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1976/03/25 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第4号
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1976/03/25 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第4号

#1
第080回国会 公害対策及び環境保全特別委員会 第4号
昭和五十二年三月二十五日(金曜日)
   午前十時六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         片岡 勝治君
    理 事
                宮田  輝君
                青木 薪次君
                小平 芳平君
    委 員
                青木 一男君
                上原 正吉君
                寺田 熊雄君
                内田 善利君
                沓脱タケ子君
                安武 洋子君
                三治 重信君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  石原慎太郎君
   政府委員
       環境庁長官官房
       長        金子 太郎君
       環境庁長官官房
       審議官     伊勢谷三樹郎君
       環境庁長官官房
       会計課長     高橋 盛雄君
       環境庁企画調整
       局長       柳瀬 孝吉君
       環境庁企画調整
       局環境保健部長  野津  聖君
       環境庁自然保護
       局長       信澤  清君
       環境庁大気保全
       局長       橋本 道夫君
       環境庁水質保全
       局長       二瓶  博君
       運輸省航空局次
       長        松本  操君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公害及び環境保全対策樹立に関する調査
 (水俣病に関する件)
 (自然保護及びそのPRに関する件)
 (環境影響評価法案に関する件)
 (大阪空港エア・バス乗り入れに関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(片岡勝治君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。
 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。
 前回の委員会において石原環境庁長官から聴取いたしました公害対策及び環境保全の基本施策に対し、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#3
○青木薪次君 公害と環境保全に対する対策というものは、いまやまさに高度成長の落とし子とも言うべき時代に来ているわけであります。このことに対しては、国民生活の、ある意味ではすべてだということが実は言われているわけでございます。その中で石原環境庁長官は、相次ぐユニークな発想を出されまして、国民からも、まさにそのスピードの早さについてはいろんな意見が出ているわけでありますが、まず第一に、私は、いろいろと話題をまかれました石原環境庁長官に、基本姿勢についてお伺いいたしたいと思います。
 その第一に、長官は憲法改正論者です。憲法改正論者ということは核武装論者であり、しかも軍備を保有しなきゃならぬという再軍備論者であると聞いておりまするけれども、国務大臣のやはり憲法の遵守義務があると思うのでありまするけれども、これらの点について、福田内閣の閣僚として、まず第一にこれらの点に対してどのようなお考え方を持っておられるか、お伺いいたしたいと思います。
#4
○国務大臣(石原慎太郎君) 私、一個人といたしまして、憲法についても学問的な見地からいろいろ発言したことはございますが、閣僚といたしまして憲法を遵守することは当然でございますし、またそうすることで使命の達成ができると思います。私、そういう意味で憲法を遵守するつもりでございますし、また、核保有論者云々というお言葉がございますが、私が閣僚に就任いたします以前に、発言あるいは執筆等で書きましたものが多分に誤解されておりまして、私はその点で非常に誤解で迷惑をしてもおりますが、私は決して核保有論者ではございません。また議事録をお調べいただきましても、核の問題に関しましてはそれをはっきり否定する論を述べているわけでございます。
#5
○青木薪次君 長官も新しいセンスで、しかもその意味では、国民はある一面では期待いたしているわけでありますが、ただ、長官の、先ほど申し上げましたようにスピードが早いということと、少し現在の憲法等の意にそぐわない考え方を持っておられるんではないかということは、私ならずとも与党の中でもそういう意見を言う人は大分多いわけであります。したがいまして、いま憲法は守っていくということを言われました。そういたしますと、この憲法の精神というものは、明治の欽定憲法とは違いまして、主権在民、それから基本的人権尊重、それからいわゆる平和憲法と言われる非武装中立という立場に立っていると思うんでありますけれども、この点についてどのようにお考えになっておられますか。
#6
○国務大臣(石原慎太郎君) 十分そのことを私なりに理解しておるつもりでございます。
#7
○青木薪次君 わかりました。
 そこで、公害という言葉の中には、公害対策基本法によれば、事業活動その他のいわゆる人の活動ということと、それによる公害発生、相当範囲にわたる大気の汚染とか、水質の汚濁というもの、があって、さらに環境汚染を通じて発生するところの人の健康または被害ということに実は通じてくるわけであります。この環境汚染を受ける側に発展するという、いわゆる人の健康または被害というこのパターンの中におきまして、人間の経済活動、すなわち今日の自由経済体制下においては、やはり利潤追求ということが先に立っておりまするから、まあまさに無造作に自然が破壊されて、環境が人の生活を忌避しているんじゃないかというようなことまで実は言われていると思うんでありますが、このことを、高度経済成長の中におきましては、あなたもたびたび触れておられますけれども、規制することができなかった。高度成長下においては、その発展する経済のスピードはまた日本の公害をして世界に類例のない激しいものにしたと思うんでありますけれども、これらについて、基本的にこれらに対する認識というものは非常に重要だと思いますので、長官からひとつお答えいただきたいと思います。
#8
○国務大臣(石原慎太郎君) 先生のおっしゃいますとおり、私は、私たちが味わってまいりました公害問題は、過去、言ってみますれば戦後だけではなしに、明治に国を開いて以来、西洋に追いつけ追い越そうという一種の国民の目的、国家の目的というものを設定しての非常にピッチの速い高度成長のもたらした、あしき所産だと思います。そういう意味で、石油ショックで高度成長が非常に多様的な条件でとまらざるを得なかった。その期にちょうど、ある意味で産業社会として欄熟した日本の社会の中に意識変革が起こってまいりまして、高度成長そのものに対する非常に歴史的な批判が行われ、そういう批判の中で、私たちが追求してきた経済の成長こそが最大の価値だという、そういう物の考え方が批判の対象にされ、そこから公害に対する批判あるいは環境問題に対する正しい認識が起こりつつあると心得ます。
#9
○青木薪次君 メチル水銀で汚染された工場の排水によりまして汚染された魚介類を、長期、大量に摂取することによって、メチル水銀中毒の特徴である中枢神経に障害を起こした水俣湾の周辺の不幸にして患者となられた住民は、水俣病で二十年を経過した今日も苦しみ抜いていると思うんでありまするけれども、その現状についてどういうように把握しておられますか。
#10
○国務大臣(石原慎太郎君) これは、私まだ現地を訪れておりませんけれども、資料なり本なりで聴取します限り、まことにもう悲惨なものでございまして、いわば、先ほど先生がおっしゃいました産業の発展、高度成長というものを急ぎ過ぎた、ある意味で、いまから考えれば偏った物の考え方の一番象徴的な副産物だと心得ます。そういう意味で、認定の作業が非常におくれ、患者の方方に不満、不安というものを抱かせているわけでございますけれども、私、就任いたしました限り、できるだけ早くこの事態が一歩でも前へ動く努力をいたしたいと思っております。
 また、昨日、沢田知事と面会いたしまして、県の事情もつぶさにお聞きいたしまして、先ほどの閣議で、実はできるだけ早く関係閣僚の話し合いというものを持っていただき、仮定ということで具体的なお話はいまできませんが、しかし、これに対する国の基本的な姿勢というものをもう一回固めさしていただきたいという申し入れをしたばかりでございます。
#11
○青木薪次君 長官、よく精力的に勉強せられておるようでありますが、公害による健康被害の四大事件というのがございますけれども、これをどういうように受けとめておられますか。
#12
○国務大臣(石原慎太郎君) これはやはり水俣と同じように、つまり、産業の高度化、高度成長というものを目指す余り、そうした能率だけを勘案し、それが周囲に与える影響というものを一切勘案せずにかかった結果、当然もたらされた非常に痛ましい出来事だと心得ております。
#13
○青木薪次君 健康被害の四大事件は、じゃ、どれとどれでしょうか。
#14
○政府委員(野津聖君) 四日市の呼吸器疾患の問題、それから富山県におきますイタイイタイ病の問題、それから新潟の阿賀野川におきます水俣病、それから熊本の水俣におきます水俣病の四つの事件でございます。
#15
○青木薪次君 昨年の、昭和五十一年の十二月の十五日に熊本地方裁判所が、水俣病の患者の三百六十二人について、水俣病認定に関する被告である県に対して下した判決の特徴について、ちょっと説明してもらいたいと思います。
#16
○政府委員(野津聖君) 判決によりまして、被告であります熊本県の違法性が確認されたわけでございます。ただ、特徴といたしましては、熊本県の努力がございましたにもかかわりませず、いわゆる先のと申しますか、認定の見通しの期間が特定できないということが一つの争点になっておりまして、そのために違法性を確認という形の判決がおりたわけでございます。
#17
○青木薪次君 いまのお話にもありましたように、水俣病の認定については、不作為が違法である、これが特徴だと思うんでありますが、認定の業務が違法の状態にあるとして、この救済法は迅速な救済を目的としておって、認定処分のおくれは、救済を受ける権利を実質的に奪うものであるというように規定していると思うんであります。
 いまお聞きいたしました過去の四大公害裁判は、それ相当に企業に対しては厳しい責任追及を行いましたけれども、この裁判の特徴というものは、行政が人の命と健康のことで裁かれている、ここに私は特徴があると思うんであります。ですから、私の知る歴史上の出来事では、このような判決というものについては記憶がないわけであります。長官は、この行政に対する厳しい裁きについて、どういうように受けとめられておりますか。
#18
○国務大臣(石原慎太郎君) たとえば水俣を一つとって見ましても、資料で洗い直します限り、また先般、私、NHKの非常に有益な水俣の記録映画をテレビで見ましたが、やはり行政というもののカーテンにさえぎられて患者の方々の声が届かないということで、この時点で行政が動いておれば患者が十人単位で済んだと、この時点で行政が動いておれば百人単位で済んだという時点を突破して、結局、ある意味では千単位、万単位の患者あるいは患者と思わしき人たちを生むような事態に至ったわけでございまして、そういう意味で、私はやはり行政というものが、この裁判の趣旨というものを体して強い反省を強いられるべきだと心得ております。
#19
○青木薪次君 この日本における公害事件は、別の意味では行政の立ちおくれ、怠慢を厳しく追及している側面が、あらゆる判決の側面として見ることができます。しかし、いま私が申し上げましたように、特に水俣病の公害事件というものは、長官が反省しておられるように、行政の立ちおくれというものについて相当厳しく追及しているということがいま言われているわけでありまするけれども、国務大臣、環境庁長官になられた石原長官は、昨年の十二月三十日に新聞紙上で感覚的暴力の問題を訴えられましたね。しかも、この快適な環境懇談会を主宰する考え方というものは、水俣病に対する特に私は相当深い配慮というものが前提にあるというように認識を結びつけて考えておるわけでありまするけれども、その点はいかがでしょうか。
#20
○国務大臣(石原慎太郎君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、生活の環境の快適性、逆に環境というものが非常に不快な条件を備え、それが極限まで煮詰まったものが私は水俣の問題であり、あるいは四日市の問題であると思います。そういう意味で、公害は生活の環境というものの不快性というものが非常に極端に凝縮されたケースだと心得ます。そういう意味では、私たち公害というものを感じないような生活環境でのさらにその快適性というものを追求することが、実はこれからあらわれるかもしれない水俣なりあるいは四日市といった公害というものを、単に行政の上だけではなしに、市民自身の意識の中で防衛し、防ぐということにつながるものだと心得ております。
#21
○青木薪次君 ことしの一月二十七日ですね、週刊文春が、石原長官の話として、公害が原因でない人も水俣病患者の中にいるというような報道をした件について御存じでありますか。
#22
○国務大臣(石原慎太郎君) 衆議院でも同じ質問をお受けいたしましたけれども、これはどうも週刊誌の書き方が違っておりまして、水俣に私、多大な関心を持ち、いろんな方々にもまた東京でお目にかかりしていることが水俣に伝わりまして、できるだけ早く現地に来て事情を見ろという声をいただいておりますけれども、その間、いろんなお手紙なりいろんな意見が寄せられます中にも、私はこれは、水俣という非常にある意味で閉鎖的な地域と申しましょうか、地方の一つの社会的特質だと思いますけれども、水俣病が一種の社会病としてとられなくてはならないような問題が起っているということを感じます。そういう例の一端として、どういう方か知りませんけれども、名前のある方、あるいは匿名の方々の中からそのような意見がある、これはまた一部の方々が、一部の患者さんと認定された方に対してそういう考え方を持つということにも、私は何と申しましょうか、いままでの推移の非常に微妙な経過というものがもたらすものがあるんではないかという意味で、そういったものも含めて洗いざらい、とにかく水俣について現地で勉強したいということを申したわけでございますが、それが非常にそういう間違った形で報道されまして誤解を受けていることは、大変私としても遺憾でございます。
#23
○青木薪次君 週刊文春では、記者二人が、一月十七日の午後二時半から三時までの間に、石原環境庁長官から聞いた場所は長官室で、しかもこのことについては確実であるということを再度言っておるようであります。で、石原長官は、この会からの公開質問状に対しては、十二日に、週刊文春に掲載されたような発言はしていないと、いま言われたようなことを文書で回答しておられるわけでありますが、文芸春秋社からのこの回答で石原長官のにせ患者発言が確認されたとして、今後、他の申請者グループとともに石原長官に対して、発言の真偽と長官としての姿勢の追及を続けるということを言っているわけでありますが、私は、そういうことを長官が発言していないということをこいねがっているんですよ。そういう立場に立った場合に、熊本県の水俣市や周辺の認定患者申請団体、あるいはまた水俣病被害者の会――これは隅本栄一さんという会長ですね、組織は千百人あるようでありまするけれども、もしこの発言が事実なら許すことはできないということで、発言の自主性それから真偽はどういうことなのかという公開質問状を長官のところに出しているわけであります。これに対する対応はどうなさっておられますか。
#24
○国務大臣(石原慎太郎君) その問題につきましては、実は先日、私が逆にそのグループの方々にお伺いしたいことがございまして、電話をじかにいたしましたときに説明をさしていただきました。
 また、先ほどの問題に戻りますけれども、私も現地を訪れたわけではなく、また、いまある資料で目を通す限り、また、私自身がその認定の作業に加わったわけでもございませんので、公害の影響でない水俣病の患者がいるなどという断定を下す根拠は全く持ち合わさないわけでございまして、そのようなことを言うわけがないということをひとつ御理解いただきたいと思います。ただ、一部にそういう声があるということは、私は人からも聞きましたし、またそういう手紙も幾つかいただいております。そういう意味で、問題が地域性ということを構えて非常に複雑だなという考えは私は持っているわけでございます。
#25
○青木薪次君 官房長、長官にそういうようないわゆる情報を伝えたことはありませんか。
#26
○政府委員(金子太郎君) 私は全然ございません。
#27
○青木薪次君 皆さん、いいですね。この問題は相当、ある意味では非常に患者の感情を逆なでする問題でありまするから、こういうことをかりそめにも、特に水俣病患者の皆さんの気持ちというものを理解し、しかもこれに対して対策を進めていくという気持ちの中から問題がだんだんと解決をしていくというふうに私は考えておりますから、その点に対しては特に留意をしていただきたい。
 それから、二月二十五日の午後に、石原長官に面会を求められた川本輝夫さんや宇井純さんとの面会を拒絶されてテニスをやっておった事件について、この前長官の弁明を聞いたわけでありますが、上京した川本氏の激励集会があったということも私も聞いております。たまたま衆議院予算委員会の時期でもありますから、水俣病患者の実情や公害の現状と対策に対して、被害者を含めた陳情団が聞いてもらいたいというようなことだったと思うのでありますけれども、ちょうどいい機会だ、しかし、陳情者がいつ会ってもらいたいといったことは、いわゆる陳情をする側の位置によって決めるわけにはいかない、それから、大勢の人数と会うわけにいかない、それから、喧騒にわたってはいけないというようなことを、長官はそのことをもって規制されたというようなことを聞いているわけでありまするけれども、問題が問題で、九州から上京してくるというようなことから考えてみれば、私はやっぱり指定時間に来てほしいということはわからぬわけではありませんけれども、代表的な公害事件であって、私は便宜を図らうべきじゃないのかというように率直に思うわけであります。公害患者と率直に語らい合いたいという長官の姿勢、それから、現地に出かけてもひとつ話し合いたいと言っている長官の考え方と、相当ハンデがあるように考えるわけでありますが、この点いかがですか。
#28
○国務大臣(石原慎太郎君) お答えいたします前に、私の姿勢をひとつ御理解いただきたいと思うんです。私は、いままで面会、陳情というものを忌避したのは、この方々との二度目の申し込みのときだけでございます。その他は寸暇を割いて、水俣病の他の考え方を持たれた幾つかのグループの方々にもお目にかかりました。この方々とはすでに一度、これも一方的に座り込まれて収拾つかなくなり、十分でよいからというのを、結局ほかの仕事を割き、それが十分で済まずに面会を強要された形になり、非常に仕事が混乱をいたしたわけでございますが、ですから、わざわざ九州から私に陳情、面会ということでおいでになるならば、わざわざおいでになるんですから、両方で時間を約束し合って会うということが互いの利益につながると私は思うわけでございます。日本のように開かれた自由な社会にも、自由を守り、秩序を守るために明文化されない黙約というものがあると私は思いますし、それを守り合うことで実は秩序も保たれると思いますし、仕事の能率も上がると思うわけですが、そういう黙約を破った形で一方的に、世間の常識で通らない形で面会を強要されましても、実際にあの時間、私たちは昼休みをつぶして二時まで会議をしておりました。私はその後よそで三時過ぎまで陳情の面会があり、また六時からもございましたが、彼らがその日の一時から三時までに会えと言われても、これは困ると答えて、しかもその事前にリーダーの方に、宇井純さんですけれども、二度、役所の方からはっきりと、時間が折り合ったときにしてほしい、会うことはやぶさかではないが、とにかく約束し合った時間に来てほしいということを申し上げたわけでございます。それにもかかわらず一方的に押しかけられて、私は、そういう前例を重ねることで、私の前任者のときにもあったようでございますけれども、それはつまびらかにいたしませんが、しかし、私就任以後、すでに一度そういうケースを構え、これを二度繰り返すことは、私は役所の秩序にも乱れを生じますし、また、そういう前例を役所が示すことで、私は大げさでなしに社会全体に何か大きなものが崩れていくきっかけを与えることになるのではないかという気がいたしましたので、私の判断で会うべきでないと判断し、面会をお断りしたわけでございます。
#29
○青木薪次君 ただ、先般の長官の話を聞けば、当日、会議中だったので、役所の者に仕事で会えないと申しつけたけれども、相手のけんまくに押されて不在と言ってしまった、うそをつかれたとして怒った住民団体が、秘書官室に、いるなら会えと言って座り込んだというようなことのようでありまするけれども、その間に長官は、外で二組の陳情と実は会ってるんですね。その間にテニスもやっておる。政治姿勢として、在室しているなら、代表と会わないということは、公害規制という立場に立つ指導官庁として姿勢が悪いではないかということがいまいろいろと言われているわけです。
 また、公開陳情をやめたと言うけれども、ガラス張りの伝統を持つ環境庁として、この伝統を石原長官の時期に変えるということが一体いいことなのかどうなのか。団交型陳情には会えないと言うけれども、先ほどからあなたが言っておられますように、生死の境を彷徨する公害被害者団体の感情をしんしゃくする気になれないのかどうか。もっと端的に言うならば、長い間、いわゆる企業の排出する水銀によってだんだん体内にそれがたまって、その結果、このような大病になってしまったということについては、ある意味では私はきわめて重大な今日社会における犠牲者だと思うんです。そういう人たちは、一体、それじゃ訴えるのはどこへ訴えたらいいのか。県もそんなに権限がないということになるならば、やはり総合調整あるいはまた総合指導官庁として環境庁ができた、これに対して頼って、ある意味ではわがままも言いたい、ある意味ではうっぷんも晴らしたい、ある意味ではこうしてもらいたいという、苦痛を聞いてもらいたいという、そういう気持ちが特に宇井純さんやあるいは川本さんのような、ぜひ会ってもらいたいというような、ある意味ではやはり長官にひとつすがるような気持ちというものを私は持つということは理解できるわけでありますけれども、この点、長官が一般的な陳情というようにこのことをすりかえて物事を考えるということについては、あなたの思想と考え方というもの、感情というものと、余りにも違いがあると私は思うのでありますけれども、この点いかがですか。
#30
○国務大臣(石原慎太郎君) お言葉を返すようになるかもしれませんが、私がいままで時間をやりくりし、互いに約束し合ってお目にかかった方々は、その中にもたくさん水俣の患者さんもいらっしゃいますし、また、それに類する非常に深刻な問題を抱えた陳情者の方がたくさんおられます。お話を聞けば聞くほど私も同情し、何とか早急に措置をしなくちゃいかぬという考えを持ち、決意を持つわけでございますけれども、どうもその第一回の話し合い、川本さんたちとの話し合いそのものも、私は、何か声高に話された割りには収穫があったように思いませんし、また、こちらが幾つか用意した物事をお聞きしょうと思っても、答えが返ってくるような雰囲気でもございませんでした。また、私自身、最初の会合から二度目の問題が起こったときまで、まだまだ自分自身の勉強が不整備でございましたので、そういうものも含めまして、とにかくこちらの条件が整い、時間的な条件も整ったときに喜んでお目にかかりますから、それまでお待ちいただきたいということを申したわけでございまして、私はあの中におられますいわゆる水俣の患者さんには本当に同情いたしますし、あの方々の苦衷というものを聞き取り、問題を解決すべき努力をもっともっと積極的にすべきだと思いますが、しかし、あのときああいう形で一方的に陳情という形を講じ、物事をただ混乱させるだけでは、あしき前例を水俣の解決のためにも残すのではないかと思いましたので、そう判断させていただいたわけでございます。
#31
○青木薪次君 前回の公害委員会の席上では、公務を口実に面会を忌避したわけではないということを言っておられるのですね。そうすると、役所の皆さんには仕事で会えないと言って申しつけておきながら、実際は公務を今度は口実ではないと、また言っておられるのですね。私は、こう、新聞を皆、あなたの発言語録を皆持っているのです、たくさん。そのことの中で、ずっと、毎日の経過が非常に矛盾に満ちているわけでありますし、当日はまた予算委員会がなかったわけでありまするから、この点、いろいろ喧騒にわたるような場合がたとえばあったにしても、私なら会う。私も、やはり自由とは、ある意味ではお互いに拘束された一つのルールというものがあって初めて自由だということはわかりますよ。わかりますけれども、私は、環境庁長官という立場、あなたが水俣病に対して寄せている深い同情と理解と対策に対する方針、それらのことを考えてみると、あなたの行動が私はやはり余りにも感情の安定性というものがなかったのじゃないかというように考えておりますので、その点についての見解を最後に聞きたいと思います。
#32
○国務大臣(石原慎太郎君) 私は私なりに冷静に考え、判断して行動したつもりでございます。
#33
○寺田熊雄君 関連。
 石原長官のいまの宇井純さんや川本さんとの面会のことをいろいろ私も伺って、長官はよどみなくお答えになるけれども、何か私はそらぞらしい印象をどうも禁じ得ないわけで、あなたが本当に公害行政に熱意をお持ちになり、そして本当に水俣病の患者を救おうという、そういう気持ちを持っていらっしゃって、そしてそれを、そういう行政を前進させようと思えば、なるほど面会する場合にはアポイントメントをとってくれと、それが世間の常識だということはわかるけれども、しかし、そのアポイントメントをとらなければ会えないというその形式をどこまでも固執して、どうしてもそれがなければ会えないとおっしゃるのか。それとも、場合によっては、そういう社会的な儀礼というか、ルールというか、そういうものを越えても、もっと大切なものがあると、そういう場合があることを肯定なさるのか。どちらなんです。あなたが本当に水俣病の患者を救おうという御熱意があるならば、そういう悩める大衆の声をくみ取ろうと、きょうはアポイントメントがなくたって会う時間があるんだから会おうと、あなた方は二時間と言われるけれども、それじゃ十五分にしてくれ、会いましょうということがどうしても言えないのか、どうなんです。
#34
○国務大臣(石原慎太郎君) 私は、しかし、陳情も含めて面会というものは、原則的にはやはり約束をして時間を決め合って会うべきものだと思います。しかし、世の中にどんな事態が起こるかわかりませんし、お医者さんで言えば急患が飛び込んでくるということもあると思います。それは私なりに判断いたしまして、すでにほかの用事がありましてもそれを差し繰ってお目にかかることをいたしますし、また実際にこのグループの方々と最初にお目にかかったときも、そういう判断で、時間を仕切ってお目にかかりましたが、時間も一方的にオーバーされ、どうもそれほど実のあるお話し合いが、こちらも就任早々でございましたので、できませんでした。ですから、こちらも準備をし、できるだけ長い時間お目にかかって実のある話をしたいために、一方的に、何月何日の一時から三時まで行くと言われましてもそれは困りますから、とにかく改めて時間を取り合ってお目にかかりましょうということを二度通告し、お願いしたわけでございます。
 ですから、この急患という判断の例が、これ、当てはまるかどうかわかりませんけれども、私はそのときは、やはりああいう形であの方々にお会いすべきでない、その方が私はよろしいと判断したのでお目にかからなかったわけでございますけれども、しかし、これから先、どういう事態がどういうときに起こるかわかりませんが、私の判断で、これはもうほかを差しおいても会うべきだと思ったときには、これは当然お目にかからさせていただきます。
#35
○寺田熊雄君 大変恐縮ですが、もう一言。あなたが文春の記者に、水俣病の患者の中にはにせの患者があるというような趣旨のことを語ったという点の問題なんですけどね。文春とか文芸春秋とかいうのはもう日本でも一流の雑誌なんで、その記者がそんなにあなたの言わないことを書いちゃったなんということはとうてい信じられないわけですよね。あなたはそんなこと言った覚えはないと。それじゃあなた、が正直に語っておられぬか、あるいはうそをついていらっしゃるか、それとも文春の記者がとんでもない錯誤をして、あなたの言われないことを書いちゃったという大きな過ちをしたか、どちらかなんですよね。問題はきわめて重大なんですよ。
 この問題についても、さらにまた深くあなたに御質問申し上げたいと思うけれども、きょうは青木理事の御質問時間に飛び入りしたわけですから、きょう、私、これ以上申し上げませんけれども、この問題についてもまた記憶を喚起して、私どもの納得する御答弁をいずれいただきたいと思います。
#36
○国務大臣(石原慎太郎君) 文芸春秋の記者、いろんな方がいらっしゃるでしょうけれども、それは聞き間違いもおありと思いますが、私はそのようなことを申しておりませんし、また、そのようなことを断定的に申し上げる根拠を持っていないわけでございまして、そのようなことを申しておりません。ただ、先ほど青木先生にお答えいたしましたように、そういううわさと申しましょうか、そういうことを論評する人がいるということを、どのように表現したか存じませんけれども、詳しくは覚えておりませんが、そういう意味のことを私はそのときには申しました。
#37
○青木薪次君 先ほどの答弁の続きでありますけれども、当日の午後二時に、記者諸君には発表していなかったけれども、実はのどを痛めておって、お医者さんのところへ行くことになっておったということを言われたわけです。で、そのときに、私は、過激な運動を伴うテニスをやっておられたということと非常にそぐわないんじゃないかというように考えるんですけれども、この点、私は常識的にあなたの発言の中に矛盾を感じます。この点いかがですか。
#38
○国務大臣(石原慎太郎君) 私は喫煙をいたしませんので、予算委員会の非常に紫煙もうもうたる部屋におりましてのどを痛めたわけでございます。のどをそういうふうに痛めましたら正常な空気を吸うにこしたことございませんが、その前に、一応声も何かかれてまいりましたので、どのような状態であるかを医者に診断してもらいに行ったわけで、別に大したことはない、たばこを吸わないからこういうことになったんでしょうと、平常に行動しておればそのうちに治りますよと言われて帰ってきたわけでございまして、その後、先ほど申しました事情で時間があいたことになりましたのでテニスをしたわけでございます。
#39
○青木薪次君 長官への投稿による文面に、あなたがこの間、いろいろ環境行政について世論に訴えたあの文面にあらわれた内容と、公害環境に対する長官の行政姿勢のギャップに、国民が実はいま驚いていると思うんです。これらの点について、私は、おたくの環境庁で発行したこの「かんきょう」の中に、あなたが、私どもが言いたいようなことを言っておられるんですね。たとえば「日本人が過去百年、いわば民族の悲願として追求し成就して来た経済立国は、ある意味で世界史に例のない短期間におけるおそるべき経済成長を成しとげはしたが、その最後の拍車は、産業時代の終ろうというべき一九六〇年代に、最も悪しき所産として怖るべき荒廃を自然を含めて人間にとって形而下形而上両面の環境にもたらしたといえよう。その蘇生と防止はこの歴史の曲り角、文明の転換期に、我々がいち早く新しい価値観を発見造成し、それによって、環境問題の基因となっている心理的文明的遅滞を埋めることによる以外にない。」と、こう言っているんですよ。この「心理的文明的遅滞を埋める」ということは、これを埋めるような行為、すなわち行動がなけりゃならぬと思うんです。「私たちは今改めて、人間の人生にとって何が最も本質的な意味を持つかということを考え直す時に来ている。」――私もそう思います。
 そういうときに長官のやっておられることが、少し人数が多かったとか声が大きいとか何とかということでもって、三月十七日の新聞にもありますけれども、「環境庁が門前払い 石原長官に面会求めた反公害グループに」という見出しの記事の中に、川本輝夫さんや消費者連合会の飯島春子さん、東大自主講座のメンバーら反公害団体代表約二十人が、十七日朝、境境庁を訪れて石原長官に面会を求めたけれども、環境庁側はこれを拒否し、鉄とびらをかたく閉め、庁内への立ち入りを一切禁止して厳戒体制のまま。時間だけがじりじりと過ぎていくと。川本さんたちは、すでに石原長官に出している環境問題に対する基本姿勢を問う公開質問状に回答をもらうために訪れたということでありまして、先ほど申し上げましたように、先月二月の二十五日にも面会を要請したが断られた。長官室を二時間にわたって占拠するといういきさつもあった。そして、その占拠中に抜け出して石原長官がテニスをしていたという問題。こういう過激な行動を恐れた環境庁側は、この朝、同庁が入っている霞が関の第四合同庁舎の入り口をほとんど閉鎖した。警備員が入庁者を一々チェックした。そして、麹町署、警視庁からも警戒の警察官十数人が庁舎を固めたということが書いてあるわけです。
 しかし私は、こういうようなことまでして厳戒体制をとるような内容でない、また事柄でない。しかも、この水俣病問題というものは、私たち一億国民が何とかして対策を講じてやっていきたい。きのうも沢田熊本県知事が来て、国のいわゆる委託事務のような形でやっているこの認定業務というようなものについては限界に来た、これをひとつ国に返上したいということまで実は言っているわけでありまして、こういうときに、従来のように開かれた、しかもすがすがしい気持ちで環境庁長官とも会える、少しのわがままぐらい聞いてやろうというようなことで私は今後の対処を求めたい。よく北風と太陽ということが言われますけれども、私は長官のやっていることは北風のたぐい、いわゆる暖かく太陽を当てることによってちゃんと気持ちも非常にリラックスをしてくる、問題は非常にいい方向に発展するというように私は信念として考えているわけでありまするけれども、いわゆるこの硬直した姿勢の中には、公害問題に対処する一つの方針というものから問題の解決というものはあり得ないと思うんでありまするけれども、この点いかがですか。
#40
○国務大臣(石原慎太郎君) 三月十七日の入門規制云々につきましては、私、つまびらかにいたしませんが、原則として合同庁舎のそういう措置は環境庁の所管ではなしに、どういう方々がどういう判断でそういうことをされましたか、必要あらば政府委員からお答えさせていただきますけれども、先生の御提案につきましては、私、十分それも勘案さしていただきまして、今後の姿勢というものをできるだけ世間も納得し、陳情者の方々も納得し、私たちも納得できて、面談、陳情の実を上げることができるような形にしていく努力をするつもりでございます。
#41
○青木薪次君 夕べの夕刊に「水俣病認定業務返上も」ということで、熊本県は環境庁の回答に不満を示している。それからけさの新聞には、「患者救済に新方式を」ということで環境庁に申し入れたけれども、長官は、「できるだけ早く検討し、県と合意にこぎつけるようにしたい」ということでありまするけれども、これは水俣方式とも言うべき患者救済制度を打ち立ててほしいことと、昨年末、違法不作為確認判決を受けたけれども、県の財政の現状から、多額の負担はとうていできない、国のもっと積極的な姿勢を期待するということと、当面最も基本になるのは、現在の不作為状態を具体的にどう解消していくかという問題と思うと。私もそう思います。したがって、この点に対する長官のひとつ方針をお聞きいたしたいと思います。
#42
○国務大臣(石原慎太郎君) 県知事は、おとといでございますか、環境庁からいたしました回答に非常に御不満でございました。しかし、環境庁としては、その時点でああいう公開された文書としてはできる限りの具体案というものを、たとえば認定基準をいつまでを目途にしてつくりたいとか、財政の熊本県に対する過剰な負担を軽減するために関係省庁と話し合って特別交付金等の問題についても考える努力をするというようなことを申し上げたわけでございます。そのほか、この段階で具体的には申し上げられないような案もあり得ると思いますし、県が申し込んでまいりました四項目の申し入れにつきまして国ができる限りの努力をし、具体的に何らかの方策を講じ、現在の渋滞というものが少しでも動き、問題の解決に一歩でも二歩でも近づく努力をできるだけ積極的にするつもりでございます。
#43
○青木薪次君 あと三十秒しかありませんから、その間に要望をいたしておきます。
 先ほど、憲法は守っていくし――憲法に対しては閣僚の一人として、このすぐれた今日の民主平和憲法については私は長官もなじんでいるというように理解しておりますし、また環境庁長官として、公害対策等についてはいろいろ世間で言われているような批判というものは自分は実は持っていないという立場に立って、より具体的、より現実的に、しかも前向きの姿勢をもって対処するということを回答されたと私は思いますので、そのことを確認いたしまして今後の長官の姿勢を見守りたい、こう思っております。以上です。
#44
○国務大臣(石原慎太郎君) 御理解いただきましたとおりでございまして、その姿勢で問題を具体的に解決する努力を精いっぱいするつもりでございます。
#45
○宮田輝君 長い寒い冬もようやく終わろうとしております。窓の外の景色も一ころとは大分変わってまいりました。東京では桜の花もそのつぼみが少し色づいてきたような昨今でございます。先ほど、向こうからこの部屋に参りますときにも、ついこの外を通ってここへ来たくなるような、そんな時候を迎えたわけでございます。
 本委員会は、公害対策及び環境保全特別委員会、こういう名前でございますけれども、私は、公害対策あるいは環境保全と言っても、その大もとは環境にあるんじゃないかというふうにも考えるわけです。人間と自然環境とのかかわり合いというのが大変大事であるということを感じている一人でございますけれども、長官の所信表明の中で、わが国の豊かな自然と美しい国土を保全整備し、これを次の世代に伝えていくことは環境行政に課せられた大きな使命と思うと、豊かで美しい自然こそ子孫に贈る最大の遺産である、このため長期的かつ総合的見通しのもとに各種自然保護施策を推進すると、こう述べておられるわけでございます。私も全くこれは同感でございます。当然、今後一層自然環境の保全に力を入れるべきだと考えるものでございます。普通、人間は一人では生きられないというふうに言われております。もっと考えれば、人間は人間だけでは生きられないんではないかと、こう思うわけでございます。たとえば人間を取り巻く自然環境を保護するということは、人間自身を守ることになるんではないかと、こう思うんですね。で、長官の、自然環境人間との望ましいかかわり合いについての基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
#46
○国務大臣(石原慎太郎君) 大変むずかしい御質問でございますが、人間と自然との望ましいかかわり、これは物理的な条件もございましょうし、ある意味では精神的哲学的な条件もございましょうが、いずれにしましても、私たちがある自然環境の中で、それを特に意識しなくとも、実はそういう環境にあることで、無意識のうちに健全な精神が発揚され、美しい情操というものがはぐくまれる、そういう関係というものが私は望ましいと思いますし、また日本の独特の文化と伝統というものも、非常に変化は激しくともそれぞれ美しい特性を持った日本の四季、四季を支えている環境によってでき上がってきたと思います。
#47
○宮田輝君 先ほどもちょっと話題になりましたけれども、感覚的暴力という言葉自体、耳新しく感じたんでございますけれども、まあ人間の環境づくりに長官が大変熱意を示されたというふうに私自身は思うわけでございます。で、その感覚的暴力についてちょっと御説明をいただきたい。
#48
○国務大臣(石原慎太郎君) それだけ申しますといろんなとられ方があると思いますけれども、私がそういう提案をいたしました中に具体的な例が幾つかございまして、その例を総称してそう呼んだわけでございますけれども、たとえばきのうもその問題の懇談会がございましたが、調べてみますと、都条例にもすでにはっきりと航空機からの宣伝放送というものは禁止されておるわけです。あるいは四メートル以下の幅の道路では、自動車による拡声機は禁止されております。自動車による拡声機もいろいろございますけれども、たとえば一時期など、選挙のときのあのまことにやかましい非文化的な連呼というものは、戦後のある時期禁止されておったんですけれども、いつの間にか復活いたしましたし、その種の音の一種の公害、あるいはせっかく東北線なり地方の線路を走って、車窓から美しい原野をながめておりますと、まあ新しくても問題があると思いますけれども、もうぼろぼろになった看板に商品の広告が記されている、それだけで千本木を切るよりも視覚的には環境が破壊されたと映ると思いますし、その種の要らざる、何といいましょうか、環境を視覚的にもあるいは聴覚的にも阻害している、そういったものを、私はまあ感覚的な暴力と呼んだわけでございます。
#49
○宮田輝君 いまのお話のような、また、これも長官がはやらせたような言葉ですけれども、アメニティという言葉がございますが、そういう方からいって、それは排除した方がいいというような合意を得るのに、長官としてはどんなことをお考えでいらっしゃいましょうか。
#50
○国務大臣(石原慎太郎君) 実は、私個人としても、感覚暴力と呼んだその種のよけいな音なり視覚的な來雑物というものを、私の感覚では耐えられないと思っておりましたが、もうすでに各県の条例なり都の条例でそういうものを排するという条例があるわけでございます。ですから、これを運用をいかにするかということで、何もいまやっております生活の環境の快適性の問題に関する懇談会が答申を出して、それを環境庁が各都道府県へ通達するといった形ではなしに、むしろそこでこういう討論が、それぞれの世界で代表的な感覚豊かな方々によって討論され、しかもそれが決して先走りしたものでなく、私、試みに行いました投書で、やはり一〇〇%とは言いませんけれども、九五%以上の方々が賛意を示してくださいましたように、懇談会の意見そのものが世論を代表するものだと私は思います。
 そういう意味で、また何らかの方法で、これをできるだけ多くの大衆、国民の皆さんに知っていただきまして、できれば新しい形の住民運動、市民運動として、市民の方々が自分の手で、この看板は要らない、あるいはこの音は自粛してもらおうじゃないかということを呼びかけ、地方自治体というものを動かして、死文化している条例というものを住民、市民の手で動かしていただければ、私は民主的に一番納得のいく形でその種のものが排除されていくんではないかと思っております。そういう意味でも、新しい住民運動がそういう問題について起こってきてほしいなと思っているわけでございます。
#51
○宮田輝君 懇談会のお話もございましたけれども、いわゆる有名な方々がいろいろ意見を述べられる、大変大事なことだと思いますし、それも世論だと思うんです。思うんですけれども、おっしゃるように、地域の住民の方あるいは一般市民と言ってもいいと思いますけれども、一般の方の意見を長官もたまにはお聞きになった方がよりいいんじゃないかというふうにも思います。いろいろ行くところもいっぱいあるし、陳情も多いし、寸暇もないということはよくわかるんでございますけれども、この環境の問題というのは、一部の人たちの問題ではなくて全国民の問題である、あるいは全人類の問題と言ってもいいかと思うんでございますので、いろんな意見をぜひ聞かれて御判断をいただきたい、こう思うんですね。
 で、この前の前でしたか、私、ここで、都市緑化の点についてちょっと提言を申し上げたわけでございます。たとえば道路ができる、道路と一緒に緑がやってくるというようなことが考えられないんだろうかということを申し上げたわけでございます。これは前長官のときでございましたので、石原長官の都市緑化についての考え方をちょっとお伺いしたいと思います。
#52
○国務大臣(石原慎太郎君) 実際問題はこれは建設省の所管のようですけれども、しかし環境問題というのはやはり環境庁の仕事でございますし、たとえばこの間、四十三号線を視察いたしまして、あそこは非常に地獄的な様相をはからずも今日呈するようなことになりました。できたときは非常に閑散とした道路だったようですけれども、数年たたずにああいう惨状になりまして、おくればせながら一車線つぶして緑地帯をつくっております。これはもう本当に先生おっしゃるように、こういう苦い経験を踏まえて、建設省もこれから道路をつくるときには、おっしゃられたように、道路ができることで新しい緑が来たというふうな、その新規の発想での道路計画というものをつくってもらいたいと思いますし、また、いま上程しようと思って努力をしておりますアセスメント法の中にも道路というものは対象になっておりますので、そういうものを勘案したアセスメントというものが行われるべきだと思います。まあ道路に限らず、日本の都市の緑地帯の比率というものは非常に少ないわけでございまして、都市の再開発というのは、非常に大きな問題がいろいろあると思いますけれども、これはやはり生活の環境の快適性ということは、何よりもまず緑というのがだれでもの連想でございますので、環境庁といたしましても、機会のあるごとにそういう勧告、勧告と申しましょうか、意見を関係省庁に強く述べさせていただきたいと思っております。
#53
○宮田輝君 道路と一緒に緑がやってくるというのは象徴的に申し上げたわけでございますが、ぜひひとつ、いまの長官のお話のように、緑を大切にしてほしいと思うわけでございます。
 そのときもちょっと申し上げたんですけれども、たとえばビルディングのオープンスペースというようなことについても、何らか積極的にお進めになってはいかがかと思うんですね。建築基準法というのが建築の方にございますけれども、都市緑地保全法というのが昭和四十八年につくられております。この都市緑地保全法によってこういうふうになりました、あるいはこういう結果を見ておりますということを、大まかで結構でございますが、その後いかがでございましょうか。
#54
○政府委員(信澤清君) 実はこの法律も、先生御承知のように建設省の御所管でございますので、私ども実施状況をつまびらかにいたしておりません。しかし、全部の県と申しませんが、東京近郊で申しますと神奈川県あるいは茨城県等々で、都市計画とあわせてこの法律の運用についてきわめて熱心にやっておられるということを聞いております。たとえば、これは法律自身が規定いたしておりませんが、神奈川県では緑地を残すために、所有者に負担がかかるわけでございますが、まあ金額はわずかでございますが、それに対して若干の補償的な費用を払う、あるいは奨励的な費用を払うというようなことを一部においてやっておられます。
 それからまたあの法律の中で、緑化協定を住民と地方公共団体の間で結ぶということがございますが、これにつきましては東京都内でも、たとえば世田谷で、マンションができるというような問題を契機にして緑化協定が結ばれてきている、こういうことで、非常に華々しく動いているという状況のようには私ども見受けておりませんが、着実に効果を上げつつあるというふうに考えております。
#55
○宮田輝君 この間の新聞報道でございますけれども、「知床の自然保護地主」という大きい見出しでございまして、北海道の知床国立公園を抱える斜里町役場が、公園内にございます私有地を乱開発から守るために、土地買い上げの財源などとして一般から寄付を仰いでいるということがございました。つまり、これによりますと、原野を一区画百平方メートル八千円で分譲――といってもこれは売るわけではなさそうでございまして、精神的に地主になってもらうということなんでしょうか、土地は、その代金などで町が買い上げて植林し、緑をふやし、自然の再生に努めるということでございます。町長さんの言葉としては、知床の自然を守るという夢を買ってもらうということでございますがね。ところが、こういうことでもずいぶん問い合わせが来ているということなんですけれども、いかに自然について多くの人々が関心を持っているか、あるいはそういう方々がふえてきているかということを物語っていると思うんです。政府として国立公園の保護、それから公園内における私有地の買い上げなどに対して、今後どういう姿勢で臨むおつもりなんでしょうか。一度開墾されたところは国の買い上げの対象にならないということでございますね。
#56
○政府委員(信澤清君) お話のように、現在、私ども民有地の買い上げ制度というものを持っておるわけでございまして、毎年度買い上げ額で六十億円を予定いたしております。これは交付公債で処理をいたすわけでございます。
 で、いまお話ございました知床の斜里町のお話でございますが、実は数年前に、これが土地買い上げの対象にならぬかというお話があったことはございますようでございますが、当時は買い上げの条件等非常に厳しゅうございまして、ちょっと対象にならぬではないか。特に、今日とは情勢が変わっておりまして、当時は町が土地を取得いたしまして、いわゆる植林と申しますか、森林経営をやる、こういうお話でございましたので、ややそういう点ではなじみにくい、こういう判断をいたしたようでございます。その後ずっとお話がございませんで、実はいま先生お挙げになりましたように、私ども新聞記事を見て初めて知ったわけでございますが、そのつい数日前、斜里町の町長が私のところに見えております。しかし、お話は出ておりませんでした。で、どういう経緯かその後調べたわけでございますが、道庁その他とも御相談した結果、いずれにしてもどうも買い上げの対象にならぬようだ、そこで町が大変無理をして、離農された方々とお話し合いをして土地の買い上げを始めたということのようでございます。ただし、いま申しましたように町の財政事情も非常に苦しいわけでございますので、最近知床を訪れる方もたくさんあるわけでございますので、そういった方々の御関心も深めていただく、同時に協力もしていただく、そういう意味で、いまお話しのように、百平米程度の区画ごとに土地代と植林の費用を含めて八千円ということに決めているようでございますが、そういう運動を始めたのだと、こういうことを言っております。ただ、現在のところ三十ヘクタールぐらいでございまして、あと百六十ヘクタール残っております。したがって、残り百六十ヘクタールの問題について、いまの国民の善意によるという方法も一つの方法かと思いますが、国として何か援助、協力する余地があるかどうかただいま検討をいたしておりますので、検討の結果、案がまとまりますればまた御報告いたしたいと思います。
#57
○宮田輝君 何か火星の土地を買うような、そんな感じすらするんですけれども、それでもなおかつ国民は関心を持つということでもございます。長官、一言この件について御所見を聞かしていただきたい。
#58
○国務大臣(石原慎太郎君) 日本の国定公園と国立公園は非常に公有地が少のうございまして、国ができるだけ私有地を買い上げるという方針ですけれども 財政的に逼迫してなかなかそれがかなわない。こういうときに斜里町が新規のアイデアで自然保護をされるということは、大変国の力の及ばないところ、ありがたいことで、できればあちこちにこういう運動が起こってくることを、私は国の財源に限度がある限り自然保護という抜本的な目的のためには結構なことだと思います。
#59
○宮田輝君 長官は所信の中で、「政府国民一体となって、懸命な公害防止努力を継続してまいりましたが、今日、これらの努力は着実にその成果を上げつつあると思います。」と、こういうふうに述べていらっしゃるわけでございます。で、その着実に上げつつある成果というのは、ぜひ理解し、協力した国民にはっきりわかるように私は知らせてほしいと思うんですね。そうしないと、協力のしがいがない。いまの恐らく百平方メートル八千円で夢を買った方々も、それによってそこがどうなったかということは当然これは知りたいことだと思うんです。それは斜里町のことかもわかりません。しかし、国立公園でもあるということもございます。また別にほかの問題でもいろいろと協力をして、たとえばこんなふうに環境は守られております、おかげさまでと、そういうようなことは長官ならばきっとやってくれるんじゃないか。そういうお知らせというのは私は大事なことだと思うんですけれども、この点いかがでございましょうか。
#60
○国務大臣(石原慎太郎君) おっしゃいますとおり、環境問題に対して国民あるいは行政が一緒になってやってきました成果は、まだ及ばないものもございますけれども、かなり実績を上げたものもあると思います。そういう意味で、それを宣伝というよりもキャンペーンすることは、これからの問題に対する国全体の姿勢をつくる意味で大変重大だと思いますし、それが決して十全なものとは思いません。そういう意味で、今度環境協会もつくらしていただきましたし、そういう組織を通じ、あるいは他の方法を通じまして、先生御指摘のようにそういうキャンペーンというものをできるだけ行って、国民に環境問題に対する現状の認識というものを、他の外国とも比べながら持っていただくような努力をしたいと思います。
#61
○宮田輝君 長官おっしゃるように、行政の努力は当然大事でございますけれども、国民一人一人が環境保全の重要さについて、より一層意識するということはきわめて大事なことだと思うんですね。ですから、成果についてお知らせするのは当然だと思いますし、環境保全についての啓蒙などを、もっと、私どもに気がつくようにお進めになったらどうかと思うわけでございます。そういうためにどのくらいの予算措置を毎年度講じてきたか、ちょっとその辺を伺いたいと思います。
#62
○政府委員(金子太郎君) 実際、先生の言われますとおり、環境問題解決のためには、国民の理解と協力が不可欠でございます。私どもも、及ばずながらPRやってきたつもりでございますが、いままでのところは、予算計上額といたしましては、昨年度まではおおむね一億円程度でございまして、その大半は、年に一回、六月の上旬に環境週間というのがございますが、その環境週間を中心とする広報宣伝費でございました。五十二年度からは、それでははなはだ不十分であるということで、財団法人の日本環境協会を新たに設立いたしまして、その環境協会関係の予算として八千万円、ほかに総理府関係の広報費などの移用などによりまして、環境協会は、恐らく五十二年度の事業費は二億円を超えることになろうかと思います。したがいまして、五十二年度だけで申し上げますと、予算額はおおむね三億円程度というふうに考えております。
#63
○政府委員(信澤清君) 先ほど、斜里町の問題について御答弁の中で間違っておりましたので、訂正さしていただきたいと思いますが、数年前、斜里町から御相談がありましたとき、森林経営を目的とするようなことを考えておったというのは間違いでございまして、実は、たとえば国民宿舎をつくるとか、いわば公園利用のための施設をつくりたいと、そのために土地が云々と、こういうお話だったようでございますので、訂正さしていただきます。
#64
○宮田輝君 いま官房長から、五十二年三億円ぐらいになろうかということでございましたけれども、長官、どうですか。私は金額にそうとられるものではございませんけれども、余りにも金額も、……。国民の生活を守る、あるいはその快適な生活をさらに生み出していきたいというときに、実は、総理府広報室のこの調査で「森林と自然保護」というところがあるんですけれども、これも「自然を大切にしていくために必要だと思うもの」という項目の中で、「自然の大切さをPRする」というのが一〇〇%のうちの五四%と、一番多いんですね。ちなみに二番目が「指導員や監視員を置いて教育・指導する」というようなことが二五%と出ております。これは林野庁との協力のようでございますので、そちらの方ではありますけれども、いかに自然の大切さをPRするということが大事であるかということが、こういう調査でも出ているわけですね。そういうときに、何かもう少しがんばってほしいという気がするんですが、いかがでしょうか。
#65
○国務大臣(石原慎太郎君) 五十二年度の予算につきましても、先生方のお力添えをいただいたわけでございますけれども、やはりこれではとても足りませんし、たとえば今度の環境週間のポスター、いままでの実態を調べましたら、お金がないので印刷所に頼んで、だれがつくったかわからない環境週間のポスターで、先生方ごらんいただいても余りみごとなものとは言えません。今度、若い優秀なデザイナーに頼みまして、二つ案がありまして、二つとも採用しようと思ったら、どうも予算がなくて一枚になりました。いま総理府にかけ合って、広報室の方から何とかこの予算をもらえないかと思って交渉中でございますけれども、一事が万事、本当に、おっしゃるようにそういうPRがもう非常な効果を果たし得るのに、まあアイデアだけあってもお金が伴わないというのが現状でございます。五十三年度はまたひとつお力をいただきまして、こういったPRの予算がもう少しでもとれますようにお力添え賜りたいと思います。
#66
○宮田輝君 感覚的暴力の中にも醜いポスターなんかがきっと入るんじゃないかと思いますから。(笑声)どうかひとつ環境をよくするためのPR活動、その方法なんかも慎重に、心豊かな人間社会づくりのためになるような御努力をいただきたい、こう思います。
 最後に、先ほど官房長から、日本環境協会というお話がちょっと出たんでございますけれども、これはまだ発足しているわけではございませんね。その目的は何ですか。それだけお聞かせください。
#67
○政府委員(金子太郎君) 日本環境協会は、ことしの二月の末に設立発起人の総会を開きまして、正確な日、ちょっといま失念いたしましたが、今月の中旬に設立の認可をいたしました。したがいまして、発足して十日目ぐらいの現況でございます。
 また、その目的でございますが、先ほどからもお話がございましたように、どうも私どものPRが十分とは言えない状況でございますし、またこれを本腰を入れてやるためには、どうしても定員などを確保しなければならないんですが、現在、役所の定員を確保することは非常にむずかしい状況にございますし、またPRの能力のある人を役所で確保することはもっとむずかしいというような事情もございます。その他、日本では役所の広報というものはそもそも非常にむずかしいというような御意見も強くございまして、あれこれ考えましたあげく、これをやるには公益法人をつくって、そこに適材を自由に集めて、そして環境問題の重要性とかあるいは環境政策の成果、国民が、これだけ努力したらこれだけよくなったというようなことをもっともっとわかるようにするという、そういうようなことを公益法人にやらした方がいいんじゃないか、こういう結論になりまして、そこで公益法人の設立に踏み切りまして、それに対する、環境協会に対する委託費を環境庁としても毎年確保していくし、また、総理府の広報室で、かなり大きな政府全体の広報費というものがございますので、その中で、環境関係で使うに適当なもの、実はこれはアイデアさえいいのを出していけばかなり使わせていただける情勢にございますので、そういうアイデアのいいのをどんどん出して環境協会に委託していただいて、重点的な広報をやっていく、こういうことを考えたわけでございます。
 もちろん広報だけが目的ではございませんで、その他環境問題に関しましては、研修とか教育とかいうような分野もかなり立ちおくれております。で、私ども大それたことを考えているわけではございませんが、現場で研修なり教育なりに当たっておられる、たとえば小、中、高等学校の社会科関係の先生方は、基礎的な資料を入手されるのにすら非常に不自由しておられる。ですから、そういう方々に、環境白書などに出ておりますような資料を、使いやすいような形にアレンジして全国に配付するとか、必要に応じて新聞社の論説委員みたいな方々を委嘱して研修会を開くとか、そういうようなことをやっていくことを考えております。
#68
○小平芳平君 きょうの私の時間がきわめて限られておりますので、具体的な問題はまた別の機会に質問したいと思います。
  〔委員長退席、理事青木薪次君着席〕
 で、きょうはこの開かれた環境庁ということと、それからそれに関連しまして環境影響評価法案等について若干質問したいと考えます。
 石原環境庁長官は、先ほど来の青木委員からの質問に対していろいろ答弁なさっておられますが、福田内閣が出発されるときに、石原さんが環境庁長官に就任された、それはどういうことを期待されて就任されたんですか。
#69
○国務大臣(石原慎太郎君) 私なりに努力いたしまして、遅滞している問題がたくさんまだございますので、こういった問題をできるだけ早期に具体的に解決する、その仕事を積極的に行えという御期待だと思います。
#70
○小平芳平君 それはそうだと思いますが、開かれた環境庁ということで、歴代の環境庁長官、いろいろその長官の立場とかその考え方とか、そういうことによって若干の相違はありましょうが、開かれた環境庁として今日までやってきた。さらに、それをより国民に開かれた、そういう環境行政をより一層推進するということが石原長官の考えだったのか。しかし、それにしては陳情のルールをつくるとか陳情を非公開の原則にするとか、何か逆の方へ走っていってしまっているんではないか、そういうふうに感じますが、この点はいかがですか。
  〔理事青木薪次君退席、委員長着席〕
#71
○国務大臣(石原慎太郎君) 私は、役所はやはり開かれたものであるべきだと思いますが、それが過度にわたりまして役所の仕事そのものが阻害されたり渋滞したりすることは、やはり国民のために避けられるべきだと思います。そういう意味で、陳情も、決してこれは言葉のあやで――私は最終的に確認をさしていただきましたけれども、陳情は公開にするか非公開にするかということは陳情者の意思によるというふうにさしていただいたわけで、いままで私の役所で行われました陳情というものは、陳情者の意思をそんたくすることなく、慣例として記者の立ち会いということでございました。それですと、実は言いたいことが言えないという方がたくさんおられまして、役所でないところで陳情したいという申し込みがあり、実際にいままで慣例と申しましょうか、原則をひそかに破る形で陳情をよそで受けたことが多々ございます。私は、やはり役所を出たり入ったりするよりも、あそこで、政府委員もおりますし、私のわからないときはすぐ政府委員が参りましていろいろ説明もし、できるだけ詳細な事情の聴取をすることが仕事だと思いますので、それが公開という形で阻害されるならば、やはりそれを公開にするか非公開にするかということは陳情者の意思によるべきだと思いましたので、そういうふうにさせていただいたわけでございます。
 それから陳情のルールといいましても、これは何も法律のようなものをつくるわけじゃございませんで、ごく世間で通りました、約束を一応時間的にし合う、それから約束した時間は時間内に守っていただく、それからどなたとお話ししているか、名刺を出していただかないにしても名前はちゃんとこちらで伺いたい。それから、問題によってはそれぞれ御不満、御不安はあると思いますけれども、できるだけ冷静に紳士的にお話し合いをしたいということを、これは普通の開かれた自由社会の黙約でございますけれども、それが残念ながら破られるといいましょうか、守られないケースもあるならば、これを一応文章にして確認し合うということも必要ではないかということで、陳情の面会のルールという表現をしたわけでございます。
#72
○小平芳平君 いろいろの御説明は、先ほど来私伺っておりましたので、率直にお伺いしますが、長官としては、では従来のやり方がきわめて環境庁のためによかったと、こういうふうにいまお考えになるか、それとも新聞にも報道されておりますが、「私達は「開かれた環境庁」をのぞむ」という、こういう意見、二月二十五日の混乱は、長官は事務局に手落ちがあったように言っていると、そういうことに対する内部の批判が載っておりますが、ごらんになりましたか。
 あるいは、「今回の一連の不祥事は新長官の排他独善ともとられる姿勢と、これをゆるし、これまでのよき伝統をくつがえした一部幹部の長官迎合主義に責任があることはれき然としています。」というふうに言っておりますが、そういう意見が出てきていることは御承知だと思うんです。それに対して長官は、何かこれはいままでは欠けている点があったから直していこうというふうに考えられるか。それとも、従来大変いいことをやってきたというふうに考えていらっしゃるか、お伺いしたい。
#73
○国務大臣(石原慎太郎君) 人によっていろいろ見方もあると思いますが、私、決して独善で決めたわけでございませんし、役所のスタッフと相談いたしまして、何も幹部だけではなしに、一般の職員の仕事の能率効果と申しましょうか、それがひいては国民のために仕事しているわけでございますから、その仕事の効果を上げるためにも、最低限これだけの一般社会で通っている黙約というものをもう一回確認することが必要ではないかということで合議いたしまして、その線で姿勢を打ち出したわけでございます。私は決して役所を閉ざすつもりはございませんけれども、しかし先ほど申しましたように、陳情者の意思をそんたくすることなく一方的にそれを公開するとか、あるいは世間の常識では通らない形での、これ、先ほど申しましたように、お医者さんの急患のケースに当てはまるものなら別でございますけれども、そうとはみなせないようなケースで、しかも常識的な黙約というものを守らずに行われる陳情というものは、やはり役所の秩序のためにもまた対社会的にも好ましくないと思いましたので、そういう慣例を結果としては変えたことになったかもしれませんが、そうさせていただいたわけでございます。
#74
○小平芳平君 いや、私が伺っているのは、二月二十五日の混乱は、石原長官に責任があるんじゃなくて事務局の手落ちだったということなのか。それが一点です。
 それからもう一つは、排他独善ともとれるような姿勢ということは、開かれた環境庁が閉鎖的なものになったというふうにとられている点。この二点についてのお考えと、そして、いままで長官がやってきたことがちょっとトラブルが多過ぎやしないかというふうに私は思いますが、大変結構なルールづくりをやったというふうにお考えか。いかがですか。
#75
○政府委員(金子太郎君) 先に恐縮でございますが、一、二言わせていただきたいと思いますが、二月二十五日の件は、長官がおれは会わないと言われたのを現場の方で陳情者に伝えますときに、いないと、こういうふうに答えております。いないと答えさしたのは私の責任でございますが、そのいないということで、いわばていよく、あるいはスムーズに事を運ぼうと考えたのが悪かったのかもしれませんが、ところが、いるらしいということになって、いるなら会わせろと、こういうことで混乱が起きたわけでございまして、その点ははなはだ遺憾であったというふうに考えております。
 それからもう一つ、陳情の問題について私どもの方から一言言わせていただきますと、環境問題につきましては、オイルショックの前後で少し局面が変わっているように私ども考えております。オイルショックまでは、環境問題というのは白か黒かというようなものが多くて、私どもも正義の味方として黒を切り捨てる。陳情においでになる方も、あれはけしからぬからやめさしてくれというようなことで、全くそういう方ばかりで比較的スムーズにいくといいますか、やりやすいとも言えるんですが、そういうことが多かったように思うんですが、石油ショックの後、不況が続き、雇用問題、失業問題が深刻化してまいりまして、また一面、応急手当的にやらなければいけない問題は、二、三の問題を除いて一応、応急手当をやったというようなこともありまして、たとえば最近の大阪空港問題に見られますように、騒音を下げるのか窒素酸化物が若干ふえるのをがまんするのかというようなトレードオフ的な問題が中心になってきております。したがいまして、開発は困るという人のほかに、開発をやっぱりやってくれというような陳情もかなり来ておりまして、そういう方々はどういうわけか公開は困るというようなことを言われるわけでございます。私どもも開発志向が非常に強いのに驚くようなことが多いんですが、そういうような情勢を踏まえて長官が最終的に裁断されたものというふうに私どもは理解いたしております。
#76
○国務大臣(石原慎太郎君) ちょっとその前に一言。
 ただいま官房長が自分の責任と言われました。これはあくまで私の責任でございまして、やはり在室し、会議中であるし、とにかくこういうケースでは会うべきでないから会わないということをもう少し詳しく徹底して伝えれば、出向いたスタッフもそのように正確に伝えたと思いますが、これは私の指導力の足りないところで、その点は大変役所のみんなにも迷惑をかけて申しわけないと思っております。
 それから、独善と言われますけれども、私は決して独善でなしに、多くのスタッフと協議しまして、いままでの体験を踏まえて、新しいといいましょうか、慣例とは変わった姿勢というものを出したわけでございまして、それは事の性格柄、環境庁の全員に諮るべきものでなくて、責任者たちと協議して決めたわけで、私としては私の独善的な押しつけではないと思っております。
#77
○小平芳平君 したがって、長官としては、その姿勢を変える考えはないということですね。
#78
○国務大臣(石原慎太郎君) はい。やはり陳情は陳情者の意思をそんたくし、公開か非公開かは陳情者に決めていただく。それから、先ほど申しました世間でごく常識的とされている、黙約されているルールというものは陳情者に守っていただくということで陳情をお受けしたいと思います。
#79
○小平芳平君 この環境影響評価法案についても、そういう長官の姿勢が非常に法案作成の段階で影響を受けるんじゃないかということを私は考えます。
 時間がありませんので、何問か質問いたしますからお答えいただきたいんですが、第一は、国会にいつ提案するか。で、他の省庁との話し合いということが長い期間言われてきましたが、それは終わったのか。それが第一点です。
 それから第二点は、三月九日にこの原案なるものが決まったのかどうか。そういうふうに報道されておりますが、それには経済的効果なども含む総合的評価を掲げるというふうに新聞に報道されておりますが、影響を事前に評価するということは、環境破壊を事前に防止しよう、公害を事前に防止しようということがこの法案のねらいであろうと思います。したがって、経済的効果を含む総合的評価ということがこの法案のねらいではなかろうと思いますが、その点についてお答えいただきたい。
 それから第三に、住民参加についてどう考えておられるか。この住民参加の点が非常にまあ反対意見の中心のようにも報道されておりますが、そしてまた、住民参加の範囲、そういうことが法案作成の段階で最初の原案と変わったようにも報道されておりますが、どうなっておりますか。
 以上三点についてお答えいただきたい。
#80
○政府委員(柳瀬孝吉君) 環境影響評価法案の現在の進捗状況でございますが、環境庁で原案をつくりまして、それを関係のある省庁、これ、実は関係のある省庁というのは政府の全省庁でございまして、二十一省庁に御相談を申し上げたわけでございまして、ただいままでに、そのうちのまあ六、七省庁を除いたほかの省庁からは原案に賛成をすると、基本的に賛成をするというふうな回答を得ておるわけでございますが、特に公共事業等で関連の深い建設省とか運輸省とか、あるいは地方公共団体との関係で自治省とか、そういう省庁、あるいは通産省とか、そういうところはやはり現実問題としていろいろ問題を抱えておりますので、この法案の中でやはり調整を図るような必要のある部分もありますので、現在それの詰めを急いでおるわけでございます。で、いつ国会にということでございますが、これはできるだけ急いでこの詰めをいたしまして、その上で、やはり閣議にも諮った上でできるだけ早い機会に出したいということでございます。
 それから総合評価の関係でございますが、これは法案の概要を発表しておるわけでございますが、以前から、一体、環境問題だけを評価すればいいのか、社会的、文化的あるいは経済的、いろんな要素が、開発行為を評価するためにはいろんな問題があるので、総合的な評価をすべきじゃないかという御意見もいろいろあったわけでございますが、この法案におきましては、環境に及ぼす影響の評価ということを目的とするということでございますが、その総合評価との関係がはっきりしませんので、そこで概要にも若干手を入れまして、開発事業の実施に当たりまして総合的に考慮をされる諸事情のうち、環境に及ぼす影響の予測をこの法案でやるんだ、だから評価自体はいろんな事情があるのでそれは全体として考えなきゃいけないんだけれども、この法律の目的とするのは、その中で環境についての予測をするのであるという位置づけをやったわけでございます。
 それから住民参加の問題につきましては、これは原案と大分変わってきているんじゃないかということでございますが、そうではないんでありまして、基本的な考え方は何ら変わっておらないのであります。といいますのは、やはり環境に影響を及ぼす範囲の住民の方々にはよく知らせる。計画を公告し、縦覧に供し、それからよく説明をするために説明会を開くとかいうようなことを盛り込んでおるわけでございまして、その点は何ら変わっておらないわけでございます。
#81
○小平芳平君 石原長官に一言質問して私の質問を終わりますが、いまの局長の説明のように、長官としても、この法律は環境に及ぼす影響を評価するんだというふうにお考えかどうか、それが一点です。
 それから第二点は、この環境庁の発表された概要を読んでみますと、住民に知らせるということだけが強調されていて、決定そのものに住民が参加するとはなっておりませんから、そういう点、この程度の住民参加――参加と私たちはこれでは言えないと思うんですが、まあこの程度のことで反対意見を述べるというのはかえっておかしいじゃないか。何のための影響事前評価かという点から考えましても、ただ住民によく知らせなさいということしか言ってないんですから、このことを理由に反対するなんというのはおかしいと私は思いますが、その二点についてお答えいただきたい。
#82
○国務大臣(石原慎太郎君) 第一点については先生のおっしゃるとおりでございますが、第二点につきましては、私たち環境庁として考えておりますことは、住民の情報参加でございまして、それについて難色を示す関係省庁には、その考え方はおかしいではないか、むしろこの形をとる方が、必要な開発事業もスムーズに着工されるでしょうし、それは反対の理由になるまいということを説得しております。
#83
○沓脱タケ子君 それでは、非常に限られた時間ですので、きょうは大臣の所信表明に対して若干の質問を行いたいと思うわけです。
 まず最初に、石原長官が感覚的暴力だとかあるいはアメニティだとか、いろいろおっしゃっておられるわけですが、そういう中でごみ収集のチャイムもやめるべきだというふうな御意見までおっしゃっておられるわけですが、ごみ収集のチャイムと全く比較にならない航空機の騒音によって環境破壊に苦しめられている住民こういう人たちにとってはまさに長官の抱負とは格段の開きのあるところで生活をしているわけですが、こういった人たちの生活環境破壊についてはどういうふうにお考えになりますか。
#84
○国務大臣(石原慎太郎君) 私がアメニティ、生活環境の快適性ということで音の問題を入れましたのも、あくまでも騒音に関する環境行政の一つとしてでございまして、先生御指摘のように、もっと音量の高いもっと生理的に耐え切れない騒音の公害につきましては、これは当然優先して取り組むべき問題だと心得ております。
#85
○沓脱タケ子君 時間がありませんから、私は、きょうは運輸省が大阪国際空港のエアバスの乗り入れについて、いわゆる環境庁がお出しになりました十三項目の申し入れ、これに対する回答、このいわゆるエアバス導入に伴う環境影響評価資料というのが提出されておりますが、これについてお聞きをしていきたいというふうに思います。
 最初は具体的な点でお伺いをいたします。
 大気保全局長に最初にお伺いをしたいのは、昭和四十八年の十一月にお出しになっておられますこの「大気汚染に占める航空機の位置」という四十七年度調査結果、これの二十五ページに書かれているんですが、これによりますと、ボーイング747の一酸化炭素のところが七十六・四となっているんですが、これは私どもの調査によりますと、それまでの生データをいろいろと検討いたしますと、一モード当たり八十三キログラムというのが正しいのではないかと思いますが、これはどちらが正しいのでしょうか。
#86
○政府委員(橋本道夫君) 簡潔にお答え申し上げたいと思います。
 環境庁と運輸省が評価に使いました資料は、先生の御指摘がございました四十八年十一月に大気保全局大気規制課名で公表いたしました「大気汚染に占める航空機の位置」というその資料でございます。そこに御指摘のごとく、ボーイング747につきましては、一モード当たり七十六・四キログラム出すと、こうなっております。いま先生から御指摘のございました八十三・〇という数字につきましては、八十三・〇の方が正しゅうございます。それにつきましては、四十九年二月に、この担当者が、「環境保健レポート」というところに資料を掲載するときに計算の誤りに気がついたわけでございます。そこで、その担当者がその計算をやり直して八十三・〇というものを、この「環境保健レポート」の方には直した数字を出したわけでございますが、ところが、大気保全局の規制課に保存されております「大気汚染に占める航空機の位置」というところの資料の方の訂正をしていなかったという問題がございました。また、担当者がそれの引き継ぎがうまくいっていなかったというところがございまして、御指摘がありましてから直ちに検討いたしまして、これは引き継ぎのエラーである、訂正、ミスである、われわれが計算をしても八十三.〇である、先生の御指摘の数字が正しいということで、これは非常に遺憾なことであります。
 私どもは、環境庁の大気保全局長といたしまして非常に残念なことだと思いますが、この点につきましては、早速運輸省にも御連絡をいたしましたが、公式にその数字の訂正ということで、運輸省にも公式に資料に八十三・〇の数字を出して、それによって計算を訂正をしていただくことをお願いしたい。いずれの方々にも御迷惑かけたことをおわび申し上げます。
#87
○沓脱タケ子君 運輸省おいでになっておりますか。運輸省も、十三項目のエア、ハスアセスメントでは、ボーイング747のCOの排気量七十六・四という数字をお使いになっておりますね。いま間違いだと言われていますね。そうしますと、これはいわゆる予測値、このアセスメントの予測値のこの数字を使っている限りでは、基礎は間違っているというふうに思うんですけれども、どうですか。
#88
○政府委員(松本操君) いま橋本局長の方からお答えがございましたように、私ども、実は最初、先生のお挙げになりました資料をもとにして計算を全部しておったわけでございます。その点、環境庁の方から改めて御指摘をいただきました。私どもが試算し直しましても確かに八十三・〇が正しい数字でございますので、747の一酸化炭素に関します部分につきまして、これを計算し直す作業を早急に行いまして、行いました結果は確かに七十六.四から八十三にふえるわけでございますから、総量としてはふえてまいります。比率的にももちろんふえてまいります。しかし、そのふえぐあいは、この七十六.四対八十三・〇の比率の違いでございます。全体的な数字として見ました場合には、私どもが四十九年四月のベースに比べて〇・九四になるんだとこう言っておりましたのが、実は〇・九七であるということでございますので、三ポイント程度の違いがある。これは事実でございます。
#89
○沓脱タケ子君 私は、数字の誤りというのは非常に小さいと思うんですがね。航空機の被害に悩む住民にとっては、これはやはり運輸省の態度あるいは環境庁の態度というのが、従来の長い間の歴史的な経過の中で必ずしもよき信頼関係にはなっていない。そういうときに、まあ手違いであったかどうか知りませんよ。しかし、そういう数字の、ミスというのが、とにかく数字さえ並べておけば素人にはわからないんだからというかっこうの式でごまかされたということで、一層の信頼関係を阻害するおそれが出てくると思うんですが、こういうことについて、長官、どういうふうに始末されますか。地域住民、関係十一市協等に対して、こういうのはどういうふうに始末をおつけになりますか。
#90
○国務大臣(石原慎太郎君) これは率直にこちらの手違いを表明しおわびする以外にないと思います。従来もいろいろ住民の方々の不信を買っておりますけれども、そういったものを助長しないように努力することが肝要でございますし、これは誤りは誤りとして率直に認めておわびさしていただき、今後の信頼関係をかち得たいと思っております。
#91
○沓脱タケ子君 時間がありませんので、それに関連して幾つか関係がありますので伺いたいんですが、運輸省のアセスメントの基礎データですね、この運輸省のアセスメントの基準というのは四十九年の四月時点の計算をしておられますね。で、これはまあ衆議院でもその点については指摘を受けているわけですが、これを五十年十一月の時点に算定をしますと、大気汚染廃棄物ですね、CO、NOx、それからHC、これは計算しておいてもらいたいと言うてましたが、この時点で私どもは明らかに違いがあろうと思うんですね。で、これは私どもの考えではすでに昭和四十九年四月、運輸省が基点としておられるときから、すでにボーイング737が十六機、YS11が二十機、これが減便をされているわけですからね。すでに現状では、あるいは五十年十一月時点では、いま運輸省がお使いになっているデータよりは明らかに排気量は減っているというふうに思うんですが、それはどうですか。
#92
○政府委員(松本操君) 先生おっしゃいますとおり、私どもが四十九年四月のデータをベースにいたしましたのは、実はもうすでに五十年の二月ごろ以降、四十九年四月というところを一つの基準点におきまして、音及び排気ガスについての私どもなりの――環境庁の御指導をいただく前でございますから、私どもなりの実はアセスメントをして、いろいろと地元にも資料などを配り、五千部くらいつくりましたでしょうか、お話をしてまいった経緯があったものでございますから、したがいまして、その四十九年四月の数字というのを比較の対象として、コントロールとして使う場合にはそれでいいんではないかと、こういう判断でやってしまったわけでございます。確かに御指摘のように、四十九年三月以降、いわゆる三段階減便方式ということを私どもも現実に実行に移してまいってきたわけでございますから、五十年十一月というただいま御指摘のあったような時点でとらえますと、おっしゃるように便数は減ってきておるわけです。それに対してジェット機をさらに減らしていった場合にこうなりますという、まあ比較対照の意味で原点をどこに置くかということでございます。最寄りのところに置くべきであったではないかという御指摘は御指摘として私ども承りますけれども、決して他意があってやったわけではございませんので、前にそういうものをすでにもう配って説明をしてあったので、それと比較していただくのが一番わかりやすいんじゃないだろうかという趣旨であった点はひとつ御理解いただきたいと思います。
#93
○沓脱タケ子君 それはわかりやすいんじゃなくて、住民は新たにエア、ハスを入れるかどうかということについての関係省庁のお考えを、しかも科学的に一応影響調査として、アセスメントとして出されたものについて判断するということになりますと、四十九年の四月なんて何年も前の、三年も前の状況というのは思い出すわけにいかぬですよ。やはり現状と比べてどうなるのかという点で、できるだけ近い時点を基点とされるということが適切ではないのか。そういう点では私やはり住民の立場に立った考え方というのをおとりになるのが適切ではないかというふに思うんですが、その点どうですか。
#94
○政府委員(松本操君) アセスメントのやり方といたしまして、先ほど私がお答えしましたような一つの原点をおいて、それとの対比でごらんいただければ御理解が早いのではないかという考え方で私どもも作業を進めてまいったわけでございますが、いま先生おっしゃいますように、そのときそのときでいまと比べてどうなるかというふうな資料というもの、これまた、そういう数字の羅列ではなくて、日常感覚的にとらえておられる方が、数字的な裏づけをしようとする場合、確かに非常に必要になるデータの一つであろうかと思います。したがいまして、先ほど御指摘がありました町の一酸化炭素の量、こういうふうなものは、これは明らかに誤りがあったわけでございますので、そういう点を含めまして、今後の説明の段階におきましては、そういう点を直してわかりやすくしたものを、さらに加資料としてつけながら説明を継続していきたい、このように考えております。
#95
○沓脱タケ子君 というのは、四十九年四月の時点と、そしてエアバスとの比較をしますと、たとえばCOは減る、HCも減る、NOxだけはふえるんだ、増量する部分の格差ができるだけ小さくて、減るというところが大きく見えるというふうな数字の魔術にやっぱりなるんですよ。そういうことは必要ないんじゃないかという点なんです。まあその辺は時間がないですから。
 それで、もう一つ。先ほど指摘いたしました八十三という数字ですね。七十六・四と八十三の間違いをお認めになった。一モード当たり八十三キロの訂正をいたしますと、これは私どもの計算によりますと、たとえばCOは減るというふうに従来運輸省は言ってきておられましたけれども、五十年十一月の時点との比較をしますと、これはCOは逆に三・一%ふえるということです。それから四十九年四月との比較を見ましても一・三%、約三十トンですが、ふえるということになります。つまり確かにあそこのわずかな数字の引き継ぎミスだというふうにおっしゃった数字が当てはめられますと、これは従来から言っておられた、運輸省のアセスメントの中で、一酸化炭素はエアバスは減少するんだと言っておられたのが、数値の上では逆転をする、そういうことになりますが、そういう点についてはどうですか。
#96
○政府委員(松本操君) いま先生御指摘の、747の排出量七十六・四を八十三と訂正をいたしまして、あとは同じ条件でございますので、これで比較をまずいたしました。これは四十九年四月との対比で言いますと、私どもが総量で〇・九六でございますと申しておりましたのが〇・九七、パーセントで言って一ポイントふえます。それから一酸化炭素は〇・九二、九二%と申しておりましたのが九五%になりまして三ポイントふえます。窒素酸化物は一・七三、一・七三は変わりません。炭化水素も〇・六七、〇・六七は変わらないわけでございます。そこで五十年十一月との対比ということで、再度八十三という数字を使って計算をし直しますと、これが総量におきまして〇・九九、つまり私どもの出しておりました数字と二ポイントの差が出てまいります。一酸化炭素につきましても、これはベースを直してから計算を私どもいたしました。つまり間違ったベースで計算して比較しますとおかしいんで、ベースを直して計算いたしますと、〇・九七でございますから、私どもが申しておりました数字の〇・九二という生の数字と比較しますと五ポイントの増加になりますが、根っこの方をきちっと直して計算し直しますと、その違いは二ポイント程度の違いであろうかと思います。それからNOxにつきましては、一・七三が一・八三になりますので、これはポイントとしては十ポイントの増加、これはかなり大きくきいてまいります。トータルのハイドロカーボンにつきましてはこれは変わっておりません。
#97
○沓脱タケ子君 時間がないので詳しく追及できないんですが、いまのお話をさらにいわゆるエアバス百回ケース、百八十回ケースで当てはめて計算をいたしますと、百回ケースの範囲では確かに減るんですよ、COは。ところが一モード八十三キロでいきますと、百八十回ケースになりますと、昭和四十九年四月との比較でもこれはCOは丁三%、約三十トンですわ、計算しますと。それから五十年十一月の比較では三・一%の六十八トンです。これ増量になるんです。だから従来言っておられたCOは減るんだ、減るんだというのは、これは逆にふえるという結果が出てくるわけです。これは時間がないので、そういうことだと、一遍計算して後で確かめてみてください、そのとおりですわ。
 それからもう一つ、これは運輸省に聞いておきたいのは、運輸省のアセスメントは全部混合になってますね。トライスターとボーイング掛ですね、エアバスが両機とも混合になってきているんですが、これを別々に五十機ずつ導入をするというふうに見てみますと、五十年十一月との比較で見ますと、トライスター五十機の導入について、これに対応する機種の削減をした場合の汚染物質の排出総量、これは五十年十一月基点ですよ。そうしますと、COは八・二%ふえる、NOxは一五・二%ふえる、HCは一〇・四八%ふえると、こういうことになって、いわゆるトライスターは全物質について増量するという結論が計算の上では出てくるわけです。で、こういう問題が一つある。
 もう一つは、エアバスの振動削減の効果について。これは従来、運輸省の論法では、航空機の振動加速度レベルは騒音レベルにほぼ比例すると。それからエアバスの騒音レベルは在来機より低いと。これは四十九年、羽田のデータですね。よって、エアバスの振動は在来機より小さい。これは五十年福岡でのデータ。もしこの論法が成り立つということになりますと、エアバスの振動削減効果というのは、いま飛んでおりますいわゆる低騒音化改修機、これよりも小さくなる。現状の方が小さくてエアバスの方が大きくなるということになりはしませんか。というのは、改修後のボーイング727、737の騒音レベルというのは、これはボーイング747よりも三WECPNLだけ低いと。それからトライスターより二WECPNLだけ低いというふうに書いておられるでしょう。その段取りでいきますと、そういうふうなことで、いわゆる現状の飛んでおる飛行機ですね、改修機の方が振動に関してはエアバスより低いということになるわけですが、これはどうですか。
#98
○政府委員(松本操君) 非常に技術的な問題の御質問でございますので、限られた時間で、私、正確にお答えできるかどうか余り自信がございませんが、まず低騒音改修と申しますのは、ナセルの中に吸音材を張りまして高周波成分を落とそうと、こういうことを図ったものでございます。したがいまして、実測値からも理論値からも出てまいりますが、着陸側についてはある程度の効果がございますけれども、離陸側についてはほとんど効果が出てこない。つまり低周波側につきまして、千ヘルツ以下、一キロヘルツ以下についてはほとんど効いてこぬ、こういうことになります。一方、振動騒音に関してどこが効くかというのはいろいろ議論がございますが、文献によって多少違いますけれども、オクターブバンドで切った場合に三十一・五から五百であると、あるいは八十ヘルツから八百ヘルツと、こういうふうなところが効いてくる。つまり低周波の方が効いてくる。こういうことでございますので、いま先生おっしゃいましたように、簡単には私結論が出せるものではないんじゃないか、こういうふうに思っております。
#99
○沓脱タケ子君 ちょっとそれも論議をしたいんですが、時間がありませんから最後に結論に入ります。
 運輸省のアセスメントを拝見いたしますと、すでに昨年の三月、四月に現地の十一市協に出しておられるアセスメントの内容と全く同じものですね。で、この一年間、新たな実測とか調査だとかいうようなことをおやりになっておらないで、十三項目の申し入れに答えるという形式でそれを整理されたというふうに思うわけですが、その環境庁の参考資料によりますと、参考資料ナンバーツーです。これによりますと、その後一年間に局長レベルで一回、事務レベルで九回、合同の体験調査を羽田と福岡で各一回ずつやったというふうにあるんですけれども、私は、これちょっと不思議に思うんですよ。一年間一体何してたんかなと。去年の三月に出したデータをそのまま整理して環境庁へ出してきた。で、私先ほど若干指摘しましたように、いろいろ間違いがある。それで計算をしていくと、従来の主張がひっくり返るような中身もある、疑問もある。で、衆議院でもすでに騒音や窒素酸化物についても指摘があっているとおりです。こういう状況が、一年間、運輸省と環境庁とが御協議になっておられて、そしてこの間環境庁としての回答が出されたわけですね。お立場を表明されたわけですね。これは一体どういうことなのかと。私は、少なくともこの一年あれば、住民の立場に立って必要なことを全部やるべきではなかったんかと。現に、たとえば改修機ですね、現在飛んでいる改修機の実測データなどというのは一つもないんでしょう。そういうことだってやるべきだ。そういうこともやらずに、むしろエアバスのテストフライトというようなことだけが中心になってくるようでは困る。で、少なくともそういう点で、これは両方協議をされてこういうものを住民にお出しになったんですから、私は運輸省も環境庁も全くお立場は同じで、住民から言わすれば、とにかく数字を並べて素人に示したらいいんだというみたいなことになるというふうなことでは、環境庁も運輸省も同罪になるというふうに思うんですが、その点についてはどうですか。
#100
○政府委員(橋本道夫君) 簡潔にお答え申し上げたいと思いますが、そのような受け取り方をされるということは、確かに非常にそういう危険性があると思います。
 キーを申し上げますと、環境庁といたしましてまず大気汚染データの五十年のデータでやろうと思えば、五十一年の暮れにならなければデータが得られないということが一点です。これは公表データでございますから五十一年の暮れにならなければできないということで、大気はあのデータによらざるを得なかったということが一点。一番大きな時間をかけた一つは、私はNOxをどう判断するかをすごく悩みました、これは。いかにこのNOxの問題を判断するかということにもう最大の悩みを感じまして、そこで、一つはWHOが一体どういうことを言うかをよく見てみようということで、WHOの言ったことが公式に表に出てきましたのが十二月でございます。
 それからもう一つは、WHOの言っているものもございますが、日本の六都市のデータがどう出るかということでございます。六都市のデータをやっぱり目で確認した上でなければNOxの判断ができないということでございます。六都市のデータが表に出てきましたのは二月の初めでございます。
 それからもう一つは、NOxの対策についてどういう対応を持っているかという問題でございまして、一つはやっぱり自動車の決着をつけなけりゃこういう議論は全然できないということと、それから固定発生源についても進歩の跡をはっきりさせて対応できると、それに合わせて飛行機の方の総量削減についても環境庁が強い立場をとれるようでなければならないということでございまして、運輸省の方は早くしたいという気持ちがございました。私は非常にこのNOxの問題をいかに判断するかに悩み抜いたあげく、その資料を全部整理し終わったのがこの一月の末でございました。二月中の問にいろいろ考えましてこの整理がされてきたということです。
 もう一点は、これは技術のアセスだけの問題ではない。本質的には周辺整備の問題に非常に問題がある。そこのところを運輸省が徹底的に詰めなければ、これはアセスだけの議論で終わる話ではないということでございまして、そこらのところの問題につきまして、運輸省の側も、いろいろ地元の声を、運輸省はこう言っているけれども地元はこう言っているぞということを何度も何度もフィードバックをしながらやってまいりました。そういうことで、データ的にはおっしゃったようなところが大体の線であるということは私は決して否定いたしません。けれども、なぜそういう時間がかかったかというところは、私もずいぶんせかされましたが、これだけ重要なNOxの問題について責任のある判断をするには、それだけの時間がかかったということは御理解をお願いしたいと思います。
#101
○委員長(片岡勝治君) 時間を超過しておりますので……。
#102
○沓脱タケ子君 最後に長官に御意見を伺いたいんですが、こういうことで、いま指摘いたしました幾つかの問題点、あるいは数値の誤り、そういうままで押し切るというのは、これはきわめて住民にとっては住民を愚弄するということになると思うんですよ。そこで、少なくともそういった点の誤りをどういうふうに正していき、あるいは時間が十分ありませんでしたから御理解いただけなかったかと思いますけれども、実測データ等もそろえた、いわゆる住民の納得するアセスメントにやり直していくというふうなことをやって、住民の理解の得られるものをもう一遍出し直させるというふうなことが、いま何よりも必要ではないだろうかというふうに思いますが、その点について見解を伺いたいと思います。
#103
○国務大臣(石原慎太郎君) これはアセスメントを最初からやり直すということになりますと大変な問題でございますし、一方では騒音で大変悩まれていらっしゃるという現状があるわけでございますので、提出しましたデータでの誤りは率直に認めて直させていただきまして、おわびもさせていただきますが、それ以後の段階で必要なデータがありましたならば、これは計測し直すなり、それを加えることで、出されました資料というものを完璧なものにしていく努力をさせていただくつもりでございます。
#104
○委員長(片岡勝治君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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