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1978/10/17 第85回国会 参議院 参議院会議録情報 第085回国会 地方行政委員会 第2号
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1978/10/17 第85回国会 参議院

参議院会議録情報 第085回国会 地方行政委員会 第2号

#1
第085回国会 地方行政委員会 第2号
昭和五十三年十月十七日(火曜日)
   午前十時三十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月十七日
    辞任         補欠選任
     夏目 忠雄君     田代由紀男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         永野 嚴雄君
    理 事
                衛藤征士郎君
                金井 元彦君
                志苫  裕君
                神谷信之助君
    委 員
                金丸 三郎君
                亀井 久興君
                熊谷  弘君
                鈴木 正一君
                田代由紀男君
                鍋島 直紹君
                成相 善十君
                小山 一平君
                佐藤 三吾君
                野口 忠夫君
                阿部 憲一君
                上林繁次郎君
                向井 長年君
                前島英三郎君
   国務大臣
       自 治 大 臣  加藤 武徳君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房同和対策室長  黒川  弘君
       行政管理政務次
       官        藤川 一秋君
       自治大臣官房審
       議官       石原 信雄君
       自治省行政局公
       務員部長     砂子田 隆君
       自治省財政局長  森岡  敞君
       自治省税務局長  土屋 佳照君
       消防庁長官    近藤 隆之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       国土庁計画・調
       整局計画課長   星野 進保君
       国土庁土地局土
       地政策課長    佐藤 和男君
       農林水産省構造
       改善局農政部農
       政課長      若林 正俊君
       通商産業省基礎
       産業局非鉄金属
       課長       原木 雄介君
       通商産業省基礎
       産業局化学肥料
       課長       荒尾 保一君
       労働大臣官房参
       事官       清水 傳雄君
       労働省労働基準
       局安全衛生部計
       画課長      小村 雅男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(永野嚴雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。加藤自治大臣。
#3
○国務大臣(加藤武徳君) ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。
 今回の補正予算において昭和五十二年分所得税一の特別減税による所得税の減収が歳入に計上されたことに伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して九百六十億円の落ち込みを生ずることとなりました。
 しかし、現下の地方財政は、すでに決定された地方交付税の総額を減額できるような状況ではございませんので、昭和五十三年度分の地方交付税については、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を九百六十億円増額することにより当初予算に計上された地方交付税の総額を確保することとし、さらに、当該借入額の償還については、後年度における償還額に見合う額を臨時地方特例交付金として一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることにより、地方財政の運営に支障の生じないようにすることといたしております。
 以上が、地方交付税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第でございます。
#4
○委員長(永野嚴雄君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○野口忠夫君 本日は、地方交付税法改正案の審議ということでございますけれども、それと関連する地方行政問題についてどうも疑義を感ずる問題がございますので、その問題についてまずお尋ねしていきたいと思います。
 大臣にお尋ねいたしますが、最近の地方自治体では、非常に企業の不況、赤字経営というような一方的な企業の意思によって地方工場、地方にある工場が閉鎖をされたり統合縮小されたりということが急速に進められておりまして、地域社会の中に深刻な混乱をもたらしている現状にありまして、これはもう捨てておけない重要な社会問題などにもなりつつあることは大臣は御承知のことだと思うんですけれども、こうした状況に対しての大臣の御所見をひとつ承りたいと思います。
#6
○国務大臣(加藤武徳君) 御指摘がございましたように、企業間に好不況の格差が非常に強くなってまいりました。そこで、不況業種を抱えております。たとえば造船でありますとか、繊維でありますとか、鉄鋼でありますとかあるいは紙、板紙でありますとか、かような企業が立地しております地方におきましては、深刻な影響を受けていることは御承知のとおりでございます。
 そこで、企業が不振に陥りますと、当然離職者等も多くなってまいるのでありますし、かつまた、その団体の財政に及ぼす影響もきわめて甚大なものがございます。そこで今国会におきましては、御承知のとおり特定不況地域に対します中小企業の臨時措置法や、また雇用安定のための臨時措置法が上程されまして審議されておるのであります。自治省といたしましては、この法案が成立をいたしますと、この法律の円滑な施行に努力をしてまいりますことは当然でございますけれども、しかし、自治省といたしましても独自の考え方を持ち、その地域の不況を克服いたします総合的な計画等を策定いたしまして、強力な対処の方針をとってまいらなければならぬと、かような考え方で対処しているようなことでございます。
#7
○野口忠夫君 私は、いまこの地方工場というものが、企業の一方的な赤字、不況というような状況によって合併縮小等が行われて地方に問題が起こっていると、こういうことを御指摘申し上げ、いわば企業の不況と地方というような関係の中における問題提起をしたわけですが、いろいろお尋ねしていきたいと思うんですけれども、私も全国の状況は明らかではございませんけれども、地元である福島県の現状を県労政課の資料等に基づいて見ますと、次のような状態です。
 日本重化学伊達工場、小野工場というのがございますが、これは二年間の休業、実質的閉鎖。日電郡山工場金属珪素部門、これは全面閉鎖。北芝電気松川工場、これは県外配転が百七十人。兼松電子郡山工場、これは工場閉鎖。堺化学小名浜工場、これは本社から分離をして独立する、小っちゃくしてしまう。そのために百七十人は退職。保土谷化学郡山工場は定年の短縮。磐梯町というところの日曹金属、日曹エンジニアリングは、これらは物すごい縮小の中で配置転換。昭和軽金属喜多方工場、これは電解炉を休みますので――後でまたこれも御質問申し上げますが、二年半の一時帰休制だ。福島市の伊達屋号、これは倒産。東北沖電気、これは物すごい合理化で縮小の中にある。日本化成小名浜工場西工場、これは合併縮小ということで鹿島の方に持っていってしまう。県労政課調査によりますと、福島県だけでこういう状態にあるわけであります。
 その中で、特にいわき市にありまする日本化成小名浜工場西工場の合併縮小、それから喜多方市にあります昭和軽金属喜多方工場、この二つは、自治体を中心とする地域の中の団体でほとんどが参加をしまして、物すごい大きな市民運動を展開しております。いわば地域におけるこれらの工場が閉鎖ないしなくなるということで、地域自治体が大きな痛手をこうむるということで、地域住民全体の世論の中で大きな市民運動となっておりまして、それぞれ各団体が参加して市民会議を結成しております。これらの市民会議の皆さんが過日東京に出て参りまして中央折衝などを行っているようでありますが、その折衝の相手となりました労働省、通産省とこの二つの市の皆さんとの折衝の経過。それに対して出されたであろう存置要望についての対策等――労働省、通産省来ておるわけですね――御説明願いたいと思います。
#8
○説明員(清水傳雄君) いま御指摘のように、喜多方及び小名浜の地域の方々の陳情、過日労働省においでいただいたわけでございます。先ほどから御指摘のように、全体の産業構造の転換が進む中におきまして、地域における雇用問題が非常に深刻な情勢になっているということは御指摘のとおりでございまして、私どももそうした点に着目いたしまして、それに対する対策というのを、特に今国会に法律を御提案申し上げて講じつつあるわけでございますが、具体的な両地域の問題につきましても、雇用問題に及ぼす影響という点から非常に重大な関心を私どもとしても持っているところでございまして、それについて情勢の把握にできるだけ努めつつ対応してまいりたいと、このように考えているわけでございます。
 何と申しましても、基本的には労働者の失業を出さない、失業の予防を図るということが現下の情勢の中におきましては一番重要な事柄だというふうに思っておりまして、それぞれアルミなりあるいはアンモニア関係、私どものお世話いたしております雇用安定資金制度の中におきましても、関係の業種指定も行っておりまして、失業の予防のための企業の措置に対して対応できるようなそういう準備をいつでも発動できるように整えて、そして現地を通じまして企業との接触をとらしつつ、いま申しましたような失業の予防の観点からの努力をいたしてまいりたい、このように思っておるところでございます。
#9
○説明員(荒尾保一君) 先ほど先生から御指摘ございました、日本化成の小名浜工場の存置問題につきましては、先日地元の小名浜臨海工業地帯を守る市民会議の皆様が通産大臣のところへお見えになりまして、地元の実情をいろいろお伺いをしたわけでございます。
 御承知のとおり、現在アンモニア工業及び尿素工業は深刻な構造不況に陥っておるわけでございますが、特に設備面におきまして非常な過剰状態でございまして、それに対する対策といたしまして、日本全体でアンモニア設備につきましては設備の二割、尿素設備につきましては設備の四割を廃棄もしくは長期休止をするという対策を講じようということでいま対策が進められつつあるわけでございますが、その一環といたしまして、日本化成と鹿島にございます鹿島アンモニアとが合併をいたしまして、その両社のうちのいずれかの工場を休止をしようということが企業内部におきまして種々検討中でございます。
 その際に、特に地元いわき市の皆様からお伺いいたしましたところでは、もし日本化成の西工場が休止をするということになりますと、全体としては五十一社、一万四千人の住民の方々に影響がある、かつ小名浜臨海工業地帯のコンビナートに大きな影響を与えるということが強く訴えられたわけでございます。その際、通産大臣からは、そうした実情をよく理解いたしましたと、つきましては、企業がいずれの工場、つまり小名浜か鹿島かどちらを選択するかという場合に、そうした地域への影響について十分配慮をして、その上で将来の対策を慎重に考えるように指導いたしましょうということを大臣から申し上げました。その旨私どもの方からも会社の方によくお伝えをいたしまして、そうした地域問題について十分配慮した上で態度を決定するようにということを指導をいたしておるところでございます。
#10
○野口忠夫君 いろいろ市民の要求に努めていられるような御返事でございましたけれども、私の方からも少し申し上げてみたいと思うんですけれども、いわき市の場合は、これは新産業都市の指定を受けた市でございまして、この指定を受けて以来、新産都市建設という国策に沿うて、小名浜臨海工業地帯というものを中心に地方都市の建設にいままで一生懸命になってやってきたわけでございます。その新産都市建設の中心的な工場となっているのがこの日本化成あるいは堺化学工業等であるわけでありますが、これが合併、縮小、廃止、こういうことを企業側から一方的に通告されるんですね。市民の皆さんの受け取り方は、こういうことがこの次にもこの次にもあるようでは、せっかくいままで努力してきた産業都市建設全体に影響が出てきてしまって、将来への見通しというようなものも非常に重大な問題になってくると、そういうのがいまの市民運動になってきているわけですね。
 どうも私は、日本の産業政策の中には、企業サイドの都合でのみ動く国の施策がこの辺に見られているんじゃなかろうかと思うんですがね。景気のいい、もうかるときには新産都市とか工場誘致とか、それに対して地方では一生懸命誘致条例をつくって、当時国や地方が挙げて協力をしたものでありましょう。ところが、一たん不況となったりもうからないとなりますと、企業の立場に立ってのみ、その一方的意思によって工場はもうやめてしまいますでは、これはたまったものではないんではないかというふうに思うわけであります。
 とにかく、国の方針に従って進められた地方の努力というものが一挙にこれは放棄されてしまうという現状に立っているわけですから、こういう状態を単に地方の問題だということだけで扱うわけにはいかぬと思うんですよね。少なくとも企業の意思、この意思の中にある地方住民の問題、この問題は両者あわせて、企業の方にはどうしてやったらいいだろう、地方の要望にはどう沿ったらいいだろうと、少なくとも一体としてひっくるめて国がやっぱりやってやる責任というものがなければならぬのではなかろうか。国策で進んできたものが、いまのところ企業が赤字でだめだからということで二割の減産をした。そういう減産の犠牲の中にいまあった。企業がこういう不況、赤字であるということの前提が金科玉条になっている。これじゃこれから行政を進めていく過程の中で、いつどうなるかわからぬという不安の中で、国の行政に対する国民の信頼というものは失われていくのではなかろうかというふうに思うわけですね。
 少なくとも、いま地方における振興を願いながら一生懸命やっている地方自治体の願いというようなものを、やはり企業も含めてお互いに考え合っていくような場が、国の責任においてこれはとられていくようなあり方が制度的にも存在しないと、これはどんどんつぶれていく。福島県だけでも十何カ所も企業の意思によってだめになってきつつある。その十何カ所に依存してきた、福島県の松川工場なんていうところは町挙げてこの工場に依存している。先ほど大臣は釜石とか佐世保とか大きな企業の依存地帯を言いましたけれども、あのような状態の小さな状態が、松川という小さなところで生きている皆さん方の上には情け容赦もなく、これあすから職がないという現状になっていくわけでしょう。
 こういう間に立った国の立場、私は企業もいろいろ事情があろうと思いまするから、その事情をやっぱり克服するような意味での協力を国はしながら、地方のこうした意思というものもやっぱり取り上げていくというような、最初から企業のサイドのみに立って物を考えて、首切られたら労働省の雇用の問題では遅い。それ以前に、地方工場を存置して地方発展の礎にしていくんだというような、そういう国の姿勢というものがこの辺でぴしっと出てこない限りにおいては、これはもう自然になくなっていってしまいます。そして失業者が出ます。その家族が泣きます。結果的に企業の中央本社の決めた不況打開の策というものが地方住民の犠牲の上に進んでいくような、そういうパターンの繰り返しが、今日の新憲法の中でまた行われようとしていくのではなかろうか。
 少々我田引水の意見になっているとお聞きになるかもしれませんけれども、ぼくは今日の政治情勢というものは、それは一つのイデオロギーの思想的考えだなんていうようなものはなくなっているんではなかろうかと思う。これからの日本の進んでいく政治の方向として、企業の意見にのみ従って地方の工場がどんどんつぶれていくのを黙って見ているような政治を改めなけりゃならぬと、私は地方行政委員会に所属して地方の発展を願うその気持ちの中で、ぼくはしみじみといま日本の産業を担当している通産省の皆さん方に申し上げたいというように思うわけであります。
 こういう企業の意思というようなものにだれも手をつけようがない。だから景気のいいときにはどんどん助けてもらわれた、不況になったら後は野となれ山となれ式の言い方、いわば企業のあり方の手のつけられない部面で進んでいく地方の犠牲を私は救いたいと思う。国は、その意味においては、こうした問題について、企業に対する地方との間の仲立ち役というような責任はやっぱり大いにあるべきだと思うんですけれども、こういう態度を今後もやっぱり御持続になるかどうか、あなたの御意見承っておきたいと思います。
#11
○説明員(荒尾保一君) ただいま御指摘がございましたように、不況になったからその企業は撤退すればいいんだと、企業採算だけで考えるというのは誤りであるという御指摘は、まさに先生おっしゃるとおりじゃないかと、私、感ずるわけでございます。
 先ほどの日本化成いわき工場の件につきましても、企業自身も必ずしも企業の採算だけで考えておるわけではございませんけれども、しかし私どもの方からも先ほど申し上げましたように、特にいわきの場合におきましては、先ほど申し上げました直接関連住民の皆様への影響だけでなくて、いわきが成り立っておるもともとから言えば産炭地としてスタートした地域でございますし、新産都市でもある。かつコンビナートへの影響も大きい。それから最近では北洋漁業の関連におきまして失業の発生がおそれられるというようないろんな事情があるということを、今回の態度決定に当たりまして十分配慮するようにということを常々企業に対して申し上げておるわけでございまして、企業におきましても現在まだ検討中でございます。小名浜からアンモニア・尿素部門を撤退するというように決めたわけではございませんが、その検討の過程におきましてそうした事情を十分配慮したいというふうに言っておりまして、今後とも、特に本日御指摘がありました点につきましては企業に十分お伝えをいたしまして、慎重な態度をとるようにということを改めてもう一度再確認して指導いたしたい、かように考えております。
#12
○野口忠夫君 喜多方市の場合を申し上げたいんですがね。昭和軽金属喜多方工場、これは昭和電工の末端工場になるわけですが、これはもう本当に喜多方市にとっては古い工場なんです。喜多方の発展とこの昭和軽金属喜多方工場というのは、ともに発展してきた古い関係のただ一つの工場らしい工場なのでありますが、私どもから言うと、この昭和軽金属喜多方工場というのは、喜多方市の市勢の一つのシンボルみたいな長い歴史を持っているところだと思っております。今回同工場の第二電解工場を全面停止して、約二年半にわたる長期間のレイオフを百二十人の労働者に行うという、実質上退職みたいなことが通告されたわけであります。
 私は、長い間地方に定着した地方工場というのは、地域との連帯の中でお互いに世話にもなり世話をしたりしてきているわけであります。いろんな意味で地域の中の連帯的なお世話を受けているわけです。いつの間にか地方工場というのは、有形無形の人間のふるさとの構成の要因となっておりまして、喜多方市という地域の歴史をずっとつくってきているわけであります。こうしたような地域の実態。本当にただ一つある工場。それもやっぱり企業の意思によって、情け容赦なく、なくなっちゃうと、その跡にはぼうぼうと草が生えて、工場がなくなっていくというこういうこと。単に企業の維持という都合によって、地方工場の地域に果たしてきた役割りというものを絶たれてしまうということは、地域住民にとっては耐えがたいこれ問題なんですね。
 私もこういうふうに至った企業の困難な条件というものを、今日の事態の中で、だれがそうしたか知らぬけれども、あるということは認めます。認めても、今日、何の罪もない、そうして静かに安らかに生きてきた喜多方市の、その職を奪い、その地域の発展の根拠を奪うようなこういうあり方、地域社会に対する企業の連帯的責任というようなものを私はやっぱり強く求めなけりゃならぬじゃないだろうかというふうに思うわけであります。
 この喜多方の問題は、私はいま地元でわかっているから申し上げるんですけども、いまやまさに全国的な状態でそうなっているんではなかろうかというふうに思うわけであります。ただこれを地方に任せて放任して、つぶれるものはつぶれるままになっていく。耐え切れない皆さん方が東京に来て皆さん方に陳情をする。そういうような中で、地域社会における企業の連帯的責任というようなものを十分ひとつ考えていくような立場での産業政策が、この点でも求められていくのではなかろうかというように思うわけであります。
 これも通産省にちょっとお聞きしたいんですけれども、これはアルミでございますから、その企業縮小の理由の一つに電力料金が高いということがあるんですね。これは最近円高差益で大分いいと言われている、働かなくてぼっこぼっこ入ってくるような金のもうけ方している電力会社ですから、この地域の切ない要望と企業の今日的状態の上に立って、電力料金の引き下げみたいなことが、そういう不況対策の一つとして、思い切って行うというようなこともあってしかるべきではないかと思うんですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
 それからもう一つ、労働省にお聞きしますが、この二年半の一時帰休なんというようなやり方というのは、労働省としては一体どう考えますか。言葉は一時帰休ですからいつか帰ってくるような感じのするような労働者の整理条件になっていますね。これは私としては、こういう長い一時帰休制というのをとったのは見たことがないと思うんですがね。これは一体どういう見解をお持ちですか。二つお聞きします。
#13
○説明員(原木雄介君) 喜多方工場でございますけれども、御指摘のとおり、喜多方市におきまして製品出荷額の約三分の一がアルミニウム地金ということで、喜多方工場の製品ということでございまして、地域経済には相当大きな影響を与えるというふうに私ども思っております。しかしながら、アルミニウム製錬業全般を通じて申しますと、現在ございます累積赤字が六百六十億、これがことしの三月末でございますが、現実にいまや輸入品が非常に安く入ってまいります関係もございまして、ことしまたさらに数百億の赤字が積み重ねられるということになりますと、単に喜多方だけではなしに、日本にアルミの工場が十四カ所ございますが、十四工場全部の問題――従業員が約一万人おられますけれども、それ全部の問題になりますし、これはさらに下流の圧延、そういった事業に対する影響も非常に大きいものがございます。
 したがいまして、私どもも昨年からこういった問題にどう対応するかということでいろいろ検討してまいりましたが、やはり現実においてはある程度、百六十万トンでございます設備について、昨年の時点で約四十万トンの凍結をいたしました。そうしてその在庫調整あるいは比較的コストの安い工場への生産の集約といったことで当分しのがざるを得ない。これをしのがなければ全アルミ産業がつぶれてしまうと、こういうような結論になっておりまして、いまやっておりますが、最近の円高等によりまして、また、もうさらにいま申しましたように深刻な事態になっております。現在産業構造審議会のアルミニウム部会でその対応策を検討中でございますのでその結論が間もなく出るかと思いますけれども、やはり対応としてはいま言ったようなことをやらざるを得ないというように思っております。
 しかし、個々の問題をとってまいりますと、先生御指摘のように、単に喜多方工場のコストが高くて昭和軽金属の赤字の大半が喜多方だけで占めてしまうと言うわけにはまいりませんし、地元の雇用の問題あるいは経済の問題等もございまして、いろいろ昭和軽金属に申しました結果、工場というものの問題からやはり半分は残すと。特に現在アルミニウムの在庫が非常に多くなっておりまして、九月から三月まで長期の不況カルテルを実施いたしております。その一環としてやはりとめるということもございまして、約半分を残して半分だけは生かすというようなことで、赤字を覚悟しながらも残すというような決意をされたやに聞いております。その過程として、やはり最小限企業の存続とそれから雇用、地域経済といったバランスとして、先生御指摘のような百二十人のレイオフが出たというように私は考えておるわけでございます。
 それから、第二に御指摘のございました電気料金の件でございますけれども、いま電気料金が原価主義というようなかっこうの対応をやっております中で、この秋からは例の一般的に行われております家庭と同じような割合で還元をされるということで電気代がある程度安くなってまいりまして、約一〇%強安くなるかと思います。しかしながら、日本の電力というものが石油に相当程度依存しておりまして、外国のアルミニウム産業というのが水力発電に依存しております。その格差というものはもう電気料金の問題以前に根本的にございまして、要するに外国のアルミニウムの電気というのはオイルショックの影響が非常に小さかった。日本は電気料そのものが油の値上がりということで非常に大きかったということでございまして、やはり相当な格差が出ております。その中で、東北電力に対しましても特約料金といった制度の活用、それから今度は円高差益の還元といったことをお願いいたしまして低減に努めておりますけれども、やはりその格差というのは非常に大きくてなかなか困難な事態に立ち至っていると、こういうふうに御理解いただければ幸いだと思っております。
#14
○説明員(清水傳雄君) いまお話しがございました、二年半にわたる長期のレイオフということが会社側から組合側に提示をされているという話を私どもの方も承知をいたしておるわけでございます。で、会社側の方にもその後接触をいたしまして聞きましたところによりますと、まだ労働組合側の方でこの問題についてはっきりした態度が出てきていない。そうした反応と申しますか、そうしたものを待ってさらに検討をしていきたいと、こういうふうな現在の状況にあるというふうに聞いておるところでございます。
 もちろんレイオフが行われました場合には、雇用安定資金制度を活用いたしまして、雇用調整給付金の支給等によりまして助成を行って失業者を出さないというような方向への施策を実施していくわけでございますけれども、ただいまおっしゃいましたように、いままでの経験に照らしまして二年半というのはほとんど例としてはないようなケースだというふうに思います。いずれにいたしましても、私どもの基本的な考え方といたしまして、少なくともそういうふうな形で行われていく以上失業というふうな方向へつながらないようにやっていかなければならないわけでございまして、そういうような観点からのこの制度を適用いたします場合におきましても指導は十分にいたしていきたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、基本的には労使関係者の話し合いということにまたなきやならない部分が多分にあるだろうとは思いますけれども、ちょっと二年半というと、私ども制度的に十分これに対応できるかどうかという点につきましてこれは問題もあろうかと思いますので、そうした情勢の推移を見ながら指導を行ってまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
#15
○野口忠夫君 通産省ね、やっぱりあなたのお答えを聞いていると、どうにもできない、こう神様の御意思みたいなものが作用するわけだね。その前に、私が言うた地域の中の国民ですよ。日本国憲法はこの国民が主人であるということになっているわけよね。そういう中で、単に神様の声のようなことでいくだけではうまくないだろう、やはりその辺が新しいこれからの日本の政治の方向ではなかろうか、こういう気持ちで申し上げているわけですがね。
 アルミのコストを、電気料金の特別料金というようなことで引き下げているが、余りにも差が大き過ぎてだめだということですが、これはあれですか、生産をストップしてしまうんですか、もう。結果的には。
#16
○説明員(原木雄介君) 御指摘のように、格差が相当ございますが、これに対しましては、先ほど申しましたように一部の設備の凍結といったような事態、あるいは金利の引き下げ、それから関税による保護といったようなものを金部駆使しましていままで何とかやってまいってきたわけでございまして、電気代の差額もある程度カバーしてやってきておるわけでございます。今後もまたそういった行政サイドについては十分手厚い処置を講じながら、今後の世界情勢にミートして、ある程度はとにかく残すというラインでいまいろいろ検討をしておる最中でございます。
#17
○野口忠夫君 その行政サイドの気の配り方というものをよくひとつ今後心にとめてやってもらいたいと思うわけですがね。
 私はいままで労働省、通産省のお話をこうずっと聞いてまいりましたが、まあ福島県の事情を土台にして申し上げてまいったわけでございますが、これは単に福島県だけではない、全国的な問題として所在するであろうと思うわけですが、やっぱりこの問題の真の解決は、私がるる申し上げた本県事情でおわかりであろうと思うんですけれども、企業というものに対する社会連帯責任という名のもとに立つ努力の要請を求める、それができるかどうか。そうしたことに対して国はどのような責任を負うかという点においてやっぱり問題が残ると思うんです。
 この点について、私は新しく閣議決定され、日本の新しい国土開発の方向として示されている三全総の関連で、この辺の責任は国にはどうしても所在すると。企業に対しての努力の要請をする、それに対しての国の責任というものが大きく所在するものは、福田内閣の第三次総合国土開発の中にその責任は所在しているんじゃないかと思うんですがね。
 第三次全国総合開発が福田内閣の政策として取り上げられて、国土の均衡ある発展ということを目標にして、過疎過密の不均衡を解消していこう。そのためには定住圏構想というものを基本原則としなければならない。私もこの考え方には、過密の地帯でどんなに国民が苦しんでいるか、過疎でどんなに国民がさびしがっているかということを考えると、まさに国の施策としてこの基本的な原則は正しいと私は思っておりますが、さて、その定住圏というものをつくるための、定住を可能とする、そういう住みよい地域社会建設の第一の要件は、どうしても就職の機会を与えるということであろうと思うんです。そして、その地域住民に安定した所得を保障してやると、これがやっぱり基本的原則であろうと思うんです。そのために、三全総の中では産業の配置、教育の分散、文化、医療等の施設を地方にふやしていこうと、こういうことを言っているんですが、今日地方工場が合併、縮小されているというような、既設の工場すらもやっていけないという現状の中に立っているわけですね。何も新しいものを持ってこなくても、いままで喜多方には昭和軽金属工場というものがあって定住する人たちが喜んで働いていた。その住民の希望というやつを今度奪っていくというこのあり方は、一体この定住圏構想というものはたてまえなのか、本音なのか。福田内閣は国民に対してこれを国策として決定しているのに、国民が現状で受けているものは既設の工場すらも守り切れないという今日的状態にあるわけですね。
 国土庁来ていますね。――私は、第三次総合国土開発というのは、国土庁が計画を立て、閣議で決定して、現在それを国の施策として持っておって、各省はこの国土総合開発の中で大きな制約を受けてるんだと、そういう方向に進むべき役目を持っているんだと、こういうふうに三全総を理解しているんですけれども、国土庁の見解はどうですか。
#18
○説明員(星野進保君) 御説明申し上げます。
 先社御指摘のように、三全総の中の定住圏の考え方というのは、基本的にはそこに住んでいる人々、それからもちろん企業も社会の一員でありますのでそういう人々、それから企業等が一体となってその地域を造成していくといいますか、将来に向かってその地域をはぐくんでいくということに期待しておるというのが基本的な考え方であります。
 それから、具体的にこの定住圏を進めていくのにどうするかということでございますが、これも先生御指摘のように、多面的に産業の、就業の場と申しますかそういうものをつくるということであるとか、あるいは生活便益を多様にするということで、文化施設その他につきましても整備していこうということ、それからさらに大事なことは、そこの自然環境等とうまく調和したような形でその地域を発展させていくというようなことが考え方の基本にございます。この基本的な考え方に立ちまして、実は万般に及ぶ仕事でございますので、関係省庁の方々といろいろ御相談しながら、そういう基本線に沿いながら進めていくということを現在やっておるところでございます。
#19
○野口忠夫君 ぼくは、いま国土庁そういう見解表明やりましたが、実はこの御質問を申し上げるに当たって、政府の委員の、お世話する方々と相談したんだったがね、通産と労働に来てもらって。この問題は国土庁の問題だというようなお話があったわけなんですね。これはこの三全総の精神からは非常におかしいじゃないかということをお聞きしょうと思ったところが、それは国土庁だと、何かおれは知ったこっちゃないみたいな言い方をされちゃったんですね。――いやいや、質問しているんじゃないんだ、私のおかしいと思った気持ちを言っているんですがね――それじゃあまるでもう福田内閣は国民を偽っていると、今度の総裁選挙ではだめだと。(笑声)こういうことにならざるを得なくなっちゃうんじゃないかと思うんですがね。いや、笑い事じゃなくてね。
 いま地方自治体の三全総に対する期待なんていうものは物すごいですよ。どうにかして地域住民をこの地で就職させ、ここで学校の教育を終わり、ここで働いて親子ともども――これは国民の素朴な人間的な愛情の姿ですよ。そういうふうになっているんです。そこに定住圏って出たものだから、各自治体は皆この定住圏にくっついているのに、国の方の役所は、それは国土庁の仕事だと。一体国土庁はそんなに仕事できるだけのものを持っているんだろうか。閣議決定をして、こうして国民のものになった、このことについて通産、労働、自治、運輸、いずれの各省もこの問題に取り組んでいたと私は思っていたのよ、人がいいものですから。まあそれは間違って言われたんだと解釈したいと思うんですけれども、非常に重大な問題ですね。少なくとも各省の末端の職員の一人一人にまで、国民に公約されたこの問題というものを真剣に自分のものとして理解するような態度がない役所なんていうのは、国民にとっては存在する必要がない役所だと私は思うんですよ。そういう意味ではどうもおかしいと思っています。
 私は、そういう観点から言いますと、先ほどからの通産省や労働省のこの企業サイドに立った物の言い方、まあ労働省は――これ、労働省もそうなんだよ、首切られたら世話しましょうみたいな言い方でしょう。だから、地域というようなものに根差しながら、これからの日本の政治の方向が均衡ある国土の発展という中に雇用の問題も存在するし、産業の問題も存在してるし、教育の問題も存在しているんだと私は思っているわけよね。それがどうも各省ばらばらになっているように思われる。
 これは、時間がありませんから御質問申し上げませんが、私がきょう交付税の質問という時間を割いてわざわざこれ言うているのは、交付税の質問一生懸命やってみても、地方税の問題やってみても、一体本来的にそれらのものがどのような形の中で生かされていくのであろうかと思う中に、私としてはこの三全総の問題があり、その三全総の中の姿が、新しい工場を呼んでいくどころではなくて、既設の工場すらもアルミ不況の中でどんどこどんどこ全国十何カ所をこれはつぶれていくであろう。つぶれることもやむを得ないみたいな形に御答弁がなってしまう。この辺はやっぱり各省の考え方を改めてもらわなくちゃならぬと、こういうふうに私は思うんですけれども、一応それは私の意見だけ言っておきます。
 この問題に関して自治省にお尋ねしたいと思います。大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、先ほどから申し上げましたような地方自治体の深刻な問題が、住民運動的な姿を持ちながら起こっている一つの原因が、不況、赤字というような企業の一方的な意思によって起こっている地方工場の存廃問題というようなことになっているわけでございますけれども、担当省としての自治省は、こうした自治体の側に立って、一つの工場が存置するかなくなっていくか、それがいま不況段階の中で全国的に起こりつつあるという、こういうことに対して、どのような対策をお考えになられるか、自治大臣のひとつ具体的な施策をお尋ねしたいと思うんですがね。
#20
○国務大臣(加藤武徳君) 先ほど来御指摘がございましたように、企業の盛衰がその地域に非常な影響を及ぼしますし、ことに企業城下町と言われますような地域におきましては、大変な影響が生じますことは申すまでもないことでございます。
 そこで、これに対応いたします処置といたしまして、自治省といたしましてもでき得べくんば立法をいたしたい、こういう基本の考えでこの臨時国会に臨もうといたしたのでありますが、しかし時間的に間に合いかねる点もございますし、また政府内部におきましても、時間的な制約があって十分な思想統一ができない点がございました。そこで、臨時措置二法案が成立をいたしますと、自治省といたしましてもこの円滑な施行に対処してまいらなければならぬのでありますが、しかし、立法を待たずして、自治省として地方団体としてやり得ることがずいぶんあるのでありますから、さような面につきましては全力を傾注いたしまして対処してまいると、かような考え方でございます。法案が通過成立をいたしますと、関係省庁で協議をいたしまして幾つかの特定不況地域が指定を受けると思うのでありますけれども、しかし、この指定で足らざる地方が生じますことも予想されるのでありますから、自治省といたしましては、類似の地方団体などに対しましては積極的な指定を行ってまいり、自治省独自の体制をとっていくと、かような考え方であります。
 そこで、具体的には、指定を受けました、あるいはこれに準じますような市町村独自ではなかなか総合政策が立ちにくいのでありますし、ことにいまも御指摘がございましたように、仮にある企業が不況で離職者等を出さざるを得ない、場合によっては企業の工場閉鎖などのことがあると仮定をいたしましても、しかし、わが国経済全体をながめてみまして、何もかにもみんな不況企業ではないのでありますから、中には今日隆盛をいたしております企業もございますから、そういう企業の関連企業などを積極的に誘致していくことも考えられますし、また、業種の転換を積極的に図っていきますことも必要でございます。
 それから、今日の企業は金の面でめんどうを見てくれるというよりも、そのことはもうとっくに手当てもできていることだし、むしろ仕事が欲しいんだと、何がしかの仕事があればこのピンチが切り抜け得るんだと、かような企業が大部分であろうかと思うのでありますから、ですから、都道府県段階におきましてその市町村を軸にいたしました総合的な計画を策定し、そして県の各部局等を総動員いたしました体制をその地域に重点的にとっていくと、こういう考え方であり、そしてその要綱を自治省が示すつもりでございますけれども、その中には産業の振興の面を取り上げ、そしていま申しましたような新たな企業の誘致でありますとか業種転換を積極的にやってまいる措置をとりますと同時に、また、どのようにしてその地域の企業に仕事を付与していくかと、このことも積極的に総合力を発揮いたしまして対処してまいりたい。
 たとえば、長崎県の場合を考えてみましても、造船関係を中心に非常に不況な地域が多いのでありますけれども、たとえば農林水産部におきまして水産関係の監視船を、いまではまだ間に合っているけれども、しかし早目に発注すればと、こういう考え方をもって対処するといたしますと、その限りにおいて中小の造船所が助かることもあるのでありますから、これはその市町村だけではなし得ないことで、やはり県が総合的にそういう計画を策定して推進をしていく、このことが必要であろうかと思うのでございますから、そういう考え方を持ちながら積極的に対処いたしまして不況克服のために努力をしてまいる、かような考え方であります。
#21
○野口忠夫君 大臣のお話、まことにどうも結構なことだと思うんです。私も、いまいろんな法が各省ごとに出されまして、個別的、業種別の法律が出され、それももちろんむだではございません。しかし、不況というような全面の問題を抱えて、国土の均衡ある発展を図っていく定住圏構想というような基本原則に立って考えた場合、こうしたような個別的な立法措置ではとても――何がしかの具体策は生まれるだろうと思うんですけれども、縦割り行政というもののうまくないことは与野党を問わずこれは言っているわけでありますが、地域住民から言えば、すべてはいわば一体化してあるわけでありますから、その一体化してあるところに各省のセクト的な縦割りが入っていってやる、おのおのの立場でおのおののことを言いながら、おのおのやったような気がしているが、地域の住民から言えばそれは全く断片であって、まとまったものとしての、人間の生きていくその願いというようなものから言うと、全く心にぴんとこないんですね。これは日本の行政が縦割りであるという、そういう意味では自治省というような立場が、私は今日の縦割り行政を、何とかそういうものを改めていく貴重な存在であろう。自治団体の受けている総合的なこういうあり方、一人一人の人間の生き方に結びついたような方向に物を考えていける立場というのを自治省というのは持っているわけでありまして、単なる一省ではないと、私はいつもそんなふうに思います。
 いま大臣のお話を聞きますと、この不況問題についてお考えになりました総合政策、まことに私もそれが通ればよかったと思うんですけれども、とにかくこの不況問題を克服するのに地方サイドだけで何ぼやったってだめです。やっぱり国、地方を挙げて地域というものの発展、そこに住む国民の幸せに結ぶというようなものを総合的に判断して、そして総合的にある中から対策というものが生まれてこない限りはこの問題の解消はないです。この問題の解消がないということはもう放任しておくということになってくる。つぶれていくものはつぶれていき、首切られる者は勝手に首切られろ。そしてみんな一応首切られたりつぶれたりした後で大企業の本社だけが残っていくみたいなパターンがどうもやっぱり出てくるおそれがある中で、自治大臣のいまのお話の、何とかこれをしたいという地域住民に結ばったお気持ちはよくわかるんですが、なぜ総合的立法ができなかったんですか。
#22
○国務大臣(加藤武徳君) 一言で申しますと、時間的な制約がございまして調整がつかなかったと言えましょうけども、具体的には、自治省といたしましては相当広範囲な地方団体の指定をしなければならぬであろうと、このことを強く考えましたのと、いま一点は、総合的な対策を樹立しなければなりませんし、計画的に不況克服をやらなければならぬというこの点の主張が必ずしも短時間では政府内部の統一ができなかったと、かようなことでございました。
 しかし、通産省が主管官庁となっております中小企業対策臨時措置法案は、六省庁が請議官庁、かようなことになりまして、この法案の第十一条に一条を設けまして、そして、不況克服のためには総合的な施策をとらなければならぬという条章を入れたのでございまして、ですから、都道府県にやってもらおうといたしております総合的な措置要綱あるいは振興対策要綱、これは新しく成立するであろう臨時措置法の第十一条に根拠を置いたものと、かようなことに相なったのでございますから、ですから、全く手ぶらでのこの不況に対応する処置ではございませんで、第三条あるいは第十一条と、かような条章は自治省の主張によって中小企業対策臨時措置法案に盛り込まれたと、かようなことでございます。
 必要によりましては、通常国会に向けまして法案作成提出の準備をいたさなければならぬと思っておりますが、当面の処置といたしましては、成立するであろう二法案を背景に持ちながら行政措置によって対処してまいる、こういうつもりでございます。
#23
○野口忠夫君 私もその経過わかるわけですけれども、何か自治省の申し入れを聞いて、ようやく法律のすみっこの方に自治省の考えを入れたみたいな、お情けで入れたみたいな感じのするような経過であったように――失礼な言い分ですけれども、思うわけでありますが、どうも、これ一生懸命おやりの自治大臣に向かって済まないんですけどもね、ちょっと自治大臣の腰っ骨弱いんじゃないかという感じをせざるを得ない。地域におけるいまの問題を本当に考えますと、やっぱりこの辺は、加藤自治大臣は就任早々知事たちを集めて総理大臣に話をさせたりやっていられるわけですから、ひとつ風を起こして、今度の問題などは引き回して総合立法にしてもらいたかったと思うんですけれども。まあ経過はよくわかりましたが。次期通常国会までにはいまのお話のような精神でひとつ立法措置も考えていきたいと。ぜひ私はそうしてほしい。通産は通産、労働は労働という各省で分かれた対策ではだめだ。
 私は、要望申し上げますが、これから自治省で考えていかれる総合立法対策の中には、やっぱり企業の社会的連帯責任というような、言葉はどうなるかわかりませんけれども、企業はもう勝手にいけるんだという、どうもやり方見ていると。たとえば私の田村郡というところでなんですが、そこに小野町というところがあって、そこに日本重化学の工場があったんです。これも約八十年の歴史のある工場ですね。それが二年間の休業ということを打ち出しました。たまげて地域の町長さんから議員さん、みんなして東京に来て本社交渉をしたところが、にべもなく、赤字だものやりようがあるかと、赤字出し出しそんなことをやっていられるかというような態度で、余りなれない皆さん方で、田舎の議員さんたちですから頭からけなしつけられて帰ってきたと、私はお話を聞いたわけでございますが、こういう企業の態度は許されないと思うんです。いろいろな困難な事情はあろうと思いますから、それらの事情は考えてはやらなくちゃならぬとは思うんですけれども、やはり総合的な対策の中で、企業の位置づけというようなものも、できるかどうかわかりませんが頭の中に入れておいて今日の不況業種対策みたいなものも考えていただきたい。これは要望でございます。申し上げておきたいと思います。
 以上、私が三全総以来ずっと申し上げてきたのは、今日の地方自治体の状態を見て非常に疑義を感じたところでございまして、本日は交付税法の改正の問題なんで、残りの時間わずかになりましたが、交付税問題ということよりも地方財政問題について若干お伺いしたいと思うんです。
 過日の新聞に、ずっと前でございましたが、大きく報道記事も書かれましてね。こんな言葉です。とらぬタヌキの皮算用、一般消費税の国と地方の配分分捕り合戦。こういう見出しで、何か茶化したような記事が載っておったんですけれども、内容を見ますと、まるで一般消費税はもう取ることに決まったかのような状態の中でその配分問題に入っていかれていると。その中では、大蔵省と自治省の間には月とスッポンほどの間隔があって……。それで自治大臣、自治省は、今日の地方財政問題を考える場合、一般消費税導入はどうしてもしなければならぬとお考えになっているんですか。今日の地方財政の解決の基本的課題は、一般消費税を導入していくんだという考え方にこれはお決めになってこういうことがあったのかどうか、お聞きしたい。
#24
○国務大臣(加藤武徳君) いわゆる一般消費税につきましては、政府の調査会におきましてももうここ何年か議論がなされておりますし、また地方制度調査会におきましても何回か議論がなされてきておることは御承知のとおりでございますが、政府の税制調査会の特別小委員会で試案をまとめたこともこれまた御承知のとおりでございます。そこで、試案なるものは、直ちにこれを実施に移すという考え方ではございませんで、広く世論に問いたいと、そして議論が巻き起こってまいりますことをむしろ期待をいたしておると、かようなことでございます。
 そこで、福田総理も何回も予算委員会その他で答弁をしてまいっておりますように、いまだ試案の段階でございまして、いま直ちにこれを実施に移す、かような熟度には致達をしておらぬと私は理解をいたしておるのでございますけれども、ただ、地方財政の状況から判断をいたしますならば、今日、多額の財源不足を生じており非常に困難な地方財政状況下にございます。そこで、仮に国の段階において新しい税が創設されるといたしますならば、単に一般消費税だけではございませんで、さような税目が国税において起こし得る段階に到達をいたしましたならば、それを当然地方交付税の交付税目に取り上げていくと、この考え方は従前からずっと持っておるのでありますし、また地方制度調査会におきましてもその議論が何回もなされてきておるのでございますから、そういう熟度に到達をし、国税として新税目が起こし得る段階になりましたら、当然地方交付税の対象税目に入れて地方団体の一般財源としてとり込んでまいりまする努力は最大限にいたさなければなりませんし、同時にまた、新たに起こされた税目を地方税においてどのような受けざらをつくって対処していくか。ことに知事会等におきましては、事業税に外形標準課税を導入せよと、かような強い意見が何回も出されておるのでございますから、さような事業税の中におきましての取り入れの方策等につきましでもあわせて考えていく。そして今日の地方財政のきわめて困難な状況を少しでも緩和し得ます方向で努めてまいりますのが私や私どもの省の基本的な考え方でございますから、そのことが紙面等で何カ所か、どういう形でか公になっておると、こういう理解がいただけますとありがたい、こう思います。
#25
○野口忠夫君 自治大臣、それ少し本末転倒の形があるんじゃないかと思うんですがね。国が新税を起こすという問題は国の問題でございましょう。自治省として要求すべき自治体における問題というのは、全国市長会、町村会、全国知事会、議長会等、いわば地方行政に関係する六団体が、今日の地方自治体における問題というものの問題点の提起はもう終わっているんじゃないでしょうかね。私も地方行政委員会に長く所属しておりまして、歴代の自治大臣の言行録も大分あるわけであります。この委員会においてお互いに論議をされた地方自治振興のための議論というものもあらゆる問題を出しているのではなかろうかというふうに思います。やはり自治省として主張するべきのはその点になければならぬじゃないだろうかというふうに思うわけです。
 一般消費税導入というような問題について、実は地方の実態から言いますと、私の知り得る範囲における中小企業の皆さん方の会合では、一般消費税導入は全く反対であります。それによって起こってくるであろうところの中小企業の負担、犠牲というものは非常に深く大きいということを認識し、これは反対と言う。いわば自治体の中の中核的存在である中小企業の皆さん方が、そういう点で一般消費税には非常な不満を持っていらっしゃる。国はその税源を求めようとする態度はわかるわけですけれども、自治省の立場としての財源の要求というのは、あくまでも地方自治体の自主、その自主を守るための自主財源の確保。今日までの経過を言いますと、今日の地方自治体の基本の課題は、やっぱり国と地方との事務と財源の配分の見直し。中央に財源的に縛りつけられましたこの地方の自主性の回復、こういう一点が自治省として考えるべき課題ではなかろうか。その課題の前に立って、交付税率を引き上げろ、対象税目をふやせ、地方自治体における自主税というものをもっと大幅にふやせと。こうして戦後三十年の間脱却することのできなかった、財源的措置によるところの中央集権というような中で、中央の下請化したような不満が今日の自治体の問題のこれは原点であろうと私は思うんですがね。
 ですから、その一点からやっぱり進めらるべき問題であって、一般消費税が自治省も賛成だというような新聞記事を書かれることについて、地域の住民の人たちはどう受け取っているだろうか。これはやっぱり問題ではなかろうかと思いますね。ですから、何か今日まで議論されてきました、そしてあらゆる問題が提起された今日の地方自治体の課題そういうものが一般消費税という増税問題の中に埋没していく。地方自治体の求める自主路線という課題が、ただ財源措置の手段の中に埋没していってしまう。そして、与えられるものは相変わらず国からの強大な支配の中における地方自治体だということが残っていくんではなかろうか。たとえばその新聞記事による大蔵省と自治省との間の論議を見ますと、その対立点は、相変わらず国は自分たちで金を握って抑えておきたい、地方には二五%くらい譲与税として渡そうというような、こういう恩恵的な措置で相変らずこれは進んでいくのではなかろうか。
 ですから、増税路線の中で問題を提起するのではなくて、今後の地方自治体の自主性を回復し発展をするために、国は地方に対してどのような責任を持つべきか、その責任のあり方によって地方の自主性が回復できるという方向にやっぱり進めていかなければならぬかと私は思うんです。何となく印象は、もういままでここで議論されたものはすっかり終わっちゃって、もう増税さえすればいいと。そのうちお目こぼしに何ぼかもらえばいいでは、地方自治体が求めている地方の自主とかそういう問題については自治省は放棄をしたんではなかろうかというような印象を与えるわけですね、これは。何か最近の進みぐあいが、財源さえあればよいというような中で本末を失っているのではないかというおそれを私は感ずるわけですが、これは間違っていたら御訂正願いたいと思うんですが、いかがでございますか。
#26
○国務大臣(加藤武徳君) 政府の税制調査会で議論をいたしましたその中間報告がございますが、中間報告は二つの場合を考えておりまして、そしてその一つの場合は、いま御指摘がございましたような一般に広く負担を願う、いわゆる一般消費税の創設されました場合には、地方に譲与税という形で付与すべきではないかという考え方もございますけれども、私どもはその考え方には反対でございます。そして、仮に創設されるといたしますならば、地方団体の固有財源としての交付税という形において地方に交付さるべしと、この強い考え方を持っておるのでありますから、譲与税方式に自治省が賛成しておるという考え方はこれはないのでございますから、この点の御理解はいただいておかなければならぬと、かように考えております。
 なおかつ、先ほど申しましたように、何らかの形においてということではなく、明確に交付税という形において地方財政に取り込んでいくべきであり、なおかつこれとの関連において地方でもまた地方税法の改正を行うことによって受けざらをつくり、地方財政の強化に対処してまいる、こういう基本の考えでございます。
 なお、前段において御指摘がございましたように、私どもは今日の地方財政を考えます場合に、単に税源の確保のみを考えていくのではございませんで、やはり地方団体みずからが行政機構の簡素合理化に努めてまいり、また事務、事業等の見直しを積極的に行いまして、不要不急の事業等は積極的にこれを廃止していくと、こういう基本の考え方でなければならぬのでありますから、そういう考え方で指導等も行っていっておると、かような状況でございますので、これまた御理解をいただきたい、かように思います。
#27
○野口忠夫君 お気持ちはよくわかりましたが、ただ、やっぱりいま自治省が考えているもの――実は私がこういう意見を当委員会において発表することは、ちょっと常識外れみたいな印象を受けるんじゃないかというふうにいま私は思うんですよ。金がないときに増税も仕方がないんではないかと。地方財政をよくするためにはやむを得ないんじゃないかみたいな言い方が。実はいろいろ打ち合わせ等もあった自治省の皆さんとの話し合いの中でも、一般消費税というのは、もうその中で自治省は一生懸命になっているんだという雰囲気が、実は役所の中にも濃厚ではないかというような印象を受けるわけだ。まことに今日的地方財政の状態を何とか克服しようとする気持ちの中から出てくる、この一般消費税導入の場合はこうしたいというお気持ちはわからないわけではございませんけれども、それでは私は先ほどの課題は解決していかないんじゃないか。今日の地方自治体の課題というものが、いわば増税論争の中に入ってその配分というようなことだけでは、私は、本当の意味で地方自治体の問題解決の努力にはなっていかないんではなかろうか。あくまでも地方の自主性の上に立ったそういう財源確保、事務の配分等をつくっていくんだという基本的な原則を崩さない立場において国と地方との間を折衝していく。それが、財源の配分を増税に求める、その増税が一般国民の中からは大きな批判もあるという中では、私は、私の言うようなこともあえてこの委員会で申し上げておかなけりゃならぬじゃないか。そのことは、いままでこの委員会でみんなで審議をしてきた、そういう問題解決に対しての自治大臣としてのお答えでなければならぬじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。
 ただいま交付税の問題とあわせて地方自主財源、税源の問題がありましたが、これは何遍も指摘されているようですけれども、現在の交付税制度というのはおかしい。自分たちで取ることができれば幾らでも財源に恵まれるような団体までがなぜか地方交付税の恩典を受けている。東京だけが不交付団体。市町村で四十ぐらいの不交付団体がある。一体地方交付税の本当のねらいは何であったろうか。やはり相当の生産力を持ち産業的基盤を持っているところは、自分たちの力で税金が取っていけるような体制を税の上でもしていくべきであろうし、そして地方交付税は、過疎的な地域の中でやはりふるさととして生きている人たちに、温かい国の思いやりとして十分なる交付金が回っていくと、こういう地方税と地方交付税とのあり方というようなものも基本的に踏まえながら、自治省もやっぱり本来的な課題の解決に向かってひとつ邁進すべきであろうと私としては思うんですけれども、現状の一般消費税の中に溶け込んでいってしまったような自治省のあり方は、従来までの大臣の語録の中にもないようですね。当委員会の会議録の中にもこれはあんまりないように思うわけであります。
 どうぞひとつそういう意味で、先ほどもちょっと弱いと申し上げましたが、交付税率の引き上げなんというのは福田自治大臣のときに通っているはずなんです。語録から言うと。取ると約束したんだ、これ。ところが一向なんですね。それほど国の力は強大なんです。私はこの前の決算委員会で、失礼でしたが大蔵大臣と自治大臣と並んでもらって、今日の地方自治の問題について大蔵大臣に、この問題は国側が提起すべきだと、地方から言うのはあたりまえであって、いま、今日的政治情勢の新しい方向の中で、地方という問題を考えない国の政治なんというのは存在しないのではなかろうかと、こういう御質問を申し上げ、あいまいな答弁を大蔵大臣からいただいているわけでございますが、ここでも何ぼしゃべったって、またそういうことが頭にちらちらするものだから、しゃべりがいないような気がしてしまってね、何ぼしゃべったってだめじゃないかということなんですね、これ。
 今回、五十四年度に向かっていよいよ予算編成も間近であろうから、やっぱり基本的なあれに立って、ひとつ語録が生きるようにしていただくことが地域住民の本当の幸せに結ぶだろうと、私はそういう確信を持つものですから、あえて、失礼な言葉ではございましたが、自治大臣もひとつ腰を強くしてがんばってもらうことを御要請申し上げて私の質問を終わりたいんですが、その私の質問に対しての決意表明をしてください。
#28
○国務大臣(加藤武徳君) 地方団体の自主性を高めてまいりますには、やはり自主財源を豊かに確保をいたしますことが前提であろうかと思うのでございまして、そして、自主財源の中心になりますものが地方税であり、そしてまた交付税でありますこともこれまた御承知のとおりでございます。ですから、交付税額を確保をいたしてまいりますることが当面の大きな課題でございますから、新税目を取り入れる努力をいたしますと同時に、また交付税率の引き上げにつきましても格段の努力をいたしてまいらなければならぬと、かように考えておるところでございまして、前段におきまして、今日地方団体で、都道府県では東京都が一つ不交付団体、市町村においては四十数カ市町村にとどまるような現状になったと、かような御指摘でございます。まさにそのとおりでございまして、自主性を高めてまいりますにはやはり地方税法の改正にも格段の努力をし、御理解を得ながら税の増徴をも図っていかなければ自主性が高まり得ない現況下でありますことの御理解もいただき、そして大蔵省などとの話し合いにつきましては、ただいま御鞭撻がございましたように最大の努力を払ってまいると、かような決意でございます。
#29
○委員長(永野嚴雄君) 午前の質疑はこの程度といたし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#30
○委員長(永野嚴雄君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#31
○佐藤三吾君 午前中地方財政の問題について大臣から決意表明もあったわけですけれども、きょうは私、時間の関係で消防問題に焦点をしぼりますが、その前に一つお聞きしておきたいと思いますのは、大臣の言葉の中に、来年度一般消費税への期待というか、そういうものもございましたけれども、いまの情勢からいえば、一般消費税というのはほとんど私は可能性はないと思います。ですから、そういう観点に立って来年度の予算編成期なんかにおける地方財政の歳入欠陥の見通しと同時に、それに対する財源対策をどういう決意で臨むのか、それを一つまずお聞きしておきたいと思います。
  〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
#32
○国務大臣(加藤武徳君) 地方財政計画を策定するに当たりましては、行政需要がどの程度ありますかを勘案し、そして収入額を算定いたします手法でありますことは御承知のとおりでございまして、そこでまだ未確定の要素がずいぶんございます。地方税法をどのように改正していって地方税収を図っていくかも未確定のことでございますし、また景気がどのように変動するか、このこともまだ定かでない要素がずいぶんあり、ことに国は昭和六十年を目標といたしました中期的なわが国経済のあり方を審議会へ諮問いたしておりまして、答申が出ますのは相当先になりましょうけれども、少なくも年内に予算編成に間に合いますように、その概括的なことでもお示しを願いたい、かように審議会に依頼をしておりますから、わが国経済の成長度がどの程度になるか、地方税の弾性値は変わらないといたしましても、その前提となりますものに相当の変化があるといたしますならば、税法を改正しない場合でも、現税制下におきましても税収の確保がどういうぐあいになるか不確定な要素が多分にございます。
 ですから、そういうことを彼此勘案しながら計算をしていかなければならぬのでございますが、ただ一応の目安になるものといたしましては、通常国会にお示しをいたしましたいわゆる収支試算なるものがございまして、ケースIからケースIIIまでを算定してお配りをしたのでございますけれども、ケースIの場合は、税法に変化がないという前提で算定をいたしたものでございまして、この算定によりますと、五十四年度におきましては地方財源の不足額が四兆三千億になるであろう、かような想定ができるのでありますから、これをいわゆる調整額としてリストアップをいたしまして、お示しをしたようなことでございます。
 ですから、いま佐藤委員の御質問に明確にお答えができないのを残念に思いますけれども、諸元が動かないという前提に立っての試算は、ただいま申し上げましたような数字が算定されておると、これが実情でございます。
#33
○佐藤三吾君 私は恐らくケースIになるだろうと思うんですけれども、先ほど午前中野口委員から強く求められておりましたように、予算編成に当たってはひとつぜひ決意を持って財源確保に当たっていただくということを要望しておきます。
 そこで、消防庁にお尋ねしますが、最近人事異動で長官以下ずらりかわられたものですから、これは八十二国会、八十四国会を含めてずいぶん懸案問題が、長官が約束した問題がたくさんあるわけですね。そういった問題について引き継ぎをきちっとなされておるかどうか、まずその点をお尋ねしたいと思います。
#34
○政府委員(近藤隆之君) 十分引き継ぎを受けておるつもりでございます。
#35
○佐藤三吾君 八十四国会の六月の十三日だったと思うのですが、私がこの委員会で取り上げた問題がございますが、消防職員の公務による死傷者ですね。この死傷者の実態について、私はできれば月別に出してもらいたいと、こういう要請をしたわけです。それというのが、どうもケースを見ますと訓練中の事故の状態の中で、いわゆるレンジャー大会というか競技大会というか、それに集中しておるような懸念がございましたからそれを求めたわけでございますが、その報告が出されてないわけです。その点について一体どういうことなのか。
 それから、五十三年の一月以降に、これは消防庁がつかんでいる範囲で結構だと思うんですが、できればひとつその事故の起こった署名、事故者、それから原因、事故内容、こういった問題について報告をいただきたいと思います。
#36
○政府委員(近藤隆之君) 消防職員の公務による死傷につきまして、月別に報告しろという御指摘があったわけでございますけれども、私どもの方の調査の仕方といたしまして、年別にやっておるわけでございます。大体年別によりまして傾向がつかめるのじゃないかということでございます。
 それからなお、先生の御指摘の、月別にする必要があるのはレンジャー訓練によってどうなっているのかということだと、それをつかみたいのだというようなお話でございますけれども、訓練中の事故というのは、これ常時訓練いたしておりますので、どれがどうであるかということがなかなか截然と分別つけることは実はむずかしいのではなかろうかという感じもいたしておるわけでございます。全国に及ぶ消防が連日のようにいろいろ訓練をしておるわけでございますので、私どもといたしましては統計の一貫性その他事務的な作業といったようなこともございまして、年別の統計で御了承願えないものかと思っておるわけでございます。
 それからなお、全国的な集計ということになりますとやはり時間がかかりまして、六月の時点におきましては五十年分しかわかっておらなかったわけでございますけれども、その後私ども集計いたしまして、現時点では五十一年分までは集計いたしまして、現在それを分析しておるというところでございます。
 それからなお、本年の初頭以来現在に至るまでの訓練中の事故についてのお尋ねでございますけれども、そういった関係でございまして、全般について私ども現在把握しておらないわけでございます。ただ訓練中にこういう事故が起きたということで私どもに報告がございましたのは、六月の四日市の事件等を含めまして九件ございます。その九件について、それぞれ簡単な内容を御説明いたします。
 まず、本年の二月の三日でございますが、これは松阪市の事例でございます。中川消防士、二十五歳の方でございますけれども、負傷の程度は右肩関節脱臼で全治三日間ということでございます。これはレンジャー訓練と申しますよりも、正月の出初め式にかわりまして三月に消防大会というのを開催しまして、障害物突破訓練がございまして、へいを乗り越えようとしましたところ、手をへいにかけたのでございますけれども、登る際に両手の力の配分を誤って右肩を脱臼したという報告を受けております。
 それから、二月二十二日、同じくこれは松阪でございますが、青木消防士、二十二歳の方が、右足関節捻挫をいたしまして全治一週間ということでございます。ロープ応用登はんを行おうとしたところでございますけれども、ロープをつかみそこねて誤って地上に滑り落ちたということでございます。
 それから、五十三年の三月一日でございますが、これも松阪の事例でございますが、山中消防士長でございます。これは左腰部関節部打撲ということで一週間の負傷でございます。これも出初め式にかわる消防大会に関連する事故のようでございますが、へいを乗り越えようとしたときにバランスを崩して転倒して右腰部を打撲したという報告を受けております。
 それから、次に津の消防の事例でございます。これは五月三十日でございまして、阿曽さんという二十六歳の方でございまして、左足内果骨折、腓骨骨折、全治三カ月というちょっと重傷でございます。これは高所人命救助の訓練でございまして、確保するロープが交差しておりましたために誤って確保してない方のロープにつかまったので落ちてしまったということのようでございます。
 それから、室蘭市の事例でございますが、これは六月の九日に起きておりまして、水上消防士、二十四歳でございまして、第十二胸椎、左橈骨小頭骨折ということでございまして、これも高所人命救助訓練のようでございまして、塔上の要救助者を救助いたします際に、固定カラビナに結着した懸垂ロープつきカラビナが外れておってそれでマットの上に落ちてしまった。地上における隊員が落ちてくる人をつかまえようとしまして、それによって衝撃は若干やわらいだものの、骨折に至って一カ月の傷を負ったということのようであります。
 それから、同じく室蘭で、六月の十三日でございますけれども、阿部消防士、二十三歳の方でございまして、左第一、二、三腰椎横突起骨折、これは一月半の傷でございます。これも高所人命救助訓練中の事故でございますけれども、降下中に地上の確保者が確保ロープの反対側のロープを確保してしまったために、要救助者の降下速度が早くなって、介添え中の救助者が支えましたけれども、力及ばず地上三メートル付近からマットの上に落ちてしまったという事例のようであります。
 それから、四日市の件でございますが、四日市は六月の二十七日でございまして、河戸雅則さんという消防士の方でございまして、これも高所人命救助の訓練を行っておる最中に起きた事故でございます。事故を起こされた方は要救助者という役割りをになっておられたわけでございますが、カラビナが十分締められておらないのに、「よし」という合図で七メートルの高所から飛び出してしまって、マットの上に落ちたということでございます。それでいろいろ検査いたしましたところ、精密検査の結果、右足かかとと胸部打撲、その他は特に異常がないということで、四日間入院いたしまして退院しておるという事故でございます。
 それから、六月の十五日に鹿沼市におきまして事故が起きておりまして、田野辺消防士、二十三歳の方でございますが、脳挫傷、腰椎横突起骨折ということで一カ月入院されております。これも高所人命救助訓練でございまして、ロープ降下の際にロープがカラビナから外れたという事故でございます。
 それから、もう一つは刈谷市の事故でございまして、六月の二十八日に、清水幸男さんという十九歳の方でございますが、右足のかかとの骨にひびが入って全治三週間ということでございます。これは訓練が終わりまして全員が休憩しておったときに、本人が自発的に訓練塔からたれ下がっておるロープで、腕力を試そうということでお登りになったところ、手が滑って四メートルの高さから落ちて負傷したという事故でございます。
 以上、九件につきまして、私ども本年に入ってからの事故としての報告を受けております。
#37
○佐藤三吾君 全国的な統計を見ますと、四十六年に死者が二十九、負傷者が千八百三十九。このうち訓練中が、死者が一、負傷者が四百五十三。四十七年が同じく死者が十四、負傷者が二千四百八十。それから訓練中が五百二十六。四十八年が死者が十一、負傷者が二千六百二十二。訓練中の死者が一、負傷者が五百九十四。四十九年が同じく死者が七、負傷者が二千四百六十七。それから訓練中の事故が死者が一名、負傷者が五百九十四。五十年が死者が十名、負傷者が二千四百五十。そのうち訓練中の事故が死者が一名、負傷者が六百六十四名。五十一年が死者が七名、負傷者が二千四百三十二名。そのうち訓練中が七百六十七。この数字は間違いないですか。
#38
○政府委員(近藤隆之君) そのとおりでございます。
#39
○佐藤三吾君 この事故の中で、いま聞きますと明らかなように、高所救命訓練というんですか、これが非常に大きな事故を起こしていますね。この問題について前の国会のときに、安全基準の設置を急がなきゃならぬということで、これは早急にやりましょうという内容で消防庁の方でつくられてきたんですが、この徹底状況は一体どうなっておるのかということが一つと、私の手元にも官報でもらったわけですが、その内容を見ると、救命発射銃を使った高所救助基準というのはないように思うんですけれども、これは一体どういうことなのか、この点についてひとつお聞きいたします。
#40
○政府委員(近藤隆之君) 前の国会のとき、先生方の御質問によりまして前長官が、できるだけ早く消防の救助操法について基準をつくりたいということを申し上げておりました。この夏にかけまして、全国のこういった方面の専門家の方々の参集を求めまして、私どものところで鋭意取りまとめまして、お約束の八月中というのが若干おくれましたけれども、九月十四日付で消防庁告示第四号ということで、「消防救助操法の基準」というのをつくりました。先生のお手元にも行っておるようでございますけれども、第一編から第四編に及び、全体で百五十五条に及ぶところの非常に詳細な操法の基準でございます。それぞれの地方団体におきましてはいろいろ実情があろうかと思います。立地条件の差異もあろうかと思います。こういったものを基準といたしまして、それぞれ規則で周知徹底を図っていただきたいというふうに考えております。
 それから、ただいま先生の御指摘の、いろいろな訓練を行います場合に、こういった基準を組み合わせて行うわけでございますけれども、第二編の第七章の「ロープ操法」、あるいは第四編の「応用救助操法」の中の第二章「高所救助操法」、こういったものを組み合わせてやることになろうかと思います。
#41
○佐藤三吾君 それ、いま私が指摘したのはどこにありますか。
#42
○政府委員(近藤隆之君) 高所人命救助でございますけれども、たとえば救助技術大会の種目という形になりますと、それがいろいろな種目に分かれます。六つばかりの種目に分かれるわけでございますが、まず第一が救命索発射銃をどういうふうに扱うかということにつきましては、消防救助基準の中の第三十九条から四十三条までの規定がこれに該当いたします。それからロープ操法につきましては、第四十五条の規定でございます。それから降下操法につきましては、第五十四条から第六十条でございます。それから座席関係につきましては、第六十条の一号及び三号でございます。それから登はん操法につきましては、第六十一条から六十五条までの規定がこれに該当します。それからロープを確保する確保操法でございますが、第七十一条から第七十四条の規定が該当いたします。
 それからロープ応用登はんの種目につきましては、これも六つばかりの種目内容に分かれておりますけれども、まず、ロープ操法は先ほど申しました第四十五条、登はんロープ設定要領につきましては第六十二条、登はん操法につきましては六十一条から六十五条まで、それから命綱の関係につきましては七十条第一号、それから確保操法につきましては七十一条から七十四条、降下操法につきましては五十四条から六十条ということでございます。
#43
○佐藤三吾君 そこで問題になるのは、昨年の五月十七日の宮崎県の北消防署の松山さんの事故の件で、私も六月十三日にこの問題追及したわけですが、いまこれは裁判になって争われているわけです。ところが、林前長官は、このときの事故の原因について、訓練中でないためにネットを張らなかったと、そのためにこの事故が起こったんだ。当然宮崎の場合には、訓練中の場合はネットを張っておると、こういう説明がなされたわけですね。ところが、いまあなたの説明を聞いてみると、これあなたの説明も、宮崎県の消防当局が裁判の中に出しておる事故の詳報という説明書を読んでみましても、明らかに訓練中であるということを証明していますね。これはいかがですか。
#44
○政府委員(近藤隆之君) 御指摘の宮崎の事故というのは、ロープブリッジの訓練中に、そのロープをかけようとして投げるときに過って落ちて死亡されたという事故でございまして、ロープを投げることももちろん訓練の一環だと思っております。
#45
○佐藤三吾君 そのことは、林長官の言を取り消すわけですか。
#46
○政府委員(近藤隆之君) 林長官のこの前の国会答弁につきまして、私、昨日も改めてもう一度読み返させていただいたわけでございますけれども、それが訓練ではないということは言ってないと思います。ただ、林長官が繰り返し強調されておりましたのは、ロープを張ってそのロープを渡るその方が危険性が高い、ロープを張るために投げるというのよりも張ってそこを渡る方がもっと危険性が強いというようなことが強調されておるようでございますけれども、まあこれは一貫した訓練の中の部分部分であるというふうに私は理解しております。
#47
○佐藤三吾君 どこをあなた読んだか知らぬけれども、林長官は明確にこう言っておるんですよ。「安全ネットその他を張ってやるのが常識でもございますが、この場合は訓練中ではなくて、その訓練の場をしつらえようとしておったために、まだ下に安全ネットが張ってなかった」のですと、こう言っておるんですよ。
#48
○政府委員(近藤隆之君) その辺の描写につきましては、御承知のように、この先生とのやりとり一時間以上に及ぶと思いますけれども、数回表現が出てまいりまして、必ずしもそれぞれが全部全く統一した用語という形ではございません。前長官が申されたのは、ロープを張ってそれを渡るというのはこれは訓練です。投げるというのはそういう訓練の前段階であるということだと思いまして、その役げるものが訓練ではないということは言えないと思います。投げてロープをかけるという訓練でございまして、全部合わせまして高所の人命救助の訓練であると思います。
#49
○佐藤三吾君 これは私だけ言っておるんじゃないんですよ。昨年の十月二十五日の和田議員の質問の際にも、それから六月の、私の前にやった野田哲議員の質問の際にも衆議院の小川議員の質問の際にも、全部そういうことを言っておるのですよ。それをいまあなたがおっしゃるように、そんな言いわけで逃れるのですか。
#50
○政府委員(近藤隆之君) 言いわけではございませんけれども……
#51
○佐藤三吾君 しかも、裁判の中でも言っておるんだよ。
#52
○政府委員(近藤隆之君) 私どもがそれをずっと通読いたしますと、その投げる部分は訓練でないという形では言い切ってないと思いますが……
#53
○佐藤三吾君 言い切っているじゃないですか。
#54
○政府委員(近藤隆之君) いろいろなところでいろいろな表現が使われておりますけれども、再三にわたって私も読ましていただきましたけれども、そういう言い方ではないと思います。ただ、いずれにいたしましてもこれは一連の訓練でございますので、この投げる部分だけが訓練でないというのは無理があろうかと思います。
#55
○佐藤三吾君 じゃ、林長官の前言を取り消してあなたは、新長官としては、訓練中の事故であると、そのことを確認できますね。宮崎における裁判においても。
#56
○政府委員(近藤隆之君) これはもちろん訓練中の事故でございます。林前長官も随所で訓練中の事故だということは申しております。
#57
○佐藤三吾君 だったらどうして安全ネットを張ってないのですか。
#58
○政府委員(近藤隆之君) その安全性の程度におきまして、張ってあるロープを渡るのと、ロープを張るための行為と、その間に安全性に差異かあるということを強調しておるのだと思います。
#59
○佐藤三吾君 この競技は、ロープを投げて、投げたらその投げた人がそれ渡っていくわけでしょう、直ちに。そうしてそれを何分なり何秒なりということで競うのでしょう。だとすれば投げたということは――投げて向こうで受け取れば直ちにそれを渡っていくわけでしょう。言うならば、投げるということは逆に言えばそのときにネットを張ってなきゃおかしいのじゃないですか。
#60
○政府委員(近藤隆之君) 前長官も、危険性においては違いがあるけれどもやはり張ってあった方がよかった、張ってあればこういう事故は起きなかったであろうということも申しております。
#61
○佐藤三吾君 そうなればもうあっさり、林長官の言ったことは間違いでしたと、やはりこれは訓練中の事故で、安全ネットを張ってなかったのは全く手落ちでしたと、どうして言わないのですか。
#62
○政府委員(近藤隆之君) 訓練中の事故であることは間違いございません。安全ネットを張る張らないというのは、その安全ネット以外にもいろいろな安全設備というのはあるわけでございます。私どもは張ってある方がベターだと思いますけれども、カラビナをしっかり固定しておるならばそういうことが起きなかったとか、これ、できてしまったことでございますけれども、いろいろな言いわけもあろうかと思います。
#63
○佐藤三吾君 大臣どうですか、この問題。
#64
○国務大臣(加藤武徳君) 私も、林前長官が答弁いたしますのをじっと聞いておりまして、改めて速記録は見ておりませんけれども、やはりロープを投げますことが訓練であることは否定をしておりませんし、いま近藤長官が答弁をいたしましたように、やはりロープを投げますことも訓練でありますことには間違いがないと思います。ただ、ネットを張っておらなかったことの弁明ではなかったのでありましょうけれども、やはりロープを投げます段階ではさほどの大きな危険が伴わないことを想定した言い方であったような記憶がいまよみがえっておるのでございますけれども、ですから、ロープを張り終わって実際ロープを使う訓練は非常に危険であって、当然ネットを張らなければならぬけれども、その前の段階のロープを張る作業につきましては、ネットを張っておった方がベターではあったでありましょうが、しかし、ぜひ張らなければならぬというほどの危険性はなかったような理解を前長官がいたしておりましたと私はいま判断をいたしておるようなことでございますが、しかし、いま近藤長官が答弁しましたように、やはりネットを張った方がより安全であることは間違いがないのでございますから、今後の訓練におきましてはやはりそういうきめの細かいところにまで心を配りまして、事故が起きないような心配りをする心要がある、こう私は痛感いたします。
#65
○佐藤三吾君 大臣、あなたもこのときに一緒に席におりましたですね。はっきり林長官が言っておるのは、訓練中なら当然これは安全ネットを張るべきだ、しかし訓練の前だから張らなかった。しかし、いまから考えてみると前からでも張った方がよかったと思う。こういう言い方なんですね。そこにやはり安全ネットを張るべきではないかと。これは労働安全衛生法からいって、二メートル以上は張らなければならぬわけですからね、安全帯かネットか、いずれにしましても。だから、そういう安全衛生法からいっても問題がある。重大な違法行為をやっておる。こういう問題でもある。しかも、ネットを張ってなくてやった一つの理由が、訓練中ではないんだということを盛んに言ってこの委員会の中を言い抜けたわけですね。
  〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
ところが、現地へ入ってみますと、もうすでに宮崎の消防当局が出しておりますように、訓練中であるということを認めておるわけだ、裁判の中では。にもかかわらず、林長官はそういう言い方をしてきた。しかもこの問題について一遍も釈明していない。私はやはり、まあ後から安全衛生法との関連を申し上げますけれども、いずれにしてもそのために貴重な人命を失ったという重大な事故を起こしておる、これに対してやっぱり行政としてきちっと責任をとらなければいかぬと思うんです。そういう意味で私いまただしておるわけですから。大臣も聞いたとおり、そんな言い逃れをせずに、やっぱり林長官が言ったことは間違いだったと、事実誤認だったということに立ってきちっとしなさいよ。そうしてこの問題に対する責任を明らかにしなさいよ。
#66
○国務大臣(加藤武徳君) 私は、林前長官が答弁をしておりますのを終始聞いておりまして、林前長官は、訓練といいますのを狭義に解釈をした場合には、ロープを張り終わって後実際訓練をいたしますのが訓練である、こういう解釈をしておったと思うのでございますけれども、しかしロープを張らなければ訓練ができないのでありますから、やはり広い意味においてはいま近藤長官が答弁をいたしましたようにやはり訓練中だと、こう解釈をすべきだと思います。
#67
○佐藤三吾君 ここに、「訓練中ではなくて、」と、あなたこれ読んでみなさいよ、ちゃんと書いてあるじゃないてすか、ここに。(資料を示す)――「訓練中ではなくて、」と書いてあるでしょう。私の質問に対して。書いてあるでしょう。これでもってきちっと答弁してくださいよ。
#68
○国務大臣(加藤武徳君) いま速記録を拝見いたしまして、「訓練中ではなくて、」という表現の個所がございましたが、私はあのときの答弁全体を通じて、やはり広い意味の訓練と解釈すべきだという理解を当時いたしておりましたけれども、しかし、「訓練中ではなくて、」という表現があったことは事実でございますから、ですから、訓練を広く解釈する立場に立ちますとやはり訓練中だと、かように表現すべきであったと思います。
#69
○佐藤三吾君 この問題は、いま裁判で宮崎で争っておるんですが、私はやっぱり国会で、国民の前でこういううそを堂々と、しかも消防庁長官たる者が言ってその場逃れをする、このことについては許せぬと思うんです。ですから、裁判の中でもひとつ明確にしてもらうと同時に、大臣としても所要の措置をひとつぜひ要求しておきます。
 それから、この問題と関連して、安全基準の問題について、安全委員会、衛生委員会の設置状況について私が回答を求めておったんですが、その回答について、消防庁から私の手元にこういう設置状況という回答があったんですが、この内容を見ると、設置をする必要ないんだということで書かれてきておるんですが、もう一度ひとつ長官の方からこの点を明確にしてもらいたいと思うんです。
#70
○政府委員(近藤隆之君) 御指摘の、安全管理者及び安全委員会の問題でございますけれども、法律の方で設置を義務づけられておりますのは、五十名以上の特定の事業所ということになります。そこで、消防関係で申しますと、五十名以上ある該当事業所といいますと、東京都の消防庁の車両修理工場、これが該当いたします。この東京都の該当工場につきましては、安全委員会あるいは安全管理者ともに設置されております。それ以外の指定市等につきましても、こういった自動車関係の修理工場はあるわけでございますが、法律上の義務づけはございません、五十名以下でございますので。ただしかし、横浜、大阪、神戸、北九州、福岡といったようなところは自主的に安全管理者あるいは安全管理委員会を置いております。
#71
○佐藤三吾君 私は、いまの長官の答弁というのは納得できがたいんです。一つは、あなたが言うのは、地公法に基づいて監督権が、言うならば労働基準監督署にないということを含めて言っておると思うんですが、しかし、これは労働基準法の適用のある全事業体ですね。その点は確認できますね。そういう観点に立って、なおかつあなたがおっしゃるように、当該事業所というのは東京都しかないと、こういう言い方ですか。
#72
○政府委員(近藤隆之君) 労働基準法あるいは労安法の適用はございます。ただしかし、安全管理者及び安全委員会を設置するのはこういう事業所だというふうに労安法の中で規定してございますので、その規定以下の工場、作業所であるという意味でございます。
#73
○佐藤三吾君 衛生委員会はどうなんですか。
#74
○政府委員(近藤隆之君) 衛生委員会の方は、これは訓練中の災害とかそういうのと余り関係はございませんけれども、これにつきましては消防というよりも一般の地方公共団体、これすべてが衛生委員会あるいは衛生管理者というものを置くということに――五十名以上でございますが――なるわけでございまして、これについても同時に私ども調べましたけれども、一般の地方団体と同じように、置いてあるところもあり、置いてないところもありというのが実情でございます。
#75
○佐藤三吾君 労働省来ていますか。――消防庁はこういうことを前回の国会でも繰り返すんですが、労働安全衛生法の所管省として労働省に聞くんですが、衛生委員会なり安全委員会なり、こういったものがほとんど各消防署に置かれてない、こういう実態がございます。先ほど私が申し上げたように、事故の実態を見ると非常に高い。そういう内容から見て、いわゆる安全委員会なり衛生委員会の問題について、労働省の見解をひとつ聞きたいと思うんです。
#76
○説明員(小村雅男君) お答え申し上げます。
 まず安全委員会でございますが、これは安衛法の十七条で設置を義務づけられておるわけでございますが、その具体的な業種あるいは規模というものにつきましては政令で具体的な適用対象を決めるという仕組みになっておりまして、現行法制の上では、消防庁から御答弁がございましたように、消防という業種と申しましょうか、この職務が設置の必要のある業種として定められておりませんので、現行法上設置の義務はないということに相なるわけでございます。
 ただ、そこで一言つけ加えさしていただきたいのは、どのような業種、規模を安全委員会の設置を必要と認める業種とするかということの考え方でございますが、全産業の災害につきまして、私どもは度数率統計とか強度率統計とか、いわゆる災害の頻度が多いもの、それから非常に災害の程度が重篤なもの、そのような統計を持ってございまして、そのような統計で一定基準以上の、全産業平均に比べます倍率の高いようなものを基本的に選ぶという考え方で業種を選び、政令として関係各省に御相談申し上げておるわけでございます。ただ、残念ながら私ども監督権限もないということもございまして、消防庁の実際の消防関係職員の方々の件数としては承知いたしておりますが、一体、統計的にそういう客観的な基準に照らすとどの程度かという判断材料を私ども直に持ち合わせてないというのが現状の中で現在のような業種なり規模の指定が安全委員会について行われたということでございます。
#77
○佐藤三吾君 その度数の問題について、産業別でも結構ですけれども、どれが基準になっているか、その数値があればひとつ発表してください。
#78
○説明員(小村雅男君) 度数率統計につきましては、昭和二十年代からずっと実施してございますが、これの現在の政令を定めました基礎になりましたのは、四十九年から五十一年、過去三カ年の全産業平均の度数率というものを基礎とし、当該業種の度数率のそれと高いか低いか、何倍程度かということで判定いたしました。
#79
○佐藤三吾君 数値を言ってください。
#80
○説明員(小村雅男君) 四十九年全産業平均五・一一、五十年四・七七、五十一年四・三七。五十二年統計が最近でき上がりましたのでつけ加えてさしていただきます。四・三二。
#81
○佐藤三吾君 製造業はどのぐらいですか。
#82
○説明員(小村雅男君) 製造業で申し上げます。四十九年四・五一、五十年三・七九、五十一年三・五四、五十二年三・二五。以上でございます。
#83
○佐藤三吾君 消防の場合、私が先ほど発表した数字を見て、数値としてはどのくらいになりますか。
#84
○説明員(小村雅男君) 度数率、強度率は、百万労働時間当たりという労働時間数をベースの統計でございます。消防職員の方々の災害件数存じてございますが、労働時間数をどの程度と見ていいのかという点につきましては、確たる数字を私ども伺っておりません。そういう中で、消防職員、合計でおよそ十万を超える、十一万前後ということでございますと、年間千人当たり二十人を超えるというような率に相なろうかと。
 で、消防という職務、本来私ども安全衛生法の所管しているのは、事故があってはならないというための規制でございまして、不幸にして火事があった、あるいは救急に出かけるというお仕事柄があって、非常に危険度が高いということは十分承知しておるわけでございますが、数字のみで申し上げますと、年間千人当たり二十人を超えるけがされる方がいらっしゃるという率は、現在、千人当たりで見ますと、私どもの統計では、全産業平均が大体十人程度ということでございますから、二十人と、かなりの高さだということを申し上げざるを得ないと思います。
#85
○佐藤三吾君 端的に言えば、安全委員会の設置というのは非常に危険率の高い事業体が指定になっておる、たまたま消防の場合には、危険率は高いけれどもこの中にいまのところ入ってない、そういうことがあなたのいま説明の要旨だと思うんだけれども、そうだとするなら、これは基準法の適用職場であることは間違いないわけですよ。当然これはやっぱり安全委員会の設置のこの条件の中に入れるべきじゃないかと思うんだが、この点について見解を聞きたいと思います。
#86
○説明員(小村雅男君) 比較類推可能な統計において高いということではございますが、やはり全部の産業にかかわる安全衛生法の適用の問題でございますから、データはかっちり詰めてまいりたいと、その辺がまず、こういうことで非常に恐縮でございますが、若干データのそごという点もございます。その点も含め、所掌される自治省とも十分御相談して検討してまいりたいというふうに考えます。
#87
○佐藤三吾君 いま、労働省の方でそういう検討をしていくということでございますから、これは大臣ぜひ、こういう実態というものもあなたは見ておるわけですから、そういう十七条ですか、いわゆる安全委員会設置の指定事業所にするような努力をひとつやってもらいたいと思います。いいですか。
#88
○国務大臣(加藤武徳君) 安全委員会なり安全管理者の設置は、労安法によって義務づけられておるものの範囲が明確になってはおりますものの、しかし、職員の安全をできるだけ確保していかなければならぬことは申すまでもないことでございますから、設置の義務づけのところはもとよりでありますけれども、そうでないところに対しましても、できるだけ安全委員会を設けあるいは管理者を設けまして、安全の徹底を図ってまいりますように指導してまいりたいと、こう思います。
#89
○佐藤三吾君 いや、いま私が言ったのは、義務づけの枠に消防が入るように労働省の方で検討してみたいと、こう言っているわけだから、おたくと相談して。それについてひとつおたくの方もそういう観点から協議をして――いま実態から見ると義務づけの事業所の大体二倍ぐらいですね、事故が。消防の場合に。そういう実態にあるから、そういうことを、義務づけの中に入れる努力をひとつしていただくということについて見解を聞いたわけです。
#90
○国務大臣(加藤武徳君) 労働省とよく相談をしながらとり進めてまいりたいと思います。
#91
○佐藤三吾君 そこで労働省、衛生委員会は、これは義務づけということでなくて、全事業所に設置しなきゃならぬわけでしょう。
#92
○説明員(小村雅男君) 衛生委員会につきましては、これは業種にかかわりなく事業所の規模の大小によって設置の有無が決まっておりまして、その数字は五十人というところでございます。
#93
○佐藤三吾君 消防庁どうですか。衛生委員会は、全国の署の中でどのぐらいできていますか。
#94
○政府委員(近藤隆之君) 先ほど申しましたように、東京都は置いておりますし、指定市は半分ぐらい置いておりますけれども、それ以外の都市になると、置いてあるところ置いてないところ、置いてないところの方が多いような状況でございます。
#95
○佐藤三吾君 これはいま大臣の答えもあったんですが、早急に、衛生委員会の設置については前国会のときでも努力するということになっておったんですが、これに対する指導通達なり、たとえば衛生委員会を直ちにつくれと、こういうふうになっておると、法律上はこういうことだということの指導通達その他をやられましたか。
#96
○政府委員(近藤隆之君) 衛生委員会の方につきましては、消防というよりも、一般の地方公務員と同じ庁舎の中に消防職員もおったり、いろいろあるわけでございますので、自治省の方と十分相談して適宜な措置をとりたいと思います。
#97
○佐藤三吾君 自治省はどうですか。
#98
○政府委員(砂子田隆君) 一般の職員の安全なり健康の確保と快適な作業環境の形成を図ることは大変大事なことでございますので、私たちの方としてもその趣旨に沿ってやりたいと思います。
#99
○佐藤三吾君 まだやってないんですね。
#100
○政府委員(砂子田隆君) 実は、この法律ができましたのが昭和四十八年でございまして、そのときにももちろんこの委員会の大事なことは通達をいたしてございます。その後、ことし法律が改正になりましたときにもまた同様の通達を出しておりまして、その後総務部長の会議なり、そういう点につきましては私の方から重々説明をいたしておりますし、その喚起をいたしておるところであります。
#101
○佐藤三吾君 それでは、そういう再三の指導にもかかわらず、現実にはできてないところが多い、ひとつ今後は全力を挙げてその徹底を図っていくということだけれども、現状の衛生委員会の設置状況をひとつ私の手元に、後でいいですから出していただきたいと思うんです。
 そこで、時間がなくて、大変恐縮なんですが、四日市の問題をちょっとやりたかったんですが、時間がございません。これは後日に譲りますが、四日市の事故の際に私は現地に入りましてつくづく感じたのは、消防の署長というのは、ほとんどという感じがするんですが、警察署長上がりが多いですね、天下りが。この実態はどうなっていますか。
#102
○政府委員(近藤隆之君) 消防長の前歴を調査したということはございませんけれども、消防も、自治体消防発足いたしまして三十年ということで、最近消防の中で育ってきた人が消防長になっておる事例がだんだんふえてきたということは聞いております。ただ過去におきまして、あるいは現在も、警察の方から導入と申しますか、警察の前職があった方が消防長になっておられる例も相当あるというふうに聞いております。
#103
○佐藤三吾君 そこで、消防庁の中で、こういう記事が出ておるんです。津市の消防の、先ほど消防庁長官から御報告がありました事故ですね。三カ月の重傷を受けている、阿曽さんですか。これは結果的にはやみに葬っておったわけですね。そして四日市の事件が起こって、新聞にすっぱ抜かれて、しかも警察の方には届け出てなかった。したがって、警察は直ちにこの捜査に入った。こういう中でこういう談話を発表しておるんですよ、新聞記者に対して。警察でも柔剣道をやってけが人が出たら一々捜査をするかと、消防でも同じだというような、こういう言い方をしておるんですよ。これは一体長官、どういうように思いますか。
#104
○政府委員(近藤隆之君) 事実関係がどうもはっきりいたしませんので、私から的確なお答えできませんけれども、もしそういうような、そのとおりの表現を使っておるということだと、ちょっと言い過ぎではないかというような感じが個人的にはいたします。
#105
○佐藤三吾君 問題は、私は、消防署長と会ってみると、いま言うように警察署上がりというのは正直言って労働関係法というのは全然関係ないところで育ってきているわけですね。ですから、労働者の雇用、勤務条件、それから何というのですか、事故等に対する感覚がもう全然これは話にならぬですよ。四日市の際に私が署長と会った中でも、これと同じような発言をするわけですよ。柔剣道の事故、柔剣道のときにすりむいたりいろいろする、それと同じだと。しかし現実には、高所というのは七メートルとか十何メートルのところからやるわけでしょう。サーカスだって全部ネット張っていますわね、それを商売にしておるところだって。そういうような人命保護という観点というのは全然これは感じられない。私はやっぱり消防署長に警察官がなるということ自体が問題であるような感じがします。そういう意味で、この点について実態を、いま全国の消防署長の中における警察官の天下りというかその実態を、後ほどでいいですからぜひひとつ提出していただきたいということが一つ。
 それから大臣、こういう問題について大臣の所見をちょっとお伺いしたいと思うんです。
#106
○国務大臣(加藤武徳君) ただいま津の場合の例をお引きになりましたが、御指摘になったとおりの言い方でありますとしますと、きわめて不適切な発言のように考えておりまして、消防訓練等に起因します事故を、柔剣道の訓練の場合と同じように見る見方は間違っておると、こう思います。
#107
○佐藤三吾君 いろいろ質問をしたい点が残っておりますが、時間が来ましたからこれでやめますが、いずれにしましても、事が人命にかかわる問題であるだけに、新任の消防庁長官、まだそこら辺の、何というのですか、全国的な状況の把握ができてないと思うんですけれども、ひとつ全力を挙げて安全対策に、とりわけ訓練中の安全対策については万全を期していく、こういうことをひとつ強く要望しておきたいと思います。
#108
○委員長(永野嚴雄君) ちょっと速記をとめてください。
  〔速記中止〕
#109
○委員長(永野嚴雄君) 速記を起こして。
#110
○上林繁次郎君 私は、ただいま提案されております地方交付税法の一部改正案、この中身についていろいろとお尋ねをすると同時に、また今後の地方財政のあるべき姿、そんなようなことを、ちょうど大臣も出席されておりますので、何点かお尋ねをしてみたいと、こう思います。
 最初に、五十三年度予算における税収見込みの伸びを一二・一%と見ているわけですね。で、過日、過日というか三日ですが、大蔵省が発表したところによりますと、八月末の租税収入は累積で前年同期に比べて七%増、こういうふうになっているわけですね。こういう発表を見ますと、これでは今年度の歳入の欠陥が生ずるのではないか、そういうおそれが十分あると、こう感ずるわけです。まあこれはこれとしまして、そこで地方税収入の伸びはどういうふうになっているのか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#111
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、五十三年度の税収につきましてはまだ八月末までしかわかっておりませんので、そういった八月末における状況で見てまいりますと、法人関係税等は若干伸びがないようでございます。落ち込んでおると申しますか、伸びがないようでございますが、自動車関係税あるいは住民税等も余り落ち込みもないというふうに見られておりまして、地方財政計画では、御承知のように対前年の決算額につきまして、これは府県税でございますけれども、七・四%ぐらい収入額として伸びるというふうに見ておりますが、八月末におきます対前年同期の伸びが八%ぐらいになっておるわけでございます。そういったことから、道府県税につきましてはおおむね予想どおりの地方財政計画の見込みというものは確保できるのではなかろうかというふうに考えております。ただ、市町村税につきましては、徴収実績がまだ全然わかっておりませんで、九月末の数値が十一月ごろにならなければわからないといったような例年の状況でございます。
 ただ、いま申し上げましたような、府県税におけるたとえば県民税の推移といったようなところを見て推測をいたしますと、そういった住民税等も落ち込んでいないということで、何とか計画額は確保することができるのではないかというふうに考えておるところでございまして、もう少し先になって税収の実績がわかってまいりませんと、全体としての見込みというのは立てにくいといったような状況でございます。
#112
○上林繁次郎君 いま部分的に、道府県税、そういった立場からの話があったわけですがね。市町村についてはあんまりよくわからぬということですね。私どもが心配することは、当初、いわゆる地方財政計画によると、地方税収十一兆五千八百五十五億円、こういうことになっているんですよね。これが確保できるのかどうかということが非常に心配になってくるわけですよ。ですから、その点を心配するので、この十一兆五千八百五十五億円の確保ができるのかどうか、その見通しですな、それはどんなふうに見通しをつけていますか。いまの話によりますと、都道府県税、これを対象にしてまあまあというような話ですけれども、全体観からするとそれだけではちょっとあれなんで、全体の見通しとしてはどういうふうな考え方を持っているのか。
#113
○政府委員(土屋佳照君) ただいま徴収実績としては都道府県の八月末しか出ておりませんのでそれについて若干状況を申し上げたわけでございますが、いま申し上げましたように、法人税関係は若干まだ心配がございます。ただ、自動車関係税その他が伸びておりますので、道府県税全体として見ますと、昨年の五十二年度におきます決算見込み額と、それから地方財政計画の収入総額の見込み、その伸びが七・四%ぐらいと、こう申し上げましたようにいっておるわけでございますが、現在の八月末の調定実績を見ますと、対前年同期よりも八・二%伸びておる、そういう状況でございますから、総体で見た場合に若干上回っておると申しますか、そう落ち込むことはないだろう、こう見ておるわけでございます。そういった意味で道府県税は大体確保ができるという考えでございます。
 ただ、市町村税の方がどうもはっきりしないという点がございますけれども、いま申し上げましたように、住民税の方は県民税の状況から見て落ち込むことはなかろうと考えられますし、固定資産税そのものも御承知のように、そう景気で変化を起こすようなものでもございません。そういった二大大宗である二つの税がそういった状況でございますならば、小さいところまではわかりませんけれども、全体として十一兆五千億の確保ができるのではなかろうかというような感じを申し上げた次第でございます。
#114
○上林繁次郎君 いまの話を聞いていますと、見えた部分だけの話をしているわけですよ。それはわかる。またそれが一番確実な話ですね、見えた部分だけ。それは比較的取りやすい安定的ないわゆる税源であるということ。だから、パーセンテージから言ってもかなりのパーセントを示しておる。で、いま言ったように、市町村においてどうかという問題になると全くわからぬわけですよ。そうすると、やっぱり落ち込む部分も出てくるだろうし、そういうものを含めて、私はわからないから、十一兆何千億ということで、いわゆる地方財政計画による地方税収、それが十一兆五千八百億だと、こう目算を立てているわけですね。それに達するのかどうかという問題ね、いわゆる全体観から。その辺がどういうふうな見通しを持っているのかということを、その見通しについてちょっと聞きたかったわけです。これは十一兆五千億間違いありませんよ、まずいまの状況なら、ということならそれはそれでいい。その辺をちょっと聞かしてもらいたいなと思ったんですが。
#115
○政府委員(土屋佳照君) おっしゃいますように、まだ年度の途中でございますし、また、景気も非常に流動的でございます。経済状況も不明な点がございますから、全体について細かな推計をするわけにもまいりませんのでございますが、道府県税については、いま申し上げましたような、全体から見て落ち込みがなさそうだという感じがとらえられますのと、御承知のように、市町村税の中では六兆二千億ぐらい見ておりますが、そのうちで市町村民税と固定資産税だけで約五兆ぐらいある、大きな大宗を占める税でございますから。そこらがいま申し上げましたようにそう落ち込みはなかろうと思われるわけで、それで大きな狂いはないのではないかと申し上げたわけでございますけれども、それ以外のいろんな税が、それじゃこのとおりぴったりいくんだというほど確たるものを持っておるわけではございません。ただ二つの占める比重から見まして、そう困るほど落ち込むというようなことはないだろうという推測を申し上げたわけでございます。
#116
○上林繁次郎君 この問題について、これ以上とやかく言ってみたところで結論は出ないと思う。
 そこで大臣、ちょっとお尋ねしたいんですが、こういう厳しい経済情勢、いまも言葉の中にあったように、まことに経済それ自体が流動的である。流動的というよりも厳しいと、こういう感じですね。そういう中で、もしこれが当初見込んだ、いわゆる地方財政計画で見込んだ十一兆五千八百五十億、これが満たされない場合、そこに欠陥が起きてくるわけですね。そのときにはやはり地方とすればそういう場合どうするか。いままでの例からいって、国がまた手当てしてくれるだろうという考え方あるかもしれないけれども、国としては、もし税収欠陥が生まれた場合、確保できなかった場合には、この点についてどんなような措置をとられるという考えであるのか。その点ちょっと聞かしてください。
#117
○国務大臣(加藤武徳君) まだ不確定な要素が多うございますし、八月までの五カ月分の集計のみの先ほどのパーセンテージでありますから予断は許しがたいのでありますが、まず十一兆五千八百億円の地方税確保はほぼ間違いないであろうと、これが現時点の見通しではございますけれども、しかし、経済が非常に流動的でございますし、また、経済総合対策の九月二日に決定いたしましたものがどの程度年度内に浸透するか、これも大きな要素でありますことは申すまでもございません。
 そこで、年度末が近づいてまいりますと、おおむね税収の確保状況等が明確になってまいると思うのでございますから、個々の地方団体と相談をいたしながら、たとえば法人関係税の落ち込み等に対しましては、減収補てん債を認めてまいりますとか、あるいはそういう処置をしなければならぬことが来るかもしれませんけれども、私どもといたしましては、まず税収全体をながめてみましてそういう必要がそう多くの団体に起きてくるようなことはないであろうと、かようなめどは一応立てておるのでありますけれども、しかし、年度末を迎えましておのおの適正な処置をしていかなければならぬと、こう思います。
#118
○上林繁次郎君 大臣のいまのお話ですと、まず狂いがないだろうと、こういうことです。狂いがなけりゃ結構なんです。だけどもやっぱりいままでの過程ですね、それを見ても、いろいろなことを総合して税収欠陥が生まれるという可能性は十分あるんじゃないか、こういう心配があるわけですね。ですから、そのときはそのときだと言えばそれまでのことですが、幸いこういうことで論議をする機会があるわけですから、ですから先のことを心配する。もし先にそういうことが起きた場合にはどうなのか、どうしていくのか。やっぱりそういった点が明らかになるならないということは――明らかになれば、地方としてもやっぱり明らかになった段階でそれなりの、ああその場合にはこうなんだという一つの安心感みたいなものね。それでなくても焦っているわけだ。ですから、そういった点で、やはりもし欠陥が出た場合にどういうような措置をとると、こういうことを考えているんだというような、どれだけかの考え方があればお聞かせ願いたい、こういうふうに思ったんですが、その点どうなんですか。それ以上言えなければしょうがありませんがね。
#119
○政府委員(森岡敞君) ただいま大臣からもお話がございましたように、現段階では、全体としての地方税収入は地方財政計画に計上いたしました十一兆五千八百億円程度はもう確保できるんじゃないかというふうに見ておるわけですが、その中で心配なのは法人関係税でございます。ことに法人関係税の場合に、地方税収入全体として確保できましても、個々の地方団体で法人関係税のウエートが非常に高いところは、もし法人関係税が所期のとおり伸びませんと落ち込んでくるわけですから、全体とはまた違った問題が出てくるわけです。
 そこで、いま大臣から申し上げましたように、そういう事態が生じました場合には、過去においても減収補てん債という地方債の充当によりまして財源措置をしてまいりましたので、今年度も、そのような団体が出てまいりました場合には同様の措置を講じて財政運営に支障のないようにいたしたいと、こういう気持ちでおるわけでございます。
#120
○上林繁次郎君 いま盛んに法人税の問題が出ておりましたが、直接地方財政に大きなかかわりを持っているわけですが、法人税、所得税、酒税、この三税の税収は現在どういうふうになっているのか。大蔵省いないけれども、これは地方財政に大きな関連があるわけですから、大蔵省がいなくたってこの程度のことはおわかりになると思う。それでお尋ねするわけですが、この三税についてのいわゆる税収の状況はどういうふうになっているのか、この点をちょっとお聞かせ願いたい。
#121
○政府委員(森岡敞君) 地方交付税の原資になっております所得税、法人税、酒税の合計額は、予算計上ベースで十六兆七千七百五十億円でございます。地方税同様に国税統計もまだ八月末までのものしか出ておりません。そういう意味合いでは、現段階ではなお不確定な要素が非常に多いわけでございますが、国税当局のいろんな発言なり何なりあるいは資料なりを拝見いたしますと、率直に申して大変好調だという状況には私はないと思うのでございます。特に地方税の法人事業税とか法人税割が伸び悩んでおるのと同様に国税、法人税もかなり八月末を見ましても伸び悩んでおるわけでございます。そういう点から大変好調とは申せないのでございますけれども、私どもといたしましては、現段階では、先般の総合経済対策による景気刺激効果も含めまして考えました場合に、現時点におきましてはこの十六兆七千七百五十億円という三税の収入は確保できるものという強い期待を持っておるわけでございます。もちろん経済の推移によりまして若干の変動は出てまいるかと思いますが、現時点においてはそのような期待、希望を強く持っておるという状態でございます。
#122
○上林繁次郎君 もう少し具体的にお尋ねしますが、いまのお話ですと、トータルでいわゆる十六兆七千七百五十億円、これは確保できるであろうという話なんですが、私の聞いたのはそういう結論を聞いたわけではない。そこに到達はするけれども、状況として現在の状況はどうなのかということをお尋ねしたわけです。ですからさっきと今度は逆なんで――何でも逆へ逆へ来ますな、答弁が。
 それで、具体的に聞いてみたい。法人税収の見込み額が七兆二千六百二十億でしょう。それから所得税が八兆九百七十億円。それから酒税が一兆四千百六十億円。それで十六兆何がしになるわけですね。このいわゆる法人税、所得税、酒税、いまそれぞれ具体的に数字を示したわけですけれども、この数字に対して現時点でどのような税収になっておるのか、その点ちょっとお聞かせ願いたい。
#123
○政府委員(森岡敞君) 本年の八月末の三税の収入累計額を昨年の八月末の累計額と比較してみますと、五カ月分でございますが、所得税は昨年の八月末の累計に対しまして一五・九%伸びております。しかし、法人税は九七・六%ということでございまして、二・四%落ち込んでおるわけでございます。酒税は一四・七%伸びております。トータルといたしまして六・六%――先ほど七%程度というお話がございましたのはそのことだと存じますが、八月末の累計で見ますとそのような状況でございます。九七・六%という、法人税が落ち込んでおりますところが、率直に申して大変心配なわけでございます。
 全体としての三税収入は、先ほど申しましたように十六兆七千七百五十億円でございますが、今回の補正で三千億円戻し減税分を減額修正されておりますので、十六兆四千七百五十億円ということになっております。その中に、実はこれは御承知のことでございますが、来年五月に入ります所得税、法人税、酒税の収入を、いわゆる前倒しで国税の場合に五十三年度収入に繰り入れておりますが、これは約一兆八千億円強あるようでございますが、そのうち一兆六千億円程度、八割までが五月に収納されます法人税を見込んでおるわけでございます。と申しますことは、申し上げるまでもなく来年三月決算の法人税が一兆六千億ばかり見込まれておるわけでございます。これが一体どういうことになるのかというところが実は一つの決め手になるのじゃないかというふうに私は見ておるわけでございますけれども、ここのところが、いま申しました全体としての景気の上昇、ことに総合経済対策を通じまして景気浮揚を図っておる政府の施策が十分浸透してまいりますれば、この期待しておるところがほぼ確保できるんじゃないんだろうか。そこのところの見通しというのは、率直に申しましていまの段階ではなかなか見通しをつけにくいということであるわけでございます。
 そういうふうなもろもろの事情を勘案いたしまして、先ほど申しましたように、まあ最終的には大蔵省当局で見込みを立ててもらわなきゃならぬわけでございますが、私どもといたしましては、この段階では、非常に心配はございますが、なお予算計上額はほぼ確保をしてもらえるものと強い期待を持っておるということでございます。
#124
○上林繁次郎君 これまたさっきのと同じようなことですけれども、確保できれば問題ないわけですよね。いまのお話の中で、景気浮揚のために相当てこ入れもしているし、そういったことに大きな期待を寄せておると、まあまあだから何とかなるんじゃないかと、まあこういうことですよね。御承知のように、いわゆる公共事業を中心にして景気浮場策をとってきたわけですよね。その中でそういうような、いまあなたがおっしゃったようないわゆる欠陥が出ているわけです。ここで。だからこそ心配するわけです。果たして期待できるのかどうかという問題。やはり実績からすれば、膨大な予算を組んでそして公共事業を中心に景気浮揚策を考えた。しかし、それをやりながら、しかもいまあなたがおっしゃったように法人税はこうであるというような欠陥が生まれているわけです。だから心配しているわけですよ。そういうことがなければ、いまあなたが言ったように、てこ入れしているから何とかなるんじゃないかという、それもうなづけるわけですけれども、そうなっていないところに心配がある。
 だから、そういったことでもしこれが確保できないという場合に、またこれ何とか措置しなければならぬようですね。その措置の方法ですよ。どういうふうにやるんだろうなということ。当然われわれとすればやっぱりそういったことを気にするわけです。ですからその辺、気にするあたりを納得できるようにお答えいただければ幸いだと思いますがね。
#125
○政府委員(森岡敞君) 税収の見通しについてはいま申しましたようなことでございますが、御質問にございますように、心配がないわけではないと思っております。
 そこで、仮に国税三税が予算計上額を割ったという場合には、その三二%の地方交付税は、そのままでほうっておきますと減ってしまいます。これでは地方財政の運営ができません。ことに八月にもうすでに普通交付税を配分しておりますし、十二月には特別交付税の一部も配分いたしますので、三税が落ち込んだ場合には、既定の交付税計上額はぜひ確保しなければなりません。交付税を減らさないという措置をぜひ講じたいと思っております。過去においていろいろな形で、そのような事態が出たときに、交付税を減額しない措置を講じてまいりました。それらをいろいろ勘案しながら大蔵省当局と強く折衝いたしまして、交付税を減らさないという適切な措置をぜひ講じたいと、かように思っておる次第でございます。
#126
○上林繁次郎君 ちょっと、しつこいようですけれどもね、いままでからあることなんであれなんですが、それだけ確保できない場合にはやっぱり地方としては困るわけでしょう。だから、それをもし確保できない場合には何らかの対策、措置をとりましょうと、こういうことですね、地方が困らないように。ところが、当初見込んだ額、いわゆる三二%は来るわけですね。そうでしょう。それが来なかった、達成できなかった、そうすると当然減るわけですね。減った分を何かで手当てしょうと。その減った分の手当ての仕方の問題があるわけだ。理屈の上ではあなたの言うとおり、困らないようにいたしましょうと言って、ああそうか、これは安心だと言うわけにはいかないんだ、これは。地方もまことに著しい財政の中で運営をしているわけだ。そしていろいろ計画を立てているわけでしょう。ですから、その辺がもう少し明確になればと私は思うわけです。どういう方法で――それは起債を認めましょうとか。これはいわゆる借金だ。もともとはそんなことをしなくてもよかったわけですから。そんなことをしなくても入ってくるお金でしょう。それが地方財政計画の見込み違いというか、まあそちらから言えば景気が思うようにいかないのでということになるかもしれないけれどもね。いずれにしても、地方が負担をするということになれば地方はますます苦しくなるわけだ。ですからその辺の措置の仕方だ。問題、内容、それはどういうことになるのかという、その辺もう一歩突っ込んで聞かしてもらえればと、こう思うんですがね。
#127
○政府委員(森岡敞君) 国税三税が予算計上額を落ち込んで、地方交付税がそのままほっておきますと減るという場合に、お話にありましたように、地方債で穴埋めするということは自治省としては全然考えておりません。やはり交付税が減りそうな場合には交付税が減らない措置を講ずる。具体的な手だてといたしましては、いままでやりました一つの例として、予算に計上された交付税額をそのまま本年度の交付税として固定してしまうと、こういう立法をいたしまして措置した例もあるわけでございます。これはまあきわめて端的な解決方法でございます。そういう例もございますので、いろんな手だてがそのほかにもあろうかと思いますが、いずれにしても、借金で片をつけるということではなく、本年度の交付税の実額をきちんと交付税として確保すると、こういう措置を講じたいと、こういう考えでございます。
#128
○上林繁次郎君 いまのお答えで、まあ地方がひっかぶるということはないんだと、こういうことですわね。
 それじゃ先へ行きますが、来年度の地方財源の不足額、これはその不足額については、当然そういったことは考えられる問題ですから、自治省としてはいわゆる来年度の地方財源の不足額、どの程度に見ているのか、この点ひとつお答え願いたい。
#129
○政府委員(森岡敞君) まあ本年度もまだ半ば程度の時期でございますので、明年度の財政収支の的確な見通しを得ることは率直に申してむずかしい時点であると思います。歳入歳出両面にわたりまして非常に不確定な要素が多いわけであります。いま、まさしく御質問のように地方税とか地方交付税の収入が本年度どういう程度に推移するのかということが基盤になりまして、明年度の自然増収がどの程度になるかということを見込まなきゃいけませんし、ことに税制改正、これがどういうふうになっていくかということも考えなきゃなりません。一方、歳出面につきましてはここ二、三年来続けてまいりました歳出の拡大による景気刺激策と申しますか、こういう政策の選択が引き続いて行われるのかどうかという問題もかなり大きな要素になってまいります。それやこれや考え合わせますと、現段階でたとえば何兆円というふうな数字を一義的に申し上げるのは非常にむずかしいことでございます。
 ただ、何度も申しておりますことでございますが、前国会に提出いたしました地方財政収支試算のケースIをごらんいただきますと、税制改正が仮にないものとして、経済成長率を一二・五%と見まして、地方税の弾性値を一・一というふうな計算をして、もろもろの歳出要因を積み上げてみますと、四兆三千億円程度の財源不足が生ずるのではないかという試算をお示しいたしておるわけでございます。しかしこれはなお変わる要素もございますので、そのとおりになるとは思いませんけれども、しかし、いずれにいたしましても相当多額の財源不足がこのままでは生ずるのではないかという懸念を持っておる次第でございます。
#130
○上林繁次郎君 まあこの問題はこれ以上申し上げませんが、しかしね、各省、また総理の言ったことと照らし合わしてみると、いまのお話でももう少し何とか見通しがききそうなものだがなあという感じするんですよね。それはなぜかというと、この間総理が言ったでしょう。この補正、いわゆる今度の補正ですね、この今度の補正を柱としての経済対策、これを強力に行っていくならば、来年の三月くらいにはトンネルを出て明かりが見えるだろうと、こういうことを言っているわけですよ。まあこれはお話というふうに伺っていいのか。全くの話だよと、それは。全くのたとえだよ、中身は何もわからないんだ、こういうことなのかもわからないけれども、総理はそこまで言っているわけですよ。明かりが見える、トンネルを出れば明かりが見えることはあたりまえなんだ、あたりまえなんだけれども、そこまで言うということはやはり自信があるんだろうというわけだね。その自信に基づいて、それじゃあ全体の景気はどういうところまで到達するのか。それに基づいて今度は地方としてはどうなってくるのか。総理がそれだけの自信があるのなら、やっぱり見通しというか、そういうものがある程度できてこなけりゃならないんじゃないか。それでなかったら、全く話だけで何も具体性がないじゃないかということになるわけでしょう。これは何も質問じゃありませんけどね、まあそんな感じがするわけです。まあこれはこれ以上聞いてもちょっとらちが明きそうもありませんから、聞きません。
 次に移りますが、今回の補正に係る地方財政措置について、これ、そちらから出ていますけれども、単独事業に対する措置がありますね。たとえば臨時地方道整備として六百億、それから臨時河川等整備に二百五十億、それから臨時高等学校整備これに五十億、計九百億になっているわけですよ。これに対して公営企業金融公庫資金は六百八十億、こういうふうになっているわけです。この三事業については前回の国会のときに枠を広げてこれは対象になったわけだ、融資対象にね。ですから当然これはもう枠の中にはまっているわけです。いわゆる公営企業金融公庫資金の借り出しの枠の中にはめられたわけでしょう。にもかかわらず、いわゆる単独事業に対して、この三事業ですね、これに対して九百億要るわけですよ。そのうち六百八十億を公営企業金融公庫の資金と、こういうことになっているわけです。あとの残りをなぜ外したのか。なぜ外したのかわからないですね、われわれこう見ててね。九百億要る、そのうちの六百八十億はいわゆる公庫の資金だと、あと残りは縁故債だと。どういうことになるんだと。どう考えても納得できないんですな、その辺が。これはどういうわけなんですか。
#131
○政府委員(森岡敞君) まず第一に、昨年も各種の単独事業を景気対策として追加いたしましたが、昨年までは単独事業の資金は全部縁故債でやってきたわけです。ことしは、いま御指摘のように、臨時三事業について当初から公庫資金の融資をするということになっておるものですから、私どもといたしましては、初めてのことではあるけれども、この臨時三事業についてはできるだけ公庫資金を充当したいということを強く要請いたしました。当初、この臨時三事業の全体の融資規模は五千五百億円でございました。そのうち公庫資金で融資をする分が二千億円でございまして、四割弱という公庫資金の充当率であったわけでございます。私どもは、今度の追加に際しましては、そんな低い融資率ではだめなんで、いまお話しもございましたように、できるだけ公庫資金を厚く充当してもらいたいという考え方を持ちまして、最終的に、いまお話しの九百億円のうち六百八十億円ということで、七五%公庫資金を充当するということにしたわけでございます。
 その場合、特に市町村分につきましてはこれは全額公庫資金でやって縁故資金は充当しない、調達について苦労の多い市町村につきましては全額公庫資金を充てる。県分につきましては、二分の一程度は縁故資金が入るのはやむを得ない、二分の一は公庫資金で充当する。そのような積算をいたしまして最終的に七五%までは公庫資金を配分するということにいたして、当初よりは非常に思い切った公庫資金の充当を手厚くする措置を講じたわけでございます。
 御指摘のように、九百億全部やったらいいじゃないかという御意見もあろうかと思いますが、全体としての公庫資金の状況もございますのでそのような措置を講じたという経緯でございます。
#132
○上林繁次郎君 話はわからないわけじゃありませんがね。当初は非常に低かったんだと、われわれが押して七十数%まで持ってきたんだと、こういうお話なんですよ。私が言いたいのは、七十何%をやったからいいという問題ではなくて、この臨時三事業についてはいわゆる公庫の貸し出し対象ですね。それにはめ込まれたわけでしょう。法律が改正されたんでしょう。それでその枠の中に入ったわけですよ。だから、最初にあなたが単独事業は全部縁故債ですよと、こう言った。そんなことは関係ないんだよ、枠の中に入ったんだから。この三事業は。ですから、当然公庫から全額融資を受けてもこれはおかしくないわけですよ。と私は思うんです。私は専門家じゃないから細かいことはわからない。だから非常に常識的かもしれないね、言っていることが。その三事業は公庫融資の枠の中に入った、入ったけれども、そこに何がし、何がし、何がしという注釈があって、そして六百八十億にしたんだと、そういう内容があるのかないのか私にはわからないんです。で、九百億必要であるというものに対して六百八十億、あとは縁故債だというんじゃ、せっかく公庫の貸し出しをする枠の中に入っているにもかかわらず、そういうふうな二つに分けての資金の融資というあり方、それはどういうことなんだろうなあという――いままでの、もっと最初は低かったんだけれども高くしたんだよという、それは話としてはわかるけれども、私はそんなことを言っているんじゃない。九百億全部貸し出してやってもいいんじゃないんですかというわけです。それはしかし、いろいろと歯どめがかけられるようになっているんですと、だからその歯どめの部分をこう採用したんですという何か特別な意味があるならば、それはそれなりに納得しますけれども、そうでないとするならば九百億全額融資でいいじゃないか、こんな感じがするんですがね。どうでしょう。
#133
○政府委員(森岡敞君) 臨時三事業の規模は、先ほど申しましたように当初五千五百億円あったわけです。そのときから五千五百億円全部公庫資金で融資してもいいじゃないかという御意見ももちろんあろうかと思いますが、これは公庫の資金調達の内容から申しまして、一挙に五千五百億円の臨時三事業を公庫で全部受け持つということはなかなかむずかしいことだというふうなこともございまして、そのうち二千億円を公庫資金で融資をすると、これは当初決まったことでございます。私どもは、この追加措置は地方団体に協力を求めるわけでありますから、いまお話しのように九百億円を全部公庫資金で充てるというのも確かに一つではありますけれども、全体としての公庫の資金調達の能力なり何なりをいろいろ考えますと、やはり全額というのはなかなかむずかしいということがございまして……
#134
○上林繁次郎君 なかなかむずかしいって、どういう理由なんだというんですよ。
#135
○政府委員(森岡敞君) 当初の五千五百対二千という割合にこだわらないで、できるだけ高い充当をやっていきたいということで大蔵当局といろいろ折衝をいたしました。そういうことを通じまして七五%まで公庫資金を充当するというところまでこぎつけたというのが率直に言って実態でございまして、なお、明年度以降の問題もあるわけでございますから、明年度の当初におきましてなおこの臨時三事業はかなり大きな事業となってまいると思いますので、公庫資金の充当については引き続き拡充に努力をしていきたい、このように考えております。
#136
○上林繁次郎君 わかりましたよ、そのことはね。
 で、一言申し上げておきたいんだけれども、これは今度のいわゆる補正による地方財政措置だ。この資料があるんだけれども、それが本当から言うと、総理の言う第三の道――まあかっこうのいい話ばっかりするけれども、第三の道につながるものだ、そうでしょう。だから、本当は三千二百億要るというんだ、全体からすればね。そのうちの二〇%はいわゆる縁故債になるわけですよね。それで八〇%は政府資金ということになっている。で、公庫の方は、いまあなたがおっしゃったように七十何%というんでしょう。そこまで持ってきたというんだが、少なくとも八〇までやったっていいんだよ。ああでもないこうでもないって理屈つけるけれども、目的は同じなんです。目的は。目的が違うならば――いわゆる総理の言う国策に沿った事業を早くやらそうというわけでしょう。それならそこまで考えてあげていいわけですよ、これは本当ならばね。それならばどれだけか納得するわけですけれどもね。そういうことが言いたいわけ。
 そこで、次の問題に入りますが、単独事業の事業費が二千七百億だ。で、いま申し上げたようにそのうち六百八十億円は公庫資金、そうなりますね、全体からすると。そうすると残りの二千二十億円は縁故債ということになりますね、単独事業だから。これで地方自治体苦しくないんですか。どういうふうに受けとめていますか。
#137
○政府委員(森岡敞君) 今回の追加措置に伴います地方の負担に対する財源措置については、いま御質問の中にもございましたように、公共事業の地方負担については八割まで政府資金を充当する、二割は縁故資金。それから単独事業につきましては、臨時三事業のうち六百八十億円は公庫資金、残りは縁故資金と、こういうことにいたしました。その結果、縁故資金の分量は、昨年の縁故資金に比べますと約二・七%程度、まあ若干微増をするということになっております。
 で、これが消化の問題につきましては、全体としての資金の需給状況がこれはもう御承知のようにかなり緩和されておりますので、マクロ的に見ますならば縁故資金の消化も円滑に進むものと考えておりますけれども、弱小市町村におきましては、ことに金利その他の貸付条件をめぐりましてなかなか関係金融機関との話し合いが難航する面もございますので、先般大蔵省から関係金融機関に対しましてその消化に協力してもらいたいという要請を出してもらっております。また同様に私どもも、大蔵省からの金融機関に対する要請に添付いたしまして、こういうふうな次第であるから十分金融機関と相談をしてもらいたいというお話をしております。さらに個別に、個々の市町村で本当に消化が困難な事態が生じました場合には、個別指導で円滑な消化ができるように助言なりあるいは指導していきたいと思っております。全体として見ますならば、私どもは今回の縁故資金は当初分も含めましておおむね消化が可能だと、このように考えておる次第でございます。
#138
○上林繁次郎君 大臣、これはある新聞なんですが、「公共事業の消化に全力を 首相、各省庁に指示」というこの中で、大臣の発言もあるんですが、
  福田首相は十三日の閣議で「年度下期の輸出
 の減少は相当大きくなろう」と懸念を表明する
 とともに「この輸出の落ち込みを補うため補正
 予算に盛り込んだ公共事業も含め施行推進に全
 力をあげるよう」関係各省庁に指示した。これ
 に関連して、村山蔵相は補正予算で追加した公
 共事業も含めて「年度内完全消化」を目標とす
 ることを改めて強調、各省庁の協力を求めた。
  福田首相は席上、特に自治省に対し「地方自治
 体の公共事業を円滑に消化するよう」指示した。
 これに対し加藤自治相は「市町村だけによる単
 独事業の消化が遅れているようだ」と答え、全
 国の都道府県を通じて、市町村単位の公共事業
 の施行を促進するよう指導する考えを明らかに
 した。これ、指導したんですか。
#139
○国務大臣(加藤武徳君) ただいまお読みになりました点は、前々回の閣議におきまして、補正予算との関連におきましての閣議におきまするやりとりの一部でございまして、私の発言は必ずしも正確でない点もございますし、かつまたある程度長く表現しましたのがはしょられておる点もございますが、本年八月末の国の公共事業の契約状況を大蔵大臣から報告をし、私からは都道府県の契約状況の進捗状況を報告いたしました。
 それを二つに分析をいたしまして、都道府県の場合はいわゆる補助事業については国の進捗率と大差はないけれども、単独事業か進捗度が思わしくなくて、全体としては都道府県の場合国の場合よりも若干低いが、しかし、去年の同月と対比をいたしますと五%近く上乗せの進捗率でございますと。なお、それからつけ加えました後の市町村のところがはしょった記事になっておりますけれども、都道府県の場合と比較をしますと、市町村の契約状況が思わしくなく、これは市町村としては、たとえば技術者の不足でありますとかあるいは設計の手薄でありますとか用地の確保の難渋でありますとか、そういうことが影響して、都道府県の場合と比較をすると市町村はさらにパーセンテージが低いので、これが推進に努力をしていかなければならぬと、かような発言をいたしたわけでございます。そこで、それは当初予算に組まれました事業の執行に関してでございますが、その後、補正に伴いますものの若干の発言をつけ加えたと、これが閣議における状況でございました。
 それで、私が発言をいたしましてから後に改めての指導は出しておりませんが、しかし、先ほど財政局長が答弁いたしましたように、今回の補正に関しまして大蔵大臣が関係金融機関に協力を要請いたしますと同時に、また自治省におきましてもその趣旨を各地方に伝えますと同時に、都道府県におきましてはおおむね順調に進捗をいたしておりますから、問題はむしろ市町村にあると、こう見なければなりませんので、市町村の指導を強化いたしますような依頼を都道府県にもいたしており、また個々のケースにつきましては十分個別に相談に乗って指導をすると、こういう体制をとっておりまして、その後の閣議でございましたから、閣議後改めての通達等は出しておりませんが、その前に出しました通達の精神を生かしまして今後十分に指導を強めてまいりまして、ことに消化が困難だと思います市町村の各個の事業につきましては、都道府県を通じまして格段の指導を強めていきたいと、こういうぐあいに考えております。
#140
○上林繁次郎君 いま大臣は金のことはおっしゃいませんでしたけどね。六百八十億を引くと二千二十億、これはとにかく地方がいわゆる起債によって改めてこれだけ確保するということになるわけですね。私の一番心配するところはやっぱり何といっても金の問題です。用地確保が進まないから――用地確保にしても、いわゆる対人関係、所有者との問題とかあるいは金額の面だとかいろいろあると思いますよ。だけども、この補正について地方財政に対する措置、それが単独事業分として二千七百億、そのうち二千二十億は全くのいわゆる縁故債ということになるわけですね。
 私の言いたいところは、緑故債というところに問題をしぼって聞いてみたいわけなんです。ということは、あなたがこの新聞でも言っているように、まあどれだけ食い違いがあるのかどうか知りませんけれども、しかしいまのお話からすれば、地方に対する指導督励、そういうものを含めてこの推進方を図っていこうという考え方には間違いないようです。それは何に基づくものかと言えば、総理のいわゆる第三の道を選んだその推進のためじゃありませんか、これは。それでなければ、単独事業というのは地方が自分のところの財政に基づいて、それを踏まえてそれじゃいついつまでにこうしてやっていこうという計画を立てているはすですよ。そうじゃないですか。それを一挙に景気浮揚のためにやらそうというわけですから、当然これは、そのために必要な地方全体の三千二百億、その措置についてはどうだといえば、政府資金が八〇%、縁故債が二〇%と、こうなっておるんです。だから、そういうような措置をとってやってしかるべきじゃないか。国の国策に基づいてそれをやらそうとしているわけでしょう。そうでなかったら地方に任しておけばいいじゃないですか。よけいなことをしなくていい。
 だから、そういう国策によってやろうというんですから、その辺のところは、三千二百億円についての措置、それと同じような考え方で単独事業についてもめんどうを見てやるべきじゃないか、こう私は言いたいんですよ。目的は一つじゃありませんか。三千二百億はこういう目的で、だからこそ政府資金をこれだけ出して縁故債はこういうふうに少なくしているんです。地方が苦しまないようにしてある。そういう措置をとりました、そして景気浮揚を図っていこう、第三の道を進んでいこう、こういうわけでしょう。単独事業だって同じじゃないですか、意味は。
 いまの新聞に掲げられている総理の発言あるいは自治大臣の発言からいってもそれに全部つながっているじゃありませんか。それならば、単独事業だから縁故債だよという従前どおりの姿勢でなくって、そういう大目的を持った、国策に沿ったやり方で、それを推進しようということなんだから、やはりそれだけの国としての地方に対する何らかの、いままでと違った、地方の苦しまない、地方が比較的安心してやっていけるような方向というものを見出すと同時に、やっぱりそれを実施していくという、そういう親切心みたいな、相手を考えてあげるというようなものがあってしかるべきじゃないか。感じの問題じゃなくて、現実の問題で。私はそう思うんですよ。その辺の考え方がどういうふうに考えているのか。国の都合でもって、もともとこうなっているんだから縁故債何とかしろと。よけいなことだ。地方にとってみればよけいなことかもしれない。地方の財政が苦しいからこそ私はこういうことを言うわけでしてね。その点どうなんですか。そういう配慮は必要ないんですか。
#141
○国務大臣(加藤武徳君) 今回補正予算を上程して審議を願う処置をとりましたのは、もとより国といたしましても、わが国経済の七%成長を遂げていきたいという願望をベースにいたしておるのでございますけれども、ただ国が地方に押しつけたというそういう認識は私どもいたしておらないのでございまして、国の事業の今回の補正予算に伴います約一兆円のうち七千億円程度がいわゆる補助事業でございますが、これは各省庁におきまして、地方がこの事業はやりたいという希望を持ちながら、五十三年度の当初予算には計上されなかったものを今回計上いたしまして補正をいたすと、かようなことでございますから、地方といたしましても消化できるめどを持っておると考えるのが至当であろうと思うのでございます。
 それから単独事業につきましては、先ほど来数字も申していらっしゃいますように、三千二百億円のうち五百億円はすでに財源措置ができておると見ておるのでございますから、新規のものといたしましては御指摘のとおり二千七百億円でございますが、ところが本年度の単独事業を実施するにつきまして、地方からは多くの希望が出ておるのでございますが、しかし当初におきまして財政計画を策定した段階におきまする起債枠にははまりかねるものもずいぶんあり、いわばはみ出しておった面か多いのでございますから、単独事業の二千七百億円につきましてはむしろそういうはみ出したものを積極的に拾い上げて二千七百億円の枠組みをいたしたと、かようないきさつもございますから、地方といたしましても押しつけがましい感じはほとんど持っておらないと私は認識をいたしており、むしろ、本年度の当初ではだめかなということであきらめておりましたものが今回採用されて起債の対象になり、事業も推進できると、かようなことに相なったのでございますから、ですから地方といたしましても、すでにその心構えは十分持っておると、かような認識でございますし、かつまたそのことが地方といたしましても歓迎すべきことだと、こういう認識でございます。
 が、しかし、おっしゃいますように、六百八十億円は三事業につきまして公営企業金融公庫が引き受けますけれども、二千二十億円というものはいわゆる縁故債に頼らなければならぬのでありまして、昨年の二次補正を含めました縁故債の枠と今回処置をとりましたものとを対比いたしますと、これまた財政局長が説明をいたしましたとおり、二・七%程度の微増でございますからまず消化できるであろうとは思いますものの、しかし消化し得ない面もあることも予想されますので、先ほど来申しましたように、大蔵大臣といたしましても金融機関に協力をお願いし、かつまた自治省といたしましても消化しやすいような環境をつくろうと、かような努力をいたしておるのでございます。
 ですから、公営企業金融公庫でもっと引き受け、あるいは政府資金を単独事業にも導入いたしますことが理想ではございましょうけれども、しかしいままで単独事業につきましては公営企業金融公庫では全く見ておらなかったものを新たに三事業につきましては六百八十億円を見ることにいたしたのでございますから、その限りにおいては前進だと、かような認識をしております。
 が、しかし、決して甘い考えを持っているわけではございませんで、都道府県の場合はまずまず消化できるとしましても、市町村におきましては大変に苦労しながらやっておるのでございますから、縁故債の確保等で難渋いたします場合には積極的に助けていき、またことに個々のケースにつきましては十分に指導にあずかっていくと、このことで消化が可能であろうかと考えておるのでございますから、さようなことでありますことの御理解をぜひいただきたいと、こう思います。
#142
○上林繁次郎君 通り一遍の話じゃ何のために委員会をやっているんだかわからないので、少し詰めたいと思うんですが、三千二百億に対して政府資金が八〇%。いままでにないことですよ。だんだんだんだん政府資金なんていうのは下降線をたどってきているわけですからね。八〇%なんというのはそうざらにない。じゃ今回、その八〇%の政府資金を考えようという根拠はどこにあったんですか。
#143
○政府委員(森岡敞君) 公共事業の地方負担分につきまして政府資金を八〇%充当いたしますのは、昨年の追加措置の場合も同様の措置を講じたわけでございます。年度中途に公共事業をふやしますので、やはり資金調達面でできるだけ、その完全な実施を担保いたしますために政府資金をできるだけふやすということで、昨年度と今年度いずれも八割の政府資金の充当をすると、こういうふうにいたした次第でございます。
 なお、先ほど来お話しのいわゆる第三の道、これも補助事業の中に入っておりますから、これも政府資金が充当されるわけでございます。
#144
○上林繁次郎君 私の言わんとするところは、八〇%見たということはそれじゃこれから何でも八〇%見るかといったらそうはいかないんだ。非常に政府資金としては高い割合でもってめんどう見ることになっているわけだよ。それはやっぱり第三の道を歩むために、それをたとえば半々にすれば地方は大変なわけでしょう。そうじゃないんですか。地方は大変じゃないんですか。大変だからこそ、いわゆる国策だからこそそういった措置もとり、そして地方の財政を少しでも苦しめないように、そういう配慮があったはずでしょう。そうじゃないんですか。だとするならば、単独事業がどうだとかこうだとかと言っているけれども、結局単独事業といえども第三の道ということに関連しているとするならば、その三千二百億のうち八〇%まで政府資金で見たわけですから、それは地方が大変だろうからというので見たんだから、だから当然単独事業だって大変になるわけですよ、やれということになれば。押しつけがましいとか押しつけがましくないとかという感じの問題ではなくて、現実の問題として、じゃそうなったときには地方は苦しくないのかどうかということなんだ、問題は。だから、この事業をやっていく趣旨からいって、趣旨からいうならば同じものじゃないか。同じものだったら単独事業といえどもやっぱりその辺のところは配慮してもしかるべきじゃないか、こういうことを言ってるんだ、私は。私の言ってることが間違っているかどうか知らぬけれども、私はそういうふうに思う。だから、まあその辺のところを論議してもしようがないからしませんけれども、私はそう思いますよ。
 次へ行きます。――もう少し時間がありますね。
 地方財政は五十年度から連続して深刻な財源不足になっている。これは承知しているわけですね。来年度の予算編成に当たって、自治大臣はどういう点、何を改革しようとお考えになっているのか、こういう深刻の中で。当然同じでございますと言うわけにはいかぬだろうと思う。当然やっぱり自治省の言うならば日本全国を牛耳っている立場、自治大臣はそういう立場で、それじゃこれからの地方財政どうなくちゃいけないか。来年の予算編成に当たっても自治大臣はどういった点を改革していこう、そしてその地方に寄与していこう、こうお考えになっているのか、その点ひとつお聞かせ願いたい。
#145
○国務大臣(加藤武徳君) 地方団体といたしましては、財政的に大変苦しい中におきましてもおのおのその地域の発展をこいねがい、また地域住民の皆さん方の幸せの増進のためにがんばってくだすっていらっしゃるのでありまして、自治省といたしましては、地方団体がそういうがんばりのしいい環境を積極的につくっていくと、これが任務であろうかと思うのでございます。そこで、五十四年度の「地方行財政重点施策」なるものを策定いたしまして、これを基本にいたしながら中央においても対処しなおかつ地方の指導をも行っていこう、かような基本の考え方でございまして、重点項目といたしましては五項目を予定いたしておるのでございますけれども、その一つは、急激な地域経済の変化への対応でございます。御承知のように、円の急騰に伴いまして非常に急激に社会構造等が変革をしてきておるのでございますのと、かつまた企業にも好不況がきわめて顕著にあらわれてきており、そこで不況産業を抱えておる地域などにつきましては非常な難渋をいたしておるのでございますから、かような急激な地域経済の変化に積極的に対応してまいりまする体制をつくっていかなければならぬことが第一点でございます。
 それから第二点といたしましては、御承知のように昨年の暮れ第三次総合開発計画、三全総が明らかになりまして、三全総はいわゆる定住圏構想なるものを明確にいたしておりますが 自治省におきましてはすでに十年来広域市町村圏構想を進めてきて、それなりの実績を積んでおるのでございまして、そこで三全総はいわば広域市町村圏構想に理念を与えてくれたと、かような理解を持っており、生産の場の拡大に努めていき、また福祉の増進を高めていき、なおかつすぐれた環境をつくり上げていくと、これが三全総の定住圏構想の精神でございますから、広域市町村圏構想におきましても三全総を踏まえながら新たな体制づくりが必要であろうかと思うのでございます。ですから、全国三百三十幾つの全広域市町村圏に対しまして五十四年度におきましては新たな計画を策定していただくと、かような基本の考え方で、新たな考え方は、従来は上下水道でありますとか屎尿処理でありますとかというような面に限られがちでありましたものを、今後は積極的に産業の振興と取り組んでいき、また教育や文化や医療面にもエクスパンドしていかなければならぬし、かつまた防災体制の強化なども広域的に進めていくと、このことが必要であろうかと思うのでございますから、そういう考え方を具体的に推進してまいり、また個々の広域市町村圏で新たな計画を策定願う、かような体制をとってまいりたいと思います。
 それから、新たな見地に立った行政運営の改善を第三の柱にいたしておるのでございますけれども、地方自治が施行されて三十年以上を経過いたしてまいっておるのでございます。そこで自治省は、約十年前に相当徹底した調査をいたしておるのでありますけれども、ここ十年間に経済的な社会的な基盤の大きな変革が生まれておるのでございますから、それに対応をいたし、そして地域住民に密着をした行政を展開してまいりますには、新たな見地に立った行政運営を確立していくということ、これが必要であろうかと思いますから、これを第三の柱にいたしております。
 それから四番目は、地方財政の拡充強化でございます。先ほどの御質問にも財政局長がお答えいたしましたように、五十四年度以降も相当多額の財源不足が生ずる、このことが明らかになってまいりました。そこで、中央段階におきましては、この財源不足を埋めまして地方の財政運営に支障がないような処置をとってまいらなければならぬのでございますが、そのためには、新しい税の創設などを含めまして税制の改革などをあわせ中央地方を通じまして地方財源の強化に努めてまいりますこと、これが四番目の柱でございます。
 五番目は震災対策の強化でございまして、地震なりあるいは災害等が生じました場合にいまの体制でいいのかどうか、この真剣な反省に立ちまして新しい防災対策の確立、ことに大震災等に対応いたします処置をとってまいりたい。そのためにはきめの細かい心配りが必要でございますから、たとえば、全国約六千のコミュニティーセンターがございますけれども、さようなセンターを活用をいたしながら防災体制をとっていくなどのきめの細かい心配りをいたしまして、防災体制の確立、なかんずく震災対策を取り進めていく、これが五番目の大きな柱でございまして、この柱を中心にいたしまして五十四年度に対処してまいる、こういう考え方でございます。
#146
○上林繁次郎君 「重点施策」、これをごらんになってあれしたんでしょうけれども、三ページには地方財政についていろいろと述べられているんですが、いまお話の中にありましたように、われわれがいままで何回となく繰り返し反復していろいろとお尋ねをしてきた問題の中に、地方交付税率の引き上げという問題がありますね。この問題について、ここでは、たとえば「財政需要増大のすう勢と地方財源不足の状況にかんがみ、税制の改正に即応して地方交付税の対象税目及び地方交付税率の改正を行い、地方交付税の所要額を安定的に確保するための制度を確立する。」と、こういうふうにうたってあるわけです。この辺はどうなんですか。さっきから言っているように、いわゆる感じの問題じゃなくて実現性があるのかどうか、来年度。実現性があるのかどうか。
 それで、もう時間もあれですからあわせてお尋ねしますが、これだとか、地方交付税率の引き上げだとか、あるいはここにも載せられているように、財源配分の適正化、こういったこともうたっている。またこれは大きな問題ですけれども、たとえば法人事業税の外形課税の導入なんというような問題もいままでに何回となく言われてきた。こういった問題を含めて、実現可能なのかどうか、その点ひとつ聞かしていただけませんか。
#147
○国務大臣(加藤武徳君) まだ煮詰まっておらない問題が余りにも多く、明確な見通しをなかなか立てかねておるのでございますけれども、御質問の第一点の、国税で新税が創設されるようなことになるといたしますならば、これを交付税の対象税目に入れるための最大の努力をしなければなりませんし、なおかつ交付税率の引き上げにつきましても格段の努力をいたしてまいりたいと考えておりますが、まだめどは立っておりませず、ことに新たな国税が創設される点につきましてはきわめて流動的でございますので、端的に申しまして十分な見通しを持ち得ているとは言いがたいのでございます。
 それから、財源の配分につきましては、各地方団体におきましても標準的な行政が確保し得ますための処置といたしましては、もとより交付税等の活用をいたしておるのでございますけれども、適正な財源配分にさらに努めていかなければならぬし、ことに地方におきまして新税目等を起こしたいというような希望の向きに対しましては積極的に相談に乗っていかなければならぬ、かような基本の心構えでございます。
 それから三番目の、法人事業税におきます外形標準課税の導入でございますが、御承知のとおり、知事会から何回も反復をいたしまして早期に外形標準課税を導入すべきだと、かような意見が述べられておるのでございますが、しかし、国の段階におきまして消費税の議論が現在なされており、税制調査会におきましてもまた地方制度調査会におきましても、ここ二、三年この議論がされておるのでございます。そこで、外形標準課税は、中央におきます新税目を起こしますこと、なかんずく一般消費税とは徴税の技術その他の面で非常な関連がございますので、今日まで外形標準課税の導入ができないままになっておるのでございますが、しかし、一般消費税が創設されるとなりますと、当然その機会に外形標準課税の導入をしなければならぬと、こういう考え方で対処いたしておるのでございますが、その前提となる一般消費税がきわめて流動的でございますから、五十四年度におきまして外形標準課税が事業税に導入できるかどうか、これは全く目途しがたい現況であると、かように言わざるを得ないと思います。
#148
○上林繁次郎君 いまのお話を伺っていますと、この重点施策が実現できるかどうかという問題、それは一にかかって新税創設にあるんだと、こういう感じなんですね、いまのお話ですと。そうすると、新税創設がなされなければこれはただつくっただけだと、こういうことになるのか。極端な言い方かもしれませんけれどもね。まあ部分的にはここに掲げられていることの実施ということはできるだろうけれども、大事な部分――財政的な問題、大事な部分については、やっぱり新税が創設されないとこの実施というのがなかなかむずかしいと、こういうことになりますね。その点どうですか。
#149
○国務大臣(加藤武徳君) もとより税制改正全般の問題であろうと思うのでありますが、地方税におきましては、新規に税目を起こし得まする財源も必ずしも明確には把握できておりませんし、また現行税制を手直しするといたしましても、そう大幅に増徴はなかなか困難であろうと思うのでございますから、ですから勢い国税におきます新税目を起こしますこととの非常な関連がございますので、やはり目玉はおっしゃったように一般消費税が創設されるかどうか、これが地方にも非常な影響がございます。
#150
○上林繁次郎君 わかりました。
 それで次ですが、もう時間がありませんから簡単にお答えいただきたいと思いますが、超過負担の問題はいまここで初めてとやかく言われる問題じゃないんでよくわかっているんだ。まあ何がしかの是正というものが行われてきたこともわかっています。しかし、まだまだその体制は、超過負担ということについては国とそれから地方との考え方の相違、これが大きな問題になってくるわけですけれども、その辺をやっぱり一致させていかないといつまでたっても解決できないと思う、これは。この重点施策の中にもそういったことがうたわれていますよね。超過負担の問題がうたわれている。ですから、当然やっぱり解決していかなければならないという考え方を持っていることはこれを見ても明らかだ。ですから、国と地方との考え方の相違、そういうところに不信感というものが一つ生まれている。だからやはりその辺を統一的に考えるものがなけりゃいかぬだろうと思う。そういった点についてはどういうように考えているんですか。
#151
○政府委員(森岡敞君) 超過負担のうち、いわゆる狭義と申しますか、の意味での超過負担、つまり補助単価の問題につきましては、御承知のようにかなり改善されてまいりました。問題は、補助基準と申しますか、補助条件と申しますか、どこまで補助対象にするかとか、あるいは面積をどうするかという面積基準でありますとか、そういうものが実は問題でございます。その辺についての国と地方との意思疎通と申しますか、コミュニケーションと申しますか、それは大事だということは全く御指摘のとおりだと思います。現在、地方六団体で地方超過負担解消対策特別委員会というものが設置されておりましていろいろ超過負担につきまして検討もされておりますので、私どもはこの六団体の委員会とそれから関係省庁との接点になりまして、政府各省及び地方団体のそれぞれの意見の調整というものを早急に進めてまいりたい、それでもって実質的に補助条件を含めましたいわゆる超過負担というものの解消が前進するように格段の努力を進めてまいりたい、かように思っております。
#152
○上林繁次郎君 これ最後の問題になりますけれども、さっきからも問題にしてきたわけですけれども、地方債の残高が五十三年度末で三十五兆になんなんとしている、こういうことですね。やっぱりこのままでいいのかどうかという問題があるわけですよね、このままでいいのかどうか。このままにしておけばますますふくれるだろう、何らかの手を打っていかなければいかぬじゃないかと、こういう感じがする。それは景気任せだよというような話は聞きたくないけれども、自治省としてはどの辺に歯どめといいますか、何というか、このいわゆる解消策を含めていろいろな手だてを考えていらっしゃるんじゃないかと思うんだけれども、その辺のところをひとつ伺わせていただけますか。
#153
○政府委員(森岡敞君) 地方債が累増しておりますことは御指摘のとおりでございます。普通会計における地方債依存度は、五十一年度の決算ベースで一二・五%でございます。地方債がこのようにふえてきております理由は、一つには、税及び交付税という一般財源が足りない。財源不足が生じておる。一方歳出につきましては、福祉あるいは社会資本の整備ということで財政需要の増高が引き続き続く、そのギャップを埋めるために、現段階ではやむを得ず地方債の発行に依存しておるというのが実態であろうと思います。したがって、基本的な解決といたしましては、やはり地方税なり地方交付税という一般財源を拡充をするということによりまして、地方債依存度を将来にわたって低めるような努力がぜひ必要であろうと思うのであります。しかし、そのことは率直に申して増税につながるわけでございますから、全体の経済情勢なりあるいは景気の状況、あるいは国民の合意とかいろいろな条件が整いませんとなかなか困難なことでございますが、基本的にはそういう方向で考えていくべきものというふうに思っておる次第でございます。
#154
○上林繁次郎君 最後に、大臣からお答え願いたいんですけれども、いまの財政局長のお話ですけれども、それはいわゆる将来の展望とすれば、やっぱりそういった考え方。たとえば地方交付税の問題にしても、税率の引き上げの問題にしても、そのほか外形課税の問題にしても、いろいろといままで論議されてきたわけです。だけれども、それはきのうきょう始まったわけじゃない、ずっと前からやってきているわけです。一向に解決しないでしょう。どれだけかの措置はとられているけれども一向に解決しない。いま財政局長のような話をされても、当面の問題を解決するというわけにいかないわけですよ。物事には緊急、また恒久的にという、こういう考え方があるわけで、現在、地方債がどんどんふくらんでいく、そして地方財政が苦しくなっている、そういう中で、少なくとも来年度の措置として、いわゆる重点施策として掲げたものです。これは。そうでしょう。だとするならば、これはやっぱり急がなきゃならない。いまの話聞いていると、それはいつのことかわからない、経済情勢やいろいろあるんだからいつのことかわかりませんよと、だけどもこんな考え方を持っていますというわけですよ。そんな話は聞きたくない。少なくともここに掲げているわけです。「また、地方債の累増に対処し、地方債管理の適正化を図るための措置を講ずる。」というんですよ。だから、これは来年度、五十四年度に対するあれでしょう、一応は。こういうふうにうたっているんですから、もう少し何とか実のある答弁があってしかるべきじゃないかと私は思うんです。いまのような話はいままでに何回も何回も聞されてきたわけですよ。それでらちが明かないわけです。しかし今年の末には三十五兆円にもなろうというんです。地方債が。そのときに、景気次第ですよっていう話では余りに無責任じゃないか。少なくともこういう重要実施事項が――これだてに出したんじゃないと思うんです。この中にははっきりこううたわれているわけでしょう、いま読んだように。だとするなら、何があるんだと、こう言いたいわけですね。その点をお聞きしたいわけです。大臣ひとつ、これ最後ですから。
#155
○国務大臣(加藤武徳君) 地方におきます行政需要は年々拡大されており、地方団体もこれに適確に対処してまいらなければならぬのでございまして、御指摘はございましたけれども、地方債によって賄ってまいります以外には道がない今日までの道すがらでございますことは御承知のとおりでございますが、しかし、地方財政の健全化の観点からいたしまして、やはり長期的にはどうしても税の増徴を求めていかなければならぬ。地方制度調査会におきましても、税の増徴が先に寄れば寄るほど問題の解決を困難にすると、かような御指摘もあるのでございますから、一日も早く税制の改革を行いまして、そして安定的な財源の確保を図り、地方財政の健全化を取り進めてまいらなければならぬと、こういうぐあいに思いますけれども、しかし、そのことが非常にむずかしゅうございますから、何年も何年もかかりましても抜本的な解決ができないままになっておりますことが、いま御指摘のございましたような、私どもといたしましてもややなまぬるい、あるいは歯切れの悪い言い方になってしまっておるのでありますけれども、どんぴしゃりとこういうぐあいに税の増徴をやりますということがなかなか言いがたいし、ことに昨今の経済情勢等からいたしましてなかなか税の増徴が困難な状況下にございますことの御理解をいただきたいと思うのでございます。
 しかし、そういう中におきましても、このまま無制限に起債が拡大いたしてまいりますことは困ることでございますから、ですから地方債の管理の適正化を図っていかなければならぬし、そのためには減債基金の積み立てなども行って管理を十分にやってくださいよと、こういう考え方で指導もしておりますようなことでございますが、なまぬるい点は万々承知をしておりますが、しかしこの点の御理解はぜひいただきたいと、かように思う次第であります。
#156
○神谷信之助君 まず、地方財政の展望の問題についてお伺いしたいと思います。
 税制に大きな変動がない、そして来年度を迎えるということになりますと、例の地方財政の収支試算ケースIのケースになると思うんですが、それでいきますと、財源不足額が四兆三千億、こういうようになっています。これは不確定要素が大分ありますから確定的なことは言えないにしても、このままの状況でいきますと少なくとも四兆円以上の財源不足額が生じるであろうというように思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#157
○政府委員(森岡敞君) いまお話しのケースIは、しさいにごらんいただきますと、まず歳出部門では、公債費が五十二年から五十七年までの平均伸び率で一九・六%、振替支出が一四・七%、その他が一二・四%。それから投資的経費につきましては一七・五%の伸び。こんなふうな伸びを見込んでおります。このそれぞれの項目がこういう伸びになるかどうかということ自体が現在ではなお非常に流動的でございます。たとえばその他の一二・四%と申しますのは、人件費が多数を占めております地方財政の場合、ベースアップがどうなるかということによってかなり変わってまいります。ことにまた投資的経費につきましては、明年度の財政経済政策をどういうスタンスで考えるのかということに非常に影響してまいりますので、その面でかなり不確定でございますし、また歳入につきましても、一二・五%という平均の名目経済成長率に一・一という地方税弾性値を乗じて算定いたしておりますが、これもことしから明年にかけましての景気の回復のいかんによりましてこのとおりであるかどうかは必ずしも確定的ではございません。ですから、この面から申しまして、必ず四兆円を超えるかどうかということについては現段階で確定的に申し上げる状態に私はないと思いますが、ことしの財源不足額三兆五百億円、しかもそれは国税の五月分前倒し約二兆円近くの交付税、譲与税分が入っての三兆五百億円でございますから、それを考えますと、いまのままではやはり四兆円前後になるのではないかなという心配はいたしておると、こういう状況でございます。
#158
○神谷信之助君 その場合の対処の方法ですね、これについてはどういうようにお考えですか。
#159
○政府委員(森岡敞君) 先ほど来大臣からも申し上げておりますように、まず基本的には、地方財政の場合に地方税なり地方交付税という一般財源が絶対量が不足しておるわけでございますから、地方税法の改正なりあるいは地方交付税の基礎になっております国税対象税目の増徴なりというふうなことが可能かどうかということが一番大きな課題になるだろうと思います。もし、ある程度それが許されるということになりますれば、それに伴って一般財源の増加も相当程度期待できるわけでございます。ことにその場合に、国、地方を通じます税体系の改正が、たとえば新税の導入というふうなことに踏み込むような事態が生じますれば、それを基礎にしての地方税財政制度のかなり抜本的な改革というものにも手をつけることができるわけでございますから、そうなりますと非常に局面は大きく変わってまいると思います。しかし、そういうことが全くできないという状態になりますと、これは率直に申して地方財政対策の決め手というものはなかなか見出しがたいというのが私の現在の率直な気持ちでございます。
#160
○神谷信之助君 当委員会の四月二十七日の私のいまの問題の質問に対して、大臣の方は、五十四年度の処置については、八月下旬までにその考え方を固めていきたいというようにお答えになっておるんですがね。大体概算要求の時期までに来年度の措置については考え方を固めていきたいという答弁をなさっているんですが、この点どういうようにお考えをお固めになっているのか、ちょっとお聞きしておきたいと思います。
#161
○国務大臣(加藤武徳君) 私が八月末までと申しましたのは、例年八月末が大蔵省へ概算要求をいたします時期でございますから、ですからその時期のことを念頭に置いて答弁したのが事実でございます。しかし、数カ月の間に格段に飛躍的に局面が開けるような事態ではなかったのでございまして、したがって、必ずしも裕然とした要求内容にはなっておらないのでございます。かつまた、備考欄におきまして、今後弾力的に対処し得ますような大蔵省への申し入れをいたしておるのでございまして、したがって、今後の折衝にまたなければならぬものが余りにも多いと、かような実情でございます。
#162
○神谷信之助君 いま財政局長なり大臣がお答えになっておるわけですが、これからの折衝いかんによるわけですが、もし期待をされるような新税あるいは新財源ですね、これが獲得できないということになれば、結局まあ従来方式をやりくりせにゃならぬ。結局のところ地方債依存がますます強まるという状況にならざるを得ないと思うんですね、このままでもし新財源が入らないということになりますと。ところが、五十三年度の地方財政計画の中で、すでに公債費総額が二兆二千三百八十二億円、前年比五千六十二億円の増、二九・二%の増ですね。これは地方財政計画全体の増加率一九・一%と比べて約一〇%上回っているわけです。それから公債費の歳出総額に占める構成比も前年に比べて〇・五%ふえて六・五%になっています。これは地方債の大量の発行を余儀なくされている結果であるわけですが、当分の間はやっぱりこの状態が続くということになってきますと、これは地方財政の硬直化にもつながっていくわけです。従来自治省は地方財政の硬直化の問題として、人件費とか扶助費これについては非常に厳しく指導するということをやってこられたんですけれども、この公債費の増ですね、これがますます増加をして財政硬直化の要因の一つになってきつつある。これに対して、新財源ができないから結局やむを得ない、地方債を増発しなきゃならぬ、これを繰り返すということであれば、これは余りにも片手落ちというか、無責任になるのじゃないか。いままでの自治省の、人件費や扶助費については目のかたきにしてやいやい言うけれども、自分ところの都合で地方債をどんどん増発をして、公債費がふえて財政硬直化の要因をつくっていくということについては知らぬ顔をするということではぐあい悪い。この辺についてはどういうようにお考えか、あるいは対策をどうお考えになっておるかお伺いします。
#163
○政府委員(森岡敞君) 財政硬直化の要因といいますか条件は、確かに御指摘のように、一つは歳出面でのいわゆる義務的経費の増加ということであり、いま一つは歳入面で一般財源が落ち込み、あるいは伸び悩むと、この二つの要因にかかわっておるわけでございます。
 で、前段の問題につきましては、やはり各地方団体でみずからの努力によりまして硬直化現象をやわらげると申しますか合理化していくという努力は、これはやっぱりしていただかなきやならぬということで、かねがね強く私どもの方は各府県市町村にお願いをし、御指導をしておるところでございます。
 一方、一般財源の増加につきましては、結局公共部門と民間部門との間の資源の配分にいわばギャップが出ておると、国民経済全体といたしまして。公共部門の資源が足りないということですから、そこのところはやっぱり国民の全体のコンセンサスを得まして租税負担の増加について一日も早く御理解を得ませんとこれは解決できない問題である。もし一般財源は増加しない、財源に不足額が出るという状態のもとで、歳出を切り落としてもいいということであるのならば、これは私はある程度の財政の健全化の方策はとれると思うのでございますけれども、しかし、福祉の水準あるいは社会資本の整備というふうな歳出要因をいま切り落とせる状態にあるのかと申しますと、これはそうではなかろうかと思います。
 ことにまた、景気浮揚、景気刺激ということで歳出の拡大が求められておる、財政が引っ張っていくということを求められておる時期でありますから、なかなかそうはまいらない。そのようなことから地方債が累増してきておるということは、これはもう御理解いただけるものだというふうに私どもとしては思うわけでございます。ですから、そこのところをやはりできるだけ早く国民的な合意を得て、租税負担の増加についての適切な措置をお願いをすると、その一点に尽きるのではないかという感じを持っておるわけでございます。
#164
○神谷信之助君 だからいまのままでは結局地方債の増発を要請せざるを得ぬということで、したがって新しい財源ですね、新財源をどうやってつくり出すかというところが、今日の地方財政危機を乗り切る上で非常に重要な課題であると、この点では一致すると思うんです。
 そこで、それでは新しい財源を何に求めるのかという問題です。この点で自治大臣、七月の二十一日ですか、全国知事会の席上で、地方の借金財政を立て直すためには、一般消費税の創設など国民の租税負担の増を求める以外に方法はないというように強調をされて、新しい財源の有力なものとして一般消費税の導入、これを示唆されているんですが、この一般消費税の導入の見通しですね、どのようにお考えか、お聞きします。
#165
○国務大臣(加藤武徳君) 現段階におきましては全く流動的だと言わざるを得ないと思います。御承知のとおり、政府の税制調査会の特別小委員会におきまして試案を発表いたし、この試案も即実行ということではございませんで、世論に問うと、かような形で試案が公表されたと、こう理解をいたしておるのでございまして、賛否の議論が大いになされていることは御承知のとおりでございますから、私ども全く流動的であって、五十四年度で導入し得ますかどうかは皆目見当かついておらぬと、こういうぐあいに率直に言わざるを得ない状況でございます。
#166
○神谷信之助君 福田総理も、一般消費税は非常に魅力のある税制だというようにおっしゃっておるし、それから自治大臣もいまの地方財政の危機を乗り切る上では新しい財源の重要な内容として、魅力ある税制といいますか、そういうものとして一般消費税の導入をお考えのようです。しかし、その見通しは全く立たない、きわめて流動的で全く立たないということですね。そうすると、立たなければ、そしてもし導入できなければ結局借金財政の道を進まなきゃならぬということでは、私は余りにも無責任ではないかと思うんですが、その点いかがですか。
  〔委員長退席、理事金井元彦君着席〕
#167
○国務大臣(加藤武徳君) 無責任だと論断されますのは、私どもの気持ちといたしましては釈然としない感を持たないでもございませんけれども、長期的には税の増徴を求めていきませんことには行政水準の低下を来すおそれがございまして、といっていまの税制を拡大強化するといたしましても、本年度におきましても大分努力はいたしましたが、五百億円オーダーの増税しか地方税におきましてはできない結果になってしまいました。もとより税の特別措置等の合理化等も今後積極的にやっていくべきであろうかと思いますが、これにしても財源といたしましては限られたものにならざるを得ないのでございますから、ですから、仮に新税が導入しがたい状況下になりますと、行政水準を落としていかないだけではございませんでさらに高めていきます観点からいたしましても、やはり相当部分を残念ながら起債に頼らざるを得ないと、こういう状況になろうことが心配されるのであります。
#168
○神谷信之助君 しかし、私は、この一般消費税を仮に導入したとしても、それでこの今日の地方財政の危機を切り開くようなそういう財源になり得るのかという点に少し議論を進めてみたいと思うんです。そのために、ひとつ前提の条件として自治省の考え方を聞いておきたいんですが、もし一般消費税が導入されるということになりましたら、これの国と地方との配分の割合、これについて自治省の方はどういう主張をなさっているのか、あるいはなさろうとするのか、この点についていかがですか。
#169
○政府委員(森岡敞君) 現在の国と地方の財源配分の割合は、御承知のように、租税におきましては国が三分の二、地方が三分の一でございます。国税のうち三税の三二%が地方交付税、それからそのほかに若干の譲与税がございます。それらを加えまして国から地方に移しかえて計算いたしますと、一般財源の割合といたしましては五割五割というふうにおおむねなっております。
 で、新税を導入するというふうな形で国、地方を通じて財源不足に対処するということになりますれば、今後の事務配分の変更とかそういう問題を一応別にいたしまして考えますと、やはり国、地方通じて適切な財源配分をどうするかということになりますので、現行の財源配分割合というのは私は維持すべきだと思うのでございます。それが変わってくるということになりますと、その前提となる行政事務配分が変わらなければそれはとるべき策ではない。そういたしますと、地方財政の場合に、一つは地方税、地方独立税が自主財源として重要でございますから、やはり地方税の増徴というものは国税が二でありますれば地方税は一、少なくともその半分は自主税源の増強という形で確保いたしたい。しかし、全部を自主財源の増強に用いますと、これは税源が偏在いたしますから、補完的に地方交付税の増額というものを行って全団体を通ずる財源保障をやっていかなけりゃなりません。したがいまして、国税の新財源の特定割合は、これは地方交付税の対象税目にすることによって地方財源として確保していく、大筋といたしましてはそのような基本的な考え方で大蔵省と折衝してまいりたいと、かように思っております。
#170
○神谷信之助君 それで、まあフィフティー・フィフティーとしてこの一般消費税が導入されれば、それで地方財政の危機を抜本的に解決するというそういう妙薬になり得るというようにお考えかどうか、この点いかがですか。
#171
○政府委員(森岡敞君) 私どもは先般お出しいたしました財政収支試算の、地方財政収支試算の場合にはケースII、国の財政収支試算の場合にはケースCでございますが、いわゆる増税型と申しますか、これでは五十七年度までに国税で十兆円、地方税で四兆円、合わせて十四兆円という財源不足が生ずるので、五十七年度で赤字国債から脱却し、地方財政の財源不足を解消いたしますためには、十四兆円程度の租税負担の増加が必要ではないかという資料をお出ししたわけでございます。
  〔理事金井元彦君退席、委員長着席〕
しかし、その前提となります成長率とかあるいは租税の弾性値とかも一定のものとして用いておりますから、若干変動があると思います。しかし、その程度に近い規模のものはやはり必要だということが示されておるわけでございます。
 先ほど大臣からも申し上げましたように、既存の税目の増徴なり租税負担の引き上げによりましては、これだけの十兆円を超えるような大きな規模の租税負担の増加、これは求め得ないということはもう明らかでございますから、そうなりますと、いま御指摘になっております一般消費税のような新税を導入するのか、あるいは翻って所得税、住民税というふうな所得課税の増税をお願いするのか、どちらかの選択にならざるを得ない。しかし、税制調査会の御議論では、一般的な直接税である所得税や住民税の増徴は恐らく困難であろうから、まあ一般消費税の方が現実的ではないかという方向が示され、具体案が出てきておると、こういう状況でございます。
 でございますから、どの程度の規模の新税がどういうスケジュールで導入されていくかということによりますけれども、こういう新税の導入がなければ恐らく財政のギャップというものは、これは埋められないということは明らかであろう、こういうふうに思っておるわけでございます。ただしかし、導入のスケジュールによりまして一挙に財源不足が解消するというものではない。やはり経過的にはなお相当の財源不足が続くかもしれない、かように考えておる次第でございます。
#172
○神谷信之助君 ちょっとお伺いしますが、そうすると、要調整額の、いわゆるケースIとケースIIの場合ですね、これの差額、五十四年度で見ますと一兆二千八百億ですね。ですから一兆二千八百億程度の税その他による増収を見込んでケースIIになるわけですね。そうすると、これを見込むとすれば、ほかの税の増税分もあるかもしれません。しかしそれは一応別にして、いま言われている一般消費税を導入をするということでこれを埋めるとすれば、何%ぐらいの税率が必要になるということになりますか。
#173
○政府委員(森岡敞君) 実は、この五十七年度を最終年度といたします財政収支試算をもとにしていまお話し申し上げておるわけでございますけれども、今年末までに昭和六十年度を目途にする中期経済計画と申しますか、これをつくろうということになっているわけでございます。ですから、それと並行いたしまして財政収支試算につきましても相当の改定をやらなきゃならぬということになろうかと思います。ですから、端的にお答え申し上げますのは、むしろそういう経済計画なり新たな財政収支見通しが出ました段階でお答え申し上げる方が実態に合うだろうと、こういうふうに思います。
 ただ、政府税調の特別部会で出しておられますこの一般消費税試案によりますと、免税点を――免税点と申しますか免税範囲を一千万円以下とし、税率一%で大体四千五百億ですか、程度の収入と見ておられますから、一兆二千億ということになりますと、単純なる割り算をいたしますと三%弱、こんなふうなことになろうかと思います。
#174
○神谷信之助君 三%は自分のところで取るだけの話です。全体としたら倍にせにゃいかぬ、六%ということでしょう。
 しかし、私はいま聞いていて思うんですが、いまこの一般消費税を導入をして根本的解決ができるのかと、その根拠はというと、この財政収支試算のこれを引用していろいろ説明される。それじゃそれに基づいて具体的に差額の一兆二千八百億ですか、これを埋めるとすれば一体どうなるか。一応計算はやろうと思えばできるわけですね、私はそれぐらいでは足らぬと思いますけれども。これは後で言いますがね。しかし、五十一年度ベースで行けば、一%、四千五百億円というように税調の特別部会の試案では言っている。で、予算委員会の審議を通じては、五十三年度ベースで言えば五千六百億円だという答弁を大蔵省も大蔵大臣していますね。あるいは、そうすれば物価にそれはどういう影響を与えるかというと、税率の半分ぐらいでしょうというのを経済企画庁やあるいは大蔵省も答弁しています。それから免税の範囲、あるいは課税対象から外す食料品その他、これも試案は試案なりに一定の方向を出してきていますから、それで見ようとすればできないことはない。ですから、それらをもとにして、もし自治省が言うように、半々に分けて地方財政にそれが入るとすれば一体どうなるのか、いろんなケースを考えて試算をするというのが私は必要だと思うんですがね、その点はいかがですか、試算されてないんですか。
#175
○政府委員(森岡敞君) 何度も申し上げておりますように、一般消費税の試案は、現段階では特別部会の試案にしかすぎないわけであります。ことに国と地方との間の財源配分につきましては、率直に申して持ち越しておるというふうな審議経過でございますから、先ほど申しましたのは私どもの強い気持ちを申し上げたわけでございまして、そこで私どもといたしましては、租税負担の増加あるいは新税の導入ということがもう少し具体的になりました時期にはそれ相当の試算も行い、それをもとにして大蔵省とその実現方について強い折衝を行ってまいりたいと思いますけれども、いまの段階ではまだそこまで至っていないというのが実態でございます。
#176
○神谷信之助君 どうも私はそれおかしいと思うんですよ。知事会や市長会や、そういう地方団体に対しては一般消費税の導入がさも打出の小づちかのような宣伝をしている。しかし、それが本当に導入されたら、地方財政にとってどれだけのプラスになるのか、それについては計算はしていない。しかし、一般消費税が仮に導入された場合――われわれは反対ですがね、仮に導入された場合、自治省の方は半々に分けてくれとこう言っている、大蔵省は二五%ぐらいやるかと、こういう程度でしょう。国と地方との配分については税調ではまだ結論が出てない。そうした場合に、大蔵省の言うように四分の一程度では、地方財政にはこんな影響しかありません、こんなことではどうやって地方財政が再建できますかと。どうしても半々はもらわなければいかぬという資料をつくらにゃいかぬわけだ、自治省としては。それはいまの与えられている条件なら条件の中でつくらにゃいかぬ。最後また経済企画庁が六十年に向けて新しいやつをいまやっていますね。それが出ればまたそれを基礎にしてやらにゃいかぬということになるでしょうが、ところがそういうことをやらないで、いかにもこれさえ導入されればもう一切すべて解決するかのような、そういう発言というのは私はきわめて無責任な発言だと思う。
 一般消費税というのは、大蔵大臣も認めているように、当然物価にはこれはほかの税よりもストレートに反映するわけですから、価格への転嫁をちゃんと認めて創設しようとするんですが、これは当然地方財政の中にマイナス面も出てくるんですよ。どんどん税収がふえるだけじゃないですよね。出る方もよけい出ていくようになります。そういうマイナス面はマイナス面ではっきりさして、その上一体どうなのかということを自治省としては明らかにして、そして国民の判断を仰ぐということをやらなければ私はいかぬじゃないかと思うんですよ。とにかく知事会やらそこらへ行って、これさえ入れば全部解決するかのような、まさに総理の言う魅力ある税制だという宣伝ばかりやっているのは、これは真実を知らせない無責任な態度だというように思うんですがね、どうですか。
#177
○政府委員(森岡敞君) まあ財政はいろんな要因がございますから、私どもも、仮に一般消費税が創設されれば地方財政はもう全く問題がなくなるんですということはちっとも申し上げておりません。しかし、現在の地方財政――国の財政も同じですが――の収支ギャップを改善するためには、やはり現行税制の枠内での増徴ということでは、もうそれは恐らく無理だと、租税特別措置の整理もやらなきゃなりませんが、それでは事が足りない。したがって一般消費税のごとき新税を増徴するか、あるいは所得税、住民税の増徴をお願いするか、いずれかによってかなり大幅な租税負担の増加を行わなければならぬだろうと、こういうことを六団体にもお話ししておるわけでございます。これでやればもうすべて一〇〇%片がつくということを、しかも一挙に片がつくというふうな感触で申し上げているわけではございません。
 それから、いまお話の中にございました、仮に一般消費税というふうな税が創設されました場合に物価にどういう影響を与え、また地方財政支出にどういう影響を与えるかという問題、確かにあるわけでございます。ただ現段階の特別部会報告は、課税範囲でありますとか、免税点でありますとかあるいは税率の水準その他非常にまだ未定の問題が多いものですから、その点についての計算は非常にむずかしい。ことに物価に与えます影響というものは、いわゆる便乗値上げというものをある程度抑制する措置を講じますれば、少なくとも理論的には一回限りの、税率相当分あるいはそれの二分の一程度――これは課税対象なり課税範囲によって変わってまいりますが――程度の一回限りの上昇にとどめ得るし、またとどめなければこれはやっぱり国民経済全体としては困ると、こういうことでございますので、そういうふうな問題も含めて地方財政支出に与える影響というものを考えてまいらなきゃなりません。そういう点では非常に計算はむずかしい。しかし、おっしゃるように、具体化してまいりますればその辺についての検討もなさなきゃならぬだろうと、かように思っております。
#178
○神谷信之助君 自治省の方で試算されてないようですから、私がちょっと幾つか試算をしてみたんですよ。そうすると、一般消費税を導入しても、これは地方財政の強化にとってはほとんど役に立たないんじゃないかという結果が出ているわけですよ。たとえば五十一年度の決算ベースで試算をしてみますと、一般消費税の税額を一%あたり四千五百億、これは試案でそう言っています。仮に計算のしやすいように一〇%の税率としますと、四兆五千億でしょう。これを配分をするわけですね、国と地方に。大蔵省は二五%、四分の一ぐらいと言ってますけれども、一応交付税率の三二%ぐらいのところをとってみますと、この四兆五千億の三二%ということで一兆四千四百億になるんですね。それで五十一年の決算における都道府県と市町村の配分率、これが五三・七%と四六・三%ですから、それでこの一兆四千四百億を分けますと都道府県分が七千七百三十八億、市町村分は六千六百六十七億、こういうごとになります。
 もう一つは、自治省の方が主張をされておる半々ということで、その半分が交付税及び地方税として地方財政に入るという場合、これは半分ですから二兆二千五百億、こういうふうになります。これを都道府県と市町村に分けるんですが、これは五十一年の決算の一般財源比率ですね、地方税が入りますから。一般財源比率で分けます。これはだから都道府県分が〇・五二、それから市町村分が〇・四八です。これで分けると都道府県分が一兆一千七百億、市町村分が一兆八百億という数字になります。これは歳入ですよね。これは大体五十一年度決算ベースでやればできる話です。
 問題は歳出の増ですね。これをどう見るかという問題があります。ラフな計算ですから、われわれ全部一々細目にわたって計算してませんか、少なくとも物価にストレートに、便乗値上げなしとして、一〇%そのままはね返るというものとして、その一〇%の物価上昇が見込まれるものとして考えましたのが、物件費と維持補修費、それから普通建設費。だからこれも一〇%値上げになります。ということでいきますと、都道府県分は五千二百十億円、市町村分は六千百二十三億円になります。それからもう一つは、税率の引き上げに伴って間接的に物価へはね返ってくるであろうと、全体としていわゆる免税点その他の範囲で物価上昇が減るだろうという総合的に見たやつが大体税率の半分というわけでしょう。ですから、そういう半分の物価上昇をするであろうという部分、これは人件費と扶助費ですね。これで見ますと、都道府県分三千六百四十四億、市町村分で二千六百八十一億になります。ですから、歳出の方は合計しますと都道府県分で八千八百五十四億円、市町村分は八千八百四億円になります。
 したがって、先ほどの歳入のふえる増加分、これを見ますと、いわゆる交付税率で計算をした場合ですと、都道府県の方はマイナス千百二十一億円、市町村の方はマイナス二千百三十一億円になります。半分半分で計算をして、やっと都道府県の方は二千八百四十六億のプラス、市町村は千九百九十六億のプラス、こういうことになります。
 これをもう一つの方法を計算したのが、今年度の地方財政計画のベース、これでやってみますと、五十三年度ベースの場合は、大蔵省の予算委員会での答弁では、一般消費税一%は五千六百億ということですね。ですから一〇%で五兆六千億になります。先ほど言いましたような配分をしますと、交付税の三二%の場合ですと一兆七千九百二十億、それから二分の一という場合ですと二兆八千億、こうなります。これから見込まれる歳出増、先ほど言いました種類でいきますと、合計して歳出の増が十三兆、それの一〇%ですから一兆三千一億ですね。それから例の五%増を見込むものとしてやりますとそれは九千七十三億円。歳出増の合計は、合計して二兆二千七十四億ということになります。この場合も三二%ですと、これは都道府県、市町村含めてですが、マイナス四千百五十四億、半々の場合でやっとプラス五千九百二十六億です。だからもうきわめて微々たる増にしかならないのではないか。
 もう一つは、この地方財政収支試算、これを使っていろいろ検討をしてみました。その場合、一般消費税の試算の方は後のほうで言いました五十三年度の地財計画ベースを使って計算をしたわけですが、先ほどちょっと触れましたが、ケースIとケースIIの要調整額ですね、この差額、これは増税等によって埋めるべきものというものになるわけですが、これが五十四年度が一兆二千八百億、五十五年度が三兆百億、五十六年度が五兆一千四百億、五十七年度が七兆四千三百億になります。で、そこへ一般消費税を導入すると、半々にする、五〇%ずつで分けるという場合、五十四年度に一般消費税が導入をされたという試算で、その場合は収支試算のGNPの伸び率や弾性値はそのまま使うということで導入による歳入増を計算しますと、五十三年度が二兆八千億ですから、これにGNPの伸び率や弾性値を使用しますと、五十四年度は三兆一千八百五十億、五十五年度は三兆六千二百二十九億、五十六年度は四兆八百十二億、五十七年度は四兆五千九百七十五億円になります。そこで先ほど言いました要調整額の差額ですね、増税の額、これをどれだけ埋めていくかという点で差し引きをしますと、五十四年度の場合は一兆九千五十億プラスになります。それから五十五年度も六千百二十九億のプラスになるけれども、五十六年度からはマイナスになって、一兆五百八十八億、五十七年度は二兆八千三百二十五億、こういうことになります。これは収入だけですが、これに歳出増を、先ほど言いました五十三年ベースで五千九百二十六億、これがプラスするというものを加えて、そしてそれも先ほど言いましたGNPの伸び率や弾性値を使って、後、五十四年度以降ずっと伸ばしていきますとどうなるか。これていきますと、その差額――結論を言いますと、結局五十四年度の歳出増を入れますとマイナス六千五十九億、五十五年度にはマイナス二兆二千四百三十二億、五十六年度でマイナス四兆二千七百六十二億、五十七年度でマイナス六兆四千五百七十億ということになるわけですね。
 ですから、いずれの例をとってみましても、仮に税率一〇%にして導入をしてみても、実際に地方財政にどれほどのプラスになるかといったら、いろんな計算の仕方はあるにしても、そう大きなものではない、微々たるものではないか。たとえば普通建設事業費の中に労務費が相当あるからその分は引かにゃいかぬとか、細かい点はあるでしょう。そういうものを仮に細かく計算をして、歳出の増を減らしてみても、なかなかそうはいかぬだろう、こういうことになる。それからもう一方、人件費や扶助費はそんなにふやさぬのだと、五%もアップするのは認めぬということになれば、これはまさに自治体労働者に対する賃下げの強要であるし、社会福祉の切り捨てに通ずるわけですからね。物価は上がって、そして社会福祉の方の経費の増の分を見ないということは切り捨てになりますから、これはそうは簡単にいかぬであろう。これも少なくとも一般的物価上昇分を五%程度は最低見込まにゃいかぬ、ということになってきますと、地方財政の強化という点から言えば、一般消費税の導入というのはきわめて非現実的だというように思うんですね。
 こういうように、一応の粗い計算ですが、やってみるとそうなるんですが、この辺はいかがですか。
#179
○政府委員(森岡敞君) 大変割り切った計算をいまお聞かせいただいたわけでございますけれども、問題は二つあると思います。
 一つは、仮に一般消費税を導入いたしました場合に、税率の大体二分の一程度が物価上昇につながるであろうと大蔵省が申しておりますのは、かなりマクロ的な発言だと私どもは考えております。したがいまして、その個々の物品あるいはサービスの価格に与える影響というのは必ずしも一様ではない、こう見なきゃならぬと思うのであります。ことに御指摘の中にもございましたように、それが地方歳出の増につながる影響というものはかなりしさいに吟味しなければなるまい。たとえば投資的経費について労務費の話がございましたが、用地費についてもかなりな違った様相が出てまいります……
#180
○神谷信之助君 用地費じゃない、労務費。
#181
○政府委員(森岡敞君) 労務費はもちろんでございますが、土地代も、別にその土地の売買について一般消費税を課税するということは考えていないようでございますから、土地代については違った動き方をするだろうというふうに思いますので、地方歳出をかなり綿密に振り分けて見ていかなきゃならない。しかし、もとの税率の半分程度だろうというものが非常にマクロ的な見方でありますから、それだけを用いましていまのような分析をなさることは一つの計算方法ではありましょうが、経済の実態がそのとおり動くかといいますと、私はそうではないんじゃないかという感じを持ちます。
 それから第二の問題は、先ほどもお話の中にもございましたように、五十一年度で税率一%、免税点一千万円とした場合に四千五百億、五十三年度ではそれが五千六百億ということでありますから、経済の名目規模、実質規模を含めまして経済の規模の推移によりまして税収というものはかなり変わってくる、これが一般消費税の基本的な属性だろうと思うのであります。ですから、その辺もあわせ考えて税収の推移というものを見ませんと、一時点で固定していまのような御計算をなすって、いまの歩どまりがどの程度かというお話だけでは、これはちょっと評価はしにくいというふうに思うわけであります。
#182
○神谷信之助君 そうおっしゃるだろうと思って三つ計算したんです。後の方の、五十一年度四千五百億だったのが五十三年度には五千六百億になる。だから、あなた方の使っている財政収支試算のGNPの伸び率や弾性値を入れて五十四年はふえるわけですから、ふえた計算していますよ。それで第一点の方も、確かに用地費は一割以下におさまるかもしれぬし、あるいはもっとそれ以上に高騰するかもしれませんよ。これから土地税制の問題やりますけれども。逆に地価の高騰それ以上にいくかもわからぬ。そういう危険な徴候もいま出てきていますからね、用地費の問題で仮に言えば。
 だから、それは細かく見ればそういうものはあるでしょう。しかし、マクロに見て免税を一千万以下にするか二千万以下にするか、これでも大分違いますけれども、そういうものや、食料品には課税しないとか、いろんな非課税の措置の部分、それらを含めて一応マクロの計算して半分程度だろうと。全体の物価としてですよ。消費者物価指数としてはその程度にしか影響しない。しかし、個々の商品には、たとえば鉄骨とかセメントとか、これは一割上がるんですからね。一割はやっぱりそれは価格に転嫁するわけです。最終消費者に。自治体も最終消費者ですから。だから、その分は一割ですよ。われわれは、恐らく五%前後だろうという企画庁や大蔵省の見方というのは甘い、もっと上がる、便乗値上げも出てくるでしょうし窮屈になるだろうと。あるいは、それ以下に抑えられるということは、逆に言うと、中小企業や下請業者が逆に自分の価格の中に税を負担をするという要素がずっと強まる。そういう犠牲によって物価上昇は抑えられるかもしれぬ。言うなれば一般消費税というのはそういう税の性格ですからね。それはわれわれは素人だからマクロに計算しますがね、マクロに計算をしてもそれほど、歳出増がもっと抑えられるということにはならない。そうおっしゃるならそうおっしゃる根拠を出してください。自分たちがそういう計算もしないでおいてけちだけつけるのはけしからぬと私は思う、本当に。大体そういうことをおっしゃるだろうと思うからわざわざ三つのケースを言うてあげたんですよ。それで、全部軒並み二〇%にするとかせぬとか、一〇%とか五%とか、政府のいままでの答弁でおっしゃっているような範囲内で、その数字を使って、皆さん方の出しておる資料で計算しておるわけです。それは細かく計算する中身一つ一つを見るわけにいきませんからね。それをできるのはあなたの方ですからね。できる方がやらないでおいて――本当に一般消費税を導入して地方財政の危機が乗り切れるのかどうかということを本当にいま真剣に考えるならば、そういうことぐらいは計算をして報告すべきなんです。だから、そういう点では私は無責任だというふうに思いますね。
 同時に、私はここで大臣に特に見解を聞きたいと思うんですが、予算委員会の中でわが党の山中議員が質問をして、一般消費税というのがいかに――まあ食料品課税はしないとかなんとかと言って、逆進性を抑えようとしているけれども、実際には所得の低い者ほどいままでの税の負担率というのは二倍を超える大幅になってくるし、所得がふえるに従ってそれは一倍を切るようなわずかな税負担率の増加にしかならない。いわゆる逆進性は消すことができないし、やっぱり大きいという点も具体的に明らかにしましたし、それから、とにかくこれは揺りかごから墓場だけじゃなしに、寝ていても一般消費税という税金はかかるというような、とにかく葬式の場合にも結婚式の場合にもかかるのですからねこれは。大蔵大臣もちゃんとそのことを認めております。そういう税金ですね。これは私は、自治体というのは本来その地域住民の生活と福祉を擁護しなければいかぬわけでしょう。そのために住民がみずからの力で組織しているのが自治体である。ところが、その自治体が、みずから首を締めるようなそういう一般消費税の導入というものに、結構だ、結構だと言うようなことは、これは自治体の住民の生活と福祉の向上を目指す本来の任務から言っても許すことのできない考え方ではないかというように思うんですがね。ですから、全国ですでにもう五百八十五の自治体がこの一般消費税の導入には反対の決議をしておりますし、こういう住民の意思に私は謙虚に耳を傾ける必要があると思うんですが、この点いかがですか。
#183
○国務大臣(加藤武徳君) 国が一般消費税の導入を決意したわけではございませんで、税制調査会が試案を発表いたしましたのは、各面からいろいろの論議が起こるでありましょうから、さような論議に真剣に耳を傾ける、ここに公表の趣旨があったと思うのでございまして、ですから国会におきまして、各委員会等で活発に論議をされますことは政府にとりましても非常に参考になるであろうと思いますから、ですからさような賛否の論議を通じまして、やがては政府もいずれかに決意をすると、かような段階が来ようかと思うのでございますけれども、いまの御意見はしかと拝聴いたしました。
#184
○神谷信之助君 いまの地方財政の危機を打開するためには、新しい財源を必要としているということは、これは私もそう思うんです。認めております。その新しい財源を何に求めるのか。それは一般消費税が一番便利がいいと。それはそうなんですね。大衆課税で一番簡単に徴収できるし、それで一たん決めれば後一%ずつでも税率を上げればごぼごぼと入ってくる。非常に便利のいい税金ですよ。だからきわめて魅力のある税金だけれども、しかし、それだけに国民の側にとってはきわめて恐ろしい税金だ。だから私は、そういう道を歩まなくても今日の地方財政の危機を解決する方法はあるという点を前国会にも大臣に申し上げたと思うんです。
 繰り返しになりますから詳しく申し上げませんが、国の財政の方で、先ほど大臣は不公平税制の是正では大した増税にならぬようなお話でしたけれども、いわゆる租税特別措置だけではなしに、準備金やあるいは積立金ですね、こういったものにメスを入れるなりあるいは不要不急の、われわれから言うならば憲法違反の軍事費なんかはもうどんどん減らしてしまうということをやれば、十分財源は出てきます。そういう不公正税制の是正だけでも二兆円ないし三兆円の新しい財源を得ることができるわけですから、そういう何と言いますか、もっと憲法に根差す平和国家、しかも現在の不公平な負担を適正化をする、こういう措置をすることによって財源を得ることができるわけです。国の財政をそうしながら、同時に、地方財政の方もきわめて深刻な状態に陥っていますから、先ほど財政局長もおっしゃったように、短兵急に一挙に解決することはできない。ですから私どもは、五カ年計画という展望を早くつくって、そして今日の財政危機を解決する道を明らかにする必要があると、こう思うんです。
 そのためには、当面地方財政の再建のための緊急措置法的なものをつくって、交付税率の引き上げとか超過負担の解消の手段とか、あるいは総合的な補助金制度の導入とか、さらには政府資金の地方債引き受けを八〇%以上にするという法定化をして、そして良質の資金を地方財政へ回すようにして、地方財政の当面のカンフル注射をやる。片一方で、政府の代表、地方団体の代表及び学識経験者の三者の地方行財政委員会的なものをつくって、ここでそういう行財政の制度の見直しやあるいは自治体、地方財源を、いまの半分半分から地方財源の方は少なくとも六五%に引き上げる、そのための財源の配分ということと、あるいは補助金、補助対象なり、補助率、補助額の決定もそれらの委員会でやっていくというような民主的な自治体の改革、こういうのを同時にやるということをどうしても考える必要があると思うんですよ。
 前回そういうことを申し上げたら大臣は、超過負担の解消など幾つかの点は意見が一致してそれは努力しておりますという話ですけれども、そうではなしに、総合的にいまの地方財政の危機をどうやって、どういう計画でどのように解決しようとするのかという展望を明らかにする。そのためにどういう体制をつくっていくのか。こういうことを早くやらなければ私はますます泥沼に入るようにいまの地方財政の危機というのはひどくなると思うんです。この辺について、一般消費税の導入を待ってどうのこうのというのじゃなしに、まさにいまそのことを要求されているんじゃないかというのが前回にも申し上げた道なんですよ。この点についてひとつ大臣の見解をお聞きしたいと思うんです。
#185
○国務大臣(加藤武徳君) 前回お答えをいたしましたこととほぼ同じようなことに相なってしまうかもしれませんけれども、ただいま多くの問題についての御指摘がございました。その問題で、まことにそうだと賛意を表する事項もございますけれども、また神谷委員と私との考え方の違い、認識の違い等もございますが、しかしいろいろの御意見はよく参考にさしていただきます。ことに長期的な展望の地方財政計画を策定いたしますことにもお触れになられたのでありますけれども、しかし地方だけで計画をつくりましてもそれは絵にかいたモチになりがちなのでございますから、政府内部、ことに大蔵省などともよく相談をいたしながら事を運んでいかないと、実効のないものに相なりましても意味のないことでございますから、さようなことを勘案いたしながら慎重に対処してまいりたい、かように考えます。
#186
○神谷信之助君 国の財政対策はまさにびほう的で、財政収支試算も毎年のように出し直さなきゃいかぬし、また六十年度へ向けての経済指標も改めて見直しをしなきゃならぬというような状況ですから、これはなかなかいまの政府では無理だと思いますが、しかし、こういう状態が長期化すればするほどますます日本の経済というのは重病人から瀕死の重症のところまで落ち込まざるを得ないような、そういう状況だということを指摘をしておきたいと思うんです。
 その次は、宅地並み課税の問題に移ります。
 今年度で宅地並み課税についての減額措置、これが終了するということになってくるわけですが、そこで関係農民団体挙げてそれに対する反対の行動がいま広がってきているわけです。建設省や国土庁はこれをC農地まで宅地並み課税を拡大をするというような方向を持っておるようでありますか、次の通常国会にはこの問題に決着をつけなきゃいかぬわけですが、自治省としては現在この問題についてどういうようにお考えなのか、まずお聞きしたいと思います。
#187
○政府委員(土屋佳照君) お話のございましたように、この三大都市圏内のいわゆる特定市街地農地のうちのA、B農地につきまして、宅地並み課税をしながら現在減額措置というものがとられておるわけでございまして、これが五十三年度に切れるわけでございます。私どもといたしましては、この宅地並み課税問題につきましては、本法の附則におきましても、このA、B農地のみならず、その他のC農地とかあるいは三大都市圏以外のA、B、C農地等についても、五十四年度までに十分検討をして、課税をどうあるべきかということを検討すべきであるということにされておりますことから、いろいろと現在検討をしておるところでございます。
 ただ、自治省としてこれをどうするかということにつきましては、いまもお話がございましたように、市街化区域内の土地利用のあり方をどう考えるのか、あるいはまた、その中における土地利用のうちでも特に農地というものについてどう考えていくのか、そういった都市計画上の問題、農政の問題、いろいろと土地政策全般に絡む問題でございますので、建設省、国土庁あるいは農林省、そういったところともいろいろと相談をしておるわけでございますが、関係省庁においてもいま検討中で、こういうのか結論であるというものをまだいただいてないわけでございます。私どもとしては、税制というのはそういった基本的な土地政策といかにその一環としてどういうふうにマッチしていくかということで考えていきたいと思っておりますので、現段階においては、そういった結論を踏まえてわれわれとしても税制のあり方を考えるということで、結論が出ていないという状況でございます。
#188
○神谷信之助君 現に農業生産をやっておられる農地ですね、これが五十四年度から減額措置がなくなって、宅地並み課税へストレートにくるということになりますと、これは宇治市の農家について、宇治の農協の方で調査をしたわけですけれども、大体五十万ぐらいの税になるんです。最高のところで、六十六反の農家で二百七十七万、これは固定資産税と都市計画税合わせてですが、そういう税額になります。そうすると、そこで農業をやっても農業収益はこのようにはなりません。だから、農業収益を上回るような税金というのはこれは妥当なのかどうか、この点はどうお考えでしょうか。
#189
○政府委員(土屋佳照君) 御承知のように、税の種類はいろいろなところに着目をして、その担税力というところに適正な税をかけようということで仕組まれておるわけでございますが、固定資産税の基本的な性格は、資産を所有しておるというところに担税力を見出しまして、資産の価格を課税標準として課税しておる、そういったいわば財産税であるわけでございます。したがいまして、基本的にはその資産から実際にどの程度の収益があるのか、あるいはこの所有者の所得がどの程度であるとかといったことで特別な差異をつけるという性格のものではないというふうに考えておるわけでございます。そういった意味では宅地でもあるいは住宅でも同じようなことでございまして、資産課税のそれは性格だろうと思うのでございます。
 ただ、基本的にはこういった立場に立ちながらも、農地に対する固定資産税につきましては、従来から農地の特殊性というものを考慮いたしまして、その評価におきましてもいろいろな限界収益補正をいたしましたり、税額についても調整を加えたりしてきておるわけでございます。ただ、いまお話のございました市街化区域農地につきましては、御承知のように、都市計画法によりまして市街化区域とされておるところは、十年以内に優先的計画的に市街化するという農地でございます。また、宅地転用におきましても、届け出だけでそれが可能であるといったような性格であるわけでございまして、実際の売買価格というのも宅地化を前提とした価格で売られておる、そういったことがございますので、そういう特殊性から、本来の価値に対する税負担を求めるということにされておるわけでございます。したがいまして、基本的な性格においては、いま申し上げたようなことから、収益と直接結ばない課税の仕方というのはあると思うのでございます。
 ただ、一言申し上げておきたいのは、そういうことでございますけれども、市街化区域内の農地についても、農業経営を継続することが適切であるといったところは、御承知のように生産緑地法によります生産緑地の制度もございます。それ以外に、一定要件の農地につきましては、最初に御指摘のございましたように、減額制度を設けると、そういった意味での調整をとって、現実に合うような課税の仕方をしておるわけでございます。完全に収益との兼ね合いだけで課税を考えるといったような性格ではあるまいというふうに考えておるわけでございます。
#190
○神谷信之助君 いまの一番最後の方ですと、五十四年度以降も減額調整措置、これは存続するという意味ですか。
#191
○政府委員(土屋佳照君) これは、最初に申し上げましたように、ちょうど五十三年度で切れることでもございますから、今後の市街化区域内の農地をどうするかということは、三大都市圏以外の問題等も含めて検討すべきことと法律上されておりますので、目下検討中でございます。したがいまして、検討いたすにつきましても、基本的な土地利用のあり方等々、土地政策全体のあり方を踏まえた税制であるべきだということで、その動きをいま見ておるということでございます。
 しかし、そういった結論が出てきた場合、最終的に税制をどうするかということは、私どもとしても、もちろん決断をせなければならぬ時期がそう遠くないうちにくるとは思っておりますけれども、いまは検討中でございます。その際に、ただいまおっしゃいましたような従来のいろんな経緯というものは、これを踏まえながら検討するということでございます。
#192
○神谷信之助君 それでは次、農林省にちょっとお尋ねしますが、いま宇治の例を言いましたが、宇治は御承知のように宇治茶の生産地ですね。しかも、宇治の市街化地域、それから調整区域の宇治茶の茶園の生産は、大体良質茶の生産で大体全国のシェアの七割ぐらいを生産しているのですね。しかも同時に小規模茶園が多いんですね。これは全国各地にそういう都市近郊で特産を農業生産をしているところはほかにもあるだろうと思うのですけれども、こういうところについて、もう市街化区域だから十年以内には宅地に転化せにゃいかぬとか、そういう方向でそのまま農林省としてはオーケーということができるのでしょうか。特に宇治でいま出ている良質茶というのは、生産者の話を聞けば、全国探しても――茶はあちこちできますけどね、いわゆる良質茶、いま宇治で生産しているような良質茶というのはそう全国に適地がないという意見も強いですがね、この辺はどうお考えでしょうか。
#193
○説明員(若林正俊君) ただいまお話しございましたように、それぞれの地域によって異なりますが、一般に都市の近郊部は消費地に近いという立地の条件を生かしましたさまざまな農業が行われております。野菜でありますとか鶏などの中小家畜を主体とした畜産経営などでございます。こういう各種の農業経営はそれなりに全体の農業の中で役割りを果たしてきておりますし、今後もわれわれとしても期待をしていかなければならないと思っておりますが、お話しの、市街化区域について申しますと、御承知のように、都市計画法の中におきましておおむね十年以内に計画的、優先的に宅地化を進めていくという制度のたてまえのもとに、現実にはそれぞれ地域市町村あるいは地域住民の意向も伺った上で計画が立案され、かつ農林行政部局との調整も了して地域が定められておりますものでございますので、直ちにということではございませんでしょうけれども、その市街化区域内における農業経営は、経過的に残存して経営が維持されていくということはございましょうが、長期的に見れば漸時生産を縮小し後退をしていくということにならざるを得ないと、こう考えております。
 もっとも、先ほどもお話しございましたが、長期的にそういう地域の中で特色ある農業を生かしていく、また生かしていけるだけの周囲の条件を備えているというような場合であって、相当地域の広がりを持っていますれば、都市計画のいわゆる線引きの見直しを逐次定期的にあるいは事案に応じて行っておりますので、そういう見直しの過程で、再度線引きの過程で調整地域に戻るとかあるいは生産緑地の制度もございますので、そういう生産緑地の制度の具体的な適用などによって対処するのが基本ではなかろうかと考えておる次第でございます。
#194
○神谷信之助君 もう一つ農林省にお伺いしますが、都市近郊の農地の都市に対する生鮮野菜の供給、こういう点についてですが、いまここにあるのは京都市の農業の野菜の供給量、これは五十一年の京都市の野菜統計に基づいてですが、需給率を見ますと、キャベツで四二・四%、キュウリで三五・一%、ナスで一二四・五%、ホウレンソウで一一一%、それからミズナで一二一・六%というように、京都市民の野菜の需要に対してすぐ直近で供給をするということで、都市住民の食生活に大きな貢献をしているわけです。これは京都市の例ですけども、神奈川あるいは東京、それぞれそういう数字はたくさん出ていると思いますか、そういう都市近郊の農業生産、これについて農林省としては、もう市街化区域が引かれたらほぼ十年ぐらいには宅地になってしまう、そういうものは必要ないというようにお考えなのか、その点はどうなんですか。
#195
○説明員(若林正俊君) ただいまお話しがございました数字が市街化区域内における生産量でありますかどうですか、私存じ上げないのでございますが……
#196
○神谷信之助君 京都市内ですからね。
#197
○説明員(若林正俊君) 京都市内でございますね――全国的に申し上げますと、市街化区域内の農業生産は非常に変化が激しゅうございますから正確に把握がむずかしいのでございますが、野菜だとか中小家畜などにつきましてはおおむね一割程度の生産が現状で行われているというふうにわれわれ推定をいたしているところでございます。いま京都のお話しございましたが、たとえば東京などについて見ましても、東京の中央卸売市場に年間入っております総入荷量の中では、東京都内産が約四%程度でございます。しかし、作物なり時期なりによりますとかなりのウエートを持っている場合もございますが、かなり優良な生産地域群をできるだけ市街化調整区域に残すように具体的な調整をいたしておりますので、市街化区域内の農用地が逐次転用をされまして後退をいたしましても需給上に不安かないような措置は、周辺地域の新産地を造成するなどによって対処してまいりたいと、こう考えているわけでございます。
 税の制度の中で、農業経営の維持が困難になることは、具体的にその税が適用されます土地についてはそのようなことも予想されるわけでございますが、先ほど申し上げましたような生産緑地制度の活用などを通じまして、農業経営を維持する能力と客観的な条件を備えております人たちにつきましては、周辺土地利用との調整を図りながら、できるだけ経営が客観的に農業をせざるを得ない状況である限りにおいてはわれわれも特別の配慮をしてまいらなければならないと、こう考えております。
#198
○神谷信之助君 もう一つ農林省にお聞きしておきますが、五十年五月の閣議決定の「農産物の需要と生産の長期見通し」、それから五十一年の五月の閣議決定の「国土利用計画」並びに五十二年の十一月の三全総ですね。これはそれぞれ昭和六十年において五百八十五万ヘクタールの農用地、これが見込まれている。ところが実際には農地が落ち込んでずっときているわけですが、だから、そういう中で、しかも一方、現実に市街化区域であっても都市住民に対して食糧の供給、生鮮野菜の供給を中心にして貢献をしている。そういう中で、もう市街化区域だからつぶしなさいということでいけるのかどうか。
 それからもう一つは、先ほど生産緑地制度があるからそれでそういう場合はやればいいじゃないかと言うけれども、これも御承知のように、三大都市圏のA、B農地面積の一万一千五百二十六ヘクタールのうちわずか四百七十ヘクタール、四・一%しか現在指定されていない。それはそれだけの理由があって、生産緑地制度が一種二種とも該当する区域、あるいは指定面積の広さ、あるいは指定期間中営農の義務、と同時に、農業継続が困難になればそれは市町村に先買い権があるというような、都市計画サイドからの制約で、実際には生産緑地制度か有効に働かない、そういう問題点もあることは御承知のとおりだと思うんですが、そういった点を含めて、農林省としては、市街化地域を含めた都市近郊農業の保全、これについてどういうように考えておられるか、まずお伺いしたい。
#199
○説明員(若林正俊君) 初めにお話しのございました土地改良長期計画等におきますマクロの全体必要農地量の確保の問題でございますが、これらの計画を立案しかつその計画の実現を図っていく前提といたしまして、一定量の社会的土地需要に応じた農用地の壊廃を織り込んだ上でこれだけのものを確保していこう、こういう計画を立てておるわけでございます。その一定量の壊廃の見込みの立て方の中には、現在市街化区域全体としまして二十数万ヘクタールの農用地が含まれているわけでございますが、一挙にそれらの土地を壊廃するというようなことを想定しているわけではございませんで、それぞれの地域の性質に応じた壊廃が進んでまいってきております。それらを現実に即して推定、織り込んだ上でつくっておるわけでございまして、その社会的な非農業的土地需要の状況を含めて計画を立てておりますことから、私どもとしましては、特段他の要因において大幅な変更がない限り現在の計画を維持していけばよろしかろうと、こう考えているわけでございます。
 なお、野菜等の食料品供給のいわば近間の基地としての評価の問題につきましては、先ほど私が申し上げましたように、それなりの意味を持っているわけでございますが、それらの供給基地としての農用地の維持確保につきましては、各種土地利用の調整制度の活用の中でそれらが維持できるように努めてまいるのか筋であろう、こう考えておるわけでございまして、生産緑地制度もそのうちの一つでございます。
 生産緑地制度が十分働いていない要因につきましては、先生ただいまお話しいただいたようなことでございますが、同時に、現在の固定資産税、A、B農地につきます条例の減免諸制度が生産緑地制度ができました後に生まれておりますというようなことも、この生産緑地制度が所期の予定した形で広がっていないことの一つでもあろうかというふうに考えておりまして、都市地域、特に市街化区域内部におきます農業的土地利用を経過的に現実に即して考えてまいります面では、このような土地利用諸制度をどう生かしていくか、どう適用していくかということも検討をしなければならない課題だと、こう考えております。
#200
○神谷信之助君 どうも農林省の答弁聞いていますと、本当に日本の農業を守っていくのかどうかという点に疑問を持つんですね。四十七年に五百七十三万ヘクタールあった農地が五十年にはもうすでに五百五十七万ヘクタールと減ってきているんですからね。つぶされる方がどんどん大きくて、そして現にある二十三万ヘクタールほどの市街化地域の農地までつぶしていく。つぶす方は速度がもう急ピッチで進んでいく。それで造成をする方はさっぱりいっていない。それで計画どおりいけばよろしいということには私はならぬと思いますが、いずれにしても、私は都市近郊の農業というのは、あるいは農地というのは、そういう生鮮野菜の供給源、それからもう一つは水害等における遊水地帯の役割りも果たしているわけですね。これを無制限にどんどん宅地化することによって浸水地帯というものはふえてきている。これは毎年の災害で、特に都市災害でそういう現象は顕著に見られております。そういう点もありますし、それから何といっても世界の大都市に比べましても、日本の緑地あるいは公園というのは非常に少ない。そういう中で緑地の役割りも果たすしあるいは避難地の役割りも果たすというような、現在の日本の都市整備のおくれを片面では農地が補完をするというようなことも果たしているわけですね。ですから、この点は、これらを含めまして私は都市近郊の農地の重要性というものを十分自治省の方で宅地並み課税をどうするかという判断の中には入れてもらいたいと思うんです。
 次に、時間がありませんからちょっと急ぎますが、国土庁、建設省の方に聞きますが、宅地の供給促進を口実に宅地並み課税の強化、これを要望しておられるようですけれども、どのぐらい宅地化ができる見込みなのか、またその保証はあるのかという点、いかがでしょうか。
#201
○説明員(佐藤和男君) このいわゆる宅地並み課税の問題につきましては、先ほど御答弁がありましたように非常に大きな問題でございます。かつまた、都市政策を今後進めていきます場合の一つの大きな一環でございますこともございまして、国土庁の中でいろいろ現在検討中でございます。したがいまして、いまだ私どもといたしましても成案を得ている段階でございませんし、先ほど御答弁がありましたように自治省の方へ私どもなりの案をお示しして御検討願うという状態にはなっておりません。
 ただ、お尋ねの、こういう宅地並み課税の効果等につきましては、したがいまして、その出ました私どもなりの考え方によりまして幾つかの効果の差なりが出てまいると思いますが、従来、たとえば昭和四十八年から五十一年いっぱいの四年間のいわゆる市街化区域農地の転用のあり方、要するに宅地化の状態等の数量から見ますと、やはりいわゆるA、B農地と申しますか、特定市のA、B農地の転用のスピードが、他のC農地ないしはその他の地域の農地に比べて速いという数量的な値は持ってございました。
 そのようなことから、他の要因も幾つかあろうかと思いますが、やはり宅地並み課税なり、それを裏打ちしてございます譲渡課税の軽減等の措置は十分効果を持っているものと考えてございます。
#202
○神谷信之助君 四十八年に土地税制を改正をしたときに、当時の自治省の佐々木税務局長は、土地税制が、現実にはそれが法人の所有に帰して宅地がどんどん供給されるということにはならなかったという反省をしているわけです。農家は農地を手放したけれども、実際には、最終的には供給増加にはならないで、そして大企業の土地保有、こういう現象を生んだということを反省をしているわけです。これはもう時間がありませんから言いませんが、「新土地税制のあらまし」の中でそういうように指摘していますね。
 もう一つ一緒に聞いておきたいと思うんですけれども――じゃ、もう時間がありませんから次へ行きましょう。
 こういう線引きの見直しとか法人土地重課税の緩和、あるいは宅地並み課税の強化、こういった一連の土地政策を進めるという前提には、土地投機が再然をしないということがあるだろうと思うんですけれども、国土庁は最近の地価の動静というものをどういうように見ておられるか、この点ちょっとお伺いしたい。
#203
○説明員(佐藤和男君) 最近の地価の動向につきましては、一番近い全国的なデータによりますと、先ほど各都道府県において発表されました昭和五十三年の都道府県の地価調査の結果がございます。これによりますと、国土庁で各四十七都道府県の結果を取りまとめたものでございますが、全国の宅地の平均年間変動率は二・九%、そのうち住宅地の変動率は四%でございます。ただ、住宅地の変動率につきましては、東京都などの大都市の既成市街地に当たる部分の変動率がやや強含みという状態でございますが、全国的には先ほど申しましたような状態でございまして、安定的に推移しているというふうに考えております。
#204
○神谷信之助君 まあ安定的に推移しているというように言わなければ土地税制の緩和なんか言えませんからね、そうおっしゃるんでしょうけれども、しかし、東京都が最高七・七%上がっておりますし、都市部をずっと見ましても、都市部の方は物価上昇率を上回るというそういう状況が出ているわけですね、七月一日現在の率は。私は、前回のいわゆる四十六年から四十八年の間の地価高騰のパターンといいますか、土地投機の状況、これが現在の状況と非常に似ているんじゃないかと思うんですよ。四十六年から四十八年のときには、一つは物価、金利を上回る地価の高騰が起こる。それから二番目には列島改造論で大型の公共事業予算が組まれる。それから三番目には大企業の手元流動資金がだぶつく、これが土地投機へ回るということで異常な高騰を生んでいた。現在はどうかというと、物価がやっぱり上向きの状況にある。それから第二点には、三全総を策定をしてさらに景気刺激の大型公共事業予算、これをどんどんと進めている、それは五十四年度も継続されるだろう。三番目には、手元流動資金、これはふえてきているわけです。ですからこう見ますと、四十六年から四十八年に地価高騰を引き起こしたような、そういう状況が、少なくともその芽がいまあらわれてきている。したがって、地価が安定的だというような国土庁の見方というのは非常に御都合主義的な判断だというように思うんです。
 この点私は、土地税制の緩和というような、そういうやり方はきわめて危険だというように思います。もちろん宅地の供給は促進をしなければなりませんが、しかし、それをやるためには総合的な土地対策というのをやらないといかぬと思うんですね。法人土地重課の緩和とそれから宅地並み課税、これを先行させるということでは逆効果を招くのではないかというように思いますが、この点自治省の税務局長どうお考えですか。
#205
○政府委員(土屋佳照君) 土地政策との関連で土地税制がどうあるべきかということにつきましては、先ほどからお話のございました市街化区域内のA、B農地等の宅地並み課税という問題のほかに、特別土地保有税等もあるわけでございます。宅地並み課税の問題は、市街化区域内における実際の農地の実態という点から見て、課税の公平といいますか、不均衡を是正するということと、それから宅地化の促進という面で効果があると思うのでございますが、もう一方地方税全体といたしましては、いまお話しのございました投機的な土地取引の抑制というようなこと等を踏まえまして、特別土地保有税を設け、一方で土地譲渡益の重課制度、こういったものを絡めながら総体的に投機抑制といったようなことと宅地供給の促進を図るということにしておるわけでございまして、農地の宅地並み課税だけの問題ではなくて、そういうものが全体として効果をあらわしてくるのだと思うのでございます。
 したがいまして、先ほどからたびたび申し上げておりますように、今後の土地政策のあり方として一体市街化区域内の農地をどう考えるのか、あるいは土地利用のあり方をどう考えるか、そういった総合的な御検討を関係省庁でもやっていただきまして、地方税だけでなくて国税のあり方ということも含めて、全般的にこれらの法の趣旨が生かされるような仕組みを考えていかなければならないと思っているわけでございまして、そういった意味での土地政策のあり方を、いま少し結論を出していただいて、見守りたいと思っておるところでございます。
#206
○神谷信之助君 もう時間のようですから、まだ大分議論をしたいと思ったんですが、まとめて申し上げて意見を聞きたいと思うんです。
 この宅地並み課税を強化しますと、結局、いままで農業をやっていた人が農業を続けられなくなって、税金のために農地の切り売りをするという状況が出て、ミニ開発かさらに進行するわけですね。そうしますと、これはいままでもそうでしたが、無秩序な市街化が進行する。そして不必要な自治体に対する負担の増加というのが今日まで起こってきているわけです。しかも、その市街化区域は、もう十年以内に農地はなくすので宅地にしますよと言うけれども、しかし、それと同時に進行しなきゃならない市街化への整備事業、下水道の整備区域は一体どれだけかというと、市街化区域内宅地は全国で五十七万三千ヘクタール、そのうちわずか二十二万九千六百ヘクタール、四〇%しか下水道の整備は市街化区域内でもできていないという状況です。常に自治体が後追いをしてしりぬぐいをやらされるという状況が今日まで続いてきているわけです。したがって、市街化の条件となっているそういう下水道とか区画整理というのがほとんど進んでいない状況の中で、市街化の条件が整っていないのにその土地に課税が当然だという、そういう論は私は成り立たないというように思います。現実にいままで調整措置をする条例を持っているのが百八十三市町村のうち百七十四、九五・一%ですね。減額措置の合計を見ますと固定資産税七十一億、都市計画税二十億ですから九十一億余りの減額措置を自治体が条例でやっています。このこと自身が宅地並み課税というのは現実に合わない、そういうことだということを私は証明しているんだというように思うんです。
 それから、負担の公平のためにという議論もありますけれども、これは実際に売って利益があったものに課税するのが当然であって、土地を商品化をして、しかもまだ実現をしていない価値に税金をかける、結局税金というむちで、農業をやっておったのでは飯が食えませんよということで手放すことを教育をする、税金で強制をする、税制で強制をするということでありますから、まさにこれは理屈にもなりませんし、逆に法人の方には土地重課を緩和して、農民には宅地並み課税で税を強化をするという点で、これはさらに不公平を拡大をすると、そういうことになるわけです。
 したがって、そういう方法じゃなしに、宅地の供給をふやすためには、市街化区域内の大企業所有地、これを適正価格で買い上げるということが必要だと思います。これも質問しようと思っておりましたが、大蔵省の出した資料の中で、建設省の資料ということで、五十一年度の不動産実態調査ですか、それによりますといわゆる大規模の未利用の土地、これが市街化区域では二万七千ヘクタールある。住宅五カ年計画による民間宅地の供給量、これは二万九千ヘクタールですから、大体それに匹敵をする。こういうことを大蔵省も言っていますか、まさに市街化区域内のそういう大規模土地を適正な価格で買い上げて宅地化を図っていく。とりわけ私は、地方自治体の財政を強化をしてそして公有地をふやして公共住宅、これをふやしていく。いまの政府のやっているような持ち家政策じゃなしに、そういう低家賃の住宅をどんどんつくっていくということをやるならば、宅地の供給が可能になるわけですね。税制で土地を取り上げようというのは、まさにこれは本末転倒というよりは悪代官のやり口ですよね。私はこういうことをやるべきではないというように思います。
 時間がありませんので一応意見だけ申し上げましたが、これらについてこれから自治省の方で慎重に検討なさるわけですが、自治大臣、ひとつその点について最終的に御見解をいただきたいというように思います。
#207
○国務大臣(加藤武徳君) 優良な宅地を供給してまいりますには、私は土地政策が最も重要であると思いますし、ただ、土地に関します国、地方を通じましての税制は宅地化を促進しますための補完的な作用をいたしておる、こういう見方をいたしておりますから、税制のみによりまして宅地を供給促進いたしますことはまともなことではなく、土地政策と相まってその効果を上げていかなければならぬ、こういう感じを強く持っております。
 それから、最後に御指摘がございました、地方団体が市街化区域内の土地を買い上げまして公営住宅の建設を促進していくべきである、かような御提案でございましたが、私はそれも一つの方法であり、公営住宅の供給を促進しますことは賛成でございますけれども、ただしかし、現在の住宅問題を解決してまいりますには、やはり持ち家政策を強く推進をいたしまして、旺盛な個人住宅の建設がなくしては、今日の地方財政では言うべくしてなかなか公営住宅の供給促進は困難であろうと思うのでございますから、ですから、公営住宅の供給も促進いたしますけれども、同時にまた個人の住宅建設、これを促進してまいらなければならぬ、かような考え方を強く持ちます。
#208
○神谷信之助君 終わります。
    ―――――――――――――
#209
○委員長(永野嚴雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日夏目忠雄君が委員を辞任され、その補欠として田代由紀男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#210
○向井長年君 時間も大分迫っておりますから、簡単に二、三点私から質問をいたしたいと思います。
 総理府並びに自治大臣にお聞きいたしますが、同和対策特別措置法がいよいよ期限が近く来るようでありまして、これに対してそれぞれの各市町村なり団体から延長の申し入れが各党にも来ておりますし政府にも来ておると思います。この問題に対して先ほどからもいろいろ言われておりますが、地方自治には大きなこれはウエートがあるわけですね。したがって、そういう立場から今後延長に取り組む姿勢として――恐らく延長せざるを得ないという結果になると思いますが、この年限もまだ明確に決まっておりませんし、したがって取り組む姿勢として、今日までの地方自治のいわゆる超過負担、同対審の事業に対する直接の超過負担、あるいはまた地方債、こういう問題が大きく生じて、今日までの継続事業あるいはこれからの新規事業、こういう問題に対して、延長の前に、これを実行しようとするならばやはり財政措置というものがそこに伴わなければならぬわけでありますから、言うならば財政主導型といいますか、こういう中から延長の期限問題も生まれてくるのではないか。そのためには、どういう形でどういう事業を各市町村がこれを実行に移すか、こういう問題をつぶさに考えなければいかぬと思うのですよね。ただ五年延長が、三年延長だというだけでは、これはその間の事業というものがまたできない、そうすればまた延長だということになってまいりますが、これの基本的な取り組む姿勢を、これは自治大臣なりあるいはまた総理府からお答え願いたいと思います。
#211
○国務大臣(加藤武徳君) 同対法の十カ年間の期限が来年三月三十一日には満了をいたしますことは御指摘のとおりでございまして、そこで、地方は大変な苦労をいたしながら同和対策事業を推進してまいりました。最初のうちは、補助事業の枠が小そうございますし、また対象も限られており、単価も思わしくございませんので地方の負担がずいぶんございましたけれども、逐時改善されてまいっております。改善されてはおりましても、なお地方団体が単独事業としてやっております事業量も非常に多いのでありますから、これが地方団体の負担増という結果ではね返ってきておりますことも御承知のとおりでございます。
 そこで私どもは、関係省庁に対しまして、毎年予算編成をいたします前に、同和対策事業につきまして対象ももっと広げていかなければならぬしまた単価などの改定についても勇敢にやってほしいと、かような強硬な申し入れをいたしており、理想的には地方団体が単独事業でやらずに全部を補助事業でやり得ると、ここまで持ってまいりますことを理想として努めてまいったのでございますけれども、なかなか思うようにまいっておりませんが、しかし今後もその努力をエネルギッシュに続けていかなければならぬ、かような感じを強く持ちます。
 そこで、同対法の延長問題が今年に入りまして特に活発に議論がなされておりますが、私は、当然延長すべきだと、この基本の考え方を持っております。ただ、どの程度の年数を延長すべきかにつきましては、九年前に法律が制定されました当時は、議員発議ではございませんでしたけれどもやはり各政党の合意、かような背景のもとに立法化がなされたのでございまして、いま各政党間でいろいろ話し合いがされておるさなかでございますから、何年延長すべきだということは差し控えたいと思うのでございますが、しかしいま向井委員が御指摘になられましたように、単に延長すれば事が足りると、かようなことではございませんで、延長されました暁、来年度以降やはり重点的に事業を執行してまいりますこと、もとより必要でございましょうけれども、先ほど申しましたように、やはり対象範囲を思い切って拡大をし単価なども積極的に是正をしてまいりまして、地方負担ができるだけ少なくなりますような質的な向上を図ると、そういう基本の考え方のもとに、延長された同対法に対処していく必要がある、このことを痛感いたしております。
#212
○政府委員(黒川弘君) 同和対策事業の体制について申し上げますと、昭和五十年に各省が協力いたしまして同和地区の調査を実施しております。これによって把握いたしました事業量でございますが、五十年度以降、これは法律は五十三年度で一応切れるわけでございますけれども、五十四年度以降の事業も含めるようにという趣旨で調査された調査でございますが、この調査によって把握いたしました事業の量は、事業費とそれに対応いたします国費と二つのベースでつかんでおりますが、国費ベースで申し上げますと約七千六百四十億円でございます。これに対しまして昭和五十年度以降昭和五十三年度まで予算をもって対応してまいっているわけでございますけれども、これに見合うところの予算を単純に差し引きますと、昭和五十四年度以降に見込まれるいわゆる残事業の額は、これも国費ベースで約三千二百六十億円というように見込まれているわけでございます。
 具体的に、同和対策事業の内容につきましては、毎年補助内容の充実について、事業所管省、財政所管省協力いたしまして改善を図ってまいっているわけでございますが、その努力は今後においても当然続けるべきものというように考えております。
#213
○向井長年君 いまお話しありましたように、一応三千億余りという形で政府、総理府は考えておると、こういうことでしょう。一般の市町村からの陳情をわれわれが聞きますと一兆円以上なんですね、それぞれの事業規模を出しまして。だから、そういう政府が考える、総理府が考えることと、市町村が事業規模、継続事業あるいは今後の事業という形で新規事業を合わせましてね、それくらいのいわゆる額が必要であると、こういうことを言われておるのですよ。そういう中で、ただ五年延長とか三年延長とかこういうことを言うべきではなくて、この事業が本当に完遂できる裏づけが生まれるか生まれないかと。もちろん単独事業もありましょうが。ここに私は重点を置いてこの問題を考えなきゃならぬのではないか。たとえば、市町村長がそれぞれの議員のところあるいは各政党に陳情に来ておるのは、もちろん延長して事業を遂行したい、そのためには痛しかゆしなんですよね。超過負担がふえる、あるいは地方債をお願いしなきゃできない、もうこれも精いっぱいである。したがって、延長されてもその裏づけがなければ困るということでしょう。そういう問題について、私は政府の姿勢、たとえば自治省においてもあるいは総理府においても、もちろん大蔵も必要でありましょうが、まず期限を決める前に、どれくらい政府がこれに対して助成できるか、その中からやはりそういう問題が決定されなければならぬのではないかと、こういうことを私はいま申し上げたいんですよ。したがって、ここで論議しようとは思いません。そういう姿勢でこの問題に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがですか、自治大臣。
#214
○国務大臣(加藤武徳君) ただいま申しましたように、地方は大変な苦労をしながら単独事業もやってきておりますが、単独事業をやらざるを得ませんのは、政府が対象として取り上げますものの範囲が十分でないことにも原因がございましょうし、また、超過負担がふえてまいりますのは、やはり対象もございますけれども、単価の点が十分ではないと、このことも大きな原因であろうかと思うのでございます。
 そこで、さっきも申しましたように、単に期限を延長すれば事が足りると、かような認識ではございませんで、もとより事業量をにらみながら対処していかなければなりませんけれども、延長された一定の期間内にどの程度消化をするかと、かようなめどを立てながら延長問題も論議さるべき性格のものだと、こういうぐあいに考えております。
 そこで、各政党間にいろいろ議論かございますのは、やはり単なる延長だけを考えるのではなしに、そういう問題をも含めて各党で検討しておる、これが今日いまだ各党間の合意ができておらない大きな原因ではないであろうか、かように判断をいたしております。
#215
○向井長年君 自治大臣、各党間と言うが、これは議員立法じゃなくて政府提案ですから、したがって政府がその腹を決めなければ、いま俗に五年延長というようなことを言われておりますが、五年延長結構でありましょう。しかし、五年延長の中で先ほど言った事業が遂行されていく、その裏づけが生まれてくると、こういうことで初めて功を奏するのであって、幾ら五年を決めても、それが予算が三千億だ、一兆何千億だと、こういうことではね、この問題は各党間で話しせいと言ったってそんなものできっこないんですよ。金にぎっているのは政府ですから。あるいはまた地方自治体ですから。地方自治体だけを苦しめる結果になるのですからね。私はこれ以上この討論をいたしませんけれども、その姿勢を考えて今後ひとつ対処していただきたいということを要望しておきます。
 そこで、続いて自治大臣に。最近綱紀の弛緩というんですか、非常に各所で汚職がふえていますな。これはどういうことなんですか。私は、これじっと考えますと、物質文明が発展し、そういう中で道義が退廃する、エゴイズムが横行する、暴力が横行すると、こういう世相になってきておると思うのですよ。こういう中で、まあ俗に国民の公僕と言われる公務員の皆さんが、特に地方自治体においてもいま頻発しておるじゃありませんか、こういう汚職が。近くはいま新聞紙上にぎわしている問題もありますね、東久留米の問題も含めて。これはただ単に地方自治体が、これに対する取り締まり、あるいはまた粛正というような形でいろいろされておると思いますけれども、これはやっぱり自治省として、この弛緩の問題に対しては真剣に取り組まなければならぬ問題だと、こう思うのですよ。どういう今後措置をされていきますか。
#216
○政府委員(砂子田隆君) 最近地方の公共団体におきまして、ただいま、お話しございましたように、地方公務員の汚職が目立っておりますことはきわめて遺憾なことだと存じております。自治省といたしましては、地方公務員の綱紀粛正につきまして、かねがね指導をしてまいったところでもあります。特に昭和五十二年度からは、地方公共団体におきます汚職の状況に関する調査を行いまして、どういう点にその問題があるかということを分析をしながら、私たちの方でおよそ二十項目にわたりまして汚職に関する留意事項を流したばかりでもございます。今後ともこういうことを土台にしながら公共団体の汚職がないように努めてまいりたいと存じております。
#217
○向井長年君 自治大臣あるいは行管、長官はおられないが次官がおられますが、最近におきまして、アメリカのカーター大統領が発議されて、公務員制度改革法が成立したのを御承知ですか。――知っておられますな。この趣旨は何ですか。アメリカのカーターさんが出されたのはどういうことですか。御存じない……
#218
○政府委員(砂子田隆君) 新聞の報ずるところ以外には存じませんが、新聞の報ずるところによりますと、やはりアメリカにおきましても公務員の綱紀が弛緩をいたしておりまして、こういうものをある程度どしどし摘発をするということも必要ですし、働かない者は賃金を下げるとか、あるいはよく働く者は賃金を上げるとか、全体的な、公務員全体としてのあり方についてのメスを入れようという改革法案であると存じております。
#219
○向井長年君 まあそういうことでしょう。いわゆる能率主義とか処罰制度の簡略化とか、それからチープガバメント、これは安上がり政府というんですか、そういう趣旨の問題でしょう。だから私は、何もこれはアメリカだけでなくて、日本の方がもっとこういうことを切実に感じなけりゃいかぬと思うのですよ、いま申し上げたように。そこで、この問題について、特に官僚機関というか、いままでそういうところが非常に強い姿勢を持っておるわけですけれども、年功序列あるいは勤務ぶり等、こういうものが中心になって給与なりボーナスというものがこれは決められてきておる、アメリカなんかでは。したがって、こういう問題について、やはり無能官吏に対してどう措置するかという問題、これ私も新聞で知ったんですけれども、非常に私はわが国に当てはまるんじゃないかという感じがするんですよ。先ほど言った汚職問題から考えても。あるいは無能の官吏、こういうものに対して。そして市民サービス。こういう中で、当然これはもう民間企業であったら常識なんですね。そういうものが十分になされていないというのがわが国の実態ではないか。アメリカだけではないと思うんですよ。そういう中で、少なくともこれを改革しなければならぬということでカーター大統領が出したんでしょう。日本だってこういうことを考えたらどうですか。行政改革の問題もありますがね、とにかく、たとえば守秘義務ってありますね、日本には。悪いことをしたやつ、汚職をしたやつ、それを内部から告発する、こういうことがあってもいいんではないか。しかし内部から告発するというのは、守秘義務によって外に出せないということになっているんでしょう、日本では。そういうものに対して、いわゆる適用外、言うならば保障機関をつくると、こういうことが、アメリカはいま考えたようですよ。私はアメリカもそうだけれども、わが国において、そういう汚職がどんどん頻発しておるのに、いまいろいろな通達を流したとかあるいは今後自粛するように監督するとか言っても、やっぱりそういう問題が法文化されてそういう形になっていることによって初めて皆さんが引き締まってくるのではないかと、こう考えるんですが、その点どうでしょう。私はそういうことを検討していいんではないかという感じを持ちますがいかがですか。余りにも多いでしょう、最近の汚職。疑獄というか、あるいはまた収賄というか。しかも、これが場合によれば暴力団にくっついてみたり、特に最近の公共事業がどんどんどんどんこうして出てくれば、なおさらそういう問題が地方自治においても起こってくると思うんですよ。その点について今後どう考えますか、先ほど言った問題について。
#220
○国務大臣(加藤武徳君) アメリカの公務員制度改革法は、私も新聞でその若干を見ましたけれども、思い切った処置をやろうとしていることにつきましては高く評価さるべきものだと、かような認識でございます。ただ、いま御指摘がございましたが、内部告発などは日本の国民性にはなかなか合いにくい点がありはせぬであろうかと、かような感じも持つのでありますけれども、しかし、少なくも地方団体を担当しておる自治省といたしましては、今後綱紀の粛正に最大の心を配ってまいらなければなりませんし、ことに汚職の防止につきましては全力を傾注してまいらなければならぬと、このことを痛感をいたしております。
 で、先ほど政府委員から答弁をいたしましたように、自治省といたしましても五十二年度から具体的な調査を取り進めておりますし、そして地方にその資料を流すことによりまして十分な体制をとりますような促し方をいたしておるのでございますけれども、基本的にはその人のパーソナリティーが大いに影響しましょうが、同時にまた環境も非常な影響を持つのでございますから、ですから一つのポストに長い間おることによって業者と癒着をしますようなことを防いでいかなければなりませんし、かつまた、単独で事が決し得ますような方法をとっておりますならば勢い汚職等も起きがちな傾向がございますから、相互監視を深めてまいりますような処置をとりますとか、各地方団体で独自の判断ではございますけれども、そういうことを今後進めますように強力に進めていこうと、こういうぐあいに考えておりまして、ただいまのところ地方公務員に関しまして、アメリカのような公務員制度改革法を考えるという熟度には到達をしておりませんが、しかし最大の努力は払っていくべきだと、こういう基本の認識でございます。
#221
○向井長年君 私は直ちにそれがとれるとは思いませんけれども、この精神はやはり十分採用しなければ、いまお互いが自粛する、あるいはまた監視すると、こう言われますが、こういう汚職犯罪を見ますと、どんどんどんどん拡大しているんですよ。たとえば一つの個所で一人の人間がそういうことをやる、それをやはりつつかれたらいかぬので、次々とそういう諸君もその中に巻き込んでいくと、こういう状態がふえておるでしょう。拡大ですよ、これは。監視どころか、物を言わしたらいかぬというので、何らかの形で彼らを抱いて、いうならばそういう諸君に悪いことを教えているということですよね。こういう問題は事実現に出ているでしょう。だから、ただそういう甘い考え方ではだめだから、やはり私がいま言ったような形で、直ちにいまできるとは思いませんけれども、もっとこの問題については真剣に検討しなけりゃならぬのではないか。やはり国民の公僕と言われている人たちがそういうことでは、まだ政治も不信がありますけれども、しかし一番もとの国民の公僕だと言われている人がそういうことであれば、ますます国民は信頼しませんよ、これは。こういう点をひとつ自治大臣としても、自治省としても、監督官庁として真剣にやっぱり検討していただきたいということを要望してやめます。
 終わります。
#222
○委員長(永野嚴雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#223
○委員長(永野嚴雄君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#224
○委員長(永野嚴雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#225
○委員長(永野嚴雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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