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1978/10/19 第85回国会 参議院 参議院会議録情報 第085回国会 法務委員会 第2号
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1978/10/19 第85回国会 参議院

参議院会議録情報 第085回国会 法務委員会 第2号

#1
第085回国会 法務委員会 第2号
昭和五十三年十月十九日(木曜日)
   午前十時九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月十九日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     林  寛子君
     熊谷太三郎君     鈴木 正一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         中尾 辰義君
    理 事
                八木 一郎君
                山本 富雄君
                矢田部 理君
                宮崎 正義君
    委 員
                上田  稔君
                大石 武一君
                上條 勝久君
                鈴木 正一君
                林  寛子君
                丸茂 重貞君
                阿具根 登君
                秋山 長造君
                寺田 熊雄君
                橋本  敦君
                円山 雅也君
   国務大臣
       法 務 大 臣  瀬戸山三男君
   政府委員
       法務政務次官   青木 正久君
       法務大臣官房長  前田  宏君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  枇杷田泰助君
       法務省民事局長  香川 保一君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総長       牧  圭次君
       最高裁判所事務
       総局総務局長   大西 勝也君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   勝見 嘉美君
       最高裁判所事務
       総局民事局長   西山 俊彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   説明員
       人事院事務総局
       給与局次長    加藤 圭朗君
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    宮脇 磊介君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○民事執行法案(第八十四回国会内閣提出、衆議
 院送付)(継続案件)
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (横川札幌高等裁判所長官の論述に関する件)
 (死刑の執行に関する件)
 (犯罪被害者補償に関する件)
 (登記官の処遇等に関する件)
 (暴力団事犯に関する件)
○刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を
 定める法律案反対に関する請願(第一〇九号外
 一五件)
○民法第七百五十条の改正に関する請願(第一二
 八号外三〇件)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(中尾辰義君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、初村滝一郎君が委員を辞任され、その補欠として林寛子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(中尾辰義君) 民事執行法案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。
 民事執行法案は前国会において趣旨説明を聴取しておりますので、これを省略し、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。瀬戸山法務大臣。
#4
○国務大臣(瀬戸山三男君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して説明いたします。
 政府は、人事院勧告の趣旨にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は、次のとおりであります。
 裁判官の報酬等に関する法律の別表に定める判事補の報酬及び五号以下の簡易裁判所判事の報酬並びに検察官の俸給等に関する法律の別表に定める九号以下の検事の俸給及び二号以下の副検事の俸給につきまして、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれも
 これを増額することといたしております。
 これらの改正は、一般の政府職員の場合と同様、昭和五十三年四月一日にさかのぼって適用することといたしております。
 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますよう、お願いいたします。
#5
○委員長(中尾辰義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○寺田熊雄君 政府職員の給与、これが今度関係法律の改正案が提出せられましたのは、人事院勧告がその基礎にあるわけであります。この人事院勧告によりますと、指定職以上の職員につきましては期末手当が〇・一減額になっておりますね。これはどういうわけでそうなったのか、まず人事院にその点を御解明願いたいと思いますが。
#7
○説明員(加藤圭朗君) お答えいたします。
 公務員の給与につきましては、民間準拠ということで従来民間の給与を調査いたしまして、その結果に基づいて改定をするという仕組みでずっときているわけでございます。ところで、いま御指摘のありました期末手当でございますが、期末、勤勉あわせましていわゆる特別給と称しておりますが、その特別給につきましても、従来から民間の給与実態調査におきまして、これは月例の、毎月毎月支払われます給与とは別に、前の年、前年の五月から本年の四月までに支払われました民間の特別給全体を、一年間の総計を調査をいたしまして、それをもとに月例の給与で割って年間の支給の月数を算出すると。そうして算出されました民間のいわば前年の支給月数を当年の公務員の年間の支給月数と合わせると、こういうやり方をとっているわけでございます。ところで本年の調査結果、その特別給の調査結果によりますれば、民間の支給状況は昨年の非常に厳しい情勢を反映いたしまして、四・九〇月分ということになったわけでございます。公務員の現行給与で決まっております支給月数が合計いたしまして五・〇でございますので、公務員の方が〇・一だけ上回ったと、こういうかっこうになったわけでございまして、したがいまして、この特別給総体で申し上げますと、〇・一だけ公務員が上回るということに相なったわけでございまして、その〇・一分をどこから――特別給は三回に分けて支給されておるわけでございますので、期末手当それから勤勉手当、こういう二つの性格がございます。それでどちらから引くかということにつきましていろいろ検討をいたしました結果、現在の特別給の支給の割合等を考慮いたしまして、この際は十二均に支給されます期末手当二・〇月分になっておりますところ、〇・一月分だけ削減するというふうにいたしたわけでございます。これは指定職職員だけに限るわけではございません。すべての公務員全部に対しまして、十二月に支給されます期末手当の分をしたがって削減をするということに相なったわけでございます。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(中尾辰義君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、熊谷太三郎君が委員を辞任され、その補欠として鈴木正一君が選任をされました。
    ―――――――――――――
#9
○寺田熊雄君 いま次長の御説明を承りますと、民間の期末手当の額が平均して四・九であると、しかるに公務員の分は五・〇であると、そこで民間に準拠の原則にのっとって〇・一切り下げたという御説明でしたけれども、根拠法である公務員法の第二十八条の「情勢適応の原則」というのがありますね。この「情勢適応の原則」によりますと、「この法律に基いて定められる給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。」と、「社会一般の情勢に適応するように」というまあ非常に抽象的ではあってもこれが原則になっておるようであります。次長はこれを民間に準拠というふうにおっしゃって一つの基準を示されたわけだけれども、民間準拠というその大原則そのものを私は全面的にこれを争うわけじゃないけれども、ただ民間準拠といってもそれだけではないので、やはり一般の物価が非常に上がった場合、たとえ民間の賃金が下がっても、その民間準拠によっては公務員のそれにふさわしい生活が確保できないと思えばやはり物価の値上がりを考慮して、民間のそれと数字をぴたっと合わせなければなら、ないというほど厳格なものではないように思うんだけれども、いまあなたは、期末手当については寸分も違わないように数字を合わせておられるわけね。どうだろう、余り機械的に過ぎるように思うんだけれども、そんな機械的なものだろうか。いまお話ししたように、たとえ民間の給与がいろんな経済上の変化に従って減ったとしても、しかし消費者物価がずっと上がっている場合には、それに即応したやはり給与のアップをしませんと公務員はその職務にふさわしい生活ができないでしょう。余りしゃくし定規のように思いますがね、どうでしょう。
#10
○説明員(加藤圭朗君) 根拠法規でございます二十八条の関係につきましては、先生御指摘のように、公務員の本来この「情勢適応の原則」というものの趣旨ということで考えますと、これはやはり公務員に労働基本権を制約することの代償措置としての人事院の勧告制度というものを規定したもの、そういう趣旨だというふうに解釈されるわけでございます。そういうことで公務員の給与その他勤務条件につきましては、やはりこれがわが国の社会一般の情勢というものと余りにもかけ離れてはぐあいが悪いと、そういうことで国会において常にその変更というものを行っていただくような仕組みになっている。ただその仕組みの内容につきましては、やはり専門的な機関でありますところの人事院においてその勧告を怠ってはならない、これが趣旨だろうと思います。
 先生おっしゃいますように、物価等によりまして公務員の実質賃金が少なくなるといったような観点についてはやはりそれなりの配慮をやるべきだという御趣旨でございますが、これはまさに本年の勧告につきましてそういう趣旨でもって行ったというわけでございます。その第二項にございますように、これは後ほどまた御質問がございますかとも思いますけれども、公務員の俸給表に定めます給与を百分の五以上増減する場合は、これは人事院は勧告を怠ってはならないと、こういうことになっておりますが、本年の民間給与を調査いたしました結果は、これはまさに三十五年以来の初めての現象でございますか、この五%を切るといったようなそういう状況だったわけでございます。したがいまして、五%を超えるような較差が出てこなかったということの関係から、本来ならば人事院に勧告を義務づけられている線を下回ったと、こういう結果になったわけでございますけれども、第一項の趣旨にございますように、やはり公務員の勤務条件なり何なりというものを社会一般の情勢に合わせて確保をするべきだというそういう基本的な精神に立ち返りまして、人事院といたしましては物価の動向その他諸般の情勢を勘案いたしましてこれを勧告をいたしたということでございます。
 その三・八四%と申しますのは毎月の月例給与でございます。毎月の生活を公務員の諸君がいたします毎月の生活の基本となります月例の給与につきまして、そういう形の民間と均衡をとるという趣旨でもって合わしたわけでございます。ただ特別給の関係につきましても、従来ともそういう一般の月例給与を民間と合わせますと、そういう趣旨に基づいて従来ともそういう方針でやってまいっておりますので、機械的にとおっしゃいますけれども、ボーナスというは特に民間におきましては、それぞれの企業の業績というものを非常に反映した形の配分になってくるというのが常識のようになっております。それをわれわれの場合は、実は昨年一年間に民間で支給されましたその支給総額を月数という媒介を得ましてこれを合わせていると、こういうことになっているのです。言うなれば一年おくれということで措置をしているということでございますので、ボーナス、特別給につきましては、やはりこれが法定もされるということにもなっております関係上、やはり幾分固めに措置をしてきたと、こういう経緯がございます。
#11
○寺田熊雄君 るる御説明になりましたが、できるだけ質問の趣旨に応じた御回答をお願いしたいと思うんですが、次長の御説明多岐にわたるけれども、この国家公務員法二十八条の第二項では、給与を百分の五以上、五%以上アップする必要が生じたときに勧告をすることに規定上はなっておるけれども、実質賃金を確保するという趣旨からあえて三二八四%という五%以下の低率のアップを必要とする場合であるにかかわらず勧告をしたと、その趣旨は一に実質賃金の確保を目指したのである、こういうことに帰すると思うんですね。それは私も結構だと思いますよ。私の申し上げることも、結局実質賃金を確保して公務員にふさわしい給与、条件を実現するというのが人勧の趣旨であろうと思うから、これはまことに結構だけれども、ただ、期末手当を〇・一%抑えたことによって全体の年間の収入が減額される結果を生じた公務員というものが非常に数多くあるわけですね。つまり、指定職以上は本俸は上がらなかった、期末手当は下がったと、したがって、年間の給与収入全体を見るというと、それは減額されたことになるという人がずいぶんたくさんあるわけでしょう。それがどうかというのがわれわれのこの法案に同意しがたい根本の理由なんですね。
 あなたはそうするとあれかね、民間準拠というのはきわめて個々の、この手当、この手当、この手当という個々の手当を民間に準拠すれば足るのであって、全体の収入というようなものは少しも考慮に入れなくていいと、こういう御結論かね、この点ちょっと承りたい。
#12
○説明員(加藤圭朗君) 民間準拠ということでやっております基本は先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、一応月例給与とそれから特別給と、そういう二つのちょっと若干性格の違った種類の給与でございますので、この二つの取り扱いにつきましては、それぞれ別個な計算方法なり比較の方法をとっているわけでございます。ただ、手当と申しましても、いろいろ扶養手当とかそのほかの手当等がございますが、こういつたようなものは、やはりそれぞれ別個に民間のそういう支給状況というものを調査をいたしまして、大体そういうものとの均衡をとりながら配分をやっているということでございまして、ただ、おっしゃいました御趣旨の全年間収入という観点での配慮という御質問でございますけれども、年間給与総体につきまして、本年指定職の方々以上につきましては実質的に前年よりも下回ると、こういう結果にならざるを得なかったわけでございますが、指定職の職員に相当いたします方々と申しますのは、いわば民間で申し上げますれば役員に相当する方々というふうに思っているわけでございます。役員の給与の支給状況等を調査いたしました結果によりますれば、やはり役員給与のカットといったような措置をとっていらっしゃる、この景気を反映いたしましてという措置をとっております企業等が相当数に及んでいると、そういうような状況も片一方で判明しておるわけでございます。相対的には好況のところもございますので、若干前年に比べて上がっているというところももちろんございますけれども、その中をしさいに分析いたしますれば相当数の企業におきまして役員の賞与をカットしたり、役員の月収をカットしたりそういうようなところが多かったわけでございます。そういったような事情を考慮いたしまして、この際はまことに忍びないわけでございますけれども、そこはやはりこういう厳しい状況を考慮いたしまして、民間でもそういう措置がとられているということとの均衡と申すとあれでございますけれども、そういうことをひとつがまんをしていただくのが、この際そういう指定職職員以上の方々にはその付近、その点をがまんをしていただく必要があるのではないかというような判断をいたしまして、指定職の方の給与改定を見送ったという事情でございます。
#13
○寺田熊雄君 民間の取締役に相当する指定職以上、これの期末手当を減額したのは、民間で期末手当を減額したりなどしているところがあるからというお話でしたけれども、そういう機械的に右へならえ的給与条件の決定というのは実質賃金の確保という、あなたがおっしゃった大原則と少し合わないでしょう。だから、その場合は実質賃金の確保という大原則は後退してしまって、民間のボーナスを企業が減額したというその非常に一部分のところだけを合わしたということになってしまいますね。まあここでお尋ねをしたいのは、それじゃ民間の取締役か、それ全体の中でどのぐらいのパーセンテージのものが減額をしているんですか。
 それからまた民間の取締役全体を見ると、これはやはり去年よりアップしているのか、それとも減っているのか、そういう点の調査はなさったんだろうか、それはいかがでしょう。
#14
○説明員(加藤圭朗君) 民間の役員の調査はいたしているわけでございます。前年と比べまして若干五%程度のアップには平均いたしますればなっておりますということで……
#15
○寺田熊雄君 よくその語尾が聞き取れないんだ、もうちょっと……。
#16
○説明員(加藤圭朗君) 失礼いたしました。
 なお役員の報酬月額の改定の状況で申し上げますれば、減額と申しますか、カットをしたということでございますが、カットをいたしました企業及びその改定を見送った、アップを見送ったという企業が大体四分の一ぐらいになっているという状況でございます。
#17
○寺田熊雄君 それから全体の平均が上がっているのか下がっているのか。
#18
○説明員(加藤圭朗君) 全体の平均では若干上がっております。
#19
○寺田熊雄君 そうするとますますおかしくなるね。つまりカットしたのは全体の企業の四分の一である。全体として見るとやっぱし収入は上がっておるんだということになると、何で公務員だけその四分の一に合わしたんだろうか、全体が上がっているんなら公務員だって全体にならったらいいんで、その民間の四分の一のきわめてわずかな部分に公務員を右へならいさせる必要は毫もないですよ。何か世間が盛んにカットしたとか減額したとかいうような、そういう声がうるさいものだから、それに引きずられてそういう傾向にちょっとこびたようなどうも印象を受けるね。だから、公務員の実質賃金の確保と、職務にふさわしい待遇を確保するという人事院本来の目的から逸脱しちゃって、何か世間にこびるような、どうもみっともないような印象を受けますがね、どうだろうか、いかがですか。
#20
○説明員(加藤圭朗君) 指定職職員の給与につきましてはいま先ほどから申し述べておりますように、民間の企業の役員の調査をいたしまして、それを参考にすることと、もう一点は同じやっぱり公務部内の問題でございますので、行政職俸給表の一等級とか二等級とが申しますが、その七の方の等級の本俸の俸給の改定状況を両方にらみ合わせながら従来こうやってきている経緯がございます。それで、本年の行政職の一等級、二等級のところの給与の改定状況は、本年の配分の額自体が水準が非常に低かったことの関係もございまして、世帯形成層の中堅層に重点を置いた改善を行うということにいたしました結果、その上薄中厚と申しますか、そういった形の配分になりました結果、上級の一等級あたりの俸給の改定というのが三%ちょっとといったような状況でございました。そういうものを従来考慮いたしまして指定職職員の給与というものは改定をしてきているという経緯もございます。民間では確かに平均すれば上がったという状況ではございますけれども、これはやはり指定職職員となりますれば、相当、先ほどから申し上げますような民間企業の役員にも相当するような立場の方でございますので、それをそっくりそのまま合わせるという形はとってきていなかったわけでございますし、そういう情勢を勘案いたしました場合にやはり行政職との均衡を考慮する、そういうふうなことから本年はその付近をひとつがまんをしていただいたらということでやったわけでございます。もちろん実質賃金の確保という観点からの配慮はなかったかとおっしゃるわけでございますが、まあそこのところはやはりこういったような現下の社会情勢といったような点は考慮してこの付近は少しはがまんをしていただいた方かいいのではないかというふうな判断をいたしたわけでございます。
#21
○寺田熊雄君 何か公務員に耐乏生活を強いるとか、がまんしてもらうとかいうようなそういう高度の国策的なことまで人事院は心配せねばいかぬのだろうかね。あなた方はやはり公務員にふさわしい給与の実現を期すると、そういう意味で実質賃金を確保するというようなそういう職務本来の道に真っしぐらに進んでいただけば足るんじゃないかと思うんですよ。何か少しがまんをしてくれとか、そういういわば倫理的なものを公務員にあなた方が要求する必要はないと思うね。それは総理大臣が決定することであって、あなた方は、物価が上がる、実質賃金が下がると、それは困るからやはり実質賃金を確保しようと――賃金というのは民間の言葉だけれども、給与を確保しようと。そして公務員にふさわしき待遇を実現しようと、そういうことであってほしいと思いますね。何か少し世間にこびているような、企業の賃上げ抑制ムードといいますか、そういうものに何かきわめて引きずられたような印象を受けるね。今度日経連の櫻田さんですか、公務員の五%のアップを予定して予算に組み入れるということに反対だと言うと、倉皇としてそれにならうというような傾向が出てきている。一体大企業や財界のそういう注文に応じて公務員の給与であるとかあるいは待遇であるとか、そういうものが動かされるということがあってはならないと私は思うんだけれどもね。ことに独立機関である人事院がそういうふうな傾向を持ってもらっちゃ困るわけね。あなたはそれじゃ――余り長くこの問題だけに質問するわけにいかないから、結局あれかね、民間準拠というのは期末手当とか通勤手当とか、それから住居手当とか、そういうものをすべて右へならえすることを意味するのか、それとも民間の実質的な賃金が年間幾らであると、したがって公務員の給与もこれにならって年間幾らでなきやならぬという常にその総体を見て考えていくのか、部分部分を合わして考えていくのか、どちらなんですか。あなたの根本的なものを、まずそれを、長々言う必要はないから、その点だけはっきり。
#22
○説明員(加藤圭朗君) お答えいたします。
 公務員法の六十四条に俸給表に関します規定がございまして、その第二項によりまして「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、且つ、」云々と、こういう規定がございます。この規定にのっとりまして、この民間の賃金というものと合わせようということでやっているわけでございますが、現在行っております民間給与の調査と申しますのは、民間の本年四月におきます月給でございますね、月給の高さというものを公務員全体と比較をして、その高さの足らないところを較差ということで補うと、ただしその較差の今度は配分の関係になるわけでございます。配分の関係になりますれば、やはり民間のそういう扶養手当とか通勤手当制度とか、そういうものもございますものですから、そういうものをかたがた調査をしながら、それを参考にしながら配分を行っていく、そういうことでございます。基本は月給の高さを合わせるということでございます。
#23
○寺田熊雄君 どうも端的にお答えをいただかないんだけれども、その部分部分を合わしていくんじゃなくて、やっぱり平均した月間の収入の実質的な額に合わしていくんだと、こう聞いてよろしいんですか。
#24
○説明員(加藤圭朗君) 大まかに言えばそういうことでございます。その額でございます。ただ、その配分します場合に公務員だけということで特別に扶養手当なら扶養手当ということだけを、その配分を全部使うといったようなのはやはり社会常識に合わないということもございますものですから、民間のその扶養手当の相場というものは一体どの程度になっているかというようなものを参考にしながら決めてきているという状況でございます。基本はおっしゃるようなことで相対の額、月給の額ということで合わせているということになるんだろうかと思います。
#25
○寺田熊雄君 基本はこの月間の平均の実質収入というものに合わすんだというんだが、そうなるとますます公務員の指定職以上、裁判官のこれは八号俸以上かな、検察官の九号俸以上、これが本俸が上がらず期末手当が下がったために減収を来すというのが非常に数が多いですからね。これはどうも非常に疑問だと思いますよ。あなたはそういうような結果を来したということについては、これがやっぱりいたし方なかったと思われるのか、それともやっぱり結果的にはどうもまずかったと思うのか、どちらですか。
#26
○説明員(加藤圭朗君) こういう現在のような厳しい社会経済情勢の中でそれはやっぱりがまんをしていただかなければならないのじゃないかというふうに思っているわけでございます。
#27
○寺田熊雄君 あなたの御説明によってもそういう上級職にふさわしい取締役でも全体としては多少は上がっていると善うんでしょう。ますますもって論理的に合わないわね、それは。それにならうんだというのと。なぜ公務員だけが、その公務員の、裁判官の大部分、検察官のかなりの部分、そういう人が耐乏生活をしなきゃいけないの、なぜ。そういういわば倫理的な要素といいますか、国政における倫理的な要素というのは総理大臣が決定すればいいことで、人勧が、人事院が、つまり実質賃金を確保してふさわしい待遇を実現しようとする人事院がそこまで倫理的なものを含ませなくてもいいんじゃないでしょうかね。いかがですか。
#28
○説明員(加藤圭朗君) 先ほどから申し上げますように、やはり民間の企業の責任ある役員に相当するような地位にある方々でございます。そういった点で、こういった社会一般のそういう厳しい状況というものをやはりこの際はがまんしていただけるんじゃないかというように判断をいたしているわけでございます。ただ、実質賃金の確保という点で確かにおっしゃるような心苦しい点はございますけれども、従来からの積み重ねと申しますか、従来からの経緯ということで、指定職にはやはり民間の企業とのときどきのその均衡を図りながら措置はしてきたという実績はございますものですから、その付近はいわゆる中堅層に位いたします。中堅層に位いたします職員の場合よりも若干その付近の、何と申しますか、実質賃金と申しますか、そういう面でのウェートと申しますか、痛さと申しますか、それは若干しのんでいただけるんじゃないだろうかというふうに判断をいたしているわけでございます。
#29
○寺田熊雄君 くどいようですが、「人事院月報」の七八年九月、「給与に関する報告と勧告」、これを見ましても、やっぱり全体としては民間企業が上がっていると、こういうあれだね、平均して七千二百六十九円上がっておる。それからね、これは官民給与の較差か、官民給与の較差が七千二百六十九円平均あると、こういう報告になっていますね。それから、本年四月の消費者物価指数は昨年四月に比べると全国では三・九%、東京では四・五%の上昇を示している。これは昨年一年間の物価騰貴というものは大体八%を超えているというのがかなり正確な数字のようだけど、まあそれは別にして、本年の四月を昨年の四月に比較してもそういうようなことがあるわけです。そういう実情をあなた方が把握していらっしゃりながら、やはりダウンを来すような勧告をしたという点がどうしてもやっぱり納得いかないわけね。それでしかも、あなた方はあれでしょう、そういう上級職の人は民間の取締役に合わした、しかし取締役もダウンしたのは全体の四分の一で、全体を見ると上がっていると、こう言うんだからね。ますます合わないわけだ。結局賃上げ抑制ムードという財界にこびたと、へつらったというようなことになっちゃう。だから、結局ますます民間の――民間、官界を問わず、人々のふところぐあいというものは非常にさびしくなってきて、一般の消費というものは上がらない、景気は回復しない、そういうところにも結局通じているわけですね。だからね、そういう余りあなた方が国民道徳的観点からこの給与をいじるんじゃなくして、やはり民間が上がっておれば公務員も上げると、それから消費者物価が上がっておれば給与を上げて、そして実質賃金を確保すると、そういうやはり人事院本来の立場に立っていただきたいと思うんですよ。だから、少なくも来年からはこんなみっともないことはしてもらいたくないわけです。いかがですか。
#30
○説明員(加藤圭朗君) おっしゃるような趣旨を体しまして、ことし指定職俸給表の改定を見送ることにつきましてやはり内部でもいろいろ議論をいたしまして、やはり先生のおっしゃるような趣旨等も考慮いたしましたけれども、この際やはり総合的にと申しますか、諸般の情勢を考慮して見送るということにいたしたわけでございますけれども、なお今後も引き続いてそういう措置をとるということではございません。来年は来年のまた状況等を調査等もいたしまして、それに諸般の情勢を考慮いたしまして、また来年の判断ということに相なろうかと思います。ただ、おっしゃるような趣旨は十分私どもも意を体して対処したいと、こういうふうに思っているわけでございます。
#31
○寺田熊雄君 じゃあ、あなた、結構です。余り満足するようなあれじゃないんですけれども、そう長いことあなたにあれするわけにいきませんので結構です。
 その次は裁判官の報酬と期末手当の減額についてですね、これが衆議院でも質問の対象になったようですが一憲法七十九条や八十条、つまりその意に反して裁判官の給与が減額せられない。これは裁判所法四十八条にもこの規定がありますけれども、それとの関連はどうかということなんですがね。これは法務大臣も衆議院でお答えになっておられるようですね。この七十九条の六項ですね、「最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」、八十条の二項ですが、「下級裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。」、この規定と今度の実質賃金のダウンですね。つまり、報酬というのはいわゆる裁判官報酬法のその文書の中にある「報酬」に限るので「その他の給与」は入らないんだというようなことで対処していらっしゃるように承るのですが、そうですか。その点ちょっとお伺いしたいのですが。
#32
○国務大臣(瀬戸山三男君) 実は人事院勧告がありまして一般職の俸給の改定を政府はしたわけでございますが、われわれの方では裁判官、検察官の報酬、俸給について検討いたし、その際にいまおっしゃった憲法とのかかわり合いがどうなるか、こういう問題も部内でも検討し最高裁判所とも意見を交換いたした。結論は、いまおっしゃったように、憲法の保障する「報酬」というのにはこれは当たらない、こういう結論に達して今回の提案をいたしておる、かようなことでございます。
#33
○寺田熊雄君 法務大臣、その根拠はどこにあるのでしょうか。そういうふうに御解釈になりましたのはどういう根拠に基づくのでしょうか。
#34
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私どもの認識しております憲法の規定は、寺田さんには申し上げる必要もないわけでございますが、御承知の、裁判官の重要な職責に基づく独立の原則、そういう法律規則、あるいは良心に従ってやるという独立の精神、憲法その他の法律で裁判官の地位を擁護する規定がたくさんあります。その一環として、経済的な条件でやはり独立を害してはいけない、こういう趣旨で特に裁判官に関してのみ憲法でこのことを規定しておる、かように考えておるわけでございますが、それは憲法の条章にもありますように、定時に給与する報酬、こういうことを明定しておりまして、裁判官の報酬法にもいわゆる報酬とその他の手当等については別の概念で規定をしている、こういう点から、憲法の条章に決めてある「報酬」、これは裁判官の独立し体面を保つだけの報酬をやらなければならぬと、こういうことでありますから、そういう意味で今度の〇・一の期末手当の減額というものはこの憲法に規定するものには当たらない、こういう解釈でございます。
#35
○寺田熊雄君 そういうことを実は衆議院のときに大臣の御答弁にあったことも聞きまして私も不思議に思ったのですが、つまり憲法上の「報酬」の概念を、裁判官報酬法という憲法の下位に立つ法律のそこに用いられている言葉の意味から憲法上の言葉の意味を推しはかるという不思議な現象になっているわけですね。つまり上のものが下のものによって概念を決められるということになるので、どうもこれは憲法上の考え方としては非常におかしいですね。
 それからもう一つは、大臣のお答えによりましても、それはたとえば裁判官の生活を保障しその体面を維持するに足るやはり給与を与えるんだということにあるといたしますと、それを裁判官報酬法中の「報酬」だけに限定をいたしますと、それじゃ「その他の給与」というものは、本来必要がないのだけれどもまあいわばぜいたくをするために与えたんだという結果になっちゃうでしょう、経済学的に言うと。非常におかしいでしょう。もうその報酬だけで裁判官の生活を確保し体面を保つのに十分だというならば、何でそれ以上に全体の十二分の五に相当するようなものをプラスして与えるのですか。おかしいでしょう。だから結局、この憲法上の「報酬」というものはやはり裁判官報酬法に言う「報酬」と「その他の給与」とを合した、そうしてその全体のものが裁判官の生活を維持しその体面を保つに足るだけの報酬なんだというふうに理解しないと合わないんですよ。いかかてしょう。――大臣に伺っている。
#36
○国務大臣(瀬戸山三男君) 細かいところがありますから、こっちから。
#37
○寺田熊雄君 細かくなくて結構……。
#38
○政府委員(枇杷田泰助君) 憲法上「報酬」という言葉を使っておりましてこの解釈は必ずしも明瞭でない点がございますけれども、一般に報酬という場合には職務を遂行したことに対する対価であるというふうに言われておるわけでありまして、そういうことで、憲法の下にありますけれども各法律ではそういう用語として使っております。裁判官にはなるほど報酬法に言っている「報酬」以外にもろもろの手当を支給することになっておりますか、その中にもたとえば寒冷地手当であるとかあるいは調整手当であるとか特地勤務手当だとかというものがございます。そのようなものはまさにその勤務の場所というところの特殊性からプラスされる手当でございまして、したがって、そのようなものが、たとえば北海道から九州の方に転勤したからといってなお減額できないというのは考え方として不合理な面があるわけでございまして、したがいまして、その報酬という中にはなるほど精神からいたしますと裁判官の経済的な生活の保障というふうな意味が込められていることは当然でございますけれども、ここで言っている憲法上保障しようとする一番の基本のものは、要するに職務の遂行に対する対価という面でとらえられるものについて減額をしてはいけない、またその対価は相当額なものでなければならないということを憲法で決められておるというふうに解釈いたしておるわけであります。
#39
○寺田熊雄君 あなたは、対価というのをそれじゃね、あれ。生活を保障して裁判官たるの体面を維持するに足るものというのと、あなたの対価とは違ってくるわけ。それから、寒冷地でもって何らかの一定の手当を支給するというのは、やはりそれは裁判官たるにふさわしい生活をする上に必要だからですよ。そうでしょう。寒いのにあなた、部屋でぶるぶるふるえたら判決なんか書けないからね。だからそれはやるよ、決まっているわ。それで、それを今度は転勤で下げざるを得ないとかなんとかいうことをおっしゃったがね、それは本人が同意しているのだから下げたって構いはしない。転勤したらあなた、そういう寒冷地手当がなくなるなんということは裁判官よく知っていてね、それはもう了承しているのですよ。ところが今度のはそうじゃない。本人が了承しようが了承しまいが一律に下げちゃおうというから、いけないと私は言っている。だから、本末転倒ですよ、あなたのおっしゃることは。だから、そのあなたにまずお伺いしたいわ、そんなことを言うなら。一体あなたの言うその職務の対価というのは、法務大臣のおっしゃった実質賃金を確保してその体面を保つに足る給与というのと違うの、一緒なの。どちらです。
#40
○政府委員(枇杷田泰助君) 同じことであるということで申し上げたわけであります。
#41
○寺田熊雄君 そうするとますますおかしくなるね。そんならあなた、私が法務大臣に最後にお尋ねしたように、職務の対価、それは法務大臣がおっしゃった生活を保障し、体面を保つに足る反対給付ということになるならば、それじゃそれ以外の十二分の五の期末手当などというものは、それ以上のいわば優雅な生活とか、ぜいたくと言うとまた語弊があるけれども、優雅な生活を送るに足るものをプラスしたんだということになっちゃう。はなはだどうも理屈に合わない。やっぱり憲法に言う「報酬」というのは、いわゆる裁判官報酬法に言う「報酬」と、それから期末手当などを含めた全体のものを指すというふうに理解しないとつじつまが合わないんですよ。それからまた、先ほど法務大臣がお答えになったように、憲法の下位に立つ法律を用いているから憲法の解釈もそうなるというのも、これまさに逆立ちした議論でこれもおかしい。だからこの期末手当というものの一律減額化、これは裁判官全部のやはり了承をとらないといけないんで、了承なしに私はその意思にかかわらず全体の所得を減らしちゃうというふうなことは許されないと思いますがね、いかがでしょうかね。法務大臣と、これは法務大臣の次に最高裁事務総長なり人事局長の御意見を伺いたい。
#42
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど、憲法に言う「報酬」、このことをどう考えるかというお尋ねでありましたからお答えしたわけでありますが、そういう意味で、憲法に規定しておる「報酬」というのは先ほど申し上げましたように、裁判官の地位を保全し、体面を汚さないようにするという意味の報酬なわけです。それを受けていわゆる報酬法、憲法以下の法律、法律には「報酬」としたがって他の手当を分けて書いてありますということでありまして、法律にそうあるから憲法の「報酬」もこの法律もこれで解釈するんだという意味じゃございませんから、それはひとつ誤解のないようにお願いしたい。まあ、裁判官に対して特に憲法でかように規定してありますのは、先ほどの私が申し上げたような趣旨であると解しておりますが、それが体面を保つために必要なものであるかどうか、どのぐらいのものが適当であるかということかこれ前提にあるわけでございまして、それ以上に期末手当であるとかあるいは勤務地手当であるというのは、これは別の要件で出しておるものと私は解釈いたしております。他の一般公務員でも同じでございますが。そういう意味で、憲法の趣旨としておるところはこれは直接のかかわりはない、かように解しているということでございます。
#43
○寺田熊雄君 それじゃ人事局長なり、事務総長の……。
#44
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 法務大臣及び調査部長から詳細に御答弁がございましたが、私どもといたしましても、憲法に言う「報酬」は裁判官の職責、その職務とその責任に対する反対給付であるというふうに考えておりまして、もちろんその国から支給される金銭というものは裁判官たる体面を保つに必要にして十分なものでなければならないというふうに考えております。
 法律と憲法の問題でございますけれども、その憲法の趣旨を受けて現在の裁判官報酬法が制定されているというふうに考えますが、先ほど申し上げました憲法の規定を踏まえて、裁判官報酬法は「報酬」と「その他の給与」、すなわち現行法上の各種手当というものを制定しているというふうに考えています。現行の給与体系下における各種手当、期末手当を含めましてこれを〇・一カ月分減額することについては憲法の趣旨には反しないというふうに考えている次第でございます。
#45
○寺田熊雄君 法務大臣のお答えになりました、つまり期末手当などというものは憲法のこの報酬に入らないんだと、らち外にあるんだと、関係ないんだということになるんでしょうか、おっしゃることは。どうもちょっとそこのところがわからない。それから人事局長のお答えになった部分もね、この憲法上に言う「報酬」というのは、裁判官の職務にふさわしい反対給付であると、しかしそれは裁判官としてふさわしい生活を送るのに必要にしてかつ十分なものでなければならないと、こうおっしゃったわけでしょう、いまおっしゃったのは。そうすると、さっきもお尋ねしたように、必要にして十分以外に十二分の五もあるというような巨額なものを差し上げるということになるので、ちょっと合わなくなりはしませんか。それは何か、いや、それは必要にして十分なものだけじゃいけないんだと、さらにまたもっともっと優雅な生活を送る必要があるんだと、だから十二分の五を差し上げるんだというような論理になりはしませんか。どうですかね、おかしいでしょう。まず法務大臣いかがですか。
#46
○国務大臣(瀬戸山三男君) 同じことを申し上げて恐縮でありますが、憲法に言う「報酬」というのは、いまおっしゃったように裁判官の独立を害さないように特に減額をしてはならないということまで規定してあるわけでございましょう。その他の問題は一般公務員にもありますように、いろんな名目の手当等があるわけでございます。それはそれなりの条件に応じてやるわけでございまして、憲法に言う裁判官としての地位を守り、あるいはその体面を汚さないと、これは憲法に言う「報酬」の中に全部含まれておる、その額が適当であるかどうかはこれはもちろん議論のあるところではありますが、そういう前提のもとに憲法は規定してあるし、また法律は、その報酬法はそれを受けて規定がしてある、こういうふうに私どもは解釈しております。問題は、その報酬が一体裁判官の地位、体面を守り、裁判官としての経済的な面から独立を侵される状況にあるかどうかと、こういう点が私は問題になると思いますが、現状ではそういうことにはならないと、こういう判断をしておる、かようなことでございます。
#47
○寺田熊雄君 人事局長いかがですか。
#48
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 私も、大変繰り返しになるところもあると思いますけれども、基本的には大臣から申し上げたとおりでございます。確かに憲法で裁判官の報酬について憲法上の保障があるわけでございますが、結局、憲法で言っております相当な報酬という額がいかにあるべきかということになるわけでございます。この解釈にもいろいろな御議論があるところだと思いますが、この相当な報酬というのは、やはり裁判官の地位にふさわしい生活をなし得るだけの額というのがいわば通説的な解釈ではなかろうかと思います。大臣からも申し上げましたように、現行報酬法におきますいわゆる基本給である報酬自体が憲法上の報酬の精神にかなっているというふうに考えます。先ほどから申し上げておりますように、現行の給与体系下における期末手当を〇・一カ月分減額いたしましても憲法上の保障には反しないというふうに考えている次第でございます。
#49
○寺田熊雄君 この問題で余り長いこと言ったんじゃほかの質問ができませんからこれで打ち切りますけれども、最後に一つだけ。
 あなた方の御答弁だと大変な矛盾が出るというのは、憲法に言う裁判官の「報酬」というのは裁判官の職務にふさわしい、そしてその体面を維持するに足る給与のことを言うんだというその御解釈はこれは正しいと思いますよ、私も。ただそれが期末手当なんかを含まないんだと言うとおかしくなっちゃうんで、日本の給与体系というのは、本俸やそれから期末手当などを全部包含してその生活を確保し得るか、それからそれが体面を維持するに足るものであるかということを考慮して構成されているので、本俸だけでもうすでに十分であるというふうになってないわけですよ。それはこの民間準拠という点から考えてもおわかりになるでしょう。民間の場合は高等裁判所の判例で、これは東京高裁の判例ですが、賞与というのは賃金の一部であるという判例があること御存じでしょう。いま日本の給与体系というのはそうなっているわけですね。お疑いになるといけないからその判例の本を申し上げてもいいと思うんですが、これは東京高等裁判所昭和四十八年(ネ)の第六〇五号、「控訴会社における賞与は、従業員にとり、単なる会社の恩恵又は任意に支給される金員ではなく、会社が従業員に対し労働の対価として、その支払を義務づけられた賃金の一部であると認めるのが相当である。」と。最高裁の判例などは退職金も給与の後払いだというふうに判例があることもあなたも御存じでしょう。
 だから日本の給与体系というのは期末手当とかそれから退職金とかそういうものを全体を包含してにらんでいるわけですね。それで構成されているわけです。それに準拠して公務員の給与も構成されているわけで、公務員だけが本俸だけでいいんで賞与は要らないんだという、そういう給与体系になっていないんです。それじゃ民間準拠にも何にもなら、ない。また実際問題としても合わないでしょう。あなた方ボーナス要らないなんていうことをおっしゃるわけないでしょう。だから結局憲法上の裁判官にふさわしい報酬というのは、そういう給与体系をにらんで、やっぱり期末手当も包含してそれで裁判官も生活を維持しておられるわけですよ。しかるにあなた方は、いや期末手当は裁判官にふさわしい反対給付以外のものであるとあくまでもがんばられるからおかしくなっちゃうんです。それだったら、それは裁判官にふさわしい反対給付、しかもそれは体面を維持するに足るものでなきやならぬ、それにさらにまたプラスしたということになるでしょう。それはおかしくなるでしょう。それだったら、そんなに裁判官の職務にふさわしい、そして体面を維持するに足る給与以外のものをうんともらっているという結論にならざるを得ないんで、それは大変おかしいことになる。だから何でもこれは憲法上、憲法に違反しません、違反しませんと言うそのおっしゃる気持ちはわかるけれども、違反したものを提案なさるわけないから、提案すべきものでないことはもう当然だから、まあそういうふうにお答えにならざるを得ないと思うけれども、あなた方のお答えによりますと、そういう裁判官の生活にふさわしい給与、体面を維持するに足る給与、それ以外のものがうんと裁判官には与えられているという結果にならざるを得ないんです。論理的に。それはおかしいでしょう。その点だけ、おかしいのかおかしくないのか、ちょっとお伺いしたいと思いますがね。法務大臣と人事局長にお伺いしたい。
#50
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 先ほどから繰り返し申し上げましておりますように、現行給与体系下に定められております手当に関する限りは、結論としては、この程度の減額、しかも一律に一般の公務員並みに減額されることについては憲法違反にはならないというふうに申し上げているわけでございます。ただ、また論点をふやすことになりまして恐縮でございますが、この期末手当が実質的に変貌いたしまして、現行の率が仮に十二カ月分とか二十四カ月分とかいうようなことがありました場合に、それを憲法で言う「報酬」の中に実質的に含まれるというふうに解し得る余地が出てくる場合もあり得ると思いますが、これは仮定論でございますのでこの程度にさしていただきますが、結論としては先ほどから申し上げているとおりでございます。
#51
○国務大臣(瀬戸山三男君) 寺田さんのおっしゃることも、理屈としてはいろいろあると思いますが、私どもは先ほど以来答えておりますように解釈をしておると、かようなことでございます。
#52
○矢田部理君 いま寺田先生の質問を聞いておって、私も納得できないので関連して二点だけ伺いたいと思いますが、本俸だけ、本俸は職務の対価であるという説明をされておりますが、そうしますと期末手当とか一時金は職務の対価でないのかどうか、対価でないとすればどういう性格の金銭なのか、この点が一点です。
 それから、本俸だけで必要にして十分な報酬になっているならそれ以上に相当多額の期末手当等を支払う根拠は何なのか。この二点だけお伺いいたしたいと思います。
#53
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 裁判官に支給されております各種手当が九種類ございます。で、九種類について一応申し上げますと、まず調整手当でございますが、これは全裁判官に支給されます。これは給与法にもございますが、民間における賃金、物価及び生計費が特に高い地域に在勤することによって、その地域における民間の賃金水準との均衡を目的として支給されるものでございます。次に初任給調整手当でございますが、これは御承知のように五号以下の判事補だけでございますが、この点については特に御説明申し上げることもないかと存じます。それから寒冷地手当、これも字義どおりの手当でございます。それから特地勤務手当、これは最高裁判事それから高裁長官を除く全裁判官に要件があれば支給されますが、この特地勤務手当と申しますのは、離島その他生活の著しく不便な地域に所在する官署に勤務する職員に対して支給されるものでございます。次に扶養手当、これは判事補、及び簡裁判事の場合は五号以下の簡裁判事でございますが、これも字義どおりでございます。次に通勤手当、これももう御説明を申し上げるまでもないかと存じます。次に住居手当、これも字義どおりのものとお考えいただいてよろしいかと思います。次に勤勉手当でございますが、これは各職員の勤務成績に応じて支給されるもので、報償的、能率給的な性質を有するものでございます。
 最後に、問題になっております期末手当でございますが、これは生計費が一時的に増大すると考えられる時期に、いわばその生計費を補充するというために支給されるものというふうに考えておるわけであります。それから支給根拠は現行の裁判官報酬法の九条でございます。
#54
○矢田部理君 もう聞きたくなかったんですか、法律上の条文の根拠を聞いているんじゃないんですよ。本俸は職務の対価だと。いま最後に言われた期末手当等の性格を聞いているわけですが、それは職務の対価でないのですか、ないとすればどういう性格のものですかと、法律的性格。それから、本俸だけで必要にして十分な報酬は払っているということであれば、その期末手当は、必要にして十分である以上のものを払う根拠は何ですかと、そこだけです。端的に答えてください。
#55
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 憲法で保障されております報酬以外に手当を支給する実質的な根拠いかんという御質問でございますが、これは憲法上の問題でございませんで、一般の公務員も含めまして裁判官に対して国庫から支給される給与の一環というふうに考えております。それは憲法で保障されている以上のものであるといたしましても、それは立法政策の問題で、現に現行法でそのようにお決めいただいているというふうに私どもは考えている次第でございます。
#56
○矢田部理君 まあいいです。全然意味がわからぬですけれども。
#57
○寺田熊雄君 それはわかるんだ、人事局長ね、立法政策が根拠であるに違いない。だからそれは裁判官の生活を維持し、そしてその体面を保つもの以上のものになるでしょう、あなたの論理だと。立法政策でやることはわかっている、法律だから。だけど憲法上の給与というのは、報酬というのは職務にふさわしいもの、そしてその体面を維持するに足る必要にして十分なものであると、こう言うんだから、期末手当は別だとこう言うんだから、それじゃあなた論理的に言って必要にして十分以上のものをつけ加えたことになりはせぬかと。じゃそれは一体何のためかといって聞いているんですよ、矢田部さんの御質問はそういう趣旨ですよ。
#58
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 期末手当に関して申し上げますれば、やはり生活費の補給的な性格を有するということになります。
#59
○寺田熊雄君 とうとうあなたは結局私の意見と同じになっちゃった。それはやっぱりあなた生活費を補給するんだと、生活費を補給するというんなら、やっぱり生活を維持するに必要だからですよ。生活を維持するに必要でないものを何で生活補給するものとして与えますか。だからあなたのはもうそもそも憲法上に言う「報酬」というもので期末手当を除外しようとするから、だから論理的にそういう矛盾を来すわけ。これはもうみんな間違っているけれども、間違っているのを余りがんばるものだから、結局そういう論理的な破綻を来しちゃうわけですよ。だけど、まあこれはこのことだけできよう終わるわけにいかないからこれでやめますけれども、おかしいですよ、あなたの。法務大臣もおかしいし、それから最高裁判所もおかしい。
 何にしてもこれは、ちょっとこれだけは確かめておく。今度この人勧で八号俸以上で、つまり本俸が上がらないで期末手当が下がったから、前年度より全体の収入の減る裁判官が千三百人おる、これは確かですか。それから検察官の方は、これは下がる人が千九十一名おる、これは間違いないですか、この数字だけちょっと確かめておく。
#60
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 裁判官の場合に判事が約千三百弱でございます。それから簡裁判事が約五百名でございます。あと最高裁判事と全部入れまして大体千七百程度ということでございます。
#61
○寺田熊雄君 下がる人が……。
#62
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 下がる人でございます。要するに判事以上ということでございます。簡裁判事――判事以上といいますか、判事、高裁長官、最高裁判事、最高裁長官、合計約千七百でございます。
#63
○政府委員(枇杷田泰助君) 検察官につきましては検事総長以下副検事を合計いたしまして二千百八十六名おりますが、その中で年額の収入が下がる検察官が千九十一名でございます。
#64
○寺田熊雄君 次は、法務局職員の増加の問題をお尋ねしたい。
 法務局職員が非常に数が不足していると、これは何か民事局が本当に良心的に計算をなさると、事務量にふさわしい職員を求めるといたしますと、五十三年度は三千九百七名不足しているということのようですが、これは間違いないかどうか。
 それから第二点として、昨年は法務大臣の非常なお骨折りで大変職員がふえましたけれども、ふえたけれども、要求人員が千人を超しておったので、まだ不足は非常に多いわけですね。これはどのぐらい人員の要求をなさっておられるのか、その二点をちょっとお伺いしたいと思います。
#65
○政府委員(香川保一君) 法務局の全体の職員の不足数、これはいろいろ計算あるいは考え方があるかと思うのでありますけれども、私ども実態調査のデータに基づきまして計算いたしますと、来年度の予想件数をもとにしての不足人員は約四千六百名ぐらいあるように考えております。
#66
○寺田熊雄君 不足が四千六百人……。
#67
○政府委員(香川保一君) はい。ただ、その場合にこの不足人員をすべて増員で賄うということは必ずしも妥当なことではないように思っておるわけでありまして、機械化その他の合理化によりまして、いろいろ省力化と申しますか、人にかわる、金でその不足人員を補充していくということもあわせ考えなきゃならないことでございまして、そういうことを考えますと、いわば絶対数の不足といたしまして約千九百名ぐらいは足りないのじゃないかというふうに考えております。それに対応しまして、お尋ねの来年度予算要求におきましては八百六十二名の増員要求をいたしております。これは絶対数が千九百名足りないのに要求が八百六十二名というのはおかしいじゃないかというふうにあるいはお考えになるかもしれませんが、こういった御時世でございますので、不足人員を単年度で一挙に充員していただくというふうなことはなかなかむずかしい、無理な相談でございますので、したがってきわめて事務繁忙の庁については単年度で、それ以外は二年あるいは三年というふうな計画的に増員していただきたいということがこの差になってあらわれているわけでございますが、ただここでちょっと申し上げておきたいのは、実は来年度の増員要求につきましては前年度の要求人員の八五%にとどめろという一般的な決めがされておりまして、さらに前年度におきましてはさらに前年度の七五%の枠内にとどめろというふうな一般的なそういう基準が決められた関係がございますので、これは全省庁一律でございまして、さような決めから申しますと、どうしても実態に合った、これだけ不足しておるということをそのままにした形の要求ができなくなるわけでございまして、したがってそういった制約のもとで出てまいりました数字が八百六十二名と、かように御理解願いたいと思います。
#68
○寺田熊雄君 これは法務大臣のやはり御努力をいただかなきゃいけないことですし、ことに前年度の裁判所職員定員法の一部改正する法律を、これは裁判所職員でしたね、やはりこの問題は前々からこの法務委員会でも登記職員、法務局職員などについて増員して職務の完全な遂行を図るべきである、それから庁舎の改善を図るべきであるという意見がこの法務委員会で非常に強いですね。したがって、来年度もそういう面について法務大臣の格段のやはり御努力が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#69
○国務大臣(瀬戸山三男君) 特に法務局の職員等の不足については衆参両院の法務委員会等でしばしば御指摘なり御声援をいただいて実は感謝しております。私どももその問題非常に心を痛めておりまして、何とか早く必要な人員を充足をしたいと、こういう考えに変わりないのでございますが、先ほど民事局長からも御説明いたしましたように、一面においては国家財政のこともありますし、またいわゆる行政整理という全体的な問題もありますから、なかなか意のごとくなりません。しかし、これは皆さんの御声援もいただきながら全力を尽くしたい。
 それから施設の問題については、前からしばしば御説明いたしておりますが、これは計画的にここ二、三年で解消をしたいと、こういうことでいま進んでおることを申し添えておきます。
#70
○寺田熊雄君 だんだん時間がなくなりましたので簡裁の事務移転の問題に触れたいと思いますが、これはまず最高裁にお伺いしますが、現在簡裁で事務移転を行っておるものは一体幾つぐらいありますか、まずそれからお伺いしたいんですが。
#71
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 現在簡易裁判所で事務移転を行っております庁は現時点におきましては十八庁でございます。なお、近く施行されるものが一庁ございます。
#72
○寺田熊雄君 この事務移転というのは、裁判所法に規定がありますね。三十八条「簡易裁判所において特別の事情によりその事務を取り扱うことができないときは、その所在地を管轄する地方裁判所は、その管轄区域内の他の簡易裁判所に当該簡易裁判所の事務の全部又は一部を取り扱わせることができる。」と。この規定によって行われると思うんですけれども、いま総務局長がお答えになったその事務移転というのはどういう特別の事情によってその事務を取り扱うことができなかったのかお伺いしたいんですが。
#73
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) ただいま事務移転中の十八庁、それぞれ全く同一の理由というわけのものではございません。若干のニュアンスの相違はございますが、ごく概括的に申し上げるならば、庁舎が当初から手当てがつかなかったというところもございますし、その後まあ手当てをつけて開庁した後庁舎の老朽化等に伴いまして執務が困難になったというふうな事情によって事務移転をしたところもございますが、主として概括的に申し上げますならば、執務に適するような庁舎の確保ができていないということがその理由になっておるわけでございます。
#74
○寺田熊雄君 御承知のように、簡易裁判所を設置する場合には、多分にその所在地の市町村が努力をしまして、ある程度の経済的な負担をしておるわけですね。その市町村はことごとくその事務移転というものがいつの日かやんでまたその簡易裁判所が事務を開始するということを期待しておるわけですね。ところが、いま総務局長がおっしゃった十八のところは、もうほとんど長い間事務移転がもう継続しております。そして事実上廃庁に等しい結果を生じておるんですけれども、これはどういうことなんでしょうかね。やっぱり廃庁せんというそのねらいがあるんじゃないか。そのあなた方のその行政的な措置の背後にはもうこれをやめる、廃止してしまおうという底意があるんじゃないか、そう疑わざるを得ないんだけれども、どうですか。
 それからもう一つは、そのように事務移転をして、その期間の長きものは何か二十年ぐらいにわたると言うんですが、その点いかがですか、その二つをまずお答えいただきたい。
#75
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 現在事務移転中の、先ほど申し上げました十八庁について廃止の底意があるのではないかというまず第一のお尋ねでございますが、ここで申し上げるまでもないことでございますが、下級裁判所の設立、廃止、管轄区域は法律で決めるというふうに裁判所法で定められておりまして、それに基づきまして別途下級裁判所の設立及び管轄区域に関する法律という法律が制定されておるわけでございます。したがいまして、これを廃止いたしますためにはその法律の別表を削っていくというそういう手当てが必要なわけでございます。形式的な問題でございますが。まあ寺田委員は、そういう形式的なことじゃなくて、実質的にそれをねらっておるんじゃないかといういまお尋ねであろうと思いますが、これは先ほども申し上げましたように、事務移転を行っております庁の中で古いものが二十年以上、これは先ほども申し上げましたように、最初から事務移転を行っているところも実はございますので、そういうところは古うございますし、まだ一、二年しかたっていないと、そういうふうな庁もあるわけでございまして、事務移転後の年数は各庁ばらばらでございます。ただ全体について申し上げられますことは、たとえば大都市の中にあります簡易裁判所につきましては、現在もしそこで開けばかなりの事件数があるところもあると存じますが、そういう簡易裁判所につきましては非常に最寄りまで近い。で、むしろそういうところに建てますよりは、現在あります本庁所在地の簡易裁判所へ行く方がかえって便利だというふうなところも実はあるわけでございます。
 一方、もっと田舎の方に参りまして、大都市内の簡易裁判所に比べまして若干交通は不便だというところもございますが、そういうところはまた事件数がほとんどないというふうな事情があるわけでございます。そういうふうな事情がございまして、全体として現時点においてその簡易裁判所の必要度ということを考えますときには非常に必要度が少ない。で、ないことによって現地の住民の方々に対して御迷惑をまあ形式的にはかけるわけでございますが、その御迷惑はほとんどないと言っていいぐらい少ないのではないかと。そういうふうな関係もございまして、現時点においては建てていないということになるわけでございますが、ただそうは申しましてもここで廃止するというふうに決めたわけでもございませんで、それらの簡易裁判所につきましては今後もなお客観情勢の変化等を見守りながら検討をしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
#76
○寺田熊雄君 あなたのおっしゃるように、もう事務がほとんどないんで廃止しても大衆は困らないんだと、国民大衆が全然苦痛を受けないんだということになると、それは廃止せざるを得ないと思うけれども、そうじゃなくて、町民がその存置を希望しておる。そしていつの日か建て直すということを待っている。その簡易裁判所が二十年も廃庁に等しい状態で放置されているというのはどうも感心しないんですね。しかもそれがあなたの御答弁ですと十八もある。その十八のうちで、実はあなたはもう全部廃止する気持ちはなくて、やっぱり存置の方向で予算の獲得に努力しているとおっしゃるのか、いかがですか。
#77
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 現在事務移転中の簡易裁判所につきまして、これを即時廃止するということを考えておるわけではございませんで、これを廃止するためにはいずれいろんな面の検討をいたしまして、法律の改正ということで国会の御審議も仰がなければいけないわけでございますが、そういう意味で現時点におきまして廃止という方向が固まったものでは決してございません。
 一方、それではすぐこれを建てて執務を始めるのかというお尋ねになるかと存じますが、そちらの面から申しますと、先ほど来申し上げておりますように事件の状況、交通事情その他いろんな客観的な条件から見ますと、地元にはそれほどの御迷惑もかけていないというふうなこともございますので、いますぐ建ててそこで執務を始めるということを考えているわけではございませんで、やはりそれぞれの簡易裁判所の客観的条件を今後見守っていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#78
○寺田熊雄君 それはわかるけれども、二十年も見守っているというのはおかしいですね。少し怠慢のそしりを免れないと思う。見守るのはよろしいよ。だけどあんまり長期にわたる見守りというのはどうでしょうかね。
 それから、最近起きた問題だけれども、東京都の五日市簡易裁判所、これはことしの七月十日に八王子支部へ事務移転をしましたね。これは間違いないでしょう。
#79
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) 五日市簡易裁判所につきましては、九月の上旬東京地方裁判所で事務移転の決定をいたしまして、十月十六日から八王子簡易裁判所へ事務移転をしておる、こういう状況でございます。
#80
○寺田熊雄君 ああそうか、十月十六日に事務移転をしたんですね。ただ、七月十日に八王子支部長判事、これが五日市町役場を訪れて、五日市簡易裁判所の事務移転について、東京地方裁判所八王子支部、日付は昭和五十三年七月十日、タイプ刷りの書面を町長に渡たしているわけです。この中に「右庁舎改築の予算措置については、今後とも上級庁に対し早期実現を図るよう要望する。」という一項がある。それから「このたびの措置は、事務を庁舎の改築が実現するまで暫定的に移転するだけのものであって、裁判所を廃止するというものではない。」こういう文言もある。この八王子支部長判事の申し入れを町長は文字どおり受けて、これはもう暫定的なもので、必ず建ててくれるという期待を強く持っているわけですね。町長の言葉によると、廃止してもらっては困る、人口はふえている、急速にふえつつある、かつて、敷地もただで差し上げたんではないけれども百五十坪ほど努力して非常に安い価格で差し上げたと、そういういきさつもあって廃止してもらちゃ困ると言うのですけれども、この五日市もやはりあなた方としては廃止するというんじゃなくて、本当に支部長判事の申し入れのように暫定的移転であって、改築するために努力をするという方針であることは変わりないんですか。
#81
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) まず寺田委員最初に御指摘になりました八王子支部のタイプ刷りの書面のことについてちょっと申し上げたいと存じますが、これは八王子支部長が、東京地方裁判所におきまして事務移転をするという計画が起きましてから、各地元市町村の御了解を得るためにそれぞれの役場へ出向きまして町長さん等にお目にかかって口頭で詳しく御説明を申し上げたわけでございますが、そのときに、誤解を生じてはいけないし、町長さんがほかへ御説明されるときにも便宜というふうなこともあったと、そういうふうに考えたようでございまして、口頭の説明の補助と申しますか、そういうことでこのメモをお渡ししたような報告を受けております。このメモには確かに、予算措置につきましては実現を図るよう要望するとか、改築が実現するまでの暫定的な移転だというふうに書いてございますが、一方、一番最初の第一項で、改築の上申をやっておるけれどもその見通しが立たないということをまず最初にはっきり書面もうたっておりまして、御説明の場合にもそういうことを十分御説明をしているようでございます。そういう意味では、このメモの文言にあるいは適当でない点もあるかとは存じますが、全体としての御説明としては、すぐにそういう予算措置が講じられて建てられるんだという御説明はしていないというふうに私どもとしては報告を受けておるわけでございます。
 で、このメモにございますように、「廃止するというものではない。」ということはまさにそのとおりでございまして、廃止をするにはやはり先ほど来申し上げておりますように法律上の手当てが必要だという意味で廃止ではないわけでございます。
 で、「暫定的」と書いてあります言葉が、暫定的という言葉自体から非常に短い期間であるというふうな印象を与えるという点が少し不適当であるのかもしれませんが、これも先ほど申し上げておりますように、改築につきましては見通しは立たないということで御説明を申し上げておるということでございまして、一応事務移転をいたしまして、今後、人口その他ふえておるというようなお話もございますので、そこら辺の事情を見守ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#82
○寺田熊雄君 何か総務局長のお話だと非常に弁解が先に立つんだけれども、見通しが立たないという点を強調するかと思うと、暫定的にという言葉を使ったのは何かまずかったような印象の御答弁もあったわけだがね。暫定的というのを二つも使っているんですね。暫定的に移転したい、「暫定的に移転するだけのものであって」云々と、それから「予算措置については、今後とも上級庁に対し早期実現を図るよう要望する。」と、こういう表現を用いると地元の町長としてはこれをやっぱり信頼せざるを得ないので、だからもしそれが見通しが立たないというんだったら、こんな「暫定的に」とか「早期実現」だとかいう言葉はおかしくなる。もしこれがやはり暫定的なものであって早期な実現をしないと、結局町長は八王子支部裁判長にだまされたという印象を受けますよ。
 それから、ここには調停件数だけが書いてあるけれども、調停件数が四十八年はわずかに八件、四十九年は九件、五十年十一件、五十一年九件、五十二年十件というふうに調停件数だけを特別にうたっているんだけれども、調べてみると過料事件なんていうのは非常に多い。五十二年二百三十三件、それから刑事の第一審が十三件、これは既済が十三件、新受を入れると十五件、略式事件が三百六十八件、その他八十七件、こういうふうにある。この中で一番少ないやつだけを特に掲げたというのも何か少し謀略的なものがあって、私どもとしてはなぜ正直に全部書かなかったのか、少ない調停だけを特にここに書いたのかという疑いを持たざるを得ない。やっぱり裁判官はそういう疑いを持たれないように何もかも正直に堂々と公表なさる方がよろしいですね。いまのお話もちょっとどうかと思うことがある。
 それから、この十八件のやつでも実際予算要求はなさっておられるのかどうか。予算要求をしてそれが通らないのか、それとももう初めからあきらめちゃってだめだと思っているのか、どちらですか。
#83
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) まずこの八王子支部長か口頭説明の際にお渡しいたしました書面に調停事件だけ書いていないという点について申し上げたいと存じますが……
#84
○寺田熊雄君 調停事件だけしか書いてない。
#85
○最高裁判所長官代理者(大西勝也君) はい。調停事件数だけしか書いていないということについて申し上げたいと存じますが、この五日市簡易裁判所は、御承知と存じますが、民事訴訟の事務は昭和三十年からもう八王子簡易裁判所に移転して、現在やっていないわけでございますし、それから、いわゆる交通事件につきましては、立川簡易裁判所で統合処理をしておりますので、現在やっていないと、こういう関係にあるわけでございます。したがいまして、調停事件以外にあります事件といたしましては、ただいま寺田委員御指摘になりましたように、略式事件と過料事件、それから刑事の通常訴訟事件といったようなものがあるわけでございます。まず過料、それから略式は、これはもう寺田委員に申し上げるまでもないことでございますが、書面で告知がありまして罰金、それから過料等も郵送で納めるというようなことになっておりますので、まあ現地の住民の方々にかける御迷惑というのはまず余りないのではないか。刑事訴訟につきましては、特に五十二年が多かったんでございますが、十五件ということになっておりますが、これも追起訴等がございまして、実際は五件のようでございまして、それも必ずしも地元の方ばかりではないというふうな、そういう事情にもあるわけでございます。まあ八王子支部長といたしましては、結局一番当事者に御迷惑をかけるのは調停である、調停はやっぱり御本人に御出頭いただきましてやるという関係上、非常に御迷惑をかけるということで、特にこのメモにもございますように、調停事件につきましては、必要に応じて現地調停というものを実施いたしまして、御迷惑をかけないようにすると、そういう御説明をこのメモでもしておるわけでございまして、その関係でこの調停事件だけを書いたと、そういういきさつがあるようでございます。まあそれだけではなくて、メモにはこれだけしか書いてございませんが、四カ町村回っておりますときに、やはり御質問等もございまして、ほかの事件のことも口頭ではお話し申し上げたところもあるようでございまして、決してこれを少ない事件だけを書いてだますとか、そういうつもりは毛頭なかったんだということをひとつ御理解いただきたいと存じます。
 次に、第二の点のその十八庁について予算要求を行っているかという点でございますが、これはまず結論から申しまして、予算要求は行っておりません。ただ、最高裁判所といたしましては、全体としての営繕計画、簡易裁判所でもまだまだほかに老朽庁舎も抱えておるようなわけでございまして、そういうような必要度に応じて順次予算要求をするというふうな関係になっておるような次第でございまして、まあ先ほど申し上げておりますように、これらの簡易裁判所については、客観的条件から言って必要度はそれほど大きいものではないというようなこともございますので、現時点においてはまだ予算要求するには至っていないと、こういう状況にあるわけでございます。
#86
○寺田熊雄君 現地の住民の便宜ということも非常に大切で、これはまあ第一義に考えなきゃいけませんわね。それからもう一つは、町長の言葉によりますと、町としては努力をして誘致したその官庁、そのために犠牲も払ってきたその官庁が町の意向を無視して廃止されるようなことがあったんじゃ困るんだと、それは町の体面にも影響すると、町民全体のやっぱり感情の上でもまずいということがありますね。だからやはりそういう面も考えてなさらないと、事件が減ったからというそのことだけですぐ廃止ということに結びついても困るし、あなたのお話では、廃止と決まったわけではありません、情勢を見守っているんですと、こう言うんだけれども、ただそれが余りにも長期にわたって事実上廃庁に等しいと、そうして既成事実をつくって、もう事件が二十年もないんだから廃庁ですということになったんでは、地元の市町村としてはやっぱりだまされたという印象を受けますからね。そこのところはやはり誠実に住民に対応していただかないと困るわけです。予算要求くらいやっぱりしてもらわないと努力しているということにはならぬでしょう。この点最後に事務総長にお伺いしておきます。
#87
○最高裁判所長官代理者(牧圭次君) 御承知のように、簡易裁判所相当多数ございますので、それを改築あるいは新築等の予算ということを一度に請求するということもできかねますので、重要性に応じて、重要度に準じて逐次改築してまいったのが現在までの状況でございます。そういう状況は今後も同様に重要度に応じた改築をできるだけ早い機会に進めていくということで努力してまいりたいと思っております。
#88
○寺田熊雄君 それはわかるんだけれども、裁判所の予算全体をうんとふやしてそういう情勢に対応するというのじゃなくて、もう予算かふえないので重要度のものを優先するからそっちはもうしょうがないんだと、何年でもほうっておくんだという結論になっちゃうでしょう、総長のお話だと。それじゃ困るんです。やっぱり努力して何か対応しないと。だから、重要度が先なんですと、だから重要でないものはもうしようがないんですという結論でしょう、あなたの御答弁だと。それじゃ困るんです。
#89
○最高裁判所長官代理者(牧圭次君) 初年度、二年度、三年度と進んでまいるわけでございますが、そういうときに最初に建つのは最も重要なところからということで順次建てていくというのが全体の営繕計画のつもりでございます。
#90
○寺田熊雄君 それなら話がわかる。だからまず重要なものからやっていきますと、したがって順次やっていくんですというんだったら、やっぱりその重要度が比較的薄いと思われるものも誠実にやっぱり対応してその関係市町村がだまされたという印象を受けないように措置していただきたい、それはよろしいですか。
#91
○最高裁判所長官代理者(牧圭次君) 御趣旨は十分わかるところでございます。ただ、簡易裁判所制度発足いたしまして約二十年、非常にその間の情勢の変化ということもございますので、これから新しく建ててまいりますという場合にはどこに建つのが最も適当であろうかというような判断はまた今後も出てこようかと思います。そういう点では簡易裁判所の合理的な配置ということは当然考えていかなきゃならないだろうと思いますが、そういうことを含みながら先ほど先生のおっしゃられたような趣旨で順次建ててまいりたいというふうに考えます。
#92
○寺田熊雄君 最後に、午前中の分として、横川長官の方を一般質問にして民事執行法の方を先に……。
 これは民事執行法の問題ですね、これは民事局長ね、この体系としていまの現行民事訴訟法中の強制執行の総則ですね、この条文が残りましたね、今度。これは何かちょっと体系的に不体裁のような感じもするけれども、どうして残したのか、御説明いただきたいと思います。
#93
○政府委員(香川保一君) 当初のこの改正の経緯といたしましては、おっしゃるような部分も含めて改正するということでまいったわけでございますけれども、ただよく考えてみますと、民事訴訟法はそのまま残りまして民事執行法という強制執行と競売を合わせたものができ上がる姿を考えてみますと、やはり大ざっぱに申し上げまして実体裁判形成手続と申しますか、そういった実体法的なものはやはり民事訴訟法に残しておいて、そしてその裁判の執行手続だけを民事執行法で規定する方がむしろでき上がったものの姿としてはいいのじゃないか、こういうふうに考えまして、したがって執行に非常に密接な関係のある裁判形成手続、実体法的なものは民事訴訟法に残すというふうにしたわけでございます。
#94
○寺田熊雄君 今度「第五編ノ三」として、「判決ノ確定及ビ執行停止」というのがありますね。この「判決ノ確定」は、これはいまの局長の御説明でなるほどとうなづける面もありますけれども、執行停止の方はどうでしょうかね。つまり民事執行法の中で強制執行が停止される場合はかくかくしかじかであると、そういう部門を設けて、その中の一環としてこれを入れるという方が論理的に一貫するように思うのだけれど、どうでしょう。
#95
○政府委員(香川保一君) ただいま御指摘のような立法と申しますか、ことも十分考えられると思うのであります。ただそれを入れてまいりますと、執行外の手続と申しますか、執行裁判所外の裁判所の手続で執行停止がなされてくるものは相当あるわけでございますが、そういうものを取り込むことになるわけでございます。そこのところをどこで切るかということは、なかなかこれは体裁の問題として大いに考えなきゃならぬ点でございますけれども、私どもといたしましては、強制執行手続外で別の裁判所が執行停止の裁判をした。それを執行手続に乗っけてくるわけでございますから、したがって、そういうものはやはり執行手続の中に入れるのはちょっと筋違いじゃないか。ただ、強制執行が始まっておりまして、執行裁判所が執行停止をやるというふうなものはむしろ執行手続の中に入れた方がいいのじゃないか、こういうふうな分け方をいたしまして、結果的におっしゃるのと逆のような形になったわけでございまして、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
#96
○寺田熊雄君 それからもう一つは、われわれはこの大改正によって仮差し押さえ、仮処分の方も今度の改正でうまく調和のとれた改正ができ上がるというふうに期待しておったのだけれども、ちょっと何か中途半端な改正になりましたね。われわれは、たとえば労働事件などの場合は、仮処分に依存することが非常に多いわけです。むしろ本訴を上回るような私権の救済機能というものを持っている。この仮処分こそ整備してそういう新しい大衆の権利の擁護ということに即応してもらいたかったとわれわれは考えているけれども、この点いかがですか。
#97
○政府委員(香川保一君) 確かに民事執行法案の作成を別にいたしまして、現在裁判手続と申しますか、その中で考えました場合に、確かに仮差し押さえ、仮処分、いわゆる保全訴訟と言われている面にいろいろ問題がある。裁判所も相当その面で苦労されておるわけでございまして、これは現行法が悪いと申し上げてははなはだあれでございますけれども、やはり時代の進展に伴ってそういった新しいいろいろの問題が出てまいっておりますので、それに即応した保全訴訟の実体規定を設けなきゃならぬという認識は十分持っておるつもりでございます。この民事執行法を制定していただく機会にさような面を含めてできれば改正したいというふうに考えて作業を進めてまいったのでございますけれども、これはいろいろ検討いたしますと民法自身の問題にも非常に影響してくる、実体法が果たしてどうなのか、仮処分で例を申し上げましてもいわゆる本件の問題が必ずくっついて回るわけでございまして、その面の民法等の実体法がいわば端的に申し上げますれば、そういう保全訴訟の形であらわれてきておる時代の必要性というものを十分に受けた改正はされていないといううらみがあるわけでございます。そういたしますと手続法の面において先行するということはいかがなものかということを考えまして、やはり実体法の側面を十分検討してそれにふさわしい改正をした上で手続法としての保全訴訟を考えるべきではなかろうか、こういうふうなことを考えたのが一つでございます。
 それからもう一つ、先ほども申しましたように民事執行法案を作成するといたしました場合には、これはもう執行手続に限定する。そういう一つの態度を決めました関係もございまして、今回御審議願っておる民事執行法案の中には仮差し押さえ、仮処分の手続法的な面と申しましても、執行手続の面だけを必要最小限度是正いたしまして、実体的な側面、それから仮差し押さえ、仮処分の裁判形成手続の面は後日に譲ったと申しますか、これは即刻にも検討を続けておると申し上げた方が正確でございますけれども、先生十分御承知と思いますけれども、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、まあ早急に法案を作成すべく努力はいたしておりますけれども、まだ成案を得ていない、こういう状況でございます。
#98
○寺田熊雄君 それから今度の民事執行法が成立をいたしました場合に、もちろん裁判所の役割りも非常に大きい。しかし執行官の役割りが非常に大事になってくる。この二つの面がありますね。
 まずその第一の裁判所の問題ですが、これはわれわれ大阪におりましたときには執行部というのがあって、私もその執行部の一員だったことがある。執行関係を本当によく調べて対応していくということが大事になってくるわけですけれども、いま全国の裁判所の中で執行部という執行専門の部を持っている裁判所は幾つあるのか、どことどこか、そしてその担当の裁判官は何人おるかということをもしおわかりであったら教えていただきたい。
#99
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 純粋に執行関係事件だけを取り扱っているいわゆる専門部を設けておる庁は東京地方裁判所と大阪地方裁判所の二カ庁だけであります。
#100
○寺田熊雄君 東京と大阪。
#101
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 東京と大阪の二カ庁だけであります。そのほかの、数ははっきりしませんけれども、執行事件は一つの部に集中しているというところは多いように思いますけれども、そういう部では大体が保全事件ですとか、破産事件とか、会社更生事件とか、そういうものを取り扱っておりますものですから、そういう形にしている庁が何カ庁あるかというのは実ははっきりしていないのが実情であります。ただ、数カ庁はそういう形態をとっているようであります。
 それからその関係で執行専門の裁判官あるいは書記官が何人いるかという御質問でありますけれども、東京、大阪の場合にはいま申し上げましたように専門部がございますので、そこにはそれぞれ部を構成できるだけの裁判官三名ずつがおります。それから書記官も東京地裁には二十数名、大阪地裁には十数名という配置になっております。そのほかの先ほど申しました集中部をとっているところでは何人が執行事件を専門的に扱っているかというのは、実ははっきりつかんでおらないという実情でございます。
#102
○寺田熊雄君 それから民事局長にお尋ねをしますけれども、執行官というのはいま全国で何人おるのか、それからこれは裁判所か、裁判所関係ですか、執行官何人おるか、それから執行官に雇われ補助している職員が何人あるのか、大体承りたいんですが。
#103
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 五十三年の七月一日現在では執行官が三百三十一名おります。それから、執行官臨時職務代行者と言われる者が四十七名、それから、執行官に雇われている事務員が二百九十四名おります。それから、そのほかに執行官の事務を取り扱っております裁判所書記官、これが七十三名おります。
#104
○寺田熊雄君 時間もだんだんなくなります。
 最後に一つだけお尋ねしたいと思うんですが、民事局長、これは裁判所にもお尋ねをすることになりますが、この法律によって、この法律の施行によって執行官の職務というのはどの程度増加していくんだろうか。補助機関は必要がないんだろうか。まだまだ新法への対応に関連していろんな問題があって、これはこれからも詰めていかなきゃなりませんけれども、まず、職務はどの程度増加すると思われるか、補助機関の必要はないか、この点について民事局長とそれから裁判所双方のお答えをいただきたいと思います。
#105
○政府委員(香川保一君) 私どもの立場から申し上げますと、執行官の仕事というのは、これは常識的に申し上げまして余りうれしい仕事ではないわけでございまして、いろいろの苦労がある仕事だろうと思うのであります。そういった執行官の地位をできるだけ向上させて、そして、それに伴う収入の増加と申しますか、待遇の改善をやはり早急に図るべきだろうというふうなことで、この法案におきましては相当大幅に執行官の権限を拡大いたしております。その拡大の結果、数字的にどの程度事務量がふえるかということはちょっと数字的になかなか申し上げかねる問題でございますけれども、私は相当、これは数字的に大ざっぱに申し上げまして、一割や二割のそんな増加じゃなくて、やはり五割くらいの増加は質的には出てくるだろうというふうに大ざっぱに思っておりますが、ただ、現在執行官は非常に地域によって格差がございまして、余り仕事がないというところも相当あるようでございます。そういう面から考えますと、これは将来の事件増、事務量の負担増を見まして執行官の増加も図らなきゃなりませんけれども、何と申しましても、現在の執行官の質的向上と申しますか、研修等による質的向上をまず先決問題として図らなきゃならない、大体こういうふうな感じを持っておるわけでございます。
#106
○寺田熊雄君 補助機関は。
#107
○政府委員(香川保一君) 補助機関につきましては、これは先ほど申しましたように事務量が、負担が相当ふえるということを考えますと、補助機関を置くべきでないかということも十分考えなきゃならぬ問題だと思うのであります。ただ、その執行官の補助機関を法律から正面に規定することが果たして適当かどうかどいうふうな、これは立法政策の問題と申し上げていいかもしれませんが、そういうこともいろいろ考えまして、むしろ事案に応じて補助機関を使うか使わぬかの判断は執行官に任した方がいいのではないか。と申しますのは、執行事件というのはいろいろあるわけでございまして、その費用はだれが負担するかと言えば、結局は債務者負担になってくるわけでございます。その債務者負担をやはり一方では合理的なところにとどめると申しますか、言いかえれば余分な負担がかからぬように配慮しなければならぬ面もあるわけでございまして、むしろ、だからケース・バイ・ケースでその辺のところは執行官の判断に任した方がいいと。だから、事件が非常に困難であるというふうなものにつきましては、単独の一人の執行官が執行するのではなくて、数人の執行官が一緒になってやるというふうなことも必要になってまいりましょうし、また、場合によれば補助機関を使って、それと一緒にやるということで事足りるものもございましょうし、単独でやれる事件も大半あるわけでございます。そういったことを法律で規制を加えるというよりは、むしろケースごとに執行官の判断に任した方がいい。
 そこで、その補助機関が使えるかどうかという根拠の問題でございますけれども、これは現在最高裁判所規則で決めておられますので、それにゆだねてもいいことではなかろうか。ことさら法律でそこのことを何らかの規制を加えるような形で法律上規制するということは適当でないのじゃなかろうかと、かような判断で法律上はこの民事執行法案におきましては補助機関の関係は触れていないと、こういう考えでございます。
#108
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 現在まだ民事執行法案審議中なものでございますからはっきりしたことは申し上げられませんけれども、その執行法案の一つにも現況調査というふうな権限が、権限といいますか、仕事が執行官の仕事になっているというふうなことから申しまして、かなり執行官の仕事は増大し、かつ重要なものになってくるのではないかという感じは持っておりますけれども、具体的にどの程度ふえるかというふうなことにつきましては、まだ法律とか、それからそれに基づく規則を制定した後でないとはっきりつかめないという感じでおるわけでございます。それにしましてもかなり高度な仕事をするようなことになりはしまいかというふうなことで、裁判所の方としましては、その指揮監督の問題、研修等の指導の問題、あるいは任用についての問題ということについては、今後ずっと注意をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#109
○寺田熊雄君 補助機関。
#110
○最高裁判所長官代理者(西山俊彦君) 補助機関についてはいま法務省民事局長の方から言われたのと同じような考え方を持っておるわけでございます。
#111
○寺田熊雄君 終わります。
#112
○委員長(中尾辰義君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、一時二十分再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十七分開会
#113
○委員長(中尾辰義君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き民事執行法案、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題として質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
#114
○宮崎正義君 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案と検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、毎年毎回給与法改定には同じような論議をされて今日まで来ているわけでありますが、そこで私は、昭和三十九年の臨時司法制度調査会の意見書が出ておりまして、その後十三年の歳月がたっておりますが、この時点におきまして、特に給与体制の問題につきましてどのような今日まで変化をもたらしてきているか、午前中の論議にありましたように、憲法上の問題、あるいは大臣の言われる司法の独立性の問題、体面上の問題、あるいは生活等の問題に対しての給与に対して十分であるかどうかということが論じられてきておりますが、三十九年の臨時司法制度調査会の意見書、それらに基づいての今日までの様相というものがどう変化しておるかということをお伺いしたいと思います。
#115
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) それでは裁判官の報酬に関することでございますので、私の方から答えさしていただきます。
 御指摘の臨時司法制度調査会の意見書は相当多岐にわたっておるものでございまして、裁判官の報酬につきましても、大きな一つの柱として審議されたところでございます。宮崎委員御指摘の点につきまして、その後、裁判官の報酬等につきまして、臨時司法制度調査会の意見にのっとって講ぜられた施策について申し上げます。
 臨司意見書の第七章が「裁判官及び検察官の給与」ということになっております。その中の一の3の(一)「判事補及び検事の必要数を確保するため、判事補及び検事の初任給を増額する。」と、こういう意見がございます。これにつきましては、昭和三十九年九月一日から判事補の初任給を、当時二万六千三百円でありましたものを三万二千円にアップされております。次に、昭和四十六年四月
 一日から初任給調整手当が新設されました。
 次に、ただいまの3の(三)でございますが、意見は「口の措置に伴い、」云々とございますが、これとは関係なしに、昭和四十七年の四月一日から、高裁長官の報酬月額が東京大学、京都大学の学長よりも高く格づけされております。
 次に、飛びまして、5に対応する施策といたしまして、「現行の報酬又は俸給の特別調整額を本俸に繰り入れることを検討すること。」、こういう点がございますが、この点につきまして昭和三十九年九月一日から繰り入れが行われております。
 次に、6でございますが、「法曹有資格者である簡易裁判所判事のため、現在の簡易裁判所判事の最高の報酬額をこえる額の新たな報酬の号を設けること。」、この点につきましては、昭和三十九年の九月一日から判事四号と同額の号が新設されました。さらに、昭和四十八年四月一日から、いわゆる特号、これは判事三号と同額でございますが、これが新設されております。
 次に、二の「退職手当及び退職年金制度の改善」でございますが、その一、「弁護士から裁判官」「となった者が退職した場合に支給する手当について何らかの優遇措置を講ずることを考慮すること。」とありますが、この点につきましては、昭和四十一年四月十八日から最高裁判所裁判官退職手当特例法が施行されまして、特に最高裁判所の裁判官につきましては有利な退職手当が支給されることに相なっております。
 以上が私どもの所管事項の範囲内で臨司の意見に沿うて実際に講ぜられた施策でございます。
#116
○宮崎正義君 いまお伺いいたしましたものは私も資料によってわかっておりますんですが、問題は、なぜ私がそういうことを伺っているかと言いますと、この司法制度調査会における意見書の中にも、給与体制というものは別に考えていかなきゃいけないんじゃないかということが、かいつまんでみれば、そういうふうなことだと私は判断しておるわけであります。
 そこで、今回のこの一部改正する法律案の中にも、毎年のようにこれはやるたんびにあると私は思われている点が、裁判官についての附則の第十五条、検察官に当たっては附則の第九条、このそれぞれ特号俸の規定がございますけれども、この規定の中に、特号俸そのものの設定の理由等も大筋のことはわかっておりますけれども、「当分の間、」という暫定的な措置というものは、「当分の間、」というのは、よく当分の間、当分の間ということが使われておりますが、これは法務省として
 「当分の間、」という法解釈というものを私はどういうふうにとらえられているのか。この「当分の間、」の定義というものがあればひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
#117
○政府委員(枇杷田泰助君) 「当分の間、」という言葉は、一般的にはその「当分の間、」として定められた措置が臨時的なものであって、将来においてその措置が廃止または変更されることが考えられるのだけれども、いま直ちに特定の期間を見通すことができないという場合に用いられる言葉でございまして、ただいま御指摘の裁判官報酬法、検察官俸給法における「当分の間、」という言葉もそのような意味において用いられておるものと理解いたしております。
#118
○宮崎正義君 いまの御答弁によりますと、改正されるまでを「当分の間、」と聞いたんですが、そうしますと、何十年たっても改正されなければ「当分の間、」ですか。その「当分の間、」という定義ですか、はっきりしていただきたいと思うのです。
#119
○政府委員(枇杷田泰助君) 何年というふうな期間が定まっておりませんので「当分の間、」という言葉を使うわけでございまして、何年ならばその臨時的な措置が続けられるかということの限界については明確にすることがもともとできない性質のものでございます。しかし、法律上そうなっておりますためには、やはりそういう臨時的な措置が解消されるように、なるべく早くその改正措置が講ぜられるということが同時に期待されている規定の仕方であろうかと思っております。
#120
○宮崎正義君 検察官の俸給等に関する法律の第四条「検察庁法第二十四条の規定により欠位を持つことを命ぜられた検察官には、引きつづき扶養手当、調整手当、住居手当、期末手当及び寒冷地手当を支給する。」と、こうなっております。こういう二十四条の規定は一般職等にはちょっと該当しないというふうに私は解釈しているわけですが、こういうふうな特号俸の規定、あるいはいま申し上げました検察官の方の報酬の規定の中には第四条にこういうふうな制度も設けられているという、こういう特異な給与体制というものを考えている以上、人事院勧告に基づいてのその考えをもとにして司法の方も変えていくという考え方、これは私は当然改めていかなければならないんじゃないかと思うのですが、こういうふうな特別な条項を持っていきながら、なおかつそれはそれだと。一般俸給を上げる場合の率にすれば人事院勧告に基づいての一般職の方に同調していくみたいな考え方をしていきますと、大臣の御答弁のありました司法という立場の上から憲法に言う相当する報酬というものに該当していけなくなってくるのじゃないか。むしろこの際、体系的に給与のことは考えて改めていかなければならないんじゃないか、こう思うわけですが、大臣いかがですか。
#121
○国務大臣(瀬戸山三男君) 現行制度の各給与法の関係はかようになっておりますが、先ほど臨時司法制度調査会のお話が出ました。実は私もその臨時司法制度調査会の委員で参画しておったわけでございます。その際に議論になりましたのは、裁判官というものはいわゆる一般公務員と全然質の違う職柄であると、御承知のように裁判というものは非常な特殊といいましょうか、特異な仕事といいますか、役職であると。そういう意味で高い見識と人格を持ち、しかも相当の経験を積んでこの社会の各種の問題に審判を下す、こういう人がふさわしいと、前提として。そういう意味で一般公務員とは全然裁判官という者の立場は違うんだから、そういう前提に立って給与体系をつくるべきである、こういう意見が相当多かったのでございます。それは一つには、日本の裁判官制度は御承知のようなかっこうで任用しておりますが、その当時、いまもその議論が続いておるわけでございますけれども、いわゆる法制一元化という問題があります。アメリカ等みたいに長らく在野におって相当年齢にたち、キャリアもあり、しかも社会といいますか世間の信頼も高い、そういう人を裁判官に任命するという制度があるわけでございますが、そういう考え方も入りまして、この裁判官というのはいま申し上げましたような職責であるから、そういうかっこうで裁判官を任命すべきであるという考え方に立てば全然一般公務員と違った報酬体系をつくるべきである。法制一元化といってもなかなか、たとえば在野の弁護士さん等から裁判所に入ってもらった時期もある、いまでもありますけれども、それに、お互いに交流をしてそして裁判官のあり方を定める方がよろしいという考え方に立ちますと、いま申し上げましたような報酬体系と全然別個の立場で考えなきゃならぬのじゃないか。しかし、なかなかそうは言いましても日本では法曹人口が少ないとか、あるいは現在のこの給与体系の中では、こう言っちゃ失礼ではありますけれども、弁護士さんの収入に応ずるような、対応するような裁判官の俸給が定められておらない、そういうこともありましてなかなか法制一元化と抽象的に言っても具体的には進みかねる、一挙にできないが漸次そういうことに向かうように給与体系も弁護士さんの、優秀な弁護士さんが直ちにまた裁判官に変わる、こういう状況をつくる必要があると、こういう議論があったんでございますが、いま申し上げましたが、すぐにはいかない。しかし漸次そういう姿につくる必要がある。で、給与体系も一挙には改善は、改めることはできなくとも漸次そういう方向に向こうべきであると、こういう大体方向でありました。それに基づいて年月、私は詳細知りませんけれども、その後裁判官というものの特殊性にかんがみて他の一般公務員とは違った給与体系をつくろうと、こういうふうに政府部内で努力したのでありますけれども、そこが日本のこの公務員制度の中で裁判官だけ特別な高い給与を与えるということはなかなかそうはいかないと、財政当局なんか当然そういう立場でありますが、そこである程度の改善をし、先ほどお話になりました、裁判官は職務の性質上非常に長期にわたって高年齢までやる公務員でありますから特号というようなものまでつくって現行の給与体系に至っておる、こういう状況であると私は認識しておりますが、いまおっしゃることよくわかるのでありますが、それはほかの行政官と、大学を卒業して全然違う給与体系というのはなかなか実際問題としてはできかねる。しかし、裁判官の職務柄他と同じようにはいかないと、こういうことで現在も差がついておるわけでございますが、宮崎さんのお話よくわかるのでありますけれども、実際問題としては理想的にはなかなかいっておらない。しかし、そういうことはやはり常に頭に置いて私はこの問題考えるべき問題だと、かように考えております。
#122
○宮崎正義君 いろいろ各界からの意見書等があのときに出ております。そうすると、いま大臣のおっしゃったことは、五年なり十年なりかけてそして法案をつくっていくべきだというふうなことも私承っていますが、そういうふうな面から考えていきますと、あの中にもありますように、五年から十年と言うけれどももう十三年たっているわけです。しかも、いま私がいまさら申し上げることもなく、社会情勢というものはまことに複雑多岐にわたっていろんな諸問題が、その当時とはまた考えられない別な社会情勢というものが提起されております。司法の裁判上の問題でもいろいろあると思うんです。検察上の問題もいろいろあると思うんですが、それもその当時と十三年たっている現在では相当な考えの開き、いろんな情勢というものが変わってきているはずです。これに加えて国際経済情勢、日本の経済状況の中においても相当複雑多岐なものが変化されてきているわけです。そういうふうなこと等を考え合わせてみて、この調査会をつくった当時の、調査報をつくった当時の状態とはまた違うでありましょうけれども、こういう国民的な第三者的な司法調査会というようなものをこの時点で少し考えてみたらどうかなあと私は思うんですが、いかがでございますか。
#123
○国務大臣(瀬戸山三男君) 率直に言って一つの大きな研究課題だと、かように考えております。
#124
○宮崎正義君 そこで、今度の判事の八号俸、検事の八号俸以上の方々、これは先ほど午前中もありましたからくどくどしく言いませんけれども、恐らくこの年齢になれば高校生、大学生を抱えている方々あるいは単身赴任をなさっている方々がそういったような中で本当に体面を保つことができるのかというようなことを考えると、私はとっても心配でなりません。そういうようなことを考えながら、私は「判例タイムズ」の巻頭言、これはNo364で、横川敏雄さんという方、札幌高裁長官ですか、この横川敏雄さんの話がこの巻頭言で出ておりますが、この巻頭言の問題につきましてもう細かくいろんなことをお伺いしなきゃならないんですけど、給与法のいま審議をやっている真っ最中でございますので私は細かい面については省略をしまして、こんなふうに私は拝読したんですが
  お会いしてから直接いろんなお話を聞けばこのお書きになったお心というものと私がお伺いするものとマッチするでありましょうけども、私はそれ存じませんので、お会いしてもおりませんので本当の真意というものはわかりませんけれども、この巻頭言に言われていることだけを取り上げてみまして、こんなようなことも言っておられます。「何事も無難に要領よくと考える優等生タイプのものがふえたとか、第一線でいくら苦労しても容易に道は開けないとか、本当のことをいうと出世できないとか、」などということ。裁判官あるいは裁判所に対する批判についても、「かような批判を生む余地のないすっきりした存在でなければならない」と述べていられる。「第一線の裁判官が自由濶達なふんいきの中で、それぞれにより良い裁判の実現をめざし、そのもてる力を十分発揮できるように司法行政上一層配慮されたい」と述べられておりますが、この中で私は、この「自由濶達なふんいきの中で」とか、あるいは最後の方にあります「司法行政上」の姿勢の中に、これは給与の問題等があるということになれば相当私どもは考えてあげ、また司法を担当なさっている方にこういうふうな憂いがあってはならないというような面から、私はいま短い時間に部分的に取り上げまして、その精神を聞いたわけであります。そういう意味におきましても、給与改定の体系づくりというものはそれこそ改正されるまで当分の間だというような解釈じゃなくて、可及的速やかな体系づくりをやっていかなきゃならないんじゃないかと思います。先ほど申し上げましたような司法調査会の面から考え上げましても、もうすでに十三年の歳月がたっているというようなことから、私はこのことについてもう一度大臣のお考えを聞き、この給与問題についての質問は終わりたいと思います。
#125
○国務大臣(瀬戸山三男君) 札幌高裁の横川長官の御意見といいますか、それは私も目を通しておりますが、これは裁判所内部でどういう点を言っておられるか私も十分わかりませんので、これについて私がとやかく発言、意見を言うべき場所ではないと思います。
 先ほども申し上げましたように、現在の給与体系等は、先ほど申し上げましたが、これでいいのかということは、やはりいわゆる裁判官というものの職責といいますか、仕事の内容から言って、これはやっぱり根本的に考える必要がありますが、そう簡単ではないと思います。大きな研究事項だと考えております。
#126
○宮崎正義君 これは大きな研究課題というよりむしろ給与体制のあり方というものをはっきり打ち立てていかれるように私は要請をしておきます。
 それから、ずうっと持ち越されております執行法のことにつきまして若干お伺いをいたしたいと思いますが、午前中に寺田委員の方からも今度の執行法に当たっては執行官の立場というものが相当重大な責任を課せられるようになってきておるわけであります。たとえば、五十七条の「現況調査」について現況調査を執行官が行うわけでございますが、こうした現況調査がもし調査の不備があった場合なんかは、問題によっては国家賠償法にひっかかってくるような、責任に問われるような問題も私は起きてくるのじゃなかろうかという心配を持っておるわけです。そういったようなことを考えながら具体的な例を言ってみると、ビニールハウスに鉄条でロープを引いて、そしてわきの方に、ブロックのところに結束しているものを、これをどう判断するかというような、不動産であるか動産であるかというような問題等、あるいはいろんな細かいプレハブだとか、あるいはビニールハウスだとかそういったいろんな部分的な現況調査する場合にはいろんな物件があるだろうと思うんです。そういうふうなものに対する執行官の教育といいますか、判断をさせるべく執行官に対する教育育成、それらのこと等も今後この法の中からどんなふうに将来は考えていかれようとしているのか、その点一点伺っておきます。
#127
○政府委員(香川保一君) 執行官の資質を向上させる問題でございますので、最高裁判所からお答え願うのが適当かとも存じますが、私も最高裁として検討されておることを承っておりますので、それを御披露する形で答弁いたしたいと思いますが、おっしゃるとおり民事執行法が制定されますと、執行官の権限の拡大強化が相当大幅になされるわけでございまして、それにたえる資質の向上を図らなきゃならないのは当然のことでありますが、最高裁におかれましては、まず何と言ってもさらに法律上の素養、知識を向上させると、そういうふうなことでその面からの研修を強化したい。さらにまた、いま例示されましたような不動産の物理的な現況把握の問題に関連いたしまして測量とか、そういったいわば技術、専門的なそういう知識、能力を開発しなきゃならないというふうなことから、これもさような面からの研修をしようというふうに考えておられるわけであります。さらに、執行官は御承知のとおり手数料制のもとで業務に従事いたしておるわけでございますので、なかなか研修と申しましても大ぜいの者を一カ所に長期間集めてやるというふうなことは事実上困難でございます。したがって、そういった交代的な形での研修をやる一方、それをさらに補完する意味でいろいろの専門書と申しますか、手引き書といいますか、そういった執務参考資料を作成して、それによって執行官の執務の参考に資する、こういうふうなことを検討されておるようでございます。
#128
○宮崎正義君 執行官の給与体制なんかの問題も、私の考えですが、平均年齢からいきまして、国で補助をしている問題の額にいたしましても、いまの御答弁にありました手数料制の問題、給与制の問題、こういう問題につきましては時間がございませんからこの次ゆっくりやらしていただくつもりでおりますけれども、非常に執行官の方々が苦労なさっているという上の中から細かく次回は事例を挙げながら質問をいたしたいと思います。
 時間の関係で次に進んでいきますけれども、五十五条というのが俎上に上っておりますが、この五十五条の、私は素人なものですからわからないんですが、ここでお伺いしたいのは、「債務者又は不動産の占有者が、不動産の価格を著しく減少する行為をするとき、又はそのおそれがある行為をする」、この「行為」と、行為というものに対する具体例といいますか、そういうものを御説明願いたい。
 もう一つは「占有者が、」といいますか、その占有というものの範囲といいますか、その二つのことをお伺いしたいと思います。
#129
○政府委員(香川保一君) 五十五条の「不動産の価格を著しく減少する行為」と申しますのは、例示的に御説明申し上げますと、一番多い実務的な事例といたしましては、どうせ差し押さえされて競売されてしまうのだからということで債務者がその管理をしない。つまり、俗な言葉で申し上げれば夜逃げ同然のことになる、そういうケースがあるわけであります。管理者がだれもいないということになりますと、どうしても不動産の価格、これは競売完結までの期間が相当かかるものでございますから、さような面から価格は減少するということになる、そういう事例が比較的あるわけでございます。さらにまた、これはいやがらせと申しますか、債務者の意図のもとに第三者がその不動産を占拠いたしまして、そして物理的な損傷を加えるというふうな事例も間々あるようでございまして、あるいはまた風で屋根がわらが飛んだというふうな場合に、その修理を怠るというふうな、そういったことが実務上問題になっておりまして、そういうことを防止する意味からこの五十五条の規定が設けられようとしておるわけでございます。
 第二番目の御質問の「不動産の占有者」あるいは「占有」とはどういうことかということでございますが、これは「占有」というのは事実上の支配というふうに言われておるわけでありまして、たとえば債務者がその住居に住んでおれば、まさに債務者がその不動産を占有しておるということになるわけであります。ただ債務者自身はそこにいなくても、家族がそこに住んでおるというふうな場合を考えますと、この家族は法律的に申しますれば、占有補助者というふうに言われておるわけでありまして、その占有補助者の事実上の支配は、債務者が占有しているのと同じことだというふうに法律的には評価されるわけであります。たとえば債務者がその不動産を第三者に賃貸しておるというふうな場合、これは直接の占有をしておる者は、その賃借人である第三者であるわけでありますが、債務者はその場合には法律的には第三者の手を通じて間接に占有しておるというふうに言われるわけでありますけれども、この五十五条の場合で言う「占有者」の中にはそういった間接占有は含めていない直接占有者のみを考えておるわけでありまして、そういうふうに考えております。
#130
○宮崎正義君 私の持ち時間がないものですから御答弁に対して一つ聞きたいんですけれども、「不動産の価格を著しく減少する行為」、この中にスプレーだとか、ペンキでこうやったようなのをよく見るんですが、ああいうのはどうなるのか、この次の課題なんかにしておきたいと思いますし、これ実際問題「価格を著しく減少する」中に入るか入らないか、そういったような私、具体的なもので細かくお伺いしたいわけだったんです。
 それからまた「占有」ということにつきましても債務者ばかりじゃなくて、このごろ活発な若者が住居を占有してしまう場合なんかもありますし、そういったような事例もなくはないと思います。今後もあるだろうと思いますし、俗に言う過激派の人たちがそういうようなことをやらないとも限りませんし、そういった具体的な面で五十五条に対する質問を細かくいたしたいと思いますけれども、時間がございませんのでやめますけれども、もう一つだけお伺いしたいのは、十三条に「代理人」というのがございます。この「代理人」とはどういうことを指しているのかということだけきょうは簡単に伺って私のまた細かく質問をいたしたい点につきましては、この次の機会に譲りたいと思います。
#131
○政府委員(香川保一君) これは簡単に申しますと、執行手続におきまして弁護士以外の者について代理権を与えると申しますか、代理人として手続を遂行する、そのことについて裁判所が許可をするというふうな趣旨でございます。実際十三条の規定におきましては、特に代理人となれる者はどのような者でなきやならぬかということは法律上は規定いたしていないわけであります。もっぱら裁判所の判断にゆだねておるわけでありますが、通常考えられますのは、その本人と身分上あるいは身分上の関係、たとえば兄であるとかあるいは親であるとかそういった者、あるいはまた会社等の場合で申しますればさような関係の専門的な職場を受け持っておる者というふうな、そういった例が考えられるわけでありまして、やはり弁護士でなければできないその例外でございますので、狭くと申しますか、厳しくその範囲は画されることだろうと思うのであります。そういうことで、何らかの本人にかわって執行手続を遂行するのにふさわしいというふうなそういった関係にある者を裁判所で許可されるということになろうかと思います。
#132
○宮崎正義君 先ほど申し上げましたように、この問題につきましては私、細かくお伺いしたいわけですが、弁護士以外の者も執行裁判所の許可を得てやるということで、いま御説明にありましたような会社、従業員ということでありますが、従業員の問題につきましてもこの次の課題として、質問の課題として残しておきたいと思います。それから「代理人」の中に司法書士なんかもどういうふうに含まれていくのか、そういうような細かい点につきましては、時間の関係できょうは割愛をせざるを得ないのでございますけれども、そういう課題を残しておきたいと思います。
#133
○橋本敦君 裁判官の報酬等に関する法律の一部改正について、ごく簡単に質問を一点だけしておきたいと思います。
 先ほども議論になりましたし、寺田委員からもお尋ねがございましたが、法務大臣はこの〇・一%の問題について憲法違反にならないという、そういう考えで処置されているというお話がありました。それの議論はともかくとして、憲法に違反するということにまで至らないとしても、裁判官にとって待遇上の不利益を生ずる事態であるということは端的に認めていいのではないかと思いますが、そういう判断はいかがですか。
#134
○国務大臣(瀬戸山三男君) 待遇上の不利益という、もらうかもしれぬのを〇・一%今度は差し上げない、こういう意味においては待遇上の不利益ということになると思います。
#135
○橋本敦君 最高裁の人事局長にお伺いしたいのですが、裁判官の報酬等に関する法律の第十条の規定によりますと、「生計費及び一般賃金事情の著しい変動により、一般の官吏について、政府がその俸給その他の給与の額を増加し、文は特別の給するときは、」「一般の官吏の例に準じて、裁判官についても「報酬その他の給与の額を増加し、」云々と、こうあるわけですね。この第十条の規定は、社会事情の変動なり一般公務員の給与の変動に応じて裁判官の俸給及びその他の給与、つまり経済的待遇ですか、これを増加するということを決めた規定である。この十条を今度の〇・一%削減問題との関係についてはどういうように考えておられますか。
#136
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘の条文はここに書いてありますような場合に、裁判官についてもいわばおくれをとらしてはいけないという趣旨の条文というふうに考えております。したがいまして、今回の御指摘の手当の〇・一カ月分の減額につきましては、この十条自体は必ずしもいわば言及していない。むしろ九条の本則といいますか、に従って「一般の官吏の例に準じて、」云々というところにこの報酬法の関係ではそのように相なるというふうに考えております。
#137
○橋本敦君 九条の関係に準じて、つまり九条によりますと、報酬以外の給与ということですね。これで、準じてということでこの部分は下げる。ところが十条では報酬以外の給与も含めて一般の官吏の例に準じて事情によって上げるということを基本的な眼目としている。確かに九条と十条は違いますね。だがしかし、十条という規定が置かれていることと、現在、要するに生活補給金とあなたがおっしゃいましたが、本来の裁判官の報酬プラス生活補給金的意味を十分持っているその他の給与について、一般社会事情としては物価が下がったとかあるいは生活程度が非常に安定をして余裕ができたとかいう特段の事情がない限りは、私は十条で言っているこういう考え方も裁判官の待遇維持という意味から言って無意味ではないかと思う。だから、十条という規定が置かれている以上は、この十条はまさに待遇改繕のために増額をする必要があるということを明定しているわけです。九条は明らかに減額してよい場合があるなんてことはこれは書いてない、準拠するだけと、こういうこと。こういう規定の趣旨から言って、今回の場合、十条を全然考えなくても九条だけで、例にならって削減するということだけでいいということになりますと、裁判官の待遇改善ということ、その職務の独立性ということ、社会的地位の向上といったようなことを踏まえて、おくれをとらないようにじゃなくて、むしろ先に進んでも社会的地位の向上という面からいい場合もあるので、この十条の規定があるということを考えないで、一般公務員に準じて〇・一%削減結構だというふうにすぐいってしまうというのは、私はせっかく十条がつくられている趣旨から言って、余りにも十条を軽んじているのじゃないかという気がするのです。そこらあたり、特にそういう私が指摘したような意味からこの問題について検討されたことがありますか。
#138
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 御指摘の十条の条文は、いわゆる増額の場合だけを明文で規定しているわけでございまして、御指摘の十条の条文についてこのたびの問題と絡みまして検討いたしたつもりでございます。
 なお、つけ加えさせていただきますと、この十条の問題は昭和三十五年ごろ国会でも大分議論をしていただいたようでございます。その際にはむしろ一般の公務員の増額があった場合にいわば自動的に最高裁の方でその増額に応じて支給できるというようなことが当時の政府案であったようでございますが、そういうことでなくて、「法律の定めるところにより」ということで国会で御審議いただいて決めていただくという点に議論の重点が置かれたようでございます。まあ繰り返しになりますけれども、私どもといたしましては、十条の場合には、むしろ裁判官について一般の公務員が上がった場合に当然に――当然にといいますか、それにおくれをとらないで上げるべきであると、一般の公務員が上がっているのに裁判官だけ不利益を受けるようなことがないようにすべきであるという趣旨の条文に解しておる次第でございます。
#139
○橋本敦君 どっちにしても、今度の問題は私はいろいろと研究する余地かある問題を投げかけたと思いますね。準じてということであるだけならば、私は十条の規定が必ずしもなくったって、九条もしくはこれに類する規定で準ずるということだけ決めておけばいいので、十条の規定というのが特に設けられているという趣旨を私は全体としてもう少し尊重した方がいいという感じがしております。どっちにしても〇・一%削減といったような事態は好ましくないということは私ははっきり言っていいと思うのだけれども、これからもこういうことが起こらないように私は期待をしているわけです。
 そこで最高裁並びに法務大臣、今後こういう事態が起こらないことが好ましいし、そうしたいというお考えがあるのかどうか、その点だけ伺って終わります。
#140
○国務大臣(瀬戸山三男君) 裁判官といえども国民経済の中でその職務に従事しておるわけでございますから、国民経済の大きな変動等の場合に将来はそういうことがないとは断言はできませんけれども、しかし、裁判官の特殊事情からいうと余り好ましいことではない、かように考えております。
#141
○最高裁判所長官代理者(勝見嘉美君) 裁判所といたしまして――私もこの報酬法によっていただいているわけでございますが、裁判所としては、裁判官の憲法で保障された報酬というものにつきましてそういうことのないようによろしく御審議のほどをお願いしたいというふうに考えております。
 なおちょっと立ちましたついでに訂正さしていただきたいと思いますが、先ほど昭和三十五年で議論されたと申し上げましたのは、実はこの報酬法自体が二十三年に制定されておりますが、その際の議論がたまたま三十五年のベースアップの御審議の際に議論になったという趣旨でございますので、訂正さしていただきます。
#142
○委員長(中尾辰義君) ほかに御発露もなければ、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案、両案についての質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより両案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#144
○委員長(中尾辰義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#145
○委員長(中尾辰義君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#146
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、民事執行法案につきましては継続審査とすることに理事会において意見が一致しておりますので、後刻その手続をいたします。
    ―――――――――――――
#147
○委員長(中尾辰義君) 検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#148
○寺田熊雄君 新聞等で報道されておりますように、「判例タイムズ」の十月号に、横川札幌高裁長官が「最高裁に対する期待と要望」と題しまして一片の論述を出しておられるわけであります。これは最高裁判所におかれてもお読みになったと思いますけれども、大変最高裁の現状に対して厳しい批判を含んでおるようであります。その中の司法の前途に一抹の不安がないでもない、そうして、現在の裁判官が本当のことを言うと出世できないというような批判があるというようなことも書いてあります。これは私どもが最も裁判所にあってはならないことであるというふうに考えておるわけであります。私どもが裁判所におりましたときも、一部に、合議で余り裁判長に盾突くと出世ができないというような裁判官らしくないことを言うような裁判官もないではなかったわけであります。しかしそれは多数ではなかったと思います。しかし最高裁の姿勢によりましては司法部全体にそういう雰囲気が起きてこないとも限らないと私どもは思っておるのでありますが、横川長官はそういう意見を公にされた。
 次に、「第一線の裁判官に対し、より良い裁判への気魄と情熱をかきたて、裁判すること自体に喜びと誇りをもたせるようなフィロソフィが影をひそめたのではないかという点である。」というようなことも書いてある。まあ横川長官の司法に対する任務の理解といいますか、ともすれば国家秩序の維持であるとかドイツ流の法秩序の維持というようなことが重んぜられまして、憲法を守る、そういう使命感というものが最高裁にきわめて薄いというような一般的な批判が現実にあるわけでありますが、横川君もいみじくもそれをやはりこの論文で言っておるわけで、そして横川長官はドイツ流の国家的法秩序の維持ということよりも、現在における司法の使命は「基本的人権の保障」を核心とする法の支配、ルール・オブ・ローといいますか、「法の支配」の確立にあるというこの解釈を、理解ないし信念を吐露しておられるわけであります。そして、最高裁に対しては、「時の政府から一歩はなれた広い視野と展望に立って、」事実に即して問題の解決を図られたいという要望を出しておるのであります。まあ、いまの最高裁が石田長官以来非常に右旋回いたしまして、政府の方針を忠実に守るという点に重点を、現実に重点を置いているような印象を受けるわけです。そして、「第一線の裁判官が自由濶達なふんいきの中で、それぞれにより良い裁判の実現をめざし、そのもてる力を十分発揮できるように司法行政上一層配慮されたい」。司法行政上の要望を最高裁につきつけておるわけであります。
 これはですね、その後朝日新聞の九月二十九日、「今日の問題」というコラムに、「「横川批判」の重み」と題しまして論評がなされておるわけであります。「今回の批判は現職の高裁長官によるものだけに、その持つ意味は大きい。」と。「近年、最高裁がタカ派色を強め、政府寄りの姿勢に傾いているのは大方の指摘するところだ。とくに公安・労働事件でその傾向が顕著である。」という部分があるのであります。東京新聞にも大体同じような評価がなされておるようであります。私もこの問題に関しまして非常に同感なのでありますけれども、ただ私自身の独断であってはいけないと考えまして、いろいろな人々の意見をたたいたところが、ほとんどその意見に賛成だと。その中には現職の裁判官もおるわけであります。それから退官したばかりの高裁の部長、東京高裁の部長判事を最近退官したばかりの男に意見をたたいたのでありますけれども、ふだんやはり部内で言っておることだということを申しておりました。それから、御承知のように、谷田茂栄さん、これは東京高裁の部長判事で退官して、いま弁護士をしておりますか、まことに同感であるということで、朝日に投書までしておるようであります。このように、横川長官の最高裁批判というものが現実に各方面の支持を得ているということは、やはり最高裁としてはよく考えていただかなければいけないことでありまして、右寄りに走って政府の太鼓持ちをすればいいというような考え方を持った最高裁裁判官が多くては、国民の信頼を決して担うことができないと私どもは考えておるのであります。それについて最高裁事務総長の御意見をちょっとお伺いしたい。
#149
○最高裁判所長官代理者(牧圭次君) 御指摘のとおり、「判例タイムズ」に札幌の長官が一文を寄せられました。その一文は、御一読いただければきわめて明らかであろうかと存じますが、具体的な事実を指摘されたわけではございませんで、裁判の理念あるいは裁判をする場合の心構え、そういうようなものについての所感を御披瀝なされたものだというふうに伺います。まあ、そういたしますと、そういう御意見については、賛否いろいろ御意見があろうかと存じます。私どもも、個人としては非常に同感を禁じ得ないような点ももちろんあるわけでございます。ただ、それは論文を読まれた各裁判官がそれぞれ自分の心で受けとめられて、自分の思想を形づくられるときの資料にされるべきものであって、最高裁判所としてそれについて云々すべきことの問題ではないのではないかというふうに考えております。
#150
○寺田熊雄君 事務総長としての御答弁といいますと、まあそういうことになるのかもしれませんね。で、まあ同感を禁じ得ない部分もあるとおっしゃるのですからして、非常に率直に正直に御意見を吐露なさったと私ども受けとめることができると思います。そういう意味では敬意を表するわけであります。ただね、やはりここで事務総長にぜひともお考えいただきたいことは、特定の事件を指示してはおりませんけれども、「第一線の裁判官が自由濶達なふんいきの中で、それぞれにより良い裁判の実現をめざし、そのもてる力を十分発揮できるように司法行政上一層配慮されたい」というところがありますね。これはやはり最高裁判所、裁判官の合議体としての最高裁判所、これが司法行政上の意思決定機関である担い手ではありますけれども、事務総長も非常に重要な最高の補佐機関でいらっしゃるわけですね。これは疑うべくもない。
 そこで、やはりこういう批判というものは率直に受けとめて、やはり第一線の裁判官が自由濶達な雰囲気の中で持てる力を十分発揮するように配慮するということは、これはやはりお考えいただかなきゃいけません。それから、本当のことを言うと出世できないと、だから最高裁にまあ俗な言葉で言いますとおべっかを使って、唯々諾々と従っていけばいいのだということでは、それはいけませんわね。よい裁判、自分の、憲法に言う自己の良心に忠実に裁判をすると。もちろん最高裁の判例は、これはやっぱり従っていかなきゃいけませんけれども、しかし、それ以外のことでは自己の良心に従い、そして憲法及び法律を守る、その解釈は自己の良心に従ってすると、その誇りと情熱を持ってそして仕事に当たるように、御配慮をいただかなければいけないと思いますね。その点、やはりこの横川長官の意見というものはよくその総長の頭の中に、一角に置いてくださって、そして司法行政に当たっていただきたいと思うんです。と申しますのは、まあ私、この後でプライベートな場合はだれがこう言ったというようなこと言ってもいいですけれども、これは公の場で言うわけにはいきません。しかし、われわれが相当信頼できる現職の裁判官、それから退官したばかりの人、ことごとく同感だと言うんですよ。その辺よく考えていただかなきゃいけない、そういう私は要望をいたしますが、どうでしょうか。
#151
○最高裁判所長官代理者(牧圭次君) 裁判所の中に自由濶達な空気が生まれるようになお一層司法行政上配慮してほしいという点でございますが、私ども司法行政を預かっている者として、その点について一言だけつけ加えさしていただきますが、私、裁判所におりましてそういうことを申していかがかとは思いますが、日本の社会の中で裁判所ほど自由濶達に物が言えている社会はないのではないかというふうに私は考えております。しかし、これについては限度ということはないわけでございますので、なお一層そういう空気が強まるように要望されるということでございますので、そういう点は含んで今後の施策に生かしていきたいと思います。司法行政といたしましては、部外の意見のみならず部内の意見もいままでも吸い上げてそれに十分こたえてまいってきたつもりでございますけれども、今後もそういう点は十分御意見を拝聴して、とるべきものはとり、よりよい司法行政を実施するために努力してまいりたい所存でございます。
#152
○寺田熊雄君 それではこの問題はこれだけにとどめまして、次は死刑の執行の問題で刑事局長にお尋ねをしたいと思います。
 現在、死刑囚で執行を未執行の状態のままに収監されているという者は何人おりますか。まずその数から御説明いただきたいと思います。
#153
○政府委員(伊藤榮樹君) 昨日現在、死刑確定者で未執行の者は二十名でございます。
#154
○寺田熊雄君 そして新聞紙上で大分取り上げられる場合がありますね。その死刑囚が非常に長い間おるとかいうようなことがよく言われる。一番長い期間未執行の状態に置かれている人は何人ぐらいでしょう。短い人はどのぐらいでしょう。で、また平均したらどれくらいになるんでしょう。大体その数字をお知らせいただきたいのです。
#155
○政府委員(伊藤榮樹君) ちょっと平均というのは時々刻々動きますのでとっておりませんが、現在未執行の二十名の判決確定後の期間を申し上げますと、一年以内が四名、一年を超え二年以内が三名、二年を超え三年以内が一名、三年を超え五年以内が三名、五年を超える者が九名でございます。
 なお、お尋ねの裁判確定後最も長く未執行のまま推移しております者は二十六年九カ月でございます。
#156
○寺田熊雄君 二十六年九カ月未執行の状態におるといいますと、これはちょっと驚きであります。刑事訴訟法の規定によりますと、たしか六カ月以内に執行すると、これは訓示規定であるということでありますけれども、訓示規定だから無視していいというわけじゃない。もっともこれは刑事局長、私の質問はどんどんやれというんじゃないですよ、それは勘違いしてもらっちゃ困る。ただ、実態を知るためお尋ねするのであって、なぜそんなに長い間未執行で収監されているのか、そのわけをちょっと聞かしていただきたいと思います。
#157
○政府委員(伊藤榮樹君) 実質的な面と手続的な面と両面から御説明申し上げたいと思いますが、実質的な面といたしましては、申し上げるまでもなく死刑の執行というのは、罪を犯した者でございましても人一人の生命を断つことでございまして、回復しがたい結果を生じさせる刑罰でございます。したがいまして、法務大臣におかれましても非常に慎重にその執行の当否について御検討になるわけでございます。で、その前提といたしまして、刑事訴訟法にも書いてございますけれども、再審請求の係属中あるいは恩赦の出願中につきましては、なるべくその状態を尊重視して、その結果を見守りながら法務大臣の御判断を願うということにしておるわけでございますが、たとえばただいま挙げました、非常に最も長い期間経過しております者につきましては、現在七回目の再審請求手続が係属しておりますほか、二回目の恩赦出願手続が係属しておると、こういう状態にございます。
 次に手続面の点をちょっと御説明申し上げますと、裁判が確定いたしますと、私ども刑事局の方へ確定裁判記録を全部取り寄せまして、刑事局の検事が精査をいたします。精査をいたしますのは、最高裁判所まで参りまして確定した事件がほとんどでございますので、万に一つの間違いもないわけでございますけれども、訴訟手続面、その他事実関係等につきまして刑事局検事なりの検討調査をいたします。そういたしまして、さらに非常上告の事由がないか再審請求の理由はないか、あるいは恩赦を相当とする情状はないか、あるいは健康状態が執行に適するかと、こういうような細部の点を検討いたしまして、最後、順次ルートを通じまして、私も必要に応じ記録を読みまして、間違いないということで関係部局をこの決裁文書を回しました後、大臣にお上げすることになっておるわけでございます。その検討にはまずもって記録が必要でございますけれども、再審請求がございますと、再審請求事件の係属しました裁判所から記録取り寄せの決定がございまして、記録が私どもの手元からなくなるわけでございます。したがいまして、審査不能の状態がそこに現出すると、こういう手続面の問題がございます。
 こういう二つの問題、後者の問題はいわば手続面でございますから、何が何でも手続を進めようと思えば、検事が当該裁判所の所在地へ出向きまして記録を精査するというようなことも頭の中では考えられるわけでございまして、したがいまして、さきに申し上げました実質面、これの方がウェートがはるかに重いことでございますが、そういうところがお尋ねの、なぜ未執行のまま経過しておるかということのお答えでございます。
#158
○寺田熊雄君 まあ、これはどんどんやれという趣旨でお尋ねしているんじゃないから、その程度のことでよくわかりましたので結構ですから
 それから犯罪被害者補償法につきましては、これはもう国会でずいぶん論議せられまして、私どもも実際被害を受けた人から何とかできないだろうかという相談を受けることがあります。この間もある会社の社員の寮でステレオをかけておった。ところが保釈中逃亡した人間が情婦と前のアパートにおって、うるさいというのでその職員を呼び出して、いきなりぐさっとやった。これは瀕死の重傷を負ったわけであります。これは全くどうしようもない、それ無財産の男にやられたものですから損害賠償の請求をしたって意味がない。そういうことは日常起こっておるのであります。
 これについてお尋ねをしますが、法務大臣ね、どうしても通常国会に提案したいということを衆議院でおっしゃっていますね。これはそういうお覚悟でいまやはり臨んでいらっしゃるのかどうか、そのお見通し。
 それから、刑事局長にお尋ねしたいのは、大体この八月三十一日が大蔵省に対する予算要求の期限のようですが、いままでの刑事局長のお話では、大体死亡のときでもまず五、六百万円ということでいく、そしてともかく芽を出すんだと、いきなり巨額のもので完全なものを要求してもそれは大蔵省を通らないので、ともかく芽を出すんだと、そのためにはいまの統計で言いますと三十二、三億あれば足りるので三十二、三億円の予算要求をするんだというようなこともおっしゃっておるようだけれども。それからまた死亡であるとか、暴力行為による死亡者であるとか、あるいは労災法による一級、二級、三級のような重要なる傷害を受けた者、そういう者に対する統計も大体もう九月いっぱいぐらいで完全になるというようなこともおっしゃっていらっしゃる。そうすると、その点完全になってその数をいま発表できるのか、それから三十二、三億の予算要求を通すという要求をして可能性があるのかということをお答え願いたいと思います。法務大臣からお願いしたいと思います。
#159
○国務大臣(瀬戸山三男君) 犯罪被害者補償の問題は当委員会等でも前々からいろいろ御意見を承っておるわけでございます。私どもも現在の社会情勢といいますか、犯罪被害の状況等から見て、やはり何らかの措置をすべきである、こういう考え方からいろいろ調査、準備を進めてきております。なかなか補償の内容をどの程度にするか、対象をどうするか、あるいは補償の機関をどこにするか、なかなか簡単なことでございませんで、各省庁との話し合いなんかもなかなか簡単でございません、いかんながら。できれば五十四年度の予算要求をしたいと思っておりましたけれども、その準備が間に合いませんで、残念ながら。しかし何とか施行の期日を多少ずらしてでも法案を次の通常国会に出したいと、こういうことで精力的にいま準備を進めさしております。その模様については刑事局長から御説明させることにいたします。
#160
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま基本的な考え方は大臣からお答えがあったとおりでございまして、来るべき通常国会に提案するという覚悟でいま最後の詰めをいたしております。最後の詰めと申しますのは、現在までに法務省でなし得る作業はすべて終わっております。
 先ほど御指摘の最後の、二回目の実態調査の結果の概略についてお答えを申し上げておきますが、これは昭和五十二年四月から五十三年三月までの間に全国の検察庁で終局処分あるいは犯人不明で中止処分をした事件、それから家庭裁判所に送致しました事件、この全事件を調査いたしまして、故意の――故意過失の故意てございますか、故意の暴力事犯によって被害者が亡くなられたもの、あるいは先ほど御指摘の労災補償保険法の一級ないし三級に当たるきわめて重篤な傷害を負われた方、こういうものがある事例を網羅的に調べたわけでございます。
 調べました事項は、罪名、それから事案の概要、処理の結果、被害の状況、それから損害賠償の状況被害感情、被害者及びその家族の生活状況等でございます。
 その結果のごく概略をとりあえず申し上げますと、死亡または重篤な障害を負われました方の総数は千三百四十七名でございまして、うち亡くなられたのが千二百七十三名でございます。この被害者となられた方のうち十八歳以上六十歳未満の方、すなわち、大ざっぱに言って稼働年齢層に属する方は、亡くなられた方のうち七百二十六名、パーセンテージで五七%になります。それから親族間の犯罪によるものであったかどうかという点でございますが、親族間の行為によって亡くなられた方が六百六十五名、五二・二%、そういう関係のない被害者の方が六百八名、四七・八%となっております。その他被害者に全く落ち度がないと思われるケース、これが亡くなられた方のうち八百六十九名、六八・三%。それから暴力団抗争によって亡くなった方が二十一名、一・六%、内ゲバ事件で亡くなった方が三名、〇二一%となっております。
#161
○寺田熊雄君 刑事局長中途ですが、それは一覧表にして出していただけますか。
#162
○政府委員(伊藤榮樹君) 結構です。
#163
○寺田熊雄君 じゃ、そうしてください あれで結構ですから……。
#164
○政府委員(伊藤榮樹君) あと簡単ですから あと二点だけです。
 そういう犯罪行為の結果、賠償を受けることができた人が亡くなられた方のうち四十名、三・三%にとどまっております。
 そこで、現在私どもが腹のうちで考えております芽を出す程度の案で見ますと、全額補償して差し上げるべきであると思われる方が亡くなられた方のうちの二百五十六名、二〇・一%、それから被害者の方に一部落ち度があるために全部は補償できないけれども、一部補償すべきであろうと思う方が亡くなられた方のうちの二百三十名、一八・一%、こういう一応の結果になっております。
 そこで、現在私どもが進めております作業は、補償の実施機関をどこにするかという問題を中心といたしまして関係省庁と現在最後の詰めを行っております。特に関係がございますのは警察庁でございます。と申しますのは、犯人が検挙されて検察庁へ送られたケースにつきましては検察当局において補償に要する資料があるわけでございますが、犯人未検挙なものにつきましては警察当局にその必要資料があるという関係、それからさらに行政簡素化の折から、一つの考え方として捜査機関で補償の裁定をするのはどうも適当でないという観点から、都道府県のたとえば民生部局のようなところで補償の事務をやっていただけないだろうか、そういうことをいま考えておりまして、そういう関係で警察庁及び自治省等と現在詰めておるところでございまして、現在の作業見込みでは十、一月中には最終的な結論を得ることができるであろうと、かような状況でございます。
#165
○寺田熊雄君 予算要求の点、三十二、三億の予算要求……。
#166
○政府委員(伊藤榮樹君) そこで現在考えておりますのは、次期通常国会に法案を提出いたしまして、その法律の施行期日を一年後にするかあるいは五十五年の一月一日ごろにするか、そういうことを考えまして、ある程度遡及させて適用するか、こういうようなことを考えておりますので、明年度になりますと、予算要求という問題が現実の問題になってくる、こういう段取りをいま考えております。
#167
○寺田熊雄君 まだありますが、時間が来ましたので、これで終わります。
#168
○宮崎正義君 私も寺田委員がお取り上げになりました問題について、若干お伺いをいたしたいと思います。引き続いて同問題でお願いします。
 いま論議がされておりました内容につきまして、これは九月二十三日の読売新聞でございますが、こういうふうな見出しがございます。「遅れる犯罪被害者補償制度」「所管争いで見送りとは…」という見出しでございますが、先ほどの刑事局長の御答弁で、私も聞いておりまして、進めておられるということに対しまして敬意を表するわけでありますが、ともあれこの制度の必要性というものは、もうだれでもが認めているわけであります。いまお話伺っておりますと、予算の問題だとか、各省庁間の話し合いが進んでいかなかったとか、それは国民は知らないわけであります。どうであろうとこうであろうと、いま現に泣いている人があるわけであります。その泣いている人の大会も先般行われましたのですが、こういう大会にはお出ましになったことがございますか。その点まずお伺いしておきます。
#169
○政府委員(伊藤榮樹君) 最初のお読み上げになりました読売新聞の記事につきましては、私非常に不満があるわけでございます。所管争いということは現在全くないのでございまして、警察もやりたい、私の方もやりたい、二人でやろうと、こういうことで現在進んでおるわけでございますので、その点をまず訂正させていただきます。
 それから、ただいまの犯罪被害者による会、こういう会の会合に私どもが出たことはございません。お招きがあれば都合のつく限り関係官を出したいと、こういうふうに思っております。
#170
○宮崎正義君 私は、その読売新聞のことで、いま刑事局長は不満があるとおっしゃいましたのですけれども、これはそういう見出しであって、真情は、一国民とすれば、何省の所管であっても変わりがないんだ。補償制度がスタートしない限り、突然の不幸に遭い、その上補償ももらえず、泣き寝入りの二重苦に悩む人々は着実にふえていっているんだ。「応援団のいないこういう人たちにこそ、予算が割り振られるべきなのに……。」と。この記事を書いた方は、私は偉いと思うんですよ。思い切ってこういうふうに書いて、国民の側に立っての叫びだと思うんです。国民の側の叫びをそのままお出しになったと思うんですよ。ですから、私はこの新聞記事云々というんじゃなくて、その本体は何かといえば、この被害を受けた、国民の被害を受けた方々の立場に立っていけば、あるいはこういうふうなお考えで見出しが、見出しは意が尽くされてないんですから、ほんのわずかな文字によってなされている。見出しは七文字ぐらいで抑えた方がいいというふうなことを聞いておりますけれども、そのぐらいですから意を尽くされないのはあたりまえだと思うんです。それも頭から不満だということは、確かにお伺いすればどっちにしても所管の話し合いができなかったことだけは事実なんですから、ですから今後五十四年度で、十一月中に法案の作業をまとめておやりになろうとして次期国会に提案をなさろうというそのことを伺ったものですから、私はこれを言い始めてからすでにもう五年近くにもなっております。この市瀬朝一さんという方が亡くなられましたけれども、この方がこういう会をつくられて今日までその会を継承されている人たちの叫びというのはやはり真剣に受けとめていただきたいと私は思うんです。そういう意味で先ほどもさかのぼって考えていくべきかどうかという御答弁がありましたけれども、その点はいかがなんですか。
#171
○政府委員(伊藤榮樹君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、予算要求とそれから法案提出の時期とのずれというような問題もございまして、率直に言って施行の日から若干適用日をさかのぼらせる必要はないかというような点について現在検討しております。おりますが、ただ一部御提案がございますように過去二十年さかのぼるとかというようなことはなかなか財政的な問題、あるいは二十年という時期の節目の問題、困難な問題があるのじゃないかというふうに考えておりますが、今後のたとえば財政当局その他との折衝の過程において十分詰めていきたいと思っております。
#172
○宮崎正義君 大会に招かれなかったから御出席なさらなかったということでございますが、それは確かに招かれざる客は関係ないということもありますから、それはそれとして、ことしのあれは私はたしか三月の二日ですか、この問題を取り上げました。それからさらに衆議院の長谷雄委員がこの問題を長い時間かけて私どもの提案した条文の個条を追うようにして質問をいたしておりまして、そのときの本当に局長の温かい心が感じられるような答弁もございます。そういう面から考えまして、この被害者補償制度を促進する全国大会という中の体験者の話はまことに涙なくして聞くことのできないような内容がるるございました。その叫び声を私は胸に痛いように感じておりますので、寺田委員が御質問をなさいましたんですが、あえて私もこの御質問をしているわけであります。最終的な心組みといいますか、それを承ると同時に、大臣からもこの問題についての決意のほどを伺って私の質問を終わりたいと思います。
#173
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほどもお答えいたしましたように、決してこれを等閑視しておるわけじゃありません。率直に申し上げまして何とか五十四年度の概算要求までに間に合わしたい、こういう気持ちでありましたが、なかなか先ほど簡単に申し上げましたが、そう簡単に進む内容でなくておくれておりますことはこれはまことに遺憾でありますけれども、結局この問題は何といいましょうか社会連帯の精神をどうしても生かしたい、こういう情熱を持ってやっておることだけはひとつ御理解を願いたいと思います。
#174
○橋本敦君 私はきょうは暴力団対策に関する問題とそれから法務局の職員の昇格問題この二つについてお尋ねをいたしたいと思っておりますが、まず法務局の職員の昇格問題、これから先にお尋ねをさしていただきたいと思います。
 問題はいわゆる五等級職員の昇格という問題で問題点としてはきわめてはっきりしておる問題でありますが、この問題については先般私ども法務委員会の委員派遣の調査の際にも現地で大変強い要望を受けてまいりました。委員派遣の報告書にもその点はあろうかと思います。まずこの点について法務省にお尋ねをいたしたいわけでありますが、法務省には五等級の職員の皆さんが大変多いという、そういうことに問題があるわけですが、その五等級の職員の皆さんが全職員の中で占める比率といいますか、そういう割合をとってみますとどのくらいになっておりますでしょうか。
#175
○政府委員(香川保一君) 本年の七月一日現在で、五等級在級者がトータル三千五百名ばかりでございまして、約四分の一弱ということに相なろうかと思います。
#176
○橋本敦君 予算定数でいきますと、法務省職員は五十三年度で一万一千六百三十名、このうち私の方の調査では三千八百二名が五等級職員ではないかと思いますが、いまお答えの数字との関係、正確にはいかがでしょうか、実人員がいま局長がおっしゃった三千五百余り、こういう趣旨でございますか。
#177
○政府委員(香川保一君) 実人員が三千五百六十四名でございます。
#178
○橋本敦君 そうなりますと、いま約四分の一というお話でしたが、正確に言えば約三〇%、つまり約三割ということになろうかと思うのですね。で、こういうように五等級の格づけされている職員の皆さんが全職員とのバランスをとってみますと、約三割前後といいますか、そういう状況に達しているということですが、特にこの五等級職員の皆さんの中で私は登記官あるいは登記供託専門職、この登記官、この方々が非常に多い数を占めているというように思いますが、いかがでしょう。
#179
○政府委員(香川保一君) 登記従事職員の中に五等級在級者が非常に多いという趣旨でございますれば、そのとおりでございます。
#180
○橋本敦君 登記官というお仕事、職種が、これが登記事務の重要性にかんがみまして、昭和五十二年に設定をされたわけですが、改めて言うまでもありませんが、この登記官というこれは私は非常に重要な責任と任務のある仕事についていらっしゃる方々だと、こう思います。そういう意味でこの登記官という職務、この任務が非常に重要だということについては、法務省としても十分御認識いただいておるところだと思いますが、そういう認識を法務省としてお持ちである点は、これは間違いないですね。
#181
○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
#182
○橋本敦君 そういう登記官の方々が実人員として何名いて、そのうちの五等級に格づけされている方が何名か。この点を明確にしていただけますか。
#183
○政府委員(香川保一君) 昭和五十三年度で申し上げまして、登記従事職員は九千四百十七名でございます。このうち那覇地方法務局の登記従事職員は別枠になっておりますが、うち数として百五十六名おります。
#184
○橋本敦君 五等級の職員がその中で幾らあるか。
#185
○政府委員(香川保一君) どうも失礼いたしました。
 九千四百十七名登記従事職員がおりまして、その中で五等級の登記従事職員は約三千百五十名ぐらいでございます。
#186
○橋本敦君 この登記官の位置づけはわかりましたが、この法律上登記官というようにいわれているうち、五等級の職員がおられるのは、これは出張所長、それからそこの登記官、また本局の登記官もありますけれども、大体出張所長と登記官、大体まあこれが五等級職員か非常に多い部分だと思いますがいかがですか。
#187
○政府委員(香川保一君) ちょっと御説明申し上げますと、登記従事職員というのと定数上の登記官というのとは違うわけでございまして、登記官の定数が決められましたのは、先ほど御指摘ありましたように実質的には昭和五十一年からでございますが、その登記官というのは、つまり登記従事職員のうちで、いわゆる不動産登記法上の登記官としての指定を受けている者が大部分でございますが、独立して登記の事務を取り扱う、そういうことに簡単に言えばなるわけであります。出張所長はこれは不動産登記法上は登記官でございますけれども、定数上の登記官とは違うわけでございまして、定数は別になっておるわけであります。しかし五等級か――五等級というのは相当の高いランクでございます。したがって、五等級を占めておるのは出張所長あるいは出張所における定数上の登記官、そういったものが大部分でございます。
#188
○橋本敦君 実人員との若干の差はありますが、定数上で抑えていきますと出張所長が四百二十六名、登記官が一千百七十五名、合計一千六百一名、こういう数字になろうと思うのです。定数で抑えますとね。で、この一千六百一名というのは、先ほど法務省で五等級が大変多いと言われたそういう五等級全体の中のパーセンテージで見ますと約四二%、このぐらいの方がそういうようになっていると思いますが、大体これは間違いありませんか。
#189
○政府委員(香川保一君) 大体そのとおりでございます。
#190
○橋本敦君 そこで、五等級から四等級への昇格格づけという問題を考えてみますのに、五等級の十五号俸以上ですね、これをとってちょっと数字で分析をしてみたいのです。
 具体的にお伺いしますと、五等級の十五号俸から十九号俸以上まで、つまり十五号俸、十六号俸、十七号俸、十八号俸、十九号俸以上と、こういうように分けてみますと、五十三年度におきまして登記官が各号俸当たり何名ぐらいいらっしゃるということになっておりますか。いまわかりますでしょうか。
#191
○政府委員(香川保一君) 定数上の登記官の五等級における分布状況でございますが、登記官の定数は先ほどのように千四百十五名おるわけでありますが、そのうち五等級は九百四十名と、五号俸から十号俸までの間が二十八名でございます。それから五等級十一号から十五号俸までの間が二百五十一名、それから十六号俸から二十号俸未満の者が六百四十四名、二十一号俸以上の者が十七名、こういう数字になっております。
#192
○橋本敦君 まとめておっしゃいましたが、私がこう分けてお話ししますと――ちょっと資料見ていただいてわかるかどうか検討していただけますか。五等級の十五号俸が百名、十六号俸が百五十六名、十七号俸が百八十一名、十八号俸が百八十七名、十九号から二十三号までが百三十七名、私の調査では大体こういう分布になっておるように見ますが、大体合っておりますか。
#193
○政府委員(香川保一君) そのとおりでございます。
#194
○橋本敦君 そういたしますと、いまの分布をパーセンテージで見てみますと十五号俸以上に登記官のうちの大体八一%の皆さんが配置をされている。十七号俸以上をとってみますと五三・八%、登記官の半分以上が十七号俸以上に配置されている、こういう実情がわかるわけでありまして、特にこの配置でもう一つの点から考えてみたいのは、十五号俸以上の皆さんというのは在職年数と年齢において大体どれくらいの方が多うございますか。これは概要で結構です。
#195
○政府委員(香川保一君) 詳細はちょっとわかりかねますが、年齢で申し上げますと大体四十五歳以上が大半であろうかと思います。それから在級年数で申しますと大体二十年以上というふうなことになろうかと思います。
#196
○橋本敦君 二十年以上の在職年数というとかなりベテランの皆さんだし、多年経験と研修をお積みになって登記官として重要な仕事をしていらっしゃる。年齢的にまいりましても、四十代ということになりますと、家庭的には、お子さんの成長なり社会的責任からいっても、生活上の負担が非常に増大する非常に大事な時期であることがわかるわけであります。そこで、こういう皆さんが昇格をするということについて、基準としては五等級から四等級への昇格というのは大体五等級の何号俸から昇格ということが可能だという基準になっておりますか。
#197
○政府委員(香川保一君) これはつまり昇格するについては最少の在級年数が決められておりまして、だから五等級から四等級になりますためには何号であれ五等級の在級年数が四年以上なければならぬということになっておるわけであります。
#198
○橋本敦君 それだけでいいですか。
#199
○政府委員(香川保一君) これは法律上はと申しますか、そういう意味で申し上げているわけでございますけれども、実際問題といたしまして上級枠がそれだけ足りませんので、したがって実際問題としては五等級に四年以上在級しておりましても四等級にするわけにはなかなかまいらないというのが実情でございます。
#200
○橋本敦君 いま局長が率直に問題を指摘されましたように、そこに実際の問題があるわけですね。在職四年以上で四等級へ昇格する資格があるということなのにかかわらず、枠だとか予算とかいったいろいろな意味でずいぶん資格のある人が五等級にたまってしまう、それか何といいましても問題として一番大きなわけであります。参考までに、法務省の中で五等級の皆さんが多いということがわかりましたが、他省庁とこういった割合を比較してみますと、私はやっぱり法務省に一番たくさんいわばたまっておるというように見ておりますか、局長はどう見ていらっしゃいますか。
#201
○政府委員(香川保一君) 数字だけ比較いたしますと法務省よりもたまっておるのか多いところもございますけれども、全体的に見ますと、まあ非常にたまっている方の部類に属しておるというふうに考えております。
#202
○橋本敦君 特に私は、皆さんがそういって昇格が頭打ちしているにかかわらず大事な任務を持っている、それに加えてもう一つ、最近の登記事務の増大ということの中で仕事が大変過重負担になっている。この問題は寺田委員から増員要求等もありましたし、私ども登記所も調査見学をさしていただきましてつぶさに実情を見てわかっているわけであります。東京で、ある所長さんなんかは、もう夏が暑いのにたくさん詰めかけられて登記事務で並んで待っていただくと、狭いもんですから座るいすもないと。いらいらしちゃって特に暑い夏は、所長どうなっているのか、出てこいというようなことがもう一日に三遍ぐらいあって、私はもうそれで断りするのが私の精いっぱいの仕事みたいですという苦衷までおっしゃっているわけですね。そういうことで、登記事務というのを大体見てみますと、私のいただいた資料からの判断では、甲号事件数で四十三年と五十一年比べてみますと一・二五倍、乙号事件で一・八五倍、平均して一・五五倍、これぐらいに増加しているように見ておりますが、この増加傾向というのはこれからも減らないのじゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
#203
○政府委員(香川保一君) 登記甲号事件、乙号事件合わせまして御指摘のような増加ぶりでございますが、特に最近目立ちますのは乙号事件の増加でございまして、これがいつ甲号事件にはね返ってくるかという見通しなかなかむずかしいのでございますけれども、私どもの見るところでは、甲号事件においてもやはり今後増加は覚悟しなければならぬというふうに考えております。
#204
○橋本敦君 といったことで、ますます仕事の繁忙性、過重性というのは予想される状況にあると。ところで、実際問題としてそれではどの程度どういうように昇格が実現されつつあるかという実情について伺いますが、法務省の方で五十三年度五等級から四等級への昇格を要求されまして実際に昇級した人員というのはどういうぐあいになっておりましたでしょうか。
#205
○政府委員(香川保一君) 五十三年度で申し上げますと、まず登記官、いわゆる定数上の登記官でございますが、この五等級から四等級への切り上げでございますが、これは三百二十九要求いたしまして二百七十五の切り上げが認められています。それから、同じ性質の出張所長でございますが、これが百七要求いたしまして四十二というふうな数字になっております。
#206
○橋本敦君 わかりました。だから、合計いたしますと約三百ですね、約三百という数字になる。で、五十三年度に次いで五十四年度の法務省の現在折衝されている要求、登記官についてはどういうことになっておりますか。
#207
○政府委員(香川保一君) 登記官につきましては七百十一名の五等級から四等級への切り上げを要求し、出張所長につきましては同じく百二十一名の要求をいたしております。
#208
○橋本敦君 そうすると、登記官は実質約五百名と、こういうことですね。
#209
○政府委員(香川保一君) 登記官そのものだけで七百十一名でございまして、そのほかに同じような性質の出張所長につきまして百二十一ということでございます。
#210
○橋本敦君 わかりました。
 法務大臣、いまお聞きいただきましたように、他省庁とのバランスからいっても五等級は頭打ちが多い。そしてその登記官について言えば大事な職務をやっていらっしゃる中堅職員の皆さんがこういうことで長く五等級に格づけされている。これは何とか改善しないと労働強化その他という点からいっても、皆さんの在職二十年以上のベテランということ、社会的地位、生活状態からいっても何とかこれを改善しなきゃならぬ。大体局長もそういうことは御理解の上で進めてきていただいたと思うのですね。そこで法務大臣、この問題を解消して、そしてまた登記事務の適正化ということは国民の権利義務関係の適正な保全にも重大な任務を私、持つ問題だと思いますので、単に職員の給与改善というだけにとどまらない。そこで、いま局長がおっしゃいました今年度の要求については、五十三年のように削られるという、そういうことがないように何とか全力を挙げて、大臣としてもいま要求されている分はぜひ実現するということでひとつ格段のお力を入れていただきたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
  〔委員長退席、理事八木一郎君着席〕
#211
○国務大臣(瀬戸山三男君) 実は私ども組合との話し合いの、いろいろありますけれども、一番大きな問題はここなんです。まあ率直に言って、中だるみでここにたまってしまっておる、これを何とか打開しなきゃいかぬというのが私どもの願いでありますから、できるだけの努力をしたいと、かように考えております。
#212
○橋本敦君 じゃ、ぜひいま大臣おっしゃった決意で皆さんの要望を実現していただくようにお願いして、この問題の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
 次に、私は暴力団対策に関連をして質問をしたいと思います。
 最近の暴力団の跳梁ばっこ、市民の恐怖、これはもう目に余るものがあると思います。新聞各紙でもそれぞれの有力紙は社説で断固たる暴力団の取り締まりということをいっておりますし、まさに国民世論だ。福田総理も予算委員会で今日の暴力団跳梁の事態はゆゆしい事態だ、政府も断固たる姿勢で臨むということを表明されておるようなことであります。私は、わが民主的な日本でこういったアウトロー、こういったグループが市民を恐怖に陥れ、まるで法あるいは秩序がないがごとくにほしいままに復讐作戦を行う、こういったことはまことに国際的にも恥ずかしいし、許してはならぬ問題だというように考えるわけであります。
 そこで、警察庁としても多年にわたってこの点御苦心、御苦労なさっていることはわかりますが、今回の事件を機会にして、報道によりますと、いわゆるネット作戦ということで徹底的な取り締まりのキャンペーンを行う、具体的には十月の十一日から年末までにかけて山口組組織の壊滅を初めとして八十日決戦態勢を組んで徹底的に対処するということをお決めになったようでありますか、警察庁に伺いますが、具体的にその作戦の最大のねらいは何か、そしてこれに対応する態勢としてどういう態勢を進められつつあるか、まずこの点を伺いたいと思います。
#213
○説明員(宮脇磊介君) 警察といたしましては、従来から暴力団問題を警察運営の最大重点の一つとして取り組んでまいりました。これまで戦後三回にわたります頂上作戦ほか継続した強力な取り締まりを行ってまいったところでございます。その結果、昭和三十八年当時全国で五千二百団体十八万四千人、これがピークでございましたが、そういった暴力団勢力が昭和五十二年、昨年末現在では二千五百団体十万八千人と、団体数で半減、構成員数では四割減と相当の成果を見てはおるの
 であります。しかしながら、その間、特定の大規模広域暴力団の勢力はほとんど衰えておらないのみか、先般来の御指摘の山口組組長狙撃事件、それからそれに端を発します一連の凶悪な報復事件
 に見られますように、依然として法の威信を踏みにじり、社会秩序を破壊して市民に大きな不安を与えている状況でございます。
 このため警察といたしましては、御指摘のようにこのたび当面最も危険な動向を示しております山口組系、反山口組系等の広域暴力団に的をしぼりまして、それらの勢力が根強く存在します二十六府県におきましては特別専従態勢を組んで、同時かつ集中的にそれら山口組、反山口組勢力に的をしぼって打撃を与えることによりまして、これらの広域的な組織そのものを壊滅に導くべく、これを目的といたしました特別集中取り締まりを展開しつつあるわけでございます。
  〔理事八木一郎君退席、委員長着席〕
#214
○橋本敦君 いまのお話で暴力団構成員の数が減り、まず団体数が減ったというお話がありましたが、逆にいま抗争の主力をなす山口組、これなどは組員が約五千人ほど私の方の調べではふえているのじゃないか。そうしてこの広域暴力団の一つの特徴としてピストルなどの武装化、これが非常に進んでいるのじゃないか、こういう心配をしておりますが、その状況はいかがですか。
#215
○説明員(宮脇磊介君) 山口組を初めとします広域暴力団につきましては、先生御指摘のように遺憾ながら増加と申しますか、全体の減少に比べて減らないというような状況にございまして、申し上げましたように全暴力団の団体数二千五百、十一万人のうち、広域暴力団は千九百三十九団体、七七・五%、六万二千九百四十二人、五八・一%を占めておりまして、全暴力団に占めます広域暴力団の比率は逐年上昇をしてまいりました。ただ、昨年五十二年は前年の五十一年に比べまして初めてこれがやや――ややでございますが、減少しております。これは各種の施策が功を奏したことによるものとも思うものでございますけれども、それはともかくとして、このように広域暴力団の勢力が増大したのはまことに遺憾であるというふうに存じております。
#216
○橋本敦君 ピストル、凶器について。
#217
○説明員(宮脇磊介君) なお、ピストル初め凶器の問題につきましてでございますが、昨年は一年間で千三百六丁全国で発見押収をいたしておりますか、年々このところ千丁以上発見押収というような状況にありまして、暴力団は一人一丁というふうなことを、一言っておりますが、そこまではいっておりませんにいたしましても、大変数多くこれが所持されておるということは、先生御指摘のように、世界各国の中で日本は大変治安状態がいいとされてはおりますけれども、そういう中にありましてはなはだ問題があるところであろうかと思います。
#218
○橋本敦君 五十三年発表された警察白書によりましてもいま言った一千三百六丁、このうちで真正拳銃が五百十二丁、これはまさに戦後最高を記録したというように警察白書でも書かれておりますね。そういう広域かつ武装の集団か今度の山口組、反山口組ということでの抗争、これの先兵になって現に拳銃を使った襲撃を繰り返している、こういう状況になっているわけであります。
 それで、田岡組長ベラミ襲撃事件ということで鳴海をめぐる問題なども市民の恐怖の的になっておりますが、まずここで伺いますが、田岡組長を襲撃をしたあのベラミ事件で襲撃に加わった共犯も含めて問題の鳴海以外に何名あったか、だれだれであるか、これはもうはっきりつかめましたか。
#219
○説明員(宮脇磊介君) 現在捜査を継続中でございますが、田岡襲撃事件につきましては、はっきりといたしましておりますのは鳴海清が犯行をしたということでございまして、その他共犯につきましては、一緒に逃亡しておりました大日本正義団の吉田会長等につきまして現在捜査を進めておるところでございますが、いまだ定かには判明をいたしておりません。
#220
○橋本敦君 吉田会長は、あれは保釈中でしたか、刑の執行停止中でしたか、どっちでしたか、ちょっと……。
#221
○説明員(宮脇磊介君) 保釈中でございます。
#222
○橋本敦君 保釈中ですね。
 それから今度は報復側を見ますと、山健組の関係で、報復作戦をやって撃ち殺した男がきょうは逮捕されておるという状況になっている。
 そこで、あの鳴海の襲撃事件、これに対する報復として大阪でも和歌山でも白昼ピストルで襲撃事件が行われた。あの襲撃事件をやった山口組の反撃ですね、これはきょう逮捕された男以外に多数あると思うのですが、この全貌はつかめましたか。
#223
○説明員(宮脇磊介君) 七月十一日以降報復行動と思われるものは八件ほど発生をいたしておりますが、これにつきましては逐次捜査がまとまってまいりまして、すでに逮捕した者が二名、指名手配をしておりますのは三名というような状況でございます。
 なお、いわゆる大阪戦争が始まりましたのか昭和五十年の七月二十六日でございますが、それ以来二十件ぐらいにわたる双方の抗争がございまするけれども、七月十一日以前の事件につきましてはことごとくこれを大阪府警初め関係府県警の手で検挙をいたしております。
#224
○橋本敦君 そこで次の問題に移りますが、問題の発端となった鳴海の襲撃、この鳴海自身があのような形で死体で発見をされた。この鳴海の殺害をめぐって警察の方はまんまと山口組の暗殺隊に鳴海をやられてしまったということで、メンツもまるでないではないかということで新聞でずいぶん出ました。ところが最近は、実はあれは山口組の暗殺隊ではなくて内部殺害、松田組系忠成会ですか、そういった動向ではないかという傾向の新聞記事もあらわれております。一体これはどっちなんだろう。国民は重大な関心を持っているところですが、いままで鳴海をかくまった犯人隠匿その他で多数の者が逮捕されておりますが、この点についての真相はいかがですか。
#225
○説明員(宮脇磊介君) 山口組の組長を狙撃をしました鳴海につきましては、犯行後逃走いたしておりまして、挙銃を所持しておる。現に田岡組長を射殺しようとしましたときにも善良なる市民二人に重い傷を与えておるというようなことでございまして、拳銃を発砲して市民にも影響を与えるおそれがきわめて高いことから、犯行の翌々日、本人が割れるや直ちに全国に指名手配いたしますとともに早期逮捕を目指して公開捜査にも踏み切ったのでございますが、お話しのように、御指摘のように死体となって九月十七日に六甲山中で発見をされました。これにつきましては皆さん御案内のように当初山口組の報復ではないか、警察が先か山口組が先かというような週刊誌的な関心の中でそういうような死体となって発見をされましたので、山口組の報復だ、惨殺リンチだというようなことで世間には出されたわけでございます。私どもといたしましては当初からの情報などによりまして両面捜査――山口組の報復ということも多分に考えられるし、またどうも死体の発見の状況等からいたしまして合点のいかないところもいろいろ多々考えられるというようなことから仲間の中でのトラブルによるリンチ、両面の捜査を進めてまいりました。現在、兵庫県警に鳴海清の殺害事件の捜査本部を置いてそこが中心となりまして大阪、京都両府県警と緊密な連絡をとりつつ捜査中でございますが、兵庫県警ではこれまでに鳴海をずうっと蔵匿いたしておりました容疑で松田組の幹部一名と同じ関西二十日会の傘下にあります忠成会の幹部ら六名を逮捕いたしますとともに、松田組系の組長一名を指名手配して鳴海殺害の関連についても捜査中という状況でございます。
#226
○橋本敦君 捜査中であることはわかりましたが、いま言ったどちらなのか、つまり山口組の暗殺隊が鳴海を殺したのか、あるいは内部で処理されたのか、両面捜査の方針とおっしゃいましたが、現在の時点でいままでの捜査でほぼもう明らかになっていると思うのですよ。だからどちらなんだということははっきり言えるのじゃないですか。
#227
○説明員(宮脇磊介君) 現在兵庫県警で鋭意捜査中でございますので、もうしばらくすれば、お時間をいただきますればほぼ明らかになるというようなことかと思います。現在の段階ではいまだ明らかではない。残念ながらそういうふうに申し上げる段階でございます。
#228
○橋本敦君 初めにお述べになった決意は大変声も大きくてなかなか決意あると思ったのだが、具体的になるともう少しもう少し、これは私はもう本当にはっきりしてもらわぬと一体警察の捜査はどれだけ進んでいるのだろう、暴力団の陽動作戦やその他に振り回されているのじゃないか、真相は一体どこまでつかんでいるのだと、ここらあたりはできるだけはっきりしてもらわねばならぬと思うのです。
 それから一つは、これは警察のいままでおとりになった処置でいまおっしゃった鳴海をベラ・・襲撃事件の犯人と断定をして指名手配公開捜査に踏み切った、こういうお話がありましたか、あの当時山口組はベラミ襲撃事件の犯人を何としても報復するということで山口組の総力を挙げて鳴海を追っかける、こういう態勢にあった。そうすると鳴海が犯人だということを警察が断定し発表するということになりますと、山口組に報復の的を教え、鳴海であるということを教え、それを捜索し、あるいは集中的に攻撃する的を教えて報復作戦をかえって激化させたのじゃないかという心配を私はしました。そういう心配は警察はありませんでしたか。
#229
○説明員(宮脇磊介君) 七月の十一日にベラミでああいうふうに山口組という大変巨大な一万人余を有します日本最大の暴力団の首領があわや殺されそうになったという事件が起きましたのは、これはもう暴力団の歴史上最大と言ってもいいほど大きな事件でございます。したがって親分子分の関係にございます暴力団といたしましては当然のことながら組長に対する報復というようなことになるわけでございますけれども、しかし、私どものつかんでおりました動きといたしましては組一万こぞって報復行動に燃えているというようなことではございませんで、一部の組員のはね上がり分子が報復行動の挙に出ていると、ほかの者は成り行きを見ているというような状況でございまして、週刊誌その他の紙面では若干その点強調されていた形で表現もされておりましたけれども、私どもといたしましてはさような情勢判断でおりまして、鳴海を、犯人を一日も早くつかまえるためには捜査の常道と申しますか、オーソドックスに指名手配を打ち、かつ国民の期待にこたえることとあわせて国民皆さんの御協力をいただく意味で公開手配に踏み切ったというようなことでございます。
#230
○橋本敦君 結果的には、公開手配に踏み切ったけれども、鳴海を隠匿されたまま殺されてしまったという結果になるし、あなたは一部とおっしゃったが、どっちにしても山口組の報復作戦、これを激化させるという、そういう状況にもなった。この点私は暴力団対策としての今後の警察の態勢として十分教訓的に検討してもらいたいと思うのですが、繰り返しますが、あの鳴海殺害の犯人はだれかというのは、もうしばらくとあなたおっしゃいましたが、いつごろ明らかになる見通しですか。
#231
○説明員(宮脇磊介君) 今後の捜査努力いかんにかかっておるわけでございまして、私どもといたしましてはできるだけ早くいたしたいというふうに考えております。
#232
○橋本敦君 見当でいいです。できるだけ早くというのはどのくらいです。勾留期間もあるし、法律上ちゃんと決まっているし、見当でいいです。国民は早く期待しているから。
#233
○説明員(宮脇磊介君) 昨日、勾留が延長になったところでございまして、さようなことから近日中にははっきりさせたいというふうに考えております。
#234
○橋本敦君 近日中にそれはぜひ究明をして真相をつかんで、その上でまた対策をどんどん進めてもらいたい。ところで、いまあなたが山口組の報復作戦、一部の者とおっしゃったが、きょう逮捕された和歌山襲撃事件、これは山口組の健竜会組員の西住博昭という者が逮捕されたわけですが、これの逮捕から警察の方としては、これは単に西住個人の問題ではなくて、この逮捕を通じて報復を指示したと見られる山健組を中心とする山口組上層部の摘発に全力を挙げる模様だというふうに新聞は報道されている。つまり頂上作戦ということが非常に大事だというのはあなた方の方針でも明らかですね。だからこう下っ端の組員を逮捕したということにとどまらないで、あの山口組の大阪戦争の第二、第三と言われた今度の猛烈な和歌山、大阪における報復作戦、これの頂上作戦をきわめていく突破口として私はきのうの逮捕は非常に大事だと思う。そういう観点で山口組上層部にやっぱり捜査、真相究明の手を伸ばしていくという方針、これは間違いありませんね。
#235
○説明員(宮脇磊介君) 私どもといたしましては、一つ一つの事件を通じまして頂上へ向かわんものという形で努力をいたしております。この鳴海報復の、山口組に対する鳴海報復のもととなりました五十一年十月三日の大日本正義団吉田会長殺し、これの捜査につきましても上へということで、これはたとえばのことでございますけれども、この事件につきましては最初の被疑者、鉄砲玉二人を五十七日目に逮捕いたしました。それからさらにその上の段階の上層部を二百二十日過ぎたときに逮捕いたしました。さらにその上の組長クラスを三百数十日、一年たったときに逮捕いたしておると、さらに上へというような形でなお捜査継続中でございます。これは二年前の事件でございます。さように一つ一つの事件につきまして、ただいた先生御指摘の事件につきましても、おっしゃるとおりそういう形で努力をいたしておるということでございます。
#236
○橋本敦君 客観的に見ましてこういう報復作戦があるのはやっぱり幹部の方の指示、暗黙にしろ指示があると、こういうように見て私はいいと思うのですが、やくざ仲間の特別の、あの世界のルールとして、親分の意向をくんで以心伝心で報復をやる。こうなりますと証拠上、共謀とか指示をしたというのは非常につかみにくい。そういう意味で捜査上の困難はあるということは私はわかるのですよ。わかるのですけれども、しかし何としても頂上作戦という山を登り詰めるという、そういう方向をやっぱりきわめていかれるのは警察にお願いするしかないわけですね。だからいまお話しのように、一年後に幹部の逮捕に手が届く、これもよくがんばってやられたということにはなるかもしれませんが、やっぱり一年後というのは余りにも長い。その間に暴力団幹部は悠々と跳梁している。だから頂上作戦を本当にやるということになれば、何としても徹底的な捜査で早くそれをきわめねばならぬと、こう思っているわけですね。たとえば今回の山口組の報復作戦、これをやったのは山健組が主たる司令部ではないかという見方が新聞でいろいろ言われているのですが、当の山健組長はいま裁判所で保釈中の身である。ところが突然徳島の病院にあらわれてみたり田岡邸に長く行ったりしてあちらこちら跳梁している、こういう状態。市民を恐怖に陥れておるわけですね。こういう問題で新聞の論調を見ましても、田岡組長の裁判にしても余りにも長過ぎるじゃないか、病気だなんとか言って出頭しないという状況がありながらベラミへ行って飲んで襲撃される事件を起こしているじゃないか、山健組長も保釈だといってのうのうとして今度の山口組の反撃作戦、これの首魁として動いているのじゃないかという、そういう見方が新聞に出る。そしてまた実際あっちこっち動いている。こういう状況を放置しているということが市民感情から見れば、一体警察何やっているのだろう、また裁判所何やっているのだろう、こういう気持ちになっていることも事実ですよ。事実ですよ。そこでこういう問題をもっと厳しくするということの一つとして、たとえば保釈条件を厳しくするという、これは裁判所の判断にかかわることですが、この問題が一つある。山健組長の保釈についてどういう条件がつけられているのか。検察官としては暴力団の保釈についてもっと厳しく対処すべきだという世論に対してはどうこたえようというお考えか。この点刑事局長いかがでしょう。
#237
○政府委員(伊藤榮樹君) ただいま御指摘をいただきました被告人山本健一に関するケース、これは率直に申し上げまして私個人としてもまた法務、検察全体としても何とも申しわけない遺憾な事件でございます。起訴される、病気だといって執行停止になる、それから保釈になる、そして新たな犯罪を犯す、勾留されて起訴される、また勾留、執行停止、保釈、こういうことを四回繰り返している。やっと一審で三年六カ月でございましたか、の判決がございますと、すぐ控訴してまた保釈になる。こういうことでございまして、現在控訴後の保釈の条件を見てみますと、五つの犯罪事実につきまして保釈保証金八百万円、それから制限住居が神戸市生田区何がしと、で、もう一つの条件として一週間以上の旅行については裁判所の許可を要する。これだけの条件がついておるようでございます。この問題は、確かに御指摘のようにやはりこういう暴力団の最高幹部につきまして安易に保釈を認めるということに一つの問題点がありますし、また最初起訴した事実がもう立証が終わればそこで裁判をしてもらうというふうにして早い裁判を心がけるということが最も大事だろうと思いまして、私どももこれは大変国民の皆さんに対しても申しわけない結果を招来した一つの反省すべき事例だと思っております。したがいましてその保釈の問題等を含めて、来月開催を予定しております全国次席検事会同でこの具体的なケースを取り上げてみんなで反省し、かつ将来へのあるべき検察の対処方針というものを十分検討したいと思っておる次第でございます。
#238
○橋本敦君 ぜひお願いしたいと思います。つまり裁判の促進を進めるというのも、やっぱり検察官がこういう事件については主導的に月を光らしてやっていただきたいし、保釈条件、それを厳しくすること、それからもう一つ、保釈条件を遵守しているかしてないか、違反があればすぐ保釈取り消し請求もやるというここのところも押さえてほしいと思うのですが、いかがですか。
#239
○政府委員(伊藤榮樹君) まことにおっしゃるとおりでございまして、保釈中の動静等につきましては、警察当局の御協力も得まして、御趣旨に沿って励行してまいりたいと思います。
#240
○橋本敦君 時間がなくなりましたが、最後に一点だけ。
 私は、こういった暴力団が最近のサラ金問題ということで深く介入をして国民を非常に苦しめているという実態を重視をしなければならぬと思うのです。警察庁が発表されましたサラ金地獄のこの実態を見ましても、何と暴力団が関係した貸金業は三千五百四十六社、こういうことになっておりまして、このうち五五・九%が暴力団がサラ金をやっておるわけであります。山口組系が何と五百七十六、社、一番多い。文字どおり暴力団の資金源となり、国民を自殺に追い込む、こういったあくどい取り立てによって大変な目に遭わしている。そのことは法務省刑事局がことしの八月におまとめになった「最近における高金利事犯及び「ねずみ講」加入者の実態について」、この資料を見ましても、驚くべきことに、この貸金業者のうち前歴として暴力事犯、恐喝、賭博開帳、こういった粗暴犯歴を持っている者か非常に多い。暴力団構成員は全体の一七・五%にこの調査実態で及んでいるという刑事局の調査資料もあるわけであります。一方で暴力で国民を恐怖に陥れ、一方で生活に困った国民をサラ金地獄に陥れる、私はもう断じて許せぬゆゆしい問題であると、こう思っておるわけであります。
 そこで、最後に法務大臣に二つの点について御意見を承りたいと思いますが、第一点は、この暴力事犯の取り締まりについて、福田総理もゆゆしい問題だということをおっしゃった。まさに正義の守り手としての法務大臣、いろいろ大事なお仕事をなさっておりますが、このいま暴力事犯に対する世論が強い中で徹底的な取り締まりを法務大臣として進めていただくということは国民にとって非常に大きなお仕事をなさっていただくことになる。そういう決意を込めて、私は、政府自体がこの暴力事犯対策に全面的に取り組む、警察庁にだけおんぶしておかないで。そういう意味で私は関係閣僚会議を設けて、暴力事犯取り締まりということに政府として徹底的な対策を講ずる方向を法務大臣が音頭をとっていただいてぜひ実現をしてほしい、国民の、市民の安全を守ってほしい、これが第一点であります。
 第二点として、法務大臣に御意見として伺いますが、いま私が、法務省の調査、警察庁の調査で明らかにしたように、サラ金で国民を泣かせ、自殺に追い込んでいる、その中で山口組か多い、暴力団関係者が多い。こうなりますと、私はサラ金業者に対する免許基準をつくってこういった暴力団や恐喝、暴力、こういった前歴者に免許を与えないような仕組みを工夫する、こういったことについて法務大臣としての御意見並びにその工夫について一つは明らかにしていただきたい。
 この二点について法務大臣の御意見を承って質問を終わります。
#241
○国務大臣(瀬戸山三男君) いわゆる暴力団の行動についていろいろお話がありました。私どももきわめて遺憾なことであると、けしからぬことであると、かように考えております。でありますから、部内でもこの暴力団について一般法だけでいいのかどうか、これは簡単にいきませんけれども、そこまで検討しようじゃないかということも言っておるわけでございます。ただ、暴力団に対する特別な法律をつくるということも、これは憲法の問題等もありますから簡単にいかないことはわかりますが、しかし、これは検挙、裁判を通じてもう少し暴力団については厳格なる法治国家の実を上ぐべきだと、かように考えていろいろ協議をいたしております。先ほど取り締まり等については刑事局長や警察庁からお話がありましたが、全力を挙げて現在やっているわけでございます。
 それから、閣僚会議云々の話がありましたが、御注意いただいてありがとうございますけれども、この問題で閣僚会議をつくるということはそれほど有意義ではない。私は当の法務省、検察、警察、全力を挙げることが一番適切であると、かように考えております。
 それからもう一つ、サラ金の問題でありますが、実はこれも前々からの問題でありますけれども、何とかこの次の通常国会にはサラ金に対する一つの規制といいますか、法律をつくりたいと目下準備中でございます。この際に、いまおっしゃったように、実態を調べますると暴力団関係が非常に多い。単に暴力団に所属しておるからそういう営業はできないのだということはこれまた憲法の問題等そう簡単でないと思いますが、少なくとも何らかの犯罪の前歴のある者、暴力団に限りませんけれども、そういう者は何らかの規制をする、資格要件に規制の措置をとるべきである、かような考えを持っておりますから、そういうものも含めて検討を進めたい、かように考えております。
#242
○橋本敦君 終わります。
#243
○委員長(中尾辰義君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#244
○委員長(中尾辰義君) これより請願の審査を行います。
 第一〇九号刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を定める法律案反対に関する請願外四十六件を議題といたします。
 今期国会中本委員会に付託されました請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおり四十七件でございます。理事会で協議の結果、第一〇九号刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を定める法律案反対に関する請願外四十六件はすべて保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#245
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#246
○委員長(中尾辰義君) 継続審査要求に関する件についてお諮りいたします。
 民事執行法案及び集団代表訴訟に関する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、両案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#247
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#248
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、民事執行法案の審査につきましては、去る十月十七日理事会において次のとおり申し合わせを行っております。
  民事執行法案の審査については、これまでの
 経過にかんがみ、修正に努力し、更に審査を継
 続することとし、次期国会において早期議了に
 努めることを申し合わせる。
 以上です。
    ―――――――――――――
#249
○委員長(中尾辰義君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#250
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#251
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#252
○委員長(中尾辰義君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査のための閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#253
○委員長(中尾辰義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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