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1977/04/12 第84回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第084回国会 法務委員会証人及び証言等に関する小委員会 第3号
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1977/04/12 第84回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第084回国会 法務委員会証人及び証言等に関する小委員会 第3号

#1
第084回国会 法務委員会証人及び証言等に関する小委員会 第3号
昭和五十三年四月十二日(水曜日)
    午前十時十分開議
 出席小委員
   小委員長 上村千一郎君
      濱野 清吾君    保岡 興治君
      山崎武三郎君    稲葉 誠一君
      横山 利秋君    飯田 忠雄君
      安田 純治君    加地  和君
 小委員外の出席者
        法 務 委 員 鳩山 邦夫君
        参  考  人
        (日本弁護士連
        合会司法制度調
        査会委員長)  塚本 重頼君
        参  考  人
        (朝日新聞編集
        委員)     野村 二郎君
        法務委員会調査
        室長      清水 達雄君
    ―――――――――――――
四月十二日
 小委員安藤巖君及び依田実君同月五日委員辞任
 につき、その補欠として安田純治君及び加地和
 君が委員長の指名で小委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 証人及び証言等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○上村小委員長 これより法務委員会証人及び証言等に関する小委員会を開会いたします。
 証人及び証言等に関する件について調査を進めます。
 本日は、参考人として日本弁護士連合会司法制度調査会委員長塚本重頼君、朝日新聞編集委員野村二郎君の御両名に御出席をいただいております。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。
 本小委員会は、証人及び証言等に関する件について調査いたしておりますが、本日は特に議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律に関する問題について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承り、もって本小委員会の調査の参考にいたしたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げますが、塚本参考人、野村参考人の順序で御意見をお述べいただくこととし、なお、御意見の開陳はお一人二十分以内に取りまとめてお述べいただくよう御願い申し上げます。
 次に、両参考人に対し、委員から質疑がありますので、さよう御了承を願います。
 それでは、塚本参考人にお願いいたします。
#3
○塚本参考人 日本弁護士連合会の司法制度調査会の委員長をいたしております塚木重頼と申します。参考人、おまえらの意見も聞いてやろうということでお呼び出しをいただきまして、まことにありがとうございます。
 日本弁護士連合会といたしましては、過日来国会の方から御照会もございまして、議院証言法の若干の手直しをいたすとすればどの点に手直しを要するであろうかという点につきまして日本弁護士連合会としての意見を申し上げたわけでございますが、本日はその日弁連から申し上げました意見の概要をここで御説明を申し上げ、そして後で御質問にお答えをするということにさせていただきたいと存じます。きっと野村参考人のおっしゃることは大いに御参考になるのだろうと思うのでありますが、私の申し上げますことは、何だそんなことはとっくに知っておるという点が大部分であろうかと思うのでお許しを願いたいと存じます。
 これはお手元に届いておるのであろうと存じますが、日弁連から差し出しました書類に、議院証言法の改正案というような形式の、条文の形を一応とりました書面が差し出してございますが、もしこれがお手元にございますれば、これに基づいてお聞き取りを願うと大変ありがたいと存じております。
 現在の法律にこういう条項を付加したらどうかというのが数点ございます。そのほかに、われわれもまだ研究を続けておる段階でございましてこれからもう少し検討をさせていただきたいという点が三、四点ございます。
 条文の形にして申し上げました第一点は、議院の外、院外で証人の尋問をすることができるのかできないのか、またできるとすればどういう方法をとったらいいかという院外の尋問、裁判所でよく使います言葉では臨床尋問、病床のそばまで行って尋問をするというので、よく御入院の方等に病院まで出向いて尋問をするという形で、臨床尋問という言葉が俗に使われております。さような臨床尋問あるいは現地へ出張しての尋問、恐らく国会で申しますれば院外における尋問ということに相なろうかと存じます。これは裁判については、民事訴訟法それから刑事訴訟法にそれぞれ規定が置かれておるわけでございます。議院証言法について、院外における証人の尋問はやはりお許しになるという方が便宜であろうと存じまして、ここに第一条の二という形で書いてございます。
 どういう場合に許すかは、証人の重要性、年齢、健康状態その他の事情と事案の軽重とを考慮した上でお決めいただくというのが筋ではなかろうか。そしてお決めいただくのは、これは私ども国会のことが不案内でございますので、各議院はこういう場合に「必要と認めるときは」院外で尋問ができる、「証言を求めることができる。」こう書いてございます。「各議院は」というのは、衆議院、参議院それぞれでございましょうが、あとその内部的なお手続のことは私つまびらかにいたしませんので、これは内部で御処置が願えると存じております。
 さような基準を配慮いたした上で証人または補佐人の意見を聞いていただきたい。証人の人が、いや、病気ではあるが無理をしてでも議院に出てくると申せば、またそれでお待ちを願えばいいのではなかろうか。それから、いま病気が治りかけているが、もうちょっと待ってくれまいかというような意見もあるかもしれません。それはやはり証人の意見を尊重していただけないか。最後は証人の意見のとおりになるのかならないのか、これは証人をお呼びくださる議院のお決めいただくことになろうかと思います。
 さようにして、ただいまのようなことを基準にした上で「必要と認めるときは、議院外に証人の出頭を求め、又はその現在場所で証言を求めることができる。」
 その場合に、議員の各位が全員お出ましになる、大変大ぜいで病院に行かれる、自宅に行かれるというのは、今度は来られる方も多少困るであろう、部屋もないとか場所に困るとかいろいろの問題点が出てまいろうかと思うのでございます。そこで、その場合には何人かの少数の方にお出ましを願うだけで相済まないものかどうか。どなたに行っていただくかというのは、これはいらっしゃる委員会でありますか議院でありますか、それぞれがお決めいただくことであって、特定の議員が、自分が出ていくぞ、こういうふうな決め方をするのではなくて、院の決議でどなたとどなたと何人でお出ましを願うかということをお決め願う順序になろうと思います。
 裁判の言葉で申しますと、裁判官全員で行かないで、受命判事に臨床尋問に赴かしめるということを申しておりますけれども、受命判事、特に命を受けた裁判官が現地に出向いて尋問に当たる。一人の場合、二人の場合もございます。合議部三人で参りません。一人か二人、大体は受命判事というのは一人の方が多いのでございます。一人か二人の裁判官をその合議部で指定をして、その人を派遣する。そのほかに書記官がついてまいります。速記官がついてまいります。ということで、つい三人、四人になるわけでございますが、ここらはそれぞれの委員会、議院の側で御配慮をいただく点であろうと思われます。
 それから第二点が、補佐人を置いていただくことが適切ではあるまいか。補佐人には弁護士の資格を持っておる者の中から御選任が願いたい。
 補佐人はこれは何人がいいか議論がございますが、まあ一人でいいのではないか。余り大ぜいになりますと運営がややこしくなるという感じがいたしますので、証人一人については補佐人の数は一人ということでいかがであろうか。
 補佐人はどういう権限を持つのかということでございますが、補佐人は証人の証言に立ち会うこともできる。証言を求められるのはむろん証人でございますから、補佐人はやはりそばに付き添っておるといういわば付添人的、補助者的な役割りでございまして、証人が証言を求められる、発言をするのは証人であって補佐人ではございませんから、補佐人は証人から助言を求められたならばこれに対して助言をするというのが主たる役割りであろう、こう思っております。
 その弁護人的補佐人にどれだけのことをしていただくかというのも、これはむずかしい問題でございまして、日弁連の案では、ただいまの、証人に付き添って証人の証言に立ち会うことができる、それから最後に、条文としては四条の六というところに書いてございますが、証言あるいは宣誓を拒むことのできる場合に該当するかどうかというようなことについて証人から意見を求められた場合には、証人に助言をすることができるという、アドバイザーでございます。これは映画やテレビでアメリカの例等を見ておりますと、証人席の隣に弁護士が座って、証人とときどき耳打ちをしておるのを見受けるのでございますが、これは答えていいだろうか、それとも答えないで拒否してしまった方がいいだろうかというようなことを証人が弁護士に尋ねておるという光景を見受けるのでございます。それに似たことが日本でも行われていいのではないかという気がいたしております。
 ただ、日本とアメリカと若干事情が違いまして、アメリカは証言拒否権の行使ということがわりに頻繁と申しますか、自分が罪になるおそれがあるときには証言はしませんぞということがかなり徹底をしておりまして、またそれがそう非難には値しないという雰囲気があるのでありますが、日本では、証言を拒否するというのは実はなかなか角が立つことでありまして、従来、裁判所の例を見ても、証言拒否権を行使するという例は大変まれであります。いわんや宣誓を拒否するという例はなおまれである、まれな例がときどき起きてまいるので違和感が出ておるのだと思うのでございますが、それについて、証人自身が一人ではなかなか法律的な問題であって配慮しにくい、付き添っておる弁護士の意見を聞いて、その点はお答えできませんというような答えをさせていただくということが許されるのではなかろうか。
 さらに日弁連の案は、補佐人は尋問の手続及び方法について、それがこの法律に違反するときは異議を申し立てることができるという原案と申しますか、私どもの考え方がここに書いてございます。この場合は異議を申し立てる。これは一体証人に異議を申し立てさせる、その内容だけを教えて差し上げて証人が異議を言うのか、とても証人は素人で上手に異議は言えないから、異議を言うときにはその付き添っておる補佐人が発言を許されて異議を述べていいのか、そこをどう扱ったらいいのかは、またもう少し国会の運営、委員会の運営等をお教えをいただかないと、私どもには考えがやや決めかねる点でございますが、日弁連の案としては、一応法律違反になるような尋問の手続、方法があれば異議を申し立てることができる。
 証人のそばに座っておる付き添いの権利、事によると必要に応じて助言をする権利、場合によると、まれではありましょうが異議を申し立てる権利、このくらいが補佐人に認められるのではあるまいかという感じを受けております。
 さてその次が、尋問の準備をどういうふうにしていくかというような段階でございます。
 証人尋問の日時、場所、それから何についてお聞きくださるのかということは、あらかじめ証人及び補佐人に通知しなければならない。日時、場所をお知らせいただくのは当然のことでありますが、尋問事項も、どういう事柄について聞くのかということは証人にお教えを願うのが適切であろう。これは訴訟でも、こういう事柄について尋問をするのだというごく大綱だけ、ほんの項目だけは事前に尋問事項を明らかにするというのが普通でございます。どんな順序で尋問するかとか、こういうことがポイントになるかとかいうようなことは無論事前に開示する、事前に証人に知らせるという必要はございません。
 それから、尋問の日時が決まりますと、きょう呼び出してあした尋問だぞと言われても、証人の予定も困るかもしれませんので、若干の猶予期間を置いていただくということを法律上決めておいていただけまいか。これも訴訟法にはさような決めのしてあるところがございますので、少なくも七日ぐらいの猶予期間を置いていただけないか。しかし、常に七日の猶予期間を設けよというのはお困りでありましょうから、証人に異議がないとき、それから緊急やむを得ないとき、これは猶予期間がなしでもよろしいということに相なろうかと存じます。
 それから、証人が出てこなかったらどうするのだという問題が一つあるのでございまして、日弁連で議論をいたしましたときには、証人に出頭の命令を出す、出頭命令というか同行を命ずると申しますか、出てこいという強制的な命令が出せる、それでも出てこなければ勾引状まで出せるというようなことを考えてはどうかという意見がかなり強かったのでございますが、そういう強制的な出頭命令あるいは勾引命令というのを出すとなりますと、一体国会の各議院の議長が出してくださるのか、委員会の委員長がお出しくださるのか、それとも、そのような立法権の行使機関に、私人に対して、市民に対して出頭を強制的に命ずる令状を出す権限を与えていいのかどうか、無法の中に、逮捕のところございますけれども、逮捕令状は権限ある司法官憲の発する令状によらなければ、現行犯以外は逮捕できないという規定がございます。あれは権限ある司法官憲という余り日本語らしくないところもございますが、とにかく司法権を行使する機関でなければ市民の自由を拘束する令状は出せないのだ、それをいただきに行くのは、警察官であり検察官であり行政権を持つ人で結構だけれども、いよいよ令状を出すのは司法官憲でなければいけない、こういう原則がございますので、果たして、立法権を行使しておられる国会側、衆参両院側に、そういう私人に対して強制力を持つ命令を発する権限を与えることがどうであろうかというので、これはちょっと研究を要する課題になっております。
 しかし、出てこない人に罰金を科するとか、罰金を科するなら裁判所で科してもらうことになりますが、罰金を科する、あるいは民事罰と言われる科料を科するということは十分考えられる。その科料とか罰金は、不出頭一日につき幾ら、一日出てこないと十万円以下の罰金とか科料に処する、十万円が高ければ五万円以下の罰金とか科料に処する、二日出てこないと倍加される、三日出てこないと三倍になる、ぐずぐずしていると大変な制裁を受けるという、金銭的な懲罰を科するということで、間接的に出頭を強制するというのは大きに考えられることでございます。アメリカあたりでありますと、御承知のようにコンテンプト.オブ・コングレスという議会侮辱という考えがすぐに背景にございまして、議会の命令に従わない者は議会侮辱として科料に処せられる、事によると拘留、つまり留置されるというようなことが、議会の固有の権限として、憲法にも書いてないし法律にも書いてなくても、固有の権限として存在するのだという考えが根底にありますけれども、どうも日本ではそういう考えがございませんので、やはり法律の上で手当てをしていかなければならない。法律の上の手当てとなると、争いの少ない方法は金銭的な制裁ということになろうかと存じます。
 さて、いよいよ尋問が始まるという段階になりますと、証人にはまず宣誓をさせる。宣誓を拒否するというような場合が事例として珍しく出てまいりましたが、どういう場合に宣誓の拒否ができるかというようなことも、だんだんにもう少し検討を要するかと思います。宣誓に先立って、尋問前に偽証の罰を告げなければならない。これは裁判所では証人に対して、うそを言うと偽証罪として処罰されるおそれがありますということを申しておりますので、やはり国会の側におかれても、尋問前に偽証の罰を告げるという方が望ましいのではないかと存じます。
 それから、宣誓を拒むことができるあるいは証言を拒むことができる宣誓拒絶権、証言拒絶権もありますぞ――補佐人という弁護士が付き添ってまいれば大体は心得て出てくるに相違ないのでございますが、しかし一般の市民は必ずしも法律を習っておるとは限りませんので、市民に対してはどういう拒否権があるのかということを冒頭にお教えを願うという意味で、証言拒否権等があるということを、これは裁判でも必ず申しておりますので、委員長から証人になる者にお告げが願えると幸いでございます。日弁連の案では第四条の二というのがそれに該当いたしております。
 それから、委員会は公開というのが原則でございましょうが、事によると傍聴を許さないあるいは秘密会というような御配慮がいただける場合が出てまいります。報道の任務に当たる者その他の者は、国会法を拝見いたしますと、特に委員長の許可を受けて傍聴ができるという規定がございました。その場合に、証人の意見をやはり聞いていただけないであろうか。意見を聞くということは、無論その証人の意見に拘束されるということではなくして、意見を聞いた上で、委員会の側が独自の御判断を願うということになるのであります。傍聴を許すか否かについて君の意見はどうだというのをお聞きくださることが、やや民主的ではないかという気が私どもとしてはいたしております。
 それから、秘密会にする。証人の証言が他人の秘密を不当に侵害するおそれがある、または国家の重大な利益に悪影響を及ぼすおそれがあるとき等は、これは秘密会とすることができる。日弁連の案にはこの二つが書いてあるのでございますが、その他、衆参の各議院が必要と認めるときという規定も要るのではないか。それとも、それは国会法に規定があるから要らないということになるのか、そこらはちょっと御検討をいただきたい点でございます。国会法にあるから要らないということになりますと、この議院証言法の中のいま私の申し上げました若干の規定も要らないのがあるかもしれない。しかし、国会の運営に関する国会法は一般的であって、議院証言法はいわば特別法に当たる。特別法にそれぞれの規定が置かれておるのに、ある規定をわざと抜いておるということは、当然国会法に戻るという解釈になるのか、それともその部分は意識的に除外されておって、国会法の一般規定の適用がないぞという解釈の起こる可能性もございますので、これも御検討を煩わしたい点の一つでございます。
 それから尋問の内容につきましては、民訴や刑訴にそれぞれの規定が、民事訴訟規則、刑事訴訟規則に主としてございますが、できるだけ個別的、具体的に尋問をしていただきたい。
 それから、威嚇的、侮辱的な尋問は避けていただきたい、重複尋問は御遠慮願いたい等々、幾つかの配慮が訴訟でもなされております。国会における証人についても同様の御配慮がいただけないであろうかという趣旨で、若干の点を訴訟規則にならって列挙してはいかがかというような感じを持っております。
 以上が、ごくあらましの点を条文の形にして日弁連としてお目にかけた点でございます。
 あと、重要な点が実はまだ研究未了のまま残っておる点がございます。たとえば、公務員が職務上の秘密であるといって証言を拒否する、あるいは書類の提出を拒否するというような例が間々考えられるわけでございますが、これは国家の機密に触れる、あるいは個人のプライバシーに触れるという問題であればやむを得ないということで、それで引き下がるという形で御処理をいただくのが適切なのか、それとも個人の秘密はかなり尊重しなければ相なりませんし、国家の機密も非常に大切に守らなければなりませんけれども、一定の条件を設ければ国家機密というものも国民に開示がされていい場合があるのではないだろうか、それにはどういう基準を決めていったらいいか。御承知の、アメリカで数年前から情報自由化法と申しますか、フリーダム・オブ・インフォメーション・アクトという法律ができておりますが、その運用を見守りながら日本でもたとえば情報公開法というようなものが考えられるのか、それが望ましいか否か。また、望ましいとしてもどんな基準を設けるのがよいかというようなことは、ちょっといろいろの議論がございまして、日弁連としてはまだ結論をまとめるに至っておりません。
 それから、国会のそれぞれの御調査を御担当くださる委員会の中に、たとえば国政調査官というような補助機関を設けてはどうか。これは無論国会法の改正が要ることであろうと思うのでありますが、国会議員の諸先生方が自分で御調査をなさり、自分で尋問をなさるというのは、これは大変な御努力であろうと思うので、たとえば下調べ的な調査、どういうことをあの証人に聞こうか、その尋問事項をどういう順序に組み立てておこうかというような調査をする補助的な機関、何という名前がよろしいのか、たとえば国政調査官というようなポストを、国会のきっと事務局に置かれるのかと存じますが、お置きくださるというのも一案ではないか。アメリカの例は、諸先生方がよく御承知のことと拝察しておるのでありますが、議員一人についてかなりの人数の、数人の補助者、特に法曹資格を持っておる補助者が、さような調査に当たってはついているように思われますので、事実の調査に当たる、証人尋問の準備を行うというような補助的機関が必要ではなかろうかという気がいたします。しかし、国会のいよいよいわば本音的な委員会で現実に証人尋問をするというときには、これは国会議員の先生方に直接なさっていただきたい。そういう補助者的な人にはやらせないでいただきたいという気がいたします。たとえば公正取引委員会なんかは、補助者と言っては言葉が悪いのでありますが、いわば審判部長以下審判官に証人尋問もさせております。公正取引委員会の委員の方々は最終的な判断をするというだけで、直接の証人尋問にはお立ち合いになっておりませんけれども、これはそうではなくて、やはり国会議員の先生方の直接の尋問ということは維持すべきであろうと考えております。
 それからもう一つの問題点は、証人が自分が罪になるおそれがあるから証言はお断りです。この書類を出したら口分が罪になるおそれがあるから書類は出せませんと言ったときに、それでは仕方がないなといってやめにするのか、それともアメリカで問題になりました刑事免責法、イミューニティースタテュートという名前でございますが、おまえはもう後でその事柄については刑事訴追を受けないようにしてやるという保証を与えて、刑事訴追を受けるおそれはなくしてやったからさあ答えなさい、こういう証言を強制する方法がございますが、これを一体日本で採用すべきかどうかということがかなり問題になります。イミューニティースタテュートそれ自体も百年くらい前にアメリカでできておるのでありますが、当初は若干弊害があった。真実を発見するのにかなり役立つ法律でございますけれども、今度は逆に、国会に逃げ込んで証人になって証言してしまえば刑事訴追は免れるという空気が出てきたことがございました。刑事訴追を免れる一つの手段に使われた弊害もなかったわけではございません。アメリカもそれは考えて、近ごろは規定の体裁をいろいろ限定をして、刑事訴追をしないという配慮じゃなしに、刑事訴追をされるかもしれないが、その国会なり何なりでお答えをした証言の内容、速記録の内容は裁判所では証拠にならないという、証拠能力を排除するという方法に転換をしておる傾向も見受けられます。しかし、そうなると今度は刑事免責の効果がかなり薄らいでしまいますので、刑事免責法としてのせっかくのねらいはやや効果薄になるという二律背反的なところがございますので、これをどうしていくかというのはかなりの議論を要する点であろうと存じまして、日弁連としてはただいま一生懸命検討をいたしておるところでございます。免責法をつくるとすればどういう要件、効果が望ましいかということをいま考えておるところでございます。
 そのほかごく小さい点でございますが、証人に対しておどしたりするというような人があれば、さようなことは相許さぬぞという刑法に規定がございますが、議院における証人に対してもこれを拡張するというようなことは考えられるであろうというような点をただいま議論を続けておるところでございます。
 大体時間にもなりましたようでありますし、日弁連として考えてまいりましたことをかいつまんで御報告を申し上げた次第でございます。
 ありがとうございました。
#4
○上村小委員長 ありがとうございました。
 次に、野村参考人にお願いいたします。
#5
○野村参考人 朝日新聞の野村二郎です。
 私は法律家ではもちろんありませんし、新聞記者としまして、主に裁判と司法関係を取材しているわけです。司法関係の中にロッキード事件も当然入りまして、国会の証人喚問などを取材したこともあります。そういうものの中から私が一市民として感じたことを申し述べさせていただきたいと思います。
 法理論上のことはいま塚本先生がいろいろ御説明なさったので、それよりか、むしろ議院証言法がどうすれば有効に機能するのか、現在は機能していないのか、そのためには何が必要なのかということを考えたわけですが、まず、議院の委員会の調査機能というものがどれだけ重要なものであるか、そうしたものがわれわれ市民の目にどういうふうに映っているかということを申し上げたいと思うわけです。
 議院証言法がどうあるべきかということは、とりもなおさず国政調査そのもののあり方と関連するのではないかと思うわけです。国政認否は、私が申し上げるのは非常におかしなわけですが、先生方が御存じのように、非常に広範にわたっているし、あらゆる面にわたって調査することが可能じゃないかというふうに思うわけです。ただ、司法の分野にわたることと、それからプライバシーに関してはかなり制約はあると思いますが、それ以外のものは憲法の構造から考えて、制約の中でもかなり広範囲にわたって調査することができるのじゃないかというふうに思うわけです。およそ公共に関することならば、両院の委員会の活動が十分果たされればかなり真相に迫るさまざまな内容が調べられるし、それが国民に知らされ、立法のための効果的な作用をするのじゃないかというふうな感じを持つわけです。
 私がこういう委員会を見て感ずるのは、委員会の中で一番大切なのは、いろいろな情報を収集して、その情報を分析して、それを国民に還元していくということが非常に大切なことではないかというふうに思うわけです。そのためには、情報を収集することによって、現在起こっている実態は何なのか、そのこと自体のバックグラウンドは何なのかというふうなところまで手を入れて調べる必要があるし、そうすることによって事実が確定できるのではないかというふうに思うわけです。ロッキード事件も、私たちが見ていて非常に感じたことは、事実に迫ろうという御努力を大変なさっていることはよく理解できるし、わかるわけですけれども、何かそこの事実に到達する前で足踏みしているような状況があるのではないかというふうに感じたわけです。
 そこで、その委員会の権能ということを考えますと、議院証言法などを見ましても、刑事裁判よりひょっとしたら真相に迫れるような法律の規定になっているのではないかというふうな感じを持つわけです。刑事訴訟法、これは塚本先生の方が詳しいわけですけれども、刑事訴訟法ですとかなり証言拒否ということが認められているわけですが、議院証言法からいきますと、証言拒否を突き詰めていくと内閣声明ということまでしなければいけない規定になっているわけで、それから考えていきますと、拒否の幅というのが非常に狭くなっているのではないかというふうな感じを持つわけです。
 そういうことから考えまして、事実を確定するということは、事実を確定するためにいろいろな方法はありますけれども、私がいままで委員会を見て感じましたことは、どうも党派色が先に出てしまって、事実を究明するということより政治的立場の方が先に立っているような感じがするわけです。事実を確定するということは、やはり客観的なデータを集めるということになりますので、党派とは別に、いろいろなデータを集め得る立場にある先生たちとすれば、相当突っ込んだデータを集められることになるのじゃないかというふうに思うわけです。ただ、集まったデータをどういうふうに評価するか、それをどういうふうに結論づけるかということは、当然政党性、党派色というものが出てくるというふうに思いますけれども、そうでない限り、事実に関しては党派色をなくして、あらゆる方面からの情報を集めて、それを国民の前に出していくということをやっていただきたいというふうに思うわけです。ただ、さっきも塚本先生が触れていましたように、日本とアメリカと比べてみますと、アメリカの方は若い法律家もかなり調査スタッフの中に入っていますし、それから予算もかなりあるし、調査能力というのは日本と比べるべくもないほど充実しているような感じを待つわけです。
 委員会の中でその事実を求めようとして参考人とか証人とかの方を呼ばれるわけですが、あのやり方を見ていますと、委員会制度がいまのままでいいかどうかということについては十分検討する余地があるのではないかと思うわけです。普通の一般の人ですと、やはりあの衆人監視の中で証言をしたり意見を述べるということは、先生方と違って場なれしていない人が多いわけですから、そういう一つの委員会の雰囲気というものをどういうふうに変えていくかということが、事実を調べていくためには大切な要素になるのじゃないかというふうに思うわけです。五十人から百人、それから新聞記者も含めて、テレビのライトに照らされた中で証言をしたり意見を述べるということはなかなか大変なことで、でき得ればなるべく小人数で証人を呼ぶという形の方が真実に迫る方法としては着実にデータが出てくるのじゃないか、証人の気持ちとしては証言しやすいような状況になるのじゃないかというふうに思うわけです。国会は、むろん裁判もそうですけれども、公開の場で行われなければならないことは、もちろんそれが民主主義の社会の中では当然のことなんですけれども、ただ、それは運用次第で、公開といっても、いま申し上げましたように小人数の中で公開するということをやれば、もっと具体的な内容にわたる事実というものが出てくるように思うわけです。
 あの尋問の方法なんかも拝見しましても、たとえば委員の方が手を挙げて質問し、それから委員長が指名し、それから証人が証人席に歩いてきて証言するという形をとっておりますけれども、ああいう形ですと、やはり証言というものは一つのリズムのようなものが大切で、そのリズムに乗っていくと証言のうそか本当かというふうなことがおのずから出てくるようなものじゃないかというのが裁判を見ていて感ずるわけです。そういう点から見ますと、いまの証人の尋問の方法というのは必ずしも適切ではないし、それから証言をさせる場も必ずしも適当な規模でなされているとは思えないような節もあるわけです。もう少し小人数で効果的にできるような方法をお考えいただいた方がいいのじゃないかというふうに思うわけです。
 塚本さんも先ほどおっしゃいましたけれども、やはり証人というのは事実を引き出すための証人であって、考え方によってはあるいは刑事上の被疑者のような立場にある人も当然出てくると思いますけれども、やはり処罰が目的ではなく真相に迫るということを目的とするならば、威嚇とか恫喝とかそういうふうな印象を与えるようなことは避けるような方法で尋問をするべきじゃないかというふうに思うわけです。
 証人と参考人と二通りの立場がありまして、ここずっと長い間国会のいろいろな委員会の証人の歴史というものを、歴史と言うとちょっと大げさですけれども、見てみますと、大体議院証言法ができたころは証人の方が出ていましたけれども、その後ほとんど参考人という立場になっているわけです。なぜ参考人になったかというのは、結局海外引き揚げ同胞の尋問の後で自殺者が出たとか、そういうふうないきさつがあったような感じがするわけですけれども、少なくとも証人である以上、やはり供述の拒否権を与えると同時に強制力を持って証言させるということは、事実を重視するということになりますので、それは、いろいろな事件の当事者とかあるいは直接真相を知っている立場にあり得る人は、証人という立場で呼んだ方が、事実の確定という面からいいますと効果的な証言が期待できるのじゃないかというふうに思うわけです。
 それから、率直に申し上げますけれども、国会議員の証人が非常に問題になっておりますけれども、国会議員の場合は、刑法の名誉棄損の条項でもかなり免責の条項がありますように、普通の一般私人より人権というものが、当然考えられなければいけないわけですが、ある程度制約を受けているわけで、この点についても、一般市民の証人とそれから国会議員の証人という立場を考えますと、国会議員の方がむしろ証人としての立場は、といいますか、国会議員の方が進んで証言に立つような立場に置かれていいのではないかというふうに思うわけです。
 茫漠とした話ですけれども、あと、御質問があればそのとき御返事いたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。
#6
○上村小委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○上村小委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質凝の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
#8
○横山小委員 お三人の先生方、御苦労さまです。十二時までで、委員の質問がたくさんございますから、この間も実は御答弁くださる時間が長過ぎて質問の時間が超過になってしまいまして、御遠慮なさらぬでもいいですから、イエス、ノーというような意味で簡潔にお答えくだされば結構でございます。
 ただ、前提として、いま野村さんのお話を聞いておりまして、塚本さんの御意見もそうでありますが、ロッキード事件の証人、ああいう雰囲気のもとにこの小委員会がつくられてきた傾向がありますので、私どもとしては、証人というのは三つのジャンルがあると思うのです。一つは、ロッキードのときのように被疑者的証人ですね。一つは専門家的証人、もう一つは関係者的証人。この関係者的証人の中には、共犯的な証人と、それからお礼参りをされるおそれのある被害者的証人。証人はこの三つのジャンルがあると思っているのです。ですから、私ども自戒しておるのですけれども、ロッキード的な雰囲気のもとでこの審理をやってはいけない、それだけで審理をやってはいけないと思っております。それからもう一つは、参考人の話やいろんなものを聞きますと、人権尊重ということが非常に高く言われるのはもっともなんですけれども、先ほど野村さんのおっしゃったように、どうすれば有効に証言法が機能するかというところに観点を持っていかないと、だんだんやっているうちに証言法の運用が厳しくなって、証人を呼ぶ条件が厳しくなっちゃって、この証言法の運用がむしろ狭くなってしまって、本末転倒していくおそれがあるのじゃないかということを考えているわけでございます。それを私の質問の前提としてお聞き取りください。
 まず、塚木さんにお伺いするのですが、これを拝見しました。これを拝見しました中で、たとえば一条の二「事案の軽重とを考慮した上」ということを特に法案の中へ書く必要はないのじゃないかということが一つ。
 それから、一条の三の「弁護士の中からこれを選任しなければならない。」というのは、これは何も弁護士さんに限る必要はないのではないか、お気持ちはわかりますけれども。
 それからその次に、四条の五でございますが、四条の五に「すでにした尋問と重復する尋問」というのがあるのですが、御存じのように国会は各党が質問をするのでどうしても重複します。それから、角度が違うのです。やはり角度が違うので、これを言ってしまうと少数野党に非常に不利になるわけです。気持ちはわかるのですが、特にこれを書く必要はないのじゃないか。
 それから、三に「意見を求め又は議論にわたる尋問」、議論はともかくとして意見を求めるということは当然のことではなかろうか。それは先ほど言った証人に三つのジャンルがございますから、専門家的証人については意見を求めるのは当然ではないかということが考えられるわけでございます。
 これはイエス、ノー、簡単にまず塚本さんからお伺いして、次に移ります。
#9
○塚本参考人 それではお答えを申し上げます。
 第一点の、第一条の二の「事案の軽重とを考慮した上」というのを条文の中にまで書く必要があるかどうか、これは見識の問題ですから、条文の中に書いてあろうとなかろうとそれは十分配慮するのだというので、あたりまえのことだから書かぬでもいい、こういうお考えと、いや、あたりまえのこともやはり基準として存在する限りは書いておこうではないかという考え方と二つございまして、立法の政策としてどちらをおとりいただくかということで決めていただくのではなかろうかと思っております。
 それから第二点の、第一条の三の「補佐人は弁護士の中からこれを選任しなければならない。」何も弁護士に限らぬでもいいじゃないかという仰せもおありとは存じますが、日弁連の意見としてはぜひ弁護士の中からにしておいていただきたい。それから弁護士法その他の使命から推しましても、やはり弁護士がふさわしいのではないだろうか。弁護士でない人を選任するというときに、どういう人を選任したらそれでは議院の側にお許しをいただけるのかというのに、今度また基準にお困りになりはしないか。友人を頼んできた、同僚の国会議員を頼んできた、大学の先年を頼んできた、外国人を頼んできた、いろいろな例が出て、補佐人の許可をしていいかいけないかということでまた議論が出はしないか。せっかく資格を持っておる弁護士というのがおるのでありますから、ひとつそうお許しを願えないか、こういうことでございます。
 それから、第三点の四条の五「すでにした尋問と重複する尋問」はやめよというのはいかがかというのは、国会の運営と裁判所と大きな違う点であろうと思われますので、これはもし法律的な回答で逃げるとすれば、ここに「正当な理由がある場合は、この限りでない。」という条文になっておりますので、国会運常上多少の重複であっても、その点は観点が特に違う、角度が違うとさっきおっしゃっておりましたが、角度が迷えば全面的重複ではないのだ、似たような尋問ではあるけれども角度が違うという意味で重複でない、こういうことでお許しをいただくのか、それとも重複はしておるけれども、重ねてその点を確認をし念を押す正当な理由があるから尋問を許すべきである、こうなるかどっちかではないかと思われます。
 それから、証人にいろいろな種類があって、専門家には意見を求めるのが筋だ、それはもうおっしゃるとおりでありまして、それこそこの法律の条文から言えば、意見を求めるという尋問をいたすことは、まさにそれは正当な理由がある場合であるという理解をしております。裁判では鑑定証人という言葉をよく使いますが、意見を求めるために来てもらうという証人には意見を求めるのがむしろあたりまえでございます。これは許すのが当然でございましょう。
 たしかそれだけだったと思います。
#10
○横山小委員 次に、野村さんにお伺いするのですけれども、先ほども司法の分野とプライバシーについては国政調査権の除外例的なお話をなさいました。先般も三人の参考人の皆さんにお伺いしたのですけれども、私ども国会議員、まあ公職者すべてでございますが、有権者に向かって政策を訴えると同時に、私どものプライバシーを放棄した訴え方をしているわけですね。横山利秋をひとつ信じてください、私の人生、私の信念、それを訴えるということが最近では半々でございますね。要するに、ある意味では公職者はプライバシーを放棄しているのではないか。ところが、土壇場になると、国会議員にもプライバシーがある、人権があるということを言うわけです。そこで、この間の参考人の皆さんは、国会議員がみずから進んで公開をする、所得の公開なり何なりみずから進んで、そういうことを言ったならやるべきである――その気持ちはわかるのですけれども、それだけで一体うまくいっているかといいますと、いざとなるとそういうことはしないのが普通です。少なくとも公職者はそういうことで有権者に訴えたのであるから、法律的にも何らか人権ないしはプライバシーについての制限規定があっていいのではないかと思われることが一つであります。
 それから二つ目は、先ほど塚本さんからお伺いしました刑事免責の問題です。私は、法律的なことをお伺いするよりも町村さんのいわゆるジャーナリストとしての意見を伺いたいのですが、法律論からいいますと、アメリカでは取引ですね、おまえがしゃべったら罪は許してやるという取引制度が発達している。日本ではその取引制度が発達していないで、情状酌量論ですね。つまり、自白をしたならばその気持ちをくんでひとつ刑は軽減してやるという情状酌量論で、なかなか刑事免責がなじまないと法律論では言われているのです。だけれども、この間最高裁及び最高検がコーチャン、クラッターについて事実上の刑事免責を与えてしまいました。なじまないけれどもそういう実績があるのだから、証言法改正のときに全く限定した、厳格な規定をした刑事免責制度を導入してもいいのではないか、これは本当にきわめて消極的導入ではありますけれども、導入してもいいのではないか、私はこう考えておるのですが、その二つについて御意見を伺いたいと思います。
#11
○野村参考人 プライバシーの問題は非常にデリケートだと思いますけれども、国会議員の場合のプライバシーは、プライバシーとして守るというよりむしろ侵さない方がいい、というのは全く個人的な問題、具体的に言うと女性問題とか家庭内の問題、これはやはり国会という公開の場でいろいろ論議するのは若干疑問があるのじゃないかと思うわけです。ただ金銭上の問題は政治資金規正法との関連がありますので、これはやはり政治資金規正法そのものに手をつけていかないと、全部公開するのが望ましいと思いますけれども、金銭はプライバシーとして言えないのだというふうな解釈をするのはどうかというふうに思うわけです。やはり金銭上の問題というのが国会議員のあり方で一番問題になるわけですから、それは政治資金規正法をもう少し手直しするとか、もっと公に公開するような方法、方向をとるということで、プライバシーとは切り離していいのじゃないかというふうに思うわけです。
 それからもう一つ、刑事免責の問題ですけれども、アメリカのように刑事免責を与えて証言を引き出すということは、私は非常に危険があると思うのです。それは刑事免責を与えることによって真相を引き出すという可能性も十分ありますけれども、刑事免責を与えられることによって逆にうそ、あるいはうそに近いものを強調して人を陥れるというふうなことも十分考えられると思いますので、やはり刑事免責というのが司法制度の中でも非常に問題になりますし、それから国会の中でも、ということは、つまり法律の中で刑事免責を与えて口を開かせるということは、私は必ずしも賛成できないような感じを持つわけです。
#12
○横山小委員 もう一つお伺いしますが、塚本さんには、私どもアメリカへ行ってずっと調べてきたのですが、アメリカでこういう汚職とか同僚議員の問題を含めて、与野党可否同数というシステムが一つあるわけですね。それからもう一つは、少数党の権利といいますか、証人を呼ぶなら満場一致でなくて私どもは過半数主義でいいのだと思っているのですけれども、委員の構成を与野党同数という例を引いておるのですが、それをどうお考えになるかということ。
 それから、野村さんには、これを議論しておるうちに、証人の人権を守るの余りテレビだとか新聞記者とかそういうものを公開しないで制限する場合があるのだということが盛んに議論をされているわけです。それで、お二人とも公開するか否かについては委員長の権限であって、もちろんそのときに証人の意見を聞く、意見を聞くけれども委員長の権限であって証人の権限ではないというふうに理解をされていらっしゃると思うのですけれども、マスコミの立場から、そういう委員会の公開、マスコミの排除ということについてどうお考えになるか、これは野村さんからお伺いしたいと思います。
#13
○塚本参考人 国会の運営のことは、ちょっとはなはだ素人で不案内で、アメリカの例もそう詳しいわけではございませんのですが、ただアメリカでは、与党であればもう結論はこう決まっている、野党の議員であれば結論はこう決まっているという束縛は大変薄いような気がいたしますですね。共和党であっても、共和党の都合の悪いことをいろいろ調査するのに賛成をなさる議員もいるし、民主党であっても自党のことについてもかれこれ言うことを決してきらわないというタイプの方もいます。党の方針が各議員を拘束しているという度合いが、日本に比べると、何と申しますか、アメリカはずっと薄いのじゃないでしょうか。それも一つの影響ではないだろうか。各国会議員の方々がそれぞれ自己の判断で、ある問題について行動すればいいので、これは党の方針だからもう聞かなくても結論はわかっているというようなスタイルにはどうもなっていないような気がする。ただアメリカで、与野党が常にといいますか、かなり同数を配慮している。日本ではそうならない。そこはどういう違いからそうなってくるのか、またどうしたらいいか、それは私ちょっと考えたこともございませんので、お許しを願いたい。
#14
○野村参考人 マスコミ、新聞記者、テレビも含めてですけれども、報道機関の立場からするとやはり公開の原刑は守っていただきたいし、でき得ればなるべく多くの新聞、放送、報道関係者が直接委員会に出て取材したいというのが、われわれの希望だと言えるわけです。と申しますのは、やはり仮に秘密会というふうな形で調査が行われたとしても、新聞記者の使命からいいまして、必ずその秘密会の内容を取材することになるわけです。その取材の過程で誤りもありますでしょうし、それから逆に、故意に作為的な情報が流れるという危険性もあるわけです。ですから報道関係者の立場からいいますと、やはり自分の口で見、耳で確かめた取材をしたいという希望があります。ただ、公開の席で証人の証言をしやすい雰囲気をつくるために、テレビを入れるのが適切であるかどうか、あるいは四十人、五十人の報道関係者が全部詰めかけるのが適切であるかどうかということは議論の余地はあると思いますが、これはただ国会の担当の記者がどういうふうに考えるかによるわけですけれども、いずれにしても、なるべく小人数で事実が正確に社会に伝わっていく方法というものは、やはりあくまで守っていただきたいというふうに思います。
#15
○横山小委員 ありがとうございました。
#16
○上村小委員長 次に、飯田忠雄君。
#17
○飯田小委員 塚本先生にお尋ね申し上げますが、これは先生のお話の中にはなかったのですけれども、憲法の六十二条の条項では、国政調査全般についての規定をしておるわけなんですが、今日の議院証言法はその国政調査の手段についてだけやっております。それで国政調査全般についての立法をする必要がないかどうかという問題について、御意見を承りたいと思います。
 それから二番目に、証人喚問はこれは議院の権利だというふうに言われておりますが、委員会というのは議院を構成しておる部分ですので、委員会も議院ではないか、憲法解釈上の、憲法にある議院の中には委員会も含むのではないかと考えますが、この点についての先生の御意見を承りたいと思います。
 それから三番目に、憲法の三十八条の一項の問題、つまり「自己に不利益な供述を強要されない。」この規定と議院証言法との関係なんですが、証言拒否はやはりそういう点ではっきりできることを明らかにし、どんどん証言拒否をするくせをつけた方がいいのではないかというふうに考えますが、この点についてお伺いします。
 また同時に、この三十八条の問題は強制証言との関係ともなると思いますので、これについて、つまり強制証言を認めれば当然それは証拠とできないのだということがございますので、そういう点についてそういう規定を設けた方がいいかどうかという点についての先生の御意見を私は欲しいと思うのですけれども、ひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
 それから次に、議院外の証言の点ですが、議院外の証言の点で、立入検査を認めることはできないかどうか。つまり、従来でもアメリカの基地を立入検査しておったり、あるいは隠退蔵物資を隠しておるところを立入検査したりしておりますけれども、これは実は、私は率直に言いますと法律造反ではないか、法律がないのにやっているから。それで、そうした立入検査に関する規定を設けることはどうでしょうか、こういう点について御意見を承りたいと思います。
 それから次に、先生のおっしゃいました点で、証人が直接経験してなかった事実の尋問ということがございましたが、これは証人が直接経験してなかった事実であるかどうかという事前の判断ですね、これがちょっとむずかしいのではないか。それで、こういうふうに制限されますと少し困るのではないかと思うのですが、その点についてお伺いをいたします。
 それから最後の点は、これは野村先生にも塚本先生にも、両方の御意見を承りたいのですが、証人喚問がとかく政争の具に供されやすい。これは先ほど野村先生もおっしゃいました政党の利益が正面に出てくるということでありますが、そうした政争の具に供されるのを防ぐのには一体どういう方法をとったらうまくいくだろうか、こういうことなんですが、以上の点についてお伺いをいたします。
#18
○塚本参考人 どうもだんだん質問がむずかしくなって居心地が悪くなる価向がございますけれども、国政調査について私全部を全部調べてきておるわけではございませんので、ちょっとうまく答えられないのでありますが、国政調査権全般について国会法の中にどのくらい規定があるかを私つまびらかにしないのでございますが、もし国会法の中に明確な規定が足りないのであれば、議院による国政調査に関する措置の法律というものをお考えいただくことはまことに考慮に値することではないだろうか。議院証言法というのは一体どこまで働くのかという問題点にも絡んでくるとは思います。アメリカの議院証言法と申しますか、アメリカの国政調査権というのは、どちらかと申すと議会の権限を行使するため、立法権の行使のためという大きな限定が上についております。いま行っておる法律が十分機能しているかどうか、いま制定している法律が十分機能していないとすればどんな法律を制定する必要があるかという観点からの国政調査がアメリカの連邦議会の国政調査権の大変大きな枠で、その枠の範囲内で処理する、それを外れたことはちょっと議会の権限を越えることになるという批判がアメリカではあり得るわけです。日本は一体それと同じなのか、それとも、日本の国会は国の最高機関であるという位置づけがなされておる、立法権を行使する機関ではあるけれども、立法権行使の機関よりもう少し高い地歩を占めておるのだ、したがって、国政調査権の枠は立法権の行使に直接関連がなくてもなお広げられる、こう読むのかというのはなかなか議論の起こり得るところだろうと私思うのであります。実際は、これは運営で適切に行っていくということであって、法律でそこを明確に書けるかどうかかなり疑問だと思いますが、国政調査に関する一般的な手続をお決めくださる法律がもし国会法だけの規定で足りないのであれば、それはおつくりいただくというのは考慮に値することであろうと思うのであります。
 問題が四点に若干関連いたしますので第四点に触れますと、たとえば建物等に立ち入って検査をする権限を与えることができるかどうか。これは議院証言法よりも国政調査に関する権限の行使という形で規定をお設けになる方が素直じゃないだろうかという気が私はいたします。
 それから第二点の、証人の喚問はハウスの権限であるが委員会もハウスと同視することができるかどうか。これは本当は調べてこないとうまく答えられません。背、不当財産取引調査委員会のときに何かその議論をした記憶が若干ございますけれども、いますっかり忘れてしまいましたのと、ちょっと国会法や衆議院規則、参議院規則を拝見した上で答えないと間違いますので、これは研究未了ということでお許し願いたいと存じます。
 第三点の、憲法で「自己に不利益な供述を強要されない。」これはよくセルフインクリミネーションの禁止と申す規定でございますが、自己に不利益な共述だから答えられないというのは、無論議院証言法の中でもう一度書き込むのであればもう一度書き込むということで明確にしていただくのが望ましいと思います。たしか現行法は、自己または一定の身分関係にある者が罪になるような証言はしなくてもいいという民法の規定を準用してそのまま書いておるので、実際は憲法の規定をそこへ引き写しにして書いたような趣旨を――いま民法と申しましたが、民事訴訟法の規定を準用して議院証言法に書いてあるわけでございます。
 それから大変形式的な、立法のささいな技術の問題でありますが、ある法律の中で、他の法律第何条の規定に該当する場合はこうするという規定の仕方が大変はやっておるのでありますが、これは一体わかりいい方法かわかりにくい方法かというのもひとつお考えいただけるとありがたいと思います。議院証言法だけ勉強しようと思って議院証言法を読むと、これでは民事訴訟法を買ってこなければとてもわからねということになるのであります。たとえば労働組合法なんかでも、あの有名な刑事免責なんというのは刑法三十五条の規定を適用すると書いてあるのです。刑法三十五条がわかっておる人でないと労働組合法の第一条はとてもわからないという書き方がしてある。ある法律で他の法律を引用するというのは、条文の文字が減りますから大変書きやすい方法ではございますが、法律学を習っていない人には大変むずかしい方法じゃないかという気が私いたします。一つの法律の中で前の方の条文を準用するというのはまだしもでございますが、他の法律の規定を準用する、そのまま書くのを避けて、煩瑣を避けてこう書いてあるのだと思うのでありますが、それではこれはなぜ刑訴の規定を準用しなかったのだ、なぜ民訴にしたのだというような議論すら起こり得るところでありますので、民訴第何条の場合はこうすると書かないで、同じ言葉を繰り返していただくというようなことにならぬものかという気がふっといまいたしたのでございます。
 それから第四点が済みまして第五点、尋問の事柄について、証人が直接経験しなかった事実についての尋問は御遠慮願う。直接経験したかしなかったかわからぬじゃないかという御批判でございますが、これは、尋問が順次進んでまいりまして、その席には私はおりませんでした、こう答えた証人に対して、いや、その席の模様を根掘り葉掘り聞くという尋問が間々弁護士間でもあり得るわけであります。そういう尋問はもうやめていただくという意味であって、面接経験したか否かがわからない間は、それは果たして経験したかどうかということを探求するために尋問を続けていくというのは無論許されることでございます。そしてその答えの結果、関係していないということがわかったならば、その点はまた関係していた人に聞くということで、お取りやめを願うのが順序ではないか、こういう趣旨で書かれておるのでございます。
 それから最後の点は、証人喚問が政争の具に供されやすい、どうしたらいいかというお話でございます。これは私どもがお答えするよりは、国会議員の皆様方にどうぞ適切にお決めをいただきたいということでお許しを願いたいと存じます。
#19
○野村参考人 まさに塚本先生おっしゃるとおりなんですけれども、ただ委員会としては、政争の具というか政党色が出た方がいい場合と、それから全くなくした方がいい場合と二つあると思うのです。委員会というのは必ずしも事実を調べるということではなくて、国会の場を通して世論を形成していくという一つの機能があると思うのです。そうした場合、政党色はかなり明確に出した方がむしろ親切ではないかと思うわけです。ただ事実の確定ということに関しましては、政党色、政争の具ということになると、事実はますます混沌としてしまうわけだというふうに感じるわけです。この前のロッキードの委員会を見ておりましても、たとえば持ち時間が各党派によってそれぞれかなり違いますね。あれをもう少し、これは国会運営とそれから議会制の本質にかかわる問題ですからうかつには申し上げられないと思うのですけれども、持ち時間を平均化して、委員の数を同じにするとか、そういうふうな形をとったらば、政党色というのはその限りにおいてはやはり若干薄らぐのではないか、これは感じですけれども、そういうように思います。
#20
○上村小委員長 安田純治君。
#21
○安田小委員 両参考人には大変貴重な御意見を承りましてありがとうございます。若干お伺いしたいわけでございますけれども、まず最初に塚本参考人にお伺いいたします。
 先ほど、日弁連が検討いたしました議院証言法の改正案ですね、この文書に書かれている以外に幾つかの問題点を挙げられまして、これは目下検討中であるとおっしゃいました。そうなりますと、ここに書かれておる、条文化されたといいますか、ある程度条文に該当するように書かれておるものは検討済みであるというふうに逆に了解できるわけですが、そうしますと、この第一条の六のいわゆる出頭の強制措置、具体的に言えば勾引ということになるのでしょうが、このときに勾引状の発付の主体をだれにするかという問題についてはまだはっきりしないようなお話でございましたけれども、この辺は日弁連としてはどういうふうにお考えになっているのかという点が一つでございます。
 それからもう一つは、これは両参考人に共通してお伺いしたいのですけれども、確かに議院において証言するという外形は訴訟のある場面と似ておるわけですが、本質的な違いというのは対立当事者的なものがないといいますか、たとえば具体的な尋問のやり方にしても交互尋問といいますか、クロスエグザミネーションなどという形はとりにくいわけですし、そういう点で法廷での尋問とは多少違うのではないかと思います。ところで、そうなりますと、日弁連の第四条の五なんかにもありますけれども尋問の制限ですか、それからあと異議の申し立て、そういう場合のことを考えますと、一方において法廷とは逢うけれども、一種の訴訟指揮権といいますか、進行を図る何か仕組みをしておかないとまずいと思うのです。そういう意味でこれはどういうふうに仕組みをお考えなのか、あるいはそれが適当とお考えなのか、その点もお伺いしたいと思います。
#22
○塚本参考人 お答えをいたします。
 第一点の勾引状を出すときにだれを発付者にするかというようなところがどうなっておったかというお話でございます。はなはだ申しわけございませんが、これは余りよく詰まっておらないのでございます。最初原案をつくるときは国会でいいじゃないか、国会が議長になられるのか委員長になられるのか、そこまでは詰めませんでしたが、国会側でいいじゃないかという漠然たる前提で、とにかく出頭命令、強制命令のできることにしようと言って議論をしておったのでございます。そして小さな部会で議論をした末に大きな部会にかけて再検討いたしましたときに、先ほど申した憲法論が出てまいりました。司法官憲以外の者にそういう強制的令状を出させていいだろうかということになってまいりました。そこで、ちょっと待ったということにいまなっておるのが現状でございまして、ここはちょっと詰まっておらぬ、詰め方が足らない点で申しわけございません。
 それから第二点の、国会の場合には訴訟と違って対立当事者がおらないのだけれども、一定の制限される尋問というのは一体だれが制限をするのか、どういう仕組みで運営を図っていくのかという点でございますが、これは私どもとしては、議事を主宰していただく委員長の采配にお任せをする、その委員長が、こういう重複尋問であるとか適切でない尋問は制限をしていっていただくというのでいいのじゃないか。
 それから、委員長御自身が発問をしていらっしゃるというときには、付添人から異議を申し立てたら合議をしていただくのか、委員長が自分でさっとお決めいただくのか、そこはちょっとわからないのですけれども、付添人が異議を言っているけれども自分はそうでないと思うから委員長自身は断固として聞いてしまう、こういう運営でいかれるのか、ちょっとみんなに相談するということになりますのか、あんまり間延びのしないようにやらないといけませんし、一つずつ異議が出たら休憩、合議というようなことになっても尋問が進みませんから、そこの運営はどうしていいか、おっしゃるとおりちょっとはかりかねてはおるのです。まあ委員長御自身の尋問のときが一番困るな、他の議員の方が質問していらっしゃるときは委員長のお計らいじゃないだろうか、こう思っておったのです。
#23
○安田小委員 町村参考人、その点いかがでしょうか。
#24
○野村参考人 尋問の方法ということになりましょうか――少なくとも間を置くような形は避けるべきではないかと思うのです。テレビなんか見ていましても非常に間延びしているし、ああこの瞬間につけばもっといい答弁が出るのではないかという場面がしばしば見られたように思うわけなんです。ですから、初めに委員長の許可を得て、後は尋問者と証人が直接、一つ一つ委員長の許可を得ないでというふうにはいかないわけでしょうか。そういう形をとるともう少しスムーズに、しかも時間も短縮されるし、効果的な内容というのが期待できるのではないかと、私は素人なりにそういうふうに考えるわけです。
#25
○安田小委員 それから塚本参考人にお伺いしたいのですが、補佐人が弁護士の資格を持った者に限るという日弁連の案ですが、先ほど伺ったところの理由だとちょっとまだ納得できないといいますか、もう少し実質的な理由を御説明願えれば大変ありがたいと思います。
#26
○塚本参考人 訴訟法のことを申して恐縮でございますが、訴訟法とか証言拒否とかいうことに一番明るいのは弁護士ではなかろうか、しかもそういうことを職業としておる立場でもございますので、ほかの人にお頼みくださるというよりは弁護士にお頼みくださるというのが順序ではないかというのが根底の発想でございます。
#27
○安田小委員 私どもの考えでは、訴訟法に明るいというだけではなくて、たとえば刑事実体法にも明るく、しかも、たとえばどういう証拠が実際の生きた法廷でどのように使われるかということに深い経験と知識を持っておるというところにやはり弁護士としての専門的な立場があるのだろうというふうに思うのですよ。法律学者の方が法律は知っている場合もありますけれども、実際に生きた法廷で、ある証人のどういう証言がどのように生きて動いていくかということを実務上よく知っておる、そういう意味では弁護士に比べる者はないのではないかというふうに思うのですけれどもそういう点どう考えるかということ。
 もう一つ、先ほどの御発言ですと、補佐人の許可というようなお言葉がちょっと出たのです。弁護士以外の者にするときにどうする、そうしますと、日弁連の案では弁護士というふうに限っていますから、この場合には一々許可は一人に関する限り要らないと思うのですけれども、そうじゃない場合にはやはり許可という、何びとかが補佐人を付することを許可する、そういうふうなお考えもおありですか。
#28
○塚本参考人 弁護士を補佐人にお願いしたいというのに、実務に明るいという点が主ではないかというのはまさに仰せのとおりであります。そういうつもりで申しておったのでありますが、つい法律的なことに話が行き過ぎておりますけれども、それは実体法についても明るいし、それからこの証拠が後でどんな不利になるかということを判断いたさねばならぬというのもおっしゃるとおりでございます。ですからこれは、実際には付添人、補佐人を頼まれたら、これはかなりむずかしい仕事だと本当は思います。テレビに照らされながら、一問一答でぱっぱっと言えるかどうか、かなり骨の折れる仕事じゃないかとすら本当は思っておるのでございます。
 それから、補佐人を弁護士以外の者にするときに許可という言葉を私さっき使ったのでございますが、つい出てきてしまったというのが本当であります。たとえば簡易裁判所等では、本人が出頭することが原則になっておる。代理人が出てくるときには裁判所の許可が要るというような制度が幾つもございます。たとえば労働委員会にも、本人が出てくるのが原刑である、弁護士が代理人になるときは、弁護士であっても労働委員会の許可を受けるというような制度がございますので、弁護士が付添人、補佐人になるときは、ひとつぜひお許しを願いたい。そうでないときは、あるいは委員長か委員会か存じませんが、そこでお決めになる必要が起きてくるかもしれない。類似の制度としてはそういう制度がございますので、その必要といいますか、許可をするか否かの留保を委員会自体がなさるというのも一つの御方針ではないかという気がちょっといたします。
#29
○安田小委員 そうしますと、日弁連の案の、補佐人を選任することができるという場合に、弁護士を選任する場合は全然許可は必要ないというお考え、しかしほかの補佐人ということもお考えなんですか。それともそれは全く日弁連の案としてはお考えにならなかったのか。
#30
○塚本参考人 日弁連の案は、全然考えておらなかったわけでございます。弁護士一本にお願いをしたいというのが原案でございました。さっき説明をしておるときに、手控えも何もなしで説明をしておりましたもので、つい口が滑ったという方がやや当たっておるので、お許し願いたいと思います。
#31
○安田小委員 いまの議院証言法が有効に機能しておらないというふうなことが大分言われておるわけで、確かにそういう現象はあると思うのです。日弁連の案を拝見いたしましても、それから野村参考人の御意見を伺いましても、臨床尋問といいますか、こういうことはぜひ必要なことだろうと思うし、強化しなくちゃならないという面が多々あるだろうというふうに思うわけですけれども、政争の具に供されない方法というのは、塚本参考人も、非常にむずかしいことだということでお答えを避けられたよりでございますが、その点野村参考人、どういうふうにお考えか。
#32
○野村参考人 政党政治がある以上、やはり政争の具、政党色というのは避けられないというふうな感じを持つわけですけれども、議院証言法を適用するということは、再三申し上げているように、事実が何で、それがそれからさらに発展して、どういう違法行為があるのだろうかというふうなことになっていくだろうと思うのです。ですから、法で改正するより、むしろ解釈、運営の方に問題があるのじゃないかと思うのです。それはイタチごっこみたいなもので、にっちもさっちもいかない迷路に迷い込む危険性があるわけですけれども、もう少し持ち時間を制限するとか委員の数を平等にするとか、そういうふうな形をとれば政党色というのが薄らいでくるし、そういう運営をやっている中で仮に政党色のみが出てきたらば、それは当然世間に知られるわけで、その辺のところからさらに国民の批判というものが出てくるのじゃないかと思うのです。したがって、運営そのものの改善ということがより必要になってくるのじゃないかなというふうに思うのです。具体的にどうすればいいかということは、ちょっと思い当たりませんですが。
#33
○安田小委員 ほかにいろいろお伺いしたいことがございますけれども、時間も制限されておりますので、大変貴重な御意見ありがとうございました。終わります。
#34
○上村小委員長 私が一点関連して塚木参考人にお尋ねしたいのは、先ほどの委員との応答の中に、憲法第三十五条に「捜索又は押収は、權限を有する司法官憲が發する各別の令状により、これを行ふ。」という原則を出しておる、だから、国政調査権の行使の段階において立入検査、いろいろな強制力を発揮しなければその目的は達しないという際に、その間どういうふうにやるかということは検討中だというお話があった。その際に、院、議長さんからの名義で裁判所の令状をとって、そしてまた院でそこでやっていくというような行き方、これは外国にもその例はあるようですが、そういうことは日弁連で御検討はされたのか、またいろいろと御相談の過程で話題に出たのですか。
#35
○塚本参考人 お答えをいたします。
 いま検討中というのが一番正しいかと存じますが、おっしゃるとおりに、裁判所を介して、裁判所の令状を受けて国会、各ハウスでしていただくというのが穏やかではないかという気はいま個人的にはいたしております。ただし、私の個人の意見がまだ大勢というほどにまで同まってまいっておりませんので、検討中とさっきから申し上げておる次第でございます。
#36
○上村小委員長 次に、加地和君。
#37
○加地小委員 塚本先生と野村先生にまず共通のことでお尋ねしたいのでございますが、この議院証言法を適用させていくまず第一の出発点は、証人喚問の決定というものをどのくらいの賛成があればやるべきか。いま各党から出ている案の中でも、やはり委員会の全会一致という案、それからまた三分の一でよいという案、それからまた現在国会法を素直に解釈すれば過半数説、大体この三つぐらいの案が出ておるのでございますが、現在実際の運用は、その院の中から各党の議席数を反映して理事というものが選ばれておりまして、その理事会での全員一致の賛成があったときに証人喚問するというのを原則としておる。そのために、たとえばロッキード委員会でも自民党と他の野党とが逆転委員会であるのにもかかわらず、ところが理事会には自民さんは五名理事がいらっしやる。その他の政党もいらっしゃる。そうしますと、いかに伊藤証言、大久保証言で、いままで報道されていたことを裏づけるような証言が法廷で出て、いわゆる証人喚問の必要性というのが盛んに論じられるようになりましても、一人の理事の反対によって証人喚問が全くできない。だから一人の意見が全体を支配するという逆の意味の独裁制というかヒトラー制というか、そういう弊害が実は出てきておるわけでございます。
 それで、率直に、専門外だとか準備しているとかどうとかというあれではなしに、素直な国民の良識で考えて、この証人喚問はどのくらいのところで決めていくのがいいであろうかという御意見をお聞きしたいのです。
 それから塚本先生の方に二番目には、先ほどおっしゃいました国政調査官というようないわゆる補助スタッフを充実させるべきだという御意見を伺いましたが、私の考えと全く一緒で、非常に参考になりました。ところが、この国政調査官にどの程度の強制権限なり、たとえばちょっと来てください、いやなら調査のときに来てくれなくてもいいという程度のものでほっておくのか、あるいはまた警察に準じた程度の強制権限まで持っていかないと、いわゆる真相究明の補助資料すら集まりにくいのではないかというように思うのですが、その点いかがかということですね。
 第三点、これも塚本先生にお尋ねしたいのでございますが、しばしば問題になるのは、国会と行政庁との三権分立のたてまえからして、国会で、各行政庁が持っているところの書類を出してほしい、資料を出してほしい、こういうことが国会法の百四条あるいは憲法の解釈からも出てくるのでございますが、現在の行政庁の解釈は、国会から要求があっても、行政庁が出す必要があると認めたものは出す、出す必要がないと認めたものは出さない、その判定権は行政庁にある、これをとっておられるようなんでございますが、私は、三権分立の中でもいわゆる相対的優位性というものは国政調査については国会にあるのではなかろうか、よほど非常識な要求であればこれはいろいろな意味で例外的に拒否できる、原則は国会の意見が尊重されるべきでなかろうかと思います。この点、いかがでございますか。
 以上でございます。
#38
○塚本参考人 第一点の、これはあるいは野村参考人にお願いした方がいいのかと思いますが、証人喚問が理事会の全員一致といま伺ったわけです。原則は国会法の過半数という原則であって、その原則に立脚しながら、運用としていまのように運用することが国会運営がスムーズだということでそうなさっておるのかなと私は実は理解しておる。だから、理屈は国会法の原則へ立ち戻ると、過半数か何かで決めようと思えば決められるのかな、しかしそれは国会運営上スムーズでない面が出てくるから、長いしきたりで現在のようにやっていらっしゃるのかなと私はよそからは思っておる。それから、普通、決議は一体過半数でいいのか、三分の二以上あるいは四分の三というような特別決議が要るのか、あるいは全会一致でなければならぬのかということは、いろいろな法律で、多数で物を決する場合の決め方として出てまいりますが、普通は過半数、それから特別決議というのは、事柄がある程度重大であって、過半数というたった一人の差で決まるというのではいかにも軽卒であるというときに特別決議という方法をとって、三分の二以上の多数、場合によれば四分の三以上の多数、こういう決め方をする。これは政策の問題でありますから、こういう事柄については重要の度合いが濃いから、通常の過半数ではいけない、これだけの特別多数を必要とする、その特別多数の割合は幾ばくである、こうそれぞれの機関がお決めいただくことになろうと思う。たとえば会社であれば、株式会社はどうするというのは国全体の方針として両法で決めておる。任意的な団体なら、その任意団体の内部で特別多数決の特別の数は随時決めればいいではないか、こうなるだろうと思う。それから、全会一致制というのは運用としてまことに望ましい方法であるが、無論少数の反対でまとまらないというのは昔から批判のあるところでございます。これが第一点。
 それから第二点の、国政調査官を充実した場合に、どの程度の強制権限を与えるかというのは、たとえば公正取引委員会の審判官が持っておる権限ということが一つの参考にあるいはなるかもしれないという気がいたします。それでは税務署の税務官吏が持っておる権限、それと公正取引委員会の審判官の権限とどっちが大きいか、私ちょっとつまびらかにいたしませんが、そういう若干の強制権限を持つことが必要であろうと思います。しかし、強制権限は余りお使いにならずに、実際は証人に予定する人、調査をしたい人を呼べば、日本人は大体出てくる。どんな権限でお呼びになりましたかといって開き直る人はわりに少ないという実情でございますから、強制権限はなるべく使わずに運用をしていくことになるのが普通ではないかという気がいたしております。
 それから第三点が、国会から行政庁に資料の提出を求めた場合に、提出するかしないかは行政庁が自分で決めますというお立場が強いといま伺ったのであります。これは、さっき申し上げた情報自由化法等でどういう場合に出さなければならないかという基準を決めることがいいのか、それともいま御質問にありましたように、国会が国の最高機関としての優位にあるのだから、両方の判断が違ったら国会の判断に当然従うべきだ――当然と言い切っていいかどうか、その基準を何か決めなくていいかは、ちょっといまどっちをお答えしようかという多少の迷いがあるところが本当のところでございます。情報自由化法か何かで基準を決めておいた方がいいのじゃないかという気がしないではない。それから、行政庁がさような答えをもししておるとすれば、きっと帝国議会の時代の名残じゃないかという気は若干いたすのであります。その名残はどうもあっちこっちに残っているのじゃないかという気はいたしますけれども、それでは常に国会の決議を優先させていいかどうか若干迷いがあるというのが偽らざるところでございます。
#39
○野村参考人 証人喚問の数ですけれども、数に限って言えば全会一致がもちろん望ましいと思います。ただ、三分の一では少数意見が強過ぎるのではないかと思います。したがって、過半数という数が一番妥当なところだと思うわけです。というのは、多数決原理からいいましても過半数ならばそう抵抗はないのじゃないかという感じは持ちます。
#40
○上村小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、長時間にわたり貴重なる御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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