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1977/11/22 第82回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第082回国会 法務委員会 第10号
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1977/11/22 第82回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第082回国会 法務委員会 第10号

#1
第082回国会 法務委員会 第10号
昭和五十二年十一月二十二日(火曜日)
    午前十時十二分開議
 出席委員
   委員長 上村千一郎君
   理事 羽田野忠文君 理事 濱野 清吾君
   理事 山崎武三郎君 理事 稲葉 誠一君
   理事 横山 利秋君 理事 沖本 泰幸君
   理事 高橋 高望君
      木村 武雄君    小坂善太郎君
      塩崎  潤君    篠田 弘作君
      田中伊三次君    福永 健司君
      島本 虎三君    西宮  弘君
      日野 市朗君    米田 東吾君
      飯田 忠雄君    長谷雄幸久君
      正森 成二君    加地  和君
      鳩山 邦夫君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 瀬戸山三男君
 出席政府委員
        法務政務次官  青木 正久君
        法務大臣官房長 前田  宏君
        法務大臣官房司
        法法制調査部長 賀集  唱君
        法務省民事局長 香川 保一君
        法務省刑事局長 伊藤 榮樹君
        法務省矯正局長 石原 一彦君
        法務省保護局長 常井  善君
        法務省人権擁護
        局長      鬼塚賢太郎君
        公安調査庁次長 鎌田 好夫君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  柳館  栄君
        経済企画庁国民
        生活局消費者行
        政第一課長   吉岡 博之君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   亀井 敬之君
        大蔵省銀行局中
        小金融課長   吉居 時哉君
        労働省婦人少年
        局婦人労働課長 高橋 久子君
        自治省行政局公
        務員部公務員第
        一課長     中村 瑞夫君
        最高裁判所事務
        総長      牧  圭次君
        法務委員会調査
        室長      家弓 吉己君
    ――――――――――――−
十一月十八日
 妻の相続分を増加するための民法の一部改正に
 関する陳情書(東京都文京区議会議長白石瑛)
 (第一八九号)
 航空機強取等の再発防止に関する陳情書外三件
 (兵庫県議会議長望月秀雄外三名)(第一九〇
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ――――――――――――−
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第六号)
 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出第七号)
 法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件
 請願
 一 民法第十一条の改正に関する請願(粕谷茂
   君紹介)(第一二九号)
 二 同(和田耕作君紹介)(第一九八号)
 三 同(高沢寅男君紹介)(第二七四号)
 四 同(中村靖君紹介)(第五九七号)
 五 同(阿部文男君紹介)(第二二七三号)
 六 同(愛野興一郎君紹介)(第二二七四号)
 七 同(上村千一郎君紹介)(第二二七五号)
 八 同(内田常雄君紹介)(第二二七六号)
 九 同(江藤隆美君紹介)(第二二七七号)
 一〇 同(大石千八君紹介)(第二二七八号)
 一一 同(大坪健一郎君紹介)(第二二七九
    号)
 一二 同(大平正芳君紹介)(第二二八〇号)
 一三 同(金子一平君紹介)(第二二八一号)
 一四 同(金丸信君紹介)(第二二八二号)
 一五 同(鴨田宗一君紹介)(第二二八三号)
 一六 同(鯨岡兵輔君紹介)(第二二八四号)
 一七 同(小宮山重四郎君紹介)(第二二八五
    号)
 一八 同(高村坂彦君紹介)(第二二八六号)
 一九 同(佐々木義武君紹介)(第二二八七
    号)
 二〇 同(坂田道太君紹介)(第二二八八号)
 二一 同(始関伊平君紹介)(第二二八九号)
 二二 同(塩谷一夫君紹介)(第二二九〇号)
 二三 同(篠田弘作君紹介)(第二二九一号)
 二四 同(住栄作君紹介)(第二二九二号)
 二五 同(田中正巳君紹介)(第二二九三号)
 二六 同(田中六助君紹介)(第二二九四号)
 二七 同(中尾栄一君紹介)(第二二九五号)
 二八 同(丹羽久章君紹介)(第二二九六号)
 二九 同(野田卯一君紹介)(第二二九七号)
 三〇 同(羽田野忠文君紹介)(第二二九八
    号)
 三一 同(長谷川四郎君紹介)(第二二九九
    号)
 三二 同(廣瀬正雄君紹介)(第二三〇〇号)
 三三 同(福永健司君紹介)(第二三〇一号)
 三四 同(藤本孝雄君紹介)(第二三〇二号)
 三五 同(古屋亨君紹介)(第二三〇三号)
 三六 同(堀之内久男君紹介)(第二三〇四
    号)
 三七 同(松野頼三君紹介)(第二三〇五号)
 三八 同(三池信君紹介)(第二三〇六号)
 三九 同(箕輪登君紹介)(第二三〇七号)
 四〇 同(水平豊彦君紹介)(第二三〇八号)
 四一 同(武藤嘉文君紹介)(第二三〇九号)
 四二 同(村上勇君紹介)(第二三一〇号)
 四三 同(村田敬次郎君紹介)(第二三一一号)
 四四 同(山下徳夫君紹介)(第二三一二号)
 四五 同(綿貫民輔君紹介)(第二三一三号)
 四六 同(渡辺栄一君紹介)(第二三一四号)
 四七 同(木村武千代君紹介)(第二八五九
    号)
     ――――◇――――−
#2
○上村委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所牧事務総長から出席発言の要求がありますので、これを承認するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 牧事務総長。
#4
○牧最高裁判所長官代理者 一言ごあいさつさせていただきたいと思います。
 名古屋高等裁判所の長官に転出いたしました寺田前事務総長の後を受けまして、十一月七日、最高裁判所事務総長を命ぜられました牧でございます。よろしくお願い申し上げます。
 いまさら申し上げるまでもなく、裁判所は基本的人権を擁護し、法秩序の維持に当たるという重い責務を国民から負託されております。この裁判所の使命を達成し、国民からますます信頼されます裁判所となりますよう、司法行政の面において微力を尽くしてまいりたいと存じております。
 幸いにして今日に至るまで、当委員会の皆様の深い御理解と力強い御支援によりまして、裁判所は人的にも物的にも逐次充実が図られてまいりました。今後ともなお一層の御支援を賜りますよう切にお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私のごあいさつとさせていただきます。(拍手)
     ――――◇――――−
#5
○上村委員長 法務行政、検察行政、人権擁護及び裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
#6
○塩崎委員 きょうは、少しじみでございますが、不動産登記あるいは登記に関する問題につきまして、民事局長を中心としていろいろ御質問を申し上げたいと思います。
 私も法務政務次官でございましたから、法務政務次官がいまごろ質問するとは何だというようなおしかりがあろうかと思うのでございますが、残念なことに、私は暴虐無道なハイジャックのために政務次官をやめざるを得ないような状態になって、私は実は法務省にいる間に香川局長にぜひともお教えをいただきたいと思っておったのが、不動産登記の問題であったのでございます。きょうは幸いに十一時まで時間を与えられましたので、ひとつ民事局長を中心といたしまして、土地に大変執着いたします。本当に土地をとらの子のように重要と考えます日本人の権利の保護をいかに図っていくのか、こういった観点から民事局長に御質問を申し上げたいと思います。
 そこでまず、ことしの六月二十五日ですか朝日新聞の記事でございますが、社会面に「知らぬ間に他人の土地」になったという事例が挙がっております。しかも実印も権利書もあるのに、知らぬ間に自分の土地が他人の土地になったのだ。これは青森県の八戸市の事件でございます。しかも、これぐらいの見出しなら私も質問したくないのですけれども、ところがその大きなタイトルの中に「ニセの住所変更 ニセの印鑑登録 法務局お手上げ」こういうような大きな見出しがついているものですから、ぜひこの問題を中心として、だんだんと不動産登記の問題、それから法務局の行政の問題についてお尋ねしたいわけでございます。しかも「法務局お手上げ」ということを書いておりながら、しかし「土地をお持ちの方に時々登記所に来て、チェックしてもらえば一番確かなのだが、実際はそうもいかず、何か有効な対策がないものか四苦八苦しているのが現状だ。」こんなことが書いてあるのです。私は、こんなようなことで国民の権利を守り、不動産登記法を運用していくところの法務省の責任が全うされるかどうか大変心配なんです。法務局はお手上げだが、香川民事局長はお手上げでないのかどうか、ひとつぜひとも御意見を承りたい。
#7
○香川政府委員 時たま御指摘のような不正登記の記事が出ますけれども、不動産登記全般を見ますと、権利関係の登記が約千七百万件ぐらいあるわけでございますが、その中でそういった不正の登記というものはきわめて微々たるものでございまして、要するにそういった悪質なことは日本人は余りやらない、さような結果だろうと思うのでありますが、しかしわずかでありましても、そういった所有者が知らぬ間に土地が売られておる、そういう登記がされるというふうなことは絶対に防止すべきことは当然でありまして、不動産登記法上いろいろそういった、形式審査の枠内ではございますけれども、防止策を講じておるわけでございまして、ただいま御指摘のような八戸市の事件は、結局市町村をだまして虚偽の住民登録をし、また虚偽の印鑑登録を市町村でなしまして、それを登記所へ提出してくるものですから、市町村側の出された住民票なりあるいは印鑑証明書というものはいわば形式的には偽造でないわけでありまして、したがって登記所側で、市町村側におけるそういった、だまされて誤った住民登録あるいは印鑑登録をしたということまでのチェックはこれはとうていできないわけでありまして、そういうレアケースだろうと思いますけれども、これを防止するというのは、やはりさような登記実務の上で重要な住民票とかあるいは印鑑証明書というものが適正に出されるという市町村側の協力と申しますか、事務の適正が図られなければ、それを資料にする登記の面でチェックするということはとうていできないわけであります。
 そういうレアケースの場合は別といたしまして、そのほかにもいろいろの不正登記、虚偽の登記の原因がございますが、これは登記所側で、形式審査ではございますけれども、むしろ形式的審査なるがゆえにそれを厳重に行えば虚偽の登記はほとんどと言っていいくらい防止できるわけでございます。
 ただ、何分にも登記事件の急増に対処する人手の問題等が十分でございませんので、現状においては万全のチェックがはなはだ困難である、その間隙を縫って不正登記が、わずかではございますが出現するというふうな状況でございまして、登記所側のチェック機能を人手の面あるいは予算の面等からさらに充実してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#8
○塩崎委員 御答弁の趣旨は、レアケースだからということが中心のように思えたのですが、私は、レアケースでもこのような問題は大変法務省が心配して絶滅のために全力を挙げるべきだと思うのです。
 それで、いまお話の内容は、レアケースのほかにもう一つ引用されましたが、市町村でだまされたのだから法務省には責任がないのだ――例によって縦社会の日本らしく、いや自分のところは責任がないのだ、市町村が悪いのだというような御答弁であったように思うのですけれども、この新聞を見るとそうじゃないようですよ。犯人はこの印鑑をつくってAさんの土地の権利書を偽造し、八戸市内のE不動産を通じてBさんに売ったらしいとあるのです。私はこの権利書の性格、いろいろこれから伺わなければならぬと思うのですけれども、この権利書を偽造したとすれば、この偽造を見破れなかったのかどうか。法務省の登記管理上、形式的審査権しかないと言われても偽造くらいなことは当然見破れるとか、あるいは形式的審査だけでなかなかむずかしいというのなら、司法書士をふんだんに使って偽造であるかどうかをチェックする、私はこんなことを当然考えるべきだと思うのですが、こんな問題についてどう考えられるか。例の不動産登記法の権利書の問題は、偽造者、変造、滅失の場合の保証の問題とかいろいろ含めて大変問題が多い。香川民事局長御案内のとおりなんですが、こんな問題についてどんなふうに考えたらいいのか、ひとつ御意見を承りたいと思う。
#9
○香川政府委員 いまおっしゃった権利証というのは、たとえば甲から乙に売買による所有権移転登記がされますと、乙名義に所有権の登記がされたということを明らかにするいわば登記済証というものなんでありますけれども、これがなぜ登記制度において重要かと申しますと、乙に移転登記をいたしました場合に、登記所側から乙に移転登記をしたという登記済証を乙に手交する、手渡すことにしておるわけであります。その乙が今度それを丙に売買したということで登記の申請をいたします場合に、原則的にその登記済証を登記所に提出していただく、かようなシステムになっておるわけであります。
 そういたしますと、前に乙が所有権取得の登記を受けたときに、登記所から乙に手渡してある登記済証が、今度乙が丙に所有権移転登記をする際に登記所に提出されるということは、乙が十分そのことを了知した上でその登記申請をしているのだ、つまり乙の知らぬ間に第三者が虚偽の登記を申請しているのではないということを推認できる、こういう考え方であるわけであります。そこで不正の登記を防止する一つの機能を果たしておるわけでございますが、これが滅失いたしまして、ないというときに一切登記ができないでは困るわけでありますので、それにかわるものとしていわゆる保証書という制度を設けておるわけであります。これは乙が保証人、これはその登記所で登記を受けた成年者二人以上であるわけでありますが、その保証人に依頼いたしまして、自分がまさに乙何がしであるということを保証してもらう、そういう保証書をつくってもらいまして、それが乙に手渡されて、登記済証にかわるものとして乙から丙への移転の登記の際に登記所に提出される、こういう代替機能を果たしておるわけであります。それによって、乙が十分知った上で登記を申請しているのだ、つまり第三者が乙の知らぬ間に虚偽の登記を申請しているということではないということを確認しよう、こういうことになっておるわけであります。
 この保証書というのが実は問題がございまして、全然乙について面識がないのに、いいかげんに乙でない人に乙だということで保証書を作成して交付するというふうな事例が間々あるわけでございまして、もちろんさような場合には罰則をもって制裁をするわけでございますけれども、ややともいたしますとそういった偽りの保証書が作成されるということになるわけでございます。
 そういったことがございますので、保証書を提出してまいりました登記申請については、大事な所有権の登記に関しましては事前にその乙に、こういう保証書を提出してあなたから丙への所有権移転登記が申請されておる、間違いありませんかということを確かめる、そういう手続をとることにしておるわけであります。そして乙から間違いないという返事がなければ登記をしない、こういう仕組みにしておるわけであります。
 ところが、いま御指摘のように権利証それ自体を偽造するというふうな場合も往々あるわけでございまして、これをチェックするのはなかなか容易でないのであります。登記所には全部完備しているとはちょっと申し上げにくいのでありますけれども、戦後の登記所で使っておった登記済証に押す登記済印でございますが、その印顆、印影を保存しておきまして、登記済証が提出されてまいりました場合に、その作成年月日を見て、保存しておる印顆、印影と照らして、その登記済証に押捺されておる印影が正しいものかどうかチェックするということをやっておるわけでございます。しかしこれは、何分にも忙しいさなかにやる照合でございますので、巧妙に偽造されておりますと容易に発見できないということも間々あるわけでございます。他方、そういう関係で偽造の登記済証を発見して不正の登記を未然に防いだという事例も多数ございまして、そういうことでチェックをしておるわけでございます。
 さような意味で権利証というものは不動産取引、それに連なる登記の場合には非常に重要な機能を持っておるものでございまして、この制度はいろいろ問題はございますけれども、他にかわるチェックできるいい方法というのが現在のところ考えられませんので、依然としてこの登記済証の制度は維持してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#10
○塩崎委員 いま私の申し上げた質問についてまともにお答えにならなかったようなんですが、この六月二十五日の事件は、どうも権利書を偽造してあったことについて法務局は気がつかなかったのだと思うのです。しかし普通は、いまおっしゃったように例の四十四条の登記済証の滅失の場合には、保証人二人を立てて新しく申請をして、保証書を添付して登記済証をもらうことになっておることは御案内のとおりですが、この場合に、御案内のように、司法書士が保証人になっているのが大部分なのでしょう。どこに行って聞いてまいりましても、この四十四条――明治三十二年の不動産登記法ですから私はその真意はよくわかりませんけれども「其登記所ニ於テ登記ヲ受ケタル成年者二人」というようなことは普通の人にはなかなかないし、また、保証人になってくれる人は少ない。そこで、司法書士がサービスということかもしれません、司法書士の責務を感じてなのかもしれませんが、保証人になるという慣例のためにいろいろと司法書士が犠牲を受けておる。四十四条について改正してくれというような意見も聞いておるのですが、この事件は司法書士が介在した事件かどうか伺いたいのです。そして、こんなようなときには司法書士の仕事を使って国民の権利を守る方法は考えられないかどうか、お答え願いたい。
#11
○香川政府委員 八戸の事件につきましては、どの程度司法書士が関与しておるのか、現在定かでございませんが、お説のとおり、保証書の作成は大部分と言っていいくらい司法書士が作成しておるわけであります。司法書士あるいはその奥さん、あるいは事務員がその登記所で登記を受けておりまして、保証書の作成の依頼に応じておるという実態なのでございますが、考え方によりますと、お説のとおり、登記を受けておる成年者を二人以上探し出して、赤の他人である者を保証してくれというふうなことはなかなか容易でないわけでございます。そういった困難さを緩和する意味で司法書士が保証書を作成しておるというのは、一面それなりの実益があると申しますか、決してそれ自体非難することではないと思うのであります。しかし、先ほど申しましたように、保証書が権利証にかわるものとして、登記が間違いないかどうか、虚偽のものでないかどうかをチェックする重要な機能を持つものでございますので、全然面識もない、何某であることを知らないのに安易に保証書を作成するということは、司法書士なるがゆえになおさら避けていただかなければならぬ問題だろうと思うのであります。もちろん、その司法書士としては、面識がない場合に印鑑証明書を提示させて本人であることを確めるというふうなことをやっておるようでございますけれども、面識があるということの保証をするわけでございますから、面識がなければやはり虚偽のものということにならざるを得ないわけでありまして、そういうことは絶対に避けるべきことだろうというふうに思うのであります。その辺のところが登記制度の運用上非常に大きな問題であるわけでありまして、それにかわるものとして、かつて、法務局において権利証を再発行するというふうなことが何とかできないかというふうなこともいろいろ検討したのでございますけれども、間違いなくそういうことができる決め手になるものがなかなかございませんので、やはり現在のところ保証書の制度を維持しておるわけでございます。しかし、問題は多分にございますので、この保証書の制度はやはり十分再検討するに値する問題だろうと思うのであります。
 ただ、先ほど申しましたように、そういった虚偽の保証書が作成されるという実態も踏まえまして、事前に登記義務者に登記申請が間違いないかどうかということを確かめる事前通知制度を採用いたしまして、虚偽の場合の不正登記の防止に努めておるという実情でございまして、現在のところはさようなことでやっていくほかないだろうというふうに考えておるわけでございますが、なお保証書の制度につきましては今後とも十分再検討してまいりたい、かように考えます。
#12
○塩崎委員 いま不動産登記法四十四条の問題について香川民事局長は御意見を漏らされたわけでございますが、とらの子のように大事にいたしております不動産について、権利書を登記簿以上に大事に思っているのが日本人で、権利書自体が担保になり、金が借りられるような日本でございます。それを滅した場合の処置について、いまの四十四条が果たして適当であるかどうか、これはよほど考えていただいて、これは明治三十二年の法律なのですから、私は法務省には非常に多いので驚いていたのですけれども、かたかなの法律で、なかなか含蓄はありますけれども、理解しにくい、また制度も古い、そして司法書士などは大変苦しんでおるのです。この苦しんでおる司法書士をどうするかという観点からも、この問題をひとつ考えていただきたいと思います。
 そこで、こんなようなことを私が申し上げる根本にあるのは、登記簿というものは何かということなんですね。つまり、民法百七十六条では、もう有名な物権変動の原則で、所有権というものは意思表示だけで移転する。百七十七条を見ると、登記というのは対抗要件だけである、つまり登記簿というのは対抗要件であって、法律上の公信力と申しますか、私も余り詳しくはありませんけれども、かって習った民法上の原則の公信力はないのだ、こういうふうに言われておる。しかし私は、国民全般は、登記簿というものは正当な権利者が表示されておって、これを信頼していけば、お上の登記簿なのだから間違いはないのだということになっているのじゃないかと思うのです。つまり、公信力がないにしても、権利の推定力がある、こんなふうに考えて間違いないと私は思うのですが、そこで、法務省は、正当なる権利者を表示するために、あるいは正当なる権利を表示するために、あるいは正当なる権利関係を表示するためにどんなような努力をしているのか、ひとつこの問題をこれから伺いたいわけでございます。私は、やはり正当なる権利を表示することは国民の大きな希望に合致しておるから申し上げるわけです。
 そこで、私は大変気にするわけでございますが、相続登記という制度がございますが、その相続登記はやはり正当なる権利者、真正なる権利者を表示する意味で、やはり死亡という事実があり、相続という事実があれば、相続人の名前で、この土地はその者の物であるということはもう迅速に表示されるべきだと思うのです。また、その方が望ましいと思うのです。ただ、法律上の強制はないにいたしましても、正当に表示される、甲号登記簿なんですから。私はそういうふうに考えるのですが、香川民事局長はどうお考えですか。
#13
○香川政府委員 登記制度の機能から申しますと、相続が開始いたしました場合に、その相続開始後の権利関係を登記簿に反映させるということで相続登記ができるだけ速やかにされるということが望ましいことは、これはもう言うまでもないわけでございます。しかし、申し述べられましたように、相続登記自体には対抗要件というふうな問題は絡んでくるわけでもありませんし、しかも、相続登記をやるためには手数、費用がかかるというふうな面もございますので、大多数の相続登記は相続開始後いち早くされるということにはなっていない、何か必要性があったときに初めて相続登記がされるというのが実態だろうと思うのであります。しかし、可及的速やかに登記簿に相続関係を反映させることは望ましいわけですけれども、そのためには国民の協力を得なければならぬという面があるわけでありまして、なかなか容易でない問題だろうと思うのであります。実際問題といたしまして、一般的、抽象的には相続登記がなされて、登記簿に現在の権利関係が登記されておるということが望ましいといたしましても、やはり具体的に当該不動産が取引の対象になったときに初めてそういった望ましいことが云々されるわけでありまして、したがって、相続登記は先ほど申しましたようになかなか容易にされない、何か必要があるときだけにしかされないというふうな実態でありましても、不動産取引上さほど不便を与えていないというふうに私は思っておるのであります。
 そういうことで、結局は比較考量の問題かと思いますけれども、何らかの方法を講じて半強制的に、あるいはできるだけ早くすることによって何らかの利益を受けるという利便提起的な方策をとるということも検討に値することと思いますけれども、そうすることによって得られる利益とマイナスを全体的に評価してみなければならぬ問題ではなかろうかというふうに思っておるわけであります。制度本来の趣旨から言えば早期になされることが望ましいということでありますけれども、それを確実にされるように担保する方策というものがなかなか容易でない。その容易でない方策を強行するということのマイナスも十分考えなければなりませんので、さような点から総合的に判断すべき問題であろうというふうに思っております。
#14
○塩崎委員 私は、香川民事局長に相続登記を強行しろ、こんなことを申し上げているのではないのです。私はあなたの知恵をかりたいわけなんだ。
 相続登記を誘導してでも早くやった方がいいんじゃないか。国民がまさしく登記簿を真正なる権利の表示と考えているから、その方が望ましいのではないか。いまのお話では、取引にも余り影響がないからいいんだというようなお話がありましたが、これは民事局長としてどうなんでしょうか。じいさんの名前で登記されているものを売買しようと思ったときに、さてだれを相手に売り買いをしたらいいのか。昭和二十二年以降の相続法は大改正があって、これまでの家督相続と違って共同相続になった。したがって、登記されていないと、子供がたくさんおったときにだれが真正なる権利者かわからぬじゃありませんか。司法書士の方がこれで非常に苦労されて、いろいろ探索しながら登記について仲介されておるのを私は知っておるのですが、それでいいでしょうか。後から共同相続人のだれかが来て、いやこれはおれのものだ、少なくとも法定相続分の所有権はあるんだというようなことで、この売買登記が無効だと言われたらやはり取引に影響するのではないか、私はこういうふうに思いますから、こういった本当に精緻な法律知識を必要とするのは、政治の問題よりもむしろ皆さん方の問題だと思う。これこそ法務省の皆さん方が真剣に研究すべきじゃないでしょうか。そして、とにかくじいさん、ばあさんの名前でほっておく、しかし戸籍謄本をもらいに行っても、八十年、百年前の戸籍謄本などくれませんよ。私は、この問題はぜひとも私の尊敬する香川民事局長に、いろいろあなたがお知恵のあることを知っておりますから、ひとつ誘導してでもいいから相続登記をやらすことを考えていただきたい、こんなふうに思うのです。
 それで、皆さんが一番関心を持っておられるこの点について相続登記に対する登録税の問題、これでうまくできないかということを私は考えておるのです。つまり私は、税というものが真正なる権利を表示する目的を持つ不動産登記法の邪魔になってはいかぬと思うのですね。税があるから登記が省略される、こんなことがあってはいかぬと思う。これまで仮登記が多分に乱用されてきた。さすがは香川民事局長ですから気がついて、大蔵省の主税局が気がつかないにもかかわらず、仮登記については税金を上げろということで、ことし仮登記については保存登記並みの千分の六になった。しかし、これもいろいろの問題があるのです。私は、仮登記の逆の意味において相続登記に対する登録税、これはどうなんですか。大蔵省もここに来ておられるが、相続登録税はどれくらいの税収が上がっておるか、ちょっと伺いたい。相続登録税を設けておる意味ですね。いまあんなような答弁で、ほとんど登記もされておらぬ、しかしそれに対しては登録税の千分の六の税金がある、これで果たしていいのでしょうか。つまり、登記をしようがしまいがこれは自由だとすれば、非常な不公平が起こるじゃありませんか。早目に登記するとかまじめな人たちだけが登記をして登録税を納める、しかし、ほったらかしておいて三代、四代後に登記をする、聞いてみるとどうもその間は中間省略だというのですが、それでは不公平じゃありませんか。やはり各世代ごとに相続登記をしていって負担の公平を図るというのが私は税の精神に合致すると思うのですが、どうなんですか。
#15
○香川政府委員 最初にお尋ねの相続登記関係の登録免許税の額でございますが、これは会社の合併等と一般承継、全部統計上は一緒になっておりますので、ただいま的確にお答えすることはちょっとお許し願いたいと思います。
 それから数次相続開始の場合の中間省略の取り扱いでございますが、これはなるほどお説のとおり、登録免許税の徴収のみの面から申しますと、中間省略することによって本来は数回の登録免許税を納付すべきものが一回で済むというふうな関係になるわけでございまして、必ずしも妥当でないじゃないかという御批判はごもっともだと思うのであります。しかしこれは判例で、御承知のとおり数次売買がなされました場合につきましても大審院当時以来中間省略の登記が認められておるわけでございまして、さような売買と比較いたしますと数次相続の場合には、特に先ほど申しましたように対抗要件でもございませんので、できるだけ便宜に、簡明にその相続登記がされるようにというふうな配慮から中間省略の登記を認めてきておるわけでございます。それが登録免許税の面からいかがなものかというふうなことに相なりますと、ますます相続登記がされなくなるおそれもございますし、また売買等につきましても判例で認めておる中間省略の登記を一切許さぬことにしなければ均衡を失するというふうな面がございますので、いま登録免許税の面から問題があるといたしましても、この中間省略の相続登記をやめるというわけにはまいらぬのではなかろうか、かように考えます。
#16
○塩崎委員 税の答弁を民事局長がやられたのは私も不思議に思うのですが、大蔵省どうなんです。相続登記というのはそういう偶然の税金の発生で足りると考えておられるのかどうか。
 これが全部相続のときに登記をしたらどれくらいの税収が上げられるか、研究されたことがあるか。これは第二点として伺いたいと思います。
 それから、こんなような方向はどうでしょうか、一年以内に登記したら登録税はうんと安くする、そのかわり二年目以降、一年を越したものは少し高目にする、三年を越したらもう一つ高めにする、こんなようなことでやれば、強制じゃなくて誘導をして相続登記を促進する。いまほとんど無税みたいなものですからね。金を借りるときに初めて相続登記をするというようなことであることは、余り大蔵省の方は、私もそうでしたが、登録税のことは勉強しておらぬのですよ、率直に言って。民事局長の方がはるかに勉強しておる。しかしそれを考えてみますと、国民の真正なる権利を表示する目的と合致しながら税収も上がっていく、こういったことは望ましいとお考えであるかどうか。それは一般消費税よりはるかにいいじゃありませんか。国民が喜ぶ方向で税収が恐らく私は千億じゃきかぬと思う。やり方一つですよ。これをひとつ――ほかの税と比べて大きな盲点じゃありませんか。金が欲しい欲しいという国債比率三〇%がやかましい大蔵省だから、これは私の提案はのめるのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
#17
○亀井説明員 先生よく御存じの上で御質問をちょうだいいたしておりますが、まず基本的には現在の登録免許税の課税標準といいますのは、登記が行われたときに課税するという形になっておりますので、実は登記が行われますときにちょうだいする。したがいまして、私どもとしてはできるだけお金が欲しいことはいまお説のとおりでございますけれども、そういう前提でちょうだいをしていくという形になっておるわけでございます。
 それでは全部、先ほどの民事局長のお話の数次といったようなことを、相続で登記をその都度すればどのくらい税収になるかということでございますが、実は私ども統計は法務局からちょうだいいたすわけでございますが、先ほど民事局長がお答えになられましたように相続だけのトータルの登記も税額もございませんわけでございまして、いまのような税額の推定はできないわけでございます。
 それから最後に、御提案といたしまして、たとえば相続の後一年以内なら税率を非常に安くしていけ、だんだん逓増していけというような御趣旨のようでございます。大変口幅ったい申し上げ方ではございますが、登録免許税自身が、相続あるいは所有権の移転といったような権利の移転に伴いましてその移転の背後にある担税力といったようなものを推定して課税していく流通税というものでございます。こういう流通税のようなものは、ある原因といいますか、そういった事態に外形的に着目をいたしまして課税をしていくという形のものでございますので、たとえばいま仰せのような何年何年といったような形で税率をそれぞれ差を設けてやっていきますというのにはなかなかなじみがたいのではないか、ややそういう感じをいたしておる次第でございます。
#18
○塩崎委員 とにかく人のふところに手を突っ込んでもいま税金が欲しいと考えておられる主税局にしてはいまの答弁はちょっとおかしいのじゃないでしょうか。そしていまの一般的な登録税の性格みたいなお話があったのですけれども、余り理由にならぬような気がする。私は形式的なそういった誘導措置を講ずることは大蔵省が本当に考えなければならぬのですが、登録税というものは、いまのようなお話ならこれは大蔵省から放して法務省所管にする、その方が税収が上がるんじゃないかと思い出したのですが、この点をひとつ、あんなようなことを言っておられるのなら私はそんなような気持ちを起こしてくる。つまり皆さん、登録税は印紙で登記所で取っておられるから実態はほとんど御存じないのです。いまのような問題も恐らく気がつかれずにここまで来た。気がついておったら抜け目のないあなた方ですからそんなことをするはずがない。そこで、私はやり方いかんによっては相続税収はうんと上がってくる、登録税収はうんと上がってくる。不動産登記法の表題部、甲区、乙区というのですか、その表題部に書かれる登記簿の地積だって、これはもうなわ延びが二倍、三倍ある。これは土地家屋調査士の方々がいつもその点に苦労されておるのですが、税務署も苦労しておる。こんなような問題も含めて真正なる表示をして登録税を上げていく、そのかわり税率はうんと下げていく、そして公平な運用を図っていく。これはやっぱり登記所じゃなければできないとすればこの登録税だけは、いま評価なんかは登記所長がやっておりますが、ひとつ法務省の所管にして、法務省の目的税にして、全部その収入は登記所の改善とか登記簿の改善、これに充てていくというぐらいなことをしたらどうでしょうかね。その方が税収はうんと上がり、いままで一般会計からつぎ込んでおったところの税収以上な税収が上がってきて、これは一石三鳥、四鳥の効果がある、こういうふうに、どうですか、亀井課長、考えられませんか。
#19
○亀井説明員 大変重大な御指摘をちょうだいいたしました。ただ先生の御指摘の目的税といいますか、そういう形で税目を法務省に所管を移し、かつ目的税にしろという御指摘でございますが、まあ私のお答えの能力を超える問題であろうかと思いますが、私どもとしましては、税目全体につきまして広くいろんな税の中でいろいろ位置づけを考えていくといったような意味で、まあ大蔵省で見さしていただくべきものであろうか、しかも目的税ということにつきましては、これは従来からのややかたくなな議論かもわかりませんけれども、ある需要のためにある税を目的にしていくというような形になってまいりますと、財政全体の中でどういったものであろうか、弾力的な運営というのが果たしてやっていけるのであろうかというふうに疑問を感じている次第でございます。
#20
○塩崎委員 きわめて一般的なお話で答弁として迫力が珍しくないような気がするのですがね。しかし、いま香川民事局長が言われたように登記所は人手が足りない、国民の真正なる権利が守れぬじゃないかというお話はお聞きだったと思うんですね。そういった意味で私は税収の一部は――これだけ苦労して登記所が上げておられる、司法書士までも努力をして印紙を前買いしてでもやっておられることですから、ことしも少しやっていただきましたが、登録税の税収の一部は優先的に法務省へ回す。ところが香川民事局長は登記所を統合したりして私どもを苦しめておるんですね。こんなこと逆なんで、統合しないでいいように税収の一部を上げる。その税収の財源は、いま私が言ったように登録税の中に十分あるじゃありませんか。それから、なわ延びまで十分検討すれば、これは税務署の力なくして税収も入ってくる。これはひとつ民事局長が一番専門家として、主税局長以上の力をお持ちだからぜひとも研究してもらいたい。そうでなければ登記所の統合だけやっておったらこれはだめですよ。私らを苦しめるだけなんだ。国民はもう少し登記簿を完全にしてくれよと言っている。便利にしてくれと。
 それから、昭和二十五年から土地家屋台帳も全部登記簿の中に統合されて、もう税務署も市町村も弱っておるんですから、固定資産税の課税は真正なる権利者にしなければならぬのですが、じいさんの名前でついておる。これは本当に相続税だけじゃないのです。登録税だけじゃないのです。固定資産税まで大変なむだがある。これはひとつ人ごとじゃなくて、縦社会の民事局だけでなくて、大蔵省、自治省、この三つを含めてこの問題を考えて、一般消費税なんて無理して取る必要ないじゃありませんか。こんなところに大きな、権利保護の代価としての登録税がある。大抵複雑なことの好きな大蔵省の主税局が、一年、二年の区分を置いて税金を取ったりすることはわけないことだと思うんです。これはぜひとも検討を民事局長がひとつやっていただきたい。
 ぜひともお願いして、その次の問題は、もう時間がなくなりましたので最後に、先般十八日ですか、横山委員の御質問に答えまして司法書士法の改正について清水課長の御答弁があったようでございます。いま、少し申し上げ方が足らなかったのですけれども、不動産登記の重要性、そしてその間に介在するところの司法書士の苦しみ、悩み、こんなことを考えたら、登記所の登記官吏だけの力でこの登記、国民の権利が守れるわけはないと思うのです。司法書士の方々に本当に面識のある登記をしたものという不動産登記法の四十四条などの精神から見て、これはどんな自由職業の中でも大事なものだと私は思うのですね。その人たちに働きがいや生きがいを感じさせなければならぬ。ところがその司法書士法なんかを見ると、昭和二十五年の古い法律でしょう。やっとこの間、国家試験制度については考えるが、登録制度についてはいま日本司法書士会連合会と検討中だというお話があったのですが、そのときに横山委員は登録制度でも持ってこなければ議員修正をするというような、大変パンチの効いた質問で終わったようなんです。しかし私は、政府提案をことしの通常国会に提案していただけると思っておるのですけれども、登録制度を政府提案の中に織り込めない理由がよくわからぬのです。どんな法律を見ましても、私はさむらい法と言っているのですが、公認会計士法、弁護士法、行政書士法、いろいろな法律を調べてみても、全部自主独立の自由職業者たちが組織するところの連合会の中に、団体の中に登録をされて、そこに登録をして初めて事業がやれるようになる。ところが民事局長のお話だとなかなかむずかしいというようなことを漏らされておるので、私はその理由がよくわからないのです。ことに、昭和二十五年にできた司法書士法の後の昭和二十六年の行政書士法を見ても、自主独立の登録制度になっておる。これは後のカラスが先になっておるようなことを考えたら、むずかしい理由が私はよくわからない。いまここで、時間がありませんから議論してはいけませんが、私は政府提案でむずかしいということを考えませんから、この問題はもうめんどうだから政府提案の中で十分考えていくんだ、いませっかく民事局長が中心となってここまで勉強されて古い法律を直そうとした、私は昭和三十六年の税理士法の改正でも登録制度にしたのですから、もう十六年前に登録制度ができ上がっている。司法書士法だけなんです。私はここまで力を入れて言ったのですから、ひとつ横山委員に対する御答弁以上の答弁をぜひともしてください。
#21
○香川政府委員 私ども、司法書士法の国家試験制度導入を柱にする改正に当たりまして、主眼は申すまでもなくお説のように司法書士の職務の重要性にかんがみましてできるだけりっぱなものにするというふうな観点から考えておるわけでございまして、御指摘の登録制度の採否の問題でございますが、本来登録自体は行政処分であるわけでございまして、本則的には役所がすべきものだろうと思うのであります。しかし、理屈の上ですでに弁護士連合会あるいは税理士連合会、それから公認会計士法でございますか、それらにそういった連合会が登録をするというふうな制度もあるわけでございまして、理屈の上で行政処分だから連合会の登録は許されないというふうには考えなくてもいいことだろうと思うのでありますが、やはりせっかくの制度でございますので、それを採用するかどうかについては、メリット、デメリット両面から考えまして、司法書士制度の充実発展のためになるかならぬか、あるいは時期尚早かどうかというふうな、いろいろの角度から検討しなければならぬ問題だと思うのであります。塩崎委員は法務省の政務次官をしておられる当時から登録制度を採用しろということをおっしゃっておられたのは十分承知いたしておりまして、さような先輩の、しかも税理士法の改正で登録制度を採用された方でございますので、その方が採用しろとおっしゃる以上はよほどメリットもあり、役所で登録するよりはよりいいものだろうかというふうには私も一応は考えますけれども、さらにもっと登録制度のメリットをお教えいただいて、十分前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
#22
○塩崎委員 もう最後の質問でございます。
 そこで、いま登録制度のメリットというお話がありました。しかし登録制度でもなければ司法書士会というものはむしろメリットがないのじゃないでしょうか。もう団結主義の日本でございます。何かとにかく組合でと申しますか、団体の中に入っていって、そして団体でいろいろと一致した行動をとっていって、お互いに切磋琢磨し、品位を向上し、信用を維持していく、これはもう絶対に日本的なあり方だと思っておるのです。司法書士会をつくってみて何か会費だけ取られるのだということではいけない、やはりそこに登録して初めて事業ができるのだというようなメリットを与えなければ、これはもうどんな団体でも成り立たないと私は思っておるので、このメリットをひとつまず教えてくれというお話でございましたから、私は強調して、ぜひこれを落とさないように、政府提案の段階からひとつこの問題を出していただきたい、こんなふうに思って、質問と思いましたが、大臣が来られましたのでお願いと申しますか、かつての親友でございますから、ひとつそういう善意を期待して私の質問は終わりたいと思います。委員長、ありがとうございました。
#23
○上村委員長 次に、西宮弘君。
#24
○西宮委員 私は、昨今問題になっておりますいわゆるネズミ講と称する、しかもその中の天下一家の会という問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 非常に限られた時間でございますので、まず大臣に、私その時間内で申し上げたいと思ういわば項目を申し上げておきたいと思うのでありますが、このネズミ講なるものがだんだん大きく膨張してまいりまして、非常に社会に害悪を及ぼしているということは大臣も御承知のとおりだと思います。しかもこれは、最初のうちはいわゆる金に余裕のある人、こういう人が蓄財の一方法として入っておったというのが実態のようでありますが、その後だんだん不景気になってまいりますと、中小企業者が事業資金をこれで生み出す、あるいはまた生活に困窮する家庭の主婦がこれに入る、こういうケースが非常に多くなったというのが最近の目立った特徴のようであります。
 この弊害にかんがみまして、すでに政府におきましては、総理大臣を議長とする消費生活保護会議で、これを規制をしなければならぬというので昭和四十九年以来非常に強い調子で毎年決議をしておるわけであります。総理大臣が議長を務め、十三人の閣僚が参加しているという会議で、政府としてはこれに対する根本方策をすでに決め、毎年これを発表いたしておるわけであります。さらにこの間は長野地方裁判所で、これは民事事件でありますけれども、これは公序良俗に反するということで天下一家の会が完全に敗訴する、こういう結果を来しておるわけであります。さらに法務省では、ついごく最近でありますが、この財団法人天下一家の会というのに対して職権抹消する、こういうことも行ったわけであります。
 ところで、振り返ってみますと、彼らがどういう方法で宣伝をしておるか。一つには、われわれのやっていることには大変な大政治家がみんな応援をしているんだ、こういうことをあらゆる機会に使っておるわけであります。これは極端に言いますと総理大臣まで、そういう名前まで引っ張り出して、応援しているんだ、こういうことを言うわけであります。とにかく政治家が全部われわれを応援しているということが宣伝のうたい文句の一つであります。第二には、政府が認可をした財団法人である、だからもう絶対に安心だ、こういうことが宣伝の材料に使われておるわけであります。そこで、私は最後に申し上げたいのは、詐欺罪あるいは公正証書不実記載罪、こういうものにりっぱに該当するというように考えますので、ぜひその点についての御見解を伺いたいというのが、私が申し上げたいと思っておりますいわば項目でございます。
 と申しましても、大臣、必ずしも詳しく御承知じゃないと思いますので、ごく二、三分、いわゆる天下一家の会と称するネズミ講について御説明いたしますと、これは昭和四十二年に熊本で内村健一という人が始めたことであります。その後だんだん入会者もふえ、あるいはまた行ういろいろなやり方がだんだんふえてまいりまして、現在は七種類、八種類に及んでおるわけでございます。しかし、そのいずれをとりましても、根本的な組織原理と申しますか、基本的な考え方は共通でありまして、それは要するに、一人の人が入ったならば二人の人を新たに加入させる、それによって二人が四人、四人が八人というようにふやしていく、こういうことを基本原則にしておるわけであります。
 いま申し上げたように、六つか七つ種類があるのでありますが、彼らの事業報告によりますと、圧倒的に多いのが中小企業相互経済協力会というのでありますから、これを例にして申し上げると、六十万円出してくれ、六十万円出せば数カ月後には三千三百万返ってくる、こういう仕組みになっておるわけであります。八つの段階に分かれておりまして、最初に私が入ったとすれば、私が八番目にランクをされるわけです。私が二人の入会者を説得して二人を入会させるということになりますと、私は一階上がって七階の段階に入るわけであります。その二人の人がさらに二人の人、合計四人を入会させると私は六段目に上がる。こういうふうにして私が最高の第一の階段に達しますと、その間に、つまり一人が二人、四人、八人、十六人というふうにふえてまいりますから、最後に百二十八人が参加をすると私はそのトップに上るわけであります。合計いたしますと二百五十四人。ですから、二百五十四人の加入者ができますと私は最高の段階に達しますから、つまり三千三百万がもらえる、こういう仕組みになっておるわけであります。
 それが概略でございますが、まず民事局長にお尋ねをいたします。
 先般登記の抹消をいたしました。これは現地の法務局のミスでこういう結果になってしまったのですから、それを職権取り消しをする、職権抹消するというのはきわめて当然なことであります。しかし、私はあえて申しますならば、職権抹消したということは相当勇気のある処置であったというふうに評価をしたいと思います。なぜならば、先刻申しましたように、これには相当な政治家が取り巻いておるということで、私もいろいろその名前を聞かされております。特に現地熊本ではそういう傾向が非常に強い。したがって、恐らく現地ではいろいろ苦労があったのじゃないかと想像いたします。したがって、あえて職権抹消に踏み切ったということは十分評価をしてよろしいと思います。そこで民事局長にお尋ねをしたいのは、一カ月以内に異議の申し出があるかもしれない。もし異議の申し出があったとすれば、それは却下をされますか。
#25
○香川政府委員 却下するつもりでおります。
#26
○西宮委員 わかりました。却下をすると、恐らく相手方は審査の請求をする、いわゆる商業登記法百十四条に基づいての審査の請求をする、こういうことになろうと思いますが、これは、審査の請求があれば三日以内に意見を付して法務局長に送る、こういうことになっておりまして、したがって、彼らが最後に訴えるのは行政訴訟であろうというふうに想像いたしております。しかし、行政訴訟になりましても、ぜひ不退転な決意を持ってこれには法務当局が当たっていただきたいということを希望として申し上げておきたいと思います。
 先般職権抹消したのは十一月八日であります。これは彼らの行った三回の登記、内容は理事就任の登記、事務所移転の登記、資産総額の変更の登記、名称変更の登記、理事変更の登記、資産の総額変更の登記、これはことごとく無効であるというふうに決めつけて職権抹消をしたわけであります。しかも、これはさっき申し上げたように、たとえば一番例の多いと申しました六十万の金を出して三千三百万もらう、その例を一つとりますと、六十万のうちの五十万はその先輩の会員にやるわけです。そしてあとの十万円はさっき申し上げた講元の内村健一の手に入るわけであります。これはきわめて機械的に、全く機械的に入っていく仕組みになっておりまして、何らも労せずして内村健一のふところには十万円ずつが転がり込んでいく、こういう仕組みになっておるわけであります。ですから、講元の権利だけは確実に保障されている、こういう制度になっておりまして、おかげで内村健一も、たとえば五月に発表されました国税庁の高額所得者ベスト五十の中の三十九位にランクされて、昨年の所得は二億七千七百七十万、こういうことになっております。二億七千七百七十万というのは、これは全く機械的に入ってくる仕組みになっておるわけであります。
 私は、まずこういうやり方に対してはきわめて不健全な、また悪質なやり方と思うのでありますが、さっき申し上げたように、残念ながら何人かの政治家の皆さんが関係しているということに対して、彼らがこれを一〇〇%も二〇〇%も活用するわけであります。したがって大臣にちょっとこのことを申し上げて参考にしていただきたいと思う。
 これは彼らの宣伝文書でございますけれども、ここに載っておりますのは林静さんと参議院議員の林ゆうさん、このお二人が熱心にインタビューでこれを推奨しているわけであります。林静さんというのは御承知のかつての衆議院議長の林譲治さんの未亡人でございます。そのほか、たとえば参議院議員の岩動道行さんなどが、いまの林ゆうさんもそうでありますが、昭和五十二年四月十五日の東京大会に出席をしている。あるいはまた望月正作という、これは自民党の候補者でありますが、この人も出席をし、あるいは浦田という熊本県会議長も出ている。あるいは天下一家の会の十周年の記念大会、昭和五十一年十一月九日でありますが、そのときには園田清充参議院議員も出席をしてあいさつをしておられる。武道館でやった大会であります。あるいは望月正作という方、この人は落選されたようでありますが、この人の選挙のはがきなどを見ると、これには自民党総裁の福田赳夫、幹事長大平正芳、農林大臣鈴木善幸、お三人が推薦者になっておりますが、それと名を連ねて天下一家の会の会長内村健一、こういうことで推薦のはがきを出しているわけであります。あるいはまた、週刊新潮の昨年の十一月四日号でありますが、それを見ますと、天下一家の会の大会に祝電を送った岡田広参議院議員あるいは玉置和郎参議院議員、祝電組として書かれてあります。もっとも、これはあるとすればにせ電報だろうという談話を載せて報道しております。まあその他で私の耳に入っている人はかなり多いのでありますが、この週刊新潮では、いわゆるネズミ講議員と称するのは約二十名だろうというふうに言われております。
 私は先刻申しましたように、政府はすでに昭和四十九年に、これを徹底的に規制しなければならぬということを総理大臣がみずから出席をした会議の中で決定をしているわけです。それを御承知なのか御承知ないのか、自民党のそういう方々がこれに直接間接に応援をしておられるというのは大変遺憾なことだと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#27
○瀬戸山国務大臣 いま西宮さんの御説明を承ったわけでございますが、私は新聞等でいろいろネズミ講というものについて書いてあることは承知いたしておりますけれども、遺憾ながらその内容についてつまびらかにしておらないのは遺憾でございます。これはいわゆる経済行為といいますか、個人間の経済行為であるし、また民事上の契約でやる形になっておると思いますが、私の見たところでは、いわゆる個人の人間の欲望につけ込んでさような仕組みをやっておるのではないかと思います。冷静にこれをお互いに注意をして考えれば、そういうやり方が必ず行き詰まるということは明らかなわけなんでございまして、本来ならば、そういうものに加入するというか参加する人々が冷静に判断してもらえればそういうことにならないということを率直に申し上げます。ただしかし、人間欲望に駆られることが多いわけでございます。その欲望をつり出して、そういうものに加入させる。こればかりでなく、ほかにもそういう種類のものがあります。でありますから、民事的な契約あるいは経済行為に直ちに介入することが妥当であるかどうか、これもやはり慎重に考えなければならない点でございます。しかし非常に弊害がある。場合によっては詐欺行為になるのではないか。これは感想でございます。そういう点もあると私は思います。でありますから、もし仮にそういう民事上の行為としてこれらの存在を認めるのであれば、やはり何かの規制措置を講じなければならない。犯罪ありと見れば、これは当然に処断しなければならない。さような性格の問題だと思いますが、政府としても、われわれとしてももっと真剣に考えなければならない。対策を講じなければならない。そうしなければ、こう言っては失礼でありますけれども、そういう問題について深く考えない庶民の人が終局的には毒される、かような結果になるわけでございますから、検討してみたいと私は思います。
#28
○西宮委員 いわば政府の方針だと言ってよろしいと思うのでありますが、昭和四十九年から、消費者保護会議の中で、これはたとえば昨年などは総理大臣みずから出席をして決めたのでありますが、その中にも「出資法等による取締りの限界にかんがみ、」出資法で取り締まっているネズミ講もあるわけです。しかしこれは、それに該当するのは少ないんですな。したがって限界がある。「ねずみ講の危険性等を広く国民に周知させるとともに、利得者に対する課税の徹底を図る。さらに、これの取締りのため、早急に出資法の改正を含め新規立法を設ける。」あるいはその次の年に決めたのには「ネズミ講についてはその危険性等を広く国民に周知させるとともに、これの取締りのため、早急に出資法の改正を含め新規立法を検討する。」こういうふうにうたっておるわけです。ですから、いま大臣が言われたように、庶民は金につられて入ってくるのでありましょうけれども、そういう人の気持ちを悪用して彼らがあくどい銭もうけをするということに対して、許しがたい行為であるという気持ちはこれらの表現の中に十分に読み取れると思うのです。いま大臣も、詐欺罪が成立するのではないかと思うという御見解でありましたので、その点はまた改めてお尋ねをいたしますが、その前に、これは刑事局長なんでしょうか、いわゆる公正証書不実記載罪がりっぱに成立すると思うのですが、その点いかがですか。
 それは、御承知だろうと思いますけれども、私の言うのは、財団法人として昭和四十八年に登記をしたわけです。その登記をするときに、ずっと昔からあった財団法人肥後厚生会というのを継承する形で登録したのだけれども、これは知事の認可も受けておらないし、あるいはそれに添付されておりますいわゆる寄附行為なるものは全くにせものにすりかえていることが明瞭なんですね。そういうことが明らかになったので、この間民事局では職権抹消をしたわけです。だから私は、彼らが昭和四十八年にやった行為というのは明らかに不実記載罪に該当すると思うのですが、いかがですか。
#29
○伊藤(榮)政府委員 お尋ねの財団法人登記の件につきましては、公正証書原本不実記載に当たる可能性が相当あると思います。現在関係警察と検察庁で調査をしておるようでございます。
#30
○西宮委員 それでは、この問題は明確な答弁をいただいたので、私も信頼をして経過の推移を見守りたいと思います。これについてはすでにたくさんの判例も出ておりますので、疑問の余地は全くないと思います。
 それから、いま法務大臣は、詐欺罪を構成するおそれがあるというふうに言われましたけれども、全く同じことを山根静寿検事正も、新聞談話でありますけれども、講そのものが詐欺罪に当たるのではないかということを言っております。かつて熊本の検察庁でも取り上げたのですけれども、そのときは不起訴に終わってしまったわけです。しかし、今日さらに彼の違法性は明らかになったと思う。いま申し上げたように、虚偽の登記申請をするとか、あるいはまたその後決定されました長野地方裁判所の判決では「詐欺的誇大な宣伝によって」こういう文句を使っておるわけです。これはもちろん民事裁判でありますから詐欺罪を断定するというのはあり得ないことでしょう。しかし、地方裁判所の判決の中に「詐欺的誇大な宣伝」こういうことによってきめつけておるという点等から見ても、私は多くを申しませんけれども、そういう点だけから言っても、詐欺罪の成立は十分考えられると思うわけですが、いかがですか。
#31
○伊藤(榮)政府委員 先ほど御指摘の山根静寿氏が検事正をしておりますときに訴えがありまして、御指摘のように不起訴になっているわけです。一般論といたしまして、いわゆる被害者と言われるような人たちに講の仕組みをどの程度説明するかというところが問題だろうと思うのでございます。講の仕組みの説明を十分受けながら、何とか自分の力でも孫、曽孫ができるのじゃないかというような気持ちで入られる方については、どうも欺罔されているとは言いにくい。ですから、ケース・バイ・ケースで実態をよく見させていただいて判断せざるを得ないと思います。
#32
○西宮委員 全くそのとおりだと思います。長野の地方裁判所の判決の中にもこういうことが言われております。これは十万円の掛金をすると五百何万か返ってくるという一つの種類でありますが、それについては、彼らが出しているパンフレットによれば「数ケ月後には貴方のグループの人達から五〇〇万円ものお金が順次送られてくることになるのです。」それから、さっきもたしか例に挙げた六十万円出せば三千三百万返ってくるというのに対しては「数ケ月後には貴方の企業グループから三、三〇〇万円のお金が順次送られることになるのです。」こういうふうに書かれていると判決の中にうたわれているわけですが、普通の庶民がこういう言葉にだまされてしまうということはきわめてあり得ることだと思うのですね。しかもそれが財団法人である。財団法人だからこれははっきり政府が認めた法人なんだ、そうして国が認めた助け合い運動だ彼らは助け合い運動だと称しているわけですね。私の方のは決していわゆるネズミ講ではないのだ、ネズミ講を取り締まるという話が出るたびに彼らはそう言っている。われわれはネズミ講ではないのだ、宗教法人大観宮、それから財団法人天下一家の会、助け合いの、いわゆるネズミ講でありますが天下一家の会、第一相互経済研究所、こういう三つを並べて、常にこれは一緒なんだということで、財団法人天下一家の会、財団法人だから安心しなさい、こういうことで宣伝をしている。それは、ここに持ってまいりましたいわゆる被害者の訴えでありますが、その多くは財団法人と言われたので安心して入ったという内容であります。もし時間がありましたら後でごらんになっていただきたいと思います。
 私の仙台にもそういう被害者が何人かおります。私も個別に当たってみましたけれども、みんなそのことを言っているわけです。そういうことになるとなおさら、財団法人だから安心しろというふうなことを言ったとすれば、その財団法人なるものが実はそうじゃなかったのだということが明らかになった今日としては、詐欺罪の成立要件として十分ではないかと思うのですが、刑事局長、もう一遍お答え願います。
#33
○伊藤(榮)政府委員 個々の被害者の方、それから講元の方によく聞いてみなければわかりませんが、財団法人ということがこの決定的な要素であるということになりますと詐欺罪の疑いが出てくるのじゃないか、こういうふうに思います。
#34
○西宮委員 そもそもそういう財団法人に、無理して他の法人をいわば乗っ取って財団法人天下一家の会というのをつくったわけですから、明らかにそれが目的であったことは申すまでもありません。ですから、彼らは盛んにそれを活用しているわけです。入った人がどういう心理で入ったか、あるいは入ることを勧めた人がどういう言い方なり態度で勧めたかというところにいろいろ問題があることは局長御指摘のとおりだと思います。
 そこで、こういう思想普及員というものがあるのですね。これはいわば天下一家の会のセールスマンなんです。全国に千三百何がしおるわけです。こういう人たちが、これから入ろうという人を勧誘して入れさせるというのに直接当たっているのです。ですから、この人たちはきわめて巧妙な、財団法人だからこれは国がやっているのだというようなことまで言っているという被害者の手紙なども来ております。それほど極端な言い方で、そういうことに知識の乏しい庶民をだましておると思います。
 警察にお尋ねをいたしますが、こういう第一線で直接勧誘に当たっている人もあるわけだけれども、そういう者を含めて被害の調査などをされておりますか。
#35
○柳館説明員 お答え申し上げます。
 ただいまの思想普及員でございますけれども、私ども、天下一家の会で出しております資料で承知いたしております。しかしながら、個別的にどういう活動をしているかということにつきましての詳細の報告は受けておらない次第でございます。
#36
○西宮委員 たびたび、新聞報道にはずいぶんたくさんの記事が何回となく出ております。たとえば、最近どこの方に大きくはんらんしているとか、ほとんど各紙が一斉に取り上げております。これは朝日、読売、毎日の夕刊でありますけれども、いずれも一面トップにこういうでかい記事を書いて報道している。もう少し警察庁も積極的であっていいんじゃないでしょうか。
 それで、被害に遭った人たちは、極端な場合は自殺をしている人もあるわけですよ。あるいは自殺までいかなくても、お金が払えない、払えなければ金は貸してやるということでいわゆるサラ金に紹介する。したがって、これは当然にサラ金等と結びついて、とてもにっちもさっちもいかぬのです。私の仙台なんかで調べた例によっても、金を借りに行ったらば、金を貸してやるからそのかわりこれに入りなさいということで入ったんで、もうどうしようもないという訴えとか、サラ金等とタイアップして苦しめている。そして彼らは金が払えなくなる、あるいは自分が勧めて子供、孫をつくっているわけですから、彼らから非常に恨まれるわけですね。したがって、彼らの中にはそういう自分の親しかった友人から突き上げられてどうしようもない、全部自腹を切ってそれを払った、これはやはり仙台の例ですけれども、全部自腹を切って子供と孫の納めた金を私が弁償した、こういう人もおるわけです。そういう被害が至るところに出ておる。
 この間大変ショッキングなニュースがありましたけれども、おばあさんを連れていって川へ運んで殺した、子供が見ている前で死なしたという新聞報道がありましたが、あれなんかもネズミ講から発生したマルチにひっかかった人間ですね。そういう悲惨な社会悪が次から次へと発生している。もう少し積極的であってもいいんじゃないでしょうか。東京なら大田区あたりが非常に盛んだとか、最近では群馬県が非常に多いとか、そういう記事がほとんど連日と言ってもよいほど出ている。どういうことなんですか。
#37
○柳館説明員 お答えいたします。
 先生も御承知のとおり、ネズミ講には会主導型と言われるものと会員主導型があるわけでございます。そこで、会主導型につきましては、私ども四十九年以前に四組織、それから五十一年に十組織、それからことしまた三組織、出るたびごとに直ちに検挙いたしておるわけでございます。ただ、会員主導型のものにつきましては先ほどから議論がありますように、法律にひっかかってまいらないということであります。しかしながら、勧誘の過程において、先ほどからお話がありますように欺罔的な行為があれば当然詐欺罪が成立いたしますし、またそのやり方におきましては、基本的な原型においては出資法違反にならないということがありましても、末端の個別的な勧誘の段階において違反が成立することもあり得るということで、私どもそういう被害を防止するためにあらゆる機会をとらえてやっておるのでございます。ただ、非常に合法的にやられている場合にまで私どもがいろいろ口出しをしたり何かするということば適当ではないということで、その面についての情報が確かに若干足らない点はあるかと思いますけれども、今後とも被害防止のために大いに力を尽くしてまいりたいと思っております。
#38
○西宮委員 きょうは経済企画庁からもおいで願ったわけですけれども、もう時間がなくなってしまいました。私は企画庁に御答弁をもらいたいと思っておりましたのは、これがいかに確率が少ないものであるかということを、実は企画庁でも検討しているはずだと思うので、それをこの場所で発表してもらいたかったのでありますが、どうですか、ほんの短い時間で言ってもらえるなら言ってもらいたい。
#39
○吉岡説明員 お答えいたします。
 簡単に御説明いたしますと、先ほど先生のお話がございましたように、一、二、四、八、十六とだんだんふえていくわけでございますが、私どもとしてはそういう単純な計算をいたしますと、総合計二十七代目が六千七百万人余になります。すでに二十七代までの累計をいたしますと一億三千四百万人ぐらいになるわけでございます。そのうち、言うように五十五倍になる人は結局一代から二十代までの人ということで、その人たちの数がおよそ百万人でございまして、一億三千四百万人ぐらいで割りますと大体五十五倍になるというのが数学的な計算で、〇・八%ぐらいということでございます。
#40
○西宮委員 これで終わりにいたしますが、いまのでもおわかりのように、数カ月で、あるいは四カ月と言っているところもありますが、四カ月で三千三百万もらえるというところに行くのだとすれば、もう一年四カ月で日本じゅうの総人口が全部ネズミ講の会員になっているはずなんですよ。そんなばかばかしい数字を挙げて勧誘している。そして、しかも実際は、いま答弁になったとおりほとんどその恩典にはあずからない。あずかる人はきわめてわずか、つまり一億三千万人の人間の中でせいぜい百万人程度がそれに達するだろう、そういう数字が明瞭な中で、いま申し上げたようなことを宣伝をしながらやっているというのでありますから、私はこれは明らかに詐欺罪として問擬すべきものだというふうに確信をいたしますので、どうか刑事局並びに警察の方でもその点万全の対策を講じてもらいたいということをお願いして、終わりにいたします。
#41
○上村委員長 次に、飯田忠雄君。
#42
○飯田委員 私は、いわゆるサラ金によりまして庶民が奴隷的拘束を受けております現状並びにそれに対処する政府の政策についてお伺いをいたしたいと思います。
 サラ金問題につきましてはこれまでもしばしば委員会において取り上げられております。そのはしりは、昭和五十年の六月四日に法務委員会で稲葉委員、横山委員から質問がなされておりますし、その後ことしに入りましてからは予算委員会、物価特別委員会、大蔵委員会、参議院の予算委員会で多くの委員から質問がなされております。私はこうした御質問を拝見をいたしまして、その中で政府が御答弁になっておるものを丹念に検討してみました。重複した御質問を申し上げることは避けたいと思いますのでこれをやったわけですが、残念ながら政府の御答弁からは、この重大なる社会問題につきましてこれを処理し、これに対する解決策を示すものが何一つ示されておりません。横山委員の御質問に対しまして、当時法務大臣は、必ず善処する、りっぱに研究をして何らかの行動に出る、こういうように御答弁になっております。ところが、それにつきましてその後どういうふうになされたのか、お答えを願いたいと思います。
#43
○伊藤(榮)政府委員 サラ金の問題につきましては関係省庁が多岐にわたっておりますために、現在関係省庁が集まりまして、実態の把握及びその対策ということについて協議を続けておる段階でございます。
#44
○飯田委員 横山委員の質問は昭和五十年の六月なんです。それから今日までずいぶんたっているんです。それに対していまやっと関係各庁が寄って相談するというのは、一体どういうことでしょうか。
#45
○伊藤(榮)政府委員 大変作業がおくれておりますことを申しわけなく思っておりますが、本年の秋ごろから、具体的には九月ごろから、もうゆっくりしてはおれないということで、相当密度濃く作業を開始しておるわけでございます。
#46
○飯田委員 政府の御答弁、丹念に私見てみまして、そこから原則的なものを見出したわけでございます。この三つのやはり原則があるようです。その第一は、政府の御答弁は全部について言い得ることは、傍観者的な人ごと的な御答弁に終始している、こういうことであります。それから第二番目には、元来政府が政治責任を負い、行政責任を負わねばならぬ主体である。にもかかわらず、そうした責任の主体としての姿勢が全く見られない、こういうことであります。それから第三に、質問に対して実質的な解決を示す答弁が全くない、この三つの特徴を持っております。
 私は、この委員会というものは単に質問をして答えてやるお祭り騒ぎをするところではないのではないか、実際の問題を取り上げて、その問題をどう解決するか、そのことを真剣に取り組んで国民の負託にこたえるのが任務であろうと思います。残念ながら、今日までの各委員会における政府の御答弁、これはそうした態度が非常に見られない、本当に国民のためのものとして考えていこうという態度が見られない、これはまことに遺憾なことだと私は思うものであります。
 本日、余りたくさん時間はございませんが、私に許されました時間の範囲内で御質問を申し上げたいと思いまするので、問題を解決するに足りる誠意ある御答弁をいただきたいと思います。
 まず最初に、サラ金業の現況、特に利率が問題でございますので、その利率の状況、それがどういう被害が起こっておるか、そういう被害状況、こういうものにつきまして政府の御認識を確かめたいと思いますので、御説明を願います。大蔵省、警察庁、法務省の刑事、民事、人権擁護局の方々の御説明を求めます。
#47
○吉居説明員 お答え申し上げます。
 貸し金業の適正な運営とそれから不正金融の防止のために自主規制法が設けられておりますことは先生御承知のとおりでございますけれども、この自主規制法におきましては、業者の自主的な規制によるのが最もこの貸し金業の性格ないしは実態から見まして適当だという趣旨からでき上がったものでございますが、この見地から現在各都道府県に庶民金融業協会というのが設立されているところでございます。貸付金利につきまして、これらその庶民金融業協会が、その地区の金融情勢であるとか、あるいはその地区のいろいろな情勢ということを勘案しまして、利便者に対しましてできる限り低廉であることを旨といたしまして、定款でその上限を定めるということになっているわけでございます。そして、この庶民金融業協会の加盟者、加盟業者はこれを遵守する、こういったたてまえになっているわけでございます。大蔵省が各都道府県に照会いたしました結果、各業界における定款上の上限貸付金利というものは、実は貸付金額等によって区々でございますけれども、たとえば貸付額が三十万円ないしは百万円という範囲では大体日歩二十五銭程度というのが上限になっているわけでございます。
#48
○柳館説明員 お答え申し上げます。
 御承知のように、法定利息は一日当たり〇・三%でございます。これを、私どもが検挙した件数が昭和五十一年に九百四十一件あるわけでございますけれども、利率でパーセントを申し上げますと、〇・四%には満たなかった、しかし〇・三%は超えておったというものが二八・四%でございます。それから〇・四から〇・五%未満が二三・三%、それから〇・五%から〇・六%未満が一八・三%、〇・六%から〇・七%未満が一三%、〇・七%から〇・八%未満が六・七、〇・八%から〇・九%未満が二・三、〇・九%から一%未満が二・一%、そして一%を超えるものが九・五%となっております。
#49
○伊藤(榮)政府委員 検察といたしましては、警察から送致されます高金利事犯、年間六、七百件ずつ起訴しておりますが、その基盤をなしますいわゆるサラ金の実態、こういうものについては知り得る立場にございません。
#50
○飯田委員 ただいまのお話では利率のことはわかりましたが、被害状況についての御答弁がなかったのですが、どうなっていますか。
#51
○鬼塚政府委員 人権擁護局としてお答えいたしますが、いわゆるサラ金問題の利用の実態につきまして、人権擁護局といたしましては詳細に把握しているわけではございません。ですが、このサラ金の利用者がサラ金の業者から人権の侵害を受けているということで人権擁護機関に救済の申し立てをした事案が幾つかあるようでございます。
 その例を申し上げますと、ほとんどが予定どおりの返済ができないで非常に困っているという場合でございますけれども、その事情を尋ねてまいりますと、一つの例といたしましては、契約の際に利息制限法の規定の範囲を超える利率の契約をいたしまして、利息制限法によりますとすでに利息と元本は返済されているはずでありますのに、なお契約上は利息も元本も消滅しないということで、結局利用者が法律に対して無知である、こういうことにつけ込んで業者が不法な要求を行っているというような事例がございます。それから、サラ金を利用しているということを自分の家族なりあるいはその他の人に知られたくないというような場合が多うございまして、そういう弱味につけ込みましてサラ金業者の方であくどい取り立てをする、権利行使の手段方法が強制、強要にわたる、こういうふうに認められる事案がございます。
 人権擁護機関といたしましては、このような場合に申し立て人に対しまして、最初の例で申しますと、利息制限法に関する知識を与えて、そうして適切な助言を行うということをいたします。それから直接業者の方に連絡いたしまして、そういうあくどいことはやめろというふうに勧告いたしますと、この業者の方では、やはり公の機関に発覚したということで強引な取り立てをやめるというケースもわりあいに多いというふうに聞いております。このようなことで事実上の救済措置を講じております。
#52
○飯田委員 いわゆる出資法の第八条によりますと、大蔵大臣は業者から報告を求めたり、あるいは事実状況を調査する権限がございます。この権限を行使されましてサラ金業の現状について調査をされたことがございますか。特に、どういうひどい目に遭っておるかという被害状況について調査されたことがございますか。
#53
○吉居説明員 現在出資取締法におきまして、先ほど先生御指摘のとおり調査あるいは報告を徴収するということになっておりますが、これらの点につきましては、実は届け出の事務手続も含めまして各都道府県に機関委任をしているのでございます。したがいまして、出資法第八条に基づく調査を大蔵省でいままでしたことはございません。しかしながら大部分のサラ金に絡んだ具体的事件というものが、先生御承知のとおりいわゆる高金利事犯であるとか一般暴力に関係するものということが非常に多いようにわれわれは見受けているわけでございます。したがいまして、具体的な事例につきましても実は私ども特にいま持ち合わせていない、こういう状況でございます。
#54
○飯田委員 今日、庶民がサラ金によりますところの奴隷的拘束を受けておる悲惨な状態というものが相当広がっておるということは、新聞記事からも、また最近の「現代」という雑誌に載っておる記事からも、あるいは各委員会でそれぞれ同僚議員が御質問になりました事実問題からもわかることなんです。いま御答弁によりますと、こういう方面の調査について政府の方は余り御熱心じゃない、もうほったらかしじゃないかという感じを受けるわけでございます。そういう調査不足、認識不足が今日のこの悲惨な状態を放置しておる原因ではないでしょうか。この点について御見解をお伺いいたします。
#55
○伊藤(榮)政府委員 率直に申し上げますと、このサラ金の問題について、どこの省があるいはどこの庁が責任を持って対処するかという体制が必ずしも十分ではないということが私どもみずからの反省としてあるわけでございます。先ほどのお答えぶりをお聞きいただきましても、たとえば出資法五条の高金利の罰則を考えなければならぬわが方といたしましては実態を把握するすべがない、また実態を把握することができることになっておる役所がございましても、必ずしも体制が十分でないために十分な把握ができておらぬというのが率直に言って実情であろうと思います。さようなことでは困りますので、先ほど申し上げましたようにこの九月以来関係省庁が集まって、これは小田原評定になりませんように鋭意、迅速に検討を続けていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#56
○瀬戸山国務大臣 この前から各委員会等で、あることを仄聞しておりますが、先ほど来の質疑応答等ここで聞いておりまして、しばしばお答えしておりますように政府の部内では協議会を開いてやるという体制になっておりますが、正直言って私の感想は、非常に緩慢である、かように考えます。わらをもつかむというような金融に困っておる人、これを利用してあくどいことをやっておるような事案があるようでございますが、もう少し政府部内でさらに話し合いを詰めまして、早急に実態の検討とこれの対策を講ずる、かように考えておりますから、御了承願いたいと思います。
#57
○飯田委員 私は今日まで、このようにひどいことになるまで放置された政府の行政責任並びに政治責任というものは大きいと思います。特に私は大蔵大臣の責任が大きいと考えるわけです。といいますのは、出資法という法律を立案されたのは大蔵省、これは元来政府提案ですから政府だということかもしれませんが、原局は大蔵省なんです。その大蔵省がみずから第八条で調査権を決めておきながら調査もなさらない。そして現状のような悲惨な状況をつくり出した原因がこの出資法にあるという、そのことに対する御反省がないわけであります。
 現行の法体制からいきまして利息制限法というのがございますことは皆様方は御承知のとおりですが、この利息制限法があってなきがごとき状態になってきた。これは当事者間の取引の問題ではありません。社会問題としてあってなきがごとき状態になってきたわけですが、その原因は一にかかって出資法の罰則にございます。この点につきましてどのようにお考えになっておりますか、御見解を承りたいと思います。
#58
○伊藤(榮)政府委員 利息制限法所定の利率と出資法五条の高金利の処罰規定の利率とに大きな差があるということは事実でございます。問題は、利息制限法の利率は民事上の契約に関しまして裁判上主張できなくなる限界を定めておるわけでございますが、これを超えたからといって直ちにこれが刑罰をもって臨むほどの反社会的なことになるのかどうか、そういう点が一つあるわけでございます。沿革的に見ますと、出資法五条の金利の定めと申しますのは、制定当時におきます大蔵当局の金利の指導の状況、こういうものを勘案いたしまして、それを超えるものを刑罰をもって規制しようという考えであったわけでございます。したがいまして、私どもとしては、その後における庶民金融の実態、それからこれに対する行政機関の指導のあり方、こういうものを踏まえてこの出資法五条の金利の割合というものを再検討していかなければならないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#59
○飯田委員 利息制限法の問題が出ましたから御質問をいたしますが、利息制限法で制限のされておる利率というもの、これを超えた場合に無効とするということになっておることはよくわかりますが、なぜ無効にしたのか、問題は無効にした原因であります。単に、これは違法ではないけれども当事者間の問題だから一応無効にしておこう、こういうことなのか、あるいは違法だから無効にしたのか、この点についてどのようでございますか、お伺いいたします。
#60
○香川政府委員 利息制限法所定の利率を超える金利契約を無効といたしましたのは債務者の保護を図るためでございまして、つまり無効である以上は債権者側から債務者に対して請求ができない、かような法律効果をもたらすためでございます。
#61
○飯田委員 憲法の二十九条は御存じでしょうか。財産権の不可侵を決めております。その財産権の不可侵を制限し得る唯一の道は公共の福祉に合致するかどうかという問題でございましょう。この利息制限法において利息を制限したということは、そのことをなし得る根拠は公共の福祉じゃありませんか。どうでしょう。
#62
○香川政府委員 民事法の基本観念としまして契約の自由が原則になっておるわけでございますが、その契約の自由を、社会的公正を維持すると申しますか、あるいは逆に言えば弱者保護等々の社会的な不公正を除去する意味から制限するということでございまして、これを憲法論のランクで申し上げれば、広い意味の公共の福祉ということにつながることだ、かように解しております。
#63
○飯田委員 利息制限法というものに違反したならば違法でないという根拠を教えてください。どういうわけで利息制限法に違反すると違法でないのか。
#64
○香川政府委員 法律に違反するということを違法だというふうに考えますならば、利息制限法は法律上それを無効にしておるということから、広い意味では違法というふうに観念されるかもしれませんけれども、厳密な意味で禁止規定ではございませんので、私法上これを無効にするということはつまりなかったと同じことになるわけでございますから、その関係をもって狭義の違法性があるというふうには必ずしも言えないのではないか。違法という言葉の使い方でございますけれども、利息制限法の立場からは無効にする、つまりなかったと同じ状態にするということで足りるわけでありまして、それ以上の評価はする必要がないというのが立法の考え方だろうと思います。
#65
○飯田委員 ただいまの御答弁は、私はまことに遺憾に思うものであります。利息制限法においてああいう制度を決めた。その制度を決めておきながら、それに違反したものは無効であるにすぎない、違法でないといったような、そういう御答弁は私は詭弁だと思うのです。明らかに法律に違反しておるから無効にしたのです。無効にするというのは、法律に違反しておるから無効にしたのでしょう。法律に違反するということは違法じゃありませんか。しかもこの違法状態が、単なる取引当事者二人の間だけの問題じゃなくて、現に社会悪を生み出しておる現実を絡めて見ますときに、利息制限法違反が違法でない、そういうことを言い得るにはよほどの法的根拠がなければならぬと思います。その点についていかがですか。
#66
○香川政府委員 非常にむずかしい御質問でございまして、私が先ほど申し上げました趣旨を敷衍する意味で例を一つ申し上げますと、たとえば売買契約に、御承知のとおり、要素に錯誤があるというときにはその売買契約を無効にするということに民法上なっておるわけでございます。その売買契約に要素の錯誤があるということは、狭義の意味の、いわゆる違法だから無効だということでは決してないわけでございまして、当事者間の契約関係を有効なものとして存続させることが適当でない、当事者の意志にも反するというふうな観点から私法上これを無効にしておるわけでありまして、私法上無効とされるものが即、違法であり、あるいは違法だから無効にするというふうな単純なものではないように思うのでありまして、利息制限法もその制限利率を超えたものは無効にするというだけのことでありまして、違法だから無効にするということでは決してないというふうに考えます。
#67
○飯田委員 民法上には違法ということがないでしょうか。民法という法律に違反すれば違法でしょう。違法だからこそ法律効果をなくしたのです。法律効果をなくしたことが無効ですね。何にも理由がないのに、ただ立法で法律効果をなくするということはあり得ない。社会悪を生ずる、あるいは非常な法律上の困難な問題を生ずる、だから無効にしたのです。結局、ある高い利息を取るということは公序良俗に反する、たとえば賭博をやると処罰する規定がございます。しかし、賭博というものは元来これは民事問題なんです。それから、詐欺をしても横領をしても窃盗をしても、全部これは民事問題なんですよ。民事問題であるけれども違法な民事問題だから刑罰を刑法で科する。だから刑事問題になる。刑事問題と民事問題は別じゃない。同じものを、一方において刑罰を科す場合に刑事問題になり、そうでない違法は民事問題として処理される、それが今日の法律体系でございましょう。それを違法でないものを効力をなくするといったような、そういう考え方は民法の原則のどこにあるか、伺いたいものです。
#68
○香川政府委員 抽象的に真正面からお答えする能力はございませんが、またたとえて申し上げて恐縮でございますけれども、たとえば詐欺によって契約が締結されたという場合には、その詐欺行為は刑法の側面から見ますと違法、つまり刑罰をもって臨むものであるわけでございますけれども、民法上は詐欺による契約は無効とはいたしておりませんので、そのいわば被害者というか欺罔された相手方がその契約を取り消すことによって初めてさかのぼって無効になる、こういう構成をとっておる。かような例から御推測をいただけると思いますけれども、刑法的な側面から見たものと民事的な側面から見たものとが常に同じ評価ということにはなっていないわけでございまして、したがって、詐欺による契約は刑法上は詐欺罪を構成することがあり得るわけでございますけれども、民事法上はそれを直ちに無効にはしていない。かような例をお考えいただきますならば、御理解いただけるのじゃないかと思うのです。
#69
○飯田委員 ただいまの御説明はもう話にならぬのですよ。そんな詐欺によったものは無効じゃない、あれは刑法で罰するだけだといったような、そんなことはないので、詐欺によった場合には刑事事件にならぬでも、こうした詐欺で取ったようなものについては、これは不法行為でしょう。民法に不法行為の規定があるでしょう。不法行為というものは民法だって認めているのですから、当然そういうものに対しては返還請求ができるわけでございます。ただ民法だからとにかく詐欺をやっても何ともないといったような、そんなことはないのです。民法だとかあるいは刑法といいましても、実態が同じものなんですよ。社会における事実は同じものなんです。その同じものをどう扱うかだけの問題なんです。民法、刑法の問題は。
 私はなぜここでこんな問題をしつこくお聞きしているかといいますと、時間が迫ってきましたので簡略にしますが、これは利息制限法違反、いわゆる利息制限法の決めた額を超過して多くの業者が利息を取る、これは元来法律が認めないことなんです。許容しないことなんです。罰するかどうかは刑法の問題ですから問いませんよ。法律が認めないのです。ところが出資法という法律ができまして、一〇九・五%を超えた分については刑罰を課すると決めた。そうしますと、どういうことが起こるかといいますと、出資法がない時代は利息制限法違反だということで、皆さんの違法観念が強く働くわけです。出資法ができまして罰せられるのは一〇九・五%以上の場合だけだ、そこまでは幾ら取ってもいいのだ、こういう観念が働きますと、利息制限法の制限というものの影が薄くなってしまうのです。そうして国民の法律に対する考え方が、刑罰の線までは何をしてもいいのだ、そういうことになっておるわけです。それが今日多くの人の悲劇を生じておる根本原因であるわけなんですが、こういう問題について、なぜ政府は率直に、真剣にその立法の誤りを反省なさらないのか。別々にこれは民法だ、これは刑法だというふうに区別していままで御答弁をなさっている。こういう御答弁は、法体系全般の面から見たら、この国家社会全般から見たら答弁になってないのです。こういう問題は総合的な考え方で処理されなければどうにもならぬ問題です。私は、出資法に刑罰を決められたときに、なぜ利息制限法の問題を頭に置かれなかったか、利息制限法を超えて一〇九%までは取ってもいいといったようなそういう観念をなぜ植えつけてしまったのか、私は大変残念に思うものでありますが、いまここで私が仮に計算しましたのを見てみると、現在サラ金業者が取っておる利息は月利にしまして大体〇・〇九あるいは〇・〇八と言われておりますが、「現代」の十二月号で磯崎史郎という人がこのサラ金の実態調査をやりました。この実態調査をやったところを書いております。それによりますと、利息は〇・〇九だと言っておるんです。それで計算しますと、十万円を借りますと、五年後には幾らになるかといいますと三百八十九万三千二百八十四円です。これは一年ごとの重利にしての計算ですよ。毎月毎月の重利にしたらもっといくんだ。それから十年たちますとどうなるかといいますと、一億五千百八十八万八千二百八十円、これは大変なことです。ことに、サラ金の場合は主婦がうまくだまされて五万円とか十万円とか借りるわけです。しかも、そういう少額のものを借りる人たちはとても利息が払えるような状態ではない。だから払う前にサラ金からいろいろ借りまして、こういう大きなものになってしまうのです。そのために自殺をしたり逃亡したりしなければならぬ人がふえておるわけなんです。ことに最近の悪例は、この「現代」の記事を見ますと、たとえば主婦が五万円借りに来ますと十万円分の品物を抱き合わせて貸す。その十万円分の品物は、これは価値のない品物です。これを買え、買えば貸してやろう、こう言うわけです。だから買います。そうしますと、五万円の金を借りたために十五万円の借財を負うわけです。その利息たるや大変なものです。これはとても払えるような状態にない。そして、皆さん方も新聞などでごらんになっていると思いますが、いろいろ体を売れとかなんとかということになってくるわけです。
 こういうような悲惨な状態は、明らかに憲法に保障しておる基本的人権の中の奴隷的拘束を受けないとの条項に反するのではないか。現在のサラ金から金を借りた人たちの苦しんでおる、苦しめられておる状態は、明らかに奴隷的拘束であります。この点について皆様方はどういうふうにお考えになるのか、各省、大蔵省、警察庁それから法務省の御見解を承ります。
#70
○吉居説明員 先ほどお答え申し上げましたように、大蔵省が各都道府県に照会いたしましたところで得ました定款上の最高金利は、金額によりますけれども、ほぼ二十五銭程度だ、こう申し上げたわけでございます。私どもこれが必ずしもいいと思っているわけじゃ決してございません。現実にいま私どもは、各都道府県に置かれております各協会を指導する都道府県知事に対しまして、利便者保護の見地から協会加入の貸金業者による貸し金金利を極力下げるように指導していただきたいということを、実はかねがね要請しているところでございます。
#71
○柳館説明員 ただいま先生の出された例等は、私ども大変困ったことだと思っております。やはりこれは、いまよりももっと予防的な見地から物を考えていかなければいかぬのではないかというぐあいにも思っておるわけでございます。そういった意味も含めまして現在関係省庁がやっておりますので、その場におきまして私どももそういう考え方を述べてまいりたいと思っております。
#72
○伊藤(榮)政府委員 関係各省庁から実態をよく教えていただきまして、それに見合った措置をしたいと思っております。
#73
○飯田委員 そこで、時間がありませんので最後にお聞きしますが、特に責任者の責任ある御発言を得たいと思います。
 こういう憲法が保障する基本的人権、これは当然政府が守る義務があることは御承知のとおりであります。公務員は、憲法によって基本的人権を守る義務が課せられておることは御承知のとおりでありますが、その憲法の中の十八条でしたか、すべての国民は奴隷的拘束を受けない、それを政府は保障するんだ、こうなっているのです。その保障を具体的にこれからどういうふうにしてなさるのか、承りたいと思います。
#74
○伊藤(榮)政府委員 ただいま憲法を引いてのお話でございましたが、私は直ちにその憲法の条章が問題になってくるとは思いませんが、おっしゃる趣旨はきわめてよくわかりますので、先ほど来申し上げておりますように、関係省庁と連絡して速やかに何らかの解決を見出したいと思います。
#75
○飯田委員 どうもこの問題について御答弁がないようですから、私から一つ提案します。利息制限法の違反を明確に違法だという御認識を持っていただいて、利息制限法に違反することは禁止するか、あるいは出資法の処罰規定を利息制限法と統一していただきたい、こういうことです。
 現在、利息制限法で十万円借りますと年利二割、二〇%です。これは決して安い利子じゃありません。現在銀行で借りた場合に、こういう高い利子で貸すところはないはずなんです。利息制限法というのは、これは国が許し得る最高の利息のはずです。だからそれ以上のものを無効としている。そうでありまするならば、当然これについて厳しい態度でもって、そうした力の強い方を抑えることが必要ではないかと思います。現在は、自由という名のもとに強者を保護することが行われております。弱者は常に自由の名のもとにひどい目に遭っておる、これが現状でございます。政府が本当に法をしっかりと実行し、国民の権利と生活を守るという御願望がございますならば、利息制限法と出資法とを統一して罰則を決める、つまり利息制限法違反を禁止する、そしてそれにわずかな刑罰でもいいからつけることが必要ではないか。
 この問題は、なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、非常にひどい目に遭っておる主婦たちは、救いの手を警察に求めるのです。そのときに警察はどう言うかといいますと、これは刑罰がないのだから警察の分野ではない、われわれは知らぬと言ってけるのです。その人たちは、それじゃ無効だから裁判所に訴えたらいいかといいますと、五万円とか十万円の借財をするような人が、どうして弁護士のところに行って弁護料を払って訴訟を起こすことができるでしょうか。できない相談なんです。できない相談だから、無効なものは払わぬでいいということがわかりつつも、やむを得ず払わされておるという現状です。こういう状態を救うためには、やはり利息制限法違反、これは明らかに違法なんだから禁止するということでなければならぬと思います。あるいはそこまでやるのは財界との兼ね合いで都合が悪いということであれば、そのところは研究なさって適当な線でお引きになるのも構いませんが、現在の年利、十万円で二割というのは決して安い利息ではない。問題は、余りにもぼろいもうけをできるように政府がほっておかれるから、業者がふえ過ぎた。業者がふえ過ぎたからやっていけない。あれが昔のように質屋さんの数程度に抑えておったら、二割の利息を取れば生計は十分成り立ったはずです。それができないような状態をつくり出した政府の行政責任、政治責任は大きいと私は思うのです。この点についての御見解を求めます。
#76
○瀬戸山国務大臣 いま飯田さんの御意見は参考といたしたいと思います。いたしたいと思いますが、いわゆる中小庶民金融と言われるものは国民の社会生活上必要なものとして出てきておると思います。利息制限法の細かい法理論は私はわかりませんが、やはりそういう国民の社会生活上必要なものとして出てきて、金利がやや高いという場合に、個人的契約でありますから、払っておる人もあるわけでございます。払えないというときには裁判上はそれは認められない、こういうことにしてあると思います。いまの御意見等も参考にしながら、社会悪がだんだん広がってきておることも事実のようでありますから、庶民金融を滅ぼしてしまうとこれはまた社会生活上逆の弊害も起こると思いますから、各省庁それぞれの専門機関があるわけでございますから、そういうこともよく詰めて総合調整して、社会悪といいますか、いわゆる庶民の人たちがそのために逆に苦しむことのないような措置を検討したいと思います。
#77
○飯田委員 時間が参りましたので、私の質問をこれでやめます。
#78
○上村委員長 横山利秋君。
#79
○横山委員 関連質問をいたしたいと思います。
 いま飯田さんの質問に対する政府各省の答弁は全く不誠意きわまると私は思う。飯田さんから話があったように、私の名前が出たものですからちょっと申し上げなければなりませんけれども、ともかく昨年の春、大蔵大臣が、年内にこの問題はけりをつける、公式に予算委員会で答弁をしたわけです。それが年内にけりがつかない。本年になってから、法務委員会に各省みんな集まってもらって、責任をどこかの省で持て、こう言ったことがあるのです。そのときにみんなきびすをそろえて同じように答弁して、必ず必ずと言ったはずです。私は内閣総理大臣に対して質問趣意書も出した。そして協議の場をつくれと言った。それで内閣総理大臣から、そのとおりにいたします。こういう答弁書が来ている。それ以来じんぜん日をむなしゅうして、聞けば、十一月にその協議の場で警察庁の報告があり、十二月には大蔵省がごあいさつするらしい。それで一カ月に一回だと、総理府それから大蔵省、経済企画庁、自治省、法務省、警察庁、来年の四月まで各省が一回ずつ報告するつもりですか。そうして、いま飯田さんの話によればとんと進捗度がない。言うだけは、何とかしなければいかぬ、何とかしなければいかぬと言っておって、とんと進捗度がない。
 そこで法務大臣にお伺いしたいのでありますが、このサラ金の問題について責任を持って総合調整をするとおっしゃるが、総合調整の責任者は一体だれなんですか。どこの大臣にきりきりと質問をして責任ある答弁をもらったらいいのですか。いま言えるのですか、あなた。それは総理府ですか、警察庁ですか、自治省ですか、大蔵省ですか、あなたですか。それを責任を持って一偏われわれに答えてもらいたい。それが答えられなければ、責任を持って決めて、総括的な答弁を、責任を持ってやると言った人が案をつくり、各省の意見を徴して原案をつくる体制を持ってもらわなければ、小田原評定じゃないと刑事局長は言ったのだけれども小田原評定を続けているじゃありませんか。そのサラ金問題に対する総責任者を明らかにしてもらいたい。
 それからあわせて、同じことでありますが、おとといでしたか、この間の法務委員会で私は青木政務次官にお願いしておきました台湾人の権利の問題。これは総理府、外務省、法務省、厚生省、郵政省と責任のあるセクションを大臣ははっきり決めて、法務大臣に次の機会に答弁をしてもらいたい、そう言っておきましたが、その二つの問題についての責任ある省庁、大臣の名前をひとつ報告してもらいたい。
#80
○瀬戸山国務大臣 先ほどもこの問題について私の感想を申し上げたわけでございます。先ほど来質疑応答を承っておりまして、やや緩慢であるという私の感想でございます。先ほど伊藤刑事局長からお答えいたしましたように、そういう協議会をつくっておるが、どこが主管として責任を持ってやるかということがまだ決まっておらないようでございます。そういう点も詰めて閣内で話を決めたい、かように考えておるわけでございます。
 (横山委員「もう一つの台湾の方は」と呼ぶ)
#81
○上村委員長 横山利秋君。
#82
○横山委員 それこそ小田原評定をそこでやっておってもらっても仕方がありません。いまその辺でぽちょぽちょやって、そして勝手に、こうしましたなんて言われても無責任と思いますから、国会が終わるまで、二十五日までに正式に委員長を通じて二つの問題の所管大臣を報告してもらうように希望します。
#83
○瀬戸山国務大臣 第二の問題は内容をよく了解しておらぬわけでございますが……(横山委員「けしからぬじゃありませんか、委員会で答弁したことを何だと思っているのですか」と呼ぶ)いや、そういうことは、帰りましてしさいに聞いてからお答えすることにいたしますが、二十五日までと期限を切られても、きょうただいまお約束することはできないのでございますが、できるだけ早く先ほど申し上げましたような措置をとりたい、かように思います。
#84
○横山委員 そういうことを言われたのでは、本当に百日の説法へ一つですよ。だから、何回もここでこういう問題を討議した結論としては、責任を持ってだれかが推進をしてもらいたい。何回言ったかわからぬ。それにもかかわらず、それがいまもって答弁ができない。そして政務次官がここで、必ず次の機会に法務大臣なりその所管大臣に報告をさせますと言ったこともお耳にも入っておらぬ、そういうことでは困ります。
 もう私としてはこれ以上申しようがありません。委員長、ひとつ委員会の権威にも関連することでございますから、善処をお願いいたします。
#85
○上村委員長 午後二時二十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ――――◇――――−
    午後二時三十五分開議
#86
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 両案に対しほかに質疑の申し出がありませんので、これにて質疑は終了いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#87
○上村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#88
○上村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#89
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ――――――――――――−
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇――――−
#90
○上村委員長 次に、本日の請願日程第一ないし第四七を一括して議題といたします。
 請願の内容につきましては、文書表ですでに御承知のことと存じますし、また先ほどの理事会において検討いたしましたので、この際、紹介議員の説明を省略し、直ちにその採否を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 本日の請願日程第一ないし第四七の請願は、いずれも採決の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ――――――――――――−
    〔報告書は附録に掲載〕
    ――――――――――――−
#94
○上村委員長 なお、今国会において本委員会に参考送付されました陳情書は、監獄法の改正等に関する陳情書外六件でございます。念のため御報告いたします。
     ――――◇――――−
#95
○上村委員長 次に、閉会中審査に関する件についてお諮りいたします。
 第八十回国会、内閣提出、刑法の一部を改正する法律案
 第八十回国会、沖本泰幸君外二名提出、犯罪被害補償法案
 第八十回国会、沖本泰幸君外二名提出、刑事補償法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案
 第八十回国会、横山利秋君外六名提出、政治亡命者保護法案
 第八十回国会、横山利秋君外五名提出、刑法の一部を改正する法律案
 裁判所の司法行政に関する件
 法務行政及び検察行政に関する件
並びに
 国内治安及び人権擁護に関する件
以上の各件につきまして、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、閉会中の委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請を行うこととし、その派遣地、期間、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○上村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇――――−
#98
○上村委員長 次に、法務行政、検察行政、人権擁護及び裁判所の司法行政に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高橋高望君。
#99
○高橋委員 私は、きょう刑務所の移転問題について関係の方々の御答弁をいただきたいと思ってお願いをいたしました。
 よく古くて新しい問題という言葉が使われますけれども、刑務所の移転問題はまさにこの古くて新しい問題の一つであろうと思います。と申しますのは、私の先輩議員並びに当委員会あるいは予算委員会等々において、刑務所の移転問題というのは再三取り上げてこられたかに存じます。しかし現実にどれほどの移転が行われたかということになると、これまたまことに少なくて、討議され回数を重ねたその回数に比してまことに少ないのが現実であろうと思います。
 きょう私は横浜の刑務所問題にしぼってお尋ねをいたしたいと思います。もちろん関係の皆様方は横浜刑務所の条件、立地状況等については十分御承知とは思いますけれども、念のために委員の方々を含めて私から申し上げさしていただきたいと思います。
 これが現実にございますところは横浜の南部でございます。現実には最近の急速な都市化の中で最も人口の増加の激しい地区でございます。すでに十七万を数えてやがて二十万になろうという、そういう状況の中で、しかも最近では地下鉄の営業も行われ、また現実にその一つの駅はこの刑務所の真ん前にあるということ、さらに土地の利用度から考えてみましても、平米当たり約三十万、昔流で言えば坪当たり百万に達するであろうという場所にこの広大な敷地を持った刑務所が現実にある。当然のことながら周囲の人の移動も激しいものもございますし、また住宅地、商業地としての利用度も大変に高いところでございます。こういう中で、過去数度にわたって、というよりももう十回近くにわたって陳情が行われてまいりました。しかし現実には何ら進展せずに今日を迎えてしまった。そして相変わらず反対のための市民運動は続いている。最近、私自身が出向いて調べましたところでも、今度は逆に働いておられる職員の方の官舎の老朽問題までも起こってきている。こういう状況を踏まえて、まず基本的に矯正局長にお尋ねをいたしたいのですけれども、横浜刑務所の移転という問題について現在取り組んでおられる姿勢あるいは状況等について、まず御報告をいただきたいと思います。
#100
○石原(一)政府委員 先般高橋委員はわざわざ横浜刑務所及び拘置支所を親しくごらんいただきまして、非常に現状等を十分御認識賜りましたことを最初に御礼申し上げます。
 現在、横浜刑務所は拘置支所を含めまして十二万四千平米余りでございます。そのうち建物は三万七千平米ございます。職員は、定員が三百五十六名でございまして、欠員なし、現在も同様でございます。なお定員は本所、主として受刑区でございますが、これが千五十八人、支所、主として未決を入れておりますが六百七名の合計千六百六十五人でございまして、現員は両方とも相当程度入っておりまして、千六百人余りが現に収容されているところでございます。
 御指摘のように、横浜刑務所は大変古い建物でございます。御承知かと思いますが、大正十二年の震災のときに壊れまして、その翌年の大正十三年から改築にかかりまして昭和十一年に全部が建設されたのでございますが、その大半は昭和元年当時にでき上がった建物でございます。
 なお、施設に付属しております職員宿舎も同程度にできたところでございまして、お食事後のところ恐縮でございますが、まだ水洗になっていない宿舎も相当ある。刑務所の方及び拘置所の方は水洗でございまして、職員の方が水洗でないというような、率直に申し上げてきわめて気の毒な、劣悪な執務環境にあるわけでございます。
    〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕
 刑務所の移転問題につきましては、すでに御承知のように昭和四十八年以降、横浜市長あるいは横浜市議会あるいはまた関係の国会議員の方々、さらに町の方々からの強い移転要請がございました。私ども、他に適地がございませんならばあそこで現地改築をするほかはなかろうと思っているのでございますが、市の発展上やむを得ない措置があり、移転条件が充足いたしますれば移転にはやぶさかではないということで、横浜市とその後も鋭意折衝を続けているところでございます。しかしながら、横浜市内でこの四万坪にも及ぶ敷地を確保することは非常に困難でもございますし、相当大きな刑務所でもございますので、費用の点もございます。いろいろな困難な問題がございますが、とりあえずどういう点に問題点があるか、そしてまたどういう方法で移転をすべきかということにつきまして、横浜市当局と法務省矯正局で担当官によるチームを編成して検討することが必要であろうという結果になりました。実は十一月の十七日でございますが、飛鳥田市長、社会党の委員長への御就任その他の問題で御多忙ではございましたが、時間がとれましたので私お伺いいたしまして、飛鳥田市長と四十分にわたりましていろいろ御協議申し上げまして、チームづくりをお互いにしようということで話がまとまりました。現在私の方では人選が済みまして、横浜市におきましても人選が済みましたので、今後いろいろな点において具体的な折衝を図りつつあるというのが現状でございます。
#101
○高橋委員 常識論から申しまして、仮にも法務省の管轄の中に直接ある、あるいは置かなければならない建物、施設であろうと思います。その場合に、なぜか地元の声あるいは地元の協議ということを非常に尊重される余りに、具体的な展開がおくれているように思われますけれども、この辺についてのお考えはどんなものでございましょう。
#102
○石原(一)政府委員 仰せのとおり国の施設でございまして、しかも刑務所は現在こそ町の真ん中となりましたが、つくりましたときには決してさようなところではなかったのであります。いろいろ現地に参りまして伺いますと、当時はきわめてへんぴなところであった。そこで、これまたびろうな話で恐縮でございますが、近くにおりましたお百姓さんが肥料にするいわゆるおわい物を横浜市までとりに行くのでは沿道に臭気をまき散らす、刑務所が来てくれるならば、とにかく千六百人から入れる建物でございますので、そうした肥料にも便利であるということ、あるいはまた町の発展、すなわち電気もつくしガスも引かれる、道もよくなるということで実は誘致運動がございまして、横浜の現在の港南区の笹下に移ったのでございます。しかしながら、横浜市の発展に伴いまして町の真ん中になりました。そうした場合によく出ます点は、刑務所をじんかい処理場か火葬場と同じようにごらんになるのでありましょう、私どもはきわめて不満ではありますが、邪魔だから出て行け、こういうことになるのでございます。
 そこで、これはわれわれとしても不本意ではございますが、町の発展上やむを得ないという場合に移ることは決してやぶさかではない、しかし、その適地が得られなければそこで現地改築をせざるを得ないというのが法務省の基本方針でございます。ところでこうした場合に、適地を国がみずから主導権をとって探しました場合に、はいいらっしゃいと言うところは遺憾ながらございません。私どもが話をかければたちまちにむしろ旗が立つというのが現状でございます。一方におきまして、刑務所はなるほど悪いことをした者を社会から隔離して入れておくのではございますが、いずれ社会に復帰する者でございます。死刑の者は別といたしまして、社会に復帰するということになりますと、職員による教育だけでは足りないのでございまして、町の先生方に夜来て御教育をいただく、あるいは保護司の方に環境調整のために来ていただく、あるいは宗教教戒師の方に来ていただくというようなことで外部の方との折衝もございますし、それから作業のことを考えますと、遠くに行ってしまいますとなかなか町の業者の方が作業を注文できないというようなことがございまして、できるだけ便利なところを考えるのではございますが、先ほどのような関係がございますので、なかなか法務省独自で敷地を探すということがむずかしいのでございます。
    〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕
その意味におきまして、現在のところを出て行ってくれとおっしゃる市においても十分な協力をしていただきたいという方針をとっております。
 それから、次には金の関係でございますが、仮に横浜でもほかのところでもいいのですが、現在のところから出て行くときには、現在の土地を時価でもって、これは大蔵省から評価を得ましてそれで買っていただくことになります。その土地の値段は、先ほど高橋委員か御指摘されましたように相当な多額の値段でございます。その土地を買うお金で市なり県なりにおきまして適地を買っていただく。敷地を買う金でいっぱいであればあとの建物は国の予算で建てざるを得ないかと思いますが、敷地を買ってなお余りある場合には建物も建てていただくということに相なるわけでございます。先般の当委員会で御質問のありました甲府刑務所につきましては現在地が相当高く評価されておりますので、敷地並びに建物ともに甲府市におきまして御負担願うということになっているのであります。そういう点がございますので市の財政との関連もあり、市に協力をいただかなければならないということで、円滑なる移転を実施するために国と当該市町村が協力の上移転を図るというのが現在の方法でございます。
#103
○高橋委員 現実の問題としていままで進展がなかったということは両方が責任を持たなかった、あるいはお互いに相手に責任を転嫁してきたというところからこの問題の進展がなかったと思うのであります。ところが一般市民感情からすれば、行政全体、これは市も国もですけれども、特に横浜市の場合には、先ほどお話の出た市長のいろいろの御活動量から言って国にその責任を転嫁するという傾向が非常にある。そのために市民の声としては、国が何とかしてくれないうちはできないという判断をとっているわけであります。それでありながら法務省の当局としては今度は逆に、地方の自治体の方でのウエートが大きい、こうおっしゃる。ということは、しょせんいつになっても解決のめどがつかないのではないかと私はおそれるのですが、この辺について、くどいようですけれども石原局長、もう少し国全体として大きくこの問題を取り上げる決断をお示し願えないかどうか、いかがでございますか。
#104
○石原(一)委員 御趣旨はそのとおりでございまして、やはり国と地方公共団体との協力のもとに進めるということが大切であろうかと思います。しかしながら現状の問題といたしましては、先ほど申し上げたように、国が敷地を勝手に選定するということになりますればかえって反対運動が大きいというようなこともございまして、これまでの横浜刑務所の対応につきましても、あるいはそういうような御指摘を受けてもやむを得なかった点があるかもしれません。そこで、私はみずから飛鳥田市長にお会いいたしまして話の内容は全く一致いたしました。今後は大いに協力してつくろうとするのでございます。
 ところで全般的な問題でございますが、実は矯正は、御承知かと思いますが、刑務所のほか拘置所、少年院、少年鑑別所、婦人補導院、それに伴う支所等三百余りの施設を持っております。そのうち五十数カ所が実は移転要請を受けているのでございまして、この移転要請にかかる費用というのは莫大でございます。すなわち現在の金額で申しますと、収容者一人当たり約七百万から七百五十万かかるであろうというふうに思われます。なお支所等あるいは少年院、少年鑑別所で小さなところでは収容者一人当たり八百万円かかるわけです。その金を計算いたしますと千五百から二千億になるわけでございます。現在の矯正局の予算は九百六十億でございまして、二年ないし三年飲まず食わずでいなければ全刑務所が建たないというきわめて深刻な事態になっております。その費用ももちろん国民の税金でございまして、市といえどもやはり市民からの税金ではございますけれども、費用の点も含めまして、のいてくれという御要請をなさるところで相当程度御協力をいただかなければならないということから、市と国、地方公共団体と国との共同によりまして円滑な実施を進めるというのが現在の方針であり、大方の市においてその点を御了承されているところでございます。
 なお、この横浜刑務所の移転につきましては市民の代表の方とも再度、あるいは三たびでございますか私直接お会いいたしましたが、刑務所の必要性ということについては十分御認識をされておりまして、市民といたしましてもできる限り円滑な移転には協力するというお話がございますので、具体的な話が煮詰まってまいりますれば、円滑な実施ができるのではないかということを期待しているところでございます。
#105
○高橋委員 現実に飛鳥田市長とのお話の詰め方もいろいろあったかと思いますけれども、被収容者の建物自体も大変に老朽化してきている。雨漏りを防ぐのにせいぜいな、しかもさんざん漏ってから手当てしているのが被収容者の施設にずいぶんと見られます。それからまた、住宅地に隣接しているがために被収容者の窓に波型の最近はやりのポリエステルか何かの板を張って見えないようにする。私はなぜこういうことをするかと聞きましたら、被収容者が、窓越しに見える一般の方の家の状況に奇声を上げたりあるいは騒いだりするものだから、やむを得ず窓にそういったもう一つの目隠しをしている、こういう状態を放置してあるというのが現状であろうと思うのです。ところが、一方では大変にりっぱな建物も同じ敷地の中にできている。こういうアンバランスな問題というものについて、局長いかがお考えになりますか。
#106
○石原(一)政府委員 横浜は、高橋委員ごらんになっておわかりのように刑務所部分と拘置所部分と双方ございまして、拘置所部分は近代的な建物でございます。刑務所部分がきわめて古いということでございまして、拘置所につきましては横浜は、御出身のところを申し上げて恐縮でございますが、東京に近いという点もありまして相当な犯罪検挙者数があり、実刑になる者も二千人程度あるわけでございます。先ほど、拘置支所で約六百人の収容定員があり、現員もそれに近いものがあると申し上げましたが、これは京都とか広島より大きい支所でございまして、京都と広島は独立の拘置所でございますが、大きな拘置支所となっているのでございます。そこで、非常に犯罪の増加に伴いまして未決監が少なくなったということもございまして、未決監を増築したのでございます。
 刑務所の方でございますが、たまたま私が参りました十一月十七日は大雨の日でございまして、私も悪いときに行ったな、こう思ったのですが、講堂、工場、廊下等に食事を運ぶときの大きな箱が置いてあるのです。何だと言ったら、これは雨漏りを防ぐのです。こういうことでございまして、なるほど場所によってはこちらがよけて歩かなければとても歩けないほどの雨漏りでございました。しかしながら、横浜刑務所の当該敷地部分につきましては、第二種住宅専用地域に指定されまして、遺憾ながら大きな改築ができない事情になりました。そのためにやむを得ず、保安上の設備から、あるいは鉄格子を丈夫にする、これは逃げて近隣の方に御迷惑をかけては申しわけありませんので、やっている。それから錠前の補修をする、あるいはただいま申し上げました雨漏りの補修をする、あるいは公共下水道の供用開始に伴う水洗化の工事等、最小限にとどめているのでございます。したがいまして、外観上、横浜拘置支所はきわめて近代的な建物であり、かつ刑務所はきわめて古いということでございます。
 なお、付言させていただきますと、横浜拘置支所につきましては、飛鳥田市長が法律家出身でもございまして、拘置支所を遠くに移すことは適当ではない、これは残さざるを得ないものだというお言葉もいただいておるところでございます。
#107
○高橋委員 私は、実は職員の官舎の問題も含めてのお尋ねをしたいのでございますけれども、こうした極端に差のある建物、特にこの際私が申し上げたいのは、職員の方の宿舎の問題に触れてみたいと思います。これも四十六年ぐらいにつくった建物を終わりとして、その後全然新規に行われてない。伺えば、市民の反対運動が起こったので、刺激するということを防ぐ意味で新しく手をつけないんだ、こうおっしゃるのですが、このままですでに五年、六年たってきている。先ほど局長もおっしゃったように、まことにひどいというか、ある種のスラム化したような状態のままで職員の方の官舎がそのまま残っている。しかも、いいことか悪いことか、被収容者の中に腕のある方がいて、刑務所の性質からいってその方々の腕で、材料さえ持ってくれば工事は中でやるという、そういう処理の仕方のままで通してきている。なまはんかな修理よりは確かにましかもしれませんけれども、それにしてもすでに三十年、四十年たって、どうにもならないところに来ている。一部職員の方の意見を聞けば、娘さんの縁談に差し支えるような官舎にまで落ちぶれてしまっている。これもすべて刑務所問題を抜本的にいじらない状態から起こってくるすべての面での弊害だろうと私は思うのです。そうであれば、中央段階でとにかくこういった実態を踏まえられて、私はさらに従来のような形にいつまでもとらわれることなしに、力強く改善の方向へ足を踏み出さなければいけないと思うのですが、この辺、職員の方の宿舎の問題について、局長、ひとつ御発言いただきたいと思います。
#108
○石原(一)政府委員 職員にとりまして非常にありがたいお言葉をいただきまして感謝申し上げます。
 横浜刑務所の敷地には、刑務所、拘置所、少年鑑別所が建っておるのでございますが、刑務所で申し上げますと、昭和二年、三年、四年に建ちましたものが三十五戸ございます。すでに五十年たっております。木造は通常二十五年で耐用年数が来るのでございますが、はや倍近くかかっておる、こういうことでございまして、そのほかは昭和二十四年、二十五年、二十六年等に四十数戸を建てておりますが、当時の日本経済の現状からきわめて粗悪材が用いられておりまして、きわめてお粗末な建物でございます。こういうところでございますし、また少年鑑別所も建物は新しい建物でございますが、たまたま私が参りましたときに、鑑別所の前に飯場みたいな建物がある、あれは何だと言ったらば、これは職員宿舎と所長官舎であると言うのですが、昔の建物でございましていわゆるブロック的な建物ではございますが、隣の声が全部聞こえる。したがって、妻帯者で転勤してまいりますと、二、三カ月でもって出てしまう。隣の声が全部聞こえてくるということで、特に夜などは非常に困るというようなことがございました。まことに情けないというか、何とかしてあげなければいけないということを行政の責任者といたしましても痛感しているところでございます。しかしながら、横浜につきましては、先ほど御指摘のように移転問題が出た関係から、そこに建物を建てまして、将来移転してそこを使わなくなりますと、先ごろ騒がれておりますように会計検査院からおしかりを受ける等もございますので、いましばらくがまんしていただこう、そのかわり、ただいまの補修その他については全力を挙げて進んでいきたいということでございます。たとえば、これまたびろうな話で恐縮でございますが、水洗便所の点については何とか早く解決しようと思っております。職員の中には、朝早く用を足したのではうちの中に臭気がこもるということでがまんをいたしまして、役所に行ってからする。また役所が終わってから用を足してからうちへ帰るということもございまして、そういう職員と座談会等をいたしますと、私といたしましても、とにかくがまんしてくれ、もう少しがまんしてくれということを言うほかには言葉がないのでございますが、こういう点につきましては財政当局とも十分検討をいたしまして、職員の執務環境の改善につきましてはこの上とも努力いたしていきたい、かように考えております。
#109
○高橋委員 大臣、私がいまいろいろお尋ねもし、また現実に矯正局長のお立場で最近御視察があったようです。私、この問題の根本的なことは、宙ぶらりんな状態にすべて置いているというところに問題があろうと思います。改築をする、あるいは移転をする、いずれにいたしましても決断をしなければならないところへ立ち至っていると私は思う。それが今日のような状態で一時しのぎ。しかも建物という寿命のあるものでどうにもならない状態がきてしまっている。ここまで来ると、もう一人の人間として放置しておいてよいものかという、このことすら起こってくるわけです。大臣、どうかひとつ、そういった意味でこの横浜刑務所、特に私が申し上げたいのは官舎の方の士気も含めて、この移転問題について、どうぞ大臣から前向きに取り組むという御決意をいただきたいと思います。
#110
○瀬戸山国務大臣 刑務所問題については、先ほど来矯正局長からお話ししておるような事情が、横浜だけでなくて、ほかにもあるわけでございます。どこと申し上げませんが、ほかの場合は、やはりいまのような移転をおっしゃられるけれども、移転地がなかなかない。こういう事情で、しかも施設は非常に老朽して災害等に対しても責任を持てないような状況になっておる。そういうところはやむを得ず現地で改築をするという決断をしておるところもございます。横浜の場合は、いま御説明申し上げましたようにせっかく市当局とも積極的にこれを進めようということをいま現にやっておるわけでございますから、私自身は現場を見ておりませんけれども、先ほど来お話しのように、現時点においては市全体からすると適地を見つけて移転した方がいい、こういう状況のようなところでございますから、もうしばらく、いませっかく協議中でございますから、ごしんぼうをいただきたいと思います。どうしても、いつまでもというわけにはいきませんから、解決の見込みがないときには決断をして現地でやる、かようなことも考えなければならぬと思いますが、現時点ではややまだ早いのではないか、かように考えております。
#111
○高橋委員 これは最後、お願いでございます。大臣、現時点では早いなどとおっしゃらないで、この刑務所の移転問題に対しての一つの、何と申しましょうか最初の取り上げる課題として横浜をお取り上げいただいて、これが起こってくるものの後々の展開問題に資するように、そういった意味での取り上げ方をしていただくようにお願いを申し上げて、私、質問を終わらしていただきます。
#112
○上村委員長 次に、正森成二君。
#113
○正森委員 鬼頭元裁判官の、網走刑務所から宮本顕治氏の身分帳等を職権を乱用して入手した事件については、現在、付審判請求が通りまして、弁護士が検事役として公訴を維持していることは御承知のとおりであります。
 そこで、私は法務大臣や刑事局長に伺いたいと思いますが、御承知のように刑事訴訟法の二百六十八条では「指定を受けた弁護士は、事件について公訴を維持するため、裁判の確保に至るまで検察官の職務を行う。但し、検察事務官及び司法警察職員に対する捜査の指揮は、検察官に嘱託してこれをしなければならない。」こうなっておることは御承知のとおりです。現在、森本脩弁護士が一人で検察官としてやっておりますが、事案の関係から考えまして、背後関係等について非常に複雑な問題点がございます。そこで、検察当局としてはどういう協力を現在なさっているか、また将来なさるおつもりか、お答え願いたいと思います。
#114
○伊藤(榮)政府委員 ただいまお読み上げになりましたような条文がございますから、森本弁護士から御依頼があればできる限りの協力をいたしたいと思っております。
 現在までお申し越しがございまして御協力申し上げておりますのは、同弁護士が参考人等をお調べになりますときに立ち会い補助をいたします検察事務官を提供いたしております。また、もちろん取り調べ室を提供する。それから調書などをおとりになったようでございますので、その用紙等の消耗品、これはもちろん提供いたしております。なお、法律上といいますか制度上若干問題があるかとは思いますが、同弁護士がお調べになりました参考人等に対する旅費、日当、これは検察の方で支払って差し上げております。簡単に申し上げますと、そのような程度でございます。
#115
○正森委員 いま概略お答えになりましたが、本件はもともと検察当局が起訴する必要がないと言って公訴しなかった件について、高裁の決定により公訴が提起され維持されている事件であります。したがって検察庁といたしましては、いささかも自分たちが公訴しなかった事件についてやっておるのだからというようなことを世間から見られるというようなことがないように、公明正大に、検察官役をやっている森本弁護士の要求が公訴維持について正当なものであると思われる場合には、あるいは要求があれば、当然正当なものであるとして、特に違法なものでない限りは積極的に協力する、こういう姿勢をとっていただきたいし、その姿勢を表明していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#116
○伊藤(榮)政府委員 まさに御指摘のような態度で処しております。具体的に申し上げますと、当該事件の捜査を担当した部ではございません公判部において御連絡を申し上げて、お手伝いを申し上げております。
#117
○正森委員 二番目に私は法務大臣に伺いたいと思いますが、これは先日、私が十月二十六日にも質問したことでございますが、現在、検察官の職務を行う弁護士に給すべき手当の額を定める政令では、四十五年のままで、審級ごとに三万円以上十二万円以下になっておる。これが非常に不十分だということは先日も御答弁がございました。私が調べたところでは、数年にわたって事件が係属するという場合もあるんですね。そこで、事件が落着したときにこの政令を改正するというのではなしに、現在すでに七年たっておりますから、この政令について改正するか、あるいは審級ごとに支給するというのを、長い間事件が係属することにもかんがみて、毎年支給するというようにするか、何か変えませんと、弁護士が三年、四年事件が係属した場合に、その件については一銭も報酬も実費弁償――実費弁償はあるでしょうが、報酬はないということで、済んでしまってからせいぜい三万円以上十二万円以下をもらうというのでは、これは通常の検察官に比べて余りにも差があり過ぎるというように思うわけですが、そういう具体的な点も考慮した政令を変えるということを近々御考慮なさるお気持ちはございませんか。
#118
○瀬戸山国務大臣 前回でもお答え申し上げたわけでございますが、御承知のとおり、これは過去三回、最初から見ますと二回改めておるわけでございます。これは裁判所の関係でございますが、裁判所の説明を聞いておりますと、いまお話しののように、大体事件の終結ごろに変える、こういうことを言っておりますが、できるだけ早く、予算にも関係ありますから、裁判所と協議をして、適切な措置をとるようにしたいと思っております。
#119
○正森委員 できるだけ早く額並びに支給の方法等についても考慮されることをぜひ期待したいと思います。
 次に、この鬼頭事件で、鬼頭が外部に漏らしたとされる資料が幾つかございます。この間の森本特別検察官の冒頭陳述によりますと、東京新聞の朝刊に載りました「刊執行停止」という書類、それから松本明重氏などが発行している、リンチ殺人事件などと称する書物の中に引用されているもの、あるいは文芸春秋の立花隆著「日本共産党の研究」に引用されている部分に並んで、第四番に、新たに雑誌「創」の昭和五十二年六月号百九十二ページ以下の「極秘鑑定書を公開する」という記事中の極秘鑑定書に鑑定資料として利用されているということが断定をされているわけであります。
 そこで、これに関連して私は伺いたいと思うわけですが、この冒頭陳述が発表されました後に、本年十一月十八日「週刊民社」というのが出ました。その中に「カラッと爽やか民社党」ということで、春日委員長が心境を語るということで述べておられます。これを見ますと「『文芸春秋』の十二月号、一月号、二月号にこと詳らかに報道されて今日的話題になっておったからです。しかし私はあの事件についてはかねて重大な関心をもって調査しておりましたから、関係資料は以前から数多く手元に保持しておりました。現に昭和四十九年の六月中頃、参院選の最中に」云々というように書かれまして、「その日付を見て明らかなように、私がリンチ共産党事件の諸資料を握っていた時点は、鬼頭判事補が網走刑務所へ資料を取りに行った時点より遙るかに以前なのです。したがって私が、資料を鬼頭判事補から入手して、それに基づいて質問したというような関係は期日的に成り立ちません。」こういうように書いておられます。仮にそうだといたしますと、従来、矯正局を含めて法務省は、鬼頭判事補の事件以外に、終戦後網走刑務所等から宮本委員長の身分帳等が部外に流出したということは絶対にない、こういうように言ってこられたのと違ってくることになると思いますが、その点についてはいかがですか。
#120
○伊藤(榮)政府委員 春日一幸氏がどういう経緯でいろいろな資料を御入手になったか、その辺は私ども全く存じ上げておらないわけでございます。一方、矯正当局の鋭意調査の結果によりますと、鬼頭以前には鬼頭はないというようになっておるわけでございまして、ただいまお読み上げになりました記事は、私も拝見いたしましたけれども、どういうふうに理解していいか、よくわかりません。
#121
○正森委員 それでは、検察当局ないし法務省としては、鬼頭の前に鬼頭なしということで、鬼頭判事補のあの違法行為以外に宮本身分帳関係等の資料が部外に流出したことはない、こういう見解を現在でも持っておられるわけですか。
#122
○伊藤(榮)政府委員 鬼頭以前に鬼頭がいたという証拠は何もございません。
#123
○正森委員 鬼頭以前に鬼頭がないという、多少禅問答のような答弁でございましたけれども、私は、もしこの春日一幸氏の言明が本当であるとすれば、鬼頭以前に春日一幸あり、こういうことになって、春日一幸氏が何らかのつてを求め、あるいはみずからの職権を乱用して、入手することのできない資料を入手しておるということをみずから自認されていること以外にあり得ないと思うのですね。春日一幸氏自身がこういうことをみずから言っておるわけですから、そういう点について、検察当局は、鬼頭以前の新たな春日一幸事件としてお調べになる気持ちはありませんか。
#124
○伊藤(榮)政府委員 森本弁護士の方で春日氏からも事情を聞いておられるようでございます。したがいまして、森本弁護士の手によって公判で明らかにされてくるのではないかと思っております。
#125
○正森委員 ここに七六年三月三日付の週刊サンケイがあります。この週刊サンケイは森本検察官が冒頭陳述をされるはるか以前ですが、その記事によりますと、四十九年六月、七月の日本共産党と春日一幸氏の論戦を受けて、「そこで、このような応酬を続ける以上は、正確な資料を持たなければならんということになって、わたしも努力した。またこの記事に刺激されて、全国各地から当時の関係者などがいろいろな資料をわたしのところへ届けてくれたり、また真相糾明に協力したいという申し出もあって、それ以来、一年有半のうちにいつしか膨大な資料が私の手元に集まったわけです。すなわち、それは網走監獄関係の記録、」云々、こうなっております。
 そうしますと、昨年の三月三日には、四十九年六、七月ごろ以後一年有半の間にいろいろ資料が集まってきて、その中に網走監獄関係の記録もある、こう言っておられるわけであります。そうすると、網走監獄関係で鬼頭が職権を乱用したのは四十九年七月でございますから、まさに鬼頭の前に鬼頭がなく、あるいは鬼頭の前に春日一幸がなくても、四十九年七月の鬼頭以後において入手し得る状況にあったということを認めておられるわけであります。それが森本検察官役の冒陳以来言明が変わってきたということに理の当然になるわけであります。
 そうしますと、こういう複雑な問題について森本脩特別検察官が解明しなければならないということになりますと、一層一人の検察官としては大変な仕事であり、現職の検察官に協力を求め、あるいは嘱託をして調査をするということが起こってくると思いますが、そういう場合にも、先ほど初めに言明されたような公平な協力というものをなさるということを言明していただけますか。
#126
○伊藤(榮)政府委員 森本弁護士から依頼があれば、万全の協力をいたします。
#127
○正森委員 法務大臣、いまの刑事局長の御答弁のとおりお伺いしてよろしゅうございますか。
#128
○瀬戸山国務大臣 検察庁は当然やることと思います。
#129
○正森委員 この問題に関連して、私はもう一、二点伺いたいと思います。
 それは、雑誌「創」の五十二年六月号の、先ほど私が引用しました「極秘鑑定書を公開する」という中に、何人かが記載しました、元裁判官らしき筆致でこの査問事件について鑑定しておられる文書があるわけです。その内容については詳しくは申しませんが、その中に資料の列挙があるわけですね。
 その資料の列挙を見ますと、検察庁関係では「山口地方検察庁関係」ということで「同人の本籍地である山口県光市を所管する山口地方検察庁においては、同庁保管のいわゆる「犯歴カード」に、宮本関係分として次の記載が現存する。即ち、「番号七八七四、二〇四〇 氏名宮本顕治」云々、そういう資料が明記されております。
 そのほかに「同検察庁内「某所」には、いわゆる「前科台帳」が保管され、右台帳上には、右「犯歴カード」の記載のほか、前記「二度目の減刑」および勅令第七百三十号による「復権」の記載が存する。即ち、同一官署内においてさえ、その記載が統一されていない状況である。」云々。さらに、東京地方検察庁のところに「同検察庁では、現在、いわゆる復権関係事務を取り扱うのは「保護事務課」であるが、右保護事務課には、部外秘の極秘資料綴があり、そのうち、昭和二十年度関係簿冊中に前記の「一〇・五刑事局長極秘通牒」の写が編綴保管され、現存する。また、極秘資料によれば、同課においては、「宮本に対しては、復権の証明は出ている。」」云々というような非常に詳しいことが記載されているわけであります。
 そこで私は、検察当局を司法行政上監督しておられる法務省に伺うわけですが、ここに記載されているような資料を何人かが見せてほしい、あるいは照会の上答えてほしいということでお答えになった事実があるのかどうか。もしないとすれば、いかなる経路からこういうものが外部に出たのか、お答え願いたいと思います。
#130
○伊藤(榮)政府委員 ただいまお読み上げになりました記載自体にきわめて不正確な点が多いと思います。そのことはともかくといたしまして、たとえば東京地方検察庁に判決原本等が残っております。それらのものをだれかからの照会があって回答したとか、そういう事実は全くございません。
#131
○正森委員 いま記載自体に不正確というのは、この鑑定書の作成主自体の引用あるいは記述が不正確だ、こういうことだと思いますが、この記載の仕方は、判決原本が残っていて、そこから引用したというような程度のものではないのですね。それよりももっと詳しく、犯歴カードあるいはその他のものからの引用であるかのごとき体裁をとっておるわけですね。したがって私は、こういう問題につきましては森本検察官役がお調べになるかもしれませんけれども、さらに場合によりましたら、必ずしも犯人は鬼頭とは限らないわけでございますから、別件としてでも、当然検察庁は、いかなるルートからこういうものが流れたのであるかということをお調べになる必要があると思いますが、いかがですか。
#132
○伊藤(榮)政府委員 私が不正確であると申し上げましたのは、この表現自体もそうでございますが、たとえば御指摘の東京地検保護事務課にさようなものが残っておるということ自体が事実に反しますので、そういう点で申し上げたわけでございます。しかしながら、そこに書いてあります全趣旨に徴しまして、なお検討してみたいと思います。
#133
○正森委員 それでは公安調査庁に伺いたいと思います。
 同じようなこの鑑定書の中には「中国管区公安調査局(広島市所在)関係」こうなっておりまして「同庁には、同調査局照会に対する昭和四十四年九月十日付山口県光市長の回答「前科なし」を基礎資料とする同人に関するいわゆる公安資料その他関係記録が現存する。しかし、同局所蔵の公安資料上も、宮本は、「未復権の前科者」としては取り扱われていない。即ち、」云々ということで、公安調査局の資料が現存しているということを書いているだけでなしに、その資料を見た者でなければ書けないようなことを書いているわけですね。そこで伺いますが、中国管区の公安調査局に何びとかがこういうことを照会するなりあるいは見に来た事実があるのかどうか、もしないとすれば、中国管区の公安調査局みずからがこういうものを積極的に提供なさった事実があるのかどうか。その両方ともないとすれば、なぜこういうものが外へ出たのか御調査なさる意思があるかどうか、伺いたいと思います。
#134
○鎌田政府委員 お答えいたします。
 中国管区公安調査局というのはございませんので、中国公安調査局のことかと思いますが、中国公安調査局にこのような資料を保存しているという事実がございません。したがいまして、ここに記載されているようなことを発表したとか、あるいはこのような資料を漏らしたという事実は全く考えられません。この雑誌が出された当時、ある程度調査はしてみたようでございますが、どのような経緯でこのような記載が出たのか、われわれの調査の限りではわからなかったということでございます。
#135
○正森委員 以上、御答弁になりましたところでは、何びとかが記載しました極秘鑑定書なるものが非常に不正確なものであるというような御回答でございました。しかし、その内容自体は、あたかもこれらの官庁からこういう資料を得て書いたかのごとき体裁をとっているわけでございますから、なお刑事局長が言われましたように十分に検討をしていただいて、調べるべき点は調べていただきたい、こういうことを希望しておきたいと思います。
 その次に、私は女子若年定年制の問題について少し質問をさしていただきたいと思います。
 まず第一に、婦人少年局に伺いたいと思いますが、御承知のように昭和四十二年でございましたか、国際連合は婦人に対する差別撤廃宣言を発表いたしました。そして昭和五十年に、国際婦人年の世界会議において世界行動計画が発表されました。これを受けまして、わが国でも国内行動計画を発表いたしましたが、女子若年定年制に関しては、婦人少年問題審議会がたしか昭和五十一年十月に「雇用における男女の機会の均等と待遇の平等の促進に関する建議」というのを採択したように私は承知しております。そしてこれを受けて、昭和五十二年の六月だと思いますが、労働省の婦人少年局婦人労働課が若年定年制と結婚退職等改善計画を発表したはずでございます。これはどういう内容のどういう趣旨のものであるか、簡単に説明願いたいと思います。
#136
○高橋説明員 若年定年制、結婚退職制等につきましては、先生のおっしゃいますように、私ども本年の六月にその改善年次計画を策定しております。この年次計画のねらいといたしますのは、わが国におきましては法のもとの男女平等が憲法の定める基本的原理として保障されているところでございまして、また、多くの婦人が職場に進出しているという状況にございますけれども、職場には、まだ男女がなかなか平等ではない、不平等の状況が存在しているという考え方から、雇用における条件整備の必要とその基本的方向というものを、先生がおっしゃった審議会あるいは国内行動計画等で明らかにしているわけでございます。この年次計画は、これらを受けまして、合理的な理由がなく定年年齢に男女の差を設ける制度及び結婚・妊娠・出産退職制等の女子のみに適用される退職制度等のそういった差別的制度を解消するために策定しているものでございます。五十二年度を初年度といたしておりまして、この計画は、労使を初め一般国民に指針を示すと同時に、行政推進の目途としております。
 内容といたしましては、計画期間を通して広く労使にこれらの差別的制度の解消について行政指導を行うことといたしておりますが、特に年次別には重点を設けておりまして、昭和五十二年度、つまり本年度は、行政指導対象の実態把握を行う、それから昭和五十三、五十四年度の両年度におきましては、男女別定年制のうち女子の定年年齢が四十歳未満のものと結婚・妊娠・出産退職制等の解消を図る、それから昭和五十五、五十六年の両年度におきましては、男女別定年制のうち女子の定年年齢が五十五歳未満のものの解消を図る、こういった内容でございます。
#137
○正森委員 いま婦人労働課長から詳細な説明を承りました。特に年次別の行動計画を答弁していただきましたが、この御答弁は、国内には、国も婦人を雇用しておるし地方自治体も雇用している、しかしそれと同時に、従業員が五人、十人というような零細な企業もあるわけですが、そういう零細な企業を含めても、少なくとも五十三、五十四年度では定年の年齢が四十歳未満のものを解消しよう、どんなおくれたところでも五十五年、五十六年度には五十五歳未満のものを解消しようということであろうと思うのですね。そうだといたしますと、国家やあるいは相当大きな地方自治体が雇用者となっておる場合に、これよりも劣って、みずから行政指導しなければならない立場の者が合理的な理由がないのに事実上婦人の若年定年制をしくなどということは、国内行動計画から見ても許されないことであり、避けるべきことであるというように思いますが、いかがです。
#138
○高橋説明員 先生御指摘のように、この計画はこの年度の末までにこういう制度をとっている企業を全部なくしていこう、こういう計画でございます。したがいまして、私どもは、できるだけこういった計画というものをやはり行政の責任のある立場にある者が率先して実施をしていくということは必要なことであるというふうに考えております。
#139
○正森委員 そこで、私は大阪市の交通局がとっておる女子若年定年制の問題についてお尋ねしたいと思います。時間の関係から、この問題は昭和四十九年三月二十八日に参議院の社会労働委員会におきまして私の同僚議員である沓脱タケ子氏が質問をなさったところでございますので、重複する点は大部分省かせていただきたいというように考えております。
 このときの婦人少年局長等々の答弁によりますと、合理的な理由がないのに女子の定年制について差別するということは、判例の傾向からいいましても、憲法に反するだけでなしに、私人間の問題であっても民法九十条の公序良俗に反するという傾向が非常に支配的である、こういう答弁であったというように私としては考えております。しかし、残念ながら、自治省の答弁を見ますと、自治省の答弁では、これは三十三歳あるいは四十五歳という若年定年制ではないのだ、一定の年齢に達した場合に退職した場合には一定の処遇を行ってあげるというそういう趣旨の労働協約にしかすぎないのだという答弁を当時の宮尾公務員第一課長ですかがなさっているわけであります。
 そこで私は、人権擁護局長あるいは婦人労働課長に伺いたいと思うのですが、私どもが調べたところによりますと、労働協約では三十三歳あるいは四十五歳になりましたときに、職種によって違いますが、必ず退職するとは書いてありませんけれども、その中で、これらの年齢に達した場合には、これは昇格、昇給をしない、退職給与金や死亡給与金を減額する、あるいは希望退職の応募資格がないというような非常な差別をされているわけであります。そして、その差別がどれくらいのものに達するか。これは大阪市議会が交通局に対して正式に問い合わせた市の回答があるわけですが、お聞きいただきたいと思いますが、こういうぐあいになっているわけです。たとえば川田和子さんという人がおられますけれども、川田和子さんの場合には、三十三歳で定年制をしかれて以後昇給、昇格していないわけです。それが現在もし順調にいままで昇給、昇格しておるとなると、給料で四万六千円差がつくという状況になっておるわけです。そして、一生の間にどれぐらい差がつくかということを大阪市当局等が計算してきたわけですが、五十五歳退職といたしますと、毎月の給与差額の累積合計が千三百四十三万五千円になります。調整手当の差額が百七万四千八百円になります。退職金の差額が二千百三十八万四百九円になります。この差額の合計は三千五百八十九万二百九円であります。これだけではないのですね。これは年金の差別にはね返ってくるわけであります。年金の差がどれぐらいになるか、これもやはり大阪市等が調べておりますが、それによりますと、その差は毎月四万九千四百七十二円になるという計算であります。現在統計によりますと、婦人は七十五歳よりもまだ長生きするようでございますから、五十五歳で退職をして、二十年間といたしますと千数百万円、締めて五千万円ほど差が出てくるわけであります。
 こういう差をしておいて、これが定年退職の心理的な強要ではない、単に退職についての一定の処遇について決めておるだけである、したがってこれは女子についての合理性を欠く差別ではないというような考え方を自治省がもしとっておるとすれば、これはいま答弁された婦人少年局などの考え方と相隔たるところが大きい、政府部内での非常な意見の不統一ではないかというようにも考えるわけであります。
 そこで、人権擁護局長に伺いますが、非常にむずかしい問題もあろうかと思いますけれども、女性が三十三歳あるいは職種によって四十五歳ということで定年退職という規定があり、そのまま退職になれば金額についてもこのような大きな差別を受けるというのは、労働基準法や憲法十四条の規定から見て女性に対する人権侵害にも当たるものではないか、こう思いますが、いかがですか。
#140
○鬼塚政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、人権擁護の立場から一般論として申し上げるほかないのでございますけれども、定年の年齢に男女の差を設けまして、そして女性の定年を男性のそれよりも低く定めるいわゆる女子の若年定年制は性別による差別待遇でございます。したがいまして、合理的な理由がない限りは、やはり性別による差別を禁止しております憲法十四条あるいは二十七条労働権の保障、それから労働基準法の三条とか四条の趣旨、それから勤労婦人福祉法の基本理念に反するのではないかと考えております。
#141
○正森委員 自治省に伺いますが、自治省の見解はいかがですか。
#142
○中村説明員 お答えを申し上げます。
 ただいまの件でございますけれども、まず第一に、いまお尋ねになっております件につきましての基本になっておりますのは、職員の定年による退職に関する協約という労働協約のようでございますけれども、ここに言います定年というのは、御案内のように、地方公務員につきましては地方公務員法第二十七条及び第二十八条によりまして分限に関する規定が適用され、法律的に、職員をその意に反して離職させるという定年制を設けることはできないということになっておりますので、そのような一般に言われる意味での定年制ではないということでございます。
 そこで、この大阪市の交通局におきますところの、職員の定年による退職に関する協約につきましても、これは労使双方が、いまほど申し上げましたような現行法制を十分理解をされまして、その上で、一定年齢に達した場合の法的に当然離職させるというものではない、自発的意思に基づく退職をした場合の処遇について定めたものというふうに考えられるわけでございまして、その趣旨におきまして四十九年の際に答弁をいたしたものと考えておるわけでございます。
 そういうことで、より一般的に申しますと、この協約というのは、各地で行われておりますところのいわゆる退職勧奨制度として合意されたものであろうと考えるわけでございますけれども、このような制度におきまして退職年齢を何歳とするかということは事実上の判断の問題でございますので、先ほど来先生お尋ねの中にもございましたように、この制度につきまして、具体的にある職種につきまして一般の職種と区分をいたしまして、一般の職種と異なる基準の年齢を設けるだけの合理的な根拠があるのか、またそれらにつきましての年齢が妥当なものであるのかといったところが問題であろうかと考えるわけでございます。
 なお、この協約は三十三年の協約でございまして、自来二十年ほどの年月がたっておるわけでございますが、その当時におきましていろいろと職種を分けまして、たとえば三十三歳とか四十八歳とかいったような刻んだ年齢を定めておることなどから推察をいたしますと、当時における具体的な業務ないしは勤務の実態なり、またそれに従事しております職員の方々の勤続ないし退職の実態といったものも勘案の上で、労使の間で合意に達したものではないだろうかというふうに考えるわけでございます。
 そんなことで、私どもといたしましては、法律上の定年制じゃないことはもとより、また事実上の勧奨退職制度といたしましても、性別によって区別をしたというよりは職務によって異なる基準を設けたものだというふうに考えるわけでございまして、もしその後に残る問題がありとするならば、そのような職務の特殊性が認められるのか、そこに合理的な根拠があるのかということではなかろうかと存じておるわけでございます。
#143
○正森委員 いまの自治省の公務員第一課長の答弁は、国際婦人年なんというものはあったのかなかったのか、国内行動計画というようなものはあるのかないのか、そんなことはおれは知らねえという答弁ですね。全く不誠実きわまるものであると言わなければならない。
 第一、あなたは、任意に退職される者についてその処遇を決めただけだ、こう言っているでしょう。あなたはこの協約を一遍でも読んだことがあるのですか。協約の第四条には「定年に達した日に退職せず引き続いて在職する職員(以下「定年後の在職者」という。)については、定年後の在職期間における定期又は臨時の昇給及び昇格は行わない。」はっきりこう書いてある。任意にやめる者についてその処遇を決める協約じゃないのです。任意にやめる者についてこういうぐあいにするというほかに、任意にやめない者をこういうぐあいにしてやるのだということを決めているのがこの協約なんです。そんなことも知らないで答弁をするというようなことはもってのほかじゃないですか。
 またあなたは、女性なるがゆえの差別ではないのだ、職種について取り決めているだけで、その職種についての取り決めが合理性を有するかどうかということだけが問題だ、こう答弁しましたね。それでは言いましょうか。たとえば女子の車掌は三十三歳で定年だ、こうなっていますね。車掌である以上はトロリーバスの車掌も同様なはずであります。ところがトロリーバスの車掌の定年は、これまでは男子が行っておりましたから五十五歳でございました。ところが、これについて女子を乗せるということになった途端に三十三歳というように切りかえて、この適用を受けているのは女性だけであります。同じトロリーバスの車掌さんでも、男子の場合は五十五歳だが、女子の場合は三十三歳だというのであれば、それは職種による差別ではないじゃないですか、女なるがゆえの差別ではありませんか。
 あるいはまた、その後事態が変わりまして、バスのオールワンマンカーなどで車掌の職種がなくなってきたということで、大部分の人が出札員にされました。出札員についても定年がございますけれども、これは女性のみが従事する職種であって、従来は乗車券の発売を職務内容としておりました。ところが、御承知のように券売機と言いますね、自動販売機が設置されたので職務内容が変化しまして、いまでは改出札、構内放送あるいは男子職員である駅掌、駅務員と同じ仕事をしているわけですね。そして、男子の場合には駅掌である、駅務員だということで五十五歳定年になっておる。ところが、同じ仕事を、現在もう切符を売るということが自動販売機でなくなりましたから、同じことをやっておっても、女子の場合には若年定年制がしかれているということがあるのですね。第一、大阪以外のいかなる交通局でもこういう偏った定年制というのをやっているところはありますか。一つもないじゃないですか。だから、職種による差ではなしに、それで大阪市という大都会の、真っ先に行動計画に基づいてまさに婦人労働課が言っているあの方針に従って若年定年制をなくさなければならない行政当局が、率先をしてこういう合理性のない婦人に対する差別を行っておるということに、縦から考えても横から考えてもそういうことになるわけですね。したがって、公務員の第一課としてはどうしても、幾ら労働協約だといいましても、労働協約で決まっておっても、公序良俗に反するものは無効であるという判例はいままでに山のように出ているわけですから、少なくとも行政当局がそういう協約を結ばないように、改定するようにということを行政指導をする、あるいは何らかの事情聴取を行うということは、私は当然過ぎるほど当然であるというように思います。そういう点についてもう一度答弁をお願いします。
#144
○中村説明員 先ほど私お答え申し上げましたのは、制度の基本的な考え方と、それからこれが労働協約に基づいて成立をしたものでございまして、内容等から見ましても一律的に女子職員について定めたというものでもございませんので、当時の状況として先ほど申し上げたような事情があったのではなかろうかということで申し上げたわけでございます。ただ、その際にも申し上げましたように、果たして具体的にそのようなことをするについての合理的な根拠があるかどうかということにつきましては、自来二十年の経過もございますし、その間にいまほどお話しございましたような婦人行動計画その他勤労婦人に関します業務の実態あるいはそれに関する社会通念といったような変化もございましょうし、その辺のところを勘案をいたしまして、現在の時点において、かつて正しかったものが果たしてなおその根拠があるのかどうかといったことにつきまして検討がされるのはいささかも差し支えないところであろうというふうに考えるわけでございます。
 そういうことで、私どもといたしましても、これは四十九年のお尋ねに引き続きまして再度のお尋ねでもございますので、この問題につきまして関心を持ちまして、現地におきましてもいろいろと動きのあるようなことも承っておりますので、折を見まして当局等に当時の事情なりその後の経緯、現在における考え方といったものにつきましては事情を尋ねてみたいというふうに存じておるわけでございます。
#145
○正森委員 これで終わらせていただきますが、折を見てと言われましたが、漫然とずいぶん先まで折を待たずに、できるだけ早い機会にその折をつくって、事情を前向きに調査して、指導すべき点は行政的におっしゃっていただいて、いやしくも地方自治体が行動計画に反するようなことをみずからがやるというようなことのないようにぜひ希望したいと思います。
 それでは終わらせていただきます。
#146
○上村委員長 次に、加地和君。
#147
○加地委員 本日は、更生保護事業等についての幾つかの問題点について質問したいと思います。
 昭和五十二年版の「犯罪白書」というのが法務総合研究所から発行されております。そこの二百十四ページあるいは二百十五ページあたりに更生保護会の実情について触れてございます。「更生保護会は、法務大臣の認可を受けて、更生保護事業を営む民間団体」である云々とあり、そして最後の締めくくりとして「更生保護会が、全国的に、実効ある活動をするためには、その経済的基盤の安定化と職員の充実強化が特に必要である。」こういうぐあいに結ばれておるわけでございます。これの具体的なことについてお尋ねをしたいのでございます。
 まず、この更生保護の委託費として、補導費というのが一人の対象者について一日に二十六円という金額が支給されておるようでございますが、全国の更生保護事業に従事する人から、一日に二十六円でいかなる補導ができるのか、国の方はこういう更生保護事業をやる気があるのかないのかという非常に根本的な問題を含む声が出てきておることは御承知のとおりであろうと思います。この補導費一日二十六円ということは、たとえば、刑期を終えてこういうところの施設の世話になっておる人のために新しい就職先を見つけてきてやるなどのために事業主などと会わなければならない、そういうときにはコーヒー代にもならない、何の役に立つのであろうかと思われておるような金額のように思うのでございますが、法務省の方ではこの二十六円という金額は十分なものとお考えなんでしょうか。もしそうでないとすれば、今後どのくらいに増額し改善していくのが適切であり、そのためにどういう努力をしておられるのかということをお尋ねしたいのでございます。
#148
○常井政府委員 ただいまお尋ねの更生保護会でございますが、これは保護施設を設置、経営して、保護観察中の一定の条件に当てはまる者及びいわゆる刑期を終えました刑余者あるいは起訴猶予者、こういう者を処遇しておるのでございますが、俗に収容保護と申しております。
 ただ、お話しの補導費でございますが、全部国が委託をいたしまして、更生保護会、民間が経営する団体でございますが、これにお願いをするに際しましては更生保護委託費を国から支払うのでございます。その内訳の一つといたしまして補導費がございますが、そのほかに、御承知と思いますが食事付宿泊費、宿泊費それから委託事務費、そのほかになお補助金も出しておりますが、更生保護委託費といたしましては、もう一度繰り返させていただきますが、補導費のほにか食事付宿泊費、宿泊費、委託事務費、これらが一人につきまして幾らというふうに委託費として更生保護会に支払われておるのでございます。
 ちなみに申し上げますと、食事付宿泊費は一人につきまして五十二年度におきまして予算におきましては千七十三円十二銭、宿泊費が三百九十九円二十八銭、委託事務費が九百五十一円七十一銭でございまして、いま先生の御指摘の補導費が二十六円、これらが全部一体になりまして収容者の処遇のために運用されておるのでございます。
 なお、満足しておるかということでございますが、私どもといたしましては、なおよき処遇効果を期するためには十分満足しておると言えないのでございますが、ただこれは厚生省の所管いたします同種の施設と比べましてほぼ同じ額でございます。そういう意味で、福祉行政と横並びにいたしまして私ども見劣りするという額ではございませんので、そこらの行政とのあんばいを考えつつなお増額要求を私どもの特殊な性格から続けていきたい、こういう考えでございます。
#149
○加地委員 厚生省が所管する同種の施設と同じであるとおっしゃいましたけれども、この実情というのは、厚生省関係の人は、たとえば栄養とか食事についても、刑余者のいわゆる血気盛んなぴんぴんとしておる者と比べて費用が少し少なくて済む。けれども刑余者を扱うときにはそういう面での経費もかかる。それであるのにもかかわらず、実情は厚生省が所管する同種の施設よりも悪いという声が実際に現場で苦労なさっている方々の中からあるのでございますが、そういう声は聞かれたことないでしょうか。また、実際にその声が正しいかどうか御調査なさったことがあるのでしょうか。
#150
○常井政府委員 いま厚生省の同種の施設と申し上げましたが、これは更生施設でございますが、この施設と私どもの施設とが同格であるべきだということは長い念願でございました。過去におきましては、これは確かに御指摘のとおり劣っておったのでございます。私ども大変努力いたしまして、現在では、その特殊性を考慮いたしますと若干落ちる、と申しますのは、厚生省の方は収容人員も多うございます。幸か不幸か犯罪者の数が御承知のようにずっと減ってきておりまして、したがいまして、私どもの収容者の数はそれほど多くない。そういうようなところの計算から、逆に予算額に差が出ておるのでございますが、ただ、率といたしまして厚生省並みになったということは、これは私どもとしては画期的な一段階でございまして、その点で多くの更生保護会あるいは更生保護会の方々がつくっております全国更生保護会連盟あるいはその下部機関、こういう方々からは満足であるというふうな、一般論といたしまして、声を聞いておるのでございます。
 もちろん個々の点につきましてあるいは御不満があろうかと思います。たとえば、収容者の非常に少ない施設などでは委託費が少ないというようなことで御不満があろうかと思いますけれども、おおむね私どもはその点におきまして、厚生省と比べての点では、私の知っております範囲では、一般論といたしましては見劣りはさほどしないというふうに考えております。
#151
○加地委員 私がそういう事業にタッチしておられる方から聞いておる感触と局長がキャッチしておる感触と、相当隔たりがあるように思うのです。往々にして各会の上の方は、やはりお役所にきげんよくしてもらうために、内心を隠して、そして役所を鼓舞激励するという意味もあって、おべんちゃらの一つもおっしゃる場合というのがよくあると思うのです。そういう意味におきまして、現在の報告に満足せず、さらに実情はどうかということをよく御調査も願いたいと思います。
 それから、いま局長がちょっと触れられましたように、「更生保護会は、定員まで収容することができるよう常時準備しているので、その規模に応じた人件費及び運営経費を必要とするが、委託費は実際に保護した人員に応じて支給されるだけであるため、更生保護会には、経営の苦しいものが少なくない。」ということをはっきりと犯罪白書にも書いてあり、認めてあります。常に定員いっぱいまでの準備をしていながら、出てくる金は実際に収容した数で計算されるというところに、やはり制度上のちょっと無理な押しつけがあるのでなかろうかと思いますけれども、この点について何か改善案、前向きの考えというものをお持ちですか。
#152
○常井政府委員 端的に定員定額制の御指摘がございましたが、現在の収容率をここのところ見てまいりますと、定員の五〇%あるいは五〇%を切るという実情でございます。これは努力が足りないというよりは、無理に収容するということができない性質のものでございまして、更生緊急保護の対象者が刑を終えた者でございますから、もはや国家の刑罰執行権を離れたものを無理にいわば招き込むということができないので、そこはやはり政策の問題としてもう少しそこらを円滑にやれという仰せもございましょうけれども、事柄の性質上そういうところがございますので、犯罪の発生率が減って刑務所の収容人員が減ってまいりました傾向下にありましては、やむを得ないことであろうかと思います。
 そういうわけで、定員定額制はそういう実情からなかなかとり得ませんし、また、それを無理に強行しますと、補助金のような形になって、委託事務費というような実情に合っただけの金を支払うという形をとりにくい。そこらは、国のお金の使い道と相手の関係に立とうかと思います。私どもは決して更生保護会の現状に満足しているわけではございませんので、よかれかしと願っておりますが、実はそういう問題点がございますので、定員定額制の問題につきまして、私どもの苦衷を申し上げる次第でございます。
 ただ、五十年あたりから犯罪の発生件数もふえてまいりました。徐々に収容率も上がってくることと思いますので、いまの傾向が続きますれば、定員定額に近い委託費の支払いが可能になるのでございまして、御指摘のような委託費の支払いによって更生保護会の経営が可能になろうかと思うのでございます。
#153
○加地委員 そのほかに更生保護会の施設の修理代等として現在一年間に全国で六千八百万円ほどの予算しか計上されていないように聞くのでございますが、この施設数だけで全国で百五あると聞きます。六千八百万円という数では一つの施設の修理代にも足るか足りないかという非常に惨めな金額のようでございます。そういうところからも、非常に設備等も悪くなってきておるのでございますけれども、こういうものについてはほっておけばいいという考えか、現状はやはり問題があるというような基本的なお考えなのか、どういうお考えかということを端的に聞かしてください。
#154
○常井政府委員 更生保護事業費の補助金としてでございますが、五十二年度の予算額におきましては三千三百七十四万三千円でございます。事務費補助といたしましては二千五百十四万三千円、施設費補助としては八百六十万円でございます。これは従来の実績に応じて補助金を出しておるのでございますが、全額補助ではございませんので、事務費補助につきましては四分の一、施設費補助につきましては二分の一の補助をしておるのでございます。その他の補助を要する金額につきましては、民間の福祉関係の募金その他、福祉事業と同じでございますが、そういうものを行政的にあっせんしたり助言したりいたしまして、あわせて補助が十分にいくように指導しておるのが実情でございます。
#155
○加地委員 ただいまの御発表になった数字からして、いかに低いかということはだれしもが否定できないところであろうと思います。しかも問題点は、単価計算というのが古い基準になっておりますので実情に合わないという声が出てきております。それからまた、いま発表されましたように事務費補助というものが非常に少ないために職員の来手がない。平均五万円か六万円程度の月給しか更生会の事務員には出せない。そのためにどうしても刑務所等を退職して恩給を支給されている人が来るということになり、そういう第一線を退いた方でございますとどうしてもしりが重くなってしまって、更生保護活動の目的から遠い活動しかできないという声が出ておりますが、これについては法務省はどういう改善策を考えておられますか。
#156
○常井政府委員 更生保護会の職員には、役員のほかに主幹それから補導主任、補導員、そのほかの事務をとる者あるいは雑用をする者等ございまして、ただいま御指摘のようにおおむね五、六人の職員がおるのでございますが、確かに一般に給与はほぼ御指摘のように低いのでございます。これはもともと民間の団体でございまして、民間が自主的に更生保護の仕事に協力するという形で行っておりますので、保護会によりましては種々な金策をいたしまして、あるいは事業をあわせて営みまして資金を確保いたしまして、十分な給与を払っておる保護会もございます。そういう意味で安定策につきましては官と民とが両方で協力しながらやっていくというたてまえでございますので、これも御承知と思いますが国の方がまる抱えでめんどうを見ていくというものではございません。そこで私どもといたしましては、国としてできる限りのことはいたしておりますけれども、またいわゆる広い意味の民間篤志家、ボランティアの活動の一つといたしまして資金形成、その経営の安定化のためにまたいろいろ助言をし指導をしてやっておるのでございます。両者あわせて事業を経営していく、こういう心がけでございます。
#157
○加地委員 これは民間団体ということになっておりますけれども、本来国がやるべきものをやはりお役所仕事だけではいけない、いわゆる心を通わせていかなければならないというところから私は官民という制度がいいのであろうと思いますけれども、そういう篤志家の好意に悪乗りをしてしまって、民だからとにかく役所の方は余り責任ないのだというようなお気持ちだと、やはり篤志家というのは限度があると思うのですね。そういう苦労もいろいろとありますので、その点を察してやはりできるだけのことをやっていただきたいし、また法務省としては予算獲得のために大いに努力をする責任があるのでなかろうかとも思います。
 次は、今度はこのように苦労して刑余者の補導等に当たっておられる保護司さんの任免問題について、その苦労とか社会的な地位とかプライドを保っていくのにふさわしい運用が果たしてなされておるかどうかということについてお尋ねしたいのでありますけれども、保護司さんというのは、私の聞くところでは二年間の嘱託期間と聞いておりますが、事実上健康上の理由等がない限りはずっと継続して更新になっていくのが普通なんでしょうか、どうなんでしょうか。
#158
○常井政府委員 保護司の任期は二年でございまして、再任を妨げないと保護司法にございます。ただそのチェックする機関といたしまして、保護観察所長が広く保護司の代表者あるいは地方自治体の長の方々等の意見を伺いまして、そして推薦いたしまして、現在は八つございますところの各地方更生保護委員会の委員長がその推薦を受けた方々につきまして、保護司選考会と申します法務大臣の諮問機関でございますが、これが全国に五十ございまして、そこに諮問いたします。この選考会のメンバーの方々は官の方もおりますし民の地域の代表者というのにふさわしい方々もおりますが、この選考会の諮問の結果、その意見に基づきまして地方更生保護委員会の委員長が法務大臣の名におきまして保護司をお願いするということになっております。二年ごとにこういうことが行われるわけでございまして、そのたびにチェックを受けるということでございます。ただ事実御指摘のように二年ごとのそういう任期が長きに及ぶという方もおありのようでございます。
#159
○加地委員 こういう苦労の多い仕事なのに、理由もなく二年来たからということでカットされてしまうと、事実上はずっと継続継続といっておるのに、何かその人が悪いことをしたかのように世間に誤解される場合も出てくるようでございます。保護司法の十二条というのを見ますと二年ということも何も書いてなくて、禁治産者とかそういう欠格事由でやめるのでないときに解嘱の理由が説明され、かつ弁明の機会が与えられた後でなければ解嘱することができない、こういうぐあいに書かれておるのです。私はこの精神で、更新のときなんかでも何かその人のいままでの苦労というもの、プライドを大いに高めて、そして世間にせめて誤解されないような行き届いた措置というものをとる必要があろうかと思うのです。
 一つの方策としては、こっちから首を切ったのじゃなしに、いろいろと継続をお願いしたけれども健康上の理由か御家庭の事情で本人から強く辞退されたから残念だけれどもほかの人にかわったんだとか、人をただに近いもので使っているわけでございますから、大人としてのそのくらいの神経は行き届かしてほしいと思う場合が実は幾つか私の耳に入っておるわけでございます。
 それと、どうも年齢が非常に高齢化していっておるようでございますね。そして若い方などが保護司に任命されて、ある程度新しい感覚でばりばりとやろうとしますと、御年配の方が、そういう若い人を調和を乱す人間だということでカットしてしまう、こういうことでカットされた人は社会的に非常に不名誉な形になっておるということも私は聞きます。
 それからどうなんでしょうか、保護司さんの人数というのは全国で五万二千五百人を超えてはならない、こうなっていますけれども、大都会で三千世帯あるところで、保護司がそういう不当な解嘱といいますか、任期切れで更新されなかったために後々引き受け手がなくなってしまいまして、まだ全然後任が決まっていないという地域があるのですけれども、これは正常な姿でしょうか、どうでしょうか。
#160
○常井政府委員 理屈を申し上げて恐縮でございますが、保護司の任期が二年、再任を妨げないということで、これは継続した任期でございませんので、任期ごと、先ほど申し上げましたような民主的なチェックを受けるということになっておりますので、次の任期に保護司を委嘱されないということは解任と区別して考えておるのでございます。現に任期中に若干解任の事由に当たるような問題が起きておりますけれども、その保護司の方の名誉を重んじて、私どもは任期が来るまで何とか手当てをして、任期切れを待っておやめいただく、退いていただくというような苦労をしておるのが実情でございます。したがいまして、何期もおやりになるというのはそういう条件に合った方々、これは保護司法の三条で幾つかの具体的な条件を掲げておるわけでございますが、こういう方々につきましては任期が事実上継続するのでございますけれども、私どもは任期ごとというように考えさせていただいております。ただ先ほど先生がおっしゃったように、長い間功績のある方に事実上退いていただくというときには、やはりおっしゃるような配慮は私どもとして必要なことと思います。
 やり方が悪くて三千世帯のようなところで後継者がなくて困っておるというのはどうかというお尋ねでございますけれども、具体的な事例として私承知しませんので、事実問題としてお答えできないのでございますけれども、現在都市化した土地あるいは工業化した土地、しかもそこに昔と違いましてマンモス団地が建ってまいります。そういうようなところで保護司さんになっていただくということは大変困難なことでございます。それはどのような事情がありますか知りませんが、一般論といたしまして仰せのように困難な状況に直面しておるのも事実でございます。
#161
○加地委員 最後に大臣、いま私がいろんな形で指摘させていただいたことをずっとお聞きいただいていたと思うのでございますが、こういう日の当たらない更生事業、あるいは保護司として努めておられる方々の努力に報いるためにも、国としてもそれ相応の決意、覚悟も必要かと思うのでございます。法務大臣のいま多くの問題を抱えております更生事業についての今後の決意といいますかお考えをひとつお聞かせいただきたいのです。
#162
○瀬戸山国務大臣 更生保護事業に携わっていただいておる方はいわゆる社会公共のためにみずから率先して尽くそう、こういういわば非常にとうとい考え方の方が多いわけでございます。またそういう方々は世間的にも信用のある方々をお願いしておるわけでございまして、私ども平素から厚い敬意を表しております。御意見等よく胸にとめまして今後とも努力をいたしたい、かように考えます。
#163
○上村委員長 本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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