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1977/02/28 第84回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第9号
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1977/02/28 第84回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第9号

#1
第084回国会 本会議 第9号
昭和五十三年二月二十八日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第八号
  昭和五十三年二月二十八日
    正午開議
 第一 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を
    改正する法律案(内閣提出)
 第二 環境庁設置法の一部を改正する法律案(
    内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 原子力衛星規制に関する決議案(細田吉藏君外
  十一名提出)
 日程第一 関税定率法及び関税暫定措置法の一
  部を改正する法律案(内閣提出)
 日程第二 環境庁設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 加藤自治大臣の昭和五十三年度地方財政計画に
  ついての発言及び地方税法の一部を改正する
  法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一
  部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
  及び質疑
    午後零時八分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○加藤紘一君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、細田吉藏君外十一名提出、原子力衛星規制に関する決議案は、提出者の要求のとおり、委員会の審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
#4
○議長(保利茂君) 加藤紘一君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
    ―――――――――――――
 原子力衛星規制に関する決議案(細田吉藏君外十一名提出)
#6
○議長(保利茂君) 原子力衛星規制に関する決議案を議題といたします。
 提出者の趣旨弁明を許します。細田吉藏君。
    ―――――――――――――
 原子力衛星規制に関する決議案
    〔本号(一)末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔細田吉藏君登壇〕
#7
○細田吉藏君 ただいま議題となりました原子力衛星規制に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    原子力衛星規制に関する決議案
  去る一月二十四日、カナダ北部にソ連の原子力衛星が落下した事件は、我が国に強い衝撃を与えた。
  原子力衛星が今回のように落下し、その結果、人類が放射能汚染の被害を受けることは、あらゆる手段により防止されなければならない。
  よって、政府は速やかに関係諸国と協議し、次の措置を講ずべきである。
 一 原子力衛星に関しては、安全確保に万全を期するため、新たな打上げ禁止の検討を含め、厳しい規制措置が国際的に講ぜられるようはかる。
 二 周回中の原子力衛星に関する資料の公表を国際的に働きかける。
 三 周回中の原子力衛星に関して、監視及び安全確保を目的とする国際協力体制を強化する。
  なお、政府は右のほか、宇宙関係三条約批准の準備を促進すべきである。
  右決議する。
以上であります。
 原子炉を搭載したソ連の人工衛星コスモス954がカナダ北部に落下した事件は、わが国民に強い衝撃を与えました。
 私たちは、原子力衛星が今回のように落下する危険があり、また、その結果、人類が放射性物質による被害を受ける危険があることについて、強い懸念を表明せざるを得ないのであります。
 申すまでもなく、宇宙空間は人類共通のスペースでありまして、宇宙の開発とその利用は、人類社会の平和と福祉のためにのみ行われるべきものであります。
 かかる観点から、政府は、原子力衛星の規制に関して、国連等の場において、本決議案の趣旨を体し、関係各国と協議の上、適切な国際的措置が講ぜられるよう最善の努力を払うべきであります。
 本決議案に対し、議員各位の御賛同をお願い申し上げまして、趣旨の弁明を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案を可決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。
 この際、外務大臣から発言を求められております。これを許します。外務大臣園田直君。
    〔国務大臣園田直君登壇〕
#10
○国務大臣(園田直君) ただいまの原子力衛星規制に関する決議に対しまして、政府の所信を申し述べます。
 政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、原子力衛星に関し、わが国国民、ひいては全人類の安全確保に万全を期するため、引き続き関係各国とも協議しつつ、実効ある施策を講ずるよう最大限の努力をいたす所存でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 関税定率法及び関税暫定措置法の
  一部を改正する法律案(内閣提出)
#11
○議長(保利茂君) 日程第一、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。大蔵委員長大村襄治君。
    ―――――――――――――
 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔大村襄治君登壇〕
#12
○大村襄治君 ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、関税率等について、おおむね次の改正を行おうとするものであります。
 まず第一は、東京ラウンド妥結前の関税の一括引き下げでありまして、同ラウンドの妥結促進並びにわが国の輸入の増大に資する等の見地から、同交渉の妥結前に乗用自動車等百二十四品目の関税率の引き下げを行おうとするものであります。
 また、この関税率の引き下げ措置による不測の影響に機動的に対処するため、本措置により特定貨物の輸入が増加し、国内産業が相当な損害を受け、または受けるおそれがある場合には、政令で貨物を指定し、この引き下げ措置を停止することができることといたしております。
 なお、これらの改正事項の施行期日につきましては、他の改正事項に先立ち、この改正法の公布の日から施行することといたしております。
 第二は、原重油関税の改正でありまして、今回、石油税を創設することといたしておりますが、これに伴い、原油関税につきましては、その税率を現行の一キロリットル当たり七百五十円から六百四十円に引き下げる等の措置を講じることとし、また、比重の高い原油のうち、石油の安定的な供給を図るため特に必要があるものとして政令で定めるものにつきましては、国内への引き取りの円滑化に資するため、その関税率を一キロリットル当たり五百三十円に引き下げることといたしております。
 さらに、これらの改正に伴いまして、石油化学製品製造用原油等に係る四つの関税減税・還付制度について、その減税・還付率の調整を行うことといたしております。
 第三は、その他の関税率等の改正であります。
 まず、最近における産業の状況等を勘案いたしまして、関税割当制度が採用されております麦芽の一次税率の引き下げ及び二次税率の引き上げを行い、アルミニウムの塊に新たに関税割当制度を導入し、鉛の塊については、その関税無税点を引き上げることといたしております。
 次に、昭和五十三年三月三十一日に適用期限の到来する大豆、トウモロコシ等七百六十六品目の暫定税率の適用期限を一年間延長するとともに、給食用脱脂粉乳の免税等各種の減免税制度の適用期限をさらに三年間延長する等、所要の改正を行い、また、今回の関税率の引き下げ及び別途提案されております酒税法の改正等に伴い、入国者が携帯輸入するアルコール飲料に対する簡易税率表につき、所要の改正を行うことといたしております。
 このほか、関税率表における物品の分類のための品目表に関する条約で定められている品目分類の国際的基準が改正されたことに伴いまして、関税率表についても所要の調整を行うことといたしております。
 以上がこの法律案の概要でありますが、本案につきましては、審査の結果、去る十七日質疑を終了し、直ちに採決いたしましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 環境庁設置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#15
○議長(保利茂君) 日程第二、環境庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。内閣委員長始関伊平君。
    ―――――――――――――
 環境庁設置法の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔始関伊平君登壇〕
#16
○始関伊平君 ただいま議題となりました環境庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、水俣病に関する医学的調査及び研究を総合的積極的に推進するため、環境庁の付属機関として国立水俣病研究センターを熊本県水俣市に新設するとともに、その所掌事務等を定めようとするものであります。
 本案は、一月二十八日本委員会に付託され、二月九日政府より提案理由の説明を聴取し、直ちに質疑に入り、慎重に審査を行いましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。
 かくて、二月二十一日質疑を終了し、採決いたしましたところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十三年度地方財政計画について)並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#19
○議長(保利茂君) この際、昭和五十三年度地方財政計画についての自治大臣の発言を許し、あわせて、内閣提出、地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。自治大臣加藤武徳君。
    〔国務大臣加藤武徳君登壇〕
#20
○国務大臣(加藤武徳君) 昭和五十三年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和五十三年度の地方財政は、昭和五十二年度に引き続いて厳しい状況にありますが、国と同一の基調により歳入面におきましては、地方税及び受益者負担の適正化等による増収措置を講ずるほか、昭和五十二年度に引き続き予想される財源不足に対しては、これを完全に補てんする等地方財源の確保を図るものとし、一方、歳出面におきましては、一般行政経費の節減合理化に努めるとともに、生活関連社会資本の整備と、景気の着実な回復に資するため、投資的経費の充実を図る等財源の重点的配分と節度ある財政運営を行う必要があります。
 昭和五十三年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし、次の方針に基づいて策定することといたしました。
 第一に、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、法人住民税均等割の税率及び都市計画税の制限税率の引き上げ、非課税等の特別措置の整理合理化等地方税源の充実強化と地方税負担の適正化に努める一方、料理飲食等消費税の基礎控除の引き上げ、ガス税の免税点の引き上げ等を行うとともに、特別土地保有税の合理化のための措置を講ずることといたしております。
 第二に、最近の地方財源の不足等に対処し、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにいたしますため、昭和五十三年度以降、当分の間、毎年度の交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金については、当該年度以前の借入金償還金のうち、地方負担とされた額を控除した額の二分の一に相当する額を国の負担とする旨を法定するとともに、昭和五十年度及び昭和五十一年度における同特別会計の借入金についても、毎年度の償還額の二分の一に相当する額を国が負担することといたしましたほか、昭和五十三年度の地方財源不足見込み額三兆五百億円につきましては、地方財政の重要性にかんがみ、これを完全に補てんすることとし、地方交付税の増額で一兆七千億円、建設地方債の増発で一兆三千五百億円の財源措置を講ずることといたしております。
 また、地方債資金対策といたしましては、政府資金の大幅増額を図るとともに、公営企業金融公庫の融資対象を拡大することにより同公庫の機能の拡充を図ることといたしております。
 第三に、最近の経済情勢にかんがみ、景気の着実な回復を図ることに配意しながら、地域住民の福祉の充実、住みよい生活環境の整備及び住民生活の安全の確保等を図るための諸施策を実施することとしております。このため、公共事業及び地方単独事業を大幅に増額するとともに、社会福祉施策、教育振興対策等の一層の充実を図ることといたし、また、人口急増地域及び過疎地域に対する所要の財政措置を講ずることといたしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化を図るとともに、国庫補助負担基準の改善等財政秩序の確立を図り、あわせて年度途中における事情の変化に弾力的に対応するよう配慮するほか、地方財政計画を実態に即して策定するため、その算定内容について所要の是正措置を講ずることといたしておるところであります。
 以上の方針のもとに昭和五十三年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、三十四兆三千三百九十六億円となり、前年度に対し五兆五千三十一億円、一九・一%の増加となっておるのであります。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正に当たりましては、地方税負担の現状と地方財政の実情にかんがみ、その負担の適正化と地方税源の充実強化を図ることといたしております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 まず、法人の住民税の均等割のうち、資本の金額等が十億円を超える法人に係るものにつきまして、税率の区分を新たに設け、その税率を引き上げるとともに、都市計画税の制限税率を百分の〇・三に引き上げることといたし、地方税源の充実を図ることといたしているのであります。
 また、不動産取得税、固定資産税等における非課税等の特別措置のうち十二項目にわたって整理縮減を行うほか、産業用電気に対する非課税品目について、四品目を廃止することといたしております。
 次に、税負担の軽減合理化を図るため、料理飲食等消費税の旅館における宿泊及びこれに伴う飲食に係る基礎控除の額を二千円に引き上げるとともに、ガス税の免税点を六千円に引き上げることといたしておるのであります。
 このほか、特別土地保有税の課税の合理化を図るため、恒久的な利用に供しておる建物、構築物等の用地でその地域の土地利用に関する計画に適合することについて、市町村長が一定の手続を経て認定したものにつきましては納税義務を免除するとともに、所要の規定の整備等を行うことといたしておるのであります。
 以上の改正により、明年度におきましては、五百四十五億円、平年度におきましては七百七十七億円の増収が見込まれることとなっております。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和五十三年度の地方財政計画の概要で御説明申し上げましたとおり、地方財政の状況にかんがみ、地方交付税の総額の確保に資するため、当分の間、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金に係る借入純増加額の二分の一に相当する額を、後年度臨時地方特例交付金として、一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることを法定することといたしております。
 また、昭和五十三年度分の地方交付税の総額は、現行法定額に一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる臨時地方特例交付金二千二百五十一億円及び同会計における借入金一兆五千五百億円を加算することといたしました結果、七兆四百億円となり、前年度に対し一兆三千三百四十五億円、二三・四%の増加となっております。
 さらに、昭和五十三年度の普通交付税の算定に当たっては、地方財政計画の策定方針に即応し、社会福祉施策の充実、教育水準の向上、住民生活に直結する公共施設の計画的な整備及び維持管理等に要する経費を算入するほか、特別とん譲与税に係る基準税額の算定につき、精算制度を導入する等の改正を行うことといたしております。
 第二に、建設事業の円滑な実施を図るために、特に必要があるものとして許可された臨時地方道整備事業等に係る地方債に対し、公営企業金融公庫の資金を融通することができるよう所要の規定の整備を行うことといたしておるのであります。
 第三に、風俗営業等取締法外十一法律に定める地方公共団体の手数料の額またはその上限について改定を行い、受益者負担の適正化を図ることといたしております。
 以上が、昭和五十三年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の発言(昭和五十三年度地方財政計画について)並びに地方税法の一部を改正する法律案(内閣提出)及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#21
○議長(保利茂君) ただいまの地方財政計画についての発言及び二法律案の趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。加藤万吉君。
    〔加藤万吉君登壇〕
#22
○加藤万吉君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十三年度地方財政計画及び地方交付税法、地方税法の一部を改正する法律案について、福田総理を初め関係各大臣に質問をいたします。
 石油ショックを引き金とした高度成長の破綻と経済危機をまともに受けたわが国は、政府の減速経済から安定成長への道も試行錯誤を続け、長期的不況は、総理のたび重なる言明にもかかわらず、今日に至ってもその打開の道を切り開くには至っておりません。当然のことながら、その結果、国、地方とも財政の均衡を失い、危機的段階に立ち至っております。
 特に、地方は三年連続、二兆円以上の財源不足に見舞われ、五十三年度は五十四年度の歳入先食いというこそくな手段を弄しても三兆五百億円、前倒し分を除けば実に三兆六千九百億円余の財源不足を生ずるに至ったのであります。
 総理、地方団体は総理の言う、暗いトンネルから抜け出すという施策に期待をかけ、起債に依存した借金財政からの脱出と、地域住民の英知と創造豊かな地方自治の確立が今年こそ始まると期待をしたのでありますが、その期待はみごとに裏切られました。六・九%の経済成長は五・三%に落ち込み、国税の減収はそのまま地方の借金財政へと転嫁をされたのであります。
 総理は、今年、日本の経済成長率を七%とし、景気対策の目標を公共事業最重点の超大型予算を提出されました。これに基づく地方財政計画では、この公共事業の七割を地方団体が背負い込まなければなりません。この政策目標の見通しが誤まれば地方団体はまさに破滅的な状況に立ち至るのであります。改めて七%の経済成長についての総理の所信をお聞かせいただきたいと思います。
 わが党は、かねてから、公共投資のみならず、不況克服の道は国民消費の拡大と福祉政策の充実であると提言をしてまいりました。本院においても、野党各党も一致をして政府の政策の変更を求め、その実現のために、所得税、住民税を初め、総額一兆二千百億円に及ぶ予算の修正を求めてまいりました。この修正に対し、国民は、昨年の経過からしてその実現が可能であるものと期待をし、総理もまた、わが党代表初め各党の質問に対し、その提案に謙虚に耳を傾けると述べられております。
 この際、この野党の予算修正について、自民党総裁でもある総理の基本的な見解をお尋ねいたしたいと思います。
 景気回復を至上課題とする今年度地方財政計画の規模は、実に三十四兆三千三百九十億円であります。これを賄う歳入について、政府は、三兆五百億円の財源不足に対し、交付税率の改正を行わず、交付税特別会計の借入金について、当分の間、国が実質的にその二分の一を負担することとし、この旨を法律に明記することといたしております。
 福田総理にお尋ねをいたします。
 このような政府の措置は、地方交付税額が引き続き著しく不足をした場合、交付税率の引き上げ、もしくは行財政制度の改正を義務づけた法六条の三の第二項とはほど遠いものであり、国の負担のルール化をもって事足れりとする態度は、地方交付税法違反であり、法の形骸化、空洞化と言わなければなりません。そればかりか、財源不足額の穴埋めに、本来交付税で措置をされるべき公共事業の地方負担分を地方債の増発で措置をしていくやり方は、地方交付税の地方債化とも言うべきであり、断じて容認することはできません。
 かかる事態を招かないためにも、昨年、本院地方行政委員会は、多数をもって地方交付税率の引き上げを可決したにもかかわらず、自民党の多数によって本会議で否決されたのであります。
 わが党は、当面臨時地方財政調整交付金制度を設け、建設国費の一定額を交付税算定基礎に加え、地方財政の危機を緊急避難として回避する、その傍ら、税財源、事務の再配分、地方交付税法の抜本的改正に直ちに着手をすべきであると提案をいたしております。この提言と、引き続く膨大な地方財源不足にどのような抜本的対応策をお持ちになるか、御見解をお示しいただきたいと思います。
 公共事業中心の地方財政計画は、その三六・九%、十二兆六千億円を投資的経費に充当いたしております。投資的経費を生み出すため、地方団体は、普通会計債で四兆一億円、公営、準公営を含めますと、実に六兆二千億円の地方債で賄われ、一般公共事業では三三・六%、単独事業で七九・七%の増発となり、これらの累計は年度末で一般会計現債高二十兆四千億円。一般会計借入金、公営、準公営の起債借り入れを含めますと、地方団体は三十六兆円を超える借金を背負うことになります。
 また、五十三年度一般会計の元利返済金は二兆二千三百億円で、五十三年度の財源不足のため、地方交付税の借入額一兆五千五百億円をもってしても事足りないのであります。
 このように過酷なまでに押しつけた地方への負担は、ますます財政硬直化を招き、いまや至上命令である公共事業消化のための国家管理の地方予算に変質しつつあるのであります。新しい時代の転換に対応する創意と工夫とをこらした自主的で責任ある地方行政は、夢の中の夢に消え去るのみであります。
 大蔵大臣にお伺いをいたします。
 政府は、公共事業消化のため起債充当率のかさ上げをし、また地方債の六〇%は政府資金並みの金利負担を行う等を提案しております。しかし、六兆二千億円の地方債のうち政府資金は三二・一%で、二兆八千八百億円の四六・三%は民間金融市場からの縁故債であります。
 大蔵大臣、政府の十一兆円の国債の引き受け、地方債の三兆円に近い公債の引き受け、この消化が可能でしょうか。銀行引き受けは中小企業にしわ寄せとなり、結果的に高利の資金運用をするのは地方団体と中小企業であるという結果を招くのではありませんか。また、このような結果が民間の設備資金を圧迫をし、政府の経済指標である民間設備七%の実質成長は期待薄になるのではないでしょうか。地方債の消化のため、政府は良質な資金確保に財政計画を修正するお考えはございませんでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、自治大臣にお尋ねをいたします。
 今回の起債充当率の引き上げは、五億円の資金で百億円の仕事ができる仕組みになっております。心ある首長は、当面の臨時措置はできるにいたしましても、長期の財政のローテーションに対しては多くの不安を持っているのであります。いつになったらとの悪循環を抜け出すことができるか、その政策と財政が国の施策と連動性が強いだけになおさらであります。
 自治大臣、あなたは現在の財政事情から判断をいたしまして、地方団体が地方交付税の借入金を不必要とする時期をいつごろと判断をされておりますか。また、この借入金を不必要とするためには、不公平税制の抜本的な是正を前提に、税制の改革、国と地方との財源の再配分など改正をしなければ健全化は望めないと思いますが、その所見をお伺いをいたします。
 その際、昭和五十二年度分までの借入金だけでも、その返済額が昭和六十年度五千七百億円になるという交付税借入金の償還については特段の施策を加え、地方負担が実質的に軽減できるよう、地方財政計画を策定すべきであると考えますが、いかがでございましょうか。
 建設大臣及び大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 今回の投資的経費は、補助事業で二六・三%、単独事業で二五・九%と伸ばしています。国の公共事業の大半は自治体によって施行され、その際自治体は四割強の負担を伴います。五十三年度の国費公共事業約五兆円に対して、自治体は約三兆円、加えて五兆六千億円の単独事業を行う計画ならば、自治体が施行する事業額は、超過負担がないといたしましても、実に十三兆八千億にも上るわけであります。当然のことに、これだけの事業額の発注に対して材料の値上がりは必至であります。この場合、自治体は、事業規模の縮小か、見送りをせざるを得ません。
 この事態に対して、両大臣は、事業規模の縮小をお考えでしょうか、それとも事業量確保のため補正予算をお組みになるおつもりがありましょうか。これまで一次、二次補正によって起きた事業消化に四苦八苦の状態に加えて、五十三年度分が加わりますならば、現在の職員数からして、自治体は全額負担の単独事業を敬遠し、補助事業に傾斜することは明らかであります。この場合、住民のニーズとは違ったところで公共事業が強行されることになります。その懸念が十分うかがわれるのであります。住民の最も身近な単独事業は敬遠をされ、これを配慮した景気対策も気抜けとなり、福田内閣の求めている経済政策もまた失敗に終わるのが目に見えて明らかであります。
 このような見通しに大臣はどのような積極的な施策をとられますか、お伺いをいたします。
 最後に、地方税法の改正について自治大臣にお伺いをいたします。
 今回の改正は、いわば今日までの若干の手直しにすぎません。地方財政再建のためには長期展望を持った地方税法の改正に着手し、所得税、住民税の総合課税による一本化、租税特別措置に基づく優遇税との遮断、地方税の非課税規定の抜本整理、また大都市における集積の利益に似合った税制度の創設、外形課税の導入等が必要と思われます。でなければ、この地方財政を再建することは不可能と思います。これらの諸点について自治大臣の御意見をお伺いいたします。
 いずれの点も、今日の地方財政の危機克服には欠くべからざる視点であり、今年のこの機会を逃しますならば、地方自治体はまさに破綻をし、住民の固有の要求と地域に根ざした民主主義がまさに奈落の底に落ちると私は確信をいたします。
 この際、関係各大臣のこの提案に対するお答えを求めまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 まず、明年度の経済成長七%は達成できるのかどうか、このようなお話でございますが、この七%成長というのは、これは内外の期待するところであります。私はその内外の期待にこたえまして、責任をもってこれが実現に当たるべく全力を傾倒したい、このように考えておるわけであります。
 ところで、来年度の経済展望はどうなるかといいますと、御承知のような国際経済環境でありますので、輸出に多くを期待するわけにはまいりません。また、設備過剰ということが今回の不況の中軸をなしておることから考えまして、設備投資にこれまた多くを期待するわけにはいかぬ。そこで、どうして七%成長を達成するかというと、政府みずからが需要の創出に当たるというほかはないと考えるのであります。その需要を政府が創出する方途はいかんということになれば、それはいろいろ手はあります。ありまするけれども、最も効率的にこれを実現する方途は、公共事業を拡大、推進することである、このように考えておる次第でございます。公共事業、これを大幅に今回拡大することにいたしましたが、これはやがて民間需要を誘発するという効果も出てきよう、このように考えるわけであります。そういうような過程を経まして、さらに消費購買力も上昇する、そのような過程を経まして、七%成長は実現できる、このように考えておる次第でございます。
 次に、五野党の予算修正に対してどのように考えるか、このようなお話でございますが、しばしば申し上げておるところでございますが、五十三年度予算の編成に当たりましては、これはあらかじめ野党の党首の皆さんからも御意見を承りました。また、大蔵大臣がそれぞれ各党の政策担当者の御意向等も承ってきたわけでありまして、政府といたしましては、野党の皆さんの御意見ができる限り政府原案に取り入れられるように努力をいたしてまいりましたが、御承知のような財政事情でありまして、その全部をというわけにはまいらなかった次第でございます。現在そういう予算案に対しまして、野党の皆さんから予算修正要求が提出されておるわけでありますが、私は、この御要求には、現下の財政事情から考えまするときに、いろいろ問題があるとは考えます。しかし、国会の論議の結果を踏まえまして、国家的見地に立ってこの問題に対処いたしたい、このように考えておる次第でございます。
 次に、交付税特別会計の借入金問題につきまして、今回の交付税法改正では、同法第六条の三第二項に合致しないではないか、このような御所見でございますが、これは私はそういうふうには思いません。交付税法第六条の三第二項には、普通交付税の総額が、いわゆる財源不足額と大きな乖離を生じた場合におきまして、地方財政もしくは地方行政にかかわる制度の改正、または地方交付税の率の変更を行うものとするということになっておるのでありまして、普通交付税の総額が財源不足額と著しく乖離するということは、これはそういうことになっておる現状でございまするけれども、さればその際に政府がとるべき対策は、交付税率を引き上げるばかりじゃないのであって、地方財政もしくは地方行政にかかわる制度の改正、これを法は期待をいたしておるというものでございます。その法の趣旨に従いまして、今回、地方交付税法の改正を行うということにいたし、しかも実際といたしまして、中央の方も、なかなか財源事情、財政事情は容易じゃないのです。その中を御存じのとおりの措置をするということでございますので、これは高く評価されてしかるべき改正ではあるまいか、そのように考えておる次第でございます。
 以上であります。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
#24
○国務大臣(村山達雄君) 加藤議員の私に対する質問は、地方債の政府資金比率が低いために、地方債の消化、そういったものがうまくいくかどうか、特に大量の公共債発行のもとでどのようになるかという問題並びに民間設備資金がうまく調達できるかどうか、これが第一点の問題でございます。
 地方債の政府資金につきましては、御案内のように、地方債全体としましては五十三年度は六兆二千百九十六億円、二三%増でございますが、政府資金の方は三二%増にしているわけでございます。したがいまして、政府資金比率は五十二年度の三六・六%から三九・三%に上がっているわけでございます。この上ともわれわれは政府資金比率については高めてまいりたいと思います。
 消化の方はどうかということでございますが、これは公共債全体で考えていかなければなりません。ことしは公共債全体では二十兆三千三百億ぐらいでございますが、金融機関引き受け分は約十七兆でございます。
 特に問題になりますのは、地方縁故債、これが一番心配になるわけでございますけれども、これも加藤議員御案内のように、去年補正後のベースで申しますと、縁故債は二兆三千八百十二億円でございます。来年度はほとんど大部分政府資金とかその他つけましたので、縁故債は二兆一千七百九十九億円、去年よりも低めているわけでございますので、この消化は心配ないと思います。
 また、民間設備投資資金に影響するところはないかということでございますが、現在の物資需給の関係から申しますと、一般論としてその心配はないと思うのでございます。仮にそういう資金需要が出たときはどうするか、こういうことでございますが、これは適切な金融政策と、そしてまた公共債の時宜に適した発行、この両方で十分対処できると思うのでございます。
 最後に、加藤議員から、こんなふうに国も地方も大型の公共事業を組んで、資材が高騰して、そのために公共事業の予定どおりの達成が困難になって補正予算を組まなければならないのではないか、こういうお尋ねでございます。
 しかし、先ほど申しましたように、現在の状況から申しまして、また、われわれは十分消化可能な公共事業費を組んだつもりでございますので、物資需給の状況から申しまして、そのような資材の一般的値上がりというようなことは心配していないのでございます。
 ただ、少し心配になりますのは、やはり一時期あるいは一地域に急に公共事業がかたまりますと、いわば部分的にあるいは一時的に、摩擦的に資材の高騰ということ、これは心配しなければなりません。
 そこで、推進本部におきましては、中央あるいは地方ブロックごとに、関係官庁が絶えず協議いたしまして、そのようなことがないよう十分手配をしてまいるつもりでございますので、その御懸念はないだろうと思うのでございます。(拍手)
    〔国務大臣櫻内義雄君登壇〕
#25
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま大蔵大臣から一応のお答えがあったわけでございますが、公共事業の執行に当たりまして、資材等が値上がりをして事業規模を縮小するあるいは追加をする必要があるのではないかとの御質問であったと思うのであります。
 いまのところ、いずれも考えておりません。公共事業を円滑に執行するためには、建設資材の安定的供給の必要があることは当然でありますが、主要資材の生産の能力はまだ余裕がありますので、全体的には供給面、価格面からの公共事業の実施に支障を生ずるおそれはないと思います。しかし、地域的、時期的に問題が生じないよう関係各省庁と緊密な連絡をとりつつ万全の態勢で臨みたいと思います。(拍手)
    〔国務大臣加藤武徳君登壇〕
#26
○国務大臣(加藤武徳君) 御指摘がございましたように、地方財政は四年連続の財源不足でございまして、ことに五十三年度におきましては、三兆五百億円という膨大な財源不足を生じ、交付税特会の借り入れでありますとかあるいは起債の充当等で処置をいたしたのでございますけれども、さていつの時点で地方財政の不足は解消するのか、かような御指摘が第一点でございました。
 端的に申しまして、なかなかその見通しがつきがたいのでありまして、基本的には経済が好転いたすことが期待されるのでありますけれども、しかしここ一年や二年ではなかなか地方財源の不足を埋めるような体制にはならぬと思うのでございます。
 そこで、私どもが期待しておりますのは、地方行財政の基本的な改正でございます。もとより、中期的には先ほど御説明をいたしましたように、地方での税負担の増加を求めざるを得ないと思うのでございますけれども、同時にまた、今日の交付税計算三二%が国税三税に限っていいかどうか、かような問題等もあるのでありますから、さような行財政の基本的な改正を行いまして、一日も早く財源不足を解消いたしたい、かように考えておるところであります。
 第二点は、税制についての御指摘でございました。
 その第一点は、税制の特別措置を是正しなければならぬではないか、かような御指摘でございました。国の場合と同様に、ある一定の目的のために、地方税におきましても特別措置をいたしておるのでございますけれども、しかしこれが慢性化したり、既得権化することは許されないのでありますから、絶えざる見直しが必要でございます。今回御提案いたしておりますのも、また十二項目について見直しをいたしておるのでありますけれども、今後も見直しにつきまして積極的に取り組んでまいらなければならぬ、かように考えておるのであります。
 二番目は、所得税と住民税の一本化の御提案でございました。私は、所得税と住民税は性格をやや異にするものである、かような見方をいたしており、ことに住民税につきましては、その地域に住まっていらっしゃる方が自分の公共団体が仕事を進めてまいります上での応分の負担をしなければならぬ、かような負担分任の考え方が基本であろうかと思うのでございます。それでありますだけに、課税最低限につきましても、所得税におきましては二百万円を超えておりますのに、住民税につきましては百四十一万八千円、かような限度を設けておるようなことでございますから、これが一本化はなかなか困難であろうか、かように思う次第でございます。
 最後の御指摘は、大都市の実情に見合った税の制度を設けなければならぬではないか、かようなことでございます。今日ほとんどのいわゆる大都市と言われますところが税源不足に悩んでおりますし、ことに人口急増対策等で非常な頭を痛めており、現在の税制でいいかどうか、これは当然検討しなければならぬ項目でございまして、私どもも鋭意検討いたしてまいりたい、かように考えているところであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(保利茂君) 竹内勝彦君。
    〔竹内勝彦君登壇〕
#28
○竹内勝彦君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま説明のあった昭和五十三年度地方財政計画及び地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法の一部を改正する法律案に対し、地方行財政の基本的問題及び当面の施策を含めて、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。(拍手)
 先般発表された昭和五十一年度の地方財政の決算見込みを拝見しますと、昭和五十一年度の決算では、地方債の増発、交付税特別会計の借り入れを含め、今後地方自治体が負担をしなければならない実質債務額は、実に二十兆円以上にも上っております。これは五十一年度の歳入のほぼ七〇%に匹敵する巨額な借金を抱えていることになります。また、本来財政力があるべき府県及び指定都市までも、軒並みに地方交付税上の交付団体に転落しております。
 とのような状況は、憲法で保障された地方自治が財政面から崩されようとしていることを裏づけるものと言わざるを得ません。総理は、このような地方財政の実態をどのように認識しておられるのか、まずお伺いいたします。
 また、地方自治の確立を図るためには、国、地方を通ずる行政及びこれに基づく財源の再配分を断行すべきであると考えますが、政府は、今日に至るまでこれらの基本的問題の解決を何ら図っていないのであります。総理は、地方行財政の抜本的解決を一体断行する意思があるのかどうか、また断行するならばその時期はいつなのか、お伺いします。
 また、今日の地方財政は一方的な国の施策を押しつけられるのみで、地方の自主的かつ計画的な運営が皆無に等しいと言っても過言ではありません。地方自治体が地方の実情に即して自主的かつ計画的な行政運営を図るためには、長期的展望に立った地方財政の長期ビジョンと、またこれに基づく長期的な地方財政計画が必要であります。これを速やかに策定するお考えはないのか、お伺いいたします。
 今回、政府は、経済政策の失敗による不況から脱出するため、膨大な公共事業一辺倒の拡大政策を図り、その結果、五十三年度の地方財政計画の規模は実に三十四兆円を上回る大型なものとなっております。これはまさに国の経済政策の失敗を一方的に地方に押しつけたものと言っても過言ではありません。しかも、この大型地方財政計画たるや、三兆五百億円の膨大な財源不足を生じておりますが、この財源不足について、その算定根拠が明らかにされておりません。まずこの算定根拠についてお伺いします。
 また、この不足額は、七%の経済成長を達成した場合のものなのか。もし七%が達成されなければさらに不足額は増大すると考えますが、七%成長達成に対する政府の見解をあわせてお伺いしたいと思います。
 さて、この膨大な財源不足に対し政府がとった対策は、交付税特別会計の借り入れと地方債の増発という、借金によってこれを補てんするというもので、まことに無責任かつ安易な借金財政を地方に押しつけたものと言わざるを得ません。
 今回、政府は、昭和五十三年度以降、この借入金の償還について、当分の間、国が実質的に二分の一を負担することとし、この旨を法律に明記することとしておりますが、このことは、地方交付税率の引き上げに政府みずから足かせをはめてしまうことになるではありませんか。また、五十二年度に引き続いて五十三年度においても変則的、応急的措置でもってこれを法定することは、交付税法第六条の三の規定にいう制度改正を単に装っていることにすぎず、問題の本質をすりかえているものであります。当分の間として国の二分の一負担を法定することは、交付税率の引き上げを断念したということなのか。それが事実だとすれば、交付税率の引き上げについての切実な地方団体の意思を踏みにじることになるではありませんか。
 わが公明党は、地方交付税法の趣旨に沿って交付税率を引き上げるべきだと考えますが、この点の見解について伺いたいと思います。
 次に、地方税についてお伺いいたします。
 まず、都道府県の財政が悪化した最大の原因は、法人関係税、なかんずく法人事業税の落ち込みが著しいことにあります。従来より法人事業税を所得課税方式から外形課税方式に切りかえることを強く要求しておりますが、今回もまたこの外形課税方式が見送られております。安定的な税の確保という面からも外形課税方式に改めるべきであると考えますが、今回見送られる理由及び外形課税導入の時期について、政府の方針を伺いたいのであります。
 また、住民税負担の軽減についてでありますが、国民にとっての重税感は、所得税よりむしろ住民税に強くあらわれております。この国民の切なる願いを五十三年度予算に反映すべく野党の合意ができております。すなわち、課税最低限を野党案のように十万円引き上げるべきであると思いますが、この点について見解をお伺いしたいと思います。(拍手)
 さらに、地方税の減免措置と国の租税特別措置による地方税への減収遮断についてでありますが、これについては確たる改善の跡が一向に見当たりません。地方税の減免措置の改廃に対する政府の基本的な見解を伺いたいのであります。
 次に、地方債の問題でありますが、五十年度以降飛躍的にふえている地方債の五十三年度末の現在高は、一般会計債二十兆円と見込まれ、これに公営企業債を加えると約四十兆円にも上る巨額なものとなっております。この地方債の元利償還は地方財政の重圧となることは明らかであります。
 まず一つに、地方財政の計画的な運営を図るためには、償還財源を明確にした地方債の償還計画を今国会に提出すべきであると考えますが、お答えをいただきたいと思います。
 第二は、今回、事業債に対して二月から〇・二%の金利の引き下げを実施しておりますが、大幅な公共事業の促進と財政危機に見舞われている地方財政に対し、地方債についても金利の引き下げを断行すべきでありますが、この点について明快にお答えいただきたいと思います。
 第三には、公営企業金融公庫の改組についてであります。
 今回、政府案では、一般会計債のうち臨時地方道整備事業等三事業について、同公庫の融資対象の拡大を図っておりますが、わが党が法律案を提出して主張しておりますように、地方団体の安定した地方債資金を確保するためには、同公庫を完全に改組すべきであると思いますが、総理の見解をお伺いいたします。
 最後に、地方公営企業についてお伺いいたします。
 今日、地方公営企業、なかんずく交通、病院、水道の三事業の経営は極度に悪化の一途をたどっております。この三事業に対する経営の改善について、政府の基本的考えをお伺いしたいと思います。
 特に地下鉄事業は、都市における道路の代替として、また住民の大量輸送機関として、その役割りはますます高まっております。しかし、今日の地下鉄建設に対する補助制度は、補助対象が限定されているなど実質補助率の大幅低下をもたらし、これが地下鉄建設の進捗を阻害しているのが実情であります。地下鉄建設の道路並みの補助を確立すべきでありますが、政府の見解をお伺いしたいのであります。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 地方財政の危機を一体どういうふうに認識しておるかというお話でございますが、これは大変深刻に受けとめております。戦後で言いますと、四十年、四十一年不況ですか、あの当時の地方財政の状況、これは非常な深刻な事態でありましたが、より深刻である、このように考えておる次第でございます。
 それには一体どうするかということを考えますと、これは経済が常道に復する、一刻も早く常道に復するという、これがやはり最大の地方財政危機突破の決め手になる、このように考えておるのであります。そういう見地、国の財政のこともありますけれども、財政のこともにらみながら、国の経済、これを早く安定さしたいというために、五十三年度予算はそういう仕組みになっておるということも御理解を願いたいのであります。
 ただ同時に、これから先々を考えますときに、地方財政は経済が常道に復したからそれでいいのかというと、そうはいかぬと思うのです。これは国につきましても同じだと思います。やはり地方財政の歳出面について合理化、近代化のための努力、これが必要だろうと思います。それから同時に、歳入面、これにつきましてもいろんな工夫が要請される、このように思うのであります。それらにつきましては、税制調査会、地方制度調査会等にその審議をお願いいたしておる、このように御理解を願いたいのであります。
 さらに、国と地方との行財政事務の再配分問題をどのように考えるかというお話でございますが、これもただいま申し上げました景気の回復以外に考えなければならぬ問題の一つである、そのように理解をいたしておるわけでありまして、国といたしましても、地方と相談をいたしまして、この問題には積極的に取り組んでいきたいと思いますし、また地方制度調査会の審議にもまた大いに期待をかけたい、このように考えます。
 それから、地方独自の行財政の合理化、抜本的改革を断行する意図ありやどうかというお話でありますが、これはもうぜひ地方自治体におきましてもそうしてもらいたいのです。もらいとうございますけれども、地方自治体は自治体として神聖なる独立の地位を持っておるわけであります。中央政府が、そうしたまえと言うわけにはいきません。私は、地方自治団体当局が自主的にそのような抜本的改革を行うことを期待をいたしておるわけであります。
 それから、長期の展望に立った地方行財政中期計画を策定すべきではないか、このようなお話でございますが、御趣旨は私も全く同感でございます。ただ、地方財政はとにかく大小三千数百の地方団体の財政の集合であります。これらをすべて包含する財政計画、これはお考えなすっても、なかなか事実上困難な問題であろう、このように御理解いただけるのではないかと思います。しかし、個々の地方団体が中期的な財政計画を策定することは好ましいことでありまして、その手がかり的な意味をも兼ねた地方財政収支試算、これにつきまして、いま政府におきましては鋭意検討いたしております。近く自治省から国会に提出され、ごらんいただけることかと思うのであります。
 次に、住民税につきまして物価調整減税をやるべきではないかというようなお話でございますが、現在の所得税、また住民税の課税最低限、負担水準は、諸外国に比べましてかなり高いところまでいっているわけであります。そういうことと、それから地方財政の深刻な現状から見まして、いまどうも住民税の減税をとり行うというような環境ではないんじゃないかというのが政府の認識でございます。
 なお、明年度七%の経済成長率の達成は可能かという御質問でございまするけれども、これは先ほど申し上げたとおりでございまして、これは責任をもってこれが実現するように努力をいたしたい、このように考えておる次第でございます。
 自余の御質問につきましては関係大臣からお答え申し上げます。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
#30
○国務大臣(村山達雄君) 竹内議員のいまの私に対する質問は、二月の事業債の金利が下がったのに、地方債の発行条件の金利がなぜ下げられなかったのか、こういうことにあろうと思うのでございます。
 御案内のように、地方債につきましては、事業債と違いまして、その消化は大部分を金融機関が引き受けているところでございます。したがいまして、流通市場におきます流通利回りはもちろん大きく参考にしなければなりませんが、同時に金融機関の資金コスト、これを無視しては、長い期間にわたって円滑な消化ができないことは当然なことでございます。二月の地方債の発行に当たりまして、関係者の間では、現在の流通利回りはまだ定着してない、そして片や金融機関の資金コストから考えて、ぎりぎりいっぱいであるということで、従来どおりの発行条件に据え置かれたと承知しているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣加藤武徳君登壇〕
#31
○国務大臣(加藤武徳君) 私への御質問の第一点は、不足額の三兆五百億円の算定はどういう根拠であるのか、かような点でございますけれども、御承知のように、地方財政計画も歳入を図り、そして支出をもくろんでいかなければならぬのでありまして、交付税でありますとか、地方税等の歳入をもくろみ、かつまた歳出を計上いたしましたところ、結果として三兆五百億円の不足が生じた、かようなことでございます。
 それから、今回の「当分の間」のいわゆるルール化が足かせにならないか、また断念したのではないか、かようなことでございますけれども、私は、できるだけ早い機会に行財政制度の改革を行い得ますことを期待をいたしているのでありまして、今回の措置が足かせになるとは考えておらず、かつまた断念をいたしたのではないのであります。
 それから三番目の御指摘は、外形標準課税の事業税への導入でございますけれども、私は、でき得べくんば五十三年度から、かような考え方を持ったのでありますけれども、調査会の結論等におきましても、国税との関連において創設をすべきだ、かようなことでございまして、見送らざるを得なかったのでありますが、その時期につきましては、なるべく早い時期に導入いたしたい、かように考えております。
 それから、国税の税制上の特別措置が地方へ影響を及ぼしますものを遮断しなければならぬのではないかという御指摘でございますが、全く私も同感でございます。
 それから、地方債の償還計画を出せ、かような御提案でございましたけれども、御承知のような三千数百の団体がおのおの条件の異なる起債を起こしておりますので、これを総括いたしましての償還計画はなかなか困難なように思うのでございます。
 それから、公営企業金融公庫の改組問題がございました。今回提案いたしておりますものが、不十分ではございますが改組である、私はかような理解をいたしているところでございます。
 それから、地方公営企業が、水道は好転いたしておりますけれども、交通関係、病院関係は非常な財政難に悩んでおるのでありますから、これが打開のために努力をしていかなければならぬ、かように考えているところであります。(拍手)
    〔国務大臣福永健司君登壇〕
#32
○国務大臣(福永健司君) 大都市交通対策上の地下鉄の重要性にかんがみまして、従来から地下鉄の建設に対し助成を行ってきたところでありますが、最近における建設費の高騰にかんがみまして、来年度から補助対象範囲を拡大する等の改定を行って、これを強化することにいたしております。(拍手)
#33
○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#34
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時二十六分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        外 務 大 臣 園田  直君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        運 輸 大 臣 福永 健司君
        建 設 大 臣 櫻内 義雄君
        自 治 大 臣 加藤 武徳君
        国 務 大 臣 山田 久就君
 出席政府委員
        自治省財政局長 山本  悟君
        自治省税務局長 森岡  敞君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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