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1977/04/25 第84回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第26号
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1977/04/25 第84回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第084回国会 本会議 第26号

#1
第084回国会 本会議 第26号
昭和五十三年四月二十五日(火曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二十三号
  昭和五十三年四月二十五日
    午後一時開議
 第一 世界観光機関(WTO)憲章の締結につ
    いて承認を求めるの件(参議院送付)
 第二 許諾を得ないレコードの複製からのレコ
    ード製作者の保護に関する条約の締結に
    ついて承認を求めるの件(参議院送付)
 第三 船員の職業上の災害の防止に関する条約
    (第百三十四号)の締結について承認を
    求めるの件(参議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日程第一 世界観光機関(WTO)憲章の締結
  について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第二 許諾を得ないレコードの複製からの
  レコード製作者の保護に関する条約の締結に
  ついて承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第三 船員の職業上の災害の防止に関する
  条約(第百三十四号)の締結について承認を
  求めるの件(参議院送付)
 農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)の趣旨説明及び質疑
    午後一時四分開議
#2
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 世界観光機関(WTO)憲章の締結
  について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第二 許諾を得ないレコードの複製から
  のレコード製作者の保護に関する条約の締
  結について承認を求めるの件(参議院送付)
 日程第三 船員の職業上の災害の防止に関す
  る条約(第百三十四号)の締結について承認
  を求めるの件(参議院送付)
#3
○議長(保利茂君) 日程第一、世界観光機関(WTO)憲章の締結について承認を求めるの件、日程第二、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約の締結について承認を求めるの件、日程第三、船員の職業上の災害の防止に関する条約(第百三十四号)の締結について承認を求めるの件、右三件を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。外務委員長永田亮一君。
    ―――――――――――――
 世界観光機関(WTO)憲章の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約の締結について承認を求めるの件及び同報告書
 船員の職業上の災害の防止に関する条約(第百三十四号)の締結について承認を求めるの件及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔永田亮一君登壇〕
#4
○永田亮一君 ただいま議題となりました三件につきまして、外務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、世界観光機関憲章について申し上げます。
 本憲章は、近年国際観光が急速に発展してきたことによって生ずる諸問題に有効に対処するため、非政府間機関であった公的旅行機関国際同盟を改組し、政府間機関として世界観光機関を設立するものでありまして、一九七〇年九月二十七日メキシコにおいて開催された同盟の臨時総会で採択されたものであります。
 本憲章は、機関の目的、構成員の地位、総会を初めとする内部機関の権限、予算及び支出の原則等について規定しております。
 次に、レコード製作者の保護に関する条約について申し上げます。
 本条約は、一九七一年十月二十九日にジュネーブにおける国際連合教育科学文化機関及び世界知的所有権機関の共催による外交会議で採択されたものであり、レコードの無断複製からレコード製作者を保護することを目的として、保護の方法、保護期間、保護の制限等について規定しております。
 次に、船員の職業上の災害防止条約について申し上げます。
 本条約は、一九七〇年十月に開催された国際労働機関の第五十五回総会において採択されたものでありまして、船員の職業上の災害に関する調査の実施及び統計の作成、災害の防止に関する国内法制の整備、災害防止計画の作成等について規定しております。
 以上三件はいずれも参議院から送付されたものでありまして、世界観光機関憲章及びレコード製作者保護条約は三月三十一日、船員の災害防止条約は四月十四日、園田外務大臣から提案理由の説明を聴取し、質疑を行いましたが、その詳細は会議録により御承知を願います。
 かくて、四月二十一日採決を行いました結果、以上三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(保利茂君) 三件を一括して採決いたします。
 三件は委員長報告のとおり承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、三件とも委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明
#7
○議長(保利茂君) 内閣提出、農林省設置法の一部を改正する法律案について、趣旨の説明を求めます。農林大臣中川一郎君。
    〔国務大臣中川一郎君登壇〕
#8
○国務大臣(中川一郎君) 農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一は、農林省の省名の農林水産省への変更及び水産庁の組織の整備強化についてであります。
 わが国の水産業は、農林業と並ぶ重要な第一次産業であり、また、水産物は、国民の動物性たん白質食糧の供給源として重要な地位を占めております。
 しかしながら、二百海里時代の急速な到来等、わが国水産業を取り巻く諸情勢はきわめて厳しいものとなっており、これに対処してわが国水産業の発展と水産物の安定的供給の確保を図ることは、現下の重要な政策課題となっております。このため、わが国周辺及び遠洋海域における水産資源の開発、増養殖の推進、漁業外交の強力な展開等、二百海里時代に即応した施策の充実強化に努めているところでありますが、水産行政を担う組織の面におきましても、これらの重要課題に適切に対処し得るよう、その整備強化を図ることが必要となっております。
 このような事情にかんがみ、農林省の省名を農林水産省に改め、国家行政組織における水産行政組織の位置づけを明確にするとともに、わが国の漁業水域内における漁業の振興を担当する部局として、水産庁に振興部を設けることとしたものであります。また、今後の政策課題に即応した試験研究の拡充強化のため、増養殖についての基礎的研究を行う養殖研究所及び漁場造成、漁船等についての研究を行う水産工学研究所を設けることとしております。
 第二は、林野庁の組織の整備についてであります。
 最近におけるわが国の森林、林業をめぐる情勢は、木材需要の伸び悩み、木材価格の低迷等により、国内林業活動が停滞する等きわめて厳しいものとなっており、民有林、国有林を通じてその現状の打開が強く迫られております。
 このため、林道、造林等生産基盤の整備、担い手の育成確保を初めとする民有林対策の充実強化とともに、国有林野事業の自主的経営改善の計画的推進及び財政援助措置の強化が必要となっている一方、行政組織の面におきましても、これらの重要課題に適切に対処し得るよう民有林、国有林を通ずる行政の統括機能の強化を図るとともに、国有林野事業の自主的経営改善措置の一環として、その組織の簡素合理化を図ることが必要となっております。
 このような事情にかんがみ、林野庁に次長を新設する一方、北海道にある五営林局を再編整備することとし、札幌営林局を北海道営林局に改めるとともに、他の四営林局を北海道営林局の支局とすることとしたものであります。
 第三は、食糧庁の組織等の整備についてであります。
 最近、食品に関する物価、流通対策の充実の要請はますます強くなっており、これにこたえるためには、よりきめの細かい行政の推進が必要となってきております。
 このため、全国的な組織を擁し、かつ、米麦及びその加工食品のほか野菜の流通業務にも経験を有する食糧事務所を食品全般の価格、流通対策の充実のために活用することとし、食糧事務所が食品全般について、その流通の改善等のための事務を行い得ることとしたものであります。
 また、食糧庁の内部部局につきましては、行政機構の簡素合理化の趣旨を踏まえ、その再編成を行うこととしたものであります。
 第四は、本省の内部部局及び付属機関の組織等の整備についてであります。
 近年における土地及び水に関する農業的利用の動向を踏まえ、その必要とする土地及び水の確保を図るためには、土地及び水に関する施策を長期的見通しのもとに計画的に推進することが必要となっております。このため、構造改善局農政部の所掌事務である農業振興地域整備計画及び農業水利制度にかかわる事務を同局計画部へ移管し、土地及び水の計画的な確保に関する事務を同部において一元的に処理することとしたものであります。
 また、沖繩県農業におけるサトウキビの重要性にかんがみ、その生産対策の一環として、優良種苗の生産供給体制の確立を図ることが必要となっております。このため、沖繩さとうきび原原種農場を新設することとしたものであります。
 さらに、試験研究機関のうち農業技術研究所、畜産試験場、蚕糸試験場、家畜衛生試験場及び食品総合研究所の五機関につきましては、五十二年度に移転した試験研究機関に引き続き筑波研究学園都市への移転を行うこととしております。このため、その位置が東京都または千葉県と規定されているのをそれぞれ茨城県に変更することとしたものであります。
 なお、その他所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が農林省設置法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 農林省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#9
○議長(保利茂君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。馬場昇君。
    〔馬場昇君登壇〕
#10
○馬場昇君 ただいま提案されました農林省設置法の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表して、総理及び農林大臣に対して質問をいたします。
 本案の質問に入る前に、去る二十二日調印されました日ソ漁業協力協定について、総理と農林大臣にまず質問いたします。
 ことしの日ソ漁業交渉は、農林大臣は御苦労でしたが、かつてない過酷な内容で妥結したのであります。サケ・マス漁獲量は、昨年の六万二千トンの実績に対して、ことしの最低目標と考えていた五万トンを割り、四万二千五百トンであります。また、操業水域の問題でも、日本漁船は、北洋のサケ・マスの宝庫とも言える水域から締め出されたのであります。百年の伝統を誇ってきた日本の北洋サケ・マス漁業は、まさに傷だらけの姿になってしまいました。
 総理の今次交渉についての所見をお尋ねいたしたいと思います。
 このような結果になったことについて、私は政府の読みの甘さを指摘せざるを得ません。
 農林大臣、ソ連の沖どり禁止の主張は、いわゆる母川国主義と表裏をなすものであり、今次交渉において、ソ連がこのような態度に出てくることはあらかじめ予測できたのではないか、いかがですか。この問題に今後どう対処されるのか、明らかにしていただきたいのであります。
 わが国のサケ・マス漁業者は約二万人と聞いていますが、昨年の五百五十一隻の減船に引き続き、ことしも三〇%の減船は必至と思われます。この減船に対する補償や離職者対策、加工業者対策をどのようにしようとするのか、対策を承りたいのであります。また、サケ・マス漁業の将来の方向についてもどのように考えていられるのか、明らかにしていただきたいと思います。
 本案の質問に入りますが、私は、まず、福田総理に、総理の政策立案の価値基準は何か、行政改革の重心をどこに置いていられるのか、お尋ねしたいと思います。
 田中元総理が日本列島改造論の中で、「大都市や産業が主人公の社会ではなく、人間と太陽と緑が主人公となる“人間復権”の新しい時代を迎える」と書いておられるのを読んだことがあります。三木前総理が環境庁長官時代に、自然保護憲章の宣言式で「経済効率という価値基準より、人間の健康、幸福、美に対する憧憬というような基準こそ大切である。」と述べられたことがあります。しかし、それはまさに文章と言葉にしかすぎなかったわけであります。自民党政府の政策は、一貫してGNP至上主義で貫かれてきました。そして、その結果として、今日、日本を不安と危機の時代に追い込んでしまったのであります。子供も大人も、老人も学生もサラリーマンも、農民も漁民も、男も女も、だれもが混迷の中で、それぞれの生き方に確信を持てずにいます。福田総理、あなたが言われる日本丸は海図と羅針盤を失ってしまっています。日本丸はどこへ行くのですか。まず、あなたの政治の価値基準をお尋ねしたいと思います。そして、その価値基準が、福田内閣発足以来、あなたが最重要課題の一つに挙げられた行政改革の具体的施策の中にどう生かされているのか、はっきりお答え願いたいと思います。(拍手)
 次に、本日提案されました農林省設置法の改正案は、あなたの行政改革構想とどう結びついているのか。農林省を除く他の省庁における機構改革との均衡ないしは整合は、十分保たれた上で提案されたのか疑問なしとしません。財政事情、台所にだけ目を向け、庭をつぶしてしまうような、国民生活をないがしろにする行政機構改革は誤りであり、自殺行為にもなりかねないと考えますが、総理大臣の見解を承りたいと思います。
 私どもにとって、山は古くから心のふるさとであります。また、国を治める基本は、山を治め、水を治めることとされてきました。重化学産業を中心に貿易立国の今日といえども、私は、この考え方にいささかも変わりはないと考えますが、総理、いかがでございますか。
 山林は、国土保全、水資源の涵養、自然環境の保全、形成など、公益機能の発揮を初め、木材資源の安定的供給、地元山村の経済の振興と住民の福祉の向上などの重要な使命が課せられています。山に対する総理の認識について所見を承っておきたいと存じます。
 戦中、戦後の乱増伐と造林の立ちおくれに加えて、高度成長経済の中で、年間成長率の二倍に達する乱伐などは、森林資源の大幅な減少、枯渇化をもたらし、大面積皆伐やチェーンソーなどの機械化、及び農薬の無差別空中散布などは、自然環境及び森林生態系を破壊し、国有林の荒廃はまさにその極に達しています。
 また、収益があるときは、それを一般会計に繰り入れ、山に返さなかったのであります。七〇年代に国有林財政事情が悪化すれば、造林、林道、治山事業等全般にわたって、投資の効率化という手抜き作業や安上がり経営を行いました。このことは、人工造林地の二〇%、約四十万ヘクタールに及ぶと推定される不良造林地が余すところなく証明しています。このような現状を福田総理はどう認識していられるのか承りたいのであります。
 今日、過疎過密の進行、全国的な公害の広がり、そして年とともに規模を拡大しての風水害の発生、水不足等の中で、活力ある山づくり、緑したたる山の回復に対する国民の要求は、かつてない高まりと重要性を増しています。よい山づくり、活力ある森林づくりの基本は、山に地下たびの足跡をどれだけつけるかによって決まると言われています。この国民的緊急課題に対して、政府は、その責任において山づくりの組織機構を充実し、金と人手を思い切って注ぎ込むことが必要でありますが、総理の決意のほどをお示しいただきたい。
 このような山をめぐる重大な情勢の中で、農林省設置法の改正の本案の内容の中で、とりわけ注目されるのは、北海道国有林を所管する五つの営林局のうち、四つの営林局を本年度中に廃止し、支局に格下げするということであります。さらに関連して、農林大臣告示で行われる全国営林署の一割、すなわち三十五営林署の廃止の計画であります。これは国有林経営、山づくりについての政府の後ろ向きの姿勢があらわれていると断ぜざるを得ません。断じて許すことはできません。
 申すまでもなく、北海道の国有林は国有林の面積の四一%、伐採量の三五%、新植面積の三八%を占めています。北海道の国有林は、洞爺丸台風による被害、その後、カラマツ造林を中心とする約五割と目される成林不能と言われる造林の失敗を受け、今日育成段階にあり、より充実したきめ細かい経営が必要であると考えます。したがって、当然のこととして北海道の五つの営林局は必要であり、廃止する何らの理由も見出せないのであります。全国の中でなぜ北海道だけ営林局を廃止するのか、その理由を総理、明らかにしていただきたいのであります。(拍手)
 次に、農林大臣にお尋ねいたしますが、北海道を一つの営林局として三百十万ヘクタールの面積、五百三十万立方メートルの伐採量、一万八千ヘクタールの造林面積、八十九の営林署、九百二十二の担当区及び事業所、そして一万八千人の職員の管理を行おうとすることは、日本の林野行政の中で暴挙と言わざるを得ません。農林大臣、いかがですか。
 また、九十万ヘクタールの管理面積と五千人の職員を抱える規模の支局が、法的裏づけもなく、農林大臣の権限でその存廃が左右されるというのも異常と言わざるを得ません。いかがですか。(拍手)
 また、支局の業務内容、権限も大きく変えないと説明されるでしょうが、それならば看板のかけかえだけであり、国民を愚弄する欺瞞の行政改革と言わざるを得ません。いや、本音は機構縮小、要員の削減をねらっていることは明らかであり、雇用不安解消の時代の要請に逆行するものであります。
 営林局を地方行政区に対応して配置すると説明していますが、この北海道四局廃止に北海道民の多くが疑問を持っており、過疎化が進む中の市町村自治体の半数以上が反対決議を行っております。このことは、北海道民が、一営林局では国有林経営はできないという意思表明であります。また、政府も、五十二年度予算要求の当初の段階では、一つの営林局の支局化構想であったではありませんか。国有林は地域住民と一体の関係にあります。したがって、国有林行政も地域住民の声の上に立って行われなければなりません。住民の意思を謙虚に受けとめ、この案を撤回すべきでありますが、どうですか。(拍手)
 政府は、国有林野事業の財政悪化、赤字の大半が北海道国有林にありとして、四営林局の廃止を提案しているようでありますが、国有林野事業の財政悪化、赤字の原因は、第一に、高度成長経済下の資源の食いつぶし、造林の失敗と立ちおくれにあります。特に、北海道国有林は、長い間パルプ資本育成のために安売りを続けたではありませんか。そして国有林の利益金があるとき、それを山に返さなかったのも原因であります。第二の赤字の理由は、公益機能発揮のための費用の増加であります。第三の理由は、外材主導の木材価格の形成と今日の長期の不況が原因であります。この財政悪化の原因にメスを入れずして、財政事情が悪いからといって機構を縮小することは、国家百年の大計の上からも許せません。
 国有林の持つ公益機能は、何百億、何千億、いや金銭にはかえ得ないものがあり、一般会計より国有林野事業特別会計に資金を繰り入れ、山づくり、活力ある森林づくりを図ることは、緊急な国民的課題で当然のことであり、わずか四十億円の一般会計からの繰り入れで、一営林局十億円の値で四営林局を売り渡すような愚行は、国有林の危機を救うものではなく、それに拍車をかけるものであり、国民の名において断じて許すことはできません。(拍手)
 営林局の支局格下げ措置を撤回し、外材輸入の適正措置も含め、国内林業切り捨ての林政の抜本的見直しを要求します。総理と農林大臣の見解を聞きたいと思います。
 次に、水産業に関して一点触れて、質問を終わりたいと思います。
 高度経済成長政策の中で、わが国沿岸の海は死滅寸前のところに追い込まれました。遠洋と大企業中心の水産政策は、沿岸零細漁業の荒廃を招きました。そのような状況の中で、二百海里時代の急速な到来で、わが国漁業はかつてない深刻な状況の中にあります。
 国民の動物性たん白確保のため、わが国二百海里内水域の開発、栽培漁業の推進と、さらには強力な漁業外交の展開を推進する必要があります。
 今回の水産行政機構改革案は、養殖研究所、水産工学研究所等の新設は時宜に適していると思いますが、水産本庁の充実は不十分であります。水産政策の抜本的拡充を図るため、農林水産省ではなく、水産省の単独設置についてどのようなお考えを持っていられるか、総理の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 誠意ある答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣福田赳夫君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(福田赳夫君) 馬場さんにお答え申し上げます。
 今回の日ソ漁業交渉の結果をどういうふうに評価するか、そのようなお尋ねでございますが、例によりましてソビエトの態度は非常に厳しい。その結果、希望するような数量、漁獲区域、そういうふうにはまいりませんでした。その点はまことに残念に思います。しかし、五年間にわたって安定した操業ができる。もとよりその年々の具体的な措置についての相談の結果でございまするけれども、そのような基本協定ができましたことは、これは評価していただきたい、このように考える次第でございます。
 次に、私の政治に対する価値基準は何かというむずかしいお尋ねでございますが、私は前からしばしば申し上げているのですが、これは世界の中における日本国を築き上げること、これが私の政治の大目標である、このように御理解を願いたいのであります。
 わが国もとにかく経済力におきましてはアメリカに次いでというような立場まで来たわけです。そして、わが国の動き、これは世界に非常に影響がある、そういうような立場をますます固めていって、そうしてわが日本国が世界の平和、世界の繁栄に貢献し得る、そのような国にいたしたい、そのような評価を世界じゅうからかち取るような国にいたしたい、そのように考えるのでありまするが、そのためには国の内部の固めをしなければならぬ。その一つが行政機構の改革の問題であります。私の行政機構に対する考え方、これもしばしば申し上げておりますが、安上がりで能率のいい政府、こういうことでございます。
 今回、農林省の行政機構につきましても、北海道の営林機構の改革、これらを含めまして、いろいろ御提案を申し上げておる。また、二百海里時代の到来に対しましても備えをする、そういう趣旨で農林省行政機構の改革を御審議願うことにいたしておるわけでございまするけれども、ぜひとも御理解の上、御賛同を願いたい、このように存じます。
 行政機構の改革というのは、国会でも本当にたくさんの人々から大いにやれということを言われるのです。しかし、具体的な問題になりますると、なかなか御賛同が得られない。私はそのことが非常に残念でなりませんけれども、とにかく安上がりで能率のいい政府、これは国民全部が要望しておることだと私は思いますので、政府が検討した結果、御提案を申し上げておるこの改正案につきましては、これはひとつ皆さんにおかれましてぜひとも御協力を賜りたい、このように考えます。
 また、水産省をこの際設置すべし、こういうお話でございますが、水産省の設置をいたさずとも、能率のいい水産行政をやっていきます。機構がいたずらに大きくなった、看板が大きくなったというだけで能率が上がるというものと考えませんです。私どもは、それよりも内容の充実、施策の前進ということが大事である、このように考えておる次第でございます。
 なお、馬場さんは、国有林経営の基本的な方針をどうかというお尋ねでございますが、戦後、国有林事業は、住宅建設などに不可欠の木材を国民に供給する、また、国有林野の面におけるところの国土の保全、水資源の涵養、さらには自然環境の保全、そういう任務をずっと担当してきておるわけであります。ところが、そういうために造林を大いにやってきた、それがまだ生育過程にあるという今日の状態でございます。それからさらに、木材価格の低迷、こういうような問題もありまして、国有林野事業の経営が非常に困難になってきておるわけでありまするが、今後十年間にわたるところの改善計画を策定いたしまして、経営管理の適正化を図るなど、みずからの経営改善の面におきまして大いにひとつ努力を払うことにしてもらいたいというふうに思いますと同時に、また当分の間におきましては、自己資金だけでは治山治水、また造林などの事業を実施することは困難であります。そういうようにも考えられますので、これらにつきましては、従前の財政措置を充実するほか、新たに造林、林道につきまして一般会計からの資金の繰り入れが必要であるという考え方のもとに、今国会に国有林野事業改善特別措置法案を提案いたしております。御協力のほどをお願い申し上げます。
 なお、緑の山に対して私の感想は一体どうだという最後のお尋ねでございますが、私は、まあ歌じゃございませんが、ふるさとの山は麗しきかな、あの山をぜひひとつ保存していきたい、このように考える次第でございます。(拍手)
    〔国務大臣中川一郎君登壇〕
#12
○国務大臣(中川一郎君) 農林省設置法に先立ちまして、今次日ソ交渉における諸問題について御指摘がありました。
 まず最初に、相手があり、二百海里時代を迎えたとはいえ、昨年に引き続き漁獲量あるいは操業区域を縮小されましたことは、交渉に当たりました責任者として、まことに残念なことであり、申しわけないことだとこの機会を通じておわびをいたす次第でございます。
 しかしながら、こういった厳しい情勢ではありましたが、かなりの漁獲量と、また漁区についてもかなりの誠意を示し、中でも罰則については旗国主義という、わが国の主権にとってきわめて重大な問題が確保されたこと、あるいは漁期等、かなり譲歩を示していただいたことのほか、無条約状態を避けて、今後五年間協力関係を結び得たということは、日ソ友好にとりましても非常に意義深かったことだと思う次第でございます。
 なお、今後操業できなくなりました漁船等に対しましては、昨年の例にもならいまして、でき得る限りの措置を講じて、不安のないようにしてまいりたいと存じます。
 さらには、こういった二百海里あるいは遡河性サケ・マスの母川国主義という時代を迎えましたので、サケ・マスを初めとする多くの魚族資源について、これが培養、増殖を図ることに一段と力を入れていきたいと決意をいたしているところでございます。
 以上をもちまして、サケ・マス関係についての答弁を終わらせていただきまして、次に、馬場議員から、北海道にあります五つの営林局をなぜ一つにするのかというお尋ねでございます。
 私は、五つあることがむしろおかしいのであって、いままでほかの行政をいろいろ見てまいりましても、北海道に五つも営林局といったような局署がありますのは、これは国有林以外においてないのでございます。ほかの行政とのバランスをとるためにも、行政能率を上げるためにもやはり一つの統括した営林局を持つことの方がむしろ効率的であると私は思うのでございます。(拍手)
 いまや国有林は赤字の一方でございます。したがいまして、財政投融資からの投入あるいは一般会計からの導入――もちろん、赤字の原因は、木材価格の低迷あるいはいろいろありますけれども、行政機構が複雑であり、また問題があるということも国民の指摘しておるところであろうと私は思うのでございます。
 次に、この営林局四つを廃止して支局にするが、これは農林大臣が勝手に存廃を決められるという御指摘でございますが、そのようにはなっておりません。四つの支局を設けるということになっておりますので、これは法律を改正しませんと廃止をすることができないのでございます。また、その内容につきましても、地方自治法に基づきまして、支局設置の承認案件として、支局の名称、位置、管轄区域等について御審議を願う仕組みにもなっております。
 いずれにいたしましても、農林省としては、四つの営林局にかわる支局を廃止する意思のないことをはっきり申し上げておく次第でございます。支局について、廃止することは考えておらないということでございます。
 次に、北海道の反対があるではないかということでありますが、私は、むしろこういったものを出したときに、これほど反対が少なく、賛成の多いものはないと思っております。(拍手)私の選挙区でも、二つ支局にすることにいたしておりますが、私のところへ地元から、これは困ると言ってきた人は一人もないこともはっきり申し上げておく次第でございます。(拍手)むしろ、この際はやるべきであるということの意見が多いことも国民の前に明らかにしておかなければなりません。
 次に、国有林の赤字の原因はほかにもいろいろあるのであって、財政投入はむしろあたりまえだということではありますが、私どもも、国有林の赤字の原因が多くあることは承知いたしておりますので、今後とも財政資金の投入なりいろいろと措置は講じてまいりますが、営林局あるいは林野庁のあり方というものについては、国民の前に姿勢を正さなければならないと思っておる次第でございます。
 水産省の設置については、総理大臣より御答弁がありましたので、省略をさせていただきます。
 終わります。(拍手)
#13
○議長(保利茂君) これにて質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#14
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十五分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  福田 赳夫君
        外 務 大 臣 園田  直君
        農 林 大 臣 中川 一郎君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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