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1977/01/24 第84回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第4号
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1977/01/24 第84回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第4号

#1
第084回国会 本会議 第4号
昭和五十三年一月二十四日(火曜日)
    ―――――――――――――
議事日程 第三号
 昭和五十三年一月二十四日
    午後一時開議
一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員田中龍夫君及び山中貞則君に対
  し、院議をもつて功労を表彰することとし、
  表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(保利茂君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました田中龍夫君及び山中貞則君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。(拍手)表彰文は議長に一任せられたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員田中龍夫君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
    …………………………………
 議員山中貞則君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よつて衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもつてこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(保利茂君) この際、田中龍夫君及び山中貞則君から発言を求められております。順次これを許します。田中龍夫君。
    〔田中龍夫君登壇〕
#6
○田中龍夫君 このたび、ここに、衆議院議員在職二十五年に及びましたる私に対しまして、院議をもって御丁重なる表彰の御決議を賜りましたことは、まことに身に余る光栄と存じ、感激にたえません。
 不徳浅学の私がこの栄誉に浴することができ得ましたことは、ひとえに先輩並びに同僚議員各位の御厚情と御指導のたまものと存じ、衷心よりここに御礼を申し上げます。(拍手)
 なおまた、二十五年の長きにわたり、十年一日変わらざる御支援を賜りましたる郷土防長の皆様方に対しましては、心から感謝の意を表するものであります。
 思いまするに、現下のわが国内外の情勢は、きわめて困難であり、複雑であります。
 この間に対処して、いかにして国家民族の繁栄と安泰を図るか、どうして国民生活の安定と充実を期するか、実に容易ならざる内政外交の課題を抱えて、われわれ国政に携わる者の責任のますます重かつ大なることをひしひしと感ずる次第であります。
 世界はいまや一大変革期にあり、日本もまた、政治に、経済に、社会に、厳しい試練と、来るべきものへの胎動に直面しております。
 この困難な時局にこそ、身を挺して国家の安危に任ずべきときであることを改めて心に誓うとともに、同僚諸賢の驥尾に付して、国民各位の負託にこたえるために最善を尽くす覚悟であります。
 何とぞ、変わらざる温かい御指導、御鞭撻を賜りまするようお願いを申し上げまして、御礼の言葉といたします。
 まことにありがとうございました。(拍手)
#7
○議長(保利茂君) 山中貞則君。
    〔山中貞則君登壇〕
#8
○山中貞則君 第二次大戦の生き残りとして復員した私は、二度と祖国の土を踏むことのできなかった戦没者のみたまに対して、生き延びていることの申し開きのできる人生を歩むことを誓い、政治家の道を選びました。
 その第一歩として、昭和二十二年、県議会議員選挙に出馬、当選いたしましたが、地方議会の選挙戦で民族再建を叫ぶ青年の姿は、奇異の念すら持って見られたことでしょう。
 しかし、敗戦国家の立て直しをして、りっぱな民族をつくり上げようとすれば、やはり国政の場に転ずるしかなく、独立したばかりのわが国とはいえ、なお駐留米軍の犯罪に対する裁判管轄権の行使さえできない姿に疑問と義憤を感じ、自由党の公認も得られないまま、昭和二十八年、衆議院議員たるべく出馬、初当選いたしました。(拍手)
 いま、ここに院議をもって永年勤続の表彰を受けますことは、光栄これに過ぎるものはありませんが、政治の道に志した原点を振り返るとき、果たして自分は国家民族のために何ほどの貢献をなし得たかと自問自答、ざんきの念にたえないものがあります。こんな私を終始一貫支持し続けてこられました選挙区の方々と、やさしく見守り育ててくださった鹿児島県民の各位に、心底から感謝の念をささげます。そして、わがままな私に長年仕えてくれた秘書の諸君にも感謝いたします。
 そして、先輩、同僚諸兄が、この生意気な田舎者の若造をとがめもせず、むしろ温かい御指導と御交誼をお寄せいただいたおかげと、この機会に厚く御礼を申し上げます。(拍手)なかなか政治家として成長できない私でありますが、今後とも御教導賜りますようお願いいたします。
 郷土の偉人西郷南洲翁の遺訓集は「廟堂に立ちて政を為すは天の道を行うものなれば些も私を挾みては相済まぬもの也」と説き起こしておられますが、この言葉を座右の銘とし、政治家たるおのれの覚悟としてまいったつもりであります。これからも、一切の私心を捨て、自分の人生はこれでよかった、悔いるところはないと、莞爾として死ねる道を歩き続けたいと思います。できれば自分たちの子や孫に平和で豊かな日本を残してあげたいものだと念願し、そのために自分のできる極限にいどみ、身も心も燃焼させたいと、決意を新たにしております。
 ありがとうございました。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#9
○議長(保利茂君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。北山愛郎君。
    〔北山愛郎君登壇〕
#10
○北山愛郎君 私は、日本社会党を代表して、内外の重要問題について政府の所信をただし、さらに進んで、われわれ社会党の主張と政策を明らかにしたいと存じます。(拍手)
 戦後三十余年、一九八〇年を二年後に控えまして、わが国の政治も経済も、あるいは社会、教育、文化、あらゆる面において矛盾と不均衡が山積をいたしております。あらゆる面に停滞と腐敗が広がっておるのであります。まさに大いなる転換と変革の時代であると信じます。
 この中で、日本社会党は、去る十二月、飛鳥田委員長のもとで新しい執行体制を整えまして、当面の危機に対し、国民生活防衛のために闘いますと同時に、党に課せられた歴史的任務達成のために全力を尽くす決意でございます。(拍手)しかし、この新しい改革は多くの国民の支持と参加がなければ実現いたしません。われわれは、国民大衆とかたく連帯し、大衆の生活実践の中に生まれる正義と道理の思想を土台として改革に取り組む決意でございます。(拍手)
 まじめに働く人々や、真剣に子供を育てる親たちの中に大衆の道理が生まれるのであります。その人々は、平和を愛し、命を大切にいたします。真実を求め、うそをきらいます。強い者のわがままを抑えて、弱い者を助ける思いやりを持っています。そして、何よりもいわれのない差別と不平等、不公平を憎むのであります。これは大衆の思想であり道理であって、天下り道徳ではありません。昔から、無理が通れば道理引っ込むとか、あるいは道理を破る法はあるけれども、法を破る道理はないと言われておりました。しかし、いつまでも、もはや長い物に巻かれていてはならないと思います。いまこそ民衆の道理を真っすぐに通して、無理を引っ込める、道理をもって政治の誤りを正すべきときであると信じます。私は、その立場から議論を進めたいと存じます。
 総理の施政演説を聞いて第一に感ずるのは、反省と責任の欠けていることであります。経済見通しの誤り、政策の失敗、内外への公約違反にほおかぶりして、一言の釈明もない独善と無責任の態度であります。
 特に総理は、五月八日、ロンドンの首脳会議後の記者会見におきまして、日本は必ず約束を守ると強調し、六・七%成長と経常収支の赤字七億ドルを約束しました。また、九月三日には各新聞に広告し、夜明けまではあと一息だと、国民に景気回復を宣伝いたしました。
 結果は、経済予測と政策の完全な破綻に終わったことは御承知のとおりであります。いまや、経済の福田の面目は地に落ち、福田不景気内閣の声がちまたに広がっております。
 私は、まず福田総理に、誠意をもって、経済政策の失敗につき率直な反省と釈明を要求するものであります。(拍手)
 さらに、円高ドル安によって政府は莫大な損害を受けました。外国為替資金特別会計と日本銀行が保有しておるドルが大幅に値下がりをしたのであります。もしもいま、一ドル二百四十円で評価がえをいたしますと、その損失は実に一兆八千億にも上ると言われておりますが、この際、その損失をどのように処理されますか、大蔵大臣から説明を求めたいと存じます。
 政府の政策破綻の原因は、経済環境の変化と構造不況の本質を見逃して、石油ショック以後も大企業優先、国民不在の成長政策を続けたことにあるのであります。
 狂乱物価を資源不足によるものと錯覚いたしました。そして、内部に進行している工業製品が過剰生産になっておるという事実に注意をしなかった。そして、総需要引き締め政策を続けた結果として、ますます不景気がひどくなったのであります。
 国内の需給ギャップが広がり、輸出に拍車をかけて円高を招き、さらに円高不況となって不景気を激化させたことは、皆さん御承知のとおりであります。
 昭和五十年から三年間、春闘の労働者の賃上げにブレーキをかけて、五十年、五十一年は減税は一文もやらない、公共料金を次々と遠慮なしに引き上げました。農民に対しても、生産者米価の方は安く抑え、消費者米価はその二倍以上の値上げをやったのであります。三年間もこんなやり方をやったのでありますから、勤労者の所得は伸び悩み、個人消費が冷えていくのは当然ではないでしょうか。(拍手)
 政府は、どこまでも悪いのは石油ショックやあるいは変動相場制で、政府の政策は間違っていなかったと言い切れるでしょうか、総理の考えを承りたいのであります。
 今度の五十三年度の予算の中にも、これらの政府の従来の政策の失敗の批判、反省は何一つ出ておりません。旧態依然たる大企業を対象とする公共投資、国民生活を無視した超借金予算となっているのであります。
 公共事業の工事費の一部は土地所有者に回ってしまいます。他の大部分は土建業者、鉄鋼やセメント等の資材の業界に支払われ、元請から下請、孫請と各段階でピンはねをされてしまいます。
 一方、勤労国民の方はどうでしょう。減税どころか、酒、ビール、石油の増税の上に、国鉄運賃、医療費、授業料、住宅家賃の値上げなどが待っております。ローンを借りて住宅を建てましても、これから二十年、借金地獄に苦しまなければなりません。しかも、七八春闘の賃上げの見通しは暗く、倒産と失業が進行する。
 こういう状況のもとで、こんな五十三年度の予算で、どうして個人消費が一一・九%もふえるのでしょうか。どうして民間設備投資が一〇%近くもふえることを期待することができるでありましょうか。それが外国への公約であろうとなかろうと、七%成長への道はまことに険しいと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 福田内閣最後のかけとも言うべき七%成長と貿易の黒字減らしに失敗したときに、どのような責任をとるか、覚悟のほどを承っておきたいのであります。(拍手)
 米国でも、カーター大統領が二百五十億ドルの減税、うち百七十億ドル、約四兆円の所得減税が含まれておりますが、この減税を中心とする景気対策を進めております。同じ景気対策でも、片一方は公共投資、片一方は減税、全く方法が対立しております。いずれがすぐれておるのか、総理の見解を聞きたいのであります。
 政府は、いままで、減税よりも公共事業投資の方が波及効果が大きい、こう言っておりました。しかし、それはいわゆる高度成長時代の計算ではないでしょうか。投資が投資を呼ぶ時代においては、そのような公共投資の波及効果は多かったけれども、今日、低成長時代では違うのではないでしょうか。あるいはまた、減税をやっても貯蓄に回ってしまう、国民の貯蓄率が高い、こう言っておりますけれども、あの企画庁の国民生活白書を見ましても、国民が借金をして、消費者ローンを借りてその返済をすれば、その借金の返済が貯蓄になるというまことに奇妙な仕掛けになっておるわけであります。ローンが多ければ多いほど、借金の返済が多ければ多いほどそれが貯蓄率を押し上げるというこの実態、まことに奇妙なこの論理の上に政府の見解が出ておる。国民の貯蓄率が高いからといって国民生活は余裕があるのではないのであります。ですから、もしも福田総理が去年の減税が貯蓄の方に向かったと言うならば、この際、具体的な資料を出して、これをはっきりと説明していただきたいのであります。(拍手)
 私は、当面の不況対策としても、減税か公共投資かというのではなくて――もちろん、われわれは公共投資を否定するものではございません。しかし、この際は減税、社会保障がどうしても必要だ、こう考えておるのであります。
 ですから、かねてのあの党首会談におきましても、わが党は一兆円の所得税、住民税の減税と、福祉年金月二万円を基準とする年金、社会保障の改善を強く要求してきたのであります。政府は、このわれわれの要求に応じ、これを受け入れて予算を修正する意思があるかどうか、明確にお答えを願いたいのであります。(拍手)
 さらに、この予算の問題の一つは、超借金財政という点であります。一般会計、地方債、そして政府保証債などを加えますと、公共債は約二十兆円であります。これに対して民間金融機関に一年に増加する預金の量は、やはり同じように約二十兆円であります。民間の資金を全部公共債に使うと、あと民間の資金需要に応ずる余地がないという状況であります。こういう情勢の中で、政府は公共債の消化をどのように進めるか、大蔵大臣から具体的な説明をいただきたいと思います。
 いまわが国は、政府も企業も個人も借金で首までどっぶりとつかっております。新国民経済計算、いわゆる新SNAというものの計算の試算のストック表を見ますというと、この借金の総額は、昭和五十年末で六百三十五兆円にも上っております。現在では八百兆円を超しておるであろうと思いますが、GNP、いわゆる成長率よりももっと速いスピードで借金がどんどんふえていくのであります。近いうちに、政府も個人も企業も、借金を返すために借金をするという事態になりかねません。巨大な利子負担のために、わが国の経済は押しつぶされるような危険もあるのであります。これはいまの経済行き詰まりの本質を象徴する重大な問題であります。
 福田総理、この一億総借金地獄をどのように処置をいたしますか。昔の江戸時代のように、徳政で借金を棒引きしますか、それとも超インフレで債券をほごにするようなお考えですか。例のデノミ発言のごときは、そんなねらいがあるのではないでしょうか。総理の見解をお聞きしたいのであります。(拍手)
 すでにわれわれは、明年度以降の財政再建計画の提出を強く要求してきております。われわれの要求がなくても、政府は、本年の超借金予算を組む以上は、提出する以上は、明年度以降の財政方針と計画を国民に示すことが当然の義務であると思うのであります。
 ところが、伝え聞くところによりますと、単なる財政の収支試算表を出す、これでごまかそうとしておるのであります。
 しかし、先日、美濃部東京都知事の追加起債の要請に対して、自治大臣は、厳しい財政健全化計画を条件として要求しておるのであります。地方自治体には要求して、自分は財政計画を出さない、こんな身勝手なことが許されるでありましょうか。(拍手)福田内閣は、地方自治を指導する資格がないと言わなければならぬのであります。(拍手)それともまた、政府も財政収支計算書ぐらいでごまかさざるを得ないから、東京都もそんな程度のものを出せばよろしいと、このように方針を変更される考えでしょうか。
 歴史は昭和五十三年で終わるのではありません。いまの福田内閣のように、その場限り、その年限り、ことしのことはわかるけれども来年のことの見当がつかない、そういうやり方をやっておいて、どうしてトンネルから出ることができるでしょう。どうして安定成長経済に移るということが予測できるのでしょう。少なくとも国民に対して、来年はどうするか、再来年はどうするかという方針を明示してくれなければ、見通しも計画も立たないのではありませんか。ぜひともこの国会の予算審議の途中において、私は、政府が明年度以降いまの借金財政をいかに再建をするか、この方針を決めて、これを国会に提出することを強く要求するものであります。(拍手)
 次は、防衛費の問題であります。
 防衛費は、一般会計一兆九千十億円。ところが、そのほかに明年度以降に支払いを予定しているいわゆる国庫債務負担行為等が八千六百二十四億円もあるのであります。しかも、そのうちP3C機といわゆる新戦闘機であるF15の分を二千二百七億円も予定している。しかも、計画のとおりにP3Cを四十五機、F15を百機買うとすれば、さらに一兆円の金が余分に要るということになります。政府がどうして、財政計画も立てられないのに、将来日本の財政を大きく制約する防衛費については、気前よく兵器の購入を決定するのでありましょう。そのような緊急性がどこにあるのか、総理と防衛庁長官から明確にお答えを願いたいのであります。(拍手)
 いま、ロッキード事件の裁判審理中であります。この事件の本家本元は、御承知のロッキード社であります。まだ問題は片づいておらない。その問題の会社からP3Cをぬけぬけと購入するということは、国民感情に対する挑戦的な措置であって、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 しかも、防衛庁長官は、最近、相手に脅威を与える程度の武力でなければ防衛に役立たないと、これは国民の方が脅威を感ずるわけですが、大分勇ましいことを言っておりますけれども、一体、長官は、どれだけの武力があればわが国の防衛ができるとお考えになっているのでしょうか、その構想をお答え願いたいのであります。
 また、万一、本土が戦場になったときに、国民はどこへ避難したらいいのか、これをひとつ長官から教えていただきたい。
 さらに、そのような状態において、石油を初め、食糧を含む大量の物資の輸入が困難になる、大激減をするということは必至であります。たちどころにパンもうどんもそばも、肉も卵も牛乳も、みそ、しょうゆ、豆腐、納豆、菓子やバナナや紅茶、コーヒーも市中から姿を消して、やみでも買えないような事態になるわけであります。そのときに、いかにジェット機を飛ばして、戦車を動かしても、国民の命を守ることはできないではありませんか。(拍手)政府が防衛、防衛と言う以上は、そういう際における国民の食糧をどのようにして確保するかという計画を持っていなければならぬのでございますが、そういう計画があったら、ひとつ国民に明らかにしてもらいたい。(拍手)これは総理大臣あるいは農林大臣からお答えを願いたいのであります。
 また、そういう事態でなくても、大きな災害のときに、東京を初め大都市においては食糧の備蓄はどのように計画され、どのように配備されておるかということをここで明らかしていただきたい。
 私の聞くところでは、東京都ですらも乾パンを二百万食しか持っていない。そういう非常事態だけでなしに、この防衛の問題につきましても、国民の命を守る食糧というものが欠落しているようなことでは、いまの防衛の危険な姿というものを感じざるを得ません。防衛の対象として守るものは、国民の命ではなくて、何か自由民主の体制であるとかそういうものではなかろうかと疑われるのであります。
 ところが、防衛に熱心な政府も、農業、食糧政策についてはまことに冷淡、まことに無策無能であります。その端的なあらわれが、米の生産調整と、牛肉など外国農産物の輸入拡大であります。
 ことしの生産調整は三十九万一千ヘクタール、百七十万トン、これを農林省は昨年の十一月に地方に割り当て配分をし、いま末端では、この割り当てでもって大きな混乱が起きております。しかも、農林省の通達には、もし割り当てを達成しないときには、その分を次年度の政府買い入れ数量から削減するというようなけちな罰則までついている。一体、このような生産調整は、どんな法律によって、どんな予算的な裏づけによってこのような行政措置が行われておるのでありましょうか。食管法にも規定がない、法令に何ら規定がない。まだ五十三年度の予算は成立をしておらない。それなのに、去年の十一月から農林次官の通達でこの重大な生産調整を地方に指示しておるというようなことは、これはもってのほかのことだと思うのであります。(拍手)一体、米の生産を制限したりあるいは転換したりするようなことは、まあ日本の歴史始まって以来、恐らく自民党の政府が初めてだろうと思うのでありますけれども、このような歴史的な大事業であります。農民にとっては大変な問題であります。それを何らの法律の裏づけもない、たった次官通達でもってやるとは何事でありますか。(拍手)この行政通達、行政措置は、もしも行政訴訟で訴えられたならば、これは当然負けであります。無効であります。
 しかも、このようなことをいままで、四十五年からずっと生産調整をやってきました、減反をやってきました。そのために使った金が一兆五百億なんだ。そして、減反をやったにもかかわらず、米が余ったといってこれからまた減反。一兆五百億むだ金を使った。何のために一兆円を使ったのか。だれが責任をとるのか。問題は、このような重大な生産調整というものを、本当に国が責任を持って、必要ならば責任を持って、ただ奨励金を出すだけではなしに、転作する場合の土地の基盤整備やら何やら、そういうような条件を責任を持って整備をする、国が責任を持ってやることによって初めて農民が安心して協力ができるのであります。
 私は政府に要求いたしますが、このような本年度の生産調整は、とりあえず本年の割り当て分については農家の自主的な判断に任せる、次年度の買い入れ数量を減らすというような悪代官のやり方を撤回すべきであると思うが、政府の見解、これを検討する意思があるか、これをはっきりとお答え願いたいのであります。(拍手)
 牛肉あるいは果汁、オレンジなどの輸入の増加についても同様であります。一部の工業製品の輸出が増大したからというので、そのしわ寄せを農民や農業が受けるということでは全く道理に合わない。農民の憤激は当然であります。この点についても、日本の農業の自立、農業をさらに再建をして、そして食糧の自給を図るための根本的な政策の方向に進めるように私は強く要望いたすものであります。(拍手)
 私ども日本社会党では、現在の経済不況というものは、石油ショックとかそういう一時的な要因だけで起こったのではない、戦後の日本の資本主義経済の発展の中で生み出された矛盾が積もり積もった深刻な構造的な不況であると考えるのであります。でありますから、一時的な景気刺激ではこれは解決できません。長期の総合的な経済民主化の根本的な対策が必要であると思うのであります。
 私は、いままでいろいろと政府のやり方を批判しましたけれども、これからの日本の政治経済をどのように転換するかということにつきまして、社会党の基本的な見解、その政策の柱、目標を皆さんに申し上げたいと思うのであります。
 その第一は、富と所得の格差、不平等を是正して所得の再分配を図ることであります。
 これは、いま政府その他一般には、むしろ日本の所得は平準化している、平等化している、このような見解もありますけれども、しかし、資産の格差というものを加えて考えた場合においては、非常な格差が開いておることは明らかであります。何百兆円の土地の所有、あるいは先ほど申し上げたような六百三十五兆円の負債ということは、六百三十五兆円の金融資産があるということでありまして、それをだれが持っているか。こういうような資産、所得の不公平、不平等というものは最近さらに広がっておるのであります。
 われわれは、このような富と所得の再分配を図ると同時に、企業の規模別の格差、産業間の格差あるいは地域の格差、男女の格差あるいはまた学歴の格差というような社会的な不平等、不公平、これを一つ一つ解決していく、ここにやはり日本の社会と経済の将来の姿が出てくるだろうと思うのであります。(拍手)
 第二の問題は、雇用の不安を解消して国民の職場を確保するために、経済政策をここに集中していくことであります。
 憲法第二十七条には「すべて國民は、勤勞の権利を有し、義務を負ふ。」と規定しております。この労働権の規定は、憲法二十五条の生存権とともに今後一層重視していかなければなりません。離職者対策はもちろんのことでありますけれども、今後解雇制限あるいは定年の延長あるいは労働時間の短縮など、失業予防措置に加えまして、さらに国や地方自治体が積極的に自分で職場をつくっていく。民間企業にだけ任せておくわけにはまいりません。公共セクターで人の働ける事業や施設をつくり、職場をつくり出すということが今後のわれわれの政策の目標とならなければならぬと思うのであります。
 そのために、私どもは、まずさしあたり今年度地方自治体を通ずる二十万の雇用創出、これを提案し、近いうちに法案を用意して、皆さんの御検討をいただきたいと思うのでありますが、いままで雇用行政というのは労働省が直轄をして、県や市町村には本当の雇用行政というものはなかったわけであります。今度はそれを改めて、府県や市町村にも雇用審議会とかあるいは委員会をつくって、地域ぐるみで仕事をふやすというプランをつくってもらう、そしてこれを国に申請をして、これに資金を国がつけてやる、その資金の返還に当たっては国がこれを負担するというような、そういう方式をとって、さしむき四千億円の枠で、二十万人、雇用の拡大を行うとするものであります。われわれは、この国会に近いうちに出します。
 聞くところによりますと、アメリカのカーター政権も同じような構想を持っておるようであります。あるいはフランスのジスカールデスタンも同じような、いわゆる公共セクターで仕事をつくる。いまのような慢性失業の時代におきましては、企業にだけ頼むわけにはいかない。積極的な公共セクターによる職場の創出というものを、ぜひとも皆さんもひとつ真剣に検討していただきたい。政府もまた、われわれの提案に対して、これを検討し、協力する用意があるか、ここに政府の見解を明確にしていただきたいのであります。(拍手)
 第三の問題は、産業構造の問題であります。
 重化学工業が行き詰まって、そして戦後の技術革新というものが一巡をする。テレビや自動車もやがて飽和をしてまいります。そうなれば、新しい技術、新しい製品、新しい産業というものを興さなければなりません。あらゆる面にわたって日本の産業構造を転換しなければやっていけない。まずわれわれは、第一次産業というものを見直して、これを立て直していくことを政策の柱にしておるわけであります。
 先ほど申し上げたような農業問題にしても、昭和三十六年に私はこの壇上から、社会党の農業基本法の趣旨説明をやりました。それから十五、六年たっておりますけれども、あの当時の社会党の農業基本法が正しかった。今日でもその基本的な考え方に立ちまして、やはり日本人の食べる食糧はその大部分を国内で生産をする、農家は喜んで働けるように、そしてバランスのとれた、米だけではなしに、米と畜産と果樹と三本柱の上に日本の農業を発展させる、これが社会党の考えであります。
 こういう立場で農業を発展させると同時に、林業につきましても、社会党が提案してまいりました国営分収造林法、この制度によって、国有林のみならず、林野庁が中心となって、民間林もあるいは公有林も一緒に全国的な大造林計画をやるということであります。あるいは漁業につきましても、この二百海里時代に即して、沿岸漁業の発展を図っていかなければならぬと思います。
 そのほかに、いま申し上げたように、新しい技術の開発のために、いわゆる新エネルギーの開発とか、あるいはまた中小企業が技術開発をする場合においてはこれに補助をする、あるいは減税するというような積極的な措置が必要だと思うのであります。
 第四には、経済の民主化の推進であります。
 経済の民主化とは、簡単に言いますというと、強い者のわがままを抑えて弱い人たちを助けるのが民主化であります。産業経済の成長期におきましては、大企業の利益だけではなしに、多少のおこぼれが中小企業にも、労働者にも回ってくる。しかし、現在のような時代においては、弱肉強食がますますひどくなるのであります。ですから、こういう際には、独禁法の強化をする、下請企業を保護する、中小企業の事業分野法というものの制度をますます前進をさせる、あるいは大型店の進出を規制する、こういう一連の民主化の政策が必要であります。
 また、同時に、企業の内部におきましても、企業経営に対する労働者の発言権というものを保障して、労働者の地位の向上を図ることが民主化の非常に重大な問題であります。
 さらに、民主化の大きな柱は、現在までの経済政策を運営してまいりましたそのようないまの政策形成の体制というものを大きく転換するということであります。
 経済審議会や税制調査会やその他の多数の審議会のメンバーは、見るところ財界の代表か官僚のOBであります。それを大きく改編をして、民間の学者、評論家を中心として、これに各界代表を入れる、こういうような政策形成過程における民主化を実行すべきだと思うのでございますけれども、政府にその考えがあるかどうか、これをお伺いしたいのであります。(拍手)
 第五は、教育、科学技術、文化の飛躍的発展によって日本の新しい未来を開くということであります。
 もちろん、いま深刻化しつつある受験地獄や進学テスト教育、金権入学の弊害はこれを除去しなければなりません。と同時に、特に私はここで提案したいことは、国民の自主的な文化活動を大きく発展させることであります。
 具体的に申し上げますと、一つは、国民の学芸文化活動についての大規模なコンクールの制度を中央と地方に設けること。
 第二には、いまの特許制度を充実して、発明を保護助成し、大衆の発明思想を高めること。このために社会党は発明開発振興法案を用意しておるのであります。
 第三は、工芸法案。美術工芸活動を盛んにするため、研究、教育、指導施設を充実する工芸振興のための工芸法案を制定することであります。
 第四には、文化人や芸能人、タレント、職業スポーツマンなどの生活、医療など共済制度を推進し、国が援助するということであります。
 以上のような、教育や科学、文化、これを発展させることによって、二十一世紀の新しい日本の未来を開くことができると思うのであります。
 最後に、私は、外交についてお尋ねをいたします。
 具体的に申し上げますと、ことしの五月には、ニューヨークにおきまして国連の軍縮特別総会が開かれます。この際に、この画期的な会議において、政府及び国民は、世界のただ一つの被爆国として核兵器の禁止と軍縮のため先駆的な活動をしなければならないと考えます。いま、国民の中に、この会議を成功させるため、原水禁国民会議を中心として三千五百万人の署名運動が行われております。政府もまたこれに参加し協力すべきであると思いますが、その用意を承りたいのであります。
 同時に、私は、この際、政府が米国の核抑止力に依存するという方針を廃棄されることを要求いたします。非核三原則を認めながら、アメリカの核のかさのもとにある。アメリカの核兵器の洗礼を受けて、原爆許すまじと叫びながら、そのアメリカの核の力に頼るということは、心情的にも許しがたいところであります。また、人殺しを否定しながら、殺し屋を用心棒に頼むと同様の論理的な矛盾であります。(拍手)しかも、わが国の核廃絶を主張する立場を著しく弱めるものであるということは明らかであります。私は、この際、政府がアメリカの核に頼らないこと、無条件に非核三原則を守ることを宣言すべきことを総理に強く要求するものでございますが、総理の御見解を承りたい。(拍手)
 最近の外交問題、日中、日ソの問題、外務大臣がソ連に参りましたが、北方領土問題の停滞、しかもソ連がこれを解決済みとしている点については、まことに遺憾であると存じます。いろいろな過去のいままでの経過を考えましても、北方領土問題は少なくとも日ソ間で話し合いで解決すべき問題として残されておる、われわれはその立場に立って今後とも粘り強く交渉を続けなければならないと考えるものであります。
 他方、日中の平和条約につきましては、総理の演説の中でも「交渉の機は熟しつつあるが、さらに一段の努力を重ねる」という言葉、この言葉に失望したのは私一人ではないと信じます。いまさら何の努力でありましょう。努力すべき障害は何でありましょうか。具体的に総理からの説明を求めるものであります。(拍手)
 日本と中国との関係とその他の国、たとえばソ連との関係を関連づけて考えることは誤りでありまして、この点についての外務大臣の考え方につきましては私も十分了解ができるのであります。
 ただ、しかし、日中関係を考えるときには、さらに進んで、わが国が長年にわたって中国を侵略し、過去百年にわたって幾たびか中国を侵しました。特に、日中戦争十四年間、中国国民にはかり知れない損害を与えたことに対して、中国は賠償を放棄し、永遠の友好の手を差し伸べてきた。このことをわれわれ日本人は断じて忘れてはならないのであります。(拍手)
 日中共同声明以来五年を過ぎ、まことに遅きに過ぎたと思うのでございますが、一日も早い交渉の開始と条約の締結を重ねて要求いたすものであります。
 以上、私は政府の施策の問題点を指摘し、進んでわれわれの政策の方向と目標を述べました。この大きな転換のときに最も重要なことは、失われつつある国民大衆と政治のつながりの回復であります。政治不信をなくするということであります。国民が身近に温かさを感ずることのできる政治をつくることだと思うのであります。(拍手)
 われわれは、平和を願い、命を大切にし、大衆の正義と道理を踏まえながら、はだのぬくもりを感ずる政治実現のために奮闘する決意を表明いたしまして、この代表質問を終わる次第であります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 北山さんから、政府の経済政策は全く失敗ばかり、失敗の連続であるかのごとき御意見を交えての御質問でございましたが、率直に申し上げまして、それは失敗もありました。しかし、大きな成功をおさめた面もあるのであります。(拍手)
 まあ、失敗と申しますれば、私は昨年に問題があると思う。昨年のあの国際収支、これはああいうような状態の動きにはまさかなるまい、こういうふうに思い、内外に対しまして、経常収支は大幅にこれを縮減するということを宣言をいたしまして、経済運営のスタートを切ったわけです。ところが、どうも輸出の勢いというものがなかなか盛んでありまして、これがおさまりがつかぬ。同時に、国内の経済、これはまあまあのところではございまするけれども、思ったような活発な状態ではない。そういうようなことから、輸入の方が思ったような伸びを示さない、こういう結果になりましたことは、私は、内外に対してまことに申しわけない、そのように思うのであります。
 石油危機以来満四年になります。しかし、この四年を見てみますると、これは、わが国のあのショックからの立ち上がりというものはすばらしいものであった、こういうふうに思うのです。とにかく、あの石油ショックの翌年は、国の最も大事な経済政策上の柱をなすところの国際収支が百三十億ドルの大赤字である、物価は狂乱の状態である、経済成長は戦後初めてマイナスを記録する、そういう状態だった。それが年とともに改善されまして、国際収支のごときは黒字があり余る、こういうような状態で、国際社会から逆に批判を受けるような状態になってきておる。
 それはそれといたしまして、さあ経済の成長、これは、とにかく五・三%、世界の水準の中では最も高い水準が実現できるような状態であり、それから、物価はどうかといいますれば、翌年十二月の、すなわち、最も近い時点における消費者物価、これは五%を記録しておるじゃありませんか。これはもう戦前の物価の動きの水準に戻ろうとしていることを示して――戦前じゃありません、ショック前です。ショック前の水準に戻ろうとしておることを示しておるものじゃございませんか。
 私は、そういうことを考えますと、今日、非常に国内では不況感が強い、それから、国際社会におきましても、わが国がもっと活発な経済政策をとるようにということを期待しておる、それにこたえて、非常に大胆な景気政策をとり得るという状態になってきておることは何だ。これは、一つは、物価が安定基調にあるからなんです。国際収支があれほどの健全な状態にあるからです。この二つがあるからこそ、このようなとにかく野心的な景気政策もとれる、こういうことでありますので、その点もひとつぜひ御評価のほどをお願い申し上げたいのであります。(拍手)
 また、とにかく、過去においては失敗もあり、成功もありましたが、失敗の点は、深くこれを反省いたしまして、今後は成功ばかりにいたしたい、かように考える次第でございます。(拍手)
 それからさらに、北山さんにおかれましては、ことしの七%成長は相当無理がありはしないか、こういうお話で、この実現を危ぶんでおられるようでございますけれども、私は、これはなかなか、七%というのを実現するというのは容易なことじゃないと思います。そう思います。国際水準がまあ四%だ、五%だと言っておるときに、わが日本だけが七%というのは、これは全く容易ならざることだと思います。思いまするけれども、私は、この今度の御審議願うところの予算、これを主軸といたしまして、何とかこの七%成長は実現をいたしたい、また、これはできるものであると、こういうふうに確信をいたしておるわけであります。
 まあ、人々の見方では、なかなかむずかしかろうというようなところで、一番政府の見方と違うのは、これは設備投資でございますが、政府の方では、設備投資とても九・九%の増加と言っております。しかし、これは何も、ただ大づかみにつかんでそういう数字を出しておるわけじゃないのです。さあ電力業界はどうか。電力業界のごときは、四兆円も設備投資をしようということで、いま意欲に燃えておる次第でございますが、(発言する者あり)そういういろいろな設備投資、そういうものを勘案いたしましてそういう見通しを立てておるわけでありまして、これは架空のことを言っておることではない、このように御承知願いたいのであります。
 また、景気政策といたしまして、カーター大統領は二百五十億ドルの減税を打ち出しておるが、なぜ日本政府は減税政策をとらぬか、こういうようなお話でございますが、まあ、カーター大統領はカーター大統領、福田総理は福田総理であります。(拍手)
 私は、減税をするということになりますれば、それだけの財源が要るのです。さあ、問題はいま何かと言えば、財源を使って景気をどういうふうに刺激するか、景気政策にどういうふうに役立たせるかということでございますが、五十二年度におきましては、皆さんと御相談いたしまして、三千億円の減税の上積みをいたしました。あれがどのくらいの効果を出してきておるのでしょうか。三千億円といいますれば、これは一世帯一月千円です。千円の減税なんですよ。千円一世帯が一月減税されて、景気にどういう影響があるのでしょうか。私はもう文句なしに、景気波及効果ということを考えますれば、減税よりも公共投資がまさっている。
 アメリカの方では公共投資というものが相当行き届いておりまして、そうすぐ公共投資といっても、その種を見つけることがむずかしい状態です。それからもう一つは、これはアメリカの財政制度の仕組みでございますけれども、公共投資は地方がやっておるのです。州が中心になってやっておるわけです。中央政府が州に依頼いたしましても、なかなかそう簡単には動かぬ、こういうような問題もあり、これはカーター大統領としては二百五十億ドルの減税ということを打ち出したことは、私は理解できる。
 しかし、わが日本の立場といたしますと、私はここから施政方針演説で申し上げましたように、いまわが日本では、住宅を初め、住宅関連の社会資本、これが非常に貧弱な状態です。これはまだ発展途上国ぐらいな水準なんですよ。いまこそこれを取り返しをするということを考えることは、私は自然な考え方であろう、このように思いますし、また、そういう社会資本に投資をするというふうにいたしますれば、これは月千円の減税で、ビール一杯で終わってしまう、こういうのではなくて、国民財産が、皆さん、残ってくるのですよ。われわれの財産がわれわれのために、また子孫のために残っていくのだ、こういうことを考えますときに、減税という考え方はとり得ません。
 また、北山さんは、私の方では一兆円所得減税、年金、社会保障の増額というような、こういう予算の修正案を出すが、そのときにはどうするのだ、こういうようなお話ですが、私は国会に臨む姿勢といたしまして、去年も申し上げておるし、それからずっと申し上げておりますが、協調と連帯だ、事は話し合いで決めるのだ、そういうふうにいまでもかたく信じておる次第でございますが、いま御提案を申し上げておるところのこの予算案につきましては、これはずいぶん考えに考えたあげく、総合的に見て、これほどの予算案というものはただいまのところではないのじゃないか、このように考える次第でございます。もし修正というような御意見がありますれば、よく事態を御説明いたしまして御理解を賜りたい、このように考えておる次第でございます。
 また、北山さんから、政府、企業、個人が負債が非常に多くなってしまった、これはインフレにして解決するか棒引きにしてしまうのかというようなお話でございますが、そんな恐ろしいことは考えておりませんです。
 これは経済を速やかに正常化する、その中でこの問題は解決していく。私が一番関心を持っておるのは、これはインフレのないところの社会、こういうことでございまして、この辺はひとつそう御心配ならないようにお願いいたしたいと思うのであります。
 さらに、財政健全化計画を将来にわたって明らかにすべし、こういうお話でございます。
 これはそのとおりに考えておりますけれども、さあ、具体的にあそこはこうだ、こうだというところまでは細かくはできません。しかしながら、試算という程度のものを近くごらんに入れ、御討議願いたい、かように考えておる次第でございます。
 少し長期的な展望を持つこと、長期的な試算を持つこと、これは中央においても地方におきましても同断でございます。必要なことは同断でございます。
 なお、自衛力につきまして御批判がありましたが、私は、とにかくこういう世界情勢、もう世界じゅうが君子、聖人、そればかりの国であるというならば何をか言わん。しかしながら、今日の現実の世界情勢から見るときに、自衛力をわが国が持つということは、そう抵抗なく受け入れていただけるんじゃないか、このように思うのです。わが日本もみずからの国を守る権利はあるわけです。また、わが国はみずから生きていく権利を持っているのですから、その権利を行使するにふさわしい自衛力、これは当然持たなければならぬ、このように考えております。
 さらに、食糧が、これは安全保障上も非常に大事な問題だが、食糧政策におろそかではないかというようなお話でございます。
 これは施政方針演説でも篤と申し上げたわけでありますが、食糧は国民の安全保障にもかかわる大きな問題だ、こういうようなことで、自給力の向上の考え方、同時に海外から輸入いたしまする食糧につきましても、安定的にこれが輸入できるような施策、こういうことを内外相呼応して講じまして、誤りなきを期してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
 また、当面雇用を造出することが非常に大事だが、何か二十万人の雇用を確保するための施策が出てくるそうですか、出てまいりましたならば検討さしていただきたい、かように存ずる次第でございます。
 政府におきましても今度この膨大な積極予算を組みましたゆえんのものは、雇用を造出するということにあるのです。しかし、それによって公務員、これの数がいたずらに増加するというようなこと、これは私は賛成できません。
 それからさらに、雇用問題につきましては、事後措置だけに終わるのではなくて、事前に措置を講ずべしというようなお話でございまするけれども、それは全く同感でございまして、そのゆえにこそ公共事業というような施策を不況対策の主軸としておるというふうに御理解願いたいのであります。
 また、国の施策の民主化という問題に触れられましたが、これは私どもも、そういう考え方自体につきましては異存はございません。
 経済審議会の構成員、そういうようなものにつきまして触れられましたけれども、かなりそういう考え方で構成されておる、こういうふうに御理解願いたいのであります。
 また、国民の知的創造的文化活動を奨励するため、文学、音楽、各分野にわたり、国と地方において大規模なコンクール制度を創設せよ、発明家保護等のため発明振興法の立案を検討せよ、工芸活動の保護、振興を図れというようなお話でございまするが、趣旨は、私も同じ考え方を持っております。
 しかし、その行き方につきましては、あるいは多少北山さんと違うところがあるかもしれませんけれども、五十三年度予算をよくごらん願いたいのです。これはかなりこの部面の施策が織り込んである。御評価願えるところではあるまいか、さように考えるのであります。
 次に、日中平和友好条約締結は、中国が賠償を放棄している事実を忘れず、早急に実施せよ、こういうようなお話でございます。
 これは、施政方針演説において申し上げたとおりであります。双方の満足できるような、そういう形において日中条約を速やかに結びたい。そのための何かもう一つの努力と言うが、何が残っているのかというようなお話でありまするが、まだ手順、段取りが決まっておらぬ、こういう点が残っておる点でございます。
 それから、北方四島返還問題、これにつきましては、私も北山さんと同じような考えです。
 この島の返還を実現して、日ソ平和条約を結ぶ、これが対ソ政策のかなめである、かように考えておる次第でございます。(拍手)
 最後に、わが国の核政策はアメリカの核に依存しておるというのは論理一貫せぬじゃないかというお話でございますが、これは、わが国は非核三原則を持っておる国でございます。したがって、非核世界というものができ上がることを念願している国でございまするけれども、現実には核保有国というものがあるのです。そういう物騒な国が存在する。そういう限りにおきましては、これは理想と現実を混同するということは、国家国民に対しまして無責任な考え方です。政府といたしましては、現実的な考え方をとるほかはない、かように考える次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
#12
○国務大臣(村山達雄君) 北山先生から私に対する質問は二つあったと思います。その一つは、円高によるところの日銀並びに外為会計が持っておる外貨の評価損が幾らになって、そしてその処理はどうするのか、これが一つ。もう一つは、五十三年度の予算を見ると公共債が二十兆以上にも及んでおるが、これは民間資金と競合して消化が非常に困難になるんじゃないか、その対策はどうするのか、この二点にあったと思うのでございます。
 まず、評価がえの問題についてお話し申し上げます。
 この一月一日から基準為替相場が変更されたことに伴いまして、日本銀行におきましては四百五十億、それから外為会計におきましては八百五十億の評価損が生じております。この処理につきましては、日本銀行の方は償却準備金が十分ございます。これを取り崩しましてこの評価損を埋めるつもりでございます。
 外為会計の方は、これは外為特会法第八条の規定によりまして、損は損、それからまたドルが上がったときには益が出るわけでございますから、これはそのまま計上して整理をしておけばよろしい、こういう規定になっておりますので、そのように整理をしておるわけでございます。
 それから第二点の二十兆に及ぶという問題でございますが、恐らく二十兆を超えるだろうと思います。しかし、現在の経済環境あるいは金融情勢から見ますと、私はまずまず消化にはさして困難ではない。もちろん、銀行あるいは証券業協会の御協力を得なければなりませんが、まずまず民間資金と競合して消化が困難になることはないと思います。しかし、もし将来万一そういう御心配の節が出てまいりますれば、当然のことでございますが、そのときにおける金融政策の運営について考える。また、消化面につきましては、その金融情勢を見まして適時にその消化を図っていくようにいたしまして、そして円滑な完全消化を期してまいりたい、かように思っておるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣中川一郎君登壇〕
#13
○国務大臣(中川一郎君) お答え申し上げます。
 まず、国の安全保障と食糧の関係につきましては、総理大臣の答弁のあったとおりでございます。
 次に、水田利用再編成対策についてお尋ねがありましたが、これは総合自給力の強化を図るため、長期的な視点に立って農業生産構造の再編を図ろうとするものであり、これを円滑に実施するためには、何よりも農家の方々を初め関係者の理解とその自主性に基づく対応が不可欠でありまして、必ずしも法的措置にはなじまないものと考えております。また、従来の経験に照らして見ましても、地方公共団体、農業団体と一体となった推進体制を確立し、農業者の理解を得て、その自主的協力によって実施するのが最も適切な方法と考えます。
 また、五十三年度における本対策の内容は、もちろん予算の成立を待って正式に決定することとなりますが、自治体や農業団体から、農家の営農設計等に支障を来さないようにとの強い要望がありましたので、早期に内容をお知らせいたしたものでございます。
 なお、目標未達成の場合等、翌年度における転作目標面積等の補正の措置は、ペナルティーといったような性格のものではありません。転作協力者と非協力者とが不公平となることを避けるため、必要最小限の公平確保の措置でございます。
 次に、過去の生産調整についてお尋ねがありましたが、昭和四十五年度から実施しました稲作転換対策は計画どおりほぼ順調に実施され、米の単年度需給均衡をおおむね達成し、他の農産物への作付の転換、地域の特性に沿った農業生産の推進等、一定の成果を上げてきており、むだなものではなかったと考えております。
 しかしながら、最近、再び米が過剰基調を強めてきております。これは技術の進歩等による生産性の向上と収益性からして、米作が有利な作物となり、一方、米の消費が停滞しているためであります。このような米の需給ギャップは構造的なものであると考えられ、またこの傾向はなお当分の間持続するものと考えます。したがって、米の需給均衡の回復を図るためには、長期的視点に立って消費拡大に一層の努力を払うとともに、水田利用再編成対策を推進し、米の需要の動向に対応し得る農業生産構造の確立を強力に期してまいりたいと考えております。
 最後に、農産物輸入拡大についてお尋ねがありましたが、これに対する基本方針は、わが国農産物の需給動向を踏まえ、わが国農業生産に支障を与えない形で行われることが重要であると考えております。先般の輸入枠拡大の措置についてもこの方針を踏まえ、総合食糧政策の推進に支障を及ぼさないことを基本として対処したものでございます。
 以上でございます。(拍手)
    〔国務大臣金丸信君登壇〕
#14
○国務大臣(金丸信君) 北山先生は、P3C、F15などの予算化により防衛費は膨大となり、赤字財政時にやらねばならぬ緊急性を明らかにせよという御質問だと思うわけでございます。
 P3C、F15等の整備をするのは、将来における防衛体制に欠陥を生じないよう現有装備の減耗を補充し、さらにこれを近代的なものとするため、昭和五十三年度から整備に着手する必要があるということでございます。
 次に、敵に脅威を与える防衛力とはいかなるものかというお尋ねでありますが、本年一月八日の空挺団における訓示の中で、私は、万一わが国へ侵略を企図する敵があった場合、その敵が侵略を思いとどまる、あるいはちゅうちょするような意味での脅威を与えるような自衛力でなくて何の国防かとの趣旨を述べました。これは、防衛の任務を全うするためには、侵略を抑止し得る精強な防衛力が必要であるとの所信を明らかにしたものでありまして、他国に侵略的、攻撃的な脅威を与えるとの意味で申し述べたものでないことは、いわゆる憲法を踏まえておるということでございます。
 また、現在の国際社会においては、単独でその安全を確保することは困難であり、わが国の場合、現在のような内外情勢のもとにおきましては、防衛計画の大綱に明らかにさしてありますように、防衛の体制等を整備し、米国との安全保障体制を堅持することによって、わが国の独立と平和を確保するということでございます。
 次に、わが国に対しまして外部からの武力攻撃が行われた場合、自衛隊がその任務を遂行するためには、国民の国を守るという意思に基づく協力が絶対必要であることは言うまでもないわけであります。国の防衛に際しての国民の協力は、主としてそれぞれの持ち場において行われ、また同時に、関係機関等は武力攻撃から国民を保護することに努めるような施策を講じなければならぬと考えておるわけでございます。
 以上。(拍手)
#15
○議長(保利茂君) 大蔵大臣から、答弁を補足したいとのことでありますから、これを許します。大蔵大臣村山達雄君。
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
#16
○国務大臣(村山達雄君) さきの発言中、数字が間違っておりましたので、まことに申しわけありませんが、訂正さしていただきます。
 評価損につきまして、日銀四百五十億というのは四千五百億でございます。それから、外為会計八百五十億というのは八千五百億の間違いでございました。合わせまして一兆三千億の間違いでございまして、どうもまことに申しわけございません。お許しいただきたいと思います。(発言する者あり、拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(保利茂君) 江崎真澄君。
    〔江崎真澄君登壇〕
#18
○江崎真澄君 私は、自由民主党を代表して、福田内閣の当面する重要政策に関して、若干の質問を行うものであります。
 まず第一に伺いたいことは、いま一番の緊急政治課題である景気対策と財政の関連についてであります。
 長期景気の低迷に加え、最近の異常円高不況は、輸出関連産業に再び深刻な打撃を与え、そのため、わが国経済全般にわたって不況感はいよいよ高まりつつあります。一日も速やかにこの不況から脱出し、内には経済の安定成長と国民生活の充実発展をもたらすとともに、外には国際収支の均衡を回復し、世界の景気浮揚の有力な牽引力としての国際的責務を果たすことであります。
 福田内閣は、この責務を果たすため、五十二年度第二号補正予算と連なる、切れ目のない十五カ月予算の構想のもとに、公債依存度を三二%、歳入整理期間の一カ月延長分を取り込まなければ三七%という、前例のない積極的公債活用の五十三年度予算を編成したのであります。公共投資の大幅拡充を中心に、景気の回復と雇用の安定を図ろうとしておることは、火急の課題解決の非常事態でありますだけに、適切な対応であると評価するものであります。
 しかし、ここでお伺いしたいことは、当面の対症療法に続くわが国経済の根本的体質改善とその強化をどう進めるかという点であります。
 現在としては、財政が主導的立場に立って景気のてこ入れをすること、これは当然であるとしても、本来、経済は自律的に安定成長路線に定着するようになるのが自然であります。財政の役割りは、その条件を整備することでなければなりません。
 政府は、一昨年五月に昭和五十年代前期経済計画を策定し、これを経済政策の指針としてきたのでありまするが、遺憾ながら、五十一年度、五十二年度、その実績はこの指針の目標から大きく外れたのであります。
 このことは雇用問題についても言えると思います。現在の労働力人口は約五千四百万人であります。平均寿命の延長により、人口の老齢化が急速に進み、近い将来、これが急増することは必然であります。この高齢化労働人口に安定した職場を与えることは決して容易なことではありません。長期的展望に立つ確固たる経済計画、雇用計画を立てて、総合的、効果的な経済財政及び雇用政策を推進しなければならないと考えます。
 この際、すでに実績と大きく乖離した現在の五十年代前期経済計画を根本から見直し、現実に立脚した新しい長期ないし中期経済計画と、これを基礎とする財政見通しを策定し、国民に今後の方向を明示することにより、希望と安心感を与える必要があると思いまするが、福田総理の御所信を承りたいのであります。
 その関連において、いま一つお伺いしたい基本的な課題は、今後どのような方策と道程をたどって健全財政に復帰するかということであります。
 公債依存度三二%という高い率は、まさに非常時型財政であります。欧米先進国において近年最も高い公債依存度は、七六年度のアメリカの一八・二%、七五年度のイギリスの一八・四%、同じく西ドイツの二一・二%であり、わが国はそれよりもはるかに高いのであります。
 また、わが国の国債残高は、五十三年度末四十四兆円に達しようとしておるのであります。現在のような長期的不況のときには、公債依存度が三〇%を超えても景気対策を優先させるべきであると確信しますが、そうかといって、健全財政への復帰の備えを怠ってはなりません。それには、赤字公債を極力抑制して財政の節度を守ることが必要であります。建設公債の積極的活用は、立ちおくれている日本の社会資本を充実し、生活基盤の整備を促進する一面、景気の早期回復の主役ともなり、財政基盤の拡大をもたらすものでありますが、赤字公債は、消費支出の財源に充てるためのものであり、後世に大きな負担を残すものであります。今後、公債発行の新たな歯どめを何に求めようとするのか、この際、明らかにされたいのであります。
 また、大量の公債発行に依存する厳しい財政事情のもとでは、補助金を初めとして歳出の節減、合理化に積極的に政府としては取り組まなければなりません。五十三年度予算ではどのような節減、合理化を行ったか、はっきりと承りたいのであります。
 また、五十三年度内に納税義務の発生した五月分税収を取り込み、十三カ月分歳入といたしましたが、五十四年度予算には当然十二カ月分の歳入に戻ることとなります。財源事情が悪化することも予想されまするが、今後どう対処しようとされるのか、明瞭に答えられたいのであります。
 次に、近年著しく増大したわが国社会保障関係費予算であります。
 四十八年度には二兆一千百億円であったものが、五年後の五十三年度には六兆八千億円と三倍以上に増大をし、同じ所得保障の性格を持つ恩給等を加えますと、一般会計予算規模の中に占めるその構成比は、何と四分の一に近い比率に達しておるのであります。このように社会保障関係費が急増するのは、現行の社会保障制度が高度経済成長時代の拡大財政の波に乗って年々膨張してきた結果にほかなりません。
 これに対し、わが国の租税負担率は国民所得の一八・二%、社会保険料負担率が六・九%、合わせて二五・一%となっており、西ドイツの負担率四九%の約半分にすぎません。先進国の中で最も低いアメリカの三八・五%の約三分の二にすぎないのであります。今後急速に進む高齢化社会の中において、これ以上の高福祉を求めようとするならば、医療保障、年金等の制度の体系化、効率化等をこの際、万難を排して断行するとともに、国民もそれ相応の適正な費用負担に応じ、一層充実し、現実に合った制度に改善すべきであると考えまするが、総理はいかがお考えでありましょうか。
 私の質問の第二は、当面の景気対策についてであります。
 福田内閣が当面する最大の責務は、景気刺激型十五カ月予算により景気の回復を図り、五十三年度の実質経済成長率七%を是が非でも達成させることであります。
 OECDの七八年世界経済見通しによれば、世界の経済情勢は決して明るいものではありません。何らかの新しい措置がとられない限り、加盟国全体の実質経済成長率は七七年と全く同じ三・五%だと言っております。また、失業は労働力人口の五・五%にも達すると言います。わが国に関する見解としては、七八年の実質経済成長率は五%に下がり、その反面、国際収支の黒字は依然として百億ドルを維持するであろうと言っておるのであります。
 私は、OECDの見通しをそのまま信用するものではありません。そうかといって、七八年の世界の景気が決して先行き楽観を許さないという見通しは、これまた否定を許さないと思います。したがって、わが国がこの世界経済停滞の中で七%成長を達成するためには、よほど大胆な政策展開により、不況心理を一掃し、民間エネルギーをかき立てる発想の転換が要請されると思いまするが、いかがでありましょう。(拍手)
 まず第一に望まれることは、財政経済政策の機動的にして遅滞なき運営であります。かりそめにも後手に回るようなことがあってはなりません。
 景気の早期回復の決め手は、五十三年度における住宅建設を初めとする公共投資であります。一般会計、特別会計に加え、公社、公団、事業団及び地方公共団体等の予算は、総計二十数兆円の巨額に上ります。この巨額の公共投資に景気回復の牽引車の役割りを果たさせるためには、年度の上半期において少なくとも七〇%以上契約を成立させ、一刻も早く事業に着手することであります。そのため、政府はどういう具体的措置をとろうとしておるのか、この機会に明らかにされたいのであります。
 一部の声には、公共投資の急増により、設計能力や工事施行能力が追いつかない、また、セメント、アスファルト等の資材不足による消化面の不安を指摘する向きがあります。かりそめにもそのようなことがあってはなりません。政府は大号令を発し、万全の措置を講ずるとともに、便乗値上げの絶無を期すべきであります。いま多量な工事の円滑な消化を図るためにどのような配意をしておられるのか、お答えをいただきたいのであります。
 次に、財政の機動的運営とともに金融政策、特に金利政策の一層の弾力的運用が要請されております。公定歩合の引き下げ、長期金利の引き下げ等についても迷うことなく実行に移すべきだと考えまするが、総理のお考えを承りたいのであります。
 さらに、景気刺激の一つの手段として、一部には減税を行うべしとする意見があります。私は、財政面からの景気対策は、その即効性や波及効果から見て、公共投資の方がはるかに効率的だと考えます。それは先ほどの総理の御答弁にも明らかでありました。赤字公債を増発して減税に回すことは、いわゆる会社のタコ配よりももっと矛盾する行為であります。財政の節度を守る上からいっても不適当と考えまするが、再度総理の率直な御見解を承りたいのであります。(拍手)
 また、ここで特に強調しておきたいことは、GNPに占める財政の割合は三〇%足らずで、民間の設備投資と個人消費が実に七〇%程度を占めておるという点についてであります。
 真の景気浮揚は、政府の努力ももとより必要でありまするが、民間の協力と共鳴なくしては達成できません。経団連を初め有力な経済団体においては、安易な他力本願によるのでは企業は生き残れないという、自己努力への強い自覚を持つに至りました。現状の打開は、まさに旺盛な企業家精神の復活と国民の協力にまたなくてはならないのであります。七%目標の達成は、わが国経済の立て直しと世界の自由貿易体制を守るために、どうしてもやり遂げなければならない問題だということを、もっと政府は事あるごとに国民に訴え、その理解と協力を求めていくべきであります。
 内需の拡大とか国民消費の拡大とか、簡単に一口に言いまするが、今日の国民消費の停滞は、各家庭とも一通りの備品が調いました、アンケートに見ましても、一応満足しておるという答えが出ております。これだけはぜひ求めたいという購買意欲をそそるような魅力ある商品がないことにもよります。かつてマイカーを夢見たときの自動車のように、白黒テレビからカラーテレビにしたいと思ったときのように、新しい商品がつくり出されておりません。最近の国民の夢は海外旅行であります。長い不況が言われながら、パリやニューヨークにおびただしい日本のOLや一般旅行者の姿が見られるのもそのあらわれであります。
 この一つを見ても、国民の購買余力はあるのですから、いまこそ企業家も、新しい品物の創出にもっと意欲を燃やしてもらいたいものであります。政府も、こうした点に配意する必要があると考えまするが、いかがでありましょうか。(拍手)
 政府は、この際、びまんする不況感を一掃する、ことに努め、国民生活の上に明るさを取り戻さなければなりません。それには、三全総において、環境アセスメントと見合いながら実行に移すという新幹線整備五線などについても、こういうときこそ思い切って路線の決定をし、早期着工を約束するような英断に出るべきだと思いまするが、総理、いかがでありましょうか。(拍手)
 質問の第三点は、景気対策の一つの面である異常な円高についてであります。
 一時は一ドル二百三十円台という、年間二十数%の大幅円高に追い込まれたのでありますが、円がこのように急騰を続けた背景には、国際的投機もありまするが、主たる原因は、米国の経常収支の赤字過大、わが国の黒字過剰であります。
 米国の労働組合からは、日本は米国に失業を輸出してくる国だ、大統領は直ちに輸入制限に踏み切れという声が上がりました。十一月の中間選挙を控えて、これが大きな政治問題へとエスカレートしたことはお互いのよく承知するところであります。異質な経済大国日本及び日本人への不信感と違和感は、かつて聞かされた黄禍論を思い起こさせるものがあったのであります。
 こうした背景の中で、総理の適切なリーダーシップと、政府・与党一体となっての対応により、米国はドル価値の安定に努める、日本は黒字の是正に努力するということで、さしも厳しかった日米間の経済的摩擦に一応終止符を打つことができましたことは、まことに御同慶の至りであります。
 日米関係は、英米や独米のように、いわゆる民族的に親戚関係の間柄ではありません。全く他人の結びつきであります。両国は、それだけ今後とも十分誠意を示し合い、理解を深める努力が大切であります。日米関係が弱くなれば、日本の繁栄は挫折しましょう。安全も保ちにくくなりましょう。日米親善は、どこの国にも優先する重要課題であると言っても言い過ぎではありません。
 しかしながら、アメリカやEC諸国は、今後この対策だけで決して満足はしないと思います。輸入制限に対する一層の緩和や東京ラウンド前倒し実施の範囲の拡大等を要求する声が、いま、はや上がっておるのであります。
 わが国の場合、どうしても言葉や文化の違いが友好関係を保っていく上に大きな障害となっておることは否めません。今度ほど日本の国内事情や日本の農業問題や関係産業の実情を相手方に正しく伝えることの必要性を痛感したことはありません。(拍手)
 今後は、特に議員間お互いの積極的な交流と意見の交換を進めていくことはもちろんでありまするが、自由貿易体制下においては、良質で安い商品の取引が増大するのは自然の原則であります。日本も製品輸入にもとより努力はいたしまするが、互恵平等の精神に立ち、相手国も原価の切り下げや、わが国の製品よりもより安く、よりよくする真剣な努力を払うよう強く求めるだけの毅然たる態度が必要であると信じます。(拍手)総理の御所信をお伺いしたいのであります。
 なお、急激な円高により、輸出企業はまさしく危殆にさらされました。政府・与党は、これらの企業に対して遅滞なく、直ちに法律と多額の資金を用意して救済措置に出ております。しかし、局面の落ちつきとともに、この際、政府は、円高は元来輸入立国日本としては喜ぶべき現象であることをもっと国民にPRすべきではないでしょうか。(拍手)急激な円高は困るが、円の値打ちそのものが高まることは日本の国益に沿うものであります。ことしの冬は円高のため灯油や電気、ガス料金の値上げはありませんでした。衣料や食料品も現在値上げの口実がありません。今後ますます製品輸入の大幅な増加を求められておるわが国としては、輸入品の流通機構を合理化し、ドイツの例のように、円高でふえた失業者を円高でもうけた企業が吸収するくらいの政策を展開すべきであると思います。(拍手)
 わが国輸入品の流通機構は、舶来品尊重の日本人の気風に乗じて、先進国の中でも最も複雑であり、流通マージンも高く、輸入拡大の阻害要因となっておることは、通産省の実態調査に見ても明らかであります。速やかにこれらの機構に抜本的な改善を施すとともに、円高によるメリットをもっと消費者たる国民にわかりやすく還元し、明るい世の中にするように積極的な行政指導をすべきであると思いまするが、この点、総理の御見解を承りたいのであります。(拍手)
 第四にお尋ねしたいことは、総理が一月四日、記者会見で述べられたところのデノミネーションについてであります。
 戦後三十数年を経た現在、いまだにデノミネーションを実施していない先進国は、一ドル九百リラ前後のイタリアと二百四十円台のわが日本だけであります。物価の安定と国際収支の健全化、景気の回復等の前提条件さえ整えばデノミを実施し、名実ともに円の国際的地位を安定させることはもとより必要であります。
 ただ、国民の間に定着しておるところの現在の通貨単位の呼び方をにわかに変更するのは、国民がデノミの意義と効果を十分に理解しないで行うことは危険であります。今日、国民の中には、その意義も必要性も十分理解せず、中には所得の切り下げと勘違いをしたり、便乗値上げや思惑を招いて物価が上がるのではないかと心配している向きも決して少なくないと思われます。
 この際、総理は、誤解を一掃するためにも、いかなる時期に、いかなる段取りと内容においてデノミネーションを実施しようとされるのであるか、改めて議場を通じて国民の前に所信を明らかにされたいのであります。(拍手)
 第五の質問は、外交政策についてであります。
 わが国当面の外交課題は少なくありませんが、中でも国民の最も関心の深い問題は、日中平和友好条約であります。続いて日ソ平和条約の締結であります。
 日ソ国交正常化以来すでに二十数年、また日中国交正常化以来五年余になります。
 日中平和友好条約の締結がおくれておることは、いわゆる覇権条項の取り扱いについて日中双方の見解が食い違っていることに原因があることはすでに常識となっております。この問題は、特定の第三国との関係にもかかわる問題であるだけに、慎重を要することはわかります。しかし、いつまでも見解が対立したまま無為に放置してよいというものではありません。すでに両国とも、相当長い期間にわたり、妥結の方向を検討してきたはずであります。日中平和条約の先行きに常に神経質であったソ連までが、園田外相との会談において、もとより当然のことではありまするが、干渉がましい態度に出なかったことに見ても、総理御指摘のとおり、機はまさに熟しておると思いまするが、総理、あなたは、いつごろ、どのようにして締結への手順を踏まれようとしておるのか、もうこのあたりで具体的におっしゃられてもよろしいのではないでしょうか、お伺いをいたしたいのであります。(拍手)
 次は、日ソ平和条約であります。
 先ごろ訪ソの園田外相は、歯舞、色丹、国後、択捉四島は、歴史的にも地理的にも、また法的にも、わが国固有の領土であることを強く主張されたのであります。これが祖国復帰を前提にして、日ソ平和条約を締結するという提案をされました。しかるに、ソ連側はすでに解決済みの問題だとして、一歩も前進しなかったことは、はなはだ遺憾であります。
 この北方領土問題は、今後、両国間の経済協力その他の実績を積み重ね、親善友好関係を確かめ合いながら、焦らず、冷静にして毅然たる態度で、粘り強く、繰り返し折衝を続けていくべきであると存じます。
 すでにこの領土の問題は、田中元総理が訪ソをいたしましたときにも、はっきりとブレジネフに対してだめ押しをしておるのであります。「未解決の問題、戦後の未処理の問題でありますね」「イエス」これを肯定しておる事実に見ても、粘り強く今後とも園田外務大臣はその力を発揮され、総理におかれても、これを強くバックアップされたいのであります。最後にお尋ねいたしたいことは、いまわが国は、先進国の仲間に列し、国際社会においても責任ある対応を迫られておることであります。ここにきて、心ある国民の大多数は、改めて国の防衛について切実に考えさせられておるのであります。
 国防という国家の基本政策にかかわる問題が、今度の施政方針演説で初めて大きく取り上げられたのでありまするが、今日まで政府は、とかく事なかれ主義をとってきはしなかったか。また、非武装中立という幻想的なたてまえ論に低迷する一部野党の怠慢とも相まって、自分の国は自分の手で守るというわかり切ったことさえ、国民に改めて問い直さなければならない状態であります。総理は、このことをどう受けとめておられますか。
 学生は対校競技でわざを競い、応援団は声をからして愛校精神を発揮しますが、国を愛することに熱心でありません。会社員は競争他社に追いつけ追い越せと社務に精励をし、愛社精神はきわめて旺盛でありまするが、国を愛することには熱心でありません。市民のマイホーム主義は、楽しい家庭生活を営もうとする熾烈な家族愛には燃えておりますが、国を愛することに熱心でありません。国民意識は、それぞれの分野ではまことにいいところに来ておりまするが、ともに国を愛することに欠けておりはしないでしょうか。(拍手)
 平穏な学生生活も、活発な事業活動も、なごやかな家庭生活も、すべて国家に権威と尊厳があり、国に平和があることが大前提であることを忘れておるのであります。(拍手)お互い国民は、おのおのの願いを達成したり、平穏無事な生活をエンジョイする上に一番大切なもの、それは権威ある国家であります。その国を愛する心であります。愛する国を守る気概であります。このことにわれわれ国民は気づかなければなりません。(拍手)
 今後、われわれ政治家が最も心得べき大きな政治課題の一つは、内に郷土を愛し、わが祖国を愛するという愛郷愛国の心を喚起する環境づくりであると思うものであります。(拍手)総理の御所見を承りたいのであります。
 福田総理、総理は狂乱物価を抑え、先ほど申されたように、石油ショック後、世界先進国の間においても最も早く立ち直りを見せたのであります。どうかこれに自信を持っていただきたいのです。そうして、いまこそ経済的国難を克服し、内に教育、文化を充実させた豊かで住みよい社会をつくり上げるとともに、外からは本当に信頼をされ、敬愛される日本をつくり上げるべく、連帯と協調の政治信条のもとに力強いリーダーシップを発揮されて、その責務を果たされるよう心から期待して、私の質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#19
○内閣総理大臣(福田赳夫君) まず、五十年代前期経済計画が今日から見ますると大変変わってきておる、これを全面的に改定すべきではあるまいか、こういうような御所見でございますが、確かに計画と実行の間に大変なずれが出てまいりました。
 したがいまして、五十三年度、五十四年度、五十五年度、前期計画ではこの三カ年度がまだ残されておるわけでございますが、この三カ年度につきましては、どういう点がずれが出てきておるかというようなことをしさいに検討いたしまして、そうして一つの試算をつくってみたい、かように考えております。また、それをもとにいたしまして、財政の面におきましても幾つかの展望をしてみたい。そして、これらはなるべく早く国会に御提出申し上げまして、御審議の資料にさせていただきたい、このように考えております。
 なお、江崎さんが公債発行の歯どめがなくなってきたという点につきまして大変御心配をされておるわけですが、これは大変大事な問題になってきておる、このように思います。
 いろいろ考えておりますが、何かよりどころといいますか、けじめ、歯どめ、これが必要でございまするが、今度、予算の考え方を公共投資部門、投資部門とそれから経常収支部門、この二つに分けた。いま、公共投資部門は全額建設公債として、公債にその財源を依存しておるわけであります。また、経常収支部門におきましては、その大部分を租税収入に依存するが、かなりの部分を公債に依存せざるを得ないという現状であります。
 そういう現状の中で、昭和五十三年度予算は、経常収支部門の財源となる公債、 つまり特例公債、これの依存度が二四%になるのです。これからのことを展望いたしましても、まずとにかくこの経常収支部門を健全化させる必要がある。そういう見地から、二四%という五十三年度の公債依存率、これを原則といたしまして、けじめとして考えたいなというふうに考えておる次第でございます。とにかく、公債がこのまま節度なく増発されるということになると、これは大変なことになりまするから、その辺につきましては十分気をつけてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
 なお、そういう同じような考え方に立ちまして、江崎さんから財政支出の面の節減合理化、これを強調されましたが、これは今度の予算におきましても、かなり切り詰めた施策を実行しておるわけであります。新規施策は、既定の経費、制度の合理化によって、その財源を捻出するという基本方針で努力をいたしております。また、一般の行政経費につきましては、厳重な抑制をいたしました。特に各省庁の経常事務費は前年度同額、物価は上がりましたけれども、前年度と同額といたす。それから、各省庁の部局の増設、特殊法人の新設は一切これを認めない。また、各省庁の課などの組織の計画的縮減、地方支分部局の整理等も、今回の予算にこれを織り込んでおる。また、国家公務員の定員抑制、真に必要な需要も極力振りかえによりて対処するということにいたしておるわけでありまするし、また補助金等につきましては、全面的にこれを洗い直しいたしまして、廃止、縮減、統合、メニュー化、また終期の設定等の努力をいたしておる次第でございます。
 また、さらに、これに関連いたしまして、昭和五十四年度の五月分の税収を五十三年度に取り込む結果、五十四年度の財政が非常に窮屈になるのじゃないか、その辺についての御懸念でございますが、確かにそのとおり、五十四年度は非常にむずかしいですが、五十四年度につきましては、歳出面、歳入面、いろいろ勘案をしなければならぬ。その時点における経済情勢によりましてどういう措置をとるか。いずれにいたしましても、きわめて困難なる状態でありますけれども、最善を尽くす考えでございます。
 それからさらに、歳出面に関連いたしまして、今後、高齢化社会の中におきまして国民が高福祉を求めるならば、医療保障、年金制度の体系化、効率化を速やかに断行すべし、これはその御説のとおりに考えます。
 また、それ相応の適正な費用負担に応ずるべきである、このようなお考えでございますけれども、全く同感であります。手ぶらで高福祉というものが実現されるはずはないのです。やはり高福祉を実現せんとするならば、これは高負担ということにならざるを得ないのでありまして、これらの点につきましては、世論のおもむくところをよく見まして、どうやっていくべきかということを決めていきたい、かように考えます。
 さらに、実質七%成長を実現をする、これは容易なことじゃないが、政策運営は大胆にかつ機動的にやれ、特に公共投資は上期に七〇%集中契約せよ、こういうお話でございますが、ただいまあらゆる角度から公共投資の早期施行、これを検討いたしております。恐らくお話しのような結果になるのではあるまいか、そのように考えております。
 また、反面、公共投資が急増いたしますと、工事の消化面における不安、セメント、アスファルトなどの資材の不足、また便乗値上げ、そういうような悪い現象が出てくるが、その辺につきましては、御指摘のとおり十分配慮してまいるつもりでございます。
 なお、財政のみならず金融面におきましても、公定歩合の引き下げ、長期金利の引き下げ等を適時機動的に実施せよというお話でございますけれども、これは諸般の情勢を見て、そして機動的に対処していきたい、かように考える次第でございます。
 なお、先ほどもお話があった、減税か公共投資かという問題で再び私の意見を述べよ、こういうことでございますが、先ほどるる申し述べましたので、ここでは省略をさせていただきます。
 また、国民の購買力は十分あると考えるがどうか、海外の旅行ブームなんかをどう見るかというお話でございますが、私は、わが国は戦後ずっと一貫して高度の成長をしてきておる、またその半面、国民生活も向上してきておる。しかし、国、地方公共団体、企業においては相当重い借金を担っておるのであります。それに比べると、これは家庭も苦しいでしょう、苦しいでしょうが比較的いいんですね。そういう状態ではないような面もあるようでございますが、御指摘のとおり、購買意欲にマッチした新製品の開発、そういうことにも十分工夫をしなければならない、かように考えております。
 また、新幹線整備五線につきまして早期に路線の着工決定をすべしという御所見でございますが、これにつきましては、かねがね申し上げておりますが、いま環境対策を含めて工事実施計画策定のための調査をいたしておるわけであります。その調査が完了した際におきましては、国鉄再建全体の進捗状況、新幹線の収支の見通し、そういうものを総合的に勘案いたしまして、なるべく早く結論を出したい、かように考える次第でございます。
 さらに、アメリカの議員などとの間で積極的に交流をすべしという御意見でございますが、私も全く同感でございますので、思いを新たにいたしましてこの路線を進めてみたい、かように考える次第でございます。
 また、円高につきまして、政府はもっと円高のメリットの面をPRすべきではないか、こういうお話でございますが、確かに、円高ということは、日本の経済を国際社会から見てこのように評価するという面が出てきておるわけでございますから、そういう角度から言いますと、悪くはない現象ではございまするけれども、何せ二カ月ぐらいの間に急激に、非常な先鋭的な角度で円高という現象が起こったことは非常に私は残念だった、こういうふうに思うのであります。しかし、こういうことが起こった以上はそれに応じた対処をするほかはないというふうに考えますので、いま御指摘の、このメリットの面を生かさなければならぬ。つまり、特に物価面にこの問題を有効に取り入れていくという必要を痛感し、その方向で努力をいたしておるわけであります。
 次に、デノミネーションにつきまして、いかなる時期に、いかなる段取りと内容でこれを実施するのかというお話でございますが、これは、私はまだそこまで考えているわけじゃないのです。
 私は、正月四日の伊勢における記者会見で、新聞社の人からお尋ねを受けましたので、素直に私の気持ちを申し上げたわけでございまするけれども、いずれの日にかデノミということはやってのけなければならぬ、避けて通ることはできない問題だろう、こういうふうに思います。思いますが、それには前提の条件が整わなければならぬ。前提の条件というのは経済の安定ということです。具体的に言えば、物価が安定し、国際収支が安定し、景気情勢が正常である、こういうことだと思いますが、いま、景気情勢が非常に不安定であるというこの際においてデノミネーションを行うというようなことは、これは妥当じゃありません。いま、私ども政府の頭は、不況脱出にすべてをかけておるという状態であり、現段階でこれを実施するという考え方は持っておりませんことをはっきり申し上げさせていただく次第でございます。
 次に、日中平和友好条約について具体的手順を国民の前に明らかにせよというお話でございますが、これはさきおとといの施政方針演説で申し上げたとおりでございます。
 交渉の機は熟しつつあるのでございまするけれども、その手順、段取り等につきましては、なお、相手のあることでございますので、しばらくお待ちを願いたい、かように考える次第でございます。
 それから、日ソ関係につきましては、御指摘のとおり、やはり日ソという間には、あるいは経済の関係がある、開発の関係がある、漁業の関係がある、文化の関係がある、いろいろな関係がありますから、それらの関係を総体的に盛り上げまして、粘り強く領土問題を解決するほかないのじゃないか、そのように考えておる次第でございます。
 それから、防衛問題について御激励のお話がありました。お言葉どおりの姿勢で、この問題に十分真正面から対処してまいりたい。
 最後に、愛郷愛国の心についての御所見が述べられましたが、私も全く同感でございます。
 やはりわれわれ日本人は、どういう立場にあろうとも、この四つの日本列島の上に住んでおるのです。日本社会という一つの船の中で暮らしておるのです。この一つの船、これに異変があったら、われわれみんな運命がどうなるかわかりません。やはり日本国、日本社会、これにつきましては、われわれは最も高い関心と愛情を持って対処しなければならぬ、かように考えます。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(保利茂君) 中村重光君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔中村重光君登壇〕
#21
○中村重光君 私は、日本社会党を代表いたしまして、福田総理の施政方針演説に対し、外交、防衛、農林問題に対しましては北山副委員長から質疑が行われましたので、それ以外の問題に対して、福田総理並びに関係大臣の見解をただしてまいりたいと存じます。(拍手)
 二十一日の本会議でなされた福田総理の施政方針演説を静かに伺って感じたことは、経済の福田と言われた福田総理が、国民の期待にこたえず、経済政策を失敗して日本経済を極度の混乱に陥れ、国民生活を不況に追い込んだのにもかかわらず、これに対する何らの反省も行うことなく、福田さんのお好みではございましょうが、美辞麗句を並べて、胸を張って、国民の実感というものと全く大きなずれを来すような、そのような方針をお示しになったにすぎないのであります。このような感じというものは、私だけではなくて、福田総理の演説を聞いておられた国民すべてが感じられたことではないかと私は思うのであります。(拍手)
 一国の政府の責任者と国民との間にどうしてこのようなずれがあるのかについて、私は述べてみたいと思います。
 まず第一に、強きをくじき弱きを助けるということが美徳とされ、判官びいきという言葉があるのも、こうしたことを裏づけていると思います。この考え方こそ、民主主義の基本である公平の原則をわかりやすくあらわしたものだと思います。しかし、どうも福田さんと自民党は、弱きをくじき強きを助けているように思えてなりません。
 これから、具体的にこの点に触れることにいたします。
 最初に、税金について伺います。
 日本社会党は、税負担の公正を求めて、長年にわたって税制改正案を国会に提出しております。自民党政府は、耳をこれに傾けようとはいたしません。しかし、数多くの不公正な税制の中で国民多数の皆さんの考え方が一致しているものに、開業医師に対する税の特別措置の廃止の問題があると思います。
 社会党は、診療報酬の適正化とあわせて廃止することを決定しているただ一つの政党であります。
 最近、会計検査院は、一開業医当たり七百万円がこの法律によって減税されているということを報告をしております。大蔵省の試算では、この二十年間にサラリーマンの月給は八・八倍、開業医の所得は二十四倍にもなっておるのであります。
 前厚生大臣でさえ、「いまの内閣には、難問山積だが、やろうとすればすぐできるのは、医師の不公平是正である。これもできないようでは何も出来まい。」と新聞の投稿で主張しております。
 これは強きを助けている実例ではないでしょうか。このような不公平是正を放置して財政の再建は不可能であります。総理ははっきりしたお答えをいただきたい。
 次に、弱い立場にある母子家庭の問題について伺います。
 厚生省は、昭和四十八年以来、全くでたらめでありますが、調査をしていないのであります。その調査によりますれば、母子家庭は六十二万六千二百世帯となっております。その収入を見ますと、母子家庭の八六・七%は月に八万三千円以下で、そのうち七割余りの家庭では、月五万円の収入で暮らしていることが明らかにされているのであります。
 総理、家族三人または四人で月に五万円で暮らす生活が今日のわが国にあることを、しっかり心にとめてほしいのであります。その後のインフレの時期に、この人たちが生きていくためにどんなに苦労されたかは想像に余りあるものがあります。
 昨年の十二月十二日に、第五回交通遺児と母親の全国大会が開かれ、全国から約五百人のお母さんと子供たちが集まりました。そこでは、全国で八万人を超えると言われる交通事故による母子家庭について、そのうちの七割五分以上が月収九万円以下で、非常に生活が苦しく不安定で、亡くなった夫にかわって一家を支えている母親の約四割が病気にかかっており、遺児の進学がきわめて困難な実態が報告をされたのでありました。「病気の母に幾らお医者さんに行きなさいと言っても、お金がかかるからと言って行こうとしません」、「子供三人を抱えて病気になり、何度か列車に飛び込もうと思いました」、また「もういたずらをしませんから、お母さん、早く病気を治してください」と、切々たる気持ちが遺児や母親から訴えられたのであります。
 この後行われた母子家庭の医療の無料化、母親の雇用促進法の制定、遺児の進学助成強化などの要望に、政府側の出席者からは全く冷たい答えしかありませんでした。
 これらすべての母子家庭で、じっと歯を食いしばって困難と闘っている母親と子供たちのために、母子福祉年金の大幅な増額を含めて、その願いに真剣にこたえることが、弱きを助け、愛情のこもった温かい政治ではないでしょうか。(拍手)
 社会党は、弱者対策として、四百二十万人のお年寄りが受けている老齢福祉年金を、今年度まず二万円まで引き上げ、身障者福祉年金その他もこれに準じて改善することを主張しているのであります。しかし、この程度の引き上げ要求すら、政府の超大型予算案の中でも、福祉を軽く扱ったために実現をしておりません。政府は、老後の生活保障のため再検討する意思はないのか、あわせてお答えをいただきたいのであります。(拍手)
 次に、原爆被爆者対策について伺います。
 国際法で許されない原子爆弾で殺され、あるいは健康を損なわれて、今日なお苦しみ続けている被爆者を社会保障の枠の中に放置するという政府の熱意のない態度は、被爆者は言うまでもなく、国民の理解を得られるものでは断じてありません。幾つかの原爆裁判の判決もまた政府の被爆者対策の貧困を指摘しているのであります。
 政府・自民党は、私ども野党が共同提案を続けている国家補償による援護法の制定を受け入れるべきであります。また、現在の被爆地域の指定は不均衡であり、速やかに是正すべきであります。この点について、総理と厚生大臣の答弁を求めます。
 次に、国民にとってきわめて切実な住宅政策についてお尋ねをいたします。
 現在の不況のもとで、生活不安、特に住宅難は深刻であり、せっかく家を建てた人も手放さなくてはならない例が続出をしているのであります。
 ところが、政府は、こうした国民の住宅困窮をしり目に、四十万戸近い公団賃貸住宅の大幅な家賃値上げをしようとしているのであります。個別原価家賃で契約をしている入居者に対し、一片の通告書をもって平均四〇%、場合によっては二倍にもなるという、全く乱暴なやり方であります。公団住宅は、かつて国会でもたびたび指摘されたとおり、長期保有の不良土地、空き家の続出、または欠陥住宅供給というずさんな経営態度であります。こうしたことを改善しないまま、大幅な家賃値上げは納得できません。
 政府は、住宅政策の基本をまとめ、国が果たすべき役割りや家賃のあり方、所得の低い人たちに対する住宅供給などを明らかにした基本法を制定すべきであります。また、住宅の性能保証や品質表示制度を早急に導入することを検討すべきであります。特に、性能、品質表示は、住宅を購入する場合消費者の不安が強く、欠陥問題が続出している現状からしましても、ぜひ実現をすべきであります。
 以上の点について総理の所信を伺いたいのであります。
 次に、教育の問題についてお伺いをいたします。
 国土が狭く、資源の乏しいわが国は、将来にわたって幸せに暮らしていくためには、国民のすぐれた頭脳とたゆまない努力に期待をしなければなりません。しかし、一方では青少年の非行や落ちこぼれの生徒の問題があり、他方では乱塾時代と言われる詰め込み教育が広く行われている現状であり、子供たちにとって大変不幸な時代であります。
 これからの日本を考えるとき、これまでのように外国でつくり出された発明や技術革新にのみ頼っていくわけにはまいりません。日本人の新しい創意と工夫が必要であります。そのためには、知識偏重の教育からゆとりのある総合的な人づくりに変えていかなければならないと思います。
 そこで、私は次のような提案をいたします。
 現在の小中学校の定員は、一学級四十五人です。これを一人の先生が指導するのは大変むずかしいことと思います。フランスやイギリスでは、一学級が二十二人くらいです。日本でも、この際思い切って切り下げれば、先生も十分行き届いた教育ができ、落ちこぼれる生徒も減り、その結果非行少年も次第になくなっていき、さらに親御さんたちも伸び盛りの子供たちにとって負担になっている塾通いを考え直すことになると思います。
 このことはまた、不況対策と無縁ではありません。すぐれた教師の雇用の拡大と、何よりも校舎などの建設が必要となるからであります。この公共事業は、将来の国づくりに役立つという意味では、最もふさわしい公共投資ではないでしょうか。(拍手)
 それと同時に、父兄の大きな負担になっている私立の保育所、幼稚園、高校、大学などの費用を軽くするため、国の助成を大幅にふやし、公立と私立の格差を解消すべきであります。
 総理並びに文部大臣のお答えをいただきます。
 次に、経済、雇用問題に対しましては、北山副委員長から質疑がなされましたが、重要な問題でありますので、若干触れてみたいと思います。
 福田さんは、去年六・七%の経済成長を掲げ、先ほど来触れましたようなことになりました。ところが、そのことは言うまでもなく、完全に福田さんの政策は失敗をいたしました。円の大幅切り上げと、中小企業を初め不況業種を一層深刻な立場に追いやり、産業間でも格差をさらに拡大させる結果となったばかりか、農民や漁民に対しても大きな犠牲を強いることになったのであります。
 国民はこの大失敗について、説明を受けてはおりません。施政方針演説でも、先ほど申し上げましたように、全く反省は見られないのであります。そればかりか、来年度は七%の経済成長だとしておりますが、経済見通しや予算案の内容からして、本年度の失敗を、またこれを繰り返すことになると考えます。
 それは、個人消費の拡大と所得分配の公平化に熱意のない自民党のもとでは、経済のバランスからして明らかに需要の不足が起こるからであります。経済の成長を支える需要のうち、企業の設備投資は現在過剰でありますから、拡大は期待できません。これまでのような商品の押し込み輸出もできません。そうしますと、残るのは、国がさらに借金を重ねて公共投資を拡大するか、あるいは意識的にインフレをやらざるを得なくなるか、そのいずれかになってしまうのであります。
 総理の施政方針演説では、産業基盤中心になることは避けられず、借金の負担だけが将来大きくのしかかることになってしまうと思います。
 一方、財界では、製品価格の引き上げを主張する声が高まっているのでありますし、市場の独占、寡占化の進んでいる現状では、供給の余力があっても価格引き上げに動くことは間違いないと考えます。このままで七%の成長を強引に進める、いわゆる一兆円減税や予算の組み替え等も行わずにやるということになってまいりますと、結局近い将来インフレとなることは必至の情勢だと私は考えます。いずれにしましても、経済政策の誤りを再び国民生活の犠牲でしりぬぐいさせることにほかなりません。
 総理に伺います。インフレを防止しながら、なおかつ政府の経済見通しは実現する可能性が一体あるのか。先ほど来の答弁を伺っておりましてもその点がはっきりいたしませんから、明快なお答えをいただきたいのであります。
 国際貿易問題について端的にお伺いをいたします。
 現在の一ドル二百四十円は、大企業の輸出を、多くの下請関連中小企業が低い賃金や労働条件でもって支えている結果であることを忘れてはなりません。自動車などの先端輸出産業の拡大は、他の部門の輸出縮小の代償のもとに成り立つのが今日の変動相場制の一面であります。
 また、政府は、自由貿易主義をすべてに優先するかのように主張しておりますが、これはかつてアメリカが使ったように、強い者の論理であります。
 このように、政府の主張は、国際的にも国内的にも格差を広げる性格を持っております。
 わが党は、一方的な貿易制限に賛成するものではありませんが、やはりある産業に偏った輸出の急増には一定の抑制を加えることや、現在の変動相場制のあり方についても再検討すべき点が多いと思います。この点について、総理の見解をお伺いいたします。
 次に、雇用について伺います。
 いま雇用問題で一番深刻な問題は、一家の大黒柱となって働いている中高年齢者の失業であります。多くの国民は、これまでに数多く社会に貢献してきた人々が、人生半ばで、息子や娘の学校が終わらないうちに職を失い、毎日職安に通っている姿をニュースなどで見ますとき、自分の家庭の将来に不安を抱き、これこそ政治がまず解決すべき問題だと強く感じているに違いありません。現在の中高年齢者の再就職の可能性は、条件の悪い職業も入れて五人に一人程度と言われているのであります。この問題は、御承知のように、単に景気を刺激するだけで解決し得ない構造的な性格を持っているのであります。同時に、政府の経済政策の失敗によって不況が長引いたための犠牲者ではありませんか。
 政府は、この問題にどのように取り組み、そしてどの程度の就業率の改善を目標にしているのか、総理のお答えをいただきたいのであります。
 自由経済体制のもとでは企業が雇用に責任を持つべきが原則ではありましょうが、それができない状況のもとにあります。そこで私は、ここで国や自治体などの公的部門の雇用について提案をしたいのであります。
 政府・自民党は、かねてから公務員は多過ぎるという財界などの主張に乗って、人員の制限や削減を行ってきました。不合理な人員配置は税のむだ遣いであるという世論はもとより当然であると考えるのでありますが、しかし、今日の国民生活の必要度からしましても、あるいは福祉や暮らしに役立つ公共施設の充実という点からいたしましても、むしろ人員を充実しなければならない部門が多いのであります。(発言する者あり)静かにお聞きなさい。
 たとえば、生活関連公共投資拡大を積極的に行うためには、迅速に処理する自治体の職員が必要であります。
 労働者の再雇用についての公的な職業訓練制度の拡充や就職あっせん機能の強化、心身障害児の機能訓練等が重要な課題であります。また、公的医療や社会福祉、独占価格ややみカルテル監視体制の強化、環境審査や地震予知、さらには教育などの充実、これらはいずれも公務に属する人材の拡充なくしては成り立たない分野であります。
 外国に比べても、わが国の就業者の中で公務に従事する人の比率は百人に四人程度であるのに対しまして、アメリカでは一七・四%で、日本はそれの四分の一以下、西ドイツは一一・四%で、その三分の一程度にすぎません。
 アメリカのカーター大統領は、一般教書で政府による雇用創出案を提出し、連邦政府機関の新規雇用を前年の二倍にすると言明をしたではありませんか。このことと思い合わせると、日本政府は雇用創出に不熱心であり、プランなど全くないではありませんか。
 先ほど減税の問題に対しましても、福田総理は財源がないのだと言いました。アメリカは赤字であります。にもかかわらず、ただいま申し上げましたように、雇用の創出を政府の責任でやる、そうしてまた減税もやるということを言明しておるではありませんか。
 総理、わが国の現状は、近代国家として当然確保さるべき公的部門の就業機会が制限されて、いたずらに雇用不安を拡大しているという感じをあなたはお持ちになりませんか。私は、政府みずから雇用確保に熱意を示す必要があることを指摘し、総理の見解を求めます。
 次に、中小企業の問題についてお伺いをいたします。
 私は、長年この問題に携わっておりますが、中小企業の政策は大きな転換が必要であります。政府はこれまで、大企業、中小企業を問わず、一貫して量産、合理化、集約化の政策を続けてこられました。しかし、この政策は行き詰まっております。
 かつてのような大量生産によるコストダウンは望めなくなっており、一般消費者も、従来の大量生産より、多品種、良質の少量生産を求めるような傾向にあります。そして、このような生産方式に最も適しているのは中小企業であります。五年前、わが党の発議で議員立法として成立をした伝統的工芸品産業振興法はこの点に着目したものでありました。
 一方、現在のような低迷経済の中では、中小企業の活力、創造力こそが発展の担い手として期待されているのであります。技術の開発におきましても、雇用の吸収におきましても、中小企業の方がむしろ将来性があることを多くの調査が裏づけているのであります。こう見ますと、もはや産業の大企業主導の政策は転換されなくてはならない時代に入っていると信じます。
 中小企業政策は、単におくれた部門の対策ではなく、今後の国の産業政策の中で大きな比重を置かなければなりません。しかし、現実は、産業の将来にかかわる技術開発も、依然として大企業に目が向けられているというのが実情であります。指摘しなければならない問題は数多いのですが、しぼって申し上げます。
 まず、中小企業者の利用できる資金の金利は、大企業に比べ、少なくとも二ないし三%、場合によっては二倍近くも高いというのが現実であります。しかも、政府系金融機関の貸出普通金利は来年度も引き下げの方針はないのであります。そして七・六%と高く、実質金利が民間金融機関より上回る条件を要求される場合すらあるという不合理なことであります。
 政府は、この不合理を是正するとともに、金利の引き下げを行う意思はないのか、伺いたいのであります。
 私は、次の数点について提案をいたします。
 その第一は、中小企業が利用する金融機関に日銀資金を直接導入するとともに、拘束預金の規制を徹底して強化すること。
 第二は、現在、製造業の生産の伸びの回復は、大企業に比べ、四十五年を基準にして大企業の三分の一程度にすぎません。したがって、官公需を中小企業に対し五〇%に引き上げ、不況地域に優先配分をすべきであります。
 その三は、中小企業の技術開発を手助けするために、中小企業技術開発促進法を制定し、特色ある中小企業の育成を図ること。
 企業倒産は、不況の長期化や円高による輸出産業の不振などによって今後激増が予想されます。政府は、思い切って無利子の資金の供給や、事業転換に対する税の免除、そうして技術と経験のある専門家を民間などからスカウトし、不況産業の企業再建コンサルタント制度の導入を検討すべきであります。
 以上を実現するため、少なくとも中小企業専任大臣を置くぐらいの体制で取り組むべきだと考えます。
 以上の点について、総理と通産大臣の見解を伺います。
 次に、エネルギー問題について申し上げます。
 政府の対策は、大きな立ちおくれがあるだけではなくて、過去にとらわれて新しい発想が取り入れられておりません。
 二つの問題にしぼってお伺いをいたします。
 現在の大型火力発電は、エネルギーの六割は廃熱として捨てられ、原子力に至っては三分の二がむだになっており、設備の大型化は環境立地、安全性をむずかしくしております。
 この際、発想を転換させ、中小規模の効率的な発電を地域エネルギー供給の中心に位置づけ、そこから地域社会への熱供給、農業への利用、廃棄物処理やその土壌還元などと結びつけ、一体的に行うことが必要であります。こうして超大型火力発電所では困難であった総合的な熱利用と地域社会を重視したエネルギー供給が可能となることになるのであります。
 第二は、サンシャイン計画などの新エネルギー開発についてであります。
 ソーラーハウスなどの太陽熱利用、地熱、波力、石炭ガス化、液化などの研究開発費は、来年度予算案ではわずかに五十七億円余りで、アメリカの三十分の一、西ドイツの三分の一程度にしかすぎません。この水準の低さは、エネルギー資源の乏しい日本としては異常というべきであり、福田総理の施政方針演説でのエネルギー問題に対する強調がそらぞらしく聞こえるのであります。
 総理、この予算が一二%程度の増額では全く問題になりません。再検討すべきでありますが、お答えをいただきたいのであります。
 最後に、同和対策事業特別措置法に関してお伺いをいたします。
 同法発足以来の実績を見ますと、その進展状況はきわめて悪く、来年度以降も膨大な事業が残ることは、政府も認めておるところであります。全国知事会、市長会、また各地の自治体で強化延長の決議がなされております。
 総理は、かつて部落問題の解決と特別措置法の延長について前向きの答弁をされたと記憶をいたしておりますが、総理の現在の考え方についてお伺いをいたしたいのであります。
 時間の制約があり、問題を局限して政府の見解を求めました。最高権力者となって満一年の経験を積んだのです。もはや言いわけや釈明では許されません。
 総理、あなたの決断で、日本の政治、経済を変えることができるのであります。国民大衆との協調と連帯を本気で実現する決意を示してほしいのであります。
 総理、政治は愛と正義に貫かれたものでなければなりません。私は、その信念に基づいて、今日まで政治に取り組んでまいりました。
 社会党を代表しての質問と提言を行いましたが、官僚の模範作文を朗読するのではなくて、総理の率直な所信を披瀝していただくことを求めまして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 福田内閣は、どうも社会的公正ということに非常に不熱心である、こういうような御指摘でございますが、社会的公正というのは、政治の基本的な理念でなければならない。これは私は常に強調いたしておるわけです。何と申しましても、この社会的不公正の最大の敵はインフレでございますが、福田内閣はこのインフレとはどこまでも闘う。それから、高度成長社会、これがやはり優勝劣敗というか、そういう傾向が強く出る。私どもは、これを安定成長社会に持っていこうというのも、公平というか社会的公正をとうとしとするという考え方に基づいておるわけです。
 そこで、中村さんは税の問題についていろいろお触れになりましたが、この租税特別措置につきましては、前々からその見直しを積極的に進めておるわけでございますが、今度五十三年度税制改正におきましても、企業関係の特別措置十一本を廃止する等の整理合理化をやっておるわけであります。
 また、社会保険診療報酬課税の特例問題につきましては、これは先般、自由民主党が現行措置は昭和五十三年度末までその存続を認めるとするが、その間これに対応する諸般の施策を速やかに講ずることとする旨を決定いたしておるわけでありまして、これに伴うところの議員立法、これをいま政府といたしましては期待し、所要の検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 なお、被爆者援護法の制定につきまして、これは中村さん前々からの御主張でございますが、国家補償の精神に基づく援護法を制定すべし、このようなことでございますが、これは他の一般戦災者との権衡の問題もありまして、今後とも現行法の体系の中でできる限りの施策をこらしていきたい、このような考えでございます。
 また、教育に力を入れよということを力説されましたが、私も先般の施政方針演説におきましても強調したのです。国づくりだ、その基本は人づくりだ、こういうことで、教育につきましては今度の予算におきましてもかなりの配慮をいたしておるという次第でございますが、詳しくは文部大臣からお答え申し上げます。
 また、七%成長と言うが、果たしてインフレを伴わないでこれができるのだろうか、こういうような御指摘でございますが、この物価の安定につきましては、政府といたしましては最大の配慮をいたします。いやしくもこの予算を執行する、そういう過程におきましてインフレ化の傾向がありますれば、直ちにブレーキをかける、このように考えておる次第でございます。
 また、先端産業の輸出急増で弱い部分の輸出急減を引き起こすおそれがある、突出した先端産業の輸出を抑制する必要があるだろうというような御所見でございますが、これは自由貿易体制でありますから、そういう考え方を基本にはいたしません。いたしませんけれども、あるいは集中的にある一地区に、ある一時期に輸出が集まっていくというようなことに対しましては、これは政府といたしましても十分な配慮をしなければならぬ。それから、貿易業界におきましても、自主的にこの点につきましては深い反省をいたしておりまして、いまそういうような心配は見当たりませんけれども、この問題は非常に重要な問題でありますので、今後とも政府におきましても、そういうような外国から批判を受けるような輸出マナーというようなことが起こるか起こらないか、この点につきましては厳重に注視してまいりたい、このように考えております。
 なお、変動為替制の見直しが必要ではないか、このようなお話でございますが、変動為替制というのは私は余り好まないのです。これはもう固定制の方が世界の経済秩序を維持する上においてはるかにすぐれた制度である、このようには思いまするけれども、今日の世界の経済情勢というものが非常に不均衡である、そういう過程におきましては変動為替制以外に道はないだろう、こういうふうに思う次第でございます。早く世界経済全体を安定させまして、そして固定制が採用される、そういう時期の来ることを私は念願をいたしておりますが、この上とも、国際通貨の安定のために、各国と協力体制を進めてまいりたい、このように考えております。
 また、中高年齢層に対する雇用安定のための特別の対策をとれというお話でございますが、これはそのとおりにいたしております。
 定年延長奨励金を充実するとかあるいは雇用安定資金制度の運用におきましても、中高年齢者を雇い入れる事業主に対する助成措置を大幅に改善するなど、雇用機会の拡大に積極的に努めておる次第でございます。
 また、これはちょっと私は御趣旨がよくわからないのですが、雇用拡大のために公務員をどんどんふやしたらどうだろう、こういうことでございますが、この点は、せっかくの御意見でございまするけれども、これはいただきかねる、かように存ずる次第でございます。
 また、大企業主導の産業体制の現状を改めよというお話でございます。中小企業問題でございますが、これに関連いたしまして、中小企業専任大臣の新設の御提案でございまするけれども、やはり中小企業といえども、大企業といえども、これは業種が皆同じようなものなのです。これを別々の責任者のもとで分けて行政するということは、一体それが果たしていいものであろうかどうか、これは考え直してみる余地があるのではあるまいか、そのように考えます。
 その他の御提案につきましては、通産大臣の方からお答えを申し上げます。
 エネルギー対策に対しまして、供給設備の大規模化の発想を転換すべしというお話でございますが、これはごもっともなお話だ、このように考える次第でございます。
 大規模エネルギー源、これはもとより必要でございまするが、細かいものも拾い上げまして、そしてエネルギー対策を充実しなければならない、このように考えます。
 エネルギー対策に対する費用が大変不足しているような御指摘でございますけれども、これは政府といたしましては、エネルギーを総合的に勘案いたしまして、十分な配慮をいたしたつもりでございます。
 それから、同和対策につきましては、これは憲法に保障されました基本的人権にかかわる重要問題でありますので、政府といたしましては、昭和四十四年に制定された同和対策事業特別措置法及び同和対策長期計画を基本として、同和対策事業の推進を図ってきたところであり、相当の効果は上がっているものと考えられますが、なお問題が残っていることも十分承知いたしておるわけであります。
 この特別措置法を延長するか否か、今後、同和対策協議会、地方公共団体等の意見を十分参考にするとともに、皆さん方、各政党との問でもよく相談をいたしまして結論を得たい、かように考えております。(拍手)
    〔国務大臣小沢辰男君登壇〕
#23
○国務大臣(小沢辰男君) 中村議員にお答えを申し上げます。
 総理がお答えをいたしましたものを除きまして、三点お答えをいたしたいと思います。
 まず、母子家庭の問題でございますが、確かに全国六十三万の母子家庭の多くの方々は、御指摘のように、経済的に非常な不安定な状況に置かれておることは事実でございます。
 四十八年の調査、それからはやっていないというお話でございました。確かに大体五年に一回か六年に一回というつもりでおったようでございますので、私どももう一度精密な調査をやってみたいと考えておりますが、たとえば五十一年五月に厚生行政基礎調査をいたしましたときに、母子家庭の家計費支出を調べてみましたら、一般世帯が十二万八千円であるのに対しまして母子世帯は九万二千円、約七二%にすぎない状態であります。このような状態でございますから、私どもはかねてから母子家庭に対する各種福祉施策の充実に力を注いできているところでございます。
 昭和五十三年度の来年度予算編成に当たりましても、特にこの点には意を用いたつもりでございまして、たとえば母子福祉資金、この貸し付け原資は大幅に実は拡大をいたしました。関係の母子家庭の皆さんの団体の代表の方々が私のところにおいでになりまして、十三億から二十億に一挙に増額をしたものでございますから、大変喜んでおいでになりました。
 また、母子福祉年金あるいは児童扶養手当、これらの引き上げ等も御承知のように一〇%強やったわけでございますので、ひとつこの点は、まだまだもちろん足りないと思いますけれども、できるだけ今後も努力をいたしてまいりますので、御了承をいただきたいと思うわけでございます。
 なお、交通事故による母子家庭についてのお尋ねでございますが、交通事故によります母子家庭は境遇が急に激変をする、あるいは加えて精神的な打撃が非常に大きいという点は確かに御同情にたえないところでありますけれども、しかし、母子家庭として抱えている問題というのは、他の一般の母子家庭もやはり同じような問題を抱えていると思うのでございまして、原因によって母子家庭の対策を変えるということは、私どもとしてはやはりやれないわけでございます。しかし、一般の母子福祉対策の中で今後とも充実を図ってまいりますから、御了承賜りたいと思うわけでございます。
 老齢福祉年金を月額二万円に引き上げたらどうだ、それに準じて各種年金も同様に引き上げろというお尋ねでございました。
 老人福祉年金については、来年度は予算で一〇%の引き上げを行っております。これは消費者物価の上昇率と比べまして、相当私はこれを上回る引き上げではないかと思います。したがいまして、五十三年度といたしましては、やはりこの程度が適当ではないかと考えておりますが、ただ、この福祉年金は、もちろん多ければ多いほど喜ぶ人が多いわけでございますが、御承知のとおり、福祉年金の給付水準については、保険料を拠出した五年年金、十年年金あるいは他の国民年金全体の額とのバランスをやはり考慮していかなければなりません。御承知のとおり、福祉年金の額は全額国庫負担でございます。したがいまして、そういたしますと巨額の新規財源を必要とする、国から恐らく――おっしゃるように二万円にいたしますと、二万円の福祉年金だけで一兆一千三百億を要する、こういうことになるわけでございます。そういたしますと、やはりいま直ちに二万円に引き上げよということを言われましても、私どもは、これは他のいろいろな関連を考えまして、困難であると申し上げなければなりません。
 ただ、老齢福祉年金の老後保障としての性格をどういうふうに今後考えるか。老後保障全体を根本的に見直しますときに、大河内委員会なりあるいはその他からいろいろな御意見がいま出ております。基礎年金構想等もございますので、それらの一環としてなお根本的にひとつ検討させていただきたい、かように思います。
 それから、最後に原爆の地域指定についてお尋ねがございました。
 これは御承知のとおり、対象地域につきましては、残留放射能の有無等科学的な調査に基づいてやっているわけでございますので、遺憾ながら、五十一年度の調査結果によりますと、現在の指定地域で大体いいのじゃないかというふうな結論が出ているわけでございます。
 ただ、関係地域の皆様方や、あるいはその他関係の先生方の御要望等もございますので、五十三年度にさらに精密調査を実施いたしたいと思いますので、どうぞ御了承いただきたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣砂田重民君登壇〕
#24
○国務大臣(砂田重民君) お答えをいたします。
 まず最初に、学級編制の問題で御提案がございました。
 現在、義務教育諸学校の学級編制は、標準法に基づきまして最高一学級四十五人と相なっておりますことはお説のとおりでございます。ただいま現在の状態、一学級当たりの児童生徒数の全国平均をとってみますと、小学校で三十二・九人に相なります。中学校におきましては三十六・八人と相なるわけでございます。この小学校の数字は先進諸外国と比べてさして遜色のある数字とは考えません。中学校におきましては若干わが国が高いということは先生御指摘のとおりでございます。
 ただ、私は、問題はこれからだと思うのです。これからが問題だと思う。それは、今後数年間に大体百二十万ないし百三十万の児童生徒が増加をいたしまして、しかもそれはほとんどが過密地域に集中するという事態が見通されるわけでございます。そこで、これに対応してまいらなければなりませんけれども、こういった児童生徒増の受け入れ体制を確保することにあわせて学級編制基準の改定を同時に行うかということは、なかなか困難な問題があるわけでございます。私といたしましては、学級編制基準という問題が教育上の重要な課題であることは十分認識をいたしておりますので、その心構えで慎重に検討をさせていただきたい、かように考えるものでございます。
 中村先生からその次に、入試制度の御意見、御提案がございました。
 大学入試の過熱の状態が幼稚園まで大変好ましくない影響を与えておりますことは御指摘のとおりでございます。何とかこれに対応してまいらなければなりません。幾多の施策を総合的にとってまいらなければなりませんけれども、その中の重要な問題の一つが大学の入試の制度でございます。文部省が考えております大学入試の改善につきましては、当面、昭和五十四年度の国公立大学入学者の選抜から共通第一次学力試験を取り入れた新しい選抜方法を実施することにいたしまして、万全の準備を進めているところでございます。
 その主とした内容は、高等学校の生徒が高等学校で教えられる授業内容を十分に理解をしていたならば、学校の授業ではなくてよそへ行って大学入試技術なんというものを別に勉強しなくても及第点のとれる試験の制度、これを願って準備を進めておりますことを御理解をいただきたいと思います。
 さらに、中村先生から私立学校の助成の問題御提案がございました。
 文部省といたしましては、私立学校振興助成法に基づきまして、私立大学等に対します経常費補助及び私立の高等学校等に対します経常費の助成費補助を年々拡充をしてまいりましたことは御承知のとおりでございます。私立学校の教育条件の維持向上、学生生徒等にかかわります修学上の経済的負担の軽減をも図らなければならないことでございます。
 数字を申し上げますならば、五十三年度予算案におきましては、私立大学等の経常費補助金は千九百七十五億円を計上いたしました。私立高等学校等の経常費助成費補助金は、前年度予算に比べまして四六・七%増の四百四十億円を計上しているところでございます。これは、私学振興助成法が目指します数字に五十三年度でさらに一段と近づけることができた、かように御理解をいただきたいと思うのでございます。
 さらに、学生たちにかかわります負担の軽減をどうしても図ってまいらなければなりませんので、日本育英会の育英奨学事業でありますとか私学振興事業団の奨学金の制度でありますとか、こういった制度をより一層拡充いたしますとともに、幼稚園の就園奨励費補助というものも相当な拡充を五十三年度予算で見たわけでございます。
 私どもは、今後ともこれらの施策をさらに充実していく努力をしてまいることは当然でございますけれども、私学の方におかれましても、みずからの経営努力によって、教育条件の維持向上と学費の軽減を図ることを期待いたしておるところでございます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#25
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業とエネルギー問題について御質問がございましたので、順次お答えをいたしますが、まず、中小企業問題につきましては、中小企業の技術開発のための新しい法律をつくったらどうか、こういうお話でございますが、現在、中小企業基本法という法律に基づきましていろんな施策を行っております。たとえば、中小企業の技術改善費に対して補助金も出しております。あるいはまた、中小企業の新しい技術を企業化する場合に資金が必要でありますが、それに対しては低利の融資制度もございます。あるいはまた、府県にいろんな研究機関がございますが、それに対する補助等も行っております。また、新たに五十三年度から新しい制度、たとえば中小企業振興事業団を中心に新技術の開発を行う等の制度も新規に行うつもりでございます。
 そういうことでございますので、現時点では新規に法律をつくるというまだ決断はいたしておりませんが、いずれにいたしましても、中小企業の技術開発ということは非常に大事な問題でございますので、今後さらに大きく努力をしてまいりたいと思います。
 次に、官公需についてお話がございましたが、ごもっともなお話でございまして、これにつきましては、毎年少しずつではありますけれども、官公需の仕事が中小企業に回るように工夫をいたしております。たとえば、五十一年度は三四%が中小企業に回っておりますが、五十二年度は三五・二%になっております。なお、地方の分につきましては、これよりもはるかに大きく七一・五%が、これは五十一年度でありますが、中小企業に回っておりまして、全部合計をいたしますと全体の五二・八%が中小企業に回っておるわけであります。しかしながら、なお中小企業の方にさらに大きく仕事が回りますように一段と工夫をしてまいりたいと存じます。
 それから次に、中小企業にコンサルタント制度をつくったらどうか、こういうお話でございます。
 現在もすでに中小企業の診断士というような制度がございまして、中小企業の診断指導員に対しましていろいろな協力をいたしております。五十三年度からは若干の新制度を用意いたしております。たとえば、新技術あるいは新商品を開発、調査をしていこうとする場合に、それに対して民間の技術者を専門家として委嘱をする、こういう制度も考えていこうと思っております。お説のような方向に今後ともに努力をしてまいる所存でございます。
 次に、エネルギー問題でありますが、先ほど大型のエネルギーにつきましては総理からもお答えがございましたが、私から若干補足をいたします。
 大型火力発電所、それから大型の原子力発電所、これは残念ながら現時点では期待どおりの熱効率を上げておりません。やはり今後の大きな研究課題であろうと思います。
 ただ、規模が小さくなりますと、一般的に熱効率、すなわち経済性は不利になってまいります。しかし、水力とか地熱につきましては、これは国産のエネルギーでございますので、小さなものでもできるだけ多く開発を進めてまいりたいと考えております。
 次に、サンシャイン計画でありますが、サンシャイン計画と申しますのは、新エネルギーの開発計画のことをこのように呼んでおりますが、その内容は、太陽熱による発電、それから地熱、それから熱水の利用、それから石炭のガス化、石炭の液化、これについての技術の開発、こういうものを総称いたしましてサンシャイン計画と呼んでおりますが、これまでは基礎研究の段階でございました。ようやく基礎研究の段階を抜け出しまして、これからはプラント開発の段階に進んでまいります。したがいまして、予算もこれからは飛躍的に増大をいたします。御指摘のように、今後さらにこの必要な予算を確保する所存でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
#26
○加藤紘一君 国務大臣の演説に対する残余の質疑は延期し、明二十五日午後二時より本会議を開きこれを継続することとし、本日はこれにて散会されんことを望みます。
#27
○副議長(三宅正一君) 加藤紘一君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○副議長(三宅正一君) 御異議なしと認めます。よって、動議のごとく決しました。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十三分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        文 部 大 臣 砂田 重民君
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
        農 林 大 臣 中川 一郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 福永 健司君
        郵 政 大 臣 服部 安司君
        労 働 大 臣 藤井 勝志君
        建 設 大 臣 櫻内 義雄君
        自 治 大 臣 加藤 武徳君
        国 務 大 臣 安倍晋太郎君
        国 務 大 臣 荒舩清十郎君
       国 務 大 臣 稻村左近四郎君
        国 務 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 熊谷太三郎君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
        国 務 大 臣 山田 久就君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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