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1977/01/25 第84回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第5号
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1977/01/25 第84回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第5号

#1
第084回国会 本会議 第5号
昭和五十三年一月二十五日(水曜日)
    ―――――――――――――
議事日程 第四号
 昭和五十三年一月二十五日
    午後二時開議
一 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 国務大臣の演説に対する質疑(前会の続)
    午後二時四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)
#3
○議長(保利茂君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。竹入義勝君。
    〔竹入義勝君登壇〕
#4
○竹入義勝君 私は、公明党・国民会議を代表して、さきの政府演説に対し質問を申し上げます。
 まず、最初にお伺いいたしますが、昨二十四日、カナダに墜落をしたソ連の原子炉積載軍事衛星の事故につきましては、米国からわが国に事前に連絡があり、政府も防衛庁を中心に警戒態勢をしていたということであります。政府としては、国民にこの事故発生を知らせて警戒を呼びかけた場合、いたずらに国民の恐怖心をあおるおそれあるとして極秘にしていたと伝えられておりますけれども、この経過について説明を求めるものであります。
 さらに、過日の伊豆大島近海地震によって不幸にして亡くなられた方々とその御遺族の方々に対し、謹んで哀悼の意を表するものであります。また、同じく被災者の方々にも心よりお見舞いを申し上げます。
 総理、あなたは今国会に大地震対策緊急特別措置法案提出を指示されたとのことでありますが、伊豆大島近海地震は死者、行方不明二十五人、被害金額はすでに二百億円を超えております。山崩れや落石、持越鉱業所の鉱滓堆積場の堤防決壊による毒物、シアンヘドロの流出は、狩野川から駿河湾にまでその汚染地域を拡大いたしております。もし東京などの大都市部に同程度の地震が起きたとすれば、しばしば地震学者から指摘されておりますように、そのこうむるであろう災害を想像するとき、私は慄然たる思いを抱かざるを得ません。
 そうした観点からしても、災害から国民の生命と財産を守るために各界の総力を集めるべきであると考えますが、総理の決意はいかがなものであるか、お答えをいただきたいのであります。
 さて、当面する最大の課題は不況の克服であり、円高不況に象徴されるわが国の国内経済と対外経済のそれぞれの均衡破壊をいかに是正し、再構築するかにあることは、指摘するまでもありません。
 過去の成長のパターンの延長が、円高不況に象徴され、経済戦争の異名をもって喧伝されております。さらには経済成長至上主義の中で破行的な二重構造を産業と社会にもたらし、社会的不公正の拡大、利害対立の先鋭化、社会正義の退廃と社会的協調の敗北感さえ生み出すに至っております。また、これまで常に支配的であった経済的価値観は、人間疎外をもたらし、人間環境、国土、自然環境を荒廃させました。
 一九七三年のオイルショック以来、ただエンジンの惰力で漂流している日本丸はすでに五年目を迎えております。漂流から自走へという言葉であらわせるがごとく、国民はその激浪の中でみずからの生活防衛に懸命に努力し、いま新しい目標と進路を求めていることを知るべきであります。
 長いトンネルを抜ければ、トンネルに入る前の高度経済成長社会と全く違った社会が待っていると口で言うだけでは、国民に忍耐と創意、理解と協力、信頼と希望はわかないのであります。新しい進路への国民的合意の形成もあり得ないのであります。国民にとっては、このトンネルは果たして抜けられるのか、また、抜けられるとしても、いつなのか、また、デフレのトンネルは抜けられても、今度はインフレのトンネルに押し込められるのではないかという問題であります。そのことが前途に対する不安となり、企業も個人もからの中に閉じこもることになり、景気の回復が遅々として進まない最大の原因であります。
 私は、何回も政府に要求をしましたが、財政経済の中期計画はぜひ国民の前に提示することを改めて総理に要求をいたします。
 たとえば、国債依存度実質三七%、この一つを取り上げても、現在の緊急事態では認めざるを得ませんが、将来、その削減については明確な計画がなければ、国民にいたずらにインフレの不安を抱かすでありましょう。さらに、公共事業の中期施行計画を立てることによって、公共事業の計画的施行を明示しなければ、企業の設備投資の意欲を刺激することはできないと思います。
 要は、もはや破綻した五十年代前期経済計画にかわる現実に即した中期経済計画を提示することで、国民や企業の深刻な不安に対して、トンネルの先を明示すべきだと思いますが、明確な答弁を求めたいのであります。(拍手)
 次に、政府の経済見通しと予算案に見る経済運営及び景気対策についてであります。
 政府は、五十三年度の実質経済成長率を七%としておりますが、民間研究機関の予測は、一様にその達成が不可能であることを指摘しております。政府の考え方は、公共事業、住宅政策による一本やり政策であり、五十三年度前半の景気回復を財政により、後半は民間設備投資を喚起するとしておりますが、私もその達成に強い疑問を持たざるを得ません。
 政治の通念からして、五十三年度政府予算案に盛り込み、さらに日米通商交渉合意書にも明示された実質七%成長が単なる目標だと言ったとしても、それで済む問題ではないのであります。結局は政府、とりわけ総理には、七%達成の自信がないとの、戦わずしての敗北宣言ではないかと受けとめざるを得ないのであります。総理の決意をここでじかと承りたいのであります。
 景気回復の基本が思い切った内需拡大にある以上、そのために必要なあらゆる可能性を追求し、試みるべきであります。
 現下の日本経済の問題を端的に言えば、仕事がない、このことであり、しかも、この先、仕事ができるかどうかの見通しも全く立たないことであります。
 したがって、いま政治がやらなければならないことは何か。私は、仕事を生み出すに足るきめ細かな政策を用意する、この一言に尽きると考えるのであります。
 さて、内需拡大の成否に最も大きな影響を及ぼすものは、政府の財政支出による公共事業とともに、国民総生産の五十数%を占める個人消費の存在であります。その意味から、七%実質成長を目指す五十三年度予算案に欠落しているものは、不況の長期化の中で伸び悩み続けるこの個人消費への刺激策であります。
 個人消費刺激の方法は、大別して、年金を初めとする福祉の充実と所得減税、さらに教育減税、住宅ローン減税、賃上げなどであります。総理は演説の中で「有効と考えられるすべての施策を実施し、総力を挙げる」と言われましたが、その裏づけであるべき五十三年度政府予算案には、これらにほとんど何らの施策を講じておりません。しかも、春闘賃上げについては、最終的に労使間で決まるものであるとしても、政府は低水準に落ちつくことに期待すらしているのであります。また、七%成長を達成するための経済の姿を描いた政府の五十三年度経済見通しに対して、ほとんどの民間研究機関は、福祉、減税なしの公共事業一本やりのみではとても無理であるとしております。私もそのように思います。なぜなら、公共事業の大幅な伸びによる景気刺激について政府は大きな期待をかけておりますが、そのためには公共事業の順調な消化が果たされなければなりません。しかしながら、公共事業の集中発注と相まって、その公共事業の消化と効率化について大きな危惧を感ずるからであります。
 すなわち、公共事業の施行主体である地方自治体の地元負担のための地方債の消化、超過負担の解決、用地の確保、設計監理スタッフの確保など、全般的消化能力の問題があります。
 特に、財政的能力から見て、地方公共団体金融公庫の創設、地方交付税の税率三二%から四〇%に引き上げなど、財政構造の改革が伴わなければなりませんが、それが欠落をいたしております。
 また、在庫調整が急速に進んでいるセメントを初め建設資材の価格上昇が必然と言われておりますし、建設労務者不足による労務賃金の上昇、土地の需要増大による用地費、移転補償費等の上昇など、多くの価格過熱が予想されます。そのことによって、政府が予想する公共事業の効率が著しく減殺されるでありましょうが、それに対する対策が適確には用意されておりません。
 これら概略考えられる障害がもし乗り切れずに、公共事業一本やりが破綻したとき、それにかわるべき政策、個人消費や民間設備投資の喚起などが用意されていないのでありますから、まさに悲劇的な結果になるでありましょう。そのとき政府はどのような責任をとられるのか、この際、明確にしていただきたいし、もしそうでないと言うなら、同時に、公共事業執行についての障害の乗り切りの具体策を明確にお伺いをしたい。総理、これはしかと伺っておきたいのであります。(拍手)
 また、減税の必要性については、個人消費喚起とともに、勤労者個人の立場で言えば、落ち込んでいる個人消費の中にあって、低中所得層は実収入を上回る消費支出を余儀なくされております。
 また、所得減税見送りは、大幅な実質増税と言わなければなりません。事実、五十三年度のベースアップが昨年並みであるとした場合、昨年の年収が三百万円で夫婦子供二人の家庭のモデル計算では、所得税が五万九千円から八万二千円、住民税が四万四千円から五万五千円にと、合わせて三万円以上も高くなり、税負担率は三〇%以上も上がることになります。しかも、物価の上昇が、政府は六・八%と見込んでおられますが、仮にこのとおりだとしても、ベースアップが昨年を下回るならば、国民生活は事実上マイナスとなります。
 さらに、昨年の三千億の戻し税方式による減税分が本年度課税最低限の引き上げに取り込まれていないのでありますから、実質増税となり、個人消費が上向く余地がないのであります。
 総理、あなたはこれらの問題をどう認識しておられるのか。私は、所得保障の意味からも、一兆円程度の減税はこれを断行すべきであると思いますが、どう考えるのか、お答えをいただきたいのであります。(拍手)
 さらに、教育減税の実施、とりわけ住宅ローン減税の適用範囲については、その効果をあらしめるために再考を促すものでありますが、政府の考えを明らかにしていただきたいのであります。
 また、社会保障の拡充によって、この面からも需要のてこ入れをすべきであります。そのために厚生年金を、現行モデル九万八千三百二十五円を十二万円に、国民年金の五年年金、十年年金、そして老齢福祉年金を、それぞれ現行額に五千円の上積みをすべきであると考えますが、総理の御見解を伺いたいのであります。(拍手)
 さらに、年金については、わが党としては、基本年金制度の具体策を提言してまいりましたが、昨年暮れの年金制度基本構想懇談会並びに社会保障制度審議会等の意見、建議がなされておりますが、高齢化社会への急速な進行を目前にして政府はいかように対応するのか、あわせてお答えをいただきたいのであります。
 さて、政府予算案の柱となっている住宅政策についてでありますが、政府案決定以来、民間の各研究機関が一様にその消化を危ぶんでおります。すなわち、金融公庫融質の額を、木造住宅で五十万円を上積みして五百万円、マンションで百万円の上積みをして最高額七百五十万円としておりますが、この程度では、ベースアツプの先行き不安等を考えるとき、国民が住宅購入に踏み切れないのは当然であります。したがって、労働組合を初め各方面から、民間の金融機関のローンに対して利子補給の実施をとの要求が高まっていることは、政府の施策をもってもなお国民には住宅取得に足る資金の調達がむずかしいものであることを、その何よりの証拠として示しでいると言わなければなりません。
 そこで、住宅政策については、その執行に当たってさらにきめ細かい施策が必要であると指摘する意味で、われわれの具体的な考え方を申し上げ、その実施を強く訴えるものであります。
 その一つは、新規建設の木造個人住宅については、民間金融機関ローンの利子補給が困難であれば、住宅金融公庫の利子を現行の五・五%から所得に一定の条件を定めて三・五%程度に引き下げ、あわせて政府案の五百万円とする融資額を六百万円とすることによって、民間金融機関よりの借入金額が少なくなるようにし、民間金融機関に対する利子補給による利下げと同じ効果をもたらすべきであります。そのために融資対象戸数が若干減少することは、施策の消化を確実にするためにやむを得ません。
 二つには、土地購入に対する金融公庫融資の範囲拡大を行うべきであります。
 三つには、住宅購入の民間ローンに対する減税でありますが、五十三年一月一日以降の購入住宅適用の税額控除をその以前にまでさかのぼるなど、政府案の適用範囲を拡大することが必要であります。
 四つには、中古住宅を取得する場合、現在厳しい条件が付されておりまして、利用者は局限されておりますが、この住宅金融公庫の中古住宅融資対象を木造中古住宅に対しても広げるべきであります。さらに、新規ローン減税と同様の扱いをすることによって、家族構成の変化に応じた住宅流通の円滑化を図るべきであります。
 この四点に対する施策の実施によって住宅建設は初めてその軌道に乗ると考え、提案をするものでありますが、総理の率直な見解を伺いたいのであります。(拍手)
 同時に、社会的公正を確保する立場からも、住宅購入の力のない人たちに対する公共住宅の提供は重要問題であります。しかるに、政府の五十三年度予算案では、低所得者層を対象とした公営住宅の建設戸数は、五十二年度より一万戸も削減され、わずか七万五千戸にとどまり、同じく公団住宅も二万戸も削減されております。これらはいかなる理由によるのか、明確なお答えをいただきたいのであります。
 さらに、先ほども触れましたように、今回の公共事業政策、住宅政策を阻む最大の要素は、予想される地価の高騰であります。すでに櫻内国土庁長官は、強制力のある地価監視体制の創設を提唱し、自民党内でも、宮澤経済企画庁長官が座長となっている平河会が土地の公共財としての活用を唱え、公的利用に供されない土地の長期価格凍結を提案しております。
 わが党も早くから地価上昇を厳しく監視することを主張してまいりましたが、土地利用と地価の厳しい抑制策について、総理の具体的なお考えを承りたいと思います。
 次に、景気調整機能の面から、かつ設備投資に直接刺激を与えるという面からもとらえるならば、民間設備投資の刺激をいかに図るかは重要な問題であります。しかし、われわれは先行きの展望なき政府予算案が設備投資の伸びにつながるかどうかに最大の疑問を持つものであります。
 そうした中で政府は投資減税を創設しましたが、構造不況業種を初めとする過剰設備の整理には、企業の自助努力を前提とし、産業構造の転換に有効な、また省エネルギーに有効な技術開発投資、さらに中小企業に限定すべきであると考えますが、政府の投資減税に対する考えを改めて問いたいと思うわけでございます。(拍手)
 これらの投資減税と相対的に実施すべきことは、高度成長期に積み上げてきた現行の不公平税制を是正することであります。
 すでに五十二年度当初予算の修正に当たって政府自民党も承知している与野党の税制改革の合意事項による是正額六千億円に対し、本年度是正一千億円であります。政府はこれに対し誠意をもってこたえるべきでありますが、総理の御決意を促すものであります。この点、お答えをいただきたい。
 さらに、個人消費の拡大、民間設備投資の喚起を側面から支える一つの方法として、公定歩合の引き下げを政府は検討しておられるのかどうか、伺っておきたいと思います。
 なお、国債消化についても、従来の金融機関依存の御用金的体制を改め、個人消化に重点を置いたシステムに改革すべきでありますが、総理の御所見を承りたいと思います。
 以上、政府の公共事業一本やりの施策は著しく現状認識を誤るものであることを指摘し、具体的提案をいたしたつもりでございます。
 次に、雇用問題でありますが、いまや雇用保障はきわめて大きな政治課題であります。しかも、今日における失業実態からするならば、雇用対策三法の適用も部分的、一時しのぎのものと言わざるを得ません。したがって、雇用対策三法の運用の充実とあわせ、失業者の再就職の受けざらはもちろん、ただでさえ就職困難な中高年齢者、母子家庭、身障者の雇用確保に特段の配慮がなされなければならないと考えるものであります。また、職業再訓練の充実とともに、具体的には好況製造業や第三次産業への雇用促進、さらには週休二日制、労働時間の短縮等を通じての雇用の拡大が具体化されなければならないと考えるものでありますが、政府はこれらについてどのように推進されるのか、この点についても承りたいと思うのでございます。
 さて、政府はしきりに円高為替差益の消費者への還元を口にしておられますが、その実現は何ら家計に及んでおりません。昨年一年間の円の上昇率は二〇%を超えておりますが、その相当分を消費者物価に反映してしかるべきであります。
 たとえて言えば、五十二年度下期と五十三年度を一ドル二百四十五円のレートで差益を推計しますと、電力九社、ガス大手三社での合計は二千八百三十五億円と言われておりますが、通産省はその差益を一年間料金据え置きをもって還元したとみなす考えのようであります。しかし、こうした論理でいく限り、輸入総額における膨大な差益の消費者への還元は実現し得ないと言わなければなりません。
 総理、いままで輸入価格の値上がりと円安は、それを直ちに物価上昇分として反映させることを当然とし、事実はそれを上回る率で物価を上昇させてきているではありませんか。こうしたやり方が国民に企業不信と政治不信を与えた根本原因の一つとなっているのであります。
 総理、円高不況の中で赤字を抱え倒産する企業があり、その一方で円高で膨大な差益を受けている企業が、さらに先行き円高が予想される中でその差益を温存することが、国民の納得を得られるものでありましょうか。政府は、一体、為替差益の還元についていかように対処されるのか、総理の明快な答弁を求めるものであります。(拍手)
 国際収支の大幅黒字、円の高騰が国内産業の構造調整を一層困難にし、とりわけ中小企業に大きなしわ寄せをしております。その事業所数と全勤労者の大半を占める中小企業の勤労者の数からも、中小企業の窮迫する現状は、国民経済と国民生活にきわめて深刻な影響を及ぼしております。
 公共事業の拡大による中小企業向け公共事業の大幅な拡大、円高により厳しい経営状態にある中小輸出関連企業救済策を一段と強化すべきであります。
 また、中小企業倒産防止共済法の機能的運用、親事業者による下請業者への取引条件等にかかわる圧迫の増大に対して、下請代金支払遅延等防止法の強化改正、依然として減少しない拘束性預金の規制強化措置、政府系三機関の金利、既往の借入金に対する金利の引き下げとともに貸付枠の拡大と貸付期間の延長、小企業等経営改善融資制度の融資条件の改善等を一層進めるべきでありますが、いかに対処なさるのか、この際、答弁を求めるものであります。(拍手)
 いま、農村においては、昭和五十三年度から実施予定の米の大規模な新生産調整策や農産物輸入拡大という外圧等に対し、不安、反発の声が渦巻いております。これまでの米の生産調整策がわが国農業の荒廃につながっていることから見ても、昭和五十三年度からの新生産調整については、その及ぼす影響を十分考慮し、事業の実施方法などについて、生産者、消費者の代表や専門家などを交えて、少なくとも一年間ぐらいの慎重な検討を行うべきであると思いますが、総理の見解を承りたいのであります。(拍手)
 総理は、国民生活の安全保障から食糧の総合的自給力の向上を施政方針で述べられておりますが、現実に農産物が輸入拡大され、食糧自給率の低下をもたらそうとしているこのことの矛盾を明確にしていただきたいのであります。
 なお、牛肉などについては、草地開発助成措置や生産技術向上策など、国内における生産コストの軽減とともに、流通対策の強化などにより、より一層消費者価格の安定を図れる余地が残されていると考えますが、その対策と効果の見込みを明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、漁業については、昨年に引き続き本年も北洋のサケ・マス漁や外国の二百海里内での操業について、過去の実績、安全操業をいか確保していくのか、また、沿岸漁業の見直しについては、単なるムードに終わるものではなく、いまこそ沿岸漁場整備開発計画の拡充強化や栽培漁業について飛躍的な施策を実施すべきだと考えるのでありますが、その具体策を示していただきたいのであります。(拍手)
 さて、次に外交問題についてであります。
 日中関係は復交後五年余を経て、いま、日中平和友好条約締結の機はまさしく熟しております。さきの総理演説では、昭和四十七年九月の日中共同声明の原則と精神にのっとり、交渉の機はようやく熟しつつあると明言されましたが、しかれば、交渉再開はいつなのか、その具体的スケジュールを明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 また、これに対しソ連が懸念を示しているようでありますが、総理はこれをどう判断されておられるのか。一月九日の日ソ外相会談でこの問題についてどのような話し合いがなされたのか。また、外相訪ソの際、コスイギン首相は日ソ間に領土問題はないと強硬な姿勢を見せていたとのことでありますが、こうした現状の中で、平和条約交渉の見通しについて総理はどのように見ておられるのか、改めて所信を伺いたいのであります。
 以上、私は不況克服を初めとし、わが国が当面する諸問題、さらには八〇年代を展望して当然踏まえるべき基本的問題を申し上げ、政府の施政方針の問題点を指摘しつつその見解を問うたつもりでございます。
 最後に、政治姿勢の問題として質問をいたします。
 まず行政改革の問題について触れておきたいと思います。
 政府は行政改革案をまとめましたが、総理、あなたが執念を燃やしていた中央省庁の統廃合は事実上見送りにされ、改革案自体もきわめて小幅なものとなってしまっております。総理は、国民に公約した中央省庁の統廃合を本気で実施する意思がおありなのかどうか。
 さらに、国会に行政改革特別委員会を設置すべきことをわれわれはかねてより要求してまいりましたが、いかなる理由でこの委員会設置に消極的なのか、明快な答弁を求めたいと思うのであります。
 伯仲の国会にあって最も重要な問題は、相半ばする野党の意見を尊重することであります。政権政党、なかんずく政府と自民党の責任は、伯仲国会を選択した国民の意思にこたえ、みずからの考えに固執して他の考えを受け入れないとすることをまず改めることにほかなりません。(拍手)
 そこで、予算案修正の問題でありますが、もとより総理は真剣な姿勢で編成に取り組まれたと思うのでありますが、政府が頑強にみずからの政策だけに固執し、予算提案権を盾に、小手先の答弁と修正に終わらせるべきではないと私は申し上げたいのであります。政府は、昨年よりも前向きに予算修正要求を受け入れるべきであると思いますが、この点、総理の基本的見解を明確に示されることを要求するものであります。(拍手)
 さらに、総理のデノミ発言について一言申し上げたいと思います。
 総理、あなたのねらいは、国民の気分の一新、新しい経済時代の心理的基盤づくりということでありますが、あなたは、デノミと終戦直後行われた預金封鎖、新円切りかえとの、この国民の錯覚を利用し、金より物という国民の消費指向をねらったのではないかという観測さえ生まれております。
 いま国民が切実に要求しているのは、総力を挙げて現下の不況を打開する、このことの一点に尽きるのであります。(拍手)その間、可能な限り、経済混乱や経済的空白を持ち込むべきではありません。
 昨日来、御答弁を伺っておりますが、このような時期に、軽率な発言をもって国民に無用の混乱を与えるべきではないと思いますが、もう一度念のため、総理は今年中にデノミを実施する考えがあるのかどうか、この際、明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#5
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答えします。
 まず、ソ連の人工衛星落下事故についてでありますが、本件の人工衛星に異常が生じ、二十四日ごろ、大気圏に突入する可能性が強いこと、及び同人工衛星には、小型原子炉を搭載しておるという事実については、先週の後半に米国政府から、在京米大使館を通じまして外務省に通報があったわけであります。
 政府といたしましては、本件人工衛星がわが国に落下する確率がきわめて低く、無用の不安と混乱を避けるため、本件情報を特に明らかにしなかった次第でありますが、これはアメリカの方でも公表しなかったのです。政府部内におきましては、万一の事態に備え、所要の準備をするとともに、逐一関連情報の入手に努め、昨日夕刻、本件人工衛星が日本列島周辺に落下する可能性は万々ないとの情報に接し、かつ実際にカナダ地域の大気圏に同人工衛星が突入したとの事実は、米側より遅滞なく通報を受けました。
 なお、本件落下地点の確認、放射能汚染の有無等の事実関係につきましては、さらに情報収集に努力いたしたい、かように考えております。
 次に、伊豆大島付近の地震につきましてお触れになりましたが、私も、この被災者に対しまして、犠牲になられた方々に対しまして、弔意とお見舞いを申し上げたい、かように存じます。
 地震対策はきわめて重大な問題であります。かるがゆえに、従来とも努力はしておりまするけれども、何せ大都市の多いわが国といたしますると、なかなか容易なことではない。都市の防災化、防災体制の強化、地震予知の推進、こういうことを重点といたしましてただいま努力をいたしておる、こういうことでございます。
 静岡県知事を中心といたしまして、全国知事会で、この地震の予知、また予知があった場合のいろいろな対策についての立法を検討されたのです。政府にその立法化の提案があっわけでございまするが、これは政府におきましてもその立法化を取り急いでおります。何とかしてこの国会に提案できるようにいたしたい、かように考えております。
 次に、五十年代の前期経済計画、これは完全にもう破綻したんじゃないか、つくり直せというお話でございます。
 私もこの問題には関心を持っております。この五年計画につきましては、すでに二年が経過しておる。あと三年が残っておるわけでありまするが、二年の間にかなりの変動が生じてきておるわけであります。その変動の主たるところはズレであります。この変動、ズレを踏まえまして、そしてこれからの五十三年、五十四年、五十五年、この三カ年の経済、これを展望してみたい、かように考えておる次第でございます。
 この前期五カ年計画を御破算にして、これを全部やり直すということになりますと、これは大変な作業になります。でありますので、この際はその見直しをいたしまして、それに基づく試算をしてみるということにいたしたい、かように存ずる次第でございます。
 いずれにいたしましても、この五十三年度以降、中期にわたる展望がどうなるであろうかということは、国民も大変関心を持っておるところでございますので、ぜひこれをやってみたい、そして、その結果につきましては、国会に資料を提出いたしまして御審議の参考にいたしたい、かように考えておるのであります。
 私は、この間の施政方針演説でも、何とかしてこの五十三年度というこの年をトンネルを抜け出る年にしたい、またそれができるということを申し上げたわけでございますが、そのトンネルを抜け出たその先の社会というものは、これはトンネルに入る前のあの高度成長社会じゃないんだ、これを篤と皆さんに御了知願いたいということを訴えたわけであります。
 成長の高さは低い、しかしながら、静かで落ちつきのある、かつ公正な社会、こういうものにいたしたい。しかし、そういう社会がすぐトンネルを抜け出たら待っているのかというと、そうではない。なおやはり構造不況業種問題の処理とかあるいは財政問題の処理でありますとか、いろいろ困難な問題が残っております。しかし、基本的には新しい安定成長社会というものがトンネルの先には待っておるということを申し上げて差し支えはない、かように考える次第でございます。
 なお、竹入委員長は、実質成長七%というのは単なる目標だ、こういうふうに言っておるのは、これはもう敗北宣言ではないかというようなお話でございますが、これはよく理解してもらいたいんです。一体、一国の経済の成長指標というようなことを、これを外国に対して約束するというような、そういう一国の指導者がどこかにありましょうか。ありはしないです。これは。(発言する者あり)その辺を十分に踏まえてもらいたいのであります。
 この際、はっきり皆さんに申し上げておきたいんです。確かに今回の日米交渉の過程におきまして、アメリカは日本側に高い成長をというようなことを言ったのです。それに対しまして、私は、成長を一体どういうふうにするか、そのようなことはこの私でもまだ見当もつかない問題だ、そのむずかしい問題をよその国の人がわきから言うなんということは、これは理解できないことなんだ、(発言する者あり)そういうことを申し上げたわけなんでありまして、自来、アメリカにおきましては、わが国の経済、これは経常収支をどうせい、これは相互に関係のある問題でありまするから、いろいろ意見を言いましたよ。あるいは工業製品の輸入をどうしてもらいたいというような意見、これも双方の国に影響のある問題だから言いましたよ。しかし、成長をどういうふうにしてもらいたいということはいささかも言っておりませんから、その点はしかと御了承を願いたいのであります。(拍手)
 そういう意味におきまして、私は、この問題を、これを国際公約というようなことに位置づけますと、これはいささか語弊のあることになると思って、慎重な発言をしておるわけであるというふうに御理解を願いたいのであります。(拍手)
 しかし、いずれにいたしましても、わが国といたしましては、この七%成長、これは内外において期待されておるところの七%程度の成長ということでございます。でありますので、政府といたしましては万難を排してこれが実現に当たる、このことだけをはっきり申し上げます。(拍手)
 そういう際に公共事業一本やりの政策ではなかなかむずかしいのではないかと竹入委員長が申されますが、私は、そのおっしゃられる意味はよくわかります。わかりますけれども、しかし、財政状態が非常にいま窮乏しておるのです。そういう際に、乏しい財政の中から金を割いて、そうして何を景気対策のためにやるかということになると、これは、減税というよりは、やはり公共事業の方に回した方がいいのではないか。減税よりも公共事業だということが定説になっておるのです。そういうようなことを考えますると、私は、減税論は、おっしゃられる意味はよくわかるのでございまするけれども、どうもにわかに賛同できないし、また、社会保障といいますか、年金等につきまして増額をすべしというようなお話でもありますけれども、これも、財政の現状を考えますとなかなかそこまで手が回らない、できる限りのことをこの予算案においてはしておるのだというふうに御理解を願いたいのであります。
 また、竹入委員長におかれましては、公共事業の消化に関連いたしまして、幾つかの御提言があるわけでございまするけれども、まず、地方公共団体の執行体制はどうであろうかということでありまするけれども、これは政府におきましても十分心得ておる問題でございまして、財政上におきましても、地方団体が公共事業の執行に支障のあるような措置はとっておりません。
 また、資材、労務費、用地補償費等につきましても心すべしというようなお話でございまするが、これにつきましても全く同感でございまして、そのように心してまいりたい、かように存ずる次第でございます。
 また、さらに教育減税というお話もあるわけでございますが、これも御承知のとおり、歳出面でかなりの助成をしておるわけなんです。そういう際に、税の方で――税では特例措置を設けることは余りよくない、こういうふうに言われておるその際に、特例措置の方でいくのもどうであろうかというような感じがいたしてならないのであります。
 また、さらに、減税問題と並行いたしまして、厚生年金、国民年金、福祉年金、これのかさ上げを、さらに一層のかさ上げを行えというような御所見でございまするけれども、これは今回御提案申し上げておる予算におきましてもかなりの処置をとっておるのです。そういう際でもあり、国家財政のことを考えるという立場からも、なかなかこれは、やるにこしたことはございませんけれども、むずかしいのじゃあるまいか、そのように考えておるわけであります。
 いずれにいたしましても、年金制度ということは、これは高齢化社会、そういうことを前にいたしまして非常に重要な問題でありますので、昨年十二月、年金制度基本構想懇談会の中間報告に接したわけでありまするけれども、今後、総合的な見地から、また長期的な見地から検討を進めたい、かように考えております。
 住宅問題、住宅公庫の融資条件につきまして、幾つかの御提案があります。木造個人住宅の金利を引き下げよ、土地購入融資の範囲の拡大を行え、木造中古住宅、これも中古住宅融資の対象にすべし、このようなお話でございますが、これも、いずれも今回の予算措置におきましてはある程度のことを考えておるのです。それをさらにかさ上げする、いいにこしたことはございませんけれども、これもなかなか、そう緩やかな財政状態でございませんので、すぐここで、さあ、そういたしましょうとも言いかねる問題でございます。
 さらに、住宅取得控除を税制上におきまして拡大すべしという御意見であり、すでに建設された住宅にかかわるローン、中古住宅の取得に要したローンにまで拡大せよ、こういうようなお話でございますが、今回の住宅取得控除の拡充は、住宅建設の促進が景気対策、国民福祉向上の観点からきわめて重要として、税制面からこれを補完する趣旨で特に実施するものでありまして、これをさらに拡大するというのもなかなかむずかしいのじゃないか、そのような感じがいたしてならないのであります。
 反面におきまして、公営、公庫、公団住宅の建設戸数の減る理由は一体どうなのか、こういうお話でありますが、これは御承知と思いますが、公営、公庫、それから公団住宅となりますと規模が大きうございますものですから、そこで用地が取得難、そういう問題があるのです。それから、地方公共団体や周辺住民からの拒絶反応といいますか、それに調整を要する点、そういうものがありまして、なかなかこれは実績が上がってこない。その実績を踏まえて、五十三年度におきましては前よりもこれを減らすという計画を立てたわけでありまするけれども、そういう障害案件が除去せられるということになりますれば、これは当然ふやすべきものである、かように考えておるわけであります。
 それから、土地利用と地価の厳しい抑制策についての考え方はいかんというお尋ねでございまするが、地価の安定ということは、非常に私ども重要視いたしておるわけであります。地価暴騰のあの時期を経過いたしまして、今日、地価は安定をいたしております。もしこの地価において何か暴騰の動きがある、こういうようなことになりますれば、これは国土利用計画法を発動し、その暴騰の地域を指定地域とする。そこで網を完全にかぶせることができるわけです。でありまするけれども、ただいまその高騰の傾向はありませんので、この国土利用計画法を発動しないというまでのことなんです。もしそういう動きがありますれば、いつでもこの宝刀を発動いたしまして、そして地価問題に対処する考えでございます。
 それから、投資減税に対する考え方についてお尋ねがありましたが、これは竹入委員長のお考えと私全く同じでございまして、そのようなものにいたしたい、かように考える次第でございます。
 なお、不公平税制の是正につきましての御意見を交えての御質問でございますが、これは逐次ずっと整理をしてきておりまして、五十三年度におきましても十一案件の整理をいたすということになっておるわけであります。
 なお、社会保険診療報酬に関する特例措置、これにつきましては、自由民主党においていま議員立法を検討中である、このように御了知願いたいのであります。
 それから、公定歩合の引き下げについて言及されましたが、金融政策は財政政策と相並んで景気調整の大きな手段でございます。そういう見地から見まするときに、この公定歩合の問題は重要な案件でございまするけれども、これは今後の客観情勢の推移に応じて機動的に対処すべきものである、かように考えております。
 それから、国債消化について、個人消化に重点を置いたシステムを考えよというお話でございますが、個人消化につきましては、従来から市中消化の一つの柱といたしまして促進に努力をしてきておりまして、かなり成績を上げております。税制上の優遇措置、発行条件面の配慮、中期割引国債の創設等の措置を講じてきましたが、今後とも個人消化には一層の努力をいたします。
 それから、雇用問題につきまして、職業再訓練の充実、好況製造業や第三次産業への雇用の促進、週休二日制、労働時間の短縮等を通じての雇用の拡大など、きめ細かく推進せよというような御意見も交えてのお尋ねでございますが、雇用の機会の拡大ということは非常に大事なことであります。いま公共事業を主にした景気対策をとっておるということも、一に雇用機会の拡大ということを重視しておるという証左でございます。
 なお、職業紹介体制を整備するとか、離職者の転職訓練の機動的な実施でありますとか、中高年齢者等を中心とする雇用機会増大のための助成金制度の新設でありますとか、いろいろ工夫をいたしておる次第でございます。
 また、長期的な雇用拡大の見地からは、労働時間の短縮、週休二日制の実施につきましても、産業、企業の実態に応じて指導、誘導をすべきものであるという考えを持っておる次第でございます。
 なお、為替差益の還元についてどのように対処しておるか、このようにお話しでございますが、これは製品とそれから原材料によっては非常に違うのです。製品はとにかく輸入されると、非常にはっきりとそれが幾らに値が下がらなきゃならぬということがわかってくるわけでございますけれども、原材料の輸入につきましては、それが幾つかの過程を経まして製品になっていく、ですから、為替変動と末端製品価格との間にそうはっきりした影響を見出しがたいのですが、製品につきましては、輸入品の価格動向調査をいたしまして、そして円為替の上昇が価格に反映するように配慮をいたしております。
 また、輸入団体等の流通関係機構に対しましても、各種の団体に協力の要請をいたしておるわけであります。
 また、家庭用灯油の原材料につきましては、これが末端価格で何がしか製品価格として値下げになるわけでございます。ございますから、それを受けまして、御承知のように、卸売物価があんなに下がってきておるわけでございます。
 電力及びガス料金につきまして言及がありましたが、電力及びガス料金は、ほうっておきますとことしが値上げの年になるわけなんでありますが、その値上げを当分停止をする、一年間は停止をするということで、ただいま業界の協力を得ることにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
 さらに、中小企業の問題にお触れになりましたが、こういう際でありまするから、中小企業の立場というものは非常に深刻であろうというふうに思うのです。
 中小企業倒産防止共済制度、これは四月に発足を目指して目下準備中でございますがざらに、下請代金支払遅延等防止法、これも検査件数を大幅に増加し、法の厳正適用をやるとか、あるいは拘束性預金につきまして関係金融機関を強く指導いたしますとか、あるいは政府系中小企業金融三機関に対しまして貸し出し金利の大幅な引き下げをやりますとか、あるいは貸し付け規模の拡大をやりますとか、中小企業等経営改善資金融資制度は一月から貸し付け条件を緩和いたしますとか、いろいろの措置を講じてまいっておりますけれども、なお、今国会には、円高関連中小企業対策法案をただいま準備中でありますので、不日御審議に付したい、かように考えておる次第でございます。
 次に、米の生産調整、食糧の総合的自給力の向上、牛肉などの消費者価格の安定、漁業の実績と安定操業をどのようにして確保するのかという農業関係の諸問題につきましてお尋ねがありましたが、米の生産調整につきましては、これは御承知のような需給の状態でありまして、生産の調整をするということは、もう本当に緊急の問題になっておるわけであります。
 それの解決のためにはどうするかというと、米の消費を拡大する、これが非常に大事なことでありますけれども、さらに供給面、つまり長期的視点に立ちまして転作を促進するという問題であります。
 これは一年間ぐらい待って、そして準備をしたらどうかというようなお話でございますけれども、この問題はお話のとおり準備を要するのです。そこで、昨年の春以来、時間をかけて地方公共団体、農業団体など関連各方面と意見の交換を重ねてきておるわけであります。最後の段階に入っておるわけでありますが、大方の御理解を得うるものである、かように確信をいたしております。
 それから、食糧の総合的自給力の向上の問題につきましては、これはわが国のこれから長期にわたる安全ということを考えまするときに、これまた非常に大事な問題であります。これはそのとおりでございますけれども、さてしからば、農産物の輸入、この問題にどういうふうに対処するかということでございます。わが国農産物の需給動向を踏まえ、その他の諸要素を勘案して、わが国農業生産の健全な発展と調和のとれた形で行われるようにこの問題を処理したい、このように考えておるわけでありまして、先般の輸入拡大措置につきましても、この方針を踏まえ、総合食糧政策推進に支障を及ぼさないことを旨としてやってまいった次第でございます。
 それから、牛肉などの食肉対策につきましては、やはり国内の畜肉業者の力、生産性を向上する必要があるだろう、そういうことを考えまするときに、飼料の自給力の向上、また多頭化、そういうことの推進が基本にならなければならないというふうに考え、草地の開発でありますとか、飼料作物の増産でありますとか、飼養規模の拡大でありますとか、いろいろな措置を進めてまいりたい。
 同時に、これは流通改善の問題があります。政府におきましても、食肉センターを整備促進するとか、特に部分肉センターを新設するとか、また小売段階における共同仕入れを促進するなど、食肉の消費者価格安定に努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 さらに、漁業問題につきましては、サケ・マス漁業や外国二百海里内漁業、国際情勢は依然として厳しい状態であります。政府といたしましては、強力な漁業外交を展開し、発展途上国との漁業協力推進を進めるなど、わが国海外漁場の確保と安全操業確保に全力を傾ける方針でございます。
 沿岸漁場整備開発計画につきましては、五十三年度予算におきましても大幅に予算を拡大しております。
 また、栽培漁業につきましても、五十三年度におきまして、北日本海域の拠点といたしまして北日本栽培漁業センターを完成する予定と相なっておる次第でございます。
 竹入委員長には日中平和友好条約の締結につきまして前々から大変いろいろと御指導にあずかっておる次第でございますが、今日この段階になりましてまだはっきりしたことを申し上げることになっておりませんことは、申しわけないような気持ちがいたしますが、結局、基本的な考え方は、日中共同声明、この線を双方が遵守してまいるということが、これまでもそうですか、これからの日中関係の基本でなければならぬ。そして、その中の一つの案件といたしまして日中平和友好条約の締結問題があるのです。
 これは私の決断一つで決まるんだという話もありますけれども、そうはいかない。やはり日中双方が満足し得る形でなければならぬわけなんです。そういうことで、私が決断すれば即刻決まるという性質のものじゃないので、苦慮しておるわけでございますが、私は、交渉開始の機というものは熟しつつある、こういうふうに見ておるわけであります。したがいまして、もうしばらく情勢の推移を見ていただきたい、かように考えておる次第でございます。
 また、この条約交渉につきまして、ソ連はどんな考え方を持っておるのだろうかというような御質問でございますが、ソ連は、日中平和友好条約につきまして、日中と特定した表現は使っておりません。ある隣の大国が云々というようなことを言っておるようでございまするが、まあ、ソビエトにおきまして、この日中問題につきまして関心を持たないということはないと思いますが、しかし、私どもの考え方といたしましては、あくまでも日中は日中、日ソは日ソ、截然と区分して対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 また、外務大臣がソビエトを訪問した際、日ソの領土問題についての感触はどうか、また、平和条約をどうするかというようなお尋ねでございまするけれども、この領土問題についてのソビエト側の考え方、これはもう依然として非常にかたいものがある。したがいまして、日ソ平和条約交渉、これは領土問題の解決を前提としておる以上、そう簡単なものじゃないように思います。思いますが、北方四島の返還、これはわが国民の悲願であります。これを実現する、その上に立って平和条約を締結するという取り組み方、これはもうこの姿勢を崩すことなく、粘り強く推し進めていかなければならないところである、かように考える次第でございます。(拍手)
 次に、行政改革の問題、これは先般、閣議で行政改革要綱を決めましたが、これは各般にわたって非常に広範なものです。ただ、中央省庁のことだけ、まだ私が当初考えたような線にいっておりません。それは率直にそのとおりだということを申し上げざるを得ないのです。しかし、運用の妙といいますか、建設大臣と国土庁長官の兼摂をやるとか、あるいは対外経済担当相を設けるとか、非常に味のあるところもやっておることを、ひとつ御理解おき願いたいのであります。
 なお、行政改革問題につきましては、これで終わりではないのであります。今後ともこれを粘り強く推し進めてまいる考えであるということを申し添えます。
 次に、予算の修正問題に対する基本的な見解を示せ、こういうお話でございますが、私は前から言っているのです。協調と連帯だ。この前、党首会談で竹入委員長とお目にかかったときも、この問題に委員長が触れられましたので、協調と連帯ですということを申し上げたわけでございます。これは、いまこの国会が与野党伯仲だというが、伯仲でなくたって、そういう姿勢でなければならぬ、このように考えておるわけでございますが、いま提出いたしました予算案につきましては、皆さん、各党党首の御意見も聞いた。しかし、その際、特に共通して御要請がありましたのは、減税問題です。そのときも私は、これは頭が痛いですねと申し上げたのです。なかなかこれはむずかしい問題です。予算案につきましては、とにかくあらゆる角度から長い間検討いたしまして、ベストのものを御提案申し上げておるわけでございます。そういう角度から、ひとつよく御検討のほどをお願い申し上げたい、また、御理解ある御賛同を得たい、このように考えておる次第でございます。
 最後に、デノミについての私の発言についての御所感が述べられましたが、私は、しばしばこの席上でも申し上げておるわけでございまするけれども、デノミというのはいずれの日にかやってのけなければならぬ、避けて通るわけにいきません。いきませんけれども、いまはその前提条件が整っておらないのです。ですから、いまとにかく私の頭の中は景気を一体どうするかということでいっぱいでありまして、デノミということはいま考えてはおりません。ことし中にデノミ宣言、デノミを実施するかと、こういうようなお話でしたが、これはこういう段階なんです。宣言をして、それから一年半とか二年たって実施ということでありますが、その宣言すら今年中にするというような状態ではあるまい、かように私は考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#6
○議長(保利茂君) 佐々木良作君。
    〔佐々木良作君登壇〕
#7
○佐々木良作君 私は、民社党を代表して、総理の施政方針演説に対し質問を行いますが、委員長としては最初の質問でございますので、若干の意見が入ることをまずお許しをいただきたいと思います。
 今回の福田総理の施政演説は、何よりも、昨年一年間における失政、なかんずく経済政策の誤りについて率直に国民にわびる言葉から始められ、かつ新政策を謳歌される前に、昨年の施策に対する反省から始められるべきでありました。私は、これが激動の一年間を政権担当された謙虚な総理のあるべき姿だと考えたからであります。
 しかるに、総理は、演説の冒頭に当たりまして、まず「一年前、この壇上から、世界的この難局に処するための行動原理は、協調と連帯にあると述べたが、この一年前に述べた考え方は、一年後においても、この一年の内外の動きを見て、一層その感を深くいたしました」と、言うならば、みずからの先見的識見を誇らしげに述べることから始められました。
 わが国は、昨年、アメリカを初め海外から、あのような集中砲火を浴び、急激な円高と通商外圧に脅かされるに至ったのでありますが、それはわが国が国際社会の中で協調と連帯の行動をとらなかったことに対する海外からの非難であり反撃であったはずでございます。(拍手)総理は、みずからの先見的識見を誇られるよりは、これを国政に反映できなかった責任をこそ反省さるべきでございます。(拍手)
 さらに付言いたしまするならば、昨年一年間の重要な総理の発言は、ことごとくと言ってもいいほど竜頭蛇尾に終わり、あるいは著しき食言でさえございました。
 まず、年頭の通常国会において、内閣の威信をかけて断行するとまで言い切られた行政改革は立ち往生、経済不況問題に至っては、二月の施政演説で、今日の経済情勢は順調に推移していると述べ、七月には、景気は緩やかな回復基調にあると言い、十月の所信表明でさえ、まだ六・七%前後の成長は実現できると思うと発言されました。
 この一連の総理の楽観的発言にもかかわらず、ついに今回の政策転換に事実上追い込まれたわけでございます。これらは、およそ経済政策の修正とか転換とかの次元を超えて、明らかに内閣の政治責任の問題でございます。(拍手)
 私は、すべての質問に先立って、昨年一年間における福田内閣の言行不一致の政治責任について総理の御所信を明らかにされんことを、まず要求するものであります。(拍手)
 私は、関連して、本当はここでも同じように、デノミ問題についての発言をいたそうと思っておりました。デノミにつきましては、私も一つの見解を持っておりまして、かつて予算委員会で、蔵相であられる当時、福田さんともお話し合いをしたことがあるからであります。しかしながら、この問題につきましては、事実上、先ほどの答弁でも昨日の答弁でも、このデノミ発言は取り消されたものと理解して、これを省略いたします。
 しかし、あえて申し上げますが、いかにも話題になるように、問題があるように提起して、事実上そのたびに株価があんなに動いておるではございませんか。福田さん、その責任はどうされるつもりです。それは政治家のとるべき立場ではございません。
 この際、同様な意味において、政治責任の関連で、行政改革の行方について御質問を申し上げます。
 先ほどの竹入さんの発言にもございましたとおり、総理は、昨年前半、最大の目玉政策として行革を公約されましたが、昨年末の「行政改革の推進について」という閣議決定によって、この問題に事実上のピリオドを打たれたようでございます。
 昨年初来のたびたびの国会発言によって、総理は、行政コストの削減こそこの問題の基本認識の原点であることを強調され、民間企業、家庭が血のにじむような努力をしているときに、政府が率先して行財政の改革に取り組まなければならぬとも申されたのであります。このような年初来の意気込みに対して、十二月の閣議決定内容は、盛りだくさんのようではございますけれども、いずれも、いつまでに、どのようなやり方で実行するのか、まことにあいまいもことしており、完全な骨抜き案となっております。まさに竜頭蛇尾、公約違反のそしりを免れません。(拍手)
 わが民社党は、従来繰り返された歴代自民党内閣の轍を踏ませてはならないと考えて、特に注意を喚起しながら、最も現実的、具体的な提案、提言を行ってまいったのであります。その意味からも、この問題についての総理の政治責任を強く強く追及するものでございます。
 わが国がやがて取り組まなければならない財政均衡化政策は、増税的な一層厳しさを国民に要求せねばならぬものとなるでございましょう。そのことは、総理、よく御存じのはずであります。このためにこそ、民社党は、いまのうちに不公平税制の是正とともに、行政改革を特に断行して、厳しい政策が国民の納得を得られる条件を整えておかねばならないと考えているからであります。(拍手)再度、総理の行政改革に対する基本姿勢を問うものでございます。
 さて、総理は、昨春以来、不況対策に対するわれわれのたび重なる警告に対して、楽観的見通しをもって対応し続けられましたが、その総理が、年末の内閣改造をきっかけに、従来の財政優先の方針を一てきされ、借金政策、積極的刺激政策に転ぜられたのであります。それは余りにも唐突かつ福田経済の変質でさえありました。
 そこで、この政策転換について、すべての国民が聞きたいと願っておる三つの疑問にまずお答えをいただきたいと思います。
 その第一の疑問は、この積極政策がせめて半年早かったならなあ、あるいはもう一年前に打ち出されていたらという嘆きの言葉についてであります。なぜもっと早く政策転換ができなかったのでありましょうか、国民に向かって率直に御説明願いたいのであります。
 総理は、昨日の答弁で、物価が安定し、国際収支が黒字基調になったから積極政策に転ずることができた旨発言されまして、いかにもこのような方針が既定の事実、既定の方針に沿って、しかもやれる状態ができたからやった、このような発言をされましたが、物価が安定し、黒字基調になっておりましたのは、そういう状態ができたのはすでに昨年の夏ごろにはまさに明らかになっておったのでありますから、あのような急激な円高攻勢を受ける前に、どうしてこのような政策転換が行えなかったのかという疑問は依然として残るのであります。
 私は、第一次補正の時期こそ最後のチャンスであったと考えていたのであります。あれほどに黒字基調が強まり、アメリカやECからの警告が高まっても、それほどの円高にはなるまいと考えていられたとすれば、経済の福田もはなはだ頼りない認識と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 あの状態になって初めて突然変異された理由と動機につき、国民は納得の得られる説明を求めているのであります。御答弁をお願いいたします。
 第二の国民的疑問は、このような積極政策はいつまで続けられるのか、そしていつごろから、どのようなやり方で借金政策に歯どめをかけられるのかという率直な質問であります。
 総理がかつて国債依存率三〇%を超すそのような状態は自殺行為だと言われたことは国民の胸にこびりついておりますから、この積極政策に対する今後の動きに対する国民の大きな疑惑と大きな心配が残っておるわけであります。
 やがて試算的中期計画を国会にも提出するという御答弁でございましたが、役所で積み上げたそういう作業で、こんな幾らわれわれでも読みかねるような、そのような膨大な書類による報告ではなしに、国民は自分の生計と事業の見込みを立てるために、いまあなたの口から、積極政策は五十四年度も続けるのか、財政健全化政策への取り組みは五十五年ごろからになるであろうとかという、そういうおおよその見通しをせめて説明していただかなければ、この積極政策に対する見方が、腰が決まらないのであります。血の通った総理の御答弁を求めるわけであります。
 第三の国民の疑問は、先ほどもありましたが、総理の七%成長公約に対する不信感であります。
 国際公約とか自発的目標だとか、閣内でも党内でも議論がにぎやかであったようでありますが、国民は、総理のいかにも七%未達成の場合の責任をあらかじめ回避されようとしているかに見える態度に、不信を感じているのであります。昨年の六・七%のように、しり切れトンボになるのではないかと疑っているのであります。この国民的疑惑を一掃しなければ、とても七%成長は不可能であります。先ほど竹入委員長に対する御答弁を私は承りましたが、しかし、むしろその答弁によって疑いを深めただけでありまして、とても国民の疑いはあれでは解けてはいないと考えるのであります。総理の責任ある答弁を重ねて求めます。(拍手)
 次に、ことしの経済運営について伺います。
 わが民社党は、昨年来、景気回復と財政健全化についての中期計画概要を明らかにし、予算審議のたびごとにこの方針に従って当面の具体策を提示してまいりました。
 今回の政府案の十五カ月構想も、七%成長相当の規模も、民社党がすでに秋の臨時国会当時提示したものとほぼ同じでございます。したがって、政府の景気回復へ財政主導で総力を挙げて取り組む方針には賛成であります。しかしながら、遅過ぎたきらいもあり、政府案に示された公共投資一本やりの対策では、七%成長は困難だと考えるわけであります。
 この史上空前の公共事業費の伸び率をつけた大型予算を大戦末期の戦艦「大和」の出撃にたとえての批判がありますが、同感と言わざるを得ません。「大和」自体が時代おくれのものであったように、巨額の公共事業費もすでに高度成長時代のような強力な戦力がないのみならず、「大和」を援護する戦力も見当たりません。
 民間設備投資について、五十二年度が実質ほぼゼロ成長だったのに、明五十三年度は実質六%を見込んでおられますが、大規模な公共投資も、需給ギャップの解消には役立っても、追加的な設備投資意欲をかき立てる効果は期待できそうにはございません。
 個人消費についても、実質的増税を行い、酒税を引き上げ、年金などの振替支出も低く抑制し、かつ雇用不安は一層深刻化し、賃上げも六、七%程度かと言われる現状で、実質五・一%もの伸びは無理と思われるからであります。
 そこで、私は一つの提案を行います。
 財政支出の節約を図りながら景気対策を一層強力にかつ機動的に進めるための提案でございます。
 今回の予算案は、半年はおくれて決定された政策転換に基づいて大きく水ぶくれされたものでありますから、政策実施当局の準備が必ずしも整ったものばかりではございません。公共事業費に至っては、概算要求に対して一一・二%も上積みされております。明らかに水ぶくれ予算であり、これをこのまま実施当局に任せることは、あるいは国費のむだ遣いに通ずるおそれがございます。
 そこで、この大盤振る舞いの水ぶくれ部分を一たん切り離して、事実上予算案を縮小修正して、ここから一兆円ないし二兆円の資金を保留することは不可能ではないと考えます。そして、この保留財源を、第一に個人消費刺激政策の財源へ、第二に都市再開発、農業、住宅産業などへの構造改善対策費へ、第三に構造不況業種、中小企業などへの緊急対策費へと、機動的、重点的に再配分してはどうかという提案であります。(拍手)
 総理は博識でございますから、いろいろと諸外国のことも御存じだと思いますが、似たような対策がかつて西ドイツにとられた例を御存じかと思います。私は、現在の状況を見まして、円高が影響いたしますから、この一−三月の冷え込みがきわめて厳しく、七%成長のためには、きっと六月前後にはもう一度景気対策を見直し、積み重ねが行われねばならなくなると予測しておるのであります。それに備える意味からも、可能な制度改革を急ぐとともに、そのための財源措置を配慮しておく必要を痛感しておるのであります。あえて思い切った提案をいたすゆえんでございます。
 予算の手続など事務技術上の問題はありましょうが、予算のむだ遣いを厳しく査定してこられたかつての主計官的感覚からも、福田総理には必ず御賛同いただける提案だと思うのでございます。(拍手)総理の建設的な御答弁を期待するものでございます。
 次に、私の提案による保留財源などを背景に、整備されておらない社会資本は、いま政府が景気対策として重点的に入れようとしておる大型プロジェク卜部分ではございません。世界に誇る御承知のような高速道、さらにまた新幹線、本四架橋――世界ではありませんよ、これらの社会資本はむしろ決しておくれてはおりません。おくれておるのは学校、病院、保育所、さらにまた(「上下水道」と呼ぶ者あり)上下水道、そのとおりだ。それから、川でも直轄でないむしろ中小河川、あるいは道路でももっと田舎の地方道そのものであります。そこに入れろというのであります。
 私の提案による保留財源などを背景に、景気対策と構造改革のために選択さるべき政策につき質問を進めてまいりましょう。
 最初に、総論的提言を行います。特に私は、これは政策の選択の基本になりますので、あらかじめ宮澤企画庁長官の御答弁をお願いいたしたいことを申し上げておきます。
 いまや諸悪の根源のように言われておる蓄積外貨は、もともと勤労者の汗と努力の結晶であります。円高差益を国内物価対策に活用すべきことは当然でございますが、いまのお話にもあったとおりでございますが、私はもう一つ根本にさかのぼって考えなければならないと考えるのであります。円高とは円の価値が国際的に高まり、円の対外購買力が強まることを意味するものであります。けれども、勤労者が賃金として受け取る円、つめに灯をともすようにしてためた庶民の手元の円の購買力は、円高にもかかわらずちっとも高まってはおりません。欧米先進国労働者と日本労働者との賃金はまだ相当の格差があると言われますけれども、仮に一ドル二百四十円計算で同額程度の賃金をもらうとして、これをドルや円という貨幣でではなく、その国の国内購買力に見合う物で支給される、そういうふうに考えてみますと、多分、日本労働者は、牛肉でも住宅でも、欧米労働者の五、六分の一ないしは十分の一程度しか支給されない勘定になるのであります。この円の外に強く内に弱い性格は、これまで政府が企業の国際競争力を付与する政策を優先させ、そのため国民の生活費を安くし、かつ住みよい環境づくりの政策をおくれさせた結果にほかなりません。国内の肉類や生鮮食料品の流通改革、農業の構造改善、さらに住宅の著しい高値の原因となっている土地政策などへの政治の取り組み、施策のおくれが、円の国内購買力を不当に弱めているのであります。
 また、よく例に出される日本の貯蓄率を異常に高からしめておりますものは、貯蓄の四大目的と言われる病気、老後、教育、住宅という、生涯生活上の不安が国民につきまとっているからであり、その不安を解消すべき社会保障、教育、住宅政策がおくれ過ぎているからであります。しかも、これらの問題解決は、高い貯蓄率にもかかわらず、個人的努力の限界を超えるものであることは、政府発行の経済白書が指摘しておるとおりでございます。
 このような結果を招いたのは、まさに保守党の長期政権そのものであります。いまわれわれは、内需拡大と対外均衡回復のための政策を進めようとしておりますが、それは本質的には構造改革的な政策転換を意味するものであります。高度成長への逆戻りの道を選択しまいとするならば、残された道は、これら国民の生涯生活の不安を解消する施策と、円の内外価値のバランスを回復する施策のおくれを取り戻し、強力に推し進めることであると考えるのであります。
 いま申し上げましたように、これは政策の選択の基本に関するものでございますから、宮澤企画庁長官の御所見を篤とひとつ承りたいと思うわけであります。
 次いで、個人消費の問題について伺います。
 いまや個人消費は、国民総需要の六〇%にも達せんとし、この動向は、景気に決定的な影響を及ぼすものであります。景気対策として積極的な消費刺激策を考慮すべきであります。その対策は、一つは言うまでもなく減税、二つは国民生活の不安要因を解消する施策を推進することであります。
 減税が消費に結びつかないように見えるのは、減税の規模が小さ過ぎるからであります。某アンケート調査によれば、昨年の所得税減税を貯蓄に回した者はわずかに八・三%、三十五歳以上の主婦では五・六%にすぎません。大型減税でも、少なくともその七、八割は直接消費に結びつくと見るべきであります。減税は、少なくとも一兆円以上でなければ効果は目立ちがたいと思いますが、とりあえずの措置としては実質増税となる部分だけにとどめて、大幅減税をさらに次の対策へ保留することも一つの案と考えます。
 次に、社会保障の充実政策の中で、老後の不安解消を明年度の重点政策に掲げ、年金改革に本格的に取り組むことを主張するものであります。
 ナショナルミニマムに達するプロセスを明確にした中期計画を政府の責任において国民の前に明示し、その初年度として国民年金、老齢福祉年金の飛躍的引き上げを行うべきことを提案するものであります。直接増額分が一〇〇%消費に回るほか、政府のナショナルミニマム保障計画が老後の不安を解消させ、貯蓄性向に影響を与える効果はまさに重大であります。総理の御見解を承ります。
 なお、今回政府が重点政策とされております住宅建設について伺います。
 景気対策から見ましても、構造改革の立場から見ましても、住宅を重点政策に選択されることには賛成でございます。しかし、先ほどの総理の御答弁からもうかがえますように、政府案の発想が当面の不況対策に終始しており、わが国の社会経済の構造的改革を目指す長期的対策としての本来的取り組み姿勢に欠くるところがあるのは遺憾であります。そのためか、竹入委員長の質問も具体的であったのにかかわらず、御答弁はあいまいな状態でございましたので、重ねて私は、次の三点の提案と質問を行います。
 第一に、政府は、公庫の融資枠の拡大などによって、公的資金住宅の大幅増加を柱に、百六十万戸建設を目指しておりますが、五十二年度実績見通しから推定いたしますと、公庫融資の拡大改善だけでは、自力建設住宅を公的資金住宅に振りかえる結果を招くだけで、全体の建設戸数の増加は期待薄と見ざるを得ませんし、少々の条件改善では、目下一番の住宅希望層となっておる年収二百万円台の人々には手が届きません。したがって、このままでは政府の目的達成はきわめて困難であります。竹入委員長も指摘されたとおりでございます。
 持ち家政策は、中間層安定化のために最良、緊急の対策であることにかんがみまして、政府は、この際、思い切って公庫貸出金利の引き下げとともに、民間住宅ローンについても国の利子補給制度を創設し、住宅資金金利の飛躍的低下を図るべきであります。(拍手)同時にまた、割り増し財形制度の採用に踏み切るべきことをも提案するものであります。私は、時宜に適した重要提案であると思いまするので、どうか総理の決断を求めるものでございます。
 第二に、持ち家政策が住宅政策の基本であるといたしましても、だからといって公共賃貸住宅の役割りを軽視してはなりません。公営住宅入居希望者にして基準該当者がなお二百五十万世帯も存在すると言われるのに、先ほども指摘がありましたように、明年度計画はわずかに七万五千戸にすぎません。しかし、実績から見て、近年この公営住宅の建設は遅々として進んでおりませんし、本当はその理由も明確なのであります。
 なお、その傾向はむしろこの必要性が最も高いと見られる都市部において一層しかりであります。東京都内ですでに老朽化した木造平屋建て公営住宅が約六十二五尺その用地面積三千五百ヘクタールと言われております。これを中高層への建てかえによってその近代化と収容能力を増すことは当面の急務だと考えられるのでありますが、全然進捗の見込みはなさそうでございます。一体この責任はだれが負うべきものでありましょうか。(発言する者あり)景気ではございません、公営住宅でありますから。よろしいか。景気の問題ではない。話を間違ってはいけません。公営住宅であります。
 機内建設大臣、一体公営住宅建設がどうしてこう進まないのか、だれが責任を負うべきか、ひとつはっきりと御答弁をいただき、今後どのように指導し、対処されようとするのか、確固たる方針を伺いたいと存ずるわけであります。(拍手)
 第三に、住宅建設の最大のネックが宅地難にありますことは言うまでもございませんし、その最大の原因が地価にあることも衆目の一致するところでございます。櫻内大臣は地価対策に熱心なようでありまするし、先ほども話がありましたように、宮澤長官は平河会提言の形において、建設的な土地対策を提案されております。しかし、宮澤提案の一部地価凍結案は、すでにわが民社党において、昭和四十二年に地価抑制臨時措置法案として国会提出さえ行っているものであります。問題は、政府自身の本格的に取り組む意思の有無にあります。いまやその必要性とチャンスは熟していると考えるのでございますが、総理を初め、櫻内、宮澤各大臣、その用意ありや、承りたいと存じます。
 なお、宅地問題に関連して、明年度予算案中に、「住宅宅地関連公共施設整備促進事業費補助」という、とっても長ったらしい新項目によりまして三百億円が計上されております。わが民社党の宅地政策に、造成費の中で公共施設関係の整備費が五〇%にも達しつつある現状にかんがみ、これを二五%以下に抑えるため、それを超える部分については自治体発行の地方債に負担せしめ、これに対し国が利子補給を行うべしとの構想がございます。新予算案の三百億はこのような考え方に基づくものと考えてよろしいか、建設大臣の御答弁を求めます。
 構造不況業種及び中小企業の緊急対策、さらに農政のあり方につき伺います。
 まず、構造不況業種、中小企業の対策は緊急を要するものがあります。長期不況で体力が弱っている上での円高圧力は、中小企業の集中倒産、地場産業の崩壊など、直ちに社会不安につながる危機状況にあります。構造不況の原因はさまざまでありますけれども、共通しておりますのは設備過剰であり、たとえ内需拡大というマクロ対策が額面どおりの効果を生んだといたしましても、それだけでは救済不可能なものであります。端的に過剰設備の大胆な廃棄対策が必要でございましょう。しかし、このこと自身雇用不安の拡大に結びつき、かつ実施面においても各種の困難を内包しているものでございますが、最近、倒産、一家心中など、三月危機説の前兆的現象もあらわれつつあることにかんがみまして、対策の遷延は許されません。特別立法の方針を含め、政府の対策を明らかにされんことを要求するものでございます。
 次いで、農政のあり方について伺います。
 国際貿易のしりぬぐいと財政のしわ寄せの間に漂う場当たり農政は、農民にとってまさにお先真っ暗、迷惑千万と言わざるを得ません。(拍手)
 すでに過去八年間、生産調整と過剰米処理にそれぞれ一兆円余の国費が費やされておりますが、米の過剰の再燃はその効果がなかったことを物語っておるのであります。
 昨年の約二倍に当たる今回の減反計画も、農民にとっては米にかわる確実な作物もなく、農民をより一層困らすだけでありまして、構造改革への決め手などにはなり得ません。先ほどの生産調整に対する御答弁を伺いましたが、むしろ私は、総理が農政の本質について配慮を欠いておられることを暴露された感をさえ受けたものであります。
 また、しきりに畜産のコスト低下の必要性が最近強調されますが、飼料、えさ問題に対する構造的改革を行わない限り、その可能性もございません。
 このままでは、日本の農業生産と消費需要との乖離はますます拡大するばかり、やがて社会問題の一つの発火点ともなり得ましょう。
 農業は長期的なものであり、同時に、現在の国際的広がりの中で変動する情勢に対して、直ちに農業者自身が対応し得るものではございません。したがって、国の責任において国民経済の中での農業の位置づけを明らかにし、農業の保護水準を確実にして、これに到達するためのプロセスを、その財政裏づけとともに提示すべきであります。その上で積極的に農業者の協力を求め、日本にふさわしい農業の近代化、合理化を進めるべきであります。
 日本経済の構造改革に当たって、日本農業のあり方は忘れられてはならない重要課題であります。総理とともに最も元気な中川農林大臣の積極的な答弁を求めるものであります。
 あわせて、海洋分割時代の進展に伴い、漁業及び海洋開発の問題は、わが国にとって死活に関する問題であります。
 わが党は、すでに三年前から、今日の事態を予想し、政府の根本対策を要求し続けてきましたが、自民党内閣は何らの対策も講じないまま後手後手に回り、今日の事態に追い詰められました。この際、政府は、わが国の漁業及び海洋開発に関する基本方針を示すべきであります。いまや水域内における安全操業問題も重要化しつつありますが、これも含め、中川農林大臣の勇気ある答弁を期待するものであります。
 最後に、外交、防衛の基本姿勢についてお伺いいたします。
 私は、東西問題に対する平和共存の姿勢と、南北問題への積極的取り組みを基調とするわが党外交の基本方針に照らし、ようやく積極に転じた政府の経済援助姿勢が、一時的なドル減らし対策に終わらぬよう注意を喚起するものであります。
 そしてさらに、日中平和条約締結への条件はすでに整ったと判断し、条文づくりの技術上の問題解決のために、速やかなる交渉再開を要望するものでございます。このことは、当然に流動的なアジア情勢の中で、特に北東アジア情勢に新たな局面を迎えることになることを十分留意し、対処に誤りなきを期するよう強く要望するものであります。
 さらに、昨年来、福田総理は、国防会議のあり方につき検討を指示されたと承りますが、いまなお同会議は兵器調達についての論議に終始し、専守防御の立場に立って、国民の合意を得る防衛のあり方についての最高方針の討議の場とはなっておりません。また、わが党年来の主張であり、自民党歴代内閣の約束にもかかわらず、防衛に関する国民的合意の場としての国会における防衛委員会設置は、いまだに実現いたしてはおりません。
 これらわが党の主張に対し、総理の責任ある答弁を求めるものであります。
 終わりに一言つけ加えます。
 いま日本経済が直面している危機的状況の乗り切りと、構造改革を進めながら安定成長経済へ軟着陸させることはなまやさしいことではなく、経済の福田の自信をもってしても、国民的協力なしにこの大事は行えるものではございません。この意味で、私は、むしろ超党派的取り組みこそ絶対必要だとの認識に立つものであります。
 しかし、目下の政治情勢において挙国一致内閣的なものを誕生せしめることは不可能でありましょうから、これにかわって、これに準じた取り組み方法を総理は虚心に考えらるべきであります。
 現在の情勢のもとでは、政策選択の幅はそれほど広くはありません。総理は、野党の考え方をも大幅にのみ込む形で時局対策を考えらるべきでございます。難関であるがゆえに、また政治家たる総理にとって千載一遇のチャンスとも考えられます。
 私は、民社党が責任野党としての必要な協力と厳重な監視とを続けることを改めてここに申し上げ、総理がすべての私心、すべての党派心を捨て、一段と高次元に立って、難局に直面したわが国政に取り組まれんことを重ねて要望し、御所見を承って、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#8
○内閣総理大臣(福田赳夫君) まず最初に、私が協調と連帯ということを言って、そのとおりに実行しなかったじゃないかという点についての御指摘ですが、私はそれは非常に心外に思います。私は、本当に謙虚な姿勢で、なるべく皆さんの御意見を聞き、またできるだけそれを取り入れていきたいというような考え方で、重要な外交案件などにつきましては党首会談をお願いいたしまして御意見を求めるとか、あるいは予算案につきましても同様御意見を求めるとか、私としてできる限りの協調と連帯の実、これを上げたいの一念でやってきたということを申し上げたいのであります。
 ただ、政策の運営ということになりますと、これは間違った点も顧みてないとは言えません。特に、昨年の九月末から起こりました急激な円高、これはもう私、全く予想しなかったのです。それが不明であるということでありますれば、これは全く不明のそしりを受けるにやぶさかではございませんけれども、とにかく私は、いま、この揺れ動くような地球の上で、日本丸がいかに座礁しないか、沈没しないか、そのことにつきましては全力を傾倒し、またいささか貢献をしてきた、かように確信をいたしております。
 まず、行政改革についてのお話でございますが、これは率直に申し上げまして、中央機構、この点につきましては私が考えていることがまだ実現されておりません。しかし、その他の点につきましては、いま時局が要請しておる諸問題、つまり国家公務員の定員の削減の問題でありますとか、あるいは定年制導入の問題、特殊法人の整理合理化、また特殊法人の役員給与の抑制だとか、あるいは退職金のカットの問題でありますとか、あるいは地方の支分部局の約千カ所に及ぶところの整理の問題でありますとか、あるいは許認可事務の千二百四十事項の整理の問題でありますとか、あるいは二十数年間問題とされて解決のできなかった地方事務官制度の廃止の問題でありますとか、もっともこれは五十三年度に一挙に廃止しませんで、まず五十三年度は運輸省関係の事務官制度の廃止、これから始めますが、とにかくこの廃止に手をつけるとか、かなり画期的な行政改革の施策を打ち出しておるわけであります。中央機構を含め、行政改革の問題につきましては、これでおしまいというわけではないのです。今後とも粘り強く取り組んでいきたい、かように考えております。
 それから、佐々木委員長は、今度の財政政策、またそれに伴う経済政策、これを大変な政策転換のような受け取りをされておるようでありますが、私としては、政策転換じゃないのです。臨時異例の措置をとった、こういうことであります。つまり、いま高度成長時代から安定成長時代への移行、こういう基本的な認識、たてまえにおきましてはいささかも変わるところはないのであります。ただ、国際情勢が、御承知のようなドルの不安定というような事態であり、世界が揺れ動くというような情勢の中で、さてそういう転換をどうやってやっていくかということでございまして、その手法として、臨時異例の措置として、この積極財政政策を取り入れたわけであります。五十三年度においてはこういうことでやります。
 それから、五十四年度は一体どうなるのだということでございますが、私は、施政方針演説でも、もう五十三年度でトンネルを抜け出る、その先が見えるのだという展望を申し上げましたが、先が見えても、そこでがらっと一瞬にして事態が変わるというわけじゃないのです。やはりトンネルの中の影響というものは、五十四年度においてもかなり残るということを考えなければならぬ。その影響が一体どの程度残っていくのだろうかということをよく見てとって、五十四年度の財政運営に当たっていかなければならないだろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
 もう一年あるいはもう半年早くこういう施策をとられたらな、こういうふうに残念に佐々木委員長は考えられておりましたが、私も、半年前、一年前に円高というような、こういう異常事態が予見できれば、当然こういう考え方をとっておったのです。私がそういう予見ができなかったことは、私、非常に残念に存ずる次第でございます。
 なお、七%程度の成長ということ、これが国際公約ではないのだということにつきまして、福田はどうも責任を回避するのではないか、そういうあらぬ御懸念のようでございますが、そんなけちな考え方は、福田赳夫は持っておりません。
 七%程度の成長ということを国際公約だなどと言いますと、どういう感じを国民が持つでしょうか。一国の成長政策は経済政策のかなめである、それを外国と約束をして、その約束に従って取り入れるというようなこと、これは佐々木委員長が首班になられましても、よもやそんなことはやるまいと思うのです。私は、この七%成長というものは、わが国の自主的な立場において決めたのです。それが海外においても、また国内においても期待される。したがいまして、この七%成長には全力を傾倒して間違いなきを期す、こういうことでございまするから、間違いないように御理解願います。
 景気対策、特に予算の機動的運営を図るために、この予算、特にその中の公共事業の中には水増しがあるはずだ、その水増しを留保して、景気対策、つまり減税でありますとか、あるいは年金の積み上げでありますとか、そういう方向に使ったらどうでしょうか、こういう御所見でございますが、これは端的に言いますと、いま政府が出しておる公共事業費を削って、一兆円、二兆円削って、そうしてそれを財源として減税をいたしなさい、また、年金の積み増しをいたしなさい、こういうことだろうと思います。
 しかし、その利害得失を考えてみますると、さあ、それが果たして現下の景気情勢等から見て妥当であるかどうか。また、減税ということになれば、先々までずっと尾を引いていくのです。そういう今後の苦しい財政のたてまえ、そういうことから見ていかがなものであろうか、こんな感じがいたしまして、これは即答いたしかねます。
 今後の経済運営について、さらに、ただいま申し上げましたように、佐々木さんにおかれましては、減税、また社会保障費の積み上げというお話でございますが、減税政策がこの際好ましくないのだということにつきましては、るる申し上げてきたとおりでございます。
 また、社会保障費、特に年金の積み上げにつきましては、これはかなり五十三年度予算でも考慮をしておるわけなのです。財政の状況を考えますと、また将来の財政ということを考えますとき、この時点でさらに積み上げをするということはどんなものだろうかというような感じがいたしてなりません。
 またさらに、景気政策として住宅のことについて触れられましたが、これは建設大臣からもお答えがあるはずでございまするけれども、住宅公庫の貸出金利の引き下げ、民間住宅ローンの金利補給制度の創設、こういう制度が手厚くいけばいくほどいいに違いありませんけれども、これも国家施策全体のバランスの中で考えなければならぬ問題なのです。これは将来の財政負担も相当のものになる施策でございまして、これもここで直ちにこうだということは申し上げかねます。
 それから、土地対策につきましてのお話でございますが、これは先ほどもお答え申し上げましたとおりでございまして、万一の動きがありますれば、国土利用計画法を発動いたしまして対処いたします。
 それから、国防会議につきまして、もう少し国防会議らしくやれ、こういうお話でございますが、私は、この国防会議の運営につきましては、かねてから関心を持ってきておるわけでございますが、国防全体のあるべき姿につきまして、内外の諸情勢等を踏まえて、そうして議論を尽くした上、個々の付議案件というものが決定されていかなければならない、このように考えますので、御所見でもありましたが、御所見の線はさらにこれを推し進めてまいりたい、かように考える次第でございます。
 なお、国会に防衛委員会を設置すべしということ、これも私は大賛成なのです。今日までこれができなかったことを遺憾といたしておりますが、なお相談をお互いにいたしまして、この防衛委員会ができるようにいたしたいものだなあと、かように考える次第でございます。
 それから、日中条約の問題につきましては、諸般の状況をよく見定めまして、今後の手順、段取り、これを決めなければならぬ、こういうふうに考えておりまして、いろいろとまた御教示にあずかりたいと思います。
 最後に、いま時局は非常に重大でありますので、本当に、超党派といいますか、挙国体制で当たらなければならぬ、こういうお話でございますが、私もそのとおりに存じます。
 私どもも虚心坦懐、与党であるから、また与党のメンツがあるからというような、そんなけちな考え方はとりません。ひとえに日本国をどうするのだという立場で対処いたしますので、何とぞ、皆さんにおかれましても、日本国という立場でひとつ対処せられんことを私の方からもお願いを申し上げまして、お答えといたします。(拍手)
    〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#9
○国務大臣(櫻内義雄君) 佐々木委員長にお答え申し上げます。
 公営賃貸住宅の役割りを軽視しないようにという御意見を拝聴いたしました。御指摘のように、木造公営住宅の建てかえ事業の積極的な推進あるいは老朽化した低層住宅地の再開発、これらとともに、困難ではございますが、公共賃貸住宅建設にあらゆる努力を努めまして、私の責任を果たしてまいりたいと思います。
 それから、宅地難についてのお尋ねでありますが、公共事業の大幅増加により、さらに拍車をかけるようなことがあってはなりませんので、公共事業執行省庁に、地価公示法等に基づく適正価格による用地の取得あるいは地方公共団体に国土利用計画法の適確な運用、迅速な処理を指示いたしまして、地価の安定に努めておるところでございます。
 それから、関連公共施設整備促進事業費補助についてのお尋ねでございましたが、御意見の趣旨に沿っておりますが、すでに根幹的公共施設は極力国の補助事業として整備に努力いたしまして、地方債のかさ上げ、利子補給等の措置を講じておりまして、このたびの事業費は、別枠として新規に三百億円を計上いたしたものでございます。
 以上、お答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣中川一郎君登壇〕
#10
○国務大臣(中川一郎君) 日本農業に対する基本的な御提案がございました。
 わが国農業は、他の国と違いまして土地条件、気象条件が非常に厳しい中で経営しておりますから、並み大抵でないことは察しがつくところでございます。
 そこで、従来とも農業生産基盤の整備あるいは環境整備、さらには価格対策、構造政策、あるいは担い手対策、後継者対策と、各般の施策を強力にやってきたところではございますが、今後ともなお一層これらを強く推進をして農業を守っていかなければ、農業は単なる食糧を確保するというだけではなくて、生活を守る上での安全保障でもございますので、しっかりがんばっていきたいと存じます。
 なお、農業はまた消費者のことも考えなければなりません。単なる保護政策ではなくして、消費者向けのことも考えていかなければならない。それには生産コストの引き下げ、特に流通機構の改革については全力を挙げてまいりたいと存じます。
 また、消費者にも私はお願いしたいのでありますが、米がなぜこのように余るかというと、消費の減退でございます。わが国古来固有のこの米を日本から消してはならないというのは、農村だけではなくして、消費者も協力いただかなければならないところでございまして、一日一ぱいだけよけい食っていただけるならば、百七十万トンの無理な生産調整はなくて済むわけでございますので、(拍手)国会議員の先生方を先頭にして、国民各位の御協力を、米の消費拡大と米を原料とする日本酒についても御協力賜りたい、お願いをいたす次第でございます。(拍手)
 また、水産業についてもお話がございまして、まさにそのとおりでございます。約一千万トンの魚資源でございましたが、二百海里時代を迎えまして、約四百万トンが海外にこれを求めなければならないことになりました。アメリカ、カナダそしてソビエト、さらには北太平洋地域、非常に厳しいものがありますので、水産庁あるいは農林大臣といたしましては、水産外交を強力に展開いたしまして、この被害を少しでも少なくするように努力をいたしますと同時に、育てる漁業、この近海の魚を大切にしてまいるということから、沿岸漁場整備開発事業も昨年よりは七割以上も大幅にふやしまして対処する等、今後も最善を尽くしてまいりますし、安全操業についてもさらに強化をしてまいりたいと存じます。これによりまして、また減船をしなければならないということについては、手厚い処置を実情に応じて講じてまいりたいと存じます。
 どうかひとつ、何でも政府、足りないときも政府、余ったときも政府と、政府を責めるばかりではなくして、国家、国民が協力をするという姿勢をぜひともお願いする次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣宮澤喜一君登壇〕
#11
○国務大臣(宮澤喜一君) 佐々木委員長は、現在最も望まれておる政策は何かということを、貯蓄の問題と、いわゆる内に弱く外に強い円という形で、具体的に御指摘になったわけであります。
 そこで、確かに貯蓄率は相変わらずと申しますか、石油危機ごろまで二〇%ちょっと足らずでございましたけれども、四十八年からにわかに高くなりまして、最近ちょっと下がっておりますが、まだ二三、四%のところでございます。
 そして、何のために貯蓄をするかということになりますと、第一に病気や不時の災害、第二に教育、結婚資金、第三に土地、家屋、第四に老後の生活のためと、常にこの順序は変わりませんで、しかも、三番目に土地が来て家屋が来ておるということは、あるいはその貯蓄と家屋の取得ということの間にギャップがあり過ぎて、なかなかそれが結びつかない。たとえば財形貯蓄のような制度がもう少し発達しなければならない。三番目に来ておるということは、必ずしも需要が低いという意味ではないかもしれないというふうにも考えられるわけであります。
 それから、内に弱く外に強い円ということでございますが、たとえば円とドルの関係につきまして、アメリカの経済構造を考えますと、農業は非常に強い。それから工業の中でも高度のエレクトロニクスとか宇宙とか航空機エンジンとか、非常に高度の工業が強い。それに反してわが国の場合には、一般工業がむしろ現在では比較的にはもうアメリカよりも優位かもしれないということになりますと、いわゆる円というものは――あるいは日本のわれわれは耐久消費財には比較的恵まれておる立場にあるかもしれませんけれども、食費であるとか生活に直結いたしましたそういう食べ物の値段というようなものは、はるかにアメリカの勤労者の方が恵まれているということにやはりなってまいるであろう、おっしゃるとおりだろうと思います。その上に、土地の問題、住宅の問題というのは、日米では土地の状況は全く違っておりますから、そういう意味でも、わが国の円の購買力がドルに比べて内で弱いということは御指摘のとおりではないかと思います。
 そういうふうに具体的に御指摘になりましたことから、おまえはどういうふうに政策選択を考えるかとお尋ねでございました。私は、やはりいまとしては、何としても雇用のことを真っ先に考えなければならないと思います。何とかしてもう一度完全雇用という状況を確保して永続させたいということが、やはり政策選択の第一ではなかろうかと存じます。なお、その上でつくられました国民生活が、内にもその周辺でも安定した静かなものであるようにということは、物価とか、あるいは生活関連施設の充実ということになってまいると思いますし、それらを可能にする条件の整備としては、教育、社会保障、住宅、生活関連社会資本ということであろうと存じます。
 結論といたしまして、土地の問題にも御言及になりましたが、やはり土地政策あるいは産業政策、雇用政策、エネルギー政策等々に、政策選択によってその構造的な施策を考えていく、そのことがいまわが国の置かれました経済状態から最も大切なことではないか、さように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(保利茂君) 瀬長亀次郎君。
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔瀬長亀次郎君登壇〕
#13
○瀬長亀次郎君 私は、日本共産党・革新共同を代表して、当面する国政の緊急課題について質問いたします。
 まず第一に、円高危機打開の問題についてであります。
 現在、わが国経済と国民生活は、五年来の不況に円高危機が追い打ちをかけ、史上最高の中小企業倒産、かってない失業の増大、雇用不安など、一層深刻になっています。ところが、福田総理は、円高の原因について、日本の黒字過剰と通り一遍の説明しかしておりません。
 円相場の急激な上昇が起きたのは、一方では、アメリカが国際金融上の強大な力や、日米安保条約下の日本経済に対する圧力を強めて、円相場の余りにも急激な上昇を押しつけたからであります。もう一方では、低賃金、長い労働時間、労働強化、下請中小企業へのしわ寄せなどを武器に、自動車、家電、鉄鋼など、一部大企業が集中豪雨型の輸出で世界市場を荒らし、日本の黒字を大きくしたからであります。
 しかも、自民党政府は、国民にはインフレ、低福祉を押しつけながら、これら大企業の国際競争力強化のために、税制、財政、金融、行政指導など、あらゆる面で手厚い助成策を行ってきたのではありませんか。こうした低賃金、低福祉という経済の仕組みこそ円高の国内的な原因にほかなりません。
 総理、いま最も大事なことは、円高危機の根源を踏まえた経済政策をとることにあります。
 その第一の柱は、国民の購買力の向上であって、そのためには、労働者の実質賃金の引き上げ、全国一律最低賃金制の確立、労働時間の短縮、最低一兆円規模の大衆減税、年金制度の大幅な拡充などこそ、今日どうしても必要なのであります。(拍手)
 特に、大企業の国際競争力の秘密兵器となっている社外工制度、下請中小企業へのしわ寄せを続ける現行の仕組みに対して、抜本的なメスを入れるべきでありますが、総理の所見を承ります。
 施政方針演説は、これらの点に全く触れなかっただけではなく、逆に五十三年度予算案では、所得減税の見送り、福祉の圧縮など、またまた同じ誤りを繰り返しています。これでは、トンネルから出たと思ったら、またトンネルだったということになります。あなたのトンネル論議の具体的内容を、この際、明確にしてほしいものであります。(拍手)
 さて、以上の見地に立って、減税、年金、雇用などの緊急課題について具体的に伺います。
 まず、減税について、家族四人の標準世帯の課税最低限を二百八十万円に引き上げるなど、一兆円規模の大衆減税を行うことがどうしても必要であります。
 また、年金についても、老齢福祉年金、国民年金、厚生年金の引き上げなど、大幅な改善を図るべきであります。
 政府・自民党は、減税をしても貯蓄に回ってしまうので、不況対策としては役立たないと言っていますが、これは全く逆立ちした議論と言わなければなりません。わが国の貯蓄率が高いのは社会保障が極端に低いからであり、まさしくこれは歴代自民党の悪政の結果であります。(拍手)この点についての総理の所信を伺います。
 不況が長期化する中で雇用・失業対策の強化は目下の急務であります。このため、大企業については、人減らし合理化、残業、休日労働を厳しく規制するとともに、労働時間の週四十時間への短縮、週休二日制の実施などによって、積極的な雇用の拡大を図ることが必要であります。
 また、失業対策事業については、新規の失業者の就労を禁じている中高年齢者雇用促進法附則二条を廃止し、緊急対策事業に新たな失業者を吸収できるようにしなければなりません。
 特に注意を喚起したいのは、北海道、東北、筑豊、沖繩県など、失業多発地域についてであります。たとえば、沖繩県での失業率は、実に全国平均の三倍にも達しております。これらの地域では、政府が責任を持って雇用拡大に役立つ公共事業が進められるよう、緊急な対策が講ぜらるべきであると考えます。
 これらの諸点について、総理並びに労働大臣の具体的答弁を求めるものであります。(拍手)
 国民本位の不況克服策を進める上で、国民の購買力向上と並んで重要な第二の柱は、公共投資の中身を、これまでの大型プロジェクト中心のものから、国民生活の向上に直接役立つ生活密着型のものに大胆に転換することであります。住宅、学校、福祉施設など生活密着型公共事業は地方自治体によって行われ、その大部分が中小企業に発注されるところから、中小企業の経営危機を打開する面でも直接役立つのであります。
 私がここで特に問題にしたいのは、住宅金融公庫の融資の枠が大幅にふやされている反面、公共住宅が公営、公団を合わせて実に三万戸も減らされているという問題であります。
 総理、あなたは施政方針演説で、「住宅は国民の心のよりどころ、健全な家庭の支え、住宅の建設に特に重点を置く」などときれいごとを並べていますが、住宅政策の中心である公共住宅を後退させておいて、どうしてこのような白々しいことが言えるのでしょうか。もちろん公庫融資の改善も必要ですが、土地を手に入れられない住宅困窮者には、その恩恵は届きません。さらに、借金による持ち家は、返済に追われて、個人消費を逆に押し下げてしまいます。総理の言う「心のよりどころ」であるはずの住宅が、ローンの重みに耐えかねて自殺者まで出すという悲惨な事態もあらわれていることを考えるとき、補助率の引き上げや関連公共施設補助の拡充など、思い切った国の施策によって公営、公団住宅をふやすことこそ緊急な課題であることは、余りにも明らかであります。(拍手)
 全国で一千万に及ぶという住宅困窮世帯の切実な声にこたえて、こうした方向に政府の住宅政策を転換する意思があるかどうか、総理並びに建設大臣の答弁を求めるものであります。
 次に、農業の問題について伺います。
 高度経済成長政策に対する国民的批判のもとで、新全国総合開発計画に対する政府自身の総点検の中では、「食料自給度を高めることは明確な政策目標としては意識されていなかった。」と政策の誤りへの反省の言葉も見られました。総理、その反省はどのように生かされたのでありましょうか、お答え願います。
 福田内閣は、最近の日米経済交渉で、またもや農産物輸入拡大の対米譲歩を繰り返してきました。すでにわが国は、アメリカの農産物の最大の市場とされ、穀物自給率は三七%まで低落し、農業危機の最も深刻な国であります。わが党は、日本農業の破壊を一層進めるこのような取引を断じて許すことはできません。(拍手)
 さらに、政府は来年度から、今年度の二倍に当たる百七十万トンの米の生産調整を農民に押しつけようとしています。これは、面積に直せば九州全域の水田面積に迫る広さであります。
 総理、あなたはこのような無謀な米の減反押しつけ政策をやめ、麦、大豆、畜産物、てん菜、サトウキビなどにとりあえず米並みの労賃を織り込んだ価格保障を実現すべきであります。同時に土地改良、品種や栽培技術の改良によって、農家が稲作だけに依存しなくても済む条件を整備することであります。さらに主な農産物の自給率を高めることと、農業生産をわが国の基幹的な生産部門として位置づけ、その多面的、総合的発展を図る方向を確立すべきであると考えますが、総理並びに農林大臣の見解を伺いたい。(拍手)
 さて、総理は五十三年度の経済成長の目標を七%程度に置くと述べました。この数字は、日本経済の実情についての分析から引き出されたものではなく、政府がカーター政権の攻勢を一時緩和させる取引材料に使った外交的数字であることは明白であります。(拍手)
 ここで指摘しなければならないのは、政府の七%目標が国民に大きな被害をもたらすということであります。
 その第一は、事実上対外的公約として拘束を受けるため、達成不可能が明らかになった時期に再び攻勢をかけられるおそれのあることであります。総理は、達成不可能の場合、アメリカその他からの圧力はないと言い切れるのかどうか、まず明確にしていただきたい。(拍手)
 第二に、七%目標への数字合わせとして、財界がかねてから願っていた国債の大増発に踏み切ったことであります。その結果、来年五月までの税収の先食いという非常措置を除いた国債の実質依存度は、実に三七、八%にも達します。政府は、臨時、異例の措置などと言っておりますが、国債の大増発のツケを一体だれに回して後始末をつけるつもりなのか、いまこそ国民の前にはっきり示すべきであります。(拍手)
 戦前、緊急避難という口実で進められた国債増発政策は、侵略戦争の拡大と結びつき、国民が買わされた国債は、戦争中と敗戦後のインフレでただ同然にされたことを忘れるわけにはまいりません。大蔵省は、現在、財政収支試算の改定作業を行っておりますが、そこでは五十四年度からの一般消費税の導入が前提とされていると新聞は報じております。これは事実かどうか、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 また、このように膨大な国債の発行は、現在のように金融機関に資金がだぶついているとき、初めて消化することが可能なのであります。しかし、景気が少しでも上向き、民間の設備投資が起こると、国債との間で資金の取り合いになることは明白であり、これを避けるために日銀が大量の国債買い入れを行うならば、通貨の膨張をもたらし、激しいインフレを引き起こすことは必至であります。こうした事態を引き起こさない保証がどこにあるのか、総理の明確な答弁を求めるものであります。(拍手)
 次に、疑惑の霧に包まれている日韓癒着問題についてただしたいと思います。
 総理、あなたは日韓癒着について、かつて、不正のにおいもしないと述べられたのであります。しかし、問題のソウル地下鉄建設では、当事者の商社幹部の証言を通じて、血税を使った円借款事業でありながら莫大な不正工作資金が動き、うち約十億円はアメリカへ送金されていた事実がすでに明らかになっております。しかも、この金は、アメリカでのKCIAの買収工作資金に使われたとして、米議会は調査を始めようとしております。総理、これはまさに東京、ソウル、ワシントンを結ぶ重大な国際陰謀の一端を日本の政財界が担ったというゆゆしい問題ではありませんか。(拍手)総理は、この事態に対する責任をどう感じておられるのか。またソウル地下鉄事件を初め、日韓癒着の究明のため、どのような手だてを講ずるつもりか。明確にお答えを願います。(拍手)
 最後に、外交政策と安全保障に関する若干の問題について伺いたいと思います。
 総理は施政方針演説の中で、政治に対する基本理念の一つとして、平和に徹する信念について述べ、戦後三十余年、それに徹してきたかのように言われました。しかし、現実はあなたの言われたこととは全く相反するものであります。
 日米安保条約によって長い間日本がベトナム侵略戦争の重大な拠点となった事実と、それを許してきた政府の責任は一体どうなるのでありますか。沖縄から抱え得る限りの爆弾を抱えてベトナムに向かうB52爆撃機の真下で、この爆弾で殺されるであろうベトナムの人々のこと、これを許している自民党政府の犯罪的な責任を考えて、憤りを抑えることができなかったのであります。(拍手)
 総理、ベトナム戦争は終わりました。しかし、富士山ろくでも沖繩県下でも、米軍は、ベトナム当時よりもかえって基地を強化し、激しい演習を続け、朝鮮出動の訓練を強めているのであります。アメリカのカーター政権の軍事戦略についての大統領検討メモ第十号によれば、朝鮮半島に対してアメリカは必要とあれば航空母艦五隻、海兵隊二個水陸両用軍、戦闘爆撃機四百機以上に相当する二十四個飛行隊などを投入する態勢をとるというのが、最近のニューヨーク・タイムズ紙で明るみに出されました。
 この点でも、もし日本政府が断らない限りは、安保条約によってわが国はいつこれら緊急派遣部隊の一大中継拠点、発進基地とされるかもしれないという状況に、現に置かれているのであります。
 総理、これでは、あなたの平和に徹するという言葉も虚構でしかなかったということになるではありませんか。(拍手)総理、この明白な矛盾をどうするつもりなのか、はっきり説明していただきたい。
 施政方針演説では、また、いわゆる防衛問題に特に一項を割き、歴代内閣が述べてきた「必要最小限度」の言葉は取り除かれ、事実上、必要な限りの軍事力を備えるという考えを初めて明らかにしましたが、これは見逃すことができない重大な問題であります。(拍手)
 最近、国民の平和への強い願いに逆行して、財界や自衛隊首脳、福田内閣の閣僚などの不穏な発言が相次いでおります。新日鉄の稲山会長は、どこかで戦争でも起きて日本へ注文がどっと入らないとだめだと述べて、良識ある国民の批判を買いましたが、年が明けて金丸防衛庁長官は、公の場所で、敵に脅威を与えなくて何の防衛かと訓示し、進んで自衛隊を他国に脅威を与える存在にすべきだとの見解を示したのであります。
 福田内閣は、爆撃照準装置をつけたF15戦闘機の新規購入を決定しました。一昨年の国会で三木前総理は、わが国の防衛力は近隣諸国に脅威を与えるようなものであってはなりませんと述べていたのに、福田総理は、もはやそういう言葉も捨て去り、もっぱらアメリカに従属した、安保条約下の自衛隊の増強を推し進めようとしているのであります。
 また、政府は、安保条約・地位協定の実質的改悪につながる駐留軍労務費の一部を国民の血税で負担することをアメリカに約束しました。
 これらの背景は、まさにカーター政権によるわが国への軍事面の責任分担の押しつけとそれへの追随にあると見ざるを得ないが、総理、こういう危険な選択こそ、国民の名において直ちに取りやめるべきではないでしょうか、総理の明快な答弁を求めます。(拍手)
 ところで、本年五月には、国連軍縮特別総会が開かれます。この会議は、唯一の被爆国民、日本国民の念願である核兵器全面禁止の課題にとって、特別重要な意味を持っております。
 この点で、昨年、ワルトハイム国連事務総長が軍縮問題報告で、軍縮の社会的、経済的意義の大きさを詳細に述べながら、核軍縮に関する一連の部分的措置は効果がなかったと批判し、核の脅威に対処する唯一の方法は一切の核兵器の禁止と廃棄を確保する措置をとることである。それ以下の措置ではこの危険を効果的に減少させることはできないと力説していることは、きわめて重要であります。
 わが国でも、一九七四年五月、本院の全会一致の決議によって、すべての国の核兵器の製造、実験、貯蔵、使用に反対し、全面的な禁止協定が締結されるよう努めることを政府に求めたのであります。
 しかるに、政府は、昨年四月の軍縮特別総会についての日本政府見解で、一般論としては核兵器廃絶をうたいながらも、具体的提案では、ただ核実験の全面的禁止などの部分的措置を述べるだけで、核兵器全面禁止協定の締結には一言も触れていません。国際会議でも同様な態度に終始しているのであります。
 総理、こうした態度は、本院の決議に反し、国会をないがしろにするものと言わざるを得ないのではありませんか。(拍手)唯一の被爆国である日本政府こそ、核保有国に追随することなく、核兵器全面禁止の国際協定実現の先頭に立つべきなのに、なぜ政府はそれをしないのか、総理の率直な所見を承りたい。(拍手)
 総理、あなたは、施政方針演説で提起した方向を「進んで選択すべき道」と言われました。まさにいま、路線の選択が問われているのであります。しかし、総理が示した道は、これまで私が明らかにしてきたように、国民に犠牲と苦痛を強要するものであります。
 私は、現在の危機的状況を打開するには、大企業奉仕、対米追随の自民党路線を、国民生活優先、自主中立の方向に根本的に転換する以外にないことを強調して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 急激な円高をもたらした原因につきまして、日本の一部大企業が輸出を大幅に伸ばしたのだと、大企業罪悪論を展開されたわけでありますが、今回の円高、また国際収支の大幅黒字、これは、私は、基本的にはわが国の景気情勢にあると思うのです。景気が思ったよりふるわなかった、そういうようなことから外国からの輸入が予定のようにいかない、反面におきまして、国内で売れないものですから、ドライブがかかって輸出が伸びる、こういう結果になったところにある、こういう認識でこの対策をとっておるわけであります。したがいまして、円高、また経常収支の大幅黒字対策といたしましては、内需を振興いたしまして、そして景気を回復する、これが主軸であるという考え方をとります。
 なお、瀬長さんは、大企業がどうも行き過ぎたんだという関連におきまして、社外工制度とか下請企業へのしわ寄せ問題とかを指摘されておりますが、こういう不況の際には、こういう問題は心しなければならない問題である、この点につきましては、政府におきましても十分注意してまいろうと存じます。
 なお、瀬長さんは、所得税減税、これを強調されましたが、これは賛成できない。これは先ほど申し上げたとおりであります。
 また、福祉につきましても同様な見解でございます。
 また、課税最低限二百八十一万円にせい、こういうような御所見でございまするが、これも、同様の理由によって賛成できません。
 また、雇用拡大、また失業対策に万全を尽くせ、こういうことでございますが、これはそのとおりにしておるのです。さらばこそ、公共事業、雇用創出能力の多い公共事業の拡大に努力をいたしておる。また、失業が出た場合、また出る寸前の対策につきましても、万全を期していることはるる申し上げておるとおりでございます。
 それから、公共事業をやるにしても、大型プロジェクト中心から生活関連中心というところに転換せよというお話ですが、これは私は賛成でございます。しかし、大型プロジェクトといわれるものが全然排除されていいかといいますと、やはりこれからの国づくりの展望に立ちますると、そういうわけにはまいりません。生活環境整備を主にいたしまするけれども、国づくりのための投資、これはやっていかなければならない、かように考えます。
 また、公営、公団の公共住宅をふやせ、こういうお話でございますが、これは用地取得難、また公共団体やあるいは周辺住民との調整が難航いたし、そういう関係で、予算をつけましてもなかなか実行できない、そういう問題があるわけでございますが、これらの隘路を克服できますれば、これらの予算は拡大したいものだと考えております。
 また、農産物の輸入拡大に対米譲歩は許されない、こういう御主張でございますが、私ども、わが日本の農林水産業、特に零細な農業につきましては、これを守り抜かなければならぬというかたい考え方を持っておるわけでございます。ただ、これを守り抜く、また不安、動揺を与えないという配慮のもとにおいて、その枠の中において外国の要請を最大限に考えるということも、国際社会の中におけるわが日本の国といたしまして、これは必須の問題であるということもまた御理解を願いたいのであります。
 農産物の輸入につきましては、わが国農産物の需給動向を踏まえ、その他諸要素を勘案いたしまして、わが国農業生産の健全な発展と調和のとれた形で行われることが重要であるという立場を踏まえまして、善処してまいるつもりでございます。
 成長率七%、これは七%程度ということでございますが、これは何かアメリカから押しつけられてこうしたんだ、こういうような御感触の御発言でございましたが、るる申し上げておるとおり、アメリカに押しつけられて決めるべき性格のものじゃないのです。成長率は内政のこれはかなめである、それを、外国からとやかく言われたからそうしたんだというような性格のものでは断じてありませんから、誤解のないようにお願いを申し上げたいのであります。
 したがいまして、これはいわゆる対外公約というような性格のものじゃない。ありませんけれども、わが国が世界に対して何をもって貢献するかという世界の中における日本という立場を踏んまえ、また国内で何をいま政府に要望しているかということを考えるときに、この七%成長は何が何でもやってのけなければならぬ課題である、さように考えております。
 七%成長ができなかったときにはアメリカに対して約束違反となるのかというお話でございますが、これは何も約束でもなし、そういうものですから、約束違反にはなりません。なりませんが、政府は万難を排して七%成長を実現する、このことだけははっきり申し上げさせていただきます。
 国債大増発のツケはだれに来るのか、激しいインフレを起こさぬかというお話でありますが、国債政策を野方図にやっていきますとインフレにつながっていく危険はあります。ありますから、この国債の発行につきましては、これは節度を持たなければならぬ、そして、いやしくもこれがインフレにつながるというようなことはどうしても避けていかなければならぬ問題であるということは十分踏まえまして、対処してまいる考えでございます。
 なお、一般消費税の導入についてお尋ねでございますが、これは税制調査会でもそういう答申があるのです。ですから、これはいつというわけにはいきませんけれども、いつの日にかこの問題と取り組まなければならぬ、そういうときが来るだろう、こういうふうに思いまするけれども、これは、これからの物価の情勢、景気の情勢、そういうようなものを見て、そういう経済情勢と相背馳しないというたてまえのもとに実行しなければならない、そういう性格のものと御承知願いたいのであります。
 なお、ソウル地下鉄事件等につきまして、日本政財界が関与しておるというようなお話でございますが、日本政界が関与しているということは、私はまだどこからも聞いておりませんです。もし政府において調査権を発動しなければならぬという事態がありますれば、いつでも発動させます。しかし、そういう段階にはなっておりませんです。
 それから、在日米軍の演習がふえたというようなことにつきまして、何かお触れになりまして、御所見が述べられましたが、在日米軍は、極東の平和、日本の安全を守るためにやってきておるのです。これが、演習もしないでじっとしておったのでは、その役目は果たされないわけです。在日米軍が演習をするということは、当然のことと御理解を願いたいのであります。(拍手)
 また、アメリカの大統領メモなるものを引用されまして、在日米軍が日本国から朝鮮半島に作戦行動に出ることについての記事があるようでありますが、どう書いてありましょうとも、在日米軍が日本から発進して戦闘作戦行動に移るという際におきましては、これは日本政府との間に事前協議が必要であります。そのことをしかと御理解を願いたいのであります。
 金丸長官の発言に対しまして御言及がありましたが、金丸防衛庁長官の習志野における訓示の内容につきましては、防衛の任務を全うするため、侵略を抑止し得る精強な自衛隊であるべきだとの所信を述べたものでありまして、危険と言うには当たらないものであると、かように考える次第でございます。
 在日米軍の労務費の一部を日本側が負担することにつきましては、駐留軍従業員の保護、雇用関係の安定の確保の見地から行う措置でありまして、いわゆる防衛費の分担あるいは肩がわりを意図して行ったものではございません。
 それから、国連軍縮特別総会で日本は核兵器全面禁止の国際協定実現の先頭に立つべしと、こういう御主張でございますが、わが国は、世界で本当にユニークな立場にあるわけです。核兵器の洗礼を受けたただ一つの国である、またいわゆる平和憲法を持っておるただ一つの国である、そういう国でありますので、わが国の目指すところは、核兵器の世界的廃絶でございます。
 しかしながら、そうは申しましても、それを幾ら唱えましても、これは、いま世界の政治の現実というものが、すぐ実行されるというような情勢ではございません。そこで、現実的な態度をとるわが国政府といたしましては、まず包括的核実験禁止協定の実現、これを目指すべきだという考え方を持っておるわけでありまして、そのような行動をいたしたい。しかし、そういうような実績を積み上げながら核兵器を世界から廃絶させるということに持っていきたい、かように考えている次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣藤井勝志君登壇〕
#15
○国務大臣(藤井勝志君) 瀬長議員の御質問に答えます。
 雇用、失業対策につきましては、雇用安定資金制度を積極的に活用することにより、人員の削減を極力避けるなど、失業の予防に万全を期したいと考えております。
 中高年齢者雇用促進法の附則の二条を廃止して、失業対策事業に新たな失業者を吸収するべきではないかというような趣旨の御質問でございますけれども、失業対策として特別の事業を起こして一時的に失業者を吸収するという方式は、これまで必ずしも再就職の促進につながらない面もあったことから、失業対策事業を拡大する考えは持っておりません。
 しかしながら、現下の雇用、失業情勢にかんがみ、政府といたしましては、先刻来いろいろお話が出ておりますように、公共事業を中心とした積極的な財政運営によりまして、一刻も早く景気の早期回復を図って、雇用機会の拡大に努めようということに全力を尽くすわけでございますが、雇用対策といたしましても、雇用安定資金制度の活用によりまして失業の発生を未然に防止するとともに、不幸にして離職を余儀なくされた人々に対しては、雇用保険制度、職業転換給付金制度等を活用し、また、先般制定されました特定不況業種離職者臨時措置法に基づく各種の措置を強力に実施することにより、失業者の生活の安定と再雇用の促進に努めることにいたしたいと思うのであります。
 さらに、雇用開発の促進を図る目的として、中高年齢者を雇い入れる事業主に対して新たに助成措置を設ける等、民間の活力を生かして雇用機会の拡大に努めてまいりたいと考えております。
 沖繩等失業多発地帯におきましては、各種の就職援護措置の活用を図りつつ、広域職業紹介を実施するなどにより、失業者の再就職の促進を図っておるところでありますが、さらに、中高年齢者を雇い入れる事業主に対しては、ただいま申し上げたような新しい助成措置によって雇用機会の拡大を図りたいと考えております。
 また、公共事業につきましては、いわゆる十五カ月予算の考えのもとに大幅に拡充された予算編成が行われたところでありますが、今後、これらの地域において実施される公共事業については、法律に基づく失業者吸収率制度を、沖繩においては六〇%、積極的に活用する等によって、失業者の雇用機会の拡大に努めてまいりたいと考える所存でございます。
 以上で終わります。(拍手)
    〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#16
○国務大臣(櫻内義雄君) 瀬長議員にお答え申し上げます。
 公共住宅後退についての御批判等、お考えをお示しになったのでありますが、これにはいろいろ原因があります。その原因の中で、関連公共施設について地元公共団体との調整が困難であったり、あるいは生活環境施設について周辺住民との折衝がむずかしいなどがございますので、昭和五十三年度の予算案におきまして、関連公共施設整備事業と公営住宅敷地整備事業を新たに創設をいたしまして、隘路打開に努めておる次第でございまするので、御理解のほどをお願いいたします。(拍手)
    〔国務大臣中川一郎君登壇〕
#17
○国務大臣(中川一郎君) 対米関係につきましては、総理から御答弁のあったとおりでございます。
 また、百七十万トンの生産調整をやめろということでございますが、今日の米の過剰事態に対処して、これはやめられない緊急のものでございまして、ぜひとも農家の皆様方の、あるいは関係団体、地方公共団体の協力をいただいて推進してまいりたいと存じます。
 なお、御提案のありました麦、大豆、てん菜、サトウキビ、こういったものに対する価格対策を十分講ぜよ。
 これはすでに昨年からでございますが、生産奨励金というものが価格のほかにあったのでございますけれども、これを価格に織り込む等、対米価において遜色のないようにという努力をしてまいりましたし、今後も一層やってまいりたいと存じます。
 なお、土地改良、品種、栽培技術の改良を並行してやるようにということでございますので、これは御指摘のとおりやってまいりたいと存じます。
 なお、自給率につきましては、農林省としては、「農産物の需要と生産の長期見通し」、各作目別、いろいろございますが、総合自給率としては七五%を目標といたしておるところでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○副議長(三宅正一君) 河野洋平君。
    〔河野洋平君登壇〕
#19
○河野洋平君 私は、新自由クラブを代表し、今日わが国は二十一世紀を生き抜くための重大な転機に立っているという認識に基づいて、福田総理に対し、国政の基本について質問をいたしたいと思います。
 総理、戦後三十年、わが国は幾たびも大きな転機に直面してまいりました。しかし、そうした転機をわれわれは国民すべての英知と活力によって乗り越えてきたのであります。
 わが国は、いま地球資源の有限性という世界共通の壁の前で、世界のすべての国々とともに生きるための役割り、さらには国民の価値観の多様化を背景とする内政上の諸問題を抱えております。
 しかし、私たちは、国民が依然として転機を乗り切るための英知と活力を失っていないことを確信しております。わが国にとって最大の問題は、転機に対応する能力を政治が欠いている点ではないでしょうか。転機に対応する能力を欠いたとき、そのときこそ危機であり、それゆえに政治に携わる者は大きな責任を負っていると自覚せねばならないと思います。(拍手)
 問題は二つあります。一つは、今日の政治に理想と問題解決の勇気がないことであります。もう一つは、そのために国民が政治を信頼していないという事実であります。
 総理、あなたが政権を担当されてから一年、あなたは問題解決のためのどんな勇気と理想を示されたのでございましょうか。私たちがたびたび指摘してきたように、あなたのおっしゃる「連帯と協調」は、手段ではあっても、政治が目指すべき目標ではないのではありませんか。その連帯と協調でさえ、言うだけで実行しなかったために、アメリカやEC諸国などとの貿易上の摩擦を招いているではありませんか。(拍手)円高不況を深刻化させてしまったそのあなたの手でこの転換期を乗り切ることはできないのではないかと私たちは憂慮せざるを得ないのです。
 総理、あなたは、昨年のいまごろ、この壇上から国民に対して満々たる景気回復への自信を示されました。私たち新自由クラブが、財政の均衡にばかり気をとられず、国債依存率三〇%を超えてももっと大胆な景気刺激策をとるべきだと与野党を通じてただひとり主張したのに対し、それを一顧だにしなかったではありませんか。(拍手)ところが、一年たったいま、あなたは突如として方針を大転換され、水ぶくれ予算としか言いようのない予算を編成されました。このような政策の大変更が、政治責任を問われずに行われて一体よいものでございましょうか。(拍手)
 昨年のあなたの見通しをもとに経営方針を立てた人もおられるでしょう。やがて景気はよくなるのだと信じて、家屋敷を担保に資金を借り入れた町工場の経営者もいるのではないでしょうか。政治はもっと確実な指針を国民に与えるべきだと思います。あなたは、昨年二月、わが党の西岡幹事長の質問に対し、予算委員会の席上で、「国債依存度は三〇%という関門を設けている。この関門を越したら大変なことになる」とみずから言っておられるではありませんか。
 さらに、いまからわずか三カ月前の昨年の十月、わが党の柿沢参議院議員に対して、「公債をうんと出して、公共事業をどんどんやる、減税もやる、そういうことにしたら、景気はすぐよくなる。しかし、その後一体どうなるんだ、私どもは今日の状況だけを考えているんじゃない。来年のことも再来年のことも未来永遠の日本国のことを考えているんだ」、そう総理はお答えになっておられます。
 ところが、五十三年度予算はどうですか。緊急異例の名のもとに、国債依存率が実質三七%という超大型予算を組まれました。あなたは、経済政策の主柱としていた健全財政論などはかなぐり捨ててしまったではありませんか。あなたの持論によれば、来年、再来年は一体どうなるのでございますか。お答えをいただきたいと思います。
 政治への信頼を取り戻すために、私たち立法府も、国権の最高機関にある者としての責任をもっと積極的に果たすべきだと自覚をいたします。与野党伯仲時代を迎えた国会は、明らかに行政府に対しあるべき姿を取り戻しつつはあります。自民党の幹事長は、立法府優位の動きも出始めたと述べておられますが、その言葉自体、これまでの長い自民党絶対多数時代においては、行政府と立法府との関係が行政府優位であったことの証明でありましょう。私たち新自由クラブが、立党以来、あしき前例の打破など、国会の改革を提唱し続けてきた真意は、国会を国民の意思が反映する場として、行政の独走を監視する場へとよみがえらせたいということにありました。(拍手)
 一年前の五十二年度予算の修正は、立法府の復権の象徴でもあり、私たちの議会制民主主義の健全化に果たした役割りは決して小さくはないと自負をいたしております。
 しかしながら、まだまだ十分ではありません。たとえば、昨年の日航機ハイジャック事件に際し、政府は二度目の超実定法的措置をとり、過激派犯人に加えて、凶悪犯、それも係争中のものまでも含めて釈放する措置をとりました。しかし、本来、このような法を超えた措置を立法府の存在を無視して行うことは、議会制民主主義の本旨からして正当ではないと私は思います。私は、政府のとった事件の処理方法を云々しているのではありません。しかし、一方的に超法規の措置をとり、質問に答える以外は、いまだに立法府、つまり国民に向かって何の承諾も求めようとしない総理の態度は、そのこと自体が、逆に法治国家の崩壊を進める危険をはらんでいるというほかはないのです。私は、総理に対し、こうした態度を慣例化しようという横着さを捨てるよう勧告したいと思います。(拍手)
 次に、私は、行政の改革についてお尋ねをいたします。
 総理、国民は、簡素で効率のよい政府をつくるための行政改革を求めています。能率の悪い、わかりにくい行政機構の改革こそ、勇断をもって断行されねばなりません。昨年、あれだけ声高に行政改革を公約されたあなたが、それなのに官僚や与党内の反対の中であなたの実行できたことと言えば、地方事務官の整理などにとどまって、民間企業の営々たる努力に比べれば、全く国民の期待を裏切るものとしか言いようがありません。
 施政方針演説の中で、あなたは、おくめんもなく、行政改革に着手したと述べられましたけれども、それは一層の政府不信を招くだけでありましょう。と同時に、私たちは、いまこそ転換期に対応する官庁機構の抜本的見直しを重ねて提案をしたいと考えますが、御所見をお漏らしいただきたいと思います。(拍手)
 さて、私は、ここで、すでに各党代表によって、農林漁業、中小企業、さらには社会福祉、災害対策など、広範な質疑が行われておりましたので、論点を経済、外交、教育にしぼって質問を進めさせていただきます。
 私たち新自由クラブは、昨年、景気刺激には多様な手だてが必要であって、公共事業一辺倒の対策では不況の克服はできないと指摘をいたしました。しかし、福田内閣は、公共事業の神話を捨て切れず、結果的に大失政を招いたのであります。
 私たちは、減税による個人消費の喚起が必要だとして、一兆円の所得税減税を要求し、実際には三千億円の上積み減税にとどまりました。しかし、あの措置がなければ、経済はもっと深刻な状況に陥っていた、そういう見方もあると思います。
 総理が依然として公共事業だけに景気波及力を期待されるのは不可解であります。しかも、五十二年度の公共事業消化率は、いまだ七八%ではありませんか。地方財政の逼迫によって、地方公共団体にはこれ以上の消化能力を期待できず、資材の不足や住民の理解を得るための必要な時間を考えれば、あのような巨額な来年度公共事業費が順調に消化される保証はないのではありませんか。事実、地方公共団体や識者も一様にこのことを危惧しております。これほどの心配があるにもかかわらず、あなたは依然として公共事業一本で景気の回復ができると本当に信じておられるのでしょうか。重ねてお尋ねをいたします。
 特に、あなたは社会資本の充実が大切だとして、住宅建設への配慮を強調されておられますが、総理府調査によれば、借家住まいの人々のうち五三%の人たちが、土地がないことを理由に持ち家の計画を放棄せざるを得ないと言っているではありませんか。住宅融資をふやし、住宅ローンの優遇措置を図ったと言っても、安い土地を円滑に提供する政策を進めない限り、住宅建設が促進されるはずはありません。土地政策について具体的な政策があれば、この場でお示しを願いたいと存じます。
 また、私たちは、土地や持ち家を持たない人々に対する施策として、有効な土地供給策がない現状では、家賃の所得控除によって、借家住まいの人々が少しでも広くて便利な住まいを確保できるよう配慮すべきだと考えておりますが、いかがでございますか。
 次に、構造不況対策についてお尋ねをいたします。
 総理は、さきの演説の中で、構造不況業種へのきめ細かい対策を強力に進めると述べておられますが、この構造不況対策はきわめて重大な問題を含んでおります。通産省が立案中の特定不況業種安定臨時措置法案は、その対策の必要性は認めるといたしましても、立案に当たって、これが統制への第一歩になるおそれはないか、十分考えなければならないと思います。
 不況業種の認定基準があいまいで、官庁の指導力が強化され、改正独禁法の形骸化につながりはしないかという危惧を抱かざるを得ないのでございます。企業の活力と創意を尊重した、健全な活力ある自由主義経済を志向する私たち新自由クラブは、経済政策の基本に触れるものとして、この問題に重大な関心を持たざるを得ません。総理の御所見を問いたいと思うのでございます。
 さきの日米通商交渉の結果、ともあれ総理は、再び世界に五十三年度七%経済成長の達成、経常収支六十億ドルの黒字及び国内市場の開放促進を公約されました。あなたが、公約ではない、政策目標だと言われても、国際的にはそれが通用するはずもありませんし、先ほど来のやりとりを伺えば、日米経済交渉の中では七%と明言をされ、国会における所信表明演説では七%程度とおっしゃっておられるのは、何かわれわれには割り切れない思いがいたします。日米交渉の中で、およそ七%というのが原案であって、日米間でかなりのやりとりがあって、それが七%とはっきりされたといういきさつがあるというふうに私どもは聞いておりますが、そう聞けば聞くほど、この問題、はっきりとさせなければならないと私は思います。
 と申しますのは、ロンドン会議における六・七%成長、経常収支七億ドルの赤字の公約は、半年もたたないうちに成長率は二割減、経常収支は逆に十倍の黒字になりました。このことを海外では、著名なジャーナリスト、レストン記者が、日本政府の見通しのずさんさか、それともだましたのかと強く批判をし、国内でも、民間だったら完全に取引停止か出入り差しとめものだと言っているではありませんか。
 日本が今回の公約の遂行に失敗すれば、一転して対日批判の激化につながることは間違いありません。そうした事態を回避するためにも、私たちから考えれば、なすべからざる約束とはいえ、七%の目標を達成することを総理はお約束になってしまったわけであります。そのためには、公共事業一辺倒にこだわらず、一兆円規模の所得税減税を思い切って実施すべきだと私どもも考えますが、総理の御所見はいかがでございますか、重ねてお伺いをいたします。
 次に、為替の問題について伺います。
 政府は、為替レートについて一ドル二百四十五円程度を五十三年度経済見通しの前提としておられますが、経常収支の黒字傾向から見て、もっと円高になるのではないかという見方が一般的であります。総理はどのように見ておられるか、お示しをいただきたいと思います。
 あわせて、為替の自由化のみならず、資本の自由化を柱とする開放体制について、総理はどのような御方針をお持ちか、農産物の輸入自由化をも含めて、基本的な考え方をお伺いしておきます。
 私たち新自由クラブは、昨年当初から日本の国際的政治責任の遂行を求め、日米関係そのものについても、表面的な成熟した関係の背後に、深刻な心理的ギャップが内在しているのではないかと指摘して、日米関係の将来に甘い見通しは禁物であることを主張し続けてまいりました。しかし、総理は、世界的な役割りを果たす体制をわが日本はとるべきだと言いつつも、何ら積極的な施策を講ぜず、事態の悪化を招いております。総理、私たちは日米両国の関係は、いまや、かつてのようなわれわれがより多く依存する関係から、よき競争相手という関係になったと見るべきであります。
 それとともに大切なことは、わが国が国際社会の重要な一員としての役割りを円滑に果たすためにも、世界に対し、みずからの伝統、文化などをもっと丁寧に説明し、理解を求める努力を続けていくことが必要だと私は考えます。
 わが国の国際文化交流に使われている予算は、欧米先進国の十分の一程度であります。総理が外務大臣当時に創設をされた国際交流基金は、あなたの華々しく打ち上げられた一千億円基金という目標はどこへやら、五十二年度でやっと三分の一の三百五十億円にとどまり、実際の活動資金はわずかに三十億円。たとえば、この基金によって海外の日本語講座に派遣されている専門家はわずか三十七人、来年度予算での増員はたった三人ではありませんか。つい先日も文化勲章受章の経済学者森嶋通夫ロンドン大学教授が、英国の日本研究に政府の補助金をもらおうと奔走をされたが、ついに国の予算がとれずに英国に帰ったという報道がありました。
 黒字減らしと言えば、すぐウランや航空機を大量に輸入しようというつけ焼き刃的な対策ではなくて、じみちで国際的な理解を求めるための文化交流の促進にこそ全力を挙げるべきだと考えますが、いかがでございましょう。
 次に、私たちが一貫して主張している日中平和友好条約の早期締結について伺います。
 この条約に対する最近の総理の行きつ戻りつする言動を見ると、このような外交問題を内政問題や政権維持と絡めて政略的に処理しようとしているのではないか、そういう疑問さえ抱きたくなるのです。日中平和友好条約がわが国やアジア、太平洋の平和と両国国民の利益のためにどうしても必要なものであるという原点を、目的を思い起こして決断をされるべきだと考えます。総理の明瞭な御見解をちょうだいをしたいと思います。
 さて、総理、私たちは立党以来、教育立国を主張してまいりました。教育にすべてをささげて国会再開直前に亡くなった同僚刀祢館正也議員は、教育の基本は民族の独立と世界の平和に深く根差すところの真の国民教育を樹立することだという言葉を残しました。今日行われているような現行六・三・三制度下での新指導要領づくりのような小手先の改革では、多数の自殺者すら出して、混乱する子供たちにゆとりと明るい希望を抱かせるようなことはできないでしょう。
 かねてから提案している私たちの学校制度の改革について、おざなりの、検討しますという答弁ではなくて、人づくりが大切だと所信表明で述べられた総理、あなたがまじめに取り組まれるおつもりはないか、お尋ねをいたしたいと思います。
 同時に、長年の私たちの主張でやっと着手した大学入試の改革も、まだまだ中途半端なものにすぎません。そのために、せっかくの改革が新しい弊害をもたらす可能性さえ出てきています。そのほか私学の入試問題など、入試制度全体の改革を今後どのように進めていかれるか、所信をお聞かせください。
 私たちは、教育の重要性を考え、教育重視の立場から、今日の教育費の高騰に苦しむ多くの父兄のため、教育費減税を要求いたします。幼稚園から小中高、そして大学まで、入学金、授業料の値上がりに、子供の成長を願う親たちの望みも消えそうです。私学に大きく依存しているわが国の教育を考えれば、学費の値上がりもまたやむを得ない点もありましょう。なればこそ、その有効な対策は私学助成とともに教育費減税であると考えますが、お考えはいかがでございましょうか。
 また、私たちは、教育を学校という枠内だけで考えず、日常生活の中から自然によき伝統、文化を継承できるようにする、そのために三世代の交流、地域のコミュニティーづくり、質の高い芸術との触れ合いなど、観念論を説くだけではなく、予算に反映させるべきだと考えます。
 総理、あなたの言われた国際社会におけるわが国の責任遂行のために、いまなすべきことの一つに、海外生活者の子女教育と留学生の問題があります。
 今日、海外にいる小中学生の数はおよそ一万九千人、父兄が帰国後のことを考え、国際人としての体験をあえて放棄させている子供たちを加えれば、優にその数は二万人を超すこれら国際人の卵をりっぱに育てることが、あなたの考えを進めることになるはずです。しかし、今日、帰国子女を受け入れている学校はわずか二十四校にしかすぎません。せっかく海外生活をしながら、日本語教育に追いまくられたり、一人だけ先に日本に帰されたりしている多くの子供たちの経験をもっと大切にするためにも、空演説だけでなく、もっともっと実態を見詰めることから始めていただきたいと思います。
 これに関連して申し上げたいのは、いまでも語り継がれて私たちに大きな影響を与えている札幌農学校のクラーク先生や、松江中学校のラフカディオ・ハーン先生の先例であります。こうした外人教師が与えたさまざまな物の見方、考え方こそ、今日のわれわれに必要なものではないのでしょうか。海外の経験者も、またそうした経験を持たない若者にも、時としてこうした指導者にめぐり会う機会を設けることは、大切な政治の仕事ではないでしょうか。国家公務員法を盾にとったり、留学生のお世話は世話がやけてどうもなどと、とかく外国に対して開かれていない教育界をこの際思い切って改革すべきだと思いますが、総理の御所見を伺いたいと思います。(拍手)
 総理、私は、今日の転機を乗り越えるための基本認識として、私たちが戦後三十年無言のうちに合意してきた、文化国家をつくろうという目標をもう一度確認したいと思うのであります。私たちが目指すべき目標はまさにそこにあるのであって、重要ではあっても、経済論議はその手段であるべきなのであります。私たち新自由クラブは、この基本認識を踏まえて、果敢に未来へ挑戦を試みてまいります。
 総理、あなたが過去一年間の無責任政治の反省もなく、問題解決への勇気もない政治を続けられるならば、わが国が遠からず償うことのできない危機を迎えることは明らかです。政治責任を大切にするならば、福田総理は、この一年の失政の責任をとられるべきではないでしょうか。(拍手)
 一国の命運を担った総理の、政治家としての良心に基づいた行動を強く求めて、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#20
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 河野さんは、私が協調と連帯という手段、政治手段だけを強調しておって、私の政治的な考え方は述べておらぬというようなお話でございますが、私は施政方針演説ではっきり言っているのです。特に最後にまとめて言っておるのですが、第一は、とにかく平和国家に徹することである、第二は、国際社会において責任を尽くすことである、第三は、国づくりの基本は人づくりにある、こういうことを言っておるわけであります。よくまたひとつお読みおき願いたいと思うのであります。(拍手)
 なお、河野さんは、私が今度公債を多量に発行するということに踏ん切りをつけた、こういうことは政策転換だ、責任にもかかわる政策転換だというお話でございますが、私は、これも施政方針演説で申し上げておるのです。私の経済運営に対する基本的考え方は変えておらぬ、もと来た道に戻るのじゃありません。前々から私が主張しておるところの安定成長社会、これへの道を求めておるのだということをはっきり申し上げておるわけでありまして、その既定の路線を進むための手段として、臨時異例の措置として多額の公債を発行するというだけの話でありますから、そうとげとげしくお考えになるのはいかがでございましょうか。このように考える次第でございます。
 また、先般のハイジャック事件の処理に関しまして御所見が述べられましたが、私は、このハイジャック事件に対しましては、緊急かつ異常な事態のもとにおいて、他にとるべき方法もなく、人命尊重の見地から、内閣の責任と判断において所要の措置をとったものであります。しかしながら、まことに異例の緊急措置でありますので、あの事件後の十月三日の第八十二回国会の冒頭に、国会に特に御報告して政府の責任を明らかにしておる、こういう次第であることをまた御理解を願いたいのであります。
 行政改革を積極的に推進せよ、こういうお話、これは全く同感でございます。
 中央機構につきまして、私の思うようにならなかった点につきましては先ほど申し上げたとおりでありますが、今後ともこの問題につきましては精力的に取り組んでいきたい、かように考えております。
 景気回復の手段といたしまして、公共事業だけでなくて、まず減税をひとつやれというお話でございますが、減税問題についての所見はしばしば申し上げたとおりであります。
 また、特定不況業種安定臨時措置法、これは問題がある、企業の自由を束縛し、独禁法を形骸化するものではないかというような御所見でございますが、独禁法を形骸化するような、そういう大それた考え方は持っておりません。
 ただ、いまわが国が当面しておるところの最大の経済問題は何かというと、一つは、公債の発行というような財政措置、そういうことによって経済のかさ上げをする、それから同時に、構造不況業種に対する対策を強力に進めなければならぬ、こういうことでございます。この辺は御理解願えると思うのでございまするけれども、それにはやはり過剰設備を廃棄しなければならぬ。この過剰設備の廃棄というものは、業界全体が足並みをそろえなければならぬ、こういう問題がありますので、その辺を法制化しようという見解もあるわけでございまするけれども、いずれにいたしましても、御懸念のようなことはないように法案の作成に当たりたい、かように考えておる次第でございます。
 それから、七%成長、またお触れになりましたのですが、これはもうしばしば申し上げたところでありますので、御理解を十分願った、こういうふうに思うのですが、この七%程度の成長、これにつきましては、これはもう本当にアメリカとの間の交渉の過程から生まれたものじゃない。これは、はっきり申し上げますれば、アメリカはわが国の成長の高さについて言及しようとしたのです。私はそれを拒否したのですよ。そういういきさつがあるくらいなものでありまして、私であろうと、河野さんが内閣首班になられましても、一国の成長の高さを海外に約束する、そんなことはよもやいたすまい、かように考えますので、篤と誤解のないように御理解を願いたいのであります。(拍手)
 また、教育減税のお話がありましたが、これも先ほど申し上げましたとおり、なかなか私どもとしては承服できない問題であります。
 それから、宅地対策を強力に進めよ、こういうお話でございますが、これは、国土利用計画法を中心といたしまして、インフレのない宅地政策、これを進めてまいりたい、かように考えております。
 また、日米間のこれからの見通しはどうかというお話でございますが、日米関係はいま本当に成熟しておると思うのです。これは、世界にとっての日米関係、世界の中での日米関係と、こう言ってもいいと思うのですが、とにかくアメリカは、経済的に見ますれば世界第一の大国でございます。わが日本は、自由社会で第二の立場にあるわけです。その二つの協力関係というものは、これは二国の間の関係だけの問題じゃない。これは世界に影響のある問題でありますので、日米相互とも、そういう理解のもとに緊密な連絡、協調をなし遂げておる、こういうことであり、この間の、去年の春からのあの核再処理の問題にいたしましても、去年の秋からの経済の問題にいたしましても、話し合いで十分話がつく問題のみであります。今後とも、日米は、さような世界のための日米関係という立場で相協力いたしてまいりたい、かように考えております。
 今後の為替レートの見通しはどうかというお話でございますが、これは申し上げるわけにはいかぬ。御理解のほどを願いたいのであります。
 為替管理の自由化についてどういうふうに考えておるかというお話でございますが、いまわが国の為替管理は原則禁止・例外自由、こういうたてまえでできておるわけであります。これを逆さにいたしまして、原則自由・例外禁止、こういうふうにいたしたい、かように考えております。
 資本の自由化につきましても同断でございます。
 農産物の輸入自由化の考え方はどうかというお話でございますが、農産物の輸入自由化は、総合食糧政策の推進に支障を及ぼさないことを旨といたしまして対処する考え方でございます。先般行うことといたしました一部品目の自由化につきましても、この方針に十分沿うものでありまして、今後のわが国の残存輸入制限品目につきましても以上の方針で対処する、このような考えでございます。
 文化交流に熱心でないというおとがめのようでございますが、私は、この国際文化交流には熱心な方なんですよ、いわゆる文化交流基金の創設の提唱者でもあるわけです。今後とも文化交流には、これが提唱、推進の先端に立ちたい、かように考えております。
 日中平和友好条約締結の問題につきまして、私の考え方が何か行きつ戻りつというようなお話でございますが、私は前を真っすぐに進んでおるというだけでございます。私の行き方、これにつきましては、素直にお受け取り願いたいということを強く要請いたします。
 それから、高校入試の改善策につきましてでございますが、入学者選抜に当たっての具体的方法につきましては、今後ともそれぞれの地域の実態を配慮しながら定めることが適当と考えますので、各都道府県の主体性を尊重しつつ、適正な選抜が行われるようにいたしたい。
 それから、大学入試の改革につきましては、これは河野さんよく御承知のとおりでございますが、大学教育の第一歩として、大学の自主性のもとに改善が図られることが望ましいのでありまして、私立大学におきましても、共通第一次学力試験への参加を含め、自主的に入試改善の検討が続けられるようにぜひお願いをいたしたい、かように考えております。
 海外帰国子女の受け入れ体制を整えるべきと思うがどうかというお話でございますが、これは至極ごもっともなお話でございまして、できる限りの配慮をいたしてまいりたい、かように考えます。
 日本人の国際的視野を広めるため、中学、高校、大学へもっと多くの外国人教師等の招聘を考えてはどうかというようなお話でございますが、この問題も、いわゆる外国人を直接学校に配置するそのことについて、いろいろ受け入れ体制の問題等もあるようでございますけれども、今後十分検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
 最後に、河野さんは、文化国家を志向しておるというお話でございますが、私も施政方針演説でも申し上げておるのです。「国づくりの基本は人だ」、こういうふうに申し上げておるのです。物ばかり偏重してはいかぬということを強調しておるわけなんで、まさにあなたのお考えとも相通ずる何物かがあるようでございます。
 何かこの私に、過去一年間の政治について責任をとれというお話でございますが、どういう責任を、どういう点について、いかようにしてとるのか、その点を御教示願えますれば、答弁をいたします。(拍手)
#21
○副議長(三宅正一君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
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#22
○副議長(三宅正一君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        文 部 大 臣 砂田 重民君
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
        農 林 大 臣 中川 一郎君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        運 輸 大 臣 福永 健司君
        郵 政 大 臣 服部 安司君
        労 働 大 臣 藤井 勝志君
        建 設 大 臣 櫻内 義雄君
        自 治 大 臣 加藤 武徳君
        国 務 大 臣 安倍晋太郎君
        国 務 大 臣 荒舩清十郎君
       国 務 大 臣 稻村左近四郎君
        国 務 大 臣 金丸  信君
        国 務 大 臣 熊谷太三郎君
        国 務 大 臣 宮澤 喜一君
        国 務 大 臣 山田 久就君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 真田 秀夫君
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ソース: 国立国会図書館
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