くにさくロゴ
1978/09/29 第85回国会 参議院 参議院会議録情報 第085回国会 本会議 第3号
姉妹サイト
 
1978/09/29 第85回国会 参議院

参議院会議録情報 第085回国会 本会議 第3号

#1
第085回国会 本会議 第3号
昭和五十三年九月二十九日(金曜日)
   午前十時四分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第三号
  昭和五十三年九月二十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 以下議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(安井謙君) これより会議を開きます。
 この際、常任委員長の辞任についてお諮りいたします。
    内閣委員長     塚田十一郎君
    地方行政委員長   金井 元彦君
    外務委員長     安孫子藤吉君
    大蔵委員長     嶋崎  均君
    文教委員長     吉田  実君
    農林水産委員長   鈴木 省吾君
    商工委員長     楠  正俊君
    予算委員長     鍋島 直紹君
から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(安井謙君) つきましては、この際、欠員となりました常任委員長の選挙を行います。
#6
○遠藤要君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、いずれも議長において指名することの動議を提出いたします。
#7
○大塚喬君 私は、ただいまの遠藤君の動議に賛成をいたします。
#8
○議長(安井謙君) 遠藤君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(安井謙君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、内閣委員長に桧垣徳太郎君を指名いたします。
   〔拍手〕
 地方行政委員長に永野嚴雄君を指名いたします。
   〔拍手〕
 外務委員長に菅野儀作君を指名いたします。
   〔拍手〕
 大蔵委員長に坂野重信君を指名いたします。
   〔拍手〕
 文教委員長に望月邦夫君を指名いたします。
   〔拍手〕
 農林水産委員長に久次米健太郎君を指名いたします。
  〔拍手〕
 商工委員長に福岡日出麿君を指名いたします。
  〔拍手〕
 予算委員長に町村金五君を指名いたします。
  〔拍手〕
     ―――――・―――――
#10
○議長(安井謙君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。瀬谷英行君。
   〔瀬谷英行君登壇、拍手〕
#11
○瀬谷英行君 私は、日本社会党を代表して、さきに行われました政府の所信表明演説に対し、質問をいたします。
 昨日、衆議院の本会議で行われました代表質問、拝見をいたしましたが、総理の答弁を聞いておりますと、所信表明演説の中身が薄い割りには答弁の姿勢が高いんであります。また、いささか抽象的な言葉でもって肝心な点をぼかされるという点がございました。昨日の質問と余り重ならないように質問をいたしますが、抽象的な答弁でなくて、具体的な質問に対しては具体的なお答えを願いたいということを冒頭に希望いたします。
 最初に、私は、政治姿勢と政治家のモラルについて申し上げたいと思います。
 自民党の総裁選挙が近づいて、関係者のいら立ちは無理からぬものがあるとは思いますけれども、最近の閣僚や党幹部の中には、その言動目に余るものがあります。憲法などはまるっきり眼中になく、ラッパの吹き合いと言うよりは、進軍ラッパのコンクールの観を呈しております。総裁選挙は君子の争いというふうに言われておるのでありますから、それらしく振る舞っていただきたいと考えます。いま少し政府与党としての党規律があってしかるべきではないかと思うのでありますが、総理・総裁としての見解を承りたいと思います。
 次に、解散の問題であります。衆議院の任期は四年あります。ところが、過去の例は、ほとんど四年の任期を待たずに解散が行われてまいりました。国論を二分するような重大な問題で信を国民に問う必要が生じた場合ならいざ知らず、政権維持のためにいつ解散をするのが得かという打算に立って解散権を行使するのは、憲政の常道から言うならば邪道ではないでしょうか。振り返って見るならば、過去の解散の例は、時の政権の党利党略が先行をして、大義名分はそのときになって取ってつけた感が非常に強いのであります。総理の心中を推しはかることはできませんが、ことしも暑いときから年内解散ということがささやかれてまいりました。それは福田政権のためにはそれが一番有利だからという根拠だったんであります。そんなことはないとは思いますけれども、過去はともかくとして、今後の解散のあり方についてどう思っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
 次に、これは衆参両院に共通する問題でありますが、先ごろ、東京高裁では二つの判決が出されました。人口の増減によって選挙区の定数に不均衡を来した場合の問題であります。これは、裁判所の判決を待つまでもなく、政府として早々に対処するのが当然のことではないかと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
 福田総理は、演説の冒頭で、日中平和条約の締結について報告をされました。私は、この条約の締結に当たって、わが党の故淺沼委員長を初め多くの先輩各位が、それぞれの立場を超えて長い年月にわたって尽力をされたことと、園田外務大臣を初め関係者が一字一句に至るまで並み並みならぬ配慮をされた御苦労に対しては深く敬意を表明するものであります。
 総理は、新しい外交の展望として、長年にわたる諸懸案は一段落したと述べ、わが国の総理として、史上初めてイランを初めとする中東の四ヵ国を公式訪問したことをも外交努力の一環として述べておられます。私は、総理の言う中東和平は現下世界最大の焦点であることを決して否定はいたしません。しかし、果たしてわが国にとって長年にわたる諸懸案は一段落したと言えるでしょうか。中東和平以上に、アジアの平和がわが国にとっては重要であります。確かに、長年の懸案であった日中平和条約は締結をされましたが、アジアの安定と平和はこの条約によって完全に満たされたわけではありません。これはあくまでも日本と中国の問題であって、まだ大きな穴があいております。その穴の一つは日ソの関係であり、いま一つは日本と朝鮮民主主義人民共和国との関係であります。
 そこで、まず第一にお伺いしたいのは、日中平和条約第二条から第四条に至るいわゆる覇権条項の解釈と国際的評価について、どのように認識されておるかということであります。
 われわれは、締結された日中平和条約を素直に文字どおりに解釈をしなければならないと思っております。そうすれば、第一条で、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等互恵、平和共存が保障をされ、国連憲章の原則に基づいて、お互いにすべての紛争を平和的に解決をし、武力または武力による威嚇に訴えないことが約束をされるはずであります。つまり、ここでは、日本の憲法の趣旨も武力を行使しないといったような点で生かされているものと理解をされるのであります。
 問題は、第二条の覇権に反対する条項にあります。恐らく政府の見解としては、いわゆる反覇権条項がきわめて常識的、普遍的なもので、決して特定の国を指しているものではないという解釈に立っているものと思われます。日本国民がしかしどう解釈をしようとも、果たしてそれが国際的にも同様に評価をされているかどうかということが、われわれの関心を持たざるを得ない点であります。
 確かに第四条では、「第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。」ことを念入りに明記してあります。この点も外務大臣の特に御苦労になった点だろうと思うのでありますが、しかし、反覇権条項は特定国を対象にしたものではないとわれわれが理解しようとしても、条約の相手国である中国や、アメリカを初め、その他の国々が、いや、そうではない、実はあれはソ連を対象にしたものであると、こういう解釈を公にすれば、日ソの関係は大変むずかしいことになります。これからの日ソ関係をどう打開するのか、具体策を考えるべきときではないでしょうか。
 日ソの関係は北方四島の返還を前提にした平和条約の締結が不可欠であるということでありますが、この主張は今日残念ながら何らの進展も見ていないのであります。また、ソ連の善隣友好条約の提案に政府としてはどう対処するのか、今日まではノータッチの状態であります。しかし、日中の後は日ソであるというふうに言われておるのでありますから、日本から友好条約について逆に提案をする用意でもあるのかどうか。いずれにしても、このままでは日ソ関係は、革の手袋をはめたまま握手をしているような、血の通わない状態が続くと思うのであります。一体これでいいのかどうか、今後どうされるのか、具体的に総理にお伺いしたいと思います。
 わが国の外交は、一言で言えば全方位外交で、世界のすべての方向に向かって、あらゆる地域、あらゆる国との間に平和友好の関係を求めることにほかならないと総理は述べられました。大変結構なことであります。しかし、それならば朝鮮民主主義人民共和国との国交は一体どうするのか。外務大臣の演説では、韓国との友好協力関係の維持と同時に、北朝鮮との関係についても、貿易、経済、文化、人的交流の分野で関係を積み重ね、相互理解の増進を図ると述べておりますが、なぜ「北朝鮮」というふうに言われたのか、朝鮮民主主義人民共和国を認めようとしないからなのか、その理由を明らかにしていただきたいと思います。
 朝鮮半島に再び紛争が起こることは決して望ましいことではなく、南北朝鮮の平和的統一の実現を隣国の日本としては期待したいところであります。しかし、現実の問題として二つの国家が存立する以上、一方のみを認めて他方を認めないのは全方位外交のたてまえにも反することであり、理屈に合わないことではないでしょうか。安保と全方位外交の矛盾点といったようなことを別にいたしましても、もし政府が全方位外交を本当に推進する気持ちがあるならば、有事立法の必要性はどの角度からも出てこないはずであります。
 ここで改めて明確にしておきたいことは、最近、特に有事とか奇襲という表現が安易に使われておりますが、そんなことがあり得るのかどうかということです。もしその可能性があり得るなら、確かに一大事であります。われわれも考えなければなりません。しかし、あり得ないならば、架空の論議で国民を惑わすようなことは厳に慎しむべきであります。オオカミ少年のような例がございます。いいかげんなことを言っておりますと、言っている人が信用されなくなるのであります。この種の問題は、現実的、具体的であります。抽象論やあいまいな答弁は許されません。もし、有事、奇襲等の可能性が一%でもあり得るならば、具体的にその理由、根拠をお答えいただきたいと思います。それが答えられないならば、やたらと有事を振り回すようなことはやめていただきたいと思うのであります。
 再軍備論者が好んで使う俗論に、いわゆる戸締まり論というのがあります。どろぼうに入られたら大変だから戸締まりをしっかりしておくんだという論法で軍備の必要性を強調し、したがって、有事立法のよりどころともなる言い回しであります。これはこそどろを想定したたとえ話でありますが、どろぼうの場合は、どこのだれだかわからない者がすきを見て人の家に忍び込むということでありまして、これは確かにあり得ることであります。しかし、国と国との場合はこういうケースが絶対にあり得ません。総理は、昨日、いつどこで何が起こるかわからないと言われましたが、住所不定の国などは地球上には存在しないのであります。南米大陸やアフリカの国が、はるばる日本に奇襲攻撃をかけることなどは不可能だからであります。とすれば、有事の対象国はおのずからしぼられてくるはずであります。防衛庁が有事を仮定する対象国の第一は、ずばり言って、恐らくソビエトということになるでしょう。日中条約に対するわれわれの解釈がどうあろうとも、この条約が中国の反ソ戦線の一環であるという見方は客観的に存在していることを否定はできません。しかし、だからと言って、ソビエト側に日本と武力で事を構えなければならない事情があるでしょうか。理由も動機もないにもかかわらず、軍隊を動かして他国に上陸をするというようなことは、ジンギスカンの時代ならいざ知らず、近代国家の組織、機構からいっても、とうていあり得ないことであります。特に、奇襲攻撃を想定するなどは不勉強もはなはだしく、理解に苦しむものであります。
 仮に十個師団の軍隊を敵地に上陸させるためにはどれだけの多くの船団と護衛艦隊と航空部隊を必要とするか、それが人目を忍んでこっそり行動できるものかどうか、軍事専門家ならずともわかるはずであります。と同時に、人工衛星が飛び、通信機器の発達した今日、だれにも気づかれずに、ある日突然他国の軍隊が目の前にあらわれて、指揮官が総理に電話をする暇もなく、みずからの判断で超法規的手段を講ずる必要に迫られることなどが今日あり得ないことはわかっているはずであります。みだりに隣国の奇襲攻撃を想定することは、政治も外交も無視をした独断と言わなければならず、また、対象国に対する挑発とも受け取られかねません。
 戦前の日本では、かつて軍が政治も外交も置き去りにして独走をし、戦争のどろ沼にのめり込んだ苦い経験があります。その結果、三百万の犠牲者を出し、日本じゅうを焼け野原にいたしました。アジアのたくさんの近隣諸国に迷惑をかけました。このような愚かなまねは繰り返すべきではありません。
 外交関係が存在している国が武力によって敵対行為に訴える場合に、それが全然察知できないなどということは、これまた考えられないことであります。私は、日本の外務省がそれほど無能だとは思わないし、思いたくもありません。有事とは戦争状態を意味しております。今日、日ソの間でたとえ平和条約が締結されていなくとも、戦争状態に入らなければならない事情が存在しますか。もし少しでもその可能性があるならば、外務大臣は速やかにそのことをわれわれの前に明らかにする義務があるわけであります。もしそういう可能性が少しでもあるならば、その理由をお聞かせを願いたいと思うのであります。
 有事を仮定する対象の第二は、朝鮮半島における南北の問題であります。しかし、この場合は、南北朝鮮の間に武力紛争が発生したときと、そこに日本が介入をする事情が発生したときと、二段の仮定が必要になります。これもとうてい考えられないことであります。
 ソビエトとも朝鮮とも有事の可能性がないとすれば、一体どこの国との間に有事の可能性がありますか。宇宙人が集団で攻めてくるとでも言うのでしょうか。
 繰り返して申し上げますが、有事とは戦争状態を意味しております。いまの日本が戦争状態に入るならば、防衛予算を十倍にしても間に合いません。戦争を避ける、有事の状態をなくするというのが政治と外交であります。政治家自身がその自信がないというならば、何をか言わんやであります。シビリアンコントロールが重要なゆえんであります。
 昨日の衆議院本会議における下平、板川両議員の質問では、今年度の経済成長の見通しで、七%の成長が大丈夫かという懸念が表明されたわけであります。これに対して総理の答弁は、見解の相違だということで片づけられました。これでは議論のしようがありません。経済は生き物でありますから、願望がどうあろうと、結果はそのときにならないとわかりません。見込みが外れるということは、総理といえども、しばしばあり得ることなんであります。見解の相違で片づけずに、そのときはこういたしますと、なぜ謙虚にお答えにならないのでしょうか。
 あなたは、野党の合意による一兆円減税の問題では、かたくなに拒否をされました。不況の克服と内需の拡大という当面の問題に対処するのに、公共事業投資だけでは不十分であるということはお認めになると思います。ことしの夏のように日照り続きのときは、草も木も野菜も干天の慈雨を待望しております。そんなときに、公共投資といういわばスプリンクラーでは範囲が限られるわけであります。待望の雨にも等しい減税については再考すべきではないでしょうか。それが国民に対する思いやりというものです。
 一兆円減税を否定された理由の一つに、多額の国債の消化の必要性を述べられました。このままでは国債の消化は確かに一大事であります。サラ金から金を借りて月賦を払うようなことをやっておったのでは、後々どんなことになるのかこれはわからない、それは確かでありますが、それならば改めてお伺いしますが、国債の消化についてどういう構想をお持ちですか。減税は断るがこっちの方は大丈夫だという自信がおありになりますか。みずからまいた種はみずからの責任で刈り取っていただかなくてはなりません。そのツケを一般消費税のような形で国民に回されたのでは迷惑であります。不公平税制は勇断をもって改めることをお約束いただけるでしょうか。
 総理はまた昨日の本会議での答弁で、物価、国際収支、景気について触れ、その中で、物価は安定しているというふうに述べられました。雇用の問題についても大丈夫だというふうな態度をお示しになりました。これは事実の認識が浅いと思います。造船を初め、不況産業、中小企業等は、そんななまやさしい状態ではありません。それらの人々から見れば、経済の福田だというふうに胸を張っておられますけれども、恐らく、貧乏神がめがねをかけているように映るのではないかと思うのであります。
 いま、公団住宅の家賃値上げが問題になっております。トラブルの原因は多々あります。一々引用いたしませんが、入居者にとって大きな不満は、結局、住居の条件や質に比べて家賃が高過ぎるということになると思います。衆参両院の建設委員会でもすでに取り上げられ、数々の指摘があったはずであります。入居者との話し合いによる円満な解決を強く要望いたします。
 公団住宅家賃の値上げ問題は、一面、日本の住宅政策の貧困と大きな立ちおくれを示しております。
 新聞の広告の中で一番多いのは、住宅やマンションの広告であります。試みに、けさの新聞から持ってまいりました。このとおり、ことごとくが住宅の広告であります。こんなことは昔はなかったことだと思います。しかし、これは住宅を求めている国民がいかに多いかということをも証明をしていると思うのであります。しかも、この種の住宅の入手価格は勤労者の年収の十倍以上に及ぶことが少なくありません。日本における宅地や住宅の入手価格は、恐らく欧米先進国の中で一番高いのではないでしょうか。衣食住の中で、衣と食には困らなくなりましたが、住の面では、残念ながら後進国ではないかと思います。したがって、物価の中で住居費が最も割り高となり、家計の中で大きな負担となっている事実をどう思われるのか、総理の見解を承りたいと思います。
 さらに、住宅費を高くしている要因として、土地価格があります。田中内閣当時の列島改造ブームで、業者による土地の買い占めが地価に拍車をかけ、いまや庶民にとってはどうにもならなくなりました。地価の高騰と住宅政策の立ちおくれは連動しておりますが、これは石油ショックに責任を転嫁すべきことではなく、明らかに自民党内閣による政治の責任であります。このような厳しい事実に目をそむけて、物価が安定しているというようなことを言われるのは、いささか軽率ではないでしょうか。
 同じく、昨日の衆議院本会議で下平議員より質問がありました同和対策事業特別措置法の延長について再度お聞きをいたします。
 各党協議を踏まえてというお答えが昨日もありましたが、しかし、本来政府提案であり、五年以上の延長という問題についても、野党側に問題がなければ、あとは与党側の了承を得て政府の責任で決着をつけることは、そんなにむずかしい問題ではないと思うのであります。総理の決断によって、政府の責任で今国会中に決着をつけられるように強く要望いたしますが、いかがでしょうか。
 次に、いわゆるサラ金問題について伺います。
 最近の新聞には、サラ金による家庭悲劇が毎日のように報道されております。借りた方に責任があると言ってしまえばそれまでですが、いまや、サラ金規制のための法改正は緊急を要する問題になってきているのではないでしょうか。調べてみると、五十一年春の衆議院で、わが党議員の質問に対して、当時の大平大蔵大臣が、年内、すなわち五十一年中には何らかの措置をすると確約をしております。ところが、自来二年間、何らの有効な立法提案も行政指導もなされていないのはどういうわけでしょうか。今日の社会悲劇は、政府部内で、総理府、経企庁、法務省、大蔵省、自治省、警察庁がそれぞれ漫然と小田原評定を繰り返して、互いに責任のなすり合いをしているということに原因があるのではないかと思うのであります。すでにいろいろな立法案が提起され、数多くの地方自治体からも立法措置を求める議決もされていると聞いております。この際、政府みずから現行法を改正をして、登録制を採用し、厳しい登録要件を付して悪質業者の締め出しを図ることを考えてはどうか。もちろん、そのための行政措置には多くの複雑な問題もあろうかと思いますが、政府は次期通常国会までに提案をする準備と決意があるかどうかをお伺いしたいと思います。
 本来、大蔵省が責任を持って担当すべきであるにもかかわらず、逃げ腰だったことが今日の事態に立ち至った根本原因ではないかと思われます。先般の銀行局長通達には罰則がなく、最近の市中金融機関のサラリーマン貸し付けも微温的で、実効が上がるとは思われません。この際、労金、信金等々にも思い切ったサラリーマン金融を行わしめるよう行政指導をする意思はないか。以上、大蔵大臣にお伺いをいたします。
 三全総と定住圏構想がわが国経済社会の向かうべき姿であるというふうに所信表明で言われましたが、これは一体どういうことでしょうか。地方を振興し過密過疎に対処するということでありますが、どう対処するのか。政治的に無策のまま放任をしておけば、過密と過疎の隔たりは大きくなる一方であります。その弊害は地方自治体で処理できなくなります。現に、東京を例に挙げれば、人口一千百万を超え、あふれ出した人口は、周辺の埼玉、神奈川、千葉等で人口急増地帯をつくり出しております。一億国民のうち、東京並びに周辺の県だけで人口三千万を数えるという現実は、いかにも不自然であります。このような超過密地帯で、過日のイランに発生したような大地震がもしも起きたならばどんなことになるのか。研究をしているのか、したことがあるのか、対策はできているのか、そんなことは心配は要らぬというのか、お伺いをしたいと思います。過密過疎の問題解決にはどういう具体的な対応をするのか。たとえば首都の移転、首都機能の分散等をも真剣に考えているのか。これらのことは、美辞麗句ではなく、具体的にわかりやすくお答えを願いたいと思います。
 先般、埼玉県の狭山市で入間基地の自衛隊機が墜落をして、乗員が殉職し、民家を焼失するという事故がありました。さきに神奈川県でも、米軍機が墜落をして、痛ましい犠牲者を出したことは記憶に新しいところであります。住宅密集地の周辺に基地があることは、常にこの種の危険と隣り合わせでいることであって、住民にとっては迷惑な話であります。この際、基地はもちろん、民間の空港も、住宅密集地を避けて建設することを考えてはどうでしょうか。
 成田空港も、当時われわれが主張したように、海上を埋め立てて建設をすれば、もっと早く、安く、パイプラインの心配もなく、農民の犠牲もなく、でき上がっていたのではないかと悔やまれます。
 狭い国土で人口が多いという宿命があります。もっと海を利用すべきではないかということを提言をいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(福田赳夫君) まず、私ども自由民主党が行おうとしておる総裁選挙について、いろいろ貴重な御忠告を賜りまして、ありがとうございました。御礼を申し上げます。
 わが自由民主党におきましては、党友・党員百五十一万名の参加を得まして、十一月から自由民主党の新しい画期的な総裁選挙をとり行いたいと、このように考えておるのであります。とにかく、これはそれだけの多くの党員が参加し、その党の総裁を決定するという、わが国の政治史上においてはいまだかつてなかった、そのことをやることでありまするから、これはなかなか困難な問題がいろいろあります。総選挙を行う、参議院の選挙を行う、そういうことになりますれば、公職選挙法というレールがあるわけであります。自由民主党の総裁選挙は大事な選挙でありまするけれども、公職選挙法の適用はないのであります。したがいまして、これにかわるルールをつくらなけりゃならぬという問題があり、私どもは長い時間をかけまして、鋭意このルールづくりに取り組んでおるわけでありまするが、私が一番いまこの時点において心配いたしておりますのは、自由民主党の総裁選挙が差し迫ってきた、そうしますと、このルールを完璧なものにして、そしていわゆる欠陥選挙であるというような批判を受けないような選挙にする、これはもとよりでありまするけれども、事前運動というようなものが始まって、そしてこれが国政に支障を来すおそれがある、そのことを断じて許してはならぬということなんです。私は、そういう立場に立ちまして、いま御指摘の主要な党員の言動、こういうものは慎重にしなければならぬ、また、公然たる事前運動、そういうようなことにつきましてもこれを凍結をしなけりゃならぬ、そういうことを強調いたしておるわけでありまするが、御注意は御注意として謹んで承り、なお、鋭意そのような気持ちでこの総裁選挙に取り組んでみたい、そうして、まあ自由民主党はあのむずかしい総裁選挙をよくりっぱにやったなといって皆さんから評価を受けるようなものにいたしたいと、このように考えておる次第でございます。そういう状態でありまするから、私が所信表明演説、これは上のそらであったなんというような御批判でございまするけれども、そのようなことはありません。私は、自由民主党の総裁選挙、まあみずからの問題を中心としたこの問題につきましては、これは十一月のその時点まで、もう一切考えないことにしているんです。それ前は、もう一身を挺して国務に精励する。重大なこの時期におきまして、日本丸が進路を誤らないというために全精力を挙げていきたい、そのほとばしりがあの所信表明でもあったというふうに私は考えておりますが、そのように御理解をいただきたいのであります。
 また、解散権の行使につきましては慎重であれという御指摘でございまするが、それは私はもうそのとおりに思います。解散権は政府に専属した非常に貴重な重要な権利である、権限である。その行使が一党一派の利益のために行われますとか、ましてや、これが党内の主導権争い、派利派略のために行われるというようなことは、これは断じて許されません。私はさような決意でこの解散権のことを考えておりますから、しかと御理解をお願いをいたしたいのであります。
 また、選挙区の定数不均衡是正の問題、この問題は、私も常に頭に引っ絡まっておる問題でございます。しかしただ、選挙制度の改正、定数制度の問題を含めまして、選挙制度の改正問題は、これは相撲で言えば、いわば共通の土俵であります。共通の土俵でありまするから、自由民主党を背景とした政府が独断で決めるというようなことがあっては相ならぬ。私は、これこそ共通の土俵づくりであるという認識に立ちまして、各党各派がよく相談し合って、理解と協調のもとに決めていかるべき問題であると、そのように考えておりますので、これはよろしくお願いを申し上げます。
 それから、日中平和友好条約が締結された、そこで、そうではあるけれども、日ソ問題あるいは朝鮮半島の問題、こういう問題がまだ懸案として差し迫っておるではないかと、こういう御指摘でございますが、確かに、日中問題は解決した、そしてわが国の数年来の一大懸案がこれは決着を見たわけであります。ありますが、しかし、これができたからといって、私の言うところの全方位平和外交がいささかも阻害されたとは考えておりません。むしろ、日中条約は締結され、日中の永遠の平和関係が確立された、このことによって、私は、これはもうアジア全体に対しまして非常にいい影響がある、また、ひいては世界の平和のために大変いいことである、このように考えておるのであります。
 いま、特にソビエト連邦のことについて御指摘がありましたが、ソビエト連邦との間には懸案の平和条約の締結問題という問題があります。その前提としては、北方四島の返還問題があるわけであります。それはありまするけれども、その日ソ関係にこの日中条約が悪い影響を及ぼしちゃいかぬという配慮は十分にしてあるということは瀬谷さん御承知のとおりであります。わざわざ条約第四条を設けまして、そのようなことはないんだということが明らかになっておる、そのように御理解を願いたいのであります。
 日中平和友好条約の締結、それはそれといたしまして、日ソの間に横たわる諸問題、特に北方四島の返還を実現いたしまして平和条約を締結するという問題につきましては、粘り強く取り組んでまいりたいと、このように考えておりまするし、また、日中平和友好条約、これは南北朝鮮問題、これには私は積極的に非常にいい影響があると思うのです。南北問題、これは非常にむずかしい問題でありまして、そして私自身といたしましては、これは南北が二つに分かれておるというこの悲劇を早くやめてもらいたいと思っておるんです。それには国際環境をつくらなきゃならぬ。そういう状態のできる環境の整備ということが大事でありまするけれども、私は、日中平和友好条約ができたということは、その重要な一つの環境になると、このように考えておるわけであります。
 また、全方位平和外交と言うが、日米安保条約体制、これはその趣旨とどういうふうになるんだと、どういう関係になるのかという御趣旨のお尋ねでございますが、私の言う全方位外交は全方位等距離外交じゃないんです。全方位平和外交なんです。日本は、いま経済的には大国になりました。しかし、経済大国にはなりましたけれども、軍事大国になる、経済大国は軍事大国になるというこのジンクスを破りまして、もう再び軍事大国にはならぬという決意をいたしておるわけであります。そのわが国が、わが国の安全をいかにして守るかということになりますと、わが国独力ではできません。私は、自衛隊の整備、これには鋭意努力をいたしております。おりまするけれども、それだけで十分であるかというと、さにあらず、やっぱりわが国と政治信条を等しゅうするあの米国と相携えてわが国の安全を守り抜くということ、これは、そういう軍事大国にはならぬ、平和大国で行くんだという選択をした日本として、なくてはならない大きな安全保障の道ではあるまいか、そのように考えておるわけであります。わが国は、まあしかし日米がそういう特殊な関係にあるからといって、他の国を敵視するという考え方は持ちません。これが私の全方位平和外交の目指すところであると、このように御理解を願いたいのであります。
 それからなお瀬谷さんは、全方位平和外交というなら何も有事というようなことがあり得ないじゃないかという御質問でございます。わが国がいかに平和外交を推進する、こう念願いたし、その行動をとっておりましても、世界じゅうのどこか、このわが国の立場を理解しない国が出てこないとも限らない。世界じゅうが本当にわが国のような平和な国である、世界じゅうの国が釈迦やキリストや孔子や、そういうりっぱな考え方の国々でありますれば、これはもう別でありまするけれども、世界じゅうの国が長い間そういう国々であり得るということを断言できますか。そこに問題があるんです。そのためにこそ、自衛隊というものを置いておるのであります。そして、自衛隊というものは現にいまあんなりっぱなものになろうとしておるじゃありませんか。自衛隊が何であれだけの金を使って、そうして存在しておるかと言いますれば、その有事のためにこそあるんですよ、皆さん。(拍手)その有事のための検討をしないということは、これは自衛隊といたしましてもその義務を怠ることであり、政府といたしましてもその責任を果たさないと、そういうことであるというふうに私は信じておる次第でございます。(拍手)
 また、有事というのは、私どもの理解では、私が、つまり、総理大臣が防衛出動を下令した、防衛出動を命じたと、そのときのことを有事と言うわけでありまするけれども、その防衛出動発動以前において奇襲がないというわけにはいかぬじゃないかという議論もあるんです。私は、今日のわが国の政治姿勢、また、わが国のそれに基づくところの平和努力、またさらに、わが国の自衛隊等を中心といたしまするところの情報把握能力、そういうようなものから考えまして、奇襲というものは、これはもうちょっと常識的には考えられない、これはまあ瀬谷さんと私はやや似た考え方を持っておるわけでございまするけれども、しかし、万々一ということがあるんです。万万万万一ということがあるのでありまして、その場合に対しまして一体どういうふうにするかということもまた考えておかなければならぬ問題であるということを申し添えておきます。
 瀬谷さんは経済問題に触れまして、この際、思いやりのある政治、つまり一兆円減税ということを断行せよということを迫られました。私も政治家といたしまして、諸般の条件がこれを許しますれば減税というようなことを言ってみたいです。やってみたいです。しかし、いまのわが国の置かれておる経済の立場から言って、一体減税というようなことがいま許されますか。わが国の財政は、いま実質三七%を国債に依存をいたしておるんです。世界にそんな国はないんです。これがこれ以上悪化するというようなことになったら一体どうなる。まあ本当にインフレと不況の間、その谷の上を、細い綱の上を渡っておる、綱渡りをしておる、そういう姿がわが日本の経済運営の姿である。そういう中で、国債をさらに増発をして、そうして減税をやる。一歩誤ったらこれはインフレですよ。私は、国民に対して温かい考え方をとれと言いまするけれども、国民が一番念願しているのは、インフレにしてしまっちゃ困りますよ、社会秩序を乱してもらっちゃ困りますよということであって、わずかばかりの減税じゃないと思うのです、私は。私は、皆さんから減税減税と言われまするけれども、私、本当に真剣に考えまするときに、この社会秩序、つまりインフレのない社会体制というものを守り抜かなけりゃならぬ、これが政府の本当の重大な責任であるというふうに考えるのであります。(拍手)そういう責任感の上に立って考えまするときに、これは一兆円減税なんていうのは、言うはやさしい、やさしいけれども、これは真剣に、それが本当にいいかどうかということは真剣に考えてもらいたいんです。よく真剣にお考えくだされば、私は私の考えに御同調願えるんではあるまいか、そのように考えておるのであります。(拍手)
 また、円高差益還元問題に触れられましたが、これはしばしば申し上げておるわけでありまするけれども、十分配慮をいたしておるわけであります。つまり、わが国の輸入構造というものは、八割までが原材料になっておるんです。この原材料の買い入れ価格が、円高の結果下がってきた。それはいま端的に卸売物価の低下となってあらわれておるんです。いま、世界じゅうがインフレ、インフレといって困っておる。そういう中で、わが国だけはとにかく卸売物価が一年間の間に三%近くも下落をするという状態になってきておるのでありまして、これは円高というものがかなりそのように響いてきておる。また、卸価格がそのような状態でありますれば、それもまた消費者物価にもはね返ってくるわけでありまして、消費者物価も、西ドイツと並んでわが国は最も安定した状態であるというゆえんのものをひとつよくごらん願いたいのであります。ただ、政府が関与する電力・ガス料金、そういうものにつきましては、これは割引をいたすことにいたしておりまするし、また、輸入牛肉差益の活用につきましても、これを実施し、なお、さらにこれを進めようといたしておりまするし、また、石油製品価格、配合飼料等の問題につきましても行政指導を強化いたしておるわけでありまするし、また、国際航空運賃につきましても、これは国際協定がありまして、わが国だけでは片づかない問題ではありまするけれども、国際協定の枠の中で、理解を得まして、何とかこれを実現をいたしたいと、そのように考えておりまするし、またさらに、全体の輸入の中ではわずかに二割でございまするけれども、いわゆる一般の消費物資、これにつきましては、企画庁を中心といたしまして、その価格調査、動向調査をいたし、また行政指導をいたしますとか、できる限りの配慮をいたしておりますが、なおこの上ともこれを進めてまいりたいと、このように考えております。
 公団住宅の問題につきまして触れられましたが、いま私は、この住宅の戸数としてはまあまあというところに来ておると、こういうふうに見ておるのであります。これからわれわれが顧慮しなけりゃならぬ問題は、これは住宅の質の問題、このようにとらえ、いま進めておりまするところの第三期住宅建設五ヵ年計画におきましても、住宅の質的向上という点に重点を置きまして、また、したがいまして、家族構成、居住地域の環境等を見ながら、いい環境の中で良好な、質のいい、良質な住宅が提供されるという方向で心してまいりたいと、このように考えております。
 また、公団住宅の値上げ問題にも触れられましたが、これは国会におきましても、建設省当局ずいぶん御協議もし、した結果のこの料率改定をいたしたわけでございますが、今後とも、一方において公団住宅の質の改善、向上を図り、また料金問題につきましても、皆さんの御意見も聞きながら、この誤りなきを期してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
 最後に、同和対策事業特別措置法を五年間延長すべきではないかという御所見でございます。この問題につきましては、所管大臣もきわめて積極的に取り組んでおります。私といたしましても、その重要性にかんがみ、一層対策の充実を図っていきたいという考えでございます。そこで、同和対策事業特別措置法の延長問題につきましては、各党間の協議の結果を尊重して決断いたす所存であるという旨をしばしば申し述べてきておるわけでありまするけれども、今日といえどもこの考え方には変わりはございません。この問題につきましても各党間の速やかな合意の成立を期待しております。その合意を尊重して所要の措置を講ずるという考えでございます。
 なお、自余の問題につきましては、所管大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 友好条約の締結については、仰せのとおり、多数の先輩初め皆様方の御努力の結果であります。
 御質問の第一は、この友好条約の二条と四条の関係であります。二条の前段では、日本と中国がお互いに覇権を行わないということを約束しております。後段では、覇権を行わんとする国または集団、これに対してはお互いに反対をするが、その立場はおのおのの立場で反対すると明確にしてございます。第四条では、特に、日本と中国の基本的な外交方針はこれによって拘束されるものではないと、こういうことで明確にしておるわけであります。これに対して、友好条約の締結については、主要なる国々はそれぞれ前もって、あるいは締結をしてから、詳細連絡をいたしてございますので、ソ連や直接関係のある国は別でありますが、大方の国はこれを評価し、歓迎をしていただいているところでございます。
 次に、ソ連との関係でありますが、これは、重要なる隣国であるソ連との関係を促進をし、これを緊密化することは重要な課題であることは、これまた仰せのとおりであります。この方針を貫いていくつもりでありますが、先般、ニューヨークでグロムイコ外務大臣と一時間二十分ぐらい会談をいたしました。
 まず十分間ぐらいは友好条約についての話がありました。そこで私は、この条約を読んでもらいたいと、こう言ったら、読んだと、こうおっしゃる。どこに反ソと書いてございますかと、こう言ったら、反ソとは書いてないが、おれの方と争っている国と友好条約を結ぶということ自体がおかしいと、こういう話でありました。そこで私は、しばしば説明したとおり、これによって日ソ関係が悪くなったり、あるいはソ連に敵対行為をとるものではない、あなたのおっしゃることで一つだけ私が納得できるのは、今後日本がソ連に対してどのような関係で交渉をしてくるのかこれを見守ると、これはあなたのおっしゃるとおりだと思う、そこで、あなたは、正月にお別れするときに、いろいろ問題が多いけれども、会ってしばしば話せば話は解決するよと、こう言われたじゃありませんか、われわれも進んでお話をしたいから、あなたの方もひとつ進んで話し合いをしてもらいたい、そこで、お正月の約束で、日本とソ連の定期外相会議、これでおいでになることに約束をしておる、日にちが決まっておらぬ、まあこういう際であるから、ぜひ早目に、年内においでを願いたい、こう言ったところ、まず、日中の問題はこれでやめようと。そこで、これから後の問題については、いま話があったけれども、行くことは決めておるが、この場でいつ行くということは約束はできない、なお、長い間の懸案になっておる、わが方の総理から、ソ連の最高指導者にぜひ御訪日を願いたい、こういうことを言っているが、これもぜひやってもらいたい、そのほか、経済問題あるいは約束をしておる事務レベルの協議会、こういうことは予定どおりに行くと。そこで、最後に話しましたことは、違いますことは、ソ連のグロムイコ外務大臣がおっしゃることは、日本とソ連の間をわが方は改善するとこうおっしゃる。私の方は悪いことやったわけじゃないから、従来どおりに友好関係を促進すると。この言葉の違いはありましたけれども、最後に、それでは日本とソ連は両方とも友好関係を促進をすることに合意かと、こう言ったら、それは勝手に言ってもよろしい、ただしこれはお互いの責任だ、こういうことで、共同の責任で日ソ関係は友好関係を促進していきましょうと。その際、善隣友好条約についての話が正面に打ち出されてまいりました。そこで私は、わが方の平和条約案は受け取っただけ、あなたの方の善隣友好条約案は受け取っただけと、こういうことになっております、しかし、外交慣例を無視して一方的に発表されたことは遺憾であるとこう言ったら、発表しないという約束はしなかった、こう言われるから、笑いながら、まあまあ過去のことはそれでいいでしょう、そこでわが方は従来どおり未解決の問題を解決をして平和条約を締結、それから友好条約と、こういう順序があるのであって、友好条約は断じて拒否しますと、そういう気持ちは私にはありません、順序があることと、さらに、いま出された友好条約の内容には反対であります、そこで最後に、両方の責任で日ソ友好関係を進めていこう、こういうことになったわけでありますから、いろんな具体的な問題、あるいはそれぞれ指導者との会談を重ねることによって、私は漸次粘り強く日ソ関係は進めていきたいと考えております。
 次に、朝鮮の問題でありますが、朝鮮の問題は、私が外交方針演説で述べましたとおり、朝鮮半島における平和と安定を願い、両方が対応のできるような、そして両方が話し合いができるような国際環境をつくることにわれわれは希望を持っているわけでありまして、北朝鮮とは、漁業問題その他の問題と、仕事があるごとに私は相互理解を深めていきたいと考えております。
 なお、「北朝鮮」という言葉を使ってけしからぬというお言葉で恐縮をいたしております。わが外務省は、公文書その他いままでの演説でもしばしば「北朝鮮」と使っております。米国、英国、西独、東独及びソ連、中国も演説では「北朝鮮」という言葉を使っておりまするから、これが失礼になるとは私は考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣金丸信君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(金丸信君) 自衛隊は、外部からの武力の侵略に対しましてわが国を防衛することを主たる任務といたしておるところで、通常兵器による限定的な侵略事態に専守防衛を本旨として対応することであります。また、わが国は、従来からソ連、中国等、体制を異にする諸国をも含め、世界各国各地域との関係及び相互理解を増進することを基本方針としております。特定の国または地域に対抗する防衛力を整備するとか、訓練をするということはしておりません。なお、今日わが国に対して侵略の具体的脅威が存在するとは考えておりません。
 また、瀬谷先生から、先般の飛行機の墜落事故につきまして、米軍の事故とあわせまして、飛行場等施設を変えたらどうかというお話があるわけでありますが、狭山に落ちました、また入間の基地その他あの周辺にもいろいろ基地があるわけでございますが、日本の平和と安全、独立を確保するためにはこれは必要でありますし、また、米軍関係の基地につきましても、条約を履行する義務という点から言いましても必要であります。
 ただ、とうとい人命のために、密集地の飛行等にはどのような方策を講じなければならぬかというようなことにつきましては、最善の努力を今後ともいたしてまいりたいと思うわけであります。(拍手)
   〔国務大臣村山達雄君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(村山達雄君) 私に対する質問は、不公平税制の是正の問題と、貸し金業者に対する対策いかんと、こういうお話でございます。
 不公平是正の問題につきましては、主として言われますのは二つありまして、いわゆる医師優遇税制というものをどうするかという問題でございますが、この点は、しばしば申し上げておりますように、わが党におきましては、現行の制度は今年度限りとして所要の措置を講ずると、こういうことになっております。したがいまして、政府におきましても、これと対応して所要の措置をとってまいりたいと思っております。
 いわゆる企業課税に対する不公平税制の問題でございますが、この点はいろいろ見解が分かれておりまして、私たちは、個人、法人の二重課税是正のための仕組みであるとか、あるいは所得計算の合理性に関する引当金の問題、これは本来は不公平税制とは考えていないということをまず申し上げておきます。
 自余の、税制に関する公平その他の基本原則というものを政策上の理由で特別措置を設けているものをわれわれはいわゆる不公平税制と言っているわけでございますが、これはもう御承知のように、五十一年度以来鋭意縮減してまいってきたところでございます。この点は今後もさらに一層この問題を詰めてまいりたいと思っています。
 それから、いわゆるサラ金業者の問題でございますが、大蔵省は所管官庁として少し怠慢なんじゃないかと、こうおっしゃいますけれども、実はこういうことになっているわけでございます。
 いわゆるサラ金業者というものは、一般の預金を集めるわけでもなし、債券を発行するわけでもございません。したがって、信用機関ではないのであって、自己資金を貸すということで、いわば自由営業の分野に属しているわけでございます。それに関する規定といたしましては、利息制限法が一方にございまして、これは、年利で二〇%を超えてはいかぬと、こういう利息制限法の規定がございます。一方、出資に関する取締法がございまして、これは、日歩三十銭を超えて貸すと処罰の対象になりますと、こういうことになっております。大蔵大臣は、指導監督の権限はございませんが、実態調査をする権限を持っております。しかし、何分にも十七万ということでございますので、この権限は、現在都道府県に委任されているという現況でございます。
 こういう法制の中でいわゆるサラ金業者の問題は起きているわけでございまして、主としてその日歩三十銭というものは余りにも高利ではないか、年利に直せば一〇〇%を超えているんではないか、これはもうちょっと下げなくちゃいかぬのじゃないか、あるいはまた、いわゆるそのグレー・ゾーンの問題にしても、取り立ての仕方が非常に暴力的であるとか、こういう問題がある。さらには、いろいろの御意見がございまして、いまは指導監督の権限はないんだが、指導監督をすべきではないか、そのためには、登録制がどうであろうとかこうであろうとか、いろいろ論議が交わされているわけでございます。
 一方におきまして、借りる方の側にもいろんな問題があることは御承知のとおりでございます。これに対処いたしまして、政府は、昨年の九月以来、十数回にわたりまして関係省庁の間の打合会を開いております。実態調査の取りまとめが近く済む予定でございますので、各省間で鋭意この問題を詰めてまいります。大蔵省といたしましても、通常国会までには何らかの立法措置を含めて対策を講じたいと考えているということを申し上げたいと思います。それまでの間、われわれはいま法律的に行政指導の権限はないのでございますが、事実上のやり方といたしまして、府県を通じまして、それから全国庶民金融業協会というのがまたできております、そういうものを通じまして、とりあえずいろいろな行政指導、事実上の指導を行っております。これは先般通達で出したところでございますが、貸付条件のようなものは年利ではっきり示すこと、それから、貸付条件その他すべてはっきりさせて、それを契約のときに交付すると同時に、割賦でもってどんどん返済を受けたときには、いついつこれだけもらいましたというようなことをすべて明らかにするように、いま行政指導をしております。
 別途、われわれは、普通の金融機関が小口のものに対して健全な消費者ローンをすることを望んでおりましたが、幸いにいたしまして、いわゆる応急ローンの制度が先般発足いたしました。これは無担保、無保証で二十万円までは貸します、利率も非常に安いものでございますが、これが発足いたしましたので、これも、言いますれば、現在貸金業者に泣かされておる人たちには相当のプラスになるんじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。しかし、これはあくまでも法律をつくるまでの暫定措置でございまして、おっしゃるように、私たちも問題点はよく理解しておりますが、困難な問題ではございますけれども、関係省庁と鋭意詰めまして大蔵省としても立法措置までこぎつけたい、かように考えているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(櫻内義雄君) まず、三全総と定住圏構想についてのお尋ねでありますが、過密過疎問題を解決する上に、大都市地域への人口、産業の集中を極力抑制しまして、他の地域への定着を図ることが肝要であることは言うまでもないと思うのであります。そのために、工業の地方分散を一層促進するとともに、大学等の高等教育機関、高次の医療機能、文化機能等の適正配置を進めてまいりたいと思います。
 次に、大都市地域において大地震が発生した場合のお尋ねでありました。
 その被害想定あるいは対策については研究を進めているところでありますが、昭和四十六年、中央防災会議において大都市震災対策推進要綱を定め、これに基づいて防災体制の整備、都市防災化事業の推進等の各種の対策を進めているところでございます。
 なお、首都移転について触れられましたが、首都東京には現在各種の中枢管理機能が集中しておりますが、過密問題に対処するとともに、大震火災対策等防災上の見地から、このような東京一点集中型の国土利用の構造を根本的に再編成することは重要な課題であると考えております。首都機能の移転は、政治、行政、経済等わが国の社会全般に大きな影響を与えるものであるので、長期的展望に立って、真剣に検討を進めてまいりたいと思います。(拍手)
#17
○議長(安井謙君) 瀬谷英行君。
   〔瀬谷英行君登壇、拍手〕
#18
○瀬谷英行君 答弁に不十分な点がございますので、再質問いたしたいと思います。
 私が申し上げたことは、観念的な、あるいは抽象的なお答えでは困ると冒頭にお断りしてあります。特に、有事の可能性については一体あるのかないのか、あるとすれば、どこの国との間に、どういう事情、どういう理由によって有事の可能性があるのか答えてもらいたい、こういうふうに言ったんであります。それが答えられないならば、じゃ具体的にソビエトあるいは朝鮮民主主義人民共和国、これらの国々との間に有事の可能性があるのか、あるんならばどういうわけだと、こういうふうにさらに具体的に突っ込んだわけであります。もし有事の対象国というのは答えられないというならば、なぜ答えられないのか。漠然と有事という事態があるかもしれないからということで有事立法などを準備されては迷惑千万であります。したがって、もし有事の対象国はないんならない、あるんならば具体的にどこだ、もしそれにも答えられないならば、ソビエトあるいは朝鮮民主主義人民共和国は有事の対象国としては考えていないんならいないと、はっきり言ったらどうでしょうか。その点は、国権の最高機関である国会ではっきりと答える義務があると思うのであります。その点を再度明確にしていただきたい。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(福田赳夫君) 有事の可能性はあるのかどうかというお尋ねでございますが、有事の可能性のないことを私は希望はします。希望はしますけれども、その可能性がないとは言い切れない。これはもう日本のこの狭い社会だってそうじゃありませんか。殺人ということはあるかないか、殺人のないことは希望しますけれども、そういうことがあり得ることも考えておかなけりゃならぬ、こういうことであります。
 いま、ソビエトあるいは北朝鮮を目当てにして有事有事と言っておるのかというようなお話でございますが、そういうことじゃないんです、これは。世界はどういうふうに変わっていくかもしらぬ。まあ聖人君子の国ばかりじゃありません。何か不心得な考え方を起こす国があるかもしれない。これはこの日本社会の中と同じですよ。そういうあり得る事態に備えまして、八方をにらんで万全な備えをしておくということでありまして、どこの国はどうだからこの国を目当てにいたしまして備えをするんだと、さような考え方ではないということを明快に申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(安井謙君) 長田裕二君。
   〔長田裕二君登壇、拍手〕
#21
○長田裕二君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、当面の内外の重要施策に関し、総理並びに関係閣僚に対し若干の質問をいたすものであります。
 五年前の石油危機をきっかけとして起こった世界の経済的混乱はいまだ収拾されるに至らず、今日、各国は資源・エネルギー問題を初めとして、南北問題、長引く不況、インフレ、貿易、通貨の問題など厳しい環境に直面しておりますが、これらの解決は国際的な協調と連帯なくしては不可能であります。
 総理は、就任以来国際外交に熱意を示され、昨年に引き続き、日米会談、主要先進国首脳会談、さらには中東訪問と、文字どおり世界を駆けめぐり、列国首脳と胸襟を開いて積極外交を展開しておられますほか、さきには日中正常化以後最大の懸案であった日中平和友好条約の調印を果たし、間もなく両国間で批准書の交換が行われますことは、わが国外交の基本原則である全方位外交の輝かしい成果であると思うものであります。
 今日、政治、経済の両分野で行き詰まりを見せている国際情勢は、自由世界第二位の経済力を持つわが国に寄せる期待をきわめて大きくしており、わが国としてはこれに積極的にこたえていくべきであると思いますが、総理は、今日の世界経済の停滞の原因をどのように把握され、それに対して日本並びに世界各国がどのように対処して繁栄を招来することができると考えておられますか。あるいは、今日の停滞は今後長く続く混迷沈滞の始まりであると考えておられますか。世界経済の現状及び将来に対する御見解をお伺いいたします。
 さて、この臨時国会の最重要案件の一つである日中平和友好条約についてでありますが、日中共同声明が発せられたのはちょうど六年前のきょうであります。その共同声明の原則に基づき、去る八月十二日、日中平和友好条約が署名調印され、ここにその承認を求める国会審議を迎えましたことは、わが国外交史上きわめて意義深いものがあります。ここに至りますまでの福田総理の決断、園田外務大臣を初めとする外務省当局の長い御努力に対し深甚の敬意を表するものであります。
 さて、本条約の意義について伺いますが、わが国は平和に徹し、いかなる国とも敵対的関係をつくらず、軍事大国にならぬことを国是としていることは御承知のとおりであります。
 条約交渉に当たって、わが国はこの全方位外交を基本原則とし、中国側は反覇権を基本姿勢として強く主張したのでありますが、結局、双方が互いに相手国の立場を理解して妥結に至ったものであります。
 しかし、世上一部には、共同声明と本条約とは実質的にどう違うか、なぜ急ぐ必要があるのか、ソ連を敵に回すような外交はとるべきでない等の意見もあります。条約締結の意義及び効果について総理及び外務大臣より御説明願いたいのであります。
 また、調印されました条約の評価については、わが国内においては大方の人々が日中新時代の到来として高く評価しているのでありますが、外国においては、本条約は、反覇権条項、第三国条項の表現いかんにかかわらず、ソ連を念頭に置き、ソ連のアジア進出を阻む中国の世界戦略の一環であって、その点において中国は歴史的な大勝利をおさめたなどと言う向きもあります。これら諸外国の評価について外務大臣はこれをどう受けとめておられるか、お尋ねいたします。
 次に、最大の対立点であった覇権問題についてでありますが、本条約の特色は、反覇権条項が条約本文第二条に規定されておる点であります。
 わが国としては、それに対する歯どめとして第四条に第三国条項を入れたことにより、わが国の基本的立場が将来にわたって確保されたものであると考えますが、しかし、十六回に及ぶ両国外務当局の話し合いが難航したのもこれが最大の対立点で、中国は交渉の過程で覇権主義について強い主張を行っていたのであります。最終的には、園田外相の訪中、華国鋒主席、ケ小平副総理の決断により、首尾よく合意を見たわけでありますが、ソ連国営のタス通信は「日本は中国に屈服して、反ソを意味する反覇権条項を含む条約を結んだ」、あるいは「第三国条項は幻覚である」と批判しておりますほか、香港の一部の新聞や人民日報も、日中条約の特徴は反覇権であると論評しております。
 元来、条約をどう解釈するかは締約国の主権的行為でありますから、一々よその論評を気にする必要はないと思うのでありますが、反覇権条項に関連して日中双方に認識、解釈の相違はないのかどうか、二条と四条との関連等について外務大臣の明快な御説明を求めたいのであります。
 尖閣諸島は明治二十七年に日本領土として宣言され、幾多の事実に照らしてもわが国の領土であることは歴史的に明白でありますが、今回の交渉で、外務大臣からの申し立てに対し、中国政府は、再び先般のような事件を起こすことはないと申したと言われ、またさらにいろいろ報道されている点もあるようですが、尖閣諸島の領土問題についてどのようなやりとりがあったのか、それをどういうふうに理解しておるか、この点は将来日ソ間の領土問題にも影響を持つことになりかねませんので、明確な答弁をお願いしたいのであります。
 なお、尖閣諸島が日本領土であることの国民的コンセンサスは十分できていると思いますし、政府の実効的支配をさらに明確にするための措置も進められたらと思いますが、外務大臣いかがでございましょう。
 次に、経済協力について伺います。
 東南アジアとは、同じアジアに住む国家、民族として、これまで平和と繁栄を分かち合い、心と心の触れ合いを持って相互信頼を図ってまいりました。これらの諸国は日中条約の交渉の推移に多大の関心を寄せていたところでありまして、今回、わが国が中国自体の覇権を予防する配慮をしたということに安堵の気持ちを持っているものと考えますが、これからの日中間の経済協力関係の推移が東南アジア諸国にどう影響するのか、注目しているところであります。
 特に、アジア諸国はわが国と経済の面で深い関係があるだけに、急激な円高により日本からの輸入品価格が上昇しているほか、輸入インフレが進み、将来、円借款を返済する場合の負担が重くなるのではないかと懸念されるのであります。今後わが国は、中国を初め東南アジアの国々に対し、どのような経済協力の方針で臨むのか、外務大臣にお伺いいたします。
 さて、ソ連との関係でありますが、これまで、日中条約を締結すれば対日政策の修正もあり得るとか、必要な対応措置をとるとしていたソ連は、いまのところ直接強硬な措置をとる態度でなく、わが国の出方を見守っているようであります。これは、日本はソ連を敵視するものでなく、条約締結にかかわりなく、ソ連を初めいかなる国とも友好関係を進めるという姿勢がそれなりに評価されたものと思ってよいと考えるのであります。これからの外交上の最大課題は、申すまでもなく、ソ連との間に北方領土問題を解決して平和条約を締結し、日ソ関係を真に安定した基礎に乗せることでありますが、今後の対ソ政策をどう進めるのか、総理及び外務大臣の所見を伺いたいのであります。
 次に、経済財政問題について伺います。
 その第一は、当面の景気対策であります。
 福田内閣の当面最大の責務は、いまや国際的公約となっている実質成長率七%の達成であります。この目的達成のため、政府は、五十三年度予算を昨年の第二次補正予算とつなぐ十五ヵ月予算とし、公債依存度と公共投資の大幅な拡充を内容とする異例の予算編成を行って、その前倒しを図ったのであります。この結果、本年一月以来、緩やかながら経済は上向きとなり、個人消費、民間投資など国内需要も拡大の気配を示しております。しかし、その反面、異常な円高と貿易の自粛によって、輸出は数量ベースで次第に減少し、最近では前年比マイナス八%となっております。このため、生産活動は停滞ぎみとなり、もしこのまま放置するならば、せっかく盛り上がり始めた経済活動の芽を摘むことが危惧されるに至りました。かかる観点から、政府は、今月二日、総合経済対策を打ち出し、事業規模二兆五千億円の補正予算を編成、今国会に提出されましたが、これは、まさに適切な対応と申すべきであります。しかし、これらの対策で七%成長が達成できるかどうか。これについてはなお経済界や野党の一部に疑念を表する者が見受けられますので、ここに改めて、七%の目標達成についての不退転の決意を総理より表明願いたいのであります。
 これと関連してお伺いしたいことは、五十四年度以降の経済見通しであります。政府の公約どおり五十三年度七%成長を達成したとして、五十四年度あるいはそれ以降の見通しが不明確であっては、産業界になお残っている減量志向を払拭することはできません。私は、少なくとも五十四年度も五十三年度程度の内需中心の経済拡大を行うべきであると考えますが、総理は五十四年度経済をどのように運営なさるおつもりであるか、その概括的な方向をお示し願いたいのであります。
 また、政府は新たな中期経済計画の立案に着手いたしました。昭和五十年代前期計画はおととし五月策定され、その後の経済政策の指針となってきましたが、経済情勢の推移により実情に適さなくなった点も見受けられますので、この際、計画を改めて見直し、わが国経済社会の体質改善を行い、持続的な経済成長を達成するための新たな展望を国民に示そうとすることは時宜にかなった措置であると思います。そこで、新計画の目標及び主たる方向を総理よりお示し願いたいと思います。
 第二は、現在の異常な円高と、それに伴う対策についてであります。
 政府は、五十三年度の経常収支目標を六十億ドルに置き、その達成のため、財政による内需の拡大と同時に、輸出伸び率ゼロというかつて例のない輸出抑制の国際収支対策を講じてまいりました。この結果、四月以降輸出数量が鈍化し、前年比でマイナスという状況になっておりますが、ドルベースに換算すると、八月末で八十一億ドルの黒字に達し、政府の経済改定見通しでも百三十億ドル程度に修正されております。これを反映し、月平均の為替レートは、四月の二百二十一円から八月には百八十八円と、三十円以上も切り上がって、輸出産業はもとより、その関連産業は昨年同様の急激なショックに追い込まれております。このような円高の原因は、わが国の国際競争力の強さを反映するものではありますが、反面、米国の国際収支の過大赤字にも求められるべきであります。アメリカ国内のインフレの進行に伴うドル安が、日本の輸出数量減少にもかかわらず、ドルベース金額を増加させるという見せかけの黒字となり、それがさらに円高を招いているのであります。私は、政府が、国際収支の状況から発生している円高と、産業界の現状を踏まえ、率直にアメリカにドル価値安定のための対策を強く求めるべきだと思いますが、総理の所信を伺うものであります。
 また、円高により、輸出企業、なかんずく中小企業は経営困難に落ち込んでおります。ごく最近通産省が行った七十九の輸出型産地調査の結果によれば、輸出換算レートは二百二十円と、現実の為替レート百九十円ないし百八十円に対し、大きな隔たりを示しており、生産コストの引き下げを初め、考えられる限りの経営努力を払っているものの、円の急騰に追いついていけないことを訴えております。為替レート上昇の結果、輸出成約が産地の約半数で前年比五〇%減少し、もし百八十円のレートが継続されるなら、産地の休業、倒産の発生は累増するものと見込まれております。このように、円高は特に中小企業などに大きな不安を与えていることから、速やかに為替レートの行き過ぎを是正し、その安定化を図るべきであると考えますが、政府としての御所見を伺いたいと思います。
 また、すでに総合経済対策におきましても、各種の中小企業円高対策が講じられておりますが、これら施策を早急に強力に展開されんことを切望いたします。
 第三に、雇用対策について伺います。
 わが国経済は、その安定成長への移行の過程で、企業が一般的に減量経営を余儀なくされる一方、構造不況、円高による輸出産業の不振等、雇用問題をめぐる情勢はまことに厳しいものがあります。すなわち、最近の雇用情勢は、完全失業者が百二十万人を超え、有効求人倍率も〇・五四と、求職者二人に求人が一人、特に中高年齢者は五人に一人しか就職できないということから、失業者及びその家族の生活は暗黒なものとなり、ひいては社会不安を醸しかねない状態であります。そうした中で、欧米の数倍のスピードで高齢化が進む一方、新規学卒者が着実に社会に進出してくることを考えると、わが国の雇用問題はきわめて深刻な情勢に直面していると言わざるを得ません。これに対して、政府は当面、円高、構造不況等、経済事情の激変により特定地域または特定業種で著しい雇用情勢の悪化を招いているものについて、集中的にその対策を準備しているようでありますが、この際、その主な内容を明らかにしていただくとともに、今後、国民生活の高度化、多様化に伴い、ますます社会的ニーズの高まってくると思われる社会福祉、保健衛生、教育等の部門への新しい雇用創出のための長期的展望と、できれば具体的施策をお示し願いたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 第四は、今後の財政問題についてであります。
 今回の補正予算は、ともすれば輸出主導型になりがちだった日本経済を、国民福祉重視、内需中心の経済構造に転換する対策が含まれているのが大きな特徴であります。すなわち、道路、橋など、大型の土木中心的な投資から、学校、病院、社会福祉施設、住宅など、教育、生活環境関連の社会資本等の充実の改善を図る、いわゆる総理の提唱された第三の道が採用されていることであります。諸外国に比較し立ちおくれの目立った社会資本不足の現状から見て、今後ともこの方針が一層促進されるべきであります。新しい国づくりのため、今回の第三の道が来年度以降の予算にも継続して進められれば、内需拡大による経済の成長と国民福祉の充実という一石二鳥の効果を生み出すことが期待されるのであります。現在検討中の明年度予算についても、この考え方を踏襲し、予算の骨格とすべきものと考えますが、総理の見解をお伺いいたします。
 これに関連し、お伺いしたいことは、財政の健全化についてであります。
 わが国財政の国債依存度は、補正後で三四%に達し、英、米の一八%、西ドイツの二一%と比較し、高い水準にあります。低速経済を安定成長の軌道に乗せる過渡期の手段として公債を活用していくことはやむを得ない措置と思いますが、将来、経済環境に対応して国債の発行を縮減するという財政健全化への努力も忘れられてはなりません。今日、四十兆円を超す国債発行にかかわらず、国債を増発して国民の消費刺激を行えという声がないではありません。しかし、資産を残す建設国債ならまだしも、単なる消費のための減税財源に充てるため赤字国債の増発を行うことには、財政の節度を守る立場から反対せざるを得ません。そういう意味で、野党からの強い減税要望に政府がくみしなかった見識に敬意を表するものでありますが、公債発行下の減税について総理の御所見を伺いたいのであります。
 現在、政府の税制調査会では、大量の公債に依存するという今日の財政体質を改善して、国民経済の健全な発展に資するため、一般消費税の導入について検討が行われ、さきにその試案も発表され、大いに論議を呼んでいるところであります。多様化した国民のニーズにこたえ、社会保障の充実や社会資本の整備などの財源を確保するために、いつかは将来国民各位に応分の負担を求めなければならないことは明らかでありますが、これには時間をかけ慎重に検討し、不公平のないよう十分な理解とコンセンサスを得た上で対処すべきだと存じます。
 なお、これにこたえる意味からも、厳しい財政事情のもとでは、補助金を初め歳出の節減、合理化に政府は今後一層積極的に取り組むべきことは申すまでもないことで、民間企業が血みどろの苦しい経営を続けているのに対し、政府が従来の高度成長時代の惰性と慣行に流された行政体制に安住することがあってはなりません。高度成長時代に培われた慣習、制度の見直し、歳出の合理化等を大いに推進すべきであると考えますが、同時にまた、新情勢に対応する必要な諸施策を果敢に取り上げる配慮も必要かと思います。これについて総理の御所見を伺います。
 次に、元号について伺います。
 今日、元号はその法的根拠を失い、事実たる慣習として残されておりますものの、広く国民の間に定着し、政府の世論調査では八割がその存続に賛成し、四十三都府県で決議が行われております。政府は、元号を制度的に存続させる方向を示しておりますが、法制化するか内閣告示によるかは、まだ決定を見ておりません。私は、元号は、わが国の民族的、文化的遺産であるばかりでなく、将来のわが国社会でもまことに有用な制度として存続すべきものだと思いますが、内閣告示では権威と安定性に欠けるところがあり、事柄の重要性から考え、堂々と法制化を図るべきであると思います。(拍手)この問題についての総理の御所見を求めるものであります。
 次は、防衛問題でありますが、まず有事法制について伺います。
 緊急事態に際して自衛隊がその任務を円滑かつ効果的に遂行し得るために、法制上の問題を初め、各分野の国防上の検討を平素から進める必要があることは、防衛白書の指摘を待つばかりでなく、当然のことであります。不幸にしてわが国に対し武力侵略があるような非常事態に際し自衛隊が行動する場合の特別の措置については、現行の自衛隊法でかなり規定されているようでありますが、これを具体的に運用、施行するに必要な政令は、まだ制定されていないものもあるようであります。栗栖前統幕議長が、防衛出動下令以前の奇襲に対処する法的根拠の問題を指摘して以来、自衛隊の奇襲対処と、昨年来防衛庁において研究している有事法制の問題をめぐり、目下各方面で論議が活発に行われており、防衛庁の研究は相当進み、立法化の段階にあるとか、言論統制や徴兵制がその内容になっているとかの報道もあります。その実情について、念のためお伺いいたします。
 私としては、有事の際の問題点の検討は、国家民族安全確保の上から、絶えずしっかりとこれを進めるべきことは当然だと思います。これらの問題についての総理及び防衛庁長官の所信をお伺いいたします。
 次は、自衛官の定年制の問題でありますが、自衛官の退職者のうち、五十歳で定年退職する者は約九〇%を占めております。近年における経済社会の状況から、五十歳という時期はライフサイクル上、経済的に最も負担が多く、さらに将来に対しても非常に不安の大きい時期であるにもかかわらず、退職を余儀なくされている現状は、隊員にとって相当厳しいものであると思うものであります。一般社会における定年の趨勢、高齢者の労働能力の向上、平均寿命の延伸、安定成長下の雇用情勢等を考慮すれば、この際、自衛隊員の定年年齢を改善すべきだとも思いますが、一方、本来の防衛任務の特殊性から、自衛官の定年についておのずから制約のあることもまた当然かと存じます。いずれにいたしましても、一たん火急のときは身命を賭して祖国防衛の任に当たる自衛官に対しては、在官中、心置きなく任務が完遂できるよう、定年延長を検討されたいと思います。また、定年延長がその職責上不可能であるか、または短い延伸しかできない場合には特別の配慮が必要だと思いますが、これらの点につき防衛庁長官の所見をお伺いいたします。
 次は、三全総をめぐる農山村対策であります。
 政府は、さきに第三次全国総合開発計画を策定し、その中で、農山漁村地域を国民の食糧や木材の供給、自然環境、歴史環境の保全、水資源、森林資源の維持培養、大気の浄化作用等の機能を担っていると位置づけ、農山漁村がその機能を発揮するためには、地域住民の定住に対する期待にこたえ、将来を担う若い人々を含め、住民が安んじて定住し得るよう、その生活環境、生産基盤、就業機会などの基礎的条件を改善し、若い人々にも魅力ある健全な地域社会を形成する必要があるとしております。ところが、現実には、同計画も指摘しているように、零細な経営のもとで全国的な生活水準の向上に対応するため、兼業化が急速に進み、さらに、農業労働力に占める婦人、老人の割合が高まり、同時に、若年層を中心に人口の流出が続き、均衡のとれた地域社会の維持発展が困難となり、企業の地方分散も期待どおりまいらず、いわゆる過疎問題として政策課題となっています。
 特に、日本農業の中核となっている米作については、機械の導入により、所要労働日数は著しく短縮されながら、ほかに商品性のある作物を栽培することは、国際価格との関係で非常に困難になってまいりました。その上、米自体の供給は、連年の減反調整、これはある意味では農業者精神の自殺行為にも通じかねませんが、それにもかかわらず減少の傾向をなかなか見せません。他方、米の需要は年々減少して、この秋には五百万トンをはるかに超える過剰米が出ると言われ、日本農業は前途に明るい光を見ることが次第に困難になってまいりました。それどころか、日本の第一次産業への就業率の低下は、ほかの国々にも見られる一般的傾向とは異なり、ゼロへ向かっての一里塚ではないかとさえ憂慮されるのでありまして、かくては国土の荒廃を来し、日本の食糧問題はもちろん、民族の前途にとってもゆゆしい事態であります。
 この米に対する需要減退の原因は一つだけではありませんが、最大の原因は、学校給食がパンを主体とし、それがさらにまたその後の米離れの食習慣を定着させるからであることは、多くの人々の認めるところであります。学校給食の沿革や米飯給食が手数のかかることなど、いろんな事情はありましょうが、給食を受ける生徒諸君も米食を強く希望しているようでありますし、炊飯設備の改善も著しいものがあります。政府におかれては、総合的な見地から、学校給食における米飯の比率を飛躍的に高めるべく、長年にわたる給食制度への貢献者たる製パン業者等への配慮をも含め、米飯給食の施設整備費の大幅な助成等、適切な措置を講ぜられたいと思います。これについての総理及び文部、農林水産両大臣の御所見を伺います。
 次に、日本の森林が国土総面積の六八%を占めていることは御承知のとおりでありますが、そのうち大部分を占める私有林と国有・公有林を通じ、人工林が全国土の二六%、雑木林は四二%を占めております。国土の半ば近くを占めるこれら雑木林は、昔は薪や木炭として農山村経済を支える大きな柱でありましたが、エネルギー革命の結果、現在は春の若葉、秋のもみじとして目を楽しませてはくれますが、経済的には、シイタケ栽培の素材やパルプ用チップなどとして使用されるにとどまり、著しくその経済価値を失って、農山村の過疎化、斜陽化の大きな原因となっております。また、人工林について見ても、すでに早い時期からの輸入完全自由化や石油ショック後の木材需要の減退、円高にもよる安い外材の大量輸入等により、造林意欲が失われるに至り、このまま推移するならば、山林、ひいては国土の荒廃はもとより、林業関係者が農山村から消滅し、わが国林業は再起不能に陥るおそれなしとしません。しかも、日本の外材輸入先の木材資源の状況は次第に変わってきており、すでに東南アジアにおいては枯渇しつつある状況であります。将来を考えれば、いまのように外材が安く豊富に輸入される見通しは全くないのであります。
 以上の状態を考え、さらに日本農業が米作中心に先細りの傾向にあることをもあわせ考えるならば、伐採後放置されている山林へ植林することはもちろん、雑木林を人工林化することを今後計画的に推進することは、わが国の将来にとってきわめて重要であります。同時にまた、農家経営を多角化し、豊かにするとともに、林業専業者の将来をも明るくし、農山村定住化を促進することにもなります。土に親しみ、自然とともに生きることを念願する青年子女は今日必ずしも少なくはありませんが、経済生活が成り立たないため、前途に希望が持てないために農山村を去り、あるいは農山村に帰省することをちゅうちょする例も少なくありません。
 この際、総理、農林水産大臣、大蔵大臣におかれましては、いわゆる第三の道の中に、あるいは第四の道として、植林面積の計画的、積極的な拡大を取り入れ、補助金を初め長期低利の融資の大々的な導入等を進められ、日本の国土の三分の二を占める緑の地域に新たな経済価値を加え、明るさを取り戻していただきたいと思います。西郷南洲は、私心を去れという趣旨で、子孫のために美田を買わずと申しました。民族将来のために美林を残されんことを心から要望いたしますとともに、総理並びに農林水産大臣の御所見を伺います。
 最後に、文教の当面する課題についてお伺いいたします。
 教育は、将来にわたるわが国発展の根幹をなすものであり、わが党としても、教育の振興は国政永遠の重要課題としてかねてから意欲的に取り組み、幾多の改善施策を推進してきたところであります。
 総理が、所信表明において、人づくりを国政の根幹に据え、二十一世紀を担う創造力に富むたくましい日本人の育成を強力に推進されようとしていることは、まことに時代の要請に応じた卓見と申すべきであります。今日、わが国の産業の一部は著しく国際競争力を強め、日本の国際収支の大幅な黒字を招来し、これが国際経済上の大きな問題となり、今回の臨時国会開催の大きな動機にもなっている次第ですが、これは一面、明治以来のわが国の教育がその成果を上げた結果であって、資源の乏しいわが国の経済的基盤を強固にし、また、安く良質な製品を人類に提供して、その物質的な生活向上に貢献しているということにもなる次第であります。
 米と野菜しか自給できないわが一億一千万余の国民が永く豊かな生活を続けるためには、いままで築き上げてきたその教育成果を、目前の若干の国際的批判などのためにこれを否定的にとらえることなく、将来とも工業生産力の維持発展と科学技術の水準向上に努める必要があると思いますが、日本の学術振興、高度な科学技術水準の維持等についていかなる施策を用意しておられるか、総理及び文部大臣に伺いたいと存じます。
 同時に、力を持つ者には一層の自省自戒が要求されることは当然であります。さらに、一般的に申しても、いま私ども日本人に特に必要なことは、相手の立場を理解し、必要に応じて協力し援助するという豊かな明るい人間性の涵養と強健な心身を育てることだと思います。これの成否は、ひとえにかかって教育いかんによるものであります。
 先般決定されました小・中・高等学校における指導要領の改正なども、「ゆとりのある教育」を通じて、知・徳・体の調和のとれた児童生徒の育成を図ることを目指しておられるようで、きわめて時宜に適したものと考え、その実施を待望しているものであります。このためには、家庭教育とあわせ社会教育も重要ですが、学校の先生の果たす役割りは特に大きく、新しい指導要領の成否は、一にかかってその点にあると申しても過言ではありません。教育の場に広く人材を求めるとともに、教師の資質を向上させることは、いまや国民的な強い願望、要請であります。これらについての総理の御所見と具体的方策についての文部大臣のお考えを伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず第一に、世界経済の現状、またその将来をどういうふうに展望しておるか、このようなお話でございますが、私は、石油ショック後の世界情勢全体を非常に憂慮いたしておるんです。あれから五年目になりまするけれども、まだ、先進工業国におきましても、どの国をとりましても、あの受けた傷跡、これを治すことができない。インフレで弱っておる国もあります。あるいは国際収支の赤字で弱っている国もあるわけであります。また、おしなべて雇用問題では大変みんな苦悩をしておる。こういう状態でありまして、この状態が放置されますと、ひょっとすると、これはナショナリズム、経済的ナショナリズム、それをさらに超えて、政治的ナショナリズムというような動きになりかねない。私どもは、そういう傾向というものがどんな悲惨な結果になるのか、これはもうすでに第二次世界大戦争前後の経験でよく知っておるわけでございまするけれども、どうも放置するとそういう危険性をはらんでおる、そういう世界情勢と見ておるんです。
 しかし、そうあってはならないわけであります。そこで、先進主要国首脳会談が開かれる。そこで、ことしは西ドイツのボンでこれが開かれたわけでありまするけれども、議題となった問題は、失業、そのための景気、インフレを一体どうするかという、そういう国内経済のかじの取り方の問題、それからもう一つは、ただいま申し上げましたような経済ナショナリズム、つまり保護体制、これを回避するために通商上の摩擦調整をしなけりゃならぬ、こういう通商問題、それから第三の問題は資源・エネルギーの問題でありまするが、特に核エネルギーをいかに平和的に利用するかという問題、第四は南北の問題。南の国は非常な困窮状態です。先進主要国が混乱しておる。まして力の弱いこの南の国々というものの困窮は、これは名状しがたいような状態だと。それにどういうふうに先進主要国は対処するかという問題。第五に、これは去年までは論ぜられなかった問題でございまするけれども、通貨不安という問題であります。
 そういうむずかしい問題を抱えながらのボンの首脳会談でありましたが、この会談では、とにかくどの国もどの国もが自分のできる最大限のことをしようじゃないか、そういうことによりましてこの危機を回避しようということになり、アメリカといたしましてはインフレ抑制対策をとる。またエネルギー、いまエネルギーの輸入が非常に多いわけでございまするけれども、この輸入を抑制するための実効の伴う手段を講ずる。それから西ドイツにおきましては、物価は安定いたしておりまするが、それを背景としてさらにGNP一%程度の成長を上乗せをするというための財政上の施策をとる。わが国に対しましては、とにかくあの膨大な黒字を縮減すべしという、そういう要請、期待が非常に大きかったのであります。私はそれに対しまして、黒字の縮減に努力します、そのためには内需の拡大をいたします、昨年の経済成長に比べて、ことしはさらに上積みして一・五%程度の成長を実現をいたしたいという考えを明らかにしておるわけでありますが、日、米、独ばかりじゃありません。その他の国々もおのおのそのできる限りの役割りを分担をするわけでございまするけれども、そういう分担をみんな分け合い、分かち合って、そうしてそれに向かって全力を尽くそうという合意ができたということだけでも、私は、世界のただいま申し上げましたようなむずかしい状態のためにはいいことであったと思うのですが、実際はどうかと言いますると、その約束したそれぞれの国が、その約束した事項を忠実に実行するかどうかという問題にかかってくると、このように思うのであります。
 まあ私は、いま当面といたしますと、この国際通貨不安ということを非常に憂えておるわけでありますが、この国際通貨不安、その根源は、何と申しましても、世界の基軸通貨たるドル、この価値が下落し続けたという点にあるのでありまして、この点につきましては、私は、アメリカの政府に対しましても、これは本当に真剣な対応措置をとっていかなければならぬと言うと同時に、ボンの会議におきましても、特に私からこの点を強調し続けてきておるわけでありますが、アメリカにおきましても逐次ドル防衛対策を打ち出しており、また、今後さらにこれを強化すると、こう申しておりますので、アメリカのさような努力を大いに期待すると同時に、さらにこれからも基軸通貨たるドルの安定につきましては重大なる関心を持ちながら対処してまいりたいと思うと同時に、わが日本といたしましても、黒字を縮減します、そのためには内需の拡大政策をとります、こういう国際公約をしたわけでございまするから、この公約は何が何でも実現をしなければならぬと、このように考えておるのでありますが、特に来年は、だれ言うとなく、東京で首脳会談を開こうと、こういうことになっておる。この東京首脳会談ということになりました際に、どうも日本がボンの会議で公約したことが実現されなかったというようなことになったら、これは東京会談はわが国にとっては惨たんたるものになる。しかし、逆に、本当に日本がこの公約を実行しました、さあごらんくださいというような姿勢で臨み得たならば、これはわが国の国際社会における地位というものは際立って私は向上するに違いないと、このように考えますので、国内経済の運営に当たりましても、この国際公約とも申すべき諸外国の期待に対しまして、これはもう何としてもこたえ抜かなければならぬと、このような決意でやってまいりたい、このように考えます。
 今後の世界は一体どうなるか、展望はどうなるか、こういうお話でございますが、これはもう不確実時代というようなことが言われるような状態です。東西関係がどういうふうな発展を示すであろうか、そういうようなことを見ても不確実性が非常に強い。南北問題の推移、これもなかなか見通しが困難だ。また、特に資源・エネルギーの今後につきましては不透明な部分が非常に多いんです。しかし、私は、不透明だ、不確実だという時代と今日言われておりまするけれども、さあ、それだからといって、それに押し流されるというような姿勢はこれは正しい姿勢じゃないと思うのです。あえて不確実時代、不透明時代に挑戦して、この不確実時代、不透明時代を確実なもの、透明なものにする努力こそが私は世界の政治家の取り組むべき正しい姿勢でなければならぬと、そのように考えておるわけであります。
 そういう立場に立ちますと、長田さんが最後の段階で触れられました科学技術の問題、これはまた非常に重大な問題になってくると思うのです。私は、一番いま世界を不透明にしている、不確実にしているそれは、さて、いま石油がエネルギーの根幹になっておりまするけれども、この石油エネルギーは、これはいつまで続くものじゃない。そうなりますと、三十年、四十年たちますと石油はなくなるわけでありまするけれども、その前に、そういうときが来る前に石油産出国が石油の産出を渋る時期がやってくるんじゃないか。そういうような見方から、いま世界では、十年、あるいは早ければ五年、長ければ今世紀いっぱい、その辺で石油の生産が停滞をする、減少傾向を示す時期になってくるだろうということを言っておりますが、もしそういうふうなことになると、これは大変なことになるんです。石油が人々の生活に大きな影響があるばかりじゃない。これは世界政治の混乱にもつながってくるような大きな問題になってくるんです。私は、何とかして、この際、人類は、と大きく申し上げますが、石油の後にはこういうエネルギーがあるんだという確信を早く持たなければならぬと思うのです。私は、所信表明演説で、核融合エネルギーの開発を考慮すべきであると、こういうことを申し上げたわけでございますが、核融合エネルギー、これの実用化する段階というのは三十年、四十年後でいいんです。いいけれども、三十年、四十年たったら核融合が石油の後にはちゃんと控えておりますよという展望がはっきり確立いたしますれば、私は、世界の不透明な、不確実な情勢というものは非常に大きく変わってくると思うのです。
 そういうことを踏まえまして、私はこの春カーター大統領と会談をした。私は、日米協力して、共同で金を出し合って、人を出し合って、そして核融合その他の石油代替エネルギーの問題にいどもうじゃないかという話をしたんです。カーター大統領は、本当にこれはひざを乗り出して、日本はそこまで考えますか、それは協力しましょうということで、いまその協力のための交渉が進展をいたしておりますが、まあ長田さんに申し上げたいことは、これから不確実時代ということが言われまするけれども、それに押し流されることなく、その不確実時代を確実なものにする、そのために挑戦をあえてするという姿勢でわが日本は世界に立ち臨むべきである、このように考えておる次第でございます。
 日中条約の意義いかんという問題、これは後から外務大臣から申し上げますから、そのとおりにひとつお願いします。
 それから、対ソ政策をどう進めるか、これも先ほどお答え申し上げましたが、なお詳しくは外務大臣から申し上げます。
 さて、長田さんは、七%五十三年度目標、この実現に邁進せよというお話でございますが、先ほど申し上げましたように、わが国は国際社会に対しまして、黒字を減らさなければならぬ、そういう貿易黒字を減らさなきゃならぬ。そういう立場の手段といたしましては、何といっても内需の拡大ということが大事であり、その見当は七%成長と、こういうふうに心得ておりますので、これは何といたしましても間違いなく実現をいたしたい、このように考え、いま本国会に対しましても補正予算案の御審議をお願いをいたしておるわけであります。この補正予算案、それからさらにそれと一体をなすところの各種の施策、これが実現されるということになりますれば、私は、七%成長ということ、これは実現不可能ではない、また実現しなければならぬ、このように考えており、鋭意そのように努力をいたします。
 なお、五十四年度の展望いかんというお話でございますが、大体私は、五十三年度末、つまり来年の三月ごろ、この時点では、わが国の経済も長いトンネルの時代が終わりを告げる、トンネルの出口が見えるころになるであろうということを申し上げておるわけでありまするが、しかし、トンネルの出口を出切ったわけじゃないんです、その時点は。そういうようなことで、大体経済運営の基調といたしましては五十三年度と同じような傾向のものにいたしたい、このように考えておるのであります。
 まあそういう五十四年度を経過いたしまして、だんだんと日本の経済も安定状態に持っていきたいという考えのもとに、昭和六十年までにわたるところの長期経済計画の策定にいま着手をいたしておるわけであります。この新しい計画、これはいままでも申し上げておるところでございますが、産業中心といういわゆる高度成長時代の考え方、これから一歩転換をいたしまして、生活中心というか、そういうような方向でその肉づけをいたしていきたい、このように考えておるのであります。その場合に、新三全総、これも重要な資料といたしまして、この長期計画の裏づけにいたしていきたい、このような考えでございます。
 また、話は前後いたしまするけれども、円高の行き過ぎ、これに対しまして、アメリカに、ドル価値安定のため、またインフレ抑制のための施策を強力にとれということを今後とも要請し続けなければならぬという御所説、これは先ほど申し上げたとおりでありまして、今後とも、円高の根源、これは何といっても基軸通貨たるドルの問題でありまするから、アメリカに対しまして、わが国は円の立場という、そういう小さい立場じゃない、この世界の基軸通貨、これが不安定であったら世界の通貨が不安定である、世界の通貨が不安定でありますれば世界が大混乱につながっていくという立場のもとに、そういう要請を続けていきたい、このように考えております。
 また、長田さんは、私がいわゆる第三の道と申しておる、この道筋を評価されまして、そしてその道をさらに強力に進めるべしと、こういう御所見でございますが、そのように考えておる次第でございます。
 特に、関連して雇用問題にも触れられましたが、雇用対策、これはいまわが国が当面をいたしておる非常に大きな問題と思っております。特に五年続きの不況でございます。その中において、力の小さい、弱い立場の中小企業の困窮、これに政治は深い理解と関心を示さなければならぬというふうに考えておりますが、造船業などのいわゆる構造不況業種、これを地域の中核とする特定の不況地域でありますが、そういうものに対しましては、今回中小企業の経営安定のための特別立法をいたすつもりでございます。また、そういう立法と並行いたしまして、失業予防のための雇用安定資金制度を全面的に適用する、また雇用保険の特例措置を講ずる、つまり、いままでの失業給付期間、これに、さらにこういう種類のものにつきましては上乗せをいたしまして、そして保険金の支払いを行おう、こういうことを考えておるのであります。
 また、造船などの非常に苦しい状態の産業に対しましては、その需要の創出につきまして補正予算上特別の配慮をいたすとか、また、私が第三の道と言っておりますが、社会福祉、保健衛生、教育等の部門につきましては、これが予算上できる限りの強化措置を考えておりまするし、また、そういうことによってそういう部面の雇用の創出ということを進めてまいりたい、かように考えております。
 さらに、一般消費税につきまして、十分な国民の理解、コンセンサスを得た上でやりなさいという御注意でございますが、一般消費税はまだ政府の段階まで来ておらないんです。税制調査会の一般消費税特別部会が一つの試案をつくりまして、そしてこれを税制調査会に答申をいたしたというところでございます。そういう段階のものでございますが、この試案を拝見いたしますと、かなりいろいろ注意深くやっておるわけでありまして、たとえば逆進性という問題が消費税ですから起こってくる。そういうことを考えながら、食料品はこの一般消費税の対象から除外をする、あるいは、中小企業が手続で非常にめんどうくさくなるというようなことも考えながら、零細な企業に対しましてはこれを納税対象といたさないとか、非常にきめ細かな配慮をしており、私はこの特別部会案には大きな魅力を感じておる次第でございまするけれども、しかし、これをさあ現実に実行するというためには、これはよほどまだ準備もしなければならぬし、また、国民に対する理解協力、これを求めなければならぬし、手順、段取り、これはまあ相当時間をかけなければならぬと、こういうふうに考えており、政府といたしまして態度を決定するというに当たりましては慎重の上にも慎重を期してまいりたい、このように考えております。
 なお、長田さんが、こういう大量公債を発行する、そういう時期に減税というのはいかがであろうかと、こういう疑問を投げられましたが、私は、その疑問まことにもっともな御疑問である、このように考えるのであります。まあ、減税と言えば、本当にその耳ざわりはいいです。私も、政治家福田赳夫としてね、もう何兆円減税だというぐらいなことを言ってみたいと思うのです。しかし、事を真剣に考えてみれば、いま減税どころの時代じゃないんです。いま、ことしの財政はどうだと。これは三七%、実質です、これを公債に依存しておる。その多額の公債をどうやって消化するか、その消化にも、もうこれは並み並みならざる苦心が払われておるわけであり、しかも、それだけの苦心をいたしましても、なお公債の消化がたんたんと行われておるという状態じゃないんです。そこへなお一兆円の公債を上積みいたしまして、そして減税だと、こうおっしゃる。さあ、減税はまあお喜びになられるかもしれませんけれども、減税の次に待っておりますのは、それはもう財政インフレですよ。国民は、インフレか減税かと言ったら、私は、必ずインフレをやめてくださいと、こうおっしゃるに違いないと思っております。私はどこまでも国民の理解と納得を得て健全な財政姿勢というものを進めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
 まあしかし、長田さんが、そういうむずかしい財政状態の中であるから、高度成長下の慣習、制度の見直し、歳出の合理化、こういうことを優先的にやれという御所見、これはそのとおりに考えておるところでございまして、行政改革につきましては、昨年末、総合的なプランを御披露申し上げたわけでありますが、いまあの線に従いまして強力に経費の節約等を進めておる次第でございます。
 それから元号問題でありますが、元号を制度として存続すべきであると、こういうお話でありますが、私もその御意見どおりに考えております。元号制度は今後制度として存続すべきである、このような考えでありまして、今国会に法律案としてこれを提案するかどうかということを含めまして、ただいま慎重に検討中でございます。
 それから有事防衛体制についての基本姿勢はどうかと言うが、私は、有事防衛体制というのはこういうにぎやかな議論になるということは想像もできなかったことなんです。まあ、自衛隊にもう現に存在しているんですよ。その自衛隊は何のために存在しているかと言えば、有事のために存在しているんです。その自衛隊が有事の際にどういうことをしなければならぬかという点、もし欠くるところがありますれば、これは補っていかなきゃならぬわけでありまして、その有事体制について検討を進めるということは、まさにこれは自衛隊の義務であり、政府の責任である、そのように考えております。
 最後に、長田さんは学術及び科学技術の振興の重要性に触れられました。今後の世界を展望いたしますと、私は先ほども世界不確実時代と申し上げました。その不確実時代には、これを確実にするためにこれは調整しなきゃならぬとまで申し上げましたが、とにかくそう安定した世界情勢ではないと、このように思うのです。そういう中でこの日本丸を安全に運航するということをどういうふうにするかということを考えるときに、資源小国である日本として頼るところは、私は、この日本民族、その一人一人が世界じゅうのどの一人一人よりもすぐれた日本人である、こういう考え方を持って人づくりに邁進をするという以外に、私は、この激動する世界情勢の中で日本丸を安全運転する道はない、このように考えるのでありまして、そういう中で、先ほども申し上げた日米科学技術協定をつくり上げて、そして核融合について世界で積極的な、また、先導的な役割りを果たそうじゃないかというようなことを申し上げましたが、やっぱり科学技術の振興、思い切った対策、これは非常に大事なことになってきておると思うのです。まあ例を挙げて言いますれば、研究者の養成、また研究費の確保、研究機関の整備充実、また、この日米協力に見られるような国際協力の推進、いろんな面から私は科学技術日本と言われるような高い科学技術水準の開発、造成に全力を尽くしてまいりたい、このように考えております。(拍手)
   〔国務大臣園田直君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 日中友好条約は、日中の長きにわたる未来にわたって規制するのみならず、これは世界の平和と繁栄を目指し、アジアの平和と繁栄に貢献するために締結されたものである、そのように評価し、意義づけております。
 なお、署名調印後これを通報し、ほとんどの国に内容を説明しておりまするので、ほとんどの国から評価をされ、祝意をいただいておりますが、こういう国々に対しては、その期待に沿うよう、さらに努力すべきであると考えております。ソ連ほか、やや反応が違う国につきましては、今後ともこの内容を理解願えるよう努力をしたいと考えております。
 なお、覇権の問題が出たわけでありますが、わが国と中国の間に覇権問題で論争はございません。反覇権という言葉は共同声明にすでに書いてございまして、今日の社会通念において、力をもって国を動かし、恫喝をもって国を動かす、これに抵抗するのは当然のことでありますから、これは両方意見が一致をしております。違いましたのは、特定の第三国に対し共同して闘争することはない、あるいはまた、特定の第三国を目標にして反覇権条項をつくるのでない、こういう点が重要な議題であります。そこで、ただいま中国の大勝利という言葉がありましたが、私はまず劈頭に、今日二国間の交渉というものは、お互いに自分の国の利害を主張し、それによって勝った負けたの交渉であっては断じてならぬ、お互いに競争するうちに、今日の行き詰まった世界の中でいかなる役割りを果たすべきかという最高の道を探すのが今後の二国間交渉であろうということを訴えたわけであります。そうでなければ、力の強いものが勝ち、弱いものが負けるのが今後の二国間交渉であります。私は、今度の友好条約で中国が勝利であるか日本が勝利であるかということは、この条約そのものではなくて、この条約をもとにしてアジアの平和と繁栄のためにどのようにどちらが尽くすかによって勝利は決まるものと考えておるわけであります。
 次に、尖閣列島の問題でありますが、尖閣列島はこの条約とは直接関係はない問題であります。しかし、国民の大多数の方の非常に関心の深い問題でありますが、尖閣列島は、北方四島、目の前に見えておる竹島、これとは全然違うわけでありまして、日本がちゃんと固有の支配をしていることはおっしゃったとおりであります。しかも、これに物言いはついておりますが、まだ紛争地帯にはなっていないわけであります。これをうかつに持ち出すことによって、いまの状態からさらに国益を損ずるおそれがある。外務大臣個人としては、この問題は正式の会談に最後まで出したくなかった問題でありますけれども、与党の皆様方の強い御意見でありますから、私は薄氷を踏む思いでこれを発言をいたしました。ケ小平副主席は、私が一番最後に、尖閣列島の問題に対する日本の立場を述べ、先般のような偶発事件があっては困る、このようなことがないようにと要請したのに対し、そのままお言葉を言うと、副主席の言葉を言うと、「あれは偶発事件である、漁師は魚を追うていくとつい先が見えなくなる」、笑いながら「今後はこういうことは絶対しない、今後はこういうことはない」、こういう発言をされたのが事実であります。これをどのように解釈するか、それを外務大臣が本会議の席上で、これに対する解釈を言うのか言わぬのか、どちらが国益か、私は言わない方が国益であると思いますから、事実だけを御報告をいたします。
 なお、この尖閣列島に固有支配を示すために施設をすることについてどうか――外務大臣としては反対であります。そもそも、いまおっしゃったように、この領土は固有支配を日本がしている、日本の古来の領土とおっしゃるんですから、それをわざわざ、これはおれのものだ、間違いないだろう、おれのものだ、文句はないだろうというようなことをすることが果たして外交上いいことであるかどうか。ただし、国内上の施設として避難港や灯台をつくられることは、これは当然であると思います。
 以上お答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣金丸信君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(金丸信君) ただいま有事法制の研究の問題について、つまびらかに総理からお話がありましたが、私は、有事を仮定するから自衛隊があるということでありまして、有事がなければ自衛隊は要らないということであります。しかし、現実に二十七万の自衛隊がおる以上、この自衛隊が毎日のらくらして国民の負託にこたえられるかということであります。
 また、有事立法と奇襲の問題が一緒になって一人歩きをしたために、非常に国民の皆さんや政党の皆さんに御迷惑をかけましたが、私は、憲法の範囲内で、あくまでもこの範疇の中で研究するんだということでありまして、自衛隊、防衛庁の職員の中にも誤解を招くようなお話もありました、また、自民党の幹部の中にも誤解を招くような話もありましたけれども、私は全然そんなことを考えておらないということだけ御理解いただきたいと思うわけであります。
 ことに、奇襲の問題につきましては、絶対奇襲というものはあり得ないということにすることが政治だという私は考え方を持っている。しかし、先ほども総理が申し上げましたように、万の万の万の一あるということがあるというのであれば、それはひとつ研究をしてみることもいいじゃないかと、こういうことでありまして、私は絶対ないことを踏まえながら、そう申し上げたいと思うわけであります。
 また、自衛隊のいわゆる退職の延長というような問題もありました。これはまことに、自衛隊に奉仕しながら若年で退職していくということにつきましては、いろいろの問題もありますし、また、人間の寿命も延びたというような状況の中で、ことに若年退職というものは、家族がちょうど一番金のかかるというとき退職させるということが果たしていいのかというような意味で、三年の延長をいま検討して、来年からこれをやりたいと考えておるわけでありますが、いろいろ問題はありますが、さりとて、それですべてが解決ついたわけではありません。年間六千、七千という、三年先にいくということになれば退職という問題もできるわけでありまして、これに対して、その援護対策というものを考えなくてはならぬということを申し上げまして、私の答弁といたします。(拍手)
   〔国務大臣砂田重民君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(砂田重民君) 私には三点の御質問がございました。
 第一に、米飯給食についてであります。食事内容の多様化を図りまして、栄養を配慮いたしました米飯の正しい食習慣を身につけさせる、きわめて教育上も有意義なことでもあり、かつまた、わが国の御指摘のような食糧資源を考慮いたしまして、これを推進するべきものと考えて、昭和五十一年度から学校給食に導入をいたしたわけであります。当面週二回の実施を目途に、計画的にその推進を図っているところでありますが、幸い現在までのところ、計画を少々オーバーぎみに、順調に米飯給食の普及が図られております。ちなみに、完全給食学校数の中で七〇%、児童数にいたしますと六八%まで達成を続けてくることができました。政府といたしましては、今後とも米飯給食の計画的拡充のために努力を続けてまいりたい、かように考えております。
 次に、学術、科学技術の振興の問題でございます。わが国の将来の発展を図りますために、また、人類の福祉に貢献をいたしますために、学術研究の推進を図ってまいりますことは、そしてまた、科学技術の一層の振興を図る必要は当然あるわけでございます。一つきわめてこれは深刻に考えてまいらなければなりません問題は、従来ややもすると、応用研究、開発研究に重点がいってまいりました。それだけではなくて、これから人類未開発の問題を手がけてまいらなければなりませんときでありますから、基礎研究を中心にした科学技術の振興に力を尽くしてまいらなければならないと私は考えております。特に、天然資源に乏しいわが国が資源制約を克服をする、そのためには、独創的、先駆的な学術研究を奨励いたしますとともに、科学技術の振興を図ってまいらなければならない。また、総理のお話にありましたような核融合エネルギーであるとか、宇宙、海洋、生命、こういったことに関する科学、地震予知等、ただいま申し上げましたが、まだ人類未到達の分野のことを手がけてまいらなければならないことでございます。そしてまた、それは国民生活に深いかかわり合いを持つものでございます。基礎研究に中心を置いて、学術研究、科学技術の推進に努力をしてまいります。そして、このためには、やはり大変基礎的なことでありますけれども、教育全体を充実させていく、振興を図っていく、学術、科学技術の発展のこれがまさに基盤を強化するゆえんになるわけでございます。その上に立って、すぐれた研究者の養成確保、研究費の確保、研究機関の整備、国際協力の一層の推進等、積極的に取り組んでまいる所存でございます。
 最後に、教員の資質の問題についての御質問がございました。教育基本法は、教育の目的を、人格の完成を目指すと明確に明記をしているわけでございます。そういう意味からも、ゆとりのある教育、知・徳・体のバランスのとれた教育というものを目指しまして、学習指導要領の改定等に取り組んだわけでございますけれども、このゆとりある教育というものを確保するためには、やはり教育現場で教員の創意工夫に大いに期待をしてまいらなければなりません。教育界に優秀な人材を誘致をいたしますとともに、その資質、能力の向上を図りますことは、私どもが責任を持っております教育行政上もきわめて重要な課題でございます。このために、文部省といたしましては、従来から教員の資質向上のために、研修の問題、研究教育団体の助成等を通じて研修の充実に努めてまいったところでありますけれども、先般、中央教育審議会から「教員の資質能力の向上について」の答申が出され、かつまた、教員養成審議会からも報告を受けたところでございます。これらの答申、報告を踏まえまして、一方で教育条件の整備に努めながら、教員の養成、実習、研修、格段の充実になお、一層努力をしてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣中川一郎君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(中川一郎君) 農山村における問題につきましてお触れになりましたが、非常にむずかしい状況にありますことは御指摘のとおりであり、農林水産省といたしましても、豊かな農山村を建設すべく全力を傾注しておるところであります。
 まず、御指摘のありました米の消費拡大につきましては、水田利用の再編対策と並ぶ米需給均衡化のための重要な柱でありまして、各般の施策を講じ、その積極的な推進に努めているところであります。特に、米の消費拡大を進める上で、学校給食への米飯導入は長期的に見て最も重要な施策であると考え、学校給食用米穀の値引き売却の実施、製パン業者による委託炊飯設備の設置、米飯弁当のための加温保温庫の導入に対する助成など、各般の対策を講じているところであります。今後ともこれらの施策の一層の拡充を図り、文部省及び財政当局ともよく相談をしながら、学校給食への米飯導入を促進してまいる所存であります。
 米の消費拡大は、学校給食のみならず、全国消費者の理解、協力が何よりも必要でありますので、あらゆる機会を通じてお願いしておりますが、議員各位の御協力も特にこの際お願い申し上げる次第でございます。
 次に、植林を計画的積極的に推進し、成長力の高い活力ある森林を造成することは、わが国林業の振興と農山村地域の振興発展を図る上できわめて重要であることも御指摘のとおりでございます。さらにまた、近年林業を取り巻く諸情勢がきわめて厳しいものがあり、拡大造林についても次第に停滞の度を深めていることも事実でございます。このため、従来から、造林補助事業について、助成対象範囲の拡大、実質補助率の一部引き上げ等を行うとともに、農林漁業金融公庫の造林資金について融資枠の拡大と融資条件の改善等を進め、造林の積極的推進に努めてきたところでありますが、今後ともこれら財政金融上の措置の一層の充実強化を図ることにより 森林資源の整備充実と山村地域社会経済の発展振興に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
#27
○副議長(加瀬完君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りいたと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○副議長(加瀬完君) 御異議ないと認めます。本日は、これにて散会いたします。
  午後零時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト