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1949/03/16 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第25号
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1949/03/16 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第25号

#1
第007回国会 大蔵委員会 第25号
昭和二十五年三月十六日(木曜日)
  ―――――――――――――
   午前十時三十一分開会
本日の会議に付した事件
○所得税法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(黒田英雄君) これより大蔵委員会を開会いたします。
 本日は先ず所得税法の一部を改正する法律案について御審議を願います。御質疑のおありの方は御質疑を願います。
#3
○油井賢太郎君 この際局長にお伺いして置きたいのですが、所得税を改正して大分税が減税せられるというようなお話もなさつておるようですが、国民所得の算定が三兆二千億というよな基礎で以て所得税も御算定なさつたと思うのです。併し、この国民所得は、今政府は物価低落の方向に向うというし、又全体的にも低落しておる現状ですが、実際三兆二千億の所得を基礎としてこういう税制を拵えになつて辻褄が合うのですか、その点についてお話願いたい。
#4
○政府委員(平田敬一郎君) 所得税につきましては、歳入見積りの基礎といたしまして、国民所得を直接は採用いたしていないのでございます。二十三年分の課税の実績額を基にしまして、それに対しまして、それぞれ生産、物価、雇傭、賃金等の指数を適用しまして、課税所得を算定いたしておるのであります。その賃金、物価、雇傭、生産等の伸ばし方につきましては、大体国民所得と同様な方法で若干所得の計算が違いますので、違つたことをやつておりますが、大体におきまして同様な方法で伸ばしておるのであります。そういう意味におきまして、従いまして所得の見積りにつきましては、大体昨年九月の物価水準等を基にしまして、その水準が大体において横這いする、生産は若干増加する、米価につきましてはパリテイーを相当に引上げる予定になつておりますので、秋作は百六十八、春作は百六十四という、それぞれ農産物の価格になるということなどを算定いたしまして、所得を見積つて計算いたしておるのでございます。従いまして二十四年度分に比べますと或程度の増加を見積つておることになるのでありまして、そういう所得を基にしまして、改正税率は算定いたしたのでございます。
 現状といたしましては、いろいろ問題があるようでございますが、政府の政策としましては、飽くまでもデイス・インフレーシヨンの線で進もうということになつておるのでありますから、大きな差はないものと、若干の差等はあると思いますが、大勢としては大体そのようなことになるのではないか、又さようなことに政策を進めるということにしなければならんように私は承知いたしておるのでございます。従いましてそう大きな狂いは出ないものと考えますが、大体状況の変化次第で相当自然減収或いは税目によつて自然増収がある、全然ないということは申上げかねるわけであります。現在といたしましては、このような見積方法が正しいのではないか、かように考えておるのでございます。
#5
○油井賢太郎君 これは或いは国税庁長官にもお出でを願つたときの方がよいかも知れませんが、実際地方の税務署あたりの話を聞いて見ますと、こういう税率なんか幾ら変更しても、大体上の方からちやんと指令が来ておつて、この見当というような、いわゆる所得税なら所得税は幾ら取るというふうな指図によつて我々は動くのであつて、税率なんかどう変更されても大差ないのだということを実際言つておるのですね。それでそれに合せて末端の方では取るということになるのですね。それが又結局国民に対して苛斂誅求というふうな感じを抱かせるのですが、もう少しこの点は局長あたりがお考えになつておる正しい考え方を末端まで行き亙らせるという方策は採りになれないものでしようか。殊に地方によつては今日デイス・インフレと申しますが、これは実際はデフレです。デフレ様相を示して、いろいろ業種によつて、例えば織物のごときものは、極端に現在混乱状態にまで陥つておる非境の状態になつておる。そういつたようなところの地域については、幾ら末端の税務署で、所得税なら所得税を確保しようとしても取れつこないというのが実情です。ところがそれにも拘わらず、やはりいわゆる徴税機構の末端の方では割当てられた分だけは何とか責任を果さなくちやならんというような気持からしてまあ無理な課税をするというようなことが行われるのですが、これについてもつと実情に即応した方策は取れないものですか。
#6
○政府委員(平田敬一郎君) 今の油井委員のお話、誠に御尤もな点でございまして、私共今お話になりましたような弊害を根本的に一つ改めるというのを、最大の実は改正の目標にもいたしておるのでございます。で従来からと雖も、私共決してそういう趣旨で税務を運用しておつたわけではないのでございまして、飽くまでも税金というものは、やはり税法に従つてやる。ただ目標等につきましては、非常に経済の混乱期に応じまして、一体どれくらい税金が入つて来ておるのか、税務官庁もどれぐらい勉強しておるのか、全然見当が付かないような事態に一時なりましたので、極く大まかな意味におきまして、一定の予想といいますか、予定を立てまして、それに対して実績がどうなつておるかということによつていろいろな指導をするということをいたして来たのでございますが、それとて最初からたびたび申上げておりまするように、納税者に対しては無関係である。納税者に対しては法律のみが唯一の税務官吏の基準、拠りどころであるということで指導して参つたのでございますが、なかなか実際問題としましてはお話のような結果があちこち出て参りましたので、シヤウプ勧告にもございますように、いわゆる目標というようなことを決めて、税務署を監督するという制度は全然全廃することに今年度からいたしましたし、又今後におきましては厳に避けて参りたいと考えておるのでございます。飽くまでも税法に従いまして、正しい所得を計算して、所得が現実に減つた場合には、勿論減つた所得によりましてやりまするし、反対に所得が多い場合におきましては、どうも税率が無理だから或いは納めにくいからというような、単純な、極めて生温い温情で、税金をいい加減に算定するというようなことは是非一つ止めることにいたしたい。殊に今度の改正税法はそういう点におきまして、いろいろな改正を加えております。所得税の最高税率を五五%といたしましたのも、実はそういう関係が相当強く考えている一つの点でございます。それから事業所得税等につきまして、勤労所得は従来二割五分控除、事業所得は所得を控除していなかつたのでありますが、いずれも勤労所得も事業所得も、とにかく税法通りの所得を査定しまして、納税者もそれで申告して頂きまして、正しいところを見るわけでありまして、法律並びに法律に基きまするいろいろの規則そういうものが唯一の実は課税、納税の基準でありまして、予算額目標額等の額によりまして、実際の個々の納税者の課税というものは左右さるべきでない。これは私はこの際重ねて申上げて置きますが、まあさように考えております。尚この点につきましては、国税庁の方におきましても末端に対してたびたびその徹底を図つておりますが、尚お話の通り十分でないところはあるようでございますが、これは思いまするに、税務官吏がいろいろ調べまして納税者に対して十分根拠のあることが説明できないで、そういう場合に逃げ口上として、そういう卑怯な言辞を弄しているのが相当多いようでございます。これは誠に遺憾なことでございまして、飽くまでも納税者に対しては自分の調べたところが正しいという十分な説明をして納得せしめて税金を納めさせるということに行かなければならない、で又私は是非税務官吏につきましても、そういう能力のあるように、一つ育て上げるということで、役所の方におきましても鋭意努力いたしまして、お話のような弊害を一刻も早く払拭いたしますように努力したいと考えておる次第であります。かように御了承願いたいと思います。
#7
○油井賢太郎君 それで先程の国民所得と税の関係ですが、まああなたはそういうふうに非常に温情ある、又正確な徴税ということを目標になさつていても、結局国の予算というものは決まつていて、どうしてもそこえそれだけのものを取らなくちやならないという先入感がどうもあるらしいですが、それは政府当局においてもそういう観念があるのじやないのでしようか。つまり支出というものをこれだけ今年の国の財政としては歳出が必要である。その歳出に合わして一応の歳入基準を立てて、その歳入基準によつてどうしても取らなければならないというようなことは、末端ばかりでなしに、政府当局自体がそういうふうな考えをお持ちになるのじやないのですか。例えば国鉄の裁定にしろ、或いは例の専売の裁定にしろ、これは予算がなくと一文も払えないというふうなことをどんどん言われるのですが、併しながらその外歳出として決めたことについてはもう絶対的にそれだけのものは確保するという、そういう根本方針が結局方々にトラブルとなつて現われるというようなことがあるのじやないですか。実際に収入されて歳入が本当に確保されたものと睨み合わせた歳出でないというのが今日の欠陥を来しているのではないでしようか。そういう点をお伺いしたい。
#8
○政府委員(平田敬一郎君) 今のお話の点につきましてはこのように私お答えいたしたいと思いますが、法律をまじめに執行するならばこれだけの収入があり得る筈だという予算を一応見積つておるわけでございます。従いまして予算を見積りました基礎的事情に変更がない限りにおきまして大体におきまして法律を適正に執行するならば予算に近い数字が歳入として結果において上つて来るじやないか、こういうことが考えられ得ると思います。行政官庁の任務は税法の場合におきましては正しく税法を執行して、それに基きまして所定の収入を上げる、これは勿論本来の目標でありまして、これを忘れたら成り立たないのでございます。ただ飽くまでもその際におきましては予算がこうだからそれだけ必ず取らなくちやならんということではないのでありまして、飽くまでも税法を正しく執行するならば幾ら税が入つて来るか。結果であります。従いまして歳出と歳入は、よく御存知の通り、単純な歳入に関する限り見積りでありまして、従つてその見積りをオーバーする場合も或いはへこむ場合もあるのでございます。これでへこんでもへこんだ額のへこんだ分に対します理由が正しいならば、これは当然でありまして、何ら問責すべきことはないのであります。ただ税法通り正しく執行するならば当然入つて来る収入が、税務官庁の能率が上らない、仕事の働きが不十分であるというので入つて来ないような場合におきましては、これは行政官庁としてもこれに対して責任を問われるということに相成るものと存じております。その点確かにその点の関係は全然ないとは私は申上げないのでありますが、事柄の筋道はそういうところにあるじやないかと考えておるのであります。
 本年度におきましては申告納税につきましても目下いろいろ鞭撻しつつあるのでございますが、千七百億の見積りは三月は不足するじやなかろうかという見込を今のところ大蔵当局は持つております。それも是非予算額まで取らなければおかしいというような単純なそういう考え方ではいたしておりません。今の税法を実際の所得の状況から見て極力正しく執行しまして、租税収入を確保するということで努力いたしておるのでございます。御諒察願いたいと考えておる次第であります。
#9
○油井賢太郎君 それから青色申告制度を今度お採りになるのですけれども、実際地方を廻つて、業者なり、或いは会社なりの意向を聞きまするに、まあ相当の大規模の形態を持つておる業者、或いは会社というものは、これは青色申告でも十分やつて行ける。併しながら実際中小企業と言いますが、その中の大半は小企業であり、恐らく全企業界の七〇%、或いは八〇%を占めるでしようが、そういうところでは青色申告の正式の記入をするということだけでももう手数がかかつて容易でない。こういうふうなことを皆訴えておるのです。それから農家の方なんかでは非常に簡単だというのですが、この簡単さは実際専門的にやつておる側から見ては簡単ですが、今まで全然やつたことのない未経験者にとつては複雑で、又困難な仕事になるのです。これももつと簡略にして、もつと普遍的にやれる工夫はないものでしようか。大体地方において青色申告制度の普及を図つて、それの申告をさせたところが、期日までに申告があつたのが法人で僅かに一〇%足らず、個人事業家に至つては二%とか三%というような地方が大変多かつたようですが、そういう点についてもう少し当局は留意された方がいいじやないか、こう思うのですが如何でしようか。
#10
○政府委員(平田敬一郎君) 青色申告の制度につきましては、これは今度の税法改正の実施面の改善を図るための重要な制度として採用いたしたわけでございます。お話の通り中小の営業の納税者の場合におきましては、なかなかむずかしいということが当初から考えられていたのでございますが、いろいろやつて見まして、特にそういうことを私共も感じておるのでございますが、ただ私共としましても、極力正確を期するということが先ず第一番であるまして、正確を期し得られまするならば、様式とか、或いは記載の方法とかというようなことは第二次的、第二義的のものとして実は最初から考えておるのでございます。様式も最初は一定するようなことも研究して見たのでございますが、どうも各業態が違いますに対しまして、一律に規定するというようなことになりますると、各事業の実情に即しないで、非常にむずかしいものになるという虞れがございましたので、様式も一定いたしておりません。ただ記載事項はこれだけのことは少くとも記載して貰わなければならない、大体記載の方法等も極く大筋のところは大蔵省令と国税庁の告示を以ちまして示しておるのでございます。而うしまして、営業者に対しまして棚卸の計算と損益計算、貸借対照表、名前は借貸対照表とむずかしいですけれども、これは資産負債のバランス表、そういうものを年末に調製して、申告して一緒に出して貰う、これはどうしましても、営業なんかでも、少し簿記らしい簿記をつけるという建前にいたします以上、そういうことに行かざるを得ない、又行つた方がいいのじやないかという趣旨でございます。
 又、農業につきましては、貸借対照表というようなことは、大分むずかしいので、そういう方法は当分のうちは見合わせることにいたしております。収支計算本位の帳簿をつけて貰えばいいことにいたしておるのでございます。併しこれは、要は如何にして収入支出に関しまする、所得に関する事項を正確に記録して貰うかという一番大事な面であります。これが、記録がいい加減にしていいような簡素化、これが場合によつては望ましいのであるのかも知れませんが、そこまでやりましたのでは、帳簿の意義がございませんので、面倒でもつけて貰う。どうも日本人は、私共もそうですが、なかなか面倒くさがるので、つけるということは嫌がるようですが、その煩瑣だけは手数をかけて貰いまして、そうして正しい課税の基礎をはつきり決めるということだけは、どうも避け難いというふうに考えております。従いまして、そのような意味におきまして、なかなか税務署は全部の納税者に一挙にして青色申告制度を普及するということはむずかしいので、何年計画かで徐々に、青色申告制度の利用度を高め、それに対する信用度を高めまして、できる限り問題の少い徴税にして行くようにいたしたい、このように考えておるのであります。実績は確かに余りよく存じませんで、一月一日までに出ましたものは、法人が十一万三千件、従いまして全体に対しますと五割ぐらいになるようでございます。個人は全部入れまして十七万一千人でございますから、これは全体の納税者に比べますと確か二、三%ぐらいになつておりますが、相当少いものになつているのであります。但し、最初のことでありまするし、普及等が十分行われなかつたという点もございますから、所得税法の附則で期日を延長しまして、今年の五月三十一日までに出して貰うように、更に届出して貰いますと、青色申告が利用できることになつております。ただ、勿論一月から記録をつけて頂く話合に至つたのであります。そういう附則の規定を設けまして、できる限り青色申告制度を利用して、政府としましては徹底を図つて参りたいと考えておる次第であります。
#11
○油井賢太郎君 次に申告納税の点ですけれども、青色申告納税制度というものは、今年も去年にも増しておやりになると思うのでありますけれども、申告納税制度の場合は、実際はこの前の年度においては相当赤字が出ておるにも拘わらず税金を納めるという場合、やはり今度亦、今度の決算では相当赤字が出るだろうという予想の下に営業しているところに対しても、やはり昨年度納税したものを基準として或る程度の申告納税をされないというと、業者において、地区によると妙な目で見るとか何とかというようなことが多いようなんですが、これはもう少し実情に副つたやり方はできないものかどうかという点が一つと、それから今度の税制改正では、繰越欠損というのを、確か二年間に分割することになつたのですね、併しこれは、そういうふうなインフレ時代と違つて、むしろデフレになつて来るような状態の時代においては、もつと長い目で以て見てやらないと各企業界とも相当苦痛を感ずるのじやないかと思うのですが、そういう思いやりのある改正を、例えばこれを五年間くらいに延長するというような、そういつたような万策な採れないものでしようか。
#12
○政府委員(平田敬一郎君) 御承知の通り、最近までの予定申告の状況が非常にどうも申告が不十分であり、それに対して税務官庁は更正決定をせざるを得ん。予定申告でありますので、いずれも基礎が非常に薄弱でありまして、非常な紛争を捲き起す。その結果結局低い申告でそのままやつて行く。そうすると一期二期の予定申告の段階におきましては、極く僅かの税金しか納めていない、全部が確定申告におつ被りまして、確定申告に対する更正決定で多額の税金が一時に行きまして、納税者も大困りというのが最近までの実情でありましたので、これはどうも少し考え直したらいいのじやないかという考えからいたしまして、シヤウプ勧告を採用いたしまして、大体普通の場合は納税者につきましては、一応前年の実績額を基にして予定申告して貰う。勿論そういうふうに高い申告は差支ないわけでありますが、それよりも低い申告をする場合におきましては、税務署の承認を得なければならないというふうにいたしております。所得税法の今度の改正にその点を詳しく書いてありますが、承認をして出さなくちやならない。税務署は次のような場合におきましては必ず承認しなければならんというふうにしております。即ち一つは災害とか或いは営業の全部又は一部の廃止、休止等によりまして、その年の所得が減少することが明らかである場合、これはもう当然承認しなければならんことになつております。
 それから第二は、災害で相当損失を受けたとか、或いは高い医療費を使つてそれを引きますと非常に大きく所得が違つて来る、こういう場合も承認を与えなければならないということになつております。
 それから第三には正確な記帳等に基きまして、その年の五月一日までの状況によつて判断しまして、その年、例年の実績に比べまして二割以上所得が減少すると認められる場合におきましては、税務署長は承認をしなければならないことにいたしております。若しも承認の申請をしまして、税務署長が以上の場合に許可しなかつた場合におきましては、勿論再調査、審査等の請求もできることになつているのでありますが、大体はさような方向によりまして予定申告に対するいろいろなトラブルを一つ最小限度に止め、前年実績によつた人には更正決定を行うことができないということにいたしております。予定申告の段階におきましては、それによりまして実際問題としての予定申告の段階における納税額を、少しでも予定申告の段階で納めて貰つておりますのと、それから行政上のいろいろなトラブルを最小限度に止めまして安定を図つて行く、こういう改正を行なつておるのであります。勿論承認に基きまして、いろいろ問題がございましようが、その点につきましては、業況、商況等を直接税務署におきましては調査いたしておりまして、相当大幅に、例えば価格が下つたといつたものにつきましては、これは一括的に調査をするということも十分行いまして、運用の適正を期したいと考えております。その点におきましては、衆議院におきましても、大臣からも運用上十分慎重に考慮して適正化を図るという答弁があつたようであります。
#13
○油井賢太郎君 その次にいわゆる延滞延納分に対する日歩の問題ですが、この二十銭というのは、今度は四銭に変更して、それを一月に遡つて行うということを先般大臣からお話があつたのですが、この所得税法のどつかに謳つてあるのですか。
#14
○政府委員(平田敬一郎君) それから先程のお尋ねの一つにお答えしなくてどうも恐縮でございますが、損失につきましては青色申告の制度を利用しておる。いわゆる帳簿にはつきり記録しておる人の場合に認めるのでございますが、その場合におきましては或る年に損失を生じますと爾後三ヶ年間に亙つて繰越しを認めるということになつております。それからもう一つ前に遡りまして、繰戻して控除を認めるということにいたしております、従いまして通算いたしますると、四年くらいに跨りまして、結局控除が認められることになつておるのでありますが、個人の場合におきましては現在は一つも認めていないのでありますが、その程度認めますれば、私は大体におきまして食いつなぎができるのじやなかろうかと、こういう趣旨から、余り長くなりますと、又徴税上に却つてトラブル等を捲き起すというようにもなりまするので、その程度でいいのじやないか。併し将来は事務状況等に鑑みまして、一つそういうことの運用がお互いにうまく行くようになりますれば、場合によつてはもう少し延長してもいいのじやないかと考えておりますが、現在のところではその程度でいいのじやないか。これに対しましては法人が非常に経理がはつきりしておりますが、従来からも三年繰越し控除を認めていた関係もございまして、繰越しは本年の場合は五ヶ年になつております。若干差をつけておりますが、実際の点からしてその辺が妥当ではないかと考えるのでございます。今お話の点は加算税と延滞金の問題でございますが、これは原則として、新法では四月一日以降の分から適用することにいたしております。従来の加算税は利子税といたしまして、日歩四銭に下げたのでございますが、こういう制度はすべて四月一日から適用することにいたしております。従いまして税法はすべてそういうことになつておるのであります。但し、四月一日からと申しましても、旧来残つておる分につきましても四月一日から四銭に切替るわけであります。今までの分につきましても全部四月一日から日割計算で切替るのでございます。今お話の、本年の一月から三月の分をどうするかという問題でございますが、これは新らしい税法を適用しないで、別途に特例に関する法律案を提案いたしまして、それによりまして、加算税は四銭にする。延滞金は二十銭を八銭にするという法律案を別に提案いたしまして、御審議を煩わしたいと考えております。目下その法案は関係方面等に承認申請中でございまして、近く提案できる見込でございます。
#15
○油井賢太郎君 その際はあれですか。二十銭の日歩を払つた分は、当然割戻しをするという措置をとられるのですか。
#16
○政府委員(平田敬一郎君) 未納の税金がありますれば、それに充当いたしまするし、未納の税金がない場合におきましては一定の期日までに申請して貰いまして、返すことにいたしております、その差額を…
#17
○木内四郎君 所得税法についてですが、今度所得税法で、青色申告という制度を新たに設けられたことは非常に結構なことでありますがそれに関連して、一方においては公認会計士法というのが出ておる。青色申告の方はあなたの方で雛型を示したりするかも知れないけれども、これに基いて、多分今後個人がその経理について、或る場合においては素人の人もそれを書入れますね。それをあなた方の方は一応信頼して、そのまま受入れるということになつておるわけであります。公認会計士という制度を設けて、そうして理財局の方では特に何回も試験をやつて、優秀な信頼し得る人を公認会計士にする。その人達は決算の書類、その他について証明をしますね。それは恐らく青色申告の様式を決めて、各個人がみずから記入したものよりも余程政府としては信頼を置いてよいのでないかと思う。そういう公認会計士、或いは今度拡張されて計理士も証明ができますけれども、そういう書類を附けて、その証明を附けて出した申告というものは、あなた方の方は青色申告以上に信頼して頂いてよいものだと思います。それはどういうふうに取扱われますか。
#18
○政府委員(平田敬一郎君) 公認会計士の制度は著々と進んでおりまして相当厳重な試験を経まして優秀な人が会計士になつておられるということは、これは正に事実だろうと思います。従いましてこれは実績によつて結局裏付けになると思うのでありますが、そういう方々が沢山書類等を見て、それに基いて、税務の申告書を附けて出して来たという場合においては、事実問題といたしましては、結局相当に尊重されるということになるのではなかろうかとかように考えるのであります。ただ制度の上で税務の証明制度を法律上作るかどうかという問題につきましては、目下若干研究いたしましておりまして、現在の税務代理士の制度等をどうするかという問題と関連いたしまして、もう少し研究いたして見たいと考えております。研究しました上、成案を得ますれば、勿論提案いたしまして、御審議を煩わすつもりであります。
#19
○木内四郎君 法律上の制度にするかどうかということは別問題として、苟くも国家として、公認会計士という制度を設けて、あれだけ厳重な試験をして、非常に沢山の人の中から極く少数の人を公認会計士として認めることになつた。この人達は制度上税法の中に入る入らないは別として、その人達が間違いないという証明をして書類を附けておるものは、一応信頼して頂いていいのじやないかと思うのでありますが、制度として新たに設ける設けないは別として、現実の問題として国家がそれだけの制度を設けてやつておる。それに対してあなた方はどういう取扱をされるのか、その点を一つはつきりして頂きたい。それは公認会計士制度に対する我々の考え方を決める大事な問題ですから……
#20
○政府委員(平田敬一郎君) 重ねて申上げますが、公認会計士が作つた書類は如何なる場合においても政府を拘束して、それに従うということは現在のところ考えておりません。併し実際問題として恐らく正しい報告書が出るだろうということになりますから、実際問題としては大いに尊重するということになつて来るのではないかと思います。又そういうように公認会計士の業務が発展することを私共期待しておるのであります。
#21
○木内四郎君 しつこいようですけれども、あなた方としてははつきり言いにくい点もあるかも知れませんけれども、公認会計士の制度は将来どういう発展をしようと、これは勿論よく発展しなければ困る問題ですが、今日非常に厳重な試験をして経理の面に詳しい、而も人格も高潔な人を公認会計士にして、その人達が証明した書類は少くとも青色申告と同等に、法律上の制度はないにしても、一応それを受け入れまして、帳薄を調べなければ更正決定をしない青色申告と同じ取扱をして貰いたいと思うのですが……
#22
○政府委員(平田敬一郎君) 恐らくそういう場合におきましては、大体まあ青色申告をしておられる方々に対して一種の決算書を作るということに相成るのではなかろうかと思うのでございますが、そうなりますというと、結局税法上認めております青色申告の制度の結果と同じになると思います。法律上必ず証明した場合においてはこれを認めるというところまで設けますことはなかなか現在のところむずかしいのではないかと考えておりますが、ただ全般として例えば損失の繰戻しにつきましては、一種の公認会計士の監査証明を受けて来なければ認めないというようなことに将来したらどうかというシヤウプ勧告等のあれもありますが、将来におきましてはそういう問題につきましてもよく研究いたしまして、十分尊重して行けるようにこの制度を発展して行くように、我々としても努めたいと考えておる次第であります。
#23
○木内四郎君 しつこいようですけれども、青色申告と同じ結果になると言つたのでは、実際問題はそうなるでしようけれども、公認会計士というものを立派なものにして行くためには、公認会計士が証明したら法律上は別に規定はないけれども、一応それを認めるということだけは一つ言つて貰いたいのですが、それは言えないですか。
#24
○政府委員(平田敬一郎君) それは結局事実が結論するわけでありまして、認める、認めないという問題ではないと私考えるのであります。実際問題といたしましては恐らく公認会計士の作りましたものは正しいものになりますし、従つて自然にそれを認めて行くということになるわけであります。公認会計士が作つたものは行政の運用上も必ず認めるということはちよつと申上げにくいのではないかと思います。
#25
○木内四郎君 私はこれ以上質問いたしましてもお答えになり得ないだろうと思いますから質問いたしませんけれども、無理にすべての場合に終局的にこれを認めるなということは私は決して申しませんが、間違いがあれば公認会計士を処罰する規定もあると思います。こういう制度を設けた以上は、やはり一応はそれは帳薄を調べたり、その調査を見ればこれは当然分ることであつて、これを直さなければ税務当局としても重大なる事態だと思うのであります。一応はそれを一つ尊重するという態度を以て臨んで頂きたいということを希望だけを申上げて置きます。
#26
○油井賢太郎君 今度の改正法の理由は大変国税の軽減をしておるというふうな御趣旨なんですけれども、大体三千七百ベースのときから六千三百円に昇給した際、あの際には税法というものは改正していなかつたのですね。それで若し本当ならあれは三千七百円と六千三百円との開きの比較と同じだけに税法も改正して、相当の減税をするのが当然であつたわけですが、絶対の税金額については勿論触れても、相対的にやはり或る程度の操作をしなくちやならなかつたというわけなんですが、そのときは何もしていなかつたんです。ところが今度はこれで、まあこういうふうな改正で以て、税の軽減を図つたというのですが、あの六千三百円ベースになつたときには、一体どのくらいのいわゆる税の増徴を結果において来したかという点はお調べになつてあればこの際ちよつと発表願いたいと思います。
#27
○政府委員(平田敬一郎君) 私共は今油井委員がお話になりましたような問題といたしましては、むしろあのベースが決まつた際におきまする、消費者物価指数、これが最近はどうなつておるかという問題が一番判断のし易い途じやないかろうかと思いますが、二十三年の七月を基準といたしまして、最近の消費者物価指数は大体百二十七で二割七分の騰貴になつております。これは昨年の十一月でございますが、十二月はちよつと特別の事情で上つておるようでございますが、その後下つております。大体のレベルは二十三年の七月に比べまして、消費者物価指数は二割七分の騰貴であります。従いまして控除なりその他につきましても少くとも最小限この引上げをしたということは物価水準と申しますか、購買力の貨幣の変化に応じた自然な改正ということに相成るかと思うのでございますが、そういう点から考えて見ますと、基礎控除の方は一万五千円から二万五千円になりまして、六六%の引上げになつております。それから扶養家族の控除の方は、今までは税額で千八百円の控除は、所得額で今度一万二千円の控除に対しましてはどの階級の税率の適用を受けるかによつて実は増減価値が違うのでございます。それで二〇%の税率で適用を受けるクラスにおきましては三三%の引上げになります。二五%の税率の適用を受けるクラスの場合におきましては六六%の引上げになります。それで三〇%の税率の適用を受けておられる場合におきましては、ちよつと倍額二百%ぐらいの引上げになるのでございます。それで大体ここに所得税法の税率を御覧になれば分りまするように相当下の方から二五%、三〇%程度の税率の適用を受ける方が多いのでございますが、まあ平均いたしますと、私共少くとも六割六分以上の引上げになつておるものと見ておるのでございますが、その点から申しますると、一昨年の七月に比べますと、物価事情、物価水準の高騰、それよりも今度の控除の引上げ等は遥かに多くなつておるということは言い得るのでありまして、そういう意味におきまして、私共は所得税に関する限り実質的に今度は相当なる減税だと考えておるのでございます。
#28
○油井賢太郎君 いや私の言うのは、今度のは資料によつて大体見当は付くのですが、この前ですね、三千七百円から六千三百円に上げた当時ですね。あの当時税率をそのままにして置いたからやはりまあ給料の方においては上つても税金がそれに伴つてやはり上げておるということになつておるのです。その引上げ方、いわゆるその徴税の何といいますか、不当徴税と言つてはこれはどうかと思う言葉かも知れませんが、当然三千七百円ベースを六千三百七円に上げた、それに比例して課税の方の基礎控除とか扶養控除とかそういつたようなものを引合うように税率も亦金額に応じて直して行つてなくてはならなかつたわけなんですね。その点のいわゆる徴税の上において予定をお取りなにつた分がどのくらいに達しておるか、こういうことなんです。
#29
○政府委員(平田敬一郎君) 今のお話の全体に対しまして御意見を申上げておるわけでございまして、賃金がそれだけ上つたから当然上げなくちやならんという理窟は認め難い、物価水準の全体の増嵩というものがそういう場合におけるキー・ポイントでございまして、物価水準がより以上に賃金が上つた場合においては実質賃金の増であります。本当の所得の実質の増でありまして、その部分の増があつた場合におきましてこの税が自然に殖えて来るということは、これこそ本当の担税力の増加に基く自然増でございまして、従いまして私共は賃金が三千七百円から六千三百七円になつた、それを当然勤労所得で調整すべきだということは必ずしもそう直ぐそういう結論にならない。まあその間におきまして物価水準がどうなつておるかということがこれは非常に微妙な問題でありまして、物価水準がそれだけ上りまして、物の購買力が下つている場合におきましては、これは賃金が名目的に上りましてもその額に応じて税収入が殖えて来ますと支出増ということに相成るかとも思うのでありますが、そのような意味におきまして、むしろ物価水準を基準にして御判断願つた方がよろしいかと思います。もう一つ六千三百七円のベースに決まりました際は、当時税率を上げないということが前提になつておりまして、あの計算の中には改正前の所得税の負担というものを織込んで計算されておるのであります。従いまして私共当時におきましても大蔵省におきましても賃金の差額による税の増徴というようなものは特別に計算いたしていないのでございますが、あの当時のはね返り額というのは確か予算に計上していたと思いますけれども、必要でございますれば調べまして御返事申上げてもよいかと思うのであります。
#30
○油井賢太郎君 今のお話のうち、六千三百七円に上つたときはその三千七百円当時の税率でそのまま、或いは税金の制度そのままを織込んであるというお話があるのです。併し実際に六千三百七円ベースが実施されたときには、もうすでに物価が確か三割近くも上つてた筈なんです。そうするといわゆる実質賃金においては認めたという大蔵省側の見解ですけれども、実際は実質賃金を下げていたということになる。そうすればあの当時においてはやはり税負担というものが相当過重になつたと一面から言えば見られることにもなる、その点を今度の場合においてカバーできるだけ下つておるかどうか、こういうことに結局は帰着するのですが、それはどういうふうな計算になつておりますか。
#31
○政府委員(平田敬一郎君) 今お話のような計算を特別いたしていないのでございますが、先程申上げましたように、物価の水準から行きますと大体七月に比べまして二割七分、去年の一月に比べますと大体横這いだろうと思います。実行しましたときに比べますと……従いましてその時を基準にいたしますと税の方において考慮しないでもいいという理窟は単純にそういう理窟から行きますと或いは成り立つのかも知れませんが、そういう角度からのみ税率を考慮することはでき難いと考えるのでありまして、私共いろいろ諸般の事情、財政事情、その後における税率が決まつた際における、決まつた際から後の物価騰貴の事情等も考えまして控除をできる限り税率を引下げ、控除を引上げまして納税者の負担の軽減ということを図りたいということで今回の案を提案したようなわけでございます。今お話のありましたようなことは、この引上げ方がすれすれでありますればそういう検討も必要と思いますが、相当大幅でありまして当然この問題は今度の引上げによりまして、控除といたしましては当然解決するであろうというふうに感じておりますので、そう厳密な検討をいたしていないのでございます、むしろ給与のベース自体につきましてもいろいろ問題もあろうと思いますけれども、所得税の控除税率に関する限りは、そういう角度でやる場合に比べまして私は相当大幅な改正になつておるものと考えております。
#32
○油井賢太郎君 結論においては、これは意見になりますけれども、政府としては賃金を上げるときは賃金を上げてやつたからいいじやないかというような説明をし、そのときは税の軽減ということを全然考えないで、賃金を上げてやつたからいいということで、国民に税金のことをカモフラージユして、それから今度は、今日に至るというと、賃金を上げないで置いて税金を軽減してやつたからいいじやないかというふうなことになるのですが、そのときどきのいい面を……いい面と悪い面を両方睨み合せて国民にこうだという真相を発表しないで、いい方の面だけを強く強調しておるというようなことでは、結局国民経済の本当の肚の中において狂いが来る。却つてこれははつきり多方面でこういういいところもあるけれども、一面においてはこうだというようなことをやはりはつきり言われた方がいい。こういうふうに思うのでありますが、これは但しあなたよりも、大蔵大臣なり、本当の政府当局の方々に考えて貰わなくてはならない面ですが…… それからもう一つは直接税と間接税ですが、今度の税制改正については殆んど間接税というものを廃止したような形をとつておるのですが、こういう形態で以て今の日本の経済状態から見て、果して国家財政の面に円満な運行ができるかどうかという点を我々は心配するのですが、むしろやはり或る程度の間接税というものは、低い間接税を多方面に配つて、国家財政の一翼にさせるという方がいいのじやないかと思うのですが、こういう議論はあなた方において行われたのですか。それともそういう点は勧告案によつて、勧告案一本槍で以て、お考えにならなかつたかどうか。それで又実際こういう税制改正だけで国家財政が円満にやつて行けるかどうか。この二点を一つお聴かせ願いたい。
#33
○政府委員(平田敬一郎君) シヤウプ勧告は非常に直接税中心主義で、なかなか所得税を重視しておるということはよく御存じの通りでございまして、改めて申上げる必要もないかと思うのでございますが、この勧告の狙うところは、大体成るベく長期に亙つた税制と申しますか、今後の或る程度の事態を見通しまして、長く続く税制というものを制度に今度は考えておるのであります。そういう見地から行きますと、確かにこの直接税中心主義に行きますのは当然でありまして、我々も賛意を表しておるのであります。ところで然らば今直ぐそれを極端に行なつていいかということになりますと、これはいろいろ意見の分れるところであろうと思うのでありますが、現在のようにまだ非常に生産が十分でない、所得の平均レベルが低いといつた事態におきましては、相当間接税に依存しなければならないという点もある。こういう意見も有力な一つの意見であろうと思います。ただ私共も最初はそういう考え方も相当持つていたのでありますが、幸いにいたしまして、二十五年度か歳出面に財政事情が急激によくなつた、改善されたと確かに私は言い得ると思うのでありますが、即ち歳出が相当大幅に削減できるような情勢になつた。而も殖やすものは相当殖やしまして、而も全体として今年は七百億以上縮小する。この傾向は、私のこれは個人的な見通しでございますけれども、昭和二十六年度においても更に続くものと考えるのであります。と申しますのは、債務償還費を千二百億以上を全体を通じまして計上いたしておりまして、そのうち一般会計だけでも七百億になつております。そういうようないろいろ歳出面に何と申しますか、余裕があると申しますか、相当将来において減らし得る余地があるということを物語つておるのじやないかと思います。そういう情勢になつて来ますれば、やはり成るべく税制の本領に返りまして、直接税で賄つて行くという制度を採つた方が、この際としてはよいのではなかろうか。こういう意味におきましてシヤウプ勧告に従いまして、織物消費税を廃止し、取引高税は撤廃いたし、その他今度の通行税におきましても三等乗客は免除する。通行税の収入は四十億でございますが、残つたものは二割くらいでございます。こういう改正を行なつておるのでありまして、将来の情勢を考えると、やはりそういう方向がよい時期に来たのではなかろうか。従いましてもう一、二年前に税制改正をシヤウプ博士が来られまして勧告されたとすれば、或いはこれと少し違つた姿になつたかも知れませんが、今の情勢におきましてはさようなことが言い得るわけでありまして、やはり私も本領に段々返つて行くというようなことがよいのではないかと考えるのであります。ただ実際問題といたしましては、酒と煙草の間接税が相当の額に上つておるので、これは間接税などでは嗜好品、奢侈的なものに対する課税はどこの国でも相当多額の税源を見ておりますし、この間接税は決して、外の間接税と違いまして大いに伸ばす方がよいのではないかと考えております。その収入が尚相当巨額になりますので、直接税と間接税の比率から申しますると、実は余り間接税が減つておりません。むしろ単純な計算から行きますと、お手許に資料としてお配りしてあると思うのでありますか、二十四年度は直接税が五五%に対しまして、二十五年度は五四・五%というふうにちよつと減つております。これは酒が相当増収になりましたのと、煙草が千二百億やはり依然としてそのまま見込んでおりますのと、そういうのが大きな原因であります。結果から申しますると、さようなことになつております。併せてお答えして置きたいと思います。
#34
○油井賢太郎君 今のお話で間接税は余り率から言うと減つていないということは、成る程酒と煙草で以て大部分を占めておるのですから……併しその残つたものの負担が相当重い。残つておる間接税はガソリン税が十割とか、そうした必需品でありながらそういうふうな税金が残つておる。そういうものをやはり広くもつと普遍的に安い率で以て、一割とか二割とか、脱税なんかしなくとも喜んで納められるような制度にして行かれれば、非常に税金なんかも相当上るというようなことになると私は思うのですが、そういう点について勧告は勧告であつても、今の日本の現状から見て、高い率の間接税を少しお残しになるよりは、却つて低い率で以て全般的に残された方がよいのではないかと、こう思うのですが、これについてはどういうふうな御意見を持つておいでですか。
#35
○政府委員(平田敬一郎君) 只今の問題は確かに一つの御意見だと思います。ただ税につきましてはやはり成るべく筋を立てると申しますか、負担公平という見地を考えまして、これも必需的な商品の部分は免税する。奢侈的と認められるものに対しましては、尚国民の負担が相当重くなるというか、相当の課税をするという議論は、これは如何にもやはり妥当と考えられるのでありまして、やはりそういう大体方向に行くのがよいのではなかろうかと考えております。ただ如何にも尚まだ間接税の中に必ずしも実情に即しないものが残つておるかも知れませんが、揮発油税につきましては、現在のところはまだまだ日本の需給状態においては小売価格の百パーセントの揮発油税は相当だと考えております。将来需給関係が改善されて行きますならば、税率等については相当検討の余地があるのではないかと考えております。その他におきましては物品税も御承知の状態でありまして、この前の国会でも大分大幅な修正を加えね頂きましたが、尚その後における状況、及び今後における状況は需給関係に相当の変化が考えられると思いますので、こういう問題につきましても、今後情勢の推移と併せまして、どうするかよく検討して見る必要があるのではなかろうかと考えております。
 それからその他につきましては、大体有価証券移転税を廃止いたしましたし、それから清涼飲料税の税率を下げまして物品税の方に統合いたしましたし、骨牌税も大して問題でございません。砂糖消費税はこれは現在は輸入糖につきましては、租税特別措置法で課税いたしておりません。これはガリオア資金等によつてとにかく救済物資として多くのものが入つて来る関係もありまして、特例を設けておるのであります。
 砂糖消費税は、シヤウプ勧告では全廃するのも一つの方法であるという意見のようでありますが、日本の実際の国民生活のレベル等からいたしまして、砂糖消費税を全廃するのは少し行き過ぎではなかろうかという考え方を私共はとつておるのでありまして、従いまして、今回は砂糖消費税は税のシステムの上には残すことにいたしたのであります。将来輸入糖が本当の商業資金によつて、実力で輸入できる状態になりますれば、それは私は輸入糖に対しては適当な税率で課税すべきではないか、そういう際におきましては、税率につきましても、全体として適当な税率を定めまして、必要な財源を確保するというような方向に持つて行つた方がいいのではないかと思つております。
 酒の税率につきましては、今回若干の引上げをいたしたのでございますが、増収額は実は大部分造石による増加、それから地方の酒消費税を統合した結果でございます。純粋の増税になる分という数字をやかましく計算しますと、大体二十二三億くらいの増税にしかならないのであります。いずれにいたしましても、酒につきましては若干の増税をいたしておるのであります。併しこれも将来の方向といたしましては、むしろ数量を一層増加しまして、税率を引下げまして、而も相当の収入を上げ、密造酒等をそういう方向で駆逐しまして、国庫の財源を確保し、又正しい酒が供給されるようにして行くというのが今後の行き方ではなかろうかと考えております。
 間接税につきましては、大体そのような点が問題ではなかろうかと、御参考までに申上げる次第であります。
#36
○油井賢太郎君 只今局長からお話のガソリン税の問題ですが、これはあなたの方では三十万キロリツターの収益をこの二十四年度に認めておられる、併し今年は先方からの承認が大体五十一万キロリツター実際に認められるという、安本あたりでのこれは調査でそういうふうなことを言つておるのですが、若し二十一万キロリツターが本当に許されるということになれば、これは将来と言わず、やはり一刻も早く或る程度の減税を行なつて、収入予算の確か三十一億でしたか、それと匹敵する、例えば四割減とか何とかいうことをおやりになるのが、国民経済の上においてこれは当然じやないかと思うのです。ガソリンなんというものは、別に贅沢な乗用車あたりに使うばかりが能ではなくて、その大半はどんな山村或いは漁村等についても、必要な物資の配給等を使うということを考えますと、これに十割もかけて運賃を高くして置くというのは不当じやないかと思われます。そういう点について、至急これは改善なさつて頂きたいと思うのです。又それについても先程の物品税の改訂も近く行いたいというようなお話のようですが、これは至極結構なんですが、行なうとすれば、いつ頃現実におやりになりますか、この期日をあらましお話し願いたいと思います。
#37
○政府委員(平田敬一郎君) 揮発油税につきましては、私共もスタートはやはり一応安本の需給計画を基にして計算をいたしておるのであります。即ち供給量を五十万九千余トン、それから需要量を大体四十五万二千トンくらい見ておるのであります。それを基にして計算いたしておるのであります。ただこの安本の計画に対しまして、最近までの課税の実績を見てみますと、どうも時期的にズレるせいでございますが、若干実績は内輪のようであります。これは脱税ははつきりしておりますから、脱税は全然ないのでありますが、需要量に対しましては大体七〇%くらいにしか最近の実績がなつておりません。そういう一応私共は今のような数字を基にしたのでありますが、そうすると引取数量見込はその七〇%即ち三十一万六千トンと押えまして、それから税額を算定いたしたのであります。従いまして、若しもこれがこの計画通り現実に入つて来るということになりますれば、自然増収が出て来るということになるかと思いますが、そういう見積方法を採つておるのであります。石油の需給につきましては、私共もやはり余程慎重な注意を払つて行く必要があると思いますが、相当一時に沢山入つて来ますと、恐らく需給状況が変つて来て、最近よくあります物資のような状態になるのではないかと思いますが、そういう際におきましては、税率等につきましても、尚検討して行きたいと思つております。ただ実際は自動車は必ずしも贅沢品ではありませんが、道路を相当使うので、若干応益課税的な要素をガソリンについては併せて考えておるのであります従いましてそういう意味で、殊にアメリカ等におきましては、ガソリンにつきましては他の消費税に比べまして相当高い課税をいたしておるようでありますが、そういう事情もございますので、そういう点も併せ考えまして、妥当な税率を定めるということには十分留意して行きたいと考えております。
 物品税につきましては、先程申上げたのでありますが、今年度の予算としまして一月から実行いたしたばかりでありますので、今直ぐこれを改訂する見込はございません。ただこれは状況の推移を常に調査いたして置きまして、適切な時期に然るベき改正を行なうということで、研究いたして行きたいという意味におきまして申上げたのでございます。その時期がいつかということは、今ここではつきり申上げることは、ちよつと困難であろうと考えております。
#38
○木内四郎君 いろいろシヤウプ勧告によつてお骨折りの上に提案をされたのですから、御苦心の点はよく分るのですが、どうも私共これを拝見すると非常に疑問に思う点があるのです。例えば私共は、基礎控除とか扶養控除というものは、おのずからこれは一定の意義があつて認められておるものであると思うのです。戦前の状況などを考えますというと、今度の改正案で基礎控除は、一万五千円から二万五千円に一万円上げられたというけれども、こういう金額を拝見すると、今日の通貨の価値を考える場合に、非常に疑問を持つのです。勿論シヤウプ勧告では為替相場を考慮に入れて云々すべきではないというようなことを言つておられるが、その点は一つの考え方であると思うのですけれども、為替相場はとにかくとして、国内における通貨の価値というものが、戦前に比ベて非常に減退しておる。そういう状況から考えると、どうも私は基礎控除とか扶養控除とかいうのは、どういう意味で設けられておるのか、ちよつと疑問に思い始めて来たのです。どういうわけで基礎控除というものを置いておられるのですか。
#39
○政府委員(平田敬一郎君) 戦前に比べますと、確かに今の基礎控除なり扶養控除が低いということは、御指摘の通りであります。その際において、戦前が果して然らばよかつたのか、或いは戦前の水準が今の財政需要の下におきまして所得税で妥当かということになりますと、なかなかそう簡単にもこれは参らないかと思います。戦前は御承知の通り第三種所得税を納める人が百万人くらいいたのであります。納額から行きますと一億数千万円を第三種所得税から上げていたに過ぎないのであります。そういうレベルの所得税ということになりますと、今の財政需要から申しまして、到底賄い得ないのではないかということが第一点として考えとれるのであります。従いまして単に戦前の、勿論これは参考にいたさなければならんと思いますが、それを基にして控除その他を決定すべきではないというふうに私共も考えておるのでございますが、然らばどういうふうにして決めておるかというお話でありますが、これは結局今申上げたように、(木内四郎君「どういうふうにして決めておるかと言うのじやない。基礎控除という意味は一体どういう意味であるかと言うのです」と述ぶ)結局これは一面におきましては生活費の実際も考え、他革におきまして、所得税でどれくらいこの財政需要を賄えるか、所所税の税収にどの程度を期待するかというような、その両面の数字からいたしまして、まあそのときどきにおいて妥当な負税点なり控除を定めて行くというのが大体の考え方ではなかろうか。最低生活費を絶対に引くという議論もございまするけれども、これも一つの理論でございまして、私はそれのみが目的ではないとかように申上げたので、やはりそういう場合におきましても、この最低生活費如何ということは、これはなかなかむずかしい問題でありまして、簡単には解決はできないことでございまするが、そういう物差のみによつて決定さるベきではない。勿論そういう点を考慮に入れて、それから所得税に対して財政需要をどの程度賄うかということによりまして、控除なり税率が決まるということに相成つておるのじやないか。最近の情勢から申しますと、むしろ財政需要の方が相当要請が強いようですから、相当低い控除を決めざるを得ないという事情にあることは御承知の通りであります。大体私共は今のところといたしましてはそのような考え方をいたしておる次第でございます。
#40
○木内四郎君 私は金額の問題を聞いておるのじやないのですが、金額については或いはいろいろなことで財政の収支の面から考える事情もあるのでありましようが、一体この基礎控除という制度自体は何のために置いてあるか。扶養控除はどういう意味があるのですか。金額のことは財政上のことであなた方考慮されており、それは後から別に申上げたいが、基礎控除、扶養控除という意味は一体どういうわけですか。
#41
○政府委員(平田敬一郎君) お尋ねの趣旨は何か少し分りかねるのでありますが、これは結局所得税の負担を、控除をやるということによりまして担税力に応じた負担にしようというために、こういう控除を設けておるということに、抽象的に言いますとなるのじやないか、つまり同じ所得でありましても、家族の多い人と少い人とはやはり負担力においても違う、こういう意味におきまして扶養控除をやつておる。それから或る所得者が所得がありましても、余り零細な所得者から所得税を取るということはこれはどうも少し適正を欠くという意味におきまして、基礎控除がある。勿論そういう控除を用いることによりまして、所得税の、各所得者及び各所得階級間における負担が果していいかどうかというような点を考慮いたしまして、総合的にそれらをやるというようなことも考えなければならんということに相成つて行くのではなかろうかと思つております。
#42
○木内四郎君 後から、逆になるけれども、扶養控除を一例に取つて見れば、扶養家族があるからそれによつて生計費も嵩む、従つて負担力に影響して来るから、その点を考慮してその扶養に必要なものを或る程度まで認めるとか、できるだけ認めるというのが趣旨じやないのですか。基礎控除においても、少くともさつきあなたがお話になつたように、最低の生活がこれならどうやらできるということじやないのですか。
#43
○政府委員(平田敬一郎君) 扶養控除につきましては今正にお話の通りだと思います。家族の多い人と少い人とは生活費の負担が違う。だから同じ所得でありましても家族の多い人と少い人とでは負担を違えてもよろしい、違える方が正しい。基礎控除におきましてもやはり同種の考え方を持つておるのでありますが、いわゆる最低生活ということになりますと、これはなかなか理論上むずかしいし、これにつきましては最低生活費は必ず……国家は所得税という形で所得税を徴収してはいかんということはないのではないかと考えます。できますならば成るべくそういう点を尊重してやるということが筋道と思いますけれども、それをやらなければ所得税として成り立たないというものではないと私は考えております。間接税等は相当最低生活費的なものに区切つて押えておる場合もあるのでありますが、所得税におきましても、絶対にそういうものをやつていかんということは必ずしも言えない場合もあろう。要するにそのときの国民生活の状態、並びに財政上の需要等によりまして、適当なものを決めて行くということに帰着するのじやないかと考えるのであります。
#44
○木内四郎君 まあ別にあなた方を責めるわけでもないのだけれども、今のようなことであるというと、基礎控除や扶養控除というものを、これだけむずかしい手数をやらないでも、税率の加減か何かでこれくらいのことはできるのじやないかという気がするのです。余りに言い訳みたいな、極端に言えばあなた方にちよつと悪いかも知れんが、ちよつとごまかしみたいに基礎控除とか、扶養控除とか言つておるけれども、ちよつと真似ばかりだけで実がないというような感じがするのですが、それはあなた方にはちよつと失礼な言い分であるかも知れないけれども、どうもそういう印象を受けても仕方がないのじやないかという感じを受けるのです。そこでちよつとあなた方に伺つて置きたいことは、戦前においては一体基礎控除は幾らだつたのです。扶養控除は幾らだつたのですか。
#45
○政府委員(平田敬一郎君) 只今の木内委員の前段の発言は重大だと考えますから、特に一つ申上げて置きます。ちよこちよこやつておるのではありません。控除をどういうふうにやるかということによつては大いに違うのであります。
#46
○木内四郎君 それは違うことは分ります。併し余りにも真似ばかりして……
#47
○政府委員(平田敬一郎君) ノーノー、そうではございません。税額からしましても非常に違うのであります。今度の改正によりまして基礎控除を一万五千円から二万五千円に引上げましたことによつて来年度の課税所得を基にしまして増減を見て来ますと、お手許の表を配りました通り、三百九十億円の実は減少になるのであります。それから扶養控除を従来の税額控除から所得控除に改めたことによりまして、七百八十億円減少になるのであります。従来の関係やこの表もよく御覧願いたいのでありますが、所得税の負担……
#48
○木内四郎君 税額の上から言えばそういうことはあるけれども、金額の上において……
#49
○政府委員(平田敬一郎君) 所得税の負担額表を御覧願いたいのであります。家族が多い少いによりまして、同じ所得がある場合におきましても非常に負担の差が出て来ておるのでありまして、従いましてこういうのが私共としまして所得税の負担が飽くまでも正しいという意味におきまして控除なりそれを決めておるわけでございます。これを外の方法で、便利な方法で税率だけを簡単に調整するということはなかなかこれは私共は考えにくい点でございますので、この点は一つ……
#50
○木内四郎君 私の言うことをあなた方は誤解しておるのだけれども。
#51
○政府委員(平田敬一郎君) 負担額表を御覧願いたいと思います。
#52
○木内四郎君 私の言うことをあなた方は誤解しておられますので、基礎控除とか扶養控除というのは今回の貨幣価値から見て戦前の状態から見て非常に真似ばかりしていやしないか、それはその結果は税額に影響しておるかも知れません。あなた方の計算では税額に影響しておるかも知れない。然らば戦前に何故日本の国であれだけの基礎控除とか扶養控除をしておつたか、その金額をちよつと言つて貰いたいんです。
#53
○政府委員(平田敬一郎君) これは非常によく御検討願いたいのでございます。
#54
○木内四郎君 幾らだつたんですか。
#55
○政府委員(平田敬一郎君) 戦前におきましては基礎控除とは言いませんで、御存じの通り免税点千二百円、昭和十二年以前が千二百円、十二年に千円に引下げたかと思うのであります。扶養控除は所得者一人当り二百円ではないかと考えております。ただその際に問題になりますのは、私共いつも議論しておるのですが、戦前の所得税というものが一体どういう所得税であつたかということと、所得税として果して戦前の所得税が限界点に達した理想的な所得税であつたかどうかという点が非常に問題になるのであります。例えばアメリカ等におきましても戦争を通じまして非常な膨脹でありまして、納税者の数から見ましても二十倍近く、日本の場合におきましても納税者が戦前は百万人くらいであつたのが、今年は千五、六百万人というようなわけでございまして、そういう所得税が果して所得税としていいか悪いかという問題として一つ御議論願つたらどうだろうかというふうに考えておるのであります。
#56
○木内四郎君 所得税の全体の体系はできるだけ沢山の人が納めるということもこれはいいでしよう。併し当時基礎控除というものとか、或いは扶養控除というものを認めるには、やはり相当な理由があつて認めておつたんだろうと思うのです。併しそれを今日あなた方が資産再評価をされようとするところの卸売物価指数によつて見たら一体幾らになりますか。その表を一つ出して貰いたいんです。当時免税点までの人は税金がかからなかつた。それから扶養控除の二百円なら二百円といいう同じ当時の卸植物価指数から、最近の卸売物価指数で資産再評価をするのは何故かと言うと、それによつて貨幣価値が低落して来たから、それをやろうというのですが、それによつて税制自体の是非を言おうというのじやない。参考までに伺つて置きたいんです。手許にあれば簡単なところだけ説明して貰つて、後はこの次に資料にして出して頂きたいと思います。
#57
○政府委員(平田敬一郎君) 簡単なことでございましたらよく御存じかと思いますが、千二百円の大体二百五十倍したものであります。併し精細な資料でございましたら御要求に応じましてフオームを承わりまして、それによつて作りたいと思います。
#58
○木内四郎君 私の大体言つているところでいいんですが、二十五、六万円の人は税金がかからなかつたというのですね。
#59
○政府委員(平田敬一郎君) 勿論そうでございます。
#60
○油井賢太郎君 私は今のに関連して……扶養控除が今度は家族一人当り千円というふうに控除になるんですが、千円までは生活費でも何でも扶養家族に対する税金はかからんと、千円超したものに対しては、例えば学校の給与でもその他実際生活にかかる費用でも、それに又税金がかかるという結果になるのですが、これはもつと引上げてもいいと思うのです。例えば千五百円が二千円、いわゆる最低生活基準の費用まで引上げてもいいと思う。千円では余り安過ぎはしないか。例えば学校へ子供を一人やつてでも恐らく月謝と学校の本を買つてだけでも、中学校以上になれば、平均して月千円くらいかかると、そうすると、生活費とか、そういうふうな教育費とかいうようなものに又税金がかかつているという形にもなるが、これはもう少し引上げる意思はなかつたですか。
#61
○政府委員(平田敬一郎君) 生活費に又税金がかかつているという理論は私はちよつと分りにくいんですが、所得税は所得があつた場合にかかるんで、所得の中から支払うものであります。問題は、控除の額をどうするかという問題は、その外にそういう問題につきましてはいろいろ問題があろうと思うのでありまして、これは現在の控除はどうなつているか。これを改めた場合においてどういう一体歳入の関係になるか。そういう点をよく考えてそのときの妥当なものを取つて行くわけです。そういうものにつきましていろいろもつと高くするんじやないかという御意見は、私は確かいろいろあると思いますが、現在のところといたしましては税金の控除の金額の状況、それから来年度の財政事情、それから所得税、税収入を期待しなければならん事情、そういうところを総合判断いたしまして、基礎控除との額を決めておる。扶養控除につきましては、これは簡単な変更のようですが、実際に表を見れば分るが、これは税額控除を所得控除に改めたのであります。これによりまして非常に負担関係の差が出て来るのであります。極めて簡単な改正のようですが、同じ所得でありましても従来に比べまして今度の場合は家族の多い者と少い者との開きが負担の差というものが非常に出て来ます。これは表を見れば分りますけれども、そういう点が簡単な改正のようで、先程木内さんがちよこちよことおつしやつたんですが、実際はそうではないんで、実は人によつて非常に差が出て来る改正になつておるということを御認識を得たいと思つて、先程から申上げておるんでありますが、例えば給与所得月額一万円の場合を考えて見ますと、その場合におきまして現在の税法によりますと、独身者でありますと、千六百四十五円の負担になります。それが改正案になりますと、千三百九十五円、一割五分くらいの軽減にしか過ぎません。税額からいいましても約二百五十円の減税にしか過ぎないのであります。それによりまして同じ一万円の所得者が奥さんと子供三人おれば、改正後におきましては四百八十三円ということになるんですが、つまり五割三分の軽減になる。負担の開きから行きますと、現行法では一万円の独身者が千六百四十五円、家族四人で千四十五円、約六百円の開きでございますが、この改正案によりますと千三百九十五円と四百八十三円と、こういう非常な開きが出て来るのであります。こういう関係は簡単な改正のようでございまするが、各人の負担関係には非常に違つた結果を来しております。従いまして法的に申上げましても相当大きな改正によつて影響があると、それが延いては納税者の数が多うございますので、税額全体の歳入を見積ります場合にも比較的税額に相当に移動を来すということを一つ御認識を願いたいと思います。
#62
○木内四郎君 私は主税当局が非常に苦心せられておることは分る。分るのだが私に言わせれば、実は下の方の計算は殆んど意味のないことで、実は落してしまつてもいいんじやないか。財政上の都合でできれば百万そこそこの納税者にそうする必要はないと思うのです。今日貨幣価値が非常に低落して来た。そこであなた方の資産評価ということも認められる。非常に貨幣価値が低落して来たということは認めておられるだと思う。税法上も明らかに認めておる。そこで長い目で見れば事業所得はこの貨幣価値の低落に従つて増加して来ると思うのです。ところが給与所得は増加しないのです。今日三十倍とか四十倍くらいにしかなつていない。それで一面から言えばそういうものに対して、事業所得、貨幣価値の低落に従つて上つていたものに対しては基礎控除は大して問題じやないかも知れないが、勤労所得の方は三、四十倍になつておるのに、一方においては貨幣価値が低落しておる、そこに持つて来て小さい所得者に対しても五百円、五百円ということは戦前価格にすれば百合の一にして五円、どうも私共はそこに疑問を持たざるを得ない。あなた方の計算によれば非常な変更と言う、税負担が偏頗になるということはよく分るのですが、これも百万人のものを千六百万人に殖やさないで、七百万人くらいにして、税収を上げるということにはならんのですか。そこで私は資料をお願いしたいのは、あなた方は納税者の所得を階級別にどう考えておるのが。資産評価もするが、それによつて経済活動も進められるということになつて来れば、従つて所得というものはずつと殖えて来るのではないかという気がする。今までと違つて段々金額的には、実質の購買力は別だが、一面においては俸給生活者が殖えないそれを基礎控除を余り少くして置くということは、これは国民全部が所得税を納めるというのも一つの考え方ですが、そういう点を考えて見ればあなたがさつき言われた財政事情と睨み合せるとおつしやつたが、財政事情が許せば、資産の評価と同所に貨幣価値の低落を考慮に入れて考えてもいいと思う。その点はどうですか伺いたい。
#63
○政府委員(平田敬一郎君) 非常に私は、将来に亙る大まかな議論としては、確かに木内さんのような見方が一つの有力な見方になるのではないかと思うのですが、ただ現在のところ、私共といたしましては、やはり昭和二十五年度における率なり、控除はこれをどうするかということが問題にならざるを得ない。税のシステムとしては成るべく長く続く考え方をしておるが、差当つて控除とか税率については、飽くまでも二十五年度のやつをどうするかということが問題で、そういう点から申しますと、木内委員からお話になりました事項は、遥か先になりましてなかなか手が及ばないということで、こういうのが現状ではないかと見通しております。勿論そういう研究は幾らでもいたしておりますし、必要でございますれば出してもよいと思うのでございまするが、ただその際におきましても、戰前の所得税がよいということが非常にこれ又ドグマでありまして、これが私共必ずしも戰前の所得税が理想的のものとは考えておりません。その後における税制の発展、財政事情の変化、その他いろいろな外の釣台等から考えて、やはり所得税を中心として考えるということがいいように考えますので、そういう点から考えると必ずしも所得税の納税者を少くするということが必ずしもいいことじやないんではないか。控除はそのときの事情によりましてできる限り引上げるにいたしましても、相当な納税者が結局所得として税金を納める、それがどういうふうにして使われておるかということによく関心を持つてやつて行く、こういう制度が税制の制度としてはやはりいいのではないかということが考えられるので、そういういろいろな角度からも御考慮の上、どうするかという問題を取上げてやつたらどうかと思うのであります。資料の点につきましては、これを調製して提出いたしたいと考えます。
#64
○木内四郎君 今の大まかな議論だけれども、私は考え方としては、あなたの言う所得税中心にするということは結構なことだと思うのですが、さればといつて、小さいものまでやらないで済むならば、私はやらなくてもいいのじやないか。国民を千六百万人と言つたつて、国民全部じやないのですから、それならば直ぐ減らしてもいいという議論も出る。殊に徴税の手数もそれによつて大いに省けて、大きなところに集中できれば、税収を上げるということは一層できると思いますが、二十五年度の問題としても、現に貨幣価値はこういうふうに下つて来て、営業の方の所得の人と勤労所得者というものは非常に立場が違うのですね。勤労の方の所得者については、今度あなたの方は勤労控除が減らされた。これも一つの意味があるでしようが、営業所得の方は貨幣価値の低落に従つて、その物差によつて入つて来るから多くのものが入つて来る。勤労所得の方は三十倍なり四十倍になる。そうすると勤労者の方が実質的に非常に重い負担をすることになりはしませんか。勤労者重課ということにならんですか。金額の全体の動きから言つてですね。
#65
○政府委員(平田敬一郎君) お尋ねの趣旨は私は分りかねるところがありますので。或いは……
#66
○木内四郎君 重課と言うか、所得金額の問題は……
#67
○政府委員(平田敬一郎君) むしろ私は最近の状態はずつと昔と比べれば何ですが、又いろいろ問題がありまするが、去年から今年への状態を考えますると、むしろ事業所得者の方が段々物価の一部の下落等によりまして、所得の状態が必ずしも殖えていない。勤労所得者は物価の下落等によりまして、名目賃金が上らなくても実質賃金は上つて行くような傾向もございますし、いろいろな場合がございますので、そう簡単にはなかなか結論しにくいのじやなかろうかと、ただずつと古くから遡つて見ますと、一般に賃金水準はまだ上り方が足りないのですが、物価と一緒に所得が殖えて行くような事業所得は昔の方が殖えておる。この点は確かにまだ残つておるかと思いまするが、なかなかそのことについては、一概には簡単に言いにくいのじやないかと思いますが、又どういう角度からでございますか、尚要求がございますれば、勉強していいと思いますが、なかなか簡単な問題ではないと思います。
#68
○木内四郎君 営業者は去年に比べれば、物価は多少下つておるかも知れないが、大体において通貨価値の下落に従つて大いなる波を打つて上つて来ておると思うが、勤労所得者の方はそれだけ上つておらないにも拘わらず、勤労所得者に対しては控除を減らすことにしておる。殊に基礎控除、扶養控除というものが余り殖えてないという点から考えても、勤労者の負担というものが実質的には非常に重くなつておるのじやないかという感じがするんです。それはそれとして、仮にあなたの方は基礎控除を五万円としたり、或いは十万円としたらどれだけの所得税が減りますか。そういう計算を一遍見せて下さい。
#69
○油井賢太郎君 簡単に。扶養控除が妻という名目だというと引かれて、それから婦人が世帯主である、いわゆる未亡人という場合には、遠慮なしに税金を取られておるというのは、どうもこれは不思議な現象なんですが、どういうわけでああいうふうな制度にされたんですか。
#70
○政府委員(平田敬一郎君) 未亡人の場合は、その人が世帯主でございますし、基礎控除を受けることに相成るわけです。従つて未亡人で所得がある場合は、その人の所得が控除されるんです。未亡人に所得がなくて、その人のお子さんに所得がある、未亡人がそのお子さんから扶養を受けておる、こういう場合には、その未亡人は当然そのお子さんが扶養控除が今回はできるようになつたんです。今まではできなかつたんです。年齢に制限を取つてできることになります。
#71
○油井賢太郎君 いや、同じくらいの年輩の婦人でも、妻という名前が附いておれば、仕事をしておつても扶養控除というものがあつて、それから主人公がない婦人は扶養控除も何もないという形になつて、非常に偏頗になるのですがね。
#72
○政府委員(平田敬一郎君) 主人公がなくて、未亡人に所得があります場合は、その未亡人の所得に税を課税する場合、基礎控除するわけです。それから未亡人に所得がなくて、お子様から扶助を受けておるという場合におきましては、お子様の所得税を課税する際に、その未亡人は扶養親族として控除ができることにいたしたのであります。今まで年齢の制限がございましたのでできなかつたのでありますが、今度の改正案によりますとそれが実現できるわけであります。
#73
○油井賢太郎君 そうじやないのです。同じような仕事をしておる婦人が二人あつたとしますね、一人は妻なるがために、妻自身の事業に所得があつても控除されるでしよう。ところが片方は未亡人であるがために扶養控除がないというのは、そこで以て狂いがあるのじやないか。
#74
○政府委員(平田敬一郎君) 今度の場合におきましては、奥様に事業所得なり勤労所得がある場合は、御主人と合算いたしません。従いましてその奥様自体にはやはり所得税を課する場合に扶養控除はできません。その場合は基礎控除ができるわけであります。今までは扶養控除だけしか認めなかつたが、今度はそういう人については、その人の所得税を課する場合基礎控除をいたします。
#75
○油井賢太郎君 それではあと資料を一つお願いいたします。
#76
○理事(黒田英雄君) それでは本日はこの程度で散会いたします。
   午後零時七分散会
 出席者は左の通り。
   理事
           黒田 英雄君
           伊藤 保平君
           九鬼紋十郎君
   委員
           西川甚五郎君
           油井賢太郎君
           木内 四郎君
           高橋龍太郎君
           藤井 丙午君
           川上  嘉君
           米倉 龍也君
  政府委員
   大蔵事務官
   (主計局法規課
   長)      佐藤 一郎君
   大蔵事務官
   (主税局長)  平田敬一郎君
ソース: 国立国会図書館
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