くにさくロゴ
1976/03/29 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第8号
姉妹サイト
 
1976/03/29 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第8号

#1
第080回国会 予算委員会 第8号
昭和五十二年三月二十九日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     阿部 憲一君     中尾 辰義君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     原 文兵衛君     熊谷太三郎君
     戸塚 進也君     堀内 俊夫君
     大塚  喬君     栗原 俊夫君
     藤原 房雄君     相沢 武彦君
     中尾 辰義君     峯山 昭範君
     岩間 正男君     橋本  敦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 半次君
    理 事
                坂野 重信君
                園田 清充君
                中山 太郎君
                吉田  実君
                小柳  勇君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
                内藤  功君
                向井 長年君
    委 員
                安孫子藤吉君
                石破 二朗君
                糸山英太郎君
                岡田  広君
                長田 裕二君
                亀井 久興君
                熊谷太三郎君
                源田  実君
                後藤 正夫君
                佐藤 信二君
                玉置 和郎君
                中村 太郎君
                夏目 忠雄君
                秦野  章君
                林田悠紀夫君
                堀内 俊夫君
                宮田  輝君
                最上  進君
                青木 薪次君
                粕谷 照美君
                工藤 良平君
                栗原 俊夫君
                対馬 孝且君
                戸田 菊雄君
                野田  哲君
                安永 英雄君
                相沢 武彦君
                太田 淳夫君
                中尾 辰義君
                上田耕一郎君
                橋本  敦君
                渡辺  武君
                三治 重信君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   福田 赳夫君
       法 務 大 臣  福田  一君
       外 務 大 臣  鳩山威一郎君
       大 蔵 大 臣  坊  秀男君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  渡辺美智雄君
       農 林 大 臣  鈴木 善幸君
       通商産業大臣   田中 龍夫君
       運 輸 大 臣  田村  元君
       郵 政 大 臣 小宮山重四郎君
       労 働 大 臣  石田 博英君
       建 設 大 臣  長谷川四郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長
       (北海道開発庁
       長官)      小川 平二君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       園田  直君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       藤田 正明君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       西村 英一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       倉成  正君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  石原慎太郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  田澤 吉郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  真田 秀夫君
       内閣法制局第一
       部長       茂串  俊君
       警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君
       警察庁交通局長  杉原  正君
       警察庁警備局長  三井  脩君
       防衛庁参事官   水間  明君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        亘理  彰君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    渡邊 伊助君
       防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君
       防衛庁人事教育
       局長       竹岡 勝美君
       経済企画庁調整
       局長       宮崎  勇者
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       科学技術庁研究
       調整局長     園山 重道君
       環境庁企画調整
       局長       柳瀬 孝吉君
       国土庁計画・調
       整局長      下河辺 淳君
       国土庁地方振興
       局長       土屋 佳照君
       法務省民事局長  香川 保一君
       法務省入国管理
       局長       吉田 長雄君
       外務省アジア局
       長        中江 要介君
       外務省アメリカ
       局長       山崎 敏夫君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省条約局長  中島敏次郎君
       大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君
       大蔵省主税局長  大倉 眞隆君
       大蔵省銀行局長  後藤 達太君
       文部省管理局長  犬丸  直君
       厚生省医務局長  石丸 隆治君
       農林大臣官房長  澤邊  守君
       農林省農林経済
       局長       今村 宣夫君
       農林省農蚕園芸
       局長       堀川 春彦君
       水産庁次長    佐々木輝夫君
       通商産業省立地
       公害局長     斎藤  顕君
       通商産業省機械
       情報産業局長   熊谷 善二君
       中小企業庁長官  岸田 文武君
       中小企業庁次長  西山敬次郎君
       中小企業庁計画
       部長       児玉 清隆君
       運輸大臣官房審
       議官       真島  健君
       運輸省港湾局長  大久保喜市君
       運輸省鉄道監督
       局長       住田 正二君
       運輸省航空局長  高橋 寿夫君
       海上保安庁次長  間   孝君
       労働省労政局長  青木勇之助君
       建設省計画局長  大富  宏君
       建設省都市局長  中村  清君
       建設省河川局長  栂野 康行君
       建設省道路局長  浅井新一郎君
       建設省住宅局長  山岡 一男君
       自治大臣官房審
       議官       塩田  章君
       自治省行政局選
       挙部長      佐藤 順一君
       自治省財政局長  首藤  堯君
       消防庁長官    林  忠雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       厚生省大臣官房
       統計情報部長   田中 明夫君
       農林省農林経済
       局統計情報部長  白根 健也君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
   参考人
       日本住宅公団総
       裁        南部 哲也君
       日本銀行総裁   森永貞一郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 総予算三案審査のため、本日、日本住宅公団総裁南部哲也君及び日本銀行総裁森永貞一郎君の両君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(小川半次君) 次に、昭和五十二年度一般会計予算
 昭和五十二年度特別会計予算
 昭和五十二年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 それでは、これより質疑に入ります。中尾辰義君。
#5
○中尾辰義君 最初に竹島問題で若干お伺いをいたしますが、最近の報道によりますというと、韓国は、竹島に漁船退避所、船着き場、灯台、そういうものを造設するような方針で関係各省庁と協議を進めておりまして、近く具体的な措置がとられると、こういうような新聞情報もございますが、これは明らかに竹島の韓国領土であることを対外的に明確にして既成事実の固定化を図ろうとするものである、われわれはこう思うわけでございますが、外務省はどういうふうに情報をキャッチされていますか。
#6
○国務大臣(鳩山威一郎君) 三月の十九日に、韓国の国会の農水産委員会におきまして、独島−竹島のことでございますが、独島を漁業前進基地化せよとの質問に対しまして、崔農水産部長官が、独島は安保及び漁業等種々の面において重要であるため、船着き場、退避施設、防波堤等各種の施設を設ける計画であるが、水深が深く多くの時間と資金を必要とすると答弁した旨伝えられていることは承知いたしております。政府は、従来、海上保安庁の巡視船による竹島周辺の海上巡視により、同島に新たな建造物が造設されたことが視認された場合には、韓国側に厳重に抗議を行ってきておりますが、わが国の累次にわたる抗議にもかかわらず、今般崔農水産部長官が上述のような国会答弁を行ったことを遺憾とするものでありまして、韓国側に対し抗議するとともに、竹島に関するわが国の主張を重ねて明らかにする所存でございます。
#7
○中尾辰義君 竹島問題は、今日まで衆議院におきましても参議院におきましても議論もされておるわけですけれども、その外務大臣の答弁を見ましても、どうも韓国側の竹島を自国領とするその厳しい態度に押されぎみで、政府としても日韓友好関係のひび割れを心配しているのか、領有権問題に決着をつけようとするような姿勢がどうも見られない。政府が常に韓国対策が弱腰であるように私は思うわけですが、今回もまた厳重に抗議をされたのですか。
#8
○国務大臣(鳩山威一郎君) 今回、特に昨日の御指示のようなことがありまして、これから厳重に抗議するところでございます。
#9
○中尾辰義君 この竹島の領有権は、ただ資産、水産資源の確保だけの問題だけでなくして、これは領土権の確立という国家存立の基本にかかわる重大な課題であるということを忘れてはならないと思うわけですね。ですから、どうしてもこれ筋を通した外交交渉が必要じゃないか。私は抗議と外交交渉は違うと思いますよ。抗議だけしてもこれは外交交渉にならぬわけでありますから。ですから、韓国との紛争解決に関する交換公文というものがございますね、これにのっとってやはり外交交渉を申し入れるべきじゃないかと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#10
○国務大臣(鳩山威一郎君) 外交交渉を申し入れて外交交渉をいたす所存でございます。
#11
○中尾辰義君 そこで、われわれは、竹島の領有の帰属が解決されるまでは、韓国側の不法占拠を解除し、少なくとも韓国の公権力が竹島から一切引き揚げるべきだと、そういうふうに思うわけですが、施設、警備隊、いま韓国がああいうふうにやっておる、ああいうのを撤去要求を正式に韓国側に申し入れておりますか。そういうところはいかがでしょうか。
#12
○国務大臣(鳩山威一郎君) これからの外交交渉で主張をいたしたいと思います。
#13
○中尾辰義君 こういうぐあいになっているわけですが、それで、暫定的な措置として、漁業行為のみに限って相互に妨害をしないようにするということはいかがです、政府の見解は。
#14
○国務大臣(鳩山威一郎君) 政府といたしましては、竹島がわが国の固有の領土であるという立場に立ちまして、同島周辺の漁業、特にこれは漁業者の生活に関係することでありますので、今後とも漁業は円滑に取り進めることができるように努力をいたしたいと思います。もちろん領土の問題としてこれは外交交渉を行うという前提に立ってのことでございます。
#15
○中尾辰義君 それで、いま外務大臣の答弁を私はお伺いしましたが、これから交渉をするということですけれども、これは紛争解決の外交交渉の申し入れに韓国政府は応じる見通しがあるのですか。それから応じない場合はどうされるのか。その辺はいかがです。
#16
○国務大臣(鳩山威一郎君) 従来の経過は御承知のとおりと思いますけれども、韓国との国交回復に際しましても、先方は大変きつい態度をとっておったことは御承知のとおりで、当時から竹島自体は韓国領土であるということを一歩も譲らなかったわけでございまして、わが方といたしましては、これはわが方の領土であるということで、以来紛争の対象となっているわけでございますので、先方としては厳しい態度をとるということは当然予想されるところでありますが、わが方としてはわが方の主張をあくまでも筋を貫くということが必要であると思っております。
#17
○中尾辰義君 だから、私は、応じない場合はどうなさるのですかと聞いているんですよ。
#18
○国務大臣(鳩山威一郎君) これはあくまで平和的な手段によりまして解決をするほかはないわけでありますが、わが方としては、交渉のいかんによりましては、司法的な手段をとることを極力主張したいと、こう思っておるわけであります。
#19
○中尾辰義君 これは、応じないときはやはり条約の不履行になるわけでありますから、公式見解を表明して有効な外交的措置をとるとか、たとえば九月に予定されておる日韓会談の延期を申し入れるとか、こういうことはどういうふうに考えておられますか。
#20
○政府委員(中江要介君) 韓国側が応じないときにどうするかという問題につきましては、先ほど先生も御指摘の紛争解決に関する交換公文の中にございますように、特別の合意があれば特別の合意による。かつて国際司法裁判所に提訴しようということを申し入れたときは、その特別の合意として国際司法裁判所で解決するのはどうかということを申し入れたわけですが、これには韓国が応じなかった。そういう特別の合意ができない場合には、まず第一番になすべきこととしては、外交上の経路によって解決を図る。いま外務大臣が説明しました交渉をやりましょうという話は、この外交上の経路によって紛争の解決を図ろうと。それによってもなおかつ解決しない場合、たとえば先方がどうしても応じないような場合、そういう場合に備えまして、この紛争の解決に関する交換公文の中には、調停によって解決しようという道が開かれておるわけでございますので、外交上の経路によって外交交渉によってなかなかはかばかしくないというときには、今度は調停によって解決する、その調停の方法について話し合いが始まる、そういう段階を踏んでいくわけでございまして、その調停によって解決することすらも応じないと、いかなる場合にも応じないということになりますと、これは先生がおっしゃいますように紛争解決に関する交換公文に相手が忠実にのっとらないということでございますので、これは別な外交問題として取り上げなければならない段階も理論的にはあろうかと、こういうふうに考えております。
#21
○中尾辰義君 それからわが国は二百海里を漁業専管水域を決めることを宣言するというふうに決めたわけでありますが、政府はこの竹島の周辺には漁業専管水域二百海里を設定するのですか、これはいかがですか。
#22
○国務大臣(鈴木善幸君) 二百海里漁業専管水域の設定につきましては、本日の閣議におきまして閣議了解として政府の方針を決定いたしたわけでございます。
 その内容を申し上げます。
 最近における新しい海洋秩序への国際社会の急速な歩みは、単に領海幅員の拡張に止まらず、米国、カナダ、EC諸国等に次いでソ連も二百海里の漁業水域の設定に踏み切るなど二百海里時代の急速な到来を招きつつある。このような世界の大−勢に対応して、わが国としても、周辺水域における水産資源の適切な管理とその合理的利用を図るため二百海里漁業水域の設定を行うものとし、二百海里漁業水域に関する立法措置については、本年五月に開催予定の第三次国連海洋法会議第六会期の動向にもよるが、次の事項を考慮しつつ次の国会を目途に、準備を進めるものとする。
 一、韓国及び中国との関係については引き続きこれらの諸国との円滑な漁業秩序の維持を図ること。
 二、領海法案において領海幅員が現状凍結される特定海域における沿岸漁業者が、その他の沿岸漁業者より不利な扱いを受けないようにすること。
 このような基本的な考え方のもとに、本日閣議で設定をすることの方針を決めたわけでございます。
 なお、ただいま御質問の関係でございますが、わが国固有の領土につきましては、領海法におきましても当然十二海里を設定をいたしますし、二百海里につきましては、わが国固有の領土の低潮線、これを基線といたしまして二百海里の水域の設定が行われることになるわけでございます。しかし、韓国並びに中国との間には、現在、日韓漁業協定、日中漁業協定が締結をされておりまして、これらの水域における漁業は、安定的に、何らのトラブルもなしに漁業が行われておる、こういう状況にございますので、二百海里水域設定に当たりましては相互主義で措置してまいる考えでございます。
#23
○中尾辰義君 大臣は、私が質問せぬのに答弁までしているのだけれども、一つは竹島周辺の漁業専管水域に二百海里を設定するのか、これはどうなんでしょう。
#24
○国務大臣(鈴木善幸君) 御質問が二百海里の問題に触れましたから、二百海里の基本的な方針ということをまず御説明を申し上げることが順序だということで申し上げた次第でございます。
 なお、御質問の竹島の問題を中心としての御質問でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、わが国固有の領土につきましては、低潮線を基線とする二百海里の海域に漁業専管水域は設定する方針である、こう申し上げたわけであります。
#25
○中尾辰義君 そういう方針だから竹島にも二百海里を設定する、そういうことですな。
 そうしますと、先ほどの答弁にもありましたけれども、これは全面的に二百海里を設定されるのか、それとも、対中国、対韓国に対しての二百海里は多少考慮されるのか。先ほどの答弁もありましたけれども、海洋秩序を守るためにどうのこうのとおっしゃっていましたけれども、その辺をもう一遍ひとつ答弁してください。
#26
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど御答弁申し上げましたように、日韓の間には日韓漁業協定がございます。日中の間には日中漁業協定がございまして、西日本の漁業はこの二つの漁業協定によりまして安定的に何らのトラブルなしに操業が確保されておる、これを私は大事にしてまいりたい、こう考えますので、二百海里法ができましても、その適用水域につきましては相互主義で、韓国並びに中国が二百海里をおやりにならないという場合には、相互主義でわが国もそれに対応してまいる、こういう考えでございます。
#27
○中尾辰義君 それが、二百海里水域を設定した場合に、アメリカやソ連のように裁判権は主張されるのか、その辺はどうなっていましょう。
#28
○国務大臣(鈴木善幸君) 二百海里漁業専管水域の立法作業の問題でございますが、この内容はこれから検討を始めるわけでございます。しかし、その内容は、国連海洋法会議における論議並びに各国の立法例等を十分参考にいたしまして、わが国の国益が守られるように、そういう観点に立って立法化を進めてまいる考えでございます。
 なお、裁判管轄権につきましても、二百海里漁業専管水域の実効性が確保できるように、そういう観点で処理いたしたいと考えております。
#29
○中尾辰義君 それでは、これはまた最後に……。
 いま日ソ漁業交渉が行われておるわけですが、この交渉の今日までの経緯をひとつ説明してもしいたい、簡単に。
#30
○国務大臣(鈴木善幸君) いま、日ソ漁業交渉は、御承知のように、日ソ漁業協定に基づく東京における合同委員会並びにモスクワにおけるソ連の二百海里設定に伴う今後の日ソ間の漁業秩序、新しい設定、それに双務協定を結ぶことに私とイシコフさんとの間で合意しておるわけでございますが、それまで時間がかかりますので暫定取り決めをいたしたいということでいま交渉いたしておるわけでございますが、ソ連がいまだに原則論を固執しておりまして、行政取り決めで暫定措置を講ずる、こういうイシコフ・鈴木会談、その合意の線に沿わない原則論を主張しております関係もありまして、いま交渉は難航しておるというのが現況でございます。
#31
○中尾辰義君 それじゃ、最後に、総理大臣、竹島の問題もいまいろいろと御答弁がありましたけれども、これはこのまま放置しますと、既定事実を承認する結果になる、そういう心配があるわけでありまして、日本側の行動も必要な時期にあるのじゃないか。そういうことで、政府として竹島の調査団の派遣ということにつきまして、どういうお考えを持っておられますか。それを一点お伺いします。
#32
○国務大臣(福田赳夫君) 竹島問題が非常にむずかしい関係にある、これは外務大臣からるるお話し申し上げたとおりでございますが、わが方といたしましても、海上保安庁等において、あの状態はどういうふうになっておるんだろうかというようなことを随時注意深く見守り、調査をいたしておるわけでありまして、私は、この問題の解決は何とか平和的な処理という形でいたしたいと、こういうふうに思っておるんです。場合によりますれば国際司法裁判所、こういう手もあるわけです。いま韓国はこれに応ずるという態度は示しておりませんけれども、わが国といたしましては、強力に平和的解決ということを目指して話し合いをしたいと、こういうふうに思っておるので、まあ余り仰々しい形の調査団というのも、そういう際でありますのでいかがであろうかと、こういうふうに思いますが、なお海上保安庁の調査、監視、これの体制は続けてまいりたいと、かように考えております。
#33
○中尾辰義君 それじゃもう一点だけ、これは大事な問題ですから。
 質問がちぐはぐになりましたが、農林大臣、ちょっとお伺いしますが、ソ連が、日本が領海十二海里をした場合に、日本の十二海里内にはいてもソ連の漁船の操業を認めろと言ってきていると報道されているわけですが、これは全く重大な問題ですが、状況はどういうふうになっておるのか、その辺をちょっと。
#34
○国務大臣(鈴木善幸君) モスクワ交渉におきまして、確かにソ側からそういう要求が出ております。しかし、これは国際通念にも反することであり、断じて容認できない主張でございますから、これは絶対に応ずる考えはございません。あくまで拒否いたします。
#35
○委員長(小川半次君) 関連質問を許します。桑名義治君。
#36
○桑名義治君 いま日ソ漁業の交渉の問題についての御答弁がございました。そこで、私はこの問題について二、三点さらに質問しておきたいわけでございますが、今回の日ソ漁業協定の交渉の段階におきまして、わが日本側といたしましては、現在の日ソ漁業協定をさらに尊重すべき姿勢を向こうに強く要求すべきであると同時に、ただいま中尾議員が質問いたしましたように、日本の十二海里内における操業の停止要求というものは厳重にやっていかなければならないと思うわけであります。それと同時に、やはり北海道漁民の方々のいわゆる生活をあくまでも擁護するためには、南千島あるいは北千島、こういったそれぞれの列島の沖合いの二百海里水域についての問題をどういうふうに取り組むかということは重大な問題でございますので、あわせて農林大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
#37
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一点は、現在有効に機能しております日ソ漁業条約の精神で日ソ漁業関係をやっていくべきではないかと、こういう御主張でございます。この日ソ漁業条約には附属書がついておりまして、その附属書に対象魚種が定められておるわけでございます。その対象魚種は、現在のところ、サケ・マスとニシンということに相なっております。したがいまして、サケ・マス、ニシンにつきましては、日ソ漁業条約に基づいて東京で三月十五日から交渉がなされておる。私どもは、あくまでこの日ソ漁業条約の精神を踏まえてサケ・マス、ニシンの交渉をやってまいる、この方針にはいささかの変更もございません。
 それから第二点のわが国の十二海里領海内でソ連が操業を要求しておるという問題は、中尾さんに御答弁を申し上げましたように、これは国際通念にも全く相入れないことであり、わが方としては絶対にこれを認めることはできないという固い方針で進んでまいる考えでございます。
 なお、今後の北洋漁業の操業がいかようになるか、漁獲量がどれだけ設定されるか、それによって、減船とか、あるいは漁業の再編成、あるいは雇用の問題、いろいろ起きてぐると思うのでありますが、それは最終的な結論を見た上で十分考えてまいりたいと考えております。
#38
○中尾辰義君 それじゃ、竹島問題並びに日ソ漁業問題は終わりまして、次に、官公需の発注に対して若干の疑惑がございますので、それに関連いたしまして質問をいたしたいと思います。
 最初に総理にお伺いしますけれども、この五十二年度予算の最大の重点政策は、石油ショック以来の長期の不況をどうやって浮揚するか、これが大きな眼目であったわけであります。その中で、総理は、公共事業が一番波及効果があると。これはまた与野党の折衝の結果、消費景気を盛り上げるために減税の三千億の上積みがあったわけですが、そういうことで、中小企業者は、今後の景気はどうなるのか、これ以上苦しい状態が続いたらどうにもならぬということですが、あなたは、今後の景気の足取り、景気はどういうようなふうに浮揚されていくか、その見通しを、皆さんテレビを聞いていますから、一遍お願いしたいと思います。
#39
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、長期的展望としますと、これはもういわゆる高度成長時代をいま再び出現するということは不可能であるし、またそれは適当ではないというふうに考えまして、これから先々五年、十年、そういう展望におきましては、これはかなり経済の運営のあり方というものを変えていかなきゃならぬ、そういうふうに思っておるんです。つまり、私は、これから本当に資源エネルギーということがむずかしい段階に逐次入っていくと、こういうふうに思っておるわけであります。そういう大勢にわが国の経済社会をどういうふうに調整対応さしていくか、これは非常にむずかしい問題ですが、そういう方向を目指さなきゃならぬ。ただしかし、今日的時点の問題としますと、まあいろいろ去年事情があったことは中尾さんも御承知のとおりですからくどくど申し上げませけれども、とにかく去年は上半期はかなりすばらしい成長を示したわけです。ところが、下半期になりまするとこれが停滞、まあ停滞と言っていいでしょう、多少の上昇カーブではあるんですが、非常に緩やかな上昇カーブに移ってしまった。これをほうっておきますと、私は、この日本社会に非常な何というか活力のない状態が出てくるんじゃないか、ひとり経済だけの問題じゃないと、そういうふうに考えまして、これはてこ入れが必要だと、こういう考えなんです。
 そのてこ入れは一体何をしたらいいかというと、これは決まり決まって財政と金融というところにあるわけなんでありまするけれども、さあ、いま企業が膨大な過剰の設備を抱えておると、そういう中において、金融政策によってこの設備投資を刺激すると、こういうことがむずかしい。そうすると、財政だと、こういうことになる。財政もそれ自体がなかなかまた窮屈な状態です。そういう限られた財源の中で何をしたらいいかというと、これは公共事業、これが経済のてこ入れとしては最有力手段であると、こういうふうに考えまして五十二年度予算を編成したわけです。
 そこで、輸出の見通しからいいますと、これは去年のような状態じゃない。私どもは実質五%ぐらいの伸びしか見てはおりませんが、公共投資の面におきましては実に九・九%の伸びを見るような予算を編成しておるわけなんです。それを全部平均いたしますると、六・七%ぐらいになりやしないか。六・七%成長を目指していま経済運営を考えておるわけですが、その五十二年度予算と同時に、五十一年度の補正予算におきましても、同様の考え方で、公共投資は一兆円を上回る投資をやるということにしたんです。ですから、この補正予算とそれから五十二年度予算が早期に執行されるということ、これは一番私は望ましいと考えておるのでありますが、しかもその予算が上期に集中して施行されるようにという運営をやっていきたいと思っておるんです。これが実現されるということになりますると、昨年の、そうですね、十−十二月期はちょっと横ばいみたいな形になっちゃったんです。しかし、すでにこの一−三月はかなり経済成長は高目に動いてきておると、私はこういうふうに見ておるのです。そうして、その五十二年度予算の実際的な影響、それが四−六月ごろにはまず出始める。そうして七−九、この期になりますると、それが相当の効果を派生する。そこで、私は、新年度、つまり四月以降になりますると、かなりの活発な動きが日本経済全体として始まってくると、そういう展望を持っておるわけであります。何とかしていわゆる安定成長体制、六%成長体制というものを実現したいと、こういうふうに思っておるわけです。しかし、いろいろ海外の事情とか何とかもありましょうから変化があるかもしれません。そういう際には機動的に手を打って、何としても六%台、六・七%成長、この目標というものは実現をしたい、またこれはできる、こういう自身を持っております。
#40
○中尾辰義君 いま総理の景気見通しをお伺いしました。果たしてそのとおりいくかどうか。私も過去におきまして去年、おととしから総理の景気見通しを何遍も聞いたこともあるんですが、余り当たっていなかったんで、おととしでも、つま先上がりによくなるとか、秋ごろからどうのこうのおっしゃったけれども、どうも今日まで予想が当たっていないのですが、ことしは非常に国民が願っておるところですから、その辺はひとつがんばってもらいたいと思います。
 そこで、公共事業がことしは四兆二千八百億ですな、これを総理は一つの大きな景気浮揚の柱にされているのですが、公共事業の予算執行の面から見て、官公需の発注の面に私は多少疑惑がありますからちょっとお伺いいたしますけれども、官公需の中で各省庁に中小企業の割合を見てみまするというと、建設省や厚生省その他大体六〇%から六〇以上にあるんです。ところが、運輸省関係だけが二九・何がしと非常に低いわけでありますが、これは、運輸大臣、どういうわけでございますか。
#41
○国務大臣(田村元君) 港湾建設局が発注いたします工事は、とりわけ大規模工事におきましては一般土木事業と非常に性格が変わった面があります。厳しい気象、海象等に阻まれながらの仕事でございます。そういうわけで、特殊の技術あるいは特殊の船−作業船のようなものが要る、あるいは機械器具等が非常に特殊なものが要るということで、それに豊富な経験ということになりまして、どうしても大きい業者ということになっておるようでございますが、分割をして中小企業にでき得る限りこれを渡すように努力はしておるようでございますけれども、仰せのような偏りというものが見られることは否めない事実でございます。
#42
○中尾辰義君 それはいろいろございましょう、技術的な問題もございましょうが、そこはやはりこれはもう閣議決定で決まっておるわけですからね。あなたの運輸省が各省庁の平均三二・六%を下回って二九・六になっておるでしょう。今後さらにひとつ努力をしてもらいたいと思うわけであります。
 そこで、それに関連いたしまして、なお私はどうも大臣の答弁を素直に受け入れることができないような問題がありますのでお伺いをいたしますけれども、昭和五十一年度港湾工事指名競争−その前に私がお伺いしたいのは、官公需が発注されるまでの順序といいますか、手順、こういうのをわかりやすいようにひとつ説明してもらいたい。
#43
○政府委員(大久保喜市君) 御説明申し上げます。
 港湾建設局が行いますところの港湾工事の場合を例にとりまして申し上げますと、まず入札に参加しようといたします業者は入札参加申請書というものを希望する港湾建設局に提出するわけでございます。それに基づきまして港湾建設局長は提出された書類をもとにいたしまして実はいわゆる資格審査をいたします。それで、契約業者の資格を審査するために内部に設けました資格審査会というものを設けまして、この資格審査会に諮って契約業者の資格の有無、それからいわゆる規模別に等級の格づけというものをいたします。それから港湾工事に関する契約業者の資格及び等級の格づけにつきましては、港湾構造物工事、それからしゅんせつ埋め立て工事、それから陸上工事、それから道路橋梁工事、飛行場土木工事、こういうような各工事区分ごとに行うことになっております。このようにして決定されましたいわゆる有資格者に対しましては、その資格、等級及び有効期間をその申請のありました業者に通知いたしますとともに、港湾建設局長はこの有資格者の名簿を作成いたしておきます。
 次に、工事を実際に発注するに当たりましては、当該工事の規模に応じまして各等級別に格づけされた前記の有資格者名簿の中から当局の定める工事の指名基準に適合するものを毎回おおむね十社程度を選定いたすわけでございます。それで、この指名業者の選定に当たりましては、公平を期するために各港湾建設局に設けられました指名委員会におきまして慎重に検討し、決定される仕組みになっております。それから次に選定されたこれらの指名業者の間において指名競争入札が行われまして、競争入札の結果、契約担当官等が定める予定価格の範囲内において最低金額で落札した請負業者と国は請負工事契約を締結すると、こういうような段階を踏むわけでございます。
#44
○中尾辰義君 それでは、昭和五十一年度港湾工事指名競争登録業者数と契約実績、この面から登録業者は第一港湾局関係で何社ありますか。
#45
○政府委員(大久保喜市君) お答え申し上げます。
 第一港湾建設局に登録されております……
#46
○中尾辰義君 トータルでいいです。
#47
○政府委員(大久保喜市君) これはトータルで六百四十八社でございます。
#48
○中尾辰義君 第五まで……。
#49
○政府委員(大久保喜市君) 第二につきましては六百九十七社、第三につきましては四百七十八社、第四につきましては七百二十六社、第五につきましては六百十九社でございます。もちろんこの中には各建設局共通して出ている業者もございます。それが重複があろうかと思います。
#50
○中尾辰義君 トータルで幾らですか。
#51
○政府委員(大久保喜市君) 以上、単純に合計いたしますと、三千百六十八社になります。
#52
○中尾辰義君 そのうちで一億円以上の入札の参加者は何社ありますか。
#53
○政府委員(大久保喜市君) 一億円以上の工事の指名競争に参加した業者数は二百八社でございます。
#54
○中尾辰義君 そこでお伺いしますけれども、この五十一年度港湾工事の契約実績で大手の四社の契約の実績は、件数及び事業量は幾らになっていますか、金額で。大手四社一つずつ挙げてください。
#55
○政府委員(大久保喜市君) 件数といたしましては七十六件で、合計で百八十億円でございます。
#56
○中尾辰義君 それを一つずつ名前をおっしゃってくださいよ、東亜建設幾らとね。
#57
○政府委員(大久保喜市君) ちょっと失礼します。
#58
○委員長(小川半次君) 大手の会社名を言ってくれというのだよ。わかるだろう、それくらいのこと。
#59
○政府委員(大久保喜市君) 五洋建設、東亜建設、それから東洋建設、それから若築建設、以上が大手の中の大きい四社でございます。
#60
○中尾辰義君 それで幾らになっているの、件数と金額は。
#61
○政府委員(大久保喜市君) 四社の合計で、先ほどお答え申し上げましたように、件数といたしましては七十六件で、合計で百八十億円でございます。
#62
○中尾辰義君 だから、一つずつ言いなさいよ、東亜建設が幾らと。
#63
○委員長(小川半次君) 答弁者、四社のトータルで幾ら払っておるかということを尋ねておる。それを聞いている。
#64
○政府委員(大久保喜市君) 四社の合計が百……
#65
○中尾辰義君 だから、一つずつ幾らになっているの、各社ごとの。
#66
○政府委員(大久保喜市君) いまちょっと資料をここへ持ってきておりませんので、後ほどお答え申し上げます。
#67
○中尾辰義君 あなたの方のこれは資料なんですよ。東亜建設工業が二十五件で六十九億六千万、五洋建設が二十五件で五十八億二千六百万、東洋建設が十四件で二十六億七千九百万、若築建設十二件で二十五億四千六百万、これであなたがおっしゃったように七十六件百八十億千三百九十七万と、こうなっておりますが、これで全国の約六〇%を占めておるわけです、六割をこの四社で。どうもこういうところが私はもう一つ納得がいかないのだが、運輸大臣、これはどういうわけですか。
#68
○国務大臣(田村元君) 先ほど申し上げましたように、私が港湾局長から事情を聞きました点では、非常に高度な技術あるいは施設等を必要とするので、勢いそのように傾いたということを報告を受けております。
#69
○中尾辰義君 それはまあ大臣はそういう答弁をおっしゃられるでしょう。私もあなたの答弁を否定するというわけではございません、まあ技術の面、信用の面等も要りますけれども。
 これをまた裏からのぞいてみますと、こういう実態が出てくるわけであります。それで、これも余り時間がありませんので港湾局の方でひとつ説明していただきたい。それは、昭和四十七年から五十一年までの大手十社の受注高とそれから政治献金、これはどういうふうになっておるのか。
 これは、総理大臣、要するに概括的に申しますと、大手十社が多額の政治献金を港栄会という一つの政治資金団体に献金をする、それから自民党の国会議員の関係しておる政治資金団体に多額の献金がなっておる、その民間の大手十社に運輸省のOBの港湾局長等のたくさんの人が天下りしておる、そういうことなんですよね。それをいまから私は聞いてみたいと思うのです。
 まず、大手十社、これの受注高と政治献金はどうなっておるか、ひとつ政府側の方で説明してください。
#70
○政府委員(大久保喜市君) お答えいたします。
 四十七年度から五十一年の十二月までの合計でございますが、五洋建設につきましては百五十六件四百四十八億六千八百五万六千円、東亜建設工業百三十六件三百六十一億三千六十五万四千円、東洋建設百十二件二百七十六億七百二十一万七千円、若築建設八十三件二百七億二千四百五十四万円、佐伯建設四十五件百七億八千二百四十五万四千円、大都工業二十四件六十九億三千五百六十一万七千円、臨海土木五十一億八千五百六十二万一千円、国土総合開発四十二億五十四万四千円、三井不動産建設三十三億一千九万九千円、以上合計が六百三件千五百九十七億四千四百八十万二千円でございます。
#71
○中尾辰義君 要するに、これだけの膨大な受注高があるわけですね。その反面に、これがまたいま申し上げましたような港栄会に多額の政治献金をしておると、こういうことで、これは自治省の方で発表してください。
#72
○政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。
 自治省がいままで官報に公表したところによりますと、御質問にありました港栄会という政治団体の昭和四十七年上期から五十年下期までの四年間の収入のうち、御指摘のありました企業から受け入れられました金額は次のようになっております。
 五洋建設は四年間に五千七百万円、東亜建設工業それから東洋建設、これも同様に四年間に五千七百万円、次に若築建設、佐伯建設工業、国土総合開発、三井不動産及び三井不動産建設、以上がそれぞれ三千四百二十万円それから大都工業、臨海土木、以上二社はそれぞれ二千二百八十万円と相なっております。
#73
○中尾辰義君 いまのは、トータルで三億五千三百四十万円を港栄会に献金をしている。この港栄会というのは大手十社でできておるわけですが、自治省にまたお伺いしますが、この港栄会はさらにどういうところに政治献金をしておるのか、それを一遍発表してください。
#74
○政府委員(佐藤順一君) お答え申し上げます。
 港栄会からの支出状況の中であらかじめお尋ねのありました政治団体についてでございますが、新風政経研究会へ四千万円、おかべ保後援会、国民協会へそれぞれ三千万円、たちばな会へ一千五百万円、新財政研究会、一寿会政治経済研究所それぞれに一千万円、それから新政懇話会へ三百万円、その他百万円未満のもの三件と相なっております。
#75
○中尾辰義君 それから驚くべきことは、総理、そういう大手十社に運輸省の高級官僚がたくさん天下りをしておるわけであります。五洋建設には運輸省港湾局の部長外八名、それから東亜建設工業には運輸省港湾局長外七名、東洋建設には同じく建設局次長外八名、若築建設には工事事務所長外二名、佐伯建設には同じく工事事務所長外四名、大都工業には防衛庁陸将補外五名、臨海土木には運輸省第三港湾建設局次長外五名、三井不動産建設には同じく運輸省港湾建設局次長外三名と、こういうように、私は唖然としているんですよ、これは。全部運輸官僚が天下りをして、そしてこの大手十社と政治献金が絡んでおるわけですね。これはもう完全に業者とそれから政治家と官僚が三者一体となって癒着していることを実証しておるわけですね。先ほど私は言わなかったですけれども、さっきの政治団体というのは、これはここから先は私は申し上げませんけれども、総理は大体は御存じだろうと思いますけれども、そういうことで、こういうところに非常に不明朗な不公正な受注のあり方というものがあるのじゃないか、これを私は大きな疑惑を持ってきょうは質問しているわけですが、これをこのままほうっておいていいのかどうか、総理大臣のお考えを一遍お伺いした、と思いますが、いかがですか。
#76
○国務大臣(福田赳夫君) まあとっさのお話でありまして、このケースについての感想ということよりは、一般的に、私は、企業献金また個人献金、まあ政治資金のあり方というものにつきまして、これはどうしたらいいんだろうかということを常々思い悩んでおるわけなんです。一昨年一つの新しいルールができたわけであります。昨年からそれが実行になっておる。そして、企業の献金の枠並びに質、そういうものに対して規制を加える、そういうことが行われるということになりましたが、要は、私は、これは企業献金につきましても個人献金につきましても節度というか、そこに問題があると思うのです。幾ら規制をしてみましても、やはり本当に金についてきれいな政治をやるんだというその心構えが一人一人の政治家にまた資金を出す方になけりゃ、これはなかなかむずかしい問題をいろいろ醸し出してくるのじゃないか、そういうふうに考えまして、これから政治資金のあり方について一体どういうふうにするか。私は、暮れの五党首との会談でも、こういう問題をひとつお互いに相談して何とか政治と金との間の関係というものがきれいに動くようにしようじゃないかという御提案も申し上げておるわけでありますが、まあいろいろいままで行き過ぎの面があったと思うのです。それを私は自由民主党の総裁として是正をしていきたいと、こういうふうに考えております。同時に、皆さんの御協力も得ましてさらにいいルールができたらいいなあというふうに考えまして御相談もいたしたいと、かように考えております。
#77
○中尾辰義君 これは所管は大体運輸省ですから、運輸大臣からも一言おっしゃってください。
#78
○国務大臣(田村元君) 政治家によって指名入札等が左右されるということは、これは絶対によろしくないことであります。でありますから、政治献金という問題と政治家によって行政に介入を受けるということとはやはり切り離して考えた方がよいと思いますが、私は、着任のときに、幹部職員に対して、まあ言うなれば政治の介入に対して毅然たる態度をとるように、自分も一切そういう問題については指示を与えないからということを申しました。そういうことでありますので、厳正に行われてきたと信じますし、また今後も厳正に行っていきたい、こう考えております。
#79
○中尾辰義君 それで、総理の答弁もありましたから私はこれはこれ以上追及いたしませんけれども、やはり企業献金というものは非常に問題があるのです、総理。ですから、三木さんはああいうふうにおっしゃった、政治献金は個人献金に切りかえたいと。この前選挙法が改正になりましたけれどもね。それでは、総理自体はどう考えておられますか、個人献金、企業献金に対して。
#80
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、節度というか、そういう問題につきましては行き過ぎがあってはならぬと、こういうふうに考えておるのです。確かに、新政治資金規正法ができる、一昨年のあの改正ですね、あの改正以前の状態は、これは少し行き過ぎがあったと、こういうふうに思うわけであります。まあ五十一年から新法が施行になりまして私はかなり改善されてきたと思うのです。しかし、私は、企業献金もそうでありまするけれども、やっぱり個人献金もそうだと思うのですよ。やっぱり個人が多額に献金をすると、これは何がしかの影響力を政治家に及ぼす場合があるわけです。これは企業献金は悪いが個人献金は野方図にしていいんだというふうには考えません。両方にわたってこれらは何とか政治と金との関係を断ち切るという必要があるのじゃないか。私もいろいろ考えがあるんです。あるんですが、まあ私は何とかして各党の御協力を得まして金と政治の関係というものがきれいに動くような状態を実現をしたいということを念願いたしております。
#81
○中尾辰義君 それでは、時間がありませんから、あと中小企業問題につきまして若干お伺いします。
 先ほど総理から今後の景気の見通し等も若干お伺いしましたが、依然として企業倒産が多いわけでありまして、三月決算、四月決算、五月、どうなりますか、まだ業界におきましては総理がおっしゃるように簡単にいかぬと思うのです。繊維業界にしても造船業界にしてもこれはもう火が消えたようです、いまはもう沈滞しておるわけですから。それで、今後企業倒産の見通しと言うとおかしいけれども、どういうふうに考えていらっしゃるのか、それと、通産省、中小企業庁は倒産防止のためにどのような措置を講じておられるのか、その辺をお伺いします。
#82
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 倒産件数あるいはその金額等につきましては先生よく御承知だろうと存じますので省きまするが、倒産対策といたしまして考えたいと思いますのは、まあ何と申しましても企業全体の九九・幾つというのが中小企業でございます。そんな関係で、特に中小企業倒産ということが経済問題であると同時に大きな社会問題でもある。この倒産対策につきましては省を挙げて取り組んでおるわけでございますが、基本的に申すならば、民間の金融機関に依存をいたしておりまする面が非常に多いのでございまするが、われわれの方といたしましては、政府関係の三機関――商工中金金融、それから国民金融公庫、あるいは中央金庫等の政府関係三機関に対しまして、積極的にその枠の問題につきましては、御案内のとおりに本年度三兆六千億という枠を設定いたしてございます。しかしながら、これらの枠に対しまして、さらに民間の金融機関に対しましては、その信用補完制度と申しますか、御承知のとおりにいろいろな保険機能を十分に果たすことによりまして、これらの金融機関からも融資が行われますように、かように考えておりますが、要は、全体の景気の回復がございませんければ、結局発注も非常に落ちると、こういうこともございます。さらに、倒産に基づきまするいろいろな影響、すなわち下請の関係等におきましては倒産防止の処置を講ずる等々、また、下請代金の遅延等々につきましても、要するに現場の通産局を通じましてきめの細かい手当てをするように、また、下請振興協会等を通じまして仕事のあっせん等きめの細かい措置を講じておる次第でございます。過ぐる二月でございまするが、通産省といたしましては、各通産局長に命じまして、特に倒産あるいはまた下請等につきましての特段の措置を県あるいは市町村等の地方機関、さらにまた商工会等々手を取り合いましてその防止に全力を挙げるように通達もいたしたような次第でございます。
#83
○中尾辰義君 いま大臣がおっしゃったようにいろいろとやっていらっしゃるようでありますけれども、なかなかこれは制度はありましても実効が上がっておらない、それが実情でございます。その典型的なものが下請代金の支払い問題、いつも問題になっておりますが、この下請代金の支払いは下請代金支払遅延等防止法で、物品の給付を受けた日から六十日以内、これはまあ手形でも現金でもいいわけでありますが、これが六十日以内と、こうなっておるわけであります。また、手形期間についても、繊維工業は九十日以内、その他は百二十日以内とするよう親事業者に対して改善指導を行っている。さらにまた、下請中小企業振興法に基づく振興基準には、親事業者は「下請代金はできる限り現金で支払うものとし、少なくとも賃金に相当する金額については、全額を現金で支払うものとする。」と、こういうふうに規定をされておるわけでありますけれども、これがさっぱり守られておらないのが実情であります。私ども地方を回りましていつもこの問題を中小企業者の声として聞くわけであります。法や基準をつくりましても、これが守られておらなければ、これは全く絵にかいたもちなんです。いわゆるざる法であります。この下請代金の支払い遅延が企業倒産を醸成する大きな要因となっておるわけであります。ですから、これは強力なる御指導を通産大臣の方からやってもらいたい。また、どういうふりにやっていらっしゃるのか。それと、この行政指導に限界があるならば、手形期間や現金化比率を法定化する、そういうような思い切った対策を吸えてはどうかと、こう思うのですが、通産大臣、いかがですか。
#84
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 この深刻な不況に伴いまして、おっしゃいましたような手形の決済のサイト、あるいは現金との比率の問題でございますが、省といたしまして三千六百の企業を対象に調べたところによりますと、現金比率の問題では、五十年が四二・五、五十一年が四三・八、五十二年が四五というような状態になっております。反面、また受け取りの手サイトでありまするが、五十年が百二十三日、五十一年が百二十・一日というようなことで、おっしゃいましたように、現金の問題、手形のサイトの問題が深刻な打撃を与えておりますが、これらの問題に対しまして、特に通産省といたしましては、先ほど申し上げましたような地方の通産局に特に現場に参りまして、たとえば先般のバルブ等の倒産等にも関連いたしまして、倒産が関連小業に波及いたしませんようにいろいろなきめの細かい措置をいたしております。具体的な措置につきましては、企業庁の長官も参っておりますから、政府委員からもう少し御説明をいたしたらどうかと思います。
#85
○中尾辰義君 その法制化はどうですか。
#86
○国務大臣(田中龍夫君) 法制化の問題につきましては、これはなかなか法制化するということのむずかしさがございます。ということは、一方現金化の方を強く主張をいたしますれば、今度は逆にサイトの方に逃げてしまう。サイトの方を押さえれば現金の比率が落ちるといったようなことになりまするし、これはやはり取引の現場のきめの細かい指導なりあっせんにゆだねた方がいいのではないか。これを固定いたしました法制化いたしました場合の功罪というものを目下いろいろと調査もいたしておりまするが、やはりいまのところでは非常にむずかしいというのが現状でございます。
#87
○政府委員(岸田文武君) お話のございました下請の支払い条件の改善の問題は、私ども、不況を控えております中小企業にとりまして非常に大きな問題であり、中小企業庁としても全力をふるってこの問題については対応しなければならないと考えておることでございます。
 現実の取引の状況につきましては大臣からお答えをいたしましたが、私どもは、このような支払い条件の改善のために、全国の下請企業者に対して定期的な調査を行っております。具体的には、中小企業庁及び公正取引委員会が協力をいたしまして、書面調査及び実地調査を実施いたしております。対象企業数も、四十九年が中小企業庁関係で二万一千件余りでございましたが、五十年がそれが二万八千件に上がり、さらに五十一年は上期だけで一万五千件というような調査対象をもとに、実情を把握し、またその是正を図っておるという実情でございます。
 なお、お話のございました法制化の問題につきまして、問題点は大臣からお答えをいたしましたが、私どもといたしましては、現実に親企業の方に資金繰り上百五十日以上の手形しか切れないというようなときにも、何とか百二十日の手形が切れるようにするということが当面の政策的な課題ではないかと思っております。その意味におきまして、都道府県の協力を得まして、こういった下請に対する親企業の金融の面で特段の措置を講じまして、いまのような支払い条件の改善に寄与できるような制度をいま鋭意研究いたしておるところでございまして、何とか早くこれを実現に移したいと思っておるところでございます。
#88
○中尾辰義君 少なくとも官公需にかかわる下請代金の支払いについては、これは改善がすぐにできるのじゃないかと思うわけであります。この官公需につきましては、まあ銀行振り込みという形をとるにせよ、現金払いにせよ、受注者と下請業者との支払い方法については、受注者つまり元請と下請ですね、役所と元請、これはまあいいとしても、元請と下請業者との支払い方法、これにつきましては何にも対策が講じられておらないし、調査も余りされていないわけですな。これは私は行政の怠慢だと思いますよ。だから、問題は、元請から下請、この段階が非常に厳しいわけであります。
 そこで、通産大臣にお伺いしますが、官公需の下請代金の支払い期間、手形期間、現金化比率、こういうのはどうなっておりますか、一遍それをお伺いいたしたいと思います。どうですか。
#89
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 まず、官公需の問題でございまするが、特に閣議におきまして毎年官公需の枠を決めておりまするが、御案内のように、ただいま三四%はぜひとも中小企業に出すように、それからまた、そのほか地方関係におきましては、県、市町村を初め、なお公団等の自治体につきましても、できるだけ中小企業に仕事を出すように、発注の点では確保いたしております。同時にまた、元請、下請の関係でございまするが、下請の関係が中小企業でありました分につきましては、これはもうただいま申し上げたような中小企業の諸対策によりまして、あるいは金融をいたし、あるいはまた信用補完制度によりまして、信用保証協会その他さらにまた倒産防止のためのいろいろな措置も講じております。サイトの点におきましても、手形の問題につきましては、御案内のとおりに、元請に対しまして、ぜひ下請に対しましては六十日から九十日といったような指導もいたしておるような次第でございます。具体的なケースにつきましては、企業庁長官からお答えをいたします。
#90
○委員長(小川半次君) 中尾君、ちょっとこれ答弁は簡潔にしてくれとあなたからも注意してくださいよ。けさからみんな閣僚の答弁が長くて、きょうは予算委員会が終わってから各種の委員会が幾つもあって……(「委員長が言えばいいじゃないか」と呼ぶ者あり)
 それでは、各閣僚に申し上げます。答弁は簡潔に願います。
#91
○中尾辰義君 それは、きょうの質問は全国でテレビで聞いているんですよ。だから、要点だけ言えばいいというもんじゃありませんよ。ただ要点を質問するだけなら、私は簡単に要点だけぱっぱと言えばいいですよ。答弁もぱっぱとやればいいんですよ。それでは国民の皆さんに申しわけないんですよ。だから、委員長がそういうことを言うのはおかしいですよ。あなたは自分の予算委員会を早く終わればいい、そういうことではだめですよ。
#92
○政府委員(岸田文武君) 官公需に対する支払いにつきましては、御承知のとおり、原則として小切手をもって行うことになっております。
 それをさらに下請した場合の取引条件でございますが、私どもは、下請側一般としての支払い条件については調査いたしておりますが、その中で官公需からの親企業がどういう発注をしたかという特別の分類を持っておりませんので、実情を承知いたしておりません。ただ、一般論といたしましては、親企業が現金で受けた場合にはやはり現金比率を高くするということが望ましいことでございまして、私どもこの辺については今後注意していきたいと思っております。
#93
○中尾辰義君 次に、会社更生法につきまして若干お伺いしますが、今日、企業倒産に対する救済措置の一つとして会社更生法があるわけであります。会社更生法適用件数を見ますと、昭和五十年九十四件、五十一年八十九件の多きに達しておるわけであります。ところが、それらの会社の更生計画を見ますると、下請業者の持つ債権はほとんどが切り捨てられておる。たとえ弁済をされるといたしましてもきわめて長期に及ぶのが通常であります。立場の弱い下請業者はいつも泣かされておるわけであります。確かに、会社更生法には、少額債権の早期弁済という例外措置が設けられてはおりますが、現実には中小企業の債権の保護にはほとんど役立っておらない。私の調査でも少額債権の早期弁済はきわめて少ないのが実態であります。せっかく規定があってもそれが少しも生かされていない。下請代金支払遅延等防止法と全く同じく行政の怠慢だ、こういうふうに思うわけであります。何ゆえに中小企業に対する早期弁済が行われないのか、その必要がなかったとは言えないと思う。一そういうことで、法務大臣にこの実情をまずお伺いしたいと思います。
#94
○国務大臣(福田一君) お答えをいたします。
 会社更生法におきまして、下請代金の支払いのうちで特に少額債権には十分早期に支払うような法が制定されておりまして、中小企業保護という立場から言えば、これは当然なことでございます。私の承知いたしておりますところでは、裁判所ではその点を十分考えて運営をいたしておるというふうに理解をいたしておるのでございますが、詳細については政府委員から答弁をいたさせます。
#95
○政府委員(香川保一君) もともと、会社更生法におきましては、更生計画におきまして、債権平等の原則の例外としまして、少額債権につきましてはそのカット率を優遇するとかあるいは弁済期を早める等の優遇措置が講ぜられておるわけでございます。しかし、更生計画が時によりますと認可されるのに相当の時日を要するというふうなことで、中小企業、下請企業とかあるいは小口債権者がそれまで待っておれないというふうなこともございますので、昭和四十二年に会社更生法が改正されまして、更生計画の認可前でも、下請企業の債権と少額債権については裁判所が許可を与えまして弁済するというふうな措置を講じておるわけでございまして、したがいまして、法律上は私どもといたしましてそれで十分な救済措置が講ぜられておると考えておるわけでございますが、問題は運用でございます。
 私どもの承知いたしておるところでは、更生計画の中身を見ますと、さような法の趣旨に従って裁判所が十分運用しておるわけでございますけれども、更生計画前の弁済につきましては、裁判所も事情がなかなかつまびらかでない面もございますので、やはり債権者が管財人に事情を強く申し出るというふうなこと、あるいは管財人がその辺の事情を十分配慮して裁判所の許可を求めて早期弁済を図るというふうな運用がさらに強化されませんと、十分な法の趣旨は生かされない。さような面で、裁判所のみならず、債権者、管財人等のこの面での十分な裁判所に対する協力が何よりも必要かというふうに考えております。
#96
○中尾辰義君 この不況に、私も地方を回りますと、会社更生法に対する評判が非常によくない。あれは悪法だと、こういうような声があるんですよ。一将功成って万骨枯るなんて、われわれ下請はどうでもいいのか、そういうような声があるんですよね。そこで、下請中小企業者の持つ債権、これを、定額の早期弁済を、一応書いてはありますけれども、義務づけをしてはどうかと思うわけですけれども、それも銀行や大企業の債権は安全で、下請業者の債権は切り捨て御免というようなことがありますので、非常にこういう不満があるわけなんですよ。この辺のところがいまの答弁では運用の面を強く指導すればいいというようなことでありましたが、その辺はどうですか、法務大臣、きょうはみんないま聞いておりますから、あなたがもう一遍答弁してくださいよ。更生法は改善すべきである、こういうような声もあるんですよ。いかがです。
#97
○国務大臣(福田一君) 計画ができますればすぐ少額の分については支払うのでありますが、それができるまでの間になかなか時間がかかるということは、ただいま政府委員も申し上げたとおりでございまして、これらの点について管財人が証明をするというようなことをできるだけ義務づけるか、何かの工夫をするということもあるいは考慮しなければならない問題かと思いますので、御趣旨を体して法の改正についても検討をいたしてみたいと思います。
#98
○中尾辰義君 それから倒産関連特別保証制度、これにつきましてちょっとお伺いしますが、倒産関連企業の救済方法として倒産関連特別保証制度があるわけでありますが、この制度の範囲では、一時の経営危機は免れたといたしましても、そのためにかえって借金が増大をする、その返済の重圧から結局倒産へ追い込まれる、そういうケースも多いわけであります。それで、農業構造改善事業、造林事業等の農林漁業に対する資金の貸し出しにつきましては、金利、償還期限、据え置き期間が大幅に優遇をされておる。それに対しまして、この方は資金の貸付条件がきわめて劣っている、こういう不満もあるわけであります。だから、会社更生法で適用になりまして、大企業の方は債権はたな上げになって、それから何年かすると黒字決算まで出しておるのに、われわれ下請の方は倒産関連救済方法としてただ保証協会が保証して金を貸すと、それだけのことしかしていないわけです。それならば、信用保証協会が保証して金を貸すのであれば、何も倒産関連企業でなくてもだれでもできるわけですからね。だから、この辺のところをもう少し優遇措置はできないか。もう一遍言いますと、大企業は会社更生法で救われた、下請の方は信用保証制度によって金は貸しましょうと。貸すが、金利、返済条件等は何にもほかの場合と変わらぬというのですから、その辺はいかがですか。
#99
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘の会社更生法の適用を親会社が受けました際の下請の債権確保等につきましても、中小企業庁の方といたしましては、その順位その他優先的ないろいろな努力を払っておる次第でございまするが、その点は事務当局からお答えいたさせます。
#100
○政府委員(岸田文武君) 倒産対策といたしましては、いまお話しでございましたように、信用保険における倒産関連特別措置がございまして、内容としては、一方では不況業種を指定して特別な枠を用意する、それから他方では倒産企業を指定いたしましてそれの波及を防ぐという、二つの措置がございます。前者の不況業種の指定につきましては、昨年逐次整理をしてまいりましたのですが、ごく最近の状況からしますと、これはもう一度見直しをする必要があるのではないかというふうに考えておるところでございます。それから倒産企業の指定につきましても、なるべく機動的にやって問題の波及をなるべく早目に抑えていくということが必要であろうと思って、その辺特に今後とも留意していきたいと思っておるところでございます。
 なお、国のこのような信用保険制度に加えまして、府県の制度融資をもっと活用してはどうかということをいま考えておるところでございます。府県におきまして倒産に対応する特別の制度融資を設けて金融的なめんどうを見るというときには、国としてもできるだけの応援をすると、こういう工夫はないものだろうかということをいま研究をいたしておるところでございます。
 さらに、政府関係金融機関が融資をいたしますときに、一般的に貸付条件等についてはいろいろ工夫もいたしておりますが、さらに借りた後になかなか現実に返済できないというようなときには、返済猶予等も弾力的に行うように指導していきたいと思っておるところでございます。昨年一年の実績で申しますと、政府系三金融機関−商工中金、それから中小企業金融公庫、国民金融公庫、この三機関におけるそのような返済猶予の措置が約四万件程度とられているかと思っております。
#101
○中尾辰義君 それば、政府関係機関はいまおっしゃったので私も了解しますけれども、これは保証協会が保証して民間銀行から金を貸すというわけですから、その場合の返済猶予というものはできないかという私は質問なんですよ。それが、いま申し上げましたように、上の方は会社更生法でたな上げになって、しかも、もう二年ぐらいし−ら黒字決算を出している。下の方はあっっぷあっぷしておるじゃないかと、その辺なんですがね、いかがでしょう。
#102
○政府委員(岸田文武君) 民間の金融機関につきましても、借入側の経営状況に応じまして機動的に返済猶予等の措置をとっていただくことにつきまして大蔵省にお願いし、そのような指導をしていただいておるところでございます。
#103
○中尾辰義君 それから次に、近ごろは非常に倒産が多いわけですが、この中小企業を倒産から救う一つの方法として、倒産防止保険というようなものを考えてはどうかと。これは一つの提案で去りますけれども、これは中小企業者が定期的に一定率の割合で保険料を積み立てておいて、もし取引先企業が倒産をした場合、保険金を受け取ることができるならば、中小零細企業は連鎖倒産を在れるのではないか。こういったような倒産保険創設につきましてどういうふうにお考え持っていらっしゃるか。
#104
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘の件でございまするが、重要な問題でございますけれども、その方法につきましてはいろいろな考え方がございます。昨日の玉置委員のイタリーの例もその一つかと存じまするし、衆議院におきましてもそのような御意見もございましたが、この点につきましては、今後、多角的にかつ慎重に十分時間をかけて研究さしていただきたいと、かように存じております。
#105
○中尾辰義君 大臣ね、慎重に検討するとおっしゃるけれども、これは取引の健全な発展を図るためのものとしてほかにもこういうような類似のJのがあるんですよ。大臣御存じのとおり、輸出保険というものがございましょう。それから機械類信用保険、これもあるでしょう。そういうところから見て、国営の倒産保険はこれはできるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
#106
○政府委員(岸田文武君) 先ほど来お話しございますように、倒産の件数が非常にふえておるということについては、私ども非常に心配もし、何かやはり抜本的な対策はないかということにつきまして部内でもいろいろ検討いたしておるところでございます。ただ、お話しございましたような保険というやり方につきましては、いわば悪意でこれを利用するというような人をどうやって排除するかというような点がいろいろ問題でございますし、そういった点もカバーしようと思いますと、おのずから保険料率が非常に高くなってしまうというようなことがいま議論の一つの問題になっておる点でございます。いずれにいたしましても、大臣からお答えいたしましたように、倒産の問題につきましては、今後とも基本的にどう考えていくのか、どう取り組んでいくのか、じっくりと考えてみたいと思っておるところでございます。
#107
○中尾辰義君 その倒産保険につきましてこれは国民の声も多いわけでありますから、どうかひとつ前向きで御検討願いたいと思います。
 それから住宅問題に入りますが、この住宅もいろいろといままでも議論がありましたけれども、議論があったわりにはさっぱり前進もしていないように私は思います。ですから、あえて取り上げたわけでありますが、五十二年度の公的住宅建設計画、これを見ましても、中心となる公営住宅の建設戸数は五万九千五百戸、わずかに改良住宅は伸びておりますけれども、この円滑な推進は私はきわめて疑問を持っておるわけであります。公団住宅も建設戸数は前年度六万戸並みでありますが、その内訳は賃貸が減って分譲がふえている。ただ一つ住宅金融公庫融資、これが三万五千戸増と、こういうふうになっておるわけです。公的住宅計画にありましても、個人への金貸し政策、持ち家指向のみが伸びておる、こういう現状であります。
 そこで、公団住宅につきまして若干の問題をお伺いしたい。公団住宅は、いま、遠くて狭くて高い、最も評判がよくない。それで、まず、公団の具体的な家賃算定、これはどうなっているのか、これをお伺いしますが、東京北区の赤羽北二丁目団地の三DKの場合、月額家賃は十一万一千六百円、傾斜家賃を採用して初年度が六万九千六百円、数年後は十二万円、こういうようなありさまでありますが、この家賃構成はどうなっておるのか、算定方法をひとつ説明してもらいたい。
#108
○国務大臣(長谷川四郎君) 住宅公団は、全部財政投融資からの借入金によってその事業を行っておるのでありまして、したがって、賃貸住宅の用地費、その用地費に対する金利、これを認めていただいて計算の中に入っております。ただし、この場合、金利は、実際の借入金利は七分五厘でございますけれども、四分から五分、こういうことで、これは一般会計からの補助を得て、そのような計算をした、要するに利子補給をして補てんをしておるということになっておるのであります。したがいまして、これを家賃計算から外すことということは、さらに一般納税者の大幅の負担増にもなることでありますので、これは公団住宅の家賃の低減を図ろうという点については十分留意しておりますけれども、申し上げたようなことになっておりますので、こういう計算をしておるのでございます。
#109
○中尾辰義君 私は算定の内訳を聞いておるのです、内訳を。
#110
○国務大臣(長谷川四郎君) 内訳がいまそういうふうなことになっております、こういうことでございます。
#111
○中尾辰義君 これはあなたの方の資料でありますけれども、赤羽北二丁目団地の家賃算定の内訳、これを見ますると、償却費が四万六百三十二円、それから地代相当額が三万六千七百三十五円、修繕費が一万三千三百十円、管理事務費四千百十五円、損害保険料四百九十六円、公租公課一万五千二百三十六円、引当金が千七十六円、合計で十一万一千六百円、建設大臣、こうなっておりますね。この中で地代相当額というのが三三%です。それから公租公課、これは固定資産税とか都市計画税、こういうのが一四%、これだけ入っておるのですね。そこで、家賃算定の中に地代相当額、土地の公租公課が含まれているのは、これはどういう理由に基づくのか。賃貸住宅の場合、その用地は公団の資産として永久にこれは残るわけでありますね。用地の建設に要する費用、その用地の公租公課もすべて家賃に含めることは民間の不動産業者の場合と全く同様じゃないかと、こういう非難もあるわけであります。公共住宅としての使命を持つ公団住宅家賃を少しでも安いものとするためにこれらは算定計算から除外すべきだ、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでしょう。
#112
○参考人(南部哲也君) 公団は事業費はすべて借入金でやっております。したがいまして、土地の購入費それ自体につきましては家賃算定の中に算入しておりません。ただ、借入金には利子がつきますので、現在預金部資金七分五厘、これを五%ということで、利子分だけは家賃の中に算入いたしまして償却する、その差額は政府補給金でいただくというシステムになっているわけでございます。
#113
○中尾辰義君 ですから、地代相当額が三三%入っておるでしょう。どうですか。
#114
○参考人(南部哲也君) 三三%に達するのは金利分だけでございます。取得費そのものは入っておりません。
#115
○中尾辰義君 それでは、この資金のコストですが、財投で金を借りておるのですが、いまおっしゃったように、資金の金利がかさむのが大きな要因にもなっておるわけですが、金利を一%引き下げた場合に家賃にどの程度の影響を及ぼすか、試算結果はどうなっておりますか。
#116
○参考人(南部哲也君) 直接建設費がどれだけになるかによりまして、一%引き下げた場合に何円ぐらいの家賃の低下になるかということは全部変わってまいります。赤羽の場合に、現在これは四分五厘であれしておりますが、これを一%下げて三分五厘ということで計算いたしますと、家賃といたしましては約一万五千円ほど下がります。一般の場合には、大体五十二年度の平均家賃で申しますと、一%下げますと九千二百円ぐらいの家賃の低下になります。
#117
○中尾辰義君 ですから、政府資金の金利は、一%下げますと一万円から一万五千円も安くなるわけでありますから、大蔵大臣、この利子補給金として一般会計からの投入は、四十九年度で百三十四億円、五十年度で百七十一億円、五十一年度で二百三十六億円とまあ増加をしておるわけですけれども、一方で公団の総事業費も五十年度は一脈一千三百億円、五十一年度は一兆二千七百億円、五十二年度は一兆四千四百億円と、こういうふうに大きく伸びておるわけです。そこで、資金コストの引き下げのため一般会計の利子補給の増額、これは、大蔵大臣、どうお考えになりますか。
#118
○委員長(小川半次君) 大蔵大臣ですか。主計局長でもよろしいでしょう。
#119
○政府委員(吉瀬維哉君) 確かに、土地購入費にかかる金利が相当家賃に対して大きなコストを占めていることは事実でございます。ただ、そういうことにつきまして、負担の軽減を図るために、ただいま建設大臣が申し上げましたような傾斜家賃制度とかいうようなことで、初年度負担、後年度負担の調整を図っているところでございますが、いま御指摘の赤羽台等のところは交通利便のよろしいところでございますし、そういうところから、地域的に見てほかのさらに交通が不便なところの家賃との権衡とか、それからいま中尾委員が御指摘になりましたような、一般会計が五分、利子を軽減するためにすでにことしの補正で二百三十六億も負担している、さらに住宅公庫などでは八百四十七億のものを千億も負担している。住宅政策からいきまして利子補給で相当金額を負担しておりますので、私ども財政的には、それは下げれば家賃が下がるわけでございますが、これ以上なかなか負担はむずかしいのじゃなかろうかとも考えております。
#120
○中尾辰義君 まあ大蔵省は赤字公債も抱えて去りますし、いろいろと出し渋っているのはよくわかるのですけれども、とにかく、公団というのは、総理大臣、評判が悪いですよ。後から質問するですけれども、空き家がらがらしているんですよ。家賃は高い、とても普通のサラリーマンじゃ入れないですからね。その辺のところをもう少し御考慮願えますと非常にありがたいと思うのですけれども、まあ現状は非常に困難のようでございますが、こういうことをもう少し福祉の面から見て金の使い方というものを福田総理がばちっとおやりになりますと、あなたの支持率ももっと上がるんですけれども、その辺はいかがですか。
#121
○国務大臣(福田赳夫君) いま中尾さんから住宅問題の御提起がありましたが、やっぱり衣食がまあ大体いい状態のわが国とすると、住宅問題というのが私は最大の問題であると、そういう認識なんです。そういうことから、私はかつて行政管理庁長官をしたことがある。そのときも、私の全精力を、住宅問題を一体どうするんだという検討に傾注したくらいでございますが、一番むずかしい問題は土地です。まあいま公営住宅が進まない。なぜ進まないんだというと、土地の問題がつかえちゃいまして非常にむずかしいところに来ておるわけです。そういう公団住宅あるいは公営住宅、こういうことになりますと、広大な土地が要るものですから、そこでむずかしいんです。そのかわり、しかし、五十坪とか百坪とか、そういう土地は各地に散在しておる。そう楽じゃありませんけれども、かなりあるんです。そこでいわゆる公庫住宅ですね、住宅金融公庫が融資しまして、それで個人が持ち家をつくる、これの方がわりあいに進むというような状態であります。実態はそういう態勢になっておるんですが、いまいろいろ御指摘がありましたが、公団の住宅ですね、この問題は私はいろいろ検討すべき問題があると思います。御意見等を踏まえまして十分前向きに検討いたしたいと、かように考えております。
#122
○中尾辰義君 それから公団の遊休保有地ですね、これが膨大な数字になっておるわけですが、これも公団管理面の不手際な問題でありますけれども、過日の会計検査院の指摘では、公団の長期遊休地は住建部門、宅地部門を合わせて二十二カ所、面積で千六百ヘクタール、取得価格で約九百七十億円、年間金利負担は七十三億円、年間維持管理費が二億九千五百万円、こういうふうに上っていると、これは会計検査院の指摘であります。これは公団中高層で約九万戸分、高層で約十七万戸分が建つという膨大なものでありますが、さらに問題なのは遊休地保有が原因となっている賃貸住宅家賃の増加額が月額一千円から千五百円に上ると、こういうふうに言われておるわけですが、これは実情はどうなっておりますのか。
#123
○参考人(南部哲也君) ただいま御指摘のような状態で、現在長期保有と言われているように、私の方で検査院から指摘を受けておりますものは千五百八十九ヘクタールございます。これに対する金利は、御指摘のように七十億以上になります。ただ、この千五百ヘクタールは、取得で九百五十億ぐらいの金額でございまして、平均いたしますと平米六千円でございます。したがいまして、金利負担を入れましても現在七千円ぐらいのものでございまして、なかなか平米七千円では現在大規模な用地を取得するというのは困難な状態でございます。これらにつきましては、この第三期五カ年計画の中におきましてできるだけ活用していきたいということで、ただいま建設省の方にもお願いいたしましていろいろと措置を御協力をお願いしている最中でございます。
#124
○委員長(小川半次君) 午後零時五十五分まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
#125
○委員長(小川半次君) 午前に引き続き、昭和五十二年度総予算三案を一括して議題とし、中尾辰義君の質疑を続行いたします。中尾辰義君。
#126
○中尾辰義君 午前中に引き続きまして、住宅問題につきましてお伺いをいたします。
 公団保有遊休地の多くが調整区域に位置しておるわけであります。そこで、市町村との調整もないままに用地取得を進めてきたこの住宅公団の姿勢に大きな問題があると思います。それで公団経営を圧迫し、直接間接に家賃を高めるようになっておりますが、これらの土地の開発見通しはどうなっておるのか。当該市町村の土地計画施設用地としての譲渡も含めて、早急に整理を図るべきだと思いますが、その具体策はどうなっておるのか、お示しを願いたいと思います。
#127
○参考人(南部哲也君) 四十八年当時一億総不動産屋と言われた土地ブームのときに、公団といたしましては土地がなければ仕事ができませんので、土地の獲得に必死になって努めたわけでございますが、その結果、市街化区域の中におきましてはほとんど用地の取得がむずかしい。ことに大規模の三百ヘクタール以上になりますと、これは調整区域でなければ用地の取得ができないということで、これらの調整区域につきましても相当団地を現在保有しておるという状態でございますが、これらにつきましては、ただいま鋭意地方公共団体と関連公共施設の問題等において詰めまして、まず第一に、市街化区域に編入をお願いするというような措置で、現在保有のものの七割、八割程度はこの第三期五カ年計画のうちに活用すると、このような所存で、目下建設省にもお願いいたしまして、関連公共施設の補助金等、これを別枠で優先的につけていただくというような措置もお願いいたしまして、逐次開発の建設に着手するということに努力中でございます。
#128
○中尾辰義君 それでは具体的に二、三お伺いしますが、京都府の宇治市、これは宇治団地ですが、それと京都の西部、それから京都府の精華町の祝園団地、滋賀県大津の伊香立の開発見通しは、これはどうなっておりますか。
#129
○参考人(南部哲也君) 宇治団地は、これは市街化区域でございまして、実はこの私どもの取得いたしました用地のすぐそばに、市がごみ処理場をつくるという計画になっております。このために市の方から、ぜひこれは建設を待ってもらいたいというお話がございまして、今日まで延び延びになっております。私どもといたしましては、五十二年度にはこの建設事業に着手すべく、できるだけ早くごみ処理場の問題、地方住民とのトラブルを解決していただくように市当局にもお願いをいたしている次第でございます。
 京都西部につきましては、これは市街化調整区域になっておりまして、非常に景観の問題、あるいは下流河川の改修の問題等に問題がございまして、これらにつきましては、昭和五十年度から吉都市と共同で、この開発をいかにするかという調査研究を現在行っておる次第でございます。この調査研究の結果に基づきまして、昭和五十四年度には自主設計を行って、五十五年度に住宅建設に着手するというような見込みで、目下鋭意詰めておる次第でございます。
 伊香立につきましては、これも非常に大規模な開発計画でありますので、大津市と総合計画等につきまして調整を行うほか、広範な道路、河川、下水道、その他の関連公共公益施設を整備する必要がございます。そのため現在、市と共同で市の北部の地域開発整備計画につきまして調査研究出でありまして、五十二年度にはその調査研究の結果に基づきまして開発の基本計画を策定いたしまして、五十三年度以降において住宅建設事業に着手するという予定にしておるわけでございます。
 祝園地区につきましては、京都府が昭和四十九年九月に京都府総合開発審議会におきまして、市山城地区整備部会を設置いたしまして、精華町を含む南山城地域の開発計画について検討を進めております。その試案を近く作成する予定でございます。また、地元の精華町も昭和五十年九月から精華町総合計画の策定作業に現在入っております。これらの計画の策定ができましたならば、この地域の計画に基づきまして線引きの見直し等についてお願いをいたしたい。ちょっと祝園地区につきましては、三カ年の、第三期の住宅建設五カ年計画、昭和五十五年度までには話はなかなかれずかしいということで、五十六年までに当地区の市街化区域の編入を市並びに府に要請していく、このような考えで現在進めておる次第でございます。
#130
○中尾辰義君 それから、公団は非常に空き家が多いわけですが、一万二千戸とも言われておりますけれども、これは管理の面で非常に大きな問題になっておるわけであります。この空き家を抱えることによりまして、予定収入の減額が五十一年度で五十五億円と、こういうふうに見込まれておるわけであります。これが公団経営を圧迫しているわけですが、これらの欠損はどのように処理をされておるのか、これが一つと、これが一般家賃にはね返る、はね返っておればこれは非常に迷惑をするわけですが、その辺はどういうふうになっておりますか、お伺いします。
#131
○参考人(南部哲也君) 現在約一万二千戸の空き家がございますが、これらの家賃あるいは分譲代金は、一つには建設に要する費用を回収するための償還金と、もう一つはこれを管理する経費というふうに大分できます。一般の償還金につきましては、これは公団全体の資金繰りの中で措置をしていくということで、管理を開始いたしましてから七十年間で元金並びに利息を回収するというシステムになっておるわけであります。現在、したがいまして、公団全体の予算といたしましては一兆三千億を超えるものでございますので、これらの資金繰りの中でこれをこなしていくということにいたしておるわけでございます。
 それから、管理に要する経費につきましては、これは公団の事務費の節減というようなことで対処していきたいと思っております。一般に管理に入りましたものにつきまして、管理の経費が増大するからその分は家賃にかぶせるということはいたしておりません。
#132
○中尾辰義君 最後になりますけれども、とにかく公団が世界最大の家主というふうに言われるほど大きな機構になり過ぎている、そういうきらいがあるわけです。そこで住宅建設、宅地開発、住宅管理、こういったものを手がけておるわけですが、公団の業務遂行の上で限界が来ているんじゃないかと、こういうふうに思うわけであります。住宅建設、住宅管理の万全の体制をしくために、現行の宅地開発公団、地域振興整備公団との業務分担を再検討し、合理化、明確化を図る必要があるのではないか。この場合に、住宅公団は今後大都市内の再開発に並行して住宅建設を進めていく方向をとるべきではないかと思うわけであります。この場合に、安い住宅とするために思い切った国費の投入が必要となることは当然であります。住宅は社会資本の一つであり、その整備は国の責任であるとの確認の中で、曲がり角に立ったこの公団の再生策を検討すべきであると思います。建設省はこの公団の再生のための対策委員会を設けたと、こういうふうに新聞報道にも出ておりますが、その方向はどうなっているのか、その見解をお伺いをいたしたいと思います。
#133
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘のとおり、建設省内で次官を長といたしまして、省内の各局長、さらに学識経験者、これらの方々にお願いを申し上げまして、今後の公団のあり方について厳密ないろいろな角度から、どうやったらば現在の公団の使命をより以上全かしめることができるか、こういうような点について十分検討を加えておるところでございます。したがって、ただいまお話しの地域振興整備公団は昭和四十九年の八月に、また宅地開発公団は五十年の九月にそれぞれ設立されたものでございまして、日本住宅公団との役割りの分担が明確になっておるのであります。要するに宅地、すなわち日本住宅公団は広く住宅不足の著しい地域において集合住宅の建設及び宅地の造成事業を行うと、したがって、これに対して宅地開発公団はもっぱら大都市地域において宅地需要に対応するために新市街地の造成に当たる、その大規模な宅地開発事業をこの手によって行う、こういうふうに分担がされております。したがって、日本住宅公団は大都市地域においては同公団の住宅建設部門に用地を提供をすることを主とした目的とするものであって、宅地開発事業をこれが行うことにしているのであります。
 また、地域振興整備公団は大都市から人口、産業の地方への分散と地域の開発、発展を図るために地方都市の整備、したがって、これの一環としての新市街地の形成等、大規模な宅地開発事業を行っていくという、こういうふうに三つの分担がそれぞれおのおの異なっておるのでございまして、したがって、今後この分担に即しましてさらに十分調整を図りながら事業の推進を図っていきたいと、このように考えておる次第でございます。
#134
○中尾辰義君 最後に、空き家の今後の対策につきましてちょっとお伺いしたいと思うんです。住宅公団の東京支社の高洲第二、これが管理戸数が千七百六十九戸、それで空き家が九百四十三戸ですよ。空き家率が五三%あいている。村上団地が管理戸数が八百六十九、空き家が六百四十三ですよ。これ七四%もあいているんですからね。関西支社の醍醐、私の近所ですけれども、管理戸数が千二百五十四戸ある、この中で空き家が、五百七十六戸、これは大体四六%もあいている、空き家ですね。こういう団地では管理上、防犯上、生活機能上等からも非常にこれは問題があるわけですよ、高くて遠くて狭い。こういう不人気の要因と言われているが、これらの一つでもこれは切り崩していかなきゃならない、そういう努力が必要じゃないかと思うわけであります。
 そこで、私は具体的にお伺いしますけれども、一つは、地元の地方公共団体と協議調整を図って公営住宅への用途変えを実現できないのか、この点いかがでしょうか。
 時間がありませんからまとめて聞きますけれども、二つ目は、この狭いというところは、小規模住宅は二戸を合併して三LDKに模様変えを断行したらどうか。遠い――これはバス運行費用等含めて公共関係施設の整備について国の特別の措置を講じたらどうか、こういうふうに思うわけでありますが、いかがですか。
#135
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘の点、たとえば現在空き家になっているところ、その二間を一つに改造するとか、五つ間あるところを二つ間にするとか――その狭いというところによって入居者が少なくなっているということ、こういうような現代のつまり生活、社会情勢の中にぴったり合っていない。それをつくるときには、まさにたとえば二DKというようなものが要求され、あるいはまた三DKという細かいものが要求されたのでございましたけれども、なかなか現在になりますとその要求はそのまま通らなくなりまして、したがって、おっしゃるとおりに二間あるのを一間にし直す、要するに二DK二つを一つの家にする、そうして改造を加え、三つを二つにするとかいうそういうような改造を加えて、そしていまの住みよい住宅にいま切りかえをしているところでございます。
 したがって、公営住宅あるいはこういうように変えるというような、二つを一つにする、要するに、公共団体にというようなお話もございますが、公共団体が買い取る等によって公営住宅としても利用することが施策の目的でございますが、ただ助成が重複するというような点についてなかなか財政上の問題が解決ついておりませんが、現行の公営住宅制度上問題があると考えているんですけれども、なお、公団の空き家あるいは住宅に対する取り扱いの問題につきましては、省内に先ほど申し上げておるような次官を長としてさらにその検討をいま加えておるところでございます。したがって、これらの問題に対しましては、御指摘のように十分考慮をいたしまして一日も早くその改造をし、そして住みよい住宅に切りかえを促進をしているところでございます。
#136
○中尾辰義君 住宅関係の最後に住宅ローンの金利について、これは大蔵大臣にお伺いします。
 最近、住宅ローンの支払い困難によりまして滞納者が非常に増加をしている、そうして住宅ローンの申し込みも非常に激減しておるわけです。そこへもって市中金融機関が住宅ローンの拡大をどうも避けようという傾向があるわけですね、あんまり長期にわたってもうからないという意味か、そういうことで、非常に問題があるわけです。そこで端的に言いますけれども、もう少し、政策金融等もありますけれども、産業政策としていろいろと農業関係、漁業関係、あるいは大企業、開発銀行、そういうところには非常に金利の安い政策金融をしているわけです。ところがその産業労働者が一生懸命働いてやっとささやかな家を建てようというのに、これは金利がこういうことではとてもじゃないですよ。住宅金融公庫は五・五%でありますけれども、これだけでは足りませんもので、どうしても民間の銀行あるいは信用金庫等々にお願いに行くと、そうなりますと一一%ぐらいの金利になりまして大変なことなんです。その辺のところを御勘案の上金利を下げる意思はないか、それとも金利体系を崩すと言うならば銀行の方に利子補給を、金利を下げた分だけ利子補給をするか、あるいはそれも不可能ならば所得税からその分を減額するか、その辺のところはいかがですか、大蔵大臣。
#137
○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。
#138
○中尾辰義君 前向きの答弁してください。
#139
○国務大臣(坊秀男君) そのつもりでございます。
#140
○中尾辰義君 深刻な問題ですよ、これは。
#141
○国務大臣(坊秀男君) 民間金融機関の住宅ローンにつきましては、これは今日、日本の国の住宅事情だとか、あるいは利用者の負担力等を考えまして、その金利は極力低いところにとどめておるというのが現状でございますが、そこで都銀とか地銀等の住宅ローンの金利というものは大体九%ということに相なっておりますけれども、この九%という金利は長期プライムレートの九・二%を下回るというようなところでございまして、これも今日急に下げていくということは、これはなかなか困難だと思います。
 そこで、民間の金融機関に対して住宅金融ローンの場合はひとつ利子補給でもしたらどうだと、こういう利子補給せいという御意見のようなんですがね、これちょっとお考えいただきますと、家は建てたいしなかなか建てる力がないという人たちが民間の賃貸住宅に住まっておる。この人たちは毎月毎月やっぱり比較的高い家賃を払っておるということでございますが、そういう方々よりは幾らか恵まれておる家を建てるというためにローンに入るという人たちと、ちょっとそこにアンバランスが生じてくるというようなこともあります。また、ひとつそういったようなローンの利子を払う人に対して、何とか税でかげんしたらどうかと、こういう御意見のようでございますが、税でこれをかげんをするということは、ある人たちの所得に対しまして、衣食住というものが、これ一番大事な衣食住で、住に対してだけ、住の関係でございますが、その関係のものをこれを引っ張り出して、そして何とか税に関係さして、そして税を縮小さしていくということになりますと、いろいろ生活上大事なものがあるわけでございますから、そういったようなものの何か一つを引っ張り出して、そして税をかげんしていくということについても、これはちょっといまそういうことになっていくということはなかなかこれ困難なように考えます。そういうようなことでございますから、今日ただいまそのお考えに沿うてやっていくということは、ちょっといまのところむずかしいと考える次第でございます。
#142
○中尾辰義君 総理大臣、あなたは景気浮揚対策として非常に住宅に力を入れていらっしゃるんですがね、特に持ち家政策にはあなたは力を入れていらっしゃるのですが、総理の見解をひとつ、大体大臣に聞きましたけれども、総理の見解を一言お伺いしたいと思います、いまの金利問題について。
#143
○国務大臣(福田赳夫君) 住宅政策につきましての中尾さんの御熱心なお気持ちですね、私も全く同様なんですよ。そこで、一番私どもはやってみて実際的なのは何かというと、公庫融資という方向です。大体公庫融資を希望している人、その多くは土地を持っておる、あるいは土地を入手する見当もあり何がしかの蓄積も持っている、少し金が足りない、そこで金をどう調達するかなという人にこの公庫融資というのは非常に私は役に立っていると思うんです。事実ことしの正月に三万戸これは特別に景気対策としてそういうことをやったんですが、募集をする。大変な申し込みです。また、そういうことも考えまして、この四月に早々に同じような募集をしてみるということを考えておりますが、この金利はこれは政府資金でありまして、非常に長期であり低利であると、こういうことでありますが、それを充実していくという方向がこれはもう実際的じゃあるまいか、そういうふうに思っているんです。
 まあしかし、それだけでいいというものじゃありません。そこで、中尾さんのおっしゃるように、一般の住宅ローンの金利、これも低いにこしたことはありません。ありませんが、これは一般の金利水準の問題と非常にかかわりがあると思うんです。私はいまのわが国の金利水準というものは少し高いと思っているんです。少し下げる方向に誘導したい。この間公定歩合を下げたわけでありますが、とにかく金利水準というものをもう少し下げる、これはまた不況対策としても大きな意味を持つわけでございまするけれども、それにつれましてやっぱり住宅ローンの金利も下がっていくと、こういうことになるわけでありまして、この住宅問題は住宅ローンの金利の問題という局面だけでとらえないで、総合的にひとつ考えて、衣食足ってきた、住宅の方もまずまず御満足いただけるという状態を早く出現したい。まあいろいろと工夫してみたいと思います。
#144
○中尾辰義君 それでは、最後に国鉄問題を二、三問お伺いしますけれども、この国鉄の運賃は、これは昨年の国会におきまして五〇%値上げを見たばかりでありますけれども、ところがことしもまた一九%程度の値上げを、国会の審議を経ずして運輸大臣の認可によって値上げをしようと、こういうようなことでございますが、非常に私はこれがどういうわけなのかわからぬのですが、ひとつこの点説明願いたいと思います。
#145
○国務大臣(田村元君) 従来の運賃値上げ方式は、いろいろなその決定までの経過を見ますと、適時適切という値上げがなかなかできなかった、こういうことでありますので、法定制を法の許す範囲内で緩和をして適時適切に運賃値上げができるようにしょう、それが国鉄再建への大きな道になるであろうと、こういうことでございます。
#146
○中尾辰義君 私が聞いているのは、それもそうだけれども、昨年五〇%上げたんでしょう、ことしまた予算措置として一九%上げようというんてすがね、この辺のところを私聞いているんですが、それの問題と、それから今度は運輸大臣は航空運賃は年内は値上げを避けたいと、こういう意向のようでありますけれども、この航空運賃の士が国鉄より安いじゃないか、特にグリーン車なんかですな、そういうこともあってますます国鉄離れをするわけでありますけれども、それから私鉄との関係においても並行区間で同じような現象が起こっているわけですが、こういうことをどういうふうに御判断なさっていらっしゃるのか。
#147
○国務大臣(田村元君) 昨年十一月に五〇%上げました。そして本年また運賃値上げということ−ありましたが、この際思い切って、つまり昨年の運賃値上げ五〇%というのが時期がうんとずれましたこともございまして、それからまた景気の回復というものもなかなか遅いし、物価対策もございますし、いろいろな点を勘案いたしましてこの際、国鉄再建要綱でうたわれております収支均衡年度、五十一年、五十二年ということでございましたが、思い切って五十四年までこれをずらすと、そのようにして再建のテンポを少し先へ延ばそうと、こういうことを考えたわけでありますが、ただ、人件費、物件費の値上がりという程度のものは、これは国鉄の再建テンポを遅めてもいけませんから、これは仕方がないだろうということで一九%ということにいたしたわけでございます。九月から一九%ということにいたしたわけでございますが、当初の計画としてはもっと大幅なものでございました。
 それから航空運賃との問題でございますが、私は、まあこれは自分の考え方でございますからあるいは御批判があるかもしれませんけれども、国鉄の運賃を上げるために航空運賃を値上げするということにはどうしても抵抗を感じるのであります。それからまた、航空会社自体が国鉄の運賃値上げということに対して便乗してくるということも非常な抵抗を感じるのであります。航空会社はいま黒字を出しておる会社が多いわけでありますので、いま直ちに航空運賃を値上げする理由がないのであります。そういうことを考えて私の発言になったわけでございますけれども、ただ、問題は非常に激しい競争関係にある輸送関係の国鉄でございますから、一九%というものの値上げの形態もいろいろと知恵をしぼらなきゃならぬだろう。そしてその輸送競争といいますか、そういうものに対処していかなきゃならぬだろう。このようには考えております。
#148
○中尾辰義君 もう時間がありませんから二問だけまとめてお伺いします。
 いまあなたがおっしゃったようになりますと、これは国会の審議なしに運輸大臣が認可して上げるようにしようということになりますと、国鉄運賃は財政法の枠からこれははずさなきやならぬじゃないかと、こう考えるわけです。その点が一つ。
 それから新聞情報によりますと、国鉄はどうも値上げはしたけれども、特にグリーン車はがらがらだと、お客さんを送っているのか空気を送っているのかわけがわからぬ、そういうようなことでどうも値下げをしようということが新聞等にもちらほら出ておるわけですが、そういう値下げをグリーン車だけおやりになるのか、それともこれはグリーン車だけではどうも――全般的にやらなきゃならないというような御意見もあるようですが、その辺のところいかがでしょう。その二つだけ。
#149
○国務大臣(田村元君) 法定制緩和というこの措置は財政法三条の許容する範囲内である、このようにわれわれも解釈しておりますし、法制局の見解もきわめて明快であります。
 それからグリーン車の問題でございますが、確かにグリーン車というものが非常に高い。そうして航空運賃を上回ることもある。そこでがらがらになっておる。いわゆる国鉄離れといいますか、グリーン車離れというものが顕著であることも事実でございます。でありますから、これを値下げをした方が客の呼び戻しにも有効であろうということも当然でございましょう。しかし、それ以上に私は、グリーン車というものを庶民だれでもが安直に乗れるグリーン車にするということに意義を見出そうと思っております。特に昔の白帯の一等車、青帯の二等車というような、あのような特権階級的なグリーン車にしたくない、庶民のものにしたいと、こういう気持ちが実は私の頭の中に非常に強うございます。でありますので、当初国鉄で若干作業もしたようでございますが、ごく限られた部分的な、百キロ以内とかなんとかという程度のグリーン車の値下げというもので果たしていいんだろうかという疑問があったものですから、私はグリーン車の値下げはそういうみみっちいことでなしに、もっと大幅にやったらどうかということを提言したと、こういうことでございます。いまそれをどうするかこうするかということにつきましては、事務当局も作業をしてくれておると思いますけれども……
#150
○中尾辰義君 グリーン車だけじゃなくして全面的に下げるの。
#151
○国務大臣(田村元君) 全面的というのはどういう意味か私もわかりませんが、賃率まで値下げといえば一九%の値上げは横へ飛ぶわけでありますから、賃率はこれは値上げをしたい。グリーン車は可能な限り値下げをしたい。その他、先般も寝台なんかどうだという御質問も内閣委員会等でございましたが、そういう点もまた検討に値するとは考えております。
#152
○委員長(小川半次君) 中尾君、あなた国鉄総裁をわざわざ呼んで――よかったんですか。
#153
○中尾辰義君 ええ、もう時間がありませんから。
#154
○委員長(小川半次君) どうも国鉄総裁御苦労さまでした。
 以上をもちまして中尾辰義君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#155
○委員長(小川半次君) 上田耕一郎君。
#156
○上田耕一郎君 まず、日ソ漁業交渉問題についてお伺いしたいと思います。
 関係漁民も、それから動物たん白質の過半を水産物に依存しておる全国民も非常に関心が大きいと思いますけれども、いままでの状況の中で、ソ連並びに日本がどういう提案と主張をやっているのか、どうして難関に乗り上げているのか、農林大臣にお伺いいたします、東京並びにモスクワで。
#157
○国務大臣(鈴木善幸君) 日ソ漁業交渉につきまして、東京交渉、これは御承知のように、領海を除く北西太平洋の公海上のサケ・マス並びにニシンにつきまして資源の保存と合理的利用を図るという観点から毎年漁獲量等を設定をすると、こういうことになっておりますが、ソ連側はソ連の設定いたしました二百海里の外の部分、それだけが代表団に与えられた権限であるということで、その部分につきましての資源評価その他は一応済んだわけでございますけれども、総体の漁獲量等につきまして話し合いがついておらないと、こういう段階でございます。
 わが方としては、条約の規定に沿いましてソ連の領海の外の北西太平洋の公海は全部対象海域であると、しかも国際条約は国内法に優先すると、両国はこの条約によって責任と義務を負うものであるという観点に立ちまして、全体の内も外もあわせての交渉をやろうと、こういうことで意見の食い違いをいたしまして、いま交渉は実質的に中断をしておるという状況にございます。
 また、モスクワ交渉におきましては、ソ側はどうもはっきりは言っておりませんけれども、領土問題に絡めてきておりますし、もう一点は新聞等にも報道されておりますように、わが国が近く国会で御審議を願うところの領海十二海里の中でイワシ、サバ等を漁獲さすべきであると、こういう主張をいたしておるわけでございます。したがって、いずれもわが方としてはのめないと、こういうことでこれまた暗礁に乗り上げておるというのが現状でございます。
#158
○上田耕一郎君 日本共産党は、この問題についての見解と提案を発表いたしまして、きょうの赤旗に全文載っておりますが、その中でも書きましたけれども、いま大臣が言われたように、二百海里設定という国内措置を日ソ漁業条約に優先させるというソ連の態度は承服しがたいものだと思うんです。いま御説明ありましたように、結局二百海里水域内ではサケ・マスもニシンもゼロということになりますね。そういうことになりますと、日ソ漁業条約というのは廃棄通告がなされていないので、その条約をまるでなきがごとき態度をとっているというのは非常におかしいと思うんです。この点、どういう主張を日本側はやっているのですか。
#159
○国務大臣(鈴木善幸君) 上田さんのおっしゃるとおり、国際法は国内法に優先する、しかも日ソ漁業協定は現に機能しておる、効力を持っておるという立場から、わが方としてはソ連側の主張は容認できない、わが方としてはあくまでソ連の領海部分を除く北西太平洋全域についてのサケ・マス、ニシンの漁業問題として協議をすべきであると、こういう主張を貫こうといたしておるわけでございます。
#160
○上田耕一郎君 いままで日本は若干乱獲ですね、これがやっぱりあったことは反省しなきゃなりませんけれども、資源保護の観点とこれまでの漁獲量の維持、この二つはわれわれ両立できると思いますので、日ソ漁業条約を尊重する態度で交渉を進めていただきたい。
 次に、例の十二海里領海内のソ連の操業の要望ですけれども、これは領海というものの国際法上の概念並びに海洋法会議の単一草案、あれに述べられております領海の概念、こういうものに照らしてどういうことになるのか、その点お伺いします。
#161
○国務大臣(鈴木善幸君) 領海は領土の延長でありその一部であると、こういう私ども基本的な考えでございまして、したがいまして、領海の中で他国船が操業するということは、これは世界の慣例にももとるし、われわれとしては絶対に容認できない。また、ソ連の十二海里の中でわが方が操業を認められた事実もございません。
#162
○上田耕一郎君 この問題については政府と共産党と意見が全く一致しております。同じ共産党ですけれども、ソ連共産党と日本共産党のこの問題についての見解はやっぱりまるっきり違います。われわれは自主独立の党として、この領海問題についても国際法上非常に承服しがたい論拠のソ連の主張、これは間違っていると思います。
 日ソ漁業条約の尊重についても、領海問題についても、こういう納得のいかぬ論拠でソ連が出てくると、ところが、どうも日本側は態度が私は消極的なように思うんですね。たとえば千島問題についてもソ連は絡ませていると言われるけれども、千島問題はやっぱりわが国固有の領土でありますし、懸案でありますが、そうだとすれば千島の、私は南北千島と申しますけれども、その水域の二百海里設定は保留すべきだという主張を当然なすべきです。たとえば日ソ共同宣言で、平和条約が結ばれれば歯舞、色丹は返すという約束になっているその歯舞、色丹まで二百海里向こうはやろうというわけですね。こういう点はどんどんやっぱり日本側は主張すべきだ、その点は弱いと思うんですね。それから北洋水域については共同管理方式というのをわが党は提案しておりますが、こういうものも提案すると、積極的提案なしに乱獲という過去のまずい点を背中に抱えて消極的な態度でやっているからこういう状況に追い込まれるのではないかと、そう思いますが、いかがでしょうか。
#163
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国は、北洋の漁業の開発につきましては長い間の伝統的な実績を持っておるわけでございます。しかも、資源の保存と有効利用という問題につきましては、これは日ソの共通の利益に合致することでございますから、毎年これらの資源の評価等の問題を十分相互に検討いたしまして漁獲量を決定してきておるということで、日本が一方的に乱獲をしてきておるというようなことはないわけでございます。
 なお、北方四島の問題につきましては、これがわが国の固有の領土であるということは不動の方針でございまして、私どももそういう観点に立ってこの漁業問題に取り組んでおるということは御承知のとおりでございます。
 さらに、共同管理方式でやったらどうかというユニークな御提案でございますが、この点につきましても、わが国は遠洋漁業国でございますから、世界の国々がこの資源の保存と有効利用という観点に立って広く海洋の魚族資源は共同管理になっていくということが、これが理想の姿であると、このように思っております。ところが、現在御承知のように、世界の大勢は二百海里時代に入っており、分割支配をしようとする時代に入っておるわけでございます。しかし、私はこういうことは世界の食糧問題の解決の上からいって必ず行き詰まる時期が来る、反省すべき時期が来ると思うわけでございまして、そういう観点に私どもは基本を置きながらも当面の事態に対処して国益を守るように対処していきたい、こう考えております。
#164
○上田耕一郎君 いまの海洋分割というのは避けられない段階ですけれども、やはり海洋は人類のものだという観点から言えば乗り越えられなければならない。われわれの共同管理方式というのは、そういう意味で海洋分割を全人類的方向に乗り越えるという意味で提案しておりますので、その点なお検討していただきたい。
 次に、四月一日からの出漁ですね、これもモスクワ交渉の経過がこういう状況で、あるいはだめになるかもしれぬというので関係漁業者は非常にかたずをのんで見守っているわけですね。このモスクワ交渉の打開はどういう方針でいるのか、あるいは農林大臣、あるいは外務大臣の訪ソ、こういうことも考えなければならないのではないかと思いますが、その用意はありますか。
#165
○国務大臣(鈴木善幸君) 現在代表団のほかに岡安水産庁長官も派遣をいたしまして、鋭意日夜を分かたず公式非公式に折衝を続けておる段階でございます。私は、鈴木・イシコフ会談の成果として交換されました書簡、この線に沿うてソ側がこの交渉に乗ってくると、こういうことであれば、私はこの問題は打開できると、このように考えておりまして、代表団に対しましては、緊密な連絡をとりながらやっておるところでございます。したがいまして、いまの段階で私が訪ソをするという考えは持っておりません。
#166
○上田耕一郎君 次に、三月中の休漁を余儀なくされているサケ・マスなどの漁業者に対して、政府は補償するということを言っておりますけれども、たとえばニシンの場合、九十四トンの船で仕込み費が三千万から四千万円かかる、休漁による漁獲減がある、こういう問題について、具体的にどういう補償を行うっもりですか。さらに、交渉の妥結がおくれた場合、その補償はどういうふうにするおつもりですか。
#167
○国務大臣(鈴木善幸君) サケ・マス、これは日本海の漁場のサケ・マスでございますが、サケ・マスとニシンにつきましては三月中の出漁を見合わしたわけでございます。これは日ソ漁業交渉の対象魚種でございまして、三月十五日からこの漁獲量、操業の条件、方法、これをシャルクの場で協議をしようということでございますから、その協議がまとまらない前に出漁することは、これは筋が通らないという主張をかねがね数年前からソ連側は言っておるわけでございます。今回はソ連側が二百海里を設定したということもございまして、それを強行出漁した場合、拿捕その他の不祥事態も起こりかねないということで、私は涙をのんで三月中の操業を取りやめにしたと、こういう経緯に相なっております。サケ・マスにつきましては、まだ三月中は北海道の沖合いの海域に魚群がおるわけでございますから、実質的に支障はございません。ニシンは、やはりこれは樺太の西海岸地域での漁獲でございますから、全面的なこの三月中の漁獲はそれだけ収入が減ると、こういうことになります。
 そこで、ただいま仕込み等に三千万、二千五百万かかっておる、それをどうするかというお話がございましたが、そういう仕込みをし、出漁しようとしておった段階に三月中の出漁ができなくなったと、漁獲を引き当てにして手形も切っておったでありましょうし、いろんな延べ払い等もやっておったと思うんでありますが、そういう事態を考えまして、現在融資のお世話をいたしまして、手形決済等に支障のないように取り計らっておるところでございます。これらの問題につきましては、ニシン問題が全体として結論が出た段階におきまして、全体としての補償の措置を考えたい、こう思っております。
#168
○上田耕一郎君 私も北海道や東北の漁民たちと懇談したことが伺回かありますけれども、漁民は国の援助、補償が非常に少ないという血を吐くような叫びを私どもに訴えておりますので、今後とも充実した措置をとっていただきたい、このことを要望いたします。
 それから、この二百海里時代を迎えまして、日本の漁業構造が非常に大きな転換を迫られているということはもう衆知のことですけれども、この際やはり水産庁を水産省に昇格させて、水産国としての日本がもっともっとこの面についての措置を充実しなければならないのではないか。水産業界、漁民の長年の主張ですけれども、この点総理いかがでしょうか、水産省設置という問題です。
#169
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、行政機構を何とか簡素化、能率化ということの方をいま考えているわけでありまして、いま水産省を新たに設置すべしというお話でございますが、これは私は、農林省は、農林省という名前になっておりますけれども、あれは農林漁業省なんです。
#170
○上田耕一郎君 そう名前変えますか。
#171
○国務大臣(福田赳夫君) 名前を変えただけじゃしようがありませんけれどもね。実態として食糧の重要な部分をなす魚類、これは他の食糧、農作物等と一体としてながめるという面もまた必要があるのでありまして、これを独立の省とするということはいかがであろうか。しかし、外交面における努力の必要、これは水産につきましては大変大きくなってきたというふうに痛感するんです。そういうような観点に立ちまして、水産庁のあり方、そういうものにつきましては十分努力をいたしたいと、かように考えております。
#172
○上田耕一郎君 ソ連のイシコフさんは三十年間漁業相をやっているということでして、鈴木さんもベテランですけれども、なかなかそういう点がありますので、ぜひともこの問題を本気で私は研究する必要があると思うんです。行政改革で、単純に簡素にするということの陰で、こういう問題が覆われてはいけないのではないかと思います。
 同じような問題ですけれども、中小企業省ですね。先日、中小企業担当の大臣をという質問がありましたが、担当大臣を置くだけでなく、中小企業省もやはりその意味では必要なのではないか。事業所も九九・何%ありますし、そこでは四千万人の中小企業労働者が働いている。ところが予算はわずかに今度〇・六%でしょう。そういう面で非常に不満も大きいんですけれども、それが大企業中心の通産省の中に置かれているというのは、やはり矛盾が余りに大き過ぎる。その意味で中小企業省ということも検討しなければならない時期にいま来ているのではないかと思いますが、総理いかがでしょうか。
#173
○国務大臣(福田赳夫君) どうも上田さんなんかのお話を聞いておりますと、中小企業と大企業が相対立するような立場にあるということを非常に強調されるんですね。しかしそういう関係じゃないと思うんです。場合によると対立するという面もあります。しかし、本質的にはこれはもう一体的な関係にあります。そういうことを考えますと、役所を全然別にするという考え方、またこれは私の行政簡素化、能率化という立場から考えましても、どうも問題があるんじゃないか、そんなような感じがいたします。いま私は通産省の中に中小企業庁がある、これで能率はかなり上げておると思います。ただ、中小企業者の中に中小企業省を設くべしという議論が非常に高まっておる、これは承知しております。そこで、さあひとつ責任の大臣を置くというようなこともどうかなというようなことも頭の中を去来することがあるんでありますが、とにかく行政簡素化だ、そういう際にそこまでいくのがまたいいかどうかという、こういうような否定的な考え方も出てきておるわけでありまして、よくひとつ今後の検討課題ということにいたしたいと思います。
#174
○上田耕一郎君 まあ水産省や中小企業省設置というそういう声をやっぱり自民党政府も取り入れないと、長期低落傾向はなかなかとどまらぬだろうと、そういう心配もいたします。
 次に、公共投資の問題に移りたいと思いますが、首相は資源有限時代ということを盛んに強調される。ところがこの公共投資が、資源有限時代と言われながら資源むだ遣いのものに、まあ大企業中心という次の性格もありますけれども、いっているのではないかという問題があります。一つ典型的な例が本四架橋だと思うんです。
 首相は三月十三日の松山の自民党の政経文化パーティーでこの三橋以外の橋もいずれ完成させなくてはならないと、そういう話をされた。そうすると、一ルート三橋と言っているけれども、首相、結局この三ルートをいずれは全部橋をかけてということになるのではないですか。
#175
○国務大臣(福田赳夫君) そうはならないんです。つまり、あの三橋と申しましても、明石海峡ですね、あれはなかなかそう簡単にはいかないだろうと、こういうふうに思います。しかし、この本四架橋ですね、これはもう金はずいぶんかかる問題で、私も長い間あれの着工についてはちゅうちょもしておったんです。しかし、過密・過疎問題、これはどうしても解決しなけりゃならぬ問題である。そういう見地からしますと、あの問題もいずれは解決しなければならぬ、こういう見解なんです。ですから、財政の事情の許す、そういうところとも見合いながら、逐次やっていく、こういう考え方にいまなっておるわけです。やっぱり、資材なんかもずいぶんかかりますよ。かかりますけれども、過密・過疎問題というこの問題を放置することもできない、こういう見解でございます。
#176
○上田耕一郎君 私も高知出身なので、一ルートはほしいと思いますけれども、三ルートというのは、いまの資源エネルギー状況から言ってやっぱり考え直す必要があると思う。建設大臣、もし三ルートをいまの計画で全部つくりますと、鋼材、セメントはどのぐらいの量要りますか。
#177
○国務大臣(長谷川四郎君) 三ルートをすべて実施するということになりますと、資材は、鋼材の使用量が約二百万トン、したがって、セメントの使用量は約二百四十万トン、こういうふうに見積もられております。
#178
○上田耕一郎君 鋼材二百万トンといいますと、恐らく東京タワーが四百基以上になると思うのです。コンクリートも、いま二百四十万トンと言われましたが、私ども建設省からいただいたときのあれでは六百万トンという数字がありますが、これだと霞ケ関ビルの十二倍というようなことで、文字どおり鉄とコンクリートのかたまりになるわけですね。これはやっぱり大企業の鉄鋼メーカー、セメント企業、これも大喜びということになりますし、資源エネルギーの観点から言いましてなかなかこういうことをやっぱり再検討しなきゃならぬ数字だと思うのですが、首相、資源有限時代の観点からいかがですか。
#179
○国務大臣(福田赳夫君) 資源有限時代であるけれども、国内の整備、これもゆるがせにすることはできない。ことに、地域的に格差が出てくると、こういうような状態を放置することは私はできない、こういうふうに思うのです。いまとにかく鉄鋼なんかはこれはあり余っておるわけですから、それで困っておるような状況でありますから、いま鉄材を少しぐらいよけい使いましても、これは経済には何の支障もない、資源有限時代とは何らの関係はない、そういう認識でございます。
#180
○上田耕一郎君 こういう鉄鋼だとかセメントの大企業の不急不要の三ルートに公共投資を向けるということを切りかえなきゃならぬということを私どもは主張しているんです。これは今度の公共投資でもう一つ道路投資ですね、これにもそういう問題があると思います。生活道路と言われる市町村道の整備事業費は九百五十七億円ですけども、高速道路−自動車用ですね、これの事業費は八千九百二十六億円で、何と九倍になっているんですね。それで、道路をふやしますと自動車がふえる。自動車がふえるとガソリン消費がふえる。そうすると、ガソリン税がふえて、これは全部特定財源で道路財源になっている。それでまた道路を延ばすとまた自動車がふえるということで、道路と自動車の悪循環が進みつつある。この悪循環も、いま改めて見直さなければならない時代に来ていると思います。運輸大臣、エネルギー消費の点から言って自動車と鉄道の比較はいかがでしょうか。
#181
○国務大臣(田村元君) 自動車と鉄道のトンキロ当たりのエネルギー消費量は、五十年度実績では、鉄道が百九十五・四キロカロリー、自動車が千二百七十五・八キロカロリーということになっております。
#182
○上田耕一郎君 大体やっぱり六分の一という効率を自動車の方が持っているわけですね。こういう数字は幾らでもあります。エネルギー面で言っても、自動車の方が人間・貨物を運ぶのに六分の一のエネルギーで足りるだけでなくて、社会的な被害もいまや限界点を突破しておると思います。
 厚生大臣、戦後から今日までの自動車事故による死者と負傷者はどのぐらいになっているか、お答え願います。
#183
○説明員(田中明夫君) お答えいたします。
 自動車事故によります死亡者数でございますが、昭和二十二年以来作成されております人口動態統計によりますと、二十二年の死亡者数は千六百五十四名、その後年々増加いたしまして、昭和四十五年には二万一千五百三十五名、その以後は減少に伝じまして、昭和五十年には一万四千二百六名の死亡者数になっております。二十二年から五十年までの二十九年間を通じた累計数を申し上げますと、三十四万三千百九十四名となります。
#184
○上田耕一郎君 負傷者数は。
#185
○説明員(田中明夫君) 私どもの方は、人口動態統計によります死亡者数を取り扱っておりますので……
#186
○上田耕一郎君 警察庁、負傷者数をお願いします。
#187
○政府委員(杉原正君) 昭和二十一年から五十年までの負傷者数は、私どもの統計ですと、一千九十六万六千六百五十五人という数になっております。
#188
○上田耕一郎君 つまり、戦後からこれまで三十四万人死んでおります。これは、宇都宮市は三十三万八千ですから、宇都宮市一つがなくなってしまったぐらい自動車事故で死亡しておる。それから負傷者が国民十人に一人ですね。もちろん一人で何回も自動車事故に遭った不幸な方もおられますけれども、国民十人に一人が自動車で負傷しているという大変な社会的被害をいままで受けているわけです。
 さらに、自動車公害、道路公害も大変な状況になっている。最近、学者は、今後の公害の中心問題は道路公害、自動車公害だろうと、そう言っております。一つの例を申しますと、東名高速道路の自動車料金所のところに団地がありまして、この南平第二団地について日本科学者会議が住民と一緒になって調査しました。静かな団地とここの団地とを比べた数字がありますけれども、約九割の方がよく眠れないと答えているんですね、この南平第二団地の方は。それからもちろん電話をかけるときは窓を閉めなければならぬ。夜中に半分の人が目が覚めてしまう。家族の中でのけんかもふえておる。酒を飲む量もふえておるというようなデータが出ているわけで、子供の作文を見ますと、二年生のかんのゆきお君は、東名高速道路をつぶしたい、夜中に眠れないと。それから三年生の星野君は、夜になって眠れなかったときは東名高速道路をぶっ壊せばいいと思いましたというような作文を子供が書いている状況です。これは全国的にやっぱり広がっているわけで、こういう点を考えますと、自動車と道路の悪循環をストップさせる必要があるときに来ていると思うのです。いま三千万台ですけれども、昭和六十年には約四千万台にふえるのではないかというのが政府の見通しのようなんですが、これも、資源エネルギー問題の点からいっても、自動車公害を防ぐ点からいっても、見直すべき時期に来ていると思いますけれども、特定財源方式の問題も含めて、首相、どうお考えになりますか。
#189
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、上田さんのいまの御指摘は非常に貴重な御指摘だと、こういうふうに思います。今日はとにかく車社会で、車がなければなかなか社会が動かないような状態の現状でございますが、さて、さあ先々一体どうなっていくんだろうということを考えますと、先々の問題とすると、いま上田さんが御指摘しておるような問題、これは非常に深刻な問題になってくるだろうというふうに思うのです。いま資源エネルギーは世界的にだんだん窮屈な状態になっておる。私は、わが日本社会だけじゃない、もう世界的な規模において御指摘の問題が提起される時期が来るであろうと、こういうふうな感じがするんですが、ただ、どこの国も車を使って、そうして能率を発揮して、そして国際競争に打ち勝とう、打ち勝とうとしておる。そういうさなかにおいて、わが日本だけが車を抑えちゃう、そして非能率な生産活動、そういうような状態になっちゃう、そういうようなことになったら、一体わが国は国際社会においてどういうふうに立ち振る舞えるかということを考えると、そういうことはまた許されない。しかし、先々一体どういうふうな社会になるであろうというようなことを深く展望してみますと、これは非常に深刻な問題です。しかし、この深刻な問題というのはわが日本社会だけで解決できない。これは全世界がそういうことを話し合って、その中で解決の道を見出していかなけりゃならぬだろうか、そんなような感じがいたしまして、私は、ときどき、さあ国際社会にどんなふうな呼びかけをするかなというようなことも考えておるわけなんですが、いま今日の日本社会の状態は、世界の車社会の中で急にわが日本だけが車は使わない、テクシーでやるんだとかなんとかいう時代に移っていくわけにはなかなかいかぬだろうと、こういうふうに考えております。
#190
○上田耕一郎君 だから、アメリカやなんかに追随してモータリゼーションの道を進んできてこういう状況になっているわけですから、日本は平地部も非常に狭いのでこれだけ大問題に一層なるわけですね。だから、そういう点でそういう問題に正面からぶつかって取り組む姿勢を私どもは政府にも要求したいし、われわれも学者の協力も得てこの問題解決のために努力したいと思うわけです。そういう本四架橋だとか自動車高速道路、こういうところに公共投資の重点が行っているのはまずいので、もっと生活関連、国民の要望している部面への公共投資をふやすというのが私どもの主張であり、また国民の要望だと思います。
 多くの分野がありますけれども、学校と住宅問題を簡単に取り上げたいと思いますが、文部大臣、今後五年間に小中学校の建てなければならない教室数、学校数、並びに高校の数、それといまの現状との関係をお答え願いたいと思います。
#191
○国務大臣(海部俊樹君) 学校をどれほど建てなければならないかという問題は、人口の中で特に義務教育に就学する年齢層、高校に行く年齢層、それがどの程度ふえるかという自然増の問題と、それにプラス社会増の問題と、二つをあわせて計画を立てなければなりません。文部省といたしましては、過去五年間の小中学校の建造は、平均いたしますと、毎年小学校二百十九、中学校六十九、合わせて小中学校で二百八十八校建設してまいりました。過去五年間の自然増が百二十万人であり、それと社会増を比べてこういう経過でございましたから、今後百五十万人の自然増ということになりますと、大体一年に三百校程度の新増設をすれば吸収できると判断いたしまして、五年間ですと概算して千五百校、こういうことになろうと思います。また、高校を対象に申しますと、今後五年間に高校に進学する年齢層は四十三万人程度ふえるだろう、こう試算されております。そういたしますと、五年間で四百校を少し上回る学校をつくらなければならない、こういう計画を立てましてそれぞれ予算措置を講じておるところでございますが、五十二年度の予算措置は、小中学林の新増設分に限りますと千三百六十六億、高校の建造は御承知のようにきょうまで地方交付税と地方債債措置でお願いをしてきておりましたが、いまの緊急対策として今後五年間建物にも一定の要件を付して一部の補助に踏み切り、その費用が百八億五千八百万円計上しておるわけでありまして、支障ないように進めてまいる所存でございます。
#192
○上田耕一郎君 文部大臣、いまの千三百六十大億で三百校ちゃんと建つんですか。それから不足数が約四千校あります、プレハブ教室が。こういうものも解決できる予算ですか。
#193
○国務大臣(海部俊樹君) ただいま御指摘の千三百六十六億円というのは、小学校の平均十八クラス屋体つきという標準でまいりますと、これは二分の一補助ですと六百八十校分に当たりますし、急増地帯の三分の二補助といたしましても四百十校分に当たるわけでありまして、国庫負担分は計画を上回るようにきちんと処置してあるつもりでございます。
 なお、御指摘のプレハブ教室につきましては、急増地帯においては御指摘のようにまだ三千八百八十教室程度のプレハブが使われておるのが実情でございます。文部省といたしましては、このプレハブ教室の解消ということは非常に重要な政策だと考えまして、採択にも優先採択をいたしておりますし、現にこれは三年以内になくしたいという目標を立てまして、各地方にも、その方針で文部省も取り組んでおりますから、地方もそういう方針でやってほしい、こういう通達等も出して指導をしておるところでございます。
#194
○上田耕一郎君 高校建設は去年から補助がようやく出始めましたが、いまの百八億円で先ほどの五年間に四百校以上責任が持てますか。数校程度の予算だと思いますけれども。
#195
○国務大臣(海部俊樹君) この計画につきましては本来地方交付税、地方債措置で措置をいたしておりますところへ五年間だけの緊急対策として建物補助をしたわけでありますから、この百八億だけで建てるというわけではございませんけれども、これを学級数にいたしますと千二百十一億でありまして、地方債、交付税措置もされておりますから、それと合わせてまいりますと五年間に四百校を少し上回る計画というものは達成されると、こう見通しを立てております。
#196
○上田耕一郎君 非常にやっぱり甘い見通しだと思うのですね。いまの御答弁の端にも出ましたけれども、結局、地方財政にも非常に大きな負担がかかるので、どこも高校増設問題、小中学校問題は用地それから超過負担問題で大変悩みが大きいわけで、そういう点で国民の要望している学校建設、小中学校のプレハブ教室解消や高校増設問題についてもっともっと国が投資を必要としているということは争えないと思います。
 次に、住宅問題も公共投資をもっともっと入れなければならない分野だと思います。先ほど中尾委員から質問がありましたので、重複を避けまして幾つか質問したいと思います。
 公団総裁、いわゆる空き家は一万二千戸だけれども、その空き家だけでなくて、建物は竣工しているけれども募集していない保守管理段階にあるのがあると思うのですけれども、何戸ぐらいありますか。
#197
○参考人(南部哲也君) 建物はできておっても、建物といいますか、住宅そのものはできておっても、屋外の付帯工事であるとかあるいは関連公共施設ができていないというために住宅の管理を行っているのを保守管理と申しておりますが、これは五十一年三月末におきまして会計検査院御指摘のごとく九千八百七十戸、十二月末におきましては一万二千二百五十七戸でございます。
#198
○上田耕一郎君 これはいわば空き家予備軍なんですね。空き家が一万二千戸あると。空き家予備軍がまた一万二千戸あるわけです。で、私この中の成田ニュータウンにも行きましたが、調べましたけれども、一番古いのは五年前に政府からも突貫工事を言われて一生懸命つくった。それが二千数百戸もうできておりますけれども、もう本当に幽霊屋敷のようになっているという状況です。このほかにまた千葉ニュータウン、これ一万二千戸、もうすでに躯体工事はやっているけれども、鉄道が来ないので躯体工事だけでとどめているという状況にあります。そうすると、全部で三万六千戸も空き家予備軍的なものがあるわけで、一万二千戸で大騒ぎしておりますけれども、三万六千戸ということになると大変なことになると思いますけれども、公団総裁、この問題の解決の見通しはあるでしょうか。
#199
○参考人(南部哲也君) 北千葉ニュータウンの躯体だけで工事をとめておるというものは、現在六千戸を超えております。これは先生御指摘のとおり、鉄道建設との整合性、これが当初の計画とマッチしなくなった、こういうような関連、あるいは関連公共施設等の整備のおくれ、これに住宅の建設を合わせなければならない、こういう状態できているわけでございます。
 第一の、現在空き家につきましては建設省におきましても委員会を設けまして、いろいろとこれに対する対策を検討いたしております。私どもといたしましても、たとえば狭いと言われる一DKにつきましては単身者を入居させる。あるいは二DKにつきましても、いままで一世帯一住宅ということを堅持してきておりましたけれども、今後家族数の多いもの等については二住宅も貸与するというような方向で、これは検討しなければならないのではないかというようなことを考えておる次第でございます。さらに、分譲につきましては、企業にも社宅として分譲するという道を開きまして、これも現在申し込みを受け付け中でございます。
 それから、第二の保守管理の問題でございますが、これは全く関連施設との整合、一番いい例が成田ニュータウンの問題でございますが、これはもう空港ができなければ何とも私どもだけの力では処置ができないというものでございます。あるいは公共下水道が入るべき時期がおくれているために、どうしても入居ができないというようなものもございますが、こういう関連公共施設の整備が片づき次第、入居開始はどんどん行っていくということで、現在計画を進めておるわけでございます。
 最後の体だけのやつは、これはやはり交通機関、関連公共施設との整合性をまって管理開始をするという以外にないと思います。遠い、高い、狭いというこの三つをいかにして解消するかということが、今後の空き家問題解決の一番大きな問題であろうと思って、現在これに対する処置を検討中でございます。
#200
○上田耕一郎君 いや、私は保守管理の一万二千二百五十七戸のリストをいただいておりますが、この中で募集しても人が入りそうなのは朝日ケ丘と大和郡山と二つぐらいですよ。あとはほとんど実施したらやっぱり空き家になっちゃうような場所にあるんですね。そうしますと、本当に二万数千戸やっぱり空き家があるというのが現実の姿だろうと思うんです。住宅公団、これまで勤労者の住宅のために非常にすぐれた仕事を私はしたと思う。しかし、その見通しに甘さがあった。同時に、国の政策にやはり問題があったと思います。公団の職員の話では、せっかくいい土地を買おうと思って話が決まっても、日本列島改造論が出てきたとき、すぐ横から企業が出て二、三割かぶせて値段を上げて買われてしまう。おまけに建築費はどんどん上がってくる。結局、日本列島改造論でこの住宅公団の仕事というのは大きな曲がり角に逢着してしまったということを言っているんですね。こういう点で、やはり政府の政策に大問題があると思いますけれども、首相、住宅公団がこういう曲がり角に来ているとき、どういうふうにこの住宅政策を考え直さなければならないか、首相としてお考えを聞かせてほしいと思うんです。
#201
○国務大臣(福田赳夫君) いわゆる土地ブーム、そういうことで住宅公団はずいぶん土地を抱えてしまって重荷になっておると、こういうことはありまするけれども、しかし、やっぱりわが国のこれからの課題といたしますと、住宅とそれからそれを取り巻く環境の整備、これは非常に私は重要になってきておると、こういうふうに思うんです。でありますので、いろいろ反省してみますれば、これは改めなきゃならぬ、そういう点はありましょうが、住宅公団を中心とする住宅建設、これには従来以上に重要な役割りを担任させて、そうして住宅政策を進めていく。同時に、個人住宅、これに対する国民の志向ですね、これが非常に強いということを私ははだに感ずるわけであります。そういうようなことを考えますと、住宅金融公庫のあの融資の制度ですね、これも重要視しなけりゃならぬだろうと、こういうふうに考えておるわけであります。
 いずれにいたしましても、この土地という問題は非常に重要な役割りをなすわけでありまするから、この土地政策をどういうふうにやっていくか。いま国土第三次計画、そういう計画の作案中でございまするが、土地問題をどういうふうな配分にするか、これも大事な問題である。とにかく、総合いたしまして住宅政策はこれからも強力に推進していくと、かような方針でございます。
#202
○上田耕一郎君 公団がこう空き家がふえてきているのは、家賃が高い、狭い、遠いという三つの大きな原因があるわけですけれども、公団総裁にお伺いしますが、いま傾斜家賃で一番高くなっているところですね、これの数字をお答え願います。
#203
○参考人(南部哲也君) 現在、一番高いのは赤羽の六万九千六百円、三DKでございます。
#204
○上田耕一郎君 十年後は幾らになりますか、傾斜家賃で。
#205
○参考人(南部哲也君) 赤羽の原価家賃は大体十一万円ぐらいになっておりますので、傾斜の年昇率六・二%ということでやっております。したがいまして、十年後の家賃は十二万六千六百円になります。
#206
○上田耕一郎君 最初七万円、それから十年後に十二万六千六百円、毎年六・二%上がっていく。敷金を十二万円の三カ月分払わなきゃならぬというわけですね。そうすると、住宅公団法の第一条は、「住、宅に困窮する勤労者のために」ということになっているんですけれども、困窮している貧しい勤労者がもう入れない家賃になっていることは明白です。公団法の目的さえ果たせなくなっているのがいまの現状だと思うんです。どうやってこの家賃を安くするか。まず、午前中もありましたが、この家賃の中で利息分の占める比率が三六%あります。この資金コスト、五%から四・五%をいま使っておりますけれども、昭和四十一年までは四・一%、ここに下げるだけでも家賃が約九千円下げられるということになります。公団総裁、この一%下げるために必要な利子補給額、どのぐらい必要か、お伺いします。
#207
○参考人(南部哲也君) 年額二十七億円でございます。
#208
○上田耕一郎君 建設大臣、この昭和四十一年までの四・一%ぐらいにはせめて下げるべきではないかと思うのですね。空き家のための一万二千戸だけで五十数億円家賃が入らないわけでしょう。その半分の二十七億利子補給するだけで家賃が今度入ってくるわけですから、いかがでしょうか。
#209
○国務大臣(長谷川四郎君) 御承知のように、公団は利子補給の分だけでも年間において膨大な利子補給を国の一般会計から行っておるものでありまして、したがって、公団のみにそれを使途するというわけにはまいりません。したがって、その点につきましては、さらに先ほども申し上げたのでございますけれども、空き家の点については十分に改造を行って、そしてごく便利のいいところでも空いているところはあるわけですから、そういう面の改造を行って、そして住みよい住宅にしていくというようなことは優先的に考えなきゃならぬということでやっておりますし、さらに現在の住宅公団全体に立っていま見直しをしなければならぬ、こういうようなことで、事務次官を長といたしまして各局長、さらに学識経験者、これらの方々にお願いをして、どうやったらばよりよい住宅公団の運営ができるであろうかということを、これは積極的にいま研究をしているところでございまして、近いうちに発表する段階に入ってくるだろうと考えます。
#210
○渡辺武君 関連。
#211
○委員長(小川半次君) 関連質問を許します。渡辺武君。
#212
○渡辺武君 建設大臣、いまの高い家賃の問題ですけれども、調べてみますと、この家賃の中で約二割相当額が大体地代相当額ということになっているわけですね。この地代、これはやはりいま問題になっている利子と、それから土地の造成費のほかに、家を建てて道路を引く、あるいは川を整備する、あるいは公園をつくる、あるいは下水道をつくる、こういう公共用の費用も含まれていると思うのです。大体、家賃の中でこういう公共用の費用ですね、公益費も含めて何%くらい占めていますか。特に五十二年度の募集の家賃の中、どのくらい占めていますか。
#213
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいまの御指摘のような点につきましては、今後は生活公共という点につきまして、できる限りは街路の方やるとか、あるいは下水道の方もそれに伴ってやるとかということを国の方でたくさんやっていけるようにしていきたいと、こういうように考えております。
 パーセントの点につきましては、局長から御答弁させます。
#214
○委員長(小川半次君) ちょっと建設大臣、ちょっと質問とピントが合わなかったようですが。
#215
○参考人(南部哲也君) 関連公共施設につきまして、これはいろいろございます。いろいろございますが、たとえば公共団体が自体で造成した土地に私どもが乗り込んでいってうちを建てるという場合は、関連公共施設にかかる費用は土地代に実は入ってしまっておるわけでございます。それからそうでなくて、一般に私どもが用地を取得してやる場合には、大体五十一年度を見ますと、一戸当たり九十三万円かかっています。ですから、家賃にいたしますと約五千円か六千円ぐらいの負担になろうと思います。
#216
○渡辺武君 そうしますと、それをいま建設大臣が言われましたように、できるだけ今後国が負担するようにしようと言われているのですが、それをやっただけで家賃の問題、若干は引き下げられると思うのですね。ぜひひとつ早急に実現さしていただきたいというふうに思うのです。
 その点についてもう一度御答弁いただきたいことと、それからもう一点、先ほど問題になりました傾斜家賃ですね。さっきの御答弁を伺っておりますと、十年ばかりの間に家賃が約二倍になると。家賃の方はいままでの高度成長時代並みにどんどん高くなる。ところが、賃金の方はこれはもうそれほどには上がらなくなってきているわけですね。ですから、入りたくても先行き不安で入れない、これがたくさんの空き家の生まれている一つの重要な原因になっていると思うのですね。したがって、この傾斜家賃は現状でしばらく凍結するということをやるべきだと思いますけれども、その点どうですか。
 特に総理大臣、先ほどこの住宅の問題については前向きに対処するという御趣旨のことを言われましたので、建設大臣とあわせて御答弁いただきたい。
#217
○国務大臣(長谷川四郎君) 安くする方法は、そのほかに今後は高層住宅にするというような考え方も持っておりますし、いま、御承知のように全住宅を見ても、世帯数より住宅数の方が多いということば御承知のとおりでございまして、百四十万戸国内でも多うございます。しかし、それにもかかわもずいろいろな御不満がある。その御不満というものは、狭いということがまず第一の条件に挙げられておると、こういうようなことでございますから、その点について先ほど上田さんに申し上げたように、二つを一つにするとか、五つを二つにするとか、こういうふうに改造をして、なるべく住みよい家づくりをしていこうじゃないかと、こういうような考え方で進めております。
 傾斜家賃につきましては、一番最初の家賃そのものがそろばんといいますか、われわれの言葉で言えばそろばんでございますが、低家賃で賃貸をさせておくことになって、それに従って物が上がるから、物価が上がるであろうから家賃を上げていくという意味ではございませんので、公団そのものは利益を得るために公団がつくられておるのではないのでございますから、要するに一般国民の利益のために公団そのものがつくられておるのでございますから、その方針でもっていくわけであります。したがって、傾斜家賃につきましては、いますぐそれを凍結するという考えは持っておりません。
#218
○国務大臣(福田赳夫君) 公団住宅問題につきましては、建設省で大変いま苦心をしておるその最中なんです。ただ、私が感じますのは、せっかく国費を投じてあれだけの施設をつくった。それが一万何千戸遊んでおる、入居者がいないと、こういうような状態は非常に私は不自然な状態じゃないかと思うんですよ。たとえば、どうも家賃が高いために入り手がないんだというようなことでありますれば、それは私は工夫したらいいと思うのです。あるいはどうも交通の便、そういうような点だというならば、その点の何か工夫の道がありそうなものだ。とにかく喜んで、ああ、できたできたと言われるような住宅公団の施設にいたしたいと、かように考えます。
#219
○上田耕一郎君 やはり、きょう一たん出ましたけれども、本当に曲がり角に来ている、抜本的な対策をやっぱり政府がやらなければならぬ段階に来ていると思うんですね。で、私どもはこの家賃に対する利子補給、それから用地費を含む建設費の三分の一を国の補助にすると。関連公共施設についても、国がそういう補助をやるという抜本的対策を思い切ってやらなければならないのではないかと思う。そういう点を強く要望します。政府に要望すると同時に、政府が抽象的な答弁や施策だけでやっているのなら、本当に国民的な運動を起こさなければ解決しないところに来ているという点を重ねて指摘しておきたいと思います。
 それから次に、ひとつ総理大臣にお伺いしたいのは選挙権問題で、現在世界的に十八歳選挙権時代に入っていると思う。――総理大臣じゃない、まず自治大臣に十八歳選挙権問題についての世界の状況についてお答え願います。
#220
○国務大臣(小川平二君) お答えいたします。
 諸外国の状況を申し上げますと、十八歳としている国といたしましては、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、西ドイツなどがございます。二十歳としている国としては、スイス、デンマーク、ノルウェー、二十一歳がベルギー、ギリシャ、かような状況になっております。
#221
○上田耕一郎君 社会主義国は全部十八歳で、キューバなど十六歳というところもありますが、先進資本主義国で、いま言われたほかにイタリアが七五年にやりました。そうしますと、先進資本主義国で二十歳をがんこに守っているのはわが国だけという状況です。精神的にも肉体的にも青少年の発達は非常に早まっておりますので、十八歳選挙権は検討すべき時期に日本も来ていると思うのですけれども、首相、いかがでしょうか。
#222
○国務大臣(福田赳夫君) その問題につきましては、わが国にはわが国の家風があるというような感じがするんです。わが国では御承知のとおり二十歳をもって成年とする、成年式まで二十歳でやるんですね。そこで初めて選挙権も与えられると、こういうことになる。また、わが国の社会を見てみましても、つまり世論調査なんかしてみましても、まあ多数の人が二十歳選挙権説ですね、これを支持すると、こういうような状態の今日でございます。そういうようなことでありますので、わが国において、世界の国がこうしたから日本の国もという、まだそういう状態は熟していないと、こういうような見解でございます。しばらく形勢の推移を観望するというのが私の立場でございます。
#223
○上田耕一郎君 次に、私は日米首脳会談の問題について質問したいと思います。
 首相の出発する前に党首会談がありました。わが党宮本委員長もいろいろわが党の見解や注文を述べましたけれども、これらの問題はアメリカ側に伝えたかどうか、首相並びに外務大臣にお答えいただきたいと思います。
#224
○国務大臣(福田赳夫君) 私、アメリカに行くに先立ちまして五党首と会談をいたしたわけです。その際、宮本委員長からは三つのことが言われております。七カ国首脳会談、これは政治会談つまり安全保障問題なんかを論議しないようにすべしと。それから沖繩における人権問題、これに言及すべし。それからロッキードなどの資料提供の要求をすべし。この三つでございますが、その接触は外務大臣がいたしておりますので、そっちの方からお答え申し上げます。
#225
○国務大臣(鳩山威一郎君) 総理の御訪米の前の十七日に党首会談が行われました。その趣旨によりまして私どもの承知いたしておりますのは、ただいま総理大臣がおっしゃいましたように、カーター大統領との間に、総理からその趣旨を踏まえられまして、日本が自主的な見地から日米交渉を行うという点、また核兵器の廃絶のための積極的な提起をすべきというような点、また韓国問題につきまして日本が韓国の防衛の責任をしょい込むようなことのないようにというようなことにつきまして、総理は趣旨を踏まえまして折衝をされたわけでございます。
 ロッキード事件の問題につきまして、私がバンス国務長官との会談の際に、この資料の提供につきまして協力方を要望いたしてまして、特にSECの資料につきまして、これが公表されたときはもう当然提供を受けることはできますが、非公表の部分につきましても、日米の捜査の協力関係がありますから、そのルートに乗せて協力してほしいということを申し述べ、先方は了承をいたしたのでございます。
 日韓癒着関係につきまして資料を提供せよというお話がありましたけれども、この点につきましては、まだ実態が不明である、先方も特定の資料をお持ち合わせがないというようなことで、この点は申し入ればいたしておりません。
 また、沖繩の米軍の犯罪事件につきまして、人権問題も絡んで提起せよというお話でありましたが、この点につきましては、常時わが方としてはアメリカ側に連絡をし、当方からも要望をしておりますので、この点につきましてカーター大統領との間にこの点を申し述べるということは適当でないということで、いたしておらない次第でございます。
 要するに、御要望でカーター大統領との間に出なかった問題につきましては、私どもの段階におきまして事務的に連絡をとって、御要望の趣旨にこたえたいと、このように考えておる次第でございます。
#226
○上田耕一郎君 沖繩の人権問題は、カーター大統領以外には伝えたわけですか。
#227
○国務大臣(鳩山威一郎君) 沖繩の人権問題と申しますか、あるいは米軍による犯罪事件の問題、これにつきましては常時連絡をとっておりますので、特にこの会談の際には申し述べなかったということでございます。
#228
○上田耕一郎君 非常に不当だと思うんですね。最高首脳に伝えるべき問題なんです。施政権返還後五年間に、米軍による犯罪事件は、基地労働者射殺事件、戦車による婦人ひき殺し事件、女子中学生暴行事件などを初め千三十九件起きているんですね。だから、カーター大統領が人権尊重を言うならば、沖繩において米軍がいかなる人権無視と人命のじゅうりんをしているかということを日本政府として当然言うべきなんです。常時連絡しているから言わなかったと、そういうふうな姿勢に日本政府の対米従属と言われる本心が出ている。首相、いかがですか。
#229
○国務大臣(福田赳夫君) これは確かに宮本委員長からそういう話がありまして、それでまあ話をしようかとも思ったんですが、これはもう常時伝えておるからその必要ありませんと、こういうようなことで、私から短いそういう会談の中では特に申さなかったと、こういう意味であります。趣旨は私は非常によく米側に徹底しておると、そういうふうに理解しております。
#230
○上田耕一郎君 いや、常時といっても、常時伝えていたらこんなに事件は起きないわけですよ。そういう点で、非常に態度がけしからぬと思うのです。国民の要望はろくに伝えないで、逆に荷物を背負ってきたのではないかというのが国民の大きな疑惑であります。共同声明に、安保条約は極東の平和と安全の維持に大きく寄与しているといってほめてありますけれども、あのベトナム侵略戦争の拠点、一大総合基地に日本がなったのは安保条約のおかげであります。なぜこういうことが言えますか。
#231
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日米安保条約がベトナムの動乱に対しまして大変な影響力を持ったということは、私どもはそのような認識は持っておらないところでございます。
#232
○上田耕一郎君 もう全く話にならないんで、討論する気が少しなくなりますけれども、次へ進みます。
 この共同声明の中に、日本が貢献を果たすべき「経済開発を含む諸分野」ということがうたわれておりますけれども、この「諸分野」の中には安全保障の分野は含まれておりますか、除外されていますか。
#233
○国務大臣(鳩山威一郎君) 軍事的な意味は一切含まれておりません。
#234
○上田耕一郎君 それなら、なぜ総理は第一回会談で防衛力の基盤強化ということを述べたわけですか。
#235
○国務大臣(福田赳夫君) これは、国会で防衛に対する姿勢をあのように言っておるもので、そのような同じ文言で、わが国は自衛力を強化すると、こういうことを申したわけであります。
#236
○上田耕一郎君 サンケイ新聞の三月二十三日付によりますと、アメリカ側は、福田首相が述べたこの防衛力の基盤強化、これを共同声明に何らかの形で盛り込もうということを強く要請したという報道がありますけれども、そういう事実がありましたか。
#237
○国務大臣(鳩山威一郎君) 事前の事務的な折衝の段階では先方の意見はいろいろあったわけでございますが、そのようなことも事前折衝の段階では出た経緯はあります。
#238
○上田耕一郎君 アメリカ側は、日本の自主防衛力の強化、これを防衛力基盤の強化を入れようとしたと、事前折衝の段階であったということが明らかになりました。
 次に、読売の三月二十四日付では、「米政府筋は、二十三日、日米首脳会談で、カーター米大統領が、日本の基盤防衛力の強化に関し、特に対潜能力の向上の努力を福田首相に強く求めたことを確認した。」という報道があります。対潜能力の向上を福田首相は求められましたか。
#239
○国務大臣(福田赳夫君) 私が先ほど申し上げましたようなことを申したのに対しまして、そう言えば対潜能力と防衛能力は日本は弱いそうですねと、こういうような話があった。要請されたというようなことじゃございません。
#240
○上田耕一郎君 対潜能力、出たということが確認されました。読売の同じ記事は、「米政府筋によると、この問題は、カーター大統領が取り上げ、この中で対潜能力の向上について具体的に触れられたという。」と書いてあります。「具体的に」と。並びに、サンケイ新聞の記事によりますと、「米側は今度の会談に関連し非公式に日本は対潜能力向上のカナメであるP3Cの購入をいまだに決定していない」ということについて「強い不満を伝えてきている」という報道があります。そうすると、読売の記事と照らし合わせますと、対潜能力についてカーター米大統領が具体的に触れたと、サンケイ新聞はP3Cということを非公式に伝えていると、この二つ結びつけますと、恐らくカーター大統領は福田さんに対潜能力向上、P3C決定してくださいと、あるいはそういうニュアンスのことを言ったんじゃありませんか。
#241
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、さような具体的なことに触れたという、そういう印象は全然持っておりません。
#242
○上田耕一郎君 まあ、トライスター問題は、佐藤・ニクソン会談、田中・ニクソン会談等でトライスターの問題が出たという事実があの公判の中でも出ております。ロッキード問題の追及の中で、P3C問題だけどこへ行ったか影も形も見えないということになっておりますけれども、どうやら今度の日米会談では、首相の否定にもかかわらず、カーター米大統領側からP3C問題について出たのではないか。少なくとも対潜能力強化という要望が出たと思われます。
 首相並びに防衛庁長官、P3C購入しないということを国民の前に約束できますか。
#243
○国務大臣(鳩山威一郎君) 今次の会談におきまして、いまおっしゃいましたような具体的な話は一切出ておりません。P3Cという名前も何も出ておりませんので、ただいまのようなことは全く新聞記事におきましてもそれらは皆もう想像によって書かれたものと、こう思う次第でございます。
#244
○上田耕一郎君 まあP3Cは出なかったとしても、対潜能力向上は出ている。P3Cを買わないということを言えますか。独立して質問します。
#245
○国務大臣(三原朝雄君) 対潜能力の整備という問題につきましては、これはわが国独自の立場でやっておることでございまするし、なおまた、P3Cとこの問題を一緒に論議する問題ではないと思います。全然別個な問題でございます。P3Cがわが国の対潜能力整備のために必要であるかどうかという目下検討中でございまするし、いまそういうことを申し上げる段階でないと思います。
#246
○上田耕一郎君 その問題はわれわれ今後厳しく監視したい。明らかに対潜能力の向上とかいう問題の荷物を背負ってきている。
 朝鮮問題についても大きな荷物を背負ってきたのではないかと危惧されます。総理、なぜ在韓地上軍の撤退ではなくて削減という言葉を主張されたんですか。
#247
○国務大臣(鳩山威一郎君) 撤退という用語よりも削減という用語の方が、最終的には同じことを意味するといたしましても、表現がやわらかではないかということで総理からそのような提案をなされたわけでございます。しかし、永遠に米軍が韓国に駐留するということは双方とも考えていないところでありますから、したがいまして、撤退という表現を使われましょうが削減という言葉であろうが、実態には変わりはないということと、それから大統領選挙のときから公約として撤退という表現を使っておられるということから、どうしてもこの撤退の方がいいのだ、こういう話で、先方の希望でありまして、実態が同じならば差し支えないということで了承いたした次第でございます。
#248
○上田耕一郎君 どうやら永遠よりはちょっと短い期間だけは、ちょっと短い期間いてもらいたいという希望のように思います。
 カーター大統領が米地上軍撤退を主張しているのは、ベトナム戦争の教訓から、アジアでの地上戦闘には巻き込まれたくないという考えであると、そう分析されております。どうもそれに反対して削減と、しばらく地上軍もいてもらいたいということになりますと、アメリカの地上軍がアリアの軍事紛争に介入することを福田内閣は希望していると、そう受け取らざるを得ませんが。
#249
○国務大臣(福田赳夫君) 軍事力というものは戦争に介入するためにおるんじゃないのです。これは戦争を抑止するためにおる、そういうふうに思います。私は、その点は上田さんと全く考え方が違いますがね。そうじゃありませんでしょうか。
#250
○上田耕一郎君 この問題であなたと私が考え方が同じだったら大変なことになります。
 福田首相はこの予算委員会で、朝鮮半島でのバランス、均衡の維持、こういうことを盛んに強調されましたけれども、具体的にはどういう意味ですか。
#251
○国務大臣(福田赳夫君) バランスはバランス、均衡は均衡だと、こういうふうに思いますが、やっぱり北の方はこれは中ソ、これが背景におる、南の方はアメリカの勢力というものがあるし、また日本の経済的な協力というものもある。それから南北の軍事力ですね、これも双方相整えておる。そういうものが総合してバランスされておると、そのゆえに平和がある、こういう認識でございます。
#252
○上田耕一郎君 軍事力のバランスも含まれるということです。そうしますと、在韓の米地上軍が撤退しますと、バランスを維持するためには米空軍の強化が必要になります。そうすると日本における在日米空軍基地、これの強化も必要になると思いますけれども、沖繩あるいは本土の米空軍墓地の強化が米地上軍撤退後あり得るかどうか、お答え願います。
#253
○国務大臣(福田赳夫君) 米地上軍の漸次的な撤退とわが国の在日米軍、これとは何ら関係はないと、かように考えます。
#254
○上田耕一郎君 恐らく不可避的に日本の米空軍基地は今後強化されることになるだろう、私はそう予言します。
 防衛庁長官、去年の八月十八日に板門店事件が起きました。あれに対して米空軍はどういう体制をとりましたか。空軍並びに海軍ですね。
#255
○国務大臣(三原朝雄君) 相当規模の配置移動がございますので、政府委員から説明をさせます。
#256
○政府委員(伊藤圭一君) 昨年の八月十八日に板門店事件が起きまして、十九日の日に、嘉手納におりましたファントムの一個飛行隊が韓国の米軍基地に移動いたしました。二十日の日になりますと、嘉手納におりましたKC価の一部が横田に移動してまいりました。同じ日にFm一個飛行隊、これは戦闘爆撃機でございますが、アイダホ州のマウンテンホームから韓国の米軍基地に飛来いたしました。さらに二十一日、B52数機がグアム島から韓国方面に訓練飛行をいたしております。その当時在韓米軍は警戒体制を強めまして、兵隊の休暇を取りやめたりいたしております。さらにミッドウェーは、八月二十一日横須賀を出航いたしまして行動をいたしております。
 以上でございます。
#257
○上田耕一郎君 なかなか正確です。
 で、ああいういまのような事態が米地上軍撤退後、今度韓国で緊張が起きますと、一斉に米軍はああいう体制をとるんです。いまの沖繩の嘉手納から来たKC135は横田に来ましたけれども、これは空中給油機で、アイダホ州から行った十五機のFmに対して北海道上空で空中給油を行っているわけであります。沖繩の嘉手納基地からF4ファントム二十機、これは移動と言いましたけれども、実際に緊張状態のときには出動ですよ。で、ミッドウェーからも出る。つまり、日本の横須賀から、嘉手納から、それから日本の本土の米軍基地、こういうものに対し、またこれが一斉にやっぱり出動体制、警戒体制をとるということになるのであります。こういう行為が今後行われるであろう、そう私は思います。
 そこで福田首相にお伺いしますけれども、今回の共同声明の朝鮮条項と佐藤・ニクソン共同コミュニケの中の韓国条項、これの関係はいかがでしょうか。
#258
○国務大臣(福田赳夫君) 朝鮮半島に対する基本的な認識は、これは変わっておりません。ただ、そういう情勢ではありまするけれども、南北の間で対話が始まることは好ましいことじゃないかと、こういうことをつけ加えておると、こういうことでございます。
#259
○上田耕一郎君 南北対話以外は佐藤・ニクソンのときの韓国条項と基本的に同じだという答弁です。そうだとしますと、あのとき、佐藤総理大臣は、ナショナルプレスクラブ演説で、韓国で危急の事態が生まれたとき、日本からの米軍出動に前向きに対処するという有名な演説を行いましたが、この点についても、福田首相、考えは同じでしょうか。
#260
○国務大臣(福田赳夫君) 国会でそのことは佐藤総理が説明しておりますが、何か事件が朝鮮半島で起こると、そういう際にわが国から米軍が出動するということがあるかもしらぬ、そういう際にはイエスもありノーもあると、こういうふうに答弁しておるわけですよ。その認識は私は一緒でございます。
#261
○上田耕一郎君 そうしますと、イエスという可能性もあるということですね。確認します。
#262
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。
#263
○上田耕一郎君 これらの問題が、やっぱり福田首相とカーター大統領の問題で今回協議されて今度の朝鮮条項になったということになりますと、南北対話問題はあるかもしれませんけれども、佐藤・ニクソン共同声明、つまり朝鮮で緊急事態が起きた際には日本から米軍出動が要請されると、先ほどの板門店事件のときと同じような大規模な体制がとられるわけで、それに対して沖繩の嘉手納基地からの出動、空中給油等々、ミッドウェーの横須賀からの出動、こういうものが行われる。それに対してイエスという可能性があるということを改めて福田首相は確認してきたわけであります。これが今度背負ってきた荷物の大きなもので、これは日本の安全にとっても、アジアの平和にとっても非常に重大な問題である。ことしは四月二十八日に安保二十五年です。同時にことしは憲法三十年。憲法三十年と安保二十五年のこの年に、福田・カーター会談でこのような大きな荷物を背負ってきたと。この根源に安保条約がある。われわれは、日本の安全とアジアの平和を守るためにやはり安保条約の廃棄、日本の中立、これが必要だと。そのために、やっぱり闘う決意をこの日米共同会談で重ねて強めたということを表明しておきます。
 こういうことの裏に、日韓癒着という大問題があるわけであります。日米韓の軍事同盟が進められていると、その中で、日韓癒着問題が非常に大きな問題になっておりますので、私、次に金大中問題と自衛隊との関係の問題について質問したいと思います。
 まず、国家公安委員長に質問いたします。金大中事件を、刑事事件としては誘拐事件として捜査しているのか、殺人未遂事件として捜査しているのか、お伺いします。
#264
○国務大臣(小川平二君) ただいまの段階では、監禁、略取事件として特別本部を引き続き置きまして捜査をいたしております。
#265
○上田耕一郎君 殺人未遂事件としてやってない……。
#266
○国務大臣(小川平二君) 逮捕、監禁、略取事件として捜査をいたしておる。殺人事件として捜査をいたしておるわけでは……
#267
○上田耕一郎君 監禁、略取……
#268
○国務大臣(小川平二君) 逮捕、監禁、略取事件。
#269
○上田耕一郎君 逮捕、監禁、略取……
#270
○国務大臣(小川平二君) はい。
#271
○上田耕一郎君 警備局長にお伺いします。二千二百十号室にあった遺留品はどういう物がありましたか。
#272
○政府委員(三井脩君) 金大中事件の現場の遺留品でございますが、リュックサック三個、ロープ二個、睡眠薬若干といったようなところが主なものでございます。
#273
○上田耕一郎君 リュックサックは何に使おうとしたものと見ておりますか。
#274
○政府委員(三井脩君) 犯人はまだ逮捕いたしておりませんので、その状況はわかりかねます。
#275
○上田耕一郎君 二千二百十号室のバスの水道、これは捜査員が入ったときどういうふうになっておりましたか。
#276
○政府委員(三井脩君) 特に変わったという話は聞いておりません。
#277
○上田耕一郎君 バスの水道は出しっ放しだった、こういうことはありませんか。
#278
○政府委員(三井脩君) ございません。
#279
○上田耕一郎君 金東雲らは何日まであの部屋を予約していましたか。
#280
○政府委員(三井脩君) 金東雲はあそこに泊まっておりませんので、いつまで予約したということはございません。
#281
○上田耕一郎君 犯人らは何日まで……。
#282
○政府委員(三井脩君) 犯人たちもあそこに泊まっておりませんので、何日までということはございません。
#283
○上田耕一郎君 これは九日夜まで予約していたという報道があります。
 私は、この金大中事件は明らかに殺人未遂事件だったと思います。リュックサックは何に使おうと思っていたかというと、恐らく、金大中を殺害してばらばらにしてリュックに入れて、死体を大阪まで運んで船で持って行こうとしたんです。生きた人をああいう形で運べば、検問にひっかかればすぐばれてしまう。KCIAがそういうことをやるはずがない。金大中氏は、船に乗せてからも海に沈められようとしたとその手記に書いておりますけれども、金大中氏の手記のその部分についてどう見ておりますか。
#284
○政府委員(三井脩君) 捜査において被害者の供述というのは大変大事でございますので、この点につきましては、韓国政府に依頼をいたしまして、金大中自身について供述を取ってもらいました。その内容を私たちは韓国政府から入手いたしております。これによりますと、金大中氏は約五十キロぐらいのものを右手右足にくくりつけられたので、海に投げ込まれるのかなと思ったが、そこで終わったと、こういうふうに供述いたしております。
#285
○上田耕一郎君 海に投げ込まれかけようとしたんです。板に縛られて、裸にされて、五十キロのおもりをつけて、これから投げ込もうと、布団で包めば水がしみてよく沈む、そういうところまでいって彼はクリスチャンで祈ったわけです。そこへ飛行機が飛んできて、そして海に投げ込まれないで済んだというのが事実であります。そういう意味では明らかに殺人未遂事件だと思いますが、なぜ殺人未遂事件として捜査していないのですか。
#286
○政府委員(三井脩君) ただいま国家公安委員長からお答えいたしましたが、私たちは、ただいまほぼ確実にあり得るという事態をとらえまして、あそこのホテルからわが国を出ていってソウルの自宅近くで解放されると、これだけの事態をとらえて、いわゆる拉致事件、正確に法律的に言えば逮捕、監禁、略取事件として捜査しておるわけでございまして、その捜査の中でさらに事実が固まってまいりましたら、いろいろの事態が出てくると思います。たとえば拳銃を持っておったかどうかわからないのですけれども、弾倉はありましたけれども、拳銃を持っておったということが明らかになれば、銃刀法違反ということも出てまいりましょうし、また、約二十万円の日本円を持っておったのを取り上げられたと、こう言われておりますから、取り上げた目的等がこれを奪取するという意味であれば、強盗罪もついてまいるというようなことでありまして、ただいまのところ殺人罪がつくかどうかという点につきましても、殺人予備であるのか殺人未遂であるのか、この他の点は明らかでありませんので、これが捜査の今後の発展にまつと、こういう意味でおるわけでありまして、最初からそういうものを捨ててしまう、捜査対象から外す、こういう意味ではございません。
#287
○上田耕一郎君 そうすると、今後殺人予備事件あるいは殺人未遂事件となる可能性もあるということであります。彼らが殺人してこれを蒸発さしてしまうという計画が未遂に終わったのは、予想に反して野党民主統一党の金敬仁氏に目撃されたからであります。
 こういう非常に凶悪な事件に対して、私は日本の一部の自衛官が関与しているという問題を取り上げたいと思います。国会でも追及されましたけれども、この現職自衛官、元自衛隊員、これらのかかわりについてその後捜査はどうなっておるのでしょうか。
#288
○政府委員(三井脩君) 私立探偵社を営んでおる元自衛官から協力を得て、本件捜査は大変進展をいたしたと、こういう関係でありまして、いま御質問の趣旨は、この二人が事件に、犯罪者側に加担しておらないかと、こういうことでありましたならば、さようなことはございませんで、本人たちはわれわれが捜査を進展するについて協力をした、捜査における大事な協力者、そしてまた今後の公判等があるという点を考慮いたしますと、これは証人的な人たちであるということでありまして、本人たちがそういう意味で事件にかかわる、犯罪者側においてかかわるというようなことはございません。
#289
○上田耕一郎君 その問題は後に回しますけれども、もう一つ、先ほど申しましたように八月九日金氏を連行した船ですね、きのう問題になった。あの船で金大中氏が殺されそうになったときに飛行機が飛んできた。この飛行機について、レイナード氏はアメリカの飛行機ではないということを言い、文明子女史は金旭元KCIA部長その他から入手した情報として、絶対に確実な筋によると、出動機は日本自衛隊のヘリコプターだったと言っております。このヘリコプターから金大中を殺すなという指示が韓国上層部からヘリコプターによって落とされて、これを見て金大中氏は命が助かったということが事実だと思いますけれども、このヘリコプターあるいは飛行機、これについて捜査状況を答えてください。
#290
○政府委員(三井脩君) 先ほど申し上げました金大中氏の供述内容によりますと、本人がうとうと眠っておって目が覚めた瞬間、飛行機だという声を聞いたと、こういう点が出ておるわけであります。したがいまして、私たちは、この供述書は四十八年の事件発生後約一月ぐらいの間に韓国政府からいただきましたので、当時捜査をいたしました。最近では、報道で、これは米軍機でも韓国機でもない、こういうような言い方をされておりますが、私たちが当時捜査をいたしましたところによりますと、自衛隊機であるという事実は出てきておりません。
#291
○国務大臣(三原朝雄君) 防衛庁におきましてもその当時全域について調査をいたしましたが、全く自衛隊機が出動したことはございません。
#292
○上田耕一郎君 自衛隊機が飛んでいたらそれこそ重大問題ですが、じゃ海上保安庁はヘリコプターないし飛行機をこのときに人命救助のために飛ばしたということはありませんか。
#293
○国務大臣(田村元君) そういう事実は一切ございません。
#294
○橋本敦君 委員長、関連。
#295
○委員長(小川半次君) 関連質問を許します。橋本敦君。
#296
○橋本敦君 鳩山外務大臣もフレーザー委員会のレイナード証言録はすでにお読みだと思いますけれども、この証言速記録の七十九ページでは、レイナード氏ははっきりとこう言っている。私はこの金大中事件の目的は、まさしく彼を暗殺もしくは完全に消し去る、そういう目的を持ったものであることを信じて疑わない、こう言っているわけであります。そして、このレイナード氏は、この金大中事件が起こった直後から、何よりも金大中氏の身の安全、安否、これを心配をして早速国務省と連絡をとり善後策を講ずる、そういうことをやる中で、彼自身私に言いましたが、自分自身もワシントンの日本大使館へしばしば訪れて協議をしたんだと、こう言って証言をしている。あなたは今度総理に同行してワシントン日本大使館までお行きになったわけですが、この金大中事件が起こった直後に、日本の国内でも金大中氏の安否を大きく気遣う世論が沸き起こって、そしてレイナード氏が日本大使館を訪れて安否を気遣いながら協議をした、この事実について調査をしてこられましか。そしてまた、レイナード氏と大使館でだれが会って話し合いをしたか。こういう協議の中で、いま問題に出ておりますように、暗殺計画を途中で変更し、緊急に金大中氏を乗せて高速でわが領海もしくは近海を移動しつつあるあの船に連絡をするということを含めて、協力を日本政府関係筋が依頼されたとしても無理からぬ筋がある。これについて外務大臣は調査なさいましたか。調査結果を明らかにしていただきたい。
#297
○国務大臣(鳩山威一郎君) レイナード証言につきましては印刷物が来ておるわけでございますけれども、今回それにつきましてさらに国務省におきまして調査を詰めるというようなことはやってまいりませんでした。
#298
○橋本敦君 いまの答弁も、先ほど外務大臣が、わが党宮本委員長が日米首脳会談に際して、日韓問題についての調査や捜査の協力を申し入れるようにということを申し入れた、それについての事態の処理についても私は全く福田内閣の姿勢に重大な疑問を持たざるを得ないのであります。鳩山外務大臣は、日韓問題はまだ具体性ある問題とたっていないから話をしなかったと答弁されましたね。冗談ではありませんよ。昨年暮れの共産党の訪米調査をきっかけにして日韓問題は大きくなってきました。衆議院では集中審議が行われました。わが党の正森議員は地下鉄工事に関連をして二十億を超える不明な金額の所在を糾明をし、政府は答弁できなかったじゃありませんか。これでもまだ具体的でないと言うんですか。それ以上に、金大中事件それ自身は具体的事件そのものじゃありませんか。
 福田総理、あなたに伺います。福田総理は、私の質問に対しても、あの政治決着とは別にして、金大中事件の捜査は完全に遂げるとおっしゃいました。そして、上田議員の質問に対して、その捜査の結果いかんによっては、あの政治決着はやり直さねばならないということも言明をされた。
 そこで、総理に伺いますが、この金大中事件については、レイナード氏の証言からも明らかなように、米国務省あるいはCIA関係情報、こういった公式情報をレイナード氏が韓国部長の職務上の地位にあるときに見たということに基づく信憑性ある証言だとすれば、資料がアメリカ側にあることは明白です。総理、この金大中事件の捜査を本当にあなたがおやりになるという決意があるならばいまからでも遅くはありません、この金大中事件について日米捜査協力、これについての折衝を開始すべきである。これが第一点です。
 もう一つ、先ほど総理も御存じのように、金大中氏は民主救国宣言、あの事件で五年の実刑を受けました。さらに五年間の資格停止ですね。これ自身は金大中事件の捜査に重大な支障を起こすことは明らかです。同時に、金大中氏の自由回復、これを妨げる軍事的ファッショ体制の暗黒的裁判であることも明らかです。いまや黙っているべきではないと私は思います。総理、この事件の判決についてどう思われますか、総理の所信を伺って、私の関連質問を終わります。
#299
○国務大臣(福田赳夫君) レイナード発言につきましては、外務省の出先でいろいろ調査をしておるんです。でありまするから、私はそれ以上のことを求める必要はないと、こういうふうに思ったわけであります。
 それから金大中氏に対する判決ですね。これはいろいろ私も感想は持っております。しかし、これは私の国の問題じゃありませんから、これに触れることはこれは外交上支障がある。私は答弁を差し控えます。
#300
○上田耕一郎君 いまの質問で、日米捜査協力の資料ですね、この問題がありましたが、お答え願います、金大中関係の。
#301
○国務大臣(福田赳夫君) 捜査資料の交換ですか。
#302
○上田耕一郎君 CIA関係などレイナード氏が持っている、金大中に関する米政府が持っている資料ですね。
#303
○国務大臣(福田赳夫君) それはアメリカにおる出先がいろいろ調査をしておりますが、まだアメリカ政府に対して資料を、情報を求めるというような必要があるという段階に至っておらぬと、こういうことを申し上げたわけであります。
#304
○上田耕一郎君 これは全く認識不足です。先ほど言いましたように、殺人の容疑さえ残されている事件です。日本の主権が侵害された、金大中氏の人権が侵害され、さらに命まで失われかけたという、そういう事件。それが日本の国内で起きていて、それについてまだアメリカからそれに関する資料をもらう段階に至っていないと。これは首相がこの問題について全く認識を正しく持っていないことを示すと思います。もう一度事実を調べ直して、一国の首相としてしっかりこの問題つかんでください。
 私は、昨年の四月、日本版のJCIAとして内島一佐をキャップとする陸幕二部別班の問題を質問して、非常に奇怪な暴力組織の実態を明らかにしました。わが党がこの問題を調査いたしましたのは、実は松本善用代議士あてにこの別班の一員から内部告発の手紙が来たからであります。その手紙の内容を資料として配布いたしましたが、読み上げます、一部を。「陸幕第二部別班はJCIAです。内島二佐が別班長で、私達二十四名がその部下」だと。「私達はアメリカの陸軍第五〇〇部隊(情報部隊)と一緒に座間キャンプの中で仕事をしています。全員私服で」やっている。「仕事の内容は、共産圏諸国の情報」「共産党を始め野党の情報をとること」だ。「私達は多額の金を使います。一部は五〇〇部隊からも貰います。」「本部は座間です」けども、「仕事の事務所は、東京に六カ所、大阪に三カ所、札幌二カ所、福岡一カ所です。興信所や法律事務所などの看板を出しています。金大中事件の元自衛官達も私達と一緒に仕事をしていた連中です。」「私達がここで仕事をしていることは一般の自衛官は幹部でも知りません。長官も陸幕長も知らないと思います。代々の二部長がやっている事でしょう。ここにいる者は全員小平の調査学校で、対心理課程を終わった者ばかりで、この課程は昔の中野学校と同じ内容です。私も今まで命令をうけて嫌々仕事をしてきましたが、やっと決心がつきました。どうか自衛隊を粛清して下さい。」という手紙であります。われわれはこの手紙が事実であるかどうか一年間調査しました。その結果、内島氏も実在しました。別班もありました。米軍の座間基地で内島一佐は連日仕事をしていたわけであります。その後、われわれはさらに一年間調査しました。そして、四十五年十一月十八日現在の別班員全員二十四名の名簿を入手しました。きょう私どもはこれを公開します。二十四名という数字もこの手紙と合っております。この手紙がこれだけ事実だとしますと、金大中事件で動いた連中も私たちの仲間だということも恐らく事実であろうと思います。私はこのリストに基づきまして当時の別班員数名に会いましていろいろ調査をしました。いろいろ話をしてくれました。その中で坪山元三佐、ミリオン資料サービス所長ですね。別班員だったということを数名の人が共通して認めました。
 防衛局長、この坪山元三佐の経歴を述べてください。
#305
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 いま御指摘の坪山晃三氏、これは昭和三十二年に一般幹候の一等陸曹で入隊しまして、普通科連隊、東部方面調査隊、陸幕二部に勤務いたしまして、四十八年六月三佐で退官しております。
 以上です。
#306
○上田耕一郎君 金大中事件が起きる直前退官したわけですけれども、坪山元三佐が退職したときの陸幕二部長、この人の氏名と経歴を述べてください。
#307
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 当時の陸幕二部長は塚本勝一氏でございます。この簡単な経歴を申し上げますと、普通科連隊長あるいは防衛駐在官、陸幕二部長、通信学校長、陸幕副長、西部方面総監の要職についております。金大中事件がありました昭和四十八年の七月、八月ごろには久里浜の通信学校長をやっております。
 以上です。
#308
○上田耕一郎君 ついでに首相に聞いていただきたいんですけれども、この塚本さんの経歴を私ども資料要求しましたら、個人の自衛官の経歴は出さないと言うんですよ。しかし、大事な問題なのでわれわれ要求しているので、こういう方の当然の経歴なんか資料要求しても出さないというのは、委員長、どうお考えになりますか。ここで質問しないと答えてくれない。これではやっぱり時間ばっかり食うわけで、守秘義務の乱用だと思いますが、いかがでしょう。防衛庁長官でもいいですよ。
#309
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 当時、資料要求のときに金大中事件に関連した塚本勝一というような御指定でございましたので、金大中事件に関連したとは毛頭われわれ考えておりませんので、そういう意味では資料としては出しにくい、このように思ったわけでございます。
#310
○上田耕一郎君 そういうことを言うので、金大中事件と関連したというのは取りました。それでも個人は出さないと、そういう返事した。
#311
○政府委員(竹岡勝美君) それなら行き過ぎでございます。当然資料要求は出すべきだと思います。
#312
○上田耕一郎君 いまの経歴で、防衛駐在官とありましたけれども、どこの国にいつからいつまで駐在していましたか。
#313
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 塚本勝一氏は、一等陸佐で昭和四十二年の九月から四十六年の八月まで韓国防衛駐在官として勤務しております。
#314
○上田耕一郎君 当時韓国から勲章をもらったと思いますが、何をもらいましたか。
#315
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 韓国のみならず、ほかの国でも、防衛駐在官で勤務しますと、その両国の親善友好に尽くしたということで勲章をくれる例は往々ございます。これはそれぞれの武官に慣習的によくやられております。この塚本勝一氏は、昭和四十六年八月九日、韓国駐在官を退官いたしますときに修交勲章という勲章をもらっております。
 以上です。
#316
○上田耕一郎君 塚本氏は陸士は何期ですか。
#317
○政府委員(竹岡勝美君) 塚本氏は陸士五十四期でございます。
#318
○上田耕一郎君 いま答弁がありましたように、塚本陸将は韓国に駐在しておりまして、そのとき陸士五十四期、朴正煕大統領は陸士五十七期であります。李厚洛KCIA部長も陸士出身であります。このときに塚本氏がこういう朴正煕大統領、金鍾泌首相、あるいは李厚洛KCIA部長、また金旭KCIA部長と面識があったことはもう明白であります。その後、塚本氏は、陸幕の二部長、つまり情報部隊のキャプテンに就任されました。私は、こういう点で、このKCIAの幹部、トップクラスと日本のJCIAと申すべき陸幕二部のトップの塚本氏が韓国駐在武官時代に個人的な面識もあったという事実は非常に重要だと思います。陸幕二部長の塚本氏が七二年の初めに韓国訪問をしておりますけれども、その任務はどういうものだったでしょうか。
#319
○政府委員(竹岡勝美君) 塚本勝一氏が、昭和四十八年二月十八日から二月二十四日まで、当時陸幕二部長で、随員二名を連れまして、韓国の軍事情勢の視察ということで訪韓しております。
#320
○上田耕一郎君 これも私は非常に重要な事実だと思います。なぜなら、金大中――私は殺害事件だと思いますけれども、その計画が練られたのは、昭和四十七年の暮れから一月、二月ごろだと、そういう事実がこれまでも幾つかの証言によって明らかになっており、そうしますと、塚本氏が二月に訪韓した。朴正煕大統領並びに李厚洛KCIA部長などとも当然面談したでしょうし、金大中を先頭とするアメリカ及び日本の反朴韓国人の運動についても恐らくいろいろな話をする機会がなかったとは言えないし、恐らくするのが当然であろうと思うのです、陸幕二部のキップテンですから。(「想像」と呼ぶ者あり)いや、これは想像ですけれども、恐らく普通の人間だったら、自分たちの職務から言ってそういうことになったであろうと私は思う。
 まださらに続きますけれども、ついでにもう一つ聞きたい。内島一佐が、私どもこの出入国問題でこの問題について資料要求したところが、同じ年の一月二十七日から二月五日まで、横田から日本を出て横田に戻っております。アメリカへ行ったということですけれども、どういう任務で行ったのか、なぜ横田から出国したのか、羽田からなぜ行かなかったのか、その点お伺いしたい。
#321
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 なお、先ほどの件に若干補足いたしますけれども、昭和四十八年に訪韓したのは、塚本氏のグループだけじゃございません。空幕の防衛官と……
#322
○上田耕一郎君 情報部隊で言えば塚本さんたち三人だけですよ、陸幕二部で三人行っているんだ。
#323
○政府委員(竹岡勝美君) それから空幕も行っております。
#324
○上田耕一郎君 空幕は関係ありません。
#325
○政府委員(竹岡勝美君) あとまた陸幕も行っておりますから。しかも、毎年韓国の方には親善で武官がよく行っておりますので……
#326
○上田耕一郎君 何の親善をやっているかわけがわからぬでしょう。
#327
○政府委員(竹岡勝美君) それはお互いの軍事情報の交換とか、当然、隣国でございますから……
#328
○上田耕一郎君 それは余りよくない情報交換だ。−聞いていることを言ってください。
#329
○政府委員(竹岡勝美君) ただいま御質問がございました内島洋、これはすでに退官しておりますけれども、陸幕二部勤務の当時に米国へ三回出張しております。特に四十八年、四十九年に出張しましたときには、これはいわゆる米軍の方の招待を受けまして、米軍の横田基地から米国へ出張しております。もちろんこの出張は陸幕長の出張命令に基づいて行っております。(「だめだよ、委員長、そういうことじゃ。なぜ横田から行っているかという質問でしょう。ああいう答弁はないよ。横田からなぜ行ったかという質問に答えてください」と呼ぶ者あり)
#330
○委員長(小川半次君) 当人が質問するから。
#331
○政府委員(竹岡勝美君) 昭和四十六年以前ごろは、特にたとえばナイキ、ホークの年次射撃等で自衛官がアメリカへ招待を受けて行きます場合がありますが、こういう場合も従来は米軍の横田基地から輸送機を利用して行った例が多うございますが、その後アメリカの方のドルの縮減だとか、あるいは日本の経済がよくなってきたというようなことで、その後はわれわれの方の出張旅費で皆民間機を使って行っておりますが、しかし、時には、米軍の方の招待があった場合には、米軍の軍用機で横田基地から向こうの招待を受けて米国へ飛んでおる例も若干その後もあります。
#332
○上田耕一郎君 法務省は、こういう例は非常に異例だと聞きましたけれども、いかがですか。四十七年、四十八年で自衛官は横田から出国している例がありますか。――いや、法務省に聞いているんです。
#333
○政府委員(吉田長雄君) お答えいたします。
 横田から出入国した人数はわかっておりますけれども、その職業とかなんかは調査しないとわかりません。
#334
○上田耕一郎君 じゃ、人数を答えてください。
#335
○政府委員(吉田長雄君) はい。いま手元にございますのは、これは全国の米軍基地からの数字でございます。櫛田だけの数字はいま手元にございません。それでよろしゅうございますか。
#336
○上田耕一郎君 はい。
#337
○政府委員(吉田長雄君) それでは、米軍基地から出国いたしました日本人の数は、昭和四十七年二千九百九人、昭和四十八年二千八百十人、昭和四十九年二千三百四人、昭和五十年千二百七十囚人、昭和五十一年八百九十三人となっております。
#338
○上田耕一郎君 恐らく民間人じゃないでしょう。自衛隊が米軍機でこれだけ行っているという事実が明らかになりました。
 この内島一佐の場合、旅費並びに滞在費はどういうふうになりましたか。
#339
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 いま先ほど法務省のお話が出ました数字、あれは全部自衛隊員じゃないと私は思っております。
 内島一佐の場合は、これは旅費は米軍持ちでございます。それから向こうの日当、滞在費はいわゆるわれわれの方の国費を使いましての本人負担でございます。
#340
○上田耕一郎君 内島一佐の訪米目的は何ですか、任務は。
#341
○政府委員(竹岡勝美君) 軍事視察並びに情報交換等があったと思います。
#342
○上田耕一郎君 私は、ここにもやっぱりアメリカと日本の情報部隊の癒着関係ですね、如実にあらわれていると思う。内島一佐は、私が追及しましたように、米軍の座間基地の五〇OMI部隊、悟報部隊に連日勤務していたんですよ。そこで情報連絡をやっていた。それでアメリカに米軍の旅費持ちでやっぱり行っている。で、情報交換やっている。行ったのは恐らくCIAとか米陸軍の情報部隊ですよ。それと、日本の秘密別班部隊のキャップがその前の年にも行っているということで、こういうところにもアメリカと日本の情報関係の癒着があるんです。
 この塚本陸将補の場合には私はこれは日韓癒着だと思う。二月に韓国から帰国した後、塚本陸幕二部長が、陸幕二部の部員あるいは調査隊員に、朝鮮関係の新しい情報を取る仕事があると、後にミリオン資料サービスとしてつくられるんですけれども、その社員、所員ということで何人かに肩たたきをしたという事実があります。三月ごろであります。そして、昭和四十八年の九月二十六日、外務委員会でわが党の星野力議員の質問に対しての答弁によりますと、五月にミリオン資料サービスの部屋を元警視庁の外事二課の人が恐らく坪山氏に貸したということになる。韓国に二月に行って、帰ってきて三月ごろに隊員に肩たたきをやっている。その肩たたきに応じた人が坪山元三佐と江村陸曹であります。こうして五月に部屋が借りられて、六月三十日に坪山元三佐は陸上自衛隊を退職する。退職理由は、同じ星野力議員の質問に対する答弁によりますと、お父さんが病気になったので家業を継ぐためだと。うちは宇都宮です、家業は不動産業です。何も興信所なんかやっておりません。そういう全くうその理由で退職をして、七月一日に、ミリオン資料サービスを開所したわけですね。それが金大中事件の監視役に現職自衛隊の江村陸曹とともに行ってやる。どこに三井さんの言うような協力者であるということがありますか。協力者どころか、陸幕の二部が金大中問題に関して隠然と協力を行ったという、私は重大な疑惑があると思います。そして、金大中事件が起きる前にこの塚本陸将補は、七月一日に陸将に昇任し、七月十六日付で通信学校長に移っております。私は、これは二人とも恐らくアリバイづくりであろうと思う。もしこういうふうに陸将が動いたということになりますと、陸将といいますと元の大将ですよ、陸上自衛隊に五十二人しかいないわけであります。自衛隊の最高幹部がもしこういうふうにかかわっていたという疑惑がある以上、私はこの問題を放置することはできないと思う。坪山三佐あるいは江村陸曹その他に塚本陸将補、陸幕二部長が肩たたきをやったという事実。これらの問題を含めて坪山三佐との関係、ミリオン資料サービスとの関係、これらについて防衛庁長官、徹底的な調査を私は要求いたします。
#343
○国務大臣(三原朝雄君) いろいろ御意見を拝聴いたしまして、防衛庁におきましては、わが国の専守防衛の立場から、自衛隊といたしましては内外の情報を把握するというのは喫緊の業務遂行上の要事でございます。したがって、内外の情報収集のために教育もいたすわけでございます。なおまた、いま御指摘になっております陸幕二部別室のごときも明確にその配置があるわけでございまして、決して特別のものではございません。私は、自衛隊の名誉にかけて、いま塚本陸将以下のいろいろな御意見がございましたけれども、絶対に自衛隊自身がそうしたスパイ行為に加担するとか、JCIA等に短絡して行動するというようなことはないものと確信を持っておりまするけれども、せっかくの御意見でございまするので、再度調査はいたしたいと思っております。
#344
○上田耕一郎君 ぜひ調査をしてください。いま約束したと受け取りました。防衛庁長官は、自衛隊にそういうスパイ部隊はないと信じていると言われますけれども、さらに私は質問を続けて、陸上自衛隊の調査学校、これを舞台にしまして奇怪なやはり秘密スパイ組織があると、この事実について質問したいと思います。
 防衛局長にお伺いします。塚本陸将、坪山元三佐は陸上自衛隊の調査学校関係の経歴があるかどうか。
#345
○政府委員(竹岡勝美君) 塚本陸将は、調査学校の経験は全くございません。なお、私の人事当局で塚本勝一氏に金大中事件の件について調査したことがございます。加担、関与したという事実は全くないと言っております。
#346
○上田耕一郎君 坪山元三佐は、調査学校経験。
#347
○政府委員(竹岡勝美君) 坪山三佐は、調査学校に入校したことはございます。調査学校で勤務したことはございません。入校したことはあります。
#348
○上田耕一郎君 入校したことはある、何課程ですか。
#349
○委員長(小川半次君) 上田君、委員長の許可を受けて質問してください。
#350
○上田耕一郎君 何課程でしょうか。
#351
○政府委員(竹岡勝美君) どうも失礼しました。幹部情報課程です。
#352
○上田耕一郎君 われわれの調査の結果、調査学校の中に対心理情報課程というのがあり、略称CPI−カウンター・サイコロジック・インテリジェンスと言います。昭和四十九年から、大臣がちょっと名前はわからぬと言われたそうで、心理戦防護課程というふうに名前が変わりましたけれども、中身は変わらない。これは私は、スパイ訓練課程であると同時に、重大な謀略組織の指導部の役割りを果たしている、そういう事実があると思います。調査学校でスパイ教育は行っていないという答弁はありましたけれども、いまでもそう確信できますか、確認できますか。
#353
○政府委員(水間明君) スパイ教育はやっておりません。
 心理戦防護課程のお話が出ましたので、心理戦防護課程について御説明いたしますと、心理戦防護課程の研修学生は一般部隊から主としてとってまいりまして、一般部隊にまた帰るのが主力でございます。つまり、情報関係部隊の要員ではございません。
 教育内容は、有事におきまして、戦場で部隊間に心理作戦が行われるわけですが、その心理情報戦におきまして、敵からそういう攻撃をしかけられましたときに有効に対処する、そういう知識、技能を与える。一般部隊の一般幕僚にそういうことを生かす素養を与えておくというのが教育内容でございます。スパイ教育はやっておりません。
#354
○上田耕一郎君 このCPI課程の学生に山谷のドヤ街の工作、こういう訓練を行っているような事実はありませんか。
#355
○政府委員(水間明君) 先ほどの心理情報戦を防衛するため有効な対処方策というのを教育するわけでございますが、そのためには敵から、これは軍事的な場面での話でございますが、
  〔委員長退席、理事園田清充君着席〕
敵からどういういわゆる手口で心理情報戦をしかけられるかということを教えております。これは外見上、先生がおっしゃいましたようなスパイ教育をやっているのではないかというふうにお疑いがかかるかもしれませんが、きわめて基礎的、初歩的ないわゆる素養を与えるものでございますが、その体験実習をやらしております。
#356
○上田耕一郎君 山谷のドヤ街で体験実習をやっているという御返事でした。このCPI課程の同窓会組織がありますか。また、同窓会雑誌が出ておりますか。
#357
○政府委員(水間明君) 昭和三十八年から四十七年までの間あったようでございます。
#358
○上田耕一郎君 三十八年から……。
#359
○政府委員(水間明君) 三十八年でございます。
#360
○上田耕一郎君 何年まで。
#361
○政府委員(水間明君) 四十七年までの間です。で、現在はもうありません。解散しております。
#362
○上田耕一郎君 私は、先日調査学校に行きまして、校長、副校長を初めいろいろこの問題について質問をしてきました。校長、副校長は私のこの質問に対して、一切同窓会組織はこれまでにもかいと、聞いたこともないと、同窓会雑誌も全くこれまで聞いたことがないと、こういうものはないというように、オール否定をされました。ところがきのう、私がこの問題で質問をするという通告をした後、いまの返事は昭和三十八年から四十七年まで同窓会もあったし、同窓会雑誌もあったという事実が初めて認められました。私が先週の土曜日、あの議員対抗の野球が終わった後――ピッチャーでうまくいきませんで、恥をかきましかけれども、その後調査学校へ行ったときは、調査学校の幹部十二名そろって全くそういうものはないという返事であった。それだけでもこの同窓会組織、同窓会雑誌を隠そうとしていて、隠し切れなくなってきょう初めてその事実を認めたという経過になっております。
 ここにありますのがこの同窓会雑誌の「課程創設第十周年記念特集号」です。これは驚くべき雑誌であります。これは同窓会雑誌で、同窓会組織があります。青桐会というものでありまして、私どもはこの青桐会の昭和四十四年八月十日現在の名簿を手に入れました。百三十六名の名前が載っております。で、調べてみますとこのうち九名が先ほど配付いたしました二十四名の別班組織、九名ダブっております。この中にいるということであります。
 この青桐会の雑誌にはCPI精神、これは地下たび精神というんだそうですが、繰り返し繰り返し地下たび精神の話が出てまいります。お手元に配付しました資料に一部コピーして入れてありますけれども、たとえば佐藤一尉の次のようななかなかおもしろい数えうたがあります。「一とせ人の知らない調校のCPIに入校す」「二とせ 二言目には地下足袋で、進む足先パチンコ屋。」「三とせ 見せてやりたや女房に、山谷スタイル、人集め。」「四とせ 夜の夜中にゴソゴソとビラ張り姿は 国のため」「七とせ 泣くなよしよし青桐よ 今に天下の幹になる。」「十とせ 十でとうとう卒業し 今じゃ天下の地下モグラ」、これは地方調査隊佐藤一尉のもの。井上一尉のものも「まずは手始めにビラ配り夜の夜中にゴソゴソと へんなステッカーペタペタと」「女房にゃ見せられぬスタイルで ついたところは 山谷ドヤ」というようなものであります。
 この問題についても調査学校で私、質問しました。数人で宿泊して訓練やることがあるか――絶対ないと、部隊で演習をするだけでありますと、外泊は。これも全く否定であります。それがわれわれが事実をつかんだことを知りまして、先ほどの答弁で山谷のドヤ街にこもっていろいろ心理戦の訓練やっていると、地下たびはいて労務者のかっこうをして山谷のドヤ街に現職の自衛隊の隊員がこもって、夜の夜中にビラを張ったりステッカー張ったりやっているんですよ。そういう訓練を彼らはやって、しかも重大なことは、卒業後も組織を持っているということです。百三十六名。機関誌まで持っている。そしてこの中には、一たび事があったら、一たび命があればはせ参ずる決意だということを言っているんですよ、このCPI精神で鍛えられて、百三十六名が。(「偉い、偉い」と呼ぶ者あり)そうそう、偉いと言う人もおりますけれども、そういう精神でこの自衛隊部隊がやっているわけです。これ一つ見ましても、このCPI課程というのがいかなるスパイ教育やっているかというのは明らかです。
 先ほど私、別班員の内部告発の手紙を読み上げました。昔の中野学校と全く同じだということですが、この学校と中野学校の関係、これどうなっているか。中野学校の関係者がスパイ教育のための講師や嘱託、こういうものをしている事実はありませんか。これも先日学校側は否定しました。きょうはどうでしょうか。
#363
○政府委員(水間明君) 自衛隊は、創隊直後は旧軍人をいろいろな分野で、職種で取り入れております。これは軍事的専門知識を活用して自衛隊の創設を図ってきたということですが、したがいまして、中野学校の教育を受けた者も二、三入っている可能性がございます。しかし、もちろん現在はおりません。次第にやめていっております。
#364
○上田耕一郎君 二代目校長の藤原岩市、この人の経歴を述べてください。――ちゃんときのう言ってありますよ。
#365
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 藤原岩市氏は陸士四十三期でございます。三十年の十月に一佐として入りまして、二代目の調査学校長、以下東方幕僚長、十二師団長、一師団長で、四十年の七月に退官しております。
#366
○上田耕一郎君 中野学校との関係を述べてください。
#367
○政府委員(竹岡勝美君) これは私の方で古い記録ですので、十分につかんでおりません。
#368
○上田耕一郎君 十分につかんでいないと言われますけども、藤原岩市という人は余りにも有名な人で、中野学校の教官で、議員にも立候補したこともありますし、有名な藤原機関の組織者です、戦争中の。児玉機関と並んで有名な藤原機関の組織者で、中野学校の教官です。そういう日本軍国主義時代のスパイ教育の教官を戦後二代目の校長にしているんです、中野学校の、藤原機関。
  〔理事園田清充君退席、委員長着席〕
 ここにまさに戦犯政治、戦犯自衛隊のスパイ教育の実証があるじゃありませんか。
 それでは次に、嘱託制度、こういうものはあるかないか、これもお伺いします。
#369
○政府委員(水間明君) 嘱託制度という制度はございません。
#370
○上田耕一郎君 しかし、この「青桐」には、藤本巧郎という元憲兵大尉で、二十数年間の情報将校の経歴があり、中野学校を創設した秋草中尉から手取り足取りして教わったと、自分で藤本巧郎氏がこれに調校嘱託として書いております。編集後記にも調校嘱託と書いてあります。調査学校へ私行ったときも、嘱託制度はないと言いました。これにあるんだけど、どういうことですか。再調査を要求します。
#371
○政府委員(水間明君) それは何かの間違いかと思います。藤本巧郎氏は調査学校で事務官でございますが、しておりまして、教壇に立ったこともございますが、嘱託という職名は付与していないはずでございます。
#372
○上田耕一郎君 調校嘱託と自分で括弧をして書いてあって、編習後記には、藤本巧郎調校嘱託の原稿を得たということを書いてあって、名寄からの隊員のあれには、北海道に藤本講師が来て講義までしてくれて非常にありがたかったという手紙まで載っております。調校嘱託であったことは明らかです。再調査を要求します。
#373
○政府委員(水間明君) それでは、その点調べさしていただきます。
#374
○上田耕一郎君 私は、元調校の教官にも数日前会いました。その人も藤本巧郎氏が嘱託であったことをはっきり認めました。ただ、二、三年前死亡されたということをその元教官は私に明言したんです。こういうことまで隠すというのはおかしいんですね。
 さらに、私は質問を続けます。講師だけでなくて、講師に中野学校関係者がこういうふうにいるというだけでなくて、教科書にも、旧軍時代のスパイ教育の教科書を使っているという事実があるけれども、そういう教科書使っていませんか。
#375
○政府委員(水間明君) 旧軍の教科書をそのまま使うなどというようなことは、絶対にございません。
#376
○上田耕一郎君 調査学校の校長、副校長もそういうことは絶対にございませんと言いました。しかし、ここに現物があります。「秘密戦概論」というもので、「調査学校 情報教育課」とちゃんとタイプで印刷してあります。「取扱注意」というのが、判こが押してあります。「CPI教育資料」と書いてあります。で、私は調査学校に行きまして教科書問題聞きました。マル秘で教えられないと言うんです。防衛庁にも私要求しましたら、教科書類はマル秘で教えられませんと言うので、教えてくれたのは、中央公論社発行とか講談社発行とか岩波書店発行とかいうようなものばかり教えてくださいましたけれども、調査学校では、教育参考資料というものがあって、それが教科書として生徒に印刷配付しておりますということでありました。この「青桐」には印刷の実習のあれもありますから、恐らく部内で、学校内で印刷しているんでしょう。写真が載っています。これは「CPI教育資料」と「調査学校 情報教育課」というふうにちゃんとありますから、これが教科書であることは明らかであります。これは旧軍時代の恐らく私は中野学校の教科書だと思います。その中野学校の教科書に間違いない。なぜなら、お渡ししましたこの資料の中に、ページにありますが、大東亜共栄圏だとか皇国精神だとか、そういう言葉がそのまま印刷されている資料であるからであります。
 この中で重視すべきことば、当時の秘密戦について膨大な内容があるんですけれども、たとえば一例だけ挙げますと、個人テロまでこれは評価しております。二ページに、「最も著明な事例は対手側の首脳部や要人に対する「テロ」である。「テロ」は往々にして争闘を一挙解決に得たことも屡屡である。」というようなことが書いてあります。それから、「対手国の政治中枢に対しテロ謀略を実施する。」、それが三十八ページにあります。四十五ページには、「他の謀略と「テロ」謀略とを併用するときに於ては、「テロ」謀略は秘密戦の本質的効果招致を促進するところの初動要素たることが出来よう。」というようなことまで書いてある。
 私は、去年こういう問題質問したときには、調査学校の前の業務学校時代のものだと言いました。今度はそういうことは言えません。この中には生徒の書き込みがあります。生徒の書き込みは、日中国交回復だとか米日接近とかいうようなことが欄外にあります。そうしますと、少なくとも一九七三年以降使われているということも明らかであります。こういうテロの教育まで受けたということになりますと、これが金大中事件にこういう教育を受けた人たちがかかわりを持つというのも、先ほど本見ましたけれども、そういう軍人精神的教育を受ければ受けるほど、大事なことのためにはそういうこともやろうということになるのだと思います。
 ひとつ法制局長官にお伺いします。旧軍の情報将校を顧問あるいは嘱託とし、また一時校長もあったわけですね。で、旧軍のスパイ教科書を教育資料として印刷配付、教育している。そういう調査学校のこういう中野学校の完全な復活のようなあり方、これは憲法前文、憲法九十八条、憲法九十九条、こういうものに照らしてどうお考えになりますか。
#377
○政府委員(真田秀夫君) 事は自衛隊が憲法に違反するかどうか、あるいは違反するようなことをやっているかどうかという問題にかかわっておりますので、これは事実関係をはっきりした上でないと、とても私にはここで真っ正面からお答えするような筋合いのものではない、どうぞ御容赦願います。
#378
○上田耕一郎君 私は、憲法問題にもかかわる重大問題だと思いますが、首相、きょうずっとお聞きになっていかがですか。恐らく首相も初めて御存じになったことだと思うんです。私はこれがやっぱりJCIAだと思うんですね。全国の部隊に配属されていて、一朝事あれば普通の指揮系統と別にこのCPIの指揮系統に応じてはせ参ずる。それで地下たび精神でごそごそいろんなことをやっている。ほかにも多くの重大内容がありますが、共産党は今後この問題追及したい。しかし、首相も知らないところでこういう秘密部隊が日本のJCIAとしてさまざまなことをやっている。金大中事件にかかわったという疑惑さえ出ている。こういうことになりますと、何が起こるかわからない。こういう情報部隊は恐らく占領中に、アメリカのCIAその他の指導によって自衛隊の中でもつくられていったものだと思う。だから現にアメリカとも深い関係がある。韓国のKCIAともつながりが生まれている。これが肥大していきますと、かつての柳条溝事件その他のようなとんでもない事件さえ起き得るんです。ある別班員は、われわれがやっていることを一言しゃべれば内閣がつぶれると、そういうことを明言しているんです。こういう点で福田首相、こういう肥大化する情報部隊のこの問題について徹底的な調査を私は要求したいと思います。いかがでしょうか。
#379
○国務大臣(福田赳夫君) いま上田さんのお話を聞いておりまして、これは全国民が聞いておるわけです。わが自衛隊がもし万一そういうような金大中事件にかかわるというようなことがあれば、これは大変なことです。しかし、自衛隊は国を守る、こういう大きな任務を持っているわけです。ですからいろんな勉強をしておかなきゃならぬ。そのいろんな勉強の中に諜報活動、情報活動、そういうことも私はあるのだろうと思います。私はしかし、あなたがいろんなことを指摘した。でありまするから、国民が誤解をしてはいけない。そこで、自衛隊の名誉のためにその問題は徹底的に調査をいたします。
#380
○上田耕一郎君 私は、以上の状況から見てわが党が主張してきましたように、日韓問題調査特別委員会、これの設置がどうしても必要だと。もう一つ安保条約・自衛隊調査特別委員会、こういうものも必要だと私ども考えます。それから、政府に対しては金大中氏の原状回復、政治解決の見直し、これを行うこと、これを強く要請いたします。
 さらに委員長、証人喚問を要求したい。
 先ほど挙げました元中野学校教官の藤原岩市、陸幕元二部長の塚本勝一、それから昭和四十四年当時の調査学校校長上杉源之氏、当時の副校長山本舜勝氏、当時のCPI課程の教官班長佐藤八郎氏、坪山晃三氏、江村菊男氏、それから、ミリオン資料サービス関係に国会でもたびたび問題になりました松本重夫氏、以上の証人喚問を要求していただきたいと思います。
#381
○委員長(小川半次君) ただいま上田耕一郎君から証人喚問の件が発言されました。きわめて重大なことでございますので、後日理事会で協議することにいたします。
#382
○上田耕一郎君 以上で私の質問終わります。(拍手)
#383
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。
#384
○委員長(小川半次君) 戸田菊雄君。
#385
○戸田菊雄君 まず第一に、総理に質問したいと思うのでありますが、それは、いままで衆参の予算委員会でいろいろ論議はされてきましたけれども、公共事業を十月まで七〇%投資をしてそして景気浮揚を図ろうと、こういう考えのようでありますけれども、いろんな諸般をずっと審議の中で考えますると、果たしてそういう景気動向でいくのかどうか、この点についてまず第一に質問いたします。
#386
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、景気情勢、これはちょっと停滞し過ぎていると、てこ入れが必要だと、そういうふうな考えを持っておりまして、それにはどうするかいろいろ考えながら、財政さえ豊かでありますればいろいろ手はあるのだけれども、結局そうお金はなし、そこで何としてもこれは公共事業−最も効率的な手段を選ばなきゃならぬと、こういうふうに考え、そして、五十二年度予算は御承知のとおり公共事業を中心の予算、あわせて五十一年度の補正予算、これも公共事業中心と、こうあわせて一体というような考え方をしておるわけなんです。五十一年度の補正予算はもうすでに成立し、そしてもう施行段階に入っておりますが、そこへ引き続いて五十二年度予算は上半期に七〇%契約段階に入るということになれば、私は、いま停滞下のこの景気に相当大きな引き金になっていくだろうと確信しております。とにかく、公共投資、その量は御承知のとおり十兆円もあるわけですが、そのうちの七割というのは七兆円、これが上半期集中的に契約されるというのですから、これはもう大きな効果を持たないはずはないと、やっていけると、こういうふうに考えております。
#387
○戸田菊雄君 そこで、日銀総裁が来ていると思うのでありますが……
#388
○委員長(小川半次君) 森永さんは来ていませんか。――戸田君、日銀総裁は間もなく見えるそうです。
#389
○戸田菊雄君 それじゃ委員長、抜いて先へ進みます。
 それで、実は公定歩合引き下げの問題でその効用を聞きたかったのでありますが、風聞するところ、今回の公定歩合の引き下げの効用はまだ全然浮揚していないと、こういうことですね。それに、総理もアメリカへ行ってこられたように、欧米から、いま、ことに日本の産業中心と言われる家電、いわゆるテレビとかそれから鉄、自動車、こういうものに対して相当な圧力を加えられている、そういう状況がいま一つ出てきておるわけですね。ですから、従来の輸出ドライブというようなことは、総理も言っておられるように自主規制に入らなければいけない、こういう立場だと思う。それにまだ全然民間設備投資の浮揚もなされていない。そういう状況の中で七〇%十月以前に投資をして、そして本当に総理が確信を持って答えておるような景気浮揚にいくのか、あるいはまた七〇%投じた後が一体丸出しで全部使っちゃって続くのかどうか、この辺が非常に私としては疑問を持っておるところなんであります。
#390
○国務大臣(福田赳夫君) 景気政策はいろいろありますよ。ありますが、大骨は何といっても財政と金融です。金融によりましては設備投資を刺激すると、こういうことでございますが、いま石油ショックで大変な打撃を受けた日本経済、これがやっと石油ショック前の水準まで来たと、こういうことです。ですから、設備がまだかなり未稼働のままでおると、こういう状態です。ですから、これから石油ショック以前の状態にだんだんだんだん入っていくわけでございますが、設備投資はなかなかこれはそう多くを期待するということはできないと思うのです。もとよりこれは電力のような長期展望のもとに早く投資をしなければならぬようなものはありまするけれども、概観しますと、まあ金融政策は設備投資に響くというわけでありまするが、そう大きな響きは持たない。ただ、こういうことはあるんです。公定歩合を今度下げたと。そうすれば、連動してもろもろの金利が下がってくる。これで企業の経営内容の改善、収支改善、これに役立っていくと、こういう効果を持つわけですよ。そこに主たるねらいがある。経営が改善されれば、それがまためぐって設備投資というものにも結びついていくわけでございますが、まあいままで景気循環というものがありましたがその景気循環、不況になった、さあこれから景気政策をとらなきやならぬというときに用いてきた金融緩和、あれほどの作用というものは今回私は期待できない、むしろ企業一つ一つの経営改善に若干裨益するところがある、こういうふうに考えております。
#391
○戸田菊雄君 それで、自治大臣にちょっとお伺いをしますけれども、いま地方財政は非常に危機状況にあるわけですね。そういう中で、公共事業が落ちていって、いわば超過負担もある、税収減収もある、借金もいっぱい背負っておる、こういう状況の中で、いま総理が言われるような七〇%公共事業をとにかく一度に興していくわけでありますから、中には、地方自治体の長では、いまのような超過負担のできるような事業なら要らないというところもあるわけなんです。こういう点についてどういう状況で一体これに対処しますか。
#392
○国務大臣(小川平二君) ごもっともの御指摘と存じますが、今日、地方財政は、五十二年度において二兆七百億円の財源不足を生じており、まことにむずかしい状況に立ち至っておりますが、この財源不足は、一面において交付税を増額いたしまするとともに、一面において建設地方債をいわば活用するということで完全に補てんはいたしております。公共事業の地方負担に伴いましては、充当率を九五%まで目いっぱい引き上げまして、なおかっこの消化につきましては、政府資金を五十一年度に比べて三割余り増加をいたしておりまするし、あるいは御承知の公営企業金融公庫の資金も増加する、あるいは公募債資金も増額をする、大蔵省と協力いたしまして消化の促進に努めておるわけでございます。したがいまして、公共事業の消化には懸念がないと、かように考えておるわけでございます。
 御指摘の超過負担の問題は、長い問題でございますが、ことしはいわゆる対象差――門、さく、へいというようなことがこれは悪名高いいやな問題でございますが、これも対象に取り入れるというような措置も講じましたし、事業費ベースで五百億に近い解消を実行をした、まだまだ不十分でございますが、この問題は引き続いて努力していきたいと思います。
#393
○戸田菊雄君 次に、赤字国債の解消について総理にお伺いしたいのですけれども、政府の中期経済計画でいきましても、たとえば五十二年度の単年度でも三十一兆円になると、こういうことですね。それから三年後の五十五年は中期経済によると五十二兆円になるだろう、こういうことです。そうなりますと、これはまさに大変な状態じゃないかと思うのですがね。これは解消策はどう考えておりましょう。
#394
○国務大臣(福田赳夫君) これは私も頭の病める問題なんです。私は、いま日本の経済社会で当面している最大の問題は、赤字公債を一体どういうふうにするかという問題だというふうに考えておるわけですが、この問題の処理は、私は、八兆円を上回る五十二年度の公債、いわゆる特例公債、これが五十五年度にはなくなるというようにぜひしたいと思っているんです。それでもかなり多額の建設公債が残るわけでありますが、五十五年度にはぜひともこの特例公債だけはなくしたい、こういうふうに考えておる。そうなりますと、これは一方において財政はかなり歳出面において整理をしなきゃならぬ。同時に、国民の負担、これは大体私は三%ぐらいと見ておるんですが、そのくらいの上昇も考えなきゃならぬ。その上昇の中には、これはやっぱり景気が上昇していますからそれによる自然増収、そういう部面もあります。ありまするけれども、それだけではもうとてもやりきれない。やはり新しい負担を国民にお願いをするということにならなきゃならぬ。この二、三年はそういう意味において非常に重大な時期なんです。まあしかし、いま不況のときでありまするものですから、ここで増税なんてちょっと言いませんけれども、そういう問題を抱えておるんだということは国民にはっきり理解していただきたい、こういうふうに思っています。
#395
○戸田菊雄君 そこで大蔵大臣にお伺いしますが、五十年代の前期計画、これに基づく中期財政計画ですね、これによりますと、昭和五十五年で国税収入は三十五兆五千八百億と、こういう試算をしていますね。これは大変な税金になる。これは一体どこから取る考えでしょう。
#396
○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。
 御意見のように、五十五年度に三十五兆という税金を樹立するということは、これは私も非常にむずかしいことだと思います。現在の租税体系でもって自然増収ではこれはなかなか目的を達成することができないと思います。したがいまして、ある程度の租税の増収を図らなければならない。その増収を図るためには、これはいろいろ現体系における税制をどうしていくか、あるいはまた新しい税種目を考えていくかということがどうしても必要になってくるというようなことから考えまして、昨年の半ばころから税制調査会で中期税制というものについて慎重に真剣にこれを検討していただいておるということでございまして、まあとにかく税の各種目、現在行われておる税、または頭の中に考えられる税制といったようなものすべてを俎上にのせていただいて、そうして日本の現段階、これから五十五年度までにその経済情勢に対応してどういったような租税体系が適切で似るかということを考えてもらって、そうして、結局、その考えたものは、やはり国民の皆さんのこれから御選択と申しますか、つまり国会ですね、国会の審議と決定ということにお願いをして、そうして五十五年度における赤字国債から脱却をするということを考えなければならないと、かように考えております。
#397
○戸田菊雄君 結局、中期税制答申では増税で持っていくしかないだろう、こういうのが論議の大勢ですね。その増税の内容は何かと言えば、既存の税制の重税体制と、それから新税体制と、この二つしかないのじゃないか。これは、大蔵大臣、どう考えますか。
#398
○国務大臣(坊秀男君) 無論これから自然増収しいうことも期待できると思います。だがしかし、自然増収では先ほど申しましたとおり足りない。そこで、新たなる税制体系というものを考えなければならないが、しかし、いま申しましたいろんな材料の中でしからばどの材料をとってこれで料理をしていこうかということにつきましては、これは現在慎重にわれわれもそれから税制調査会でも慎重に考えてくだすっておるということでございますが、結局は御審議を願うということに相なると思います。
#399
○戸田菊雄君 結局、大臣は、この二つの増税体制、これを認めるということですか。
#400
○国務大臣(坊秀男君) そのとおりでございます。
#401
○戸田菊雄君 そうだとすれば、新税は何を考えておりますか。
#402
○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。
 先ほども申し上げましたとおり、あらゆる材料をいま税制調査会で検討していただいておりますが、その中で何をと言われましても、目下のところはそこまで到達いたしておりません。
#403
○戸田菊雄君 税制調査会はもうすでに一定の検討は終わった段階ですね。一定の体制ができ上がった。これから答申をする段階になっておると思うのですけれども、そういう中で新税の創設は九つ考えている。この中で坊大臣は一番可能性のあるものは何でしょう。
#404
○国務大臣(坊秀男君) これは税制調査会に考えていただいておるところでございますので、私がいまここでどれが一番いいということを申し上げることは差し控えたいと思いますし、また、私は、税制調査会の御答申によりましてその中からひとつ私なりにこれを選択してまいりたいと思っておりますが、いまのところは私はそこまでまいっておりません。
#405
○戸田菊雄君 この九つをちょっと読み上げますと、土地増価税が一つある。それから富裕税、製造者消費税。それからEC型付加価値税。それから大規模売上税。それからギャンブル税を考えている。それから広告税あるいは雇用税等々が考えられている。大勢としては付加価値税がいいのじゃないか、こういう大勢だというのですが、それはお聞きになっておりますか。
#406
○国務大臣(坊秀男君) お説のとおりですね。いまお挙げになりましたそういったようなものがすべて俎上にのせられてそしてやられておりますが、所得税、法人税、これはまあどうしたって直接税の大本でございますから。それからまた間接税と消費税といったようなもの、これは今日日本が御承知のとおり直接税、アメリカのシャウプさんが来て以来、直接税主義と申しますか、何もそういう主義じゃなかったのでしょうが、いまの状態は直接税が間接税と七、三のような割合になっておるといったようなこと。しからば、その七、三を、それはいけないからこれを是正するんだというようなことでは私はないと思います。結局、そのときの経済に応じましてそして直接税、間接税をあんばいしていくということによってそこの比率なども決まってくるのだろうと思いますが、それに対しまして、さらに資産課税といったようなものも爼上には上っておるということでございますが、いずれにいたしましても、直接税でいこうか、あるいは間接税でいこうか、あるいは資産課税でいこうかというようなことについては、これはもう何と申しましても税制調査会で考えてもらったものを国民の選択を経てそして体系をつくってまいりたいと、かように考えます。
#407
○戸田菊雄君 この中期経済計画ですね、現行の負担率二二・七%、これを三%上げるというんですね。これはどういう増税体制になりますか。
#408
○国務大臣(坊秀男君) ともかくも国民所得ですか、に対して、いまおっしゃられました二二・七でございましたかな、それを三%上げるということによりましてやっていくということでございますが、これはあと五十三、五十四、五十五とございますが、なだらかに上げていくか、あるいは短兵急に五十五年に上げりゃそれは大変なことになると思いますが、そこらのところにつきましてもひとついろいろと御相談をいたしたいと、かように考えております。
#409
○戸田菊雄君 既存税制の不公平等に対する検討というものは、大臣、考えられませんか。
#410
○国務大臣(坊秀男君) 既存税制に対する……
#411
○戸田菊雄君 不公平。
#412
○国務大臣(坊秀男君) 無論、税制というものは、これはその時々におきまして、そのつくったときと、それからそれが推移していったときと、つくったときにはあるいはそれほど不公平でなかったものがやがてそれが不公平になってくるとかいったようなこともありましょうし、そういったような税制を考えていく場合には、税制の非常に大事な眼目は公平であるということが非常に大事な、税制があんまり不公正だと、国民は信頼してくれません。さような意味におきまして、絶えずこれは公正を保たなければならないということでございまするので、絶えず税制を公正化していくということは私は考えてまいらなければならないと、かように考えております。
#413
○戸田菊雄君 過日の一兆円減税の際に、与野党の幹事長、書記長、書記局長等との会談があった。この際に、大平幹事長は、五十三年以降そういう不公正税制については検討いたしますと、こういう回答だったというのですが、それは了承されておりますか。
#414
○国務大臣(坊秀男君) そのとおりでございます。
#415
○戸田菊雄君 そうだとすれば、どういう税金を検討しようという考えでしょうか。
#416
○国務大臣(坊秀男君) 先ほども申し上げましたとおり、何税をとって何税を捨てる、あるいは何税を増税する、あるいは何税を新設するという具体的なことにつきましては、いまのところは私は考えておりません。いまのところは考えていないと言うと大変無責任なようでございますが、そこまで到達はいたしておりませんので、そこで、いまおっしゃったように、何税が不公平だからこれを捨てて新たにどういうものをつくるとか、これを改廃していくとかということにまで到達しておりません。
#417
○戸田菊雄君 中期税制答申の検討も六月から始まって一応十一月でひと回り検討と、こういう状況ですね。まだ答申段階まで来ておらぬ。五十三年度中ということになりますと、もうすでに三月末になっているわけですから、やはり五十三年からそういう不公平税制を検討するということであれば、一応税調に持ちかけられるだろうと思うのすね。これはいつころと考えておるわけですか。
#418
○国務大臣(坊秀男君) 今日までも熱心にやってで勉強していただいておりますけれども、私は、きるだけ早く取りかかりたいと、かように考えております。
#419
○戸田菊雄君 それは明確な時期の説明はできませんですか。おおむねこの辺をめどとするというやつを。
#420
○国務大臣(坊秀男君) これは私の個人の考えでございますけれども、ただいま国会で重要なる予算や法案を各委員会、本会議で御審議をしていただいておるというときでございますので、そういったようなものが一応片がつきましたら、もうそれこそ一生懸命にやっていかなければならないと、かように考えておるわけです。
#421
○戸田菊雄君 大蔵大臣、これは御存じでございましょうね、もう。大蔵でも一定の試算を出しておりますから。これで指摘されているように、いわば大蔵省と東京都の財源対策については相当開きがあるわけですね。これはどういう内容でそういうことになるのでしょうか。
#422
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御質問に関しましては、衆議院の予算委員会で、東京都新財源構想研究会の試算によれば二兆数千億財源があるはずではないか、大蔵省の租税特別措置による減収額という資料とどこがどう違うのかということで資料の御要求がございましてお出しいたしたものがございます。それによりますと、私どもとの相違を申し上げておるわけでございますが、東京都計算の中には、私どもが考えました場合に、法人所得の合理的計算方法として認められているものが六千五百八十億円入っております。それから所得税と法人税の調整の仕組みとして認められているものと考えられるものが三千六百八十七億円入っております。そのほかに、そのほとんどが特別措置ではないように思われますが、内訳、積算方法等が必ずしも明確でないものが九千二百七十七億円入っております。これらを除きますと、いわゆる企業優遇税制に相当する部分というのは、法人税、法人住民税、法人事業税、これらを合わせまして六千二百九十三億円という計算になりまして、このうち、法人税分は四千三百六十三億円という計算になるように思われるということを資料としてお出しいたしてございます。
#423
○戸田菊雄君 いま主税局長が説明されたとおりになっているんですね、大蔵省試算は。だけれども、これは、結局、租税特別措置法に基づくものとか、あるいは貸し倒れ引当金の各種手当、こういったものとか、あるいは企業受取配当益金の問題とか、こういうものは企業優遇ではないと、そういう結果が出ているのじゃないですか。これはどういう見解をとっておるのですか。
#424
○政府委員(大倉眞隆君) これは先ほど来の御質問の中で不公平税制を直すべしという御主張に関連しての問題になるわけでございますが、実は、すでに一昨年の八月から私どもは税制調査会に検討をお願いいたしておりまして、作業といたしましては、とにかく、国会で御質問が出る、あるいは新聞紙上に読者の意見が出る、あらゆる機会にこれは不公平ではないかと言われたことがある項目をまず全部拾い上げていただいて、それを政策税制とそれ以外の税制に仕分けていただきまして、まず政策税制の方を縮減合理化をしようということにしていただいて、昨年度かなりの縮減合理化をお願いして整理していただきました。本年も引き続いて整理をいたしておりますが、その場合に、政策税制というものは、これは税制上の不公平をある程度犠牲にしても、特定の政策目的のために設けられているものである。それ以外のものは、不公平と言われることはあるけれども、税制調査会の考え方では、これは基本的仕組みの問題、あるいは本来本法で取り扱うべき問題というふうに仕分けをしていただいたわけでございます。その仕分けの内容は、これは非常に膨大になっておりますが、すでに国会に資料としてお出しいたしてございます。
 先ほどの、私どもが東京都の計算と大蔵省が別途予算委員会にお出ししている資料とどこが違うのかという御要求に対して御説明をいたしました先ほどの資料、それは私どもの税制調査会でおつくりいただいた分類では、政策税制以外の税制とされているものをいわば東京都の計算から別に抜き出しまして、そこが違うのでございますという御説明をしておるわけでございます。
#425
○戸田菊雄君 それで、坊大臣ね、いまの主税局長の話は一応私は納得しないのですけれども、結局、税金というものは、法人税法に基づこうが、租税特別措置法に基づこうが、あるいは調整、そういう関係に基づこうが、結局、社会的に見てそれが公平であるかどうか、こういうものの判断が最後的判断になっていくのではないだろうか。もちろん税法上の解釈がありますよ。ありまするけれども、公平であるとか不公平というのは、そういう論点が私は正しいのじゃないだろうかと、こう思うのですが、大臣はどう考えますか。
#426
○国務大臣(坊秀男君) お説のとおりでございまして、ただ、何が公正であるか、これが不公正であるかということにつきましては、これは万人が万人これが一致されるということではない。やはり価値批判と申しますか、それにつきましてはいろいろの御意見もあるわけでございますが、しかし、いずれにいたしましても、そういったようなものの中には最大公約数というものがあろうと思います。私は、そういったようなものを見出して、そして租税制度というものをでき得る限り公正に持っていこう、こういうふうに考えております。
#427
○戸田菊雄君 大臣が考えられている不公正税制というものは、たとえばどういうものを指すのですか。
#428
○国務大臣(坊秀男君) これは非常にむずかしいことでございまして、税制というものは、これは国民の皆さん方から税を納めていただいてそして国費を支弁するというのが税制の基本のあり方だと思います。ところが、社会というものが非常に複雑になってまいりますと、その税制に対しまして、いろんな役割りを税制に与えて、税制をしてその役割りを果たさしむるといったようなこともこれあろうと思うのです。たとえば、所得の再配分を税制によってやらすとか、あるいは企業の何と申しますか繁栄ということを税制にその役割りをやらすとか、そういうようなことをやらせますと、私は、税制というものは本当は公正でなければならないのだが、ある役割りを税制に果たさせますと、その公正、公平ということがその限りにおいては少しゆがめられる。たとえば古い話でございますけれども、貯蓄奨励をするためにこれはわれわれが考えてみましたならば公正じゃないという利子・配当の源泉分離課税といったようなことは、これは税制は本来は税を徴収することなんでございますけれども、しかし、これを片や国策で必要なこと、すなわち貯蓄奨励をやらそうというようなことで、その限りにおいてはこれはちょっと税制の公正というものを形を崩すということでありますから、しかし、そういったようなことが国策上どうしても大事であるというような場合もその時々には生じてくると思いますが、さような意味におきましては、これは不公正だからできるだけ税制からは不公正というものは除いていかなければならぬということは非常に大事なことでございますが、そういうこともこれありまして、まさに蒸留水税制ということは現実の問題としてはむずかしいのではないか、かように考えます。
#429
○委員長(小川半次君) 森永日銀総裁はただいま出席されましたが、この際、日銀総裁並びに政府関係職員に御注意申し上げます。
 当委員会には三十分前に入室することを通告してありますのに、おくれますと委員会運営上重大な支障を及ぼしますので、今後かかることのないよう、御注意申し上げます。
#430
○戸田菊雄君 それじゃ、日銀総裁が参りましたから、恐らく忙しいのだろうと思うので、直ちに三点ほど質問したいのですけれども、その第一は、今回公定歩合の引き下げを三月十二日に行った。しかし、本来の公定歩合引き下げの効用といわれる金利低下による設備投資とか、そういういわば増資意欲が、余り好感を持たれないという産業界の意見を聞いている。それからもう一つは、宣伝効果という部面でも、時期が大分おくれたから、本来なら日銀総裁は一月ころやりたかったんだと、こういう意向のようですが、この点の見解はどういう考えを持っていますか。
#431
○参考人(森永貞一郎君) 車混雑のため大変遅刻いたしまして、申しわけございません。まずその点をおわび申し上げます。
 公定歩合に関するお尋ねでございますが、現九の金融情勢は量的にはもうかなり緩和いたしておる次第でございまして、したがいまして、今回の公定歩合の引き下げの主たるねらいは、金利を一層低下させるということにあるわけでございます。五十年の四月以来、公定歩合に対する市中卒利低下の追随率はかなりのところに達しておりまして、いまもなお下がっておりますが、それをさらに一段と低下を図りたいというのがねらいでございまして、その意味では企業の金利負担が軽減し、景気の回復にも間接的ながら資するところがあることを私ども期待をいたしておるわけでございます。
 公定歩合は、御承知のように、日本銀行が市中金融機関に貸し出しをする場合の金利でございまして、その貸出額はそんなに大きくございませんが、それを下げることによりまして短期市場に吐ける短期金利が下がりますし、さらにはそのことが債券市場の情勢にも響いていくというようなことでございまして、今後、金利低下の上においてそれなりに効果が上がることを期待いたしておるわけでございます。ただ、貸出金利は、言うまでもなく預金金利と関係があるわけでございまして、預金金利が下がりませんと金融機関の資金コストが下がらないという、そういう関連があるわけでございます。預金金利につきましても、事情が許せば全面的に下がるようにということを私どもは希望いたしておりましたのでございますが、現下、諸般の情勢から定期預金等には引き下げが及びませず、今回は要求払い預金だけにということになりました。その結果、要求払い預金のウエートの多いところほどコストが下がるというわけでございまして、その意味では都市銀行が一番コストが下がり、それに次いでは市中銀行、その他の相互銀行、信用金庫等とまいるにつれてコストの低下の割合が低くなるわけでございますが、この際としてはやむを得なかったのではないか。私どもといたしましては、コストの低下が割合に低いにもかかわらず、金融機関としてはできるだけの努力をして金利の低下を図っていただくようにという要請をいたしておるわけでございまして、都市銀行並びに地方銀行の大部分におきましては、公定歩合の引き下げと同幅のプライムレート、あるいは並み手の金利の引き下げを決定いたしておりますので、今後、期間がたちますにつれまして、市中金融機関の金利の低下が促進されていくものと期待をいたしておる次第でございます。
#432
○戸田菊雄君 要求支払い預金ですね、これは四月段階で実行するという日銀の考えだと。大体いつごろになるんですか。それが一つ。
 もう一つは、いま言ったように、時期のおくれから今回の公定歩合引き下げというものは古証文みたいだと、産業界あたりがそう言っている。その再引き下げという声が非常に高まっている。こういうことについては一体どういう考えを持っておられるか。
#433
○参考人(森永貞一郎君) お答えいたします。
 要求払い預金の〇・五%の引き下げは、来月の四日から即日実施ということになることになっております。ただし、通知預金につきましては、預金の性質上少しおくれるという場合もあるようでございますが、普通預金等につきましては四月四日から引き下げになります。
 第二点の、重ねての公定歩合の引き下げについてどう考えているかというお尋ねでございますが、これはもっぱら今後の経済情勢の推移いかんにかかることでございまして、現在のところは具体的に引き下げることを考えておりませんことをお答え申し上げます。
#434
○戸田菊雄君 この点については、総理の見解はどうでしょうか。
#435
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、わが国の金利水準は他の先進諸国に比べまして多少まだ高い段階かと思います。そういうふうに思いますのでありますが、さらに公定歩合を下げるかどうか、そういう問題はただいま考えておりませんです。
#436
○戸田菊雄君 それじゃ、総裁、ありがとうございました。
 それで、税金の方に戻るわけでありますけれども……
#437
○委員長(小川半次君) 参考人はもう帰ってもらってよろしいのですか。
#438
○戸田菊雄君 結構でございます。
#439
○委員長(小川半次君) 森永参考人、もうよろしいそうですから。御苦労さまでした。
#440
○戸田菊雄君 さっき大臣の答弁をいただいたのですが、どうも内容がはっきりしないですね。私の言っているのは、坊大臣も、いままで不公正制についてはこういうものが具体的にありますよということを指摘されている。だから、そういうものについてどういう類例のものがあるのか、大臣の考えているものですね、こういうものについて率直に意見を聞きたかった。たとえば、この五十二年度に若干の改正はありましたよ、改善措置が。たとえば課税最低限等について二百一万五千円になった。しかし、やっぱり分離課税等の配当については一貫して四百四十万三千円ですから、その差は約二百三十八万八千円も違う。こういう税金態様に対して国民は大変な不満を持っているわけですよ。そういうものについてやはり政府も真剣に考えなければいけないじゃないか、こういうことですから、少し具体的にひとつ回答ください。
#441
○国務大臣(坊秀男君) いまの、四百万円というのは、配当控除のことをおっしゃっておるのですか。所得税の配当控除でしょう。所得税の配当控除をどういうふうにしろと、こういう御意見なんですか。
#442
○戸田菊雄君 差があるでしょうと、こう言っているのです。それをどうするか。
#443
○国務大臣(坊秀男君) ああ、ほかの所得と配当控除とに差があると、こういう御指摘なんですね。配当金というものにつきましては、これは法人の税の段階におきまして法人税を課された後の利益でございますから、それに対して二重課税ということをできるだけ緩和をしようと、こういうことでございますので、そこに普通のほかの所得との格差と申しますか、課税の格差というものが出てくるということはそう無理なことではないと、かように考えます。
#444
○戸田菊雄君 たとえばいまの配当でそういうことになっているんですけれども、この配当の株の去ち主の所得は、大体この配当一〇%にして四千四百万、これに対してこれだけの税金しかかからぬ。ところが、片や二百一万五千円というのは四人世帯家族ですよ、これの生活費をかぶっている。そういう差があるじゃないかというのです。だから、その辺をどう考えるんですかと、明快にひとつ御答弁をいただきたい。
#445
○国務大臣(坊秀男君) 主税局長から。
#446
○政府委員(大倉眞隆君) ただいまの御質問の中にございます四百万円を超えるというのは、五十二年の政府案による減税後の姿で、配当だけの所得の場合には四百四十万三千円までは所得税がかからないという、その数字を御指摘になっておるんだと思います。これに対して夫婦子供二人のサラリーンンであれば、二百一万五千円を超えれば所得税を負担しなくてはならないではないかと、その間にアンバランスがあり、それは資産所得優遇ではないかと、そういう御指摘だと思うのでございますが、この配当控除問題も、先ほど申し上げました税制調査会の一昨年八月以来の作業では俎上に上せていただきまして、これを政策税制と考えるのかどうか御吟味を願ったわけでございますが、税制調査会での議論の大勢は、これはやはり法人税と所得税の二重課税をどのようにして調整したらよろしいかという税制固有の問題から出てくるものであって、特定の政策目的のためにあえて不公平を犠牲にしてつくっているという特別償却とか、準備金とか、あるいはお医者さんの税制とかいうものとは違うんだというふうに分類されて議論が進んでいるわけでございます。
#447
○戸田菊雄君 それじゃ、これは主税局長で結構ですけれども、所得控除と基礎控除、この論争はきょうやろうと思いません。ただ今回、給与所得控除の計算方式で一体どのくらい、百二十五万円から百五十万円まで、あるいは百五十万から三百万、三百万から六百万、六百万以上と。この計算でどのくらいの控除対象になりますか、数字をちょっと教えていただきたい。
#448
○政府委員(大倉眞隆君) 今回の政府案では給与所得控除の改正を御提案いたしておりませんのでございますが、昨年と同様、あるいは従来と同様、給与収入年間百五十万円までは四割を控除いたす、百五十万円から三百万円までの部分は三割控除と、三百万円から六百万円までの部分は二割控除、六百万円を超える部分は一割控除という従来の方式のままで御提案いたしております。
#449
○戸田菊雄君 税務当局が引当金とかそういう部類のものについて優遇税制でないと、こういう見解はどういうことですか。
#450
○政府委員(大倉眞隆君) 貸し倒れ引当金、退職給与引当金、その他幾つかの引当金を税法上認めておりますが、これも先ほどの御審議の過程で、これらは制度の本質としては企業の期間損益を合理的に計算するために設けられているものである。企業会計上もそのような引き当てを強制されているものである。商法上も同様の観念で扱われておる。したがって、制度としては政策税制以外の制度として分類しよう。しかし、法令で規定ができておる繰入率が、それが現実の姿に比べて乖離しているとすれば、それは常時見直しをしなくてはならないという考え方をとっておられます。その考え方に即しまして貸し倒れ引当金につきましても、漸次繰入率の縮減を進めてまいっいているわけでございます。
#451
○戸田菊雄君 いま局長がいわれました内容について、たとえばこの企業の各種引当金の利用状況ですね、これを見ますと、百億円以上の大企業が圧倒的に多いんですね。貸し倒れとか、退職給与、あるいは製品保証引当金、こういうものをずっと見ますると、その四割は百億以上の大企業が全部利用している、こういう状況ですね。こういう内容についてはどう判断をされておりますか。
#452
○政府委員(大倉眞隆君) 残高ベースで国税庁が調べております会社標本調査結果報告で見ますと、確かに百億円以上の会社の残高が各種引当金合計で四割近いと、これは五十年度で三八・六%という係数が出ております。
#453
○戸田菊雄君 五十年ですか。
#454
○政府委員(大倉眞隆君) はい、五十年度でございます。一億円未満が二一・一%、一億円から十億円が二八・二%というふうに並んでおりまして、百億円以上が三八・六%、この現実の姿はおっしゃるとおりでございますが、やはりこれはたとえば退職給与引当金で申しますれば、何と申しても百億円以上の企業の場合に従業員の数が多い、退職金引き当てとして引き当てるべき債務額も多いということを反映していると申さざるを得ないわけで、残高が非常に大きな企業のウエートが大きいから、それが大企業を優遇するためにできているんだというふうには税制調査会ではお考えになっていないだろうと思います。
#455
○戸田菊雄君 たとえば銀行の貸し倒れ引当金ですね、これはいろいろと調べてみても、その貸し倒れ引当率が〇・〇〇二くらいですね。しかし、年度決算ですから、仮に百五十億の貸し倒れ準備金があると、それは年度で追っていくんですから、結局決算後も銀行は取り立てを続けていくわけです。そういう内容でしょう。退職引当金の問題についても、これは職員が五〇%以上首を切られたとか、そういう緊急事態ですね、そういうときにこれを適用していくと、あとは全部資産に突っ込まれて拡大をして、そしてそれが全部費用として全然課税対象にならないというのがいまの実態でしょう。こういうものが果たして政策課税として認めていいのかどうか、これは非常に私は疑問に思うのですが、これは大蔵大臣ひとつ。
#456
○国務大臣(坊秀男君) 金融機関の貸し倒れ引当金でございますか、それについてのお話のようでございますけれども、やはり金融機関というものはとにかく信用の中枢でございまして、それでまあ非常に何と申しますか、用心に用心を重ねていくということが、これがまあ昔からのこの制度の行われたことであろうと私は思いますけれども、いまおっしゃられましたとおり、実際とその引当金の率とは、余りに違い過ぎるじゃないかということにつきましては、私どももそれはそういう感じもいたします。しかし、これはやっぱり急激にこれを変えていくというようなことは、これは考えなければなりませんし、それからまた、まあいま恐らくさようなおそれもないじゃないかとおっしゃられるかもしれませんけれども、とにかく金融機関が円滑に資金を外へ回してもらうというような場合には、やっぱりそういったような担保といったようなものも、これは決してもう無用の長物といったようなことではない。ただし、その率につきましては、御指摘のとおりこれは漸次考えていかなければならぬ問題だと、かように私は思います。
#457
○戸田菊雄君 その一例ですけれども、これは後で農林大臣にもお伺いしますけれども、宮城県等は水質規制でもってまじめに水質規制をやって、公害処理場をつくった、その中小企業の皆さんが二千万、三千万かけて、借金で。ところが、これは銀行から金を借りるときには担保の身がわりにならない。資産の中には入らない。こういう例が具体的にあるんです。それから見たら、こういう大企業の中のいまの非課税対象というものは、これは問題にならぬじゃないかと。だから、そういう点については、坊大臣、どう一体判断をしますか。
#458
○政府委員(大倉眞隆君) 銀行がそのようなものを担保にとらないとかというお話につきましては、ちょっと私お答えができないわけでございますが、お話の中の内部留保がかなり手厚いではないかという点は、それは事実としてある程度ございます。ただ、ここ二、三年来かなりその留保を食って、ぎりぎりに配当しているという場合もございますし、全体として、むしろこの機会には自己資本をだんだんふやしてやらないと経済全体がうまくいかないという別の要請もございますから、それらすべてを含みながら、今後、先ほど来申し上げております政策税制というものを極力縮減、合理化いたしていきたい。そのときどきの経済情勢をにらみながら、極力おっしゃる方向で努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
#459
○戸田菊雄君 私は、一定の大蔵省の努力を認めないわけじゃないんです。たとえば、退職引当金等については当初四〇%、それが三五%になった。だから、こういう点はいろいろあると思いますが、これからやはり漸次改善措置について努力してもらいたいと私は思うのですね。大臣、その点はどうですか。
#460
○国務大臣(坊秀男君) もちろん、これは絶えず改善をしていかなければならないと、かように考えております。
#461
○戸田菊雄君 これは総理の考えも、どうでしょうか。
#462
○国務大臣(福田赳夫君) その問題は、この間の五党と与党との協議の中で出てきた問題なんです。いわゆる不公正税制につきましては、これを五十三年度において、あの与野党の論議を踏まえて検討すると、こういうことなんであります。そのようにしたいと考えております。
#463
○戸田菊雄君 次に、農業問題に移りたいと思うのでありますが、いま世界的に食糧危機に直面して、今後の農政をどうするかというやつがやはり私は重要問題だと思いますね。総理の考えはどうでしょうか。
#464
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、農業問題は改めて見直しを必要とする時期に来ておると、こういうふうに考えておるんです。まあ、わが国の食糧の自給率、非常にいま貧弱なものになってしまっている。ところが、わが国をめぐる食糧事情はどうかといいますと、地球の人口はあと二十五年もたつと倍になろうと、こういうふうに言われておる。そういう中で外国にそう依存する食糧事情というものは、これはもう本当に心配なことだと思うのです。自給率、自給力を回復する、これはなかなか容易なことじゃございませんけれども、そういう方向で対処しなければならない。また、たん白質食糧、魚の問題も非常に重要になってきておりますので、そういうことを考えますときに、これはやはり魚の利用法、いままで飼料にしたというのを食糧にかえるというようなことも考えたきやなりませんでしょうし、捨てておったものを大事に使うということも考えなけりゃならぬだろうし、また同時に、沿岸漁業、これにつきまして、その振興のために格段の配慮をしなきゃならぬ、そういう時代に来ておると、かように考えております。
#465
○戸田菊雄君 私は、いま農政復興の大前提は、何と言っても、やっぱり政府が生産目標を確立する、それからもう一つは価格政策、これをどうするか、それからもう一つは、農用地の転用が非常に多く行われて、それが大企業に買い占めされておる、こういうものの抑制策をどうするか、こういうことがいま当面の緊急政策としてはなければいけないと思うのですが、農林大臣はこの点どう考えますか。
#466
○国務大臣(鈴木善幸君) いま食糧の自給率はどうか、自給度を高める方策はどうかと、こういうお尋ねでございますが、食糧農産物の総合自給率で申し上げますと、基準年の昭和四十七年に七三%でございます。政府は、一昨年五十年の五月に「農産物の需要と生産の長期見通し」ということで目標を定めて努力をいたしておりますが、昭和六十年にはその自給率を七六%に高めると。五十年度は、概算でございますけれども、七四%でございます。そういう状況になるわけでございますが、いま総理から申し上げましたように、世界的な食糧の事情からいたしまして、どうしても国内の自給力を高めるということを基本といたしまして、あらゆる政策をそれに向かって展開していく必要がある。いまお話しになりましたように、日本農業の体質の強化、それには、農業基盤の整備あるいは生活環境の整備、また需要に見合ったところの農産物の生産の拡大、農林漁業の担い手であります従事者や後継者の確保の問題、それから戸田さん御指摘の価格政策、そういうものを総合的に展開をいたしまして自給力を高めていかなければならない。また、農用地の壊廃が一方において進んでおりますので、私どもは、農用地の造成、また優良農地の改善、改良ということにも力をいたしてまいりたいと、こう考えております。
#467
○戸田菊雄君 この政府の農産物の需要と見通し、あるいは農林省のいわゆる「総合食糧政策の展開」、いろいろ出ているんですけれども、結果的に自給率は下がっていっているんですね。下がっている。ですから、たとえば、この計画でいきますと、六十年度まで七五%にするということになっているんでしょう。それが四十九年度は七二%ですよ。下がっていっている。だから、一体、こういう下がり方というものはどういうところに原因があるのか、この辺はどうですか。
#468
○国務大臣(鈴木善幸君) 総合自給率の推移は、先ほど申し上げたように、わりあい低い伸び率ではございますけれども伸びてはおります。ただ、食糧以外の農産物――畜産の飼料でありますとか、そういうものが需要が拡大しておるというようなことで相対的に落ち込んだものもございます。私どもは、全体を考えながら、国民が必要とする主要農産物の増産に向かって今後も一層努力をしてまいりたいと考えております。
#469
○戸田菊雄君 これは昭和五十年にいわゆる政府、農林省から「総合食糧政策の展開」が出されておるわけです。これは五十年ですから、もうすでに二年過ぎている。そういう中で、たとえば九つの柱というものを立てて、その中には価格政策ということをうたっている。どういう検討をなされてきたんでしょうね。
#470
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げたようなことでございますが、しかし戸田さん御承知のように、米作復帰志向というものが非常に根強いものがあるわけでございます。これは御指摘の他の作目と稲作を比べた場合に、相対的な収益率が稲作の方が強いと、まあこういうこと等も影響しておるわけでございます。そこで、いま転作等を奨励して、全体としての総合自給力を高めようと、そのためには米をつくっても、他の必要とする主要作目をつくってもその農家の収益率がおおむね均衡がとれる。また価格だけでなしに、あるいは生産奨励金でありますとか、そういう生産対策、あるいは構造対策、あるいは土地基盤の問題、まあ総合的にいたしまして、稲作だけでなしに、ほかの農業をやります場合にもバランスがとれるような施策を講じてまいる必要があると、このように考えております。
#471
○戸田菊雄君 いま大臣の答弁は、農基法のあれは改正時とか、あるいは総合農政とか選択的拡大、いろいろやられたときに、全大臣がそういうことを言われる。しかし、それは実行されていないんですね。実行されていない。そういうところに私はいま農民の政治不信も起きておる、こういうことを考えるわけでありますが、これは事務当局からちょっと数字を教えていただきたいのですけれども、現下の農業就業人口の実情。それから農用地の農業外の転用、この実情。それから農業所得について。この三つについてちょっと数字的に説明をしていただきたいと思うのです。
#472
○政府委員(澤邊守君) ただいまお尋ねがございました農業就業人口につきましては、五十年で五百八十九万人でございます。ちなみに昭和三十五年には一千百九十六万人でございます。
 それから農地の転用面積でございますが、ちょっといま手元にございませんので、至急調べてお答えしたいと思います。
 それから所得率でございますが、これは作目別にそれぞれ違いますので、全体を平均して申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、米の場合で申し上げれば、おおむね六〇%前後という数字ではなかったかと思います。
#473
○戸田菊雄君 この就業人口ですが、いま説明があったように、約半分以下になっているんですね。これはいわゆる日本の高度成長がずっと始まった三十三年以来そうなってしまったのですけれども、そこはきょうは問いません。問いませんけれども、結局一番問題なのはいまの農業就業者の中で七〇%が六十歳以上と女性ですね。それから後継者は一万人しか出てないじゃないですか、五十年で。どうですか。
#474
○政府委員(澤邊守君) 後継者の問題にお答えする前に、先ほど申し落としました転用面積でございますが、五十年は約三万五千ヘクタールでございます。それから四十五年度を御参考のために申し上げますと、五万七千ヘクタールということでございますので、最近になりまして、御承知のように最近のような景気情勢のもとにおきまして、転用面積は減ってまいっております。
 それから、お尋ねの後継者の問題に関連いたしまして、新規学校卒業者が農業に就業する人口は五十一年の四月で約一万人でございました。五十年にも約一万人と、それまでばかなり急速に減っておりましたが、まあいわば下げどまりになったということで、概数で申し上げますと一万人でございますけれども、若干、率におきましては、卒業生全体の中での就業者の率でございますが、若干ふえてきたという傾向は見られますが、依然として非常に少ない段階でございますので、われわれといたしましては、後継者対策に対しまして、担い手対策の一環として努力をしておるところでございます。
#475
○戸田菊雄君 ちょっと帳用地の問題ね、私が持っておる資料と極端にかけ離れているんですがね。私の理解だと、昭和三十五年は六百七万ヘクタール。これ耕地面積。五十年が五百五十万ヘクタール。百万ヘクタールを転用して、そして五十万ヘクタールを造成して、こういう状況になっているというのが私の理解なんですが、極端に違うんですが、それはどうですか。
#476
○政府委員(澤邊守君) 転用面積につきましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、六百万ヘクタールといいますのはどういう数字ですか、農地の全体の……
#477
○戸田菊雄君 耕地面積。
#478
○政府委員(澤邊守君) 耕地面積は五百五十四万ヘクタールだったと思います。それで、ただいま申し上げましたのは毎年の転用面積でございますから、正式に許可いたしました転用面積が五十年におきましては約三万五千ヘクタール、こういうように申し上げたわけでございます。
#479
○戸田菊雄君 いや、ですから、私が言っているのは百万ヘクタールの転用だと、五十万ヘクタールを造成して。
#480
○委員長(小川半次君) 一つ一つ委員長の許可を受けてください。
#481
○政府委員(澤邊守君) ただいま申し上げておりますのは実績の数字でございますので、単年、一年間の数字でございます。百万ヘクタールという数字はちょっと常識的に考えても単年度ではもちろんあり得ないわけでございますので、あるいは長期の見通しについての数字ではないかと思いますけれども、先般、政府でつくりました農産物の長期見通しの際には八十五万ヘクタールの転用、それに対しまして造成が七十万ヘクタールというのを六十年までの数字として見込んでおります。
#482
○戸田菊雄君 農家所得が全体として二月末で〇・二%ふえたと、こういう農林省の資料をいただきましたが、農外と農業収入との割合をちょっと教えていただきたい。
 それからもう一つは、自家労賃のいまの農業者の賃金、どのくらいになっているか、それを教えていただきたい。
#483
○説明員(白根健也君) 農業所得でございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、五十一年の四月から五十二年の一月、こういうことで見ますると、〇・二%名目上ふえております。それで、農家所得で見ますれば、対前年同期、いま申し上げた数字でございますが、七・六%増と。そのうちおおむね三分の一が農業所得でございます。あとは労賃、俸給収入、そういうふうな割合になっております。
#484
○戸田菊雄君 時間労賃は。
#485
○説明員(白根健也君) それから、農村の雇用賃金ということで私ども調べておりますのは、大体男女平均しまして約時間当たり四百円前後でございます。
 以上でございます。
#486
○戸田菊雄君 農林大臣、いま説明あったとおりなんですね。時間当たり四百円。八時間実働でもって三千二百円。ところが、五人以上の製造業の場合は約六千六百七円の平均賃金。全く半分以下ですね。この状態を改善しなければ私はいけないんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。
#487
○国務大臣(鈴木善幸君) お説のとおりでございまして、私は他産業の所得にいかにして一日も早く農家の所得を近づけるか、そういうためには先ほど申し上げたような生産を高め、また、価格の面についても物価その他の動向をにらみ合わせながら農産物の価格につきましても是正を図ってまいる、そういう努力を積み重ねてまいりたいと、こう考えております。
#488
○戸田菊雄君 結局、いま食管のたてまえ上、米価だけは安いけれども、年々大体二倍近いものが上昇している。そういう状況だと思うんですが、まああとの主要穀物の大豆であるとか小豆であるとか、そういうものについては全くもう自給率から言っても問題にならない、こういう実態だと思うんですね。これらに対するやっぱり価格形成というものを急がなければいけないと思うんですが、大臣はどう考えますか。
#489
○国務大臣(鈴木善幸君) 農産物の価格につきましては、御指摘のように、米の場合のように生産費所得補償方式をとっておるものもございますし、また麦類や豆類のようにパリティ計算でやっておるものもございます。また、指定食肉のように安定帯価格というものを決めまして、価格の安定を図っておるものもございます。これはいろいろその対象とするものの特性に応じ、また今日までの経緯等にかんがみまして、それぞれの価格の取り方と算定の仕方があるわけでございますが、問題は、これから必要なものは転作等によってつくっていただかなきゃいかぬということになると、各作目の間に相対価格がバランスのとれたものでなければいけない、こう考えまして、いま農林省の中に価格政策検討委員会というものを設けまして、鋭意検討を進めておりますが、なるたけ早く結論を得まして価格政策全般について見直しをいたしたいと、こう考えております。
#490
○戸田菊雄君 この各種奨励金ですね。たとえば、稲作転換奨励金であるとか、あるいは水田裏作奨励金、これは麦、飼料ですね。あるいは麦生産奨励金、大豆、飼料作物、永年作等と、いろいろあるんですけれども、この助成金たるやまたみみっちいですね。これを早期に解決する手はずはないですか、大臣どうですか。
#491
○国務大臣(鈴木善幸君) なるたけ細かな助成金等は整理をいたしまして、効率的、効果的な助成金等にしてまいりたいと、このように考えております。
#492
○戸田菊雄君 結局、大臣、新たに価格支持制度というものを決定する意思はございませんか。
#493
○国務大臣(鈴木善幸君) 価格政策につきましては、先ほど申し上げましたように、省内で価格全体につきましていま見直しを行っておりますから、その機会に全体のバランスのとれたような農産物価格をぜひ打ち出していきたいと、こう考えております。
#494
○戸田菊雄君 大体この畜産審議会の答申が出て、一定の豚肉が値上がりしたわけですから、これは全く問題にならぬと思うんですね。しかし、この値段の引き上げは、今後春闘に影響し、それから米価に連動されていく。従来のパターンがそうですから、恐らくことしもそうだろう。そういうことになりますると、私はやっぱり米価については、従来の審議会方式その他でやっても、これは農民のことを考えると、本当に真剣にということにはならない――そう言っちゃ失礼だけれどもね。だから結局政府の思惑でそのままこういつてしまうんですね。だから米価決定方式というものについて新しくひとつ考えたらどうか。たとえばイギリス方式というものがあります。そういう問題について大臣はどうお考えですか。
#495
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は米価審議会の委員の構成は必ずしも不適当ではない。生産者の御意向、消費者の御意向、さらにまたそれを離れた学識経験者の御意向等も十分反映できるような仕組みにいたしておるわけでございますが、今後とも各方面の意見が反映できまするようにやってまいりたいと思っております。ただ、英国式の、生産者と消費者の代表等を選んで、まあとかく利害が対立するような形で、団体交渉のようなやり方は私はにわかに賛成いたしかねる、こういう所感を持っております。
#496
○戸田菊雄君 まあイギリスの、ユーザーと話し合いでもって決めて、決まらなければ政府が決めると。私の考えはちょっとそれとは違うんですけれども、システムとしては一応政府と生産者が直談判をやってみる、それで決まらなければ第三者の仲裁裁定等々の問題で一つ中立機関を置くと。そこで決まったものについては国会で予算措置を図る。こういうことになって、広く民主化された形で今後の米価というものを確定していってはどうかという考えなんで、若干イギリス方式と私考えているのは違うのですが、そういう方式はいかがでしょうか。
#497
○国務大臣(鈴木善幸君) 労賃等を決めます場合に、公労協あるいは中労委というような裁定機関があっていろいろ決めておるわけでございますけれども、私は農産物の価格は現時点においては、いまの審議会方式がそのメンバーを適正に選ぶことによってうまく運営できるものと、こういう考えでございます。
#498
○戸田菊雄君 農業の災害補償問題ですが、今回の東北冷害とかあったわけですけれども、これに対する共済給付が非常にいま農民から大変非難をこうむっている。それはなぜかというと、やっぱり三割の足切り問題ですね、足切り問題。結局それを差っ引いてさらにこの何割と、こういう補償ですから、掛金を納めた人で一割ないし二割、こういう者は全然この救済の対象にならない。これは私は矛盾だと思いますが、大臣はどうですか。
#499
○国務大臣(鈴木善幸君) この共済制度、私も東北でございますが、五十一年の大冷害に当たりまして、この共済制度のために被害農家が大変救われております。国としても千九百億以上の保険金を年内に支払い給付をした、こういうことで、私は大変農民の皆さんに喜ばれておる、こう思います。
 御指摘がありましたが、三割足切りの問題がございます。これは去る七十七国会で国会の御審議を経て決定したものでございまして、一筆単位方式は確かに三割足切りでございますけれども、農家単位方式によりましては二割、一割のそういう制度もございます。そういう選択が農家にはできるわけでございまして、私はきわめて最近決めたばっかりの、改正したばかりのこの共済制度は、もう少し経験を積み、実績を見た上でまた検討いたしたい、こう考えております。
#500
○戸田菊雄君 それから共済金額の算定方式でございますけれども、これは一応五十二年度で若干の改善は行われたわけでありますけれども、これはいずれにしても昨年の米価を土台にしているわけですね。これはやはり私はどうも納得いかないんですが、こういう問題について米価のアップ今が必ず行われるんだと思うのでありますが、そういうものを加味した上で算定方式というものを組まれたら一番いいんじゃないかという考えなんですが、この点はどうでしょうか。
#501
○政府委員(今村宣夫君) 御存じのとおり、農作物共済の共済金額というものは、農家共済掛金額等の決定の基礎をなすものでございます。したがいまして、それの共済の引き受け時における農作物の客観的価格に基づいて定める必要があるかと存じます。しかし、水稲の農作物共済の引き受けは、大体全国的に見まして四月から六月ごろに行われておるのでございますが、米価の決定は例年七月以降になる、こういう時期的なずれがございます。しかも、その七月の米価をあらかじめ予想することは非常にむずかしゅうございますので、当年度産米価を予想して共済金額を定めることは実際上としてきわめて困難な事情にあるわけでございます。
#502
○戸田菊雄君 二百海里問題についてお伺いするんですが、日ソ漁業交渉の経緯はいろいろあるわけでありますが、いずれにいたしましても鈴木・イシコフ会談で一定の暫定協定をやってきて、それでニシンとかサケ等の漁獲量等については東京でやりましょう。それからモスクワでは、いわゆる暫定協定の仕上げのための交渉をやっている。これは大変いろいろと努力はされているんでしょうけれども、なかなか進展をしない。こういうものに対する前途の見通しですね、いま交渉やっているから見通しというものはなかなかむずかしいかもしらぬけれども、この辺について、もし回答ができるならひとつ御見解をまずお聞かせ願いたい。
#503
○国務大臣(鈴木善幸君) いま日ソ交渉の東京交渉、モスクワ交渉、この問題につきましては、午前中に上田さんにお答えを申し上げたとおりでございまして、東京交渉におきましては、私どもは日ソ漁業条約の定めるところによりまして、沿岸国の領海を除いた北西太平洋全域が対象海域になっておる。また附属書によりまして、サケ、マス、ニシンが対象魚種に挙げられております。したがいまして、その北西太平洋全域を対象とした取り決めでなければいけない、こう主張しておるわけでございまして、これは条約の規定をそのとおり私どもは主張いたしておるわけであります。ところがソ側は、新たにソ連が二百海里を設定をいたしまして、日ソ漁業交渉の東京交渉の範囲は、二百海里の外の公海部分を対象とする。二百海里の中は東京交渉の対象にしない、こういうこと、これが根本的な食い違いになりまして、いま中断をいたしております。
 モスクワの暫定取り決めにつきましては、私とイシコフ漁業大臣の会談により合意いたしましたことを、そのとおりにソ連側も実行していただければこういう事態にはならない。ところがソ連側は、これに対しまして、日本の今度設定をいたしますところの領海幅員十二海里の中の三海里から十二海里の間のイワシ、サバ等の漁獲実績を認めるように、そうして操業を三海里−十二海里の間でも従来どおりやらせるように、こういう国際通念に反するような無理な要求をいたしておる。
 また、裁判権、管轄権等につきましても、これまた原則を強く打ち出してきておる、こういうようなことでいま難航いたしておりますが、しかし、水産庁長官も特派をいたしまして、代表団に側面から協力をいたしましてこの打開に全力を挙げておる。また、政府との間にも緊密な連絡をとりながらこの交渉の打開に努力をしておる、こういう段階でございます。
#504
○戸田菊雄君 モスクワ会議と東京会議と二つやられておって大変だろうと思うんですが、これはわれわれとしても、本問題等については超党派でいまの内容等について促進をしていかなければいけない、こういう考えでありますから、ぜひひとつ御努力を願いたいと思うのであります。
 そこで、問題は必ずそういうことでアメリカも専管、EC関係もと、世界大勢がそうなっておるわけですから、今後の日本の漁獲量の実績といっても、アメリカのように総体で一一%減らされる、こういう形が必ず出てくると思うんです。そういうことになれば、当然やはり二百海里対策として各面の補償体制が出てくると思う。さしあたってソ連との関係は締結できないのですから、ニシン等は全滅だと、こういう状況まで来ておるわけですね。そういうときに、政府の五十二年度予算案の五十三ページですけれども、やはり二百海里対策関係経費、これを見ますると、若干はふえておりますけれども、中身は全く微々たるものですね、この点についてはどうお考えになっていますか。
#505
○国務大臣(鈴木善幸君) 二百海里に対応いたしますための積極的な漁業外交の展開の問題、あるいは主要な対象国の大使館に漁業アタッシェを配置する問題、あるいは交渉に当たって、大型の交渉団を含めて外交を強力に展開する、そういう経費、さらに、日本列島周辺の沿岸漁場の振興を図る必要がある。さらにまた、栽培漁業その他の積極的な振興を助長する必要がある。さらに、未開発の漁場、未利用資源の活用、さらにまた、とった漁獲物を、総理もおっしゃったように、最高度に利用するという問題、総合的に、全体で言いますと約千五百億ぐらいの予算を計上をいたしてこれに対応しようとしておるわけでございます。
 ただ、戸田さんが御指摘になりました点でございますが、減船あるいは漁業の再編成あるいは雇用問題、いろいろ派生するであろう、それに対する対策予算が盛られていないのではないかと、こういう御指摘でございますが、これは実際に起こった上でなければ予算要求ができないわけでございます。そこで、予算編成の際に、大蔵大臣に対しまして、私は、そういう事情にあるけれども、この年度間にそういういろいろの、減船補償の問題、雇用問題その他の対策費というものが必要になった場合には、財政当局においても、十分これに理解と協力を示してほしいということを、予算編成の際に、特にお願いを申し上げておるところでございます。
#506
○戸田菊雄君 この内訳をしさいに検討した結果は、こういう内容ですね。その二百海里対策として総額一千二百九十一億円。うち千二百八十三億円、これは従来の漁業政策の延長のものです。したがって、五十二年度で二百海里対策に計上したその総額は八億円、八億円しかやってない。たとえば、海外漁場確保緊急対策とか六項目ありますけれども、これはもう全部この延長上にあるものです。これで一体いまこれほど問題になっている二百海里対策が、鎮静できる対策ができるのか。これが非常に心配なんです。これはどうですか。
#507
○国務大臣(鈴木善幸君) 一般会計予算のほかに、また、海外漁業協力財団でありますとか、あるいは水産資源センターの予算でありますとか、あるいはまた、外務省関係の海外協力事業団の出の水産関係の予算でありますとか、そういうものを総合的に動員、活用いたしまして、対応してまいるという考えでございます。
 なお、今後起こり得るであろう事態に対しましては、先ほど申し上げましたように、財政当局と協議をいたしまして、十分対処してまいる考えでございます。
#508
○戸田菊雄君 いま、二百海里対策八億と、こら言ったんですが、実際はもっと減るんですよ。たとえば、新規計上のうちに、海外漁場確保緊急対策の主たるものは、外交団の派遣、こういうものの経費も入っているんですね。そうしますと、結局、それらをずうっと差っ引いてまいりますと、六億五千万しか使えない、実際は。いま大臣がが言われるように、総合的に財源を確保します、大蔵大臣にも言いましたと。じゃどこから一体その財源はしばり出すわけですか。私の計算では、六倍五千万しか、純粋に二百海里対策で使えるもの肝とにかくそれしかない、こういう考えなんですが、その点はどうですか。
#509
○国務大臣(鈴木善幸君) 漁業外交を展開するために派遣いたします経費等も、当然これは二百海里対応のための措置でございます。私が申し上げておりますのは、私どもは、伝統的な実績の確保のために全力を挙げますけれども、それにしても、実績一〇〇%を確保することが困難であると、そういう場合におきまして、減船とか漁業再編成とか、あるいは雇用問題とか起こってくるであろう、そういう場合に対するところの対策費は、いまの五十二年度予算に計上しておりますほかに、別途財政措置を講ずるように財政当局と協議してまいらなければならない、その財源は予備費その他で対応してまいると、こういうことにお願いしたいと思っております。
#510
○戸田菊雄君 これは、大臣、内容はやっぱり緊急を要する問題だと思いますね。いま大臣がおっしゃられましたように、この漁獲量は、昨年の実績といってもそれぞれ必ず減少される。そういうことになれば、ことに北転船なんかははなはだしい状況になるんじゃないだろうか。たとえば、六十五隻行っている。これは宮城が五十五隻くらい占めているんですね。そういう状況です。ようやく漁場開拓をして、それでいままでやってきたわけですけれども、それが全部御破算になってしまう、こういうことになりますから、必ずそういうことの結果は減船という状況になってくる。ですから、いま一番この関係者――これは全国的にそうですけれども、どういう一体数量割り当てになってくるのだろうかと、これがわかればやりようがあると、こういうのがいまの漁民の実態なんです。この辺はどうですか。
#511
○国務大臣(鈴木善幸君) 海外における伝統的なわが国の漁獲実績をどこまで一体確保できるかという問題につきましては、これは今後の交渉にかかっておるわけでございます。アメリカの場合におきましては、日米友好関係の基礎の上に立ちまして、御承知のように、一一%の削減にとどまった。漁獲量は百十九万一千トンというような、相当の実績確保ができたわけでございます。カナダにおきましても、五十一年の、五十年の実績並みに大体確保されるものと考えております。問題は、対ソ交渉でございます。漁獲量も大きい。私どもはそのために全力を尽くしておるわけでございますが、その結果を待ちませんと、どれだけ減船を余儀なくされるか、そういう実態を、最終的な結論を待った上で対策を講ずる以外にない。また、その際には、漁業者の諸君が納得できるように措置してまいりたいと考えております。
#512
○戸田菊雄君 このアメリカの場合は一応の暫定で出発をしたわけですが、これに対して入漁料を払わなくちゃいけないわけですね。そういう入漁料の内容については、これはどのくらい総額として払わなければいけないのか。これおわかりでしたら。
#513
○国務大臣(鈴木善幸君) 入漁料はいわゆるとん税と、それから漁獲物に対する、船側渡しの魚価、これに対しまして三・五%、とん税はトン一万円、こういう中身になっておりますが、合計いたしますと約二十億でございます。しかも、これは前払いということでもございますので、その金融の措置並びに利子補給等の助成をいたしまして、漁業経営並びに消費者の魚価にはね返ってくることの、その激しい動きというものを、できるだけなだらかにやってまいりたいと、このように考えております。
#514
○戸田菊雄君 大臣が説明されたような内容で、おおむね二十億円見当と、こういうことになるわけですけれども、その二十億を払って魚をとれば、これは船主なり漁船員の皆さんは、結果的にはやっぱり、そのまま放置するなら、私はこれは消費者物価にはね返ってくるだろうと、こういうように考えますね。ですから、いま漁民の考えとしては、これは入漁料は政府で持ってもらおうじゃないかと、こういう考えを持っておるわけですけれども、そういうものに対して、大臣はどういう考えを持っておりましょうか。
#515
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、石油ショック以来漁業用の燃油は四倍にもなっておる。その他の漁網、漁具も値上がりをしております。したがいまして、漁業経営はなかなか苦しい状況にございます。そこで、政府としては漁業経営安定資金でありますとか、いろいろことしも六百億中期資金を融資をすることにいたしておるわけでございますが、そういう状況下にございますので、入漁料につきましては融資とともに利子補給等もやりまして、そして、その影響をできるだけ軽減するようにいたしたい、このように考えております。仮に、戸田さんがおっしゃるように、二十億を政府で全額補償いたしましても、魚価は市場の取引によって公正な値段として出てくるわけでございますから、私はそういう点も考えまして、できるだけの政府としても協力をして、そして漁業者並びに消費者に対する影響を緩和するような措置を講じてまいる、こう考えております。
#516
○戸田菊雄君 漁民の考えとしては全額という考えでございましょうが、いまの大臣の御答弁ですと、緩和と、若干やはり業者自体も負担しろと、こういうふうに聞こえるのですが、かつて石炭が斜陽産業に入ったときに、石炭特別会計というものを設置をしまして、いまの原油その他の関税を全部それに回して、産炭地振興その他やった。私の記憶としては四十四年ごろじゃないかと思うんですが、そのときに一兆数千億もいっているわけです。それから四十九年の石油パニックの場合もやっぱり一定の措置を政府はとった。今回もやっぱりそれに匹敵する私は内容じゃないか、そういうことであれば、何か制度的なもので救済する方式はないものだろうか、この点は大臣どうですか。
#517
○国務大臣(鈴木善幸君) 石炭産業のああいう不況に立ちました際の措置は、私も承知をいたしております。私どもは今回の一連の漁業交渉、厳しい二百海里時代に当たりまして、わが国の漁業の再編成はこれは避けて通れないと、こう考えております。一番心配をいたしておりますのは、雇用問題等でございますが、その交渉を強力に努力をいたしまして、その結果によりまして対策を十分ひとつ考えたい、いまから予測はなかなか困難である、このように考えております。
#518
○戸田菊雄君 大臣、私は大事な項目を四つほどあるものですから、それをいま順序よく聞いていっているわけです。さしあたって、いまの問題は入漁料負担分を政府が制度的に確定をして救済する方式はできないものかどうか、この点なんです。だから、そういう点のこの考えについて、ずばりひとつお聞かせを願いたいと思うんです。
#519
○国務大臣(鈴木善幸君) この入漁料の融資は、利子補給をいたしまして三年間の中期資金でございます。なだらかにその影響を緩和していこう、こういう措置でございます。なお経営等が困難になりました場合には、先ほど申し上げましたように、漁業経営安定資金、これは二カ年据え置きの五年償還という中期の経営安定資金でございます。そういう措置によって対処してまいる考えでございます。
#520
○戸田菊雄君 それからこのもう一つ、重要なのはやはり減船ですね。それによって幾ばくか縮小される、いまで言うと約六百万トンくらいですかね、そういうことになりますと、結局国内におけるいろんな割り当てというものが私は問題になる。その割り当ては水産庁でやるわけですから、これを問答無用で机上プランでもって割り当てをされるということは、なかなかこれは容易じゃない。いま漁民が考えているのは、たとえば北転船であっても、オリンピック競争はやめようということですね。もう乱獲狂獲、われ先にと行ってやると、だからそれはこれからはやらないで、それは水産庁等の指導強化でちゃんと一定の漁獲量の割り当てを各地域なり、そういうのを船主に全部割り当てていく、こういう点についての割り当ての内容については、一体どういうお考えを持っているか。
#521
○国務大臣(鈴木善幸君) これも漁業交渉の結果を待たないとはっきりいたしません。と申しますことは、ソ連備が船別のクォータを決めてくるのが、そうでなしに漁種別、海区別のクォータを決めてくるのか、これは今後の交渉に待つわけでございます。船別のクォータをどうしてもやらなければいけないということになると、オリンピック方式などということはこれは考えられないことになるわけでございます。今後の漁業交渉の推移を見ながら、関係漁民が納得するような漁獲量の配分をいたしたい、こう考えております。
#522
○戸田菊雄君 それから、もうすでに何かこういう騒ぎになってきたものですから、大手水産が意識的に価格のつり上げその他をやっている。資金も潤沢にあるものですから、買い占めをやる、あるいは巨大な冷蔵庫も持っている、そういうことで在庫も相当ため切っている。日水とか、あるいは大洋とか、こういうものがシェアのおおむね七〇%以上とる、そういうもので、現地の、地方のかまぼこ業者とかなんかというものは大変困っている。実際スケソウダラなんかも相当な値上がりをしている。こういうものに対して、私は早期にもう手を打つべきじゃないかと思うのですが、いままでどういう対策をとって、あるいは今後どういう対策でこれらに対して対処していくのか、そういう考えをひとつ。
#523
○国務大臣(鈴木善幸君) 確かに日ソ交渉等の厳しいというようなことが反映をいたしまして、魚価の値上がりを誘発しておるという状況もございます。しかし、現在のところ漁獲量はそう減っていないわけでございます。スケソウダラ、それを原料とするすり身等の在庫も相当ございます。私は思惑をして買い集めた諸君は必ず損をするだろう、こうさえ思っておるのでありますが、十分潤沢に確保されておるわけでございます。しかし、一時的にせよ、そういうようなことがあってはいけないということで、関係業界を通じまして強力な指導をいたしておりますし、自粛を徹底するように呼びかけておるという現状で、大分魚価の推移も落ちついてきておる、こういうのが現状でございます。
#524
○戸田菊雄君 従来カツオ、マグロ、こういう漁業を対象にして減船する場合は、いわゆる漁業経営再建整備資金、これを融通しておったわけですね。しかし、今回はこれは適用はならぬだろうと思うのですね。そういうことになりますと、やはり経営主の経営圧迫ということにはなっていかないかどうか、だからこの面に関しては何かの救済措置は大臣考えられますか。
#525
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は先ほどるる申し上げたとおり、交渉の結果を見た上で処置したいと、こう考えております。たとえば対米交渉の結果は一一%削減にとどまりました。したがいまして、減船等というものは余り出さずに済んだわけでございます。これを調査船に回すとか、あるいは南方の古い老朽船と置きかえをするとか、いろんな措置をやりまして、減船も、それからまた乗組員の問題も余り犠牲を払わぬように措置したわけでございます。日ソ交渉の結果を見た上でないとどういう程度の救済対策を講ずるかということは、その時点において私ども真剣に十分努力をする考えでございます。
#526
○戸田菊雄君 これは労働大臣にお伺いをしておきたいんですけれども、離船職員に対しまして、これは船員保険法に基づいていろいろな適用、活用をされるところがありまするけれども、たとえば炭鉱離職者には手帳を発給してそれぞれやっておるわけです。ですから、そういうような内容でこれらの問題の活用というものはいかがなものでしょうか。
#527
○国務大臣(石田博英君) 船員の場合は私の所管でないんでございます。だから、運輸省か……。
#528
○戸田菊雄君 失礼しました。
#529
○国務大臣(渡辺美智雄君) まことに相済みませんが、もう一度……
#530
○戸田菊雄君 船員保険の減船の場合の……
#531
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の交渉結果によりまして雇用問題が出てくるわけでございますが、不幸にして減船の、下船のやむなきに至った漁業者の諸君につきましては、これは職業訓練の道がございます。職業訓練を受けておる間におきましては政府から給付を受けまして、本人の希望による職業に転換をする。またそれらに対する保険給付等もなされるわけでございまして、私どもも親身になってお世話を申し上げたいと存じます。
#532
○戸田菊雄君 大臣、よく話を聞いておいてもらいたいと思うのですね。私の方もだれだれと指名して間違ったら、これはしようがないですけれども、その点は注意しますから、ぜひひとつ話を聞いてもらいたい。
 問題は専管二百海里の設定に伴って結局一定の規制措置を加えるわけですから、逆に違反というものが出てくる。たとえば拿捕であるとか、こういう事態が出てくる。こういう問題がこれからはやっぱり相当多くなるんじゃないだろうか。ことにいままでソ連の場合ですと三十五隻の二百三十八人、私の調査でいきますと、そのくらいあるわけです。それから米国に対しては十隻の百九十八人。ソ連の場合は全部没収その他でもって拘禁をしてしまうわけでありますが、アメリカは罰金刑ですね。そういうようにそれぞれ違うけれども、いずれにしてもその違反に対しては厳重な規制措置が加えられる、こういうことになるわけですから、こういう問題に対してもやはり一定の救済保険的なものをやはり考えていかなければ、これからやはり件数その他からいっても大変な状況じゃないだろうか。ことにいままでソビエト等とやったやつは総額にして約六億を超えると、こう言われておるのですけれども、いまだに一件も決着を見ていないわけでしょう。だから、こういう問題が起きた場合にはさしあたってやはりこの救済措置を考えておかなければいけない。そういう点については大臣、どう考えますか。
#533
○国務大臣(鈴木善幸君) 戸田さんも御承知のように、李承晩ラインの問題でありますとか、あるいは中国等の軍事警戒ラインでありますとか、これはわが方が認めたラインでない、そういう制限海域でないもので不法に拿捕されました際におきまして、これに対する拿捕保険制度というものを創設をいたしまして対処したことがございます。しかし、今度の二百海里漁業専管水域の中で起こりました場合におきまして、それが割り当ての漁獲量をオーバーしてとったとか、あるいは許可証を持たないでその海域に入漁して拿捕されたとか、そういう本人の責任に帰すべきものと、しからざるものとあるわけでございまして、それはその事犯によって対応しなければいけない、このように考えます。
#534
○戸田菊雄君 そうすると、ケース・バイ・ケースで救済の方式を考える、あらかじめその救済保険等の制度的設定をやってやるんではなくて、大臣はケース・バイ・ケースの傾向でやっていくと、こういうことですか。――いずれにいたしましても近い将来、そういう問題がやっぱり発生することは、これは避けられない実態だろうと思うのですね。ですから、農林大臣、万全の体制を私は図っていただきたいと思うのですが、最後に、その所信を農林大臣の後に総理も含めてひとつお聞かせを願います。
#535
○国務大臣(鈴木善幸君) なかなか厳しい条件のもとにおける交渉を私どもは身にしみて感じておりますが、関係漁民の窮状等を十分承知をいたしておりますので、全力を挙げて、誠意を持って努力いたしたいと考えております。
#536
○国務大臣(福田赳夫君) 私ども自由民主党としますと、その道の最高の力を持っておる鈴木氏が農林大臣という立場に幸いにしてあったわけでありますので、鈴木君を応援いたしまして鈴木君がいま述べたような決意が達成されるように極力努力したいと思います。
#537
○戸田菊雄君 次に、むつ小川原湖の開発について質問をしたいんですけれども、大臣、国土庁長官、このむつ小川原湖の開発の根拠法規といいますかね。これは何に表示をされておりますか。
#538
○国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。特定の法的根拠はございませんが、国土総合開発計画のもとで、それぞれ各県が総合開発計画を立てておるということなのでございます。
#539
○戸田菊雄君 これは「新全国総合開発計画(増補)」四十四年五月三十日、これ以上新しいものございませんね。
#540
○国務大臣(田澤吉郎君) そのとおりでございます。
#541
○戸田菊雄君 これによりますと、五十二ページですけれども、「東北地方開発の基本構想」というのが載っている。それを見ますると、「陸奥湾、小川原湖周辺ならびに八戸、久慈一帯に巨大臨海コンビナートの形成を図る。」こういうことがあるんですが、これがすべての基本になっているんですか。
#542
○国務大臣(田澤吉郎君) 戸田先生御案内のように、昭和四十四年に新全総がつくられまして、その後経済、社会の変動に伴いまして、五十年の八月でございますか、国土総合開発審議会が新全総の総点検作業と長期の展望作業を踏まえまして、三全総をつくりなさいという決定をいただきまして、その結果、第三次総合開発計画概案というものを閣議に報告して、それを骨子にして、ただいま第三次総合開発計画の肉づけの作業を行っているという状況にございますから、ただいまその総合開発計画の基本はもちろん新全総にございますが、その後の経済、社会情勢の変化を見てつくられたのが概案でございます。その概案にのっとって私たちはそれぞれの開発計画の見直しをしているというのが現状でございます。
#543
○戸田菊雄君 時間がありませんから内容を省きますけれども、これは五十二年の一月十日のむつ小川原総合開発会議、これ国土庁が中心になってやったやつだが、それによりますと、「計画の総合的な調整を行ったうえ閣議に諮るものとするが、」と、こういうことになっていますが、いつごろ閣議に諮られる準備になるでしょう。
#544
○国務大臣(田澤吉郎君) むつ小川原につきましては、わが国の基幹型産業の残された数少ない適地の一つでございますから、私たちはこれをできるだけ青森県の、ただいま御指摘の第二次案というものを検討いたしまして、さらに各省庁と調整をいたしているのが現状でございます。そこで、青森県でただいま環境アセスメントの作業を行っておりますので、これを促進いたしまして、また地域住民のいわゆる意見を尊重いたして、これを進めるわけでございますが、すでに環境アセスメントの縦覧期間というのが三月の二十五日で終了いたしております。そこで、意見書の提出の締め切りが四月の一日なのでございますから、意見を参酌しながら、地域住民の意向も承り、また総合的な調整を行って、できるだけ早い機会に閣議の了解を得たいと、こう考えておるのでございます。
#545
○戸田菊雄君 まあ明確にはまだ決まっていないということですけれども、そこでいま大臣も触れられたように、一つは環境アセスメントの実施の仕方が現地で問題があると聞いているんです。それはどういうことかというと、関係地域は十六市町村だと、こう言っている。ところがこれを配られたのは十町村だと、それは実際の問題として、公平な住民の意思反映ということにはなっていかないじゃないかということが言われておるわけです。こういう点は、この会議の指示、強調の中にもちょっと触れられておるようですから、当然国が関与して指導してやっているんだろうと思うのですが、その辺はどうですか。
#546
○国務大臣(田澤吉郎君) 環境アセスメントについては、特に行政指導を行って今日までまいっているわけでございます。
#547
○戸田菊雄君 いや、ですから、国が指導強化をしているんですから、いまのような不十分さがあったという場合にはどういう指導をやっていくわけですか。十六市町村が関係しているんだけど、十町村しか入っておらない。それから期間が現地では三カ月以上にしてくれないかという要望なんです、三ヵ月。これがわずか一ヵ月でしょう。三週間しかやっていない。一ヵ月ないんです。そういうことはやっぱり住民の意思反映と地域住民の協力がなければこれはできないんですから、そういう点はやっぱり慎重にやるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#548
○国務大臣(石原慎太郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のような点が確かにございまして、しかも一町村の役場に七百ページの報告書が一冊ぽんと置いてあるだけでは、どうも住民たちにわからぬということで、その要約を何部かつくって回覧するように指導もいたしました。それからちょっと日数は失念いたしましたけれども、何日か縦覧の会期も延長したはずでございます。
#549
○戸田菊雄君 いま環境庁長官が言われたとおりなんですがね、四月まで延長したのです。現地は三カ月くらいの余裕が欲しいと、こう言うんです。だから四月末ではまだ一ヵ月足らないんですよね。これは回答いいですから、十分ひとつ御検討願いたいと思います。
 それからこの開発計画の内容について少しお聞かせを願いたいのですが、これは全総の中身にあるとか二次計画にあるものはこれはいいです。主なもので結構です。
#550
○国務大臣(田澤吉郎君) むつ小川原開発計画の中心となるものは、いわゆる工業基地計画は六カ所を中心に五千二百八十ヘクタールの地域について、石油精製百万バレル、石油化学百六十万トン、火力発電三百二十万キロワット、これに関連工業の立地を予定いたしているわけでございます。さらに工業基地を中心に、ただいま先生から御指摘がありました十六町村にわたって農林水産等、工業の調和のとれた地域開発を行って、その結果、この計画期間の間に人口については二十八万人を三十二万人に、就業者を十四万人を十六万人に、所得水準を全国平均の六〇%程度から八〇%程度に引き上げたいというのがこの計画の概要でございます。
#551
○戸田菊雄君 時間もないですから簡単に申し上げますけれども、開発株式会社の経理内容が非常に困っている状況なんです。大体借入金がどのくらいあって利子支払いがどのくらいあるか、これをちょっと説明してくれませんか。
#552
○国務大臣(田澤吉郎君) 政府委員から答弁させます。
#553
○政府委員(土屋佳照君) ただいま資金調達の面につきましては、北海道東北開発公庫からの借り入れが百七十九億、民間関係機関からの借り入れが三百三十三億で、合わせて五百十二億の借り入れをもちまして事業を進めておるところでございます。
#554
○戸田菊雄君 したがって利子はどのくらい払っていますか、年間。いままで払ったのと五十一年度の。
#555
○政府委員(土屋佳照君) 正確な数字は手元にございませんが、おおむね百億ぐらいが利子になっていると覚えております。
#556
○戸田菊雄君 ずばりそのとおりなんですよ。いままで六十億払って五十一年度一年間で四十億払っている。北東公庫等から開発融資されたものは全部利子に回っていっているという状況なんですね。これはおわかりでしょうか。
#557
○政府委員(土屋佳照君) いまお話がございましたように、会社が中心となって土地を買いまして、まだそれが工業用地として分譲する段階に至っていないわけでございますので、とりあえずは借りた金で運営していくというかっこうになっております。ただ、御承知のように、土地の形で資産として保有をしておるわけでもございますので、その点は最終的には懸念していないわけでございますけれども、さしあたっての運用が、いまおっしゃいますように入金が借り入れ以外にはないということでございますので、運営にはいろいろと問題がございますけれども、関係方面の御協力を得まして、いまのところは順調に運営しておるというふうに考えております。
#558
○戸田菊雄君 きょうは時間がありませんから委員長に要請をしておくんですが、ただいまの経理内容と運用内容、これを後でひとつ書面で私に提示してくれませんか。
#559
○政府委員(土屋佳照君) 相手が民間会社でございますので、限度はあろうかと思いますが、御相談をいたしまして必要な内容については御報告を申し上げます。
#560
○戸田菊雄君 救急医療問題について最後にお伺いするんですが、四分しかありませんから……。大体七、八分を考えておったんですけれども省きますけれども、救急医療体制、もう私は、国の指導でもってどうしてもやっぱり確立する必要があるんじゃないだろうか、こう思うんですが、厚生大臣、いかがでしょうか。
#561
○国務大臣(渡辺美智雄君) 国が直接やるというわけではございませんが、そのような考えで国が中心になってやろう、そういうことでことしは予算も百億円を計上したわけでございます。
#562
○戸田菊雄君 厚生大臣、衆議院での多賀谷真稔議員への答弁書は私も見ているんです。いま言われた大臣の答弁は、やや衆議院の多賀谷真稔議員への答弁と同じですから。
 私は、やっぱり医療体制には三つ必要だと思ってるんです。一つは、行政上の責任をはっきりする、それからもう一つは、何と言っても自治体病院を含め大変な赤字財政になっているわけですから、これを何とか国で一端のめんどうを見てやる必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるのですけれども、その辺はどうですか。
#563
○国務大臣(渡辺美智雄君) 救急の一番の問題点は、赤字になる、したがって余りやりたがらないということでございますから、それについては先生御承知のとおり、診療単価等を大幅に、倍に上げたり、あるいは八割上げたり、そういうこともやっておりますが、さらに、いろいろな医師会関係あるいは病院の輪番制等やる場合においては国、県、市町村が一緒になって助成をする、そういうことで、助成によって赤字をなくするように援助をしていく、こういうことでございます。
#564
○戸田菊雄君 ことに問題になるのは自治体病院の赤字ですね。これは具体的に、この間参考人等呼びまして、参議院の社会労働委員会でも参考人にいろんな意見聞きました。生の報告がいろいろありましたけれども、自治体病院で五十年度の欠損金が約六百七十億二千百万円、それから日赤関係が三十六億二千五百万、それから済生会が七億三千五百万、厚生連が十五億五千二百万、北海道社協が四千二百万、こういうことになっているんですね。この赤字が非常に病院の経営その他に対して影響を与えている。そういう内容ですから、これはぜひひとつ何らかの形で――四十九年に縁故債でもってこれをたな上げした経験があるんですよ。これは厚生大臣、どうでしょう。
#565
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、日赤とか済生会、その他の自治体病院が赤字であったことは事実でございます。これは診療報酬等の関係もありまして、一時悪かったのが、五十年度には赤字の数はそれよりも少なくなっておるはずであります。
#566
○戸田菊雄君 いまの問題について自治大臣、どうですか。
#567
○国務大臣(小川平二君) 赤字の実態と申しますか、現状を説明せよとのお言葉ですか。
#568
○戸田菊雄君 自治体病院の救急医療の赤字欠損が多いですから、それを四十九年にいわば縁故債でもってたな上げした、措置をした、そういう方式は、自治大臣としてはどう考えますか。
#569
○国務大臣(小川平二君) 四十九年に公立病院特例債を許可いたしまして、元本の償還については交付税で見る、金利については自治省の予算に計上して助成をするということを実行いたしましたが、これは、あの場合のいわば緊急措置と申しますか、当面の措置でございまして、今日この時点で同じことをやってみましても、どうも依然として赤字が累積するばかりという非常にむずかしい状況に立ち至っておるわけでございます。いま厚生大臣の答弁にもございましたように、根本的には、やはり今日の診療報酬の問題あるいは医師の確保難の問題と結びついておるわけでございます。根本から経営の健全化を図る上におきましては、厚生省はもとより関係機関とよく相談をいたしまして、それらの問題との関連で解決をしていかなければなりませんので、ただいまのところ四十九年と同じことを実行しようという考え方は持っておりません。
#570
○戸田菊雄君 参考人で来られました諸橋さんという方は全国の自治体病院の協議会会長なんです。この方が言っているんですけれども、結局この救急医療をやるために医師、看護婦を含めて七人の受け入れ体制だと、こう言うんですね。そうすると、医師の超過勤務、看護婦の超過勤務、昼夜ぶっ通しですから。そういうことになりますと、一人の手術に対して四十七万七千円近くの赤字を生ずると言うんです。これはやらなくちゃいけないんですから。けがをして来ているわけですから、交通災害とか何かで。あるいは高血圧とかいろいろこうあるわけですけれども。そういうことになって、どうしてもこれは赤字だから、基本的にはいまの医療制度そのものに関係してくる問題ですけれども、だからそういう点は、私はやっぱり大臣として今後十分検討してもらったらどうかという気がするんですが、これはどうですか。財政当局の坊大臣も、ひとつ、この点はどう考えておりますか。
#571
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほど申し上げましたように、一つはこの診療報酬の問題、それからことしは、自治体公的病院に対する補助単価を引き上げまして、十二億円ぐらいよけいにくれるようにしてあるわけであります。それからまた二次の救急医療体制については、これは病院群、輪番制とか共同利用型とか、それぞれに対してかなりの補助を出すことにいたしております。これを見まして、さらにそれでもなおかつという場合には、それは十分に検討しなければならぬ、かように思っております。
#572
○戸田菊雄君 滋賀県の日赤病院にも国政調査で行きました。副院長はこう言っていますね、とにかくいま裁判にかかっているそうですけれども、やはり診察した当時は異常ないと認めた。家へ帰したらそのままぽっくりいっちまったと。それでこれ、いま裁判になっているという話です。だから、救急医療の医療体制については、やっているところが大変な苦労をしながら、赤字を見ながら、昼夜を問わずやっているわけですよ。これに対して、国が全然行政上の指導その他もやらずにもう済む事態じゃないだろうと、こう考えるわけですね。だから、これはひとつ馬力のある厚生大臣ですから、閣内でもってひとつそういう意見を出して、そして、就任のときに厚生大臣、一定の発表をやったでしょう。それをひとつさらに前進をさしてもらいたい。その点をひとつ最後にお伺いしたいと思います。
 総理大臣も、その点についてどういうお考えでいるか、ぜひひとつお聞かせをいただきまして、私の質問を終わります。
#573
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実はそのような考えで、ことしの予算は去年の四倍、百一億円というものをつけて大幅にやろうとしておるわけでございますから、ひとつしばらくごらんになっていただきたいと存じます。
#574
○国務大臣(福田赳夫君) 救急医療問題は、当面する大きな社会問題であるという認識でございます。そういう認識のもとに、まあ五十二年度予算ではとにかく真剣に発足しようという姿勢を打ち出したわけです。これを続けていきまして、ひとつ、救急医療よくできたなというような評価をいただけるようにぜひいたしたいと、かように考えます。
#575
○戸田菊雄君 終わります。(拍手)
#576
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして戸田菊雄君の質疑は終了いたしました。
 明日は午前十時から公聴会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト