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1976/04/26 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
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1976/04/26 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第080回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和五十二年四月二十六日(火曜日)
  午前十時七分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     中尾 辰義君     塩出 啓典君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     星野  力君     加藤  進君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         柏原 ヤス君
    理 事
                藤川 一秋君
                森下 昭司君
                塩出 啓典君
                小巻 敏雄君
   委 員
                岩動 道行君
                亀井 久興君
                後藤 正夫君
                永野 嚴雄君
                福井  勇君
                赤桐  操君
                向井 長年君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       宇野 宗佑君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       前田 正道君
       日本学術会議事
       務局長      田中 金次君
       科学技術庁長官
       官房長      小山  実君
       科学技術庁計画
       局長       大澤 弘之君
       科学技術庁原子
       力局長      山野 正登君
       科学技術庁原子
       力安全局長    伊原 義徳君
       資源エネルギー
       庁次長      大永 勇作君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        武田  康君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       水産庁研究開発
       部漁場保全課長  森川  貫君
       資源エネルギー
       庁公益事業部原
       子力発電課長   高橋  宏君
       海上保安庁水路
       部海象課長    堀  定清君
       気象庁海洋気象
       部長       増沢譲太郎君
   参考人
       日本学術会議会
       員        中島篤之助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (放射性廃棄物の海洋処分に関する件)
 (核燃料物質の国内輸送の安全対策に関する
 件)
 (原子力発電の安全性に関する件)
 (原子力船「むつ」に関する件)
 (原子力行政に関する件等)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(柏原ヤス君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月十八日、中尾辰義君が、二十三日、星野力君がそれぞれ委員を辞任され、その補欠として塩出啓典君及び加藤進君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(柏原ヤス君) 次に、理事の補欠選任につきましてお諮りいたします。
 ただいま御報告いたしました委員の異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柏原ヤス君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に塩出啓典君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(柏原ヤス君) 参考人の出席要求についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日、日本学術会議会員中島篤之助君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(柏原ヤス君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(柏原ヤス君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
  〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕
#8
○赤桐操君 私、いまいろいろと問題になっておりまする使用済み燃料の再処理について、まず長官のお考えを伺っておきたいと思います。
#9
○国務大臣(宇野宗佑君) 再処理問題に関しましては現在アメリカといろいろ外交折衝が続けられております。しかし、日本の立場を御説明申し上げますと、一九八五年、昭和六十年度において私たちは原子力発電四千九百万キロワットを目途といたしております。ただし、これは非常にむずかしいので、大幅にいろいろと再検討いたしまして、整合性、実行性を確立したいと思っておりますが、一応そういう指数をもとに計算いたしますと、同年度までに四千百トン再処理の需要があるわけでございます。その再処理の需要に対しまして、この夏にホットランに入りますいわゆる第一再処理工場並びに現在すでに英、仏と契約をいたしております再処理、その数量が大体三千三百五十トンでございます。したがいまして、これらは十二分に処理できるが、それでもなお七百五十トン余るではないか、この問題に関しましては、第二次再処理工場が必要であり、さらには英、仏に対しまして追加契約が必要であろうと、かように考えておりますが、今日のところそうしたことをわれわれの既定路線といたしまして、アメリカにそのゆえをもっての第一再処理工場のホットラン、これを要請いたしておるところでございます。というのは、日米間に原子力協定があるからでございます。
#10
○赤桐操君 現在わが国では十三基の原子力発電所が存在をいたしており、それぞれ稼働していると思うんでありますが、今日までに発生いたしました事故について御説明をいただきたいと思います。
#11
○国務大臣(宇野宗佑君) 詳細は局長から申し述べますが、よくこれ問題になりますが、事故と故障はどう違うかというお話でありまして、われわれといたしましても、従来自動車ならば、もうすでに国民の方々は、自動車の故障か事故かということは一々説明しなくてもわかっていただける段階になっておりますが、はなはだ残念ながら原子力関係におきましては、まだそこまで国民的なコンセンサスも得ておりません。しかしわれわれといたしましては、今日まで一応故障はございましたが、事故の名に値するものがあったかどうかということは、いろいろ観点によりましょうけれども、科学技術庁といたしましては、なかったと、こういうふうな観点でございます。しかしながら、いま先生の御質問は、恐らくまだそうした認識が国民的に得られておりませんから、そうした意味での御質問であろうと存じますから、今日までいろいろ起こりましたいわゆるトラブルに関しまして局長の方から詳細御説明をさせます。
#12
○政府委員(伊原義徳君) 大臣の御答弁補足させていただきますが、原子炉等規制法に基づきまして、報告義務というものが原子力利用者に課せられております。その関係で、いわゆる事故報告があったものが毎年何件かございますが、これも大臣の御説明申し上げましたとおりに、周辺環境に影響を与える、あるいは従業員に放射線に基づく身体障害を与える、そういうたぐいのものではございません。たとえばいろいろの補機類が誤操作をするというふうなこと、あるいはその補機類の漏洩、そういったものが主体でございまして、毎年数件ないし十数件の報告がございます。
 なおそのほかにも、規制法に基づく報告事項には相当しないものにつきましても、私どもといたしましては一々実質的にはその内容について承知をいたしておりまして、そのことの重要度に応じまして適切な対策がとり得るようにいたしております。
#13
○赤桐操君 まあ事故と故障とは違うと言われるわけですけれども、故障が大きな事故に発展するわけなんで、本質的には余り違わないと、こう私は考えているわけです。ほとんどないと、こう言われておりますが、そういう意味ではかなり私どもの認識では出ていると思うんです。最近でもいろいろ発電所におけるところの炉にひびが入ったとか、いろいろな問題等も出されておるわけでありまして、そういうことは、気がつかないでいれば大事故に発展することはもうあたりまえでありまして、私はやはりこれは本質的に同じだと思うんです。
 それで、いままでかなりのそういう意味では、まああなた方の認識では故障と言われるでしょうけれども、そういうものはたくさんあったと思うんですね。それでその都度いろいろ報道されたり、あるいはまたしばらくたってから報道されたりするような問題があって、国民的にはかなりの不信感を持っている、こういうのがいまの実態だろうと思うんです。で、その内容全体について、きょうここで報告していただくわけにはいかないかもしれませんから、後刻ひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
 それから次に、動燃事業団によって東海村に建設されておりまする再処理工場は、いまどういう状態に置かれているのか明らかにしてもらいたいと思います。
#14
○政府委員(山野正登君) ただいま天然ウラン等を用いましたいわゆるウラン試験を終了いたしまして、その後の調整をしておる段階でございまして、この調整が済みますれば、使用済み燃料を使いましたホット試験に移行するといったふうな運びになるわけでございます。
#15
○赤桐操君 ホット試験への移行はいつごろの見込みなんですか。
#16
○政府委員(山野正登君) 本年の夏を予定いたしております。
#17
○赤桐操君 原子力発電所よりもさらに一層の実は危険な状態に置かれているのが再処理事業であるだろうと思うんであります。動燃事業団による比較的規模の小さい再処理工場としていま運営されているようでありますが、いまのお話のとおり、初期試験の運転でもまだ十分にこれはいっておらないようでありまするし、さらにまた技術的にもなお多くの検討の余地があるように私どもは聞いております。これを、政府の考えによりまするというと、民間企業への移行を考え、大型の再処理工場を建設させて行わせるというこういう考えのように承るのでございますけれども、この点について伺いたいと思います。
#18
○政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘の、初期試験が十分でなかったのではないかという点でございますが、この工場は過去一年半にわたりまして、いわゆるウラン試験を実施したわけでございますし、その前にも通水試験、化学試験等も十分実施しております。その一年半にあたりますウラン試験におきまして、数十件に及びますいろいろなトラブルがあったことは事実でございますが、このウラン試験の目的自身が、そういうトラブルを初期に摘出いたしまして、十分な手直し、手当てをするということがその主な目的の一つでもございます。そういうふうなことでございまして、ウラン試験を通じましての手直し場所の発見とその対策、十分な手直しは行っております。なお、その結果についての内容がいかがであったかということにつきましても、専門家による十分な審査が行われておりまして、現時点においていわゆるホットランに移行して十分であるというふうな御結論もいただいておるわけでございます。したがいましてその先生の御指摘の技術的検討というのがいかなる意味かは存じませんが、少なくとも安全性につきましては、十分な対策が行われておると承知いたしております。
 ただ周辺環境に与えます影響につきまして、詳細な審査を目下実施中でございます。これがもし検討という御指摘の中身でございまするといたしますれば、これは近く結論が出る予定でございまして、いままでのところ非常に重大な問題があるということではないと承知をいたしております。
 それから現在の原子炉等規制法におきましては、再処理の事業は事業の制限がございまして、動燃事業団あるいは内閣総理大臣が認可した場合の原子力研究所に限られておりますけれども、原子力発電が非常に大規模に実施される現段階におきまして、必ずしもこの事業の制限をさらに続けることが適当であるかどうかということで、いろいろ関係方面からもこの事業の制限というものは現時点においていま少しく門戸を広げるべきではないか、こういう御意見もございますし、かつ電気事業者自身が発電を行う以上、いわばその後始末的な再処理事業についても当然責任を持つべきである、そういうふうな積極的な姿勢も出てきておるわけでございます。したがいまして、民間の創意、活力を活用するという観点からいたしましても、現時点において窓口を広げるということは私どもとしては適切な措置ではないかと考えておるわけでございます。ただ、その場合にも安全性につきましては、その事業経営形態とは別にしまして、安全性の確保については今後とも万全の措置を講じてまいりたい、こういうことでございます。
#19
○赤桐操君 現在の段階というのは、原子力発電所においてもいまいろいろと明らかにされておりまするような事故なり故障なりが連続しておると思うんですね。こうした中で、仮に民間移行へのこうした処置が将来とられたと仮定するときに、これはやはりもっと困難な運営であるわけでありますから、その故障と称するか、事故と称するか、そうしたものはさらに想定しておかなければならない性格のものではないかと私は考えるんですが、そういう面からするならばまたさらに考えられるんでありますが、各種原子力発電所の状況を見ておりますけれども、やはり実際問題として企業秘密というものが先行しております。だから、報告でも何でもおくれると思うんですよ。やはり民間にこれが移行されればこれは当然そういう形が出てくるだろうと思うんです。動燃事業団とか、こういう東海村のセンターで行われているものは、これはもうオープンでやられておりまするから、また非常に直接的な管轄下に置かれて政府の指導のもとで行われることも可能でありましょうけれども、一たび民間への移行がなされればそうした状態ではなくなるということは、これはもういまここで多く論ずる必要もないと思うんですね。そういう意味合いからいたしまして、民間企業への移行ということについては、少なくとも今日までの原子力発電所の状態やわが国における今日までの経過等から見たときに、国民の多くはこれに対して危惧の念を持つのではないか、こういうように私は考えますが、長官のお考えはいかがですか。
#20
○国務大臣(宇野宗佑君) 御説はごもっともだと思います。常に安全を第一義として今後も強力な原子力政策を進めていかなくちゃなりません。しかしながら、いまおっしゃる再処理問題、確かに未知の世界へのこれは挑戦であるかもしれませんが、当然先進国の技術を導入いたしまして、現在の第一工場もさような意味でいろいろと安全に安全を重ねた経路を経て、そしてこの夏ホットランというふうなチャンスを迎えたわけでございます。なおかつここで生み出されましたプルトニウム、それを燃料とする高速増殖炉に関しましても、わが国は一昨日御承知のとおりに臨界に達すると、世界で第五番目の技術を一応誇り得るに至っておりますが、先進諸国ではすでに実験炉ではなくして原型炉さらに実証炉というところまで建設を進めておる国もあるわけでございます。いずれこうした問題は、お互いがひとつ技術をいかにして尊重しながら、また核の不拡散を十二分に貫きながらどうするかというふうなグローバルな会議にもなると存じますが、やはりそういう意味合いにおきましても、常に私は世界的にも国内的にもやはり核不拡散の原則を貫き、また安全確立を貫き、そしてやはりわが国の代替エネルギーの地位を高めるためにもこの研究だけは怠ってはならないと、こういうふうに思っておりますので、もう十二分に御説の点はわれわれといたしましても肝に銘じまして安全を確保しながらやっていきたい、かように存じております。
#21
○赤桐操君 念のために申し上げますが、私は研究をするなと言っているわけじゃないんです。研究が不足ではないかということを前提として申し上げてきたわけです。
 次に、四月二十日にアメリカ大統領が新エネルギー総合政策で再び米民間企業に対して再処理を許可しない方針を明らかにしておりますね。さらにまた教書の中では、地震多発地帯や人口密集地帯の近くにおいても原子力発電所の設置をしないよう建設許可基準を改正するということを明らかにしておりますね。これはやはり私はアメリカは、真剣に、エネルギー政策全体の中でさらに世界的な大きな問題となっておりまするいわゆる原子力エネルギーと称しますか、こうしたものについての新しい考え方を私は打ち出していると思うんです。これとは――三月二十二日に閣議決定をしている再処理方針についていまいろいろと政府が打ち出しておりますが、大分これは逆な方向に世界の動きが変わってきているように思うんですけれども、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
#22
○国務大臣(宇野宗佑君) アメリカのカーターさんの新政策は、御承知のとおりフォード財団がつくりましたレポートが唯一の原点となっておると、これは大統領みずから福田総理におっしゃったところでございます。しかし、それによりますと、一番はっきりしておることは、やはり資源大国アメリカが資源小国の他国を無視してつくっておる政策である、これは単に日本だけではなくしてもう多くの国々が同様の感想を抱いておりますし、現に私も何人かのアメリカ以外の外国の要人と接触いたしまして直接意見を交換した結果、いずれも口をそろえてそのことを申しております。
 第二番目には、やはりウランは有限の資源であるから、それを有効的に使おうとすれば、どうしてもやはり高速増殖炉方式でなければならない、そのためには再処理が必要だというのもいずれの国も口をそろえて申し上げておるわけでございますので、この点をいま現在、政府といたしましてはアメリカに折衝いたしておる次第でございます。
 なお、参考でございますが、アメリカの方は商業ベースの再処理工場をしばらくストップするんだと言っておりますが、現在三基ございます。そのうちの一基は運転を放棄いたしております。もう一基は運転を停止中であります。もう一基は建設中でございます。したがいまして実害はないわけであります。われわれはこの七月から、六年間かかって五百億円投じて、しかも四、五百名の技術者がそこにがんばっていててくれるホットランに入ろうとする再処理工場をここでストップかけられたらこれはもう大変な実害がある。ここら辺におきましても私はこの間アメリカの代理大使にもはっきり申し上げた次第でございます。
 第二番目には、やはり世界は核不拡散の方向に向かっておる、これはもう日本も賛成である。しからばアメリカもソ連となぜ――まず軍事利用をやめてそれから平和利用も危険だからやめるとおっしゃるのならば筋が通るが、平和利用だけやめて自分たちの軍事利用だけはほおかぶりをしておる。しかも言うならばアメリカとソ連人だけがプルトニウムを管理し得る能力を持っておる民族であって、他の民族はそういうような能力ないんだと言わんばかりの傲慢な姿勢は、われわれはそう率直に認めるわけにはまいりませんぞと、私は実ははっきりとアメリカの要人に対しましてもそこまで主張いたしておる次第でございます。したがいまして三月二十二日の閣議におきまして決定いたしました事項は、先生も御承知のとおりに、昨年国会が批准をいたしましたNPT条約に基づきまして、国際原子力機構との間で保障措置の協定を求めることになりますが、その保障措置の協定が今国会で成立をいたしますと、それに伴いまして国内の保障措置をするということでございます。
 したがいまして、その中において実は現在の方式を進めてまいりますと、先ほど御指摘のとおりすでに九電力が原発をやっておりますが、いわゆるトイレがございません。そのトイレ、と申し上げてはげびた言い分であるかもしれませんが、それが再処理工場でございますから、したがいまして民間も当然自分のトイレは自分でつくるべきであるという趣旨から第二再処理工場を設けなければならないと、こういうふうな経緯に相なるわけでございますから、さような意味で、いますぐにあしたから建設というわけではございません、しばらく時間は必要でございましょうが、その間にいろいろ調査もし、土地も購入をしなくちゃならない、そうしなければ間に合わないというような意味合いで、実はそのことをも合めた法案を閣議で決定したわけでございますので、私どもといたしましては決して世界の大勢にも反しておるものではないと、かように存じております。
#23
○赤桐操君 開発のための研究といいますか、あらゆる努力はこれは必要なことであろうと思います。しかし、わが国が往々にして今日までやってまいりました多くのいわゆるコンビナート問題等を見ましても、開発は前進するけれども、これに伴う規制なり安全というものについては残念ながらこれは放棄されてきておる、それが幾多の大きな問題をやがて発生せしめてくる。今日もそれが続いていると思う。いまコンビナート地帯の開発とか、そうした程度のものであればそれでも済んだと思います。ただ、いま問題として私が提起しておるこの問題については、そういう簡単なものではないだろうと思います。そういう意味で、別な機会にまたひとつこの問題は本格的に論争をしたいと思います。
 次に、私は、すでに明らかにされてきておりますが、低レベル、中レベル廃棄物の海洋投棄問題について、これから少しくお尋ねをしてまいりたいと思います。
 今日までに大体アメリカにおきましても、あるいはヨーロッパの各国におきましても、原子力機構加盟の各国などは海洋投棄は今日やめているわけですね。これは世界海洋法会議の中でもソ連がこれを明らかにしている。幾ら深海の水であっても流れというものがあるんだということが立証されている。それ以来アメリカでも各国でも、こうしたいわゆる海洋投棄というものはやめてきておりますね。しかし、わが国の政府が明らかにした方針によりますれば、この海洋投棄については本年度から本格的な試験段階に入ると、こういうことでございます。これについてのひとつ考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
#24
○政府委員(伊原義徳君) 低レベルの放射性廃棄物の海洋投棄につきましては、先生御指摘のとおり、ソ連あるいは米国等では現在実施しておらないというのは事実でございますが、たとえば米国の例は経済的に引き合わないというふうなことが理由であるというふうに聞いております。それからOECD加盟のヨーロッパ諸国は、過去十数年にわたりまして、大西洋にこの低レベル固体廃棄物の海洋投棄を実施しておるということは御承知かと思うわけでございますが、これがOECDのNEA――原子力機構によって共同で実施をされておりまして、現在まで十分にその安全性が確認されておると承知いたしております。
 で、わが国といたしましては、この低レベル固体廃棄物の海洋投棄につきまして、過去いろいろと検討なり、調査を重ねたわけでございまして、具体的に申しますと、昭和四十七年度から三年間にわたりまして約二億五千万の調査費をかけまして、太平洋におきまする海洋処分の適地の調査などもいたしております。さらに専門家による十分な検討も続けたわけでございますが、今後この海洋処分を実施するに当たりましては、やはり国際的にも非常に、これはわが国単独でやるという性質のものではございませんので、国際的にも十分各国の了解を得ると申しますか、あるいは国際的な監視機構のもとに十分安全を確保して実施をしたいと、こういうふうに考えております。
#25
○赤桐操君 この海洋投棄の考え方につきましては、海底というのは今日なお相当未知な部分があるわけでありまして、陸上におけるものとは違うと思うんですね。そういう不明な点が多々あるにもかかわらず、しかもアメリカ等、経済的な理由だとはいわれておりますけれども、私どもはそういうようには理解しておりませんが、どこに海底なりあるいは海流なりの中で蓄積されていくかということは、これは重大な問題だと思うんですね。そういう点がきわめて不十分な認識のもとでこうした計画がなされていくということについては、これは私は、これ自体基本的に理論的にもこれは成り立たぬのじゃないか、こう思うんですがね。
#26
○政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘のとおり、海底の状態が未知なものが多いというのは、そのとおりでございます。したがいまして、私どもといたしましても、そういう未知の状態について決して過ちがないようにということで、十分な安全率を掛けて審査を行うという基本的な姿勢でおります。特にその安全性の確認につきましては、たとえば固体廃棄物の容器は、これは相当長期にわたって壊れないものをつくるわけでございますけれども、安全の評価をいたします場合には、海底に着けば直ちに壊れるという仮定をいたしまして、それで放射性物質がどういうふうに海洋の中で拡散していくかと、それが海洋生物の中にいかなる循環をしていくかというふうなことまでも含めましての審査をいたしております。
 なお、先ほどちょっと説明不十分でございましたが、いきなり本格的な海洋処分をするということは考えておりませんで、まず試験的にごく少量のものにつきましての海洋処分を実施いたしまして、その経験、成果を踏まえた上で逐次本格的なものに移行したいと、こう考えておりますので、先生御指摘のように、十分安全性の配慮は慎重な上にも慎重を重ねて実施する所存でございます。
#27
○赤桐操君 さらに海洋汚染防止条約が国際的にございますけれども、これには未加盟の国がたくさんあるようですね。特にわが国がそういう状況の中でこうした計画を実施に移していくということについては、これらの国々からの相当な批判なり不信感なりが出てくると思うんですけれども、これらに対する考え方はどのように考えておりますか。
#28
○政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘の海洋汚染防止に関しまするいわゆるロンドン条約でございますが、これにつきましては、わが国といたしましても、この批准をできるだけ急ぐ必要があると考えております。で、未加盟国がこの条約の重要性を認識されまして、さらに加盟がふえるということも期待するわけでございます。
 さらにOECDの原子力機構――NEAが、この海洋処分につきましての国際的な監視機構を設立するという準備もいたしておりますので、そういうところへの参加も現在考慮をいたしておるところでございます。
#29
○赤桐操君 一つ具体的な問題をお尋ねしたいと思うのでありますが、昭和四十六年の六月の国会で明らかになったわけでありますが、試験的に海洋投棄を行っていたという事実がこの国会で明らかになったわけでありますが、その場所は千葉県館山沖四十キロ、水深二千六百メートルのところで、三十年の七月から四十四年十月まで十五年間にわたってドラムかん千六百六十一本が投棄されていたと、こういうことが明らかにされております。
 そこでお尋ねしたいと思うのでありますけれども、これは試験的な海洋投棄であると、こういう御説明でございましたね。そうすると、試験投棄については当然その事前の調査なりあるいは事後の影響評価なり、あるいはまた安全評価なりというものがこれには当然ついてくるものだと思うんです。そうしたものについて詳細にひとつ把握されていると思いますので、明らかにしていただきたいと思うんです。
#30
○政府委員(伊原義徳君) 御指摘の海洋処分につきましては、当時の日本放射性同位元素協会、現在日本アイソトープ協会と名前が変わっておりますが、この協会が昭和三十年から四十四年にわたりまして、先生御指摘のように千六百六十一本のドラムかん等を館山沖に投棄いたしております。これにつきましては、現在の規制法の体系あるいは障害防止法の体系におきましても、国で定めます技術的基準に合致いたしたものは投棄できることになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、その後この協会の投棄が自主的に差し控えられておるということも承知しておりますが、この事後影響評価につきまして、水産庁、海上保安庁及び気象庁がこの近海の放射能調査をいたしております。その結果からいたしましても、この投棄地点を含みます海域におきまして、海水、海底土、海産生物等の含んでおります放射能につきましては、異常がないということを確認いたしておる次第でございます。
#31
○赤桐操君 ちょうど四十四年の十月で十五年間、それから今日まで七年余になっておりますけれども、その海上保安庁なり水産庁なり気象庁の調査というものはいつ行われたんですか。
#32
○政府委員(伊原義徳君) 特に海水の調査、水産生物の調査などは水産庁が行っておるわけでございますが、これは毎年行っておりまして、それぞれその年におきまして異常がないということが確認されておるわけでございます。
#33
○赤桐操君 いまのお話によると――水産庁、気象庁、海上保安庁がそれぞれ調査して異常がないというふうに先ほど御答弁があったんですが、いまのお話ですと水産庁が毎年行っている調査で異常がないと、こういう答弁に変わっているんですが、いつどういう方法でどういう時期にやったんだということを明確にしてくれませんか。
#34
○政府委員(伊原義徳君) 答弁が十分でなかったかと思いますが、水産庁と海上保安庁と気象庁が近海の放射能調査というのをやっておるわけでございますが、その一環といたしまして具体的にこの海域の調査は水産庁が行っておる、こういうことでございます。ただいま手元にあります資料で見ます限り、たとえば四十七年、四十八年、四十九年、そのころのたとえばプランクトンあるいは海水中の放射能につきまして、これの分析結果がそれぞれ数値が出ておりますけれども、特に異常が示されておらない、こういうことでございます。
#35
○赤桐操君 私の認識をもってすれば、試験投棄というものを行った以上はそれに対して追跡調査が行われてしかるべきだと思うんです。試験投棄ということでこれは行われたんですから、十五年間にわたって行われたものを、いまの御答弁によれば四十七年、四十八年、四十九年の調査の結果異常がないと、こういう御答弁じゃないですか。これははっきり申し上げれば、やらなかったということじゃないんですか。試験投棄じゃなくて、これを捨てさして後は何にも追跡調査もしなければ、それに対するところのいわゆる結果的な影響評価とか安全評価とか、こうしたものをやらなかったということではないんですか。
#36
○政府委員(伊原義徳君) たまたま手元に数字がございますのが四十七、四十八、四十九年でございまして、それ以前も調査はいたしております。それから当時投棄いたしましたのが十五回にわたりまして合計約四百キュリーということできわめて少量でございましたこともございまして、現在の調査を毎年やっておるということで追跡をいたしておりますけれども、今後はこの投棄量が四百キュリーよりは多少ふえるという可能性もございますので、今後の追跡調査、実施後の追跡調査につきましてはさらに十分な手だてをとりたいと考えております。
#37
○赤桐操君 きょうは水産庁、気象庁、海上保安庁の方がおいでいただいていると思いますが、この追跡調査は具体的にどういうようにおやりになったか、水産庁、気象庁、海上保安庁それぞれの立場でひとつ御説明願いたいと思うんです。
#38
○説明員(森川貫君) 水産庁では放射能の魚介類に含まれる調査を、ちょっと年数は私いましかと記憶しておりませんけれども、たしか四十三年ぐらいから始めております。これは趣旨といたしましては、原潜の入港あるいは中国大陸におきます原爆実験等の影響等につきまして、魚介類にどういう影響を及ぼすかというようなことも含めて日本周辺の海域の調査を実施しております。
#39
○赤桐操君 ちょっと、それは何年から始めましたか。
#40
○説明員(森川貫君) ちょっと後ほど確認して御報告したいと思います。
#41
○説明員(堀定清君) 海上保安庁では、昭和三十六年から近海の海洋観測をやりますときに放射能調査用の海水を採取いたしまして、放射能の分析調査を続けております。大体黒潮の中、外、それから日本海、日本周辺にわたっております。
#42
○説明員(増沢譲太郎君) 始めたのはいつかちょっと記憶にございませんけれども、海上保安庁とほぼ同じころから日本周辺の海水につきまして採取いたしまして、放射能調査をしてまいっております。
#43
○赤桐操君 海上保安庁では、海底のいわゆるどろとかそういうものの調査もおやりになっていますか。
#44
○説明員(堀定清君) ただいま御指摘の調査につきましては、非常に深いところでございますので、どろはやっておりません。
#45
○赤桐操君 いずすれにしましても、これらの総合的な結論をひとつ、評価を安全局長の方で出してみていただきたいと思います。よろしいですね、局長。
#46
○政府委員(伊原義徳君) これは館山沖の投棄についてということでございましょうか、あるいは今後予定しております太平洋におきます試験的海洋投棄ということでございましょうか。後者でございましたら、現在私どもといたしましては直ちに事務レベルでの検討結果の御報告はできるわけでございます。
#47
○赤桐操君 私は小笠原沖のいわゆる投棄試験のことについては、いままだ触れておりません。館山沖のこの問題についての決着をつけたらどうですかと、こういうことを要望しているわけですね。
#48
○政府委員(伊原義徳君) 関係資料を後刻提出させていただきます。
#49
○赤桐操君 前回私が質問の中でも問題にしてきたわけでありますが、房総沖八百キロないし二千キロ近いところにABCD四つの海洋投棄の候補地が設定されています。ことしからさらに一つ候補海域のBに的をしぼって調査をしようとしておられるようでありますが、この問題に入ります前に、昭和四十七年、四十八年、四十九年の三ヵ年で小笠原沖のいま申し上げた東部海域地域、この辺の各地点で海底あるいは海流、周辺の水産物、水産生物等々をめぐってかなり長期にわたった検討がなされたようでございます。
 そこで伺いたいと思うのでありますが、まず水産庁の方から伺いたいんですが、海洋生物関係についての状況を御説明願いたいと思います。
#50
○説明員(森川貫君) 放射性固体廃棄物の海洋処分に伴う影響としましては、まず深海底に投棄された廃棄物容器から漏出した放射性の核種が海水の流動あるいは拡散、さらに生物の生活を通じて行われる移送によりまして表層に運ばれるという可能性があるわけでございます。こうした見地から、水産庁といたしましては、対象海域の生物について知るためにプランクトンあるいはマイクロネクトン、さらに底生動物等について調査をいたしております。
 調査の内容を簡単に、簡潔に申し上げますと、プランクトンにつきましては、その鉛直分布は表層から水深五百メートルぐらいの間は全体の大体六五から八四%、大部分がその水深の間に存在する。それから深いところにいきますに従いまして漸減いたしまして、五千メートル以深では全体の〇・一%以下ということになっております。
 また、魚類につきましては百二十三種の試料を採取しておりますが、水深五百メートル付近が最も多く、それから深くなりますと漸減するという傾向でございます。ただし、三千メートルの層におきましてもヨコエソ科あるいはハダカイワシ科のような深海性の魚類がかなり存在しております。
 また、御指摘のありました漁業の関係でございますが、当該地域はマグロ、カツオのはえなわ漁業の主要漁場でございまして、この北西太平洋で大体年間十ないし十四万トンぐらいのマグロを漁獲しております。これはマグロ全体の漁獲の約三割近くを占めております。また、カツオにつきましても、当該海域で大体十四、五万トン、これも大体日本のカツオの過半数を漁獲しておるわけでございます。
 以上でございます。
#51
○赤桐操君 このマグロの漁というのはいつごろからいつごろまで年間行われるんですか。
#52
○説明員(森川貫君) 当該地域のマグロ漁業につきましては、周年操業されております。
 蛇足でございますが、カツオにつきましては大体五月から七月が盛漁期になっております。
#53
○赤桐操君 そうすると、五月から七月ごろというのは、マグロの漁船とカツオの漁船で相当この周辺はかなりラッシュになるわけですが、そこで、そこに集まってくる漁船でありますが、大体トン数にしてどのくらいの船が集まってくるのか。また、何隻ぐらい年間を通じてマグロ、カツオの漁船が出漁するのか。
#54
○説明員(森川貫君) この北西太平洋地域に操業いたします漁船は、大体近海カツオ・マグロ漁船でございます。したがいまして、トン数は大体八十トン以下ということでございます。これらの漁船が、マグロにつきましては年間大体五百隻ぐらいが出漁しております。またカツオにつきましては、約四百隻程度がこの北西太平洋の海域に出漁しております。
#55
○赤桐操君 大体これは日本列島太平洋岸でどの方面の船が多いんですか。
#56
○説明員(森川貫君) 中心は三重、高知、神奈川、千葉というところが多いと思います。
#57
○赤桐操君 それでは一つ、続いてお伺いしたいと思うのですが、海上保安庁の方にお伺いいたしますが、この東部海域、地域全体の海底構造というのはどういうようになっていますか。
#58
○説明員(堀定清君) 海上保安庁では四つの地点を中心にしまして、三十海里四方を現在の技術でできる限りの精密さをもって調査いたしました。その結果につきまして概略申し上げますと、A海域では比高――高さの差でございますが、二ないし五百メートルの海丘――海の丘でございます、が不規則に存在する凹凸の激しい海底であるということがわかりました。
 B海域につきましては、比高が数十メートルというきわめて緩い起状が広がっているほとんど平坦な海底でございます。
 C海域につきましては、中央部に――中央部と申しますのは、ただいまの三十海里四方の海域の中の中央部でございますが、その中央部を北東から南西に比高が二ないし三百メートルの小さな海嶺――海の峰でございます、海嶺が走っておりまして、この小さい海嶺の両側にはこれに並行したくぼみがございます。
 それからD海域につきましては、ほぼ全体が南西に低くなる傾斜面でございまして、顕著な地形としては、その海域中央南東部から、北々東から南々西に伸びる最大落差三百メートルの断崖――断層のがけがございます。こういうような地形が判明しております。
#59
○赤桐操君 続いてお伺いしたいと思うんですが、その海底にはかなりマンガン等のいろいろこうした団塊があるというふうに聞いておりますけれども、こうしたものについての調査の結果はどうなんですか。
#60
○説明員(堀定清君) A海域につきましては非常にかたい地層でございまして、泥を取る作業が非常に難航いたしました関係で試料が少ないわけでございますが、一応ある可能性がございます。
 それからB海域についても同じでございます。C海域につきましては非常にどろをとることは容易でございまして、多数のマンガン塊が発見されております。それからD海域につきましては少量のマンガン塊が見つかってございます。
#61
○赤桐操君 それでは最後に一つ伺いたいと思うんですが、いわゆる海流の問題でありますが、これはひとつ気象庁の方でお調べになっているようでありますが、詳細にひとつ御説明願いたいと思います。
#62
○説明員(増沢譲太郎君) 御説明申し上げます。
 気象庁では、科学技術庁の御要請によりまして、昭和四十七年度から三年間にわたりまして、廃棄物の投下候補地のうちの、四点ございますけれども、そのうちの三点におきまして、これは深さが大体五千メートルから六千メートルぐらいあるところでございますけれども、そこの深さの海流の測定を四回実施いたしました。
 その結果を総合いたしますと、測定ごとに多少の相違はございますけれども、平均で速さが毎秒数センチメートル程度、最高でも十数センチメートル程度でございました。流れの方向は、その測定ごとに一定してはおりませんでした。それからまた、深層水の拡散でございますけれども、これについても気象研究所におきましてラドンによる化学的方法によりまして測定をいたしました。
 これらの結果を総合いたしますと、従来から知られておりますところの深層流やそれから深層水の拡散に関する一般的な常識とほぼ一致するものでございまして、この海域が特に海流が強いとか海流が弱いというふうな場所ではございませんでした。
 以上でございます。
#63
○赤桐操君 大体いろいろと明らかにされてまいりましたけれども、この地域はわが国のいわゆる水産資源として考えてみても、相当の大事なところでありまするし、あるいはまた海底の資源等の面についても、なおこれから検討を加えなきゃならない、非常に将来を期待される地域ではないかと判断されるわけであります。
 さらにまた流れ等につきましても、これはいまも明らかにされているとおり、五千メートル、六千メートルのこの深水がきわめて静かではあるけれども流動をしていると。やがてこれはこの地域の核種の流れはそれぞれの方向に向かって分散をされていくと、こういう状況にあろうと思うのであります。
 で、こういう状況の中で、私どもが考えるわけでありますが、特にいまいろいろと二百海里の問題が非常に大きく取り上げられてきております。これはもう大分前から二百海里問題は国際的な中で台頭しておった問題でありまするけれども、結局、いま日本は、そうした新しい漁業水域二百海里問題に直面をして、漁業政策全体の見直しをしなきゃならぬ時期に来ているように私ども考えております。言うなれば転換期に直面していると思うんですが、いままでの日本の漁業というもののあり方は、これは漁業は沿岸から始まっているわけでありますが、沿岸からさらにその近海へと、そして特にこの十年ぐらいの間における日本の政策は、遠洋漁業への大きな比重を私は持ったと思うんです。ですから、ほとんど近海漁業や沿岸漁業については、これは言うなれば大きな比重の置かれていない地域でありまするから、やがては乗り子もなくなってしまう、経営も困難になってくる、こういう状態が各それぞれの漁業に携わる人々から訴えられております。それで、そういう状況の中で遠洋へ遠洋へと進んできたわけでありますが、これがいまのこの二百海里問題に直面をして、言うなれば新しいもう一度漁業全体の見直しをしなきゃならぬ、こういう時期に来ているわけでありまして、非常に私は重大な局面に際会していると思うのでありますが、この二百海里時代における日本漁業のあり方、これからの考え方、こういうものについて水産庁はどのようにお考えになっておるか、明らかにしていただきたいと思う。
#64
○説明員(森川貫君) 御指摘のとおり水産業を取り巻く厳しい環境に対処いたしまして、国民の必要といたします水産物の確保を図るために、水産庁といたしましては強力な漁業外交を展開いたしまして、海外漁場における操業実績の確保に努めますとともに、新漁場の開発調査、漁業協力等を積極的に推進してまいりたい。また領海十二海里あるいは二百海里漁業水域を設定いたしまして、これら水域内の漁業資源の調査を進めてまいりたい。また沿岸漁場整備開発計画に基づきまして、魚礁の設置、増、養殖場の造成等、沿岸漁場の整備開発を積極的に推進いたしまして、また第二次沿岸漁業構造改善事業を推進してまいりたいというふうに考えております。
 さらに栽培漁業の育成を図りまして、種苗の生産及び放流に関する技術の開発、普及、これに必要な施設の計画的整備及びサケ・マスふ化事業等を推進してまいりたいというふうに考えております。
 また漁業の生産基盤でございます、また地域社会の生活の基盤でもございます漁港につきましては、その計画的な整備を進めてまいる。さらに利用の面で、食用として利用割合が低いサバ、イワシ等のいわゆる多獲性の魚類につきまして、その消費拡大及び加工技術の開発等に努めます。またオキアミ等の未利用資源の利用を推進してまいりたい、このような施策を積極的に取り進めてまいる所存でございます。
#65
○赤桐操君 マグロやカツオの大きな漁場として、特に東部海域地域は重視をしておるということがさっき明らかにされていますね。こうした中で、私はやはりこの地域の状態を考えてみると、これは大変これからの二百海里問題の中では重要な地域になると思うんですけれども、いろいろ全体的な考え方はわかりましたが、特に太平洋のこの東部海域地域、この地域ではマグロやカツオの非常に豊漁なところでありまするから、こういうものに対しての対策等も十分考えなきゃならぬと思いますが、これらに対してこれからの対策をどう考えるか。
#66
○説明員(森川貫君) いままでに述べてまいりましたように、わが国周辺におきますマグロ・カツオ漁業の主要漁場でございます、この試験投棄予定地点でございます北部太平洋でございますが、これらの海域におきます漁船の操業実態を考えまして、試験投棄が水深六千メートルというような海底とは言いながら、水産生物に対して安全性が確保されることは重要であるというふうに考えております。そこで水産庁といたしましては、このために投棄予定海域周辺の海底、地形、地質、あるいは深層流と海水の拡散、さらに海産生物の生物層と分布量などの項目につきまして、さらに綿密な調査を行いまして、安全性についての十分な検討がなされた上で、計画が進められていくことが必要であるというふうに考えております。このような観点から、今後とも関係省庁と十分協議してまいりたいというふうに考えております。
#67
○赤桐操君 時間の関係がありますので、ぼつぼづこの問題の締めくくりをしたいと思いますが、少なくともいま太平洋のこのまん中、わが国にとりましては二百海里時代の中で、最も自由な漁業水域だと思うんですよ。この漁業水域を汚染物の処理場にするということについては、どう考えてみてもこれは考えられないと思うのですね。年間、マグロにしても全体の三割、十万トンから十四、五万トンに及んでおる。カツオにするならば全体の半分、これまた十四、五万トンに及んでおる。ここに集まるところの船は大体一千隻に及ぶと、こういう状態であるわけでありまして、これだけの貴重な漁業水域であるにもかかわらず、ここがどうしてその対象にならなければならないのか。海洋投棄の汚染物の処理場にするということについては、これは米をつくるたんぼの中に汚染物の処理場をつくり、廃棄物を捨てるのと同じことだと思うのです。どう考えてみても理解ができないのですが、まさしくこれは時代の逆行だろうと思うのですが、長官はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#68
○政府委員(伊原義徳君) 先生の御指摘でございますが、確かにこの二百海里時代を迎えましての日本の水産業というものが、非常に重要な問題をはらんでおるというのは御指摘のとおりでございますが、私どもが現在考えております試験的処分の中身は、これは私どもが安全性の評価をいたしました結果によりますと、漁業者及び一般人の被曝水準、これも非常に厳しい条件をとりまして、非常に、先ほど申し上げましたように、本来ならば容器の中にとどまっておることが期待されるものが、瞬時にして全部放出するというふうな厳しい条件でもって評価をいたしましても、その被曝水準は自然放射線による被曝水準、あるいは国際放射線防護委員会の一般人に対する線量限度と比べまして七けた程度低い、つまり数千万分の一というふうな感じの値でございます。したがいましてそういう観点からいたしますれば、実際の影響は無視できると考えるわけでございますが、ただ私どもは、やはり姿勢といたしまして、この問題をそう安易に扱うということではございませんで、十分な調査も今後継続もいたしますし、さらに十分な評価も継続をいたしまして、いささかも安易な態度でこれは実施することはないということで、自戒して仕事を進めてまいりたいと思っております。
#69
○赤桐操君 もう一度、一つ伺いたいと思うのですが、昭和六十年次までに想定される、ここに投棄するドラムかんの数は何本になるのですか。
#70
○政府委員(伊原義徳君) 私どもの考え方は、まず試験的な処分をいたしまして、その結果を十分踏まえた上でないと安易に本格投棄には移らないという考え方でございます。したがいまして、ただいまお答えできまするのは、試験的処分でどの程度のことを考えておるかということかと思いますが、それは数千本のオーダー、数百キュリーのオーダーを現在のところ考えております。
#71
○赤桐操君 私の記憶で申し上げるというと、前回の質問の中で明らかにされた本数は百六十九万本と私は記憶しております。したがって、これの処分というものは昭和六十年次までに大変なものだろうと思うのです。さらにまた、いま局長は非常に希薄されたものになるから心配ないと、一言にして言えばこういう言い方であったと思うのですけれども、水産庁の方でも明らかにしておりまするように、深海に至るまでプランクトンがいるのですよ。そのプランクトンが静かな流れであるけれどもぐるっと拡散されてくるわけです。動いているわけです。それをいま日本の国民の食ぜんに供せられているところのカツオやマグロのこういう魚が食べていくわけです。少ないかもしれぬけれども、これがずっと、常時続いていくということになりますと、これは私はいまあなたが言われたような希釈されていくという論理にはならないと思うのですね。これは濃縮されていく論理ではないんですか。そういうようにこの問題については理解するのが正しいと思うけれども、あなたのお考えはいかがですか。
#72
○政府委員(伊原義徳君) 先ほど先生御指摘の百数十万本と申しますのは、昭和六十年度までに原子力施設に累積して保管されるであろう低レベル放射性廃棄物の数量でございまして、私のただいま手元に持っております資料でございますと、二百リットルドラムかん換算で、累積約百三十五万本となっております。しかしながら、この百三十五万本をすべてその時点までに海洋に処分するということではございませんで、十分慎重を期して試験的処分の結果を見た上でということを考えておるということを御説明申し上げたわけでございます。
 それから、私どもの評価は、単に希釈というだけではなくて、それがまた海産生物へ濃縮する、そういうふうな効果もすべて踏まえました上での試算をいたしておるわけでございます。
#73
○赤桐操君 いずれにしても、海の中へ捨てれば海の中に存在しているんですよ。それ以外のところには動かない。しかも、それは流れの海流も明らかにされておるわけであって、やがてこれが、これらの物質が近隣の各国に、あるいはまた日本の海岸に打ち上げられないとは言えないわけなんですね。そういうきわめて常識で考えてもこれはわかる問題なんであって、これがいろいろの理論を固めながらそういう形でもって構成されていくということについては、非常に私は危惧をしなきゃならないと思うんです。いずれにしても、海流の点から言っても、あるいはまた海底構造の状態等から見ましても、これはまた考えなきゃならぬ問題がたくさんあるようであります。特にまたマンガンなんかの団塊があるようでありまするし、海底資源問題等が必要になってくる時代が来たときには、恐らくこの投棄したものが今度は邪魔になってくるだろうと思うのですね。その周辺の泥は汚染されているであろうし、その周辺の水は汚染されているであろうし、そうした中で海底資源の発掘など、これは思いもよらない結果になるだろうと思う。いずれにしても非常にこれは重大な問題だろうと思います。特に当面する水産物等に対する二百海里問題等の中での問題等考えてみるときに、まことにこれは不適切な処置であると、こういうように私は考えるのでありまして、この点はひとつ科学技術庁の方でも真剣に再検討してもらいたい、こういうように思うところであります。
 それから、続いて一つ伺いたいと思うんですが、この海洋投棄については固めて入れるという、投棄をするということが言われているようでありますが、この技術はどの程度までいっているものか、参考のために伺いたいと思っております。
#74
○政府委員(伊原義徳君) 低レベルの固体廃棄物の海洋処分につきましては、一般に現在行われております方法は、ドラムかんの中に低レベル固体廃棄物をセメントで固化する、こういう方法が考えられております。で、固化体は五百気圧の高圧――高い水圧試験あるいは落下時の衝撃試験、長期にわたります浸出試験などを行いまして、その健全性を確認するということになっておりまして、その関係の原子力委員会の指針もございますので、私どもといたしましては、もしこれを実施いたします場合には、十分その点からの安全性の確認をいたす所存でございます。
#75
○赤桐操君 コンクリートで固化したものというのは、せいぜい数十年しかもたないんじゃないですか。私はそういう面から見まして、海洋処分のこの固化の技術あるいはまた容器等の研究もきわめていま不十分な中に置かれていると思うのですね。その点についてはいかがですか。
#76
○政府委員(伊原義徳君) 数十年しかもたないであろうものを評価いたしますときに、瞬時にして壊れるという前提で、つまり非常に厳しい条件での評価をいたすわけでございます。評価はそういうふうに厳しい条件でやるわけでございますけれども、しかし、この容器が長くもつということはそれはそれなりに望ましいことでございますので、そういう観点からいたしまして、先生御指摘のようにさらにこの関係の技術は改良をさせる必要があると存じております。
#77
○赤桐操君 アメリカで海洋投棄を行って、そのドラムかんの容器から排出された核種物質を中心にして検討した結果が出ているようでありますが、周辺の海底においては廃棄物からの放射性核種がかなり出ている、汚染されているということを明らかにいたしているようであります。海底のそのどろの中からはセシウムあるいはプルトニウム239、240、こういったものが普通レベルの数倍ないし数十倍の形で出てきておる、検出されたと、こういうことも私たち聞いております。要するに、この海に投棄したものは海以外には行かないんでありまして、いかに海洋投棄の配慮をしてみても、それは結果的には、隔離をするということはしょせんはできなくなるのではないか。こういうものをいまわれわれが行う。そして何十万年にわたってこの廃棄物は汚染物質を放出していくわけでありまして、言うなれば半永久的なそういうような問題をわれわれはいまやろうとしているわけですね。これは私は重大な問題だと思うんです。このことについてどうお考えになりますか。
#78
○政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘のとおり、米国におきまして、かつて海洋処分をいたしましたものが、その後の追跡調査によりまして周辺の海底に数倍ないし数十倍のものを放出しておるという、そういう実績はあるようでございますが、これはいずれも放射能汚染という観点からいたしますと、人体に害を及ぼす程度のものではございません。御承知のとおり、この海洋、海水中には自然放射能が、非常に膨大な量のものが含まれておるわけでございます。あるいは原水爆実験に伴います放射性降下物、そういったものもまたあるわけでございまして、そういうものと比べて非常に少ないからいいというわけではございませんけれども、この低レベルの固体の廃棄物というものの影響は、私どもとしては、先ほど申し上げましたように非常に低い、ほとんど無視できる程度のものであると現在考えておるわけでございます。ただ、何度も申し上げますように、だから安易な態度でやるということでは絶対ございませんで、今後ともこの問題につきましては十分慎重な態度で臨みたいと考えております。
#79
○赤桐操君 海洋投棄問題については、私もなおいろいろと問題多いところであるし、国民の恐らくコンセンサスを得るには大変な問題だろうと思います。そういう意味で科学技術庁の方でも真剣にひとつ対処をしていただきたいと思います。
 次に、この輸送問題について若干伺っていきたいと思います。
 わが国の場合におきましては、昭和五十年度末には原子力発電が六百六十万キロワットに達しております。それが今日では実に十三基に及ぶところの発電所が動いているわけでありまして、建設中があと十一基、計画中が四基と、合計で二十八基の施設になっているようであります。やがて昭和六十年度末で五十七基、四千九百万キロワットに想定をいたしておるようであります。そこで、いままでもいろいろと核燃料物質あるいはまた使用済み燃料、放射性廃棄物、こうしたもののいろいろ移動がなされてきたと思うんでありますが、今日までに行われてきたこれら一連の状況、こうしたものについてひとつ説明を願いたいと思います。
#80
○政府委員(伊原義徳君) 放射性物質特に核燃料物質の輸送の実績につきまして御説明申し上げます。
 現在までの輸送につきましては、主として原子力発電所の燃料として用います新燃料、それを加工いたしますための原料としての濃縮ウラン、そういったものの輸送が主体でございますが、そのために使用済み燃料の輸送も一部行われております。たとえば四十八年で申しますと、六弗化ウランについては八回、酸化ウランについて八十三回、それから軽水炉の新燃料につきまして二十二回と、こういうふうな回数で輸送が行われておりますのに対しまして、使用済み燃料については四回というふうなことになっております。四十九年、五十年、五十一年それぞれ数字がございますが、ほぼ似たような傾向を示しておるわけでございます。これらの輸送につきましては原子炉等規制法に基づきまして所要の規制をいたしておりまして、その技術基準等につきましても十分な検討を行っておる次第でございます。
#81
○赤桐操君 水産庁それから気象庁、海上保安庁、結構でございます。
 いろいろの輸送機関を通じて行っていると思うんでありますが、ひとつ具体的なもので伺いたいと思いますが、東海原子力センターの方に運び込まれている各種の物質があると思います。で、このそれぞれの物質はどこの港から入ってどういう経路を経て着けられてきているものか、これをひとつ伺いたいと思います。
#82
○政府委員(伊原義徳君) 六弗化ウランなどを米国から輸入いたします場合には、おおむね東京港がいままで使われておったと承知いたしております。
#83
○赤桐操君 先ほども長官の御説明にもありましたが、ホットテストをこの夏か秋ごろには予定されておるようであります。これに用いる燃料はどこから求めたものをお使いになるのか。さらにまた、テスト後はどういう処置をお考えになっているのか伺いたいと思います。
#84
○政府委員(伊原義徳君) 動燃事業団の再処理工場のホットテストに用います使用済み燃料といたしましては、まず施設の隣にございます日本原子力研究所で持っておりますJPDRと称します小型発電炉の使用済み燃料を考えております。これは、専用道路と申しますか、その施設内の道路で輸送をされる。それからさらに東京電力の福島第一原子力発電所、それから関西電力の美浜原子力発電所それぞれからの使用済み燃料を輸送する予定でございまして、これは海上輸送で考えておりまして、それぞれの発電所の積み荷の施設から専用船に積み込みました上で東海村に運びまして、そこの専用の陸揚げ施設で陸揚げしました後、専用道路で再処理工場まで運ぶ予定にいたしております。
#85
○赤桐操君 そうしますと、大体、船の入ってくる経路というものがあると思いますが、この船は東海村のどこへ着くんですか。
#86
○政府委員(伊原義徳君) 日本原子力発電株式会社の専用の埠頭がございますので、その施設を使用する予定でございます。
#87
○赤桐操君 使用済み燃料が船で輸送されてくる、こういうことでありますが、この周辺の漁民の人たちは、関係沿岸の人たちは了解をしているんでしょうか。
#88
○政府委員(伊原義徳君) 特にこの問題についての異論はないと承知いたしております。
#89
○赤桐操君 これは異論がないということよりは、知らされていないからわからないんじゃないですか。したがって、漁民の皆さんは知らずにいるんじゃないんですか。そういうようにはお考えになられませんか。
#90
○政府委員(伊原義徳君) 特に茨城県におきましては、地元の漁連、漁協との間に安全協定が結ばれておると承知いたしておりますので、その点、特に問題はないと承知いたしております。
#91
○赤桐操君 いままでいろいろ輸送された各種物質についての今日までの輸送の全体について、まとめて後でひとつ私の手元まで御報告を願いたいと思います。
#92
○政府委員(伊原義徳君) できる限り資料を整備いたしました上で御報告いたしたいと思います。
#93
○赤桐操君 さらに同時に、先ほど長官は事故ではなくて故障というものもあると言われたけれども、故障を含めていままであった問題をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。それから、輸送関係の中で特にいろいろの故障なり事故なりがあったと思いますけれども、そうしたものを細大漏らさずひとつあわせて御報告を願いたいと思います。
#94
○政府委員(伊原義徳君) 輸送につきましての事故例につきましては、赤桐先生からかつて御指摘をいただきましたので、それにつきまして私どもも至急調査をいたしたわけでございます。確かに先生御指摘のようなことはあったわけでございますが、私どもの調査によりますと、燃料体を積んだトラックが二台連続して進行中、後の車が前の車に追突したと、こういうことがあったわけでございますけれども、警察の確認によりますと、運転者の傷害はありましたが積み荷の燃料体についでは何らの被害がなかったと、こういうことでございます。そういうふうなことで、原子炉等規制法に基づく報告が行われておらないということでございます。こういう問題は、起こるということは決して好ましくないことではございますけれども、幸いにして燃料体には何ら異状がなかったということでございまして、いままでのところ、輸送中に事故ということで放射性物質が漏洩したというふうなことは、幸いにしてわが国においてはないと承知いたしております。
 なお、今後、この実績をさらに続けてまいりたいと存じております。
#95
○赤桐操君 柏の事故については、私から指摘されてからお調べになったんですか、それとも御承知になっておったんですか。
#96
○政府委員(伊原義徳君) 先生の御指摘をいただきましてから調べたわけでございます。
#97
○赤桐操君 私もそういうようにこの間の質問では受け取ったんでありますが、私はやはり多少そうしたような事故であっても、いわゆる事故にならない問題であったとしても、これはやはりきわめて重要な問題だと思うんです。そういうものが掌握されていないというと取り返しのつかない事態が発生する、こういうことが私は起こり得ると思うんです。
 いまひとつこれから具体的なもので質問いたしたいと思いますが、核燃料の被覆材というのはジルカロイという合金で覆われているようであります。しかし、御説明によればペレットは摂氏千度で焼き固めてあるから安全であると、こういうように説明されておりますね。前回の安全局長の御答弁によっても、ガソリンによるところの自動車の火災ぐらいでは心配ございませんと、こういう説明であったと私は記憶しています。しかしながら、機械的な衝撃等による物理的な事故が発生したときには、私はこれは非常に弱い体質じゃないだろうか、こういうように思う。爆発的に燃え上がる、こうなったときは温度も相当上昇する、被覆材が破れる、そういう中でウランが外に漏れて出てくる、こういう状態になるだろうと思うんです。で、このウランが外に出るということは、これは必ず考慮しておかなきゃならない問題だと思うのでありますが、機械的な衝撃に対する安全性の配慮、こうしたものについてはどういうようになっておりますか。
#98
○政府委員(伊原義徳君) ただいま御指摘のような事故の想定をいたしまして、機械的にどの程度の破損があるかというふうなことでございますけれども、私どもが輸送の容器の基準につきまして検討し、その安全性についての証明を出す際には、その辺の想定も十分踏まえました上で審査をいたすわけでございます。特に使用前のウランにつきましては、これは前回も申し上げたと思いますが、手に持っても特に差し支えない程度の放射性物質でございます。そういうふうなことでございますので、被覆管が破れるようなことがもしあるとしましても、それは非常な大きな影響を及ぼすものではないと考えております。
 なお、現在のいろいろの安全評価の際には、想定される交通事故等におきまして、そこまでの大きな影響は及ばないであろうということでありますけれども、先生御指摘のとおり、この問題につきましては十分今後とも慎重な配慮を続けてまいりたいと思っております。
#99
○赤桐操君 専門家の意見によりますると、なるほどこの前あなたが御説明になったように、ガソリンの燃え上がった自動車の程度では直ちにこの被覆材に影響はないと、しかし、これが物によってはかなりの衝撃といいますか、そういうものによって高温に達する場合があります。あるいはまたガソリンだけでなくて、衝突事故というものはかなりの実は高温に達する物質を積んでいる自動車と衝突する場合もあるわけですね。これが燃え上がるということになれば、これは少なくとも八百度や千度ではないと思うんです。必ずしも八百度や千度の範囲内でおさまるものではない。こうなったときに、ジルカロイというこの金属とウランとの結合がある段階にくると始まってくる。そうなると、これは完全にウランは外へ出てくる、こういう現象になるということが学者の皆さん方から話が出ておるようであります。それで、この場合におきまして予想される想定はいろいろあると思いますけれども、そういう意味合いからするというと、いま言われたような果たして安全なものであるか、化学反応がいろいろな形で高温に達した場合出てくるのではないか、この中からはいろいろなものがさらに放出されてくるのではないか、こういうように思いますが、その点はいかがですか。
#100
○政府委員(伊原義徳君) 先ほどの安全基準につきまして少し追加させていただきますが、現在の輸送容器につきましては、たとえば九メートルの高さからの落下衝撃にも耐え得るように、あるいは八百度の火災、そういった条件下で密封性、遮蔽性等が十分基準を満足する、そういうふうなことが評価の基準になっておるわけでございます。
 そこで先生御指摘のウランとジルカロイの反応なり、その他科学物質が出てくるという御指摘でございますが、これは原子炉の事故におきまして、原子炉の中で一次冷却水が喪失するというふうなそういう想定をいたしました場合には、確かに先生御指摘のようなそういうことはあり得るかと思いますが、新しい燃料につきまして、それが輸送中の事故で御指摘のような反応が起こるということは、なかなか想定がしにくいのではないかと考えております。
#101
○赤桐操君 いろいろ専門的な立場で御検討になっておられると思いますけれども、火薬類を満載したものと衝突しないとも言えないわけであるし、あるいはまた高温に達する物質としてはアセトンとかその他たくさんの物質があるようであります。こうしたものを満載した自動車と衝突した場合にはどういう事故になるのか、そうしたことはいろいろと想定されるだろうと思うんです。そういう意味で、私は安全である、安全であるという物の言い方だけですべてがどうも通されているように思うんでありますけれども、そんなに安全なものならばそう心配はないんでありますけれども、余り安全だと言われますと、次々と実はこういう疑問がわいてくるんですよ。こういう程度に対してはこういう処置がしてございますと、こうしたものに対してはこれはもうバンザイでございますと、これはそういうことが当然あり得ると思うんです。そういうことがなぜ親切に明らかにされないのかと私は思うんですがね。たとえば柏の事故にしても、指摘されなければあなたは御承知にならないと、こう言うわけだ。指摘されれば事実あったと、こう言うわけでしょう。あれがもしいま申し上げたような各種の高温に達する物質を積んでいたとするならば、私はただで済まなかったのではないかと、こういうふうに思うんですが、どうですか。
#102
○政府委員(伊原義徳君) 安全性の問題については、御指摘のとおり、慎重な上にも慎重な態度で臨まなければいけないと考えております。
 それから柏の件につきましては、警察の方の判断といたしまして、これは核燃料体には何らの被害もないということでございますので、一般の交通事故ということで処分されておるというふうに承知をいたしております。
#103
○赤桐操君 これらの核燃料物質等を輸送するに当たりましては、この遮蔽した容器が用いられているようでありますが、このキャスクについての設計なり認可なりする行政官庁はどこでございますか。それから、製造メーカーの提出した設計等を適切にこれを評価できる専門知識を持った専門要員はどのように配置されているのか、この点ひとつ伺っておきたいと思います。
#104
○政府委員(伊原義徳君) 使用済み燃料の輸送容器につきまして、現在科学技術庁におきましてこの設計の審査を行っております。科学技術庁といたしましては、関係職員が、十分に能力を備えた職員がこれの審査をいたすわけでございますが、さらに御専門の立場の学識経験者の御意見も十分徴することができるようにいたしております。そういうふうなことでございますので、今後ともこの使用済み燃料輸送容器につきましては、国産でつくります場合に十分の物を設計、製作し、さらにそれの検査につきましても科学技術庁といたしまして十分の措置をとりたいと思っております。なお、現在使用されております使用済み燃料輸送容器は、主として外国製の物を借用いたしておりますが、これも当然国際的な技術基準に合致した物が使われておるわけでございます。
#105
○赤桐操君 いまも申し上げたわけですが、かなり高温に達するそういう物質との衝突や、予期しない事故が発生したときには、いまのキャスクでほほとんどこれは溶けてしまうんじゃないかと、こういうふうに言われております。恐らく大体そういうことになるだろうと思うんでありますが、そうすると中の物体が出てしまうわけでありまして、それが今度もろに火をかぶる、こういうことになるわけで、先ほど私が申し上げたような形で化学反応を起こし始めていくと、そういうことになってくるだろうと思うんであります。で、お伺いしたいと思うんですが、不幸にしてこうした事故が発生したときに、高温に達して溶け始まってくる、この場合には中の燃料物質はそのままの状態でおるんですか。
#106
○政府委員(伊原義徳君) 使用済み燃料の輸送容器につきましては、主として放射線の遮蔽という観点から非常にがんじょうな容器が使用されるわけでございまして、鉄、鉛等を使いまして十分な遮蔽が行われております。そういったことの副次的効果といたしまして機械的強度も非常に強いものになるわけでございます。そういうこともございますので、衝突をしてこの輸送容器が壊れるということはなかなか想定しにくいと考えられるわけでございます。なお、それにいたしましても、先ほど申しましたように、落下衝撃に対して耐えるかどうか、あるいは火災が起こってその火災の中で耐えるかどうかという試験は十分いたすわけでございますし、それにつきましては国際的な技術基準がございますので、わが国といたしましても、その国際的技術基準を踏まえまして原子力委員会で基準が作成されておりまして、その基準に基づきまして十分安全な輸送容器を作製するということが行われるわけでございます。
#107
○赤桐操君 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律がございますが、この中の五十九条を受けて、放射性物質車両運搬規則第九条ですか、ここには放射性物質の混載についての条件が出ておるようであります。混載制限、これは私はここに出ているようなものは当然混載制限されるのはあたりまえだと思うんでありますが、ぶつかったときとかそういうのは、混載の状態と同じだと思うんですよ。そういう意味で、これはやはりこの問題は相当真剣にかからないと大きな事故になるのではないかと、こういうように私は実は考えるわけです。で、繰り返すわけでありますが、衝突事故が発生してかなりの風圧なども伴う、高温に達したときに中のペレットや何かが全部出てしまう、そうしてその物質が飛び出すという状況になってきたときには、これは火をかぶるわけでありますから、当然そこにはいろいろの化学反応が出てくると思うんです。こういう場合には想定される幾つかのいわゆる物質が出てくると思いますが、そういうものについては御検討はなされておりますか。
#108
○政府委員(伊原義徳君) 先ほども御説明申し上げましたように、使用済み燃料輸送容器はきわめてがんじょうなものでございますので、そこからたとえばウランのペレットが飛び出すというふうなことは非常に想定しにくいと考えておりますが、いずれにいたしましても、どの程度の事故を想定し、どの程度で安全と考えるかということにつきましては、国際的な技術基準がございます。その国際的技術基準を踏まえまして、わが国も十分な安全が確保できるように基準に基づいて容器を製作し、検査し、これを使用する、こういうことになる次第でございます。
#109
○赤桐操君 事故が発生したときに、当然そこには被害をこうむる人たちが出てくるわけてあります。この場合に、その原子力の損害をめぐる賠償請求権といいますか、これは民法の原則に基づいて二十年となっておるように思いますが、この点はいかがですか。
#110
○政府委員(山野正登君) 核燃料物質の運搬に際しまして、万一、おっしゃるような原子力損害を一般公衆あるいは輸送業者の従業員に与えました場合には、原子力損害賠償法の賠償措置によりまして無過失の損害賠償というものが行われることになっております。また、原子力事業者の従業員につきましては、労災保険によって災害補償が行われるということでございます。
#111
○赤桐操君 その原因者によるところの負担が当然これはなされるということになるわけでありますが、この場合の被害というものは私は直ちにあらわれないものがかなりあると思うんです。それで、特に晩発性障害、そういう性格を持つ特性を考えてみるときに、この二十年という民法の補償というものはいささか妥当性を欠いているのではないだろうか、こういうように感ずるんです。で、救済しなければならない状況が発生した場合、あるいはまた、さらにいろいろ遺伝その他等も影響する場合もあるでありましょうが、ともかくそうした事態が発生したときに、原子力事業者はその場合においてはもう免責になっておるんじゃないですか。こういう問題等については検討はなされているのかどうなのか伺っておきたいと思います。
#112
○政府委員(山野正登君) 原子力委員会の中に原子力事業従業員の損害補償専門部会というものを設けまして、この原賠法に絡みます各種の問題につきまして御検討願ったわけでございますが、その中に放射線被曝と傷病の因果関係の認定問題につきましてもいろいろ御審議を願っておりまして、その一環として、この専門部会は一たん閉じてはおりますけれども、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#113
○赤桐操君 大変原子力発電所も次々とできてきておりまするし、頻繁な核物質の輸送が行われていく。アメリカ等においては、その事故の状態というものは大変なものを示しているようであります。ですから、やはり日本の場合においてもこうした施設が増大され、あるいはまた各種の輸送が激しくなってくるということになりまするというと、同じような状態が出てくるように私は思うんです。こうした場合に、当然考えておかなければならぬのは、いまの損害賠償制度の問題だろうと思いますが、いま私が申し上げたように、二十年たっていろいろとどうも検討した結果、医者が判断してみても、これは当時の被害によるものだというように判断されても、そのときにはもう免責の状態に置かれていると、こうなってきたんではこれはどうにもならぬと思うんですね。こうしたものについて少なくとも法改正等について検討すべきだと思いますけれども、こういうものについての考えはいかがですか。
#114
○政府委員(山野正登君) ただいま原賠法につきましては先生御指摘の問題もあり、またそれ以外に原子力事業者の従業員を本法の対象にするや否やといったふうな問題もございまして、ただいま事務的に検討しておる段階でございます。
#115
○赤桐操君 現在の法規によりまするというと、輸送、運搬、こうしたものについて、あるいはまたキャスクのいろいろ状態等々にいたしましても、これは率直に言ってそれほどの厳しい規制をする審査委員会とか、そうしたものが持たれているわけではないわけでありまして、特にまた前回の質問の中でも私は申し上げましたが、輸送体系全体についても総合性がないと、それぞれ各省がばらばらの形でもってやっている。出先の方では事件が起きてもそれに対する対応の処置を知らない。そういう警察なりあるいはまた消防庁の立場等も現実にある。こういう状況にあるわけであります。で、いま一連のこうした状態をずっと考えてみると、実際には、まあ規則があるといってもこれは精神的な規制にすぎないんであって、これに対する本格的な規制措置という、そういう裏づけられたものではないように思いますね。輸送の安全性等を含むこの審査をきちっとできるような体制、そういうものを裏づけた総合的な交通体系というものは必要だと私は考えるわけでありますが、前回におきましては、前長官が明らかにされておりましたけれども、この指摘に対して、それはぜひひとつ検討いたしたいということを明らかにいたし、法案の準備等についても考えられる旨を明らかにされておると思います。私は、その場合に、コンビナート地帯において総合的な事故発生に対する対策として、コンビナート法、総合的な法規としての、各ばらばらでなくて、総合的な性格を持つコンビナート法の制定も必要であろうということで、かつて私が地方行政委員会で提起をして、水島の事件の後でこの問題が具体化された経過があります。今回私はそのことをいま思い起こしているわけでありますが、少なくとも規制等についてもっと総合的な形で交通体系等の処置をしていくことのできるような、そういう法規の確立を急ぐべきだと思うんです。で、この国会に少なくとも提案されるであろうと私は期待しておりましたけれども、この点についてはどのようにお考えになりますか。
#116
○政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘のとおり、核燃料物質の輸送につきまして、これは慎重の上にも慎重な態度でやる必要があるわけでございます。現在の法規に基づきまして私どもは万全を期しておるわけでございますが、さらにこの制度の改善を図る意味からいたしまして、今国会に関係法規の改正についての御提案を申し上げております。具体的には、原子力基本法等の一部改正法案の中におきまして、原子炉等規制法の改正というものを御提出申し上げております。その中身といたしましては、輸送につきまして、各省庁の責任の分担の明確化という観点からいたしまして、輸送物の規制は科学技術庁が一元的にこれを行う、それから運搬の方法の規制につきましては運輸省が一元的にこれを行う、こういう考え方にいたしております。なお、安全の基準の適合につきまして、所管大臣が必要に応じてそれぞれ確認の措置をとるということにつきましても新しい条項を設けております。また、都道府県公安委員会への届け出の制度、こういったものも新設をすると、こういう内容になっております。
#117
○赤桐操君 安全局長がいま言われた規制をめぐる問題については、別途私は別な場所で討論に入りたいと思いますが、私が前回から申し上げてきておるのは、この総合的な規制を実は主張してきているわけであります。それで、前国会でも私は申し上げましたけれども、非常にこれは重要な問題なんであって、そうした規制が行われるような体制ができるまではこれはやはりいろいろの物質の輸送、移動というものについては考えなきゃならぬのじゃないかと、こういうふうに実は考えるのです。まあいままでの輸送方式等についてはかなり問題点があるので、科学技術庁の方でもいま説明されたような意図で法案の提起をしてきていると思いますが、この法案というものが改正されてでき上がる必要があるから出してきていると思うんでありますけれども、それまでの間の輸送措置等については一応中止をして、万全の態勢ができてから行うと、こういう考え方はございませんか。
#118
○政府委員(伊原義徳君) ただいまの法改正案の趣旨といたしまして、従来の所管官庁の責任分担の明確化ということがやや欠けておったというふうな観点もございましてこの法改正を御提出申し上げておるわけでございますが、現在の体系でもって安全上特に非常に支障があるということではございません。ただ現在の法規につきましてさらに改善をいたしたいという疑旨のものでございます。
 なお、総合的観点からということにつきましても、現在原子力委員会の中に核燃料安全専門審査会が設けられておりまして、総合的な観点から各種の基準の整理その他を検討をすると、こういう態勢になっております。
#119
○赤桐操君 どうもその安全局長の御説明は、事故が発生してからでなければこの安全に対する必要性がないように私は伺うんですがね、あなたのさっきからの御答弁は。今回のこの問題については安全性がないから出すんじゃなくて、よりよくするから出すんだと、こういうことを言われていますけれども、事故というのはいまずっと一連の問題として私も指摘しておりますけれども、それはそうした可能性があるんじゃないですか。そうだとするならばあなたの方の考えはわかるけれども、議会の十分な論議を経て、国民のコンセンサスを得た中でそうした取り運びがなされるのが筋だと思いますが、この点については長官どのようにお考えになりますか。
#120
○国務大臣(宇野宗佑君) 安全性確立問題に関しましては、もう本当にこの国会を通じまして衆参両院いろんな委員会で各党から貴重な御意見を承ってまいりました。なればこそこの国会におきましても原子力基本法、これを改正するというところまでの思い切った措置をとりましてやってまいりましたのでございまして、いずれまたその個々の法案に関しましては御審議を賜ると存じますが、われわれといたしましても、常にやはり原子力行政の第一義は安全からだということをもう一つの哲理として今後も行政を推進してまいりたいと、かように存じておりますから、起こってから言うんじゃなくして、現在のところも起こり得べきことがもし仮にあらばというふうなことで、十二分にその点は御意見を拝聴しながらやってまいっておる所存でございますので、格段の御理解を賜りたいと存じます。
#121
○赤桐操君 いまの問題は別な機会があるようでありますから、そこでひとつ大いに論争したいと思いますが、いずれにしましても以上申し上げた安全をめぐる問題は、コンビナート地帯におけるところの事故とはおよそ次元の違うものでありますから、十分に私は取り組むべき立場にあろうと思います。長官のひとつ誠意ある今後のこれに対する取り組みをお願いをしておきたいと思います。
 私の質問を終わります。
#122
○理事(塩出啓典君) 午前の質疑はこの程度にいたしまして、午後一時まで休憩をいたします。
   午後零時四分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十五分開会
#123
○委員長(柏原ヤス君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
 速記とめてください。
  〔速記中止〕
#124
○委員長(柏原ヤス君) 速記を起こして。
#125
○福井勇君 正一時から三十分、自民党を代表して質問申し上げることになっておりましたが、十五分過ぎましたので、大臣が大事な御用件があったという話で、私はやむを得ずあと十四分三十秒に短縮することで質問申し上げます。
 それでは、三十分分のどれを切ろうかちょっと迷っておりますが、午前中に海水汚染問題がちょっと取り上げられましたので、その点を若干触れてみたいと思いますが、原子力船「むつ」が起工される前後には、オット・ハーン号はすでにハンブルグにおいてずっと先に着手されておって、当時国会からも二度も三度も、そのころ原子力船というものが日本の造船界の将来を取ってかわるであろうという大きな望みで出発したとおりでございます。ところが現在「むつ」はごらんのとおりでございますから、このことについては言及いたしませんが、オット・ハーン号ですらうまくいかなかった。しかし軍事力の方面に使っておるアメリカの、またソ連の、またはイギリスの、そういう方面の原子力潜水艦は、以前のディーゼル・エレクトリック・プロペリングからほとんど取ってかわってしまっておる。
 私たちはいま海水の汚染を――午前中に貴重な質問がありましたが、そういう面からのみ現在論議されておりますが、日本海でも太平洋でも大西洋でも、ソ連、アメリカの原子力潜水艦によって相当私は原子燃料の放棄などの比じゃないほど影響を受けておると思うんです。そこで、現在アメリカの原子力潜水艦あるいはソ連の原子力潜水艦がどのぐらい動いておるか、内々調査したものがありましたら答えていただきたい。
#126
○国務大臣(宇野宗佑君) 私もそうした方面には非常に関心を抱いておりますので、過般尋ねました。現在、日本海及び千島、カムチャツカ方面を一つの区域としてお話を申し上げますと、大体ソ連で百隻動いているということであります。アメリカがあるいはそれの半分ぐらいかというのが通説だと、こういうふうに承っております。
#127
○福井勇君 その程度で結構でございます。実際の状況は日本で調べたってわからぬであろうという私も予想を持っておりますが、そのぐらいの大づかみの状態で私は日本の調査ではやむを得ぬと思っております。
 私は、前田正男君でしたか佐々木義武君でしたか、ちょっといま忘れましたが、アメリカの原子力潜水艦に、基地に参りまして二度米国へ参りまして乗ってみました。微力でありまするが、こちらも科学技術者の一人として、昭和二十九年、いま長官の親分である――親分であるというのは記録にはいかぬが、心酔者である中曽根先生と私とで、実は日本の原子力政策について一億数千万円の最初の予算を組みました。その作業は私と当時工業技術院長をしていた駒形作次君と二人でやっただけです、中曽根先生の指揮を受けて。それからもうすでに二十何年になりますが、そのことを実はここ二、三時間質問申し上げたかった、記録に残したかった。ほかに機会があると思いますのでそればそれとして、その当時から、この科学技術対策特別委員会は、与党、野党を問わず非常に衆議院、参議院とも脚光を浴びまして、民間の方では原子力産業会議が非常な熱を入れた。原子力産業会議の背景は、東京電力から関西電力から九州電力、北海道電力まで全部を含め、また製造メーカーも参加して急速な飛躍を遂げましたことは長官も御存じのとおりであります。
 ところが、だんだんだんだん飛躍してまいりますと、原子力産業、原子力発電所が、世界各国にこのとおりどんどん従来のエネルギーの代がえとして発展してまいりますと、ここ十五年ぐらい前から日本では、土地問題並びに原子力アレルギーが広島、長崎等の経験から、他国よりもはるかに重荷となってあらわれていることも御存じのとおりであります。現在立てられておりまする日本の原子エネルギーの、原子力発電所の計画というものは、これらのインターフィアを――インターフィアとは言えぬかもしれませんが、これらの難点を解決していって、スムーズにいったとして出てきたところの予想表であります。そこで、北海道電力一つをとりましても、これから岩内付近に七十万キロワットぐらいのものをつくらなきゃならない。土地の問題もさっぱり片づかない。東北電力にしたって同じこと。だんだん下がってきてもう中部電力でもどこでも、土地の問題で二年、三年、五年を浪費しております。民主主義の世界では時間がかかるんだという予備知識がお互いにありまするからしんぼうはしておりまするけれども、このままでいきますというと、土地の取得と――原子力発電所は大体海岸に置かなきゃなりません、そうすると、漁業補償という問題がいままでよりもどんどんどんどん値上がりしてまいります。
 私は、そういうことについて、いま宇野科学技術庁長官が置かれました立場で一人で苦心惨たん、行動力のある長官ですから、いままでのような、まあ片づけ仕事に持ってこられた大臣もだいぶあります、全部じゃないけれども。そういう人と違って、宇野長官が一人でいま奔走しておられる姿は本当に頭が下がりますが、たとえば一電力会社が、いま申し上げたような問題について、いま難行苦行しております。政府として何らかの手を差し伸べて、また国会でも与野党一致してこういう解決について手をかしてあげると。もちろん私も相当年輩ですから、こういうところで右から左にこれで解決するじゃありませんかなんというようなそんな単純な考えは持っておりません。それは難儀なことです。ですけれども、現在では一電力会社が自分のふんどしだけで難行苦行しておる、一口に言って。科学技術庁も手をかしております、あるいは所管の都道府県知事等も非常に手をかしております。けれども、政府のまとまった立場で、たとえば金融関係で経済閣僚会議でこれをひとついろいろの問題を解決するとかいうような、大きく取り上げるように、この席で私は、私ではいい知恵が出ません。宇野長官あたりにおかれて、こういうことを解決するような何らかの、福田内閣がかわっても、次に中曽根内閣ができても、その次に宇野内閣ができても、どんどん原子力政策が他国にひけをとらないようにピッチが上がるように、何らかの措置をとっていただきたいというのが私の心からの願いです。
 たとえば、これはだれでも知っておる――だれでも知っておるとは言わぬが、たとえば伊原君などは耳にたこが当たるほど知っておる、原子力アレルギーといいますれば、とにかく海水が汚染される、付近に原子力の汚染に関するいろいろの農業被害があるというふうに思い込んでおります、「むつ」以外の原子力発電所のことですけれども。現に、ごらんのとおり、インディアンポイントの放水路の水をニューヨークの市民が飲んでおるじゃありませんか。そういうようなこと、またヤンキーの発電所だって、もう古くなっちゃったけれども、あの湖の水はずうっと下流に流れておる。コールダーホールだってそうです。コールダーホールだって事故があった。事故があったけれどもその後あそこの海岸の貝はとられておる。とられておるということは、採取されて別に食べるのを禁止しておるようなことはないと聞いております。私たちは数回行っておる。一度事故があった。ちょうどヒントンが日本へ来ていろいろ開発を指導しておった当時のことです。概して海岸につくらなきゃならぬというのは原子力発電所の宿命でありまするけれども、あながち今後はそうばっかりとはいかない。日本だって山の中へつくらなきゃならぬときも起こります。それは水が十分供給されればいいのであって、海外では山の中へつくっておる例もある。一番先はヤンキーにその例がちゃんと示されておる。ドイツやフランスあたりにも、大体川に接したところが原則ではあるけれども、山の中にあるのもある。
 そういうことを申し上げていきますととても三十分ではだめでございまするが、そういうようなむつかしい問題が科学技術庁だけに集約されて難行苦行されておるという姿は、これは新しい科学技術の日本がしょっておる宿命としては、この解決に科学技術庁だけがしょっておるというには重荷過ぎる。これは新しい人類の新たな経験しなきゃならない事業、エネルギー政策であるだけに、私はもう少し大きく取り上げてほしい、こういう気がいたします。
 それから、この問題はたくさん問題を含んでおりまするから、私は他日時間を与えられたときにお尋ねすることにいたします。以上の問題はそれをもって私のまあ趣旨説明というふうにおとりいただきたいと思います。
 それから科学技術庁ができてから今日まで日本の原子力発電を支持し、このようにサポートしてまいりましたその背景は、一番先は科学技術庁のアタッシェの力が非常に大きかったと思う。その初期のアタッシェは村田浩君やら現在の局長の伊原君たちが西も東もわからないときに本当に難行苦行してそのニュースを絶えず夜も昼も眠らずに東京へ送ってきたのを、私は国会などにもすぐまた回してもらって見た。それは大変な難儀だったろうと思う。その功績というものは私は偉大だと思っておりますが、現在科学アタッシェがどのぐらい、いま一つかみでどのぐらい行っておりまするか、ちょっとお尋ねしておきたい。
#128
○政府委員(山野正登君) ただいま九名の科学アタッシェが海外におります。
#129
○福井勇君 私はその数もほぼ知っておりました。そんなことではとても日本の原子力政策の一つだけでも――科学アタッシェというのは原子力だけじゃありませんから、そんなことでは零が一つ違うんです。現在原子力だけを、私はきょうの質問は原子力だけに限ろうと思いましたが、科学技術対策委員会ですから、ほかにも足が滑るかもしれませんが、それでは初期の十年、二十年前の人数とほとんど変わらないと言ってもいいぐらいです。もう一つ零を余分につけるぐらい飛躍するように長官で取り計らっていただきたい。
 それから現在科学技術庁から、いろいろ文部省と相談して、在外研究員の助成をして勉強させておる者も大分あります。その形態はたくさんあります。文部省の系統もあるし、また科学技術庁の系統もあるし、それから自費で、本省とは何の連絡もなくして、たとえばカリフォルニア大学の原子力科学なら原子力科学で勉強しておる、それから海外留学の途中でOECDのジュネーブの合同原子核研究所へ入ってそのまま五年、十年とやっておるというような者もある。それから各電力会社は科学技術庁に頼らずに、東電は東電、関西電力は関西電力としてどんどん海外にその所属するシリーズの会社または研究機関にたくさんの技術者を派遣しております。たとえば三菱を例にとってみれば、ウエスチングハウスの方へ膨大な人間を送っておる。また三井系で言えば、まあウエスチングハウスばっかり言っちゃ不公平になるからゼネラルエレクトリックの方も言わなきゃならぬとすれば、この方面に対してずいぶん政府以上の派遣をしております。まあ言葉をかえて言えば、政府頼るに足らずということで、自前でひとつ研究しようというので、十年、十五年前から本当にりっぱな技術者を養成してそれぞれの原子力発電に貢献をしております。それらの数が実はどのぐらいになるかということを一月、二月かかって調べていただきたい。海外研究員を出した数、たとえば北海道電力は従来どのぐらい出したか、東北電力はどのぐらい出したか、九州電力はどのぐらい出したか。一々どこへどういうふうに出したなんていう調べをしてもらいたいなんて言ったらばとても役所の仕事忙しくてしようがないから、人数どのぐらい出したか。北海道電力は十八人です、東京電力は八十人です、合計このぐらいになりますというようなことをトータルを調べていただきたい。これは一月、二月ほど後で結構でございます。それは質問申し上げておきます。
 現在原子力も、原子力潜水艦は先ほど申し上げたとおりに実質的に飛躍しておりますし、また原子力発電所も本当に実用化されてきております。そこで日本の科学技術庁としては善隣友好というようなたてまえやら外交問題も腹へ入れて、隣りの韓国でも北でも台湾でも、あるいは中国でもあるいはフィリピンでも、そういうところへ技術者を提供し、あるいは日本の技術でちゃんとやれるのですから、ひとつあなたの方の原子力発電の方の施設は私の方にやらせてくれませんかと、まあ政府がすぐ言うわけにはいきませんが、そういう方向に持っていくべきだと思います。たとえば最近台湾も九十万キロワットぐらいのものをつくらなきゃならぬというので大体入札が済んでおるようですが、ここまでくるのには約十年ぐらい私は相談に乗っております。日本へ何とかして持ってこにゃいかぬと思っておりますが、日本の方ではBWRでもPWR、Pの方でもBにしても、どっちも決定せぬままで中共の方へほかのことでちょっと目を向けなきゃならぬというようなことから、とうとうほとんど向こうへ目を向けないものだからドイツの方やアメリカの方がどんどんどんどん入ってしまって、いまのところ日本に対する受注という傾向にはない。で、私はその一基でもうけるもうけないということではなくて、少なくとも原子力の発電についてはもう相当日本はリーダーシップがとれる事態になっております。まあ福井勇が保証したって別にそいつを信用してもらうもらわぬは別ですけれども、まあアメリカにしてもイギリスにしても、イギリスなどでも、それはドーンレーやコールダーホールができたころは先進であったといいまするけれども、向こうもあの国の経済によって専門の会社がつぶれたり興ったりつぶれたり興ったりしております。したがって、この会社の製品は唯一無比なものだというようなものがイギリスあたりでも続いておりません。日本はその点では終始一貫してもう相当な会社が、これはまあ会社の宣伝をしちゃいけませんから一切名前は言いませんけれども、相当進んでおりまするから、せめてアジア地域、太平洋のオーストラリアでもニュージーランドまでも含めて日本の原子力の技術の輸出ということを、腕のある宇野長官あたりは閣議でひとつそういう方向に持っていっていただきたい。あしたの閣議に出していただきたいなんとは言いません。そういう意向で、ひとつ大野伴睦先生が積極的に何か大事業をやられたように、大野先生の跡継ぎだと言われておる宇野先生ですから、そういうふうに持っていっていただきたいという私の希望があるわけであります。
 私の時間がもう来てしまいましたから、以上、たくさんでもないいろいろなことを申し上げましたが、最後に長官の御意見を拝聴して私の質問を終わることにいたします。
#130
○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろと貴重な御意見を拝聴いたしまして、まことにありがとうございます。その間にもまた有益なアドバイスも伺いました。最終的のお話でございますが、原子力産業として将来わが国も大いにこれは世界と提携をいたしまして、その発展をこいねがいたいと思うのでありますが、現在ただいまはいろいろアメリカの新政策を初めといたしまして、その安全性に関し、特に世界が模索をし出したというふうな一部もあるわけでございます。したがいまして、現在まだその域に達しておりません日本が、余りにも将来のことに夢を描き過ぎまして、その夢をこうした公式の場で申し上げることがどうであろうかというふうな面もございますので、御意見は十分拝聴いたしまして、まず国内において安全性を確立していかなくちゃならない、そして国民の方々の御理解を仰がなくちゃならないのが原子力政策であると、私はかように存じております。そうしたものを通じまして、世界の安全に寄与し得る、世界の産業、経済に寄与し得る、非常に平和的に寄与し得るという道あるのならば、それはまたわれわれ民族として当然求めなければならない道であろうと、かように存じておりますので、そういう角度で、今後も私どもといたしましては鋭意原子力行政も推進してまいりたいと、かように存じておるところでございます。どうもありがとうございました。
#131
○塩出啓典君 それではまず最初にお尋ねいたしたいと思いますが、エネルギーを将来どうするかと、こういうことが世界的に大きな問題になっておることは、まあ御存じのとおりであります。わが国は特にエネルギー資源の乏しい国であり、またかつ年々エネルギーの消費量がふえてきておる、こういう現状で、これは与野党を問わず、将来に思いをいたすときに重大な問題と言わざるを得ないと思うのであります。そこで政府は総合エネルギー調査会の答申、これはほかのことは省略いたしますが、原子力発電については昭和六十年に四千九百万キロワット、その中間の昭和五十五年には一千七百万キロワットと、こういう計画があり、この総合エネルギー調査会の答申というものを政府の正式な方針であると、計画であると、このように私は理解をしておるわけでありますが、いいのかどうか、これは科学技術庁長官ではないかもしれませんが、閣僚の一人として御答弁願いたいと思います。
#132
○国務大臣(宇野宗佑君) この問題は閣僚の中に、エネルギー問題閣僚会議というのが設けられておりますから、そこで常に議論をするわけでございます。ただいまおっしゃいましたのは、昭和五十年十二月の当時の閣僚会議で決定された数字でございましたが、いかんせん、整合性に乏しい、実行性に乏しいということが二年を経ました今日明らかになってまいりましたので、これではやはり国民の方々に対して確実な指標にはならないではないかというふうな反省の弁もございました。しかしながら極力あの数字に近いところでやはり実行いたしませんと、肝心かなめの国民経済が持続することがはなはだむずかしいのではないかと、われわれはさように考えております。したがいまして、四千九百万キロワットに関しましても非常にむずかしいとは存じますが、では今後それをどうするんだというふうな方途に関しましても、政府は責任を持たなければなりませんし、またその数字につきましても、責任を持たなくてはならない、かような立場で先般の閣僚会議でそのことが議論されまして、そして十二分に整合性、実行性を伴う計画を早期に打ち立てるべしというのが現状でございます。
#133
○塩出啓典君 いままでこの目標は非常に実現は困難である。たしかそれまでは昭和六十年に六千万キロワットであったのを四千九百万に変更しておるわけでありますが、これも正直申しまして非常にむずかしいことはいろんな人が認めていると思うのですね。これはもう率直に言って非常に困難でありますが、その点長官としてはどういう見通しを持っているのか。またいままで続けてきたようなそういう線をそのまま行くのではいけないのじゃないか。そこに何らかの発想の転換と申しますか、そういうものが必要ではないかな、私はそういうことを考えておるわけでありますが、そういう点についての長官の御意見があれば承っておきたいと思います。
#134
○国務大臣(宇野宗佑君) 六千万キロワット原子力発電量というのは、昭和四十七年の原子力委員会が長期見通しとして打ち立てたものでございますが、これも今日といたしましては非常にむずかしい数字でございますので、したがって、改定をするべくその作業を急いでおります。したがいまして、その後に四千九百万キロワットという長期需給見通しが立てられたわけでございます。これが現在、申し上げましたとおり非常にむずかしいと言うのでありますが、しかしこれと並行いたしまして、やはり石油も四億八千五百万キロリッターだと思いますが、それが一九八五年になくてはならない。同時にLNGも四千二百万キロリッターなくてはならない。そのほかずらっと火力、水力と並べられておるわけであります。そうした結果昭和六十年度の成長率は六・六%であるというのがあのときの閣僚会議の決定事項でございます。したがいまして、かりそめにもそうしたものが仮にどこか欠けたならば、六%の成長はおぼつかないじゃないかというふうなことが逆に言い得るわけでございます。われわれといたしましてはもう高度成長はとても望み得べくもありませんので、今日はせめて六%台というので、一応本年も六・七%台の成長を目途といたしまして予算を編成したわけでございますが、この六・七%が十二年続きますと、当然産業基盤は倍になるわけでございますから、したがいましてエネルギーも倍になる。また当然国民の生活、文化、経済、あらゆる面からいたしましてやはりそれぐらいの成長は続けたいものである。かりそめに、にわかに三%あるいは五%というふうなパーセンテージに成長率が落ちたときのわが国の国民生活のレベル等々を考えますと、これは大変なことになりますので、極力そうした成長率とそしてエネルギーとの関係を十二分に吟味しながら、やはり整合性、実行性のあるやつをつくり上げたいというのが今日の考え方でございます。
 したがいまして、率直に申し上げまして、ただいま電調審でOKが出ました原子力発電だけに限って申し上げますのならば、大体二十九基ということに相なるわけでございまして、この二十九基はせめてもの一九八五年までには十二分に運転をして、その設備能力を十二分に発揮してもらいたいものであると、かように考えておる次第でございます。そういうふうになりますと、もう本当に四千九百万キロワットからははるかに少ない数字ではございますが、しかしそれ以外にも今年度、原子力の安全に関しまして、やはり政府みずからがその行政面でもっと責任をとらねばならぬ、その責任のもとに国民の方々の御理解を仰がねばならぬ、こういうふうな政策もとっておりますから、したがいまして今日まで非常にむずかしかった立地問題に関しましても、もしその間に国民の方々の御理解を仰ぐことができるのならばやはり計画は前進するのではないかと、そういうふうなことをも考えながら今後臨んでいかなくちゃならないと思います。もちろんそれ以外にも資源外交等重要な問題がございますから、そうした問題をも当然平和裏に解決をしていかなくちゃならない問題でございまするが、現在のところこの夏には一応中間報告を出しまして、そして明年にはひとつ新しい長期のエネルギーの需給計画を政府として責任を持って発表し得るようにしようではないか、これがただいまの考え方でございます。
#135
○塩出啓典君 ただいま長官から安全の問題に対するそういう態勢をさらに強固にしていくと、こういうお話がありまして、われわれも、どうしても安全ということを第一に考えていかなければならない、まあそういう点でそのような方向にもとより賛成をするわけでありますが、しかし、いまこの安全は、いわゆる技術的な安全と社会的な安全ということをよく言われるわけでありますが、専門家の人から見れば余りにも騒ぎ過ぎると、この「むつ」の場合でも、あのようにあの程度の放射線が漏れたことは問題ないじゃないかと、こういう論議もあるわけでありますが、しかし私は、やはり民主主義の国でもございますので、やはり住民のコンセンサスを得ていく、やはり住民の皆さんに理解を求め、そして国民全体のコンセンサスというものを得ていかなければ、ただ学者だけの技術的な安全性のみではこれはだめなんじゃないかと、私はそのように考えるわけでありますが、まあこれは恐らく長官も異論はないと思うんですね。
 そこで、住民のコンセンサスを得るためには今後どうすべきか、特に新しいこういう方向に行くべきであるというそういう考えがあれば承っておきたいと思います。
#136
○国務大臣(宇野宗佑君) やはりまず第一に、政府が原子力そのものにつきましていろいろ今後平和利用をしていかなければならないのでありますが、何と申し上げましても、核アレルギーの国民に対しまして、原子力の平和利用に関する安全性というものを十二分にお話し申し上げるチャンスをたびたびつくっていくということが必要だろうと思います。そのためには、やはり政府が責任を持ってその安全に関しましてはかかる体制をとっておりますから御安心くださいというふうな積極的な姿勢が必要であろうと存じます。その点に関しましては、後日御審議賜ると思いますが、原子力安全委員会を設置するという方法も一つの大きな私は前進ではなかったかと存じますし、また、いままでしばしば原子力施設等々におきましてトラブルが起こりました。そうしたときに、やああれは通産省だ、科学技術庁だ、時と場合には運輸省だというふうな何か責任のなすり合いがなされたきらいもなきにしもあらずであったわけでありまするが、そうしたことも今後ないように、やはりその責任、あるいは安全規制に関しましては一貫化したしっかりした体制が必要だということが一番大切だと存じますので、そうした面も今回提案をいたしております法案の中に書かれておるわけでございます。
 同時にまた、住民の方々の御協力を仰がなくちゃなりません。そのためには、従来からございましたところの電源三法、ことしは若干でございますが還元をもう少し大きくしたいと思いまして手直しをいたしましたけれども、しかし、事実本当にこの原子力施設に関しまして御理解を示していろいろ協力をしていただいておる地域を私は数ヵ所回ってみました。しかし、そこにはやはり為政者の方々の御意見、議会の御意見、さらに住民の御意見等ございまして、決して電源三法のあり方だけで今日大丈夫なんだと、満足なんだと私は考えておりません。今後も先生方のいろんなアドバイスをちょうだいいたしまして、政府といたしましても常に改善を志していくことが必要ではないだろうかと、かように存じておる次第でございます。
 同時にまた、原子力の安全そのものに関しましては、ただいま御指摘のとおり、単に専門家だけの領域で安全だと申し上げましても、やはりこれはいろいろ問題がございましょうから、したがいまして、住民そのものもそうした面のどこかで御参加願うことも必要ではないだろうかというふうな感も非常に深う抱いておりまするから、今回は、たとえばいろいろと設置をいたします場合には、公聴会を開きますなり、あるいはシンポジウムを開きまして、住民各位の御意見も十二分に吸収をし、それを反映さすことも必要であろうと存じまするし、さらには、モニターの数もふやしまして、常に国民の方々のお声を行政に反映せしめたい。そうすれば、やはり一般の国民の方々も、おれたちの意見もああやって代表の人たちが十二分に反映して、その結果安全だということがわかったからということで、むしろ今後のエネルギー等々を考えました場合の平和利用にもむしろ進んで御協力を賜るのではないだろうかと、かように存じますので、いまのところそういうふうな方向におきましてすでに法案も出しておるわけでございますので、如実そのことを実行いたしたいと存じますから、そうした面におきまして格段のまた御理解をお願い申し上げますとともに、その審議の過程におきまして貴重な御意見を承るのならば非常に幸甚であると、かように存じております。
#137
○塩出啓典君 私はやっぱり大事なことは、余り事故を起こさないということだと思うのですね。先ほど午前中も、事故と故障は違うんだと、だから事故が起きたときに、これは事故じゃなくて故障なんだから大したことないんだと、こういう姿勢ではちょっと住民の意識と離れていると思うんですね。できるだけそういう事故や故障を起こさない、まあ焦ってはいかぬと思うのですね。
 それともう一つは、いままでよく福井県の原子力発電所等においても、事故があってもそれを隠してですね、後からわかる。どうもそういうことがありますと、国民から見ると何となく不信感というものが芽生えてくると思うんですね。そういう意味で私は、事故は故障に限らず起こさないと、そういう細心の注意をしていくということと、もし起こった場合には隠したりしないでやっぱり率直に発表する、こういう姿勢が大事であると、これは異存はないと思うんですが、その点どうでしょうか。
#138
○国務大臣(宇野宗佑君) この点に関しましては、過般も衆参両院におきまして幾つかの例が挙げられまして、そうして政府の考え方をただされました。そのときにおきましても、たとえば美浜のごとく定検中のことではありましたが、それが久しき期間を経ないと出てこなかったと、また、それが別の著書によって明らかになって自発的なところがなかったと、こういうことに限りましては、われわれといたしましてもまことに遺憾なことであると存じます。したがいまして、あの場合におきましても、やはり関西電力そのものに対しまして、科学技術庁並びに直接監督署の通産省といたしましても、信賞必罰という態度を崩さず厳正に取り組んだつもりでございます。過般私も直接見に参りました。しかし、まあ住民の方々から言わしめますと、中央で余り騒ぎ過ぎるんじゃありませんかということを言われるお方もおられますが、しかし、まあ地元の方はおわかりであっても、やはり全国的にこのことがわからないと、原子力そのものに対する御理解を国民的なサイドで仰ぐわけにはまいらないから、政府といたしましても、こうしたことに関しては、立入検査もし、その事故の原因の分析調査もし、並びに会社に対しましてもその責任を追及すると、そういうふうな厳しい態度で臨んでおり、また、会社もそのことをもって決して不満にしておらない、むしろ反省をしておるということであるから、そうした両々相まった姿において原子力の安全性をさらに確認をしておこうと、こういう姿勢でございますので、その点も御了解賜りたいと存じます。
#139
○塩出啓典君 それともう一つ、これはいままでもいろいろ論議になってきたところでありますが、いわゆる原子力基本法には、自主、民主、公開という、第二条に特に成果の公開ということがうたわれておるわけでありますが、まあしかし、今日までの政府の考え方は、憲法の趣旨から言って企業秘密というものは公開するわけにはいかない、こういう姿勢をとってきておるわけであります。私はもとよりその立場を全面的に否定するものではありませんが、その企業秘密なるがゆえにいわゆる原子力委員会の原子炉安全専門調査会の審議の資料というものが一般に非公開の部分がやっぱりあるわけですね。それが一つには不信を生んでおると、そういうところがなきにしもあらずと思うんですね。したがって、できるならばそういう秘密の資料と申しますか、非公開の資料、こういうものはない方がより住民のコンセンサスを得るためには好ましいと。これも私は異存がないと思うんですがね。そのことを長官は認めるかどうか。
#140
○政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘の企業機密の問題、特に原子力施設の安全審査に関係いたしましてそういう企業機密がいかに取り扱われておるかという問題でございます。先生御指摘のように、そういう企業機密がないということであれば国民が理解しやすい、それはまさにそのとおりかと思われるわけでございますが、ただ原子力発電の技術を考えます場合、これは非常に先端の技術でございます。国際的にも非常に各国の技術者が競争して新しい分野を開拓しておる技術でもございますので、どうしてもそこにある程度の企業機密というものが出てまいりまして、これをそういう先端技術を使わないということは、逆に原子力の技術をある意味では阻害する要因になるおそれもあるわけでございます。そういうふうなことでございますので、私どもといたしましては、先生の御指摘は御指摘でございますけれども、完全に企業機密をゼロにするということではなくて、その企業機密の部分はできるだけ数を少なくするということで、できる限り公開するという努力を従来とも払ってまいっておるわけでございます。特に、発電所の安全審査につきましては、従来とも申請書、添付書類あるいは審査報告書などを公開しておりますほかに、安全審査の過程におきましていろいろ専門家の検討の対象となりました部会の参考資料といったものも公開をするようにいたしております。そういうことでございますので、企業機密として公開されておらないものはごく少数である。たとえばそれはどういうものかと申しますと……
#141
○塩出啓典君 そこまででいいですよ。
#142
○政府委員(伊原義徳君) はい、以上でございます。
#143
○塩出啓典君 非常にできるだけ能率よくやりたいと思いますので、答弁の方も簡潔で結構でございますから。
 先ほどのお答えは住民のコンセンサスを得るためには企業秘密はない方がいいと、しかしどうしても先端の技術であるために企業秘密があるのはやむを得ない、しかしできるだけそういうものは少なくするように努力をしておると、こういう答弁であったと存じます。
 そこでちょっと問題がほかになるわけでございますが、原子力発電所が全国に十数カ所も稼働しておるわけであります。その稼働率が非常によくないと、そういうことがしばしばこの委員会でも問題になっております。私は広島に住んでおるわけでありますが、中国電力の島根の一号炉ですね、これは非常に成績がいいと。これは中国電力の人なんかに会いますと、そのように非常に自慢をしておるわけで、私は本当にいいのかどうか、手前みその話かもしれないと思うんでありますけれども、この島根一号を含めていままで比較的稼働率のいい、事故を起こしてない、故障を起こしてない、そういう発電所というのはいまどこなんですか。これは通産省の管轄かもしれませんね。
#144
○説明員(高橋宏君) 現在十三カ所の発電所が稼働いたしておりますが、御質問の成績のいい発電所でございますが、その順番から二、三拾ってみますと、九州電力の玄海原子力発電所でございますが、五十年十月に運転開始をいたしております。これの稼働率が、時間稼働率でございますが、七六・六%でございます。それからただいま御指摘ございました島根が六六・五%でございます。それから美浜の三号基が、これは五十一年の十二月に動いておりますが、定期検査まで一〇〇%で動いております。それから東京電力の福島の三号基、五十一年の三月に運転開始をいたしておりますが、八六・八%の稼働率でございます。
 以上五十一年度の稼働率で申し上げましたが、最近の比較的新しく運転開始をいたしました発電所につきましては、以上のように稼働率は比較的いい成績をあげております。
#145
○塩出啓典君 私は島根原子力発電所について、比較的故障の少ない理由は一体何かと、これはある政府の役人の人がおっしゃるのには、どう申しますか、一つの厚みにしてもですね、非常に経済性を考えると薄い方がいいわけですけれども、十分なやはり安全性をとったとか、そういうようなことで非常に事故が少ないんだと、そういう話を聞いて、私はやはり原子力発電においてはそういうことが必要なんじゃないかな、それはあなたの言う言葉だけじゃ信用できないから、そういうのを裏づけになる資料ですね、客観的な資料があるならば出してくれと、そう申しているわけでありますけれども、なかなかそれが出てこないわけなんで、そのお役人の人の言ったことが果たして正しいのかどうか私はよくわからないんですけれどもね。たとえばいまの新しいのは別としてもですよ、それは最初稼働して当分の間一〇〇%でしょうけれども、古い何年かやはり稼働している実績から見て、非常にいい理由というのはどこにあるのか、どういう姿勢がいいのかですね。島根原子力発電所についてでも結構ですから、どのような考えを持っていますか。
#146
○説明員(高橋宏君) 島根の原子力発電所の設計もほかの沸騰水型の設計と基本的には異なるところはないはずでございますが、島根の実績としていい値が出ておる要因をいろいろ考えてみるわけでございますが、次のようなことではなかろうかと考えております。
 たとえば機器の製作施工、運転管理といったすべての段階に少しずついろんな配慮があるということじゃなかろうかと思いますが、たとえば溶接施工管理につきまして、いまでこそ各発電所とも溶接する場合の入熱管理とか、あるいは溶接の層を盛っていきます層間の温度とか、非常に厳しい施工管理のスタンダードを決めてやっておりますが、島根では当初からそういう施工管理をやっておったという実績が一つございます。さらに、先ほど余裕のある設計というお話がございましたが、たとえば原子炉水の浄化系の容量は非常に大きくとってございます。そういったようなことが炉水の水質管理の面で非常に有効な効果を上げているのではなかろうか。
 さらに、運転の仕方につきましても、出力変動と燃料の健全性という観点から試運転段階から非常に慎重な運転管理をしておる、出力変動に対する管理をしておるというようなこと等が総合的にいい結果にはね返っておるんじゃなかろうかと思いますが、さらにもう一つはこの島根の一号基と申しますのは、先行炉、約三年半ほどぐらい先行しております福島の一号と同じタイプでございまして、福島一号のそういう建設経験というものがこの島根の方にかなり反映をしておるということが言えるかと思いますが、同じような趣旨で先ほどの玄海等が稼働率がよろしいのもやはりこれは美浜の二号と同じタイプでございまして、そういう二号の経験がこの玄海に非常に反映をしているということではなかろうかと思いますが、したがいまして、私どもはやはり原子力発電所の稼働率、信頼性を上げるためにはいたずらに、ある意味では新しい技術革新というものは取り入れなければいけませんけれども、一方ではやはり余裕のある標準化ということを行っていくことが非常に大事ではなかろうかというぐあいに考えております。
#147
○塩出啓典君 私は、島根の原子力発電所も国産で、もちろん技術的には外国から輸入はしていますけれども、これは国産の原子炉ですね。やはりこれからの一つの方向としては外国の先端技術を取り入れることも大事かもしれませんけれども、余り技術を取り入れることに性急になっていろいろ事故を起こす、そうすると、結局建設が正直言っておくれているわけですから、だから、急がば回れという昔からことわざがあるように、やはり日本の技術レベルというものを高めて、その日本でこなした技術というものを採用していく、そういうことで今後の方向としてはやはり原子力基本法第二条にあるように自主という点からいっても、やはり国産の技術というものをより重点的にやっていくべきではないか、こういう方向は長官認めますか。
#148
○国務大臣(宇野宗佑君) 当然、原子力政策を進める上におきましては一番大切なところでございます。特に現在といたしましては、やはりウランにも有限資源という制約があるわけでございますから、したがってその制約を克服するだけの技術を開発するということは、わが国にとりましてももう必須のことである、かように考えております。
#149
○塩出啓典君 そこで、公開の問題でございますが、時間が限られておりますので余り詳しく論議はできないかと思いますが、私が聞いている範囲におきましては、成果の公開ができたのは、これはいわゆる軍事転用を防ぐという目的からこの成果の公開というものができた、このように理解をしておるわけでありますが、これは正しいのかどうか。この法律は議員立法のようで、これは政府に聞くのもちょっと変かもしれませんけれども、その点はどうなんでしょうか。
#150
○政府委員(山野正登君) 御説のように、この公開の原則ということによりまして原子力の軍事転用が防止し得るということは御説のとおりだと思います。
#151
○塩出啓典君 そこで、成果を公開しなければならないということは、これは法律の立場から見た場合に国や公共機関に適用されるのは当然だと思うんですが、これはいわゆる企業とか国民に対しては適用されるのかしないのか。これは純法律的な問題になると思うんですけれども、法制局の見解でも結構なんですが。
#152
○政府委員(前田正道君) 原子力基本法の第二条は、特に客体を限定しておりませんので、すべての原子力の開発、研究、利用について適用があるものと考えております。
#153
○塩出啓典君 と申しますと、この法律の趣旨、純法律的な解釈からいえば、成果を公開しなければならないということは企業にも適用を受けると、そのように判断をしていいわけですね。
#154
○政府委員(前田正道君) これは原子力基本法が原子力委員会の設置等もあわせて規定をしておりますところから申しますと、国あるいは公共団体というものを主体に考えているとは思いますけれども、特段の限定をしておりませんので、原子力の研究、開発、利用に関しましてすべて適用がある、その意味におきましては民間の企業に対しても適用があるというふうに考えるべきだろうと思います。
#155
○塩出啓典君 そうしますと、実際には成果というものがすべて公開はされてない、いわゆる企業秘密というものが実際には存在をするわけですね。ただ、この基本法では成果を公開をするわけですから、技術が研究中であると、まだ成果に至ってない、こういうものは当然公開の対象にはならないんではないかと思うんです。その点は法制局の見解どうなりますか。
#156
○政府委員(前田正道君) 先生御指摘のとおり、基本法の第二条は「その成果」、つまり原子力の研究、開発、利用の「成果を公開し、」、公開につきましては「その成果を」という限定をつけておりますので、公開が問題になりますのは成果についてであろうということでございます。
#157
○塩出啓典君 そうしますといま企業秘密があるということは、これは成果の公開とは反する問題であると思うんですがね。そのあたりの解釈については科学技術庁としてはどのような見解を持っておりますか。
#158
○政府委員(伊原義徳君) 御指摘のとおり、成果という場合には企業といえども同じでございまして、成果を公開するということによりまして、先ほどの平和利用の担保あるいは研究、開発、利用の効果が広く各方面に利用できると、こういうことを期待しておると思います。
#159
○塩出啓典君 そうしますと、やはり成果の公開ということは企業にも当然適用されると、こういう点は科学技術庁としても認めるわけですね。
#160
○政府委員(伊原義徳君) そう考えております。
#161
○塩出啓典君 そうしますと、先ほど質問しましたように、じゃその企業秘密というものは成果の公開にならないわけですね。企業が秘密にしておるわけですから公開にならないわけですけれども、そのいわゆる成果の公開と企業秘密との関係はどのように解釈をされておるのか。現在実際には企業秘密を認めておるわけですからね。それは原子力基本法の趣旨を反するわけで、それをどのような解釈をされておるのか、それを伺いたいわけなんです。
#162
○政府委員(伊原義徳君) 先生御指摘のように、基本的な考え方といたしまして成果は公開ということになるわけでございますが、原子力開発のように非常に先端技術の分野におきまして、これを公開することによってかえって研究、開発の促進が阻害されるというふうな性格のものがあるわけでございます。それがいわゆる企業秘密と称されておるものでございまして、たとえば財産的な価値があり、かつこれが工業所有権というふうなことで法律上の保護というものを及ぼすことができないような性質のもの、いわゆるノーハウといったものでございますが、そういったものにつきましては成果の公開を強制することが適当でないと、こういうことかと考えるわけでございます。
#163
○塩出啓典君 それではお伺いいたしますが、現在、原子力委員会の原子炉安全審査の部会でいろいろな資料というものを要求するわけですね。この場合、いわゆる原子力委員会にはあらゆる企業というものは企業秘密の資料でもこれは提出をすると。そこにも提出しない企業秘密はないわけでしょう。
#164
○政府委員(伊原義徳君) 御指摘のとおり、すべての資料は提出されております。
#165
○塩出啓典君 その中でいわゆる公開をしていると、図書館とか何カ所かに公開しているようでありますが、それはその中で何分かがやはり非公開になっておるわけですね。その非公開になっているというのは一体何件ぐらいあるのか。これはまあ私もその代表的なものを資料として出していただいたわけでありますが、これはもうすべてのことで言っておると時間がかかりますので、まずたとえば美浜三号炉の場合はどうなのかですね。あるいは島根の炉の場合はどうなのか。それから原子力船「むつ」の場合は非公開の資料があるのか。それは何件中何件ぐらいそういう非公開の資料があるのか。それをちょっと数字だけ言ってもらいたいんですけれども。
#166
○政府委員(伊原義徳君) 美浜三号炉につきましては六件、島根につきましては八件と承知いたしております。それから「むつ」につきましては、ないということかと存じます。
#167
○塩出啓典君 たしか美浜の一号炉もそういう資料はないというふうに聞いております。それで私は、一体どういう資料が企業秘密になっておるのか、こういうことで、いま申しました美浜三号炉の、あるいは島根炉のそういう非公開事項、なぜそういう非公開であるのかと、こういうことを聞きました。ところが、たとえば美浜三号炉の場合は、核熱水力計算コードについてと、この中の米国サンオノフレ及びコネチカットヤンキー発電所における出力分布の実測値という、これずっと見ますと、その次も実測値、その次は数値計算式の一部、その次は何とか何とかのパラメーターの分布とか、こういうどうも実測値なんかが非常に企業秘密になっておるわけなんですね。実際私たち素人が考える場合には、いろいろ中の細かいシステムよりも実際の結果がどうなるんだと、実測した場合温度がどうなっているのか、こういうことがわかれば、たとえ方法がどうであろうともその結果において心配ないんだということになれば、より理解はできるわけでありますが、その実測値そのものが非公開になっておる。じゃ実測値が計算どおりいっているのかいってないかと、そういうことがわからないわけで、どうも私たちはこういう非公開の資料というのはそう大した内容のものではないんじゃないか、私はそのように思うんですが、これはどうなんですか。実際にこういうものを非公開にしなければいけないようなものなんですか。それは専門家の皆さんに聞かなくちゃわからない問題ですが。
#168
○政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘のように、たとえば美浜三号炉につきまして実測値というものが商業機密に分類されておるわけでございますが、これはどういうことかと申しますと、この実測値と申しますのは、各種の原子力関係の計算コードを開発する、あるいはその計算コードの有効性を実証するというために非常に重要な意味を持つものでございます。
 なお、この実測値なりあるいはいろいろな実験の結果、そういったものは、これはその実験を行うなりいたしますときに非常にそれなりに開発費を食っておると申しますか、それなりに金のかかっておるものでございます。そういうものでございますだけに、それを安易に外に知らせるということは競争相手の企業を不当に利することにもなるということもございまして、こういうたぐいのものは公表を避けるという習慣になっておるわけでございます。
#169
○塩出啓典君 そうすると、わが国の電力会社の実績と比較可能であり、この場合は非公開ではないと、わが国の場合は非公開じゃないんですか。そのように書いているんですがね。
#170
○政府委員(伊原義徳君) これは非常にデリケートな問題でございますが、ある企業の方針がそれぞれございまして、非常に境界ぎりぎりのところで、ある企業はこれを機密と考え、ある企業はもう機密の枠を外そうと考えるという、多少の取り扱いの差はあり得ると思います。しかしながら、私どもといたしましては、その企業が当該企業の方針としてこれは商業機密として扱いたいと強く主張した場合に、これをそうでない、公開をせよというふうな強制をすることは適当でないと、こう考えるわけでございます。
#171
○塩出啓典君 非常に、長官、機密というものは、いまも話したように、ある会社によっては企業秘密ではない、この会社は企業秘密にしておると、だからそれを企業秘密を解けということは、これは確かに憲法のたてまえ、政府としてもできないと思うんですね。しかし、私はやっぱり原子力基本法の精神から言って、いままでのやつはもう仕方ないですよ。それを国家権力において公開にしろということは言っておりませんけれども、これからやはり採用する技術においては、わが国は原子力基本法の精神から言ってもこれは成果を公開しなくちゃならぬ。したがって、あらゆる資料を原子力委員会の安全審査に出してもらいますよと、そのときに企業秘密があってできませんというような、そういうものはわが国としては採用できないですと、こういう姿勢をとれば、どうしても企業秘密があって日本に買ってもらいたくないというところはそれでいいですよ。むしろそれを公開できるものの中からやはり私は日本の炉を選ぶべきではないか。そういう方向に行くならば何ら問題ないんじゃないか。そういう方向に行くように検討すべきではないかと思うんです。その点はどうですか。
#172
○政府委員(伊原義徳君) 確かに先生御指摘のような考え方もあり得ると思いますが、ただ、先ほども申し上げましたように、非常に先端技術でございます原子力関係の技術におきまして、企業機密があるということでもってそれを採用しないというふうな判断をいたしますことが果たして適当かどうか、そういうことによって技術のおくれというふうなものを来す可能性もあると思われますので、その辺は慎重に考えなければいけない、こう思う次第でございます。
#173
○塩出啓典君 いま技術の先端を行く技術を採用するためにはどうしても企業秘密やむを得ないと、そこが私たちの考えとは根本的に違うところなんですね。確かに先端技術を行くこともそれは大事かもしれません。しかし、わが国においては、そういう先端技術を行くことよりも、むしろもう特許、いわゆる企業秘密のような事項もやはりこれは五年、十年たてばもう企業秘密でなくなってくる。それは言うなればそういう業界の一つの常識になってくるわけですね。その常識になってきたものをどんどん原子力に採用すればいいわけでありましてね。だから私は先端技術の研究はどんどんやるのはいいですよ。これは各電力会社が先端技術を取り入れてどんどん研究するのはいい。けれども、わが国がやはり原子炉として実際に採用するときには、そういう特許を必要とするような先端技術のようなものではなしに、もうちょっと学者の間にもコンセンサスの生まれたそういうものを原子炉に採用すべきではないか。その方が結果的には私は、急がば回れで早くなっちゃうと思うんですよ。幾ら先端技術を持ってきても、いろいろたくさんの企業秘密があって国民から不信を招いて結局建設がおくれれば何にもならないんですから、私はそういう意味で、企業秘密がたくさんあるような先端技術というものは今後余り採用すべきではないと。研究はどんどんやっていくのはいいですよ。現実に炉として建設するためには、そういう企業秘密のないような、ある程度コンセンサスの得られたそういう技術を着実に採用していくべきではないか、私はそのように思うんです。これはやはり長官に答えてもらわなくちゃならない問題です。先ほどから長官、長官と言ってもなかなか長官が答弁しないものですから、これは特に指名をしてひとつ。方針の問題です、技術の問題じゃないんですから。
#174
○国務大臣(宇野宗佑君) 先ほどから局長が答えておりまするとおり、わが国は自由主義経済体制下でありますから、企業がノーハウ等を初めとする一つの機密を持っておることもこれまた事実であろうし、それを政府強権によって介入するということは避けていかなくちゃなりません。しかし、いままだまだこれからその安全性を確認し、より一層国民の理解を深めなければならない先端産業、原子力行政といたしましては、そうしたことをも十分にわきまえながら、でき得べくんば民族の一つの技術を将来開発していかなくちゃならないということもございますから、広い意味でいま先生のおっしゃったそういうお考え方をも十二分に行政の面においては取り入れながら、極力公開ということを一つのたてまえとして、その線に沿うように行政も努力をしていくことが必要であろうと、かように考えております。
#175
○塩出啓典君 この公開の問題については、昭和五十年七月二十九日に、科学技術庁原子力局が一つの通達を出しまして、この中で商業機密の問題についてはこのような見解を発表しております。「商業機密に属する事項とは、具体的には、我が国メーカーが外国メーカーと締結した技術援助契約によって守秘義務を課されているもの及び我が国メーカーが独自に開発した設計等に関するものであって、申請者が我が国メーカー等との契約上守秘義務が課されているものである。」、こういう見解があるわけなんです。これは、いままでのものはやむを得ないとしても、今後は、わが国が、実験としてじゃなしに、もうこれからどんどんいま建設されている原子炉にはそういう企業秘密のあるものは採用しない、こういう方向に転換する考えはありませんか。先ほどの長官の御答弁はどうもわかったようなわからないような答弁だったように思うんですが、その点どうなんですか。
#176
○政府委員(伊原義徳君) 先ほど大臣の御答弁のとおりでございますが、少し補足させていただきますと、塩出先生御指摘のように、研究は十分やってもいい、しかしそれが企業機密である間は実際のたとえば原子力施設には採用しないということになりますと、逆にある意味で研究意欲を阻害するという可能性もなきにしもあらずという観点もございます。そういうことでもございます。ただ、先生御指摘のように、非常にこれは重要な問題でございますし、私どもも、安全審査をいたします場合に、あたかも企業機密がたくさんあってそのために安全審査の中身まで信頼できない、こういう印象を持たれることは非常にマイナスでございますので、そういうことがないように十分今後できる限り公開に努めるということで努力してまいりたいと思っております。
#177
○塩出啓典君 あなたは、そういうものを非公開の間は炉に採用しないと、そういうことになると研究者の意欲が阻害されると、こういうお話でございますが、そういう考え方もあるでしょう。しかしそれは、企業にとっては企業秘密がある方がいいわけだよね。そういう立場に立てばその方がいいに決まっているけれども、しかし私は、日本の国全体のエネルギーの開発をよりスムーズにやっていくためには、どうしても公開をし、技術というものも、より安全第一に考えるならば、企業秘密があるような技術は採用しないというようにした方が長い将来から見れば結果的にはいいんだと、その方が国民のコンセンサスが得られて、社会的安全性もより早く確立されるんではないか。こういうことは異存がないわけですね、公開した方がいいんですから。ただ、そういう企業秘密がなくなるために進歩が阻害、意欲がなくなってくるということと、国民のコンセンサスがより得られるというこの二つを両てんびんにかけた場合に、いま日本の国においてどちらがより必要なのかということは、これはやっぱり専門家ではない政治家が判断すべき問題ではないか。だから私が主張しているのは、そういう研究者の意欲が阻害されるということはこれはある程度認めますけれども、それ以上にやはり国民の理解を得るということは大事なんですから、したがって企業秘密は認めないという方向に持っていくべきである、現在のこれに示された科学技術庁原子力局の「公開とその利用について」の考え方は改めるべきである、私はもうそうでなきゃならぬと思うんです。長官はここで改めるとはすぐ言えないかもしれませんけれども、少なくとも、企業秘密はどういうものか、実際に研究者をどれぐらい阻害するものか、そういう点でもう一回検討ぐらいぼくはすべきじゃないかと思う、前向きに検討すべきじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
#178
○国務大臣(宇野宗佑君) いま直ちに、きょうとあすと截然として区分けして、かくのごとく百八十度の転換をいたしましたということはこれは非常にむずかしいことだろうと思います。何と申し上げましても、先端産業とはいえ、外国のやはりいろんな技術導入、さらには指導、提携、そうしたことによって今日の原子力のポジションをつくり上げてきたわけでありますから、さような意味ではまだまだ初期の段階であるかもしれません。しかしながら、いまおっしゃる面は、わが国の将来独自の技術をひとつ持とうという上からはその方がかえってよいじゃないか、さらにはその方がかえって国民は安心するじゃないかという点に関しましては、私は決して耳をふさいでおるわけではございません。十二分に貴重な一つの御意見として承って、今後もそうした御趣旨を体しながら極力公開の方向へ努めたいと、こういうふうに思います。
#179
○塩出啓典君 じゃ、もう時間も大分なくなりましたので、この問題はまた後日の議題にしたいと思います。最後に、原子力船「むつ」の問題についてお尋ねしたいと思うのでありますが、一つは、現在の原子力船開発事業団法というものはいわゆる時限立法になっておりますね。いままで十年間の時限立法で期限が切れてまた新たに提出されておるわけでありますが、こういうものはやはり時限立法では研究者の将来性にも非常に不安がある、恒久的なものにすべきである、こういう意見があるわけであります。
 それともう一つは、現在の原子力船開発事業団というものは、かなり原子力船をどんどんつくって、これを開発して、さらに品物を運搬、実用船にしていくと、こういうような内容になっているわけであります。
 私たちも、現段階においてはそこまでやるのはちょっと危険ではないか、あくまでも原子力船の研究段階にとどめるべきではないか、こういうような主張がなされておるわけでありますが、この原子力船開発事業団というものを研究のみに限るというような内容にするという点と、それと恒久的な、時限立法ではなしに、ずっと将来まで続いていくような研究所にすべきではないかと、こういうような点は最近いろいろ論議をされておるわけでありますが、それについての長官のお考えを承っておきます。
#180
○国務大臣(宇野宗佑君) 先週衆議院におきまして、現在考えております法案の趣旨説明を本会議でしたばかりでございます。したがいまして、それによりますと一応十一年間いわゆる限時法ということをたてまえとして出しておるわけでございますので、ここで私がそれはもう恒久立法の方がよいんだと言うわけにはまいりませんが、しかしこの国会での審議の過程におきましては、やはりいまおっしゃったとおりに時限立法では、そこに働く人が果たして熱意を持つのかというふうないろいろ御意見があったということも、私の耳底深く残っている問題もございます。
 したがいまして、そうした問題に関しましては、議会面でもいろいろと御意見があると、こういうふうに承っておりますので、われわれといたしましても、やはり将来の原子力船に備えまして、現在の「むつ」というものをあのような形で建造したわけでございますし、特に大山委員会が、かなりのレベルに達した船である、そして修繕、改修によってりっぱにその所期の目的を果たすであろうと、こういうような、言うならばお墨つきをちょうだいいたしましたから、ひとつこれの修繕に乗り出し、遮蔽改修をして、そして原子力船の一ページを飾りたい、これがわれわれの悲願でございますから、さような意味合いにおきましても、私は今後ともこの「むつ」に関係いたしまして十二分に国家といたしましても民間の知恵もかりながら、技術もかりながらその面の開発を急ぎたいと、かように存じております。
#181
○塩出啓典君 それで、佐世保がいわゆる修理港として受け入れてくれるような方向に行っておるように聞いておるわけでありますが、しかしどうしても将来修理港だけではなしに母港をつくっていかなくちゃならない。「むつ」においては、御存じのような結果になって、しかもそのとき約束をした期限が過ぎても約束は守れない、こういう結果になっておるわけでありますが、私はやはり将来どうしても母港というものをつくらなければこれはいけないわけでありますが、なかなか、ますます情勢は困難になってきているような気がするわけなんですが、そういう点で科学技術庁長官としてはどういう考えで進むのか、また本当に自信があるのかどうか。ただ佐世保で修理しただけで、それで終わってしまったんでは、これは何にもならない。まあ皆さんの立場からすれば非常に困るわけですけれども、そういう点どういう考えでこの新しい母港を探すのか、そのあたりのお考えを承っておきたいと思います。
#182
○国務大臣(宇野宗佑君) 幸い「むつ」が佐世保に入りますと、その遮蔽改修並びに総点検、大体これに三年かかるだろうと思います。私はその三年の間にぜひとも母港を選定したいものであると、かように考えておるわけでございます。したがいまして、その母港は将来に備えまして、必ずしも単数でなくてもよいと、複数をもって探すべきだと、こういうふうに考えておりますが、もちろん今日「むつ」そのものに関しましてもいろいろと議論が多うございますから、いまそれと並行いたしまして母港問題を出しますと、もう一層事が混乱すると、かように存じまして、現在はどこをも調査もいたしておりませんし、また折衝もいたしておりません。ただ一方的にわが方ではどうかというふうなお声をちょいちょい耳にすることはございますが、これとても決して正規のものではございません。したがいまして、この三年間が、言うならば、そうした非常に大切なときではなかろうかと、こう思いますので、政府といたしましても原子力船並びに原子力の安全性、そうしたことを十二分に国民の方々に御理解を仰ぎながら、極力、この三年の間に、いま申し上げましたような線で母港の選定をいたしたいと。そして将来は母港は母港で、日本には津々浦々幾つも港があるわけですから、いずれの港へ食糧補給に入ろうが何補給に入ろうが、六十日以前に入港届けを事業団が出すならばいつでも入り得ると。ドイツがいまそういうような状態でございますけれども、そういうふうな体制をもひとつ敷いておきたいと、それもこの三年間に極力努力をしていかねばならぬと、こういうふうな方針で現在進んでおる次第であります。
#183
○委員長(柏原ヤス君) この際参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は御多用中のところを本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 それでは質疑を続けます。
#184
○小巻敏雄君 長官に御質問をしたいと思います。
 私は、十三日に下北半島のむつ市を訪れて「むつ」の船の中に立ち入って第一次遮蔽の中に入って、いろいろこの二年半、長いつき合いである「むつ」という船に親しく接してきたし、船長、機関長にもお目にかかり、また菊池市長にもお目にかかって種々話をしてまいりました。今日もなおこの原子力船「むつ」は、むつ市の岸壁につながれたままになっておるわけであります。四月十四日というのは国民注目の日でありましたけれども、それから過ぎていまなお、いつこの船が港を離れるのか、少なくとも現地の当事者にはかいもく見通しがつかないという状況のままで打ち過ぎております。市長は、この問題、次第に期日も迫ってくるので、昨年十二月にも科学技術庁には特に念を押したと、こう言っておられましたし、また二月にも科学技術庁と会って話をしたと、期限は間違いなく守るんだと、あるいは最大限努力をするというような答えはもらったけれども、そう詰めて話すこともなかったと、そういうふうに言っておられました。三月二十二日には長官にも会われたとのことでしたけれども、その際にも最大限の努力をするということのみであって、とうとう問題の四月十四日が過ぎて今日に至っておるわけであります。市長としては市民に直接責任を持つという立場で、あの出港から漂流へと、そして受け入れへと、その後菊池市長は市長になられたわけでありますが、そのとき以来一日としてむつの市長、市民にとってあの原子力船「むつ」と無関係に日が過ぎたということはなかったと、こういうふうに言われております。その夜に漁民の代表の方ともお目にかかりましたけれども、これらの方々の声はまた一層切実なものがあります。
 こういう状況下で四者協定というものも締結をされておるのですけれども、行く先の見通しなく今日が日々過ぎておる。こういう状況について、むつ市民に対して、あるいは協定の対象者である知事、市長、また漁協の方々に対して、そして全国民に対して、長官はどういうふうに言われるのか、その点をまずお伺いしてから質問に入りたいと思います。
#185
○国務大臣(宇野宗佑君) 一言にして申し上げれば、四月十四日を守り切れなかったということに対し、私は責任を痛感いたしております。そしてそのことについては、関係各位に深くおわびを申し上げておるところでございます。もちろん政府といたしましては、その間決して拱手傍観しておったものではございませんが、しかし、いろいろと努力はいたしましたが、その努力がなかなか今日まで実り得なかったということに関しましては、私自身も残念に思いますし、そのことに関しましてはやはり長崎、青森御両県に対しまして、大変な負担であったということに関しましても、私は本当に心からおわびを申し上げなくちゃならないと、かように存じております。しかし、最終的には、やはりひとつまげて政府のお願いを聞き届けていただきたいというのが今日の私の立場でございまして、そうした折衝を両県並びに両市といたしておるというのが現状でございます。
#186
○小巻敏雄君 それは長官が長崎及び青森の県民、むつの市民、佐世保の市民、また国民に政府として相済まぬと言われる態度は、それはりっぱな態度だと思います。少なくとも、何があっても三年前まではそういう言葉を政府の当事者から聞くことはなかったのでありますから。あの船が実際洋上でトラブルを起こしておっても、なおかつ当時の大臣の口からそういう言葉が出ることはなかったわけでしたし、あの時期の、漂流中に科学技術庁の方から船内に人が派遣されるのは、もう一カ月を経た後でようやく次官が行くというような状況でもあったわけです。その点では私どもとしては、まげてと言われましたけれども、やっぱり納得の上で、そして姿勢を低くして、そして理解に立って問題が進められるということが基本であろうと思うわけです。
 長官はそういうふうに言われるのでありますけれども、一方さらに、市長がいろいろ言っておられた中では、その言われるような心がけで、本当に、短い期間ではないわけですから、二年半という期間は、それは、もし了解が得られるならどんな話し合いも、そのためのどんな作業も、あるいはどんな調査もできるだけの日時であったと私どもは思うわけです。しかしその中で菊池さんはこういうふうに言うわけですね。――自分の方は出ていってもらいさえすればいいんですから、何が何でも、よしんば洋上で漂流しようがどうなろうが、出ていけば四者協定は履行され約束は果たされるわけですね。しかしながら、いまどき受け入れるところがなければ出ていきにくいだろうということと、それから核燃料棒を装荷したままで受け取るところが果たしてあるだろうかと、こういう点では、人ごとながら気になると申しますか、長年やってこられたわけですから、これらの問題は一体どうなっているんだろうと思って、それらの問題についても前前田長官が来られたときなんか、自分の方から話の水を向けても、要するに四月十四日には出ていきますよという話だけで、まあいわば、おまえの出る幕じゃない、とは言われなかったかもしれませんけれども、まことにそっけないものであったというふうに聞いておりますし、またあわせて、やっぱり当事者同士で、それは長崎と青森の接触もあるわけですね。かなり早くから、久保知事の意向というのは、やっぱり修理だけと、母港は困ると、それからやっぱり燃料棒つきでは容易に、というのは、一つは研究会の結論もあるでしょうけれども、それは知事が独裁されるわけじゃありませんから。知事としての長い経験とキャリアの中から生み出された一つの持論であったかのように、かなり早い時期から聞いておったんだというふうにも言われておりました。しかし、それにしても長崎県の方に対しても委嘱はあったけれども、知事に対して詰めた話がいろいろあれこれの付随して解決すべき問題について話し合いはなかったようだと、これは私が久保知事にお伺いした話じゃありませんから、こういうふうにいまなお、一応、大臣はいんぎん丁寧にはなったけれども、しかしながら、事柄の進行上本気になって詰めてこの二年半を有効に使って力を尽くして解決をしようというふうに考えているのかどうか。以前と今日その点では姿勢に変わりはないのじゃないかと。これが現地に大きく今日もなお広がっておる気分と声であるということをよく知ってもらわなければならぬ。そこへまげてお願いをするということでは容易に解決はできないだろうと、私はそういうふうに感じざるを得なかったわけであります。
 そして、四月二十一日の朝日新聞の記事でありますから、これは新聞記事ですけれども、燃料棒を抜くということになれば場所はむつ市以外にないと、こういうふうに長官が言われたというようなことが新聞記事報道に出ておるわけであります。これも政治的な特定の意見を主張する新聞でもありませんし、発行部数も非常に多い、これは朝日新聞でありますが、こういう状況の中でさらに、とりわけ漁民、漁協の中にはこの新聞記事に関しても強い不信感が広がっておることは事実であります。四者協定というのはどうなったんだ、四者の一員であるところの漁民は相談を受けたことがない。相談を受けないでこういうことを言われる。言えば言っただけの話に来るかと思うと、何もその後話はない。こういうところに強い不信感が広がっておることも事実でありますし、やっぱり青森の漁民の心は長崎の漁民の心ではないかと、私はそのようにも思うわけです。この点はいかがなものでしょう。
#187
○国務大臣(宇野宗佑君) いまの朝日の記事でございますが、実は地元からもそういうようなお問い合わせがございました。私はこの「むつ」問題でお話をしておるのは、国会とそうしてもう一つは閣議後の記者会見だけでございます。しかしその記者会見におきまして申し上げたことが、一社だけがそういうふうな取り扱いをされたということもわかっておりますし、したがいまして、私がそういうふうなことを明らかにしたことはございません。何と申し上げましても、出口入り口の問題でございますから、まず長崎の御意見も十二分に承って、その御意見がどう出るやらは知りませんが、いろいろそうしたことに関しましても、出口である青森並びにむつ市の御意見を承らなければ、私としては行動できない、これが今日までの一貫した姿勢でございますから、その点も実はきょうお昼に青森の知事並びにむつの市長、漁連の会長が来られまして、この点はどうだったんでしょうというお話でございましたが、私からも明らかにいたしましたので、その点に関しましては御了解を得たのではないであろうか。
 だから私といたしましては、いずれにいたしましても、長崎の知事さんが最終的に意思発表なさると思います。それで、その意思発表が佐世保の市長さんと同じならば結構ですし、万一異なった意見ならばどうするかという問題も残っております。これは単に私だけが判断するのではなくして、党には、御承知のとおり、特別委員会をつくりまして、地元の御意見を十二分に吸収しようと、こういう姿勢も持っておりますから、党の方におきましてもそうした問題に関しましてはいろいろと検討して、そうしてわれわれ政府側にアドバイスもしてくれるであろう。その間におきましては、政府としても党としても、やはり御両県に対しましては同じ大きさの責任を抱いておるわけでございますから、決して地元の方々の御意見を何もかも無視して、そうして事が運ぶとは私は考えておりませんので、そうした面におきましても十二分に知事さんあるいは市長さん、漁連とお話し合いをしましょうということできょうもお別れをしたという経緯でございます。
#188
○小巻敏雄君 そうすると新聞記事に関する限りは、長官の談話は誤って伝えられたとでも申しますか、言われたような談話をしたものではないと、こういうことですね。そうであるなら、今日問題の一つの焦点になっておる燃料棒を装荷したままでむつ市を出るのか出ないのかという問題、あるいは佐世保に入るのか入らないのか、また他の場所に移動するのかしないのか、これらの問題については白紙だということなんですか。
#189
○国務大臣(宇野宗佑君) 平たく言えば白紙でございます。しかしながら、やはり四月十四日の線が守れなかったとは言え、できるだけその近い線で、われわれといたしましてはむつから原子力船を回航したいと、こういう気持ちがございますから、幾つかのカードを準備いたしまして、そのカードを検討させておることは事実でございますが、しかし、あくまでも長崎の知事の御意見がまだ出ておらない段階においてこうであろうと言うことも、これはいささか行き過ぎだろうと思いますし、ましてや佐世保の市長さんと長崎の知事が食い違うといった場合、そうしたこともまた想定をいたさなくちゃなりませんので、さような幾つかの段階を十二分に心得ながら、現在といたしましては一切白紙であると、こういうふうにお考え賜りたいと存じます。
#190
○小巻敏雄君 最終的に長崎の県の統一された意思が確立する前の段階にあると、こういうふうに言われるわけですが、同時にこの問題は、しばしばいままで科学技術庁がやってきたように、問題を発表する日まではまるまる手の内を見せず、カードを裏から表に返すようにして出てくるものではないわけでありまして、県の研究委員会の結論はこれは公表、発表されたところであり、知事も半ば公然と、これは市との協議あるいは漁協との協議、むつでは四者でありましたけれども、少なくとも県、市と、そうして漁協というようなものの中ではかなり公然と、まあ県と市の関係が一番微妙でありましょうけれども、漁協等との話し合いの内容もおおよそ新聞紙等で、これは全紙一致して、かなりつまびらかにされている問題である。
 それじゃここでお尋ねしておきますのは、県で一致した結論があるなら、県の一致した結論に従って政府は処置をする。具体的に燃料棒の問題について言えば、これは私どもがそれを支持するとかしないとか言えば、私どもとしても専門家会議でも設けてそれはよく検討しなければならぬところです。しかしながら、ここでこの県の一致した意思が、動かない意思が明らかになった場合には、これは燃料棒を装荷して入る場合、この間も希望してこられたけれども、装荷しないで取り外して、そして佐世保に入るということもあり得ると、これは先の問題だ、県の一致した結論によると、こういうふうにお聞きしていいわけですか。
#191
○国務大臣(宇野宗佑君) 過半来、はなはだ残念でございますが、衆議院、参議院いずれの場所におきましても、現在非常にデリケートな時期でございますから、一応まだ知事が結論を出しておらないことに対しましては、私は先取りをしてそのことをお答え申し上げにくいと、こういうふうに言っておるわけでございます。しかし、出ました知事並びに市長の御意見は尊重すると、こういうふうに答えております。
 したがいまして、一本になれば結構でございまするが、一本にならなかったらどうするかという話もしばしば両院において御質問を受けておるわけでございますが、その辺に関しましては、もちろん政府は無関心であり得ないわけでありまするし、さらに政府はその一番大きな責任を持っておるわけでございますから、そうした面におきましても、御両者と十二分に腹をぶち割ってお話を申し上げなければならないであろう、こういうふうに思っておる次第であります。
#192
○小巻敏雄君 責任を持って答弁された限りの範囲内から、それは論理的に幾つかのケースが考えられて当然答えは出てくるわけですから、いま出た答えの中からあすを予定して動くのがこれは人間の社会なんですからね、やっぱり何が何でも当初の希望のように、安藤委員会の決定もあるので、佐世保一つを目指して燃料棒装荷のままで入港する以外の道筋は科学技術庁にとってはないと、それができるまではいつまででも待っておるということでなくて、先ほどからの長官の答弁は、県が一致をして結論を出すなら、いかようなものであっても、言われるところは、二つか、三つのケースが考えられるわけですから、とりあえずは二つのケースが考えられるわけですから、その二つのケースのいずれになってもそれは尊重して実行する、こういうことですから、燃料体について言えば、取り外すことも、取り外さないこともあり得ると、ただし、それをとかく誤解を受けるようなことをいま言うことは差し控えたい、こう言っておられるのですから、その限りでお聞きをして、進みたいと思うわけです。
 「むつ」というあの船は、これは燃料が他の船と違うから原子力船なわけであります。補助エンジンもつけておりますから、航海に当たってはいずれにしても補助エンジンで航海をしていく、こういうことでありますが、燃料棒を取り外して走るこの「むつ」は、これは普通船と安全上の問題その他何ら変わりのない船であるというふうに理解するのは当然かと思うのですが、その点はどうでしょう。
#193
○政府委員(山野正登君) いま小巻先生の御指摘の趣旨が、現状のままで原子炉を冷態停止いたしまして、補助エンジンで航海をする場合には、これは普通の船と安全上は同じと考えてよろしいかどうかという……
#194
○小巻敏雄君 いやいや、取り外した場合にですよ、燃料棒抜きで走ったらどうなるか。
#195
○政府委員(山野正登君) これは原子炉等規制法では、原子炉を搭載したものは燃料装荷のいかんにかかわらず原子力船といっておりますけれども、これは法理上の定義でございまして、原子炉から燃料を抜きまして、補助エンジンで走ります場合には、通常の社会的通念としましては、原子力でもって走るいわゆる原子力船ということにすぐにならないかと思います。
#196
○小巻敏雄君 安全上の問題として見れば、普通船と何ら変わりがない、常識的に見てですね。宦官は男であるかというほどの意味になるかもしれませんけれども、どう見てもこれは普通船と変わるところはなかろうと思うわけです、実際問題としてですよ。籍のある船なら、取り扱いの問題とか、保険の問題とか、いろいろあるでしょうけれども、実際の安全上から眺めた場合に、これは普通船と同じだと、こう考えていいわけじゃないでしょうか。局長、どうでしょう。
#197
○政府委員(山野正登君) そのように考えます。
#198
○小巻敏雄君 そうであるとすれば、行く先があれだけ問題になっておる佐世保でなければならぬということは、これは常識的に考えてわかりにくい問題であります。これは修理のためにも、何のためにも、最も重い障害になっておるのが、これは燃料、この問題があるわけです。もし燃料からフリーになって、そして修理、点検ということになれば、これは必ずしも佐世保でなくてもどこでも安全上の問題はないはずでありますが、その点はどうでしょうね。
#199
○国務大臣(宇野宗佑君) とはいえ、昨年の二月に佐世保市に原子力船「むつ」の遮蔽改修並びに総点検、そうしたことをやりたいからお願いをするということを申し入れたわけでございますから、たとえ燃料棒がなくても、やはりそれは原子力船には変わりないわけであります。船籍といたしましては原子力船でございますから、当然この遮蔽改修並びに総点検に関しましては佐世保でやっていただきたい、そうでなければ政府は何のために佐世保にお願いしたかわかりません。したがいまして、そのお願いをしたことを今日覆すつもりはございません。
#200
○小巻敏雄君 だから、事柄の内容よりはいきさつの方が今日では重点になって上がってくるというのが、一つは日本の原子力船問題の悲劇であるのではないかと私は思うわけです。しかし、こういうことが現実に国民の中で問題になる状況が、昨年の秋でもなければ昨年の春でもなく、今日にならなければこれらの問題が真に全体の中で討議されない、ここのところに問題があると思うんですね。核燃料棒を装荷したままでやるのか、これを外して――まあどこで外すかという問題がございますけれども――取り扱うのかという問題は、もっと期限の余裕のある時期にフリーに討論をされれば、全国の中での取り扱い方ももっと弾力性と柔軟性に富んだものになっておるはずだ。ところが、これが両三年引き続いて、委員会の中になっても、いまは微妙な段階であるから発表は差し控えますというのが相次いで、そしてどこかへ行くということになったときには、また期限まで、その中身は微妙な点があるので物を言いませんというので、いつでも土壇場過ぎてから問題が出てくる、ここのところに問題の中心がある。なぜ横浜であってはならないのか、なぜ神戸であってはならないのか、なぜ佐世保でなければならないのかというような問題が、これがフリーな話にならないで、いつでも前提が固定したところから始まってくる、こういう問題です。これが二年半、根本から姿勢を変えて、そして国民の英知を集め、国民の合意で進行すべき立場に置かれたこの問題について、いまなお従来的な進行と体質が根本から残っているということの一つの証明であろうと私はそう思うわけです。
 ここで第二の次の質問に入るわけですけれども、昭和三十年ごろに原子力船の建造計画が立てられた。まあ十年後には原子力船時代が来ると言われてからもう十年はたちましたけれども、こういう状況で基本計画があって、そうして出発をしたわけであります。いまは二十年たっておりますから、造船界であれ海運界であれ、これは一つの基本の上に乗って進んでいるとはいえ、大きな変貌を遂げておることもまた事実であります。「むつ」自身を訪ねてみましても、船長はすでに三代目、こういう状況でありますし、船員は多くはかわってしまい、初めからおられるのは何かスチュワーデス一人とかいうふうなことも聞くわけです。こういう大きな変貌のあった中では、この原子力船建造の全体計画にかかわる意義と役割りについても、これもまた変化をしてしかるべきではなかろうか。それとも以前の青写真、設計図、「むつ」がりっぱに就役をすれば、第二船、第三船というような夢のふくらむような話ですね。聞く方の夢は余りふくらまなかったんですけれども、しゃべる方はものすごい勢いでありましたからね。こういうビジョン、計画というものは、いまになってそこに見直しが加えられておるのか、この基本は基本として、輪郭はそのままにして進まれるのか、その辺のところをお伺いしたいと思うのであります。
#201
○政府委員(山野正登君) 原子力船「むつ」につきましては、放射線漏れを起しました後、いわゆる大山委員会等におきまして慎重に今後のあり方を御検討いただきまして、その結論といたしましては、自主技術による原子力船の開発を達成するためには、引き続きこの船の開発を進めるべきであるし、技術的には相当の水準に達しておりますので、適当な遮蔽改修等によって所期の開発目的を達成し得るという結論をちょうだいしたわけでございます。さらにこれに加えまして原子力委員会の中に原子力船懇談会というものを設けまして、今後のわが国におきます原子力船開発のあり方並びにその中における「むつ」の位置づけといったふうなことにつきまして鋭意御検討いただいたわけでございますが、その結論も、先ほど申し上げました大山委員会の結論とほぼ同様でございまして、確かに先生御指摘のように、世界的に見まして原子力船の実用化時代というのは、二十年前に考えていたのよりも少しテンポは遅くなっておりますけれども、しかしやはり一九八〇年代の後半には、コンテナ船とかあるいは大型タンカーといったふうな船腹の一部には、このような原子力推進の船が相当なフリートとして出てくるであろうといったふうなことは引き続き見通し得るわけでございまして、そのようなことを背景といたしまして、引き続きこの「むつ」を実験船として開発すべきであるという位置づけをいただいたわけでございまして、その線に沿って、いま遮蔽改修をスタートラインといたしまして、再び開発に着手したいというふうに考えておるわけでございます。
#202
○小巻敏雄君 初めからのビジョンに、「むつ」は実験船として出発をし、実用船の任務を途中から負わされて、そしてこれが事業団の手を離れて、そして特殊運搬船として走るようになれば、ここで一つのサンプルは挙がったんだから、あとは量的拡大をすればよろしい、第二船、第三船というようなことで、先走った向きでは、「むつ」を第二船の候補にしろとか、そういう話まで出ておった。そういうビジョンの一環として位置づけられて、ここに国家資金も投じられて計画は進んできたわけでありますが、そうするといまのところ、八〇年代はコンテナ船、タンカーなどが実際に商業船舶として走る時代と想定をして、この「むつ」を手始めに、第二船、第三船と、ちょうど一つ軽水炉を導入したら、あとはスピードアップされた電調審の認定によってどっと量的に電発を拡大するように、第二船以降の原子力船時代になる一つの第一号船、こういうことで考えられるわけでありますか。
#203
○政府委員(山野正登君) 先ほど申し上げましたように、ただいまの「むつ」と申しますのは、あくまでも実験船でございまして、この実験船の建造並びに運航によりまして、自主的な技術というものを蓄積いたしました上で、第二船以降は、ただいまの考え方では、民間においてこれを開発する、これを建造するといったことを期待いたしておりまして、政府といたしまして、全く原子力船開発分野から手を引くわけではもちろんございませんが、引き続き舶用炉等を含めまして基礎的な研究等はこれは政府が中心になって行いますけれども、船の建造という面からは、第二船以降民間にバトンタッチをしてまいりたいというふうに考えております。
#204
○小巻敏雄君 民間、これは造船界、海運界がどういう目でこの原子力船問題についてながめているかという問題は、これは二十年前の夢の時代と違って、もう少しリアルな、あるいはクールなと申しますか、そういうものがあるように私は漏れ聞くわけでありますですね。まして「むつ」型の船舶を、これはノーハウも何も外国からなにするようなことはないでしょうから、日本の造船界、世界におくれるなというので、「むつ」型の船舶、特に舶用炉を、「むつ」型の炉を持った船舶が日本の民間造船界に取り入れられることとなり、日本の海運界がこれを購入するというような状況で進むというふうに私はなかなか考えられないと思うわけなんですが、その辺については楽観的な見通しを持っておられるわけなんですか。
#205
○政府委員(山野正登君) ただいま「むつ」に搭載されております舶用炉は、御指摘のように、かなり形式の古いものでございますけれども、たとえ形式の古いものでございましても、陸上炉と違いまして動揺の激しい海上におきまして、しかも動揺の中で負荷変動するといったふうな陸上炉では実験できないようなことを、この「むつ」を使いまして行いました上で、その技術を新しい舶用炉に活用していこうという趣旨でございまして、第二船以降も「むつ」と全く同じ型の舶用炉を採用するという前提で考えておるわけではないわけでございます。で、このあたりにつきましては、先ほど申し上げました原子力委員会の原子力船懇談会におきましても、これは各界の有識者――造船界、海運界を含めました各界の有識者に集まっていただいた懇談会でございますが、その場でもそのような議論が行われまして、この「むつ」の確かに古い舶用炉ではございますけれども、引き続き開発をして、その成果を新しい舶用炉に生かしていこうというふうなことであったかと存じております。
#206
○小巻敏雄君 「むつ」問題が国民の目に映ってから後というのは、問題は炉に始まって炉に終わっていると言っていいぐらい、「むつ」問題即舶用炉の問題である。やっぱり「むつ」が国民に遺産を残すとすれば、これは舶用炉における研究成果なのであって、その他造船においても衝突防護の問題とか、動揺傾斜の問題とか、いろいろあるでしょうけれども、中心部分がこれは舶用炉の問題であると、こういう点で、今日あるいはこれが始まった時期から炉の形式についてはむしろ「むつ」型の、あるいは分離型の炉というものは、これは旧型だという批判が内部からもかなり強かったということは天下周知の事実であり、今日も一体型、貫流型の炉についての研究がそれぞれの分野で興味深く進められておると、むしろこの炉の形態についていう限り、第二船とつながらない炉が、これが現在「むつ」が持っている炉なのだと、基礎研究その他の部分で成果を残すとしても、炉自身は改めて一体型、貫流型の炉が強く業界、産業界、あるいは研究者の中でも興味を持たれていると思うわけですが、その点はどうなんでしょう。
#207
○政府委員(山野正登君) 「むつ」の舶用炉が旧式のものであるという点につきましては、私の申し上げておる趣旨は、かなり設計をされた時点から月日がたっておるという趣旨で申し上げておるわけでございまして、先生御指摘のように、一体型炉であるか、あるいは分離型炉であるかという点につきましては、確かに最近の傾向としましては、一体型で建造される例が多いわけでございますので、そういう意味で「むつ」のような分離型炉に比べまして、一体型炉の方がより進んだ形であるといったふうな評価をされる向きもあるいはあるかもしれませんけれども、この両者の間にはそれぞれ利害得失があるわけでございまして、一概に一体型の方がよろしいし、将来の原子力船はすべて一体型になるというものでもないというふうに考えます。しかしながら、これは将来ともわが国が分離型でいくということを主張申し上げておるわけではないわけでございまして、古いタイプで、かつ、分離型ではございますけれども、その研究の成果というものを将来一体型であれ分離型であれ、新しい舶用炉に生かしていきたいとい、趣旨を申し上げておるわけでございます。
#208
○小巻敏雄君 炉自身の問題については、かなり早い時期、私、日本舶用機関学会誌というのの一九七二年の十二月号、これに事業団の中の方ですね、甘利という方が書かれておる文章を見ても、この中には「技術面では」「炉形をせめて独逸のオットハーン同様の貫流形にしたかったが、安全第一、手堅くゆく」という担当理事の意見が強くて実現できなかったというふうに書き、安全第一、手がたくというのは、これは炉が安全という意味では必ずしもないんですね。つまりウエスチングハウスのチェック・アンド・レビューを受けることができると、何としてもアメリカにつながることが、これが安全第一で手がたいことだという意見が強くて、そっちの方に傾斜をして残念だったというような記述を見るわけですね。この方自身は特段にアメリカに批判的な方でもなし、また事業団の中の有力メンバーだと思うわけですけれども、こういうものも見られますし、また同時に、七六年版の原子力年鑑でこういう部分があるわけですね。「日本造船研究協会では、政府の五十年度原子力平和利用委託研究を受け、「一体型舶用炉の信頼性解析に関する研究」を実施した。」と、こういうことで政府の予算執行による委託研究を進めている。四十六年から四十八年度に至るまでの「委託研究として概要をまとめた」云々というような記述も挙がっておって、この問題はあわせて研究が進められているというふうに把握をするわけですが、この内容とはどういうものであるわけですか。
#209
○政府委員(山野正登君) この一体型舶用炉の信頼性解析に関する研究でございますが、これは一体型の舶用炉につきまして、その主要系統としての電源の供給系及び余熱の除去系を選びまして信頼性の解析を行ったものでございます。
 その結果、電源供給系では主発電機及び補助発電機の信頼性の向上が、また余熱除去系では電源系冷却開始ポンプ、余熱除去ポンプ等の信頼性の向上が両系統の信頼性に大きく寄与するということがわかったというのがこの主な結論でございます。
#210
○小巻敏雄君 いまから十年近く待ってようやく「むつ」が就役できるというような時点では、特殊貨物運航船ですか、こういう状況で就役できる時分には、かなりな程度に新しい技術が――八〇年代には少なくともコンテナ船その他いろいろ出てくるだろうというわけですけれども、そういう段階で、私はどう考えてみても、いわば病気持ちとしてマークをされたこの第一船「むつ」とがつながるように思いにくいということですね。第二船以下とつながらないやっぱり船舶炉を持った「むつ」というのは、基礎研究、今後の研究として価値があり、その中に意義と限界が同時に存するのであって、この点、今後の開発を含めた検討については、この枠から脱皮をして大きく根本的に進められなければならぬのではなかろうか、特に私の簡単な知識ですけれども、一体型の炉というのは結局すべて水で囲まれておりますから、一次系と二次系が非常に接近してあって、たまたま「むつ」の遮蔽漏れがあったようなことにはならない構造のようにも把握するわけです。簡単な概念図なんか見ておりますから把握が単純かとは思いますけれどもね。それから、結局そのために第二次遮蔽が非常に簡単になって、第一次の遮蔽自身はややずうたいが大きくなっても全体として場所をとらないとか、オット・ハーンの場合には燃料棒の装荷を基地でやらなくてもその中にプールを持って燃料棒を蓄えていくことができるとか、さまざまな利点が挙げられているように思うわけであります。こういったふうな、どっちかが一方的にすぐれているとは言えないでしょうけれども、利害得失があると思うんですけれども、その点は大ざっぱに言ってどういうことになるわけなんでしょうね。
#211
○政府委員(山野正登君) 一体型と分離型の比較評価でございますけれども、まず開発要素はどちらが多いかという点につきましては、これは当然のことながら一体型の方が開発要素は多いわけでございます。それから遮蔽の重量につきましては、一体型の方が軽く分離型が重い。また据えつけの期間につきましては、一体型が短期で済み、分離型は長期を要する。それから圧力容器につきましては、これも当然ながら一体型は大型になり分離型は小型で済む。また、メンテナンスにつきましては、一体型は非常にむずかしいけれども、分離型はやさしい。こういうふうに一長一短があるわけでございます。
 それから、ただいま先生御指摘の点に一言触れさせていただきますが、第二船以降考えます際に、第一船の「むつ」の成果だけで第二船に進もうということを私どもは考えておるわけではないわけでございまして、この第一船の建造運航の経験に加えまして、別途舶用炉等の研究開発というものは、これは先ほども平和利用委託費の一例を申し上げましたが、別の手段においてこれを並行的に行っておるわけでございまして、こういった「むつ」以外の研究開発というものの成果もあわせて第二船以降に生かしていきたいという趣旨で先ほど来申し上げておるわけでございます。
#212
○小巻敏雄君 いま言われるところを聞けば、まあ私はそれが姿だろうと思うんですね。「むつ」が一つサンプルができれば、これを量産すればあとは大船に乗ったようなものだと、もう「むつ」型の船が第二、第三と、一ダース、二ダースとふえていくというような単純なものでは決してない、どこまでも国民に残す財産は研究用の成果なのだと、「むつ」の意義も限界もやっぱり研究実験というところにあるんだということです。しかし、科技庁の当初から出されたビジョン、あるいはまあ「むつ」の現地一つへ行ってまいりましても、初期からの宣伝内容その他はそういうようなものではなかったようですね。第二号、第三号の母港にする――大体母港というのは三号になっても十号になっても必要なのかどうなのか。「むつ」型を念頭に置くからこれは第二号も三号も母港が要るということに私はなるんだと思うんです。少なくとも燃料が備蓄され貯蔵されてそして中にプールを持って走り、母港で装荷装てんをするというようなことではなくて、これも船上で行われるというようなものなら、必ずしも母港というようなものを必要としない。第一、いまのような状況で母港がどうしても要るのなら、一つ港へ入るたびにそこへ新幹線をつけなくちゃならないようになるんじゃないでしょうか。こういうことを考えてみても、研究の役割りを果たした「むつ」、いまからも研究の役割りを果たさせる「むつ」として大きく将来を構想するということを大胆に国民に訴えていくときに、国民はそれほど無理解であるのか、私はそこらのところが言いたいわけであります。
 「むつ」が二号、三号とふえていく、十年後には原子力船時代になるからそうでなければ乗りおくれるということを二十年前から聞かされたという人があるわけです。もう十年はたっておりますから、おくれて久しいということになるわけですが、必ずしも国際海運業界を見たってそういうわけのものではないのであります。急がば回れということはいつでも出てくるわけですけれども、二年前にあの時期にそのことに気がつけば次善であり、さよう気がつけばやっぱりいまの従来型の姿勢で臨まれるよりは私は国民の合意が遂げられて先へ進むんじゃなかろうか、そういうふうに思うわけです。必ずしも第二船、第三船とのかかわり合い、「むつ」というものが日本の原子力船開発の将来に対して果たす意義づけ、限界ということが国民の前に明らかでないと思うんですね。そういう状況の中で国民が選択を強いられている、まあここのところに私は問題の中心があるだろう。前回衆議院で、瀬崎議員の方からも同様な趣旨を述べたと思いますけれども、これらの問題、原子力船とは何かという問題、そしてどのようにして全体を進めるかという問題に行かなければならぬのに、いつでもハウのところから問題が始まって、ホワットの部分は、これは大体外国で実験済みと、セカンドランナーは追いつけ追い越せばよろしいというところから問題が始まる。そしてとりわけ国民がそこに口を出し、そこに関心を持とうとすると、そうすると愚か者呼ばわりをするような姿勢が政府の中にあったんじゃなかろうかと思うんです。
 大山委員会についてはしばしば引用されまして、大山委員会報告が出てくるわけですけれども、長官、これ全部読まれましたか。この報告書というものを、つくり直したり役に立つというところだけ読んだらだめなんですね。そこに密接する部分でも、結論のところでいろいろ書かれてあり、前提があって、もし前提が満たされるならばこの船を修理することも意義づけが行われるだろうというふうに書いておるわけであります。まあ、こういう部分もありますね、この大山報告の中には「当然批判されるべきことでも、それが批判されると、あたかもその批判者を原則的なことまで反対しているかのようにとる傾向が、原子力関係の当事者にはありがちである。」、こういうようなことも書かれております。気に入らぬことを言えば、すぐこれは根本的な反対者で文化の進歩に反対をする者だとか、こういうことがある。一般の国民は放射線については心からまじめに不安感を感じているというようなことも記述されております。そうして最後に、この「むつ」を修理をして使うことも可能だという、そういう結論部分には幾つかの前提がつけられておるわけです。これはすべてこれを消化しなければ、部分的に好都合なところだけより食いをしてやろうとしても国民が受け入れないのは、受け入れない方が私は健全だというふうな見方も成り立つと思うんですね。この意義と限界、そして将来のビジョンというものについて、ここはひとつ大臣から御見解を承っておきたいと思います。
#213
○国務大臣(宇野宗佑君) まず資源の面から申し上げますと、現在はやはり海外依存度が非常に高い石油に何もかも頼っておりまして、しかも一昨年の統計ですが、六百億ドル外貨を支払って商品を輸入した、そのうちの三分の一が石油である、その石油の一割が船舶に現在用いられておる、ではこれでよいのであろうかということが言い得るわけでございます。したがいまして、やはりそのうち特に油を運ぶのに油をもって運ばなければならないということは、世界じゅうもその不合理なことに気がつき始め、
  〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕
したがいましてドイツにおいても開発され、さらには近々英国がアメリカに対しまして大型タンカーを発注をすると――仮発注でございましょうが、まあそうした幾つかの事例等をも考えますと、やはり四面海に囲まれたわが国といたしましては、さような面におきましても石油にかわるべき代替エネルギーというものをいまから準備しなくちゃならないんじゃないかと、こういうふうに考える次第でございます。そこに私は常に原子力船の開発が民族としては欠くことのできない問題であるということを申し上げておるわけであります。
 したがいまして、先ほどから第一船と第二船、三船との関連、それも一つのお考え方ではございましょうが、やはりわれわれといたしましては貴重な第一船の「むつ」のあらゆるデータ、そうしたことが民間において商船として十二分に第二船、第三船に活用されるということをこいねがって、今日までその方針を貫いてきておるような次第でございますので、もちろん大山委員会のレポートに関しましても私もいろいろ書かれておることは了承いたしておりまするが、かいつまんで申し上げれば、「むつ」自体に関しましてはかなりの水準に達しておるから、ひとつこれで原子力船の第一ページを開きなさいと、そういうふうにわれわれといたしましては受けとめまして、今日その修理を急いでおるということでございます。
#214
○小巻敏雄君 日本が基礎的な研究を成し遂げて、技術の習得をして、そして一流のレベルに達して次々に民間ベースで原子力船を就役させるということになるための早道は、果たして今日「むつ」を継ぎはぎ修理で、「むつ」をとにかく十年後に特殊貨物船として、商船として走らせるということが早道なのか、今日、これに比判的な方はかなりたくさんあるわけですけれども、根本から見直して、国民合意を成し遂げて大きく前進をするのが近道なのかと、そこのことを考えるのがこの「むつ」の教訓から得ることのできる最大の財産ではなかろうかと、私はそういうふうに思うわけですけれども、長官のいまの御説明では、やっぱり第一号商船として走れば、これで二船、三船の道が早くなるというふうに聞こえるわけですね。そういうふうに短絡直結しないで、事柄の真相は局長も言っておられるように、「むつ」が提供するものは基礎研究成果なわけでしょう、それから基礎の技術の習得なわけでしょう。これを積み上げていかなければ、私は結局のところは、ノーハウを全部公開しよったら外国のプラントを買うようなことになってしまうのではないかというような感じもするわけです。一つは事業団の飛ばしておるロケットなども見せてもらっておるわけですけれども、確かに自主研究によって内之浦から始まってかなりの高い程度の中に参加することのできる技術者をつくっておりますし、新幹線の技術者などから移行して高いレベルの、水準の事業団になっておる。しかしながら、もう一つ進むところは、そこまで出てきた先は、大体アメリカからプラントを買うような方向にかなり動いているんじゃないかというような感じもするわけですね。トップレベルのところ、まあひとつここのところを根本からやろうと思えば、やっぱり研究実験船としての限界、研究対象としての「むつ」ということを、これをよく全国民の中でも認識をされ、その中で本格的な進行ということで信用を回復して、そして手の内を見せずに次々に策略のようにいろいろ押しつけられるというような、こういう国民の評価から立ち直っていかれることが必要だろうと思うんです。私はここでは事業団法の延長も出ておりますけれども、こういう継ぎはぎ型の修理でなお事柄の本質を国民にわからせにくいと、そして国民の英知も結集しにくい、国民の合意も得にくい形での進行については反対せざるを得ないということを申し上げるわけです。よく御検討をいただきたいと思います。あくまでもこれは「むつ」がもたらす成果は研究だ、このことを中心に物を考えていかなければならぬと思うわけであります。
 次にお伺いするわけですけれども、四月十四日を前にした長崎県の知事委嘱の研究委員会の問題ですね。この件については、冒頭に、最終的な現時点での長官の結論をいただいておるわけですけれども、長崎県知事が国からの委嘱を受けてああやって研究委員会を委嘱をして、みずから県民の納得と、そして自分の納得ということを含めて、専門家に相談して、みずから進められるというような姿勢については、大臣はどのようにお考えになりますか。
#215
○国務大臣(宇野宗佑君) 私は、今日まで久保知事がとってこられたああいう方式、知事として当然のことであろうと、こういうふうに考えます。恐らくまあはっきり申し上げまして、自民党の知事さんですから、われわれの言い分は人一倍十分にわかっていただけると思いますが、何と申し上げましても被爆県であるということ、さらには漁業も全国の一割近い漁獲高があるという点、そうした点から申し上げますと、純粋科学の面だけではなくして、社会的な安全性も求めざるを得なかったと、そういうふうな立場から、ではやはりこの際に諮問機関をつくって、その諮問機関でやっていきたいと、そしてその答えを尊重したいと、この経緯に関しましては、私はまあ久保知事は知事としての一つの方法をとられたと、こういうふうに考えております。
#216
○小巻敏雄君 今日電発の立地の問題にしても、あるいは「むつ」に関連して多くの漁港がそれぞれ皆一遍は自分の問題として考えたというような状況があるわけですね。「むつ」があの漂流からどこかに帰ってこようというときには、もう自分のところに来るかというのであっちこっちの県がいろいろ決議を上げたぐらいですから、こういう状況の中で「むつ」の教えたものの一つの財産は、やっぱりあの受け入れに当たって当時の鈴木総務会長が現地に行かれて、初めて漁民にみずからが会って、それから漁民の代表者をも対象にし、そして知事、市長との間で協定を詰めながら、同時に漁民の意見も聞いて、これは幹部諸君の意見だったようですけれども、専門家会議を開いて、そしてそのこと自身は安全なんだということを洋上にある間に証明をさせて、また漁民もそのことがわかれは承知をするのでありますから、政府が言うても聞かなくても、専門家の意見を聞いて承知をするのですから、そういうシステムをとられたことと、もう一つその上に、あの時期には非常に興奮しておりますから、なおその学者も天下りで指名したんじゃないかというので、自分で服部先生ほかをまたお願いをして、そしてそこでも聞いて、意見が一致した限りで初めて全き信用の上に事柄を進めるという、こういう一つのスタイルができてきているわけですね。いまこういう姿で、国民合意あるいは社会的な安全性という点から専門家に対する期待は非常に大きいし、このことがいわば理性を離れた争いというものを、理性と真実の場に引き戻す役割りをしているだろうと私は思うわけです。この道を最初に選択をしたのは、私は横浜の最初の態度だと思うわけですけれどもね。この時期から――あのときは何ら政府の援助を得られず、ある書面を読みますと、科学技術庁に科学的資料を出せと言ったら、いまから研究をしようとする市長のところへPR資料を届けたと言われるわけですけれども、その中で、みずから専門家に当たってこれも理性の次元で問題を解決しようとやってきた。ぼくはこのものが本当に国民の合意があれば、もっと一本政府が機関を置けば、そこが信用されてしかるべきものだと思います。公聴会なども開かれれば一層これは完備をされるでしょう。しかしいまの段階で問題の対決は科学の進歩と人間の理性の次元に持ってくるために非常に大きな役割りを果たしてきた。この限りで大臣が研究委員会の結論にしろ、知事の判断にしろ、これを尊重していますと言われた態度は、私はそれが正しい態度だろうと思うわけです。しかし、初期はそんなものではとうていなかったです。いまたまたま引用いたしました甘利さんの「原子力船特集号によせて」というのは、一面では横浜市長のイデオロギー的な反対と、これがあの専門家会議の招集であったというようなこともあの時点の場合には書かれていますからね。こういう状況、速やかに私は科学技術庁が全般としてあるいは政府が全体として国民の合意と英知の結集について――いま不信がある部分については民間団体や大衆団体あるいは地方自治体がみずから研究をするという態度をむしろバックから支援し、側面から応援し、ついには国民の信頼の中でこの問題が研究が進むようにという方向をたどられることが必要だろうと思うんです。その限り、あの研究委員会についてこれは何か反対者の助っ人であるとか、あるいはイデオロギー的な特定研究者集団であるというような見方を決してとってはならぬし、私はここの中に将来への発展の芽があると思います。この点で長官大体言われた点、同様な認識のように思いますが、そういうことでしょうね。
#217
○国務大臣(宇野宗佑君) 研究委員会の答え、これは非常に大きなウエートを知事の判断にまつわけでありますが、私はさようなことで、知事はまだ判断をしておられませんけれども、いずれ研究委員会というものの報告をもとに判断するということに対しましては、私にも伝えられておりますから、私はそれはそれなりに評価いたしたいと思っております。
#218
○小巻敏雄君 再三起こってくるこういう問題の中で、学者に委嘱をして研究をするという問題と、これは国が直接の県民の不安に対してこたえるべきでありますけれども、そのことに障害がある今日の段階で、やっぱり国の果たすべき役割りをかわって果たすというような責任と、それから地方自治体が直接住民に対して責任を負う立場からいっても、その点を多数決に求めるのではなくて、やっぱり真実に求めるというような意味合いで貴重だろうと思うわけです。こういう点からすればいま包括的にそれなりの評価をしておるという長官の御答弁でありますが、これらの委員会の人選その他に当たっては、相談を受ければよろしく助言をし、国立大学や国立研究所、これらに主として学者はおられるわけでありますから、こういうところが協力を求められたらこれは協力をする。政府はそれに対して援助をしていくというような構えをとるのが至当であろうかと思うわけですが、どうでしょう。
#219
○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろケースもございましょうが、概念的に考えればそうした方向が望ましいことではないかと思います。
#220
○小巻敏雄君 特殊な例を引けば問題がわからなくなりますから、一般論、理念、筋と言えばそういうことになるということだと思うんです。県が研究委員会を設けるというような際に協力をするのがこれが筋道であろうと思います。また県が県民の希望にこたえるために考えた人選等については当然のことですけれども、政府があれこれとチェックをしたり干渉したりするなら目的は遂げられなくなってしまうと思いますが、その点についてはどうですか。
#221
○国務大臣(宇野宗佑君) いやしくも知事がみずからの諮問機関ということでやって、その人選でございますから、当然それぞれの機関に諮ってなされると思いますので、あえて政府がそれに対しまして介入するというふうなことは、これはやはり慎しまなければならないだろうと、かように存じます。
#222
○小巻敏雄君 前回の委員会で、残念ながらこの特殊法人である原子力研究所、ここの中島篤之助博士が知事の委嘱によって研究委員会に出席されるという点に原研当局が理解を示さず、これについての出席をまるで私物的欠勤扱いをしたという問題について前回御質問もし、調査をしていただいて、その点一定の解決を見た。このことは大変よいことであったと思うわけですが、このひとつ経過を局長の方から御説明いただきましょうか。
#223
○政府委員(山野正登君) 長崎県の安全研究委員会におきます中島さんの扱いにつきましての経過でございますが、三月の十四日付で長崎県知事から原子力委員長あてに文書が参りまして、本件の円満解決を図るためにぜひ調停の労をお願いしたいという文書が参ったわけでございます。これに対しまして原子力委員長は、井上委員長代理に仲介の労をとるように依頼をされまして、井上委員長代理がこれを快諾されました上、三月二十二日に中島さんから第一回の事情聴取を行っております。引き続き三月二十三日に原研から第一回の事情聴取を行っております。引き続き三月の二十六日に中島さんから第二回の事情聴取を行い、三月の二十八日に原研から第二回の事情聴取を行いました上、三月の二十九日に井上委員長代理の仲介案を中島さんと原研当局の両方に提示をいたしております。この仲介案に基づきまして、三月三十日に中島さんと原研当局が協議をされまして、四月の五日に中島さんは仲介案の受諾を回答されまして、原研もこれに同意し、必要な措置がとられたということでございます。
#224
○小巻敏雄君 円満解決されたということであれば、それにこしたことはないわけであります。私は、もともと東京新聞にかなり大きなスペースであの問題が報道された時点からこれを重視しておったわけですが、いやしくも労使関係の問題の対立をこの国会の中で決着をつけようなどと思ってあの問題を取り上げたわけではありませんし、あのときにも申しましたように、今日「むつ」問題ばかりでなく、多くの分野で特に専門家に尋ねるよりほかないこういう領域の問題で、この安全問題等については公聴会なども実際効力ある方向で行われておりません。こういう状況の中で原研というような新しく設けられたああいう機関の中で驚くべき無理解があって、そしてかかる事態が起こっておるということと、もう一つは、今日の日本が少なくとも頭脳で生きていこうとするなら、研究者、学界に対する処遇について立ちおくれた考えを持ってはならないというような点で、原研のようなああいう事業体が非常に後進的な措置をとっておるということに驚いて、実はこの問題を取り上げてお伺いをしたわけであります。円満解決したということであれば、それ以上のことはないわけであります。事の趣旨はそういうことです。
 私は、ここで残念ながら、その趣旨に反して、あの時点で宗像理事長はかなり問題ある供述をされたわけであります。尋ねもしないことについて長々と公述をされまして、その中には、私の目から見れば、今後の日本の学術の発達あるいは科学技術の発展あるいは原子力の問題等、これらの点で障害になるんじゃなかろうかと思われる二、三の点もあったわけです。こういう点について、これは宗像理事長が望んで持ち込まれたものですからこの場で一定の決着をつけておく必要がある、このように思いまして、関係者である中島博士にも御出席をいただいたわけであります。
 問題は、これは二つばかりあったと思うんですね。一つは、中島さんを見込んで研究委員会に呼んだ知事は不明だと、これは専門家としての力量が、中島さんは安全問題について助言をしたり、その研究会に出るような資格はないんだというようなことを、これを言われておりますし、もう一つは、非常に勤務態様が悪くて仕事は三分の二しかやってない、六〇%しかやってない、大ざっぱに言えば四〇%はサボっておると、こういうような人をよそに派遣するわけにはいかないと、大ざっぱに言えばこういうような答弁であったと思うわけであります。さらに、それに大臣みずから言われたところですから、新聞に出た後でそのことを宗像理事長は大臣に直接行って訴えて、大臣も一定の影響をお受けになったようでありますから、私も唖然としましたというふうに言っておられ、あの供述の後では、逆に欠勤が六〇%かと一時錯覚をされたぐらい強烈なアピールだったわけでありますから、これらの問題についてはまあ御調査もいただいたでしょうけれども、私の方から問題を明らかにしておく必要があると思うわけです。特に中島博士は非常にサボリで、欠勤が多くて困るという話と、もう一つは、あれこれ学術会議などと言うが、安全性の研究会に出席するのに適任者でないというようなことも言われましたので、その点について参考人の供述を求めます。
#225
○参考人(中島篤之助君) 中島でございます。
 私も三月十一日のこの委員会の議事録を拝見いたしまして、大変間違った情報に基づいたお話がされているんではないかと思いました。きょうこういう機会が与えられましたので、二、三申し上げたいと思うのであります。
 それで、その前に、いま小巻委員も言われましたけれども、私の長崎県のむつ安全性研究委員会への出席に関します事件につきまして、宇野長官初め井上委員長代理があっせんの労をとられたことにつきまして、大変御多忙の中をそういうことをやっていただいたことに対しまして一言お礼は申し上げておきたいと思います。
 で、それを受諾いたしますときに、私はただ若干の意見を井上さんに申し上げたわけでありまして、とにかく問題は、今後こういうことが起こらないことを前提として私は受諾さしていただきたいと、これが第一点でございます。
 それから第二点が、この井上先生から示されました調停案の、一番目は問題がないんですけれども、二番目の項目で、賃金カットされた分についてさかのぼって年次休暇を出せということは、これはある意味では、長崎県知事がもうすでに一月の二十日に原研当局に対して公文書を出しておられるわけでありまして、これを結果としては無視することになるので、実はわざわざ長崎県に電話をいたしまして知事の御意向を、そういうことになるけれどもよろしいかということを一応確認いたしまして、長崎県久保知事といたしましては、とにかく円満解決したいというのが趣旨であるから、そういうことで、私としても不満であるが受諾する方向で考えてほしいという御意向がございましたので、それを受諾するということを申し上げておきました。それが第二点でございます。
  〔理事塩出啓典君退席、理事森下昭司君着席〕
 それから第三点は、実は井上先生の調停案の前文の最後の方に「協議妥結せられたい」という項目がございます。それに従いまして私三十日に原研の人事担当理事と協議をいたしまして、そのとき私が申したことは、つまり、やはりこういう問題が――私も原研の一員でありまして、これが国会等において議論されたり、あるいは新聞等において出たりするということは、少なくとも私にとっても余りありがたくない話でありますし、原研にとっても名誉な話ではないであろうと。今後、やはりこういうことが起こらぬようにするには、実は、私が原子力研究所の所員であると同時に学術会議の会員でもあるという身分を持っておる、そのことのために、そのことについてどうも原研当局の理解が足らないようであるからこういう問題について今後話し合いをしたいということを申し入れたんです。で、それはどういうことかと申しますと、実は、私が学術会議へ行って仕事をしますとき、それは原研では特別休暇という扱いになるんですけれども、御承知のように、学術会議というのは学術会議法という法律によって設立された国の機関でございまして、身分としては特別職の公務員であるということになっております。で、旅費も、すべては支給されませんけれども、大変残念なことに、すべては支給されませんが、総理府から旅費をいただいて委員会に出席するわけでありますから、これは原研の規程にいうところの旅費先方負担の出張の扱いにしてもらいたい、そういうことをしておらないで特別休暇ということになっておるものだから、宗像理事長が全部休んでおるかのごときことを国会でおっしゃるもとにもなる。これは変えてほしいと。
 それからもう一つ、学術会議の会員であることによって生ずるいろいろな仕事が実際起こります。
  〔理事森下昭司君退席、委員長着席〕
これは、たとえば今度の長崎県の研究委員会の場合も、私が学術会議の原子力問題特別委員会の幹事をしておるということを、まあ見込まれてと申しますか、そういう立場で委嘱がなされておるのでありますから、そういうようなやはり社会的な仕事というのはどうしても学術会議の会員であることに応じて出てくる。ですから、こういう問題については、しかしこれは公務の執行とは違いますから、これについては原研の職員であるということのいわゆる職務専念義務との間で、まあケース・バイ・ケースに話し合ってもいいけれども、たとえば年間何日というふうな協定を結ぶということをすべきであろう、そうして、第一、こういう余り芳しからざることを起こして井上委員長代理の――これは個人の御資格だとお伺いしましたけれども、こういう調停を受けるというようなことが今後起きないし、それから、この問題を円満におさめるというためには、実は私の結論を――私の申し上げた点を全部聞けというようなことを言ったんではなくて、とにかくきょう初めに協議を始めるということだけは言ってもらいたい、話し合いをするということだけでも言わなければおさまらないのだということを申し上げたんですけれども、大変遺憾なことに、今度のことだけであると、おまえと話をするのは今度のことだけであるというような態度であって、私は大変残念でありましたから、そういうことであったということを井上氏にはお伝えいたしました。で、残念ながら円満解決では――私の問題については一定の解決はなされたけれども、どうも根本問題については済んでおらないということを申し上げた。
 以上が調停に当たりましての経過でございます。
 それから次に、小巻委員から御質問のございました理事長の挙げておられる「専門家」という問題であります。
 宗像氏は、理事長は、私は分析の専門家であって原子力安全問題の専門家ではない、こういうふうに簡単に断定をされたわけでありますが、実は、この専門家というのは何かということをわれわれ科学者の中の言葉で申しますと大変むずかしい問題になってまいります。非常に適切な例ではないかもしれませんけれども、理解を助けるという意味であえて申さしていただきますと、たとえばノーベル賞をもらわれました湯川秀樹先生は、これは物理学者であると申し上げてよろしいと思うんです。しかし、この物理学者の中で湯川先生の御専門は何かという話になりますと、これは実験物理学ではなくて理論物理学である。そのまた理論物理学の中の、しかもそれはたとえば固体物理の分野ではなくて、素粒子論という分野のまたその中のいわゆる最近は場の理論をやっていらっしゃると、こういう話になって、その場の理論の専門家であるというようなことを言わなきゃならなくなるわけであります。こういうことを言っておりますと、専門家はだれもいなくなってしまうであろう。この問題が一つございます。そういうことなんだということを御理解いただきたい。
 それからもう一つ、原子力安全問題の専門家というのは一体何であろうか。で、これは実は、この長崎県の研究委員会の、大変失礼な言い方ですけれども、構成メンバーをとりまして、たとえば長崎大学のある薬学部の先生も委員になっておられます。それから私が少なくとも学術会議の原子力問題特別委員会の幹事をやっている私が、私は原子力問題の専門家ではないということは言えません。社会的通念としては、それは言えないのでありまして、一番どうも関係が深い。しかも、原子力研究所に創立以来勤務しているということで、私が原子力の安全問題について何にも意見を持ってないということであれば、これは科学者としては私は失格であろうとむしろ思うんです。それが第二点の、そう簡単な問題ではない。
 私が一番残念に思いますのは、こういうことを理事長という立場で、これは原子力研究所をそれこそ総理すると言われたんですけれども、大変重要な責任のある立場にある方が一方的にこの人はこういう専門家だということを決めることが私は科学者として一番抗議しなければならぬことである、そう思います。その点が第一の御質問に対するお答えであります。
 それから、二番目の勤務態様のことですけれども、これは理事長から昨年は六一%というお話がございまして、私はびっくりいたしまして、私の所属しております原子炉化学部の事務長に――これが実は私の出勤管理を厳重にやっておる人でありますけれども、彼に、これは国会等でこういう問題になっているのであるから、間違いないデータを人事部に行って調べて出してほしいということを申し上げました。それで、早速報告をもらったんですが、昨年でありますから、つまり昭和五十一年の一月から十二月までの間の原子力研究所のいわゆる労働日、出勤しなきゃならない日というのは二百九十六日であります。私が東海研究所に勤務いたしました日が二百日ありまして、そのほか原子力研究所の業務に関係する出張が十七日ございまして、これがいわゆる出勤した日二百十七日ということになります。それから、夏休みを含めまして休暇を十七日とっております。それから、学術会議に五十九日行っておる。それから、たしか松山の裁判所でありますが、裁判所から参考人として出頭を命ぜられまして一日行っております。つまり、合計六十日がいわゆる原研外の特別休暇をいただいて、理事長の表現をかりますと、よその仕事をしたことになります。それで、実はいろんな割り算をやってみたんですけれども、六一というのが出てこないわけであります。実は一番近いのは二百十七を三百六十五で割ると大体六〇に近いパーセントが出てきて、宗像理事長は普通の日曜日も休日も全部出勤しろということにどうもなるんじゃないだろうか。そうでないとすると、どこかにこれは間違いがあるに相違ないんでありますが、私の計算ではそういうことであります。それからもう一つ、理事長がそういうことを申し上げたのを宇野長官がお聞きになりまして大変びっくりされたというのは、これはいま私が申し上げたことに相違ございませんので、これはぜひお改め願いたい。
 実はどうしても改めていただかなければなりませんのは、私が行っておりますのは、私が東京へ出かけますのは、つまり学術会議の仕事でありまして、これは全国の四部、三年ごとに行われます選挙によりまして、一定の資格を持った有権者から選挙によって選ばれて仕事をしなければならないという立場にありますので、そういう状況にあるということであります。で、さらにつけ加えますならば、学術会議というのは、会員はすべてパートタイムの会員ばかりであって、皆それぞれ別の仕事をお持ちになって、そして学術会議という大変重要な仕事をしておる方ばかりであります。ですから、学術会議に委員会があるから出席せよという通知が参りましても、これはどうしても忙しければ別にそこへ行かなくても、それは別にだれが怒るというような性格のものではございません。ただ、そういうことをいたしますと、私どもをせっかく選挙をしてくれた有権者の負託にこたえることができないという道義的な責任が生ずるだけの問題だと言えばそういうことなんですけれども、それは決して原子力研究所の任務を放棄してそちらに行っているということでは決してないわけであります。その点だけは厳重に、私はむしろ宗像氏が理解がない点については抗議をしなければいかぬと、この国会の場をかりて、あえてこれは間違っていると申し上げなければならないと思います。
 大体これで私の申し上げるのは、とりあえず終わりであります。そうですね、一つ、こういうことを申し上げたいと思います。したがいまして、学術会議の会員の方々はいま言ったようなことではございますが、たとえば、ある部の会員の方で就任されたときは教授であった、ところが会員になられてしばらくして学長におなりになったということになりますと、これは実際問題として非常に学長の本務の方が忙しくなりまして、それまで大変熱心に学術会議においでになっていた会員の方がやむを得ず来れなくなるということは、これは間々見受けるわけであります。これはしかしそういうことでありますが、私の場合には実はそういう仕事が余り原研の方ではございません。ですから、私は安んじて学術会議の仕事ができるという状況にあるということが一つです。
 それからもう一つ、先ほど分析の専門家とか原子力安全の専門家とか、専門家というのは大変むずかしいものだということで大体もうおわかりいただいたと思いますが、きょうは国会の場でございますから一言申し上げさせていただきますと、大変失礼な言いようでありますが、国会議員の方々はそれぞれがやはり御専門を、これは正確に言えばバックグラウンドをお持ちになって、たとえば法律の専門の方もいらっしゃれば、あるいは教育の方の経歴をお持ちの方もいらっしゃるというようなことでございますが、さりとて国の政治全体についてはやはり私どもの負託にこたえて国政の専門家であるということであろうかと思います。それと同じ意味で原子力安全問題の専門家というのは私は考えられるのではないかというふうに思いますので、つけ加えさせていただきます。
 以上です。
#226
○小巻敏雄君 学術会議というのは一つの公職に当たらないという見方が、私はどうしても宗像さんの先般の公述の中ではバックになっておったようにも思うわけですし、それからやっぱり専門家、研究者の社会的責任や任務や位置よりは、やっぱり経営者の管理権の方が強いというような考え方も強く述べられたんだというふうに思うわけですが、いま学術会議の事務局長に御出席願っているわけですね。一つお伺いしておきたいと思うわけですが、学術会議というのは法律的にはどういうふうに位置づけられているものかということと、それから特に学術会議の役員、幹事というものは、これは公職であるのかないのかというような問題、それから中島先生が学術会議の中で占めておられる位置と役割りはどういうものであるのか、それをお伺いします。
#227
○政府委員(田中金次君) 学術会議の位置づけという非常にちょっと抽象的なお尋ねではございますが、学術会議は、いまちょっとお話が出ておりました学術会議法によって設けられました総理府の機関でございます。総理府設置法によりますと、総理府の機関として位置づけられております。
 したがいまして、第二点のお尋ねに関連いたしますが、公職なりや否やという意味におきましては、学術会議のポストはこれは国の職員であるということになります。先ほど中島先生の方からちょっとお話が出ましたが、国家公務員であるということで、その中で国家公務員には二種類ございまして、一般職の職員と特別職の職員というのかございます。これは根拠は国家公務員法という法律にございますが、その条文の規定によりまして、学術会議の会員は国家公務員、しかも特別職であるという位置づけがなされております。
 学術会議はそういった国の機関でございますか、中島先生はしからばどういうポストを占めておられるかと申しますと、学術会議の会員として選出されておりまして、現在第四部に所属いたしております。四部というのは物理学等の専門家の属しておる部でございます。学術会議は、ちなみに申しますと、七部制になっておりまして、各専門別に、たとえば第二部は法律関係、それから第三部は経済関係というような形ででき上がっておりまして、そういった意味の第四部は数学、物理等の系統でございます。そこの会員でございます。なお、学術会議には委員会がございまして、中島先生はたしか原子力特別委員会――これは学術会議の中の委員会でございます。原子力特別委員会、それから原子力研究連絡委員会、さらに研究公務員特例法等の特別委員会あるいは資源エネルギーの特別委員会の委員というものを担当されておると思います。
 きわめて大ざっぱなお答えで、あるいは足らないかもしれませんが、以上お答えいたします。
#228
○小巻敏雄君 宗像さんがどういうふうに評価をされるにしても、これは学術会議が日本の頭脳を代表する、しかも学術会議法で定められた非常に重要な公職であるということはいまの解釈でも明らかだと思うわけでありますし、常識的に考えましても、専門家といえば、研究の上でも専門の道があると同時に、これは社会的にも、著書あるいは占めておられる職務上の位置その他によって社会的評価が定着していくものだということは当然だと思うわけですが、学術会議の第四部には全体としてどのくらいの会員がおられて、特に原子力特別委員会はそのうちで何人くらいおられるのか、それから会長その他はどういうふうになっておるのか、こういうことも聞きたいと思います。
#229
○政府委員(田中金次君) 第四部の会員数は、すべて部制は全部共通でございまして、三十名というふうになっております。学術会議の会員は七部で各部三十名と決まっておりまして、トータル二百十名というのが定員でございます。それから原子力特別委員会は定員が十九名ございまして、これは各部からそれぞれ所属の先生方が出まして構成されている委員会でございます。
#230
○小巻敏雄君 役員は何人あるわけですか。
#231
○政府委員(田中金次君) 失礼しました。役員と申しますと、学術会議の役員でございますか。
#232
○小巻敏雄君 原子力特別委員会の十九人おられる中で会長とか幹事とかあるんじゃないですか。
#233
○政府委員(田中金次君) 原子力特別委員会の委員長、それから幹事というふうに、これが御指摘の役員ということになろうかと思いますが、委員長が一名、幹事が四名で構成されております。
#234
○小巻敏雄君 どういう面からながめても、日本の数の少ない安全問題を含む原子力の非常に造詣の深い学者であることはだれしも認めるところであると思うんです。これに対して、職務上の上司ということであるのか、ああいうふうな態度をとり、特に国民の注目の中で行われておる長崎の研究委員会に対して、できることなら行くなと言わんばかりの態度をとられるというのは、私は何か含むところがあるのかと思わざるを得ないような行為であります。しかも、これが初めてのことではなくて、初期の段階では、失礼ですけれども、宇野長官の前任者の森山長官時代には、学術会議を攻撃すれば内部で株が上がるのかと思うほどものすごい時期があったわけです。名誉なことには、森山長官からは、「むつ」が出港する直前には、学術会議と労億組合と共産党というふうに、わからないものの三羽ガラスとして御指名を受けたようなことがありますけれども、こういう非常に偏った開発優位、これに対していささかでも批判と思われるようなものに対しては敵視をするというような、あしき伝統があったことは事実で、今日宇野長官が先ほどから述べておられるような理念なり、あり方とはかなりほど遠い時期が遠くない過去にあったことは事実なんですね。こういう状況の中でぼくはこの種の問題は起こっておるということを重視をせざるを得ない。また、それに欠勤日を言わないで出勤日だけを出して、それ以外のことはまるで自由勝手に業務を怠ったかのような供述をされるというのも非常に私は卑劣な供述であると思わざるを得ない。特に専門家問題は、おおよそこの学術会議事務局長の御発言によっても明らかだと思うんですが、特に具体的な問題としての欠勤問題について、科技庁でもこの点では調査されたかと思うわけですが、大体中島さんがいま述べられたところが実際の姿であろうと思うんですが、どうですか。
#235
○政府委員(山野正登君) 中島さんの勤務状況につきまして原研当局に聞きましたわけでございますが、その結論を申し上げますと、先般宗像理事長が六一%と答えましたのは昭和五十年度の勤務率について説明したということでございまして、五十年度の勤務率を見ますと、勤務すべき日数二百九十七日に対しまして、勤務日数、これは出張を含んでおりますが、これが百八十四日、率にいたしまして六二%という数字になっておるということでございます。それから先ほど中島さんのおっしゃいました五十一年度の数字につきましては、私どもの調査によりますれば、勤務すべき日数二百九十六日に対しまして勤務日数が二百十二日、勤務率にいたしまして七一・六%というふうになっております。
#236
○小巻敏雄君 数字が違っているわけですが、この点は中島先生何かありますか。
#237
○参考人(中島篤之助君) 私が申しましたのは、先ほども申しましたように、昭和五十一年の一月から十二月までの日を言っておるわけです。それはなぜかといいますと、私は議事録を拝見しまして、理事長は明らかに昨年というふうにおっしゃっていますから私は昨年のデータを調べたわけでありまして、いまのお話ですと、これは五十年度とか昨年度とか言っていただかないと困ると思います。だから、やはり訂正していただかなければぼくはどうも科学者としてはけしからぬと思うんですね、やっぱり。
 それからもう一つ申しますと、五十年度のことについては私したがってデータを持っておりません、いま。これは自分でも調べて確認いたしたいと思いますが、ただ、思い当たる点が二点ほどございます。と申しますのは、私は五十年のちょうど半ばごろまで、小さい学会でありますが、私のそれこそ専門であります分光学会の会長をしておりまして、このために、これは学術会議の扱いとはまた違って、いわゆる兼職を理事長にお願いして許可していただいて、しかし結局特別休暇といいますか、そういう扱いで東京に、これは少なくとも理事会が月に一回ございますから、最低一回、平均して二回ぐらいは東京に学会の用事で、学会の会長であるということで出勤しなければならなかったことであるとか、あるいは地方で総会等がありますと、そのために出張しなきゃならなかったというようなことが恐らく十日以上はあるだろうと思います。それで少しふえている。それからもう一つは、これはちょうど科学技術庁の方がいらっしゃるんですが、たしか五十年の八月から当時の原子力委員長でありました佐々木さんが学術会議に申し入れをなさいまして、私どもの方の学術会議と原子力委員会との間で原子力の問題についてのシンポジウムをいたしたい、こういう申し入れがございました。そのために、私は原子力特別委員会の幹事でありましたから、学術会議側のいわゆる折衝員と申しますか、リエゾンオフィサーと申しますか、そういう立場で、科学技術庁と、大体九月ごろから二月ごろまでにかけまして非常に頻繁に会合を開いたりしたために、東京の方に何度も来ております。科学技術庁に行ったのは、科学技術庁の方に御記録があると思いますが、たしか七回ぐらいであったと思いますが、科学技術庁に一回行けば、その後学術会議で必ず一回会合を開いて御連絡をしなきゃならぬということでありますから、その年は、特に学術会議に、それは全部学術会議に行ったものという扱いになって特別休暇になっていると思います。それで非常に日数がふえているということであります。ですから、いま大変私意外なことを聞いたような感じがするんですけれども、それでは原子力委員会とそういう仕事でやるということは私確実にそういうことは申してあるはずなんですけれども、それについても、それはよけいなことをしたというようなお考えであるとすれば、これは非常に重大だと私は申し上げざるを得ないです。
#238
○小巻敏雄君 これは局長にお伺いをしようかと思うんですが、いま中島先生の方からと局長の方からと出された日数にも若干の食い違いがありますけれども、恐らく一月から三月までの時期の較差で生じておるもので、どっちも信用のできる数字ではなかろうかと思うわけです。
 一つ局長にお伺いするわけですけれども、この学術会議というような、こういう場に、これは当然日本の学術のレベルを象徴する公的な団体だと思うわけですし、日本の科学の行政に対しても特に関係の深い会議であります。これに対して、私は、この原研のようなこういう事業団が出席に理解するのは当然なことではなかろうかと思うわけですけれども、その点をどうお考えになるのか。これをまあ休暇とか欠勤、まるで権利で取って、もぎ取られたような見方をするのはどうかということですね。
 それから、監督をする立場にある科技庁ですからお伺いをしておくわけですが、特別休暇というのは、公務員であれ、特殊法人であれ、やっぱり所の側から与えるものであって、欠勤と見るというのは一体法的に見てもどのようなものか。これはむしろ権利というより、与えるものですからね、特別休暇というのは。与えた以上は、当然、いわばその価値を認めて処理をしておるものだと。特別休暇の種類の中には、それは忌引だとか、慶弔に関することもありますけれども、そのほかは、多くの場合、私は学校の教育畑を歩いてきましたけれども、これは教育上必要であるけれども出張に該当しにくい場合というような場合には、与えておるわけです。そうでなければ特別休暇を与える理由はないわけでありますから、こういうような点についても、何か特別休暇で公職につくこと、これを何か私物的なもののように言われる考え方はどうかと、こういった点もお伺いをしておきたいと思うんです。特に原研の内部規程では、聞くところによると、これは国会議員も兼務をできるし、市町村会議員も兼務をできるわけですね。これは大体皆特別休暇として、さような非難されることなく取り扱われておる。しかし、学術会議は公職と認めないというような取り扱いからさまざまな問題が生じておるようにも聞くわけですが、その辺について局長にお伺いをしておきたいと思うんです。
 それから、さらにもう一つ、前回の理事長発言だと、原研の職員の中では中島さん以外にはそんな休暇を取る者はないような、あるいは全部出勤しているような話なんですけれども、出勤日ということについて見れば、そのベストと申しますか、ワーストと申しますか、そういう中で中島さんが抜群の金メダルであるのかどうか、それらの点もひとつお調べがあるものであれば、ここで明らかにしていただきたいと思います。
#239
○政府委員(山野正登君) まず最初に、五十一年度の数字についての相違でございますが、恐らく、私の調査して申し上げておりますのは、五十一年度でございますし、中島さんの言っておられる数字は五十一暦年ではなかろうかと思いますので、たぶんその辺がこの数字の食い違いの原因ではないかと存じます。
 それから、学術会議の会員としての活動についての扱いでございますけれども、原研では、その内部規程におきまして、法令に定めのある公の職務に従事する場合、これを特別休暇として扱っておりまして、学術会議の会員としての活動はこの公の職務に当たるということで、その都度特別休暇として服務上の処理をしておるというふうに聞いております。これは原研の服務管理に関する内部規程の運用にかかわる問題でございまして、私がとやかく申し上げ得る立場ではないと存じますので、論評は控えます。
 それからもう一点、中島さんの出勤の勤務率のほかの人との比較でございますが、これはまあ御本人がいらっしゃいますのでまことに申し上げにくいのでございますが、決してよろしい方ではないということでございまして、ほかの方との比較は、まあこういう席でございますので、控えさせていただきたいと存じます。
#240
○小巻敏雄君 私が聞いたところでは、それは決して一番目でもなければ三番目でもなく、まあ七番目か八番目ぐらいのところへ出てきて、安全委員をやっておられるような方もあって、それなりに保障をされて社会的責任ある活動を行われておると。その限りでは常識的な勤務態様の一員であり、ただ業務出勤日数の日だけで比較をしてもその点は明らかにならない。やっぱりこれらの問題は悪意ある一つの理事長供述だと見ざるを得ない、こういうふうに申し上げておかなければならぬわけであります。
 そこで、長官にお伺いをするわけですけれども、問題は円満解決したのだからよろしいのであります。しかしながら、今後残る問題としては、やっぱり政府の監督下にある特殊法人のこの原研のあり方について問題が残っておるのではなかろうか、まあこう思うわけであります。特に、学術会議を今度は公職として見るというふうにお改めになったようですけれども、いままでは決してそうは言わなかったようでありますし、特に長崎の研究委員会に対してとった無理解な処置というのは、この賃金カットの一部分を取りやめたからといって消えるものではないと思うわけです。この点について、監督官庁としては厳重に注意をするなり、あるいら処置をするなり、あってしかるべきかと思うわけですが、その点はどうでしょうか。
#241
○政府委員(山野正登君) 本件につきまして、私ども原研法に基づきまして監督する立場にあるものとしましては、その監督し得る限度におきまして原研を指導しておりますが、今回のこの特別なケースにつきましては、原子力委員長という非常に特別な立場から特に原子力委員長代理にあっせんを依頼して処理したということでございまして、原研法に基づく監督と今回の調停とはおのずから一線があるものだというふうに考えております。
#242
○小巻敏雄君 この重要な局面で理事長としての宗像さん初めああいう処置というのは、大臣が先ほど述べられた研究会に対する見方、あるいは常識的に、あるいは法体系からでき上がっておる研究者の位置づけに対する認識というようなもので、はなはだしく偏向をしておると私は思わざるを得ないわけであります。それでも結構だという見方になるのかどうか。いかがでしょうね、大臣、フランクにひとつ答えていただきたいと思いますが。
#243
○国務大臣(宇野宗佑君) 今回のことに関しましては、私はやはり国務大臣という立場から、極力特殊法人の労使間の問題には介入したくないというのが私の一つの線でございました。しかしながら、やはり国会で取り上げられた問題でもあったということが一つでありますし、そして従来の経緯をずっと私も公平にこう耳にいたしますと、双方にあるいは感情的な問題があるんじゃないかなというふうな感じも実はなきにしもあらずであったわけでございます。しかしながら、時しも長崎の知事が「むつ」問題解決のためにやはり一つの重要な機関として設けられた、そこへ出席されるということに関しましては、まず政府の言い分をそのとおり尊重していただくとかいただかないとか、そういうふうなことではなくして、やはりこれは知事が懸命の努力をしておられるんだという立場に私が立ちまして、あのときでも国会で申し上げましたとおりに、決して賛成者だからあるいは反対者だから取り扱いを別にするというんではなくして、やはり知事から特別の要請があった以上は、従来のいろいろ慣行もあったであろうけれども、この点はひとつ考えられてはいかがであろうかと、こういうふうに私はフランクに考えましたんで、したがいまして、原子力委員長といたしまして、幸いにも委員長代理がおりますから、この委員長代理に事の経緯を詳しく申し上げまして、双方から十二分に意見を聞いて、そしてやはりこの際はそうした正当な、公平な一つの道を見出していただいてはどうであろうかというふうなことでやったわけでございます。
 私といたしましては、やはりここでいろいろ議論されましたことを十二分にそしゃくしたつもりでございますし、また今後こういう面に関しましては考えていかなくちゃならないと思いますが、ひとつお互いに大切な特殊法人でございますから、余りトラブルがないように双方でいろいろと腹を割って、そして今後その特殊法人設立の目的のために十二分にお互いが貢献し得るようにしていただきたいものであると、かように存じております。
#244
○小巻敏雄君 一応監督する者とそこへ勤務をする者という関係の間に発生をした問題は協議妥結をされたわけでありますから、国会では一応決着しているわけです。私はそのことを言っておるのではありません。ただ、ここで前回御出席になって、さまざまな理事長の供述もあり、そこのところから新たに発生をして問題を感じた部分について私は申し上げておるわけです。だから、あるべき原研の姿と、それから理事長の言動、態度、そして最近の処置というようなものを見ると、私は注意あってしかるべきではなかろうかということを申し上げておりますし、特に先ほどからるる申し上げました、今後の政府機関あるいは研究機関、これらと国民の合意ですね、こういうような点から見ても新しい観点に立たなければならぬだろうと。猛烈商法のような、あるいは有無を言わさず、やっぱりさまざまな研究者あるいは住民運動に対して敵視をして抑え込んでいくような態度が原研のようなところに許されていいものではないと。
 ここであえて中島先生が言われなかったから私の方から申し上げますけれども、理事長は、調査をしてみますと、東海村で、炉のある村ですから、議会に出て来て、そしていろいろ参考人で意見を述べてください、こういうことがあって、信用されて出ていくと、賃金カットをやる。岩波に論文を書いたらこれに厳重注意をすると。さすがにこれは社会的糾弾を受けてシャッポを脱いだようでありますけれども、新潟で、大学で集中講義があれば、これに行かせまいとする。行けば賃金カットだというようなことをやる。学者としての言論、発表、表現のところから、さまざまな住民運動に支持されて、あるいは組合運動から、あるいは自治体から要求されているというようなところに学者として奉仕しようとする活動さえもチェックを加えてきたような事実があるわけであります。あえて言いませんでしたけれども、これらの問題もございますので、私は、任命権を持っておる科学技術庁――総理大臣か任命するんでしょう、理事長というのは。こういう立場として、やっぱりこれは厳重にお調べいただいた上で、これらの問題についてもしかるべき処置がとられるべしと重ねて申し上げておきます。この点については局長どうですか、調べてもらえますかね。
#245
○政府委員(山野正登君) 事実関係は調査いたしますけれども、これが直ちに私どもが理事長をそれによって注意し得るかどうか、それはまた別の問題でございまして、とりあえず事実関係を調査いたしたいと思います。
#246
○小巻敏雄君 調査の結果は私の方に御報告いただきたいと思います。以上です。
#247
○委員長(柏原ヤス君) 参考人の方には御多用中長時間にわたり御出席をいただきまして、ありがとうございました。御退席されて結構でございます。
#248
○向井長年君 私は、いま小巻さんの質問を聞いておりまして、若干長官にお尋ねしたいと思います。
 いま学術会議の会員であり、しかも原子力研究所の所員であると、公務員ですね、一般公務員ですね。こういう人たちの今後の問題、それと同時に、委員長、私も約二十年ほど国会におりますが、一般公務員を参考人に呼ぶということはありません。少なくとも、政府委員はもちろんおりますけれども、それの所属責任者、管理者、これは呼んでおりますが、一般公務員からあらゆる参考人意見聴取ということはないんであります。先般の予算委員会でも共産党から、いま言った中島先生を参考人にということで要望がございました。いろいろ研究いたしました。そしてそういう中から、一般公務員に国家審議の場にそれぞれの部署から出てくることになると大変だ、こういうことはやってはいけないという結論のもとに、せっかくの共産党さんからのこの要請でございましたが、社会党、公明党、わが党、それから自民党含めまして、遠慮してもらおうということでこれは遠慮してもらった。そこで私は科学技術特別委員会に参りますと、いま参考人が呼ばれておる。これは特に私は、長崎の問題があったり、あるいはまた学術会議の会員であるという立場から呼ばれたことと思いますから、了解はいたしますけれども、これは十分今後やはり参考人の処理につきましては、お互いわれわれが十分慎重でなけりゃならぬのではないかと、こういうことを私はまず冒頭に申し上げておきたいと思います。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)そのとおりって、自民党賛成しているんじゃないの。そんなことを言ったってだめだ。私は森下さんに、理事会でそういうことを決められたんですかと、いや自民党さんも賛成だと言われるから、それは理事会で決められたら当然やむを得ないし、いいことであろう、私はこう思いましたけれども、それはやはり慎重でなければ、これから各省ことごとくそれぞれの担当を呼ぶということになれば大変ですよ、国会審議というものは。そういう点はこれから私はお互い慎重にならなきゃならぬのではないかという意見を申し上げておきます。
 それと同時に、先ほどから聞いておりますと、特別職という一つの、学術会議という一つの使命を持っておるんですね、あの先生は。そして一般公務員という一つの立場があるわけですね。(「公務員と違うでしょう」と呼ぶ者あり)公務員ですよ。研究所は公務員ですよ。研究所は科学技術庁の公務員ですよ、あれは、そうでしょう。科学技術庁というのはこれは政府機関でしょう。いや、科学技術庁じゃありません、研究所は政府機関でしょう。政府機関じゃないんですか。あれは何になっていますか。
#249
○政府委員(山野正登君) 特殊法人の職員でございます。
#250
○向井長年君 特殊法人の、そういう一つの法人があって、それは監督権はやはり国が持っていますね。そうですね。
#251
○政府委員(山野正登君) 国が持っております。
#252
○向井長年君 それと同時に、それに対する予算は国の予算全部でしょう。
#253
○政府委員(山野正登君) きわめてわずか民間出資もございますが、ほとんどすべて国の出資と申してよろしいかと存じます。
#254
○向井長年君 だから、私が言うように、完全な公務員じゃございませんが、公務員に準ずる形であるということに解釈していいのじゃありませんか。そうなってまいりますと、やはりいま言ったような問題が起きてくる。一つには、やはり一つの権威者である。学術研究会においての発言をし、研究もしなきゃならぬ。一方においては、特殊法人の中で研究を進めなきゃならぬ。こういう人たちの取り扱いというものは、おのずからやはりある程度考えなきゃならぬのじゃないですか。たとえば、政府においては、特別職という形もありましょうし、こういう問題は今後のやはり研究課題として私は長官に十分これは検討願わなければ、先ほど言うような勤務日数がどうだとか、あるいは勤務態様がおかしいではないかとか、あるいは自分自身の研究に行くとか、いろんな問題が出てくると思います。これはやはり監督する役所である科学技術庁において十分今後の問題として検討願わなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
#255
○国務大臣(宇野宗佑君) いろいろ経緯があったわけでございましょうが、必ずしもすっきりしたものがあるような感じも私もいたしませんので、今後そうした関係がどうあるであろうか、やはりそうした面に関しましても十分配慮していかなくちゃならぬと考えております。
#256
○向井長年君 私は、時間が大分たっておりますから、もうごく簡単に質問いたしますが、先般来予算委員会でも若干私は質問いたしましたが、特にわが国のエネルギー問題に対して、いよいよ原子力時代である、したがって、それに取り組む姿勢、そういう中から今日、今後の開発をめぐり、燃料をめぐるこの中で、アメリカのカーター政権の拡散防止、核政策というものが非常に難航し、日本の今後の進め方に非常な影響を来しておる、こういうことで先般も答弁ございましたが、これは総理自身もこれに対して真剣な取り組みをし、アメリカとの折衝を始める、その政府の窓口として科学技術庁長官が当たるということのようでありますが、今日までどういう形になりつつあるか、今後の見通しはどうであるか、この点についてお伺いいたします。
#257
○国務大臣(宇野宗佑君) ごくかいつまんで申し上げますと、福田・カーター会談におきまして福田総理は三点を強調されました。一点は、核の不拡散という大原則には日本も賛成である、しかしながら、日本にはやはり独自の核燃料サイクル、特に再処理を目玉としてやらない限りわが国としては民族の興廃につながる問題である、したがって、三番としては、当然平和利用というものについては十二分に米国も配慮すべきであろう、こういうふうな主張をされたわけであります。そして、そのときに語気鋭く、あなたはあなたのおっしゃられる理念があるであろうが、自由主義国家群にたとえアメリカの政策が了解されようとも、共産主義の国家群、たとえばソ連にあなたの政策が了解されるんですかと、ここまで総理は語気鋭く迫られたわけであります。非常に私たちはこの場面を高く評価いたしておりました。
 で、その後カーター大統領の方からは、とにかく事務的に話を進めてはどうかというふうなアドバイスもございましたので、三省庁からの、大体課長級でございますが、第一次折衝団を出しまして、福田総理が申されましたその三点を一歩も引くことなく、また横道にそれることなく、ただそれを主張してこい、こういうことで私は送り出したわけでございます。その過程においてカーター大統領がアメリカの国内政策として発表されました。その後に記者会見をされまして、特に日本とドイツに関しましては、両国は再処理の技術は相当高度に進んでおって、今後も進むであろう、だからそれは両国の完全なる権利である、こういうふうに言っておられます。
 二番目は、アメリカの国内政策を他国に押しつけようとは考えておらない、こういうふうに言っておられます。これは恐らく福田・カーター会談の結果招かれたものであろうと私たちは評価いたしておりましたところが、名前を申し上げますと、ナイ国務次官という人がその注釈をいたしまして、ドイツには日米原子力協定のようなものはないが、アメリカと日本との間には日米原子力協定があるから、カーター大統領のあの一片の記者会見によって東海村の再処理工場がホットランに入るということがオーケーになったんではないんだ、やはり原子力協定の共同決定という段階を踏まなければならない、こういうふうに言われました。これも私は当然のことだと、こういうふうに思っておったんでありますが、その後、やはり政治、経済的な配慮なく、ただひたすらそうした方々が何か日本にだけはドイツと差別したいようなことを露骨に申し述べる場面も多々あったというふうに聞いておりますので、これはゆゆしきことであると、かように存じまして、アメリカの相当な責任者とも接触をいたし、さらには議会関係筋にも接触をいたし、いろいろと日本の真意を伝えております。したがいまして、多分五月の六、七と開かれますロンドンのサミット会談におきまして、この問題はわが国のみならず各国からも出るのではなかろうかと、こういうふうに推測いたしておるわけでございます。
 事務的には、そういうふうな国際会議が続々と四月の下旬から五月の初旬にかけてあるから、肝心かなめの国務省の担当官も本国を留守にするので、日本との間の話はひとつ五月中旬からもう一度始めようではないか、こういうふうになっておりますので、そうした場面を迎えましてさらに鋭意折衝を重ねたいと、かように存じております。
#258
○向井長年君 見通しは必ずしも明るいとはまだ言えませんね。まあフィフティー・フィフティーというのがいいところだと思いますが、私は、考えますに、日本は非核三原則があり、日本の技術、あるいは被爆国であると、こういう中から日本自体に対してはアメリカ・カーター政権も理解はするかと思います、想定ですが。しかし、やはり彼の言うことは、少なくとも今後開発途上国で――全般ですね、特にアジアの。こういう中でもしそういう問題が起きたときには、日本のような態度ではなくて、やはり軍事的につながるおそれもあると、こういうやはり心配があるのじゃないか、私はこういう想定をするんですよ。これは私の勝手な想定かどうかわかりませんが、そういう中で、わが国はそうではないんだという形で、やはり総理もあるいは長官も真剣な努力をされると思いますが、少なくともこの問題が解決しなければとうてい今後の日本の原子力政策は進められないでしょう。これはただアメリカだけの問題でなくて、カナダ初めその他にも大きな影響を来す、こういう結果になるのではないかと、こう私は思いますが、いかがでしょう。
#259
○国務大臣(宇野宗佑君) 大体先生お見通しのとおりではないかと私も考えます。特に日本は決して軍事利用をしない国であるということは、これはもう毫も疑いを差しはさまない、何人に出会いましても、アメリカ政府関係者、また議会関係者は、そのことを明言してくれます。では、なぜその次の段階のことをあんたたちは日本だけに対していろいろ言うのかという問題でありますが、いま東海の問題だけを特に特別に扱うということになれば、まだ世界の動きがわかっておらないときに例外をつくると、例外は例外を呼ぶおそれがあるかもしれぬ、だからいましばらく待っていただけないかというふうに、善意に解釈すれば、そういう面も十二分にうかがえるわけでございます。したがいまして、そうしたことを踏まえまして今後アメリカとやはり折衝いたしたいと思いますが、最近になりまして特に日本が二十年間のおくれをとりながらもようやく再処理工場のホットランに入ろうとした、その間においてはただひたすらアメリカの指導と技術、そしてアドバイス、それに従ってきて、それにもかかわらずにわかに水を差されちゃどうなるんだというふうな点を強調いたしますと、意外とこの面を知らなかった人たちが非常に多いわけでございます。技術者は知っておりますが、そういう面を知らなかった人が多いわけでございます。数年前までは、むしろアメリカから再処理工場を大いにやりなさいというようなアドバイスもあって、そうしたことから、政府といたしましてもNPTの参加を国会にお願いして批准をお願いする場合にそういう説明もしたんだと、こういう面を意外と知らない面がわかってまいりましたが、そういう面も続々と、いろんな人たちが渡米いたしまして話をいたしておりますので、だんだんと話がわかってもらっているんじゃないだろうかと、こう考えますが、要はやはり平和利用というものと核の不拡散という、この二つが同時に共立し得るような方途をわれわれも十二分に世界的にもアピールしていかなくちゃならないと、かように考えております。
#260
○向井長年君 いま日本の政治課題は、長官も御承知のように、一つには食糧問題でしょう。一つにはエネルギー問題でしょう。今後教育問題でしょう。私は三つだと言うんです。その中にやはり経済問題ありますよ、すべてに含まれてまいりますが。食糧問題の一環としても、いま漁業問題で大変なソ連との問題が起きております。これに対しましては、もちろん領土問題を含む大きな課題でございますけれども、これは各党一致して、そしてソ連にも参り、なおまた、これは国民的視野に立っていま推進をしておるんです、国会でも、御承知のように。エネルギー問題はなぜできないんですか。エネルギー問題いま言った石油問題から、LNGの問題から、あるいは原子力問題というように、昭和六十年度を目指した場合に、これは大変な時期が来るということをなぜ国民にもっと、これは通産省もおられましょうが、訴えて、各党一致してエネルギーを確保しようという方向でなぜ進めないか。これは科学技術庁だけでありませんよ。各省含めて。いまエネルギー閣僚会議は総理が主宰されておるでしょう。私はそこに何らか一つの誤りがあるのではないかと思うんです。食糧問題、自給率をふやそうではないか、そういう形で、今日いまこれは漁業だけではありません。その他小麦にいたしましても、大豆にいたしましても、あるいはまた米にいたしましても、畜産にいたしましても、取り組もうではないか、農水へ参りますと各党一致した形でこれは進んでおる。いいですか。いまや漁業問題、そういうことでしょう。これだけ重要なわが国の課題、産業界に与える、国民生活に与える問題、いまやこれはエネルギー問題が大変な時期に来ている。そこで国民の声が上がらぬでしょう。各党もそれに一致した行動がいままだとれないでしょう。これはやはり政府の今日までの行政、あるいは国民に訴える、これが足らぬじゃないんですか。足らぬというよりも、不熱心でありませんか。この点私は特にいま原子力問題に限って申し上げておりますけれども、科学技術庁としてはどういう姿勢で臨むおつもりなんですか。
#261
○国務大臣(宇野宗佑君) おっしゃるとおりの事態であったと存じます。で、私もしばしば衆参両院におきまして機会あるごとに、エネルギー問題に関しましては、いろいろ政策はございましょうけれども、しかし、たとえば政権が交代したからいとも簡単に今日のこの問題が解決し得るという問題ではないと。したがって、国民共通の基盤の問題として同じ土俵の上で速やかに議論もしたいし、そしてその上で実りある結果を得たいと思いますということをお願いしておるようなところでございます。そうした点に関しましても、確かにいままで手抜かっておったんではなかろうかと存じます。
 特にPRの面に関しましては、先生御指摘のとおりに、はっきり申し上げまして政府にも百二十億からのPR費があるわけですが、これがある官庁において一手に握られておりまして、たとえばこれだけ重要なエネルギー問題のときに、私の出番が七月か八月であるというようなことがわかりましたから、おかしいじゃないかと、いまこそ日米間でこういう問題があるときには、当然国民の方々に、たとえ十分でもよい、三十分でもよいからテレビを通じて、あるいは新聞を通じていろいろと聞いていただくというチャンスをつくらなくちゃいかぬというので、過般それを改めてもらいました。そして、適宜その時期に応じてタイムリーなときにやはりやっていかなくちゃならぬと心得ておりますが、何分にも今日までそうしたことに関しましてもあるいは政府は不なれな面がありましたので、われわれといたしましても極力国民の方々にいろいろなPRを中し上げたいと思いますが、最近ようやく、ちょいちょい、お目にかかりますと、私のポストだからと思いますが、再処理とは何ですかというふうな質問がようやく出てきた。これもまた、しかしながら時期であったからようやく出たのかなと思っておりますが、そういう意味におきましても、今後われわれといたしましては十二分にそのPRをしたいと思います。
 特に科学技術という問題全般にわたりまして、余りにも今日まで用語がむずかしかったとか、あるいはもう専門家だけの間の会話にすぎなかったとか、そういうふうなうらみもございましたので、私といたしましては、おくればせでございますが、茶の間で語る科学技術だというふうなテーマのもとに、今日多くのいわゆる一般の方々も参加していただきまして、何とかこういう将来の民族の興亡に係る問題でございますから、科学技術の振興に関しましては、さらに一般の国民の方々がいわゆる科学マインドを持っていただく、そこまでやっていきたいと、こう思って、微力でありますが、懸命の努力をしているところでございます。
#262
○向井長年君 通産も来ておられますね。あわせてお伺いしますが、いま大臣は、とにかくPRを含め国民の理解のために最善の努力をしようということでございますけれども、これはやっぱり今日までの政府各省間のいわゆるコンセンサスと申しますか、これが全くできていない。先ほどもだれかの質問の中で言われたでしょう。四千九百万キロワットを六十年までに開発計画をつくったんだと、そしてそれに伴っていま進めておりますと言うが、こんなもの事実上できっこない。いまの実態から見たら。あなたたちももうそれを認めているんだ、できないということを。いまさらおろされぬから掲げてあるだけですよ。なぜできないかという理由を十分考えなきゃならぬでしょう。少なくとも今日まで電調審を通って、そして開発認可をした、したが、現地立地問題から、あるいは環境問題を含めて、これに対して一般の地域住民の理解が得られないという現象は確かにありますね。これに対してどういう努力を政府はしてきたか。たとえば科学技術庁あるいは通産省、そしてまた農林省、自治省、その他環境庁を含め、あらゆる省がこれに本当に真剣になって取り組もうとするならば、現地へ行って地域住民とひざを交えた懇談会を持つ。もちろん安全性は確保しなきゃならぬ。これは技術的に安全性というものは完全に確保する一つの研究もされておりますし、今度また国会に安全委員会設置の問題も出されようとしておりますが、これは結構でありましょう。しかしながら、そういう努力をどこでしたかと私は言いたいんですよ。ただ一片のおざなりの公聴会をやっておるだけでしょう。公聴会というのは半分地域住民の意見を聞くあれで、これは意味ないんですよ。はっきり言うて、イデオロギー的反対というものは必ずある。これはないとは言えませんよ。一般地域住民はやはりアレルギーもありましょう。そういう中で押され押されきているのが今日の現況である。それに対して政府は手を打とうとしない、業界任せである、ここに問題があるんです。
 私は一つの例を申し上げますよ。これは原子力じゃありませんが、北海道の伊達火力を、あれ議会で与野党含めて一致して決議をいたしました、誘致の。これは石油の火力ですが、これを与野党含めて誘致に一致をした。ところが、一般の外かりの反対であります。しかも、反対は地域の諸君よりも外人部隊が多いんですよ、外人部隊が。いまの成田空港と同じですよね。ああいう人たちがヘルメットをかぶって反対に立ち上がっているわけだ。なぜかというと、公害だ公害だと言って、それで漁民をたきつけている。そこで市会の諸君は、これは社会党さんも含めて一致してこれ誘致してきた問題なんです。そこでこれが実地にいまできない、いや公害だと。私は農水の委員会でおりましたら、農水から公害問題で実地調査してくださいという要請があって、各党の皆さんと一緒に行きました。農水というのは、建って煙が出る、あるいはあらゆる公害が発生して漁業に影響あるかどうかを見るのが農水の役目なんです。まだ発電所ができてないのに、誘致してここへ建てる、あるいはここを見て建設するということが決まっただけで農水から来いと言うんですよね。おかしいではないかと。農水というものはそんなものじゃなくて、漁業に影響あるかないかは公害が発生したやつを見に行くのがあたりまえだ、おかしいではないかと言いつつも行きました。行っていろいろ聞きますと、発電所から出るいわゆる何といいますか、排水が、これは暖かいいわゆるお湯になりますから、あそこは漁業の養殖をしておりますから、これが出てくればかえって漁業にはいいというんですね、技術的に。そういうところが、その外人部隊中心にして反対しておるんですよ、これ。これは一つの実例ですよ。
 それで、公害、こう言いながら、砂川という、いわゆる産炭地ですよね、北海道の。ここで発電所をつくってくださいといって、また一生懸命にこれはもうすべての人たちが寄って誘致しておるんですよ。石油よりも石炭の方が公害は多いんですよ、いまね。これの誘致に対しては何ら反対しない。外人部隊も来ない。で、地域の革新と言われる各党も、皆誘致にやいやいやっている。この現象がいまの現象ですよ、国民の。この国民の現象というものを皆さんつかまなきゃいかぬ。
 私は、確かに原子力という特殊な放射能問題を含めたアレルギーという問題がありますし、これについては十分な安全性の問題を考え、環境を考えて設備としてやらなきゃならぬけれども、技術上の今日までの進まないのはそういうところにあるんですよ、立地問題。通産省、通産省はそういうことで実地を調べましたか。行きましたか。そこを見て一番いけないのは、やっぱり皆さん御承知のごとく、地方公共団体の長というのは住民から選ばれた長でしょう。その人たちは心の中では誘致し、やろうと思っておっても、地域においてこれが出てくると、そう簡単に動けるものじゃないんです、先ほどの久保さんの話もございましたが。そういう中で自治省とも話し合って、この問題に対して本気に取り組まなければ、これ五十五年、六年には大きな電力不足を来し、そして各所の産業界、国民生活まで影響を来す結果が参りますよ。その点についてのんびり構えておってはエネルギー問題の解決はできませんが、通産省あるいは科学技術庁含めて私は御答弁願いたい。
#263
○政府委員(大永勇作君) エネルギー立地、特に発電所の立地問題につきまして最近地元の反対等によりまして工事が遅延いたしまして、先生御指摘のように、五十五、六年、あるいは地域によりましては五十三、四年ごろから出てくるところがございますが、需給問題に非常に問題を生ずるというふうなことが出てきておりますることは御指摘のとおりでございます。現在政府におきましては、福田総理を長といたしましてエネルギー対策閣僚会議が設けられておりますが、ここにおきましても、この電源立地の問題が最も緊急を要する問題として取り上げられておりまして、現在私どもに対しまして、これに対してもっと行政当局が積極的に取り組んでいくという見地から再検討しろという指示が参っております。現在通産省におきましては、電気事業連合会あるいは関係の各省とこの進め方について相談をしておるところでございますが、さしあたりの原案としましては、全国で今後立地を促進すべき個所を大体百カ所ぐらい拾いまして、それを三つのカテゴリーに分けまして、一つはこれは地方の通産局が中心になりまして地点ごとに関係の各省の出先機関、それから自治体等によります促進のための協議会を設けまして推進するという地点、それからもう一つは、まだそこまでちょっと話が行ってないので知事等の地方自治団体に対しまして通産大臣が直接協力要請をするという地点、それから第三のカテゴリーとしましては、地元の情勢からいたしましてしばらく電気事業者に中心になって交渉をやっていただく地点というふうに、電気事業者の方と相談をしながら、ふるい分けをいたしまして、現在態勢を固めておるところでございまして、もうしばらくいたしましたらエネルギー対策閣僚会議に上げまして、そこで御決定をいただきまして強力にこの立地の促進を図っていきたいというふうに考えて目下作業をいたしておるところでございます。
#264
○向井長年君 長官ね、政府機関で各省があり、科学技術庁という庁がありますね。まあ幸い科学技術庁は国務大臣が長官になっておられますが、この庁というのは、食糧庁もあれば中小企業庁もありますね。あるいは林野庁。これ、庁という概念は何か知ってますか、どうして庁と言うのか。わかりますか。
#265
○国務大臣(宇野宗佑君) まあ先生のひとつ御講義を承りたいと思います。
#266
○向井長年君 私は、科学技術というのは、これは宇宙開発もあるし、ああいうもろもろの技術開発があるから、これを省という形にして、単独大臣があって機構を持って真剣に取り組んだらどうだということを過去において言ったことがあるんです。そのときに私はいろんなところで調べたんですよ。そうしますと、庁というのは、特に、これはまあ全部になると思いますが、各省に非常に大きな影響力を持っている。それを一つの省にしますと、また一つの殻に入っちゃう。科学技術庁というような大きな母体の中で各省に連携を保つために庁がいいんだという結論が出ておるようであります。これはほかの庁もそういう関係があるわけです。もちろんこれは自治省にもあれば大蔵省にもあれば各省にまたがる問題があって庁という名前が、そういう一つの使命感を持った庁であるということなんですよ、私の解釈あるいは研究したところ。だから非常に大きな視野に立った一つの行政を持っている、こう考えていいのではないかと、こう私は思うわけです。
 そういう中で考えたときに、先ほどからも申しましたように、近く環境庁では環境アセスメント法案を出すとか出さぬとか言って、まだ結論が出てないようでありますが、そんな環境アセスメント法案を出す前に、政府のアセスメントをつくったらどうですか。政府部内のアセスメントをつくりなさい。これができてないんだ、現在まだ。特にエネルギー問題ではできてませんよ。自治省は自治省の立場で真っすぐ進んでおる、農林省は農林省の立場で、環境庁は環境庁。ここに私は問題があると思うんですよ。少なくとも政府部内で、いやこれはいま言う閣僚会議があるんだ、総理が頂点だ、あるいは電調審も総理が頂点で各省の大臣が皆入っているんだと。これは形だけであって、計画だけをつくるだけで実行に移ってないんですよ。実行に移る一つのアセスメントをつくらなきゃならぬと思うんですよ。この点どうですか。
#267
○国務大臣(宇野宗佑君) 非常によきアドバイスをちょうだいいたしまして、お礼を申し上げます。特に科学技術庁長官には、やはり各省庁大臣に対しまして勧告権があります。したがいまして、それをフルに発揮せよというふうなお話もしばしば耳にするわけでございますが、さような意味合いにおきまして、今後庁としてのやはりそうした存在価値と申しましょうか、権限と申しましょうか、それを有効適切に政府部内において発揮するように努めたいと思います。
#268
○向井長年君 もう遅くなりますから、いっぱいあるんですが、やめますが、先ほど長官からも言われた、やはり地域住民にこたえなければならぬ、そういうためには電源三法等つくって、そしてやはり地域振興を図る、こういう形であの法案が生まれておりますね。これは、これからずっと積み重ねていきますと、相当の資源になるわけですよね。したがって、本当に地域住民にこれが交付されて使われているかどうかと言えば、必ずしも私はそうではないと思う。これは科学技術庁の方で吸い上げている。通産省ですか、どちらですか、吸い上げているのは。約三百億の中で百億ほど吸い上げておると私は聞いている。こんなのもってのほかですよ。これは研究費に使うんだと、こういうことから吸い上げておるようでありますが、研究費に使うんなら一般財政会計で使えばいいんですよ、予算を組めばいいんですよ。地域住民の振興に使うんだという、いわゆる千分の八でしたかね、キロワット当たり、これを取って、そいつをそういうところに吸い上げて、それの交付の基準を少なくするということは、これはもってのほかだと。したがって、この問題はこれは通産省になるんですか、科学技術庁になるんですか。通産省が吸い上げているんだな、これは。だから、これは一日も早く改めて、こんなもの地域の振興のために使わなければ、しかもこれはとうとい国民の犠牲ですよ。すべて電気料金に含まれておるんですよ、これは。そういうものが生かされなくて、研究費に使われるとは何事だと言うんですよ。研究費に使うんだったらこれは一般の会計で、いわゆる財政で予算を組めばいいことだ。これはひとつ改めなさいよ。ちょっとおかしいですよ、これは。この立法趣旨に合いませんよ。したがって、それに対しては、先ほど言いますように、原子力に対してはなおさら周辺にも大きな影響を来すんだから、そういう資源というものは、これまたどんどんとこれ蓄積されるんですから、そういうものは。ただ、電源立地の際だけではなくて、ある程度の期間に交付していくという一つの方策をとってやっぱり地域に対しての大きな貢献をしなければ、これは地域住民も、ここでつくった電力がよそに皆送られているじゃないか、おれのところだけだったらこんなに電気要らないんだと、それだけ犠牲を払うなら困ると、こういう意見があるでしょう。しかし、電源立地というのはそういうふうにして決まってくるのですから、そこに貢献するためには、その資金というものは地域振興のために周辺の都市にもこれはどんどんとおろしていく。この姿勢を改めなければ地域の皆さんも理解しないでしょう。この点どうですか。
#269
○政府委員(武田康君) 原子力に限りませず、電源の立地につきましては、電源の立地とともに当該地域の方々が同時に発展していくというようなことが必要で、そういう協調的な発展というのが必要だということは先生のおっしゃるとおりでございます。そんなような観点からいわゆる電源三法というものができまして、その中で地域関係、当該地域におきます公共施設等々につきまして、それを整備するために交付金等が出されているわけでございます。そういう地域の振興のためのそういうような措置につきましては、これは法律にいろいろ書かれているわけでございますけれども、その運用につきましては年々地域の方々の御要望等々をいろいろ伺いまして毎年改善しているわけでございますが、たとえば、この昭和五十二年度からは原子力等につきましては立地交付金を一五%前年に比べて上積みするというような単価アップ等々の措置をいたしているところでございます。
 ただ、同時に、地元に対します交付金以外に、電源立地に役立ちますような、いわば信頼性の実証試験等々につきまして、こういうことにも財源を支出することが可能なような、そういうような法律構成になっておりまして、その部分につきましては、先生御指摘のように、研究費的性格という御指摘でございましたけれども、そういう実証試験的なものにつきましては立法の当初からそういう必要な項目につきましての支出を行っている次第でございます。
 なお、御指摘のございました研究費という表現でございますけれども、研究費というその表現の中に、マクロに言えばそういう表現が可能だと思いますけれども、基礎的なものから、ただいま申し上げましたような立地促進に役立ちますような実証試験的なものまで、いろいろな関係のものが含まれるわけでございますけれども、そういった中では当然一般会計で支出すべきものがあるわけでございます。たとえば、基礎的な研究というのは当然一般会計と考えられる性質のものがあるわけでございますが、そういう一般会計で支出すべきものと電源特会で支出すべきものと、その区分はこれまた立法の趣旨に沿いまして非常に厳密にはやっている次第でございます。そうではございますが、先生御指摘のように、交付金その他当該地域の発展を図りますためのもろもろの措置につきまして、先ほどもちょっと申し上げたことでございますが、いままでいろいろ改善をしてきておりますけれども、また本年度も、それからさらに自治体が発展し、またいろいろ御要望が出てくることかと思いますけれども、五十三年度以降につきましても運用の改善の努力は私どもとしてしていかなければいけないと思っている次第でございます。
#270
○向井長年君 その答弁では私は納得しないんですよね。これは田中内閣当時に、私は審議に加わった。そのときに、電源三法をつくるときに地域の諸君が喜んで誘致する、歓迎するという立場に立ってこういう問題は見なければ無理だ、業界だけに任しておいてはとうていできない。まあ資金は業界から来るんですよ。最後は国民の負担になりますよ。そういう趣旨のもとにつくられたものであって、施設研究費とかいろいろなものに使うというようなことは、そのときは何ら討議されていないですよ。あなたたち勝手につくっているのだ、そういう方向で。しかも、これは年々ふえてきて、十年たてば一千億からになるでしょう。十年たてば一千億くらいになりますよ、これ。そういう資金が、通産省なりその他でそういうものが別な形で使われるというところに問題がある。少なくとも電源立地の問題については、ある程度恒久的にも皆さん方にこたえるという道をつくり上げる。そうなれば、いや、あの地域ではこれだけのいわゆる財政があるんだ、地域振興のためにこれは使おうじゃないか、おれの方もひとつ発電所に来てもらってやろうじゃないか、こういう意欲も各所で沸いてきますよ。それをせずして、集まったやつの、それのいま言った三分の一吸い上げているじゃないの。これからも吸い上げていけばそうなりますよ。そんなものは一般会計でやればいいんだ。その、一般会計でやるということが、先ほど言った政府部内のアセスメントと私は言っているわけだ。いいですか。地方はやはりいま財政困難な中でいろいろな財源を求めておるんですよ。そういう中で一つの方向として出されたそういう問題は、地域にどんどんと喜んでいただくように、これが理解されるように、そういう資金は使っていく。そうすれば、地域においては、いま言ったような非常に歓迎の方向が生まれてくるんではないか。通産行政としても一番いいことじゃありませんか。これは徐々ではありません。あるいはまた原子力か若干率がふえたと言うが、これはまだまだ足りませんよ。だから、これがずっとこれから毎年毎年とっていくんですから、財源はかちっとしていますよね。これは強制的にとるんだから。別に国の中から出すんじゃないですから。これは長官もおられますが、やっぱり原子力行政を進めるためにも、一度やはり閣僚会議でも十分検討されて、一日も早く一般地域住民がそういう面においても理解できるような方向を私はとっていただきたいということを強く希望いたしまして、私は質問を終わります。
#271
○委員長(柏原ヤス君) 他に御発言がなければ、本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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