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1978/10/13 第85回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第085回国会 大蔵委員会 第2号
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1978/10/13 第85回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第085回国会 大蔵委員会 第2号

#1
第085回国会 大蔵委員会 第2号
昭和五十三年九月二十二日(金曜日)委員長の指
名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
  税制及び税の執行に関する小委員
      池田 行彦君    小渕 恵三君
      大石 千八君    後藤田正晴君
      坂本三十次君    村上 茂利君
      森  美秀君    保岡 興治君
      大島  弘君    川口 大助君
      只松 祐治君    貝沼 次郎君
      宮地 正介君    高橋 高望君
      荒木  宏君    永原  稔君
  税制及び税の執行に関する小委員長
                保岡 興治君
  金融及び証券に関する小委員
      愛知 和男君    宇野 宗佑君
      大石 千八君    後藤田正晴君
      坂本三十次君    高鳥  修君
      野田  毅君    山崎武三郎君
      川口 大助君    佐藤 観樹君
      平林  剛君    坂口  力君
      宮地 正介君    永末 英一君
      荒木  宏君    永原  稔君
  金融及び証券に関する小委員長
                野田  毅君
  財政制度に関する小委員
      愛知 和男君    小泉純一郎君
      佐野 嘉吉君    高鳥  修君
      林  大幹君    本名  武君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      伊藤  茂君    池端 清一君
      塚田 庄平君    坂口  力君
      宮地 正介君    永末 英一君
      荒木  宏君    永原  稔君
  財政制度に関する小委員長  小泉純一郎君
  金融機関の週休二日制に関する小委員
      池田 行彦君    小渕 恵三君
      佐野 嘉吉君    林  大幹君
      原田  憲君    村上 茂利君
      森  美秀君    綿貫 民輔君
      佐藤 観樹君    沢田  広君
      山田 耻目君    貝沼 次郎君
      坂口  力君    高橋 高望君
      荒木  宏君    永原  稔君
  金融機関の週休二日制に関する小委員長
                綿貫 民輔君
―――――――――――――――――――――
昭和五十三年十月十三日(金曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 大村 襄治君
   理事 小泉純一郎君 理事 野田  毅君
   理事 保岡 興治君 理事 綿貫 民輔君
   理事 佐藤 観樹君 理事 坂口  力君
   理事 永末 英一君
      愛知 和男君    池田 行彦君
      宇野 宗佑君    小渕 恵三君
      大石 千八君    後藤田正晴君
      佐野 嘉吉君    坂本三十次君
      高鳥  修君    林  大幹君
      原田  憲君    本名  武君
      村上 茂利君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    伊藤  茂君
      池端 清一君    大島  弘君
      沢田  広君    只松 祐治君
      平林  剛君    山田 耻目君
      貝沼 次郎君    宮地 正介君
      高橋 高望君    山原健二郎君
      永原  稔君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
 出席政府委員
        内閣法制局第三
        部長      前田 正道君
        経済企画庁調整
        局審議官    廣江 運弘君
        大蔵大臣官房審
        議官      米里  恕君
        大蔵省主計局次
        長       加藤 隆司君
        大蔵省主税局長 高橋  元君
        大蔵省理財局長 田中  敬君
        大蔵省理財局次
        長       迫田 泰章君
        大蔵省証券局長 渡辺 豊樹君
        大蔵省銀行局長 徳田 博美君
        国税庁次長   米山 武政君
        国税庁直税部長 藤仲 貞一君
        国税庁調査査察
        部長      西野 襄一君
        運輸大臣官房審
        議官      杉浦 喬也君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局取引部景
        品表示指導課長 土原 陽美君
        経済企画庁総合
        計画局審議官  高橋 毅夫君
        国土庁地方振興
        局離島振興課長 永井 誠一君
        大蔵大臣官房地
        方課長     岡上  泉君
        大蔵省銀行局保
        険部長     貝塚敬次郎君
        文部大臣官房総
        務課長     大崎  仁君
        厚生省社会局保
        護課長     高峯 一世君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 田淵 孝輔君
        消防庁震災対策
        指導室長    大竹山龍男君
        日本専売公社営
        業本部部長   石井 忠順君
        大蔵委員会調査
        室長      葉林 勇樹君
    ―――――――――――――
委員の異動
十月二日
 辞任         補欠選任
  高橋 高望君     小平  忠君
同月三日
 辞任         補欠選任
  沢田  広君     藤田 高敏君
同日
 辞任         補欠選任
  藤田 高敏君     沢田  広君
同月四日
 辞任         補欠選任
  宮地 正介君     矢野 絢也君
同日
 辞任         補欠選任
  矢野 絢也君     宮地 正介君
同月六日
 辞任         補欠選任
  沢田  広君     岡田 春夫君
  小平  忠君     高橋 高望君
同日
 辞任         補欠選任
  岡田 春夫君     沢田  広君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  高橋 高望君     米沢  隆君
  荒木  宏君     山原健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  米沢  隆君     高橋 高望君
  山原健二郎君     荒木  宏君
    ―――――――――――――
九月二十八日
 政府系中小企業向け金融機関の既往貸付金利引
 き下げに関する請願(渡辺武三君紹介)(第二
 五号)
 同外二件(中川秀直君紹介)(第二六号)
 同(横山利秋君紹介)(第二七号)
 大幅減税による景気回復と生活安定等に関する
 請願(池田克也君紹介)(第六〇号)
 同(河村勝君紹介)(第六一号)
 同(小平忠君紹介)(第六二号)
 同(高橋高望君紹介)(第六三号)
 同(西村章三君紹介)(第六四号)
 同(山田太郎君紹介)(第六五号)
十月二日
 政府系中小企業向け金融機関の既往貸付金利引
 き下げに関する請願(青山丘君紹介)(第一九
 一号)
 同(鳥居一雄君紹介)(第二六一号)
 同(西中清君紹介)(第二六二号)
 大幅減税による景気回復と生活安定等に関する
 請願外六件(飯田忠雄君紹介)(第一九二号)
 同外二件(大島弘君紹介)(第一九三号)
 同(北側義一君紹介)(第一九四号)
 同(渋沢利久君紹介)(第一九五号)
 同外一件(下平正一君紹介)(第一九六号)
 同(新盛辰雄君紹介)(第一九七号)
 同(高沢寅男君紹介)(第一九八号)
 同外二件(松本忠助君紹介)(第一九九号)
 同外二件(浅井美幸君紹介)(第二六三号)
 同外四件(新井彬之君紹介)(第二六四号)
 同(有島重武君紹介)(第二六五号)
 同外五件(池田克也君紹介)(第二六六号)
 同外二件(石野久男君紹介)(第二六七号)
 同外二件(岩垂寿喜男君紹介)(第二六八号)
 同(大野潔君紹介)(第二六九号)
 同(大橋敏雄君紹介)(第二七〇号)
 同外一件(太田一夫君紹介)(第二七一号)
 同外一件(沖本泰幸君紹介)(第二七二号)
 同(貝沼次郎君紹介)(第二七三号)
 同(北側義一君紹介)(第二七四号)
 同(草野威君紹介)(第二七五号)
 同外一件(小林進君紹介)(第二七六号)
 同(権藤恒夫君紹介)(第二七七号)
 同(沢田広君紹介)(第二七八号)
 同外一件(柴田健治君紹介)(第二七九号)
 同外二件(竹内猛君紹介)(第二八〇号)
 同外一件(村山喜一君紹介)(第二八一号)
 同外二件(山田耻目君紹介)(第二八二号)
 同外一件(渡辺三郎君紹介)(第二八三号)
同月四日
 一般消費税新設反対等に関する請願(安藤巖君
 紹介)(第四七〇号)
 同(不破哲三君紹介)(第四七一号)
 政府系中小企業向け金融機関の既往貸付金利引
 き下げに関する請願(安藤巖君紹介)(第四七
 二号)
 同(藤原ひろ子君紹介)(第四七三号)
 一般消費税の新設反対等に関する請願(坂口力
 君紹介)(第四七四号)
 大幅減税による景気回復と生活安定等に関する
 請願外一件(青山丘君紹介)(第四七五号)
 同外二件(浅井美幸君紹介)(第四七六号)
 同外五件(市川雄一君紹介)(第四七七号)
 同外五件(小川新一郎君紹介)(第四七八号)
 同(大久保直彦君紹介)(第四七九号)
 同外一件(近江巳記夫君紹介)(第四八〇号)
 同外一件(岡本富夫君紹介)(第四八一号)
 同外三件(長田武士君紹介)(第四八二号)
 同(河村勝君紹介)(第四八三号)
 同(北川義一君紹介)(第四八四号)
 同(草川昭三君紹介)(第四八五号)
 同外二件(斎藤実君紹介)(第四八六号)
 同外一件(坂井弘一君紹介)(第四八七号)
 同外一件(坂口力君紹介)(第四八八号)
 同(田中昭二君紹介)(第四八九号)
 同(竹内勝彦君紹介)(第四九〇号)
 同(中井洽君紹介)(第四九一号)
 同外一件(中野寛成君紹介)(第四九二号)
 同(渡辺武三君紹介)(第四九三号)
同月六日
 大幅減税による景気回復と生活安定等に関する
 請願外二件(池端清一君紹介)(第六三五号)
 同外八件(石田幸四郎君紹介)(第六三六号)
 同外二件(小川省吾君紹介)(第六三七号)
 同外二件(川崎寛治君紹介)(第六三八号)
 同(川本敏美君紹介)(第六三九号)
 同外一件(佐藤観樹君紹介)(第六四〇号)
 同(沢田広君紹介)(第六四一号)
 同(島本虎三君紹介)(第六四二号)
 同(多賀谷真稔君紹介)(第六四三号)
 同外一件(高田富之君紹介)(第六四四号)
 同外二件(塚田庄平君紹介)(第六四五号)
 同(中西績介君紹介)(第六四六号)
 同(芳賀貢君紹介)(第六四七号)
 同(広瀬秀吉君紹介)(第六四八号)
 同(美濃政市君紹介)(第六四九号)
 同外一件(横山利秋君紹介)(第六五〇号)
 同(受田新吉君紹介)(第七一五号)
 同(高橋高望君紹介)(第七一六号)
 同(玉置一徳君紹介)(第七一七号)
 同(米沢隆君紹介)(第七一八号)
 同(渡辺朗君紹介)(第七一九号)
 一般消費税の創設に関する請願(菅波茂君紹
 介)(第七一四号)
 一般消費税の新設反対等に関する請願(伊藤茂
 君紹介)(第七二〇号)
同月七日
 大幅減税による景気回復と生活安定等に関する
 請願外一件(阿部未喜男君紹介)(第八六七
 号)
 同外二件(石橋政嗣君紹介)(第八六八号)
 同(河上民雄君紹介)(第八六九号)
 同(北山愛郎君紹介)(第八七〇号)
 同(新村勝雄君紹介)(第八七一号)
同月九日
 みなし法人課税制度の合理化に関する請願(高
 村坂彦君紹介)(第九六四号)
 外国産葉たばこの輸入規制及び昭和五十三年産
 葉たばこ買い入れ価格の引き上げに関する請願
 (椎名悦三郎君紹介)(第九六五号)
 貸金業に係る規制措置強化に関する請願(椎名
 悦三郎君紹介)(第九六六号)
 大幅減税による景気回復と生活安定等に関する
 請願(板川正吾君紹介)(第九六七号)
 同外二件(岡田利春君紹介)(第九六八号)
 同(兒玉末男君紹介)(第九六九号)
 同(後藤茂君紹介)(第九七〇号)
 同(坂本恭一君紹介)(第九七一号)
 同(田畑政一郎君紹介)(第九七二号)
 同(竹本孫一君紹介)(第九七三号)
 同(楯兼次郎君紹介)(第九七四号)
 同外一件(馬場昇君紹介)(第九七五号)
 同外二件(伊藤茂君紹介)(第一〇五七号)
 同外二件(小川国彦君紹介)(第一〇五八号)
 同(只松祐治君紹介)(第一〇五九号)
 同外二件(平林剛君紹介)(第一〇六〇号)
 同外二件(松本七郎君紹介)(第一〇六一号)
同月十一日
 大幅減税による景気回復と生活安定等に関する
 請願(佐々木良作君紹介)(第一一一〇号)
 同(竹本孫一君紹介)(第一一一一号)
 同(加藤万吉君紹介)(第一一三七号)
 同外二件(藤田高敏君紹介)(第一一三八号)
 同外三件(岡田哲児君紹介)(第一二三七号)
 同外一件(中村正雄君紹介)(第一二三八号)
 同(西村章三君紹介)(第一二三九号)
 同(野口幸一君紹介)(第一二四〇号)
 同(野坂浩賢君紹介)(第一二四一号)
 同(春日一幸君紹介)(第一二四二号)
 同(和田耕作君紹介)(第一二四三号)
 みなし法人課税制度の合理化に関する請願(近
 藤鉄雄君紹介)(第一一三五号)
 同(塚原俊平君紹介)(第一一三六号)
 同(上村千一郎君紹介)(第一二三四号)
 同(田中龍夫君紹介)(第一二三五号)
 同(横山利秋君紹介)(第一二三六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
十月九日
 一般消費税の新設反対等に関する陳情書外三件
 (青森県上北郡野辺地町議会議長三上山長太郎
 外三名)(第二五号)
 昭和五十三年産葉たばこ収納価格引き上げ等に
 関する陳情書外七件(鹿沼市議会議長佐川良作
 外七名)(第二六号)
 たばこ・塩専売事業の民営化反対に関する陳情
 書(徳島県議会議長島谷敏男)(第二七号)
 貸金業の規制強化に関する陳情書外五件(三重
 県議会議長稲森登外二十六名)(第二八号)
 地震保険制度の充実強化に関する陳情書(愛知
 県議会議長真木勗)(第二九号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国の会計、税制及び金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○大村委員長 これより会議を開きます。
 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大石千八君。
#3
○大石委員 五十三年度補正予算も、予定より一日おくれたとはいえまあまあ政府の御意向どおり通過をいたしまして、これからいよいよ五十四年度の予算編成に向かって進むわけでありますけれども、きょうは、ちょうど五十三年度の補正予算も通ったことでありますので、現在の国の財政状況につきまして大蔵大臣に所感をお伺いしたい、また今後の中期的なあるいは長期的な展望を含めての御意見もお伺いしたい、こう思うわけであります。
 何といいましてもいまの国の財政状況は、公債依存度が非常に高いというところが非常に大きな問題であることは、私が申し上げるまでもないと思います。公債依存度も、特例公債が発行されるようになりました五十年度に二五・三%になりましたのを初めとして徐々にふえまして、五十一年度は二九・四%、五十二年度三二・九%、五十三年度、補正を終わったところで三七・六%という非常に高い公債依存率になっておるわけであります。したがいまして公債残高も、特例公債発行以前の四十九年度末には十兆円弱でありましたが、今年度補正を終えたところでは四十三兆円を超えるという公債残高でありますし、このまま推移いたしますと、四年後の五十七年度末には百二十兆円を超すのではないかという試算も出ているような状況であります。
 したがいまして、歳出に占める国債費もきわめて割合が多くなりまして、五十三年度補正後で三兆二千億という状況であります。四十九年度が八千五百億ということから考えれば、五十年以降の毎年毎年の特例公債を含めた国債依存度が非常に高くなっている、五十三年度に関しては歳出の一割近くの三兆二千億という国債費を支出しなければならないという状況になっているわけでありまして、大変に財政状況そのものが病んでいるといいますか、そういう状況であることは否定できないと思います。
 特に昭和五十年度あるいは五十一年度、最初のころは特例公債がなかなか国会の承認を得られなくて大分延びたことがありました。そのころ国会の意見としても、与野党とも、あるいは国民の心配事としても、特例公債というものをこのままけじめなしに続けることは国家財政にとってきわめて芳しくないことであり、インフレを招くのではないかという声が非常に強く出たわけです。それで大蔵省としては、たしか特例公債を五十五年度にはゼロにするという中期展望まで出されたと思います。
 そういう方針でなければならないという国会のコンセンサスみたいなものがあったにもかかわらず、特例公債の発行高は、減少するどころか、五十五年度に向かってゼロになるどころか、毎年毎年ふえ続けているということは、まあ人間の体にたとえてみれば病がだんだんひどくなってきている、こう言わざるを得ない。いろいろないきさつのある国家財政でありますから、すばらしい薬が発見されて一発でよくなるというような簡単なものではないと思いますが、少なくともこの病がさらに悪化しないということに関して全力を挙げるべきだ、それでないと将来に対して非常に大きな問題を残すのではないかというふうに私は考えるわけでありますが、大臣も同じ御意見――同じと言ったら大変含蓄の深い御意見を持っておられる大臣に対して失礼でありますけれども、大臣もそのような心配をされていると思いますが、御意見を承りたいと思うわけでございます。
#4
○村山国務大臣 いま大石委員の御指摘になった点が、実は財政問題としては最大の問題であるわけでございます。
 石油ショック後を考えてみますと、やはり石油ショックによりまして日本の景気が急に落ち込んだ、その上にいろいろな構造変化があったわけでございましそ、そういうものを反映いたしまして税収の伸びは極端に落ち込んだわけでございます。しかし今度は逆に、そのことがまた日本の今後の景気の立て直しを必要とするということになったわけでございます。そういう意味で、経常費の方は相変わらず従来どおりと同じようなペースで伸びてまいる。それから公共投資の方は、景気立て直しの面から財政主導型という形でふえている。にもかかわらず税収の方は、現実の経済を反映いたしまして、伸びは以前よりはるかに落ち込んできた、そのギャップが結局、現在の財政状況をそのまま物語っているのでございます。
 したがいましてわれわれは、財政収支の健全化を早く図らねばならぬ、こう思ったのでございますが、何しろ民間企業の体質がきわめて悪うございます。同時に直すことはなかなかむずかしいので、五十三年度当初予算におきましては、まず企業の体質改善の方を図っていこうということで、臨時異例の措置を講じました。したがって、従来からの財政収支のアンバランスというものはさらに一段と拡大されてきた、こういうことでございます。
 しかし一方、中期的な展望に立ってみますと、このままでいきますと、財政が経済に奉仕するというよりも逆に、財政が今度は経済の足を引っ張るおそれがたくさん出てくるわけでございます。特に心配いたしますのは、このまま公債がどんどんふえていくということになりますれば、いま御指摘のように公債費はどんどんふえていく、そういうことになりますと、歳出規模にもおのずから制約があるわけでございますので、財政というものは絶えずそのときどきの国民の要望に応じて機動的にやっていかにゃならぬのでございますけれども、それがだんだんできなくなってくるという問題がございます。
 それから、特にもし設備投資が少しよくなりまして、民間の資金需要が出てきたときは一体どうなるであろうかということを考えますと、これは大変なことになってまいりまして、財政資金のために民間資金をもし抑さえつけようとすればいわゆるクラウディングアウトになりましょうし、両方賄うとすれば過剰流動性の問題が出てくることは当然でございます。その場合に、金融操作だけでやれるかどうかという問題は、われわれは非常に困難であろうと思うのでございまして、これは過去の経験でも、そういう仕組みの上でやった金融操作がうまくいかなかったということを実は日本の経済は物語っているわけでございます。それであればこそ、新憲法下の財政法では、日銀引き受けを禁止してみたり、あるいは特例公債を原則として認めないという立場に立っているわけでございます。
 特にそのうちわれわれが心配しておりますのは、いわゆる四条公債でございますと、これは民間資金需要が出てきたときには一時ずらすとかおくらすということは可能なわけでございます。しかし、いわゆる経常経費を賄っている赤字公債については、これは何しろ人件費であり、あるいは社会福祉、年金とかこういった問題でございますし、文教の問題でございますので、全部裏づけに法律があるわけでございます。それではそれをその段階でベースダウンするとか年金は減らすというようなことはとてもできないということを考えますと、これは計画的にゃっていかざるを得ない。
 また、特に償還財源から考えてみましても、四条公債でございますと六十年の耐用年数ということで、計画的に百分の一・六を積み立てているわけでございます。償還財源があるわけでございますが、十年で、借りかえをやりません、こう言っておる赤字公債については、財源措置も実はとれていないのでございます。したがって私たちは、ただいま御指摘がありましたように、少なくとも赤字公債に依存する財政状況から早く脱却したい、このように考えておるのでございます。
 大石委員御指摘のように、前期経済計画におきましては、五十五年脱出ということが経済計画に織り込まれておったのでございますけれども、やはり需給ギャップの状況あるいは設備投資が盛り上がらないということからいたしまして、それがずれてまいりました。ことしは、それでは五十七年脱却ができるかどうかということを経済審議会の企画委員会で暫定試算をしてもらいまして、そしていわゆるCケースというものをお示ししたわけでございます。これは結論的に申しますれば、大体従来の中期経済計画、前期経済計画の線に従って五十七年度に脱却できるという線を示したのでございますけれども、具体的にはどうするかということは今後の問題にかかっているわけでございます。
 そこで、今後一体どうするのかという御質問でございますが、われわれはそういう厳しい財政状況にあることを考えまして、歳出についてはもちろんできるだけ冗費を省く、庁費等につきましては大体前年同額というふうにことしも概算要求の段階で示しておりまして、この線は貫いていきたいと思います。また、新規政策につきましては、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの方式で、新規政策をやるのなら何か一つ不要なものを見つけてつぶしてやってもらいたい、こういう方針をとっているのでございます。
 そして最後にでございますが、今度昭和六十年に向かいまして、経済計画の見直しをやるということでございます。われわれはいまの財政状況というものを強く訴えまして、そしてできるだけ早く脱却できるようなことを織り込んだ中期経済計画、これをつくってもらうように要請してまいりたい、かように考えているところでございます。
#5
○大石委員 財政状況そのものが特例公債を発行することになってから、努力するという意向にもかかわらず悪化をしている状況が大臣のお話でもうかがわれるわけでありますし、また、財政の悪化が経済の足を引っ張るということにもなるわけでありまして、この景気と財政健全化の問題とは、一面では大変議論の中で相対立するような面がある反面、また両方がうまくバランスをとってやっていかなければ日本の経済は健全に運営しないということにもなると思います。
 大臣お話しのとおり、財政というものを考えてみますときに、スクラップ・アンド・ビルドということは当然必要なことでありましょうが、過去もいろいろな努力をされてきたと思いますが、現実問題としてはっきりとしたスクラップ・アンド・ビルドが行われるといったケースはなかなかない。せめて公共事業費に伸縮を持たせて、ここのところがクッションになっているような状況で、大体どうも当然増というものが年々ふえてきているのを抑えるわけにいかない。したがって、新規政策ということもなかなかできないということでありますし、なかなかスクラップ・アンド・ビルドということは、言うはやすくと言っては失礼でありますけれども、行いがたい面があるようにも思います。
 また、日本の財政状況を考えましても、欧米先進国に比べるときわめて財政規模がまだ小さいといいますか、これは国民の租税負担率も低いものですから当然そうなると思いますが、まだまだいままでは、政府の財貨サービスの面においてもあるいは国民の租税負担においても欧米先進国の方が大きいということになります。急激に日本はそれに追いついておりますが、まだまだ多少の差があるというところだと思います。ですから、それでは財貨サービスを財政的に小さい規模でやって、小さな財源で賄っていくことができるかといいますと、やはり全体の傾向としてはそういうことはできないだろう。どうしてもある程度財貨サービスも大きくしなければならぬだろうし、それに伴って歳入というものをふやしていくということは絶対やはり考えなければならぬということになるだろうと思います。
 それにつけても、景気が回復すれば自然増収もあるのではないかという意見も一方ではあるわけでございますが、ことしの初め、ことしのことを考えてみまして、経済成長を六・八%ぐらいのところに置いたのが、補正予算編成以前には六%も割るのではないかという観測が出て、この補正で二兆五千億の事業規模の補正予算を組んだということになったわけでありますが、これで何とか七%を達成しようということでありますが、果たして七%成長が達せられ、そして予測以上の自然増収というものが今年度においてもある程度見通しがつき、あるいは来年以降もそういう見通しがつくものであろうかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
#6
○高橋(元)政府委員 五十三年度税収についてのお尋ねでございますが、八月の末までの税収の実績がわかっております。そこで八月末の税収の総計でございますが、いわゆる進捗率と申しますか、予算に対します税収入の実績で申しますと、本年は三七・七%、これは補正で三千億税収を落とした後でございます。これは前年が三八・九%でございましたので、八月末現在では一・二%前年の実績を下回っておるということで、八月までの状況で申しますと税収の出足は好調とは申せません。これから後経済がかなり順調に進んでまいったといたしましても、源泉所得税についての予算に対する税収のおくれ、それから法人税につきましてのおくれ、それがどういうふうにおさまっていくか、現在の段階ではまだ見通しがつかないわけでございますけれども、補正予算で特別減税三千億を減額した後の補正予算額を上回るということは期待することは非常にむずかしいんではないかと現段階で思っております。
 それから、五十四年度以降経済の回復が順調に進んでまいって、税の自然増収で、先ほど大臣からも申し上げましたような財政のギャップが埋まっていくかどうかという問題でございますけれども、この点につきましては、私どもは現在の財政の中には、言葉が適当であるかどうかわかりませんけれども、いわば構造的な不均衡というものがやや入っているのではないかというふうに考えております。大臣からもお話のありました財政収支試算で見ていただきましても、毎年毎年の五カ年の平均の名目成長率が一二%でございます。それに対して、経験的に言えばかなり商い租税の弾性値というものを考えて収入の試算をいたしておるわけでございます。ケースのCでも相当程度の自然増収で埋められない収入のギャップというものがあるということでございまして、したがって、今後の非常に高い経済成長がもはや望めない、そういう経済の見通しのもとでは、税の自然増収で財政の需要を賄う、そういうことはむずかしかろうというふうに考えておるわけでございます。
#7
○大石委員 そういうことになりますと、やはり歳入を、増税といいますか、いろいろな歳入を潤わせるということに対して全力を挙げなければならないというのは、これは国民的なコンセンサスも得られると思うし、国会におきましてもこの点は一致した意見だと思います。ただその歳入を潤わすための手段がいろいろ意見の分かれるところが一つあるわけであります。
 そういうことになりますと、一つには、ぜい肉を落とすということをさらにやっていかなければならぬでしょう。歳出を削減していくという努力を全力でやらなければならぬでしょう。それからもう一つは、国民に租税の負担を求めるということになっていきますと、その租税の求め方というのが大きな問題になってくると思います。一般消費税をやるということが非常に大きな問題になっている昨今でありますが、一般消費税の問題以外にも税収を潤わす道があるのかどうかということもまた考えていかなければならぬでしょう。その点では、歳出、経費の削減とともに不公平税制の是正もやはりやっていかなければならないということでございます。さらにそのほかにも、あるいは富裕税だとか法人税の加算だとか、そういうことをやるべきだという意見もありますけれども、果たして歳出経費の削減だとか、あるいは一般消費税に頼らないでそのほかの税収を求めることができるかということに関して、これはこの大蔵委員会でもたびたび議論が展開されているところでございますけれども、精いっぱいの努力をして、果たしてどの程度の不公平税制の是正だとか、その他現在、一般消費税以外で考えられる税収を見込めるのか、経費の削減はどの程度できるのかということをもう一度お尋ねしておきたいと思います。
#8
○加藤(隆)政府委員 前段の経費の削減の方でございますが、先ほど大臣が御答弁になりましたように、来年度で具体的に申しますと、二点ございまして、一つは、前年予算同額主義と申しますか、重要度の比較的薄い経費につきましては、前年同額というような考え方を強く打ち出しておるというのが第一点でございます。第二点は、スクラップ・アンド・ビルドというような考え方、こういうような二つの基本的な考え方で、従来とも努力をしておりますが、来年度の場合さらに厳しく見直しをしながらやっていこうという考え方でございます。
 ただ、社会保障その他のいろいろな財政需要を見ますと、そういうような経費の削減は前提条件でございますが、なかなか容易ではないので、できるだけ早い機会に税収の方でも援軍が来ないと財政の不均衡というのはなかなか回復できないのではないか、昨年の税制調査会の中期答申にもございますが、そんなように考えております。われわれといたしましては、主計局サイドといたしましては、御指摘の歳出の削減、それから受益者負担の適正合理化、この二点は、当然のことでございますが、より一層強力に推進したいと思っております。
#9
○高橋(元)政府委員 税制の面で申しますと、いま先生から御質問のありましたのは、まさに租税特別措置の改廃をどう進めていくかということが一番大きな問題であろうかと思うわけであります。
 租税特別措置の整理につきまして、五十一年度にいわゆる政策税制、それからそれ以外に所得税、法人税の基本的な仕組み等、考えるべきもの二つに整理いたしまして、政策税制につきましては、準備金、特別償却その他の制度の縮減ということに取り組むべきである、税負担の公平という観点から従来の制度の見直し聖行うべきであるということにいたしまして、それ以後、五十一年から五十三年まで年々租税特別措置の縮減を図ってまいりました。それによって、かつて法人税に関する租税特別措置による減収が法人税収の五%でございましたのが、現在では三・四%でございます。大体既応の三分の二程度まで圧縮いたしてきておりまして、現在、そういう意味の政策税制に基づきます法人税の減収は約千九百二十億円でございます。それの中の約半分が中小企業に関する政策税制でございますので、かなり圧縮が進んでおるものと思いますが、もちろん、これからも税負担の一般的な増加ということを国民にお願いする以上、こういう政策税制の整理に全力を挙げていかなければならないものと思っております。
 そのほかに、たとえば間接税について、これは主として従量税と申しますか、たとえば酒で申しますと、一キロリットル幾らとか、そういうような従量税でございますので、物の価格が上がってまいりますと税負担が下がっていく、したがって国民所得が上がりますと全体としての間接税の負担率が下がっていく、こういう関係にあるものが多うございます。そこで随時税率の見直しをやっておるわけでございます。五十年度に酒税の引き上げとたばこの値上げをさせていただきました。五十一年度には揮発油と自動車重量税の引き上げをさせていただきました。五十二年度には印紙及び登録免許税の引き上げをさせていただきました。今年度は御案内のように、酒税約二千億円、石油税二千億円、有価証券取引税三百三十億円、こういう増収を図っておるわけでございますが、主要のかなりの間接税に関する増収措置によりましても、各年の増収額というものには非常に限度があるというふうに思います。
 それから法人税でございますが、法人税の税負担は、国際的に見て各国とそれほどの差がないというふうに思いますが、税制調査会で昨年御審議をいただきましたいわゆる中期税制答申の中でも、若干の引き上げの余地がないとは言えない、したがって、今後経済の推移を見て適当な時期に税負担の増加ということも検討してみる必要があろうという御指摘でございますが、それにいたしましても、一%当たりの法人税は現在千五百億円程度というふうに見積もられておりますので、それほど大きな増収の余地がここから出てまいるというふうには考えられないわけでございます。
#10
○大石委員 時間もございませんので、大臣そして政府委員のお話を伺いましても、いずれにいたしましても現在の状況では、財政を健全化をさせるということに関しては、相当な努力が必要であり、また別難を伴うけれども、それをやっていかなければならないということの決意の表明でもあろうと思います。これは財政が非常に悪化をしているという状況は、言ってみれば中期的、長期的に見て景気の足を引っ張るということにもなるわけでありまして、この辺のこともやはり幅広く国民のコンセンサスを得る努力をもっとやっていかなければならないだろうと思います。
 そういう意味で、税金というのはだれも取られたくはないし、できることならば、財貨サービスはやってもらいたいけれども税負担はごめんだというのは人間の心理であります。そういう心理がありながら、なおかつ健全に財政運営をしていくというのはなかなか困難な問題であろうと思いますが、その辺を平常心に返りながら、余り肩を怒らして感情論とか、あるいは政治の社会ですから生臭いことになるかもしれませんけれども、それが政争の具にされるということがやはり国民の不幸になるということを考えますと、なるべく平常心の中で、率直でしかも現実をありのままに議論をしながら国民に納得をしてもらえるということをこれからさらにやっていかなければならぬだろう、こういうふうに考えておるわけでございますが、あくまでもこの財政上の問題は、景気の回復とかあるいは経済の今後の健全な運営にとっても非常に重要になるということを私も認識をしているわけでありますが、最後に大臣に、簡単で結構でございますが、その辺の決意のほどを表明していただきたいと思います。
#11
○村山国務大臣 全く委員の御指摘のとおりでございまして、景気の方は非常に敏感にわかるわけでございますけれども、伏在しておる財政問題というものはどこの国でもなかなかわかりにくい話でございます。それだけにわれわれは今後率直に、財政のある赤裸々な姿をぜひ国民の各位に御理解を願いまして、そして財政健全化という問題が、政府の問題でもなければだれの問題でもない、やがてわれわれ一人一人の問題だということをやはり理解してもらうようにぜひ努めてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#12
○大石委員 終わります。
#13
○大村委員長 池端清一君。
#14
○池端委員 まず最初に、納税者番号制度の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 国税庁は去る九月の二十六日、納税者番号制度に関する検討の概要を明らかにして、税制調査会に提出をいたしました。税調はこれを利子配当の総合課税の移行論議の中で検討していく、こういう方針だというふうに聞いておるわけであります。
 利子配当所得課税の源泉分離選択課税のこの制度につきましては、私どももかねてから不公平税制の典型であって、その是正を強く求めてきたところであります。今回示されました納税者番号制度が、総合課税化に際して税金逃れ防止対策としては一つの有力な手段であるということは私も否定をしないわけでありますが、しかし利子配当所得の捕捉の方法が納税者番号制度以外に方法がないんだ、全く他に方法がない、こういうふうに考えられておるのか、また、そのほかにも幾つか方法があるのだけれども、この制度の方がよりすぐれているというような見地から、今度この納税者番号制度について税調に示されたのか、その辺の経過、経緯についてまず最初にお尋ねをしたいと思うのであります。
#15
○高橋(元)政府委員 ただいまお話がございましたように、税制調査会は九月十二日から、利子配当所得の総合課税を現実に可能にする方法、そのための所得の把握ということが基礎でございますから、所得の把握を確実にやれる方法というものについての検討を進められております。
 そこで、いまお話の出ました納税者番号制度でございますが、これもその利子配当所得の総合課税を実施するための把握体制の整備の方策の中の一つでございます。
 利子配当所得を総合課税にいたすということは、これは、総合課税の方向に向かって移行してまいることは当然だと思いますが、そのためには本人を確認する、本人確認、確実にこれは預金者または株式の所有者本人であるということを確認するということが一つでございます。それから確認された場合に、その本人に利子配当の支払いをするわけでございますが、支払われた利子配当が確実に名寄せされて、その本人に総合課税の資料として把握されておる必要があるわけでございます。そのための方法はいろいろございますけれども、外国の事例等も参照いたしますと、具体的な制度として納税者番号制度の導入ということを考えてみる必要があるという御意見でございまして、税制調査会でまずこれを取り上げておるわけでございます。したがって、納税者番号制度のメリット、デメリットと申しますか、それの有効性、それからまたそれ以外の方策、そういうものを含めて幅広い検討がこれから続けられていくというふうに私どもは考えております。
#16
○池端委員 所得把握の方法の一つである、こういうお話でございましたので、他にも幾つかの方法がある、こう思うんですね。それはまた具体的にひとつお尋ねをしたいと思うのでありますが、今回のこの納税者番号制度については、いろいろ世論の批判もあるところであります。国民総背番号制問題に連動するのではないかといったような批判もあるわけであります。こういう問題の多い納税者番号制度をとらなくても、所得把握の方法というものは可能である、こういうふうに考えておるわけであります。
 全くの私見ではございますけれども、たとえば源泉徴収税率を四〇%以上引き上げるといったような方法、あるいは架空名義の版金等を厳重に罰則をもって禁止するとともに、税務職員の立入調査権を明確にしていくといったような問題、あるいは配当についても、少額配当については確定申告が現在不要になっておりますけれども、この確定申告不要制度というものをやめて確定申告を義務づける等々、いろいろな方法等が考えられると思うのであります。こういうような方法によって十分捕捉は可能であり、また現行の税制に比べて格段に公平になる、こういうふうに私は思うのでありますが、これについてはどのようにお考えでございましょうか。
#17
○高橋(元)政府委員 いま幾つかの方法のお示しがございました。私どもは先ほど申し上げましたように、本人確認と所得の総合、名寄せということが両方可能な制度としていろいろなものがあるであろう、しかしその中で、外国の事例等を参照いたしますと、納税者番号制度というものが、その使用に十分な意を用いればかなり適当な方法と申しますか、非常に適当な方法の一つであろうと考えておるわけでございます。そこで現在検討を進めておるわけでございますが、いまお示しがありました方法につきましても、現在始まっております税制調査会の審議の過程において検討を加えてまいりたいと思います。
 この際、先生からお話のございました幾つかの制度についてでございますが、金融機関で架空名義預金を禁止するということにつきましては、これは銀行局が銀行、金融機関の監督上厳格に指導してきているところでございます。税制上の問題といたしましても、非課税貯蓄申告書というのでございますか、マル優の預金口座開設の際に申告書を提出いたしますと、本人物住所、氏名を確認するために、住所、氏名を証明するような公的な書類の提示を求めるというのが現行の制度の中に盛り込まれております。それから、立入調査権につきましては、所得税法上の質問検査権の行使によりまして、現在必要に応じて行ってきておるわけでございます。
 それから、配当所得の申告不要制度、年十万円以下の配当所得については確定申告の義務を免除しておりますが、申告不要制度につきましても、現有実質的にいわば一極の源泉分離課税になっておるのではないかと思われますので、利子配当所得を総合申告制度に持っていく、完全に総合申告に移行するというときの問題点の一つとして、これも税制調査会その他で検討をいただくつもりにいたしております。
 その他いろいろな方法があろうかと思いまして、それらについて包括的に勉強してまいるつもりでございますけれども、要は利子配当の所得を得られる方が真実に本人名義で預金または株式の取得の行為をなさるかどうかというところが一つの眼目でございます。それらの点につきましては、現在たとえばマル優の預金で申しますと、これはたしか一億四千万口座でございましたか、非常な数に上っておりますので、現在の税務署員の努力だけでは対応するにしても限度があるということもこれまた御理解いただかなければならないと思いまして、そういう全体の事態を考えまして、私どもは先ほどから申し上げておりますように、納税者番号制度というものについて検討を進めておるということでございます。
#18
○池端委員 この試案によりますと、所要経費の試算が出ておるわけであります。全国民付番制度にいたしますと、開発費用が百億円、運用費用が初年度六百五十億円から千五百億円、経常年度で二百億円から三百五十億円、有所得者付番制度にいたしますと、開発費用が二十億円から二十五億円、運用費用が初年度で百五十億円から三百五十億円、経常年度で百五十億円から二百五十億円、率直に言ってコストが非常に巨額に上るわけであります。もちろん超大型の電算機等の導入も必要になってくるわけであります。一方、利子配当所得の特例措置で減収になっている分は幾らかといいますと、大蔵省の試算によると年間約三百七十億円だ。こういうふうになりますと、率直に言ってコストのわりにメリットは少ないわけであります。
 そうすると問題になるのは、これは単に徴税上の用途のみだけに役立てるものではないのだな、もっと広範囲な用途を当然考えているのではないか。これはそうではないとおっしゃると思うのでありますが、そういう勘ぐりが出てくるのは当然であります。要するにプライバシーの問題が当然出てくるわけであります。試案では、納税者番号は公開をしない、第三者の照会に応じないことにするのが適当だと考えるがどうか、こういう問題提起をされております。したがって、一応は徴税上の用途のみに役立てるのだという姿勢が見られるわけでありますが、しかし、これだけで本当に信用していいのかどうかというと疑問なきにあらず、背番号システムの乱用、国民総背番号制への連動、こういうものにならないという保証はない、こういうふうに考えるわけであります。ここが国民の非常に懸念するところでございますが、この点についてはいかがでしょうか。
#19
○米山政府委員 先生御承知のように、納税者の守秘義務につきましては、税の執行当局としては何にも増して大事なことと思いまして、そういう趣旨で運用しております。したがいまして、仮に納税者番号制度を導入する場合におきましても、これは税の適正かつ公平な執行のため、こういう趣旨でございますので、私どもといたしましては、これはもちろん公開せず、また第三者からの照会にも応じない、こういうことによってプライバシー保護は十分貫けると考えております。そういう趣旨を法律上の規定をもって定めるかどうか、こういう点につきましても、各方面から十分御検討いただきたいと思います。
 繰り返し申しますが、私どもは、納税者の守秘義務の尊重、こういうことについては、今後とも何にも増して大事なものとして執行上十分配意してまいりたいと思っております。
#20
○池端委員 いま御答弁がございましたが、非公開の原則だけでは国民の不安は消えない、こう思うのであります。データの収集によっては税務以外のいろいろな目的に利用される可能性がないとは言い切れないわけです。政府による国民のコンピューターによる管理、政府による国民の監視機構への拡大、こういう不安があるわけでありますので、それではこれについて具体的な歯どめ策というものがあるのかどうか。ただそういうものには利用しません、守秘義務は守りますという答弁だけでは、このプライバシーの問題は疑念は消えないと思うのであります。したがって、そういうような問題については、これは利用しないという具体的な歯どめ策があるのかどうか、これについて重ねてお尋ねをしたいと思うのであります。
#21
○米山政府委員 この間の税調の討議におきましても、税務当局としては、これを公開せず、また第三者からの照会にも応じない、こういうことによってプライバシー保護は置けると思っております。しかしながら、先生いま御質問のようないろいろの問題がございますので、今後の税調の議論等、あるいは各方面からのいろいろの御意見を伺いながら、そのプライバシー保護という点については格段の配慮をしていきたいと考えております。
#22
○池端委員 きょうはほかにも質問がございますので、まだこの問題は試案の段階でございますから、また機会を見まして改めてお尋ねをしたいと思うのでありますが、最後に大臣にひとつお尋ねをしたいと思うのであります。
 先ほど来からも答弁がありますが、この制度はアメリカ等でも導入しておるようであります。しかしアメリカでは、社会保障番号、社会保険番号というような訳し方もしておりますけれども、これから出発して、後にそれを納税等に利用するという形をとっていると聞いておるわけであります。アメリカでやっているから日本でもということにはこれは必ずしもならないと思うのであります、歴史的、社会的な事情が異なりますから。しかしともあれ、この納税者番号制度については、プライバシーの侵害の問題あるいは基本的人権侵害の問題等でいろいろな声、批判があるわけであります。したがって、いま検討の段階でございますから、いまの段階で何とも言えないとは思いますけれども、この国民の不安感が続く限りこの問題は導入を急ぐべきではない、拙速主義で事を処理しては物事を誤る、こういうふうに私は思うわけでありますが、この問題について大臣の御見解を承りたいと思うのです。
#23
○村山国務大臣 この納税者番号制度の導入の問題とプライバシーの問題というのは、非常に重要な問題だと思うのでございます。そういう意味で、いま税調においていろいろ御討議願っているわけでございます。ですから、その結論が出る前に、やはりこれらの制度がプライバシーを破ることにはこういう担保の方法でやるとか、そういうことが十分理解されないと、これは大変な話になるだろうと私も存じておるわけでございます。
 税務当局といたしましては、仮に導入されるという場合にはもちろんそういうことは万々ないようにするわけでございますが、また一方におきまして、それが社会保障制度にも有効に使えるかどうか、そういったものもあわせて総合的に検討して、そして国民のコンセンサスを得ることがぜひ必要であろう、その点は私は同感でございます。
#24
○池端委員 それでは次の問題についてお尋ねをしますが、次は、北海道財務局小樽財務部の廃止問題についてであります。
 政府は昨年十二月二十三日、この行政機構改革について閣議決定をいたしました。その中で大蔵省関係では、五十三年度に一財務部を廃止するほか、さらに一財務部を廃止するものとする、こういう決定がなされているわけであります。
 そこで、まず最初にお尋ねをしたいのは、全国に財務部というのは幾つあるわけですか。そしてまた、さらに一財務部を廃止するという一財務部とはどこを指しておるのか、まずこのことをお尋ねしたいと思うのです。
#25
○岡上説明員 お答えいたします。
 現在、財務局財務部は全国に四十二ございます。
 それから、さらに一財務部を廃止するというその一財務部につきましては、現在私たちは五十三年度において廃止する一財務部、これは小樽財務部を廃止したいと考えておりますが、このことに現在精力を集中しておりまして、さらに一財務部と申しますのは、場所も期限も明示されておりませんが、現在のところどの財務部をこれに当てるというようなことの検討には至っておりません。まず小樽を円滑に整理する、そういうことに現在力を注いでいる段階でございます。
#26
○池端委員 全国に財務部が四十三ですか。
#27
○岡上説明員 はい、そうでございます。
#28
○池端委員 四十二ある財務部のうち、小樽財務部を五十三年度廃止したい、もう一つの財務部についてはまだ全然見当もついておらぬ、こういう話ですね。
 四十二あるうち、なぜ北海道の小樽財務部だけがその廃止のやり玉に上がったのか、その具体的、科学的な理由をひとつお尋ねをしたいと思うのです。
#29
○岡上説明員 お答えいたします。
 私たちが最終的に小樽財務部というものを内定いたしましたのは、全国にございます財務部をしさいに検討いたしまして、まず第一に小樽の所在地、現在非常に交通事情が発達してまいりまして、四、五十分で札幌から小樽に行かれると思いますが、そういうような交通事情、あるいはその出先が行政事務の対象といたしております地方公共団体あるいはその国有財産等々の事務量全体、あるいはそこに存在する人口、その他もろもろの経済指標答を総合的に勘案いたしまして、小樽財務部がその点では一番適当でないかというふうな考えで内定させていただいたわけでございます。
#30
○池端委員 どうもすっきりした答えではないのでありますが、これは本年三月二十三日に全財務の労働組合と当時の地方課長との交渉の際、一体なぜ小樽を廃止するのかということを質問したのに対して、絶対に小樽でなければならないという理由はないのだ、こう言っておるのであります。しかも、強いて理由を挙げるとするならば、昭和四十六年の行政改革時に小樽廃止が出された経緯がある、前にも一回そういう話が出た経緯があったということや、いま課長が言われたように交通事情がよくなった。札幌と小樽の間は四十分か五十分で行けるということがどうしてその理由になるのか私にはわかりませんけれども、ともかく交通事情がよくなったことを交渉の中でも言われているわけであります。これでは癖直に言って、廃止の科学的、合理的な根拠が全くないと言わざる逆得ないと私は思うのでありますが、もう少し私どもにわかる、本当にああそうかと納得できる理由をひとつ示していただきたいと思うのです。
#31
○岡上説明員 手元に詳細な計数的なデータをいま持ち合わせておりませんので、この場で計数的な根拠に基づいて御説明するのはいまの段階ではできないかと思いますが、先ほどもお答え申しましたように、全国的に全財務部というものを総当たりいたしまして、その中の小樽が行政機構の簡素化という見地からは一番適切ではないかというふうなことを決めさせていただいたわけでございます。
#32
○池端委員 そういう答弁ではどうも納得できませんね。もう少し皆さんに本当にすとんと落ちるようなお答えをしていただきたいと思うのですよ。
 小樽財務部というのは、私から言うまでもなく皆さんよく御承知のように、小樽市及び北海道の後志支庁管内の十三町六村にまたがった、総面積は四千三百平方キロメートルのところです。課長、四千三百平方キロメートルというのはどういう県に相当すると思いますか。隣におられる綿貫先生の富山県……
#33
○岡上説明員 日本の一府県相当かと思います。
#34
○池端委員 富山県ですよ。そしてまた石川県にも匹敵するぐらいの、西横を持っているわけであります。単に面積が広いというばかりではなくて、後志管内は御承知のように、背ニシン場のあったところで、北海道でも非常に歴史の古いところでございます。それだけにいろいろ特殊事情もあるわけであります。最近は小樽市は、札幌経済圏に巻き込まれて地盤沈下が激しいと言われております。いま市民挙げてその斜陽化を食いとめるために必死の努力をしているわけであります。ここで財務部が廃止になるということは、地域経済に与える影響ははかり知れないものがあると思うのです。
 しかも聞くところによりますと、当初大蔵省の行政改革は、南北九州財務局の統合というような問題も話題に上った。しかし結局この問題も御破算になって、そのしわ寄せが小樽にきてしまった。大事なところは全然手をつけないで、末端の弱いところをいじって、行政改革をするという姿勢に大きな問題を私は感ずるわけでありまして、まことに合理性のないものと言わざるを得ないと思うのでありますが、この点はいかがですか。
#35
○岡上説明員 確かに私の記憶では、昨年の行政改革の検討につきまして、南北財務局の問題が検討されたということは記憶しておりますが、それと小樽財務部の廃止とは直接の因果関係を持っていると私たちは、受け取っておりません。
 それから、科学的根拠と先生から御指摘いただきましたが、私も十分その小樽財務部のバックグラウンド、現状というものから、ただ廃止しっ放しでは地元の方々に大変御迷惑をおかけするということで、できるだけ現在の機能、地元に密着しました財務部の機能を損なわない限りにおきまして、現地処理機関としましての出張所を置いてこれに対処したいと考えておるわけでございます。
#36
○池端委員 北海道財務局の藤沢局長はこういうことを言っておられるわけであります。小樽財務部の出張所への移行は最小の犠牲で行革を切り抜けるための妥協の産物である、こういうふうにまで言っている。当局にとっては最小の犠牲でも、地元民にとってはこれは最大の犠牲である。もしこういう発言が事実であれば全く重大な発言と言わざるを得ないのであります。しかも、出張所になっても従来と同じ権限を持つように本省に要請しており、本省もそのように考えている、そうなれば組織規程の七十五条の中に別の項目を設けて制度的に明確にするとまで言っているわけであります。そうであるならばなおのこと、あえて地元の強い反対を押し切って出張所に移行しなければならないという必然性はないんじゃないか、そういう理由は全くないのではないかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
#37
○岡上説明員 最初の現地の局長がどのような応接をされたかにつきましては、私も直接存じておりませんので、また闘い合わせてみたいと思っております。
 それから、実質的に同じ機構を残すならば廃止の必要がないのではないかという御指摘ございますが、一方では出張所――現在出張しておりますのは、もっぱら国有財産あるいは宿舎関係の管理、処分をやっているわけでございますが、それにとどまらず新しい出張所には理財事務の地元と関連の深い仕事を与えますが、一方では金融機関の監督など財務局に引き上げて一元的に運営しても差し支えない、あるいは地方との利便を損なわないというふうな仕事については局に引き上げたい。でございますから、いわば一種の縮小的な改組ということに当たりまして、単なる看板を塗りかえるとか、そのまま実質残っているというわけでもないかと存じております。
#38
○池端委員 いまの課長の答弁は、北海道に対する認識というものは全く欠如しているのではないかと思います。単に北海道には六つの財務部があるからそのうちの一つぐらいはなくしてもやむを得ないだろうというような認識でありますならば、これは道民を愚弄するもはなはだしいと言わなければならないと思うのです。さっきから面積のことを言って恐縮でありますが、北海道は御承知のように、東北六県に新潟県を合わせた面積にほぼ等しい、全国西横の約二二%を占めているのです。(発言する者あり)いま独立という話もありましたけれども、北海道分県論すらきちっと議論もされている、こういう状況なわけです。だから、他の都府県と全く同じような形で北海道を見ていくということは非常に大きな誤りを犯すのではないか、こう思うのであります。
 しかもこの小樽財務部は昔から管財さんというふうに言われておりまして、住民にも非常に愛された、密着した、そういう組織になっているわけであります。私は別にこの小樽を基盤としている選挙区ではございません。だから別に我田引水で申し上げているのではございませんが、そういうこともひとつ十分認識をしてもらいたい、こう思うのです。しかも小樽市は、すでに市議会で二度にわたって全会一致で反対の決議をしております。管内の町村会も同様な決議を上げておりまして、地元の廃止反対の意向は強いわけであります。
 そこで大臣にお尋ねをしたいのでありますが、このような地元の強い反対、存続の要望というものは非常に強いわけであります。むしろこれは大蔵省にとってはありがたいことだと思うのでありますよ。この反対を押し切ってまで強行する、廃止に踏み切る、こういう考えはない、こういうふうに私は確信をいたしておりますけれども、その点大臣の見解はどうでしょう。
#39
○村山国務大臣 現にあります財務部に限りませんけれども、役所の支分部局というのはみんなそれなりの理由があって存在しておる、また私は機能をそれなりに発揮しておると思うのでございます。しかし一方におきまして、行政整理の問題というものは、また国全体の立場から考えますと必要なこともよくわかるわけでございます。また定員の削減の問題等も同じ問題でございまして、どこも遊んでいるところはそうないとは思いますけれども、やはり対国民との関係を考えますと、できるだけ行政の能率を上げていくということもまた国民のサイドで立てばよく理解できるところでございます。
 そういう中で、やはり大局的見地から財務部をことし一つなくせ、縮小せよ、こういうことでございますので、われわれも行政官庁の一員といたしまして、これに協力しなければならぬ立場であるわけでございます。どこを選ぶかという問題は、確かに数学的な見地で直ちにこの理由なるがゆえに小樽ということはなかなか出てまいりませんでしょうけれども、たとえば仮にその代替として出張所をどういう機構で置くかということとあわせ考えつつ、交通の利便の問題もございましょうし、あるいは全体との仕事の量、金融機関がどれぐらいあるのか、貸付残高はどれぐらいあるのか、あるいは普通財産がどれぐらいあるのか、そこでの人口はどれぐらい、面積もまた一つの理由になると思います。しかしそういったものを総合勘案いたしまして、まあわれわれは全体の行政改革の方向に沿っていくとすれば、最小限度の行政整理の方向に合わせていかざるを符ないし、同時にまた、いま持っております国民へのサービスというものをそれなら全然やめてしまうということもいかがなものであろうか、こういうことを彼此勘案いたしまして、所要のものにつきましては出張所機能の中に残しつつ、しかしまた大局的見地から、財務部というものを廃止するという方向には沿っていかざるを得ないと考えているわけでございます。
 いま考えておりますのは、札幌の本局で代行して地元に少しも迷惑がかからないというものを考えますと、銀行検査の機能というようなもの、これは大きな問題でございますけれども、これは財務局でやってもらうというような方向で考えざるを得ないのではないかといま考えているところでございます。
#40
○池端委員 この問題について、六月六日の参議院の内閣委員会で荒船行政管理庁長官は、「聞く耳は持たぬと、反対があっても構わずやっちまうというようなことは絶対考えておりません。」地元に強い反対がある、それにも構わずしゃにむに押しつけるというようなことはしないと長官も言っておられるわけであります。私は、この種問題はあくまでも地元の理解と納得が前提にならなければならないと考えるわけであります。端的に言って、地元の理解と納得、協力というものが前提だ、こういうふうに大臣は理解されているかどうか、その点だけ重ねてお尋ねをしたいと思います。
#41
○村山国務大臣 地元の理解と納得をぜひ得たいものと考えておりまして、鋭意その件についていま御説明申し上げ、理解を求めつつある段階でございます。
#42
○池端委員 それじゃ次の問題、時間もございませんので簡単にお尋ねをいたしますが、函館ドックの合理化の問題に関連をしてであります。
 御承知のように、造船業界は深刻な不況に直面をしておりまして、道内の函館ドックの場合も深刻でございます。いま第一次の合理化に引き続いて第二次の合理化の問題をめぐって労使の交渉が行われている最中であります。
 私がいまから申し上げる問題は、四日の衆議院予算委員会でもわが党の横路代議士が取り上げた問題でもございます。また、十月七日の北海道議会におきましても取り上げられた問題でありますが、ドックの準主力銀行である北海道拓殖銀行が、希望退職という名の人員整理の枠や労働条件等について強く会社側に要求をしている、労使交渉に不当に介入しているという事実が取り上げられたわけであります。道議会では北海道知事も、具体的な銀行名は挙げませんでしたけれども、関係筋に労使関係にも十分配慮してほしい旨の申し入れを行ったという旨の答弁をしておるわけであります。
 銀行局長は、昨年の秋、金融界の代表に対して、銀行が融資をする際にこのような人員整理を条件とするようなことがないように、そういうことをしないように申し入れたということも聞いておるわけであります。このように金融機関が労使交渉に介入したとするならば問題は非常に重大である、私はこう思うのでありますが、それについての御見解を承りたいと思うのであります。
#43
○徳田政府委員 一般的に申しますと、銀行が預金者保護の立場から融資先の企業の健全性ということに関心を持つことは当然でございます。しかしながら融資に当たりまして、企業の労使の問題に介入することが適当でないことはもちろんでございますし、特に融資に当たりまして、経営者の意向に反してまで直接人員整理を条件とするようなことは好ましくないわけでございますので、先生御指摘のとおり、昨年十月二十二日に全国銀行協会その他各金融機関にそのような示達をしたわけでございます。
 先生御指摘の今度の函館ドックの問題でございますが、これにつきましては、その後関係金融機関あるいは当事者との間で、そのような介入事実はないというような否定がなされておるようでございますけれども、今後とも実態を調査いたしまして、万々一そのようなことがありますれば、この点についてはさらに指導をしてまいりたい、このように考えております。
#44
○池端委員 大臣に最後にお願いをしておきたいわけでありますが、現在函館ドックの労使は第二次の合理化の問題をめぐって交渉中でございます。その会社側の提案内容は非常に厳しいものです。五十三年度は定期昇給もベースアップもしない、基本賃金は六・五%十月からカットする、五十三年度の夏冬の一時金は支給をしない、こういうような非常に厳しい内容でありますけれども、組合側も、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍ぶ、こういう立場から、会社再建のために協力しようということで、交渉は大筋で合意の方向をたどっておるわけであります。その段階で金融機関がいろいろこの問題について介入をするということになれば、せっかくまとまりかけた労使交渉も御破算になりかねない、こういうようなことにもなるわけであります。したがって、いま局長からもお話がありましたが、事実を十分調査されまして、昨年秋の申し入れに沿って十分に今後とも関係金融機関を指導していただきたいということを要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#45
○大村委員長 沢田広君。
#46
○沢田委員 大臣には連日で、予算委員会に続いて御苦労さまであります。敬意を表しておきたいと思うのであります。
 また続いて質問でありますが、これは大臣の方から先にお聞きをしていきますが、先般IMFの中期シナリオというのが提起といいますか、提出をされたようであります。この中期シナリオというもののわが国における取り扱いといいますか、受けとめ方はどういう立場で受けとめておられるのか、また同時に、これは経済企画庁においてもこの中期シナリオについてどういう姿勢で受けとめているのか、これも簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
#47
○村山国務大臣 このシナリオの性質につきましては、暫定委員会の冒頭に専務理事から説明がございました。その要旨を申しますと、これはもちろん見通しでもございません、またいわんや計画であるわけではございません、一つの可能性の一種の極限をかいてみました、こういう可能性もわれわれの方で計算いたしますと出てまいりますということでございます。したがいまして、われわれの方も一つの参考資料として受け取っているわけでございます。
#48
○沢田委員 今年度の成長率七%ということで、いろいろ今日まで議論を続けてまいりました。いま私たちと政府との見解には差がありまして、今年度七%成長むずかしい、われわれはそう見ているわけです。政府は、大丈夫だと言って、補正予算、さらに次の補正予算あるいは公定歩合というものを考えながら七%成長を何とか実施をしたい、こういうことであります。アメリカは三・五%、カナダが五%、西ドイツが四%、イタリアが三・五%、イギリスが三・五%、これが今年度の一応目標というふうに設定されております。これは首相が特に公約をしてきた事項でありますから、このことについては、高みの見物になるかどうか別といたしまして、やってごらんなさいというかっこうにいまのところはならざるを得ないのであります。
 来年度について六%、アメリカが四%、カナダが四%、西ドイツが二・七五%、イタリアが二・五%、イギリスが三・二五%、これで世界の主要な国々の経済のバランスが一応とれるというのがこの中期シナリオであります。これを日本としては、ことし七%でありますが、来年六%に設定をしていく考え方なのか、それとも、まあこれは経済企画庁では六・八%ぐらいに一応計画を設定されておるようであります。その点についての見解を承っておきたい、こういうふうに思います。
#49
○高橋説明員 ただいま先生が御指摘になりました計画ということでございますけれども、これは御承知のように九月二十五日に経済審議会の総会が開かれまして、総理より新しい経済計画の策定についての諮問が出されたところでございます。新しい計画につきましては、五十四年度を初年度といたしまして六十年度を最終目標年度といたします長期の経済計画をこれから策定するということで、目下経済審議会におきまして精力的に御審議をお願いしているところでございます。一応のめどといたしましては、来年の四、五月ごろには審議会より正式の答申をいただくということになっておりますが、来年の一月中ぐらいまでには概案という形で中間的に御答申をお願いする、そういう予定になっておりますので、計価の内容につきましてはまだ全く白紙でございます。
#50
○沢田委員 その中期シナリオというものについてはどういう受けとめ方をされているわけですか。
#51
○高橋説明員 IMFの中期シナリオにつきましては、先ほど大蔵大臣より御答弁がございましたように、正式のIMFの報告ではないようでございますし、経済企画庁といたしましては、それにつきまして正式にコメントをする立場にございません。
#52
○沢田委員 では、この問題は一応この辺で……。
 若干戻りまして、公定歩合は、三十四日ごろから日銀関係では会議を開くというふうにも言われておりますが、また、きょうの報道その他によれば、公定歩合を下げる時期というのはまだ未定である。しかし、七%成長はどうしてもむずかしい、これは公約ですから、その場合は、予算編成は間に合わないでしょうから、公定歩合を下げて何とかこれをおっつけなくちゃならぬ、こういう状況にあるんだと思うのでありますが、その点はどのように――これはうそを言ってもいいということが従来の慣行だそうでありますけれども、ここでもまた本音は言えないのかもわかりませんが、その方向としてはどういう方向で、そういうこともあり得るということなのかどうか、その点お聞きしたいと思います。
#53
○徳田政府委員 公定歩合の問題は、日本銀行の所管事項でございます。したがいまして、大蔵省からいま申し上げることは適当ではないかもしれませんが、現在の段階での一つの見方を申し上げますれば、もう先生御承知のとおり、現在金融は大幅に緩和しておりまして、市中の貸出金利は戦後最低の水準になっているわけでございます。また、企業から金融面におけるそういう金融の逼迫感、緩和感等についての調査をいたしましても、金融は十分に緩んでいるという状態にあるわけでございます。それからまた、企業の稼働率等を見ましても、これをさらに金利を下げることによって設備投資を誘発し得るような状態ではないわけでございます。
 それからまた、金融機関の預金、貸し出しの利ざやの状況を覚ましても、御承知のとおり預貸し金利逆ざやというような状態になっているわけでございまして、さらに公定歩合の引き下げを行うためには版金金利の引き下げが必要でございますけれども、この点につきましては、すでに預金金利の水準も戦後の最低にまで落ち込んでおりますし、さらに一段の預金金利の引き下げを行うことにつきましては、国民感情であるとかあるいは郵便貯金の問題等の関連もございまして、これはきわめて困難と考えられるわけでございます。また国際的に見ましても、日本の金利水準はすでに非常に低いところにあるわけでございまして、したがいまして、当面公定歩合の引き下げということについては考えられないのではないか、このように思っております。
#54
○沢田委員 このごろの統計でいきますと、個人消費というものは予期した以上伸びない。たとえば百十兆ぐらい、こういうことで、なかなか目的どおり個人消費が伸びていかないという現実については、どういうふうに判断されておりますか。
#55
○廣江政府委員 民間最終消費支出は、本年に入りまして、実質季調済み前期比で一−三月が一・九%増、四−六月が一・三%増でございまして、それぞれ年率にしますと七・八%及び五・三%となっております。物価は御承知のとおり安定度を増しておりますし、その後の関連指標で見ましても、七月の家計調査を見ますと、消費支出は全世帯で実質で前年同月比で二・一%と最近数カ月では最も高い伸びを示しております。こういうふうなわけで、消費は引き続き堅調に維持しているのだと私どもは思っております。
 今後の見通しになりますと、今回の総合経済対策の効果もありまして、個人の所得が着実にふえている、消費者物価は引き続き落ちつきの基調を示しておると考えられますので、五十三年度全体では名目一〇%程度、実質でも五%強程度の伸びは確保できる、そういうふうなものを示しているとわれわれは脅えております。
#56
○沢田委員 とらぬタヌキの皮算用という言葉がありますが、あなたのおっしゃっていることは心にもないことなのでありまして、そこにある数字を、公務員であるからやむなく言っているのであろうと思いますから、これ以上責めることは差し控えますが、あなたの言っているようなことは、日本のどこの社会でも通用しないのだということをよく頭に入れて、そらぞらしいうそを言わないように、ひとつこれは忠告をして終わります。
 次に、株の買い占めというもの、これも予算委員会で若干出されました。児玉譽士夫とか小佐野賢治とか笹川ファミリーとかというふうに日本の陰の政治を動かすもの、あるいは陰の日本の経済を動かすもの、こういうことで言われておりますが、この岡本理研の場合も、昨年の夏、株が三百円ぐらい、本年の五月に七百五十一円、現在四百五十円ぐらいでありますが、それを六百三十円ぐらいで売りつけて利益を三十六億もうけた。この間どういう折衝があったかということは、理研の人たちはいま何も言っておりませんから、泣き寝入りというかっこうなんだと思うのであります。しかしながら一般的な社会の常識でこれを考えれば、何でこういうことが行われるのであろうか。強盗よりひどいじゃないか。強盗は罰則があるけれども、少なくとも金力に物を言わせてそういうような形で利益を得て収奪をしていく、あるいは恐喝をしていく。刑法上の恐喝にはならないかもしれぬが、ともかくそういう形で利益を取っていく。こういうことについて、世の中の社会倫理か社会道徳か何かわかりませんが、大蔵を所管している大臣なり証券局長なりは、これは望ましい姿なんだと思っておられるのかどうか、ひとつその点の見解だけ承っておきたいと思うのであります。
#57
○渡辺(豊)政府委員 ただいま御指摘のいわゆる株式の買い占めケースは、御指摘のとおり最近、岡本理研ゴム、ヂーゼル機器について買い占め的な動きがあったと言われているわけでございます。
 買い占めについて特別の定義はございませんけれども、特定の銘柄について一定期間継続的に株を買い集めていく、その後発行会社に肩がわりを求めるというのが買い占めと言われているわけでございますが、証券取引のサイドから見ました場合には、これは流通市場での株価形成に問題がなかったかというところが一番の問題なわけでございまして、常時株式市場でのそういう価格形成の問題を監視しております証券取引所では、この両銘柄の買い集めにつきましても調査をいたしまして、取引上のルールあるいは自主ルール等に反するような事実はなかったという報告を私どもは受けております。
 したがいまして、証券取引のサイドから言えばそういう問題でございますが、しかし、このような株式の賢い集めが行われるということは、株式の流通市場における価格形成に対する一般の信頼感を失うおそれがあるわけでございまして、それは決して好ましくはない。したがいまして、証券取引所におきましては今般、特別報告銘柄制度というのを設けて、十一日から発足したわけでございます。すでに十二日にはヂーゼル機器がその特別報告銘柄に指定されておりますが、この制度が効率的に運用されることによりまして、このような株式の買い集めというものが社会的にチェックされていくということが必要かと考えております。
#58
○沢田委員 私はそういうことを聞いたのじゃなくて、証券局長として、この岡本理研の場合のケースは望ましいものなのか、あたりまえのことなのか、望ましくないことなのか、その点の見解を聞いているわけであります。
#59
○渡辺(豊)政府委員 したがいまして、証券局長の立場から申しますと、証券取引サイドについて意見を申し上げるということになろうかと思いますが、証券取引サイドの面から言いますと、株式流通市場での価格形成に対する一般の信頼感を失うおそれがあるケースでございますので、それは好ましくないというふうに考えております。
#60
○沢田委員 好ましくないという場合にどういう措置を講ずるわけですか。
#61
○渡辺(豊)政府委員 証券取引法上、株価操作の事実があった場合には、法に基づいて処分の問題があるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、株価形成の問題につきましては、証券取引所において常時監視しておりまして、その事実はないという報告を受けているわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、社会の信頼を得るということが必要でございますので、証券取引所では特別報告銘柄制度というものを発足させました。今後この制度が適切かつ効率的に運用されるということを期待しているわけでございます。
#62
○沢田委員 ヂーゼル機器のことはまだ言っていないのですよ。岡本理研のことだけ聞いているわけです。
 望ましくない、望ましくないならどういう措置を講じた、そういうことをいま聞いているわけです。何も講じてないのか、講じたのか。望ましくないのでしょう。望ましくないのだったらば、法に定める取り扱いに従って、それぞれ望ましくないという措置を講ずるというのがあなたの仕事じゃないのですか。
#63
○渡辺(豊)政府委員 証券取引法上の問題になります場合には、先ほど申し上げましたように、株価操作があったという事実を把握いたしました場合には、当然法律上の問題になるわけでございますけれども、先ほど望ましくないと申し上げましたのは、そういう株価操作の事実が仮になかったにせよ、やはり株式市場に対する一般の投資家の信頼が失われるおそれがあるということが好ましくないと申し上げたわけでございます。したがいまして、法律上の問題では現在ないわけでございます。
#64
○沢田委員 では、この百九十七条にあります罰則規定で、第一項がありますが、全部読むことは省略をいたしますけれども、「取引のため又は有価証券の相場の変動を図る目的を以て、風説を流布し、偽計を用い、又は暴行苦しくは脅迫した者」、この暴行、脅迫というのはある程度事実確認が必要だろうと思いますけれども、岡本理研がそういう条件にあっただろうということは想定にかたくないんだろうと思うんですね。あなたは、とにかくここでこれだけの株が上がって、それだけ大もうけをした、笹川グループと称せられておりますが、とにかく三十六億ももうけた。われわれ一般庶民大衆は、営々と一年三百六十五日働いて二百六十万だとか百八十万だとか、あなたの給料だって大したことないでしょう。そういうときに、こういうような操作によって三十六億ももうけたということが、社会の上でそのままのうのうと許されていいことではないだろうということは常識じゃないでしょうか。それで、その事実が確認できないからそのまま放置をされる。それじゃ、岡本理研の人を呼びましたか、事情聴取をしましたか。
#65
○渡辺(豊)政府委員 岡本理研ゴムの点につきましては、仮に株式を買い集めた後、会社の意思に反してその株を売りつけるということがあった場合には、証券取引所の定款で信義則、つまりそういう注文を受けた証券会社の信義則違反という問題になるわけでございます。そういう観点から、そういう意に反したかどうかということは、証券取引所でも事情聴取しまして、その意に反して売りつけの動きがあったということではないというふうに説明を受けております。
 先生御指摘の百九十七条でございますが、これは「風説を流布し、」云々というのは、何びともということで、証券会社だけではございません。したがいましてこれは一般論として、むしろ証券局が直接監督指導いたしますのはその証券会社でございまして、直接に百九十七条違反という問題、これはむしろ一般の法律問題、いわば刑事問題と申しますか、そういうふうな問題ではないかというふうに考えております。
#66
○沢田委員 私が前に質問を予定していたところが、けさヂーゼルの問題について、「笹川氏の直取引工作」、「小林専務“告白”「お察しください…」」、こういう見出しで出ている。これは前の岡本理研と同じなんで、東証で話者会見をされて、「買い占めで筆頭株主となった笹川陽平氏(日本トーター専務)が、今年一月から同社に数回接触を求め、暗に直取引による肩代わりを迫ったことを初めて明らかにした。また、笹川氏は、「会社の最高顧問にしろ」と要求したといわれる。」全部読むことはあれですが、一般投資家の頭越しに、この買い占めグループの実態というものが告白されたのは初めてである。このことをあなたも読まれただろうと思うのですね。
 こういうことがあれば、岡本理研がこんな損をして、三十六億ももうけさして、去年三百円のものが六百三十円まで引き上げられて、しかもそれでいわゆる買い取りをしなければならなかったということの裏には、こういうことが行われたということは、平常の神経を持っている人ならば、あるいは平常の能力を持っている人であるならば、当然そのことは予測されることじゃないでしょうか。いまあなたは、このことについては検察当局なりあるいは刑事の方の問題で、証券局の取り扱いではないと逃げられました。もしそれがそうなのだとすれば、少なくとも証券行政をやることについてのいまのこの表現は、当然あなたの方としてもこれは無視していくわけにはいかないのじゃないか、あるいは国民を代表する第三者として逆に告発をするとか、そういうことが当然行われなければならないんじゃないかという気がいたします。
 きょうの報道の関係から、こういうことが会社側から述べられた。あなたは事情聴取をしたそうだけれども、なかったと言う。それは直取引をやったから、いまさら言ってもしようがない、恨まれるのはこわい、暴力団が後ろにいるかもしれぬ、総会屋がまた押しかけてくるかもしれぬ、そういう心配のためについついそういう泣き寝入りをしているのでしょう。この人は、勇気があるから、もうどうともなれといった気持ちでしょう。そういうような気持ちでこういう記者会見をしたわけですね。とにかくこのことについて、あなたの方で何ら手を打たない。前のときには事情は何でもなかった。それじゃ、こういうふうになってきたら、前のときも何でもないといまでも思いますか、どうですか。
#67
○渡辺(豊)政府委員 先生御承知のように岡本理研ゴムの場合には、発行会社の方が自分の意思でその関係先、取引先等に引き取ってもらったというふうに言っておりますので、それが事実かどうかという問題はあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、その発行会社の説明というのを一応そのとおりに受けとめざるを得ないわけでございます。
 ただ、証券局の立場からいたしますと、囲い集めの段階で受注を受けておりますのは証券会社でございます。したがいまして、先ほども御説明いたしましたように、証券取引所で特別報告銘柄制度というのを発足させましたし、この制度を運用する、つまり株の受注を受けますのは証券会社でございますから、そういう点についてこの制度が生かされ、今後こういうケースが起こらないように、証券会社もそういう営業姿勢の面で遺漏なきを期するように私どもは指導してまいりたいというふうに考えております。
#68
○沢田委員 その後にずいぶんいやがらせもされたとわざわざ本人は告白しているのですね。ところが、大蔵省が味方しないで、こういうものがそのまま泣き寝入りされていくという現状はちっとも正しいことじゃないんじゃないですか、常識的に考えましても。やはりこれは中立のあなた方が、公務員としてのあり方として、笹川グループを援助したりあるいは応援してやらなくちゃならない義理があるなら、これは義理があると言ってもらえばいいのであって、そうでない限り、弱い老いじめをしている現状についてどういうふうないわゆる姿勢をとるかということは、きわめてこれは国民の立場から見て重要な姿勢だと思うのですね。いまのあなたの方が逃げ腰じゃないですか。逃げて回っているかっこうじゃないですか。証券取引所はこう言っていますから、それをうのみにしています、今度の場合はそれぞれ買い取りをしたから問題がありませんでした、こういうことで、直接手を入れてじかに聞いてこようあるいは調べていこうという姿勢はちっとも見受けられないじゃないですか。それがあなた方の仕事だというふうにはわれわれは理解できないのですが、ひとつもう一回調べ直すとか、あるいはもう一回、もし何だったらここへ、理事さんに相談してもらって、この岡本理研ゴムさんに来ていただく方がいいんじゃないかと思うのですね。そして実際に聞いてみるということも必要なことじゃないかと思うのです。これは委員長にお願いすることになりますけれども、あなたの見解はどうですか。
#69
○渡辺(豊)政府委員 岡本理研ゴムにつきましては、再三お答えしておりますように、岡本理研ゴム自身が自分の意思でやったというふうに説明をしておりますので、それ以上私どもの立場で、そうではないんじゃないかということを追及し得ないわけでございます。したがいまして、それは一つの問題ではございますが、私どもといたしましては、今後こういう事例が起こらないようにしていくということが望ましい、必要なわけでございますから、先ほど申し上げましたような証券取引所が発足させました制度、私どもの証券会社に対する指導ということについて、ただいま先生御指摘の御注意も十分頭に入れまして今後やっていきたいと考えております。
#70
○沢田委員 逃げ口上ばかりですが、きょう出てきているこの報道の内容はどうですか、あなたはどういうふうに対処されますか。
#71
○渡辺(豊)政府委員 先生の御指摘の報道は、ヂーゼル機器の問題かと思いますが、仮に買い集めたグループが肩がわりを求めた場合に、それを毅然としてはねのけるということが発行会社としては一番望ましいわけでございまして、東京証券取引所におきましても、上場会社に対しては取引所の理事長の名前で、そういう際には毅然たる態度をとるように今般要望もした次第でございます。ヂーゼル機器はそういう態度をとっているわけでございまして、私どもはそういうヂーゼル機器の態度に対しては、評価したいというふうに思っております。
#72
○沢田委員 評価だけをされたのでは片一方はかなわないのでして、やはりこれだけの勇気を持ってこういう悪い者を阻止しようという行為について、それぞれの立場を通じて援助をしてやるというのが当然必要なことじゃないですか。たとえば値段で言ったら、ヂーゼルの場合、昨年六月六百円ですよ。本来の八月二千三百七十円、二千四百三十二万二千九百株いわゆる買い占めをした。これがいま千二百円から千三百円、大体これは買い受け手がなさそうですが、もうかる金額三百億というのですよ。これはどろぼうや強盗よりもっとひどい話なんじゃないですか。そういうことがもし行われるようなことがあったならば、それは証券行政そのものも疑われるもとになるのだろうと私は思うのですね。いままでにもこういうものが起きたんだと思うのでありますが、少なくともそういうような情勢にあって、あなたがただそういうことだけで言い逃れているだけでは、これは小林さんという人は救われないと思うのですね。ヂーゼル機器も救われないと思う。
 この後、この笹川さんをめぐるいろいろな勢力というものはゼロではないのですから、今度のネズミ講でもとにかく相当な圧力なりおどかしなりというのをわが党の議員も受けておるわけです。昼間ばかりじゃねえぞなんて、そういうふうなことも言われながら、自民党さんも賛成していただいたのでありますから、敬意を表するわけでありますが、まさか寝返りを打つとは思いませんけれども、とにかく一方では、天下一の会だの何かの新聞では、これは継続審議になって廃案になるのだから心配ないとこの笹川のおやじさんは言っているわけですね。これはなめられているのかどうかわかりませんけれども、そういう状況を考えてみたときに、今度の問題をもう一剛調査する、そしてこの内容について、百九十七条もありますから、やはり毅然たる態度で、あなたができないのならだれがやるのかわかりませんけれども、われわれがやるのでも構いませんけれども、とにかくそれを正しい姿に戻すという努力をお互いにする必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
#73
○渡辺(豊)政府委員 先ほどヂーゼル機器につきましては、証券取引所が特例報告銘柄に指定したということを申し上げたわけでございますが、特別報告銘柄に指定されますと、現在、ヂーゼル機器は取引所の上場基準のうち、一部の浮動株基準を満たしていないわけでございます。これは、大蔵大臣の認可を得まして、その上場基準を改正いたしまして、特別報告銘柄に指定されますと、それが解除になるまでは一部から二部に落ちることがないという措置をとったわけでございます。いずれにいたしましても、この制度を創設し、指定するという運用によりまして、ヂーゼル機器といたしましては、とにかく二部に落ちないという状態にはなったわけでございます。これはヂーゼルにとりましては大変望ましい状態であるわけでございますし、それをも含めまして、今後こういうことが起こらないような制度の運営、証券会社の指導を証券局としては考えてまいりたいと思っております。
#74
○沢田委員 私の言っていることは、これは起きていること。特別報告の銘柄制度というものに指定したことは承知しています。だが、それは事後措置の問題で、こういうふうに報道された事実について調査をして、その事実があるならば、その事実に基づいて処理をするというあなたは気力なりを持っているかどうか。
 あなたが答えられないのなら、いままでの話の順序を大蔵大臣お聞き及びをいただいたと思うので、こういう事態に対してどういう対応の仕方を大臣としてなされるのか、この際承っておきたいと思うのです。
#75
○村山国務大臣 一般的に株の買い占め等は決して好ましいことではないと思うのでございます。ただ、私が理解しておりますのは、証券局は直接売買したものに対してはなかなか権限がないわけでございまして、取引所並びに証券会社に対しての監督権を持っているものだろうと思うのでございます。買い占め等によりますもうけ等がございますれば、すでに先般の予算委員会でも国税庁長官から言っておりますけれども、別途その買い占め等による資料あるいは情報が入りまして、調査に着手しておりますということを言っているわけでございます。したがいまして、証券局といたしましては、証券会社が買い占め等に参画して手伝いをしているかどうか。この問題は第一次的には、取引所が会員としての資格を与えるかどうかという問題であります。また、証券会社を監督しております証券局の方で、その問題と相呼応いたしまして監督してまいるであろうと思います。別途税務調査に着手しているわけでございますが、その過程におきまして、いろいろなことがわかってまいりまして、さらにいろいろな措置を必要とすることになれば、それぞれの所管官庁と連絡して適宜の措置をとるのではないだろうか、このように私は理解しておるのでございます。
#76
○沢田委員 なおこれ以外に類似のことが行われそうだと言われておるのが、花王石鹸であるとか味の素であるとか明治乳業であるとか王子製紙であるとか後楽園スタヂアムであるとか、あるいは緑屋であるとか丸善であるとか大同酸素、その他もいろいろ言われております。
 そういうようなことで、いまこれからの問題としては、こういうことが行われないような、特別の銘柄制度を今度つくったというか、前にもあったのですが、今度は行使した。同じように、それぞれの企業主がそういうようなものの暴力といいますか、金の力による暴力でしょうが、そういうものを阻止していくような指導を証券局としてはしていくことは行われると考えてよろしゅうございますか。大蔵大臣の方でないと答えられませんか。こういうことがあった場合には、小林さんのようにそういうものに応じない、妥協に応じて直取引をやってしまうということはするなという指導はできますか。
#77
○渡辺(豊)政府委員 直接にそういう発行会社を指導するということは、形式的に申しますと直接の権限がございません。しかし先ほど申し上げましたように、取引所の理事長はすでに要望しておりますし、私どもとしても、そういうケースがあった場合にはそういう要望はしたいと考えております。
#78
○沢田委員 次の問題に入る前に、この問題は若干戻っておきますが、ただ、いま言葉の中で言いましたように、ネズミ講の問題でもそういうふてぶてしい態度が出ているくらいでありまして、なかなかもってこれは焼いても煮ても食えない存在であろうと思います。しかもまた政府自身としても、この家族には関係ないかもわかりませんけれども、船舶振興会がいろいろなうわさを持って今日に至っている、そういううわさを持ってきているもので、天下は仲よくとかなんとか言いながら、一方でこんなことをやっていたのではどうも少しつじつまが合わないような気がするわけでありまして、しかもそれが勲一等なんかもらったのじゃ、こういう一つのつながりというものは、国民の感情としていい印象を持っている者はないだろうと思うのですね。こういうことが社会の一般の国民から見て、そういう人が勲一等になります、船舶振興会にはいろいろな問題があります、七十何団体全部の会長をやっております、家族もやっております、一方では株の買い占めをやっております、こういうことは、わが平和国家であるからできるのかもしれませんけれども、そういうことが許されていって見逃されていっていいのかということになりますと、われわれは頂門の一針として毅然たる態度でこういうものを阻止していく力を高めなければいけないのだろうと思うのですね。
 これは大蔵大臣、総括論的に申し上げたのですが、そういう国民の心情を無視していくのは許されないのではないかと思います。大蔵大臣、どう考えておられるでしょうか。
#79
○村山国務大臣 やはり国民感情の動向は最も尊重さるべきものでありましょうし、その方向で制度を漸次整備し、その制度に従って役所もまた協力していくことが最も大事だと思うのでございます。
#80
○沢田委員 あと二つ会社の名前を挙げてあるのでありますが、これは不二サツシでありますね。不二サツシの場合については、この前私も若干この場を通じて問題がある会社だということを言いました。この粉飾をされていた経過を見ますと、なぜこんなに遅くなったのかという疑問があるわけであります。これは結局昭和五十一年から五十二年の粉飾であったわけですね。なぜこういうふうな遅くなった結果をもたらしたのか。粉飾の発見はなぜできなかったのかということの原因についてどう考えておられるのか、その点お聞きをしたいと思うのです。
#81
○渡辺(豊)政府委員 証券局におきまして、有価証券報告書の提出があった場合にはそれを審査するたてまえでございますが、やはり有価証券報告書の真実性を担保するのは、その企業を監査いたします公認会計士ではなかろうかと思っております。
 先生御指摘の不二サツシ工業の場合には、当該公認会計士の監査意見は適正意見であったわけでございまして、この公認会計士がもし最初から、不二サツシ工業の会計処理が適正ではないという判断をして意見をつけた場合には、当然のことでございますが、もっと早くこういう事態になる前に防止できたのではないかと考えております。
 したがいまして、やはり公認会計士の監査体制の充実ということが一番望ましいわけでございますので、先般、組織的監査、それから企業に対する独立性の保持につきまして公認会計士協会に要望いたしました。公認会計士協会の方も、会員である公認会計士をそのように指導する体制を整え、いまやっているところでございます。
#82
○沢田委員 結局こういう問題が起きる背景というのは、どこに原因があると思っておられますか。
#83
○渡辺(豊)政府委員 いろいろな原因があろうかと思いますが、やはり企業が存続していく上においてなるべく赤字を外に出したくないという経営者の判断というのが、一番基本にあったのではなかろうかと思います。株価の問題でありますとか資金の調達でありますとか、あるいは製品を販売するという点におきまして、黒字を出しておきたいということではなかったかと思います。
#84
○沢田委員 じゃあたとえば質問を変えまして、公認会計士がそういうものに巻き込まれる原因はどこにあると思いますか。
#85
○渡辺(豊)政府委員 有価証券報告書の提出会社数は二千七百と大変多いわけでございますし、関与している監査法人、公認会計士の数も大変多いわけでございます。すべての公認会計士が独立性を保持できないということではないと私どもは思っておりますが、もし粉飾決算に加担した公認会計士があれば、それはその会社からの依頼を受けて本来の使命を逸脱した監査をしたということだと思います。
#86
○沢田委員 そのとおりなんですよ。だから、なぜそういう事態を生むに至ったのか、その原因は何なのか、そういう点についてどう考えているかということを聞いているわけです。
#87
○渡辺(豊)政府委員 具体的には先生御指摘の問題の不二サツシ工業の場合につきましてまだやっておりませんが、公認会計士の処分の問題もございますので、審問、聴聞する際に先生御指摘の点については十分調査したいと思っております。
#88
○沢田委員 いや、個人のことをいま言おうとしているんじゃない。関根さんなり勝野さんのことで言っているわけじゃない。こういう不況の段階に来ると、これは不二サツシだけじゃないだろうと私は思う。これは九十八億もの損失を現金や売掛金やたな卸しや固定資産の水増しや支払い手形を少なくしたりあるいは短期借り入れを少なく計上したりして、四百三十一億をしたわけですね。こういう数字は大なり小なり現在ある程度の企業では行われていると私は推察しているわけです。ある程度――大きいか少ないか別です。しかしそれを黙認なりある程度それをせざるを得ない、そういう公認会計士の条件、立場というものについて、正当な報酬なりあるいは正当なる生活なりそういうものの位置づけがむずかしいのかあるいは困難なのか、あるいはそういう誘惑に弱い素質があるのか、そういう点についてどう評価をしているかということをいまお聞きをしているわけであります。
 これは不二サツシだけの問題であって、二人の問題だけだと言うならば、私は個人がどうこうということをいま言おうとしているわけじゃないのです。これは社会体制の中にやはり一つの問題を提起されていることだというふうに評価をして私は言っているわけです。私も、この前百二十幾つか挙げました。とにかく借入金が資本金の三十倍にもなっているというところでは、今日の金利ではいやおうなしにそれは大変な経営をやっておられるはずなんであります。それがそのままじかに出ているかどうかということになると、それはきわめて問題があるだろうというふうに思っているわけです。ですから、そういう条件の中でこの不二サツシにあらわれた条件というものは、これは単に不二サツシだけの問題ではない。そうすると、公認会計士協会も何かしっかりしてもらわなくてはならない。しかし同時に、あなたの方もやはりしっかりしてもらわなくてはならない。こういうことの相互関係からいって、その原因に対してもう少し探求してもらいたいと思うのです。もう少し探求してその辺の対策が出なければ、あなたのような答え方じゃ次の手が打てないでしょう。どうですか。
#89
○渡辺(豊)政府委員 先ほど申し上げましたように、有価証券報告書の提出会社は二千七百あるわけでございますし、その関与している公認会計士の数も多いわけでございます。
 先生御指摘になっておりますのは、その中には程度の問題はあるかもしれないけれども、やはり経理処理に問題がある事例があるのではないかということでございますが、その点につきましては、現在提出されております有価証券報告書については、公認会計士は適正な意見をつけておりますし、私どももそういう率例がそう多いとは必ずしも考えておりません。
 それから公認会計士と企業との関係でございますが、監査報酬の点等で問題があるからそうなるのではないかという御指摘でございますが、しかし私どもは、大部分の監査法人、公認会計士は現在の報酬のもとで適正な監査をしているというふうに考えております。したがいまして、こういうふうな問題に取り組みます場合には、むしろこういう不二サツシ工業のような具体的なケースが出た場合に、一体事実関係がどうであったかということを踏まえまして問題点を探り、対策を講じていきたいというふうに考えているわけでございます。
#90
○沢田委員 昭和四十年の山陽特殊製鋼の粉飾の問題、四十八年には三共の粉飾の問題、五十年には日本熱学と日本時計製造の粉飾の問題、四十七年には船橋食品の粉飾の問題、こういうことで過去の実績はあるのですよ。そのときに今日のような事態に対応する策は講じられていたはずじゃないですか。いま言ったように何も問題はないのだったら、こういうものは二度と起きてくるわけはないじゃないですか。それでは、前のときの原因というものがどこまで探求されて、どこまで将来にそういうものを起こさせないような措置を講じたのですか。
 これは四十年からですが、四十年、四十七年、四十八年、五十年と、これ以外にもたくさんあると思うのですが、大きい事件だけ挙げてもこういう問題が起きているわけでしょう。それだったら、いわゆる恒久的な対策を講ずるというのは当然のことではないですか。それが、この不二サツシの問題のときは、特定の問題なんだからといってそのままネコババして、また時節を待っていて、鼠小僧みたいなものだ。それじゃ話にならないと思うのですね。そういうことでは済まされない。やはり将来の展望に立って歯どめをかける措置をわれわれなり、皆さんもそうですが、その責任を負っているのじゃないですか。だから、ここに問題があるのじゃないでしょうかと私は言っているわけです。あなた方は全然それを調べようとしないじゃないですか。
 では、どこに問題があったのですか。あくまでも個人なんですか。個人の犯罪ですか。会計士がぐるになったというだけの問題と割り切っているのですか。詰めればそういうことなんですよ。そうじゃないでしょう。もっと底は深いのじゃないですか。だから、そういう深さの中に問題を探求して、将来に禍根を残さないという施策をこれを教訓として考えていくのが、あなたなりわれわれなり、大蔵大臣もそうですけれども、責任じゃないでしょうか。いかがでしょう。大臣、お疲れのようですから聞いていたかどうかわかりませんけれども、これは大蔵大臣からひとつ。
 それから、われわれの仲間からも言われているのですが、いわゆる公認会計士が依頼される場合、その会社の社長なり専務なりの個人の契約ではなくて、より多数の株主総会というところから委託というか契約を受けるというような手続にするということはどうでしょうか。それから窓口を、協会なら協会が受けて、だれかを派遣するというようなことに手続上変えていくことによって、そういう問題はなくせるのではないかという気がいたしますが、これは私の一つの考えでありますが、これを含めて大臣からお答えをいただきたい。
#91
○村山国務大臣 粉飾決算ということはまことに残念なことでございまして、いろいろな弊署を生むわけでございます。どういうところで出てくるか、これは個々のあれによって違いますが、一般的に申しますと、やはり公認会計士というものは非常に高い試験制度を経ておりますし、能力は相当ある人たちであろうと思うのでございます。それが巻き込まれていくという過程を見ておりますと、まあどちらかと申しますと、言葉は適当でないかもしれませんが、その会社がワンマンカンパニーのようなところでよく起きやすい問題であるわけでございます。もちろんワンマンカンパニーでありましても近代経営というものに徹した人が大部分であることも私はよく承知しておりまして、株主の利益あるいは取引先の利益、さらには従業員の利益、こういうものを十分踏まえて経営しておるりっぱな経営者も多いわけでございますけれども、ともすると会社というものは自分のものだという考え方を持つ人も間々あるわけでございます。そういうことになりますと、公認会計士にもよりますけれども、ときどきやはりその中に巻き込まれてしまって、つい粉飾決算というようなことが出てきやすいわけでございます。
 そういうことでございますので、実は監査法人というものを公認会計士制度の中に一方設けてございまして、監査法人がやったものについてそういう問題は非常に起きにくい、われわれは聞いていないわけでございます、複数で監査いたしますから。同時にまた、そういう事態が起きた場合に、公認会計士に対して責任を問うていくということももちろん必要でございましょうし、また、そういう行為をやった会社に対しても、やはり厳正な法律の適用ということも担保していくべきであろうと思います。
 ただ、ただいま委員御提案の公認会計士と契約をするときに株主総会事項にするということは、これは商法の問題でございまして、これはいかがであろうか。より根本的な検討が必要でないか。これはどちらかと申しますと法務省から検討してもらわなくてはならない。株主総会の権限と取締役の権限とそれから監査役の権限がそれぞれチェック・アンド・バランスの関係でいまできているわけでございます。だから、この点はさらに深い検討が必要ではないであろうか、こんなふうに感じているのでございます。
#92
○沢田委員 法律的な手続やその他にむずかしさがあるかもわかりませんが、ただ、社長なり専務が相手を見つけて契約をするという取り扱いが社会的に見て余りうまい条件ではない。だから、より広い人たちの選考の対象に含めさせる、こういう考えについては大蔵大臣どうですか。手続とか商法とかそういう問題は別として、思想的な考えとして、そういうものにしていくことによって問題をなくしていくという方法をとっていくことは必要なのではないかという気がしますが、いかがですか。
#93
○只松委員 ちょっと関連して。
 いまのことは、確かに法改正を伴うものは研究しなければならないけれども、できる範囲というものが一つあるのです。それから、法改正には前向きでするということ。こうやってたくさん起こっているわけですね。それから社会的に、いわゆる社長なりなんなりというのは監査を受ける人ですから、受ける人が監査をしてもらう人と契約をするということは、ある意味では法律、立法論上誤りですから、やはり資本というのはあくまであって、その資本を代表する利益が幾ら出ているか、どうなっているかということをこの株主総会と監査法人が主体になって、監査法人と会計士と契約をするというのは法理論上あたりまえじゃないですか。だから、もし誤っていればそういうふうに前向きに検討する。きょう結論は出ないでしょうから、検討するというぐらいのお答えをいただいておきたい。
#94
○村山国務大臣 これはすぐれて商法の問題だと思います。ただ、私の理解しておるのは、十分じゃございませんが、取締役あるいは取締役会というものは前提として会社のために株主総会の権限を受けて、広い意味で会社のために働くということが前提になっているわけでございます。いやそうでない、あれは会社のために働かないという前提で商法を組み立てるということはいかがなものであろうか、そこが非常に大きな問題点じゃないかと思います。
 それから、先ほど沢田委員のおっしゃったことにつきましては、これは恐らく取締役会というものの運営の問題でございまして、それがその会社に適した最もすぐれて広い意味で会社のために機能するように運営されることが望ましい。しかし、私の申し上げておるのは、間々会社というのは自分のものだという人がありますと、なかなかそういかない事実があるように思いますが、これは残念なことで、やはりそういう点は運営上改めていくべきであろうと思っているわけでございます。
#95
○沢田委員 大分時間が詰まりましたから、次に佐世保重工の問題であります。
 去年の通常国会の終わりころでありましたけれども、大分大蔵省は抵抗されたといろいろな本で読ましていただきました。われわれが庶民的な感覚で物を申しますと、佐世保重工はなぜ救われたのであるか。とにかく一万五千件くらいの倒産がある。その中にはくずみたいなものもあるでしょうし、あるいは将来有望なものもあるでしょう。しかしながら、それぞれその債務をだれも保証してくれる者がなくて、結果的には中小企業その他は切り捨て御免という形でつぶされていっている。それがまた姿を変えて出てきているものもあるわけです。
 いずれにしても、佐世保重工がどういう理由でほかの中小企業その他――今度は釜石の新日鉄なんかも俎上にのっているわけでありますが、さっき函館ドックが問題になりました。局長は、銀行の倫理として預託者の立場ということを言っておりました。もしその論を進めていけば、佐世保重工、がんのような人のところに一生懸命薬を入れているようなものかもわかりませんけれども、治るかどうか、これはまだ未知数は若干残っています。残っていますが、なぜそういう形で救われたのか、また、金融の論理から外れてなぜ救わなければならなかったのか、その辺の見解をひとつ承っておきたいと思います。
#96
○徳田政府委員 最近、現在のような経済情勢を背景にいたしまして、特に構造的に問題を抱えた業種を中心にして経営が困難に陥る企業が多いわけでございます。したがいまして、このような企業に対する金融機関の支援ということが問題になるわけでございまして、このような場合には、もちろん当然のことでございますが、通常個々の金融機関の判断によるべきものでございますし、または先生御指摘のとおり、預金を預かる金融機関としては預金者保護の立場からの限界もあるわけでございます。しかしながら一方、企業が行き詰まった場合には、雇用問題もございますし、それから関係下請中小企業等への影響もございますし、さらに地元経済への社会的影響ということもあるわけでございます。また、その規模によりましては信用秩序の維持全体にかかわるような問題もあるわけでございます。したがいまして金融機関といたしましては、その社会的公共性という見地から申しまして、中長期的にその企業が立ち直る、こういうめどがある場合には、もちろん金融機関は私企業でございますし、先ほど申し上げましたように預金者保護の観点から限界はあるわけでございますけれども、その限界のぎりぎりのところまでそのような企業を支援するようにということを、いま全般につきまして大蔵省は指導しているわけでございます。
 佐世保重工の場合でございますが、この場合には、当初は経営体制の確立であるとか、あるいはその……
#97
○沢田委員 途中ですが、時間の関係もありますから、ひとつ個条書きに簡単に言ってください。
#98
○徳田政府委員 株主及び経営者による債務保証の面で非常に問題もございましたので、われわれは金融原則ということを申しておったわけでございますが、最終的にはこのような点で全部金融原則に沿いまして、協調融資、十八行によります融資は全部担保がつきまして、経営者の保証もでき上がっておるわけでございます。それから再建計画も完全にでき上がっているわけでございまして、このような点で金融原則に乗ってまいりましたので、協調融資団が、先ほど申し上げましたような一般的な企業救済の原則に従って佐世保重工に対しても融資をした、このようなことでございます。
#99
○沢田委員 いよいよ終わりですから、まとめてあと質問してお答えいただいて、終わりたいと思います。
 佐世保重工の問題につきましては、あなたのおっしゃっておることがどうか、債務もたな上げ、あるいは債務保証というものがどこまで確実なのかというようなことについてあと詰めていきたいと思っておったわけでありますが、また次回に譲りたいと思います。
 次に納税回避地、タックスヘーブンと言っておりますが、これはわが党の議員からもいろいろ追及されまして、今日まで、四十九年七月から五十二年六月まで、意図的擬装隠蔽、こういうことで言われておりますが、三百億近い納税を取ったということを言われております。しかもまた大蔵としても、こういうものをさらに追及をしてそれを強化していく、こういうことを言っているわけでありまして、これは非常によいことだと思っております。
 そこで、強化をするのには人もふやさなければならないし、香港なりパナマなりジブラルタルなりスイスなりそういうところの人の派遣もあるわけですね。そういうような十五カ国にわたります軽課税国に対応する措置をどうとられるのかということについてのいわゆる実施項目というようなものについて、考え方をこの際お伺いをしておきたいと思います。
 その次に、陸上公共輸送整備特別会計ということが運輸省なりその他から提起をされているわけでありますが、これは要望だけにとどめて、時間の関係で省略をさせていただきたいと思います。
 もう一つは、これは実はきのうの会議で言われたのでありますが、私の地元の関係で恐縮でありますが、いわゆる国有地基地跡地の管理がきわめて悪いということが一つなんでございます。草はぼうぼうだし、とにかく市街地の中においての敷地を管理するなら管理するようにきちんとしておくべきだ。まあ前には利用されていたのでありますが、このごろはオフリミットになりまして一切の入退場ができないそうであります。そういうようなこともありまして、いやがらせ的なことはやめて、後の問題は後の問題として、もう少しいわゆる市民の利益といいますか、使えるような形というものを現実の段階ではとっておくことが望ましいのではないか。特にあすこにある養護学校は、日曜日なんというのは全部閉められちゃって、入れない。六時過ぎると閉められちゃって、これも入れない。こういうことすらあるのでありまして、これは少しえげつなさ過ぎるのじゃないかということも感じました。また管理する以上は、もし何ならその地元と協力をして草ぐらい刈って、市民が普通使えるような条件ぐらいは、基本的な解決の問題は別としまして、考えるのが至当ではなかろうか、こういうふうに感じたわけでありますが、その点の取り扱い方について申し上げて終わりたいと思います。
 もう一つは、自賠償の問題は前回私も質問をいたしましたが、結論的に言いますと、国鉄であるとか専売であるとかあるいは自治共済であるとか、そういう生協の組合で行っております自動車共済の中身を農協並みにしてほしい。農協並みの取り扱い、さらにまた、加害者の代行ということが示談まで含めてまいりますと、加害者が加害者の意識を失ってしまうという危険すらある、こういうようなことなども念頭に入れながら、この生協の取り組んでおります自賠償、国でやっているものでありますが、自動車損害賠償の取り扱いについては、当然農協並みの取り扱いをされるのが至当ではなかろうか、こういうことであります。細かい点でいろいろ申し上げたかったのでありますが、時間がありませんので、ぜひ御検討をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上をもって質問を終わりたいと思います。
#100
○西野政府委員 ただいま先生から御質問のございました租税回避国に対する捕捉強化策を具体的にどのように考えているかということでございますが、ことしの四月一日から新たにタックスヘーブン対策税制が施行されております。
 この税制は、タックスヘーブン国に本店を有しております外国法人で、内国法人等によりましてその発行済み株式等の五〇%を超える株式等を直接及び間接に保有されているものの留保所得のうちで、一定の、要件に該当するものにつきまして、一〇%以上の持ち株割合を有する内国法人等の持ち分に対応する部分をその内国法人等の所得に合算して課税するというのが基本的な仕組みになっております。
 国税庁といたしましては、このようなタックスヘーブン対策税制の導入に伴いまして、その適切な執行を期すべく鋭意努力をいたしているところでございますが、子会社等の収支状況等を的確に把握するということにつきましては、これらの子会社が外国に所在する法人でございますために、いろいろ困難な問題があることが考えられます。
 しかし、これらの子会社等の取引形態を見てみますと、さほど複雑でないものが多いとか、またその取引が親会社でございます内国法人との間で行われるものも多いとか、親会社の取引を調査することによりまして子会社等の収支状況を検討できる部分も少なくない、こういう状況でございます。
 それで本税制の中にも、子会社等の決算書を親会社の確定申告書に添付を願うような規定が設けられておりますし、収支計算書等の基礎資料を親会社に保存願うというような規定も入っておりますので、こういう面から納税者側の協力も期待をいたしているところでございます。
 さらに、その実効を期したいということで、できる限りタックスヘーブン国と言われる国に調査官を派遣したいということも考えております。ただ、外国で……
#101
○大村委員長 簡単に願います。
#102
○西野政府委員 調査権限を行使するにつきましては、当該国の主権との調整という問題がございますので、事前に相手国政府の同意を徴する必要がございます。そういう問題がございますが、派遣先国の拡大に努めてまいりたいというふうに考えております。
 国税庁といたしましては、以上申しましたような手だてを講じまして、このタックスヘーブン対策税制を適正かつ円滑に執行してまいりたい、このように考えております。
#103
○迫田政府委員 返還跡地の管理の問題でございますが、これは予算措置を講じまして、できる限り草刈りとかそういうものをやっております。実際草ぼうぼうというような先生のお話でございますが、この点につきましては現地機関と連絡をとりまして、今後とも管理の万全を期してまいりたいと考えております。
 具体的な計画策定までの間にいろいろ利用できないかというお話でございますが、これは具体的なケース・バイ・ケースで判断しなければならぬと思いますので、具体的な話につきまして個々に検討してまいりたいと思います。
#104
○貝塚説明員 お答えいたします。
 先生の御質問は、消費生活協同組合が農協と同じように強制保険である自賠責共済にという御指摘でございますが、強制保険である自賠責は、昭和三十年から長い歴史を経まして、現在は損保と農協と非常に定着して円滑に行われております。その趣旨は、あくまでも交通の被害者補償のために統一的に行うということにありますので、先生の御提案のメリット、デメリット、現在の制度のメリット、デメリット、それを勘案して検討してまいりたいと思います。
#105
○沢田委員 終わります。
#106
○大村委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
#107
○大村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き質疑を続行いたします。伊藤茂君。
#108
○伊藤(茂)委員 私は、国債の管理の問題について御質問させていただきたいと思います。
 夏以来何か変調を来しておりまして、当局の方でも頭の痛い問題ではないかというふうに思いますが、これからの財政運営を考えますと非常に深刻な問題ではないだろうかと思います。また、私どもも何回も指摘をしてまいりましたが、国債の管理運用、これがいよいよ何か打開をしなければならない転換点に直面しているということではないかと思います。けさのどこかの新聞を読みましたら、もつれた糸のようにと書いてありましたが、やはりそのもつれた糸がますますこんがらがってはしようがありませんから、どこかで糸口を見出していくというところに来ているのではないかと思いますので、幾つかの点につきまして御質問をいたしたいと思います。
 まず一つは、中身に入ります前に、国債の消化状況なんですが、補正予算が成立をして結局十一兆余りの国債の発行ということになったわけですが、いわゆる建設国債、赤字国債、それから各国債の種類などを含めて、大体年度半ば過ぎという状況の中でどのような消化状況、あるいはまたいままでの実績と比べましてどういう状況になっておるか、概括御説明願いたいと思います。
#109
○田中(敬)政府委員 御承知のように、本年度の国債の発行予定額は十兆九千八百五十億円、当初ベースでございましたが、先般の補正予算によりまして三千億円の追加発行ということで、十一兆二千八百五十億円というふうにふえたわけでございます。
 これの消化状況でございますけれども、本年度に入りまして、この発行予定額に対して十月までの消化状況を見ますと、全体で七兆二千五百七十四億円消化いたしております。十一月以降消化すべき残額が三兆八千四百七十一億、こういうことになっております。この七兆二千五百七十四億の消化状況と申しますと、発行計画額に対して進捗率で申しますと六五・四%になっております。ちなみに昨年の同じものを比べてみますと、十月末現在でいわゆる市中消化分、六七・一三%の進捗率になっております。
 ここで市中消化分と申し上げましたのは、昨年は一兆円運用部が引き受けておりますが、本年度当初計画では全額市中にお引き受けを願うということで、市中の引受額が対前年比、当初計画べースで四九・五%というふうに大幅に国債の必要消化額がふえておりますけれども、これを比べました際に、ただいま申し上げましたように六五・四%に対して前年が六七・三%、かつまた、国債発行を始めました昭和四十二年度以降からのずっと十月までの平均をとってみますと、おおむね六五%前後でございますので、十月末までに関する限りは、進捗ぺースでは従来のぺースでほぼ順調に、中身には問題がございますけれども、消化をしてまいっているというのが現状でございます。
#110
○伊藤(茂)委員 この夏、新規債の値崩れとか売れ残りとかいろいろな問題が起こりました。また、こういうものをどう見るのかということについても、当局、経済界、いろいろな議論があったようであります。そういうものを見てみましても、一面では構造的な深刻かつむずかしい問題だという視点から考えなければならないということもございましたし、また夏の段階では理財局の方も、これは一時的なものであってというやや楽観的な新聞記事など見ましたが、その後そういういわゆる一過性の問題ということではなくて、もっと長期的、構造的な努力をしなければならないというお考えになっているようにお伺いをするわけですが、まあいずれにしても、この夏以来の状況は、一過性の問題もあったと思います、一時的な問題の面もあったと思いますし、また長期的、構造的な面も当然あると思います。その辺のいろいろな要因が当然あるわけですが、特にこのポイントとして、当面対策あるいは今後の長期の問題について、柱としてどういうことをお考えになっておりますか。
#111
○田中(敬)政府委員 御指摘のとおりに、一過性と構造的な長期的要因と二つあったと思います。
 一過性の要因につきましては、新聞紙上その他でも言われておりますように、決算資金手当て、あるいは国債引当金制度の創設に伴う資金需要、あるいはまた円建て外債のラッシュ等いろいろございました。しかし、これらは確かに一過性であるだけに、それらの要因はほぼすでになくなったというふうに判断いたしておりますが、もう一つ大きな要因といたしまして、一過性の要因の中で特に挙げたいのは、証券会社の引受額が、そのときの金融情勢、経済情勢あるいは投資家のニーズに対応して余りにも多過ぎた。六月に二千数百億円の引き受けをいたしましたし、そういうことで、証券会社が募集残を生じ、その販売に非常に努力を要した。それで販売し切れずに投げ売り玉が戻ってきたというようなことが、やはり一過性の原因の一つとして九月まで継続したわけでございますけれども、十月になりまして、この証券会社の余剰引受分というものを整理することにいたしまして、市場を一遍きれいに整理をしたいということで証券会社の方の協力も得まして、証券会社引受分の額の圧縮を十月にいたしたわけでございます。そういうことで、市況も新発国債につきましてある程度戻ってまいっております。この一過性の原因として残りました最後の証券会社引受分の過剰という問題も、今月あるいは来月を通じてこれを一掃いたしますれば、まずまず一過性の原因はなくなっていくのではないかというふうに考えております。
 それから長期的、構造的な問題でございますけれども、一番大きいのは、やはりここに来て金利の底打ち感があるということから、そういう投資家あるいは機関投資家等の資金保有者がこの際、長期のものをいやがるということで短期に志向していったということ、これが一番大きな原因だろうと思います。と同時に、やはり先ほども申し上げましたように、十一月から来年の三月まで三兆八千億もの大量国債がまだ市場に出てくる、その消化負担というもので、やはり引き受け能力に対して国債が余りにも多いという大量負担感というもの、この二つが現存の市況を低迷させている大きな原因であろうと思います。
 これに対しまして、短期的、長期的にどういうふうに考えるかという問題でございますが、一過性要因につきましては、先ほど申し上げましたように、短期的な対策といたしましては、一つには発行量の調整ということで、金融機関並びに証券会社引き受け負担を軽減するということで調整を図りますと同時に、資金運用部が市中から長期債を買い入れまして、若干の市場調整を図るというような措置もとってまいったわけでございます。この点につきましては、今後とも各月の資金需給の繁閑等を見まして、発行量の調整は考えていきたいと思っておりますが、長期的な対策といたしましてやはり考えるべきことは、これだけ大量の国債をまだ発行しなくてはならない、かつまた市中のニーズというものが長期から短期へ向かっているということでございますので、そのニーズに合った国債の発行、いわゆる種類の多様化というものを考えてまいりたいと思っております。
 ただしかし、単に市中のニーズが短期に向いておるからというだけで国債管理政策上、そのときそのときの便利で短期債に重点を移していくという点には、やはりいろいろ財政的にも問題があろうと思います。国の国債管理政策というものはあくまでも、やはり税金によって負担する借金でございますので、相なるべくは長くて安くて安定した借金という方法を考えるべきだと思います。そういう観点からいたしますれば、やはりこういう低金利時代におきましては長いものを大量に安定的に出していきたい。しかしながら、先ほど来申し上げましたような市中のニーズなり、あるいはいまの金利底打ち感ということから、大量に長いもの、ニーズに合わないものを出していくということになりますと、この大量の長期債自体の値崩れなり何なりを生じてまいりますので、その値崩れなり何なりを防止するために、補完的な措置として二年債、三年債、四年債というようなニーズに合ったものを今後検討していきたいと考えております。
 一方、国債管理政策と申しますのは、そういうふうに財政の負担の最小限の原則的なものだけではいまや済まない時代でございまして、これだけの大量の国債の発行、消化、流通、償還、各面を通じてどういうふうに経済の各方面にうまく受け入れられるかということを考えるべきであろうと思います。そういう意味におきましては、金融サイドからの検討ということが必要になってまいるわけでございまして、金融面から見てみますと、現在日本の公社債市場に発行されております公社債残高が約九十兆円ぐらいになっております。九十兆ないし百兆ということでございますけれども、残存期間別にこの構成を見てまいりますと、七年から十年ぐらいの非常に残存期間の長いものが七五%ないし八〇%を占めております。これは御承知のように、五十年以来大量の国債発行をいたしたために、かつ、それが十年債に片寄ったということでできた現象でございますけれども、金融調節を行うとか公社債市場の健全な発展を図るということになりますと、やはり民間の資金のニーズもそうでございますけれども、公社債市場、長短市場、あるいは中短期市場と長期市場を分離して金融調節をうまくやる、それを通じて国債管理政策を円滑に進めるという意味においても、金融商品としても中短期のものが必要であるという観点があろうかと存じます。そういう意味から、私どもは今後構造的な対策といたしましては、そういう国債の多様化ということを軸に、かつまた、それを受け入れてくれる公社債市場の整備拡大、あるいは安定保有層の拡大整備ということに努めてまいりたいと思っております。
#112
○伊藤(茂)委員 概括御説明いただきました内容にそれぞれ触れていきたいと思います。
 いずれにしろ私どもが心配しますのは、国債の大量発行に私どもは賛成してきたわけではありませんので、財政健全化のために、あるいは財政民主主義の立場からいってこういうことを抑制すべきであると言ってきたわけなんで、いまむずかしい局面になっていることにえらく同情して言うわけでありません。むしろこういう事態が起こった面で対策の見通しなり、それから対策のおくれが今日の状態の原因になっているのじゃないかという角度から申し上げるわけですが、いずれにしても、一過性の部分よりは今後どうすべきか、財政インフレなどが起きないようにどうすべきかという問題になってくるわけです。
 この一時的要因ということについて振り返ってみて感想をお伺いしておきたいのですが、経済評論家の中では、いまも理財局長が挙げました価格変動準備金、期中増加二%の導入、九月という指導ですね、これが時期として適切であったのかどうか。金利の底入れ感もある。それから先行きの新規債の魅力も少ない。それから銀行の利ざやも少なくなっている。そういういろいろな状況の中でむしろああいう変調を来す一つの要因になったのではないかというふうな見方も一部にあるようです。その辺の行政指導として振り返ってみてどうだったんだろうか。それから証券会社の引き受け過ぎというお話がございました。これについてもこの春以来の経過を見ますと、たとえば世銀債の大量引き受けとかいろいろな問題が重なっていたようですし、それから同じくこの春から初夏に一斉に発行された地方債の消化のシステムというものも、近代化された市場が確立しているわけでもない。いろいろな要素も重なり、そして売れ残りという現象が起こったようです。私は、これらの総括的な、後になって引き受け過ぎだったという評論も結構ですけれども、やはり何か全体についての的確な行政指導というものがあってもしかるべきではなかったのかという感じがいたします。
 それから最近の資金運用部の引き受け、これについても、まあ値崩れを支えるという意味もあるでしょうし、それから、たとえば二年ものなど流通されないように資金運用部で引き受けてもらいたいという経済界からの要望もある、いろいろな要素があったようですが、この辺の物の考え方も、やはり本来ノルマルな形で市場で消化をされるということが基本なんで、ある意味では、資金運用部が情勢に応じて機敏な対応も必要でしょうけれども、何かこういう部門を重点的に当面だけ考えていくというのも国債の管理運用としていかがなものかというようなことを、この夏以来の経過を振り返ってみて感ずるわけでありますが、その三つぐらいどうお考えになっておりますか。
#113
○徳田政府委員 金融機関の持っております国債につきましては、価格変動と申しますか、金利の引き上げが行われた場合には保有している国債の価格が下落するわけでございまして、この面で非常に決算上大きな影響を与えることになりますので、それに対する準備としての引当金の創設を認めたわけでございますが、これは本来的に申しますと、国債の安定的な消化を促進するということが大きな目的になっているわけでございまして、本来の国債管理政策に沿ったものであると考えられます。
 ただ、当然のことでございますが、各金融機関としては期末になりますと、それぞれの決算のために有価証券の処分その他を行うわけでございまして、したがいまして、このような引当金の創設ということは若干の影響があるわけでございますけれども、現実に国債を売却しました数字を各月を追って見てまいりますと、前年の同月あるいは前期の同じような月に相当する時期における売却額と比較しまして、特にこれが増大しているとは認められないわけでございます。したがいまして、この引当金の創設はいずれにしても早急に行う必要があったわけでございまして、一時的に若干の影響はありましても、むしろ本格的な国債管理政策上は非常なプラスになっているのではないか、このように考えております。
#114
○田中(敬)政府委員 御指摘の三点の第一点につきましては、銀行局長が申しましたとおりでございますが、伊藤委員が御指摘のように、そういう引当金はつくるわ、五月の地方債の起債ラッシュはあるわ、そういうものが全体でもっとよくながめられなかったか、調整がつかなかったかという御指摘でございますけれども、大体九月、八月という時期は、各企業が決算資金手当てをするということで、その面からの資金需要が出てまいります。地方債というのも、通常繰り越しまして、前年度分が四月ないし五月に一挙に大量起債になるという実情でございます。これらは当然私どもも想定していたことでございますし、それを含めましての総合資金需給というものを考えていろいろ発行額の調整をしてまいったわけでございますけれども、本年度は五月におきます金利の引き下げがございました後にそこに金利の底打ち感というものがあわせ重なったということで、たまたままずい時期にぶつかったというふうなことは反省いたしておりますけれども、今後ともその点は御指摘のように、各種の資金需要というものをにらみ合わせながら国債の発行のコントロールをやっていきたいと思っております。御承知のように、事業債等につきましても、あるいは政府保証債等につきましても、年々月々の発行量調整は行っておりますし、国債の発行量とあわせましてこれらを含めて調整を進めてまいりたいと思っております。
 それから第三点の、運用部資金の活用という観点で国債管理政策上これをどう活用するかという点でございますけれども、資金運用部資金というものは、いわゆる国債の価格支持政策なり市場対策として乗り出す資金とすれば適当な資金であろうと思います。と申しますのは、国債の価格支持等値崩れ防止等を行いますために日銀が市中から国債の買いオペを行うということになりますれば、それが単なる成長通貨の供給の範囲内であれば別でございますけれども、別の目的を持ってただいま申しました値崩れ防止等ということで日銀がこれに信用供与するということになりますと、これは即インフレにつながる道でございます。資金運用部資金は、一たん国民の貯蓄あるいは年金の掛金等として吸い上げられた金でございまして、これはいわゆる貯金と同じものでございますので、これをもって国債の価格支持を行うということは実質的にはインフレにつながらない。確かに市中に資金運用部資金がたとえば三千億でも国債の買い支えに出ますと、その時点、時点におきましては三千億のマネーサプライの増にはなります。マネーサプライの増にはなりますが、これは日銀が総合的な金融調整の枠の中で調整していくということで吸収される問題でございますので、適当な対策資金として運用部資金あるいは国債整備基金が持っております余裕金というものは注目すべき点と思いますけれども、何せ資金運用部資金と申しますのも、原資が郵便貯金が大宗でございまして、郵便貯金の伸びが限られておる、かつまた一方、財政投融資に対する需要が非常に大きいということでございまして、資金運用部資金がどの程度今後市中に出ていっていろいろ国債管理政策上の重要なファクターを果たし得るかということにつきましては、なおまだ検討すべき余地がたくさんあろうと思います。いずれにいたしましても、資金運用部資金あるいは国債整理基金というような一たん税金その他で吸い上げられた資金をもって国債管理政策の軸にしてまいるという方向は、今後も続けてまいりたいと思います。
#115
○伊藤(茂)委員 御説明いただきましたが、いずれにせよ、この夏の経過から見ても、いろいろとより深刻かつ機敏に将来を考えなければならないという状態に来ていると思います。一層そういう努力を要望したいと思います。
 問題は、今後どういう対策が必要なのかということになってくると思いますが、私は、先ほどの原因の御説明にありませんでしたが、やっぱり一番大きな問題は、発行量が多過ぎるということがそもそも構造的に一番大きい問題ということだろうと思います。それで、何か大臣が述べられたものを読んでおりましたら半ば共鳴する発言があったのですが、「赤字国債の拡大は財政インフレの危険」ということで、「財政論はもちろんの話だが、資本市場の現状からいっても、すでに国債の発行限度が近づいているということをわれわれは心配している。」云々と番いています。私もそういうことだろうと思いますし、また発行限度が近づいているということを心配しているということよりも、本当にもうリミットに来ているというのが今日のいろいろの問題が起きているベースになっているということだと思うのですが、大臣、そういう御認識でございますか。
#116
○村山国務大臣 一般的に申しまして、きわめて限界が近づきつつあるということでございます。先ほど理財局長から申しました長期的な対策といたしまして、補完的な意味でもあるけれども短期のものも入れて考えていきたい、これも確かに現状から見ますと一つの対策には違いありませんけれども、何分にも少し多過ぎるのじゃないかなと思うわけでございます。
    〔委員長退席、野田(毅)委員長代理着席〕
先ほどちょっと触れませんでしたけれども、円建て外債等もございまして、これは現在までのところ、今年一月から五千億程度でございますから、全体から申しますればそう大きな金ではございませんけれども、やはりそれとても資金需給に非常に関係がある。そうかといって、その分はやはり市場原理に任せているわけでございますから、国がそれをとめるというのもいかがなものであろうか。特に国際協力を必要とするわけでございますが、そういったことを考えますと、やはり財政当局としては極力減らして、特に赤字国債については減らしてまいりたいという点は御指摘のとおり私も同感でございます。
#117
○伊藤(茂)委員 来年度の予算編成とか今後の財政運営について、財界の方とかあるいは財政制度審議会の会長さんであるとかいろいろな方々から記者会見などで語られているものを読みますと、たとえば桜田さんが、来年の予算規模は三十九兆を超えるであろう、また国債の発行額も十三兆を超えるぐらいは必要であろうとか、ちょっと日付は忘れましたが、そういう新聞報道などいろいろなされております。
 私は、大臣をどうこう言う意味ではありませんけれども、前大臣の坊さんのときに、三〇%ライン厳守のとき、全力をふりしぼって、相撲の徳俵でふんばるように、三〇%ラインは超してはならぬということで、二九・九とか二九・七とかいう結果がついてきたわけですが、これは現大臣がどうこうというよりも内閣全体の経済運営の方針ということだと思いますけれども、三〇%を超し、また四割近いという状態になっているわけです。これが、いろいろ経済界の人たちが新聞などで記者会見で言われているように、来年はもっとひどい状態になるということになれば、先ほど御紹介した大臣が言われている心境からしても、むしろ逆行するのではないかというふうに思いますし、また今年度の予算についても、臨時異例でしたか特例とか、そういう言葉を総理を初め大蔵大臣からも私どもずいぶんお聞きをしたわけであります。ですから、臨時異例の上にさらに臨時、臨時が出てきてしまうということがあってはならぬと思うので、その辺の心構え、決意、見通しといいますか、まだこれからいろいろな総合的検討に入る時期でしょうけれども、財政を担当する責任者としてどういう気持ちで対応されますか。
#118
○村山国務大臣 臨時異例と申しましたのは、従来三〇%ということを言っておりましたが、われわれが見まして、家計部門に比べて財政収支の関係、それから企業収支の関係、これが極端に悪いわけでございます。一挙に直すということは、二兎を追うことはなかなかできませんので、やはり経済の基本であります企業部門に力をつけることが第一であろうということで、目的は三〇%と同じようなことでございますけれども、やや少し迂回手段をとりまして、目的とするところは最終的には同じことを考えたわけでございます。幸いにいたしまして、企業の収支関係も少し直っておりますけれども、なおまた今後、来年度一体どういう経済政策を立てていくのか、ここには幾つかの道筋がございまして、六十年までの中期経済をこれから立てるという問題、われわれはその中にぜひ財政収支のことも考えて、特例公債脱却のなるべく早目の時点を設定してもらいたいと思っているわけでございます。それと同時に、その経済の見通しの上に立った来年度の具体的な経済の姿をどういうふうに想定しておるか、その両面を見ながら、先ほど申しましたような財政の節度、あるいは特に赤字公債の発行量を極力減らしてまいりたい。依存度で考えているわけでございますけれども、これは財政収支という計算面だけではなくて、現実の償還面も考えながらやってまいりたい、かような考えをいま持っておるわけでございます。
#119
○伊藤(茂)委員 大臣非常にお上手にそつなくお答えになりますけれども、けさの新聞を読んでおりましたら、全銀協の会長の松沢さんがきのう記者会見をされて、国債の引き受け、発行状況、もういよいよ限度に立った、シ団としても深刻に考えなくちゃならぬ。何かその記事を読みますと、もう引き受けの一部をカットすることも考えざるを得ないというふうなことが、昨日松沢全銀協会長の会見ということで出ております。現在の国債の消化の割り当てといいますか、割り当てではなくて入札になってますます強まるわけでしょうけれども、そういう状況からしても、一番大口の方の全銀協からもこういう発言が出るということは、全体の環境がそれだけ深刻になっているということだと思うのです。ですから、これから総裁公選のこともあるでしょうけれども、大事な国の財政編成に年末これからかかるわけです。坊前大蔵大臣のとにかく三〇%という言葉は私どもも耳にたこができるほど聞いたのですけれども、こういう非常に重大な状況ですから、もちろん経済、財政、その兼ね合いもありますが、財政全体の今後の展望について、もうちょっと決意のある展望をお聞かせ願いたいと思うのです。
#120
○村山国務大臣 非常に深刻な問題は、実は財政収支の問題、消化の問題、それからいまの民間企業、特に雇用の問題等にらみ合いまして、来年度の経済成長をどの辺に持っていくのか、どれ一つとってもいずれも深刻な問題でございます。財政収支という問題は、まあひが目かどうか知りませんけれども、それほど目に見えないものでございますから、ほかの成長とかあるいは国際収支の問題であるとかあるいは需給ギャップの問題というものに比べますと、余り注目されなかったきらいがあったのじゃなかろうか、少なくとも同率に考えて政策を決定してもらいたい、われわれはいまそう思って、これからその趣旨に従いまして全力を挙げてまいりたいと思っておるところでございます。
#121
○伊藤(茂)委員 それ以上はっきり出そうもありませんから、次の話題にいきたいと思います。この夏の国債消化の変調と言われている状況の中でも、御承知のとおりに、新規債が売れない、あるいは新規債の売れ残りという状態になっているわけです。それは言うまでもありませんが、利率、金利と関係をしてくるということになるわけです。何か新規債の売れ残りが発生をした、あるいは既発行の分についてはまだ根強い人気があるということが言われているわけですが、それに関連をして金利政策をどうしていくのかということがいろいろと言われているようです。財界の一部では、公定歩合の引き下げがあるかないかとか、したらどうかとかいうふうな意見もあるようですし、それから、新規債の発行がうまくいかないということと関連をして、国債の金利引き上げを考えるのかどうか、そういう国債の金利引き上げを考えるよりは短期の金利を下げる方が筋ではないかとか、いろいろな意見があるようであります。
 低金利の状態ですから、いずれにしても新規発行債の方に魅力が少なくてという状態が続いて生まれるのではないかと思いますが、何かいろいろそれに関連した形でこの金利政策の問題が出てくる。もしそれが変なかっこうでいった場合には、景気動向を含めて非常に大きな問題になるという危険性を持っているわけなんですが、国債の管理運営と関連をして金利の問題について、現状を見てどういうお考えで対応されようとしているのか、お伺いしたいのです。
#122
○田中(敬)政府委員 公定歩合その他につきましては、お答えすべき筋でございませんので避けたいと存じますけれども、新発債が売れ残るとか、新発債の条件がよくないのでこれを改定して消化の促進を図ってはどうかというような御議論がございます。しかし私どもは、金利の底打ち感があるということを最初に申し上げましたけれども、全体の資金需給が変わったわけではなくて、どこからも資金需要が出ておらないということで、単に長期へ向いておった資金が短期へシフトしていったというのが依然現状であろうと思います。
 と申しますのは、最近の一、二カ月の長期と短期の公社債市場における金利を比べてみますと、最長期ものの国債あるいは新発債の金利というものは、少しずつ金利が上がっている、価格が下落をしているというかっこうになっておりますけれども、現先レートをとってみますと、現先レートは、特にこの九月の中旬以降、急速と申しますか、確実な低下傾向を示しております。こういうふうに現先市場の金利、短期金利が下がってまいりますと、これはやはり投資家の常といたしまして、短期に向けた金をまた長期に戻すという長短の間のシフトが起こるのではなかろうか。現に、現在まで国債の長期ものの消化が困難であったと申しますのは、その長期に向いた金が短期ヘシフトしただけの話でございまして、これがいずれ現先市場のレートの低下に伴って長期に戻るということも予想されますので、この金利につきましては、私どもはもう少し動向をながめていきたい、それが確定するまでは国債の発行条件を改定するということは考えるべきでないというふうに考えています。国債の新規発行条件を改定いたしますと、おのずから関連いたします地方債でございますとか政保債でございますとか、ひいてはプライムレートにまで影響する問題でございますので、これは長期金利を高くして現在の経済政策に逆行するという形になりますので、その点についてはあくまで慎重に推移をながめてまいりたいと思っております。
 それからもう一つ、長期債の消化をよくするために、相対的に短期金利との格差を広げるという意味で短期金利の引き下げを図ったらどうか、そこから公定歩合の議論も出てきたのかと存じますが、先般日銀総裁が記者会見で申されておりましたように、公定歩合を引き下げて短期金利を引き下げても、これはやはり長短連動性の非常に高い日本の公社債市場の問題でございますので、単に国債の消化促進の面からこれを行っても、これは一時的な救済策にすぎず、根本的な解決策にはならない、そういう面では、国債の長期債の消化を促進するための公定歩合の引き下げ、あるいはそういう意味での人為的な短期金利の引き下げは必要はないもの、国債管理当局者としてはさように考えております。ただ、先ほど申し上げましたように、現先市場でございますとか、ある程度規制はされておりますけれども、コール、手形の金利というようなものがより一層弾力的に引き下げられれば、相対的に長期金利の有利性というものが浮かび上がってくるということはあろうかと考えております。
#123
○伊藤(茂)委員 いま現先レートの状況まで触れられましたが、先ほどの御説明の中で、国債の多様化の問題についても触れられておりました。関連してその点についてお伺いしたいのですが、この夏以来起こっている変調といわれる状態、それ、について私は最大の原因は、発行量が多過ぎるという構造から起こってきているさまざまな問題ということだと思いますが、その中でも長期債の供給過剰という声もあります。そしてまた、多様化をより強力に推進すべきではないかという評論なども、新聞や経済雑誌を見てみましてもいろいろなされているということであります。
 そういうこともいままでずいぶん論じられてきたわけですが、特に最近の資金の需給状況から見ますと、先ほど申し上げた中で大臣も何か言われておりますが、資金運用の姿勢が、どちらかといえば長期のものから短期に志向しているという傾向の指摘をされているわけです。そしてまた、現実の状況もそうではないか。資金需給が全体として依然として緩和をしているという状況の中で、むしろ短期性向を強めているということだろうと思います。
 そういうこととも兼ね合わせて考えてみますと、もっと短期の、二年、三年、四年とか、あるいはもっと短いものとか、いろいろ御検討もなさっているようですが、そういう面を大胆に提起されてもいいのじゃないだろうか。それぞれ競合する商品があって、金融債とぶつかるとかいろいろ競合の問題もあるわけですが、全体の資金状況が最近のそういう状況にあるとすれば、もう一つ大胆に、短期のものを、しかも多様に、関係業界も説得をして発行をするということが必要なのではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
 それともう一つ。何か新聞を見ましたら、十五年という超長期の研究もなさっているというのが出ておりましたが、それもつけ加えてお伺いしたいと思います。
#124
○田中(敬)政府委員 御指摘のとおりに、国債の消化がこういう局面にぶつかった最大の原因は、余りにも大量発行である、日本のいまの金融市場、資本市場の受けざらに対しまして国債の量が多過ぎるということが基本原因でございます。そういう意味におきましては、国債管理政策とすれば、極力国債の発行額を圧縮するということが御指摘のとおり第一義でございますけれども、中期財政試算でもお示ししたとおり、当分この大量発行は避けがたいということになりますと、その中でどういうふうにこれをうまく経済にマッチさせていくかという問題になろうかと思います。
 おっしゃいましたように、ニーズに合って国債の多様化を図っていくということが重要でございますし、ニーズといたしましても、十年の長いものが余りにも多過ぎるということも御指摘のとおりでございます。そういう意味におきまして、今後も二年、三年、四年と御指摘のような国債につきまして、これの実現を関係者間で十分協議いたしまして、円滑にこれが市中公募あるいは引き受けという形で発行できるようにさらに努力してまいりたい。特にその量的な面におきましてもそれを努めてまいりたいと思っております。
 ただしかしその際、競合商品がある市中金融機関というような形でいろいろ協議すべき場面も多うございますが、一方、財政面から見ました場合の償還負担の問題というものも当然念頭に置かなくてはならない問題でございます。二年、三年、四年というものを出しました際に、従来の国債の償還制度に照らしまして、これが国債整理基金の積立金と見合って十分に消化し得るものであるかどうか。その二年、三年を発行したために、その償還負担のためにさらにその年に国債を発行するというようなことでも問題でございます。しかし、これも国債の消化という観点から中期、短期のものが必要であるということでございますれば、財政当局とも相談をして、償還面に工夫をこらしながら、これを拡大、前進をさせていきたいと思っております。
 それから、十五年債の超長期もののお話でございますけれども、やはり多様化と申しますのは、先ほど、ニーズその他があるので、あるいはいまの資金需給からいえば中短期のものが好まれておるから中短期のものを今後発展させていくというふうに申し上げましたけれども、一方、最初に申し上げましたように、財政の立場からいえば、長くて安くて安定した借り方というものも無視することはできないわけでございます。機関投資家と申しますものが日本では、たとえばいろいろ年金でございますとか共済の金というようなものはほとんど資金運用部に入っておりまして、諸外国におきますようないわゆる機関投資家的なものが日本には存在しておりません。しかしながら、企業年金等の制度が漸次成熟してまいりまして、いずれは信託銀行あるいは生命保険会社等が行っております企業年金の資金が相当膨大なものになってくると思います。現に相当量の資金がございます。これらのものは、年金会計に合わせましてある程度の運用利回りが確保できるものであるとするならば、これは十年であっても十五年であってもいいわけでございますので、そういう機関投資家的なものを今後も私どもは、主として年金基金等に着眼いたしまして、これらとの間で十年、十五年というような長いものの引き受けというものの可能性を探ってまいりたい。多様化というのは、単に短くするだけでなくて、そういう方面で十五年というような長いものについても検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
#125
○伊藤(茂)委員 いままで国債の問題についてお伺いいたしましたが、大臣、私は坊さんと比較をして申し上げたわけではありませんけれども、財政における借金の状態がますますエスカレートしてくる、これが何かのきっかけで財政インフレを引き起こすとか、あるいは国民生活に重大影響を及ぼすような事態が発生するとか、いろいろな危険性が潜在的には非常に深まっているということだと思うのです。ですから、先ほどこれからの展望について一般的なお話がございましたけれども、やはりこういう事態になった財政の国の責任者といたしまして、これから特に来年度に向けて強い決意を持って財政健全化の方向に向けて、特に大蔵大臣としてがんばっていくのだというふうな姿勢をぜひ出していただくように強く要望したいと思うのです。
 それから、やはりこういう事態になってまいりましたのも、私ども長年指摘をしてまいりましたように、現在の歳入歳出を通じた全体の構造をもっと大きく転換をさせるべきではないか。あるいはまた、中央、地方の税、財政関係の抜本的な転換の時期というものも、早期に解決しなければならないいろいろな問題が来ていると思います。ですから、大量の国債を七%か何かのために発行していく、そしてそれがどうにもならぬ状態にだんだん転がっていくというふうなことにならぬように、強い決意を持って今後の運営に臨まれるように強くお願いをしておきたいと思うのです。
 それで、次の問題に移りたいと思いますが、国債、国の借金ということになりますと、その改革のお話が出ますと、増税の話というような形に大蔵省の論理展開が世論に向けてもなされているわけでありますけれども、これは大阪にひとつお伺いしたいのですが、たとえば一般消費税の問題でも、これは与党の皆さんから財界まで含めて、現状では非常に評判が悪い。そして総理も予算委員会では、来年度実施はむずかしいという意味の答弁をなさっているようでありますが、大蔵省事務当局の方ではなおこの実現に向けてがんばっているという印象で受け取っているわけであります。
 ただ、この増税の問題については、各界から共通して指摘をされてきたことでありますけれども、一つは、今後の財政展望についての明確な中期プランが出されなければならない、そうでなければ国民の説得性はないだろう。もう一つは、徹底的な不公平税制の是正が急務である。その二つのことは至るところから言われてきたことだと思います。一般的な姿勢として、その二つの問題に今後どういう姿勢で臨まれますか。それから、特に前の方の中期プランの問題は、何かこれからゆっくりやるのか、また、企画庁や経済審で進める新中期計画の作成ということと兼ね合うわけですが、私はやはり前々から指摘をしてきたわけですが、そういう骨格なんかをなるべく早く国民の前に明らかにするということが大事ではないかと思いますが、そういう税についての前提として指摘をされた二つの問題についてお考えを伺いたいと思います。
#126
○村山国務大臣 後の問題から先にお答えさせていただきますと、一般的な負担の増加を求める場合に、いわゆる不公平税制の是正ということは当然のことであろうと思いますし、われわれも従来も努めてきたところでございますが、さらにこの点には力を入れまして、できるだけ不公平税制の是正には努めてまいりたい。それと同時に、やはり歳出につきましても、厳しく優先順位を選択していくということ、スクラップ・アンド・ビルド、あるいは前年どおり、若干ではありますけれども物価の上がる中で、そういう厳しい歳出態度をやはりとっていかなければならぬだろうと思っているのは、全く同感でございます。
 次に財政計画との関係でございますけれども、これは前提といたしましてはどうしても、これから策定されます、あるいは来年度の予算編成の一つの前提になります中期経済計画、これとの整合性を持つことは絶対に必要であるわけでございます。その場合に、いつから赤字公債から脱却するかという点が最大の焦点になるだろうと思います。われわれとしては前々申し上げておりますように、財政収支の均衡、健全財政という問題を従来よりも強く考えてもらいまして、なるべく早目に脱却するような経済計画を立ててもらいたいと思っているわけでございます。
 その中におきまして財政計画という問題でございますけれども、財政計画という問題になりますと、そういう制約のもとに具体的に何年にはどういう税目でどれぐらい増税するかというようなところまでまいりますと、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、各国の例を見ましても、やはり財政計画の名前に値するものができるまでには十年近くの歳月がかかっているわけでございます。いま財政審における財政計画等特別部会で問題点を洗いましてやっているわけでございます。しかし、その計画ができるまでほうっておくということでは決してないのでございまして、その計画ができないにいたしましても、財政収支の均衡という問題はやはり一刻もゆるがせにできない問題でございますから、そういう幾つかの前提がございますけれども、なお一般の負担増を求めていくという努力はやはり絶えず続けていかなければならぬ問題である、このように考えているわけでございます。
#127
○伊藤(茂)委員 大臣、簡単に伺いますけれども、ことしも予算と兼ね合ってA、B、C、D、Eと出ましたね、あれと同じものをまた来年もやるのですか、もっとしっかりした別のものがちゃんと出される作業をやっているのですか。
#128
○加藤(隆)政府委員 どういうものを財政計画というかということがあるのでございますが、広い意味では、前三回国会にお出ししております財政収支試算も広い意味の財政計画だと思うのです。
 五十四年度の問題でございますが、いま大臣御答弁ございましたように、もう少し具体的な経費の予定あるいは歳出を予定するというような意味の財政計画は日時を要しますので、五十四年度の場合には、本年お出ししたようなスタイルの財政収支試算的なものがベースになったものを出すことになろうと思います。
#129
○伊藤(茂)委員 去年もあってことしもあって、とにかく予算の審議が終わってちょっとしたらもうスクラップになるようなペーパーづくりはもうやめてもらって、もっとまじめなものを出してもらうようにぜひお願いをしたいと思います。
 それから、大臣言われましたが、不公平是正の問題、前の大臣も現大臣も、一般消費税などに兼ね合って増税が論議になる際には、国民の御理解を得るために不公平是正は絶対に必要な前提条件で、大いに努力しなければなりませんという意味のことを、この春の国会でもずいぶん私どもは聞いてきたと思うのです。私はそういう意味で言って、たとえば一般消費税の具体的な内容その他、この前の委員会でもいろいろ御審議がなされましたが、そういうものを考える環境、前提の問題というものを、いままで大臣が繰り返し言われてきたそういう不公平是正を国民の御理解を得るような前提条件という視点からひとつ考えてみていただきたいと思うのです。
 たとえば具体的に言いますけれども、医師税制の改革の問題、何か総理の方は、改革改正案を来年の通常国会に出しますというような答弁がきのうあったようであります。
    〔野田(毅)委員長代理退席、委員長着席〕
そうしますと、いままでも大臣がお答えになっていたのは、とにかく自民党の方も五十三年度末までということであったわけですから当然のことではあるかもしれませんが、総理がそう言われているわけですから、税金を取る方も取られる方も何か具体的な準備か検討を当然十分なさっているのだと思うのですが、そういう確信が、総理が言われたように来国会に必ず出すという展望にあるのか。あるいは、私どもずいぶん指摘してまいりました利子配当総合課税の問題、これもいままでの御説明でも来年度というわけではないわけですね。そういうものを一般消費税を考える前提として、具体的に早急に私どもが主張してまいりましたように解決をするという考え方があるのか。あるいは、さまざまな内部留保の問題を私ども指摘してまいりました。また新聞を読みますと、一部来年は廃止をするとか縮減をするとかいうお考えもあるようですが、これらのいろいろな準備金、引当金などの現状についても、いままで言われてきた前提条件ですから、それらの前提を具備するように、これは増税の研究の前に具体化されなければならないということだと思います。また、何年も議論されております租税特別措置の問題についても同じことが言えるだろうと思うのです。
 そういう医師税制、利子配当総合課税、内部留保の問題、租特など申し上げましたが、いままでの一般的な大臣のお話、要するに増税の前には国民の御理解を得るように不公平是正に全力を挙げて取り組みますということを言われてきたわけですが、そういう意味から言うと、そういう前提条件の方は具体的に進行しているのかどうか、あるいは五十四年度税制に反映をさせるような具体的検討が進んでいるのか。また、さっき申し上げましたように、何か総理が参議院の予算委員会で、医師税制の問題を来年の国会に出しますと言われているようですが、それらの準備をなさっているのか、それらの具体的な状況を伺いたいと思います。
#130
○村山国務大臣 御案内のように、わが党は現在、現行の医師優遇税制については五十三年度限りとするということでございまして、それに必要な諸般の措置をあわせ実施いたします、こういうことを言っております。政府もそれと呼応してこの作業を進め、来年度限りにしたいと思っておるわけでございます。この具体的検討という問題につきましては、実はいろいろな問題がありますけれども、決意の問題だろうと私は思っておるのでございます。そういう意味で、まだ臨時国会をいまやっているところでございまして、来年度の予算編成の時期にまいりますと、急速にその問題がかたまっていくであろうというふうにわれわれは見ているところでございます。
 その他のいわゆる不公平税制でございますけれども、私たちが申し上げております不公平税制の内容は、もう申し上げません。私たちは不公平だと言っている。ただ、政策的に必要なものを何でも廃止するという意味ではございませんので、やはりその中で、もう使命を果たしたとかあるいは新陳代謝の時期に来ておる、こういったものにつきましては、五十一年以来鋭意やってきたつもりでございますけれども、今年も引き続き精力的に検討し、その方向で努力してまいりたい、これがわれわれとしては一般的負担の増加を求める場合の前提条件であろうと思っておるわけでございます。これは言うまでもないことでありますが、利子配当の総合課税までやらなければ消費税は導入できないという意味で申し上げておるわけではないということを、御理解願いたいと思います。
#131
○伊藤(茂)委員 大臣はそう言われますけれども、とにかく昨年来、一般消費税の問題はこの委員会でもずいぶん議論されてきました。その議論のときには、やはり国民の御理解を得るように不公平の是正が非常に大事であります、また増税の前提として大いに努力しなければなりませんということを言われましたが、どこまでどうという不公平の物差しの問題は若干意見のずれがあります。しかし、国民の理解を得るような不公平の是正が進捗しているというふうに世間的に受け取られていないだろうと私は思うのです。この九月以来も、消費税の問題に関連して、なおかつ必要な前提条件であるという論評が各界から強く出されているのが現状です。そういうふうに世論は認識をしているということだと思うのです。
 時間がありませんから詳しく一つ一つできませんけれども、世論を見ても、あるいは作業の状態を見ても、まだそういう前提条件は整っていないというのが現状ではないだろうか。そういうこともあって総理も、来年度の採用とかいうことについては、増税の条件は当面ありませんという答弁をなさっているのだと思うのですが、どうですか。
#132
○村山国務大臣 総理がどういう感覚で申し上げておるか、不公平税制の是正ができないから慎重に検討する、そっちにアクセントがあるのではなくて、成長との関係で、先ほど申しました非常にむずかしい、どちらもぎりぎりの線であるので、そこは慎重に検討したい、そちらにアクセントがあるのじゃないか、私はそう聞いておったわけでございます。
 不公平税制の是正の問題につきましては、私たちは鋭意努力してまいりたいと思っておるわけでございます。五十一年以来相当額、われわれは特に企業関係についてはやったつもりでございます。今後もやっていくわけでございます。それ以外の問題につきましては、やはり医師優遇税制が一番大きな問題でございます。利子配当の総合課税という問題につきましては、先般来納税者番号制度等の問題もありまして、五十五年まではまだ現行制度でいかざるを得ませんし、また準備から申しましても恐らくそれぐらいかかる問題である。それによる是正額というのは、先ほど申しましたように、利子と配当を合わせまして四百三十億ぐらいのものと言われているわけでございます。あとの問題は、少額貯蓄の問題とか、生命保険料控除の問題とか、あるいは法人税で申しますと中小企業関係の問題が大体半分ぐらいを占めておる、こういう状況にございます。そういったことを十分認識しながら、かつまた、本当にいま直していくべきであるというものを取り上げまして精力的にやっていこう、そのことがやはり一般的負担を求めるときの最小限度の前提であろう、こういう趣旨でわれわれは鋭意努力を続けてまいりたいと思っておるのでございます。
#133
○伊藤(茂)委員 いずれにしても、大蔵省あるいは大臣がいま精力的にやるべきことは、一般消費税の研究よりも、国民の理解を得られるような前提条件の不公平是正の方の具体的な仕上げではないだろうかと思いますし、何か新聞を読みますと、アメリカの方で税金反乱が起きているということがよく報道されておりますけれども、これだけの大きな問題ですから、あれと同じようなというか、あれ以上の騒ぎが起こってしまうというふうな感じがいたしますので、ぜひ慎重に対応されるようにお願いしたいと思います。
 時間がありませんから、あと一つだけ簡単に伺いたいのですが、具体的な問題で地震保険の問題です。
 これは宮城県沖地震以来、その前も話題に上がったようですが、宮城県沖地震以来、特に農協共済と対比されまして、国の地震法に基づく、あるいは損保会社がやっている地震保険は非常に評判が悪くて、役に立たぬという不満が高まっているわけです。何かあの後には、この秋の臨時国会にも改正案を出したいというふうな、この秋までにも間に合わせたいというようなことを新聞で読んでおりましたが、その後、当然いろいろと努力もなさっているのだろうと思いますが、大蔵省としてこの状態をどう改善するのか、あるいはまた損保協会その他とどの程度まで話し合いをなさっているのか、その具体的な経過、内容。
 それからもう一つ、時間がありませんから一緒に伺いますが、あの問題の経過、それから、私も不幸にして地震の確度の非常に高い地帯に住んでおりますので、周りの関心も非常に高いのです。あの法律がつくられたときには、関東大震災規模の大きな地震が起こった場合に備えて、言うならば立ち上がり資金的なものをという感覚で、その後若干改定されておりますが、金額の上限も決められていたということだと思うのです。ところが、この間の富城県沖地震その他の経過を励ますと、そういう感覚がもう国民の理解をちょっと得にくくなっている。むしろ最高一兆二千億ですか、それの規模とか、それ以上とかというふうな大地震の場合には、国家的緊急対策という視点でなければカバーできない。農協保険とは構造がちょっと違いますから、掛金の率その他サービスの内容がずいぶん違いますけれども、やはりもっと中、小程度の震災に対して十分な、できるだけ可能な範囲で恩恵が、あるいはバックペイが与えられるような仕組みにしてもらう、その方が効果がある、むしろ現実対策ではないだろうか、そういうぐあいにあの立法ができた当時と現在では変わってきているのじゃないだろうか。その方が国民のニーズにも、あるいはまた理解を得られるということではないだろうかという気持ちがするわけです。
 当面の改革、何か新聞によりますと、見舞金程度とかという話も出ておりますが、もちろんそういう程度のことで検討されているわけではないと思いますけれども、改革、改善のためにいま考えておられる内容、それから後で申し上げました考え方を切りかえるということで、二つあわせてお伺いいたします。
#134
○貝塚説明員 お答えいたします。
 御指摘のように、ことしの夏からわれわれの指導のもとに損保協会に委員会が特別にできまして、鋭意地震保険の全面的な見直しをやっているわけでございます。簡単にできるもの、たとえば査定基準でございますとかPR資料等はすでに実施済みでございますが、いま御指摘の分損の問題、われわれは非常に忙しくスタートしたわけでございますが、やってみればやってみるほど大変むずかしい問題にたくさんぶつかっております。
 一つは、分損の範囲という資料がほとんどございません。半壊半焼まで分損と言うのか、それともどの程度のものを分損と言うのか、分損の範囲。それから、全損でございますと、学問的な基礎がございまして、いろいろな学者が震度と全損との関係、それから全損の場合の火災の発生率の関係、そういう学問的な探究が非常に進んでおりますが、分損については、資料と同じくそういった学問的な研究も進んでおりません。しかし、そう言っては切りがございませんので、ある程度相当大胆な推定を加えまして、いろいろな形態をいまわれわれ研究しております。五〇%までの半焼半壊だったらどのくらい払うか、それ以下だったらどうかという相当大胆な推定のもとにやっておりますが、何しろ資料ということと、それから計算の事務能力という点で、その点が残念ながらなかなか進んでおりません。
 一部新聞に臨時国会というようなことが報ぜられましたが、われわれ相当な決意を持って進んでおりますが、そういう時間的なお約束はしたことはございませんが、決意としては速やかにやりたいと思っております。
 それから第二の点でございますけれども、中程度のものについては相半厚くしたらどうか、それから小程度のものをもっと厚くして、大きいものは削減するとか、そういう案も、実は地震保険ができますときの保険審議会でずいぶんいろいろ議論いたしました。しかし、中と小というのをどうやって決めるかとか、あるいはその限界にあるというものをどうするかとか、それから保険料率をそのときどうやって決めるかということで、結局関東大震災の災害を予想したような現在の制度になったわけです。しかし、これもいま全面的見直しの一つの課題といたしまして、関東大震災を除いたときということを考えておりますが、しかしわれわれといたしましては、いざそういうときには国というような考えはなるべく持たないで、何とか損害保険協会の中で解決できるような方法をとりたい。もちろん先生のおっしゃるようなものは、検討事項に上がっておりますが、一回議論して大変むずかしいと結論が出ておりますので、果たして二回目でいい結論が出るかどうかちょっと自信がございませんが、もちろん検討しております。
 以上でございます。
#135
○伊藤(茂)委員 ということは要するに、いまのような全損の場合だけということを転換して、分損の場合も対応するという考え方でその具体案の研究をしているということですか。
#136
○貝塚説明員 おっしゃるとおり、分損の場合にも担保する方向でいろいろ検討しております。
#137
○伊藤(茂)委員 じゃ、これで終わります。
#138
○大村委員長 貝沼次郎君。
#139
○貝沼委員 初め大臣にお尋ねいたしますが、政府が九月の十八日の臨時閣議で、補正予算を中心とする総合経済対策の効果を織り込んだ五十三年度政府改定経済見通し、経済企画庁改定試算でありますが、これを了承し、そして補正予算が組まれ、それが国会を通過した、こういうふうになっておるわけでございますが、それにしても、円高による輸出の落ち込み分を総合経済対策によって内需の拡大で補って、当初見通しと同じ名目一二%、実質七%の経済成長を達成する、こういうわけでありますが、この企画庁の改定試算が出なければならないということ、これは一体何を物語っておるわけでございますか。
#140
○村山国務大臣 これはやはり企画庁から再々説明しておりますように、最近の円高によりますところの貿易収支の様相が一変してきた、輸入数量がふえ、輸出数量は減っている、そのことによって、従来の七%という線が非常にむずかしくなってきた、その分を内需で補てんしなければならない、こういうことが中心的な問題意識でございまして、それに対応するものとして二兆五千億の事業費、GNPで計算しますと、結局はいろいろなものを考慮しますと二兆くらいになりますが、その波及効果を考えて、また、二兆五千億ぐらいでちょうどまあまあ当初の見通しがあの線で達成できる、こういうことでやっておるわけでございまして、それに伴う補正予算あるいは財投等について御審議をいただいて可決していただいたわけでございます。
#141
○貝沼委員 先般私は、六月の十四日に当委員会におきまして、大臣にこの先行きのことについて質問をいたしました。簡単に申し上げまして、経済成長の目標達成は非常にむずかしいのではないか、したがって場合によっては、あるいは補正予算を組むことも考える必要があるのではないか、こう私は質問いたしましたが、そのとき大臣の答弁はこうなんですね。「五十三年度の施策そのものがどちらかと申しますと、後半期に影響を及ぼす性質のものが多いわけでございますので、私たちは、まあ七%の軌道に乗ってきたんじゃないか、そういうふうに考えているわけでございます。
 それから、第二段の補正予算との関係でございますけれども、私たちは七%はいけると思いますので、そのために補正予算を組むということは余り考えられないのでございます。むしろ問題は、七%ということでなくて、何らかの必要で年度の途中において――公共事業費関係でございますと、御案内のように予備費が二千億ございますし、弾力条項もあるわけでございますが、七%の問題でなくてほかの要素で、経常経費をどうしても出さなくちゃいかぬということになってきたというような事態がございますと、これは三千億の通常予備費で処理できないものは補正予算を組まなければいけませんので、もしそういうことがあれば必要になるかもしれぬとは思っておりますけれども、いまのところその必要性を余り痛感していない。また、現実にいろいろな話がありましても、そのために必要であるかどうか、それほどではないんじゃなかろうかと思って、様子を見守っておるところでございます。」これが三カ月前の話です、大臣。
 私は、大蔵省の見通しというのは、予算を組むとき一年間見通してやるわけですから、一年間は全部見えなくても、いま変動の時代でありますからむずかしいかもしれませんが、三カ月前の話でございます。そしていま補正ができて、すでにまた第三補正という話もあちこちで聞こえてきておるわけでありますが、そうなってきますと、大蔵大臣の答弁というのは大体どの辺まで信用して聞いたらいいのか、何カ月ぐらいまで信頼性があるのかということになって、非常にこれは日本の経済政策上まずいと私は思うのです。このときも私は、オオカミと少年みたいなことになってはいけませんから、こういうそのときだけよければいいような答弁ではなしに、わりとはっきりしたことを言った方がいいですよということを言っているわけですけれども、これも大きく狂ったと私は思っておるわけですが、狂ったればこそ企画庁は、いまの状態ではだめだから補正を組んだ方がいいという判断をしたわけでありますから、そういう意味から考えますと、この閣議で決定されたものというのは、いままでの政府の見通しは実はちょっと甘過ぎました、ちょっと狂っておりました、これから新しい方向に向かいます、こういう反省を含めてのものであるかどうか、そこを伺いたいわけであります。
#142
○村山国務大臣 まず、その狂ったものでございますという話でございますが、確かに狂ったものでございますので出しているわけでございまして、これは予算委員会におきまして、総理も経済企画庁長官も、私もまた申し上げているのでございます。
 三カ月前、えらい自信があるようなことを言ったという話、まあ事実そのとおりだろうと思います。四−六の国民所得統計、これがなかなか出てまいりません。そこで、ボンのサミットでも言っているわけでございますが、今度やりますのは七%成長、一・五%程度上げることを目標にしております。それから、輸出は前年以下に大体抑えていきますし、輸入は前年以上に数量ベースで伸ばしますということを申し上げている。この段階でもまだ四−六のQEはわからないのでございます。ただそのときに、八月ないし九月に見直しまして、必要があれば所要の措置を直ちに講じます、こういうことを申し上げているわけでございます。四−六のQEが八月末にわかってまいりました。ここで見ますと、やはり従来の円高傾向あるいは行政指導という問題で、貿易収支の実質ベースで七%に対して、そっちの面から見ますと非常に大きな落ち込みがあるということが判明いたしましたので、今度やったわけでございます。
 念のために申し上げますと、一−三のQEでは前期比二・五でございましたが、年率にしますと大変なものでございまして、当時はわれわれはそこが一番頭にあったわけでございますから、七%大丈夫でございましょう、こう申し上げたわけでございます。今度QEを見てみますと、最終的には前期比一・一になっておるわけでございまして、しかもその場合に、海外経常余剰は実は一マイナスになっているわけでございます。ということは、内需だけで申しますと二・一、それから前期比で申しますと、内需だけで言いますと二・三でございます。したがって、瞬間風速として内需の拡大は九%を超えておるわけでございますけれども、何分にも海外要因が、円高の影響あるいは行政指導の影響で急速な落ち込みをしておりますので、ボンで申し上げた約束に従い、また総理も、われわれはいまは――当時の話でございましたが、いまは自信を持っておるけれども、絶えず経済は機動的に運営せんければならぬ、こういう線に沿いまして、今度追加予算を含むところの総合経済対策を提出し、そして御理解を求めているところでございます。
#143
○貝沼委員 率直に認められましたから、私は念のため伺っておきたいと思いますが、年度というこの時間的な幅ですね、これは、これからの日本経済では非常に長い幅になるんじゃないか。したがって、いま大臣からQEの話が出ておりましたけれども、やはり途中で機動的な経済運営の修正というものはこれから先やっていかなければならぬだろうと思うのですね。それで、大体そういう頭でこれから見ていくべきなのか、それとも、やはり予算制度というのは年度でできておるわけでありますから、年度の初めに議論したときの議論をあくまでも固持すべきなのか、この辺のところはどういうふうにお考えですか。
#144
○村山国務大臣 経済はずっと連続しておるわけでございまして、年度というのは一つの、何と申しますか、憲法に決められております予算の単年度主義、それに基づきまして一つの計算単位として行われておるところでございます。したがって、連続している経済でございますから、そのときそのときで非常に変わってまいることは当然でございますが、これを財政の上でやる場合には、やはり単年度でございますので、その中で絶えず見直しながら整合性を求めていく、こういうことであろうと思うのでございます。
#145
○貝沼委員 それからもう一点、これから下期の後半の景気の問題であります。
 この前の質問でも、前期回復宣言、後期失速とこの二年間続いたことを挙げまして、今年もまたそうなりそうですね、その点は大臣、大丈夫ですかという質問をしたわけでありますが、大臣の答弁は、そのときはどういう答弁をしたかというと、こう言っておるのです。「下期息切れが出るというふうには考えられないのでございます。」、「下期息切れというのは、実は去年、おととしの特殊現象じゃなかろうか、率直に言ってそういう感じがいたしております。そう心配することはないんじゃないか。」こういうふうに非常に心配ない、こう言っておるわけであります。
 重ねてお伺いいたしますけれども、本当に心配はございませんか。
#146
○村山国務大臣 下期息切れ論というのは、主として公共投資が前倒しになりまして、そのことから来る下期息切れの話、従来下期息切れ論というのはそれとの関連において行われたわけでございます。私がお答えしたのも多分その角度で申し上げたと思うのでございますが、その点についてはいまでも同じ考えを持っておるわけでございます。
 と申しますのは、公共投資の上期契約率を七三%に目標を置きまして、八月末の実績で見ますと六六・六でございまして、過去最高の水準を保っております。それで、当初予算の段階で仮に九月末七三%といたした場合の残事業、残の契約は、こう見てみますと、昨年は一次、二次補正をいたしました。その二次補正後の残の金額よりも相当多い、こういうことが明らかでございますので、そういうことを申し上げた。また、今度さらに二兆五千億、実質的には二兆でございますけれども、それを追加いたしたわけでございますから、その意味から申しますれば、公共投資の面から下期息切れが来ることはないであろうということを申し上げたわけでございます。
 別途、海外要因から来る問題につきましては、これは経済企画庁から予算委員会で御説明したとおりでございまして、四−六の海外経常余剰が非常にマイナスになったということは、やはり一−三月の駆け込みの反動であろう、したがって、相当見たつもりでおるけれども、たしか六、七%くらい減を数量ベースで見ておるけれども、それ以下には、そこまで見ればまずまずいけるのではなかろうか、こういう御説明であったと覚えているわけでございます。その辺は、それぞれ専門家がいろいろなデータの積み重ねによって見ているわけでございますので、私もその辺が妥当かな、こんなふうに考えておるところでございます。
#147
○貝沼委員 それから、大臣にずっとまとめてお尋ねいたしますけれども、七%経済成長ということですね。
 七%、七%、もう予算委員会でもそればかり出ておりましたが、私はその数字の七%にも、それは意味があるでしょう。だけれども、結局は内容が問題だろうと思うのです。そこでまず、政府が七%と耳うその七%の意味、これは何を言っておるのか、ここでもう一度確認しておきたい。
 それからもう一つは、この七%成長というのが、いま話が出ておる四−六のQEなんかを見ましても、あるいは企画庁のあれを見ましても、非常にむずかしい感じがいたしますね。これが本当に政府としてはやれるだけの自信があるのかどうかということですね、はっきりと伺っておきたいと思います。
#148
○村山国務大臣 七%ということは、今度は海外要因がどれぐらい最終的に年度を通じましてマイナス要因が働くか、したがって、内需要因がどれぐらいの寄与度になるかということと密接な関係があるだろうと思います。
 きょうの月例報告閣僚会議で聞きますと、これはこの次に経済企画庁からレクチュアをするそうでございますけれども、大体海外要因ではマイナス一・二ぐらい、そのうち輸入要因の方が大体マイナス一ぐらいじゃないか、それから輸出の方が〇・二ぐらい、これは輸出物価と輸入物価のデフレーターの関係でそうなるようでございます。そうであるとすると、内需の方の要因が、寄与度で申しまして八・二ということになるであろうと思います。四−六の前期比で先ほど申しましたように一・一でございましたけれども、実は二・一でございますから、瞬間風速といたしまして――対前期比で言いますと二・三でございます。寄与度で申しますと二・一でございますから、瞬間風速で見ますと九・何がし、九・三ぐらい出ます。そういうことを考えますと、海外要因の方の見通しはその程度、まあ常識的だと思いますが、まずいけるのではなかろうか、こういう答えになってくるのではないか、そのように思っておるわけでございます。
#149
○貝沼委員 七%達成の意味はどうなんですか。
#150
○村山国務大臣 どうも失礼いたしました。
 総理もしばしば言われましたように、七%というのは、七%ちょっきりという意味ではございません、七%程度でございます、こういうことを言っているわけでございます。何しろ経済の話でございますので、きっちり出すということはむずかしいので、重ねて質問がありまして、それじゃ六・七ぐらいまではいいのかとか、六・八はどうだとか、いろいろな御質問があったのですが、その辺はひとつ常識で御判断願います、こういうことで、まあまあ七%程度ということでございますと、こういうことを言っているわけでございます。
 われわれも、数字というものは、七%程度がというのは、別に七%程度に目的があるのではなくて、それが意味しておるもの、その内容にあろうということは同感でございます。
#151
○貝沼委員 だからそこなんですがね、ですから、その七%が七・一か二か、マイナス〇・一になるのか、そういうことは余り私は聞いてないのです。ただ、いまわが国経済が七%経済成長しなければならない、それは、たとえば雇用の問題がこうだからここまでいかなければならないとか、あるいは福祉関係がこうなるためにはこれだけの成長があってなされなければいけないとか、いろいろそういう試算があって七%という数字が出てきておるのか、それとも、外国に七%と言っちゃったから、もうそうやらなければいかぬというふうに固執しているのか、その辺のところを私は聞きたいわけであります。
#152
○村山国務大臣 一つは、何といっても、内国におきます、わが国における需給ギャップの問題があろうと思います。それと関連して雇用の問題がありましょうし、それとまた同時に、経常収支は一体どれくらいになるか、そこのところがやはり国際的に大きな意味があるということであろう。七%というのは、そういうもろもろのものを含めた、そういう意味内容を持った七%程度、こういうことで言葉を簡潔にあらわしているものであろうと思うのでございます。
#153
○貝沼委員 ちょっとくどいようですけれども、ことしの経済が七%成長すれば、たとえば雇用問題はここまで解決をいたしますというふうに、具体的に政府として何か試算をなさったものはあるのですか。
#154
○村山国務大臣 雇用関係、これも予算委員会で経済企画庁から説明しておりましたが、この七%を達成することによりまして、今年度の雇用の増が大体八十二、三万になるであろうということ、しかしながら、失業者の方は、なかなか減るというわけには、そこまではいけるかどうか、むしろ若干はふえるかもしれぬというような感じでございます。
 それから、操業度で総理が話しておりますのは、その辺までいけば、現在は、稼働率ではございませんで操業度で言っておりますが、大体八三%ぐらいまで望めるのではないか、その限りにおいて需給ギャップは縮まってくるであろう。なお、経常収支の見込みにつきましては、円ベースで言いますと、昨年の三・五兆が二兆七千億ぐらい、したがって二四%ぐらいバランスは落ちるであろう。しかしドルベースで申しますと、円が非常に上がっており、それに追随して輸出単価の引き上げ努力が自然と行われるので、緊急輸入四十億ドルがないとすれば百七十億ドルぐらい、緊急輸入四十億ドルを目標にやっておるわけでございますが、もしそれを入れれば再三十億ドルぐらいを目標にしております、こういうことでございます。
#155
○貝沼委員 ぼくは細かいことをいまやろうとは思っておりません。要するに政府が、七%達成すればこういうふうになるのだということをはっきり示されて、それで施策が行われておればいいと思うのです、あとそれが実現できればいいわけですから。ただ、それがいままで実現できていないところに実は問題があるわけであります。
 それで、この補正予算の後、産業界とか、政府部内でもというからぼくはどこかわかりませんが、要するに、七%達成は不可能ではないかという声があるそうですね、私は直接聞いたわけじゃないからわかりませんが。それから総理大臣も、情勢を見て必要があれば財政、金融など機動的に対処する、こういうふうに述べておるようでありますが、財政、金融というところを読みますと、ひょっとすると必要ならまた二次補正まで考えるのかなという勘ぐりもしたくなるわけでございますけれども、これは大蔵大臣はどのようにお考えなんでしょうか。
#156
○村山国務大臣 二次補正はいまのところ考えておりません。
#157
○貝沼委員 第二次補正は考えていないでしょう、いま考えておったらそれは一緒にやったでしょうから。そうではなしに、総理大臣が、財政、金融など機動的に対処したい、こう言っているわけですね。この意味は、大蔵大臣としてはどのように受け取っておられますか。
#158
○村山国務大臣 いろいろな政策手段があるわけでございまして、総理がおっしゃっておるのは、財投の弾力条項であるとか、あるいは先ほど理財局長なり銀行局長がいろいろ述べましたきめの細かい金融的な対応もありましょうし、そういうもろもろのことを考えておるのであろう。総理も、補正予算だけが唯一の手段ではない、いまのところは考えてません、しかし、硬直的な態度をとっているかといえば、そうではございません、経済、財政はやはり弾力的なものでございますから、その姿勢は失っておりません、こういうことを申し上げたわけでございます。
#159
○貝沼委員 それから、総理は予算委員会で、「第三の道」ということをおっしゃいましたね、これは、大蔵大臣はよくわかっていなければならない問題であります。ところが運輸大臣は、あれは付録だと言ったのです。それで総理大臣が、あれは本体だ、こう言う。そうなると、大蔵大臣はどう考えているのかなとお聞きしたくなるわけですが、どう考えておられますか。
#160
○村山国務大臣 大分あのときはごたごたしましたが、総理のおっしゃっている「第三の道」というのは、広い意味で生活関連の公共投資を言っているのでございます。
 私が最初説明したのは、総理はそういう話でございますが、われわれはもちろん、従来のいわゆる公共事業の中にも、下水であるとか廃棄物処理の問題であるとか公園の問題であるとか、そういったものはいろいろありますが、これは従来、公共事業の中に含まれているわけでございます。われわれはそれには公共事業費として重点配分しております。特にいわゆる公共事業費の中に含まれていないもの、それはつまり、主要経費分類というものをしょっちゅう、継続性の意味から毎年国会にお示ししているわけでございます。そのいわゆる公共事業費の中に含まれていない社会保障費とか、あるいは文教・科学費の中に含まれておるところの学校の新設の問題、あるいは社会福祉施設、病院等の建設の問題、それについては去年に比べましてずいぶん大きな金額を入れておりますということを申し上げたわけでございます。
 そのときに、そういう意味では今度入れました、景気対策の一つとしてカウントいたしました船舶の建造費、これは主要経費分類では一番最後の「その他」に入っております。しかしこれも考えてみますれば、やはり経済成長と大きな関係のあるものでございますので、今度の重点に取り上げてございます。それでその金額を申し上げたのでございます。そうしたら運輸大臣が、「その他」にあるというのは、これは付録じゃないか、こういう話になりまして付録論が出たわけでございますが、真意は、その分類の話でございまして、軽視するとかそういうことではない。
 また、総理がおっしゃっている「第三の道」という意味は、私たちが示したものよりもかなり広い概念で使っておられる、これは概念の整理の問題であろう、そういうふうに考えております。
#161
○貝沼委員 やはり内閣は考え方を統一しておいた方がいいと思いますね。総理が本体だと言っているわけですから、私は本体だろうと思うのです。
 そこで、「第三の道」、「第三の道」と、何か別のところに道がつくような感じがしますけれども、首相の説明を見ますと、ただいまお話がありましたように、生活関連の住宅、下水道、道路整備、福祉関連、文教施設などというふうになっておりますね。来年度以降もこの「第三の道」の考え方を大きく取り上げていきたい、またこうも答弁しておるわけですね。そうすると、今年の予算方針と来年度の予算方針というのは幾らか変わってくるわけですね、この「第三の道」をこれからやっていくということですから。それはどういうふうに反映されてくるわけですか。
#162
○村山国務大臣 これは本年度予算のときも私からもしばしば説明したと思いますが、ことしも伸び率から言いますと、総理の言ういわゆる公共事業費の中でも、生活関連の方がずっと伸びているわけでございます。そしてまた今度の補正で、従来、主要経費分類でいわば社会保障費なり文教費の中に入っておる施設費、これも非常に伸ばしているところでございます。その考え方を踏襲いたしましてさらに一層の重点傾斜を図っていく、このような趣旨と理解しており、われわれもまたそれに賛成でございます。
#163
○貝沼委員 それで私は先日、島の方を歩きまして、離島問題というものは非常に大変だということを感じてきたわけですけれども、そういうような特別な問題ですね、離島の問題、それは海の離島もあるし陸の孤島もあるわけですね、大臣御存じのように、新潟の山の中の方は雪が降ったらもう大変困るわけですから。そういうような離島問題などについても、「第三の道」の考え方というのは大きく影響してまいりますか、この点はいかがでしょうか。
#164
○村山国務大臣 離島問題につきましても同様に、やはり重点配分をしていくというべきものであろうと考えております。
#165
○貝沼委員 島の場合は、やはり一番困っているのは水なんですね。水、交通、医者、学校、それから連絡網ですね、こういったことがあるわけでございますが、特に水の問題が最近非常に問題になっております。
 そこで、離島の簡易水道というのが大分整備されてきておりますが、まだまだほとんどされておりません。私のところではなはだ恐縮ですけれども、たとえば笠岡本島とか高島、北木島、ここまでは何とか今年で工事が終わりそうですが、そこから先になりますと、五十六年度完成というふうなことになりまして、ちょっと離れると非常に工事が遅くなるわけであります。実は離れたところほど水は大切なんですね。こういったところから、いままで国土庁あるいは地方自治体の方から、簡易水道整備事業とかあるいは海底送水施設などの補助率のアップの要求が出ておると思うわけでございます。これは国土庁はよく知っておるのだと思いますが、国土庁は大蔵省にこの要請はなさっておりますかどうか。それからその後、大蔵省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#166
○永井説明員 先生御指摘のように、離島におきますところの水道施設の整備事業は、従来から離島振興計画に基づきまして本土一般の補助率を上回る高い補助率を適用いたしまして、ほかの事業に優先して強力にその推進を図ってきたところでございます。その結果、年々整備が進みまして、水道の普及率も高まってきております。しかしながら、離島の水道普及率は八〇%でございますが、本土の普及率八九%よりまだ低い水準にございます。その上、最近におきましては、島の内部で水源を確保することが困難な島も少なからず出てくるようになりました。そのため、本土からの海底の送水施設といったような特殊な施設の整備を余儀なくされる、そのために建設単価も高くなる。また、地形的に集落の散在しました地区が多いという離島の特殊事情もございまして、給水管の延長距離が長くなるといったような事情によりまして、本土に比べますと一人当たりの建設単価が高額となっております。
 そこで、このような離島の特殊事情を考慮いたしまして、離島の簡易水道施設整備の国庫補助率の改定につきまして、財政当局と話し合い、検討しておるところでございます。
#167
○加藤(隆)政府委員 離島の簡水の問題でございますが、内地の場合は御承知のように、四分の一から十分の四でございますが、離島は五〇%、それからさらに、裏負担につきまして起債が充当されておりますが、内地の場合には九〇%、離島の場合には九五、こういうような非常にアクセントのついたやり方をやりまして、制度ができましたのが昭和二十七年でございますが、いまや八四%ぐらいの充足率まで来ておるわけでございます。年々の予算におきましても重点的な施策をやっておるというような現状にございます。
 ところで、補助率の問題でございますが、これはどっちかといいいますと国と地方の財源関係の問題も背後にあるわけでございます。国の補助率を上げたから必ずしも事業が進展するというものではないわけでございます。特にこういう事業の場合には、それぞれの公共団体の認識の問題もあるわけでございます。そういうようないろいろな面がございます。
 そういうことで、ただいま国土庁の方から要求がございますが、私としましては基本的には現行制度でいいのではないか。かなり普及率も上がっておる。ただいま申し上げましたような公共団体側の意識の涵養という問題もあるわけでございます。そういうふうにただいまのところは考えております。
#168
○貝沼委員 いまそう考えておってもいいですけれども、先ほど大臣からも、離島等についても考える、こういう話でしたので、では、これぐらいは考えるのかなと思ったら、主計局の方はちょっと待った。どの辺を一体考えていただけるのか、ぼくは非常に不思議なんですけれども、どうですか、これからもう一度検討する考えはございませんか。
#169
○村山国務大臣 その事業量として価斜配分をしていくということを私は申し上げているわけでございます。
 水道事業は御案内のように、独立採算制でお願いしておりますが、簡易水道につきましては、やはり条件の不利ということがございまして、補助金制度を使っているわけでございます。それで、内地よりは離島の方が条件が悪いということで補助率をかさ上げしているわけでございます。しかし、補助率そのものの引き上げという話になりますと、いま次長から申しましたように、やはり国、地方の全体の事務の配分それから財政状況、そういうものを全体総合して考えるべき筋合いの問題ではないであろうか。だから補助率アップということはなかなか軽々にはやれない。むしろ全体の財政としてどういうふうに財政不足額を見ていくか、そういう問題ではなかろうかと思うのでございます。
#170
○貝沼委員 それでは、来年度予算において、いま私は補助率のことを申し上げましたからこれは強く要求しておきますが、なお、離島問題について何らかの力を入れるそうでありますから、それは間違いなく具体的にあらわれると確信してよろしゅうございますか。
#171
○村山国務大臣 同じように、やはり離島であるだけに、さっき言った広い意味の「第三の道」については傾斜配分してまいりたいと思っております。
#172
○貝沼委員 時間がだんだんなくなってきましたので、次に、さっき雇用の話が出ましたので一言伺っておきたいと思います。
 労働省が来ておると思いますが、身体障害者の雇用の問題については、身体障害者雇用促進法で雇用率を義務づけられておるわけですね。その内訳は、たとえば民間企業は一・五%とか、あるいは国、県、市町村は一・九%、三公社五現業一・八%、特殊法人が一・八%、こうなっておるわけでございます。ところが、実際私は岡山県の状況を見まして、そのとおりいっていない、ことに大企業あたりがうまくいっていないという結果が出ておるわけでございます。したがって、全国的には大体どういう状況になっておるのか、この点を教えていただきたいと思います。
#173
○田淵説明員 雇用義務のある民間企業に雇用されておる身体障害者は約十二万八千人でございまして、その雇用率は、義務づけられておる一・五%に対しまして、実際雇われておる雇用率は一・〇九%という状況になっております。これは昨年の数字でございまして、本年度についてはまだ集計中でございますが、ほぼ同じような状況ではないかと思われます。
 これを規模別に見ますと、大規模企業になるに従いまして雇用率は低くなっております。産業別では、特に低いのは、金融、保険、不動産業あるいは卸、小売業等が雇用率が低うございます。
#174
○貝沼委員 大企業になるに従って雇用率が低いということなんですね。私の手元にあるものでは、たとえば千人以上の民間会社だと〇・八%ですね。これは一・五に対して非常に低いわけでございます。したがって労働省は、これに対して今後どういうふうに指導されるのか、これを労働省に質問いたします。
 それから大蔵大臣には、こういう雇用問題に対して大蔵省は財政上どういうふうに脅えておられるのか、この点を質問いたします。
#175
○田淵説明員 先ほど申し上げましたような雇用状況でございますので、労働省といたしましては、こういう雇用率を未達成の企業に対しまして、身体障害者の雇い入れに関する計画の作成を労働大臣の名で命令することができる制度がございますので、この制度を活用いたしまして、本年一月から雇い入れの計画を特に雇用率の悪い企業、主として大企業でございますが、そういう企業に対して、約六百五十の企業に対しまして、最長三年以内の雇い入れ計画、雇用率を達成するための計画をつくるように命令を出して、今後三年で予定されている身体障害者約一万五千人程度の雇い入れ計画を命じておるところでございます。
#176
○加藤(隆)政府委員 ただいま労働省の方から御説明がありましたようないろいろな施策を検討され、あるいは措置されております。こういうような労働省の考え方を伺いまして、私どもといたしましても十分慎重に検討いたしたいと思っております。
#177
○貝沼委員 私は「第三の道」というのは、やはり社会的弱者の方にかなりウエートがかかるものだろうと思うのですね。そういうところからこの身体障害者の雇用促進の問題を取り上げておるわけであります。いまの答弁のとおりにしっかりお願いしたいと思います。
 それから、このように不景気が続きますと、どうしても国民金融公庫を利用する人が多くなってまいりまして、御存じだと思いますが、国民金融公庫からいろいろな要望等が来ておりまして、職員が不足で仕事を家に持って帰らなければならないとか、あるいは健康を害しておるとか、いろいろな資料が来ておるわけであります。一々申し上げる時間もありませんが、こういう国民金融公庫というのは、非常に零細な企業と関係が深く、国民生活には非常に重大な影響を来すわけであります。そこで、こういう国民金融公庫の職員の増員ということについて大蔵省はどのようにお考えか、それを承っておきたいと思います。
#178
○徳田政府委員 国民公庫におきましては、最近のような経済情勢を背景といたしまして、先生御指摘のとおり、零細な金融について日夜非常な努力をしているわけでございます。したがいまして、国民金融公庫の職員の増員につきましても、大蔵省としても非常に配慮をしているわけでございまして、御承知のとおり、定員の全体の増加については非常に厳しい環境にあるわけでございますけれども、その中でここ数年間かなりの配慮が行われております。
 たとえて申し上げますと、政府関係金融機関の予算定員の増加でございますが、五十一年度は、政府関係金融機関全体で六十六名の増加のうち、五十二名が国民公庫でございます。五十二年度は、全体で七十七名のうち、同じく五十二名が国民公庫でございます。五十三年度は、九十一名の増加のうち、六十四名が国民公庫の職員の増加でございまして、このように極力配意を行っているところでございます。今後ともこの点については、十分事情を勘案しながら実施してまいりたいと思っております。
#179
○貝沼委員 強く要望いたしておきます。
 それから、サラ金の問題ですね。六月の十四日の大蔵委員会で大臣に、このサラ金の問題を質問いたしました。そのときに大臣は、実態調査が九月ごろにはまとまると思う、それから急遽検討する、それから対策を立てたい。それから、立法する考えはあるかとの質問に対しましては、やる気があるから調査しているんだという話がございました。
 したがいまして、私はまず、その後の進捗状況並びに今後の見通しはどうなるのか、これについて承っておきたいと思います。
#180
○徳田政府委員 いわゆるサラリーマン金融の問題は、社会的に非常に問題化しているわけでございますが、御承知のとおり、現実にサラリーマン金融として社会的に問題になっております事項は、金を貸す貸さないという金融の問題よりは、むしろ暴力による取り立てであるとかあるいは非常な高金利であるとか、いわゆる社会秩序の維持に関するような問題でございます。したがいまして、大蔵省の守備範囲を超えた問題が多いわけでございますので、関係省庁の連絡会議において鋭意これを詰めているわけでございます。
 法律の作成につきましても、各省庁それぞれの分野における問題を分担いたしまして、いま研究を進めているところでございます。具体的には、高金利の是正をどのようにするかという問題、それから登録制あるいは免許制の問題、さらには行為規制の問題等があるわけでございますが、これらについて、それぞれの面におきましていま検討を進めているところでございます。
 それから、大蔵省といたしましては、この法律の改正を待たずして現行法の範囲内でできるだけの措置をとるというたてまえから、先般、貸金業者を対象といたしまして、具体的には都道府県知事を通ずるわけでございますが、通達を出しまして、これは九月十三日にこのような実施をしたわけでございますが、貸付条件のたとえば年利建てにすることであるとか、貸し付けの場合に必ず計算書の明細を交付するとか、あるいは貸付金の受領を受けた場合にはこれは元本に合ったものであるか金利であるかを明確にするとか、あるいは安易な借りかえ、さらには安易な貸し付けを自粛するというようなことの各方面にわたりまして通達を出したわけでございます。
 それから大蔵省として、サラ金問題に対する取り組みの最も本格的な施策といたしましては、やはり大蔵省所管の民間金融機関が市民の健全な資金需要に簡易にこたえることが必要でございますので、この点につきましても応急ローンというような方策を打ち立てまして、これは各金融機関で自主的に実施が行われることになっているわけでございます。このように現実面でもいろいろ施策を行っております。
 なお、現在貸金業の実態につきまして実態調査を行っているわけでございますが、これにつきましても、近々のうちにこれを発表いたしますとともに、そのような実態を踏まえまして立法の手続を進めたい、このように考えております。
#181
○貝沼委員 そうすると、近々のうちに発表するということは、大体まとまったと解釈してよろしいですか。
#182
○徳田政府委員 実態調査の結果につきましては、近々のうちに発表できると思います。これを踏まえまして、さらにどのような形で法律案をつくるかについて各省と協議して、急速にこれを進めてまいりたいと考えております。
#183
○貝沼委員 近々のうちに実態調査の結果を発表するわけでしょう。ということは、大体まとまったということですね。大体まとまったのであれば、私は何も細かくまでは知ろうとはいまいたしませんし、できないでしょう。そこで、実態調査をしたときにいままでと予想を覆すようなことは何か見当たりましたか。
#184
○徳田政府委員 実態調査の結果の判断につきましては、これを発表された段階でいろいろ行われることになると思います。現在のところ、取りまとめの最中でございますけれども、ある程度予想された面もかなりあるわけでございまして、貸金業者には非常に零細な、つまり代表者を含めて一人か二人という業者が非常に多いということもわかってまいりました。したがいまして、監督指導の点でいろいろな困難が予想されるわけでございまして、この点をどう処理するかという問題もあるかと思います。それから、実際に貸し出しております金利もかなり高い水準のものが多いことも結果としてはいま出てきておりますが、いずれにしても明細につきましては、発表されました段階でさらに明らかにされることになると思います。
#185
○貝沼委員 それで、国会答弁では、法規制に関する措置を次期国会に提出したい、こういうふうな答弁もたしかあったと思います。そうすると、次期国会といったらもうすぐなんですね。ですから、これから検討するのではなしに、大体検討はおのおの進んでおるのじゃないかと私は思うわけですね。いろいろな報道が出ておりまして、大蔵省はすでに出資法の改正案を考えて、次の通常国会に提出する方向でもう検討を始めておるというような報道もあるわけであります。こういう動きは事実あったのですか。
#186
○徳田政府委員 サラ金に対します法律的な規制のポイントは、先ほど申し上げましたように、脚金利をどのように是正するかという問題でございます。ただこのうち、現行法の出資法及び利息制限法の金利に関する規定は法務省の所管でございますので、法務省の方で検討が進められているわけでございます。
 それから、登録制あるいは許可制、免許制というような制度につきましても、先ほど申し上げましたように、零細かつ大量の貸金業者に対して具体的にどこまでやるかという問題がございまして、登録制あるいは免許制も一つの方向かとは思われますが、現実にこれを実施いたしますのは都道府県でございますので、その辺の事務員の限界をどのように考えるかという問題と関連して検討が進められております。
 それから、実際の業務上の執行面におけるいろいろな規制につきましては、先ほど大蔵省が通達で一応指示したような線でございます。年利建てで表示を行うとか、あるいは貸し付けをした場合に計算書を交付するとか、あるいは金を受領した場合領収書を発行するとか、そのような面でございまして、この点につきましては、かなり的確な規制ができるのではないかと考えておりまして、その辺の準備も進めております。
#187
○貝沼委員 私が聞いているのは、大蔵省が出資法の改正案を考えておるらしい、検討に入った。具体的には、出資法による金利の上限日歩三十銭を半分程度に引き下げるらしい、ここら辺の検討にまで入ったという報道があるわけです。したがって、そういう事実はありましたか、こう聞いているわけです。
 それから、ついででありますからもう一点、いま通達の話が出ましたから私伺っておきたいと思いますが、確かに十三日午後、徳田銀行局長名による通達が名知事の方に出されました。そしてその内容を見ますと、これは言ったらいいというものじゃないですね、たとえば実質年利を表示するとか、あるいは貸付条件がはっきりわかるように店内に提示するとかいうふうに、ただ言っておけばいいということではなしに、確認する人がいるわけですね。それに対して責任を持つ人がいるわけです。監督する人がいるわけです。これはどこになるわけですか。
#188
○徳田政府委員 まず、高金利の規制の問題でございますが、これは先ほど申し上げましたように、大蔵省としては、貸金業軒を規制する場合においての非常に大きな問題点であるという問題意識を持っているわけでございますが、現実に所管しておりますのは法務省でございますので、法務省で検討が行われている段階でございます。
 それからもう一つの通達の件でございますが、御指摘のとおり、この通達を出した以上は、極力これを遵守してもらうことが望ましいわけでございます。もちろん通達でございまして法律上の権限はないわけでございますけれども、しかし、これは各都道府県にいまお願いをして、この線で強く指導していただくことになっております。また大蔵省でも、出先機関として財務局、財務部がございますので、財務局、財務部を通じて極力そういう実施面の確保を図ってまいりたいと考えております。
#189
○貝沼委員 法制局お見えですか。――ちょっと伺っておきたいと思いますが、もしも出資法の金利の上限をある線、たとえば三〇%なら三〇%という線まで下げたといたしますと、刑事罰の対象の線が三〇%まで下がった、こういうふうに私は思うわけですが、もしもこの新しい法律でそういったものを決めた場合に、こういうことを心配する人がおるわけです。利息制限法によって定められておる線あるいはそれによって下された判例がぼけることはないか。要するに、三〇%なら三〇%の線を引っ張ってしまうと、そこまでならもう大丈夫だというようになって、利息制限法が形骸化されないか、いままでの判例はあれは古い判例ですよというふうに言われないかということを心配する人がおるわけであります。理論的には、利息制限法はあくまでも利息制限法であって、それを超えたものは法律違反になる。それから、出資法であろうがあるいはサラ金の新しい法律であろうが、ある一線をたとえ決めたといたしましても、それは刑事罰なりあるいは何らかの対象になる線であって、利息制限法は厳然として生きておる、こういうふうに思うわけでありますが、この点はどういうふうに判断したらよろしいですか。
#190
○前田(正)政府委員 ただいままでの御議論にございましたように、すぐれて政策的な問題でございますので、問題は、法案の内容がどのように定められるかということに帰着するのではなかろうかと思います。もし仮に今度つくられます法案におきまして、利息制限法との関係につきまして特別な規定が置かれる、そういう合理性を持って置かれるというようなことになりますれば、それに従ったことになると思いますけれども、もし何も特段にその点についての規定がないといたしますれば、サラ金法案と利息制限法との関係は、現在の出資法と利息制限法の関係と同じように解されるということになろうかと思います。
#191
○貝沼委員 わかりました。
 それから、国税庁に伺っておきたいと思います。
 先日九月二十二日の当委員会における同僚議員の質疑に対しまして国税庁長官が、貸金業者の五十二年度税務認否による脱税の問題を御報告されております。貸金業者という言葉で言われておりますので私はっきりしないわけでありますが、この貸金業者のうち、いわゆるサラ金といわれるものは大体どれくらいあったのかということでありますが、この点、いかがですか。
#192
○西野政府委員 先般九月二十二日におきまして、当委員会で国税庁長官がお話し申し上げました、法人税につきましては五十一事務年度、それから個人につきましては五十二年一年間の分についての御説明でございますけれども、その内容は、貸金業者という分数でまとめておりまして、その細分類といたしましてのサラ金業者というような分類はいたしておりませんということでございますので、貸金業者という広い範囲内での計数でございます。
#193
○貝沼委員 それじゃ、もう一回法制局の方へ確認をいたしますが、先ほどの答弁で、どういう法律ができようとも厳然とそれは、たとえば現在の利息制限法と出資法のような関係になるということですね。それで、利息制限法による判例、これも今後厳然として生きているというふうに解釈してよろしいわけですね。
#194
○前田(正)政府委員 私が先ほど申し上げました趣旨は、もちろん大蔵省等から出ました法案を承知した上でのお答えではないのでございまして、一般論としてのお尋ねでございましたので一般論としてお答えしたつもりでございます。
 事柄は、新しい法律ができるわけでございますから、その法律でどのような定めをするか、そうしまして、そのような定めが合理性を持ったものであるかということによって異なった法律関係ができてくるであろう、こういうことを前提として申し上げたわけでございますが、その場合に、特に利息制限法との関係について触れられません限りにおきましては、その出資法と利息制限法との関係というものが引き続き異なることなく続くであろう、こういう趣旨で申し上げたつもりでございます。
#195
○貝沼委員 国税庁にもう一度。
 この脱税を調べたときに、その貸金業者に対しての出資者のことはお調べになったかどうか。要するに、貸金業者が脱税をすれば、その出資者の方にも何らかの影響があるかもしれない。というふうになりますと、その出資者の方もあるいは連鎖的に脱税しておるかもしれません。こういったことから、出資者の方にたとえば追徴金を課したとか、そういったことはございましたか。
#196
○西野政府委員 先般国税庁長官がお答えいたしました事例といたしまして、借入金の内訳ということで、金融機関からの借り入れが二十一億六千六百万円、同業の金融業者からの借り入れが一億一百万円、それから残りの八千三百万円というのは個人からの借入金でございますという御説明を申し上げました。この借入先につきましては、金融機関からの分、それから同業の金融業者からの分については相手方に計上されておりました。個人の分につきましては漏れておりまして、その分につきましては修正申告なり更正決定なりの処理をいたしております。
#197
○貝沼委員 実は私は、その辺にちょっとこれから考えなければならない問題があると思うのですね。ある雑誌の記事でありますが、それによりますと、資金源としてまずあるのは銀行である。銀行が、サラ金業者に融資して世間から非難されることを恐れて、サラ金業者に名前だけのしかるべき会社、商事会社、スナックなどを設立させて、そこへ融資をする、こういうのがあると書いてあるんですね。それからもう一つは、個人の金持ち、どういう人か私は知りませんけれども、個人の金持ちが、銀行に預けるよりはサラ金に貸した方が利息が高い、それでサラ金の方に融資して税金逃れのための金隠し、いわゆるやみ金融、あの記事では大体一割五分から二割ぐらいというふうに書いてありましたが、どうもこういうことがあるらしい。したがって、出資者に注目をしてきたという点から考えますと、こういうことを聞いたことがあるかどうか、あり得るかどうか、この点は国税庁としては調べたことがあるかどうか、承っておきたいと思います。また銀行局の方も、こういう銀行がたとえば商事会社とかスナックとかというふうな名前にさせて金を貸しているというようなことを聞いたことがあるかどうか、承っておきたいと思います。
#198
○西野政府委員 一般的に申し上げる材料なり事例なりは持ち合わせておりませんけれども、先ほど御説明いたしました事例で見ますと、個人の出資者からの借り入れにつきましては、月利三%程度の割合になっております。
#199
○徳田政府委員 お尋ねの点の、銀行が実際直接貸金業者に貸さずに商事会社あるいはスナックというような系統の形をとった会社に対して貸し付けをしているというような話については、まだ実態を確認いたしたことはございません。
#200
○貝沼委員 確認はしていないようでありますが、今後は銀行局としては、もし銀行がそういうふうなことをやっておればこれは重大な関心事ではないかと私は思います。したがって、今後関心を持っていただきたいと申し上げておきます。
 時間がだんだんなくなってまいりましたので、公正取引委員会の方に来ていただいておりますので、お尋ねいたしますが、要するにサラ金の誇大広告なんです。これにつきましては八月末に、消費者金融の金利表示や広告について消費者に誤認されやすい表現が多いことを重視して、規制案をまとめたわけでございますが、その後それはどういうふうになってきているか、そしていままでそれによって摘発したことはあるかどうか、この点を承っておきたいと思います。
#201
○土原説明員 公正取引委員会では現在、サラ金を初めとしましていわゆる消費者信用全般につきまして、広告、表示の問題を検討しているところでございまして、実質年率を表示してもらう、あるいはおとり広告的な表示などを規制するという観点から、御指摘のように一つの規制案というものをまとめました。これは事務局の一つの試案ということでまとめたものでございまして、現存関係のある各省庁の意見を聞いているところでございます。私どもとしましては、それらの意見を参考にいたしましてさらに検討しまして、新しい不当表示の指定をする必要があるかどうかといった点を含めて結論を出していくということにしております。
 なお、いままでにサラ金の金利の問題で取り上げたことがあるかどうかという御質問でございますが、過去に一件、排除命令をした事例がございまして、いわゆるアドオン方式で計算する利率であるにもかかわらず、実質利率であるかのような表示をしていたというケースについて排除命令をしております。また、サラ金ではございませんが、家電の割賦販売に絡んだ表示の問題とか、あるいは不動産のローンに絡んだ表示につきまして、不当表示ということで排除命令を出した事例がございます。
#202
○貝沼委員 サラ金の広告はかなり目立ちますね、私もあちこちながめておりますが、ずいぶん目立っている。コーヒー一杯で何とかとかいろいろ書いてあるんですね。したがって、公正取引委員会はこれを厳重にやっていただきたい、こう思います。
 それから、時間がなくなりましたので最後に、無担保ローン、応急ローンのことを先ほど局長の方からお話がありました。ところが、この応急ローンの制度、はなはだ結構なんでございますが、実は信用情報機関がまだ十分でないというようなところから、本当に御期待に沿うということはむずかしいのじゃないかなという声も実はあるわけであります。したがって、こういう面についての今後の大蔵省の指導のあり方とか、あるいはこれをどうスムーズにやれるようにしていくかという課題があると思うのですね。この辺についてはどういうお考えをお持ちですか。
#203
○徳田政府委員 御指摘のとおり、正規の民間金融機関は、これから個人の消費者に対して、従来よりも本当に正常な資金需要については簡易に貸しに応ずることが非常に必要でございます。このためには御指摘のとおり、基盤づくりが必要でございまして、その基盤づくりとしては、個人への貸し出しに対する信用保証機構と、ただいま先生御指摘の信用情報機構の二つが必要ではないかと考えております。
 この点につきましては、実は昨年から大蔵省は各金融機関を指導しておりまして、信用保証機構につきましては、都市銀行はほぼ独自でつくっておりますし、また地方銀行、相互銀行、信用金庫は協調してこれをつくるような体制にございまして、現実にたとえば信用金庫の段階におきましては、公益法人としてそういうものが成立しているわけでございます。
 次に信用情報機構でございますが、やはり個人に対して信用を供与する場合の問題は、借りまくりをいかに防止するかということでございまして、このためにも信用情報機構の整備は非常に必要でございます。これも銀行協会に強く指導しておりまして、現在とりあえず、東京、名古屋、大阪といったような都市中心にそれぞれの総合的な機構が設立される予定になっておりまして、これを漸次広げまして日本全体をカバーするような形に持っていきたい、このように考えております。
#204
○貝沼委員 時間がもうあと二分ぐらいでありますから、先ほど地震保険の話が出ておりまして、私もきょう、地震保険について議論しようと思っておったわけですが、時間がございません。消防庁には来ていただいたのですけれども、どうもありがとうございました。この次やりたいと思いますから……。ただ、地震保険のことで理財局の方に一言だけ伺っておきたいと思います。
 それは、ずばりきのうの災害対策特別委員会等でもこれが問題になっておりまして、細かい内容についてはいろいろ行われておりますが、要するに、この地震保険を来通常国会に提出されますか。
#205
○貝塚説明員 実は、われわれの案をつくりましてから保険審議会にかけなければいけません。保険審議会の審議の日程をわれわれが約束するのはときどき怒られるわけでございますが、保険審議会にどのくらいかかるかということは言えませんので、この点の日程のお約束はできかねます。
 それからもう一つは、これは予算関連法案となる可能性がありますので、来年度の通常国会にはちょっと無理ではないかと思っております。
#206
○貝沼委員 予算関連法案だから通常国会に出さなければいかぬのじゃないですか。これを途中でやるなんてことはちょっとありませんよ。
 新聞の記事によりますと、来年度中には実施したいときのう答弁しておるようですね。そうすると、これはできないことになるのですけれども、来年度中にそれをのせようと思えば、これは通常国会に出てこなければ間に合わないのじゃありませんか。どうですか。
#207
○貝塚説明員 一番の問題はやはり保険審議会でございまして、きのうの答弁でございますが、私はそういう答弁をいたしておりません。一部の新聞にそういうことが載っておりますけれども、昨日の災害対策特別委員会ではそういう答弁をしておりませんので、念のために申し上げておきます。
#208
○貝沼委員 一日も早く実現されることを望みます。
#209
○大村委員長 山原健二郎君。
#210
○山原委員 ただいま問題になりましたサラ金問題ですが、大臣に一言伺いたいのです。
 昨日警察庁の方で発表しましたものが、本日の新聞に出ております。一月から八月まで、これに関係して自殺をした数が百三十名、家出千五百二名という数字で、一カ月に十六人自殺、そして百八十八人家出という数字が出ているわけです。
 いろいろお聞きしませんけれども、これは考えてみると、戦争とまでは言いませんが、私どもの感覚からするならば、かつての事変ぐらいの自殺者が出ておるという状態ですね。しかも、これがどこまで続くかわからないという地獄図をつくっておるということから考えまして、いまも御質問がありましたけれども、いま六省庁会議が行われておるようでございますが、先ほどからの答弁を聞いておりましても、たとえば出資法の改正については法務省であるとかいうような形で、小田原評定と言われるような事態が起こっているわけでございます。事態そのものはきわめて緊迫しておるということを考えますと、大蔵省として六省庁会議に、たとえば出資法の改正、暴力的取り立て行為の禁止、あるいは免許制の導入などという検討の材料というものを提起して、この問題についての審議を促進すべきであると思いますが、この深刻な事態をどう把握され、こういうお考えを持っていないかどうか、最初に大臣に伺いたいのです。
#211
○村山国務大臣 きょうの新聞で見ましても、やはりまことに大きな社会問題であろうと思います。幸い実態調査はまとまりました。いよいよこれから法制の段階でございます。各省庁がそれぞれ関係してまいりますので、各省庁が精力的にそれぞれ所管の問題について意見を述べ合い、また鋭意意見を交換しながら、最終的に通常国会に適応した法案をぜひ出したい、かように考えておるわけでございます。
#212
○山原委員 通常国会にぜひ出したいというお話でございますが、いまのお話を聞きますと、調査のまとめもほぼできかかっておるということでございますが、一つは、この調査結果を本国会中に国会へ提出できるというお考えでしょうか。もう一つは、先ほど申しました出資法の改正、それから暴力行為の禁止、免許制その他の問題を、大蔵省としても積極的に六省庁会議へ議題として、素材として出す、検討材料として出す必要があるのではないかと思いますが、この点について再度伺いたい。
#213
○徳田政府委員 現在、実態調査の取りまとめを早急に行うように取り計らっているところでございますので、来週中には国会の方に提出する運びになる、このように考えております。
 それから、先生御指摘の暴力による取り立て問題あるいは高金利の問題、これはいずれも非常に重大な問題でございまして、六省庁の会議の席上でも大きなテーマとしていま鋭意検討が進められているところでございます。
#214
○山原委員 次に一般消費税の問題について伺います。
 税制調査会の一般消費税特別部会の試案で、食料品は原則として非課税としているが、独身者や学生にとって影響の大きい外食については「審議経過の概要」の中で、「外食等については新税を併課しないことが適当であるという意見があった。」という指摘をいたしております。言いかえるならば、指摘にとどまっておる点があるわけでございますが、この点はどういう審議が行われたのか、その結論について簡単に伺いたいのです。
#215
○高橋(元)政府委員 いま山原委員仰せのくだりは、一般消費税の特別部会で、新税と既存の個別消費税との調整をどうするかということとの関連で出てまいったことでございます。
 御案内のように、この部会の報告の中では、「料理飲食等消費税、電気税等については、その税率水準が比較的高いものがあること、市町村の重要な税源となっているものがあること等を考慮し、存続させることが適当である。」という表現になっております。存続させました場合に、国税である一般消費税の対象に入れるか、それとも従来のまま地方税をかけた上に併課するかという問題がございまして、この場合には、併課しないことが適当であるという御意見がありました。しかし今後、外食等の料飲等消費税の対象になっているものについて、一般消費税と他の個別消費税との調整問題というものは検討を続けていくわけでございますから、現在の段階では検討中ということでございます。
#216
○山原委員 外食という概念は、これは地方税法第百十三条の料理飲食等消費税の課税標準に関する規定の中で述べられている「飲食」というものですか。
#217
○高橋(元)政府委員 いま申し上げましたように、料飲等消費税との調整の問題でございますから、審議経過の中で述べられております「外食」という言葉は、これはいわば俗語でございまして、現在料飲等消費税の対象になっております飲食、宿泊、遊興というようなものをそこで概括的に表現しておるわけでございます。
#218
○山原委員 そうすると、外食というのは、いわゆる食料品とは別個のものですか。
#219
○高橋(元)政府委員 食料品は物でございますから、物を調理してお客に提供するというサービスとはまた別個のものであろうと思います。諸国の消費に関する税制もさような概念をとっておるわけでございます。したがいまして、物品である食料品とまた別に、食料品を調理してお客に提供するサービスというものを「外食等」という表現であらわしておるわけであります。
#220
○山原委員 ちょっと時間の関係でそこのところを詳しくやる必要もないと思いますが、外食等については新税を併課しないことが適当だということは、つまり現在課税されている料理飲食税の部分には一般消費税は併課しないということ、逆に、現在の料理飲食税の免税点以下の飲食については一般消費税がかかるというふうに理解をしていいのでしょうか、そこのところどうでしょう。
#221
○高橋(元)政府委員 そこは税制調査会でもいろいろな御意見がございまして、先ほど申し上げましたように、料理飲食等消費税の課税の対象になります課税標準というもの全体を外すのか、それとも料理飲食等消費税のかかる部分だけを併課しないということにするのか、それとも全体に併課するのか、そこはまだ答えは出ておらないわけでございます。現在検討を続けております。
#222
○山原委員 そうしますと、たとえば二千円以下の食事をした場合、これは一般消費税の対象になる、あるいはなるともならないともまだ決まっていない、そういうことですか。
#223
○高橋(元)政府委員 たびたび申し上げておりますように現在、政府としても検討を進めておりますし、税制調査会もこれから検討を進められるわけでございます。しかし、新税を併課しないことが適当であるという御意見があったことは念頭に置いて検討を進めていくということであろうと思います。
#224
○山原委員 そうしますと、いまの段階では、免税点以下の場合でも一般消費税がかかるかもしれない、そこのところはまだ明確でないということですね。だから、免税点以上のものについてはこれは併課しないということで、ここの一番庶民の食べるところのものがいまだにはっきりしていない、こう理解していいわけですね。
#225
○高橋(元)政府委員 その点はまだ検討を続けておるという状況でございます。
#226
○山原委員 すると、いま芸団協、すなわちこれは御承知のように、中村歌右衛門さんが会長をしております芸団協の方がずいぶんたくさん署名を集めたり国会へ請願をしたりしまして、入場税の問題が出てきたわけですが、この入場税の問題についても、この点については請願が前の通常国会の最後の段階で衆参両院とも採択になっています。いわゆる入場税撤廃ということですね。そしてこの点では、請願が採択されれば検討しなければならぬということを大蔵省の方もお答えになっているわけですが、さてこの場合に、この入場税はどうなるのかという問題です。入場税が残って、そしてさらに一般消費税がかかるというふうに考えていいのか、その点どうですか。
#227
○高橋(元)政府委員 これは部会の報告の中で書かれておることでございますが、物品税等の通常の個別物品またはサービスに対する課税というものにつきましては、「当面は各税の現行の税率と新税の税率との格差等を勘案して新税への吸収ないしは物品税等の税率の引下げ等を行うことが適当である。」そこの分類に入ると思います。現在、個別のサービス消費課税でありますところの入場税というものは、税率の格差等がございますから、その辺を勘案しながら、一般消費税の中に段階的に吸収されていくという考え方である、部会の報告はそういう考え方をとっております。
#228
○山原委員 そうすると現在、映画、演劇あるいは舞踊とか音楽とかいうのは、三千円以上に税がかかっているわけでございますが、その分については従来の入場税というのはなくなるということですか。
#229
○高橋(元)政府委員 具体的な新税との調整の関係は、たびたび申し上げておりますように、この点につきましても具体的な検討が必要でございますけれども、新税の税率と現行の各税の税率との格差を勘案して段階的に吸収をしてまいる、または引き下げを図ってまいる、こういうことであろうと思います。
#230
○山原委員 三千円以下の場合、いままで入場税がかかっていない場合に、その際には一般消費税ということになってきますと、結局これらの団体が入場税撤廃の運動を起こして、国会でも満場一致で請願が採択されたが、実は入場税はいまおっしゃったようにちょっと不明ですけれども、勘案をされるんだが、入場税を取られなかった以下のところについては一般消費税がかかってくる、こういうことになってくると、何のためにこの人たちが一生懸命何年間にもわたって運動したかわけがわからない、こういうことにもなりかねないのですね。また、そういう心配を現実に持っておられるわけですが、この点もう一問お伺いしておきたいのです。
#231
○高橋(元)政府委員 この報告の中でもお読み取りになりますとおわかりになると思うのですが、この一般消費税は、原則としてすべての財貨の引き渡し及びサービスの提供というものを課税の対象にいたしておるわけでございます。したがって、特に非課税の範囲に挙がっておりますような特定の消費項目とか、それから現在個別消費税がかかっておってその個別消費税が存続していく場合というような場合を除きますと、原則としてすべての財貨、サービスの提供が課税になるわけでございますから、したがって、いま山原委員からお話のありますような、入場料金が低額なために入場税が課されていないというものであっても、サーどスの提供の対価として新税が課税されるという考え方に相なります。
#232
○山原委員 わかりましたが、考えてみると大変残酷な話で、せっかく一生懸命運動して、入場税撤廃のところまで国会も請願を採択してしまったが、三千円までかからなかったところまで一般消費税がかかってくるということをお聞きしまして、このいわゆる一般消費税というものがかなり厳しいものであることを痛感するわけです。
 ついでに芸能界の問題について一言触れておきたいのですが、たとえば芸能人がテレビなどに出演した際の出演料には一般消費税は課税されるのでしょうか。
#233
○高橋(元)政府委員 財貨、サービスの提供の対価に税率の相当分だけかかっていくわけでございます。したがって、こういった方々が個人としてやっておられる場合と事業者としてやっておられる場合と違ってくると思いますが、通常の場合には事業者としてそういうサービスを提供しておられるのだろうと思います。雇用関係でやっておられる場合は、新税の納税義務者ではございませんから、関係がないわけでございますけれども、事業者としてそういう芸能サービスを提供しておられてその対価を受けておられる場合には、原則として税率相半分だけ一律に上乗せされるという形になるわけでございます。
#234
○山原委員 もう一つ、たとえば芸能人がプロダクションに支払う手数料も課税対象となるかということ、これは簡単にお答えいただきたいのです。そこまで検討していなければそれでも結構です。
 それから、芸能人の場合、一般消費税の課税額を放送局などに転嫁できずに実際の手取りが大幅に減ることが予想されますが、そのようなことについて検討されたでしょうか。この点、どうでしょう。
#235
○高橋(元)政府委員 第一点につきましては、細目の問題を現存いろいろ検討を進めておりまして、これから答えを出していくことであろうというふうに脅えます。
 第二の問題でございますけれども、繰り返しになりますが、原則としてすべての財貨、サービスに対して課税をする、またこれを仕入れました人も、自分の売り上げに対して税率分だけ一律に上乗せして売っていく、こういうことでございます。したがって、芸能人や劇団が新税を出演料や入場料に転嫁していくということは、たとえば個別にギャラが上がった場合とか入場税だけが上がった場合に比べますと、転嫁の困難性というものは非常に少ないのではないかというふうに考えております。
 それから、もう一つ申し上げておきたいと思いますのは、出演料収入等が非常に少額な芸能人とか劇団につきましては、競争関係等から転嫁が困難ではないか、転嫁に努力を要するのではないか、こういうお話かと思いますけれども、別に掲げてあります小規模零細の納税義務者の除外の範囲というものがございまして、具体的な決まり方によりますが、たとえば一千万とか二千万くらいの収入でございましたら納税義務を負わないことになります。したがいましてその場合に、転嫁に努力を要するという問題はよほど解決されているのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#236
○山原委員 芸能人の実態としては、毎年改定が行われておるわけですけれども、現在非常に下請化が進んで、改定額以下で出演せざるを得ないという実態などもあるのですが、いまここでこれ以上それを取り上げることはやりません。
 それから、文部省おいでになっておると思いますが、今回、「学校が行う教育及び社会福祉事業のうち特に政策的配慮をすべき必要性の商いものについては、諸外国においても非課税措置が講じられていることをも考慮し、非課税としてよいと思われる。」こう出ておりますけれども、ここで「特に政策的配慮をすべき必要性の高いもの」というのは一体具体的に何なのかということもお聞きをしたいわけですが、文部省として今回の一般消費、税の問題について、父母負担の軽減をするということはまた、教育基本法の第十条によりましても当然文部省としての大きな任務になっているわけでございますが、この点、一般消費税と父母負担あるいは教育費に与える影響について検討されたことがございますでしょうか。
#237
○大崎説明員 御指摘の件につきましては、特別部会の御報告に基づきまして、関係同課で現在検討いたしておるところでございます。
#238
○山原委員 かなり負担が増大するとお思いになっておられますか。
#239
○大崎説明員 特別部会の御報告では、税率あるいは非課税範囲その他不明確な点もございまして、具体的な推計というのは現段階ではいたしておりませんが、ただ、先生御指摘のように、学校教育についての特別な配慮ということも報告にございますので、今後、先生御指摘の点も含めまして税制関係の御当局にお願いもし、また相談もしてまいりたいと考えております。
#240
○山原委員 この点で大蔵省にお聞きしますが、たとえば学校に関することですね、「教育及び」ということで「必要性の高いものについては、」というのですが、たとえば学校が購入するピアノあるいは教材費、こういうものは――ピアノを例にとりますと、これは一般消費税の対象になるのでしょうか。
#241
○高橋(元)政府委員 書かれておりますのは学校が行う教育の対価でございますから、部会の報告で直接触れられておりますのは、たとえば授業料、それから入学金というようなものが当たると思います。
 「政策的配慮をすべき必要性の高いもの」と言っておりますのは、たとえば学校教育法の一条学校に限定するか、もう少し広げて専修学校まで入るか、それから塾まで入れるか、そういうことで政策的な配慮をどこまでにすべきかということを、他の物品またはサービスの性質との関連で検討をするという問題でございます。これは諸国の立法例も学校教育ということにしておることが多いようでございます。今後どう詰めていくかということになりますと、関係者の御意見も伺いながら、政策的の重要性の高いものに限定するということで具体的な範囲を検討してまいるということであろうと思います。
#242
○山原委員 ピアノの場合。
#243
○高橋(元)政府委員 これは学校が納税義務者になりまして、学校が受け入れる授業料、また学校が受ける入学金、これに対して納税義務を償うかどうかという観点からの非課税でございます。したがいまして、学校が買うピアノについてというような配慮は、実はこの一般消費税になじまないというふうに思っております。
#244
○山原委員 一般消費税になじまないということは、課税対象にするということでございますか。
#245
○高橋(元)政府委員 この部会の報告では、そういう考え方がはっきりとられております。
#246
○山原委員 高等学校の教科書はどうでしょう。細かいことを聞くようですが……。
#247
○高橋(元)政府委員 部会の報告の考え方では、
 一般原則によって課税されるということになります。
#248
○山原委員 文部省もお聞きになっておると思いますが、文部省の出しておられます父母が支出した教育費の項目、たとえば直接支出などからずっと見ますと、教科書も脚等学校はかかるということになりますと、教科君以外の図書はもちろんでございますが、そのほか単用品、実験実習材料、教科外活動費あるいは通単費、それから特に浪人がずいぶん多いですね、何十万とおりますが、その下宿、学習塾あるいは受験予備校などということになってきますと、大小なことになるのじゃないかと思います。
 これは指摘にとどめておきますけれども、文部省としても当然これは項目ごとにお調べになって、これは文部大臣おいでぬところで言ってもあれですけれども、やはり文部省として考えておかないと、せっかく父母食掛を軽減しようと思っても教育費が相当かさばってくるということを覚悟しておらなければならぬと思いますので、その点、文部省としてもぜひこの試算をしていただいて、これは政治的配慮の必要なものであるというようなことはやはり出していく必要があると思いますので、その魚は指摘にとどめます。
 次に、課税最低限の問題について質問をいたしたいと思います。
 ことしも、去年の所得税の一般減税を野党側としては要求してきましたが、政府の方は拒否されております。そこで、課税最低限と生活保護基準との比較でちょっとお聞きをしたいわけでございますが、生活保護というのは一体何かということでございますけれども、厚生省がおいでましたらお伺いしたいのです。
#249
○高峯説明員 生活扶助の現在の基準でございますが、標準四人世帯、これは御主人が日雇いで奥さんがおりまして子供が二人という状態でございますが、生活扶助が月額にいたしまして十万五千五百七十七円、それに教育扶助につきまして千二百八十円でございます。合計いたしまして十万六千八百五十七円でございます。
#250
○山原委員 その上に一般基準で住宅扶助、それから勤労控除を加えますと、生活基準全体は平均月額、年額どれくらいになりますか。
#251
○高峯説明員 いま申し上げました金額に住宅扶助九千円、それから勤労控除が一万六千九百三十円でございますのでこれを加算いたしますと、十三万二千七百八十七円、これは年額に換算いたしますと百五十九万三千四百四十四円ということになります。
#252
○山原委員 もう一つお伺いしておきたいのですが、生活保護というのは一体何なのかということですね、厚生省としてはどういうふうに把握されておりますか。
#253
○高峯説明員 生活保護基準と申しますのは、生活に困窮する人たちの最低生活を保障するという観点から、その最低生活を保障するにふさわしい基準を生活保証の基準として定めているものでございます。
#254
○山原委員 厚生省、結構です。
 給与所得者の場合、二百一万五千円が標準世帯の課税最低限となっておりますが、これがしかし、給与所得控除、この必要経費を差し引きますと百二十六万円の年額になります。白色事業者の場合は百二十四万八千二百円、こういう数字になってまいります。いま厚生省がお話しになりました生活保護基準では、百五十九万という数字になってまいりまして、生活保護基準以下の所得に対しても課税が行われるという問題が出てくるわけです。
 理論的にはいろいろ問題があると思いますが、しかし、生活保護というのはいまおっしゃったように、国民の最低生活を保障するというものですから、それ以下の者に税金がかかるということになりますとこれは大きな矛盾ではないかということから、この課税最低限を引き上げる必要があるのではないかと思いますが、この矛盾はどういうふうにお考えになっておりますか。
#255
○高橋(元)政府委員 給与所得控除というのは経費だから課税最低限に入れるのはおかしいのではないかというような御質問の趣旨にまず承ったわけでございますが、給与所得控除はもちろん、給与収入を得るについて何がしか経費がかかる、それが上にいくほどまた高額の収入についても経費が増加していくという状況がある、それに対応するものであるという面はもちろんございますけれども、他の所得者との負担のバランスということから給与所得控除が認められていることもまた事実でございます。したがって、給与所得者につきまして、給与所得控除を引き去ったあとの金額で課税最低限を考えるべきだという御指摘は当たらないというふうに私どもは考えておるわけでございます。その点、御理解をいただきたいと思います。
 それから、給与所得者につきましては、日本の夫婦、子二人の場合に二百一万五千円という課税最低限というのは、非常に高い水準になっておるわけでございます。
 それから事業所得者につきましても、夫婦、子二人で申し上げますと、いま百二十四万八千円という課税最低限に相なっておりますが、これは相応の水準であって、現在の税負担の状況、財政の置かれております状況から考えて、その引き上げが必要であるというふうには考えておりません。
 生活保護基準と比較して低いのじゃないかという御指摘がありましたが、体が健康な事業経営者の毎年の所得が課税最低限ぎりぎりとなっておるという状況にあるというのは、理論的にはそういう場合が考えられるわけでございますけれども、むしろ一般的、現実的にはきわめて少ないのじゃないかというふうに思います。そういった方があるとすれば、それは老年者控除とか障害者控除、こういうものの適用がまたあるわけで、その場合に非課税となります所得の範囲というものはおのずと高くなってまいります。事業所得者の場合に奥さんがあれば、それは専従者控除という形で、四十万円または所得を専従者プラス一で割った金額、いずれか低い金額の控除が認められるわけでございます。したがって、裸の課税最低限というものは現実に該当する事例が少ないのでないかというふうに考えております。
#256
○山原委員 これは本会議でもずいぶん論争のあるところで、これ以上時間をとりません。
 次に、大臣お休みでございますけれども、これは大臣に最後のところをお聞きしたいので、いま少し聞いておってください。
 老齢年金の課税軽減の問題について伺います。
 年齢六十五歳以上で年所得一千万円以下のいわゆる老年者が支払いを受ける公的年金については、老年者年金特別控除制度が昭和四十八年に創設されておりますが、その立法趣旨は御承知のとおりであります。
 昭和四十八年に創設されたときは、月五万円のいわゆる五万円年金を基準として六十万円の控除額が決められ、その後、昭和五十年に現行七十八万円に引き上がっておりますけれども、この基準が今日まで来たわけですね。これは物価スライドで引き上げられた年金額に応じて引き上げられたものと理解をするわけでございます。この経緯から見まして、創設のとき、五十年改正で物価スライドで引き上げられた、その後、五十一年、正十二年、ことしと三年間、年金額は約一・六倍に上がっているのに、控除額は五十年当時のまま据え置きとなっております。
 この点について伺いたいわけですが、これも主税局としてはいろいろ御意見があると思います。ただ、年金を非課税か課税にするかという問題については、本格的な論議が別途必要だろうと思います。しかし、せっかくつくられた福祉のための税制がこのように後退するのは納得できないという声があるわけです。そして一種の福祉後退だという批判も起こっているわけでございますが、この脈について、この税制措置は来年の十二月で終わるわけでございますが、まさか廃止するつもりはないでしょうねということでございますが、大臣、恐らくそういうお考えは持っていないと思いますが、この点、最初に伺いたいのであります。
#257
○村山国務大臣 これが導入されたときは、ずいぶん議論をいたしまして導入いたしたわけでございます。来年度また期限が参りますので、税制調査会等で真剣な議論が行われるだろうと思います。その行方を見なくちゃわかりませんが、なかなか廃止というのは非常にむずかしいということは事実のようでございます。
#258
○山原委員 大臣が廃止ということはむずかしいとおっしゃることは、大臣としても、そのむずかしさ、情勢を勘案しますと、延期するというお考えをお持ちだというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
#259
○村山国務大臣 これは税制調査会でもって十分に検討しなくちゃならぬ問題でございますので、私が予測申し上げることは本当を言うと差し控えなければならぬところでございますが、いままでの例を見ておりますと、なかなか廃止ということは非常にむずかしいという事実だけを申し上げたわけであります。
#260
○山原委員 私は、延期のみならず控除額の引き上げということを強く要請したいと思うのですが、厚生省の調べによりましても、二千人の対象者であったものが現在二十二万人となっているわけですね。そうしますと、老齢者にとりましての非常に切実な問題になっておるわけでございまして、この廃止をすることは困難だというお考えはわかりましたけれども、ぜひこれが福祉の後退ではなくて前進の方向で税制調査会で検討されるような御配慮を賜りたいと思いますが、もう一度お伺いしておきます。
#261
○村山国務大臣 これを導入するとき議論になりましたのは、社会保険料は全額控除しているわけでございます。したがいまして、あのとき五万円年金というのができまして高齢者だけどうしてそういうことをやるのか、やはり高齢者対策だ、こういうことで、あの五万円年金のときは税制上の理論としてはいろいろな問題があったわけでございますが、政策的見地から取り入れられたということでございます。その後いろいろ議論を聞いておりますと、課税最低限が余りにも違い過ぎるという点がやはり大きな問題になっているということでございます。これは税制調査会の検討事項でございますので、私はいま問題点になっている事実だけを申し上げておくことにとどめさせていただきたいと思います。
#262
○山原委員 次に、不公平税制の問題について、去る予算委員会で私の党の東中議員が笹川グループの株買い占めの問題について政府に対して質問をいたしたわけでございます。
 それで考えてみますと、これら一連の株の買い占め事件の裏で特定のグループが暴利をむさぼっている、暴利を得ているということですね。このことを通じて国民の間には、証券市場とはそんなものか、あるいは課税当局は一体何をしているんだという不信感が起こっていることは、これはもうおわかりのことと思います。テレビには、一日一善とか、世界人類は皆友達であるとかいうようなコマーシャルが出てくるわけでございますけれども、考えてみれば、全く奸知にたけた非道なことをやっておるといっても間違いではないと思うのですね。それが野放しにされているということでございまして、この事件を通じてますます明らかになったのは、現行の有価証券譲渡益課税がいかにざる法であるかという問題があると思います。
 そこで国税庁の方に対してお伺いしますが、本年三月三十三日の参議院の大蔵委員会で私の党の渡辺武議員が、大蔵省として試験的に有価証券譲渡益について架空名義、仮装名義、名義貸しなどの取引実態について調査すべきだと質問しました。これに対して水口直税部長は、部内の課税実績の検討会等がある、国会でも問題になっているので、われわれも第一線を督促し、そういう調査について特に力を注いでやっていると御答弁をなさっておるのでございます。すでに金融機関での架空名義預金については、参議院の予算委員会で一部試験的な結果を公表している現状でございまして、これらを考えますと、その後国税庁として調査した有価証券譲渡益の実態についてどのような結果が出ているか、お知らせいただきたいのであります。
#263
○藤仲政府委員 お答え申し上げます。
 有価証券のその譲渡益に関する実態ということでございますが、御案内のように、有価証券の譲渡益が課税される場合は、所得税法及びその施行令の規定によりまして四つの類型に分かれること、これは御案内のとおりでございます。しかしながら、これの課税実績と申しますものが、事業所得、雑所得または譲渡所得、この三つに分類されまして、それぞれの所得の統計の中に入りまして、それの細分に関する統計がないというのが実情でございます。
 ただいま山原先生から御指摘がありました水口前直税部長の答弁でございますが、私が当時の者に聞きましたところでは、課税実績の統計はとっておりません。それから、人手不足の折からその統計に力を割くことがなかなかむずかしい。しかしながら、第一線の税務署の実績というものを見ますと、そういう有価証券の譲渡関係の調査にも力を注いでおるのが実態である、こういう御答弁を申し上げたということでございます。御指摘のように、確かにその架空名義の取引等そういうものがあるということは、個々の事例において私ども承知しておりますが、残念ながらその実態を調査したものあるいはそうした統計がないというのが実情でございます。
#264
○山原委員 昨年の中期答申でも、段階的な課税強化の方向を打ち出しておられて、ことしの春の通常国会でも、当時の大倉主税局長は、現行の五十回かつ三十万株をもう少し課税強化の方向で直せないか研究をしている、主税局と証券局で勉強し、証券業協会にも別途研究を頼み、外国調査などもしてもらっている、できるだけ争い時期に現実的な前進する案を見つけると、前向きの鋭意検討の答弁をしておられるわけですね。
 この間の検討経過をお聞きしたいわけですが、どんな案が考えられているか、来年度税制改正に提案するかどうか、この点を伺いたいのでございますが、すでに新聞等にはいろいろ出ておるわけでございますけれども、この点について、来年度税制改革に大蔵省、国税庁としては提案をされる用意があるのか、どの程度まで検討されておるのか、その経過を伺いたいのであります。
#265
○高橋(元)政府委員 有価証券のキャピタルゲインをできるだけ広く課税の対象に取り込んでいく、それが望ましいということは当然でございますけれども、しかし、どういうふうに転々流通する取引を把握するか。また、実際に総合申告に持っていきました場合に、損失ばかり出てきて利益が出てこなかったらかえって不公平が大きくなる。そこで課税強化に当たって、そういう問題を解決しないで有価証券のキャピタルゲインを全部課税対象に取り込むということは、かえって税の現実の執行ということを考えますと、新しい不公平と混乱のもとであろうというふうに考えますので、前の主税局長も御答弁申し上げておりますように、税制調査会の中期答申の線に沿って段階的に課税の強化を図っていきたいという線で、いま委員からお話のありましたような案も含めましていろいろ検討を進めておるわけであります。
 ただ現在、国税庁執行出帰、またその監督当局であります証券局、それらと具体的にいろいろ相談をいたしておるわけでございますが、現在の特点でどういう具体的な解決案を考えておるかということは、税制改正全体の方針の一環でございますので、御答弁を差し控えさせていただきたいというふうに考えております。御理解をいただきたいと思います。
#266
○山原委員 ちょっと途中がわかりにくかったのですが、そうしますと、まだこの検討の緒についていないというふうに考えてよろしいのでしょうか。
#267
○高橋(元)政府委員 検討は十分進めておるわけでございます。具体的な案についてもいろいろあれこれ検討を進めておるわけでございます。しかし、その内容をいまここで申し上げますことは、またいろいろな混乱のもとになりますので、控えさせていただきたいというお願いをいたしました。
#268
○山原委員 地震保険の問題について、これは先ほどから御質問がありましたので簡単に申し上げますと、先ほどの答弁でございますと、新聞に出ておるものとずいぶん――この新聞を私もけさ見まして、こういうふうになるのかなと思いながら来たわけですが、「来年度実施図る」という。図るですから、実施するとは書いてないわけでございますけれども、これだけ大きな批判を招いているこの地震保険法、これについて、たとえば次の通常国会に出すこともできないようなお話でございますが、もう一度確認する意味で申し上げたいのですけれども、全く間に合わないということでしょうか。
#269
○貝塚説明員 若干母体的に申し上げます。
 いま検討の方向は、分損に対して何らかの支給がができないかという点。それから法律で保険金額の三〇%を支払うこととなっておりますが、これは法律改正を要するわけでございます。それから全損ということになっている、これも法律改正を要するわけでございます。それから保険金限度額、建物二百洲十万、これは政令事項でございますから法律は要らないわけでございます。
 分損に対して何らかの支給をすることと三〇%を上げるということにつきましては、三つくらい影響があるわけでございます。一つは、民間の担保力でどのくらい持てるかという問題、それから、ちょっと私、舌足らずの御答弁を申し上げましたが、国の財政力にどのくらい影響するかという問題、それから一帯大きな問題は、保険料の負担がどのくらい上がるかということでございます。たくさん給付をするためにたくさん保険料を負担していただくわけでございますが、その兼ね合いをどこにとるかということ、これは相当判断の問題が入りますので、いろいろな人の意見を聞かなければならぬと思います。
 そこでわれわれは、いまモデルケースをつくりましていろいろな案をやっておるわけでございます。これはいわば皆様方に判断を仰ぎまして、その結果やっていこうということでございますので、その判断にどのくらい時間がかかるのか、どういう御判断をなさるのか、いま私が申し上げることはできない、そういう意味でございますので、御了解をいただきたいと思います。
#270
○山原委員 そうしますと、いわば宮城沖地震、その前の伊豆地震でこういう不満が現実にあらわれてきた。しかも全壊というわけですから、たとえば土台が崩れて家を直そうと思っても一遍壊してしまわなければ建て直すことができぬとか、あるいは七割、八割がやられているということなど幾つかありますね、そういう事態で、審査が厳しいものですから、それなんかも入らないということについての行政指導の問題もあると私は思うのですが、それはどうなっているかということ。いまおっしゃったことでございますと、なかなかむずかしいことがあることはわかります。でも、じんぜん日を過ごすということもできないと思うのです。
 それから、宮城沖地震までさかのぼって適用することも考えられるのかどうかということもありますけれども、大体いつごろまでにめどを置いてこの法改正をやろうとされておるのか、一定のめどはお持ちではなかろうかと私は思うのですが、その点についても伺いたいのです。
#271
○貝塚説明員 実は委員会が発足したのが七月の初めでございまして、それから鋭意やっているのでございますが、先ほどもちょっと弁解がましい答弁をいたしましたが、分損の資料がほとんどないわけでございます。あれやこれや推定を加えてやっておりまして、われわれの案と業界の案のすり合わせを大体年内には何とかこぎつけて、それからその後審議会というふうに非常に大ざっぱな考えを持っております。
 それから、先ほど先生御指摘になりました査定基準の問題でございます。これは当時テレビ等で取り上げられまして、若干困難があったわけでございますが、全く保険業界の対応のまずさがあるわけでございます。テレビで取り上げられたものも後ほど払っておりますし、全損というのは決して全壊や全焼でございませんで、再使用不能あるいは機能喪失、そういうものも入っております。
 以上のような状況でございます。
#272
○山原委員 もう一つ、先ほど笹川グループの問題で忘れておりましたので、ひとつもとへ戻ってお聞きしたいのですが、今度の笹川グループの、たとえば岡本理研ゴム株約二千四百万株の買い占めの問題ですけれども、これら一連の買い占めにはいわば数百億の金が必要だと思いますが、どこでこのような資金が調達されておるのか。あるいは個人資金の運用なのかあるいは金融機関からの借り入れなのか、そこまで調査を進めて、違法なものに対しては個人、証券会社を問わず厳粛な課税をする必要があると思いますが、この点ついてはどういうお考えでございますか。調査をされておりますか。
#273
○藤仲政府委員 大変具体的なお尋ねでございますが、私どもの立場からいたしまして、個別、具体にわたることの御答弁は差し控えさせていただきまして、一般的な形で御答弁申し上げます。
 株の買い占めと言われるような事案につきましては、私ども常に関心を持って対処することにいたしておりまして、新聞情報も含めましてあらゆる資料、情報の収集に努めるなど実態の調査を心がけておるわけでございます。
 そこでお尋ねの、資金の出所等についての調査はやるのかやらないのかというお尋ねでございますが、一般的に申しまして、このような事案について実地調査をいたします場合には、課税の適正を期するために、取引状況はもちろん資金の出所等につきましても、可能な限り調査をいたすことにいたしております。
#274
○山原委員 その出所調査をして、注目して十分調査をするというお考えですね、違法なものについては課税をする、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#275
○藤仲政府委員 そのとおりでございます。
#276
○山原委員 最後に、たばこの問題について伺いたいのですが、私はたまたまこういう資料を手に入れたのです。大臣もたばこがずいぶんお好きなようでございますが、これは「昭和五十三年度上半期たばこ販売店座談会資料」というものです。たばこ販売店の店主等を集めまして指導がなされておるわけでございます。
 その中にたとえば「販売促進銘柄の育成」ということで、マイルドセブンを最重点銘柄として育成していくということが書かれております。その次が「峰」、それから「その他の販売促進銘柄」が出てまいりますが、その中で「下級品の販売対策」というのがございまして、「販売店の利益の向上を陪審しているものに「下級品の放置」の問題があります。エコー・しんせい・バット・ききょう等の下級品から、ハイライト・マイルドセブン等の中級品以上への転移を促進することは、販売店の利益増大に直結します。そこで、次の施策を実行しましょう。」ということで指導されているのですが、その中の(1)が「ロコミで中・上級品、とりわけマイルドセブンへの転移をすすめましょう。」(2)が「店頭陳列からは、取り除きましょう。」すなわちエコー、しんせい、バットですね、これは店頭から隠しなさい。それから「自動販売機からも取り除きましょう。」四番目に「出張販売店への供給を停止しましょう。」五番目に「遊技場への供給を停止しましょう。」というふうに出ておるわけでございます。
 私はなぜこれを問題にするかといいますと、いま挙げました下級品、エコー、しんせい、バットなどというのは、確かに価格も安いものでございますけれども、国民の嗜好の側から言いますならば、しんせいだって戦後生まれて、たばこのない時期にずいぶんたくさんの人がこれをのんできたわけです。ゴールデンバットに至っては戦前からあったわけですね。そういうものがあり、また安くもありますし、また嗜好上私はこれが好きだという者もおるわけです。ところが、利益が少ないということで、これをなるべくマイルドセブンとか中級品に移行させなさいというまではわかりますけれども、店頭から消しなさいという指導に至っては大変な指導だと私は思う。専売法の方も見ましたけれども、そんなことできるはずはないと私は思うのです。
 私の友人に戦前からバットの好きな者がおりまして、彼は探し回っているわけです。東京のどこかへ行けばあるということで、わざわざ上京する人に対してどこそこの店のバットを買ってきてくれということにまでなっているのですね、店先にあれば安いですから、四十円ですからね。しかも今日のような不況の状態の中で、気持ちを休めるとか気分を休める、体を休めるために勤労者はたばこを吸いたい。バットが一番私には適しておると思っても、バットを店頭から消せでしょう。そういう指導がなされてよいものかどうか、この点を伺いたいのです。
#277
○石井説明員 お答えいたします。
 ただいま先生お手持ちの資料はどういうものか、私、拝見をしておりませんので内容を詳細わかりかねますが、いまたばこはざっと年間三千億本売られております。そのうちで一番売れておりますのは、先ほどお話がございましたマイルドセブンあるいはセブンスターあるいはハイライトといった銘柄でございまして、上の方から数えまして五つの銘柄でざっと八割ぐらいのたばこが売れております。
 御指摘がございました下級品、私ども下級品という言葉でございませんで、定価法上は三級品となっておりますが、エコーとかしんせいとかパットとかそういったものは、一つは、消費者の方々の嗜好がだんだん緩和化をしてまいりますのに伴いまして、だんだん数が減ってきております。御指摘のバット等は、かつて戦前は第一位であった時代もあったかと存じますが、ただいまでは千分比で申しまして約二ぐらい、ですから〇・二%ぐらいの売れであるかと存じます。そういうことで、具体的に店頭から退けろというような指示はいたしておらないわけでございますけれども、御理解願いたいのは、お店の数は小売店全体で約三十四万軒ございますけれども、全体で約八億本程度のものでございますので、三十四万軒全体に配りますと大変わずかな数になってしまいます。また需要の変動等もございますので、バットの販売をお願いいたします小売店の方は、全体の二十四万軒のうち約六万店ほどに置いておる、こういうことにさせていただいておる次第でございます。
#278
○山原委員 これは時間をとるつもりもありません、もう終わりますけれども、需要が減ったとおっしゃいますけれども、減らすように――中級品に移行するというまではいいのですよ。これはあなたの方から出ているのです。一遍見てください。皆さんの方から直接出したのかどうか知りませんけれども、一般のたばこ屋さんのおばさんがこんな印刷物をつくるはずないわけですね。だから、指導方針として確かに出ておるはずだと私は確認をしてこれを出しておるわけです。しかしそれにしても、店頭から取り除きましょうということになってくると、これはひどい。だから、こういうのはお調べいただきまして、直すべきものは直していただいて――もしバットがもうだめなら、バットを製作することをやめればいいわけですけれども、そうもいかないわけでしょう。だから存在する。それから、売れなくてケースに残って質が悪くなったりした場合は、たばこ専売法四十一条によって皆さんの方でこれを補てんしなければならぬわけですから、そういう点から考えますと、店頭から隠すというふうな指導はすべきではないと思う。国民の嗜好に対しては専売出局も当然きちんとこたえるべきであるということを申し上げたいと思いますが、その点はよろしいですか。
#279
○石井説明員 御指摘の点は、よく実情を調べまして善処をいたしたい、かように考えております。
#280
○山原委員 終わります。
#281
○大村委員長 永原稔君。
#282
○永原委員 最後になりまして大分お疲れだと思いますので、なるべく能率的に短時間で切り上げたいと思います。
 最初に、国債の発行状況について伺いたいと思います。五十三年度、十一兆二千八百五十億、もうかなり消化が進んでいると思いますけれども、順調に進んでいるかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
    〔委員長退席、綿貫委員長代理着席〕
#283
○田中(敬)政府委員 本年度発行予定額当初計画十兆九千八百五十億円に対しまして、本年十月までの発行済み額は七兆二千五百七十四億でございます。これは発行計画額に対しまして十月までの進捗率で見ますと、六五・四%ということになっております。
 ちなみに、昨年の市中引受額の年間実績に対します十月までの進捗率は、六七・四%でございます。なおまた、国債を発行いたしました昭和四十二年から五十二年までの平均をとりますと、大体六五%程度でございますので、本年は、発行の形態あるいは市況等にいろいろ問題は抱えながらも、十月までの実績はほぼ例年並みにいっているという現状でございます。
#284
○永原委員 いまお話しのように、市況にいろいろ影響を与えながらもいままでは順調にきたということですが、これからの消化促進について特別に何かお考えでしょうか。
#285
○田中(敬)政府委員 消化が一時困難になった、売れ残りが出たというようなこと、市況が非常に悪化したということがございましたが、先ほどの御議論にもありましたように、これには一過性の原因と長期的な構造的な原因があろうかと思うのでございます。
 一過性の原因につきましては、ほとんどそれが除去されたと考えておりますので、長期的に今後この消化対策をどうするかということを主眼に考えるわけでございますけれども、長期的に脅えます場合に、なぜ国債の市況が悪化したかということは、何と申しましても、やはり市場の大きさに対して余りにも国債の発行量が多過ぎるという負担感の問題と、それから、金利の底打ち感からくる長期資金需要が減りまして、それが皆短期の方へ選好して移っていったという二つの要因があろうと思います。
 大量発行負担感の問題は、これはすでに計画として発行し消化しなければならない問題でございますので、それは来年度以降の財政の問題として検討するといたしましても、すでに発行計画の決まったものをどういうふうに消化するかという点につきましては、いま申し上げましたように資金需要というものがいま短期の方に移っておるという点に着目いたしまして、ニーズに合った国債を工夫しながら発行していくということで、消化の促進を図ってまいりたいと思います。
#286
○永原委員 今度の予算で三千億の二年もの発行ということが計画されていますけれども、二年、三年、五年、十年、こういうふうにだんだん短中期をふやしていく傾向にあります。
 この前の三年ものの発行のときの応募者利回りが五年ものと比較して非常に有利になったというような様子を見、三年ものはああいう入札制度でやって、五年、十年ものへの影響はどうなるだろうか、こういうところが懸念されますけれども、この点についてはどうお考えですか。
#287
○田中(敬)政府委員 先般、三年利付国債の入札をいたしました際に、落札価格応募者利回りで五・七五%ということになりました。これは御指摘のとおりに、五年割引債の五・七一一%よりも期間が短いのに利率が高いという、世で言う逆転が起きたというふうに申されておりますけれども、やはり公募入札制をとる以上は、そのときどきの金融情勢なり市場の状況によりまして、こういういわゆる逆転現象なり変わった現象というものは間々起こり得るもの、今後もあろうかと存じます。
 しかしながら、市場を年間ずっとながめてまいります場合には、やはりその月々の市場状況、金融状況によって絶えず変わってくるものでございますので、たとえ一回三年利付債が五年割引債の金利を逆転したからといって、直ちに五年割引債の金利の改定をするとか、あるいは長期の十年ものの金利の改定をする必要はない、市場の推移をながめながら判断をしてまいりたい、こういうことでございまして、現在のところ、先般の五・七五という三年利付債の応募者利回りが確定したことに伴いまして、他の国債の金利を改定するということは考えておりません。
#288
○永原委員 市場の大きさに比較して非常に国債発行額が大きくなった、こういうことを心配していらしゃいますけれども、多様化をしていろいろな中短期のものを発行していらっしゃる。主計局の観点に立つときに、こういう短期もの、中期もの、これは財政運営上どういうようにお考えになりますか。
#289
○加藤(隆)政府委員 理財局長の御答弁のとおりに考えております。
#290
○永原委員 非常に償還が大変になってくるのではないかと思いますけれども、そういう点についてはどうお考えですか。
#291
○加藤(隆)政府委員 確かにそういう面がございます。その辺は一つの問題点ではございます。
#292
○永原委員 今回の償還計画表の補正、改正によって、建設債、二年もの、こういうものが決められておりますが、特例債にしなかった理由は一体何でしょうか。本来建設債は長期を望むのではないですか、公共事業の財源とすれば。そういうような観点からして、あえて短期債にした理由は何でしょうか。
#293
○田中(敬)政府委員 今回の補正によりまして、補正で増発いたします国債は、ほぼ建設債二千八百億、特例債二百億という形で補正の増発をお願い申し上げたわけでございますが、そういう意味でロットとして二千八百億と二百億、増発分三千億を資金運用部で引き受け、かつ二年債とすると申します際に、二千八百と二百というふうにロットを分けますことは非常に問題がございますので、これを一本のどちらかにしたい。特例債につきましては、まだ三兆数千億の発行残がございますので、特例債にする方法もございますし、建設債にいたしましても、五、六千億の発行残がございますので、建設債にする方法、いずれもあったわけでございますが、先ほどちょっとお触れいただきましたように、償還問題を考えます際に、国債整理基金の積立金、特に今年発行を予定しております一兆円の利付国債の償還期限が三年後参ります。これは特例債でやっております。それは当然整理基金の積み立て残から償還しなくてはなりませんし、そういうことで、整理基金の今後の資金繰りを考えました場合に、この際本年度三千億というものは、整理基金の今後の状況が確定するまでは、さしあたり建設債にしておきたいということで建設債にしたわけでございます。
 建設債は本来長いものという御指摘でございますけれども、さしあたりいまの金融情勢で二年債で発行いたしまして、これを三年先、償還期限が参りましたときに、御承知のように借りかえをいたすことになりますが、その借りかえの値券の期限をまたそのときの金融情勢に応じて三年にするか五年にするか十年にするか、これはいろいろ方法があるわけでございまして、その時点で検討いたしたい。いずれにいたしましても、償還計画のめどがまだはっきり立っておりませんので、この間暫時建設国債で発行さしていただく、こういうことにしたわけでございます。
#294
○永原委員 財政当局は長期債を望むだろうと思うのです。しかし消化を考えれば、これはシ団などの態度からして短期債、こういうようなことになろうと思いますけれども、この両者のギャップを一体どういうようにして埋めていくのが一番適当でしょうか。そういうことについて何かお考えをお持ちでしょうか。
#295
○田中(敬)政府委員 やはり財政の立場からの国債管理と申しますれば、長くて安くて安定した借金ということが一番理想でございますが、長くて安くて安定した借金をする、たとえばいまで申します十年国債がそれに当たるというふうに考えてみました場合に、片一方、金融情勢の方を見ますと、資金ニーズというものは長いものから短いものに移っておる。そういたしますとそこに、二ーズのないところに大量の長いものを出すということになりますと、長いものの値崩れを起こしてまいります。そういう意味で、財政的観点からは長いものの値崩れが起きない、長いものが低利で安定して借り得るというような状況づくり、そういう補完的な意味として短期債を出していくという見方が一つございます。
 と同時に、金融サイドから申しますと、やはりニーズが短いものであるということ、あるいは日本の現在の公社債市場が長期債に偏重して、中短期の金融商品が欠如しておるという点に着目いたしますと、将来の金融政策、金融調節手段としてそういう中短期の市場の育成も必要だということで、金融サイドからそういう面の要請でございますが、財政サイドから、先ほど申し上げましたように、十年の長期債を安定させるという観点で、一つのそういう補完措置と金融的ニーズとを相互調整しながら、長いものと短いものの量的配分をしていくべき、だろうと思います。
 本年度は中期ものを初めて出した年でございますし、いろいろ金融界等に与える影響もございますので、三年利付債については一兆円、あるいは今回の二年債につきましては三千億円、量を制限しておりますが、来年の国債発行総量が決まりました場合には、来年の金融情勢あるいは資金需給等を見通しながら、これの配分を考えてまいりたいと思います。
#296
○永原委員 いまのような観点に立つときに、今年度の発行額、三年ものが三千億、三年ものが一兆円、それから五年ものが二千二百億、残りが九兆七千六百五十億、これは今回の追加を入れてですけれども、そういうようなものについて発行と償還計画は国会に提出しなければならないということで規定してしまうわけですね。これから市況の変動に伴ってこういうものも動かしていかなければならない、こういう状態も予測されますけれども、そういう点についてはどうお考えですか。
#297
○田中(敬)政府委員 償還計画表は、国会に予算の参考資料として御提出を申し上げておるところでございますけれども、まず二つの見方があろうと思います。
 償還計画表で、たとえば十年債を前提といたしまして、十年後に償還がくるという計画表をお出しした後におきまして、新たに三年債を新しく出すということを決めたのはことしの例でありますけれども、この際は国会に対しましては、かつて予算委員会で野々山議員から御議論をいただきました時期は五年割引債を発行した年でございますが、国会で承認した償還計画表とそごするではないかという御質問を受けたことがございます。それに対しまして私どもは、これは議決案件ではない、参考資料であるという点と、そういう事態は今後金融情勢その他によって起こり得るので、その都度改定版を国会に提出申し上げるということでお答えを申し上げ、今回の三年利付債の発行につきましても、そのような措置をさせていただいたわけでございます。
 もちろん三年利付債の発行のときにつきましても、一兆円を限度ということで計画を定めまして、一兆円市中公募が米達に終わった場合には、総額としては国債の発行をいたさなくてはなりませんので、未達に終わった場合には、三年先の償還のところの欄に一兆円と書いてあるものが、十年の方に米達相当額については移り得るというような注をつけた償還計画表を本年はお出しさせていただいております。
 来年以降につきましても、おそらく同じような形をとらしていただくことになろうかと思います。
#298
○永原委員 シ団の消化から個人消化へ、こういうような方向が必要だろうと思いますが、機関投資家だけに頼らないで国民の消化ということになります場合にどういうような方法でお考えになるのか。銀行窓口の取り扱いがまだ解決しない。また報ずるところによれば、個人が証券会社に行けば新発債だけ、既発債については取り扱ってくれないというようなことがよく報道されておりますけれども、こういうものについて、もっと個人消化を進めるような方策というのが考えられないでしょうか。
#299
○田中(敬)政府委員 個人消化の促進につきましては、やはり個人の方々の金融資産選好のニーズに合った商品の開発というのが大事であろうと思います。そういう意味におきまして、割引債でございますとか中短期の利付債、三年、二年というものを創設したわけでございますが、この方面の努力は今後も続けてまいりたいと思います。
 個人の消化の促進の際によく一般の方から言われる方法とすれば、たとえば国債に適用されておるマル優制度、いわゆる特優と申しますが、これの拡大であるとかいろいろなことが替われておりますが、これは他の税との均衡の問題もございますので、ただいまのところ考えておりません。
 そのほか、個人の消化策といたしまして、たとえば貯蓄国債というようなもの、有利な貯蓄手段としての貯蓄国債というようなものも議論をいただいております。しかしながらこれも私どもでは、今後とも検討は続けてまいりたいと思いますが、いまの日本の現状では、国民の貯蓄手段として郵便の定額貯金制度というものがございまして、貯蓄国債のいろいろな設計をいたします際に、これにまさる金融商品というものはなかなかつくりがたい、全くどちらかという問題になってまいりますので、貯蓄国債の実況もなかなかむずかしいと思っております。何もかもむずかしいということでは個人消化の促進がむずかしいわけでございますけれども、二年、三年という、そういう短いものを発行していくということにして、いろいろニーズにこたえてまいりたいと考えております。
 それと、既発債を個人が買えないという問題が昨日の新聞に指摘されておりましたけれども、個人が既発債を買うといたしますと、たとえば金額にもよりますけれども、十万、二十万あるいは五十万というようなものの既発債の購入をいたしますと、証券会社がこれを券面で持っておりませんで登録債で持っておりまして、五万とか十万とか小口のものを一々登録債にかえて販売するということになりますと、手数料、販売経費が大変かかりまして、小口の個人消化の既発債問題というのは非常にむずかしいんだろうと思います。ただ、個人の方が既発債を購入されようとする場合でも、たとえば大口の個人の資産家があったといたしまして、一千万とか五百万とかロットの大きなものになりますと、これは証券会社に申し込めば、通常の機関投資家と同じように買える仕組みにもなっておりますし、現にそういう資産運用をなさっている方もございます。
    〔綿貫委員長代理退席、委員長着席〕
#300
○永原委員 観点を変えまして、財政当局は、建設公債は後代の人も利用できるようなものが残るという観点から、ほとんど公共事業対象費については全額国債を発行する、財源をそこに求めるというようなことを続けてきていらっしゃいます。財政収支試算においても、赤字公債の発行はゼロにしよう、こういうようなことはいろいろ計画されますが、建設公債には余り触れていらっしゃらない。今度六十年時点の経済計画を改定する場合に、恐らく公共投資部門の額が算定されるでしょうけれども、それについてもやはり国債中心というような考え方で進められるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
#301
○加藤(隆)政府委員 この数年来、いわゆる臨時異例の段階にあるわけでございます。基本的な考え方としては、当然のことでございますが、財政法四条にありますように、建設公債が原則であるわけで、特例公債というのは、その都度法律で国会に御審議いただいてお認めいただくというやり方でやっているわけです。
 その場合、建設公債であれば幾ら出してもいいのかという、おまえたちはそういうふうにやっているじゃないかという御指摘があるわけでございますが、それは決してそうではないわけで、建設公債といえども公債でございます。したがって、利払い費であれ償還費であれ、そういうものの増高が起こりますれば、当然のことながら財政の硬直化を招くわけでございますし、残高がでかくなれば財政の硬直化、年々の発行額がでかくなりますれば財政の機動力を喪失するわけでございます。景気によってある場合には多く出す、ある場合には少なく出すというのが本来のあり方であるわけでございますが、何せオイルショック以降の異例な財政運営の中で、建設公債が対象経費の一〇〇%を占めておる、なおかつ足りなくて特例債をお認めいただいておるというような情勢にありますので、そういうふうにわれわれがやっているように見えるかもしれませんが、決してそういうわけではございません。
 その場合、まず全般的な公債の削減というような問題は現実的ではないので、とりあえずは特例的な赤字公債である特例公債の方に焦点を当てて、その減額あるいは脱却を当面の政策目標にするということでございまして、セカンドベストといいますか、現実的な財政再建の道行きとしてそういうことをとっておるわけでございますから、仮に特例債がなくなりますれば、そのときどきの経済情勢に応じて、建設公債で公共事業費を満額賄うのではなくて一般財源の方からも、かつての平常時におきますように、税金の金と公債の金とで公共事業を行うというようなのが理想的な姿でございますから、原理、原則的には、ただいま申し上げたような財政法の考え方が本来あるべき姿だろうと思います。
#302
○永原委員 もちろん建設公債全部自由に発行するのでないという原則はわかるのですけれども、建設公債を六十年で償還するというようなことから、どうも安易感が生まれるような気がしてしようがない。そういう観点ではなくて、建設公債とたとえばGNPの比率、こういうものである程度の限度というのが算定されるのではないかという気がしますけれども、こういう点についてはどうでしょうか。
 それと、投資部門と経常部門を分けて、今度は経常部門について、いま一八・六になりますか、前倒し、これを考えて三四%、そこらを歯どめとして来年度も予算編成にお臨みになるのかどうか、その点はどうでしょうか。
#303
○加藤(隆)政府委員 前段の方の御指摘でございますが、これは四十一年に財政法の公債政策を導入いたしますときから、いわゆる公債発行の歯どめという呼び方で本委員会でも再三御議論がございまして、私どもも、何かそういう量的な歯どめというようなものが考えられないであろうかということで、いろいろ内外の資料、学説をあさっておりますが、なかなかそうしたものは定量的にはないようでございます。かつて四十二年に財政制度審議会が、一般会計の公債依存度五%を目標にしろというような御提案がございました。そして御承知のように、現実的にも五%を切ることができたことがあったわけでございますが、そういう意味で、定量的には演繹的に一義的な数字を理論的な仕組みで出すというようなことは、率直に申してなかなか見つかりません。定性的には財政法四条に書いてある精神が最大の歯どめであろうかと思います。
 それから、あとの方の問題でございますが、やはり経常部門、投資部門と二つに分けましたのは、まず特例公債の方を何とかしなければいかぬという発想から出たものでありまして、これは本年度から編成の一つの作業的なものとして考えられたわけでございますが、そういう意味でかなり現実的にも有効であろうと思います。したがって、五十四年度の財政運営の場合に公債の限度を考える場合、全般的な公債依存度の三七%とただいま御指摘の特例公債の実質三四%、このあたりをスタート台といたしまして私どもといたしましては、――もちろん来年度の経済情勢がどうなるかにもよりますけれども、それはさておきまして、それをスタートにして、そこからできるだけ圧縮したいという願望を持って目下作業いたしております。ただ、十二月最終段階に至りまして、経済情勢がよろしければ相当そういう目標が達成できるわけでございますが、また逆にぐあいが悪いというようなことになればまた変わる。やはりこれは財政だけでひとり立ちできませんので、二四なり三七より少しでも減らしたいという基本的な姿勢は持っております。
#304
○永原委員 先ほど言い忘れたのですが、こういうような建設公債の借りかえが前提になっているというお話がさっきございましたけれども、国債が流動化している中で、実際の借りかえというのができるだろうか、新発債で補うというようなかっこうになっていくんでしょうか。
#305
○田中(敬)政府委員 国債の借換制度につきましては、従前の借換制度、現在行っております借換制度と申しますのは、その際保有しております金融機関が保有しておる国債の割合に応じまして、同一人が借換債を引き受けるという形を現在までとっております。これがいわゆる建設公債の乗りかえ制度と申しまして、従前までとられた措置でございますが、これのがんといたしまして――がんと申しますと言葉が悪うございますが、これの欠点といたしましては、そういう乗りかえ的な借換制度をやっておる限りにおいては国債の流動性が阻害される。と申しますのは、売る方も売りにくい、買ってもそれは借りかえさせられるというような形になりますので、この借換制度について、昭和五十七年二月までに借換制度を改めるということを本年の券に引受シ団と発行当局との間で確認をしたわけでございます。
 そのことが契機となりまして、本年の春以降、国債の流動性が非常に樹まってまいりまして、公社債市場におきます各種公社債の流通高、取引高のうちで、従前三%ないし四%しかシェアを占めなかった国債が、現在では二六%から三〇%近く、従前は利付金融債が一番のシェアを持ち、あとは縁故債、地方債という形のシェアが大きかったものにかわって、いまは国債がその一位の地位を占めるようになってまいりました。そういう流動性を高める意味で、そういう確認をシ団と発行当局でいたしたわけでございます。
 では、この確認の結論はどうなるのかという問題でございますけれども、これは今後シ団と協議をしてまいりたいと思いますけれども、いわゆる借りかえの時期が参りましたときに、国債の引受シ団というものが存在いたします。それは現在もございますように、新発国債を引き受ける国債シンジケート団でございますけれども、この国債シンジケート団がそのときの引き受けシェアに応じて借換債を引き受ける。たとえばA銀行、B銀行、C銀行で、A銀行が借りかえをされるべき国債を千億持ち、B銀行が六百億持っておった場合に、Aが千億、Bが六百億ということでなくて、そのときの国債の引き受けシェアがAとBと比べてBの方が大きい場合には、保有国債がBの方が少なくても借換債はBの方がたくさん持つ、こういう形に変わっていくであろうということを内々発行当局と引受シ団との間では予想をして、現在その詰めをしておる最中でございます。そういう意味におきましては、借換債はやはりそういう市中引き受けになるということでございます。
#306
○永原委員 三七・六%の公債依存率、確かに大変なんです。そういう中で、やはり経済成長七%という目標を達成するためにということで、何か公共事業の枠を拡大していく、そして公債が累増していく、こういうようなことで本当に意味があるんだろうかという気がしてしようがないのですが、五十四年度も公共事業中心の予算編成をお組みになるのか、大蔵大臣はどうお考えでしょうか。
#307
○村山国務大臣 これは今後の五十四年度の具体的な予算編成に絡む問題でございまして、確たることは申し上げられませんが、しかしいずれにいたしましても、これは税収との関係に恐らく帰着するであろう。そのときに、一般的な負担増はどれぐらい一体認められるのか、それまた一般的負担増自身が成長の問題と絡み合ってくるわけでございまして、作業で申しますると、先ほど申しましたように、中期経済計画との関係、それから来年度の経済の見通しとの関係でございます。
 しかし一般的に申しまして、建設国債を目立って減らすことができるというようなことはなかなかむずかしいのではなかろうか、そういうことは大体言えるわけでございます。その意味で、やはり先ほどから事務当局が申しておりますいろいろ細かい点に配意した資本市場の拡大安定化、あるいは公債発行の償還期限にいたしましても発行の仕方にしてもやはり非常な工夫の要るところであろう、このように考えているわけでございます。
#308
○永原委員 ちょっと答弁がすれ違っちゃったんですけれども、公共事業中心でいろいろ予算編成をなさってまいったわけです。そういう中でたとえば構造不況のようなものがより大きくなったんじゃないかという気がする。
 先ほど、景気対策として企業の体質改善も必要だというように大蔵大臣はおっしゃいました。いまの態度を見ていきますと、公共事業は建設公債だ、そういうようなことで、比較的物が残るからいいんだけれども、赤字公債というのはこれは大変だというようなことでお考えになっていらっしゃるような気がしてしようがない。というのは、たとえば構造不況対策にいたしましても、これは一部はもちろん公共事業の傾斜配分はございます。しかしそれ以外の部分について、それは財源は赤字公債になってくる。また産業の構造改善あるいは体質改善、こういうような施策、さらに私どもが主張しておりました減税とかあるいは雇用対策ということになると、これは赤字国債が財源、そういうようなことで、どうしても建設公債中心の公共事業、ここに重点を置いて予算編成がなされているようですけれども、本当に公共事業がばらつきのない経済発展に寄与するだろうか、そこに疑問を持っているわけです。
 たとえば今度の場合に七%の経済成長を達成したい。いまの状況では、円高のデメリットによってGNPが一%程度落ちるだろう。それを補完するために、総合経済対策ということで二兆五千億からの公共投資を中心にした予算編成がなされ、予算が提案されたわけですが、中心になっているのはやはり公共事業なんです。こういう中で、実際円高による輸出の数量の減を公共事業を実施することだけでカバーができるだろうか。何か結びつかないような感じがしますけれども、こういう点についてはどうお考えでしょうか。
#309
○村山国務大臣 二つの点を申し上げたいと思います。
 やはり七%成長とかなんとかいう問題がございますが、いま永原委員が御指摘の構造不況業種の問題、これはこれとしてやはり特別な方策を講じなければとうてい無理であろうと私は思うわけでございます。一般的な景気対策でそれをも救うというようなことはとても無理であろう、そういう問題意識を持ちまして、本年度の当初予算、特に補正予算においてはその点に重点を置いたつもりでございます。来年度どういうことになりますか、やはり引き続きその問題はその問題としてやっていく必要があるであろうと思うのでございます。そうでなくて、言ってみますれば需給ギャップの問題も同様でございますけれども、そういうすでにもう働いていない設備までそれを分母に置いて、それでそれが何%まで稼働するところまで一般景気対策でやれと言っても、これはとうてい無理であろうし、そのことは当然構造不況は構造不況として考えていく。やはり残りのものについての需給ギャップというものを中心に考えて、その中でどういう施策がいいかという問題として議論さるべきであろうと思うのでございます。それが第一点でございます。
 第二点として、さらばそのようなものを除去した後での稼働率の上昇あるいはまた新しい意味の設備投資等の問題があるわけでございます。そういう意味の景気対策として減税がいいのかあるいは公共投資がいいのか、こういう議論ではなかろうかと思うのでございます。これはもう繰り返し申し上げておりますように、現在の状況から申しますと、やはり一般的な負担増が目の前に迫っておるということ。それからいまのわが国の税負担が諸国に比べて非常に安いということ。それからまた逆に社会資本が現在非常に低い水準にあるということ。それからまた景気対策上の効果あるいは雇用対策上の効果から申しましても、一般的に公共投資の方が、狭い意味の公共投資ではございませんが、一般的に公共投資がすぐれておる。その中でも、公共投資にも先ほど申しました広い意味での「第三の道」、こういう方がまんべんなくいくであろうし、特に雇用効果が大きい、そしてまた社会資本の充実の水準も低い、こういったことから言いまして、同じ公共投資でもそちらの方に傾斜配分をしていくべきではなかろうか、こういうことを申し上げておるわけでございます。そうかと言って、むやみやたらに幾らでもふやせばいいというものではなくて、それは消化能力の問題あるいは財政収支の問題、そういったものと十分整合性を持ったものでなければならぬというのが、私たちがいま考えているところでございます。
#310
○永原委員 いつもそういうようにお答えになるのですけれども、公共事業の効果を一たん見てみますと、五十一年の予算編成も、これは三木さんのときですけれども、やはり公共事業と住宅というようなことが重点として取り上げられておりまして、五十二年、五十三年は公共事業中心、拡大の一途をたどっておるわけです。
 波及効果が大きいとおっしゃいますけれども、たとえば失業者の点で見てまいりますと、これは労働力調査を中心にしたものですが、五十年平均失業率が一・四です。五十一年、見ていきまして最低が一・七から二・四、五十二年は一・八から二・四、五十三年は、これは六月末でですけれども、二・一から二・六、そういうように失業率は上がっているわけです。
 それから常用雇用指数、これは毎月勤労統計で見てまいりまして、たとえば建設業、これだけ公共事業をやっていますので建設業がどうかということで見てまいりますと、五十一年より五十二年、五十三年、だんだんこの指数は悪くなっている。実数でいきますと製造業は建設業の二・五倍ぐらいありますので、総数でながめてみても、常用の雇用指数は五十一、五十二、五十三、だんだん製造業においても悪くなっています。いいのはサービス業と保険、金融機関だけ。そういうような状況で、雇用状況は決してよくはなっていない。一歩譲って、建設業は日雇いが多い、こういうようなことで常用雇用は少ないんだというような考えをとるにしても、日雇い保険を見ていきますと、保険の受給者数は五十年十三万九千人がずっと減っていないのです。
 労働時間を毎月勤労統計で見ていきますと、これは出勤日数はふえている、したがって総実働労働時間はふえております。と同時に、所定外の労働時間もふえている。ということは結局、労働力の増加ではなくて現在の人たちの労働強化によって、この仕事がカバーされているということを示すものと思うのです。
 雇用創出効果は大きい、こういうようにおっしゃいますけれども、そう言えないのではないか。こういう中で、なおやはり公共一辺倒という予算編成をなさろうとするのか、そういう点についてはどういうお考えを持っていらっしゃるのでしょうか。
#311
○村山国務大臣 雇用の問題に限定して申し上げますと、公共投資だけで雇用問題を片づけようといってもこれはまた無理であろうと思うのでございます。それは当然のことながら、産業構造の将来あるべき姿、それは二次産業と三次産業との比重がだんだん変わっていくでありましょうし、またその方向にやはり誘導していくということが必要であろうと思うわけでございます。また、同じ二次産業でありましてもやはり知識集約的なものに、国際関係から申しましても漸次移ってまいりましょうし、またその方向に誘導していくということが、それがまた雇用構造を変えていくであろうと思うわけでございます。そのほかにも、皆さんいろいろ言っておられますような、低成長のときには大ぜいで仕事を分け合うという観点もやはり真剣に考えていかなければならぬだろうと思うのでございます。
 ただ、それはそれといたしまして公共事業、その公共事業によるところの雇用効果には限界があることは十分承知しておりますけれども、しかし、減税と公共投資との間で雇用効果がどちらが多いかということだけに限定して申しますれば、確かに従来のような高度成長時代とは違っておりますけれども、いろいろな経済企画庁のモデルにいたしましてもまた日経のモデルにいたしましても、最終的には波及効果の関係がありまして雇用効果でもやはり公共投資の方が多い、こういう答えが出ていることには間違いないのでございます。したがいまして、現実の数字で申しますと、経済企画庁はことし大体八十三万人ぐらいの雇用増を見ておる。そして八月の統計でございますけれども、建設業は前年同期に比べましてたしか三十七万人でしたか、ふえておりまして、そのうち二十六万は常用労働者としてふえている。
 もちろんその一方におきまして、減量経営という問題がございますので、これはまた企業の対応の仕方の問題でございまして、従来よりもそういう吸収率がだんだん少なくなるということは言えるだろうと思います。しかし、繰り返し申しますけれども、両方比べたときにどっちがどうであるかということは、モデルの違いはありますが、通じてやはり公共投資の方はその面でも効果はあるということには変わりないであろう、こう申し上げておきます。
#312
○永原委員 観点を変えまして、今度予備費四百五十億減らしておりますけれども、この予備費の支出状況を見ていくと、これは七十七億九千二百万円、公立学校とか農業施設とかあるいは河川等の災害復旧黄、道路公団等の有料道路の災害復旧費、そういうものに支出されております。予備費は、これは経常部門に属する分類でしょう。本当ならば赤字公債の対象になる分野ですね。公共事典予備費はこれは建設公債の対象になる分野だと思いますけれども、こういうものについて、額が少ないから一般予備費でやった、公共事業の予備費を使わなかった、こういうようにおっしゃるんじゃないかと思いますが、何か建設費であろうと経常費であろうと支出状況について財源的な区分はなくこういう面では支出されている、こういうように思います。
 そういう中で、公共事業もやはり国債、減税もやはり国債、来年度公共事業をたとえば一兆円減らして、同じ国債が財源であるならば減税の方にそれを持ってくるというような考え方はできないでしょうか。建設公債であろうと赤字公債であろうと国にとっては同じような財源になっていくわけです。そうしますと、公共事業一辺倒でなくて減税ということも同じ財源でできるのではないか、こういう気がしますけれども、こういう点、いかがですか。
#313
○加藤(隆)政府委員 二つの問題があると思いますが、一つは、減税と公共事業と経済に対してどういうメリット、デメリットがあるかという問題だと思います。これは、大臣がただいま御答弁されたように、私どもとしては公共事業の方が当面の経済情勢から見てすぐれているというふうに思います。
 それからもう一つの問題は、公共事業であれば四条公債で減税であれば特例公債である、だけれども、それはとどのつまり公債だから同じではないかという御議論の方が第二の問題だと思いますが、これは先ほども御答弁いたしましたように、財政法の考え方はやはり四条公債は認めているわけでございます。これはいろいろ経緯があるわけでございますけれども、考え方としては、資産見合いであるとか世代間の負担の公平だとかそういうような問題、あるいは回り回って国民経済の力を引き上げるサービスを長年にわたって出してくれる。特例債の方はそういうのではなくて、たとえば私どもの給料とかあるいは飯代とかそういうようなものなので、経済的に見てそういうものの経費見合いの借入金というものを一般的に認めることはやめようという財政法の考え方があるわけでございます。これは国によっていろいろな公債に対する考え方の差があるわけでございますけれども、西独と日本の場合には、日本の財政法四条のような考え方をとっておる。そういう考え方が一般的に正しいかどうかという問題は確かにありますが、やはり戦前の経験とかあるいは諸外国の経験から見て、ただいまの財政法の考え方というのは現実的ではないだろうかと思うわけでございます。
 したがって、減税の場合であれば特例公債、公共事業であれば四条公債、その場合に公債で同じではないかと言いますけれども、その中におのずからただいま申し上げ策したような公債の性格の差があるということ、これに着目しますと、最初に申し上げました経済効果、それから財政のディシプリンといいますか、そっちの方のメリット、デメリット、そういう二点から考えまして、ただいまの減税をやって公債一兆を出す、公共事業をやって公債一兆を出す、同じではないかという点は、明らかに違うのではないかというように考えます。
#314
○永原委員 原則的には違うと思うのです。ただ、いま例として挙げましたように、予備費はこれは赤字公債の経常分野に属するでしょう。公共事業予備費は建設公債の対象になっていくでしょう。そういう中で、災害復旧費などはこれは一般予備費から出して公共事業予備費からは出していない。何か執行に当たってもやはりそういう面がきっちりしていないんじゃないか、こういうように思いますので、財源的に見ていった場合にそういう点で混乱があるんじゃないかと思いますので、あえて申し上げたわけですが、そういう点はどうですか。
#315
○加藤(隆)政府委員 公共事業等予備費の財源は、御指摘のように四条公債でございます。一般の予備費は、特例公価といいますか税金といいますか、いわゆる一般的な財源でございます。本年の補正を組む場合に、確かに御指摘のような問題があったわけでございます。いろいろ検討いたしました結果、公共事業等予備費はそっくりそのまま補正の際に歳出の方から減を立てまして財源として使わさせていただくということの方がわかりいいではないか。そうしますと、たとえば九月の上旬でございますか、災害時に七十八億ほど使いましたが、これは一般の予備費から出したわけでございますが、これはただいま申しましたように、一般の予備費は公共事業であれ給与であれ何にでも使える、そういう性格を持っております。したがって、ただいま申しましたように、この今回の補正を組む際に、公共事業等予備費の方に手をつけないでおいて、その前に出てきた需要に対しては一般の予備費で充当しておく、そういうかっこうでやった方がすっきりするではないかというような考え方をとったわけでございます。
#316
○永原委員 すっきりすることはすっきりしますけれども、何か余り納得のいかない面がありますが、一応先へ進みます。
 増税問題ですが、よくガソリン税の引き上げというようなことが報道されたり、あるいは、これは新税導入に先立って税調が指摘していますように、不公正税制の是正というような観点からでしょうか、大蔵省の方で価格変動準備金の点についていろいろ検討していることが報道されております。また歳出の削減、これも税調で指摘しているところですけれども、いろいろさっき大蔵大臣から、スクラップ・アンド・ビルドで新規事業をこなしていくのだというようなお話がございました。実際ゼロベース査定が本当に必要だと思うのです。
 そういう中で、財政主導ということになりますと大蔵主導のいろいろの予算編成がなされていくわけですが、特に大きな問題として掲げられています三K問題、国鉄とか健保とか米、こういうものに対して予算編成当局として定見をお持ちではないか、こういう気がするのです。各省の意見に沿うていくというだけではなくて、編成をするからにはやはり大蔵省として一つの定見を持っていらっしゃるのではないか、こういう気がするのですけれども、こういうものについてお考えがあれば伺いたいと思います。
#317
○加藤(隆)政府委員 いわゆる三K問題が問題になりましたのは、四十三年の財政硬直化の議論がなされた前後に一回あったわけでございます。あの後、国鉄にいたしましても、食管にいたしましても、医療費を中心とする健康保険にいたしましても、それぞれ御承知のような経緯で改善の歩が進められたわけでございます。必要な場合には法律をお願いし、あるいは財政措置をつけ加え、改善の道が開かれたわけでございますが、その後御指摘のようにオイルショックの後、急速にその三つの経費とも悪化しつつあります。特に本年あたりからはさらに悪化の加速度が加わっているのが実情でございます。
 私どもといたしましては、その場合、その三つともの経費が生み出しておりますサービスの性格を考えてみますと、どちらかというと純粋公共財的な要素が比較的少ないサービス、財貨というような気がいたすわけです。現行の制度におきましても、どちらかといいますと受益者負担的な考え方が入っておるわけでございます。たとえば保険料にいたしましても、運賃にいたしましても、消費者米価にいたしましても、そういう考え方があるわけでございます。
 したがって一つは、それぞれの営んでおります経営体といいますか、あるいは特別会計といいますか、その方の合理化という問題が一つあります。医療費におきましてもございますし、国鉄においてもございますし、食管についてもございます。そういうようなものをどうやって進めるかというような側面、それからもう一つは、そういうようなものからサービスなり財貨の利益を受けられる方々に対して応分の負担をどういうかっこうでいただくかというような問題、この両面からこの問題は検討をいたさなければならないと考えております。
 ただいかんせん、関係者が非常に多いわけでございます。医療費の場合で申せば御承知のように、使用者があり、医師会があり、受益者がおる。そういうようなことで、非常に関係者が多くて、その間のコンセンサスの形成が非常に困難であるわけです。もちろん困難だ困難だと言っておるばかりではございませんので、前回におきましても、いろいろ国会においても立法をやっていただいたわけでございますから、そういうような二つの側面からアプローチいたしまして、一歩前進、二歩前進かもしれませんけれども、何とか懸命な努力をやりたいと思っております。現に本年の場合も、いろいろ問題がございましょうけれども、五十三年度予算においてもその三つについてそれぞれ前進が図られたというふうに考えております。
#318
○永原委員 大きな問題ですので、ここですぐ答えは出ないと思いますから、先に進みます。
 時間が参りましたので、一般消費税の点、一点だけ。
 農産物と食料品、この関係ですけれども、農産物すべてが食料品になるわけではない、こう思います。そういう中で、農産物の価格というのが、これは生産コストを中心にして割り出されるのではなくて、結局市場価格で決められていく。そうすると、それまでに負担した農民の消費税は、転嫁する先がなくなっていけば結局農民負担ということになってしまいますけれども、こういうものについて何か救済措置はないか。
 また、食料品は非課税、こう言っていますけれども、その範囲もお聞きしたいところですが、小売商が食料品を売る場合には、パックとかいろいろなものに消費税がかかってきておりますので、それを価格に転嫁しなければ結局、小売業者がみずから負担しなければならない、こういうようなことになってしまいます。そういうものについてどういうような措置をなさろうとするのか。
 この点、この前小倉税調会長にお聞きしたのですが、一部企業負担になってもやむを得ない面があるというようなことをお話しになっておりました。しかし、それでは済まないと思いますので、こういう点について何かお脅えがあれば伺いたいと思います。
 時間が来ておりますので、以下は、この次の税制小委員会のときに質問しますから、その一点だけ教えていただきたいと思います。
#319
○高橋(元)政府委員 免税業者または免税の物品の売り上げを扱っておられる業者の方、そういう方々が納付税額を計算なさる場合に、御自分の納付税額がないわけでございますから、前段階以前でかかりまして結局仕入れで負担しておられる消費税の額、これを差し引く方法がないわけでございますぬ。したがいまして、いま永原委員おっしゃいますように、免税業者が仕入れられた物品に係る新税相当分または免税物品の生産に必要であった仕入れ分、それにつきましての一般消費税相当額というものは、やはり価格の中に込められて転嫁していくということが本来の考え方でございます。
 そのことはこの部会の報告の中にも明らかにされておりまして、「非課税の範囲」のところに若干コメントがございまして、「非課税売上げに対応して使用される財貨及びサービスの仕入れや納税義務春から除外される小規模零細事業者の仕入れについては、前段階において新税が課されていても仕入控除ができないため、この税額相当分だけはコストの上界となる」、それからまた、「仕入控除方式」を書いております部分でこれに関連した同じような部分が出てまいりまして、「納税義務者から除外された小規模零細事業者が仕入れの段階で負担した新税の税額分を販売価格に上乗せすることはやむを得ないとしても、それ以上の便乗値上げまで認めると、結局、消費者にしわ寄せされる結果となるので、何らかの方法でこれを防止する必要がある」、こういうふうに述べられております。
 したがいまして、この税制を今後仕組んでまいります場合、新税の負担というのは結局、企業から企業を伝いまして消費者のところに到達いたしますように転嫁を基礎として仕組んでいかなければならない。その場合に、引けなかった仕入れに係る税額というものはコストアップになっておる分というものは、たてまえといたしまして制度の仕組みといたしましては価格に乗って、企業のしょい込みにならないような形の制度というものをつくっていくことになるであろうというふうに考えております。
#320
○永原委員 ですから、仕入価格に含まれた消費税分は還付しないということがはっきり示されておりますので、それはわかりますけれども、結局そういうことでいくと、食料品にも仕入価格に含まれた消費税相当分は上乗せしていかなければならない、そういうふうに価格が上がっていくわけですね。それで逆進性は非課税で避けられるんだという言い方が少し薄められるような気がするのですけれども、やはり逆進性ということはある程度出てくるんではないかという気がしますが、その辺いかがでしょうか。
#321
○高橋(元)政府委員 一般消費税の逆進性と申します場合に、これを大きく左右いたします要素は二つあると思います。一つは、低所得階層ほど――低収入階層ほどと申した方がよろしいかもしれませんが、貯蓄率が低い、したがいまして消費される割合が高いということが一つでございますね。それから、それと似たような関係になりますが、低収入階層ほど食料費に対する支出の割合が大きい、この二つだと思います。
 したがって、食料費を除きました場合に、つまり、貯蓄が少ない割合だけ食料費が多いというふうなことが現在の所得五分位別の家計支出の統計から観察されるわけでございますから、食料品を非課税といたしますと、貯蓄割合が高い部分だけ支出が多くなっておりまして、全体として大体五四%くらいが支出されておるわけでございます。したがって、逆進性というものが非常に緩和されるであろうということを前々から申し上げておるわけでございますが、食料品にかかっております仕入れに係る税額が結局価格に乗っかって、先ほど私が申し上げましたように消費者が負担するのであれば、その逆進性緩和が薄まってしまうんではないかという御指摘だと思います。
 これはどの程度が残るかということはなかなか推計がむずかしいものでございますから、私どもいまいろいろ勉強はいたしておりますけれども、いずれにいたしましても、その部分というのはそれほど大きくはないんではないかというふうに考えておりまして、基本的には、逆進的傾向は食料品の非課税措置によって大幅に緩和されておるというふうに考えております。
#322
○永原委員 ありがとうございました。
#323
○大村委員長 次回は、来たる二十日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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