くにさくロゴ
1978/10/13 第85回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第085回国会 運輸委員会 第1号
姉妹サイト
 
1978/10/13 第85回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第085回国会 運輸委員会 第1号

#1
第085回国会 運輸委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十三年九月十八日)(月曜
日)(午前零時現在)における本委員は、次のと
おりである。
   委員長 増岡 博之君
  理事 石井  一君 理事 小此木彦三郎君
   理事 佐藤 守良君 理事 浜田 幸一君
   理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君
   理事 石田幸四郎君 理事 河村  勝君
      加藤 六月君    北川 石松君
      佐藤 文生君    関谷 勝嗣君
      田澤 吉郎君    西村 英一君
      藤本 孝雄君    古屋  亨君
      堀内 光雄君    箕輪  登君
      太田 一夫君    久保 三郎君
      佐野  進君    斉藤 正男君
      田畑政一郎君    草野  威君
      宮井 泰良君    薮仲 義彦君
      米沢  隆君    小林 政子君
      中馬 弘毅君
―――――――――――――――――――――
昭和五十三年十月十三日(金曜日)
    午前十時三十一分開議
 出席委員
   委員長 増岡 博之君
  理事 石井  一君 理事 小此木彦三郎君
   理事 佐藤 守良君 理事 浜田 幸一君
   理事 坂本 恭一君 理事 渡辺 芳男君
   理事 石田幸四郎君 理事 河村  勝君
      愛知 和男君    加藤 六月君
      鹿野 道彦君    北川 石松君
      関谷 勝嗣君    西村 英一君
      藤本 孝雄君    古屋  亨君
      堀内 光雄君    久保 三郎君
      佐野  進君    田畑政一郎君
      草野  威君    宮井 泰良君
      薮仲 義彦君    山本悌二郎君
      米沢  隆君    小林 政子君
      中馬 弘毅君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 福永 健司君
 出席政府委員
        運輸省海運局長 真島  健君
        運輸省船舶局長 謝敷 宗登君
 委員外の出席者
        通商産業省産業
        政策局産業組織
        政策室長    黒田 直樹君
        中小企業庁小規
        模企業部参事官 山口  務君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 白井晋太郎君
        消防庁技術監理
        官       矢筈野義郎君
        消防庁消防課長 田中  暁君
        参  考  人
        (日本造船工業
        会副会長)   南  景樹君
        参  考  人
        (日本中型造船
        工業会専務理
        事)      浅野 芳郎君
        参  考  人
        (日本造船協力
        事業者団体連合
        会会長)    宇野信次郎君
        参  考  人
        (全日本造船機
        械労働組合書記
        長)      穂刈 直巳君
        運輸委員会調査
        室長      榎本 善臣君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月二十一日
 辞任         補欠選任
  箕輪  登君     田村  元君
同月二十二日
 辞任         補欠選任
  小林 政子君     荒木  宏君
同日
 辞任         補欠選任
  荒木  宏君     小林 政子君
同月三十日
 辞任         補欠選任
  小林 政子君     不破 哲三君
十月二日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     小林 政子君
同月三日
 辞任         補欠選任
  中馬 弘毅君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     中馬 弘毅君
同月四日
 辞任         補欠選任
  中馬 弘毅君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     中馬 弘毅君
同月六日
 辞任         補欠選任
  田村  元君     箕輪  登君
  中馬 弘毅君     小林 正巳君
同日
 辞任         補欠選任
  小林 正巳君     中馬 弘毅君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  佐藤 文生君     愛知 和男君
  箕輪  登君     鹿野 道彦君
  米沢  隆君     山本悌二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  愛知 和男君     佐藤 文生君
  鹿野 道彦君     箕輪  登君
  山本悌二郎君     米沢  隆君
    ―――――――――――――
九月十八日
 地方陸上交通事業維持整備法案(久保三郎君外
 三十七名提出、第八十回国会衆法第二四号)
 中小民営交通事業者の経営基盤の強化に関する
 臨時措置法案(久保三郎君外三十七名提出、第
 八十回国会衆法第二五号)
 交通事業における公共割引の国庫負担に関する
 法律案(久保三郎君外三十七名提出、第八十回
 国会衆法第二六号)
 中小民営交通事業金融公庫法案(久保三郎君外
 三十七名提出、第八十回国会衆法第二七号)
 道路運送車両法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、第八十四回国会閣法第八〇号)
十月三日
 特定船舶製造業安定事業協会法案(内閣提出第
 一一号)
九月二十八日
 運賃値上げ反対等に関する請願(新村勝雄君紹
 介)(第五五号)
十月二日
 運賃値上げ反対等に関する請願(鳥居一雄君紹
 介)(第四四七号)
同月九日
 東北新幹線鉄道の建設促進に関する請願(椎名
 悦三郎君紹介)(第一〇二七号)
同月十一日
 京都市西京区大枝地域等の国鉄小荷物配達区域
 指定に関する請願(寺前巖君紹介)(第一三三
 三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十月九日
 国鉄の貨物取り扱い駅廃止統合反対に関する陳
 情書(愛知県議会議長真木勗)(第六五号)
 国鉄の運賃値上げ抑制に関する陳情書(大津市
 議会議長三品光三)(第六六号)
 身体障害者の国鉄運賃割引制度に関する陳情書
 外一件(佐賀市天神一の四の一六佐賀県身体障
 害者団体連合会長水田徳彦外一名)(第六七
 号)
 中央新幹線等中京圏総合交通体系の整備促進に
 関する陳情書(東海北陸七県議会議長会代表石
 川県議会議長竹野清次外六名)(第六八号)
 地方陸上交通事業維持整備法案等の制定促進に
 関する陳情書外九件(宇都宮市議会議長鈴木璋
 外九名)(第六九号)
 地方バス路線の確保等に関する陳情書(北海道
 亀田郡戸井町議会議長吉田馨)(第七〇号)
 名古屋空港周辺における航空対策の充実に関す
 る陳情書外一件(愛知県議会議長真木勗外一
 名)(第七一号)
 造船等の不況対策に関する陳情書外一件(北海
 道議会議長佐々木豊外一名)(第七二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 特定船舶製造業安定事業協会法案(内閣提出第
 一一号)
     ――――◇―――――
#2
○増岡委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 運輸行政の実情を調査し、その合理化及び振興に関する対策を樹立するため、
 陸運に関する事項
 海運に関する事項
 日本国有鉄道の経営に関する事項
 港湾に関する事項
 海上保安に関する事項
 観光に関する事項
 気象に関する事項
について、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○増岡委員長 特定船舶製造業安定事業協会法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。福永運輸大臣。
    ―――――――――――――
 特定船舶製造業安定事業協会法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#5
○福永国務大臣 ただいま議題となりました特定船舶製造業安定事業協会法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 昭和四十八年の石油危機以後の船舶建造需要の世界的減退、昨年後半以降の円相場の高騰などにより、船舶製造業は深刻な不況に直面しており、特に外航船の建造を主体とする総トン数五千トン以上の船舶の建造施設を有する特定船舶製造業におきましては、造船能力が著しく過剰となり、かつ、その状態が長期にわたり継続すると見込まれております。このような事態を放置すれば、これらの企業の経営は著しく不安定となり、雇用不安を生じるなど重大な社会的経済的混乱を引き起こすおそれがあるのであります。
 こうした事態を回避し、特定船舶製造業における不況の克服と経営の安定を図るためには、特定不況産業安定臨時措置法の規定に基づいて定める特定船舶製造業に関する安定基本計画に従ってその過剰設備の処理を促進することが現下の急務であります。しかしながら、特定船舶製造業は、その特殊性から過剰設備の計画的な処理を推進するには、事業場単位でこれを行わざるを得ない事業者が相当数に上り、特に造船専業度が高い事業者にあっては、自主的な努力をもってしてはその円滑な実施が困難な実情にあります。
 このような特定船舶製造業の実情に対処するため、特定船舶製造業安定事業協会を設立し、特定船舶製造業の用に供する設備及び土地を事業場単位で買収するなどの業務を行わせることといたしまして、この法案を提案することとした次第であります。
 次に、この法案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、特定船舶製造業安定事業協会は、特定船舶製造業について学識経験を有する者が発起人となり、運輸大臣の認可を受けて設立されることとなっております。
 第二に、特定船舶製造業安定事業協会の主な業務といたしましては、特定船舶製造業のすべてが廃止される事業場の設備及び土地をあわせて買収するとともに、買収した設備及び土地の管理及び譲渡等を行うこととしております。なお、同協会は、業務の開始前に、業務の内容、その実施時期等に関する業務実施計画を作成し、運輸大臣の認可を受けることとしております。
 第三に、特定船舶製造事業者は、特定船舶製造業安定事業協会の業務に要する経費の一部に充てるため、同協会に対し、建造船価に毎年度運輸大臣が海運造船合理化審議会の意見を聞いて定める納付金率を乗じて得た額の納付金を納付しなければならないこととしております。
 第四に、特定船舶製造業安定事業協会に対する政府及び政府以外の者の出資、政府の補助、監督命令等につき、所要の規定を設けることといたしております。
 以上が、この法案を提案する理由であります。
 何とぞ、慎重な御審議の上、速やかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
#6
○増岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○増岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案について、本日、日本造船工業会副会長南景樹君、日本中型造船工業会専務理事浅野芳郎君、日本造船協力事業者団体連合会会長宇野信次郎君及び全日本造船機械労働組合書記長穂刈直巳君、以上四名の方々を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#9
○増岡委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
 参考人各位におかれましては、ただいま議題となっております特定船舶製造業安定事業協会法案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行いますので、さよう御了承願います。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関谷勝嗣君。
#10
○関谷委員 今回の法律に関しまして各論の質問をさせていただく前に、総論的なことでまず最初に運輸大臣に考え方をお聞きいたしたいと思うわけでございますが、円高不況対策であるとか特定不況業種離職者臨時措置法案とか、あるいはまた中小企業倒産防止法とか、いろいろ国がこの不況を克服するためには最大の努力をしておると思うわけでございますが、今回また労働省から、業種別ではなくして地域別の離職者に対する対策の法案も出ております。そういうふうにあらゆる角度からこの造船不況を克服するための努力をしておるわけでございますが、最近になりましても、まだまだ造船界に対する明るい見通しが余りない。そういうようなことで、造船業の不況の現状に対して大臣はどういうふうにお考えであろうか、そしてまた、それにあわせまして、外航、近海、内航という問題がどうしてもこれは不可分のものでございますので、今後この不況対策に対して根本的にはどういうふうなお考えをお持ちであろうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
#11
○福永国務大臣 ただいま関谷さん御指摘のごとく、いまいろいろの業種が不況であえいでおりますが、この中にあって、造船業は特に深刻な事情にあるということを私どもは十分認識いたしまして、政府全体といたしましても、そういう考え方のもとに、それにふさわしいような施策を講じていかなければならない、こういうように考えております。
 まず、不況の現況、そしてこれに対する対策というようなことで御質問がございましたが、昭和四十八年の石油危機を契機とする世界的な景気の低迷、あるいは長引く海運不況の影響を受け、造船業は国際的に新規需要の減退に苦しんでおりますが、この世界的な現象の上に、日本の造船業にありましては、最近の円相場の高騰という国際競争力の低下要因が加わりまして、世界の他の地域よりも一層深刻な状態になっております。
 このような現状にかんがみまして、政府としましては、昭和五十一年度以降、造船不況対策といたしまして種々の対策を講じてきたところでありますが、最近の円高による需給環境の一層の悪化により、新造船需給の不均衡が長期化することは避けられないと考えられますので、今後は過剰設備の処理を円滑に実施することにより、造船業の経営の安定化を図る必要があると考えております。
 しかし、設備の処理を行ってもなお当面の需給不均衡は解消されませんので、新規建造需要の創出を図ることとし、官公庁船の建造、計画造船推進による新船建造及び老朽船の解撤、経済協力による船舶建造等、いろいろのことを関係方面の協力を得つつ、鋭意推進していくことといたしたいと考えます。
 これらの新規需要によってもなお余剰労働力を吸収し得ない場合も考えられますので、雇用安定資金制度の活用により、できるだけ企業内での職種転換に努めるとともに、離職者については特定不況業種離職者臨時措置法の適用により、円滑な職業転換を援助していきたいと存じます。
 これを要するに、いろいろな方面から施策を講じてまいり、この深刻な不況の中にあえぐ造船業につきまして特に配意をしてまいりたい、こういうように考えます。
#12
○関谷委員 ちょうどけさの経済企画庁が毎月報告いたしております経済指数を見てみましても、まだ景気がよくなる要素というのが非常に不安定な要素を含んでおるわけでございます。そんなことで、ぜひこの不況克服のためにあらゆる角度からの努力をひとつお願いいたしたいと思うわけでございます。
 先ほど大臣の答弁の中にもございましたように、造船不況を克服するということ、活気を呼び起こすには、何といいましても過剰施設の処理と需要の創出という二つの柱があると思うわけでございますが、予算の面から見ましても、ひとつこの需要の創出というものに対して、五十三年度の補正は昨日通ったわけでございますが、五十四年度からの予算面におきましてもどういう対策をとろうとしておるか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
#13
○謝敷政府委員 先生御指摘のとおり、現在の造船不況を克服して経営を安定化するためには、大きな柱として新規需要の創出があろうかと思います。一般的には公共事業等の投資によりまして景気が回復して物流が増加し、それによりまして新造船需要が出てくるということも期待するわけでございますが、何分にも落ち込みが激しいことが予想されますので、直接船舶の需要あるいは造船技術を利用できるような新規需要の創出が必要であろうかと考えております。
 そこで、私どもとしましては、第一には、何といいましても計画造船の拡充を図っていただきたいということで、五十四年度予算で計画造船の制度の改善とともにお願いをしているわけでございます。
 さらにもう一つの大きな柱といたしまして、官公庁船の建造ということで、海上保安庁の巡視船艇等の建造をお願いしておりますが、これにつきましても、五十三年度補正及び五十四年度本予算でお願いをすることにしております。
 これと先ほどの新造船の建造需要の喚起とあわせまして、総体的に過剰船腹を助長しないという立場と、それから造船業の仕事量の確保の一助という観点で解撤工事の促進を図りたいということで、五十三年度補正予算で二十億を計上している次第でございます。
 そのほか、経済協力による船舶建造の促進ということで、輸出入銀行の融資の拡充、それから海外経済協力基金におきます船舶についての借款供与の枠の増枠等について手当てをしていきたい、こう考えております。
 それからさらには、もう一つの大きな柱でございます大型海洋構造物の建設につきましても、たとえば石油備蓄のための大型タンク船の建造等を促進するために、石油関係の公団と連絡をとりつつ需要が具体化するように努力しているところでございます。
#14
○関谷委員 特に、こういう不況になりますと、計画造船制度というものの抜本的な見直しをこの時点でやらねばならないのではないかと思うわけでございますが、局長いかがでしょう。
#15
○真島政府委員 御指摘の計画造船制度でございますが、おっしゃるとおり、最近の計画造船による建造トン数、これは五十一年度十六万総トン、五十二年度には二十六万総トン、五十三年度、いまいろいろと計画が出ておりますが、うまくいって三十万トンをちょっと超える程度ではないか、こういう形で進んでおります。
 御指摘のように海運不況、造船不況あわせて考えまして、特に建造需要の喚起という点から、私どもは、五十四年度におきまして計画造船制度の相当思い切った改善ということを考えております。船主の金利負担をできるだけ軽減するということによりまして、国際競争力のある新船が相当多く出てくるということを期待いたしながら、開銀融資比率の改善あるいは据え置き期間の延長というようなことも含めまして予算要求をただいましておる状況でございます。
#16
○関谷委員 普通にいきますと五十三年度で三十万トンぐらいであるということでございますから、それを補うものとして解撤促進ということで、計画を見てみますと、毎年百万トンの解撤と同時に百万トンの新造をやりたいというような考えがあるわけでございますが、これは何といいましても造船の方だけを見たのではやっていけるわけではないわけでございまして、船の注文を出す船主の方に対する援助というものがなければ、これは車の両車輪のようなものですから、ただ造船だけ考えてもどうにもならない、今度は船主に対する援助というものをまた考えていかなければならないと思うわけでございますが、それで大体、五十年度で利子補給制度というのが一応終わっておるわけでございます。しかし、こういう不況でございますから、逆に言いますと、それを喚起するために利子補給をもう一度考える、その補給率というものもできるだけ大きなものにしていくという考えが必要ではなかろうかと思いますが、その点いかがでしょう。
#17
○真島政府委員 御指摘のとおりだと思います。
 私どもも、五十四年度予算におきましては、船主の金利負担の軽減を、利子補給制度を大幅に改善して見直していくという方向で考えております。
 一方、過剰船腹という状況の中での老朽船の処分という問題につきましても、相当の手を打たなければならないということで、そういうような予算要求を現在やっておる状況でございます。
#18
○関谷委員 利子補給に対する率はどういう考えをいま持っておりますか。
#19
○真島政府委員 新船を建造いたします以上、国際競争力がある船をつくらなければならない。したがいまして、現状の中で国際競争力を十分持てる程度の利子補給ということを考まして、私どもいま、船主の金利負担が二%になるという程度の利子補給の要求をいたしておる状況でございます。
#20
○関谷委員 総論の最後として労働省に質問いたしたいわけでございますけれども、造船といいますのは、下請業あるいは関連企業など従業員数が非常に多いということでございまして、私どもの愛媛でも、もう大部分の造船所がぶっ倒れてしまいまして、特に今治などは、最近多少落ちついてまいりましたが、そのことに対する社会的な非常な不安というものが起こったわけでございます。雇用保険法の雇用安定資金制度とか、先ほど言いました不況業種離職者臨時措置法の給付金制度などということがありますが、ただ波止浜造船などが倒れまして、そういう従業員の方が再就職ということを、われわれのところにも依頼に来るわけでございますが、地方の場合は、中高年層になりますと、再就職というものが不可能という言葉を使ってもいいぐらい非常に悪いわけでございます。ですから、職業安定所を通して新しい職業につく者の訓練をするとか、あるいは失業保険の延長であるとか、あるいはまた待期しておる者に対する給付というような法律もあるわけでございますが、実際にそういうものがどういう状態で現在運営されているのであろうか、私は、そういう法律はでき上がったけれども、まだその法律自体が国民に理解されていないといいましょうか、なじみがないようなところが多々あるのではなかろうかと思うわけでございますが、失業者の現状、そしてまた下請も含めて、その中で何%ぐらいが造船関係の失業者であるのか、その点を御答弁いただきたいと思います。
#21
○白井説明員 お答えいたします。
 失業者の現状は、五十三年八月現在で、完全失業者が百二十一万人、完全失業率が二・三四%となっておりますが、この中で造船業の占める割合は、産業別にはとらえることができませんけれども、現在までに造船業から出ました離職者といいますか、運輸省の調査によりますと、ピーク時の昭和四十九年末は、下請を含めまして二十七万四千人造船関係の従業者がおられた、五十三年四月にはそれが約二十万三千人で、この間三年四カ月で約七万一千人減少をしているというのが現状でございます。
 先ほど先生がおっしゃいました特定不況業種離職者臨時措置法に基づきまして手帳を発給いたしておりますが、それの関係で申し上げますと、ことしの一月から八月末現在で、三十五業種の手帳発行件数は四万三千九十一件になっておりますが、その中で造船関係が二万一千三百七十五件と、約五割を超える状況になっております。こういう特定不況業種関係では、造船業が圧倒的な比率を占めておるということが言えるのではないかというように思います。
#22
○関谷委員 ぜひ労働省が失業者に対しては柔軟性を持って、この法律を利用して援助をしていただきたい、そのようにお願いしたいと思うわけでございます。
 各論的なことに入るわけでございますが、本協会法のもとになりましたのは、特定不況産業安定臨時措置法に基づいて出てきたわけでございますが、この特安法と今回提出をされております特定船舶製造業安定事業協会法との関連を御説明願いたいと思います。
#23
○謝敷政府委員 いわゆる構造不況産業と言われているものの不況の克服と経営安定のために、先国会で特定不況産業安定臨時措置法ができたわけでございます。船舶製造業のうちで総トン数五千総トン以上の船舶を建造し得る船台またはドックを有する製造業、いわゆる特定船舶製造業と言っておりますが、これにつきまして、その不況の克服と経営の安定化を図るためには、特定不況産業安定臨時措置法に基づきまして、まず過剰設備の処理と、これとあわせて行うべき措置に関しまして、安定基本計画が定められることとなっております。この計画に従いまして、過剰設備の処理を行っていくわけでございますが、特定船舶製造業の特殊性から申しまして、事業者の自主的努力のみによりましては、これを円滑に推進していくことが困難である、このため、同法の措置と相まって、これらの措置を補完するという形で所要の設備処理を進めていくことが必要であろうかと考えております。
 この点につきましては、さきの海運造船合理化審議会の造船業の安定化方策いかんという答申におきましても、この必要性が述べられておりまして、そういう意味におきまして、私どもとしては、本法は、特定不況産業安定臨時措置法により定められた設備の処理を、同法と相まって円滑に実施していくためのものである、こう考えております。
#24
○関谷委員 そんなことで、私は、非常にいい法律だろうと思うわけでございますが、特安法の中には、御承知のように、指定業種としてまだほかに平電炉であるとかアルミニウム製錬業であるとかあるいは合成繊維というふうにたくさんあるわけでございます。そんなことで、今回造船に対するこういう法律ができますと、ほかの業種の人からも、こういうような特別な法律をつくってもらいたいという動きがまた出てくるかもしれません。協会を造船だけまず第一歩としてつくるというのには、特定船舶製造業と、先ほど言いました他の不況業種との相違点が、その不況の程度であるとかあるいは産業構造的にこういうところが違うから造船はつくらなければならないのだ、こういうように、最後の倒産というのでしょうか、そこまでいく前に協会をつくってそこで買い上げる、そして社会不安を極力少ないものにしていくという目的であろうと思うわけでございまして、そのほかの不況業種との違いというものをどういうふうに理解してこの法律案をつくろうとしておるのか、お考えをお教えいただきたいと思います。
#25
○謝敷政府委員 特安法によります他の指定産業との関係でございますが、他の不況業種につきまして、私どもなりにそれと比較をしながら造船業の特色を御説明させていただきたいと思います。
 特定船舶製造業として挙げられておりますものは、企業数で六十一社あるわけでございますが、一つは、その事業場が全国に点在するということと、それから一事業場当たりの直接、間接の雇用者数が多いということで、各地域におきます中核的な産業になっている、したがいまして、それが倒産に至った場合の当該地域の社会的、経済的混乱が大きいということかと思います。
 たとえば一社当たりの従業員数を見てみますと、造船が六十一社で三千二百人、平電炉が七十九社で四百四十人、アルミが七社で千四百人等になっております。
 それから、第二に挙げられる特色といたしましては、造船所の施設が船台または建造ドックということで、一事業場の保有する処理対象設備の基数が一基ないし二基という例が多うございまして、各社同率の処理が困難であるわけですが、全体として処理すべき率がこれまた三五%と、他の業種に比べて高い、こういったことから、業界全体として円滑に処理を推進していくという必要が特色かと思います。
 それからもう一つは、造船業の場合に、いわゆる受注生産という形あるいは広義の意味の機械工業ということでございまして、平電炉に見られますような素材あるいは販売につきましての系列の強さというものがないわけでございます。したがいまして、他の業種におきます集約化による処理が困難であるということとともに、その保有する固定資産に対しましてかなりの企業において借入の残高が相当多くなってきております。したがいまして、特安法で経済的な援助の一つとして考えております債務保証制度について、親企業または金融機関の裏保証を得ることがきわめて困難な状況にあるものがかなりあるということでございます。
 それからさらに、三五%というような高率の設備処理をやっていくわけでございますが、なお需給不均衡が長く続くということで、たとえば需給均衡点をとって考えてみますと、造船は昭和六十年度、平電炉が五十五年度、アルミが五十八年度、合成繊維等は五十五年度ということで、そういった需給の均衡点がかなり先になってきている、こういった点から、特安法に決められました債務保証制度と相まって、何らかの特別の措置が必要であろうか、こう考えた次第でございます。
#26
○関谷委員 いまの答弁を伺いましても、その中で一番大きなのは、何といっても従業員数が多い、そしてそれが退職金といいましょうか、そういうものもなくて倒産されたのでは社会的な不安を非常に大きくするというのが中心にあると私は思うわけでございまして、今後とも労働省と密に連絡をとり合って、そういうものに対する援助というものは強力に進めていただきたいと思うわけでございます。
 それから、先ほどちょっと触れられたと思うのですけれども、安定基本計画の策定時期がいつごろになるのであろうか、そしてまた、その内容はどういうようなものであるかということを、予測の範囲であろうと思うわけでございますが、その中心部分を御説明いただきたいと思います。
#27
○謝敷政府委員 特定船舶製造業に関します安定基本計画につきましては、さきの九月二十八日に海運造船合理化審議会に対して諮問を行っております。私どもとしましては、十月末にその答申を得られるということでスケジュールを組んでおりますが、この答申を得次第、速やかに策定する所存でございます。
 これの骨幹になるものは、さきの七月十四日の海運造船合理化審議会の中でおおむね議論が行われておるところでございまして、内容として概略申し上げますと、まず一に、処理すべき設備の生産能力の合計は年間三百四十万標準貨物船換算トン程度とする。それから二が、設備の処理はおおむね昭和五十四年末までに行い、原則として基数単位で行うものとする。三としまして、設備の処理とあわせて他部門への配置転換、雇用保険法等に基づく助成措置等の活用による失業の予防と雇用の安定化に努めるとともに、事業転換、集約化の推進による生産体制の合理化と経営基盤の強化に努めるとともに、関連中小企業の経営の安定に配慮するものとする。こういうような内容になろうかと考えております。
#28
○関谷委員 この協会法を見ますと、第五の業務の中で決めておるわけでございますが、先ほどの局長の答弁のように、三百四十万トン設備処理をやりたいということで、この業務の第一に書いておりますけれども、「事業場における特定船舶製造業のすべてが廃止される場合に限る。」ということであるわけでございますが、その「すべて」でなければならないという理由、これは一つの考え方でございますが、特定不況産業信用基金だけでは十分でない、やっていけない、たとえば二つの船台があるときに、一つを売却して、それでもう一つのものが運営できるというものであれば、それはもちろん企業がそれだけの努力をしてやっていけるのではないかと思います。しかし、この場合はすべてがなしになるわけでございまして、修理部門でも造船にあればそれは残りますけれども、とにかくなしになってしまうというようなことでございまして、ちょうどこの両法案の間のものがないであろうか、そういうような議論も相当されたと思うわけでございますが、その「すべて」に決めた経過を御説明いただきたいと思います。
#29
○謝敷政府委員 法律案の第二十九条の一項一号で「当該設備か設置されている事業場における特定船舶製造業のすべてが廃止される場合に限る。」、こういうふうな規定をしたわけでございますが、確かに先生御指摘のように、いろいろな方法があろうかと思います。
 基本的に、特安法におきまして事業者が設備処理をしていくということは、安定基本計画に従いまして設備の処理を自主的に行うというのがたてまえでございます。そこで、それに対しまして事業者に対する経済的な援助措置として特定不況産業信用基金による債務保証制度が設けられているわけでございます。事業者はこの制度によって設備の処理に必要な資金等を融資によって調達し、この借入金は将来の自主的努力によって償還しなければならない、こういうことになっておるわけでございます。
 したがいまして、基本的な考え方としましては、事業者が設備の一部を廃棄しまして他の残存設備によって事業を営み、全体として目標とされている設備処理が円滑に行われますと、過当競争が排除されて船価が安定し、さらには需要の回復と相まって経営が安定して、その債務保証にかかわる融資を返済していく、こういう仕組みであろうかと考えております。これも確かに設備処理の一つの選択の方法であろうかと思います。
 ところが一方、特定船舶製造業にありましては、先ほど来申し上げておりますように、設備が巨大な船台またはドックであるということと、それから原則として基数単位で処理をすべきであるという考え方があるわけでございます。したがって、基数単位で処理いたします場合に、先生御指摘のように、決められた設備処理率に従って船台またはドックを基数単位で処理していくという場合に、これは事業者の選択の問題でありますが、自力で残存設備を持って営業をしていき、安定化の道をとれるという企業につきましては、これは債務保証基金の対象になり得る、こう考えたわけでございます。
 ただ、もう一つは、五十二年度の後半、五十三年度から五十四年度にかけましては、かなり中手以下あるいは大手も含めまして財務内容が悪くなってきております。また、なってくる予想でございます。したがいまして、こういった点で過剰財務を処理するためにある一定の資産処分を行わなければいかぬ、こういうことで円滑な処理を可能にするということでございます。したがいまして、この場合に事業場単位で処理をするという考え方は、一つは、中手以下の専業度の高い造船業が将来償還をしていかなければならぬ金を借りるということはなかなか困難な場合が予想されるわけでございます。したがいまして、信用基金制度と相まってこの種の買い上げ機関を設立することによって、事業者の設備の処理に要する資金の調達を可能にならしめることが必要であるというふうに考えたわけでございます。
 片やもう一つの見方としまして、協会の業務に要します経費のかなりの部分を、残存者の納付金等を政府の補助金に依存しているわけでございます。したがいまして、協会による買い上げというものは、これらの資金の出所を考えますと、協会による買い上げ以外に設備の処理の方法がない場合に限られるべきであるというような検討をしまして、その結果、業界のコンセンサスあるいは政府部内におきます検討の結果としまして、両方踏まえて事業場単位の処理というふうにしたものでございます。
#30
○関谷委員 これは希望でございますが、債務保証でやっていける造船所というのは、まだこれはいろいろ系列化された大手に近い造船所であろうと思うわけです。そしてもうこの協会に頼らなければならないというのは結局は最終的な状態である、もう最後の道というような感じでございましょう。ですから、ちょうどその中間あたりのものに何か方法がないかと思ったわけでございますが、そういうふうに一応決定されておるわけでございまして、極力弾力性を持たして運営をお願いいたしたいと思うわけでございます。
 そんなことで、造船所といたしましても、最終的に協会へ申請するかどうかということを決定するというのは非常にむずかしいと思うわけです。経営者の方、そしてまた組合もありましょうし、また株主の方の御意見、これをどういうふうに扱うのか、またお聞きしたいのですが、そういう本当に最後の処理であるわけでございますから、その決定ということが非常にむずかしいと思うわけでございますが、そういうことに対しては運輸省はどういうチェックを申請したときにするのであるか。これの細目はまた後ほど政令で決めるわけでございますが。それに対する考え方をお聞かせ願いたいと思います。
#31
○謝敷政府委員 確かに、先生おっしゃいますように、現在の非常に厳しい造船不況を克服しまして中長期にわたって経営の安定を図るということは、事業者あるいは従業員その他関係者にとりましてきわめて厳しい選択の道かと考えられるわけでございます。
 基本的には、特安法に基づきます処理と相まって行うことになりますので、まず特定船舶製造事業者がその事業場の全部を協会に売却する、この全部といいますのは、新造部門だけとお考えになっていただいた方が御理解が得られるかと思いますが、その場合に営業の全部または重要な一部の譲渡に当たるというようなことになりました場合には、商法の第二百四十五条によりまして株主総会の特別決議を得ることが必要とされております。こういう法律的な事項は別にいたしまして、大株主あるいは大口債権者あるいは金融機関等と経営者が十分御相談されて、その合意の上で申し出が出てくるものと考えております。
 また、従業員につきましては、労働組合に関しまして、特安法第十条によりまして、特定不況産業に属する事業者は安定基本計画の定めるところに従って設備の処理等を行うに当たりまして、労働組合と協議してその雇用する労働者について失業の予防、そのた雇用の安定を図るため必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととされております。したがいまして、従業員の方とも十分な話し合いが行われて、その上で申し出があるというふうに私どもは理解をしております。
#32
○関谷委員 そういう関係各位の十分なる理解というものを最終的にチェックしていただきますようにお願いをいたしたいと思います。
 時間でございますので、最後に大臣に御質問させていただきたいのでございますが、この協会といいますのは、公共性の非常に高い、そしてまた、むずかしい業務を遂行していかなければならないわけでございます。そんなことで執行体制といいましょうか、特に法人であれば理事長というのがトップにあるわけでございますが、今回は会長一人を置くというような考えも持っているようでございまして、どう言いましょうか、相当力のある人物と言いましょうか、そしてまた、内容を持った人的構成がなければ、買い取った物を管理、譲渡、そしてまた、売却するわけでございますから、そのあたりの相当なる見識深い人たちでなければむずかしいと思うわけでございます。そんなことで、協会の長期の収支計画なども含めましてどういうお考えであるか、御答弁をお願いいたしたいと思います。
#33
○福永国務大臣 ただいまもお話がありましたように、この協会の責任者には、申すまでもなく非常に大事な仕事でございますから、これをやるにふさわしいような人を選ばなければならぬ。現実的にもそうでございますが、同時に、機構そのものも、そういうことを念頭に置いたことでなければならぬ。さような観点からいたしまして、事務的にももちろん強力なものをつくらなければなりませんが、いまもお触れになったように、かなり高い視点から、また広い角度からこの事態に処してどうあるべきかということをさばいていけるような人を選ばなければならぬ。そういうことで、実は理事長もさることながら、特に会長を置いて、大きな意味でこの目的を十分達成させるようにしたい、こういうように思っているわけでございます。
 なお、後段等におっしゃいました点につきましては、私どもも、そういうことを十分考えて、その使命を十分に達成できるように強く考え、そういうつもりで対処をいたしておりますし、法案それ自体にもそういう気持ちを盛り込んだつもりでございます。
#34
○関谷委員 終わります。
#35
○増岡委員長 久保三郎君。
#36
○久保(三)委員 法律案の質疑に入る前に二、三、運輸大臣にお尋ねしたいのですが、提案されているものは、言うならば造船不況の後仕末というか戦線処理というか終戦処理というか、そういうかっこうなんですね。
 そこで先般、佐世保重工の再建問題で――これはいまだかってないことでありますが、再建したことが決して悪いことではありませんけれども、佐世保重工が再建せざるを得なくなる時点までに、かなりの数の造船所が倒産しているわけです。しかし、この佐世保重工が倒産しかかったときには、政府全体として異常な努力というか協力をしたわけでありまして、今後も御方針としてこういうことを引き続いてお続けになるのかどうか。もし佐世保重工に限って福田総理まで乗り出しておやりになったというのならば、それはどういう理由に基づくのか。これはこれから審議する法案にも関係いたします。再建するやり方としてどういうやり方が一番いいのか。佐世保重工のてこ入れなどは最も有効適切におやりになったのではないかというふうに思うのであります。
 きょうの新聞には、日経でありますが、函館ドックの終戦処理というか戦線整理の記事が出ております。函館ドックと佐世保重工は大体同じようなクラスの造船所でありまして、片方にはいままでの法律というか制度、そして片方にはこれからの法案、そういうものでおやりになるのだろうと思うのでありますが、佐世保重工について特別に異常な努力をされた政府の真意はいかなるものであるのか、それと同時に、これからも同じようなやり方でおやりになっていただけるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#37
○福永国務大臣 佐世保重工につきまして、いろいろな方面でいろいろな見方があろうかと思いますが、私どもといたしましては、あの佐世保重工が佐世保なり長崎県の中で占めるいろいろの事情につきましては、これはかなり影響するところが大きい、あの町にいたしましても、佐世保重工がつぶれたらとてつもない大きな影響がある、従業員にしても大ぜいの諸君が非常に不幸な目に遭うということ等、その他いろいろございますが、そういうようなことを考慮いたしまして、それより前にも確かに倒産したところ等もございますが、ちょうど私も運輸大臣に就任いたしまして間もなくのころからあの問題がございまして、正直な話、これ以上たくさん倒産が続くようでは大変だという危機意識も非常に強かったものでございますし、いまも申しましたその社会的、経済的事情等を考慮いたします場合に、何とかしてこれを倒産から防止しなければならぬ、こういうように強く感じまして、ともあれああした施策をとったわけでございます。あれでよかったかどうかにつきましては、いろいろ御批判もございましょう。だがしかし、私自身は、ああいうような事態についてこれを政府がほっておくようなことでは政治ではないというような気持ちもございまして、あの種の行動に出たわけでございます。
 函館ドックが、これまた非常に苦労をいたしておりますし、経営者も従業員の人たちもいろいろ私のところへも言ってきておりますし、何とかしてこれが妙なことにならないようにということは強く望んでおるわけでございまして、たとえば金融機関、メーンバンクの頭取というか、その銀行の責任者等に対しましては、私も、何とか大いに力を入れて倒産というようなことに絶対ならぬようにしてもらわなければいかぬというようなこと等も話をいたしましたし、まあまあの答えをそのときも受けておるわけで、その後、組合とも話をしながら、関係者一同が非常に苦労をしていることについては、私どもよく認識をいたしておるつもりであり、若干の手は打ったつもりでございます。
 そこで、こういうようなことを今後も続けるのか、こういうお話でございますが、久保さんに正直に申し上げますと、あの佐世保重工のころには、後もますますそういうようなものが出てくるということになっては困るということがわれわれの強い考えでございました。特に私の考えておったことでございます。しかし遺憾ながら、佐世保はどうにかああなったけれども、その後も容易じゃないという事態がなお続いておりますことを非常に憂慮いたしておるわけでございますが、今後もどうするかと言われることにつきましては、これはいま直ちに同じようにやりますとか、今後はやりませんとかという言葉ではちょっと申し上げにくいことを非常に残念に思いますが、いずれにいたしましても、造船業全体について何とかしなければならない、そういう観点から今度の法案もあるわけでございますが、もとより、これだけでもうあとは別に心配しなくても大丈夫だという事態ではございません。せいぜいこれからも一生懸命に対策を講じていきたいと思うわけでございますし、皆さんのお教え等もいただきながら対処してまいりたいと思うわけでございます。これを要するに、今後も誠心誠意苦しい事態に対処してまいりたい、こういうわけでございます。
 答えといたしましては至極明確を欠いたということ、私自身もそう思っておりますが、何とぞ御了承を賜りたいと存じます。
#38
○久保(三)委員 大臣御自分からお話がありましたので、やぼな質問であったかと思うのでありますが、少なくとも政策の実行については、変な目で見られたり変な解釈をされるようなことでは、政策自身あるいは政治自身に不信を買うだけでありまして、みじんもえこひいきがあってはいけないことは当然でありますが、言うならば一冊の本になるほどの話題を呼んでいる佐世保重工でありまして、われわれは、再建が悪いということではありません、よそにもたくさんございますということを忘れて、それにだけ力点を置くということは、何か公平を欠くのではないかというふうに思うのであります。
 そういうことを反省しないで、これから政治をおやりになるとするなら、大変な間違いだと思うのです。もちろん、うわさ話にある何かとの取引とか、何かを有利に展開するために乗り出したのだとは私はとりたくありません。しかし、公平に見て、いまや造船界は不況業種の中でも特殊な業種として、今後の行く末についても言うなら行く先不明ではないかとさえ考えられているわけでありますから、その中のただ一粒だけをつまみ出して、特殊な保護をするというようなかっこうでは政策ではないと思うのです。
 まあ運輸大臣、苦しい御答弁がありましたので、大体一冊の本に書かれるぐらいの物語があるのだろうと思っているわけでありますが、これからは絶対にそういう公平を欠くような施策であってはいけない。できるなら佐世保重工と同じような形で全部の造船所に対しててこ入れをしてほしいと思うのであります。これ以上申し上げても、この問題はけりがつかないようでありますから、一応先に行きます。
 もう一つお伺いしたいのは、造船所が、いわゆる造船業がここまでふくれ上がったというか、造船能力を高めてきたということには、幾つかの理由はあるわけであります。
    〔委員長退席、石井委員長代理着席〕
それだけに日本の経済や技術というか、そういうものに貢献した度合いというのも評価しなければいけないと思うのでありますが、それはさておいて、いまこの過剰設備を処理するという段階に来まして、この処理をしなければならぬまでにふくれ上がってきたことの責任というのはだれにあるのだろうということ。経済全体の責任だと言えば、これは何をかいわんやでありますが、それはすべてに通ずることでありますが、まず第一に、造船所の船台を増強するについては、業者の判断が一つあります、それからもう一つは、それを許可する政府の責任というのがあるわけです。ところが、いまだかつてごあいさつというか、説明の中でもごあいさつの中でも、政府の責任でここまで来てしまいましたという話は一言半句もないわけなんです。余ってきてもう船の注文がありませんから、こういうわけで買い上げの機関もつくりましょう、あるいは離職者の対策法も考えましょうという話だけなんであって、それじゃこの法律案なりこれまでにできている特安法そういうものだけで、造船業一つとってみても三百四十万トンこの際設備処理する、そうなった場合に、この目当てはたしか六十年を目当てにしているわけですが、その六十年までの間には落ち込みはないのかというと、需給ギャップがさらに拡大していくわけですね。五十五年のころから多少上がってくるだろうという、だろうというのです。それで六十年目標で三百四十万トンこの際減らそう、こういうことであります。果たしてそれに責任を持てるのかどうかということなんです。責任を持てというのも、これも無理な話ではありますが、おおよそそういう計算もどこから出るのかということなんですね。まあ計算の問題は別にして、その需給ギャップをどうやって埋めていくかという問題が問題の一つだと思うのです。
 だから、二ついまお尋ねしますが、一つは、これは運輸大臣からお答えをいただきたい。ここまでにふくれ上がらせてきて、いまや処理をせねばならぬような事態に追い込んできた一半の責任は政府の責任にあるということなんです。何で私がこんなことをいま言うかというと、数年前から私どもはこの席で、船台の増強については慎重であるべしということをたびたび注文をつけてきたのです。それにもかかわらず、業者の申請があれば大きなドッグの新設に判こを押してきたのはほかならぬ運輸省、運輸大臣であります。そういうことについて責任を感ずると同時に、これからの三百四十万トンを処理した後の問題に責任が持てるのかどうかということ。責任を持つためには強力などういう手段を講じようとするのか。単に買い上げだけでうまくいくはずのものではないのでありますが、その辺のことを先にお聞きしたいと思います。
#39
○福永国務大臣 まず最初に、概括的に御指摘の点等について申し上げたいと思います。
 局長等から、これを補っての答弁もさせることに御了承をいただきたいと思いますが、最初の、たとえば佐世保重工の問題の処理等につきまして、まさにこういうことは公平に対処しなければならぬというお話、そのとおりに拝聴をいたしておりますし、また、その他の点についても、いろいろわれわれが心得ておかなければならぬことについてお話をいただいたわけでございます。もとより私どもも、そういうことを心得つつ対処してまいったわけでありまして、ひとり佐世保についてどうこうということのみを考えてやったことではございません。
 一冊の本という御指摘がございました。私も、その同じ本かどうかは別といたしまして一冊の本を読みました。しかし、わりあいに福永健司の名前はあの中に出てきていないのは、いい意味か悪い意味かは別といたしまして、その点はその一冊の本ということとの関連では私は気持ちはわりあいに軽いのでございますけれども、しかし、それはともかくといたしまして、そういうことで私どもが非難さるべきえこひいき等をしたということは絶対にございません。私は、まあ就任いたしまして間もなくの事態でございますし、もともとこの種の問題については専門家ではございません、ございませんが、政治をやる者の心得としてどうあるべきかということから、皆さんからごらんになると幾らか素人っぽいこともやったかと思いますが、今後についても、これはこれでいろいろの意味で将来への教訓を得ることともなりましたので、よく心得て今後に対処いたしたいと思います。
 造船全体がこういうような事態にまで来たことについての責任についてお話しでございますが、政府といたしましては、現実にこういう事態であるという、こういうことからいたしまして、まさに責任の一半は政府にある、少なくとも運輸大臣はそういうことを重々考えておかなければならぬ、こういうふうに思います。ただ正直な話、福永健司になってから急に悪くなったというばっかりじゃないわけではございますが、だからといって、私は、いままでの運輸大臣の諸君がうまくなかったということは言いたくないのでございます。長い間のうちにこうなったということは確かにそうではございますが、それらの責任は私が一身に感じて今後に対処する、こういう気持ちでなければならぬ、こういうように考えております。
 いろいろありがたいお言葉等いただきまして、重々参考にいたしまして今後に対処したいと存ずる次第でございます。
#40
○謝敷政府委員 補足をさせていただきますと、いまのような不況状態に陥った問題点というふうなことが一点と、それから今回算定した三百四十万トンについてどういう考え方であり、今後どう対応するかという二点かと考えます。
 第一の点でございますが、これは確かに先生御指摘のように、造船法によりまして設備の新設の許可と、それから臨調法によりまして法律目的が若干違いますが、船舶の建造許可を運輸省がやっておるわけでございます。したがいまして、運輸省としましては、長期的には設備に当たっていろいろな角度からの検討をして、どういう基本的な方針でこれを処理するかということであり、これは海運造船合理化審議会にその問題について特に諮問をするという慣習をつくっておりますのも、こういった観点からでございます。
 造船業の国際的な発展を考えますと、まあ大体昭和の三十年の初期、四十年の初期、五十年の初期というふうにあるピッチで不況が出てきております。したがいまして、その時点その時点で海造審で見通しの作業を行ってきておるわけでございますが、基本的に算出をする仕組みといいますか、そのものについて特にその手法上誤りがあるということではないのではないか。非常に簡潔に申し上げますと、世界のGNPを想定しまして、それから石油等いわゆる流体カーゴー、貨物と乾貨物とに分けて、地域別な世界の海上荷動き量を出しまして、それから所用船腹と現存船腹の差を出し、かつそれに解撤と損失船舶を勘案して新造船舶量を決めていくという仕組みについては、最近は電算機が発達していますからかなり細かく早くやれるようになっていますが、基本的にはそういう仕組みでやっておるわけでございます。
 したがいまして、問題は、最初に入れます世界のGNPあるいは世界各地域のGNPをどう見るかということにかかってくるわけでございまして、確かに、昭和の四十年前半の終わりから四十五年、四十六年といった時点におきましては、世界のGNPも順調に伸びておりましたし、私ども現実に実感として見ましてもかなりの船腹需要が、特にタンカーを中心にして出てまいったということでございます。四十六年の答申で、それまでやや抑制ぎみにしてまいった路線を中間答申で変えてございますが、このときのことを想定いたしますと、船台の予約とかあるいは長期にわたる手付を打って船台を確保する、そういった事態でありまして、船価も非常に急騰したという事態がありまして、それなりの強い需要に対応して設備をスクラップをかげながら新設を認めてきたわけでございます。
 これは国際的にも欧州でいろいろなことを言っておりますが、基本的には同じ流れでございまして、四十八年の石油ショック以後、いわゆる成長率に対するいろいろな議論が出まして、それから船腹の需給のアンバランスが顕在化したわけでございます。
 ただ、造船の場合に非常にむずかしいのは、船腹の建造に……(久保(三)委員「時間の関係もありますから、言いわけはいいです。反省をしていらっしゃるかどうかを聞いているのです」と呼ぶ)その点につきましては、今後とも海運造船合理化審議会の場における審議を十分念頭に入れて対応してまいりたい、こう考えております。
#41
○久保(三)委員 時間もございませんから、説明とか言いわけはいいです。
 ただ、先ほども言ったように、六十年度をめどにして三百四十万トン削減ということですが、その間におけるところの需給ギャップはどうやって埋めますかということを、どういう工夫があるのですかということをお尋ねしたわけなんですが、そのお答えはないようですので後からお答えいただきたい。
 局長のお答えの前に、きょうはお忙しいところおいでいただきました参考人の方々に、専門家でいらっしゃる参考人の方々に一応お聞きしますが、いま話をしましたように、皆さんも御承知のように、今度の処理というのは六十年度を目標にして三百四十万トンの処理をしましょう、平均能力の三五%を処分する、こういう計画でありますが、その計画を妥当としても、将来六十年のときの様子をここで明確にだれも答えられる者はないのではないかと思うのです。ただ問題は、六十年までの間にも落ち込みがどんどん落ち込んでくる、五十五年度くらいから多少上向きになるかなあという計算が出てきているそうですが、局長のおっしゃるのには、電算機があるから余り間違いはないと言うのですが、いままでも電算機があったのだが間違っているようだから、それはどうも当てにならないのじゃないかと思うのです。
 そこで、造工の副会長の南さん並びに中造工の専務の浅野さんお二人おいでですからお聞きしたいのですが、われわれが一番心配しているのは、三百四十万トンの処理をじゃあしましょうということで、皆さんも政府もそういうことで、あるいは従業員もそういうことで処理した、しかしその後、さっぱりどうも需給ギャップは埋まらないで、どんどん悪化していくということでは、これじゃまだ足りないからもう少しやろうじゃないかということになるのでは、これはなかなかそう簡単には乗れないのじゃないかというふうに心配しているわけなんです。そういうことについてどんなふうにいまお考えでありますか、一言ずつお答えをいただければ大変ありがたいのですが……。
#42
○南参考人 ただいま先生からのお尋ねは、三百四十万総トンを設備廃棄して、果たしてそれでいけるのかということのように承りましたのですが、現実問題としては、三百四十万トンの設備廃棄によりまして昭和六十年に需給が均衡するという一応のめどをつけて、その数字を出してまいったわけでございます。したがいまして、その期間内においてもちろんそれを割り込んでかなり低い操業度になるということは十分予想できるわけでございます。それに対しまして業界といたしましては、この一応の設備廃棄のほかに、建造の総量の規制をやっていただきたいということをお願いいたしております。これは現在すでに操業時間において規制を、行政指導の形でやっていただいておりますが、なお不十分な点がございますので、CGRTという総トン数の制限によりまして、修正トン数の制限によって建造量の総量を規制していただくというふうにお願いを申し上げたいと存じております。これをやることによりまして、過当競争がなくなってくるというふうに私どもは考えております。
#43
○浅野参考人 おおむね南参考人の御意見と同じでございますが、六十年までの需給のギャップは、先ほど御当局から御説明がございましたように、経済協力あるいはスクラップの促進によります新造船の需要の促進というような需要の創出で埋める一方、やはりそのギャップがなおあります場合には、操業度の規制ということで考えていかなければいけないだろう、こういうふうに考えております。
 ただ、操業規制のやり方につきましては、従来のやり方もございますし、これからまた新しいお考えもあるのかもしれませんけれども、その辺はまた私ども内部で検討していきたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、操業規制はやって、やはりその間の調節をしていかなければいけないだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
#44
○久保(三)委員 船舶局長にお尋ねしますが、いまお二人からは、操業調整というか規制ということで、特に造工の副会長さんからは、CGRTの方法によってというお話がありましたが、運輸省としては、これからどういうふうに操業調整をするつもりであるのか、お答えをいただきたい。
#45
○謝敷政府委員 中長期として過剰設備の処理をした上で、先生御指摘のような期間におきます需給のギャップがまだ残るかと考えます。したがいまして、これから新規事業の創出に努力をいたしまして、その量を勘案して、それを上乗せして、どの程度の需要水準までになるかということを算定いたしまして、それを基準にして操業調整をやりたいと思っております。
 この操業調整につきましては、五十二年度から実施しております造船法による大臣勧告という形でやってまいりますが、その基礎とします単位につきましては、これまで全時間数でやっておりましたが、先ほど来の業界の御意見もありまして、要するに事業者各位が相手の操業度がわかるようにという意味もあるかと思いますが、いわゆる標準貨物船換算トン数を導入して操業調整の水準をなるべく早く決めていきたい、こう考えております。
#46
○久保(三)委員 そこで、これもやはり船舶局長にお尋ねした方がいいでしょうか、残る船台としては六五%残る、そしてその残った船台は大型のものもかなりある、大型のものがかなりというより五千トン以上のものが大半残るわけですが、そこで、いま並列建造の問題があるわけですね。この並列建造は、いま一・五隻というか、そういう規制でやっているのだが、これは今後どういうふうな規制をとるのか。並列建造を一切やめるのかどうか。というのは、中手以下は専業が多いということであるとするならば、大手が並列建造をやるというと、そこにかなりの問題が出てくるわけですね。別に大手が悪くて中手がいいのだというふうな意味じゃなくて、仕事の分配という問題をやはり考えなければならぬ。この分配の問題は、やはり労働者の雇用の安定という観点から考えていく。職域が拡大できる大手七社を中心としたようなものは、かなりのシェアが拡大できるだろうと思うのですが、しかし、小さいものはそう簡単に仕事の分野を確保することはむずかしいと思うのです。そうなりますと、いままでの一・五隻並列建造の規制だけでよろしいのであろうかどうかというような疑問があるわけなのでありまして、この点についてはいかように考えますか。
#47
○謝敷政府委員 操業調整の問題につきましては、確かに先生おっしゃるような問題点がまだ残っております。これまでの総時間数による操業調整だけの場合には、行政指導として大きな、たとえば三十万トン・デッドウエートのタンカーがつくれるような超巨大のドック等におきまして貨物船をかなりの数建造されるということは、全体としての規制に公平を欠くのではなかろうか、こういうふうな観点から並列建造を、先生御指摘のような一・五隻にとめてまいったわけです。
 今回は、全体で過剰設備の処理を三五%やるという基本的な線が一つと、それから、その補完として操業調整を実施するということでございますので、操業調整については総量のトン数を貨物船換算トン数で規制するわけでございますので、考えようによっては総量規制があるわけですから、個別船台の使い方については各企業者の自主的な判断に任せたらどうだ、こういう議論もうなずけないわけではないわけです。それと同時に、中手以下の、特に小さい事業者が、たとえば非常に小型の船を並べてつくられたのでは、心理的にもあるいは実態的にも影響が大き過ぎて、その点について何らかの調整をしてほしいということもあるわけでございます。したがいまして、この並列建造の問題につきましては、今後、造船業界の各グループ、規模別のグループの方の御意見も十分にお聞きをしながら、双方納得のいくような線を見つけて並列建造の問題については対応したい、こう考えております。
 それから、これと並行いたしまして、大きなところで小型船をつくらないということにつきましては、これは全体がタンカーの需要が落ちまして貨物船以下の船になっておるわけでございますから、この点、全面的に分野調整のような考え方は、従来も大手のグループでも大分つくっておりましたので、なかなかとりにくい点はあるわけでございます。したがいまして、特に船舶整備公団とか官公庁船等につきましては、技術的にできるものはなるべく中手の造船所に、かつ技術的に若干困難であっても大手とのジョイントベンチャーをつくるというような点で、適船が中手以下にも受注され得るような体制は今後とも続けてまいりたい、こう考えております。
    〔石井委員長代理退席、委員長着席〕
#48
○久保(三)委員 どうも局長のお話は、これから皆さんの御意見を聞いて考えましょうということなのでありますが、大事な点なので、ちょうどいいあんばいに、きょうは造工と中造工からそれぞれの方が来ておりますので、南副会長さんと浅野専務理事から、いま並列建造の今後のあり方について御意見をお述べいただければ大変幸いだと思います。
#49
○南参考人 並列建造はすでに海外の造船所で実行しております。船舶が国際的な競争力を持たなければならないという見地からは、当然私は並列建造はやるべきであるというふうに考えております。
 ただ、並列建造ということになりますと、一つのドックが数基の船台に変貌するということでございまして、したがって現在、当局がお考えになっておられます基数による制限ということは、根本的に思想的に崩れてしまうということに相なるのではないかと考えております。したがいまして、基数で制限をするという措置をおとりになるのなら、一つのドックはいかに大きくても一つのドックであるという原則を貫いていかなければならないということになると思います。したがいまして、その意味からは並列建造は不可ということになるというふうに私は考えております。
#50
○浅野参考人 私どもの考え方は、並列建造に対しては絶対に困るということでございます。申しわけございません。
 その理由は、ただいま南参考人のお言葉にあったと思いますが、一つは、そもそも船台は一隻の船をつくるべくして当初から計画されたものでございまして、これに二隻なり三隻なり四隻なりを同時につくるということは、一本の船台を二本、三本、四本に使うということになるわけでございます。これは、ただいまの三五%の設備の削減という基本方針でございます船台の数をなるべく減らしていこうという趣旨からも反するのではないか、私はこう考えるわけでございます。
 第二番目は、ただいま私も操業規制で需給のギャップを調整せざるを得ないと申し上げた次第でございますけれども、操業規制をいかに厳密にきちんと数字的に吐き出しましょうとも、需給のギャップが全くないということはあり得ないだろう。これは理屈の上ではあるわけでございますけれども、実際問題としてあり得ないわけでございます。たとえば来年は百万トンとれるであろうと言っていろんな方が予想なさっても、必ず若干のずれ、あるいは大きくずれが出てくるはずでございます。その場合に、もし並列建造が認められますならば、営業力その他で非常に力のありますところが先にどんどんとってしまう、こういう結果になりまして、弱小造船所はいつかの時点で仕事にあぶれるというような結果になると私どもは考えておるわけでございます。
 この二つの理由で私は並列建造は反対だというふうに考えておるわけでございます。
#51
○久保(三)委員 船舶局長、あなたの意見が一番おくれているな。いま造船界を代表するお二人から、それぞれお立場の相違はあろうが、こういう仕組みをやるについては、特に並列建造はするべきではないという明快なお話がありました。
 運輸大臣いかがですか。船舶局長思案に困っているらしいが、いまからお話を聞こうと言うのだが、もう聞いたのだから、ここではっきり言明なさったらいかがですか。
#52
○謝敷政府委員 先生御指摘の並列建造の問題につきましては、理論的には標準貨物船トン数で総量規制をすれば何ら不公平はないかと思います。したがいまして、並列建造の点について、これは一つは国内だけの競争ではございませんので、国際的な競争をしていくという場合に、そこまで縛るならば、過剰設備の処理をし、かつ総量規制をやるなら、一つごとの船台の使い方は自由にさせてくれ、たとえば二本船台を持っておったとしますと、それを一・五隻で回していくのも自由であれば、一本をやめまして遊休化して一本で三隻をつくっていくというやり方もあるわけでして、その点は各事業者が、どうやって自分の経営内容を改善するために船台を勝手よく使うかということにも重大に関係してまいりますので、よく業界の意見を聞きながら調整をしてまいりたい、こう考えております。
#53
○福永国務大臣 久保さんから私にも答えるようにというお話でございます。
 いま久保さんの御意見も、それから業界代表の方の御意見も伺いましたし、同時に船舶局長の話も聞きました。いずれの皆さんも私、よく信頼しているし、尊敬をいたしておるのでありますが、率直に申しまして、素人である私は、いずれを聞いても、それぞれなるほどなというように感じております。だがしかし、この法律の精神等からいたしまして、そういう意見がある中でおのずから方向は決められていくべきであろう、こういうように思いますので、せっかく局長等もああいうように言っておりますのに、私がまた違ったことを言ってもいかがかと思いますから、よくこういうことを踏まえて、法律の精神を生かすようにという観点から政治的にも判断をしてまいりたいと考えております。
#54
○久保(三)委員 政府当局の答弁が一番あやふやで、いま業界のお二人からは、それぞれ代表するようなお立場からお話があったわけであります。個人的なお話だけでは私はないと思うのです。また法律の趣旨からいっても、先ほど南副会長さんがおっしゃるとおりに解釈しなければならぬじゃないかというふうに思うのです。それに対して船舶局長は、どうもわれわれ素人のせいか、あなたのおっしゃることがよくわかりません。どんな事情があるのか。あなたがこれからお聞きになる業界というのは、中造工、造工、日造協、それ以外にどこか聞くところがあるのですか。どこか聞くところがあるならまたなんですが、どうも歯切れが悪い。きょうじゅうに運輸大臣と御相談いただいて、そういうきちっとした方針を、どっちにするのか、きちっと御返答いただきたいと思うのです。私の持ち時間がもう余りありませんから、これは後から一番最後にお答えいただくことになります。御相談いただいて一番後からお願いいたします。
 それで、いまでもそうですが、再建のためにダンピングというか過当競争がある、そこで、CGRTで今度は規制しようということでありまして、それは当然だと思うのですが、それでもなかなかむずかしいのではないかというふうに思うのです。というのは、国際的な競争の問題もあるししますので、言うならば船価のダンピングと言ったら語弊があるが、そういう問題を考えなければならぬ。いわゆる船価を安定する工夫はどういうふうにして考えておられるのか。
 それと同時に、雇用の問題に直接影響してくるわけですが、最近、佐世保重工かどこかの社長は、再建策として就労時間を延長するということ、それから残業はもちろん通り相場でやっていく、こういう事情の業界でありますから、そう楽をして金をもらって働ければいいのだというようなことではできないとわれわれは実は思っているのです。しかし、少なくとも雇用を縮小しない工夫が業界においても、それから政府の施策の中でもとられなければならぬ。雇用を拡大しろとは言いにくいのです。というのは、設備が過剰なのでありますから、注文がないのでありますから。ですから、せめて雇用を縮小しない方法を確立しなければ、どんな政策があってもほめたものではないと思うのです。ところが、いま言ったように残業はやるわ、就労時間は延長するわ、こういうことでは雇用を縮小する方向なのでありまして、そのための船価の競争というものも出てくると思うのです。
 そこで、労働省雇用政策課長にお聞きしますが、特安法第十条の問題、あるいは離職者の法律案の第三条には、事業者の責任というのがありますね、そしてその事業者の責任は訓示規定なんですね、しかし、訓示規定だけれども、少なくともこれを最後に担保してやるものは政府でなくてはならぬと思うのです。単に事業者の責任はこう書いてあるから、あなた守りなさいよというのではなくて、政府が担保する力を持たなければむずかしいと思うのです。そういう問題について労働省はどう考えておられるのか、これをお聞かせいただきたい。
 それから、あわせてお聞きしますが、全造船の穂刈書記長おいででありますが、現況としていまのような就労時間の延長とか残業というのは、造船界ではいわば身についたようなものであって、新しくやっておるものではないというような話も聞きますけれども、今後はそういうものをやめさせなければ、雇用の縮小につながっていって、この三五%の船台の処理だけでは間に合わなくなってくると思うのです。そういうものをわれわれは心配しておるのだが、組合としてはどういう考えでおられるのか。雇用の安定の方策としてどういう要求をお持ちであるか、お尋ねしたい。
 それから、これは船舶局長にお尋ねしますが、先ほど関谷委員のお尋ねで大体明確になっていますが、今度のこの法案で買い上げる設備と土地は、いわゆる新造船のドックを中心にしたものであって、それ以外の修理とかスクラップとかではないというふうにきちんと整理してあるはずだと思うのだが、そのとおりであるか、お答えいただきたいということであります。
 以上、何人かの方にお尋ねします。順次お答えいただきたいと思います。
#55
○白井説明員 お答えいたします。
 労働時間の規制の問題は、実は私、ちょっと所管が違うのでございますが、いま先生が例にお挙げになりましたような問題につきまして、造船業がこういう状況でございますのでいろいろ事情はあるかと思いますが、過重な労働時間の延長等につきましては、労働基準関係機関を通じまして指導を行っているところでございまして、労働省としましては、そういう面での労働者の福祉と、いまおっしゃいました雇用の維持というようなことで対処いたしているわけでございます。
 一方、実際に処理が行われます場合の特安法十条の規定、それから臨時措置法におきます三条の規定、これは努力義務でございますが、その処理に当たっては、先ほど運輸省からも御答弁がございましたように、労働組合の意見を聞いて十分処理されるものと思いますが、そういう指導とともに、実際に離職者が出てくるとか配置転換を行うとか、そういう場合には離職者臨時措置法におきまして、再就職援助計画を事業主から出していただくことになっておりまして、その際は労働組合の意見を聞いて添付して出されるということで、実際に安定機関におきまして、その再就職援助計画が適切なものかどうかという処理をいたすことになっておりますので、その点での指導も十分加えてまいりたいと思っております。
#56
○穂刈参考人 雇用の安定の問題については、総体的な仕事量の問題であるとか企業内容の問題であるとかいろいろあるわけですが、総体的な中で特に私たちが強く雇用問題について政府に対し、あるいはまた企業に対し要求しておりますのは、一つは、この機会に何とか労働時間を短縮することによって現在の大量の首切りを防ぎたいと考えているわけであります。現実に企業側が行ってきております人員整理の理由については、大きくは二つあります。一つは、仕事の絶対量が減ったことによって起こる人員の整理の問題があります。それからもう一つは、過当競争によってコスト競争にたえ得る、これを前提にした首切りがあるわけであります。
 いままでわが傘下の企業で約十社が希望退職、その他人員整理を具体的に行ったのでありますが、人員整理を行った後、かつて以上に時間外労働がふえたというのが四社あるわけであります。したがって、これは明らかに過当競争を前提にした首切りであったと判断しているわけであります。
 そこで、われわれが従前から運輸省当局に強く要求してまいりましたのは、新造船を建造申請する場合には、あらかじめ総工数その他を含めた基礎試案を出して申請を許可していただくわけでありますから、その時点で、時間外労働を組み込んだ建造申請については何とか却下させるなり修正させるなり、時間外労働については一切認めないという形で労働者の絶対量、雇用量を確保してもらいたいということを強く要求してまいったわけであります。
#57
○謝敷政府委員 私に対する御質問は、今回の特定船舶製造業安定事業協会の買い入れの対象になるものは、五千総トン以上の新造船にかかわります設備及び土地に限るということでございます。
#58
○久保(三)委員 時間もありませんので一船舶局長に最後にもう一点確認というかお尋ねをしたい。
 いま穂刈全造船書記長から話があったように、現実にはダンピングというか船価競争のために労働時間の短縮、それで、そのために失業者、離職者を出していくというケースがかなりある。今後も予想されるのでありますが、時間外労働、その他の計画を中に入れてくるものについては運輸省でチェックをする、そういう仕組みがいまとられるべきではないかという話が出ておりました。一つには、労働省の方の安定計画にも関係するものだと思いますけれども、特に運輸省として配慮すべき点ではないかと思うのです。いかに思うか、これが一つ。
 もう一点は、買い上げの申請が事業協会に出てくる、その段階には当然先ほど労働省の政策課長から話があったように、特安法十条あるいは離職者臨時措置法の第三条というか、そういうものが守られて具体化してきているかどうかを見届けた上でなければ、その買い上げの処理はしないということが筋だと思うのでありますが、そういう指導を的確になさるつもりであるかどうか、この点をお聞かせいただきたい。
#59
○謝敷政府委員 第一点の時間外労働の点でございますが、これにつきましては、五十二年度から総時間によります操業調整をした際に、二点ほど私どもは事業者に対して指導をしております。定時間労働の線を守ってほしいというのが一点、それから第二点は、外注比率等について従来の水準を守って関連中小企業者に対する配慮をしてほしいという二点を申し上げております。
 したがいまして、基本的にはその考え方でよろしいのですが、ただ、企業が極端な不振に陥って再建のためにやる場合については、基本的には先生おっしゃるような線を守りながらどう対応していくかという点について、若干の弾力的な取り扱いが要るのではないかと思います。ただし、この場合といえども、労働基準法に反するようなことがあってはならないことは当然であろうかと考えます。この点につきましては、船価指導の上では今後とも続けてまいりますし、かつ操業調整を標準貨物船換算トン数でやりますので若干改善されるかと思います。
 第二の点でございますが、これは先生御指摘のように、特安法の十条、それから特定不況業種離職者臨時措置法の第三条と第七条で、それぞれ義務規定と雇用の安定に関する計画を作成するということが決められておりますので、運輸省としましては、協会が事業者の設備及び土地を買収する場合には、あらかじめ事業者がこれらの措置をとったことを確認するよう協会を指導してまいりたいと考えております。
#60
○久保(三)委員 もう時間が過ぎて恐縮ですが、海運局長にせっかく来ていただいて、お尋ねするのだったのに聞かないで引き下がってもどうかと思うのでお聞きしますが、さっき関谷委員から、スクラップ・アンド・ビルドによって海運のための海運政策を実行するということが中心であるというお話がありまして、そのとおりだと思うのですが、われわれの立場は、海運の立場と造船の立場と両方の立場で考えてもらいたいということなんです。海運界には海運界の事情もあるだろう、造船界には造船界の事情もあるだろうが、この際は、やはり大きく国家の政策として考えた場合には、運輸大臣は一人なんでありますから、運輸省の中には局長が三人海運関係ではおられるけれども、ねらいは一つでなければいけないと思うのです。そういう意味で、来年度予算の要求についても、ただ言うがままでは困るのであって、この際こそ国民的なセキュリティーの問題から一つは考えて、そして日本の海運はどうあるべきか、体質改善を含めて考えてもらいたい。集約をした後も何ら体質が変わっていないという実態ではどうかと思うので、そういう点について深い配慮がなければいかぬ。ただ単に造船不況だから、おれらは金利さえ安ければつくってあげますよというようなことでは、ちょっと話が違うと思うので、そういう意味で、あなたのお考えはどうですか。
#61
○真島政府委員 私どもも、いま先生のおっしゃられましたとおりの考え方と申しますか、基本的な姿勢で五十四年度の予算要求もいたしております。
 私、やはり海運の立場から申し上げますれば、日本の商船隊全体の中で、現在約五一、二%が日本船でございますけれども、やはり基本的には、日本船がさらにふえていって外国用船は必要最小限になるのが理想的な姿であろう、ただ、現在の状況下で五一、二%という形になっておりますけれども、やはり今後長い目で見ますれば、質のよい日本船の建造ということによりまして日本商船の体質改善、さらにあわせまして造船の建造需要の換起、この二つを調和させながら進めたいと思っております。
#62
○増岡委員長 午後零時五十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時五十二分開議
#63
○増岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐野進君。
#64
○佐野(進)委員 今日の造船不況の現状は、大変深刻な状態であること、これは午前中の質疑を通じて明らかになったわけですが、私は、これらの問題と関連して、ただいま提案されておる法案の内容、そしてその状態をどう脱却するかについて、逐次大臣や各局長あるいは参考人に質問をしてみたいと思います。
 最初に、大臣にお尋ねしたいのですが、午前中の質疑を通じて大臣もいろいろお話しになっておられましたけれども、私は、この法案の提案の内容をつぶさに検討していくと、要するに昭和五十五年、六年に対しては、全体の操業率の二五%ないし三〇%程度まで落ち込むであろうという海造審の答申、その他客観的ないろいろな条件を前提としてこの法案が提案されておる、こういうように判断し、昭和六十年に至って三五%削減の効果がやっと平準化してあらわれてくる、そうするとここ七、八年というものはきわめて深刻な状態に造船界が置かれていく、こういうことになることを前提として審議をしておるわけであります。
 一体、日本経済というものをわれわれが分析し判断していく場合、予測違いというものが、いろいろな角度から検討された結果、たびたび出てきておるわけであります。したがって、その予測違いということがいい面と悪い面と二つにあらわれておる場合があるわけでありますが、この場合、大臣に端的にお尋ねしたいのですが、ことし特安法が通り、それに基づくところのこの法案を提案されてこれから取り組むわけですか、最悪の状態を想定してこの法案を審議し、あるいは対策を立てている、こういうぐあいに判断していいのではないかという、甘い見通しかもしれませんが、私は私なりにそのように世界経済なり日本経済の状態を分析するとそういうような気もするわけですが、しかし、最悪の状況を前提として対策を立てる方がより安全であり、よりベターである、こういう考え方であるとするならば、それもうなずけるわけでありますが、大臣は、日本経済の現状、世界経済の現状の中で造船界の置かれている状態、これはもちろん海運界がその前提になるわけでございましょうけれども、それらの状況の中で果たして昭和五十五年、六年という事態と六十年という事態、この二つをながめて、その前提として立てられている計画の基本線は予測としてどのように判断されておるか。これは海造審の予測ですから、大臣の見解はまた別だと思いますので、その点についてプラスであるのかマイナスであるのかという判断を含めてひとつその御見解をお聞きしたいと思うのです。
#65
○福永国務大臣 佐野さんのいまお話の点につきましては、理屈の上からいうと、福田総理じゃないが、万万万の一というようなことを言えば、これはもっと悪いことも考えられないではございませんが、まず常識的に見まして、いまお触れになりましたような対策でいけば、まずまずこんなところじゃないかというような考え方でございまして、それにつきましては、ある程度数字的な根拠等もあるわけでございますが、一口に申しまして、そういうような考え方で臨んでいるわけでございます。
 日本経済全体のこれからの状況等を予測いたしますよりも、ややそれより造船については容易ならざる事態としての把握なり認識に基づいているということは正直に申し上げます。これにつきましては、もちろん世界の不況の状態等もございますが、また日本にとっては特に円高の影響等もございます。船につきましては、いかんせん残念ながらほかの業種等に比べてより一層深刻であるという認識のもとで対処しなければならぬというように私ども考えたわけです。したがって、経済全体の動向と比較いたしますと、ややいま申し上げましたような傾向がございますが、といって、これは決してわざとそういう深刻な事態にとらえているというわけではございません。むしろ造船についてはそのぐらいでなければいかぬのじゃないか、こういう観点からでございます。
 六十一年ごろには、いま講じておりますし、将来も講じますような一連の施策と考え合わせまして、そのころになれば何とか曙光の見える状態になろうというように見ております。これも漫然たる見当ではなくして、いろいろそういうように判断してしかるべき材料があり、根拠があってのことでございます。
 いずれにいたしましても、これからの数年間非常に大事なところでございますので、遺憾ない対策を講じていかなければならぬ、さように考えております。
#66
○佐野(進)委員 いま大臣が答弁なされたようなことを前提として今回の法案が提案されておると私は思うのでありますが、私は、ここでよりよき状態になるよう、そういうようなことを希望するという立場に立って、予測についても、こういう最も厳しい状態の中から、少なくとも毎年毎年、五十三年度よりは五十四年度の予測がより上向いていくというようなことになるべく、日本経済の運営に当たる政府も努力をするわけでございましょうが、そういう点についてそうなるであろうということを前提としまして特安法を審議した経過の中で、それぞれ対象業種として幾つかの業種が拳げられておるわけであります。その中でいま最も落み込みが激しいと見られておるのは、この造船業であるわけでありまするが、この造船業の現状と将来の見通しについて、それぞれ簡単で結構ですから、船舶の問題、海運の問題との関連を持つ海運局長さらに船舶局長、それからこの造船業以外の代表的な三つの業種において通産行政が携わっておるわけですから通産当局から、それぞれの業種の今日の状況と将来の見通し、時間がありませんからきわめて端的に、簡単でよろしいから、次の審議のために必要でございますので、それぞれの見解をひとつお示しいただきたい。
#67
○真島政府委員 海運関係について簡単に申し上げます。
 やはり五十五年までは、なかなか現在の低迷状況というのはそう簡単には回復しないだろうという感じでございます。五十五年以降六十年に向けては、海造審でもいろいろ御審議をいただきましたけれども、緩やかに商船隊規模かふくらんでいかなければならないだろう、その程度は、日本船、外国用船を合わせました全体が一〇%台の後半程度、五年間でその程度の緩やかな回復に向かうのではないか、こんな感じでございます。
#68
○謝敷政府委員 造船について御説明をいたします。
 今回の設備処理をいたしました後の六百四十万貨物船換算トン数に関して需要創出対策を行わないとしますと、五十四年度が一番底になりまして、約四三%くらいの能力に対する比になると思います。しかし、その後は若干回復をしてまいります。需要創出対策をあらゆる手段でやって、考えのとおり積み上げられるとしますと、五十三年度が削減後の能力に対して六五%、以下五十四年、五十五年と上がってまいるか、こう考えますが、基本的にこの問題について問題になります円高の基調がどういうふうに変化するかという点については、今後慎重に見守って、その時点で対応してまいりたい、こう考えております。
#69
○黒田説明員 お答え申し上げます。
 通産省の所管の三業種、平電炉、合成繊維、それからアルミを御指摘だと思いますが、これらの業種につきましては、一部の業種で先生御指摘のように、若干一般景気対策の効果、あるいはこの法律とは別の形で、つまり生産調整対策というようなものを実施した効果などが上がりまして、業況が、たとえば市況あるいは稼働率が若干上向いているものもございます。ただ、特定不況産業安定臨時措置法で目指しております構造的な対策、つまり長期的な需給ギャップの解消策という観点から見ますと、いずれの業種につきましても、平均的には二割程度以上の需給ギャップがあるのが現状でございまして、そういう意味では、特定不況産業安定臨時措置法に基づきます過剰設備処理対策を中心とする対策の必要性はいささかも変わっていない、こういうふうに認識しております。
#70
○佐野(進)委員 いまそれぞれお尋ねしましたが、通産関係の業種についてはそれぞれ、一部景気対策その他の中で、特安法を制定する事態から見るならばやや好転の状況にある、私も、いろいろな調査の中でそのように知っておるわけでありまするが、そういう状況の中で特に運輸省関係の造船関係だけが落ち込みが激しい。これは先ほど久保委員の質問でもございましたが、やはり運輸政策の一つの失敗の具体的なあらわれではないか。日本経済全体が悪いのですから、何も運輸行政だけが悪かったということを強く指摘する必要もないのですが、特にひどくて、これからますますひどくなる、こういう点については、特定不況産業と言われるそれら不況産業の中における特殊的な状態をあらわしていることは、いままでのその責任というものをこの際強く感じ、それを感じた上で積極的な対策を立てていただく必要があるのではないか、こういうぐあいに判断せざるを得ないわけであります。
 そこで、今日のそういう情勢の中で対策を立てていくわけでありまするが、いわゆる造船業と言いましても、大手七社、中手十七、あるいはそれ以下十六、さらにその他二十一と、六十一業種あるわけでございますが、それがおしなべて同様の状態でないということは、午前中の質疑の中でも明らかにされているわけであります。
 したがって、これら業種全体をその対象として対策を立てていくわけでありますが、一体政府は、それら業種の中においていずれの部門に最重点的にその施策の対象を置くのか。これはこれからの対策として非常に重要な意味を持ってくると思うのでありまするが、政府のその対策の重点について、原則的な問題でありますから、大臣からひとつお答えをいただきたい。
#71
○福永国務大臣 大手、中手あるいは中小企業等、いろいろ造船関係の企業がある中で、それぞれに苦悶をいたしておりますが、大きく見てそういうもののうち、どういうところに特に重点を置いていくかという御趣旨のお話でございます。全部が全部苦労しておりますので、全体のことを考えなければならないということは当然でございますが、その困り方の中でも、ないしその力等からも申しまして、何としても中小以下のものについては特に考えなければならぬということがございます。大手ももちろん苦労しておりますが、大手は大手なりの力を持っておるということは、自主的にいろいろ可能であるという面もあるし、また大手は大手なりに船以外のことについてもある程度いろいろの道を打開していくということ等もおおむね可能でございますから、そういう点から申しまして、みんなについて心配をしていかなければならぬのだが、中でも力関係その他から申しまして中小のもの、特に小さいものについては考えていかなければならない、かように存じております。
#72
○佐野(進)委員 大臣のお答え、よくわかりました。
 そこで私は、そのお答えを前提として質問を進めていきたいと思うのでありまするが、今日のこの対策の重点をつぶさに検討いたしますると、結果的に仕事がないのだ、仕事がないのだから整理をしなければならぬ、整理をすれば当然その対象として設備の廃棄をしていかなければならぬ、設備の廃棄には金がかかるから金を出していくのだ、こういうことの一言に尽きるように感ぜられます。私は、それが悪いと言っておるのではないのでありまするが、しかし、それでは対策としてきわめて片手落ちではないかと思うのであります。
 今日、日本経済の置かれておる状況の中で、総理大臣もたびたび答弁し、今回の予算委員会における最大の論議ともなったのは、いわゆる雇用問題であります。百三十一万を超える完全失業者が常時存在する状況の中で経済の再建もあり得ない、こういうようなことが指摘されておる中で、この政策をそのまま実行するならば、好むと好まざるとにかかわらず雇用問題が発生し、失業者が相当程度出ていくであろうということが予想されるわけであります。
 そこで、この問題について船舶局長と労働省にお伺いをいたしたいと思うのでございまするが、この造船業再建の方策の中で五十五年、六年ないし六十年を目途として特にギャップの最も大きいここ数年間におけるところの状態、それに対応するいわゆる本対策が実施された場合発生するであろうと予測される失業者の数は一体どの程度のものであるのか、これに対してどのような対策を立てられんとしておるのか、端的でよろしゅうございますから、ひとつ数字をもってお答えを願いたい。
#73
○謝敷政府委員 先生御指摘の造船の不況対策の一つの柱でございます雇用についてどう考えるか、こういうことでございますが、まず第一に、何はさておきましても、仕事量を増加するというのが基本的な雇用対策だと考えております。そのために、先ほどもちょっと触れましたが、新規需要の創出を、船だけに限らず、造船技術を使い得るものを掘り起こしまして、需要を積み重ねていくということを考えております。
 それで五十三年、五十四年、五十五年にかけまして、大体千億から四千億、五千億弱ぐらいの新規需要を何とか確保したいというのが雇用対策の第一点でございます。
 それから、第二点としましては一これは労働省にお願いをいたしまして、雇用安定資金制度その他の種々の制度によりまして、企業内におきます雇用機会の確保と離職者の再就職についてお願いをしているわけでございます。
 現在、今回の協会法案の対象になります六十一社からどのくらいの離職者が出るかという点につきましては、基本的にはかなり操業調整をやってまいりましたので、設備処理から直ちには出てこない勘定でございますが、企業内の余剰労働力の抱きかかえという問題もありまして、今後、具体的に安定基本計画に従って、各事業者が設備縮小計画に伴いまして雇用計画を立ててまいるかと思いますが、その時点で、具体的に数字をつかまえ、かつその数字が少なくなるようにできるだけ需要の創出に努めたい、こう考えております。
#74
○白井説明員 お答えいたします。
 いま運輸省の方から御説明がございましたように、今回の設備の買い上げでどの程度の離職者が出るかにつきましては、現在のところ予測が困難でございますが、運輸省ともよく協議いたしまして詰めてまいりたいというように思います。
 労働省といたしましては、いまお話もございましたように、需要創出といいますか、雇用維持のための諸措置が進みまして、また雇用安定資金制度等を活用いたしました転換が行われるというようなことによりまして、離職者の発生をできるだけ防いでいくということが必要だと思いますが、万一離職者が出た場合につきましては、求人開拓、職業紹介等の措置とともに、現在ございます特定不況業種離職者臨時措置法等を活用いたしまして、離職者の再就職の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
#75
○佐野(進)委員 私の聞いているのは、具体的に数字を挙げて答えてくれということだから、予測だから将来変更はあるけれども、予測できないことはないと思うのです。たとえば、要するに皆さん方がいままでやってきた事業の中で、四十九年に造船業では十八万四千人いたのが、五十三年のこの三月で十五万九千人、造船の下請は九万人いたのが五万人、このわずか三年ちょっとの間にこれだけの数が出、これがさらに増加していくであろうということはだれも否定することのでき得ない今日の状況です。そういう状況の中で、一体どれだけ予測できるのかと言ったら、出たとき対策を立てますなんということを私は聞いているのじゃない。要するに、今日このような人たちが、すでに三年の間に下請に至っては四万人、本工に至っても約三万人ですか、三万五千人というような膨大な数の離職者が出ている状況の中で、さらに三五%を削減し、さらに需要創出をしたとしても、五十四年、五年においては二五%ということが予測されている、そういう状況の中で、その対策がきわめて重要であるということはだれしも否定することができないわけであります。
 そういう状況の中で、特にいま新法が審議されておるという状況の中で、労働、運輸両当局がいまのようなお答えでは私はきわめて不満だと思うのです。これは予測の数字だから大臣に聞いたってしょうがないと思うのですが、少なくとも事務当局は、至急あらゆるデータをそろえて、これらの問題についてその対策を立てるためにひとつ検討を進めるよう、ここでもっと言いたいのだけれども、時間の関係があるからやめますけれども、その点を強く指摘し、要望しておきたいと思います。
 さて、その次に、質問を続けていきたいのでありまするが、このような状況の中で、結果的に言うならば、先ほど申し上げましたとおり、好むと好まざるとにかかわらず雇用問題というものが最重要の課題となってくることは当然であります。特にその雇用問題の中で最も重点として指摘されなければならぬことは、この対策の対象になる企業として六十一企業を対象にしておるわけでありまするが、すでにその中の十三企業あるいは十二企業でございまするかが、和議の申請、そして更生法の適用企業になっておる、こういう状況の中に置かれておるわけでありまするが、これらの方々がもうすでに更生法の適用になっておるとは言いながら、千人近くおった人たちがほとんど数十人になっておるというような企業もあるし、あるいはいまだ再建途上の中で必死に努力をしておる企業もある、その実態は千差万別であるわけであります。
 しかしてこれら企業が、今日いわゆる新法、この法律を審議する経過の中でその対象企業として存在しておるということの持つ意味は、きわめて重要であろうと思うのであります。いわゆる差をつけるのかっけないのか、同じようにするのならそのギャップをどうやって埋めるのか、それを埋めるために何が必要なのか、これらの点については、当然、この法律案を提案するまでの間に十分なる審議が行われておったと考えるわけでありまするが、この取り扱いに対する原則的な考えについて、船舶局長から簡単明瞭でいいですからひとつお答えをいただきたい。
#76
○謝敷政府委員 安定基本計画の対象企業六十一社のうちで十三社が会社更生法、和議法等の申請会社あるいは一、二社適用会社になっておるケースもありますが、これらはいずれも本法の対象会社として差別をしないで、責任者から買い上げの申し出があれば買い上げの対象にするということにしております。
#77
○佐野(進)委員 だから、その差別をしないということの持つ意味は、現在実態としていわゆる完全操業をしておる企業に比べると大きな差があると言うのです。その差のある現状に対して、力をつけるという意味を含めて差別をしないということなのか、現状のままその対策を立てるのか、そのいずれにあるのかということを聞いておるのです。
#78
○謝敷政府委員 先生が御指摘のように、十三社につきましては、それぞれの対応が行われておるわけでございますが、基本的な考え方としましては、新造部門を縮小し、あるいはやめて、修繕を中心に、あるいはその他の事業に転換するというのが、再建のための更生計画の中での、あるいは更生計画を考えようとする基本的な方向のように見受けられます。したがいまして、これらの企業が資産をなかなか処分しにくいような状態にあるわけですから、仮に申し出がありまして、ここで買い上げて資産処分ができるとなれば、それによって得た資金は会社の再建のために役立つもの、こう考えております。
#79
○佐野(進)委員 局長、端的にお答えいただきます、これからの質問に対してもね。
 要するに私の聞かんとするところは、十三社がいま更生法適用、和議の申請をしていて企業として半身不随の状況にある、しかしてその状況はきわめて深刻な実態である、したがって、先ほど議論もありましたけれども、この残された大手七社を除く他の中手以下の企業についても、いつこのような状況になるかわからない状態の中にある企業もあるわけでありますので、これらの企業の存在というものに対して、現在すでに更生法適用になっている企業とすれすれの企業との間に存在する条件というものは、まさに紙一重であると言っていいと思うのです。したがって、紙一重であるという企業の実態の中でその企業に対して手を打つという打ち方が、この十三社に対して打つという打ち方と相関連してきわめて重要な意味をこれから持ってくると思う。だから、何ら遜色のない形の中において、紙一重を乗り越えた形の中で、これらの企業についても対策を立てるのだということであるならば、この法律の持つ意義はきわめて大きいと私は判断するわけであります。
 そこで、この点について政治的な見解も含まれますから、大臣にそのことをお聞きしたいと思うのであります。
 それに関連して、私は、大臣にもう一点、この際聞いておきたいと思うのです。
 それは会社更生法が制定されたのが昭和二十七年でありますが、さらに、その内容を補強する意味で、昭和四十二年、百十二条の二を追加して今日までその適用が行われておるのであります。しかし、その間時間の経過は、この法律を制定した当時と現在の情勢の中において、実質におけるところの大きな内容の変化を、具体的に更生法適用企業の存在する中においてわれわれは感じ取っておるわけであります。すなわち、この更生法適用は、一般中小、それに取引関係のあった中小企業、いわゆる労働債権その他最優先債権はともかくとして、それ以外の、あるいはそれに準ずるという形の中における企業ないし債権者に対して、いわばそれを切り捨てて企業を存続させるという形の中で非情なる対応を迫られる場合を数多くわれわれは見ることができるのであります。
 今日、造船業界は、いまやまさに会社更生法適用がすでに六十一社の中で十三社もあるという状況、さらにふえようという状況の中で、このまま会社更生法適用の状態の中で逃げ込めばいいという企業はそれでよろしいでしょうけれども、そのことによって逃げ込まれたために存在する多くの関連企業の苦しみは筆舌に尽くしがたいものがあると思います。
 したがって私は、そういう状況に対して、造船業界だけの問題でなく産業界全体の問題でありまするけれども、特に深刻な状況下にあるこれら更生法適用寸前の企業ないしはすでに適用されている企業、さらにはまた関連する全企業に対する、あるいは労働者に対するところの対策の温かさというか、必要なる措置を講ずる意味においても、この会社更生法適用にはきわめて慎重であらねばならないし、同時にまた、法そのものに対しても、いまやまさに再検討するべき時期に来ているのではないか、こう判断するわけでございまするが、これは政治的な問題でありますので、大臣からひとつお答えをいただきたい。
#80
○謝敷政府委員 更生法の適用申請あるいは適用会社と、そこにいくまでのすれすれのところで努力している会社と、一般に両方あるわけでございますが、私どもも、この法案の対象業種として議論をしました際にいろいろ議論がございました。そこで、ただ更生法申請中あるいは更生法の更生計画に従って更生中の会社といえども、能力のある者については、その能力を活用して今後再建をしていくわけでございまして、したがって、その中で全体の処理の円滑な達成のためには対象にすべきではないか、こういう考え方で対象会社にしたわけでございますが、問題は、こういった更生手続申請中あるいは更生計画が決まった会社が買い上げの対象として検討されます場合には、これは当然、過去の債務の返済について、もし更生計画が決まっておれば、それの変更ということもあり得ますし、あるいは更生計画を作成中のところであれば、この買い上げによって得た資金の過去の債務に振り充てるべき償還計画というものが当然出てくるわけでございまして、その意味で、先生が御指摘の未払い労働債権あるいは関連中小企業者に対する債権の切り捨て部分についても、当然、債務の償還計画においてそれらの見直しが行われるものと期待をしておるわけでございます。
#81
○福永国務大臣 まず、前段の紙一重云々の表現でお話がございました点につきましては、いま局長もお答えいたしましたが、まあ紙一重でございますから、そこいらのところは、これに対処する運輸当局といたしましては、紙一重であっても、そういうことに関係する人たちにできるだけ思いやりをいたしつつ処理していくべきものだ、こういうように考えております。
 後段でお話しの事態は、まさにそういうことが世の中には相当あるし、特に造船業界については仰せのごときことを考えなければならぬと思います。
 そこで、いずれにいたしましても、現行法制ないしこれから御審議等をいただいて次々とつくるであろう対処方策等は全面的に活用することがまず大切でございますが、お話しのように、それだけではこれからのことを考えるとなかなか容易ではないぞという点は、私もさようなことも感じます。でございますから、できるだけ努力をし、なお将来等のことにつきましては、そういうことについていかにすべきかということについて十分検討してまいりたい。そして必要なことはさらに対処するという姿勢でなければならぬ、こういうように考えております。
#82
○佐野(進)委員 この問題については、議論すれば長くなりますので、あとは省略いたしたいと思います。
 ただ、要望といたしましては、紙一重の企業を更生法適用企業にしないために全力を尽くす、佐世保重工の例に見られるように、たとえ小であっても中であっても、当局は全力を尽くしていただくと同時に、下請代金等については、これらは本工の労賃と同じような形の中で対応させるように、いますでに起きつつある問題についても万全な対策を講じていただきたい、これを要望しておきたいと思うわけです。
 さて、法案の内容について具体的に質問してみたいと思うのでありますが、この法案の内容をそれぞれ検討いたしましたところ、幾つかの私どもにとりましては好ましくないと判断される内容、いわゆる好ましくないということはきわめてずさんであると判断される内容をつぶさに見ることができるわけであります。たとえば一条におけるところの資金の問題あるいはまたそれらに関連する、いわゆる特安法三章十三条の信用基金との関係における三十九条を初めいろいろの問題があるわけでありますが、これらの問題について質問をする時間がないので省略せざるを得ないことは残念であります。
 ただ一点だけ、ここでそれらの問題に関連して船舶局長にお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、いわゆる資金の調達について、当初九十四億あるいは出資金その他の形の中で対応していかれるわけでありますが、いまはもう十月の十三日であります。そういたしまして、今年度といいますと来年の三月三十一日までであります。これらの中で相当膨大な資金を投入して対策を立てなければならない事態が予測されるわけでありますが、この資金はいわゆる特安法の信用基金との関係の中でどういう位置づけをもって対応されるのか。全く信用基金との関係はなく、この法律独自の立場に基づいてそれぞれ融通し、その資金をもって万全の措置として対応することができるのかどうか、その点、原則的な問題でありますから、ひとつ船舶局長から聞いておきたいと思います。
#83
○謝敷政府委員 特安法に基づきまして安定基本計画を十月末を目標に定めてまいりますが、これによって三つの対応が事業者によって選択されるかと思います。
 一点は、自力で処理する場合でございますから、これは大手が御出資になると思いますが、自力で必要な資金を調達して処理を行うということになろうかと思います。
 それから、特安法の信用基金の活用につきましては、大手の一部あるいは比較的経営良好な中手の事業者は、特安法によります信用基金により債務保証を得て処理を行っていくかと思います。
 今回お願いをしております協会は、基本的には政府の出資十億はこれを補正予算で計上されておりますので、協会の設立に当たり出資をし、民間が合わせて十億出しまして、これによってやっていくわけでございます。
 考え方としましては、中手以下の事業者でこの協会の買い上げを選択される事業者につきましては、この事業協会の法律がお認めいただけましたら、できるだけ早く発足をさせて、開銀からの融資とあわせて市中銀行の融資を受けて、買い上げの業務が本年度中にも発足できるようにしたい、こう考えております。
#84
○佐野(進)委員 要するに、この問題については大臣にお伺いしておきたいと思うのですが、資金的な対応というものについては万全を期して行うことができる、こういうぐあいに判断してよろしいかどうか、いいならいい、悪いなら悪いと一昔だけ……。
#85
○福永国務大臣 おおむねそういう考え方で対処しているつもりでございます。
#86
○佐野(進)委員 そこで次に、質問を進めてみたいと思うのでありまするが、第二条に関連いたしまして、いわゆる六十一社のうち五十四社、そのうち倒産、いわゆる更正法適用申請十三社を含むわけでありますが、主としてこれらを対象として、いま船舶局長がお話しになりましたように、対策を立てていかれるわけであります。といたしますると、この十三社の関連はどのような形になるのか、これに力をつけるのかつけないのかという先ほどの議論もありまするが、それぞれの企業はすでに政府関連のところから発注を受けて仕事をする、あるいはこれからの需要創出の問題に関連して仕事を受けることは恐らく不可能であろうと思いまするし、輸出その他の問題につきましても一般企業との間に大きなギャップが生じておるわけでありまするが、これらに対するところの十三社を含めて対策を立てるとすれば、ただ買い上げをする、消滅させるということでなくして、再生をさせるという意味を含めてもそれぞれに対して万全の対策を立てる必要があると思うのでありますが、それに対する見解はどうですか。
#87
○謝敷政府委員 この協会は、御案内のように五千総トン以上の新造設備を事業場ことに買い上げてほしいという申し出があった場合に買い上げるわけでございますから、基本的には、その買い上げられた事業場においては五千トン以上の船の建造はできないことになります。したがいまして、この協会に買い上げの対象になりました事業場あるいは企業におきましては、二つ事業場があるところはそこに新造船を集中してやる、それから買い上げられた事業場しかないところは、現在、会社更生法等の適用申請あるいは適用計画が決まった会社に見られますように、修繕なりあるいはその他の部門の拡大によって、企業としての長期的な安定化のための努力をする、こういうことになろうかと思います。
 したがいまして、買い上げられることになった企業におきましては、五千総トン以上の船舶の建造はその事業場においては外、きないということでございますので、その他の道を選択するということになろうかと思います。
#88
○佐野(進)委員 私の質問する前提が大変不備な点がたくさんあるということを前提にして質問しているわけですから、これらの点について一つ一つ具体的に指摘をしながらただしていくと時間的な余裕がございません。ただしかし、あなたの方も法案を提案された経過の中で万全でないということは、恐らく諸情勢の中で判断しておられると思うのでありまするから、それらの不備な点については、実施の段階で十分誠意を持って対応されるよう、それぞれの具体的な問題に対しては強い要望をしておきたいと思います。
 そこで私は、この問題で大きなネックになるのは、二十九条において業務実施計画が業務の前にできていなければならないというようなことになっておるわけでありまするが、先ほど九十六億が消化できるかできないかという問題も質問してみたわけでありますけれども、私は、冒頭質問をいたしておりまするとおり、今日の造船不況を克服し、健全なる発展をさせる上において一体いずれの道を選ぶべきか、雇用の問題を前面に置いて行くべきか、あるいは整理の中において縮小再生産の形で問題の処理を図っていくべきか、いずれが正しいかということについて十分御判断なされ、議論された上で今田の結論を出されてきておると思うのであります。
 しかし特安法における六条、十条という条文を、私どもこの法案と関連して判断いたしますると、いわゆる雇用問題が発生する対象である労働組合あるいは労働者というものが、そう安易にこの法案あるいはその実施条項について同意を与えるということについては非常にむずかしい条件が出てくるのじゃないかと予測されるわけです。同意を与えなかった場合はその実施ができないのかどうかというところまで発展してくるわけであります。
 したがって、きょうは労働組合の代表の方もお見えになっておられまするが、一言、この問題について同意を与えるということはどのような条件の中で予測されるか、簡単でよろしゅうございますから、参考人から御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#89
○穂刈参考人 今度の買い上げ法案につきましては、原則的に私どもは反対の立場をとっているわけであります。
 言うまでもなく、事業場を閉鎖するということが前提になりますので、閉鎖されますと当然、全員解雇その他にかかわる問題が発生してくるということを前提にしているわけであります。したがって、どうあっても、企業再建のために売却をせざるを得ないという場合には、完全に雇用を保障するという明確なものがなければ、これについてはなかなか同意しかねるのではないかというふうに思っております。
#90
○佐野(進)委員 いま労働組合の代表の方からもお話があったように、私も、この問題についてはきわめて重大な懸念を表せざるを得ないと思います。したがって、これら実施に当たっては、万全の対策を立てられるよう、この機会に強く要望しておきたいと思います。
 そこで、さらにこの法案の中でもう一点指摘しておかなければならない問題は、要するに納付金の問題であります。今日の状況の中においても造船界は四苦八苦の状況である、にもかかわらず五十四年、五年は、さらにその需要が落ち込んでいく、政府が五十四年度の予算の中で相当大幅な予算を編成したとしても、それはなかなか思いどおりにいかないということが予想されるわけであります。
 果たしてこの納付金が政府の予想するように行われるかどうかということは、非常に疑問があるわけでございまするが、きょうは造船界の代表も来ておられるようでありますので、この納付金についてどのように判断されるか、簡単でよろしゅうございますから、お一人からお答えをいただきたいと思います。――また協会かできておりませんからお答えできませんか。できるかできないかだけで結構です。
#91
○南参考人 納付金につきましては、当然、残存業者が負担すべきものという前提に立ってわれわれはその納付をいたす覚悟でおります。
#92
○佐野(進)委員 残存業者がメリットを得るということが前提でそういうお答えになったと思うのでありますが、そのメリットが、先ほど来の質疑応答を通じて御判断になり、なおかつ事業を運営しておられる南参考人もよく判断しておられると思うのでございまするが、前途はなかなか容易ならざるものがあります。したがって、それに対してできるだけ実情に合った対応をせられることが望ましいと思うのでありまするが、ここであなたにそういうことを言っても――私は、懸念があるということだけを強く指摘し、あなた方の御見解は御見解として承っておきたいと思います。
 さて、そういう状況の中でこの法案が、質疑が終了するならば可決されるのでありまするが、しかし、これだけではどうしても今日の造船不況を解消するということはきわめて困難である、先ほど来質問しておるようにそう指摘せざるを得ないと思うのであります。
 そこで、いわゆる造船不況対策関連予算として船舶局が、五十三年の九月に、この臨時国会における補正予算あるいはまた来年度の予算編成に対する要求、要望等を含めて文書をつくられておるわけでありまするが、それを私も読ましていただき、特に今年度の補正予算の審議の経過等を見る中でいろいろ感ずるところがありますので、その点について質問をしてみたいと思うのであります。
 まず、大臣にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、今年度ないし来年度におけるところの、特に来年度予算編成における造船不況対策に対しては、過剰造船施設の処理推進ということだけでなくて、造船業再建に対してどのような御構想をお持ちであるか、簡単で結構でございますから、原則的な見解をお示しいただきたい。
#93
○福永国務大臣 ただいまお話の点についてはいろいろございますが、後刻、局長等から数字をもって申し上げることもさらに適当であろうと思いますが、私どもとしては、官公庁船をできるだけよけい発注するような措置をとりまして、業界も何とか食いつなぎがしていけるようなことにしなければならないとか、あるいは計画造船等もできるだけ強力に推し進めたいとか、こういうようなこと等を言っておりますが、詳細につきましては局長からお答えをさせることにいたします。
#94
○佐野(進)委員 時間がありませんから局長、後でまとめてひとつ聞きますからいいです。
 そこで、さっきちょっと落としたのでありますが、法案の中でもう一点、局長に聞いておきたいと思うのでありますが、第二十九条の業務の中で買収した土地、施設はどのように処理をするのか。これらについては買収をした後そのまま放置しておくのか、あるいはリース等を考えておるのか。たとえば特定の事業場を買収した場合、所属下請企業の新造以外の解撤その他の仕事にこれを活用させるような方向も当然考えてしかるべきだと思うのでありますが、そういう点について、この法案を作成する経過の中でどうお考えになっておられるか、その点について買い上げ施設の活用の問題と関連してお聞きしておきたいと思います。
#95
○謝敷政府委員 買い上げました施設及び土地につきましては、先生いま御指摘のとおりでありまして、買収しました土地につきましては、その臨海性の特性に着目をいたしまして、できるだけ有効に売却ができるようなことで考えていきたいと思います。
 それから、買い上げました施設につきましては、基本的には有償売却を考えておりますが、何分にも特殊な施設もございまして、それらはスクラップ等にせざるを得ないかと考えております。
 ただ問題は、先生御指摘のように、買い上げられた事業場を使いまして、過渡的に労働力の移転が円滑にできるまでの期間、新造船以外の部分にリースする等につきましては、十分配慮できるように考えていきたいと思っております。
#96
○佐野(進)委員 そこで、私は、これからの問題について若干質問をしてみたいと思うのであります。
 まず、造船不況対策の中における需要創出については、幾つかの議論があることはすでに先ほど来明らかにされておるわけでありますが、私は、その中で一つの重点目標として、船舶解撤の需要創出ということがあろうと思うのであります。五十六年度までに三百万総トンの船舶の解撤工事を促進する、こういうことが言われておるわけでございますが、これは当然、下請関係も含まれるものと考えるのでありますが、これは下請だけというように判断するのか、あるいは事業者だけがそれを行うのかというような点についていろいろ議論もあると思うのであります。
 私は、先ほどの質問の中でも申しましたが、九万人が五万人になるほど大幅な失業者を出しておる下請関連の企業のためには、この事業はきわめて重要な意味を持つと思うのでありまするが、その点についてどう御判断なされておるか。きょうは幸い日造協の宇野会長もお見えになっておられるようでございますので、この点についての御見解をあわせてお聞きをしてみたいと思うのであります。
#97
○宇野参考人 造船の不況に対して、解撤問題を日造協としては五十年の後半から提案してきたのです。しかしこの解撤も、われわれとしては、単に下請だけがやるのには資力、設備の点で限界があるので、元請が主になって解撤をやることを提案してきたのです。これは現在でも過去においても終始変わらないものです。また、解撤事業そのものが全部じゃない。これはあくまでも新造船のアイドル、修繕船のアイドル、こういうものはアイドル防止のためにこれを加えるべきだということもつけ加えてやってきたのですが、残念ながら過去において、元請当事者のいわゆる無自覚あるいは非協力ということのために、もう一つ、それに追い打ちをかけるようなスクラップの暴落があったために実行に移れなかった。五十年度に補助を受けた解撤も、予算を余すような結果にもなってきましたが、最近の状態においては、ようやくスクラップの条件も回復し、元請企業もこれに対してある程度やらざるを得ないという状況から、これが軌道に乗ってきて、今度の補正予算でこれが成立したことについては、われわれとしては、ようやくわれわれの目的の第一歩を踏み出したというように考えております。
 今後は、これに対しては、せっかく成立した予算をいかに活用し、いかに有効にこれを動かすかということについて十分な対策を講じたいと思います。今後つくる財団も、単に補助金を出すだけの団体にせず、これをもとに将来に解撤事業が自立できるようなものにしたいと考えております。
#98
○佐野(進)委員 解撤事業が今日造船不況対策として重要な柱であるということは、いまさら言を待つまでもないと思うのであります。しかし、これの需要創出とその処理は、至難な条件が幾つか横たわっていることは事実であろうと思うのであります。
 そこで私は、海運局長に対する質問、さらに解撤事業振興のための一つの考え方、これに対して宇野会長の御見解をお伺いしておきたいと思うのであります。
 この予算要求の中にも、いわゆる船舶局以外の所管に属するものとして、老朽船の処分の促進として解撤助成金五十億が出されておるわけでありまするが、これらについては、それぞれ船主に対する問題等々いろいろあろうと思いますが、海運局長は、これの達成が可能であるのか、可能ではなくて、絶対できるという確信のもとに行動されておると思いますが、その見解を、この際できるということを前提にしてお答えをいただいておきたいと思うわけであります。
#99
○真島政府委員 いまお話にございました解撤助成金五十億を現在要求しておるわけでございますが、この趣旨は、御承知のとおり来年度百万総トンの建造需要を造出するということに絡みまして、船舶過剰を防止する、そういう意味から、船主に解撤船を出してもらう、こういう趣旨でございまして、なかなか現在海外売船もできず、解撤すると申しましても、やはり多少まだ価値のある船舶ということで、これを解撤に踏み切っていただくためには、そこに何らかの差し水が必要ではないか、こういう趣旨の予算要求でございまして、こういうもので解撤が促進されることと私どもも確信をしております。
#100
○佐野(進)委員 そこで、宇野会長にお伺いしておきたいと思うのでございますが、今日の造船不況の中で、下請を含む造船業全体がきわめて深刻な雇用不安に襲われておることは、もう先ほど来御質問申し上げたとおりであります。したがって、それを解除し、需要を創出するためにも、解撤事業は下請関係事業者にとってはきわめて重要な問題であるということ、これまた先ほど指摘したとおりでありまするが、しかし、それが今日まで、特に五十一年度は予算を計上しておきながら、五十二年度は予算を計上しないというような条件の中に置かれた状態、これは結果的に言うならば、この解撤事業に大きなリスクを伴う、こういう点が指摘され、そしてそのような状況になったと思うのであります。しかし、このようなリスクを解消し、安定した形の中で解撤事業が行われるということは、今日造船業の不況脱却のためにきわめて重要であるとするならば、一体どのような方策を行うべきであるかという点について、その御見解をひとつお聞きしておきたいと思うわけです。
 さらに、時間がございませんので、大臣ないし船舶局長に最後の質問をしておきたいと思うのでございますが、先ほど来質問を続けておりますとおり、私どもは、今日の造船不況を脱却するために、この法案の持つ意味を非常に高く評価するにやぶさかでないわけであります。しかしまた特安法、引き続くこの法案の内容の中に、この法案が安易にかつ一方的に実施されるとするならば、多くの被害者を出し、多くの害がまたそこに流れていくであろうということも、率直な感じとして持たざるを得ない。そういうような立場でわれわれとしてはこの法案の審議に臨んでおるわけでございまするが、それらの不安解消のために、具体的にどのように対応していかれるか、先ほどの質問に関連してお二方からその見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。最初に宇野会長から答弁をお願いします。
#101
○宇野参考人 最近成立した補正予算における三百万トンの解撤から出るスクラップその他については、われわれは業界との折衝において、処理について何ら危惧を持っておりません。しかし、われわれはこの点だけでは造船の不況が決して救われない、将来これが三百万トンが順次五百万トン、千万トンまでいかなければ雇用対策にならない、現在の造船の下請を救うのには、いわゆる六割の失業保険よりも十割の仕事か欲しいという意味から、将来多量に出ることの想定のために解撤事業の促進の新ルートを提案しておるわけであります。
 それは、スクラップの処理が一番ネックであった、そこで、そのスクラップをいかに安易に処理していくかということについては、これを毎年八百万トン、九百万トン使う国の小型棒鋼に変化していけばまずルートはつく、もちろんこの解撤から出る数量にもよりまするけれども、少なくとも三百万トン、四百万トン出る場合には、市場のいろいろな影響を考えて、いわゆるわれわれにすればひもつきの方法で、公共事業あるいは国の必要なものの棒鋼に使ってもらうという一つのひもつきでスクラップを処理したい、そしてそのスクラップは一定の電炉業者あるいは棒鋼業者に流し、その製品を国の公共事業なりあるいは国の施設に使ってもらう。
 ただ、そこに問題が出てくるのは、この間の流通機関の上に立ついわゆるブローカーの問題でありますが、われわれとしては、スクラップが安定して流れるには、できるだけ途中のピンはねを抜ける、いわゆるスクラップを出したところからそのまま電炉業者に流れ、そのままその製品になったものが一般のところに流れる、途中のいわゆるピンはねというかあるいは手数料というか、こういうものを抜きますれば安定した製品が出てくる。これはやはり単にわれわれがいかに力を尽くしてもできませんが、政治的な意味からこれを考えていただくなら、またできないこともないと考えております。
#102
○福永国務大臣 およそ法律には、積極的にどうこういう意味があるとか機能を発揮するとかという反面「これが適用、実施等について十分心得ておかなければ、その反面において弊害を生ずるというようなこともあり得るわけでございまして、ただいま問題になっておりまする法案につきましても、さような点は十分考慮していかなければならぬと思います。なるほど買い上げてもらおうということで、買い上げてもらうことだけに急いで、それのみに頭が走って、これと関連する従業員の問題等について抜かりがあってはならぬと思います。法案の中にも示されているところでありますが、事業者から設備や土地を買い上げるについては、その前に従業員に対する諸般の措置、特に雇用安定とか、これと関連するようなことについてどういうようにせよということが示されておりますが、協会の方に対しましては、運輸省といたしまして、その種の措置がとられておるかどうかというようなことにつきまして十分チェックして対処するように指導してまいりたいと考えております。
#103
○佐野(進)委員 終わります。
#104
○増岡委員長 薮仲義彦君。
    〔委員長退席、石井委員長代理着席〕
#105
○薮仲委員 私は、この協会法の質問をする前に、この協会法のバックグラウンドになります日本の造船業の現状、そして見通し等について、最初に何点かお伺いをしておきたいと思います。
 最初にお伺いしておきたいのは、手元の資料にありますけれども、海造審の答申が出ているわけでございますが、今後のわが国における船舶の建造量の需要見通し、これが貨物船の換算ベースでいきますと、本年度が四百七十七万トン、五十四年度は二百六十六万トン、さらに五十五年度は二百四十九万トンとどんどん落ち込んでくるわけでございます。これは五十年度を一〇〇といたしますと、その建造能力に対して二九%という最悪の事態でございます。いまわが国として、また運輸省として、当然一番取り組まなければならないのは、どうやって倒産を回避するか、また、そこで長い間造船の中に生き抜いてきた方々の雇用不安を解消するために最大の努力をすること、これが現在のわが国、運輸省に当然課せられた最も緊急かつ重大な課題だと思うのでございます。
 この局面に際しまして、海造審の答申は答申として、船舶局長と大臣は、さしあたってこの一番落ち込むであろうこれからの五年間どうそれを切り抜けるか、その見通しについて、局長と大臣の見解をまずもってお伺いしたいと思います。
#106
○謝敷政府委員 造船業の不況の克服と経営の安定のために過剰設備の処理をいたしますが、それにも増して大きな努力をすべき点は、先生御指摘のとおり、この過渡期間におきます造船需要をどうやってある一定の線以上に上げていくかという問題かと考えております。
 先生御指摘の海造審の数字は、これは竣工ベースでございますので、起工の数字で申し上げたいと思いますので直して申し上げたいと思いますが、五十三年度で起工ベースにしますと三百五十三万トン、五十四年度で二百七十四万トン、それから五十五年度で三百六万トンとなって、その以後上がってまいります。
    〔石井委員長代理退席、委員長着席〕
しかし、これをもってしては五十四年度が一番底になりまして、能力に対する比が設備処理後で四三%というわけでございますので、現在考えております計画造船、官公庁船等の新規需要の創出によりまして、五十四年度で設備処理後の能力に対して七〇%、五十五年度で八〇%を超すような形にぜひ持っていきたいと考えておるわけでございます。
#107
○福永国務大臣 私は、ただいま局長が申し上げましたようなこと等について鋭意努力すべきものであるということは、これは当然といたしまして、考えようによっては少し回りくどいと言われるかもしれませんけれども、そんなこと言ってそういう面に頭を用いないといつまででも容易じゃございませんから、需要創出等に当たりましては、まあ官公庁船をどうするとか計画造船をどうするとか、そういうことの船本来のことも当然ではございますが、同時に、いままで造船関係でやっていなかったようなことについても、ぜひ仕事を伸ばしていく措置をとらなければならぬのじゃないか。
 そういうことから申しますと、私ども前々から考えており、一部は実施いたしておりますけれども、たとえば日本なんかでは必ずしもそういうことには簡単にはまいらないとしても、現在アマゾンで丸ビルの数倍あるようなフローティングなプラントを日本からつくって向こうへ出した、これはなかなかいま外国では評判になっているようでございますが、あの種のことをどんどんやるとか、あるいはこれまた少し素人の考えのようにも言われておりますが、同じ空港をつくるにしても、いろんな面で陸上につくるよりは、多くの人からまだその方がいいと言われる浮遊式の海上の空港をつくるとか、まあこういうようなことを言えばその他にもいろいろ類似の考え方があろうと思いますが、いままで造船がやっていた仕事よりもはるかに広い範囲の仕事をつくっていくというようなことが必要である。
 ただ、こういうことになりますと、それじゃ早速あしたからというわけにはなかなかいかぬので、回りくどいと言えば回りくどいことではございますけれども、こういうようなことも大きな仕事でありますだけに、ぜひやっていかなければならぬ。
 いずれにいたしましても、私は、かつてずば抜けた、世界一を誇っていたわが国の造船業を、当面の対策はそれはそれで鋭意やるといたしまして、同時に、やや長期的な展望の上に立って先の明るいものにすること、これもぜひやらなければならぬ、そういうことを強く感じておる次第でございます。
#108
○薮仲委員 ただいま大臣がおっしゃったような日本のすぐれた造船の技術を新しく拡大、発展させるという大きな構想でございますが、われわれも、その考えには基本的に非常に賛成でございますので、このような暗い現状を当面は当面として打開をしなければなりませんが、やはり将来にわたっては、いまおっしゃられたような遠大な構想の中で造船業に大きな希望を与えていただきたい、これを重ねて要望いたしておきます。
 さて話は、現実の方にどすんと落ちてくるわけでございますが、現実の方は船舶局長に具体的にお伺いした方がよろしいかと思うのでございますが、いま操業度ベース等でいろいろお話がございましたけれども、船というものは総トンであるとか、あるいはいろんな形での呼び名があって、めんどくさくなってまいりますので、私は、ここで画一的に話を簡単明瞭にわかりやすくするために、ちょうど海造審のこの報告は貨物船換算トンで報告が出ておるようでございますので、これをもとに私はお伺いをさしていただきますけれども、ただいまも質問いたしましたが、いまさしあたって倒産を避けなければならない、また雇用を安定させなければならない、この場合に、海造審の答申どおりいったならば、もちろん、これには官公庁船とか計画造船とかが入っていない数量でございましょうけれども、そういうものも含めまして運輸省としてはやはり少なくとも現状を維持し、さらに一歩でも二歩でも前進させるという観点から、貨物船換算ベースでどの程度の建造トン数を維持しなければならないとお考えであるか、これは無理な注文かもしれませんが、その基本的な考えをお伺いしたいと思うのでございます。
#109
○謝敷政府委員 御指摘のように総トン数、換算貨物船トン数ということで御理解しにくい点があることは御容赦いただきますが、いま先生御指摘の点に関して例示的に御説明をさせていただきます。
 たとえば五十三年度で補正予算がつきました解撤工事、これは今後、五十三年度から五十六年度まで続けてまいるわけですが、貨物船換算トン数で申しますと、五十三年度は日にちも短いことがありますが一万トン、それから今後は六万トンぐらいのベースで平年度いくかと思います。それから官公庁船につきましては、在来の分も含めてでございますが、たとえば五十三年度につきましては、海上保安庁のトン数は十七万トンでその他を加えまして官公庁船全体で四十万トン、五十四年度は海上保安庁が十七万トンから二十三万トンにふえまして防衛庁を入れて五十三万トン。計画造船で増加分だけを申し上げますと、五十四年度百万トンの計画造船の要請をしておりますが、従来三十万トンでございますが、追加分の七十万トンを換算いたしますと四十八万トン。それから経済協力では、大体通年度ベースで五十四年度ぐらいから二十六万トンぐらいのオーダーになりまして、通常船舶では八十六万貨物船換算トン数になる。それから海上備蓄等については、十四万貨物船換算トン数から後年度にいきますと五十万貨物船換算トン数になるということでございまして、基本的には五十四年度で官公庁船の五十三万貨物船換算トン数と計画造船の四十八万貨物船換算トン数、これが二つの大きな柱で、後年度になりますと海洋構造物等がこれに加わってくるということでございます。
#110
○薮仲委員 いま大体数字の面ではお伺いしたのでございますが、私が伺いたいのは、少なくともいま局長の言われた数字を確保するならば、一体現状がどうなるのか、これ以上の倒産の危機というのは回避できるのか、あるいはまた雇用の不安という問題はどうなのか、この辺は局長どうお考えですか。
#111
○謝敷政府委員 最近の情勢を見ている限りにおきましては、新規受注等は一番ボトムまで落ち込んでおりまして、これ以上悪くなることはないだろうというような線でございますので、これに先ほど申しましたような新規の需要創出を加えていけば、五十三年度、五十四年度は、不満足ながら底の状態ではなかろうかということで、何とか設備処理後の能力に対して八〇%以上の操業度に早く持っていきたいということでございます。
 したがいまして、雇用の問題につきましては、端的に申しますれば、五十四年度が一番底になろうかと思いますが、これを企業内の職種転換でありますとか、あるいは一時帰休でありますとか、その他をやりながら雇用の安定に努力いたしますとともに、万が一不幸にしてやむを得ず発生をしてまいりました離職者については、雇用安定資金制度等の活用によってつないでいただきますれば、先ほど大臣からもお話がありましたような中長期の新規需要の開発も芽が出てくることと考えますので、これらの点を考えながら今後とも一層努力をしてまいりたい、こう考えております。
#112
○薮仲委員 もう一点、ちょっとお伺いしておきますけれども、政府借款ベース、いわゆる経済協力基金の問題をここで云々することはちょっとどうかなと思うのでございますが、しかし、造船というものがこのような深刻な状態にあるときに、やはり何らかの努力があってしかるべきかなとも考えるわけでございますが、その辺、船舶局長としてはどういうお考えであるか、お伺いしたいと思います。
#113
○謝敷政府委員 経済協力につきましては、従前は船舶はきわめて有力な魅力のある商品ということで、あえて経済協力ベースに乗せなくても伸びていったという時代があったわけですが、昨今は、この考え方はがらり変わりまして、政府部内、関係各省におきましても、船舶の経済協力による提供ということについては認識は一致しておりまして、なるべくこれを具体化する方向で進んでおります。
 輸出組合等の調査によりますれば、希望のあるところは二十二カ国、約二千七百億ということが言われておりますが、この中で具体的には私どもとしては五十二年度から経済協力基金にかなりの額の受け入れができるような措置を講じたつもりでございます。この量は、平年度ベースで言いまして、四百億強ぐらいのベースになりまして、今後ともこの状態で、経済協力によりまして相手方のインフラストラクチュアの建設とかあるいは内航海運等の建設とかに有効に役立つような船舶の提供をしてまいりたい、こう考えております。
 なお、これに加えまして、新しく来年度輸出入銀行に経済協力に関します融資の枠を設けていただくよう現在要求をしようとしておりますが、これも欧州諸国等が開発途上国に対して提供し得る条件に見合うような形で新しい枠を設けたい、こう考えております。
#114
○薮仲委員 それでは次に、海運局長にお伺いしたいのでございますけれども、海運業界も非常に厳しい現状にあることはわれわれも十分認識した上でお伺いするわけでございますけれども、やはり日本の将来のために、もちろん海運、造船ともに発展しなければなりませんが、さしあたって造船不況打開という問題、この問題は船舶局だけの問題ではなく、やはり海運局の果たす役割りというものが非常に大きいのじゃないか。
 ただいまお話ございましたように、船舶局でもいわゆる計画造船というものがその大きな柱の一つになっておる、このようなことでございますが、昨年までの計画造船の実績を見ますと、目標といいますか、来年度目標よりも非常に下回った実績しかない。そうなってまいりますと、やはりそれに対する海運局の役割りが非常に大事なものになってくると思いますので、まず海運局長がその辺のところをどうお考えか、お伺いしたいと思います。
#115
○真島政府委員 御指摘のとおり、先ほどもいろいろ御質問がございましたが、私どもも、海運、造船一体と申しますか、海運不況の中で日本船の国際競争力を高めて、日本船の持つ地位をさらに向上させたい、そういう趣旨から、従来の計画造船制度のままでは、やはり五十三年度も三十万トンを超えるかどうかという程度の計画しかできないわけでございますので、この計画造船制度を大幅に手直しをいたしまして、来年度百万総トンの国内船の建造を確保いたしたい、このようなことで計画をいたしております。
#116
○薮仲委員 手元に計画造船の実績等が挙がっておるわけでございますが、五十一年度は概算で十六万四千トン、五十二年度で二十五万七千トン、五十三年度で五十五万トン、こういう数字でずっと来ておるわけでございますが、来年度はそれを相当上回るといいますか、倍近い計画量になるわけでございます。補正で三十万トン先取りすることによって、約七十万総トンになるというお話でございますが、こういうことになりますと、やはりこのものが従来のように思うようにいきませんでしたということになりますと、事はそう簡単な形では終わらないのじゃないか。そういう意味合いから、重ねて局長の見通しを伺っておきたいと思うのです。
#117
○真島政府委員 私ども、来年度の予算要求におきまして、百万総トンの建造を確保するために、従来のと申しますか、四十九年度以降廃止になっておりました利子補給制度の復活ということ、それから開銀融資率の向上、あるいは据え置き期間等の延長というような改善を加えまして、でき上がってくる船が国際競争力を十分に持つ程度の助成ということで、これならば船主の建造意欲も相当喚起されるだろうということで、現在予算要求を行っておる次第でございます。
#118
○薮仲委員 この問題は、造船不況解決には非常に大事な柱でございますので、何とぞもう一段の努力ということを要望する次第でございます。
 そこで、海運局長にもう一点伺っておきたいのは、今度造船不況の対策として、いわゆる解撤業というものが造工、中造工、そして日造協の三者一体となっての形で始まるわけでございますが、やはりこれに対する海運局の対応の仕方というものは、これまた非常に大事じゃないか。今度の予算措置で、先ほどお話ございましたが、簿価とスクラップの差額については助成をいたしますということから、ある程度の見通しはあろうかと思いますが、これがやはり本年度と来年度で約百万トンの解撤作業を行うということになってまいりますと、海運局の指導というものもこのことを円滑にするためには大事じゃないか。特にこの造船不況のためには、まあ商売の上からいけば、たとえば外国船の安いのがあればそれを買って解撤してという、いわゆる解撤という立場になればそういうこともあろうかと思いますが、やはり海運並びに船舶の両方の健全な発展ということになりますと、解撤する場合もむしろ安い船をということだけではなくて、国内船を一隻でも多く解撤できるものは解撤して、それが新しい需要創出の効果を生む、新船を建造しようという船主側の意欲が沸き立つようなそういう形が一番好ましいと思うわけでございますが、そういう点での局長の考えをこの際伺っておきたいと思います。
#119
○真島政府委員 解撤につきましては、先ほども御質問ございましたが、私ども、五十四年度に五十億円の解撤助成金を要求いたしておるわけでございます。
 この趣旨は、いま先生がおっしゃいましたとおりでございますが、確かに、解撤工事ということだけから考えますれば、安い外国のスクラップ船を買ってきて解撤するということで造船所の工事量は確保できるわけでございます。したがいまして、私ども、五十億円、一応八十万トン程度の解撤ということで要求をいたしておりますが、いずれにいたしましても、来年度百万総トンの建造計画を私ども考えておりますので、それと同量の解撤がスムーズに実施されるように努力をいたしたいと思っております。
#120
○薮仲委員 ちょっといまの話で再度確認して恐縮でございますが、やはり国内船をやろうというお考えをお持ちのようでございますが、たとえば具体的に指導するということはいかがかと思うのでございますけれども、しかし、少なくとも百万総トンの中でやはり船舶局としてもこの程度は国内船を解撤すべきじゃないかなというような腹案等がございましたら、念のために伺っておきたいのです。
#121
○謝敷政府委員 百万トンのうちかなりの部分を国内船の解撤をしたい、こう考えております。
#122
○薮仲委員 それでは、法案の方の質問に入りたいと思うのでございます。
 以上のような造船業界の現状を踏まえまして何点か質問をさせていただくわけでございますけれども、これはこの法案そのものにかかわる問題でございますから、重ねてお伺いするようなことになりますけれども、三五%を目途としてこの設備の削減が始まるわけでございます。
 そこで、やはり一番懸念されますのは、先ほど来何回か指摘されましたけれども、雇用の問題が非常に大きな問題であろうと思うのでございます。この法案を盾にして逆に合理化という名前のもとにいわゆる首を切るという、このようなことの一つの大きな手段といいますか、口実を与えるのではないか、この点が一番懸念される点だと思うのでございます。造船所で働いている方は確かに現状は大変だ、でも職を奪われることは、家族の生活等含めましてなお一層深刻な問題でありまして、この法案の持っている趣旨はなるほど好ましいものでありますけれども、それによって起こる、働いていらっしゃる方の生活の不安というものを無視して強行されるということはどうしても避けていただきたい。
 そういう意味合いにおいて、この協会法をもって設備の買い上げ等は行われていくけれども、やはりそこには雇用不安は与えないという確かな歯どめといいますか、そのようなものがありませんと、安易にこの法案だけが先に走った場合に、特に造船の持っている地域経済に与える影響等を考えますと、大きな社会問題になりかねません。
 そういう点で、まず、この法案を運用する際に雇用不安は起こさない、少なくともかくかくしかじかですから御安心くださいというような船舶局としての明確な指針がなければ、私は、この法案は安易に進めるべきではないのではないか、こう考えますが、その辺をお伺いしたいと思います。
#123
○福永国務大臣 御説の点は、私も全然同感でございまして、確かに、設備の処理が行われるという一面はございますが、これとても造船業全体を何とか健やかな姿で明日以後に対処せしめたいということでやむなく一部設備の処理が行われる。このことについては、従業員について考えるならば、残る全部というか、やめるところも加えて全体のための考慮も十分に加えつつ、一面においてそういうことになるのでありますから、これによって離職するないしは転職する、そういういろいろの事情の人々に対して、現行法制等でも可能なできるだけのことをしなければならぬ。また必ずしも法制上あるなしは別といたしまして関係者がそういう心配をしなければならぬ、こういうことについては重々留意すべきものであろうと思いますし、また、その設備の処理等をいたしますについて、法案に示されておりまするようにかなりまとまった単位においてその実が上げられるというようなことでございますから、そういうことによって雇用の関係について事情の変更が当然あることが予想されますだけに、そういう従業員の人々と、それから経営者等においてよく相談をいたしまして、後のことについてもいろんな考慮をめぐらして対処するということが望ましいし、また運輸省当局にあっては、そういうことを重々頭に置いて対処しなければならない、さように考えております。
#124
○薮仲委員 いま大臣のおっしゃったことは、もうそのとおりでございまして、われわれも、現実に現場でそのような形でこの法案が運用されていってほしいと心から願っておる立場でございます。
 私も、造船の町を抱えたところに住んでおりますけれども、先般来御指摘ありましたように、造船の方――造船の方と言うと大変失礼てございますが、造船で働いていらっしゃる方が他の職業に転業なさったとき、じゃ、より以上に経済的な環境がよくなるかというと、そういう点でも必ずしも十分ではありませんし、また長い間造船で暮らした方が他の職業に簡単にかわれない、こういう問題も抱えていらっしゃるわけでございます。
 こういうことを考えますと、私は、この運用に当たって、これは一つの考えでございますけれども、造船を、いま大臣がおっしゃったように健やかな形にすべきだということで、設備の処理はやむを得ない、ただ、それによって大きな雇用不安、首切りというものが伴うというような事態については少なくとも十分避けるということを前提にしていただきたい。もしもそういうことが大きな社会不安になるようでしたら、その点については、いわゆる造船の立場の方に対して、社長に対して、首切りは行うな、これはあと数年間このような形でがんばれというような形での行政指導がある意味ではできないものか。また、そういう混乱を生ずるようなところは、むしろ当然、買い上げてほしいと言っても買い上げ対象については検討しなければならないとか、何かその辺の歯どめ、さらには希望退職でおやめになる方もあろうかと思いますが、やはりそういうときに、その方の将来の職業までも十分配慮するような手続がございませんと、私は、非常に大きなというか悪い意味での影響が多過ぎるのではないか、そういう点での配慮はいかがなものか、お伺いしたいのでございます。
#125
○謝敷政府委員 この法案が成立いたしました後におきまして、この協会の運用につきましては、先生御指摘のような点を十分配慮するように業界を指導するつもりでございます。この協会に買い上げを申し出るということは、事業者の選択の一つでございまして、その事業者がその企業あるいはひいては日本の造船業全体の健全な発達ということを頭に置きながら、かつ雇用に対する配慮を十分にした上で関係者の合意を得て申し出があるものと考えております。
 特に、特安法の十条の規定あるいは特定不況業種離職者臨時措置法の三条、七条の規定によりまして、具体的には七条によりまして計画を立てなければならないということが規定されておりますので、その点を十分協会が確認をした上で買い上げ業務が行われるように指導をしてまいりたい、こう考えております。
#126
○薮仲委員 重ねて確認をいたしておきますけれども、この法案の持っているいい面と、また非常に懸念される面は雇用の問題でございますので、どうかこの法案によって雇用不安が起きないように、また、そういう懸念があるときには十分配慮をするということを、私は、この法の運用に当たって十分行政官庁としての責任はおとりいただきたい、こういう点を指摘しておく次第でございます。
 もう一点、この法案の持つ非常に懸念される点を申し上げますと、いわゆる設備を処理しなければ、造船業全体が円滑なといいますか健やかな体質にはならない、こういうことでこの協会ができたということは理解いたします。ところが、この運用のあり方次第では、これはまた非常に大きな問題があろうかと思います。この法案そのものをすんなり読めば、この造船不況を救済しよう、そのために何とか力の弱い中手等の設備処理のために協会をつくって、何とか設備を円滑に処理してあげましょう、この救済という眼目、これはよくわかります。ただ、ここで私が指摘しておきたいのは、いわゆる協会が、また何年か後にはその購入した、買い入れたところの土地並びに設備を、再利用のために整地をするなり何なりして売却しなければならない、そして償還に充てるという、この手続があるわけでございます。
 そこで、私が懸念しますのは、では、再利用可能な土地は買うけれども、中には再利用が非常に困難な土地もあるかもしれません、これは具体的な問題になりませんと、私も、具体的な例を挙げて申し上げることはいまできませんけれども、これは当然考えられることだと思いますが、そのときに救済という立場に立てば、再利用ということがたとえ今後十年の間に非常に困難であっても、これは設備を買い上げましょうという判断に立つと思うのです。しかし逆に今度、再利用をして売却するという観点に立ちますと、再利用不可能なところは買えません、こうなるわけでございます。この法案、そしてまた協会そのものの体質の中に、そういう相反する二つの立場というものがここに介在するわけでございます。
 私は、少なくともこの協会が償還しなければならないという義務を負うということはわかります。でも当面、海造審の答申にありますように、来年、再来年というのは底をつくわけです。このとおりになるかならないかは、船舶局長並びに運輸大臣の決意いかんで幾らかでも前進するという
 ことは、私は確信しておりますけれども、それでも状況は悪くなる。そのときにさしあたっての分、
 たとえばここ五年なりの分には、再利用ということ以前に、ある意味では救済ということが優先しなければならないのじゃないかという考えもあるわけでございますが、これも運用のいかんによっては、再利用を優先するか救済を優先するかという判断が、結果において非常に大きな違いをあらわすわけでございます。
 この辺については、事柄が重要でございますので、船舶局長と大臣の基本的な運用に対するお考えをこの際伺っておきたいと思うのです。
#127
○福永国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、当然、現在の造船業界をどうするか造船業をどうするかという観点から、この法案のねらっております目的達成のために十分配慮をすべきものでありまして、いま救済か再利用かということで順序を誤ってはならぬというお話でございまして、そのとおりに私どもも考えておる次第でございます。土地のブローカーなら、後で売れるかなということを考えて買うということになりましょうが、この法案によって示されております協会というものはそういうものではありません。まさに造船業をどうするかというような大きな目的から対処すべきものでございますから、ただいまお話の点につきましては、お話のように本来の使命を当然優先して考えていく、こういうことに徹するように指導してまいりたいと考えております。
#128
○謝敷政府委員 ただいま大臣が御答弁された点に尽きると思いますので……。
#129
○薮仲委員 それでは、局長には具体的な問題でちょっとお伺いしたいのでございますが、この中に事業場単位という形での処理ということが挙げられておるわけでございますが、一つの造船所で二ないし三カ所の事業場を持っていらっしゃって、そのうちの一事業場を閉鎖する、こういう場合もあろうかと思います。中にはその中で集約をしてきて、一つの事業場しか現在ございません、しかし、その中に二万トンと五千トンと千五百トンというような形のドックがございますが、この二万トンの部分は処理をいたしたい、こうなったときに、その一基の部分だけ処理するということ、これは可能だろうと思うのでございますが、事業場単位ということの中に基数単位での処理ということもあるのだなという考えでよろしいかどうか。
 それからもう一点は、これも具体的な問題になりますけれども、たとえば二つの事業場を持っておりまして、会社といたしましては、こちらの事業場を継続してまいりたい、もう一つの事業場、Bという事業場は売却をしたい、処分したい、こうなったとき、たとえば、ただいまの話で恐縮でございますが、Bというところは再利用の見通しとしては非常に困難な要素が多分にある、Aというところをむしろ購入したい、いわゆる造船所として残しておきたい施設の方は再利用が非常に可能だ、もう一つの事業場の方は再利用が困難だ、売りたいのはこっちの再利用困難なところですよと、こうなったとき、協会に再利用の困難な方を申し入れた場合、具体的な選択をここでお伺いするわけでございますが、再利用困難な方でも購入を十分検討していただけるかどうか。これも具体的というよりも、いわゆる推測の域を出ない質問ではなはだ恐縮でございますが、こういう場合があったときにはどうするか、判断の基準のめどとしてお伺いする意味でお答えいただきたいと思います。
#130
○謝敷政府委員 法律で規定しております事業場単位、これは新造船の事業場単位ということでございますので、前者の御質問の、二万トンと五千トンと千五百トンというところで、二万トンを処理するというのは、かなりの量の処理になるわけでございますが、五千トンが特定船舶製造業の範囲に入りますので、これは二つを処理する、千五百トンを残すという場合には買い上げの対象になりますが、五千トンを残しておきますと、これは事業場の一部処理ということで買い上げの対象にならないかと思います。ただ、その場合に四千五百トンであれば、当然二万トンは買い上げの対象になると思います。
 それから、後者の点でございますが、これは先ほどの大臣の御答弁にもありましたように、再利用が直ちにできるようなことでありますれば、この協会は要らないわけでございますので、この協会のできました趣旨は、再利用困難なことは現時点では十分わかっております、これを十年間にわたってこの協会がそれを持って可能なように造成をして売却していくということでございますので、後者は、先生おっしゃったとおりに、買い上げは可能かと思います。
#131
○薮仲委員 それでは、この法案につきましては、以上の雇用の問題あるいは運営点での考え方については、先ほど来大臣のおっしゃられたようなことを十分御配慮いただいて運用していただきたいということを重ねてお願いする次第でございます。
 そこで、消防庁の方お見えになっていらっしゃいますので、先般来ずっと造船の問題が論じられてきたわけでございますが、ここで私は、消防庁の方にお伺いしたいのですが、日本の造船の持っている技術というものは非常に優秀であり、なおかつ高度なものを持っていらっしゃるというふうに理解しておるわけでございます。そこで問題は、いまこの造船を他の業種に転換しよう、あるいはほかの仕事ができないだろうかということが、各地域あるいは地方自治体で真剣に検討されて、公共事業の発注なんかできないだろうかというようなことが論議されております。
 そこで、一つお伺いしたいのは、さきの国会でも、大震立法が成立したわけでございまして、巨大地震が来るのではなかろうか、こういうことで強化地域の指定もあったわけでございますが、この地震というものの中で一つ検討されておりますのは、いま消防庁が全国に設置なさっております百トンあるいは四十トンという水槽があるわけでございまして、この百トン、四十トンというものについて、要は政府の予算措置といいますか、補助の対象ということが問題でございますが、これは両方の生い立ちがちょっと違うわけでございまして、百トンの方は予算補助という形で始まったことであり、片や消防法の範囲内で消防利水をどうするか、消火作業をどうするかということで始まったいわゆる法律による補助でございますので、なかなかそこに問題があろうかと思いますが、特に私がここでお伺いしたいのは、四十トン水槽なのです。
 この四十トン水槽は、もう御承知のように、現在の消防組織法に始まりまして、この消防の施設をどうするかというようなことから、消防施設強化促進法で基準が示されて補助対象になったわけでございますが、この補助対象でいきますと、コンクリートの厚さが二十五センチというような基準がございまして、これに該当しないと補助対象にはなりません。私は、それなりにこの法案は意義がありますし、全国にそのような四十トン水槽を置いておくことは、非常にありがたいことであり、有益なことだと感じております。ただ、地震というこの条件が加わったとき、各地方自治体では、耐震ということをその貯水槽に上乗せして発注をするわけです。それじゃ、この四十トン水槽が弱いのかというと、そういうことではございません。それなりの強度を持っていることはわかります。ただ、工法や何かで非常に日数もかかりますし、問題も多い。しかし、造船の技術として開発した四十トン水槽というのは、工法から何から非常に好評を博し、強度の面でも十分耐震性をクリアできるものがあります。
 ですから、決していまのコンクリート貯水槽はだめですよということはさらさらございませんが、造船技術を生かしてそういうものをつくったときに補助対象にならないという大きな壁がございまして、小さな地方自治体等では、困った問題として提起されているわけでございます。特に地震が想定される地域等については、百トンと同じような形で何らか特例の措置を講ずるなり何なりで補助の対象にならないかどうか、何とか検討いただけないものかと思うのでございますが、いかがでございましょう。
#132
○矢筈野説明員 ただいま先生御指摘のとおり、耐震性百トンと一般の四十トン防火水槽とは、その経緯、歴史が異なっておりまして、ただいま問題になっております四十トンの防火水槽については、鉄筋コンクリートというふうに基準を定め、それを告示で決めてございます。これはそれなりに意味があるわけでございまして、御指摘の耐震性ということを考慮して、百トンについては綱製によるいわゆる鉄製タンクというものを現在採用しておりますので、そういうことも勘案して、四十トンの防火水槽についても今後耐震性を付与する、そういう性質のものであり、かつ強度、耐久性、価格等、総合的に検討いたしまして、積極的に四十トン貯水槽についても補助対象にすべく検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
#133
○薮仲委員 造船不況対策の一環とは申しませんけれども、いろいろな意味で日本のとうとい技術は残すべく何とぞ検討のほどをよろしくお願いいたしておきます。
 そこで船舶局長、簡単に一言お答えいただきたいのでございますが、いまの協会法の規定についてなのですが、土地を買収あるいは設備を買収したときに、不動産取得税とか固定資産税の問題が出てくると思うのです。特に大きいのは不動産取得税というもの、造船の土地というのは非常に広大な地域が多いものでございますから、これが非常な金額になるのじゃないか。こういうものについて税制面での減免措置をある程度講じておきませんと、土地の値上がりというようなことも起きかねませんので、再処理がしにくくなるということから、税制面で何か来年度以降改正するお考えがあるかないか、あればある、なければない、その点だけ一言お答えいただきたいと思います。
#134
○謝敷政府委員 御指摘の税制につきましては、本法案で、協会の公共性、公益性にかんがみまして、取得税の非課税、非収益事業に係る法人税及び事業税の非課税の措置を講じておりますが、このほか、御指摘の税の軽減につきましては、政府部内においてできる方向で検討させていただきたい、こう考えております。
#135
○薮仲委員 よろしくお願いします。
 それから、通産省中小企業庁の方に、いまの造船不況に関連してちょっとお伺いしたいのでございますが、いま商工委員会等でいわゆる城下町法案というものが、特定不況地域の法案が審議されておるわけでございます。どの地域が指定されるかということがいろいろ話題になっておるのでございますけれども、それはそれとして、私は、造船を抱える町というものは、とてもこの城下町法案でカバーできるような数ではなかろうと思うわけであります。仮に、その特定不況地域に指定されなくても、造船それ自体の持っているアセンブリー産業としての地域社会に与える影響というのは非常に大きい。八百屋さんから仕入れの弁当屋さんまで、造船所を生活の対象として商売をやっていらっしゃるわけでございますから、そういう意味で、城下町法案で地域指定にならなくても、造船に関連するような、あるいは特定不況業種に関連するようなものについては、あの地域指定法案の中に出てくるような税制であるとか、いろいろな金融面での優遇措置がとれないものかどうか、そういうものをその法案の中に読み取れないものかどうか、むしろそういうものを追加させていただけないかというような考えがあるのですが、いかがでございましょう。
#136
○山口説明員 お答え申し上げます。
 このたび国会に提出しております特定不況地域中小企業対策臨時措置法案でございますが、これは従来からございます中小企業対策とか、あるいは構造不況業種対策、こういったものと相まって効果を発揮するもの、こういうふうに理解いたしております。
 そこで、今回の対策は、従来の中小企業対策に加えて措置しよう、こういうことでございます。したがって、特定不況地域の対象にならないようないわゆる不況業種とかあるいは不況地域一般につきましては、従来から中小企業信用保険法によります信用補完措置をやっておりますが、これらの積極的な活用というものを図りますほか、たとえば政府系中小企業三金融機関によります倒産対策緊急融資制度あるいは中小企業為替変動対策緊急融資制度、こういったものをさらにきめ細かく運用していく。さらに本年四月から発足いたしております中小企業倒産防止共済制度とかあるいは赤字企業に対します既往高金利の軽減措置、こういった金融面での支援、倒産防止対策等々につきまして、今後ともこれら中小企業対策につきましてきめ細かく運用してまいりたい、こういうように考えております。
#137
○薮仲委員 いまの説明はわかるのです。私の聞きたいのは、税制面はいかがですかということで、この点いかがでしょう。
#138
○山口説明員 税制面の対策につきましては、租税は法定主義ということになっておりますので、特定不況地域にならないところについて特定不況地域と同様の措置をするということにはまいらないと思います。ただし、いま質問されております御趣旨の中で、造船及び造船関連下請企業という場合には、別途すでに前国会ででき上がっております円高対策法に基づきまして、認定中小企業者につきましては同様の税利措置がすでに講じられております。
#139
○薮仲委員 きょうはこの程度にしておきますけれども、円高対策でもフォローできない面をどうするか、今後十分中小企業庁で御検討いただきたい、このことは重ね重ね御要望しておきます。
 最後に解撤の問題、きょうは造工、中造、日造協の皆さん方、お忙しい中大変御苦労さまでございます。この問題でちょっとお伺いしたいわけでございますが、この事業は三年ほど前から日造協の皆さんが大変御熱心にまたいろいろ御苦労されて、技術の開発や買船あるいはスクラップをどうするかというような問題までいろいろ御努力なさったその労を多とするものであります。
 このたび、それがいわゆる造船業界全体の問題として造工も中造工も一緒にやりましょうという形になってまいりました。しかし、そうなってまいりますと、船を買うとかあるいはスクラップを処理するとか、こういう点でやはり業界としてというのか何らかの財団法人なら財団法人というものをつくって運用がなされていくと思うのでございますが、そういう面で、一体となった話し合い、さらには円滑な運用というものを、せっかく運輸省が本気になってこれをやろうという段階でございますので、効果あらしめたい、これは皆さん方のお考えであろうと思うのでございます。また、その仕事の内容につきましても、弱い立場の日造協の皆さんを守るために、仕事量の確保には日造協のいわゆる下請の皆さん方に仕事量が厚くいくような配慮もあってほしい、こうわれわれは願うところでございますが、この造船解撤についていろいろお考えもあろうと思いますので、最初に船舶局長さんのいわゆる局長としてのお考え、あと各業界の代表の皆様方、造工、中造工、日造協の皆さん方のお考えを、簡単で結構でございますので、お伺いをさせていただきたいと思います。また、それが終わりましたら、恐縮でございますが、最後に、もろもろの問題を含めまして大臣の御見解を承って私の質問を終わりたいと思います。
#140
○謝敷政府委員 解撤の事業につきましては、買船、船を買う市場の動き、あるいはスクラップの市場の動き等、非常にむずかしい問題があるわけでございますが、今度の補正予算で二十億の基金的運用の助成金を認めていただきましたので、これにさらに二十億を船舶振興会から加えまして、この三年強の間に三百万トン程度の解撤を行うことにしたい、こう考えております。
 そこで、先生御指摘のように、五十二年度は下請事業者が協同組合をつくりましてやったわけですが、なかなか思うように任せなかったわけです。ようやく三事業体が共同してやるような機運が出てまいりましたので、私どもとしては、造船工業会、中型造船工業会、日本造船協力事業者団体連合会の三団体が協力して新しい組織をつくっていただきまして、そこにこの補助金を交付して事業の円滑な推進を図っていただきたい、こう考えるわけでございます。もちろんこの補助金は、特に下請事業者対策という色彩が濃いわけでございますので、たとえば解撤を行います場合に、本工一に対して下請一以上の従業が可能になるように指導してまいりたい、こう考えております。
#141
○南参考人 造船工業会といたしましては、先ほど来御指摘のとおり、今後数年間の仕事量の不足という大きな問題に対処いたしまして、中型造船工業会及び日造協と協力をしてこの解撤を進めていきたい、むしろわれわれの方からお願いをいたしました問題でございます。
 なお、先ほど御質問にございました廃棄工場の従業員の雇用の問題、これにも深くかかわっておりますので、私どもは、前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
#142
○浅野参考人 解撤につきましては、工事量の確保、雇用の対策、そうしまして過剰船舶の処理、ひいてはそれが新造船の需要の造成につながるという意味で大変に有意義な事業であると考えております。私どもの会員の中にも、すでに解撤部という専門の事業部を設けておるところもあるような次第でございます。
#143
○宇野参考人 今度の船舶解撤促進協会、これは仮称になっておりますが、これについては、船舶局長がただいま申されたような方針で実行しますが、われわれとしては、先ほど佐野委員から御質問がありましたように、これを単なる助成金の交付機関に充てるというだけで終わらせるのでなく、少なくともこれを生かして将来に大きな解撤事業が自立できるようなことにしたい。そういう意味から、この協会に対して日造協が三カ年にわたって行ってきた調査研究の資料を移管して、鉄鋼、船協等の関係団体の協力を得たいと思っております。
 なお、すでに船主協会、電炉工業会、全国小型棒鋼協会あるいは全国伸鉄工業組合とも折衝して、本問題についての各業界の円滑化に努力したい。現在においては鉄鋼側でも、船舶解撤によって生ずるくず鉄の引き受けを前もって検討中であります。こういう意味から、われわれについては過去のわれわれの雇用対策が一番中心でありますが、これを生かす意味においても、今度の協会については、われわれとして関係官庁の指導のもとに、日造協が責任を持ってこれに当たりたいと思っております。
#144
○福永国務大臣 薮仲さんは、私に対しては広くという表現をなさったので、必ずしも解撤に関するものばかりでもないと思いますが、質問者は申すに及ばず、参考人の各位等からもいろいろ御意見の御開陳等がございました。これらのことを十分念頭に置きつつ諸般の施策に誤りのないようにいたしてまいりたいと存じます。
#145
○薮仲委員 終わります。どうもありがとうございました。
#146
○増岡委員長 米沢隆君。
#147
○米沢委員 余り時間もありませんので、早速質問に入りたいと思います。
 まず、運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、今回の造船の安定事業の実施に当たりまして、特定不況産業安定臨時措置法、いわゆる特安法によらずに、もっとも中身を見ますと、大手の会社につきましては、場合によっては特安法の信用基金に依存する場合があるという含みはありますけれども、その他につきましては、この協会方式という形で事業を進めていくということでありますが、この協会方式を選択された理由について、重ねて、なぜ特安法ではいけなかったのかを御説明いただきたいと思います。
#148
○福永国務大臣 現在の事態につきまして対処する方途はいろいろあるわけでございますが、このたび政府が提案をいたしましたものにつきましては、ある程度範囲を区切って、いま御指摘のようなことにいたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、われわれは、それらいろいろある方策をいずれも効果的に実施してまいりたいと考えておるわけでございまして、ことさらにどの部門だけ特に大事とかなんとかというのではなくて、それぞれに事情を異にしている面も若干ございますので、そういうことを考慮しつつ今度のような法案としてまとめた、こういう次第でございます。
#149
○米沢委員 協会方式をとられるということは、いわゆる特定の不況産業を安定させるための臨時措置法をつくって信用基金をつくり、その債務保証によって設備処理をスムーズにやっていこうというそのことが、必ずしもその全部がそういう信用基金によってやることができない、したがって、こういう協会方式というものが編み出されたと思うのでありますが、ちょうどあの特安法が審議される過程において、運輸省では独自の立法をされるという動きが幾分ありました。そのときにはすでにこの協会方式が頭にあったのだと思います。ところが、特安法一本でいこうということになりまして、そしてあの法律の中に「船舶製造業」という一項目が入られてお茶を濁されたわけであります。しかし、現にこういうふうにして問題になってまいりますと、いわゆる自力のあるところのみしか特安法に言う信用基金を利用できない、その他については別の法律をつくって対処しなければ設備の処理もスムーズにいかない、そういう問題がいま明らかになっておるのだと思います。
 そこで、通産省の方にお尋ねしたいのでありますが、このように特安法に言う信用基金で、そして結局、その債務保証という手段でしか救済できないような特安法になっているわけでありまして、そういう意味では、この特安法そのものに限界があるというふうに断ぜざるを得ないわけであります。したがって、この造船の設備廃棄に関しまして、このような協会方式をとらざるを得ないようなことになってしまったわけでありますが、ほかの不況産業を抱える通産省の立場として、このような協会方式をとらざるを得なくなったことについて、どういう判断を持っておられるのか、聞かせてほしいと思います。
#150
○黒田説明員 お答え申し上げます。
 一口に構造不況業種と申しましても、その不況の深刻さと申しますか、業界の状況あるいは構造不況に陥った原因その他、一様でないわけでございますが、特安法は、こういういわゆる構造不況業種に共通的に見られます過剰設備の処理を推進するために制定されたわけでございます。
 基本的な考え方といたしましては、あくまで企業あるいは業界の自助努力を前提といたしまして、いま先生御指摘の信用基金あるいは指示カルテル制度というようなものを新たに創設することによりまして、構造不況業種の過剰設備の処理を計画的に推進していこう、こういうことでできたわけでございます。
 ただ、業種別にどのように過剰設備の処理を、この法律に基づいて進めていくかという点につきましては、特安法に基づきますいわゆる安定基本計画というものの中で具体的に定められていくわけでございまして、通産省所管の業種に関して申し上げれば、平電炉につきましては、すでに八月末に安定基本計画が告示されまして、現在設備処理に着手されている段階であります。そのほかの業種につきましては、現在、関係の審議会でどの程度の量をどういう方法でやるか、業界によっては残存者負担をやるとかいうような業界もございますし、業種の実情がいろいろ違いますので、どういうふうにして進めるかということを具体的に検討しているわけでございます。
 したがいまして、そういう検討の中で、信用基金による債務保証ではどうしてもできないというような業界固有の事情があれば、別の対策も考えていかなければいかぬと思っておりますけれども、全般的には特安法の精神によって基本的には企業の自助努力を補完していく、こういうたてまえで現在進めているところでございます。
#151
○福永国務大臣 先ほどの御質問につきまして大まかにお答えを申し上げましたが、なおもうちょっと申し上げておいた方がよろしかろうと思うので申し上げます。
 安定基本計画というものの中において、債務保証を得て処理し得る場合と債務返済の困難な場合と分けてではございますが、私どもが考えておりますことは、この双方が補い合って事態の処理におおむね適切を期するというようなことをねらいといたしておるわけでございまして、物の言い方によりますと全然別個のもののようにも聞こえますが、これを利用する側では、この両者を利用し得るということであり、いずれがより適切な方法であるかという選択のもとにそれぞれ利用される、こういうことでございます。この点を補って申し上げておきたいと思います。
#152
○米沢委員 重ねて通産省の方に御見解を聞きたいのでありますが、特安法といういわゆる一般法をつくられた趣旨は、少なくとも不況業種いろいろあるけれども、公平に行政を進めていこうという意味もあると私は思うのです。ところが、これで救われない部分を、みんな業界ごとにこういう特殊立法をつくっておれたちはこの法律でやる、こうなりましたら、特安法そのものの意味がなくなってくると私は思うのです。ということは、特安法では救われない部分がたくさんあるという事実を示すわけでありまして、そういう意味では、特安法そのものが法的に非常に欠陥がある、あるいは法体系として見直さねばならぬ部分があるのではないかと思うのです。
 もう御存じだろうと思いますが、この信用保証基金をつくられる基金の造成の場合にもかなりてこずったはずだと私は思うのです。それから信用基金を実際利用する場合にも、今度は銀行さんの裏保証という関係では、本当に救われねばならぬ部分が、この信用保証基金が裏保証の問題で挫折すると私は思うのです。ですから、大手であり、ある程度信用力があるものしか、銀行が結局安心してお貸しできるようなところしかこの信用保証基金なんか貸してはくれない、そういうものになる可能性が十分あると私は思うのであります。
 そういう意味では、業界ごとに対策をやるということがだめだとは申しませんけれども、少なくともこの特安法そのものの、信用保証基金を銀行が頭を振らなければどうしようもないというその部分だけでも何とか解消できる方法はないだろうかという感じがするのでありますが、どうでしょうか。
#153
○黒田説明員 ただいま御答弁申し上げましたように、大部分の業種につきましては、私ども、この特安法に基づくスキームで現在業界が陥っている不況の克服を図っていく考えでいろいろな対策を検討しているわけでございます。
 ただ、業種によって本当に非常に固有の問題と申しますか、業界の事情からいってどうしても何らか別の支援策が必要であるというようなことが安定基本計画の策定、検討の段階で出てくれば、そういう対策はもちろん考えていきたいということでございます。
 ただ、私ども現在考えておりますところでは、まだこの安定基本計画の検討がいろいろな業種について始まったばかりでございまして、いわゆる構造不況業種というもののすべてについていろいろ検討しているわけではございませんが、必ずしも特安法の体系が全部各個別の業種の対策で塗りかえられてしまうというようなところまではいかないのではないかという見通しを持っております。
 それから、基金の保証の問題でございますが、先生十分御案内のように、この基金はいわゆる裏保証ということで関係金融機関なり、あるいは関係企業の協力を仰ぐたてまえになっております。これについては、先生御指摘のように、一面でそういう金融機関なり各関係企業の協力を仰がなければ信用基金が使えないというような解釈と申しますか、見方もあり得ると思いますけれども、ただ、あくまで企業の再建、要するに過剰設備の処理を通じての再建が最終目標でございまして、やはりそういう企業の再建を行っていくためには、関係の金融機関であるとか関係の企業、そういうものの協力があってこそ初めて再建が可能なわけでございまして、その辺、運用に当たってできるだけこの法律の趣旨が当然生かされるように図ってまいりたい、そういうふうに考えております。
#154
○米沢委員 私は、この法律は見方によっては、造船業界を救済するという一面もありますが、一番喜ぶのは銀行じゃないかと思うのです。倒産した会社のやつも買ってやるわけですから、その分だけ担保が抜けたり借金を返してもらうわけですから、この法律は銀行が一番喜んでおると私は思いますね。そういう形で、これは銀行救済的なニュアンスが多いわけでありますが、しかし、先ほどから何回も申し上げますように、信用基金は裏保証で銀行が余り頭を振らない、基金の造成についても余り乗り気ではなかった、そういうことを考えますと、やはり特安法に言うこの信用保証基金で設備処理をスムーズにやっていこうとする場合には、何らかの形ですれすれの部分についてはかなり強力に行政指導あたりを加えてもらわない限りは、特安法は何にもならぬ法律になってしまう可能性があると私は思います。その点、ぜひ強力な行政指導を要請したいと思います。
 それから、先ほどの運輸大臣の話の中にありましたように、造船の設備処理につきましては、特安法を使う場合もあるし、あるいは協会方式でやる場合もある、場合によっていろいろと使い分けていくという議論でありましたが、きょうは日造工の南さんが来ておられますのでちょっとお聞きしたいのですが、いまから大手はこの買い上げ方式ではなくて、特安法の信用保証基金を利用しての設備廃棄という形になると思うのでありますが、どれくらい実際信用保証基金に頼るというふうな試算をなされておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
 同時に、信用保証基金を借りる場合に銀行の協力を得られるような情勢にあるのかないのか、御判断を聞かしてほしいと思います。
#155
○南参考人 ただいま造船工業会としては、この信用基金に対してどの程度の要望があるか、あるいはまた、それがどの程度可能であるかということについての検討はまだいたしておりません。
#156
○米沢委員 まあ検討されてないと言われたらもうおしまいでありますが、しかし実際、海造審あたりの答申が出て、そして安定計画の中では三五%の削減をしようなんというのが、ほぼそういう形で決まるであろうという段階において、企業自身が、じゃ自分たちの会社の場合どうなるだろうか、その場合どうしようかという検討が重ねられていないということ自体が、大変のんびりした話だなという感じがしてなりません。しかし、検討されてないというのだったら、何も言うことはありません。
 本題の協会の問題に入りたいと思うのでありますが、協会方式によって設備処理計画がなされた場合、それがただ買い上げというだけにするのでは何にもならぬわけです。やはりこれが再建につながる、あるいは安定につながる前向きの方向に動かなければならぬわけでありまして、前向きの方向に行くという前提は、一にかかって安定基本計画に組み込まれるであろう三五%程度の設備処理というその数字の整合性といいますか、信憑性が一つあると思いますが、それが本当であるのかどうかということです。それからもう一つは、それでもなお昭和六十年まで続いていきます受注予測と設備処理後の造船能力六百四十万トンとのギャップを現実の問題として埋め切れるかどうかという二つがかぎを握る問題だと思うのであります。
 そこで、お伺いしたいのは、いろいろと検討を重ねられて三五%という数字が出たのだろうと思いますが、三五%という、現在の能力よりも三百四十万トン削りさえすれば、六十年の時点においては需給が均衡すると読まれた根拠というものをちょっと説明してほしいと思うのです。
 それから、ちょっと重ねて同時にお答えいただきたいのは円高ですね。もう先ほどからの議論の中にも、円高がかなり大きな影響を与えておるということでありましたけれども、ちょうどこの海造審でこのあたりを議論されたのは、大体六月以前、七月前半から以前の問題だと思うのです。それから今日に至るまで円はますます高くなっておるわけでありまして、円が高くなるということは、それだけ皆さん方に対する影響は大きいわけで、結局、設備廃棄を三五%程度にするというその数字にも影響するような問題ではないか、そう私は思うのでございます。
 そういう意味で、特に昨日の新聞にも一ドル百八十四円ぐらいになったということで、また円高騒ぎが起こっておりますので、今後の造船業の経営安定化方策について、設備処理をやろうというわけでありますから、三五%程度の設備廃棄というものは下方修正されるような用意はないのかどうか、いまの三五%程度で結構なのかどうか、そのあたりも含めて、円高の影響も含めて御説明いただきたいと思うのです。
#157
○謝敷政府委員 簡潔に御説明をいたします。
 三五%、三百四十万トンの出てきたゆえんのところでございますが、これはことしの三月ごろから、安定法の始まる前に海運造船合理化審議会の需給検討グループがずっとやってきたものでございまして、その以前から私どもは非公式には検討してきたわけでございます。
 考え方といたしましては、基本的にかかってきますのは、今後の世界の各地域におけるGNP及びそれを受けたエネルギー消費、それから石炭、鉄鉱石、穀物等を中心とするドライカーゴーの動き、こういうものが基本になるわけでございます。
 そこで、現在手に入れ得るOECD、そのほか国内の関係機関の長期にわたるGNPその他の指標を中心にいたしまして、ハイケースとローケースを想定しておりまして、ここに挙げております数字はハイケースをもとにした数字でございます。
 まず、需給の見通しですが、初めに国際的な世界全体の新造船船腹量を出してくるわけでございます。その次に問題になりますのは、日本のシェアと言ったら、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、日本がどのくらい建造し得れば妥当であるか、この点もまた大きく関係してくるわけでございます。
 それで、世界全体は先ほどのような数字で検討したわけですが、基本的に御理解をいただきたいと思いますのは、七六年から八〇年までの間と八一年から八五年の間、それから八六年から九〇年の間、この三つの期間に分かれるわけですが、七六年から八〇年まで、来年までは基本的にはタンカーとかバラ積みカーゴーはゼロという数字が出ます。それから八一年から八五年は、したがってGNP想定である程度の量が出てまいるわけですが、その間は、実際には七六年から八〇年までの間手持ちの残存工事がありますから、それで本当はキャンセルしてゼロになれば次の五年に上がるのですが、それを先食いしているという形でございますので、次の五年間はなだらかに右上がりで上がる、こういう想定でございます。それから、それを全部八五年までに処理をしますので、その次の五年はローケースもハイケースも余り差がございません。
 そういうことで、二つとったわけですが、従来日本の造船業は世界の五〇%をやってまいりましたが、今後のことを総合的にいろいろな角度から検討いたしますと、先生方の御判断は、約三分の一ということで見ているのが基本的に妥当ではなかろうか。これは三分の一で過大という見方と、いや少な過ぎるという見方と両方ありましたが、そういうところに落ちついたわけです。
 それで、日本の供給能力を検討いたしました結果、貨物船換算トン数で九百八十万トンという数字が出まして、じゃ、ここから一体どこまで設備削減をすれば、過当競争防止に長期的に役立ち、かつ余り大幅な供給制限といいますか、そういうものに陥らないという水準をどこに決め得るかという、こういう議論があって、先生いま御指摘のように、少な過ぎるじゃないかとか、あるいは高過ぎないかとかということで、三百四十万トン、三五%の率について議論がなされましたが、少なくとも供給制限というような事態を避けるためには、設備削減としては上限のハイケースをとって六百四十万とすることが妥当であろうということで、これが決まったわけでございます。
 したがいまして、今後の推移については、これはあくまでも設備処理として六十年までが妥当な線でありまして、操業がこういう状態になるかどうかについてはローケースの見方もあるわけです。そういう点を勘案いたしますと、私どもとしては、設備処理は三五%、三百四十万トンをやりました上で、あとは新規需要の造成と見合いながら短期間の間は操業調整をするという基本的な考え方を出したわけでございます。
 それから、先生御指摘の円高の影響につきましては、これは確かに、この検討をしております時期の数字は、せいぜい年末までの感触でございまして、ことしの年初以降の点は入っておらないというのが実態でございます。しかし、最近の受注状況を見ておりますと、大体月三十万トンベースで一月から三月ぐらいまでいったのが、四月、五月がそういう状態で、その後六月、七月が十二万トンから十五万トンぐらいに落ちました。六、七とそういう状態で、八月はやや回復し、九月も回復しているというような状況でございまして、これは今後の推移にまたなければいけませんが、基本的に造船の競争力という点では、急激に短期的な変動という点についてはなかなか耐えがたいのですが、ある程度長期的にはこれに対する対応も立てながらやっていけるわけでございまして、その意味においては、実際の需要という点では、ローケース、ハイケースの見方があるということを説明させていただいたわけであります。
#158
○米沢委員 いろいろな見方があって、将来のことだからわからぬ部分があるかもしらぬけれども、三五%程度で下方修正しなくても結構だというふうに考えていいわけですね。
 そこで、この設備処理をなさる場合、いまごろ聞いたら怒られるかもしれませんが、業界自体はこの三五%程度をそれぞれ削減するということでは、もう現時点では合意は見ておるわけですね、日造工の南さんにお尋ねしたいと思います。
#159
○南参考人 三五%につきまして、業界のコンセンサスは得ております。
#160
○米沢委員 ところで、この設備処理をやろうという話し合いの中で、その対象になるのが六十一社あるわけですが、その中で十三社が倒産しているわけですね。そしてこの設備廃棄をするという相談の中で七社が手を挙げなかったというのですが、これはどういう理由からでしょうか。
#161
○謝敷政府委員 私どもに特安法によります業種指定をしてほしいという申し出がありましたわけですが、六十社のうち七社が先生御指摘のとおりでございます。これらの会社は、いずれも会社更生法手続申請中のところでございまして、その手続上間に合わなかった、あるいはできなかったというところでございます。
#162
○米沢委員 会社更生法の手続中だからですか、和議の申請手続ですか。――次に、昭和六十年までの需給ギャップをどう埋めるかという問題ですが、この問題はもう先ほどから再々取り上げられておりますけれども、かなりの努力をしない限り、先ほどおっしゃったように、六百四十万トンに削って、それからまた需要が全然それについていっていないわけですから、大分埋めなければならぬ。それなりのかなりの努力が必要だと思いますが、そこで、当局におかれましても、五十四年度の運輸省の概算要求なんか見せてもらいますと、大変積極的にやる気を見せておられるのでありますが、いまから大蔵省との折衝でそれがどうなるか、そこらが一番大きな焦点ですね。
 そこで、運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、あの要求どおりうまくいったら、ある程度万々歳でありましょうけれども、あれが削られでもしたら、こんなに議論を重ねた意味が余りなくなるわけですが、成算について大臣の話をちょっと聞かせてほしいと思うのです。
#163
○福永国務大臣 いま御指摘のもののみならず、運輸省全体といたしまして、おおむねいままでよりはかなり積極的に出ております。積極的に出ているには、それなりの理由があるのではございますが、見方によっては、そういうことであるから思うとおりにいかぬのじゃないかというようにごらんになる向きもあろうかと思います。私も、どうも言い出しましたことは、なるべくそのとおりやらぬとおもしろくない性分でございまして、せいぜい努力いたしたいと考えておりますが、いまの御質問のように、それがそのとおりいかなかったらどうかという点につきましては、少なくとも現段階では、何とかしてそういうようにいたしたいと思います、うまくいかないときのことは考えておりませんと申し上げるより実はしようがないのでございますが、いずれにいたしましても、米沢さんの御意見等にも沿うように大いに努力をいたしまして、目的を達成するようにいたしたいと考えております。
#164
○米沢委員 一生懸命がんばっていただくということでありますが、しかし中身を見ますと、たとえばほかの不況産業なんかに対する対策よりもかなり突っ込んだ積極的な施策をしろということが入っておりますから、ほかの業界との関連で、大蔵省が本当にうんと言うかというちょっと疑わしい部分も、うまくいったらそれは結構でありますけれども、造船ばかりそんな調子にはいかぬという形で削られる可能性のある部分もたくさんあるような気が私はしてならぬわけですね、そういう意味で御健闘を祈りたいと思います。
 それから次に、先ほどから申しておりますように、需要見通しの六百四十万トンというものとのギャップ、その埋める際――実際に埋められるかどうかをいろいろと考えたときに、大変不勉強で申しわけないのでありますけれども、標準貨物船に換算したら何トンだとか、何かいろいろと単位がありまして、それからまた官公庁のつくるものは何艘と言ったり、実際何艘が何トンに当たるか全然わからぬので、本当に埋まるかどうかは、ある程度一定の換算したトン数でないと、また、そういうものをぼくらにも教えてくれないと、実際はわからないわけですね。
 そこで、ぜひここで聞かせていただきたいのは、政府の需要創出されようとする部分、それは標準貨物船換算してどういうかっこうで六十年まで伸びていくのか、そのところをちょっと教えてほしいと思うのです。
#165
○謝敷政府委員 どうもいろいろなトン数を使って恐縮でございますが、従来から船の種類の構成がかなり変わってきておりますので、私どもとしては、初めて貨物船換算トン数という表現を使っているわけでございますが、御説明を申し上げますと、六十年までは運輸委員会の調査室のお出しになっておられます資料の数字、これは竣工ベースでございますので、これを約半年ぐらい前にずらしていただきますと着工ベースになってまいります。したがって、これは省略をさせていただきまして、当面問題でございます五十六年度までどういうふうに見積もっているかという点で御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、需要創出をしない場合をずっと申し上げていきます。五十三年度三百五十三万トン、これは貨物船換算トンですが、以下省略します。五十四年度二百七十四万トン、五十五年度三百六万トン、五十六年度三百七十六万トン。これに対しまして、私どもがいま考えて検討をして、実行を各方面にお願いしておりますのを、新規需要ということで申し上げますと、五十三年度が六十万トン、五十四年度が百七十七万トン、五十五年度が二百四十三万トン、五十六年度が二百十八万トン、こういうことになりまして、合計をいたしますと、全部うまくいったという仮定で説明をいたしますと、五十三年度が足し算をしまして四百十三万トン、五十四年度が四百五十二かトン、五十五年度が五百四十九万トン、五十六年度が五百九十四万トンということで、私どもとしては、五十五年度のいわゆる需要創出対策を行った場合、このまま算術計算をしますと、設備処理後の能力に対して八六%というような数字になりますが、せめてこのくらいの水準には何とか早く持っていきたい、こう考えておる次第でございます。
#166
○米沢委員 どうもありがとうございました。
 このいまおっしゃった新しい努力分については、計画造船というのが入っているわけですね、やはりギャップを埋めるかぎを握るのは、この計画造船が本当にうまくいくのかどうかにかかっていると私は思います。
 そういう意味で、いろいろと御努力をいただいておると思うのでありますが、船主協会の合意というものは一体どういうかっこうでいま話し合いが進められておるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#167
○真島政府委員 船主協会との関係でございますが、私どもも、予算を要求いたします際にいろいろと御相談を申し上げまして、船主協会といたしましても、現在各方面に船主協会としての要望という形でパンフレットを出しておりますけれども、その中に私どもの予算要求の数字をそのまま取り入れて、いろいろと各方面にお願いをいたしておる状況でございます。
#168
○米沢委員 この計画造船をやっていく場合に、船主協会からもいろいろな注文がついたり、造船工業会からもいろいろな注文がついて、金融の面だとか融資比率の問題とか償還の関係とか金利の問題等々いろいろと大変きめの細かいかなり突っ込んだ――突っ込んだと言いましょうか、かなり有利になるようなものがうまくいかない限り、この話には応じられない、そんな話があるやに聞いておるのでありますが、大臣、この船主協会との合意を得、あの概算要求に出ておりますああいうかっこうで船主協会がオーケーをし、つくる方もオーケーをし、そしてこの百万トンあるいは次の百二十三万トン、その次のやはり百二十三万トン、確実に達成できる可能性みたいなものをどういうふうに考えておられるのか、大臣に聞かしていただきたいと思います。
#169
○福永国務大臣 いろいろの見方がございますが、私は、何とかうまくいくというように見ております。ただ、それだけ申し上げますと、あいつはちょっと甘いということにお考えかもしれませんが、大体私は、もともと甘い人間ではございますが、この点につきましては、各方面からいろいろ話を聞いて、その上でこんなところだ、こういうように考えておるわけでございます。
#170
○米沢委員 時間もありませんので、最後に関連の下請企業対策についてちょっとお尋ねしたいのでありますが、この対象になっておる六十一社の中でも十三社倒産をしておるわけでありまして、日造協の皆さんから御陳情等を読んでみましても、かなり倒産したところに債権があるわけですね。そういうものを何とかしてほしいといういろいろな注文も出てきておるわけでありますが、特に昨年つぶれた十三社、債権総額十億円以上が十七社くらいあるのですが、そこに債権を持っておられる下請企業の方々に対してどういう対策が打たれたのか、政府の見解を聞かしていただきたいし、日造協の方に、実際そういう売り掛け債権みたいなものが一体どういうふうになっておって、どういう御要望があるのか、そのあたりを聞かしていただいて、質問を終わりたいと思います。
#171
○謝敷政府委員 昨年の夏以降十三社が倒産、会社更生法の申請もしくは和議法の申請をしているわけでございますが、私どもとしては、そういった事態に陥る前に個々に御相談を受けて、かなりいろいろな努力をしたわけでございますが、関係者の協力が一部得られなかったり、もろもろの事情でやむを得ずそういう事態になったわけでございます。その際に私どもとしては、まず造船業の倒産によりまして、その周辺の関連工業及び下請事業者団体が関連倒産をしないようにということで通産省にお願いをして、関連倒産防止の制度の指定をしていただくと同時に、私どもとしては、緊急融資としまして、そのほかに船舶振興会の融資制度の活用をやりまして対応してきたつもりでございます。
 今後のことでございますが、関連工業下請事業者につきましては、通産省のもろもろの中小企業制度の適用を受ける指定をしておりますし、これらによりまして影響を受ける関連工業あるいは下請事業者の対策について今後とも努力をしてまいりたい、こう考えております。
    〔委員長退席、佐藤一守)委員長代理着席〕
#172
○宇野参考人 造船不況について、倒産した企業のためにわれわれ日造協に加盟しておる会員だけでも現在五十億、これは中には不良債権があるというので銀行が貸し出しを警戒するというので自分では捨てておる業者を除いて、はっきりしたものだけでも五十億円、特に最近の臼杵造船では十億以上の不良債権を抱えて、下請はいま四苦八苦しているわけなんです。幸いに現在、臼杵の場合には地方の県なり市なり、あるいは特定の場合は船舶振興会の緊急融資等でどうにか切り抜けておりまするけれども、この不良債権を抱えて、過去の不良債権以上に、この再建法の届け後現金で払うといった債権すらまだ未払いになっておる点があって、これはこのまま放任すれば、その下請はいずれ関連倒産で大きな被害を受けると思います。
 それで、われわれとしていまどうも納得のいかないのは、下請の場合でも特に構内の場合には労働債権なんですが、ほとんど労働債権でありながら、下請というために、本工は賃金が保障されながら、下請は全部たな上げを食っている、こういうようなやり方が現在許されていいものかどうか、会社更生法についてもわれわれはかなりの問題点が出てきていると思います。
 それで、本法は昭和二十七年に制定されたのですが、この結果は、一将功成り万卒枯れるというような例が出てきており、中には悪質な、詐欺に類したような更生法の申請もあるやに聞いております。この場合に、ぼちぼち二十七年以来見直しの必要が出てこないか。また、この中にこれを幾らかでもカバーするために、中小企業対策のために昭和四十二年、第百十二条の二を追加しましたが、せっかくの条文も利用されていない。ということは、現地の弁護士すら、この条文は利用価値がないと言ってほとんど取り上げない、せっかくの法律の条文すら取り上げていない。
 こういうようなことで、会社更生法におけるこの被害というものは甚大なものがある。三重造船以来十九社、ひっかかったのは百五十件、現在わかっておるものが、先ほど述べた五十億円、こういうような状態は、このままいくと、一部の会社は救われても、下請は将棋倒しになるおそれがある。これについてはぜひ、この運輸委員会の関係でないかもわかりませんが、会社更生法については御検討を願いたいことを希望するわけであります。
#173
○米沢委員 終わります。
#174
○佐藤(守)委員長代理 小林政子君。
#175
○小林(政)委員 福永運輸大臣に、まずお伺いをいたしたいと思います。
 造船不況の問題は地域経済と密接なつながりを持っておりますだけに、造船の不況とかあるいは倒産という事態については、地域の中で関連下請企業並びにそこで働いている労働者また地方自治体あるいは町の商店に至るまで、地域経済に関連を持って大きな打撃を受けているというのが、いまの現状でございます。
 本来、この問題に対しての不況対策、これについては、何と言っても雇用の安定であり、そしてまた需要の創出をどう図っていくか、このことを抜きにしては不況対策というものはあり得ないと私は考えております。
 政府も地域不況対策ということをとってはきておりますけれども、しかし私は、こういう立場から今回の法案を見てみますと、これは結局は企業の廃止やあるいはまた閉鎖というものであって、不況対策とは全く矛盾するものではないか、このように考えますが、大臣の見解を伺いたいと思います。
#176
○福永国務大臣 小林さん御指摘になりますように、造船の不況というものは、地域経済と大きく関係を持っているものでございまして、これをいろいろな面からとらえる必要がありますが、なかんずく雇用の安定とか需要の創出とかということを強く考えていかなければならぬことは当然でございます。
 ただし、先ほどのお話のように、いま政府が出しております法案等は、そういうこととどうも矛盾しているじゃないかなどという御批判もございますが、私どもは、いま申しましたような雇用の安定とか需要の創出とかということと関連しつつこの種の措置をとっているつもりでございます。
 ただ、率直に申しまして、小林さん御指摘のように、雇用の安定なり需要の創出なりというものを一枚看板に挙げたような法案の形ではもちろん出ておりません。そういう意味においては、こういう点についてより一層の重点を置かなければならぬということもあるいは言い得るかと思いますが、いまおっしゃったように、われわれがいま出している法案ないしは最近出したものが、決してそういうことと矛盾するような、背馳するようなことをいたしているというわけでないということについては御理解を賜りたいと存じます。
    〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
#177
○小林(政)委員 午前中の討議のときにも、今日のような深刻なこの造船の過剰設備を処理しなければならないというこういった事態を迎えた国の責任について、大臣は、私も責任を感じているという御答弁をされておりましたけれども、私は、やはりこの今日の事態を招いたその原因がどこにあるのか、この点については、やはり深く掘り下げて検討をしていく必要があるというふうに思います。もうこういう事態になったのだから、それに対処して目先の解決法というようなことであっては、問題の本質をはっきりさせることはできないというふうに私は思っております。
 こういう立場で一、二お伺いをいたしたいと思いますけれども、石油ショックの前の四十七年十月、OECDの造船部会の下部機構で、そこのサブグループが需給の見通しというものを立てたことがあったと伝えられております。そして五十年の時点で、これについての見通しが正式に作成をされた、こういうニュースが当時の海事新聞にも載っておりますけれども、この問題については当時、四十八年三月七日付の海事新聞を見てみますと、運輸当局の能力算定というのは、千七百四十万総トンということを能力算定として出していたというふうに書かれておりますし、また造工が提出した能力算定というのは二千百六十万総トンと非常に大幅な食い違いがあった、そしてその調整は難航を余儀なくされた、こういうふうに海事新聞には報道されておりますし、また四十八年の運輸省の出しました運輸白書、これも見てみますと、結局この原因は、わが国造船業の新規設備投資ないし設備拡張によるところが大きいとして、わが国造船業の能力拡大を阻止する動きを当時示していたということが書かれておりますし、五十年の需要量は供給量を相当下回るものとなったため、わが国としては、これに対して西欧諸国の要求にどう理解を示し、国際協調を推進していくかという点で腐心をした、大変苦心をした、苦労をした、こういうことが四十八年の運輸経済年次報告に載っておりますけれども、私は、やはりこの問題について具体的に、造船工業会の数字と、そしてまた運輸省の見込んだ数字というものの違いという問題、なぜこのような事態が起きたのか、そして結局は、この問題についてどう解決がされてきていたのか、その経緯も含めてお伺いをいたしたいと思います。
#178
○福永国務大臣 小林さんが冒頭に、今日のような事態を招いたことについて、私以下関係者がこれを深く掘り下げて検討するとともに、大いに反省をし、責任を感じて対処すべきであるというような御趣旨のお話でございまして、私も、そうあるべきだと考えております。
 いまお話になりました点は、率直に申しまして、これは皆昔の連中のころのことでございますけれども、それらをすべて受けて今後に対処する責任はまさに私にある、こういうように思っております。
 したがって、四十年代のころのこと等についても――四十年代と申しますのは、四十年ないし四十九年ころまでのつもりで言っておるわけでございますが、ただいま伺いましたいろいろの数字等につきましても、局長その他――もっともいまの局長も、そのころから局長だったというわけではないのでございますけれども、こういうことを十分に踏まえて、いま御指摘のような食い違い等があるならば、それはどういうわけでそうであるのか、そうであるとするならば、今後にどう対処すべきかということは非常に大事なことでございまして、いま私よりもやや数字に明るい局長以下から答弁させまして、こういう諸君とともに今後については私は私なりに十分責任を感じつつ対処したいと存ずる次第でございます。
#179
○謝敷政府委員 先生御指摘の四十七年、四十八年当時の日本のOECDにおきます需給問題に関する立場について、記録等を参照しながら、私自身もつまびらかでございませんが、御説明をさせていただきたいと思います。
 四十七年の十二月の第六作業部会、これはOECDの造船関係の作業部会でございますが、その下に需給のサブグループがございます。OECDの造船部会そのものは、三十八年、OECDに日本が加盟する前からオブザーバーとして参加をしておりまして、私も、個人的には三十八年と四十四、五年ごろ参加をし、さらに最近参加をしておりますが、基本的にヨーロッパの諸国と日本側の立場は時によりかなり変わります。その立場の差といいますのは、日本がかなり技術革新をやりまして供給能力を伸ばすのではないかという向こう側の心配に対しまして、日本としましては国内の供給力不足がないようにという立場で対応しておりますので、いろいろな時期において意見の相違があったことは事実でございます。
 四十七年の当時は、これはそろそろもう一度需給見通しをしようではないかということで集まったようでございまして、まずサブグループで一九七五年、昭和五十年の供給力を推定してみようということから始まったわけでございます。したがいまして、先生御指摘の、五十年において運輸省が千七百四十万トン、造船工業会が千九百六十万トンというような数字につきましては、いま資料を持っておりませんが、そういう国際的な供給力算定のための作業をしたのだと考えております。
 造船の供給力の算定というのはきわめてむずかしゅうございまして、今度やっと貨物船換算トン数で供給力を出すような方式にまで発展してきたのですが、出しようによっては二百万トン程度の差が出てきたのではないか、こういうふうに考えます。
 そこで、四十八年の白書に、先生御指摘のような日本側とヨーロッパ側で差があったとしますと、要するに供給力の算定方式が需要に比べてまだ未熟でございますので一致しなかったという点があろうかと思います。実績で申しますと、これは五十一年のECと日本との貿易問題あるいはその後のOECDの造船部会等におきます議論から判断をいたしますと、この点の供給能力については、五十年の実績は進水量で三千五百八十九万トンでございますから、これが供給能力ぎりぎりとは考えておりませんが、シェアを仮にこれの半分といたしますと、日本の実績が千七百九十八万トンという実績でございますので、運輸省の供給能力即需要のマキシマムという点ではほぼ合っていたのではないか、こういうふうに考えております。
 ヨーロッパの方は、日本か極端に供給能力をふやしたのじゃないか、こういうことで五十一年から始まった日本と欧州との間の論争があったわけですが、これにつきましては、私どもとしては、見通しはともかくとして実際の行動は、欧州も日本も大差がなかったという反論をいたしまして、それが大体認められたわけでございまして、その後の処理をどうするかということで、欧州諸国におきましても、基本的には三分の一程度を目標にしながら造船能力の縮小、それから構造改善について検討しているところでございます。
#180
○小林(政)委員 私は、ともかくこの新聞に出ていることが、あるいは若干の数字の違いがあると言われるのかどうかわかりませんけれども、これは当時、これから供給力が需要に対して非常に過剰になっていく、こういったことが五十年当時からずっと強まってきている、少なくともこういう時期であったことは間違いないのです。しかも、そういった中で、現在の千九百万総トンという設備をつくる結果となったのは、私は、運輸省が大手の造船工業会の強い見通しに押されて、こういった千九百万総トンという設備が現在もたらされたのではないかと思う。
 しかも、当時のことをいろいろ調べてみますと、四十八年の六月に石播の知多で百万トンドックができておりますし、また四十八年の十一月に日立の有明で、これもやはりこういう時期であるにもかかわらず、百万トンドックが建設をされている。こういった事態を見ましても、そのほかいろいろ例を挙げればございますけれども、今日の造船危機を招いた原因というのは、やはり大手造船の無謀な設備拡張と、これを許してきた運輸省監督行政の中に問題があったのではないか、私は、こう言わざるを得ないと考えますけれども、この点についての見解を伺わしていただきたいと思います。
#181
○福永国務大臣 現実が、小林さんも御指摘になり、われわれも認識しているようなことであります以上、やはり見通しを誤ったということは、幾ら言いわけしたってそのとおりだと私は思います。
 ただ、言いわけとして申し上げるわけではございませんが、その当時としては、まさかこんなことになるとまではみんなが思っていなかったということでございます。しかし、だからそれでいいというわけにはもちろんいかない話でございまして、私どもも、そうした事態の後を受けていま責任を負っておる次第でございますが、過去の間違いは間違いといたしまして、その間違いの中には確かに大いに責めるべきものもあるかもしれぬし、まあ、このぐらいのことはしようがないのじゃないかというところ等もございましょうが、それらをすべてあわせまして、われわれは、よくそういうことを考えて、現在及び今後に対処しなければならない、これを強く感じておる次第でございます。
#182
○小林(政)委員 私は、今日の事態を招いた原因の主要なものはそこにあったのではないかということをはっきりとさせて、そしてその上で具体的にこういう事態の中でどう対処をしていったらいいかということを明らかにしていくことが必要であるという立場から現在質問をいたしたわけでございます。
 時間の関係で法案の中身に入りますけれども、本法案の対象になる造船の五十四社、このうち一社で一事業場のものは何社ございますか。また一社で五千総トン以上の船台が一つしかない、こういう企業は何社ございますか。これをまずお伺いいたしたいと思います。
#183
○謝敷政府委員 特安法対象の六十一社のうち、大手七社を除きます五十四社の中で、一社一事業場の会社は四十五社、一社一船台の会社は三十一社でございます。
#184
○小林(政)委員 そうしますと、一社一船台ということは、結局これらの造船所の場合には、この法律によって買い上げという設備処理が行われると、これはほとんどが廃業につながってしまうのではないか、このように思いますけれども、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#185
○謝敷政府委員 一社一船台の三十一社の中で中手十七社グループが二社、中手十六社グループが九社、その他二十一社グループが二十社ということで、大半がその他のグループに入るわけでございますが、これらの点につきましては、原則として基数単位で処理をいたしますが、全体として三五%、グループ別にそれぞれの率は違いますが、そういうものが円滑に処理できるということで今後対応していくわけですが、もう一つの見方は、要するに一社一船台で今後の競争力がうまくいくだろうか、こういった場合に、たとえば修繕あるいはその他の部門への転換、この際思い切ってそちらに重点を移すというような企業経営者の判断がある場合もあるでしょうし、あるいは一社一船台のところが他社と協力をして、提携をしてどちらかに集中するという場合もあるでしょうし、それは今後安定基本計画が決まりました後で、各社企業の経営者の判断がいずれ出てまいるかと思いますが、その時点で私どもとしては対応をしてまいりたい、こう考えております。
#186
○小林(政)委員 一応この五十四社のうち三十一社が一社一船台ということがはっきりしましたし、それから設備処理も普通一般は船台、ドックの基数単位で進めていくということになっておりますけれども、今回の法案による買い上げは事業場単位で行う、こういった非常に厳しい措置になってきておるわけですけれども、これが事業場単位ということになった理由はどういうことだったのか、また買い上げ期間が五十四年度末という、非常に短期間というふうに思われますけれども、これはどういう理由から来たものか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#187
○謝敷政府委員 設備処理をいたします場合に、どういう手段、方法で支援をするかという点について検討してまいったわけでございますが、私どもとしましては、現在の設備処理率が非常に高いということを頭に入れて考えますと、なかなか債務保証制度に乗らないものが出てくるのではなかろうか。したがいまして、一社二船台というようなところは、事業場が二つあればあるいは事業場の移転ということ、集約ということを考えるかもしれませんが、基本的には、事業者がどうしても買い上げの手段によらない限りは設備の処理ができないというようなことを考えましたのが第一点でございます。
 それからもう一つは、この制度がなくてもあっても現在は非常に極端な需要不足の状態であって、企業の財務状況が悪化しております。このまま放置いたしますと、たとえば倒産等の事態になるというようなことも考えられまして、できれば積極的に修繕あるいはその他の部門にこの際転換をして経営の安定を図っていただきたい、こういうような考え方と相まちまして、特に造船専業度の高い中手以下の事業場がこういうことになっておりますので、どうも将来償還をすべき債務保証基金の制度には乗れないので、それを補完する考え方として事業場ごとの買い上げにしたわけです。
 確かに、二本のうち一本を廃棄しても買い上げの対象にしたらどうだ、こういう意見も検討の過程ではかなりあったわけですが、これらの点につきましては、言うなれば残存納付者と、それから国が助成するというもう一面から考えますと、どこかで仕切りをつくらなければいかぬわけでして、そういう意味で、事業場ごとに新造船部門をやめるという場合には、企業にとってかなりの負担でございますので、それを助成するという考え方から事業場ごとの買い上げに踏み切ったわけでございます。
 もちろん、特定船舶製造業は五千トン以上でございますから、五千トン以下の新造をするということは、当然、再建計画の中に、修繕等と相関連してあっていいわけでございまして、こういった企業の経営者がどういう道を選ぶかということは、こういう際でございますので、慎重に判断されると思いますが、選択の道の一つとして設けた次第です。
 それからもう一つ、五十四年度末までに買い上げるということでございますが、特安法の安定基本計画では、おおむね五十四年中に休廃止するということを決めることにしております。そのゆえんたるものは、造船が受注生産でございますので、五十四とか五十五とかいうようなところの受注も入ってくるわけでございます。したがいまして、早目にこの過剰設備の処理を終わりませんと、いつまでたっても過当競争の状態が残るということで期間を限ったわけでございます。ただ、買い上げの場合には、かなり買い上げ業務が後に延びるということも考えて、五十四年度いっぱいというふうに限定をした次第でございます。
#188
○小林(政)委員 ともかく、時間がありませんのであれですけれども、中小手の造船業の場合は、実際設備の処理を進めるにしても、船台だとかドックとかいうようなものは銀行の担保に入っている。したがって、銀行への借入金を返済しなければどうにもならない。資金調達という問題も不自由で、結局、不可能な状態という中で今後の措置が考えられたのではないかというふうにも思われますけれども、そういう点から見ますと、いまの説明を聞いていますと、その五十四社のうち三十一社が一社一船台という事態の中では、いまのような銀行との資金繰りの関係だとか、あるいは資金調達が不可能だというような実態の中で、実際もう廃止する、あるいは買い上げを求めるという以外にはないじゃありませんか。あるいはそのほかに局長が言われているように、幾つかの、何と言うのですか、集合と言うのですか、そういうこともあり得るとは思いますけれども、しかし実際問題として、もう本当に圧倒的なところが一会社一船台、こういう事態の中で、この問題については、十分業界の意向等も聞いて、そしてやはり実態に合った対処をすることがきわめて重要ではないか、このように私は考えますけれども、いかがでしょうか。
#189
○謝敷政府委員 きわめて厳しい設備処理率でございますので、安定基本計画を決める際、あるいは個別にも十分事業者の意見を聞いた上で対応したい、こう考えております。
#190
○小林(政)委員 いま一つ、法案との関連でお伺いいたしますけれども、本法案の目的の一つに、過当競争の排除ということを挙げておりますけれども、現在の過当競争、特に船価競争はきわめて激しいものがあるということは新聞紙上にも報道されておりますし、船価競争の中で過当競争の重要な要因は、船舶の大型化、特に大型タンカーの需要の増大に合わせて大型設備を拡大してきた大手造船各社が、大型のタンカーが過剰になり、受注が激減したというのが現状です。従来は、本来であれば中手だとか小手の分野で造船をされているというような中小型船市場にまで相当進出してきている、こういう事実も私は明らかに、実はここに資料を持っております。
 これは日本海事新聞から拾った数字でございますが、ずっと挙げますと時間がかかりますので、たとえば本来であれば、大手の場合は当然これは能力からいっても、技術の点からいっても、また船台の点からいっても、二十万とかあるいは少なくとも十万総トン以上の船をつくっている、ところが、実際長崎造船の場合など見てみますと、三万三千総トンだとかあるいはまた二万二千三百総トンだとか一万七百八十総トンだとか、こういう数字がずっと並んでいるんですよ。これは私、本来なら当然、中手以下のところがいままで仕事をしていたところだと思うのです。それが相当数、この資料によっても大手に流れている。こういったことを考えますと、最近における大手七社の船型別受注状況というのは一体どうなっているのだろうか、これはもし御答弁いただく時間がなければ資料を提出していただきたいと思います。
#191
○謝敷政府委員 大手七社の最近の受注状況、これの数字を申し上げます。
 一万総トン未満、昭和五十二年度十九万トン、昭和五十三年度上半期六万総トン。一万総トン以上三万総トン未満、昭和五十二年度百十万総トン、昭和五十三年度上半期十四万総トン。三万総トン以上、五十二年度百四十三万総トン、五十三年度六十五万総トン。合計としまして五十二年度二百七十二万総トン、五十三年度上半期八十五万総トン、こうなっております。
 もう一点、大手が大きなドックで二万トンから一万トン程度の船をつくっている、こういうことと過当競争の結びつきでございますが、確かに先生御指摘のように、大型タンカーがなくなっているわけですから、受注は当然、三万トン程度から以下の貨物船等に集中していることは事実でございます。したがって、大手と中手の間でもあるいは中手と中小との間でも船価の競争があるわけですが、私どもとしては、船価のチェックを二千五百トン以上してまいったわけです。ただ、その中で急激な円高等によって、輸出船についてはドルが固定して円の手取りが少なくなっているというようなこともあって、受注競争の激化があったことは事実でございます。ただ、最近になりますと、その赤字受注の限度が大手、中手に見えてまいりまして、これ以上赤字受注をしますと、会社の命運にもかかわるというような事態になりまして、受注競争の行き過ぎの自粛の声が出てきておりますので、この認識を受けまして今後とも船価指導をやってまいりたい、こう考えます。
#192
○小林(政)委員 きょうは参考人の方にもちょっとお聞きしたいと思いますので、時間がございませんので、局長、いまおっしゃった内容を資料で御提出を願いたいというふうに思います。
 時間の関係で、参考人の方にお伺いをいたしたいと思いますけれども、まず中造工の方にちょっと御意見を伺いたいと思うのでございます。
 ともかく、造船建設能力五千総トン以上の施設の処理につきましては、造船の専業率のきわめて高い中造工の皆さんが、買い上げの対象の場合に事業場単位となっていることについて、加盟会社の実態からこれをごらんになられて、どのような御見解をお持ちになっていらっしゃるのか。それから、中手以下の五十四社の現有設備処理について、具体的にことしの大手が四〇%、中手は十七社が三〇%、十六社が二七%、他の場合は二十一社で一五%という海造審のこれらの計画についてどのような御見解をお持ちなのか。それから五十四年度末までという、いわゆることしの補正予算で設備用地の買い上げ総額が九百六十五億円と計上されていますけれども、業界としては、これらの点について話し合ったことがあったとか、あるいは意思統一がされているのかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
 それからもう一つは、時間の関係で、これも大変恐縮でございますけれども、造船機械労働組合の書記長さんにお伺いをいたしたいと思います。
 非常に専業度の高い中手以下の買い上げの設備処理は、事業場単位で処理するというふうに限定をされておりますけれども、中小造船の廃止即買い上げという、これはやはり働く人たちにとっては解雇に直結するような問題になるのではないか、このように思いますので、組合では、今日のこういう状態のもとで、この法案について具体的に何か見解をお持ちでございましたらお聞かせいただきたい、このように思います。
#193
○浅野参考人 私に対する御質問が三点だと考えております。
 一番目の問題は、一本船台の造船所が買い上げ施設の事業場単位の買い上げについてどう考えているかという御質問だと伺いましたのですが、買い上げはその事業場の希望でございまして、強制でございません、まず一つは。それから私どもは、一本船台であろうと二本船台でございましょうと、海造審の示されたこれからの需要の見通しから、自分たちがどうすべきかという真剣な考え方に入っておるわけでございます。たとえば買い上げをしてもらった方が自分たちを含めて地域あるいは従業員のためによろしいか、あるいはもっと別途の形で残った方がよろしいか、そういうような真剣な検討をしているわけでございます。
 ただ、いまの段階でどれだけ希望者があるかということは、そういうことを事業者が、責任者が公表いたしますことは、まだちょっと時間的に問題ございますので、私どもも、具体的な意向というものは把握しておりませんけれども、真剣に検討しているはずでございます。
 それから第二番目が、操業の削減率がグループ別に二七%とか、一番下は一五%ですか、これについてどう考えておるかという御質問だと思いますが、基本的に私どもの対象会員は了解をしておるわけでございます。
 それから第三番目が、土地の買い上げ予算の九百六十億でございますか、この辺について中で話し合ったことがあるかという御質問でございましょうが、ちょっと私、これで土地が九百六十億で足りるかどうかという御質問かと考えるのでございますけれども、いま申しましたように、具体的な意思の表示が私どもに出てきておりません。皆それぞれ心の中で模索をしておる段階でございますので、話し合いは真剣にやっておりますけれども、そういうところまで皆さんの意見が出ておりません。
#194
○穂刈参考人 全造船としてどういう考え方を持っているかという御質問なので、率直にお答えをさせてもらいたいと思うのですが、私ども、いま傘下の中でたくさんの倒産会社を抱えているわけです。倒産に至る原因につきましては、総体的な造船不況ということもありますが、直接的には金融の行き詰まりということで、とりわけ市中銀行その他からの厳しい条件がいろいろ作用しているようであります。そういう状態から判断いたしますと、今度提出されておりますこの法案につきましては、銀行からより以上に先行き見通しを含めた厳しい要請が伴ってくるのじゃないだろうか、その結果、造船業を廃業するという方向へどんどん進んでいくのではなかろうか、こう判断しているわけであります。
 そういう立場から、午前中もわれわれは、この法案をつくられることによって一層事業場閉鎖が進行する、その結果、直接解雇というのが大量に発生する、こういうふうに判断しておりますから、原則的には反対をしておりますと、こう申し上げておったわけであります。ただし、どうあってもこれにすがっていかざるを得ないという特殊な条件のあるところがもしあるとするならば、そのときにはあくまでも雇用を完全に保障してもらう、このことが条件でなければこれを認めるわけにはいかない、こういう態度を持っているわけであります。
#195
○小林(政)委員 ちょうど時間がちょっと過ぎたところでございますけれども、法案の審査でございますので、最後に大臣に……。
 この法案については、私ども、いま参考人の方々からも述べられたり、また私も問題点の幾つかを指摘いたしましたけれども、本当にこの不況対策、それにやはりふさわしい内容を伴うという法案でなければ大臣、私は、いまの不況対策にはならないのじゃないか、このように思っております。この点について大臣の見解を伺って、時間がございませんので、これで私の質問を終わりたいと思います。
#196
○福永国務大臣 法案に明文の上でいろいろのことも示しておりますが、およそそうしたものを法律として効果あらしめるためには、単に文字ばかりでなくて、いままでお話のあったこと等を念頭に置きつつ、その法律がなるほどそうかといって理解されるようなことにしなければならないと思います。
 これからどういうことになるかわかりませんが、多分通していただけるだろうと思うのでございますが、その暁には重々心得て対処いたしたいと存ずる次第でございます。
#197
○小林(政)委員 終わります。
#198
○増岡委員長 中馬弘毅君。
#199
○中馬(弘)委員 今回のいろいろな対策は、ただ一時的な不況対策というだけではなくて、日本の造船業のあり方、あるいは構造改善を含んだものだと私は理解しております。
 造船業といいますか海運業自体、これは非常に特殊な業界でございます。私も四十四、五年当時、ある造船会社におりまして、こういうような状況は長くは続かないともちろん思っておりました。同時に、先行きに対しての危惧も持っておりました。二十年ごとの一つのブームだというように私も理解しておりました。業界の方は御存じのとおりに、大体二十年のサイクルで海運ブーム、造船ブームというものが来ております。それからまた、非常に投機的な要素がございまして、それこそギリシャあるいは香港の船主が一代にして巨万の富をかせぐというような特殊な業界でございます。
 その中にあって、先ほど小林委員からもいろいろな議論がございましたが、運輸省としての造船設備の許認可のあり方について、過去の釈明は結構でございますから、過去の反省と今後の運用について、ひとつ御見解をお聞かせ願いたいと思います。
 と申しますのも、また次のブームか来たら、これはさたやみで、元のもくあみということになりかねないわけです。平電炉とか綿業の紡機などに応々にしてそういうケースが見られたわけでございますが、そういうことじゃなくて、過去の反省の上に立って今後のことを進めていくのだという御決意をひとつ承りたいと思います。
#200
○福永国務大臣 すべての人が過去のことについて反省をして、その後に対処するということは必要でございますが、わけて政治、行政の責任に当たる者は、特にそうでなければならぬことは当然でございます。
 率直に申しまして、タンカーなどにつきましても、先ほどから話が出ておりますが、日本で百万トンのタンカーがどうだとか、四十万トンまではできるようになったとか、長い間にかなりな速度で日本は伸びてまいりました。その都度、日本の造船はりっぱなものだというように私は感じてきておりましたし、人もそう申しました。そのときに、日本の造船はあんなことをしてばかやろうだ、日本は世界一にならなくて、もっと下の方でいるようにしておけば間違いなかった、このごろこういうことでございます。しかし、現実そういうことになったということについては、いまから考えると、謙虚にそういうことを反省し、責任を感ずるということから将来へのさらに一層の発展ないし伸長が見られる、こう思うわけでございます。
 ただいま中馬さん御指摘のそういうことにつきましては、政府ないし関係者のわれわれは、強く反省して今後に対処しなければならない、このことは重々感じておる次第でございます。
#201
○中馬(弘)委員 この運輸省の許認可行政、あのときは少なくとも外部で感じる限り、ただ形式的な許認可行政であったと思っております。もう少し今後においては指導性を発揮して、日本全体としての造船業のあり方を踏まえた許認可行政であっていただきたい、このように願う次第でございます。
 ところで、今度のこの協会法でございますが、この安定基本計画に言う能力三五%カットという目的を達成するための手段だと思っておりますが、それでよろしゅうございますか。
#202
○謝敷政府委員 そのとおりでございます。
#203
○中馬(弘)委員 手段であれば、その手段か先行して目的がないがしろになる可能性がないようにお願いしたいと思うのです。
 これは先ほど言いましたように、綿紡なんかの場合も、そのときだけ封印したかっこうにして、またブームが来たら全部ほどいてやってしまうというケースがいままであったわけでございますから、運輸省の場合は、そういうことがないということをひとつ御発言願いたいと思います。
#204
○謝敷政府委員 造船法によりまして休廃止しました船台については、造船施設の許可の取り下げをやりますので、法律的には担保されております。
 今回の御議論を肝に銘じて、記録に残しておいて今後の法律運用に対応してまいりたい、こう考えております。
#205
○中馬(弘)委員 ところで、各企業から買い入れの申し込みといいますか、そういうのが現実にかなりの数あるわけでございますか。本年度中の対象になるような基数が幾らくらいというようなところまでも、わかりましたらお教え願いたいと思います。
#206
○謝敷政府委員 実際に法律案の対象となる企業を抱えておられます中型造船工業会の浅野専務が先ほど申しましたように、会社としては現在慎重に検討しているところでございますので、申し出という点について表に出てきているものはございません。そういう状態でございます。
#207
○中馬(弘)委員 これは造船工業会の南さん、いかがでございますか。大体そういう総論賛成、各論反対のケースがあるように、私も二、三の会社にヒヤリングしまして、従業員の問題だとか地元の問題、それから担保が時価以上についているというようなことからなかなかむずかしいのだという話を聞いておりますが、その点いかがでございましょう。
#208
○南参考人 実際にまだ協会ができたという状態でございませんものですから、先ほどのお話にもございましたように、具体的にどこがどうというふうな線は出ておりません。ただ、非常に関心を持った会社が数社ございますように仄聞いたしております。現実問題として業界の事態の推移が大きな方向づけをするように感じておりますが、現在のような厳しい状態にあるいはなおますます厳しくなるという状態のもとでは、やはりこういう制度がなければ中小はどうにもならないというふうな感じでございます。
#209
○中馬(弘)委員 制度自体私はいいものだと思っておりますが、実際にそれが運用されなければ意味がございません。そして先ほど言いましたように、目的は能力の三五%カットであるはずでございます。そうするならば、企業側の希望がない場合といいますか、その三五%に満たない場合にどうされるのか。業界として廃棄勧告をするのか、あるいは運輸省の方がやるのか、そのあたりはいかがでございましょう。
#210
○謝敷政府委員 先ごろ、特安法によります業種指定の希望の申し出がありました後、各事業者から、今度の買い上げ法案の対象ということでなくて、事業場の船台の処理の考え方についてヒヤリングを行ってまいりましたが、現在までのところ、三二%ぐらいのところまでの意向がうかがわれる状況でございます。
#211
○中馬(弘)委員 冒頭に申しましたように、来年あたり場合によってはまた海運市況が少しは盛り返してくるかもしらぬ、そのときに、このことがかえって災いになってまた日本の造船業の近代化とかそういったこともおくれてしまうことを危惧しているわけでございます。したがいまして、相当強力な形で、非能率なところの廃棄勧告といいますか、そういうことを進めなければならないのじゃないかという気がするのです。もちろんその場合には、そこに働いている方々あるいは地域の方々の配慮は十分することが前提でございますが、いずれにしても構造転換を進めていかなければいけないという気がいたしております。
 それから、協会のあり方なんでございますが、管理費や金利で赤字が累積する可能性が非常に多いと思います。その赤字がたとえば非常に大きくたまった場合に、その処理はどうされるおつもりでございますか。
#212
○謝敷政府委員 協会は設立当初の一年三カ月程度の間に設備と、それにかかわる土地の買収業務を行いまして、その後、この買収に要した借入金を、まず土地の売却収入、それから残存者の納付金、それから国庫からの補助金によって返済していくことにしております。また、この残存者納付金は船舶の受注量の増加が期待できる後年度に増額を予想しておりまして、前半は薄くということを考えております。それから土地の売却収入も、景気の回復が期待される後年度に予想されるということで、六十四年度までに借入金の返済を完了する予定でございます。しかし、これはあくまでも予定でございますので、協会の実際の運営に当たって収支に過不足があった場合には、納付金率の修正あるいは国庫補助金のそれに対する対応ということで吸収をしたい、こう考えております。
#213
○中馬(弘)委員 この協会の人的構成につきましても、造船関係者とかあるいは運輸省の出身者だけではなくて、民間のデベロッパーだとかあるいは都市計画の専門家といったものを入れて、大体造船所といいますとかなり風光明媚なところにあったりもいたしまして、いろいろな転換の方法もあろうかと思いますので、そういうことで前向きに検討をしていただきたい、このように希望する次第でございます。
 ほとんどのことは皆さんお聞きになりましたので、これをてこにして、日本の造船業の近代化を進められんことを切に希望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
#214
○増岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
    ―――――――――――――
#215
○増岡委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。小林政子君。
#216
○小林(政)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、特定船舶製造業安定事業協会法案に対しまして、反対する討論を行うものであります。
 反対理由の第一は、本法案が造船産業における今日の構造不況、過剰設備という深刻な事態をもたらした大手造船業や銀行などの責任を不問にしているばかりか、逆に国家財政まで投入してその利益を擁護しつつ、一方では造船大手と言われる大企業、大資本への生産の集中、市場の独占化を一層促進するために中小造船業の整理、淘汰を大規模に進めるためのものであるからであります。
 本法案が設備処理の買い上げ対象を事業場単位に限定していることは、中小造船業の大部分が一社で一事業場とか一社で一船台という状況に照らしてみるならば、これらの企業は買い上げとともに廃業という事態に追い込まれることは必至であります。
 また、銀行にとっては、この法案に基づく買い上げ制度ができるならば、中小造船業に対して船台、ドック及び土地などを担保にして貸し付けていた資金は確実に回収できるばかりか、事業場単位で設備処理を行い、廃業に追い込むという本法案の買い上げ制度は、貸付金を確実に回収した上で銀行にとってのいわゆる危ない会社を消滅させてしまうという形で、現在銀行が抱えている最大の問題を一挙に解消しようということに利用されるものであります。
 第二に、本法案は、造船業に働く労働者に対して失業防止の措置を全く欠いているばかりか、むしろ買い上げという設備処理に当たっては、人員整理、解雇を前提にさえしていることであります。
 第三に、事業場単位で設備廃棄が実施されるならば、地域経済との結びつきが持に強い造船業だけに、地域経済と地域社会への打撃ははかり知れないものがあります。
 結局、本法案は不況地域をますます危機に追い込むばかりか、一層拡大させることにつながるものであります。
 わが党は、造船業など構造不況産業に対する対策は、このような事態をもたらした銀行や大企業、大資本の責任と負担によって進められるべきであること、また中小造船業に対しその仕事量を確保し、経営を守る対策を実施する必要があり、このような方向こそいま真に求められている対策であることを強く指摘して討論を終わります。
#217
○増岡委員長 これにて討論は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#218
○増岡委員長 これより採決に入ります。
 特定船舶製造業安定事業協会法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#219
○増岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#220
○増岡委員長 この際、本案に対し、石井一君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブの五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。石井一君。
#221
○石井委員 ただいま議題となりました本案に対し附帯決議を付すべしとの動議につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表し、その趣旨を御説明申し上げます。
 附帯決議の案文は、お手元に配付してありますので、その朗読は省略させていただきます。
 御承知のように、わが国の特定船舶製造業の建造能力は、近く策定される運びの特安法に基づく安定基本計画による三五%、標準貨物船換算トン約三百四十万トンという大量の設備処理を実施いたしましても、なお、当分の間、需給ギャップは解消されず、建造需要の底と見られる昭和五十四、五年ごろにおいては、処理後の建造能力の半分以下に落ち込むことと想定されております。
 したがいまして、政府は、仕事量の急激な落ち込みを緩和するため、できる限りの各種需要創出方策を強力に実施すべきでありますが、特に効果的な内・外航船舶の建造の促進を第一に行うべきであります。
 すなわち、外航船舶の建造の促進については、船舶建造需要の喚起とともに、わが国外航海運の国際競争力の回復を図るため、新船の建造及び老朽船の代替が必要であり、したがって、今後の計画造船については、船主負担金利の引き下げ、財政融資比率の引き上げ及び不経済・老朽船のスクラップの促進等の施策を速やかに実施すべきであります。
 また、内航船舶等の建造の促進については、内航・近海海運の近代化を図るため、船舶整備公団を活用して、内航・近海船舶の代替建造の拡充等の施策を政府において速やかに実施すべきであります。
 これが本附帯決議の内容であります。
 何とぞ御賛成を賜りますようお願い申し上げます。
   特定船舶製造業安定事業協会法案に対する附帯決議(案)
 政府は、船舶建造需要を喚起し、あわせて我が国外航海運の国際競争力の回復及び内航海運の近代化を図るため、金利負担の軽減等による外航船舶の建造及び老朽船の処分の促進、船舶整備公団の活用による内航船舶の整備の促進等の施策を速やかに実施すべきである。
 右決議する。
    ―――――――――――――
#222
○増岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 本動議について別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。
 石井一君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#223
○増岡委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
    ―――――――――――――
#224
○増岡委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#225
○増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#226
○増岡委員長 この際、福永運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福永運輸大臣。
#227
○福永国務大臣 特定船舶製造業安定事業協会法案につきましては、慎重御審議の結果、御可決をいただき、まことにありがとうございました。
 なお、ただいま御決議のありました事項につきましては、その解決に時間を要する問題もあると思われますが、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮してまいりたいと存じます。(拍手)
#228
○増岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十一分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト