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1978/10/17 第85回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第085回国会 決算委員会 第2号
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1978/10/17 第85回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第085回国会 決算委員会 第2号

#1
第085回国会 決算委員会 第2号
昭和五十三年十月十七日(火曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 楯 兼次郎君
   理事 國場 幸昌君 理事 葉梨 信行君
   理事 森下 元晴君 理事 馬場猪太郎君
   理事 原   茂君 理事 林  孝矩君
      西田  司君    野田 卯一君
      村上  勇君    村山 喜一君
      春田 重昭君    安藤  巖君
      永原  稔君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      熊谷太三郎君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     半澤 治雄君
        科学技術庁研究
        調整局長    園山 重道君
        科学技術庁振興
        局長      山口 和男君
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局司
        計課長     石井 直一君
        文部省学術国際
        局研究助成課長 大門  隆君
        厚生省環境衛生
        局食品衛生課長 七野  護君
        林野庁指導部林
        道課長     小田島輝夫君
        気象庁観測部参
        事官      末広 重二君
        会計検査院事務
        総局第一局長  前田 泰男君
        決算委員会調査
        室長      黒田 能行君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月十四日
 辞任         補欠選任
  西田  司君     木村 俊夫君
同日
 辞任         補欠選任
  木村 俊夫君     西田  司君
同月十七日
 辞任         補欠選任
  山口 敏夫君     永原  稔君
同日
 辞任         補欠選任
  永原  稔君     山口 敏夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算
 昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算
 昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和五十一年度政府関係機関決算書
 昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
    〔総理府所管(科学技術庁)〕
     ――――◇―――――
#2
○楯委員長 これより会議を開きます。
 この際、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 すなわち、決算の適正を期するため
 一、昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算
   昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算
   昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書
   昭和五十一年度政府関係機関決算書
 二、昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総
 三、昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
 四、歳入歳出の実況に関する件
 五、国有財産の増減及び現況に関する件
 六、政府関係機関の経理に関する件
 七、国が資本金を出資している法人の会計に関する件
 八、国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し、または貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件
以上八件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が本委員会に付託され、審査または調査のため現地に委員を派遣する必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員、派遣期間、派遣地及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#5
○楯委員長 昭和五十一年度決算外二件を一括して議題といたします。
 本日は、総理府所管中科学技術庁について審査を行います。
 科学技術庁長官から概要の説明を求めます。熊谷科学技術庁長官。
#6
○熊谷国務大臣 科学技術庁の昭和五十一年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和五十一年度の当初歳出予算額は、一千九百六十一億四千四百九十二万円余でありましたが、これに予算補正追加額一億七千四百十二万円余、予算補正修正減少額八億三千四百十三万円余、予算移しかえ増加額六千七百三十八万円余、予算移しかえ減少額二十二億八百二十四万円余、前年度からの繰越額三億一千三百九十三万円余を増減いたしますと、昭和五十一年度歳出予算現額は、一千九百三十六億五千七百九十八万円余となります。この予算現額に対し、支出済歳出額一千九百二億八千四百七十八万円余、翌年度への繰越額二億九千二百十一万円余、不用額三十億八千百八万円余となっております。
 次に、支出済歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、原子力関係経費といたしまして九百六十二億八千九百九万円余を支出いたしました。これは、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉及び新型転換炉の開発、ウラン濃縮技術の開発、ウラン資源の探鉱並びに使用済み核燃料再処理施設の整備、日本原子力研究所における軽水炉の工学的安全研究、核融合の研究等の各種原子力関連試験研究及び各種原子炉の運転、日本原子力船開発事業団における原子力船「むつ」及び定係港の維持管理、放射線医学総合研究所における放射線による障害防止及び放射線の医学的利用に関する調査研究、民間企業等に対する原子力に関する試験研究の委託、原子力安全行政の強化等原子力平和利用の促進を図るために支出したものであります。
 第二に、宇宙開発関係経費といたしまして七百十八億五千二百四十七万円余を支出いたしました。これは、宇宙開発事業団におけるロケット及び人工衛星の開発並びにロケット打上げ施設等の整備、航空宇宙技術研究所におけるロケット等に関する基礎的、先行的試験研究のほか、種子島周辺漁業対策事業の助成等のために支出したものであります。
 第三に、海洋開発関係経費といたしまして十一億二千四十二万円余を支出いたしました。これは、海洋科学技術センターにおける海洋工学、潜水技術等に関する試験研究の実施、潜水技術に関する研修の実施及び潜水シミュレーター等の共用施設の整備並びに国が同センターに委託して行った大陸棚有人潜水作業技術の研究開発等のために支出したものであります。
 第四に、試験研究機関関係経費といたしまして、当庁の付属試験研究機関のうち航空宇宙技術研究所、金属材料技術研究所、国立防災科学技術センター及び無機材質研究所における各種試験研究の実施及びこれに関連する研究施設の整備並びに運営に必要な経費として八十四億二千八百三十六万円余を支出いたしました。
 最後に、重要総合研究の推進を図るための特別研究促進調整費、研究公務員等の資質向上のための海外及び国内留学の経費、理化学研究所、日本科学技術情報センター及び新技術開発事業団の事業を行うための政府出資金及び補助金、科学技術庁一般行政費等の経費として百二十五億九千四百四十二万円余を支出いたしました。
 以上、簡単でございますが、昭和五十一年度の決算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどをお願いいたします。
#7
○楯委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。前田会計検査院第一局長。
#8
○前田会計検査院説明員 昭和五十一年度科学技術庁の決算を検査いたしました結果、特に違法または不当と認めたものはございません。
#9
○楯委員長 これにて説明の聴取を終わります。
    ―――――――――――――
#10
○楯委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場猪太郎君。
#11
○馬場(猪)委員 ついせんだって私の部屋へ、八月二十八日に西麻布の日赤前の交差点でガス管の接続試験をやっておったところ、通行中に一万二千レントゲンの照射を受けたという訴えがありました。これは労働省の方でいろいろ調べていただきますと、そんなに一万二千レントゲンというような照射を浴びたとしたら即死するような条件ですし、大分事実とも違った面もわかってまいりましたけれども、こういうふうな個所が、建設省の方で調べていただきますと大体一日に都内で五十カ所ぐらいやっているということもお伺いいたしております。
 あるいはまた、ついせんだってこれも同じように新聞紙上を大分にぎわしましたけれども、中神食品が食品衛生法に反して、放射線の照射を許可されてないものに照射をしたというような記事も載っておりました。
 このように放射線による問題、放射線の平和利用ということが非常にこのごろは盛んになってきておりまするし、医療用であるとか産業用だとか、あるいは教育用等々非常にたくさんの利用がなされておりますが、それについての検査体制がどういうふうになっておるのかということについて、ひとつ事業所の数であるとかあるいはその検査体制についてお教えをいただきたいと思います。
#12
○牧村政府委員 現在放射線障害防止法の規制対象になっておりますラジオアイソトープの使用あるいはX線等の放射線照射装置を使用しておる事業所は年々増加いたしまして、現在三千数百件に及んでおります。この件数といたしましては、使用許可あるいは届け出をされた者がそういう数になっております。それで、この使用者が放射線を利用いたしますときには放射線障害防止法によりまして当然放射線の管理区域を設定する、あるいは放射線の貯蔵を厳重にするというような障害の防止の項目がそれぞれ法律によって定められておりまして、そういう事業者が放射線障害の防止のための事項を遵守するよう法律で義務づけられておるところでございます。
#13
○馬場(猪)委員 いま三千数百と言われたのですが、いただいた資料によりますと、届け出と両方入れまして三千八百八十二ですか、そしてそれらのここ数年来の傾向はどういうふうになっておりますか。
#14
○牧村政府委員 私先ほど三千数百と申し上げましたが、昨年度が三千五百でございまして、その後三百ふえまして現在三千八百余になっております。
#15
○馬場(猪)委員 いま言われたのは、去年と比べて二百二十七ほど一年にふえております。年々こういう傾向が続いておるのですが、それの検査をするチェック体制というものはどういうふうに組まれておるのか。
#16
○牧村政府委員 放射線障害防止法によりますと、この検査は定期的に義務づけられたものではございませんで、立入検査を行うことができるということになっておりまして、科学技術庁に二十二名の検査官を置いております。ただ、現在のところ定員二十二名に対しまして二十名の検査官の発令をしておりまして、その余り二名は現在研修を受けさせておるという段階で、近く二十二名にする予定になっております。この検査官が重点的に問題のありそうな事業所を選定いたしまして、随時立入検査を実施しておるというのが現状でございます。
#17
○馬場(猪)委員 資料をいただいたのを見ますと、五十年度に二十名で十七名、五十一年度が二十二名の定員になって、これは決算委員会の決議もあって増員をいただいて十六名、五十二年度は二十二名の体制で十四名、そして五十三年度も当初は十五名、最近になって二十名になっておるといま言われておりますが、放射線検査官の数が常時定員を割っておるということはどういうことなんでしょうか。
#18
○牧村政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、まことに申しわけないことだと思っておりまして、最近のいろいろなトラブル等の発生にかんがみまして、必ず充足するという体制に直させていただいておる最中と御了解をお願いしたいと思うのでございます。
#19
○馬場(猪)委員 できるだけ是正したいとおっしゃるのですけれども、現実にはここ数年来ずっと定員割れで来ているわけでしょう。なぜそういう定員が確保できないのですかということを聞いているのです。
#20
○牧村政府委員 現在主としてこの業務を行いますのは、放射線安全課という原子力安全局の中にあります課が実施しておりますが、現在定員が二十名でございまして、全員を配置いたしましても、残念ながら検査官の発令ができないわけでございます。そこで、従来から局内で人事異動等がございましてよその課に行ったような者に、臨時的に多忙のときに参加してもらうという制度を局全体で実はつくっておったわけでございます。先ほどの欠員がありました実情は、そのような者を活用していなかったために起きたことでございまして、私ども今後は随時そういう方の協力も得つつ使命を果たしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#21
○馬場(猪)委員 ちょっとまともなお答えじゃないのですね。そういう検査官がなかなか充足しにくい理由というのはあるのですかと聞いているのです。ここ三年来ずっと足りないわけでしょう。だから、たとえば非常に専門的な知識が要って養成できないとか、そういう理由を聞いているのです。
#22
○牧村政府委員 確かに二、三年前から欠員を出しておりましたが、その後計画的に研修を行う、あるいは検査官の経験者で他課に行った者を充足するということで努力しておりますので、今後は先生御指摘のようなことはなかろうかと思っておる次第でございます。
#23
○馬場(猪)委員 それでは二十二名の現在の定員で十分な検査はできる体制がいま組めておるわけですか。そしてそれでは、主として病院であるとか医療機関であるとかあるいは研究機関等々については、専門の先生方もおいでになるし、比較的チェックもしやすいと思うのですが、民間企業については検査官が直接出向いて調べなければしようがないと思うのですが、民間事業団がどれぐらいあって、そしてどれぐらいの割合で検査ができるような体制が組めておるのか。そしてそれが十分なのか、まだ足りないのか、そういう点をお知らせいただきたいと思います。
#24
○牧村政府委員 一般的に申し上げますと、この放射線の使用者、ラジオアイソトープ並びに加速器等の使用者につきましては、事業所ごとに放射線の主任技術者を置くことを義務づけております。この主任技術者が障害防止法にかかわります従業員の災害防止を常に監視するような体制をとらしておるわけでございます。この主任技術者がいないところには許可を与えないという体制を実はとっておるわけでございます。したがいまして、障害防止法ではそれを補完するという意味で立入検査というものをやっておるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、三千数百カ所、現時点では八百余になっておりまして、現在平均的に検査を実施してまいりますと、この二十人の検査官で三百ないし四百が限度でございます。したがいまして、平均的に見ますと十年に一遍というような数値が出てくるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほども御説明いたしましたように、大量のラジオアイソトープを使っておるようなところ、あるいは先生御指摘がございましたような非破壊検査を現場でやっているような会社、こういうようなものに重点を置きまして立入検査を実施しているのが現状でございます。
 しかし、私どもの認識といたしましてもこれで十分であるとは考えられませんので、現在関係行政機関との間に障害防止法の関係で放射線障害防止各省連絡会議というのを持っておりまして、各省との連携を密にし、たとえば労働省あるいは厚生省等の規制の強化をお願いする、あるいは横の連絡をとって合理的な検査等を行うような話し合いを持つと同時に、民間団体ではございますけれども、放射線障害防止中央協議会という公益法人を民間に設立させまして、業界の自主検査を強化するような方策をとってきております。これによりまして役所側の立入検査の不十分な面をできるだけ解消していきたいという方法を現にとってきております。この中央協議会のやっておりますことは、従業員の放射線障害防止に関します講習会であるとか、各自主点検をいたします障害防止の検査大綱というようなものをつくらせまして、業界、会員の人が十分それを守っていっていただくというふうな自主的な強化を図るような対策をとっております。
 なお、将来につきましては現在いろいろ検討中でございまして、法律の改正等も必要ではございますけれども、こういうような民間の機関に役所の業務を委託するとか、補助できるようなことをいろいろ検討中でございます。それによりまして抜本的な安全対策の向上を図ってまいりたいということで、部内の検討ではございますけれども、鋭意議論をしておる最中でございます。
#25
○馬場(猪)委員 何かいまお伺いしますと、できるだけ民間機関に委託をしてということが一つ出てきております。
 それからもう一つは、いまの三千八百以上の事業所に対して、民間企業全部を検査するだけで監視するだけで十年に一回しか検査官が検査できないというのは、これは時代離れしていないでしょうか。一年に二百二十ほどずっとふえていっているような状態の中で、十年に一遍しか――こういう放射線というのはわれわれを含めて国民一般にはまだまだ理解しにくい点も多いと思いますし、そういう技術者も少ないと思うのです。それでは余りにも検査が弱過ぎるのじゃないかと思うのです。先ほど申し上げました麻布における例を聞いても、現場の主任者と言われる方から一万二千レントゲンだ、こんな問題外のことを、そういうことを答えるような現場における主任者なんですね。主任者も一種と二種あるそうですか、それ自体だって十分教育が行き届いておらない。したがって、公的機関であり、法律で決めた検査官がチェックをするというシステムになっているのに、そちらの方よりか民間に重点を置くというような考え方というものはどうかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
#26
○牧村政府委員 ただいま先生の御指摘の麻布におきます非破壊検査につきましては、これは障害防止法に基づく規制を受けた放射線発生装置ではございませんので、私どもの方では事情は聞いておりますけれども、その見解については私どもは出すべき立場にないことを御了承いただきたいと思うのでございます。
 それから、こういう検査等を民間に渡すというふうにおとりになられたかとも思いますけれども、私どもといたしましては民間団体でやらせようとしておりますのは、将来のことではございますけれども、主任技術者の試験というのを実はやっております。法律の改正は必要ではございますけれども、こういうような業務をここにやっていただくというようなことによりまして、放射線安全課の業務を検査の方により重点的に回していく。届け出あるいは設置許可の申請書が出てまいりますが、中のチェックは非常に定型的なある基準を持って作業をできるものでございますからその中身を委託いたしまして、最終判断を役所がするというようなことで、放射線障害防止絡みの仕事に現在携わっている人間のそちらの方の余力を何とかして生み出しまして、それで検査官の効率的な活用を図るということを実は検討しておるところでございます。それに加えまして、民間の自主的な点検体制を十分にやらせていくという形を実は考えております。
 何分にも現在の行政改革の態勢の中で検査官を大幅にふやすことは非常にむずかしいわけでございますので、そのようなことを考えつつ、なお検査官の増員についてはさらに努力していきたいというふうに考えておる次第でございます。
#27
○馬場(猪)委員 さっきの電離則の方については労働省に調べてもらっておりますけれども、非常に軽度なものだということであっても、現場の知識が非常に乏しい人がいらっしゃるというような現状なんです。ですから、科学技術庁所管の事業所に関しましても放射線取扱主任者を一種、二種に分けて決めておられるけれども、これはあくまでそこに働く人たちの立場であるとかあるいは施設であるとかそういうことを守る立場であって、第三者的な外に向かっての対策というものは全然考えられる余地はないわけです。ですから、そういう場合になるほど働いている労働者とか施設とかそういう面にはチェックをある程度、不足ながらでもやっておったとしても、全然関係のない第三者には損害が及ぼうがどうしようが、被害が及ぼうが、いまのところはそれをチェックできるような、あるいはまた一般に啓発するようなそういうシステムが全くできてないように思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#28
○牧村政府委員 現在の障害防止法のたてまえから申しまして、先ほども御説明いたしましたけれども、放射線を使用いたしますときには、管理区域を設けるということ、それから先ほどの主任技術者の任命をしなければいけないというふうなことも行いまして、厳重に周辺の放射線の管理を行わすことを義務づけているわけでございまして、放射線の測定の結果等はこれまた記帳する義務を課しておるわけでございます。そういうたてまえの法律でございますので、私どもの立場は事業者をしてこの法律を守らせるようにすべきでございまして、したがいまして、検査も立ち入りという形で抜き打ち的にやっておるわけでございます。したがいまして、今後関係各省庁の御協力等も得つつやっていけば、先生御懸念のようなことはないようになると確信しておるわけでございます。ただ、検査の人員が少ないことも事実でございますので、これは何とかふやしていかなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
#29
○馬場(猪)委員 さっき検査官の検査が十年に一遍と言われましたが、望ましい検査というのはどれくらいあったらいいということですか。普通何年に一遍くらいは最低やらなければいけないというような目標というのはあるでしょう。
#30
○牧村政府委員 私どもいまいろいろ検討しております施策を何とかしてやりたいと考えておりますが、その段階におきまして少なくとも四、五年に一遍は行けるようにもっていきたい、そうすることによりまして、これをまた事業所の種類等によりまして重点的に行うことによりまして、物によっては毎年見るというようなこともできてこようかと思います。そういうのを第一目標に掲げて合理化を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#31
○馬場(猪)委員 四、五年と言われたけれども、五年としたって、いま十年に一遍ですから倍の検査ということになると、少なくともいまの定員の倍くらいふやさなければ目標が達成できないわけですよ。どれくらいかかったらその目標が達成できるのですか。
#32
○牧村政府委員 実はこの放射線の検査官の資格を持っている者が、放射線安全課におります検査官は、施設の設置に当たりましての使用許可あるいは届け出の審査もあわせて行っておるわけでございます。また延べにいたしますと年間四人くらいの人間が試験のための仕事もしておるわけでございます。そういうことで、現実にはこの二十名の人が毎日のように出かけるわけにはいかない現状でございます。
 そこで、先ほども御説明申し上げましたように、そちらの業務をできるだけ合理化いたしまして検査に振り向けていきたいということで考えておりまして、私どものいまの考えでは、検査官をふやさないでも四、五年に一遍くらいは合理化できるはずだという考えのもとに、いろいろな対応策を検討中であるということでございます。
#33
○馬場(猪)委員 私どもから考えれば四、五年に一遍でもまだまだずさんな検査しかできないと思うのですよ。そうすると肝心の科学技術庁が行政整理の関係もあってなどというような消極的な態度をとっておられたら、検査体制を確立するということはなかなか期待できないと思うのです。
 大臣、最近の原子力の平和利用というのは政府としても積極的に進めておられるのに、肝心のチェック機能はずっとおくれておる、こういう状態をどういうふうになさるつもりですか。ひとつ大臣の考え方なり決意なりをお聞かせいただきたい。
#34
○熊谷国務大臣 いろいろの関係で科学技術庁として検査に要する人員その他が非常に不足じゃないかというお話でございまして、いろいろの関係もございますが、きわめて大切な業務でございますので、ひとつ今後ともできるだけ必要な人員の確保に努めてまいりたいと考えますとともに、また検査の方法につきましてもさらに合理化できるような方法を研究してまいりたい、このように考えております。
#35
○馬場(猪)委員 安全さえ確保できれば原子力の平和利用というものはどんどんやるべきかもわかりませんけれども、いまのところでは安全の確保というものはなかなか十分じゃないわけでしょう。だからこそ地域における原子力発電についても反対運動も起こり、疑問が非常に多いわけなんですよ。科学技術庁のチェック体制自体なかなかうまくいかないような状態の中で事業だけ積極的に進めてうまくいくんでしょうか。いまの大臣のお答えを聞いておりますと非常に頼りない感じがいたしますね。積極的にやると抽象的に言われるけれども、具体的な年次計画も何も持っておいでにならない。開発の方だけはやるけれども、後の維持あるいはチェック、こういったことについては非常に消極的な姿勢に思えてならないのですが、いかがでしょう。
#36
○牧村政府委員 先生の御指摘ではございますけれども、先ほど私御説明申し上げました抜き打ち検査並びに業界の自主検査を重点的に指導してまいっておりまして、放射線利用の業者がいろいろ事故を起こす、この数は最近におきまして非常に減ってきておることは事実でございます。しかし、先生御指摘のようにまだ皆無ではございません。従業員の一部被曝の事故のようなものも起きておりますけれども、その数は減ってきたことは事実であると私ども思っております。したがいまして、もう少し努力すればと考えていま一生懸命検討しているところでございますので、どうかその辺の事情を御理解賜りたいと思う次第でございます。
#37
○馬場(猪)委員 こういうことばかり押し問答していてもしようがないのですが、本当ならチェック体制がきちんとできておったならば、この間も食品のことですから大分大きな問題になりました中神食品の問題など、科学技術庁自体の中である程度発見できるようなことがあるはずなんですが、この中神食品の問題についてはどこでどういうふうな経過をたどって明らかになったんですか。厚生省の方でお調べになっておわかりになったのか、科学技術庁の検査の中でわかってきたのか、これはどういう点でわかってきたのですか。
#38
○七野説明員 厚生省の食品衛生課長でございます。
 本件の事件は、昭和五十三年九月九日、愛知県の調査によりまして、豊橋市にあります中神食品工業が、粉末野菜を殺菌の目的で群馬県のラジエ工業に委託して放射線を照射させてこれをベビーフードの原料に販売してきたという事実が判明したわけでございます。
#39
○馬場(猪)委員 愛知県の調査にということは、それはどういう調査でわかってきたのですか。それが疑わしいということがあらかじめ愛知県の衛生部の方でわかってやってきたのですか、それともほかからの情報でやられたのか。
#40
○七野説明員 この事件の発端の詳しいことにつきましては、ある新聞社が調査をいたした、その調査でいろいろ中神食品工業の方へ取材に行ったということのようでございます。その結果、この中神食品工業の方で愛知県の豊橋市の保健所の方に放射線の違法照射をしていたという届け出がなされたというのが、事件の発端の詳しい内訳というふうに私たちは承知しております。
#41
○馬場(猪)委員 そうしますと、今度の違法照射の問題はそれぞれの行政機関が調べたんじゃなしに、新聞社の調査からわかってきた。民間のだれかが気がつかなければそのままであったかもわからない。しかも四十九年当時から今日まで五年も見過ごされてきた。これは非常に重要な問題を含んでいると思うのですが、これは科学技術庁なり厚生省なりどちらが直接の所管になるかわかりませんけれども、いままで調査なさった中でチェック機能が十分でなかったためにそういうふうになったんだと思うのですが、その経過について、調査なさった範囲についてお知らせいただきたいと思います。
#42
○牧村政府委員 中神食品の問題につきましては、それの下請をやりましたラジエ工業が粉末野菜を飼料と偽って照射しておったということでございます。
 元来、放射線障害防止法の許可は、法律の目的にもあるわけでございますが、そこに働く人あるいは周辺の方々に放射線の障害を起こさないようにするということが主眼目でございまして、そこで施設に着目いたしまして、施設の設置基準等を法令で定めまして、それによりまして許可をするということをいたしておる法律でございます。したがいまして、食品を照射することに対する許可等は、それぞれのたとえば食品衛生法等々で規制するというたてまえに実はなっておるわけでございます。
 しかしながら、今回飼料として偽って照射しておったということが新聞記事に出ましたので、私どもも非常にとんでもない話であるという考え方のもとに、直ちにラジエ工業に検査官を差し向けまして立入検査をしたところでございます。残念ながら私どもが立入検査をいたしました結果、動物等の飼料であるということの照射の記録等は十分行われておりまして、また聞き取りによりましたところ、中神食品から飼料を照射してくれと頼まれてやっておるということで、表面的には何ら違反の事実がつかめなかったわけでございます。
 それで十月五日になりまして、再度新聞報道によりまして警察がこのラジエ工業の重役等二名の者を逮捕したという記事が出たわけでございます。その疑いといたしまして、実は中神から相談を受けてこうすればいいだろう、飼料と偽って照射すれば私の方でできますよというような趣旨の疑いと私ども了解しております。これは非常に問題であると思っておりますけれども、この警察の調査が明らかになった段階で、私どもとしてはこのラジエ工業に対する厳正な処分をしなければいけないというふうに考えておるところでございます。
#43
○馬場(猪)委員 民間の新聞社の方が調べて告発をして警察が調べてやっとわかる。食品を監視する立場あるいは放射線を監視する立場、どちらの行政機関も全く五年近い間気づかずにおったということは、これは非常に恥ずかしいことじゃないでしょうか。逆に言えば、だれかが気がつかなければそれだけそういう状態が放置されておるということになると思うのですが、それで食品衛生の立場でも十分監視が行き届いているのでしょうか、それとも民間のだれかが告発しなければそれが出てこないような貧弱な監視体制になっているのでしょうか。
#44
○七野説明員 先生御指摘のとおり、今回の場合には確かに先ほど御説明申し上げましたようないきさつで事件が明らかになったわけでございますが、先ほどから科学技術庁の方からも御説明がございましたように、今回の事件は、バレイショ以外の食品は放射線を照射してはならないということを知った上で故意に行われたわけでございます。そういうことでございますので、食品衛生監視員の行っております通常の監視の範囲ではなかなか発見することが困難な事件ではなかったであろうか、さように考えておりますが、しかし今後はこの種の事件が発生しないように、各都道府県に十分な監視、指導をするようにすでに通達を出したところでございます。
 なお、その通達の内容を簡単に申し上げますと、事件が起こった直後、九月十二日でございますが、局長通達をもちまして食品の放射線照射業を含めました食品製造業者に対する監視、指導の徹底を図る旨の指導通達を出し、さらに十月の十二日に課長通達で細部の通達を出してございます。それを御説明申し上げますと、食品の放射線照射業に対する監視、指導に当たりましては、食品の衛生的な取り扱い、それから基準照射量の遵守等、これはもう当然監視の事項でございますが、今後は特に放射線照射業に対しましては、被照射物、照射を依頼された物の内容及びその用途の確認等、必要な措置を十分講じるようにという指導をさせてございます。さらにその指導を踏まえまして、監視の際に必要に応じまして被照射物、委託を受けた照射物の内容及びその用途を食品衛生監視員がさらに確認を行うことということでございます。さらに、今後監視の実施に当たりましては、科学技術庁と連絡を密にして共同で検査を行うなど効果的な監視に努めてほしいという旨の通達を出してございます。
 以上でございます。
#45
○牧村政府委員 私どもの方といたしましても、このようなケースが再度起こるということは絶対許してはならないと考えておるところでございます。したがいまして、このような特に食品の照射ができる施設といたしましてラジエ工業と同様の類似の施設が日本に四カ所ございます。その一カ所は研究機関でございますけれども、これに対しまして、特に民間機関についてはこの事件が発覚いたしましたときに直ちに同じように検査官を派遣いたしまして、そういう違反の事実はないということを確かめております。それから局長名で、このラジエ工業の不祥事件にかんがみまして、厳重な法律の遵守を呼びかける通達を出さしていただいております。
 そういうようなことでございまして、今後は先ほど厚生省の方からも御発言がございましたように、共同いたしましていろいろ施設検査等を実施していくというような体制をぜひつくりまして、このようなことが再度出るようなことのないようにいたしたい、かように考えておるところでございます。
#46
○馬場(猪)委員 厚生省にしても科学技術庁にしても、通達を出して厳重に法律を守るようにと言っておるが、そういう通達を出してすぐ守れるような体制が組めておったら文句ないわけですよ。通達を出してそれだけでやれるものでしょうか。
 たとえば言われた食品衛生監視員、いま何名おって、どれだけの対象があって、どれだけの日数で、どれぐらいの割合で調べておるのか。そしてその監視員の資質、これは本人の資質ということでなしに、たとえば添加物に詳しいあるいはその他の薬品には詳しいけれども放射線というのは全くわからないという人もたくさんおられると思うのですよ。通達を出したことによってどの程度までそれが徹底できるのか。しかもそれは全部委任事務として、府県なり特別市でしょう、厚生省はただ命令を出されるだけでしょう。府県によってもその受け入れ体制はまちまちだと思うのです。ただ単なる通達行政でうまくいくのだったらそんなにたくさん役職の方要らないですよ。検査官も要らないですよ。そんな安易なことで済むのでしょうか。
#47
○七野説明員 現在食品衛生監視員は全国の数で六千四百十五名を配置いたしてございます。この人間で今後監視が万全かというお尋ねかと思いますが、食品衛生監視員は御存じのように政令でその資格を定めてございます。医学、獣医学、薬剤学その他食品監視員としての資格を定めてございます。その資格に沿った監視員が各都道府県で、これは地方自治体の職員でございますが、監視に当たっているわけでございます。
 私たちといたしましては当然この六千四百十五名で監視が万全ということではない、さように考えております。毎年のように全国の主管課長会議、部長会議、その他の会議で各地方自治体に監視体制の強化についていろいろ指示をいたしておりますし、この監視員の数をぜひふやすということについてもまた都道府県の方と協議を重ねておるわけでございます。今後ともこの監視につきましては万全を期していきたい、かように考えております。
#48
○馬場(猪)委員 それじゃ、その六千四百十何人かの監視員は、医学とか薬学とかの知識はあるかもわかりませんけれども、放射線に対する知識はどの程度お持ちなのでしょう。
#49
○七野説明員 私たちは、この監視員の資質の向上につきましてはいろいろ施策を講じておるわけでございます。先生御指摘のように、現在いわゆる食品の関係の営業者、社会構造その他が非常に複雑、高度になってきておりまして、監視の対象も非常に高度な技術を要するという時代になっていることはそのとおりでございます。
 そこで、私たちは、毎年全国の都道府県の監視員を対象にいたしまして、特殊技術講習会というものを開いております。五十一年六月、二年前でございますが、五十一年の特殊技術講習会では、この放射線照射業に対する監視をテーマに取り上げまして実施してございます。
 今後とも機会を見、また折に触れ、資質の向上に努めていきたい、かように考えております。
#50
○馬場(猪)委員 一回や二回の講習会で放射線の理屈だとか効果だとか、検査に立ち会ってやれるだけの力がつくものでしょうか。
#51
○七野説明員 一回か二回の講習会でというお言葉でございますが、私たちは、先ほど言いましたように、折に触れ今後ともこの資質の向上を図っていきたい、かように考えております。
 なお、先ほど私が申し上げましたように、今後、この食品照射業の監視につきましては科学技術庁と共同で監視するという方向でできるだけ監視の徹底を図っていきたい、かように考えております。
#52
○馬場(猪)委員 じゃ、科学技術庁と共同でとおっしゃっているのですが、科学技術庁から見られて、いまの食品衛生監視員の放射能照射に関する知識、チェック機能としてどれぐらいの程度のものを持っているのか、十分保証できるような、検査官に匹敵するぐらいの力を持っているのかどうか、その点はいかがでしょう。
#53
○牧村政府委員 この障害防止法の施行以来、私ども科学技術庁の職員の研修等につきましては従来から原研にお願いいたしまして、原研で研修所を持っております。そういうようなところで比較的長期の研修を受けるような制度をつくってずっとやっておるわけでございます。通常、検査官になりますには約三週間の原研の研修所のコースを受けて、それに合格した者でないと検査官の資格を与えないというふうなことをずっとやってきております。関係各省におかれましても、ある時期までは科学技術庁がお世話いたしまして、労働省、厚生省の方々もあわせてそのような再門の研修コースをずっと実施してきたところでございます。最近に至りまして、労働省、厚生省等の関係省庁におきましても自前である人数を研修できるようになりましたので、それぞれ原研の方に直接お願いしてそういうコースを行うとか、その他の病院等での研修を受けられるというふうなことをやっておると伺っておりますので、量的には、私実態を知りませんけれども、相当の研修を行っておられるというふうに私どもは了解しておるところでございます。
#54
○馬場(猪)委員 検査官の場合は、原子力関係の仕事をずっと長いことやってきた人とか関係の深い人で、専門的な知識の人ですから三週間程度でいいでしょうけれども、食品衛生監視員はそんな人じゃないですよ、そんな人たちに――いま相当専門的な知識を修得するとおっしゃったけれども、担当の課長のいまのお話では五十一年に一回やっただけじゃないですか。何年何月、何回やっているとか、一人当たり延べ何時間やっているという話は全然聞かないのですよ。そういう期間の中で本当に――たまたま中神食品のような例か内部告発やあるいは新聞社の方々の努力で出てきたのかもわかりませんけれども、ひょっとしたらまだあるかもわからないという疑惑を国民は持っていますよ。それに対してどうお答えになりますか。絶対あり得ないのだ、これだけの監視員がおって、これだけの検査官がおって、こういう検査体制をとっているから大丈夫なのだと言い切れますか、そういう自信を持って言い切れるような状態ですか。
#55
○七野説明員 先ほどもお答えいたしましたように、今回の事件は、いわゆる法を承知してやった事件であったということで非常に特異な事件であったと私たち考えております。
 じゃ、今後こういうことが絶対ないようにするには一体どうしたらいいかということでございます。そこで、先ほど御説明申し上げましたように食品照射業は三業種でございましたが、九月二十九日にラジエ工業は群馬県に廃業届を提出いたしました。そこで、現在は食品照射業の許可対象業種は二カ所ということになってございますが、今後、先ほど申し上げましたように照射業者が委託を受けた場合に、たとえば密封されておる、中身はわからないというような場合には、内容、それから用途、それを業者の方でも必ず確認をしろというのがまず第一点でございます。
 さらに、そういうことが現実に行われておるかどうか、監視の際に十分その辺を重点的に監視をするということで指導いたしてございます。端的に申し上げますと、監視に行った際に、内容物、用途その他に少しでも疑問を抱くようなものは収去いたしまして開封して内容を確認するというところまで食品衛生監視員の方ではできるわけでございますので、収去する権限があるわけでございますので、そこまで徹底した監視を行えば今後はこういう事件はまず起こることはないであろう、さようにわれわれは考えております。
#56
○牧村政府委員 放射線の照射事業者に対します先生の御指摘につきましては、このような照射が可能な事業所というのはきわめて限られておりまして、先ほども御説明いたしましたけれども、研究所以外には三施設だけでございます。ラジエ工業につきましては食品照射業の届け出を取り下げたということでございます。したがいまして、現在許可を受けておる二社並びにラジエ工業は引き続き同様の照射も可能な施設を持っておりますので、このような施設を重点的に厚生省と協力しつつチェックしていくことによりまして、ほぼこのようなことが起こり得ないようになし得るものと確信しておる次第でございます。
#57
○馬場(猪)委員 確信していらっしゃったって、技術庁の方だけで確信していらっしゃるだけでなしに、国民が信頼しなければだめなんですよ。そうでしょう。私は確信していますと本人が幾ら言ったって、国民の側がみんな信用していないんですよ。ですから、中神食品の問題でも非常に大きな問題になったでしょう。
 ですから、それだけではなしに、いま科学技術庁で食品照射研究開発基本計画をずっと進めておいでになりますね。この報告書を見ますと、最初四十二年の九月にバレイショとタマネギ等三品目をやられた。四十三年の七月にまた四品目追加された。そして四十八年の十月に当初の四十九年の完了予定のを五十二年にお延ばしになった。そして、ことしまたこれが五十六年まで延ばされた。その理由の中には、毒性試験が非常におくれておる、あるいはまた不測の現象によってタマネギや米等についてはいろいろ問題が起こってきた、あるいは研究施設の整備等がおくれたというようなことがこの報告書の中に書いてありますが、不測の事態というのはどういうことが起こったのか。そして、毒性試験のおくれというのはどういうおくれが出てきたのか。そういう点についてお知らせいただきたいと思います。
#58
○山野政府委員 御指摘のとおり、食品照射の研究開発と申しますのは原子力委員会が決定しました基本計画に従って行われておるわけでございまして、これは昭和四十二年の九月に決められたものでございますが、わが国で初めての研究開発計画ということでございますので関係機関がきわめて慎重な姿勢で研究開発を進めておるものでございます。
 御指摘の研究の期間が延長になりました理由と申しますのは、バレイショ以外の六品目、これは現在、七品目進めておりましたうちバレイショが済みまして、六品目が引き続き研究開発項目として残っておるわけでございますが、この六品目につきまして毒性試験が計画よりもおくれたということ、それからさらに、昭和四十九年度から、食品添加物の安全審査のために遺伝学的な安全性試験に関するデータが必要になったということで、食品の照射につきましても遺伝学的な安全性試験を新しく実施するというふうなことにしたために、先ほど先生御指摘のような期間の延長をしたわけでございます。
 その間、何分にもわが国で初めての研究開発であったわけでございまして、この研究開発の進行の過程におきまして、たとえばタマネギの毒性試験等におきまして、照射をしない天然の状態のタマネギを動物に与えましたところ、脾臓がはれたり貧血症状を見せるといったふうな問題が出てまいりまして、これは照射食品といいますよりも、はからずもタマネギ自体の毒性の研究というふうな一面も出てきたわけでございますが、そういったふうな事情等もございまして、当初四十二年に計画したときのスケジュールよりもおくれてまいっておる、このような事情にあるわけでございます。
#59
○馬場(猪)委員 不測の現象というのはどういうことなんですか。
#60
○山野政府委員 ただいま申し上げましたタマネギの例は、これは米にもございまして、米とかタマネギ自体の毒性があらわれまして、ネズミに与える適正な量を見出すということのために、計画外に約二年間の年月を要したといったふうなことでございます。
 それからまた、詳細かつ厳密な安全評価を行いますために、慎重を期して世代試験を繰り返したというふうなことも別途ございます。
#61
○馬場(猪)委員 そういう毒性試験など、そしてまた遺伝学的な試験など、これは慎重の上に慎重を期していただかなければならぬわけですが、バレイショだけは問題ないということで照射も許可をされ、そして食品衛生法の上からも検討なさって、いまもう市販の状態にありますね。本当にバレイショも問題ないのでしょうか。
 たとえば、こういう記事が載っておりますが、これに対してはいかがでしょう。バレイショについては当初七千ラドから一万五千ラドのコバルト60のガンマ線が照射されている。普通一万五千ラドというようなことになると、科学技術庁から出されたこの「放射線と人間環境」一の三十八ページにありますね。千二十五ラドの線量を与えるだけでマウスは一〇〇%殺すことができる、こういう解説が出ておりますが、それに七千ラドとか一万五千ラドの照射を与えるようなことをやっても本当に安全なんでしょうか。
#62
○山野政府委員 まず、この食品照射の研究開発の内容でございますが、これは照射処理のための効果を確かめる効果の試験と、それからただいま問題になっております食品に適するかどうかという安全性の試験と、それらを経ました後、線源の設計等々企業化を図るための研究といろいろあるわけでございますが、従来進められております研究では、この安全性の確認ということに最も重点を置いておるわけでございまして、食品に照射をしました結果、食品の中に放射能が誘起しないか、あるいは栄養素の破壊はないか、またさらに毒物は生じないか、発がん物質は出てこないかといったふうなこと、特にこの最後の毒物とか発がん物質につきましては、ラットとかマウスとかあるいはサル、犬といったふうな動物試験も行っておりまして、先ほど申し上げましたような三世代以上の飼育といった試験もいたしておるわけでございます。
 そのような試験を繰り返しまして、先ほどの御指摘のジャガイモにつきましては、昭和四十七年の八月に、これらの安全性試験の結果を厚生省の食品衛生調査会の方で御審査になりまして、その御審議の結果放射線処理が許可になったという状況にあるわけでございまして、私どもは照射ジャガイモの実用化というのは安全に行い得るというふうに考えておるわけでございます。
#63
○馬場(猪)委員 時間がなくなってしまいましたけれども、こういう指摘もあるのですね。現在、ジャガイモについては二百種類を越えるような成分があって、その成分については照射をすることによって酸化と新物質の生成及び破壊等の影響が与えられると言われておりますけれども、科学技術庁の方ではでん粉とかたん白とかビタミンのB1、B2、Cの五つの成分だけしか調べてないじゃないか、あとの二百に及ぶような成分については全く触れておらないけれども、そういうことでいいのかという指摘もございまするし、また国立衛生試験所においてラットに対する照射試験をやった結果、卵巣が普通の状態と違って生殖関係に非常に大きな影響を及ぼしておるとか、そういったような報告も出ております。あるいは世界じゅうで照射実験をしておるし許可をしたけれども、実際にこれを実施しておるのは日本だけなんだ、世界じゅう実用はどこもやってないんだというようなことも指摘をしておりますが、そういう点についても、一般の国民の側から見れば、皆さんの方は自信があるんだ、安全だと言われるけれども、非常に不信感を持っておることは事実です。現に中神食品のような例も、これは消費者に対して非常に大きく影響を与えておると思いますが、そういう点については確実に、反対をなさっておるような側の意見も十分取り入れて最後の許可をおろされたのかどうか、そういう点についてお答えいただきたいと思います。
#64
○七野説明員 先ほど科学技術庁から御説明がありましたように、昭和四十七年に食品衛生調査会にジャガイモの発芽防止のための放射線照射についての諮問をいたしまして、それで安全であるという答申をいただきまして許可をおろされたのは、御案内のとおりでございます。その中で新聞紙上その他いろいろで現在も出ておりますが、たとえば先ほど先生御指摘になりましたネズミの卵巣の重量が有意差をもって減少したじゃないかということでございます。これにつきましてちょっと簡単に御説明申し上げます。
 これは実験をやる場合には必ず対照群を持つわけで、コントロール群、それから非照射、それから一万五千ラドの照射、それから三万ラドの照射、六万ラドの照射、こういうふうに五群に分けまして、おのおの各三十匹のネズミを全寿命の二年間飼育いたしたわけでございます。そこで三カ月、六カ月、十二カ月ごとに五匹ずつ殺して、主要臓器を検査したということでございまして、このうち六カ月目の六万ラド照射のジャガイモで飼育中のネズミの平均卵巣重量が有意差をもって減少した、そういうことが確認されております。
 そこでこの場合に、この試験で安全性の問題として取り上げられなければならないのは次の三点であるというのが、専門家の意見でございます。
 卵巣重量が有意の差をもって減少した場合に何が一体問題になるかということでございますが、まず第一に、その卵巣が臓器に機能的な変化があったかどうか、それから第二に、臓器の組織学的な変化があったかどうか、それから第三に、全期間を通じてある傾向を持った重量変化があったかどうか、この三点が安全性の問題として取り上げる場合に問題にすべき点であるということでございます。
 そこで、御指摘の場合には組織に変化は全くございません。それから卵巣重量の点の有意差の変化というのは、六カ月目の一時的な変化であるということでございます。さらに英国でのラットの世代試験でも変化がないということが明らかになっております。
 以上のような結果から、いま申し上げましたようにこの国立衛生試験所で行った実験の結果の平均卵巣重量が有意な差をもって減少したということについては問題がないというふうに食品衛生専門家でも判断いたしておりますし、私たちもさような判断をいたしておるわけでございます。
 さらに、この照射食品を現実に食しているのは日本だけではないかというような御意見でございますが、現在もうすでに英国、オランダ、西ドイツなどにおきましては病院食にこの照射食品を使っております。と申し上げますのは、病院で使用する病院食、たとえば白血病の患者その他、非常に感染に弱い病気があるわけで、そういう場合には、もちろん病室をバイオクリーンと申しまして完全に滅菌をするということも必要でございますし、さらに食事を完全滅菌するということが治療上非常に重要なことになるわけでございます。そこですでに英国、オランダ、西独におきましては、最低二千五百キロラドから四千五百キロラドで完全滅菌した病院食をそういうような抵抗力の弱い患者用の病院食として使用しておるという実態もございますので、必ずしも日本だけが照射バレイショを許可をしているということは当たらない、かように私たちは考えております。
#65
○馬場(猪)委員 時間が来てしまいましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、大臣、厚生省にしても科学技術庁にしても、自信があるんだ、自信があるんだと言っておられるんだけれども、いま言いましたように検査内容についてもまだ十分じゃないじゃないかというような指摘もあります。そして今度の中神食品の中での野菜の照射事件についても、確かに放射能はないでしょうけれども、あと科学的変化その他についてはまだ保証がないじゃないかという疑問もあるわけです。そういう点については厚生省と科学技術庁、十分連絡をとりながら、消費者が本当に心から安心できるような措置、こういうことをぜひ考えていただきたいと思うのです。自信があるならあるように、自分ひとりよがりの自信じゃなしに国民全部が信頼できるような措置、これをぜひ考えていただかないことには、今後せっかく厚生省の考えていらっしゃる計画もうまくいかないだろうと思います。その点についての大臣の考え方なり決意をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#66
○熊谷国務大臣 先ほどからいろいろ御意見や問答を承っている次第でございます。ただいまお話のありました点、十分厚生省とも連絡を密にいたしまして改善してまいるように努力してまいりたいと考えております。
#67
○馬場(猪)委員 終わります。
#68
○楯委員長 次に、原茂君。
#69
○原(茂)委員 きょうは地震についてまたお伺いしたいんですが、最初に、末広先生にも来ていただきましたのでお伺いしたいと思います。
 今月七日早朝に木曽谷の地震があったわけですが、この木曽谷の地震の程度とその震源、マグニチュード暫定値五・六と新聞には発表されていましたが、震源も王滝村を中心にした深さ約二十キロ程度のところだと言われていましたが、そういう見方で間違いはないのかどうか、まずこの間起きました木曽谷の地震の規模、その範囲、これだけ先にちょっとお伺いしたい。
#70
○末広説明員 御説明申し上げます。
 本月七日に起こりました地震は、ただいま原先生御指摘のとおりでございます。その後余震と申しますか、この地震はやや群発性の傾向がございますが、私どもの地震活動監視によりますと、源域は大体直径八キロメートル程度のごく限られた範囲内に起こっておりまして、広がる徴候もございませんし、これが大事に発展するという可能性は現在のところそうないのではないかと判断しております。
#71
○原(茂)委員 このいわゆる震度ですが、飯田で三の弱震、あとだんだん小さくなっていくという発表だったのですが、飯田付近でやはり震度三という観測だったのかどうか。同時に、国鉄の飯田線の飯田とそれから、平岡の駅に地震計が置いてあるのです。飯田駅のものが震度四、平岡でも震度四という観測を発表しているのですが、これはどうしてこういう違いが起きるのでしょうか。相当離れたところなのですが、王滝中心の二十キロの深さで起きた地震ということになっていて、飯田では震度三、それが飯田と平岡の駅で観測したものは震度四、この違いというのはどうして起きるのか。
#72
○末広説明員 御説明申し上げます。
 一つの理由は、地震の場合の地面の揺れ方の強さと申しますのが大変場所によって違うわけでございまして、山寄りのかたいところかあるいは田んぼを埋め立てたところかによりまして、震度は優に一、場合によっては二違うことがございます。それが第一の理由でございます。
 それから第二の理由は、国鉄等でおはかりになっていらっしゃるのは加速度計という器械を使っていらっしゃるわけでございますが、私どもの震度と申します地面の揺れの強さをあらわします階級は、必ずしもその加速度と一対一には対応しない。地面の揺れている時間であるとか、揺れ幅であるとか、いろいろな値の一種の総合値でございますので、加速度を直ちに震度に換算いたしますと必ずしも合わない場合も出てくるという、その二つの理由によりまして、ただいま先生御指摘のような問題点が現在あると存じます。
#73
○原(茂)委員 こういうものを、今後のためもあるのですが、素人の側から言うと、発表されたものが、遠くへ行って震度四、近くで震度三、いまのお話で加速度計云々という説明も、専門家にはわかるのでしょうが、これからは地震予知あるいは大地震に対する警報等を出すという時期なんですから、そういう細かいところも、発表するものは同じ器械を使って同じ方法で震度を観測するようなことができないものでしょうか。そういう指導はどうなんでしょうか。
#74
○末広説明員 御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、震度は非常に場所によって違いますために、なるべく簡便な簡単な器械を多く配付いたしまして、そこで統一的な震度の測定ができればそれにこしたことはないわけでございまして、私ども東京等でそういった器械を何種類か並行観測して、なるべくいままで私ども人間の観測員が中心になって決めました震度と同じような震度をあらわす器械の実験をいまいたしております。ただ、何分震度三、四といったような地震は数多く起きませんために、相当期間を要しませんと、それでは器械に切りかえるという踏ん切りのつくまでのしっかりした結果が得られませんもので、目下実験中でございます。もうすでに三年ぐらいになりますが、できるだけ早く、先生の御趣旨を体して、震度というのは大変大事な量で、また国民の皆様もよく御存じであるし、かつ御関心も深いということは重々承知いたしておりますので、こういった混乱と申しますか誤解の起きることのないように、今後とも広報面等でも力を入れて、現在もやっておりますが、一層努力をいたしたいと思っております。
#75
○原(茂)委員 この木曽方面というのは五十一年にも、これは当時群発地震だと言われましたが、大きいものではありませんが、あったわけです。今度のは、五十一年群発と言われたものとは違うのでしょうか、どうでしょうか。
#76
○末広説明員 御説明申し上げます。
 御指摘のとおり、五十一年は八月の中旬から体に感ずる地震が群発し始めまして、最大震度が三でございました。その他は、体に感じたと申しましても震度一または二でございまして、これが約三カ月続きまして、特に大きな地震の発生を見ることなく十一月中旬に終えんしております。ここは御存じのとおり木曽御岳のふもとでございまして、広い意味での火山性の地質の地帯で、こういった群発性の地震の起こりやすい場所でございますので、今回の地震も特に大事に至らずに、どのくらいの期間続くかということを現在推定するのは大変むずかしゅうございますけれども、前回は三カ月続いたわけでありまして、それより短いか長いか、そう変わらない期間で今回も群発の状態、つまり同じような性質で終えんするのではないかと私ども予測している次第でございます。
#77
○原(茂)委員 先ごろ地震予知連絡会が長野県西部と岐阜県の東部ですか、これを特に観測しようというので地域の指定をしたわけです。その一連の範囲内の長野県西部という場所に今度の場所は入っているのだと思うのですが、それはそうなのかどうか。
 それで、より観測を強化しなければいけないという考えになられたその一連の心配のある地震なんだというふうに考るべきなのかどうか。その二つをひとつ。
#78
○末広説明員 御説明申し上げます。
 確かに御指摘のとおり、つい最近地震予知連絡会が見直しをいたしました、そして新たにつけ加えました特定観測地域の中に今回の地震は起こっているわけでございますが、新たにこの地区を指定したという理由は、現在起こっております木曽御岳のふもとの群発性の地震よりは、むしろ西にございます跡津川断層というのがございまして、これに関連いたしまして一八二六年、一八五八年、一九〇六年、一九六九年等にマグニチュード六と七との間の地震が起こっておりますので、内陸性でございますから同じところで繰り返すという公算は必ずしもございませんけれども、むしろそちらの方を注目してこの辺を指定したわけであります。今回のものは、先ほど御説明申し上げましたように広い意味での火山性地帯に発生する、大地震は伴わないけれども数が多いという群発性の方であろうと思っておるわけでございます。
#79
○原(茂)委員 また少しちょいちょい有感があるようなのですが、これはそうしますといつごろ終わる見込みですか。
#80
○末広説明員 王滝村で実は観測を、たまたま付近に気象官署がございませんために、有感地震が幾つあったかという有感地震の数を勘定することをお願いしているわけでございますが、最近三日程度のことを御紹介いたしますと、十四日に三回、十五日に四回一それから昨日十六日に二回、本日は、午前十時半ぐらいまでには一回もないそうでございますが、これはやはり群発性でございますので、多少一進一退ということはあると思います。
 それがどのくらい続くかという御疑問に対しましては、大変予測がむずかしいのでございまして、前回の昭和五十一年の場合には三カ月続いて大事に至らず終えんしたということを、ひとつ御参考にしていただきたい。それ以上のことを、あと一カ月ぐらいであるとか二カ月ぐらいであるとかいうことを現時点で申し上げるのは、現技術では大変むずかしゅうございます。ただ、監視は十分にしておりますので、震源域が広がるとかあるいは活動が高まるとかいう場合には、ふだんの情報に加えてそういうことはもちろん地元の方には遅滞なくお知らせするようにいたします。
#81
○原(茂)委員 五十一年八月から十一月の三カ月間で群発性のものがだんだん終息していった。今回も多分そうだろうというふうな見込みだと思うのですが、これは間違っても、またもっと大きなものがここで最近出るということはもうない、そのくらいのことはわかるのですか。それが一つ。
 それから、観測が強化されているとおっしゃるのですが、観測はどんな方法でどこでおやりになっているのですか。
#82
○末広説明員 御説明申し上げます。
 第一点でございますが、現在起こっておりますこのいわばドングリの背比べ式の地震がそのまま終わるのか、それともその後に大物が控えておるのか、その判別でございますが、これは全然その方法がないわけではございませんで、絶対的な方法ではございませんけれども、やや大き目の地震とやや小さ目の地震の数の比を当たりますと、どうも群発性の傾向が強い。つまり後ろに大物はどうも控えていなさそうだということが言えるのでございますが、これはこういった一つの仮定の試用をしているわけで、これで一〇〇%物が言えるというところまで行っておりませんので、そこは御理解いただきたいと思います。
 それから第二点でございますが、この辺は内陸性の地震のいろいろ起こるところでございますので、私どもは一昨年、昨年、この付近では飯田、それから昨年は松本に特別に観測の井戸を掘りまして、そこで一万倍以上の倍率の出る観測点を追加いたしまして、これは全国で最終的には二十点になるのでございますが、これが大変威力を発揮いたしておりまして、先ほど申し上げました震源域がまだ非常に限定された地域の中にあるんだというようなこともこういった観測で結果が出るわけでございまして、この監視は十分読けるわけでございます。
#83
○原(茂)委員 いまおっしゃった井戸というのは岩槻のような井戸、ああいう構想のものですか。
#84
○末広説明員 岩槻の場合には、この関東地方を大変厚く覆っております洪積層を突き破りまして下の岩盤に達するということでございまして、三千メートル級の穴でございますが、幸いこの南信州の方は岩盤が地面近くまで来ておりますので、私どもの掘っております観測の井戸は百メーター前後でございますが、十分高倍率の観測がそれでできるという長所はございます。
#85
○原(茂)委員 木曽谷を震源とするような地震というのは昔から言うといつごろあったのでしょうか。全然なかったものでしょうか。いつごろ何回くらいあったのでしょうか、程度も一緒に。
#86
○末広説明員 御説明申し上げます。
 この木曽谷を中心といたしますところは、実はわれわれの歴史をさかのぼりましても、今回あるいは昭和五十一年のような群発性の地震はございますけれども、被害を出したというような地震の記録はないわけでございまして、こういった火山性の地質の場所では群発性は起こるけれども大きな被害を出すような地震は起こらないあるいは非常に起こりにくいということがわかっておりますので、木曽谷に関しては、よそで起こった大きな地震はこれは別でございますけれども、いわゆる直下型という危険は、今回起こっております群発地震の付近では少ないのではないかと判断している次第でございます。
#87
○原(茂)委員 ここでちょっと林野庁にお伺いするのですが、大分山間道路が崩壊しているわけですが、林野庁、来ていますね。
#88
○楯委員長 来ています。
#89
○原(茂)委員 小田島林道課長ですね。お伺いしますが、この範囲、どの程度の被害があったか。新聞では数カ所と言っていますが、お調べになったかどうか。調べたら、その崩壊した状況をちょっと言っていただきたい。それが一つ。
 二つ目に、被害状況ですから金額と、復旧に対してどのくらいの時間がかかるか。
 もちろん復旧の計画をお立てになったと思うのですが、いつごろまでに復旧する予定か。三つに分けてひとつ答えていただきたい。
#90
○小田島説明員 御説明申し上げます。
 林野庁が長野県及び長野営林局に照会しまして把握しました状況では、王滝村におきまして農免林道王滝線というのがございますが、ここで落石がございまして、十月七日当日、国有林のブルドーザーによりまして落石を除去しまして、被害は復申しております。
 そのほかには、これは新聞報道ということで県から参っておりますが、電線が落石によりまして切断されたという報告が参っております。
 その他一部転石があったという個所は一、二カ所聞いておりますが、大きなものはただいま申し上げました農免林道王滝線というふうに聞いております。
 それから第二点でございますが、したがいまして被害の復旧計画につきましては、当日対応しまして車両が通行できるようになっておりますので、林道の交通そのものについての被害対策としましては完了しております。ただ、落石の原因となります崩壊地につきましては今後検討しなければならないというふうに考えております。
#91
○原(茂)委員 重ねてお伺いしますが、今回のような崩落、落石という程度のものは、あの地震があったからということも一つの原因ですが、地震でなくて大きな集中豪雨等があっても常にあの程度のものは起きているのだというふうにわれわれ見るのですが、どうですか、その点は。
#92
○小田島説明員 御説明申し上げます。
 私、現地をつぶさに見ておりませんので状況は判断しかねますが、集中豪雨あるいは暴風雨その他によりまして、林道ののり面から落石がございまして、あるいは崩壊がございまして、復申しておる事例がございまして、これは災害復旧対策で被害を復申しておるわけでございます。
#93
○原(茂)委員 地震があったから初めて起きたのではなくて、ちょっとした集中豪雨などでもあの程度の落石、崩壊は常に起きている、それに対する復旧を常に行ってきたという場所であるということだけは間違いないようでございます。
 そこで、電電公社の電話線が切れて十七戸がいま不通になっているというのは、聞いていますか聞いていませんか。おたくなんかも恐らく事業所間の電話線もあるのじゃないかと思うのですが、電話の方の復旧はできたのでしょうか。
#94
○小田島説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、都道府県、営林局等が新聞あるいは報道等でキャッチした情報として、私どもの方には電話線が切断したという程度でございまして、国有林の事業用電話が切れたかどうかはつまびらかにいたしておりません。
#95
○原(茂)委員 そこでお伺いしたいのですが、この木曽の地震そのものもさることながら、これは末広先生にまたお伺いするのですが、いまあの地方全体を観測されていて、木曽谷の今回のことが予知という立場である程度来るかなとお思いになっていたのかどうか、全然予期しなかったものが出たのかということを一つと、今後木曽谷王滝付近を震源とするような地震が、今度の観測を強化しようという指定地域のどこかに、ああいったものがまだ起きそうな状況だということを、予知の予知といいますか、あらかじめいまつかんでいるのでしょうか。今度指定された地域の中にはいまのところそういう予想をされるところはない、こうお考えでしょうか、いかがですか。
#96
○末広説明員 御説明申し上げます。
 第一の御質問の点でございますが、実はあの地方で本年五月から体に感じないような非常に小さな地震がふだんよりもふえていたということは、私どもつかんでいたわけでございますけれども、果たしてこれが十月七日の地震につながるものか、それともこういった体に感じない地震が数多く起こって、そのまま終えんしてしまうこともございますので、特に申し上げなかったわけでございますが、そういう意味で、いまから振り返ってみますと、小さな地震が前駆していたわけでございます。今後こういったことを基礎にして、経験と事例を積み重ねて、内陸部における地震予知の技術も開発していかなければならない、こう思っておるわけでございます。
 それから第二点の、特定観測地域になっているところで、ほかはどうであるかということでございますが、これはまず国土地理院の方でこの辺の測量を近々おやりになると思いますので、それとこの前になすった測量とを比べますと、先ほど申し上げました、たとえば跡津川断層に関連して非常に地面のひずみがある場所で進行しているといったようなことがもしあれば、そういうことが発見できますので、そういうことと地震観測をもとにして検討を重ねることになると思いますが、何分私どもの現在の技術では、内陸部のマグニチュード七程度の地震の前もっての発生の予測というようなことはまだ研究段階でございますので、この辺はどうぞ御理解をいただきたいと存じます。
#97
○原(茂)委員 いま何分にもいまの技術ではとおっしゃったのですが、技術でしょうか。やりたいだけの予算、施設があって、測定器具を十二分に、あるいはいまの井戸もそうですか、予算があればやりたい、やったら大丈夫だ、もっと的確に事前に前兆というものをつかむことができるということなんでしょうか、技術だけの問題なんでしょうか。予算の面では何もいまのところは心配ない、こういうことになりますか。
 たとえば、国土地理院が最近おやりになるというのですが、国土地理院の測量がいつごろできるのか知りませんが、これも技術はあるのだけれども人手がない、あるいは測器類がないというような難点はないのかどうか。地理院のことですから、先生おわかりにならぬかもしれませんが、そういうことを推測してでもいいから、予算に関係しては何も心配はないのだが、やはり技術の問題だけなんだということになりそうかどうか。
#98
○末広説明員 御説明申し上げます。
 若干私の身に余る御質問でございますけれども、一般論として申し上げさせていただきますと、もちろん予算をより以上つぎ込み、人員もより以上つぎ込んで観測を向上させることは、地震現象の解明を早めることであるということは当然でございます。しかしながら、何分にも相手が自然現象でございますので、集中的に室内実験をやって突貫工事をするといったような手法が講ぜられませんために、たとえ観測を向上しそれだけの予算をつぎ込みましても、自然現象の発生を踏まえまして、やはり技術を進歩させていくという手順を踏まなければなりませんので、これはある意味では時間のかかる技術開発であるという点をひとつ御理解いただきたいと存じます。
#99
○原(茂)委員 そこで、次にお伺いしたいのは、科学技術庁に途中でお伺いしますが、現在民間でいろいろと地震予知に関してのデータをとったり集めたりしているグループがございます。特に、文部省が中心になってやっている油壷の末広博士のナマズの研究ですか、あるいは「なまずの会」に対しては、科学技術庁自身が今度は予算も少しつけて研究をさせるとかいろいろやっていますが、いま技術庁としては、この民間の地震予知グループに対してどういうかかわりを持っているのか、予算をどのぐらいつけるとおっしゃるものがあるのか。たとえば、五十四年度の予算概算要求の内容を見ましても、細かいものがないからわからないのですが、そういうものは入っていないように思うのですが、その点も含めてひとつ説明をいただきたい。
#100
○園山政府委員 お答えいたします。
 民間のいろいろな地震予知に関する活動がございまして、ただいま先生お話しのように、現在行われておりますのは、文部省が科学研究費補助金を今年度約三百万円支出いたしまして、動物の行動異常の研究を行っております。
 それから、科学技術庁におきましては、ただいま先生御指摘のように、民間の予知活動として地下水の観測を行っておるグループがございますので、これに対しまして今年度六百六十万を出しまして、神奈川県の温泉研究所委託という形で、民間での地下水の観測データの収集、処理方式についての研究を行っておるところでございます。
 来年度につきまして、細かいところまでまだ出しておりませんけれども、科技庁が今年度地下水の観測について出しておりますものは、特別研究促進調整費という一括して科技庁に計上されておりますものの中から出しておりまして、これは年度が始まりましてからその実行計画の中で考えることにいたしておりますので、現在テーマとして計上されているわけではございません。
 しかし、民間情報につきましても、先生御指摘のように、いろいろ予知に対して有効なものがあり得るということでございますので、専門家の御意見等を拝聴いたしまして、必要なものにつきましてはこの特別研究促進調整費を活用いたしまして、来年度も必要に応じた計画を進めたい、このように考えております。
#101
○原(茂)委員 いま私が言った「なまずの会」というのは何ですか、科学技術庁で今度は予算を少しつけてやろうという「なまずの会」というのは。御存じないですか。
#102
○園山政府委員 「なまずの会」と申しますのは、民間の地震予知研究グループの名前でございますけれども、私ども、やはりこの特別研究促進調整費から出します場合に、そういった民間のグループに一々出すことができませんので、神奈川県にございます神奈川県の温泉研究所というところに委託いたしまして、この温泉研究所にその「なまずの会」等を活用しての研究を委託しておる、こういう形でございます。
#103
○原(茂)委員 温泉研究所に井戸を中心の観測をしてもらおうというので予算をつけておられる。そこを通じて、また「なまずの会」に多少とも助成をしていく。「なまずの会」というのは何をやっているのですか。
#104
○園山政府委員 お答えいたします。
 「なまずの会」と申しますのは、先ほど申し上げましたように、民間の有志の、この地震予知に興味を持って自発的にいろいろ観測をやっておるグループでございますが、特に井戸水の水位につきまして、その変化のデータをとりまして、これを集めて、それと実際に地震が起きたときに、その相関関係があるかどうかということを研究いたしておりますので、私どもはこのデータを神奈川県の温泉研究所に集めまして、そこでその地震との相関関係があるかどうかというようなことを検討してもらっておる、こういうことでございます。
#105
○原(茂)委員 そうですか。「なまずの会」といっても末広先生のやっているナマズじゃないのですね。ナマズを使っているのじゃない。井戸水の水位の関係を調べていくのを地震にちなんで勝手に「なまずの会」とつけただけで、末広先生のおやりになっているようなナマズそのものを中心の研究ではない、そう理解していいのですか。
#106
○園山政府委員 お答えいたします。
 御指摘のとおりでございまして、地震いうことで「なまず」という名前をつけておりますが、実際にやっておりますのは井戸水の水位の観測というものを集めておるわけでございます。
#107
○原(茂)委員 きょう本当でしたら、力武先生が中国へ団長として行かれて民間の地震予知に関する中国における状態の視察をされてこられましたし、そのことも中心にして、末広先生にもおいでいただいたり、また先日、ネムノキの電位変化を中心にして何か地震予知ができそうだと考えている鳥山先生ですとか、おいでいただこうと思っていたのですが、力武先生の都合が悪かったものですから、急遽、実は他の参考人の先生方にもおいでいただかないで、いま質問をしているわけですが、これは後日必ずもう一度実現して詳しくお伺いしたいと考えているのです。
 そこで、気象庁の末広先生にまたお伺いするのですが、気象庁としても、今後民間から寄せられたいろいろなデータ、情報というものを、やはり異常現象報告というようなものでまとめて、そうしてこれをどう活用するかのそれこそ研究をなさるというふうに聞いていますが、そういうことはございますか。
#108
○末広説明員 御説明申し上げます。
 私どもは、現在業務として、民間の住民の皆様が発見なすったことを地震予知の分野で関連して、たとえば判定会の業務へ連係させるというところはまだ始めておりません。一般住民の方がいろいろ御発見なすったり、あるいは御調査なすったりしたことをどういうルートに乗せてどういうふうにこれを業務のレベルへ乗せるかということは大変むずかしい点がいろいろございまして、これはむしろ、伺うところによれば、科学技術庁の方でこの辺の情報収集の方法等の御研究をおやりになっているやに伺っているわけでございます。
#109
○原(茂)委員 気象庁としてもこれはやはり真剣に取り組んでいいのじゃないかというふうに考えるのですが、たとえば奈良の市長さんの雲を見て云々というようなことになりますと、先生方は一様に、全然関係ない、これはナンセンスだと言わんばかりな批判があるようですが、これはおくとしましても、先ほどの油壷におけるグループの研究ですとか鳥山先生のネムノキもあります。そのほかに動物等の異常を中心にした研究観測もあります。もちろん、井戸水の水位の観測なども重大だと思うのですが、これらのものはやはり民間のデータによってある種の異常現象というものがつかまれて、それが集大成された結果地震予知に役立ったという、細かいことは知りませんが、中国では事実その例があるようですから。
 それだけじゃもちろん地震予知にはならないでしょうが、それは非常に参考にして、ある種の科学的なデータ等をコンバインしながら、ミックスしながらいろいろな何かを判定して地震予知の効果を発揮したのだ、こういうふうに中国あたりでは盛んに言われていますが、中国と日本と比べてみますと、日本の方がまだまだ民間におけるこの種の研究なり体制というのはずっと少ないようですし、現象も何か中国大陸とは、日本におけるいろいろな現象というものが違っているようなこともあるのじゃないかというふうに感じられますから、一概に中国イコール日本でもそのままいけるじゃないかということにはならぬと思うのです。
 しかし、これをないがしろにしないで、どんなものでも気象庁として地震を予知して、しかも、今度は警報を発令するための一番もとになるのは気象庁でございますから、相当こういうものも参考に取り入れるということが必要じゃないかと思いますが、もうちょっと急いで、この面に関しても、気象庁は気象庁としての中心的な責任を持った民間データの収集と、それをどうつなげていくか、予知との関連でこれからどうかかわり合いをつけていくかというようなことの研究を大至急におやりになる必要があるのじゃないかと思いますが、もう一度お答えをいただきたいと思います。
#110
○末広説明員 御説明申し上げます。
 災害対策基本法には発見者通報という条項がございまして、一般民間の方がいろいろ自然現象に関して異常を発見なすった場合には、私ども気象庁が承ってそれを業務に生かすようにということがございますので、火山等にはいままでもそういったことを利用してまいりましたが、先ほど申し上げましたとおり、地震予知の面ではまだ業務というところまでいっておりませんけれども、私どもの姿勢を示す意味におきまして、いろいろ電話をくだすったりあるいははがき、手紙等をいただいた場合には、許す限りこれを記録にとどめまして整理をできるだけするということは、業務ではございませんけれどもすでにやっているわけでございまして、今後、関係の方面とよく御相談いたしまして、一般の住民の方の御努力といいますか御熱心の結果といいますかは、何らかの形で実際の業務に反映させていく方向で、検討をといいますか努力をいたしたいと思います。
#111
○原(茂)委員 科学技術庁ではこういう問題にはどう対処されていますか。
#112
○園山政府委員 お答えいたします。
 現在、日本の地震予知につきましては、御承知のように測地学審議会が計画を建議しておられるわけでございまして、その中心になっておりますのは、いわゆる地殻のひずみでありますとか傾斜観測あるいは地震観測といういわゆる物理的観測でございます。したがいまして、重点が、重点と申しますよりほとんどの努力がこういう観測に費やされておるわけでございます。
 しかし、先生御指摘のように、中国でのいろいろ動物の異常な行動等が予知に役立っているということもございますし、また国内におきましても、地震学者の先生方もこういった動植物の異常等が有効であるという御指摘もございますので、先ほど申し上げましたようにいろいろ研究をやっているわけでございますけれども、現在におきましてはやはりあくまでも補助的な手段としての可能性を追求しているということでございます。
 なお、中国におきます動物の異常等の活用という点につきましても、先ほど先生御指摘のように、先般、力武先生を団長とする調査団が中国を回ってこられまして、まだ正式な報告は伺っておりませんけれども、行かれた方のお話を伺いますと、やはり中国の地震というのは日本と違ってそういう前兆現象が非常に顕著に出るようである、これは場合によっては地殻の構造の差かもしれないというようなお話もございます。したがいまして、日本におきまして動物その他の民間の情報を活用いたしますためには、やはりもう少し研究の段階が必要ではないかと思っているわけでございますが、なおそういった研究を積み重ねまして、有効なものは活用していくという方向に進むべきかと考えておるところでございます。
#113
○原(茂)委員 園山さんに続いてお伺いします。
 どうなんでしょう、この種の民間の研究、あるいはグループなり個人なりに対して、どこの省庁が一番中心でそれに対する援助をしたり助成をしたり刺激を与えたりというようなことをやっていると見ていいのですか。私どもが見ていても、文部省はさっき言った油壷のやつはやる。それから科学技術庁は科学技術庁で勝手に、勝手にということじゃないが、神奈川県の方に予算をつけて援助をする。ほかの問題があると今度は何省でも勝手にこうやるのかどうか。何か決まっているのでしょうか。省庁の、こういった民間のデータを集めるあるいは民間のそういった研究を促進する、これはいい、それをやろうといったときに、中心的な省庁というものがあるのでしょうか、ないのでしょうか。
#114
○園山政府委員 お答えいたします。
 現在、先ほども申し上げましたように、わが国の地震予知の研究、観測というものは文部省にございます測地学審議会の建議を中心にと申しますより、その線に沿って行っているということでございますが、民間の活動に対してどこが中心でやるべし、あるいは民間の情報についてどういう研究あるいはその推進をすべしというようなことは、現在まで測地学審議会の建議には顔を出していないわけでございます。したがいまして、私ども科学技術庁は、一つには内閣に置かれました地震予知推進本部の事務局をいたしておりますし、また先ほど申し上げましたようなそういう各省庁でやらない分野あるいは各省庁が共同してやらなければならない研究等に支出できる特別研究促進調整費というものを持っておりますので、これを活用いたしまして現在推進しておるわけでございますが、一方、文部省におかれましても、大学あるいは一般の学術的研究ということでいわゆる科学技術研究補助金というものを活用しておられるわけでございまして、当分はそういう形になっていくかと思うわけでございます。
 なお、たとえば地下水の水位に関する研究あるいは水質に関する研究というようなことを、これは民間だけでなくて私どもの防災科学技術センターでも取り上げておりますので、そういう成果の中から、こういうことを観測すれば一般の観測でも役に立つというようなことがおいおいわかってまいりますれば、これは単に水位だけでなくて、いろいろな動物そのものに対する研究といった専門的研究の中からそういうものが出てまいりますれば、これを総合的に推進していくということが一段と推進される。その場合には、やはり私ども科学技術庁としては先ほど申し上げました特別研究促進調整費というようなものを活用いたしまして総合的な研究というものを組んでいくことになるかと思いますけれども、現在ではまだ一部テスト的に先ほど申し上げましたような研究をやっておるという段階でございます。
#115
○原(茂)委員 現在ではまだ一部勝手に研究をしている段階だということになるのですが、しかし、逆に科学技術庁というのはとにかく予知推進本部の事務局をやっているのですから、そこらから発案をして、中心的に一つへまとまってその結果が集まるような、そういう役割りをみずから果たすか機構をつくるかということをもうやっていい時期じゃないかと思うのです。ほうっておくと、文部省はやっています。科学技術庁はこれをやっています。水位をやっております。井戸水に対する水位の研究その他は何も科学技術庁の防災センターがやっているだけじゃない、これは各研究所でやっていますから、あるいは大学でもやっているし地方でもいろいろ個人でやっている人もありますというのを考えると、もうそろそろそういった総合的なデータが全部集まる場所を、ひとつやはりここで担当してここへ集める、必要なこういう民間の研究に対して助成をしたりなにをしたりしてやった方がいいと思うという建議、献策、こういうものは各省庁の担当からいろいろ出てきている。出てきても、やはりそれは一カ所に集まる、その結果いわゆるデータというものを一カ所に集められる、そろそろそういう仕組みというものを推進本部で音頭を取ってつくる時期に来ているのではないかと思うのですが、それはまだ当分やらない、そのうちになるかもしれないが、いまのところ意識的には、恣意的にはそういうことはやらないというようなまま放置している、そういう段階じゃない、もうすでにそういうことをやるべき段階に来ているのではないかと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
#116
○園山政府委員 先生御指摘のように民間情報、つまり民間の方がいわゆる研究というようなことではなくて、日常普通の状態で発見するいろいろな異常というものにつきましては、先ほど末広参事官から御説明がありましたけれども、やはり気象庁に集中できる体制ができておるわけでございまして、これを民間からのそういった情報というものが積極的に活発に出るようなことがあれば、現在それを使う道はあるわけでございます。
 しかし、私どもの考えでは、やはり先ほどちょっと申し上げましたように、中国のような場合と日本の場合と多少違って、日本ではなかなか中国であらわれておるような大きい前兆現象というのが余り出るわけではなくて、非常にいわば微弱な前兆現象ということになっているのではないかというような気がいたします。したがいまして、先ほど申し上げましたように、井戸水の水位等につきまして、これが果たして地震との相関があるかどうかということをある程度研究していかなければその有効性というものが確認できないというようなことで、研究段階を経ておるわけでございます。
 しかし、民間でも非常に活発ないろいろ地震に対しての御関心が深まって活動が出ているわけでございますので、その辺の実態というのは私どももできるだけ調べまして、これをどういう方向で活用していくための方策を立てるべきかということはいろいろ検討していかなければならない、こう考えておりますが、現在すぐにそういう組織をつくる、あるいは体制をつくるというのにはまだちょっと早いのではないか、こんな感じを持っておるところでございます。
#117
○原(茂)委員 さて、ここで大臣に総括的にまずお伺いをしておきたいのですが、いままでお聞きになったように、たとえば局長に言わせると、中国の前兆なり現象なりというものと日本とは大分違う、私もそう思う。日本のは何かまだ微弱なものであるという意見がありました。それに対してまずひとつ私の意見を言いますが、やはり国の立場で国民にもっとこの種の情報を提供するように徹底的なPRをする必要があるのではないか。中国との違いの一番最初の段階で違うのは、中国では国の意思として全国民に対して地震に対して常時関心を持つようにということを、命令と言っていいほどに徹底的なPRができているわけです。それに国民はこたえている。ですから、どんなつまらないもの、つまらなくないもの、いろいろな現象というものが非常に大量に入る。そういうものを日本で言うなら徹底的に同じような国民に対するPRを行い、国民の協力を得て、しかも集めた情報はコンピューターを駆使するなり何なりをして、やはり十二分に集大成をしていくというようなことが行われると、日本は日本的なそういった民間のデータというものあるいは個人個人の出されるもの、グループの出されるものが案外相当役に立つようなものになるかもしれない。中国だってそういった非常に不確定な時期を過ぎていま徹底したわけですから、日本でも国民に対するその意味の協力を徹底させるということ、どんなつまらないものでも、いま末広先生のお話じゃないですが、来たものに対してはきちっと返事をしたり何もする、そしてだんだんそれを集めておきたいと思うという程度で終わっている段階だから、その情報なり個人、グループの協力なりの度合いが非常にまだ少ない。もっと徹底して国民にこれがPRできるように、よく内閣の何か知らぬけれども週刊誌にたまたまでかい二ページぐらい使って、ずいぶん高いだろうなと思う広告がありますが、こういうものを使ってでもいいから、いまこそ徹底的に国民に協力を呼びかけるということを、ひとつばからしいかもしれませんが、おやりになる必要があるのじゃないかということが一つです。
 それから、さっき立ったときに申し上げましたように、どうもいまのところはまだ各ポジションでそういう集まったものを一応見たり、考えたり、研究をしている段階だというふうに平たく言うとなるのですが、これはもうきちっと、推進本部を担当する事務局としては総合的にそういった情報が入ってくる窓口をちゃんと設定をする、そしてそこでデータの整理を行う、使えるもの使えないもの、それからそれをまたもっと深く研究してもらおうというようなときには、それに対する助成なり補助も行っていこうというようなものを一元化するようなことを、もう科学技術庁として考える時期に来ているとどうしても私は思うのです。局長はまだまだという考えのようですが、これは大臣、私はぜひやってもらいたいと思いますし、そうする時期にもう来ているのじゃないかと思うのです。ばからしいと思わずに、そのことをまともにおやりいただきたいと思いますが、いかがですか。
#118
○熊谷国務大臣 先ほどからいろいろ先生の御意見を承っている次第でございます。御承知のようにさきの国会におきまして大規模地震対策特別措置法ができたわけでございますが、この法におきましても、やはり予知推進本部はまだ科学技術庁がお預かりしているという状態でございます。これも申すまでもありませんが、予知対策についてはもっと強力にやるべきだ、そのためには機構を一元化すべきだというような話も一部に出ておりますが、これまた御承知のように予知技術はまだ残念ながら非常に低い段階でございまして、やはり現在のそれぞれの機関におきまして観測しながら研究していく、またその過程において予知に必要なものを取り出して予知に役立てるといったような、何かそういうすっきりしないような状態にあるかと思うわけでございます。
 いまいろいろお話しになりましたことについては、たとえばいろいろ民間の情報を活用しますとかあるいは中国におけるいろいろなあり方を十分研究して、取り入れるべきものは取り入れるとかという問題でございますが、これはもうごもっともな御意見であると私は考えております。
 そこで、いま御承知のように予知対策推進本部に幹事会というのがございまして、各関係省庁の当事者が集まりまして検討する会議になっておりますので、その会合におきまして直ちに一遍検討していただくということ、今後の進め方について、民間情報やらあるいは進んで中国のあり方を研究するといったことを、その取り扱いを検討してもらうということでひとつ進めたいかと思っておるわけでございますので、そういうふうに御返事を申し上げておきます。
#119
○原(茂)委員 それでは重ねて言っておきますが、いま私が最後に大臣に言った二つのことを課題として実施に移すように、ひとつできるだけ骨を折っていただく、その必要があると私は思っておる、それだけお願いして終わります。
#120
○楯委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。
    午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
#121
○楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。村山喜一君。
#122
○村山(喜)委員 熊谷長官、昨夜もNHKの「むつ」の特集で長官の発言も承ったわけでございますが、私も十五、六日、現地佐世保に行ってまいりましたので、その中から多くの市民の中で原子力船「むつ」についての問題点を具体的に指摘しながら、それに対するお答えをまず第一にお伺いをいたしたいと思うのでございます。
 そこで、この原子力船「むつ」が、十六日の朝十時十分にSSKの甲岸壁に接舷をいたしました。警察が四千名の部隊をもちまして規制をするという姿の中で、しかも私たちもびっくりいたしたのですが、過激派対策という名前の中で自衛組織というものが市民の中につくられて、しかも商店のシャッターをおろして、まさに暴徒が侵入をしてくる、それに対する対策を市民みずからがやるんだ、言うならば、戒厳令下のようなそういう状況が出ておりました。あるいは駅頭においては機動隊が一人一人ボデーチェックをやると同時に、荷物のチェックまでやる。背広をつけた、そう戦闘力のないようなのはアウトしておりますが、元気のよさそうなのはその隊列の中に引き込んで、そこで強制的に荷物の検査をする、こういうような状況が繰り返されておりました。私はこれを見ながら、どうも過剰警備の状態ではないかということで問題にしたいのでございますが、きょうはそれを科学技術庁長官に尋ねてみても所管が違いますので、そういうような暗い印象の中で佐世保の港に「むつ」が入ってきたということだけを長官はぜひ御認識を願っておきたいと思うのでございます。
 したがいまして、この問題は、私は辻市長とも会いましたが、安全性を無視した形の中で、たとえばこの原子力船「むつ」が入ってくることによって、SSKが救済されるとかあるいは不況の産業構造の中で佐世保市が経済的に助かるとかそういうようなものや、あるいは県と国との間において漁業補償の問題や基金の支出の問題やあるいは新幹線の問題やその他道路、港湾の整備の問題、こういうようないわゆる経済的なメリットと取引をしたというような形の中でこの問題が処理をされる限り、私は「むつ」の問題というのは将来性はない、政治の谷間で、あらしの中で翻弄されているような気がするのです。科学技術庁長官はそういうような角度から問題の処理をされようとは思っていないのでありますが、したがいまして、私がいまからお尋ねをいたしますことに対しては、ひとつ長官の率直な見解をお聞かせ願いたいのでございます。
 まず第一点は、長官は、四者協定が結ばれました、その中で新しい母港を選定するために努力をするんだと言いながら、今度改修に出かけました「むつ」が今日においては帰るべき母港を持っていない、このことは御承知のとおりであると思うのでありますが、改修に三年かかる。とするならば、その三年の間に一日も早く――長崎の久保知事も言っておりますが、母港化はしないんだから、知事も市長も政府が新しい母港を必ず見つけてくれるだろう、そのことは政府を全面的に信頼をしておる、こう言っておるのですが、長官は大臣をいつまでやられるかわからないけれども、しかし行政の継続性というのがございますから、これは政府の国務大臣として熊谷長官がこの席をかりてその母港選定についてはどういう決意をお持ちになっていらっしゃるのか、また確信をお持ちであるのか、その点についてまず承りたいのです。
#123
○熊谷国務大臣 まずもって、十五、六日に現地に赴かれましていろいろな非常に暗い印象を持ったというお話でございまして、これは私も大変残念に思っているところでございます。
 それから、過剰警備という観点から科学技術庁にいろいろ言っても所管違いと言って逃げるかもしらぬというようなお話でございますが、決してそういう気持ちではありませんが、何分私どもとしましては、警備の点は私どもの守備範囲以外でございますから、かれこれお答えする資格はありませんが、これは私の想像でございますが、これは新聞に書かれたことがどうも誤報であるならばそこはやむを得ないかもしれませんが、とにかく東の成田、西の「むつ」というふうなことが毎日書かれまして、いわゆる秩序ある反対運動を超越した暴力的なそういういろいろな騒ぎが起きるのではないかと心配される警備当局のお手配もあったのではないかと考えるわけでございます。しかし、これも決して歓迎すべきことであるとは思っておりませんが、万やむを得ない処置であると考えておりますので、この点も御了承を願いたいと考えておるわけでございます。
 それから、新母港の問題でございますが、御承知のように、もちろん佐世保は五者協定によりまして、一日も早く、できることなら入港するまでにでも決めるというように努力せよということを五者協定の上で述べておられて、われわれもそれに同意しているわけでございますから、われわれとしては極力努力しなければならぬわけであります。また、一方の「むつ」におきましても四者協定ができているわけで、政府といたしましてはこれを履行する立場におりますから、この面からも同様なことでありまして、一日も早く選定を急がなければならぬという決意には変わりはありません。これは私が長官であると否とにかかわらず、現在政府としては一刻も早くこの母港を決めなければならぬということは確言できると考えるわけであります。
 そこで、選定の方針でございますが、従来、母港の問題に伴いましていろいろなことが議論になっているわけでございます。あるいは地域開発的ないろいろな問題あるいはその他のいろいろなメリットの問題に引き回され過ぎるというような、そういう批判が存在しておりますことも十分了承しているわけであります。
 いろいろなことを申し上げれば切りがありませんが、今日までの「むつ」の問題につきましては、私は出発点からも考えまして、いろいろ反省すべき点がありますが、その反省しなければならぬ点の一つは、何よりも前に、原子力船に対する地元の皆様の御理解、そういうものを求めるということが欠けていたのではないかと考えるわけであります。特に、原子力船の必要性なりあるいは安全性という問題がありますが、その原子力船の安全性に対する理解が十分でなかった。これはもちろん一般なり地元なりの問題というよりは、やはり政府としての責任と考えなければならぬ。原子力船「むつ」には「むつ」に関するいろいろ安全性をめぐる問題があると考えます。あるということは、安全であるかないかということは別としまして、住民のこれに対する理解が一番大切でありますが、これが十分でなかった。それがいろいろな問題を起こし、また今日までそれが尾を引いている、こういう現状であると思っております。
 したがって、母港選定につきましては、どこまでも政府が地元の方の御理解を得た上で話を進めていく。地元の方の御理解を得るということになれば、多少のその手間は事実かかると思うわけでありますが、しかし、この点をないがしろにいたしましてほかの問題で母港の問題を進めていくということは不可能に近いことでもありますし、あるいは一たんそういう形が生まれましてもすぐに瓦解するおそれがある問題でありまして、どこまでも地元の方々の御理解を得るということをもう第一義的に考えている。これはいま申しましたように多少日にちがかかると思いますが、やはり急がば回れということわざにもありますように、この第一の問題が幸いに解決しますと、あとの問題は必ずしもそう厄介な問題ではないと私は考えているわけでございます。
 したがって、いつ幾日までに母港を決めよと言われましても、あるいは確信を示せと言われましても、残念ながら具体的にいつまでにということは申し上げられませんが、何としましてもそういう方針で努力を傾注いたしまして、なるべく早い機会に母港を選定する、こういう方針で考えているわけであります。私は、これは政府としての考え方であるということをここで申し上げても差し支えないと考えるわけでございます。
#124
○村山(喜)委員 長官は居座りはしない、住民は居座りをするのではないかと根強い疑惑を持っておる。ということは、社会党や県総評が「むつ」来るなというので署名をとったら、一カ月足らずの間に四十万集まったのですね。長崎県はそんな大きな県ではございませんが、それくらいの署名がある。
    〔委員長退席、馬場(猪)委員長代理着席〕
被爆県でございますから、住民感情、県民感情の中にはそういう流れがある。そして、いまは平和利用だからということで政府の言明を信じ、また、これを母港化するようなことは絶対しないという市長の言明を言じておるのだけれども、場合によればそこに居座りをするのではなかろうかという市民の不安な気持ちというものはぬぐい去ることはできない。とするならば、それはいままで政府のそういう実績があるからそういうようなことを言っているわけですから、それは絶対にない、居座るようなことは絶対にない、そのことだけは言明できますか。
#125
○熊谷国務大臣 居座りをするというようなつもりはありません。
#126
○村山(喜)委員 そこで私はこの改修の内容について逐次承ってまいりたいと思うのですが、まずこの問題は、長官からお答えいただかなくても、担当の局長なり課長の方から御説明をいただいて結構でございます。
 そこで、三カ年間で予算化されているのはたしか五十五億だったと思うのでございますが、その予算の中身は、いわゆる一般の船体のさび落としといいますか、そういう定期検査に必要な部門と、それから中性子の放射能漏れを起こしました遮蔽体の改修と両方合わせて五十五億程度、これは三年で予算措置がされている、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。その中身はどうなりますか、内訳は。
#127
○山野政府委員 ただいま先生御指摘の五十五億円と申しますのは、私どもが遮蔽改修工事費として見込んでおる数字でございまして、これは将来、具体的には事業団が相手会社といろいろ念を押しながら決めてまいる数字ではございますが、ただいまこれはまだ予算化されておるわけではございませんで、来年度の予算要求として国庫債務負担行為額として約五十五億円の要求をいたしておるわけでございます。
 この内訳と申しましては、これは将来契約のときにはっきりするわけでございますが、予算の積算として使っております数字を御参考までに申し上げますれば、一次遮蔽改修の工事費としまして約三十二億円、二次遮蔽改修工事費といたしまして約二十三億円というのがその内訳でございます。
#128
○村山(喜)委員 そうすると、原子力船「むつ」の船体の本来のいわゆる修繕費というのはこの中には入っていない。いわゆるそういうような遮蔽改修費だけが国庫債務負担行為として計上されているということでございますね。そうなると、これはどこがその仕事をやることになりますか。
#129
○山野政府委員 契約の相手方につきましては今後事業団が詰めていく問題でございますが、最も予想されますのは、当然この「むつ」が入港をいたしております佐世保重工業、それから過去におきまして「むつ」の原子炉部分を担当いたしました三菱原子力工業を中心とした三菱グループ、さらには「むつ」の船体の建造を担当しました石川島播磨重工、この三社の協力体制といったふうなことで遮蔽改修、総点検並びにそれに伴う修理が行われるというふうに考えております。
#130
○村山(喜)委員 これらのいわゆる改修の作業というのは本年度行われますか。それとも、来年度予算化された後に行われるということになるのですか。
#131
○山野政府委員 今後の作業日程でございますが、とりあえず五十三年度中は船体のチェックを行います。これは四十七年に船底の点検を行いまして以来行っていないものでございますので、これをまず最初に行いまして、これに続きまして五十三年度中は総点検作業というものを進めると同時に、遮蔽改修問題につきましては、事業団におきましてほぼ遮蔽改修の基本設計を終了いたしましたので、近々のうちにこれの法に基づく安全規制をお願いする運びになろうかと思いますが、本年度いっぱいでこの法の許可を得まして五十四年度当初から遮蔽改修工事にかかる、大体そういったふうな作業日程を考えております。
#132
○村山(喜)委員 局長も御存じのように、佐世保重工の場合には原子力関係の専門家はおりませんね。したがって、船体チェックはできるだろうと私は思うのです。しかしながら、遮蔽改修の仕事で一体SSKにとってどれだけの仕事がもらえるだろうかということを考えてみますと、原子炉の周辺にある構造物でございますから、それだけの陣容を持ったところがやはり主体になってやらざるを得ない。そうなれば三菱原子力工業が中心にならざるを得ないということから見まして、佐世保重工が契約の対象となり得るのだろうかという疑問が現地の人の中にもありますし、われわれもそう考えている。これは対象になり得るのですか。
#133
○山野政府委員 佐世保重工の持っております原子力についての専門知識の程度でございますが、従来、事業団が基本設計等の作業を進めるに当たりまして佐世保重工からの社員の出向も受けておりまして、佐世保重工としましてはそういう機会を通じて専門家の養成に努めてまいったわけでございますが、今後この「むつ」の遮蔽改修、総点検工事をやるに当たりましては、従来原子力関係に経験のある三菱原子力工業あるいは三菱重工業、また石川島播磨重工業といった会社の支援も受けるということになろうかと思います。そういう趣旨で、先ほど関係各社の協力体制と申し上げたのでございます。
#134
○村山(喜)委員 そこで、遮蔽工事の設計はもうでき上がったとおっしゃいましたね。これから安全審査のチェックを受けるわけですが、これはどういう手続になりますか。
#135
○牧村政府委員 現在、原子力船開発事業団におきまして遮蔽工事本体の基本設計はすでにほぼ終了したということでございまして、この遮蔽工事が行われますと、その新しい遮蔽の遮蔽効果と申しますか、そういうようなこともあわせて評価することが安全審査上重要でございます。現在、原子力船開発事業団ではそれらの点の最後の詰めを行っておる段階と私ども聞いております。その結果、規制法並びに船舶安全法に基づく審査が出てくる段階になろうかと思っております。もうそれほど――あるいは来月ころに出てくるのではないかというふうに考えております。
#136
○村山(喜)委員 そういたしますと、新しい遮蔽効果の査定というのですか、評価というものは、これは新しく発足いたしました安全委員会の初めての仕事になりますか、なりませんか。
#137
○牧村政府委員 先生御指摘のように、新しい基本法等の改正によりまして、まず行政庁が安全の審査をいたしまして、その上で原子力安全委員会のダブルチェックを受けるという体制を整えさせていただいたわけでございますので、当然この審査を受けることになるわけでございます。
 そこで、安全委員会の重要な安全審査は、恐らく原子力船がトップの方に参る、一番最初かどうかはちょっとわかりませんが、いずれにしても早い時期に原子力安全委員会のダブルチェックを受けるということになろうかと思います。
#138
○村山(喜)委員 そこでお尋ねをいたしてまいりたいと思うのですが、この原子力船「むつ」が中性子の放射能漏れを起こしましたのは、遮蔽構造が不十分であるために起こったのだというふうに説明をされておりますね。それだけでございますか。
#139
○山野政府委員 「むつ」の放射線漏れの原因につきましては、発生直後に科学技術庁と運輸省が合同で設置しました「むつ」放射線しゃへい技術検討委員会というところで原因の究明を行ったのでございますが、その結果、この原因は主として高速中性子が遮蔽体の間隙を伝わって漏れ出る、いわゆるストリーミングと称する現象に起因するものであるというふうな結論になっておるわけでございまして、このことは、その後総理府に設けました「むつ」放射線漏れ問題調査委員会においても確認されておるわけでございます。
#140
○村山(喜)委員 主としてとおっしゃいましたね。従たるものがあったのでしょうか。炉の構造そのものの中から、遮蔽装置そのものの中でこれが防ぎとめられなかったのだ。しかしながら、原子炉の場合でも、これは日進月歩の勢いで進んでまいりますから、当時の「むつ」の原子炉の構造の中でそういう中性子が飛び出るような構造というものは、炉自体には欠陥はなかったのですか。
#141
○山野政府委員 これはあくまでも遮蔽の問題でございまして、炉自体の問題ではなかったというふうに理解いたしております。
#142
○村山(喜)委員 とするならば、きわめて初歩的な間違いを当時は起こした、こういうことでございますね。
#143
○山野政府委員 わが国におきましては、申すまでもなくこの「むつ」が原子力船の第一船でございまして、昭和三十年代の末にこの計画を発足させましたときには、まだわが国には船の原子炉の遮蔽の専門家というのはいなかったわけでございまして、そういう状況下でスタートしたということを考えますれば、当時の技術水準から見ましてある程度はやむを得なかったことかと思われますが、なお大山委員会の指摘等にもありますごとく、その際外国の専門会社にいろいろレビュー等を求めておるわけでございますが、その過程におきまして適切な配慮等を欠いた面もあったということで、私ども深く反省をしておるわけでございます。したがいまして、率直に申し上げまして、遮蔽のできぐあいがよくなかったという点は、当時の技術力が不足であったというふうにならざるを得ないと考えております。
#144
○村山(喜)委員 初歩的な間違いを原子力の専門の原子力委員会の方でもチェックすることができなかった。また、安全専門審査会の方でもチェックできなかった。そういう状況の中で、四十四年の進水という形の中でこの問題が生まれていったという不幸な歴史がございます。
 そこで、この改修計画は特殊コンクリートで補強をするという形でいろいろな手だてが考えられておるようでございますが、この手だてをもう一回――いまのところとういうような手だてでやるのだということは、前回この「むつ」の問題で私が質問をいたしましたときにお答えをいただいたやり方、今日においてもそういうような方向で検討をするということになっているのでありましょうか。
 というのは、核封印方式といいますか、長崎の知事が要請をいたしました方式では非常に作業がやりにくいというような問題等がございまして、原子力局長が向こうの担当者といろいろ折衝をされたということを当時の事情として承っておったのでございますが、改修のやり方の大方の方向というのは、新聞等で発表されているような方向の中で改修をする、こういうことで変更はございませんか。
#145
○山野政府委員 遮蔽改修の方法でございますが、これは原子炉周りの圧力容器のふた部、周辺部、それから格納容器の上部、下部といったようなところにつきまして遮蔽改修を行うわけでございます。
 その後変わりはないかとおっしゃいますのは、恐らく圧力容器のふた部の遮蔽の改修の仕方についての御質問かと存じます。これは、当初私どもの予定といたしましては、圧力容器のふたを船外に持ち出しまして作業のしやすいところで遮蔽の改修をするという予定にいたしておったわけでございますが、その後長崎県といろいろ話し合いをしました結果、長崎県並びに佐世保市の御希望としまして、圧力容器のふたを船外に持ち出しませんで、ふたをしたままで遮蔽の改修はできないか、そうする方が地元としては受け入れやすいという御提案がございました。
    〔馬場(猪)委員長代理退席、委員長着席〕
これにつきまして事業団で検討し、さらにこの遮蔽の改修等を進めるに当たりましては、別途に私どもと運輸省でいわゆる安藤委員会という委員会をつくりまして、この計画内容の当否をいろいろ検討願っておるわけでございますが、その委員会でも検討していただきまして、その結果、圧力容器のふた部を船外に持ち出さないで遮蔽改修をするのは、若干作業性を損ねるけれども、技術的には可能であるという結論をいただきましたので、長崎県の御提案を入れまして、このふた部の遮蔽改修につきましては当初の予定を変えまして、船内でそのままの姿で行うというふうに変えた次第でございます。
#146
○村山(喜)委員 去年の七月、安藤委員長が技術検討委員会で、燃料棒を積んだ現状のままでも安全に修繕ができるということで、たしか圧力容器のふたを外さないで工事ができるのだというような内容の説明をされたことを記憶をいたしております。その場合に、圧力容器のふたはそのままにいたしまして、例の制御棒の駆動装置はどうなりますか、これを外さないで工事がやれますか。
#147
○山野政府委員 制御棒自体は動かしませんが、制御棒を駆動いたします軸は一時取り外しをいたします。
#148
○村山(喜)委員 私もこの図面を見ておりまして、上部第一次遮蔽コンクリートの入れかえをやる、とするならばやはり制御棒駆動装置のそれを外さなければ、その下にある遮蔽装置を改修できるはずはない、こういうふうに考えておりましたが、ということは、制御棒は動かさないけれども駆動装置を外すということは、どういうような意味を持っているのですか。
#149
○山野政府委員 制御棒を動かさないということは、原子炉が臨界になるような状況にはならないということでございますし、それから制御棒の駆動軸を取り払うということは、それによってふた部上部の遮蔽改修の作業性がよくなるということでございます。
#150
○村山(喜)委員 そうするならば、いわゆる制御棒の駆動装置を始動させるかぎは知事が預かる、こういうことでございましたね。それは知事が預かったままでその軸が外すことができるんですか。
#151
○山野政府委員 長崎県知事に預けました制御棒駆動盤のかぎと申しますのは、ただいま御説明いたしております改修が済みまして、再び制御棒の駆動軸を取りつけまして制御棒の駆動試験を行うときに必要なかぎでございまして、ただいま遮蔽の改修をする段階でこの制御棒の駆動軸を取り外すということについては、この駆動盤のかぎというのは何ら関係のないものでございます。
#152
○村山(喜)委員 そこで、制御棒の駆動軸は取り外して、その下の遮蔽構造物について改修をしていく、その順序はどういうふうになってまいりますか。一番初めにハッチカバーの撤去から始めるんでしょうが、改修の順序はどのようになりますか。
#153
○山野政府委員 ただいましさいなことについては手元に資料を持っておりませんが、ごく粗筋で申し上げますれば、格納容器の中で圧力容器上蓋部の制御棒駆動軸のような作業性を損なうようなものをすべて取り払いまして、この上蓋部に水素化ジルコニウムを積み重ねていく。これは小さく区分けにしたものを二重に積むという工程で行うわけでございまして、これを積みました後、再び制御棒の駆動軸を初め所要の付属の機器をセットしていくといった手順で行うことになろうかと思います。
#154
○村山(喜)委員 作業の内容の細かいのは結構でございますが、そうすると圧力容器の上ぶたは搬出はもう絶対にしない、したがって仮ぶたも設置する必要はない、こういうように考えておいて間違いございませんか。
#155
○山野政府委員 そのとおりでございます。
#156
○村山(喜)委員 それともう一つ確認をしておきたいのは、制御棒の駆動軸を外すということと制御棒の駆動装置を始動をさせるということとは、これはもう全然別個のものである、したがって、その制御棒の駆動装置の軸を外す作業の関連から、それは外すことだけでは原子炉を動かすことではない、こういうように解釈していいんですか。
#157
○山野政府委員 そのとおりでございます。
#158
○村山(喜)委員 そこでこれらの改修を進める中でいろいろな放射能の吸収の材質というんですか、中性子をさえぎるような材質というものを使っていくんだということでございますが、その材質はどの程度の効果があるということになっておるんですか。これをやれば完全に二度とそういうような中性子漏れというようなものは起こらないという自信がおありでございますか。
 というのは、私がなぜその点を念を押しているかといえば、わずか出力一・五%程度であのような放射能漏れを起こした、こういうような状況の中で、果たして今度の改修が科学的に見てそれで完全に放射能漏れを防ぎとめる材質として使われているものが信用できるだろうか、こういう疑問があるからでございます。
#159
○山野政府委員 事業団で計画いたしました新しい遮蔽材料並びに新しい設計概念に基づきまして日本原子力研究所におきまして所要の実験をいたしまして、その実験の成果に基づきまして事業団が基本設計作業に入ったわけでございます。先ほど申し上げましたように、この基本設計作業というのはほぼ終了した段階にあるわけでございます。その過程におきまして、この使用材料あるいは実験の結果並びにその後の各種の作業につきましては絶えず安藤委員会のチェックを受けながら進めていただいておるわけでございまして、従来までの開発の成果というものには事業団は十分に自信を持っておりますが、さらにこれに加えましてこの後は規制当局の安全の審査を受けまして、その上で作業に取りかかるということでございますから、先生の御指摘のような懸念というのは十分に払拭すべく配慮しながら進めておるということが言えようかと思います。
#160
○村山(喜)委員 今後安全ダブルチェックの中で十分に審査が行われていくであろうということを私たちも期待しておりますが、それらの内容についてはまた日を改めまして問題を追及いたしたいと思います。
 そこで私は、この「むつ」に積んである原子炉が三十年代の設計ですかね、四十四年に進水をしたんですから、日本の原子力がまだ初期の段階の中でこの原子炉が設置をされているという状況の中から、この前も原子炉の今日のトラブルがどういうようなものがあるのか、それを牧村さんにお尋ねをいたしましたときにお答えをいただいているんですが、出力試験の本当にわずかだけしかやらない中で出てきた。それはまあそれとして、放射能漏れの改修作業が進められていくわけでしょうが、この原子炉そのものについてはもう一回安全性について今日の時点で再点検をするという必要性はないのであろうか。
 というのは、原子力発電所の中から幾多のトラブルが今日まで発生をしております。たとえば細管のひび割れの問題であるとかあるいは燃料棒の折損事故の問題であるとか、蒸気発生器の減肉の問題であるとかというようなものが出ておるわけですね。というのは、その時代につくられた美浜一号から浜岡原発から、最近のそういうようなトラブルの多いのは古い時代につくられた原発の中にそういうようなものが多く出てきている。とするならば、それと同じころにつくられた原子力船の「むつ」の原子炉についても同じような、いわゆる材質の中でも構造的な欠陥を持ったものを使っているのではないだろうか。だから遮蔽工事だけは進んだけれども、原子炉そのものが古い形のものだから、今度は三カ年間ぐらいで改修して、いよいよ海の上で五カ年間ぐらい走らせる作業に入ったときに、また事故が発生をするのではないだろうかという懸念が浮かんでくるのでございますが、それはございませんか。
#161
○山野政府委員 安全性の総点検につきましては、原子炉プラントを中心としたハードウエアの点検のみではございませんで、ただいま先生が御指摘になりましたようなソフトウエアにつきましても事業団はいろいろと検討をしておるわけでございまして、陸上炉で発生しました各種のふぐあいにつきまして、同種のトラブルが「むつ」の原子炉にも発生するかどうかを検討するといったふうなことでございますとか、あるいは陸上炉に適用されます新しい安全基準あるいは新しい安全設計の考え方というものを「むつ」に適用することの是非といったふうなことにつきましても、事業団は検討しておるわけでございます。その結果さらに現在のものに修理を加える必要があると事業団が判断した場合には、そのものを再び基本設計をいたしまして、所要の審査なり検査を経まして工事を行うといったふうな運びになろうかと存じますが、結論としましては御指摘のようなソフトにつきましても点検をいたしておるという状況でございます。
#162
○村山(喜)委員 長官、お聞きになっていらっしゃるとおりでございまして、三年間で改修をする、その後には五年間の実験航海が待っておる、こういうような当初の計画でございました。その後、研究船としてこれを使ったらどうか、サバンナ号のように係留をして、それを博物館のように使ったらどうかという意見等もあります。
 そこで私は、どういうふうにこれからは原子力船の問題というのをとらえていらっしゃるんだろうかというふうに考えているんですが、修理後の用途なりあるいは経済性の問題なりあるいは必要性の問題なり、昭和三十年代や四十年代の初めのころからいたしますと、「むつ」がこのような事故を起こす中で世の中が大分変わってきつつある。そういうようなことから、どうも原子力船に対する平和利用というものが初めの期待どおりにいかぬものですから、疑われ始めてきているというところに問題があるんじゃないかと私は思うのでございますが、今後の問題については大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるんですか。これはやはり大臣の答弁でなければだめだと思うのですが、いかがですか。
#163
○熊谷国務大臣 大臣の答弁でなければいかぬとおっしゃいますので答えますが、これは率直に言いまして、考え方によりましては非常にむずかしい問題かとも思います。しかし、大体私どもの考えておりますことは、時代に多少早い遅いはありましても、やはり原子力船を必要とする時代は最初予想されました前後には来るものと考えているわけでございます。したがって、当面一刻も早くこれの修理を完了いたしまして、そしてそういう原子力船の必要とされる時代に備えていかねばならぬという考えには変わりはないわけでございます。
#164
○村山(喜)委員 最後に一つだけお伺いをしておきたいと思いますが、これは原子力発電所の問題でございます。具体的な問題として申し上げますが、鹿児島の川内原発が五十二年の十二月の十七日に総理大臣の設置許可が行われました。その後住民の側から異議申し立てをいたしておるわけでございます。私も十二月の二十七日に総理に対する安全審査に関する質問主意書を出しまして、ことしの一月の二十四日に答弁書をいただきました。その後科学技術特別委員会でもこの地質、地盤の問題については私がなお疑問とする点をただしたのでございますが、その後この異議申し立ては今日依然としてまだどういうふうにしたという結果を聞いておりません。ちょっと政府の科学技術庁の方から九月に課長が現地に参っていろいろ協議をしてまいりましたという話は聞いているのです。
 ところが、科学技術庁の方は原子炉等の設置に関する法律に基づいて処理をされておる、片一方においては通産省のエネルギー庁は、これは事業法によりまして会社が出しました実施設計を審査をしている、こういう状況であるようであります。私も、九月の中ごろだったと思うのですが、科学技術庁の方に聞いてみましたら、いやその結論は聴聞会、現地で意見を述べる、そういうような機会はつくることは約束をしておりますのでやりますけれども、それは十月になるでしょう、こういうような話でございました。それからエネルギー庁に尋ねてみましたら、いやわれわれは別の法律に基づいていま鋭意審査を行っているのでございまして、法律の上から見て当然それぞれが独立をしているのでございますから、そういうような意見聴取の機会が反対住民に与えられなくても与えられても、われわれは一つの法律に基づいて処理をしてまいりますという話でございます。
 そこで私は、これは熊谷長官は科学技術庁長官であると同時に国務大臣でございますから、民主主義の原則というのは、今日原子力行政に対する不信という中にも存在をしているとおり住民をつんぼさじきにして、上のおれたちがわかっているんだからおれたちが決めていくんだ、おまえたちはついてこい、こういう形のものが今日まで続いてきたところに悲劇が生まれているんだという気がするのであります。したがいまして、民主主義的な手続を経た上で、そしてその結果異議申し立てが理由なきものとして却下される、そういう状況があった後に原子力発電所のその通産省の詳細設計ですか、実施設計というものが承認をされるという、そういうようないわゆる一つのルールというものが確立をされなければ、片一方の原子炉等の規制法によってそういうような異議申し立ての処置をしている、片一方においては電気事業法に基づいて許可をしていきますというような政治というものはあり得ないんじゃないだろうか。仮に百歩譲って原子力発電が必要であるということを認めるといたしましても、その点については、やはり民主主義のルールというものはその手続にあるということを考えますと、そういうような愚かなことは熊谷長官は国務大臣としては賛成なさらないだろうと思うのでありますが、それはやはり法律は法律だからそのとおりやりますということでございましょうか。長官の御所見を承っておきたいと思います。
#165
○牧村政府委員 九州電力の川内原子力発電所につきましての設置許可にかかわります異議の申し立ての概要、経緯等を先に私から簡単に説明させていただきたいと思います。
 先生御指摘のように二月の十四日に異議申し立てが行われまして、その後四月に日頭意見陳述、鑑定等を行ってほしいという御要請を受けてきたわけでございます。その間、私どもは、この不服審査法に基づく審査は書面審査が原則でございますので、書面審査を部内で行ってきたわけでございます。その間、七千人余にわたります陳述人の資格等につきまして、非常に形式的ではございますけれども八月の末ごろまでに異議申し立て書の書類の整備等も行ってきたわけでございます。そこで、九月に入りまして総代の方と口頭意見陳述のやり方等を御相談しておるわけでございますが、本件の場合、申し立て人全員が口頭意見陳述を述べたいんだ、それで一回五人といたしまして、地元で千四百回余にわたる陳述の機会を与えてほしいというような要請が出されておりまして、これは行政措置といたしましても過去に例を見ないような行政事務になるというようなことから、なおこの意見陳述のあり方につきまして総代といろいろ御相談申し上げておるというのが現状でございます。私どもといたしましては、できるだけ早く話し合いを詰めまして、この処置を的確にやってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#166
○熊谷国務大臣 いま言われましたのは、考え方といたしましては私はそのとおりであると思いますが、現在の時点におきまして異議申し立ては異議申し立てとして受け取りまして、そして鋭意その審査を急ぐということは、これは言うまでもありませんが、異議申し立てが出たからそれまで諸般の手続をとめるというわけにはまいらぬかと考えるわけでございます。
 しかし、その間のいろいろな処置については、先生のお話のようにそういういろいろな民主主義的な考え方、手続の考え方は十分とってまいらねばならないと思いますが、異議申し立てが出たから手続をもうすっかりやめてしまうというわけにはまいらぬ、重ねて申し上げますけれども、そういうつもりでございます。
#167
○村山(喜)委員 一言……。
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の七十条によりますと、異議申し立てと訴訟との関係では、やはり異議申し立てが却下された後に初めて訴訟の対象になると書いてある。片一方、電気事業法によりまして電気工作物設置の問題については、これは通産大臣の一つの基準に照らし合わせて、その条件を備えておれば許可する。したがって、総理大臣の設置許可に対して異議申し立てをしているのに、片一方では通産大臣が原子炉本体の電気工作物まで許可してしまって、そして構造物ができ上がったその中で異議申し立てが却下されて裁判になる。裁判になったらまた伊方の裁判と同じように、そういうものが現実に着工されている中では裁判に影響を及ぼすことは必定であります。そういうような手続的な上において、しゃにむに一つの既成事実をつくり上げていこうとする姿勢の中に今日の原子力行政の混迷がある、私はそう思います。したがって、その点については、大臣の答弁は、原則は民主主義的だが実態はそうはいかぬとおっしゃる、そういう姿勢がきわめて問題だということを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。
#168
○楯委員長 春田重昭君。
#169
○春田委員 最初に原子力船「むつ」の問題についてお尋ねいたします。
 先ほどの話によりますと、大臣は、新定係の母港の問題でございますが、要するに地元住民の理解が第一である、新定係港はまだ決まってない、その期間もいつまでとは言えない、こういうようなお話でございましたけれども、それなりの選定の努力はなさっていると思うのです。その経過を大臣から直に御答弁いただきたいと思います。
#170
○熊谷国務大臣 実はこの新定係港の問題は、先ほど大体申し上げましたところと重複いたしますが、佐世保の問題におきましては五者協定、また「むつ」の大湊の関係では四者協定でありまして、現在母港が決まっていないというまことに窮迫した状態でございます。一日も早く決めなければなりませんが、ただ先ほど申しましたように、どうもいままでの選定の仕方にはいろいろ考えさせられる点があると考えまして、そして何としても、地元の受け入れをしていただく方々が原子力船の安全性に関していろいろ具体的な場合について御疑念や不安があれば、そういう点を率直に承って、十分それにお答えして、そうして合意を得られた上でなければなには決められないというような考え方をまとめましたり、あるいはそれに付随します施設の問題でありますとか、そのほかのいろいろな問題をまとめておりまして、実はまだ公表は差し控えさしていただきたいと思いますが、お話のありましたそういういろいろな点につきましての感融を、とりあえずいま承っているという状態でございます。もう少しその要綱を具体的に検討いたしました上で、はっきりひとつそういうところを挙げまして交渉してみたい。したがって、まだどこそこというような具体的な場所を検討の対象とするということまでは申し上げられる段階ではない。いま申しましたような経緯で進めておるということを申し上げる段階かと思います。
#171
○春田委員 原理原則はわかるのですが、要するに、母港に対する具体的なアクションというものはまだ起こしてない、こう理解していいわけですか。
#172
○山野政府委員 ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございますけれども、具体的には従来私どもの方に誘致の希望を申し出られた地点もございますし、あるいはそういうふうな申し出がないまでも私どもが非常に適地ではあるまいかと思っておるところもございますので、この両方につきまして、ただいま図面上における検討をしておるという段階でございまして、近々のうちにさらにこれを一歩進めまして、大臣の申し上げました方針に従いまして具体的な詰めに入ってまいりたい、こういう状況でございます。現在すでに活動を起こしておると言ってよろしいかと存じます。
#173
○春田委員 局長の答弁の具体的な活動を起こしているというのは、要するに庁内の活動なんでしょう。先方との具体的なアクションは行われていない、こう理解していいわけですね。
#174
○熊谷国務大臣 大体そういうことでございます。
#175
○春田委員 ここに五者協定がございますけれども、五者協定は九項目から成っていますね。これはことしの七月二十一日に結ばれております。その第一項目の中には、科技庁及び事業団は、「「むつ」の新定係港を早期に決定するものとし、「むつ」の佐世保港入港を待たずに新定係港の選定のための努力をするもの」と、こうなっておりますけれども、いまの大臣の答弁また局長の答弁からすれば若干、要するにその具体的なアクションを起こしてないということは、この条文の第一項目に違反するのじゃないですか。
#176
○山野政府委員 これは修理港問題の決着とも非常に関係の深かったことでございまして、実は長崎県並びに佐世保市、長崎県漁連と話し合いを進めております過程で、地元に修理港がそのまま母港につながることはないだろうかという御懸念等もございまして、そういう趣旨でその第一項は入っておるわけでございます。
 政府としましては、あるいはまた事業団といたしましては、その第一項の趣旨に沿いまして、できるだけ早く母港を決めようということで、先ほど申し上げましたような手順で庁内の作業を始めておるわけでございますが、努力をしたけれども佐世保に入港するまでに決着するに至っていないではないかという御指摘はそのとおりでございまして、これは今後できるだけ早く母港を決定するということによって実質その一項に沿うように努力していきたい、こういうように考えております。
#177
○春田委員 いずれにいたしましても、五者協定が決まった以北、この第一項目というのは一番の重要な問題でございますし、そういう第一項目が崩れていったならば、いわゆる五者協定そのものが非常に希薄なものになっていくわけですよ。そういう点で早急にということは、これは大臣、三年間修理期間があるわけでございますけれども、大体の目安としてはいつごろ決めたいという庁内のまとめといいますか見解があるわけでしょう。どうなんですか、その点。
#178
○熊谷国務大臣 新母港を一刻も早く一日も早く決めよと言われる御趣旨はごもっともでございます。ただ、なかなか非常に困難な問題でございますので、必ず決めますというお約束をしたわけではありませんので、最善の努力をしますと、こういうお約束をしたわけでございますから、違反というふうには思ってはおりません。しかし、非常に困難な問題でございますが、先ほどから繰り返して申し上げておりますように最善の努力をいたしまして、できるだけ早急に新母港を決める、また決めなければならぬと考えておるわけでございます。
#179
○春田委員 ちょっといまの大臣の答弁の中で、必ず決めるとは言ってないということはどういう意味なんですか。
#180
○熊谷国務大臣 決めるように努力するというふうに私どもは承っているわけでございます。また私がそれを、書面を見ましてサインいたしましたときには、「努力をするものとする」と、こういうふうに書いたかと思っておるわけでございます。
#181
○春田委員 確認しますけれども、それは時期の問題ですね。要するに新しい母港というのは必ずつくるんでしょう。そう理解していいんですね。いまの大臣の答弁からいったら、新しい母港を決めるとは必ずしも言ってないように聞き方によっては聞こえるのですけれども、そうじゃないんですね。
#182
○山野政府委員 問題は二つあろうかと思いますが、まず一つは、ただいま大臣申し上げておりましたのは、五者協定の一項で「努力をする」というのがあるわけでございます。これは努力をしたけれども間に合わなかったということでございますが、実は率直に申し上げまして、この合意協定書の時点で入港までに決定することがむずかしいであろうということは先方もお認めいただいておったわけでございますが、しかし、政府の気組みとしましてはこれくらいの気組みでやってほしいという御希望がありまして、私どものんだということでございます。
 いま先生の御指摘の方は、この努力のことではなくて、今後いつをめどに母港を決定するんだという御質問の方かと存じますが、この方につきましては、大臣のお気持ちは、時期を明言するわけにはまいらぬけれども、しかしできるだけ早く決めたいと思っておる、まあこういう御趣旨だと存じます。二つちょっと混線しておるようでございますので、そのように考えております。
#183
○春田委員 それから第五項目に、「一次冷却水を船外に放出しないとともに、環境の保全について十分配慮する」ことになっておりますね。この一次冷却水を船外に出さなかった場合、どういう形でためていくのですか。
#184
○山野政府委員 修理港にいる間は、おっしゃいますように一次冷却水は一切船外に出さないわけでございまして、これはすべて船内のタンクに貯蔵いたします。現在持っております放射性廃液のタンクに加えまして、さらに今後増設をする予定にいたしておりまして、これら増設されるタンクを含めましてすべて船内のタンクにだけ貯蔵するということで、一切船外には出さないということにいたしております。
#185
○春田委員 修理、点検が三年間でございますし、その間どれだけ冷却水が出るかわかりませんけれども、十分船内のタンクに貯蔵できる可能性があるわけですか。
#186
○山野政府委員 御参考までに、ただいま考えております放射性液体廃棄物の発生量を申し上げますと、大体三年間で八十八立方メーターというふうに考えておるわけでございますが、現在船内にはすでに二十七立方メーターの廃液がございます。したがいまして、三年たちますと、佐世保を出港しますときの予想保有量と申しますのは百十五立方メーターになるわけでございますが、これに対しまして、既存のタンク容量が約四十三立方メーター、これに増設を予定いたしておりますものが百立方メーターでございまして、合計百四十三立方メーターでございます。したがいまして、保有の予想量百十五立方メーターに対しましてタンク容量百四十三立方メーターでございますので、容量的にも十分余裕があろうかと考えております。
#187
○春田委員 六項目目に「魚価安定対策として必要な措置を講ずる」となっておりますけれども、これはどれくらいの費用なのか。
 それと、いずれにいたしましても、いわゆる相当なお金がかかる「むつ」ということでうわさされておりますけれども、現在まで建造費も含めて、人件費も含めて、大体この「むつ」に対してどれくらいの費用がかかったのか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
#188
○山野政府委員 「むつ」計画に過去十数年間にどの程度の経費が投入されたかということにつきまして、私の記憶で申し上げますが、原子力船「むつ」、船の建造でございますが、これが約七十億円、それから陸上付帯施設等が約三十億円弱、それからそのほかの開発費、維持費等すべて入れまして全体で五十二年度末までで二百億円程度の開発費を投入しておると記憶いたしております。
 それから、魚価安定対策でございますが、この魚価安定対策と申しますのは、現在考えておりますのは二つございまして、一つは魚価安定特別基金造成事業と申しますもの。これは、「むつ」が佐世保におります間に、私どもは、「むつ」に起因して魚介類が放射能を持って、それによって魚価が下がるといったふうなことは起こり得ないと確信いたしておりますが、しかしながら、うわさによって魚価が下がるということはあり得ることでございますので、そういう場合に備えまして、魚介類の買い支えにかかわる経費を支弁するための基金をつくる事業でございまして、これに二十億円の補助を考えております。
 いま一つは魚価安定基盤整備事業でございまして、ただいま申し上げました魚価低落に備えまして、所要の冷蔵設備あるいは製氷設備、保管施設といったふうなものの整備を行う事業でございまして、これに五億円の補助を考えております。合計二十五億円ということを予定いたしておるわけでございます。
#189
○春田委員 いずれにしましても非常にお金がかかっておるわけでございますが、この「むつ」を建造した目的というものは、将来のエネルギーのいわゆる有限性という問題ですね、そういう点からエネルギーの転換の必要がある、船もコンパクトにしなければいけない、経済的な面でコスト安ということで技術開発されたと聞いておりますけれども、いまおっしゃったように非常に金がかかり過ぎている。現在までも二百億円、それに二十五億を足したら二百二十五億円ですね。新聞等によれば三百ないし四百億くらいかかっていくんじゃないかという形の報道もされておりますし、そういう点では非常にお金がかかっておるわけでございますが、この点から考えてみて、そういう経済的な面で今後この原子力船が建造されていくかという懸念があるわけです。こういう点に対してどのようにお考えになっておりますか。
#190
○山野政府委員 私どもは、将来の原子力商船時代に備えてこの「むつ」の開発を行っておるわけでございますが、どういう時期になればそういった原子力商船時代というものが来るであろうかという問題につきましては、これは一般論としまして船が高速化、巨大化する傾向にあるわけでございまして、高速化、巨大化いたしますれば高出力の機関が必要になるわけでございます。そうなれば、原子力商船というものが経済的に有利になるということが言えるわけでございまして、原子力船時代が来る時点というのはまさにこの原子力船が在来船に比べて経済性で有利に立つ時点ということであろうかと思います。
 現在国際的におおむね一致した見解としましては、一九八〇年代の後半、今後十年ぐらいのうちにある程度のフリート規模で原子力商船時代が来るであろうと言われておるわけでございまして、私どももこれにつきましてはいろいろ内外の文献を調査するとともに、私どもの方でも、どういうスピードになり、またどの程度の船腹容量になればそういう時代が来るであろうかといったふうな検討を進めております。
#191
○春田委員 先ほどの大臣の答弁からして、必ず原子力船の実用化時代が来る、いま局長から十年後だ、こういうお話がございましたけれども、現時点からいった場合、新聞報道によりますと、アメリカのサバンナ号ですか、これは廃船になった。西ドイツも、いま商船で走っておりますけれども、これも経済的なコストの面で合わないということで、オット・ハーン号ですか、これも廃船になるやに聞いております。そういう点からいったら、高速化という話がございましたけれども、現実も高速化でどんどん走っておるわけですよね。時代としてはやはり原子力船と逆な方向に向かっておるような感じがしてなりませんし、造船界や海運界でも非常に不況でございますし、そこまでまだ考え至っていないと思うのですね。先の話ということでございますけれども、世界のアメリカや西ドイツがそういう方向になってきているのにわが国だけが一生懸命やっているみたいでございますけれども、なかなか事故等で大きな批判、また安全面で不信、不安というものがやはり国民の間に高まっているわけです。どうも何か現実面といわゆる研究の面で合ってないような気がしてならないわけでございますけれども、この点大臣、どのようにお考えになりますか。
#192
○山野政府委員 御指摘のようにオット・ハーンとかサバンナは、一方はすでに実験航海をやめておりますし、いま一つの方も近々中止しようかという状況にあるわけでございますが、これは経済性が合わないから中止をするというよりも、実験の目的を達成いたしまして、任務を終えたから運航をやめるという趣旨でございます。そういう意味でアメリカ、西独といった国々は、これらの実験船をつくった技術的な蓄積があるわけでございまして、言うなれば原子力商船時代に技術的に備えができたわけでございまして、わが国もこれにならって、できるだけ早く「むつ」によって必要な技術蓄積というものを図りたいと考えているわけでございます。
 当然これらは、オット・ハーンにしろサバンナにしろまた私どもの「むつ」にいたしましても実験船でございまして、採算を目的にしました一般商船とは違うわけでございますから、現在の時点では確かに在来船に比べまして経済性はだめでございます。これは採算に合わないわけでございますが、将来、先ほど申し上げましたような時期には必ずやそういう経済性に乗る時期が来ようかと思いますので、そのときに備えていまからわが国も準備を十分にしておく必要がある、こういう趣旨で申し上げておるわけでございます。
#193
○春田委員 原子力船開発事業団法というのがありますね。この法の改正といいますか、また事業団の改組というものがいま問題になっておりますけれども、このいわゆる事業団を研究所に変えて、この「むつ」は実用化の時代は非常にむずかしい、今後研究段階に持っていったらどうかという話が出ているように聞きますけれども、いまの局長の話からいったならばこの辺が食い違うわけでございますけれども、どうでしょうか。
#194
○山野政府委員 ただいま私どもは確かに原子力船事業団法というものを改正すべく検討をしておるわけでございますが、この検討の方向と申しますのは、過去におきまして原子力船事業団法の延長法案につきまして国会で御審議を煩わしたわけでございますが、その御審議の過程で、原子力船を開発するだけではなくてこれを構成する機器につきましての研究というものも十分にするべきである、ついては事業団を「むつ」の開発を行う機関であるのみでなく関連機器の研究もあわせて行う機関に改組すべきではないかといったふうな御意見等もありまして、それを念頭に置きながら、その方向で現在事業団の改組を行うべく諸準備を進めておるという状況でございます。原子力船というものがまだ実験船をつくる段階ではなくて機器の研究段階である、そういう趣旨で船の開発をやめて研究だけに専念すべきであるという方向での検討ではなくて、船の開発は開発としてやるとともに、これはシステムの開発でございますのでこのシステムの開発は開発として行うとともに、このシステムを構成します機器の研究もゆるがせにしないであわせ行う、そういう方向で考えておるということでございます。
#195
○春田委員 これから修理、点検をやっていくわけでございますが、これは事業団がやると思うのですが、業者との契約等はもう終わったのですか。
#196
○山野政府委員 ただいま事業団と関係メーカーとが商議中でございまして、まだ契約締結に至っておりません。
#197
○春田委員 いずれにいたしましても、「むつ」に対する政府の姿勢というのは非常に場当たり的といいますか、一貫性がないように私は思えてなりませんし、またああいう放射漏れが起こったことに端を発していろいろな問題を起こしておりますし、今日までの「むつ」の教訓というものを生かして、今後さらに原子力に対しまして政府としてはどう対処していくのか、最後に大臣にお尋ねいたしまして、この問題を終わりたいと思います。
#198
○熊谷国務大臣 お話しのように、四年前にああいう騒ぎを起こしまして、その後の原子力船「むつ」に関するいろいろな措置は、われわれといたしましても非常に異常な状態が続いてきたと思うわけでございます。この機会に決意を新たにいたしまして、何とかして原子力船「むつ」に関する措置を皆様の御協力を得まして軌道に乗せてまいりたい、このように考えておるわけでございますので、この上ともまた十分御指導いただきますことをあわせてお願い申し上げる次第であります。
#199
○春田委員 続きまして、再処理工場における放射漏れ、それから原子力発電所のいろいろな事故、この問題につきまして若干お伺いしたいと思います。
 東海村再処理工場の放射漏れがことしの八月二十四日発生したわけでございますけれども、この原因につきまして、概要につきまして、簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
#200
○牧村政府委員 八月二十四日に起こりました件につきまして御報告をいたします。
 動燃の再処理施設は現在ホット試験を行っておる段階でございます。このホット試験と申しますのは、本運転に備えまして試験的に運転をしておるものでございますが、最終段階の総合試験を実施中に、酸回収蒸発かんに故障が発生しまして、廃液を含んだ酸が蒸気の方に漏れたという事故でございます。したがいまして、新聞等に一部伝わりましたが、それが外部に漏れたということではございませんで、酸回収の蒸発かん系内での放射性物質の漏洩でございます。したがいまして、周辺に放射線が飛び散ったというような事柄ではないわけでございます。酸回収蒸発かんの加熱部のチューブに、現在までのところの調査によりますと、一ミリ程度の穴があいておるのではないか、これはまだ推定でございまして、一つの穴とすれば一ミリぐらいという推定でございます。
 現在再処理工場は、その漏洩事故がございましたときに直ちにストップしたわけでございますが、本工場の本施設の方にウランが平衡状態で保存されておりまして、これを現在排出中でございまして、施設の放射性物質あるいは有機溶媒あるいは硝酸などを全部排出いたしました上で、この酸回収のための蒸発かんの除染をいたしまして、さらに原因を調査いたした上で、運転再開のための措置を検討していきたいということで、現在再処理工場はしばらく運転できないという状況にございます。
#201
○春田委員 この原因の解明がいまされておりますけれども、大体いつごろ最終結論が出るのか、それによって修理がどれぐらいかかるのか、それから運転再開が大体いつごろなのか。新聞等では、年内は無理ではないかという報道もされておりますけれども、その辺の見通しですね。
#202
○牧村政府委員 率直に申し上げまして、この再点検と申しますか、原因調査をいたしますのに一月ないし二月はなおかかろうかと思いますので、その結果運転再開のための措置を検討いたしますので、来年に入らないと運転はできないと考えられております。
#203
○春田委員 ホット試験、総合試験において、九十九トンのうち十九トンが再処理をされたわけですよ。日米協定によっては、これは二年間となっております。五十二年の九月から五十四年の九月までが、協定によっては一応再処理してもいいという形になっているというふうに聞いておりますが、年内が無理であれば来年早々になると思います。来年は五十四年度、この九月までですから、そうすれば、これは一応九十九トンまでは認められておりますけれども、最終的に科技庁としてはどのぐらいの量を再処理したいという考え方を持っておるのか、お答えいただきたいと思います。
#204
○山野政府委員 日米協定では、御指摘のように、二年間で九十九トンとなっているわけでございますが、これはただいま安全局長が答弁しましたようなトラブルがなく、順調にいくことを想定して、二年間九十九トンとしてあるわけでございますので、ただいまのトラブルの修復がいつになるかによりまして、来年の九月までの二年間の処理量というのが決まってくるわけでございます。私どもといたしましては、できるだけ早く修復いたしまして、九十九トンというものは、全部は無理かもしれませんが、できるだけ多くの量を処理してまいりたいというふうに考えております。
#205
○春田委員 一年間で十九トンしか処理できなかったわけでございますし、来年に入ったらあと九カ月しかございませんし、半分もいかないと思いますけれども、早急な修理点検をしていただきたいと思います。
 そこで、再処理工場においては、過去に何回か事故が起こっております。五十年の十一月から六回起こっておりますけれども、この問題につきましてどのようにお考えになっておりますか。
#206
○牧村政府委員 先生御指摘のように、動燃の再処理施設がホット試験に入りまして、ウラン試験中あるいはホット試験中に、規制法に基づきまして報告のございましたトラブル、事故は六件でございます。幸いにいたしまして、これらのうち、周辺環境に影響を及ぼしたものは全くございませんで、すべて再処理施設の放射線監視の区域の中、あるいはその周辺で若干放射線が漏れたり、あるいは作業中のミス等によりまして作業者の衣服についたあるいは若干の放射線が作業者の中に吸引されたというものでございます。
 いずれも、これが軽微であるとはいえ、そういうような状況が引き続き起こるということは、作業者の健康の保持というようなことからも非常に重要な問題でございます。しかも、これがホット試験を行っておる試験中でございますので、それらの経験を踏まえまして、作業マニュアルを修正する、あるいは装置を手直しするというようなことで、一件一件その措置につきまして動燃に十分検討させる、また、われわれも指導していくというようなことで対処してきております。
 ホット試験が終了いたしました後、この成果につきまして原子力安全委員会の評価も受けた上で、再処理工場の本格運転を許可していくというような慎重な態度で今後も対処してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#207
○春田委員 そこで、同じく局長にお尋ねいたしますが、再処理工場は六回でございますが、国内の原子力施設、原子炉においてもいろいろな事故が起こったり故障が起こったりしておりますけれども、非常に数多く出ておるわけですね。これは年次ごとに大体説明していただけませんか、件数だけで結構ですから。
#208
○牧村政府委員 最近発生しております原子力発電所におけるトラブル、五十三年一月以降のものにつきましては七件ございます。この七件のうち、定期検査中に機器のふぐあいが発見されたものが三件ございます。それから、原子炉運転中に機器等のトラブルで自動的に、あるいは手動により原子炉を停止いたしましたものが三件ございます。これらの事故は、幸いにいたしまして、周辺公衆及び従業者に放射線の影響を与えたものは全くございませんでした。それから残りの一件は、これも定期検査中でございますが、作業員二名が海水を取り入れておるところで、海産生物が腐敗して硫化水素ガスで中毒を起こした、これは原子炉特有のものではございませんが、中毒を起こして入院したという例がございます。
 したがいまして、原子炉系統のトラブルは六件、それから、ただいまの海産生物の腐敗ガスによる中毒が一件、このようなことになっております。
#209
○春田委員 局長は最近の事例を御説明いただいたわけでございますが、私の手元に昭和四十一年度からの事故件数がございますけれども、昭和四十一年に十三件、それから四十二年に六件、こう来まして、四十六年十三件になっております。それから、五十一年になりましたら二十六件出ておるわけですね。五十二年はもう十七件ということで、初年度は別としましても、最近この事故件数が非常に多くなってきておるわけでございますけれども、この件数から考えたら、管理運営といいますか、そういう点で非常にずさんな点があるのではなかろうかというように思うわけでございますけれども、その管理運営という点につきましては万全なのかどうかですね。
#210
○牧村政府委員 先生御指摘のように、たとえば五十年十件、五十一年二十六件、五十二年十七件、それから、本年はただいままで七件でございますが、このふえた理由という点につきましては、もちろん原子力発電所の基数がふえたこともありますが、一番問題になっておりますのは、同種の故障がいろいろなところで発見されております。いろいろなひび割れ現象等々でございます。これらにつきましては、先生御指摘のように、共通のトラブルが発生したというきわめて問題のあるものだったわけでございますが、その後、そういう共通的なものにつきましては、定期検査のときに徹底的に修理改修するという方針を通産省の方でとってきておりまして、昨年度の原子力発電所の稼働実績が非常に落ちたこともそれが一因であったわけでございますが、われわれ規制当局の考え方としては、そういうようなトラブルは徹底的に改修するという方針でもって指導させております。
 これらの事故、故障は、幸いにして一般の公衆に影響を与えるような被曝事故等は全くなかったわけでございますけれども、従業員がこの改修のために原子炉建屋等の中に入りましていろいろ修理するわけでございますので、そのために従事者の被曝というのはある程度増加せざるを得ないということを招いておるわけでございます。したがいまして、私どもの対処の仕方としては、一つずつ原因を十分詰めて対策を立てて修理する。その際、定期検査が多少長引こうとも、徹底的な修理をさせるということをとってまいっております。
 その検討の仕方、対策等につきましては、通産省はもちろん通産省としていろいろ原因究明等をやっておりますけれども、それらにつきましては、従来の体制でございますと、原子力委員会の方にも報告を求めましてその確認をするというようなダブルチェックのやり方をとりまして進めてきております。したがいまして、今後はこのような同種の故障、事故が減ってくることが大いに期待されるところでございます。安全委員会になりましても、事故、故障についてはゆるがせにすることなく十分な対策をとっていくような審議の方法で運営されていくものと私どもは期待しておるところでございます。
#211
○春田委員 原子炉の基数がふえたから事故もおのずとふえてくる、こういう理論は成り立たないと思うのですよ。何のために原子力安全局があるか、そういう存在から考えてみても、何ぼ基数がふえたとしても、事故は反比例して減っていくのが皆さん方の立場でしょう。やはりこうした事故が起こるたびにマスコミを通して国民に報道される、だから、国民としてはますます不安の上にそれが増長されて疑惑となってくるわけであって、まだまだ国民に、原子力問題につきまして本当に安心し切った感融がないというのは、そういう点からもあるのですよ。
 そういう点で、こうした事故というのはやはり一つの教訓として、今後絶対起こさせないという強い姿勢がなかったら事故は未然に防げないと思うのですよ。そういう点で大臣、どうですかね、こうしていろいろな事故が起こっておりますけれども、過去、大臣の期間は別として、以前の例でも結構でございますけれども、そういう何か通達とか厳しい内規みたいなものをつくって徹底されたらどうか。最近非常に事故が多いというそれにかんがみてどういう対応をされたのか、お答えいただけますか。
#212
○熊谷国務大臣 できるだけいろいろな具体的な方途を立てまして、そういうトラブルが少なくなるように努力してまいりたいと考えます。
#213
○春田委員 それはわかりますけれども、何かぴんと来ないのです。
 最後に、四十六年七月でございますけれども、原発の東海発電所の中で三名の方が被曝を受けているわけですね。先ほどの局長からの話でいけば、周辺、いわゆる人体の影響は非常に少ないということでございましたけれども、過去においては、この四十六年七月、これは三名の被曝者がございます。三名はそれぞれ九・四ハレム、三カ月、一人は七・八七レム、三カ月、一人は三・〇七レム、三カ月の放射線被曝を受けたという形になっておりますけれども、この三人の方のその後の追跡調査といいますか、健康等の問題は御心配ございませんか。
#214
○牧村政府委員 先生御指摘の、四十六年度に原子力発電会社の東海発電所での被曝で三人の作業員が許容線量を超えて被曝しております。被曝の量も先生御指摘のようなことで、九レム、七レム、三レムとそれぞれの方が被曝されておるわけでございますが、この方々は現在原電の社員として東海で働いておられまして、何らそれによる被曝の影響は出てないというふうに聞いております。原子力発電株式会社としては事故以降定期的に健康診断等をやっておりまして、三人の健康状態につきましては十分に把握し、その健康診断の結果は現在までのところ何ら異常が認められないということで報告を受けておるところでございます。
#215
○春田委員 健康診断をやっているということでございますけれども、表面上は別としまして、いわゆる従来から比べてかぜを引きやすくなったとか体が弱くなったとか、そういう本人からの訴えはございませんか。また家族への影響というのはどうですか、考えられませんか。
#216
○牧村政府委員 通常人と全然変わりない健康体であるという報告を受けております。
#217
○春田委員 いずれにいたしましても、先ほどから申しておりますように、この事故、故障というものは国民にとって相当の大きな疑惑になるわけでございまして、万全の体制で今後臨んでいただきたい、このことをお願いしておきます。
 続きまして、再処理の問題でございます。
 現在動燃で再処理施設を持っているわけでございますけれども、この再処理を本格的に操業した場合、その処理能力といいますか、これは一日当たりどれくらいか、年間にしてどれくらいか、まずこの点で御説明いただきたいと思います。
#218
○山野政府委員 動燃工場の最終の目標は、年間二百十トンの処理ということでございます。
#219
○春田委員 年間二百十トンですか、これは原子力発電の何キロワットに相当するわけですか。
#220
○山野政府委員 大ざっぱに申し上げまして、百万キロワット級の発電所七基分ぐらいに相当するかと思います。
#221
○春田委員 いずれにいたしましても、これを本格的に操業しようと思ったら日米協定が要るわけですね。五十四年九月に二年間の再処理協定は切れます。これは九十九トンでございますから、それ以降は新たな交渉になると思いますけれども、この本格的な処理、二百十トンを処理しようという時期的な面は、局長としてはいつごろとお考えになっておりますか。
#222
○山野政府委員 細かい年度を記憶しておりませんが、運転開始をしまして数年間で二百十トン運転にいくというふうに記憶しておりますので、たしか五十七、八年ごろではなかったかというふうに記憶いたしております。
#223
○春田委員 五十七、八年となればあと三、四年でございますけれども、今後の交渉にはよると思いますけれども、従来からのアメリカとのいろいろな折衝からして、その辺の十分な、いわゆる本格的な操業の感触というものは得ているわけですか。
#224
○山野政府委員 現在は日米原子力協定に基づく共同決定によりまして先ほどの二年間九十九トンの了解が得られておるわけでございますが、この後、アメリカ産の濃縮ウランを再処理する限りにおいては、御指摘のように日米間でまた引き続いての共同決定というのが必要なわけでございます。これにつきましては、御承知のようにアメリカは自国内では商業ベースの再処理を当分行わないということを決めておるわけでございまして、できるだけ核不拡散を強化するという見地から友好諸国にも同じような政策をとってほしいという姿勢でおるわけでございますが、そういう観点から将来第二、第三の日米協定、日米共同決定はむずかしかろうという御指摘であろうかと考えます。
 しかし、この点につきましてはアメリカの希求いたしております核不拡散強化ということをあわせ行い得るような方法で再処理をする、つまり核拡散に対する対抗性、抵抗性の強い再処理技術というものの研究開発というものも現在あわせ行っておるわけでございますし、また、制度面等におきましても現在国際核燃料サイクル評価という計画が世界の四十カ国、四国際機関が参加して行われておりまして、そういったふうな成果を織り込みながら日米双方で満足できる、すなわち核不拡散強化にもつながるし、またわが国の希望するウランの有効利用にもつながる、そういったふうな解決策というものは将来必ずやあるというように考えておりますので、私どもは余り悲観的にはなっていないという現状でございます。
#225
○春田委員 交渉は来年になると思いますけれども、大体いつごろやるかということはまだ決まっていないわけですか。
#226
○山野政府委員 昨年の日米共同決定の経験を思い起こしますと、これは九月の共同決定を見るに至りましたのは、昨年の年初から交渉を始めまして約九カ月の交渉期間が必要であったわけでございます。その点から考えますと、そろそろ米側と話し合いを始めて、来年の初めぐらいからは本格的な交渉に入る必要があろうかと考えます。
#227
○春田委員 そこで、もとに戻りますけれども、二百十トンで原子力発電の大体七百万キロということで聞いておりますが、現在わが国の原子力発電所は何基あるのか、それからどれくらいの稼働率なのか、その発電出力というのはトータルすればどれくらいになるのか、まずこの点から御説明いただきたいと思います。
#228
○牧村政府委員 運転中のものが現在十六基で、その出力容量は九百五十六万二千キロワットでございます。それから建設がほぼ終了しまして現在試運転中のものが四基でございます。出力容量は四百二十九万キロワットでございます。そのほかに建設中のものが八基ございまして、その出力容量は六百九十三万九千キロワットでございます。
#229
○春田委員 将来計画、大体何年までにどれくらいの出力の発電所を備えたい、そういう構想を持っておられると思いますけれども、次にそれを説明していただきたいと思います。
#230
○山野政府委員 ただいま原子力委員会でちょうど新しい長期計画を決定したばかりでございますが、これによりますれば、昭和六十年度におきまして三千三百万キロワットを目標にしようといったふうなことになっております。また、かねて総合エネルギー対策閣僚会議におきましても将来の原子力発電規模の見通しということについて検討された経緯がございますが、それによりますと、昭和六十五年ごろに大体六千万キロワット程度を目標にしようといったふうなことになっておりました。
#231
○春田委員 六十年に三千三百万キロワット、六十五年に六千万キロワットとすれば、現在の再処理工場においては二百十トンで七百万ですか、これでは当然足りませんね。この残った、いわゆる再処理工場でできなかった分についてはどのようにお考えになっておるのですか。
#232
○山野政府委員 先ほど申し上げましたような原子力発電規模を頭に置きまして将来の再処理の需給関係というものを考えました場合に、現在私どもはいまの動燃の東海工場に続きまして民間業者が建設します第二再処理工場というものを想定しておるわけでございますが、これに至りますまでの間は、国内で再処理できませんので、やむを得ず海外に委託するという方策によらざるを得ないと考えておるわけでございまして、過去昭和四十六年から昭和五十年ぐらいまでの間に日本原子力発電あるいは東京電力、関西電力等が英国のBNFLあるいはフランスのCOGEMAとすでに契約をいたしておるものがございますが、これが約千五百トン、それから昨年の九月と本年の五月に新規に九電力と原子力発電株式会社が同じくフランスのCOGEMAとイギリスのBNFLと再処理委託契約を結びましたが、これが約三千二百トンございます。これに動燃の東海再処理工場の再処理量を加えますれば、ほぼ昭和六十五年ぐらいまでの再処理需要を賄い得るというふうに考えております。第二再処理工場の運転開始時点というのは大体昭和六十五年を私ども予定いたしておりますので、この海外再処理委託によりまして需給関係は今後スムーズにいき得るというふうに考えております。
#233
○春田委員 第二再処理工場の構想がいま出されましたけれども、これは大体何年ぐらいで建てる予定なんですか。
#234
○山野政府委員 ただいますでに電気事業連合会の中にしかるべき担当の組織をつくりまして、準備作業に入っておるわけでございまして、完成して運転します時期というのを昭和六十五年、一九九〇年ごろと見込んでおります。したがって、準備から運転開始まで約十三年ぐらいを見込んでおるということでございます。
#235
○春田委員 それ以外を海外への委託に任せておるということでございますけれども、海外の委託の処理費が非常に高いと聞いておりますけれども、いわゆる海外の処理費と動燃が本格的に動いた場合の処理費、この関係はどうなりますか。
#236
○山野政府委員 海外再処理の委託料金でございますが、ただいまの新規の契約によりますと、再処理コスト料金は、再処理のコストとこれに一定の報酬を加えるということで料金が決められておるわけでございまして、トン当たりの単価としましては、一九七七年の七月現在価格で約七千万円ということになっております。
 それから、これとは別途に日本から使用済み燃料を輸送いたします費用が必要でございますが、この料金が同じくコストプラス報酬という立て方になっております。単価で申し上げますとトン当たり約二千六百万円ということになっております。
 それから、動燃再処理工場の料金でございますが、これは先ほど申し上げましたように、まだまだ現在は試運転段階でございまして、本格的な再処理事業を行うに至っていないわけでございますので、現在の時点では、将来そういうふうな再処理事業を行うに至った場合の単価というのはまだ決めておりません。
#237
○春田委員 時間がなくなってきましたけれども、昭和六十五年までは海外委託とそれから動燃の第一処理で何とか賄っていく、六十五年以降第二再処理を考えているという話でございましたけれども、動燃の再処理で先ほど二千トンという話がございましたね。そうじゃないですか。いわゆる海外委託とプラス動燃の再処理でするトン数、これは二千トンという話がございましたけれども、そうじゃないのですか。
#238
○山野政府委員 昭和六十五年までに再処理をする量としまして、動燃工場が約二千百トンを見込んでおるということでございます。
#239
○春田委員 となれば、動燃では年間二百十トンしかできないわけでしょう。二千百トンというのは、十年間必要ですね。当初の局長の説明では、大体五十七、八年ぐらいから運転開始したいという話がございましたけれども、ちょっと計算が合わないのじゃないですか。昭和六十五年までだったら、五十六年から開始しなかったら間に合わないわけですよ。二千百トンできませんよ。
#240
○山野政府委員 これは昭和六十五年まででございますので、今後十三年間でございますので、大体計算は合っておると存じます。
#241
○春田委員 いや、十三年間あるけれども、先ほど局長は、日米の協定では当面九十九トンができなかったわけでしょう。本格操業をしようと思ったら、大体五十七、八年ごろになるという話がございましたでしょう。そうしたら、要するに数字的に合わないのじゃないですか。十年間要るわけですよ、二千百トン出そうと思ったら。もっと早くやらなかったら間に合わないでしょう。
#242
○山野政府委員 ただいまの再処理量の予定を申し上げますと、先ほど私が五十七、八年ごろと申し上げましたが、現在の予定をちょっと申し上げますと、五十四年で八十トン、五十五年で百三十トン、五十六年で百七十トン、五十七年で百七十トン、五十八年で二百トン、五十九年で二百十トン、ここまでの累計で約一千トンでございます。六十年以降二百十トンが六十五年まで続くわけでございますので、大体合計で二千百トンになろうかと存じます。
#243
○春田委員 五十四年何トンですか。
#244
○山野政府委員 八十トンでございます。
#245
○春田委員 そうしたら、この前やったのは十九トンでしょう。あと残り六十一トン、来年中にできますか。
#246
○山野政府委員 これは私あくまでも計画数字を申し上げているわけでございまして、先ほどのトラブルがすぐに修復できて来年九十九トン全部できるということを申し上げているわけじゃなく七、現在の計画はこうなっておりますということを申し上げておるわけでありますので、御了解いただきたいと思います。
#247
○春田委員 結構です。いずれにしましても、動燃で二千百トンというのはやはり非常に厳しいのじゃないかと思うのです。その分だけ海外委託がふえてくると思います。海外委託がふえれば当然それだけのお金も出ていくわけでございまして、早急な第二再処理、また濃縮の新たな構想もあるそうでございますけれども、これは時間がなかったので聞けませんけれども、こういう濃縮の問題につきましても鋭意努力されて、ひとつ原発がいわゆる国民のエネルギーになるように努力していただきたい、こんなことをお願いいたしまして、時間を超過しましたけれども、以上をもって終わりたいと思います。
 廃棄物の問題もやる予定でございましたけれども、これは次の機会に譲りますので、よろしくお願いしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#248
○楯委員長 安藤巖君。
#249
○安藤委員 私は日米科学技術協力についてお尋ねをするわけですが、そのうちの核融合の研究の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 御承知のように核融合エネルギーは人類の未来を担う究極のエネルギー源として、日本でもそうですか、アメリカ、ソビエトあるいはヨーロッパでもいろいろ研究が進められております。そして、国際的な共同研究あるいは情報交換も行われ、共同開発、共同実験等の国際協力についてもいろいろ努力がされておるというふうに聞いておりますが、この核融合の研究は、現在の世界の水準としては核融合エネルギーの科学的な実証、これはいわば核融合反応の臨界プラズマ条件をどのようにして達成するか、そういうところを目指す段階に来ているというふうに聞いております。
 そこで、日米の核融合研究についての共同の問題に入る前に、日本として、この核融合の研究の問題についてちょっとお尋ねしたいのですが、全部聞いております時間がありませんからずばりお尋ねしたいのですが、日本での原子力研究所における開発研究あるいはその他の大学における研究も、いま最初に言いましたような世界的な水準にあるというふうに伺っております。科学技術庁としては、具体的にこの研究の目玉としてトカマク型のJT60、これは原子力研究所の中でいま建造中だというふうに聞いておりますけれども、それでやろうとしておられるのかどうか。そうだとすれば、それは一九八一年完成目標というふうに聞いておりますが、そういうようなスケジュールで進んでいるのかどうか。そして完成までの経費はどの程度見積もっておられるのか、これをまずお尋ねいたします。
#250
○山野政府委員 ただいまわが国の核融合研究開発というのは、日本原子力研究所あるいは電子技術総合研究所、さらにまた各大学等で行われておるわけでございますが、この中で先生御指摘の臨界プラズマ試験装置というものをつくる段階までいっておりますのはトカマク型のものでございまして、これはわが国では日本原子力研究所において行っておるわけでございます。
 原子力委員会が決定しました第二段階核融合研究開発基本計画というのがあるのでございますが、これによりますれば、五十年代の半ばまでに臨界プラズマ試験装置を完成するというふうなことになっておりまして、現在のところ昭和五十七年度末の完成を目標に作業を進めております。
 世界的に見ましてこの技術水準はいかがなものであろうという点でございますが、アメリカもEC諸国も大体同じような臨界プラズマ試験装置を同じような時期に完成するという段取りでいま進めておりまして、わが国の技術水準も欧米に比較して劣らない技術水準であると言ってよろしいかと存じます。
 この臨界プラズマ試験装置の所要経費でございますが、五十七年度末までに大体二千億円近い経費が所要ではないかというふうに考えております。
#251
○安藤委員 ところで、いまおっしゃった五十七年末目標にというのは、私の方が名前を出したJT60というふうにお聞きしていいのですね。このトカマク型のJT60の方はドーナツ型に電流を閉じ込めたそのプラズマの断面が円形のものだというふうに聞いておるわけなんです。ヨーロッパの方のJETというのは円形に近い非円形だというふうに聞いておりますけれども、アメリカのものも日本のものもそれからソビエトのものも大体円形だというふうに聞いておりますが、もう一つプラズマ、の断面が円形でない非円形というものがあって、これも日本でJT4ということでいろいろそういう方向での研究も進めていこうという計画があるというふうに聞いております。そちらの方の研究はどういうような状況になっておりますか。
#252
○山野政府委員 JT60という臨界プラズマ試験装置は断面が御指摘のように円形でございますが、これに加えまして断面が円形でない、非円形断面のトーラス装置による研究というものも原研でいま予定をいたしておりまして、具体的なものとしましてはJT4という装置を建設して研究を行いたいというふうに言っておりますが、これはまだ概念設計の段階でございまして、建設には至っていないわけでございます。
#253
○安藤委員 このJT4の非円形の方は、私も実は素人でよくわかりませんが、いろいろ勉強したところによると、熱を上げて臨界を目指すというのがねらいではなくて、非円形の方がプラズマの効率がよい、安定度が高いという点があるので、そのところでの研究を進めるのだというふうに聞いておるわけです。だから、いろいろ学者の皆さん方の意見をお聞きしたところによると、このJT60の円形型の方と非円型のJT4の方と両々相まった研究が必要ではないかというふうに私は聞いておるのですけれども、いまおっしゃったところによると、JT4の方はまだ概念設計の段階だということになると、JT60よりも相当おくれるということになりますか。
#254
○山野政府委員 円形断面のトーラス装置による研究開発と非円形断面のトーラス装置の研究開発が両々相まって行われる必要があるという御指摘は、確かにそのとおりであろうかと思います。
 それから時期的な問題は、JT60の方はすでに建設に着手しておりまして五十七年度末に完成を予定されておるのに対しまして、JT4の方はまだ建設に着手していないわけでございますので、タイミングとしては両者はずれる、これはまたやむを得ないことかと存じます。
#255
○安藤委員 ところで九月の四日から六日までにかけまして新エネルギー研究開発等に関する日米科学技術協力の会議、これは第一回の会議だそうですか、これが開かれたということを聞いております。そこでこの中でやはり核融合の日米共同開発研究についての話し合いがなされた、そして核融合を優先させるということについて意見が一致したということも聞いております。これは科学技術庁の方からいただいた共同発表の中にもあるわけなんです。
 この中での核融合の共同研究の中には、いま私がお尋ねしたJT60というのと、それからアメリカのプリンストン大学で設計中と言われております。これは一九八一年完成予定というふうに聞いておりますけれども、TFTRの開発研究というのをやるというふうに決まったのか、あるいはそうでないのかというのをお尋ねしたいと思います。
#256
○山野政府委員 今回の会議におきまして、核融合が最優先課題として日米双方で合意を見たというのは御指摘のとおりでございます。その中で、今回は日米科学技術協力作業部会というものであったわけでございますが、核融合についてのサブグループ会議が行われましていろいろ話し合いをしたのでございますが、具体的な協力テーマとしまして、一つは研究者の相互派遣の問題、二つ目には既設の研究装置を利用しての共同研究、三つ目には核融合の実現のための今後の共同研究と、こういった三つの分野について話し合いがあったわけでございます。
 先生御指摘のわが国のJT60とアメリカのTFTRの共同研究というものも、この第二の既設の研究装置を利用しての共同研究、まあJT60は既設とはまだまだいまのところは言いがたいかもしれませんが、建設に着手しておりますのでほぼそういうふうに言ってよろしいかと思いますが、この中で取り上げていける問題だと私どもは考えております。
#257
○安藤委員 先ほどTFTRの完成予定一九八一年と言いましたが、八二年の間違いですから訂正をさせていただきますが、いまのお答えによりますと、JT60というのを既設の施設を利用しての共同研究の対象にしていくというふうに提案をした、申し出たというふうにお聞きしたわけですが、これは私がお尋ねしたようにアメリカのTFTRと一緒にやろう、こういうような中身なんですか。
#258
○山野政府委員 先ほど私、既設の中でJT60とTFTRを位置づけましたが、これはあるいは第三の今後の共同研究という方に位置づけるのが妥当かとも存じます。
 それから今回の話し合いと申しますのは、先生が御指摘のように、日本側がプロポーズをして向こうが引き受けたといったふうな話ではまだございませんで、第一回のいわば予備的な話し合いでございまして、具体的な細かい内容というのはすべて今後にゆだねられておるわけでございますので、私が先ほど申し上げました趣旨は、JT60とTFTRについての共同研究、たとえば部品の共同開発といったふうなことも将来十分この項たり得るということを申し上げておるわけでございまして、日米間ですでに合意を見ておるという趣旨ではございません。
#259
○安藤委員 そうしますと、そういう提案を日本側の方からした。そして、それに対してアメリカの方はどういうような対応をしたのか、そしてそれは、じゃそういう方向でいきましょうということに決まったのか、あるいはそうでないのかという点はどうでしょうか。
#260
○山野政府委員 サブグループ会議の話し合いの過程ではそういったふうな話も出ておりますが、結論としてそれがまとめられておるわけではございませんで、あくまでもそういう具体的な詰めというのは来月以降の第二回会合以降にゆだねられておるというのが現状でございます。
#261
○安藤委員 新聞の報道によりますと、いまのJT60との関係は一応別にいたしまして、ダブレットVという、これはアメリカで九月の十一日から稼働しているそうですか、この実験装置の共同研究をするということで合意ができたという報道があるのです。そのための大規模な人事交流、それから日本がパワーアップをするための改造資金を出す、こういうような方向で話がまとまったというふうに報道されているんですが、これは事実なんですか。
#262
○山野政府委員 先ほど御指摘のJT4にしましてもダブレットVにしましても、非円形断面トーラス装置を使った非常に重要な研究でございますので、この分野での協力ということも多分に予想し得ることでございます。今回そのようなことももちろん話題にはなったのでございますが、これも先ほどのTFTRとJT60の関係と同じでございまして、きわめて可能性の高いものではございますが、まだ双方で合意をするといったふうな状況になっていないわけでございます。現に核融合問題につきましては、原子力委員会の中に核融合会議というのを設けまして、その場でわが国の核融合についてのいわば最高方針といったふうなものを決めておるわけでございますが、その会議におきましても、今後このJT4とダブレットVというのを相互にどういうふうな位置づけをしていったらよろしいかといったふうなことを検討中でございまして、この検討の結果を待ってわが方も細かい具体的なプロポーズを米側にしていくといった運びでございますので、まだいまの時点で日米間で具体的な合意ができたという段階ではございません。
#263
○安藤委員 まだ具体的に合意ができていないということですが、いまおっしゃったようにダブレットVはJT4と同じように非円形の実験装置なんです。
 そこで一つ気になることは、ダブレットVの非円形の方、これはアメリカに施設があるわけですが、アメリカでいろいろな研究を共同してやっていくという場合に、先ほどまだ概念設計だということですが、非円形の方の研究もこれからやっていくということは予定しているというふうにおっしゃったのですが、ダブレットVを日米で共同研究をして、それに言葉は悪いかもしれませんが突っ込んでいくということになると、日本においてJT4をつくってその関係での非円形の方の研究をやっていこう、その開発をしていこうというのがなくなっていくというような、そういう懸念はないのかというように思うのですが、その点はどうでしょうか。
#264
○山野政府委員 先ほども申し上げましたように、ただいま核融合会議の中でダブレットVとJT4との関係、まさに先生の指摘されますようにダブレットVに参加した場合のJT4のあり方といったふうなことについて、これは仮定の問題ではございますがいろいろ検討願っておるわけでございます。まあ私の私見ではございますが、ダブレットVに参加すれば国内の非円形トーラスの試験というのは一切無用になるといったふうな極論にはならないであろうと考えております。
#265
○安藤委員 そうしますと、JT4の非円形の方の研究も最初の既定方針どおり引き続き進めていくということに変わりはないというふうにお聞きしていいかと思うのですが、というのは、これもいろいろ勉強さしていただきまして、ダブレットVは確かに非円形の効率をよくする、あるいはプラズマの安定度を高めるという点での研究にはいい装置だそうですけれども、不純物の除去の問題についての研究がダブレットVというのはどうもうまくできないのじゃないかというような懸念があって、JT4の方が不純物の除去の研究には適しているという話も聞いているのですが、そういう細かい話をしようとは思いませんが、そういうようなこともあってJT4の方の研究も引き続きやっていくということなのかどうか。先ほどちょっと御答弁いただいたのですが、どうもはっきりしていないものですから、もう一度お尋ねしたいと思います。
#266
○山野政府委員 JT4とダブレットVの間には、目的としましても確かに先生がおっしゃいますように若干のニュアンスがあるわけでございまして、共通部分が非常に多いのでございますが、片一方をやれば片一方は全く要らなくなるかというと、そういうものでもないわけでございます。そういうことで、私が先ほど私見として申し上げましたのは、仮定の問題としてダブレットVに参加しましても、何らかの非円形断面の試験、実験といったものは恐らく日本の国内でも行うことになるでしょうと申し上げたわけでございまして、仮定の問題としてダブレットVに参加しても、従来考えておりましたJT4がそのままの形で実現することになるということを申し上げているわけじゃないわけでございます。これは今後の検討の結果によりまして、あるいはJT4というものが、ダブレットVに参加することを前提としまして、目的とかこの装置の内容を若干変えたものになっていくといった可能性もあり得るというふうに考えております。
#267
○安藤委員 JT60にしてもJT4にいたしましてもこれからの課題だというお話ですが、先ほどおっしゃったように原子力委員会の核融合会議、それからこれは日本学術会議にも核融合研究連絡会、文部省にも核融合部会というのがありますね。各大学でもこの核融合の問題については研究所も設置しておられるし、核融合の研究の重要な一翼を担っておられて、たくさんの研究者もおり、研究の団体もあるわけなのです。そういう日米の共同研究について、あるいは日本が自主的に研究開発を進めるについて、そういう研究者の意向というものを十分反映していくように御考慮いただきたいと思うのですけれども、具体的にそういう研究者の意向を反映させていくのにどういうような方法を考えておられるのかということをお尋ねしたい。
#268
○山野政府委員 わが国における核融合の研究開発を進めるに当たりましても、また先ほど来議題になっております日米間の協力話についていろいろわが方の意見をまとめるに際しましても、できるだけ幅広い意見を総合して国として一本のまとまった方向なり線を出して行う必要があるというのは先生指摘のとおりでございしまして、行政レベルで申し上げますと、核融合問題につきましては科学技術庁と文部省が絶えず密接な連絡をとって調整を図っておりますし、また先ほど申し上げました原子力委員会の中の核融合会議と申しますものを構成しております構成員は、原子力委員、関係行政府の担当官、また関係大学の主要な核融合の先生をほぼ網羅的にお願いしておりまして、十分に学者を含めました関係方面の意見が総合されておるというふうに考えております。
#269
○安藤委員 そういう方向で御努力をお願いしたいと思うのです。
 そこで、研究者の相互派遣ということもいろいろ合意がなされた中に入っているというお話でしたが、これは仮の話になるかもわからぬですが、たとえばダブレットVの場合は向こうに設備があるわけですね。日本からも研究者が行くということになって共同研究がなされると思うのですが、その共同研究のデータを全部日本の方へ確保することができるのかどうか。共同研究する場合に、どういうような研究の方法を考えておられるのか。研究はしたけれども、データは三分の一しか日本に入ってこないとか全然入ってこないとか、そうじゃなくてそのデータを全部日本が獲得することができるのか、そういう方向でやれるのかどうか、それについて具体的にどういうことを考えておられるのかをお尋ねしたい。
#270
○山野政府委員 相互に研究者を交流しました場合に出ました成果をどう扱うか、これはまさに今後日米間で詰めていかなければならない問題でございますので、いま具体的にこうするああするといったふうなことは申し上げかねるわけでございますが、原則としまして、先生も申されますようにこの共同研究、共同開発の成果がわが国でも十分に活用できる必要があるわけでございまして、またそうでなければ国際共同をする意味がないわけでございますから、そういうふうなことに阻害にならない方向で今後日米間のお話し合いを進めてまいりたいと考えております。
#271
○安藤委員 文部省からも来ておるのですが、これは科学技術庁、文部省両方にお尋ねしたいのです。
 研究者をアメリカに派遣するということになるわけだろうと思うのですけれども、あるいはアメリカからも派遣してもらうということにもなろうかと思いますけれども、日本における研究者が、そんなことはないと思うのですが、たとえば自己の意思に反してどこそこの研究所に幾日間か行ってこいというようなことで派遣される、あるいは日本の各大学の研究所の有力な研究員がある一定の期間でもいなくなってしまうとか、そういう日本の自主的な研究に支障のないように配慮をしていただく必要があるのではないかと思うのですが、そういうような点についても御配慮いただきたいと思うのですが、これは科学技術庁と文部省と両方にお尋ねしたいと思うのです。
#272
○山野政府委員 私ども、核融合に限りませず、原子力の開発利用を進めるに当たりましては自主性の確保というのを非常に大きな柱に考えておるわけでございまして、今回決定を見ました原子力開発利用の長期計画の基本方針におきましてもそのことを大きくうたい上げておるわけでございますので、今後とも、この核融合の日米あるいは多国間の国際協力をするに当たりましては、その点を十分に配慮したいと思っております。
 また、研究者がその個人の意思に反して強引に国外等にやられるといったふうなことはあり得べきことではないので、その点にも十分配慮したいと考えております。
#273
○大門説明員 御説明申し上げます。
 核融合研究開発につきましてはいまなお基礎的な段階にある。したがいまして、大学における基礎研究の果たす役割りはきわめて大きいというふうに文部省は承知しておるわけでございますが、大学の研究の特殊性から、先ほどお話の出ました学術審議会の核融合部会に十分御相談しながら核融合研究を進めておるわけであります。したがいまして、いま先生からお話のありました研究者の意思を無視して派遣するというようなことは全然考えておりません。すべてこの学術審議会の意見などを十分承りまして、また大学の方の自主性もございますので、そちらの方とも十分相談しながら進めていく。いままでもそのように行っておるわけでございますし、今後もそのように行っていきたい、このように考えております。
#274
○安藤委員 そこで、学者、研究者の交流の問題ですが、アメリカの研究実験装置で研究をする場合に、これは相当具体的な話を聞いておりまして、年間二百人目日本から来てほしいというような話も出たということも聞いておるのですが、その点はどうなのですか。
#275
○山野政府委員 出ておりません。
#276
○安藤委員 それで、この共同研究というのはいつごろ始められそうなのかということと、これも新聞によると、アメリカの方は、ダブレットVの場合の話ですけれども、ダブレットVの改造費に二百四十億円、あるいは材料の研究に百六十億円出してほしいという要望までしたという報道まであるわけですね。それに対して、これはうそか本当かもちろんお尋ねするわけですけれども、もしそうだとすると、これは相当いろいろな予算措置も講じなければならぬと思うのですけれども、それに対してどういうように対応をしていかれるのか、これをお尋ねしまして、質問を終わりたいと思います。
#277
○山野政府委員 今回の日米協力話に先駆けまして、たとえばJT60とTFTRにつきましては、すでに研究者を派遣しましたり、あるいは技術情報の交換をするといったふうな実質的な協力というのは現在もうすでに進めておるわけでございまして、現在行い得るものはどんどんやっていきたいというように考えております。
 今般改めて日米間で日米科学技術協力として話し合いを始めたものにつきましても、できるだけ早く具体的な内容を詰めまして、要すれば来年度ぐらいからでも実質的な協力体制に入るように努力したい、このように考えております。(安藤委員「金の話、経費の負担の話は」と呼ぶ)
 経費の負担割合等について話題が出たかという点でございますが、これはただいま出席した者に確認したところ、ざっとした話は出たそうでありますが、具体的に話が固まりまして、経費分担等の内容が決まってまいりますれば、所要の予算措置も必要になろうかと考えます。
#278
○楯委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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