くにさくロゴ
1976/05/23 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号
姉妹サイト
 
1976/05/23 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号

#1
第080回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号
昭和五十二年五月二十三日(月曜日)
   午後二時二十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     向井 長年君     和田 春生君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     秋山 長造君     対馬 孝且君
     戸叶  武君     案納  勝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                小林 国司君
                中西 一郎君
                片山 甚市君
                峯山 昭範君
                内藤  功君
    委 員
                剱木 亨弘君
                橘  直治君
                戸塚 進也君
                秦野  章君
                林田悠紀夫君
                宮崎 正雄君
                案納  勝君
                対馬 孝且君
                橋本  敦君
                和田 春生君
   国務大臣
       自 治 大 臣  小川 平二君
   政府委員
       警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君
       自治省行政局選
       挙部長      佐藤 順一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       大蔵省銀行局銀
       行課長      猪瀬 節雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
  〔理事小林国司君委員長席に着く〕
#2
○理事(小林国司君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 本日は、委員長が都合により出席できませんので、かわりに私が委員長の職務を務めさせていただきます。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月十一日、向井長年君が委員を辞任され、その補欠として和田春生君が選任されました。
 また本日、秋山長造君及び戸叶武君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君及び案納勝君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(小林国司君) 次に、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましてはすでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○片山甚市君 まず、地方公共団体に交付する現行の基準が実情に即さなくなったので改正をしたい、こういう御提案でございます。
 そこで、現行の基準そのものに問題はないとお考えなのか、これについてまず基本的にお伺いしたい。
#5
○政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。
 今回の改正案の作成に当たりまして、各選挙管理委員会からの要望や意見などにつきましては十分慎重に検討いたしました結果、全国的な共通事項につきまして改善措置を講ずるようにいたしておるわけでございます。
 基準法の性格といたしまして、一般的な基準によって総額を計算いたしまして、各選挙管理委員会にお渡しをいたします。具体的な執行に当たりましては、各選挙管理委員会におきまして、実情に即して、その中で自由に執行していただくことができるというふうに相なっておりますので、個々の事項についての基準の改定ということではなく、全体共通事項の改善ということをいたした次第でございます。
 なお、今後とも、選挙の管理執行の実情につきまして十分調査もし、また関係の意見も聞きながら万全を期してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#6
○片山甚市君 彼我流用することができるという説明をしておるようでありますが、超過勤務手当の市価が現実とかけ離れておるという選挙管理委員会からの指摘があるんですが、現実に近い経費を交付して仕事を委託すべきではないか。現実とかけ離れておらないか。これについてはどうでしょうか。
#7
○政府委員(佐藤順一君) ただいま超過勤務手当の単価の問題のお話がありました。これは給与関係経費といたしまして、給与単価の考え方に根差すものであるわけでございます。
 この経費基準法の考え方といたしましては、給与関係の経費につきましては、地方財政計画による給与単価というものを設定をいたしまして、これを都道府県、市、町村、それぞれの段階ごとの額の決定につきましては、これは給与実態調査に基づく各団体の段階間の格差と申しましょうか、実情と申しますか、これに合わせて配分をする、こういう考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、冒頭申し上げました地方財政計画による給与単価を設定するということとの関連上、地方団体の給与単価との実情の相違点があるいはあるかもしれませんが、先ほどのお答えで申し上げましたとおり、法律におきましては、一般的基準によって経費の基準を設定するということで進むほかないわけでございますので、この点を御了承いただきたいと思います。
#8
○片山甚市君 たとえば大阪市職の関係で言いますと、選挙事務のための動員について、その人件費、特にいま申しました時間外手当、超過勤務手当の算定人員が実際より少ない上に、都道府県への補助が御承知のように二分の一であるため、いわゆる自治体の負担が多くて大変だ、こういうことが言われておるのですが、特にいま申されたように彼我流用すれば、大きな都市、有権者の数の多いところでもうまくいくようになっているのですが、この基準案でいけば、大体選挙人の少ない区と言いますか、が、やや何とかいけるようになっておるのか、これはどういうことでしょう。
#9
○政府委員(佐藤順一君) 選挙事務の内容がいろいろと多岐にわたっておりますので、有権者の数が多い、選挙人の数が多い段階の方が効率的に仕事ができるような事務と、それから逆に選挙人の多い段階におきましては、かえって人が要るようなそういう事務もあろうかと思います。
 結論を申し上げますと、選挙が終わりました後、個々の団体が、それぞれの費目につきまして彼此融通しながら、全体を合理的、計画的に執行していただきました最後の結末につきまして、いろいろとお話を聞きまして、それで真に不足する、もっともと考えられるというものにつきましては、いわゆる調整ということを行っておりますが、これを通じまして、大体各選挙ごとに問題なく終わっているつもりでございます。たとえばこの間の総選挙の結果につきましても、選挙終了後、所要の調整措置も終わりまして、問題なく終わっているというふうに了解いたしております。
 それからなお、いま補助金で二分の一というお話がございましたけれども、国の選挙を行います場合には、これは全額を交付する考え方で進んでおります。補助金としてではなく、委託費として行っております。現に御審議いただいております国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律、これはすべて国の選挙を委託する場合の考え方でございますので、これは全額交付するという考え方で行っております。
#10
○片山甚市君 そうしますと、たとえば大阪府下の大きい市でこういうことがあるのです。開票所経費として基準法の五条ですが、それは全く計上されておらない。各市の実態は、開票開始午前八時のため、集合は午前七時三十分から、そして約二時間程度の超過勤務を支払うことになるのですが、その従事者の手当てを支給しておる。これは入っておりません、今度の場合。
 もう一つは投票箱の監視ですが、開票所において投票箱を夜警する人員は、一開票所当たり二人と規定されておりますが、実際は一開票所最低十人から十五人でこれに当たっておる。三開票所あるとすれば四十二人、ある市の状態ですが。それと立会演説会ですが、基準法十条によると、事務従事者は四人で積算しております。受付、時計、会場整理、司会、接待、警備等ですが、各市の実態は約四十人程度を最低配置員数として従事せしめておるのが実態です。事務員についてですが、超過勤務必要日数、期間を、衆議院の選挙では三十一日、参議院の選挙では三十四日と積算されておる。したがって公示前五日、後始末五日となると思います。こういう中で各市の実際は、公示前最低三十日以前から超過勤務をし、事務の処理に当たっている。速報担当職員、集計事務担当職員、市民課従事職員等の員数は全く計算されておらない。このために各市においては、それぞれの有権者数、投票区数の規模の差異に応じ、相当数の職員を従事せしめている。たとえば選管職員以外で、東大阪市では五十名、八尾市では三十六名、河内長野市では十七名、藤井寺市では十三名、柏原市では二十六名、松原市では十五名、富田林市では二十二名、羽曳野市では二十五名、こういうものについては今度の改正の中に入っておらないのでありますが、彼此流用すると言いますか、あれこれ、あちらとこちらと流用すればこういうものが国会議員選挙としては賄える、こういうふうに部長がおっしゃったと考えてよろしゅうございますか。
#11
○政府委員(佐藤順一君) 先ほど申し上げましたとおり、法律の内容、それから当初配ります経費の配分、これにつきましては標準的な経費を設定いたしまして配分いたしておりますが、その中で彼此流用して合理的に執行していただく、しこうして一切選挙が終わりました後で、その結果で過不足が生じたものにつきまして、選挙管理委員会側から事情を聴取いたしまして、その中でもっともと思われるもの、そして了解のお互いにつくものにつきまして後で調整費を交付する、こういう措置をとりまして、結論を申し上げますと、過日の総選挙につきましては、大阪府下の市町村につきましても、問題なく経費の配分を終わっているような次第でございます。
#12
○片山甚市君 政府当局の方が彼此流用することによって賄えておると言うのですから、これほど言明されておるのですから、それ以上突っ込むのはおかしいのですが、人件費は、委員、投票立会人に対する実費弁償及び事務費を含めて、その現状を十分踏まえて大体できる、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#13
○政府委員(佐藤順一君) 大体できると考えております。
#14
○片山甚市君 そこで、選挙公営の拡大をしてまいりました意義からいっても、国民の政治意識を高めることが重要だと思いますのですが、予算にある臨時啓発費――参議院選挙関連ですが、及び常時啓発費についてでございますが、その目的を大体それで達成できるというようにお考えなのか、明るい選挙推進協会の補助金はどのぐらい出されてどのように使われておるか、二つ、まずお答え願いたい。
#15
○政府委員(佐藤順一君) まず、予算の金額について申し上げます。
 常時行います啓発のための経費といたしましては、いわゆる常時啓発の経費六億円、それから選挙をきれいにする国民運動推進経費六億円、合わせまして十二億円でございます。それから、今度の参議院議員通常選挙に当たりましての臨時的な啓発を行いますための経費は四億五千万円でございます。合わせまして十六億五千万円でもって本年度におきます選挙啓発を行おうといたしているわけでございます。
 そして、これを大体全国にはどのような考え方で使おうとしているのかということでございますが、いまお話のありました明るい選挙推進協会、これは民間団体でございますが、これに事業を委託しておりますのが約一億七千万円でございます。それから全国の都道府県、市町村の選挙管理委員会に対しまして委託をし、あるいは補助をしております額が約九億円でございます。残りを自治省を中心としまして中央において啓発経費に充てる、こういうことで行っておりまして、毎年ほぼ同様の規模、内容の啓発を行っております。
 もちろん、その啓発の効果はどうかと、十分なのかというお尋ねにつきましては、こういった事柄の性質上、その効果がどのようにあらわれたかということにつきましては、直ちにの測定が困難な性質を持っているわけでございますが、私どもといたしましては、たとえばこの間の総選挙につきまして、一方におきましてルールを守ってのきれいな選挙というものを呼びかける、他方におきましては投票への参加を呼びかけたわけでございますけれども、ルールを守ってのきれいな選挙が行われたかどうかということにつきましての一つのバロメーターでございますところの選挙違反の取り締まり状況など見てみますと、検挙件数、人員につきまして、おおむねその前の総選挙よりも三割方の減少を示しておるというようなこと、あるいは投票参加の面につきましても、投票率が前回の選挙に比べまして約一・六九%の全国での向上を示したというようなことなど、これは単に一つのバロメーターかもしれませんが、少なくとも悪い数字があらわれませんで、よい数字があらわれていると、こういうふうに理解をしておるような次第でございます。
#16
○片山甚市君 そうすると、啓発費はそれを使うだけの価値を生み出しておると思うというのが政府の御答弁のようでありますから、近く行われる参議院選挙を見守りたいと思います。
 そこで、物価の変動に伴い、旅費、通信費、印刷費等の諸単価の現状について、これを改めたい、こういうことで引き上げたということで、地方団体の増加経費六億九千万円としておりますが、その配分というのはどのような形で行われておるのか。またその内容の充実強化について、どのような指導を行ってきておるのか。政府としてそれをどういうようにやっておるのか。説明してください。
#17
○政府委員(佐藤順一君) ただいまお話しの旅費、物件費等は、これは投票所経費、開票所経費というようなものに全部割りつけまして、この中に算入して、算入の上交付することにいたしております。それの配分につきましては、この法律の示す基準によりまして算定の上配分いたしております。配分を受けた地方団体におきましては、先ほど来申し上げておりますとおり、実情に合わせながら執行をすると、こういう考え方に立っております。
#18
○片山甚市君 私が聞いておるその内容を充実強化するために、どのような指導を行っていますか。
#19
○政府委員(佐藤順一君) いま、旅費を例に挙げてのお尋ねがございましたので申し上げますと、たとえば投票所経費の中に算入してございます旅費につきましては、従来の単価が九十円でありましたものを百七十円に、それから開票所経費におきます旅費の積算は、従来の四百二円を七百十円にと、まあ一例を挙げますとこういったことでございますが、このように改善の上計上いたしておるわけでございます。
 指導ということがございましたが、これはもう法律に計上いたしましたとおり算定し配分するということでございます。
#20
○片山甚市君 私が質問しておることについて十分答えておられませんが、それでは次に、約五億円の調整費がありますが、これは上積みされたというか、たくさん使ったところに調整をする金ですが、どのような方法でこれを使われていますか。
#21
○政府委員(佐藤順一君) 毎度の選挙の終了後の例を申し上げますと、各都道府県の選挙管理委員会から、それぞれの都道府県内の市町村の選挙管理委員会の実情を聴取してもらいました結果、先ほど申し上げました全体選挙を執行し終わりました後の交付金額に対する実支出金額とのギャップと申しますか、この差につきまして説明を受けまして、この中で事情もっともと思われるものにつきまして、これを府県分と合わせまして申告を受けまして、そして全国四十七県分をまとめて、もちろん審査も行い判定もいたしますが、その結果、話のついたものを交付する、これに充てる額が約五億円ということでございます。
#22
○片山甚市君 先ほどからのお話で、国会議員選挙については地方自治体に御迷惑をかけてないと、こうおっしゃっとるんですから、それはそれで承っていいと思います。
 そこで、もう一度啓蒙のことに入るんですが、マスメディアの関係で、テレビや新聞など活用されておると思うんですが、広域的あるいは地方的に選挙啓蒙をどのように宣伝をされておるか、いわゆる選挙啓蒙のために、テレビとか新聞とかそういうものをどのように使われておるのか、説明してください。
#23
○政府委員(佐藤順一君) 先ほど申し上げましたように、自治省を中心とする中央で行います啓発、それから明るい選挙推進協会に委託をして行う啓発、それから各地方の選挙管理委員会に委託をしあるいは補助をして行う啓発と、こうあるわけでございますが、地方におきます啓発は地方の実情に即してやっていただく。ただいまお話がありました広域的な面での啓発というものは、まさにマスメディアを大いに活用しなくてはならないわけでございますが、これも、列挙をいたしますと列挙をいたし切れないくらいございますので、二、三の例を申し上げてみますと、たとえば昭和五十二年度に入りまして、私どもが現にもうすでに行っておりますものなどを申し上げてみますと、たとえばテレビにつきましては、日本テレビをキーといたしまして全国のネットワークで、毎週土曜日に、十一時十五分から、十五分番組の「親子対談」という番組を提供いたしまして、親子による対談という、まあ現在、対話が非常に大切だという見地から、親子による対談というものを中心といたしまして、それに自治省から提供いたしました「選挙一口メモ」というようなものを毎度つけるようにいたしております。
 この中におきましては、一昨年の改正により取り上げられました寄付の規制の問題とか、あるいはこれからだんだん選挙が近づきますと、不在者投票の方法、たとえば郵便投票の方法についての周知とか、さらには、もっと選挙が近づきますと、選挙運動用のビラが新聞に折り込まれて配られることになっている、これについての有権者の認識を求めるという形のようなものとか、まあこういったその折々の事柄を「選挙一口メモ」ということに入れておくというようなことで、全国の茶の間に向けて啓発を行っております。あるいは毎週日曜日を除きます毎日の夜の十時五十分からは、文化放送をキーにいたしまして全国ネットワークで、これは「楓元夫と落合恵子の一口問答」ということで、これも地方自治関係、国政関係、そして選挙の関係ということについての知識を、これはまあ主として夜の十時五十分に聞いておられる方というと若い方々が多いと思うのでございますが、そういった面に対して、これもまた各家庭に向けて送り込むというようなことをやっております。
 このほか、次第に選挙が近づきますと、新聞広告、それから週刊誌への広告とか、さらには交通機関の中の中づり広告とか、あるいは全国に対するポスターの配布とか、こういった手段を通じまして、先ほど仰せののありました広域的なPRということも心がけているつもりでございます。
#24
○片山甚市君 いまの説明はお聞きしました。そのようにしっかりやられておるかどうか、見定めていきたいと思います。
 先ほどの基準に関することにもう一度振り返って考えたいんですが、地域加算のことですが、調整手当地域区分を四つに分けてありますが、これは廃止をしてもらいたい。申、乙、無給地でしたか、こういうことで、それぞれある区分については実情に合わない、大都市と大都市の間にはさまっておる町村とかなんとかというところはだめだという意見があるんですが、それはどのようにお答えをしていただけますか。
#25
○政府委員(佐藤順一君) 大都市周辺の町村は、大都市圏にあるということから特別の問題を抱えておられるということは伺っておりますし、承知もいたしております。ただ、法律の立て方、そして算定の仕方ということにつきましては、これは冒頭申し上げましたように、全体の給与標準単価は、地方財政計画に基づくものを設定いたしまして、それを都道府県段階、市、区、町村という段階、これが先ほど仰せのあった四段階ということでございますが、そういうことで割っております。したがいまして、その町村が大都市圏にあるかどうかということではなくて、町村は町村であるということによって給与関係経費の算定が行われておるということは事実でございます。したがいまして、大都市圏にある特殊事情というのは、これも先ほどお答えの中で申し上げましたように、選挙が終わりました後で、全体の実行額とそれから交付額との差というものを比べまして、このギャップが生ずる理由の中で幾つか挙げてこられますものについて、妥当と考えられるものについて調整を行うということでございます。大都市周辺の町村は、いままでの選挙の場合におきましても、いま仰せのような事情は常にいわばトップに挙げてこられることでございますので、それを対象にして調整を行っている、このように御理解いただきたいと思います。
#26
○片山甚市君 そのような矛盾点については極力解消に努力をしておると理解をしておきますが、食糧の関係ですが、基準法においては茶菓子代として一人二十円ほど規定をされておりますが、実は、現実はそういうことでなくて、投票あるいは開票事務従事者、それから管理者も立会人も含みますが、勤務実態と内容から見て、弁当を現物支給すべきであり、ほとんどの市が実施しております。そのようなものが見合う弁当代は計上すべきだと思います。早朝従事をする、休憩あるいは外食に行けない、こういうことでありますが、それはなぜ二十円で済ませるように考えておるんでしょうか。
#27
○政府委員(佐藤順一君) 二十円とございますのは、これは全く茶菓代でございます。で、それに対しまして弁当を食べるではないかというお話でございますが、たとえば費用弁償にいたしましても一日分、職員の経費にいたしましても一日分というふうに計上いたしますと、この中には実は食事代も入っておるという考え方でございますので、弁当代を改めて計上するということはいたしかねる次第でございます。
 それからまた、恐らく冒頭のお尋ねの趣旨は、茶菓代にしても二十円というのは低いではないかというお気持も入っているんではないかと思うんでございますが、これなどにつきましては、確かにそういう問題点を感ずるわけでございますけれども、私どもが大蔵省の方と話をいたしましていろいろな経費を改善いたします場合に、もっと別な方で、大きなところで改善をいたしたいということに重点を置くもんでございますから、二十円の方は二十円でそのままになっているという点は、率直に私ども認めざるを得ないわけでございます。
 ただ、いま私、大きな方の改善と申しましたが、これは提案理由の御説明の中でも申し上げましたけれども、従来事務費の中で措置してもらっておりましたところの投票所の前日準備経費、それから投票所において使います名簿の抄本作製経費、それから各市町村の選挙管理委員会が、名簿地以外のところにおる方の不在者投票について、こことの間で郵送を行います経費、それからまた在宅投票者――郵便投票でございますが、在宅投票者に対する書類の郵送経費というようなもの、以上申し上げましたものは、全部いままでは事務費全体の中に入っておって、その中で彼此都合してやっていただいておったわけでございますが、今度、この四項目につきましては、新たに柱を立てましてこれを計上するというようにしておる、こういった方の改善に努力をしておるということで御了解いただきたい。
#28
○片山甚市君 非常に細かいことになるのは、この法律改正が細かいので聞かざるを得ないんですが、いわゆる基準法十三条によると、一般事務用郵便料として積算されているのは二千円が基準額、それに対して各市の実態は約五十倍から百二十倍ぐらいの郵便料を負担しています。特に、臨時電話架設料、開票所に架設する臨時電話の費用が全く規定されていませんが、これは不合理だと思うんですが、いかがですか、簡単に答えてください。
#29
○政府委員(佐藤順一君) いまお尋ねの臨時電話につきましては、やはり先ほど申しました最後の調整費の方で見るわけであります。
#30
○片山甚市君 そういたしますと、まあ全部調整費だということで、五億円ほどか幾らかでやるんでしょうから、よく聞いておきます。幾らでも調整できるんだからがんばれと、こう言います。印刷製本代ですが、入場券の印刷代として一枚八十銭ですが、実際は二、三円かかるんじゃないかと思うんですが、こういうことも、言えばすぐに、これは調整費でとおっしゃるだろうと思うんですが、そういうような形で非常にむずかしいことがある。ポスターの掲示板の問題ですが、二割程度を前の分を使う計画だと言うけれども、大体どこでも、三年前にやったものを使う、こういうことにはなってないような、再使用というものは余りできてないように思うんですが、それは省として、再使用法についての何%という基準について、現実に合っておると思いますか。
#31
○政府委員(佐藤順一君) 入場券印刷代につきましては、従来の六十銭を八十銭に改定したわけでありますが、大阪府下の実情なども、この間の総選挙のときの例で八十四銭ぐらいで上がっているというふうに聞いております。それからポスター掲示場につきましては、二割程度は前のを使用するということにつきましては、これは一年以内に選挙が行われる場合には前のを使用する、こういうことで指導しておるわけでございます。
#32
○片山甚市君 これらの問題について、今度の執行経費の改定ですべてがめでたくなると、こういうことでありますから、そのようにいい法律ができたんだということにしておきまして、調整のときもめないように、言いっ放しにならぬように、しっかり自治体の諸君に言うておきますから、がんばってください、双方でね。調整できなかったほどの問題になって泣き寝入りをしておいてから、ここで私が代理人になるのはつまらぬですから。選挙管理委員会が、そういうところはこういう問題があると指摘しておるものですからいま申し上げました。御回答必要ありません。
 そこで、選挙違反の取り締まり状況と問題点、新しい法律のもとで違反の内容の特徴点を簡単に、どういうようなことになっておるか、お答え願いたい。
#33
○国務大臣(小川平二君) この選挙違反の取り締まりは警察が担当いたしておりまするので、なんでございましたらただいまから警察の当局にすぐ出席をしてもらいまして、前回の選挙の実情等についてお耳に入れますが、いかがいたしましょうか。
#34
○片山甚市君 時間が許されれば後刻おいでいただいて、御説明、だけ承りたい。
 私が質問したいのは、実は、買収というのが減っておるのか、違反件数は減ったけれども買収は減っておるのかどうかということをきちんと聞きたいからです。
#35
○国務大臣(小川平二君) 私は、詳細な数字についてただいま頭の中にございませんけれども、買収につきましては件数も減り、また一件ごとの金額も減っておると承知いたしております。ただいますぐ警察の方に連絡をいたしまして、こちらへ参るようにいたします。さらに詳細に御説明申し上げます。
#36
○片山甚市君 そこで自治省にお尋ねするんですが、公正で民主的な選挙制度を有し、その施行を完全にしようとするならば、国民の政治意識の高さがやっぱり国のいわゆる政治に対する成熟度合いのバロメーターを示すものだと思います。これについて、選挙について管理をするというか、つかさどる機関である選挙部がございますけれども、なぜこれが部に格下げされたまま放置されるのか。非常に事務が多くなっておるし、大変な御苦労を願っておるんですが、しかもこのやり方を間違えば大変なことになる重大な仕事ですが、他の省庁と関係がある、一般的に公務員は減らさなきゃならぬ、こういうことだけでおることについてはおかしい。これは行管に聞くべきことでありますが、自治大臣としてこれはどういうように今後やっていかれるか、所信をお聞きして、あと、行管は別の機会に聞きますから……。大臣の心組みを聞きたい。
#37
○国務大臣(小川平二君) まことに御同感でございまして、選挙は、申すまでもなく民主主義の基盤でございますから、選挙管理の機構は、中央も地方も時代の趨勢に合わせまして十分機能を発揮できるように拡充をしていく必要があると信じております。かような趣旨で、昨年選挙部の中に政治資金課も新設をいたしたわけでございまして、五十二年度予算の編成に際しましても、まあ、この問題はほかのいろいろな部局の新設とは全く異なる特殊な、きわめて重要な問題であるからという主張をいたしまして折衝をしたわけでございますが、今回は部局の新設というものは一切例外を認めない、こういう非常に強い行管の方針でございましたので、はなはだ遺憾でございますが、今回は見送ったようなわけでございます。これからも努力をいたしまして、ただいまの選挙部を選挙局に昇格したい、かように考えておるわけでございます。
#38
○片山甚市君 余り選挙局にしたからといって金は多くかかりませんが、やはりいろいろな仕事をする場合に、大変大きな局にすることによって役割りを果たしますから、格段の努力を願いたい。ただ単に職員をふやしてくれと言うのじゃなくて、一つの役所としての役割りを果たしてもらわなければ、これだけの任務は果たし切れないだろう。選挙部だからだめだと言うんじゃありません。それでは荷物が重過ぎる、こういうふうに理解をしてもらって、何か役所をふやしてくれと言っているんではないんです。それは理解をしてもらいます。
 次に、金のかからぬ選挙ということで、実はいま政治資金の話も出ましたけれども、やはり選挙等に出ましたお金の支出の公開と、いわゆる政治資金といいますか、それを公開する。それは政治団体であろうと個人であろうと義務づけるようなことはどうだろうか。
 もう一つは、西ドイツでは七四年から、総選挙ごとに各党の得票一票について三・五マルク、日本のお金にすると三百五十円程度支払う法律をつくっておるんでありますが、それらは検討に値しないか。そのかわりに当然企業献金というのは禁止をされる。また一定額以上の個人献金も禁止するというようなことで、いわゆるこれから議論をしていかないと金のかかる選挙というのは直らないんじゃないかと思うんですが、大臣の所見はいかがでしょうか。
#39
○国務大臣(小川平二君) この選挙資金の公開ということにつきましては、政治団体については現に実行いたしておるわけでございます。
 それから西独の例を引いての仰せでございますが、私どももこの点につきましてはかねてから検討いたしておりまするけれども、西ドイツにおきましては、御承知のとおり、憲法におきまして政党の果たす役割りということについての明確な規定があるわけでございますが、わが国の憲法においてはかような規定を欠いておるというようなことがございまして、これは一つの大事な参考と心得ておりまするが、なかなか直ちに同じことをわが国において実行するというわけにもまいりかねる。それに先立っていろいろ検討を要する問題があろうかと考えておるわけでございます。
 それから個人につきましては、御高承のとおり、改正前の政治資金規正法におきましては何らの制約を加えておらなかったわけでございまして、前回の選挙法に、この政治資金規正法におきまして初めて個人に対してもある種の制限を課するということをやったわけでございます。政治資金というものの重点を逐次個人の方へ移していくべきだということは、現行の選挙法そのものが予定をしておるところでございまするから、今後もそういう方向に沿っての努力はなさるべきだと存じまするが、従来何もそこまで求めていなかったことを、前回の規正法で新たに実行することになったばかりでございまするので、私どもといたしましては、いましばらくこの現行法の適正な運用に努力をしていきたい。その間におきまして個人の問題についてもさらに研究をしてまいりたい。こう考えておるわけでございます。
#40
○片山甚市君 大臣がいろんなところでそういう答弁をしていますからそれ以上聞きませんが、実は選挙のときの期間だけの支出じゃなくて、政党が政治をするのについてお金をどのように使ったかということを発表することによって納得できるのじゃないか。政党だけは摩訶不思議にも何も発表しなくてもいいということにならないのじゃないかというふうに思います。これは御所見を聞かないで、私の意見です。そうしないと、選挙期間以外は野方図に幾らでもやれるということになれば、金のかからぬ選挙などというのは寝言でありまして、確かにその期間だけはお金を使わないけれども、その前後に使うから同じということになりましょう。で、私は、国民が法定選挙費用で選挙などやれてないと信じ切っておる事態――法定選挙費用でやれるんだというようにならないと、やはりわれわれ国会議員が国民から信頼を受けることは非常に遠いというふうに思います。これは私の意見ですから、大臣に同意を求める意思はありませんが、そういう意味で、金のかからぬ選挙ということで十分にお考えを願いたい、こう思っておるわけです。
 次に、知事、政令都市の首長と議会議員の選挙の問題について、国会議員と同じように公営を拡大をする、こういうようなお考えについて検討される用意はありませんでしょうか、お答えを願いたいと思います。
#41
○政府委員(佐藤順一君) 選挙公営につきましては、金のかからない選挙の実現という趣旨を徹底し、実現したいという考え方から、漸次拡充が図られて今日に至っていることは御承知のとおりでございます。しかし、現行の選挙公営は国会議員の選挙に関するものが多いわけでございます。たとえば、一昨年創設されました選挙運動用のビラ、ポスター、選挙用自動車の公営などの制度も、やはり国会議員の選挙に関するものであるわけでございます。こういった選挙公営をさらに地方選挙にまで拡大するかどうかという問題でございますが、やはり地方選挙の場合の候補者の方々は、平素から非常に住民の方々と密着されておる関係にあるという、つまりその政策あるいは主張、意見というものが比較的浸透しやすい状況にあった上での選挙であるというようなことなどからいたしまして、選挙運動の方法についても、いろいろと考え方が違っているわけでございますが、同様に、既存の公営制度の考え方も違っているわけでございます。こういった既存の公営制度との関連を初めといたしまして、各種の選挙運動の方法との関連においてこれから検討されていくべき問題だと思う次第でございます。
#42
○片山甚市君 まあ知事とか政令都市の首長とか、また、そういうところの議会議員というのは、比較的に多数の人たちを相手にして選挙になりますし、東京、大阪などの人口、見てもらったとおり大変でございます。確かに国会議員も大変でしょうけれども、都道府県会議員という範囲も相当重い。十万人に一人という程度の人間を対象にしなきゃならぬ選挙もたくさんありまして、国会議員と余り変わらない内容を持ちましょう。意見が違うところでありますから、これ以上執行経費では言いませんけれども、基本的に言いますと、やはり知事あるいは政令都市の首長などの選挙には、国会議員と同じようないわゆる公営化の方策をとることが金のかからぬ選挙といいますか、いろんなことに前進をするものと私は思いますから、意見を述べておきます。
 さて、選挙運動用の個人ビラですが、新聞の折り込みについて、今日トラブルが総選挙ではなかったのか、新しい試みとして。こういうような制度について、反対、賛成がある間に決めた法律でありますから、各党意見が違いますが、私は社会党としてお聞きをいたします。
 その次に、いわゆる他の広告と同じように没になる心配を持っておるんですが、そういうようにせっかく個人ビラを入れたけれども、新聞折り込みに、没になったというようなことで、折り込みをした方々、候補者から意見はなかったか。
 もう一つは、戸別配布について、今度の参議院選挙から政令を変えてやられないか。演説会場、事務所などということでやらなくても、ほんのわずかの枚数しかないんでありますから、戸別配布という場合の戸別というのは各戸の戸です、家庭の戸ですね、戸別配布ということをやられる方が望ましいと思うんですが、そのようなことについて検討をされる用意はないか。検討ですよ。これは一度、有効に読んでもらうとなれば、やはりそういうことについての一段の努力が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
#43
○国務大臣(小川平二君) 選挙用ビラの折り込み配布ということを前回の選挙から初めてやったわけでございますが、初めてでございまするので、各販売店にも御協力を願わなければなりませんし、また扱いを公平にしていただく必要もございますので、新聞協会等通じましてお願いをいたして、この趣旨を徹底させるために、さらに都道府県の選管においても十分話し合いをしていただいたわけでございます。かようなことをいたしました結果、大体において、新聞販売店側の協力をいただいて円滑になされたという報告を受けておりますが、ただ、これは、引受けるかどうかは最終的には契約で決まるわけでございますので、若干の新聞店におきまして拒否をしたところもあったという報告を受けております。数字を申し上げますると、折り込み依頼をいたしました件数が六千九百件、これを断った件数が九十件。これは日本新聞協会の調べでかような状況になっておるわけでございます。今回の参議院選挙におきましても、これが円滑に行われますよう、関係方面にお願いもし、指導もしていきたいと思っております。
 それから、頒布方法につきましては、衆議院におけるこの修正の際に、「新聞折込みその他政令で定める方法」ということになりましたことは御承知のとおりですが、いろいろの御意見がありましたことは仰せのとおりでございます。そこで、具体的方法につきましては、御審議の経過過程を参考にいたしまして、結局、事務所内の頒布、立会演説会場入り口の頒布、個人演説会の会場内における頒布、それから街頭演説の場所における頒布、この四つの方法が規定されたわけでございます。ただいま仰せの各戸配布につきましては、現に戸別訪問を禁止しておる以上、戸別訪問防止のための有効な手段があり、とれると、そういう見込みがないと、なかなかこれは容認できないという反対の御意見もあったわけでございまして、いろいろの御意見がございました。容易に結論を得にくい状況にありましたので、結局改正に踏み切れなかったというのが経緯でございます。したがいまして、今回の選挙におきまして、各戸配布ということはなかなかこれは実行しにくいと、こう考えております。
#44
○片山甚市君 新法ができるまでの間は、御承知のように大体無差別に新聞を入れられた。急激に何でもブレーキをかけて、そうしたがるけれども、これは証紙を張っておる分ぐらいですから、ちゃんとそうすべきだと。国民の良識がありますからね、そのぐらいはしないといかぬと思いますが、それは法律をつくるときに私たちがお聞きしたときと、政令になったときと違うので大変意見があります。時間がありませんから、このぐらいにしますが、これは納得しない。これはもういまのお言葉は納得しない。厳しく、こういうことに私の意見を述べておきます。
 で、この寄付行為の禁止ですが、実は新しい法律ができてから一番喜んだのは自民党の皆さんじゃないか。われわれ寄付をするお金は余りないから大して変わりませんが、しかし、今日でも、結婚式を含めて大変多くのいわゆる寄付行為があるんですが、これに対しては、申し出る者もいけないけれども、出す者もいけないということをもっと徹底をすることでなければ、金のかかる選挙などということについて、それは全然寄付をしなくてもいいような政党はよろしいですよ。人情がらみの政党は、しなければこれは選挙にならぬ。もう一つ下の市町村などに行ったら、何だ、おまえはと、こうなるんです。そりゃ国会議員などというのは、いいかげんなことを言うてりゃ――いいかげんというのは正しくない。大きいことを、ほらを吹いておりゃ、日本国じゅうか世界国じゅうの話をしておればいいけれども、市町村の議員などになれば大変でございますね。ですから、国民に対する啓蒙、啓発ということになれば、ここのあたりがいわゆる買収になってみたり、いろいろなことになる。寄付ということが始まるんですから。これを禁止した趣旨について厳しく、丁寧に国民にわかるようにしていただけるのかどうか。そして、いまの情勢で寄付禁止が、寄付の禁止が守られておるかどうか。
#45
○国務大臣(小川平二君) 仰せのように、これは寄付する側はもとよりでございますけれども、一般の有権者に十分協力をしてもらわなければ趣旨が実現できませんので、各種の広報媒体機関等を通じまして、この趣旨の徹底に懸命に努力をした次第でございます。
 そこで、この現状がどうなっておるかというお言葉でございますが、実はこういう呼びかけに対しまして、自治省に対して、候補者からはもとよりですが、一般の有権者からもいろいろな照会や御質問を受けておるというのが実情でございまして、かような点にかんがみまして、この点について立候補する人も有権者も非常に強い関心を持っておる、こう判断すべきだろうと存じます。私どもといたしましては、まあ大筋においてこの趣旨は相当程度徹底をしておる、そうして遵守されておるという感じを持っておるわけでございますけれども、これから先も非常に大事な問題でございますから、余すところなく趣旨が貫徹されますように努力を続けてまいるつもりでございます。
 それから、ただいま警察の当局が参りましたので、先ほどの件について答弁を申し上げます。
#46
○政府委員(鈴木貞敏君) お答えいたします。
 御質疑の、買収事件が減少したのではないかという点でございますが、数字面で申し上げますと、四十七年十二月十日の衆議院の総選挙と、五十一年十二月五日施行されました衆議院の総選挙、これを比較いたしますと、違反検挙の面からの比較でございますが、買収でございますが、四十七年の総選挙の際は七千百六十七件、人員にして一万三千三百四十六人と、これは実は四十八年一月九日、警察としまして統計をとっている最終段階での数字でございます。また五十一年の総選挙につきましては、五十二年一月四日でとりました最終の統計では、買収の件数が五千七十六件、人員にいたしまして八千九百七人というふうになっておりまして、お説のとおり相当数、三分の一程度買収は減っておると、こういうふうな統計でございます。
 そのほか、自由妨害、戸別訪問、文書違反、その他各種違反を含めまして、全体的な数字を見ますと、四十七年の総選挙では件数が八千百五件、人員が一万四千八百二名でございましたが、五十一年度の総選挙では五千八百五十九件、人員が一万二百三十三人ということで、これまたそれぞれ相当ダウンしておるということでございます。
 この原因でございますが、まあいろいろの点が挙げられると思いますけれども、一応違反取り締まりの面を通じまして感じられますことは、昨年度、五十一年度の総選挙も任期満了による総選挙、いわゆる総選挙でございますから任期満了ということでございますので、まあ解散によって突如行われるような選挙と違うというふうなのが一つ挙げられるんじゃなかろうか。
 それから、何といいましても、法律が改正されまして、その法改正の趣旨あるいは規制がいままでよりもきつくなったという点がよく作用いたしまして、こういう違反の減少というものにつながっておるんじゃないかということが第二点。
 それから第三としましては、警告を相当積極的に行いまして、まあ事前に、検挙に至らない段階でひとつおやめ願うというふうなことでございまして、ちなみに警告件数を比較いたしてみますると、四十七年の総選挙の際は一万九千七百五十件でございましたが、五十一年の総選挙の際には二万五千五百二件ということで、これ三〇%近く、三割近くがふえておるというふうなことでございます。
 それから、まあ最後に一応挙げられることは、一連の各種汚職事件等を通じまして、国民の違反に対する批判の目が非常に厳しくなってきておるということであろうかと思うわけでございます。そういう点で、買収事件の内容を見ましても、まあ不況の影が差しておると言いましょうか、そういう点もあろうかと思いますが、四十七年の総選挙に比べますと、まあ当時は四、五千円、中には一票一万円というふうな例もあったわけでございますけれども、五十一年十二月の総選挙につきましては、千円単位というふうなものが目につきまして、また物品の供与につきましても、七、八百円あるいは供応の額の点でも千円台というふうなこと、中には五百円の商品券もあるというふうなことで、額の面でも相当ダウンしておるというふうな面がうかがわれるということでございます。
#47
○片山甚市君 終わります。ありがとうございました。
#48
○理事(小林国司君) 鈴木刑事局長、結構でございます。どうもありがとうございました。
#49
○峯山昭範君 いよいよ参議院の選挙まで余すところわずかな日数になったわけですけれども、われわれとしましては、今回の参議院選はどうしても参議院の地方区の定数の是正をやって、そして従来から言われておりました一票の重みの不均衡というのを何とか解消して今度の選挙を迎えたい、こういうわけで前々から準備をしてまいりました。それで、いま当委員会で審議を続けているわけでございます。これはまだ決着がはっきりつきませんが、きょうは大臣の所見をぜひともお伺いしておきたい。
 これは本当は総理大臣がこの席にお見えになって、福田内閣の姿勢としてもお伺いをしたいわけですけれども、きょうは大臣がおりませんので、かわりましてそのつもりでお答えをいただきたいんですが、歴代の、福田さんだけではなくてその前の三木さん、その前の田中さんというように、必ずこの問題は取り上げられてまいりました。そして、次の参議院の選挙には間に合うようにこの定数の是正を行う、こういうふうに何回か約束をされていらっしゃいます。現実に、昭和四十九年度の選挙の結果を見ましても、たとえば、大阪では六十九万八千票を取りまして落選をいたしました。ところが、山梨県では十七万票で当選をしている。これは具体的に実例を挙げれば切りがないほどこういうふうな一票の差というのが開いてきております。さらには、この一票の格差というのは、大臣も御存じのとおり、鳥取県と東京では五・〇一九倍という格差が開いています。これはわれわれとしても、先般の最高裁の判決によるまでもなく、何とかきちっとこの問題を解決して選挙を迎えるべきではないか、こういうふうに思うわけですけれども、政府としてはこの問題についてどのようにお考えであるのか、初めにお伺いしておきます。
#50
○国務大臣(小川平二君) 仰せのございました一票の重みあるいは投票の価値という点に関しましては、御指摘のとおり最高裁の判決もあるわけでございます。ただ、この判決は当時の衆議院の定数についてなされた判決であるという点。さらにまた、参議院地方区の議員は一面において地域代表という性格をも持っておるわけでございまするから、この判決が直ちに参議院の地方区の現状についても適用さるべきものだとは必ずしも存じておりませんが、いずれにいたしましても、非常に大事な問題についてなされた判決だと存じます。
 ところで、この定数の改正の問題につきましては、この国会を通じまして予算委員会等で総理大臣が繰り返し繰り返し言明をなさっておりまするように、要するにこれは競争のルールを改めることである。土俵をつくる問題でございまするから、各党間において十分御論議をなさっていただきたい。政府としてはこれを切望いたしておるわけでございます。その御論議の推移を見たところで、政府としての結論を得たい、このように考えておるわけでございます。
#51
○峯山昭範君 大臣、私はこの問題について、いま当委員会で議論中でございますから、これ以上議論をするつもりはございませんけれども、大臣がいまおっしゃった憲法の問題についても、確かに先般の判決については、衆議院の判決であるということはわれわれ百も承知なんです。しかも参議院の地方区の定数というものは、いま大臣が地域代表も含めてということをおっしゃいました。しかしながら、地域代表という、含めてというその話の中身は、われわれがいままで、当委員会で、小委員会を設けまして何回も議論をしてまいりました。そういうふうないろんな議論の中で、やはり人口に比例して案分したことは間違いない。地域代表という意味をあえて言うならば、要するに人口割りでは一名しか割り当たらないところを、三年ごとの改選ということがあるから二名ずっというところがある。そういう点が地域代表と言えば言えないこともない、そういうことにはなります。しかしながら、先般の詰まったところ、結局は次の選挙には間に合わせようというのが各党の一致した意見であったわけです、実際問題としては。そういう点では、やはり政府としても、この問題について、要するに選挙をやる当局ですから、当局がこういうふうないわゆる一票の重みのへんぱがあっていいのか、本当にこれでいいのかということについては、各党が話し合う前に、選挙を行う当局としては、これはこのままほうっておいていいのかどうかということについて、やはり真剣になってこの問題を自治省当局は考えないといけない問題と違うか。もしこれが選挙違反だという、これはまた裁判に私、いろんな問題が出てくると思うのです。ところが現実の問題として、これが本当に選挙違反だという問題になったとすれば、その責任はやはり政府自身がとらなければいけないということになってきます。そういうふうな意味では、こういうことを担当する自治省当局も、この問題について本気になって取り組んで、解決策というものを考えざるを得ないというところまで私は来ていると思うんです。こういう点については大臣、どうですか。
#52
○国務大臣(小川平二君) もとより非常に大事な問題でございますから、政府といたしましても強い関心を持っておるわけでございますが、やはり事柄の性質上、政府のイニシアチブで進めていく問題ではない、このように判断をいたしておるわけでございまして、過般も予算委員会におきまして、総理大臣が各党間の話し合いを煮詰めていただきたい、自由民主党に対しても案を急遽まとめるように指示いたしますと、かような答弁を総理大臣がなさっておるわけでございます。自由民主党におきましても一つの具体的な案を持っておいでと聞いておりますので、本委員会等で十分隔意なき御懇談を遂げていただいて、一致の結論を得る方向で御努力を賜れば幸いだと、こう考えております。
#53
○峯山昭範君 もう一歩突っ込んで、もう一点、同じことなんですけれども、大臣、それは確かにそのとおり。ですから、私たちはそのとおりで、そういうふうな意味での議論をいま進めているわけです。しかし、選挙を行う担当部署としては、やはりこれだけ格差が開いてくるということになってくると、これは責任を政党に押しつけるのではなくて、当局としても、この問題について何らかの処理をしなくちゃいけないというところまでくる、私はそう思うのですよ、実際問題。国民が見て、現実にこういうふうな、たとえば先ほども言いましたように、十七万、十八万票というところでどんどん当選をする。実際は六十九万票、五十二万票、五十万票というところでどんどん落選をする。これはやはり数字の面では非常に差が、倍数は一対五というあれはないかもわかりませんが、現実にこういうような事態がどんどん出てまいりますと、いろんな問題が出てまいります。これはやはり自治省当局としては何とか手を打たないといけないところまで私はもう来ておると、現実の上でそう思うんです。この責任を、ただ各党の話し合いに任せるということだけでいいのか。この点はやはり私は、選挙を前にして当局の考え方を一遍きちっと確認をしておきたい。そういうような意味で、大臣の所信をもう一遍お伺いしておきたい。
#54
○国務大臣(小川平二君) 最高裁の判決がこの参議院の地方区に対しても適用さるべきであるかどうかということは別にいたしまして、はなはだしいアンバランスが存在するということは決して好ましいことだとは思っておりません。ただ、繰り返しになって恐縮でございますが、やはりこのことだけは一つの大きな特殊問題でございまして、改正のいかんによりましては各政党の消長にも直ちに関係をする問題でございますから、政府が独自の考え方を持っておらないというのははなはだ不見識ではないかというおしかりもあるかもしれない。選挙の執行に当たる当局としてさようなことではよくない、こういうお言葉もあるかも存じませんが、やはりこの実際的な問題の処理のいたし方としましては、各党間で十分御検討を願って一致の方向を打ち出していただくほかはない、まあこう申し上げざるを得ないわけでございます。
#55
○峯山昭範君 この問題はその程度にしておきます。
 次に、選挙権の年齢の引き下げの問題ですね、これ、政府はどういうふうにお考えなのか、一編聞いておきたいんですが。現実の問題として、満二十歳というのが現在の日本の選挙権の、いわゆる有権者となる資格のあれになっておりますが、十八歳選挙権というのは現在のもう世界的な趨勢ではないか、こういうふうに考えているわけです。これは共産圏のほかイギリス、アメリカ、西ドイツ、オランダ、カナダ、それにイタリアとスウェーデン、フランス、こういうふうな国もどんどん十八歳選挙権というのをやって実施しているようでございますが、日本はこの問題についてはどうお取り組みでございますか。
#56
○国務大臣(小川平二君) 仰せの点でございますが、各国の実情を調べて見ますると、どうもこの問題が一面において兵役義務年齢、あるいは民法上の成年――成人年齢ということとの関連で定めておるというのが実情ではなかろうか、このように理解をいたしておるわけでございます。そこで、この問題を考えまする際に、わが国においても、民法はもとよりその他の法体系全般と関連させて慎重に研究すべき問題だと存じます。
 なお、この点につきましては、世論調査の結果なぞを見ましても、選挙権年齢の引き下げということを積極的に支持する、肯定しているとは今日なお認められないと判断いたしておりますので、こういう点をも考えまして、もう少しこれは慎重に研究してまいりたいと思っておるわけでございます。
#57
○峯山昭範君 大臣、済みません、いまの「認められない」というのは、ちょっと聞き漏らしましたけれども。
#58
○国務大臣(小川平二君) 選挙年齢の引き下げに対しましては、これを世論調査によりますると、世間一般が支持している、肯定しておるとは考えられない。
#59
○峯山昭範君 ぼくは一般が、どういう世論調査が知りませんが、まだ支持していないという結論が出ているというその世論調査を見たことがないんですがね。現実の問題として、五十一年の十月には推計人口では確実に戦後生まれの人口が日本の過半数になる。ところが、こういうふうな推計は現実に出てますね。そうしますと、実際問題として戦後生まれの人のいわゆる有権者というのは、現在の日本の総有権者数の三割ですね。そういうふうな実態から考えてみますと、これは選挙を行った場合に、若い人たちの意見というのが本当に政治の上に十分反映しているかどうか。これはやはり大きな問題になってくると私は思うんですね。そういうふうな観点から考えてみますと、実際問題、総有権者、概略で七千八百万ですかね、七千八百万に対して二千百万人という非常に少ない構成、これが本当に公平であるかどうか。これはやはり一つの大きな問題であろうと思います。
 そういう点では、私は選挙権の年齢を引き下げたから被選挙権の年齢も引き下げなくちゃならないとは言ってないわけです。外国の実例を見ましても、両方とも引き下げたという例は、私が知る限りでは西ドイツとか、カナダとか、こういう国は両方とも七〇年から十八歳に引き下げたと、そういうふうに私の資料ではなっておりますが、そのほかの国は、被選挙権は多少据え置いておるところもありますし、高い年齢になっているところもあるようであります。そういうふうな意味では、私は大臣の世論調査というのがどういう世論調査かわかりませんが、この選挙権のいわゆる引き下げという問題についてはやはり考える必要があるんじゃないか、そういう時期にもう来ているんじゃないか、こう思うんですが、再度伺いたい。
#60
○国務大臣(小川平二君) 確かに御指摘のような事実があると存じまするし、そういう事実を踏まえてのただいまの御意見、十分理解できるところでございます。ただ、先ほど申し上げましたようないろいろな問題点もあることでございまするから、いま少し時間をかけて研究をしてまいりたい、こう考えております。
#61
○峯山昭範君 この問題は、私は特に最近起きております若い人たちに対する物の見方、考え方、そういうふうないろんな観点から、そういう一つの責任を持たせると、社会的な責任を持たせる、そういうふうな意味でも、私は、意識を向上させるためにも非常に重要な問題ではないか、そういうふうに考えております。
 たとえば、現実の問題として、自由主義諸国でもそういうふうな問題がどんどん取り上げられてそういうふうになってきているわけですね。イギリスでも十八歳になってますし、これは七六年九月からですね。アメリカでも十八歳、これは七〇年からですね。そのほか西ドイツ、カナダ。フランスでも七四年の六月からは十八歳、こういうふうになってきておりますし、わが国としてもこれは当然この問題については取り上げなくてはいけない問題である、そういうふうに思います。そのほか、やはりこれはこれと関連をいたしまして民法上の問題とか、成人の年齢といういろんな問題と私は絡んでくると思いますけれども、それとまた選挙制度という問題とは基本的に多少違うようにも私は思うんです。ですから、そこらとの関係も多少ありましょうけれども、私は憲法上は特別問題ないと思うんですけれどもね。そういうふうな観点からも、これはぜひとも当局はこの問題についても真剣に研究して、早急に私は実施すべきであると、こういうふうに思うんですけれども、再度大臣の御見解をお伺いしておきたい。
#62
○国務大臣(小川平二君) これは一つの御見識でございますから、念頭に置きまして、私ども、大事な問題ですから十分研究をいたします。
#63
○峯山昭範君 それからもう一点お伺いしておきたいのですけれども、これは政治資金規正法が先般通りまして、政治資金規正法の規制という問題については、個人に対する献金についても初めて規制が加わったと、いろんな話が先ほどございました。しかし私は、大臣ね、ここで一つ大きな問題として一遍お伺いしておきたいのは、個人個人献金をする方の規制、する方の規制は、いろんな角度から制限が加わっているわけですけれども、いわゆる政治資金を受ける方ですね、この規制が余りにも弱過ぎるんじゃないか。これは要するに受ける方から波及しての、いわゆる受ける方の規制であって、受ける方そのものの規制が余りないように思うんですけれども、実際これは選挙部長、あるんですか。
#64
○政府委員(佐藤順一君) 政治献金を受ける個人についての、受ける側としての規制ということでございますが、いますでに仰せのとおり、多分に献金をする側に対する規制の反射的効果としての規制という面はございます。すでに御承知のとおり、献金をする側につきまして、年間総額の規制いそれから一対一の関係における個別的な年間の寄付の規制とあるわけでございますが、そのいずれをも超えたものを、超えたことを承知の上で受けてはならないということでございます。これはする側についての規制の反射的な効果ではないかと言えばそれまででございますけれども、これはやはり受ける側について、相当強い規制ではないかと申し上げたいわけでございます。これが量的な規制でございまして、そのほか質的な規制と申しまして、国や地方団体から補助金等を受けている会社等の寄付、それからいわゆる赤字会社からの寄付、これらはいずれもこれを受けてはならない、こういうふうになっております。このほか外国人、外国法人等からの寄付、それから他人名義及び匿名の寄付、これも受けてはならない。
 以上総合いたしまして、量的、質的な面での寄付の規制があるということでございます。
#65
○峯山昭範君 ということは大臣、これ、全くないに等しいです。要するにないに等しいと言って過言ではない。
 それじゃ逆に言いますと、選挙部長、もう一つ確認しますとね、受ける方がたとえば百五十万という限度額とか、する方の規制がありますね。する方の規制さえきちっと守っておりますと、幾ら規制を受けても、政治献金を個人献金として個人が受けた場合、これは実際、収支報告の義務なんというのはどうですか、あるんですか。
#66
○政府委員(佐藤順一君) 政治家個人は、この寄付を受けた場合、特に政治資金規正法上報告の義務はございません。
#67
○峯山昭範君 ですからね、する方の規制というのは私もよくわかっているつもりです。量的な制限と質的な制限はあります。けれども、いま質的な制限として部長がおっしゃった、たとえば国から補助金を受けている団体とか会社とか、そんなのは余りありませんわ、実際問題ね。そんなところから政治献金をもらおうといったって、それは実際問題、よほどのあれでないと数も非常に少ない、またそういうふうな赤字会社からという、それは制限みたいなものですけれども、実際は政治献金を受ける側の姿勢、これがやはりはっきりしないと、今度のロッキード事件じゃございませんけれども、これはもういわゆる完全な政治資金規正法とは言えない。そういうふうな意味では、大臣ね、私はこの受ける方の規制という問題についてもやっぱりきちっと考えざるを得ないんじゃないか。しかも政治資金規正法で量の制限があります。この制限を守って、個人が幾ら政治献金を受けても、これは、要するに報告の義務が全くないわけですから、もちろんこれが政治活動に使ったという限りは、どういうふうにやりくりしようと、これは政治家のあれにかかってしまう。そういうふうな意味では、私は全くざる法である、そう言わざるを得ないわけです。そういうふうな意味では、私はこういう問題については、これは何とかしなくちゃいけないと思っているわけですけれども、こういう問題について、大臣、どうお考えですか。
#68
○政府委員(佐藤順一君) 先に……。
 まず政治団体については、収支の報告の義務があるけれども、個人については収支の報告の義務がないのはおかしいではないかという御意見でございますけれども、これにつきましては、現在の政治資金規正法制定のとき以来、やはりわが国の民主政治を動かしている大きな力というものは政党その他の政治団体であるという考え方から、政党政治団体の資金をガラス張りにすると、こういうことを念頭に置いてつくられた法律であるということであるわけでございます。その中から、さきの改正におきまして、個人につきましても先ほどのような額的な制限は設けたということであるわけでございます。
 それからいま一つ、質的な制限について私が申し上げましたところ、これはあってなきに等しいのではないかという御意見がございましたけれども、実は一つ申し落としておりましたけれども、従来はこのような国や地方団体から補助金を受けている会社等とか、あるいはこれにつきましては、選挙に関し寄付をしてはならないというものでありましたものを、今度は選挙に関すると、否とにかかわらず、およそ年間受けてはならないということになりますので、この点はむしろ今度は、一度寄付がありますと、そのこと自体が違反になるわけでございますから、従来のようにある寄付が選挙に関するものであったかどうかという判断の余地のある規制から、今度はそのような判断の余地もなく、選挙の有無にかかわらず規制された、こういった点が強い規制になったというふうに思うわけでございます。
#69
○国務大臣(小川平二君) 確かに現行法は、個人の政治資金につきまして、非常に峻厳な規定をしておるわけではございませんので、ざる法というお言葉もただいまここで承ったわけでございますが、先ほども申し上げましたように、個人の政治資金については、何らの規制がなされていなかったのを、前回の改正で新たな制限を設けたわけでございます。また今日の世論、あるいはまた公職選挙法、政治資金規正法に画期的な改正がなされたという事実、これらいずれも政治家の自粛を促す上において相当の効果があるというふうに私は考えておるわけでございます。したがいまして、当面、この法律の適正な運用を図ってまいりたいと思うわけでございますが、ただいまの法律におきましても、附則の中で政治資金の重点を個人に移していくという趣旨で、労働組合の政治資金とあわせて五年後に見直しを行えと、こう書いてあるわけでございます。法律の要求しておりますことは、第一に、重点を個人に移していく方向で見直しを行えということ、第二には、それには相当の時間がかかるという、かような判断だろうと理解をしておるわけでございます。
 ただいまの仰せは、率直に申し私はきわめてごもっともと承るわけでございますが、改正したばかりの法律をいま直ちにというわけにもなかなかまいりかねる、もう少し研究をさしていただきたいと思っております。
#70
○峯山昭範君 大臣おっしゃるとおり、確かにもうこれ以上この問題について言いませんけれども、大臣のいまの発言の趣旨のとおり、献金はやはり個人献金の方向、個人献金に限る方向、私は当然そういう方向にいくべきである、こういうふうに思っております。
 この点はおきまして、先ほどの地方区の定数是正に絡んでもう一点だけ大臣にお伺いしておきたいのですけれども、これはわれわれ政治家のいわゆる各政党の話し合いに任せるというふうな結論になりつつあったわけですけれども、私は、大臣、参議院の地方区の定数是正という問題は、これは衆議院の場合もそうですけれども、衆議院は過去二回定数是正をやりました。これは全部増員是正ですね、両方とも。減員ができなかった。これは大臣、やっぱりそこにいろいろな問題が私はあると思うのです。
 参議院の方も、私たちは実は現在、増員の是正の案を出しております。これはわれわれの党としての姿勢として、当然、現在野党の四党が集まりまして原案を出して検討しているわけです。しかしこの案も、自民党さんから見ればどうも気に入らない。自民党さんが加わってないからこの案が通らないわけです。自民党さんは、やはり総定数はふやしたくない、こう言われる。そこで私は、これは何が何でもって強引に押し切るわけにもいかないわけです、実際問題、この問題はね。
 しかし、この問題を解決するためには、大臣、実際問題としてわれわれ政治家だけではこの問題を解決できないという点も私、あると思うんです。憲法で言う平等原則といいますか、あるいは不均衡のこの問題に対する問題を解決するためにも、場合によったら私は政治問題とは切り離して、純粋にこの定数問題を扱う第三者機関をつくって、そして参議院発足当時の定数からすれば、現在の日本の人口の全体から見れば、ふやしても構わない、ふやすべきであるというのがわれわれの考えなんですけれども、場合によったらそうじゃなくて、やっぱり定数はふやすべきじゃない、ふやさないで、全体として定数のアンバラを是正すべきである、こういう考えは出てくるかもわかりませんね。そういうふうな意味では、私はこの三者機関というのをきちっとつくって、そしてその三者機関の答申を国会は無条件でのむと、そういうふうなことがあってもいいんじゃないか。そういうふうな考えを、これは私、個人的にいま持っているわけですけれども、たとえば大臣の方は当局なんですから、その立場で、どうしても憲法の問題と絡んでこの問題が、今度の選挙にどうしても間に合わないとするならば、当局としては憲法上いろいろうたわれた問題を何とか解決せにゃいかぬと、そのためにはこの三者機関をつくるからどうだというような、いわゆる事務当局と言いますか、自治省当局の意見があっても私はいいんじゃないかと。何にもなくてとにかく話し合いを、こう言うだけじゃ一歩も前進しないわけですから、こういう点もやっぱり何とかこの問題を解決するための考え方というのが自治省にあってしかるべきじゃないかと、私はいまそう思うわけです。それで、そう思いますので、この点についての考えを一遍お伺いしておきたいと思います。
#71
○国務大臣(小川平二君) 参議院地方区の定数を改めまする場合に、全国区の定数あるいは参議院と衆議院のバランスというような観点から、この点についてもいろいろな御意見があったと承っておるわけでございます。この問題を検討するための第三者機関を設けよという御意見でございますが、これはひとつ、先ほど来、問題を政党に任せて逃げてしまうんじゃないかというお言葉もあったわけでございますが、逃げておるわけではないので、政党を御信頼申し上げて御研究を煩わすわけでございますから、ただいまの御提案も含めて、これはひとつ十分御論議をなさっていただきたいと思うわけでございます。
#72
○峯山昭範君 じゃ、結構です。
#73
○橋本敦君 まず最初に大臣にお伺いをしたいんですが、
  〔理事小林国司君退席、理事中西一郎君着席〕
先ほども片山委員の御質疑の中にも出てきたんですが、選挙をきれいにする運動の推進ということで、約六億を投じて運動を進めていかれるというお話もございました。私はその運動自体、それ自体は自治省としておやりになってしかるべきことだと思いますが、問題は観点なんです。きれいにするという運動の本質と基本は一体何だというように大臣はお考えでしょうか。まず、これを伺いたいんです。
#74
○国務大臣(小川平二君) 本質は何かというお言葉でございますが、今日選挙をきれいにしてほしい、政治をきれいにしてほしいというのは国民の一致した願いだと、このように理解しておりますので、そういう方向で努力をしてまいりたい。また国会における各党の御協力も願いたいものだと、こう考えておるわけであります。
#75
○橋本敦君 突っ込んで言いますと、まさに選挙というものは、今日の議会制民主主義を、本当に憲法下で民主的に進めていく根幹になる問題が選挙ですね。そういう場合に、選挙をきれいにするという事柄の本質は何かと言えば、私は主権者たる国民の自由な意思が、自由に完全に公正に表明されるというそのことが、これが運動の本質だろうと、これがきれいにするということの自治省がおやりになるべき眼目だろうと、私はこう思うんですが、大臣の御所見はいかがですか。
#76
○国務大臣(小川平二君) 仰せの点も、これは選挙をきれいにする一つの大事な観点だと存じております。
#77
○橋本敦君 仰せの点もと仰せられたんですが、それ以外本質的な問題がありますか。たとえば買収しちゃいけないというのは、選挙民の自由な意思を表明させるという根幹にかかわることでしょう。だから要するに選挙が民主政治の根幹であるということは、主権者一人一人の自由な意思の表明、公正な選挙に関する意思の表明が、これが国家的に担保される、そのことを進めるという、やっぱりこれに帰するのではありませんか。
#78
○国務大臣(小川平二君) 御質疑の趣旨を誤解をしておったかと思います。その点も仰せのとおりでございます。
#79
○橋本敦君 そうですね。そこで今度の予算委員会でも問題になったんですが、かねてから私どもは官庁ぐるみ選挙、企業ぐるみ選挙ということは重大な問題があるということを指摘したわけですね。たとえば予算委員会でわが党の近藤議員が、国鉄の関係で伊江さんの後援会問題を追及をして、鉄道電話まで後援会事務所が使用しているという問題については、さすがに総理もこれは撤去してもらうようにすると、こうおっしゃる必要があった。さらに上田議員が追及をしたいわゆる自衛隊父兄会問題、これについては、自衛隊内部でもしかるべき注意、戒告処分が行われて、公正を疑われないように今後もするということもおっしゃった。さらに新聞紙上では石川島播磨問題で、東京12チャンネル問題が取り上げられた。いろいろあります。私は、なるほど買収、供応、これはプリミティブな選挙違反ではありますけれども、今日の実態から見て、民主的な選挙を推進するという上では官庁ぐるみ、企業ぐるみ選挙と言われている問題について、これはやっぱり厳しく見ていく、批判すべきは批判していくという観点で、自治省はそういう姿勢をお持ちになることが必要ではないかと思っておりますが、大臣の御見解はいかがでしょう。
#80
○国務大臣(小川平二君) ただいま御指摘のありました問題については、予算委員会で長時間質疑応答があったわけでございます。これに対しまして、国鉄としては国鉄の言い分を申し上げ、防衛庁としても防衛庁の考えておることをあの場で開陳をいたしておるわけです。これはまあ選挙違反の問題は自治省と申しますよりは警察、捜査当局の問題になるかと存じますが、私は、国家公安委員長といたしましては、選挙違反の取り締まりについては最も峻厳な態度で臨んでほしいということを指示いたしておるわけでございますが、個々の案件につきましては、これはそれぞれの所轄の警察が客観的な事実関係を調査いたしまして、現実に違法の容疑ありと考えますれば捜査に着手する問題でございます。自治省といたしましては、個々の問題についてあのようにしろ、このようにしろと、警察を指示する立場ではないわけでございます。しかし御指摘の企業ぐるみ選挙等につきましては、もとより自治省としても強い関心を持っておることは、これは申すまでもございません。
#81
○橋本敦君 いろいろたくさんの事例もあるんですが、きょうは時間が限られておりますので、政治献金御三家と言われている――かつては鉄鋼、電力、銀行などが言われ、いまでは鉄鋼、自動車、銀行などが政治献金御三家とマスコミなどで言われているわけですが、その問題の一つで、私は銀行関係についてひとつ見過ごすことのできない事実を指摘して、大臣の所見なり、銀行課長の所見なりを伺いたいと思っているんです。
 それは、私どもの調査によりますと、広島の事件なんですが、広島の方で有力な銀行として御存じの広島銀行というのがございます。この広島銀行が今次の参議院選挙に際しまして、ある方の選挙運動ということで銀行ぐるみでやっているのではないかという疑いを持っているわけです。つまり、広島銀行の頭取が、これがみずから後援会長、県の後援会長におなりになる。
  〔理事中西一郎君退席、理事小林国司君着席〕
そして、その銀行の大口の取引先、最も大きな取引先の社長がこれが事務局長におなりになる。そして、その事務局次長には何とぞの広島銀行の、これは営業推進役の馬谷さんという方です。この方が事務局次長になられて、しかも、私どもの調査では、この方は三月十九日の辞令で休職扱い、選挙事務所にずっと行きっ放しなんですね。この間の給料は、休職扱いだけれども無給ではなくて有給で銀行が払っている、こういうかっこうになっている。こういうふうになりますと、ある銀行が頭取以下後援会ということで入りまして、そして役員がそういう形で会社の組織上の休職まで行い、しかも有給で行って、そして後援会運動に専念されるという事態が起こっているわけですね。しかも、各支店、各地域では、支店長以下がそれぞれポスター張りまでやるし、後援会会員の募集まで日常職場を通じてもあるいは取引先を通じてもどんどん行っていくと、こういうことになる。こうなりますと、これは銀行というのが政治献金御三家の一つというだけじゃなくて、現実の選挙運動、選挙活動、政治活動に銀行がらみ絡み込んでいっているという一つの重大な問題として私は注目をせざるを得ないんですね。
 私はなぜこれを取り上げるかといいますと、銀行というのは、今日、公的な公共機関とまでは申しませんが、まさに公的金融政策の公正性ということでは重要な役割りを果たしているところですね。こういう銀行が、こういうようなことをやっていいのだろうかという問題を、私は率直な意見として伺いたいわけなんですね。
 しかも、それだけではありません。町に演説会のポスターがいろいろ張られております。この方の演説会の時と場所を見て私はびっくりしたんです。演説会ですよ、電柱に張ってある、写真をとってきた。場所は広島相互銀行吉田支店、広島信用金庫可部支店、それから広島銀行西条支店、それから芸陽信用金庫本店、第一信用組合安浦支店、呉信用金庫ホール、それから広島銀行庄原支店、これ電柱に張ってあるんです、時間も書いて。こうなりますと、建物自体が今度はこういう演説会や集会のために公然と利用されている。こんな建物は普通の人たちは利用さしてもらえないですよ、銀行の本店とか、支店の建物を。これまさに銀行ぐるみですよ。
 こういうことは、これはまさに銀行ぐるみ選挙として、これ、見過ごしていいんだろうか。選挙のどの点に違反するとまでは私言いませんよ。きれいな選挙を推進するという観点で、こういうことを自治大臣、どうお考えになりますか。また、銀行業務が適正に行われるようにという立場で、大蔵省は業務監査を行っておられますが、こういう支店を公然と貸す、場所を貸す、そして役員が休職までやって選挙活動に専念する。こういうことで、特定の人の選挙活動に銀行自体が機構的に絡み込んでいくという問題について、大蔵省の立場で銀行課長はどういうようにお考えだろうか、双方の御意見をまず伺わしていただきたいのです。
#82
○国務大臣(小川平二君) 銀行の支店長なり銀行員が選挙運動をいたしますと、実際問題として相当のあるいはある程度の影響力を持つということはこれは十分想像できることでございますが、これは公務員ではございませんから、公務員でありますると、いわゆる地位利用になるわけでございますが、現行の選挙法から見ますると、これは選挙違反ではないわけでございます。ただ、有給のままで長期間特定の候補者のために運動をさせたということになりますると、これは選挙法上問題があろうかと存じます。法律の問題でございますから、この点はただいま選挙部長から答弁を申し上げさせますが、実態がどのようなものであったか、その点につきましては、銀行課長も出席いたしておりますので、私も銀行課長から答弁を聞いてみたいと思っております。
#83
○政府委員(佐藤順一君) ただいま大臣からお話ありました、ある職員の方、有給の職員の方が特定の方の運動と申しますか、活動と申しますか、それを応援されているということでございますけれども、これにつきましては、これがいわゆる労務の無償提供というふうに観念されますと、これは寄付として扱われる。したがって、寄付としての一方では規制も受け、一方では届け出をするということに相なろうかと思います。これは政治団体が受ける場合でございますね。そういうことがあると思います。
#84
○説明員(猪瀬節雄君) 銀行が特定の政治家あるいは立候補者の後援会を形成しているという点につきましては、私ども銀行行政の立場でとやこう申し上げることはできないわけでございますが、銀行といえども、幾ら公共的な立場の性格の強い企業と申しましても、本質的にはこれ私企業でございますので、公職選挙法で禁じられていない限り、どのような政治活動を行うかあるいはどの候補者を自分の最も望ましい人として推すか、これはその政治の自由があろうかと思うわけでございますが、ただ問題は、その銀行の経営者みずからの良識の問題かと思っておりまして、私ども銀行行政の立場ではこれをとやこうというようなことは申しておりません。
 それからただいま先生御指摘の点でございますが、私出がけに、実は先生からの御質問の通告が先ほど入ったばかりでございますんで、十分な調査ができておりませんが、広島銀行に電話で問い合わせたりしたことで、聞き取りのままでございますが、御指摘のように、営業推進役の馬谷と申します者が、選挙事務所の事務局長になっているというのはこれは事実のようでございます。これにつきましては四月――先生、三月と申されましたが、四月七日に、本人の希望もございまして休職扱いになりまして、休職になりますと、銀行の当然の内規によりまして、三カ月間は給与の三分の一を支給するということでございますが、現在、四月分につきましては全額支給したそうでございますので、これの戻入手続を進めているというふうにいま聞いてまいったところでございます。
#85
○橋本敦君 私が問題にしたからあわてて戻入手続をやるなんていうことを言っている疑いも私はあると思うのですね。いま大臣なり課長の話を伺ってますと、選挙法に違反しない限りにおいては銀行も私企業だから云々と、こういう立場でおっしゃる。じゃ、これはきれいな選挙と言えるだろうかという問題で私は提起をしてるんですよ。その観点を私は大臣なり銀行課長が踏まえてもらわなくちゃ困ると思うのです。
 というのは、たとえば公選法の規定から言っても、特定の会社関係や取引先、それとの影響力を行使するような形で選挙運動をやった場合は、選挙の自由を害するという観点での取り締まり規定がいろいろありますよ。選挙部長、間違いないですね。だから、そういう観点で、それを禁止しているという趣旨そのものにずばり触れなくても、取引先に対して、銀行の頭取が後援会長になり、役員が休職までしてやっている。そして選挙をやる。演説会の会場に銀行の場所をどんどん貸していくと、こういうことがやられていきますと、国民の側から見ると、まるごと、銀行総がらみで特定の候補を推しているということになりますよ。そういうことが、きれいな選挙ということで、果たしてこれは結構ですよと、選挙違反にならない限り結構ですよと澄ましていられるだろうか。社会的批判がある。問題じゃないですか。大臣、この点どう思われますか。違反にならない限り結構ですか。
#86
○国務大臣(小川平二君) これは企業でございましても、社会的には実在をしており税金も払っておるわけでございますから、当然政治活動の自由を持っておる。例の八幡判決も指摘しておるとおりで、私もそう思っております。また、選挙に際して特定の候補者を当選せしめる上で影響力を持っておるのは、ひとり銀行ばかりではない。いろいろな人があると存じまするし、いろんな企業があると存じます。選挙運動というのは、そういういわば有力なる企業あるいは個人をつかまえる、そして働いてもらうのがこれは選挙運動であろうと存じますから、直ちにこのことが好ましからざることだと申せるかどうか、これはやはりもう少し実態について研究をいたしてみたいと思います。
#87
○橋本敦君 選挙部長に伺いますが、公選法の二百二十一条一項二号を見てください。当選を得しめる目的をもって選挙人または選挙運動者に対しその者と関係のある会社、組合、市町村等云々とこうあって、直接利害関係を利用して誘導をしたとき、これは三年以下の懲役に処せられると、はっきり規定されているんですね。ここで言う「誘導したとき」というのは、まさにこれは直接的な投票使嗾行為と言いますか、誘導行為ということになります。実際銀行の中で、上司が、この後援会に入るように名簿をつくって協力しなさいとか、銀行の取引先に行って、今度はうちの頭取がこういうことでこの人を推すから、あなたの方も後援会に入ってください、こう言えば、これはまさに誘導的行為になる可能性、疑いは出てくるんじゃないですか、実際問題として。だから、きれいな選挙というなら、そういうことをやっぱりなるべくやらない方がいいというのはあたりまえじゃないですか。どうですか。二百二十一条の趣旨から言って言えると私は思うのだが。
#88
○政府委員(佐藤順一君) これは、公職選挙法はやはり選挙を公正に保つために必要な規定を設けておりますので、この規定に該当いたしますれば、これは何人たりとも、銀行の場合であれ、どこの場合であれ、これは抵触するわけでございます。
#89
○橋本敦君 可能性はないか。これに抵触する可能性が出てくる、やり方によっては。
#90
○政府委員(佐藤順一君) これはやはり具体的な事例のお尋ねでございますので、いまお尋ねのお話だけで私どもは判断を申し上げることはいたしかねるわけでございまして、やはりある行為あるいはある事態が公職選挙法の規定に触れるかどうかということは、その行為なり状態の実態に即して判断をしなくてはならないと思うわけでございます。
#91
○橋本敦君 具体的に判断をするということでは慎重にやっていい。私はこういう公選法の精神に違反をする疑いがないとは言い切れないじゃないですか、こう聞いてるんですよ。その程度の判断できませんか。もう一遍答弁してください。これが言えなければきれいな選挙推進はできませんよ。
#92
○政府委員(佐藤順一君) しかし、これは非常に具体の事例にしぼってのお尋ねでございまして、私、やはりそのような判断でも申し上げることはいかがであろうかと思う次第でございます。
#93
○橋本敦君 きれいな推進本部というのは一体何をやるんですかね。こういう社会的批判をこうむる可能性があり、まさにそこで働いている人、取引先、そこで働いているたくさんの人、企業が選挙活動をやるということは、これは自然人がやることと違いますから、そこでの一人一人の思想、信条の自由を侵す可能性さえ出てくる問題で私は聞いているんですよ。そういうことで、私は、きれいな選挙運動を推進するというようなことは、それはとうていそういう決意ではできないと思います。
 もう一つ、時間がありませんから事例だけ出しておきますが、清水建設株式会社という大手建設会社がありますね。そこが増岡康治後援会事務所ということで、清水建設株式会社という判こまで押した入会申込書をたくさん配っていますよ。いいですか。清水建設株式会社という会社が責任持って後援会入会を勧誘するということですよ。これは、そこで働いている人、役員の人でもそれぞれ思想の自由があるでしょう。投票の自由があるでしょう。それを個人でやるんじゃなくて、清水建設株式会社という判こまで押して、会社としてこれを集めるという、まさにこれは企業そのものがやっている行為ですよ。こういうことまであなたおっしゃった八幡政治献金判決は触れてないですね。こんなことまでいいとは言っていませんよ。こういう会社ぐるみの選挙ということが一体なぜ行われるか。私は、こういうことはきれいな選挙ではないと思いますが、きれいな選挙だと思われますか。一言言ってください。
#94
○国務大臣(小川平二君) 清水建設株式会社という社名を記載した印刷物で後援会への加入を勧誘した、これは会社が会社としての意思決定に基づいてやっておるわけでございましょう。これによって社員なり取引先なりの、つまり選挙権の行使に際しての意思決定が不当な拘束を受けるとまでは私は判断できないと考えておりますので、その程度のことでございますと、これは選挙法の違反になるとは断定できない。
#95
○橋本敦君 違反だと言ってない。きれいな選挙だと、大臣、言えますか。
#96
○国務大臣(小川平二君) これは大変きれいだと申すわけにもまいらないかもしれませんが、さらばと申して、これは明らかに汚ない選挙であると断定するわけにはまいらない。企業にも選挙活動、政治活動の自由があるわけでございまするし、企業の役職員である個人またしかりでございますから、それだけの事実でもって、はなはだこれは汚ない選挙であると断定するわけにもまいらないと思います。
#97
○橋本敦君 大臣は企業にも政治活動の自由があるとおっしゃったが、企業で働いておる労働者一人一人は思想、信条の自由を持ち、みずからの候補者をみずからの自由な意思で選ぶ自由を持っている、これは間違いありませんね。その自由を侵す可能性のあるようなことは選挙活動としてやるべきじゃない。当然じゃありませんか。
#98
○国務大臣(小川平二君) これは事実問題でございまして、選挙に協力しろ、その協力の模様いかんによっては、あんたの今後の昇進にも影響があるかもしれないよというようなことを申しますと、これは明らかに個人の意思を拘束する行為になるわけでございますが、社長の立場で、これは会社のためになってくれる人だからひとつみんなでやろうじゃないかというような場合におきましては、これは直ちに選挙違反になるとは考えられない、こう申し上げるわけでございます。
#99
○橋本敦君 まるで次元が違うんですね。社長がそう言えば、そこで給料をもらって働かざるを得ない労働者は、腹の中で私は別の候補者を選びたいと思っても、公然と言えるような労使は対等関係にないですよ。だからこそ労働基準法というのが別に労働者の立場で思想、信条の自由を保障しているんです。この問題は、聞けば聞くほど私は自民党内閣の大臣にお伺いすることは無理だということを痛感せざるを得ない感じがしますよ。もっともっと公正な立場でこの問題は追及してこそ議会制民主主義ということは守られる、私はこう思います。この問題については、きょうはもう時間が、三十分ほどしかいただいていませんから、また新たに追及をすることにして、最後に選挙部長に聞きますよ。
 このきれいな選挙を推進するというきれいごとではなくて、少なくとも社会的に批判されるような企業ぐるみ、官庁ぐるみ選挙はなるべくやめる、好ましくないという、そういう姿勢で指導するという決意はどうしてもできませんか。大蔵省に関係していた人が天下りをしていると天下り問題で批判されたでしょう。建設省に関係した人が建設会社に天下りすれば天下りで批判されたでしょう。大蔵省に関係していた人が銀行関係ぐるみの選挙で今度は国会へ天上がりをする。建設関係の人が会社へ天下りをするんじゃなくて、建設関係会社ぐるみで国会へ天上がりをする。同じ社会的批判があるんですよ。きれいな選挙を推進するという、そういうことをおっしゃる中で、こういう社会的に批判されるような選挙は好ましくないという、そういう見解はやっぱり自治省として検討すべきだと私は思います。最後にこれを伺って終わります。
#100
○政府委員(佐藤順一君) 私どもは、いままでもきれいな選挙を呼びかけてまいりましたし、今後もまた呼びかけ続けてまいるわけでございますが、それに対しまして、ただいま御質問を通じて特定の分野の特定の活動のあり方が話題にされましたけれども……
#101
○橋本敦君 もっともっとあるけれども、時間がないから二つだけ。
#102
○政府委員(佐藤順一君) 選挙におきましては、やはり最終的には大量の有権者の支持を得る、多くの選挙人の方々の支持を得るということを最終目標といたします関係上、ずいぶんいろいろな選挙運動の方法があるわけでございます。たまたまこの御質問に上がりましたそういった事例、これをとらえまして、このようなことが云々という、そういう指導というものは、私どもは個々の指導はいたしません。広くやはりルールを守ってのきれいな選挙を今後とも呼びかけ続けてまいる、こういうことでございます。
#103
○橋本敦君 納得できませんが終わります。
#104
○説明員(猪瀬節雄君) 先ほど橋本先生にお答え申し上げました中で、私、選挙事務所の事務局長を務めているというような御説明を申し上げましたが、これは後援会事務局の局長の間違いでございますので、おわびして訂正さしていただきたいと思います。
#105
○和田春生君 最初に、執行経費に関する問題でお伺いしたいと思うんですが、御承知のように、最高裁の判決でいわゆるプラカード型のポスター、足のついたポスターを公道上に掲示することは公選法違反である、こういうことが決められたわけですね。そこで、非常に問題になりますのは、ことしの七月に予定されている参議院選挙で、地方区の場合には衆議院同様、掲示板が設けられるわけです。全国区は候補者も多いし、全国的な地域にわたりますから掲示板が設けられない。一方、全国区のポスターというのは数が限定をされておりますから、これを全国にばらまくということになると大変であります。ある程度地域をしぼってやっておっても、掲示のしっ放しではなく、選挙の本番で使われるポスターはしばしば移動をされるということは一般的に行われているわけであります。そうなりますと、どうしてもプラカード型のポスターでないと便利が悪い、日本の地理的な条件その他でそういうふうに考えられる場合がたくさんあるわけですね。そこで、事実これは全国区の立候補予定をしている人々の間からしばしば聞かれるわけですけれども、一体ポスターの掲示というのはどういうふうにしたらいいのか。従来の、そういう道路でじゃまにならないところにプラカード型のポスターを立てていろいろ目につくようにやっておったということが、全部できなくなると、はなはだ困ったことになるではないかと、こういう質問も私どもに来ているわけでありますが、これについて、自治省としてどうお考えになっておるか、これは選挙部長で結構でございます。
#106
○政府委員(佐藤順一君) 昨年十二月二十四日の最高裁判所の判決、いわゆる公道上のプラカード型ポスターの掲示についての判決でございますが、これにおきまして、いわゆるプラカード式ポスターの区道上への掲示も、地方公共団体の所有し管理する公道にポスターを掲示することになり、これを禁止する公職選挙法の百四十五条一項本文に違反するということが明示されたわけでございます。その結果といたしまして、今次参議院議員の通常選挙におきましては、公道上へのプラカード型ポスターの掲示はできないんだ、違反になるんだということにつきましては、立候補予定者の方々に対する説明会、あるいは選挙管理委員会に対する打合会等を通じまして現在その徹底を図っているところでございます。
 そこで、お尋ねは、全国区の場合のポスターの数が多いけれども、そのうち移動するものについてはどうするんだというお尋ねでございますが、プラカード式ポスターすべてが禁止ではございませんで、これを公道上に掲示することが違反になるわけでございます。なお、プラカード型のポスターを個人の所有地に当該所有者の了解を得て掲げるというようなことは、これは可能でございます。これが、この移動の場合の一つの方法かと思います。まあそのほか、一体、なお枚数が多いんだけれども、今後はどういう掲示になるのかということにつきましては、これはむしろ先に申し上げるべきことでございましたけれども、本来の掲示方法、つまり、普通の家のへいとかあるいはガラス戸など、つまり、いわゆる軒先にそこの了解を得て掲示するという本来的な掲示の仕方、これを中心に掲示をしていただくほかはないと思うわけでございます。
#107
○和田春生君 確かにそのとおりになると思うんです。で、そうしますと、十万枚のポスターを処理しようと思いますと、まあ一軒の家に二枚張ることもありますけどね、一枚ずっとすると、個人の家とか、個人の会社の施設とか、そういうところに頼んで全部掲示しなくちゃいけないわけですね。十万軒を訪ねなくちゃいけないわけです。一回ずつ移動するということになりますと、二十万軒を訪ねて、お宅にこれを掲示さしていただけますか、よろしゅうございますかということを頼み込み、許可を得なければ、勝手にやればトラブルが起きますし、私ども実際に党の関係その他でやっておって、経験からいけばなかなかむずかしいです。熱心な支持者とかまあどうでもいいですから張ってくださいとかというところは別としまして、なかなかそうすいっと、黙って壁にぶら下げてきたり、門の前に立ててくるということはできませんね。そういう点について非常に困るのは、しばしば戸別訪問と疑われて、実際に選挙運動はポスターを掲示するためにやっているんだけれども、取り締まりの対象にされるというおそれがあるわけです。もしプラカード型のポスターを公道上にやってはいけない、それから公共の建物は、国あるいは地方自治体あるいは公団、その他公社等におきましても、大体もうみんなそういう選挙のポスターはお断りになっていますから、勢い全部民間の個人の家、あるいは所有物が対象になりますね。したがって、それで全国区のポスターを消化させるという形になれば、少なくとも、ポスターの掲示を求めるためにそれぞれ家を訪ねて行く、あるいは移動するために張ってあるところを訪ね、礼を言って、次のところに頼みに行くということについては、少なくとも、そういうような戸別訪問の容疑をもって取り締まらないという形にしないと、選挙の自由な運動という、公正な法に認められた、しかも全国区の場合にはポスターというのが有力なやっぱり手段の一つなんですね、その運動が制限されることになるわけです。その点は大丈夫ですか。
#108
○政府委員(佐藤順一君) 戸別訪問は、お説のとおり禁止されているわけでございますけれども、このポスターの掲示を依頼をするということは、これはそのこと自体戸別訪問には当たらないわけでございます。この点につきましては、これは取り締まりは警察当局でございますけれども、十分この辺はかみ分けて取り締まりに当たられるものと確信いたします。
 ただ、どうしてもこの場合問題になりますのは、ポスターの掲示依頼に名をかりての戸別訪問は違反になるということはあるわけでございますので、十分御注意はいただきたいと思うわけでございます。
#109
○和田春生君 自治大臣、その点。
#110
○国務大臣(小川平二君) 確かに、これは非常に御不自由であるに違いないと拝察をしておるわけでございます。さればと申して、まあ実績から見まして、百人を超える候補者の方々のために掲示場を設ける、しかも、これは不公平であっては相済まないわけでございますから、なかなか掲示場を十分に設置せよという御要望にもこたえかねておるわけでございますが、いまお話を拝聴しておって、なるほどそういうこともあろうかという感を深くいたしておりまするので、御指摘の点につきましては、警察の当局にしかと伝えまして、ポスターの掲示のために戸別に個人の家を訪問するという行為を、直ちにいわゆる選挙法上の戸別訪問であるというような疑いの目をもって見ることのないように、国会でこのような御指摘もあったことだから十分留意するようにという指示をいたすつもりでございます。たまたま国家公安委員長を兼ねておりまするので答弁を申し上げるわけです。
#111
○和田春生君 ぜひそういうふうにしていただきたいと思いますが、もう一つは、考え方によって、公共の建物をポスターの掲示に提供するというやり方もあると思うんです。従来の全国区の実態を見ますと、それぞれの候補者によって異なりますけれども、全部のポスターを民間の個人のところに掲示したというようなのは非常に少ないわけでして、おおむね公道上に掲示されているというのが非常に多いわけですね。ですから逆に、民間のところに行って頼みなさいと、それはそれとして、いま自治大臣の御答弁いただきましたようにやっていただくけれども、逆に、見やすいところで、公共の建物で道路に沿ってへいがあるとか、そういうところについては、むちゃくちゃにやってはいけないけれども、全国区の候補者のポスターを掲示することはよろしいという形で統一的に処理するということが、町の美観の上からも、処理する上からでもいいんではないかと思います。個々の選挙事務所が、選挙中に公の建物とか構築物に対してポスターを張らしてくれと言ったって、認めてくれるなんていうところはないわけですね、それはもう困ると言って断られるわけですが、ある一定のところに対してそれを認める。それは当然撤去とか、それに対してのいろいろな処置をしなくてはならない。経費がかかると思うんですが、それは、地方区の候補者についてはずっとポスターの掲示場を何千カ所もつくるわけでありますから、そういう点を選定して、全国区の候補者については、公共の建物も、適当なところについては掲示を認めるんだ、こういうやり方もあると思うんです。全部の候補者が張れば百枚にも百五十枚にもなって大変ではないかというかもわかりませんけれども、全部の候補者が全国至るところで一斉に同じようにやっているわけじゃありませんし、おのずから地域に重点を置いているところもありますから、そうひどいことにはならない。従来のポスターの掲示状況を見ましても、大体そういうふうなバランスがとれていくわけですが、そういうお考えはありませんか。
#112
○政府委員(佐藤順一君) 現在、国や地方公共団体が管理する建物、土地、全部そうでございますが、そういうものには掲示できないことになっております。しかし、いまお話のような点も考慮いたしまして、たとえば公営住宅のようなもの、その性質は国、地方公共団体の管理するものでございますけれども、しかし、これについてはその居住者の了解をとれば張らしてもらうことができるように、こういったような道も実は開いているわけでございます。さらに、いまの御提案が、それよりもさらに重要なものについてということでございますと、現在のところ、私どもはそういった点は考えておらない状況でございます。
#113
○和田春生君 これはまあ、選挙部は自治省の管下なんでございますが、公営住宅などもむしろ断るところの方がはるかに多いんです。許可を得や場合にはと言いますけれども、よろしいと言うところの方が少なくて、だめだというところの方がはるかに多い。その中に居住者がおるというような場合にも、地方議会の選挙なんかのときには、ある程度それぞれの個人の家に張らせますけれども、施設そのものにはぐあいが悪いところが多いわけですね。しかし、地方自治体の公共的に管理している施設その他がありますね。市役所に持ってきて張れというのはぐあい悪いけれども、たとえばグラウンドがあるとか、あるいは公園があるとか、そういうところのへいについてはそれを貼付してもよろしいというような形をむしろ提供して、こうこうここについては全国区のポスターについて掲示してもよろしいんだよというようなことを各区、都道府県、市町村ごとにそれぞれ知らせてやるという形になりますと、一つの方法ではないかと。ここで直ちにやるということのお答えを得ようとは思いませんけれども、ぜひ検討していただきたい。全国区の有力な手段であるポスター、これを効果的に処理するっていうことは、最高裁の判決はそれなりに筋が通ってるんですけれども、実際的になってまいりますとなかなか問題がありますので、これを要望しておきたいと思うんですが、大臣いかがでございましょう。
#114
○国務大臣(小川平二君) ただいまこの場で承る御意見でございますが、承っておってまことにごもっともだという感じがいたしております。そのくらいのことは御期待にこたえられないかという感じがいたしておるわけで、研究はさせていただきますが、しかし、いろいろ研究をいたしました結果、今回は残念ながら御期待に沿い得ないというお返事になるかもしれません。しれませんが、ひとつ十分研究をさしていただきます。
#115
○和田春生君 参議院選挙が差し迫っておりますので、まあ今度の選挙には間に合わないにいたしましても、やはり将来の選挙の自由と公正な選挙運動、あるいは有権者に対する趣旨徹底というような面で、このポスターの活用という点については検討すべき余地が多いと思いますので、間に合うことはやっていただく、間に合わない部分については引き続き御検討を願うということをお願いをしておきたいと思います。
 第二の点は、これはもう前々から私は国会で再々取り上げて、選挙部の方では十分御承知のことですが、船員の不在者投票についてであります。不在者投票制度を改正するという問題については、きょうは時間の関係もございますし、これには触れることは避けたいと思いますが、現在の制度でも不在者投票をやれということを周知徹底する必要があると思うんです。これにはまあ船主とか海員組合とか海事関係の団体もいろいろと努力はいたしておりますけれども、やはり有権者に投票させるという面で普及徹底と、周知をさせるということは大変必要なことだと思います。で、従来その点欠けてるように思いますが、今度の選挙について、自治省としてはどういう方法でやろうとしておられるのか、また、それについてどの程度の経費を考えておられるのか、お伺いをしたい。一点だけ。
 なお、ついでに関連しますから申し上げますが、投票したいけれども候補者がよくわからないんだと、選挙公報も来ないじゃないか、こういう声が非常に強いわけですね。で、まあニュース等で立候補予定者がファクスで流されたりいたしまして概略わかるということもあるんですが、実際問題として選挙を投票する場合の一つの有力な手がかりである選挙公報というものが、船に乗っておる乗組員の不在投票しようという者に十分行き渡らないという問題点があります。いままでに一部の管海官庁で、停泊中の船にこれはまあサービスとして若干配布されたという例はあるわけであります。しかし、当然二月二月に届けるわけでございますから、選挙公報は、やはり発行された場合には少なくとも停泊している船舶、しかもそこに有権者が乗り組んでるというものについては全部配布されてしかるべきであります。そうでないと、高い税金払っていて差別待遇受けてるということになりますね。そういう点で、やっぱり選挙公報を徹底するということ、あるいはそれがむずかしい場合にはファクスその他におきまして立候補者についての的確なニュースを流すということが投票意欲を高めていく、あるいは投票者がいろんな面で選択をする手がかりになる、こういうふうに思うわけです。そういう点について従来から言われてきておるんですが、非常に欠けてるわけですが、どういう対策をとろうとしておられるか、また、それについて費用の面において心配がない程度のことは見積もっておられるのか、以上二点についてお伺いしたいと思います。
#116
○国務大臣(小川平二君) できるだけ多くの方々に投票権行使の機会を与えなければならない、またその際、一票の行使についての判断の資料をできるだけ十分これは提供申し上げなければならない、従来そういうつもりで努力をいたしてきておるわけでございますが、ただいま具体的に御指摘のあった点につきましては、選挙部長から御答弁を申し上げます。
#117
○政府委員(佐藤順一君) 船員につきましては特別の不在者投票制度、すなわち指定港におきまして特別の投票用紙によりまして簡便に投票ができるという制度があることは御承知のとおりでございます。したがいまして、まず船員の方々にも気軽に指定港の市町村に御相談に行っていただくということが望ましいことでございますが、私どもといたしましては、この不在者投票のまず方法、手続についての周知につきましては、過日も全国の各都道府県の選挙管理委員会委員長会議がございました席上で、この不在者投票の手続の周知と、それからその活用方についてもっともっと府県、それから市町村ともどもに呼びかけるようにということを依頼したところでございます。それから、私ども中央におきましても、先ほど事例として挙げました、いま新年度始めております継続物のテレビの番組、それからラジオの番組におきまして、不在者投票という分について相当のいわばスペースを割きまして、これをお茶の間まで呼びかけるという方式でやっております。それから、明るい選挙推進協会が行います短波放送によるPR、これは大体船員の方々が非常によく聞いていらっしゃると聞いておるんですが、これによりましても投票手続の説明を行っております。
 次に、選挙公報の関係の御意見ございましたけれども、船員の方々の勤務、生活の実態からいたしまして、完全に個々の方々にお届けするということがきわめて困難な事情にあるということは、これは御理解いただけると思うわけでございますけれども、今後の対策といたしまして、まず全国区につきましては、指定港の選挙管理委員会で閲覧の便宜が図れるようにとか、あるいはこれも御意見にもございましたが、受信設備のある船舶に対しましては、共同通信のファクシミリ設備によりまして投票手続、それから全国区、地方区の候補者氏名や党派別等を送付するというようなことも図っておるような次第でございます。なお今後とも努力をいたしたいと考えております。なお、それにつきまして、経費の面におきましては、これは啓発経費の方で処置をするという考え方でございます。
#118
○和田春生君 これ、なかなか現住所におらず、移動している船員が対象ですから大変むずかしいだろうということは私どももわかるわけです。しかし、やはり国民の権利の行使でありますから、ぜひ徹底してやっていただきたい。
 そこで、都道府県段階の選管の委員長ないし選管に周知徹底いたしましても問題なのは末端なんです。そういう指定港ないしは船舶と接触するところまでなかなか徹底してない面がありますので、これを徹底するようにやっていただきたい。事前のPRだけではなくて、選挙が始まってからも短波放送、それから最近ではかなり船でもテレビが備えつけられて見ておりますから、特に船員の不在者投票制度については、こういう形で投票ができるんですよということを呼びかけてもらうという番組をぜひ考えてもらいたい。
 それから、選挙公報につきましても、全国区の場合はどこでもよろしいわけですからわりあい処理が簡単ですが、地方区の場合にはそこの港で投票する投票者が、そこの指定港の地域から立候補している候補者に投票するというわけでもありません。いろいろなむずかしい面があると思いますけれども、たとえば通船の発着所であるとか、船員関係の施設であるとか、そういう出入りするところに、ある程度公報を置いておいて、そして、閲覧したいと思えば自分の県の候補者はどういう候補者が立っているかなということが見られるというようなことについても、ある程度努力をすればできる面があると思うんです。ただ、公報の発行が非常に投票日が近づいてからでございますから、事実上投票所を締め切ってからでないと出てこないので、時間的余裕がないということが難点ではございますけれども、ともかくそういう点でできるだけ努力をしていただきたい。これは投票に意欲を持つ船員有権者の切なる声でありますし、非常に制約されているわけですから、ぜひそういう点をお願いをしたい、大臣にこのことをお願いしたいと思います。
#119
○国務大臣(小川平二君) 船員の方々の御勤務の態様が非常に特殊なものであるという点から、いろいろの困難、制約がございまするが、仰せの点はことごとくごもっともであると存じまするので、末端まで御趣旨が徹底いたしますように十分努力いたすつもりでございます。
#120
○和田春生君 最後に、これは大臣に、大変政治的な問題でございますが、ぶっつけ本番で御質問したいと思います。
 この委員会にはまだ上程、趣旨説明が行われておりませんけれども、自民党から本院に公職選挙法の改正案が出されておりまして、その中で、全国区の拘束名簿式比例代表制を中身とした案が正式に出されているわけです。その案の中身がいいか悪いかということは、まだ趣旨説明も行われていないわけでありますから、ここで議論をしようとは思いませんが、最初に一つお伺いしたいのは、自治大臣も与党所属の議員の一人としてこの提案には御賛成なんでございましょうね。その点をちょっとお伺いしておきたいと思うんです。
#121
○国務大臣(小川平二君) これはまことにお答えしにくい問題でございますが、自民党提案は、党の機関で決定した上、議員提案として出されるわけでございます。私どもも党員でありまする以上、党の決定に拘束されざるを得ない立場にあるわけでございますが、閣僚の一員といたしましては、先ほど来繰り返して申し上げまするように、この種の改正ということは競争のルールそのものを変更するという問題でございますので、願わくば各党間で隔意なき意見の交換をなさっていただきたい。御論議の推移を見きわめて政府としての考え方を決めたい、こう思っておるわけでございますので、自民党提案の内容をどう思うかという御質疑でございますが、ここで御答弁を申し上げるということは、願わくばひとつ御容赦をいただけないかと思っておるわけでございます。
#122
○和田春生君 その点はお立場をよくわかりますので、内閣の閣僚の一人としてなかなかむずかしいと、そういうことは当然あろうかと思います。したがって、それをあえて押して大臣の御答弁をいただこうとは思いません。ただ、非常にベテランの議員でいらっしゃいますし、いま自治大臣というポストにおられるわけでありますから、所感を承りたいことがあるんです。
 それは、拘束名簿式の比例代表制というような選挙制度そのものにつきまして、私もこれは大変すぐれた選挙制度の一つであるということを認めるにやぶさかではないわけであります。しかし、わが国の国会の仕組みを見ますと、衆議院が第一院でありまして、内閣総理大臣の指名につきましても、参議院と議決が異なるときには、両院協議会の議を経ても決まらぬ場合には衆議院によって決定をされる、こういうことになっておりますね。しかもわが国の憲法は、当然に政党政治を前提とする議会制民主主義ということを前提にして現在の国会の仕組み、国会議員の選挙ということも考えられているわけであります。ところが、拘束名簿式の比例代表制という形になりますと、これはまさに政党本位の選挙にするという本質を持っているわけです。ところが、衆参両院を通ずる選挙制度で見てまいりますと、参議院の全国区というものが、やはり参議院の議員の選挙として一つの特殊な制度としてこれが設けられている。むしろいまの全国区制度というのは、政党本位の選挙とは違った側にあるという内容も含んでいるわけですね。そういう中で、衆議院の方はいわゆる中選挙区制であって、どちらかと言えば政党本位というよりも、個人選挙の色彩が非常に強く出る性格もあるわけであります。もちろん政党が中心になってやってはおりますけれども、そういう性格も強いわけですね。そういう状況で、二院制度における第一院の衆議院を現状のままに置いておいて、参議院の、しかも参議院らしい特殊な選挙である全国区をまず政党本位の選挙にしてしまう、政党化をしてしまうという考え方は、現在の衆参両院の成り立ちと性格から見て、果たしていいものか悪いものか、本質的な議論というものが抜けていると思うのですね。手っ取り早く金のかからない選挙――個人選挙で全国区にはべらぼうな金がかかる、だから、政党本位の選挙にすれば金がかからずきれいな選挙になるだろう、そういう形式論だけがいって、議会政治と選挙の本質がどこかに置き忘れられているのではないかというふうに思うわけです。
 この点につきまして、実は前総理の三木さんにもお尋ねをいたしました。はっきりしたお答えはとうとうなさらなかった。福田総理にはまだお尋ねをするチャンスがないわけです。一体、全国区という参議院の特徴的な制度の中の議員の選挙から、まず政党本位の選挙にしてしまう、政党化をするということを、自治大臣としてよりも小川先生自体としてどうお考えになっているか、所感をちょっとこの機会に承っておきたいと思うのです。法案審議ではございませんからね、これは。セオリーの問題をお伺いしているわけです。
#123
○国務大臣(小川平二君) 御答弁申し上げるに先立ちまして、私が先ほど間違ったお答えをいたしまして、剱木委員から御指摘をいただきました。訂正をいたしておきますが、自民党の党議、党の機関で決定をしたという法律案ではないわけで、国会法に従って参議院の自民党がお出しになった案でございますので、私はまことに恐縮でございます。間違った御答弁を申し上げたことをおわびをいたしておきます。
 ただいまの御指摘でございますが、この問題もまことに明快な御答弁がいたしかねる問題でございます。確かに参議院というものが近年政党化している。これは参議院本来のあり方という観点からして大きな問題であるという議論が世上にしばしば行われておるわけでございます。しかるに、自民党の提案なさっておる案は、政党本位の選挙を行うことが望ましいという観点から拘束式比例代表の案を提出している……
#124
○和田春生君 まず参議院の全国区からやろうという……
#125
○国務大臣(小川平二君) 矛盾ではないかという御質疑でございます。この点でございますが、参議院が政党化するということが本来のあり方からしていかがかと思うという議論のあることは事実でございますが、現実の問題として、これは参議院もまた政党によって運営されておるというのが今日の事実でございましょう。これは否定できない事実でございましょうから、こういう事実の上に立って、しかも衆議院とは異なる参議院の独自性と申しますか、特異性を保っていきたい、こういうお考えからの御提案ではなかろうかと理解やいたしておるわけでございます。
#126
○和田春生君 時間も参りましたから、この問題は宿題としてひとつ出しておきまして、ここに並ぶ与党の議員の皆さんにも篤と御検討願いたい点でございますので、その点を申し上げまして質問を終わりたいと思います。
#127
○理事(小林国司君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#128
○理事(小林国司君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#129
○理事(小林国司君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#130
○理事(小林国司君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト