くにさくロゴ
1976/03/11 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
姉妹サイト
 
1976/03/11 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和五十二年三月十一日(金曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月八日
    辞任         補欠選任
     加藤  進君     星野  力君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柏原 ヤス君
    理 事
                源田  実君
                藤川 一秋君
                森下 昭司君
                中尾 辰義君
                小巻 敏雄君
    委 員
                岩上 妙子君
                後藤 正夫君
                福井  勇君
                杉山善太郎君
                小野  明君
                星野  力君
                向井 長年君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       宇野 宗佑君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      小山  実君
       科学技術庁研究
       調整局長     園山 重道君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    伊原 義徳君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        武田  康君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   参考人
       日本原子力研究
       所理事長     宗像 英二君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (昭和五十二年度科学技術庁関係の基本施策に
 関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柏原ヤス君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月八日、加藤進君が委員を辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(柏原ヤス君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本原子力研究所理事長宗像英二君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柏原ヤス君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(柏原ヤス君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、昭和五十二年度科学技術庁関係の基本施策に関する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○森下昭司君 それでは、大臣の所信表明に関しまして若干お尋ねをいたしたいと思います。
 大臣は、「原子力の開発利用を進めるためには、核燃料サイクルの確立が不可欠の課題であります。しかし、核燃料サイクル問題をめぐる昨今の国際情勢は、たとえば、米国では核拡散防止の観点から国際規制の強化を図るなど厳しい動きがあります。こうした動向は、わが国の核燃料サイクルの確立に影響を及ぼす可能性もありますので、関係諸国と十分協議してまいる必要があります。」ということを実はお述べになっているわけであります。
 そこで、最近、核エネルギーの平和利用の問題をめぐりまして、大臣が所信表明に述べられましたように、アメリカの政策変更というものが行われることが確実となってきたわけであります。もともと昨年十月の二十八日、アメリカのフォード前大統領の核拡散防止と核平和利用促進に関する新政策の発表に端を発したわけであります。これはもう私から御説明を申し上げるまでもなく、核拡散の危険を防止できるという十分な結論が得られるまで、プルトニウムの再処理、抽出を行うべきでない、今後、核技術及び核施設の輸入国はプルトニウムの再処理と濃縮工場の建設をやめるか延期することを歓迎するということがこの声明の中で述べられていたわけであります。そして新しく大統領になったカーター大統領は、高速増殖炉計画の今後全面的な再検討を命じましたし、また、一九七八年修正予算案をアメリカの議会に提出をいたしまして、核融合エネルギーやウラン濃縮計画をそれぞれ予算削減をするというようなことをいたしまして、原子力開発関連予算といたしまして三億ドルの実は予算の削減を提案をしたと伝えられているわけであります。
 そこで、まず第一にお伺いをいたしたいのは、アメリカが急激にこうしたいま申し上げたような核エネルギーに対する政策の変更を行ったという背景、またアメリカの意図というものはどこにあるのか、その点をどう御判断をなさっているのか、最初に大臣にお伺いいたします。
#7
○国務大臣(宇野宗佑君) アメリカの意図に関しましては、先般私の代理である井上五郎原子力委員長代理を団長といたしましたミッションをアメリカに派遣いたしまして、いろいろとその考え方をただしてまいりました。また、先日でございますが、アメリカの原子力規制委員会のスタッフであるギリンスキーさんがちょうど来日されまして、私のところに表敬に参られましたので、この方ともお会いいたしまして、私みずからもただしました。同時に、国務省の有力スタッフであるシャインマンさん、これは国務次官補の下の方でありますが、この方もギリンスキーさんと一緒に表敬に来られましたので、約一時間ばかり私からもいろいろとお話を進めたわけでございます。
 その結果を申し上げますと、アメリカが従来とってまいりました核技術の輸出、あるいは原子力関係資材の輸出、そうしたこと等々を通じて、やはりプルトニウムが戦力として利用されるおそれがある、これを一番恐れるのであると。はっきり申し上げると、インドがそうした挙に出た。今後こうしたことが世界に蔓延すれば大変だから、ひとつこの際に何としてもそうしたことのないように、いかに国際的にこの規制を強めるか、これがアメリカの願いであると、こういうことでございました。
#8
○森下昭司君 ただ単に、いま長官が言われましたように、アメリカが軍事力に利用されるという観点だけではなく、これはアメリカのいわゆる原子炉が、何といいますか、日本を中心にいたしまして輸出をされておりますが、こういった原子炉の販売政策と申しますか、つまり言葉をかえて言えば、アメリカが原子力発電における原子炉のある意味における独占的状態を維持したいというようなものも一つの背景にあるのではないかと言われておりまするし、また逆に、いわゆる核拡散防止条約加盟国以外にも西ドイツやフランス等がどんどん原子炉を輸出をするというような傾向からいたしまして、これにブレーキをかける意図もあるのではないかというふうに言われておるのでありまして、私は、このいわゆるアメリカの政策変更というのは、ただ単にこのいわゆるプルトニウム等が軍事力に利用されるという観点だけではないというふうに理解をいたしておるのでありますが、科学技術庁長官に所信をお尋ねします。
#9
○国務大臣(宇野宗佑君) いま森下委員が御指摘のような面もあるという説もございますが、まだこうした公の場におきまして――私が直接接触いたした方々からはそういう話を承っておりませんので、私が聞いたことを先ほど御答弁申し上げただけでございます。
#10
○森下昭司君 そこで、端的に一つお尋ねをいたしますが、このアメリカの新政策は、まあ確たるものは決まっておりませんし、一応こういうことになるであろうという一つの推定と想像がなされているわけであります。そこで、このアメリカの新政策に対応いたしまして、日本のいわゆる政府といたしましてどんな対応策をとるのか。また、日本のいわゆる当面いたしまする、七月に試験的に稼動が予定されておりまする東海の再処理工場をどう扱われるか、いろんな問題が具体的に出されてくるわけでありますが、端的にお伺いいたしますと、日本の一部におきましては、アメリカのこの新政策の例外、言うならば特別措置として何らかの形で日本の立場を理解されるのではないだろうかという期待感があると思うのでありますが、そういう期待感というものは、見通しとしてどうお考えになっているのか、お尋ねいたします。
#11
○国務大臣(宇野宗佑君) アメリカの新政策が伝えられるような形で決定いたしますと、わが国には三つの部面におきまして重大な影響がございます。それは、いま森下委員が御指摘のとおり、第一番目は、この夏に使用済み核燃料を事実、燃料として使いまして、そしてそれを再処置するというこのホット試験でございますが、これに重大な影響がございます。二番目は、それだけでは将来足りませんから、第二次再処理工場をぜひとも建てたいと、これにも影響がございます。三番目には、わが国は今日再処理能力がございませんから、使用済み核燃料はすべて海外にその再処理を委託いたしておりますが、これに関係がございます。以上三つに重大な関係があると私たちは考えております。
 したがいまして、この三つをスムーズにはかどらすためには、御承知のとおり、日米間に原子力協定がございますから、この原子力協定に基づきますと、アメリカから日本が受領した核燃料を再処理にする場合には、両国がその安全の規制に関して共同の決定をしなければならない、こうなっておりますから、共同決定をするという場面を一日も早く迎えたい、これが私たちの今日の気持ちでございます。したがいまして、現在、アメリカに対しましてはさようなことを訴えまして、日本の立場を三つ、四つの立場から申し上げておりまするが、何と申し上げましても、やはりわが国は非核三原則を堅持している国家でもあり、また唯一の被爆国でもございまするから、そうした核の平和利用に関しましては徹底して私たちはこのことを推進していく民族であるということをこの間も申し上げました。言いかえれば、核の不拡散には原則的にわれわれはもう賛成なんだ。しかし、賛成だと言って、先年われわれが批准をいたしましたあの核不拡散条約、その四条には、非核保有国、この非核保有国において平和利用をしようとした場合に、それを妨げるようなことがあってはならない、こういう趣旨が書かれておるが、現在アメリカがやられることはこれに抵触するんじゃないかと、はっきりそうしたことをわれわれは主張いたしておるものでございます。そのほか、核燃料サイクルの確立が日本にとっては必要欠くべからざるものであると、こういうふうに申し上げておきます。
#12
○森下昭司君 日米原子力協定で合意のできる状態ができれば一番私は望ましいというふうに思うのでありますが、たとえば、昨日、いわゆる日本の原子力会議におきまする、先ほど長官自身がお話しになりましたシャインマン国際原子力担当補佐官が演説をなさっております。これはわれわれが想像しておりまするよりも厳しい態度であるというふうに思うわけでありまして、私は、日本がアメリカのエネルギーの新政策の例外的措置、たとえばいまお話があった日米原子力協定の中における合意の場を迎えるということは非常に困難ではないだろうか、という悲観的な観測をいたしているわけであります。
 そこで、いわゆるいま長官が御説明になりました井上使節団――長官のまあ代理というかっこうでお行きになったわけでありますが、井上使節団がアメリカに参って、いま長官が述べられたような立場の日本の事情を説明し、アメリカの原子力担当者等の理解と納得を得るということが一つの大きな柱であったわけでありますが、昨日のいわゆる日本原子力会議におけるいま申し上げた演説の内容等からまいりますれば、アメリカはいまだこの日本の立場を理解をするとは、言葉の上では井上使節団等にも言っておったそうでありますが、事実上としてはなかなか日本の立場を理解していないのではないだろうかという危惧があるのでありますが、具体的に、井上使節団がアメリカに参られまして、何か事情の変化、あるいはこのことによって日本がこういうような合意の場を迎えることができるのではなかろうかという推測的な希望観測というようなものが得られるようなものがあったのかどうか。言葉をかえて言えば、井上使節団がアメリカへ行ったけれども、何ら得るところがなく、結果においては、もとのもくあみであったと、また、振り出しに戻ったのだという考え方でいるのか、使節団の訪米成果の点について長官の所信を伺いたいと思います。
#13
○国務大臣(宇野宗佑君) 井上ミッションは、御承知のとおりに、ネゴシエーションに行ったのではなくして、アメリカの決定されるであろう新政策の全貌がもしわかればよいし、あるいは概略がわかればよい、また、それはいつごろ決まるであろう、こういうことをただすのが一つの目的であり、同時に、核に関するわが国のポジション、これを説明するという立場で行っていただいたわけでございます。しかし、率直に申し上げまして、やはりいずこをながめましても余り明るい話はなかったと、こういうふうに私は報告を聞いております。したがいまして、悲観をすべき段階ではないが、決して楽観的な立場でこの問題に臨んではいけない、これが今日の私の受けとめ方でございます。
#14
○森下昭司君 しかし、たとえば昨日のいわゆる日本原子力会議におけるシャインマン補佐官の演説をもとにいたしまして、そしてまた、この井上さんをわざわざお呼びになりまして、自民党のいわゆる資源対策の部会が開かれております、中曽根さんがたしか部会長とお聞きいたしておりますが……。そこでは非常に重要だと、井上さん自身も成果として報告すべきものはなかったんだというような御報告をなさっているというような事情を踏まえてまいりますと、楽観はしないが悲観もしてないということは、これはやや抽象的なものではないだろうか。むしろ自民党の部会では、党議でもって、福田渡米前にこの問題について日本の立場を明確にすべきである、言葉をかえて言えば、アメリカの新政策の変更、つまり特例なら特例ですね、具体的にはどういうことになるかは存じませんけれども、そういうことを要求すべきである、強い決意が表明されているんです。でありまするから、私は、やはり政府といたしましては、このいわゆるアメリカの新エネルギー政策については重大な決意を持って臨まなければならぬということは言えると思うのであります。ところが、先ほど長官自身が言われましたように、八日の日に長官がシャインマンさんなどにお会いになって、そのときにアメリカのこういった原子力担当者は、新しいアメリカの新政策というものは三月下旬にならなければ固まらないだろうと。福田総理がお行きになるのは二十、二十一というふうにまあ会談が予定されているようでありまして、これは時期的に合わない。自民党が決議をし、政府が重大な決意をいたしても、すれ違いに終わる可能性というものが想像されるわけであります。その中で、むしろ逆に日本の側からいけば、この日米首脳会談において何らかの決着というか、見通しを持ちたいという希望があるわけですね。ところが、期間的にはずれがありますから、私は、これはいま長官のお話ではございませんが、決着はもちろんつきませんし、見通しも非常にむずかしいのではないかと思うのであります。日米首脳会談にこの問題を正式な議題として出すのか出さないのか、出した場合にどういう結果が出ると想像しているのか、その点についてお尋ねいたします。
#15
○国務大臣(宇野宗佑君) 御指摘のとおり、われわれといたしましても不退転の決意で、この問題に関しましては日本の立場をアメリカに了解してもらう以外にないと、こういうふうに最終的には考えております。
 で、この間から私みずからも接触いたしました人たちのお話を総合いたしますと、いまおっしゃったとおり、福田・カーター会談の後遠からざる時点までかかるであろう、そうでなければ決定しにいく、こういうお話でありました。もちろんアメリカの政策を他国に強要する、押しつけるということも非常に困難なことだし、当然これに関連する幾つかの国家があるんだから、その国々ともいろんな段階において話し合いを進めていきたい、こういうふうにシャインマン氏は私に直接述べたわけでございます。したがいまして、われわれといたしましても、すでに原産会議において見られましたとおり、アメリカのシャインマンさんの発言に対して、欧州を初め、各国が相当いろいろ強い反発をいたしておる国もあるわけでございます。そうした国々とも十二分にこの問題がどういうふうに展開するかということをやはり確認をしておく必要がある。そういうことで、現在いろいろと外交ルートを通じまして、各国ともその感触を探っておる、あるいはわれわれの主張をはっきり申し述べておる、こういう段階でございます。
 で、私は、きょう閣議がありましたが、閣議前に総理にお目にかかりまして、来週ひとつ私からそうしたことを御報告申し上げましょう、その後に総理としてそれに対応するだけの御決断がなされるんではなかろうかと、こう思っておりますので、いまこれが議題になる、ならないというよりは、私といたしましては当然これは一つの議題になるであろうと思いますけれども、一応総理に対しましては、私みずからの職務といたしまして、いま申し述べましたようなことを御報告申し上げ、その後、この問題に関しましては通産大臣あるいはまた外務大臣、いろいろ関係大臣もいるわけでございますので、各大臣と協議をする、こういうふうな運びになるのではないかと考えております。
#16
○森下昭司君 いま、議題になるであろうというお話がございました。私は、まあ担当大臣といたしましてぜひ日米首脳会議の議題にするというように首相に決断を迫るという強い決意の表明がなければいかぬと思います。ただ単に、いまお話があった、これは通産とか外務省の関係の省もございますが、やはり科学技術庁が中心になりましてこの問題の解決に当たるという、私は基本的観念を持つことが重要ではないかと思うのであります。
 そこで、いまお話がありましたように、確かに日本原子力会議におけるアメリカ以外の各国の反応は、非常に、アメリカに対決するといいますか、考え方の違いをみんな明らかにしているわけであります。ところが、井上使節団でもそうでありますが、先ほど最初にお尋ねいたしましたように、日本が例外措置を受けたいという気持ちが先行したせいか、日本といたしましてはいろんな具体的な提案をなさっているようにもお聞きいたしております。たとえば、先ほど申し上げました再処理工場はこれは国際査察共同研究の場として提供してもいいのではないかとか、あるいは先走った意見は、アメリカの査察を受けたっていいじゃないかとか、いろいろなことが述べられているわけであります。私は、いま長官が言われましたように、関係各国と十分協議をするというのは、日本だけが抜け駆けの功名心で特例を受けようということではなくて、世界各国と共同しながらこの問題の解決に当たっていくという考え方なのか、あるいは、いま申し上げたように、具体的にはプルトニウムを生産しないような再処理技術を開発すればいいとか、いま言ったような動燃の再処理工場をアメリカの査察にまかせろとか、いや、国際共同査察の研究の場にしろとか、出ているわけなんですよ。で、これは逆に言えば、日本だけがいい子になろうという傾向があるのではないかという心配もあるので、この点について、今後の交渉の仕方の基本的な考え方を重ねてお尋ねします。
#17
○国務大臣(宇野宗佑君) 確かにいろんな意見が出過ぎていると私は思います。で、いやしくもこの問題は外交ルートで解決をしていかなくちゃなりませんから、先ほど来私が申し上げておるのがわれわれ科学技術担当者としての不退転のルートであり、決意でございますから、外交をする前にああだこうだと言うようなことは、私はこれは決して好ましいことではないと考えております。したがいまして、井上ミッションも、また私自身からも、相手にそのようなことを言ったことは一言もございません。で、私は、あくまでも従来の日本の主張を、先ほど申し上げた三つの点を主張していくべきだと考えております。
 ただ、他の国とはどうか、これは非常に重大な問題でございます。そこで私は次のようにはっきり分析をいたしました。この伝えられるアメリカの新政策がもしそのとおりに決まったとしたら、これに対して各国はどういう影響下にあるかということを分析いたしました。で、私は四つにこれが分析できると思うのでございます。
 その一つは、まず英国並びにフランスであります。この国々はウランを持っております。もちろん、英国はカナダでございますが、フランスは植民地でございますが、いわゆる天然資源を持っております、天然ウランを。そして、すでに再処理技術も持ち、各国の委託も受けております。同時に、この国々はいわゆる核兵器の保有国でございます。そして同時に、この国々は、フランスを除きましては、NPTに英国は参加しておる。そういうふうな、それぞれまちまちな体制でございますから、かりそめにアメリカがプルトニウムの抽出を禁止する、再処理を禁止するということになりましても、自分の判断だけでそれはできるわけであります。ただ、多国間協定になりますと、まあコマーシャルベースとして再処理の仕事が各国から委託を受けられない、これがある。これが私はAグループではないかと、こういうふうに考えております。
 Bグループといたしましては、そのほかの欧州の国々でございますが、イタリーあるいはスウェーデン等々、これらはいずれも再処理をするという意思を持っておりません。これらの国々は現在もう第三国に委託をすれば事は足れりと、こういう国々でございますから、これはアメリカの新政策に直撃弾を浴びるというようなことはないのではなかろうかと、こういうふうに判断をいたします。
 第三番目のCグループは発展途上国でございまして、この中にはブラジル、イラン、パキスタン、韓国が入っております。これらの国々は再処理をしたいという意思を持っておりましたが、最近はほとんどその意思をギブアップしたというふうに伝えられておりますけれども、また、ブラジルは御承知のとおり西ドイツと契約をいたしまして、そしてプラントを輸入するんだと、こういうふうに言っております。これが私は第三のグループではないかと思います。
 第四のグループは、私は日本とドイツではないかと思います。これは非核保有国でございます。そして、両者ともどもにNPTには参加をいたしております。両者ともどもにウランを持っておりません、しかしながら、再処理技術はすでに備えておるわけでありまして、わが国がこの夏にホットランに入り、ドイツはすでに再処理をいたしておると、こういう状況でございますから、この四つに分けました場合に、いわゆる直撃弾を受けるのは、私は日本とドイツではなかろうかと、そして、アメリカが、いかにグローバルとは言いながら、こういう体制下にあるものを他のいろいろな分類と同じように扱うことがいかがであろうかと、こういうふうに考えますと、やはり日本独自の立場を私は主張すべきであると、これは国際的にも手をつなぎながらやはり日本の立場を主張すべきであると、こういうふうな分析をいたしておるところであります。
#18
○森下昭司君 せんじ詰めて言うと、先ほど長官がお述べになりました核拡散防止条約第四条に基づいて、そのグループとして指摘できるのが、いま第四グループである日本と西ドイツであると、いわば核拡散防止条約の第四条のグループがアメリカと特に重要な関係を持つのであるから、このグループとの問題解決が全体としてアメリカの新エネルギー政策の世界的解決の道を切り開くことになるだろうというふうに、私はお答えの中から思うのでありますが、そういう理解の仕方でいいのかどうか、重ねてお伺いします。
#19
○国務大臣(宇野宗佑君) それも非常に重要な関連性がございますが、やはりわが国として再処理を現在お願いをいたしています英国、フランス、この国がどういうふうにこの問題を考えておるか、あるいは広くEC、これもどう考えておるかと。で、五月になりますと、御承知のとおりに先進七カ国の会議がございます。これには欧州のほとんどが参加いたしておる。いわゆるフランス、イタリー、西ドイツ並びに英国、これが参加いたしておりますから、こういう国々とも、やはり世界の経済という場を踏まえましても、わが国がいまやアメリカと一緒にロコモティブになってくれと、世界経済の機関車になってくれと、こういうふうな要請等々から考えましても、やはりわが国の立場は、単にドイツだけではなくして、やはりECとも深く話し合いをしなくちゃならぬ、同時にカナダとも――現在ウランをもらっておるわけでございますから、いろいろと話し合いをしていかなくちゃならぬ、こういうふうに考えております。
#20
○森下昭司君 そこで、時間の関係がありますので、この点は最後にひとつ要望しておきたいと思うのでありますが、いま日本とカナダの原子力協定の改定が進んでおりまして、つい二、三日前の報道によりますと、最終的に合意に達したと言われているわけであります。
 しかし、御承知のように、いま日本の電力業界が必要といたしまする天然ウランの七割はカナダから供給を実は受けているわけであります。その結果、日本・カナダの原子力協定の改定の際に向こうのベースでいわゆる改定交渉が行われ、最後に濃縮の問題と情報提供の問題で日本側が拒絶をいたしますと――ことしの一月からカナダはウランの対日供給を停止をしたという事実があるわけであります。こういうことを考えてまいりますと、やっぱり資源のない日本が守勢に立たされる、言うならば、悪い言葉で言えば、相手の言いなりにならざるを得ないというのが私は日本側が原子力協定の改定の際に見られた実態ではないだろうかと思うのであります。
 無論、アメリカとの間におきましても日米原子力協定等がございまして、非常に制約を受けております。しかも日本は、いま申し上げているように、ウラン資源は一つも持っていない、技術的には非常に高度なものがあるというような状態でありまするから、このアメリカの新エネルギー政策に対応する日本といたしましては、先ほど来長官がお述べになりましたように、不退転の決意を持ち、日米首脳会談を通じてこれを議題にして、福田総理自身が将来の見通しについて何らかの道をつけていただかなければ重大な障害、問題になる。これは、先ほど最初に三つの問題を出され、それから核燃料サイクル全体に影響する問題だということを言われましたので、私も繁雑さを避けるため、その点は繰り返しませんけれども、そういう意味におきまして、ぜひひとつ格別の御努力を賜りたいということを希望して、この問題についての質問を終わっておきたいと思います。
 それから、所信表明の中でも、原子力のいわゆる開発利用の推進が大切だということと、安全性の確保に万全の配慮をいたしつつ国民の理解と協力を得て原子力の開発利用を円滑に推進してまいる考えであると実はお述べになったわけでありますが、先日のこの関電の美浜一号機の問題を通じまして、せっかくこの長官のお述べになっておりまする気持ち、あるいは通産省等が持っておりまする考え方などなど等からいたしますと、私は、相反した結果が出まして大変遺憾なことと思うわけであります。政府としても、二月の二十三日の衆議院の予算委員会で統一見解が出されておりまするので、以下、この問題はわが党の石野議員が質問主意書を出しまして、先日三月四日付で福田総理から回答が来ておりまするので、それを前提といたしまして二、三問題をお尋ねしておきたいと思うわけであります。
 問題のまず第一は、この報告書にございまするように、四十八年四月四日の二十一時三十五分ごろに燃料体の灯心から燃料プールヘの移送作業中に同社の燃料管理担当者が双眼鏡によって折損を発見をしたということが述べられておりまするが、この事実は何によって御確認になったのか、まず最初にお尋ねいたします。
#21
○政府委員(武田康君) 昨年十二月以来、科学技術庁、通産省協力いたしまして、事情聴取とかあるいはその実態調査とかをいたしているわけでございますけれども、その過程におきまして、関西電力からの事情聴取の結果といたしまして、御指摘のように四月四日の二十一時何分だったかと思いますけれども、そのときにその移送中に番号を確認するというようなことで見ていたときに、この損傷を発見したというような報告を受けております。
#22
○森下昭司君 この報告は、ただ単に同社の書面による報告でそうだと確認したのか、あるいは同社の報告以外に、たとえば証拠としてこういうものがあって、そのことによって確認をしたと、その確認の仕方についてお尋ねしたい。
#23
○政府委員(武田康君) 昨年十二月三日に検査官を派遣いたしまして立ち入り調査をいたしておりますけれども、その時点で、当時における記録等から確認したしております。
#24
○森下昭司君 このいわゆる当時の記録、これは私ども石野委員の指摘では、四月八日付の作業日誌に燃料棒に折損ができたという事実が実は記載をされておるということになっているわけであります。その次に、この当時燃料体検査については同社がみずから行った検査結果を報告させることとしていたため、通商産業省の電気工作物検査官は立ち会っていなかったということになっているわけであります。この答弁書の中で、報告義務違反といたしまして電気事業法の百六条を適用なさっているわけであります。この百六条は、第一項で、政令で定めるところにより、その業務、経理の状況に関して報告させることができる。政令へまいりますと、政令第五条で、「電気事業の用に供する電気工作物の工事、維持及び運用の保安に関する事項」とか、「電気の供給業務の運営に関する事項」とかというふうに非常に大ざっぱな規定がございます。私は、この第六条を見てみますると、第六条には権限の委任事項がございまして、百六条の報告義務違反は供給区域を担当する通産局長に委任されておる。第六条の後段ただし書きで「通商産業大臣が自ら行なうことを妨げない。」という、この政令の規定になっているわけであります。この電気事業法で、こういう原子力発電に対する施設の、言うならば報告をさせ、そして政令で通産局長に実態は委任をさしている。私は、この報告があって、そうして検査結果を報告させた結果とあなたはおっしゃっていますけれども、これは要するに、衆議院で指摘があったからこそ初めて通産局長を経ずして通産大臣みずからが行ったということになると思います。もしも指摘がなければ、この報告は、あなた方は前段で軽微な故障についても絶えず注意をしておったと言うが、その報告は通産局長どまりでしょう、電気事業法では。その点についてお伺いいたします。
#25
○政府委員(武田康君) 電気事業法第百六条に基づきます報告義務は、こんなぐあいに内容が決まっているわけでございます。先生御指摘のように、電気事業法施行令がございまして、その第五条で、一般的包括的に報告をさせることができる範囲、たとえばその電気工作物の工事、維持及び運用の保安に関する云々というようなことがございまして、それから電気関係の報告規則という規則が別途ございます。で、その規則の内容におきまして、たとえば主要な電気工作物の損壊事故というようなたぐいのもの、あるいはほかにもいろいろございますけれども、そういうものにつきまして電気事業者に対して報告する義務を課しているわけでございます。なお、電気事業法では各種各様の規定がございまして、その権限の一部につきましては、いろんな条項にわたりまして、通産大臣の権限を通産局長に委任する規定もございます。ただ、この本件報告義務につきましては、電気事業者に対しまして通産大臣に対する報告の義務を規定しているものでございます。
#26
○森下昭司君 しかし、いま私、武田さんの解釈、納得できませんね。施行令の第六条、「権限の委任」というところがありまして、第十五号に、「法第百五条、第百六条、」云々とありまして、供給区域の通産局長、そしてただし書きで、通産大臣が直接受けても妨げませんよと書いてある。だから、第一義的には、いまお話がありましたように、報告事項は一般的に包括して規則に規定してありまして、その規則に基づきまして一義的には通産局長にあるんじゃないですか。
#27
○政府委員(武田康君) 先ほど申し上げました本件の報告につきましては、直接に通産大臣のところに報告が参るようになっております。
#28
○森下昭司君 そういたしますと、これは原子炉に関係の、原子力発電関係についての、いま申し上げた百五条以下ですね。百六条、これはすべて通産局長ではなくって、通商産業大臣が直接報告を受けるということになっているんですか。
#29
○政府委員(武田康君) 各種の報告事項がございますけれども、先ほど申し上げました電気関係報告規則の中では、事項によりまして通商産業大臣に報告をするべきものと、それから当該地域を所管しております所轄の通産局長に報告すべきもの、あるいは通産大臣それから所轄通産局長両方に報告すべきものというカテゴリーがいろいろございます。なお、本件に関連いたします原子力発電所に属する主要電気工作物の損壊事故というようなものにつきましては、通商産業大臣に報告すべきものというふうに決められておるわけでございます。
#30
○森下昭司君 後からまたその規則を一遍御説明をいただきたいと思います。
 私の見解は、大臣に報告すべきもの、通産局長に報告すべきもの、いろいろ区別がありますが、その中で報告のいわゆる徴収の百六条に関しての中でいけば、一義的には、施行令からまいりますれば、まず通産局長に義務違反の場合は出すべきであるというふうに私理解をしております。通産大臣が受けることを妨げないと書いてありますから、いま言ったように。規則でそういった点が規定されているのかもしれませんけれども、このいわゆる法律及び施行令のままからまいりますれば、原子力発電と、それから火力発電と水力発電と申しますか、発電のいわゆる源、電源によって差異をつけるというような法律の立て方ではないと思いますから。これは時間の関係がありますから、後ほどお尋ねいたしたいと思うわけであります。
 そこで、この答弁書の中で「軽微な故障についても報告させるよう更に一層指導する。」とか、あるいは軽微な故障にしても「これを報告し所要の措置を講ずるよう指導してきている。」、こういうような実は書き方があるわけであります。一体、この軽微な故障というのは、いまいみじくも武田審議官が言われましたように、法律施行令、規則ですか、法律施行令、規則で書いたものが軽微な故障なのか、原子力発電の重要性、安全性等に関し国民の理解と納得を得るためには、規則、政令、法律以外のものを含んだものを、ここで言う軽微な故障と規定しておるのか、そういう点お尋ねいたします。
#31
○政府委員(武田康君) 法律によりまして報告すべきものについて報告を求めることはもちろんのことでございますが、実は私どもの指導といたしましては、それ以外のものにつきましても広く情報を取るように努めているところでございます。たとえばということで一例を挙げてみますと、たとえば計測制御系、これはいろんなものをはかり、それでコントロールの種に使うというような系統でございますけれども、そういうところに間違った信号が入ってくるというようなことがあり得るわけでございますが、それで何らかの安全装置が、設備が作動する、そういうような場合であって、かたがた原因は直ちに判明し、設備に異常がないというような場合には法律上、電気事業法上では報告義務はございませんけれども、たとえばそういうものの情報を知り、分析し評価し、もし必要であれば改善に資するというような技術的な重要な情報になり得るような性質のものでございますので、そういったようなこと、ほかにも幾つかケースがあると思いますけれども、そういったことについてもできるだけ報告してもらうというような指導を従来からしてきた、こういう意味でございます。
#32
○森下昭司君 報告義務のないものまでも実は報告させるのが軽微な故障の範囲だと、一般論で言えば、そういうことになるわけです。ところが、それじゃ会社が報告しなかった場合には、行政的責任はどこにあるんですか、お聞きいたします。
#33
○政府委員(武田康君) 先ほど申し上げましたように、法律に基づきます報告義務のあるもの、それ以外のものについても、というようなことで従来から指導してきたところでございますが、会社が法律的に責任があるかどうかということになりますと、法律上報告の義務あるものの範囲に限定されるかと思います。ただし、私どもといたしましては、従来から私ども自身もそうでございますし、科学技術庁とも御協力しながら、そういう指導を続けてきたつもりでございますし、その線に沿いまして、最近のところでは、そういったいま例を挙げましたような軽微なもの、ささいなものにつきましても、いろいろ報告をしてくれているような実態になっていると思っております。
#34
○森下昭司君 私の聞いているのは、行政的責任はどこに存在することになるのかと聞いているのです。報告しなくてもいいことを報告しろと言って、会社が報告しなかった場合に、その責任はどこに存在するのかと聞いているのです。行政庁にあるのか、会社側に責任があるのか。
#35
○政府委員(武田康君) いまの御質問、なかなかむずかしいので、あれでございますけれども、私どもといたしましては、従来からそういう軽微な、あるいはささいな故障、トラブル等につきましても、できるだけ報告させるように指導し、またその実効を上げてきたと考えております。
#36
○森下昭司君 答弁書の最後に、「軽微な故障についても報告させるよう更に一層指導することとする。」と書いてある。これは明らかにむずかしい質問でも何でもないんですよ、私の質問。こういう答弁書を書くから私は聞いているのです。「することとする」というのは、今後どうしようというんですか。報告義務のない軽微な故障等の報告について会社側がなさらない場合、今後具体的にはどういう措置をなさるのですか。
#37
○政府委員(武田康君) 従来からそういうようなやり方をやってきたわけでございますけれども、本件にかんがみまして、再度関係の原子力設備を持っております事業者等に対しまして、軽微なものといえども報告し、しかるべき適切な対応策がとれるようなことにするように指導を再度いたしてございます。
#38
○森下昭司君 もしも報告をしなかったら、電気事業法百六条だとか、あるいは核燃料物質規制法の六十七条なんて適用できないのですから、私は、そんないわゆる無責任な答弁はないと思うのです。たとえば、あなたが最初に強調しているように、法律、施行令、規則でしょう。報告すべきものと報告しなくてもいいものを規定してある。しかも、その報告すべきものに大臣とか通産局と区別してある。だとすれば、それは答弁書に書いてあるように、「報告させるよう更に一層指導する」ということは、今後必要なものについては規則の改正も行うということでしょう。あるいは規則の改正ができなければ、次官通達を出すとか、エネルギー庁長官通達を出すとか、あるいは要綱を規定して、こうしてもらいたいということを出すとか、具体的な措置をすることでしょう。これは単なる美辞麗句でつくった答弁書ですか。もう一遍重ねて聞きます。
#39
○政府委員(武田康君) 先ほどの、軽微な故障についても報告し、所要の措置を講ずるよう指導してきており、さらに今後もそういうふうにする、こういうことにつきましては、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、原子炉を持っております電気事業者――関西電力のみでございませんが、その他のところに対しましても、そういうようにするような指導の措置を、今回の経験にかんがみまして、先週でございますけれども、やったところでございます。
#40
○森下昭司君 これは、私は、関西電力がこういうことを起こしたという事実を前提にお考えになるならば、やはり役所が誠心誠意国民の理解と納得を得て原子力発電のいわゆる発展に努めるという姿勢があるならば、これは堂々と悪いものは悪いものと指摘する根拠をつくった方がいいんじゃないですか。何にもかばう必要ありませんよ。そういうことを一言だけ申し上げておきます、時間がありませんので。
 そこで、今回のいわゆる美浜一号機のC三十四の燃料体の燃料棒の折損は何が原因で起きたと、現在までのいわゆる調査結果では出ておるのか、まず、それを最初にお尋ねいたします。
#41
○政府委員(武田康君) 本件の折損原因につきましては、なお細目の調査が進行中でございますが、現在まで私どもが理解し、あるいはわかっている限りで申し上げますと、フレッティングコロージョンというものがその大きな要因になっていると考えているわけでございます。
#42
○森下昭司君 いまの原因の問題の中で、要するに、私どもといたしましては、関電側は入れかえ作業最中にどこかにぶっつけたためにこういうような事故が起きたのだと、これは私ども十二月十四日に現地調査に参りましたが、そこで会社側の一貫した説明です。そのことしか想像でき得ないのだというのが会社側の説明ですね。それはいままでの経過から言って正しいのか正しくないのか、あるいは妥当性を欠いているのか欠いていないのか、そういったことが起こり得ると見通しされるのかどうか、この点について、はっきり答えていただきたい。
#43
○政府委員(武田康君) 本件の損傷原因につきましては、この十二月以来、たとえば日本原子力研究所で折損片の内容を分析をする、あるいはこの一月以降、高性能の水中テレビで、現場にございます、折損を起こしました、この事故を起こしました燃料集合体の状況をチェックするというような過程を通じ、原子力発電所の運転中、つまり四十八年四月――これは発見したのは四月時点でございますが、それよりもっと前の運転期間中に、先ほど申し上げましたようなフレッティングコロージョンというような現象が起こりまして、それが徐々に発展して、それで取り出した時点におきまして、現在破片がいろいろございますような、ばらばらな状態になったと、こういうストーリーが一つ考えられるわけでございます。ただ、そのストーリーにつきましては、実は先ほども申し上げましたように、原子力研究所における調査等々がまだなお詳細については進行中でございまして、やはりそのストーリーがまさにそのとおりであるかどうかという点につきましては、なお専門家のしばらくの検討が必要だと思っておりますけれども、現在、私がいままでの調査結果等々から組み立て得るストーリーというのは、そういうようなものでございます。
#44
○森下昭司君 そうだといたしますと、関電側の説明のように、いわゆる入れかえ作業中にどこかにぶっつけて折損が起きたということが、現在までのいわゆる調査の内容等からすれば、あり得ないであろうということは想像できると思いますが、お尋ねします。
#45
○政府委員(武田康君) 先生おっしゃるとおりでございまして、運転中から損傷がスタートしているというふうに私ども判断いたしております。
#46
○森下昭司君 そこで問題は、いわゆるこの答弁書にも書いてありますが、運転中に折損が起きて、言うならば燃料棒の被覆管が七片回収された、飛び散ったものから七片回収された。そしてそれを計算してみますると、回収された部分の長さは約百五十センチだと。ところが、未回収、回収されなかった――関電側は全部回収したとがんばっておりましたが、回収されなかった部分が約二十センチメートルある。この回収されなかった部分の二十センチメートルというのは運転期間中の損傷であろうという一つのストーリーが成り立つ場合に、現にこの炉は定期検査後運転をしておったわけですから――後でまた運転再開後の問題は言いますが、運転をされておったわけでありますから、この二十センチの未回収被覆管の部分はどんな状態で炉内にあったと推定できるのですか。
#47
○政府委員(武田康君) 未回収部分あるいは未確認部分が――未確認部分につきましては、先ほど御指摘のとおりで、まだ確認できていないわけでございますが、それが四十八年八月以降の運転においてどんな状態であったかということにつきましては、なお最終的な確認はできていない状況でございます。しかし、細かい破片等が炉水の中にまざっていたというようなことはあり得るケースと想定されます。
#48
○森下昭司君 次に、ペレットですね。ペレットは、いわゆる回収された三燃料棒片の中にもペレットが入っておったそうでありますが、いま申し上げましたように、未回収部分が二十センチもあるわけです。また、破損いたしましたのが全部で百七十センチあるのですから、その運転中にぺレットも相当数がいわゆる炉内の中に落ちたということになるわけであります。これも答弁書によりますと、回収された部分は約五百グラム、未回収の部分は約七百グラム、未回収の方が多いんですね。これも炉内でどういう状態になっておったか、運転中に。どういうふうに推定しているのですか。
#49
○政府委員(武田康君) ペレットにつきましても、現在私どもが確認している部分は、全量約千二百グラムのうちの五百グラムでございまして、約七百グラムというのはまだ未確認でございます。ペレットの一部につきましては、ことしになりましてからの水中テレビでの燃料集合体のチェック等々の過程で、たとえば当該破損をいたしました燃料集合体のほかの燃料棒の間にペレットの破片らしきものがひっかかっているというような所見が幾つかございます。で、そういうようなケースが一つ考えられる。また同時に、ペレットの細かくなった破片が、あるいは冷却水中にまざっているという状態も考えられるわけでございます。ただし、先ほどチューブについて申し上げましたのと同様、これだけの量がここでこうなってという確認が現段階でできているわけでございませんで、その辺の細目の調査は現在なおやっているところでございます。
#50
○森下昭司君 いわゆるこのペレットは、千二百グラム、ペレットの個数にいたしますと何個ぐらいと一応推定しますか。
#51
○政府委員(武田康君) ペレットの大きさは、大体一センチ程度の直径、それから一センチ五ミリぐらいの長さのものが一個でございますので、ちょっと正確じゃございませんけれども、一個が十グラムか、もうちょっとぐらいのものじゃなかろうかといま考えられます。で、そういたしますと約千二百グラム、一つが約十グラムでございますから、百二十とか、そんなようなオーダーの数字かと思います。
#52
○森下昭司君 いわゆるこのペレットが相当な放射能を出しているのではないかというふうに考えられまするし、なお私は、この四十八年三月の十五日からの定期検査、そして発見が四月四日、原因は三月十五日の定期検査以前に運転中に折損しておっただろうと、いま御説明がありましたように、燃料棒の被覆管も粉々になったと思われると、部分もあるだろうと、それからペレットも粉々になっているだろうと、一部所見としては燃料集合体の間にはさまっているものもあるようだがと。それはほんの少々だと思うんであります。それは定期検査終了後、同年の四十八年八月十日から発電を再開しているわけですね。これはペレットも七百グラム、それから金属片二十センチの長さに相当する部分が炉内に存在したまま定期検査終了として四十八年八月の十日から運転を再開している。そして、四十九年七月に蒸気発生器の中における一次、二次の問題が出まして、警報器が鳴って原子炉が停止をし、今日に至ったと、簡単に言うと、美浜町ではこんな経緯です。
 いわゆるこの四十九年七月の故障の原因は、こうしたペレットないしは燃料棒の被覆管の破片をそのまま存在さしたために起きたのではないだろうかという危惧の念もある。また、こういったものが炉内に入ったまま運転を再開して、当時は全連続出力でなくて、二十万キロワットアワーでおやりになったようでありますが、いわゆる全力発電でなくても、こういったペレットなり、あるいは金属片が炉内に存在しておったということは、炉の危険性を高めるという点については私は異論がないところだと思うのであります。こういうものがなぜ記録の上に明細に出てこないのか。美浜一号機は全放射能量は八ないし十マイクロキュリーでありまして、他の発電所よりも多いということはこの答弁書にも書いてございます。美浜一号機におきまして、なぜそういうように放射能量が他の発電所に比べて多く出ているかということは、言うならば、こういったペレットや被覆管の破片が存在をいたしておったために起きたという説もあるわけでありますが、こういうものが存在しておって安全操業と言えるかどうか、この点をお尋ねいたします。
#53
○政府委員(武田康君) 美浜発電所の運転につきましては、四十八年三月からの定期検査の後八月から運転を再開いたしておりまして、その後四十九年の七月に蒸気発生器の事故で運転を停止して、その後とまっているという、先生の御指摘のとおりでございます。
 で、昨年十二月以降の私どもの調査あるいは関西電力からの事情聴取でございますと、関西電力は、その折損を発見し、そういった時点におきまして破片等々をいろいろ回収したというようなことを言っているわけでございますけれども、私どもといたしましては、いままでの調査結果から見まして、関西電力が昭和四十八年当時、その折損部分の回収につきまして十分に確認をせず運転を再開したというふうに考えるわけでございますが、そういうこと自身は保安管理上全く不適切な措置であったと、こういうふうに判断しております。
 ところで、関西電力はその時点におきまして破片等々もできるだけ回収したと、こういうふうなことでございますけれども、先ほど私申し上げましたように、ペレットなりあるいは被覆管の破片、また、ペレットの場合にはかたまりがあるがもしれませんが、それが燃料棒なり、それから燃料棒の間、表面または支持の格子等々にはさまったり、付着している、まあ細かい破片であろうかと思いますけれども――というようなことが想像できるわけでございますが、仮にそういうことで運転をいたしますと、局所的ではございますけれども、たとえば冷却材の流れを若干妨げるとか、あるいは燃料棒が熱的に全く正常な状態に比べますと若干厳しいといいますか、よくない条件に置かれると、こういった可能性が考えられるわけでございます。ただ、私ども科技庁、通産省両方としまして、安全審査の過程等ではある程度の燃料の破損ということが起こり得るということを前提にいたして、周辺環境への影響評価というのをあらかじめやっておくというのが原子力発電所の設置、運転の基本になっている考え方でございしまて、そういう評価の範囲内であったかどうかという議論をいたしますと、本件につきましてあるいは範囲内であったのかなという気がしないでもないわけでございます。と申しますのは、運転再開後、その四十八年の八月以降四十九年にかけましての一次冷却水炉水レベルという記録がございますが、その記録は、たとえば日本のほかの発電所に比べますと高い数字ではございますけれども、この範囲内に押えなければいけないという制限値、安全確保上の規定値とでも申したらいいかと思いますが、その辺に比べれば低いものでございますし、それから海外にいろいろな原子炉がございますけれども、これまた高いものも低いものもございますが、それらに比べますと必ずしもそう高いものではないというようなことでございまして、それは確認はしているわけでございます。
 それからもう一点、先ほどのお話の中で、なぜ記録に出ないのだろうかというような御指摘があったかと思いますけれども、実は私ども、いま申しましたように、この美浜発電所の運転当初から四十九年の七月に運転をストップするまでの間の原子炉一次冷却水におきます放射能濃度等々を実は昨年以来いろいろデータをチェックして、余り炉水レベルに変化がないと――当初の立ち上がり期間、運転を始めた期間でございますが、それは別にいたしまして、コンスタントの運転になってから余り変化がないというのを確認をしているわけでございますが、しかし、ほかの発電所に比べて高い、日本のほかの発電所に比べて高いのは、美浜発電所に行きまして、いままで四体だったか、ちょっと不正確かもしれませんが、三体だか四体、燃料棒のピンホール等によるリークのおそれがある、あるいはリークがあるというふうに判定して取り出した燃料もございますし、それから燃料体は、本件のような損傷、フレッティングコロージョンによる損傷、つまりピンホールよりもっと大きな穴――穴という表現は適切ではございませんけれども、そういう傷ができて、それでそこから放射能が漏れていたと。ピンホールの何本分に相当するかというようなのがなかなかむずかしいのでございますが、そういったようなことが影響して、ほかの日本の発電所に比べればやや高い水準で推移していたというふうなことが言えるのでないかと思っております。
#54
○森下昭司君 時間が来ましたので、また二十五日の日に改めて行いたいと思いますが、こういうことは、要するに、ペレットでありますとか金属片が炉内にないことが前提でありますし、あったということは余り望ましい状況ではなかったということは言えると思うのであります。
 最後に、ちょっと長官にお尋ねをいたしておきますが、答弁書の中で科学技術庁と通産省は、原子力発電所に対する立入検査を強化いたしまして、保安規定の遵守状況、主任技術者の職務遂行状況に関する監督に万全を期する、さらに私が先ほど申し上げた、今後の原子力発電所の工事、維持及び運用に係る軽微な故障についても報告させるよう一層指導する、ということが答弁書に書いてあるわけでありますが、今度の国会に提案を予定されておりまするものによりますれば、船は運輸、発電は通産、研究自体が科学技術庁という任務分担ができてまいるようでありますが、現行制度でまいりますれば科学技術庁も一端の責任がある。監督上の立場から申し上げまして、先ほどからお話がございましたが、この答弁書にございまするような「監督に万全を期することとする。」ということと、「更に一層指導することとする。」という二点について、長官の具体的な所信があればお尋ねをいたしたいと思います。
#55
○国務大臣(宇野宗佑君) 御承知のおりに、今国会には原子力基本法の改正案を出したいと思います。この中には、いま御指摘の安全規制に関しましては、やはりいままで各省がまちまちであったと、「むつの例に見られるがごとく、一体どこが責任の省庁であったかわからなかったというような愚かなこともあったわけですから、そうしたことを一掃するために、いわゆる責任の一貫化、こうしたことを図っておる次第でございます。特に今後やはり電力事情等を考えますと、どういたしましてもやはり原子力に依存しなければならない部分がたくさん出てくると思いますが、そのためには、やはり国民の方々に安全だということを認識していただくということが、これが先決でございますから、したがいまして、今回の美浜事件のごとく、やはりほおかぶりをして過ごしておったということは私は本当に許し得ないことであると、これはもう先生と同じ気持ちで臨んでまいった次第でございます。しかし、この商業炉に関しましては、いわゆる規制法が適用除外であるというふうなこともございましたが、しかし、本庁が立入検査いたしましてからは相当厳しく臨んでおる所存でございますので、今後ともそうした面の強化もいたしたいと存じますし、やはりそれがなかったならばわが国の原子力発電はできない、その原子力発電ができなければ国民生活の安定も将来保障し得ない、それぐらいの気持ちで私は今後指導していきたいと、かように存じております。
#56
○星野力君 私は、宇野長官に原子力船「むつ」の問題で質問いたします。
 青森県むつ港をめぐるいわゆる四者協定で合意されました「むつ」撤去の期日も目前に迫っております。「むつ」問題が大詰めを迎えようとしておるのであります。そういう時期に科学技術庁長官に就任された宇野国務大臣は、「むつ」問題を当面最大の所管事項として取り組んでおられるはずであり、もうこの時期になりますと、今後の処理方針を相当煮詰めておられると思うのでありますが、その点いかがでございますか。まずお伺いします。
#57
○国務大臣(宇野宗佑君) 何と申し上げましても、昨年の二月に、この修理港、これをひとつ長崎県にお願いしたい、こういうふうに政府が申し入れたわけでございますので、どういたしましてもやはり受け入れ側がそれに対しましてイエスなのかあるいはノーなのか、そういう御回答をいただく、これを待つ以外にございません。もちろん、それまでにはいろいろと長崎県の知事さんとされましても、研究委員会等をこしらえられまして、多くの学者の方々あるいは学識経験者にいろんな問題を諮問されておりまするし、そうした材料に関しましては私たちはひたすらいろいろと御協力を申し上げてまいった次第でございますが、間もなくその研究委員会の最終的な答申と申しましょうか、そうしたものが出ると承っておりまして、それに基づいて長崎県知事が決意されるということでございますので、私は知事の決意はこれはひとつ尊重しなくちゃならぬ、こういう態勢で現在臨んでおる次第でございます。だから、一方四月十四日も刻々として迫っております。これはいま星野委員御指摘のとおりの状態でございまして、これに関しましても、受け入れ側がこういう状態であるからひとつごしんぼう賜わりたいということを青森県の知事並びにむつの市長さんにお願いをしておるという段階でございます。
#58
○星野力君 私は、「むつ」問題の科学的、技術的な側面につきましては、専門家というわけではございません。そこで、初歩的な常識的な問題から質問いたしたいと思うのです。大臣も、わかりやすく率直にお答え願いたいと思います。
 長崎県民は、漁民を初めとしまして、大多数の県民が「むつ」の佐世保入港に反対いたしております。その反対を押し切って佐世保へ持っていかなければならぬという理由は何でありましょうか。
#59
○国務大臣(宇野宗佑君) 前内閣が決めたことであります。しかし、内閣には継続性がございますから、どういうゆえんだったか、私もお尋ねいたしたことがございますが、やはり佐世保港というものに関しましては、いろいろ設備もあり、さらには従来いろんな原子力関係の船が入港した場合の監視体制もできておる、そうした意味合いで、この「むつ」の修理に当たっては一番適切ではなかろうか、こうした判断に基づいて、長崎県並びに佐世保市長にそのことをお願いした、かように承っております。
#60
○星野力君 佐世保には必要な設備も、あるいは工場といいますか、それから監視体制も整っておる、だから佐世保を選んだ、こういう意味と思いますが、それなら、港はほかにもありますし、いまのような条件を備えた港湾としましても、たとえば横須賀も考えられるのでありますが、その辺の比較などの上に立ってそういう選択が行われたのでしょうか。
#61
○政府委員(山野正登君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、まず、この修理港の要件といたしましては、今後行います遮蔽改修総点検に必要な設備があり、かつ、これらを行う能力を持った造船所があるというのが第一点でございますが、第二点のモニタリング設備につきましては、過去モニタリング設備によりましてある一定期間データの蓄積があるということが必要な条件だと考えております。そういう意味では、先生御指摘のように、横須賀港というのも一つのこういうふうな条件を持った地域ではございますけれども、この横須賀港には、残念ながらこういうふうな能力を持った、設備を持った部分と申しますのは、米軍との共用施設になっておりまして、わが方が専用で使える施設というものがこのモニタリング施設の中にはないというふうな事情もございますので、そういうふうなことを勘案いたしまして、佐世保港を選んだ次第でございます。
#62
○星野力君 横須賀では、米軍との関係でもって、自由に使える施設がない、こういうお話のようでありますが、佐世保だと、どこにそれがございますか。
#63
○政府委員(山野正登君) 佐世保港には、これはまだわが方、事業団としましては契約の相手先を決めておりませんので、どこの会社のどこということを申し上げる段階ではございませんけれども、しかしながら、明らかに民間の造船会社が米軍との共用以外に占有して使える施設、しかもその部分で「むつ」の改修ができる施設というのがあると私どもは承知いたしております。
#64
○星野力君 ただいまの御答弁については、もう少し先でさらに詰めていきたいと思いますが、私は結論的に言いますと、横須賀の市長も、あるいは横浜の市長も――挙げていいと思いますが、「むつ」を受け入れようとは言われておらない、言われない。佐世保市の辻市長が受け入れましょうと言った。ただそれを頼りに佐世保ということになったのではないか、こう想像しておるんですが、そうではないでしょうか。
#65
○政府委員(山野正登君) 昨年の初めに修理港を長崎県並びに佐世保市にお願いいたします段階で辻市長が、いまお説のような御姿勢であったということは承知いたしておりますが、だから佐世保を選んだというふうには私どもは考えておりません。
#66
○星野力君 この佐世保を選ぶ過程において、横須賀の市長などにはその点打診なされておるのかどうか。
#67
○政府委員(山野正登君) 打診いたしておりません。
#68
○星野力君 まあ直接打診しておられないかもしれませんが、横須賀の市長、横須賀の市民としては受け入れる状態にないということは、これはまあ周知のことなんであります。私は、やはり辻市長の受け入れの意向というものが一番大きな理由になっておると思うのでありますが、問題は辻市長の胸三寸で決まる問題ではこれはないわけであります。県民の反対は非常に強い。これは当然なことだと思います。御承知のように、長崎県は全国でも有数の水産県であるだけでなしに、被爆県、原爆の落ちた県でございます。欠陥原子力船を歓迎するような、そういう県民ムードではないわけでありますが、長官、この問題の処理に当たっては、先ほども若干お話がありましたが、地元の意向というものを尊重するお考え、これをあくまでも尊重するというお考え、そういう立場に立っておられましょうか。
#69
○国務大臣(宇野宗佑君) 県民を代表する知事、市民を代表する市長、このお二方の意見を尊重してまいりたい、かように存じます。もちろん、お二方はそれぞれの県民並びに市民の御意向を十二分にしんしゃくされて、最終的な決意をされると考えております。
#70
○星野力君 重ねて申し上げますが、長崎県民の反対は非常に強いんです。私もたびたび現地に参りまして、関係者の方々とも話し合っております。長崎県には八つの市がございますが、その中で長崎、諌早、大村、島原、松浦、平戸、福江、こう七つの市、そこの市議会ではむつ受け入れ反対の請願を採択いたしております。当の佐世保市議会だけがまだ態度決定を行っておらない、こういう事情は御存じだろうと思います。
 先ほど申しましたこれは初歩的な質問でございますが、一体「むつ」を佐世保に入港させるという目的は何でございましょうか。
#71
○政府委員(山野正登君) 「むつ」は残念ながら開発の途上におきまして昭和四十九年の秋に放射線漏れを起こしたわけでございますが、この放射線漏れを起こしました後、今後この「むつ」をいかにするべきかという問題につきましては、むつ放射線漏れ調査検討委員会、いわゆる大山委員会で検討していただき、かつまたその後、これを受けまして原子力委員会の中で原子力船懇談会というものを組織しまして、いろいろわが国における原子力船開発のあり方、その中における「むつ」の位置づけといったような問題について御検討をいただいたわけでございますが、これら各種の委員会の結論は、総じて申し上げれば、「むつ」は技術的にはある程度の段階まで達しておるので、適当な改修を施すことによって所期の目的を達成し得るという評価であったわけでございます。そこで、政府といたしましては、この、かぐあいのございました遮蔽につきまして所要の改修を施すということに加えまして、安全性については総点検を行う、この点についても大山委員会の御指摘があるわけでございますが、安全性についての総点検を行うということを再出発のスタートラインとして決めたわけでございまして、このような遮蔽の改修及び総点検を行う港として佐世保港に受け入れていただきたいという趣旨で長崎県及び佐世保市に協力をお願いしたということでございます。
#72
○星野力君 そのような遮蔽改修、総点検の過程におきまして、「むつ」の原子炉を運転するのでありますか、どうでありますか。
#73
○政府委員(山野正登君) 「むつ」の原子炉は、総点検、遮蔽改修の期間中は冷態停止に保ちまして、運転をしない予定でおります。
#74
○星野力君 そうしますと、修理、総点検のため少なくとも佐世保港においてそれがやられる限りにおいては、核燃料体を取り外して入港してもよろしいということになるように思いますが、どうでしょうか。
#75
○政府委員(山野正登君) この「むつ」の遮蔽改修並びに安全性の総点検を進めるに当たりましては、この計画の原案は、もちろん日本原子力船開発事業団がつくるわけでございますけれども、これを指導監督する立場にございます科学技術庁と運輸省とは、「むつ」の総点検改修技術検討委員会という第三者的な検討機関をつくりまして、その機関でよくよく内容を検討しながら具体的な計画を進めていくといったふうな手順にいたしておるわけでございますが、この「むつ」の総点検改修技術検討委員会におきまして、いま御指摘の燃料体の扱いについても御検討願ったわけでございます。
 これに観点は二つあろうかと存じますが、まず、燃料体が健全であるかどうかという点につきまして、燃料体を引き出してこれを検査するかという問題、それから燃料体を原子炉の中に装荷しましたままでこのような修理を行うことは安全に行い得るかどうかという問題、この二つの点について御検討をいただいたわけでございますが、両方の観点から見ても燃料体を装荷したままで修理をしてもよろしいと、つまり燃料体を目視するまでもなく健全性は確認されるし、また、装荷したままで修理をしても安全に修理を行い得るという結論をいただいておりますので、そういうふうな状態で修理をするという前提でお願いをいたしております。
#76
○星野力君 そこのところを非常に重要な問題だと思うんですが、私新聞報道で知ったんでありますが、前回の「むつ」の安全性に関する研究委員会でございますか、先ほどお話があった。あの研究委員会、前回の委員会では、燃料体を抜いて入港させるべきであるという意見が多数であって、そのような結論が、知事への答申とは別に、提案として行われる見通しであるということを聞知したわけでありますが、そうなりますと、いまの原子力局長のお答えとは違うのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#77
○政府委員(山野正登君) ただいま長崎県で組織しておられます安全性の研究委員会と申しますのは、これは申すまでもなく県知事の諮問機関でございまして、この安全性の研究委員会でお出しになりました結論を知事が尊重されて本件についての最終的な判断をされるというふうなことであろうかと存じますが、この安全性研究委員会の検討の経過につきまして、そのような性格でございますので、私どもがいろいろコメントするというのは適当じゃないかと存じますので、コメントは差し控えさせていただきたいと存じます。
#78
○星野力君 私は、原子力局長が先ほどお答えになった、燃料棒を入れたままでもって修理、総点検をやる、また燃料体の健全性を検査するということが可能であると、そういうふうに、どこでありますか知りませんが、専門家の方で結論づけられておると、こういうお話であったが、長崎県知事の諮問機関であるところの「むつ」の安全性に関する研究委員会ではそれとは違った結論が出かかっておると。そうなりますと、原子力局長のさきに言われた言葉は正確ではない、正しくないと、こういうことを申し上げておるわけであります。
 さらにその問題、先でもまたお聞きすることになると思いますが、修理、総点検を佐世保でやるとしまして、一体どこの場所でやるのでありますか。
#79
○政府委員(山野正登君) ただいまは佐世保市と長崎県に受け入れをお願いしておるまだ段階でございまして、地元から了承したという御返事をちょうだいしていないわけでございますが、将来了承したという御返事をちょうだいしまして初めて契約相手先の選定に入る。契約相手先が決まりまして。契約相手先と相談の上、適当な修理場所を決めるといったふうな手順になるわけでございますので、現時点ではまだ御質問にお答えするように事態が進展していないわけでございますので、現在はまだ決まっておりません。
#80
○星野力君 先ほど大臣は、佐世保にはそういう能力を備えた造船所もある、こういうことを言われましたが、その点になりますと、佐世保には佐世保重工以外には考えられないのでありますが、修理の担当者としては佐世保重工をお考えになっておると、こう理解してよろしいわけですか。
#81
○政府委員(山野正登君) 非常に有力な候補としまして佐世保重工を考えておるということは事実でございます。
#82
○星野力君 そのほかの候補者は考えられますか。
#83
○政府委員(山野正登君) 契約相手先につきましては、これはまだ現時点でいろいろそれ以上申し上げるのは適当でないと存じますので、お答えいたしかねます。
#84
○星野力君 私は、だからさっき、常識的にひとつわかりやすく答えていただきたいと言ったのですが、たとえば、この船はたしか石川島播磨がやったわけでありますが、あそこには石川島播磨のドックはないと思うんですが、新しくつくるわけにもまいらぬだろうと思います、ほかの三菱にしろ。そうすると、佐世保重工しかないわけですが、それは佐世保重工を考えておると。地元では、受け入れた場合にはそうなるんだと。これはみんな、当の佐世保重工、辻市長、みんなそう考えておるんでありますから、そんなことぐらいはっきりさして話を進めないと、いたずらにめんどうくさくなるばっかりだと思いますけれども、大臣、どうですか。
#85
○国務大臣(宇野宗佑君) いま最終的に局長がお答えしたとおりでございます。
#86
○星野力君 まあ、それではどこかの、あそこの造船所――造船所というのは長官が言われた佐世保にある造船所のドックにこれは乗して修理をやるんですか。
#87
○政府委員(山野正登君) 全体の工事がドックでやる場合と岸壁でやる場合と双方あると存じますが、総じて言えば、船底等の点検はドックでやる、それから安全性の総点検等は岸壁でやるといったふうなことが予想されます。
#88
○星野力君 岸壁に係留して、そこでいま言われたような検査をやると、こういうことですが、その岸壁というのは佐世保のどこでありましょうか。新聞などでは立神岸壁と、こういうふうに報道いたしておりますが、結局立神岸壁しか考えられないわけですね。
#89
○政府委員(山野正登君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、これはいずれ決まります契約相手先と相談をいたしまして、そのときのその会社の工場の事情等によりましてもまた変わってくる問題でございますので、現時点でどの岸壁ということは申し上げかねると存じます。
#90
○星野力君 それは立神岸壁ということでしょう。先ほど横須賀はこれは日本側で自由に使用できるところのドックもないしというお話でありましたが、ドックだけでなしに、係留地もやはり自由に係留できるところでなければいけないと思うんです。佐世保をずっと考えて見ましても、立神を使う以外ないのではないかと思いますが、立神港区というのは、これは御承知のように、現にまだ米軍が押えておる。米軍基地のわけですね。地位協定の二4(a)項にかかっておると思いますが、この米軍が使用しないとき、米軍の使用に差し支えないときに海上自衛隊と佐世保重工業に使わせると、こういう取り決めになっておると思うのでありますが、これではいつ米軍が必要として海上自衛隊や佐世保重工業、この使用をやめさせるというようなことにもなる。その点では横須賀とちっとも条件は変わらないように思いますが、どうでしょうか。
#91
○政府委員(山野正登君) 佐世保港にございます修理施設で米軍と共用でない施設、しかもその個所におきまして「むつ」の修理が可能の場所というのがあるというふうに私どもの調査ではなっておりますので、恐らくそういう場所で行うことになろうかと存じます。
#92
○星野力君 「むつ」の問題にはあなた方はもう十分これは検討なさっておられるはずなんです、そういう具体的な問題にも。それなら一体どこにございますか、佐世保の、そういうところが。候補地をひとつ挙げてみてください。
#93
○政府委員(山野正登君) まだ地元から受け入れの御回答もちょうだいしていない段階でございますし、先ほど来申し上げましたとおり、この契約の相手先も決めていない状況でございますので、具体的な名前を挙げるのは適当でないかと存じますので、その点御了承をお願いしたいと思います。
#94
○星野力君 名前は言えないと、しかしそういうところは確かにこの立神岸壁以外にあると、こうおっしゃることですね。そういう意味ですね。
#95
○政府委員(山野正登君) 特定の場所を指して、あるないと申し上げておるわけではございません。
#96
○星野力君 私は特定のどこと、こうおっしゃってくださいといま言ったんじゃなしに、立神岸壁はこれは横須賀と同じような条件でだめだけれども、そのほかのところにあると。名前を言わぬでもいいですが、そのほかのところにあると、こういうふうに理解してよろしいですか。
#97
○政府委員(山野正登君) 立神岸壁との関連で、あるなしといったふうなお話を申し上げること自体、具体的な名前に関連した御答弁になると思いますので、その点はひとつ御理解賜りたいと思います。
#98
○星野力君 この修理に着手したとしまして、修理完了には三年かかるということでございましたが、仮に三年かかって修理が完了したとしましても、この本来の「むつ」の使用目的であるところの商船として使用できるのはずっと先になると思いますが、どのぐらい先を考えておられるんですか。
#99
○政府委員(山野正登君) 私ども考えておりますスケジュールでは、修理港問題が解決いたしました暁には、直ちに新しい定係港の選定作業に入るつもりにいたしておるわけでございまして、三年間の修理が済みました後新しく決まっておりますでありましょう新しい定係港におきまして、その後の出力上昇試験以降の開発に入っていくといったふうな段取りになろうかと考えております。
#100
○星野力君 修理が終了しまして新しい定係港に入って、それからもまたいろいろ新しい点検やそれから準備が必要だと思いますが、そういう過程を経て商船として就役できるまでには大体どのくらい考えておられますか。
#101
○政府委員(山野正登君) 修理港で三年間の修業を終えました後、新しい定係港におきまして約一年間出力上昇試験等所要の試験を終えまして、五年目から実験航海に就航できるというふうに考えております。
#102
○星野力君 そうしますと修理に三年、その後一年を置いて、さらに五年経過してから就航できるということになると九年ですか。約十年近い期間ですが、この地元の人々、長崎県民としては、いま何とかかんとか言って修理のためだと言って佐世保に入港し、そのまま居座ってしまう。正式な定係港になるならぬは別として、ならぬでもそのまま佐世保に十年間、少なくとも十年間ぐらいを居座ってしまうのではないか。事実上佐世保が「むつ」の母港にされるということを非常に恐れておるわけであります。大臣、その辺の考え方ですね。ひとつお示しを願いたいと思います。
#103
○国務大臣(宇野宗佑君) いま局長が申しましたとおり、修理に三年かかります。したがいまして、その三年間の間に新しい定係港を考えたいと、その間には決めなくちゃならぬと、こういうふうに考えております。したがいまして、決してその対象は佐世保市であると現段階で私は申し上げられないと。少しもそのことは触れておりません。
#104
○星野力君 青森県の方ですね。「むつ」港の期限は先ほども申し上げましたように、これは迫っておるんであります。先ほど長官は近く久保知事の態度、回答が明らかになった上でもって結論を出すと、こういう意味のお話だったように聞きましたが、そうでございますか。
#105
○国務大臣(宇野宗佑君) 二十三日が最終的な研究委員会の日取りであると、こう承っております。だから、それを見て知事が決断されるということでございますから、知事の決断がどういう決断であるにせよ私といたしましてはそれを尊重すると。これは先ほど申し述べたとおりであります。
#106
○星野力君 大切な点ですから重ねてお聞きするんですが、二十二日ですか、三月の二十三日に安全性に関する研究委員会の結論が出るというふうに伝えられておりますが、それに基づいて知事の回答が行われると、その場合に知事の回答を尊重して政府の方針を決定すると、こういうことでございますか。
#107
○国務大臣(宇野宗佑君) もう一つ佐世保市自体の決議もございます。この間から佐世保市長にもお目にかかり、また知事にもお目にかかっておりますが、両者はともどもに一致した結論を見出したい、こういうふうに両者が言っておられますから、したがいまして、二十三日の後佐世保の市会もまだ終わっておりませんし、その辺がどうなるか知りませんが、私といたしましては長崎県知事並びに佐世保市長、この両者の一致した意見をお待ちいたしておる次第であります。
#108
○星野力君 これは今月三日の毎日新聞の記事でございますか――見出しは「核抜きならはむつ受け入れ」「長崎県知事表明」こうなっております。それからもう一つは、昨日のこれは朝日の朝刊でありますが、「〃核抜き〃を検討」「「むつ」で辻市長歩み寄り」、こういう見出しの記事をごらんになったろうと思いますが、知事は核抜きなら受け入れてもよろしいと、いままで核抜きの必要はないと言っておった佐世保市長の方も核抜きを検討し出した、こういう意味の記事のようでありますが、そういうことの上で知事から核抜きなら受け入れると、燃料体抜きなら受け入れる、こういう回答があった場合はそれを尊重してそのようにやろうと、こういうことになりますね。
#109
○国務大臣(宇野宗佑君) まだ研究委員会もまた知事も決断をされておらない場合に、そういうことになるであろうという仮説のもとに、私がそうした場合においてもどうのこうのということはこの際控えさしていただきたいと思います。したがいまして、先ほど来申し上げておりまするとおり、知事並びに市長の意見が一致することをひたすら私たちは待ち望んでおりまするし、そして両者もその努力をするとこうおっしゃっておりますから、そうした努力の結果出ました結論に対しましては私はそれを尊重する、こういうふうにただいまは申し上げたいと存じます。
#110
○星野力君 長官非常に慎重に答弁しておられるんでまだるっこしいんですが、宇野国務大臣ともあろうもの、もう少しはっきり申し上げたらいいと思うんでありますが、要するに地元の意向はこの問題で尊重すると、知事の回答は尊重すると、その限りにおいてはよろしいですね。
#111
○国務大臣(宇野宗佑君) その限りにおいては私が申し上げたとおりであります。
#112
○星野力君 青森県が追い出して日本のどこの港湾も受け取り手のないそういうしろものを、なぜ長崎が受け取らなければならないのかという長崎県民の政府に対する不満や不信は広がるばかりでありますよ、いま。当然であろうと思うんであります。被爆県であること、水産県であることは先ほど申しましたが、また手近な損得、メリット、デメリットということを考えましても、「むつ」を受け入れてみたところで、それによって十何億円かの修理費の何ほどかが地元の造船業、佐世保重工という言葉はまだその段階で口に出せないと、こういうお話でありますが、佐世保重工以外しかないわけであります。佐世保重工の仕事に対して十億円でありますか、十河億円でありますかが支払われる。それだけの仕事を佐世保重工がひとつ引き受けるというだけではないかと思うんです。長崎県民にしましても、一般の佐世保市民にしましても、「むつ」の受け入れによって大きな不安と危険は考えられるんでありますが、メリットは何一つない、こう言ってもよろしいと思うんであります。長崎県の漁民、大多数のあの漁連に参加されておられる漁民はもちろんでありますが、「むつ」がどうしても来るというなら海上で実力をもってもそれを阻止する、こう言っておるんです。そういうような事態になったら一体どうされますか。そういうことも考えていろいろ検討されておられると思いますが、漁民を初めとする長崎県民あるいは被爆者、その関係者、こういう人々の「むつ」拒否のこの感情、反対運動、そういうものについてどういうふうにお考えになっておられますか、それからどう対処されようとしておられるか、長官からお聞きしたいと思います。
#113
○国務大臣(宇野宗佑君) このことは非常に重大なことだと存じます。したがいまして、私が考えております以上にやはりそのことは為政者である知事あるいは市長もお考えではないかと、かように存じておりますから、私はそうしたものとの判断がなされるであろう。したがいましてその帰趨はいずれにいくかは存じませんが、私といたしましては今日までお願いをしてまいった立場でございますから、それに対しまして極力御両者がイエスと言っていただくことを期待しながらその御意見を尊重したいと、こういうふうに申しておるわけであります。
#114
○星野力君 私は「むつ」を佐世保で修理するということは非常にむずかしい問題だと考えます。それに比べれば事態を政府がしっかり見届けて、「むつ」の佐世保入港を断念するということの方がさほどむずかしくない、いわばその方がずっとたやすいと、こう思うんであります。
 原子力船第一号「むつ」の役割りというものは私はすでに果たされたのではないかと、そうも言えると、こう思っております。政府としましても、また科学技術庁としましても、これまでの「むつ」をめぐる経過の中からたくさんの教訓を得られたと思う。少しといいますか、ずいぶんこれは高い教訓だったかもしれませんが、教訓を得られた。そういう意味では、原子力船第一号の使命、任務というものはある程度果たされた。私たち何も原子力船というものを、そのものを否定するわけではありません。今後の原子力船問題を前向きに発展さしていく上でも、まあ「むつ」の役割りはもう終わったんだと、こう考えてもいいのではないかと思うんであります。県民の反対のことは重ね重ね申し上げましたけれど、私自身の手元にもたくさん県民からの手紙が来ております。ずいぶん辛らつなことを書いた手紙もあります。むずかしいことを書いた手紙もございますが、辛らつの方を一つ二つ御紹介しますとですね、「「むつ」よりも辻の頭を修理せよ」というのがありました。佐世保市長の頭を直してやれと、こういうことです。それから「魚におむつは要らない」というのがあります。「「むつ」の入港はむつかしい」とごろ合わせもあります。「来るなら来てみろムツゴロウ」、ムツゴロウ、御承知の有明海の愛きょうのある魚ですが、なまじっか「むつ」などという名前がついたために迷惑いたしております。「天敵「むつ」反対」というのもありました。こうした「むつ」佐世保入港についての長崎県民の不信、国民の不信、その根底には政府の原子力行政というものに対する抜きがたい不信が私はあると思うんであります。この不信の根を断つのが宇野長官、あなたの責任ではないかと思うんであります。
 これは「むつ」の問題だけではございません。いま原子力発電所の設置がいろいろの形で困難に直面しておるその背後にあるものも、この政府の原子力行政に対する不信であります。原子力、原子力発電というものを否定するわけではない人までが政府の原子力行政というものに対する不信を持っておる。せっかく宇野宗佑ともあろう者が科学技術庁長官になったんでありますから、宇野長官、この不信を解消していくのがあなたの責任、その点についてどういう抱負をお持ちか、お考えをお持ちかをお聞きしたいのであります。
#115
○国務大臣(宇野宗佑君) 原子力行政に対しましては確かに、振り返ってみて、いろいろと反省する点も多いだろうと思います。また、「むつ」が今日迎えましたその経緯におきましても、やはり教えられるところも多かったと思います。しかし、私はさような意味で、もうここで原子力船はだめだと、決してそういうようなことを申し上げたくございませんし、速やかに「むつ」は修理をいたしまして、そして将来の原子力船時代に備える第一号としてのりっぱな使命をこれから果たさなくちゃならない、かように存じておる次第でございます。それには、いま星野委員が御指摘されましたとおり、やはり政府そのものが原子力行政に関しましても、もっともっと深い国民の御理解を仰ぐようなことをやっていかなくちゃなりません。特に安全に関しましては、これはもうやはり国民には抜きがたいものがあったわけでございますから、これをいかに今後如実に国民の方々に御理解を仰ぐかということに最大の努力を払わなくちゃならないと存ずる次第でございます。
 御高承のとおり、今国会に原子力基本法の改正法を出すというのもその一つでございまするが、特に「むつ」に関しましても、私は、せっかくここまでやってまいりました原子力船第一号でございます。国民の方々から見ていただきましても、一体全体原子力船というのは何ですかと、どういう使命が将来あるんですかと、こういうことのPRすらも実のところは完全になされておらなかったということを私自身も痛感いたしております。
 私が最近いろいろな立場におきまして、国民の方々に、現在われわれが原子力開発を待つ間にどうしても石油に依存しなければならない日本であるが、余りにも石油の依存度が高くて、たとえば貿易上においても、商品支払い額の三分の一が石油に支払っておって、その石油の一割を船が使っておるというのが現状である。その石油を運ぶために、またその船は石油を燃料としてたいておるが、現在それが四%たいておる。こうしたことを考えると、将来ともどもに、日本はやはり安定成長ではあろうけれども、この六%台というような成長を続けていって国民の生活の安定を図りたい。そうすれば、十二年たてば当然われわれのこの生活は倍になるのだから、その倍になったときには当然エネルギーも倍必要であろう。こういうふうに考えてくると、ますます原子力に頼らなければならない点が非常に多いので、だから、そういう意味において、われわれは今後国民の御協力も仰ぐと同時に、特に国民の核アレルギーを払拭するためにも、やはり安全性の確立ということは、あらゆる機会に私たちは政府としてやっていかなくちゃならない、かように存じております。ひとつその点も格段の御理解を賜りますようにお願いいたします。
#116
○星野力君 長官ね、これは国民の側に責任があるとか、問題があるとか、そういう認識ではいけないと思うんですね。いまお話を聞いても、PRが足りなかった、国民のアレルギーを解消しなきゃならぬと。国民の何か体質がこれは間違っておるか、悪いかのようなお考え、そこにやはり重要な問題があると思うんですが、私、いまもう時間余りございませんから、この問題に立ち入ることはいたしませんが、その辺のことはよくよく考えていただかなくちゃいけない。
 「むつ」にしましても、行政当局としてはこれはメンツということもあろう思うんであります。がしかし、メンツにこだわらず、行きがかりにとらわれず、一日も早く佐世保入港などは断念して、その後の方針を検討し、そして本当に住民の合意を求め得るような行政のやり方をする、専門家の意見もよく聞くということによって今後のこの原子力船についても方針を決定されるのが私は賢明だと思うんです。「むつ」について言うならば、建造当時からこれは旧式な原子力船ということが言われておりました。今日では、その当時におきましてももっと優秀な、原子力船が存在しておったわけであります。現に存在しておるわけであります。あえて旧式な原子力船「むつ」を建造して、それが早々と欠陥を暴露して今日の騒ぎになっておるのであります。これを修理してみて果たして使い物になるかどうかも問題だと言われております。仮に修理がうまくいっても正式就航まではさらに数年かかると。いわば、いまここでスタートしても、十年先にしかこれは幾ら早く考えても船としては使い物にならぬと。そうしますと、仮に佐世保へ持っていけばこれは「させぼ」と改名するのかもしれぬ、横須賀へ持っていけば「よこすか」と改名するのかもしれませんが、仮に「むつ」をどう改名してみましても、これは欠陥原子力船という名とイメージはついて回るんです。十年後この船を引き受ける船会社なんというものが一体あるんでしょうか。重ねて申し上げますが、行政当局などのメンツにこだわらず、これまでの行きがかりにとらわれないで早く今後のことを決定されるのが賢明であると。実際問題として、長崎県民はさっき原子力局長が言われたような形で「むつ」が佐世保に入ってくるのは許さぬと思うんです。その辺の事情もようく考えて、もうここまで来ておるんですから、宇野長官、早くそれこそ国家のために賢明な決断を下さなきゃいけない。それを申し上げて私の質問を終わります。
#117
○小巻敏雄君 私は宇野長官にひとつこの「むつ」の佐世保修理に絡んで起こっておる一つの事件と申しますか、問題点――東京新聞が大きく報じるところでありましたが、安全研究委員会のメンバーの一人である中島篤之助さんに対する原研当局のとった処置について長官の見解をお聞きをしたいと思うわけであります。新聞の報じるところでは、「波立つ「むつ」チグハグ原子力行政」というふうにこれを原子力行政の一つの体質の問題として取り上げておりますし、また、安全研究委員会出張を私用扱いしたという原研の態度を妥当なものと見ない一つの世論を反映をしておると思うわけであります。
 原研と言えば、これは政府が一〇〇%出資をしておる特殊法人であって、これが真に国民の期待と利益にこたえて正しく役割りを果たすのかどうか、これは大きな関心の的でありますし、県知事の諮問機関とはいえ長崎県当局の設けたこの研究委員会に対しては、いわば国民のこの問題に関心を寄せる限りの者の耳目が集中をしておると言ってよいわけであります。こういう状況下で起こっておる一つの事件でありますから、当然長官として考えられるところがあろうかと思うわけであります。お伺いをしたいと思います。
#118
○国務大臣(宇野宗佑君) 中島さんの問題は非常に大きく報道されましたし、御本人みずからが科学技術庁の記者クラブにお越しになって記者会見をされたというふうなことも承っております。その後科学技術庁のクラブからも、この問題はどうするかと、当時そういうふうな照会もございました。私は次のようにお答え申し上げたのであります。これはあくまで原研内部の労使間の問題でございまして、原研の当局といたしましても内部規程に従ってやったことであろうと。だから科学技術庁といたしましては、いかに自分の機関でございましてもこの問題に私自身が介入することはいかがであろうかと考えておると。しかしながら、現在、御指摘のとおり「むつ」佐世保入港という重大な時期を迎えておることも重々承知いたしておるし、特に中島氏がそのメンバーとして研究委員会に所属しておられて、その出張に絡む問題であるということも私はこれは無関心であり得ない問題であることは事実であると。したがって、私自身といたしましては、知事の諮問機関である研究委員会の方が賛成であれ反対であれ、賛成だからこうだ、反対だかこうだというふうなことで私は決してこの問題に処置を下したいというふうな、毛頭そういう考えはない、また介入する気持ちもないと。やはり片一方においてはりっぱに内規というのを守っていただかなくちゃならないであろうけれども、いま申し上げたそうした四囲の環境等々を考えた場合に、やはりひとつこれは原研内部の問題として円満に何か話し合いができないものか、それを期待するということを当時私は申し上げまして、そのこともまた局長を通じまして原研にもお伝えしておいたというところでございます。
#119
○小巻敏雄君 円満な話し合い、当然解決を期待するということであろうかと思うわけですが、これについて、事柄はいまも進んでおるわけでありますから、その円満な話し合い、解決については、一定の見通し、こういうものも持っておられるわけですか、ただ期待をすると、それで終わりですか。その点も確認しておきたい。
#120
○国務大臣(宇野宗佑君) やはりこれは内部規程の遵守も必要なことでございましょうから、しかしながら、政治的な何らかの道があるのだろうかということもやはり私としては頭のどこかにあるわけでございますから、そうしたことを、両者を踏まえながら、原研当局に何とかそうしたことができるんですかというふうな期待でありまして、われわれが聞いておるところでは、まあ両者にも言い分があるかもしれませんが、しかし、もう少しく内部規程に沿うてやっていただいた方がよかったんじゃないかというふうな気持ちは私には強くございます。
#121
○小巻敏雄君 円満な解決ができるかどうか、いずれにしても原研の当局と当事者の間の話し合いの推移を見たいというふうに言われておるようであります。
 ここで私は、参考人としてここに来ていただきました宗像英二原研理事長に御質問をするわけであります。
 すでにこの問題は衆議院の科学の委員会でも若干の党から取り上げられておるというような経緯もあり、今日の日本の原子力行政の問題で大きな焦点になっておる「むつ」の佐世保入港するのかしないのかという問題にも絡んで大きな問題になっておるわけですが、この中島さんの賃金カットという問題についての経過をひとつ理事長の方から簡潔にお伺いをした上で質問したいと思います。
#122
○参考人(宗像英二君) いま経過ということをおっしゃいましたが、先生方が原子力研究所を外部からごらんになって、まあ一応すんなりと経過というふうなことをじきにお聞きになりますけれども、原子力研究所が今日になりますまでずいぶんいろいろないきさつがございまして、初めのうちは、もう先生方もあるいはうわさで聞かれたかもしれませんが、研究所に対する、ことに原子力研究所のような目的研究所に対する、何といいますか、理解といいますか、そういうものについて私は少し改めていただかなければならぬというふうに考える点がありまして、そういうことから、初めのうち原子力研究所が非常に混乱していた時代がありました。
 そのころによく言われたのですが、研究所というものは、大学の先生やあるいは国立の研究所、そういうようなものがみんな同じように、研究所にいる研究員も同じように取り扱われるように考えられているという時代でありまして、それなりにやっぱり少し、原子力研究所のような目的を持った研究所――これは原子力研究所の法律に書いてありますが、「理事長は、研究所を代表し、その業務を総理する。」それから大学は学校教育法に書いてありますが、「学長は、校務を掌り、所属職員を統督する。」ここに非常に大きな違いがあることを皆さんによく知っていただきたい。それでないと、目的研究所というものは運営していくことはできないのだ。これをよく含んでいただかないと、原子力研究所の研究員も大学の先生もみんな同じような研究者じゃないかというその理解ですと、非常にそこで間違った判断になっていくと私は解釈しまして、もうたしか十年近く前にこの国会でもそのことをよくお話ししたことがございます。
 その後、その線に沿うて私、研究所をずっと運営してまいりまして、結局研究所の中の秩序をきちんと守って、そして研究員の研究活動がしやすいようにしむけてあげるということがまず第一大事なんだということを確信して進めてまいりました。おかげさまで多くの皆さんの支持を得られまして、研究所はかなり様子がよくなってまいりましたけれども、しかしまだ十分と私は思いません。で、その結果、現に研究所は、研究員が非常に満足するような状態で業務に尽してくださるものですから、実績を上げております。
 しかしまだ、研究所についていろいろ研究所の姿を映してみますと、まだいろいろ私としては足りないと思うところがありまして、たとえば具体的に研究所――私も民間で長いこと研究所だとかでこういう研究の仕事をしておりましたものですから、そのときのことを考えてみますと、原子力研究所みたいに親方日の丸でどっちへ行こうと沈まないというのと違いまして、民間でやっておるときには、へたをやりますと沈んでしまいます。それで、研究員も配置がえしなければならぬとか、あるいは研究をしていた人もセールスに回りなさいとかいうような、あるいはクリエイティブな研究に適当でなくて、物知りでいろいろなことをよく知っているけれどもクリエイティブな才能のない人は、調査員にかわりなさいとかいうようなふうにして、それぞれかえてあげたら、研究員をやめて特許弁理士になって非常に成功した人もいますし、そういう実績を持っているものですから、この親方日の丸の研究所も何とかして皆さんから支持を受けられるような研究所にしていきたいというふうに思って、そしていろいろ努めているのですが、この親方日の丸の研究所は、これを評価するその具体的なものは、われわれがたくさんの予算、十分の予算がとれるか、あるいは十分な研究員をとることができるかということで具体的に反映されるわけでありますが……。
#123
○小巻敏雄君 ちょっと具体的に質問しますから、一たん簡潔にお願いします。
#124
○参考人(宗像英二君) その前提を申し上げないと、先生は大学の研究員と原子力研究所の研究員と同じじゃないかということをいつも考えられて、それで自由に出さないのはけしからぬとか、そういうことになりますから、それでどうしてもこれは先生に知っていただかなければならないと思うから申し上げるのですがね。
 で、そのときになりまして――このころになりますと、数年前に比べて、インフレの何もありますけれども、かつて私がお引き受けしたときに百億円足らずの予算だったのが、いま四百億円以上の予算になろうとするくらい、皆さんの支持を得て、仕事はしなさいというふうに言われています。何もこれは予算をつかさどっている官庁だけが言われるのじゃなくて、官庁をバックアップしている民間の人たち、あるいは学界の人たちがきっとサポートしてくださるからそうだろうと思うのです。
 しかし、そのときに一つ問題なのは、人がなかなかつかない。それで言われることは、原子力研究所にみんなよく勤めているだろうかなということをよく言われるわけですね。何かまだ遊んでいるのがいるのじゃないかと。こういうことでもって人がつかないわけです。そうしますと、私はますますもって原子力研究所の勤務態様をきちんとして、そういう非難が起こらないように持っていくことがまず原子力研究所を盛んにする一番大事なことだというふうに思いますので、それで私の一番いま関心を持っているのは、原子力研究所の中の勤務態様をきちんとしてみんながきちんと勤める。で、大学の先生は個人個人で責任を持って世の中に対処しておられますから、個人個人で責任を持って、仮に成果が上がらなければ、やっぱりその評価は下がってどうこうということはありましょうが、原子力研究所は理事長が全責任を持ってやらざるを得ないように、またそれが目的研究所の当然の姿でありますから……。
#125
○小巻敏雄君 一遍簡潔に願います。具体的な質問をする時間がなくなってしまいますから。
#126
○参考人(宗像英二君) それで、私はまず第一に先生によく知っておいていただきたいのは……。
#127
○小巻敏雄君 そのお考えはわかりました。それじゃ具体的に聞きますからね。
#128
○参考人(宗像英二君) 知っていただきたいのは……。
#129
○小巻敏雄君 委員長、ちょっと一遍諮ってください。
#130
○参考人(宗像英二君) その研究所の内部の決められたものをきちんと守って、そういうふうに進めていかなければならないと思っております。
#131
○委員長(柏原ヤス君) 委員長から一言申し上げますが、参考人の方はできるだけ簡潔にお願いいたします。
#132
○参考人(宗像英二君) はい。
 で、まずそのことをひとつよく含んでいていただきたいと思います。
#133
○小巻敏雄君 それじゃ具体的にお伺いしますから、一遍座ってください、僣越ですがね、座ってください、改めて質問しますからね。
#134
○参考人(宗像英二君) 参考人としてお呼びになったのだから、私の意見をうんと聞いてくださいな。
#135
○小巻敏雄君 理事長のこの責任感と今度の問題を御説明を求めたら、その背景として理事長の責任が重いことと、遊んでおる者がないように厳しく働かせるようにすることというその目的、研究所の趣旨を御説明いただいたので、バックグラウンドの理事長の気分はわかりました。
 具体的にお伺いをします。中島篤之助さんが、先ほどからも問題になっておる長崎で、いま国民の耳目を集めておるこの研究会に出席をしたと。長崎県知事は特に第二回以降は手続的に宗像先生のところへ丁重というか、形式的にも完備をした御依頼状を差し上げたけれども、さようなところへ出席するのは認めることができぬということで、この出席に対して無断欠勤の取り扱いをされている、賃金を三万円何がしの賃金カットをされた、このことはそのとおりでございますか。
#136
○参考人(宗像英二君) 私のところに原子力研究所に長崎県から、とにかく何らかの連絡がありました。で、この研究委員会の委員として県知事が中島君を選任したことは長崎県知事と本人との関係の問題でありまして、当研究所としては関係していないことであります。で、したがって、この出席について当研究所としてはこれ賛成するとか反対するとかというものは全然いたしません。しかし、研究所が中島君を委員として推薦することは、第一に中島君が当研究所にいながら研究所以外の仕事をずいぶんしておられると見えるんですね。それで、たとえば昨年の実績では、研究所に勤めておられるのは六一%しかない。そうしてまた、勤められてももうほとんど毎日のように遅刻をしてこられて、それで本当に研究所で勤めておられることは少ないから、これはやっぱり中島君にもう少し研究所に勤めるようにして、研究所員としてももう少しりっぱにおやりなさいよということを、私は、そうしませんと先ほど言いましたような研究所の成果を上げて……
#137
○小巻敏雄君 質問に答えてください。
#138
○参考人(宗像英二君) 信用を高くすることができないものですから、そういうことがまず第一。それで不適当だと思いまして、その点はですね。
 それから第二には、この問題に関係する限りは中島君はなるほど原子力研究所にいますけれども、分析のことの専門家で、安全問題の専門家ではないんですね。こういう人をそこへ連れていくことは不適当だと思いますので、私の方ではこれは関知しないということにしていたわけであります。そして、中島君がほとんど日常毎日のように遅刻をしてくるほかに、先ほどありました交通ストライキのときに、交通ストライキだからといって休んで、そして特別休暇をくれ、こういうことを言ってきたんですが、中島君のうちのそばあたりにわれわれの方からバスを回して、そして女子の従業員なんかでもそれに乗って通ってくるのに、彼はやってこないで、そして後で特別休暇――これは特別の事情だから特別休暇をよこせというようなことを言われたり、それからやはりこの間ですが、近くでありました……
#139
○小巻敏雄君 答弁になってない。
#140
○参考人(宗像英二君) 中央大会に出て、そしてそれは学術会議の代表者として行ったんだなんと言って、学術会議から命令を受けたことも全然ないのにそういうことを言って、そしてそれを特別休暇にしろというようなことを言われたり、そういうようなことが重なりますと……
#141
○委員長(柏原ヤス君) 委員長から申し上げますが……
#142
○参考人(宗像英二君) 先ほど申しましたように、その秩序を守っていくときにやっぱり都合が悪い、そういう事情をよくひとつ先生方含んでいただきたいと思います。
#143
○委員長(柏原ヤス君) 委員長から申し上げますが、小巻先生は時間が限られた中での発言でございますので、質問の要点を簡単にお答えいただけばよろしいわけでございます。
 次に進めます。
#144
○小巻敏雄君 いまの御答弁で私の質問をいたしました県の要請を受けて、そして中島さんが出ていくことに特別休暇というものを与えないで、その間無断欠勤として賃金カットをしたということにイエスという答えの趣旨でほかのことを答弁されたんだと思うわけです。
 ここで科技庁の担当の方にお伺いをしますけれども、原研に対しては科技庁は先ほど申し上げましたように指導し、助言をし、監督をするという立場にある。原研の研究はすべて国費に基づいて行われておるものであります。こういう点から事実の大体経過は御承知と思うわけでございますけれども、科技庁としてはこの中島さんの賃金カットが、いわば特別休暇を原研の側で認めないで、その結果出張は私用として無断欠勤扱いで賃金カットをされたものであるということは御存じですか。その点についてお伺いしておきます。
#145
○政府委員(山野正登君) 私どもが原研から承っております経緯を申し上げます。
 で、原研では内部規程によりまして特別休暇を付与いたしますのは、忌引、婚姻等のほか、証人、鑑定人、参考人等として国会、裁判所、地方公共団体の議会、その他の官公署に出頭する場合とされています。この取り扱いの対象となるのは法令に定めてある公の職務に従事する場合に限られるものと解釈し、従来からそのとおり運用しておる。一方、本研究委員会は、法令に基づいて設置されたものではないから、これに出席することは公の職務に該当しないと考えられるので特別休暇を付与する場合には当たらない。中島氏は、第一回研究委員会へ出席した際はあらかじめ年次有給休暇の届け出をしたが、第二回研究委員会の出席に当たっては、長崎県知事から原研理事長あての文書を理由に特別休暇扱いとするよう口頭で申し出た。これに対し原研当局は特別の扱いはできない旨回答し、所要の届け出をするよう促したが、中島氏からはその後も五十二年一月二十四日から二十六日までの三日間の欠務について何ら届け出もなかった。そこでこれは無断欠勤に該当するので原研としてはやむを得ず規程に従って二月十八日に支給の給与から三日分の賃金を控除して支払ったものである、そういう報告を承っております。
#146
○小巻敏雄君 ここで参考人に今回の問題に対する理事長の考え方、背景についてもう先ほどから御説明をいただきましたから、参考人についてはもう結構でございますから、御答弁をここまでにいたします。どうもありがとうございました。
 そこで、それでは科技庁の方に御説明を求めるわけでございますけれども、いま説明がありましたように、内部の問題は内部の規程に従って円滑に運用されるのが一番よろしいわけであります。私もこの労使関係に関する問題について、ここはこれを審議する場所でありませんから、労使関係の内部に介入をしようなどと思って質問をしておるのではないわけであります。ただ、長官も局長も御存じでありましょうが、この点につきましては、すでに研究者とそしてこの理事者あるいは労働者と理事者、技術者と理事者の間には慣例とそれから協約、その他のものがあるわけです。いま言われましたように、この研究者が証人、鑑定人、参考人と、あるいは国会、裁判所、地方議会、その他の官公署の求めに応じて研究員として奉仕するときには、これを特別休暇として出張させるという、こういう例も持っておるようであります。国民の中でこれが問題になるのは、このような国民の期待によって、そして今日の専門家に対して真偽を聞きただして事柄を専門的に明らかにして重大な決断をしようとする際にお願いをして求められたものに対して、非常に原研側の態度が、もういまの理事長のいわば参考人のお話として明白なように、わが原研の関知するところではない、こういうものについては形式的にいわば特別休暇に該当させることについて当たらないという解釈をすることができるからというので、理事者としてこれについて出席にオーケーを出さない、どうしても行くなら私用としてプライベートな、つまり年次有給休暇というのはこれはプライバシーの権利であり、休息権でありますから、休息に担当するものとしての取り扱いで出ていけという態度をとっておるところに、つまり、原研側がこういう態度をとっておるところに対して国民の批判があるわけであります。
 これは労使の間の問題ですから、そして、一たん決定をしたといっても経営者の方が反省をして直せば内部で直すことができる問題であります。しかし、長官は内部で円満に解決をされることを期待すると言われましたが、いまの原研の理事長のあの態度の中から円満なこの解決が期待できるというふうにお考えになりますか。どうですか、長官。
#147
○国務大臣(宇野宗佑君) 私が期待すると言ったのは、ちょうど東京新聞がこのことを報道いたしました直後の私のことでございました。現在も私はやはり期待いたしております。しかし、原研の宗像理事長もその直後に私のところに来られまして、ちょうどいまここで言われたようなことを私にも報告なさいました。何分にも二千二百名からいる研究者の団体でございますし、一人だけ例外を設けることはいかがなものであろうか、それも今日まで六〇%欠席があったというふうな話なんか聞いて、私も唖然とした面もあるわけでございます。
 しかし、片一方においてはやはりこの「むつ」の問題の重要な時期だから、実は私といたしましてもこの内部の問題には介入したくないし、といって科学技術庁長官といたしましては、重大なときだから、そのお方の意見が反対であろうが、賛成であろうが、何かここは円満な方法はないものか、この気持ちだけはいまも持っておるという次第でございます。
#148
○小巻敏雄君 局長の方から経過について原研側の説明が披露されたわけでありますけれども、明らかに何らかの措置をしないで無断欠勤をしたというふうに原研側は言っておるんですが、私も若干の資料調査をいたしましたが、長崎県知事は五十二年一月二十一日付で「中島篤之助委員の研究委員会出席について」と、こういう委嘱状を提出をいたしまして、本県では政府から要請のありました原子力船「むつ」の修理点検にかかわる安全性について専門的立場から御検討をお願いするために研究委員会を設置しており、中島篤之助氏に委員に御就任をいただきますので、理解の上これの出張をお認め願いたい、と出しておるわけです。ところが、大きな責任を持ち、そして日本の原子力行政と密接な関係を持つ特殊法人の原研の理事長は、こういうものは原研にかかわりのない会合であって、取り上げることはないというので、こういうものについてはあなた方科学技術庁の方にも報告の中からも省略をしておるわけであります。少なくとも山野さんの答弁の中にはこういう問題についても承知されている節が見えないのであります。こういったふうな状況が、これが問われておる。
 こういう状況であるなら、私はどうしてもこの際、宇野長官は科技庁としての影響力もあるわけなんですから、ひとつその影響力のもとに円満解決を推進するように善処される必要があるのではなかろうか。特に、理事長にお伺いをしようと思ったのですけれども、すでに第二回総会への出席について賃金カットを行われた。第三回はすでに研究会には中島さんは出席しておるわけでありますから、これ三月分もまたまた、あの分では、何というのか、猛烈商法という社の方針に従って、また賃金カットをされるでしょう。こういうような状況は、この中島さんを見込んでお願いをした現地住民にとっても、それから丁寧に依頼をしたらそういうものに鼻もひっかけなかったという取り扱いをされた長崎県知事に対する儀礼としても、私は非礼に当たるものだろうと思うのです。
 こういうような点で、特に第三回の総会に対する、まだ行われていない賃金カットの問題、これからの問題を善処した上で、すでに過去の問題については内部で私は解決に当たるというふうなことが望ましいのではなかろうか。特に私も具体的に当たって調べてみておりますけれども、原研の労働組合にしても、こういう状況を乱用されたのでは今後が問題だというので、こういう賃金カットを行った責任者の処分まで求めておるのが労使関係の内容だ。こんな状況になることは通常の状態ではありません。こういったふうなものに対して善処を求めたい。
 あわせて私は、この理事長に、特にああいうことを言われるんじゃなかろうかと思って、一九七四年のユネスコ勧告、科学者の地位に関する勧告等についても、大きな影響力を持つ研究団体の主宰者として御承知かというのもお尋ねしてみたかったわけでありますが、研究者は大学にあれ、目的研究所にあれ、研究者として地位を保障されなければなりません。それを親方日の丸というふうに言い立てて、ここで国民から特に期待をされて委嘱をされた中島氏に対する敵意を隠さないというような、こういう原研側の態度があるということは、はなはだ遺憾なことだと思うわけであります。
 時間もございませんので、さらに一言申し上げるわけでありますけれども、宗像答弁を聞いた限りでは、円満解決というようなものがあろうと思えないということですね。
 それから二番目に、私は研究委員会に対する認識、今日の原子力行政に対する認識というようなものが、原研の上層幹部について一体どうなっておるのかということです。私は漂流「むつ」が、あのむつ市に投錨する時期のことを思い出しております。結局、あのときに数十日にわたって漂流した「むつ」を、これをむつの市民が受け入れるためには、政府も技術的な問題を解明するために自分で研究者をお願いをして、あのときに研究委員会、これをつくって臨んだのでありますけれども、漁民はみずから服部さん初め三名の研究者に帰港の問題について尋ねて、信頼をできる学者の答弁を得て、ようやく四者協定ということになるわけですね。あのときに、どうだったですか。森山さんは病気だということで全然そこにはお顔を出さずに、全部いままで比較的タッチのきれいだった鈴木善幸当時の総務会長に任せて、そして事態の収拾をしたのではありませんか。そのとき以降、漁民も学んでおりますし、地元も学んでおる。そういう点で政府がいままで技術的問題、内容問題を国民の前から遮断してきたのに対して、みずからこれを正して、そうしてこの問題に当たろうとしておるわけですね。長崎県知事の態度も私はそこにあろうかと思うんです。そういう状況に対して、こういう問題が起こっておる。しかもここに参考人で来てもらえば、まさに開発中心の猛烈商法そのままの意向で、大学の学長は統率するのだけれども、おれは総理するんだというようなことを中心的に解釈をされる。この点については、私は、特に再度科学技術庁の長官宇野さんにこの善処について、円満解決に向かって、善処について御答弁をいただきたいと思うんです。
#149
○国務大臣(宇野宗佑君) その前に、先ほど中島さんのいままでの経緯のことで私がちょっと触れまして、出席が六〇%だというのをあるいは逆に申したかもしれませんから、訂正をさしていただきます。
 ただいまの小巻さんの御質問に対しましては、その後の労働組合はどういうふうな動きをしたかどうか、私もまだ存知いたしておりませんし、非常にそうしたことも今後の原研運営上むずかしい問題であろうと、注意をしなくちゃならない問題であろうと、かようにも考えます。
 そうしてまた、一般の原研職員の考え方も、またまた重大なことだろうと思いますし、私といたしましては、先ほど来率直に申し上げておりまするとおり、二つのことを踏まえて円満に何とか解決してくれと、こういうふうに言っておるわけでございますから、現在もそういうふうな立場でございます。
 なお、さらにきょうの理事長の発言もございましたので、一度念のために担当局長ともう一度原研と折衝さしてみて、そしてその上で、私がいままでずっと申してまいりましたとおりの期待をひとつもう一度改めて宗像さんにお伝えしたいと、かように存じております。
#150
○小巻敏雄君 まあ、実はこの場で、参考人の出席も求めておりますので、一定の範囲で問題を明らかにしたいと思ったんですけれども、ああいう姿でございましたので、ひとつ局長なり責任を持って、再度この問題についてお調べになるなり、このひとつ解決に向かって努力をなされた場合には私どもの方にも御報告をいただきたいと思います。よろしいですか。
#151
○政府委員(山野正登君) 承知いたしました。
#152
○小巻敏雄君 以上で質問を終わります。
#153
○福井勇君 本日の委員会で私は、前もって私に連絡がありませんでしたために、自民党、与党である委員から発言も質問も一つもないということで言われましたが、急に向井先生の時間を若干いただくことで委員長から理事さん方に私が質問をする申し入れをしたわけでございますが、考えてみますると、時間がもう余りにも少ないということと、委員長の他の御計画もありますということも考えあわせて、私は原子力政策だとか、他の科学技術政策、あるいは産業会議へ及ぶこと等々、この次の機会に一、二時間いただきたいと思って、きょうは質問をすることを中止いたしたいと思います。
 考えてみますると、昭和二十九年に原子力を中曽根先生と私とが取り上げてすでに二十三年になる。党並びに院内において引き続きそのことをやっておりまして、いま参議院におりますのは恐らくいないじゃないかと思いますので、最近、原子力政策がスローダウンしたとか――私はそう思っていませんが、そういうようなことを耳にしたり、あるいは科学技術政策について、心配な向きが活字にあらわれたりすることもありますが、幸いにして宇野大臣のような、議運において、国対において、またその他の面において、最も嘱望されておる人が科学技術庁の大臣になられたということで、私は非常な期待を持っておるわけです。いままでは、ときには片づけ仕事の国務大臣を任命されたという時代も二十年の間にはございました。まあ人の名前は言いませんが、軽視されておった時代もありましたが、このごろは重視されておる証拠に宇野大臣がなられたというようなことがあって、改めて一、二時間私の質問をこの次にさせていただくことを保留いたしまして、きょうは質問をこれで終わることにいたします。ありがとうございました。
#154
○委員長(柏原ヤス君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
  午後零時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト