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1977/04/07 第84回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第20号
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1977/04/07 第84回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第20号

#1
第084回国会 本会議 第20号
昭和五十三年四月七日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十八号
  昭和五十三年四月七日
    正午開議
 第一 国民年金法等の一部を改正する法律案(
    内閣提出)
 第二 日本国と大韓民国との間の両国に隣接す
    る大陸棚(だな)の南部の共同開発に関
    する協定の実施に伴う石油及び可燃性天
    然ガス資源の開発に関する特別措置法案
    (第八十回国会、内閣提出)
 第三 特許協力条約に基づく国際出願等に関す
    る法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第二 日本国と大韓民国との間の両国に隣
  接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関
  する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガ
  ス資源の開発に関する特別措置法案(第八十
  回国会、内閣提出)
 日程第三 特許協力条約に基づく国際出願等に
  関する法律案(内閣提出)
    午後零時三分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#3
○議長(保利茂君) 内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。国務大臣熊谷太三郎君。
    〔国務大臣熊谷太三郎君登壇〕
#4
○国務大臣(熊谷太三郎君) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 原子力の開発利用は、わが国におけるエネルギーの安定供給に重要な役割りを果たすものでありますが、その円滑な推進を図るためには、原子力発電所からの使用済み燃料を再処理し、計画的かつ安全に処分するとともに、回収されたウラン及びプルトニウムをリサイクルさせて使用することにより、限られたウラン資源を有効に利用することが不可欠であります。この再処理は、いわば核燃料サイクルのかなめともいうべきものでありまして、エネルギー資源に乏しいわが国にとっては、とりわけ重要な意義を有するものでございます。
 このような観点から、核燃料サイクル確立の一環として、原子力の平和利用と安全の確保を図りつつ、使用済み燃料の再処理を計画的に推進する体制を確立するとの基本的考えのもとに、これまで動力炉・核燃料開発事業団において、東海村に、わが国初の再処理施設の建設を進めてまいりました。本施設につきましては、一年半にわたる慎重な試験を重ねた結果、米国との間の交渉を経、昨年九月から使用済み燃料を用いた試運転に入っているところであり、本年秋には本格的な操業に入ることとなっております。
 もとより、この再処理施設のみをもって、今後のわが国の再処理需要に対処することは不可能であります。したがいまして、当面は、やむを得ず海外への再処理委託と本施設によって対処することといたしておりますが、それ以降のわが国の再処理需要に適確に対処していきますためには、今後、動力炉・核燃料開発事業団等における技術と経験の蓄積の上に立って、新たな再処理施設の建設を進めていくことが不可欠であります。
 加えて、再処理施設の建設には十年以上という長期間を要することを考え合わせますと、その建設準備に一刻も早く着手しなければならない時期に立ち至っておるわけであります。
 現在、再処理事業につきましては、動力炉・核燃料開発事業団及び認可を受けた場合の日本原子力研究所に限りこれを行うことができることとなっておりますが、前述のような諸情勢に対処し、新たな再処理施設の建設にわが国の総力を結集して当たり得るよう、再処理事業を行うことができる者の範囲を拡大いたしますとともに、それに伴って、再処理事業の規制の一層の充実強化を図る等の措置を講ずる必要があります。
 一方、国際核燃料サイクル評価、いわゆるINFCEの開始等、核の不拡散をめぐる世界の情勢はとみに厳しさを増しつつありますが、わが国としましては、原子力の平和利用と核の不拡散は両立し得るとの基本理念に立脚し、使用済み燃料の再処理とプルトニウムの利用を計画的に推進し得る体制を確立し、もってわが国の自主的な核燃料サイクルを確立するとの基本的な考え方を国際的にも強く貫いてまいる所存であります。
 次に、本法案の要旨を簡単に述べさせていただきます。
 第一は、動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所以外の者も、内閣総理大臣の指定を受けた場合には、再処理事業を行うことができることとすることにより、再処理事業を行うことができます者の範囲を拡大することであります。
 第二は、再処理事業者は、再処理施設について内閣総理大臣の使用前検査及び定期検査を受けなければならないこととする等、再処理事業の規制に関しその充実強化を図るとともに、関係規定の整備を行うことであります。
 以上が、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#5
○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。沢田広君。
    〔沢田広君登壇〕
#6
○沢田広君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 核問題を取り上げるに当たって、わが国は世界の唯一の原爆の被災国であります。多くの国民が犠牲となり、今日においても被爆者援護法も不成立のまま、その人たちは暮らしに、健康に重い痛手を負っているところであります。
 戦後三十年、戦争の痛手はぬぐい切れない被爆者の叫びとなり、訴えとなっており、ノーモア・ヒロシマの声は総理の耳に入らないのでありましょうか、お伺いをいたしたいと思います。
 日本は、この痛手の中から平和憲法を定め、恒久の平和を希求し、公正と信義を信頼し、全世界の国民が恐怖と欠乏から免れ、平和な生存を宣言をいたしたのであります。さらに、日本国民として誇りをもって言い得る憲法第九条の戦争放棄も、いまや侵されようといたしております。きわめて遺憾と言わなければなりません。
 私は、まず、これらの精神が尊重され、傷つけられないことが、将来に対する私たちの義務であり、また、最大限に守られなければならないものと思っておりますが、総理はいかがお考えでありましょうか。
 翻って、わが国のエネルギー事情は、核物質によるエネルギー資源がその一部を担わなければならない時代になっていることは、あえて否定するものではありません。しかし、そのためには、特に慎重な対応が必要であり、国民の理解、納得、安全保障が求められており、これらについて政府のとってきた措置は、まさに国民不在、問答無用の論理であり、きわめて遺憾と言わなければなりません。
 政府は、今回発生した嘆かわしい成田の事件に関して、改めて農民、住民との対話、話し合いを十二年ぶりに誠意をもって行う旨が、昨日のこの議場で述べられたところでありますが、この精神、姿勢は、核問題についても同様であり、謙虚に地域住民の意見を聞く姿勢が持たれなければなりません。どのようにお考えになっておられるのか、お伺いをいたします。
 そもそも原子力、核の開発利用は、平和の目的に限り、民主的運営と自主、公開がその前提であることは言うまでもありません。これからの施設について、この原則は守られるのでありましょうか。また、放射線の障害を防止し、あわせて公共の安全を確保する所要の措置を講ぜられるのでありましょうか。
 現在、茨城県東海村でホットテストとして稼働いたしております再処理工場は、本格操業に入りますと、年間二百トンのウランと、一・五ないし一・六トンのプルトニウムが取り出される計算であります。このプルトニウムの量は、長崎に落とされた原爆の約二千倍分に相当する量であります。これは当然のこととして、米国カーター大統領の核外交の規制の対象になったのであります。
 一方、廃棄物の量はどのくらいでありましょうか。
 再処理工場から出てくる放射性廃棄物は多様であります。まず、貯蔵タンクに保管される高レベルの廃棄物の量は、一年間で実に約六億キュリーにも達するのであります。このほかに、工場内には高レベルの固体廃棄物、中レベルの液体廃棄物が貯蔵されるわけであります。さらに、常時この環境の中にまき散らされる放射能を受ける量も膨大なものに達するのであります。たとえば、クリプトンなど気体状のものは毎日八千キュリー、年間二十四万キュリーにも達するのであります。海に流される液体状のものは一日〇・七キュリー、年間二百十キュリーにもなるのであります。
 ところで、一キュリーとはどのような量でありましょうか。たとえば、セシウム137の場合、一キュリーの放射性物質を半日ほど身にまとったとすれば、確実に死亡する量であります。再処理工場からいかに膨大な殺人的放射能が出てくるか、よく御理解をいただけるものと思います。
 さらに重大なことは、遺伝的にも大きな影響を与えるトリチウムは、気体、液体の両方で一日二百キュリー、年間六万キュリーにも及ぶ量が出てくるのであります。
 このような再処理によって発生するプルトニウムは、また、そのまま核兵器になることは御承知のとおりであります。これを所有することは核保有国を目指すものと解されるわけでありますが、加えて、他の放射能に比較にならない被害の大きな物質でもあります。プルトニウムが万一紛失とか、盗難とか、漏出とか、全く許されないものでありますが、加えて、今日的な課題としての核ジャックの対応にもなりかねないのであります。まさに杞憂であることを願いながらも、依然としてその危険性は存在いたしているのであります。これによる警備は、単に処理工場にとどまらず、付近住民への自由の侵害、行動の抑制、立入調査など、プライバシーの侵害となってあらわれることも十分考えられるわけでありますが、いかがでありましょうか、お答えをいただきたいと思います。
 一方、今日までに発生した事故も見逃すわけにはまいりません。これは将来に対する警告でもあるからであります。
 東電一号炉の冷却水再循環パイプの故障、あるいは炉心冷却装置パイプのひび割れ、美浜、高浜の蒸気発生器の故障等々、きわめて憂慮すべき事故が連続をいたしております。
 また、ここに働く労働者、特に下請の人あるいは臨時工など、生命に危険をもたらす被曝量は日を追うて増大をしている現状にあります。
 この事実をどう認識されておられるのでありましょうか。単なる手違い、設計のミスだ、操作のミスだと見逃すわけにはいかないものと存じますが、いかがでしょうか。
 要するに、研究の不十分、実験の不足、その段階にあるというととだと思います。さらに大規模災害をこれから招かないとの保証は全くないのであります。少数の犠牲の上に立つ、あるいは力で律するとかという政治は、断じて許されるものではないと思いますが、いかがお考えになっておられるでありましょうか。
 従来は、開発事業団と原子力研究所だけに許されていたこの危険な作業が、今回は「政令で定める」として、民間法人などの手によって行わせようとして提案されましたが、現在でも、前に述べたような事故の頻発、不安感、安全性などから、不適当な状態にあると思われることは当然であると思うのであります。
 加えて、第四十四条第二項のような不十分な基準で果たして満足できるものであろうか。その責任は果たして全うすることができるのであろうか。国民は果たして納得するのであろうか。いや、納得しないし、危険だからやめてほしいと言うに違いないのであります。いかがでありましょうか、その見解を承りたいと思います。
 これから建設されるであろう法人などについて、建設費は六千億とも一兆円とも言われておりますが、果たして効果は約束できるのでありましょうか。提案に当たっては当然予期したものがあってのことだと思いますが、指定をしようとしているもの、あるいはこれから指定をしたいと思っているもの、その規模、資本、資金、場所、何年着工、土地の入手、何年完成などの計画を明らかにすべきだと思いますが、いかがでありましょうか。
 特に免責、賠償の義務は負わない場合として甚大なる災害、特に巨大なる災害と言われておりますが、あわせて社会的動乱が挙げられておりますが、この社会的動乱とは成田事件のような場合を指称するのでありましょうか、また別の状況を言うのでありましょうか、具体的にお答えをいただきたいと思います。その他の免責事例は想定されますか、果たしてどのような場合を想定しているのでありましょうか。エネルギー方策として果たして今日的に正しいものかどうか、根本的に問われているものと存じます。
 政府の発表した白書は、沸騰水型原発配管の腐食で運転停止を行い、昭和五十二年、わずかに稼働率四〇%を割っている現状であります。さきに述べたように、まだまだ研究、経験の上でなければ実現の段階を出ないことを示しているものではないかと思います。
 石炭は生産予定よりも落ち、全く熱意を欠き、太陽エネルギーなどの利用面も遅々として進まず、ただ原子力がすべてであると信者のように邁進しているが、はかない夢に終わるのではないかと思います。夢であればよいが、災害や事故は現実であるだけに危惧するものでありますが、いかがでありましょうか。
 最も近い例は、原子力船の「むつ」に表現されます。事故によって放浪の旅を続けたこの「むつ」、一たんは幽霊船のごとくなったではありませんか。この責任、損害は果たして明らかにされたでありましょうか。国民に安心感を与えたでありましょうか。ノーであります。ますます不安の増大につながったことは事実であります。御見解があるならばお答えを願いたいと思います。
 なお、法に触れて民間法人が行う場合の罰則の規定は、果たして妥当なものであろうか。今日の政府機関の責任と異なるがゆえに、監視の問題、事態の重大性、社会的責任、災害の規模などから考えて、責任者が一年以下の懲役、十万円以下の罰金というような短絡的なものであってよろしいのでしょうか。民主と公開と自主原則のもとに総合的な性格を持った規制が必要であると思いますが、いかがでありましょう。
 以上、提案された法案について質問をいたしましたが、われわれが資源を石油に依存し、省資源、有限資源と言い、二十年で枯渇するなどの説が横行し、せっかちにこれらの代替としての核物質に、原子力に依存する風潮はきわめて危険と言わなければならないし、はなはだ遺憾とするものであります。(拍手)
 安全を確認し、狭い国土に建設をすることを考えるならば、石橋をたたいて渡る気持ちが必要であろうかと思います。円高のときには後手後手になって不況になり、何でこのときだけ急いでやるのか、全く不可解と言わざるを得ないのであります。
 成田空港に要した十二年の足跡は、急ぐことが必ずしも国民の利益、安全、福祉に寄与したものでないことを示しているではありませんか。(拍手)「急がば回れ」という言葉もあります。政府は、この法案によって、国民を犠牲にし、政府みずからの責任を回避し、民間法人の責任に転嫁し、ときに寡占資本に膨大な利益をもたらそうとしているものではないかと考えますが、いかがでありましょうか。
 最後に、核に関する外交の方針、対応についてお伺いをいたします。
 今回の提案が、昨年八月十二日の日米交渉により、その協定第八条C項に基づき、米国からの濃縮ウラン、使用済みの核燃料九十九トンに限り、二年間すなわち昭和五十四年九月までとされ、プルトニウムの核不拡散上重大な危険性を有し、軽水炉でのそのリサイクルは現時点では商業用に供する段階でない、尚早の商業化は避けるべきであるとの見解に押し切られ、二年後は全く白紙という現状であります。民営に移すこととカーター外交との対応は一層むずかしいものとは思いますが、いかがでありましょうか。
 また、常時の査察、保障措置が厳重に義務づけられ、米国国内法に縛られるという実情のもとで、民営移管はますます核拡散に対する不信を買うことになるが、いかがでありましょうか。(発言する者あり)このときの交渉ではカーター大統領、バンス国務長官ともおいでになれなかった、お会いになれなかったということでありますが、果たして、どうしてそういう結果になったのでしょう。核拡散に対する、日本に対する信頼感の欠如によるものではなかったのでありましょうか。
 福田総理は、自衛のためと称し、憲法第九条をねじ曲げておられますが、戦力の相対性に応じ、核を持つこともあり得ると、きわめて危険な考え、行動をとられておられますが、いかがでありますか。また、総理は、絶対に核武装はあり得ないと先般断言されましたが、そのとおりでありましょうか。(発言する者あり)
 今後、国際間の合意の上に立って、循環禁止の項目について、再処理に硝酸プルトニウムの処理について、軍事転用、核爆発を行わない、防護措置、保障措置を明らかにする等の提起が求められておりますが、政府の見解を伺いたいと思います。
 なお、ウラン輸入について、カナダによるわが国の保障措置不全による輸入停止、オーストラリアの同様の措置は、わが国の対応水準の低さを物語るものではないかと思いますが、いかがでありしょうか。明確な御回答を賜りたいと思います。
 以上をもちまして、質問を終わりたいと思います。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 核に対する国民感情をどういうふうに受けとめておるか、このような御質問でございまするが、わが国は、核につきまして、世界でただ一つの犠牲となったわけであります。そういうことで、核に対する国民感情は、わが国におきましては世界でも格別なものがある、こういうふうに理解をいたしております。
 しかしながら、核はこれを平和的に利用をしなきゃならぬという世界の大勢である。石油中心の時代、これが大変細くなってきた。それがまた、場合によりましたならば終わるかもしれない。そういう際に、それにかわって核平和利用、これが世界の大勢となろうとしておるのであります。
 わが国といたしましては、その大勢に乗りおくれてはならないのであります。国民感情、これは十分に承知しておりまするけれども、核平和利用、これがわが国の、国民の生活を維持するというためにどうしても必要であるということをよく理解をしていただきながら、この核政策を進めてまいりたい、このように考えております。
 また、わが国の核外交といいまするか、これにつきましてどういうふうな考えかというお話でございますが、これはしばしば申し上げておるところでございまするけれども、わが国は非核三原則を持っておるのであります。また、原子力基本法を制定いたしました。また、核兵器不拡散条約に加盟をいたしております。さようなことで、核はこれを持たない、兵器としてこれを使わないということを世界に宣言をいたしておる国柄でございます。わが国がそういう立場をとっておる、これは私は、世界の平和のために非常に貴重な立場だ、こういうふうに思うのであります。
 わが国の今日の経済力をもってすれば、わが国の科学技術の水準をもっていたしますれば、わが国は今日、決意をし、欲しますれば核兵器を持ち得るのであります。その持ち得る立場にあり、持ち得る力を持つこのわが国が、あえて核兵器は持ちませんという立場をとっておることは、世界の平和に対して非常に大きな意味合いがある、このように考えるのであります。
 わが国は、そのように核を持ち得る能力を持ち、そういう立場にもありながらその核は持たぬという立場をとりながら世界の平和に貢献をいたしてまいりたい、このように考えておりますが、これがわが国の核外交の基本的な考え方でございます。
 また、沢田さんは、東海工場の運転につきましては、日米再処理交渉で二年後に再協議をするということになっておる、その見通しがはっきりしない今日の段階におきまして、このような立法をいたし、第二再処理工場の民営化を考えることは早計ではあるまいかというお話でございますが、昨年の日米再処理交渉におきましても、米側は第二再処理工場の建設の可能性を決して否定しておりません。今回の法改正、新会社の設立、土地の取得等につきましては差し支えない、こういう見解を示しておるのであります。御懸念の点は無用でございます。
 また、最後に、沢田さんは、憲法第九条に触れられまして、憲法第九条の解釈を非難されておりまするけれども、私どもの政府の統一した憲法解釈は、憲法第九条は、わが国が自衛のために必要であるところの必要最小限の装備を否定しておるものではないのであります。わが国は生きた国家であります。それが、わが国が侵略を受けた、その際にわが身を守る、これはわが国の権利でなければならぬ、このように考えるのであります。その必要最小限の装備につきましては、それが核兵器であろうがなかろうが差別はないのだ、そういう見解でございます。
 ただ、憲法の第九条の解釈論はそういうことでございまするけれども、わが国はただいま申し上げましたように非核三原則を持っておる、また、原子力基本法を持っておるわけであります。また、核兵器不拡散条約に加盟をいたしておるわけであります。そういう意味であり、特に、非核三原則につきましては国会満場一致の御決議でもあり、私どもは国是にも似た大原則である、このような立場でこの原則を堅持したい、このように考えておるのでありまして、この見地から、いかなる核装備でありましても、いやしくも核装備は絶対に持たない、このようにいたしておる次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣熊谷太三郎君登壇〕
#8
○国務大臣(熊谷太三郎君) ただいま総理からお答えいただきました以外の問題につきましてお答えを申し上げます。
 まず、エネルギーとしての核の問題でございますが、これは総理からも一言いたしましたが、エネルギーの海外依存がきわめて重要なわが国といたしまして、エネルギーの安定供給を図りますためにはどうしても石油代替エネルギー、とも言うべき原子力の開発が当面不可欠のことであることは、国民の御理解されているところであります。
 そこで、この原子力開発の問題につきまして、特にいろいろの問題がありますが、立地の際における地元住民との対話を十二分に行うべきである、こういう御意見がありましたが、これはまことにごもっともであります。私どもは、現在までまだその対話が足らざることを悔いているわけでありまして、今後とも十二分に住民各位との対話を進めまして、御納得を得た上でこの立地を進めてまいりたい、このように考えているわけであります。自主、安全、公開、これらの三原則を堅持するということは申すまでもないわけであります。
 また、特に今回、現在行っております東海村の再処理施設におきまして、安全の確保あるいは放射線その他の問題に関するいろいろな点につきましては、十二分に今後ともその確保に努力してまいりたいと考えております。
 また、核ジャックの問題でございますが、これも御心配はごもっともでありますが、これにつきましても、設備あるいは治安当局との連絡、その他あらゆる面からそのような危険がないように万全を期してまいりたいと考えております。
 そのほか、現在のこの計画を民営にやらして、そしていろいろな点の支障がないかというお話でございますが、再処理の問題につきましては、先ほど趣旨説明のときにも申し上げましたように、いよいよ日本が核燃料サイクルの確立を目指しまして今後進めてまいりますためには、官民、政府と言わず、民間と言わず、総力を挙げまして、この再処理体制を進めてまいらねばならぬわけでありまして、このために、やはり何としても民間の活用を図ってまいらねばならぬ、このように考えるわけであります。
 民間にやらせれば、安全その他の問題について支障が生ずるおそれがないかという御心配もありましたが、その点につきましては、政府が今後とも全責任を持ちまして、そのような心配がないように進めてまいりたいと考えるわけであります。
 なお、「むつ」の問題につきまして、何か説明できることがあったらせよというお話のように承りましたが、「むつ」の問題につきましては、誠心誠意いま佐世保港に対してお願いしている段階であるということを申し上げるだけでございます。
 あるいは答弁漏れがあるかもしれませんが、一応これをもって御答弁といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#9
○議長(保利茂君) 青山丘君。
    〔青山丘君登壇〕
#10
○青山丘君 私は、民社党を代表して、ただいま趣旨説明のありました、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に関して、総理並びに関係大臣に対して質問を行うものであります。
 いまやエネルギー資源の安定確保はわが国にとって重要な課題であり、石油ショック以降の狂乱物価、そして今日の深刻な不況を通じて、われわれはこれを痛切に体験してまいりました。
 わが国は、海外依存度が一〇〇%に近い石油によってエネルギー資源の七三%の供給を受けてきましたが、今日、アラブ産油国はその資源を温存させ、十年後には増産が限界に達して、供給不安が決定的になる事態も予想されます。核融合を初め、太陽熱、地熱、水素など、この地球上に無限に存在する自然エネルギーを最大限に活用する新エネルギーの研究開発に力を注ぐべきはもちろんのことでありますが、これは二十一世紀のエネルギーであって、しょせんエネルギーの谷間をつなぐことはできません。その意味で、石油にかわり得るエネルギーとしての原子力開発が大幅に立ちおくれてきたことは、政府が確固たるエネルギー政策を確立してこなかったからだと断じざるを得ません。このまま推移するならば、わが国のエネルギー問題は、まことに憂慮すべき状況に立ち至ることは必至と言わなければなりません。したがって、早急に総合的なエネルギー対策を講ずべきですが、総理はわが国のエネルギー対策についていかなる見通しをお持ちであるか、いかなる総合的な対策を講じられるのか、時期的なめどを含めて、政府の基本認識と対応策について明快なる御答弁を求めます。
 私は、今後のエネルギー対策の最重要課題は、一つにはエネルギー資金対策の確立であり、いま一つは省エネルギーの徹底であり、さらには原子力を中心とする代替エネルギー開発にあると考えます。
 そこでまず、エネルギー資金対策について伺います。
 これからのエネルギー開発の重点は、新しい分野の技術開発であり、巨額のエネルギー資金が必要となります。これに対処して石油税が新設されようとしておりますが、問題は、各省庁個別に予算が計上され、総合的エネルギー資金対策を講ずるにはほど遠い実態であります。去る昭和五十二年八月に報告されました総合エネルギー政策について、政府は、これまでの国会答弁を通じて、その報告中の対策促進ケースを選ぶ、このことを明らかにしておりますが、その場合の必要資金は、昭和六十年までに、物価上昇分を含めて、およそ八十八兆円、そのうち公的資金については五十一年価格で七兆円となっております。政府は、これらの資金計画についていまだ具体策を明らかにしておりません。それは、まさに政府のエネルギー政策の欠如を示すものであります。昭和六十年までに政府はこれらの公的資金をどのようにして確保していくのか、その具体的構想を明らかにしていただきたい。
 なお、この際、現在のエネルギー関係予算及び個別の特別会計を一元的に運用するとともに、政府関係資金を確保するために、民社党は、この際新たにエネルギー特別会計を設けるべきだと考えておりますが、大蔵大臣の御見解を伺います。
 次に、省エネルギー対策について伺います。
 わが国の過去十年間におけるエネルギー消費量は、年平均八・九%にも達し、世界平均の四・八%を大幅に上回ってきました。米国に次いで自由世界第二位のエネルギー消費国となっています。このことは、諸外国以上に省エネルギー対策を強力に展開しなければならないということであります。
 さきに述べました対策促進ケースにおいては、昭和六十年段階で一〇・八%の省エネルギーを達成しなければなりませんが、現状では遅々として進んでおりません。石油供給並びに原子力エネルギーの限界から言って、対策促進ケースに示された程度の省エネルギーの実現は最低限の要請だと思いますが、省エネルギーに対する政府の具体的な対策について、通産大臣の御見解を求めます。
 石油代替エネルギーとしての当面の主力は原子力に置くべきであると考えますが、政府の計画が今日まで円滑に進まない最大の難関は電源立地、備蓄基地など立地難にあると考えられますが、その原因はどこにあると認識されておられるのか、またどのように対応される覚悟か、お答えをいただきたいのであります。
 エネルギー問題は本来脱イデオロギーで考えられるべきものでありますが、立地反対運動は、ある種の政治運動と結びついて問題を複雑かつ困難にしてまいりました。こうした点についての御認識と、また対応策をお持ちでありますか。
 次に、新型転換炉について伺います。
 御承知のように、動燃が開発した新型転換炉の原型炉である「ふげん」が臨界に達して実用化に向けて大きく前進したことは、まことに意義あることであります。にもかかわらず、政府が実証炉建設について消極的であることは残念でなりません。
 プルトニウムを効率的に利用できる新型転換炉は核燃料サイクルにとって重要な地位を占めるとともに、将来の高速増殖炉の実用化に向かって、その技術開発は不可欠と言えます。したがって、わが国の自主技術開発の立場からも真剣に取り組むべきでありますが、今後政府は、新型転換炉の実用化に向けていかなる対策を講じられるのか、科学技術庁長官の確固たる対策を明らかにしていただきたいのであります。
 次に、使用済み核燃料の再処理について伺います。
 ウラン資源の乏しいわが国においては、再処理システムの確立が不可欠の課題であり、さきに政府は、この認識のもとに、東海村工場の発足についてアメリカ側との合意を暫定的に取りつけることに成功しましたが、問題は、その再処理の実施体制の確立であります。その意味で、第二再処理施設の建設が今後どう具体化されるのかがきわめて重要な課題でありますが、この点に関する政府の方針を伺いたいと存じます。
 現在の再処理をめぐる国際情勢は、日米交渉を見るまでもなく、まことに険しいものがあります。世界で唯一の被爆国であり、非核三原則を国是とするわが国としては、核の拡散防止については世界の主導的役割りを果たしてまいらなければなりません。したがって、一方において、原子力の平和利用についても厳しい国際規制を受けなければならない事態に立ち至ることも想起されます。このような意味からすれば、さきの日米交渉において、原子力の平和利用と核の拡散防止は両立し得るとの見解、基本理念を貫かれたことに対し、私は賛意を表するものであります。
 その際の共同声明によりますと、日米両国は、新たな再処理施設に関する主要な措置はとらない旨、合意されておりますが、法改正を行い、新会社の設立、土地の選定等の措置をとることは、この共同声明に沿っているものかどうか、お尋ねいたします。
 また、今後の問題としては、昨年十月から開始された国際核燃料サイクル評価、INFCHへの対応がきわめて重大であります。
 ここにおいても、わが国の自主的立場を損なうことなく、積極的に対応していくべきと思うが、政府の所信を伺いたいのであります。
 さらに、INFCEに対応していくためには、核燃料サイクルについて、わが国としてのコンセンサスが確立していなければなりません。もし、再処理の実施体制を整備し、わが国としての核燃料サイクルを確立していこうとの国内的なコンセンサスがなければ、国際的にわが国の立場を認めさせることなど、とうていでき得るものではありません。政府の御見解を求めます。
 一部には、INFCEの終了を待って、再処理についての世界の方向を見きわめた上で、再処理民営化を議論するべきであるとの考えがありますが、このような意味からすれば、これはまさに本末転倒の議論であると言わなければなりません。むしろ、INFCHの期間中にこそ、本問題についてわが国としての明確な方針を打ち出し、それを背景に国際議論に臨むべきであります。
 再処理に関する政府の方針並びにINFCEに臨むわが国の立場について、政府は具体的方針を明らかにしていただきたいと存じます。
 以上、私は、原子力開発の重要性と核燃料サイクル体制確立の重要性にかんがみ、政府が今後原子力開発に積極的に取り組まれることを期待して、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。
 青山さんは、石油代替エネルギーが大変開発がおくれておる、それを心配されておるわけでございますが、ついては、今後のエネルギー確保の見通しはどうか、こういう御質問でございます。
 昭和五十年代をとらえてみましても、この問題は非常に重要です。雇用の確保というようなことを考えましても、どうしても六%成長は必要だというふうに見ておるのです。それを実現可能ならしめる前提条件、これは、何といってもエネルギーの確保というところにあるわけでございまするけれども、御承知のように、いま石油エネルギーに依存をしておる。その石油が、十年、十五年先になるとかなり窮屈になるという見通しでございます。そういうことを考えまするときに、代替エネルギーの開発などを含めまして、これは総合的なエネルギー対策というものを持たなければならぬ。そこで、何と申しましても、石油の供給、まあ先々は窮屈になりまするけれども、そういう中におきましても、わが国といたしましてできるだけの供給の道を求めておかなければならない。その努力はいたします。
 同時に、省資源、省エネルギー、この考え方をかなり強力に進めていかなければならぬだろう、このように考えておるのでありまするけれども、それだけではとうていこのエネルギー需要に対応するわけにはいきません。
 そこで、何といたしましても新エネルギーの開発、これに本当に真っ正面から真剣に取り組まなければならぬ、このように考えておるわけでありまするが、いろいろ検討いたしましても、新エネルギーといいますると、いろいろ考えられまするけれども、とにかく柱になるようなものは核エネルギー以外にはどうも当面なさそうでございます。そういうことを考えまするときに、新エネルギー、つまり石油代替エネルギーの中軸といたしましては、何といたしましても核エネルギーに依存せざるを得なかろう、このように考える。そのような石油対策は進めますが、同時に、省エネルギー、また核エネルギー開発を中心といたしました石油代替エネルギーの開発、これらを総合いたしまして、とにかく六%成長、これに事欠かせないようにぜひいたしたい、このように考えている次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣河本敏夫君登壇〕
#12
○国務大臣(河本敏夫君) 御質問が二つございますが、その一つは、省エネルギーをどう進めるかということでございます。
 まず、この省エネルギーを進める体制でございますが、内閣に省エネルギー・省資源対策推進会議というものを設けまして、ここが中心になりましてこの政策を進めております。
 それから、なお、この省エネルギー政策を強力に進めますために法的な整備が必要であるということで、現在、省エネルギーに関する法律を準備中でございます。近く国会に提出する予定でございます。
 それから、中小企業に対しましては、省エネルギーに関する情報を積極的に提供するようにいたしております。また、この五十三年度から、省エネルギーの技術の研究開発制度を設けることにいたしました。相当の予算も計上をいたした次第でございます。この計画をいわゆるムーンライト計画と呼んでおりますが、今後数年間にこれを積極的に進めたいと考えております。
 それから、なお、税制の面、金融の面で格別の配慮をいたしておりますが、特にことしから、税制面では新しい制度を設けることにいたしております。
 次に、原子力の開発を進める上において何が問題になっておるかということでございますが、これはやはり国民の皆さんの理解をいただくということが最大の課題であると考えております。特に原子力発電の安全性、同じく環境の保全、これに万全を期していくということ、これが一番大事な点でございまして、政府の方はさらにこの点につきまして一層積極的な努力が必要だと考えております。そして、この点についての国民的な合意をつくり上げていくということ、形成をしていくということ、これが最大の課題であると考えまして、この方向に努力してまいる所存でございます。(拍手)
    〔国務大臣村山達雄君登壇〕
#13
○国務大臣(村山達雄君) 青山さんは、総合エネルギーの重要性にかんがみて、いまあります特別のいろいろな財源あるいは特別会計を総合して、総合エネルギー会計のようなものを設けたらどうか、こういう御意見でございます。
 御承知のように、現在は、エネルギー対策財源といたしましては、石炭、石油については原重油関税が特定財源としてあります。なお、石油につきましては追加いたしまして、今回、石油税の創設をお願いしているわけでございます。これらはそれぞれ同会計の石炭及び石油特別会計に入りまして、特定財源として所定の目的に使われるはずでございます。
 なお、電源開発につきましては、火力、水力、原子力発電を通じまして現在、電源開発促進税がございまして、これは御承知のように、電源開発促進対策特別会計に入りまして、いま、所定の目的に使っているわけでございます。
 おっしゃる点は、将来非常に膨大な、十年間で五十一年価格で七兆円くらいかかる、この対策のためには、これらを全部総合すべきではないかという御意見でございます。
 おっしゃる趣旨もよくわかるのでございますが、現在の制度もそれなりに働いていると思うのでございます。したがいまして、この夏には、総合エネルギー調査会でこの財源問題が検討されるはずでございますので、それらの検討の結果を踏まえまして十分対処してまいりたい、かように考えているところでございます。(拍手)
    〔国務大臣熊谷太三郎君登壇〕
#14
○国務大臣(熊谷太三郎君) ただいまいろいろお尋ねのありました点につきまして、それぞれ各大臣からお答えがございましたが、二番目にお答えになりました原発立地の促進でございますが、これにつきましては、通産大臣からもお話がありましたように、地元の皆さんと徹底的な了解がつかなければなりませんので、そういう点を特に重視いたしまして、われわれとしましては、本年の一月に原子力発電立地推進懇談会という協議会を設けまして、現在、せっかくこの原発を受け入れていただいております府県並びに市町村の代表者と会同をいたしまして、そうして、現在まだ政府とそれらの地元との間に残っておりますいろいろな懸案につきまして、徹底的に研究を、検討を進めまして、そうして、いやしくもそういう地元とのすきが少しもないといったような状態にまでその了解を進めてまいりたい、このように考えているところであります。
 それから、ただいまお尋ねのありました新型転換炉の実用化対策でございますが、この新型転換炉の開発は、原型炉「ふげん」が先月二十日に御承知のように臨界に達したところでありまして、これは、わが国の自主開発の大きな成果でありまして、まことに喜びにたえないところでございます。今後は、この原型炉「ふげん」での成果等を踏まえ、実証炉の開発を考慮することとしておりまして、その建設については慎重な評価、検討を行った上で実用化を考えてまいりたい、このように思っているわけでございます。
 次に、わが国の再処理政策と、第二再処理工場の計画についてでございますが、原子力発電の本格化に伴いまして、使用済み燃料再処理の需要も今後急増するものと見込まれておりまして、昭和六十五年度までには、累積量で約八千二百トンと見込まれているわけであります。
 これに対して、わが国は再処理を国内で行うとの基本方針のもとに、まず、動燃事業団が東海村において、年間処理能力二百十トンの再処理施設を建設し、現在、御承知のように試運転を行っているところであります。
 この再処理施設のみでは、今後のわが国の再処理需要に対処することはとうてい不可能でありますので、当面は、やむを得ず、海外への委託によりまして対処することといたしておりますが、将来は、商業規模の第二再処理工場を建設し、本格的な再処理体制を確立することといたしております。
 第二再処理工場は民営といたしまして、年間処理能力千五百トンの施設を昭和六十五年ごろに運転開始します予定方針であります。同工場の建設は十年以上の長期間を要すると見込まれておりますので、昭和六十五年ごろに運転を開始するためには、その建設準備に一刻も早く着手しなければならぬ必要がございます。すでに、民間におきましては、原子力業界を中心にいたしまして、諸般の調査を行う等、準備を進めておりますが、政府といたしましても、関係法令の整備等、所要の措置を講じておりまして、原子炉等規制法改正案の早期成立をお願いを申し上げている次第でございます。
 さらに、日米再処理交渉の問題でございますが、昨年九月、東海再処理施設に関する共同声明におきまして、日米両国は、再処理施設に関する主要な措置はとらない旨合意しております。しかしながら、その際、第二再処理工場の建設に関します法律の改正、会社の設立、敷地の選定等を行うことは何ら差し支えないという米国の了解を得ておるわけでありますので、これらを行うことは共同声明に反するものではありません。
 次に、INFCEへの対処でございますが、INFCEは、平和目的のための原子力開発を阻害することなく、核兵器拡散の危険を最小限とするために最良の道を探求することを目的として、昨年十月に四十カ国、四国際機関の合意を得まして開始されたものであります。
 わが国としましては、原子力の平和利用と核拡散の防止とは両立し得るとのわが国の基本的立場につきまして、諸外国の理解と協調を求めるべく、INFCEに対して積極的に参加しているわけであります。特に、再処理とプルトニウムの問題を取り扱う第四作業部会は、INFCEのかなめとも目されておりますが、わが国は、英国とともにこの作業部会の共同議長国に選出されており、INFCEの作業に指導的な役割りを果たす地位を確保いたしたわけであります。これによりまして、再処理を中心とした核燃料サイクルを確立するというわが国の基本的立場を貫くよう、最大限の努力を傾注する所存であります。
 第四作業部会は、五月半ばに東京において、世界各国の代表の参加を得まして第二回の全体会議を開催する予定であります。この機会をとらえ、再処理に関するわが国の基本姿勢を諸外国に示すことは、今後、INFCEにおける国際協議を有利に発展させてまいりますために不可欠のことでもあると信ずるわけであります。
 さような見地から、再処理の国内体制整備のかぎとなる原子炉等規制法の改正法案を一刻も早く成立させていただきますよう、これも強くお願いをする次第でございます。
 なお、最後に、先刻の御質疑に対しまして、「むつ」の問題について差し支えない限り私にここで説明せよということでございまして、一応申し上げましたが、この際、さらにつけ加えて申し上げさせていただきたいと存じます。
 「むつ」の問題につきましては、どこである、あそこであると、そういう場所が必ずしも最終の目的ではありません。場所はどちらでもよろしいわけでございますが、しかし、一刻も早くどちらかの場所におきましてその改修を進めたい、こういうことが私どもの本心でありますことを重ねて申し上げまして、御理解を得たいと考えるわけであります。(拍手)
#15
○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第一 国民年金法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#16
○議長(保利茂君) 日程第一、国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 委員長の報告を求めます。社会労働委員長木野晴夫君。
    ―――――――――――――
 国民年金法等の一部を改正する法律案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔木野晴夫君登壇〕
#17
○木野晴夫君 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案は、昨今の社会経済情勢にかんがみ、福祉年金の額の引き上げを図るとともに、児童扶養手当等の額の引き上げを行い、あわせて厚生年金保険、船員保険及び国民年金の昭和五十三年度における年金額のスライドの実施時期をそれぞれ繰り上げる等によりまして、老人、心身障害者、母子家庭及び児童の福祉の向上を図ろうとするものであります。その主なる内容は次のとおりであります。
 第一は、国民年金の福祉年金の額につきましては、本年八月から、老齢福祉年金の額を月額一万五千円から一万六千五百円に、障害福祉年金の額を一級障害者につきましては月額二万二千五百円から二万四千八百円に、二級障害につきましては月額一万五千円から一万六千五百円に、母子福祉年金及び準母子福祉年金の額を月額一万九千五百円から二万千五百円に、それぞれ引き上げることであります。
 第二は、国民年金の保険料の額を、昭和五十四年四月分から月額三千三百円に、昭和五十五年四月分から月額三千六百五十円に、それぞれ引き上げることであります。
 第三は、いわゆる無年金者対策として、過去に国民年金の保険料を滞納している期間がある者について、昭和五十三年七月より二年間特例納付を実施することとし、その保険料については月額四千円とすることであります。
 第四は、厚生年金保険及び船員保険の在職老齢年金の改善として、本年六月から、六十五歳以上の在職者に支給される老齢年金等について、全額支給の対象を標準報酬月額十三万四千円以下の者にまで広げるとともに、六十歳以上六十五歳未満の在職者に支給される老齢年金等についても、その支給対象を標準報酬月額十三万四千円までの者に拡大することとし、また、七十歳以後も引き続き在職している者の老齢年金等の年金額を、七十歳の時点で改めて計算する措置を行うものであります。
 第五は、厚生年金保険及び船員保険の寡婦加算額を本年六月からそれぞれ月額千円引き上げ、子供二人以上の寡婦の場合は六千円、子供一人の寡婦の場合は四千円、子供のいない六十歳以上の寡婦の場合は三千円とすることであります。
 第六は、昭和五十三年度における年金額のスライドの実施時期を、厚生年金保険及び船員保険については昭和五十三年十一月から昭和五十三年六月に、国民年金については、昭和五十四年一月から昭和五十三年七月に、それぞれ繰り上げたことであります。
 第七は、年金福祉事業団の行う資金の貸し付けを受けることのできない特殊法人等について、住宅資金の貸し付けを受けることができるようにしたものであります。
 第八は、児童扶養手当、特別児童扶養手当及び福祉手当の額については、国民年金の福祉年金に準じて本年八月からそれぞれ引き上げたことであります。
 第九は、児童手当については、低所得者に対する児童手当の額を本年十月より月額五千円から六千円に引き上げるほか、新たに児童の健全な育成及び資質の向上に資する施設をすることができるようにしたこと等であります。
 本案は、去る三月十七日付託となり、昨日の委員会において質疑を終了し、採決の結果、本案は原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 なお、本案に対しては附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(保利茂君) 採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案(第八十回国会、内閣提出)
 日程第三 特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案(内閣提出)
#20
○議長(保利茂君) 日程第二、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案、日程第三、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。商工委員長野呂恭一君。
    ―――――――――――――
 日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案及び同報告書
 特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律
  案及び同報告書
    〔本号(二)に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔野呂恭一君登壇〕
#21
○野呂恭一君 ただいま議題となりました両法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案について申し上げます。
 本案は、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実施に伴い、共同開発区域における石油及び可燃性天然ガスの探鉱開発事業に関し、鉱業法にかわる特別の制度を定めるものでありまして、その主な内容は、
 第一に、共同開発区域内で石油及び可燃性天然ガスの探査及び採掘をする権利を特定鉱業権として通商産業大臣が許可するものとし、許可を受けた特定鉱業権者は、大韓民国開発権者との間に共同開発事業契約を締結して、通商産業大臣の認可を受けなければならないこと、
 第二に、特定鉱業権者は、事業の実施義務、坑井の掘削義務及び鉱区の減少義務を負うものとし、操業管理者となった場合は、通商産業大臣の認可を受けた施業案によって事業を行わなければならないこと、
 第三に、漁業生産上重要な魚礁が存在する区域を指定区域とし、当該区域において工作物の設置等をするときは、通商産業大臣の許可を受けるものとし、また、石油及び可燃性天然ガスの探査または採掘によって、日本国及び大韓民国の国民及び法人等に損害を与えたときは、両国の開発権者は連帯してその損害を賠償する責めに任ずること等であります。
 日韓両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定とその関連国内法案は、昭和四十九年五月十八日、第七十二回国会に提出され、以来、長年月にわたり懸案となってまいったのでありますが、協定につきましては、すでに昨年、第八十回国会において承認されているのであります。
 本案は、昨五十二年二月十九日、第八十回国会に三たび提出となり、五月十七日本会議において趣旨説明及び質疑が行われ、同日当委員会に付託され、五月十八日田中通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、慎重に審査を行いましたが、継続審査となりました。
 次いで、第八十二回国会では、参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を行い、十一月十六日質疑を終了、討論の後、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決したのでありますが、諸般の事情により、再び継続審査となり、今国会に至ったものであります。
 今国会では、去る十二月十九日当委員会に付託され、慎重に審査を行い、四月六日質疑を終了、討論の後、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 次に、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案について申し上げます。
 近年における経済の国際交流及び技術の交流の活発化に伴い、工業所有権制度をめぐる国際動向も大きな進展を見せておりますが、特に、外国出願を容易にすること、また、各国の特許庁における審査に要する労力重複の軽減を図ることを目的として、一九七〇年に特許協力条約が締結されましたことは画期的な前進であります。
 この条約にわが国が加盟するための承認案件は、去る三月三十一日すでに今国会において承認されております。
 本案は、この特許協力条約を実施するために必要な手続を定めるとともに、特許法等関係国内法の整備を図ろうとするものでありまして、その主な内容は、
 第一に、特許協力条約に基づく国際出願について特許庁と出願人との間の手続につきまして、日本国民等は日本語でわが国の特許庁に国際出願をすることができること、その他、国際出願に関する手続、国際出願日の認定、国際調査、国際予備審査等について規定しております。
 第二に、わが国の特許権等を取得しようとする国際出願について、これを現行法の国内手続につなぐために必要となる特許法等の改正を行うこととし、出願書類が外国語で作成されている国際出願については、原則として出願の日から二十カ月以内に翻訳文を特許庁長官に提出しなければならないこと、国内における当該出願の処理または審査は翻訳文に基礎を置いて行うこと、その翻訳文の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる場合については、審査の段階では異議の申し立てにより拒絶し、特許後においては無効審判と訂正審判の手続を連接することによって措置すること等を規定しております。
 本案は、去る三月十七日当委員会に付託され、四月四日河本通商産業大臣より提案理由の説明を聴取し、以来、慎重に審査を行い、四月六日質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対し、特許制度の運用等に関する附帯決議が付せられましたことを申し添えます。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#22
○議長(保利茂君) 両案中、日程第二につき討論の通告があります。順次これを許します。渡辺三郎君。
    〔渡辺三郎君登壇〕
#23
○渡辺三郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日韓大陸棚共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案に反対の討論を行うものであります。(拍手)
 言うまでもなく、この特別措置法案は、さきの第八十通常国会で、ごり強いの会期延長の末、参議院の審議も経ないまま自然成立となったいわゆる日韓大陸棚共同開発協定に基づき、それと一体のものとして提案をされているものであります。これらの経過が端的に物語っておりますように、余りにも不当な協定であり、それに伴う特別措置法案であります。しかも、それらの問題点は、本法案の審議を通じてもいささかも解明されないばかりか、協定の不当性は一層浮き彫りにされ、疑惑はさらに深まってきたと言わなければなりません。
 以下、私は、その問題の重立った点を指摘をしながら、反対の理由を申し上げます。
 まず、その第一は、この協定はわが国の主権的権利を放棄したという点であります。
 もともとこの区域については、日本と韓国が共同して開発しなければならない何らの理由も存在しないのであります。つまり、この協定は、両国大陸棚の分界線として、日本側が主張した中間線と、韓国側が主張した韓国の大陸棚の自然の延長の外縁とされるものに囲まれた中間線の日本側であって、両国の主張の重なる部分を、両国の法的主張をたな上げしたまま共同開発区域としているわけであります。
 ところで、共同開発区域とされる部分は、第三次海洋法会議で圧倒的な大勢となりつつある排他的経済水域の制度が実定法化されれば、海底資源の探査、開発は日本が当然主権的権利を有することになる部分であります。
 韓国政府が、その近海に次々と開発鉱区を設定して、その開発権をメジャーの手にゆだね、本来は当然わが国の主権の及ぶ範囲の区域にまで勝手に鉱区を設定してきたことが、そもそも問題の発端とされております。
 このようなわが国の主権的権利下にある区域の一方的侵犯とも言える行為に対して、何ら毅然たる態度を貫くことなく、仕方なく両国の共同開発区域としたなどという、他に類例のない愚かしい行為をどうしてわれわれが承認することができましょうか。(拍手)ここに疑惑に満ちた日韓癒着の深さを見るのであります。
 共同開発の名のもとに、日本の資源に対する主権をあらかじめ半世紀にわたって放棄するということを約束する驚くべき反国民的条約であり、それを推し進めるための特別措置法案と言わなければなりません。
 第二に、本協定は、一部に、中国と日本の中間線の日本側を共同開発区域とする部分を含んでおり、中国のたび重なる厳重な抗議を受けてまいりました。
 もし韓国の言う自然の延長論に相当の根拠があるとして、妥協のために共同開発方式が選ばれたのであるなら、同じ自然の延長論に立つ中国に対して、中間線より日本側にはいかなる権利も主張できないとする政府の説明は、少なくとも中国に対しては全く説得力を欠くものであり、しかも、言うまでもなく、協定は第三国たる中国に対してはいかなる拘束力も持ち得ないのでありますから、本協定によって中国との間に重大な紛争が生じるであろうことは明らかであります。(拍手)
 大陸棚の境界画定については、国際法上も関係諸国の合意を前提とすることは改めて言うまでもありません。にもかかわらず、政府は、当然の関係国である中国とは全く事前の協議を行っておりません。一方的に条約をつくり上げてから、それをただ認めろと押しつけられる立場に立った場合、だれが一体快く了解するでありましょうか。まさに拙劣にして思い上がった態度であり、外交的大失敗だったに言わなければなりません。(拍手)
 第三は、この共同開発区域内の石油及び天然ガスの埋蔵里推定は必ずしも明確ではありません。
 政府は、事あるごとに、この共同開発区域の石油資源を中東並みと宣伝し、しゃにむに協定と本法案の成立を急いできたのであります。
 そして、一方においては、わが国の資源不足を逆に大義名分として、何が何でも掘りさえすればよいという姿勢を打ち出し、すべてをそこから出発させる態度をとってまいりました。
 共同開発区域内における石油埋蔵量の推定について、これまでの政府の答弁や、協定、本措置法案に賛同の立場をとる参考人の意見はそれぞれ食い違い、また、質疑の過程で三転、四転したことは周知の事実であり、最近になってようやく無理につじつまを合わせるという苦しい態度をとっていることも見逃すことができません。すでにこれまでの審議を通じて明らかなように、むしろ本協定による共同開発区域よりも、南西寄りの東シナ海大陸棚にこそ有力な石油資源の賦存が各種の調査から確信されていることを考えれば、いま多くの疑惑と中国との紛争状態を残したまま日韓共同開発を進めることは、百害あって一利なしと言わなければなりません。(拍手)
 これらを無視して強引に事を運ぶならば、東シナ海全域にわたる経済水域または大陸棚の分界に関し、将来、日中間の交渉を著しく困難にするだろうことを強く警告するものであります。
 第四は、本協定に基づく操業が現実に行われる場合の海洋汚染防止、除去についての対策を見ましても、二国間の共同開発という特殊事情の中で、多くの欠陥があります。
 とりわけ、私どもが早くから具体的に指摘をしておいた韓国側のこの問題にかかわる態勢の不備は、いまに至るも依然そのままであります。
 たとえば、海洋汚染や海上災害の防止にかかわる国内法の整備もおくれており、油による海水の汚濁防止のための六二年改正国際条約への加盟もいまだになされておりません。もちろん、わが国の場合においても、この区域の条件に照らして、深海操業技術の現状を冷静に検討するとき、いまだ多くの危惧を残していることは否定できないのであります。ましてや、この区域は黒潮の分岐点でありますから、万一油事故の生じた場合の被害は大変なものにならざるを得ません。海底油田の開発が重大な事故を招く危険のあることは、サンタバーバラの事故や北海道油田の事故に照らしても明らかであります。
 本協定の場合、韓国側が認可した開発権者が操業管理者となれば、その開発行為には韓国の法令が適用されるのであります。政府自身が言うように、共同開発の対象とされたこの海域は、わが国漁業者がみずから開発し、着実な成績を上げているわが国でも最も優良とされる漁場であります。さらに、政府の提出した資料で明らかなように、共同開発区域内の開発可能な水深二百メートル以浅に有力魚礁が集中しているのであります。
 こうした事実、また本法案の第二十一条にある調整の具体的内容、さらに政府がこれまで関係漁業者との間で行ってきた説明や了解の取りつけ方などを総合検討した結果、とてもとても万全とは言い得ないのであります。
 以上、私は、幾つかの点にしぼって申し上げてまいりましたが、すでに触れましたように、今日、二百海里経済水域という海洋新秩序の時代を迎えた中で、この共同開発区域は、そのまますっぽりわが国の主権的傘下に置かれるべき区域であります。
 しかも、その広さは、九州の二倍にも及ぶ広大なものであり、このわが国の主権的区域を事実上韓国に譲り渡すような協定、そして国際法上のあるべきやり方を無視し、みずから求めて中国との紛争を引き起こすような協定及び本特別措置法案を断じて承認するわけにはまいりません。(拍手)
 協定批准書の交換はまだなされておりません。多くの良識ある国民の声に耳を傾け、政府は、速やかに本法案を撤回するととももに、批准書交換は行わないという態度を明確に表明し、悔いを将来に残さない措置をとるよう強く要求して、反対討論を終わります。(拍手)
#24
○議長(保利茂君) 松本忠助君。
    〔松本忠助君登壇〕
#25
○松本忠助君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の実施に伴う石油及び可燃性天然ガス資源の開発に関する特別措置法案に対し、反対の討論を行うものであります。(拍手)
 以下、その主な理由を申し述べます。
 第一の反対の理由は、今日、二百海里経済水域という海洋新秩序の時代の中で、この共同開発区域は日韓中間線の日本側にあり、まさにそのすべてが将来わが国の主権的権利の及ぶ可能性の強い区域であり、しかもその面積は九州の二倍にも及ぶ広大なものであります。このような共同開発を行うことはわが国の国益を損なうものと言わなければなりません。
 この共同開発区域なるものの設定とともに北部の大陸棚の境界を画定する協定を定めておりますが、この南部の共同開発区域の画定の方法と北部の大陸棚の境界の画定の方法とは全く相反する方法によって定められております。すなわち、北部の大陸棚の境界を画定するには日韓両国の中間線によってその境界が画定されているにもかかわらず、南部の共同開発区域の画定に当たっては、北部と同じ立場を貫く境界線を画定することができず、ついに共同開発区域という表現で問題を後日に残したことはまことに遺憾なことであり、将来に大きな禍根を残したままこの協定が批准され、それに基づく本法が成立することは断じて許すわけにはまいらぬのでございます。(拍手)
 すなわち、世界の海洋法の趨勢となっている経済水域理論と衡平の原則を考慮していない協定であり、将来日本の主権的権利の及ぶ可能性のある海域を共同開発区域として、本法第二条第二項の区域としている点は重大なる問題と言わなければなりません。
 第二の反対の理由は、共同開発区域の座標第六、第七、第八による日中中間線は日本側の一方的設定でありまして、政府は、中国には何らの関係もない海域であると主張し続けてきましたが、中国は昭和四十九年二月四日、外交部スポークスマン声明をもって、共同開発区域は中国の主権を侵害する行為であると抗議をしてきており、その後何度も同様趣旨の意向を明らかにしてきておりますが、政府は、共同開発区域は日中中間線の日本側にあり、中国の権利は侵していないと述べるのみであって、中国政府と積極的に交渉して問題を解決しようという熱意が見受けられないのであります。
 もし政府のこの理論を一方的に押しつけることができるならば、韓国との間でも当然その主張を通すべきであり、韓国が認めない日本の主張を、中国には話し合いもしないままに押しつけるというのは、はなはだしく矛盾するものであるばかりか、中国を軽視する態度であり、将来にわたって紛争の原因を残すものと言わざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに、昨年六月十三日には、従来の外交部スポークスマン声明より強い外交部声明という形で強硬な抗議が行われております。しかるに、これすらも無視するとすれば、せっかく積み上げてきた日本と中国の友好関係を大きく後退させることになることを憂慮するものであります。
 したがって、前国会以来主張しておりますとおり、本協定の批准については、少なくとも中国との合意が得られるまで待つべきであると主張するものであります。
 第三の反対の理由は、海洋開発に伴う汚染防止及び万一にも事故発生の場合における五の影響がきわめて広範な水域に波及することが深刻に憂慮されるにもかかわらず、その対策が何ら明確にされていないことであります。
 外務省のPR用パンフレットによれば、海底油田の開発に伴う海洋汚染については、防止のため世界各国とも厳重な規制を行っており、今日まで海を汚染した例は日本には全くない。世界でもきわめてまれである。サンタバーバラの事故は噴出防止装置をつけておかなかった例であると述べ、さらに、共同開発区域ではこのような事故が起こる可能性はないと強調しておりますが、私は、政府のこの見解こそ、科学的、技術的根拠のないたわ言であり、単なる気休めにすぎず、このような例示だけでわれわれは納得するわけにはいかないのであります。(拍手)
 そのやさき、昨年の四月二十一日、世界的技術の粋を集めた北海油田において油漏れ事故が勃発し、一日四千トンに及ぶ原油が流出し、長さ二十三キロ、幅五キロの帯状となって海上を汚染した事故があります。また、海底油田による事故ではありませんが、本年三月十六日夜、フランスの北西部ブルターニュ半島沖合いにおいて、リベリア船籍大型タンカー「アモコ・カジス号」が原油二十三万トンを満載して航行中、座礁し、船体が真っ二つに割れ、全積載量を流出した事故は記憶に新しいところであります。
 海底油田は二十三万トン以上も油を埋蔵しているのであります。油流出事故が万が一にもこの共同開発区域で発生したら一体どうなるのか、考えただけでもはだ寒い思いがするのであります。
 第四の反対の理由は、漁業に及ぼす影響と被害の防止についてきわめて不十分であるからであります。
 この共同開発区域は、黒潮が太平洋と日本海に流れる分岐点に当たっており、水産庁から提出された魚礁分布図によると重要な魚礁が数多く存在し、アジ、サバ、イカなどの産卵地であり、豊かな漁場であります。もし前述のごとき事故が発生した場合、水産漁業に及ぼす影響は甚大であり、流出した油は黒潮に乗って太平洋と日本海の両方の海岸を汚染し、多くの沿岸漁業にも被害を及ぼすことは明白であります。
 また、本法第三十六条による制限区域の指定もいまだ明らかにされていない現状において、開発事業が進行し被害が発生したならば、賠償するという単純な解決法では済まされない重大な問題がそこに含まれております。少なくとも本法成立以前に、関係漁民との協議によって制限区域を明らかにすべきであると思います。
 まだまだ問題点は多々ありますが、なぜこのような問題の解明がなされないまま共同開発を急がなければならないのか、私にはどうしても理解ができないのであります。いま、国民の血税であるところの五千億円と言われる巨費を投入したあげく、原油は韓国と折半とはまことに理解に苦しむ協定であります。
 しかして、わが国の主権的権利として認められた大陸棚及び経済水域において十分な調査と準備を行い、十分な安全確保の見通しを立てた後に日本のすぐれた技術をもって独自の開発をするならば、産出した石油はわが国のエネルギー資源としてすべて活用できるのであります。
 そのためには、いまだ国際的にもかつ国内的にも効力の発生していない日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚(だな)の南部の共同開発に関する協定の批准を取りやめるべきことを強く主張するとともに、それに伴う当該国内法案の撤回を求め、私の反対討論を終わります。(拍手)
#26
○議長(保利茂君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#27
○議長(保利茂君) これより採決に入ります。
 まず、日程第二につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#28
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
 次に、日程第三につき採決いたします。
 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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#30
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        大 蔵 大 臣 村山 達雄君
        厚 生 大 臣 小沢 辰男君
        通商産業大臣  河本 敏夫君
        国 務 大 臣 熊谷太三郎君
 出席政府委員
        科学技術庁原子
        力局長     山野 正登君
        科学技術庁原子
        力安全局長   牧村 信之君
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ソース: 国立国会図書館
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