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1949/04/11 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 建設委員会 第16号
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1949/04/11 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 建設委員会 第16号

#1
第007回国会 建設委員会 第16号
昭和二十五年四月十一日(火曜日)
   午後一時五十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○住宅金融公庫法案(内閣送付)
○住宅金融公庫法案中一部修正に関す
 る請願(第一四三三号)
○住宅金融公庫法案中一部修正に関す
 る請願(第一四四一号)
○住宅金融公庫法案中一部修正に関す
 る請願(第一五〇五号)
○建築士法案(衆議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(中川幸平君) 只今から建設委員会を開会いたします。
 住宅金融公庫法案を議題といたします。質疑をお願いいたします。
#3
○北條秀一君 住宅金融公庫法案の目的について先ず御質問をいたしたいと思います。
 この公庫法案の第一條によりますと、結論的には銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通するということでありますが、これによると本当に困つておる国民大衆に、健康で且つ文化的な生活を営むに足る住宅を与えようとしておるのか、或いはそうでなしに、とにかく誰が家を建ててもよろしい、ところが銀行が家を建てる金を貸さんから、そういつた銀行の貸さない金を、誰でもいいから金を貸付けるということなのか、これでははつきりしないと私は考えるのであります。むしろこれでは何でもかんでもいいから、家が建てばいい、誰が建てようとも差支ない。ただその家を建てる金を貸してやるんだ、と、こういうふうにとられるのであります。そのことを前にできました国民金融公庫法案と比較いたしますと、非常にはつきりして来るのです。国民金融公庫法案によりますと、銀行その他一般の金融機関から資金の融通を受けることを困難とする国民大衆に対して、必要な資金を供給するんだと、こういうふうに金を貸付ける対象が非常にはつきりしておるわけであります。ところがこの住宅金融公庫法案は金を貸付ける対象が極めて漠然としておる。むしろ金そのものを問題にしておるというふうに受取れるのであります。今日の情勢から言つて最も必要なのは、住宅に困窮しておる一般勤労者、引揚者、戦災者等でありまして、従つてこれらの住宅のない勤労者、引揚者、或は戦災者というものが直接金を借りてみずからの家を建てるということに重点を置かなくてはならんと考えるのでありますが、この公庫法案は、今私が説明しました点から十分御理解願えると思うのでありますが、結局相手は勤労者であろうと、引揚者であろうと、戦災者であろうと、或いは一般国民であろうと、そういうことはお構いなしに銀行の貸さない住宅資金を貸付ける、相手は誰でもよろしい、こういうふうに理解されるのでありますが、この点について先般提案理由の説明があつたのでありますが、尚不明瞭でありますので、もう一度この点についてはつきりと説明して頂きたいのであります。
#4
○政府委員(伊東五郎君) この住宅に困窮しているということは、これは当然のことでございますので、ここに直接には書いておりませんが、住宅に困窮し、尚且つ自己資金又は銀行などから資金の融通を受けられるという人を除きまして、一般の金融機関などでは貸付けることができないという條件をここに書いてあるわけでございます。国民大衆がこの住宅の建設に必要な資金で……住宅の建設に必要な資金というのは、困窮者が住宅を建てる場合のことを指しているのでありまして、直接には言つておりませんが、勿論困窮者を対象とし、困窮者のうちでも資金の供給が受けにくいという趣旨でこの第一條が書いてあるわけでございます。国民大衆と書きましたのは、特別に戦災者とか引揚者とかいうことでなく一般にそういう條件に当嵌まる人を対象とするという意味で、国民大衆の中でも特定の引揚者とか戦災者、非戦災者という区別をしないという意味で、この国民大衆と規定したわけでございます。
#5
○北條秀一君 昨年の八月建設大臣が住宅審議会に対して諮問第一号を発せられた、その中を見ますと、勤労者、引揚者、戦災者及びその他一般国民に対する住宅対策ということについての諮問が出ているのでありますが、その住宅審議会の議を経て本法案が検討され、出て来ていると思うのでありますが、この諮問第一号とこの目的との関係はどういうふうに理解したらいいのでしよう。
#6
○政府委員(伊東五郎君) 住宅対策審議会に諮問いたしましたものと、この法案とは別個のものでありますが、併し考え方としましては全く同じに考えております。住宅対策審議会の諮問の場合には、一つの例示としまして、住宅に困つている人の一番著して例としまして、引揚者、戦災者その他一般国民大衆という意味で、あの場合には書いたわけでございますので、この場合も全く同じに考えております。
#7
○北條秀一君 関連してお伺いしますが、この住宅問題は戦後国の最も大きな政策の一つでありますが、それはいずれも国民の厚生行政という見地から住宅問題が考えられて来ると考えるのでありますが、そういうことを根本理念にしてこの住宅金融公庫法は作られているのかどうか、その点について承りたい。
#8
○政府委員(伊東五郎君) 厚生行政、広い意味におきます厚生行政の一部と考えておりますが、只今お話の通りで大体差支ないと思います。
#9
○北條秀一君 そうなりますと、根本的な問題について私はお尋ねするのでありますが、これはあとで各條章に亘つたときに当然関連して来る問題でありますが、この公庫の主務大臣はどなたとどなたがおやりになるのかという方が、大きく問題になつて来ると考えます。従つて先程申しましたように、勤労者或いは引揚者、戦災者というものが、実際に住宅に困つておるのでありますが、特に引揚者の如きは、御承知のように住宅にも困れば、土地にも困るということであります。ところがこの引揚対策というものは、主として今日まで厚生省が大体その重点をおいて来ております。ということになりますので、住宅の困窮度の激しい者から、金融公庫から金を借すということに当然なつて来るわけでありますが、そういう関連からして、主務大臣をどこに持つて行くかということは直ぐに問題になるわけでありますが、そういう意味で私は聴いたのでありますが、この際主務大臣の問題について、どういうふうにお考えになつておるのか、その点を承りたいのであります。
#10
○政府委員(伊東五郎君) この法律に関しましては、主務大臣は建設大臣並びに大蔵大臣でございます。一般の厚生行政は、厚生大臣が所管しておりますが、現在建設省設置法におきましても、住宅に関する限り建設大臣の所管になつておりますので、一応厚生大臣とは関係がございません。
#11
○北條秀一君 それでは建設大臣と大蔵大臣が、一応主管大臣になるということでありますが、住宅問題については、建設大臣がことごとく主管するということならば、建設大臣が一本でやればいいということに当然なつて来るわけであります。ところが大蔵大臣がこれに関連して参りますと、どうしてもこの金庫というものを金融中心に考えて来る、金融中心に考えて参りますと、御承知のような、今日の金融状態でありまして、なかなかこの金が、本当に住宅が欲しい国民に貸し出されないという結果を生むのではないか。即ち十分な保証人が必要であるとか、十分な担保が必要であるとか、十分な返済能力が必要である、勿論返済能力がない人に借すわけにはいかないでしようけれども、それが銀行家的な考え方でやりますと、全く勤労者或いは引揚者、戦災者というものは、融資の対象にならないということを私は考えるのであります。でありますから、どうしても厚生行政の一環として考えるならば、その面の大臣が、これに発言をし、又参画するということはどうしても必要じやないかというふうに考えておるのでありますが、一本にするならば建設大臣一本にすればいい。それを関係大臣が主務大臣として参加するというならば、大蔵大臣だけでやりますと今言いましたように矛盾ができますので、これを修正するという建前から言つて、厚生大臣が参加する方がいいんじやないかというふうに考えるのでありますが、重ねてその点についてお聴きしたいと思います。
#12
○政府委員(伊東五郎君) 大蔵大臣が主管大臣の一人に入つておりますために、償還という事柄が非常に大きく取上げられて、国民の厚生というようなことが影が薄くなる慮れはないか、こういう御懸念のようでございますが、住宅問題は建設大臣が所管しておりまして、この住宅問題は、広い意味における厚生行政でございます。この建設大臣が、この主管大臣の一人として入つておる以上は、償還ということだけで、本当の金融という面からだけ貸付け業務をやつて行く考はございません。十分にその点は調整いたしまして、実際の運用において間違いのないようにやつて行きたいと存じております。
#13
○北條秀一君 そこで次に進みまして、先に、政府が提出されました予算の中に、予算説明書が付けられたのでありますが、あの予算説明書の中にありました融資区分というのは、これは先の懇談会において全部御破算にしたということでありますが、その点をもう一度確認しておきたいと思います。と申しますのは、今年八万戸建てる、その中、家の賃貸料、借家を建てる人に三万二千戸、住宅組合に二万一千戸、個人に確か二万七千戸ということがあつたのですが、その点はどういうことになつておりますか。
#14
○政府委員(伊東五郎君) 予算の説明書に、只今お話のような資金の使い方につきまして一応この案を提出されておりますが、その後いろいろと検討をいたしまして、又あの当時は、予算書を作ります当時には、この法案はできておりませんでしたので、この法案に基いて、又実際の計画をやり直しております。但し全体の枠は、大体予算書の、予算説明書にありました通り、大体八万戸程度を対象としたいと考えておりますが、その内容において若干変えております。
#15
○北條秀一君 それでは今回の法案によりまして、賃貸家屋を建てる業者に百分の三十以内において、これを融資の枠をつけるということで、後の百分の七十以上というものは、個人及び住宅組合を対象として資金を貸付ける、こういうふうに理解していいかどうか。
#16
○政府委員(伊東五郎君) さようでございます。
#17
○北條秀一君 それでは、その百分の七十以上に対して、個人及び住宅組合にどれだけを貸すかというふうな、枠と申しますか、そういうふうなことは全然予想されていないのですか。
#18
○政府委員(伊東五郎君) 第十七條に、今のお話の貸付の対象が三つ挙つておりますが、三号が今お話の賃貸住宅を経営する会社法人でございます。これは全体の資金の年間を通じまして三割以下に止める、一号、二号の個人と組合について七割以上の資金を使う、こういうことに法案がなつておりますが、一号、二号の関係につきましては、二号の組合に貸付ける場合におきましても、結局は組合を構成する組合員が家に困つているわけでございますので、個人の場合と同様の方法で、組合員について審査をいたしまして、又申込が超過をするような場合には、両者の機会が公平になりますように、例えばこれを一緒にして抽籤にかけて決定するといつたようなことでもして行きたいと思つております。別に枠を作らずにやつて行きたいと思つておりますが、只今のところ、そういうふうに考えております。
#19
○北條秀一君 私ばかり質問しまして恐縮ですが、今十七條が問題になりましたので…‥それでは十七条について、これは業務の範囲でございますから、本法案の中心になつて来ると思いますので、その点について若干質問したいのであります。それは、只今保証の問題と、それから抽籤の問題を言われたのでありますが、抽籤ということは、甚だ公平なようでありますけれども、実際には計画的に、且つ民主的に行かない。むしろこれは本当に住宅に困つているという勤労者、引揚者或いは戦災者というものを、実情を調べて、そうしてそれを合理的に解決して行くという手段を取らなければ、今日まで行われておりましたような、なんでもかんでも、申込者を十束一からげにしてそれを抽籤するというやり方では、甚だ困るという事実は、住宅局長よく知つておられると思うのですが、そういうふうな方法を今回考えておられるのかどうか。特に業務方法書の点は、同じく一つ作られるそうでありますが、その業務方法書の中においては、今局長が言われましたような、単なる抽籤というような方法を飽くまでも推し進めて行こうという考でおられるかどうか、この点を一つ伺いたいのであります。
#20
○政府委員(伊東五郎君) 私只今ちよつと言葉が足りませんで、何でもかでも抽籤で決めるというふうにお聴取りになつたかも知れませんが、その点をもう少し御説明申上げます。個人々々につきまして住宅に実際困つている、資金の獲得に困つている、こういう事情をよく調べまして、その度合の激しいと申しますか、一番困つている人、一番金にも困り、家にも困つている人を大勢の希望者の中から選定して行くということが、これが最も理想的な形だと思います。併しこの場合に調べまして、その困つている度合を決めるということは、結局口数も多いことでございますから、この多い人を公庫の職員などがこれを調べるわけなんで、なかなか神様でないので、そこにいろいろな情実が入つたりするような危険もございます。又家に困つている度合というものを、なかなか本当に公正に決定するということは事務的にも非常なひまもかかりましようし、いろいろな異つたフアクターがございまして、比較の困難な場合が非常に多い。今入つている家が非常に狹いという場合とか、今入つている家は非常にいい家なんだが、通勤に非常に時間がかかるんだ、そういう意味で困つているとか、追立てを食つているので困つているとか、いろいろ困り方にもそれぞれ事情が違いましようが、それを、こつちが困つている困り方が激しい、こういうようなことを決めることはなかなか困難だと思います。そこでこの詮衡も必要でありますし、又詮衡の手に負えんところは神様の手によつて決めて貰うという意味で抽籤も必要でございましようから、両方の方法によつて決めることにしたいと思つております。即ち申込の場合に、困つている事情とか、いろいろな償還能力とか、家族の工合とかいうものを申込書に書かせまして、そうして成る程困つている、或る水準以下の人だ、こういうことがはつきりしましたならば、これは良と見まして一応資格者といたしまして、それがその貸付の枠を超える場合には抽籤をする、こういつた工合にいたしまして、詮衡と抽籤というものを両方加味して行きたいというふうに考えております。
#21
○北條秀一君 何故そういうことを聴いたかと言いますと、この第十七條の第一項の第一号です。「自ら居住するため住宅を必要とする者」とありますが、これは恐らく住宅のない者に貸付けるという意味だろうと思いますが、実際今日では「自ら居住するため住宅を必要とする者」という者は相当の数があるわけであります。一つ極端な例を申しますと、特別調達庁にみずからの家を接收されておつて、そして別に間借りをしておる、或いは家を借りておるという人でも、これには当然該当するわけであります。ところが引揚者のごときは日本に帰つて参りまして、全く住宅のない、而も縁故先もないということになつて参りますと、一番住宅に困るのは引揚者だということになつて来るわけであります。そういう点は詮衡の際に一目瞭然とするわけでありますが、従つて冒頭に私が聴きましたように、勤労者、引揚者、戦災者、こういうふうな順序で詮衡が当然に行わるべきものであるというふうに考えておるわけでありますが、この「自ら居住するために住宅を必要とする者」という意味は、住宅のない者という意味なのか、その点を一つ明かにして頂きたいと思います。
#22
○政府委員(伊東五郎君) 住宅のない者というふうにも、そう明瞭にも考えておりませんが、住宅に困つておる者で自分の家を建てたい者、こういうふうに考えております。と申しますのは、嚴密な意味において住宅がないという人は殆んどないわけでして、結局実際困つておる、いろいろな事情で部屋が狭くて困つておる、或いは同居して困つておる、そういうふうなことがありますし、住宅に困つておるという意味ではお話の通りだと思います。
#23
○北條秀一君 次に住宅組合でありますが、「住宅組合法による住宅組合」というふうにここには規定されておるのでありますが、先程保証の問題で、住宅組合の場合においても個人に対する保証力というものを必要とするということでありましたが、そういたしますと、一の場合は個人であつて、その個人も誰か保証人が付けばいいんだ、ところが住宅組合の場合は、住宅組合は無限責任でありますから、組合として連帯責任がある。併しその上に組合員個人々々に更に保証人が要るということになりますと、住宅組合法というものによつて保護さるべき住宅組合というものが、個人の場合よりは甚だしく、不公平に扱われるということになりますが、この点はどうですか。
#24
○政府委員(伊東五郎君) この住宅組合の取扱につきましては尚研究して見たいと思いますが、普通の場合に住宅組合ということによりまして、組合員相互に連帯責任を負うわけですが、場合によりましては連帯責任だけでは不十分な場合が多いのじやないかと思います。過去の実績に鑑みましても、連帯責任によりまして、却つて償還の確保が期せられない、逆の効果があるということもございますので、或る場合には組合員について又個人の保証を要求する場合もあり得ると思いますし、組合の取扱方については尚研究して見たいと思つております。
#25
○北條秀一君 研究して頂くことは誠に結構であります。そこで住宅組合についてあと二点だけお伺いしたいのでありますが、その二点をお伺いする前に、これは住宅局長は十分御承知だと思いますが、東京都の住宅組合の実績を見て見ますと、曾て大正十年以降に、大震災を経て東京都が貸出した金は確か八百五十万円であつて、そうして回收したのが八百二十万円で、僅かに三十万円が回收不能になつて、そうしてそれが震災に遭つたということで、既往の住宅組合は決して私は悪い成績を示していないと思います。これは東京都について是非お調べ願えば直く分ると思います。そこで住宅組合法による住宅組合というものを今回の法案の中に出されておるということは、住宅組合というものを非常に尊重し、それに対して積極的に融資をして行くということが、今日の民主主義の時代から言いまして最も相応わしいことであるというふうに考えられます。何となれば、各種の協同組合ができておる際でありますから、国民が是非こうした連帯責任によつて組合を作つて行くという運動が好ましいという点から見まして、どうしても住宅組合法による住宅組合というものを優先的に考えるべきである。ところが私は先年来各県庁に参りまして、住宅組合を強化するようにということをしばしば申出ておるのでありますが、実は昨日も東京都の都庁に住宅組合の設置の許可を得たいといつて申出ましたところが、住宅組合の設置を許可しないのです、向うはなかなか。その点について住宅局長はどういうふうにお考えになつておるのか。住宅局長の方では、住宅組合というものを許可しないようにという指示を出しておられるのか、或いは住宅組合を積極的に設立するようにという指導方針を示しておられるのか、どつちなのかということ、それが第一。第二には、住宅組合法には北海道庁費及び都道府県費から住宅組合に資金を借すということになつておりますが、この点はどういうふうに今後措置されるつもりか。第三点は、住宅組合に対しては国有地、或いは公有地を随意契約によつてこれを払下げ又は貸付けることができるというふうになつておりますが、この点についてどういうお考であるか三つの点を……
#26
○政府委員(伊東五郎君) 住宅組合につきましては、先程も申上げましたように組合個人々々について第一号の個人の貸付と同じように審査をして行きたいと思つておりますので、組合を結成したがために特に優遇する、優先的に貸付を決めるというふうには考えておりません。成るべく一号、二号共国民大衆に対して公平に機会が与えられるように取扱いたいと思つております。従いまして組合の認可権は都道府県知事にあるのでございますが、これは最初組合法が施行されましたときには、預金部資金で都道府県を通じて転貸をするという行き方をやつておつたわけでございます。資金の貸付と組合の認可というものが一人の知事によつて決定されますことは、この点は非常にスムースに行つたわけでございますが、今回の場合は、金は金融公庫で貸すか貸さんか決まる、組合は知事の認可権下にある、こういうことになりまして、たとえ組合を作りましても、結局資金の融通を受けられるということでないと組合を作つた意味は殆んどないと思いますので、組合を知事が認可されますこと自体は、一向差支ない、止める必要はないと思いますが、折角お作りになりましても何か優先的な扱いを受けられるのじやないかという期待を持つて作られるということになりますと、却つて知事の認可ということが非常な不親切なことに結果としてなる場合もありますので、できることならば、資金の方が決つてから認可して貰う、そういうふうに、いま暫らく認可はむしろ差控えておく方がいいのじやないかと、こういうふうに指導しております。
 それから第二点の、住宅組合法によりまして、都道府県でございましたか、などから資金の融通が受けられるようになつております。これは預金部資金の転貸を意味しておるわけでありますが、その外の場合、例えば今度の金融公庫からの融資ということは、別に組合法でこれをいかんと言つておるわけではありませんので、この点は別に組合法に矛盾はなかろうと考えております。
 それから第三点の国有地、公有地などの随意契約によりまして払下げるという規定でございますが、これは実は大蔵省の所管でございますので、大蔵省から一つ聴いて頂きたいと思います。
#27
○委員長(中川幸平君) ちよつとお諮りいたしますが、この際本法案と関係のある住宅金融公庫法案に関してのいろいろな請願が出ておるので、議事の都合により一括して一つ審議にかかつて貰いたいと思うのですが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(中川幸平君) 質問はずつとあとありますから、一つお願いいたします。
 それでは住宅金融公庫法案に関係のある請願、陳情を一括して議題といたします。請願のこの表の三、四、五、紹介議員が見えておりますから、これを一括してちよつと……藤井さんお願いできますか……それでは藤井議員。
#29
○委員外議員(藤井丙午君) 私はこの日本鉄鋼連盟と、それから、全国鉄鋼更生協議会、それから鋼造船更生協議会、この三団体の代表者の請願の紹介を申上げておるわけでございまして、以下簡単に請願の趣旨を申述べたいと思います。御承知のごとく鉄鋼業が、終戦後鋼材生産が四十万トン程度の非常な慘憺たる状況でございましたが、その後国内の経済復興、最近は特に輸出貿易の振興の線に副うて逐年飛躍的な生産の増加を見せて参りました。二十五年度のごときは普通鋼材だけで二百五十万トンの生産を見、そのうち六十万トン以上輸出を計画しておるようなわけでございます。これは業界の努力はもとよりでありますが、国家からも非常な価格差補給金等の援助を受けて、今日生産復興を見て参つておるのであります。ところが今申上げましたように、飛躍的な生産の増大に伴いまして、労務者、特に技術労働者の不足が今や生産の大きな実は隘路となつておるわけであります。というのは勤労者を収容すべき住宅が非常に不足しておるために、延いては生産の隘路になつておるという実情であります。今申しました二十五年度におきまして、二百五十万トンの普通鋼鋼材の生産が着々進んでおるような状況でありまして、今年度におきまして二万二、三千の労務者の増加を見なければならない。それを収容する住宅の建設が不可能な状態になつておるわけです。同様のことは造船業界も殆んど同じような條件に置かれておるのでございまして、御承知のごとく日本の造船事業も、終戦後非常な殆んど禁止状態にあつたのが、連合国の好意によりまして、新造船建造が許されるのみならず、造船の輸出ということも許されることになりまして、目下進行中の計画といたしましては、大型の鋼造船、鋼で作つた鋼造船、これが輸出用で十三隻で九万五千トン、第五次船が四十四隻で二十八万二千トン、改A型改装船というのが二十五隻で十七万トン、修理船年間大体三千四百万総トン、こういつたような非常な活気を呈して参りまして、特に輸出、造船の輸出ということが日本の今後の貿易の収支改善に大きな役割を持つておるのでございますが、これも今鉄の事情を申上げましたと同じような状況で勤労者の住宅に非常に困難を来たしているというような状況でございます。そこでまあ鉄鋼、造船といつた重要産業の要請といたしまして、今回の住宅金融公庫の融資対象は、この法律案によりますれば、個人、若しくは住宅組合、或いは特殊の建築会社に融資対象が限られておるのでございまするが、この重要産業の業界側の希望といたしましては、一つこれらの重要産業の勤労者の住宅の融資に特段の一つ御配慮を願いたいと、その方法といたしましては、でき得れば、企業体に一括金融を許して頂いて、そうして企業体の責任においてこれらの勤労者の住宅を建てて行くと、こういつたことを是非一つお考え頂きたい。繰返して申しますれば、融資対象に、そういつた引揚者と同じように、先程北條委員もお話がありましたごとく、勤労大衆、特に国家経済再建に最も重要な役割を務めつつある産業の企業体に、こういつた趣旨で融資を願えないかと、これが第一点。若しそれがどうしても困難という場合には、この住宅建設資金の貸出に当つて、先程伊東局長は国民大衆の公平を期するということを言われましたが、これは誠に尤もでございますけれども、併し現下の国の再建途上のいろいろな事情等も十分御勘案願つて、今申しましたような、重要産業に特に重点的に住宅の建設をするような措置を一つお図り願いたい。又貸出に当つては、例えば企業体の使用者が、敷地、或いはその債務等につきまして、保証をいたした労務者に対しては、特に優先的にこの取扱をして頂く、話は細かいことになるわけでありまするが、そういつた場合、若し労務者が貸付資金によつて作つた住宅を譲渡するというような場合は、一時償還するというようなことなしに、使用者、又は使用者の保証する個人に対して譲渡するような方法を講ずる、こういつたような場合、本法案の修正が……、どうしても企業体を対象に融資するということが困難でありますれば、施行細則等でこういつた優先的な取扱を是非御配慮願いたいと、こういうことが請願の趣旨でございます。よろしくお願い申上げます。
#30
○委員長(中川幸平君) 本請願について政府の御見解をどうぞ、御発言願います。
#31
○政府委員(伊東五郎君) 融資の対象として、沢山の労務者を使つておる重要産業会社も対象にするということにつきましては、いろいろ研究もしてみたのでありますが、結局この法案におきましては、これを対象とすることができないことになつております。会社で、この重要産業に属する会社が労務者の住宅を必要とする場合には、二通りあると思います。一つは会社の住宅として、給与住宅として持つという場合と、それから労務者に、自分に家を持たすという二つの場合があると思いますが、この給与住宅の方がこの法案から除かれておるわけでございますが、これは資金全体が非常に少ないということもございますし、成るべく家に困つておる人直接に貸そうという趣旨もございます。そういうようなことから、一応この産業会社については、その労務者個人を直接対象として貸す、こういう方法を取つて一応やつて見ようと、こういう考でございます。ただその場合におきましても、成るべく労務者個人々々が資金を借り易く指導する、こういうことは考えておりますが、ただ優先的な取扱という点につきましては、先程も申上げましたように重要産業であるが故に優先的な取扱をするということは実は考えておりません。結果として、この会社の方がいろいろ敷地とか、ここにありますように債務を保証するとか、頭金を貸してやるとか、こういうようなことを多くの会社では現にもう考えているのでございますが、そういつた方法によりまして、一般の勤労者よりはこういう重要産業の、特に大きな会社などに勤める人は、そういう方法によつて、会社の資金的なバツクによりまして資金を借りる機会は多くなるのじやないか、結果としまして重点的な扱いをしておるようなことになるのじやないか、こういうふうに考えているわけでございます。それから今御説明ございませんでしたが、この第四号に、民主的な機関を設置してやると、こういうことにつきましては、貸付の決定につきまして、協議会のようなものでも作つて、これに民間の代表者も入れて、そういう発言する機会を持つようにいたしたいと考えております。
#32
○委員外議員(藤井丙午君) 今度は主客を切換えて、委員外議員の質問を許して頂きましよう。
#33
○委員長(中川幸平君) 結構でございます。
#34
○赤木正雄君 議事進行について。請願、陳情を審議しているんですがね。もう少し法案を審議して見まして、仮に採択しても、法案審議の結果、それはどうも採択することはできんというようなこともありましようし、或いはその法案審議をした結果、採択した方がいいということがありましようから、如何でしようか。もう少し法案を審議してから、請願、陳情を処理したらどうでしようか。
#35
○委員長(中川幸平君) 赤木委員にちよつとお答えいたします。無論結論は出すつもりはありませんので、ただ見解だけをお聴きを願つて、そうして法案を審議して頂きたいと思いますから、藤井議員が質疑があつたらですね。藤井議員の質疑だけをちよつと終らして頂きたいと思います。
#36
○委員外議員(藤井丙午君) 各委員のお忙しい中を甚だ恐縮でありますが、一、二質問をお許し願いたと思います。只今局長からのお話で、この企業体を融資対象にするということは、この法案で許されないと、実はその間の事情は、建設当局が関係方面と折衝される過程において、お骨折があつても、これは不可能であつた、こう伺つているんですね。これは本当の建前から言いましても、私はなかなか困難であろうと思つております。そこで今運用の面で、まあ企業体が頭金乃至は敷地なり、或いは債務を保証すると、こういつたようなことで、結果から言つて重点的な運用に或いはなるかも知れないというようなお話でございましたが、どうでしようか、これを施行細則で、まあ法律を定めた精神から言つて、優先とか重点とかいう言葉を使うことは、これは差控えなければならないかと思いますけれども、運用の面で、そういうことが容易になし得るようなことを施行細則に織り込んで頂くわけに行きませんかということが一点と、それから先程北條委員から、住宅組合のことも御質問がありましたが、実は県当局等の方針を伺つて見ますと、この重要産業の企業体等の勤労者が住宅組合を作つて、この恩典に浴するようなことをまあ考えておりますけれども、府県当局の考え方としては、むしろそれを許可しないというような方針であるやに実は伺つておるので、この点は方案がまだ成立いたしておりませんから、建設局として恐らくそういう指示を出されておるまいとは思いますが、府県当局の内容を打診したところによりますと、そういう方針のように言つておる向きもあるものですから、その辺のところを伺いたいと思います。
#37
○政府委員(伊東五郎君) 初めのお尋ねは重要産業の労務者に対して、何か運用の面で重要的な、優先的な扱いを考えておるかどうかというお話でございますが、これは重要産業ということは、なかなか線を引くことも非常に困難でありまするし、一方重要産業でなくても困る、現に困つておるという点から言うと、又別な面から優先的な扱いをしたくなる面もありまするし、これは公平という見地から成るべく特別の枠を設けるということをせずに行きたいと思つております。但し、先程も申上げましたように、会社等で住宅困窮者が沢山おる場合には会社がそれをバツクしてやつて貰いたい、こういう指導はいたしておりますから、現にそういうことで組合を結成しよう、職域の組合を結成しようという気運も随分あるようでございますから、結果としては可成り、むしろこの方に重点的に行くという可能性は非常に多いのでございます。
 それから組合の結成につきましては先程も申上げましたようにそれを止める根拠は一つもございませんが、この職域の重要産業会社を中心に単位としたこの組合の場合にも、先程の説明と同様でございまして、組合員のうちに余り住宅に困つておらんというような人が入つて来るような場合には、やはりその人を省いて組合を改組するという問題も起きますから、先ずこの資金面で貸付が決定しました人だけで組合を作つて頂くように、こういう指導はいたしておるわけであります。
#38
○委員外議員(藤井丙午君) もう一点だけ、只今局長の御説明で趣旨は十分に了解いたしましたが、ただまあ民主的な、例えば審議会といつたような機関を設けて、この運用を諮問的に活用するというふうに伺つたのでありますが、どうでしようか。今資金の枠を決めるという方法を採られないということでありましたが、大体に一般の困つておることは同じでございますが、例えば引揚者関係はどの程度、或いは重要産業と言つて悪ければ産業部面はどうと、大体のやはり資金運用の枠と言つちや語弊があるかも知れませんが、めどをつけて運用なさるというようなお考はありませんでしようか。
#39
○政府委員(伊東五郎君) これは段々と運用を実際やつて見まして、その申込の状況等を見て、経験を積みましたら又そういう枠も考えられるかと重いますが、現在どの程度になるかということの、産業会社の関係が全体の何パーセントぐらいになるか、引揚者の関係はどのくらいになるかということの見当がつきませんので、取敢ず地域的の住宅不足数というものが分つておりますから、それを根拠にいたしまして地域的の枠で、その中で産業会社の関係引揚者の関係も皆含めまして地域的に決めてやつて行きたいと思います。そして実際の状況を見まして、地域的に不公平があつた場合には、次回からそれを調整して行くということで、成るべく全体的の結果から見て地域的な不公平のないようにして行きたいと思います。
#40
○委員外議員(藤井丙午君) もう一点だけ。今年度のあれでは百五十億の資金を用意されるわけでございまするが、この資金は今後ますます出るのでございますが、それに応じて増大して行くというようなお考でありましようかどうか。
#41
○政府委員(伊東五郎君) 公庫の資金が、この法律によりますと百五十億となつておりますが、これは年度内の償還もございまして、約一億五千万円の償還を見込んでおりますが、貸付金は百五十一億五千万円程見込んでおります。従いましてこの資本金は二十五年度で皆使つてしもうということになります。二十六年度は幾らぐらいございますか、十億やそこらはあると思いますが、これでは新しく建てるには到底不足するのでございまして、二十六年度の分は又法律の改正を願いまして資本金の増額なり、或いは見返資金その他の資金による増資を考えたいと思います。
#42
○委員長(中川幸平君) 藤井議員に対する質疑はありませんか。
#43
○委員外議員(藤井丙午君) どうも有難うございました。よろしくお願いいたします。
#44
○北條秀一君 先程の住宅組合に関連いたしまして質疑を続けたいと思います。只今藤井議員からも住宅組合についてのお話がありましたが、住宅組合法を改正しないということは、先に岩澤次官が本委員会において言明されたのであります。ところが今回の法案によつて、住宅組合法に基く住宅組合に対する融資というものが挙げられておりながら、実際にはその取扱は住宅組合として取扱つていないというのが今の伊東局長の私は御説明だろうと思うのです。結局組合を作るのは全く意味がないということになる。即ち組合を作つても個人に貸すんだということでは、何のために住宅組合法に基く組合をここに融資対象として挙げておるのか、その意味が私にはよく分からない。これは結局羊頭を掲げて狗肉を売ると言いますか、そういう結果になると思うのです。ですから飽くまで住宅組合というものを、よしんばこれは古い法律に基くのでございましようけれども、先程言いましたように、今日あらゆる点におきまして経済活動を協同組合というふうな方法によつて国民大衆の生活を安定させようという時でありますから、飽くまでも私は住宅組合というものを尊重し、住宅組合を極力育成して行くということが最も大切なのだというふうに考えます。従つてその点は伊東住宅局長及び建設省の方の考え方が非常に違うのじやないかと考えます。これはどうしても住宅組合を尊重し、それを育成するという方向に向つて行かなければならんと考えます。併しこれは勿論討論になつて参りますのでもう一度その点について伺いたいのは、住宅組合の設立を、今後この法律が成立した際には積極的に各都道府県が指導をされるのか、或いは今のように住宅組合の設立については極めて消極的な態度を取つて行かれるのか、どうされるのか、もう一度その点をはつきりして頂きたいと思います。
#45
○政府委員(伊東五郎君) 住宅組合については只今のお言葉の中に、組合員個人に貸すというあれがありましたが、これはそうじやありませんので、組合に貸付けるわけでございます。ただその組合の貸付けるかどうかの決定の際に個人々々について調べ、又その抽籤でも必要になつた場合には個人個人を抽籤にかけて決めて行う、こういうことでございますので、その点ちよつと誤解のないように願いたいと思います。
 それからこの組合というものを積極的に育てて行くのかどうかというお話でございますが、いいものは大いに積極的に育てたいと思います。例えばこの職域で、先程からお話がありましたような、一つの会社の従業員が大勢貸付の申込をするというような場合には、成るべくこれは職域の組合としてやつて頂く方が貸す方も借りる方も、お互いにいいのじやないかと思うのです。そういう点は積極的にやつて行きたいと思つております。それから地域的の組合でありますが、これにつきましては、この資金の回収などの関係もございまして、成るべく一団地に……嚴密な意味の一団地じやありませんが、東京都の各地にバラバラに建てるということでなく、或る地域にまとめて建てるということにいたしたいと思いますが、それからその組合員は、皆同じように相当住宅の困窮者であり、そして貸付の対象になる人で構成されるようなものを対象としたいと思つております。
#46
○北條秀一君 今の御説明でありますと、組合というものは全く意味ないと思うのです。ことにその貸付の順位が団地を、団地に集団的に家を建てるという場合を優先されると、まあ、それを対象として考えたいということになりますと、実際東京都内にしましても、大阪、名古屋にしましても、七人以上の人間が組合を作つて三百五十九坪とか、或いは七百坪の土地を得てやるということは、住宅困窮者には全く不可能な問題じやないかというふうに考える。そうなつて来ますと、結局この法案によつて住宅融資を受けるものは、先程請願にありましたように、相当な官署又は銀行、会社が保証をして、そうして土地を提供するというふうなところに住宅の融資がされるのであつて、される結果になつて、そうして本当に住宅に困つている引揚者とか、というものは、いつまでも住宅が手に入れることができないということになつて来ると思うのでありますが、そこで、私はもう一つお伺いしたいのですが、住宅組合法による、住宅組合に貸さないとということになりますと、組合の存在の意味というものはどういうふうになるわけでありますか。
#47
○政府委員(伊東五郎君) 住宅組合に貸さないということは毛頭ありませんです。ただ組合を結成したがために、第一の個人と別な扱いをする、特別の枠を設けて優先をするということがないというわけであります。まあ結果から申しまして、職域組合は別として地域的な組合は大した特点もない、作るだけの価値がないじやないかということも考えられるわけであります。
#48
○北條秀一君 今のお話で、私は先程申しましたように、住宅組合というものを作つてやる方がいいのだという考え方と、伊東局長の考え方は、住宅組合を作つたつて大したことはないから、むしろ住宅組合を作るより個人でやれという考えだと思うのですが、従つておのずから本公庫の運営が伊東局長の考えておられるような線に向つて行くと思う。そうなると何が故に住宅組合法による住宅組合というものをわざと挙げたのか、こういうことに非常に不審を抱きます。私の先程来主張しておりますのは、住宅組合法に基く住宅組合を大事にしなさいということを主張しておるのでありまして、これは更にこれから先きの質疑討論の際に譲りたいと思います。
 そこで質問を進めまして、十七條の第三号の最後にその他の法人と書いてありますが、その他の法人とは一体どういうものを意味するのか、例えて申しますと、別途に請願が出ておると思いますが、生活協同組合が、その組合員のために住宅を作りたいということを言つて来た場合に、そういつた生活協同組合というような法人は、この中に含まれるのかどうか……
#49
○政府委員(伊東五郎君) この法人は財団法人、社団法人というようなものでありまして、生活協同組合もこの中に入れて差支ないと思います。但しです、この賃貸を行う会社の事業については、外に規定がございまして、建てた家を貸す人、借りる人、借りる人の選定のし方、それから家賃など規定することになつておりますが、家賃は余り高いものはいかん、入る人は一般に公開されなければならんという方針にいたしたいと考えておりますので、生活協同組合の組合員だけを対象とする賃貸住宅を作るという場合は、若干その方針と喰い違つてる点もありまするので具体的の場合について調べなければならんと思つております。
#50
○北條秀一君 只今局長が言われました、家賃は余り高いのじやいかんということは、これは業務方法書の中に、そういうことを謳われるでありましようか、どうなんでしようか。
#51
○政府委員(伊東五郎君) これは三十五條に規定しておりまして、主務省令で定めることになつております。
#52
○北條秀一君 家賃は余り高いものであつてはいけないということでありますが、そうなりますと、第二十一條の貸付金の利率は、年五分五厘ということになつておりまして、これは別途に住宅局長から我々に提出されました公庫から貸付を受けたものの負担額についての資料が来ているのでありますが、これと関連いたしまして、私は若干御意見をお聴きしたいのです。と言いますのは、家賃が余り高いものであつてはいかんというのは、余り高いというのは、どの程度を指しているのか御承知のように、今日公務員は六千三百七円の賃金ベースでありますが、その中から、例えばいろいろな人が、十坪の家で十七万円借りて、五分五厘払つて、十年で年賦償還をしようとすると、月千七百三十六円というものを払わなければならん。この一千七百三十六円を、聞くところによりますと、衆議院で大部議論があつたそうでありますが、果して千七百三十六円でおさまるかどうかということも疑問でありますが、六千三百七円のベースの中から千七百三十六円という家賃を払われるかということになると、非常に苦しいものだと思うのです。これは非常に家賃が高い、家を獲得するのですからいいのかも知れませんが、高いというふうなことになりますが、余り高いものであつてはいかんということは、一体どういうふうな方針でお決めになるのか、その点、これをもう一度詳しく述べて頂きたいと思います。
#53
○政府委員(伊東五郎君) この十七條三号の賃貸の住宅については、大体コンクリートのアパートを、差当り考えているわけでありますが、その場合に五分五厘で、償還期間は三十年になつております。融資は七割五分を融資するということでございますが、三十年で償還をするような計画を建てますと、家賃が相当高くなります。ただ三十年経ちましてもコンクリートのアパートですと、まだ残存価値が相当あります。三十年経つても家が腐ることも何もありませんから、後に相当資産が残りますから、そういうものを計算に入れますと、或る程度の低い家賃が決まるわけでありますが、三十年で、五分五厘ということで計算をしますと、相当高くなるのです。それを、家の耐用年限に応じてもう少い低い家賃で決めて貰いたいということにいたしたいと思つております。これはまだ確定的なものじやありませんが、大体坪当り二百円程度、十坪ありますと二千円の家賃になりますが、大体その程度のものを決めたいと思つております。
#54
○北條秀一君 二十一條の「第十七條第一項及び第二項の規定による、貸付金の利率は、年五分五厘とし」ということは、これはどう考えたつて非常に高いということは、いろいろ計算すれば分ると思う。又これについては、高いか安いかということについては、私余り詳しく述べませんが、これをどうしても年五分五厘にしなければならないという理由もなければ、従つて又同時に下げてもいいという理由も成立つわけでありますが、これは年五分五厘を四分五厘乃至三分五厘に下げるということについて、政府は考えられたことがあるのでありますか、その点を一つお聴きしたいと思うのであります。
#55
○政府委員(伊東五郎君) 例えば木造の場合で申しますと、先程お話がありましたが、十坪の家でも七割貸して十年で償還する、そういう場合には、税金などを全部見ますと千七百三十六円というものの負担になるわけでございます。これはもう少し安い場合もあります。七五%貸して十五年まで掛けるわけですから、その場合には少し低いのですが、それにしましても可なり重い負担になります。これは、こういう五分五厘という率にいたしまして十五年償還するということにいたしました結果、そうなるわけでございますので我々としてはできるだけこの負担を軽くするようにいろいろと研究もし、関係方面との折衝もしたわけでありますが、一応この五分五厘と言いますのは、見返資金の公共団体に対する融資の場合、国債の利子、そういつたような、現在行われておりまする利率としては最低限のものを押さえた、又そうせざるを得ないような状況になつたわけでございますので、公庫の直接の費用としましては、実はこの貸付金について五分五厘までは経費はかからないのでございまして多少のゆとりはあるわけですが、結局そういう條件が決まりましたので、こういう住宅政策を担当するものとしましては、不満足な点も実はあるのでございますが、こういうような條件にせざるを得なかつたわけであります。その点一つ御了承願います。
#56
○北條秀一君 それでは金融公庫を運営した場合の資金コストは一体どれくらいになるのですか。誰でも結構です。
#57
○政府委員(伊東五郎君) これは実は初年度は五分五厘取りましても実は赤字になります。これはまあ止むを得ないと思いますが、まあ平年度と言いますか、毎年これぐらいの事業をずつと続けて行くことになりますが、コストは的確にはまだ出ておりません。委託業務なんかの手数料なども十分折衝が済んでおりませんので、そういう関係から十分正確なことは申上げられませんが、恐らく四分以内になるのじやないかと思つております。
#58
○北條秀一君 見返資金とか国債の利子等の関係は先程お述べになつたのでありますが、公庫の狙うところが実際に住宅のないものに対する資金の融資ですから、資金コストというものが、資金コスト以下に私は金利を下げて行くというのが厚生行政、或いは建設行政から行きまして至当なことだと思うのであります。そういう点から行きまして五分五厘というのは非常に高い。少くとも五割なり六割高いということを考えられるので、四分以下に次年度からは下げられるというならば、当初からこれは三分五厘なり或いは三分八厘なりに下げるということが至当ではないかというふうに考えますが、それがどうしても関係方面との折衝の結果できないような口振りでありましたがこの点についてもう少しはつきりした事情をお知らせ願えるならば非常に幸いだと思うのであります。
#59
○政府委員(伊東五郎君) ちよつとそれ以上の御説明はいたしかねます。
#60
○北條秀一君 速記を止めて貰いたい。
#61
○委員長(中川幸平君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#62
○委員長(中川幸平君) 速記を始めて。
 住宅公庫法案の質疑はまだありましようけれども、又次回にいたします。
  ―――――――――――――
#63
○委員長(中川幸平君) それでは建築士法案を議題といたします。提案者の説明を承りたいと思います。提案者、衆議院議員田中角榮君。
#64
○衆議院議員(田中角榮君) 建築士法案の提案理由の説明をさせて頂きます。
 過般来より衆議院建設委員会で各党議員提案といたしまして、法案の立案に当つておりました建築士法案も、各党議員の御協力を得まして、去る四日衆議院に提出、去る五日衆議院建設委員会に付託になりまして、建設委員会の審議を煩わし、衆議院を通過いたし当参議院建設委員会の御審議を煩わすことになつたのであります。建築士法案の提案の理由及び要旨を総括的に先ず御説明いたします。
 建築物の災害等に対する安全性を確保し、質の向上を図ることは、個人の生命財産の保護と社会公共の福祉の増進に、重大な関係を有するものであります。そのためには、専門の知識、技能を有する技術者がその設計及び工事監理を行うことが必要であります。
 建築士法は、この趣旨に則り、建築物の設計及び工事監理を掌る技術者の資格を定めて、試験制度により、建築士の免許登録をすることにより一定の技術水準を確保すると共に、その業務に対する責任制度を確立しようとするものであります。
 過去数十年来、建築士法制定の必要性は、識者の唱導して来た所でありまして、欧米においても、夙に建築士制度を法制化し、建築の設計及び工事監理に知識技能豊かな専門技術者を当てて、建築設計技術の向上と設計者の責任制度の確立に努めておる状況であります。
 今回政府においては市街地建築物法を全面的に改正すると同時に、臨時建築制限規則を廃止して、建築手続等も極力簡易化せんと企図しております。丁度この時建築士制度の法制化を実現しますことは、両々相俟つて、今までの監督行政を脱し、民主的な建築行政を確立する所以と考える次題であります。
 次に本法案の内容に関し特長とする点を二、三御説明いたします。
 第一に、試験による免許登録制度によつて、建築の設計及び工事監理の專門的技術の一定水準の保持とその向上に資することができます。
 第二に、建築に際して建築関係法規の確実な適用が期待されると共に、建築士の創意工夫により合理的且つ経済的に建築物の安全性の確保等の経済価値の増進を図ることができます。
 第三に、建築の設計は建築士に、工事の実施は建設業者にとおのおの責任の所在を明確にすることにより、相互に不正過失の防止を図ることができます。
 第四に、建築士制度の確立により建築主は設計、建築手続、工事監理についての煩鎖な事務を、建築士を信頼して委せることができるようになります。
 最後に経過的措置について若干説明を附け加えます。かかる制度が新たに設けられますと、現在までこの方面の職に従事していた人々が或は試験に落ちて職を奪われはしないかという心配が起ります。本法においては、我が国の現状に鑑み、建築士を一級及び二級に分けておのおのその適当な職分を受持つことができるように配慮しておりますから、この心配は少いのでありますが、更に附則において、現在の有資格者に対しては暫定的に試験を用いず、選考によつて免許を与える道を開いております。又この場合の学歴や実務経験の基準を十分に実情を考慮して一方余りに緩に失して法の目的を阻害せしめないと共に、他方余りに嚴に過ぎて、現在の営業者を困らせることのないように十分に留意したつもりであります。
 以上で本法案の大要を御説明申上げました。何とぞ十分に御審議の程をお願いいたします。
 次に本法案の各條につきまして簡単な御説明を申述べたいと思うのであります。第一章は総則であります。第一條は法の目的を明らかにしたものです。第二條は法文中に出て来る用語の定義であります。建築士という名称はアーキテクトの訳語として、現在すでに我が国でも通俗的に使用されております。これが本法により法律用語となると、これに類似の用語の使用は禁止せられます。
 建築士を二階級に分け、程度の高いむずかしい構造物を設計する人を一級建築士、その次の程度のものを設計する人を二級建築士といたしたのであります。二階級に分ける方が現状に即すると考えられたからであります。
 名称の先例としては、教育職員免許法に一級普通免許状及び二級普通免許状という言葉が使われております。当初は建築士及び建築工務士という案もありましたが、工務士の名称は外国のエンジニヤの訳語と間違えられることを恐れて避けました。又建築士及び建築士補の案も出ましたが、必ずしも輔佐的な仕事に限らないという理由で止めました。この外建築士及び建築工士の案も考えられましたが、原案の方が一般に分りやすいであろうという理由で採用されました。
 工事監理という言葉は、普通に工事の監督という場合よりやや狹い意味に定義されております。法律で縛るのはこの範囲として、建設業者との限界を明確にするよう留意したものであります。尚第二十一條の業務の條で明らかな通り、建築士が工事の監督をすることは差支ないのであつて、ただ法律的な責任としては、設計及び工事監理の範囲に限られるわけであります。
 第三條は、建築士に権限を与え、これを保護する趣旨の條文でございます。これは元来別の法律といたしまして近く政府から提案されるであろう建築基準法に規定するので適当でありますが、一応本法に簡明に規定いたして、詳細は同法に譲る予定でございます。尚建築基準法の成立が遅れるような場合には単行法として出すことも考えられておるのであります。学校、病院、劇場、百貨店等特殊用途の建物で九十坪以上のもの、鉄筋コンクリート等木造以外の建物で二階以上又は六十坪以上のものは、一級建築士でなければ設計又は工事監理ができなくなります。又特殊用途の建物で三十坪以上、木造以外の建物及び木造でも三階以上又は九十坪以上のものは一級建築士又は二級建築士でなければ設計又は工事監理ができなくなるのであります。その外の建物、即ち特殊用途の建物の三十坪未満のも又は二階までの木造で九十坪未満の建物はこの規定ができてからも誰でも設計又は工事監理ができるわけでございます。従つて一般の木造住宅の建築等に対しましては大きな影響を与えないのであります。この緩嚴の度合につきましては論議の余地が尚あることと思いますが、我が国の現状から一歩前進した形といたしまして上述の通りの規定を構想いたしておる次第であります。
 第二章は免許の章であります。本章は建築士の免許、登録制度に関する規定でございます。第四條は、一級建築士の免許を国が行い、二級建築士の免許を都道府県が行うといたしたのは、二級建築士の仕事が大体その都道府県内で行われると予想せられますので、実情に即した免許を行い得る便宜があると考えたからであります。先例といたしましては、保健婦、助産婦、看護婦法による甲種看護婦は国で、乙種看護婦は地方で免許することになつております。
 第八條は建築に関する犯罪者は勿論不適格でありますし、その他のことに関しても禁錮以上の刑に処せられた者は不適格といたしました。ただ後からこの條文に対しましては御質問、疑義等があると思うのでありますが、禁錮以上の刑に処せられた者、及び建築に関し、罰金以上の刑に処せられた者は全然不適格であるかというと、そういうものではなく、聴問その他によりまして尽くすべき手段を尽して、尚取締のできないというような者を審議会の議決によつて不適格者として決定するつもりでおります。
 第十條は、建築士に不誠実な行為があつたときは、その軽重により、懲戒として、戒告、一年以内の業務の停止、或いは免許の取消等が行われることを規定いたしております。業務の停止及び免許の取消は建築士に取つて死活に関する重大問題でございまするから、特に聴問を行い、且つ審議会の同意を得るという民主的な手続を踏むこととし、当事者の独断を排し、慎重を期したのでございます。
 第三章は即ち試験の項でございます。本章は資格試験の方法、受験資格等に関する規定であります。
 第十二條は、試験の課目といたしましては、建築設計及び製図、建築構造、建築施工、建築材料、建築衛生、電気並びに給排水等の建築設備、建築関係法規等に関する基本的な事項が予想せられております。一級建築士に対してはこの外構造力学、煖冷房設備、建築史、都市計画等に関する常識的な事項が加わることも予想せられます。
 第十三條は、試験は少くとも一年に一回は行うこととして、免許の機会を長い間塞ぐことのないようにした規定でございます。
 第十四條及び第十五條は、受験資格を定めたもので、その年限を図示いたしますれば、別紙の参考図の通りになるのでありますが、この別紙はお手許まで配付申上げたいと思います。学校の課程といたしまして、建築、又は土木といたしましたのは、両学科共建築物の安全性に関係する構造力学を十分に修得しておると見られるからであります。一般に建築と土木の学歴に特に差別をつけなかつたのは、建築、衛生、設備又は意匠方面の知識は建築に関する実務経験中に修得されるものと予想せられるからであります。従つて、第十五條第一号のごとく、学校卒業が直ちに資格を生ずるような場合に限り、土木工学科の卒業生に対しては、更に建築に関する実務経験一年を必要といたした次第であります。機械、電気、衛生等の課程を修めた者も同様に取扱つたらどうかという要望もあるのでありますが、これらは構造力学に関しては不安な点がありますので採用いたしませんでした。
 一級建築士の受験資格として、実務経験のみのものを認めなかつたのは、鉄筋コンクリート等の構造物を設計するには、構造力学に関する基礎知識を必要とすると考えたからであります。学歴の全然ない者に対しましては、二級建築士の経験四年を必須要件とし、その間にこの方面の知識を補えるものと予想いたしたのであります。
 第十四條第四第号及び第十五條第三号に「前各号と同等以上の知識及び技能を有する者」とあるのは、大体、外国の学校を卒業したものを予想いたしておる次第であります。
 第十六條は、受験手数料は一級建築士に対しては八百円程度、二級建築士に対しては府県の実情に応じてそれ以下の額が予想されておるのであります。
 第四章は業務の項であります。本章は建築士の業務に関する規定でございます。
 第十八條の二項は、建築士は法令に適合した設計をせねばなりません。この規定があるために、建築士の設計した建築物に対しましては、特に許可手続を簡易にすることができるわけであります。
 第三項は、工事施行者が建築士の注意に従わない場合、建築士はその旨を建築主に報告せねばなりません。その結果、建築士の依頼によつて、建築士が更に種々の措置を取ることは当然考えられるところでありますが、これは本法規定の範囲外のことでありまして、建築主と建築士との間の別の民法上の契約に基く行為となるのであります。
 第十九條は、設計変更の場合は原則といたしまして原設計者の承諾を求めて行うことになつており、従つて、その責任も当然原設計者が負うことになつております。何かの事情で、例えば設計者が遠隔の地におる場合等、原設計者の承諾が得られなかつたときは、他の建築士が自己の責任において変更することになるのであります。この場合変更部分の設計責任は変更を行つた建築士が負うことは勿論でございますが、将来その建物に障害が起り、それが設計変更のために生じたということが技術的に確認されたときは、その責任は設計変更者が負うべきものと解せられます。
 尚一級建築士でなければ設計できないような構造物の設計変更を、二級建築士が行うことは当然許されないのであります。
 第二十條は、建築士が設計図書に記名、捺印してその責任を明かにいたした規定でございます。
 第二十一條は、建築士は本来の業務の外、本條に掲げる業務を当然に行うことができます。建築手続の代理業務は、府県によつては、條例による免許制度を採つているところもありますが、本法による建築士は、その條令に拘らず、当然に代理業務をも行い得ることといたしたのであります。
 第五章は、建築士事務所の項であります。建築士が業務を行う建築士事務所に関しましては、当初登録制にすることも考えられましたが、種々の事情で単なる届出制に改められたわけであります。従つて府県毎に建築士事務所名簿を作成する等のことも法律には規定されませんでしたが、これらの仕事は民間の団体、即ち建築士会等において自主的に行い、公衆の便宜を図るべきものと考えておるのであります。
 第二十三條は建築士事務所を開設する場合の届出に関する規定であります。出張所については規定せられておりませんが、独立して業務を行う場合は一個の建築士事務所として当然届出なければなりません。
 他の府県へ移転した場合は、元の県へ廃止届をし、新たなる県へ開設届をすることになるのであります。
 第二十四條は、一人の建築士が多数の建築士事務所を持つことを禁じた規定でありまして、これによつて責任ある業務を行わせようとするものであります。法人等で各地に支店、出張所を設ける場合には、専属の建築士を配置しない限り、建築士事務所と称することは当然できないのであります。
 第二十五條は特定の建築物の設計、及び工事監理は建築士でなければできないので、設計料等を独占的に不当に引上げられた場合には、一般の人が迷惑することになります。又、逆に競争的に不当に引下げるようなことが起れば、正当なる業務を行い得ないようになることがあるのであります。料金の最高又は最低の基準は建築士会等の民間団体が地方別に自主的に定めることが最も適当と考えられますが、何らかの事情で行われ難い場合を予想いたしまして、必要があれば建設大臣も中央建築士会の同意を得てこれを勧告することができるように規定いたしたのであります。
 第二十六條は、建築士事務所の監督に関する規定でありまして、不都合があつた場合は都道府県知事が閉鎖を命じ得ることになつております。但し閉鎖命令も重大な問題でありますから、聴問並びに審議会の同意を必要といたしたのでございます。
 第六章は、建築士審議会及び試験委員についてであります。
 即ち第二十八條は、建設省に中央建築士審議会、地方に都道府県建築士審議会を置き、本法施行に伴う重要事項の審議に当らせると共に、関係各庁に建議することができることになつております。これはこの種法律の民主的な運営に必要な措置と考えられます。
 第二十九條は、審議会の委員は原則として建築士の中から建設大臣、又は都道府県知事が委嘱することになつております。一般にこの種、審議会は関係官庁の職員や学識経験者を以て構成するのが従前の例でありますが、大臣や知事の諮問機関に官庁の職員が入る必要はないという意見もありますので、且つ餅は餅屋の方が適当であろうということで、原案のごとくいたした次第でございます。勿論、建築士の資格があれば、官庁の職員や学識経験者も委員となることができるのであります。
 二項は小さな府県等で建築士の数が十分でないような場合には、その他の学識経験者を以て補うこともできるようになつておるのであります。
 第三十二條は、本法施行上必要な試験委員も原則といたしまして建築士を以て当てることになつております。これはかかる制度を技術的に権威づけるゆえんと考えられたからであります。
 第七章は罰則であります。原則といたしまして、余り重い刑罰を科することなく、行政上の運用によつて措置する方針を採つております。例えば、建築士が法令に適合しない設計を行つたとき、建築主に対する報告を怠つたとき等は、すべて第十條にいうところの「不誠実な行為」をしたものと見なして業務の停止又は免許の取消等によつて臨み、刑罰は科されないことになつておるのであります。
 第三十五條は、本法による最も重い刑罰でございます。第三号は不誠実な行為により業務停止を命ぜられたものがこれに違反した場合であります。第四号は専任の建築士を置かずに建築士事務所を開設した場合で、第一号に言う業務を行うための名称詐称に等しいと認められます。第五号は建築士事務所が都道府県知事の閉鎖命令に違反した場合であります。
 第三十六條は、これは前條よりも軽い罪で、体刑は含んでおらないのであります。第一号は単純な名称詐称の場合であります。第二号は試験委員等が不正を行つた場合であります。
 第三十七條は最も軽い過料処分でございまして、これは建築士事務所の届出を怠つた場合に適用されるのであります。
 附則について簡単に申上げます。第一は施行期日に関する規定であります。第二十二條の建築士でないものが建築士の名称を用いてはならないという規定、及び第五章の建築士事務所に関する規定は、実際に建築士が選考されて業務を開始し得ると認められる時期、即ち明年七月一日まで施行を延期いたしたのであります。第二から十二まででありますが、二項から十二項までは現在設計及び工事監理を業としている者に対する経過的な措置を規定いたしたのであります。かかる人々に対しまして、試験を行わず、選考により資格を与え得る便法が講ぜられておるのでありまするが、余りにも緩やかに過ぎて本法の趣旨を没却されることのないように、必要と認められるものに対しましては考査を行うこともできるようになつておるのであります。二項三項の選考の対象となる資格は、第十四條及び第十五條の受験資格より若干きつくなつておりますが、即ち経験年数において一年乃至二年ぐらい延長されていますが、これは試験を省略するための当然の要請であります。但し、従来正規の学校を出なくて、この種業務に従事する者も若干おりますため、その救済のため、実務十五年の経験を有する者は一級建築士に、実務十年の経験を有する者は二級建築士に、それぞれなれる道を開いてあります。勿論この場合には第七項による考査を行つて実力のない者が建築士となることは防止せねばならんものと考えます。この條項に対しましてもいろいろ御質問御疑念があると思うのでありますが、二項の第四号に規定したものの中には、今までこの種法律の條文が不備のために実力がありながら実際に試験を行わなければ経過措置によつて拾い上げられなかつたというがごとき、即ち専門学校令によらない学校、中等学校令によらない学校で専門な学校がございます。それは即ち専門学校に準ずる学校では中央高等工学校、早稲田、日大、法政の各高等工学校、武蔵高等工学校というがごとき高等工学校、及び中学校令によらない学校ではありますが、これに準ずる学校、即ち築地の工学校早稲田工学校、中央工学校、東京工学校、法政工学校、日大工学校のごときものもこの第四号において拾い得るようにしてあります。尚第五号の「建築に関して十五年以上の実務」ということでありますが、これは即ち建築士法案の主目的を達成するに逆行しない人人を実は規定しておるわけでございます。條文として書き込むことは非常に技術的にむつかしいのでこのような條文になつておりますが、大体の考といたしましては、現在学歴はないのでありまするが、実務経験十五年以上あり且つ東京都並びに大阪府等によつて條例で試験をいたし、その合格者が建築代理士としてこの種業務に携わつておる現在の人達を大体の対象として指しておるわけであります。第四項は選考の資格は明年三月三十一日を基準といたし、選考の申請は同じく四月三十日までとしてあるのであります。これは種々に準備等に要する期日を見込んだものであります。第五項から第十項までの選考委員に関する規定は試験委員に関する規定に準じたものであります。但しこの場合は未だ建築士がございませんので、選考委員は関係官庁の職員と学識経験者を以て当てることにいたしておるのであります。第十一項は選考及び考査の基準というのは、実務経験とは如何なる経験を指すか、如何なる場合に考査を必要とするか、或いは考査の課目等に関する事項で、これが各地方で区々にならないため建設大臣が告示をすることになつておるのであります。考査の課目は大体前に述べた試験課目に準ずるものと考えられております。第十二項は本年は選考前でありますから当然試験は行われません。初の試験は明年の後半になるものと考えられておるのであります。第十三項は建築士が定まるまでの建築士審議会の暫定的な構成を規定いたしたものであります。第十四項は建設省設置法に事務的な改正を行う規定であります。
 以上で甚だ雑駁なものでございましたが逐條の御説明を終りたいと思います。よろしく御審議をお願いします。
#65
○北條秀一君 質問していいですか。
#66
○委員長(中川幸平君) どうぞ。
#67
○北條秀一君 大変御努力になりまして建築士法案をお作りになつたことについて敬意を表しますが、今御説明になつた咄嗟の間でありますので、十分まだ法案を勉強しておりませんが、以下五、六点気の付きました点を質問いたしたい。
 第一は、十四條の第三号、二級試験に合格した者が二級試験後四年を経たなければ一級試験を受けることができないというふうに規定されておりますが、これは大学を出たものが二年経つたら一年実務の経験を経れば一級試験を受ける資格ができるのでありますが、その点と考えますと、大学を出て一年間の経験を経て試験を受ければ一級建築士になれる。ところが二級試験に通つたために、四年間それが待たなくちやならんということは、一つの矛盾ではないか。だから、当然二級試験を通つた人は一年経つたら一級試験を受けて資格を与えていいのではないか、こういうことが先ず考えられる。
 第二点は、十五條の第四号であります。建築に七年以上の経験がなければ二級試験を受けることができないというのでありますが、問題は試験に重点を置かれると思うのでありますが、従つて必ずしもこれは七年でなくとも、五年でも私はいいと考えます。何故ならば、旧来我が国のいわゆる大工さんは親代々大工をやつておる家が非常に多いのであります。私は特にその一つの実際の例でありますが、そういうところは生れ落ちるから大工をやつておりまして、これは一人前になつて大工を始めるときには相当の腕を持つておるわけであります。そういう人を七年以上も経たなければ二級試験を受ける資格がないということは、これは決して日本の現状には即しない。このことは曾て建築学会の皆さんと議論したことがあつたのでありますが、この点は七年が長過ぎやしないかということが私の考であります。
 その次に二十九條の委員の点でありますが、この委員には恐らく、非常勤であつて、従つて委員は何らの手当を貰わないというように解釈できるのでありますが、それはそうなのかどうかということ。
 それから第四点は、遡りますが第五條三項の、建築士の試験を受ける免許手数料でありますが、これは三千円、二千円というふうに定めておりますが、他との関係においてこういうふうに決められたと思いますが、その間の事情を一応御説明願いたい。
 それから次に、附則の二の五項でありますが、十五年以上というのは先程私が申しました理由と同じですが、これは甚だしく私は日本の現状に合わない。自分のことを申上げて恐縮ですが、私は親子五代目の大工であります。従つて小学校を出たときには相当のいはば経験とあれを持つておつたわけなんです。そういうのが非常に日本に多い。でありますから十五年以上の実務の経験を有するというのでなくて、これはもつと下げてもいいのじやないかと思います。要するに建設大臣が選考するのでありますから、その実情に即してやればいいのでありますので、必ず十五年にしなくとも、十年でも結構と思います。従つてこの三項の五でありますが、同様に二級試験を受ける場合に、十年以上の実務の経験を有する者、これも私は先を十年にすればこれは五年にしていいと思います。一貫いたしましてこれらは学校を出るという者を尊重して、実際に日本にあるところの、親代々から薫陶を受けて建築をやつておるという人達を非常に粗末に扱つておるのじやないかという点が考えられるので、その点についての御見解を願いたい。
 それから最後に、附則の十四項の「建設省設置法の一部を次のように改正する。」とありますが、これは大したことではありませんが、見て直ぐおかしいなと思つたまででありますが、それは「第十條の表中測量審議会の項の次に次の二項を加える。」とありまして、中央建築士審議会、一級建築士試験委員会というふうになつておりますが、中央建築士と一級建築士と如何にも肩を並べておりますが、一級建築士の上に中央建築士があるというふうに感じますので、これを建築士中央審議会というふうに名前を変えた方がいいのじやないかと考えますが、如何でしようか。以上であります。
#68
○衆議院議員(田中角榮君) お答え申上げます。先ず第一問の二級建築士合格者が、四年以上経たなければ一級建築士になれないというのは、少し実情に即しておらないじやないかという御質問のように承るのでありますが、この問題も、それから第五番目の問題も同じでありまするが、この種の法律案に目的が、やはり高度の技術水準というものを求めておるという、根本の目的を一つ持つておるわけであります。その意味で現在の実情に鑑みまして、私達立案者は一級、二級というふうに原案の通り規定した方が実情に適するのではないかと、こういうふうに考えたのでありまするが、私達も立案の当時、かかる試験は全部学歴、経験を問はず、まさに平等という原則に立ちまして国家試験を行なつた方がよろしいということを考えたのでありまするが、現在税務代理士というようなもののように、学歴偏重というふうには十分ならないように、国家試験を一様に行うということも強い意見ではあつたのでありまするが、いろいろこの種法案を参照いたしましたときに、現在の日本の建築技術という面から考えまして、実情に副う法律を作る、條文を作る、そういう意味で、而も尚緩やか過ぎないように、嚴に過ぎないように、過度的な現象を十分直視しまして、現実とこの法律案施行がマツチするようにするには、現在の日本の状態では、大体このようなものがいいのではないかというふうに考えたのでありますが、御意見は非常に私達自身も考えましたものでありますので、もつとよく研究する必要があるとも思います。
 尚第二点は、同じような御趣旨であると思うのでありますが、経験年数を七年経たなければ二級建築士受験資格がない。これを五年にしたらどうかということも考えられておるのでありまするが、当時建設省並びに建築士会でお作りになつた案というものは、この案よりももつともつと強い案であつたのでありまするが、私達は、私自身もこういう原案に対しては非常に不賛成であるというので、一年間もこの種法案を各国の例を研究いたして、ようやく今国会に間に合うようになつたのでありまするが、一級、二級というふうに、試験の関門を設けて高度の水準を得るためには、大体私達が考えまして、現在第一線におりますものは、私達が普通に考えておつた二級建築士であります。併しこの法律案を実際に作ることになりましたときには、現在第一線におりました人達を大体一級建築士として拾い上げるようにいたしまして、現在第二級建築士として考えておりまするのは、個人で責任を以て営業を行なつており、且つ大学を出、成規の課程を修めたというのと同じ程度の高等力学その他を同じ程度に修めるには、大体やはりこの程度の経験年数を有して、この間に修めて頂いて、それで二級建築士であつても、二級建築士で以て三年か四年のうちにこの程度の実力を作つて頂いて、一級建築士の試験を受けて頂く、そうでないと余り四年が三年になり、七年が五年、四年になるということになると、実際問題として相当高度な試験を行うということは無理ではないか、こう考えたのでありますが、中には二年、三年で二級建築士の試験を受けられるという人も出て来るであろうとは思いますが、一般的に考えまして、実情に即するのは大体七年と、こういうふうに考えたわけであります。
 尚第三問の、試験委員の給料は、おつしやいました通り非常勤でありますが、月額の給料というふうなもの、即ち俸給ということによつて規定いたしてはおりません。併し旅費、日当その他は当然実際動いたものに対しては支給しなければならんというふうに考えておるわけであります。
 それから第四番目の質問に対しましては、いわゆるこういう国家試験を行なつておる手数料がありますので、弁護士試験に約五千円、而もこの種の受験料は大体二千円から三千円以上という類例があるようでありましたので、大体このように規定いたしたわけであります。
 尚もう一つ、第五番目の現在の経過規定によりすくい上げるという附則の十五年以上でありますが、これも非常に論議があつたのでありまして、これも私達も十年乃至十二年というのが原案であつたのでありますが、私達がこの法律案を出しますときに、前に衆参両院を通過して現在法律となつております測量法のの一部を改正する法律案を同時に提出したわけであります。勿論この法律というものがOKになるのであるならば、飛躍的なものであつて実情に即しないので困つておるというふうに御説明申上げたんでありますが、測量法は御承知の通りもう出たものであり、高度の技術水準を求めるものであり、且つ官庁の測量のみ即ち高度の技術と精密を要求するがために作られて、この衆参両院を通じ現在立法されて法律になつており、これを改正するがごときものであるならば、この法律案を作つても本当にただ名称だけを与えるということになつて、立派な法律が死んでしまうじやないかというような御意見もあつたようでありまして、私自身もこれが受験資格といたしまして与えるならば、規定するならば十年が七年でもそう大きな問題はないと思います。そして今度のものは大体において無試験選考で以て採るのでありますから、そういう意味で、この法律案の主目的を阻害するようなものがあつては非常にいけない、併し同時に現在事業を立派に行なつておる方々が、学歴はなくても現に営業をしておられる方々、いわゆる自分の息子のような人達から、現に今までボール持ちをやつておつたような方々が営業をやつて、今まで営業をしておりましたところの親父さんが実際の責任者でありながら俗に言う袴人夫になるということは、これは当然排除しなければならんという、こういうような考から実際の対象ていたしましては、こういう業務を行なつておる者、設計管理、工事管理というごとき業務を行なつておられる営業者ということを考えますると、まあ少なくとも四十五歳から五十歳ぐらいの方々以上、而も学歴が全然なくてこういうことをやつておられる方々というのは非常な少数でありまして、この項も取つてはどうかという意見もありましたが、この影で泣く人を一人でも二人でも作ることは、それはいけないと考えまして、少くとも十五年ということであるならばこの法律案の主旨に危険などというような人を選考することもないでありましようし十五年というのは、先程の説明で申上げましたように実際に東京都、大阪府の條例による建築代理士の試験に合格し、現のその職務に従事しておるもの尚これが選考の対象としては現に存在する代理士会等の証認を得たものによつて選考に代えるということを規定しておりますので、まあ折衝の結果は、我々のいろ研究した結果は、十五年が妥当だ、而も民間団体その他の御意見も相当承つたのでありますが、初めはこの條文を削らなければならんというようなことがありましたので、民間団体でも十五年でも十八年でも二十年でもいいからというような御希望もありましたので、十五年と規定いたしたのでありまするが、私自身もこれが十五年以上に限定しなければならないかということに対しては幾分の疑惑を持つているのでありますが、今まで研究しました結果、原案通り規定いたした次第であります。
#69
○淺岡信夫君 中央建築士審議会というものは如何にも中央建築士というのがあるようですから建築士中央審議会というふうにしたら如何ですか。
#70
○衆議院議員(田中角榮君) お答えいたします。これは字句の問題でありますが、これは中央建築士審議会というのは建築士中央審議会というのじやない。これは條文を御覧になると分るのですが、その中央と地方でございますから、中央地方と、そういうふうに規定しただけであります。
#71
○委員長(中川幸平君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#72
○委員長(中川幸平君) 速記を始めて。
 それでは質疑を次会に譲りまして本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     中川 幸平君
   理事
           岩崎正三郎君
           仲子  隆君
           赤木 正雄君
   委員
           島田 千壽君
           石坂 豊一君
           大隅 憲二君
           佐々木鹿藏君
           久松 定武君
           北條 秀一君
  委員外議員
           藤井 丙午君
  衆議院議員
           田中 角榮君
  政府委員
   建設事務官
   (住宅局長)  伊東 五郎君
ソース: 国立国会図書館
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