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1978/10/18 第85回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第085回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
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1978/10/18 第85回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第085回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号

#1
第085回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和五十三年十月十八日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 岡本 富夫君
   理事 小沢 一郎君 理事 大石 千八君
  理事 小宮山重四郎君 理事 石野 久男君
   理事 日野 市朗君 理事 貝沼 次郎君
   理事 吉田 之久君
      伊藤宗一郎君    宇野 宗佑君
      佐藤 文生君    玉沢徳一郎君
      塚原 俊平君    中村 弘海君
      原田昇左右君    与謝野 馨君
      渡辺 栄一君    安島 友義君
      上坂  昇君    田畑政一郎君
      馬場猪太郎君    近江巳記夫君
      古寺  宏君    瀬崎 博義君
      中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      熊谷太三郎君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      前田 正道君
        内閣法制局第四
        部長      別府 正夫君
        科学技術庁長官
        官房長     半澤 治雄君
        科学技術庁計画
        局長      大澤 弘之君
        科学技術庁研究
        調整局長    園山 重道君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       児玉 勝臣君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 野原 石松君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団理事
        長)      野村 一彦君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団専務
        理事)     倉本 昌昭君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団副
        理事長)    金岩 芳郎君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      中村 康治君
        特別委員会第二
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月二十九日
 辞任         補欠選任
  小宮 武喜君     吉田 之久君
十月十八日
 辞任         補欠選任
  近江巳記夫君     古寺  宏君
同日
 辞任         補欠選任
  古寺  宏君     近江巳記夫君
同日
 理事小宮武喜君九月二十九日委員辞任につき、
 その補欠として吉田之久君か理事に当選した。
    ―――――――――――――
九月十八日
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 第八十四回国会閣法第四二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十月九日
 原子力発電所周辺地域における安全対策に関す
 る陳情書外一件(中国四国九県議会正副議長会
 議代表徳島県議会議長島谷敏男外八名)(第九
 〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 参考人出頭要求に関する件
 閉会中審査に関する件
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 第八十四回国会閣法第四二号)
 科学技術振興対策に関する件(原子力船むつに
 関する問題等)
     ――――◇―――――
#2
○岡本委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事補欠選任についてお諮りいたします。
 去る九月二十九日、理事小宮武喜君の委員辞任に伴い、理事が一名欠員になっております。この補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、理事に古田之久君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○岡本委員長 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策に関する件について、本日、参考人として日本原子力船開発事業団理事長野村一彦君及び同専務理事倉本昌昭君並びに動力炉・核燃料開発事業団副理事長金岩芳郎君及び同理事中村康治君から、それぞれ意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
#6
○岡本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
#7
○石野委員 大臣にお尋ねしますが、原子力基本法の改正に伴って安全委員会、それから原子力委員会か発足するようになりました。原子力行政全般を見ますと、今日の原子力行政について国民は非常に不信感を持っておるし、それからまた、先般私は「むつ」の佐世保入港という現地の事態を実際に行って見まして感じることは、政府の側がまた非常に国民に対して原子力行政についての考え方の不信感を持っている。双方で、政府の側は国民に対して原子力についての物の見方に疑義を持っておるし、それから国民の方は政府に対して不信感を持っておる。こういう実情を正常にするために長官はどういうことをしなくてはいけないとお考えでしょうか、この際ひとつ長官の御所見を承りたい。
#8
○熊谷国務大臣 いろいろの答え方があるかと存じますが、やはり基本的に言えば、原子力船を含めました原子力平和利用の必要性と安全性について国民の皆様に十分御理解を願うという基本方針でございまして、これに関して一々挙げるいとまもないくらいでございますが、いろいろ具体的なそれぞれの方針をとってまいらねばならぬ、ように考えておるわけでございます。
#9
○石野委員 国民に安全性に対しての理解を願いたいというそれだけで、この原子力行政に対する国民の信頼感というものは出てくるんですか。政府としてはどういうことをやらなければいかぬのですか。そこのところをお聞きしたいのですよ。
#10
○熊谷国務大臣 国民に御理解を願うということは、言葉で言えば一言で済みますが、その方法についてはいろいろあると考えております。もう少し具体的に申し上げますと、必要性ということについては大体いままでのやり方でそれほど不足している点はないかと考えますが、安全性というものにつきましてはまだまだ不十分ではないかと考えております。いままでのやり方では不十分ではないかと考えておるわけであります。
 そこで、それではどういうふうにしていくかという一つの具体的な私どもの考え方の一端を申し上げますと、もちろんその前に安全性の追求ということが第一でありまして、これはもう御承知のように、いろいろな安全性の工学的な研究でありますとか、あるいはそのほかいろいろな技術的な問題についての安全性のあくなき追求という問題を進めていかねばならぬと思います。ただ、一面におきましては、絶対の安全などということは、もう原子力に限らずすべての現在の機器やサービスには期待することかむずかしいわけでございます。したがって、もちろん原子力におきましては絶対の安全性を目指してあくなき追求を続けるということは第一の問題でありますが、それとあわせまして、現在の原子力の平和利用は、忠実に現在の安全規制を守って慎重に運転してまいりましたならば、まずまず実用には供し得る、こういう一つの考え方を私どもは持っているわけであります。
 そこで、そういう点につきまして、やはり国民の方に理解をお願いしなければならぬ。それには、先ほどから申し上げておりますように、いままでの理解の普及という程度では不十分かと思っているわけであります。これには、一応実際にたとえば原子力発電所が運転されておりますそういういわゆる地元の市町村なりあるいは県なり、そういう県民の方々、まあすべてというわけにはいきませんが、それぞれのオピニオンリーダーとしていろいろな問題に特に関心を持っておられます方ともう少し忌憚のない話し合いを重ねまして、そして理屈はこうだが実際問題としてこのような場合には一体どう考えるか、こういうなにはどういう性格のものであるかというような、そういう日常実際運営の上から生じますいろいろな問題について十分な話し合いを行い、それについてさらに検討しなければならぬ点は、政府なり企業者において検討し、またわかっていただくところはわかっていただく、御理解いただけるところは御理解していただくというふうなことを絶えず積み重ねまして、そしてそこにおいて生まれてまいりました理解を国民全般にだんだん広めていくといったような、そういうやり方を考えなければならぬと思うわけであります。
 そういう二つの問題を申し上げましたが、いままでとかく何か開発推進型であって安全規制の方は従になっているのではないか、そういうあり方についての御批判ももちろん承っていますか、そういうつもりではないにいたしましても、そういうふうに見られるという点があれば十分反省いたしまして、決してそうじやない――原子力の平和利用ということは政府としての基本方針でありますが、その平和利用を推進するためにも安全性の理解ということが欠かせないことでありますから、それはもちろん並行してやっていくわけでありますが、決して一方に偏しているのではないということを理解もしていただかなければなりませんし、またそういう点について反省すべき点があれば政府としても反省していかなければならぬ。いろいろ申し上げれば切りがありませんが、大体そのようなふうに考えているわけであります。
#11
○石野委員 大臣の言おうとすることは理解できますけれども、そこで一番問題になるのは、たとえばいまお話しになりましたように、安全性についてはまだ不十分であるからその点についてはやはり追求していかなければならぬ、そのためには規制法を忠実に守らなければいかぬのだというお話がございました。開発優先生言われることについて反省するんだ、こういうお話はごもっとものようだけれども、一つ欠けているように思うのです。これだけのことをやろうと思ったら、政府は自分の言ったこととやることに対する責任をとるということをやはり長官としてはきちっと行政面において押さえるということが一番大切なのじゃないかと思いますが、そういう点はどうですか。長官は、政府の言動というものに対する責任、すべてのものに対する責任を厳格にとらしめるということの必要性を痛感していませんか。どうですか。
#12
○熊谷国務大臣 具体的な問題は別といたしまして、いま言われました基本的趣旨については異論のあるところはありません。
#13
○石野委員 行政面におけるところの政府のやったこと、言ったことについて責任をとるということがないから国民の不信感が出てくるのですよ。政府がやはり規制法をきちっと守って、やったことに対する責任をぴしっととっておれば、恐らく皆さんもいろんな点で考えた上でやっていることですから、国民はそれに対する信頼感を持つと思うのですが、この責任を明確に追及させるということへの長官の姿勢がなかったら、これはとても国民は信頼することができないのと違いますか。長官、行政機構として責任をとらすということについて、どうなんですか。
#14
○熊谷国務大臣 さっきも申し上げましたとおり、責任をとるということはきわめて重要な問題でありますから、そういう考え方につきましては、私は少しも異論はありません。ありませんが、そういう考えでとるべき責任はとらねばならぬ、このように思っております。
#15
○石野委員 長官が言うように、安全性の不十分な問題については規制法を忠実にやればそれにこたえることかできるだろうということについて、完全とは言いませんけれども、その考え方に私は賛成します。しかし、それを忠実にやるということは、即行政府は行政府としての言ったこと、やったことについて責任をとらなければならぬということだ、こう思うのですよ。
 私は今度「むつ」の佐世保入港の問題のことで佐世保へ参りました。あそこでいろいろなことを見ましたけれども、時間の関係があるから多くを申せませんが、ただ原子力の安全性を確保するために、原子力委員会には安全専門審査会があります。この安全審査の専門審査会が持つ責任というのは非常に大きいと思うのです。それで、「むつ」問題の一番問題になったのは、いわゆる設計上の問題であるのか何なのかわかりませんけれども、やはり臨界に達してほんのわずかのところで事故が起きたということなんですよ。
 そこで、この「むつ」の設計なりあるいはこれに対する安全審査を行って許可をしたことについての責任が一つあるわけなんです。ところが、この審査でパスをさせたという審査会の責任が不明確なんですよ。原子力委員会の方では、これは基本設計の方だけであって、問題は詳細設計だ、詳細設計の方では、だれが責任なのかちっともわからないままに、この「むつ」の問題についての責任者、許可をしたことについての責任者は全然出ないままできているのですよ。長官は、この問題についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#16
○牧村政府委員 安全専門審査会は、従来の形で申し上げますと原子力委員会の下部組織でございまして、安全専門審査会は原子力委員会の指示を受けて原子炉の安全について審査をするという役割りを持っておるわけでございます。
 ただいま先生の御指摘の「むつ」の安全審査の場合を考えますと、当時は原子力委員会も基本設計の設置の許可ということに対しての安全審査のみを実施しておったわけでございます。したがいまして、安全審査会は基本設計についての安全審査を原子力委員会から指示を受けて審査をしたというのが当時の実情でございます。その結果、その基本設計の考え方が詳細設計段階以降の行政庁の行う審査面に十分伝わらなかったために、あのような不幸な原因が招来したと考えられておるわけでございます。したがいまして、一義的には、先生御指摘ではございますけれども、安全審査会にはそのような詳細設計以降の審査の注文を出していなかった時代のことでございましたので、私どもは安全審査会はそういう点で責任をお持ちになるとは考えていないわけでございます。
 しかしながら、今回の基本法等の改正によりまして、特に国会の附帯決議等あるいは審議中の御議論等も受けまして、また今回の安全委員会の安全審査のあり方は、詳細設計のチェックのみに限らず、重要事項につきましては詳細設計以降の段階の設工認の段階のものまで十分ダブルチェックするという御方針をいただきましたし、私どもも安全委員会の重要な仕事として対処していきたいと考えておるわけでございます。
 なお、この「むつ」問題か起きましてからはこの点を反省いたしまして、当時の原子力委員会も、その後の審査に当たりましては設工認段階の重要事項についても関係行政機関から報告を受けてチェックをするという方式をとっておりましたけれども、今後はさらにそれを強化いたして先生御指摘のようなことが今後起こらないように対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
#17
○石野委員 国民が原子力行政に対する政府のやり方について信頼をするということは、やはり政府がそれだけの責任を自覚して国民に対処するということがなかったら、どんなことをやったって国民は信頼しないと思うのですよ。いま「むつ」問題の事故のあったときのことをここで繰り返しても仕方ありませんが、ただやはり私ども考えることは、きょうの本会議に人事案件が出るそうです。その中に、当時の専門委員会の委員長をしておりました内田さんが新しくできる原子力安全委員会の委員になられる。うわさは聞いておりましたけれども、はっきりした名前が出ておりませんでしたから……。当時この問題について唯一の責任者であります。局長からはいろいろな言いわけめいた理屈はありますけれども、これは全く言い逃れですよ。国民は、安全審査会が安全だと言ったから大丈夫なんだという発言を信じているのです。原子力委員もまた、そういうふうに信じているのです。だけれども、いま局長は、原子力委員会の命によって小委員長はやったのだから、命の範囲でしかやらないのだと言う。こんな無責任な態度で安全の問題をあなた方が行政指導するとするなら、国民は信頼しませんよ。安全委員会というものは、命を受けた以上に、まだ科学的に不審があればどんどん追求していって、それにこたえるということでなければならぬ。ここまでしか命令を受けていないのだから、それ以上のことは、仮に疑問があってもやらないのだ、そういうような安全委員会なら幾らつくったってだめですよ。私は、そのくらいの責任を感じた人がこの長になっているのだろうと思いますよ。原子力委員会の安全専門委員会は、どちらかというと大学の先生方がやられておって、片手間にやっているのだといううわさもずうっとあって、これではいけないのじゃないかという動きさえもある。にもかかわらず、この人たちは権威者だから国民はそれを信頼できるのだ、そういうふうに感じてやってきていることはもちろんです。もちろんそれの長になる人は、思い及ばぬことについても、あらかじめそれを指摘し、国民に過ちのないようにいろいろな行政をやろうという立場に立っておるのだろうと思うのですよ。「むつ」のように、わずかに一・四%の臨界以後のなにしか出ていないにかかわらず、あれだけの事故を起こしている。あのままで一〇〇%安全審査は大丈夫だと言った。当時の事業団の理事長は、技術的にはもう何にも問題はありません、ただ問題になるのは経済的な側面だけでございますということを何遍も言っております。にもかかわらず、ああいうような事故が起きている。これはどちらの問題なのか。理事長の問題もあるけれども、これを許可した安全専門委員会の責任は大きいですよ。原子力委員会の責任は大きいですよ。この責任をだれもとらない。私は、政治的な側面でいろいろな批判があることについては、幅はあると思うのですよ。しかし、技術的な側面にはそんな幅があっちゃ困るのですよ。その責任を専門委員会の委員長である人がとらないというようなことでは、また言われないからそれをのうのうとほおかぶりで過ごすというようなことでは、とても国民は信頼できませんよ。新しくわれわれはこの「むつ」の問題で原子力行政の見直しをした。その見直しの上に立って、安全委員会と原子力委員会の二つができた。その安全委員会のメンバーに当時の専門委員会の委員長が横滑りで入るというようなことなんか、国民は許せませんよ。良識があるのか、責任感を持っているのかということを書いたい。私は、内田さんでなかったらこの委員にほかに入れる人かいないのかということを聞きたいのです。日本には、そういうふうに内田さん以外にはいないのでしょうか。
 大臣に私はお尋ねしますが、「むつ」の問題におけるところの内田委員長の責任は非常に大きいと思いますよ。この問題をその当時の行政庁の長官が、政府が何にも問わないで、それをまた今日の安全委員会の席に横滑りさせる。こんなことでどうして国民は政府の原子力行政に信頼を置くことができるのですか。いろいろな関係でわれわれの意見はなかなか通用しないようです。しかし私は、こういうことで国会人事が進んでいくことについては納得できません。私は長官の所見を聞きたい。これだけの問題がある内田さんをどうしてもこの委員にしなくちゃならないという理由、これにかわるべき人が日本にはいないのかどうかという、この二点についてお聞きしておきたい。
#18
○熊谷国務大臣 いろいろ御意見がございました。いまこれにかわる人はいないのかどうかというようなお尋ねもあったかと思いますが、私どもといたしましては、いろいろな観点から十分安全委員会の発足の趣旨にかんがみまして適当と信じますお方を御推薦したわけでございまして、御意見は御意見として十分その趣旨は拝聴いたしておきますが、現在におきましては最適のお方であると信じておる次第でございます。
#19
○石野委員 政府がそういうふうに信じていることについて私はどうこう言えませんけれども、これは単に社会党の石野に対する答えじゃないのですよ。日本の国民に対して、原子力行政における問題点を私は提起しているつもりなのです。政府のそういう考え方について、恐らく国民は信頼感を置かないだろうと思います。せっかく「むつ」によって建て直しされなければならない機構の改革があったにもかかわらず、人事の側面でそれが直されないということであるならば、だれがこれを信頼するのですか。これはあなた方が期待する以上に必ず不幸な状態が出てくるだろうと思いますよ。そのことを私は申し上げておきます。
 ただ、国会というのは数の関係で採決されますから、われわれの数が少ないので、われわれの考え方が国会の中で通用しないという悲しむべき事実を将来の日本の原子力行政について私はここではっきりと申し上げておきます。私は、原子力行政については、言うことは非常にいいことを言うけれども、実に政府は安易な物の考え方をしていると思うのですよ。今度原子力船「むつ」の佐世保回航に当たって、事業団が原子炉の公開を船中で行ったそうですか、どういうところを見せたのですか。
#20
○野村参考人 原子炉の公開といいますのは、記者団が八人お乗りになって、そして航海中ずっと船員と起居をともにして生活されました。それらの方々に対しまして、原子炉の格納容器の中、圧力容器の外側、そこのところまで、規定の服装をして、そして規定の防護措置をしてごらんになったわけです。もちろんコントロールルームとか一般的な船舶としての機器の部分とか、そういうところもごらんになったわけでございます。
#21
○石野委員 圧力容器の中――しかしそれは一般の作業者が入るところを見せたわけですね。船員が入るところを見せたわけですね。
#22
○野村参考人 船員の中の特に機関部員という、そういう専門の船員か主としてその辺の整備点検をやっておるわけですが、そこの部分に入られたわけでございます。
#23
○石野委員 炉には放射線のなにが非常に少ないということを見せようとした意味だろうと思いますけれども、われわれが心配しているような、いわゆる入っちゃいけないようなところはもちろん見せないでしょうし、それからまた危険だと思われるような部署へは入れなかったでしょうし、そうなんでしょうね。
#24
○野村参考人 いえ、むつ港に係留されておりましたときにも、そういう船内の保健物理の立場からの防護という措置を講じて、いわゆる一般の見学者と言ってもいいと思いますが、見学者の方がお入りになった部分ですね、そこと同じところまでお入りになったわけでございまして、それ以上はもう入れないわけでございます。
#25
○石野委員 一般の見学者が入るところまで入ったということですが、新聞によりますと、皆さん安全だ、安全だということを強調されるようで、何か非常にわれわれ心配しているところまで全部見せて大丈夫ですよというふうな印象を与えるように新聞は報道しておりますから、やはり誤解を受けやすいもので、ちょっとお尋ねしました。皆さん開放的に見せていただくことは非常に結構だと思うのです。
 そこで、「むつ」の今度の問題について、保安規定というのがありますね。この保安規定というのは社内規定ですか。
#26
○野村参考人 事業団の内規でございます。
#27
○石野委員 内部規定と言うけれども、これは任意につくったものなんですか。これは法に基づいてつくられているものでしょう。
#28
○野村参考人 原子炉等規制法のさらに下部法令でありますところの原子炉の設置、運転等に関する規則の第十五条第一項に基づいてつくった当事業団の内規であります。
#29
○石野委員 それは規制法の要請に基づいてそういう総理府令による規定ができておるわけですね。何条によってできているのですか。
#30
○野村参考人 規制法の三十七条に一番根本は基づくものでございます。
#31
○石野委員 そうすると、これは単なる社内規定とは違いますね。
#32
○野村参考人 つまり法律に基づきまして、それから総理府令といいますか、普通、府令、省令といいますそういう規則があるわけでございます。また、それに基づきまして私どもの団の内部で部内の内規としてつくった規則でございます。
#33
○石野委員 言うところの一般の社内規定と意味は違うのでしょう。
#34
○野村参考人 意味が違うと申しますのは、要するに一番根本の基礎は法律に基づくものということでございますが、私どもの団内の規定というものは、ほとんど一番根本は法律に基づくものでございます。組織といい、業務、運営といい、人事に関する規定といい、根本は団法なりそれぞれの法律に基づいて細部を決めたものが私どもの規定でございますから、そういう意味では一般の規定とは同じでございます。ただ、これは内規ということの性質から、私どもで企画立案をいたしまして、そして主務大臣の御認可をいただいて発効する、こういう性質のものでございます。
#35
○石野委員 ですから、これはいわば社内規定だ。あなたのところの星野さんという人が、これはいわば社内規定だから、こういう簡単な言い方をしていますね。だから公開はしません、こう言っているのですけれども、あなた方、こういうような見方をしているのですか。
#36
○野村参考人 社内規定だから公開しませんという星野君の発言の詳細は、恐らく新聞の記事か何かで先生ごらんになっての御質問だと思いますが、社内規定だから公開しませんということではございませんで、社内の規定の中のいわゆる内規という性質のものである。つまりこれは監督官庁に対してはもちろん御承認を得るわけでございますのであれですが、そのほか関係の地方公共団体とか、そういうところを除いては公開する性質のものではない。社内規定だから公開しないということではございません。社内規定の中のいわゆる内規というもので外部に公開する性質のものではない、こういうのが星野の発言の真意であると思います。
#37
○石野委員 公開すべき性質のものじゃないということは、法のどこから出てくるのですか。
#38
○野村参考人 法律といいますか、このものの規定は一般的な原子炉の保安規定と同じ性質のものでございますが、特にこの場合について言いますと、原子力船「むつ」の原子炉の保安規定でございますので、船に特有な船舶の航行とか、停泊とか、係留とかに関するような規定を盛り込んであるわけでございますが、その中に原子力を守るためのいわゆる防護に関する規定、つまり外部からのいろいろな不法な侵入があるとか、あるいは船のノーハウが外に漏れるとか、そういうようなことに関して技術的な部分のチータでございますが、そういうものか外に漏れるというようなことがあってはなりませんので、そういう防護に関する部分とかあるいは技術的なノーハウの保護とか、そういうことを含めた内容のものでありますゆえに公開ができない、こういう性質のものであります。
#39
○石野委員 この保安規定は、規制法の三十七条に基づいて総理府令十五条でつくられていますね。そうすると基本的にはこの規制法の精神に基づかなければいけませんね。その保安規定をつくった目的はどういうところにあるのですか。
#40
○野村参考人 これは先ほどもお答えいたしましたように、一般に原子炉の設置に関する保安規定で、ほかの事業団といいますか、機関でおつくりになっておる保安規定と趣旨としては同じでございます。ただ、船舶に関する原子炉を扱っておる規定でございますから、船舶に特有の規定があるということでございまして、これはほかの保安規定と全く同じ性質のものでございまして、いま申し上げましたような防護の問題とか、極端に言いますれば、たとえば核ジャックとか、そういうようなおそれもある内容を持った保安規定でございますので、そういうものを防護するための規定も含むという点ではほかの原子炉に関する規定と全く同一性質のもので、そういうものがありますので公開はいたしかねる、こういうものであります。
#41
○石野委員 規制法の第一条の目的というところをずっと読んでみてください。ここには「これらの利用が計画的に行われることを確保し、あわせてこれらによる災害を防止して公共の安全を図るために」云々とずっと書いて、「必要な規制を行うことを目的とする。」となっている。この目的に従って三十七条は保安規定をつくることを要請し、総理府はそれに基づいて十七項にわたるものを保安規定としてつくりなさいということを命じておるのですね。そうでしょう。
#42
○野村参考人 先生の御発言の趣旨はよくわかります。ただ、私がさっき申し上げましたのは、核物質の防護に関する項目とか、それから保安組織に関する項目とか、保安上重要な機器の系統にかかわる項目とか、安全を保つ一般的な防護を図るということは当然でございますが、それに対して、いま申し上げましたような核物質とか警備体制とか保安上の重要な機器とかいうものに対して、不法にこれを外部から、たとえばこれを核ジャックをしようというものが出てきて、そしてそういう不法な措置が行われるということに対して防護しなければならない、そういうものに対する配慮からこの内規につきましては公開ができないということでございまして、一般的に安全を保つためのいろいろな施策を講ずるということについては、これは当然のことでございます。
#43
○石野委員 私は問題を混同してはいかぬと思うのです。原子力基本法は三原則を持っております。自主、民主、公開の原則を持っているのです。しかも、今度の基本法改正に当たって、第一条の規定の中に、安全のためにということを特に入れました。その安全のためにということを受けとめているのかこの規制法のいろいろな規定です。その規定に基づいて三十七条が要請をし、しかもこの三十七条は公開せざるを得ないようにしているわけです。「設置者及びその従業者は、保安規定を守らなければならない。」となっています。だから従業者というのは、これは全部守らなければいけないものなんです。そして同時に、安全を期するためにこの保安規定をあなた方が公開しないという理由の大きな問題は防護しなければならぬということなんですね。防護ということと保安規定ということとは違いますよ。防護するためにあなた方は防護規定をいろいろつくっているのでしょう。そこで取り締まったらいいじゃないですか。保安規定を公開するということと防護ということを混同しないようにしてほしいのです。
 私はあなた方から保安規定を出してくれということで再三にわたって交渉しました。あなた方からもらったのは、全く空白のものをもらったわけです。条目を見てみると、これは四編からなっておって百二十五条です。百二十五条のうちで、条だけで、伏せられているものを全部入れますと七十四条あります。百二十五条の中の七十四条が空白なんですよ。その上、部分的に、主語だとか客語だとかというものが伏せられておって、何を言っているのかわからないような条目がそのほか二十四ヵ所ある。だから全部で九十八ヵ所に及んで、そういうものになっているのです。私も戦前にはずいぶん赤い本を読まされて、バッテンのなにを読んで判読しなければならぬことかあったが、このあなた方からもらったのを見ると、戦前の機密保護法の適用を受けたときと同じような状態になっている。これは有事立法の先行の形ですよ。こんなもので安全性に対する信頼感を持てると言っても、われわれにこれさえも見せられないということになれば、どうしてあなた方を信頼することができるのですか。保安規定は出せないのですか。
#44
○野村参考人 しばしば申し上げますように、保安規定は原子炉設置の保安管理及び運用について定めた当事業団の内部の規定でございます。したがいまして、当事業団の職員とかなんとかがこれをよく熟知して、そして地震の防護あるいは環境の保全等について万全を期さなければならないのは先生おっしゃるとおりでございます。
 ただ、これを公開するということは、何も原子力船だけに限ったことではございませんが、一般の原子炉の設置をしております事業体の立場から言いますれば、一般に公開するということになりますと、この中に先生がさっきおっしゃいましたような防護の規定が入っているわけでございます。したがって、この部分が一般に公開されれば、これが逆用されるといいますか、いわゆる安全を保つためのウイークポイントといいますか、それが逆に外部にわかってしまって、一般の人にはかえってそれが不幸な結果をもたらすようなことになるということから、これは公開しないということでございます。
#45
○石野委員 私は、これは重大だと思うのです。あなたのその考え方を言えば、わが国はすべて秘密国家になってしまいますよ。安全性の問題を追及して、これほど国民はあなた方に対して信頼感を得ようとする努力をしている。ところが、この保安規定というのは安全性を保障するために細かいことを決めているわけなんです。しかも、これはあなた方の社内の規定じゃないのですよ。法律によって国民があなた方に要請しているものなんですよ。保安規定というのは、あなた方の事業団だけで決めているのと違いますよ。国会が法律を通じて、あなた方にこのことをつくるように命じているのです。どうしてこれは出せないのです。防護の問題は防護の問題でほかにまた考えたらいいじゃないですか。安全に対してわれわれが信頼感を得ようとしていろいろ見ようとしている。
 なぜ私はこういうことを言うかというと、美浜の一号炉のときに同じようにこの保安規定の問題があったのです。保安規定が実際実行されていなかったからこそ、国民に対して四年間も事故を隠したのじゃないですか。しかも、政府当局は大丈夫だ、大丈夫だと言ったけれども、大丈夫じゃない。いまだに美浜の一号炉はとまっているような事故を起こしているじゃないですか。そういう政府の態度なり、事業団がこういう形で、それは防護をしなくちゃならないとかなんとかということを私は否定しませんよ。防護することは結構ですよ。防護するということと、保安規定を公開できないということと同じにしてはいけませんよ。私は、この点はちゃんと整理してほしいと思う。保安規定はちゃんと出すべきですよ。そうして防護するためのなにをまたあなた方は考えたらいいじゃないですか。そういうふうに国民全体をあなた方は疑問視している。信用していない。あなた方は国民を信頼しないで給料をもらえるのですか。あなた方の給料は皆国民の税金で出ているのじゃないか。事業団がこういう態度をとっていることについて、長官、どういうふうに思いますか。
#46
○熊谷国務大臣 事業団がそういう態度をとっているということについてどう思うかということでございますが、こういう場でございますので、あるいは言葉の趣旨が十分徹底しない点があるかとも考えるわけでございますが、保安規定という規定の名前あるいは自主、公開、民主といったような原則、こういうものにつきましてはわれわれは十分尊重したい、しなければならぬと思っているわけであります。
 ただ、保安規定の中に、あるいは防護に関するいろいろな規定――防護に関する規定といいましても、これは国民をみんな信頼しろと言われますが、たくさんの国民の中にはやはり一部信頼できない人もないということは断言できないわけでございます。したがって、防護上これを漏らしては得策でないという点について非常な心配を持っているということは、これは事業団だけじゃなしに、原子力発電所全体としてそういう考えがあることは事実でございます。
 それから、いまノーハウという話が出ましたが、これもいろいろな関係があるわけでございまして、要するに防護に関する規定でありますとか、ノーハウといったようなものを守るという立場からしますいろいろな規定ということと、安全について皆さんによくわかっていただかねばならぬということとはおのずから別であると考えるわけであります。したがって、いま先生から保安規定を全部見せなければ安全について疑いができるのじゃないかというふうなお話がありましたが、現在の保安規定というものをいろいろ検討していけば、あるいはそういう点も起こり得るのかもしらぬとも考えます。したがって、そういう点については今後十分またひとつ検討いたしまして、事安全に関しますことについては当然公開の原則に従ってそういうことも考え、安全上より信頼を増すように具体的な検討も加えてまいらねばならぬ。いま仰せのようなお言葉の御趣旨はよくわかるわけですが、現在の保安規定がそういうものを含んでいることも御了承いただきまして、そして一方において、そういう公開してはかえってまずいが、また公開しなくても安全には支障がない、ただしこういうことを一般に知っていただかねば安全に対して十分御信頼を得ることができないという点もあるわけでございますから、そういう点を今後の検討にひとつお任せいただきましていろいろ検討させていただいたらどうか。私の思いつきを申し上げるわけでございます。
#47
○石野委員 事は重大ですから、私はその釈明は十分受けとめることはできないのです。もしこれを長官や事業団の言うように受けとめていきますと、何もかも全部伏せ字になってしまいますよ。たとえば「非常の場合に対する準備および措置」ということで私の手元に来ているものの二百三十六条を見ますと、最初の出だしが消されておる。「「むつ」の非常事態における放射線災害の拡大を防止するため、次の各号の定めるところにより補助動力を準備しておかねばならない。」こういうふうに書いてある。何だかちっともわからない。だれがどういうふうにするかわからない。こういうことが防護に差し支えになるのですか。こんなことでわれわれが見せてもらってわかるのですか。「むつ」の非常事態における何々をしておかなければならないとありますが、だれがするのかちっともわからない。この主語がわかったら防護に非常に差し支えがくるのですか。
 私は「むつ」でも過剰警備ということを非常に痛感してまいりました。私はきょうは警察庁を呼びたかったのですけれども時間がないから呼びませんでしたが、駅へおりると全部点検しておるのです。国鉄の駅の中へ機動隊がずっと入ってしまって、駅長の権限も保安員の権限も何もない。機動隊が全部占拠しておる。そして一人だけしか通れないようにして、約五十メートルから六十メートルぐらい人員をずっと配置して、その間、人がきの中を通るのです。私も戦前の事情を全部知らないわけじゃないのです。二・二六事件や五・一五事件のときでもああいうことはなかったのです。防護の問題についてNPTがあります。そこではそういうことをやっているはずです。そのNPTとこの保安規定とはどういう関係があるのですか。
 事業団に聞きますけれども、事業団はこういうことを伏せ字にしなくちゃならない理由はどこにあるのですか。あるいはまた、非常の場合の通報ということについて二百四十三条は全くの空白だ。それは船内における非常の場合の通報、連絡の系統、範囲について規定しているのだ、こういうことのようです。第二百四十五条は船内非常配置表の作成と周知方法について規定している、こう言うのですね。これは核ジャックだか何だか知りませんが、そういうものに関係していると見るのかもしらぬけれども、このぐらいのことがわかっていなかったら、周辺地の人たちは安心しておれますか。どういうような連絡、通報の関係かわかりもしないのでは文句も言えない。たとえば私は東海村の近くにおりますが、東海村で事故が起きて通報を受けなくちゃならないときに、通報の連絡系統がわからなくてどうして安心しておれるのです。
 こういうように空白にしなかったら、あなた方はどうしても防護できないというのですか。私は、これは過剰な警戒だと思いますよ。長官、もし長官がこれをこのままいくなら私は総理に来てもらって総理に聞きたい。この姿勢は全く有事立法を前提にしたような、秘密保護法をもうすでに実行しようとしているようにしか見えないんですよ。同時にまた、原子力の安全性に対する国民の信頼はこれじゃとても得られません。もう一遍長官の御意見を聞きたい。
#48
○熊谷国務大臣 先ほどから申し上げているとおりでありまして、われわれとしては国民の安全を守り、またこれに対する信頼性を得るための必要な公開は決して否むものではありません。したがって、先生の御趣旨も十分に承りますが、一方におきまして、過剰なというお話もありましたが、悪い影響を与えない限りは用心はし過ぎるくらいした方がいいんじゃないかという立場から言いますと、第三者に悪い不利な結果をもたらさぬ限りは用心し過ぎるくらいに保安規定を考えておくことは、いろいろな御批判はありましてもその精神そのものは特別悪いというふうには考えませんし、またその他の問題についても同様でございます。ただ要は、保安規定の内容が細微にわたってもうこれ以上変えることかできないほど十分適切であるかどうかという点については検討の余地があるとも思います。
 さらにまた、先ほどから申し上げておりますように、先生のお気持ち、それからわれわれの当事者としての考え方、両方の趣旨をよく生かしながら今後進んでいくことについては、なお検討の余地があれば十分に検討したいと申し上げているわけでございまして、いまおまえの気持ちはどうかと言われれば、私の率直な気持ちとして、いま申し上げたようなことを御理解いただければ、御理解をいただきたいと考えるわけであります。
#49
○石野委員 長官の言われる十分検討してみたいということの意味は、どういうことを言っているのか。私は、保安規定の規定の仕方がまずいとかなんとかいう内容を言っているんじゃないですよ。保安規定とはどういうものなのかということをわれわれは知りたいから見せてくれと言ったら、見せない。私はきつく言いました。ノーハウ等についての問題はわれわれは決して賛成じゃないけれども、従来ともなかなか公開されませんから、そういうものがある限りにおいては、伏せられておいても、そこは見せないということを言われても、私も従来の慣例からしてやむを得ないと思うということは言ってありますけれども、今度は防護のためにということに藉口して骨抜きですよ。この規定を見せてもらったって何が何だかわからないですよ。保安規定について、たとえば国会のわれわれでさえも見られなかったらどうして安全の問題に対する追及ができるのですか。特に美浜の問題なんかで保安規定の問題を無視しておったことがはっきりしたわけでしょう。作業日誌があったってそれに目を通していない。目を通しておったのかどうか知らぬけれども、それを見過ごしたままで、やるべきこともやらないできている。行政府の中にその責任の観念が全然ない。それでああいう事故が起きている。「むつ」だって、これだけ大きく国会を愚弄して国民を愚弄してきたんですよ。それであれだけ事故を起こしたのにもかかわらず、その反省すらなくて、ただ防護だとかノーハウだとかいうようなことでこれを見せもしなかったら、だれが信頼できるのですか。
 長官、検討という意味は、保安規定の内容を検討してくれと私は言っているのじゃないのです。こういうような状態でしか公開できない、見せられぬということについて、これでいいのかどうか。もしどうしても長官がここで御答弁ができないなら、私は総理大臣に政府の見解を聞かなくてはいけない。これは将来の秘密保護というような問題に触れる非常に重大な問題だと思いますので、もう一度長官の所見を聞いておきたい。
    〔委員長退席、小沢(一)委員長代理着席〕
#50
○熊谷国務大臣 十分検討させていただきます。
#51
○石野委員 検討するということは、公開について検討するという意味ですか。
#52
○熊谷国務大臣 公開と申しますよりは、先生のいま言われましたこと全体を含めまして検討させていただく、こういう意味でございます。
#53
○石野委員 これはもう同じことを何ぼ言っても仕方がありませんけれども、とにかくこういうような保安規定の国民に対して目を閉ざすというやり方は非常に不明朗です。これではあなた方が国民に対してどんなに信頼をしろと言ったって国民は信頼しないと思います。そしてまた、われわれもこれは非常に重要だと思いますから、長官の検討するという意味は、私の意見について検討するというのですから、これはできるだけ公開をするようにしていただきたい。ノーハウの問題については、私はよしとは言いませんけれども、従来の慣例がありますから、その点はあえて言いませんけれども、防護の点については、防護の方法は別途講じているはずですから、保安規定は十分出せる余裕かあるはずだと思います。その点をもう一度長官にお聞きしておきます。
#54
○熊谷国務大臣 重ねて御検討申し上げるというお答えをいたします。
#55
○石野委員 保安規定の第二亘二十四条のただし書きはつい最近に行われたと聞いておりますが、これはどういう経緯で、いつこういうただし書きはついたのですか。
#56
○倉本参考人 この第二亘二十四条でございますが、以前は大湊港が私どもの方の定係港でございまして、大湊港における保安規定という形でつくられておりましたが、今回佐世保で修理をするということになりましたので、この佐世保におきます条件が大湊の場合と違いますので、それに合わせて今回改正を行ったものでございます。
#57
○石野委員 いつですか。
#58
○倉本参考人 ことしの七月でございます。
#59
○石野委員 七月の幾日ですか。
#60
○倉本参考人 七月の十八日でございます。私どもの方が決めたのが七月の十八日でございまして、認可は三十一日でございます。
#61
○石野委員 皆さんはこの規定を大湊から佐世保に移すについて佐世保に適応するように申請をし、総理の許可をもらったのだと思いますが、非常に御都合主義だと思うのです。こんな便宜主義をするということ自体についても、やはりわれわれ不信を感じます。そして同時に、このただし書きは、具体的にはこの後にある三項についてどういうふうになったのですか。
#62
○倉本参考人 この二百三十四条でございますけれども、佐世保におきましては原子炉の運転はしない、原子炉は冷態停止であるということでございまして、以前、保安規定をつくりました時点におきましては、原子力船は、当初考えておりましたのは港に入りますときは低出力で運転するという状態を考えておりましたので、それに合わせた形になっていたわけでございます。したがいまして、佐世保においては冷態停止ということでございますので、この冷態停止の場合につきましては、この炉を運転するという状態にかかわりました事項についてはこれを除く。それからそれにつきましてはすでに前の設置許可をいたしましたときの時点におきましてこれらの条件については冷態停止の状態で停泊または仮泊する場合を除くということに御了解いただいておりますので、それにのっとって合わせたということでございます。
#63
○石野委員 もう時間がありませんから急いでお聞きしますが、そうすると、この第二百三十四条のただし書きというのは、ここに書かれておる港内停泊のときは、この原子力船の炉を中心にして半径五十メートル以上の管理地帯、半径二百五十メートル以上の非居住地帯というものは排除された。それから第二の「むつ」を港外に停泊させるときの、やはり陸岸から二百五十メートル以上離れていることや、それから、ただし「二百五十メートル以上の離岸距離がとれないときにあっては、」「半径二百五十メートル以上の非居住地帯が設定できる場合に限り、陸岸から五十メートルまで近づけることができる。」云々という諸点、それから「遠隔錨地を定めておかなければならない。」こういう問題、これは全部排除されたのですか。
    〔小沢(一)委員長代理退席、委員長着席〕
#64
○倉本参考人 排除されたと申しますか、冷態停止の場合にはこういうことを配慮しなくてもいいということでございます。
#65
○石野委員 そうしますと、配慮しなくてもいいということですから、今回の場合は、もう全然停泊場所については問題はないということですね。
#66
○倉本参考人 さようでございます。
#67
○石野委員 ここにも重大な問題があると思うのです。冷態停止が放射能問題について完全に何も問題がないということになってしまいますと、いま地域住民が問題にしていることはもう全く無意味なものになってくるわけですよ。ところが、地域住民が非常に重要視していることは、とにかくこれは一応臨界に達している。それで現在未臨界状態のような状態になっているけれども、制御棒を抜いたりすれば非常に問題か出てくるだろうという心配を皆持っているわけですね。そういうことのないようにするためにかぎを預かったり何かしているわけですよ。われわれ人間のことですから、あるいはまた自然との関係でそういう事態か出てくる危険性があるから、皆心配しているのです。その危険性に基づいてこの第二百三十四条の諸規定ができておるのです。ところが、それを全部皆さんは排除してしまった。もうこれは適用する必要はない、こういうことになりますと、住民が心配していることは全く無視されているわけですよ、この処置は。こういうところに問題が出てきます。
 あなた方は一方的に原子炉は冷態停止の状態にあるからだということできめつけておりますけれども、何かのことによってこの冷態停止の状態に変動が起きますと、必然的にこの条項にはめなければいけないのでしょう。そういうことは絶対にないとあなた方は考えておる。だが、現実に炉の中は未臨界の状態であったとしても、一たん臨界に達しているのだし、制御棒で抑えつけているのだから、その制御棒を抜いたらどういうふうになるかということもまたわれわれは心配しているのですよ。そういう危険性を含んでいるものに対して、そんな大胆なただし書きを適用するというところにわれわれは不信を感ずるのです。長官、こういう処置の方法では住民は納得しませんよ。何をもって一切の事故はないんだということの保証があるのですか。
 しかも、このただし書きは、あなた方が七月の十八日に提出して、七月の終わりのころに認可が出ておるのです。全く御都合主義ですよ。私は原子力の安全性についての態度が非常に安易であると思うのです。国民の心配していることに対して全くあなた方は無関心である。無視している。これは許せませんよ。このただし書きの適用の問題については、まだ非常に大きい問題が残っていると私は思います。長官、どういうふうにお考えになりますか。
#68
○熊谷国務大臣 大変いろいろなお話でございますが、私どもは、冷態停止の状態におきましてはそういう異常な放射線障害を周辺に与えるものとは思っておりません。
 それから、原子力の安全についてわれわれが非常に無関心であるというお話でありますが、私どもとしては決してそのようなつもりではありません。これは強いていろいろ申し上げますと、あるいは議論にもなるかもしれませんが、余り議論すべき場ではございませんが、私どもは誠意をもって原子力の安全に今後も取り組んでまいりたい、このように思っている気持ちだけを申し上げる次第であります。
#69
○石野委員 長官の気持ちをよくわかってくれということですが、しかし事実は事実です。
 原子力局長にお聞きします。安全局長でもどっちでもいいですが、「むつ」の原子炉は未臨界の状態ではあるけれども、制御棒でこれの臨界状態を抑えているという事実は変わりませんね。
#70
○牧村政府委員 先生おっしゃるとおりでございますが……
#71
○石野委員 いや、それはいいんだよ。ただそうかどうかだけでいいんだよ。時間がないからね。そのとおりなんです。だから、これは制御棒で抑えているということで未臨界の状態だとか冷態停止ということがあるので、制御棒を抜いてしまえば臨界に入ってしまうのですよ。そういう危険なものだからわれわれは問題にしているのであって、その危険なものだということの前提を全然外して、こういうただし書きをつくり、そしてまた適用除外をしているということについては信用できません。これはもう一度あなた方で考えてください。それから後われわれは問題にします。いまこれはいろいろ論争してもいけませんが、あなた方のこの処置は国民を無視しているし、安全性を軽視している。よろしくないと思うのですよ。これはもう一遍考えてもらいたいし、この第二百三十四条は適用すべき状態じゃないんだという考え方自体に問題があると私は思いますから、その点はもう一遍考えるべきだと思いますよ。炉を外しておれば、そんなことを私は言いません。炉がある以上は、こんなことは考えられないのです。事業団理事長、どうですか。
#72
○野村参考人 大臣からお答えになったとおりでございますが、私どもは二つのかぎを県に保管をお願いをして、船自身にはかぎを持っていないわけであります。したかいまして、冷態停止の状態がなくなるという、原子炉が稼働するということはあり得ないと考えておりますので、現在の規定で先生の御懸念のような不安ということはないものと確信しております。
#73
○石野委員 かぎを預けているということは、修理が終わるまで一切かぎをあなたは手にしませんか。話に聞くと、一本くらいずつ抜くということをやるんだと言っていますか、やるんでしょう。
#74
○野村参考人 かぎは、修理の間長崎県知事が引き続き保管しておられるわけであります。
#75
○石野委員 点検のときに制御棒を抜くためのかぎというようなものは、それじゃ一切とりませんね。
#76
○野村参考人 そのとおりでございます。
#77
○石野委員 それはよくわかりました。
 それといま一つあります。仮に、かぎは使わなくても災害等によって何かの故障が起きたとき、ちょうどかぎを使って制御棒を抜いたと同じような状態が出てくる可能性もあるのですよ。そういう天然災害というような問題が出てきますが、そのようなときでもこの条目のただし書きをそのままにしておくのですか。そういうことに対してあなた方は全然配慮しないのですか。
#78
○倉本参考人 そこをお答えする前に、先ほどのかぎの件でございますけれども、かぎの件につきましては、現在の時点で返してもらうというようなことはまだはっきりいたしておりません。
 また、この試験自身につきましては、将来とも改修等が済みました時点で安全性等を御確認いただき、また県等とも御相談をした上で試験をするということになるかもわかりませんが、その辺につきましてはまだはっきりいたしておりません。
 それから、いまの……
#79
○石野委員 もうちょっとはっきり言ってくれ。ちっともわからない。
 かぎはどうなんです。使わないのでしょう、修理が終わるまで。
#80
○倉本参考人 かぎにつきましては、現在修理が終わるまでは使う予定はございません。
#81
○山野政府委員 ちょっと答弁を補足いたしますが、現在制御棒駆動盤のかぎは確かに長崎県知事にお預けいたしておりますが、この扱いにつきましては、総点検の中に制御棒駆動試験というものが含まれておるわけでございます。この制御棒の駆動試験をするためには駆動盤、制御盤のかぎが必要でございますので、その際は長崎県知事にお願いしまして地元の了解を得た上で、このかぎを使ってその所要の試験をさしていただくという了解になっております。したがいまして、先ほど理事長の答弁がもしそういったふうなこともしないんだといったふうな御理解を先生がされたとするならば、その点は正しくないのでございまして、制御棒駆動盤のかぎを一時返していただいて制御棒の駆動試験はする、こういうふうなことで地元との話はついておる。地元の方は、そういう要請があったときにはその時点で地元の関係者の意見を総合して、地元なりに安全性を確認した上でかぎをお貸ししましよう、こういう了解がございますので、その点を補足いたします。
#82
○石野委員 局長は、私かそういうふうに理解しておるなら、それは誤解で間違いですと言うが、何を言うのだ。答弁が、使いませんと言っているだけで、私がそういう理解をしているのと違いますよ。修理を一切終わるまで――いま皆さんが聞いているとおり。議事録を見てごらんなさい。私はそういうふうに誤解はしませんよ。一切使いませんと言っている。そういうごまかしの答弁ではできませんよ。委員長、これは取り消させてください。
#83
○山野政府委員 先生がそういう理解をされたとすればという部分は取り消します。
 これは理事長の説明が一部不十分であった、そういうふうなことによってそういう誤解が出ては困るという趣旨で私が補足を申し上げたというふうに御理解いただきます。
#84
○石野委員 不十分じゃないのですよ。私が聞くところによれば、修理中といえども点検等のためにかぎを借りるということもあると聞いておるんだが、そうじゃないのですかと聞いたら、そうじゃないのだ、こういうふうに言ったのでしょう。使いませんと言ったのでしょう。誤解も何もありませんよ。あらかじめ私は、かぎを使うような場合もあると聞いているがどうだと言ったら、そうじゃないと言ったんじゃないですか。
#85
○野村参考人 私の説明が不十分でございましたので、原子力局長の答弁のとおりでございます。
#86
○石野委員 そうすると使うんでしょう。
#87
○野村参考人 そのとおりでございます。
#88
○石野委員 そうすると冷態停止の状態ではないというあなたの先ほどの発言をこれにかみ合わせますと、制御棒を抜くということになれば、冷態停止の状態とあなた方が予想しているのとは違うんだ。われわれが考えているように、冷態停止の状態ではない動きが出てくるのですよ。操作が行われてくるのですよ。ただ、たまたま臨界の状態が過度に進むかどうかということについての見解が違うだけなんであって、冷態停止とは違うんじゃないですか。
#89
○倉本参考人 冷態停止と申しますのは、大体私どもが考えておりますのは六十度以下の状態で、一次冷却水の温度が六十度以下の状態に保たれたときを冷態。温態停止といいますのは、運転状態にすぐ入れるということで、一次冷却水の温度を運転温度に上げた状態で制御棒を入れた状態のものを温態停止ということでございます。冷態停止の状態におきまして制御棒を一本ずつ抜くという形の――ちょっとあれでございますが、制御棒の駆動試験は、原子炉の方は冷態停止に置いた状態で制御棒の駆動試験を一本づつについてやるということでございます。
#90
○石野委員 あなた方の理解がそうあることについては、私は疑義を持っているんじゃないのですよ。冷態停止の状態と温態停止の状態とは連続しているのですよ。そうでしょう。操作のぐあいによっては温態停止になっちゃうのでしょう。制御棒をたくさん抜いてしまえば臨界度が進んでいくという可能性があるのでしょう。ないのですか。
#91
○倉本参考人 原子炉の運転でございますけれども、原子炉をいよいよ運転するというときには、まず冷却水の温度を二百七十度以上に上げまして、いわゆる運転状態に保って、それから制御棒を抜き始めるということでございます。それが冷態の状態におきましては、これは運転の仕方というものを決めてございまして、一応駆動試験のときには制御棒は一本ずつしか動かさないということにいたしておりますので、これを数本あけて抜くということは起こらないということでございます。
#92
○石野委員 あなた方が技術的にいろいろなことを言って筋道を立てていけばそうなるべきはずのものか、そうならないからこそ事故が起きてくるのですよ。それは予測されない条件がどこかに入るとか何かでそういう事故が起きるわけです。だから、たとえば原子力船「むつ」がこういう事故を起こすということは、設計上は予想していなかったのでしょう。操作の上からもそんなことは予想していなかったのでしょう。あなた方は絶対大丈夫だと言ったんですよ。それでもああいう事故が出たんですよ。だからこそわれわれは心配しているんですよ。ましてや、これは一応臨界に達しているんですよ。冷態状態だからといって、六十度以下の温度は現に持っているんですよ。そうでしょう。そうだとすれば、その六十度のあなた方が加熱するという状態を電気で入れるのか何で入れるのか知らないけれども、電気じゃなくたって、急に周囲の状況が、たとえば世界でも酷暑の地帯だと言われるような、四十度も六十度もあるような状態にまで太陽の熱量がきたら沸騰しちゃうじゃないですか。これは非常に仮説的なことですけれども、そういうようなことまでもわれわれは考えるから、われわれは不測の事態に備えていろいろなことを考えるのですよ。こういう状態をあなた方が安易に考えて、しかも国民が信頼できないような不安を持つような状態の操作をするということについては、私は納得しません。これはもうここで論議をしても時間がありませんから、私はこれでやめておきますけれども、科学技術庁なり事業団は余りにも御都合主義の改正を勝手にやっている。これはどうしても信頼できません。国民も信頼できないし、国会も信頼できない。与党は信頼するかしらぬけれども、野党のわれわれは信頼できない。そのことだけをはっきり申し上げておきます。
 いずれにしても長官、こういう扱いについてはもうちょっと厳重な指導をしてもらいたい。そしてわれわれに安心のいくような指導をしてもらわなければ困るので、この点は局長なんかもおるけれども、長官に大どころをつかんで、原子力行政のあり方の問題としてどういうふうに事業団を指導するかという問題について、ぜひひとつ締めくくりの所見だけ聞いておきたい。
#93
○熊谷国務大臣 石野議員がいろいろの場合を考えておられまして、少しでも安全性が完遂されるようにと言われるお気持ちは十分了承いたしました。もとよりそういうお話がなくても、われわれといたしましては、最初に申し上げましたとおり、絶対的な安全性の追求を目指して不断の努力を怠らないということは、われわれの基本的な考え方であります。
 それから、現在の事態に関しましていろいろ御心配の御発言がありました。また、将来いかなる問題が起きるかということは人間の知恵ではなかなかわからぬことでございますが、少なくとも現在の段階におきましては、異常な放射線障害によりまして人体なり環境なりに悪影響、異常な放射線障害を及ぼすということは決してないと確信いたしておりますので、その点もあわせて申し上げますが、これは先生の言われましたことを無視するという意味ではありません。さらに、われわれの気持ちの上でも、今後ともあらゆる面において用心に用心を重ねて進んでまいりたい。そして、先生のおっしゃったことを無にするような考えはありませんから、どうかその点も御了承いただければ幸いでございます。
#94
○石野委員 時間が超過しておるのですが、委員長、少しだけ時間をいただきたいと思います。
 理解せよと言っても、このままで理解せよということじゃなくて、考えてもらわなくちゃ困るので、これはあなた方がこれに対して措置をするということで私は理解します。と同時に、事業団の諸君か防護だとかなんとかというような、本来やるべきことを考えないでそんなところばかり考えておったんじゃ、とても国民の信頼は得られないだろうと思うのです。そのことを申し上げておきます。
 それから、私はまだいろいろ聞きたいことがたくさんありましたが、どうにも時間かございませんので一つだけお聞きしておきますが、事業団は修理のための予算をとっておりますけれども、この予算は炉のために幾ら使い、それから船のために幾ら使うのかということをここではっきりしておいていただきたい。注文を出すに当たって、たとえば佐世保重工にはこれだけの注文が出る、あるいは三菱原子力工業にはこれだけ出るんだという、大ざっぱのところでいいから、それだけをお答えいただきたいということが一つと、それからいま一つは、せっかく動燃の方においでいただいてもう時間がございませんので申しわけありませんけれども、動燃の方からは、再処理工場の事故がありましたが、それはその後どうなっているのかということと、それの修理なり何なりの見通しはいつごろになるのかというようなことだけをもう私は再質問しませんから、後で簡単にお話しください。
#95
○倉本参考人 「むつ」の原子炉の遮蔽の改修でございますけれども、現在、私どもの方から政府にお願いをいたしまして、改修費約五十五億円の要求をいたしておるわけでございますけれども、なお、この工事の分担等につきましては、予算が決まりまして関係の佐世保、三菱等々改修工事についての検討をいたした上でどう扱ってまいるか考えていきたい、かように存じております。
#96
○金岩参考人 東海の再処理のことについての御質問についてお答えいたします。
 トラブルか起こりましてから外部的に調べられる簡単なことはやりましたが、やはり遮蔽しておるセルの中に入って調べなければわからない点がありますので、入れるように、まず装置の中にありますウラン及び硝酸を押し出せるような配管の押し出し作業をやってまいりまして、つい二、三日前に大体終わりましたが、それを確かめて、次に今度はその中の除染をやって、それでそこへ入ってトラブルのあった個所を調べる予定にしております。
 どれぐらい補修にかかるかということは、そのときに入ってみませんとちょっとまだ御報告申し上げられない次第でございます。方法につきましては、いろいろ方法をあわせて用意して検討をしております。
 以上の状態でございます。
#97
○石野委員 再質問しないつもりでしたけれども、倉本さん、五十五億円の金が出ているんだが、後で打ち合わせて……。
 それから作業量としては、船の修理にはどのくらいの作業量で、炉の修理の方はどのくらいになるのか、金でできなければ量としてどんな比率になるのですか。
#98
○倉本参考人 大体半分、半分くらいになるかと思いますけれども、炉の関係が若干多いかと思います。
#99
○石野委員 私は何もここできついことを言うなにはないのですけれども、炉の修理という問題はわれわれもずいぶん重視しておりますから、そんなに簡単じゃなかろうと私は思っておるのですよ。だから、あなたが言われるように半々などということになるともっと金が必要なんじゃないかと思うのです。二十億や三十億ではいかないだろうとぼくは思うのです。五十五億の半分というと二十七億五千万だ。そんなことじゃいかないだろうと思うのですよ。どうなんですか。半々の状態なんですか。
#100
○倉本参考人 遮蔽の改修でございますので、格納容器の中におきます遮蔽の改修と格納容器の外側の遮蔽の改修ということでございまして、両方とも五十五億と言いますのは、中と外との遮蔽ということでございます。
#101
○石野委員 きょうはもう時間がありませんから、この問題はあとでまた質問させていただきますけれども、きょうは運輸省の方には、遮蔽の問題で重量が非常に増してくるので、船舶運航上から言っても問題が出やせぬだろうかということについてもお聞きをしたかったのです。それからまた、労働省の方には被曝者のことについてもお聞きしたがったのですか、時間がありませんので、きょうはせっかくおいでをいただきましたけれども質問ができませんでした。
 それでは、これで終わります。
#102
○岡本委員長 次に、古寺宏君。
#103
○古寺委員 原子力船「むつ」は現在佐世保港に入院をいたしたわけでございますが、昭和四十九年十月十四日の「原子力船「むつ」の定係港入港及び定係港の撤去に関する合意協定書」がございます。いわゆる四者協定でございます。この四者協定書の中に協定されているすべてがまだ履行されているとは言われないわけでございますが、残っている協定の内容につきまして、いつごろこれを履行するおつもりか、大臣からお伺いしたいと思います。
#104
○熊谷国務大臣 ただいまお話しのように、昨年の四月十四日に四者協定の履行期限が来たわけでございますが、遺憾ながらこれを守れなかったわけでございます。鋭意履行について佐世保修理港の問題に努力をいたしました結果、一応船が撤去するという問題だけは、おくれてはおりますが、片づいたことになるかと思うわけでございます。
 それから残余の協定の特に主眼であります定係港撤去の問題、いろいろな施設の問題でございますが、これに関しましては八月一日に私かごあいさつに青森県へ上がりましたときに、青森県側の知事、市長、漁連の各代表者の方々とお話しいたしました際に、相手の知事、市長、漁連の三者の方々から、ひとつ適当な機会に話し合いをしようじゃないかというお話が出ましたので了承いたしまして、今日に及んでおるようなわけでございます。
#105
○古寺委員 いまの長官のお話を承りますと、適当な機会にお話し合いをしたい、こういうふうに青森県側から、県知事さんあるいは漁連の会長さん、またむつの市長さん、向こうからお話があったような御答弁のようにいま承ったのですが、際に協定を履行していないのは長官の方でございましょう。長官の方から適当な時期にお話をするというならわかるのですが、逆じゃないですか。どうですか。
#106
○熊谷国務大臣 実はその方は、ざっくばらんな話でございますが、どういたしましょうかということを申し上げたわけでございます。じゃ、ひとつ適当な時期に相談しようじゃないかというお話がありましたから、そのまま承って帰ったわけでございます。
#107
○古寺委員 どうしましょうかじゃなくて、この協定を履行する義務が長官の方にはあるわけでしょう。長官の方から、この協定の残された部分につきましてはこういうふうに履行したいがどうでしょうかというなら話はわかるのですが、そういう具体的な内容が全然出ていないわけですね。ならば、いつごろをめどに話し合いをしようというふうにお考えですか。
#108
○熊谷国務大臣 いつごろということも、はっきり申し上げて、別に具体的には決めておりません。
#109
○古寺委員 なぜ決めないのです。これが仮に、逆に国民が政府と協定した問題であったらどうでございますか。四者協定というものを責任をもって履行する義務というものが長官にはあると思う。そういう責任があると思う。それを全然まだその時期も考えていないというのは、私は納得できない。どういうわけですか、もう一遍御答弁願います。
#110
○熊谷国務大臣 どういうわけですかと言われれば、こういうわけだからこうだと申し上げられるような理由はございません。ございませんが、私どもも先ほど申し上げましたように、やはり履行すべきものであると考えておりますから、それについてのいろいろな問題もございましょうから、この後の問題についてはいつお話し合いをしましょうかと言いましたときに、三者の方からそういうお話がありましたから、それでそういうお言葉を承って帰ったわけでございまして、具体的に時期が申し上げられぬということは、どうでもいいと思っているわけではございませんので、われわれとしてもいろいろ考えてもおりますし、青森県の方でも適当な時期ということを向こうさんから言われました限りにおいては、一応そういうことに対しての御意思の表示があるものと思っているわけでございます。
#111
○古寺委員 この四者協定、また長崎の五者協定の中にも、新定係港を早急に決めることになっているわけです。その候補地については、長官の御発祥だと思いますが、新聞に載っているようでございます。現在候補地があるというお話でございますが、どこどこでございますか。
#112
○熊谷国務大臣 候補地といって、別にいま明示申し上げるような場所はございません。ございませんけれども、新走係港を早く決めろ、決めなければならぬという問題は、第一に四者協定のたてまえから考えましても、それから佐世保における五者協定の面から考えましても、当然一刻も早く急がねばならぬわけであります。また、そういう協定がなくても、政府自身として一刻も早く定係港を決めたいということは申すまでもないことでございます。
 そこで、実は鋭意その定係港の選定に当たりたいと思っておりますが、「むつ」の問題としましては定係港でございますが、いままでのいろいろな経緯から考えまして、やはり定係港の選定については、一番大切な問題は、地元の方々と安全性を中心として受け入れに関する御理解が十分成り立つということが先決問題であると考えておるわけでございます。
 そうしますると、この御理解を得るということにつきましては、いろいろお話し合いをしていきます場合に、疑問もありあるいは不安な点もあり、いろいろな問題が出てまいると思いますが、われわれとしては、全力を尽くしまして御理解を願う、また御理解を願わなければ定係港というわけにはいかぬと考えておるわけでございます。定係港という問題になりますと、もちろんいろいろ実際の設備その他の条件も要りますし、あるいはこれに伴って、理解はしたが、それでも万々一何かがあった場合にはどうするかというふうな点もあります。私は、第一の問題の理解を得るということさえできれば、あとの問題はそれほど複雑ではないと考えておりますが、いかんせん、この第一の御理解を得るという問題がやはり非常に困難な問題でもございますし、多少のこれに伴った時日も要るのではないかと考えております。
 ただ、率直に申し上げますと、やはり急がば回れということでございまして、このむずかしい問題に真っ先に取り組んで、そうして後々そういう付随的な条件が解決されていくというふうな順序をとっていかなければ、本当の新定係港の選定ということはむずかしいのじゃないか、このように考えているわけであります。したがって、非常に急がねばならぬ、一刻も早く急がねばならぬ問題ではございますが、最初の第一の難関を突破いたしますために、非常な困難を伴いあるいはそのために日にちも要すると思いますので、その辺はまことに申しわけない、われわれの立場としても非常に苦しい立場におりますけれども、何とかして、そういうふうに順序、手順を踏んで進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
#113
○古寺委員 長官、急がば回れということはやるべきことをきちんとやるということなんです。あなたのおっしゃっている候補地の中には大湊港も入っているのです。四者協定をまだ履行していない。果たして定係港に再びなるかどうかというのはこれから先の問題ですが、それ以前に急がば回れです。この定係港の問題については四者協定に基づいてきちんとやらなければならない問題がある。それをまだ履行せずに、あなたは新しい候補地の中には大湊港も入っているというふうにおっしゃっている。これじゃ急がば回れじゃないのです。急がば回れということは四者協定をきちんとやった上で、地域住民の理解を得られるような原子力行政というものを進めていかなければいけない。ところが、地域住民の不信を買うような、国民から疑惑を持たれるような原子力行政というものをあなたはお進めになっていらっしゃる。これは急がば回れじゃないのです。これじゃ怠慢行政ですよ。本当に原子力の平和利用を願うならば、国民の理解を得たいと思うならば、長官のおっしゃるように、急がば回れで、きちっと四者協定は履行する、やるべきことはきちんとやる、こういうことが必要じゃありませんか。
 しかも、新聞の報道によりますと、原子力船「むつ」が佐世保に回航されたその後で、あなたは竹内知事さんあるいは植村漁連会長、それからまた、むつの河野市長、こういう三者にお会いになって、この撤去の問題についてはお話し合いをする、こういうことになっているのですよ。どうなんですか。
#114
○熊谷国務大臣 私の申し上げたことについて十分お考えが一致していない点があるかとも思いますが、ただ、むつも候補地になっているということを私が言ったように言われますが、私は、むつが候補地であるということを申し上げたことはございません。ただ、自然の条件としては最適であるということを申し上げた、それはいまでも思っております。しかし、それはいまの母港にするしないという問題は全然別個の問題でございますので、その点は御了承を願いたいと考えます。
 それから、ちょっと私の聞き違いかもしれませんが、回航した後でというお話だったかと思いますが、これは御承知のように回航が決まりました後に上がって、そうして大変おくれて申しわけなかったということをおわびかたがたごあいさつ申し上げ、そしてこれだけはお話ししておきましたが、片づくことになりましたが、あとの問題についても早急に御相談しなければなりませんがということを申し上げましたら、それは適当な時期にひとつやるということにしようというお話がありまして、そのお言葉に従いましただけのことでございまして、決して四者協定を履行しないなどということは思ってもおりませんし、いま申し上げたように、どこまでも住民の方々の御理解ということが先決問題でありますから、どこの港であれ、まずその理解ができなければ母港の決定、定係港の決定ということはなそうと思ってもなし得ないことである、こういう考え方でいるわけでございます。
#115
○古寺委員 この四者協定の中で、むつ市内の関連公共施設整備といたしまして、田名部−大湊−川内を結ぶいわゆる避難道路を建設するということが合意されているわけです。これか遅々として進まない。住民の理解を得るためには安全性を確保しなければいけないのでしょう。現在原子力船「むつ」が長崎にもう行っているのに、こういう避難道路が完成をしていない。理由はいろいろつけられるでしょう。しかし、なぜそういう困難を排除して約束どおりこの問題を早期に解決しようとしなかったのか。これは私が建設省なんかへ行って聞いてみても、このいわゆる四者協定の趣旨というものは全然徹底されておりませんよ。長官、どうなんですか。これであなたは、急がば回れという住民の理解を得るための努力をなさった、こういうふうに言い切れますか。
#116
○山野政府委員 四者協定の中に、確かに先生御指摘の道路整備事業があるわけでございますが、この道路整備事業につきましては、「田名部−大湊間の道路整備事業に、昭和五十年度以降すみやかに着手する。」となっておるわけでございまして、政府としましては、昭和五十年度から主要地方道のむつ−川内線、これは田名部と大湊のバイパスでございますが、これに加えまして都市計画の街路、つまりこの主要地方道への取りつけ道路、この二つの整備事業に着手しておるわけでございます。このうち都市計画の街路事業の方は当初六年計画でスタートしたものでございますけれども、現在青森県内の事情によりまして完成が二年ばかりおくれるといったふうな事情にございますけれども、協定に従っての道路整備事業というのは、現在着手して実行中であるということでございます。
#117
○古寺委員 着手して、少しでも用地を買収するなり工事が進んでいればそれで済むという問題じゃないでしょう。では、いつまでにそれを完成する予定なんですか。
#118
○山野政府委員 バイパス工事につきましては昭和五十六年度までに、それから街路工事につきましては昭和五十七年度までに完成するという予定になっております。
#119
○古寺委員 これは協定書の中には具体的に盛られてはいませんが、いわゆる避難道路としての道路なんです。現在「むつ」がもう佐世保へ入院しているのでしょう。それでもなおかつ避難道路がこういうふうに遅々として進んでいない。当初計画よりもずっとおくれているのです。こういうことで、急がば回れと本当に住民の理解を得るために原子力行政を一生懸命進めているというふうに私には受け取れないのです。長官、どうでございますか。長官の御意見を承りたい。
#120
○熊谷国務大臣 住民の理解を得るために、急がば回れであっても、ひとつそういう理解を得ることに努めたいということを申し上げましたが、これは直接「むつ」を対象にした問題ではないわけでございます。
 それから、「むつ」の問題につきまして、船もああして出港がおくれ、後の始末もまたそういう状態でまだ済んでおりませんし、また、お話にありましたような道路の問題などもなかなか十分に御趣旨に沿ったような結果にはなっていないかもしれませんが、決して私どもはそれをおろそかにしているのではありませんので、これはひとつできるだけ早く完成するなり、あるいはいろいろな措置がとれますように努力してまいりたいと思います。
 重ねて申し上げますが、決して「むつ」を対象として急がば回れということで母港を選定しているのではありませんので、この辺も改めて申し上げておきたいと考えるわけでございます。
#121
○古寺委員 それではもう一点お伺いしますが、原子力安全委員会というのが十月四日からスタートしたわけです。安全委員は決まったのですか、どうですか。
#122
○牧村政府委員 ただいま政府案を決めまして、両院の御承認をいただくために国会に提出しておる段階でございます。
#123
○古寺委員 それでは今日まで、十月四日に発足したものがこれから国会の承認を得る、こういうふうにおくれた理由は何ですか。これも急がば回れですか。
#124
○牧村政府委員 今回の人選は、原子力委員の一部の方と安全委員五名の方、非常に大人数の任命につきまして国会にお願いしておるところでございます。この政府案を定めまして御本人の御了承をいただく、その上で国会に提出しておるわけでございますが、その御本人の了承を得るための経過におきまして、ごく一部の方の御了承が得られなかったことが国会承認を求めます時期がおくれたというような形になったかと考えております。
#125
○古寺委員 結局、人選に問題があるのでしょう。どうなんですか。
#126
○熊谷国務大臣 最初に申し上げますが、急がば回れと申し上げましたことは、新定係港の選定につきまして、まあ比較的いままで問題にされるべくしてされなかった地元に対する御理解を得るということを先にする、それが急がば回れという結果になるのではないかということで申し上げたわけでございまして、今回の人事の問題について、何も急がば回れというようなゆっくりしたつもりでいたわけではございません。大変微力でございまして、国会の御承認を得る時期がおくれましたことについてはまことに申しわけないと考えております。
 人選に問題があるかないか、これは国会で御審議になる問題でございまして、私どもはこれまた微力ではありますが、いろいろな見地から十分慎重に検討をいたしまして、安全委員会の発足の御趣旨に沿うように微力を尽くして選考してまいった次第でございます。
#127
○古寺委員 これはやはり国会の意見を十分に尊重して人選を進めないというところに私は問題があったと思うのです。
 先ほどから、原子力船「むつ」の四者協定のお話も含めて、わが国の原子力行政の姿勢と申しますか、いままでの経過についていろいろと指摘をしてまいったわけでございますが、こういうようないわゆる安全性の確保という問題については国民は非常に深い関心を持っております。特に青森県民あるいはむつ市民は、なぜ、この原子力安全委員会というものが十月四日に発足をしたのにまだそのメンバーが決まらぬのですが、こういうふうに私どもに言われるわけでございます。そういう国民の理解を得るためには、こういう問題についてやはりもっと慎重に国民の理解を得られるような原子力行政の進め方というものが必要ではないか、こういうふうに私考えるのでございますが、今後の長官の原子力船「むつ」の四者協定の履行に対する決意と、それからまたこれらの残された懸案の問題に対する長官の決意を承って、質問を終わりたいと思います。
#128
○熊谷国務大臣 いろいろお話がございましたが、各種の御発言の内容につきましては、十分その御意見を尊重いたしまして、極力御意見に沿うように努力いたしたい、かように考えております。
#129
○岡本委員長 次に、瀬崎博義君。
#130
○瀬崎委員 「むつ」の問題についてお尋ねをしたいのです。
 まず、改めてお伺いをしますが、「むつ」は去る十六日、佐世保に入港をしております。青森県で四年前に約束されたこの四者協定は事実上履行されなかったわけでありますけれども、もう時期おくれであることは明々白々なことなんですが、それでも政府は今回のこの佐世保回航を四者協定の履行の一環である、このように見ているわけですか。
#131
○山野政府委員 四者協定には新定係港の決定と現定係港の撤去がうたわれているわけでございますけれども、私どもは、この内容を実質的には原子力船「むつ」が大湊港を出港するということと、それから現在陸上にございます各種の付帯施設というものが今後永久に機能を停止するということで実態が確保されるというふうに考えておりますので、そういう意味合いから、四者協定の履行に直に結びつくものではございませんが、実態としては大いに関連はあるというふうに考えております。
#132
○瀬崎委員 それでは今度のこの佐世保回航は、「むつ」から見た場合には本格的な母港撤去への一歩だ、こういうふうな理解をしていいのか、それとも一時出港だというふうな理解に立つのがいいのか、どちらですか。
#133
○山野政府委員 この母港撤去問題につきましては、科学技術庁、事業団と地元の当事者といろいろ話し合いをしておるわけでございますが、地元の方の御意見も、まず「むつ」を修理港に運んで修理を早く進めてほしい、それから今後この定係港の撤去問題は関係者で話し合いましょうという姿勢でおられるわけでございますので、定係港撤去の一つの段階として青森の地元の当事者も考えておられるというふうに考えますので、これによって四者協定が履行できた、履行できないという問題ではないと思いますが、そういう意味合いで非常に関係は深い、こう申しておるわけでございます。
#134
○瀬崎委員 私が聞いているのは、地元がどう受けとめているかということを聞いたのではなくて、少なくとも相当大仕掛けな、国費をかけて大きな修理をやり、将来出力上昇試験等々のいろいろな難問が控えているわけです。ですから、政府側はそれなりの長期的な展望は持ってしかるべきだと思うのですが、そういう政府のプランから見て、今回のこの佐世保回航は本格的な母港撤去への一歩というスケジュールに組み入れられているのか、一時出港という考え方の上に立ってのことなのか、そこを聞いているわけなんです。
#135
○山野政府委員 今後の仕事の段取りを考えますれば、いま船は修理港に入りまして修理に着手したわけでございますので、今後の最も重要な課題というのは新定係港の選定作業になろうかと思います。そういう意味で、新母港決定への第一ステップかというとらえ方もできようかと存じます。
#136
○瀬崎委員 政府はもともといろいろな修理方式を考えていたわけでありますが、最終的には核封印方式になったわけですね。この方向転換に当たって山野局長も、現時点でも上ぶたを外した方が作業性はよいと判断しているが、地元の事情を考慮したと本委員会でも答弁されているわけです。具体的に修理が目の前にきたわけであります。「むつ」修理について地元あるいは国民的な理解が得られないからといって、このような政治的配慮に基づく修理になってきているわけですが、そういうことが本当に科学的に見た場合、原子力船開発にとってプラスになると考えていますか、マイナスになると考えていますか。
#137
○山野政府委員 私どもは、「むつ」の遮蔽改修に当たりまして、圧力容器の上ぶたを船外に持ち出して修理をしましても修理作業の安全性は十分に確保し得るというふうに確信いたしておりましたし、また、そのことは各種の機会を通じて長崎県、地元の方々にもよくよく御説明をしたのでございますが、最後の段階で長崎県側の方から、「むつ」を修理港の方に回航するに当たっては、やはり遮蔽改修を上ぶたをとらないでやるという方向に変えてもらった方が地元の理解、納得が得られやすいからというお申し出がありまして、私どもはその段階で、理論的には先ほど申し上げたとおりではございますが、これは受け入れていただく地元の事情も十分勘案しなければならないわけでございますので、そのお申し出に従ったわけでございます。しかしながら、「むつ」というものの内容を、たとえばこの圧力容器の上ぶたをとらないで作業をしても安全であるといったようなことを含めまして、十分に関係の方々の理解をいただくという努力は今後とも続けてまいりたいと考えております。
#138
○瀬崎委員 私が聞いたことに答えてもらえばいいのですが、政治的配慮に基づいて封印方式で修理することで船を回した。いまそのスケジュールが進められておるわけですが、これを日本で初めての原子力船開発という科学的、技術的な立場から見て、プラスだと考えているのか、マイナスだと考えているのか、そこを答えてほしいのです。
#139
○山野政府委員 私どもの立場からいたしますれば、この修理の作業性を損なうということ、それからまた、場合によっては地元に対する誤解を招くかもしれないという点、その面では必ずしもプラスであるとは考えておりませんけれども、しかし、「むつ」の開発を再び軌道に乗せますためにはある程度はやむを得ないことではないかというふうに考えております。
#140
○瀬崎委員 今日、われわれとは立場を異にするような専門家や技術者の方々の指摘の中にも、科学技術の進歩という立場から言うならば、確かにその過程においていろいろなエラーが出てくることもあるであろう、しかしそういう場合に、これを「むつ」に当てはめれば、原子炉の改修といいますか、修理そのものを急ぐというよりも、原子炉内の検査や原子炉の欠陥、今度の遮蔽の欠陥、こういうことの原因究明、あるいはまた現在はまだ発見されていないかほかに欠陥があるかもしれない、そういうものの究明ということを優先させるのが正しいのではないか、こういう指摘があるのですが、こういうことに対して、価値ある意見だとは思いませんか。
#141
○山野政府委員 「むつ」の原因究明につきましては、過去科学技術庁、運輸省合同の調査団をして行ったところでもございますし、また総理府に設けられましたいわゆる大山委員会においてもいろいろ検討を願ったところでございまして、私どももその反省の上に立って現在進めておるわけでございますが、それだけで済んだというわけではなくて、今後ともあらゆる機会に「むつ」の教訓というのは想起しながら進めていかなければならぬと考えております。
#142
○瀬崎委員 大山委員会にいたしましても、もちろん貴重な提言はされておるけれども、しかし、この原子炉の中そのものを点検したわけでは全くないわけですね。こういうことで総点検をやるこの機会に、本来ならば形だけの修理よりも一番心臓部をちゃんと中まで点検する、こういうことの方がもし科学的に見るならば価値あることではないか、こういう意見があるのでどうかということを聞いたのですが、これは直接担当される事業団としてはいかがですか。
#143
○倉本参考人 その点につきましては、遮蔽改修、総点検の段階におきまして放射線漏れの原因がどういうところにあったかという点の究明もいたしておりますし、また総点検の方におきましても設計の見直しあるいは現在の技術に基づく機器等の点検等についてはこれから実施していこうということでございまして、現在事業団におきまして三年間、また今後の改修段階においても、それらの技術的な究明、将来の布石になるような点については十分検討、そういう心構えで対処いたしております。
#144
○瀬崎委員 しかし、どう言ってみたところで総点検の中に一番肝心な原子炉の内部点検が入れられないことは事実なんでしょう。
#145
○倉本参考人 炉心の設計等につきまして、ソフトの面からの点検はいたしますが、ハードの中の部分につきましては現在点検をするという考え方は持っておりません。
#146
○瀬崎委員 私どもがもし修理という問題とはっきり切り離して、とにもかくにも今回ああいう失敗をしでかしたその原因究明、これまでの開発がよかったかどうか、点検に限って一遍やらせてほしいというふうに国民に言って出た場合は炉心の点検は可能になったのではないか、こういうふうに私は思ったりするのですね。こういう点でいままで政府及び事業団でやってきたことは順序が逆さまであった。そして、なおまたこの逆さまの順序のまま押し通そうとしているところに重大な問題を私は感ずるわけですね。これも私どものように改めて原子力船開発が有意義かどうか検討した上でと言っている立場と異なる専門家の御発言ではありますけれども、直接私どもの聞いた御忠告なんですね。大体「むつ」の原子炉が古いということは、これまでも本委員会で何回か論議してきているわけであります。直接「むつ」の建造にタッチした人あるいは原子力関係の学者も相当数の人がそれを指摘しているわけですね。具体的にこういうお話がありました。「より新しいもの、より新しいタイプでの実験でないと意味がない。『むつ』をつづけるならば、この際新しい炉をつけるべきで、今のままで一体、何を第二船に引きつぐのか」と漏らしていらっしゃったわけですね。私どもはいま直ちに新しい炉を載せて「むつ」の修理を進めなさいとは思っておりませんけれども、しかし、こういう意見があったことも事実なんです。こういうことについて、政府というよりは事業団ですね、まずどういう見解を持っていらっしゃいますか。
#147
○倉本参考人 技術の開発のやり方には、技術者の方々、科学者の方々、それぞれ御意見があろうかと存じます。私どもといたしましては、やはり「むつ」の開発という与えられた使命をまず達成するということ、またその達成の過程におきまして「むつ」をとにかく十二分に活用して、その次の原子力船への布石としたいということで、現在この第二次炉心等についての調査等も開始をいたしております。
 御存じのように「むつ」の原子炉は軽水型のものでございまして、この軽水加圧水型であるということについては、現在諸外国において開発されておりますものにつきましてもその基本的な考え方においては差はないということで、この加圧水型の炉を船舶に積むということから得られるものについては「むつ」の原子炉で十分その役目は果たし得るというぐあいに考えております。
#148
○瀬崎委員 大体新しいものを開発していこうというのに、新しい意見に耳を傾けようとしないいまの事業団のそういう答弁では遺憾千万だと思うのです。これでは将来「むつ」を修理してもうまくいかないのじゃないかと思うのですが、その証拠に、ある新聞にもこういうことを書いてありますよ。「結局は従来通り札束にモノを言わせる代償措置が講じられ、解決することになるのだろうが、そこで出てくるのは、こんな年月をかけ、巨費を投じることに一体意味があるかという疑問だ。十五年前の事業団発足の際には、今にも世界的に到来するような触れ込みだった原子力船時代は、一向にやって来ない。性急な廃船要求には同調できないとしても、どんどん旧式化しているに違いない「むつ」に、政府の意地と関係業界の利害以外、どれだけの意味があるか、明快な答えが必要だ。」むつが佐世保に回航されたこの時期に、皮肉にもこういう論調が出てくるわけです。
 ということは、いまの倉本専務のそういう答弁にもかかわらず、国民はそのことをちっとも理解していない、むしろ逆に疑問を深めている、こういうことの証明ではないかと私は思うのですが、そういう率直な受けとめ方も政府にとって必要なんじゃないですか。これは長官にお尋ねしたいと思います。
#149
○熊谷国務大臣 先ほど来いろいろお話を承っておるわけでございますが、私も技術的なことはほとんどわかりませんが、ただ現在の段階におきましては、何としましても遮蔽の改修工事並びにいま考えられますあらゆる点検をやっていくということ以外に道はないかと思うわけであります。あるいはまただんだん点検が重なってまいりますと、現在考えております以外にも点検ないしは修理を要する場所が出てくるのかもしれません。そこはいま想像されませんが、それに第一、本当の出力上昇試験をやってみなければ、改修は別としまして全体的に本当の目的を十分達したとは言われぬわけでございます。しかし、残念ながら現在の段階では上ぶたをとらないままの改修並びにいろんな点について住民の方々の御理解のいくような方法の範囲しかできないわけであります。
 そこで、先ほどから皆さんのお尋ねにお答えしておりますように、一日も早く新定係港を決定したい。そしてその新定係港におきまして岸壁における出力上昇試験も行いたい。またあるいは、いま気づかないような点が出てまいりましたときも、あらゆる点、完全でない点があれば安全にして、現在ここまでいろいろな犠牲を払ってこぎつけてまいりました原子力船「むつ」をとにかく原子力船として運航できるところに早く持っていくことしか道はない。日本の原子力船を開発していくとすれば、現実的な方法としてはその道しかないということで新定係港の選定を非常に急いでいるということでございます。
#150
○瀬崎委員 今度の「むつ」修理の契約の問題について、先ほども答弁がありましたね。これは私も閉会中審査でも尋ねてあるわけであります。そのときに、原船事業団側は科技庁と相談中であるというふうな話でした。先ほどの答弁によれば、来年度五十五億の債務負担行為の要求をしておるので、そういうことの決まりぐあいを見た上で契約とおっしゃるのですが、しかし少なくとも船をもうSSKのドックに入れてしまっているわけですね。もし入渠以前に何らかの基本的な合意がないとすれば、もし政府の決めた枠内での契約が不可能になった場合、また出ていって別の造船会社を探さなければならないという事態が当然起こってくるだろうと私は思うのです。だから、逆に言うならば、SSKにドック入りしたというこの事実は、当然のことながら政府の了解の上に立って事業団が関係会社との間にこの修理契約について基本線の了解はとってある、こう見ざるを得ないと思うのです。
 そこで、今回の修理に当たって関係するのは三菱原子力工業、それから石川島播磨重工業、そして佐世保重工業になるわけですが、この三社の関係は一体どこが事業団との契約当事者になってくるのか、どこがその下請関係を持つのか、あるいはまた、どの部分をSSKが受け持ち、どの部分を三菱が受け持つのか、横割りですね、そういうふうな点ぐらいははっきりさせていただきたいと私は思うのですが、いかがですか。
#151
○野村参考人 前回の閉会中審査のときにも先生の御質問がございましたが、そのときにお答えいたしましたように、基本的には、SSKと石川島播磨とそれから三菱原子力工業、この三社が協力して修理をやるということに実質的になっておるわけでございます。
 ただ、契約の現在の進行状況を申し上げますと、先ほど専務が申し上げました五十五億、三ヵ年間の国庫債務負担行為、これは要求中の数字でございまして、まだ政府の査定ベースでも決まったわけではございませんが、私どもはこの要求額をぜひ取りたいと思っております。ただ、契約の事務そのものにつきましては、いろいろと三社と私ども事業団と打ち合わせをしておりますが、実ははっきり申し上げますれば、佐世保重工の担当重役等がかわったりなんかいだしまして詰めがなかなか進んでいないという状況はございます。したがいまして、まだ契約の形態をどうするのか、その三社の関係がどうなるのかということは、残念ながら決まっておりません。ただ、前回も申し上げましたように、各社の責任の分担、責任の分野はあくまでも明確な形でやりたいということでいまその下準備の相談を進めておる、こういう状況でございます。
#152
○瀬崎委員 たまたまこの間に佐世保重工の再建問題という相当大きな問題が起こりましたね。このことと関連して、五月二十五日の本委員会で、原子炉設置の許可に関する安全審査の問題に関係して経理的基礎の問題を私が質問しております。当時、退職を強要した労働者、従業員に対して退職金も払っていない、資金繰りもつかない、こういうふうな企業が経理的基準に合格し得ると見ているのかどうか。これに対して熊谷長官は、一般的な設問として答えるがという条件つきではありましたが、いろいろ経理的には私が指摘したような欠陥、そういう欠陥のある相手を対象として契約することはできないと明言をされているわけです。いまはしなくもおっしゃいましたように、役員もまたかわってきた。したがって、詰めがしにくいのは当然だと思いますね。一定の蓄積がなければならないと思うのですよ。入港していてもまだ詰めかできないようなごたごたがどうもSSKの中にあるようですね。
 さらに、この間も労働基準局から勧告か注意を受けておりましたね。社員を研修と称して残業手当を払わないまま時間外拘束もしておったというようなことも起こっておるし、また、その後も人員整理が強行されているし、賃金カットが行われているし、こういう不安定な状況のSSKについて、長官いかがですか。この五月の時点の御判断は変え得るとお考えですか。やはり当時と同じような判断で見ていらっしゃるのですか。
#153
○熊谷国務大臣 原則としまして、先ほどおっしゃいましたとおりでございます。ただ、佐世保重工の現状がどういう状態であるかということについてはつまびらかにしておりませんので、その点もし御必要があれば事業団の方から報告させます。
#154
○瀬崎委員 あくまで五月時点の国会答弁の基本は変わらない、こういうふうに私は理解をしておきたいと思うのであります。
 時間の関係がありますが、もう少し聞いておきたいことがあるのです。それは先ほど来保安規定二百三十四条ただし書きが問題になっております。このただし書きを認可した政府側は、どこにその根拠を求めたわけですか。
#155
○牧村政府委員 保安規定は、規制法の三十七条の規定に基づきまして、原子炉設置者が保安規定を定めて、これを総理大臣の認可を受けなければならないという規定があるわけでございます。また、これを変更しようとするときは同様とするという規定がございまして、その保安規定の中身につきましては、規則等でこういうことを置く必要があるというようなことになっておるわけでございます。
#156
○瀬崎委員 いやいや、冷態停止だからいいんだという、その科学的根拠はどこにあったんですかということです。
#157
○牧村政府委員 「むつ」の安全審査におきまして、原子炉が冷態停止の状態で停泊または仮泊する場合には、離隔距離等の規定は考えなくてよろしいという安全審査会の結論が得られておるわけでございまして、その結論を踏まえて設置の許可をなされておるわけでございます。今回、佐世保の修理港に参りましたに当たりまして、原子炉は冷態停止の状態に置くということになっておりますので、その離隔距離等を定めた規定は適用しなくてよろしいというただし書きを入れて、事業団から変更の届け出が出たわけでございます。これを内閣総理大臣の方で認可をしたということでございます。
#158
○瀬崎委員 その安全審査の結論というのはいつ出ておりますか。年月だけ……。
#159
○牧村政府委員 四十二年十一月十五日に安全審査が行われたものでございますが、その後いろいろな変更等が行われておりまして、その際に、この状態のことにつきましては原子力委員会にも御報告し、御了承を得ているところでございます。
#160
○瀬崎委員 それでは四十二年十一月のドック入りを想定して冷態停止であればもろもろの規定を除外してよいという、そのときのドック入りというのはどういう事態を想定しているわけですか。
#161
○牧村政府委員 安全審査書の中に、そのときの状況は「本船の入渠は、原子炉が冷態停止の状態で行なわれるので、重大な原子炉事故が発生することは、全く考えられない。したがって、入渠に関しては、在来船と全く同じであり、特別な考慮を必要としないものと認める。」という趣旨の御判断をいただいておるわけでございます。
#162
○瀬崎委員 私が言っているのは、四十二年当時に、恐らくそれはもちろん佐世保などということは全然念頭にない時期にわざわざこういう安全審査の結論が出ているのはどういう事態を想定したからかと聞いているのです。
#163
○牧村政府委員 原子力船の運航に当たりましてはいろいろな状態があるわけでございますが、たとえばついこの前まで「むつ」におきまして見たような冷態停止の状態、これは引き続き佐世保港においても同じような形で停泊するわけでございますので、そういう冷態停止という状態につきまして安全審査会で検討されて、先ほど申し上げましたような結論に達しておるわけでございます。
#164
○瀬崎委員 結局、今回のこういう佐世保入港という事態がなかったにしたところで、もし「むつ」が動いておればいやおうなしに定期検査等は起こってくるだろうと思うし、そういういろいろな事態を想定してのことであろうと私は思うのです。それならそれで、本来はいまの保安規定にただし書きが必要なら、最初からただし書きがついておるべきものだ。何も今回佐世保に行くときだけわざわざつける必要はなかったのではないか。だとするならば、なぜいままでつけなかったものを佐世保に向かったときに改めてつけたのか、この疑問が出てくるのです。特別な事情があったのですか。
#165
○牧村政府委員 原子力船「むつ」は当初の考え方として、定係港を含めまして出入港いたします場合には、基底負荷として約二〇%出力の温態停止という状態で出入港することを通常考えておるわけでございます。そういうことを前提として保安規定が作成されておったわけでございます。このことが、四十九年の放射線漏れを契機といたしましてむつにおいて長期の冷態停止を維持したわけでございます。この間、何ら問題はなかったわけでございますが、むつは本来定係港としての役割りを持っておりましたので、その場所を考えますと、十分な離隔距離等も当然持っておるところでございましたので、そこでその他の変更を行いますときに、最小限の変更を行ったというのが現状であったわけでございます。
 今回、大湊から佐世保に移るに当たりまして、安全審査書に書かれた評価の決定をただし書きにつけ加えたということが現状でございます。
#166
○瀬崎委員 時間が来ておるのですが、あとの方の時間で多少削らしてもらいますので、もう一、二問お願いしたいと思いますけれども、冷態停止というのは、もともと「むつ」にとって想定していなかったということなんです。そういう意味では、冷態停止の状態とかあるいは温態停止の状態とかいうふうなものについて、厳密な定義が国民に対してちゃんとはっきりさせられているのかどうかということは大きな問題だろうと私思うのですね。
 そこで、時間がないので簡単に答えてほしいのですが、冷態停止の状態にある場合、その原子炉は規制法二条四項あるいは原子力基本法三条四号で定義された原子炉に当たるのか当たらないのか、どちらですか。
#167
○牧村政府委員 お答えする前に、先生が御確認されたことにつきましてちょっとつけ加えさせていただきます。
 原子力船「むつ」につきまして、冷態停止の状態は通常考えていなかったかということでございますが、原子力船が修理等のためにドックに入るような場合は冷態停止にしなくちゃいけないのだということはすでに安全審査の中で言われておりまして、そういうときには冷態停止にせよということで考えられておりましたので、冷態停止の状態も原子力船「むつ」の場合に十分あるということをまず補足させていただきます。
 それから、御質問の点は原子炉でございます。
#168
○瀬崎委員 いま牧村さんがつけ加えたことによってまた矛盾が起こるのです。もともと修理等のためにドック入りするときは冷態停止でなければならない、それがあるからこそ、安全審査でこの冷態停止のことをうたってある――それだったら、今回佐世保に行くに当たって、この冷態停止のただし書きをわざわざつける必要はなかったわけなんですね。全くあなたの答弁は先ほどの答弁と合わないわけなんですよ。要らないことを言わない方がいいのじゃないですか。
 それから、原子炉といたしますと、今度はその設置許可基準には、原子炉施設として原子炉本体とその付属施設、原子力船の場合ですと、陸上施設が伴わない限りは原子炉設置は本来認められないものじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#169
○牧村政府委員 「むつ」のような設計の原子力船が新たに設置許可の申請を受けた場合に、定係港を持たないで申請がございました場合には、設置の許可にならないと考えております。
#170
○瀬崎委員 それでは、当初の設置許可の段階では、確かに有効な陸上付帯施設、つまり定係港はついておったけれども、途中でその陸上付帯施設が欠落した、定係港がなくなったという事態になったときには許可は取り消しになるのが普通じゃないですか。
#171
○牧村政府委員 私どもはそうは考えておりませんで、現在むつにおきます母港の機能が一部停止しておりますが、これはたとえばドックに入るときに冷態停止であれば安全であるという評価もいただいておりますので、冷態停止ということを条件にすれば設置の許可を取り消す必要はないと考えております。
#172
○瀬崎委員 冷態停止の場合にはいま言われましたような特例が認められるということは、一体法律上のどこにうたわれているのですか。
#173
○牧村政府委員 そのような条件を担保するために保安規定等があるわけでございまして、今回佐世保に参りますときに冷態停止を守ることを事業団として決めさせまして、その上で私ども認可をしているということで十分担保できておると思います。
#174
○瀬崎委員 私は担保とか担保でないということを言っているのではなくて、いわゆる規制法の許可基準に明記されている完全な付帯設備を欠いている場合に、なお原子炉の設置許可が許されるのかと言っている。それに対して牧村さんは、冷態停止が守られる以上は安全は担保されるのだからそれはいいのだ――それは技術的に言えはそういうことは言えるでしょうけれども、設置の法的要件を欠いているにかかわらず特例扱いを受けるというこのことは法律のどこにあるのか、こう聞いているのです。法律上の問題を聞いているのです。
#175
○牧村政府委員 法律にそのことを明らかにした状況ではございませんけれども、私どもは、「むつ」が放射線漏れを起こしまして母港に帰りましたときの状態というのは、非常に不可抗力的な事情があったかと思っております。そういう点を考えまして、原子力の安全性を担保する意味で、冷態停止であればドックに入りましてもよろしいということになっておるわけでございます。それと同じような状態に保つことによりまして、陸上付帯施設の一部の機能が一時的に停止しても安全上問題ないと判断したわけでございます。したがいまして、今回長崎に参りましても同様な状態で参るわけでございますので、所要の設置変更の許可を行い、あるいは保安規定の改定を行ったということでございます。
#176
○瀬崎委員 でたらめな答弁をしてはいけないと思うのです。いま「むつ」の定係港については機能を一時停止しておっても、これは法的にはどうもないと言われるけれども、四者協定では機能の永久停止になっているわけです。これを法的要件を備えた完全な定係港などと言うのは牽強付会の説ではないかと思うのです。
 それから、いま害われたように、不可抗力で起こったからこの「むつ」だけは法律外の扱いをしてもよいのだ、こういうふうなお話がありましたが、こんなことは法治国家では許されません。もしそうだとするならば、そういう事態が起こったことに合わせて法律の改正案を国会に出して、国会の十分な審議を経て、法律的手続に従って「むつ」の修理ができるようにする、これが本来のあるべき手続だろうと私は思うのです。
 時間の延長はもうこれ以上許されませんから、そういうことを強く申し上げて、私は最後に一言結論だけ申し上げておきたいと思うのです。
 「むつ」が事故を起こしてすでに四年間たったわけであります。この四年間が一体有効に使われたか、それとも空費されたか、これはいまの時点で振り返ってみる必要があると思うのです。もうすでに、いまのわずかな時間のやりとりだけでも、四者協定は履行されていない。また今後履行される保証もない。それから最悪の修理法、核封印修理ですね、こういうふうなことにならざるを得ない。不十分な点検、修理になるということは答弁でお認めになったとおりであります。それから契約方式についても、SSKの役員交代等で煮詰めが十分できていない。それから私は触れたかったのでありますが、国会で政府が答弁しているMAPI、三菱原子力工業の責任問題は具体的に一体この修理に当たってどうなっているのか、こういう問題もはっきりしていない。それから冷態停止を口実にして、本来なら法改正が前提になっていなければいかぬと思ういろいろな特例扱いもそのまま今日に及んでいる。それから出力上昇試験の保証がないままの修理だということにも何ら変わりがない。結局「むつ」は回航されたが新定係港は決まっていない。こういう事態も変わりがありません。これはきょうのこの論議の中で明らかになったことですが、そのほかに本来「むつ」の開発の意義があるのかないのかというこの大問題原子力船の研究開発、安全審査、この体制そのものに欠陥があったのではないかということに対しても、別段これといった前進的結論が出たものではない。この間やったことと言えば原子力行政の改革だけでしょうけれども、この場合も、われわれから見れば、すでに指摘したとおり、むしろ大きな後退があったと言わざるを得ない。そういうわけですから、私は、いよいよ具体的に修理に着手しようとするに当たって、重ねてこの際提言をしておきたい。
 というのは、「むつ」の研究開発、建造に当たったたくさんの専門家や技術者がいらっしゃるわけであります。学術雑誌としては舶用機関学会誌で「むつ」建造に当たっての特集号も出ているわけでありましょう。ですからこの際、これらの多くの専門家などで特別の審議会、つまり「むつ」に関係した方々、「むつ」に関心を持っている方々で改めて審議組織を設けて、そこで「むつ」をこのまま修理していくのがいいのかどうか、本来原子力船をもし手がけるとするならばどういうふうな方針、どういうふうなプランでやるべきものなのか、体制はどうあるべきものなのかということを検討すべきではないか。私はいまからでも遅くないように思うのです。長官、いかがですか。伺って終わりたいと思います。
#177
○熊谷国務大臣 ただいまは既定の方針で進んでまいりますが、いまいろいろお挙げになりましたことにつきましても十分考えたいと思っております。
#178
○岡本委員長 午後一時四十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十五分開議
#179
○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。日野市朗君。
#180
○日野委員 科学技術庁では、たてまえとしていろいろな官公庁、それから民間というようなところまで含めて、一体どのような研究が行われているかというようなことをできるだけ知ることが望ましいというふうに考えるわけですが、この点についての考え方はいかがでしょう。
 それから、日本の国内でどのような研究開発が行われているかということを把握する方策をどのようにして立てておられるのか、その点について伺いたいと思います。
#181
○大澤政府委員 お答え申し上げます。
 当然のことでございますけれども、科学技術政策を企画立案するに当たりまして、広く国立試験研究機関なりあるいは民間の科学技術活動の現状というのを的確に把握していくということは基本的に大変大事なことだということでございます。このために科学技術庁では、まず国立試験研究機関につきましては、再々申し上げておることでございますけれども、総合調整官庁としての科学技術に関する経費の見積もり、更新調整ということを毎年予算の要求段階でいたしておるわけでございますが、このときに関係の各省庁からヒヤリングをするとかあるいは資料の提供といったようなことがございまして、これを通しまして国立試験研究機関の研究開発活動等につきましては詳細に情勢を把握いたしております。それからまた、随時必要な研究テーマ等を調査審議しますときには、関係各省庁との連絡会というようなものを持ちまして、それを通じて関係省庁の研究活動なりあるいは関係省庁が掌握しておりますところの民間の研究活動なりについての様子も知ることができますし、またそれを通して情報を収集することもできます。
 それから、民間自身につきましては大きい調査が一つございます。これは総理府のいわゆる国全体の研究活動の調査というのは指定統計でございます。これは大学、国立試験研究機関、それから民間の研究機関等すべてを通じましての調査でございます。これは指定統計調査でございますので、年一回決まった形でやっております。これで大勢の把握ができるわけでございますし、また必要な場合にはそれらの個票をいただいて、統計法上の支障のない範囲での集計その他のことを必要業務に応じてやっております。
 そのほかに、指定統計はそういうことで決まった項目でございますので、ある特定の問題を検討いたすために、毎年と言っていいと思いますが、計画局におきまして民間の研究活動の調査を実施いたしております。これはその年々主題の方法を変えてと申しますか、ねらいを変えて調査をいたしておりますが、その結果は科学技術庁の公の出版物に載せて皆さんの利用に供するというようなこともいたしております。
 それから、これはどこにでもあることでございますけれども、当然のことながら科学技術会議あるいは原子力委員会等々、当庁の審議会におきましては学界、産業界等広い人々を集めておりますので、それらの審議を通じてそれぞれの情報が入ってくるというような仕組みになっておるわけでございます。
#182
○日野委員 わが国内におけるそういった研究活動については、ほぼ掌握しているというふうに伺ってよろしゅうございますか。
#183
○大澤政府委員 大勢につきましては掌握をしております。なお、個々の問題につきましては、そのときどきの調査をいたしている事項については掌握をしておるということでございますが、毎年毎年のいろいろ細かな問題まで全部掌握してないというようなところは多少あるかもしれません。
#184
○日野委員 科学技術庁で科学技術に関するいろいろな政策の立案をやるときに指導的な目標となるものは、昭和五十二年五月二十五日の科学技術会議の諮問第六号に対する答申、これが現在用いられていると理解してよろしゅうございましょうね。
#185
○大澤政府委員 さようでございます。と申しますのは、科学技術会議は、その職掌といいますか所掌柄、長期的な日本の科学技術政策の基本について仕事をするというところでございまして、いまおっしゃられました五十二年五月のものというのは、御承知のとおり石油ショック後の日本の方向が大きく変わってきたということによりまして、今後十年ぐらいを見据えた長期的な科学技術政策を定めようということで諮問がございまして、約一年半ばかりかけました作業の上できました答申でございます。科学技術会議の答申につきましては、政府はこれを尊重してやるようにという規定がございますので、私ども政府は長期的にはこれに従って科学技術政策を実行していくというふうに思っております。
#186
○日野委員 諮問第六号に対する答申を見ますと、かなり広範な分野にわたって幾つかの主要な問題、それから課題を挙げているようであります。これらの課題とか目標なんですが、これはかなり広範なものがありまして数も非常に多いわけでありますが、これについてウエートの差といいますか優先順位といいますか、何かそういったものを設定しておられるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#187
○大澤政府委員 先生お読みいただいておると思いますのであれでございますけれども、ここに書いてございますことは、日本が資源に乏しい国であり、国土も狭いというようなことから、将来を展望して必要な事項を書いてございますので、非常に広範囲でございます。資源制約の克服あるいは環境、安全問題等生活環境の整備、国民の健康の維持、増進、あるいは国際社会との協調と国際競争力の維持、さらには科学技術会議といいますのは大学のことまでも含めておりますので、大学等におきます基礎科学の充実といったようなこと、これらはいずれもこれからの日本にとりまして大変重要なことでございますので、そういうことにつきまして個々に順位をつけたりウエートをつけるというようなことは六号答申の中ではいたしておりませんで、いずれも今後十年間にやっていかなければならない非常に重要な問題でございますし、また私どももそれに従って鋭意振興に努めていかなければならないと考えているわけでございますが、実際上毎年毎年の予算を決めていくというときには、それぞれの研究につきましての達成の度合いと申しますか、簡単に申しますと、いまやってできるかできないかとか、あるいは十年という長い間のニーズの起伏というようなこともございますので、それはそのときなりに割り切りをいたしまして、一つ一つずつの優先といいますか、重点というようなものをある程度決めてやっておるわけでございます。
 ちなみに、本年におきまして、これは結局調整局の方になるわけでございますけれども、各省庁の経費の見積もり方針の調整につきましては基本方針といいますか、そういうのを定めて、それに基づいて見積もり方針の調整をするということをいたしておるわけでございますが、その項目を挙げて申し上げますと、一、エネルギーの確保及び有効利用に関する研究開発、二、食糧の確保と有効利用に資する研究開発、三、自然災害の軽減、防止に資する研究開発、四、健康の維持、増進に関する研究開発、五、宇宙、航空技術等先端技術に関する研究開発、六、海洋科学技術に関する研究開発、こういったような一つのブレークダウンと申しますか、個々の目標を掲げてその年なりの見積もり方針の調整をしている。これは太い線は六号答申の基本線にのっとった上でということでございます。
#188
○日野委員 科学技術振興経費の見積もり方針の調整の際の基本方針というのは毎年新たにされるものでしょうか。
#189
○園山政府委員 お答えいたします。
 毎年出しております。概算要求を各省庁が作成いたしますのに間に合いますように大体七月初めごろの時点で基本方針をつくりまして各庁省に提示いたしております。
#190
○日野委員 この諮問第六号答申に基づいてつくられたものだと思うのですが、エネルギー研究開発基本計画という昭和五十三年八月十一日に内閣総理大臣から決裁を受けているものがございますね。これによりますと、これはエネルギーの研究開発推進に当たって非常に力を入れたというふうに私は見えるのです。非常に強力な力を入れてこのエネルギー研究開発に取り組むのだ、こういう点が見受けられるわけなんですが、このエネルギー研究開発基本計画というようなものが策定されていく背景には、これはエネルギーの問題について重大な関心を払わなければならないという当然の事項もさることながら、どうもほかの各目標とか各課題から見ると、ここのところが特に非常に力を入れられているような感想を私持つのですが、これは科学技術庁としての方針でございましょうか。特にエネルギー研究開発については、ほかのものよりも格段の力を入れていくというやり方、そこのところをひとつお答えいただきましょう。
#191
○大澤政府委員 先生も御承知のこととは思いますけれども、今後のわが国のことを考えますと、資源エネルギーの安定的な供給ということが国民生活なりわが国のこれからの経済なりにとりまして全く不可欠に重要な要素であるということはもう当然のことでございます。したがいまして、新たなエネルギー源を求め、確保していくための研究開発ということを重点的に推進していくということは、私ども非常に重要なことだと思っております。
 ただ、いま引き合いに出されましたエネルギー研究開発基本計画との関連で申し上げますと、研究開発基本計画というのは、六号答申の中に基本的なあれがございまして、六号答申では研究を計画的に進めること、それから今後の研究につきましては、いろいろな意味での調整といいますか、横並びのこと等の必要が出てくるので、そういうことを十分にやっていかなければならない、そのためにはいろいろな分野での基本計画というのをつくらなくちゃならないんだ、こういう指摘が六号答申の中にございます。それに従いまして私どもエネルギー、食糧、防災あるいはいろいろな分野についての基本計画をつくっていかなければならないものと考えておるわけでございますが、とりあえずいろいろな形で計画が一番進捗をしておると申しますか、つくりやすい形になっておりますエネルギー研究開発の分野は、先ほども申しましたように目下大変重要なことでもございますので、七号諮問というのが出まして、エネルギーの研究開発基本計画を策定するようにということで、これにつきまして科学技術会議の審議を経まして、七号答申というのが出ております。この七号答申に基づきまして、先ほどお話しになりました八月時点で定められました政府のエネルギー研究開発の基本計画というのを定めたわけでございます。政府の基本計画ということでございますので、これは科学技術庁のという、単にそれだけのことではございませんで、わが国の政府全体としての研究開発を盛り込んでおるものということでございます。
#192
○日野委員 いわゆる六号答申の中にも主要分野別基本計画の策定をしなさいということが書いてある。これはその答申の三十ページ、第三章、第一節ですね。ここのことを指しておられるわけだと思うのですが、ここには「研究開発を推進するに当たっての基本的考え方を明らかにするとともに、各課題ごとに次のような事項が示されることが望ましい。」として、「研究開発の最終的な目標と実用化時期」「計画期間内に到達すべき技術目標」「技術目標達成のために必要な研究開発事項」「その他研究開発推進体制等」と指摘がしてあるわけであります。エネルギーについてはわかりました。
 それでは、全部聞いても何ですから、まず食糧の問題とライフサイエンスの問題の二点にしぼって質問していきたいと思います。基本計画のことですが、これについてはこのような計画が策定されるのは大体いつごろになるという見通しになりましょうか。
#193
○大澤政府委員 私どもこの基本計画につきまして、ここに掲げられてあるような線に沿いましていままでエネルギーにつきましてやってまいりました。それから現在食糧、ライフ、いま御指摘のような分野につきまして検討を進めておるのでございますが、エネルギーをやりましたときの経緯から申しまして、一般的なと申しましょうか、特に基礎的な分野についての基本計画の作成というのは、エネルギーの方で見ますと実は大変作成しにくい。つまり目標を掲げるというようなことまではある程度いくのでございますが、その目標達成のために必要な事項ということにつきましては、基礎的な分野になりますとなかなかやりにくいという面がございます。
 エネルギーをやりましたときに、特にプロジェクト的な研究につきましては、先生ごらんになっておられるところでございますが、その研究開発基本計画の中で表をつくりまして、ここに書いてありますような事項をある程度盛り込んだ形でのものができ上がったわけでございますけれども、プロジェクト研究になっていないようなものというのをこういう形ですべてまとめ上げることにつきましては大変困難がございます。基礎研究というのはそういう性質のものと思っております。したがいまして、ライフサイエンスなり食糧なりの中でもプロジェクト的に取り上げられるようなものに対しましては、こういうような形で私どもまとめていけるのではないかと現在考えておりますし、その点につきましては関係省庁、エネルギーの場合には主として通産省でございましたが、今度食糧の場合には農林水産省が主としての官庁になるわけでございますけれども、事務的な話し合いを現在進めておるわけでございます。いつごろかというお話がございましたが、まだそういうめどについては、私どももちょといつかというところまで詰まっておりませんので御返答を申し上げかねるわけでございます。
#194
○日野委員 先ほどのお答えで、若干揚げ足を取るような言葉じりをとらえるような感じがするわけでありますが、これはエネルギーについても食糧にしても災害防止にしても、ライフサイエンスだ、宇宙だ、海洋だといっぱい挙げられて、これは別に優先順位というようなものはないのだというようなお話だったのですが、エネルギーについてだけ、これはやりやすいからと言えばそれきりでありますが、一応これだけの仕事をなさっておられて、いま食糧とライフサイエンスの二点挙げて伺ったところでは、まだどうも策定の緒にもついていないような感じを実は受けるわけであります。
 科学技術庁というのは決して原子力とかエネルギーだけを扱うわけではなくて、日本の国の科学技術政策をリードしていくという非常に重要な使命を担っているわけでありますから、それらについても個々ばらばらにやっているものをきちんとこちらである程度リードするのですよという気魄をお示しになることが必要ではなかろうかというふうに思うので、いま伺ってみたわけです。
 食糧については、特に水産関係なんかについて見ますと、二百海里の問題が出てから水産技術というものに対する見直しは大いに行われなければならない。日本人のたん白源として水産物に対する評価というものは非常に高まってきておりますし、それに伴った技術の開発というものも要請されてきているのではないかというふうに思うのです。それで、この六号答申を見ても、非常に大きな課題として資源の問題の中で食糧という問題が取り上げられている。そして特に水産物について「沿岸・浅海漁場造成技術」それから「資源培養型漁業技術」ということが六十二ページに取り上げられているわけですが、これなんかについてどの程度の研究が行われているかということを現実に掌握しておられるかどうか、まず伺っておきましよう。
#195
○大澤政府委員 まず一般的に食糧の分野につきましての研究開発基本計画につきましては緒についたばかりというふうに申し上げたのでございますが、私どもなりにかなり実は検討も進めまして、いまお話がございましたように、科学技術庁として少しリードをするようにというようなことは、私どもも科学技術庁の役割りとしてはそうあるべきだというふうにも考えておりますので、そういうことをもちまして進めようと考えておるわけでございますが、当然のことながらこういう分野は、先生御承知のように実際上は全部農林水産省で推進をしておるわけでございます。科学技術庁といたしましては、具体的にはたとえばお金といったようなものは持っておりません。科学技術庁は先導的とか基盤的な分野ということで原子力なり宇宙なりの具体的な推進はしておるわけでございますけれども、個々に所掌官庁があるところでは個々の所掌官庁が推進をし、それにつきまして調整の必要があるときにつきましては試験研究の特別調整費というものをもって調整的な研究開発を多少横からお手伝いをするというような形でございますので、いわば主管と申しますのは当然のことながら農林水産省でございます。しかし、科学技術を推進する上から計画的に研究開発を推進しなければならないとか、そういうような問題をあれするためには、私どもこの答申にございますように基本計画というものをつくって推進していかなければならないのだということがございますので、農林水産省に対しましてもこういうものをつくって推進していくべきではないかという働きかけは十分にいたしつつございます。それについてのいろいろな問題点も私ども聞いておるものでございますので、そういうことについての調整といいますか、私どもなりの考え方も申し上げてはおるのでございますが、水産の方につきましては格別私どもむずかしい問題というのをいま余り感じてはいないのでございますけれども、いわゆる食糧、特にお米の問題に関しまして、農林水産省は大変基本計画をいまの時点でつくるということについてのむずかしさをいろんな意味合いで言ってこられまして、これは単に研究開発の問題だけではなくて、日本のこれからの農政の問題全般にかかわることがあるわけでございますので、私どもの判断を超える点もございます。そんなことで、折衝はしておるのでございますというのが現状でございます。
#196
○日野委員 特に私が水産物を取り上げてみましたのは、ここでの技術開発というのは、ほとんどと言うと言い過ぎですけれども、これは農林水産省でやっているのじゃないのですね。ほとんどは都道府県の水産試験場のようなところ、財政的な基盤も、言っちゃ悪いが非常に弱体だと思われるようなところでこれを進めているという現状があるわけなんですよ。私が水産物に特に一つのモデルを設定したのは、そういう点について、本来であれば、これはもっと農林水産省のようなところで系統的にある程度資金的にも潤沢なものを持ってやるべきではなかろうか、そういうリードを科学技術庁の方でやるべきではなかろうかというふうに考えたから、あえてこの問題を拾い上げてみたわけなんです。いままでの振興経費の調整ですか、この点についてはどのように考えて調整をやってこられたのでしょうか。
#197
○園山政府委員 お答えいたします。
 ただいまの食糧問題でございますけれども、食糧問題につきまして、私どもは見積もり方針、調整の段階におきまして、農林水産省からいろいろ計画を聞いております。特に来年度要求におきまして、農林水産省は、従来の大型別枠研究というものからさらに大型をねらいます高度畑作技術の確立に関する総合的開発研究というようなものを約六億五千万で新規の要求をいたしております。なお、従来から大型別枠研究ということで、これは昨年からでございますけれども、一つは農林水産業における自然エネルギーの効率的利用技術に関する総合研究というのを昨年約六億八千万、五十四年度十億余りの要求で進めておりますし、また、ただいまの水産関係でございますけれども、海洋牧場技術の開発に関する総合研究ということで、これは五十三年度五百十八万でございましたけれども、五十四年度五千万ということで約十倍の予算要求をいたしておりまして、こういう点で農林水産省も食糧問題は陸海両方にわたって相当な力を入れているというふうに私ども理解いたしまして、また、これを私どもも推進いたしておるところでございます。
 さらに、先生御指摘の水産関係につきましては、これはいわゆる海洋開発という大きな問題の一環でもございますので、現在総理の諮問機関でございます海洋開発審議会というのがございまして、ここにことしの二月でございましたか、総理から「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策」という諮問が出ました。総合的に海洋開発全般にわたっての基本方針と推進方策を来年の夏をめどにいま御審議いただいておるところでございまして、当然海洋開発の中で水産資源の活用ということが非常に大きな問題でございます。ただ、これは環境問題との関係その他鉱物資源開発との関連というものもいろいろございます。この辺を総合的に海洋開発審議会でも御検討いただいておるところでございます。大体現状はそのようなところでございます。
#198
○日野委員 もう一つライフサイエンスの関係でちょっと伺っておきたいのですが、科学技術会議のライフサイエンス部会の中間報告では、がんだとか、心臓病だとかの循環器疾患などについて研究目標として特に重視しているわけですね。これらは非常に多くの研究機関が研究を推進しているのですが、これなんかはむしろプロジェクトを組んで、きちんとした研究を進めるということに非常に適した分野ではないかというふうにも私ども考えているわけなんですが、ここらについてどうでしょう。成人病関係なんかになりますと国民の関心も非常に高いので、そういう仕事をむしろ科学技術庁あたりが積極的に推進をするということを考えていいのではないかというふうにも思うのですが、いかがですか。
#199
○大澤政府委員 ライフサイエンスといいますのを取り上げまして科学技術庁がプロジェクトの研究を進めようというふうにいたしましたのはもう数年も前のことでございまして、いま先生から御指摘がございましたように、科学技術会議の中にライフサイエンス部会というのを設けまして、そこでいかなるプロジェクトを取り上げるかということの議論をかなりいたしたわけでございます。そのときに現在の五つのプロジェクトを設定いたしておりますが、いま先生御指摘のがんあるいは循環器といった広い意味でのものは入っておりません。人工臓器というのが入っておりますので、ある意味では循環器の一部についてのものはやっておるわけでございますが、そういう取り上げ方でございます。
 それで、そのときの理由という言い方になるかどうかちょっとわかりませんが、当時すでにがんにつきましては、文部省と厚生省とで総合研究対策というのをつくって進めておったわけでございます。そういうことがございます。つまり新しい分野としてのものをここでは進めていこうということでそれらは取り上げなかったということでございますし、また、厚生省自身は、循環器につきまして自分なりのプロジェクトをつくってやっていこうという考え方があったわけでございます。したがいまして、科学技術庁が取り上げますライフサイエンスの分野の中にはそういう二つのものが入らなかったというふうに私は理解しておるつもりでございます。
 もう一つは、プロジェクト的にそういうものを進めるのはふさわしいというお話がございました。私自身も医学の知識は大変薄い者でございますので、当初は、どちらかと申しますと理工系でございますので、そういう問題につきましてプロジェクト的に推進をしていくということが成果が上がるのではないかというふうに考えておったわけでございますけれども、現在の日本の進み方あるいはアメリカにおきましても、がん撲滅ということで研究計画の中では大変に力を入れておるわけでございまして、アメリカはアメリカなりの一つのプロジェクト的なことをやったのでございます。しかし、アメリカはどうもその進め方か失敗であったというふうに現在反省しております。日本の進め方は、必ずしもアメリカ的なプロジェクトの進め方とは違っているようでございますが、しかし、エネルギーのような形でのプロジェクト研究の進め方というのは、どうもああいう生物分野、特に基礎生物にかかわりますような分野、がんといったようなところは大変困難なようでございまして、つまり大きい分類からいけば、私のへんぱな知識でございますけれども、細胞学的な方からとか、あるいは薬剤の方からとか、いろいろな攻め方はあるわけでございまして、それはそれなりにやっているのでございますけれども、いわゆる理工系のプロジェクト的なという展開は大変むずかしいようでございます。これは基礎的な事実がまだかなりわかっていないところにあるということのようでございまして、やはり基礎的な事実の発見ということに相当依存しなければならない。したがって、プロジェクトがなかなか組みにくいということが実情のように私どもは伺っております。
#200
○日野委員 ライフサイエンスの点については、そういう問題点もなるほどあるのかということで非常に勉強になったわけなんです。
 そこで大臣、私はいま二つの点について質問をしたわけです。ライフサイエンスの点と、それから食糧の問題、その中でも水産物に関する技術について聞いたわけなんですが、これらはいずれも六号答申の中でもある程度のウエートが置かれている部分なんです。しかし、私もいま質問をして答えを伺って、それなりの努力といいますか、これは連絡調整官庁だといってしまえばそれまでですけれども、科学技術庁の設置法を見ても、「科学技術に関する行政を総合的に推進すること」を主たる任務としている科学技術庁ですから、科学技術はこういう方向に従ってという六号答申のようなものが出た以上、そこで重要な課題として掲げている事項、重要な目標として掲げられた事項については、具体的にどうやっていくかというアウトラインだけでもまず決めていかなければならないというふうに私は思うのですよ。ばらばらにやっていたのではとてもだめなので、その方向を与えていくという仕事に取り組んで、早急にその方向づけをやられるというお気持ちはおありでしょうか。
#201
○熊谷国務大臣 十分御満足のいくようなお答えはあるいはできないかもしれませんが、お話しのように科学技術庁の任務ははっきり書いてあるわけでございまして、その趣旨に沿ってやっていくわけでございますが、御承知のように科学技術庁ができますまでに、通産省であるとか農林水産省であるとかあるいは厚生省であるとか、そのほかいろいろすべての省庁にわたってでございますが、その所管の事務を通しまして、その所管の事務を進めることに関連していろいろな科学技術の研究開発のようなこともやってきておられるわけでございます。したがって、実際の問題としましては、そういうところで所管されております。またその方がより研究開発を進める上にベターであると思われる――思われるといったってとの程度までそれを思うことが妥当か妥当でないかという問題はありますでしょうが、そういう問題はその問題としまして、そういう含みの上で全般的な科学技術の研究開発の推進ということを進めてきている面が大部分でございますが、いまお話しのように、たとえそういうふうな現状であっても、特にその面の重要な問題で科学技術の研究開発の推進という面もおのずからあるわけでございまして、いまお取り上げになりましたような食糧問題に関する特に科学技術的な面からの研究の推進の必要性のある問題、あるいはライフサイエンスなどにつきましても、当庁ではもちろんやっておるわけでございますが、農林水産省と厚生省でもやっております。それらをひっくるめてこっちでとってしまってやるということも現実の問題としてなかなか現実的でもございません。
 とにかくばらばらになっておるものを総合調整してやるということはなかなかむずかしいわけでございますが、そうかといってすっと科学技術庁の仕事にしてしまうということも現実にはむずかしいわけでございますので、形としてはなかなかすっきりしたようなぐあいにはいっておりませんが、私どもが考えますのは、いま申し上げましたように、特にほかの省庁がまだほとんど手を染めていないか、あるいはそういうところでやるのが不適当だと思われます科学技術の研究開発はもちろんやってまいりますし、いままでほかの諸官庁にゆだねられておりましたような面におきましても、できるだけ当庁で所管するように努めましたり、あるいはどうしてもそういうことが適策でない、あるいは現実的に一遍には至難だといり問題につきましては、特に科学技術の研究調整面から重要だと言われる点につきましては科学技術庁がこれを推進する、全般的に科学技術の総合研究調整を責任を持って進めていくというふうな気持ちで進んでもまいり、今後もそういうつもりでいく考えでございます。ただ、現実的にはなかなか十分にはいっておらぬ点もありますので、そういう点で御満足のいくようなお答えはできないかもしらぬということを申し上げたわけでございますが、方針としましてはそういうふうに進んでいるつもりでございます。
#202
○日野委員 私は、科学技術振興経費の調整というのは科学技術庁の非常に大きな役割りの一つだと思うのですね。この調整をやるについてきちんとした政策を持つことですね。これは大ざっぱな計画はできているようでありますが、そうではなくて、これを通じて科学技術庁の持つ発着力を高めていく、そして国の科学技術政策に一つの方向を与えていくということは非常に大事な仕事だと思うのですが、いかがでしょう。
#203
○熊谷国務大臣 非常に適切な御意見であると考えます。したがって、現状としましてはなお十分ではないかもしれませんが、そういう点につきましては今後一層力を入れて推進してまいりたいと考えております。
#204
○日野委員 私が非常に心配するのは、こうやって原子力やなんかに非常に力点がかかる、ウエートがかかるのは結構だと思うのですよ。しかし、その中に埋没してしまって、ある程度仕事が進んでくると、舶用炉は運輸省だ、発電炉は通産省だ、こうやってだんだん手足を切り取られるように科学技術庁がなっていく、衆議院の科技特の委員会も何もやることないわというような調子になったのでは、これはわれわれもさびしいですし、科学技術庁のあり方としても非常に問題があると思うので、エネルギーも大事ですが、そのほかにももっといろいろなところにきちんと目を配りながら自分たちの仕事をふやしていく、それが科学技術庁設置法の規定するところとも合致するというように思いますので、あえて申し上げるわけであります。
 では、ちょっと質問を変えます。ほかにももっと質問をしたい事項もあるわけでありますが、いま特殊法人がありますね。たとえば日本原子力研究所だとか動燃事業団だとか原子力船開発事業団だとかいう法人があるわけですが、そういうところで開発した技術的な成果、これは現実にどのように生かされていくのか、企業であるとか、そのほかのいろいろな国家機関でも結構ですが、どういうふうにこれが引き継がれていくことになるのか、それについてお伺いします。
#205
○山野政府委員 動燃を例にとって御説明申し上げますと、動燃は御承知のように新型炉の開発とかあるいは再処理技術の開発、濃縮技術の関発といった大きなプロジェクトで研究開発を進めておるわけでありますが、その研究開発を進めております要員の中には関係の産業界から出向した方々もございますので、こういう方々は、頭脳の中に動燃で開発をしてまいります成果というものを取り込みましてまた母体企業にお帰りになるというふうなこともありますので、そういった形での技術の移転ということもあろうかと思います。それからまた、動燃が研究開発をいたしました成果というものはすべて公表いたしておりますので、そういう研究開発の成果が関係の各産業界等で活用されるといったふうなこともあろうかと思います。
 さらにまた、御承知のように先ほど申し上げましたような巨大プロジェクトと申しますのは、メーカー等に製作――それも多くの場合その試作をするいわゆる試作開発といったものも多いわけですが、そういう試作開発をする過程においてメーカー自体に残るノーハウもあろうかと思います。それからまた、別途工業所有権のようなものが動燃の中に発生することももちろんあり得るわけでございますが、こういったふうなものは正当な対価を払っていただきまして、その実施を関係の産業界に認めるといったこともあろうかと思います。そういったいろいろな形で動燃で得られます技術成果というものは民間の方にトランスファーされていっておると考えております。
#206
○日野委員 これはもちろんナショナルプロジェクトとして行われている事業になってくるわけでありますけれども、これには政府として動燃にしても原研にしても膨大な資金を投入しているわけです。
    〔委員長退席、大石委員長代理着席〕
そして、そこで得られた成果というものは、大体はそういう民間の企業体に引き継がれていくという側面が非常に多いわけですね。原研であるとか動燃なんというのは、電力会社とか、それから建築屋さんとか、そういったところがそのノーハウを非常に多用するということになっていくわけであります。
 それで、このプロジェクトを推進するに当たって、国の金をこれだけ使って、その成果が民間に引き継がれていく。これは国全体として見れば確かに国の一つの財産がふえることだということにはなるわけでありますが、どうも原研にしても動燃にしても、使っている金を見ますと政府の支出金というのが余りにも多いのではないか、比率が多過ぎるのではないかという感じが実は私はするわけなんです。
 ちょうだいした資料によりますと、原研の五十三年度の総事業費は五百五億円。そのうち政府の支出金というのは四百六十三億。民間の支出金というのは二億二千万にすぎない。その他の自己収入、繰越金などの収入科目が四十億ですか、そしてその民間の支出金の内訳を見ると、これは五十二年までしか出ていないが、五十二年度を見ると、民間は二億二千万出しているわけですか、電力、原子力、ガス業界、こういったところは一億二千万しか出していないわけですね。これは余りにもアンバランスで、受け取る成果に比して金の出し方がちょっと少な過ぎるのではないな、こういうふうにお考えになりませんか。どうでしょう。ここのところ大臣の御感想を伺いたいのです。
#207
○山野政府委員 ちょっと先に事務的に御答弁させていただきます。
 まず、研究並びに開発段階における民間資金の負担割合でございますが、これは研究開発の段階によってもおのずから差があろうかと思います。御承知のように、日本原子力研究所は原子力の基礎的な研究をする機関でございますし、動燃事業団は、その基礎的研究を生かしまして実用化につなげていく開発をする機関というふうに割り切ることもできようかと思います。そういう目で見ますと、基礎研究を担当しております日本原子力研究所の方は、先生御指摘のように五十二年、五十三年を見ますと、確かに民間支出金は全体の事業費のうち〇・五%、〇・四%といった程度でございますけれども、動燃事業団の方を見ますと、同じ年度で、五十二年度が五・四%、五十三年度が三・〇%、金額は少のうございますが十倍程度になっておるわけでございます。
 さらに、この動燃事業団の進めておりますプロジェクトに着目いたしますれば、こういった総事業費に占める民間拠出金の割合がさらに大きくなってまいるわけでございまして、たとえば新型転換炉原型炉の「ふげん」の場合を見ますと、これは政府と民間とが五〇%ずつ持ち合っておるといったふうなことになっておるわけで、この原型炉というのは研究段階から実用化につなげていく中間過税にあるわけで、いわば非常に実用化の見通しができてきた段階でのものであるだけに、この民間の負担もふえておるといったふうな実情にあるわけでございます。
 そういう意味で、実用に向かい受益者も明確になるといったふうな段階で、民間の方の負担がふえるべきであるという御主張はそのとおりだと思いますし、また現実にそのようになっておると思います。
 それからさらに、こういったふうな研究開発の成果が得られるときには、その工業所有権というのは当然有償でしかるべき企業等に使用させるというふうなことになっておりますので、特に不公平はない実態ではないかというふうに考えております。
#208
○熊谷国務大臣 大体、局長から御答弁いたしましたようなことでございます。そういうことでございまして、非常に大きな実用的な面を享受する民間側の負担が少なくて政府の負担が多いということもえらい大きな問題はいまないかと思いますが、いまお話しになりましたような、実際民間が受益するのであれば、それにふさわしい対価を払うべきである。これは当然の議論でありまして、今後ともそういうふうなバランスがうまくとれてまいりますように極力努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
#209
○日野委員 いま山野局長の方からは、公平であってバランスはとれているんだというふうなお話であります。これが工業所有権をどのように民間にエンジョイさせていくかというようなことは、これから私どもも十分監視をしていかなければならないというふうには思っているところですが、私は、現在の状況を見ただけでも決してバランスがとれているというふうには実は思ってはいないのですよ。確かにいま局長が指摘されたように、「ふげん」を見ますと、五十年、五十一年、五十二年まで、これは民間でもずいぶん金を出しているようなんですね。これは建設段階まではこうやって金を出しているのですが、その運転段階に入った五十三年になると、何と民間というのは現金なことにゼロなんです。政府の分もゼロになっていますが、これは建設の経費ではないからということで、別のところに運転経費というのは入り込んでしまったのだろうというふうに思うのですが、ゼロで、民間拠出金、五十三年度の三十億、これの中に入り込んでしまったのだろうと思うのです。五十三年度の政府支出金は八百三十五億であって、民間は三十億ですね。こういった対比を見ますと、片や八百三十五億であり、民間の方は三十億にすぎないというのを見ますと何%になりますか、まことに微々たる拠出金しかしていないというふうに私は思うのです。こういった新型転換炉の「ふげん」なんかをつくるというのも一つの仕事ですけれども、それまでの準備だとか、いろいろな事務的な処理だとか、それに付随する研究だとか、こういうすべてが総合されて、それが新型転換炉「ふげん」に結実していくわけでありますから、「ふげん」についてはフィフティー・フィフティーで政府と民間は金を出したよという言い方は当たらないと思うのですね。私は、その結果を享受するところがもっと金を出すという方向が正しいのではなかろうかというふうに思いますし、先ほどから問題にしている第六号答申の中にもたしかありましたね。たしかその答申の中でもこのことは指摘しているはずであります。その第三節に、「研究開発の成果によって利益を受ける者やその研究開発の必要性を生じさせる者に負担させるなどの新しい確保方策の導入の可否について検討していくことも必要であろう。」というふうに言っているわけなんでありますが、この点もっと考え直してみる必要があるのではないかというふうに私は思うわけですが、この点について大臣、いかがお考えになりますか。
#210
○山野政府委員 ただいまの御指摘のうち、まず最初の五十三年度の動燃の総事業費のうち民間負担分三十億円という点でございますが、これは今後動燃事業団か建設に着手しようといたしております高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の民間負担分のいわば先取りでございまして、原型炉につきましては現在官民の負担割合というものを詰めておる段階でございますけれども、五十二年度で新型転換炉原型炉の民間負担が終了いたしましたので、五十三年度から、この高速増殖炉原型炉の官民分担割合が決まらないままに、まず前倒しで三十億円というものを民間に負担していただこうという趣旨でございまして、将来この官民分担が決まりますれば、総額としましては先ほどの「ふげん」と同様に高速増殖炉原型炉の中でしかるべき部分を民間が負担するということになろうかと思います。
 それから、確かに五十三年九百八十億円という非常に大きな総事業費がありまして、そのうち民間は三十億円しかないわけですが、これは動燃事業団の行っております仕事の中には濃縮のパイロットプラントのようにまだまだ実用化には遠いものもございますので、そういったものは非常に研究開発的な要素が多い、いわばまだ実用化に遠いという意味で政府が全額を持ってやっておるものでございますが、これが次第に原型炉、実証炉と実用化に近づくに従って、関係の民間の拠出も求めるといったふうな考え方にいたしておるわけでございます。
 確かに基礎的な研究の成果が結集されましてそういったふうなものになっていくわけですが、まだ海のものとも山のものともわからない基礎段階では、これは全額政府がやっていくということでおかしくないのではないかというふうに考えております。
 大体以上のような考えでございます。
#211
○熊谷国務大臣 これも先ほどから申し上げています趣旨のとおりでございまして、官民の負担割合が妥当を欠くということがないように、今後ともそういう御趣旨を十分生かしてまいりたい。したがって、そういう意味で検討も十分させていただき、今後もしていきたいと考えておるわけでございます。
#212
○日野委員 これは公平か不公平かということだけで言い合いをしますと、片方は公平だと言い、私の方はその上に「不」がつくんだ、いや、つく、つかないの問答だけになってしまいますから、ここで私の要望を申し上げて、私の質問を終わりたいと思うのです。
 これは確かに国の一つの財産をふやしていく、そのノーハウを国の財産として取り込んでいくというそういう言い方は確かに当たると思うのです。しかし、科学技術庁がそうであるように、これは国そのものがこの事業をやるような国家体制にはありません。国そのものか科学技術推進のための実際的な研究をやれないのと同じであります。科学技術庁が直接研究開発をやれないのと同じことなんです。そうすれば、こういう日本のような社会体制下では、いかにこの工業所有権の対価を支払うというような前提があったにしても、これはもう電力会社及び原子力関係の各メーカー、それからそういった関係のブラントメーカー、そういったところの財産になっていく。
 こういうことを考えてみますと、やはり受益者が負担するんだ、もっと負担するということは大きな原則として考えていいのではないかというふうに私は思うわけであります。この政府支出金というのは、とりもなおさず税金でありまして、国民の税金の中から支出をするわけでありますから、国民の側としては、そこで支出をし、さらに電力料金として支出をするというような形にもなるわけでありまして、そういった観点から見ると、やはり私はこの民間拠出金の比率をもっと高めるべきだというふうに考えますので、ぜひともそのような方向でこれからやっていただきたいということを一言要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#213
○大石委員長代理 田畑政一郎君。
#214
○田畑委員 ちょっとシナリオにないので申しわけないのですが、ひとつ政府の基本的な政策についてお伺いいたしたいと思います。
 まず、先般中国から石油を受けてそれを火力発電所に使ってはどうか、こういう政府側の計画というか勧めに対して、電力会社はこれを断った、こういうことを新聞で拝見したわけでございます。それと、最近は石油の発掘がだんだん進んでまいりまして、メキシコにおきましてはサウジアラビアに匹敵するような大変有力な大油田が開発される。そこでアメリカでは、石油の寿命は短いというけれども実際は想定したよりは倍になっている、あるいは倍以上になる可能性がある、こういうようなことを発表しているところもあるわけでございます。原子力発電所問題については、本委員会においてしばしば議論しておりますようになかなか危険性が伴うものでございますが、これは石油があれば火力発電所、石油がないという前提に立って原子力発電所というのをつくろうという政府の計画になっておるわけでございまして、そうしたことを考えますると、石油の供給量がある程度あるという見通しに立てば政府の今日の計画は多少変更していくということもあり得るんじゃないか、こう思うのでございますが、その点に関していかがでございますか。
#215
○児玉(勝)政府委員 ただいま御質問ございました二つの点が御指摘になったかと思いますが、第一は、中国の重質原油を日本の国に輸入するに際して電力側がその輸入を拒んだ、こういうお話でございますが、そういうような事実はございません。それで通産省といたしましては、一九八五年までの重油というよりも中国原油の輸入の処理の目当てというのはついておりますので、それからさらに先の話ということになりますとそれはまだ固まっておりませんが、現在のところはそういうことで消化できる、こういうふうに考えております。
 それから、第二番目の御指摘にございました北海とかアラスカとかというところの原油の新規の開発によりまして石油需給が非常に緩和したのではないか、こういうことでございますが、おっしゃられるとおりOPECに相当するぐらいの量か発見されたという情報はございます。しかしながら、資源エネルギー庁の長期的な観点から申し上げますと、それは一時的な緩和ということであって長期、超長期に見ますとやはり石油の有限性ということを否定するわけにはいかないのではないか。また、石炭の問題につきましても非常に大量な賦存量があるということは知らされておるわけでございますが、その経済性の問題を含めて考えますとやはり原子力開発は進めなければならない、そういうつながりでございます。
#216
○田畑委員 石油の供給量がふえてきておることは真実間違いないわけです。恐らくここ一、二年のうちにだんだん明確になるのではないかというふうに思っております。そうしますと、これは政府には原子力発電所あるいは火力発電所その他の計画があるわけでございますが、石油供給量がふえたというある程度の目安のついた段階においては政府の計画書を手直しするということもあり得るというふうに理解をしたいと思うのでございます。これはないということを前提に計画を組んであるわけですから、あれば多少は手直ししていくということになるかと思うのでございますが、そういうふうに理解をしてよろしいかどうかということでございますね。これはひとつ大臣の方で御答弁いただきたいと思います。
#217
○熊谷国務大臣 いまお答えいたします中に、あるいは多少見解が違うと言われるかもしれませんか、原子力発電所は危険だから、したがって石油がふえれば原子力発電所はそれだけ開発を減らすべきではないか、こういう御意見がございました。この点でございますが、これは率直に申し上げますが、われわれは、原子力発電所は決して安全だとは、言いませんけれども、しかし原子力発電所の特性に対しましてはこれを規制する法律があるわけでございまして、この原子力規制法の法規に定められました安全規制を忠実に守って、そして慎重に運転していけば実用に供し得られる段階にあるというふうに考えているわけでございます。
 それはそれとしまして、石油がふえていけば原子力発電所か要らなくなるじゃないか、これは数字の上から見ればあるいはそういうことになるかもしれませんが、この辺はいかがなものでございましょうか。石油につきましてもやはりいろいろそれぞれの問題がありますから、数だけでいって、これだけのうちでこれが多くなればこれは減らしてもいいのじゃないかという御理解、これは否定はいたしませんが、さればといって私の方でこれを全面的にそうだと申し上げるのもちょっと私には確信がありませんので、それは一遍大臣の方からということでございますが、エネルギー全般の立場から行政を進めておられます通産省の御意見も聞いていただきたいと思うわけでございます。
#218
○田畑委員 大臣は通産省の意見を聞いてくれと言うのですが、これは電力会社も通産省もそうでございますが、やっぱりエネルギー危機というのは石油が枯渇するというか供給が低下していくという前提に立って原子力発電所がある程度のバランスを持って必要である、こういうのかいままでの御説明でございましたね。ところが、石油の供給量がふえるということになれば、いま熊谷長官おっしゃったように、それじゃゼロでいいのか、こういう意味じゃないのです。しかし、原子力発電所の発電計画というか、建設計画を一部手直しすることだって考えられないことはないわけでございまして、そういういわゆる検討の時期というのはあり得るのかどうかということですね。
#219
○児玉(勝)政府委員 いま先生おっしゃいましたように油の需給が緩和するというような問題で原子力発電のテンポを落としていくというようなお話でございましたけれども、原子力発電の推進というのは、一つは脱油、脱原油という問題から発想が出ておりまして、原子力というのは核燃料サイクルによっての準国産的なエネルギーを確立するということから発している方がより大きい問題なのではないかと私たち理解をしておりますので、油の需給によって若干経済性の問題を含めまして競争力か原子力の場合になくなるとかというような問題のときにはそのテンポが緩むというようなことは、これは経済的な選択の一つとしてあり得るかもしれませんけれども、国として資源政策として原子力政策の推進を緩めるというようなことは考えられないのではないか、こう思います。
#220
○田畑委員 これは脱石油というか石油から脱皮しよう、こういう意図で対処されているというよりは、やはり石油はなぐなってくる、こういう事情からして原子力発電なり原子力の利用というのはどうしても必要なんだ、こういうことで宣伝されている部面の方が多いわけですね。だから私は、この問題は石油が供給過剰になってくればぜひ再検討に値するというふうに考えております。きょう直ちに再検討に値するかどうかはわかりませんけれども、ともかくそういう時期が来ればこれは再検討するぐらいの気持ちを当然持ってもらわなければならぬのではないかというふうに思います。
#221
○熊谷国務大臣 一つの御見解として承っておくことにいたします。
#222
○田畑委員 次に、美浜一号機の運転再開問題についてお伺いをいたしたいと思うのであります。
 この運転再開に当たりましては、実は通産省、科学技術庁は運転再開の考え方を明確にいたしたわけでございます。その間におきまして、私は当委員会においても前に御質問いたしましたが、熊取にあります京都の原子炉実験所でございますか、ここにおきまして、美浜一号機の燃料棒折損問題等につきまして、科学技術庁や通産省との間に非常に考え方の違いを持っておられる学者諸君がおられるということからいたしまして、十分な資料を提供して連絡をして、その間のそごをなくするようにということをここで御質問させていただきました。
 その後美浜一号機の所在県でございます福井県知事も、この問題が非常に重要化してまいりましたので、この点だけは京都大学との間に明確な意思疎通を図ってもらいたい、こういう声明を発表されておったところでございます。この点についてどのようになったかという結論だけ簡単にお聞かせ願いたいと思います。
#223
○牧村政府委員 先生御指摘のように、科学技術庁並びに通産省か原子力委員会の御意見等も入れまして美浜一号炉の運転再開を許可したわけでございますが、その見解につきまして、京都大学の原子炉研究所の研究グループの一部の方からわれわれと意見を異にするということでのお話が出てまいりまして、また地元の方にもそのような話か伝わりまして、県等が大変御心配になっておられるという情報があったわけでございます。私どもは、京大の原子炉研究所の担当の方に、どういう点か食い違うのであろうかというような照会をいたしておったわけでございますが、去る九月三十日に、この研究グループの方を含めまして京大の関係者が上京されてまいりました。そこで、科学技術庁それから通産省並びにこの破損の原因のいろいろな試験研究に携わりましたメーカーの方あるいは原研の研究者に御参集をお願いいたしまして、いろいろとわれわれがとりました見解のバックデータ等を御説明申し上げまして説明会を開いたという経緯かございます。
    〔大石委員長代理退席、委員長着席〕
#224
○田畑委員 その九月三十日のいわゆる説明会でございますが、その説明会にはこの発電所を持っております関西電力からは出席者があったのかどうかということが一つ。それからもう一つは、いまおっしゃったような通産省を初めとする関係者はほぼ何人御出席になり、京都大学等からは何人御出席になったのかということをお聞かせいただきたいと思います。
#225
○牧村政府委員 参加者は、京大の研究グループからは四名、それから科学技術庁の担当官が四名、通産省の担当官が四名、関西電力からは六名、それから日本原子力研究所からは各種試験を担当されました方三名、三菱重工、これも各種試験を担当された方五名、以上の方々が御出席になっておられます。
#226
○田畑委員 そうしますと、この九月三十日の会議は一日限りでございますね。
#227
○牧村政府委員 午前十一時ごろから五時ごろまでの一日でございます。
#228
○田畑委員 この会議というのは、そうした意見の食い違いを調整するために、ひとつ京都大学から来てくれというあらかじめの科技庁の方からの正式な要請があって開かれたものでございますか。
#229
○牧村政府委員 この会合は、たとえば科学技術庁がこういう会合を開きたいからというような形で開いたものではございません。また京都大学の方も、こういう会合を持ってほしいということで正式に話し合ったものではございませんで、先ほども申し上げましたような研究グループの方々にわが方の見解と食い違いがあるということもございまして、研究所の方といろいろ話し合った結果、期せずしてわが方の見解を研究グループの方に聞かせてほしい、私どももそれではお聞かせいたしましょうというふうな形で開かれた次第でございます。
#230
○田畑委員 私の調べたところによりますと、京都大学の熊取実験所におきましては、これは熊取実験所が中心になっていることかもしれませんが、燃料棒折損問題について科技庁並びに通産省とはやや見解を異にしておるということからいたしまして、別にそうした研究の結果を得ましたので、ぜひ科技庁あるいは通産省等から関係の方に熊取実験所においでいただいて、京大のいわゆる公開研究会といいますかあるいは公開討論会といいますか、そういったものにひとつ参加をしていただきたいという要請がおたくの方に来ておったはずでございます。これについて科学技術庁はどういうふうに処理されたのかということでございます。
#231
○牧村政府委員 京大の研究グループの内部に、先生おっしゃいますような公開シンポジウムをやるべきだという御意見をお持ちの方があったやには聞いておりますけれども、私どもの方とお話し合いした内容は、先ほども御説明しましたように、食い違いがあるならば話し合ってみようという形で合意に達して開かれたものでございます。
#232
○田畑委員 それでは、もし京都大学がシンポジウムを開催するということになれば、係官を派遣されるのですか。
#233
○牧村政府委員 すでに私ども通産省並びに科学技術庁あるいはこれに関係いたしましたメーカー、原研等のデータは、この会合におきまして詳細に生のチータを御説明するなどきわめて技術的な話で話し合いが進みましたので、今後このようなシンポジウムは私どもとしては必要ではないと考えております。
#234
○田畑委員 私かただいま申しました九月三十日の会合に出席いたしました方にお聞きいたしましたところでは、この京大の行うシンポジウムについて係官を派遣してほしい――それに対して通産省、科技庁は出席を拒まれたというか、余り好まれないという状況でございますので、それではそういったシンポジウムに対する講師というか係官の派遣について協議をしたいということで九月三十日に上京いたしましたところ、いま御説明のございました約二十二名以上の関係者が集まっておりまして、その席上で、いわゆる食い違いを明確にさせようというような話になっていったのであって、上京した者としては、そこで決着をつけるというようなつもりで出かけたのではない、あくまでもシンポジウムに係官を派遣してほしい、その都合についてお伺いをしたものであるというふうに申しておるのでございますが、この点いかがでございますか。
#235
○牧村政府委員 私が伺っておりますのはそういうことではございませんで、何らかの方法でこの研究者の方と当方の見解を出した背景となったデータについて話し合いを持ちたいんだというお話でございました。したがいまして、そういうことであればということで三十日の会議が行われたというふうに了解しております。
#236
○田畑委員 その日の席上におきまして、最終的に五時三十分ごろでございますか、終了に相なったわけでございますが、その終了間際に至りまして、科学技術庁と通産省の係の方だと思うのでございますが、当日出席をいたしました京都大学の柴田所長に対して、ここで合意に達したというか了解点に達したという点を文書でもって確認といいますか、そういう手続をとってほしいということで勧められましたけれども、京都大学の研究員の諸君は合議してこれを拒否したということを聞いておりますが、事実でございますか。
#237
○牧村政府委員 せっかく持たれたこういう討論の場でございますので、いわゆる議長のような形を務めていただきました柴田先生に、その当日の技術的な討論の結論と申しますか、取りまとめをすることが適当であろうというお願いはいたしましたけれども、文書等によってそれを確認するというようなことはいたしていないと聞いております。
#238
○田畑委員 事実この会議が開かれたことによって、京都大学側と政府側の間にはこの燃料棒折損問題について合意といいますか、了解点に達したということを理由といたしまして、美浜の一号機のサイクリング運転が開始をされた。この開始をされるに当たりましては、京都大学とも十分話し合いをした結果大体了解したんだから開始させていただくということで、私の方に関西電力の副社長もお見えになっているわけであります。
 そうしますと、この九月三十日の会議というのはまことに重大な会議であると言わなければならぬわけであります。京都大学は長い時間をかけて研究してまいりまして、政府の見解とはかなり異なった見解を持っておった。それがわずか五、六時間の間に政府側の説得に納得をする。その席上には、上京してまいった者は四人。しかも、いまの御説明によりますと、二十二人以上の関係者の方が待ち受けて、そしてこれを説得されておる。これは実際は、いまもお話しのとおり、特にこの問題について了解点に達しようということで招集したわけじゃない。両方が有無相通じて会議を開催されたという御説明であります。
 そういうことを考えると、こういう非常に学問的な点を重んじなければならない非常に科学的な問題をいわば短時間で力でもって屈服させようとするようなやり方がなされておるのではないかという疑いを私どもとしては持たざるを得ないわけでございます。もっと時間をかけて、なぜ燃料棒が折れたのかという点についてのいわゆる意見交換というものが冷静になされていいんじゃないかというふうに思うわけでございまして、私としてはこういう原子力行政のやり方については非常に疑問を感ずるわけでございますが、その点いかがでございますか。
#239
○牧村政府委員 議長であられる柴田さんに当日の議論の結果につきましてある取りまとめをしていただいたわけでございますが、これがすべて先生がおっしゃられるような押しつけとかそういうことではございませんで、むしろバッフルプレートからのジェット流が及ぼした燃料体損傷の関係の問題あるいは燃料体が白色異相部というのを生成しておって、これが溶融の可能性があるかないかというような問題につきまして、京大側でお持ちの御見解と私の方の見解を双方出し合いまして検討した結果、国側の見解との相違点は相違点として掲げまして、その結果、たとえばバッフルプレートの間隙から流入するジェット流の強さ等につきます計算の仕方についてそれぞれの違いがあるということを認め合いつつも、当方はこういう考え方で処理したんだということをざっくばらんに話し合って、その考え方の違いは明らかにしておるわけでございます。
 また、白色異相部の成因につきましても、種々現象的に考えられることがいろいろ議論されまして、この成因につきましてはきわめて学術的あるいは基礎的な研究課題にまたなければわからないということではございますけれども、政府がいろいろ調査した結果、この燃料体の破損に関連いたしまして、バッフル板の補修の考え方あるいは燃料体が溶融されたものではないという判断のもとに下した安全に対する考え方等につきましては、京大のグループの方もそれほど反対をはさまれずによく認識していただいたことを御確認いただいております。
 そのようなことでございますので、むしろ非常に学問的な雰囲気で、会議の中身も活発に非常になごやかに行われたというふうに私は報告を受けておるわけでございます。
#240
○田畑委員 それでは一つだけ簡単にお伺いしますが、燃料棒が折れたのは取り扱い中に折れたのですか、それとも運転中に折れたのですか。
#241
○児玉(勝)政府委員 運転中に折れたわけでございます。
#242
○田畑委員 運転中に折れたということになれば、これは溶解ということも考えられるんじゃないですか。だから白色異相部の問題については、この前からも御見解をいただいておりますが、なぜできたのかということは明確でない、ここに学者の間にも非常に疑問が起こっておるわけです。だから、その原因が明確になってから美浜の第一号機については運転を再開するということでなければならぬと思う。いま聞いておると、溶解で折れたものではないという見解だけれども、白色異相部の原因についてはわからない、こういうことになっておるわけですね。これでは多くの学者も、また私どもも納得できない、こう思うわけでございます。そういう点について京都大学が疑問を提起している。そして学者間でシンポジウムを開こう、こう言っておる。それに対して係官を派遣できないということはおかしいと私は思うのです。公開の原則というのは原子力行政の基本になっておる。また民主の原則も基本になっておるのです。そうであれば、できるだけそういうところには関係者が出席をして、十分納得できるような資料を出して議論をしていくということが日本の原子力行政を発展させる大さい推進力になると思うのです。かたくなに中にこもっておる、そして決める場合には一日でもってこれを決めてしまうというようなやり方については、どうも私は賛成できないわけでございます。
 そういう意味で、京都大学が近くシンポジウムを開きたい、こう言っておる。これにはやはり人を派遣してもらいとも思うわけでございます。こういうやり方自体に対して、ひとつ今後改めていただかなければならぬと思うのでございますが、この点について御見解をいただきたいと思います。
#243
○牧村政府委員 先ほどから御説明いたしましたように、今回の会合につきましても、私どもかたくなな姿勢でおるわけでもございませんし、この燃料棒破損事故に伴います試験研究の成果につきまして、こういう研究者が御疑問を出された場合には喜んで説明したいということで、国の立場をより明らかにするということで御説明してきたわけでございます。今後もそのようなことで、決して研究成果あるいはそれに基づく対策について隠しておるというような態度をとるつもりはございません。
 しかし、今回の京大との間に持たれました意見は非常に私どもざっくばらんな意見の交換であったと聞いておりますし、私どもの成果は先生方がお聞きいただきまして、なおいろいろと自分たちの理論的な研究等に使って調査をしてみるというような御意見もあったやに聞いておりますので、京大の研究者のグループの方々がいろいろとさらにこの問題を御検討するのは非常に結構なことではないかと考える次第でございます。
#244
○田畑委員 大臣、いかがでございましょう。京大ではこの種の研究も続けるでしょうが、この問題も含めましてぜひひとつ係といいますか、政府側なり、政府側の研究者と十分話し合いたいというか、そういうシンポジウムにも参加していただきたい、こういう希望を持っているわけでございます。これは公開の原則から言いましても、できるだけ研究は公開してやっていただくということが必要かと思うのでございますが、この点について政府としてのいわゆるそうしたものに応ずる用意があるのかどうかという点をお伺いしたいと思います。
#245
○熊谷国務大臣 個別的にそういうシンポジウムを開くから政府からどうでもよこせ、こういうことにつきましては、十分検討しなければいまここでおいそれという御返事もいたしかねるかと思います。
 ただ、こういう問題が起きますのにつきましても、非常にいつも痛感しておりますことは、日本のいまの原子力開発に関する問題に非常に基本的な考え方のずれがあるということを痛嘆せざるを得ない現状でいるわけでございます。先ほども、また朝も申し上げましたように、私どもとしましては現在の安全規制を忠実に守って慎重に運転していけば一応実用に供し得る段階にある、こういう認識でございますが、それで安全性が絶対かというとそういうことはあり得ませんので、安全性の追求ということはあくなく続けていく。そして少しでも絶対的な安全に近づくということは第一義的に考えていかなければなりませんが、それはそれとしまして、いま申し上げましたように、一応これで、一面にはそういう心得を忘れないで進めていけば実用に供し得られる段階にある、こういう考えを持っておるわけでございます。また、こういう考えが日本の国の原子力の平和利用という、いわば国策が決まった根拠であると思うわけでございます。
 ところが、その点につきまして、もうどんな微細な点でもその点を十分究明しなければならぬ、そこまではいいのですが、そのために実用そのものに反対だというような議論も一部にあるわけでございます。そうすると、またそれに対してそういう議論でやられたんじゃかなわぬから何とかする――率直に言えば逃げるというような態度も生まれてこざるを得ない。そしてそういうものかお互いに繰り返されまして、原子力行政といいますか、原子力全体の問題が何か薄れているような現状にあるというふうに私どもは率直に考えているわけでございます。何とかしてこういうもつれを解きまして、本当に実用に供し得る場合に、全体としては実用に供し得ても、この程度ではとめるなり何かして十分慎重に検討しなければならぬとか、この程度ならばさらにこういうことを今後十分配慮した上で一応運転を進めていくとかいう、何か言葉は適当ではありませんが、常識的な合意が成り立つということを私は考えているわけであります。したがって、個々の場合の判断につきましても、そういう基本的な考え方の上に立って今後も処理してまいらねばならぬ。お尋ねの範囲を外れたかもしれませんが、一応この機会に申し上げておきたいと思って申し上げるわけでございます。
#246
○田畑委員 質問はこれで終わりますが、私どもは、こういう問題は特に科学的に真相を究明することに憶病になってはならぬと思うのです。いま言われたようにこれを推進するのかしないのかという議論の前に、原因なりあるいは科学的な裏づけの調査なりというものは慎重の上にも慎重を期して十分やっていただかなければならない。これが原子力行政の基本であると思うのです。ですから、そういう意味で、学会からぜひひとつ説明をしてほしいというような要望については喜んで受けて立つというような政府の姿勢というのが必要なのではないかというふうに思うわけでございます。そういう意味で対処いたしていただくことを、要望いたしまして、質問を終わります。
#247
○岡本委員長 次に、貝沼次郎君。
#248
○貝沼委員 私は、大体二つのことについて質問したいと思いますが、その前に、ちょっと気がかりなことがございますので、大臣に伺っておきたいと思います。
 それは十月十三日一参議院の科技特の質疑でありますが、わが党の塩出委員が核融合の実用化の見通しを取り上げて質問をいたしました。これは新聞の記事で言っておりますので、あるいは間違いがあるかもしれませんが、その見通しにういて経済性などをただしたのに対して、長官は、技術的能力の条件ができていれば研究開発費が実用化時期を左右する重要な要素である、技術的に予見される困難性は何もない、こういうふうに答弁なさっておるようでありますが、この核融合の実用化は、そんなに技術的な困難性は本当にないのですか。
#249
○熊谷国務大臣 新聞を拝見しておりませんので、どういうふうに報道されましたか十分わかりませんが、そういう問題についていろいろな御質疑がありました場合に、たまたま先般私がアメリカのラホヤ、サンジェゴの付近ですが、そこにありますゼネラル・アトミック社の副社長で、核融合の担当者であります日本人の大河千弘博士にお目にかかった機会がございます。そのときに、いろいろ核融合の今後の見通しについてお話を伺った次第でございます。
 実は、私どもがいままで聞いておりますところでは、核融合の実用化といいますか実際に使われるような時期の見通しは二〇〇〇年代前半で、前半というと非常にあいまいですが、紀元二〇三〇年になりますか五〇年になりますか、そういう大体の時期だというふうに聞いているわけであります。これは聞いておるだけでありまして、私自身はそれに対してそうかと相づちを打つほどの知識があるわけではありません。ところが、大河博士のお話でございますと、それは技術的な問題というよりは政策の問題である、政策いかんによっては一九〇〇年代にも不可能ではないということを大河博士が私に言われたわけであります。政策的な問題とはどういうことかということを聞きましたときに、お答えになった点はちょっと覚えておりませんが、さらに私が念を押しまして、それは経費のことでしょうかということを申し上げたら、お答えとしましては、結局そういうことだというふうなお話があったわけでございます。したがって、大河博士のそういうお答えとして答弁したつもりでございます。ただし、私自身がそれについて確信があるとか見通しがあるとかということは申し上げておりませんし、事実果たしていつできるかということについての確たる見通しを持っているわけではございませんが、そういう経緯でございます。
#250
○貝沼委員 ところどころ聞こえないところがいまありましたが、要するにこれは長官の考えではない。長官としてはどうですか。二十一世紀には自信はあるのですか、ないのですか。どちらですか。
#251
○熊谷国務大臣 いま聞こえないところがあるというお話でございますが、私どもの考えでは大体紀元二〇〇〇年代の前半である、前半にはできるのではないか、こういうふうに思っております。
#252
○貝沼委員 そうすると技術的にはどうですか。非常に困難だというお考えですか。それともいまの調子ならまあ何とかいくだろうという楽観的な考え方ですか。
#253
○山野政府委員 核融合と申しますのは、先生御承知のようにいろいろな方式があるわけでございまして、これは現在研究が一番進んでおると雷われます磁場閉じ込めのトカマク型の核融合につきましても、また、全くの基礎的段階にあるものにつきましても同じでございますが、要するに基礎的研究開発段階にあるわけでございます。
 そこで、その実用化の時期をいまの時点で的確に申し上げるというのはきわめてむずかしい問題でございますが、私どもが内外の学者の意見あるいはまた原子力委員会の中に核融合会議というのがあるわけでございますが、そういう場の意見といったふうなものを総合いたしますれば、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、今後研究開発を要する技術的な課題というのはたくさんあるわけでございます。しかし、いまの時点で乗り越え得ないような技術的障害というものは見当たらないという趣旨のことを言っておられるわけでございまして、これは非常にやさしくできるという趣旨では決してない。大いにその研究開発の努力は必要でございますが、不可能な問題というのはいまの時点では予見されないということでございまして、その実現の時期につきましても、アメリカの学者等の意見によりますれば、一部の学者は、金と研究者を投入すれば今世紀末にも実現できるという意見の方もありますし、また、今後半世紀程度を要するという意見もありまして、相当幅はありますが、しかし、将来は明るいというのか一致した見解でございます。
#254
○貝沼委員 この核融合は前々から、あと三十年とか五十年とかいろいろ言われましたけれども、いまだに先が見えません。そこで、新聞記事でいかにも自信ありげな記事が出ますと、政府は特別なことでも考えたのかな、さらに、原子力委員会発表の長期計画、九月の十二日に出したにもかかわらず、この中にはとてもじゃないけれども、大変だということが書いてあるわけですね。ところが、長官のそういう答弁があったということを聞きますと、私は、どうしたのかなという感じがありましたので、お尋ねをしたわけであります。今度から答弁のときに誤解のないようにお願いをいたします。
#255
○熊谷国務大臣 実は私も不敏で、会議録は読んでおりませんが、私がそういう見込みがあると言ったのではありませんで、大河博士にお聞きしましたらこういう話でございましたということを御参考までに申し上げたわけでございまして、決して私がそう楽々と核融合ができるということを申し上げたことではございませんので、そういう誤解がありましたら、どうか御了承をお願いしたいと思うわけでございます。
#256
○貝沼委員 それからもう一つの問題は、これは日本の原子力発電の基本的な問題に触れますので、お尋ねするわけでありますが、報道によりますと、通産省が十月の七日、CANDU炉の導入を最終的に決めた、こういう記事が出ておるわけであります。報道でありますから果たして内容はどういうものか私はわかりませんけれども、これはどういうことなんですか。
#257
○児玉(勝)政府委員 いま先生のおっしゃいましたように、CANDU炉の導入を通産省が決めたという事実はございません。CANDU炉につきましては、かねがね原子力委員会の動力炉専門部会、それから総合エネルギー調査会の原子力部会、そういうような諮問機関におきまして、CANDU炉というのは、いろいろなウラン資源の有効利用とかあるいは供給保証への期待、それからダウンストリーム問題の容易さ等々の問題から、日本の国においても十分勉強をすべきである、そういう御指摘をいただいておりまして、通産省としましては、五十一年以来電発をしてその勉強をさせてきたわけでございます。その勉強の成果も、ことしの四月以降レポートとして出てまいりまして、そういうことからCANDU炉の具体的な開発という問題についてどういう決着をつけるべきかということが現在問題になっておることは否めない事実でございますけれども、そういうことで電源開発会社をして基本設計をやらせていいものかどうか、そういう問題が具体的な問題としてございまして、そのことにつきましては、原子力委員会の新型動力炉懇談会にお諮りしておりますし、総合エネルギー調査会の原子力部会においてただいま検討中でございます。その検討並びに電気事業者の意向というものを踏まえました上で導入の問題について決定したいと考えております。
#258
○貝沼委員 最後のところをもう一回お願いします。いまちょっと聞こえませんでした。
#259
○児玉(勝)政府委員 原子力委員会の新型動力炉懇談会、総合エネルギー調査会の原子力部会において検討していただいておりますし、電気事業者の意向も踏まえまして、その上で行政庁として判断をしたい、こういうことでございます。
#260
○貝沼委員 原子力委員会の方、大臣は委員長でありますから、あるいは原子力局長でも結構ですが、私は以前にこのCANDU炉のことについて、たとえばわが国の原子力行政あるいは原子炉の今後の問題として一体どういう位置づけをしようと考えておるのかということを何回か質問いたしました。そのたびにCANDU炉のことについてははっきりした答弁が出ませんでしたし、それで何となく軽水炉、FBRという路線をたどるように聞こえておったわけです。ところが、いまの説明だと、通産省の方は、いやそんなことではなしに、もともと勉強は始めておるのだ、五十一年からもう予算要求をして、ちゃんと予算もついて勉強をやっておるのだということなのです。それで原子力委員会の方も、表立っては言ってないけれども、実は裏でしっかり勉強しなさいみたいな話なのです。こうなってくると、毎年原子力委員会で原子力開発利用計画というものがつくられておるわけですが、こういうところに出てこないことがいまかなりほかにもあるのじゃないかということを勘ぐりたくなってくるわけです。
 そこで、たとえば昭和五十二年度あるいは五十三年度のこの基本計画を見ても、CANDU炉という話は全然ないのです。ところが、実際は五十一年度から予算がついて勉強をしておる、こういうことなのですけれども、この関係はどういうふうになるのですか。
#261
○山野政府委員 原子力委員会の新型炉についての考え方と申しますのは、九月十二日に定めました原子力開発利用長期計画の中に示されておるわけでございまして、それによりますれば、将来の炉型の選択としましては、まず基本路線としては現在の軽水炉から高速増殖炉につなげるということでございまして、これはただいま先生が御指摘になったとおりでございます。それ以外の炉、たとえば現在動燃で開発をいたしております新型転換炉であるとか、あるいは導入すべきかどうか検討されておりますCANDU炉というふうなものは、あくまでも軽水炉、FBRという基本路線を補完する炉として位置づけようとしておるわけでございまして、今後ATRの実証炉以降の開発をどうするか、あるいはCANDU炉を入れるのか入れないのかというふうなことはすべて今後の検討課題ということになっておるわけでございます。通産省の方で若干の予算を計上されておるというのはあくまでも調査段階の予算であるというふうに私どもは理解しておるわけでございまして、関係の企業並びに通産省とされてもまだCANDU炉の導入を決定されたわけではないというふうに理解いたしております。
 なお、原子力委員会は、この長計におきましてはCANDU炉について今後の検討課題であるという位置づけをいたしておりまして、その導入につきましては、経済性あるいは安全性、燃料サイクルに与えるインパクト等いろいろな観点からこれを評価して結論を出すべきであると言っておるわけでございます。現在新型動力炉開発懇談会というものを委員会の内部に設けまして、このような補完すべき炉型についての今後の扱い方というものを検討しておる段階でございます。
#262
○貝沼委員 要するにCANDU炉の名前が出てきたのはこの九月十二日が初めてなのですね。ここへ初めて出てきた。ただいま局長がおっしゃったことが書いてあります。ただ、この場合に、CANDU炉というものについて、たとえばわが国の基準に照らしてこの炉は実用炉と判断すべきなのか、あるいは実証炉であるのかというような勉強をなさったのだそうですから、その結論はいつ出されて、どういう結論になったのですか。これは恐らく通産省の方で初め結論を出して、それから原子力委員会か何かて――あれは安全委員会の方だけれども、メンバーはいまおりませんから局長が答えるのだと思いますが、その辺はどうなっておりますか。
#263
○児玉(勝)政府委員 ただいま御質問のございましたCANDU炉は実用炉か否かという問題でございますけれども、CANDU炉というのはカナダにおきまして、またカナダが輸出した先におきましても、全体において現在約五百万キロワットばかり実際に稼働しておりますし、その稼働の年数も四十七年以来相当な時間がたっております。そういう意味ではカナダにおきましては商業用の実用炉と言えるのではないかと私たちとしては考えております。しかしながら、日本の国にそれを導入する場合にどういうような位置づけにすべきであるかという問題については、少なくとも私たちとしては日本の風土にも十分にたえ得る技術的な内容であるというふうに判断をしておりますが、いずれこのCANDU炉の安全審査をしていただく際に、規制法二十三条における許可の際には、このCANDU炉の主務大臣はだれかということを決めなければだれが申請するかというのは決まりませんので、それまでの間にはこの国内での位置づけというのが決まるであろうし、またそれは発足いたしました原子力安全委員会において恐らく御判断いただくものであろうと考えております。
#264
○牧村政府委員 ただいま通産省からの御説明のとおりでございますが、この導入が決定いたしますと、先般改正させていただきました基本法の改正におきまして、主務大臣を定める、炉の区分の政令を出す必要がございます。その際、原子力安全委員会並びに原子力委員会の意見を聞いて政令を定めることになっておりますので、ただいま通産省の方から御説明がありましたように、このCANDU炉が実用段階のものであるか、あるいは開発段階のものか、この辺のことにつきましての両委員会の意見を入れた上で政府が決定をするというふうな段取りになろうかと考えております。
#265
○貝沼委員 そうですか。大体導入することが決まったら判断するわけですね。私は、実用炉でなかったら初めから判断しないだろうと思うのです。たとえばこれが実験段階のものだとわかっておったら、こんなものは判断するも何もないわけですから、したがって、どうもその辺がはっきりいたしません。何となくさっと出てきた感じですね。しかも時期が余りよくないわけですね。カナダの国内において、いろいろ国内法の問題でいま各国に圧力がかかっておる。日本のウランの燃料の供給問題を考えると、こういう時期にこういう問題がクローズアップされて、いかにも五十一年から勉強してきた結果が偶然にもいま出てきたような感じの答弁でありますけれども、いまこういう時期に出てきますと、そうは受け取れないですね。したがって私は、時期としては余り妥当ではないのじゃないかという感じかするわけですが、五十一年から勉強してきたのだそうでありますから、恐らくその結論なんでしょう。
 それからさらに、エネルギー庁長官の私的諮問機関である発電用新型炉等実用化調査委員会というのがありますね。これが二年間の検討の結果、耐震性を含め技術的には問題がない炉だ、こういうふうに結論を出したというのがきっかけになっておるようでありますけれども、こういうような耐震性の問題などは、参考資料として安全委員会の方あるいは安全局長の方では入手されておりますか。
#266
○牧村政府委員 安全局の方ではまだ入手しておりません。現在原子力委員会の下にございます動力炉開発懇談会におきまして、この炉の性格等につきまして検討が行われているわけでございますので、そちらの方に出されて、いろいろな議論が今後行われることになるわけでございます。
#267
○貝沼委員 原子力局長にお尋ねいたします。
 先ほど補完的な意味でという言葉がありました。この補完的という意味にはいろいろな技術的な問題もありますが、説明を要する部分があると思います。この点について説明をお願いします。
#268
○山野政府委員 補完的と申しましたのは、的な命題としましてわが国はウラン資源を海外に依存しているわけでございますので、輸入したウラン資源を最も有効、効率的に活用する必要があるわけでございます。そういうことで現在使用した燃料以上に新燃料を生み出す高速増殖炉というものの開発に力を入れておるわけでございますか、この高速増殖炉の実用化時期というものか現在考えておりますように一九九〇年代半ば、あるいはできることであればそれより早く実用化され得るというふうな見通しが確立されました暁には、中間炉といったふうなものが必要でなくなるわけでございますので、そういう意味で、基本路線が条件さえ整えば補完炉なしにいけるという場合もあり得るわけでございます。
 ただ、このFBRの開発というのも非常にむずかしい技術を内蔵したものでございますので、予定どおり一九九〇年代の半ばまでに実用化できるかどうか、これは不確定でございますので、これができない場合に備えまして、中間炉としましてプルトニウム等を有効に活用し得る炉型の開発というのも進めておく必要があろう、そういう趣旨におきまして補完的な位置づけをしておるという説明を申し上げたわけでございます。
#269
○貝沼委員 そうしますと、軽水炉から高速炉へいくのが基本である、ただ高速炉の開発そのものがあるいは時間がかかるかもしれないし、わからない、そこで補完的な意味でCANDU炉あるいは転換炉を位置づける、こういうふうに理解してよろしいですか。
#270
○山野政府委員 ウランプルトニウムサイクルというものに着目して申し上げればそのとおりだと思うのでございます。それでCANDU炉の問題は今後の検討課題でございますから、いまの時点で仮定の議論をするのは妥当でないかもしれませんが、仮にCANDU炉を入れる意味があるとした場合には、燃料サイクル上は、ウランプルトニウムサイクルという別個のもう一つ違う燃料体系というものを取り込むことになるわけでございますので、そういう複合したサイクルにする方がわが国の燃料政策上有利かどうかという判断がその時点では別途また必要になろうかと考えております。
#271
○貝沼委員 そこで、通産省にもう一度確認しておきます。先ほどこういう諮問委員会の結論が出ておるので、原子力委員会あるいは安全委員会の方にという話だったが、通産省としては、内部的にはこれはオーケーしておるわけですか。要するにCANDU炉はよろしい、こういう判断をしておるわけですか。
#272
○児玉(勝)政府委員 通産省内部におきましても、そういう審議会等諮問機関の御意向を承った上で決定するということになっておりまして、まだ内部で決定したというわけではございません。
#273
○貝沼委員 それではいつごろ決定するかしないかの相談はなさるわけですか。
#274
○児玉(勝)政府委員 できましたらできるだけ早急にお願いしたいということでお願いしておる次第でございます。
#275
○貝沼委員 原子力委員会の方は、この問題についていつごろ検討なされますか。
#276
○山野政府委員 現在検討のさなかでございまして、この新型炉の開発懇談会全体の結論というのは恐らく来年の春くらいになろうかと思いますけれども、しかし来年度予算に反映すべき部分というのもございますので、場合によりましてはこの年末に中間的な考え方といったふうなものを出す可能性もございます。
#277
○貝沼委員 通産省の方にお尋ねいたしますが、昭和五十四年度の予算要求ではどうも三億二百万のようですね。この中には、このCANDU炉がもし認められる炉であるならばこういうことをやりたいというような一歩進んだ内容のものが含まれておりますか。
#278
○児玉(勝)政府委員 この新型炉技術基準等調査と申します予算の内容につきましては、五十一年以来、重水炉の安全審査に必要な技術基準のための調査ということでやっておりまして、特にATRの問題と、それからCANDUをも含めましてパイプ型原子炉と申しますか、重水炉の安全審査に必要な情報の収集ということが主体でございます。特にCANDU云々ということなしにこの技術基準に必要な調査は進めたい、こう思っております。
#279
○貝沼委員 委託費という名前で電発に対する二億五百万、これは五十四年度要求額のようですが、五十三年度では一億四千五百万、これはCANDUに関係がありますか。
#280
○児玉(勝)政府委員 いまおっしゃられました予算につきましては、重水炉の確証試験ということで実施させるものでございます。
#281
○貝沼委員 重水炉といえばCANDUだけじゃないのですけれども、CANDUを導入する場合もあり得るという判断のもとにこういう研究をなさったのと違いますか。
#282
○児玉(勝)政府委員 そういう可能性もございます。
#283
○貝沼委員 ですから私は、通産省側というのはわりとCANDUを重視してきたんだろうと思いますね。それで科技庁の方とは大分その辺が違っていたのではないかと思います。ところがそれが現在、突如としてぱあっと出てきて、そしていかにもカナダの圧力に日本がひいひい言っているような感じの出方をしている、私はこれはまことに遺憾である、こういうことでございます。CANDUがいい炉であるならばそれを導入することは結構だろうと思いますが、時期的に非常に問題ではないか。
 それからさらに、このことについて通産省ではまだ何も決定してないと言っておりますけれども、こういう記事が出ているのですね。要するに、部内ではもうほとんどオーケーである。そして通産省と科技庁がずいぶんやり合ったようです。そこで、たとえばこう書いていますね。科学技術庁の方に通産省から出向している中堅職員がいる。ここに通産省筋から、通産の考え方に賛成しないと君は本省に戻る時期が大分おくれるぞ、こういうえげつない動きがあったそうだと書いてあるのですね。私は本当かどうか知りませんけれども、要するにかなり通産省が一生懸命言ったことは本当じゃなかろうかと思うのです。
 そこで、ただ心配をするのは、原子力基本法が議論されたときに一番問題になったことは、原子力委員会や原子力安全委員会があるにもかかわらず、通産省や運輸省やその他が要するに独走することはないのか、そういうことが非常に心配されたわけでありまして、もし通産省からそのような圧力がかかり独走の気配が少しでも見えたとするならばこれはゆゆしき問題である、こう思いましたので、あえてこの例を挙げたわけでありますが、そういうことは絶対ございませんでしたか。
#284
○児玉(勝)政府委員 そういう事実は絶対ございません。原子力基本法におきます原子力平和利用というのは、これは通産省においても課せられた問題でございますので、通産省としてはその平和利用のために自分の行政能力をフルに使ってそれにこたえるということでやっておるわけでございます。
#285
○貝沼委員 次に、海洋開発の問題でお尋ねをいたしたいと思います。
 私、海洋開発の問題を取り上げて質問をしようと思いましたら、この問題というのはだれに聞いていいかわからないのですね。要するに、海洋開発全般についておれが責任を持つという人がいないのですね。どうですか大臣、これはどなたが責任を持たれるのでしょう。
#286
○園山政府委員 私から事務的に若干お答え申し上げたいと思います。
 先生御指摘のように、海洋開発について非常にたくさんの省庁が関連いたしております。これは今日海洋開発と言われておりますものが、いわゆる水産でありますとか、海運でありますとか、そういった従来からの海の利用に加えまして、新しく今日の科学技術の力を使いまして、海の中、海の底を含めまして、海洋の資源エネルギー、スペースの有効利用を図ろうという新しい問題でございますので、非常に多くの省庁が関連いたしております。
 このために、総理の諮問機関として海洋開発審議会が置かれておりまして、その事務局を科学技術庁で務めているところでございます。この海洋開発審議会には、現在長期を見た諮問も総理からなされておるところでございますし、私どもはその意味におきまして、この海洋開発審議会の場において今後の海洋開発の問題が総合的に検討される必要がある、その事務局としてできるだけの努力をいたしておるところでございます。
#287
○貝沼委員 大体わかりますが、それでは海洋開発に関する質問は全部お受けになりますか。
#288
○園山政府委員 ただいま申し上げましたように海洋開発審議会の事務局という立場をとっておりますけれども、海洋開発につきましては、非常に新しい問題でもございますし、また従来からの水産海運、造船その他の問題も絡んでおりますので、必ずしも私どもが全部お答えできるというだけの力は持っておりませんので、御質問によりましては関係各省庁の御協力を得てお答えしなければいけない問題かと思っております。
#289
○貝沼委員 まあ、大臣そういうことなんですわ。海洋開発というものが非常に大事な時期に来ておるわけですけれども、わが国においてはこれをまとめるところがないのですね。各省庁にまたがる。それは専門家がおるわけですから幾らまたがってもいいけれども、まとめるところがないというのが問題だと思うのですね。
 そこで、総理大臣が五十三年二月に、「長期的展望に立つ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」という諮問をしたようでありますか、これはたしか大分前にも答申が出ているのですね。そういうことはありませんでしたか。
#290
○園山政府委員 海洋開発審議会ができましたのは、たしか四十六年でございましたか、そのときに最初の諮問が出まして、わが国の海洋開発の基本的問題についての答申が四十八年に出たわけでございます。しかし、御承知のようにちょうどそのころから新しい海洋法秩序をつくろうということで国際的な海洋法会議が今日まだ続いておりますけれども、始まりまして、海洋に対する国際的な考え方が非常に変わってまいりました。国際海洋法会議はまだ決着を見たわけではございませんけれども、その間において御承知のような領海十二海里、あるいは日本でも漁業専管水域ということで二百海里等を国内法で措置いたしておりますし、現在国際海洋法会議で非常に問題になっている海底のマンガン資源の開発等についても、決着はついておりませんが大体の方向というのが出てきておりますので、この際、新しい海洋法秩序の時代に向かいまして、日本としての海洋開発の基本方針と推進方策ということで改めて諮問が出されたわけでございます。
#291
○貝沼委員 時代というのはいつでも変わっていくのです。いま答申を出しても、また何年かしたら変わりますよ。ですから、その変わったことだけを理由にしてはいけないと思うのです。なぜやらなかったということもあるわけですね。四十八年に海洋開発審議会が今回の諮問と同じテーマで答申したわけです。「基本構想を具体化するために総合的開発計画が必要」こうなっている。それをやっていないのですね。それだったら幾ら諮問しても答申を全然尊重しないのでは、そんなものは総理大臣がただポーズを示しただけのことであって、やらないのならこれは何にもならない。なぜあのとき答申したものをいままで政府は全然やらなかったのか。これはどういうことですか。
#292
○園山政府委員 確かに先生御指摘のように、四十八年答申が出ましたときの諮問は「わが国海洋開発推進の基本的構想および基本的方策について」ということでございました。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、ちょうどこの答申の出ましたころから国際的な海洋法の問題というのが非常に活発に論議されまして新しい時代に入るということが見えてまいりましたので、先生御指摘のこの総合的な計画の作成ということにつきましても、国際的な動向をしばらく見てということでその決着を待っておったわけでございます。しかしながら、御承知のように非常に国際会議が紛糾いたしておりまして、なかなか決着がつかない。一方で、各国が国内法等によりましていろいろな措置をとるということで、この時点で改めて将来を見て計画を立てる必要がある、こういうことで新たな諮問になったわけでございます。
#293
○貝沼委員 諮問して答申が出ましたら、恐らくそう変わった答申は私は出ないと思うのです。したがって、実行するようにひとつお願いしておきたいと思います。特に大臣にも、閣僚でありますから、総理大臣に対して――こういう各省庁にまたがっておるにもかかわらずこれを統合することができないなどということは非常に不便だ、開発計画を一体どこでつくるのか、これすらはっきりしてないわけでしょう。開発計画はどこでつくるのですか。
#294
○園山政府委員 その開発計画ということは二通りの意味がございまして、いわゆる科学技術的な研究開発計画というものもございますし、それからいわゆる海洋開発ということで海洋を活用していく意味での開発計画というものもございます。いずれも現在はっきりしたものがあるというわけではございませんけれども、この科学技術的な研究開発の計画につきましては、各省連絡会議におきまして実行計画というものをつくっております。しかし、問題はやはり海洋全体の開発計画でございまして、これにつきましては、現在この海洋開発審議会が答申をまとめるという中で基本線が示されるもの、このように考えております。
#295
○貝沼委員 ですから、審議会がそういう国の基本計画をつくるということではなしに、たとえば原子力の基本計画というのはちゃんと原子力委員会がつくっているわけです。あるいは宇宙開発だってちゃんとやっているでしょう。ところが、海洋開発についてはないのですよ。こういうのは私はおかしいと言うのです。では、どこの国もないのかというと、ヨーロッパではちゃんとそういう体系ができ上がっているところがあるわけですから、したがって日本の場合はおくれているわけです。民間にずいぶん関係する部分が多いから、政府主導は果たしていかがなものかという議論もあるわけですけれども、一方海洋開発というのは非常にリスクの多いことが多いわけです。相当長い間金をかけて研究しなければできない問題、こういうのは国が主導的にやらなければできない問題でしょう。したがって、私は国が総合計画をつくってやっていく体制をつくるべきである、こう思うのですが、長官いかがですか。
#296
○熊谷国務大臣 御趣旨はそのとおりであると思います。
#297
○貝沼委員 趣旨に賛同していただきましたけれども、実行の方をよろしくお願いいたします。
 それから、時間がなくなりましたので私は簡単に申し上げますが、いまはそういう機構上の問題で言ったわけです。
 それからもう一つの点は、法律の調整の問題であります。たとえば海洋で石油掘削をするという場合に、船でもいいし、あるいはこの図にあるプラットホームでもいいわけですけれども、一体どういう法律の基準によってこういうものの安全だとか建築だとか、あるいはそこの従業員の保安がなされるのか。これは現在のある法律によって一応は適用されております。適用されておりますが、たとえば建築という部分についてすら、建築基準法の第二条一項によりますと、建築物というのは土地からつながっていないといけないのです。ところが、浮いてやる場合もあるわけですね。あるいは陸と違うのは、潮水が多く、あるいは津波の来る場合もある。いろいろな状況がかかわってまいります。いまどういうような法律でそれをやっておるかということは私は一々申し上げませんが、しかし現在使っておる法律ではまだまだ不備な点が多々あります。それからさらに、不足をするのと重複しておるのと両方あるわけですね。この辺の法律の整理整頓といいますか整備を政府はやらなければならぬと思いますが、この点はいかがですか。
#298
○園山政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、先ほどから御説明いたしておりますように、今日の特に新たに海の中、海の底ということで先生御指摘のような海底石油の掘削というような問題をとらえましても、これらにつきましては、従来の陸上におきます法律の延長としての適用ということで新しく海洋開発を推進いたします場合に、これを円滑に行うために十分であるかというと多々問題があると思います。
 この点は、先ほど御指摘になりました最初の海洋開発審議会の答申の中にも指摘されておるところでございます。最初の答申でも指摘されておりますように、どのように海洋に関係する法制の整備をしていくかということは、やはりわが国が海洋開発をどう推進していくかということについて十分な見きわめをした上で慎重に検討しなければならないということでございまして、現在行われております海洋開発審議会の御審議におきましても、その一つの重要な部分といたしましてこの法制の問題についても御検討がなされているところでございます。
#299
○貝沼委員 きょうは法制局の方にも来ていただいておるのですが、もう時間がありませんので詳しいことはお尋ねいたしません。
 実はいま言ったような法律と法律の間の問題というのはたくさんありまして、特に今後海洋開発を進めていこうとすれば必ず起こってくる、いわゆる競合する問題があるわけですね。漁業権だとか鉱区だとかあるいは最近言う入浜権だとか、たくさんあります。それからさらに、日本の領海のところで、領海の下の底は土地で続いているのだそうですか、そのところで、たとえば外国と約束をし合法的に石油の掘削をするという場合に、その領海に入ったり出たりする場合のチェックは現在の法律ではできないわけですね。出入国の関係は、上陸をした場合とそうでない場合の関係になっておりますから、そういうようなところすらできないというふうに、実はいろいろな問題があるわけであります。いま詳しくは一々申し上げませんけれども、その点を含んでいただきたい。
 それからもう一点は、人的資源の確保ということであります。海洋問題は、ただそこに海があるからそれを開発すればいいというものではなしに、非常に多角的な部分があります。そこで、単なる科学技術だけではありませんで、法律の問題その他が非常に錯綜してまいります。外交的な問題もあります。そういうようなところから、人的資源の考え方は、単なる技術者とかそういうものではなしに、もっと広い意味において人材の養成が行われなければならぬと思うわけであります。たとえば一つの例で申し上げますと、海洋大学を創立せよという意見を主張しておる人もあるわけであります。こういったことを参考にして人的資源の確保にどういうふうに取り組もうとなさるのか、その点を伺って終わりたいと思います。
#300
○園山政府委員 御指摘のように、特にこういう新しい海洋開発という分野で人的資源の確保ということは非常に重要な問題だと思っております。現在御審議願っております海洋開発審議会におきましても十一の部会をつくっておりますが、その中に一つ基盤整備部会というものを設けておりまして、先ほどの法制の問題あるいは御指摘のような人的資源をどう養成していくか、確保していくかというようなことを含めて御審議願っておるところでございますので、その線に沿いましてできるだけの努力をしていきたい、このように考えております。
#301
○貝沼委員 終わります。
     ――――◇―――――
#302
○岡本委員長 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案につきましては、第八十四回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#303
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#304
○岡本委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。瀬崎博義君。
#305
○瀬崎委員 原子炉等規制法についてお尋ねします。
 東海の動燃事業団の再処理工場の経済性やまた物理的な条件を勘案した寿命というか、あるいは使用年限、耐用年数、それはどれくらいですか。
#306
○牧村政府委員 この再処理工場の工程の耐用年数は十五年でございまして、保守、修理を十分行うことによりまして十五年ないし二十年は十分使用できると考えられております。
#307
○瀬崎委員 その再処理工場の解体、施設の廃棄が現実に問題になるのは、その後何年ぐらいたった時点ですか。
#308
○牧村政府委員 この施設の解体につきましてはなお十分に検討が進められておりませんので、しかと申し上げかねるところでございますけれども、何分にもこの再処理施設と申しますのは非常に高い放射能を持つ使用済み燃料を処理する施設でございますので、施設の本体の耐用年数を超えましてある相当程度の冷却期間を置かなければならないことも考えながら、今後解体、改修というようなことを検討していかなければならないと考えております。
#309
○瀬崎委員 その相当程度というのは数ヵ月、数年あるいは十数年、こういうふうに言えばどのオーダーになりますか。
#310
○牧村政府委員 数年から十年あるいは場合によりましてはそれより以上になろうかと思います。
#311
○瀬崎委員 牧村局長は五十二年十一月十七日の本委員会でこういう答弁をされていますね。これは発電炉の解体についてでありますが、「どういうふうなものか技術的に一番いいのかということも、まだ世界的にも解体のやり方につきましては決まった情報と申しますか、そういうものは確立されていない段階でございます。」「その解体のやり方については現在原子力委員会の専門部会で若干の検討が始まった段階」です。また「現在IAEA、国際原子力機関におきまして、この解体に関します技術委員会が持たれ」「ここに世界じゅうのこれに関連いたします学者、学識経験者が集まりまして、いま盛んにどういうふうな技術基準でやればいいかということ等を議論しておる段階でございます。」「こういうところで行われる議論も踏まえまして、これから十年あるいは二十年先にこういう問題が起きてくるわけでございますので、関係省庁並びに発電会社等の意見等も徴しながら、慎重に検討を進めてまいりたい」こういう答弁をされているわけですね。発電炉に比べて再処理工場の解体あるいは廃棄の方法、技術というものはそれよりもさらに長期間の検討を要するものなのか、困難なものなのか、発電炉に比べればもっと早く技術が確立し、簡単にできるものなのか、その点はどうですか。
#312
○牧村政府委員 再処理工場は先生御存じのように化学プラントでございます。溶解から精製あるいは廃棄物の排出までの化学プラントでございますので、解体の仕様につきましては、原子炉と異なりましていろいろな技術的な特色も出てこようかと考えられるわけでございます。今後その解体のことにつきましては、たとえば原子力安全委員会の専門部会等で、原子炉のみならず、このような施設についても検討を加えていかなければならないと考えておりますか、現段階におきましては、この解体の具体的な方法等がまだ決まったわけではございません。外国の例を見ましても、プラントを閉鎖しておるという段階のものはございますけれども、これを積極的に全部解体してしまうという計画があるわけではございません。したかいまして、われわれといたしましては、そのような今後の世界的な動向も見つつ、また日本の関係学者の御意見も承りつつ、この解体という問題に対しての検討を進めまして、当然解体に当たりましては安全上の配慮をする必要がございますので、その安全の基準というようなものにつきまして検討を加え、その上で必要な措置をとってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#313
○瀬崎委員 先ほど質問いたしました発電炉の解体でありますが、これについては、規制法三十八条で一応解体の規定が設けられているわけですね。これは一体何年に制定されていますか。
#314
○牧村政府委員 ちょっといま調べますが、現在日本におきましては、一つだけいわゆる解体というのを経験しております。これは日本原子力研究所の最初にできました小さな実験炉でございます。したがいまして、これは燃料を外しまして、そのまま閉鎖した形でやっております。実用炉あるいは再処理の解体というのも、そのような形から全然ばらしてしまうものまで当然考えられるわけでございますので、どういうふうに持っていくのが一番安全で、ある意味では経済的かというようなことをこれから研究しなければいけない問題だと思います。
 決まりましたのは三十年の十二月でございます。
#315
○瀬崎委員 この実用発電炉の解体については、再処理工場の解体の場合と違って、一応原子力委員会に専門部会等もつくって検討されているとか、国際的にも検討されているという段階ではあっても、なお十年あるいは二十年先、こういうことなんでしょう。ところが、その解体そのものについての規定は昭和三十年にはつくられている。つまり今日まで二十年たっているわけです。だから制定時点で見れば、そこから三十年ないし四十年先のことも大体想定して規定はつくられているのですね。この間問題になりましたのは、現在のこの規制法の中で再処理工場と定義されているものの中には、高レベル廃液の一次貯蔵は含まれているけれども永久処分は含まれていない、こういうところから法律そのものがたれ流しになっているのではないかということで問題になってきたわけですね。それは、これから十分期間があるから、そのうちにやればよいのだ、こういうお答えであったわけであります。ところが、発電炉についてはすでに三十年ないし四十年前にちゃんと法律には条文が織り込んであった。そうなんですね。再処理工場の解体の規定が今度の改正法の中にちゃんと入っているじゃありませんか。
#316
○牧村政府委員 先生御指摘のとおり、再処理施設の解体について当分の間は考えられないことではございますが、もし解体が行われる場合には災害の防止を確保する必要が当然あるわけでございますので、この規制法の改正におきまして規定の整備を行っておるわけでございます。
 この解体の仕方はいろいろ考えられるわけで、技術的にどういう方法をとるかはまだ何ら固まったものはないわけではございますが、この規定におきましては、解体の方法であるとか解体工事の工程であるとか、当然放射性物質による汚染物がございますので、それの処理、処分の方法、この点につきまして厳重に安全の規制ができるような制度をあらかじめ整備させていただくということで規定を設けさせていただいておるわけでございます。
#317
○瀬崎委員 再処理工場の解体問題というのは、先ほどの牧村局長の答弁からいけば、少なくとも使用できる期間約二十年、そこから数年ないしは十年、あるいはそれ以上冷却期間を置いて、それから初めて解体問題が起こってくる。だから一現在から見れば、これも三十数年から四十年以上先の話であるけれども、やはり危険度とか災害防止の観点から、現在技術的には未確立であっても一応法律に規定したのだ、こうおっしゃるわけでしょう。それだったら私は書いたいのですよ。永久処分の問題だって、現在の法律に網をかぶせていないなら、なぜ同時にここで出しておかないのか、こうなるでしょう。これは当然の疑問だと私は思う。
 しかも、この間の答弁では、いずれ再処理工場においても三十年の期間のうちには永久処分の問題も起こってくる、慎重な検討を加える時間は十分にあるとおっしゃっています。確かに十分な時間はあるでしょう。あるけれども、一方解体の方については、もう四十年先のことまで今回法文に入れようというなら、一時貯蔵、こういう境界で区分して、永久処分は国が管理するのだ、そういうことくらいは――つまり解体の規定といったって、結局これは再処理業者が行うということを法律上うたっただけのことなんです。それなら永久処分は国が管理する、こういうことはうたえるはずだと思うのですが、なぜそれを同時に行わなかったのですか。
#318
○牧村政府委員 現在の法律並びに府令等、規制の規定によりますと、気体状のものは低レベルのものにつきましてはもちろん排出が可能でございますが、排出基準に従いますと高レベルのものはできないことになっております。固体状のものは現在保管廃棄か長官の承認を得た場合にのみ海洋投棄が可能になっております。
 これはひっくり返して申しますと、高レベルの海洋投棄は、長官が承認を与えた場合には可能でございますけれども、先般の基本法の改正に伴います規制法の改正によりまして、いま府令を改正手続中でございます。固体状のものは、保管廃棄か低レベルのもののみ海洋投棄できることにいたしまして、海洋投棄につきましてはきわめて厳しい基準でもって、特別の許可を与えた上で投棄させるということで、高レベルの投棄は不可能な形にいたしたいと考えておるわけでございます。したがいまして、そのような考え方から申しますと、規制法におきます処理、処分のうち、長期の廃棄処分につきましては、当分施設内におきまして保管廃棄させることを考えておるわけでございます。
 先生御指摘ではございますけれども、地層等に永久処分する方法につきましては、なおいろいろな研究開発の問題がございまして、きわめて時間もかかる問題でございます。しかも、この廃棄物は非常に長期にわたる半減期を持った廃棄物でございますので、これを国がいかに管理して安全に処分させるかという方策につきましても、なお自信を持って申し上げる段階にはございません。
 したがいまして、先ほどの解体の条項が非常に長期であるという御指摘ではございますけれども、この高レベルの固体廃棄物の処分は、さらに非常に先の話でございます。それと、この廃棄物の地層処分につきましての工学的、化学的な知見も、予想される技術につきましてなお不明な点が多いわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては当分、高レベルの永久処分につきましては法令的に禁止しておきまして、研究開発の段階を過ぎまして規制を行い得る、あるいは国の管理をどう行うかという方策が決まりました段階で明確にしていきたいと考えまして、先生御指摘の点につきましては改正をしていないということでございます。
#319
○瀬崎委員 結局、私の疑問には答えていないと思うのですよ。原子炉施設の方の解体問題だって、要するに技術未確立のまま、しかも数十年先にしか起こらないことを危険防止のたてまえからちゃんと法律上入れたというのでしょう。そういう点で言うならば、同様に危険度の非常に高い高レベル廃液の永久処分について、技術的なことをうたうかうたわないかは別問題にして、現在の法律には規定がない、全然網をかぶっていない、そこは抜けているということだけははっきり答弁されたのですから、その部分について管理者が民間に移るときに、民間ではなくて国である、このくらいのことをうたうのが当然だ。野放しにほうっておくのは完全に片手落ちで、われわれとしてはそういう法案を認めがたい、私はこういうことを強く言っておきたいと思うのです。
 時間が来ておりますから最後に、これは山野原子力局長に尋ねたいのです。山野氏は山野氏で、いわゆる永久処分の問題について、法律に規定されていない理由をこう答えられているのです。「このような新しい技術につきましては、その技術開発のテンポに応じましてある程度そういう関連する法案につきまして提出の時間的な差があるというものもまたやむを得ない」なるほどこの解体の方の技術的な見通しはついているからこれは法律に載せたが、永久処分の方は全く技術的めどが立たないからこれは法律に載せないと言うなら、私はこの前の答弁は納得できる。だがいまの牧村局長の答弁のように、発電炉の方がようやく手がつきかけておる、この再処理工場の方は、使ってないところは閉鎖している程度の問題で、技術的な解体廃棄の方法はまだ全然手かついていない、そういう点では全く同じなんです。解体の方だって技術的なめどはついていないのだから、これだって法文化をおくらせればいいのに、こっちだけ載ってきた。これではこの間の山野局長の答弁とは合わないと思うのです。こういう点についてひとつわれわれの納得いくような説明を求めたいのです。
#320
○牧村政府委員 私から若干補足させていただきたいと思います。
 現在の規制法におきまして「保安のために講ずべき措置」というのか規定されておりまして、放射性廃棄物の廃棄につきましては、高レベルの廃棄物の処理、処分を含めて規制が及んでおるわけでございます。及んでおるわけではございまが、いまの政策的な判断として、永久処分については、政府は研究開発あるいは国の安全に関する管理等の施策ができるまで捨てさせないという形の規制を行うという考え方のもとに事を進めておるということを補足させていただきたいと思います。
#321
○山野政府委員 放射性廃棄物の処理、処分につきまして法的にどうなっておるかというのは、ただいま安全局長が答弁しましたとおり、法的に規制の空白部分があるということではないというのはそのとおりでございます。前回私の答弁で、民間が行う再処理の範囲に高レベル廃棄物の最終的な処分は含まれないという趣旨の御答弁を申し上げましたのは、原子力委員会が五十一年の十月に高レベル廃棄物の処理、処分の方針を決定しておられるわけでありますが、その中で高レベル廃棄物の固化処理と一時貯蔵というものは再処理事業者が行うけれども、永久的処分については国が責任を負うというような方針を決めておられるわけでございますので、私どもはその方針に従って今後の事業の指導というものをやってまいりたいと考えておるわけでございまして、そういう政策的な配慮から今後民間再処理事業者には廃棄物の永久処分をやらせないという趣旨の答弁を申し上げたわけでございます。そういう法律論と実態論と若干混同した部分がございまして明確を欠いたと思いますが、そういう趣旨で申し上げたわけでございまして、今後この原子力委員会の決めた政策というものをいずれ法定化するかどうかということは、廃棄物についての今後の研究開発の進展に応じて慎重に検討していくといった運びになろうかと思います。
#322
○瀬崎委員 もう時間が来ているので終わりたいのですが、私が聞いているのは、この前の山野局長の答弁中に、法律化することが必要であったとしても、技術を伴うような条項についてはその提案時期にずれが起こることはやむを得ない、こういうことをおっしゃっているわけです。だから、そういう点で言えば解体というものを今度の改正の中に入れてきたんですが、しかしこれも先ほどの牧村局長の答弁のように、全然まだめどの立っていない技術なんですよ。だから、山野局長の答弁から言えば、こういう技術的にめどのないものは本来改正案に出てこないはずなのに、こっちは出てきた。ところが、同じように技術的な開発の進んでいない高レベル廃液の処理、処分の方は、技術的開発がおくれているということを理由に今回法案化が見送られている。どちらも技術開発はないんですよ。にもかかわらず、片や改正案に載っている、片や改正案に出てこない、これではこの前の、研究開発のテンポによって法案の出し方は時期がずれることがあるという山野局長の答弁と矛盾が起こるではないか。技術開発の各段階に応じて法律提出の時期が異なるというなら、これは両方とも今回まだ間に合わない条項であるはずなのに、解体の方は出てきた、高レベル廃液の処分は出てこない、こういうことになったのは、いかにもあなたの答弁から言えば矛盾ではないですか、こう聞いているわけです。
#323
○山野政府委員 高レベル廃棄物の処分につきまして、これは法的に空白部分があるということであれば、まさに先生の御指摘のとおりだと考えるわけでございますが、少なくとも体系的には法律的に空白部分はないわけでございますので、法的に手当てがしていないということではないと思うのでございます。そこで、現在の法的な手当てというものをさらに原子力委員会の政策を織り込んだものに変えていくかどうかということについては、今後の研究開発の成果を見て決めてまいりたい、こう申し上げておるわけでございますので、私どもは矛盾はないと考えております。
     ――――◇―――――
#324
○岡本委員長 この際、御報告申し上げます。
 今国会、本委員会に参考送付されております陳情書は、お手元に配付してありますとおり、原子力発電所周辺地域における安全対策に関する陳情書一件でございます。
     ――――◇―――――
#325
○岡本委員長 閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#326
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 引き続きお諮りいたします。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、議長に対し、閉会中審査の申し出をするに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#327
○岡本委員長 起立多数。よって、本案は、議長に対し、閉会中審査の申し出をすることに決しました。
 次に、閉会中審査のため、参考人から意見を聴取する必要が生じました場合、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#328
○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中審査のため、委員派遣の必要が生じました場合、派遣委員、派遣地及び期間並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#329
○岡本委員長 御異議なしと認めます。さよう決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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