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1978/10/16 第85回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第085回国会 本会議 第6号
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1978/10/16 第85回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第085回国会 本会議 第6号

#1
第085回国会 本会議 第6号
昭和五十三年十月十六日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和五十三年十月十六日
    午後二時開議
 第一 無限連鎖講の防止に関する法律案(物価
    問題等に関する特別委員長提出)
 第二 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙
    期日等の臨時特例に関する法律案(内閣
    提出)
 第三 医療法の一部を改正する法律案(社会労
    働委員長提出)
 第四 特定船舶製造業安定事業協会法案(内閣
    提出)
 第五 地方交付税法等の一部を改正する法律案
    (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 無限連鎖講の防止に関する法律案
  (物価問題等に関する特別委員長提出)
 日程第二 地方公共団体の議会の議員及び長の
  選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣
  提出)
 日程第三 医療法の一部を改正する法律案(社
  会労働委員長提出)
 日程第四 特定船舶製造業安定事業協会法案
  (内閣提出)
 日程第五 地方交付税法等の一部を改正する法
 律案(内閣提出)
日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約
 の締結について承認を求めるの件
    午後二時四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(保利茂君) 日程第一は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。
    ―――――――――――――
 日程第一 無限連鎖講の防止に関する法律案
  (物価問題等に関する特別委員長提出)
#5
○議長(保利茂君) 日程第一、無限連鎖講の防止に関する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。物価問題等に関する特別委員長美濃政市君。
    ―――――――――――――
 無限連鎖講の防止に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔美濃政市君登壇〕
#6
○美濃政市君 ただいま議題となりました法律案につきまして、提案の趣旨とその概要を御説明申し上げます。
 本案は、無限連鎖講、つまりネズミ講が終局において破綻すべき性質のものであるのにかかわらず、いたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の相当部分の者に経済的な損失を与えるに至るものであることにかんがみ、これによってもたらされる社会的害悪を防止するため、無限連鎖講に関与する行為を禁止して、罰則を設けるとともに、その防止に関する調査及び啓蒙活動について規定を設けようとするものであります。
 その第一は、無限連鎖講の定義でありまして、一定額の金銭を支出する加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもって増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の支出する金額から自己の支出した額を上回る金銭を受領することを内容とする金銭配当組織をいうこととしております。
 第二は、無限連鎖講の禁止でありますが、何人も、無限連鎖講を開設し、もしくは運営し、無限連鎖講に加入し、もしくは加入することを勧誘し、またはこれらの行為を助長する行為をしてはならないこととしております。
 第三は、無限連鎖講の禁止措置に伴い、その防止については特に留意する必要がありますので、国及び地方公共団体は、その任務として、無限連鎖講の防止に関する調査及び啓蒙活動を行うように努めなければならないことといたしております。
 第四は、罰則についてでありますが、無限連鎖講を開設しまたは運営した者は、三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金に処し、またはこれを併科することとし、業として無限連鎖講に加入することを勧誘した者は、一年以下の懲役または三十万円以下の罰金、無限連鎖講に加入することを勧誘した者は二十万円以下の罰金に処することとしております。
 なお、この法律は公布の日から起算して六カ月を経過した日から施行することといたしております。
 物価問題等に関する特別委員会におきましては、連鎖販売・ネズミ講等調査小委員会を設け、鋭意検討を重ねた結果、去る十二日小委員長から小委員会起草案の報告を受け、これを全会一致をもって委員会提出の法律案とすることに決した次第であります。
 何とぞ、議員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出)
#9
○議長(保利茂君) 日程第二、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。公職選挙法改正に関する調査特別委員長久野忠治君。
    ―――――――――――――
 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔久野忠治君登壇〕
#10
○久野忠治君 ただいま議題となりました地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、全国多数の地方公共団体の議会の議員または長の任期が昭和五十四年三月から五月までに満了することになりますので、前例にかんがみ、これらの選挙の期日等を統一し、多数の選挙の円滑な執行と選挙執行経費の節約を期するとともに、国民の地方選挙に対する関心を高めようとするものであります。
 統一選挙の期日は、都道府県及び指定都市の選挙については四月八日、指定都市以外の市、特別区及び町村の選挙については四月二十二日といたしているほか、同時選挙の手続、重複立候補の禁止、後援団体に関する寄付等の禁止及び共済給付金の特例などにつきまして、所要の規定を設けようとするものであります。
 本案は、去る十月三日本特別委員会に付託され、同月十三日加藤自治大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって可決すべきものと決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#13
○議長(保利茂君) 日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。
     ――――◇―――――
 日程第三 医療法の一部を改正する法律案
  (社会労働委員長提出)
#15
○議長(保利茂君) 日程第三、医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の趣旨弁明を許します。社会労働委員長木野晴夫君。
    ―――――――――――――
 医療法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔木野晴夫君登壇〕
#16
○木野晴夫君 ただいま議題となりました医療法の一部を改正する法律案につきまして、趣旨弁明を申し上げます。
 本案は、去る十三日の社会労働委員会において成案とし、全会一致をもって社会労働委員会提出の法律案とすることに決したものであります。
 その内容は、近年の医学医術の著しい進歩に伴い、診療技術が専門分化し、独立した分野を形成するに至ったと認められる診療科について、国民の利便を図る上からもその名称を病院、診療所が広告できることとするため、新たに、医業については美容外科、呼吸器外科、心臓血管外科及び小児外科を、歯科医業については矯正歯科及び小児歯科をそれぞれ追加しようとするものであります。
 美容外科は、身体の各部における表面の器官、組織の形状について美的に整えるものであり、呼吸器外科は、肺及び胸膜の腫瘍等呼吸器の疾患を、心臓血管外科は心臓奇形、動脈瘤等心臓及び血管の疾患を、小児外科は先天奇形、ヘルニア等小児の疾患をそれぞれ外科的に取り扱うものであり、いずれも近年技術的な進歩が認められ、独立した分野を形成するに至ったと認められるものであります。
 また、矯正歯科は、不正咬合等を矯正するものであり、小児歯科は、小児の歯科疾患を取り扱うものであり、いずれも近年技術的な進歩が認められ、独立した分野を形成するに至ったと認められるものであります。
 このような状況にかんがみ、これらの分野の診療科目を追加しようとするものであります。
 以上が本案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 特定船舶製造業安定事業協会法案
  (内閣提出)
#19
○議長(保利茂君) 日程第四、特定船舶製造業安定事業協会法案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。運輸委員長増岡博之君。
    ―――――――――――――
 特定船舶製造業安定事業協会法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔増岡博之君登壇〕
#20
○増岡博之君 ただいま議題となりました特定船舶製造業安定事業協会法案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近におけるわが国船舶製造業をめぐる内外の経済的事情の著しい変化にかんがみ、総トン数五千トン以上の船舶の建造施設を有する特定船舶製造業において計画的な設備の処理を促進するため、その用に供する設備及び土地の買収等を行うため、特定船舶製造業安定事業協会の設立、管理等について定め、特定不況産業安定臨時措置法と相まって、その不況の克服と経営の安定を図ろうとするものでありまして、主な内容は次のとおりであります。第一に、協会は、特定船舶製造業について学識経験を有する者七人以上が発起人となり、運輸大臣の認可を受けて設立されること。
 第二に、協会の主な業務としては、特定船舶製造業のうちすべてが廃止される事業場の設備及び土地をあわせて買収するとともに、買収した設備及び土地の管理及び譲渡を行うこととし、また、業務の開始前に、業務の内容、その実施時期等に関する業務実施計画を作成し、運輸大臣の認可を受けることとすること。
 第三に、特定船舶製造事業者は、協会の業務に要する経費の一部に充てるため、協会に対し、建造船価に毎年度運輸大臣が海運造船合理化審議会の意見を聞いて定める納付金率を乗じて得た額の納付金を納付しなければならないこと。
 第四に、協会に対する政府及び政府以外の者の出資、政府の補助、監督命令、解散等につき、所要の規定を設けることといたしております。
 本案は、去る十月三日当委員会に付託され、同月十三日政府から提案理由の説明を聴取し、質疑を行い、討論の後、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対し、五派共同提案に係る「船舶建造需要を喚起する等のため、政府は、内航外航船舶の建造及び老朽船の処分の促進等の施策を速やかに実施すべきである」旨の附帯決議が付されました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#21
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#22
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第五 地方交付税法等の一部を改正する
  法律案(内閣提出)
#23
○議長(保利茂君) 日程第五、地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。地方行政委員長木村武千代君。
    ―――――――――――――
 地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔木村武千代君登壇〕
#24
○木村武千代君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本案は、今回の補正予算において、昭和五十二年分所得税の特別減税による所得税の減収が歳入に計上されたことに伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して九百六十億円の落ち込みを生ずることとなりましたが、今日の地方財政の状況にかんがみ、地方交付税の総額の確保を図る措置を講じようとするものであります。
 その内容は、昭和五十三年度における交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金を九百六十億円増額するとともに、当該借入増加額に見合う額を臨時地方特例交付金として昭和五十九年度から昭和六十八年度までの間において一般会計から同特別会計へ繰り入れることとしております。
 本案は、九月二十八日本委員会に付託され、十月六日加藤自治大臣から提案理由の説明を聴取し、去る十三日本案はもとより、地方財政全般にわたって審査を行いました。
 同日質疑を終了し、討論の申し出もなく、採決を行いましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#27
○加藤紘一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#28
○議長(保利茂君) 加藤紘一君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条
  約の締結について承認を求めるの件
#30
○議長(保利茂君) 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長永田亮一君。
    ―――――――――――――
 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔永田亮一君登壇〕
#31
○永田亮一君 ただいま議題となりました日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 政府は、一九七二年九月の日中共同声明の第八項に基づき、一九七四年十一月以来、中華人民共和国政府との間に、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるための平和友好条約の締結につき交渉を行ってまいりましたが、合意に達しましたので、本年八月十二日に北京において本条約に署名を行いました。
 本条約は、両国間の恒久的な平和友好関係の発展、紛争の平和的解決及び武力不行使の確認、両国が覇権を求めないこと及び第三国による覇権確立の試みに対する反対の表明、両国間の経済、文化関係の発展及び両国民の交流促進のための努力、この条約の第三国との関係に関する各締約国の立場等について規定しております。
 本件は、十月六日外務委員会に付託され、十月十三日園田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、十三日、十四日、十六日の三日間にわたり質疑を行いました。
 その質疑の主な内容は、本条約締結の意義と今後の外交方針、特に対ソ外交、覇権の概念、両国間の経済、技術、文化、人的交流の問題、尖閣諸島の領有権問題、中ソ同盟条約、今後のわが国の安全保障、戦争終結の法的手続等でありますが、その詳細は会議録により御承知を願います。
 かくて、本十六日質疑を終了し、次いで討論が行われ、自由民主党奥田敬和君、日本社会党河上民雄君、公明党・国民会議正木良明君、民社党曽祢益君、日本共産党・革新共同寺前巖君、新自由クラブ伊藤公介君、社会民主連合楢崎弥之助君から、それぞれ賛成の意見が述べられました。
 次いで、採決を行いました結果、本件は承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(保利茂君) 討論の通告があります。順次これを許します。奥田敬和君。
    〔奥田敬和君登壇〕
#33
○奥田敬和君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件について賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 一九七二年九月二十九日の日中共同声明により、日中国交正常化が実現して以来およそ六年、政府が懸案でありました日中条約交渉の促進に決断を示し、日中双方が満足し得る形で条約の締結にこぎつけたことを心から喜びたいと思います。(拍手)
 中国のことわざに、水を飲む者は井戸を掘った人のことを忘れてはいけないとありますように、この成果は、歴代政府の首脳を初め、野党を含めた国民各層の長年の願望と労苦の結実であり、国民世論を背景とした戦後日本外交の成果の一つと言うことができると思います。(拍手)
 日中間には過去二千年に及ぶ交流の歴史があります。しかし、明治以来百年を超える近代日中関係は不幸な経験の連続でありました。この条約は、そのような紆余曲折を経た末、ようやくにしてたどりついた対等で正常な隣国関係の設定を象徴するものであり、対等なパートナーとしての日中両国の再出発をしるすものとして、その歴史的意義を高く評価したいのであります。(拍手)
 本条約のいま一つの意義は、社会体制の大きく異なる国の間における平和共存の模範的な先例を開いたことであります。
 自由主義国と社会主義国、しかも戦火を交えた国と国が、平和友好関係の強化をうたうとともに、いずれの地域においても覇権を求めるべきでないことを条約で誓い合うのは、歴史的にも画期的なことであり、国際的にも重要な意味を持つものであります。(拍手)日中両国が、双方ともにアジアの主要国メンバーであり、人口、経済力、文化水準等のあらゆる面から世界にぬきんでた大国となる可能性を十分持つことを考えるならば、このことの意義はきわめて大きいわけであります。
 条約交渉に当たって、日本側にとっての最大の課題の一つは、覇権反対条項の意義を明らかにし、同時にその条項の挿入によって、わが国外交の基本方針について誤解を招くことのないようにすることでありました。具体的には、覇権反対条項が普遍的な国際原則であることをいかように明らかにするかという点にあったのであります。交渉の結果、この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものでないといういわゆる第三国条項を入れることで、特定の第三国を敵視した同盟条約的なものでないことについて合意が成立したことを大いに歓迎するものであります。
 私は、これによって、複雑な国際政治の中にあって、平和に徹し、いかなる国とも善隣友好関係を増進するというわが国外交の基本方針を、この条約のテキストの上でも明らかにすることができたものと高く評価をいたします。
 しかし、現在の時点に立って、われわれを取り巻く現実の国際社会に目を向けるとき、われわれはこの条約締結の成果にいつまでも酔いしれていることは許されないのであります。現下の国際関係は、ますます複雑、多様化しております。経済問題一つをとらえてみても、わが国外交の基軸である日米関係においてすら、通商面での摩擦解消に引き続き最大限の努力を払っていく必要があるような現況であり、米国のほかにも、わが国との不均衡な貿易関係に頭を痛めている諸国の多いことも事実であります。わが国と中国の経済関係は今後ますます緊密になるでありましょうし、そのために、わが国としても一層の努力を傾けるべきものと考えますが、そのような二国関係が、かりそめにも排他的、独占的な印象を与える場合は、国際経済場裏におけるわが国に対する風当たりを一層強めることも懸念されます。
 また、東南アジア諸国は、日中関係の安定化をアジア全体の安定につながるものとして歓迎しながらも、一部には、経済大国日本と政治大国中国とが結託して他国を脅かすのではないかとの見方もあることに留意し、このような危惧の念を払拭するため、わが国としては、東南アジア地域諸国との友好親善関係の一層の増進に努め、覇権を求めないことを具体的な行動で実証していかねばなりません。
 さらに、本条約締結によって、中国の対ソ封じ込め世界戦略に日本が一役買ったのではないかというような疑問に対しては、将来に向かってその誤解を解くため、不断の外交努力を積み重ねていくことが必要であります。特にソ連に対しては、日本の真意を鮮明にして、理非曲直のはっきりした交わりを続けることが肝要であります。
 私は、政府が日中平和友好条約の締結という新しいスタート台に立ち、以上幾つか指摘した現実の外交課題に対し、わが国益の方向を誤りなく見定めつつ、積極的に対処することを要望し、それによってわが国が真にアジア及び世界の平和と繁栄に役立つ国であるとの評価を定着させ、国際社会の重要な一員としての責務を果たすよう、ここに強く希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#34
○議長(保利茂君) 原茂君。
    〔原茂君登壇〕
#35
○原茂君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約締結に賛成の意を表明するものでございます。(拍手)
 わが国と中国とは、地理的にも歴史的にもまた文化的にもきわめて近い関係にあったにもかかわらず、ここまで来る道のりがまことに長かったことを思わざるを得ないのであります。
 一九七二年九月二十九日の日中共同声明によりまして、国交正常化を実現してからでも実に六年の年月を経過いたしましたが、今日を迎えたことは、日中両国人民にとりまして大きな喜びであり、心から歓迎するものでございます。(拍手)
 この間、幾多の困難の中で、先進的な努力を続けてまいりました多くの人々に心から敬意を表し、改めて感謝を申し上げるものでございます。
 特に、このことを熱心に望み、努力を続けられ、晴れの日を見ずに故人となられました、すぐれた中国の指導者、故周恩来総理が水にたとえた、この先人に対する感謝の気持ちは実に意味深いものがあると思うのであります。
 特にわが党は、戦後一貫して平和の確立、日中正常化、両国の友好発展を強く望み、その指導的役割りを果たしてまいりましたが、このため、浅沼委員長の生命をも失うという悲劇をも経験いたしたのであります。いま、この段階を迎えて、言い尽くせない感慨を覚えるものでございます。
 両国の人民から熱烈に望まれ、先進的な人々の命をかけた努力が続けられたにもかかわらず、なぜ戦後三十三年も経てようやく実現したのかといえば、自民党と歴代自民党政府が、日中間の問題のみならず、アジアの情勢と将来の方向を正しく把握する見識に欠けていたことが最大の原因であります。(拍手)福田内閣も、その責任を免れるわけにはまいりません。
 事態の経過からすでに明らかなように、条約締結の原動力は、日中両国人民の熱望と、中国指導部の努力と寛容によるものであります。福田総理の場合は、アメリカのアジア・太平洋政策の許す範囲での決断にしかすぎなかったのであります。
 このことが、日中平和条約締結後の日本政府のアジア政策に大きな危惧の影を残している原因でもあり、今日、喜びの中にも、福田総理に苦言を呈し、反省を求めざるを得ないのであります。(拍手)
 申すまでもなく、との条約の特徴は、その第二条で「両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇(は)権を求めるべきではなく、また、このような覇(は)権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。」と反覇権主義の条項を明文化した点にございます。これは今後、新たな国際的規範として世界に広がるだろうと思うのであります。
 しかも、両国当事者の努力によって、注意深く第三国条項を盛り込み、慎重な態度を明らかにしたことは、アジア諸国のみならず、多くの国々に安定感を与えていることを高く評価するものであります。
 申すまでもなく、条約締結それ自体が最終目的ではございません。今後誠実に条約の精神を実現していくための具体的努力を積み上げていくことが両国の任務でございます。何よりも日中両国間の友好関係を一層増進し、そのことを通じてアジアの平和確立に貢献することが最大の課題と言わなければなりません。
 この意味でアジアの情勢を見れば、最も緊張状態にあるのは朝鮮半島であり、その最大の要因は韓国におけるアメリカ軍と核の存在にほかなりません。福田総理が取り上げるべき第一の課題はこの問題であり、反覇権主義に忠実であるなら、韓国における米軍の全面的かつ速やかなる撤退と核の撤去を要求すべきなのであります。(拍手)その上に立って、第二次大戦の分断国家である朝鮮民族の自主的、平和的統一の悲願を支持し、その実現を促進する国際的環境をつくるために努力することであります。
 そして、第二の課題は、戦後処理の中で残された大きな課題、日ソ平和条約を締結し、北方領土問題その他の諸懸案事項を解決することでございます。
 一九五六年十月十九日モスコーで当時の鳩山首相によって署名され、国会で承認された、日ソ共同宣言の第九条は、「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。」と明記してありますが、この宣言の基礎に立って、いまこそ日ソ平和条約交渉を積極的に進め、懸案解決のため努力を尽くすべきであると存じます。残念ながら、この問題に対する福田総理の態度は、きわめて消極的で熱意に欠けるものがあると言わなければなりません。
 最後に、特に申し上げたいことは、日中平和条約後の一つの特徴として、福田内閣、自民党を中心に、日米安保体制の強化、日本の軍備増強論、有事立法などがにわかに台頭し、この情勢の中で、断片的に伝えられる中国の指導者の日米安保条約やわが国の軍備増強是認の発言がこれらの雰囲気づくりに利用されていることは、自主外交の基本からもきわめて遺憾でございます。(拍手)
 福田内閣もまた、この雰囲気に便乗いたしまして、全方位外交などという概念不明の用語をことさらに持ち出して世論形成をしながら、戦時日本への逆行の態度を露骨化していますが、これは明らかに反覇権の精神とは違う方向であり、平和憲法の破壊につながるものであり、われわれの断じて許しがたいものでございます。
 特に、わが党の非武装中立は、いまや駘蕩として多数国を形成しつつある非同盟諸国の立場をも含むものであり、国民の政治指標ともいうべきわが国憲法前文に照らした党是であり、この立場から、日中平和友好条約に満腔の賛意を表するものであることを福田総理は特に銘記すべきであることを強く表明いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#36
○議長(保利茂君) 鈴切康雄君。
    〔鈴切康雄君登壇〕
#37
○鈴切康雄君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件に対し、賛成の討論を行うものであります。(拍手)
 一九七二年九月二十九日、長年にわたる日中両国の不幸な関係に終止符を打ち、歴史的な日中共同声明によって両国間の国交正常化が実現して実に六年有余、その間幾多の曲折を経て、ようやくここに歴史的幕あけとして、日中平和友好条約の締結が批准されることはまさしく外交史上に特筆すべきことであり、国民の皆様とともに喜びをかみしめながら心から歓迎するものであります。(拍手)
 日中共同声明にも明らかなように、日中平和友好条約は、日中両国間の平和友好関係を強固にし、さらにそれを発展させようとするものであります。
 日中両国は一衣帯水の隣国として、一時期を除いては、今日まで長い伝統と友好の関係が保たれてきましたことは歴史にも明らかであります。日中両国間には社会制度の相違はあるにしても、今回の日中平和友好条約は、まさに伝統と友好のきずなに立ち、日中共同声明の原則と精神を踏まえて、平和五原則に基づく恒久的平和友好関係の確立と、国連憲章の原則に基づく紛争の平和的解決と、反覇権条項等が盛り込まれた、まさに画期的なものであります。特に第二条においては、日中両国は「そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対する」という、いわゆる反覇権条項が明文として条約の中に盛り込まれたのは、日中平和友好条約が世界で初めてのことであり、その意義はきわめて大きいものであると思うのであります。
 また、反覇権条項は、国連憲章の平和原則の精神であり、それはまた、わが国の憲法に明示されている恒久平和主義にも合致するものであって、過去の暗い日本軍国主義の反省と戒めとなるべきものであると確信するものであります。
 私は、日中平和友好条約の締結が新たな日中平和友好関係の発展のためのスタートであり、また同時に、わが国の平和外交の基礎となるべきものであるとの認識に立って、今後、日本政府の外交態度と努力こそがアジアと世界の緊張緩和、ひいては恒久平和達成にきわめて重要な問題であることを指摘しておくものであります。
 さて、日中平和友好条約の締結に至るまでの経緯にかんがみて将来を展望するとき、わが国の置かれている国際環境は決してなまやさしいものではなく、また、政府の外交政策もきわめて多くの問題点を抱えております。
 それは、大国間の微妙な関係の中で右顧左べんを続けてきた無原則な政府の外交姿勢は国際的な不信を高め、ひいては大きな誤解を生み、国際社会におけるわが国の立場を困難にする危険性をはらんでおります。政府が言う全方位外交という美辞麗句や小手先だけでの外交姿勢では、もはや対処できるほど国際環境は甘くないということを、いま一度政府は反省すべきであると思うものであります。(拍手)
 私は、日中平和友好条約の締結をわが国外交の一つの転換の原点として、厳粛な認識に立ち、従来の場当たり的な外交政策を改めて、真の自主・平和・中立の等距離完全中立政策を確立すべき必要のあることをここに申し上げたいのであります。
 わが公明党は、これまで、日中平和友好関係の確立こそがわが国の平和と安定、ひいてはアジアの平和のために欠かすことのできない重要課題であるとの認識のもとに、等距離中立平和外交の観点からこれに取り組み、終始一貫努力してまいりました。いままで、六次にわたる党代表を中国に派遣し、中国首脳との政治会談や、中国国民との相互理解と友好親善を通じて、微力ではありますがそれなりの足跡を残してまいりました。
 昭和四十六年の第一次訪中団は、中日友好協会との間に作成した共同声明によって、日中復交五原則を明らかにし、日中国交正常化の原則を明らかにいたしました。また、日中国交正常化実現の直前には、竹入委員長は、故周恩来総理と長時間にわたって共同声明の骨格について具体的な詰めをいたしました。さらに、本年三月の矢野書記長を団長とする第六次訪中団の際には、ケ小平副首席との会談を通じて、日中平和友好条約締結に必要な中国政府の四項目の見解が示され、本条約の締結のために基礎的な準備を果たすことができましたことは、望外の喜びであります。(拍手)
 日中関係が正常化され、また、ここに両国間で平和友好条約の締結の運びに至った今日、日中両国の前途はまことに洋々たるものがあります。しかし、その反面、華やかな喜びを迎えるに至るまでの歴史を振り返ってみますと、決して平たんな道ではなく、むしろイバラの道であったと言っても過言ではありません。戦後の厳しい国際情勢の中にあって、政府のかたくなな対中政策の続く中で、多くの先輩の方たちが幾多の困難を克服し、細々としたパイプをつなぎ、多くの痛ましい犠牲を払いつつ、この日の来ることを願いながらの努力があったればこそ、今日の歴史的な結実を迎えるととができたことを、深く心に銘記すべきであると思うものであります。(拍手)
 同時に、この条約の発効は新たなる出発点であり、今後の日中両国の努力こそ肝要であります。したがって、私は、日中共同声明並びにこの日中平和友好条約に盛り込まれた精神と諸原則を誠実に、また忠実に実行し、さらにそれを発展させ、子々孫々に至るまでの日中間の恒久的平和友好関係の樹立を不動のものとし、さらに、ひいてはアジアと世界平和に寄与することが、いまわれわれに課せられた重要な使命であり、多くの先輩の方たちにこたえる道であると確信し、政府に対し、本条約の締結を機として、真のわが国の平和外交を推進すべきことを重ねて要望し、私の日中平和友好条約に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
#38
○議長(保利茂君) 曽祢益君。
    〔曽祢益君登壇〕
#39
○曽祢益君 私は、ただいま議題となりました日中平和友好条約に対し、民社党を代表し、批准賛成の討論を行わんとするものであります。(拍手)
 その第一の理由は、この条約の締結は一九七二年の日中国交回復の共同声明を基礎として、日中両国政府が慎重な検討と協議の結果、社会体制を異にする両国が、恒久的な平和友好関係をここに確立するという画期的な喜ばしい出来事だからであります。
 四十六年前の柳条溝事件を発端とする日華両国の戦争と、日本の中国侵略、占領の長い重苦しい歴史を踏まえ、かつ太平洋戦争における日本の敗北以来、大陸中国との間の通商から国交回復への努力の跡を回顧し、加えて、この期間の中での小生自身の上海在勤五年を含めた長い中国とのかかわり、さらに、新中国以来、国会議員として使いすること三回の私の体験から生まれた強い中国への関心からしても、両国のため、衷心よりこの条約の成立を祝福したいと存じます。(拍手)
 特に、華国峰主席、ケ小平副主席を頂点とする中国最高指導部が、文革以来のある種の行き過ぎの是正と、農業、工業、国防及び科学技術の近代化を旗印とし、冷静、着実な内外政策を大胆に実行されたこと、並びにわが国の朝野の良識者が、日中双方の満足するラインでの友好条約の内容の妥結を目途とする日夜の努力を重ねられたことを高く評価したいと存じます。(拍手)
 賛成の第二の理由は、条約そのものの内容と締結の経緯から判断して、締結に当たり問題となった諸点につき、本委員会の質疑を通じ、納得できる解決がなされたと認められるからであります。
 その一つは、覇権問題の処理であります。
 まず、条約第二条は、日中両国がみずから覇権を求めないこと、並びに「覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対する」旨を明らかにしておりますが、この規定は日中共同声明と同趣旨であるとともに、その該当地域をアジア・太平洋地域に限らず「他のいずれの地域」にも拡大している点、並びにその対象を「いかなる国又は国の集団」として、特定の国を指していないことを明らかにしている点の二つを評価したいと思います。これは、言うまでもなく、ソ連などの、反ソ集団の結成の危惧を取り除くために有効であります。
 同じく、覇権問題との関連において、第四条は、この条約が、各締約国が第三国との関係でとっている立場に何らの影響を及ぼさないことを規定しております。
 この規定は、わが方としては、ソ連などが、この条約の締結によってわが国が中国の反ソ包囲網の中に組み入れられるやの危惧を抱いていることを払拭する意味において必要であるとともに、中国側としては、逆に、ソ連の覇権主義反対、ソ連修正主義反対の国是とも言うべき立場を害しないことを明らかにする意味で重要と認めているわけで、両国それぞれにとって必要な条項であります。
 賛成の第三の理由は、本条約締結と、尖閣諸川島、中ソ友好同盟条約との関係、並びにいわゆる全方位外交の観点から見て、本条約承認に特に支障なしと判断されるからであります。ただし、後述のように、特にこの点に関して慎重な配慮と適切な措置を必要とすることを申し添えておきます。
 すなわち、尖閣諸島については、私は、わが国の一部にあった尖閣諸島の領有権の問題を取り上げて、本件日中平和友好条約締結に際し、中国側の領有権放棄の意思表示を求むべきだとの意見に対しては、賛成いたしかねます。それは、尖閣諸島と同様に、わが国の領土である竹島問題に関する日本の韓国に対する軟弱な態度に比して、片手落ちだからであります。
 しかし、日中条約の関連において、この際、中国に対して領有権の主張の放棄を求めることは問題外とし、先般の中国漁船団のわが方領水の侵犯のごとき不祥事件の再発はない旨の中国側の確実な言質が得られたという外務大臣の答弁を重視し、これを信頼し、私は、尖閣諸島の観点からの本件平和友好条約への反対は唱えないことといたします。同時に、竹島問題に関し、韓国の不当な竹島占拠を改めしめるような措置を速やかに講ずることを要求します。
 中ソ友好同盟条約については、同条約が他にほとんど類例を見ない、ある国々を名指して非難し、これに対抗する軍事同盟であって、日中、日ソの友好関係の現状にそぐわないものであるゆえをもって、わが方としては同条約が第六条の手続に従って正式に廃棄されることを強く要求するものであります。
 同時に、同条が示すごとく、来年四月九日までに廃棄の手続をとらない場合は自動延長期に入るわけであって、これを避けるためには、それまでに廃棄の意思表示を行うという中国の今般の決定を歓迎するものであります。私は、政府に対し、ソ連についても同様の措置をとるよう働きかけることを要求いたします。(拍手)
 賛成の第四の理由は、本条約締結が、わが方のいわゆる全方位外交から見て、対ソ関係を含めて、特に支障なしと判断されるからであります。
 対ソ関係については、わが方は、先方の日中条約に対する疑惑や警戒的態度に対しては、堂々と、かつ冷静に対処し、その誤解を解くべきであり、わが方として負い目を感ずる必要は毫もないと信じます。
 同時に、私が質疑を通じ、政府に要求したごとく、ソ連の善隣友好条約の提案等に対しては、わが方は、かかる代用品をもって平和条約にかえるごときことは断じて反対する旨を明示しつつ、北方四島を含む領土問題の最終解決を軸とする平和条約を締結するという基本原則をソ連が承認することを明確にしたならば、それに至る中間措置としての善隣友好条約等については、まずもって、前述のごとく、この精神に全く背反する中ソ友好同盟条約廃棄の手続をとることをソ連に求むべきものと信じます。(拍手)
 なおまた、平等互恵の原則に基づく日ソ経済協力については、積極的に応ずる構えをもって臨むべきことは言をまちません。
 政府の唱える全方位外交なるものの実体については、質疑を通じ、その概要が逐次明らかになりつつありますが、全体としては、その構想並びに内容について検討と対策の不十分なるもののあることは遺憾であり、政府の善処を強く要求するものであります。
 その二、三の実例を挙げてみれば、次のとおりであります。
 わが国の安全から見て特に重要な地域は、朝鮮半島と台湾海峡であります。朝鮮半島における南北の対立緩和と共存の積み上げに向かって、今回の日中関係を発展させ、これを活用する措置を強く望みます。
 一方、台湾海峡の静ひつの維持は、日米中三国並びに台湾の政府と住民の望むところと信じます。これが維持に努むべきであります。
 次に、ASEAN諸国の中立的なブロックとしての発展と強化は、アジア全般の安定に有効であります。これら諸国側において、日中条約の締結に対し危惧と不安を抱いていることは、政治・軍事大国中国と、経済大国日本との親善そのものが引き起こす自然の現象であります。
 また、他方、これら諸国の中には、中ソの激しい対立が日中条約の締結により、一層激化することに対する不安もあります。したがって、ASEAN諸国に対する適切な措置を速やかにとることを政府に強く要請したいと存じます。
 以上の意見を付し、私の本条約賛成の討論を終わります。(拍手)
#40
○議長(保利茂君) 寺前巖君。
    〔寺前巖君登壇〕
#41
○寺前巖君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、日中平和友好条約批准案件について賛成討論を行います。(拍手)
 日中両国間に平和五原則に基づく真の友好関係を確立することは、両国関係の不幸な歴史的過去と現状から、またアジアの将来にとってきわめて重要な課題であります。
 両国間の不幸な関係は、日本軍国主義が十五年に及ぶ侵略戦争で、中国国民に甚大な被害を与えたこと、中華人民共和国樹立以来、二十数年にわたって承認しなかったこと、そして十数年来、中国側が日本国民の自主的な運動に対し、武装闘争路線の押しつけなど、大国主義的干渉を行ってきたことにありました。
 日本共産党は、戦前、中国侵略戦争に断固として反対し、戦後は中華人民共和国の承認と国交回復、平和五原則に基づく友好関係発展のために努力してきました。同時に、中国共産党と中国政府からのわが党や日本の民主運動に対する不当な干渉を許さず、自主独立の立場を守り抜いてきました。日中両国民の真の友好を重視するからこそ、こうした立場に立って、わが党は、一九七二年以来六年間も反覇権問題を焦点として難航した経過を持つ本条約の問題点を徹底的に究明した上、最終態度を決めるとしてきたのであります。
 まず、日中間の平和条約が結ばれないまま本友好条約が結ばれたという異例の事態となったのは、わが国政府が、中国を代表する唯一の政府を台湾とし、一九五二年の日華平和条約で戦争状態が終了したとみなし続けてきたからであります。領土問題の不明確さはまさにそのためであります。
 わが党は、政府に対し、尖閣列島に対する日本の領有権について、両国間に何の疑点も残さないよう、また台湾が中華人民共和国の不可分の領土の一部であることを明確に承認するよう強く求めるものであります。
 次に、わが党は、本条約が第一条で、平和五原則に立つ両国間の恒久的な平和友好関係の発展を宣言したことを当然とみなし、それを両国政府が誠実にかつ厳粛に守り抜くことを要望するものであります。
 それは、最大の問題点である第二条の反覇権条項、第四条の第三国との関係条項の意義と運用にかかわるからであります。
 政府は、覇権とは力によって一国の意思を他国に押しつける行為だけでなく、政治的強制や干渉も含まれると述べています。力によろうとよるまいと、このような覇権行為がいかなる国にも許されないことは当然であります。
 ところが中国政府は、世界を三つに分類する三つの世界論なるものに立ち、特定の第三国への敵対を反覇権の内容とし、それを他国と他国民に押しつけています。本条約が反覇権条項を入れた最初の二国間条約となったために、内外から、米日中の準軍事同盟化を意味するとの指摘も行われています。
 政府は、反覇権は特定の第三国を指したものでないこと、覇権行為の認定はそれぞれの立場とやり方で自主的に行うこと、本条約によって日本と中国の共同行動が義務づけられることはあり得ないことについて、日中間の合意があると答弁しました。また、日本の外交が、この条約によって中国側の特殊な外交路線に拘束されるようなことはなく、日中あるいは米日中の同盟につながることはあり得ないと繰り返し言明しました。
 日本共産党は、政府答弁が明確にした日中間の合意や日本政府の公的解釈を確認し、そのことを条件として、本条約の批准案件に賛成の態度をとることをここに表明するものであります。(拍手)
 しかし、私は、日中両国の基本関係を決めた本条約に反する幾つかの現実が存在していることを指摘しないわけにはいきません。
 最も重大なことは、第一条にうたわれた平和五原則と第二条の反覇権条項に反する政治的干渉、覇権行為が中国政府によって続けられているという事態であります。
 日本向け北京放送での武装闘争の呼びかけ、成田や大学で盲動を繰り返している一部暴力集団に対する中国側の称賛や激励など、許すことのできない覇権行為が続いています。わが党やわが国の民主運動に対する干渉、国会・地方議会などが派遣する訪中代表団の内部構成にまで干渉する行為が繰り返されています。これらは、単に日本共産党や民主団体だけの問題ではありません。
 わが党は、政府がこうした覇権行為を放置してきたことを反省し、答弁で述べたような毅然とした態度を貫くことを強く要望するものであります。(拍手)
 本条約の規定に反するもう一つの重大な現実は、日本政府がアメリカに対して行っている台湾をめぐる軍事的約束であります。
 政府は、日米安保条約の極東条項、一九六九年の日米共同声明の台湾条項を口実とし、日本からの米軍出撃に関する事前協議にイエスもノーもあり得るという驚くべき答弁を行いました。しかし、イエスということは日本が台湾攻撃の拠点となることであり、平和五原則を真っ向からじゅうりんすることであって、政府は台湾条項の廃棄など、本条約に即した誠実な態度を直ちに表明すべきものであります。
 このように、本条約の成立は、日中間の不正常な関係が全面的に一掃されたことを意味しません。しかも、有事立法などに見られるように、福田内閣は日米軍事同盟の強化と日本軍国主義復活の策動を進めています。他方、対ソ戦略の思惑から、中国政府は日米軍事同盟強化に賛成し、日中間の軍事的交流をも促進しようとしています。
 日本共産党は、わが国の将来と日中両国人民の真の友好、アジアの平和にかかわるこれらの問題を正しく解決するために国民とともに努力していく決意を表明して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#42
○議長(保利茂君) 伊藤公介君。
    〔伊藤公介君登壇〕
#43
○伊藤公介君 私は、日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件について、新自由クラブを代表して賛成の討論を行います。(拍手)
 まず、私は、園田外務大臣が与党内の重圧に耐えながら、条約の締結に向かって全力を傾注されたその勇気と努力に対して、深甚なる敬意を表するものであります。
 わが新自由クラブは、立党以来、日中平和友好条約の早期締結を機会あるごとに強く政府に要求をするとともに、河野代表を団長とする訪中団の派遣等によって、側面から政府の締結交渉への努力を支援をしてまいりました。条約の交渉以来、紆余曲折を経てやや遅きに失した感はありますけれども、これまで多くの先輩たちがその道を力強く切り開かれ、いまは亡き日中への橋渡しに執念を燃やした多くの先達たちを含めて、広範な国民各層の方々のじみちな運動があったからこそ今日締結の運びを見るに至ったことを、一時も忘れてはならないと思うのであります。(拍手)これがわが国の国益に合致するばかりでなく、アジアを初め世界の平和に大きな役割りを果たすものとして、心から賛意を表します。
 わが国は、一九七二年九月二十九日の日中共同声明によって、中華人民共和国との間に国交を正常化いたしました。それ以来今日まで、経済、文化など各般にわたる交流が進展の一途をたどり、この選択がわが国の国益に大きく貢献をしたことは、多くの人々の認めるところであります。
 さて、本条約をめぐって国民の間にさまざまな論議が行われてまいりました。その最も大きな論点は、第二条に言ういわゆる反覇権条項についてであり、条約締結のおくれの原因の一つになったのもこの反覇権条項でありました。すでに交渉や国会審議の過程で、この条約が反ソ政策とかあるいは共同軍事行動などというものでないということは明らかになりましたけれども、この反覇権条項は日中平和友好条約のシンボルとも言うべきものであり、二国間の基本条約としては世界に類例を見ない画期的な条文であると私は考えております。かつて交渉の初期、政府は、この条文は条約にはなじまないものとして、条文の中にこれを入れることを拒否した経緯がありますように、確かにこれは条約の慣例から言えば異例なものかもしれません。しかし、戦争や武力による威嚇等によって国際紛争の解決手段とはしないということを宣言したわが国の平和憲法や国連憲章を、これほど忠実に敷衍した条約はありません。
 これまで反覇権条項が、とかく第三国条項にばかり目が向けられて論ぜられてまいりましたが、覇権行為の禁止はわが国だけに課せられたものではなく、中国をも拘束するものであって、日中両国の友好発展が東南アジア諸国にとってややもすれば警戒の目で見られる一面を持つことを考慮に入れれば、この覇権条項の歴史的な意味をわれわれは高く評価するものであります。(拍手)
 日中平和友好条約の締結によって、これから日中両国の交流はますます盛んになっていくことでありましょう。また、日中友好のムードも一段と高まっていくことと思います。しかしながら、こうした条約が結ばれたけれども、二国間の平和あるいは友好がいつまでも維持できるとは限りません。このことは、過去の事実が明らかに示しています。
 日本と中国との間は、近代の歴史の中で百年近く不幸な状態が続きました。両国の二千年の長きにわたる歴史から見れば、日中両国の不幸な関係は短い期間だったかもしれませんけれども、この間にわが国が中国でどんなことをしてきたかは知っていても、一体どうして戦争が行われたのかを知らないでは、再び不幸な状態を招かないという保証はないと思います。
 最近、政府・与党内部には、有事立法等についての正しい論議に便乗をして、極端な論議に走る一部の傾向も見受けられますけれども、これは明らかに思慮に欠けた無責任な言動であります。日中条約を名実ともに友好発展の基軸としていくためには、われわれはもう一度日中間の不幸な過去を振り返って反省をし、総点検をしながら、日中間のみならず、世界各国との相互理解と友好を推進していかなければなりません。
 そのためにも、便乗主義的あるいは日和見的世論の動向に悪乗りした単純な論議は、中国を初め世界各国の日本に対する正しい理解を結局は妨げることになることを強く強く私は指摘をして、私の賛成討論を終わります。(拍手)
#44
○議長(保利茂君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#45
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本件を委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#46
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。(拍手)
     ――――◇―――――
#47
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十四分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
        外 務 大 臣 園田  直君
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
        運 輸 大 臣 福永 健司君
        自 治 大 臣 加藤 武徳君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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