くにさくロゴ
1976/04/04 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第12号
姉妹サイト
 
1976/04/04 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第12号

#1
第080回国会 予算委員会 第12号
昭和五十二年四月四日(月曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任
     矢田部 理君     秦   豊君
     安永 英雄君     赤桐  操君
     工藤 良平君     案納  勝君
     杉山善太郎君    目黒今朝次郎君
     藤原 房雄君     宮崎 正義君
     三木 忠雄君     塩出 啓典君
     小巻 敏雄君     神谷信之助君
     須藤 五郎君     近藤 忠孝君
     中村 利次君     三治 重信君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 半次君
    理 事
                坂野 重信君
                園田 清充君
                中山 太郎君
                吉田  実君
                小柳  勇君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
                内藤  功君
                向井 長年君
    委 員
                安孫子藤吉君
                糸山英太郎君
                岡田  広君
                長田 裕二君
                亀井 久興君
                後藤 正夫君
                佐藤 信二君
                中村 太郎君
                夏目 忠雄君
                宮田  輝君
                最上  進君
                青木 薪次君
                赤桐  操君
                粕谷 照美君
                対馬 孝且君
                野田  哲君
                秦   豊君
                安永 英雄君
                太田 淳夫君
                塩出 啓典君
                宮崎 正義君
                神谷信之幼君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
                市川 房枝君
   国務大臣
       内閣総理大臣   福田 赳夫君
       法 務 大 臣  福田  一君
       外 務 大 臣  鳩山威一郎君
       大 蔵 大 臣  坊  秀男君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  渡辺美智雄君
       農 林 大 臣  鈴木 善幸君
       通商産業大臣   田中 龍夫君
       運 輸 大 臣  田村  元君
       郵 政 大 臣 小宮山重四郎君
       労 働 大 臣  石田 博英君
       建 設 大 臣  長谷川四郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      小川 平二君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       藤田 正明君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       西村 英一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       倉成  正君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  石原慎太郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  田澤 吉郎君
   政府委員
       青少年対策本部
       次長       望月哲太郎君
       公正取引委員会
       委員長      澤田  悌君
       警察庁刑事局保
       安部長      吉田 六郎君
       行政管理庁行政
       管理局長     辻  敬一君
       行政管理庁行政
       監察局長     川島 鉄男君
       北海道開発庁総
       務監理官     黒田  晃君
       防衛庁経理局長  原   徹君
       国土庁水資源局
       長        飯塚 敏夫君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省条約局長  中島敏次郎君
       外務省国際連合
       局長       大川 美雄君
       大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君
       大蔵省主税局長  大倉 眞隆君
       文部省初等中等
       教育局長     諸沢 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省社会教育
       局長       吉里 邦夫君
       文部省体育局長  安養寺重夫君
       文部省管理局長  犬丸  直君
       文化庁長官    安嶋  彌君
       厚生省環境衛生
       局長       松浦十四郎君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部長  国川 建二君
       厚生省医務局長  石丸 隆治君
       厚生省児童家庭
       局長       石野 清治君
       厚生省保険局長  八木 哲夫君
       農林大臣官房長  澤邊  守君
       農林大臣官房審
       議官       犬伏 孝治君
       農林省構造改善
       局長       森  整治君
       農林省農蚕園芸
       局長       堀川 春彦君
       農林省畜産局長  大場 敏彦君
       水産庁次長    佐々木輝夫君
       通商産業省貿易
       局長       森山 信吾君
       通商産業省立地
       公害局長     斎藤  顕君
       通商産業省基礎
       産業局長     天谷 直弘君
       通商産業省生活
       産業局長     藤原 一郎君
       資源エネルギー
       庁長官      橋本 利一君
       資源エネルギー
       庁石炭部長    島田 春樹君
       中小企業庁長官  岸田 文武君
       海上保安庁長官  薗村 泰彦君
       労働省労政局長  青木勇之助君
       労働省職業安定
       局長       北川 俊夫君
       建設大臣官房長  粟屋 敏信君
       建設省河川局長  栂野 康行君
       建設省道路局長  浅井新一郎君
       建設省住宅局長  山岡 一男君
       自治省財政局長  首藤  堯君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局幼稚園教
       育課長      鈴木 博司君
   参考人
       社団法人日本私
       立医科大学協会
       常務理事     淺田 敏雄君
       中小企業分野確
       保法促進協議会
       会長       佐藤 公彦君
       東京都立衛生研
       究所環境保健部
       水質研究科長   三村 秀一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 総予算三案審査のため、本日、社団法人日本私立医科大学協会常務理事淺田敏雄君、中小企業事業分野確保法促進協議会会長佐藤公彦君及び東京都立衛生研究所環境保健部水質研究科長三村秀一君の以上三君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(小川半次君) 次に、昭和五十二年度一般会計予算
 昭和五十二年度特別会計予算
 昭和五十二年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、総括質疑を行います。粕谷照美君。
#5
○粕谷照美君 最初に、日本私立医科大学協会の淺田常務理事に私は質問をしたいというふうに思います。
 この数年間、医科大学及び歯科大学のいわゆる寄付金問題が、その額もさることながら、納入方法をめぐって国民の間から大きな批判が出されております。ことしに入って私立岐阜歯料大学受験生の津田君の痛ましい自殺事件を頂点に世論は非常に高まってきているわけですが、この問題を取り上げた文部省の対策もさることながら、私立医科大学協会は、三月十七日に春季総会を開いて協議をされたということを伺っておりますが、その協議の内容について、どのようなものであるか、御報告をいただきたいと思います。
#6
○参考人(淺田敏雄君) 社団法人の日本私立医科大学協会は、従来、いわゆる私学団体だけでどうしても解決ができない医科大学固有問題がございますので、四十八年十一月に、慈恵の亡くなられました樋口先生を会長として出発して三年四カ月にわたります。この間、重大な問題でございますところの財政問題を含めまして、私立医科大学の現状と課題というようなことで昨年五月にかような分析のパンフレットを出しております。その中で一体入学時寄付金にどう対応するのかというようなことですでに入試要項への記載等のことが書いてございますが、なかなかこれが協会内部のコンセンサスが得られなかったわけでございます。去る三月五日、会長の名義によりまして通達を出しますと同時に、三月十七日総会を開きまして、総会の席上で入学時問題特別対策委員会を結成いたしました。そういたしまして、三月二十五日に私立医科大学の全国の理事長に緊急に御参集を願いまして、医学教育経費のガイドラインの設定、それから入試要項への明記等につきまして、いろいろ各大学の自主性がございますが、何とかコンセンサスを得たいというような努力をしております。現在の荒廃した医療の中で、少なくとも私ども一生懸命やっております立場で医師養成に対する国民の疑惑を解くような努力をしたい、かような姿勢で現在おるわけでございます。
#7
○粕谷照美君 大変御努力をいただいているということについては非常に感謝を申し上げるわけですが、ちょっとわからないのは、それでは、来年度の受験生から、何というんですか、寄付金が前提でなければ入学ができないというこういう状況がなくなるというような見通しというものは一体あるのでしょうか。それからそういう見通しを立てるためには一体どのような条件が満たされればできるというふうにお考えでしょうか。
#8
○参考人(淺田敏雄君) ただいまの粕谷先生の御質問にお答えいたしますが、現状のような医療費改定あるいは国庫助成のテンポでもって来年春にこの問題に関して抜本的な改善をするということは、はなはだ困難であろうと思います。しかし、その条件の中で、少なくとも募集要項への明記等を通じまして、社会的公正な姿をとるような努力をしたいと思っております。
 それから第二点、かような今日の私立医科大学問題、寄付金問題というようなことが発生いたしました、これをどうやって解決するか、これはすでに昨年私ども財政白書で申しておりますが、それを簡単に詰めてみますと、現在国立大学の医学部教育経費が四十九年度で約五百万円かかっていると私どもは推定しておりますし、先般国会で文部省側のさような答弁もございました。これが大きな前提でございます。
 それからもう一つ、現在の付属病院が、昔は黒字でございましたが、これが大幅な赤字に転化いたしまして医学教育を圧迫しております。全世界のメディカルスクールで病院経費が医学教育を圧迫している国はどこにもないのでございまして、この点について抜本的な対策が必要と思うわけでございまして、具体的には、現状の国庫助成のほかに、いわゆる医科大学に関する特別助成、それからまた、大幅な借入金利息等に悩んでおりますので、融資の市中銀行の肩がわり、利子補給等をお願いしたい。そういたしまして、私立大学付属病院への何らかの意味での直接の御援助を願いたい。つまり、地域医療のメディカルセンター的な役割りをしております。全国立大学がいま救急医療患者を四万人扱っておりますが、私どもは十二万人扱っている。地域医療に少なくとも非常に積極的な態勢をとっております。さような諸方策を通じますれば現在の問題を解決する道が開けると、かように思っております。
#9
○粕谷照美君 大変大きな問題が提起をされているように思います。たとえば、病院における赤字がなくならなければならないということになれば、これはもう来年の寄付金の問題は解決ができないのではないか、こういうことを思わないわけにはまいりません。それらの問題が解決をされなければできないというふうにお考えですか。私どもはそういうような問題も努力をする、国会においても予算措置について努力をする、それから医療費の問題についてもやっぱり努力をする。しかし、その問題は努力はするけれども、いわゆる歯科、医科大学の方から考えてみれば、とてもではないけれどもわれわれの要求からはほど遠いものがあると、こういうふうな判断になった場合には、やっぱりいままでの状況が続くのではないだろうかという気持ちがしてなりません。そういうような気持ちがしてなりませんけれども、少なくとも、受験をする人たちが、募集要項にきちんと書いてある、その書いてあることは、なるほどこれだけ大変な状況であるが、こういうような要求を歯科大学として述べるということもやむを得ないことだ、当然のことだというふうに考える、つまり、選挙のスローガンじゃありませんけれども、明るく正しいという、こういうような状況が入学募集要項に当たっても出てくる、学生を採るということに当たっても出てくるというような状況をつくり出せるという自信というんですか、そういう見通しはおありでしょうか。
 以上です。
#10
○参考人(淺田敏雄君) きわめて困難な状況にあるわけでございますが先般の理事長会議等の雰囲気を通じまして、ともかく私どもが新たなる対応なしに来年の春に臨むことはできない。しかし、問題解決がなかなか困難であります場合に、今日一部の私立歯科大学で行われておりますが、入学時寄付金分に見合いますような均等教育経費の負担分が明記される可能性がございます。さような場合に、教育の機会均等という立場で問題がございますが、私どもは、教育基本法第三条第二項の中に、国または地方自治体は奨学の義務がうらはらについておりますので、その点を御勘案願いたいと、かように思うわけでございます。
#11
○粕谷照美君 私は、いまの参考人の御意見に対して、文部大臣は一体どのようなお考えで今後に対処をされようとしていらっしゃるのか。厚生大臣もまたそのお考えをお伺いしたいし、特にこの寄付金問題が、入学生からだけ寄付金を取る、それが前提で入学を許すというようなことでないようにするためには、たとえば、その大学を卒業した人たちが喜んでその学校に自分が医師になったときに寄付ができる、財界からも寄付ができる、そのときに問題になってくるのは税制の問題に非常に大きく絡んでくるというふうに思いますが、大蔵大臣としてはそのような点についていかがお考えでしょうか、お伺いしたいというふうに思いますし、総理大臣も、これは私どもの命を預ける医師をつくり出すという非常に重要な教育の場所でもありますので、これについてどのようなお考えをお持ちですか、お伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘の問題は、教育の機会均等を図る、あるいは大学入学の選抜の公正を図るという面から、私は、特に入学の条件として多額の寄付金が徴収されるということは好ましいことではない、改めなければならぬ、こういう基本的な立場できょうまでいろいろ努力をしてまいりましたし、同時に、もう一つは、学校そのものが経営の上において多額の経費を要することも事実として認めなければならぬ問題もあるわけでありますから、これらの内容をよく検討しますとともに、現在文部省は私学振興助成法に基づき経営費の助成を出しておりますときも医学部、歯学部には文科系と比べると平均しても二十倍近いものを割り当てておる。いろいろな努力をできるだけしておりますが、今後さらに一層この状況をふやしていきたい。同時に、学校側にも厳しくみずからを一回省みていただいて、正すべきところは正す、自粛するところはきちんと自粛していただいて、ともに話し合って関係各省の協力も得ながら改善をしていきたい、こういう気持ちでございます。
#13
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私学の問題につきましては、ただ単にお金のことだけでなくて、やっぱり特徴のある、特色のある学校へ行きたいという人もたくさんおるわけです。そこに私学の存在意義があるわけですから、私学によけい金を払っても行きたいという人もあるわけです、実際問題として。それはそれとして私はいいんじゃないか。しかしながら、もう一方は、非常に医者の需要というものが多い。なかなか国立だけではさばき切れない。本当は国立へ行きたいんだけれども、まあ国立にはいろんな事情で入学できなかったと、そのために私学へ行くという人もございます。そういうようなことを考えると、やはり野放しというわけにはいかないのであって、やはり私学の方でも国の助成というものをもっと高めてもらって、そうしてできるだけ費用がそう莫大な寄付金を払わないでも私学に行けるようにするように厚生省としてもこれはお願いをしているところでございます。
#14
○国務大臣(坊秀男君) 学校入学に際しまして寄付金が絶対入学の要件だとか何とかというのは、お説のとおり私は非常にこれはよろしくないことだと思います。そこで、いまの御質問の御趣旨なんでございますが、学校入学に際しましての寄付金というものを所得から落とすということは、これはちょっとむずかしい問題です。ばらばらばらばらとあっていろいろ違いますし、それを、あなたが幾ら寄付したか、あなたが幾ら寄付したかというようなことで、これはちょっと税金の所得から落とすのにはなじまないことだと思います。ただ、卒業された方が、その学校に対して、非常にいい学校であったと恩義を感じまして、それで私学振興会を通じて寄付をするといったような場合には、これはちゃんと税金の課税に際しましてこれを落とすということに、そういう道が開かれておることをお答え申し上げます。
#15
○国務大臣(福田赳夫君) 医科系の大学に多額の入学金が必要であると、私もそういうふうに実相をよく承知しております。私は心配しておりますのは、金のゆえに入学できる人ができたり入学できない人ができたりすると、こういうことなんです。つまり、とうとい人命を扱うわけでございます。その人命を扱う未来のお医者さんが、これが金を積めば試験の方の能力においては欠くるところがありましてもその人が入学ができると、しかし、能力があるけれども金がどうも足りないから入学できないと、こういうようなことになると、将来これは人命尊重上ゆゆしい事態になるだろうと、こういう心配をいたしております。ことに、この受験生は試験の点数が足らぬが、一点足らぬところは幾らでひとつ評価して入学金を納めていただきましょう、そうすれば入学できるようにいたしましょうなんというところまであるようなことは、あってはならないことであると、こういうふうに考え、逐次是正していただきたいと、かように考えております。
#16
○粕谷照美君 私は、文部大臣が私学助成金についてこれからも努力をするとおっしゃってくださいましたので、それは今後の問題だというふうに考えまして、ぜひとも一層の御努力をお願いをしたいというふうに思います。
 そして、厚生大臣にお伺いをしたかったのは、病院経営が赤字であるという、そして大学教育を圧迫をしているというような状況をつくり出しているということについて、厚生大臣としてはどのような対処をされるのか。それから、特に救急医療の問題で、国公立の数倍を私学が請け負っているというこの社会的な任務に対しても、厚生大臣としてはやっぱり高く評価をしていただきまして今後の対策をしていただくような答弁をいただきたかったわけですが、これは今後の問題に残しておきたいというふうに思います。
 そして、大蔵大臣も、ひとつ今度は文部省の概算要求も出るでありましょうから、そのときには一生懸命にこの実態を考えてそして努力をしていただかないと困るわけです。文部省の概算要求がいつも大幅に削られていくような状況があってはこういうような状況は私は解決できないというふうに思いまして、この点についての淺田参考人に対する質問を終わりたいというふうに思います。
 どうも、淺田参考人、本当にお忙しいところ、ありがとうございました。
#17
○委員長(小川半次君) 淺田敏雄参考人には、御多忙の中を当委員会に出席していただき、まことにありがとうございました。どうぞ退席されて結構でございます。
#18
○粕谷照美君 文部省にお伺いをしますけれども、先回、私が岐阜歯科大学の問題を取り上げました。国会においても各党からこの問題が取り上げられておりますけれども、その後、新聞によりますと、この大学に対して調査をやったということが載っておりましたが、事実この調査をされたのか、一体どんな観点でやり、何がその調査の結果わかってきたのか、そして、それに対する対応はどのようにあったのかということについて御報告をいただきたい。
#19
○政府委員(犬丸直君) 今回の寄付金問題に関しまして、私ども関係の大学についていろいろ調査をいたしております。現在まだ数量的に数字その他を取りまとめておりまして、やがてこれを最終的に報告の形で提出いたしたいと思っております。
#20
○粕谷照美君 何を目的にしたのか、なぜやったのかということについて聞いているわけです。
#21
○政府委員(犬丸直君) 私ども、私学振興助成法に基づきまして助成の対象となっております学校につきましては、一応の財務資料は入手いたしております。しかしながら、問題となりました寄付金の徴収状況とか、あるいはその学校がどうなっておるかというようなことにつきましては、普通の財務諸表の中で詳しく書くようになっておりませんので、その点につきましてさらに詳しく事情を徴取いたしておるわけでございます。
#22
○粕谷照美君 それでは、その調査は岐阜歯科大学だけですか。
#23
○政府委員(犬丸直君) さしあたりまして岐阜歯科大学それから杏林大学につきまして、国会で問題になりました、これは文教委員会でございましたか、決算委員会でございましたか、その二校につきましてはさしあたりやっております。ただ、全般的につきましては、これはむしろ協会を通じましていろいろお互いに自粛するというようなことも出ておりますので、しらみつぶしにほかの学校も調べるというようなことはやっておりません。
#24
○粕谷照美君 金も出すが口も出すということについて、私大側からの非常な抵抗もあるということを私どもも知っておりますし、私たちもまたそういうことについて主張してきた立場であれば、その調査をやりなさいとは言えません。しかしながら、やっぱり問題点があった場合には敏速な対応をするということが非常に重要なんではないだろうか、こう思いまして、本当に生徒が明るい学生生活が送れるように文部省としても最大限の努力をしていただきたいというふうに思うわけです。
 それで、文部省にお伺いいたしますけれども、国立の医科大生にかける国費は一年間に幾らで、歯科大生にかける国費は一体幾らになるか、それから同じく私立の医科大生にかける国費、歯科大生にかける国費というものは一体どのくらいになるのでしょうか。
#25
○政府委員(佐野文一郎君) 昭和四十九年度の決算に基づく数字を申し上げますが、国立大学の場合には、いわゆる学部の学生一人当たりの経費は二百六十六万円でございます。それ以外に病院関係の経費があるわけでございますが、病院は教育研究だけの施設ではございませんので、便宜病院の経費のうちいわゆる病院収入額をもって支弁し切れない部分についての額を学生一人当たりで計算をいたしますと、二百三十一万一千円でございます。両方合わせまして国立の場合には四百九十七万一千円という数字でございます。
 私立の場合には債務償還費がございますので、同様にして計算をいたしますとこれよりも額がふえまして、六百九十万七千円が私立医科大学の学生一人当たりの単年度四十九年度の経費でございます。
 歯学部の場合には、学生一人当たりの経費は、同じく四十九年度でございますが、学生数が国立の場合少ないということがございまして、五百五十三万三千円が国立大学でございます。私立大学の場合には、学生数の関係がございまして、額がかなり少なくなります。百九十二万四千円でございます。
#26
○粕谷照美君 そうしますと、こういうことですか、国立の医大生にかける国費は年間約五百万、まあ四百九十七万円ということになるわけですが、私立の医科大生に国が六百九十万も出しているんですか。
#27
○政府委員(佐野文一郎君) ただいま申し上げました数字は、国が出している数字ではなくて、私立の医科大学の学生に年間かかっている経費ということでございます。
#28
○粕谷照美君 質問と違うわけです。
#29
○政府委員(犬丸直君) お答えします。
 私立医科大学に対しまして国が出しております経常費助成金の一人当たりでございますが、五十二年度におきまして定員に対しては百四十二万円でございます。
#30
○粕谷照美君 医科ですね。歯科は。
#31
○政府委員(犬丸直君) 失礼いたしました。医学部が百四十二万八千円、それから歯学部が七十八万三千円でございます。
#32
○粕谷照美君 それでは、幾つかの医学部の授業料をちょっとお伺いしたいというふうに思いますけれども、たとえば慶応だとか、何かわかりませんでしょうか。
#33
○政府委員(犬丸直君) 昭和五十二年度、たとえば授業料でございますが、日本大学五十万円、東京医科大学四十万円、そういうようなところもございますし、それから愛知医科大学百万円、そういうところもございます。平均して七十六万四千円余りになっております。
#34
○粕谷照美君 国立大学で年間四百九十七万――五百万、六年間の授業といたしますと三千万円のお金を一人の医師をつくるために出しているという計算になるというふうに思います。そのほかに学生自身が授業料を出しているわけですから大変なお金が投入されているわけですが、この医学部を卒業した学生が国家試験を受けた場合に、一体何%ぐらい合格をしているんでしょうか。
#35
○国務大臣(渡辺美智雄君) 医師国家試験につきましては、この三年間を見ますと、四十九年が八二・二%、五十年が八二・四%、五十一年が八〇・四%というのが平均値でございます。
#36
○粕谷照美君 歯科については九六・二%だと、こういうことも出ておりますので、わりと合格率がいいというふうに思わないわけにはまいりませんが、またこういう話もあるわけですね。とても合格しそうもないという生徒に対しては大学の方から受験をさせない、そしてそういうような生徒が一年だめ、二年だめ、こうたまっていって、もうとても大学の方でもまとめ切れなくなって、そういう人たちは退学をするという、こういう話がありますけれども、これは事実と違いますか、いかがでしょうか。
#37
○国務大臣(渡辺美智雄君) 中には、何回も受けて、まあひげが生えて、頭が白くなっても受けているというのも例外的にはあるようでございます。大学といたしましては、やはり自分の学校で試験を受けさして落第ばかりしているというのは困るわけですから、まるっきり受かりそうもないのはもう少し勉強せいということもあるいは中にはあろうかと思います。
#38
○粕谷照美君 まああろうかと思いますでは困るのでありまして、それだけのエネルギーですね、本人の努力も大変なエネルギーだと思いますけれども、教えられた先生のエネルギーも大変だ、送り出した親やその身内の人たちのエネルギーも大変だったというふうに思うのですが、そういう人が出るということ自体が私は問題だというふうに思うわけです、大変なお金をかけて長い年月をかけて。
 そういうような人たちは国家試験に合格をすることができなければ一体どのような形で生きていくのか、この辺のところも文部省として私は考えなければならないのではないだろうかというふうに思いますが、文部省にお伺いいたしますけれども、昭和四十五年に新設された医科大学が去年の国家試験に合格した率というのは五〇%ぐらいだというふうに聞いておりますが、それはいかがなものでしょうか。ことしは一体何%ぐらいになっておりますでしょうか。厚生省の方がよくおわかりでしょうか、どちらでも結構です。
#39
○国務大臣(渡辺美智雄君) 四十五年以降新設されました医科大学が、卒業生が出て国家試験をやるのは去年が初めてです。五十一年の春が初めて卒業生を出しているわけでございますけれども、この平均の新設医科大学の合格率は、七八・五%が平均でございます。
#40
○粕谷照美君 そうすると、まあずっと落ちているわけですね。少し落ちているというふうに厚生省としては見ていらっしゃるらしいんですけれども、私はこの辺のところが問題だというふうに思うのです。やっぱり最後まで医師でありたい、医師になりたいといって努力をされる方については構いませんけれども、とうてい受験しても通る見込みがないといったような生徒に対する文部省の教育体制というものは一体どのように考えていらっしゃいましょうか。
#41
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私が申したのは第一回に受けた数字なんですよ。春と秋と二回試験がありますから、春試験に落ちた人は今度はまた秋の試験を受けられるわけです。そこで何%かまた受かる。最初に受かった人はもう七〇とか八〇という数字なんですが、二回も受ける人はやっぱりできがかなり悪いものですかち、これは合格率が三〇とかあるいは二〇とかという場合が多い。それで何回か繰り返してだんだんもうほとんどなくなるのですけれども、先ほど言ったように例外的に十年も十五年も受けているという人もまれにはあります。途中でやめちゃう人もあります。それはしかし非常に小さな数字でございます。
#42
○粕谷照美君 文部大臣にお伺いしますけれども、国家試験に合格をしない人たちがふえているということで国家試験合格のための塾ができると。もう幼稚園から医者になるまで塾ができるというような大変な乱塾時代に来たというふうに思いますけれども、この辺についていかがお考えですか。
#43
○国務大臣(海部俊樹君) その国家試験を受けるための塾の実態については、ちょっと私いまここにつまびらかにいたしませんが、私の聞いております範囲では、たとえば、国家試験に受かる受からないの前に、留年しそうな生徒がいたり、あるいは国家試験を受けても第一次試験に受からなかったというような生徒を対象にして、その学校がたとえば夏休みとかいろいろなときに自主的に補習授業のような勉強をしておるという実態については報告を聞いておりますが、塾のことについてはちょっと事実を知りませんので……。
#44
○粕谷照美君 私は断片的にいまいろいろな問題点を出してみましたけれども、要は、本当に人格的にもそれから技術的にも能力においても尊敬をされるような医師をつくるために厚生省や文部省には努力をしていただきたいという観点に立って質問をしてきたわけです。それで、今回の私立医科大学協会の発表というんですか、申し合わせというものが、この世の厳しい指弾に対してのポーズであってはいけない。本当にそのことを実現をするという私大側の努力もさることながら、私は文部省においても本当にこの制度というものを実現するために努力をしていただきたいというふうに考えているわけですが、いかがでしょうか。
#45
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のとおりに、これは世論を一時的にどうこうしようというような表面だけの態度であっては絶対にいけないと思います。同時に、現在でも私学振興助成法に基づいて昭和五十二年度予算に組んでおります私立大学への経常費助成だけをとってみましても、千六百五億円という多額の国民の皆さんの税金を使わせていただくわけでありますから、そこにはおのずから厳しさというものが求められなければなりません。同時に、私たちも教育の機会均等とか選抜の公正を図るということは絶対大切なことでありますから、大学当局者にも厳しい姿勢で自粛を求めておりますし、あるいは国民の皆さんの税金を使わしてもらうということがいかに大きな重い責任を伴うものであるかということもよく理解と自覚をしてもらって問題の根本的な解決に当たっていかなければならない、こういう心構えで取り組んでおるところでございます。
#46
○粕谷照美君 私は公正取引委員会にお伺いしたいと思いますが、公正取引委員会では、全国地域婦人団体連絡協議会に委託をして、各種学校、通信教育等の技能講習の表示に関する実態調査というのをやらせたというふうに思いますが、調査を行った目的は何でしょうか。
#47
○政府委員(澤田悌君) 目的と申しますか、動機と申しますかは、結局利用者からの苦情がきっかけでございます。昭和五十年の上期ごろから、医療保険事務講座とか、あるいはペン習字講座等、いろんなそういう私学あるいは通信教授等につきまして、受講後の収入とか受講に際しての特典などの表示広告につきましていろいろと当委員会に苦情が寄せられましたので、その実態を調べてみる必要を感じまして、地婦連に、各種学校、通信教育事業等における技能講習の表示に関する実態調査というのを委託してお願いをした次第でございます。
#48
○粕谷照美君 それでは、その調査の結果が上がっているというふうに思いますけれども、問題点を簡潔にお願いしたいと思います。
#49
○政府委員(澤田悌君) 調査は長いものでございますから、かいつまんでお答えを申します。
 まず、各種学校につきまして問題点がいろいろと指摘されておるのでございますけれども、一つは、課程が終了した際に授与される資格につきまして国家資格と誤認されるような表示広告が見られる点、それから教授陣あるいは施設等の優位性につきまして誤認を招くおそれのあるような表示広告、また、合格率などについてどうも客観的なデータに基づかない表示広告が見られるというような、いろいろな点が指摘されておるわけでございます。
 また、通信教育に関しましては、たとえば一週間のアルバイトで三、四万円の収入があるというように過大に誤認されるおそれのある表示広告、また就職あっせんにつきまして誤認される表示広告が見られる。それから資格の取得につきまして、たとえば健康保険事務士というような言葉を使っておりますが、公的機関の付与する資格と誤認されるような表示が見られる。また、通信教育に入会いたしますと賞品や奨励金がもらえるというような特典についての表示広告がうたわれておりますが、実際はこれらのものは結局授業料、受講料に含まれているのではないかと思われるような疑問のある表示広告等、いろいろな問題点が指摘されておる次第でございます。
#50
○粕谷照美君 私は公取委にお伺いしたいわけなんですけれども、公取が各種学校の調査を依頼したということは、各種学校というものは、やっぱり消費者問題として一つ取り上げていっていい、つまり教育の場も消費者問題等の範疇に入るという、こういう観点を貫かれたのかどうかということをお伺いいたします。
#51
○政府委員(澤田悌君) いま御質問の点が一つの問題点でございます。どうも、こういう学校法人等の問題につきましては、独占禁止法なり不当表示法に全部がぴたりと来ない面が非常に多いのでございます。たとえば事業者――独禁法なり不当表示法で事業者と申しますが、そういう場合の事業者に一体各種学校等が当たるのかどうか、明白に営利事業のようなものをあわせ行っておる場合にはこれはもうはっきりいたすのでありますが、純粋な教育活動だけを行っているものというようなものが、一体、法に言う事業者に当たるかどうか、不明確な点が非常に多いのでございます。したがいまして、あの調査の結果によりまして公正取引委員会がすべての問題を処理できるというものではございませんのですが、関係各省とも相談いたしまして具体的なケースでどうも行き過ぎだというようなものがあれば適宜改善を指導していきたいというような姿勢で臨んでおる次第でございます。
#52
○粕谷照美君 一般の主婦の受け方からいいますと、公取が、各種学校にまで、インチキ広告を出しているのではないかという疑念を持って地婦連に調査を依頼した、そういうことになれば、教育を受ける側というのは、消費者であるという立場を私たちは持ってもいいのではないか、こういうふうに考え始めているわけですね。そうしますと、私立大学あるいは私立高校などの募集要項、パンフレットというものがありますけれども、そこのところには寄付金は取るとも取らぬとも書いてない。しかし、実質には三千万、一千万取られる。あるいは、三千万、一千万でなくても、百万、五十万、七十万と取られるということも、その範疇に入るのではないかという疑義を持つ人たちがいますが、公取としてはこのようなことをどのようにお考えですか。
#53
○政府委員(澤田悌君) その点が、先ほど申しました公正取引委員会の守備範囲と申しますか、問題との関連が非常にむずかしいところでございまして、たとえば、私どもが不当表示法によって事業者というものについてどういう考え方をしておるかと申しますと、学校法人、宗教法人等であっても、収益事業、たとえば私立学校法第二十六条等に定める収益事業でございますが、そういう収益事業を行う場合は、その収益事業については事業者に当たる、こういう解釈をいたしておるわけでございまして、御指摘のような点に多額の寄付あるいは多額の授業料等の問題につきまして、私どもの扱っておる法律にいう事業者の観点からそれに介入すべきかどうかという問題は、よほど慎重に考えなければいけないというふうに存じておる次第でございます。
#54
○粕谷照美君 慎重に考えなければならないというのはよくわかりました。では、慎重に考えるつもりがおありかどうかをお伺いします。
#55
○政府委員(澤田悌君) これは関係の各省の御意見もよく聞きまして、慎重に考えてみたいと存じております。
#56
○粕谷照美君 文部省いかがですか。一緒にお考えになるおつもりはありますでしょうか。
#57
○国務大臣(海部俊樹君) 考えるつもりございますし、また考えてもまいりまして、特に入学時に要するお金の額というものはきちんとやっぱり明示すべきであると、こういう線で指導も強化しておるところでございます。
#58
○粕谷照美君 公取の方どうもありがとうございました。私の質問はそれで終わります。
 それでは、一般的な教育の問題に入りますけれども、文部大臣、ひとつ大臣としてのお答えが一つと、父親としてのお答えを一ついただきたいと思いますけれども、小学校の一年生に自分の子供を入れる場合に、親としてはどのくらいの字を覚えさせたいか、文部省としてはどのくらいまで文字や数字を覚えてきてもらいたいと、こうお考えでしょうか。
#59
○国務大臣(海部俊樹君) 親としてということでありますが、せめて自分の名前ぐらいはきちっと書けるようになってほしいと思いますし、また文部省といたしましては、小学校の一年生の学習指導要領というものを見てみますと、そこでまずひらがなが全部読んだり書いたりできるようにする、漢字も大体四十でしたか五十でしたか、書いたり読んだりできるようにするという基準を一応定めておるわけでございまして、小学校へ入る前の段階でいろいろ書いたり読んだり数えたりということは、日常生活に適したもの、日常生活で迷い子になったり恥かいたりしなくてもいいように、また四、五歳の幼児として情操とかお友達関係とか、いろいろな人間関係がすでにあるわけでありますから、そういったことに不自由しないような話し言葉とか情操とか、そういったものはきちんとやっぱり身につくようになってほしいと、こう私は考えております。
#60
○粕谷照美君 私は、文部大臣が字はまあ読めるように、自分の名前が読めるように、書けるようにと、こうおっしゃったけれども、初中局長いかがですか。いま文部大臣がおっしゃったようなことを、父母もそういうふうに考えているというふうに理解をしておりますか。教師もまた自信を持ってそれでよろしいと、こう答えるような実態だというふうにお考えでしょうか。
#61
○政府委員(諸沢正道君) ただいま大臣がお答えいたしましたように、現在の学習指導要領では、小学校の一年の段階でひらがなを十分に習い、かたかなに少し入ると、数字の計算も大体一けたの計算をさせるというのがいまの指導要領のたてまえでございます。しかしながら、実際幼稚園の実態を見ますと、かなり文字を積極的に教えたり、あるいは数字の計算をさせたりというような場合もあるように見受けるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、現在幼稚園というものが義務教育になっていないわけでございますし、それからまた、いろいろの教育学者等の話を聞きましても、幼稚園に入園する時期、つまり四歳、五歳という時期は子供の発達段階にかなり違いがあるわけでございます。したがって、その段階で系統的に知的教育をするというのはどうであろうかというような御意見等もありますので、私どもといたしましては、やはり系統的な学習活動というものは小学校へ入ってから、幼稚園の段階はあくまでも情操教育、徳育、体育といったようなことで、むしろ子供を伸び伸びと育ててあげたいと、こういうふうに考えるわけでございます。
#62
○粕谷照美君 諸沢さん、文部省の考え方は私それでよろしいと思うんですが、父母はそれでよいというふうに思っていますか、先生方もそれで結構ですと父母に対して胸張って指導できるような状況ですかということを伺っているわけです。
#63
○政府委員(諸沢正道君) 率直に申しまして、親御さんの中には、やはりもっと幼稚園で知的な教育もやってほしいという要望を持っておられる方もありましょうし、また、先生の中にもそういう対応をされる方もあると思います。そしてそのことは、単に幼稚園教育だけの問題ではなしに、続く小学校、中学校、高等学校というものが今日のような、言われるところの受験の過熱した時代というものの一部の反映であることも事実でございますので、私どもはそういう親や先生の中にも、ただいま御指摘のような考えの方もおられるかもしれませんけれども、やはりそれはよろしくないので、やはり幼稚園というものは幼稚園らしい教育をしていただきたいというふうに考えるわけでございます。
#64
○粕谷照美君 幼稚園が幼稚園らしい教育というのは一体どうあるべきかという、文部省自体も迷って指導もできないでいるような状況の中では、非常に混乱が起きているわけです。
 井の頭小学校の例を見ますと、あすはもう入学式のところが全国的に多いわけですけれども、一つの小学校に十幾つかの幼稚園から入ってくるわけですが、その十幾つかの幼稚園もまさにさまざまあるわけですね。もういろいろな宇を覚えているところから、英語から漢字からすごい教育をしているところと、いま文部省のおっしゃったように教育をしているところと、受け入れる先生はもう本当にどうしていいかわからないというのが実態だというふうに思うんです。特に幼稚園から入ってきた子、保育園から入ってきた子、全然野放しの子供といっぱいあるわけですから。
 ところが、そういうような状況の中で一体文部省の指導はどのようになっているか。小学校一年生に来ますと、もうすぐ大変な授業が展開をされなければならないわけです。これを言っていますと私時間がありませんから、全部言うことを避けますけれども、たとえば七月段階にもう落ちこぼれが出ているんだ。字が読めない、字が書けない、こういうばらつきで、落ちこぼれの部分が小学校の一年生の一学期でもう出ているんだという事実をどのようにとらえていらっしゃいますか。
#65
○政府委員(諸沢正道君) 小学校一年の段階は、幼児期から少年の初期へ移る時期でありますから、先ほども申し上げましたように、幼稚園の段階でもかなり一人一人の子供に発育の差がある。そこで、小学校一年へ入りました途端に字を習い数字の計算をするというようなことをやるわけでありますので、子供によってかなり負担になる子供もあるし、そうでない子供もあるというのが実態でございます。
 そこで、いまの学習指導要領でもそうでありますけれども、一年の段階では教えることをできるだけ基礎、基本にしぼって、それを十分反復練習させるということを主眼といたしておるわけでありますが、なお、遺憾ながら先生が御指摘のようなケースもあるわけでございまして、このことは幼稚園の段階にそういう準備をさせるということではなくて、小学校へ入ったその小学校最初の時期から、先生としても十分そういう一人の子供の能力というものを考えて指導をしていただきたいと、こういうふうに文部省としてはお願いもし、またそういう指導をしておるわけでございます。
#66
○粕谷照美君 学習指導要領をやっぱりゆとりあるものに本当にしていかなきゃいけないというのは、入学当初の四時間で十九文字を覚えなければならない。四月いっぱいで清音四十三、濁音十、五月末までに濁音、半濁音全部覚えなきゃいけないというのは、これはもう超スピードなわけですよ。そして書くことの時間が計画されていませんから、結局うちで勉強するか塾へ行かなきゃならないという状況が出てくる。新出文字がもう次から次へと法則性なく出てくる。こういう状況の中で学力が落ちているんだということは、日教組のいろいろな各県の教育白書からも私は具体的に見取ることができるというふうに思います。七月末の調査でひらがなの表記能力を調査したところが三人に一人がもうだめで、拗・長音、あるいは特記表記の半数近くはつまずいていくというふうな実例が出ておりますので、ゆとりのある教育というものを一体どのようにやっていくかということは文部省の課題だと、本当に基礎を教えていくという教育をどのように学習指導要領の中に盛り込んでいくかということは緊急の課題だというふうに思うわけです。
 でも、いまはちょっとこの点から外れまして、文部大臣及び厚生大臣にお伺いいたしますけれども、就学前教育を要望する国民の声は非常に高まっているというふうに思います。幼稚園や保育所での教育の統一を望む声もまた高まっているということも事実だと思います。教育条件の整備、幼児教育のあり方についての基本的な態度をお伺いいたします。
#67
○国務大臣(海部俊樹君) 現在の小学校入学前のいわゆる四、五歳児に対する教育につきましては、これが非常に重要だということは御指摘のとおりでございます。そして、現在幼稚園と保育所とに分かれております関係もあって、そこの教育的な面は何とか同じレベル、同じ基準のものでやっていただきたい、こう考えまして、文部省としましては、厚生省に対して、保育所で行う教育的な問題については文部省が定めております幼稚園の教育要領に準拠して教育的な面は指導してほしいと、こういうことをお願いしておりますし、また、幼稚園と保育園との間のそういった問題をいろいろと協議していくためのものも設置をいたしております。
 さらに、幼稚園につきましては、昭和五十七年度をめどにいたしまして、少なくとも入園を希望する五歳児の人が全部幼稚園に入園することができるように計画的に整備をしていかなければならぬと、こういう目標を立てて政策を進めておるところでございます。
#68
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま文部大臣の答えたとおりでございます。
#69
○粕谷照美君 行管庁、来ていらっしゃいますか。
 行管庁は、五十年にこの問題について勧告を出されておりますね。で、地域でもうばらばらだと。両方で協議をしなさいと、こういうことになっているわけですが、あの勧告の基本的な姿勢というのはどこにあるんですか。
#70
○政府委員(川島鉄男君) 次代を担う幼児の教育というものは非常に大事であるという観点から、その幼児の方々に対する保育、あるいは教育の機会を均等に持たすような政策が必要ではないかという意味から、施設の設置状況、あるいはその運営状況を監察いたしたわけでございます。
#71
○粕谷照美君 幼児全体の教育をやらなければならない、こういう観点に立ってされたわけですか。
#72
○政府委員(川島鉄男君) この幼児の教育というものが、だんだん義務化されてもいいんではないかというような意見があったりなんかすることば承知いたしております。教育がそういうふうになされていくべきであるというような予断を持って監察をいたしたわけではございません。
#73
○粕谷照美君 行管庁としてはやむを得ないことであるかもしれませんけれども、私は行管庁の姿勢、勧告をする姿勢そのものの基本的な思想がやっぱり非常に重要だというふうに思いますので、今後そういう点についての監察をお願いをしたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、文部大臣にお伺いしますけれども、先ほどの幼稚園の計画はわかりました。で、その計画にのっとって、現実にはどのような状況で進行しているかということをお伺いしたいと思います。
#74
○国務大臣(海部俊樹君) 現在、五十一年度幼稚園の在園児は二百三十七万人、五歳児の就園率も六四・六%ということに相なってまいりました。なお、ただ地域的に公立幼稚園の非常に数の少ないところ等もございますので、そういったところに対してさらに充実をしていかなきゃならぬと、こういうことでございます。
#75
○粕谷照美君 幼児の把握というのは厚生省と文部省と違っていたというふうに思いますけれども、その点については文部省の方、いかがですか。
#76
○政府委員(諸沢正道君) 文部省としましては、さしあたり、ただいま大臣が言いましたように、四、五歳の幼児の希望する者全員就園ということで考えておるわけでございまして、その場合に、基礎といたしまして一体どのくらいの幼児が幼稚園に入れば希望する者全員入園になるかということでありますが、私どもの計算では、現在、五歳児につきましては七〇%、四歳児については六八%ということでございまして、残りの幼児は保育所へ行く場合、あるいは身体的障害があって教育の対象になり得ないというものであろうというふうな推定をいたしておるわけでございます。
#77
○粕谷照美君 時間がないので、ここのところで詳しく質問している余裕がありませんけれども、いま諸沢さんがおっしゃったところでやっぱり問題があるんですけれどもね。あなた方の出された計画要項の中で「入園を希望するすべての四歳児及び五歳児を」と、ここのところはいいわけですけれども、じゃ、その次の「目標」のところに、「保育所措置児及び特殊教育対象児を除いて」という言葉があります。いまあなたが御説明になったところです。なぜ特殊教育対象児は除かなければならないのですか。
#78
○政府委員(諸沢正道君) ただいまおっしゃいました特殊教育対象児というのは約三%弱でございますが、これは、いわゆる特殊教育として、将来、特殊学級なりあるいは養護学校なりに行かれるような子供さん全部を含んだ数字ではないわけでございます。われわれといたしましても、身体的に障害のある子供についても教育の可能性のあるものにつきましてはできるだけこれはめんどうを見るというたてまえでございますが、そういたしましたとしても、なお特に幼児期の場合は身体的障害が非常にはなはだしくて、むしろ医療等が先になるべきだというような子供さんもおるわけでございますので、そういう子供さんは除いたわけでございます。ただ、その数字は、今後、いろいろの教育的な研究や調査を進めてさらに減らしていくという方向で検討をしてまいりたいと、かように思うわけでございます。
#79
○粕谷照美君 それでは、この振興計画の中の特殊教育対象児のそういう文部省の考え方だということはどこに説明が入っていますか。
#80
○政府委員(諸沢正道君) それは計画でございますので、具体的にいま申しましたようなことは一般的には計画の中にはあるいは記述がなかったかと思いますけれども、基本的な考え方はいま申し上げたようなことでございます。
#81
○粕谷照美君 私は、その障害を持つ子供たちは、持っていればいるほど小さいときから教育をすべきだという考え方に立てば、本当に幼稚園のときからやっぱり普通児と一緒に入れて教育をするという方針を文部省は持ってもらいたい、このことについてはいずれ文教委員会の中でやっていきたいというふうに思いますが、それでは、公立の幼稚園が非常に立ちおくれているというように考えておりますけれども、文部大臣は計画どおりに進んでいるんだと、こういう御答弁でした。具体的な数字をひとつ、文部省、報告してください。
#82
○政府委員(諸沢正道君) 四十七年から五十六年までの十カ年の間に、いま申しました希望者全員の幼稚園就園をするためには、幼稚園の数をもう約六千増設する必要があるということで、これを年次的に割りまして、計画を推進してきておるわけでございますが、御指摘のように、昭和四十七、八年はほぼ計画どおり、あるいは計画を上回って公立、私立の幼稚園が設置されておりますが、四十九、五十の両年度につきましては、私立幼稚園は計画どおり、あるいは計画を上回っておりますが、公立の幼稚園は計画を下回っておるというのが実情でございます。これは地方財政その他の関係かと思いますが、私どもは今後このような事態に対しまして、公立の幼稚園についてもできるだけこれを設置、普及するように指導してまいりたい、かように思っておるわけでございます。
#83
○粕谷照美君 先日、自民党の玉置委員が、幼稚園が建たないのは自民党の知事のつまみ食いが原因だということをこの予算委員会の中でおっしゃったわけですが、つまみ食いという言葉は言葉といたしまして、それは一体何億円に上りますでしょう。
#84
○政府委員(犬丸直君) 先日玉置委員にもお答えしたのでございますが、まあつまみ食いということになりますかどうですか。国あるいは交付税で措置されました財源だけ都道府県で実際に補助に支出しておらないというその差額のことであろうかと思いますが、五十一年度に国庫補助金は全体で五十億円、それから交付税措置として二百八十九億円、合わせて三百三十九億のものがなされたわけでございますが、都道府県で現実に私立幼稚園に対しまして支出されました金額が百八十二億円でございます。したがいまして、その差の百五十七億円は、あるいはどういうことになりますのか、別の方へ回ったと申しますか、もちろん交付税措置と申しますものは、これは自主財源を与えるわけでございますから、これはそれぞれの自治体の判断によって配分されるわけでございます。そういう結果になっておるわけでございます。
#85
○粕谷照美君 自治大臣、こういうのを文部省がつまみ食いと言えるかどうですかと、こう明確に否定をされてないわけですが、つまみ食いというふうに言ってよろしいわけですね。
#86
○国務大臣(小川平二君) 交付税は、これは一般財源でございますから、これをどのような使い方をするかということは、地方公共団体の自主的な判断に任されるわけでございます。理屈の問題としてはそうなるわけでございますから、つまみ食いという言葉が必ずしも適切であるかどうか、私はこれちょっとお答えしかねます。
#87
○粕谷照美君 ぜひ幼稚園を建ててもらいたいという側にしてみれば、本当につまみ食いだというふうに思うわけですよ。もう半、準義務教育になっている幼稚園なんですから、せっかく税金もあることですし、ぜひ建てるようにという指導を私は文部大臣としては各県知事に要望していただきたいというふうに考えているところです。
 さて、そのときにやっぱり玉置委員がおっしゃったことで申しわけないんですけれども、大蔵大臣、あなたに対して、私立の幼稚園は非常に大変なんだけれども、父母に一人当たり三万円ずつ出すようにしたらどうかということを質問されました。あなたはそれについて熱心に考えてみますと、こうおっしゃっています。私が教育減税をお伺いしたときにはにべもない返事だったわけですがね。一人一人に三万円ずつ幼稚園の数について出すということを真剣に考えるのであれば、今後大学の大学生に至るまで私立のあれに対してはそういうことをまじめに考えるというふうに受け取ってよろしいわけですか。
#88
○国務大臣(坊秀男君) 幼稚園を含む私学でございますね、これに対しましては経常費の補助もやっておる。幼稚園には経常設備の充実というものについては補助をやっておる。それから所得が少ない保護者、その保護者に対しましては就園奨励補助の助成をやっておる。それからまた幼稚園の設備の充実にも補助をしておる。それから園具、いろんな道具とかおもちゃとかいったようなものでございますね。そういったようなものにも補助をしておりますが、私はやっぱり教育というものは、そういうふうに財政の支出でもってこれを補助していって、お金がかからないようにやっていくということが、これが真っ当な行き方であろうと、かように思います。
 そこで、その一人頭幾らということについては、これは考えてみなければならないと、真剣に考えてみなければならないということを申し上げたつもりでございます。
#89
○粕谷照美君 それはやるという方向で考えるんですか、だめだという方向でお考えになるんですか。
#90
○国務大臣(坊秀男君) やることが適当であるかどうかと、それが適当でないかということも、それを考えたいと思います。と申しますのは先ほども申しましたとおり、原則としてやっぱり財政支出でもって教育というのは、これでお金がかからないようにしていくということが、これが真っ当な方法だと、かように私は考えております。
#91
○粕谷照美君 教育減税はやらないと明確にお答えになっている。これは考えるとおっしゃっているんですから、それはやるということが前提でなければならぬ。
#92
○国務大臣(坊秀男君) いまも申し上げましたとおり、原則は教育をする場合に、その教育費というものを各家庭においてこれを所得控除をするということは、これは適当ではないと私は思います。
#93
○粕谷照美君 もう大蔵大臣の答弁、何言ってらっしゃるかわからぬけれども、時間ありませんから次へ進みます。
 そのときに、玉置さんは、公立の幼稚園というのはみそもくそも一緒だと、こういうふうに言われたんですね。だれがみそでだれがくそなんだかわかりませんけれども、カーターさんの一人娘の工ミーちゃんは、ホワイトハウスから一般の公立小学校へ入っている。新自由クラブの河野洋平さん、日教組の先生方に大変評判よろしい。何かといったら私立がいっぱいあるのに普通公立学校に入れていると、こういうことなんですけれども、もし公立学校がみそもくそも入るのであって、私立が特権階級が入るのであるということになれば、私学助成法なんというものは、特権階級のために金を出す必要がないというふうに思うんですが、大臣あなたは私学出でもありますし、お子さんも私学に入れていらっしゃる。そういうようなことで公立に対する考え方というものはどのようにお考えになっていらっしゃるか。
#94
○国務大臣(海部俊樹君) 私は、残念ながら公立を落っこちましたので私学へ進んだわけでございますが、私学といえども多くの学生を教育してくれまして、それはやっぱりいろいろな意味において果たしておる役割りというものは非常に高いと思いますので、その私学に対して私学の親の教育費負担というものが、父兄の教育費負担という面から格差が非常にありますと、これまた一つのよくない面だと、こう思いますので、私学に対する助成には全力を挙げておると、こういうことでございます。
#95
○粕谷照美君 そうではなくて、やっぱり公立がみそもくそも一緒でと言ったところを文部大臣が否定をされないで、私も私学の果たしてきた役割り、特に私学を最初から涙ぐましい努力の中で盛り上げてくださった先人の方々には敬意を表しているだけに、あの言葉には非常にひっかかりがあったということを大臣には申し上げたかったわけです。
 次に、私はぜひ保育園あるいは幼稚園、それから全然行けないなんというような子供たちじゃなくて、幼児教育は平等にやっぱり振興していただきたい、保障していただきたいというお願いをいたして次に移りたいというふうに思います。
 文部省にお伺いいたしますけれども、付属小学校、中学校が一体テストをやって入学をさせるということは、どこからきているのでしょうか。
#96
○政府委員(佐野文一郎君) 付属学校の場合には、御案内のように学部の教育研究に協力をし、また教育実習生を受け入れるという特別な任務を持っておりますので、その付属学校の趣旨とするところに従って特別な教育研究を行う。それにふさわしい子供を選ぶという意味で児童生徒の選抜を行う場合もありますけれども、一般的にはかなりの志願者が参りますので、それに対して選別をする。ただ、そのときにもできる限り抽せん制を導入をして、そしていろんな子供たちが自然に入ってくるような、そういうことを考えるわけでございますけれども、同時に、付属の場合にはかなり長期にわたって教育実習住を受け入れるというふうなこともございますので、ある程度の、やはりそれに対応できるだけの力を持った子供を入れなければならないということもございます。そういったことも考えて、抽せんとテストというものの併用を行っているところもあるわけでございます。
#97
○粕谷照美君 それでは全国の国立の付属学校の中で、特に小中学校に義務制に限りますけれども、無差別で入学をさせているという学校はどことどこで、テストのみというところはどことどこで、あるいはまた併用だというところはどの程度だと、明確な数字までは要りませんけれども、お答えください。
#98
○政府委員(佐野文一郎君) 抽せんだけで入れておりますのは小学校で一校、それから中学校で三校でございます。それ以外に、テストと抽せんとを併用をいたしておりますものが小学校でもって六十七、中学校で五十四でございます。それらを通じて抽せん制を採用しておりますものが小学校で計六十八、中学校で計五十七でございます。
#99
○粕谷照美君 学力テストのみというところはどうでしょう。
#100
○政府委員(佐野文一郎君) 抽せん制を採用しておりません学校は小学校で三校、中学校で十九校でございます。
#101
○粕谷照美君 永井文部大臣が、この点については改善をしていくということを先国会の中でお約束をしておられるわけですが、その成果はどのようにありましたでしょうか。
#102
○政府委員(佐野文一郎君) 四十四年に、教育職員養成審議会の方から抽せん制の導入による附属学校の入試のあり方の改善というものの建議を受けまして、それ以来鋭意指導をいたしてきているわけでございます。これら、先ほど申し上げましたような抽せん制の採用の実態というのは、四十四年以来急速に各学校が採用した結果ここに至っているわけでございます。しかしながら、残り三校、十九校、この中にはもちろん特別に問題のある子供を入れて研究学級をつくるためにテストの方法をとっている、抽せん制によらないというようなものもございますけれども、一般的には抽せん制を導入した方が望ましいことは明らかでございますから、各学校に対して現在も強く抽せん制による入試のあり方の改善を求めておりますし、学校側も真剣に対応いたしております。
#103
○粕谷照美君 付属がエリート校化しているという批判が非常に厳しく出されておりますけれども、特に小学校に試験をやって入学をさせる、付属に。そして、その付属から付属の中学に行くときに足切りというのがありますね。成績の悪い一定層を公立高校に戻すわけです。先生が生徒をおどす言葉に、おまえ勉強しないと、そんな悪い子になっていると公立小学校へ入れるぞと、こういうふうに言うと、生徒はもうしゃんとなってしまうという実情があったわけですが、その辺のところはいまどのように改善されていますか。
#104
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、小学校から中学校、あるいは中学校から高等学校へのいわゆる連絡進学について、全員の者がそれぞれ連絡して進学をしていくわけではないという実態がございます。そういった連絡進学の問題というのも、ひいてはそれぞれの小中高における入学者の選抜のあり方の問題にもかかわるわけでございますから、それらをあわせて現在日本教育大学協会あるいは附属学校連盟に対して、その改善の検討を求めており、日本教育大学協会の方では付属学校が所属をしております第三部会の中に特に小委員会を設けまして、付属学校の入試のあり方について、先生御指摘の点を含めてその改善方策を検討しているというそういう状況でございます。
#105
○粕谷照美君 それは早急にやってもらわぬと困るわけですよ。塾がだめだ、塾がだめだなんて皆さんはいろいろと統計を発表されますけれども、皆さんの御家庭に配布される新聞の中のこの折り込みを見てください。どこどこの付属学校に何人入ったかということが、これがもう宣伝文句ですよ。付属がそういう実態になっているということはこういう状況をつくり出すということになるんじゃありませんか。その辺、いかがお考えですか。
#106
○政府委員(佐野文一郎君) 全部の付属学校が進学のいわゆるエリート校になっているわけではなくて、付属学校それぞれ特別の教育研究の課題を抱えて、複式学級の問題であるとか、あるいは教育研究の開発のためのいろいろな課題であるとか、あるいは帰国子女学級であるとか、そういった特別の研究のための努力はいたしておりますけれども、一方で御指摘のような状況が、きわめて遺憾な状況でございますけれども、あることはこれは率直に認めなければならないところだと思います。
 小中学校あるいは幼稚園の場合には、この問題は抽せん制をさらに徹底をして導入をしていくということによって、相当程度まで改善をすることができますので、そういう方向で現在指導をすると同時に、各付属学校がそれぞれその設置の本旨を生かして、それぞれ特色のある教育研究をその付属学校として行うように、あわせてお願いをしているところでございます。
#107
○粕谷照美君 それでは次へ移っていきたいというふうに思います。
 文部省にお伺いしますけれども、障害を持っている子供たちの数、それからその子供たちがどんなような状況で教育を受ける権利を保障されているかという数字を御報告ください。
#108
○政府委員(諸沢正道君) お答えします。
 現在、心身に障害があって普通の学校の普通の学級で勉学するよりは、特殊学校なりあるいは通常の学校の特殊学級で勉強をさせた方がよいというふうに考えられる子供の数は、推定でございますが全国で五十六万ほどございます。そのうち、現実に特殊学級で教育を受けあるいは特殊学校へ行っておる子供というのは十七万七千でございますから、全体の約三〇%ぐらいになるわけでございまして、あとそれじゃその残りはどうなっておるかということでございますが、相当の子供が軽い障害のために普通学級で、普通の子供と一緒に教育を受けておるという方もありますし、それからいわゆる不就学の児童というものも若干ある、こういうようなことでございます。
 そこで文部省は、盲学校、聾学校の教育はすでに義務教育となっておりますが、精神薄弱、病虚弱、肢体不自由といったいわゆる養護学校教育の対象になる子供について、その養護学校教育を昭和五十四年度から義務教育化するという方向で準備を進めておるわけでございまして、昭和四十七年からこの計画が始まりまして、現在のところ各県においてそれぞれ努力をしていただいて、大体計画どおり養護学校の整備が進められておるわけでございます。したがいまして、五十四年度の義務制実施とともに、大体の子供さんはこの養護学校で教育を受けられるようにしたいということで考えておるわけでございますが、なお若干その対象となり得ないような者については、いわゆる訪問指導等の対象としてこの義務制の実施を進めてまいりたい、かように思っております。
#109
○粕谷照美君 児童生徒の数が推計であるという理由は何ですか。
#110
○政府委員(諸沢正道君) これは特殊教育対象の子供はどのくらいいるかということは、現実に毎年毎年一人一人調べておるわけではございません。そこで文部省では、かつて昭和四十二年でございますが、全国的な調査をいたしまして、障害がある、あるいは障害の疑いのあるという子供を抽出いたしまして、その実態というものを障害の程度に応じて重い者がどのくらい、中度の者がどのくらい、軽い者がどのくらいというふうに調べたわけでございます。そしてこれを一つの障害児の出現率というふうにとらえまして、その後も大体この出現率というものを基礎として障害児がどのくらいあるかということを毎年計算をしておるということでございますので、この障害児の数を推定するとこういうふうだというふうに申し上げたわけでございます。
#111
○粕谷照美君 基本そのものも大変漠としたものでありますけれども、私はこの五十六万人のうちで学校へ入っている者、それから免除、猶予、これを引きますと三十六万八千三百人がどこへ行っているかわかんない。学校にいるんだという状況だと御報告いただきましたが、その証拠はどのような調査をされましたでしょうか。
#112
○政府委員(諸沢正道君) ただいま申し上げました数字は、五十年五月一日現在の調査でございますが、実は私どもは昨年一年をかけましてそれぞれの県についてもう少し詳しい実態の調査をしてもらいたいということでやってまいっておるわけでございます。その結果についてはまだ詳細に取りまとめておりませんけれども、いま申しました数字は大体そう違わないんではないか。したがって、どうしても軽い方は普通の学校へ行っておるというふうに考えざるを得ない。ただ不就学の子供さんにつきましては、これはいろいろの事情があって学校へ行ってないということで、必ずしも正確な数字を各県がつかんでいないという実情も一方ございます。
#113
○粕谷照美君 ぜひその実態を早く調査をしていただきたいということを要望します。なぜかなれば、その実態がなければ、私は養護学校の義務設置などと言っても非常に根拠がない数になるんじゃないだろうかということを考えるからです。
 文部大臣、お伺いしますけれども、養護学校というのは、これは府県が設置をする義務があるというのですか。学校が建てられたから障害を持っている子供は入りなさいというこの義務があるというのでしょうか、どちらでしょう。
#114
○国務大臣(海部俊樹君) 養護学校の義務制に踏み切るということは、就学するすべての人を受け入れるために、たとえば学校を設置するとか、そういう設備をきちんとする義務があるということでございます。
#115
○粕谷照美君 ぜひそういうふうに、子供たちが障害を持っているけれども普通の学校に上がりたい、地域の子供は地域の学校へ行きたいという条件があればそれは保障してくださるというお考えなんでしょうか。
#116
○国務大臣(海部俊樹君) これはどこで教育をしたらその子供さんのためになるかという観点で、いろいろやっぱり専門的な判断が必要かと思いますが、各都道府県等にあります就学指導委員会の中に、お医者さんとかいろいろな専門家がおいでになりますが、そういうところで、たとえば養護学校へも来れない方には自宅訪問でいくとか、あるいは生命の保持がもっと大切だという子供さんには病院でするとかいうような意見を出されておるようでございますが、どの程度の子供さんが養護学校じゃなくて普通の学校へ来てもらった方がよりよくなるかということも、やっぱり専門的な方々の御意見等も十分聞きながら、できるだけ本人の希望にかなったような方向を考えてあげるのが教育上好ましいのではなかろうかという感じを私は持っております。
#117
○粕谷照美君 私は文部大臣のその考え方に賛成ですから、ぜひそういう考え方で進めていただきたいと思います。
 では労働大臣にお伺いしますが、ことしその養護学校を卒業した人たちの就職状況は非常に悪いというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
#118
○国務大臣(石田博英君) ことしに限った報告はまだ受けておりません。
 ただ、身体障害者雇用促進法というものが昨年の五月改正されまして、そして十月から実施されておるわけです。雇用を、法的義務を強化をいたしまして、全体として〇・二%上げております。最近はこの使用者の社会的責任というものも感ぜられるようになりまして、新聞広告等で身体障害者に限って採用するという広告も見られるようになってきておるわけであります。
#119
○粕谷照美君 労働省にお伺いしますが、そういう状況は大変好ましいというふうに思いますが、各省庁のこの雇用率の達成率はいかがでしょうか。
#120
○政府委員(北川俊夫君) いま大臣申しましたように、身体障害者雇用促進法の改正を行いまして、五十一年度の調査は本年の六月に把握をすることにいたしております。最近時点の調査は五十年の十月時点の調査でございます。それによりますと、各省庁のうちで雇用率を達成しておりますのが四省庁、達成はしておりませんけれども、一・七%程度でもう一段の御努力をいただければ達成できるところが十二省庁、それから非常に、一・六以下というところが五省庁と、こういうところでございますが、昨年の十月現在で再度連絡、調査をいたしましたところ、大変各省庁とも御努力をいただきまして、法定の雇用率を達成しておる省庁が四省庁から十三省庁、それからもう一段の御努力というところが、先ほど申しました十二省庁から四省庁、まだかなりの努力が要るというところは四省庁と、こういうことで、この法律の施行により、かなり各省庁とも御努力をいただいていると、こう認識しております。
#121
○粕谷照美君 その省庁の名前とパーセンテージ、特に最低の省庁の名前を言ってください。
#122
○政府委員(北川俊夫君) 達成率が非常に高いところは、たとえば厚生省二・六%、環境庁二・一%等でございます。いまのところ達成率が非常に低いと見られておりますのは、沖繩開発庁が、やはり人数が非常に少のうございます関係もありまして、達成率がいまのところ〇・八、この程度になっております。
#123
○粕谷照美君 だめだめ、そんな、答えになっていない。(「四庁が低いから、あと三庁言いなさいよ」と呼ぶ者あり)
#124
○政府委員(北川俊夫君) あと外務省が一・六六%でございます。郵政省は達成率そのものが一般の官庁よりも低くて一・八でございますが、現在一・七七、建設省一・四九と、こういうことになっております。
#125
○粕谷照美君 答えてないんですよ。低いんじゃなくて、これは法律違反にならないんですか。だからそこのところ全部言ってくださいということを言っている。
#126
○政府委員(北川俊夫君) 私申し上げておりますのは、まだ正式の調査をいたしておりませんで、正式の調査は本年の六月時点で法律に基づいて把握するわけでございますから、いま申し上げておりますのは、中間時点でどの程度御努力をいただいておるかということで、非公式に把握をした数字でございます。したがいまして、いまの御答弁で御了承をいただきたいと思います。
#127
○粕谷照美君 それは本庁だけですか。
#128
○政府委員(北川俊夫君) 法律に基づきまして、任命権者ごとに各地方の出先も含めての雇用率でございます。
#129
○粕谷照美君 大体省庁がきちんとしなければ民間を指導することができないというふうに思いますので、その時点できちんと掌握をして報告をいただきたいというふうに思います。
 労働省にお伺いしますけれども、各企業が障害者を採りたがらないといういろいろな理由の中に、人間関係がうまくいかないからだということがあるというふうなことを聞きますが、いかがでしょうか。
#130
○国務大臣(石田博英君) それについて調査をいたしたのでありますが、一番多いのは、適職がないというのが八〇%くらいございます。そして、いまお話しの人間関係の点は意外に少なくて五%をちょっと超えるくらいであります。そして、その人間関係についても、個別的な要素が非常に多いように受け取られます。
#131
○粕谷照美君 労働大臣としてはどうでしょう、障害者が特別の養護学校、特殊学校、こういうところから、ぽんと一般の人間関係の場所、職業につく場合と、小学校のころから普通児と一緒に教育を受けて、人間関係があたりまえだというような状況につくのと、どちらがいいというふうにお考えですか。
#132
○国務大臣(石田博英君) これは、その人の障害の度合いにもいろいろよる、種類にもよると思いますが、そういう方々は、その種類に応じた教育を受け、あるいは訓練を受けてある程度のものを持った方がいい場合、そういう場合には、そういう種類の教育、あるいはそういう種類の訓練――私の方の職業訓練所では、そういう身体障害者のための訓練課程というものを年々ふやしていっております。
#133
○粕谷照美君 すれ違ってしまうんですけれども、職業訓練を受けるということはいいと思いますけれども、人間の心をつくるのはどうかと。
#134
○国務大臣(石田博英君) わかりました。身体障害者の方々に対する理解、その一般の人々との関係をおっしゃっていらっしゃるわけですね。
 それは、一般の人々がそういう人に対して温かい理解を持つように、社会教育、学校教育が協力をしてくださることを一番望ましいと思っております。
#135
○粕谷照美君 望ましいとばっかり思っていられては困るんでありまして、たとえば、厚生省は今回文部省に対して、社会福祉の教育を充実してもらいたいということで非常に多岐にわたる要望を出しております。けれども、これは厚生省が出したということよりは、地域の方で、もう大変な状況だからというので、実践があって、ようやく厚生省の方でもそうだそうだということで出されたというふうに思いますが、いかがでしょう。障害者の声というのはなかなか大臣のお耳まで届かないというふうに思いますけれども、そのことを取り入れて文部省に対して何らかの要求を出される、あるいはお話し合いをされるというような気持ちはおありでしょうか。
#136
○国務大臣(石田博英君) 社会一般の人にそういう温かい理解を持ってもらうような教育とともに、障害者の人はどうしても社会と隔絶される面が多い。したがって、物の判断や何かする場合に、非常に判断の基点というものが一般の人と違う場合もありますので、そういう障害者の教育というものを拡大していくように文部省の方に要請をしたいと思っております。声を聞かないんじゃない、きのうも実は聾学校の教育に当たっておられる人々の声を伺いました。要点は二つありまして、一つは、聾唖者のために短期大学のようなものができないだろうか、それからもう一つは、聾唖者に適職だと思われるものが私どもの方の訓練所の訓練課程の中にないから、それを足してもらいたいというような声も聞きました。
#137
○粕谷照美君 私は、障害を持つ人たちが、たとえば目が見えない人たちは、いままでのようにあんま、はり、きゅうなんていう、そんな狭い教育ではなくて、もっともっと幅の広いものをやらしてもらいたいという要求を持っているわけですから、そういうようなものにこたえるためには、やっぱり学校教育との関連が非常に大きいという観点で、労働省からも文部省に対していろいろな話を持ち出していただきたいというお願いをしたいと思います。
 そして、いま国民春闘といいまして、春闘が大きく展開をされておりますけれども、この中に障害者の団体が一緒になって、労働者とともにわれわれの権利を高めていこうという、こういう運動が進んでいるわけです。先日ここに参考人として来られました宮尾修さんもその障害者団体の一員です。最後に彼は福田総理に対して、ぜひわれわれの団体とも話し合って、そして総理、障害者の声を聞いていただきたいと、こういう切々たる訴えをされましたけれども、総理には、私は、障害者の教育だとか、いままだ義務教育と認められていない幼稚園教育あるいは保育園教育、つまり幼児の教育に関する、一国の責任者としての総理のお考えをお伺いして質問を終わりたいというふうに思います。
#138
○国務大臣(福田赳夫君) 身体障害者に対しましては、特に国といたしましては温かい気持ちで事に当たっていかなけりゃならぬと、そういうふうに考えます。今後ともそういう考え方で、各省の仕事を進めていきたい、かような考えでございます。
#139
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして、粕谷照美君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#140
○委員長(小川半次君) 引き続き、対馬孝且君の質疑を行います。対馬孝且君。
#141
○対馬孝且君 総理大臣にお伺いをします。
 いま、日ソ交渉の重大なかぎを握っているのは園田特使の派遣にかかっていると考えます。遺憾ながらビザが出ないで訪ソできないということで、漁民は重大な関心を払っております。ビザの問題についてどういう段階になっておるかお伺いをいたします。
#142
○国務大臣(鳩山威一郎君) 本日の九時半に、在京のソ連大使館の領事部長から連絡がございまして、園田特使の一行のビザは本日発給をいたします、こういうことでございます。議員団につきましては、四月中は無理であるということを言っておる……
#143
○対馬孝且君 何ですか、はっきりと。
#144
○国務大臣(鳩山威一郎君) 議員団でございます。議員団の訪ソにつきましては、四月中は無理であるということを先方が申しておるところでございまして、なお折衝をいたしておりますけれども、そのような連絡があったわけでございます。したがいまして、園田特使の御出発は明日になるのではないか、そのつもりで手続をいたしておりますが、このビザがおりるというのは、いまのところ園田官房長官を初め四名と言っておりますので、それでは当方は困るのでございまして、それに随行する者につきましていま鋭意折衝中でございます。
#145
○対馬孝且君 園田特使のビザがおりたということは、これは非常に好ましいことでありますが、議員団の派遣が四月中むずかしいといういま外務大臣のお答えでは、これに対応して外務省はどういう態度をとるのか、これをはっきりお願いします。
#146
○国務大臣(鳩山威一郎君) 目下鋭意折衝をいたしておるところでございます。
#147
○対馬孝且君 努力しているだけでは問題の解決は成りませんので、これからどういう手だてをしていくかということが第一点。
 総理、そこできのうの千葉市の記者会見で、園田特使の派遣についての考え方を発表されています。これは交渉ではなくて、友好の関係で派遣をするのだと、こうおっしゃっておりますが、この大詰めの段階ですから、この特使に対して総理としての託した意思というものはどの点にあるのか、この点を明らかにしてください。
#148
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、日ソ関係というものは将来明るい展望を持ち得る可能性を多く持っておると思うのです。いままでも文化の関係、人事の交流の関係、経済の協力の関係、いろいろあります。特に経済関係なんかこれからもずいぶん協力の余地があると、こういうふうに思うわけでありますが、それを積み上げていきますればかなり高度の親善関係ができると、こういう確信を持っておるわけです。またそう展望をしておるわけです。漁業問題も日ソ両国の接触点の一つでありますが、漁業問題はいま世界的に新しい秩序を求めると、こういう時期でありまするから、まあ日ソ間に問題はあり得るわけであります。しかし、そういう問題を乗り越えまして明るい将来の日ソ親善の展望を築こうじゃありませんかと、そういう呼びかけをいたすのが園田特使の任務である。でありまするから、交渉、漁業交渉はいたしません。どこまでもそういう大きな日ソ関係の展望に立ってこの漁業問題も処理すべきであるという私の考え方を伝える、こういうことでございます。
#149
○対馬孝且君 いま総理としての特使に対する意思はわかりました。いずれ午後から二百海里問題を中心に質問をしたいと思いますので、当面緊急なこのビザの問題だけにしぼって私は質問いたしておりますので、外務大臣、あらゆる努力をすると言っても、これは国会決議に基づく国会議員派遣団ですよ。これが相手国に対して四月中でなければできないということで、努力をしますというようなことでいいだろうか、私は、少なくともこの国会決議、国会議員団の派遣ということは、むしろ特使と同様に扱われてしかるべきであると、こう考えますが、この点どう考えますか。
#150
○国務大臣(福田赳夫君) 私も全く同様に存じます。でありますので、強くソビエト側と交渉いたしまして、何とかこれが実現するようにと、かように考えております。
#151
○対馬孝且君 ひとつ政府を挙げて国会のこの議員団の訪ソを成功するように強く希望いたしておきます。
   午前中はこれで終わらせておきます。
#152
○委員長(小川半次君) 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二分開会
#153
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、昭和五十二年度総予算三案を一括して議題とし、対馬孝且君の質疑を続行いたします。対馬孝且君。
#154
○対馬孝且君 独占禁止法の改正案に関しまして簡潔にお答えを願います。
 一つは、福田内閣の直系と言われる通産大臣の独占禁止法に関する反対の態度を、四月一日の新聞で、これに反対であると表明いたしております。この点について通産大臣の見解をお伺いしたい。
#155
○国務大臣(田中龍夫君) 御質問にお答えいたします。
 御案内のとおりに、先般山中委員会の最終的なメモができまして、それを政策審議会に対してお出しになったのであります。まだその間におきまして通産当局並びにわれわれの方へは一切御相談にあずからない姿で審議されたわけでございます。御承知のとおりに、独禁法の関係は、今日まで数回の国会に出まして、同時にまた、各党の間でいろいろと御論議がございます。五党修正といい、あるいはまたその後の経過にかんがみまして、山中委員長が大変な取りまとめに御苦労なすったこともよく承知をいたしております。そういうふうな政治的な推移とは別に、その成文の内容等、政府といたしましての産業行政をおあずかりいたしまするわれわれに対しましては、まだ詳細な内容も御披露になりませんし、御説明もなかった段階におきまして、ちょうど閣議の後記者会見がございました。どういうふうに考えるかという御設問に対しまして、いまや日本の置かれておる国際的地位というものは非常に重大な段階に来ておる、あるいはECあるいはアメリカ等に対しましての非常に困難な経済関係に置かれる一方、国内的にも景気の後退、冷え込みというものに対して何とかして経済界、産業に活力を与えなきゃならぬという段階だ、まだ案の内容は全然見ておらないんだが、それに対して私ども産業行政をおあずかりする責任者といたしましては、何をおいても企業に活力を与え、国際競争力をつけるということが最も重大なことであるから、まだ政府部内の検討の段階には至っておらないが、案をちょうだいして十分に審議を尽くさなきゃならない、もちろん政治的な経過並びに各党の間の政治的な折衝におきましては山中メモで結構でございまするが、政府部内におきまするデテールにわたってのいろいろな案文その他のものはやはりりっぱなものをつくり、日本の産業政策の上におきましてもなお一層これを健全化し、景気の回復をしなきゃならぬ、そういう意味合いにおきまして、政府部内の検討に本日から入ったような次第でございます。
 なお、閣僚会議は一応六日に予定されております。その詳細な事務的な詰め、事務的な検討を終わりまして、また閣僚会議も論ずべきことを十分に尽くしまして、そしてりっぱな成案として今国会が通過いたしまするように御協力を申し上げる次第でございます。
#156
○対馬孝且君 いまあなたはそういうお答えをしていますが、抽象的に反対をしているんじゃないのです。四月一日の日経によりますと、明らかに企業分割という財界の一番重大な課題にしぼってあなたは反対をしているんですよ。われわれは物価安定のためには独占禁止法は何が何でも通さなきゃならない、これは総理の至上命題の今国会の課題です。そういう中で、企業分割反対というものは財界の意向ですよ。明らかに大企業べったり、財界べったり。しかも、中小企業のために守るなら別にして、消費者のために守るなら別にして、財界の意向をくんだ企業分割の反対という態度については、断じて私は許されません。この点は抽象的に答えるのでなくて、具体的に答えてください。
#157
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、私ども産業行政の中には、中小企業に対しまする真剣な不況対策をいたしますると同時に、またあるいは、国際経済の中におきまする日本経済の問題もございます。独禁法のこの分割の問題におきましても、御案内のとおりに、大企業なるがゆえにどうこうというのではないのでございまして、それが弊害が出ました場合に分割あるいは一部譲渡という問題が出てくるわけでございます。さような意味におきましては、やはりそれ自体の本質的な問題をよく見きわめまして、そしてただ形の上で企業分割反対と、こう申したのではございません。いまお話しのように、閣議が終わりました後の、まだ案もメモも見ない段階におきましての、まあ原則論、概論的なあれに対して、新聞社の定期の会見がありましたときに申しただけでございます。いまの基本姿勢につきましては、もちろん総理が今国会において決着をつけると言っておられる。同時にまた、分割の問題につきましても当然お考えになっておられるので、当然私ども閣僚といたしましては総理の姿勢に対して全面的に御協力を申し上げますから、どうぞその点は御心配がないようにお願いいたします。
#158
○対馬孝且君 どうも、通産大臣、それは御安心くださいということですが、あなたは、一昨年の五党独禁法の改正案に対して、当時衆議院でしょう、あなたは自民党の衆議院議員として全会一致で本会議に参加をしておるわけです。通産大臣になった途端に反対であるという言い方は、議員の道義上、議員の政治生命として私は了解できません。この点はどう考えますか。
#159
○国務大臣(田中龍夫君) 御質問をいただきまして私の方からかえって御礼を申し上げます。というのは、そのときの会見は、御案内のとおりに、閣議が終わりましてすぐの定例の会見でございまして、まだ案の内容もメモも拝見しない段階でもございました。それからまた、原則論的な問題といたしまして、国際競争力、また企業に対して活力を与える、あるいは厳しい国際情勢下におけるそのような問題について案をよく拝見いたしましてから、そうしてまた政府当局といたしまして、産業行政をおあずかりする者といたしまして主張すべきことは主張し、りっぱな案を整えましてこの内閣の政府の御提案といたすわけでございます。過ぐる国会におきまして、自由民主党の一党員といたしましてもちろん同意はいたしておりまするが、具体的に産業行政をおあずかりする身となりますると、いろいろ条文等の問題につきましても申し上げるべき点は責任上申し上げる機会が当然あったと思います。本質的におきましては他意はございません。特に御質問いただいて私の気持ちを明らかにすることをしていただきましたことを厚く御礼を申し上げます。
#160
○対馬孝且君 いま、真意の問題を、これはありがとうございましたとあなたは言っていますが、国会で一たん参加をして国会の審議の場に採決をして、あなたは党員と言うけれども、あなたはりっぱな国会議員として参加したんですよ。それが通産大臣になったら、これは政策の問題だから反対をしていいんだというようなことだったら、これは真意は問題だと思うのです。したがって、少なくともぼくは政治道義上の問題としてお聞きしているんですよ、政治姿勢として。
 それと、もう一つは、あなたは分割の問題についてどういう答えを出すんですか。
#161
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 その分割の内容でもございまするが、たまたま昨日の時事放談でもこの独禁法の問題が細川隆元先生の放談がございました。そのときにもはっきりと端的に言っておられますことは、つまり大きいからこれが悪いという問題ではないのであって、一方におきましてはその大きくなること自体によって中小企業の不当な圧迫があり、あるいはまた不当な価格の上昇等があり、そういうふうな弊害というものが露呈をしたときに分割という問題が当然厳しい姿において出てまいるわけでございます。同時にまた、私どもは、国家の経済の産業構造という意味から申しまして政府といたしましての責任という問題は、これは何と申しましてもあるわけでございます。さような関係で、分割という問題につきましては、ただいま申し上げたように、あくまでも独占的な弊害を除去し、そうしてまた、そういうふうな不当なことがここで起こりました場合に初めてそこに行われる行政行為でございますので、この点は決して他意はございません。
#162
○対馬孝且君 総理大臣にお伺いします。
 あなたは、この間この席上で、今国会で独禁法だけは何が何でも成立をさせたい、願望でありますと、こうお答え願ったわけでありますが、いまあなたの配下に、この独禁法に反対だと、こういうわけですよ。したがって、閣内不統一でありませんか。少なくとも総理大臣として、この独禁法の企業分割を含める内容と、通産大臣が仮にそういう意思表示があったとしても、この独禁法問題に対してどういう処理の仕方をするのか、お伺いします。
#163
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、独占禁止法は多年の懸念でありますので、今国会で決着をつけたいと、こういう方針で、しばしばそれも申し上げてきておるわけなんです。それには各党の賛同を得なければならぬ。この前いわゆる五党修正案が衆議院で通過しながら参議院で廃案となった。その経過を考えてみますと、どうも非常に残念な次第なんですが、与党自由民主党の中に乱れがあったと、こういうふうに考えておるわけなんです。今度は、そういうことがあってはならぬと、そういうことで、与党の調整ですね、これに時間がずいぶんかかりまして、やっと党調整が大方でき上がったと、こういう段階であります。与党調整案を明後日を予定しておりますが、内閣の方で審議をすると、こういう段取りをつけておるわけでありまして、私の気持ちは、なるべく野党の皆さんの御協力、御理解を得なければならぬ。そこで、与党調整の段階でも、与党の方から野党の方にこういう経過だということを報告し、御理解を深めると、こういう努力もいたしておるわけであります。政府の方へいよいよ問題が上がってきましたものですから、政府の方の決着をつけるわけでございますが、これはもう内閣が不統一なんということはあり得ませんから、ちゃんと結末をつけます。
#164
○対馬孝且君 五党修正案というのは、全会一致で総理がいまお答え願ったように経過がございますから、少なくとも総理大臣が、あなたのあれが反対だなんていうことがあったとしても、これはいまお答え願ったように五党修正案の線でこれはやっぱり与野党まとめるべきであると、このことだけはひとつ明確にしておきたいと思います。
#165
○国務大臣(福田赳夫君) 五党修正案なるものが先般の参議院で廃案になっちゃったんです。その経過も考えなければならぬということを申し上げておるわけであります。ですから、五党修正案に比べますと若干の修正がありますが、まあ大体五党修正案と私は協調し得る性格のものができるのではあるまいか、そういうふうに考えております。いずれにいたしましても、近く政府案をまとめまして御審議を願いたい、かような考えでございます。
#166
○対馬孝且君 特に五党修正という基本に立って最善の努力をすることを申し上げておきます。
 次に、先ほど時間もありませんでしたので、二百海里問題は、私も北海道でございますので、五百三十万道民の大きな願いであります。
 そこで、第一点は、二百海里問題に対する日ソ交渉の基本的なとらえ方、私は、第一の問題は、漁民の生活の死活の問題である。第二は、全国民の食糧、たん白の食糧源の問題である。第三には、日本国領土の主権にまつわる問題であると、こう三点の課題で私はこの問題をとらえているわけであります。したがって、以上三点の考え方に対して、きょうまあ園田特使が参るわけでありますが、ビザがおりましたが、これに臨む政府の基本的な態度ということをひとつここで確認しておきたいのであります。
#167
○国務大臣(鈴木善幸君) いま対馬さんから御指摘になりましたように、日ソ漁業交渉、この北洋漁業は、わが国の国民経済全般につきましても、特に北海道、東北、北陸等の関係漁民、並びにそれに連なるところの加工業者等を含め、大変重要な問題でございます。また、御指摘のとおり、たん白食糧の過半を魚肉で賄っておるという日本の国民生活の実態、そういう面からいたしましてこれまた大変重要な問題であると、このように私ども認識をし、これが打開にあらゆる努力をいま傾倒しておるところでございます。
 なお、領土の問題につきまして御発言がございましたが、この問題は領土の問題と切り離して、漁業問題として私は解決をしていきたい。総理からもさような御指示をいただいておるわけでございます。
#168
○対馬孝且君 二百海里問題でいま日ソ交渉が重大な段階にありますが、二百海里を早期に宣言をすることが日ソの同じ土俵に上がって対等の交渉が展開できる。これはまあ常識的なことだと思うのです。そこで、外務省にお伺いしますが、世界各国でどの国とどの国が二百海里を宣言し、二百海里施行の実施方法についてどうなっているか、これを外務大臣にお伺いします。
#169
○国務大臣(鳩山威一郎君) アメリカ並びにソ連につきましては、アメリカにつきましては国内沖で二百海里を実現をいたしたわけであります。ソ連につきましては御承知のように昨年の十二月の十日に最高会議幹部会令をもちまして二百海里の施行をするという大方針が決まり、その具体的な線引きは二月の二十四日の閣僚会議令で具体的な線引きが行われた、こういうことでございますが、なおその他の各国のことでございましたら、条約局長から答弁させていただきます。
#170
○政府委員(中島敏次郎君) お答え申し上げます。
 その他の各国の二百海里を設定いたしております国々といたしましては、私どもが三月末現在で調べましたところでは、バングラデシュ、コスタリカ、アイスランド、それからこれは新聞の報道でございますので確度が必ずしも明確でありませんが、アンゴラ、セネガル、メキシコ、アメリカ、グアテマラ、モザンビーク、インド、スリランカ、EC諸国、カナダ、ソ連、ノールウェー、パキスタン、キューバ等の国々がございます。
 実施の方法につきましては、先ほど外務大臣からお答えがありましたように、アメリカとソ連につきましては外務大臣のお答えのとおりでございまして、その他の国々につきましても、国の法体制によりまして異なると思いますが、大体におきまして法律をつくって二百海里を設定しておると、こういう状況だと思っております。
#171
○対馬孝且君 新聞によればという外務省の言い方もちょっとお粗末だと思うのですが、私は端的に申し上げますが、これは外務省から出た資料でありますが、アイスランドとモザンビークは公表だけで二百海里を宣言しているんです。アイスランドは一応国内法はいじっておりません、手続的にはやっていますが。私は、少なくとも日ソ交渉が二百海里を宣言することにおいて日ソが対等の交渉ができる。したがって、国内法がどうだこうだと言う前に、ソビエトと対等的にやるならば、どうして国会で二百海里宣言条約決議だけして日ソ交渉に臨もうという対処の仕方ができなかったのか、これをちょっとお伺いします。
#172
○国務大臣(鈴木善幸君) 対馬さんが先ほど御指摘になりましたように、二百海里の問題、具体的にはソ連との漁業交渉、これは同じ土俵で交渉をすることが国益を守るゆえんであるというお考え、私も全く同感でございます。さような観点に立ちまして、イシコフ漁業大臣とのモスクワにおける会談におきましても、近くわが国も二百海里を設定する方針であるということをいたしまして交換書簡の中にそれを明記してもらったと、こういうことで、考え方は全く同じでございます。
#173
○対馬孝且君 そういう意味では、しかし、政府としては、二百海里宣言の対応の仕方はやっぱり後手であったということを私は率直に思わざるを得ません。これはいま言ってもしようがありませんから……。したがって、二百海里を今国会でいつ具体的に法律を提案されようとするのか、法律の性格はどうなるのか、この二点をお伺いします。
#174
○国務大臣(鈴木善幸君) 先週も閣議で政府の方針を御決定をいただきまして、ただいま関係各省庁の間でその法律案としての成案を得る作業を急いでおるところでございます。ただいま関係各省庁の打ち合わせでは、昨日総理が新聞記者会見でもお話がございましたが、おおむね四月の二十日前後、それを目途に成案を得、閣議で御決定を願うように取り運んでまいりたいと、このように考えております。
 なお、内容につきましては、これは日本の基線――低潮線からはかりまして二百海里の海域と、こういうことに相なるわけでございます。その二百海里内におけるところの水産資源の管理保存並びに有効利用と、こういうことがその法律の目的になるわけでございまして、その管理保存を十分に効果あらしめる、確保するための所要の立法化をするわけでございます。
#175
○対馬孝且君 いまこれから大詰めの段階に入るわけでありますが、何と言っても北方四島の問題というのは北海道は重大な関心を払っております。これは北海道だけでなくて、国論の問題として重要な課題であります。そこで、私は、二百海里がソ連が線引きをするといった場合の対応の仕方についてお伺いしたいのでありますが、この点、最終的な詰めの段階としてどこまでが限界かということをひとつお聞かせを願います。
#176
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は、私とイシコフ漁業大臣との間の合意の線でございます。これは、御承知のように、ソ連邦沿岸に接続する海域で、かつソ連最高会議幹部会令の適用を受ける海域と、私どもはその線でいまソ連側と交渉をしていると、こういうことでございます。
#177
○対馬孝且君 そこで、私は、これは四島の問題はもちろん、裁判管轄権、認可証あるいは主権の問題に発展をするわけですから、端的に言って、北洋操業の二百海里もそうでありますが、四島のこの海域における操業については、貝殻島方式というのが北海道ではありますが、貝殻島というのはコンブの漁獲でありますが、これは実質的には共同管理と、まあ表面的には公式なものにはなっておりませんが、共同管理的なつまり操業をしておるわけです。ああいう点を、何とか北洋漁業、それから四島海域については共同管理の方式を採用することはできないか。これはいかがでしょうか。
#178
○国務大臣(鈴木善幸君) 貝殻島のコンブの採取につきましては、すでに御承知のように民間取り決めとして実施をされておるわけでございまして、私どもはそれを敷衍して全体をそうするということはなかなか困難な問題であろうかと、こう考えております。私は、わが国の立場というものを害さない、将来に禍根を残さないという線でこの問題には最後まで国論を背景に対処していきたいと考えております。
#179
○対馬孝且君 それは結構、私も考え方が変わっているわけじゃありませんが、共同管理ということをこの際やっぱり政府は強く打ち出しておいたらどうだという私は考え方なんです。その点いかがですか。
#180
○国務大臣(鈴木善幸君) すでに御承知のところと思うのでありますけれども、二百海里漁業専管水域という基本的な考え方は、その二百海里内におけるところの水産資源の主権的権利を行使する、こういうところから出ておるわけでございまして、いままでの交渉におきましては、ソ連側としては絶対にこの線は譲らないと、こういうことに相なっておるわけでございます。私は、しかし、北海道に接続する海域は、歴史的にもまた実態的にも日本の零細中小漁船が操業している海域でございますから、二百海里全体の場合とはまた変わった方式をしませんと実態に合わないようにも考えておるわけでございます。いろいろの考えをもっていま折衝いたしておりますが、具体的な内容は少し差し控えさしていただきたいと思います。
#181
○対馬孝且君 そこで、最後に総理に一つお伺いしますが、いずれにしても重大な段階で、平和外交を貫くという立場でまとまることが前提でありましょうけれども、この問題解決いかんによっては、単に漁業問題でなくて、シベリア開発あるいは人的交流あるいは文化交流等もあったわけでありますが、常に総理が言う平和外交の基本に立ってやっぱり時宜を見て訪ソをするという将来的な決意がおありかどうか、ちょっとお伺いします。
#182
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま日ソ漁業交渉に臨む政府の基本的な考え方は、領土は領土、漁業は漁業と截然とこの二つの問題を切り離す、そういう処置であります。つまり、領土問題をやっておりますと、これは私の展望といたしましては相当時間がかかる。漁民はその解決を待っておるといういとまはないわけでありますから、どうしても漁民が早く出漁し得る状態に置くためには、領土の問題は領土の問題、こういう漁業の問題は漁業の問題という方式でいかなきゃならぬと、こういうふうに思うのです。そういう立場をとりますと、今日この時点で私が訪ソをすると、私はもう気持ちは大変焦っておりまするけれども、焦っておるというか、漁民の状態を憂慮しておりまするが、しかし、私がここで出ていったら、これはどうしたって領土問題に引っ絡まっちゃう。そこで、この時点の問題としては妥当ではないというふうには思いますが、しかし、日ソというのは、漁業の問題もあります、あるいはいろんな共同でやるべき経済上の問題もあります、それから文化のいろんな交流の問題、人の交流の問題、いろんな問題がある。展望すると、日ソの将来というものは私は明るいものになし得ると、こういうふうに思うのです。そういう展望を実現するために必要だということでありますれば、私は喜んで訪ソもしてみたいと、こういうふうに考えます。
#183
○対馬孝且君 わかりました。一応そういう情勢を踏まえて、日ソの平和友好条約をあえて締結するという意気込みでひとつ総理に取り組んでいただきたいと、このことを強く申し上げておきます。
 そこで、これからの漁業問題で北海道でどうしてもこれだけひとつ農林大臣に対処してもらいたいというのがあります。時間もありませんから簡潔に申し上げますが、二百海里に対応いたしまして、現在ある法律を整備して漁業基本法を制定してはどうかということが第一点であります。ぜひつくってもらいたい、これが一つであります。
 二つ目は、この間も関連質問でやりましたが、被害が、ソビエト船、韓国船の被害だけで七億ちょっとあるんですよ、これは時間がありませんから申し上げませんが。そういう点では、これまでの間一件も解決していないんです。だから、それまで待っているということはできないんですよ。私は、国の責任において外国漁船による被害救済基金制度というものをつくってはどうか、これが二つであります。
 それから三つ目は、いずれこの二百海里に対応いたしまして乗組員その他を含めて漁業を転換しなければなりません。この場合、現在ある雇用保険法の、再就職するまでは、つまり雇用保険手帳もしくは――魚手帳と私は言いたいんですが、魚手帳を漁業労働者に持たして、再就職までは一定の雇用保険制度によって生活は保障すると、こういう保障制度をひとつ考えてもらいたい。これは労働大臣も関係ありますが、との三点、お伺いいたします。
#184
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一点の、こういう二百海里時代、厳しい情勢下において、現在の漁業関係の法令を見直して新しい法律を制定したらどうかと、こういう御意見でございます。この点につきましては、ただいま、漁業法あり、あるいは水産資源保護法あり、あるいは外国人漁業規制法あり、いろいろの法律がございます。私は、新しい領海法、領海制度、それから二百海里制度、そういうものがとにかく当面急がにゃいかぬと考えておりますが、その上で、各方面の情勢等を十分勘案をしてそれに対応できるような漁業法制の整備を図りたいと、このように考えておるところでございます。
 それから外国船による北海道その他近海における被害が続発をしておるということを私も非常に心配いたしておるところでございます。そこで、日韓の間には民間で日韓漁業協議会というものがございまして、現在、最近起こったところの漁業被害の問題につきましてソウルにおいて代表団を送って交渉中でございます。明日あたりまでかかるようでございますが、その報告を待って具体的な対処をしたいと、こう考えております。ソ連との間におきましては、御承知のように日ソ漁業操業協定というのがございまして、それによる賠償請求処理委員会というものが東京及びモスクワにあるわけでございますが、いままではなかなかこれが事務的な面で軌道に乗らなかった。ようやく話し合いがつきまして、最近機能も発揮できるように相なっておりますので、これも急いで懸案の処理に邁進をしたいと、こう考えておるところでございます。
 なお、漁業交渉で各国に対しましてできるだけ実績の確保に努力をすることでございますが、それにしても、減船、あるいは減船に伴うところの漁業者の失業の問題、雇用問題、これは起こり得る可能性が十分ございます。私ども非常に心配をいたしておるところでございますが、この点につきましては、雇用対策法というのもございます。また漁業再建整備特別措置法というのもございます。これによりまして、海から陸への転職、あるいは海から海への転職、そういうものに対する職業訓練の問題、職業あっせんの問題、またその間における給付の問題、いろいろあるわけでございます。この前起こりました繊維の問題につきましても雇用対策法で措置しておるところでございますが、状況を見ながら政府全体として遺憾なく協議、対処してまいりたいと考えております。
#185
○国務大臣(石田博英君) いま農林大臣から大体お答えしたところでありますが、私の方の労働省として所管するのは、三十トン以下の漁船の乗務員、それから一般の船でありますと五トン以下の乗務員、あるいは河川、湖沼で業務に従っている者ということであります。それ以上の大きな船の場合は、これは運輸省の所管になり、船員保険法の適用を受けるわけであります。しかし、陸へ上がってこられれば、今度はすべてが私どもの所管になるわけでございます。私どもの所管に属する部門につきまして、また船員保険法の適用を受けてその保険が切れた後の処置については、先ほど農林大臣からお答えをいたしましたように、雇用対策法に基づきまして業種の指定をいたします。そして職業転換給付を行うことになるわけであります。すでに前例としては五十一年に遠洋マグロ・カツオ、それから五十二年にはスケソウダラ関係のものが業種の指定をいたしております。いかなる業種を指定するかということはこれからの交渉の経過を待たなければならぬと思います。職業訓練その他の方法をも十分配慮していま万全を期した準備をさしておるところであります。
#186
○対馬孝且君 雇用対策の各種保険について私もずいぶん長い間やっておりますのでわかっておりますので、あえて魚手帳を交付したらどうだと言ったのは、漁業労働者という特殊の地域で長年の海作業をしておったという実態を踏まえて、その間かなり職業訓練したとしても再就職が困難だろうと、そういう意味で、私は、それまでの間の再就職確定までの雇用保険手帳を、つまり私に言わせれば魚手帳を出してみてはどうかと、これをひとつ検討してもらいたいと思っておるわけです。
#187
○国務大臣(石田博英君) 先ほどお答えしましたように、私のところのことばっかりではございません、運輸省の所管のものもありますから、検討いたしたいと思います。
#188
○対馬孝且君 次に、中小企業分野に関しまして質問いたしたいと思います。参考人が来ておりまして大変お待たせいたしましたが、佐藤参考人に三点ほど簡潔にお伺いをしたいと思います。
 まず、最初に、中小企業分野というのは、もはや、国民の合意、中小企業の願いというものは国民的解決をしなければならない段階に来ていると、こう私は考えております。そこで、第一点は、中小企業事業分野の確保法制定を求めるために立ち上がった皆さん方の理由は一体何であるか、その背景と経過の現状についてお伺いをしたいと思います。
#189
○参考人(佐藤公彦君) 私は、社団法人日本軽印刷工業会に所属いたしまして、ただいまの中小企業事業分野確保法促進協議会の会長を務めておる者であります。
 順序といたしまして私どもの業界に大企業がどのように進出してきたかから申し上げなければなりません。それは、去る四十八年の十一月に、世界最大の規模と言われる大日本印刷が、株式会社キュープリント、これは完全な直系子会社でありますが、これをつくりまして、そして第一号店を京橋につくり、これをフランチャイズ方式でパイロットショップとしまして全国に五百店舗を展開すると、こういう公表をしたわけであります。
 私どもの業界についてちょっと申し上げますと、私どもの業界は、戦後謄写印刷から始まりまして、業界の自助努力によりまして現在に立ち至ったという、いわば文字印刷の主流とも自認するような状態になっているという業界であります。そこで、全国で大体約四千社近いと思います。アウトサイダーがおりますので確実に掌握はできておりませんが。そして、そこに働く従業員は大体一社平均十名程度でありまして、特に地方においてはいわば生業とも言うべきものなのでございます。
 このような業界に世界の最大の規模といわれるいわゆる大企業が巨大な資本を背景に進出してきたならば一体どうなるのか。これは私どもの業界はまさに旬日を経ずして壊滅してしまうであろう、こういうふうな判断に立ったわけであります。そこで、絶対に自分たちの業界の生活を守るために反対運動を展開しなければならないということで反対に入ったわけであります。そうしまして、その当時また通産省の行政指導のもとに構造改善事業を営んでおりましたけれども、これらの努力も皆無に帰すことは明瞭なわけであります。そして、反対運動に立ち上がりまして、いろいろな過程を経た中で、通産省はこれに対して行政指導を行ったわけであります。その行政指導の結果、私たちは一応大企業の進出の歯どめは成ったかというふうに理解しておったのでありますけれども、キュープリント側は、その第二項に言ういわゆる進出に当たっては通産省の了解を得なければいけないということがあるにもかかわらず、これを全く無視して、北海道の帯広に、続いて千葉に進出したというわけであります。これらに対しまして、私どもは通産省に対しましてその確認を求めたのでありますが、通産省は、一時営業の停止をさせたものの、間もなくこれを合法化して、既成の事実としてその進出を認めた行政指導を行ったというわけであります。ここにおいて、私どもは、もはや行政指導では大企業の進出は食いとめることはできないという判断に立ったわけであります。
 そこで、私どもは、これは法制定を求める以外にはないとして運動に立ち上がりました。同時に、同じような団体がほかにもたくさんあるということを聞き及びまして、それらに誘いかけましたところ、豆腐業界、クリーニング業界等々、私どものもとに次々と詰め寄せてまいったわけであります。これらの業界も、いずれも行政指導に対する不満と不信感を持っておったという事実があります。このような中で、現在まで二年半にわたって反対連動を展開しておるわけであります。その結成しましたのが五十年の八月十五日、九団体が中核となってスタートしたわけであります。現在は、十五団体、さらにオブザーバー二十数団体を含む多くの中小企業団体が参加しているわけであります。また、地方においても、地場産業等の関係で地方においても促進協支部が続々と結成されておりまして、現在までにすでに十二支部、さらに十数支部が結成準備中でございます。
 以上が、私どもの分野法を求めて立ち上がった背景であり、また経過であり、さらに同時に現状でございます。
#190
○対馬孝且君 次に、大企業の進出によって中小企業が重大な被害をこうむって非常な困難に立たされていると、こういった特徴的な実例は一体どうなっているのか、これをお伺いします。
#191
○参考人(佐藤公彦君) 被害状況につきまして、二、三その特徴的なものを申し上げてみます。
 まず、理化医ガラス業界、これは私どもの促進協に加盟しております。この業界は、ビーカーとかあるいはフラスコなど、理化学医療のガラス器械をつくっている業界でありまして、全国に大体二百社ほどございます。これに対しまして、昭和四十年に旭硝子とアメリカのコーニング社の合弁によります岩城硝子が進出し、その進出に当たって業界の反対がありまして、これが行政指導によりまして、また、一応念書が入っておったわけでありますが、それらの念書を無視して進出したと、そのために十五社が転廃業に追い込まれているという事実がありますさらに、岩城硝子はまた米国から自動成型機を導入、これがもしフル稼働いたしますと、日本の需要は全部賄えるというものだそうでございます。これに対しましても、当然業界の反対がありましたので、通産省はそれに対する行政指導を行い、そしてある程度稼働の時間を制約する等によって、いまそういう指導下にあるわけでございます。しかしながら、先ほど私が申し上げましたように、行政指導の中には必ず期限があるのでございます。いわゆる有限なのであります。もし有限が来てそれがもし外されたときにはまさに野放しになるはずでありますから、その野放しにされたときにはこの理化医ガラスの業界は壊滅することまさに疑いなしと、こういうふうに私どもは理解しているわけであります。
 続いて紙器業界――紙の箱をつくる業界でありますが、これがまた従来製紙業でありますから紙をつくっておるはずでありますが、その製紙業界がまた箱をつくる方に直接参入してまいっている。続いて小売でございますが、書店業界に対しましては私鉄資本が続々と入ってきております。このようなためにその業界いずれも転廃業に追い込まれつつあるというのが現状であります。
 また、大阪周辺にあるものでございますが、レンズの業界、これも私どもの促進協にいずれも加盟しておりますが、これが保谷硝子あるいは日本光学、服部時計等々の進出によってすでにシェアの七〇%を奪われたのであります。そして、その結果、もはや三分の二は転廃業、倒産に追い込まれておるという事実がございます。
 ここで私はもう一つ申し上げておかなきゃいけないのは、いわゆる清涼飲料水の業界についてであります。これは三十五年ごろは大体日本のシェアの七〇%を中小業界が占めていたのでありますけれども、コカコーラの進出によりまして逐次圧迫され、現在はわずかに七%のシェアを保つのみ、細々と生活を続けているというのが現状であります。この業界も初めに同じような趣旨でありますので私どもの促進協にオブザーバーとして加盟しておったのでありますけれども、もし分野法をつくっていただいても、もはやその回復は望めない。同時にまた、いまや反対運動を展開する業界に気力さえないというのが現実であります。
 そこで、私ども促進協の団体は、このような先人の轍を踏むことのないように、まだそこまで追い込まれないうちに反対運動を展開し、精いっぱいの努力をもって分野法の制定を求めて運動を展開しているというのが現状でございます。
#192
○対馬孝且君 私は、最後に、いま訴えられました生々しい現状に対応して、これからどういう施策を皆さん方として求めているのか、どういう政策をすることがこの解決になるのかという施策について、御意見があればお伺いしたいと思います。
#193
○参考人(佐藤公彦君) 長くなりますので簡単に申し上げますが、去る三月二十四日に、私どもは全国から中小企業代表五千名が日比谷野外音楽堂に参集いたしまして、そこで分野法即時実現総決起大会を催したのであります。その場合に、私どもの要望するものを七項目に集約して要望を決議しておりますので、それについて申し上げたいと思います。
 まず第一は、大企業の進出を事前にチェックできるように業種指定等の措置を講じていただきたいということであります。
 第二点は、小売業における個々の業種に対する進出は同法の対象にしていただきたい。
 第三点は、大企業の進出に対する自粛規定を設けていただきたい。
 第四点は、規制措置のとられた中小企業美称に対する振興措置を講じていただきたい。
 第五点は、同法の実効性を確保するために、命令、罰則規定を設けていただきたい。
 第六点は、審議会は当該中小企業者の意見が十分に反映されますよう、その構成並びに運営に留意していただきたい。
 第七点は、主務大臣の権限は、都道府県知事にも委任できるものとし、都道府県に審議会を設置していただきたい。
 こういうことであります。
 なお、付言さしていただくならば、中小企業はわが国国民経済、とりわけ地域経済に果たす役割りを大きく評価していただくとともに、現在の規模の利益のみを追求する経済システムはすでに市場の寡占化、系列化をもたらし、それは消費者利益をも大きく損なうことにつながることを御考慮いただきまして、分野法制定に当たっては、単に紛争処理という観点からだけではなく、真に中小企業の事業分野が確保されるような法律となりますように特段の御配慮をお願いいたしたいと思うものであります。
 以上、終わります。
#194
○対馬孝且君 どうも、お忙しいところ、貴重な御意見を賜りまして、参考人には本当にありがとうございました。
#195
○委員長(小川半次君) 佐藤公彦参考人には、御多忙の中を当委員会に御出席いただきまして、ありがとうございました。御退席されて結構でございます。
#196
○対馬孝且君 それでは、通産省にお伺いをいたします。
 いま参考人から非常に貴重な御意見をお聞きになったと思います。そこで、今国会に対しましてこの法案をいつの時点でどういう提案をなさろうとしているのか、この点をお伺いします。
#197
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 すでに事務当局におきましては関係各省との間の成案の調整をいたしつつある段階でございますが、間もなく御提案を申す次第でございます。ただ、ただいまのお話等、まことに貴重ないろいろな業界のお話でございまして、先般の日比谷の大会の後、代表の各位が私のところにも面会においでになりまして、陳情の内容もとくと拝聴いたしました。
 なお、私どもがあくまでも守りたいと存じておりますのは、これらの中小の方々の商権と申しますか、業界のお仕事をぜひ確保していかなきゃならぬという気持ちは全く同様でございます。ただ、審議会の答申の線に沿いまして処理いたしておりまするが、いまのところにおきましては、まず、紛争の生じまする前に、大企業が進出しようというような情報が入りましたら、速やかにわれわれの方に御連絡いただきまして、そうして事前にその調査をし、また調整をしていこうと、まあこういうことが新聞等でもすでに一部出ておりますように今回の改正の非常に大きな一つのポイントでございます。
 なお、詳細なことは担当の政府委員からお答えいたします。
#198
○政府委員(岸田文武君) ただいま大臣からお答えいたしましたように、この中小企業の事業機会の確保を目的とする新立法は、いま最終的な調整の段階でございまして、私どもも調整が終わり次第国会へ御提案申し上げ、御審議を得たいと思っておるところでございます。
 法案の基本的な考え方といたしましては、大臣のお話にもございましたように、昨年中小企業政策審議会の中に設けました特別の小委員会の意見具申を基本的な骨格として尊重いたしながら、なお関係各方面の意見も十分組み入れて最後の調整に当たりたいと思っておるところでございます。
#199
○対馬孝且君 いま中小企業庁長官並びに大臣から、一応作業をしていると。まあ法案の段階に来ているということはよくわかっています。そこで、問題は、この考え方なんですが、審議会の基本に立って作業をするのか、そうじゃなくて、いまあなたのところに陳情に行ったと言われますが、先ほど来参考人としての訴えがありますようなその基本に立って作業をなされるのか、この点をちょっとお伺いします。
#200
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、政府といたしまして特に各方面の権威を集めました審議会の御検討をお願いし、さらにまた小委員会もつくりましていろいろと審議をしていただいたわけでございます。その中には、当然、消費者の利益を擁護するだけではなく、中小企業の方々の苦しいいろいろなお話も十分に取り入れられて審議会の答申ができ上がっておる、かように考える次第でございます。
#201
○対馬孝且君 私はそこが問題だと思うんですよ。基本的な態度をちょっとはっきりしてもらいたいのですか、大体法案の骨子が大企業に対する中小企業分野調整法というんです。通産省の考え方は調整なんですよ。いま訴えられているわれわれが主張しているのは、いかに中小の分野を法律で守ってやるかということ。この法案の考え方の基本はそこにあるんです。そこらあたりがやっぱり通産省の考え方が問題だと私は言いたいんですよ。その点どうなんですか。
#202
○政府委員(岸田文武君) 中小企業が大企業の進出によって、いままで安定的な経営をしていたのが一挙に打撃を受けるということは、中小企業自身にとっても非常に重大な問題であるだけではなくて、日本経済全体としても放置できない問題である、こういうことが基本的な認識であろうと思います。まさにそのゆえに、中小企業基本法におきましても、中小企業の事業機会の適正な確保を図るということがうたわれておるわけでございます。私どもが新規の立法をいたしますときにも、この中小企業基本法の精神でございまして、中小企業の事業機会の適正な確保を図るということを基本的な考え方としてとっていきたいと思っておるところでございます。
#203
○青木薪次君 ちょっと関連。
#204
○委員長(小川半次君) 関連質問を許します。青木薪次君。
#205
○青木薪次君 先ほどから大企業と中小企業との問題について特にいろいろ問題になっておりまするけれども、佐藤参考人からも大変な貴重な意見を聞いたわけであります。分野調整という現行制度の中におきましても、いまの中小企業庁長官の言われましたように、現行制度があるにもかかわらず、その中で分野調整の役割りが果たされておらないという点に、私はこの分野調整自体に問題があると思うのであります。オイルショック以来、豆腐とかもやしとかクリーニングとか軽印刷などの従来中小企業者が多く手がけてまいりました事業分野へ大企業の進出が特に目立って紛争を起こしております。
 昭和三十九年に中小企業団体法ができてその制度ができました。これは特殊契約制度でありまするけれども、商工組合が努力することになっているこの制度は、創設されてから今日まで一回も有効に発動されたことがないのであります。その機能を全く果たしていないということについて、私は政府が中小企業対策に心がないと実は思うのであります。中小企業団体法の精神にのっとって中小企業の現状について今日までわが国の経済に果たしてまいりました役割りを認めると同時に、特殊契約制度というような制度があって、分野調整にかかわる、たとえば進出計画の一部変更であるとか、一時停止であるとかというようなことが、商工組合と進出してきた大企業との間にいろんな交渉をし、あるいはまたいろんな結論を得るということが制度的になされなきゃならぬことになっているにもかかわらず、こういう制度を省略して行政がすぐ介入をしてしまうのであります。ですから、この制度は、中小企業対策についての政府の心がないということから始まって、有名無実に実はなっているのでありまして、行政が介入してしまうということについては、大企業が進出してきて既成事実をつくってしまって、そこでまとまったときにはもう中小企業の分野というものはなくなっておった、こういう現状が今日まで続いているのでありまするけれども、なぜこのような状態にしておいたのか、またどういうようにするつもりなのか、現行の分野調整についてもこのとおりでありまするから、法律が新しくできても分野調整という考え方では私は絵にかいたもちのようになってしまう、こう思うのでありまするけれども、通産大臣はどう考えておられますか。
#206
○政府委員(岸田文武君) 先ほど御説明いたしました中小企業基本法ができましたのが三十八年でございますが、その翌年に御指摘の特殊契約制度が創設されたわけでございます。運営の実情といたしましては、御指摘ございましたように、それを直接に動かした実例はございませんけれども、いわばそれがあることを背景にした行政指導は幾つか行われている、こういうような実情でございます。
 こういうような実情に至りました背景といたしましては、商工組合という制度が県ごとに設立されるにいたしましても、県内の同業種の事業者の過半数がそれに加入するというようなことが前提条件になっておりまして、商工組合の設立自身が非常にむずかしい。さらに、その特殊契約を発動いたしますときに、三分の二の可決というような要件が実情からいうと非常に運営しにくい条文になっておったという点が背景にあろうかと思っております。
 いまのような問題は、先ほど御説明いたしました中小企業政策審議会でも論議されておりまして、いまのような実情であるならば、やはりもっと使いやすい法律、実情に即して機動的に発動できるような法律を用意すべきであるというのが審議会での意見でございます。私どもは、それを受けまして、新しい立法をいま用意しておるという段階でございます。
#207
○青木薪次君 商工組合がなかなか力が弱くても、背景には中小企業団体中央会とか商工会議所というのがこれを抱いていわゆる保護指導しているわけですよ。ですから、いま中小企業庁長官の言われたことについては私は当たらないと実際には考えております。
 そこで、昨今、伝統的な手づくり産業分野にまで大企業の進出が相次いでまいりました。中小企業の倒産件数は今日まさに一年間六万五千件に達しているのであります。資本金百万円以下、しかもその間においてそれらの法人と自営業者というものが一年間六万五千件ですよ、これが倒産をいたしているのでありまして、大変問題になっております。特に、住宅建設業関係について代表的に申し上げますと、今日伝統技能なしに成り立たないところの木造の戸建て住宅にまで大企業が進出して、資金力と宣伝力とそれから住宅ローンなどを使いまして、これをてこに注文をとっていって、しかも、いまの大工さん、工務店等を中心とするこれらの小零細企業者は下請化しているのであります。施工をカバーしている程度の存在になってしまう。もうかればいいということが、日本古来の伝統の大工さんのあの技能、技術というものがだんだん薄らいできて、もうくぎを打つ工法というものが非常に盛んになってきているということを私たちは非常に憂えているのであります。こういうような中で、手抜き工事や、あるいはまた低単価の押しつけ等が起こっておるわけでありまするから、この点も私たちは同時に非常に心配いたしているわけでありますが、そこで、たとえば百五十平米、建設業法にも許可外となっている木造住宅工事の戸建ての工事や、大工さんなどの技能者などをこれらの関係から零細企業者の事業範囲とするように、当面この行政指導をするような気持ちはあるかないか、これは建設大臣にお伺いしたいと思います。
 それから分野法制定のときにはさらに法的に盛り込む措置をとる必要があるというように思うのでありまするけれども、この点はひとつ通産大臣にお伺いしたいと思います。
 それから、ハウス55だとか、ツーバイフォー工法も現実に行っておりますけれども、非常に評判が悪い。戸建て住宅の工業化推進重点政策を改めて、木造在来工法の住宅推進政策を確立して、小零細住宅建築業者の振興を図る気持ちはあるかないか、この点もお伺いいたしたいと思います。
 五十一年の五月に衆議院商工委員会におきまして、中小企業分野確保について特別決議がなされました。その内容は、中小企業者の事業分野を確保するには現行法制では不十分であるので、可及的速やかに法的措置を確立すべきであるという内容でありまするけれども、今日まで通産大臣はどのような努力をされてきたのか、その経過についても改めてお伺いいたしたいと思います。
#208
○国務大臣(長谷川四郎君) 木造在来工法、これにつきましては日本の伝統と歴史がある、その工法をこのままで置いていいだろうか。このお説は同じでございまして、過日もたくさんの方が大会後私のところに見えまして、あなた方もぜひこれを守ってくださいと、世界に日本だけの、たとえば宮大工にしても舟大工にしても、これだけの技術を持っている者は世界各国一国もないと、この技術は何としてもあなた方は生かさなけりゃならぬ、いまのような新建材でばたばたと紙を上へ張りつけて押さえたというだけのものじゃだめなんですと、こういうこともひとつ考えておく必要があるでしょう、こういうような話もしておきました。したがって、大体木造住宅の七割を占めている在来工法の合理化などにつきましては、その推進をいま私の申し上げたとおり重要な課題として私たちは考えておるところであります。したがって、先般その振興等に関しても、建築審議会からも答申をいただいているところでありまして、今後その方向に沿ってなお一層推進してまいるつもりでございます。
 さらに、ハウスの話も出ましたが、ハウス55の計画は、いろいろ国民的要求というか、良質安価な住宅が欲しいというような点もありまして、このような要求に基づいて、大幅な価格の引き下げを目指す大規模な住宅が必要だということになってくると、その技術的な開発をしていかなけりゃならぬ。したがって、これは大企業とおっしゃいましたけれども、これは大企業でなくて、政府が中心となって多くの人たちの意見を聞きながら、さらにその技術を統括して、そしてより安い、よりよいものをつくって提供するようにしようではないか、こういうような考え方でございます。したがって、小さいとかいう話があったんですが、まあたとえばツーバイフォーというか、このような工法もございますので、これらも皆さん方の住宅に対する要望の多様化に対応していろいろな供給施策を進める必要がある、こういうようなことで、ツーバイフォー工法というのは、何かこう、私はきょう聞いてみたところでは、北米で非常に発達した工法だそうでございます。しかし、この工法が日本の風土に合うか合わないか、腐れの問題、虫の問題、いろいろ幾多ありますので、これらは十分検討してみる必要があるんじゃないだろうかというふうに考えております。
 平米百五十の話につきましては、これはいまただいま考えてはおりません。
 以上でございます。
#209
○政府委員(岸田文武君) お話の第一点の問題でございますが、私ども新しい立法を制定をいたします際には、対象業種といたしましては、製造業だけに限りませんで、建設業も対象にするということで、いま事務的に作業を進めておるところでございます。
 それから第二点の、従来の通産省のこの問題に対する努力の点でございますが、私ども不況になりましてから非常に問題が多くなってきたということで、これはなるべく円満に解決しようじゃないか、こういったことで、ここ数年来非常に努力を重ねておるところでございます。やっておりましてつくづく感じますことは、問題をなるべく早くキャッチをして、そして両当事者の話し合いに入り、あるいは、場合によっては行政自身が間に飛び込んで問題の解決を図る、こういう姿勢が必要であろうと思っておるところでございます。こういった考え方に基づきまして、五十一年度からは、中小企業調整官という制度を用意をいたしまして、中小企業庁及び各通産局に配置をいたしました。そのほかに分野調整指導調査員という制度も発足させまして、各商工会議所、商工会、それから中小企業団体中央会、いわゆるモニターとしての活動をしていただくための調査員を用意をした次第でございます。これらの調査員が問題を発掘をして、そしてわりあい早目に解決された事例も数多くございます。
 以上のようなことでございまして、従来も一生懸命努力してきたつもりでございますが、これからも安定成長経済になりますと、やはり問題が出てくる可能性がかえってふえてくるだろうという心講えで、できるだけの努力を今後ともいたしたいと思います。
#210
○対馬孝且君 先ほど来私が申し上げましたように、具体的にこれからひとつ通産大臣の考え方をお伺いしたいと思います。
 いまもありましたように、調整の段階では今日までやってきたんですよ。調整では、食い荒されて食い逃げされたわけだ。それを調整したんでは後の祭りだと言うんだ。中小企業は守れないと言っているんですよ。その事前の段階が大事だということを言っているわけですよ。ただ、審議会の考え方でいくと三つあるんです。その一つは指定業種は対象にしない、二つ目は小売業種は対象にしない、命令、罰則はしないと、ないもの尽くしなんだよ。ないない尽くしで全部これ終わっているんだ。こういうないない尽くしの考え方では中小企業の分野は守られない。この点について通産省はどういう具体的な作業をしていくのかということを聞いているのですよ。
#211
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 分野調整法の考え方の点でございますが、ただいまおっしゃいましたように、小売業の関係というものは、御案内のとおりに大店舗法と、それから商調法と、これによって小売関係の方はまとめてまいる。分野調整の関係の方は、御承知の製造業、あるいは卸売、あるいはサービスという分野におきまして、その関係の調整を図ってまいるわけでございますが、問題は、こういうふうな低成長時代になりまして、大企業の面におきましても、構造的に非常に変化とともに中小関係に進出するという面が多々ありますことはよく承知いたしております。それに対しまして、いわゆる大企業と中小企業の中におきましても、われわれが今日まで指導してまいりましたような、あるいは系列化、あるいは高度化というふうに、同じ企業分野におきまして、上下関係がずっと高度成長下におきまする躍進時代におきましてはそれが整合されまして、非常に効率を上げた時代もあるわけでありましたが、こういうふうな逆に冷え込んでまいりますと逆な面が出ておりますことも御承知のとおりでございます。そこで、その間を紛争処理と申しますか、事前にできるだけ円満な姿において解決していこう、中小企業調整官の活動でありますとか、あるいはまた現地におきまする自治体、あるいは公共団体との調整でありますとか、あるいは商工会、あるいは商工会議所、こういうふうな方々の御好意によりまして、今度はひとつ事前に調査に乗り出して、そうしてそういうふうな紛争の起こりまする前にこれをやっていこうということも、従来の考え方からいたしますと非常に私は一歩前進であると、かように考えておる次第でございます。
 なお、私どもはぜひとも、少しでもいい法案をつくらなきゃなりませんし、さような意味から申しまして、いろいろの問題につきましてはどうぞいろいろと御注意をいただきますと同時に、また成案に当たりましても、いろいろと御意見をなお一層いただきたいと思います。
#212
○対馬孝且君 そこで一つ一つ確認していきたいんですがね。いま言ったように、まず指定業種の段階では事前チェック制を採用した。この考え方はいま大臣のお答えなんですよね。そこで、そうなれば、私は具体的に聞きたいのは、大企業が進出する事前に届け出制をしなければ事前チェックにならないんじゃないか、ここなんですよ大事なことは。たとえば自動車産業とか重電機だとか鉄鋼とかいうのは、これは大企業ですから、ここにあんた、企業が進出したって、どなたが見たって中小企業対象とはならないことは常識でしょう。問題は、大企業と中小企業が混在していることが問題になるんです。その場合に、事前チェックということは一歩前進ですよ。そこは評価するが、その前に、大企業の届け出制をどう考えているのかということをお伺いしたいのです。
#213
○政府委員(岸田文武君) ただいまの御指摘の問題は、中小企業政策審議会の議論でも一番議論の焦点になった問題でございます。特定の業種を指定して、その業種に大企業が進出することを許可制にかける等のチェックをするということは、やり方としては、ある意味では明快なやり方であるかもしれませんけれども、他面やはりそれ自体競争政策上どう考えるかという問題がございます。それと同時に、私どもは実務的に非常にこれは問題が多いというふうに感じておるところでございます。と申しますのは、大企業が進出をして中小企業が打撃を受ける、これが一体どの業種にどういう出方をするかということがあらかじめわかりませんと、業種の指定ということができないわけでございますが、それを事前に予測するということが実際問題としてむずかしいということは御理解いただけるだろうと思います。それをある程度割り切りまして、たとえば中小企業の出荷比率が七割以上の業種というような線の引き方を仮にしたといたしましても、製造業全部で細分類で五百四十七業種ございますが、七割以上の出荷比率を占めている業種だけで三百二十七業種、全体の業種数の六割にわたるわけでございます。製造業の六割にわたる分野につきまして、一々それをチェックをし、それがいいとか悪いとかいうようなことについて判断をするということは、実際問題として事務的にも処理できることではございませんし、またそれをやっておりますと、日本経済全体の歯車の回転がおくれてしまうというような問題がございまして、これはずいぶん考えましたけれども、やはり業種指定というやり方は避けまして、それにかわるような、何か実質的に、煙の段階から問題をキャッチする方法はないか、こういうことで、先ほど申しましたような事前調査の制度を考えておるという経緯でございます。
#214
○対馬孝且君 この問題だけにかかわっておれませんから、事前チェックという問題の場合、事前に大企業が届け出をするという制度がなければ、何ぼチェックをしたって、これはなかなか問題を具体的にとらえることはできないんじゃないか。時間がかかっているうちに勝負にならぬということですよ。ただ、野党も全部含めて各党案では、かなり指定業種の基準、たとえば三分の二とか、あるいは四分の三とかいうようなことが出ていますが、そういう指定業種のやっぱり基準というものを設ける必要があるんじゃないかということは、そのことを言っているわけですよ。この点ひとつ踏まえてもらいたいということを一つ申し上げておきます。
 それから第二点は、いま通産大臣が言っている小売を対象にしないということについて、商調法とか、あるいは大店舗法で規制しておるといったって、先ほどのことじゃないけど、中小企業団体法からいったって、いまだにただの一件も解決していないじゃないですか。そんなもの何ぼつくったって、手直ししたってだめですよ、私に言わせれば。ただそういう問題はきちっと法律でうたわない限り、これは縛ることができないということが明らかなんですよ。この点ひとつお聞かせ願いたいということと、三つ目は、罰則規定、命令がないんですよ、いまの考え方によると。これは一体どう考えていますか。
#215
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御指摘の二点につきましても、審議会におきましても非常に議論をし検討された点でございますので、その間の経過につきましては長官からお答えいたします。
#216
○政府委員(岸田文武君) 小売商の問題につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げました。小売商につきましては大規模店舗法があり、小売商業活動調整法がある。いわば小売商については分野法がすでに用意されておるということでございますので、今回の新しい立法からは除外をしたという経緯でございます。大規模店舗法は、御承知のように、政令都市では三千平米以上のお店、それから、その他では千五百平米以上のお店につきまして、届け出制をとりチェックをするという仕掛けでございます。それ以外のお店につきましては小売商業活動調整法が動かせるわけでございますが、小売商業活動調整法は、御承知のとおり、個々の店舗の問題も取り上げられますし、また生協、農協との関係も取り上げられますし、また売り場面積だけではなくて、売り場内の構成についても問題があれば調整に入れるという意味で、ある意味ではいま検討いたしております分野調整法よりも使いやすい、あるいは使い道のある法律ではないかというふうに感じております。ただ、実績として余り使われていないではないかという御意見につきましては、私どもも、この際これをうまく使えるような指導体制をつくるということを研究いたしたいと思っておるところでございます。
 それから、第三点にお話しございました、勧告、公表だけではなくて、命令、罰則をも用意すべきではないかという点は、これまた審議会で非常に議論の的になった問題でございます。中小企業の方々からは、なるべく強い規制を法律の中に盛り込んでほしいという御意見があり、他方で、消費者の方々からは、こういう立法自体が必要性があるんだろうかというような疑念が出されて、非常に両極端の意見がございましたのを、何とかコンセンサスを得たいということで調整を重ね、最後の段階は、この問題を特に議論をしていただく機会が非常に多かったわけでございますが、そういった調整の経緯の末にまとまりましたのが、勧告、公表というやり方がいまの段階では一番穏当な答えであろう、こういうふうな答えになったわけでございます。私どもも、そのような議論の経過がございますので、やはり調整の方法としては、いまのようなやり方が適当なのではないかと思っておるところでございます。
#217
○対馬孝且君 これ、私の方ははっきり申し上げておきますが、小売業者を対象にしない限り中小企業の分野は守られないということですよ。相変わらずやっぱり大企業が進出をして、大企業だけがシェアをあさって、そして零細企業はぶっつぶれていけと。この点がやっぱり問題だということで小売業者を対象にしてもらいたいということを言っているんです。何ぼ商調法をつくったってだめですよ、そんなもの、改正したからといって、実際上それを制約をする法律がなかったらどうにもならないでしょう、そんなもの。結果的には、行政指導ではい終わりとなっちゃうんだよ。
 それから、命令、罰則の問題ではっきり申し上げたいのは、公表、公表と言ったって、一体公表で何の価値があるんですか。たとえば食品の問題で、これが非常に悪い公害上の問題があるということで公表でもすれば、これは商品は社会的に打撃を受けるでしょう。しかし、この問題で何ぼ公表したって、政府が一生懸命PRしているようなもんだよ、この分野に大スーパーが進出してきて非常に品物が安いですよと、政府が鳴り物入りで宣伝してやったら、この会社は喜んで政府様々だよ、あんた。そんな公表したって何の価値があるんですか。大事なことは、そういうことに対して直ちに中止命令をかける、だめな場合は罰則をする、中止をさせるというところに中小企業分野法の生命がある。罰則、命令がなくて何が一体守れるんだ。その点はっきりしてください。
#218
○政府委員(岸田文武君) 私どもは、従来のたくさんのケースに当たってまいりまして、一つ一つ問題解決のために努力を重ねてまいっておりますが、この結果を見てみますと、いま大企業は、中小企業が非常に困っておる、大変だというようなときに、それを無理押しをしてやるというようなことは、いまの世の中ではだんだん通用しにくくなっている。この辺は大企業自身も最近感じておるのではないかと思っておるところでございます。特に新しい法律ができまして、そして主務大臣が入り、そして審議会において公平に各方面の意見を取りまとめた上でできました結論、こういった結論については、やはりいまの社会情勢のもとにおいては尊重されるような体制ができてきておるのではないかと思っておるところでございます。命令というようなぎすぎすしたやり方でなくて、ほぼ実効を上げられるというふうに私どもは判断をいたしております。
#219
○対馬孝且君 これは時間もありませんから簡潔に申しますよ。大体、大企業にモラルがあると通産省が考えている自体がおかしいんだよ。モラルがあるものがどんどん進出して、なりふり構わず中小企業のところへ落下傘でおりてきて、企業がつぶれたって知らぬ顔しているじゃないですか。こんなモラルのない企業には最大の決め手になると言ったら命令、罰則以外にないでしょう、こんなものは、あんた。答えは明瞭だよ、そんなことを言ったって。自民党の中でさえこれだけは守れということが出ているんだよ。それに反対しているのは中小企業庁じゃないか、通産省じゃないか。
 最後ですから、この段階で、いまお聞きになったとおりでありますので、福田総理大臣として、この問題どう対処されるかお伺いいたします。
#220
○国務大臣(福田赳夫君) まだ私の調整という段階までこの問題は上がってきておりませんけれども、これは重要な問題をはらんでおりますので、審議会でもかなり議論を尽くして答申を得ておるわけなんです。その答申を踏まえ、また国会における皆さんの御議論等も踏まえ、まあ今度できる法律案は何としても中小企業の分野を確保するという趣旨に立つものでありまするから、そういうような実が上がるように、ひとつせっかく調整に努力をしてみたいと、かように考えております。
#221
○対馬孝且君 総理からそういうお答えがございましたから、ひとつここで強く私は、法律はつくったけれども結果的にはざる法だったと、中小企業の分野は守れなかったということじゃ意味がないんです。やっぱり最大の問題は、先ほど言った命令、罰則、指定業種、小売店の対象業種と、これをきちっとやっぱりしてもらいたいということを強く申し上げておきます。この問題はこれで終わります。
 それでは、次に中小企業分野に関しましてちょっとお伺いをいたします。
 これは四十一年六月二日に参議院商工委員会で、分野法の問題ではなくて、官公需発注法につきまして制定いたしました。このときに、ここにおります小柳議員がこれを質問いたしておりますだけでなくて、この官公需法をつくったのは小柳議員でありますが、そういう意味で、ここで当時の三木通産大臣に質問いたしております。この三木通産大臣は、五〇%は絶対に官公需分野を確保すると、こういうお答えを願っておるわけでありますが、現状は三〇%台と、これは一体どういうことでしょうか。
#222
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 中小企業のいま一番問題になっておりますことは、仕事がないということでございます。金融その他いろいろな措置を講じておりまするが、要は仕事でございまして、もちろん景気が回復すればその点はおのずから解決いたしまするが、当面何といたしましても、政府が管掌いたしておりまする官公需の仕事だけでも、できるだけ中小企業に与えていきたいと、これがお話のような次第でございます。
 昨年の計数でございまするが、御承知のとおりに、五十年度の場合におきましても国等におきまする比率は三二・六、なお本年は三四・二でございます。それに、一方におきましては県とか、あるいは都道府県、公団というようなものがございまして、そういうふうな公共団体の方の計数は六七・八というようなことで、両方を平均いたしますとほぼ五〇%近いものでございまするが、われわれといたしましては、官公需におきまして何とか五〇%の線まで高めてまいりたい。ただ、御承知のとおりに、各省庁の中におきましても、その企業、職業の銘柄から申しまして、中小企業、なかんずく地場の中小企業に与えられる量が、各省間にやっぱりおのおの異なっておりますが、政府間におきましては、鋭意この点につきましては努力をいたしておる次第でございます。
 なお、民間の企業におきまして、たとえば私どもがいたしておりまする電力等々におきましても、できるだけ中小企業にいたすように指導はもちろんいたしております。
#223
○対馬孝且君 官公需発注が相変わらず三四%台ですよ。それは、地方公共団体よりどうだこうだ言っていますけれども、そんなに比率は上がっていませんよ。十年来この方変わっていないんだよ、そんなに。問題は、五〇%達成すると当時の通産大臣が言っているが、この五〇%、十年たって、十二年たってまだなってないじゃないですか。こういう問題について私は総理大臣としてどう考えられるかお伺いします。
#224
○国務大臣(福田赳夫君) まあ、官公需ですね、こういうふうに言いますと、もう五〇%近くいっているのです。しかし、三木通産大臣が言われたというのはそうじゃなくて、中央政府ですね、政府関係のいわゆる発注につきまして五〇%にしたいという願望を言ったんではないかと思うのですが、そうなるとなかなかこれはむずかしい問題です。地方公共団体合わせれば五〇%というのはもう間近いのでありますが、そうじゃなくて、中央政府関係だけで五〇%ということは、なかなかこれは私はむずかしい、遠い将来の目標としてはいいけれども、いまこれを一、二年の間、二、三年の間に実現せいということになると、これはなかなかむずかしいだろうと思うのです。いま五十年が三二・六%、五十一年度が三四%目標と、こういうわけでありますが、逐次これは拡大していく、そう一挙に五〇%ということは、これはなかなかむずかしいと、しかし努力をしてまいります。
#225
○対馬孝且君 努力するということですけれども、これは会議録は明快でありますよ。アメリカは一九六四年は一八・四%、日本の場合は四三%という目標で努力しているが、これは少なくとも五〇%ぐらいは早く持っていかなければならないと、こう明快になっているんですよ。総理、ちょっと認識が違っていますね。
#226
○国務大臣(福田赳夫君) 私は別に否定しておるわけじゃないですよ。三木さんがそう言われたと、言われたが、その中央政府関係だけの分を上げましてこれを五〇%に持っていくということは、なかなかこれは一、二年、両三年の間の目標としてはむずかしいことだろう。三四%、五十一年度は。しかし、これを逐次上げていきまして、そうしていつになるか、目標の年次を示すことはむずかしゅうございますが、そういう目標に到達させたい、かように考えます。
#227
○対馬孝且君 これはひとつ五〇%目標に最善の努力をするよう要望しておきます。
 次に、建設省に、工事発注の次官通達並びに政府の示達についてお伺いします。
#228
○国務大臣(長谷川四郎君) いまほどの問題でございましたけれども、私の方の直轄は、大体中小企業向けでは四一・三%、これが五十年度、それから五十一年度は、目標四二・七%を四六・八%まで直轄は進んでおることをただいまつけ加えて答弁申し上げておきます。
 これは建設資材についての需給――どういう話でございましたか。
#229
○対馬孝且君 いや、建設次官の通達、一月九日と五月二十六日の通達。
#230
○国務大臣(長谷川四郎君) 通達の方は、建設省はかねてから毎年毎年通達をしております。したがって、この次官通達は中小企業に発注を促進する指導を行っておる通達でございますが、こういうようなことをつけ加えておきます。
 建設省においては、かねてから毎年度当初その年度の所管建設事業の執行方針として、関係機関に対して事務次官による中小企業発注促進の指導を行ってきたところである、こういうことから始まって、さらに昭和五十一年一月九日には、中小企業向け発注の一層の促進を図るために、御指摘のようなことについては、事務次官通達を行い、さらにまた官公需についても中小企業の受注機会の確保について、これらの中小企業の分野を確保しなければいかぬというようなこと、したがって、この事務次官通達におきましては、工事契約に関しましては、特に発注標準の遵守をしなければいかぬ、そして指名競争契約における中小企業の受注の機会の増大を図る。二番目には工事の性質等を考慮した上で、分割発注の推進を図る。三番に、優良な中小企業者の施工能力の向上を図るために、共同請負制度の活用を行う。四番に、事業協同組合等の活用を図るための資格審査基準の特例等の取り扱いについて特に留意をして、これの取り扱いを指導していくようにしなさい。こういうことを毎年やります。今年ももうすでにこれらの問題につきましては、送達をいたしたところでございます。
#231
○委員長(小川半次君) 建設大臣、今後次官通達は、これは局長に読ませてください。大臣が次官通達を読むということは見識がちょっとなさ過ぎるから、局長にひとつ読ますように。
#232
○対馬孝且君 いま、建設次官通達よくわかりました。いずれにしても、中小に受注の機会を与えるということで努力されていますが、そこで建設省の共同請負、共同発注、これは北海道開発庁が全然行われていないということはどういうことですか。
#233
○国務大臣(小川平二君) 北海道におきましては、いまの官公需確保法の関係におきましては、ランクによって違いますが、平均して九七%程度を競争入札で行っておりまして、数字としましては六六%を超えております。いまのお尋ねでございますが、通達の趣旨と全然外れているというようなお尋ねであったと思います。どのような点でありますか、御指摘をいただいて……。
#234
○対馬孝且君 大臣しっかり聞いていろよ、あんた。共同発注、共同請負という、いま建設大臣が言ったことは北海道開発庁にはなされていないではないか、この言っているんだ。
#235
○国務大臣(小川平二君) あとう限り、これは共同請負あるいは分割発注という形でやるように、これによって小さい業者にも機会を与えるようにという指導をいたしておるわけでございます。
#236
○対馬孝且君 指導はされているが実態がないと言っているんだ、ぼくが言っているのは。そこを言っているんだよ。
#237
○政府委員(黒田晃君) お答えいたします。
 開発庁におきましては、閣議決定の線に沿いまして、これは一般的な問題でございまして、事業は各省の大臣の指揮によるわけでございますけれども、いわゆる中小企業のこの問題につきましては一般的な問題でございますから、直接私どもの方から閣議決定の線に沿って努力するように指導をしておるわけでございまして、実際には、そういう点について共同発注もしておりますし、また小さい工事もやっておるというのが実態でございます。
#238
○対馬孝且君 そういうごまかしを言ったってだめだよ。あんたのところの工事管理課長から出ているんだよ。北海道では共同発注はほとんどなされていないと、こう言っているんだよ。何を言っているんだよ。
#239
○政府委員(黒田晃君) 管理課長……
#240
○対馬孝且君 管理課長から出ているんだよ、これ。何を言っているんだ。共同発注、共同受注はほとんどないと言っているんだ。請負が。調べてきたんだ。
#241
○政府委員(黒田晃君) 共同発注はない……
#242
○対馬孝且君 共同請負、共同発注はないと。
#243
○政府委員(黒田晃君) ジョイントの問題……
#244
○対馬孝且君 これは北海道の開発庁の問題として聞いているんだが、おたくの管理課長、現地の管理課長から、実際に北海道のいま発注工事の中で、次官通達による共同発注、共同請負というのはほとんどないと、この実態では困りましたと、こう言っているんだよ。これどうなんだよ。あんたの下が、末端が言っているんだよ、北海道で。
#245
○政府委員(黒田晃君) ただいまの管理課長、局の管理課長か建設部の管理課長かわかりませんけれども、管理課長から庁の方へそういうように報告があったという御質問だろうとは思いますけれども、私どもの方はそういう報告があったということは聞いていないわけでございます。
#246
○対馬孝且君 それじゃ建設省の建設発注の場合のランクをひとつお示しください。
#247
○政府委員(粟屋敏信君) 建設省におきましては、各種別ごとに工事の等級別区分を設けております。一番典型的なものは一般土木でございますけれども、ABCDEの五ランクに分けまして、Aは三億円以上、Bは一億二千万円以上三億円末満、Cは三千万円から五千万円というふうな関係で五段階のランクを設けております。それで、建設省としては毎年度業者の登録をいたします。その際に、その者の経営状況でございますとか、あるいは職員の数という客観的な条件と、それから従来の工事の安全成績等主観的な条件を加味いたしまして、工事の登録をいたします際にランクづけをいたします。その相応の業者を相応の工事に受注をさせるように計らっておる次第でございます。
#248
○対馬孝且君 開発庁のランク別はどうなっていますか。
#249
○政府委員(黒田晃君) これも事業の問題でございますから、本来なら建設省からお答えするのが筋と思いますけれども、北海道におきましては、建設、農林、運輸、この三省にまたがる事業をやっておるわけでございまして、それぞれ各省によりまして、ランクが、若干分け方が違っておるわけでございます。したがいまして、局でそれぞれのランクで別々にやるということも、対象が同じ業者でございますので非常にむずかしいだろうということで、それを三つの各省のあれを参考にいたしまして、局として一つのランクを決めておる。五段階に分かれておりまして、ABCDEの五段階に分かれておるわけでございます。
#250
○対馬孝且君 金額は。
#251
○政府委員(黒田晃君) Aが一億以上、それからBが五千万円以上、Cが一千万円以上、Dが五百万円以上、Eがそれ以下、五百万未満でございます。そういうぐあいに一般土木工事については分かれております。
#252
○対馬孝且君 建設省のランクと、この開発庁のランク違うんですよ。一番問題は、建設省のDが一千万円、Eが一千万円以下なんだ。ところが、開発庁は五百万円以下なんですよ、Eが。それから、建築に至っては二百万円以下ですよ、Eが、一番末端が。これはどういうことなんですか。これちょっとわからないんだよ。わからないというよりここがおかしいんだよ、ぼくに言わせると。これ問題だと言っている。なんでランクが切り下げられるのか。
#253
○政府委員(黒田晃君) いわゆる建設省が所管しております公共事業と、それから農林省が所管しておりますいわゆる土地改良事業あるいは運輸省が所管しております港湾事業、それぞれ事業規模が違うわけでございます。それで各省がそれぞれ違う区分をしておるわけでございますけれども、局でそれを一本化いたします際に、それぞれの各省のランクを参考にして決めておるわけでございます。したがいまして、いわゆる土地改良事業等は事業規模として非常に大きなものがないということで、同じAからEまで分けておりますけれども、大体それに近い分け方をしておるわけでございます。
#254
○対馬孝且君 これ、いま言ったのは理由にならないと思うんですよ。ここが問題なんだ、私がはっきり申し上げておくが。これは建設省の場合は五ランクで一千万円以下が最低なんだ、五ランクの末端が一千万円以下。開発庁は二百万、五百万なんだよ。建築が二百万、それから土木部が五百万なんだ。ところが、実際このランクのものは仕事がないんですよ、はっきり言って。ないのにつくっているんだよ。問題は、ぼく言いますけれども、Aランクでは、北海道の工事発注には清水建設だ、Aランクというのは。二番目に出てくるのが五洋建設、Cクラスが三輪建設という大体大クラスが出てくるんです。後へいかないとほとんどないんですよ、地場産業というのは。全然ない。建設事業に入っていない。だからこういう地元の地場産業の零細中小企業は全然仕事が回らないような仕組みにつくっているんです。こういう実態はけしからぬではないかと私は言わなければなりません。この点どう考えますか、はっきり申し上げて問題だよ。このことについては、あなたまだあるんだよ、ぼくには。
#255
○政府委員(黒田晃君) 先ほど申し上げましたように、ほかの省のことでございますけれども、土地改良におきましては、いわゆる最低のEというのが三百万という数字になっておるわけでございます。それから運輸省の方は六百万という数字も出ております。したがいまして、非常に事業規模が違うということで五百万に先ほど申しましたようになっておるわけでございますけれども、件数におきましては、これは相当な件数になっておるわけでございまして、ただ北海道におきまして現在登録業者が恐らく一万八千ぐらい、一次登録だけで一万八千ぐらいあるだろうと思います。したがいまして、その中で局にどれだけ指名願いを出しておるかという問題もあろうと思いますけれども、できるだけそういう局に登録されている、いわゆる中小、Eクラス、Dクラス、そういうものについての育成という問題は、十分局の方で心得ておるわけでございます。
#256
○対馬孝且君 これはあなたの方で出した資料だよ。三百万というのはどこにあるんだ、そんなものが。ないじゃないか、君。君の出した資料にはっきりしているじゃないか。どこに三百万というのがあるんだ、二百万と出ているんだ。建築は二百万だろう、Dクラスというのは二百万。何を言っているんだ、君。
#257
○政府委員(黒田晃君) いまの話は土地改良の話を申し上げたわけでございます。
#258
○対馬孝且君 何を言っているか、そんなことを聞いているんじゃないよ、こっちは。
#259
○政府委員(黒田晃君) だから、いや各省がそれぞれのランク、基準が違うわけでございます。それを御説明申し上げたわけでございます。同じ一般土木を対象にしてのお話でございます。
#260
○対馬孝且君 これ建設省のランクと開発庁のランクが一段落ちているんですよ。落ちているのはいいんだけれども、それは仕事がないんだよ。ないのにつくっているわけだ。だから建設省レベルの一千万へいくと全部これ入るんですよ。それならわかると言うんだ。それをなくするようにつくっているところに問題があるんじゃないかということが一点。
 第二点は、ぼくは労働省を調べた。労働省はなるほど建設業者が全部回るようになっていますよ、雇用促進事業団のあれは一通り回るんだよ。もっと言いますと、この間公明党の議員からも出ましたように、問題はコンサルタントを通じて、その仲立ち人のかっこうでもって仕事が指名業種のところまで影響しているんですよ。こういうやり方に私は問題があると言うんだよ。だから中小企業発注のために機会が与えられないという仕組みになっているではないか。きょうは申し上げませんよ、時間がないから。それならぼくは建設業者から全部挙げたいと思っているんだ。時間がないから申し上げませんが、こういう問題についてどういうふうに開発庁長官は考えているかお伺いします。
#261
○国務大臣(小川平二君) ただいま政府委員から説明申し上げましたように、農林、運輸、建設三省の格づけがそれぞれ異なっておりますので、まあ繁雑でございますからこれを一本に統一をする。その際、実態に合うようにということは当然考慮しておるところでございます。それで今日まで定着をしておるわけでございますが、ただいまいろいろ御批判を承りましたので、私といたしましても実態を十分調査いたしたいと存じております。もし実情にはなはだしくそぐわない点があったり、あるいはお言葉のように小規模の企業者に機会を与えるという点において遺憾な点がありますれば、これは改善を加えなければいけない問題だと、こう考えております。
#262
○対馬孝且君 これは一応、どうも開発庁、内容が非常に答えがわかるような答えになっていないですね、どなたが聞いても。これは保留にいたしますが、いま自治大臣の言ったことは、いずれにしても、やっぱりこれは早急に中小企業の実態を把握して――そういう各省と違うような取り扱いになっているという実態を私言っているんだよ。この点をひとつ直してください、これだけ明確に申し上げます。委員長どうですか。
#263
○委員長(小川半次君) ちょっと速記とめてください。
  〔速記中止〕
#264
○委員長(小川半次君) 速記を起こして。
 対馬君、ただいまのあなたの質疑の点は、あなたが納得いかないようですから積み残しておきますから。
#265
○対馬孝且君 次の問題に入ります。石炭政策の基本的な考え方について一、二お伺いします。いずれにしましても、総合エネルギー政策で原子力の問題、あるいは国内資源の問題ということで、全体がエネルギーを見直さなければならない、資源有限と首相も言っております。そのとおりだと思います。
 そこで、石炭政策の見直しについて通産省の考え方をお伺いをしたいと思います。
#266
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、国産エネルギーのベースになっておりますのは、石炭並びに水力、それに準国産といたしましての原子力、その中で、石炭の問題につきましては五十年十二月の閣議決定にもございますように、国内炭の二千万トン、これを確保する、こういう考え方で参っております。なおまた、石炭政策と言われますれば、国内炭のほかに外炭もございまするが、先生の御質問は特に国内炭の問題であろうと存じます。この国内炭の二千万トン確保ということも、なかなか現在の状態におきましては相当な努力を要する次第でございますが、あるいは技術の改良の問題、あるいは保安の問題、労働問題、いろいろの問題がある次第でございます。なお、さらに詳細な点につきましては、政府委員からお答えをさせます。
#267
○政府委員(橋本利一君) 五十年の七月の石炭鉱業審議会の答申以来、われわれは石炭政策を総合エネルギー政策の一環という位置づけにおいて推進いたしておるわけでございます。趣旨といたしましては、貴重な国内資源を有効に活用するということと、それから、石油に対する過度の輸入依存度を低減する。こういう意味合いにおきまして、特に国内炭につきましては、現状程度の生産を長く維持できるようにということを中心といたしまして対策を進めておるわけでございます。
#268
○対馬孝且君 現状を二千万トン体制といっても、千八百六十トンというようにマイナスアルファになっているわけですよ。これはやっぱり私は問題だと思うんです。少なくとも二千万トン以上の体制にしなければ、これからやっぱり国内エネルギーとしてはできないんじゃないか、これは端的に申し上げますが、昨年のIEA会議でこの石炭部会の方向というのは、世界の方向は一つは、やっぱりこの油というのは十何年後には問題が出る。十年から十五年で限界が来る。原子力の安全性ではまだ非常な年数がかかる。そういたしますと、代替としては、国内炭をやっぱり活用する以外にないというのがIEA会議の昨年の六月二十八、二十九日の結論であります。そういう意味で非常に国内資源が大変だという状態の中で石炭政策の見直しが出されました。この問題で見直しとは一体何ぞやという点になりますと、具体的に石炭見直しをするための、つまり石炭火力であるとか、こういった石炭を優先的にするための火力をふやすとか、そういった措置がとられなければ私はやっぱり石炭の見直しということにならないのじゃないかと、この点で総理のひとつ考え方をお伺いします。
#269
○国務大臣(福田赳夫君) 石炭並びに一般エネルギーに対する見解は、私は対馬さんと全く同じです。やっぱり国内でできるだけ調達できるエネルギー源、これはもう調達すべきである、そういうふうに考えるわけでありますが、いま石炭の方は二千万トン目標ということでやっておりますが、これは保安の問題があるわけですね。そういうことで二千万目標もなかなかというわけでありますが、保安対策、それからただいま需要面に触れられまして火力発電ということでありますが、これもまた考えなきゃならぬ。その場合には公害対策、これを配慮する必要がありますが、需要と生産、その両面にわたりまして国内石炭の重要性というものを見直すという姿勢で取り組んでまいりたいと、かような考えでございます。
#270
○対馬孝且君 その場合に火力発電所が総合エネルギーのあれでは百万キロワットと、こうなってますね。これから二〇〇〇年代を展望して一千万ないし一千二百万キロワットの火力をおこさなければならない、こうなっておりますが、総理、そういう意味で火力をひとつふやして石炭をふやしていくと、この考え方はどうですか。
#271
○国務大臣(福田赳夫君) その考え方は私は大事だと思うんです。つまり公害問題はありまするけれども、これを克服しながら火力発電、これに着目する。石炭の生産をふやすと申しましても需要のない石炭をふやすわけにはいきませんから、やっぱり需要も増進させる。同時に生産の目標も全力を尽くして維持する、こういうことでなけりゃならぬと考えております。
#272
○対馬孝且君 ひとつ石炭政策には見直しの姿勢で取り組んでいただきたい、このことをお願いをしておきます。
 それから次に、春闘の問題でちょっと一、二だけ考え方を申し上げておきたいと思います。
 一つはこの間二月二十一日に衆議院公聴会で参考人を呼びました。この参考人の陳述の中にあるんでありますが、政府の個人消費支出は一三・七%だと。それには物価を当初の八%台におさめなければ二二・七にはならぬだろうと。ところが、結果的には物価は九・二%になってしまいました、なると思います。したがって、こういう点から考えますと、結果的には労働者の指数率も五十年を一〇〇として八三%程度になっておるわけです。こういう面から考えますと、当然春闘は一〇%から一三%、一五%のラインでいくのが筋ではないかと、こういう陳述がございますが、私も同感なんです。この点についてどうお考えになりますか。
#273
○国務大臣(福田赳夫君) 春闘で言う賃金ベースは、これは裸の賃金なんです。それに時間外手当などを入れますと、かなり高いものになってくるわけでありまして、これは消費支出問題は、これは春闘のベースになる賃金問題だけで論評はできないと、こういう見解でございます。
#274
○対馬孝且君 常に総理が言う物価安定なくして、これは労働者の賃金は安定できないと思うんですよ。物価と雇用だといって去年は物価と雇用で攻めたんですよ、時間がありませんから。賃金を選ぶか雇用を選ぶかと、こう攻めたんだよ。ところが結果的には物価も公約に反したし、労働者はどんどん合理化で首切られて労働指数も下がった、これ労働省の発表ですから。そうすると結果的に二つともこれは労働者の実態生活は下がっているわけですよ。この点について私は、政府はこれは政策の問題として賃金と雇用というのは政府の責任なんだから、これを守らなければ賃金はがまんしろと言ったってこれは筋は通らぬと思うんですよ。そういう意味でこの間もサラリーマンユニオンの青木さんがここで公述しました。やっぱり消費者物価というのは政府物価から見ると実感としては四%違う。そうすると九・二%ですから、大体ことしの春闘は一五%は妥当である、こう青木さんの公述が明快になっているわけです。こういう実感を踏まえて対処してもらいたい、こう考えます。
#275
○国務大臣(福田赳夫君) 政府が春闘の相場に介入する、これはいろいろのまた弊害があると思うんです。やっぱり春闘相場がどう決まるかということは、経済がどうなるかということに非常に大きな関係がありますから、労使とも良識を発揮して、そうして妥当な解決をしてもらいたいということを切に念願しております。
#276
○委員長(小川半次君) 対馬君もう一問だけどうぞ。
#277
○対馬孝且君 わかりました。
 労使の問題だということですからこれは良識と思ったんだけども、総理は五十年の二月に経営者懇談会の席上であなたは言っているんですよ。いまやこの春闘は労使決戦の天目山だと、この天目山は何とかなだらかな春闘で解決をしてもらいたいとこう言っているんだよ、やっぱり。あなた介入してないと言ったって介入しているんだよ、当時は春闘のさなかなんだから。だからそういうときは介入しておって、いまになったらいや介入しませんと言ったって私はそうはいかないと思うんです。だから少なくともやっぱり今日の状態では物価は不履行、首切られて労働指数は下がった、賃金はマイナスになっている。こういうことを踏まえて、何とかひとつ政府としての良識ある解決は、それは常識だろうけども、一方ストライキがもう目の前に来ているわけです。ストライキをやるとなったらこれは介入しますよと、こうなるんですよ。だから、そこらあたりはストライキには介入するけれど賃金は知りませんと、こういうことではなくて、やっぱり私が言っているのは、いまの置かれている実態というのはそういう実態だと、そこを政府は踏まえて物価対策、雇用対策をやってください、こう言っているわけです。これが一つ。
 それから、最後に出かせぎ問題で労働大臣にその後の進捗状態と、出かせぎがいまなお保障されておりません。仕事はございません、北海道は大変であります。この点についてのその後の対策をお聞かせ願って私の質問を終わりたいと思います。
#278
○国務大臣(福田赳夫君) 物価対策、雇用対策となればこれは政府の責任でありますから、これは全力を尽くして国民の御期待にこたえるようにいたしたい、かように考えます。
#279
○国務大臣(石田博英君) まず北海道に対しては五十一年度の補正予算による発注は二月二十五日に全部完了いたしました。
 それから、予算外負担による災害工事はこれも年度内に全部施行いたします。
 それから、五十二年度についてはもうすでに準備を、個所づけその他の準備を進めておりますので、例年よりは相当程度早く発注ができると思っております。
 それから雇用保険法が改正されたばかりでありますし、改正の精神は負担と給付の公平を目指すものであります。したがって、雇用保険法を現在改正する意思はありませんけれども、北海道の特殊の事情を考えまして訓練、つまり通年雇用を実現するために必要な技術を付与する訓練、職業訓練ですね、そういうようなものによって処理する方法もいま検討を命じております。
#280
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして対馬孝且君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
#281
○委員長(小川半次君) 引き続き吉田実君の質疑を行います。吉田実君。
#282
○吉田実君 わが国が真の文化国家になるためにはいろいろな文化政策をまだまだ進めなければならぬと思います。私は、きょうそのうち幼児教育における子供文化財の問題と、古美術品の海外流出の問題二つを取り上げたいと思います。
 初めに、幼児教育におきます子供文化財の問題でありますが、御案内のように、わが国には「三つ子の魂百までも」ということわざがあります。また、いまから七十年ほど前にイタリアのモンテッソリという女の人が、人間の能力の基礎は六歳までに決まるということを言いました。最近におきます大脳生理学の発達はこのことを証明し、その結果、御案内のように、日本ももちろんですが世界じゅう幼児教育ブームで沸いておるわけであります。私はきょうはおもちゃの問題にしぼって質問しようと思いましたが、午前中粕谷委員の質問に対しまして、文部当局からちょっと聞き流しのできないような答弁がありましたので、まずお聞きをしたいと思います。
 この幼児教育における文字の問題につきまして粕谷委員の、子供さんが小学校に入るまでどれだけの字を覚えておったらいいだろうかということに、大臣は大変控え目な答弁をなさいました。自分の姓名だけ読み書きはしてほしいと。この発言は、実は日教組の一部に、いま文部大臣の答弁を裏返したような考え方があるわけなんです。余り字を知って小学校に入ってもらうと子供の格差があって教えにくいと。私は、いろんなもう個人的な能力の差があることは当然ですから、それをうまく教えていくのが教師の責任だと思いますが、そうして均一的な画一的な人間ばかり教育されたらこれは困ると思いますけれども、それはきょうは別としまして、諸沢初等中等教育局長が余り文字を子供のときに覚えてもらうことはよろしくない、遺徳であると、こういう発言がありました。
 まず、局長にお尋ねしますが、あなたのお孫さんが字を覚えたりなんかされる場合に、字をよけい知っておる場合によろしくないですか、遺憾ですか。
#283
○政府委員(諸沢正道君) お答え申し上げます。
 先ほど私が答弁申し上げました御趣旨、あるいは言葉が足りなかったかと思いますけれども、私の申し上げました趣旨は、幼稚園の段階では、現在の幼稚園の教育のあり方を規定いたしておりまするところの文部省告示の幼稚園教育要領の中において、言語という事項につきましては、この段階では主として聞く、話すという活動を中心に教育をし、文字については、これを系統的に取り上げるんではなくして、個々の子供の発達や年齢というものを考えて、日常の生活経験の中で自然に覚えられる程度に扱うものとすると、こうなっておるわけでございまして、その趣旨は、したがいましていかなる場合にも文字というものを幼稚園の教育においてこれを教えないんだということではなくして、それを積極的、系統的に小学校で教えるように幼稚園ですることはしない。しかし、子供一人一人について見ますならば、その知的好奇心というものがいつの段階でどういうふうに出てくるかということは、この段階ではかなりまちまちでございますから、そういう子供の実態というものをとらえて、子供が関心を持ってきたときに幼稚園の先生もそれにこたえてあげていただくと、こういうようなたてまえであるということを申したわけでございますから、全面一律に文字教育を禁止するということではないわけでございます。
#284
○吉田実君 正直な答弁だと思いますが、いまの文部省の方針の中では、よろしくないとか遺憾だということで、あなた個人とすれば、お孫さんが字を覚えることは結構なんでしょう。
#285
○政府委員(諸沢正道君) 私は、まだ孫がございませんけれども、もし生まれまして、その子が非常に早くから知的な興味を持って覚えたいという場合に、それはむしろ伸ばしてやりたいという気持ちは持っております。
#286
○吉田実君 午前中のことでありますので、資料を探す余裕がありませんので、ちょっと古いかと思いますが、私の本に書いておるこの数字を申し上げますと、四十五年に文部省の国語研究所がこれは発表しておることなんですが、四歳児で、ひらがな七十一文字のうち平均二十四・四字を読み、その三分の一を書くことができるわけなんです。それから五歳児は、五十音はもちろん全部読みますが、字も半分は、七十一字のうちひらがな六四%は読みますが、そのまた半分は書くことができるわけなんです。あるいはまた五歳児で漢字を一体幾ら知っておるかということになりますと、二十九字の漢字を読み書きちゃんといたします。
 こういう状態でありますし、それから日本の幼児教育の大先輩であります貝原益軒先生、いまから二百七十年ほど前になりますが、この人は「和俗童子訓」という本の中で、六歳の正月には、「一、二、三、四、五、六、七、八、九、十、百、千、万、億」、この字と、「東西南北」の方の字とを教えなければならぬと。六歳といいますと、もちろん数え年でありますが、六歳の正月は今日の四歳児に当たると思います。こういうことが言われておる次第でありまして、また、特に文字というのは非常に子供の幼児教育の上で大事なんです。
 たとえば最近の子供は、テレビを見たり、漫画を見たりして、とかく童話の本を読んだりすることが少ないので、私なんか非常に遺憾だと思うわけですが、「花が咲いた」と、こう童話で読んだ場合には、どんな花が咲いた、どんな形だろう、何という花だろうと、子供は頭の中で考えるわけなんです。ところが、テレビで花が、たとえば桜の花のシーンが出た場合に、ああ桜の花かと、桃色だなあと。つまり、文字というのは人間の頭脳を刺激するわけなんです。ところが絵を見ても、これは感覚でとらえるだけで、頭を通過するだけなんです。
 もう一つ例を挙げますと、南米の文字の発達していない国に行きますと、選挙のときには、「海部俊樹」と字が書けませんね、文盲の国では。ああ、この写真はどうもいつもテレビに出る人だと、こういうことで海部さんの上に〇をつけて、それが選挙のまあ投票になっておるような次第なんです。
 ですから、私はきょうはおもちゃの問題を取り上げておりますので、余りこの問題触れませんが、一体文部省は先ほど来の局長の答弁でよろしいと思われますか、いまの幼児教育。もっと文字というものを私は幼児教育の中に積極的に取り入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか、大臣。
#287
○国務大臣(海部俊樹君) 幼稚園の教育要領をつくりますときに、現場の先生とか心理学者とかあるいは教育学の先生にお集まりを願って、幼稚園ではどの程度のことを身につけてもらったらいいかということをいろいろな角度から検討をして、ただいまの幼稚園教育要領ができておりまして、それに従って教育をしておるわけでございまして、私が先ほど申し上げましたのも、自分の名前が、せめてそれぐらいはしっかり書けるようになっておってもらいたいものだと、親の立場の願いを表明したわけでありますが、先生の御議論を進めてまいりますと、結局制度の根本に触れることになってまいりまして、私は六・三・三・四の制度の区切り方の問題と、それから義務教育の初等の始期の問題と申しますか、それを始めることともこれ関連してまいりまして、現在の制度の中でいろいろ御指摘になるような問題がございます。したがいまして、日常の生活経験の中で自然にわかる程度に文字を覚えていくことが望ましいということもこの幼稚園教育要領には書いてあるわけでございますから、これはさらによく検討をさせていただきたいと、こう思います。
#288
○吉田実君 いままで申し上げておりますことといまからお尋ねすることを理解していただきますために、少しくどくなりますが、御案内の方も多いと思いますが、人間の悩の発達のあらましを申し上げたいと思います。
 人間の脳には、大脳とそれから脊髄との間に小脳がありますが、小脳はこれは運動をつかさどる分野であります。大脳は、動物も持っております辺縁系、これは食欲や性欲といった本能をつかさどる部分ですが、これはありますが、人間だけが持っておるのに大脳皮質という部分があります。オギャアと産まれますと、だれでも百四十億の脳神経細胞を持って産まれます。頭が大きくても小さくても百四十億。ただし精薄児は、かわいそうにこれは百四十億を持っておりません。この発達が最近の脳生理学の研究の分野ですが、この大脳皮質には、コンピューターにたとえますと機械の部分、ハードウエアの部分と、プログラム、つまりソフトウエアの部分があります。
 ハードウエアの部分、機械は、これはオギャアと産まれたまだ未熟な細胞が、刺激されるごとに突起が出るわけですね。この突起が絡み合って電線が配線されるわけです。配線の状態になるわけです。その配線の組み合わせがいい悪いによって頭のいい子、悪い子と、こになるわけです。これが産まれたときほど早いわけですが、三歳児までに約七、八割ができ上がってしまうわけなんです。それからもう一つのプログラム、機械はできましたが今度はプログラムですが、プログラムの分野は四歳から始まりまして、大体六歳ぐらいまでに七、八割ができ上がってしまうわけなんです。この三歳児までの配線のときはこれは模倣時代で、お母さんが何よりのお手本、教師と、こうなります。四歳児からは、これは物をつくる創造の時代に入ります。こういうことで、大体人間の頭は六、七歳までにほぼでき上がってしまうわけなんです。
 大変むずかしいことを申しましたが、総理の、あなたの頭をちょっと例に引かせていただきます。福田総理の頭は、これはだれが見ましてもすばらしい頭です。しかし、いまのあなたの頭は、一高や東大で一生懸命勉強されたとか、大蔵省で修業されたとか、政治で訓練されたとかということももちろんなんです。なぜなら、もうでき上がったコンピューターでもほっておけばさびついてしまいますから。つまり小学校の四年生ごろからの教育というのは、でき上がったコンピューターをほったらかしておきますとさびつきますからいつも使っていると、そういうのにすぎないわけなんですね。機械そのものはもう六、七歳までにでき上がってしまうということなんです。福田総理のすばらしい頭というのは、小学校に上がられる前に、あなたの御両親なり、あなたの家庭なりあるいはお友達なり、生活環境なり、それがあなたの頭を先ほど言いましたようによく刺激して、そしてりっぱな頭ができ上がったのでありまして、そういう意味で、ある意味において高校教育や大学教育よりももっと大切なのは幼児教育だと言わなければならぬわけであります。
 この子供たちをめぐっております文化財、子供文化財も、おもちゃ、テレビ、漫画、絵本、童話、芝居、児童劇だとか、あるいはいろいろな物が紙芝居に至るまでもう山ほどありますけれども、特にその中で問題になるのは、いま二万種類ありますおもちゃ、それから一年に三億冊発行されておる子供の漫画週刊誌、それから、いまの子供は一日二十四時間のうちに、小学生の調査ですが、十時間寝まして、学校に八時間行って、残り六時間のうち何と二時間十六分テレビを見ておるわけです。ここらに非常に問題が多いわけですが、きょうはおもちゃにしぼりまして――おもちゃにしぼると申しますのは、いま政府が少し行政の上で関心を持っておられるのはおもちゃだけだと思います。それから、おもちゃは何と言ってもこれは人生最初の教科書なんです。そういう意味で、おもちゃにしぼってちょっとお尋ねをしたいと思います。
 まず文部省に、昭和四十七年におもちゃの調査をなさいましたが、そのうちの、全部読んでいただくと時間がかかりますので、調査されたうちで、十一項のうち七と八と十一だけちょっと報告をしてください。
#289
○政府委員(諸沢正道君) 四十七年の二月に調査をいたしました質問は十一ございますが、そのうちの七は、「あなたはどのようなおもちゃがよいと思っていますか。」という親に対する質問について、「模型など、本物に近いもの。」というのが六・八%であり、「つみき・ブロックなど、素材として使えるもの。」というのが圧倒的に多く七七・四%、それから「あまり考えない。」というのが一五・四%、こういうことになっております。それから八番目の、「あなたは、お子さんにおもちゃを買ってあげるとき、どんなことを期待していますか。」という質問に対しましては、「子どもがたのしく遊んでほしい。」というのが二九%、「字や数を覚えるなど、子どもの知能が伸びてほしい。」というのが九・九%、「子どもの情操が豊かになってほしい。」というのが一〇・四%、「子どもがくふうして遊べるなど、創造性が育ってほしい。」というのが四二・六%で一番多いわけでございます。そのほか、「子どもが強くなってほしい。」一・二%、「ほかの子どもといっしょに遊べるようになってほしい。」というのが六・四%というふうな内容になっております。最後の十一番目の、「あなたのお子さんは、特定のおもちゃでよく遊ぶほうですか。」という質問に対しましては、「長い時間遊ぶ。」というのが二六・三%で、「ふつう。」というふうに答えたのが六二・四%で最も多いわけであります。また、「じきにあきる。」というのが一〇・七%。
 以上のような結果になっております。
#290
○吉田実君 私は、この文部省の調査は正しい結果が出ておると思うんです。それは、よいおもちゃとしまして「つみき・ブロックなど、素材として使えるもの。」というのが七七・四%、それから次の質問では、「子どもがくふうして遊べるなど、創造性が育ってほしい。」、これが四二%出ておりまして、また十一問では、「じきにあきる。」ようなのが、わずかの数字ですがやはり挙げられております。
 そこで、具体的にひとつ、これは局長でなくて課長さんで結構ですが、いまここに出てきておる積み木に例を一つとりたいと思いますが、色のついていない素材のままの積み木と、色のついた積み木と、こうあった場合に、あなたは子供さんにどちらを買いますか。ちょっと、大臣の皆さん、おもちゃの話かとひとつ笑わないでいただきたいと思います。私は、「大人も昔、一度は子供だった」という子供文化財についてこういう薄っぺらな本を出したわけですが、これが大変反響を呼びました。大臣の皆さんもいまは大人です。皆さんもいまは大人です。しかし、案外子供だったことを忘れておられる方が多いのじゃないかと思いますので、どうかひとつ子供に返った気持ちでこのおもちゃの話を聞いていただきたいと思います。じゃ、課長、お願いします。
#291
○説明員(鈴木博司君) お答えいたします。
 子供の発達の程度、またそのときの興味、関心等によりまして、色のついた積み木なり、あるいは無色といいますか、素材のままの積み木を使わしたいと、こういうふうに思っております。
#292
○吉田実君 私の質問が悪かったからと思いますけれども、普通には色のついた積み木よりもつかない方がいいわけなんです。なぜなら、色のついた積み木では、色彩に関する感覚というものを子供に与えますけれども、すぐ積み立てやすいわけなんですね。うちがどれだ、なにがどれだで、すぐ積めるわけなんです。すぐ積めるから子供は飽きてしまう。さっきの統計に出てきた。ところが、素材のままのものですと、一生懸命赤ちゃんは積んでみるわけです。考えるわけです。創造するわけなんですね。それから色のつかない方がまた安いわけなんです。私は一例に挙げましたが、文部省にお尋ねしますが、あなたはその調査の結果、まあその調査は実は私がお願いして衆議院時代にやっていただいた調査ですけれども、その後どうもおもちゃの調査というのはなさっておられませんね。それからまた、いいおもちゃ、悪いおもちゃ、そういったものについて何か幼稚園教育の中で指導されておられますか。
#293
○政府委員(諸沢正道君) ただいま御報告申し上げましたように、四十七年の二月に調査いたし、以後調査ということはいたしておりません。しかし、この調査の結果を関係の方々に連絡し、そして教育活動の改善の一つの資料にしていただくという意味で、たとえば全国的に幼稚園の教育課程研究大会というものを文部省は毎年開催いたしておりますが、その場においてこのような内容を取り上げてもらう、あるいは、民間の幼稚園関係者の団体がございますが、その段階でまたこういう調査を受けて自主的に幼稚園のおもちゃというものはどういうものであるべきであろうかというような研究をしていただくというようなことをやっていただいておるわけでございまして、要するに、文部省といたしましては、幼稚園の段階においてどのようなおもちゃを使わせることが、またその使い方をどういうふうに工夫することが最も教育的に効果があるかという観点から、文部省としても検討いたしますけれども、それぞれの現場あるいは先生方のグループ等において研究をしていただくようにそれを奨励してまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#294
○吉田実君 いまの答弁を聞いておりますと、いかにもあの百三十万円でやった調査が効果が出ておるようなお話ですね。私はまだまだやってもらわなくちゃならぬ調査、まあきょうは時間がありませんから申し上げませんけれども、もっと予算要求して、少なくともおもちゃぐらいについてしっかりしたひとつ方針を立てていただきたいと思います。
 それでは、次に、厚生省ではどうでしょうか、おもちゃについて何か保育所で指導なさっておられますか。
#295
○政府委員(石野清治君) 保育所につきまして特にこれは省令で最低基準というのがございまして、楽器とか、あるいは積み木、絵本、そういう遊具につきましては整備をするということがございます。
 なお、その場合の適切な選択、あるいは安全な利用というものを考えなければいけませんので、それにつきましては、保育所の保育指針というものをつくりまして、それで各歳別にいろいろな必要な事項についてそれぞれ規定いたしております。
 なお、そのほかに、特に必要なものにつきましては、それぞれ児童家庭局長通知で各保育所の方に対しまして指導をいたしておるわけでございます。
#296
○吉田実君 いかにもよく指導しておられるような答弁で、まあ残念ですが、もっとやっていただきたいと思います。
 ただ、通産省の安全基準につきましての委員会がありますですね。これはなかなかよくやっておられると思うのです。玩具安全対策委員会ですか、これは玩具協会の協力を得られてSTマークをつけるとか――これは通産省と一緒にやっておられるはずですが、STマークをつけるとか、あるいは玩具の場合に消費者保護の立場から問題があれば賠償されるとか、大変いいと思いますが、厚生省の立場、つまり衛生的有毒――物理的に有毒な問題は通産省でやっていただいておりますけれども、この立場からいまの日本に一体どれぐらい有毒なおもちゃがありますか。
#297
○政府委員(松浦十四郎君) 厚生省の立場といたしまして、いま先生がおっしゃいましたように、いわゆる衛生上の見地からの規制というのをいたしておるわけでございまして、これは食品衛生法という法律に基づきまして、有毒なもの、あるいは有害な物質が含まれるおもちゃはこれを売ってはならない、こういう法律でございまして、現在これに基づいて取り締まっておるわけでございます。
 それからもう一つ、厚生大臣は、おもちゃにつきましてその基準、規格を決めることができるということになっております。現在までに規格、基準が決められたものを申し上げますと、一つは写し絵、折り紙、こういったものにつきまして、砒素、重金属につきまして規格を決めております。
 それからおもちゃの原材料としていわゆる塩化ビニールとかポリエチレン、こういったようなものを使う場合には、その材質から出てまいりますものにつきまして、過マンガン酸カリの消費量とか、あるいは重金属、カドミウム、それから蒸発残留物、砒素といったようなものにつきまして厳重な規格をつくっております。
 それから着色料につきましては、食用に供するということで厚生大臣に許されております着色料以外の着色料は使ってはならない、こういうことで厳重に取り締まっているというのが現状でございます。
#298
○吉田実君 私の質問に答えていませんね。私は、どれぐらいいま有毒なおもちゃがあると考えておられるかということを質問しておるわけなんです。
#299
○政府委員(松浦十四郎君) ただいま申し上げましたような法律的な措置によりまして、現在のところ私どもはそういった有毒なおもちゃというのを特別につかんでおりません。
#300
○吉田実君 まあいろいろなおもちゃがありまして、母親は赤ちゃんのおしゃぶりを初め大変心配しているものが多いのですから、もっとひとつ御研究いただきたいと思います。
 通産省にお伺いしますが、通産省も一生懸命物理的な面での不良おもちゃの追放に御努力ですが、おもちゃ産業と言いましても、これは日本はアメリカに次いで世界第二番目、相当な輸出産業なんです。このおもちゃ産業をこういう面でひとつ育てたいという育成策がありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。
#301
○国務大臣(田中龍夫君) せっかくの吉田先生の御質問でございますから、私から一言お答えいたしまして、あと事務当局に渡しますが、大体二億ドルほどのものがただいま出ておりますけれども、ある時期におきましては三億ドルから非常に出たという時代がございます。
 なお、STマークの問題でありますとか、あるいはまたその他塗料等の問題につきましては、政府委員からお答えいたします。
#302
○政府委員(藤原一郎君) おもちゃの輸出の振興策いかんと、こういうお尋ねだと存じますが、いま大臣からお答え申し上げましたとおり、従来非常にたくさん出ておりましたのですが、香港、台湾、韓国等、発展途上国の追い上げが著しくなりましてから輸出は厳しい状況下にあるわけでございます。私どもといたしましては、デザインとかアイデア等の開発ということに力を注がせまして、耐久性とか安全性等、品質向上をさせまして、品質の高い高級なおもちゃを輸出していくというふうな方向に指導していくと、こういうつもりでおるわけであります。具体的には、海外商品別貿易会議の開催によりますところの海外市場の情報の把握とか、あるいはジェトロの調査機能を積極的に活用いたしまして市場開拓に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#303
○吉田実君 ただいまの不良おもちゃと関連しまして、今度警察庁では銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正しようと。中に、モデルガンと申しますか、おもちゃの問題がなにをされていますが、私はこの改正には賛成なんです。子供のおもちゃは一目で子供のおもちゃとわかるものに限るべきであって、紛らわしいピストル類似のものだとか、あるいは改造してピストル同様になっておるとか、こういうものは禁止すべきだと思うのですが、ひとつこの法案を出された実態と申しますか、状況を説明してください。
#304
○政府委員(吉田六郎君) 昨年の十月、大阪の市街地において発生いたしました拳銃使用の殺人事件など、最近暴力団などが拳銃等を不法に所持いたしまして使用する事犯が増加の傾向にございます。この種事犯は、昭和五十一年度、昨年中でございますが、二百二十二件発生しております。これらの拳銃などは、そのほとんどが密輸によるものと、それから金属性の玩具類の銃器を改造したものでございます。なお、警察で押収した改造拳銃が五十年、五十一年ともそれぞれ一千丁以上に及んでおります。このような実態に対処するため、金属性の玩具類、銃器に改造防止装置を施させるということとともに、拳銃等の輸入禁止違反及び製造禁止違反の罰則を強化することによりまして、暴力団などによる拳銃等の不法所持の防止を図ろうと、これが法案を提出した理由でございます。
  〔委員長退席、理事園田清充君着席〕
#305
○吉田実君 ぜひこの法案の成立を期していただきたいと思いますが、警察庁にもう一つお尋ねしますが、世の中にはピンクおもちゃなるものがあるわけです。大体全国の盛り場で二百種くらいのものが二千軒ぐらいの店で売っております。これが、子供の世界に、青少年の世界に、非常に悪いいろいろな影響を与えている。それから先般二十三日ですね、われわれが大阪でやりました参議院の地方公聴会で、PTAの西宮の会長さんが、自動販売機で売られるいろいろな子供週刊誌、これにもう大変困っておると、三十五台あると聞きましたが、ようやく二台だけPTAから頼んで撤去してもらったんだが大変困っておるという話がありました。ピンクおもちゃと週刊誌等の自販機の問題、取り締まりの立場でしょうが、どのようにお考えですか。
#306
○政府委員(吉田六郎君) ピンクおもちゃの実態と取り締まり状況でございますが、全国に大人のおもちゃ店と称する営業が見られまして、これらの店でいわゆる大人のおもちゃと言われるものが販売されておるわけでございますが、その店舗数は警察庁としては現在のところ把握いたしておりません。この中には、刑法のわいせつ物に該当する疑いのあるものや、青少年の健全育成上好ましくないものが見られますので、警察といたしましては、これらがわいせつ物に該当する場合におきましては厳しい姿勢で取り締まるというように行っておるわけでございます。昨年中警察庁に申報のありましたものについて見ますと、十四の都道府県警察におきまして大人のおもちゃ店関係者六十五人をわいせつ物販売罪で検挙いたしまして模造性具、トランプ、ハンカチ、タオル類のわいせつ物約三千七百点を押収いたしております。
 次に、自動販売機の関係でございますが、警察で調査したところによりますと、本年二月末現在、全国で、雑誌自動販売機は一万七百四十二台、衛生サック自動販売機九千十九台、大人のおもちゃ自動販売機二百九十台となっておりまして、昨年の八月末現在の調査結果に比べますと、雑誌自動販売機では三千三百八十一台、四五・九%増加いたしております。この雑誌自動販売機では低俗な雑誌も販売されておりまして、昨年五月、たとえば愛知県警で調査したところによりますと、自動販売機の六二%に都道府県青少年保護育成条例による有害指定雑誌が収納されておるという事実が判明しております。また、同じ調査によりますと、約半数の自動販売機について少年の利用が見られたというような報告がなされております。
 なお、このほか、低俗雑誌は書店にもいろいろ出ておるわけでございますが、少年がこのような自動販売機を利用してポルノ雑誌、衛生サック等を自由に購入できるという状態は少年の健全育成上好ましくないというような観点から必要な実態の把握などをいたしているわけでございますが、これらの中にはわいせつ罪に該当するものがございまして、最近におきましても五件検挙いたしております。
#307
○吉田実君 ピンクおもちゃや不良少年雑誌が町にはんらんしておるようでは、これは文化国家とは言えないと思います。どうかひとつ一層取り締まりについてお考えいただきたいと思います。
 あとの問題もありますので、おもちゃの問題はこれだけぐらいにしたいと思いますが、ひとつ行管庁長官にお伺いしたいと思います。
 お聞きのとおり、おもちゃ一つ取り上げましても、文部省、厚生省、通産省、警察庁と、こういうふうにもう行政がばらばらになっていて、お役所のセクト主義もありましょうが、なかなかいろいろなことがおもちゃについても運びません。何かひとつこれを行政上統一できないものでしょうかね。
#308
○国務大臣(西村英一君) 玩具行政の一つを取り上げても、教育面、安全面、衛生面、あるいは産業面等、大変な各省行政の複雑さでございます。これを総括的に取り上げるというところは、いまはちょっと主管庁はないわけでございますが、ひとつせっかくの御提案でございますから検討はいたしてみたいと思いますが、強いて申せば総理府に青少年対策本部というのがありまして、その青少年の育成、非行等に対して担当しておる参事官もおるわけでございますから、強いて申せばやはり総理府、これは総務長官ともまだお話はしておりませんが、そういうところでやはり総括的にこれは考えてみなきゃならぬのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  〔理事園田清充君退席、委員長着席〕
#309
○吉田実君 ただいま西村長官から総理府のお話が出ました。これはどこも統括するところがありませんが、どこにも属しないことが総理府のお仕事かとも思いますし、それからいま西村長官のお話の中に出ましたように、やはり総理府に青少年の対策本部があるわけで、総務長官にお願いしたいと思いますが、私がこのおもちゃ協会の人たちに不良おもちゃの追放に一番困るのは何かと聞きましたら、やはりメーカーなり小売商でこの協会や組合に入らないアウトサイダー的な存在があるわけなんです。そういうことを考えますと、やはり玩具法、おもちゃ法というふうなものをつくるのが決め手じゃないかと思います。現に、アメリカはもうすでにつくっております。ヨーロッパでも幾つかの国が玩具基本法だとかおもちゃ安全取締法というものをつくっておりますが、ひとつ総理府でそういったものをお計らいいただくようなお考えはございませんでしょうか。
#310
○政府委員(望月哲太郎君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のように、人間の健全な成長にとりまして幼児期というものが大変重要な意味を持つものでございますので、私どもといたしましても、おもちゃの問題を初めといたしまして、幼児によい環境を与え、好ましくない環境からこれを守るために今後とも十分配慮をしてまいりたいと思っております。
 なお、御指摘の法律の問題につきましては、諸般の情勢を勘案しながら慎重に取り扱うべき問題があると考えておる次第でございます。
#311
○吉田実君 慎重も結構ですけれども、欧米諸国には先例があるんですから、少し勉強してくださいね。
 もう大分時間がたちましたので、次に文化財の海外流出の問題に入りたいと思います。
 いま、日本の文化面での海外流出には、二つの憂うべき事項があるわけなんです。一つは頭脳、すなわち学者の海外流出の問題と、それから古美術品の海外流出の問題です。きょうは、時間の関係上、後者だけを取り上げたいと思いますが、もう私が言うまでもなく、いま日本の古美術品というのは、われわれの祖先が幾たびかの戦禍あるいは災害から守り抜いて、ほとんどは個人が一生懸命守って今日に至っておるものが多いわけなんです。もちろんこれがほったらかされておるというわけじゃございません。明治四年に古器旧物保存方という太政官令が出ていますし、昭和二十五年には現行の文化財保護法が議員提案によって、これは議員提案です、当時余りに外国に出るものですから、心配された国会議員が中心になってこれができ上がって今日に及んでおります。
 日本の古美術品の流出は、三つの危機がありました。
 第一回目は、明治十年の前後であります。このときには、御案内のフェノロサだとか、あるいはモースだとか、ビゲローだとか、こういった三人のアメリカ人によって約十万点の日本の古美術が集められまして、これがいまボストン美術館の東洋部の基礎になっております。
 二番目は、戦後の時代でありまして、このときには財産税や相続税のために手放すというふうなことがありまして、当時混乱時代だものですから、その混乱に乗じて、かえがたい古美術品が海外に流出しております。
 三番目は、いまの時代なんです。いま世界中にお茶だとか、禅だとか、あるいは日本美術は渋いとか、こういうふうなことで日本ブームが起こっておりまして、どんどんわれわれの見るところ出ていっておる。これは何とか防がなくちゃならぬということは、お亡くなりになりました川端康成さんから私は直接に川端さんが大変この問題を心配しておられる話も聞きました。それからまた、文部省の文化財保護委員であります田中一松先生、これがアメリカへ行って、どうして出たか、どんな手順で出たか、記憶のない名品がアメリカにある、びっくりしましたということを言うのです。文部省は、いつも質問すると、文化財保護法以降一点も出ていませんと言う。恐らくきょうもそういう、後で聞きますが、答弁があると思いますが、田中さんが行かれたのは四十四年か五年だったと思いますが、そういうこともあります。あるいは面ですが、仮面というのはいま世界的なブームを呼んでおるわけです。日本にすばらしいものがあるわけですが、もうほとんど重要美術品に指定されておるものはありません。ですから、いま大手を振ってどんどん外国へ出ていっておるというふうな状況であります。
 前置きはこれくらいにしまして、ひとつ質問いたしたいと思いますが、文化庁では一体どの程度の重要文化財――私がいまから重要文化財と申しますのは、国宝と重要文化財と重要美術品と含めて、一々この三つ並べるのはめんどうですから重要文化財という表現にしますが、重要文化財は何点ぐらい出ておると思われますか。
#312
○政府委員(安嶋彌君) 国宝、重要文化財につきましては海外に流出した事実はないというふうに考えておりますが、文化財保護法以前に重要美術品の保護に関する法律がございまして、現在経過的にこれを文化財保護法対象の物件として扱っておるわけでございますが、その中で六件のものが海外に流出しているというふうに把握をいたしております。時期は正確にはわかりませんけれども、おおむね戦後であろうというふうに考えております。
#313
○吉田実君 いま六点だというお話でしたが、長官も御存じだと思いますが、繭山竜泉堂が出しております欧米蒐集日本美術図録、これには、彫刻四点、絵画十二点、工芸一点、計十七点を指摘しています。それから学習研究社の在外秘宝には、彫刻一点と絵画六点、計七点と、この二冊の本だけで二十四点というものを指摘しておるわけです。
 私は、きょうは過去を問うつもりはないんです。いまからどうして防止しようかということを質問したいと思っておるわけですが、私の経験を一つ申し上げまして大変恐縮ですが、これは文化庁の長官、文化庁では知っておられることだと思いますが、私が昭和四十二年に名古屋の骨とう屋に立山神像があると。それがアメリカの骨とう屋に契約しまして、もう輸出寸前だったです。これが私の耳に入りましたので、立山神像なものですから、五百万で富山県が買いまして、これは戦前の重美ですが、富山県に入りまして、すぐ文化庁から重要文化財の指定を得たわけです。あれが私の耳に入らなければ恐らくアメリカへ行っておっただろうと思うのです。つまり、文化庁が机の上で文化財保護法以後はない、その以前のものだとお考えかもしれませんが、そういうお話はこの古美術の少なくとも関心を持っておる者の世界には通らない話なんですね。しかし、きょうはそういうことを聞こうと思いませんが、先般アメリカ人のパッカード、御承知の、これがニューヨークのメトロポリタン美術館に四百十二点出しましたね。このに中に実質的に重要文化財に当たるものとお考えのものはありませんか、文化庁。
#314
○政府委員(安嶋彌君) 具体的なお尋ねでございますが、パッカードがアメリカに輸出をしようといたしまして、私どもの事前の鑑査によりましてこれを防いだものが昭和五十年三月に絹本墨画淡彩山水図、これは孫君沢筆と伝えられておりますもの一点、それから五十一年八月六日に紙本淡彩四季山水図、これは雲谷等顔の筆でございますが、六曲のびょうぶ、この二件はパッカード氏がアメリカに輸出しようとしたものを輸出鑑査におきまして国内にとどめた例でございます。
 それから、パッカード氏がアメリカに輸出をいたしましたものの中には、木造倶生神立像というものがございまして、これがニューヨークのメトロポリタン美術館に売り渡しになっておりますが、これは類品もあるということでございまして、重要美術品の認定を取り消して輸出を認めたということでございます。重要美術品の認定を取り消しまして輸出を認めるという例は、昭和二十五年度以降十七件ございますが、買い受ける先方が相当責任のあるりっぱな美術館であるというよな場合でありまして、しかも国内にしかるべき類品がある、あるいはそれよりさらに優秀なものがあるという場合にはこれを認めるということにいたしておるわけでございます。わが国の美術が海外に紹介されるということも大変望ましいことでございますが、その際、非常に程度の悪いものだけが出るということもやはり問題があろうかと思いますので、ケース・バイ・ケースでこのような扱いをいたしておるわけでございます。
 それから先ほど六点のものが海外に出ておるということを申し上げたわけでございますが、これは文化財保護法以後のものも中にはあるであろうと思います。すべてが以前だというふうには考えておりません。
#315
○吉田実君 私も出してはいけないとは思いません。しかし、かつて文化庁内にあったような、美術鎖国になってはいかぬからどしどし出すべきだという意見にも私はくみしません。
 そこで、主なる国々は一体どのようにして文化財の輸出を禁止しておるか、報告してください。
#316
○政府委員(安嶋彌君) 各国の例でございますが、先般資料としてお届けしてあるかと思いますが、フランスにおきましては歴史的記念物に関する一九一三年の法律というのがございまして、指定された文化財につきましてはフランス国外に輸出することを禁止いたしております。イタリーもほぼ同様でございまして、芸術的及び歴史的財産の保護に関する法律というのがございまして、輸出につきましては許可を受けなければならないということになっております。なお、文化財が美術的、歴史的に特に重要なものであるときは、その輸出を禁止することができるというふうになっております。また、西ドイツにおきましては、ドイツ文化財の海外流出防止に関する法律というのがございまして、登録された重要文化財を海外に搬出しようとする場合には連邦内務大臣の許可が必要であると、こういうことでございまして、たてまえといたしましては、各国とも禁止というたてまえをとっておりまして、特別な場合には許可をするということでございまして、これはわが国の法制とも基本的には同じであろうかと考えております。
#317
○吉田実君 いま報告ありました中の、イタリアの特に重要なものの「特に」は最近取られておるんですよ、つまり、美術品の範囲を拡大しておるわけです。それは一遍お調べください。
 それから、そんな遠い国の話でなしに、一体お隣の中国や朝鮮がどうやっておるか、御存じでしょう。中国では百五十年以上たったものは原則として出しませんよ。韓国ではもっと厳しいのです。日本の骨とう屋さんで持ち出そうとして、いま韓国に懲役で入っておる人があるくらいなんです。そういう意味で私は改定してもらいたいと思うのですけれども、いまの四十四条ですね、重要美術品は輸出してはならない、輸出させない、これだけなんですね、いま文化財保護法では。私は、まず重要文化財というものの範囲を拡大してもらいたい。少なくとも世界に例のないものは拡大してもらいたい。一例を安宅コレクション、これは後で総理にもお願いしたいと思いますので申し上げますが、安宅コレクションというものは、これはもう特に朝鮮の焼き物は世界に類のないコレクションなんです。先般速水御舟の絵は山種美術館に入りました、十八億円で。そのうち文化庁が最近二点指定しましたね。私は、仕事の遅い文化庁には近来のヒットだと思うのです、あれを早速指定されたことは。ただ、お願いしたいのは、いまアメリカにどんどん出る中に、何ら国が指定していないものですけれども、ある絵が一枚でき上がるいろいろな過程があるわけですね、そういったものがどんどん出ていって日本の学者は大変困っておる。御舟の今度指定された二点、あれをつくるために御舟がいかに苦労したか、同じ山種美術館のデッサンの中にわれわれは発見することができるわけです。この間、資料文化財というものをこの二十九日の日に一点初めて指定されましたね、先月の。ああいう考え方で、一つの日本的な庭園というものは、後ろにやはり山なり森なりがあって一体となって保護すべきものなんです。先般の文化財保護法の改正でそういう伝統的な建物群の地区を保存するという新たな条文が入ったことは、これは大変適切なことだと思いますが、同様な考え方で、ある絵、ある作品ができるまでの資料的なものを一括して指定する考えはありませんか。
#318
○政府委員(安嶋彌君) 作品が完成するまでの過程におきまして、作成される下絵でございますとか、デッサンでございますとか、こういうものが大変貴重なものであるということは御指摘のとおりでございまして、私どもも、そのうちの重要なものにつきましてはすでに指定をいたしておるわけでございます。四十九年、比較最近の例でございますが、紙本墨画及び淡彩の渡辺華山像画稿、これは椿椿山という人の筆でございますが、これは重要文化財として指定をいたしております。それから買い上げた例といたしましては、これも渡辺華山でございますが、于公高門図画稿というものも、これは指定をいたしますと同時に買い上げておるようなことでございます。したがいまして、御指摘のような方向につきましては徐々に前進しておるということでございますが、まだデッサンのコレクション全体を指定をするというところまでは考えておりませんが、今後の課題として検討させていただきたいと思います。
#319
○吉田実君 総理、いま世界の美術界の中で日本ほど野放しになっている国はないと言われるのです。先ほど諸外国のを聞きましたように、私、最近メキシコとペルーの文化財保護法を調べてみました。大変厳しいものなんです。これは後で文化庁にありませんなら私から差し上げますけれども、大変厳しい取り締まりをやっております。いろいろ時代の問題なり、種類の問題なり、作者の問題なり、私はまだまだ日本の重要文化財の指定を拡大していただきたいと思うんです。それから、野放しに出ないように、もっとこの方面の予算をひとつ拡大していただきたいと思いますが、文部省の最近のひとつ重要文化財の買い上げ費を報告してください。
#320
○政府委員(安嶋彌君) 国宝、重要文化財等の買い上げ費でございますが、五十二年度予算におきましては約十五億円の金額をお願いしているわけでございますが、五十一年度は約十三億、五十年度は約十二億、四十九年度が十一億ということでございまして、近年着実に増加をさせているつもりでございますが、このほかに、国立の博物館、美術館等におきましても、作品の購入費が計上されておりまして、その額は五十二年度予算におきましては約二十二億円、五十一年度予算におきましては約十九億円という金額に相なっております。
#321
○吉田実君 いまの報告の中に国立の美術館という話がありましたが、私がお願いするのは、外国から何かにせものなんか買わずに――買いましたね、二点。そういうことなしに、もっと日本に昔からあるものをひとつ買ってもらいたいと思います。先日、総理、私は大阪の公聴会のときですが、住友の伊部頭取にお会いしたんです。先般来から大変問題になっておる安宅コレクション、これはわれわれがその散逸を大変心配して、私自身も文化庁へ行ってお願いしたことがありますが、文化庁でも大変お骨折りいただいて、これは感謝しておるんですが、一応住友が簿価七十億円のものを百五十億円で一応預かってくれたわけです。しかし、これは百五十億円なんというものじゃないんです。もうあの話が、安宅が悪いという話が出ましてから、世界の美術界では大体少なくとも五百億円、一千億円の値打ちがあるだろうと評価されておるものです。その評価は別として、伊部頭取が私に一応この散逸をおそれて、住友グループで引き取ることにしましたが、国が一括でなくていいけれども、国で少しでも買っていただけるようなことができないものだろうか。この安宅コレクションはいま三点ですか、指定しておるものは――九点になりましたか、それくらいしかないんですが、世界に類のない焼き物だけでも約二十点あると思います。これは私の考え方でなしに、一般的な考え方で二十点はあると思うんです。これなんかはすみやかに指定する、あるいはもっと金を出して国が買っていただきたいと思います。
 そこで、ひとつ文部大臣にお尋ねしたいと思いますが、いまお聞きのとおり、まあ最近少しずつふえていますよ、ふえていますが、わずか十億台、そういうことで日本の、われわれの貴重な古美術品の海外流出を一体守れるでしょうかね。私は思い切ってひとつ予算要求をしていただきたいと思いますが、そのお気持ちがございますか。
#322
○国務大臣(海部俊樹君) 御質問の趣旨を体しまして、大蔵大臣とよく御相談をさせていただきます。
#323
○吉田実君 大蔵大臣、ひとつ文部省から出ましたら、去年の何割り増しだと、何%増しなんていうけちなことでなしに、全額認めるお気持ちがありますか。
#324
○国務大臣(坊秀男君) 非常に大事なことだと思います。御要求があったら全額これを認めよというお話でございますが、そこまではいまここで申し上げるわけにはまいりませんけれども、実情をよくキャッチいたしまして、そして善処いたしたいと思います。
#325
○吉田実君 どうも大蔵大臣からも満足なお答えがいただけませんので、最後に総理にひとつお願いを申し上げたいと思うのです。
 いま私が話題にいたしました安宅コレクションなんかというものを何回か私も見に行きました、もう入れないのですね、会場がいっぱいで。来ている人は皆若い青年男女なんです。しかもカタログがもう売り切れてしまっておる。あなたのおっしゃる、静かな落ちついた社会を、そういう社会で美を求めたいというのが、いまの若い人たちを中心に、大変これは大きな気持ちなんです。たった十何億でなしに、私は一年百億円ぐらい認めていただきたいと思うのです。これは別にどこへ行く金でもありません、消費されていく金でもありません、われわれの祖先の貴重な財産が国のものになって、国全体でこれを守っていく、公開して国民の多くの人たちに見ていただくということなんです。どうでしょうか。もしも百億円をお認めいただくならば、あなたはもう後世に文化宰相として、それは国民は尊敬し、たたえることであろうと思います。どうかひとつ決断をお願いします。
#326
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどから貴重なお話を承っておりまして感銘を受けましたが、まあ文化財は何と申しましても民族遺産ですからね。本当にこれは大事にしなければならぬ、こういうふうに思います。予算のことは大蔵大臣が気をつけると、こういうふうなお話でございますが、まあ大変大事なものが流出しそうだ、金がないというときには、これはもう何としたって政府として手配をしなければならぬ、こういうふうに考えます。
#327
○吉田実君 終わります。(拍手)
#328
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして吉田実君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#329
○委員長(小川半次君) 引き続き、宮崎正義君の質疑を行います。宮崎正義君。
#330
○宮崎正義君 私、予定しております質問の前に、総理に一言お伺いしたいことがございます。と申し上げますのは、ただいま領海十二海里、専管水域二百海里の対ソ問題の非常にむずかしい交渉中の中、去る二日の日、一昨日ですかのわが党の竹入委員長に続いて、経団連の土光会長が訪中をいたしまして、そして、華国鋒首相と二時間にわたりまして会談があったと、民間人としては初めてのことであるということが報道されておりますし、そこで日中平和条約の早期締結についてもお互いに了承したというような会見であったということを聞いておりますが、竹入委員長が帰りましたときにも、総理にこの日中平和条約というのをいつやるんだと、早急にこれはやらなければどうなんだと、こういうふうな帰国してからの話があったはずですが、現在の総理の考えは、まあ土光さんも帰って見えればいろんな話もあるでありましょうけれども、きょうあたりお帰りになるかどうかわかりませんけれども、そういう情勢等を見ながら、どういうふうに総理は考えておられるか、いつの時点をめどにしてその平和条約を締結するような方向にいくかということを伺っておきます。
#331
○国務大臣(福田赳夫君) 日中平和友好条約につきましては、いつの時点で調印まで持っていくか、これはまだ申し上げられないんです。まあ申し上げられることは、これは双方の満足し得る条件が整う、その段階でまあ双方の国民から祝福されながら締結する、そういう姿勢で当分やっていく、そしてその交渉につきましては外交チャンネルをもって行うという考えでございます。
#332
○宮崎正義君 双方に満足のいく云々という答弁がありますけれども、その双方が満足いく問題点というのはどういうところにあるんですか。
#333
○国務大臣(福田赳夫君) まあ条約ですからね、条約文のすり合わせ、こういうところです。幾つかのすり合わせの問題点があるわけなんで、それを外交チャンネルを通じましてすり合わせをする、そしてまあ両方これで満足だというものを早く求めまして、そして調印まで持っていくという考えでございます。
#334
○宮崎正義君 その総理の考え方のすり合わせの内容について一つ、二つ触れてもらいたいと思います。
#335
○国務大臣(福田赳夫君) これは非常に機微な問題で、そこまで私が言いますと、できるものもあるいはできなくなるかもしらぬ。それができなくなるというのは言い過ぎかもしれませんけれども、あるいはおくれさせるかもしらぬというようなことになりかねない。そこで私は、なるべくこのすり合わせの内容につきましては、これは沈黙をしているという姿勢をとりたいと思います。
#336
○桑名義治君 関連。
#337
○委員長(小川半次君) この際、関連質問を許します。
#338
○桑名義治君 ただいまの宮崎さんの質問に答えられまして、今回の土光会長が中国を訪問をし、そして日中平和条約についての一応の合意に達した、このことについての質問で、いま時期はいつとは言えないけれども、双方に満足のいくときにというお話がございました。それと同時に、今回のこの大きな意味というものは、いわゆる貿易の面におきまして中国の石油、石炭、日本のプラント、建築資材、鉄鋼の五品目をはっきりと、包括的ではございますけれども約束ができたと、定着したと、こういうお話がございます。
 そこで、やはりこういった経済問題と今後結ばれるであろうと思われる日中平和条約との間には、やはり相関関係はこれはぬぐうべくもない事実があると思うんです。それと、この平和条約との問題の絡みとして今回のいわゆる日ソの漁業協定のこの問題、漁業交渉の問題、この絡みもあるのではないかというふうに考えられるわけでございますが、こうやった問題を総括的に総理としてはどのように認識をされており、今後どのように進めていこうとされておるのか、お伺いしたいと思います。
#339
○国務大臣(福田赳夫君) 私は日中、日ソ、これは絡ませる考えは持っておりませんです。絡ましてはならぬと、これは日中間も日ソ間も平和友好でいかなきゃならぬと、こういう構えでございます。
#340
○桑名義治君 貿易の問題があるんです。
#341
○国務大臣(福田赳夫君) 貿易はこの条約を結ぶということにそう直接的な関係は私はないと思うんです。ないと思いますが、雰囲気は条約ができますと大変よくなると、かように考えます。
#342
○桑名義治君 そこで新聞の報道によりますと、「廖承志中日友好協会会長は日中共同声明をそのまま条約の成文にすることがわれわれの考えだと述べたあと、福田首相が忙しいのなら待つ、といっていた。つまり日本にゲタをあずけたわけだ。」、こういうふうに報道をされているわけです。これは対談の形の中に報道されているわけです。そこで完全にこの日中平和条約につきましては、日本にげたを預けられたというかっこうです。いままでの日本の外交の姿勢、あるいは今度の漁業交渉の問題にいたしましても、常に向こうから何か問題を投げられてそれに対応するという、常に受け身の形であったということはぬぐうべくもない事実ではないかというふうに私は考える。そういった立場から考えた場合に、今回のこの日中平和条約というものはむしろ日本から積極的に働きかけをやっていくべきではないかと、こういうふうに考えるわけでございますが、時期はいつとは言えないというふうに先ほどから申されているわけでございますが、大体包括的にこの時期をめどにして、参議院選が終わった後だとか、あるいはまでだとか、そういう時期が考えられておられるものがございましたら明快にしていただきたいと思います。
#343
○国務大臣(福田赳夫君) まあこの日中平和友好条約をいつごろということをこの段階で申し上げるのは非常にいろいろ支障があると思うんです。私はいろいろ考えておりまするけれども、まあひとついろいろの条件の推移を見まして、その推移を見た上でこの決断をするという態度であるというふうに御理解願います。
#344
○桑名義治君 時期については言えないというお話でございます。しかし、まあ先ほどから申し上げましたように、経済問題もいよいよ軌道に乗ろうかという明かりが見え始めたわけでございますので、そういった意味からもこの日中平和条約問題についてはさらに強力な態勢でもって推進をするように希望して私の質問を終わりたいと思います。
#345
○宮崎正義君 総理、いまの桑名委員とのやりとりなんですが、私の気持ちをそっくり言ってもらったわけですが、どうですか、総理が早急に乗り込んで、中国に行って、ひとつ首相にお会いになったらどうですか、いかがですか。
#346
○国務大臣(福田赳夫君) 私がまあ中国へ行く、それが非常に日本の国益に合うと、こういうような判断ができる時期がありますれば、私は訪中は一向差し支えないと、こういうふうに考えておるわけでありまするが、いま具体的にいついかなる時点で訪中するという予定は持っておりませんです。
#347
○宮崎正義君 公益があるならばじゃなくて、公益は当然あるというふうに私としては見ているわけですが、その点ちょっと私に気に入らない御答弁なんですが、どうなんですか。
#348
○国務大臣(福田赳夫君) まあ平和友好条約だけのことでありますれば、これはわざわざ私が行く必要は必ずしもない。まあ行った方がいいというケースもあるかもしれませんよ。しかし、私はもっと大きな立場から日中関係をどうするんだという基本的な考え方について、まあ北京政府と話し合いをするという必要があるなあという時期がありますれば、私はそういう挙に出るということを申し上げておるわけなんでありまして、まあ条約の締結だけのことをとってみますれば、あるいは外務大臣が向こうへ出かけるとか、あるいは向こうからどなたか来られるとか、そういうことで片づく問題だろうと、かように考えます。
#349
○宮崎正義君 一国の総理ですから、やはり立場上のことはわかりますけれども、それだけに私たちは希望するわけです。
 そういうことで、私はさらに申し上げたいことは、いま北方領土をめぐる問題、安全操業をめぐっての問題、あるいは領海十二海里の問題、専管水域二百海里の問題、この問題につきましては、私は四十一年の三月の十六日にこの予算委員会で取り上げております。これはひとつこの会議録をよく読んでいただけば――その当時は故佐藤総理でございますが、読んでいただきますとどういう答弁をなさっているかということがおわかりになると思います。それで、さらにかいつまんで申し上げますと、総理大臣も外務大臣も、それから農林大臣も、専管水域の趨勢を認識し、前向きに取っ組んでいくというような姿勢でございました。ところが、同じ四十三年の予算委員会、このときには当時は――四十一年のときには椎名さんでございました。四十三年のときには三木さんでした。三木さんが外務大臣でして、三木さんははっきりこういうふうに言っています。日本が三海里をすぐにこれを再検討しようとは考えておりませんと、こういうふうにはっきりとぽんとけっているわけです。私の十二海里説、専管水域の問題、安全操業等の問題についてだけにこのようにはっきり答えられている。ところが四十六年の十二月の二十五日の参議院の連合審査会のときにおいて、外務大臣でおいでになりました福田総理は、このときの御答弁を覚えておられましょうか。
#350
○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと覚えておりませんです。
#351
○宮崎正義君 まことに責任がないんじゃないかと思いますが、これを読みますと時間がたってしまいますので、ほかの質問に入るのに時間がもったいないですから読みません。ただ一言だけ言っておきましょう。「いままで三海里を固執してまいりましたが、もうここへくると日本も思い切るべきじゃないか。」と、十二海里設定の必要性を総理は認識されておったわけなんです。その点はっきり答弁されているんです。このときからそのままの形でずっと煮詰めておいでになれば、そういう今日の時点に追い込まれて、ああもこうもああもこうもする必要なかったはずなんです。そういう点から考えましても、いま私は冒頭に日中平和条約の問題につきましても、明確に先のことをちゃんと見て進んでいかれませんと、いま漁業問題で領海十二海里、専管水域二百海里の問題で国を挙げて、国民を挙げての重大問題の中に追い込まれているという形の中に来てしまった現実、それがまた同じような轍を踏むようなことがあってはならないので私は言っているわけなんです。この点、総理の御決意を聞いておきたいと思います。
#352
○国務大臣(福田赳夫君) 外交は国益に関する重大問題でありますから、これはあくまでも慎重にやります。同時に、時には受け身のこともあれば、時には積極的に出ることもある、そのときの環境に応じまして臨機応変にやっていきたいと、かように考えております。
#353
○宮崎正義君 この領海十二海里、専管水域二百海里の問題につきましては、また後の時間に譲ることにいたします。
 きょうはせっかく御多忙のところを、当委員会に参考人としておいでくださいました三村先生に、心からお礼を申し上げます。そういう参考人の方もおいででございますので、水の問題についてこれから少しく話を進めていきたいと思います。
 まず、今回行われました、これはマルデルプラタの国連水会議、この問題について、もうきのうあたりお帰りになっていると思いますが、これの成果なりあるいはその内容なりがおわかりでしたら発表をしていただきたいと思います。これは外務大臣ですか。
#354
○国務大臣(田澤吉郎君) お答えいたします。
 アルゼンチンのマルデルプラタ水会議のことでございますが、御承知のように、資源有限時代に水の開発、利用、これは食糧問題、あるいは工業開発あるいは生活環境等を総合的に、いわゆる経済社会の開発の基本的な条件でございます関係からして水の利用というものの国際協力の必要性が非常に高まっている中で行われているわけでございまして、わが国といたしましては、わが国の水の需要供給のこの厳しい状況を通じて、国際社会における水のいろんな問題を解決するための一般的な条件を、たとえば宣言の形で、あるいはまた行動勧告の形で各国が合意できるように努力をしてきたということが、わが国の基本的な立場でございます。幸いにいたしまして行動勧告が合意されまして、その重点としては、先生御承知のように、水資源評価の重点性、重要性、あるいはまた上下水道整備の緊急性、たとえばこれは一九八〇年から一九九〇年を安全な飲用水確保のための十年とするというような例のごとくこれを進めると、あるいはまた食糧と水資源の確保、あるいは工業における水利用の合理化等がその重点でございます。
#355
○宮崎正義君 大体西暦二〇〇〇年には水の需要が現在の四倍になるだろうとこれは推定されておりますが、こうした中で人口の増加もどんどんしていくでありましょうし、食糧を確保するためには二十年以内には五〇%以上も灌漑の用地をふやしていかなければならないような状況にもなるだろうと、その一方では工場や都市の排水も増大を続けていくようになるというような点になりますと、汚染が進む、その量がまた反面進んでいく、量、質とも深刻な危機の状態が世界はもちろんわが国にも当然問題としては残されてくる、これを取り上げていかなきゃならない、こういう時点になりますが、この点どうですか。
#356
○国務大臣(田澤吉郎君) 御指摘のように、昭和四十七年において、都市用水の関係でございますが、約二百九十億トン、農業用水は約五百七十億トン、合計して八百六十億トンでございますね。そのうち百三十億トンが地下水に依存しておるわけなんでございます。昭和五十年度の都市用水の総需要量は、これは約三百三十億トン、そのうち工業用水は二百億トン、生活用水が百三十億トンになっておるわけでございまして、昭和六十年度までに総人口が一億二千四百万と増加すると見て、水道の普及率を九七%と見まして、約六十年度で四十億トンから六十億トンの不足を見るだろうと、こういう推定なのでございます。そこで、私たちといたしましては、これから長期の水需給計画を立てまして、水の利用あるいはまた水資源の開発というものを計画的に長期的に進めてまいるという考え方でございます。
#357
○宮崎正義君 お話にありましたように、四十億トンから六十億トンの水が不足すると言われているということで、この水資源の問題を取り上げてみましても、この資源開発には十年はかかるだろうと、こう言われているわけですね。いまのお話にもありましたけれども、この四十億トンの不足というのは、これはえらい問題だと思うんです。その中において、もうすでに水の危機とも言うべき時期が来ている、これに対する需要計画というものに対してどんなふうな考え方をなさっているのか。
#358
○国務大臣(田澤吉郎君) 特に首都圏の場合、先生御指摘のように非常に不安が多いわけでございます。そこで、首都圏の水供給の大宗は、先生御案内のように利根川及び荒川の水資源開発の水系の指定でございます。その水資源開発基本計画を立てまして、昭和六十年までの新規需要見込みを毎秒約百九十五立方メートルとしてこれに対応してまいる考えなんでございます。ところが、現在百六十立方メーターが計画済みでございますけれども、残る三十五立方メーターに対しましては、これは第一に霞ケ浦の高度利用等の新規水源施設の計画を進めると、もう一つは下水の再利用というものを考える。それから農業用水の合理化を図るということによってこの対策を進めてまいりたいと、こういう考えでございます。
#359
○宮崎正義君 そこで、水資源開発の基本計画の、いまおっしゃられましたごく一部の霞ケ浦の開発のことを触れられておりますけれども、どんなふうな計画を利根川水系だとか荒川水系等でどういうふうな考え方を計画をされているのか、資料でもあればお示し願いたいんですが、これは私のはちょっと古いんじゃないかと思いますが。
#360
○国務大臣(田澤吉郎君) たくさんの項目に分かれておりますけれども、第一番目に利根川河口ぜき建設事業、第二番目は草木ダム建設事業、北総東部用水事業……
#361
○宮崎正義君 進捗状態も一緒に。
#362
○国務大臣(田澤吉郎君) ちょっと詳細になりますので、局長から、政府委員から答弁させます。
#363
○政府委員(飯塚敏夫君) お答えいたします。
 進捗状況でございますが、現在改定されております利根川のフルプランの前回の計画は昭和四十六年度を起点として決めておりますが、そのときからの進捗を見ますと、現在利根河口ぜき等を初めといたしまして、直轄、補助等の全体の進捗率はおおむね二五・三%でございます。
#364
○宮崎正義君 個々に言ってくださいよ、おおむねじゃなくて、全体じゃなくて。ずいぶん不親切だね。
#365
○政府委員(飯塚敏夫君) それではダムごとに申し上げます。
 利根河口ぜき草木ダムはすでに完成しております。房総導水路六〇%、思川開発六・二、霞ケ浦開発二二・三、奈良俣ダム一・一、川治ダム四八・五、北千葉導水一四・五等でございます。それから補助ダムが桐生川ダム初め六ダムございますが、合計いたしまして一六・九でございます。それから滝沢ダム、浦山ダムにつきましてはそれぞれ四・九と一・五、それから補助ダムの有間ダム、合角ダムにつきましてはそれぞれ四一・三、四・七、以上の合計が先ほど申し上げましたように二五・三でございます。
#366
○宮崎正義君 成田用水とか東総用水なんかはどうなんですか。
#367
○政府委員(飯塚敏夫君) 房総導水路が六〇・四でございます。
#368
○宮崎正義君 成田は……。成田抜かしちゃだめだよ。
#369
○政府委員(飯塚敏夫君) ただいま手元に正確な資料を持っておりませんが、おおむね七〇%程度と思います。後ほどまた調査して御報告さしていただきます。
#370
○宮崎正義君 八ッ場ダムはどうなんですか。
#371
○政府委員(飯塚敏夫君) 八ッ場ダムにつきましては、いわゆる着工という形で工事そのものは開始しておりませんが、事務費だけでの進捗率を見ますと約五・五%になります。
#372
○宮崎正義君 全体で二五%と言われましたね。それで十分に需要のものが賄えるという自信がありますか。といいますのは、先ほど私が申しましたように、一つの水資源の開発やるのに十年はかかると言われておるわけですね。そういう問題と、もう一つは昨年の五月に行政監察による建築中のダムが七十九の水源開発工事のうち、当初計画の事業が進んでいるのは十九だけだったということですが、それはどうですか。
#373
○政府委員(飯塚敏夫君) お答えいたします。
 ダムの全体の進捗状況でございますが、御指摘のとおり、必ずしも順調に進んでいるとは思いません。したがいまして、私どもといたしましては、先ほどの水需要の不足に対しまして供給面でさらに事業費的にも努力いたしますとともに、水源地域の対策につきましても従来にも増して抜本的な方策を講じておるところでございます。すなわち、整備計画その他を樹立するとともに、個々の個人、水没関係地域の住民の方々に対しましては、生活再建対策につきまして、別途、水源地域対策特別措置法の精神にのっとりまして、財団法人の基金をつくって鋭意推進しているところでございます。昨年度は利根川、荒川に対して基金をつくりましたが、今年度は木曾川水系の木曾三川につきましても国で助成をいたしまして、財団法人によります基金によりまして、水没関係地域住民のいろいろな生活再建対策につきまして協力してまいるように考えております。
#374
○宮崎正義君 まことに心もとない話なんですが、大概が、思川にしても四十五年に始めているわけですね。それから八ッ場ダムにしても四十二年から計画が途上になっているわけですね。それから霞ヶ浦開発にしましても四十三年から二二・三%と、このようになっていますね。こういうふうな状態を見ていきますと、いまの答弁のようなことではとうてい、需給というものに対する考え方が非常にむずかしいんじゃないか。さらに不足していることが明らかにわかっているんですから、この点についての進め方、進捗状況というものの計画をもう一度ここで立て直しをさせて、そして東京を中心とした首都圏の水というものを確保するために、考え方を改めていかなきゃならぬ、こう私は思うんですが、どうですか。
#375
○政府委員(飯塚敏夫君) ただいま御指摘のダム、いずれも地元関係その他でおくれていることは事実でございます。私どもといたしましては、それらにつきまして関係県と十分に協議をいたしますとともに、霞ケ浦につきましても最近ようやく整備計画がまとまりまして、その内容について逐次事業を進めておりますので、これらの問題は解決に向かうのではないかと思います。そのほか、全国的な問題でございますが、この三月の終わりにもダム指定をいたしまして、水源地域対策特別措置法によります整備事業を鋭意進めるために、整備計画を立てるその前段としてのダム指定も行いまして、そういうことを踏まえまして、なお今後とも努力してまいりたいと思います。
#376
○宮崎正義君 国連水会議の事務局で発表している、工業製品には莫大な水が使われているという、その資料がありますか。
#377
○政府委員(飯塚敏夫君) お答えいたします。
 資料はございます。ただいま手元には持っておりませんが、ございます。
#378
○宮崎正義君 それを取寄せられて、いかに莫大な、膨大な水が要るかということを考えあわせていかなければならないと同時に、日本の水資源開発事業に対する考え方、計画も相当長期になっているわけです。みんな大概四十二年か四十三年ごろから始めているんです。いまだにそれが進捗してない。たった二つだけが一〇〇%になっているというんでしょう。そういうことから考えあわせて、いま手元にお持ちにならないその資料をよくお読みになって、当然頭の中に、どれぐらいのものが入っているぐらいのことをお考えでいいと私は思うんですが、どうですか。
#379
○政府委員(飯塚敏夫君) お答えいたします。
 従来、工業用水につきましては、高度成長時代を通じまして、一般の生活用水よりもかなり高まった水需要の増加が認められております。最近の傾向でございますが、生活用水の伸びに対しまして工業用水が、不況その他の問題もありましょうが、その上にさらに工業用水の合理化と節水というような問題も含みまして、工業用水の水需要の伸びは非常に鈍化しております。私どもはそういう内容も踏まえまして、昭和五十二年度、今年度末に長期的な水需給計画を策定することにしております。これらの内容を踏まえまして、今後の水需給計画に対処してまいりたい、こういうことで、目下、鋭意今年度末を目途に需給計画の策定を、三全総との整合を保った上での需給計画を樹立してまいりたいと、こう思っております。
#380
○宮崎正義君 今年度末というのはいつですか。
#381
○政府委員(飯塚敏夫君) 今年度末でございます。
#382
○宮崎正義君 年末。
#383
○政府委員(飯塚敏夫君) 正確には昭和五十三年三月でございます。
#384
○宮崎正義君 農業用水の問題についてはどんなふうに考えていますか。
#385
○政府委員(飯塚敏夫君) お答えいたします。
 農業用水の最近の傾向でございますが、非常に横ばい状態の増加でございます。しかし内容を見ますと、最近の農業構造の改善によりまして、将来は畑地灌漑その他で非常に伸びることが農林省の中で計画されております。私どもといたしましては、農林省と緊密な連絡をとりまして、その上に立ちまして、各種用水との総合的な調整がとれました計画を樹立してまいりたいと思っております。
#386
○宮崎正義君 もう一つ、日本の今日までの主な水飢饉の状況というものを報告してください。
#387
○政府委員(飯塚敏夫君) 過去の経緯すべては記録にございますが、ただいま持っておりませんが、利根川で申しますと、おおむね四年に一回程度の飢饉がございます。特に最近では、昭和四十八年におきます西日本その他の飢饉が大きかったように記憶しております。
#388
○宮崎正義君 資料を持っておいでにならないということですから、これまた話が進められないんで残念なんですが、十年に一度は渇水年というようなことも言われていることもあるんですが、全国、全地域における予想されていくこの水飢饉の問題、これらを踏まえてまたその計画というものを算定基準の中に考えていかなきゃいけない、こう思うわけですが、その点なんかどうお考えですか。
#389
○政府委員(飯塚敏夫君) お答えいたします。
 私ども水の需給計画を立てます場合には、過去の統計から見まして、おおむね十年に一回起こるであろうところの渇水の年を計画の基準年として計画を樹立しております。したがいまして、おおむね十年に一回程度の渇水には対処できるというような形での計画を立てておるところでございます。
 先ほど失礼いたしましたが、昭和四十八年におきます渇水の内容を見ますと、高松、福山、松江、特に福山の工業用水等におきましては、最大九〇%の給水制限等も含みまして、二カ月ないし三カ月間の給水制限期間があったような被害状況がございます。
#390
○宮崎正義君 いずれにしましても、先ほどの国連水会議における資料と、それから今日までの、昭和三十九年ごろからの飢饉の状態。それに対する――いまおっしゃられた、十年単位に考えているという、その三十九年から考えてみてどんなふうな計画をされてきたかという、後でも結構ですから資料を出してください。そのことに対して答弁願います。
#391
○国務大臣(田澤吉郎君) 提出いたします。
#392
○宮崎正義君 いま、大事な私たちのこの水と切り離すことのできない問題について、水資源の開発というものに対するおくれですね、おくれている工事のこと、予算の問題もありますでしょう。いろいろな、土地の買収問題等でおくれているということも知っておりますけれども、この点は総理、よくお考えいただきたいと思うんです。と申し上げますのは、水というのは、いつでもじゃ口をひねれば水道の水というのは出てくるというふうに、安易なお考えでお使いになっているんじゃなかろうかと私は心配しているんですがね、どうなんですか。
#393
○国務大臣(福田赳夫君) 私も、前から水の問題は大変先々のことまで考えなきゃならぬなあという考えを持っておるんです。開発も大事でございまするけれども、同時に、水を大事に使う、これは非常に大切な問題だろう、こういうふうに思うんです。最近、生活が高度化するというのに伴いまして、私は個人生活でも水なんかずいぶん使い方の工夫をする余地があるのじゃないか。トイレなんか申し上げちゃ恐縮でございますが、ちょっと足をかけるとじゃあっと出るような、ああいうものもいかがだろうかなんてしょっちゅう思いまして、建設大臣に対しまして、私は少し節水という立場から改良したらどうだろうという御相談なんかしたこともありますが、まあとにかくこれはもう来年、再来年、水がなくなりそうだといって騒いで間に合うものじゃありません。十年先を見ながらやらなきゃならぬ問題であるというかまえでやっていきたいと思います。
#394
○宮崎正義君 水道法の第一条で、「清浄にして豊富低廉な水」というふうに言われております。大体、水道法が制定されてから二十年を迎えようとしているわけですが、この水には――総理は節水ということを例にとられてお話しなさっておりますが、その毎日お飲みになっている水で、水質の検査もしていなければ、残留塩素の測定もしていない水があるということを御存じなんでございましょうかね。これは総理と厚生大臣にひとつ伺っておきたいんです。
#395
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先生御承知のように、水道法によって、水道事業者に対して厚生省令で定期及び臨時の水質検査を義務づけておるわけでございます。厚生省令では定期の水質検査として毎日一回、色とか濁り、消毒の残留効果等の検査を行わしておりますし、また、おおむね一カ月ごとにアンモニア性窒素及び亜硝酸性窒素、塩素イオン、有機物等に対する検査もやらしております。また、一年に一回でございますが、これは二十七の項目にわたりますが、水銀、カドミウムを初め二十七項目について検査をやらしております。
 それから、臨時の検査は、たまたま近くに、水源地その他に伝染病ができたとかなんとかというような情報が入りますと、それについての臨時の検査というようなことをやらしておるわけでございます。
#396
○宮崎正義君 そこで、国会や官邸、ホテル等で水を飲んでおられますね。これは水道の水ですか。
#397
○政府委員(松浦十四郎君) 水道法によりまして規制されております水道の水というのは、いま先生おっしゃいました、こういった建物の受水槽のところまでが水道法に規制されますところの水道の水でございます。そういう意味合いからしまして、先生のただいまの御質問の水道の水かどうかということでございますが、原水は水道でございますが、そこにつきましては水道法の規制は及んでいない、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
#398
○宮崎正義君 大臣と総理にこれは聞いておこうと思ったんですが、答弁されちゃったんですよ。残念でした。(笑声)これはひっかかると思ったんですが。少し意地の悪い質問だったんですが。
 この飲料水がどのような状態であるか、具体的な例を示しながらひとつ各大臣の御意見を聞きながら質問を続けていきたいと思います。
 参考人の先生においでいただいているわけでありますが、実は水質研究班というものが場所を選びまして水質試験を行いました。それを衛生研究所で分析をしていただきました。そのものを一覧表につくっておきましたので、まことに恐縮でございますが、この依頼をいたしました基本的な考えとあわせられて、試験結果のお考えをひとつお聞かせを願いたいと思います。
#399
○参考人(三村秀一君) それでは、研究所におきまして水質検査を実施する場合の基本的な考え方並びに今回の試験検査をいたしました結果について私の所見を述べさしていただきます。
 水質の調査というものは、試料の採取――サンプリングというんですが、このサンプリングと、それから試験検査というものは車でたとえますと両輪のような関係がございまして、非常に重要でございます。と申しますのは、試料を採取したときの条件というものが水質試験の結果に微妙に影響してくるからでございます。そのために、私たちの研究所で、たとえば学会に出す調査研究の資料のような場合には、みずから現地に行きまして、そして納得のいくサンプリングの方法をいたしまして、サンプリングをいたしているわけでございます。現在、研究所でいろいろな依頼検査を受け付けておるわけでございますが、このような場合にはそういう方法がとれませんので、研究所にお出しいただきました検体につきまして、その成績書は何月何日に御依頼された試料につきましてという条件をつけて、水道法に適合するかしないかという判定をいたしておるわけでございます。
 この判定の基準でございますが、この基準は、先ほどからもお話が出ていますように、水道法の第四条の水質基準に基づいております。この基準というものは、大体その水の中が赤痢菌とかチフス菌のような病原生物によって汚染されていないか、第二点といたしましては、シアン、水銀、カドミウムのような有害な成分あるいは金属が混入されていないか、第三点といたしましては、鉄のように、家庭用水として使用した場合いろいろな障害を来さないか、あるいは人間の感覚的な点で不快な感じを与えないか、まあ大別いたしますとこの三本の柱で組み立てられると言ってよろしいと思います。
 先ほどからもいろいろとお話が出ていますが、こういうような試験をする場合の項目というのは全部で二十七項目プラス、カドミが入りますので、二十八項目にわたって細かく定められているわけですが、その検査を全部やることを一応これは精密検査と言っております。で、精密検査の場合には、ビル管理法の場合には年二回、ただし、その一回は必要に応じて検査項目が省略できる。また、水道法におきましては年一回することが義務づけられているわけでございます。
 一方、水道法の場合には、毎月一回行う定期検査というものがございます。この検査は、先ほど申しました二十八項目の中から十二項目のみを選択して実施する検査でございまして、私たちの研究所では、数多い依頼検査の中でも定期検査が最も多い割合を示しております。特にビル用水の場合には、じゃ口まで来る途中でタンクとかあるいは配管などの材質を溶かすことがあります。そのような場合には、依頼者の方にそのビルで使用されている材質をお聞きして、先ほど申しました定期検査の十二項目に、さらにその成分と思われる二、三項目を追加して検査を実施しているわけでございます。
 いま試料の採取法の重要性とかあるいは水質基準の解説、私たちが研究所で行っている実態についての御説明を申し上げたわけでございますが、さて、このような観点から、今回、水質研究班がとられました試料の結果についていろいろと解析してみたいと思います。
 まず、御依頼を受けましたビル用水は、全部で十七検体でございました。そのうちの十検体が水道法の基準に適合しないという結果が出ておりまして、その不適の原因というのは、項目別で見ますと、大部分が色度の五度、鉄の〇・三ppm、亜鉛の一・〇ppmという基準を超えて異常値を示しているためでございます。この中でも、色度の高い原因は鉄が多いためでございますので、問題となる項目は鉄、亜鉛の二項目であると言ってよいと思います。鉄、亜鉛が異常な値を示した原因といたしましては、腐食性の強い水がタンクあるいは配管中に長期間滞留しているうちに、材質である鉄分あるいは亜鉛引き鋼管の亜鉛を溶出したものと考えられるわけでございます。このような現象というのは、私は数多く接触することがございます。
 一般に腐食の原因というのは、多少学問的な御説明になりますが、配管の材質、構造上から来る内部ファクター、水のPHあるいは遊離炭酸、溶存酸素、残留塩素などからくる化学成分、このような外部ファクターと、普通この両ファクターが相乗的に作用することが多く、簡単に原因物質を追求することはきわめて困難な問題でございます。
 さて、このような水を飲料あるいは家庭用水として使用した場合、どのような問題点があるかと申しますと、鉄分につきましては、人体に対する有害性というものよりも、むしろ人間に感覚的に不快な感じを与える方が問題になると思います。すなわち家庭用水として使った場合に、たとえば洗濯物あるいは白いタイルに着色するとか、お茶を入れた場合にタンニン鉄の紫青色を呈するなどの支障があるからでございます。
 一方、亜鉛でございますが、この亜鉛は普通、哺乳動物の生殖能や健康な発育に必要な金属の一つとなっております。ゆえにその量が問題でありまして、あるレベル以下であったら必須金属になるわけでございますが、あるレベル以上になりますと下痢、腹痛、けいれんなどの症状、すなわち急性毒性が見られます。しかしこの亜鉛は鉛のような蓄積性がなく、慢性毒性がないというのが現在の医学界の定説になっております。そのためにヨーロッパ、WHO、アメリカなどの諸外国におきましては、水質基準亜鉛五・〇ppmという許容量が認められております。日本では一ppmと非常に厳しい基準が定められているわけでございますが、その理由は、たとえば沸かした場合に白く濁るとか、あるいは特有の金属床を呈するという不快な感じを与えるためと考えられます。
 今回の試験結果では、特に某ビルにおきまして、亜鉛が最高三・六ppmという数字が示されておりますが、さきに述べましたように、外国の基準値あるいは毒性研究の結果と照らし合わせてみた場合、人体に対する毒性上の影響よりも、むしろ人間の感覚的な面に問題があり、実際にこのような水を口に含んだ場合異様な味がし、飲料水として使用することは全くできないと考えられるわけでございます。
 以上、試験結果及び私の所見を説明さしていただきました。
#400
○宮崎正義君 どうも。
 そこで、各事項につきましてそれぞれの御所見を伺いたいと思うんですが、時間の関係等もありますので省略をいたしますが、その中で特にお伺いしたい点がありますが、毎日水質試験の依頼が数多くあると思いますが、一日平均どれぐらいの件数がありますか、またその中には臭い水とか色のついた水とかでトラブルなんかもあるんじゃなかろうかという、またあるという話も聞いているわけですが、こういったようなことで、お話ができる範囲内でひとつ御答弁を願いたいと思います。
#401
○委員長(小川半次君) 参考人に申し上げますが、先ほどのあなたの答弁の時間は少し長過ぎましたので、簡潔にお願いします。
#402
○参考人(三村秀一君) はい、わかりました。
 一応、私たちの研究所では、毎日百件近い依頼検査というものを行っておるわけでありますが、その中でも毎年数件のタンク水におけるトラブルが持ち込まれております。このような場合には、私たちの研究所のような公正な立場の研究機関で水質試験を行いまして、その結果に基づきまして、東京都におきましては、水をやっている行政あるいは区の当該の部及び局がトラブルの処置を行っております。
#403
○宮崎正義君 せっかくの参考人の方の答弁が長いということですが、非常に大事なことでありますし、私たちが知っておかなければならない問題であるために、忙しい時間を割いていただいて、私たちがわかると同時に、国民の方に水の問題ということを重要視をしなければならない。じゃ口をひねれば水がいつでも飲めるという考え方をして、その私たちが飲んでいる水がどんな水であるか、汚染されてあるか汚染されてないかという、汚染されている水を飲めばどういうふうになるかということは、これは重大な私たちの生命の問題にも波及をしてくる問題であります。したがいまして、私は委員長からの言葉でありますが、非常に不本意でございます。したがいまして、私はもう少し参考人の方に一点二点お伺いをして、労をねぎらいたいと思うんです。
 たとえば、一番のAホテルのアンモニア性の窒素、亜硝酸性窒素がよくないということになっております。それで、これが適否の場合に否となっておりますが、珪酸とか非常に大きな数字が出ておりますが、こういうことについて一言お教え願えればいいと思いますけど。
#404
○参考人(三村秀一君) それでは、Aホテルにおきましてアンモニア性窒素、亜硝酸性窒素が同時検出されて不適当という結果になっているんですが、それについての考え方を御説明申し上げたいと思います。
 亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素は同時検出されてはならないというのが水道法で定められております。その理由というのは、本物質自身が、すなわちアンモニア、亜硝酸自体が人体に対する悪影響を及ぼすということではありませんで、むしろこれはふん優性汚染の一指標として考えられているためでございます。しかし、実際に汚染を受けた場合には、この一の資料をごらんになってもおわかりになると思いますが、一般細菌数とかあるいは大腸菌群が検出されるというのが一般常識になっておりますので、この細菌検査の結果も踏まえて、総合的にこの問題は判断しなければならない問題と思います。
 この水の試験結果から考察しますと、先ほど申しましたようなことでございますので、本当に汚染を受けているのか受けてないのかということは、ちょっと私の現在のこのデータだけでは判断できません。しかし、このアンモニア性窒素、亜硝酸性窒素が同時に検出されたということが化学変化によるものなのか、あるいは汚染の初期であったのかどうか、そういうようなことを解明するには、再度やはり検査をしてみないとならないと思います。われわれの研究所では、こういう検体がありましたときはもう一度検査して、そうして確認するという方法をとっております。
 それから、第二点の珪酸の量でございますが、珪酸の量につきましては、非常に一位だけが高い値を示しておりますが、これが最近使われている防錆剤の影響かどうかという問題も、実際わからないのは、天然の水の中にも珪酸塩というものが入っております。ですから、天然の水の中に幾ら入っていて、そうしてもしその量がはっきりと定量されていればこの四二・八二ppmと、非常に高い珪酸塩の量は、防錆剤として使われた珪酸の量が幾つだということが差し引き出るわけでございますが、今回そのような調査がされておりませんので、はっきりとその点について申し上げることができません。
#405
○宮崎正義君 そこで、この問題についてまた私は細かくお伺いしたいんですが、大分外野席の方で何だかんだ言う人がおるらしいですから、きょうはこの問題については少し後日にしまして、先ほど厚生大臣が御答弁がありました、その残留検査とかアンモニアの検査も、あるいは残留塩素については毎日調査をしているとかいう御答弁がありましたですね。そこで、私どものこの研究班が調べまして、データを集めましたのですが、それを一覧表にしてございますが、これお持ちでございましょう、このお持ちになっているものを見て、先ほどの御答弁がそのとおりであったかどうか、ひとつ御発表願いたいと思います。
#406
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私のいただいておる表を見ると、いま参考人の方がおっしゃいましたAホテルの問題が一つ問題でございますが、その他のところは、まあ要するに否というのが多いという先生の御指摘だろうと思うんです。十七のうち八つですか、大体半分ぐらいが否と、こういうようなことが出ている。したがって、あなたの検査をやっていると言うんだが、それは少し違うではないかと、まあ理屈を言うとそういうことになるわけでございますけれども、先ほど先生からお話があったように、この表を見ると、これは色度の問題、それから濁度の問題で問題点があるということであります。色度の問題は、非常にこの日本の場合は厳格につくられておって、先ほども先生からお話があったように、まあWHOでは余りこれは問題にしていないと。アメリカでは十五度、ソ連では二十度という色度を決めておるが、日本ではそいつの三分の一の五度というようなことになっておりますし、濁度の問題でもアメリカなどでは五度ということだが日本では二度と、こういうような非常に厳格に決めてあるために、その外観、濁りについて、まあ長い間使わないでおいたというようなことのために色がついたとか、そういうようなことではないだろうか、別に健康上は特別に問題はないと思います。
#407
○宮崎正義君 御答弁ですがね、じゃあなた、このG建物の水を飲んだらわかりますよ、この表のですね。
#408
○国務大臣(渡辺美智雄君) 飲んで差し支えないと思います。官庁の建物ですね。これは別にそれによって健康にどうこうということはないと思います。ただ、色度があるからちょっと余り飲みたくありませんね、これは。色が少しついておれば飲みたくないという外観上の問題ですが、気分は余りよくないということは言えるだろうと存じます。
#409
○宮崎正義君 じゃあお見せしましょう。ちょっと待ってください。――参考人の方に申し上げますが、私の質問は終わりましたので、お引き取りを願っても結構でございます。
#410
○委員長(小川半次君) 三村参考人には、御多用の中を当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。御退出されて結構でございます。
#411
○宮崎正義君 そこで、店を広げましたのですが、これはちょっと時間に入れないでください。――これ見てください。これが受水槽という水を受けてから上へ揚げますそのパイプの中に詰まっている鉄のかすです。
#412
○委員長(小川半次君) 宮崎君、各委員にも聞こえるように質問台の上からおっしゃってください。
#413
○宮崎正義君 はい、わかりました。ごもっともです。
 いまこれをお見せしたのは、これは受水槽から上の高置槽の方に揚げるパイプに詰まっている鉄のかすです。それからこれは五階建てのビルで五年の間清掃しなかった受水槽の底にありましたさびです。それからこれはある小学校の受水槽の内ぶたについていたさびです。それからこれは同じく小学校のところで採取したんですが、これは清掃して一年です。それからこれはごらんになればいいと思います。
 そこで、先ほど厚生大臣が御答弁なさった中で、検査をずっとやっておられると言いますけれども、私どもの方で資料を集めまして、人事院、防衛庁、法務省、外務省、大蔵省、文部省、農林省、通商産業省とデータを求めてまいりました。これは厚生大臣、お持ちでございましょうか。
#414
○国務大臣(渡辺美智雄君) 持っております。
#415
○宮崎正義君 そこで、検査の右の方に出ておりますが、二年間の必要回数、実施数、こういうおうに出ております。いいところも悪いところもありますけれども、概してやってないということです。これが各省間の水質検査をやった実績の姿ですが、報告をされたんですから間違いないと思うんですが、この点どうでしょうか。
#416
○国務大臣(渡辺美智雄君) 厚生省は大変よくやっておりますが、他の省によってはほとんど二回の検査のところ一回もやっておらないというところもございまして、今後こういうことのないようにうるさくこれは言いたいと思います。
#417
○宮崎正義君 仮に、こういう水だったら大変なことになるわけです。したがいまして、私があえて見本を持ち、そしてそのデータを持ちながら申し上げているわけであります。
 さらに、もう一つお話を伺っておきたいのは、財団法人のビル管理教育センターで出している、厚生大臣、これ御存じでございましょうか。
#418
○政府委員(松浦十四郎君) 私ども存じております。
#419
○宮崎正義君 先ほどの水質試験で結果を出しておりました珪酸が四二・八二ppmというのがAホテルにございます。この「貯水槽の衛生管理」というこの本は、管理技術者のテスト、試験勉強の本になっているというように聞いているんですが、そうですか。
#420
○政府委員(松浦十四郎君) そのとおりでございます。
#421
○宮崎正義君 そうしますと、この本の八十四ページには「給水用防錆剤の毒性」というところが出ております。この防錆剤の毒性を抑えるために何を使うかという。
#422
○政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生、防錆剤の毒性を抑えるためとおっしゃいましたが。
#423
○宮崎正義君 「給水用防錆剤の毒性」と見出しで出ているんですよ。これはお持ちになっていますか。
#424
○政府委員(松浦十四郎君) 現在ここには持っておりませんが。
#425
○宮崎正義君 ではちょっと見てください。――いま残念ながらこれをお持ちになっていないのでごらんに入れました。そしてこれには「一般に215ppm」と、こういうふうになっているわけでありますが、このAホテルの珪酸の問題を挙げますと、珪酸が四二・八二ppmと、こうなっているから、この違いは何ら差し支えないのか、われわれの体にはどうもないのか、人体にはどうもないのかということをいま聞いたわけです。それを御答弁願います。
#426
○政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生から御指摘いただきましたメタ珪酸系の防錆剤でございますが、これは防錆協会が自主的に決めておりますのが一五ppmということで防錆協会の方は決めておりまして、そのことがそこに書いてあるわけでございますが、なお、二ないし五というふうな数字でおさまればそれでいいならそれで望ましいと、こういうふうなことでございます。
 そこで、先ほど先生御指摘のAホテルというような問題でございますが、一つは、この水の中にもともと珪酸塩類というものは存在するものでございまして、先ほど参考人がおっしゃっておられましたが、本来あるものがどれだけ入っているかということがよくわかりませんと、実際に添加したものがどれだけということはわかりません。ただ、ここで言えますことは、一五ppmということを協会の方が上限として考えておりますのは、これ以上になりますと沸かしたときに濁ってしまうということがございます。そこでそこが限度ということでございます。
 なお、珪酸塩というのは通常どろの中にいっぱいあるものでございまして、これがわが国では特にございませんが、外国では食品の中に添加物として使っているということで、特に量的の規制のないものでございまして、本来きわめて無害なものであるというふうに考えられております。
#427
○宮崎正義君 時間がございませんので、水の問題だけでもまだ山のようにあるので満杯になっておるので、残念なんですが飛ばしてどんどん要点だけ申し上げる以外にないと思うんですが、赤水等対策の強化について厚生省の環境衛生局の水道課長が出しておりますね、その中身をちょっと読んでいただきたいんです、金属封鎖剤を添加してという。
#428
○政府委員(国川建二君) 大変長いわけでございますが、全部読みます。「赤水等対策の強化について」という……
#429
○宮崎正義君 要点だけでいい。
#430
○政府委員(国川建二君) 給水栓からいわゆるさびに基づく赤水がよく出るというトラブルが、水道の場合にもあり得るわけでございます。これは水質にもよりますし管の材質の選定という問題もございます。したがいまして、水道計画を立てます場合には、水源の選定する際にあわせて排水管や給水管等の材質の選定を慎重に行ってほしいということ。それから、いわゆる防錆剤を使います場合には、一応これは暫定的な措置としてできるだけ水質改善によりまして対処してほしい。なお、パイプ等の材質の選定の場合には……
#431
○宮崎正義君 あなたの方で出している通達の、いまお話があった暫定的というそこのところだけ言えばいいんですよ、余りむずかしい話しないで。
#432
○政府委員(国川建二君) わかりました。
 いわゆる防錆剤の金属封鎖剤を添加して使用する場合に、水道といたしましてはできるだけ水質そのものを改善することによって対処することが好ましいということ。それから、必要な場合には排水管や給水管等を計画的に布設がえする、そういうようなことによりまして赤水対策を強化してほしいという指導通知でございます。
#433
○宮崎正義君 法律にも暫定的というようになっていますが、この法律が設定されて、四十五年になっています。ですから、恒久対策ができるまでというんですが、暫定というのは何年までを暫定と言うんですか。
#434
○政府委員(国川建二君) お答えいたします。
 これは法律で定めているものではございません。
#435
○宮崎正義君 法律で定めてないといいましても、こういうふうな通達なり公示なりが出ているんでしょう。環水第百十九号昭和四十五年十二月の十八日に出しているじゃありませんか。これに基づいての指導体制というものを整えているわけでしょう。
#436
○政府委員(国川建二君) 先生いま御指摘になりましたのが「赤水等対策の強化について」ということで、昭和四十五年の十二月十八日付環水第百十九号で課長名での指導通知をさしているものでございます。
#437
○宮崎正義君 だから、暫定というのはいつまでを言うのか、恒久的対策やるならどういうふうにやればいいのかということです。
#438
○政府委員(国川建二君) 水道の場合には、一概に暫定期間というものが決められないのでございますので、それぞれの水道事業の実態に応じまして、できるだけ早く改善を要するものは改善するようにという趣旨のものでございます。
#439
○宮崎正義君 大変大事な問題なんですが、いまの答弁等じゃとてもじゃないが満足できませんけれども、時間等の関係がございますので、私はまだ水道のことばかりでなくして、ほかの問題も取り上げてやろうと思っていますが、飛ばしまして、汚染に対するいろんな対策がなされていますが、そういうものの研究はどんなふうにされておりますか。
#440
○政府委員(松浦十四郎君) まことに申しわけございませんが、汚染と先生おっしゃいましたでしょうか。
#441
○宮崎正義君 汚染、濁りだとかね、それから汚れとか、あるいはさびとか、そういうもの。さびですね、防錆剤、どういうものを研究しているか。
#442
○政府委員(松浦十四郎君) ただいまの先生御指摘の汚ないというものの主なところが、結局鉄分であり亜鉛分であるわけでございます。で、鉄分、亜鉛分ということでございますので、そうなりますと、これはいわゆる亜鉛メッキの鋼管であるところの水道管を使えば、これはいずれにいたしましても、いつかの時点において腐食してまいりますれば、まあ腐食しなくても亜鉛は出ますし、亜鉛がはげてしまえば今度は鉄が出ると、こういうことでございます。そういうことがございますので、亜鉛鋼管というものが完全になくならない限りは、どうしても赤水というのが出てくる可能性があるわけでございます。
 そこで、これは地域なり、あるいは建築物なりというようなところが、それぞれその条件、先ほどのお話にもございましたように、中を通す水の質によりまして、そのメッキがはげる、あるいはさびるという時間が非常に違うわけでございます。そういう意味から、その水道事業者の方としては、それぞれの条件に合ったところはそれに合わせまして、そういう管を取りかえるということが一つの対策であろうかと思います。そういうことで、先ほど申しました、一部にどうしても防錆剤を使わなければならないという実態もあろうかと思います。
 それからもう一つの問題は、どうしたらそういうものが出ないような、何といいますか、管を開発するかという問題でございまして、これらも今後私ども検討課題として考えてみたいと、こういうように考えております。
#443
○宮崎正義君 これは大事な問題なんです。その管の材質をどういうふうにするかという、やはりJISみたいな規格があるように決めていかなければ、この問題は解決できないと思います。ですから、これは問題を提起して、今後の対策として研究を進めてもらいたいということ。
 それからゼオライトのことなんかについてはどうなんですか。
#444
○政府委員(国川建二君) 水道に関係しますゼオライトとなりますと、いわゆるろ過剤の一種のものとして使用されているものが考えられます。また必要に応じて使用する場合もございます。
#445
○宮崎正義君 研究はどういうふうに。
#446
○政府委員(国川建二君) ゼオライトにつきまして、特別に国の段階で検討はいたしておりません。現在業界筋でいろんな実験その他研究が行われております。
#447
○宮崎正義君 原子炉の放射性の廃液にゼオライトが非常に効果があるというような発表を東北大学の菅野教授が発表いたしております。これなんかも御存じですか。
#448
○政府委員(国川建二君) 私は詳しく存じておりません。
#449
○宮崎正義君 これなんかもお読みになるといいと思いますね。一月二十一日の読売新聞です。お読みになるといいと思います。御研究願いたいと思います。
 それから、このビル管理法によって決められております、三千平米以上ということになっていますが、いま私がいろいろなものを示しました、このデータ等をとりましたけれども、三千平米以上のものより三千平米以下のものの方が、非常に古い建物もありますし、そして汚れているという事実を幾つも幾つもつかんでいるわけであります。この三千平米を決めたというその考え方、八千から五千になり、五千から三千になったという、その基準、考え方、それでさらには二千九百九十平米はいいのか、二千五百平米はいいのかというような問題についても、そういう建物でもその水を飲んでいる人が多いわけです。したがって、ましてや受水槽とそれから排水との一緒になって併用されている、地下で併用されているところが随所にあるわけです。ですから、こういう問題で、排水が受水槽の中に入って水が飲めなくなったという事例も私は大分つかんでおります。こういうふうな点から考えていきましても、これはゆゆしき問題になってくると思うんです。したがって、この三千平米以下のものをどうするかということのお考えを、厚生大臣、ひとつ御答弁願いたいと思います。
#450
○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かにビル管理法がつくられたときには八千平米という基準がありましたが、その後、五千から三千にだんだん下げてまいりました。それはやはりビル管理の技術者の数、こういうようなものとの関係もあるわけでございます。したがって、いまのところ五十一年十二月末ではこのビル管理技術者の資格を有する者の数というのが一万六千六百三十九名、こういうようなことでございますので、特定建築物の数が一万六百九十というようなことで、大体それぐらいが管理をするのに限界ではないかと、もっと数がふえれば、管理の技術者の数がふえれば平米を下げるということも考えられようかと思いますが、現在のところはその程度でいいのではないか。
 それから、先ほどの沈でん物や何かの問題は、結局年に一度の掃除をしない、しないために水槽に沈でん物ができたり何かしているということでございますから、これはやはり年に一度、あるいは必要によってはもう少し多くても結構でございますが、掃除の徹底というものをやらせることによって、濁りというようなものは防ぐことができるんじゃないかと、かように思う次第でございます。
#451
○宮崎正義君 一年前にやったのも、先ほどお見せしたものも御存じのとおりです。三千平米がいまのところは適当だというような解釈ですけれども、以下の方が相当汚れているんです、私たちの調査の結果によれば。そういうことをひとつ頭に置いていただいて、これはぜひとも御研究願いたいと思います。
 総理、いままでずっと写真やら現物をお示しいたしまして、私たちが飲んでいる水というものを、資源の問題と同時に、あわせて私たちが飲んでいる飲料水の問題について、これは非常に大事な重要な私たちの人体に影響を与えるものですから、このことについての、私のいままでやりとりをしておりましたことについて所見を伺って、この水の問題はこれで一応ピリオドを打っておきたいと思います。
#452
○国務大臣(福田赳夫君) 日本の水は安心して飲める、こういうような定評のある水でございますが、御指摘を伺っておりますと、いろいろ問題がなしとしないようでございます。この上とも気をつけまして、日本の水を飲んでひどい目に遭ったと言われないような日本の水にしていきたい、かように思います。
#453
○委員長(小川半次君) 明日は午前十時から開会し、宮崎正義君の残余の質疑を行うことにいたしたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト