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1976/05/11 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 物価等対策特別委員会 第5号
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1976/05/11 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 物価等対策特別委員会 第5号

#1
第080回国会 物価等対策特別委員会 第5号
昭和五十二年五月十一日(水曜日)
   午後一時八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         世耕 政隆君
    理 事
                斎藤栄三郎君
                山東 昭子君
                福間 知之君
    委 員
                小笠 公韶君
                塚田十一郎君
                増田  盛君
                安田 隆明君
                松永 忠二君
                塩出 啓典君
                渡辺  武君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       倉成  正君
   政府委員
       経済企画庁長官
       官房参事官    岡島 和男君
       経済企画庁調整
       局長       宮崎  勇君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       水産庁漁政部水
       産流通課長    塩飽 二郎君
       通商産業省機械
       情報産業局通商
       課長       鈴木  健君
       運輸省港湾局倉
       庫課長      坪井  宏君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○当面の物価等対策樹立に関する調査
 (魚価問題に関する件)
 (対米テレビ輸出問題に関する件)
 (当面の国際経済の動向に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(世耕政隆君) ただいまから物価等対策特別委員会を開会いたします。
 当面の物価等対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○福間知之君 私は、きょう当面の経済なり景気の展望について、あわせまして物価の問題、所管の経済企画庁の所見をただしたいと思います。あわせて、ちょうどロンドン会議が終わりました。それとの関連で今後の対処策などの抱負をお聞きをしたいと思いますが、それに先立ちまして、いま一般国民が関心を持っています、いわゆる漁業交渉のあおりを食いまして魚の消費価格が高騰をしているという問題につきまして、かねてから倉成大臣も、報道によりますと、一応対処策を講じておられるということでございますが、現状の認識と物価担当庁としての御所見を承りたいと思います。
#4
○国務大臣(倉成正君) ただいまお話しのように、ことしの消費者物価の値上がりの原因の一つに魚の値段が非常に上昇しているという点がございます。この生鮮魚介の消費者物価指数はことしの四月の東京都区部の速報値では対前年比で二二・七%の上昇になっておるわけでございまして、他の品目に比較しますと、非常にかなり高い水準でございます。この内訳を見ますと、アジ、サバ、サンマ、イカ、このようなものが大変大きな上昇を見ておるわけでございますけれども、一つは、これらの大衆魚が昨年非常に不漁であったと、例年よりも漁獲量が少なかったということが理由であろうかと思います。ただ、同時に最近二百海里の問題、特に日ソ漁業交渉の難航というような問題がございまして、心理的にいろいろ魚価に影響しているんじゃなかろうかと、そういうことが言われておるわけでございますけれども、二百海里の問題の影響では、一番大きいのはスケソウダラあるいはすり身といういわゆる加工用のものでございますけれども、消費者物価指数で見る限りでは、まだ全般にこの影響が、こういうスケソウダラその他のすり身等の加工品については出ていないと、そう思っております。しかしながら、ただいまお話しのように魚価については非常に国民が深い関心を持っておることでございますので、いやしくも二百海里問題に便乗して値上がりがないように最善の注意を払っておるところでございまして、主管官庁であります農林省とも連絡をとりまして、魚価の動向について監視をしているというのが現状でございます。
#5
○福間知之君 まあ二百海里問題は国民的な強い関心のもとに、いまわが国を代表する鈴木農林大臣を先頭にしてソ連に乗り込んで交渉が行われておるわけでありますけれども、この問題がクローズアップして実はかなり久しいわけであります。ソ連が二百海里宣言したのは、恐らく昨年十二月の上旬だったと、こういうふうに記憶をするわけですけれども、それに対応するわが国としてのやはり政策決定が遅きに失したんじゃないかと、こういうような反省も、これは野党の私たちを含めまして今後のために銘記すべきかとは思うんですが、そのことはさておきまして、この二百海里問題が出て以降、巷間やはり魚の値段が上がるのじゃないかという不安と疑問が日を追ってつのってきたわけであります。かつてわれわれは、三年有半前に石油ショックを経験いたしましたが、あのときにやはり関係石油メーカーあるいは商社等の社会的な不公正な商取引態度というものが強く国民的指弾を受けたわけであります。いま私は漁業の問題をめぐって、さながらあの当時と似通った状況、背景というものがやや懸念されるわけであります。で、まあわが国の水産業界というものを詳しく分折し云々するいとまはありませんけれども、やはり限られた数社の大手と圧倒的多数の中小漁業者群というものに分かれるわけであります。いま魚価が問題になるのは、主にいま大臣がおっしゃられたスケソウダラとかすり身だとかいうのは、大手二社に大体限られてるんじゃないのかと、日本水産あるいは大洋漁業等に限られてくるんじゃないのかと思うわけでありますけれども、現実にこの大手がいわゆる在庫としてここ当分の間にかなり数量をふやしてるのじゃないかと、こういう疑惑はあるんですが、その点はいかがですか、そういう傾向というものはつかんでおられませんか。
#6
○国務大臣(倉成正君) ただいま先生のお話しの問題については、水産庁におきましてこの魚価の安定の対策のためにいろいろなことをやっておるわけでございますけれども、水産庁がいまやっておりますことは、とりあえず漁業者団体、それから大手水産会社、それから卸売業者、仲卸業者、小売業者及び大手の商社に対して、在庫の放出、値上げの自粛を強く要請する。それと同時に大手の水産会社、大手商社、卸売業者に対して、販売、在庫状況等の実態を定期的に報告するよう要請をしているところでございます。で、なお、この調査結果に基づいて必要があればさらに当該在庫品の早期放出の要請を行うと、こういうことを水産庁でいまやっておるところでございます。
#7
○福間知之君 きょうの報道によりますと、東京都もかなりこの問題について具体的に調査を必要とする判断を下したようでありますが、ぜひひとつこれは担当の水産庁あるいは農林関係等タイアップを願いまして、むしろ企画庁としては積極的にしりをたたくという姿勢で、現実のそういう事態を現場でやはり生じさせないという、起こさせないという、こういうことが必要なんでありまして、価格がどれだけ上がったとか、統計上どうなってるかというふうなことよりも、現場でそういう買い占め、売り惜しみ等を再び起こさせないというふうな、そういう具体的な施策が必要だと思うんです。で、いまお話しありましたようないろんな実態の推移について報告をさせていくという、もちろんこれは結構でありますけれども、やはり度が過ぎるという場合の罰則的な措置というものを考えなきゃならぬのだと、不幸にしてそういう事態が来ればですね、そういうふうに思うんです。で、石油のときにもやはりその点が問題になったわけでありますけれども、たとえば東京都の場合は何か都の消費生活条例というのがありましてね、それに基づいた強制調査権、あるいはまた一定の、何といいますか、勧告というようなものを行えるようになってるようですけれども、国としてはそういう最悪の場合に――いまから考えるのはいかがかと思うんですが、最悪の場合に毅然とした態度としてやはりとるべき措置を事前に業界、関係団体に明示しておくということは何がしかの私は効果を期待できると思うんですけれども、そういう措置についてはどういうことが考えられます。
#8
○国務大臣(倉成正君) いまお話しのように、物価の動きというのは非常に心理的な要素を含んでおると。まあいやしくもこういう二百海里の時代を迎えて便乗的な値上げがあったり、こういうことを背景にして価格をつり上げるということがあってはならないことであるということはただいま御指摘のとおりでございまして、私といたしましても、そのような事態がありますれば、あらゆる手段を尽くして便乗値上げを抑えると、そういう強い決意を持っておる次第でございます。したがって、先般の新聞記者会見におきましても、そのような動きが見られる場合には売り措しみ買い占め法等の法律を発動して取り締まると、そういうことを申したような次第でございまして、また、このことは水産庁の方にも御協議を申し上げている次第でございます。
#9
○福間知之君 二百海里が実現しますと、スケトウダラその他漁獲量にかなりの影響があるとも言われていますが、ある意味じゃまた逆にそれほどの影響があるんだろうかというふうな疑問も耳にするわけであります。いまその問題を定かにする必要はあえてないと思うんですけれども、いずれにしても私はかなりの影響がある、また便乗的な悪影響も予想されるし、大変なことには違いないんだというふうに認識をしていますので、いま大臣がおっしゃられたように厳しいひとつ監視を続けていただきたいと思います。一説によると、石油ショックのときじゃありませんけれども、あのときは石油メーカーの株価が一時は暴落してまた上がったと、今度はまた大手水産会社の株が高騰ぎみであるなど、非常に国民をばかにしたような現象が経済社会のメカニズムの中では起こっておるわけでありまして、そういうことが正しい姿だとは思いませんので、正常な姿にするためにはやはり適宜適切な効果的措置というものを機敏に打つことだと私は思うんでありまして、事態の推移を後追いすることのないように、特に私は要望しておきたいと思います。
 次に、きょうは通産省からお忙しいところを御出席いただいておりますので、冒頭に少し例のロンドンにおきまして並行して行われた対米テレビ輸出問題につきましてお聞きをしたいんですが、かなり厳しいアメリカ側の要求というものが明示されたように聞いておりますが、具体的に少しお知らせを願いたいと思います。
#10
○説明員(鈴木健君) ただいま先生から御質問ございましたカラーテレビの対米輸出問題につきましての事務レベルの協議でございますが、今般の首脳会議の際に通産省から増田審議官が出席しておりまして、その増田審議官と米国のストラウス米国通商交渉特別代表の間に会談が行われたということを聞いております。今回のロンドンの会談におきましては、主として規制レベルの交渉が行われたということを聞いておりますが、増田審議官はまだ帰国いたしておりませんので、詳細についてはまだ聞いていないわけでございますが、かなり厳しい線が米国側より出されて、いまだ両国の合意に達していないということを聞いておる次第でございます。
#11
○福間知之君 かねがね私どもが知る範囲での話としまして、一般に商品を輸出する場合には完成品あるいは準完成品等があろうかと思うわけであります。いま対米テレビ輸出問題に関する限り、いわば一つは輸出数量の多寡をめぐってだと思います。一つはその数量と関係するんですけれども、完成品か、あるいは準完成品か、あるいはまた半完成品を含めるのかどうかということが問題になっていると思うわけであります。しからば、数量はまあこの際ともかくとしまして、いままではこの対米輸出問題の中でテレビとか、自動車あるいは鉄鋼等があります。この商品の性格によって特に完成品か否かというのはテレビあるいはその他の電子器具が主たるこの対象になろうかと思うんですけれども、そういう問題点について、いままではやはり自主的な規制を、秩序のある輸出を念頭に置かなきゃならぬと言うて来ておりながら、実は何らそういう点についての配慮は講じられてこなかった、行われてこなかったということなのかどうか、そしていま改めてそういうことが問題になっているのかどうか、そこらいかがですか。
#12
○説明員(鈴木健君) 今回の日米の事務レベルの交渉におきましては、私どもは当初完成品につきまして自主規制を行ったらどうかということで考えておったわけでございます。これに対しまして米国側は完成品のみにつきまして規制を行った際には、完成品から一部の部品を取り除きまして、それの輸出を自由に行うおそれがある、そういうことによって自主規制が実効を上げない場合があるんではないかという心配を提起いたしました。その辺につきまして双方で協議したわけでございます。もしその末完成品につきまして非常に幅広い規制を行うことにいたしますと、日本の米国に進出しております企業等の活動にも影響が及びかねないということもございまして、日本側といたしましてはそのような未完成品につきまして規制するにしましても余り対象範囲を広げるべきでないという見解を持ちまして交渉いたしまして、大体日本側の余り対象をふやすべきでないという方向で交渉を行っておるわけでございますが、規制レベルにつきましては、そのような対象の範囲と関連いたしまして最終的にまだ規制レベル及び対象品目をどうするということが決着したわけではございませんけれども、できるだけ対象品目は少なくするという方向で交渉しておる次第でございます。
#13
○福間知之君 いまアメリカ側から言われているのがたとえばアンテナとか、デフレクション・ヨークとかいろんなことがあるようですけれども、何種、パーツにしてどれくらいの数量を対象にしようと言っているのですか。
#14
○説明員(鈴木健君) テレビの部品は非常にたくさんございまして、それを一つ一つ規定するというのは非常に困難でございますが、主要な部品及びその主要部品グループというようなことでいろいろ議論を行ったわけでございますが、たとえばブラウン管あるいはチューナーというようなものを含めまして十種類程度の部品を外しましたいわゆる半完成品につきましても自主規制の範囲に加えるという方向で話し合いを行っておるわけでございます。
#15
○福間知之君 これ企画庁の大臣などは経験も深い方でございますから、ちょっとコメントをしていただいたらいいと思うんですけれども、そういう完成品の輸出という場合は、これはほとんど現地での雇用というものにはプラスにならないわけであります。ところが、準完成品なり半完成品などは現地で一定の組み立て工程というものを必要としまするから、労働力を確保するという面で現地の雇用対策に必ずしもこれはマイナスではない、はっきり言ってプラスである。さらには、その必要な部品を現地で生産し、調達をするということをすればさらに現地の経済にプラスになるはずであります。したがって、いまアメリカが言っている半完成品の締め出しということは、アメリカの立場に立ってみれば私は一つの筋はあると思うんですけれども。しかし、現実にはなかなかそういうかなりの部分を現地で調達するという体制は、日本の代表的な進出企業においてもいまのところはきわめて不十分な条件でしか持っていないわけです。それだけに今後そういう問題についてはどういう思想でもって対処していくのか、具体的にというとちょっと問題が大き過ぎますけれど、抽象的ですけれど、一般論としてこれは東南アジアなんかでも、これから私出てくると思うんですよ。これはひいては日本の雇用の問題にも影響が及ぶ問題でございますので、どういうふうに考えていったらいいのか、大臣あたりの所感はいかがですか。
#16
○国務大臣(倉成正君) 日本の輸出が相手国の労働市場に非常に大きな影響を及ぼす。早く言えばその職場を奪うという形で非常に摩擦を起こしてくるというのが、私はアメリカその他の国々に対する輸出の非常に大きな問題点であろうと思います。したがいまして、いま先生のお話のような点でこの摩擦を回避するための努力ということは当然払われてしかるべきであろうと思います。しかし、それをどういう形でやるかということについては、ただいまも労働組合の代表の方々にもお願いして、できるだけ各国の労働界の代表とも懇談をしていただき、またその情報を提供していただきたいということで、積極的な御協力をお願いしておるところでございますけれども、やはり相互の話し合いあるいは相互の事情ということをよく見きわめた上で、ただいまお話しのような線に、目的にかなうようにやっていくべきではなかろうかというふうに思いますので、やはりケース・バイ・ケースで対処していくのが適当ではないかと私は考えております。
#17
○福間知之君 考え方としてはそういうことしかいまはお答えもむずかしかろうと思うんです。
 そこで、通産省さん、そういう半完成品をどの程度まで含めるかということは大きなひとつわが方にとっては問題点だということですね。それはあれですか、いまロンドンでは会議まだ続行中なんですか。
#18
○説明員(鈴木健君) ロンドンの会議は首脳会談に随行いたしました増田審議官がこの会談の合間を見て非常に短い期間ストラウス特別代表と会って話をしたということでございまして、その時点において最終的な合意には至らなかったと聞いておりますが、次回ワシントンあるいは双方の合意できる場所において会談を引き続き行い、できるだけ早い機会に合意に達するような話し合いを継続するというふうに聞いております。
#19
○福間知之君 それと関連してその数量の問題を、ロンドン会議ではアメリカ側は何らかの具体的数字を出したのじゃないかと思うんですが、つかんでおられますか。
#20
○説明員(鈴木健君) 数量の問題につきましては、それ以前の会談におきまして余り具体的な突っ込んだ話し合いが行われず、今回のロンドンにおける会談で具体的な話し合いが行われたわけでございますが、この時点におきましていろいろ双方の食い違いが出まして、最終的な合意に達していないと聞いておりますが、まだ交渉が続行中でございまして、この段階で双方どのようなレベルの話し合いを行ったかということについて、この場ではお話できない状態でございますので、御了承いただきたいと思います。
#21
○福間知之君 まあ審議官でもお帰りになったらまた直接お会いなどする機会もありますので、そのときに譲りたいと思いますが、実は私の同僚がこの四日から九日までアメリカを訪問いたしました。私もかねがね議員になる前は何度もその種問題で訪米、訪欧したことがございますけども、この時期に同僚が行くことについては、なかなか厳しい状況だということで、事前に意思疎通を図っておったんですけれども、帰りました報告を記事で見ますと、何かアメリカでは労働組合その他一部において大統領が日本に対して二百五十万台という線を示したがごときニュアンスでキャンペーンをやっている、それはけしからないというキャンペーンをやっている。だとすれば、たとえばアメリカの組合もカーターさんの選挙には一定の支持を与えたはずなんですけれども、いまは逆に少しカーターを悪者にして日本からの輸入量を抑えるというふうな姿勢をとっているのかなと、こう推察をしているんですけども、よもや私個人としては二百五十万台などの線をカーターさんが出したとは思えないんで、それよりも低いと、こういうふうににらんでおるわけですけども。通産省が当たってこられたいままでの折衝を通じた感触は、はっきりここでどうこう言えとは申しませんけど、どうなんですか。二百万台を一つのラインにおいて言えば、上なのか下なのか、どの程度二百万ラインと差があるのか、感触はどうですか。
#22
○説明員(鈴木健君) 具体的な数字についてというお話でございますが、私ども日本側としましては、できるだけ高いレベルということで考えておるわけでございますが、現実はかなり厳しい線でございまして、いま先生御指摘ございましたような数字よりははるかに低い数字を米国側が提示いたしまして、まあできるだけ日本側として満足のできるような方向へ持っていくということで話し合いをしておると、ロンドンにおきましてもそういう話し合いが行われておるというふうに聞いております。
#23
○福間知之君 この問題はこれ以上余りこの場でやることは避けたいと思いますが、私の同僚の一人である議員がいまカリフォルニアに行っておるわけです。行く前に、特にカリフォルニア州のブラウン知事は日本からの企業の誘致ということについて積極的な姿勢をとっていられる方でございますんで、その知事に会って話をすれば少しいま連邦政府がとっている、あるいは連邦政府機関がとっている輸出規制の姿勢というものはいただきかねると、こういうふうな立場のようであります。したがって、今後わが国が特に広大な市場を持ったアメリカとの交易関係をどうするかということを考えた場合に、やはり高度成長時代までのとにかくつくって売ればいいというんじゃなくて、そこに日本の独創的な知恵と工夫というものが盛り込まれた交易姿勢、貿易態度というものをつくり出さなければ私はならないかと思うんです。やはり貿易を通じて初めて成り立っている私たちの経済あるいは生活であることを考えてみれば、あくまでも相手国の事情というものをそんたくした上で、その利益にかなうようなことを十分配慮した上で、理解と協力を得てこそ初めて長続きすると思うんでありまして、そういう点ではいまのテレビ問題なども一つの貴重な経験としてよりよくこれをひとつ乗り切っていって、国内的にもあるいはまたアメリカ側においても十分納得ずくの解決というものを果たさなきゃならない。しかも、その時期は例のITC勧告から六十日以内に大統領は決断を下さなければならないということで、おいおい決断の時期は迫ってきていると思いますので、当局としても一層のひとつ真剣な、そして積極的な取り組みをお願いをしておきたいと思うわけであります。
 引き続きまして、当面の経済状況について概括的にまず国際的な主要諸国あるいはまた国内の当面の展望というようなものについて御報告を願いたいと思います。
#24
○国務大臣(倉成正君) 今度の先進国首脳会議に私の方の宮崎調整局長が参っておりまして、各国の関係者とも会ってきておりますので、宮崎局長から御報告申し上げた方が適当かと思います。
#25
○政府委員(宮崎勇君) 最近の世界経済を概括いたしますと、三年間続きました不況の深刻さがだんだん一時よりは薄らいできているようでございまして、特にアメリカあるいは西ドイツにおきましてはかなり景気回復の兆しがはっきりしてまいっております。しかし、全体として力強さに欠けているわけでございますし、特に生産的な投資が企業家の自信の喪失というようなことから盛り上がってない。こういう状況が長く続きますと、将来の成長がだんだん低下するのではないかという意識がございます。
 それから、そういう景気回復が一部に見られるにもかかわらず、雇用状況が大変深刻でございまして、先進国全体で現在約千五百万人の失業を抱えている。しかも、これが景気が回復しましても、なかなか急速には改善しそうにないという大変深刻な問題がございます。
 しかし、そういう個々の国についての雇用問題の深刻さもさることながら、世界全体として大変注目されますのは、先進国をとりましても、経済業績がどちらかというとよろしいアメリカ、西ドイツ、日本のような国と、そうではないフランス、イタリー、イギリスのような国と、二極化現象を呈しているということでございまして、これらの国際収支その他いろいろの点で問題を生じているわけでございます。この二極化現象が深刻になってまいりまして、非常に長続きいたしますと、どうしても保護貿易主義的な傾向が出やすいというようなことで、今回のロンドン会議におきましても景気の回復と同時に、貿易の面において保護主義に陥らないようにということが議論の非常に大きな柱になったわけでございます。
 あわせて、先進国以外の地域を含めて考えてみますと、南北問題が大変深刻になっているわけでございますが、これは先進国がぜひいろいろの形で援助、協力を進めるという形で世界経済の均衡ある発展を達成していかなければいけない。
 こういうことが議論されたわけでございますが、今月の末にはパリにおきまして国際経済協力会議、CIECの閣僚会議がありまして、この問題があわせて議論されるということになろうかと思いますが、一言で申しますと、世界全体として短期的な点では不況に若干の回復の兆しはあるものの、世界全体として見ますと、いろいろの構造問題を抱えて、各国が共同してこれに当たらなければなかなか事態の改善ができない、こういう状態であろうかと思います。
#26
○福間知之君 報道されるところによりますと、いま宮崎さんの御説明になった内容、大体私も認識をしておりますけれども、いわば構造変化ということについて各国の理解の仕方というものに何か大分ニュアンスの違いというか、それ以上の違いがあるように受け取るのですけれどもね。たとえば、かねがねこれはお互いが認識していることですけれども、理解しているところですけれども、西ドイツあたりはカーター大統領の景気回復姿勢、政策というものに対して批判的であった。むしろそれよりもインフレ抑制だという姿勢が強かった。フランスはむしろ保護貿易主義的な態度が強い。それに対して日本は両者とも違う。かねがねわれわれが感じておったことなんですが、それがあの共同宣言の中にもにじみ出ているような気がするのですが、宮崎さん、向こうへ行かれて、その点、福田総理が協調と連帯でもって自由な貿易というようなものは守っていくということで合意はできたと、こうおっしゃっているようですけれども、それはそれとして文言の上っ面だけ見れば受け取れるんですがね。そんなきれいごとで、しかし、今後日本の国内的な諸政策は推し進められない。ただいまの貿易、テレビ問題一つとりましても、現に頭を打ってるわけでございますからね。その点はどうお感じになりましたか。これからどうやっていけばいいのかと、わが国は。ということ、感慨を含めまして、感想を含めまして、いかがですか。
#27
○政府委員(宮崎勇君) ただいま先生がおっしゃいました構造変化ということでございますが、今度のロンドン会議の宣言にもストラクチュラルチェンジというような言葉で構造変化ということが随所に出てまいります。考え方も出てまいります。
 それで、その構造変化というのは一体どういうことだということで、福田総理大臣が会議の席上も発言されまして、自分としては次のように考えているということを申されました。つまり、現代の世界経済が抱えております困難の多くは、単に景気循環上の問題だけではなくて、たとえば一九三〇年代のころと比べますと、大変環境か違っている。で、その違いを大きく挙げますと、一つは以前に見られなかったような東西関係というものか存在して事態が非常に複雑になっているということ。それから第二番目には南北問題いわゆる先進国と開発途上国の対立と申しますか、共存と申しますか、並立の問題、これも戦前には見られなかったことであります。そして第三番目には、資源有限時代と申しますか、一九七三年の石油ショック以来明らかになりましたように、世界はもはや豊富で低廉な資源エネルギーに依存することができなくなった。こういうことは戦前あるいは戦後のこれまでの時代と比べて大変違っているということで、このことを構造変化と解釈したいがどうかということを福田総理が御発言になりまして、出席者一同が大体そういうことを構造変化と認識しているということであったように聞いております。
 ただ、先生もただいま御指摘になりましたように、細かい議論のやりとりの中では、構造変化ということをいろいろの意味に解釈する向きもあったようでありまして、たとえば西ドイツがインフレ抑制ということを大変強調いたしましたのは、従来の観念ですと、景気とインフレ抑制というのは、ややもすれば対立する概念であるけれども、そうは現代のインフレーションを解釈すべきではなくて、インフレーションを抑制するということがつまり景気回復に連なるのだと、こういう認識でありまして、こういう状況というのはこれまでの状況とかなり違う。たとえば一九三〇年代に比べますと、一九三〇年代ですと不景気になれば物価が下がる。しかし、今日では必ずしもそういう状況になってない、こういう問題を構造変化の経済的な一環として認識するというような発言もありましたし、貿易問題に関連して言えば、全体として自由貿易を守る開放的な市場体制というものを堅持するということについては意見が一致しているわけでありますけれども、おのずからそこに秩序と申しますか、ジスカールデスタンの言葉を使いますと、再組織化された自由、あるいは管理された自由貿易というような表現での自由放任された市場ではなくて、ある一つの枠組みを持った貿易体制でなけりゃいけない。これも一つの構造変化の考え方であったというふうに思われますけれども、全体として共通しておりますのは、福田総理大臣が言われました三つの大きな変化を構造変化と呼んでおります。そういう構造変化が現在起こっておりますので、わが国の経済につきましても、ただ単に循環的な意味で不況から脱出するというだけではなくて、その不況から脱出する過程において、新しいそういう状況に適合した経済体制を強化していくべきだと、そういう感想を受けました。
#28
○福間知之君 そういうふうに私も認識をしております。余り変わっておりません。
 ところで、その構造変化という事態の中に、実はその以前の構造変化がより大きな原因ではないのかと。したがって、それに対してむしろどう対処していくのかということ。たとえばこれは宮崎さんがかつてある論文で、雑誌で所論を載せられたことがあるんですけれども、要するに資本主義というものの、言うならば崩壊は石油ショックでも起こらなかった。むしろそれに対応するための自己調整力を示したというふうな認識を持たれたですね、あの当時に、あの後にですね。しかし、まあやはり石油ショック以前と以後においては先進国の経済というもののあり方は大きな転換を余儀なくされている、こういうことを述べておられたんですけれども、それは全く同感なんですが、要するにあの時点で私は一つの構造変化、世界の経済における基盤変化と言いますか、そういうものがやっぱりあったんではないか。たとえばあのときに、いわばIMF体制というものが崩壊をしかけた。部分的には崩壊をしたと言ってもいいと思うんですけれども、そういうことが通貨危機という姿で露呈しましたが、いまそのじゃ通貨危機の問題というのは全くないのかというと、そうじゃないと思うんです。まあ強い国と弱い国ということが先進国の中の二極分化で存在するという、今度のロンドン会議でも表面化しているわけですけれども、それは貿易に対して強い、あるいは国際収支に対して強い弱い、あるいはまた、そのことは同時に、自国通貨の国際的な強弱ということにもこれ関連があるわけですから、あの当時に問題になったことが、いわばIMF体制の大きな変化というようなものがいま根本的に見直されなきゃならない、いまでもそういう問題が引き続いて存在しているんだというふうに私は感ずるんですが、果たしてそういう点はどうなのか。
 それから、もう一つの構造変化は、やっぱり石油価格の暴騰ということが、これまたいまだに尾を引いているというふうに見るのが至当だと思うんです。現に共同宣言の付属文書の中でも、石油ショック以降の石油価格のいわば見直しというものがいまだすべて終了しているとは見れないということが、文言があるように思うんですけれども、これに対してはどうしていくのか。まあ直線的に言えば核エネルギーへの転換なんというようなことを、そうはいかないのでありまして、むしろ産油国と非産油国の国際収支の関係をどう調整するのかということが第一義的には大事な問題だろうと思うんですけれども。言うならば、そういういまロンドン会議で言われている、実はその前段における構造変化、基盤変化というようなものにどこまでわれわれが効果的に対応していくのかという、そいつがはっきりしないと、現在起こっている現象面だけとらえてみましても、これはなかなかうまい道筋は立たないのじゃないかと思うのですが、これは宮崎さんなり大臣なり、どういうふうにお感じになっておるか。
#29
○政府委員(宮崎勇君) ただいまの先生がお話しになりましたとおりの感じを私も持っております。世界経済は一九七三年秋の石油危機以降大変な混乱に陥ったわけでございまして、その後三年経過した時点で振り返ってみますと、マイナス成長からは一応プラス成長に転じておりまして、たとえば昨一九七六暦年をとりますと、先進国平均でも大体四、五%の成長まで戻っております。また物価も一時は平均いたしまして二けた台、一二、四%まで平均上昇いたしましたけれども、今日では大体八、九%のところまで下がってきております。そういう意味では一応大きなショックというのは、かなりの程度やわらいだということは言えると思います。しかし、御指摘のように、通貨の問題、あるいは南北問題等についていろいろ問題未解決のままになっておる。たとえばIMFにつきましても新しいいろいろの任務、たとえばオイルダラーが順調に還流してくるという中で果たすべきIMFの役割り、あるいは開発途上国、特に最貧国に対する救済についてのIMFの役割りの増大というようなことについて、まだ必ずしもはっきり固まっているわけではございませんし、また通貨制度自体にいたしましても、変動相場制に移行したわけでございますけれども、必ずしも予期されたような安定的な条件がつくられているというわけにはまいりません。もちろん単純に固定平価制度に変えるというふうには考えられませんけれども、もう少し安定した為替相場制というのも考えてよろしいかと思います。
 それから石油の問題につきましても、御指摘のように、今度のロンドン会議の宣言では、必ずしも石油価格上昇の影響が終わってないということが述べられているわけでございますけれども、これは石油のオイルマネーの還流の問題もありますし、あるいはその問題と関連いたしまして、開発途上国あるいは中進国で非常に膨大な債務が累積をしている、こういう問題も未処理のままに残っているわけでございまして、こういう問題を解決しない限りは、本当に石油ショックに対して世界経済が適応してきたというふうには言えないかと思います。そういう適応をいかにうまくするかということを主要国の首脳が率直に語り合ったというのが今回のロンドン会議の成果であろうというふうに考えております。
#30
○福間知之君 いまのそのことと関連して、先ほど宮崎さんもちょっと触れられましたように、共同宣言の中で、最も緊要な任務というのは引き続いてインフレを抑制しながら雇用拡大を期することだと、インフレというのは失業の解決策ではなく、失業の主要な原因の一つだと、こういう文言がございますね。基本的には私はそうだろうと思うのですけれども、問題は、しからば、このことと景気の回復策とどう結びつけるのかということではないかと思うんです。そこで、具体的に考えてみまして、わが国の場合は、昨日の発表でございましたか、テレビで知ったんですが、失業者は大体百二十七万程度だと、こういうふうに承知するんですが、この失業を減らすためには雇用機会をふやさなきゃならない、雇用機会をふやすためには景気が上昇することが必要である、それにまた必要な、したがって財政金融政策が前提としてとられなきゃならぬ、こういうわけですね。問題はそういう景気刺激策といわばインフレーションとの相関関係だと、こういうことが問題になるわけでありまして、わが国の場合、これは物価の見通し、先ほどお聞きするつもりでしたけれども、ここでちょっとお聞きをしますけれども、どうですか、六・七%成長を目標にした福田船長のこれからのかじ取りによって物価は言うところの七%台に抑えていくということができるのかどうか。それができるならばロンドン会議で言うところの成長率を目標に掲げた特にアメリカなり、日本なり、西ドイツなりというのは、しかし国内における物価とか雇用はそれぞれの国の政府は責任を持たなきゃならぬので、ロンドン会議でどんなに高邁なことをうたったって、これは一つ違って責任はとってもらえないわけであります。で、わが国に照らしてみて果たしてどうなる――というのは、私お聞きしたいのは、どうもこれ宮崎さん現地でお感じになっているのかどうかお聞きしたいんですけれども、シュミット首相は五%を四.五%という数字に切り下げたように国内では報道されているんですけれどもね。その点――だとするならば、なかなかこれは賢明だと言うとちょっと語弊がありますけれども、手がたいやり方だと、国際的な約束を破ったからけしからぬということを言われないために事前にそういう手を打ったというふうに考えられるんですが、わが国の場合は六・七%を通していますけれども。もうすでにロンドン会議以前に例のカーター大統領はアメリカで減税政策を撤回するなど、かなり思い切った自国ベースのやっぱり政策転換をやっているわけです。
  〔委員長退席、理事斎藤栄三郎君着席〕
そういうことと比べてみてわが国の場合果たして思惑どおりにいくという勝算があるのかどうか、その点少し懸念するわけですよ。私何も六・七%が高過ぎるということを言っているわけじゃないんですよ。言っているわけじゃないし、見方によればもう少し七%ぐらいに成長さしてもいいんじゃないかという感じもするんですが、そういう点率直に、やりとりじゃなくって、勉強の意味でいろいろ私も現地の生々しい事情を知りたいわけでして、感想を求めたいと思います。
#31
○政府委員(宮崎勇君) インフレと景気回復という問題は大変重要な問題でございますので、あるいは大臣からお答えを申し上げた方がよろしいかと思いますが、ロンドン会議に関連いたしまして、いま出されましたお話との関連でお答えしたいと思います。
 まずこの宣言の中に「インフレは、失業を減少せしめるものではなく、かえって失業の主要な原因の一つである。」こういう文句がございます。ここが先ほどちょっと申し上げたわけでございますけれども、従来の考え方と多少強いて言えば違うところでありまして、景気を刺激すればインフレになる、インフレを抑えれば失業者が出るというような感じがいままでややもすればあったわけでございますが、今回の景気後退、各国について見ますと、物価が非常に上昇したために、たとえば企業家が先行きの投資計画をつくり得ない、こういう気迷いがあって設備投資が後退する、あるいは消費者にいたしましても、物価が上昇しているにもかかわらず、いや物価が上昇しているので、かえってその将来の不安に備えるために貯蓄をする、消費性向が下がる、こういう現象で景気の後退が起こっているわけであります。したがって、その物価上昇というものが景気後退の原因であるという認識がございます。したがって、物価を抑えればそれが景気回復の一つの大きな基礎をなすという考え方が今回の宣言の基礎であろうと思います。
 それから、それと関連いたしまして、成長率の見方でございますが、会議のほとんどもう冒頭に近いところでございますが、たしか三番目であったと思いますが、福田総理が御発言になりまして、このロンドン会議でこれから各首脳が取り上げようとしている問題、つまり南北問題、貿易問題、エネルギー問題、景気問題、それは実は一つの問題であると、あるいは全体的な立場からとらえなければいけない問題であるということを指摘されまして、そして、その背景には先ほども申し上げました構造変化があるということを言われたわけでありますけれども、そういう大きな問題を解決していく第一の条件は景気の回復であって、その意味で日本は六・七%という一つの目標を掲げて、それで経済運営をやっているということを御説明になったわけであります。そして、日本の説明をいたしました後でカーター大統領の方を直接向きまして、カーターさん、アメリカでは戻し税を取りやめたということであるけれども、これは景気回復ということを断念してインフレーションを抑える方に重点を切りかえたということであるのかというようなことを確認いたしましたところ、カーター大統領は、いや、アメリカとしても日本あるいは西ドイツと並んでこれが世界景気の回復の起動力にならなければいけないという認識を変えているわけではない。ただ、ことしの第一・四半期の一−三月のアメリカのGNPを見ますと、年率で五・二%ということで、当初の見通しよりはかなり寒波の影響があったにもかかわらず大きく出て、そして、着実にアメリカの景気は回復しつつあるという認識が得られたので、戻し税を取りやめた。で、戻し税を取りやめましても、ことしの第四・四半期におけるアメリカの成長率は五・八ないし六%になるだろうと、こういうことをアメリカの大統領は言ったというふうに聞いております。それから西ドイツは、ただいま先生は四・五%ということを首相が言われたというふうにお述べになりましたけれども、私どもも必ずしもそれを確認しているわけではございませんが、西ドイツも私どもと同じように随行員がついてきているわけでございますが、その連中に確認いたしましたところ、政府としては四・五ないし五%ぐらいの成長目標を掲げているということで、必ずしも五%を四・五に引き下げたということではございません。アメリカの五・八ないし六という表現と同じように、いずれも自由経済でございますので、あんまりコンマ的な数字には意味がなくて、ある程度幅を持たせて成長目標を掲げたというふうに考えております。で、そういう成長目標を率直に申しますと、その宣言案の起草の段階でははっきり書くべきじゃないかという意見もあったわけでございます。しかし、そういう成長目標をはっきり掲げられる国というのが限られているということもございますし、いま申しましたように、コンマ以下の数字を首脳会談の宣言文に入れるのはいかがかというような意見もありまして、それぞれの国が目標として立てた成長率目標というような表現に最終的にはなっているわけであります。で、日本といたしましても六・七%の一つの目標というものは、この宣言にその数字が上がってないからといって放棄したわけではなくて、あくまでもこの成長率ということを目標にして経済運営をやらなければいけないというふうに考えているわけでございます。で、それとインフレーションの関係でございますけれども、六・七%台に回復するという過程におきましては必ずしも物価がそれによって刺激されるというふうには私ども考えておりません。と申しますのは、先ほども御指摘になりましたように、現在かなりの完全失業者を抱えているという、いわば過剰雇用の状況でございますし、また設備につきましても、稼働率がまだ四十五年を一〇〇にいたしまして八五、六という程度でございますので、設備がある。したがって、生産が回復する過程で必ずしもそのことが物価の上昇にすぐにはつながらない。つまり、生産性の向上ということが期待できるわけでございますから、物価は必ずしも上昇するとは限らないわけでございます。もちろんいろいろの問題がございますので、手放しで物価の目標が達成されるというわけではございませんで、努力をしなければいけないというのは事実でございますが、現在のところ六・七%の成長率と七%台に消費者物価を抑えるという目標は十分に両立し得るというふうに考えております。
#32
○福間知之君 成長率も六・七あるいは七%程度仮に来年度、三月までに実現できるとするならば、まあ一応政府の計画というものは、一方において物価の問題を十分監視しながら、あくまでもそれを前提としながらいければそれは一つの私は成功かと思うんです。それはこれからのことですから、何ともいまここでどうのこうの言う筋のものじゃありませんけれども、十分これはお互いが関心を持っていかなきゃならぬかと思うんですけれども、それにつけましても、今度の宣言の中でも特に気になる言葉が一つ、まあ日本語に訳されていますので、ちょっとニュアンスの違いがあるのかどうか存じませんが、いままでサンフアンとかあるいはまたランブイエのときとはちょっと違いまして、自由貿易体制というようなものへの懸念が、疑念が出ているといいますか、そういう感じがする表現が使われていますね。開放的な国際貿易体制の強化、開放的国際貿易体制というのは、やはりいままでとは少し違うんですね、受け取り方が。特にわが国としては気になる一点ではないかと思うんですけれども、まあ失業だとか、国際収支に悩んでいるフランス、イタリーあるいはイギリス、そういう国々から見るならば、先ほど宮崎さんおっしゃったように、管理された貿易といいますか、再組織された貿易といいますか、そういう表現も使われているようですけれども、裏を言えばそういうことが開放的国際貿易体制、こういうことになろうかと思うんですけれどもね。だとすると、これは今後わが国にとっての風当たりというのはやはりきつくなるのではないか、いままで以上にきつくなるのじゃないか、直接間接に。そういうふうな感じが否定できないんですけれども、これ、いかがですか。先ほどのテレビの問題じゃありませんけれども、わが国としてはやはり問題の一つだと思うんですがね。
#33
○政府委員(宮崎勇君) ただいま先生御指摘のように、この宣言の中では開かれた国際貿易制度と申しますか、原文で申しますと、オープン・インターナショナル・トレーディング・システムということになっておりまして、必ずしもフリートレードというような、自由貿易という表現はございません。しかし、その宣言のいまのくだりのすぐ後に、われわれは強く保護主義を拒否する、ウイー・リジェクト・プロテクショニズムという言葉がございまして、このことは従来の自由貿易という精神を逸脱していないと申しますか、再確認をしたというふうに私どもは理解をしているわけでございます。ですから、この宣言全体について、たとえば東京ラウンドを早く促進するというような、自由貿易を進めるといういろいろのことがうたわれているというふうに解釈いたします。ただ議論の過程におきましては、御指摘のように、いろいろの考え方があったわけでございまして、特に失業に悩む地域、あるいはそれの産業が場合によってはいろいろ影響をこうむるということもありますので、その点についていろいろ発言があったというのは事実でございます。それに対する福田総理大臣のお考えは、あくまで自由貿易の原則を堅持するということではありますけれども、ただ、特定の商品が特定の地域に集中豪雨的に輸出されるというのは、先方の社会的、経済的の事情を考えるとやはりまずいんで、これはしかるべき、そういう状況が起こらないような民間の協力というものを要請したいと、こういうふうに発言しておられまして、大方の線はそういう自由貿易の原則を守るということで一致していたというふうに私は感じております。
#34
○福間知之君 日本の新聞の報道によりますと、そうは言うもののやはり前二回の首脳会談に比べると、その文言に微妙な変化が出ているということを指摘している向きもあるんですね。要するに、貿易制限の自粛宣言、OECDの自粛宣言ですね。そういうものも今度は使われてないし、東京ラウンドにしましても、実質的に主要な分野での前進を目指すという程度の表現に大分緩和されちゃって、七七年中に終結を目指すというんじゃなくてね。そういうふうな点を少し比較してみると変化が出ている。要するに、これはいままでわれわれが掲げてきたガットの無差別貿易ですね、フリートレードイズムというようなものがいろんな面でやっぱり牽制を受けているということには間違いない、こういうように私も感じます。これは議論じゃなくってそういう感じがするわけですね。しからば問題は、そういう国際的な主要国の事情の中において、相互関係において、しかしわが方はやはり貿易量というものを一定水準確保していかなきゃならぬということでございますので、その点で福田総理がおっしゃった集中豪雨的な輸出というふうなものは、もちろんこれは排除していかなければならぬことは当然ですけれども、それだけでもこれはまた大変不十分じゃないかと思うんです。かなりの産業分野でかなりのトレード量というものがやっぱりいま実現しているわけですからね。たとえば造船にしましても、これは特にイギリスがかなり厳しいようですけれども、イギリスだけじゃないと思うんですよ。もう欧州のスウェーデン、デンマーク、ノルウェー、イギリスを含めてすべて日本の造船界を目の上のこぶにしてますし、現実に造船の手持ち量なんていままでにない手持ち残が減少していますから、すでにもうそういう傾向は具体的にあらわれているわけですけれども。これが鉄鋼部門に出てきたり、プラントの部門に出てきたり、家電部門はもちろんですけれども、集中豪雨的な輸出をセーブするというだけでは事が済まない。その程度で済むんであれば、わが国はまだ御しやすいと思うんですよ、これは。そうじゃない。もっと恒常的なものである。そしてまた、もっと多面的なものであると、こういうような感じがするんですが、そういう点で、国内におけるこれからの対処策、各業界を含めて非常に厳しさを感ずるんですけれども、どういうふうにこれ対処していかれますか、今後、国内的な対処策として。まずやっぱり考え方というもの、事の前の考え方が大事だと思うんです。ロンドンの会議で一国を代表して行った総理大臣以下皆さんが努力してこられた。いろいろ不満な点はもちろんあるにしろ、これはまあ日本だけで思うようになる会議じゃないんだから、それは当然として。しからば、こうなった以上、それを逆に災いを転じて福にしていくためにこれ、どうしていくかというと、国内におけるこれからのお互いの努力は問題になるんですけれどもね。
#35
○政府委員(宮崎勇君) 最初に、貿易の宣言の項で、OECDのプレッジが落ちたということでございますが、事実そのとおりでございます。この点につきましては、福田総理あるいは二、三の若干の首脳が発言をしておりまして、従来のサンファンのときと同じように、貿易プレッジをここで再確認すべきじゃないかという話を提起されたわけでございます。で、それに対して、それは当然のことであるからということで、わざわざここで繰り返さなかったというふうに私たちは理解をしているわけでございます。したがって、自由貿易の原則を確認したということには変わりないわけでございます。ただ、御指摘のように、サンファンあるいはランブイエの宣言と比べますと、この貿易の項で微妙な表現の違いがあるというのは否定できないかと思いますが、それはその背景に二極化現象というのが、その当時よりはかなり鋭く長く続いているということが背景にあるんではないかというふうに思います。つまり、貿易なり経常収支の赤字国がなかなかその状況から脱し得ないということによって、そういう微妙な表現の変化が生じているんではないかというふうに考えております。したがって、それについては対症療法的には、先ほど申し上げましたように、集中豪雨的な輸出はなるべく自制をしなければいけないということでございますが、これは根本的な事態の解決策ではございません。総理が御発言になりましたのは、そういう状況を直すのは一番好ましい方向は拡大均衡であるということを言われたわけであります。そのことは日本にとってどういうことを意味するかと申しますと、昨年以上の成長率を実現することによって輸入を増大させる。この輸入が必ずしも、たとえばいま問題になっておりますヨーロッパからの輸入を直接に喚起するということはそれほどないかもわかりませんが、日本が輸入需要をたとえば東南アジア諸国に喚起いたしまして、その東南アジアの購買力に対して今度はヨーロッパから輸出が行われるという形で世界貿易も刺激されるということがございますので、要するに国内の需要を刺激することによって六・七%の成長を達成し、それによって輸入を喚起して拡大均衡を図る、これが現在の貿易の状況を回復させる決め手ではないかというふうに考えておりますし、福田総理が発言の冒頭において、現在いろいろ抱えている問題の解決の第一になさなければいけないことは景気の回復である、こういうことを言われたのもその趣旨であろうかと思います。
#36
○福間知之君 いま申されたように、拡大均衡を図っていくというお考えは否定いたしませんし、そのことによって輸入が増大するであろうという、この認識はまあ間違いはないですよ。しかし、現実にいままでのこの高度成長時代と言ってもいいと思うんですけれども、数年前でも国内景気のこの堅調な上昇を続けておった時期でも、日本はいうならば輸入が相対的に少ないという批判があったのではないかと私は思うんですよ。
  〔理事斎藤栄三郎君退席、理事山東昭子君着席〕
だから、考え方は基本において間違ってないし、私も同感なんですけれども、世界各国から、いま特に指摘されてきたフランスとかイギリスあたりから言わせれば、日本はかつての一〇%以上成長していたときでも輸入量は相対的には少ないんではないのか、こういう不満が私は潜在的にあると思うんですよ。それが仮に、いま低成長の時代に入って、せいぜい六・数%成長可能だとしても、したとしても、それとても日本の国内のいわゆる設備水準というものはかなり高いものがあるんだから、片や果たして期待するほどの輸入が拡大するのかどうか、こういう疑念が私は相手側にあると思います。だから、ジスカールさんあたりが特に強調しているように、関税障壁というものをいろんな面で日本が取り除いてくれることを強く要請しているようですけれども、まあそんなこともやっていかなければならぬでしょう。あるいはまた、いま宮崎さんおっしゃったように、南北問題の関係においてやはり融資制度というものを充実拡大していって、やはり市場をひとつ広げていかなければならぬ、こういうふうな手だてが必要になってくると思います。そういう点で、今後そういう開発国との関係なんかも非常に重要になると思いますけれども、具体的にはいままでとってきた政策の延長とは思いますけれども、これから政府は検討することになるんでしょうけれども、国際的なこの融資制度の問題とか、何かそういう新たな手段、方法というものが必要になるんじゃないんですかね。何かそういう腹案はいま考えておられるんですかね。いままでとは違った、あるいはいままでの延長線とはいっても、非常に画期的なわが国としてのロンドン会議にこたえていくための施策というものがやはり必要になってくるんじゃないかと思いますが。
#37
○政府委員(宮崎勇君) 先ほど貿易の不均衡を是正するのは拡大均衡が基本的には望ましいということを申し上げましたが、先生御指摘のように、ヨーロッパから見ますと、日本かどうも景気を回復しても物を余り買ってくれないんじゃないかという心配があるわけです。それは多分にまあ誤解もございますけれども、一つは日本の輸入構造というものが、御承知のように、輸入原材料にウエートが非常にかかっておりまして、製品の輸入がほかの先進国に比べて少ない。これは日本の資源条件ということから、当然そういうことになっているわけでございます。したがって、ヨーロッパの貿易均衡にわが国が寄与するためには、もちろん時間をかけて産業構造を変えていくということは大事でありますけれども、当面は原材料輸入国から輸入をふやして、それらの国が購買力をつけて、その購買力でもってそれらの国かヨーロッパから商品を買い付ける、こういう形をとらざるを得ないということだと思います。その購買力を原材料あるいはエネルギーの産出国につける一環として、まあ従来のただ単なる貿易の促進ということではなくて、経済援助を促進しなければいけないという面がございまして、このことは今回のロンドン会議の二日目のテーマであります南北問題において議論されたわけであります。ただし、その南北問題の一環としての援助を強化するということについて、細かい数字的な目標というようなことは、余り議論されなかったようであります。しかし、まあわが国といたしましては、現在の経済協力の水準が残念ながらDACの平均にまだ及んでないということもございますので、今後はこれを飛躍的に拡充していかなければいけないというふうに考えております。その経済協力の実を上げるためには、ただ単に予算を増額するというだけでは問題解決いたしませんで、実際に割り当てられた予算というものが現地において消化されるような体制をつくっていかなければ、予算上経済協力基金がふえましても、いわゆるDACの統計にあらわれてきます国際的な比較においては必ずしもそういう効果が出ませんので、今後はその実効面において力を入れていかなければいけない、こういうことだと思います。
 それから、貿易の拡大に関連いたしまして、拡大均衡のために輸入需要を喚起する以外に東京ラウンドをなるべく早く終了させるということも必要でありますし、それは必ずしも関税の引き下げだけではなくて、非関税障壁の実質的な減少というようなことも当然含んでいるわけでございます。あるいは南北問題については、一次産品国の所得の安定を目標にしたいろいろの措置、たとえば共通基金などにつきましても、前向きに取り組まなければいけない、こういうことで、従来とはかなり違った意欲的な取り組みをしなければいけないというふうに感じております。
#38
○福間知之君 これからの課題だと思うんですが、いまおっしゃられたような一次産品の買いつけのための基金の創設だとか、あるいはこれは南北――南の国だけでなくて、先進国その他も含めての円建ての外債の発行条件の緩和だとか、開発援助の要するに拡大、いろんな面でやっていかなければならない、こういうことだと思うんですけれども、特にそのこととあわせまして、共同宣言の中でいわば国際収支の赤字を分担をせなきゃならぬというふうな文言が入っているんですけれども、これは非常に私は問題は重要なことだと認識するんですけれども、具体的にはこれどうするんですか。国際収支の赤字を先進七カ国が分担をしていこうと、こういう趣旨は何となくわかるんですけれども、具体的にはどういうことが想定されるわけですか。
#39
○政府委員(宮崎勇君) 先ほどから申し上げておりますように、現在先進国の中で二極化現象みたいなのが起こっているわけでございまして、国際収支の非常によろしい国と悪い国がある、これがそういう状況が長続きすると大変世界経済の秩序にとってぐあいが悪いということで、この不公平を何とかしなければいけない。つまり、赤字も非常に極端に大きくなるとぐあいが悪い。で、これを黒字の国も分担しなければいけないということでございますが、この分担というのは必ずしも機械的に分担をするということではございません。たとえば、国際収支がこれこれの黒字であるとか、あるいは外貨準備がこれだけあるから、それに応じて赤字を分担しなければいけない、こういう考え方ではございません。むしろ黒字の国は現在の経常収支が黒字が少さくなるということをある程度甘受して、内需を喚起するといいますか、国内景気を振興する、そういう形で黒字が減ってまいりますと、それと反比例的に赤字が少なくなるわけでございますが、その赤字を少なくするについて、赤字国は赤字国で経済の安定を図らなければいけない、そういう意味の分担もあるわけでございます。
 それからもう一つは、今度の先進国の首脳会議に入っておりません中で、非常に大きな黒字国であります中東の産油国にも赤字を分担してもらいたい、つまりいろいろの債務の救済についても、あるいはオイルダラーの還流についても積極的に産油国に呼びかける、こういう形で現在の非常に不均衡化している赤字国と黒字国のバランスを取り戻していこうということでございます。必ずしも機械的に分担をするという議論ではないというふうに承知しております。
#40
○福間知之君 いまおっしゃられた中で消費国との関係のいわゆる国際収支の赤字は石油消費国との間で云々という文言もあるんですね、別に。二通りあるんでしょう、それ。国際収支の赤字は石油消費国の間でそれぞれ資本の調達能力に応じて配分されるべきだというふうな文言もあるんでしょう。
#41
○政府委員(宮崎勇君) 失礼いたしました。
 黒字の国が国際収支を赤字にしていくと言うと、ちょっと言葉は適切じゃないかもわかりませんが、黒字を減らしていくという一つの方法としまして、資本の輸出をする、これは援助を含むわけでございますけれども、そういうことを積極的にやっていくという文句はございます。
 それから、それを受け入れるについて、資本が入りやすいように国内の経済の安定を図るということが、赤字国あるいは広く石油の消費国といってもよろしいんですけれども、そちらの方に責任がある、こういうことで、その赤字の分担論が述べられているというふうに思います。
#42
○福間知之君 次に、共同宣言の中でのエネルギーの問題に関しまして、これ宮崎さん、現地でどのようにお感じになったかということですが、ちょっと私、抜き書きをしてみたんですけれども、エネルギー消費の抑制という精神ですね、これが一つ入っているようですし、また、エネルギー源の多様化のための共同の歩調といいますか、努力といいますか、そういう趣旨も入ってます。さらには、問題になるところですが、核拡散を防止しながら平和利用を図っていくという、これらの考え方は当然といえば当然の事柄だと思うんですけれども、各国が種々やりとりをしたようですけれども、結論的に見て、日本のこれからのエネルギー戦略というものに非常にむずかしさが生まれ出たのではないかという感じがするんです。もうすでに首脳会議前にアメリカの大統領が発表したような、いわば核エネルギーの再処理問題に対して厳しい規制措置を出しましたが、大統領、ロンドンではややその態度を緩和したような印象も見受けられるんですけれども、これはどうなりますかね。これからの交渉にかかっているんだと思うんですが、福田総理お帰りになったときに私お聞きをしたんですけれども、首脳会議の課題になるだろうと、そのときはおっしゃってました。首脳会議は行われた、首脳会議は終わった、結局は首脳会議ではやはり決まらなかった。専門家会議にゆだねられて、現在引き続いてザルツブルグでずいぶんおもしろい議論が行われているようですけど。宮崎さん、この点は大変むずかしい立場に追い込まれたし、これから国際的に共同して解決を図る以外にないので、そのための努力をわれわれはあくまでも継続する以外に道はないわけですけれども、大変な事態になりましたね。これ、どういうようなお感じを持たれましたか。
#43
○政府委員(宮崎勇君) お説のとおりのような感じを持っております。サンフアンの会議でもあるいはその前のランブイエの会議でもエネルギー問題というのは大変重要な議題の一つであったわけです。それは長期的に見まして、私どもがこれまで使ってまいりましたエネルギー源が枯渇をしてくるという、いわゆる資源有限時代に入ったということがございますけれども、当面の問題としては石油に余りにも各国が依存するために先ほどお話のありました国際収支の不均衡が非常に大きくなってきている、そしてオイルダラーの還流が必ずしもうまくいっていないというようなことがその認識の背景にあるわけでございます。したがって、できるだけ石油を消費節約しなければいけないという考え方と、それだけでは必要な成長が確保できませんので、新しい代替エネルギーを開発しなければいけない、こういう認識であろうかと思います。
 で、今回のロンドンの会議ではそういう共通の認識は当然あったわけでございますが、実際的な議論としましては、私どもが伺っているところでは大部分かその核エネルギーの問題であったというふうに聞いております。つまり、これからの代替エネルギーとしての核エネルギーをどういうふうに取り扱うかと。で、これは私どもの専門外のことでございますので、コメントをする立場にはございませんが、核拡散を防止するという強い立場を、当然のことながら各国がこれを守らなければいけないわけでありますけれども、それを守りながら、いかにして核の平和利用をするかということ、特に資源の少ないわが国としては核の利用ということに依存せざるを得ないわけでありまして、その辺をどうするかという問題が大変技術的にも複雑かつ専門的でありますので、お述べになりましたように、このコミュニケでは専門家のグループをつくって、核の平和利用という目的を達成するための最善の方法について予備的な分析をこの二カ月以内に完了するということが合意されたわけであります。いわば一種の継続審議と言ってもよろしいかと思うんですか、この問題は引き続き検討にゆだねられているというふうに考えております。
#44
○福間知之君 まさにエネルギー、特に核エネルギー問題は専門的な分野の議論を必要としますし、私ども素人が余り詳しいことをわからないままに議論しても始まらぬわけですけれども、いずれにしても、しかしカーター大統領によって象徴されるような、これからのエネルギー有限の時代において省エネルギー精神というようなものを各国がやはりこれは持っていかなきゃならぬと。そういう意味では私カーターさんの熱心といいますか、非常に積極的な姿勢というものに感銘を受けるわけでございまして、わが国においてもアメリカにもちろんエネルギーにおいては劣る国でございますので、いよいよ新しいエネルギーの時代、エネルギー問題の時代というものを迎えた感じがするんですけれども、これはやはり一民間の電力会社とか、企業とかだけの問題でもなければ、いわんや個人の問題だけではありませんから、国策として今後どうしていくかということが大きな課題になっていかなきゃならぬと思います。わけてもいま東海村ですか、何か再処理の実験施設稼働寸前に来ているんですが、肝心かなめのエネルギーがないもんですから、これどうにもならぬということで、常にわれわれ頭をそういうところで打っておるわけですから、今後のひとつこれは課題としてお互いにもっと真剣に考えていかなきゃいかぬし、特に倉成大臣の責任とは言いませんけれども、大いに警鐘を乱打して、国民的な一つの認識とコンセンサスをどうつくり上げるのかということ、これはやはり私政治の課題だろうと思うんです。そういう点で対処をしていかなきゃならぬかなあと、お互いに銘記をしたいと、こういうふうに思います。
 そこで最後に、時間も参りましたので、以上いろいろ宮崎さんにお伺いをいたしました。大変宮崎さん自身も御苦労さんだったと思うんですけれども、大臣に所感を伺いたいんですが、今度のそういう首脳会議というものは、言うならば前二回とは違った状況なり背景というようなものの上に新たな一つの努力目標というようなものを打ち立てたと、こういう意義があろうかと思うんです。特に福田総理がかねがね言っておったわが国の立場からすれば経済の牽引車、機関車の一台として重要な責任を果たさなければならぬと、こういう抱負は、決意は私ははなはだ多とするわけでありまして、異存はないわけでございますけれども、それだけにそのためには各国の協力をやっぱり得なけりゃわが国だけではできる筋合いのもんじゃないと思うんです。それは南北問題に対するわが国の積極的な援助姿勢、体制の再確立ということ、あるいはまた通商貿易問題に対しては一層の各国の理解を得ながら、なおかつわが国のどうしても必要な交易量の確保というものについては強く要請をしていかなきゃならぬかと思います。あわせて国内的には産業構造の抜本的な改革というものにこれは本当に真剣に取り組まなければ私ならぬかと思っているんです。
 で、造船問題一つとっても、テレビ問題一つとっても、これはいままでの言うならば高度成長時代の状態が惰性として改革されてない面が多々あるんですよね。私は民間の出身ですから、そういう点を厳しく痛感をしているんですけれども、一体だれがそういうことに手をつけるのかということなんです。
 たとえば、きのう、例はちょっと違いますけれども、郵便貯金の金利引き下げられましたね。何だか短兵急と言っては誤弊がありますが、わずか二、三時間の郵政審議会の審議で決まっちゃった。過去にないことですわね。金利問題一つとっても、特に郵便貯金の金利一つとりましても、あれは政府が管轄してないといえばうそになるんですよね。やっぱり政府の管轄下にある問題なんです。事柄なんです。あれがきのうはああいう姿で過去にない異例のスピードで決まりましたけれども、しかし、いつもながら一般の公定歩合なり銀行金利の引き下げの問題と関連してなかなか厄介な問題ですね。あれ自身でも政府がある程度影響を及ぼせる課題であるにもかかわらず、なかなかそれか時宜を得て適切に必ずしも行われがたいということにあらわれてますように、民間産業全体を対象にした産業構造の転換などは、これはよほど真剣に取り組まないとなしおおせるものじゃないと、こういうような感じがするわけです。もちろんしたがって、通産省がその衝に当たる当局ではございますけれども、通産省だけの力でできるもんでもなければ、何か大きな一つのビジョンというものをやっぱり私は企画庁あたりがいち早く打ち出していって、それに時間をかけて到達をしていく以外にはないのでありまして、そのために必要な整合された政策を個々の面で打ち立てていかなければ私はならぬかと、こんな感じがしています。
 もう一点例を出しますと、たとえば私なんかしみじみ感じますのは、最近の交通事情の問題に照らしましていろいろ感じるわけです。今回タクシーの値上げが行われましたね、六日から。だけど、タクシーの運転手さんによれば、もうタクシーの料金の値上げというものは運転手さん自身にとっては余りありがたくないという声が強いんです。これは皆さん方もお乗りになられればわかるんですけれども、強い。私はそのときに感ずるのは、タクシーの料金の値上げによってタクシー業界の経営がうまくいくのか、そこで働く労働者の労働条件が改善され安定するのかというと、断じてそうとは思えない。料金の値上げは一つの必要な側面かもしらぬけれども、そうではない。やっぱり交通体系、交通行政全体を見直していくということで、極論をすれば、自動車のふえ方を総体的にかなり抑えていくという、そういう政策が、たとえば税制などを通じてでも間接的にとられなければ、これは交通事情というものの改善にはなりません。だから、国鉄にしても私はそうだと思うんです。料金を上げたところで国鉄の経営は改善がされないということはもう明らかであります。国鉄の持っている体質として改革を要するものがたくさんあるんじゃないか。たとえば貨物輸送の量をどう確保していくのかということ、これは国鉄だけでなしおおせるものじゃない。いま一般化している大型のトラック便輸送等に対する政策を相伴わなければこれはならない。同じように、産業構造を、いいものは残し発展させていく、あるいは不必要なものはそれを改廃していくというふうなことはなかなか短期間ではできるもんじゃありません。したがって、エネルギー有限時代、資源有限時代、さらには国際的なこういう経済環境の多面的な厳しさというものが日増しにつのっている時期でございますが、私は産業構造改革の問題はこの七〇年代後半、来世紀にかけての大きな課題だろう、そういうような感じを持っているんですけれども、そういう点を含めまして、最後に、ロンドン会議に対する約束を履行していかなきゃならぬという責任感と抱負というようなものに立って、御所見をお承りしたいと思います。
#45
○国務大臣(倉成正君) ただいま宮崎局長から現地の感想を含めていろいろ御報告を申し上げまして、先生との間にいろいろな意見の交換をされたところでございますが、私は、ロンドン会議は、世界の先進国首脳が集まりまして非常に隔意のない意見の交換をしたと。カーターさんとそれからイタリアのアンドレオッチ首相を除きますと、全部蔵相の経験者ということで、福田総理とは非常な顔なじみでもあったと。またカーターさんとも先般の日米首脳会談で非常にいろいろ意見の交換をしたということで、かなりざっくばらんな意見の交換ができたというところに非常に意義があると思います。一九三〇年代とは事情は異なっているとはいえ、――一九三〇年代にはロンドン会議がマクドナルド首相のときに一九三三年ロンドンで行われたわけですけれども、あの後は各国がそれぞれ保護貿易主義に走りまして、そして最後には不幸な戦争という事態に立ち至ったわけでございますが、今回の場合には、そういうことであってはならないという認識、総論においては各首脳の意見は一致した。しかし、各論においてはそれぞれ各国の事情を抱えておるというむつかしさがあるのではないかと思います。
 そういう中で日本がこれからの進路を考えてまいりますと、とにかく、日本もいつの間にか世界の中で貿易あるいは生産すべての点についてかなり大きなウェートを占めるに至った。したがいまして、日本の一挙手一投足が世界の経済に大変大きな影響を与えていく、それだけの責任を果たさなければならないようになってきたと思うわけでございます。したがって、ただいま仰せのように、世界の中で責任を果たしていくためには国内の経済の安定のみならず、国際的な経済の中で日本の経済をどう位置づけるかということが大切でありますけれども、お話しの産業構造の転換もその大きな問題の一つではなかろうかと思います。
  〔理事山東昭子君退席、委員長着席〕
しかしながら、産業構造の転換も、ペーパープランとしては簡単でありますけれども、特に低成長時代での産業構造の転換というのは、非常にこれは困難な問題を伴うのではなかろうかと思います。しかし、鉄鋼とか、化学とか、エネルギー多消費のわが国の産業構造を省エネルギー型の産業に転換をしていかなければならないというのは大きな趨勢であろうと思いますので、やはりこの困難な問題にわれわれは挑戦していかなければならないと思います。また、国内の輸送体系の問題一つをとりましても、省エネルギーという点から現在の輸送体系がこのままでよいのかどうかという問題、運賃体系もこれでよいのかという問題もございますし、いろいろな問題がいわば転換期に来ておるということで、私どもひとつ何とか、将来のいろいろな不確定な要素か国際的にも国内的にもありますけれども、その不確定の中にも何か新しいビジョンを打ち出していかなければならないと思います。ただ私は、この将来のビジョンを打ち出す前に一番大事なことは、意識的な革命と申しますか、頭の切りかえをやる。そしてその頭の切りかえのためのコンセンサスを各界各層の人と十分得るということが問題の出発点ではなかろうかと思います。それなくして幾らビジョンを描き、理想的ないろいろな構想を描きましても、これはしょせんは絵にかいたモチにしかすぎない、計画のための計画にすぎないということになろうかと思いますので、そういう今日の転換期に当たりまして国民各界各層の方々と十分な対話を深めてまいりまして、こういう転換期に来、また世界の中における日本がこういう地位にあるということの共通の土俵の上で一つのコンセンサスを得られるように最善の努力をひとついたしたいという考え方でございます。
#46
○福間知之君 最後に一つ。
 いまの趣旨は私もよく理解できますが、いま話を聞いておって感じたことを最後に一点お聞きしたいんですけれども、そういう意識の革命といいますか、転換を国民的レベルで果たしていかなければならぬという限りにおいて、リーダーシップがやっぱり求められると思うんです。そういう点で、それは抽象論、精神論ではいきませんので、具体的にわかりやすく指し示していかなければならぬ。特に、いまの企画庁の仕事の関連で言いますと、五十年代の経済計画というようなものがございますけれども、それは単なる成長率と物価と国際収支などだけに力点を置かないで、いま触れられましたそういう産業構造の問題にまで立ち至って来年度以降の見通しとしては検討を加えられますか。何か私、せっかくのこの首脳会議というようなもの、これは一つの単なるお祭りじゃないと思うんです。これを国内的にも礎石として、一つの出発点としてとらえて、そこから政策をひとつ練り上げていくという、そういう契機にやっぱりしていくということは大事かなと、こういうふうに思うんですが、それは単に経済計画を見直すということに直線的につながるものじゃありません。ありませんが、そういうことをやはり私は考えていかれてもいいんじゃないか。たとえば他の面でいま問題になっている国債や国家財政の問題、赤字公債の発行の問題、それを裏側の問題として税金制度をどう見直すんだ、税制をどう見直すんだという問題、これだってもう何か十年一日のような議論が繰り返されておりまして、もう一つ変化する時代に必ずしも対応し切れていないというふうな感じがするわけですね。だから、やっぱり何かこういう首脳会議などは、そういうことを国内的に一つの気持ちの転換を図っていく、そのために必要な新しい政策を創造するというふうなよすがにしたらいいんじゃないのか。どうも過去二回の場合も余りそういう覇気は感じられなかったものですからね。私はせっかくのこういう首脳会議など、まあせめて国内的な今後の政策に生かす、あるいは政策というよりも政治の活力としてそいつを大いに活用すると、こういうことを期待をしたいものだと思います。
#47
○国務大臣(倉成正君) ただいま先生のお話しのように、せっかく国際的な首脳会議を開いて隔意のない意見の交換をしたということでございますので、昨日も臨時閣議がございまして、福田総理にもお願いして、あらゆる機会にひとつこの首脳会議の模様を伝えると同時に、この首脳会議を一つの手がかりにして、新しい日本の社会、経済の出発点にするように御努力いただくように総理にお願いをいたしております。したがいまして、われわれは経済審議会等におきましても、総理にも出席していただいてこの首脳会議の報告もしていただき、各界各層の意見もいただこうと、そういうこともいま考えておるわけでございます。
 また私も先般ESCAPの総会に首席代表として行ってまいりました。今度の首脳会議の員体的な対応の仕方としての南北問題ということになれば、やはりアジアの諸国と日本とのかかわり合いをどのような形にするのかということになりますと、アジア、またそのアジアの中でも近く総理が参る予定にしておりますASEAN諸国に対する対応の仕方という問題がございますので、そういう問題も少しきめ細かくひとついろいろ知恵をしぼって対応の仕方というものを真剣に考えていきたいと思っておる次第でございます。
#48
○塩出啓典君 それでは最初にいわゆる漁業問題に関連して二、三お尋ねをしたいと思います。
 まず水産庁にお尋ねをいたしますが、水産庁は一月二十七日にまとめました昭和五十年の世界の総漁獲量とわが国総漁獲量のうち、外国の二百海里水域内での推計漁獲量、すなわち世界各国の二海里の水域内でわが国の漁船がどの程度の漁獲量を上げているか、こういうデータでは、四十九年が四百二十五万六千トン、それから五十年が三百七十四万四千トンでございますか、大体パーセントで言いますと、四十九年が三九・四%、五十年が三五・五%と、いずれにしてもかなりの量が占められておるわけであります。しかしこれはその部分がすべて急に規制されるわけではないわけで、アメリカ沿岸では一一%減で今年度の実績が割り当てられておると、このように聞いておるわけでありますが、今後の見通しに立ってわが国の漁獲量というものがどのように変化をしていくのか。現在の日ソ漁業交渉等もまだ流動的でいろいろ不確定な要素も多分にあるわけでありますが、大体水産庁としては、国民の動物たん白源の半分を占めておる水産加工物の今後の将来についてどういう見通しを持っておるのか、これをお伺いをしておきたいと思います。
#49
○説明員(塩飽二郎君) 将来の漁獲量についてのお尋ねでございますけれども、現在、先ほど先生御指摘になりましたように、わが国の漁船による漁獲量は年間約一千万トンに達しているわけでございます。それを私どもの分類で遠洋、沖合い、沿岸の三分類に分けておりますけれども、その中で沿岸漁業が大体二百七十万トンを占めておりまして、さらに沖合いを含めますと約六百万トン近い数量が沿岸と沖合い、比較的わが国の近海での漁獲量になっておるわけでございます。それからさらに二百海里による漁獲量制限の影響を最も受けます遠洋漁業、それが全体の約三割ございまして、昭和五十年では三百二十万トン近い数量になってきておるわけでございます。
 二百海里がどの程度わが国に影響を及ぼすかということにつきましては、先ほど数字を挙げての御指摘がありましたように、世界の諸外国の二百海里の中で現在とっております数量が三百七十万トン強ございますので、仮に全滅するということになりますと四割近い数量が減っていくということになるわけですけれども、現在までの交渉の経過等から勘案いたしまして、一挙にそこまで削減されるということはまずないんじゃないか。一番問題になりますのは、二百海里の漁獲量として最も大きいアメリカとソ連の二百海里内でとっている数量が今後どのような推移をたどるのであろうかということだと思いますけれども、アメリカにつきましては、実績が百四十万トンに対しまして、漁獲割り当て量といたしましては八九%、約九割のものが確保されております。ソ連につきましても現在交渉中でございますけれども、アメリカと同様に百四十万トンの実績がございますので、ソ連との交渉の結果がどの程度の数量に落ちつくのかという点が、今後の二百海里による漁獲量制約の最も大きなファクターではないかというふうに見ております。
 いずれにしましても、二百海里内でとっております三百七十万トンのかなりの量は何らかの制約を受けてくるんではないかということで、遠洋漁業を中心にいたしましてかなり厳しい状況でございますので、今後は沿岸漁業の見直し等によりまして、従来の伝統的な漁場の生産力の再活用を図っていくということで、すでに五十一年度を初年度といたします沿岸漁業の再編整備事業に着手いたしております。数量的にどの程度のものがこの漁場回復事業によりまして回復できるのかということにつきましては、なかなか数量化はむずかしいわけでございますけれども、何とか遠洋漁業での削減分を沖合いなり沿岸で取り返していくということによりまして現在の数量程度のものは何とか確保していくことができるんではないか、またそうすべきではないかというのが私どもの考えでございます。
#50
○塩出啓典君 ちょっと伺いますが、二百海里の外でもいわゆるサケ・マスのように沿岸国の主権の及ぶものもあるわけですが、そういうのはやはり二百海里内に入っておるわけですね、いまの数字は。
#51
○説明員(塩飽二郎君) サケ・マスのように、母船から遠くの遠洋に長距離に回遊する――回遊性の魚類と呼んでおりますけれども、それにつきましては、国際海洋法会議におきましても、二百海里の規制とは別の視点に立ちまして、母船国の権利をどのように図っていくのか、それとの関連で伝統的な漁業国の実績をどの程度確保していくのかという視点からのアプローチがなされておりますので、現在の三百七十四万トン、二百海里の中の数量には入っておりますけれども、さらに二百海里の外の数量についても規制が及んでくる可能性があるという意味合いで、若干他の魚類とは違う性格を持っておるわけであります。
#52
○塩出啓典君 そこで、今後二百海里の中における漁獲量については、今後の外交交渉というものに依存をせざるを得ないわけであります。しかし、世界の大勢として、この減り方が徐々になるとしても、大体方向としてはわが国の、自国の利益だけを追求するということは非常にむずかしくなってきておるんではないか、そういうことで私たちも外交交渉によって漁獲量の維持に努めることは当然であるとともに、一方漁獲量の減少、二百海里あるいは遠洋漁業における漁獲量の減少というものを前提にした国民食生活の姿を検討していかなければならないんではないか、このように考えるわけでありますが、その点はどうでございますか。
#53
○説明員(塩飽二郎君) 御指摘のような点か確かにございまして、たとえば現在の漁獲量一千万トンございますけれども、実際の食卓に利用されております量ということになりますと、かなりそのうちの比較的低い比率のものでございまして、いろいろ試算によりまして、若干数字の動きがございますけれども、おおむね最終的に食卓に上っておる数量は全体の三五%ぐらいではないかというふうに見ております。そういうふうに低い生鮮食料品としての利用率になっている過程におきましては、畜産のえさであるとか、あるいは養魚のためのえさ、その他肥料等、一般の食卓以外の部門に対する利用がございますので、それなりの利用はされておるわけでございますけれども、やはり今後全体の漁獲量かかなり制約を受けてまいりますということになりますと、もっと現実の資源の有効利用を図っていくという観点から、生食用のあるいは加工用の人間の食べる利用度を向上さしていく必要があるということがあろうかと思います。
 それから、それとうらはらの関係でございますけれども、日本の近海で一番漁獲量の大きいアジであるとか、イワシであるとか、サバであるといったいわゆる多獲性の魚類は、数量的に非常に大きい漁獲が――まあ魚種の変動はございますけれども、年によりましてかなりの数量が確保されておるわけでございますが、これらの多獲性魚類の食用としての利用率が非常に低い実情にございますので、今後はそういった多獲性魚類の生食用の利用率あるいは新しい加工食材としての技術開発等に努めまして、そういったものの食用利用率を高めていくということによりまして、全体の漁獲量の削減を少しでもそういう面から補っていく必要があるんではないかということで、今年度の予算措置等におきましても、すでにそういった方向への施策的な裏打ちを行っているところでございます。
#54
○塩出啓典君 いまそういう食用に使われてないものを食用に使うようにパーセントを上げていくとか、その他いろいろ言われまして、南極洋のオキアミとか深海魚のような未利用水産資源の開発を推進するとか、そういうことがいろいろ言われているわけでありますが、私はやはり当然そういうことを進めていかなくちゃいけないと思うんですが、やはりただそういうことをばらばらに唱えておるだけではいけないわけでありまして、たとえば五カ年計画なり十カ年計画なり、大体たとえばイワシは飼料に行っているのをこのように減らし、食用に持っていくんだとか、そういうもうちょっと総合的な、またある程度長中期的な計画を立てて、それを推進をしていくべきではないか。そういう点がちょっと欠けておるんじゃないか、このような感じがするんですが、その点はどうなんですか。そういう長期、中期計画、年次計画のようなものはあるんですか。
#55
○説明員(塩飽二郎君) 御指摘のようなことにずばり対応いたしましたような食料需給といったような観点からの対応策は、いままで残念ながらやや弱かった面が確かにあろうかと思います。ただ沿岸漁業の整備、開発を図るという視点から、それに関連いたします魚類の利用、確保を長期的に図っていくという沿岸漁場整備、開発計画というようなものにつきましては、すでに行政上も取り上げておりますので、そういう面のアプローチは従来なされていたわけでございますけれども、確かに御指摘のような水産の食料産業としての位置づけなり、あるいはたん白確保全体をどうしていくかという観点からの政策の対応、長期的な対応につきましては、今後当然そういった面も検討していく必要があるんじゃないかというふうに考えております。
#56
○塩出啓典君 この点は本日の委員会の主題でもございませんので、また別の機会に譲りたいと思いますが、食料の需給にしても確固とした長期、中期計画がない。ただ一つの試算みたいなものですね。これは閣議決定でもなければ責任を持って推進するものがないわけであります。私は食料、それは農産物も含めて漁業についても当然そのようなひとつの長中期計画をつくり、優先してそれを実施していくと、こういうものが必要であると思いますので、その点はひとつ関係大臣ともよく御検討いただいて、また別の委員会でいろいろ質問をさしていただきたい、このように思います。
 そこで、次に最近における魚価の高騰とその背景、対応策の問題でありますが、二百海里問題が動き出した昨年暮れから、すでにかまぼこなど水産練り製品の原料になるスケトウダラの卸値か急激に高騰し始め、日ソ漁業交渉の進展が思わしくない現在では、漁獲量の減少と直接関係のないはずのアジやサバなどまで高騰をし始めております。この原因を見ると、ソ連の二百海里海域内での操業が行えないことによる需給均衝の崩れに起因しているとは単純に言い切れないと思うのであります。経済企画庁も、この最近の魚価の高騰の背景に、今後の漁業規制等に伴う漁獲量の減少を見越しての買い占めとか売り惜しみがあるのではないかと、こういう考えから事実関係の調査に着手をしたと、このように聞いておるわけであります。
 そこでまず第一にお伺いしたいのは、いわゆる最近の新聞報道を見ても、石油パニック時を連想するような魚価引き上げの手口が詳細に報道されており、買い占め、売り惜しみの事実はもはや明白になっているとわれわれは考えるのでありますが、経済企画庁の行った調査によって実際にこのような事実が確認されているのかどうか、中間報告をお願いしたいと思います。
#57
○政府委員(藤井直樹君) 魚につきまして、四月の東京都物価指数で見ましても、対前年二二%強という上昇を示しているというような実態が出てきておりますし、四月だけで見ましても四%ぐらいの上昇になっております。そういうことで、この魚価の上昇の原因がどこにあるかということについては、これまでも調査をしてきているわけでございますが、何と申しましてもアジ、サンマというような魚については、五十一年に非常に不漁であったということが大きな原因になっているかと思うわけでございます。そこで一方、スケトウダラのように二百海里水域の問題については、これは実際に水揚げ量を調べてみますと、余り減っていないということが実際に出ております。しかし、一方でそのスケトウダラの価格の方の上昇というのは、まあ相当な値上がりを示していることが統計上も出ておりますので、そういうことについての調査ということで、私どもは水産庁の方と十分御相談をしてその実態を把握し、そしてしかるべき対策を講ずる必要があるということでこれまでいろいろ相談をしてきているわけでございます。で、先週でございますが、水産庁の方でいろいろな応急対策を考えておられたわけでございますが、その中でやはり実際の販売とか在庫の状況等を調査していくということか非常に当面の急務であるということで、定期的に、しかるべき業者からその状況の報告を聴取するというようなことにして、まず実態の把握に乗り出すということにいたしておるわけでございます。
 そういうことと並行いたしまして、現実に持っております在庫について放出を要請するとか、先ほどの調査の結果によってはさらに、その内容いかんにもよりますけれども、放出の要請をしていくというような態度で現在臨んでいるわけでございまして、調査自身の結果が出てまいりますのはもうしばらくたってからでないとわからないという状況でございますけれども、そういう調査をしっかりこの際行うということで適切な措置をとっていくということで現在いろいろ考えているわけでございます。
#58
○塩出啓典君 これは大体いつから調査を始めておるわけなんでございますか。もう私たちは昨年の暮れぐらいからそういうような売り惜しみあるいは買い占め、こういうようなことが憂慮されておるわけでありますが、調査調査で、調査が出た時点ではもう大分時がたってしまっておるんではこれは意味がないわけで、大体調査はいつごろから始め、大体どれぐらいのメンバーで、どういう調査をして、いつごろ終わるのか、この見通しはどうなんですか。
#59
○政府委員(藤井直樹君) 実際の調査につきましての内容は、水産庁の方からお答えしていただいた方がいいと思いますけれども、この魚価の問題が出てまいりました二月とか三月とか、そういう時点から値上げの実態というものがだんだん指摘され始めたわけでございまして、まあそういう時点から農林省の方で調査を開始しておられた、そのように私どもは聞いております。
#60
○説明員(塩飽二郎君) ちょっと補足いたしますと、先ほど企画庁の方から御説明ございましたように、ことしの四月段階で約二二%の価格の上昇でございますけれども、もう少し時点をさかのぼって見てみますと、これは同じく東京都の区部の小売段階の物価指数の動きでございますけれども、昨年六月ごろまでは、総合物価指数とほとんど変わりのない上昇率で推移してきたわけでございますが、その後先ほど御説明がありましたように、アジであるとか、サンマであるとか、あるいはスルメイカといったような、漁獲量が全体の中に非常に大きな割合を占めておる近海での多獲性魚類というものか、非常に昨年は水揚げが悪かったわけでございます。まあ漁況が悪かったために全体の数量が非常に少なかったということから産地での値段が上がりまして、徐々に上昇いたしまして、小売段階にそれが波及いたしまして、十月段階で一年前に比較しまして約二〇%の上昇になったわけでございますけれども、秋以降、イカ等に関しまして漁獲がやや回復してきたという事実がありましたために、その後小売価格もやや鎮静が見られまして、一二%程度に低下したわけでございますけれども、ことしの二月ぐらいから再び上昇に転じていまのような基調になってきたというのが推移ではないかというふうに見ております。
 そこで、私ども絶えずこういった価格の動向は、総理府の物価統計であるとか、あるいは農林省の統計調査部の数値であるといったものでフォローをしているわけでありますけれども、二月末に、こういった最近における値上がりの動向に対処する意味合いにおきまして、生産者団体とかあるいは水産会社が保有しております冷凍魚の放出について協力の要請をいたすという、あわせまして価格の自粛についても自粛を求めた経緯がございます。さらに、その後三月の初めごろに、特にスケトウダラの値段が急上昇いたしまして、スポット的には昨年の同時期に比べまして倍近い値段になりましたので、三月十六日の時点におきまして水産庁長官の名前で関係の業界に対してスケトウダラの取引につきまして自粛を求めるという措置をとっておりまして、あわせて関連の販売量でありますとか、あるいは在庫量等についての調査を開始したわけで、その時点ではスケトウダラが際立って値段の動きが激しかったということで、スケトウダラにしぼった措置をとったわけでございますけれども、今回さらに価格の動向にかんかみまして、先ほど御説明のありましたような関係業界に対する指導措置をとったという経緯でございます。
#61
○塩出啓典君 私がお聞きした範囲では、五十二年度の本予算か成立してから調査活動を始めたと、それまでは予算がなかったから調査ができなかったと、いわゆる暫定予算にはこういうものを組んでなかったからですね。そういうことは事実なんですか。その点どうなんですか。
#62
○説明員(塩飽二郎君) 御指摘のようなことは事実としてはございませんで、予算と一応関係が――私どもの方の予算といたしましては、統計調査部で恒常的にフォローする数値がございますほか、総理府で物価関係を統一的に掌握されておりますので、総理府から公表されます数値を絶えずウォッチすると、あるいは農林省の市場関係で、卸売市場における取引の数量あるいは価格の形成動向等につきましては絶えずフォローしておるわけでございまして、特に予算とは関係なく従来からやっております。
#63
○塩出啓典君 いまいろいろお話を聞けば、二割ぐらいの値段の上昇で、それはいろんな理由があって、決して売り惜しみとか買い占めはないんだと、そういうようなお話でございますが、そういう点であれば別にわれわれ問題はないと思うんですね。しかし、二〇%の価格の上昇というのは、これは全品種のいわゆる平均値でありまして、実際にその内容がどうなっておるのか、実際に漁獲量が減ったために値段が上がるのは、これはやむを得ないにしても、倉庫にはいっぱい入っておるんだとかですね。だから、そういう倉庫の立入検査をやるべきじゃないか、こういうことが東京都議会あたりでも問題になっているわけですね。しかし、実際に倉庫への立入検査とかいうものは、これは地方自治体も直接にはないわけでありまして、そういうものを本当に国が売り惜しみ買い占め防止法に基づいていけばこの立入調査もできるわけでありますし、ただ要請というようなことだけではなしに、もっと効果のあるものもやっていけるんじゃないかと思いますね。そのためには、四十八年でございますか、四十九年――四十八年、あの狂乱物価のときに、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、こういうものかあるわけで、これはやはりこの第二条によって物資の指定をしてこそ初めて調査とか、あるいは立入検査とか、そういうものができるわけで、私はもうこれは早くこれに指定をして、そうして、いろいろそういう調査をし、まあその結果、そういう事実がなければそれに越したことはないわけですけれども、これも指定もしないで何だかんだやったんでは、結局知らぬ間に時が過ぎてしまう、こういう感じがするわけですが、そういう点はどうなんですか。
#64
○政府委員(藤井直樹君) 最初に小売価格と水揚げ量の関係、例的に申し上げますと、アジかことしの四月に対前年六八%ほど上がっておりますが、一方水揚げ量の方では大体例年の六三%程度という数字が出ております。それからサンマでございますが、四月対比でやはり七六%ほど値上がりいたしておりますが、水揚げで言いますと、四五%程度というのが水産物流通統計から出てまいっております。そういうことで、これらの魚種についてはかなりそういう不漁の影響が出ているんだろうと思います。
 それから、ただいまの御指摘の買い占め売り惜しみ防止法の適用の問題につきましては、実際問題として現在、先ほどから申し上げておりますように、大手の水産会社とか、卸売業者とか、生産者団体等について定期的に在庫を把握するように指導をしているわけでございまして、こういうような調査の状況がはっきりしてまいりまして、そしてこの法律か前提としております買い占め、売り惜しみのおそれがあるというようなことになりますれば、この法律の適用ということも考えられるわけでございますが、現在の進めております調査の結果を待って判断をしたい、このように思います。
#65
○塩出啓典君 何かこう調査をして、やっぱり売り惜しみとか買い占めの、そういうある程度の事実があってから発動するというような、そういう私は印象を受けるんですけれども、これはまあ必ずしもそうではなしに、「売惜しみが行なわれ又は行なわれるおそれがあるとき」ですね、「おそれがあるとき」でもこれは「指定」できるわけですしね。そうしないと、実際に業界からはいろいろ調査をしろと言って、それは別に、言うなれば倉庫にたくさん入っておるけれども適当に報告しておけばいいんだと、水産庁うるさいから、企画庁うるさいから、そういうことになる心配もあるんではないか。われわれは、こういう国の法律に基づいて一般の商業活動というものを規制をすることはもとより反対ではありますが、ただ最近世間で言われている、そういう報道されていることからして、経済企画庁のやり方というのは、ちょっと余りゆっくり過ぎているんじゃないか。まあ四十八年のときのように、結局こういう法律ができたけれども、何にも役に立たなかったと、こういう二の舞を繰り返すおそれがあると思うんですがね。そういう点でおそれはないのかどうかですね。おそれがあるときは指定できるわけなんです。企画庁としてはそういうおそれもいまないと判断をしているのかどうか。その点どうなんですか。
#66
○政府委員(藤井直樹君) この「おそれがある」というこの解釈でございますけれども、かなりある程度その「おそれがある」と認定するまでにも、多少の事実の把握というものがないといけないのではないか、そう思うわけでございます。そういう意味での調査を現在進めているということでございまして、その調査の進展によってそういうこと、そういう「おそれがある」ということを認識いたしますれば、この法律の適用ということは当然考えてもいいのではないか、そういう意味で申し上げているわけでございます。
#67
○塩出啓典君 それでは結局調査中であると、あるいは現在調査した段階ではそういうおそれがないからこれを発動しないのか、あるいはそのおそれがあるかどうかということがまだ報告が入ってきてない、それが報告が入ってから検討して、判断をするわけで、現時点においては、いわゆるこの生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律の「指定」に該当するかしないかということがまだわからないと、そういうことなんですね。で、いつごろになればそれは結論が出るんですか。
#68
○政府委員(藤井直樹君) そういう、いま先生のおっしゃったような意味での調査をしているわけでございまして、この調査の、調査といいますか、在庫状況の報告を求めるということにいたしましたのは五月の六日でございます。それ以前にもそういうような報告を求めるという意味でない調査も実施しているわけでございますけれども、定期的に報告してもらうということにいたしましたのはこの時点でございますので、その報告の提出の状況、そういう点を少しフォローいたしまして、いま直ちにどのくらいかという期間を申し上げることはできないわけでございますけれども、これらの要請をいたしました対象の業者の報告というものがこれからある程度出てまいりますれば、かなりいろいろな意味での実態の判断かできるのではないかと思います。そういうような状況を待って態度を決めたいということでございます。
#69
○塩出啓典君 非常にゆっくりと申しますかね、そういう業界からの報告を待つのでは、私は本当の姿が出てくるのかどうか非常に心配な感じがいたします。この法律の第七条には「価格調査官」というのがあるわけですね。これは「経済企画庁及び主務省に、価格調査官を置く。」と。それは「立入検査」とか「質問に関する職務を行なわせるため、」にそういう調査官を置いておるわけでありますが、あるいはこの権限を第八条では「地方公共団体の長に委任することができる。」と、いろいろな調査をですね。これは経済企画庁としては、ただ単なる報告、業界を通してそういう報告を集めているだけなのか、あるいはわれわれからすれば、もうちょっとこういう権限のある人でぱっぱっぱっと、こう抜き打ち的にどこか見れば、そのおそれがあるかどうかというくらいのことは私はわかると思うんですがね。新聞でもいろいろ、五月二日の新聞では、「卸売人や仲卸人が手に入れたサケを問屋筋に流し、問屋筋が再び卸や仲卸に戻す。市場言葉で「キャッチボール」」というような、こういう現象があって、まあいわゆる「土地ころがし」でですね、土地のつり上げをやったと。これと同じようなことがやられていると指摘をされておるわけでありますか、私はこのような実際商業道徳を無視したようなことが行われ、それが国民に不必要な負担を負わせるとするならば非常に大問題でありますし、まじめに一生懸命やっている人たちを何も責める必要はないわけですけれども、こういうものに対しては私は断固やはり厳しく追及していかなければいけないのじゃないか。そういう点について、私は経済企画庁の対応、あるいはまた農林省も関係するんでしょうけれども、対応がなまぬるいと、こういう感じがするのですけれどもね。企画庁長官は、その点はどうなんですか。
#70
○国務大臣(倉成正君) 現在、国民が非常に魚についての深い関心を持っておるということは御指摘のとおりでございますし、私自身も魚の問題、特に二百海里を控えていやしくも便乗値上げ等があってはならないというかたい気持ちを持っておるわけでございます。ただ同時に、この魚の流通形態ということを考えてまいりますと、まあなまものを扱っていくわけですから、これはやはり通常の商取引の形でスムーズにいくということが一番望ましいことでございまして、買い占め売り惜しみ法律というのは、まあいわばある意味での統制に一歩足を踏み入れることにもなるわけでございますから、まあいわば伝家の宝刀だと心得ておるわけでございます。したがって、主管官庁であります水産庁がいろいろな調査をやると、また勧告もすると、あるいはいろいろな取引のあっせんもすると、そういうことをやはりやるということが一義的なものではなかろうかと、いきなりこの法律を適用して、さあ立ち入りしたというのは、見た目にはかっこうはいいかもしれませんけれども、必ずしもそれによってすぐスムーズな形の取引ができると考えないわけでございます。いつでもこの法律を発動する用意があるということは、私の態度はすでに記者会見を通じて明らかにしておるわけでございますけれども、現段階でやるべき手段はやはり主管官庁を中心に、できるだけスムーズに取引が行われるようにやるということが一番適切じゃなかろうかと、そう考えておるわけでございます。決して消極的な気持ちでいるというわけではないということを御理解いただきたいと思います。したがって、私どもいろいろな方からいろいろな御意見を聞いたり情報を伺ったりということは、積極的にいたしているところでございます。
#71
○塩出啓典君 あれですか、調査はいわゆる第七条の価格調査官とか、いま言った第八条における地方公共団体の長に権限を委任するとか、そういうようなことは結局現段階ではできないわけでしょう。というのは、指定をして初めてこれが発動できるわけであって、現段階では結局法律はあってなきがごときもので、ただ普通の業界を通して報告を求めておる、こういう段階と認識をしていいわけですね。
#72
○政府委員(藤井直樹君) 現在行われている調査は、ただいまおっしゃったような調査でございます。それから調査と申しましたけれども、調査をやるのと並行いたしまして、先ほどから申し上げておりますように、在庫の放出とか、値上げの自粛とか、そういうようなことを関係の会社その他に要請をしておりますし、そういう実際面の行政指導もかなり強く行われておりますので、そういうこととあわせて全体としてその結果を見て、これからの進捗、進展に応じて適切な措置をとりたいということで進めているわけでございます。
#73
○塩出啓典君 長官がいま確かに、自由経済の中にこういう国家権力と申しますか、そういうものは余りよくないことは私たちも同じ気持ちであります。しかし、たとえばこの法律で指定をした場合、指定をしたことは私は一つの牽制になると思うんですよ。指定をしても――結局、立入調査かできるというこういう権限が与えられるわけであって、指定したから全部の倉庫を立入検査するわけではないわけでしょう。指定をして、そして場合によってはある倉庫に立ち入りをすると、そういう指定をするという姿勢で示すだけで、後はいままでと同じような行政段階の報告を求めてもやっぱり業界も誠意を持ってやってくれるわけで、だから何も指定をしたからそれが自由経済の破壊である、こういうように考える必要は私はないんじゃないか、伝家の宝刀と申しますけれども、この漁業、水産加工物についての大きな環境の変化というものは、日本の何千年の歴史の中において、この二百海里問題をめぐる環境の変化というものは、一番大きな油ショックにも匹敵する大きな変化ですからね。こういうときにやっぱり伝家の宝刀を使わないと、結局何だかんだしておる間にもう時がたってしまって、結局何にも役立たない。そういう点から、私はやはり決してこの法律に指定をすることが即自由経済に対する国家統制ではなしに、指定をして、それから後どうやっていくかという、そういう点の配慮が必要なのであって、指定はやはりおそれがあるのですから、すぐ指定をして、そうして経済企画庁の姿勢を示すことがいま言われたような転がしのようなものを未然に防ぐことに私はなっていくのではないか。そういう点で経済企画庁長官、お考えを再度お尋ねしたいと思うんですが、そういう気持ちはございませんか。
#74
○国務大臣(倉成正君) 第七条の調査というのは、いわば立入検査というのは罰則を伴うわけでございますね。もしこれを聞かなかったら、かなりその、虚偽の答弁した者は一年以下の懲役とかいろいろ非常に、二十万円以下の罰金というような、非常に強い背景を持った立入検査、質問ということになるわけでございます。こういう罰則は別として、事実上主管官庁である水産庁の方でいろいろな調査をすることはできるわけでございます。ただこの指定をしておって、その上でいろいろやったらどうかというお話でございますが、まあそれも一つの考え方かとも思いますけれども、私どもはやはりなまもの、魚というなまものを扱う、しかも流通過程の問題、これはできることならスムーズな形で取引が行われていくということが本筋じゃなかろうかということを実は考えておるわけでございます。気持ちの上においては、決して塩出先生と私とは変わっていないと思いますけれども、この法律の発動をすぐいまやって、これに基づいて云々というのには、やはりもう一段階、主管官庁であらゆる手段を尽くしてみるということか一番適切じゃないかと、そう判断をいたしておるところでございます。しかし、企画庁なり水産庁の姿勢としましては、いつでもこういう法律を発動し、そうして強い姿勢で臨む用意があるということは、すでにもう御案内のとおり、記者会見等でも私が立場を明らかにしておるところでございます。この点は十分業界にも伝わっているものと考えておる次第でございます。
#75
○塩出啓典君 では、もう時間もございませんので、この程度にとどめたいと思いますが、いずれにしてもひとつ国民の皆さんから余り不信を招かないように、この点は速やかに、やっぱり打てば響くような処置をしていくと、こういうことを強く要望をいたしたいと思います。
 報道によりますと、わが国へ魚を売り込む国が非常に、十数カ国もあると、こういうようなことが新聞に出ておるわけであります。政府もそういう緊急対策として魚の緊急輸入等も考えておる、こういうようなことも承っておるわけでありますが、こういう点については、輸入の可能性はどうなのか、また政府は、もし事態が非常に大変な方向に向かえば、こういうことも当然考えるのではないかと思うわけであります。そのあたりのお考えを承りたいと思います。
#76
○説明員(塩飽二郎君) 輸入の見通し等につきまして、日ソ交渉の経緯等を踏まえまして、かなりことしの上半期には水産物の供給が逼迫するのではないかという前提に立ちまして、毎年政府が所管しております輸入割り当て物資、対象物資につきましては、そういった現在の需給事情を十分勘案した必要数量は満たしていくと、もちろん国内に競合する産品を生産している生産者が現におるわけでございますので、そういった生産者なり、零細な加工業者に対する影響には十分配慮しながらでございますけれども、同時に需給価格の安定に必要な数量は確保していくのだということで割り当て等も現に行っておりますし、今後も交渉の推移等を踏まえた上で、それに十分対処していきたいというふうに考えております。
 ただ現在、現実に輸入の割り当て等が、政府の割り当ての対象になっております品目は、アジであるとか、あるいはサバ、イワシといったような近海性の魚が中心の、数としては非常に少ない数になっておりまして、大半の魚介類につきましてはすでに、大分前に自由化が行われておりまして、それに基づいて現実の輸入が商社等によって行われておる。その結果、昨年は全消費量の約一割近い数量が諸外国から輸入されておるわけでございまして、現在のような需給事情を踏まえて、当然必要量は確保していくという対応が実際の輸入面でも行われているというふうにわれわれは理解しております。ただ、サケでありますとか、あるいはタラコでありますとか、そういった現在一番問題になっております北洋系の魚につきましては、たまたま時期的に、現在までのところ諸外国におきましても輸入ソースが十分にある時期ではございませんので、そういったことも現在の価格にかなりな影響が与えられてるんじゃないか。むしろ今後五月以降輸入ソースが確保できる状況になりますので、輸入面についての手当てもむしろこれから対応できるんじゃないかというふうに見ております。
#77
○渡辺武君 私も魚の値段の問題について伺いたいと思います。
 先ほど福間議員の質問に対して、企画庁長官の御答弁を伺っておりますと、アジとか、サバとか、サンマとか、こういうものは不漁が原因で値段が上がっているんだ、しかし今後監視を強めていくという趣旨のことを言われました。また、スケソーダラとか、すり身、それから加工品、こういうものはいまのところ消費者物価に影響はないという趣旨のことも言われたわけです。私、こういう認識でいいだろうかということを非常に強く感ずるんです。水揚げが少ない、魚の資源も少なくなっているというようなことかいまの魚価の値上がりの原因だというふうにだけ考えていらっしゃるのかどうか。そうじゃなくて、そういう面も確かに否定はできないでしょうけれども、しかし、何らかのやっぱり人為的なものがあって、そしていまのような価格の上昇があらわれているというふうに考えなきゃならぬじゃないかと思いますけれども、その点どんなふうに考えていらっしゃいますか。
#78
○国務大臣(倉成正君) 私が申し上げましたのは、大衆魚でありますアジ、サバ、サンマ、イカ、これは非常に昨年不漁であったということが価格上昇の原因ではなかろうかというふうに申したわけでございますが、スケソーダラについては、ことしに入ってからの水揚げ量は前年に比べて減っていないわけで、しかし、価格がかなり上昇を示している、そういう認識でございます。ただ、その原因は、やはり日ソ交渉難航、先行き不安ということから、加工業者の方も何とか原料を確保しよう、そういう行動がやはり需要を増加さして価格上昇に非常に影響を与えている、そう考えておる次第でございます。
#79
○渡辺武君 それが私おかしいと思うんですね。なぜかと言いますと、先ほど水産庁の方の答弁を伺っておりますと、経済企画庁とも相談をして、そして大手水産業者あるいは商社などの在庫量などの調査を始めたんだという趣旨のことを言われておりますね。そうだとすれば、これらの業者が何らかのやっぱり在庫を持って操作をしているか、とにかく何らかの操作をしているという疑いがあったからこそ調査を始めたんじゃないですか。あるいは在庫の放出を要請するというふうなことを始めたんじゃないですか。ただ単に漁獲が少ないから値段が上がるというようなものでなくて、やはりそこに社会的な原因、何らかの人為的なもの、これがあるということを考えたからこそそういう措置をおやりになったということじゃないでしょうか。その点どうですか。
#80
○説明員(塩飽二郎君) 先ほど企画庁長官の方から御説明がありましたように、最近の価格の上昇には、確かに全体としての上昇率はかなり高いわけでございますけれども、その中に占めます多獲性魚類の漁獲量の減少、昨年以来非常に減少いたしておりまして、そういう傾向がことしに入っても残念ながら続いておるわけでございますけれども、全体の上昇率の中に占めます多獲性魚類の上昇がどの程度の影響をもたらしたのかというのを私どもの方で試算いたした結果、約四十数%は多獲性魚類――アジ、イカ、それからサバ、サンマといった多獲性魚類の値上げが、価格の上昇が非常に、四割以上響いておる。それから、同じく多獲性魚類でありますイワシにつきましては、昨年、一昨年の倍以上の非常な豊漁があったわけでございまして、全国で約百万トン近い数量が水揚げされたというふうに推定されておりますけれども、そういったイワシにつきましても、サバであるとか、あるいはサンマといったような用途の競合いたします魚類が非常に漁獲が減ったということで、イワシについても非常に漁獲量の増大にもかかわらず価格が上がった、そういった多獲性魚類全体の価格の上昇というものが非常に現在の小売価格なり卸売価格に響いていることは、これは確かに事実としては否定できないんじゃないかというふうに考えております。
 さらに、先ほど御指摘ありましたように、現在モスクワで行われております日ソ交渉が予想以上に非常に難航をいたしておりまして、さらにソ連の最終的な意図は、交渉妥結までなかなかつかみがたいわけですけれども、実際の漁獲割り当て量については、現在の実績であります百四十万トンの確保がどの程度の歩どまりになるのか、非常に厳しい見方がなされておるわけです。そういう見方、将来についての予測のほかに、現実に三月以来北海道、三陸についてはソ連の二百海里内からの漁獲量は全くないわけでございまして、漁船が出漁いたしていないわけで、当然相当の漁獲量のある時期にもかかわらず水揚げがなされてない。さらに、たとえば二百海里内から退出した日本の漁船は、沖合い漁業船などにつきましては本来漁業の権利を沿岸について持っているわけでございまして、やろうと思えばできる権利があるわけです。それを沿岸とのトラブルを避けるという意味合いから政策的に自制させている。あるいはアメリカの二百海里内の出漁につきましても、同様ソ連との関係で若干出漁を見合わせる等の自主的な対応策が漁業者によって行われておりまして、そういった非常に漁獲量自体が、当然入るべきものが非常に減っているという現実の需給バランスの不均衡ということが大きな原因としてあるのは否定できないと思うわけでございます。
 さらに、ただいま企画庁長官の方からも御指摘のありましたように、将来の見通しといたしましても非常に厳しい見通しかございますので、産地の中小零細加工業者あるいは流通業者としましては、今後かなり長期にわたって少ない原材料を使って経営を維持していかなくちゃならないといったことから、在庫の管理等につきましてもいわば一種の防衛的な対応にならざるを得ないんじゃないか。状況が非常に不確定、不安定な状況になっておりますので、個別の経営としましてはかなり防衛的な対応にも出ざるを得ないんではないか。そういったもろもろの条件か重なり合って価格上昇となってあらわれているんじゃないかというふうに見られますので、目下のところは過剰在庫がありますために、非常に買い占め、売り惜しみ等の事実から価格が上がっているんじゃないかというふうに断定するのは非常に困難な状況ではないかというところから、とりあえず在庫の調査あるいは販売量の調査等をやった上で今後の対策にとりかかっていきたいというところで対応しておるわけであります。
#81
○渡辺武君 その基本認識に立って調査をするというようなことじゃ、結局やっぱり漁獲量が少ないと、現に少ないし今後もその見通しなんだということで、上がるのが当然だというような結論に落ちつきそうですね。私はやっぱりそこの辺が一番問題じゃなかろうかという気がするんです。
 そこで念のために伺いますが、私、農林省からいただいた資料によりますと――水産庁の方ですね。確かにたとえばアジの場合ですと、五十一年度の水揚げ量は五十年度に比べて六二・七%に落ちている、サンマの場合は四四・八%に落ちているというような状況になっていることがこの数字に出ております。しかし、伺いたいのは、そういう全般としての水揚げ量の減少にもかかわらず、東京の中央卸売市場、これに対する入荷量ですね、これがずっとふえているんじゃないかというふうに思います。
 そこで、いただいた資料が一番最近が二月ですから、前の年の二月と比べて、たとえばサンマはどういうことになっておるか、それから――失礼しました、五十年と五十一年の比較ですね、五十年と五十一年の比較でサンマとアジとそれからカツオ、この三つの魚種を仮にとりますけれども、東京中央卸売市場への入荷量ですね。これをちょっと言っていただきたいと思うんです。
#82
○説明員(塩飽二郎君) ちょっと二月の数字を持ち合わせておりませんので、四月の数字で……
#83
○渡辺武君 二月じゃなくて五十年と五十一年でやってください、年間。
#84
○説明員(塩飽二郎君) ちょっといま手元に持ち合わせておりませんので、後ほど調べた上で御説明申し上げたいと思います。
 とりあえずことしの四月の東京中央卸売市場の入荷量、昨年の四月と比較いたしますと、アジにつきましては五二・三%、それからサバにつきましては八三%程度の数量が入荷しておるというふうにつかんでおります。
#85
○渡辺武君 一番最初はアジですか。
#86
○説明員(塩飽二郎君) アジでございます。
#87
○渡辺武君 そうすると、サンマとカツオはどうですか。
#88
○説明員(塩飽二郎君) カツオについては、昨年の四月に比較しまして約九四%の入荷量になっております。
 ちょっとサンマの数字は手元にございませんので、後ほど御説明いたしたいと思いますけれども、同様にイカが昨年非常に減量したわけでございますけれども、イカの入荷量が八三・三%になっております。
#89
○渡辺武君 いま四月の数字を伺いました。入荷量が前の年の四月よりも減っているという数字ですね。ところが、年で比べてみますと、たとえばサンマの場合ですと五・四%、五十一年が五十年よりもふえている。それから、アジが八七・四%に、こう減ってはいますけれども、カツオの場合ですと二二%も入荷量がふえておる、こういう状態になっているわけですね。それで、これは季節商品ですから、だから入荷量のそのときどきの多い少ないでもって価格の変動というのは確かに規制されるとは思いますけれども、しかし全体として言われますと、水揚げが減っている、だから価格が上がるんだという論理とはまた別の要因がここで考慮されなきゃならぬということがおわかりいただけると思うんですね。それで、なおこういうふうにして、たとえばカツオだとか、サンマだとか、年としてとってみれば、入荷量が東京中央卸売市場ではふえている。そういうものについて、私は価格がどういうような動きをしているのか、これをちょっと伺ってみたいと思うんですね。
 そこで、やはり水産庁の方からいただいた資料で、たとえばサンマですね、産地価格、五十一年の二月と比べて五十二年の二月はどういうことになっておりますか。それからついでにアジとカツオを言ってください。
#90
○説明員(塩飽二郎君) 二月の数字をちょっと持ち合わしておりませんので、四月の対比で申し上げたいと思いますが、四月につきましては、アジについては昨年の四月に比較しまして七八・二%の上昇になっております。それからサバにつきましては、これは冷凍物でございますか、四五・七%のアップになっております。
#91
○渡辺武君 サンマは。
#92
○説明員(塩飽二郎君) サンマの数字はちょっとつかんでおりません。
#93
○渡辺武君 時間を食ってしようがないから、私いただいた資料で数字申し上げましょう。あなた方からいただいた資料だから間違いないでしょう。
 産地価格を見てみますと、五十一年の二月、サンマか二百五十三円、これはキログラム当たりですね。それがことしの二月には三百六円、それで二一%の値上がりです。ところが、これはまあ冷凍物ですね。東京中央卸売市場の卸売価格、これを見てみますと、キログラム当たり三百四円、これが去年の二月、ことしの二月が七百五十四円、二・四七倍になっているんですね。産地の値段は二一%しか上がってないのに、東京中央卸売市場の卸売価格は二・四倍に上がっている。約二・五倍。同じようにアジの場合ですと、産地価格、去年の二百八円に比べてことしの二月が四百十七円で約二倍になっている。ところが、東京中央卸売市場では、三百四十七円が七百七十七円になって二・二四倍になっている。特にカツオですね、カツオは、さっきも水揚げ量ふえているんですね。東京への入着も昨年より多いんですよ。ところが、産地価格は五十一年二月が三百十六円で、そしてことしの二月が二百四十八円で、値下がりしているのにもかかわらず、東京中央卸売市場では、昨年の五百二十二円から五百三十三円に卸売価格は上がっている。特に小売価格はもう暴騰しているというのが実情だと思うんです。産地価格よりも卸売市場の価格の方が値上がりがひどい。そうしますと、この値上がりをあおっている中間の要因があるはずだと思う。その辺はどう考えていらっしゃいますか。
#94
○説明員(塩飽二郎君) アジ・サンマにつきましては、これはアジ、サンマ以外の一般の魚類についても言えるわけでございますけれども、水揚げ後、その利用が向かう先は、一般の家庭の食卓に上がる分のほかに、えさ用であるとか、あるいはかん詰めとしての加工原料として使われると、非常に多様な目的に使われる魚類でございまして、産地の段階で、市場に入った段階でせりであるとか、あるいは入札をいたしましてそれを買った仲介業者が、一般的には魚体の小さいものは加工用に向けると、あるいは鮮度の悪いものにつきましてはこれをえさ用に向けるとかいう仕分けをやった上で、生鮮用に向く分につきまして都市の、東京でありますとか、大阪といった消費市場に発送して、そこで第二段階の値段が形成されるというのが一般の姿でございまして、したがいまして、産地での価格は、加工用あるいはえさ用のものの値段も含めた平均的な値段として出ておるわけでございまして、一般的にはこういう非常に多様な目的に使われる魚類につきましては、産地と消費地では、いま御指摘のような価格の乖離があらわれるのは従来からの傾向であるというふうに言えるのじゃないかというふうに思います。
 それからカツオにつきましては、これはかつおぶし等、加工用の材料としても使われますので、いま申し上げましたような用途によります価格の相違というものが、産地と消費地と当然出てくるわけでございますが、そのほかに、ことしのカツオは昨年の同時期に比べまして魚体の小さいものが比較的少なくて、魚体の大きい、いわゆるたたき用の材料などに向きますカツオの比重が高まっておるということから、昨年の同時期に比較する場合に、そういった魚体の大きさ等が必ずしも市場統計ではそこまできめ細かく反映されておりませんので、いま御指摘のような事情があらわれているのではないかというふうに見ております。
#95
○渡辺武君 ではないかではだめなんですよ。しかも、一番最初の論理は漁獲高が少ないから値段が上がるんだという論理だった。そこがおかしいじゃないかと言ってぼくがいま具体的な数字で申し上げたら、今度は別の要因、かん詰めにするとか等と、多様な使用があるんだという社会的な諸問題を言うてきた。しかし、それだけではやっぱりぼくは不十分だと思うんですね。そんな認識では、幾ら大手水産業界に在庫量を報告してくれとかなんとか言っても、これは免罪するための措置だとしか私は考えられないと思う。
 そこで、さらに伺いたいと思うんですが、きょう運輸省からおいでいただいていると思いますが、いま運輸省の管轄下にある主要都市の営業冷蔵倉庫ですね、これの水産物の在庫量、これ、たとえば東京都の場合、水産物全体で、昨年の四月とそれからことしは三月までしかありませんけれども、ことしの三月の在庫量  去年の四月か十五万六千八百トンで、ことしの三月が十七万六千百トンという数字が出ております。それから大阪市ですね、これやはり水産物合計で昨年の四月が七万四千八百トン、それからことしの三月が七万七千六百トン、いずれも前年同期と比べてみますとふえているという数字になっておりますが、これは間違いありませんか。
#96
○説明員(坪井宏君) お答えいたします。
 先生から言っていただいた数字で、私ども事務的の手続の違いでもって三月末の数字が十七万六千百トンとなっておりますが、これが十七万五千七百トンと、多少数字は違っており、訂正さしていただきたいと思っておりますけれども、一応いま先生おっしゃったような数字が現在私どもが把握している数字でございます。
#97
○渡辺武君 なお、念のために、特に冷凍物ですね。冷凍水産物についての数字を拾って申し上げてみますと、東京都の場合、昨年の四月が十四万二千三百トン、それからことしの三月が十六万三千三百トン、やっぱりふえている。大阪市の場合でも、去年の四月が五万九千六百トン、それからことしの三月が六万四千二百トン、これまたふえている。在庫がふえている。東京都に対する入荷量、これは月別にすると若干の違いはあるにしても、おととしに比べて昨年は入荷量はふえている。物があるんですよ。物があるのにもかかわらず、産地価格に比べて中央卸売市場の卸売価格ははるかに異常なまでに値上がりをしている、こういう状態がある、これはおかしいと思わなきゃならぬ。それが当然のことだと私は思うんですね。
 なお、念のために私、東京都の中央卸売市場に冷蔵倉庫を持っている東京冷蔵倉庫協会、これの調査による魚介類の在庫、これは魚介類全部です、これを伺ってみました。昨年の三月、これの在庫量は十六万五百六十五トン。ところが、ことしの三月は十七万六千二百五トン。やっぱりこの数字も在庫量はふえているということをはっきり裏づけている。在庫は東京都の場合ふえている。しかも、産地価格にはるかに大きい卸売価格の値上がりが行われている。一体この現象をどういうふうに説明なさいますか、どういうふうに見ていらっしゃるのか、これを伺いたい。
#98
○説明員(塩飽二郎君) 東京都のほかに、全国での主要な市町村、それから消費都市におきます在庫量につきましても同様の傾向の数字を私どもの方の統計調査部で出しておる数字がございまして、それによりますと、ことしの二月段階で約七十万トンの冷凍水産物が全国のそういった冷蔵庫の中にあるわけでございまして、ただこの七十万トン近い数量は、過去の毎年の各月末での冷凍水産物の全国での在庫量に比べまして、それほど過大な数量になっておりません。昨年に比べまして約五%ふえておりますけれども、中身を見ますと、現在値段の上昇いたしておりますアジでありますとか、あるいはサバといったものの在庫量は昨年に比較しまして、たとえばアジの場合につきましては六四%であるとか、あるいはサンマにつきましては四一%といったように値段の値上がりの見られる魚種につきましては、在庫量はかなり低下している状況にございます。
#99
○渡辺武君 問題は東京、大阪などの大消費地の価格が急騰しているというところに問題があるのです、そうでしょう。そこで、私は東京、大阪などの大消費地の問題を取り上げて申し上げておるわけです。そうして入荷量なども年で比べてみれば、大局的に見れば、いまは急速に値上がりしているのがふえている。先ほどあなたのおっしゃる言葉によりますと、昨年の下半期ごろから一般消費者物価に比べても急速な値上がりを始めたんだということを言っているけれども、しかし、年間をとってみれば大消費地への入荷量はふえている。そうして在庫量もこうして、これは一般的な統計ですからはっきりしたことは言えないにしても、とにかくふえている。それにもかかわらず値段は暴騰している。最近新聞などで魚転がしという言葉か盛んに使われている、先ほども他の同僚委員が言われましたけれども、倉庫の中に魚は眠っている、こちこちに凍って眠っている。そうしてその持主だけが頻繁に変わる。ただ伝票を書き変えただけで次から次に買い手か変わる。そのたびに値段が上がっているのだと、こういうことが行われているというのを、大新聞ほとんど全部がこれを取り上げて報道をしている、こういう状況ですよ。
 経済企画庁長官に伺います。あなた、これでもなおかつ漁獲量が減っているから値段が上がっているのだとこんな論理をなお主張されるのですか、伺いたい。一体この急速な値上かりの原因はどこにあると考えていらっしゃるか、重ねて伺いたいと思います。
#100
○国務大臣(倉成正君) 魚の値段が急速に上がっているということは、いろいろ要因があると思います。しかし、やはり漁獲量が減少しているということは一つの大きな要因であることは間違いないと思います。これは先生がどう……
#101
○渡辺武君 それだけかと伺っている。
#102
○国務大臣(倉成正君) それだけではないということは、やはり先ほども申し上げましたように、二百海里の影響その他で需要者が、たとえばスケソウダラについては原料を確保しようという行動がやはりそういうことになっていると、そう思います。それからやはり入荷量の問題は、漁獲量にかかわらず東京市場に入荷量がふえていると。これは水産庁の方からお答えされるのが適切かと思いますけれども、やはり価格の高いところ、需要のあるところに魚が集まるわけですから、全体の量か減りましても大都市に入荷量が集まってくるというのは、やはり経済の流れとして当然のことじゃなかろうかと思うわけです。しかし、まあいま先生おっしゃっているのは、いろいろその間に非常に思惑なり何なりがあって、当然考えられる以上に魚の価格が上昇しているのじゃなかろうかという御指摘だろうと思います。で、また在庫の問題、お話ございましたけれども、これは非常に在庫というのは、特にこういう多獲性の魚――イワシとかサバとかいうものをそんな大量に倉庫に入れて引き合うものじゃございませんから、これはもうごく一部のものであろうかと思うわけでございますから、まあこれは直接私は必ずしも参考にはならないと思いますけれども、いずれにしてもいろんな心理的な要素か魚の価格の上昇に影響を及ぼしているということは私もそう思っておりますが、それがどの程度のものであるかということはやはり調査にまたなければいけないということで、いま水産庁にいろいろ勉強していただいているという段階でございます。
#103
○渡辺武君 長官、心理的なものじゃないんですよ、まさに物理的なものです。後からこれは申し上げたいと思いますが、大手水産六社と普通言われている、これが莫大な、何といいますか、業界における独占的な地位をフルに発揮しまして、そうしてまさに漁獲高が減っている、あるいはまた遠洋物については、あるいは北洋物、冷凍物、こういうものについては先行きの見通しがこれは不安だということを利用して、そして売り惜しみをやっているんじゃないか、その疑い十分だと私は思う。この点はどういうふうに認識されていますか、まず先に伺っておきましょう。
#104
○国務大臣(倉成正君) ただいまのような点があるかどうかという問題について、十分水産庁の方で検討してほしいということで、いまいろいろな手段を通じまして実態を把握していただいているというのが状況でございますから、いま私が予断を持って先生のように、これが各六社が操作して売り惜しみをしているということを申し上げる段階ではございません。
#105
○渡辺武君 つまり、ただ単に漁獲高が減っているから上がっていると言うんじゃなくて、やっぱりそういう疑いもあるんじゃないか、可能性もあるんじゃないかということを長官は考えていらっしゃるということですね。
#106
○国務大臣(倉成正君) そういうことがあっては万々ならないということでございまして、そういう意味で主管官庁に、十分あらゆる手段を尽くしてこれらの問題の検討をしてほしいということをお願いをしているわけでございます。経済企画庁としては、やはり価格の動向という点からアプローチをしているというのが現段階でございます。
#107
○渡辺武君 それでは伺いますが、さっき私は大手水産六社と言いましたけれども、その中でも一番大きいと言われる大洋漁業、昨年の一月期の決算とことしの一月期の決算予想と、これは業界新聞などにも経常利益はどのくらいになっているかというのが出ておりますが、これを伺いたい。それからもう一つ同じく大手の日水、五十一年三月期と五十二年三月期の決算の経常利益、これは五十二年三月期は予想になるでしょうが、どのぐらいになるのか。それから同じく極洋漁業、これは十月期決算だそうで、五十年十月期とそれから五十一年十月期、これも経常利益はどんなふうになっているか。それから日魯漁業、これは五十年十一月期と五十一年十一月期ですね、これはどうなっているのか、伺いたいと思います。
#108
○説明員(塩飽二郎君) ただいま御指摘になりましたような数字は、私、いま手元に持ち合わせておりませんので、後ほど御説明いたしたいと思います。
#109
○渡辺武君 あなたの方に伺うからといって申し上げているはずですよ。やっぱり準備してきていただきたいですね。それじゃ私が調べた数字で申し上げておきますけれども、大洋漁業の場合は、五十一年一月期決算経常利益は四億四千三百万円、ところがことしの一月期決算予想二十一億円、まさに五倍以上経常利益がふえている。それから日本水産、これは昨年の三月期九億五千八百万円、ことしの三月期の決算予想による経常利益は七十億円、これは大変なものですね、七倍以上ですよ。それから極洋水産、これが三億六千八百万円、おととしですね。昨年の十月期が十四億三千三百万円、これも三倍以上。それから日魯漁業、これは五十年十一月期決算では八十三億六百万円の赤字を出している。それが五十一年の十一月期決算では二十七億二千万円の黒字に転化している。大変なもうけを出している。いま魚の値段が、昨年下半期からずうっと一般消費者物価よりも急速に値上がり始めたと言っている。先ほど御答弁ではそうおっしゃった。まさに魚の値上がり、これがどこを潤しているか。一般国民は、重要なたん白資源である魚の値段が上がれば、生活上大変な痛手ですよ。ところが、こういう大手水産四社は物すごい増益を計上しているというのが実情です。まさに彼らがこの値上がりによって大きな利益を受けているということが、この数字によって客観的に私は実証されているのじゃないかと思う。
 なお、株価の動き、これを簡単に申し上げておきますがね。これは二月の二十日ごろの新聞記事です。ことしの一月中の株価の値上がり、第一部上場の水産六社単純平均株価は、一月中に四二%という大変な暴騰を演じた。この間、第一部の上場株式全株の単純平均株価、この値上がり率は〇・二五%、ほとんど横ばい、水産六社の株だけは四二%という猛烈な上がり方をしている。そうして二月に入っては、これは先ほど申しましたように、二月の二十日ごろの新聞記事で、その時点で先週末までにということになっていますが、一部上場株式の平均〇・一%の値上がり、ところが水産株は一一・四%の値上がり、大もうけをした上に、ことしに入ってからも大手水産会社の株価は猛烈な勢いで上がっているというのが実情です。まさにこの時点というのは、アメリカも、カナダも、ソ連も、二百海里経済水域を設定するだろう、これが日本の漁業界に大打撃を及ぼすだろうということが言われているその時点、なぜ大手水産会社だけがこうして先行きの高利潤をはやされて、株式市場で株価がこんなに上がるのか。彼らがこういう日本の業界全体の困難な状況、これを奇貨としてその強力な経済力を利用して、そうして売り惜しみをやり、買い占めをやって高利潤を上げるだろうということを株界が予想しているからこういうことになったというふうにしか考えられないじゃないでしょうか。まさにここには、ただ単に漁獲高が減っているから値段が上がるんだという論理とは全く異質なもの、つまり日本の大手水産会社が、その強力な経済力、物理的な力を利用して、この魚価の値上がりをあおっているということを証明するものがあると私は思います。この点、長官どう思われますか。
#110
○国務大臣(倉成正君) ただいま大手の水産会社の決算あるいは株価について渡辺委員のお話ございましたが、私は水産会社が通常の利益を得まして、そして安定的な経営をやることは適当ではないかと思います。しかし、これが先生のお話しのように、売り惜しみをしたり、買い占めをしたり、あるいは思惑によって不当の利益を得たということであれば、これは適当でないと思いますので、ただいま数字を伺ったばかしでこれをさように断定するわけにはまいりませんが、このよって来るところがどのようなものであるかということをよく分析をいたしてみたいと思います。
#111
○渡辺武君 これは分析のついでにお調べいただけばはっきりすることだと思いますが、強力な力を持っているんですよ。たとえば大洋漁業の例を申しますと、これは一九七三年版の大洋漁業年報に書かれていることですけど、大洋漁業は荷受業部門八社、製氷冷蔵業部門七社、漁業部門十社、食品・飼料製造業部門十五社、漁業資材製造加工業部門三社、そのほか二十三社、計六十六社を系列下におさめている。そうして日本のすべての冷凍倉庫の約五%は大洋漁業だけで持っているという状況です。大手水産六社と言えば、それを合わせれば冷凍設備の恐らく数十%を占めることになるでしょう。大変なものです。そういう冷凍倉庫をフルに活用をして、そうしてそこに魚をしまい込んで値上がりを待っているという可能性は十分にあるじゃないですか。先ほど申しました魚転がしという言葉、これはもう普通の言葉になってきている。これに無感覚でいるというのは、私は行政当局の正しい立場じゃないと思う。よろしくこういうところをこそ真剣に調査すべきだと思いますが、この点どうですか。
#112
○国務大臣(倉成正君) まあいまいろいろお話しになった御趣旨の点は十分理解いたしました。ただ私どもは、この現実を冷静にどう分析するかということだと思いますので、いま先ほどからたびたびお答えいたしておりますように、水産庁を通じて実態がどうなっているかということをいま真剣に検討いたしているところでございますから、この結果を待ちまして対処したいと考えておるわけでございます。で、大洋漁業のお話がいろいろございましたけれども、非常にこれは最近経営が苦しい状況であったということも伺っておるわけでございますので、これらの面について支配力がかなりあるということについては、御指摘のとおりだろうと思いますけれども、しかし、その支配力を不当に利用して消費者の利益を害しているということがあれば、これはもう当然何らかの形でこれを規制していくということであろうかと思いますが、いますぐ先生のお話のような形があるかどうかということは断定できないと思う次第でございます。
#113
○渡辺武君 私、念のために申し上げますけど、これはもう大手水産六社だけだということを申し上げているんじゃないんです。大商社もあるだろうと思うんですね。みんなずっとそれぞれ系列関係へ入っていますからね。そういう点も含めてひとつ検討していただきたいと思いますね。
 そこで、問題はやはり私は倉庫だと思うんですね。そこのところに魚がいっぱい詰まっている。ところが、なかなかマーケットに出てこない、それでどんどん上がっていく。あるいはさっき申しましたように魚転がしでどんどんやっていく、これだと思うんですよ。
 そこで伺いたいんですけれども、先ほど、私、運輸省の方にわざわざおいでいただいて、冷蔵倉庫の在庫量の数字を伺ったんですが、運輸省が調べられている冷蔵倉庫、これはどういう範囲の冷蔵倉庫でございますか。
#114
○説明員(坪井宏君) 私ども調べております冷蔵倉庫は、いわゆる倉庫業法に基づいて営業許可を受けた倉庫に委託されたいわゆる貨物でございますが、それで自家用の倉庫また漁業協同組合の倉庫にかかわるような貨物、また営業倉庫に入っているものでもその当該倉庫事業者が自家用に入れた貨物については除かれております。
#115
○渡辺武君 長官、よくひとつ頭に入れておいてほしいんですが、いま倉庫業法によって調べることのできる範囲というのは営業用の倉庫、そこに委託されたものである。大洋だとか、日魯だとか、こういうところが自家用でもって持っている、これこそまさに彼らの本領の発揮できるところですけれども、そこについては調査の手が及ばないということになっているわけです。
 それから、私、先ほどもう一つ東京冷蔵倉庫協会調べの魚介類在庫というのを数字で申しましたけれども、これは東京中央卸売市場ですね、ここに設置されている冷凍倉庫、その範囲でしか調べられないんです。これまた大手水産業界あるいはまた大商社などが持っている冷凍倉庫は、これは調査の対象外になっている、こういうことなんです。
 そうしますと、伺いたいのは、こうしていわば合法的に調べることのできる範囲以外の倉庫、これが私は問題だと思うんですがね。どういう形で調べますか。
#116
○説明員(塩飽二郎君) 今回、在庫の調査の対象にいたしております対象団体といたしましては、生産者団体、それから荷受け、大手の水産会社、それから商社を考えておりまして、それらの企業なり団体がみずからの冷蔵庫に保管しているものはもちろんのこと、寄託物として営業用の倉庫等に預けております在庫につきましても対象にするということで調査を進めたいと思っております。
#117
○渡辺武君 それは報告を要請しているという調査ですね。だから、場合によっては立入検査をする等々の権限のない調査と、こういうふうに理解していいでしょうか。
#118
○説明員(塩飽二郎君) 法律的には確かに御指摘のように法的権限に基づく調査に現段階ではなっておらないわけでございますけれども、調査に当たりましては必要に応じまして私どもの方から関係の業界に出かけて行きまして、倉庫の中を現実に立入調査をするということもあらかじめ言っておりますので、必要に応じてそういう段階にも踏み込んでいきたいというふうに考えております。
 御指摘のように、確かに法的なバックはない段階で調査を進めておるわけでございますけれども、できるだけ効果の上がるようなやり方で調査をいたしたいというふうに考えております。
#119
○渡辺武君 場合によっては立入調査もやる、その要員は何名くらいいますか。
#120
○説明員(塩飽二郎君) 水産庁の私どもの方の直接担当しているほかに物価対策室等もございますので、十分そういった調査には対応できるものと考えております。
#121
○渡辺武君 何名くらいいるかと聞いているんです。
#122
○説明員(塩飽二郎君) 直接それに携わる者、十名前後はそれに携わることができるというふうに思っております。
#123
○渡辺武君 それぞれに独自の仕事を持ってやっている方々ばっかりですね。いわばそれにつけ加えた仕事としてやらなきゃならぬ。しかもその人間がわずか十名、こういうことで膨大な倉庫を調査できるのかと、国民の期待にこたえていまのこの価格の急騰、これを解決するだけの力を持つことができるだろうか、国民は大変疑問に思うだろうと私は思うんです。やはり長官、先ほど他の同僚委員からも言われましたけれども、やはり買い占め売り惜しみ等防止法、これをもう発動して、そうして専任の価格調査官も任命をして、そうして立入調査を始めなければ実態はつかめないじゃないですか。どうでしょうか。
#124
○国務大臣(倉成正君) 私の県も実は水産県でございますので、実は魚のことは多少知っているつもりでございます。しかし、これは専門の水産庁から見えておりますから、水産庁からお答えした方がいいと思うんですけれども、なかなかその魚を冷凍したり、冷蔵庫に入れるというのはやっぱり特殊な物に限られると。たとえばイワシとかサバとかいうものは、そういう倉庫に入れて売って引き合うものじゃない。やはりそれはもうなまもので処理していかなきゃいけないというのが原則でございます。それから、まあいろいろ個々に冷凍品がありますけれども、原則としては特殊な物を除きますと、やはり生で取引をしていくというのが大部分でございますから、これを他の物質のように倉庫の中に入れておって、そしてこれで大きな投機をするということも、全然なしとはいたしませんけれども、非常に私は限られておるんじゃないかと思うので、先生がおっしゃるように、全部もう倉庫に入れて、これで何でも操作ができるというように御判断いただければ、これは少し御認識を変えていただかなきゃいかぬじゃなかろうかというふうに思うわけです。しかし、これは専門家がおりますから、私の言っていることが間違いであれば、私、水産県の出身者の一人として申し上げておるわけでございますから、専門家から訂正していただきたいと思っておるわけでございます。
 それから、立入検査ができるのは、やはり多量に特定の物質――「輸入又は販売の事業を行う者が買占め又は売惜しみにより当該特定物資を多量に保有していると認めるときは、その者に対し、売渡しをすべき期限」云々ということで、やっぱり「認めるとき」ということになっている条件があるわけでございますので、これは第四条をごらんいただけば、この法律ではそういう要件になっているということを御理解いただきたいと思います。
#125
○渡辺武君 もう時間も来たので、あとははしょって伺いますが、いますべての魚を冷凍するわけじゃないんだという趣旨のことをおっしゃいました。それは冷凍しない物もありますよ。しかし、特に冷凍物が値上がりがひどいですね。特に、長官先ほどスケソウだとか、すり身だとか、加工品は消費者物価に影響が余りいま出てないとおっしゃるけれども、そういう認識じゃ困るんですね。これは時間がないから私の方から申しますが、スケソウの冷凍すり身、これは農林省から伺った数字ですから、恐らく間違いないと思うんですが、五十一年二月の在庫は七万五千百十トン、ことしの二月の在庫は八万四千五百二十三トン、在庫はふえている。ところが、値段はどうかといいますと、昨年の二月は一キログラム百三十五円、ことしの二月は百六十五円、三月は百七十五円になったと言われる。特に最近は二百二十円から二百五十円へと倍近くになっている。しかもこのすり身の出回りがない。かまぼこをつくりたくてもつくる原料が手に入らないで、かまぼこ屋さんがばたばたつぶれ始めているというのが実情です。小売物価にかまぼこの値段が上がらないからといって安心はできないんですよ。いまかまぼこの値段を上げたら消費者はハムの方に転換するだろうと言われている。まさに死ぬような思いで、この冷凍すり身の問題を解決してほしいというのが加工業者の願いですよ。この問題どうしますか。
 そうして、私なおついでに申し上げますけれども、私どもが塩釜の業者から伺った話です。ここはかまぼこ生産の全国でのシェア約一割をつくっているところです。たくさんのかまぼこ業者がいる。ここが、かまぼこ屋さんは一次処理業者、つまりすり身業者ですね、これから原料を仕入れている。この一次処理業者は、これはいまは大洋漁業とか日本水産とか北海道漁連とか、こういうところにはほとんどもう系列化されてしまっている。だから大洋漁業の例で申しますと、網走に三社、紋別に四社、釧路に七社、稚内に三社、留萌に一社、小樽に一社、八戸に八社、その他いろいろありますけれども、ずうっと一次処理業者を系列下に入れている。そうして最近の加工業者の話では、このすり身業者に大手水産会社が金を貸して、すり身業者の冷凍倉庫にたくさんの原料を貯蔵さしている。たとえば、これは名前を挙げるのをやめますけれども、ある大洋漁業に系列化されている一次処理業者、三月三十一日の段階で在庫二千七百トンがあったと。そのうち自分のところで使える物は千トン、残り千七百トンのうち売れる物は七百トンであって、千トンはこれは大洋漁業の許可を得なければ売ることができないという仕組みになっておる。つまり大洋漁業は自分の持っている冷凍倉庫にしまい込むのではなくて、こういう一次処理業者の倉庫の中に入れておいてそれを押さえている、そうして事実上売り惜しみをやっていると、こういうことですね。ところが四月に入ると、自分のところで売ることができると思っていた七百トンも大洋漁業に押さえられてしまったと、こう言うんです。そうして値段の方が非常に急速な値上がりだと。ある業者のところでは、三月三十一日トン当たり十七万円の物が四月の二十三日にはトン当たり二十三万円にはね上がっておる、こういう状況です。あなた方の調査の中に、こういう系列下に入った業者の倉庫の調査、こういうことも入っていますか。
#126
○説明員(塩飽二郎君) 在庫調査の対象の範囲としては、御指摘のような系列関係を持っている企業についての在庫も含めまして対象にいたすことにいたしております。
 それからただいま御指摘になりましたすり身の需給安定の問題については、特に、全般的な需給の事情もさることながら、塩釜等の、従来どちらかと言いますと、原魚を直接水揚げする地域において、冷凍すり身の形じゃなくて生のすり身に依存していた、そういった地域におきます練り製品業者の困難な状況が現実にありますので、私どもの方、役所としましても、供給側の業界であります全国冷凍魚肉協会、並びにただいま先生の御指摘になりましたような大洋漁業等販売の中核にある企業に、加工業者との間に立ちまして、円滑な物の流通販売がなされるように、在庫が不当に保管され続けないように、現実に困っておる業者に物が流れるように、われわれの方としてもあっせんをしたいという方針を示しておりまして、現実に塩釜につきましては、十二日に仙台におきましてただいま申し上げましたようなあっせんのための場を設定いたしておる状況でございます。
#127
○委員長(世耕政隆君) 時間がかなり超過していますので、結論にそろそろ入ってください。
#128
○渡辺武君 最後に、要望を兼ねて長官に伺いたいと思うんです。
 買い占め、売り惜しみをやっておるというふうに見たらやるという趣旨のことをおっしゃいましたね。もう私はその時期だと思うんですね。東京都は強制力のない条例を発動してまでも調べようと言っているんです。こういうやっぱり地方自治体の熱意に負けないくらいの政府の熱意か私は必要だと思う。すぐにやはりこの法律を発動して、そうして調査もすれば同時に在庫の放出を命令するということはやってほしいと思う。
 それからなお、今後やはり日本の魚のとれ高という点で不安があることは、これは言うまでもないことなんです。そこで、日本の漁業を、これを育成していくということは非常に重要だと思うんですか、そのために国や自治体や漁業者などの拠出によって漁業の、魚の価格安定基金制度をつくるということか私は必要じゃなかろうかというふうに思います。また、多獲性大衆魚の流通業者に国か出荷取り扱いの特別奨励金を出すなど、水産物価格の安定対策を講ずるということもどうしてもいまからもうやっておかなければならぬ仕事・じゃなかろうかというふうに思います。これらの点について御答弁いただきたい。
#129
○国務大臣(倉成正君) 買い占め売り惜しみ法の適用につきましては、これは今後の情勢を見ながら検討してまいりたいと思います。
 それから、塩釜の例をお出しになりましたが、私も直接実は宮城の漁業関係者の方や、あるいは県会の方々と懇談をいたしまして、事情をいろいろ伺ったところでございまして、その際に伺いました点は直ちにわれわれの物価局並びに水産庁の方にも伝えているということでございます。
 それから、いまいろいろ基金その他の御提案がございましたけれども、この点については幸い主管庁が参っておりますから、そちらからお答えいたしたいと思います。
#130
○説明員(塩飽二郎君) 魚価の安定につきましては、昭和五十年――一昨年以来予算措置を講じて特別の対策を講じております。中身といたしましては、多獲性魚類あるいはすり身等につきまして、正規に多量に過剰に生産される場合に、一定の数量を生産者団体等が調整保管の対象にした場合、国といたしましては、その保管経費の一部を助成するという形で需給のアンバランスを時間的にならしていくという対策を講じております。
 なお、これに関連しまして、調整保管事業の結果、予想された価格が、その対象物資につきまして販売の時点で形成されないというようなこともございますので、赤字が生じた場合にはその一定部分につきまして財団法人魚価安定基金に国の資金を約三十億ばかり累積いたしておりまして、その資金を原資といたしまして赤字部分を補てんしていくという対策を講じておりますけれども、今後さらにそういった現行制度を充実していくように努めてまいりたいと、このように考えております。
#131
○委員長(世耕政隆君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十三分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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