタイル、これがいいんだろうかどうだろうか、このことを私は最近痛切に感じているわけなんです。建築をする前に、教育的なサイドから、それぞれその地域の特性をいかしながら教育はどうあるべきか、そのために建築はどうあるべきか、こういうような問題を、もうそろそろお考えになっておいてしかるべきではなかろうか。明治以来、大正、昭和の今日まで玄関があって、受付があって、そのお隣が校長室であり、職員室であり、それから四角四面の四十五名の定員の入っている教室がある、中仕切りがある、お隣には便所があるという、この定型的な、ティピカルなこの学校建築のスタイルがこれでいいんだろうか。人間を教育するのにこの建物はどうあるべきかということを、もう少し教育のサイドから研究されてしかるべきではないだろうか。英国では戦後オープン・エデュケーション・システムというものを採用して、ワンフロアで、先生が日本のように黒板を後ろにして白墨を持っているという、生徒と対面教育というか、そういうふうなことがいまでも行われておりますけれども、それとは全く違う、やはり先生の横顔、後ろ姿を見ながら、そして人間的に深く先生がタッチしていく。その中には仕切りがない、廊下もない。日本の場合には教室があって、一たび廊下を出るとがやがやそわそわ、そういうふうな中にやはり何というか、内面的に、人の前ではいいことを言い、裏側に入ると卑屈な人間の行為を行うような、そういうふうなことを昔からあの中仕切りをすることによってつくってしまったんではなかろうか。外国のように、キリスト教文化、これ一枚岩です。しかし、これは人の見ていないところでも神様は見ている、したがって、悪いことはしない。ところが日本は多神教ですから、なかなかそうはいかない、本当の宗教というものがつかみにくい日本の姿ですけれども、この学校教育の中でももう少し教育の建築の様式、これを真剣にお考えおきいただく必要があるんじゃなかろうか。その際に、やはりいま申し上げましたいろんな日本独得な、しかも、すばらしい内容のあるいろんなものをつくり上げてきた、そういうようなものをひとつこの建築の中にも織り込んでやっていく、そういうふうな姿勢が必要じゃないだろうか。ところが、この教育の教科課程の内容を見ましても、ほとんどそういうものの内容もうたわれていないし、またそれに基づいて五十五年から文部省はこれを改定して大いにやろうと、このように努力されておられるやさきでもございますので、そこらあたりは、大臣のドクトリンというか、それを実はこの際はっきりと、やはり人間というものはどうあるべきか、いわゆるそういう、もっと人間の心の中に入り込んだ教育というようなものを大臣はお示しになる必要がこの際あるんじゃなかろうか、このように考えますが、大臣のいま私が申し上げた考えについての御所見をいただきたい。
#258
○国務大臣(砂田重民君) 大変重要な御発言でございます。真剣に承らせていただきました。
 私からお答えをしたいと思いますことは、まず一つは徳性の問題私は青少年、児童、生徒たちに持ってもらいたいと思う好ましい資質、いろんなことを考えますけれども、やはり一番根底にありますものは、先生のお話にも出てまいったことでありますけれども、儒教で言えば情、仏教で言えば慈悲、キリスト教で言えば愛、平たい言葉で言えばこれは人様に対する思いやりの心であると思います。そういう温かい思いやりの心というものが根底になければ、ほかのことは何ができてみても、私は国際社会の中で通用していくりっぱな日本人としての資質に、大きな欠けるものがあるという気持ちが非常に強くいたすわけでございます。
 お茶、お花のお話がございました。また、道徳の時間が小学校ではきわめて少ないではないかという御指摘もございました。しかし、道徳の教育というのは、道徳の時間の中だけの道徳であってはならないことでございます。学習指導要領の中にも明確にそれは書いてあることでございますけれども、あらゆる学校活動の場を通じて、道徳のことを指導をしていく、それを現場の先生方にも学習指導要領、そうして指導書等を通じてお願いをしているところであります。道徳の時間だけに限らず、数学の時間にもお行儀は教えることが必要でございましょう。音楽の時間にも、図画の時間にも、工作の時間にも、美術などの教科等もやはり道徳を教えてまいるのに重要な学科である、こういうふうに私どもは考えているわけでございまして、道徳教育を先生御指摘の道徳の時間の中だけで教えよう、そのような考え方は実は持っていない、あらゆる学校活動の場で道徳を教えていきたい、先生方にもそのような方向でお願いをしているところでございます。
 お茶、お花のお話がございました。児童、生徒の豊かな情操を養っていきます上で、また古来から先生もお話しになりましたような、日本民族が持ち続けております自然とともに生きていくという日本人の心を養う意味からも、お茶とお花、こういったものがなお一層学校の場にもっと広く取り入れていかれることが望ましいと考えます。現にお茶、生け花等については、クラブ活動や部活動の一環として、実施をされている例が多いわけでございますけれども、五十二年に文部省が実態調査をいたしましたときに、高等学校ではクラブ活動で茶道を取り入れておられる学校が五四・二%、五二・九%の学校で生け花を部活動として取り入れておられる実態調査結果が判明いたしております。また、お茶や生け花を行うための用具等につきましては、中学校については、新たに義務教育費国庫負担法に基づいて、教材費国庫負担金の対象にもいたしました。
 そして、いま先生は学校建物のことを御指摘になりました。私も全く同感でございます。幸いにいたしまして、新しくできてまいります学校の中には、間仕切りというものを非常にフリーに、後から動かせるような、あるいは全くフリーなスペースを取り入れた新しいスペースを構成できるような、そういう施設を持った学校もだんだんふえてまいっております。努力、工夫によりまして、公立義務教育の施設の国庫負担のただいまの負担割合の中でも、そういう工夫が行われて実ってきておりますので、こういった学校建物の新しいあり方にもなお一層研究をし、努力をしてまいりたい、かように考えるものでございます。
#259
○岩上二郎君 次に、この教育基本法の中に、宗教教育について、まあ公立学校は禁止されておりますけれども、宗教心というものを培うことは非常に大事な問題ではなかろうかと、このように考えます。確かに従来の宗教史を見てまいりますと、暗い歴史もあり、また国家権力と結びついて、いろんな宗教の消長の歴史を見るわけでありますけれども、特に、日本の場合は多神教国家でございますので、どの宗教がいいというようなことは、公教育の場合には避けるべきが当然であります。しかし、近代化が進むに従って、やはり心の荒廃というか、この問題を救済するのに、外面的な言葉から出てくる倫理、道徳、そういうようなものだけでは、ちょっと児童の心の中に、ああそうかというような共感を得るような時代でなくなってきているように思われるのです。したがって、文部省が、倫理、道徳、こういう言葉を羅列しても、それは教室の中でじっと聞いているだけでも、なかなかしんほう強くがまんしなきゃならないと、こういうふうな、生徒側から見ればそんなふうな気持ちになっているのではなかろうか。私はこの宗教心を培うという、これもまた非常に大事な問題ではないかと、このように考えるのです。
 それで、やはりそういう場合に、宗教と文化とか、あるいはまた宗教と社会、あるいはそれぞれ宗派がございますが、宗教の教義、さらには運命とは何か、愛とは何か、慈悲とは何か、そういう問題をともに生徒と語り合う。生あるいは死、そういうふうなもの、あるいは高度に進んでいけば、宗教哲学というか、そういうふうなところまで考えていくような、そういう一つの方向が教育の中に盛られていいんじゃなかろうか、こんな感じがするわけです。ところが、この指導要領によりますと、宗教はタブーであると、こういうふうなことで、ほとんどネグレクトされておりまして、何か崇高なものに対する素朴な心を養おうといったような言葉の表現がございますが、恐らくそれを指し示しているんじゃなかろうかと思うんですが、これも何かその言葉だけを見てまいりますと、それは何を言っているのかという中身がよくわからない。そんなことを考えてみますと、やはりもう少し人間の持っている心の悩み、それをできるだけ開いてやる、そのとびらの役、そういうようなものを私は先生に求めたい。また教育の分野の中で十分に考えていただく、そういうようなものを、この際やっぱり作業を進める場合にもお考えおきいただく必要があるんじゃなかろうか。宗教心がないと、どうしてもやはり殺伐な、そういう心理がただ働くだけで終わってしまって、人間の心の中に本当に通うもの、それが生まれてこないように思われますので、その点を私は教育の中に取り入れるような方向を出していかないと、いかにいい言葉を使っても、それは空虚な響きが残るだけ。私はその点をやはり考えていただく必要があるんじゃなかろうか。大臣の所見をいただきたい。
#260
○国務大臣(砂田重民君) 公教育の場で宗教教育を行いますことには、私は憶病でございます。それはやはり宗教の持ついろんな教えの中には、ある宗教によっては排他的な宗教もまたあるということもございます。先ほどもちょっとお答えをいたしましたけれども、たとえばやはり文教行政を預かります場におります者やら、学校現場で直接子供たちを指導いたします教員やら、こういう場で、あるいはもっと多数の国民各界の方の御意見を求めて、先ほどもちょっとお答えをいたしました儒教でいう情、仏教でいう慈悲、キリスト教でいう愛、こういうものをそしゃくをして、それは平易な言葉で言えば人様に対する温い心だと、そういうそしゃくをしたものを教育現場ではやはり教育の指針にしていくことが大事なことなのであって、宗教ということになりますと、私はこれは公教育の場ではなくて、家庭教育の場の問題ではないだろうかと思うんです。家庭で、それぞれの家庭が持っておられる宗教、そのことを両親から教えられても、人様に対する温い思やりの心というものを、公教育の場で教えられていますならば、そのことと、いかなる宗教、家庭での宗教、みなこれは結びついていくんじゃないか。教育基本法のいうところの、「真理と正義を愛し、」、真理を愛しなさい、正義を愛しなさいという言葉で教壇の上から先生が子供たちを指導しても、子供たちに理解のできるものではありません。「真理と正義を愛し、」と教育基本法で書かれているその中身は何なのかということを、やはり教育の場にある者がみんなで基本的に一遍考え直してみなければいけないことではないか。その場合には、いろいろな宗教の教えの中もまたこれは参考に考えていかなければならないことでございましょう。芸術が教えるものもまた参考になるでありましょう。そして何らかの、子供たちに直接教壇から先生方が指導できるような平易な言葉での指針というものを得ることができましたならば、それもまた行政の場から押しつけるものであってはならないと思います。やはりそういった指針を得ました後において、国民的な合意が得られる努力をしなければなりません。そして国民的な合意の得られた、そういった青少年、児童、生徒の徳目の指針になるようなものについて、学校現場で、社会教育の場で、こういうものが活用されていくべきものではないだろうか、このように私は考えるものでございまして、少し横道にそれるかもしれませんけれども、私はいまの若い世代の人たちが、われわれの時代とさま違いの文化、芸術、芸能、スポーツというものから、そういった好ましい資質というものを身につけてきてくれている。その事実に立っていまの若い世代の人たちを信頼をいたしますだけに、そういった教育基本法で言うところの「真理と正義を愛して、」、その中身は何なのかということを私はもう一遍真剣に基本的な検討を、大ぜいの人たちでやっていかなければならないことだというふうに考えるわけでございまして、公教育の場に直ちに宗教を取り入れるということについては私は憶病でございます。
#261
○岩上二郎君 宗教問題はタブーという考え方はわかるんですけれども、しかし、タブーだと言い切れるのかどうか、ここらあたりが一番問題であろうと思いますが、ただ宗教の教義は、浄土真宗はこの教義である、浄土宗はこういう教義である、キリスト教はこういう教義を持っている、そういう一つの教義の具体的なそういうものを、こんなふうな状態であるということを、やはりある程度知っていただくことも、一つの宗教教育という分野に入るかもしれませんけれども、それはある一つの教義をあくまでも押し込んで、学校教育の中に取り入れるんだということじゃなくて、広く全体の宗教の分布、それからその内容、こういうようなものを知らせるということも大事なことではなかろうか、そのくらいの入り口があってもいいんじゃないか。その中でやはり信義あるいは真実とか、あるいは愛というものの背景にあるものを、やっぱり先生自身も学び取っていく、そういうようなものもやはり近代化が促進されるに従って、もっと内面的な、心の深さを求めていくような、そういう努力をしないと、私は生徒の教育にかえって深いかかわり合いがないだけに、ただ形式的に終わってしまうような、そういう教育になりはしないだろうかということを恐れますので、まあ大臣のおっしゃることもわからないわけじゃございませんが、十分にまたひとつ御研究おきいただきたいと思います。
 それから次に性の問題でございます。性教育の問題。
 けさも茨城のある地域で、相当売春高校生が検挙され、補導された、十三名ですけれども。一学校が十三名も検挙されたというのは非常に珍しいことで、戦後最大というか、そういうことでトップ記事に載っていたのを拝見したばかりですけれども、検察庁で出された統計を見てまいりますと、昭和五十二年、昨年ですね、性非行で補導された女子中、高生、これが四千三百八十人に上っている。そして、その中で特に売春防止法に言う売春、それから児童福祉法による淫行、それからみだらな性行と言われる、これは青少年保護育成条例に係る補導案件でありますけれども、これが何と女子中、高合わせて、さらに百二人に増加している、こういうふうな現実でありまして、特に最近は性非行の若年化といいますか、あるいはこの性犯罪の複雑化というか、さらには週刊誌、雑誌、そういうものにおける性的表現の非常に露骨な現象がある。そういうようなものの影響を受けまして、性をめぐるところの社会的な現象が顕在化してしまっている、こういうふうな事実が出ているわけでございますが、しかし、これに対して学校側はどう対処するかということになると、個人の自由と責任についての自覚を促すとか、あるいは男女の交際をもっとよりよくさせる必要があるとか、あるいは警察と連絡をとり、家庭とも緊密な連絡をとるとか、あるいは下校時における子供のしつけを厳しくするとか、そんな、何というか間接的なタッチというか、そういうもので直接性の教育はどうあるべきかという内容に実は触れたがらない傾向が一般的であるように見受けるんです。
 私はこの性の問題というのは、人類にとってはきわめて大事な位置を占めている重要なものであると思うんです。この性の具体的な問題の正しい認識なくして、人格の尊厳とは一体何かということを答えることはできないと思うんですね。最初から人格の尊厳ありきではないんで、これはやっぱり性の問題というものを正しく認識した上で、人格の尊厳というものが導き出されてしかるべきものであろうとさえも思うのであります。したがって、人間教育などと大人たち――われわれもそうですけれども、特に戦後はそういうようなことを盛んに言いますけれども、そしてまた倫理、道徳を盛んに説く。しかし、この性の問題を抜きにして倫理、道徳を説いても、これは空虚なもの。お互いに大人同士はわかりますけれども、若い世代の人たちにそれを説いてもさっぱりわからない。したがって、一たびこういうひとつの性非行に走った子供に倫理を説き、親孝行を説き、将来おまえはどうなるんだというようなことを説いてみてもわからない。そういう人たちが見れば学校は死んでしまった、おれたちを救済する場所は学校じゃない、親でもなければ社会でもない、おれはおれでいくんだよと、こういうふうな考え方に走っていく傾向が非常に多いようであります。この性の教育の問題について、これを真剣に考えれば考えるほど、男女の差別をなくすべき問題あるいはまた人口問題、経済問題いろいろと解決しなければならない課題が、幾つもこの性の問題との関連において出てくる現実を考えてみたときに、性教育というのは非常に大事なものではなかろうかと、このように考えますけれども、この指導要領の中にもそれは出ていない現実であります。しかしながら、依然として学校側ではいろんな疑問や抵抗があって、むしろ眠っている子を覚ます必要はない、こういう考え方もあって、なかなか深く性教育の中身にタッチしようとしていないけれども、現実的にはどんどんどんどんと非行化が目立ってきている現実であります。キリスト教文化に支えられた欧州でさえも、いわゆる性は悪なりと、こういうふうな考え方の上に立った欧州社会でも、この性の教育というものは非常に熱心に実施されている現実があるわけでございまして、西ドイツではハンブルグ自由都市、最も進んだ性教育の都市と害われておりますけれども、それは公的な性教育指導要領、これが出されておりまして、性教育はそれぞれ各学校において義務化されている。あるいはまたデンマークでも、小学校五年まではそれぞれ自由な形になっておりますけれども、六年以降はこれが義務化されている。あるいはイギリスでは、家族計画協会というのが音頭をとって、学校教師、あるいは保健婦等指導班をつくって、学校における性教育を普及しているというか、そういうふうな現実になっておりますが、日本の場合にはまだそこまで考えられておりません。一部においてはこの性教育はテレビ等に出ておりますけれども、どうも日本の場合は理性的な民族でなくて、どちらかというと感情的な民族であるために、性教育のとらえ方が局部的である。性感の追求とか、あるいは性器の教育といったようなものが多いわけですけれども、この際徳目を羅列するというものではなくて、むしろ医学的な立場で、大脳生理学の立場からとか、あるいは社会学的な立場からも総合的にとらえて、正しい性の教育というようなものを文部省はお考えになる必要があるだろうと、このように思うのです。
 時間がもうなくて、大臣も衆議院の方にお出になられるというので、あと歴史教育なり、国語の問題あるいは平和に対する物の考え方等をお伺いしたかったのですけれども、これは後回しにいたしまして、要するに、学校教育については従来知的な教育にウェートがかかり過ぎ、近代化を追い過ぎて、むしろ人間の心の内容が貧弱になりつつある、これを何とか取り戻すために、まずやっぱり小学校から、中学、高等学校、この段階において十分にいわゆる一般に言う徳目、大臣の言われる、われわれ聞いてもよくわかりませんけれども、わからないなりに包容性のある内容のものをもう少し深めていく努力をするために、文部省としても十分に作業を進めていただくことをお願いしたいと思います。
 時間がちょうど五十五分だそうでございますので、五時から本会議始まるそうですけれども、一分でも、三十秒でも結構ですが、大臣の最終的な御意見をいただいて私の質問を終わらしていただきます。
#262
○国務大臣(砂田重民君) 教育の目的というものが、平和的な国家社会の担い手としての人格の完成を目指していく、そこに真の教育の目的があるわけでございますから、知識量を追うばかりが教育ではありません。そういうことから私どもは知、徳、体バランスのとれたという言葉で表現をいたしておりますけれども、それはやはり日本人としての心を取り返そうという考えがその根底にあるわけでございます。いま御指摘になりました性教育の問題、確かに日本の学校での性教育は、西欧諸国から比べて先生御指摘のようにおくれているという表現で御指摘をいただきましたけれども、やはり国民性の異なりというものもあろうかと思います。ただ、もう現実問題といたしまして、初潮の時期が体質的にもこんなに早まってきておりますときに、いつまでも雌しべと雄しべの教えだけで性教育事済めりと言っていられるものではないと思います。性教育の問題、学校教育の場での性教育の問題はどこまで取り入れていくかという基本的な問題を含めて、これからの私どもの重要な研究課題であると心得ております。
#263
○委員長(望月邦夫君) 本調査に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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