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1978/11/29 第85回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第085回国会 文教委員会放送教育に関する小委員会 第3号
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1978/11/29 第85回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第085回国会 文教委員会放送教育に関する小委員会 第3号

#1
第085回国会 文教委員会放送教育に関する小委員会 第3号
昭和五十三年十一月二十九日(水曜日)
    午後一時七分開議
 出席小委員
   小委員長 嶋崎  譲君
      石川 要三君    石橋 一弥君
      唐沢俊二郎君    小島 静馬君
      長谷川 峻君    木島喜兵衞君
      鍛冶  清君    曽祢  益君
      山原健二郎君
 小委員外の出席者
        文部省大学局長 佐野文一郎君
        文教委員会調査
        室長      中嶋 米夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 放送教育に関する件
     ――――◇―――――
#2
○嶋崎小委員長 これより放送教育に関する小委員会を開会いたします。
 放送教育に関する件について調査を進めます。
 放送大学に関する諸問題について、先日来二回にわたり参考人から意見を聴取する等、調査を進めてきたところであります。
 本日は、その際述べられた参考人の意見及び質疑によって明らかになったいろいろな問題点について、政府当局の説明を聞くことにいたしております。
 この際、発言を許します。佐野大学局長。
#3
○佐野説明員 幾つかの問題につきまして御説明を申し上げます。
 まず第一は、放送を主たる教育手段とすることによって正規の大学教育の実施が可能かどうかという、当初からございました御指摘でございます。放送大学を実現することが可能であるかどうかということにつきましては、確かに当初、四十四年から始まったころの調査の結果におきましては、大学人の間にこれで大学教育ができるのかという疑問があったことは事実でございます。しかし、四十六年から大学関係者を中心とする調査研究を進めてまいりまして、これを経て大学関係者の理解と支持が、放送を主たる教育手段とする正規の大学教育を放送大学をもって実施するということについて得られているというように考えております。また、今後における高等教育を整備していく場合に、高等教育の全体の多様化なりあるいは構造の柔軟化が非常に重要な課題になる、あるいは生涯にわたる学習機会の確保を図る、そういう見地から放送大学というものが重要な機能を果たすであろうし、そういう趣旨で放送大学に期待する大学人の声は最近非常に高くなってきているというように把握をいたしております。もちろん、参考人の御意見で指摘をされておりますように、留意をすべき点が多いことは事実でございますし、そのことは十分に承知をしておりますが、これらについては、参考人の御意見にもありましたように、放送大学が設置された場合において放送大学の当局者と十分協議をする、そしてその協議を経ながら対応していくことが可能であるし、またそのような運びといたしたいと考えております。
 なお、放送大学の教育手段に関しまして、設置基準の問題として大学設置審議会で検討をいただいておりますが、これによりますと、放送大学におきましても、現在の私立大学通信教育において実施されているスクーリングと同じ程度の量のスクーリングを実施しなければならない、そういう方向が出てきておりますし、それは私どもも当然のことだと考えております。したがって、放送大学の教育手段を全体的に見ますと、スクーリングは現行の通信教育と同じように実施をする。その量としては約一学年分に相当するぐらいの量になります。さらにこれに印刷教材と通信指導が加わる。この点も現在の通信教育と同じであり、放送大学の場合にはそれにさらに放送の視聴が加わるということになるわけでございます。そういったことを通じて正規の大学教育の実施ということは十分に可能である、そのように考えているわけでございます。
 それから二番目に、広島大学の公開講座等、そういったものを充実していく、あるいは既設大学による放送教育の実験的な試行を重ねていく、そういったことを通じてもう少し準備を進めたらどうだ、あるいは、放送教育開発センターも十月に発足したばかりであるし、その研究開発の成果を見定めるべきではないかという御意見がございます。それで、率直に申し上げまして、放送大学の創設を待たないで実施をすることのできる実験的な試みであるとか、あるいは創設準備の作業は現在までおおむね積み重ねられてきていると考えております。指摘されている問題点に対する具体的な対応は確かに必要でございますけれども、こういった残されている問題点というのは、教育実施の責任主体である放送大学がまさに大学の問題として対応をしない限り、なかなかその解決がむずかしい問題が多いわけでございます。また、それによって大学が主体的に対応していく、それによって適切な解決の方途を求めることが適当な分野が多いというように考えているわけでございます。そういった意味で、残されている問題点の解決のためにも放送大学を早期につくる、そして大学による主体的な対応というものを進めることが必要ではないかと考えているわけでございます。もちろん、今後放送大学と文部省が協議をする、あるいは放送大学と通信教育関係者との協議が進められる、あるいは放送大学と既設大学との協議が進められる、そういったことを通じて具体的な対応を進めていく、それによって放送大学のアカデミックスタッフによる対処方針が決定されていく、そういう段取りが望ましいというように考えているわけでございます。
 それから三番目に、放送を利用することの重要性にかんがみて、さしあたっては放送利用を伴わない通信教育大学として発足をさせる、そして、放送を使っての教育というのは放送衛星の実用化まで待ってはどうだという問題がございます。これも御指摘があったところでございますが、放送大学は、すでに御説明を申し上げておりますように、基本的な考え方としまして、まず地域を限定して、限定的な地域を対象として発足をする、そして段階的に対象地域を拡大をしていくという方針をとっております。この考え方は、放送大学の基本計画に関する報告で指摘をされている線に沿っているわけでございますが、いわゆる情報伝達網、ネットワークの整備を段階的に進めて、いろいろな条件から生ずる結果を確認しながら、逐次着実に拡充を図っていくことが適当であるという考え方によるものでございます。したがって、仮に放送衛星を活用して放送を行う場合におきましても、事前の段階として、限定的な地域における放送大学の実施の経験というものを重ねておくことが望ましいと考えられるわけでございます。放送利用を伴わない通信教育大学から一挙に放送衛星による全国放送へ進むということは、いかにもステップとしては無理があるのではないか。やはり、まず大学をつくり、そこによる限定的な放送教育の実施ということを経て、次のステップに慎重に進むということが適当ではないかというように考えております。
 それから、まずその場合に、東京その他関東地区というような高等教育の機会に恵まれているところではなくて、僻地から始めたらどうだというお考えも指摘されたわけでございますが、これも理由のあるところではございますけれども、現実の問題として、放送大学で十分な対応を段階的に進めていくという考え方からいたしますと、学生の確保の問題あるいは教官の確保の問題、そういった点を考えましても、まず関東をエリアとして着手をするということが現実的ではないかと考えているわけでございます。ただ、その場合でも、東京タワーからの送信だけにとどまらずに、周辺地区に一つ送信所を建てて、そして関東の周辺地域における、いわば僻地的な地域を対象としたものも最初の段階のところで取り入れて経験を重ねるということは、現在の放送大学の構想の中でも考えられているところでございます。
 それからその次が、放送大学の設置形態を特殊法人とした場合に、大学の管理運営の組織等について具体的にどう考えるかということでございます。学校の設置運営を目的とする法人としては、御案内のように、現に私立学校法で定める学校法人の制度があるわけでございます。私立学校法には、学校法人につきまして、設置する学校の長が理事に加わる、あるいは評議員会を必置機関とする、その他、一般の財団法人と比較して特別の定めがされております。放送大学学園、いわゆる特殊法人としての放送大学学園の場合も、放送大学の設置運営を目的とする法人として設立されるものでございますから、基本的にはこの学校法人の制度を参考にするのが適当であると従来から考えてきております。ただ、放送大学の設置形態について、直ちに私立学校の制度、学校法人の制度によりがたいという点がございます。これは、創設の意義なり、あるいは設置経営に要する費用の負担のあり方なり、あるいは全国的な規模をもって放送を実施するということに伴う問題等から、大学の自治を尊重しながらも、大学の管理運営に対する国の関与の仕方という点については、私立大学の場合と異なるところがおのずから出てまいりますので、そういった点から、経費の負担なり役員の任命なり、あるいは財務、会計に関する事項等について、他の特殊法人の場合を参考としながら、学校法人の場合とは異なった所要の規定を設ける必要があろうと考えているわけでございます。
 そこで、お手元に「放送大学学園構想の概要について」という一枚刷りのものを差し上げてございますが、これによりながら、さらにその場合における放送大学における大学の自治の問題なり、あるいは大学の教員人事等、大学管理機関の問題等について補足をして、御指摘のありました問題について御説明を申し上げます。
 まず、放送大学学園の理事組織と放送大学の教学組織の関係でございます。そのお手元のプリントの3の(1)にございますように、学園には役員として理事長、理事、監事を置きますが、その場合に、私立学校法における学校法人の例にならいまして、放送大学の学長は職務上当然に理事となるということを考えております。それから、学長のほかに放送大学の教員が理事となる道ももちろん開く必要があると考えております。そして(2)にございますように、学園に、理事長の諮問に応じまして業務の運営に関する基本的な事項を審議するための機関、これは学校法人の場合の評議員会に相当する機関でございますが、これを特殊法人の場合にも設けることとする。そして、その機関の構成員に放送大学の教員も加えるという形で教学組織との間の調整というものを考えることが可能でございます。それで、この運営協議会につきましては、そうした放送大学の教官のほかに、その構成員として、国立大学協会あるいは私立大学連盟等の推薦に基づいて、既設大学の関係者を加えるという配慮をすることが適切であるというように考えております。
 それから、放送大学の学長につきましては、やはりその地位を高めるために、国立大学の学長と同じように文部大臣が任命をするということが必要であろうと考えます。それで、文部大臣が任命する職員というのは、学長以外では理事長について考える。その学長と理事長の二人について文部大臣の任命を考えるということが適当であろうと思います。そして、学長、副学長、あるいは教員の採用につきましては、国立大学の場合の教育公務員特例法の例にならいまして、放送大学の教授会等の大学管理機関の選考に基づいて行われるということが当然考えられなければならないと考えております。
 そして、今度は教学組織の方でございますけれども、(3)のイにございますように、放送大学の運営に既設大学の意向を反映させるために、既設大学の関係者の参加を得ましてその運営に関する重要事項を審議するための機関、いわゆる大学評議会と仮称しておりますけれども、これを設けることにするわけでございます。放送大学の学長は、この大学評議会の推薦した者について理事長の申し出に基づいて文部大臣が任命をする、そういう手続をとることが適当であると考えております。さらに、放送大学には副学長を置くことを予定しておりますけれども、放送大学の副学長については、学長が大学評議会の意見を聞いて選考した者について理事長が任命をする、そういう手続がとられることになろうかと存じます。放送大学の教官は、教授会が選考した者について学長の申し出に基づいて理事長が任命をする。学校法人の場合の例に準じながら、しかも教授会の選考した者について学長の申し出に基づいて理事長が任命をするという慎重な手続をとるということでございます。
 この大学の場合の教授会の構成につきましては、一般の大学の場合より多少工夫をする必要があろうかと思います。もちろん、教授会の構成をどのようにするかということはこの大学の教授会が判断をされることではございますけれども、この大学の場合には、いわゆる専任の教官のほかに、広く他大学あるいは放送教育開発センターの教員の参加を求めるということから、客員教授の制度を大幅に活用するということを考えておりますが、そういう客員教授について、できるだけ、たとえばカリキュラムの問題等につきましては教授会のメンバーに参加をするというような工夫がこの大学の場合には必要であろうと考えております。
 それからその次に、放送法の規制と放送大学の自立的な対応の問題が非常に御指摘があったわけでございます。これはそのときにも御説明を申し上げましたけれども、放送番組に対する放送法の規制というのは、この大学の場合にも、放送事業者である以上はやはり適用がある、これは当然のことでございます。これに対しては、放送番組を制作するに当たって、一人の教官がやるのではなくて、コースチームの作業をもって進められる、そういった過程等を通じまして大学の自立的な対応が可能であり、またそれが行われることを期待することができると思います。それから、学外者によって番組を規制をするという問題がもう一つあるわけでございますが、この点は、参考人の御指摘もございましたけれども、大学の自治あるいは教授の自由にかかわるものがございますので、他の既説の放送事業者にも通ずる問題としてのそうした番組規制という観点に、さらにそうした大学の自治、教授の自由にかかわるものがあるという点を考慮に入れて慎重な取り扱いを検討する必要があるというように考えているわけでございます。
 その他、この放送大学学園の構想の概要については、すでに資料として差し上げていることでございますけれども、いま申しましたような事柄のほかに、(3)のウに書いてございますように、他大学との連携協力の円滑な実施を図るために、他大学に対する施設、設備の貸与及び教材等の提供、他大学のための放送の実施あるいは他大学との教員の交流の促進等に関して所要の配慮をした上で規定を設けるということが考えられるわけでございます。
 なお、国はもとより学園に対して予算の範囲内において学園の業務に要する経費を補助することができる。あるいは学園の事業計画、予算、借入金、重要な財産の処分等の制限、財務、会計に関して、学校法人の場合に規定も設けられておりますけれども、それらを参考にしながら必要な事項を規定するということになるわけでございます。
 参考人の御意見等を通じて指摘をされました大きな問題点について、私どもの考え方は以上のとおりでございます。
#4
○嶋崎小委員長 これにて政府当局の説明は終わりました。
 これより質疑に入るのでありますが、質疑は懇談の形式で行うこととし、これより懇談に入ります。
    〔午後一時二十五分懇談に入る〕
    〔午後二時十六分懇談を終わる〕
#5
○嶋崎小委員長 これにて懇談は終わりました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後二時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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