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1949/03/08 第7回国会 参議院 参議院会議録情報 第007回国会 議院運営委員会 第33号
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1949/03/08 第7回国会 参議院

参議院会議録情報 第007回国会 議院運営委員会 第33号

#1
第007回国会 議院運営委員会 第33号
昭和二十五年三月八日(水曜日)
   午前十時四十七分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○議院運営小委員の補欠選任の件
○委員の辞任及び補欠選任の件
○公共企業体労働関係法第十六條第二
 項の規定に基き、国会の議決を求め
 るの件に関する件
○電産争議とゼネスト問題に関する緊
 急質問の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(竹下豐次君) それでは只今から議院運営委員会を開会いたします。
 先ず理事の補欠、互選の件についてお諮りいたします。
#3
○参事(宮坂完孝君) 小林英三君が委員を辞任いたされまして、理事の補欠といたしまして中川以良君が推薦されております。
#4
○委員長(竹下豐次君) 理事の互選、補欠の問題につきまして、委員部長からの報告の通り御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認めます。次に議院運営小委員の補欠選任の件についてお諮りいたします。
#6
○参事(宮坂完孝君) 小林英三君が辞任いたされましたので、佐々木鹿藏君が議院運営小委員に推薦されました。
#7
○委員長(竹下豐次君) 只今の委員部長の報告の通り御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(竹下豐次君) 異議なしと認めます。
 次に常任委員の辞任及び補欠指名の件についてお諮りいたします。
#9
○参事(宮坂完孝君) 予算委員の淺岡信夫君が辞任いたされまして、補欠として予算委員に島津忠彦君が推薦されました。
#10
○委員長(竹下豐次君) 委員部長の報告通り御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(竹下豐次君) 異議ないと認めます。
  ―――――――――――――
#12
○委員長(竹下豐次君) それから公共企業体労働関係法第十六條に関しまして御意見を承わりたいと思うのでありまするが、これはどういう方法で議事の進行することにいたしたらよろしうございますか、その点をお諮りいたしたいのであります。と申しますのは、もう初めから正式に速記に残す御意見を承わることにした方がいいのか、或いは一応懇談会の形式を取つて自由な御討議を願つてそうして必要な点は又速記にはつきり留めるというような順序に取図らう方がいいのか、その点をお諮りいたしたいと思います。
#13
○門屋盛一君 原則として速記に留めまして、而して進行の途中において懇談に移した方がよいと思うときだけ懇談に移すことでよいと思う。それと同時に今日は法律解釈の方をやるのですが。又は案の取扱方に対することをやるのですか。
#14
○委員長(竹下豐次君) 私の意見といたしましては、皆さん方の御意見によつて又御相談の上決めたいと思つております。一応の考えはこの両方をやはり御一緒に御願いしてもよいのではないかとも思つております。
#15
○門屋盛一君 この前の理事の打合会で決めました取扱方法とは異なつて、それを改めて委員長の御意見でお諮りになるのか。この前の理事の打合では国鉄裁定の国会を離れてからの取扱方に対して妥当であつたか、不当であつたかということを先ず検討して、それが決つた後に專売裁定の方に入る、こういう申合せの下に私は進んで来ておると思う。その点どうですか。
#16
○委員長(竹下豐次君) 私の考えておりますのは、專売裁定の問題についての取扱、もう少し具体的に申しますれば、政府からこちらに提出されておるものを受付けるか、返すかという問題を今ここで決めて頂きたいというつもりではありませんが、ただ法律解釈についてこの前の国鉄の場合の関係があります。そのときの取扱方がどうであつたかということも一つの問題になつておるように思います。法律の問題と実際の問題の扱いとは二つあるわけでありますが、そういう両方について御意見を承わつてもよいのではないか。こういう意味で申上げたのであります。その点は併し皆さんの御意見によりまして、又適当に取扱う方がよいと考えておる次第であります。
#17
○中村正雄君 今委員長から提示されましたような取扱方につきましては、やはり基礎となつておる法律解釈を鮮明にしない限りにおいては結論は出ないだろうと思います。従つて関係ありますのは前にやりました国鉄の裁定と、現在かかつております專売公社の裁定でありますけれども、一括いたしまして十六條二項による取扱方をどうするかという結論が出れば、前に対する国鉄の問題も現在かかつておる專売公社の扱いも決まるわけだろうと思いますから、そういう方向でやつた方がよいだろう。
 それから尚議事の進め方につきましては、運営委員会の特質であるフリートーキングでやつて、最後の結論を出すときに討論その他の形式を用いたらいいと思います。いずれにいたしましても速記は全部残した方がいいと思います。
#18
○山下義信君 大体中村君の話に私も同感でありますが、一体公労法十六條第二項の解釈を決定することは、この議院で決定とすることを本体とするものでありましようか、又労働委員会あたりでその意見を決定して、何らかの形式で議運でその取扱を考えて本会議あたりで院の見解を決定するという運びになりますか、その辺のことがちよつと疑問があると思います。それでやはり十六條第二項の解決が決定いたさなければ、これは議事の取扱い等と密接な関係をあると思います。いわゆる政府提出の恰好又我々の間で先般来問題になつております議案の取扱い方というものと密接な関係があると思うのであります。私思うのに当然これは密接不可分の問題ですから、議運で若しやるなら、これに関係ある委員会でも並行してやるべきだと思います。ここでは国鉄裁定についても中村君が言いましたようなことがあるから、その全般の取扱い方、いわゆる議事としての扱い方に主体性を置いて、十六條第二項の解釈の決定版といいますか、そういうものに触れつつ進んで行くより外しようがないと私はかように考えます。中村君の御議論もそうであつたと思います。ですから議運としてその点を審議して行くには非常に審議の方法がなんといいますか、なかなかむずかしいと思いますが、委員長が適宜捌いて頂ければできると思います。そういうふうな進め方がいいのではないかと、私はかように考えます。今の中村君の意見に大体同感であります。
#19
○門屋盛一君 今山下議員のいわれるところによりますといろいろ問題はあるのですが、私は法律解釈だけが問題になるので、当該委員会で法律解釈についての検討をやつてもいいと思います。けれども議運としましては今專売裁定の決議を求めるの件というのが持つて来られたので、それに関連して国鉄裁定の国会を離れるときの扱い方に対して関連した問題が起きておる。それで議運はこの扱い方についてのみ検討したらいい、そして議運で扱い方の検討の過程において法律解釈が厄介になつたら、議案の扱い方を本会議に出してこの案を受けるか受けないか決めればいい。今はまだそこまでむずかしい問題になつていないと思います。議運で決められない問題じやないと思います。
#20
○山下義信君 私の申しておることも今門屋君のいわれたように議事としての取扱方に主体を置いて、議運でやるのはよろしい。だが中村君の言うように十六條第二項の解釈と密接不可分の関係があるということが当然その審議の過程において起きると思います。そういうことが起きて来ると法律解釈はやはり当該委員会でやる、且つ又本会議で院の見解の確定版というものが立てられなければならぬというような事態が起きるのではないかということを附則的に申上げておいたのであります。やはり議事の取扱方から審議をお進めになつて結構と思います。
#21
○門屋盛一君 そこで私はこの案の取扱方ということで少し意見を述べてみたいと思います。この專売裁定がこちらに持込まれます前に国鉄裁定についても同様の疑問があり、その疑問が解決しないで而してこの議運で保留の形になつておつたところに、衆議院の方で結論を出して衆議院の送付案をこちらに廻したので参議院としてこれをはつきりしないままに受けて立つたということになつたのです。そこでそういう点がはつきりしなかつたために、最後の議決後の扱いまではつきりしないというような結果が生じたと思います。どこに間違いがあるのかといえば、これは法律解釈というものは、幾らでもひねくれば果しないもんですから、公労法十六條に大体においてこれは国会の承認を求めることが要件になつておる。そうなると政府は承認を求めて来ればいいのを、ことさらに今まで例のないところの議決という文字を用いてきたところに間違いの始まりがある。ですから、これはそのときにも縷々議論をやつて、その経過の過程を見れば分りますように、政府はこれはどういうふうな議決を求めておるのか、この裁定そのものを国会が審議しなければならぬのか、こういう疑問がある。十六條の第一項では「予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束するものではない。又国会によつて所定の行為がなされるまでは、そのような協定に基いていかなる資金といえども支出してはならない」こういう協定がなされた場合には国会の承認を得なければならぬ。ただ政府が承認を得るのはこの予算上、資金上の問題のみの承認であつて裁定そのものを国会がいいとか悪いとかいう必要はない。だからこれは政府がすんなり承認を求めるの件でくればいいのに、議決を求めるの件にしてきたところに間違いがある。それは国鉄裁定の経緯に見ますようにこれもやはり間違いになつてしまつた。その結果公労法の精神というものが政府によつてむちやくちやにされてしまつた。総則の第一條にはつきりしておる、その一に「この法律は、公共企業体の職員の労働條件に関する苦情又は紛争の友好的且つ平和的調整を図るように団体交渉の慣行と手続とを確立することによつて、公共企業体の正常な運営を最大限に確保し、もつて公共の福祉を増進し、擁護することを目的とする。」その二では「国家の経済と国民の福祉に対する公共企業体の重要性にかんがみ、この法律で定める手続に関與する関係者は、経済的紛争をできるだけ防止し、且つ主張の不一致を友好的に調整するために、最大限の努力を盡さなければならない。」こういう法の精神で以てできておるのであります。この公労法の全体の精神を沒却して字句の解釈によつて政府はやろとするところに無理がある。それによつてこの公労法を検討して見ますれば分りますように、仲裁裁定というものは最後の決定である。これはこの間本会議にも言つたのですけれども、あらゆる公共企業体労働組合の権利を抑えてしまうのである。それで仲裁裁定は最後の決定であつてこれには両方従わなければならないのであるが、但し財政資金上のことは国会の承認を得なければ公社及び政府は従えないのである。それでこの謳われた裁定には財政上資金上困難な点があるがこの裁定に従いたいから承認を求めるというのが政府の出るべき筋なんだ、政府は不承認を求めるということはあり得ないのです。この法の精神からこの裁定に予算上資金上困難な点があつても国会がこの裁定の十六條一項の問題を、国会が承認すれば、当然政府は予算上の措置を取らなければならない。従つてこれに予算がついて出るとか出ないとかいうことは問題ではない、ただ不承認を求めるの件ということはあり得ない。そういうことをやれば、公共企業体の最後の紛争の決定機関であるところの仲裁、裁定というものを無視してしまつて、立法の精神が根からすつ飛んでしまう。こういうことを敢てするところに現内閣の事務当局、事務官僚、官房長官辺りの考え方が間違つておる、これは国鉄裁定問題の出たときに非常に追及したのであるが、それがうやむやのうちに衆議院の方から回付されて来たからそういうことになつた。でありますから專売裁定の場合に本筋に戻して国会に承認を求めるの件として来れば、議院の扱い方としますれば、直ちに大蔵委員会に付議してよろしい。今のように法律解釈に疑義があるような求め方をして来れば、労働委員会として財政上の問題として緊急に大蔵の合同審査に持つて行く、これは今まで法律的解釈を云々しなければならないような扱いを政府がやつておる。これは終戰後の法律はいろいろ用語その他の関係から、不備と申しますか、解釈をいろいろにできる点もありますけれども、この法律全体に流れておる立法の精神というものを沒却されておる場合は、我々立法府としては默つて見てはいられない。これを根本的にやるとすれば、この件の取扱方と関係なく我々労働委員は一人と雖も、公共企業体労働法は労働委員会の調査事項として調査にかかります。この件に関して労働委員会に付議があろうがあるまいが、労働委員会としてはこの調査にかかります。議運としますれば私は法律案に現われておる通りに政府がすんなりとこれを承認を求めるの件として出されるのが至当ではないか。この承認するかしないかの審議過程において、政府の財政状態その他のことは政府の説明を求め、これを承認しては国の財政に差支があると思うならば国会の決定事項である。国会の承認を求めるのに不承認にしてくれとか財政上困るとか、こちらが聞きもしないのに意見を付して来るとは、意見はともかく議決などと曖昧模糊として来るところに間違いがある。はつきり国会に承認を求めて来れば国会がこれを承認するかしないかということは、審議の過程において大蔵当局なりその他政府当局を呼んで、これは第一項の事項を承認する方がいいか悪いかということを国会が判断すべきだ、この仲裁裁定の全文に対してその内容にまで立入つて……。国会に審議権があるにはあるが、これは大きな意味において国会は何事にも調査権審議権はありましようけれども、一つの国家の安寧を維持して行き、公共企業体をすんなりと育てて行くための約束である、この約束であるところの公労法を余りに歪めて解釈しておるところに間違いがある。間違つたことは仕方がないがこの際当委員会としては政府に專売裁定の承認の求め方を訂正して持つて来いということを言うていい。これはまだ事実上受付けておらないから、国会の承認を求めるの件と変えて貰いたい、私は又あとから皆さんの御意見を聞きながらお聞きいたしますが、一応そういう考えを持つております。
#22
○山下義信君 法制局長は見えておりますか。
#23
○委員長(竹下豐次君) 見えております。
#24
○山下義信君 大体これは、只今門屋君の御発言がありましたが、これは各党各会派を超越して大体門屋君の御意見のように委員の、大体我々の解釈が良心的に、そういうふうに従来国鉄の裁定案が当院に廻つて来たときから、我我がそこに非常に疑義を持ちました点と、審議の対象が不明確であることと、殊に第十六條第二項により云々ということは疑義となる、何ら法的根拠が十六條二項にあるわけではない。こういう点に疑義があることは当時非常に論議されて、実は疑義があるままうやむやに取扱つて、今その取扱いが云々されるような、議事規則の上に疑点を生ずるようなことになつて今日に来たわけです。これは先般我々に法制局の意見としてここに報告と申しますか、資料を提出されております乙説ですが、この乙説というところによくその欠点が衝かれてあつて明確に説明されてあるように思うのでありまして、取敢ず私の最後的な意見は又あとで申上げる機会もあろうかと思いますが、一応法制局で調査されました資料について取敢ず今日は乙説……。我々が非常に参考になります、いずれ御説明もあろうかと思いますが、ありましたか。
#25
○委員長(竹下豐次君) ありました。
#26
○山下義信君 それではあとで私だけ昨日おりませんでしたから聞くことにします。私は大体よくこの資料が明快に調査されてあると思います。大体においては、只今門屋君の御意見の通り議決を求むる件というような求め方が非常に不合理で、而も政府が口頭で以て政府の意思は不承認を求むるのだというようなことは、誠にこれは不合理的な議案の出し方と言わざるを得ませんので、又私も議論があれは段々議論をして行きますけれども、意見としましては大体門屋君に賛成する者であります。そういう方向でこの議運の取扱の審議をお進め頂きたいと思う。それでもう長くこの問題はこうして棚晒しになつておりますので、どちらかに片付がなければならぬことで、若し承認を求むる件ということにして政府が訂正して来ますれば、すぐにこれは我々としましては取扱の決定ができるわけであります。そういうように成るべく早く片付けるように進みたい、かようにまあ考えます。
#27
○門屋盛一君 大体政府の腹は不承認にして貰いたいという腹があるから間違いが起る。併し公労法の三十五條には「仲裁委員会の裁定に対しては、当事者双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない」とあります。その趣旨に従いまして、その仲裁委員会の裁定に服従しなければならない。政府が服従したくないというような意見を付して国会に持つて来るということは、政府みずからが法律の尊嚴を冒すことになる。であるから政府は承認を求める以外に何ものもない。この点は昨日あれだけ立派な法制局長も言われた、政府は不承認なら不承認という求め方をしておるのならばそれはいかん、三十五條の精神から見ましても政府は絶対に承認を求める以外に途がない。これは公共企業体と労働組合と双方に対して公平に下された裁定に対しては、苟くも最高機関たる国会に対して、自分の意思を付してあれをどうするということは、議決を求めて来るがごときは、政府は甚だしく公労法を冒涜しておる。但し国会がときの財政状態事情をいろいろ調査して、これは承認ができないということになれば、政府は初めてこの財政上の拘束を受けないのですから、その国会の承認のあるまでは拘束を受けないのですから、不承認にするかせんかは国会自体の問題であつて、政府は承認を受けることが三十五條に従うという精神である。これを不承認を求める件というものが出て来たから政府みずからが三十五條の趣意に背いておるわけである。双方これに服従しなければならないわけです。これさえはつきり考えたならばこの取扱なんというのは簡單な承認を求むる以外に持つて行きようはないと思います。絶対に政府は不承認を求むることはできない、承認するかしないかは最高機関である国会の権限です。
#28
○石原幹市郎君 門屋委員の言つておられることが一応私は尤もなる点があると思うのでありまするが、併し政府が今度出して来ておる十六條第二項の規定に基く議決を求むるの件と来ております。この行き方についても絶対これで間違いだということも私は言えないと思うのであります。十六條の第二項に国会に付議して承認を求めなければならない、付議してとある、その付議に基いて議決を求めて来ておる。承認するかしないかということは、先程からもこちらで意見が出ておりますように、国会の判断によつてやるということでありますから、考えようによつては広く議決を求むるの件として来ておる方が、むしろ政府としても広く意見を聞くというようなふうにも取れるのじやないかと思いまして、実際問題としてはすでに先議の衆議院の方に議決を求むる件として出されて向うで審議されておる。それを今こちらでそれを承認を求むるの件として出し直して来いという、実際問題としてそういうことが行われるか行われないかということを考えて見なければなりませんし、承認を求むるの件として出されて来た場合に先議が衆議院でこれを承認しなかつた、否決したならばこれはもう向うでそのままになつてしまうので、むしろ参議院に廻つて来ることがないだろうと思う。むしろ議決を求むるの件として広い形で出して来ておる方が結果から見れば却つてこちらにも相談があるということになつて、広い意味になつて来るのじやないかとこう思うので、これを以て絶対的に間違いであるというふうには私は言えない。ただ解釈上の疑義はいろいろありますけれども、そういう形で出て来ておるのをこれを絶対的に間違いであるから出直して来いという程の、私は強い理窟はないのじやないかと思うのであります。
#29
○門屋盛一君 これは非常に不敵な石原委員から異なことを承わるのですが、国会は政府に聞かれておるんです。広く意見を求める……政府から広く意見を求められなくてもよろしい。御存じと思いますが、大体これはいろいろの面から見まして、こういう問題が国会の議案取扱の慣例から行きましても、今まで私二ケ年半になります間に議決を求むるの件なんといつて出されるのはないんです。これはこの前も言いましたけれども政府事務当局と、こういうものを注意しなかつた我我の欠点もあつたが、幾ら衆議院に出しておろうが、参議院は参議院として間違つておることを正すのに誤りはないと思うんです。それから石原委員は悉くのものが衆議院先議であつて参議院は後議のように言われるけれども、承認を求めるのごとき件は良心的に考えたならば衆参同時に提出せられるべきものである。先議、後議を要するか要しないかという問題については、当委員会に検討の余地がある。検討の余地があるから併せて申しますが、こういう問題は両院に同時に提出するのが至当であつて、この先議、後議の扱いをするところにも間違いがある。それでありますからこれを向うに先議でかかつておる、予備審査としては尚更受付けられない。参議院軽視だ。そう参議院であることを卑下する必要はない。必ずしも後議でなければならないことはない。政府の出し方の先議形式に参議院軽視の現われがある。如何なる意味においても私は承認を求むるの件として衆議院と参議院と同時に出し直すのが、政府が極めて今日の法律に従うということをはつきりしていいことだと思う。
#30
○石原幹市郎君 私は何もすべてが衆議院が先議だ、我々が後議だということを言つたのではない。現実の問題としてすでに向うで先議されておるということを先程引用しただけでありまして、私みずからが参議院を軽視して何も向うが先議でなければならんというような言葉を決して発言したわけじやないのであります。
#31
○栗山良夫君 この問題は、今石原君もいろいろお言葉がありましたけれども、とにかく今民自党で一つの方針として決定されたような工合に、国鉄の裁定の問題について運営をして来てこれ以上進めない段階に来たということがはつきりしたので、それだからして專売裁定の問題についてももう一度初めから洗つて出直そうというのがこの委員会で論議している中心になつておるわけなんです。議決の問題にいたしましても、増田官房長官は尊嚴を持つておる司法機関の決定すら承服しない、最終判決まで行つて鬪うのであるということをはつきり言つておるんです。そういう考えの下にこの法律の立法精神を蹂躪してやろうというのならば話は別であります。別でありますけれどもそういう考え方に国会が與し、国会が行動を共にすることはできないので、参議院としては今少し冷靜な態度でこの問題を審議しなければならん、こういうまあ概括論の中でこの問題を論議している。そこで私は門屋君の説に賛成でございますが、なぜかと申しますと昨年の十二月十二日でありましたが、国鉄の裁定が出ました冒頭においてああいう案件として出されました場合に、この委員会で紛糾に紛糾を重ねたわけであります。そうして当時小澤国務大臣がここに列席せられまして、実は政府としては不承認をして頂きたいのである、こういうことをはつきり明言されたわけである。議決の内容は不承認である、こういうことがはつきりしたために承認を求める件ということができないということに相成つたわけであります。それでいろいろやりまして、最後に増田官房長官が政府の意のあるところを再び考え直して出席せられまして、承認せられても、不承認せられても政府としては異議ありませんということを申されておる。従つてこういう考え方から言えば、今ここで論議されたように、私共としましては、公共企業体労働関係法の立法精神に則りまして、飽くまでも政府は予算措置を講じて、そうしてそれによつて国会に承認を求めて来る、こういうことでなければならない。国の費用を使うか使わないか、その支出を許すか許さないかということは、内閣でやるべきことでなくて国会がやるべきことであります。内閣は自由に予算を作つて国会へ提出する、それによつて国民の負担の度合その他を考えて、許すか許さないかは国会がやるべきことである。そういう点をもう少し明確にしておきませんと、工合が悪いので、與党は與党としてのお立場がありましよう、内閣は内閣としてありましようけれども、これだけ非常に問題化しておる案件について、何ら基本的な態度を修正しないで進むことについては、私共反対せざるを得ない。特に衆議院にすでにかかつておるというような既成事実を元にして参議院の自由な問題の扱い方について不利益をかけるというようなお考えがありますならば、これに真向から反対であります。
 すでに私共は国鉄裁定の問題以来冷靜に考えて問題を進展さして来た筈であります。そうして私共のとつた態度というものは、国民的にも参議院の措置の正しさはすでに各方面から証明せられておるのであります。最後に司法的に証明したのは過日の裁判所の判決でも明瞭であります。私共はそういう一方に偏したところの議論に與するわけには参らないのでありまして、飽くまでも今言われた精神によつて私は門屋君或いは山下君の発言せられたような工合に、当委員会において結論を出して頂きたい、これを重ねてお願い申上げます。
#32
○中村正雄君 冒頭に言いましたように、この取扱方のやはり基礎になる法律の解釈なり、裁定の効力から考えて行かなければ取扱方も出て来ないだろうと思います。で私は今までこの前の国鉄の裁定のときにもこれに関係しておつたのですが、ただ公労法を見ておりましても、公労法の十六條と十七條、三十五條、こういうものを見て参りますと、やはりいろいろの解釈ができまして一貫性がないということは、矛盾性が確かにあるのであります。と申しますのは第一番目の十七條を考えて見て行かなければならん。十七條ではすべて公共企業体の職員から争議権を全部取つてしまつております。ところが根本に遡りまして、憲法の十一條と二十五條、二十八條こういうところを見て見ますると、判決にもちよつと書いてありましたように、二十五條でこれは国民の生存権というものを基本的人権としてはつきり認めておりますし、その辺の基をなすものは二十九條の財産権と、二十七條、二十八條の労働権であるということは、誰しも学的に知つておることであります。そういたしますと、この二十八條に規定いたしております労働者の団体行動権、これを十七條で全部取つてしまつておるわけです。これは明らかに憲法の十一條にありますように、基本的人権は法律を以ても、国家権力を以ても奪うことができないと、はつきり規定されておりますにも拘わらず十七條で、基本的人権であるところの二十八條の規定を、公共企業体の従事員に対しまして剥奪しておるわけであります。従つてこれだけ見ますれば、公労法自体ははつきり違憲立法であるということは言えるわけですが、併しながらそのために三十五條という規定がありまして、争議権に代るべきもの、争議権という形の基本的人権では、これは公共の福祉その他の関係から困るので、三十五條という形におきまして仲裁裁定というものを設けておるわけです。従つてこの三十五條があります限りにおきまして、公労法が違憲立法でないということが言い得られるわけなんです。従つてこの三十四條の仲裁、裁定の性質を考えます場合におきましては、何といたしましても憲法で保障いたしておりますところの、労働者の生存権確保の基底であるところの争議権に代るべきものが、仲裁、裁定であるということを念頭において考えなければ、この公労法のこの趣旨は一貫しては解釈できないと思います。それからもう一つは、この国鉄にいたしましても、專売にいたしましても、それが官庁のような消費形態がなくして、企業体であるということを頭に置かなければ、予算上、資金上、可能か不可能かという考え方が出て来ないわけです。この二つを前提において考えますならば、私はやはり三十五條の規定は仲裁委員会の裁定に対しては、当事者双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない、これが原則であり根本でなくちやならない。従つてこの当事者双方というのは專売の場合で言えば、專売公社と專売の労働組合でなければなりません。従つて三十五條の場合におきましては、政府ということは何ら表には出ておらない。併しながら專売にいたしましても、国鉄にいたしましても、それらの予算というものが国会の審議を経るものであり、又予算につきましては政府が監督権を握つておるという関係におきまして、十六條の規定が出ておるのであるし、又三十五條におきましてはこういうふうに一つの裁判所の判決という形式を取りまして、これには絶対に従わなくちやいけないといたしましても、すべての企業体に予算というものがあります限りにおきましては、年度初めに国鉄なり、或いは專売公社の争議があるということを予定して、予算を組むべきものぢやないでありましよう。又こういう裁定が出るということを予定して裁定予備費というものが予算に組んでないことは、これは明らかであります。従つて三十五條によつて当事者双方とも服従しなければならん。反対の方から申しますと、公社の方はこれに従つて支拂わなくちやいけないということになりましても、予算的な措置がない場合があり得る。従つてその場合にこの裁定等につきましては十六條で規定されておる。こういうふうに考えなくちやいけないのでありまして、そうなりますれば、十六條の規定というものは、これはいわゆる裁定の履行に関する規定のわけです。従つて十六條の本文にも「公共企業体の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も」とありますが、これも「政府を拘束するものではない。」従つて十六條の一項におきましては、明らかに三十五條に書いてある当事者双方というもの、いわゆる公社と労働組合というものと、十六條の一項には、その当事者の一方である公共企業体の監督者である政府に対するところの、一つの義務を十六條で規定しておるわけです。この場合当事者双方の公社と政府とは別なものとして、監督権あるものとしての政府に対する義務が十六條になくちやいけない。従つて裁定の精神によりまして、十六條に基きまして従わなくちやいけない。予算の履行について第二項におきまして、国会の承認を求めなくちやいけない。この承認を求める精神につきましては、先程来門屋君も言われましたし、私も憲法の根本から見まして、これはどこまでも政府が従わなくちやいけない。でなければ十七條で争議権を取つておることは憲法違反になる、そういう関係。その場合にも承認を求めるにも、承認という意味はこれはやはり履行の承認でなくちやいけない。従つて裁定の債権債務の存続如何ということは、これは第十六條に関係ないものである。そういう関係から、やはり法律を、議案を国会に提案する場合におきましては、やはり承認を求めるという形式を取る以外には方法がないと思う。従つて昨日出されました法制局長の説明によつて、やはりこれは承認を求めるの件で出さなくちやいかんと思います。従つてその場合に予算を付けるかどうかという問題がありまするが、これは私は国会の承認ということは、今まで申上げましたように履行することに対する承認でありまして、裁定の内部に対する国会の審議権そのものとは考えられないわけです。裁定がいいとか悪いとかということは私は国会の審議の外でなくちやならん。履行する場合の予算的措置について国会の審議権があるべきであつて、裁定の内容につきまして国会はこれはよいとか悪いとかという審議権はないと思う。従つてこの承認を求める件につきましてはこれはやはり衆議院と参議院と二院制であります限りにおきましてはやはり同時に出す。昨日出されておりますこの第二の決議を両院各別に提出すべきか、先議後議の方式によるべきかということがありますけれども、この場合私は甲説によりまして、これは決算案の承認と同じように両院に同時に出すべきものである。従つて両院は直ちに支出すべきであるか、或いは又予算上不可能であるとの決議をするか、イエスかノーかがあるだけですから、言えばイエスだけで結構だ、従つてこれは修正権はないものと考える。
 それから最後に予算を提出しなければいけないかどうかという問題でありますが、これはその場合政府が承認を求めるわけでありますから、本当を言えば政府は裁定に従つて予算的措置を講ずるのが妥当ではないか。従つて現在予算上資金上不可能であれば、この案とは別に予算委員会に対して予算を出すのが至当でありますけれども、併し十日間という期限を切つておるわけですから、十日間で予算的措置ができない場合もあるから、従つてこの予算をつけるつけないということは、議院に議決を求める件につけることが必須條件とは思えない。国会がこれは履行すべしということになれば、直ちに政府に予算支出を組むことを命ずるものというふうに考えておる。政府はそれに従つて予算を出せばよい。以上申上げまして、尚御質問があれば私補足して説明してもよいと思います。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
#33
○山下義信君 私重ねて発言させて頂くのでありますが、只今石原委員の発言について私一つ申上げたいと思います。それは国鉄裁定が出ましたときの本院の態度でありますが、もうすでに同僚諸君の御承知のごとく、この裁定書は尊重すべしという決議が全員一致でなされてある。そうして具体的ないわゆる議決を要する件となつておる議案に対しての本院の意思表示は、いわゆる承認を求める件といつて出した議案に対するような態度を以て、その裁定書の履行上についての注意を加えた議決がなされておる。ただそれが衆議院との間の関係が、恰かも衆議院の議決を修正したかのごとき形に、自然結果的に相成つたために、ここに議事の取扱上のいろいろルールに関する疑義が発生して来たのでありますけれども、国鉄裁定案に対しまする本院の従来の態度というものは、先刻から門屋君、中村君、栗山君等のお述べになりましたような筋、即ち当院の法制局が極めて適切な調査資料を出しておりまする乙説、並びに取扱方につきましては只今の甲説に近いような精神を以て取扱つて来た事実がここにあります。でありますからすでに本院がとりましたような態度を以ちまして、而もそれを合理的に、專売裁定案の取扱に対しましてここではつきりと従来の疑雲を一掃し、疑義を解明いたして進みたいというのが当委員会で苦慮いたしておる問題なのであります。従つてこの問題の取扱方というものは與党とか野党とかというような考え方でやつていないのであります。而もそういうふうな政策的な問題にもなつていないのでありまして、参議院自体が後世こういうものに対する取扱方の基本的なものを決定して置こうという真劍な態度で望んでおるのでありまするから、これは参議院の過去三ケ年に取り来つた嚴粛なる態度であります。衆議院がどういうふうな当時の政治情勢で解釈をいたし、議決をいたそうと、参議院はそういうふうな党利党略には根本的な問題のときには拘わらない、全院各党各会派一致して、参議院の権威のためには名誉ある十分公正なる解釈をいたして行こうという考え方で進んでおるのが、今参議院の特色なんでありますから、こういう問題に対しまして與党であるからといつて、卒爾たるただ政府弁護のような軽率な御議論をなさつたのでは、参議院のこの我々の考え方、伝統に悖るものであると石原君も一つ御了承下さつて、十分御研究をそういう点についてお考え下さつて、ただ政府に忠義立てなさるようなふうなことでは通らないのでありますから、私念のために……。これは同僚諸君に対して失礼でありまするが、私只今の御発言に対してただ簡單に政府の弁護をさへすれば、政府の都合のいいようなことを言えばいいというようなことは、参議院では與党であろうと野党であろうといたしておりません、従つて野党といたしましても、ただ野党攻勢のためにこの問題をやろうというような態度は取りませんから、この点私はこの問題の取扱に対しまして念のために申しておきたいのであります。
#34
○門屋盛一君 別に御議論がないようでしたらこれはこちらにまだ付議にはなつておりません。議長のところに予備審査として提案されておるのでありますから、この案はどういうふうに扱うかということは極めて速かに決めないと、もう相当日にちが経ち過ぎておりますので、どういうふうにこれを扱うかということについて委員長の方からお諮り願いたいと思います。
#35
○岡田喜久治君 ちよつと私この問題で、いわば決議というような場合でしようが、何ですね、今いろいろなお話もあることですから、私が又與党弁護と言われると又何でありますが、私のつもりではそういうことから離れまして、当面の問題は要するに政府が承認を求める件と出せばよい、議決を求める件として出したのがどうもよろしくない、こういうところにまああるように思うのであります。そこで本質論としては随分又いろいろ議論もありましようが、当面の形式、手続の問題と申しましようか、これを承認を求める件がいいか、議決を求める件が正しいか、必ずしもそう私は端的にいずれがいいか悪いかを言い切れることではないように私は思います。要するに政府が議決を求める件と書いたのは、推察ではありますが、政府の意図が大体において承認にあらざる意見を持つている、不承認的意見を持つている、こういうために承認を求める件と書けば、用語の解釈上必然何か承認を内容とする提案であるかのごとき形を取ることを心配して(「それが問題なんだよ」と呼ぶ者あり)その本質の上においても議院に付しておる場合でありますので、広き意味においてこの議決を求める件という用語を採つたのじやないか、こう思うのでございます、まあ私の推察ですが……。さてそれでそういう事情であれば、成る程承認を求める件と書かずに、議決という用語を使つたことも一つの行き方と私は思うのです。必ずしもこれを絶対的に排斥する程の強い理窟があるだろうか。問題は手続の問題ですから、結局それが併しながら立ち入つて考えて見れば実質問題に触れて参ります。今段々の御議論を聞いておりますと、この裁定に対する政府の態度というものは、実際不承認ということは許されない。こういう場合においては政府は常に裁定に対しては承認的、まあいわば方針を以て、議会の予算上の問題について議決されなければならない、こういうのが憲法上当然の建前だ、こういう御議論が大分あつて、この点は私そう思う。現行法の解釈として必ずそうとは限定して言うのではないように私は考えておるのです、根本が……。現行法の立法の是非は暫く措きまして、法の解釈の建前といたしましては、何しろ今日の公労法の立法の建前が、実際かくのごとき場合において政府が裁定を最高至上のものとしてしまつて、これ以上に法に亘つて政府にこれを異存若しくは異議的態度を持たせないというような拘束力を持つた、つまり政府の意向を排斥したような極端な立法ではないのじやないかと私は思う。それがとにかく現行法として解釈すべき妥当な解釈であるという私は考えを持つものですから、勢い必ずしも政府が不承認的態度を取るものではない、不承認的態度を内容とした方針を持つておる以上、手続の取扱として政府はここで迷つておりましたでしようが、承認を求める件と書かずして議決を求める件として書いた、この表現を以て現したということに過ぎないと思うのであります。取扱の問題としては議決を求める件とはあるが、要するに承認を求める件と申しましようか、これは言葉として承認を求める件ではないが、承認を求める件という意味において出しておる。そうなればこれは單なる用語上の、いずれか是か非かという態度の問題に過ぎません。でありますからその内容についてお互いが相当理解を持つておる以上、強いて私はこれを排斥して今更どうも何といいますか、複雑な手数を取つて、議決ということでやつてはならない、絶対に承認を求める件というのでなければ我々は取扱うことができないという程強い根拠はないと思います。できるものならとにかく以上のことを内容として、議決を求める件であるが、承認を求める件という意味においての取扱をお互いにやればいいのではないかと思います。かくのごとく考えるので御一考を煩わしたく思う次第であります。
#36
○門屋盛一君 民自党内の元老であり、長らく地方の実情にも疏通されておるところの岡田先生から、極めて妙なお話を承わりましたが、大体我が国が民主的に建設されるためのこの憲法というものが、この憲法で與えられたところの権利を公労法の十七條でそいでしまつておる。であるから三十五條ではこの裁定には両方とも従がはなければならぬということになつておる。あなたは私と違つて法律屋さんから出た人であるからよく御存じでしようが、法律というものは国の安寧、秩序を保つための約束であり、その約束にはすんなりとどちらも従つた方がいいと思う。ですからこれは政府が飽くまで不承認を求めるということは絶対にできない、従うという精神であれば承認を求めて来なければいけない。ただ政府の立場で財政上苦しいことがあるならば、意見として今の状態ではこれはこういうふうになかなか財政上支出困難であるという意見を添付書類で持つて来るごとくらいは私はいいと思います。
 それからあなたはこの議決とか議決を求める件、承認を求める件、どちらでもいいと言つておるがこれはどちらでもいいことはない。大体国会なら国会の取扱いの慣例もあり用語もある。これは今問題になつたのではない、これは国鉄裁定のときにこういうものを書いて来たから問題になつて来た。これはすんなりと承認を求めるということで来ればそういうことに吝かではないのです。そこまでこだわりはせぬ、そういうことにこだわることはいけないと思う。
 それからもう一つあなたは重要な点をお考え落しになつておる。このまま進めば、先議後議の戰法で持つて来られたことが我々参議院として承服できない。こういう案件は同時に提案されてどちらも同等の責任を以て審議をやらなければならない、先議後議の形式で持つて来たからこれが国鉄裁定のような見にくい結果になつた。それであるからこの際政府を反省さしてこれを撤回さして、すつきりとした案にして出し直さなければ議長は受付けて貰つては困る、こういう見解を私は持つております。
#37
○栗山良夫君 今の岡田議員の発言の中で私重要な点を見受けたのでありますが、先ず議決を求めるというものと承認を求めるというものと大して変りはないのだから、議決を求めるという方が幅が広くてよろしいというお説でありましたが、正に政府の方ではそれをそういうふうにすれば非常に都合がよろしかつたようでありますが、過日の国鉄裁定のときにも、成る程衆議院と参議院の議決が一致しなかつたわけでありますが、これに対して衆議院議長が内閣に国会の承認がなかつたということを通知しておりまして、議決がなかつたという通知はできていないわけであります。この点は政府が要求された国会への案件の処理方法と違つた意思表示が衆議院議長を通じて内閣に行われた。これがそもそも再開劈頭から我々は問題にしておるところである。そういう不明確な形で行われては困る。でありますから岡田君にお願いして置きますが、議決と承認と大して変りない、どつちでもいいということならば、そういう趣きのことであるならば、疑義の起らない極めて明瞭な形でやることができる承認というのを使つて案件を処理されるように、あなたから一つ政府へ、與党の立場で是非ともおとりなしを願いたいというのが第一。
 それから第二点は、これはもう初めから言われておるように、今度の裁定の問題は法律的にも或いはその他いろいろな面から見まして、政府は何とかして支拂いたくないという精神が一貫して流れておるわけです。これはもう疑うべくもない事実です。従つて法理論的の解釈においても何においても、この法律の少し拔けておる足りないところを何とかして巧みに解釈をして、そうして臨もうという態度は歴然としておるのです。そういう態度が我々としては、国民の代表として本当にあなたは御納得ができるかどうかということを伺いたいのだけれども……
 もう一つ率直に一点だけ私は若しお答えが願えるならば岡田君からお聞きしておきたい。それは公共企業体のいわゆる罷業権と引換えにせられたところの裁定というものについて、政府が支拂うという精神の下に立つておるならば別でありますけれども、支拂わないという精神に立つておるという状況においては、先程中村君もいろいろな法律的な解釈を述べられましたが、国鉄の裁定においてはこれは完全に赤字であるから支拂えないということが政府から一応述べられましたが、專売裁定の場合には、僅か一億二千万円、もうすでに会計的に四十数億なら何とか費目流用をすればできるといううちにおいて、一億二千万円ですら拂えないということを国会で決定して呉れと来ておるわけです。こういうことになれば公共企業体はあれ程立派な看板をつけて法律を拵えて、そうして罷業権は取上げるけれども、国家は何とかして生活補助をするのであるということを幾らおつしやつても、現実の問題として裁定というものは恐らく尊重されない、裁定は常に無視されるという私は結論が出て来ると思う。あなたの今のお説、それから今日ここで議論された状況において、果してそれでは国鉄なり專売公社、こういう公共企業体労働組合法によるところの裁定を、今政府のとつておるような態度で尊重する場面というのはどういうところにあるか、どういうときに尊重することができるか、この辺を一点伺つておきたいと思います。
#38
○岡田喜久治君 お答えという意味ではありませんが、誠に私共も御尤もな点も多々あるように私としては感じます。極めて同感の点もあるのです。従つて実際の問題としましていろいろ何と申しますか、政府が考えておる、とつておる態度以外の方法もあろうかという点については、可なり私の深く考えておる点でありまして、但しそれらのことは穩当でありませんから、甚だ失礼ですが、私は御答弁として申しませんが、一言申しておきたいことは、やはり強く現行法の解釈としましても、裁定に対するこういう取扱について、政府は徹頭徹尾裁定に従わなければならぬ、不当であるというような態度はあるべきものじやない、こういうことが非常に強く今回議論になつておるのでございます。この点私は議論を多く申しませんが、現行法の解釈は先程申した通り異論を持つておりまして、そうは解釈いたしかねるのであります。従つてこういうことが起つて来るので、これは何といいますか、やはり事柄が重大な予算上の関係を持つておりまするがために、一般の労働争議裁定等の場合と異なつた変則的な立法をいたしておるものである、究極するところ予算上支出は不可能であるという場合に何と申しましようか、この裁定に関するところの決定に対しましても、これは政府の意向を全然排斥してこれを最後的のもの、若しくは決定としてこれを施行するという建前を取つておらぬのが現行法の建前と思うんです。それを強いて一切そういう余地は政府にないという御議論であるならばその点は異論を持つておりますために、以上申上げましたような取扱の問題であるということを申して置きます。
 もう一つ申上げて置きたいことは、今門屋さんから言われましたが、先議、後議、これは私も実際問題としては非常に御同感でありまして、やはりこれは今の法規は非常に不備でありまして、それがためにそういう問題にも立入つて考えると、非常に行き惑うのでありますが、実際問題は、両院は立法とは違うんですから両院協議会に出す訳に行きません。かくのごとき場合には先議、後議の問題は別といたしまして、同時に提出するということにおいてこれを運用するということが妥当なことであると私は思います。むしろ同感です。併し只今の議決という言葉と承認という言葉については大した問題の違いはないのであつて、実質上解釈すると同じ問題であつて、やはり承認若しくは不承認を與えてよろしいのですから、大してこれは論議する必要はないから、この点だけはできるものならば非常に幅のある解釈を以て我々は受取つて取扱つていいのではないかと、これだけを申上げたいので、ただ繰返し申上げますが、これは私の説明の敷衍に過ぎません。
#39
○石原幹市郎君 この議案の提出の仕方を、先程からの門屋さんの言われるように、承認を求める件ということにしろ、先議、後議でなくて同時提出にしろと、こういう二つの意見になつておると思いますが、非常に関連性があると思うんですが、それで法制局の一応の解釈では承認を求める件という出し方の方がいいというのと、それから先議、後議の関係についてはどういう解釈を取つておられるのか。ここではやはり先議、後議で進めるべきであるという解釈を取つておられるようにも見えるのですが、その点はどうですか。或いは外の委員からの御意見でもよろしうございます。
#40
○法制局長(奧野健一君) 両院同時でなしに別々に提案するということも十分考えられます。ただ現在の国会法だけの建前からいいますと、両院協議会を開き得るのは先議、後議の形で来た場合に限つておるのであります。これをまあ改正するということになれば又問題は別になりますが、現在の国会法に当嵌めて行くということになりますと、先議、後議の形でなければ両院協議会ということはできないことになつております。そして先程中村さんのお話もあまりしたように、これは承認するかしないか、イエスかノーかで行くべきである、そうあるべきだという議論も勿論成り立つと思います。ただ全部不承認ということができるくらいなら半分だけの承認、一部不承認と、勿論裁定の内容を変えるとか、そういうことはできないと思いますが、その範囲内においての一部不承認ということはできるのではないか。そうなるとやはり両院協議会を開ける途があつた方が結果的にいいのではないかというようなことを考えまして、原則としてはやはり両院の一応の意思を求める場合には先議、後議の形で一応やるというのが国会法の建前ではないかと思いまして、先議、後議の方がよろしいと考えたのでありますが、勿論同時に提出するということにすると、そうなりますとやはり国会法を何らか改正する方がいいのではないかというふうに、尤もその場合でも全然一部不承認とか、修正ということを許さないのだということならば、現在のままでも結構だと思います。
#41
○石原幹市郎君 私関連して、私も深い研究はしておりませんけれども、一応はやはり先議、後議ということがいいのじやないかと考えます。そうするとどちらで先議すべきかということについていろいろ意見が出ると思いますが、これはやはり予算とかいくらかこういう問題に関連するところが深いという関係上、政府が衆議院に先に出せばこちらでまあ文句を言うこともできないのじやないか。そうすると私は先程そこを言つたので承認を求める件とした場合、それを不承認としたならば衆議院でそのままになつてしまうのです。そこでたまたま議決を求める件と、これは岡田さんの先程からの御意見私もそう考えるのでありますが、必ずしも議決を求めろ件で絶対にいけないということは私は言えないと思う。議決を求める件、第十六條の第二項について議決を求めるというのでありますから、その第十六條の二項をずつと読んで見れば、それは承認を求める件を、議決を求める件と読替えてもいいくらいの字句でありまして、そこでそれが非常に広く裁量を求めるという意味でそういう言葉がたまたま使われておるというふうにも解釈できるのじやないか。そういうふうに私は考えられるので、一応先程ああいう意見を出したのであります。これは先議後議、同時提出であるかどうかということと、この字句の書き方というものは相当研究して貰わないと、却つて参議院が不利な立場に立つということもあると、私はかように思います。
#42
○中村正雄君 石原君もおつしやつたと思いますが、承認という字句にされたとしても議決ということにされても同じだと思う。これは国会法の不備である。いわゆる先議後議の関係であれば、衆議院に先議にされて衆議院で否決した場合は参議院に廻つて参りません。これは議決を求める件という文句にしましようと承認を求める件としましようと同じであります。この前にあれを廻して来たのが間違いであります。従つてこれは議決とすれば先議後議の関係でも、衆議院で否決しても参議院に廻つて来るという考えは成り立たない。なぜ私は同時提出を求めるかということはこの公労法の十六條は国会に付議して承認を求める、衆参両院に対して意見を聞かなければいけないわけです。仮に民法の改正案を政府で出す場合、衆議院が先議になり衆議院が否決したならば参議院には廻つて参りません。これは廻つて来なくてもいいが、これだけは国会に承認を求めなければならない、両院の審議を求めなければいけない。こういう法律上の義務が政府に課せられておるにも拘わらず、出し方によつて一院だけで審議して、他の一院には審議の機会を與えない。先議後議の関係をとればこれはやはり現在の国会法を改正して、その場合に否決されても次の議院に廻すようになれば別ですが、先議の議院で否決されたら後議の院に廻らないという関係から、それを救うためにどうしても同時提出しなければいけないと思う。
 もう一つ法制局長にお尋ねしたいのは、裁定自体に対しまして国会が審議権があるかないかということについて、イエスかノーかの意見をお聽きしたい。
#43
○法制局長(奧野健一君) 裁定が不当であるかどうかというようなことについては国会はタッチすべきではないが、実際上の見地から予算的措置によつて効力を生ぜしめるかどうかということだけの点だと思います。
#44
○門屋盛一君 岡田委員の解釈について一応文句があるのですが、政府を拘束するのじやないということが十六條にあるので、これは政府及び與党の方で盛んに言われるのですが、これはどういう場合に拘束しないかと言えば、予算もない、資金上のやり繰りもつかないときに拘束しない、資金上のやり繰りがつけば拘束されるのです。だから現在の場合政府の見解を以てすれば資金上のやり繰りがつかないから、それは国会の承認を求めなければ拂えないから拘束しないと、ですから私は絶対的に承認を求めなければならぬという義務があると重ねて強調して置きます。
 それから関連しまして中村委員の言われた通りでありますが、私は承認を求める件、議決を求める件というのは用語上の問題であるが、惑わないように一応政府はこれを撤回して出し直さなければならぬ、又出し直すならばあつさりと「承認を求むるの件」と書いた方がいい。そうして如何なる場合でも参議院としては同時提案で、この公労法第十六條第二項の規定は国会の承認を求むるの件ですから、一方には本付託をやり、こちらの方へは予備審査で持つて来るというようなことは間違いである。
#45
○中村正雄君 法制局長に一つお尋ねしたいのですが、資金上、予算上不可能ということがありますが、これはいわゆる政府の認定に委されておるものかどうか、言い換えれば裁定がなされた場合に、これはさつきも申しましたように、裁定を先に予想して予算を組んでいないのは明らかですから、如何なる場合でも嚴格に解釈すれば全部予算上不可能なものにならなくてはならぬ。裁定のための費目は全然ないわけでありますから、従つて予算上、資金上可能か不可能かの認定権は政府にあるかどうか、これを一つ法制局長にお尋ねしたい。
#46
○法制局長(奧野健一君) それは私は客観的なものだろうと思います。裁判所でも或いは国会でもこれを認定し得るものと思いますが、ただ例えば政府の方でこの給與費目の方に流用等によつて沢山出せばそれは可能になるというような場合に、政府が流用の承認をしなければならない義務があるか、或いは流用すれば支拂可能な場合までも含めて、支拂可能であるかどうかという点はこれは非常に疑問があると思います。客観的な問題であるということが言えると思います。
#47
○山下義信君 認定権は国会にあるよ。
#48
○中村正雄君 それからもう一つ十六條の二項の一番最後に「それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生する」ということがありますが、私のお尋ねしたいのは、債権の効力というものではなくして、日附に遡つて効力を発生するということはどういう利益があるわけでしようか。例えばこの前に国鉄裁定がありましたね。十二月の二日に出されておりますが、従つてこれは年内に三十億支出し、年を越したら毎月五億、こうなつておりますが、従つて十二月二日に遡つて効力を生ずるということは、裁定についてどういう利益があるのですか。これにつきまして、何かお考えの点があればお示し願いたい。言い換えれば、私の言うのは仮に十二月の二十日に国会の裁定があつて、二十日に効力を発しようが二日に遡つても関係はないと思います。一定の期日を指定して金額の支拂を命ずる場合は何ら利益がないと思いますが、どういうお考えですか。
#49
○法制局長(奧野健一君) 履行期以上には実際的に利益がないと思います。履行期が来なければ……。
#50
○小川久義君 今日はこのくらいで散会を願います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#51
○委員長(竹下豐次君) それではこの問題は一応これで今日は止めます。まだ一件お諮りしたい件がございます。栗山君からの緊急質問で、電産争議とゼネスト問題に関する緊急質問の許可の申出があります。如何取計らいますか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#52
○委員長(竹下豐次君) それでは許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#53
○委員長(竹下豐次君) 御異議ないと認めます。それでは散会いたします。
   午後零時五分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     竹下 豐次君
   理事
           中川 以良君
           大隈 信幸君
           鈴木 直人君
   委員
           栗山 良夫君
           中村 正雄君
           山下 義信君
           石原幹市郎君
           岡田喜久治君
           佐々木鹿藏君
           門屋 盛一君
           宇都宮 登君
           岡本 愛祐君
           加賀  操君
           鎌田 逸郎君
           小川 久義君
  委員外議員
           兼岩 傳一君
  ―――――――――――――
   議長      佐藤 尚武君
  ―――――――――――――
  事務局側
   参     事
   (事務次長)  芥川  治君
   参     事
   (警務部長)  丹羽 寒月君
   参     事
   (委員部長)  宮坂 完孝君
  法制局側
   法 制 局 長 奧野 健一君
   参     事
   (第二部長)  寺光  忠君
ソース: 国立国会図書館
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