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1947/10/14 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第12号
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1947/10/14 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 労働委員会 第12号

#1
第001回国会 労働委員会 第12号
  付託事件
○職業安定法案(内閣送付)
○労働基準法の適用除外規定設定に関
 する陳情(第二百五十二号)
○失業手当法案(内閣送付)
○失業保險法案(内閣送付)
○企業再建整備その他に関する陳情
 (第三百四十三号)
○労働基準法第四十條の特枯に関する
 陳情(第三百四十四号)
○一般労働問題に関する件
  ―――――――――――――
昭和二十二年十月十四日(火曜日)
   午後一時三十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○一般労働問題に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(原虎一君) 只今から委員会を開催いたします。本日は先ず労働基準法施行後における状況について政府委員から説明を求め、御質問を頂くことといたします。先ず政府委員の御説明をお願いいたします。
#3
○政府委員(江口見登留君) ざつと基準法が九月一日にその一部を施行しまして後の状況について申上げます。御承知の通り基準法は九月一日にその全部を施行いたしたのではないのでありまして、安全衞生に関する章、それから婦人及び年少者に関する一部分、それから技能者の養成、それから寄宿舍に関する章、これだけの章はまだ未施行であります。目下これらの章についての施行令、並びに施行規則を日夜審議をいたしておるのでありまするが、それでは九月一日に施行しました分についてどういう影響があり、反響が起つておるかということにつきまして、実はまだ甚だ調査が行き届いておりませんので、どういう反響がありましたかはまだ明確には我々のところに響いて参つておりません。ただ断片的に、例えば運輸省においてはその配置轉換のために非常に困るとか、或いは運送事業が、而も中小商工業的運送事業が非常な打撃を受けておるとか、或いは全面的に施行になれば日本の映画事業は不振になるとか、そういつた極めて断片的なことしか聞えて來ておりません。労働者側としてどれ程この基準法の施行によつて具体的に利益を受け、権利が保障され、その法の施行を謳歌しておるかという点につきましても、実はまだ詳しい調査ができていないのであります。と申しまするのは、実は九月一日に施行いたしたのでありますが、八月末に至るまで関係方面との折衝と申しまするか、強力な指導があつたわけでありまして、それらを條文に直して直ちに官報などで公布のできるように、印刷の段取りをしたのでありまするが、昔と違いまして、非常に印刷能力も落ちておりまするし、政令の部分がやつと九月六日に官報として刷り上る。それから施行規則の分がやつと九月十二日に刷り上る。役所として特別に印刷屋に頼んだものは、やはり十二三日でなければ刷り上らない。それがまたたく間に切れてしまつて、第二回目の施行された部分の法令集を注文しましたのがやはり二三日前にできて來たという恰好で、それから地方の事務局におきましては事務費不足というような関係から、施行になりました政令の規則を全部の事業者に短日月の間に印刷物で徹底させるということが非常に困難な事情があるわけでございます。そういう関係で、なかなか徹底が、実は十分に行つていないというような関係もございまして、その後の影響如何というような問題になりますと、まだ責任を以てお答えいたすところまで実は行つていないのでございます。一應経過報告といたしまして、その程度のことを申上げます。
 それから今掛つております條文につきまして申上げますと、これはどうしても残りの部分は十一月一日から施行しなければならぬというふうに、実はこの前の施行令でも、規定しておるような次第でありまして、大体女子及び年少者の章につきましては、これは勿論所管は婦人少年局の方でありまするが、大体成案ができまして、三四十條ぐらいになると思いますが、十六日に東京でその部分についての公聽会を開き、それから二十日に大阪で公聽会を開くという豫定になつております。それから技能者の養成に関する條文、これが四十條ぐらいあるかと思います。それから寄宿舍の條文、これもその程度ございます。これらは殆どでき上つております。ただ安全衞生の衞生はでき上りましたが、百條ぐらいであります。安全の方は五百五十條ぐらいになりますが、非常に大部なものでありまして、目下審議しております。やはり関係方面の了解を得ますのに、相当の時間がかかるのでありまして、安全衞生についてはもう既に半月ぐらい前に大雜杷な公聽会を各ブロック毎に開いて参つておりますが、寄宿舍及び技能者養成につきましては、全く新たな條文でありますので、公聽会に掛けなければなりません。大阪では二十日、東京では二十二日に公聽会に掛け得るだろうと考えております。それから只今ちよつと御指摘があつたのですが、労働基準監督官の充員程度は、どうであろうかということをお話しいたしますと、労働基準監督官は、本省地方を通じまして、一級、二級、三級を合せまして、二千四、五百名になります。三分の二程度は充員し、若しくはその手続中であります。併し全部の充員は困難でありまして、労働基準監督官制にありますように、早急に監督官試驗を行いまして、これに合格した者の中から、優秀な人を、各地方に配置するという心構えでおりまして、大体三分の二程度は充員できたものではないかと思います。監督署の設置でございますが、基準局はどうにかして縣廳の一部或いはお寺を借りたり、ビルデイングの一部を借りて、どうにか都合がつきましたが、監督署の方で、まだ看板を上げただけで、内容の設備はまだ整つていないという所が相当ございます。併し仕事の方を疎かにしておるのではありませんで、これの方もそろそろ仕事に掛つておるような次第でございます。以上のような次第でございまして又御質問に應じまして、お答え申上げます。
#4
○委員長(原虎一君) 只今までの説明に対して、御質問をどうか。
#5
○川上嘉市君 監督署の問題ですが、よく地方で寄附施行が非常に沢山來るということでありますが、何人についてどのくらいという標準の坪数でも指定されておりますか。全然放任でありますか。非常に或る所では、いま殆ど倍も入れるような所を造つておる所もあるのですが、何か折角寄附施行でやるなんというならば、何人でどのくらいの坪という御指定でもあつたらどうかと思います。
#6
○政府委員(江口見登留君) 寄附の問題については全く我々も往生しておるのでありますが、実際は基準局乃至監督署の設置につきまして、その建物なり、備品などについて、絶対に寄附を強要してはならんということを、嚴重に示達しておるのであります。局長会議の際にも特にそのことは話をしておるのであります。通牒も特別に出しておるのでありますが、ままそういう声を耳にしまして甚だ私共心外に感じておるのでありまして、そういう例があります際には特に基準局の方から、本省の方から調査員を出したりなどして調べております。決して何坪につきどのくらいの寄附を募集せいということは申していないのであります。若しそういう寄附勧誘があつたとしますれば嚴重に拒絶して頂いて結構だと存じます。
#7
○天田勝正君 先程基準局は三分の二まで充員したというお話がありましたが、今まで日本の労働者は、労働者以外でもそうでありますが、特に労働者階段の人達は役所に行くということを非常に億劫がる傾向があるのでありまして、そういう点について監督官になられる方及びその補助をされる方々の素質ということが非常に問題になつて來るのでありますが、その三分の二の充員というのはどういうところからお取りになつたか、これを一つお伺いをして置きたいと存じます。
 それからもう一つ、これは水害について感じたのでありますが、私も調査團の一員として参つて、早速労働関係のことについて調査したいと思つたところが、すべてそうした仕事が、私共が調査したいと思つたときは、仕事は労働基準局の方に移つてしまつたというようなことで、実際はいろいろ外の被害についても、ただ莫然といくら家が浸水したということだけでなくしてその水害によつて、労働者が自分は水害に見舞われないが、且つ亦工場も水害に見舞われないが、途中が水害のため通うことができなかつたと、そうした今までそういうものの被害に数えられておらなかつたところの被害、その復旧、それからそれによつた生産の低下、こういうようなことを知りたいと思い、他にもありますが、いろいろ調べて貰つたところが、縣廳の方でも調べられない、基準局の方に行つてもまだ発足早々でなかなか調べが付かない、極めて不満足の答えしか得られなかつたようなわけですが、こういうような点について、労働基準局の方ではどの程度まで不断にやられる考えであるか伺いたいと思います。
#8
○政府委員(江口見登留君) 労働基準監督官の素質の問題でありますが、しばしば各方面から從來の官僚的なやり方ではいけない。できるだけ労働者の仕事に携わる人間らしい人間を一つ監督官に任命して貰いたいという声が方方にありまして、実は各地方の基準局長にも申しまして、できるだけ民間からも有能な方を監督官に入つて貰うようにした方がいいということを指示いたしております。それで或る場合には労働組合の幹部などにも口をかけたり、或いはたまには特に希望者もありますが、大体におきまして監督官になることを民間側は好まないいろいろ理由がございます。非常に俸給が安いとか、或いはどうも慣れないところに入ると入つても爪彈きをされやせんかというような慮りと申しますか、基準局の方では声を大にして監督官になつて頂きたいと申上げましても、案外実は反響がなかつたのです。併しいい人がある場合には狙い打ちをしてその人に話をして入つて頂くというような例もないではないが、我々としましては門戸を開放しておるのでありまして、できるだけこういう奇特な方と申しますか、特に労働方面に熱意を持つておられる民間の方に入つて頂くことを非常に希望しておるのであります。今度の最近行いたいと思つております労働基準監督官の試驗にもできるだけそういう方が來て頂きたいものだと考えております。併し今までの結果では、我々の考えております程民間の方は入つて頂いておりません。
 それからその次のお尋ねの災害のため労働者がどのくらい就労不能になつたかというような調査はできておるかというお尋ねでありますが、これはまだ我々の方として実はそういう調査には着手しておりません。もう少し、労働統計調査局で事務内容でも整いますれば、或いはそういう一時的の就労不能というようなことを特に照会して調べるというようなことも考えなければならんと思いますが、何分店を開いてまた期間が経つておりませんので、実はそういうことまで各地方に命じていないわけであります。
#9
○竹下豐次君 先程寄附の問題でお尋ねがありまして、これはたびたび出る問題であります。固より寄附を強制的に募集するということはいけないことでありますが、自発的に寄附をするというのはどういうふうなお取扱いになつておりますか。
#10
○政府委員(江口見登留君) 自発的に見かねて、あんなまずい所に入つており、机も椅子もないということで、関係事業者の方から申出のあつたということも一つ聞いております。特にこちらから寄附を勧誘しないで、好意的にそういう醵出があつたという場合にはこれまで禁じようとは実は思つていないのでございます。こちらから強制的にお願いせずに出して頂く分はやかましく禁ずるという程でもありません。と申しまするのは、豫算が非常に窮屈でありまして、大藏省といろいろ折衝するのでありまするけれども、地方の要望しておる程度にはどうしても國費が出ないのでありまして、そういうときにそういう申出があれば、これは助け舟というようなことで監督署が受入れておられるであろうと考えておるのであります。寄附の問題は、実は皆樣におかれましても役所が新らしいだけに、又役所の性質が性質であるだけにできるだけ健全でなければならんというお心持からいろいろ話題に上るのだとは思いまするが、実はその他の役所におきましても從來通りそういう惡習が行われておりまして、監督署と並んだような役所が同時に寄附募集をして監督署の方は大いに集まつたが、もう一方の方は集まらないとか、そういうような例もあります。ところが役所が役所であるだけにそういう問題が特に目立つて皆樣のお耳に入るのではないかと考えたのであります。勿論我々は嚴重に強制してはならない。しかし申出があつた場合に足りないときには、その好意は受入れてもよかろうというようなつもりであります。
#11
○竹下豐次君 その点ですが、本当に好意を持つて寄附をせんとするという例はいくらもないだろうと思つておりますから、極端にそれをやかましく言う必要もないと思つておりますけれども、併しそういうときには本当に自発的の意思で寄附するという人が非常に少いならば、それを受入れなければならない程又大事なことではない。それで自発的に寄附は受入れるんだということになつておりますと、地方の役人が、警察署長などはよくやることですが、何も無理に御寄附下さいというのじやないけれども、実は困つておりますというと、業者あたりは非常に弱味を持つておりますから、自発的に形で実は強要するという結果になつて寄附する場合が多いのです。だからこれはやはり絶対にお止めになるとか、或いは本当に受入れるようなときには本省の方の承認でも得させるというところまでおやりになりませんと、地方の役人はなかなか寄附募集が上手であります。強制的な言葉は決して使わないで、自分は言わないで他から手を廻わす。だからそこまでやらないと、それを拒絶するだけの、それを防がれる力は当局にはないと思いますから、それはお考え下すつたら如何でございますか。
#12
○政府委員(江口見登留君) 実は先程も申しましたが、我々としましても、それじや絶対に好意的な寄附も受入れてはならんのだと言いまするためには、その裏打として、労働省の方で営繕費なり、備品費なりでなんとか工面して支出してやらなければならないということになるのでありまして、そこへ行きますると、先程申しましたように豫算上どうしても賄い切れないという場合があるのでありまして、お説のように好意的な寄附も絶対に受けちやならんと言い切れない、実は弱味が本省の方にもあるのであります。その点一つお含み願いたいと思います。
#13
○竹下豐次君 そういうことは察せられるのでありますが、併し極くざつくばらんな氣持を御披瀝下さつたのは有難いのでありますが、その考えが一番惡いのですよ。その考え方をあなた方の頭からお除きにならない以上は寄附の實質上の許容ということは絶対に私は防げないと思つておりますから、そんな予算も取れないのを、政府の仕事としてお始めになるのが間違いなんです。予算は取らずにおいて、そういうことが非常に多いのです。あなたの方のお仕事だけではありません、外にも多いからあなたの方も問題になるのだろうと思いますが、一つ天下に範を示して頂きたいものだと思います。
#14
○委員長(原虎一君) その点について何か米窪大臣が発言を求められております。
#15
○國務大臣(米窪滿亮君) 予算が取れないようだつたらそんな仕事はしようがないじやないかという言葉は少し乱暴な言葉じやないかと思います。というのは予算を編成したのは本年の初めであつて、労働基準局が大体最初は六月……確か七月一日、それがだんだん延びて九月一日になつたのですが、大体予算編成の時期においては、認めるは認めるけれども、公定で以て物價その他を歳出の基礎としてやつたので、それからずつと、御承知の通り新マル公も決定されて物價も上つて來ました、從つてそれにつれて闇も上つた、こういうことで政府の予算としては闇を計算の基礎にはできないので、それで本年当初の價格によつて予算を立てた、それが二倍半或いは三倍に政府の方針で新マル公が決定されたので、勢いその予算の枠内の値段では廳舎もできない、こういうことになつておる、從つて政府は初めから乱暴な計画を予算の面においても、或いは行政の面においてもやつたのではない、この点は一つ十分御了承願いたい、従つて今追加予算は、いわゆる物價の値上りに関する開きの追加予算は、出して大藏省と折衡中であります。
#16
○栗山良夫君 今日の題目とはちよつと筋が違うかも知れませんが、実は昨日労働大臣に御質問申上げたいと思つておつたことですが、或いは労働大臣にお伺いする筋合のものではなく、大藏大臣或いは総理にお伺いするのが妥当かも知れませんが、併し直接労働大臣の御関係のことでありますのでお伺いしたいと思います。去る二日並びに十日の労働政策につきまして、労組側並びに企業者側との墾談会をお持ちになりました席上、労働大臣は千八百円ベースの堅持の一つの方策として、勤労所得税の免税点の引上げを実施することになつたというようなことをお話しになりまして、税の軽減により、千八百円の維持を強力に進めて行くという、はつきりした態度をお示しになつたわけであります。この点は、すでに勤労者も待ち焦がれておつたことでありまして、これは当然過ぎるほど当然のことだと思うのでありますが、ただそこで一つ非常に了解し得ない点があるのは、そういう工合にして、片方で千八百円の維持のために手をお打ちになつておりながら、又一方では千八百円ベースを崩壊に導くような煙草の値上げ、その他の間接税、並びに消費物資の、千八百円のあの緊急経済政策が決定されたときに予定されなかつたような物資が、國民生活に欠くことのできない物資が、極めて大幅な値上げを今実施されつつありまして、この面で崩壊をしておるという事実、それからもう一つは、仮りに税金をこういう工合に軽減いたしましても、今度の追加予算がはつきり提出されなければ分りませんけれども、私どもの予測しておりまするところでは、相当厖大な金額になるやに思うのでありますが、その時に、こういうような大衆的な税金が減つた場合に、若しその埋合せに、外に余程強力な財源が見つけられない限りにおいては、やはり赤字財政的な予算になりまして、これが根源になつて、今まで賃金がインフレに拍車をかけているんだと、こういう工合にいわれて來ましたが、逆にこの國家財政の赤字財政がインフレを煽つて行く、こういうような形に陥るのではないかということを、非常に心配しておるわけであります。從つてこの千八百円ベースを堅持するためには、もう少し切りこま式の政策の発表でなくして、総括された、綜合的な、大きな規模における財政の確立がなければならないと思うのでありますが、私どもの承知しておりまする限りにおきましては、甚だ遺憾でありまするけれども、國家財政の收入の面においても、大口所得者、そういつたようなところから、実際の所得に対しまして、現在の勤労階級或は眞面目な企業が負担しておるようなああいう税金を、改めてでも取立てるというような対策すら構じられていないように私は考えるのであります。こういうことがもつと強力になされなければ、決していうところの千八百円の維持というようなことは、表からも裏からも私は堅持できないと思うのでありまして、労働大臣がこういつたような点までいろいろ綜合された結果、この勤労所得税の問題を一つの例に取つて、千八百円の堅持の方針をはつきり信念としてお持ちになつておるのかどうか、その辺をお伺いしたいのであります。
#17
○國務大臣(米窪滿亮君) 七月の五日給與審議会で、新物價体系を樹立する一つの算出のフアクターとして、原價計算による生産費のコストの中、一番大きな面である賃金を、どの程度に標準を取るかということが、極めて重大なる問題でありまして、それはなぜであろうということは、今日のインフレのいろいろの原因がある中、その主なる一つは、賃金と物價との惡循環が断ち切れない、お互いに追い駆けつこをやつて、だんだんと惡性化して來るというような点にあつたことは御承知の通りであります。そこでいろいろの案が出ましたのですが、結局労働者側は二千六百円ということを主張され、政府は当時官公廳及び私企業の各業種別の平均賃金を綜合しまするというと、大体において千六百円、これに物價改訂による撥ねつ返り二百円を入れて千八百円という、一應新物價体系算出の基礎としての賃金を決めた。そうするというと、労働者側の生活費を基準として算出された標準賃金即ち実質賃金の最低賃金、それが二千六百円、それと政府が新物價体系算出のいわゆる基礎として、或は予想として作つた千八百円というものとの間には、八百円のそこに食い違いがあるのです。この八百円をどうやつて埋めるかということについては、政府としては融通秩序の確立、即ち闇の撲滅徹底、それからして新マル公の設定を急速に急ぐということそれからもう一つは、問題になつておる勤労所得税の基礎控除引上によるところの軽減というこの三つで大体吸收する。併しそれでも尚且つ八、九、十と、大体三ケ月の間に約四百円の赤字が出て來る、この赤字は、政府の手では如何ともできないから、これは國民がその家計費において節約をするなり或は他の方法で一つ十月一杯までは耐乏してくれというのが、当時のいわゆる千八百円ベースの説明だつた。勿論何万という價格を一々新マル公に設定をするまでの間に時間のずれがございまして、從つて最初に決めた物價と、後から決めた物價との間に不均衡が起つたり、いろいろのそういう摩擦があつて、それによつて國民に迷惑を及ぼしたことは、我々も認めておるのであります。又それの撥ねつ返りが來て、そうして労働者の負担になつておるということも我々はこれを率直に認めるものです。併し政府としては栗山さんの仰しやつた、それによつてすでに千八百円が崩れておる、こう断定するのは少しまだ早いのではないか。こういう工合に我々としては考えておる。これはどうしてそういうことを言うかというと、私企業で以てこれを千八百円で縛るというのではなしに、労資の間に團体協約によつて、團体交渉によつてたとい千八百円以上に出ても、その企業の経理の面においてこれを経営者が支出し得るものは支出してもよろしい。勿論千八百円以下でその團体協約ができておるところもあります。そうしてこれらを総平均して千八百円ベースということであれば、政府のいわゆる経済政策はそこから破れないと、こういう考をもつておる者であります。一方國家財政のことについても言及されたのですが、成る程四十五六億円の税收入減になります、一年の間に。併しこれを埋めるいわゆる代り財源としては、前内閣当時、設定した財産税や前内閣当時設定した特別所得税、これらの追及というものがまだまだ決まつておらない。物納を認めておる、或いは延納も認めておる財政税が、なかなか予定通り行かない。又特別所得税のいわゆる査定などにおいても凹凸があり、甚だ不公平のあるということで、これ又思うように行かないのでありますが、片山内閣に至つては、前内閣が決めたこの課税方針ということに対して、凸凹は直し、公正ならざる点は直し、同時に課税全体の方針としては、これを徹底して行きたい。勿論これには相当の危險もあり、障碍があるのであります。例えば川崎の税務署の役人が酒を密造しておる者を摘発しに行つて殺されたということもありますので、從つて治安問題も相当、これに絡んで來ますけれども、政府は相当の困難と危險を冒しても、勤労所得税というものが減つただけの代り財源については、今言つた持てる階級に対する課税を徹底して行こう。こういう考えでおるのであります。
#18
○委員長(原虎一君) 労働省に対する質問は後にやつて、今司法大臣がわざわざ出席になつていますが、それは松井委員から特に司法大臣に対する質問を要求されておりますので、司法大臣は非常に他の委員会、会議等がありまして急いでおりますので、この際先に質問を願うことにいたしたいと思います。松井委員、どうぞ。
#19
○松井道夫君 労働基準法の施行に関しまして、又この機会に労働組合法の関係についても一点司法大臣のお考えを質したいと存ずる次第であります。労働基準法の施行によりまして、労働時間が原則として八時間ということに決まつたのでありまするが、これと刑務所の関係とはどういうことに相成るか、受刑者の作業と労働時間、その他施行になりました労働基準法の諸規定との関係はどんな工合になつておるかどんな工合に行われておるかということを先ず御質問したいのであります。次に労働関係は、これは労働関係法規その他労働関係に深い理解を有する者でありませんければ、なかなか正当に判断を下し難いかと存ずるのでございます。現に労働組合法第十一條違反の事件が各地に起つておるようでございます。その裁判所の審理が非常に遅延するということの非難があるようであります。そういうことでは延いて司法の威信を害するようなことにも相成ると存ずるのであります。又適正の裁判が果して出ておるのかどうかということに関連もいたしまして、將來労働裁判所、特別の労働裁判所、憲法で特別の裁判所を作ることはできないということになつておりますけれども、その意味の特別裁判所でなくて、現に家事審判所というものが今度新らしくできました、それと同じ意味におきまするところの労働裁判所を設置する御意思ありや否やという点をお尋ねしたいと存じます。次に労働組合法関係でございまするが、今の労働組合法第十一條違反事件に関する種々の非難とも関連いたしまして、この三十三條の罰則、特に罰金が五百円以下ということに相成つておりまして、現在の情勢に照らしまして非常に軽いのではないか。五百円くらいの罰金を拂つて済むことなら、今の十一條違反のようなことは、それを覚悟でどんどんやつても構わないというような傾向を助長するような関係にあるので、大変経過ぎるのではないか、さようなことを考えるのであります。右の諸点に関する御答弁を伺いたいと思います。
#20
○國務大臣(鈴木義男君) 誠に適切なる御質問でありまして、実は労働基準法を実施いたしますると、この基準法第八條の中には、刑務所の職員の仕事ということは謳つてありませんけれども、その内容実質は同一の仕事をやつておる人が非常に多いのでありますから、当然適用されることに相成るのでありまして、今までは或いは十三時間勤務、十四時間勤務、晝夜勤続とかいうようなことで、甚だ過労な労務に從事しておる職員が多かつたのであります。この基準法の趣旨をそのままに実施いたして行きまするためには、実はこの委員会等に御理解を頂きまするために準備をいたした数字があるのでありますが、今日ちよつと私持つて參りませんでしたから、御質問がそこであるということを知らなかつたために、次の機会に提出をいたしたいと存じまするが、極く大まかに申しまして、今の倍数の職員を必要とする。こういうことに相成るのであります。その数字につきましては、どういうわけでそうなるかということは、追つてそういう書面を提出するということに御了承願つて置きます。從つて是非明年度から、今年度でもできるだけはそうお願いいたしたいのであります。増員について是非御協賛を願いたいと存ずるのであります。
 それから第二の労働組合法第十一條違反の事件について裁判所がこれの取扱いに甚だ緩慢ではないかというお言葉でありまして、これは恐縮に存ずるものでありますが、確かに多少この判事が労働法規に精通しておらない、或いは労働組合運動というようなものの大質について十分なる理解がないために、多少遅延するというような傾向は率直に申上げて認めなければならないかと存じておるのであります。これは遺憾なことでありまするから、特に司法省におきましては、訓令を出してそういうことのないように、敏活に取扱うようにということを申してはおるのであります。若し甚だしく遅延をいたしておりまするような実例がありまするならば、御指摘頂きますならば、適宜の処置をとりたいと存じておるのであります。但し檢察の方はそういたしまするが、裁判所の方は又最高裁判所に善処方をお願いする他ないのでありますから、その点も御了承を願いたいのであります。要するに專門のこの労働法規に通じ、労働運動の精神を理解する判檢事というものを多数得ますることは、新憲法の精神を施行いたしまする上に大切なことであると思うのであります。御承知の通り終戰後俄かに労働運動というものも勃興をいたし、又労働が財産に対して非常に尊貴なる地位を占めるものであるという自覚が急速に持ち上つたという関係上やや今日の裁判所なり檢察廳が、その点について時勢遅れではないかというような御批判を頂くのであります。遺憾ながら若干これを否定するわけに行かない部面もあるように存ずるのであります。で実は特別の講習会等を開き、いろいろな方法によつて既存の裁判官、檢事諸君がこの労働問題に十分の理解を持つように努力はいたすつもりでおりまするが、進んではお言葉のように労働問題に主として勉強をして取扱うところの檢事、判事を多数に全國に配置いたしたい。これは是非近い將來に実施いたしたい、こう存じておるのであります。特別の裁判所を設けるというわけには参らんと思うのでありますが、そういう主任判事、主任檢事というものを至るところに配置いたしまして、そうして理解あり、且つ敏速なる処理をいたすというようにいたしたいと存ずるのであります。尚この十一條違反に対する罰則等が軽きに過ぎはせんかというお尋ねでありますが、これは禁錮六ケ月と罰金五百円という選択刑に相成つておるのでありますから、この問題に理解ある判事が適当なる量刑を用いまするならば、必ずしも軽きに失するとは考えないのでありますが、漸次この十一條違反を敢えてする企業家がありますやに承りますから、情状によりましては、当然体刑を以て臨むべきであると存ずるのであります。今日の貨幣價値において五百円というようなことは仰せの通り誠に軽きに過ぎる、罰金刑だけを重くするということでありまするならば、私共は必ずしも異存はないのであります。併し運用よろしきを得まするならば、これでもやつて行けるのではないかと存ずる次第であります。
#21
○松井道夫君 只今の御答弁によつて大体了承したわけでありますが、刑務所の職員につきましては労働基準法施行規則の附則第六十二條によりまして、二十九條及び三十條の規定は一年以内に限つて監嶽官吏に準用するということになつておるのであります。そうしてその二十九條を拜見しますと、一日について十時間、一週間について六十時間まで労働させうるということが規定してあるのであります。この点で私は特に司法大臣に確めて伺つておきたいことは、現在今日以後のことでありまするが、今日以後この第二十九條の條件を超えて刑務官吏に働いて貰わなければならない、從前通りの過労の状態を今後引続き継続させると、勿論この二十九條違反になるわけでございますけれども、そういつたような事情が発生することがないということを確言して頂くことができるかどうか、又この附則の六十二條によりますと、一年以内ということになつておるのでありますが、私はできるだけ早い期間内に、この労働基準法三十二條の原則に從うことができるように、司法大臣の格別の御配慮を煩わしたいと考えるのでございまするが、その点について更に司法大臣から御答弁を煩わしたいと思います。それから先程申しました労働裁判所の問題でございますが、只今の御答弁は労働関係の裁判をするために、労働関係を專門に取扱うところの判檢事を置く、さような意味にお聽きしてよろしいのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#22
○國務大臣(鈴木義男君) この第一の御質問の即時に今からすぐこの第二十九條のような標準時間で働かせるようにせよ、誠にその通りでありまして、できるだけそういうようにいたしたい趣旨でありまするけれども、遺憾ながら仕事が生きた人間を扱うことでありまして、時間が過ぎたからそのまま放置して帰つてよろしいというようなわけに行かない種類の仕事でありましてどうしても人員を十分に充足いたしまするまで、多少のこの超過労働というものを余儀なくさせることに相成るのであります。そこでできるだけ定員の人を得たいと思いまして、努力しておりますが、如何せん、刑務職員の待遇の菲薄なることは官吏の中で最も低いものに属するような次第でありましてそのためになかなか志願者がないのであります。東京だけ少し余計であるので不思議に思つてよく調べましたところが、刑務官吏でもともかく役人になれば東京に入れる。轉入をしてそれからお暇をするといつたような趣旨の人があるので、誠にかんばしくないのであります。御承知の静岡の不祥事件のごときも、全員の三分の二近くが一年未満の勤務者なのであります。水の流れるごとく変つて行くというような状況でありまして、到底刑務官としての威信を保つことすらもできないというような状況でありまして、一刻も早く待遇を改善して頂きまして、そうして相当の人を、永続性を持つた人を得るように希望を持つておるわけでありまして、その方面に向つて努力することと相俟つて是非この基準に適う労働をさせるように一ときも早く到達させたが、それ以前は極く僅かでありますが特別手当とか、いろいろの方法で慰めるという方法をいたすことも御了承を得たいのであります。それから労働專門の裁判所ということは望ましいのでありまするが、專門とまで申すことは少し強過ぎると思うのでありまして、所によつて労働問題がそれ程ないという裁判所もありまするから、主として労働問題に理解のある特別の教養を積んだ判事、檢事を置く、そうして問題がある限り労働問題を主として扱うが、ない場合には普通事件もやはり扱う、こういう趣旨における主任判事とか檢事とか、こういうものを配する、こういう氣持なんであります。さよう御承知を願いたいと思います。
#23
○理事(栗山良夫君) 松井委員の外に司法大臣に対する御質問がありましたらどうぞ…。司法大臣は衆議院の委員会に出席されるそうでありますから、その方に行かれまして時間がありましたら又改めて司法大臣に御出席を願いたいというふうにいたします。それでは先に帰りまして、労働省に対する御質問を継続いたしたいと思います。
#24
○川上嘉市君 先程からも千八百円の問題を大分維持するということについてお話がありましたが、これは労働大臣に御参考までに私自身の意見を申上げますけれども、御考慮を願いたいと思つております。この物價の問題は、結局するに今の物價が日本などは高過ぎるというために、千八百円の大部分を維持するということが非常にむつかしくなる。これは一つの例を私は言うのですけれども、丁度昭和八年に、フランス人の俸給というものが、今日の日本の円における俸給と同じであつた。普通が千円から四千円くらいのものであつた。四千フラン台であつた。そのまま円に対するというと、今日の日本の給與と大体同じようになる。物價はどうであつたかといいますと、そのときのフランスの物價と今日の日本の物價と比べると日本の方は約三十倍乃至四十倍くらいです。一つの例をお話申上げると、羽二重の上等のワイシヤツがパリーで以て、四千フランであつた。今日はそのままフランを円にしても四十円になるならばフランス人と同じ生活ができる。その同じようなワイシヤツが千五百円、約四十倍である。蜜柑がサンキストという蜜柑を私はやはり買つて見た。そうすると一フラン二・五ぐらい、それが今日日本で五十円はどうしてもする。どう考えて見ても約三十倍から四十倍の物價であるのであります。そうするというと別の方面から見るというと、つまり今日の俸給というものは物價に比べてフランス人の当時の三十分の一から四十分の一である。つまり生活の程度は四十分の一に下げられておる。そこでどうしてもやつて行けんというような状態でありまして、千八百円の台を維持するということは、本当にぎりぎり一ぱいで以てどうにもこうにもいかんという所まで追い詰められておると私は考えております。それではどうしたらよいか若し上げたらさつきお話がありました通りに、日本の物價の体系というものは全部崩れてしもう。而もこれを上げて相当に行くというには恐らく四千円五千円、六千円というような台になるならば、そうすれば國の全体の財政だけで見れば、若し万々一四千円台になつたら私は來年の予算は五千億になるだろうと思います。そういたしますとどうしても防がなければならん。防がんというと皆食うに困る、そういうことになるとどうするか、というと、結局は食糧問題である。食糧の問題は、これは実は日本の食糧が非常に足らんように私は考えておりますが、併しながら今日日本人というものは殆ど一人も餓死することもなしにやつておるというのは量においてあるからである。あるのだけれども、それが闇屋の手を経るとか、或いは非常に無理をしてでないというと、入らんというだけであつて、事実全体の量としては足りないわけはでない。最近に私が見るというと、殊に若い女性なんかが歩いておるのを見ましても、皆非常に肥つております。肥つておつて溌剌としておる。戰時中によく栄養不良というのを見たけれども、この頃は全部そうでなく、非常にもう栄養が十分に行き渡つたような感じを持たせるぐらいになつております。結局は物がある。これを適正な方法で以て適当な値段で以て手に入るようにすればいい。それにはどうするかというと、結局は食糧品、主として食糧品を下げてこれがすべての物價の基準でありますから、これを私は今日労働大臣にお願いすることは、もつと安本とかいろいろな経済閣僚のお話になるときに、うんと一つ食糧の問題について頑張つて頂きたい、そうせんというと、まあ失礼ですが、農林大臣もただ甘やかせばいいというような態度であつて、我々工業從業員というものは皆どんなに働いて殆んど全力を出してしまつても一向にそれに対する報奬もなければ何にもない、こういうような現状であります。片つ方の方は例えば今年の麦の例を挙げるというと、麦を一俵供出すると、銘仙が一反に硫安が二キロ、その外に砂糖が來るとか何とかというような可なり大きなものがありまして、甘やかし過ぎてしまつたというような状態を我々は考えますと、これでは食糧品が下げられない、下げられない以上は食うにぎりぎり一ぱい、どうにもこうにも仕方がないところまで追い詰められておる、これを元に戻すためにはすべての基本を下げないというと、もう物價というものは天井を衝いたような恰好であつて、物價は今日の状態で行くと段々に需要が減つておるような状態になるのでありまして、なかなか増産どころではない。それでこれを下げるあらゆる工夫があると私は考えております。それで実は日本の経済の再檢討というような問題につきましても、或いは復興会議というような問題につきましてもこれは駄目だ。なぜ駄目かというと皆食糧品の需要者の集まりであつて何にも生産者が入つておらない。丁度我々の工業経営協議会において経営者と又勤労者と両方が一緒になつて相談する如くに、我々の日本の再建の経営協議会というものが若しありとするならば、これはどうしても食糧品の生産者、それから又需要者と両方一緒になつて、丁度我々の経営協議会で我々が経営の帳面を見せるように、これだけ我々は経済に要るのだ、これがなければ到底食つて行けないと言つて、そうしてその者の同意を求めてやることになりますれば恐らく下げられる。なぜかというとこつちの方は余裕綽々だ、例えば今日「みかん」を見ますと、靜岡縣は「みかん」の産地であります。あそこに行つて聞いて見ると、一町歩「みかん」の生産が少くとも四千貫、多い所は七千貫ある。それを今賣つておるのは一貫百五十円、東京に來ると三百円になる。それが百五十円とすれば、七千貫穫れるとして百五万円になる。一町歩百万円以上になるということは非常に不合理になる、それで平然として見送られていて、この間も安定本部の或る局長に話したところが「みかん」とがああいうような果物はマル公でない。自由販賣だとすまし込んでいる。我々はつまり安定本部というものの任務は、これはマル公であるから取締るというのでなくて、國全体の物價を適正に保つというところに任務がある。だからこの頃はどこの果物屋においでになつても一山三十円以下のものはありません。「ぶどう」、「みかん」、「りんご」、「かき」、皆そうです。それで以て闇を取締るといつても、それは闇でない。自由價格でやつているのだとすましているのでは國の物價は下りつこない。皆それが基準になる。だからこれを一つうんとその点をお突込みになつて、そうして食べるものは下げてやる。「りんご」の例を話すと、「りんご」は一本で多いものは一万五千円、一反歩について十八本というのは理想的なもので、実際はその倍ぐらいある。「みかん」よりももつと多い。一町歩が二百万円ぐらいになる。それでも知らん顏しておる。物價廳が物價を決めるときに、何故私は全体の一町歩なら一町歩に対して全体の経費がいくらで、收穫が全体いくらでそれだからもつと下げることができるじやないか、こう言わんかと思う。
 興行についても同樣で、興行については、例えば最近六倍に上りまして、或る会社は今まで千五百万円だつたものが、いきなり六千万円、もつと殖えている。そうするというと千五百万円の資本に対して年に六倍にもつくことになるのですが、興行は今のところ殆ど資本の十倍も儲るというような結果になりはせんか。それを平然として物價廳が決めておる。そんなものはもし興行をやつた者から見ればこれだけの賣上げがある。総賣上げがこれだけで儲けがこれだけということは原價計算をやればすぐ分る。それでも平然としてやつておるから、物價が今日のように高くなつて四十倍にもなつておるのに收入というものは、四十分の一で暮せという。これでは文化などというものはすつかり我々から逃げてしまつて本当に豚のような生活をやつているという状況です。それで、願わくは、若し千八百円をどうしても維持しようというお考えならば、うんと安定本部なり農林省なりを鞭撻して、本当の我々の食うだけの最低の費用というものはうんと少くなるようにやつて貰いたい。これが根本の問題だと思う。そうして若し將來経営協議会なんていうようなもの、或いは復興会議などというようなものをやるならば、これに持つて行つて必ず農山漁町というものを一枚加えて、そうして我々の算盤をすつかり見せて、これだから日本を救つてくれというようなことでやつて行つたらどうかと思う。御参考までに申上げておきます。
#25
○國務大臣(米窪滿亮君) 川上さんから非常に示唆に富んだ御意見があつたのですが、実は今日の経済事情の特徴は綜合経済だということ、即ち一つ一つの物價というものは單独に査定ができない。必ず関連性がある。これは勿論昔からもそうでありますが、今日は特にその特徴がひどいということと、それから價格の決定についてはいろいろな決定方法があるでしようが、一番無理のない方法はいわゆるパリテイ計算である。いわゆる均衡経済論ということが経済安定本部で唱えている原則ですが、パリテイ計算ということからいいますと、いわゆるそのウエイトのとり方と、そして比率のとり方、レイトのとり方によつて大分変つて來るのです。而も日本のように統制経済が非常に強く行われておるところにおいて一々の物價をパリテイ計算して行くというと、そのものにおいては昔のいわゆる原價と今日の原價との計算においては誤りがなくとも、それと関連のある他の物價とのパリテイ計算が果して横の均衡がとれて行くかということで川上さんの御指摘のようないろいろな矛盾が出て來ると思う。そこでフランスの例をお取りになつたのですが、これは敢えてフランスの例を取るまでもなく昭和九年、昭和十一年当時の價格と、今日の價格をやはり比較して見れば分るので、即ち今度の新物價体系が昭和九年十一年の時の物價、價格平均水準に対して、平均して六十五倍のセーフテイバンドを嵌めておる。これに対してパリテイ計算で行けば、当然賃金もその当時の平均賃金の六十五倍を嵌めなければならんと、一應そういう比率になりますが、これにはいろいろ関連したところのフアクターが出て來る。その当時の生産力に比べて、今日三分の一に落ちている。或いはその当時の生産費の原價計算において、コストの中において占める人件費の分野と今日の分野は、当時は三割、四割だつたのが、今日は六割、七割になつておる。こういつたいろいろのフアクターがあつて、二十七倍、二十八倍で賃金を押えておると、こういうことになつておると私は考えておる。勿論こういう説明でも、これに反駁する理由は出て來ると思いますが、何しろ人間のやることで、なかなか完全無欠というわけに行かないのです。いろいろの意見も出て來るが、一番マイナスの出て來ない方式を取つておるのです。それに対して最近問題になつておるのは、米價の決定であると思いますが、これは生産者價格から出発して來たところの米價の決定方法と、昭和九年、十一年の時の米價に対して、どの程度のパリテイを掛けるべきかという、二つの方法がいま閣議で問題になつております。それがまだ米價の決まらない主なる原因でございます。生産者價格から出発したところの米價という点から言いますと、この点を力説すると、それは何であるかというと、麦の價格が改訂され、それから國際レートで考えてみると、海外から輸入しているところの小麦というものが、大体において一トン百ドルだ、これが日本の金に貿易的に換算するときに、どのくらいになるか、仮りに百三十円とすると、相当のものになる。これは麦であるから米に直すと、大体石どのくらいになるか大体二つぐらいの見方が生産者の方面の米價算出の方式だと思う。そうしないというと、いわゆる農民の供出意欲は起らない。ここまでに決定すれば、一〇〇%であるから、以下が九〇%或いは八〇%になるだろうということです。これで行けば当然千八百円が崩れる。そこで生産者の立場に立つた計算を國として採るべきか、或いは消費者の立場から計算して新米價を決定すべきであるか。このいずれにも偏ることができないので、やはり両者の関係を考慮して決めるべきであるが、政府としては目下何としても千八百円ベースを堅持したいということから、米價を決定したい。これに対してやはり多少のマイナスが出ると思いますが、これは馬鈴薯であるとか、或いはその他の代替物の非常処置の配給によつて、このマイナスを消して行きたいと考えております。川上さんの御意見は私においても、大体において同意見であります。殊に労働攻勢に対処して行くところの関係の省としては、生産者の立場だけを考えた米價の決定は困難であると思います。
#26
○委員長(原虎一君) ちよつとこの際お諮りいたしますが、決算委員会との連合の國家公務員法についての審議が二時半から行われるのです。もう十分過ぎましたのですが、その委員会にこちらが出席しないと成立しないかも知れません。この程度で打ち切つて、向うに行つたら如何かと思ます。
#27
○委員長(原虎一君) 明日は午前十時から開くことになりますから、毎日連日でやりますけれども、御出席をお願いいたします。
   午後二時三十九分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     原  虎一君
   理事
           堀  末治君
           小川 久義君
           栗山 良夫君
   委員
           天田 勝正君
           千葉  信君
           紅露 みつ君
           平野善治郎君
           深川タマヱ君
           川上 嘉市君
           竹下 豐次君
           穗積眞六郎君
           松井 道夫君
           中野 重治君
           岩間 正男君
  國務大臣
   司 法 大 臣 鈴木 義男君
   労 働 大 臣 米窪 滿亮君
  政府委員
   労働基準監督官
   兼労働事務官
   (労働基準局長
   兼労働統計調査
   局長)     江口見登留君
ソース: 国立国会図書館
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