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1949/03/11 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第22号
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1949/03/11 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第22号

#1
第007回国会 大蔵委員会 第22号
昭和二十五年三月十一日(土曜日)
   午前十一時一分開会
  ―――――――――――――
  本日に会議に付した事件
○保険業法等の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
○日本勧業銀行法等を廃止する法律案
 (内閣送付)
○銀行等の債券発行等に関する法律案
 (内閣送付)
○輸出信用保険特別会計法案(内閣送
 付)
○大蔵省預金部特別会計の昭和二十五
 年度における歳入不足補てんのため
 の一般会計からする繰入金に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。
 本日は先ず保険業法等の一部を改正する法律案、日本勧業銀行法等を廃止する法律案、銀行等の債券発行等に関する法律案、この三案を議題といたしまして、先ず政府より提案理由の説明を求めます。
#3
○政府委員(舟山正吉君) 只今議題となりました保険業法等の一部を改正する法律案外二法律案につきましてその提案の理由並び要旨を御説明いたします。
 先ず、「保険業法等の一部を改正する法律案」につきまして、その提案の理由並びに要旨を御説明いたします。
 第一は、保険会社の株式所有につき、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外を認めるために保険業法及び外国保険事業者に関する法律の一部を改正しようとする点であります。
 現行の独占禁止法によれば、金融機関は、国内の他の会社の株式総数の百分の五を超えてその会社の株式を所有することを禁止されているのでありますが、保険会社については、従来特に投資機関としての特質から、その制限の緩和が問題にされておりました。一方保険会社の資産の危険分散を図り、その健全性を保障するため、同一会社の株式を所有し又は貸付の担保としてその会社の株式を受入れることについては、その会社の株式総数に対して一定割合を超えないよう制限する必要がありますので、従前においてはその割合は百分の二十ということになつておつたのであります。今回、これら両面の要請を調整して、保険会社については、他の会社の株式総数の百分の十までは株式を所有し又は貸付の担保として株式を受け入れることを認めようとするものであります。
 第二は、外国損害保険会社の進出に伴い、保険業法、損害保険料率算出団体に関する法律及び外国保険事業者に関する法律の一部を改正しようとする点であります。
 現在、損害保険事業については、特にその国際的性格の故に、外国損害保険会社の日本への進出が予想されているのでありますが、設立後、日が浅く、資産も十分でない外国会社の進出は、日本における保険契約者その他の一般債権者の利益保護に万全を欠く点があると考えられ、一方同様の條件にある日本会社が外国に進出することも、外国において、同様の事態を惹起する虞れがありますので、今回、設立後三年未満で、且つ、最終の事業年度において、利益を計上していない会社は、外国会社については、日本市場への進出を、日本会社については、外国における営業を禁止しようとするものであります。
 次に、日本において、営業を行おうとする外国損害保険会社のうちには、日本の損害保険会社に、代理店としてその業務の委託を希望するものがあるのでありますが、現行の保険業法によれば、保険会社は原則として、その本来の保険事業の外に、この種業務の兼業を行うことができないひとになつておりますので現行法を改正し、大蔵大臣の認可を條件にその途を開こうとするものであります。
 次に、現行損害保険率算出団体に関する法律によれば、外国会社は、同法に基く損害保険料率算定会の会員資格がありませんので、日本保険会社と衡平の條件によつてその会員資格を認めようとするものであります。
 第三は、損害保険料率算出団体に関する法律の一部を改正しようとする点であります。
 現行損害保険料率算出団体に関する法律によれば、損害保険料率算定会は、その算出した保険料率につき、利害関係人の意見を聞くため、公聽会を開かなければならないこととなつているのでありますが、今回更に、保険料率の公正な算出を保障するため、公開性を強化し、その算出しようとする保険料率についても、公聽会の開催を規定しようとするものであります。
 最後に、右に述べた改正諸規定の違反に対し、所要の罰則を規定しようとしております。
 次に日本勧業銀行法等を廃止する法律案につきまして、その提案の理由並びに内容の概要を御説明申上げます。
 従来我が国においていわゆる特別銀行と称せられたものには、日本銀行の外、日本勧業銀行、北海道拓殖銀行、日本興業銀行及び終戰後閉鎖機関として指定されたものとして横浜正金銀行他三銀行があつたのでありますが、これらのうち日本勧業銀行、北海道拓殖銀行及び日本興業銀行については、その基礎法規である三つの特別銀行法の改廃がかねてから問題となつておつたのであります。
 特に、一昨年の金融機関の再建整備において、これら三銀行は、債券発行機関か預金銀行かの岐路に立つこととなつて、日本興業銀行は前者の、日本勧業銀行及び北海道拓殖銀行は後者の途を撰んだ結果、これらの三銀行は、その業務内容において必ずしもその基礎法規と一致しなくなつて、適当な時期における法的措置が当然に必要とされておつたのでありますし、他方、役員の政府任命、監理官制度等政府との特別の関係もかねてからこれを廃止することが、適当であると考えられておつたのであります。ただこの問題は金融制度全般とも関連がありますので、愼重に考究していたのでありますが、今般「銀行等の債券発行等に関する法律案」によつて銀行一般に金融債の発行が認められることとなりますので、この際本廃止法案を提案することとした次第であります。
 以下、この法律案につきまして、内常の主な点を御説明申上げます。
 本法案は、本年四月一日を以て、日本勧業銀行法、北海道拓殖銀行法及び日本興業銀行法を廃止することを主たる目的としておるのでありますが、これに関連いたしまして、旧農工銀行関係の四法律及び興業債券の発行限度の特例の関する法律をも併せて廃止するものといたしております。その他の規定は、これらの法律の廃止に伴い必要な経過措置を定めることが主眼となつているのでありまして、これを要するに三特別銀行の普通銀行化に伴う処置であります。
 その内容といたしましては、先ず第一に従来各特別銀行法に基いて設立された日本勧業銀行、北海道拓殖銀行及び日本興業銀行は、この法律施行後においては銀行法に基いて営業の免許を受けたいわゆる普通銀行とみなすものとしているのでありまして、更にこれらの三銀行は、この法律施行後遅滯なく株主総会を招集し必要な定款の変更を行うべきのちとされております。又従来政府任命であつた日本勧業銀行及び日本興業銀行の正副総裁及び理事等は、この株主総会終結の時にその任期を終了することとなつております。
 第二に、従来これら三銀行が発行した債券及び日本勧業銀行又は北海道拓殖銀行がなした特殊の貸付に関しては、尚旧法によるものとしております。
 第三に、私的独占の禁止及び公正取引の担保に関する法律の規定によりますれば、銀行は競争関係にある同種の金融業を営む他の会社の株式を所有することが禁止されているのでありますが、この法律が施行されますと、現在他の銀行がこれら三特別銀行の株式を所有していること及びこれら三特別銀行が他の銀行の株式を所有していることがこの規定に違反する結果となりますので、一年間を限りこれら株式の所有を認めることによりまして、制度の円滑な切替を期しているのであります。
 その他別途御審議を願つております「銀行等の債券発行等に関する法律案」が本法案に先き立つて施行される予定でありますが、右法案は三特別銀行及びその基礎法を前提としておりますので、これに必要な字句の修正を加える等の若干の規定を設けることといたしております。
 次に「銀行等の債券発行等に関する法律案」につきまして、その提案の理由並びに内容の該略を御説明申上げます。
 終戦以来、金融の面におきまして経済の安定、復興のため幾多の施策が実施に移されて来たのでありますが、特に復興のため不可欠な長期資金の供給につきましては、その円滑化に格段の努力が拂われたのであります。復興金融金庫の設立による設備資金等の融資もその一つでありますが、昨年初頭における実質的均衡財政の樹立に伴う同金庫の積極的な機能の停止後におきましても、政府と致しましては、長期資金の供給のため、引続き、米国対日援助見返資金の活用、株式社債による直接投資の活発化、証券市場の育成、国債及び復金債の償還により銀行に生ずる資金の長期設備資金への転用、興業債券の発行限度の拡張による日本興業銀行の活用等種々の方策を実行して参つたのでありまして、他方我が国経済の実情に即し、住宅金融その他の不動産金融、中小企業金融、農林水産金融の面におきましても、できる限りの努力を傾注しておる次第であります。
 ただ、以上の諸方策のみを以てしては、莫大なる長期資金の需要を賄なうのに必ずしも十分であるとは認め難いのでありまして、夙に銀行等による長期資金調達の手段としての債券の発行について、検討を進めつつあつたのでありますが、今般ここに成案を得、法律案として御審議を願う運びと相成つたのであります。即ち、この法律案は、銀行並びに農林及び商工組合の両中央金庫に対し債券の発行についての特例を定め、以て刻下喫緊の急務である長期金融難の打開に積極的根本的な施策を採ろうとするものであります。
 以下、この法律案につきまして内容の基本となる点を申上げます。
 本法案において対象としている金融機関は、日本勧業銀行、北海道拓殖銀行、日本興業銀行、農林中央金庫及び商工組合中央金庫並びに銀行法に基いて営業の免許を受けている銀行でありまして、これらの金融機関に対して本法律案が規定しております主なる点は大体三つとなつております。その第一は、銀行等による金融債の発行、第二は、この債券の発行に資するための米国対日援助見返資金による銀行等の優先株式の引受、第三は、銀行等の自己資本の充実でありまして、そのいずれもが金融政策上或いは金融制度上正に画期的な内容を持つものと考えられるのであります。
 先づ金融債の発行につきましては、銀行等は、自己資本の金額の二十倍相当額から預金と債券との合計額を控除した残額の債券を発行することができるものとし、これに関連して商法の特例その他金融債の発行につき必要な規定を設けることといたしたのであります。御承知のように、現に積極的に債券を発行している金融機関は日本興業銀行一行であり、他に従来債券発行の権能を認められていたものとしては日本勧業銀行、北海道拓殖銀行、農林中央金庫及び商工組合中央金庫があるのでありますが、本案におきましては、ひとりこれらの銀行等についてのみならず、銀行一般に対しても同一の基準を以て債券発行の権能を與えることとしているのであります。これにより債券発行量の飛躍的増大を期し得る外、すべての銀行が預金業務と債券業務とを併営することができるという銀行業務の建前における質的変化を見ることとなつたのであります。従つて、今後におきましては、金融機関による長期資金の供給が格段に円滑となることが期待されるのみならず、銀行又は金庫は、それぞれの特色に応じ、それぞれの分野において活発なる融資活動を期待し得ることとなる次第でありまして、産業界の要請に応え、金融の順便、積極化に寄與するところ多大なるものがあると存ぜられるのであります。
 第二に、この金融債の発行に資するため、銀行等は、米国対日援助資金を以て引受けられる場合に限りこの法律による特殊の優先株式又は優先出資を発行することもできるものといたしておるのであります。即ち、銀行等が株式市場の状況等によつて自力で資本を十分に調達できない現状にあるのに鑑み、援助資金を活用し、これに銀行等の優先株式又は優先出資を引受けさせるという新たな運用の形態を認めることによりまして、銀行等の資本調達を可能ならしめ、以てその債券発行余力の増加と、経営の健全化を図つているのであります。この優先株式は、利益の配当又は残余財産の分配について普通株式に対し優先的内容を有する外、利益又は一般の増資によつて得た資金を以て消却することのできる所謂償還株式である点において現行商法の特例をなすものでありまして、現在審議の進められております商法改正案の施行に先立ち、新たな制度としてこれを銀行制度のうちに取入れようとするものであります。
 最後に、以上申上げましたところにも関連して、銀行等の自己資本の充実のため必要な規定を設けることといたしたのであります。銀行が預金者その他の債権者保護のために適当額の自己資本を有すべきであることはいうまでもないことでありますが、本法案におきましては、銀行等は、自己資本の金額が預金と債券との合計額の百分の五相当額に達していないときには、銀行法等による通常の積立よりも多くの法定準備金の積立をなすことによつて自己資本の充実を図るべきものとしたのであります。同時に、普通株式に対する配当については、別段の法律的制約を加えないこととし、多年の懸案であつた銀行の配当復活の実現、延いては増資による銀行等の資本の充実を容易ならしめることが期せられることとなつたのであります。
 以上、「銀行等の債券発行等に関する法律案」につきまして、その提案の理由及び内容の概略を申上げたのでありますが、本法律案の施行による金融債の発行可能額は、昭和二十五年度中におきまして、概ね五百二十億円に上るものと予想されるのでありまして、これが長期資金の供給を飛躍的に増加させ、又、企業の設備資金の融通、不動産金融、中小企業金融、農林水産金融等それぞれの面において必要な長期金融に大きな寄與をなすことによつて、経済復興のため多大の貢献をすることになろうと存ずるのであります。
 更に、これに関連し、多年の懸案でありました預金部資金による金融債の引受も考えられるに至つたのでありまして、金融政策の面における最近の最も大きな効果的施策の一となると考えられるのであります。
 尚本法案に基く援助資金の優先株式の引受、これによる金融債の現状にも鑑み、早急にこれを取進めることを適当と認められますので、本案が法律として施行されます日の一日も早からんことを切に希望いたす次第であります。幸いにして国会通過の暁は、本年度内可及的速かに公布の上即日にも施行いたしたい所存であります。
 以上が保険業法等の一部を改正する法律案他二法律案の提案の理由であります。
 何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。
  ―――――――――――――
#4
○理事(黒田英雄君) では次に輸出信用保険特別会計法案を議題にいたしまして政府より提案理由の説明を願います。
#5
○政府委員(舟山正吉君) 只今議題となりました輸出信用保険特別会計法案の提出の理由を御説明申上げます。
 今回政府におきましては、輸出貿易振興を図る目的をもちまして「輸出信用保険法案」を、別途提出いたしまして御審議を願つているのでありますが、この輸出信用保険制度を実施いたすことになりました場合には、その経理の状況を明確にいたしますため、一般会計と区分して輸出信用保険特別会計を設けまして、これを経理するのが適当と存ぜられますので、この法律案を提出した次第であります。
 次に、その内容の概略を御説明申上げますと、この会計におきましては、その資本に充てるための一般会計から繰入れる繰入金、国庫に納付される保険料及び附属雑收入を以てその歳入とし、保険金、事務取扱費その他の諸費を以てその歳出といたしまして、政府の行う輸出信用保険に関する経理の全体を明らかにし、又、この会計の運営上その損益計算の結果生ずる利益又は損失は、翌年度に繰越して整理することといたしますのが適当と存ぜられますので、これに関する規定を設けますと共に、この会計の予算及び決算の作成及び提出に関する手続規定等特別会計に必要な措置を規定いたそうとするものであります。
 何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを御願い申上げます。
#6
○理事(黒田英雄君) これらの法案に対する御質疑はあとにお願いすることにいたしまして……。
#7
○木内四郎君 この法案に直接関係ないのですが、政府委員は、或いは出て来てないかもしれませんけれども、この輸出信用保険特別会計にもまあ全然関係がないとも言えないのですが、例の新聞に伝えられるポンド領域からの輸入の一時停止の問題が報ぜられております。これに関連して為替資金の状況をですね、外国為替管理委員会の方から説明を伺う機会を作つて頂きたいと思います。
#8
○理事(黒田英雄君) 速記を止めて下さい。
   午前十一時二十三分速記中止
   ―――――・―――――
   午前十一時四十四分速記開始
#9
○理事(黒田英雄君) 速記を始めて下さい。
 それではこの前大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として御審議をお願いいたします。すでに御質疑も終了したように見受けられますが、質疑終了として直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○理事(黒田英雄君) 御異議ないものと認めます。
 それでは討論に移ります。御意見のおありの方は可否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
#11
○油井賢太郎君 民主党はこの法案に対して賛成をするものであります。併しながらこの預金部の資金の運営と言いますことは、現在金詰り状況が非常に逼迫しておるような時代において、預金部の果す役割というのは非常に重大であります、こういう点につきまして、預金部といたしましても利子を中小企業等にも及ぼすように相当安くするということに、或いは地方の公共団体等に対しても十分思いやりを以て、又不公平のない貸出というようなことをやつて頂きたい。特にこの点を御留意願つて賛成するものであります。
#12
○理事(黒田英雄君) 他に御発言もないようでありますから討論は終局したものといたして直ちに採決に移ります。大蔵省預金部特別会計の昭和二十五年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律案を原案通り可決することに賛成のお方の御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#13
○理事(黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。尚本会議における委員長の口頭報告の内容は、例によつてお委せ願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○理事(黒田英雄君) 御異議ないと認めます。尚委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。
  多数意見者署名
    伊藤 保平  森下 政一
    玉屋 喜章  西川甚五郎
    平沼彌太郎  木内 四郎
    油井賢太郎  小宮山常吉
#15
○理事(黒田英雄君) 速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕
#16
○理事(黒田英雄君) 速記を初めて下さい。
 それでは本日はこの程度で散会いたします。
   午前十一時五十一分散会
 出席者は左の通り。
   理事
           黒田 英雄君
           伊藤 保平君
   委員
           森下 政一君
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           平沼彌太郎君
           木内 四郎君
           油井賢太郎君
           小宮山常吉君
           板野 勝次君
  政府委員
   大蔵事務官
   (主計局法規課
   長)      佐藤 一郎君
   大蔵事務官
   (日本銀行政策
   委員代表兼銀行
   局長)     舟山 正吉君
ソース: 国立国会図書館
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