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1949/03/22 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第27号
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1949/03/22 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 大蔵委員会 第27号

#1
第007回国会 大蔵委員会 第27号
昭和二十五年三月二十二日(水曜日)
   午前十一時二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○所得税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○富裕税法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○資産再評価法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○相続税法案(内閣提出、衆議院送
 付)
○法人税法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(櫻内辰郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。本日の議題は、所得税法の一部を改正する法律案、富裕税法案、資産再評価法案、相続税法案、法人税法の一部を改正する法律案の御審議を願いたいと存じます。これに対して御質疑がありましたらこの際にお願いいたしたいと存じます。
#3
○油井賢太郎君 再評価税についてちよつとお伺いしたいのですが、今までのインフレの当時でありますれば、資産というものが法人などの場合には勝手に評価をし直すことはできない制度になつておりました。その関係上幾らインフレでも資産というものを欠損において直すことはできないということになつておつたのですが、今後デフレの傾向にあるときに再評価をいたして、このデフレによつて生ずる損害の穴埋めをしたいというようなことを図られる場所が多いと思うのですが、その場合に、今までの資産評価であつては低過ぎるが、これを再評価によつて上げたその差でその事業のいわゆる赤字をカバーして行くという場合に、再評価税として更に税金を取るというのはちよつと根本的におかしいと思われるのですが、その点についてどういうふうにお考えになつておられますか。
#4
○政府委員(平田敬一郎君) 欠損の補填の関係につきましては、再評価法百一條の規定を設けておるのでありますが、普通の欠損の場合は、原則としまして積立金等があります場合には、その積立金から先ず補填する、それで尚不足する場合におきましては再評価をして補填するということを認めておるのでありますが、お話の通り法人の所得税の計算におきましては、事業年度ごとに損益を打切つて計算することになつおります。従いましてその欠損が生じた場合におきましては、その欠損を数ヶ年に亘つて繰越控除を認めたわけであります。今までは一ヶ年だけしか繰越控除を認めていなかつたのでありますが、今後におきましては五ヶ年の繰越控除を認めるわけでございます。従いまして原則としましては欠損はそういうふうな方法によつて処理して行くのが正しいのではないかと思つております。今度の再評価法に基きます再評価は今回限り認める特別の再評価差額金でございますので、今回限りやりまする再評価差額の中から今までの欠損は臨時に認めるということにいたしておりますが、今後恆久的な制度といたしましては更にその都度商法の特例を設けまして、この種の含み利益から償却するということを認めるのは如何であろうかと考えておりますが、建前は今申しました今回の再評価差額から普通の積立金を崩して尚欠損が残つた場合、その部分につきましては再評価積立金から償却することを認めております。大体さようにいたしておるのであります。
#5
○油井賢太郎君 戰後のインフレの急騰によつて資産の評価というものは当然変えなければならないのは御承知の通りであつたと思うのですが、どういうわけでその再評価を許さなかつたのですか、今までは……。
#6
○政府委員(平田敬一郎君) 大体商法におきましても税法におきましても、すべて御承知の通り取得価額と申しますか、現実に取得した価格、それをすべて基礎にすることにいたしておるのでございます。大体普通の場合でございますければ、若干の物価の増減がありましても、それによつてそのままやつて行くのが正しいと考えられるのでありまして、従いましてこれを時価によつて一々変えることを認めることは原則としていたしておらないのでありまして、取得価格は原則としてこういう場合におきましても商法の規定ではこれを認めないことにいたしておるのでありますが、今までも確かに今度の再評価を認めなくてはならん事情はあつたかと思います。あつたかと思いますが、こういう処置を毎年のそのときの状況に応じまして余りたびたび認めることになりますと、到底企業の方も官庁の方も事務の処理が困難であろう、非常に複雑を極めまして必ずしも妥当ではないと考えられますので、今まで認めて参つていなかつたのであります。ただ企業再建整備法を作ります際において、固定資産の再評価をやるかやらないか、当時において大問題を惹起したのでありますが、当時においてはでき得る限り物価水準を低位に維持するということで何とかインフレを喰止めようということに全力を注いでおりましたので、まだ再評価をするというような決意までつかなかつたようなわけでございます。従いましてこの問題はいづれ解決しなければならない問題になつていたわけでございます。今回その問題を解決しようというようなことでございまして、従いまして若干遅れた点は多少あつたろうと思いますけれども、実際こういう複雑なむずかしいときでございますので、或る程度の見通しがついたときになつてそのような再評価をやりまして全般的に切換るというのは、処理の仕方としては正しい考え方ではなかろうかと思つております。
#7
○油井賢太郎君 それはインフレの上昇の場合にやはり適当な再評価を毎年やるべきだつたと私は思つておるのです。今局長のお話によるとまあインフレを止める一要因として再評価を認めなかつたというお話があるのですけれども、これは反対に考えますと税金を余計取るために再評価を認めないというふうな考え方が多分にあつたのではないかと思われるのですが、あなたはそうお考えにならないでしようか。つまり資本金を殖やさない、資産を殖さないという点において、結局税金の面においてインフレ利益というものをそつくり政府が取つてしまうという傾向があつて、その累積は今日になつてデフレになつたときに、あらゆる企業というものは殆んど税金の面において成り立たないというふうな原因をなしておる、こう思うのです。これに対しては今まで永年大藏省において専門にやつておられた局長としてのお考えを承りたい。
#8
○政府委員(平田敬一郎君) 私は今申上げましたように、戦後のインフレーシヨンというのはなかなか簡單なことでは終らない、やはり各方面におきまして、或る程度止めるためにはやはり負担をして行くことは必要止むを得ないことではなからうかと考えたのであります。御承知の通り最近はインフレによりまして闇で特別に利益した人はあつたかと思いますが、個人の家計におきましても、企業におきましても、あらゆる方面で非常に戰後の苦しい行き方で何とか切抜ける。財政におきましても同様でありましてあらゆる財源を集めまして、それで何とか一つ財政の面から赤字が出ましてインフレにならないようにしていきたい。ところがなかなか徹底し切れませんで、御承知のような状態になつてきた次第でございますが、かような場合におきましてはどうもこのような再評価ということによつて、問題を根本的に解決するということが実際問題として、なかなか行われがたいというような状況にあつたものと考えます。私は個人的に申しますと成るべく早くやつた方がよかつたと思つております。併し時期から申しますと、大体最近は若干物価下落の傾向にありますけれども、併し前の物価水準に比べますと、現在は御承知の通り非常に高い水準でございますし、又大体におきましては現在の水準のところで極力努力を拂うというのが諸般の考え方でありますから、こういう段階になりましたときに、これを行いますときは率直に申しまして若干遅れる感もありますが、時期としてはそう遅れていない、むしろ昨年の初頭私共がこの問題を一般に持出しましたときには、未だ安定の見通しはつかんから時期尚早だという民間の声が相当あつたのであります。併し私は結局におきましてこの案を実行する段階のときには、そろそろ丁度よい頃になるのじやないかということを、その当時話したようなことも今記憶するのでございますが、そのような場合におきまして、若干遅れたきらいはございますけれども、今行いますということは、私はやはり見通しのつきました現段階でございますので、時期としましてはそう不適当な時期ではないというふうに考えておる次第でございます。
#9
○油井賢太郎君 今回限りと申しますが、今回はちよつと再評価はできない。併し来年なり再来年になつて事業が固まつて来たときなら再評価できるという事業も相当多いと思います。恐らく大部分の事業がそんなことになりはしないかと思うのです。それに対して何か特例を設けた方がよいのじやないかと思うのですが、今回限りというのはどういうわけで今回限りでなくてはならないかということを伺いたい。
#10
○政府委員(平田敬一郎君) 今のお話のような点がございますので、再評価の納付につきまして実は重大なるシヤウプ案に対して修正を加えたような次第でありまして、現在、現状は余り利益が上つておらない、併しここ二、三年後或いはその後におきましては十分経営を建直して、合理的な利益を上げ得るというような見通しのつく企業は、シヤウプ案の最初の案によりますとなかなか再評価しにくいと思います。或いは一律強制にやるのでございますので、或いはそういうふうにすればできたかも知れんと思いますが、これを任意にいたしますとなかなかできにくいという事情があると思います。実は再評価税の納付の時期につきまして相当大巾な緩和を図りまして、今利益は上つておらないが、将來利益が上がる見込のある事業については再評価税の延納を認めるというような措置をとるようにいたしたのであります。即ち再評価税の納税の時期は御承知の通り最初の半分を、それは六%の半分でございますから三%を最初の一年に納める、その次の一年に後の一・五%、更に三年目に後の一・五%を納めまして三年間で六%納める、こういうことになつておつたのでございます。これを税法に従つて一応原則にいたしております。併し例えば利益が少い場合におきましては、利益の三五%、つまり法人税に相当する額を、今申上げました原則で適用しました再評価税が超えました場合は、その超える部分の金額は漸次繰べて延納することを認める。而も延納額に対しては利子税も取らないということにいたしております。この税額は最後に再評価積立金を資本金に組入れて株式等に交付する際、その際は納めて貰う、そのときまでは延納を認めるというような方法によりまして、お話になりましたような企業も将来を見通し、この際再評価できるようにいたしたいというふうにいたしたのでございます。従いましてまあ私は大体本案におきましては今直ぐはなかなか利益その他の関係でむずかしいようではあるが、将来において十分いろいろな角度から考えて、若干の収益力を上げ得る可能性がある、或いは企業としてはそういきたいという場合においては、これはこの案で実行が可能ではなかろうか、かように考えております。このような措置をたびたび取るということは、企業にとりましてもなかなかやはり結局ずるずるして判断ができにくい、やはり一定の段階で判断をつけて貰いまして、一遍に一斉にやつた方がよいのじやないか、却つて歩調を揃えて各企業が今回限りだということになりますと、決心がつく、役所の側におきましても、こういう措置をたびたびやりますと、恐らく行政が混乱いたしまして到底まともな措置を巧く処理するだけの能力がないのじやないかということを考えまして、今回特に一回限りで一斉にやる、任意でありますが一斉にやつて貰う。その方が足並も歩調も揃つてよいのじやないか、こういう考えであります。
#11
○油井賢太郎君 再評価による益金を直接これだけに対して六%なら六%取らなくちやならないというこの趣旨がどうもよく呑み込めないのですがね。これは例えば工場であれば持つている資材とか製品とかいうものと同じようにどうして見なかつたかという点ですね。適当に再評価利益が出たら、それは今までの税法によつて利益として出たような場合には、当然取らるべき税金をこの分だけ特に六%取らなくてはならないという根本理念はどこにありますか。
#12
○政府委員(平田敬一郎君) 御承知の通りに棚卸資産、この方のインフレによる値上り利益は全額利益なりまして法人税が三五%かかるわけでございます。百万円の資産も一般の物価騰貴によつて三百万円に殖える。こういう場合においてはその二百万円が実は益金に算入されて、それが普通の所得を構成するわけでございます。このような棚卸資産等の回転率の早いものにつきましてはいつでも企業が処理し得る状態にありますので、大体そういう程度でよいのじやないか。これについても更に徹底しますと、インフレによる調整を図つたらどうかという議論があることは御承知の通りであります。私共もこれが破局的インフレーションになりまして処置ないというような段階になつたとしますれば、これはやはり何とか考えなくてはいけないのじやないかというふうに考えておつたのでございますが、幸いにしてそこまで至らないで済みましたので、棚卸資産については特別な考慮を加えないことにいたしておるのであります。これに対して固定資産についてその原則を用いますと、例えば固定資産を他に処分した場合、これははつきり今までの税法でございますれば、やはり取得価格とインフレによつて値上りした差額が利益に算入されて課税されて来ておるわけであります。企業が進んで評価増を出しますと、従来の税法によつてもこれは利益にならないのでありまして、これも課税所得に算入されて来ておるのでございます。そういう関係がございます。それから個人の場合においても御承知の通り今まではとにかく家屋を十万円で取得したものを、値上りによつて百万円で買卸したという場合においては、通常の場合にそういうことはあり得ないけれども、インフレによつてそういうことが特にあつたのでございますが、その場合においても九十万円を取得分としてその半分の四十五万円に課税する、こういう実情が一方において生み出されていつたわけでありますが、こういう点から考えましてこの際企業について全面的な再評価を行うわけであります。再評価を行いますと、実は二つの点について今後課税上非常に利益がある。一つは今度その資産を買却した場合におきましては、新らしく附け加えて再評価しましたその高い帳簿価額を基準にして、その高い帳簿価額と今後の実際の買却価額との差額が、法人の場合においても讓渡した場合の差益として所得になる。それが一つと、これは通常固定資産の場合はないから、この点は余り大きく重んじていないのでありますが、実際問題としてもう一つは今まではとにかく減価償却を、実際の取得価額を元にして計算しておりましたのを、高く評価しました額を元にして減価償却額を算定して行く、後者の方が利益が大分多いだろうと思うわけであります。そういうことにおいて、今後におきましては再評価する方が有利になるわけであります。従いましてこの際再評価差額に対して、再評価差額と申しますのは、今回の特別な措置を講じないとするならば、その後の資産の増価分につきましては当然利益を構成するわけであります。即ち今のを放つて置きますれば、減価償却が、認められないで結局それだけ法人の利益が脹らむということになるのでございまして、それを結局どうするかという問題でございます。即ち今申しましたように従来から課税になつて来たものとのバランスを計るということが一つ。それからもう一つは、先程申上げました債権者、預金者というものは損をしております。こういう損をしておる人に何か補償的な救済をやつたらどうかという考え方もあるのでありますが、これは到底技術上不可能である。そうしますと、やはりインフレによりまして債権者、預金着が損をするのは辛抱して頂く。そういう点から考えましてとにかく現物固定資産を所有しておりますような場合、インフレーシヨンによりまして価格が殖えまして損をしなかつた場合には、何がしの税金を納めて貰つてもいいのではないかというのが、六%課税の根拠でございます。従つてそういう意味でノミナルな課税にしようというわけで差額の六%を再評価税として納めて頂くことにいたしたのであります。尚若干副次的の作用といたしまして全然税金をかけないことにいたしますと、やはり高い評価になり勝と思います。高く評価すれば将来有利になるからであります。従つて若干の税金をかけましてみずから自重して手固いところで再評価をする、こういう副次的の効果もあるのではないかと考えております。
#13
○油井賢太郎君 今のお話で大体分りましたが、現在赤字のある会社等について赤字を補填するため一応再評価をして赤字を埋め、それで健全な内容に、内容というより資産表というものを作成しまして、次の踏出しを健全に持つて行こうという場合に、再評価をしたものに税をかけるということはちよつとおかしいと思う。そういうものは希望によつては再評価とみなさないで、別な措置をとらして赤字をカバーするというようなことは考えなかつたか。
#14
○政府委員(平田敬一郎君) お話の赤字がいつ発生したかによつていろいろ違つて来ると思いますが、私は今後発生する赤字でございますれば、むしろ再評価積立金を補填しないで、それは税法上は赤字をそのまま残して置きまして、今後の利益かち繰越控除をやつた方が企業にとつては有利であると思うのであります。と申しますのは今期例えば百万円の赤字になつており、税法施行後の二百万円の利益が出た場合におきましては、その赤字の繰越を認めませんと、二百万円に対して三五%の法人税をかける。これに対しまして新税は繰越控除を認めておりますから、二百万円から百万円を引いた残りの百万円に対して三五%の課税をするということになるだけでございます。従いましてそういうものを再評価積立金で補填するということになりますと、その際は六%しか実は軽くならないという関係が、ございまして、従つて今後の欠損はむしろ固定資産の再評価積立金で相殺するということでない方が有利ではなかろうかと考えます。もう一つ二十四年度までに発生した赤字でございます。この赤字につきましては先程申しました通り、先ずやはり税法におきましては従来の税法の既得権を認めまして、一年間だけの利益からの繰越控除は認めたわけであります。従いまして一年間の利益の繰越控除を認める限りにおきましては、やはりその後一年間の事業年度におきまして利益があれば、事業は再評価積立金で補填すれば有利になる、三五%軽減を受けることになるわけであります。ところでそういうことのない場合赤字は原則としてやはり既往の積立金、これからとるのが本当であろう。尚赤字が出た場合におきましては再評価積立金から減額することを認められております。ただこの点につきましては税法上におきましてはやはり繰越損金として控除を認めておりますものは一年間ということに限定して、すべてそういう課税方法をとつておりますのでやはり税法の計算にはその原則でやつた方がいいのではないかという考え方であります。再評価による積立金はこれは特別のものでございますからやはり帳簿価格と再評価積立金の差額、それを課税標準としまして六%課税するというのが一般的には公事ではなかろうかという考え方で再評価税法を立案したわけであります。
#15
○委員長(櫻内辰郎君) 他に質疑はございませんか。
#16
○木内四郎君 この間からいろいろ主税局長に御質問したんですが、主税局では非常に苦心をして作られて事務的には非常によくできておるのですが、ただ主税局でこの案を作られるまでに至つた経過を新聞なんかで拝見して見ると、もつと下げようと努力は相当されただろうと思います。新聞で伝えられました最高税率の五五%を百万超に持つて行こうという案が作られた、その点についても相当努力されたことはよく承知しておりますが、今日いろいろ財政上の理由その他いろいろ理由があつてこういうものに落着いたんだと思うのですが、それに対してもこういう努力されたが、止むを得ず財政上の理由その他でここに至つたというその理由を、もう少し計数その他で伺いたいと思います。例えばあなたの方では五十万超、五五%というのはおかしいからこれを百万超にしたいという案を作られ、そうしてできるだけ負担を軽くしたいと思つたが財政上の理由その他でできなかつたというようなことについて話して呉れませんか。これだけ努力したが現在の段階ではできなかつたんだということになれば国民も納得するだろうと思います。
#17
○政府委員(平田敬一郎君) 所得税につきましては御承知の通りシヤウプ案が法制化されてから各方面でいろいろ批判がございますし、私共も事務的の見地から事前におきましてもいろいろ意見の交換をしたのでございますが、その後におきましてもできる限り実情に即する妥当な案を作成すべく努力いたしたいのでございますが、その際今問題になりましたやはり勤労者控除を従来の二割五分を一挙に一割に圧縮する、これは理屈は確かにあると思うのです。つまり事業所得と勤労所得の負担のバランスを図るというのが主たる目的でございまして、そういう見地に立ちますとやはり確かにシヤウプ勧告も私は有力な理由があると考えておるのでございますし、現在もそうでございますが、併し如何にも一拳にしまして二割五分を一割まで圧縮するということは、これは本当に大したことないようでございますが、実は大したことでございまして、余りにも影響が大きいのでこれを緩和したいと、少くとも一割五分に持つて行きたいと、これを第一に調整したいという考えでございました。これは幸にいたしまして、最後にやつと通りまして提案いたしておりますが、これでシヤウプ案に比べますと約百三十億円程度の税額の減收に相成るのでございます。
 それからその次の問題は、基礎控除の問題でございますが、基礎控除は、ともかく一万五千円が二万四千円にシヤウプ案はなつていたのでございまして、はなから申しますと相当な引上げでございます。それから家族控除の方も、従来の税額控除の千八百円から、所得控除一万二千円でございますが、これも実はよく調べてみますと相当な引上げでございまして、これもそうせつつく程のことでもなかろうかと考えていたのでございます。もとよりこれらにつきましても、将来事情が許せば考えた方がよいのじやないかということは考えておりましたが、先ず二十五年度としては辛抱するより外なかろう、できれば基礎控除を少し上げたいという気持であつたのでございます。
 もう一つ一番問題は、御指摘の税率の問題でありまして、税率は結局三十万超が五五%にとどめる。その五五%でとどめるという考え方は、私は今の税務の実際並びに富裕税の創設という点から考えまして、これは一般にいわれておりますよりも、案外よく考えてみますと相当合理的な根拠がある。私共最初所得税の税率を五五%に止めるということは、如何にもどうもどうであろうかという感じを強く持つた点も、率直に言うとあつたのですが、併しやはり一方におきましては、今度新らしく市町村民税としまして税額の二制程度附加税みたいなものがかかつておる。それを入れますと、実は六六%になるわけでございます。
 それからその外に富裕税を起しまして、これで財産所得に対して重課するというシステムをシヤウプ案は勧告した。この富裕税をやるかやらないかにつきましては、実際はいろいろな議論がございまして、名目的な財産税として大蔵省でも多年に亘つて研究して参つたのでございますが、実行上の問題その他の点を考えてなかなか具体的にやろうという決意は実は今までいたしかねて来たののございます。併し富裕税を一方において起して、財産を標準にして財産所得に対して一面においては重課する、他面におきまして所得税の高い税率はできるだけ下げる、これは確かに有力な一つの考え方だろうと、いろいろその後検討してみました結果、やはりロジカルには相当これも通つておる議論ではないかと私共も考えておるのでございます。ただ問題は、この五五%の適用を受ける所得階級の三十万円が果して妥当かどうか、それからその下の所得税の税率の刻み方が果して妥当であろうかどうか、この辺は相当問題にする必要があるのではないかということで、まあいろいろ私共検討して見たのであります。率直に申しまして、理想を申しまするならば、せめて最高は百万円ぐらいのところを五五%を用いまして、それから所得税の税率の刻み方が五万円から八万円、十万円、十二万円というふうに小刻みに累進率が上つて行つておりまするが、その辺の適用階級を二三落つことしまして、上の方に適用階級を持つて行きまして、それで所得税の税率を構成するということになりますると、余程これは税率としては姿のよいものになるのではないかということを考えまして、いろいろ研究はしてみたのでございます。ただそういうふうになりますると、税額に相当大きく響くのでございます。上の方だけを單に三十万円のものを百万円に持つて行つて、二十万円から百万円にいきなり飛んで、百万円だけ五五%ということでございましたら、そう大したことはないのでございますが、下の方から順々にずらして行くということになりますと、税額に相当響くのでございます。今申上げました趣旨で作りました一つの案によりますると、それだけで二百億円ぐらいの減收になるというようなことにもなつたのでございます。勿論そういう案を作りまして、財政事情が許すならば、或いはそういうところまで行くのも一つの方法じやないかというふうに考えて研究してみたのでございまするけれども、とにかくそこまで本年の財政事情としては行き難いということになりまして、その問題は、今回提案しました程度で一つ今回としては提出しようということに決定いたしたのでございます。
 それから基礎控除につきましては、これもやはり少しでも低めた方がよいのではないかという考え方をいたしまして、財政の事情と睨み合せまして、まあ気持だけでございまするが、二万四千円を二万五千円に引上げて提案すると、このような事情に相成りましたことを、御参考までに申上げておきたいと思う次第でございます。
#18
○木内四郎君 今の百万円超五五%として、あと下の方の税率をあなた方の言うようにせられて恰好のよいものにすれば、今言われ二百億円ぐらいで済むのですが、もつと減ることになるのではないですか。
#19
○政府委員(平田敬一郎君) 今の所得税の八万円の階級をなくして、それから十二万円の階級をなくして、税率をずらして行きますと、まあ大体二百億円前後で済むのではないかと見ておりますが、それよりももつと勿論欲張つた案もございまするけれども、そこまで行きまするのは、如何なる点からいつても無理でございますので、まあ私共研発いたしました案は、そのような案であつたのでございます。
#20
○木内四郎君 実際問題としては、非常に困難かも知らんが、仮に勤労控除を倍くらいにしたら幾らくらい減るのですか。
#21
○政府委員(平田敬一郎君) 資料をお手許に確かお配りしてございますが、勤労控除を二五%を一五%に圧縮したことによりまして……。
#22
○木内四郎君 勤労控除じやなく、基礎控除。
#23
○政府委員(平田敬一郎君) 基礎控除につきましては、先般木内委員からの御要求がありまして、二万五千円を五万円に引上げる場合を係に計算さしてみたのでございますが、そうしますと七百五十億くらいの減收になるようであります。賦課額で七百五十億の減收になります。ただ、このうち申告所得税は三百五十億の減税でありますが、これは賦課額の計算でございまして、收入見込ではこの七五%を計上しておりますので、三百五十億の二五%程度は、予算で最後に見込みます場合には、七百五十億よりも減が少くなるかと思いますが、いずれにいたしましても、六百億乃至七百億程度の減收は免れ難いと、かように思つております。
#24
○木内四郎君 あなたの方で、いろいろな改正案を去年の所得に対して適用すれば千九百億減税になるという案がありますね。あの表をちよつと説明して貰いたいのですがね。
#25
○政府委員(平田敬一郎君) 衆議院の奥村委員の御要求によりまして提出しました資料を、お手許にお配りしてあるわけでございますが、この計算によりますと、所得税は千九百三億六百万円の減收になるという計算であります。これは今お話のように、二十四年度の予算に当嵌めました数字ではございませんで、二十五年度の改正後の税法を見込んでおりますところのそれぞれの国税のべースに、現行税法をそのまま行くとしますならば、幾らの收入になるか、その收入と改正後の税法による收入とのそれぞれの項目別の増減比較表でございます。予算に現われておりますのは、御承知の通り昭和二十四年度の予算は三千億、二十五年度の予算は二千五百億であります。五百億の差でございますが、それは二十五年度におきましては、二十四年度全体に比ベまして、課税所得の増を或る程度見込んでありますので、その部分による増、結局これだけの差が出て来るということであります。これによりまして計算しましたが、これは勿論計算の正確を期するために、つまり賦課税額でございます、賦課税額の増減をとつております。基礎控除で一万五千円を二万五千円に引上げることによつて三百九十九億の減、扶養控除、今は税額控除で千八百円でございますが、所得控除を一万二千円に改めることによりまして七百八十二億の減、反対に勤労控除の二五%を一五%に引下げることによりまして、これは逆に二百二十八億の増になるのでございます。それから従いまして、さつき申上げました百三十億と申しますのは、逆にシヤウプ案の一〇%から一五%に改めた部分による減税額であります。それから税率の改正によりまして五百十七億、合算課税をやめることによりまして二百七十六億、それから配当所得のうち源泉徴收を見合せること等によりまして二十億、扶養控除の範囲を学生或いは農家の家族就業者等にも拡張することによりまして減税分が七十六億、それから勤労所得と書いてございますが、これは変動所得のミスプリントでございますので訂正いたします。変動所得が五ヶ年平均課税にすることにいたします、それによる減が二十三億、それから評価増によりまして個人の営業用の資産も減価償却は殖えると見ておりますが、この半面再評価税の方で若干入つて来るのを見ておりますけれども、これは二十億、その他いろいろ災害とか医療控除とかこれも概算で十五億というようなものを見ております。その他若干技術的な面で最後に出て来ます計算上の減が一億五千万円に達するようでありますが、合せまして千九百飛んで三億余の減税になるようであります。尚これで源泉分と申告分と分けますと、源泉分が六百十億、申告分が千二百九十二億となるようであります。源泉は極めて明確でありまして、二十四年度の源泉課税の予算は千二百九十二億になると思います。それから最近の実績で行きますと、この方は若干増收が出るようであります。恐らく千四百億前後まで行かないにしても、五、六十億少くとも殖える、来年度も今の税法で行きますと、千六百億ぐらいになるところであります。それが予算では同じべースで計算しまして九百八十三億を見ておるわけでございまして、源泉所得税は従いまして非常に分り易いのでございますが、現行税法をそのまま据置く場合に比較しますと、少くとも六百億ぐらいの減收になるということは非常に明瞭でございます。申告所得の場合におきましては、所得の増減は果してどうかということは問題がございますが、いろいろ細かいところにおきましては問題がございますが、予算の説明にいたしましたような程度の所得の増加がある、その際税法の改正によりまして、一般的な所得の増加の外に税法の合理化、並びに税務官庁の能率化、申告成績の向上等を期待しまして、昭和二十三年の所得調査の把握率に比べまして、二十五年度におきましては勤労と農業は三%だけよくなる。営業は六%だけよくなる。その代り課税所得を若干の増の外に余計見ております。従いまして減收額が比較的少いのでございますが、税の控除引上げによる減というのは、シヤウプ勧告案にもたびたび言つておりますように、実は予算面上に現われている増減額よりも遥かに大きいものであるということは、さつき申上げた通りでありまして御検討願いたいと考えている次第であります。
#26
○木内四郎君 御説明で大体分つたのですが、どうも我々素人にはちよつと理解しかねるのは、千九百億余り減るようなことになるにも拘わらず、五百六十七億ですか、どうも一般にはぴんと来ないのですけれども、その間の説明をもう少し伺いたいと思います。所得を今あなたが言われたような程度の増加見込でそういう計算になるのかどうか。
#27
○政府委員(平田敬一郎君) 源泉所得の場合は、先程の御説明でお分りかと思いますが、これは完全に比較的簡單に六百億の減税ということは言い得るのであります。予算の上では、それがすでに二十四年度の中途において減税しておりまするのと、それから最近の状況から見ました来年度の見積り額というのはほぼ確実でございまして、その差がはつきり出ている。申告所得の関係はややはつきりしないと思うのでありますが、これは予算の説明にありますように、二十三年度分の課税所得を基にしております。二十四年度につきましてはまだ確たる統計がございませんので、そこで二十三年度の課税実績を基にしまして、それに対して生産、物価、賃金、雇用の増減率を乗じまして、二十五年度の課税見込所得というものを算定しているのであります。この増減見込を見ます場合におきましては、安本で計算しておりますところの国民所得の増減の見込とほぼ同じような方法でやつております。私共の方では更に課税所得の特例等を考えまして正確を期しております。例えば農業所得の場合塔ございますと、大体秋の米価がパリテイで一六八になる。それから春作は一六四になる。二十四年の所得について計算しました米価は一五四であります。農産物のマル公は、二十五年度は或る程度上るということを前提にして所得を出しております。政府の安本の計画に従いまして生産も或る程度殖える、確か二十三年に比べまして七%でありましたか、二十四年に比べますと三%ぐらいの増加と思いますが、そういう増を見ております。それで農業所得・課税所得を算定しておる。それから営業所得の場合におきましても、生産と物価の増を見ております。この物価の増ついていろいろ意見が恐らくあると思いますが、大体において歳出予算と同じように、九月の物価水準が横這い、マル公は上るものもあり、闇は下るものもあるのでありますが、大体におきまして政府としてはデイス・インフレの線を堅持しまして、物価水準は若干上るかも知れないが、大体横這いという傾向を前提にして收入を見てありますので、従いまして生産が殖えるだけ二十五年の営業所得も若干殖えるという計算の上に立つておるのでありまして、その外にさつき申上げましたように、税法の合理化並びに官庁の能率化、それから納税者の申告成績がよくなるというような点を考慮しまして、農業所得と勤労所得につきましては、三%の自然増加の外に能率の増を見ております。それから営業所得につきましては、これは大分実は高いようでございますが、この問題としまして課税漏れ等が多うございますので六%の増を見ております。そうしまして、課税所得を計算してそれそぞれ改正後の税率を適用しまして、新らしい二十五年度の予算の千五百三億の見積りをいたしておるのでありますが、その外に更に若干申しますと徴收歩合七四%と見ておりますが、今度の申請しました二十五年度の実際の状況からしますとそれより若干下廻るかも知れません。従いましてこの辺のところに相当何と申しますか、行くべき姿を考要して極力合理化を図ろうというところで見積りを考えております。従いまして同じような方法によりまして、今の税法で当てはめて計算しますと、実は二十四年度の所得税の予算額に比べますと、相当来年はそのまま行けば増加するということに相成るのでありまして、その増加すべき所得税に対しまして、予算に見積つた所得税の開きがどうなるかということを計算しましたのが今御説明しました数字でありまして、これが私共技術的に申しますと、従来ずつと前、税の増減、税をはじき出す場合におきましては、概ねさような方法によつてやつておりましたが、そういうような方法で計算いたしますると、まあ今申上げましたような方向になるということでございます。
 大体その程度御説明申上げまして、尚具体的な問題がございますればお答えいたしたいと考える次第でございます。
#28
○油井賢太郎君 今お話の中に、去年の九月頃は成る程物価も横這いで、デイス・インフレの線だつたか知らんが最近の傾向はあらゆる物価が下落の方向を辿つている。それから生産が相当殖えているにも拘わらず有効需要が伴わないから下落している。而も一方においては金詰りのために拍車をかけられている。そういう点からいつて、今度の予算等においてあなたの方で計算なさつているだけの所得税が実際取れるかどうかということは私は疑問だと思う。これについて確信はおありなのですか。
#29
○政府委員(平田敬一郎君) 将来の見通しはなかなか問題があると思いますが、この点につきましては私共率直に申上げまして、大体最近が政策の影響の現われた一番大きなときではなかろうかと思います。来年度の予算は建設費等の歳出は相当殖えております。
 それから殊に投資財方面の有効需要を増加するような方面の歳出は相当多いのでございますが、そういう方面が相当ずれて出て来るだろう。それから見返資金の方も最近六ヶ月ぐらい、実は手続その他の関係で現実の放出が遅れて来たようでありますが、最近はそれが大体通常のコースに乗つて来つつあるようでございます。従いましてこの計画も多少今までみたいに時間的ずれがなくて、やはり成る程度行き得るのではないかと思います。この方法が行われますと、やはり鉄道、船舶の建造といつたような面に対しましては相当な資金の増になりまして、有効需要が殖えて来る。そうしますとこういうことが廻り廻つて消費の増ということにも結局なり得ると考えるのでありまして、そういう点から考えますと、私は新予算が実行されまして相当有効需要が動き出すというときになりますれば、これは余程條件は率直に申上げましてよくなつて来るのではないか。問題は債務償還費の千二百億、一般会計、特別会計を通じて行われることになつておりますが、この償還しました資金が大部分は銀行預金部等から又民間に出て行くわけですが、果して適宜適切に有効に出て行くか行かないか、これは大分問題があると思いますが、これとても私は今までと違いまして、大体のやはりルートなり考え方が出揃つて来たようでありますから、そうデフレの傾向が強くなるというようなことはなく進み得るのではないか、この辺に、いろいろの問題があると思いますが、さように考えておるのでございます。従いまして新予算が実行される段階になりますれば、情勢は私は幾分変つて来るのではないかと、今のところ又政府としましては極力そういう手段を取りまして、デイス・インフレの線に持つて行きたい。例えば現在は非常に織物等の物価が下落しているものもございます。併し反対にマル公を上廻つているものもありまして、若干全体としての物価水準は下り気味であります。一部の非常に下りたものを度合にして判断される程全体は勿論下つていないのであります。そういう傾向が今後長く続きますことを予想しますのは少しどうであろうか。かように考えるわけでありまして、まあ今の段階としましてはさつき申しましたような前提を修正する程の必要はない。勿論状況に変化がありました場合におきましては、これは税は飽くまでも税法に従つて徴收すべきものであります。予算に見ておるより余計に所得を査定するということは絶対に避けなければなりませんし、実際の徴收の結果、税額がどうしても上らんという事態になつて来ますれば、これは昨年度におきおましても徴收方法を若干修正をいたしましたが、そういうことは絶対ないとは申上げかねますが、今の段階におきましては先ずこれで御審議願つて御賛成を得るに十分ではなかろうかと、かように私共は考えておるのであります。
#30
○油井賢太郎君 今のお説は大変楽観論みたいですが、織物ということをお挙げになつたのですが、一つの事業がやはり相当の下落をいたしますれば、それに関連した事業も段々と悪くなつて来るということは当然あり得ることであります。実際消費資材があらゆる面において大体相当の下落をしておるこいうのが現状です。そういう点から見てこの所得税法によつて政府が考えておるような税の徴收が行われるかどうか今から疑問を持ちます。それについては将来のことでもありますから一応打切りたいと思います。
 それから再評価税についてもう少し質問いたします。個人の所有する不動産というものはすべてこの際再評価をして、その差額の六%を納めるということにすれば、将来その不動産を売買しても、再評価された額との差だけを所得と見られるのですか。
#31
○政府委員(平田敬一郎君) 今の点なかなか複雑でございますから御説明申上げて置きますが、個人の所有する資産に実は二つございます。一つは個人の企業が所有している企業用の資産でございますね。例えば工場だとか或いは営業用の家屋、こういうものがございますが、こういう個人の企業が所有しております減価償却資産につきましては、これは再評価するか、しないかは個人の任意にいたしております。再評価をいたしますれば先程申上げましたように、再評価額がすべて基準になりまして、減価償却の計算の際も再評価組を基にして減価償却額を計算する。その資産を他に売却しました場合はその譲渡所得の計算は、その再評価額か所得税の基礎になりまして、それよりも高く売つた場合は初めて讓渡所得が出で来る。それに所得税が課せられる。再評価額に達するまでの分につきましてはこれは六%かかる。現実に十万円で取得しましたものが再評価の基準で百万円になる、それを百万円で売つた場合には百万円から十万円を差引いた残りの九十万円に対して六%の再評価税がかかります。その外に所得税はかかりません。その資産を百十万円で売つた場合におきましては、九十万円に対し六%の再評価税がかかり、その外に十万円に譲渡所得として所得税がかかる。それを九十万円で売つたという場合には所得税はかかりません、再評価税は九十万円と十万円の差額の八十万円に六%かかることになるのであります。而も個人の場合におきましては、後で申上げます自家用住宅等の場合は現実に処分したときでなければ再評価税はかけないということになるのでありますが、大体そういう観点であります。企業の場合におきましては、再評価しただけ直ぐ減価償却でそれだけ殖えますので、個人の企業用の減価償却につきましては、再評価税は五ヶ年間に納めて頂くということになつております。これも利益がない場合におきましては法人と同じように順次繰延べまして六年目までに全部納めて頂くということにいたしたのであります。これが企業用の資産再評価であります。
 個人の企業以外の資産、例えば株式とか、自家用の住宅、こういうものの再評価は性質を違えているのでありまして、これは全く譲渡所得の計算上だけの問題であります。減価償却の問題は御承知のごとくございません。従いましてこれは必ず再評価をしたものとみなしまして、今後その資産を讓渡したような場合におきましては、常に再評価額を取得価額に見てあるのであります。そうしまして再評価税も、従いまして讓渡がなければかからないのであります。ただ持つておるだけですと、自家用住宅とか株式等の場合におきましては再評価税はかかりません。例えば十年間持ち続けております場合にもそれがかからんのであります。その資産を処分したときに初めてかかるので、再評価税がさつき申上げましたように再評価額自体の間はかからないのであります。再評価額を超えまして販売した場合におきましてはその差額が所得税としてかかつて来る、こういう関係になるのでございます。ただ今度は譲渡所得の課税を徹底するという意味で、財産を他に移転した場合には、相続で移転した場合であらうと、讓渡で移転した場合であらうと、その場合に讓渡所得税を計算して課税する、こういう建前にいたしておりますので、その際におきましてはやはり再評価税を納めて頂かなければならないということになるのでございます。併しいずれにしましてもこれを保有いたしている間は再評価税も讓渡所得税もかかりません。処分し或いはその財産を讓渡、移転したときに初めてかかるのであります。今申したように、常に再評価をした方が大体個人にとりましては有利でございますので、みなす再評価を行いまして、むしろ讓渡所得税の合理化を計ろうという趣旨でございます。
#32
○油井賢太郎君 その場合において、普通営業用の不動産でない所有者、それはやはり常に財産税の設定当時におけるところの評価額から見て、十七倍なら十七倍として、政府の方ではそれを超えた分に対して讓渡所得税を認めるのでありますか。
#33
○政府委員(平田敬一郎君) 家屋の場合はお話の通り財産税の課税時期から持つておられる方の場合におきましては、財産税の評価額の十七倍みなす再評価額になります。ただその間の減価償却額を差引きますからそれより実際は少し低くなります。それを超えて売つた場合が利益になるわけでございます。所得になるわけでございます。
 それから土地の場合は土地物価指数を取つておりますから少し低くて確か十五倍になつております。株式の場合は一般購買力指数即ち消費者物価指数を取つておりますから七・四倍でございます。大体そういうものでございます。ただ外の細かい点になりますが、今後におきましては讓渡所得の計算の合理化を計りますために再評価額から減価償却額を差引くということになつております。例えば今後十年後に家屋を処分した場合は再評価額から十年間の減価償却を差引いたものを所得価額とみなして、それよりも高く売つた場合にこの讓渡所得になるのであります。それが理論的に正しいと考えます。その点を除けばお話の通りでございます。
#34
○油井賢太郎君 富裕の関係で今のお話の場合ですね。個人の所有不動産というものはやはりみなす再評価額を富裕税の対象にされるのですか。
#35
○政府委員(平田敬一郎君) 富裕税の場合におきましても、すべて時価で評価するという法律にいたしております従いまして再評価額と実際上は緊密な関係にございますが、尚いわゆる資産等については時価以外の再評価を問題にいたしておりますので、個人の評価で標準の半分程度で再評価したという人が、仮にいられました場合におきましては、それをそのまま採用するわけに行かない、やはり毎年十二月三十一日現在の財産の時価を調べまして、それによつて富裕税をかける。相続税の場合でございますれば、相続開始当時の時価を標準にいたしまして、それで相続税を課税いたしておるのであります。富裕税も、従いまして相続税の評価と同じような標準でやつて行くということになります。地上権その他にもさような法定評価を設けてありますので、法定価額を認められておらないものについては十二月三十一日の午後十二時でございますか、年末の時価を標準にして課税するということにいたしておる次第でございます。
#36
○油井賢太郎君 それから第三十九條の再評価の方ですが、宗教法人の所有する物件については再評価税というものを課さないということになつておりますが、最近宗教法人が、宗教法人という名前の下にいろいろな営業をやつているのですね。それは相当あるようですが、そういうものを皆税法から、いわゆる抜かれおるので、こういう結果になるのですが、この点どうですか。
#37
○政府委員(平田敬一郎君) この点は実は今まで法人税を課税されていなかつたような種類の法人につきましては、今回收益事業に対して所得を課税することにいたしたのであります。尤も事業法人と労働組合は二年程前から收益事業には課税するという規定を設けておりましたが、とにかく多年課税、しないでやつて来たわけでございます。従いましてこの際再評価をして、減価償却なんか殖えるからという理由で、再評価税をこの際課税するのは、少しどうも従来からのバランスから行きまして行き過ぎじやないかと思います。この公益法人は再評価税を納めないでも再評価はできるということにいたしたわけであります。これは全く従来からの、その種の資産から生じた所得に対しまして法人税、所得税等を課税していなかつた点を考えまして、このような規定を設けることにいたしたのであります。
#38
○油井賢太郎君 いや私の言うのは、いわゆる宗教法人という名前の下にいろいろ営業をやつておる、そういうものに対しても課税をされないのですか。若しされないとずれば宗教法人という名前で以つて、どんどん営業というものをあちらこちらに拡大して行くという傾向が現れると思うのですが、この点はどうですか。
#39
○政府委員(平田敬一郎君) 営業につきましては、名義というのは一応基準になりますが、宗教法人の名義になつておりましても、実体は他人が経営しておるという場合におきましては仮想名義でございますが、これは真の営業者に課税することは勿論でございます。第二といたしましては、今度法人税を全面的に改正しまして公益法人、宗教法人、学校法人等も、すべて一般の收益事業を営みます場合におきましては、その收益事業に対する所得に関しては法人税を課税することになつております。この公益事業の範囲は、大体通常は営利事業として営まれるような事業を、これらの法人が営む場合におきましては、例えば旅館業等を宗教法人の名前で経営しておるという場合におきましては、その実体の納税営業者が、或いは本当に宗教法人の経営をしておる場合は、その収益した法人に対しまして法人税が課せられるということになるのでございます。
#40
○委員長(櫻内辰郎君) この辺で午後一時まで休憩にしたらどうでしようか。
#41
○木内四郎君 一つお願いして置きたいことがあるから……あなた方の方で作つて出して頂いた、さつきの千九百三億の減税になる計算になるのだが、来年度は五百六十七億、あなたはさつきいろいろ御説明されておつたのですが、一般の者からすれば、あなたの方は減税に非常に努力されて、それだけの千九百三億も減税になるのだが、こう言いながら実際は五百六十七億しか減税にならんというと、どうもそこに、あんなことを言つているけれども、実際はこれだけしかならないのだというような考えを起しますから、それを逆な計算をして貰つて、二十四年度の所得に対して二十五年度はこういう増加の見込みがある、これに対して旧法を適用すれば幾らの計算になるのだが、それに対して基礎控除をしたら幾らになるのだ、こういう計算は作れませんか。
#42
○政府委員(平田敬一郎君) その計算も、時間がちよつとかかるかも知れませんが、荒つぽいものならできると思います。
#43
○木内四郎君 むしろそうして出して貰つた方が、国民が今度の税法によつてこれだけの減税になるのだということがはつきり分つていいのじやないかという気がする。
#44
○政府委員(平田敬一郎君) 例えば所得が同じであるとすれば、負担が幾ら増減するかは、たびたびお配りしておりまする資料で分ります。所得が殖えた場合におきましては、所得が殖えますから、殖えたことによる税が殖えますので、その点が相殺されるわけでありまして、その点をどうするか、実際問題として個人的になかなかむつかしい問題かと思うのでありますが、大まかには今お話になりましたようなものを一つやりたいと考えております。
#45
○木内四郎君 逆になるのです。逆に来年或いはこれだけになる。併しそのうちこういうものによつて千九百億とか、二千億とか、この項目この項目でこういうふうに行くから、こういうふうになつてそして予算の見積りがこれになるのだと言つた方が一般の人に示したら納得させるのにいいと思いますが、若しできたら出して頂きたい。
#46
○委員長(櫻内辰郎君) それでは午後一時まで休憩をいたします。
   午後零時二十一分休憩
   ―――――・―――――
   午後零時二十一分休憩
   午後二時十五一分開会
#47
○委員長(櫻内辰郎君) これより午前に引続いて開会いたします。引続き質疑をいたします。速記を止めて下さい。
   午後二時十六分速記中止
   ―――――・―――――
   午後三時五十九分速記開始
#48
○委員長(櫻内辰郎君) 速記を始めて下さい。では本日はこれにて散会いたします。
   午後四時散会
 出席者は左の通り。
   委員長     櫻内 辰郎君
   理事
           黒田 英雄君
           伊藤 保平君
   委員
           玉屋 喜章君
           西川甚五郎君
           木内 四郎君
           油井賢太郎君
           小宮山常吉君
           高橋龍太郎君
           木村禧八郎君
  政府委員
   大蔵事務次官
   (主税局長)  平田敬一郎君
ソース: 国立国会図書館
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