くにさくロゴ
1976/04/16 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第22号
姉妹サイト
 
1976/04/16 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 予算委員会 第22号

#1
第080回国会 予算委員会 第22号
昭和五十二年四月十六日(土曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     安永 英雄君     寺田 熊雄君
    目黒今朝次郎君     森下 昭司君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     秦   賢君     赤桐  操君
     森下 昭司君     福間 知之君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 半次君
    理 事
                坂野 重信君
                園田 清充君
                中山 太郎君
                吉田  実君
                小柳  勇君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
                内藤  功君
                向井 長年君
    委 員
                安孫子藤吉君
                石破 二朗君
                糸山英太郎君
                岡田  広君
                長田 裕二君
                亀井 久興君
                熊谷太三郎君
                源田  実君
                後藤 正夫君
                佐藤 信二君
                玉置 和郎君
                戸塚 進也君
                中村 太郎君
                夏目 忠雄君
                秦野  章君
                林田悠紀夫君
                宮田  輝君
                最上  進君
                青木 薪次君
                赤桐  操君
                粕谷 照美君
                片山 甚市君
                工藤 良平君
                対馬 孝且君
                寺田 熊雄君
                野田  哲君
                福間 知之君
                相沢 武彦君
                太田 淳夫君
                藤原 房雄君
                岩間 正男君
                上田耕一郎君
                渡辺  武君
                三治 重信君
                下村  泰君
   国務大臣
       内閣総理大臣   福田 赳夫君
       法 務 大 臣  福田  一君
       外 務 大 臣  鳩山威一郎君
       大 蔵 大 臣  坊  秀男君
       文 部 大 臣  海部 俊樹君
       厚 生 大 臣  渡辺美智雄君
       通商産業大臣   田中 龍夫君
       運 輸 大 臣  田村  元君
       郵 政 大 臣 小宮山重四郎君
       労 働 大 臣  石田 博英君
       建 設 大 臣
       農林大臣臨時代
       理        長谷川四郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      小川 平二君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       園田  直君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       藤田 正明君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       西村 英一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       倉成  正君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  石原慎太郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  田澤 吉郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  真田 秀夫君
       内閣法制局第一
       部長       茂串  俊君
       警察庁刑事局長  鈴木 貞敏君
       警察庁刑事局保
       安部長      吉田 六郎君
       警察庁警備局長  三井  脩君
       行政管理庁行政
       管理局長     辻  敬一君
       行政管理庁行政
       監察局長     川島 鉄男君
       防衛庁参事官   水間  明君
       防衛庁参事官   平井 啓一君
       防衛庁長官官房
       長        亘理  彰君
       防衛庁防衛局長  伊藤 圭一君
       防衛庁人事教育
       局長       竹岡 勝美君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       環境庁企画調整
       局長       柳瀬 孝吉君
       国土庁土地局長  松本 作衛君
       外務省欧亜局長  宮澤  泰君
       外務省条約局長  中島敏次郎君
       大蔵省主計局長  吉瀬 維哉君
       大蔵省主税局長  大倉 眞隆君
       大蔵省理財局次
       長        戸塚 岩夫君
       大蔵省証券局長  安井  誠君
       大蔵省銀行局長  後藤 達太君
       大蔵省国際金融
       局次長      北田 栄作君
       国税庁次長    山橋敬一郎君
       文部省初等中等
       教育局長     諸沢 正道君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       文部省管理局長  犬丸  直君
       厚生省社会局長  曾根田郁夫君
       農林大臣官房長  澤邊  守君
       農林省農林経済
       局長       今村 宣夫君
       水産庁次長    佐々木輝夫君
       通商産業省通商
       政策局長     矢野俊比古君
       通商産業省産業
       政策局長     濃野  滋君
       通商産業省立地
       公害局長     斎藤  顕君
       通商産業省生活
       産業局長     藤原 一郎君
       資源エネルギー
       庁長官      橋本 利一君
       運輸省航空局長  高橋 寿夫君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   松井 清武君
       郵政大臣官房電
       気通信監理官   佐野 芳男君
       労働省職業安定
       局長       北川 俊夫君
       建設省計画局長  大富  宏君
       建設省都市局長  中村  清君
       建設省住宅局長  山岡 一男君
       自治省行政局長  山本  悟君
       自治省行政局選
       挙部長      佐藤 順一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○昭和五十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和五十二年度一般会計予算
 昭和五十二年度特別会計予算
 昭和五十二年度政府関係機関予算
 以上三案を一括して議題といたします。
 前回に引き続き、締めくくり総括質疑を行います。上田耕一郎君。
#3
○上田耕一郎君 初めに、日ソ漁業交渉問題についてお伺いします。
 今回の中断はきわめて遺憾でありますけれども、最大の問題はソ連の国際通念に反した非常に強硬な態度にあると考えます。同時に、政府のいわば逃げ腰外交、後手後手対策にも責任があると思います。七日の園田・コスイギン会談の後、政府首脳、自民党首脳が、領土とは無関係な魚に限って線引きとして認める立場に踏み切った、そう語ったと新聞で報道されておりますが、事実でしょうか。外務大臣にお伺いします。
#4
○国務大臣(鳩山威一郎君) 園田特使がモスコーに着かれた日のお話でありますと、これは私の懇談の際の発言内容が報道されたものについてお尋ねと思いますが、そのときの私の申しておったことは、領土問題と漁業問題は切り離して処理することが方針であると従来の考え方を述べたにすぎないわけでありますが、それが私の真意と大変違ったような報道がなされたのは、私自身大変遺憾に存じておるところでございます。
#5
○上田耕一郎君 しかし、実際その後の経過を見ますと、やはり譲歩に踏み切ったということが事実でないかと考えられます。たとえば、デッドロックとなった対象水域についても、ソ連閣僚会議決定を適用するのか、それとも、ソ連最高会議幹部会令を適用するのかということになって、日本政府は幹部会令なら妥結するという方針で臨んだかのように報道されておりますが、この点いかがでしょうか。
#6
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま先方との間で議論されておりますのは、適用水域の問題でございます。適用水域の考え方は、この適用水域の決め方が領土問題に悪い影響を与えないようにというのが当方の考え方の根本でございまして、その表現につきましてはただいま先方といろいろ折衝中のことでございます。正確な表現はここでは申し上げられませんけれども、趣旨はそのようなことというふうにおとりいただきたいのでございます。
#7
○上田耕一郎君 趣旨は、じゃ、幹部会令と閣僚会議決定の違いがかかわりがあると受け取りますが、この閣僚会議決定とそれから幹部会令とは、日本でいえば法律とそれから実施細目を決めた政令との関係に当たると思います。そうなると、たとえ表現はともかく、幹部会令の方が玉虫色であったとしても、はっきりと領海基線から二百海里と述べているわけですから、そうなれば千島水域にも二百海里が適用されるという点では全く同じことだと思いますが、いかがでしょうか。
#8
○国務大臣(鳩山威一郎君) 最高会議幹部会令には具体的な、いわゆる線引きと称しておりますけれども、そのようなことは何ら触れられておらない。総体としてソ連政府が二百海里の漁業水域を設けるという大方針が決めてあるのが幹部会令でありまして、その実施細目は幹部会令自身には書いてないわけでございます。
#9
○上田耕一郎君 しかし、幹部会令は、「ソ連邦の領海の基線から広さ二〇〇カイリまでの」ということで、ソ連邦の領海というのは、彼らは千鳥を領土、またその付近を領海と考えているわけですから、具体的な海峡名その他島の名前など挙がらなくても、当然千島については二百海里ということが幹部会令でも含まれることになると思いますが、いかがでしょうか。
#10
○政府委員(宮澤泰君) ただいまおっしゃいました、ソ連邦の領海ないし沿岸とおっしゃいましたその北方四島につきましては、日本政府はあれをソ連邦のものと認めておりませんので、したがいまして、ソ連邦の沿岸という中に北方四島を含めるということは日本政府として認められないという趣旨でございます。
#11
○上田耕一郎君 しかし、周知のように、北方四島、領土領海に関して両方の態度が違うわけですから、ソ連邦の幹部会令を書き入れるとすればソ連邦側の解釈を述べる根拠を向こう側に与えることになると思う。ですから、政府の方針どおり幹部会令適用で妥結したとすれば、これは早くも領土問題での大譲歩につながりかねないわけで、こういう方針が領土と魚との切り離しという政府の方針なんですか、その意味について改めてお伺いします。
#12
○国務大臣(鳩山威一郎君) 領土問題と漁業問題、これは次元の違う問題であるというふうに政府としては考えておるわけでございます。領土問題は領土問題として、これは長い間の懸案でございますから、これは毎年の定期的な会合また平和条約交渉を通じまして解決を図らなければならない、そういう問題として取り扱うという態度でありまして、漁業交渉は漁業交渉として取り扱う、こういう考え方であります。そこで、漁業交渉の場におきましてこれが領土問題に悪影響を及ぼしては困るというのがわが方の最小限度の立場であると、こういうふうに考えておるわけであります。
#13
○上田耕一郎君 そこで、首相にお伺いしますが、われわれも領土と魚とは切り離すべきだと考えますけれども、その切り離し方に大きな問題があったと思う。つまり、切り離すといって領土問題には触れないという切り離し方、その結果が今度の中断にまで追い込まれたと思う。本当に切り離すためには、共産党も主張してきたように、縣案である千島の水域については二百海里適用を保留すると、その保留について日ソ両国政府が合意するということになって初めて切り離すことができる。その主張をしないで、ただ領土問題は触れない触れないという消極的逃げ腰的態度に徹した結果、ソ連側にぐいぐい押しまくられてこういうふうな状況になった。その点、領土と魚の切り離しという考え方そのものを、切り離すためには明確に千島水域については二百海里適用を保留するという態度に踏み切らなければ、転換しなければ、この問題は妥結しない、そう考えますが、首相、いかがでしょう。
#14
○国務大臣(福田赳夫君) わが方は、北方四島はわが国の固有の領土であると、そういうふうに考えておりますので、わが方が二百海里水域法をつくるという際におきましては、当然この四島周辺にもそれを適用すると、こういうたてまえを堅持しておるわけであります。
#15
○上田耕一郎君 しかし、はっきり提起しておるとは認められません。先ほどの四月七日夜の鳩山外相の談話だとか、実際の経過について、やはりこの問題で明確に積極的態度が出ていなかった。こういうことになるのは、歴代政府の千島問題に対する態度、ここに歴史的根源があると思います。
 吉田内閣は、サンフランシスコ条約の二条(C)項で全千局の領有権を放棄しました。
 外務大臣にお伺いします。きのう、宮澤欧亜局長は、択捉以南は千島に含まれないと、それがいまの日本政府の態度だと言いましたけれども、サンフランシスコ条約締結及び批准当時の国会答弁ではどういう解釈になっていましたか、外務大臣にお願いします。――外務大臣にお願いします。そのぐらいのことをあなた答えられなきゃ何もできないよ。
#16
○政府委員(中島敏次郎君) お答え申し上げます。
 平和条約締結当時より、日本がサンフランシスコ平和条約で放棄いたしました千鳥にはこれら四島が含まれていないという立場で来ております。
#17
○上田耕一郎君 きわめて重大な答弁ですよ。とんでもないですよ。吉田全権はサンフランシスコ会議で歯舞、色丹しか触れていないんですよ一それからたとえば五十一年十月十九日衆議院の特別委員会で西村熊雄条約局長はこう述べている。「この条約に千島とあるのは、北千島及び南千島を含む意味であると解釈しております。」と衆議院では述べている。いまの答弁は取り消してください、議事録を調べてください。
#18
○政府委員(中島敏次郎君) お答え申し上げます。
 私も、一々いま平和条約締結以来のあらゆる答弁を記憶しているわけではございません。先生のおっしゃられるような答弁があったということも記憶の中にないわけではございませんが、わが国といたしましては、先ほど申し上げましたようなたてまえで一貫しているというふうに信じております。
 なお、吉田全権が歯舞、色丹が北海道の一部であるということをお述べになったことも事実でありますし、また、たしか国後、択捉についてはいまだかつて外国に帰属したことがないという種類のこともお述べになっていたというふうに記憶しております。
#19
○上田耕一郎君 これは非常に重大問題なんですよ。サンフランシスコ会議では日本政府は千島というのは択捉、国後も含むという態度でやったんですよ。それから国会の論議の中でも、吉田内閣を代表して衆参両院で、この条約に言う千島というのは北千島、南千島は含まれるということを西村条約局長は何度もしゃべっている。だから、締結のときも国会で批准したときも、この千局の中には南千島は含まれるという解釈で国内的にも国会はこれ批准し、国際的にも結ばれたんですよ。どうですか、そこら辺をいいかげんにすることは許されませんよ。こういうことをはっきりしないでどうやってソ連と交渉するんですか、明確な答弁を求めます。
#20
○政府委員(宮澤泰君) サンフランシスコ平和条約におきましては、第二条の(C)でございますが、「日本国は、千島列島並びに」云々と書いてございまして、「権利、権原及び請求権を放棄する。」と。この千島列島につきましては、この原文では、クーリール・アイランズと書いてございます。そこで、クーリールーアイランズということの解釈でございますが、これは一八七五年に帝政ロシアと日本政府と締結いたしました千島樺太交換条約にはっきりとこの定義が出ておりまして、シュムシュ島からウルップ島までの十八島をクーリールというと。同じようなことは一八五五年の日本国魯西亜国通好条約、これにも、第二条に、「今より後日本国と魯西亜国との境「エトロプ」島と「ウルップ」島との間に、在るへし」と、このように書いてございまして、少なくとも帝政ロシア時代のころから千島列島、クーリールというものには歯舞、色丹、国後、択捉は含まれないということははっきりいたしておりまして、日本政府はこのような定義に基づいてサンフランシスコ条約も解釈しておるわけでございまして、ただいまおっしゃいました北千島、南千島というような概念は条約にはあらわれておりません。
#21
○上田耕一郎君 私の問いに対する答弁になっておりません。サンフランシスコ条約並びに批准国会での西村条約局長の答弁、吉田内閣を代表した答弁、これについてお伺いをしている。
 もう一つ欧亜局長にお伺いします。いまの解釈はいつから日本政府の解釈になりましたか。
#22
○政府委員(宮澤泰君) 解釈としては、日本政府は当初からそのように来ていると思いますが、ただいまおっしゃいました条約局長の答弁につきましては、条約局長からちょっと御答弁いたします。
#23
○委員長(小川半次君) 上田君、あなたはこういうことを質問すると通告してあったのですか。
#24
○上田耕一郎君 日ソ漁業問題では領土問題と損害補償問題と、こういう問題をお伺いするということを言ってあります。こういったことを通告してなくたって、外務大臣や条約局長が知らないで一体どうやって外交をやるんですか。常識でしょう。共産党の領土問題についての文献に幾らでも書いてあるんだから、せめてぼくが質問するのだったら、読んできてやってくださいよ。
#25
○委員長(小川半次君) それでは進行します。
#26
○政府委員(中島敏次郎君) 先ほど来申し上げておりますように、西村条約局長の答弁の記録を私がいま常に持っておるというわけではございませんので、それに対して直ちに即答いたしかねるということを御理解いただきたいわけですが、先ほど来欧亜局長から、また私からも申し上げておりますように、政府の考え方は、従来からいままで、いまとっております考え方で来ているわけでございまして、いま上田先生からおっしゃられた共産党の立場ははっきりしているんだからその点は当然わかっていてしかるべきだという点につきましては、当面私が手元に持っております資料では、昭和五十年の七月に正森先生から同じような質問がありましたのに対して、宮澤外務大臣は、千島列島について、いわゆる北方領土、歯舞、色丹、国後、択捉の四島分について、日本は千島列島に含まれていないと、「平和条約第二条に言うところの千島列島に含まれていないというふうに考えておるわけでございます。」ということをお述べになっておられます。
 それから歴代条約局長という御質問がありましたので、これも私が幾つか持っておる、手元にあります資料だけでございますけれども、たとえば昭和三十一年の十一月の二十九日に参議院の外務委員会で当時の下田条約局長がこの問題についてやりとりをいたしておりますが、これも歯舞、色丹、国後、択捉がこの千島列島には含まれていたいと、わが国の領土であるというたてまえで議論が進められております。とりあえず私の手元にあるものでお答え申し上げました。
#27
○上田耕一郎君 いま言われましたとおり、昭和三十一年下田条約局長の答弁からですよ。つまり、サンフランシスコ条約が結ばれてから五年後、日本政府はアメリカ政府から覚書をもらいまして、日ソ交渉に対する覚書、昭和三十一年九月七日付です、この中でそういう解釈をアメリカと打ち合せてもらってから始めたんですよ。ですから、それ前五年間、これは完全に南千島は千島に含まれるという解釈だった。西村条約局長の議事録を読み上げます。「平和条約は一九五一年九月に調印いたされたものであります。従ってこの条約にいう千島がいずれの地域をさすかという判定は、現在に立って判定すべきだと考えます。従って先刻申し上げましたように、この条約に千島とあるのは、北千島及び南千鳥を含む意味であると解釈しております。但し両地域について、歴史的に全然違った事態にあるという政府の考え方は将来もかえません」五一年十月十九日衆議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会における答弁、これが議事録です。
 この問題について、重大ですから、政府の条約解釈における統一見解を求めます。それを、委員長、お願いします。
#28
○政府委員(中島敏次郎君) たびたび恐縮でございますが、先ほど来申し上げておりますように、いろいろの答弁はあったとしても……
#29
○上田耕一郎君 あったとしてもと言ったって、ちゃんと批准国会で衆参両院で何度も答えているんだから。だから、五年後に変えたんだ。
#30
○政府委員(中島敏次郎君) 政府の従来確定した解釈は……
#31
○上田耕一郎君 そうすると、五年後からこういうふうになった。
#32
○委員長(小川半次君) 上田君、座ったままの発言は慎んでください。
#33
○政府委員(中島敏次郎君) 平和条約によって放棄した千島列島には四つの島は含まれていないという立場でおります。これは一九五六年でしたか日ソの国交正常化交渉におきましてもわが国が堅持した態度でございまして、その後もその立場に基づいてこれら四島の返還をソ連に対して求めておるということでございまして、いまさら統一見解をつくるまでもなく、この点については明瞭であると信じております。
#34
○上田耕一郎君 これは詭弁なんですよ。条約を結んだときには南千島は含まれるということを国際的にも国内的にもはっきり言って、その後五年後にうまくないから択捉以南は千島に含まれないという詭弁をアメリカと相談して始めたんですよ。ですから、こういう通達まで外務省は出している。六四年、択捉、国後を南千島とする用語だとか地図だとかが日本では非常に多いと、これじゃ困るから直せという通達まで外務省は事務次官通達を出している。ですから、私は、今日の段階で択捉以南が千島に含まれるかどうかという政府の統一見解じゃなくて、なぜ条約を結んだ当時の見解が変わったかと、そういう経過についての統一見解を明確に求めたい。国際的にも通用しない詭弁なんです。納得しないです、そういうのでは。
#35
○委員長(小川半次君) 上田君、いま条約局長が申し上げたとおりでございまして……
#36
○上田耕一郎君 いやいや、だめだめ、そんなのは全然だめだよ。納得しない。
#37
○委員長(小川半次君) いまさら政府の統一見解を求めるというのは委員長は認めませんから。
#38
○上田耕一郎君 だめだめ、そういうのは、全然。もう日本の国の国権にかかわる大問題なんだから。(「共産党はそのとき何でやらなかったんだ」と呼ぶ者あり)やったよ。(「やってないじゃないか、占領中じゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#39
○委員長(小川半次君) 審議は進行いたします。
#40
○上田耕一郎君 どうなったんですか、政府の統一見解は。
#41
○委員長(小川半次君) いま委員長が申し上げたとおりであって、中島条約局長が申し上げたとおりでございまして、改めて政府の統一見解は必要ありません。
#42
○上田耕一郎君 いや、だめだめだめ、そんな中島条約局長のは全然問題にならないよ、ああいうのは。議事録にもサンフランシスコ会議の吉田全権の主張にもなっているんだから、だめだよ、委員長、そんなのは。
#43
○委員長(小川半次君) 上田君、起立しておっしゃってくださいよ。
#44
○上田耕一郎君 委員長のいまのは全く承服しがたい。条約局長の答弁では事実経過が明らかでないから、経過の問題について政府の統一見解を私は要求しているんだ。委員長は越権ですよ、そういうのは。(「出たじゃないか」と呼ぶ者あり)出ていないよ。あれじゃだめだよ、五年後のもんだから。だめだめ、あれは統一見解じゃない、あんなのは。――私はいまのやり方に非常に不満です。しかし、そういう処理をしても歴史的事実は決して変えることができない。だから、私は首相に求めたいんですけれども、領土問題で筋の通った主張をするためには、連合国の領土不拡大の原則、つまりそれを宣言したカイロ宣言、ポツダム宣言、これと矛盾した千島の領有権を放棄したサ条約二条(C)項、これの廃棄を関係諸国に通告する、そういうことをして初めて日本側は断固たる筋の通った主張ができると思いますが、その点、首相、いかがでしょう。
#45
○国務大臣(福田赳夫君) いま漁民はもう一刻も早く操業が始まるということを待ちあぐんでおるわけであります。そういう際でありますので、領土問題をこの日ソ漁業交渉の際に持ち出しますと、これは延々いつまでこれが決着に至るかわかりません。そこで、政府といたしましては、漁業は漁業、領土は領土だと、こういう態度をとっておるわけであります。したがいまして、ただいませっかくの御提案でございまするけれども、この際は領土問題はそっとしておいて、そして漁業問題だけを片づける、その漁業問題も領土問題に事が波及しないと、こういうような配慮をしながら片づけると、こういう姿勢が妥当である、こういう見解でございます。
#46
○上田耕一郎君 こういう国際的に通用しない詭弁を持ち回っているところに領土問題で大問題が起きるということを指摘して次に移りたい。さて、本腰を入れた交渉をするためにはやっぱり漁民の損害補償が非常に大事で、三月から五月にかけて無協定状態になりますけれども、その際の予想される損失総額は一体どのぐらいでしょうか、農林大臣代理にお伺いします。
#47
○政府委員(佐々木輝夫君) 現在ソ連側の方の二百海里の水域の中で操業しております漁船の数は約一万隻で、漁獲量は四島周辺を含めまして約百七十万トンでございます。金額的にはいろいろ単価の取り方等で問題がございますので目下検討中でございますけれども、二千億円前後になるのではないかというふうに推定しております。しかし、その損害額につきまして一体どの程度かというお尋ねでございますが、これにつきましては各漁業種類ごとに操業の状態が月によっても非常に違っております。ほかの兼業関係もございますし、またほかに操業し得る漁場がある者もあるしない者もあるというような状況でございますので、目下各漁業種類ごとにその実態を全部検討いたしまして、ただいまの三月、四月中の経費の中でいろいろわれわれの方で救済の対象として考えなきゃいけないものを洗い上げておる段階でございます。
#48
○上田耕一郎君 きのうの閣議了解の当面の対策の第二項、特別の緊急融資の対象となる漁船の業種別の隻数及び漁業者数、それから融資額、これについてお答え願います。
#49
○政府委員(佐々木輝夫君) 当面、三月のうちに休漁をいたしましたニシンの刺し網漁船の隻数は大体八十一隻でございます。それから四月中に操業を一応中止ないしソ連側に行けないために大幅に漁場が縮小されて通常の操業ができない漁船の数が約一千隻というふうに推定をいたしております。しかし、それぞれの損害額につきましては、先ほどのように漁業種類によってかなり状況が違いますので、いま道庁とも連絡をとりながら鋭意内容を検討中でございます。
#50
○上田耕一郎君 ニシン漁船についても緊急融資するわけですか。
#51
○政府委員(佐々木輝夫君) 三月中に休漁を余儀なくされましたニシンの刺し網漁船については、すでに関係の金融機関を指導いたしまして、いまの緊急のいわゆるつなぎ的な融資を実施いたしております。四月中につきましても、やはり操業の再開のめどがいま立たないわけでございますから、それぞれの経営の状況に応じて必要な融資を行う。それで、全体の救済対策につきましては、交渉の最終的な妥結の結果を見きわめながら救済措置の方もあわせ検討する、こういうことで並行して進めております。
#52
○上田耕一郎君 緊急融資だけでなく、三月から事実上全面禁漁になっているニシン漁船その他、国の責任でやはり損失補償すべきだと思いますが、その方針はいかがでしょうか。
#53
○政府委員(佐々木輝夫君) 漁業の状況によりまして、実態上たとえば転業とかあるいは減船を余儀なくされる業種につきましては、程度であるとか漁業経営の実態、つまり他に転業できるかどうか、そういったようなこともよく検討した上で必要な救済措置をとることに全力を挙げたいというふうに考えております。現在とっておりますのはその間までのつなぎの融資でございます。
#54
○上田耕一郎君 この問題で、首相、ソ連との交渉のためにも、それを支える国内体制として休漁あるいは減船に追い込まれる漁民に対する損害補償、これに全力を尽くすことをぜひお願いしたいと思います。その点、決意をお伺いします。
#55
○国務大臣(福田赳夫君) まことにごもっともなお話なんで、実は一昨晩からきのうの朝にかけまして、漁業交渉は中断せざるを得ないと、こういうことが判明したわけです。そうなりますと、漁民の出漁がおくれる。何よりも急ぐのはこの人たちに交渉の遅延に伴う不安、これは与えてはならぬというので、急遽昨日の朝関係閣僚が参集いたしまして御承知のような措置を決定した、こういうことでありまして、漁民に対する救済措置については万遺漏なきようにする、そういう方針でございます。
#56
○上田耕一郎君 次に、自衛隊の選挙違反問題に進みたいと思います。
 自衛隊の選挙の投票率ですね、これがおわかりになりましたらお答えいただきたい。
#57
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 御承知のとおり、わが国では選挙ごとに棄権防止のキャンペーンをやっておりますので、自衛隊におきましても二十四万人の有権者がおりますから、若い隊員に対しまして棄権防止を訴えあるい一は指導をしております。また、御承知のとおり、日本の自衛隊員は非常に規律が高いものでございますから、相当多くの者が投票しておるだろうということは、全部行っておるのじゃないかという声すらあるわけでございますが、しかし、実際正確な隊員の投票率といいますと、これは二十四万の個々の隊員が投票所まで事実行っておるのか、また投票所へ行きましてもあるいは便所だけ行って帰ってくる者もあるかもしれませんので現実に投票したかどうか、こういうことを一々個々の隊員について確認できるということは実際上不可能でございますので、やってみましても正確な投票率が得られるということはちょっと期待できませんので、防衛庁としては正式に隊員の正確な投票率を調査するということはしておりません。
#58
○上田耕一郎君 朝日新聞によりますと、前回の参議院選挙でいろいろ調べたと、陸上自衛隊では投票率九九・三%、これは防衛庁内局総務課の数字だという報道が出ております。まあ投票率の高いことはこれは非常にいいことですけれども、かなり高いということがありますが、ただ自衛隊の選挙権行使については二つの疑惑が取りざたされている。一つは、投票の自由あるいは秘密、さらには棄権の自由、こういうことが一体どうなっているのだろうか。もう一つは、自衛隊ぐるみの選挙になっているのじゃないかという点が言われておりますが、長官、こういう疑惑を防ぐどういう措置をおとりになっているのでしょうか。
#59
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 選挙権は基本的人権でございます。自衛隊員に特別区別があるわけではありません。したがいまして、選挙につきましては、投票を怠らないように、先ほども局長が申しましたように、大いに督励をいたしておるわけでございます。なおまた、投票については自由でございまするから、したがって、特に自衛隊がいま御指摘のような組織的にどうだというようなことはいたしておりません。
#60
○上田耕一郎君 自治大臣にお伺いします。
 自衛隊員の選挙運動、これは法律上どういう制限がありますか。政治活動並びに選挙運動。
#61
○国務大臣(小川平二君) お答えします。
 公職選挙法の百三十六条の二は、公務員の地位を利用しての選挙運動を禁止しておりますから、さような事実がありますれば公職選挙法の違反になります。
#62
○上田耕一郎君 自衛隊法でどうなっておりますか。
#63
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 自衛隊員に対します特に政治的行為の制限ということを国家公務員と同じ趣旨で規制されております。すなわち、国家公務員につきましては国家公務員法と人事院規則で政治的行為の制限を課しておりますけれども、われわれは特別公務員でございますから、自衛隊法とそれから自衛隊法の政令によりまして国家公務員と同様の政治的行為の制限がございます。特に、御承知のとおり自衛隊というのは他の公務員よりもさらに大きな武装集団でございますので、それだけに政治的中立というのは自衛隊の存立の大きな基盤であるということで、門衛隊員に対します政治的行為の制限につきましては厳重にお互いに戒め合っておるところでございます。
#64
○上田耕一郎君 人事教育局長、いまの自衛隊法六十一条を読み上げていただきたい。それからこれに違反した場合の罰則はどうなっておりますか。
#65
○政府委員(竹岡勝美君) 自衛隊法六十一条(政治的行為の制限)、「隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。2隊員は、公選による公職の候補者となることができない。3隊員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。」
 これに対します罰則でございますが、これは同じく自衛隊法百十九条、「次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は禁こに処する。一第六十一条第一項の規定に違反した者」と、このように決められております。
#66
○上田耕一郎君 長官にお伺いします。
 衆議院の公選法特別委員会で取り上げられた自衛隊の奈良地方連絡部長が起こした選挙事件ですね。これについて報告していただきたい。
#67
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 選挙特別委員会で、共産党の委員から御質問がありました事件の例だと思います。これは問題は公職選挙法に触れるかどうかということでございますので、われわれは第一義的には第三者的な公正な捜査機関であります警察の調査の結果を待つことにしたわけでございます。警察の調査の結果を待ちまして、その結果を踏まえてわれわれの方でも事情を聴取したわけでございます。
 この問題は、奈良地方連絡部長が、昭和五十二年の二月十一日、建国記念の日でございますけれども、奈良県生駒市で行われました旧海軍軍人の親睦団体でございますくろがね会の総会に招待されました。これは防衛講演をやってくれということで招待を受けました。このくろがね会は、毎年一遍そういった同志が集まりまして、各種のいろいろな講師を呼んで講演を聞いておるようでございますが、本年は防衛問題を取り上げたわけでございます。このときに、参会者に配布しますための自衛隊の講演資料としましての自衛隊の各種のことを教えます「しおり」その他を奈良地連から持っていったわけでございます。このときに、一方で、近く選挙に出るということを予定されておりました方の後援会がやはり奈良にもございまして、この後援会長が持っておりました選挙に出る予定者の後援会のパンフレット、これを同時にその場所へ持ち込みまして、これを向こうの方が奈良地連のパンフレットの中に入れてその会合に配ったということでございます。一方、同じく三月十五日に、奈良の防衛協会が、これも毎年やっております「音楽と講演のタベ」をやるということで、このパンフレットでぜひ奈良地連部長からくろがね会員に紹介してくれというお話がございましたので、奈良地連部長は講演会が終わりました後で「音楽と講演のタべ」を紹介しました。この中に、講師に近く選挙で予定されておられる方の名前を紹介したという事実があったわけでございます。この問題につきまして、一部では事前運動の疑いがあるのかどうかという声も出たようでございますので、奈良県警察がこの捜査をいたしました。その捜査の結果によってわれわれの方では処分その他を考えたところでございます。
#68
○上田耕一郎君 警察庁の方、これは捜査の結果どうだったですか。
#69
○政府委員(鈴木貞敏君) お答えいたします。
 現地の奈良県警察におきましては、この事犯につきまして調査をいたしまして、公選法の百二十九条の違反のおそれがあるということによりまして、本件行為者である自衛隊の幹部に対しまして警告をいたしております。
#70
○上田耕一郎君 自衛隊法違反の捜査はしていないのですか。
#71
○政府委員(鈴木貞敏君) 自衛隊法違反の面につきましては、防衛庁の調査にお任せした次第でございます。
#72
○上田耕一郎君 両方お互いに捜査の結果を待つということでうやむやになりつつある。これは全く納得できません。しかし、この例は氷山の一角であります。こういう例は奈良だけではないと私は思いますけれども、防衛庁長官、こういう例はほかに全くないと断言できますか。
#73
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 先ほども人教局長からお答えをいたしましたように、公務員としての自衛隊員に対しまする選挙に対しまする指示につきましては、かねてから強い指示をいたしておるわけでございます。私は、全国的にその指示に基づいて政治活動に対しては厳正中立な立場をとっておるものと考えておるところでございます。
#74
○上田耕一郎君 自治大臣にお伺いします。
 自衛隊の幹部が、自衛隊に反対する政党に投票したかったら制服を脱いでやれ、やめろと、こういう訓示をしたらどうなりますか。
#75
○国務大臣(小川平二君) 法律の一般的解釈につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。個々の具体的な問題につきましては、事実の内容あるいは態様を調査して、事実を正確に把握した上で警察の判断にゆだねるべきものだと、こう考えております。
#76
○上田耕一郎君 それでは、自衛隊の組織を利用して特定予定候補の後援会加入を勧めたりパンフレット、経歴書を配布する行為、これは自衛隊法六十一条の違反に当たりますか。
#77
○政府委員(竹岡勝美君) 先ほどの警察からの捜査の結果は話がございましたが、この奈良地連の部長の例の場合には、特定の候補者になろうとする者の名前をもって云々したわけでもございません。そういった意味で自衛隊法六十一条違反の適用にならないということにしたわけでございますが、ただし、警察からそういったおそれもあるということで警告されました。この本人は自衛隊に長年にわたりまして広報関係、地方連絡部長として大きな功績のあった人でございますし、あるいは個人的には先輩を支援したいという気持ちを持つのもこれは無理からぬことと思いますけれども、警察からそういう警告があったということで、規律を旨といたします自衛隊といたしましては、この本人を訓戒処分にしております。
 いま御指摘がございました、たとえば後援会、いわゆる政治団体、これに加入を勧めたり、あるいはこれに関するパンフレットを本人が投票を得べくそういった後援団体の資料を配るようなことがありましたら六十一条違反になります。
#78
○上田耕一郎君 私、先日自衛隊問題について質問しました。一言言っておきますけれども、私たちは単純な反自衛隊の立場をとっておりません。われわれは中立、自衛という立場でありまして、自衛隊の中の愛国的な要素、こういうものは評価する立場に立っております。しかし、私の質問の後、いろいろ自衛隊に関係する人あるいは内部からさまざまな告発が参りました。ひとつ資料を提示さしていただきます。
 これは旭川の第二師団からのものであります。これは選挙のたびに自衛隊父兄会を使った金集めが行われている。全隊員はこれが選挙資金だと考えている。今回膨大な金集めが行われている。全国で恐らく二億円から二億五千万円にもなるだろうということであります。それから各部隊長は、選挙になると、自衛隊に反対する政党に投票する者は制服を脱いでやれ、やめてやれということを言う。今回、元自衛官の堀江正夫自民党公認予定候補、この人が出るわけですけれども、各隊員に、後援会に入会するように入会申込書が一軒一軒配布された。六種類の文書が三月十日から二十八日の間に全隊員に配られた。非常に異常なことだ。三月三十一日募金が行われた。父兄会が社団法人になったのは五十一年だが、選挙資金をつくる隠れみのの組織だということであります。隊の業務連絡の文書のコピーが六種類、その他の非常に重大な証拠物件がわが党に届けられました。自治大臣、いかがですか。こういう業務連絡、特に業務連絡文書というのは大変なものです。堀江正夫候補の経歴書までついている。そして資料の2ですね。第二師団司令部第一部長の名で各連隊第一科長にあてて、良書の紹介、図書名は堀江正夫闘魂の詩です、これを全隊員に業務連絡文書で送り、坂田道太氏の「推せんのことば」もついている。そして、これには詳しい経歴がついている。こういう業務連絡が旭川の第二師団で行われていたとしたら、自治大臣、いかがですか。
#79
○国務大臣(小川平二君) これは具体的な事実関係を防衛庁において調査をした上で判断すべきものだと存じます。
#80
○上田耕一郎君 防衛庁にお伺いします。
 自衛隊員に過去四年間図書を推薦しておりますか。
#81
○政府委員(水間明君) 図書を推薦するという形は、各職種、部隊非常にさまざまでございますので、それぞれを総合しますとおびただしいものになります。全自衛隊員に対しまして行いましたのは、昨年、防衛庁がまとめました「日本の防衛」という、いわゆる防衛白書でございます。
#82
○上田耕一郎君 私も、資料を要求しましたけれども、それでそういう答えです。全自衛隊員に対する推薦図書は「日本の防衛」だけだ、自衛隊員に購入を勧めている書籍、新聞などはないというのが答弁であります。そうしますと、今度の業務連絡は、すべての隊員にこれを買ってくれと、そういうことを勧めている。全自衛隊員必読の書だと、こう書いてある。これは事実は明白じゃありませんか。そういうことをやっていいんですか。防衛庁長官いかがです。
#83
○国務大臣(三原朝雄君) いま新しくそういう点について御指摘がございました。まだ私は承知をいたしておりません。業務連絡というのはどういう形でやったか等も明確でございませんので、後刻よく調べましてはっきりさせたいと思います。
#84
○上田耕一郎君 警察庁、どうですか、こういう問題について捜査を要求しますが。
#85
○政府委員(鈴木貞敏君) 小川自治大臣から答えたとおりでございまして、具体的事実に基づいて真相に基づいてやるというのが警察の態度でございます。
#86
○上田耕一郎君 自治大臣、いかがですか。明確な、あやふやでない答弁を要求します。
#87
○国務大臣(小川平二君) まず、防衛庁において独自の立場で具体的な事実関係の把握をしていただくということになると存じます。その判断に基づいて警察がいかなる措置をとるかを決めるべき事柄だと存じます。(「本を勧めたり本を読んだらいかぬというのは憲法違反だ」と呼ぶ者あり)
#88
○上田耕一郎君 これはいまの本の推薦だけではありません。さらに堀江正夫氏の後援会文書……
#89
○委員長(小川半次君) 玉置君、不規則発言を慎んでください。
#90
○内藤功君 委員長、関連。
#91
○委員長(小川半次君) この際、関連質問を許します。内藤功君。
#92
○内藤功君 これは自治大臣にお伺いしたいと思うのですが、いまお話が出ました、旭川の第二師団の管内で一軒一軒に配られた文書というのはこれなんです。
 まず四つございまして、いいですか、一つはこのあるお方ですね。この方のリーフレットです。前防衛庁長官の推薦の言葉がございます。そして、政界に送り出すことを推薦すると、当選を得しめる目的です。それから二番目が寄付金、選挙のための寄付金の募集の振替伝票。それから三つ目が推薦なさるお方のお名前を書いた推薦人名簿と、そして、同じく後援会会長坂田道太と書いてありますが、この方の募金のお願いです。よろしいですか。そして最後に、四つ目には後援会入会申込書というはがきでございまして、ここの一番左の上にマルと書いて陸と書いてあります。これは陸上自衛隊の略号であります。このほかに海、空、それから予−予備自衛官、それから協−協力会、それから父−父兄会の父、こういうようないろいろな各分野のものがございます。これが配られたわけです。
 さて、そこで、これが一軒一軒に配られ方は、自衛隊の組織を通して配られている。これは法律に照らしますと、私が思うのに、一つは自衛隊法の六十一条に基づく施行令に、政治的目的をもって寄付金を求め、または何らの方法をもってするを問わず、これらの行為に関与すること、それから十三号の政治的目的を有する文書図画を配布すること、こういうことに当たってくると思いますがね。それから公選法の百三十六条の二の文書図画の領布、後援団体の構成員になることを勧誘する、これに当たると思うのですね。どうですか。
#93
○政府委員(竹岡勝美君) これは、堀江正夫氏の後援会は、旧OBの方なんかも集まりましたり、あるいはいろいろな有志の方なんか集まりまして、非常に大きな活動をやっておられます。このパンフレットは、その堀江正夫氏の後援会から各隊員に個々に直接に郵送されたものとわれわれは判断しております。われわれの組織を通じて、幹部が部下にそれを強制的に配るようなことは一切しておりません。
 それから先ほどの堀江正夫氏、これは自衛隊の各要職を経た、最後に西方総監を終わった人でございますが、この人が、自分の思い出なり自分の信念を書いた闘魂の詩、これは一度読んでいただいたらおわかりかと思いますけれども、実にわれわれにとってはすばらしい本だと思っております。現時点におきましてこの本がわれわれの教養の資料として配られることは、自衛隊法六十一条違反でもないし、また公職選挙法に触れるとは思っておりません。
#94
○内藤功君 自治大臣の答弁がないんですがね、自治大臣。
#95
○国務大臣(小川平二君) 繰り返して申しますが、具体的な事実関係が明らかになった上でなければ、法律違反であるかの判断を自治省は下すわけにはまいりません。現に、御発言と防衛庁の当局の陳述とが食い違っておるわけでございますから、これは必要があれば、警察が独自の立場で調査をし、あるいは具体的な法律違反の容疑があると判断いたしますれば、捜査をする問題でございます。
#96
○内藤功君 これはそういう答弁が局長からあるだろうと思って私の方も調査をした。その結果は、直接後援会事務所から送られたのじゃないんですよ。これは二師団の管内において、さっき上田議員が言ったように、具体的に自衛隊の組織を通して配られている。ここに問題があるわけです。ですから、ひとつ厳正な調査を再度自治省と防衛庁にお願いをしたいと思う。私の関連質問は以上です。厳正中立な自衛隊がこうあっちゃならぬですよ。
#97
○上田耕一郎君 もう一つ………
#98
○内藤功君 答弁どうですか、いまの点は。再度調査を要求だ、どうですか。
#99
○委員長(小川半次君) 内藤君の御発言は、答弁を求めるというのじゃなくて、叱咤するようなですね、それではあなた結論を……。
#100
○内藤功君 叱吃と質問と両方だよ。ですから、答弁を一応求めてくださいよ。
#101
○委員長(小川半次君) 委員長は、あなたが叱咤されたものだと解釈したものですから――。
#102
○内藤功君 じゃ、一応答弁を求めてくださいよ、自治省と防衛庁に。
#103
○国務大臣(小川平二君) 選挙違反につきましては厳正な態度で臨むべしという一般的な指示を国家公安委員会は警察庁に対して与えております。個々の選挙違反事件等に対しまして具体的な指示を国家公安委員会あるいは国家公安委員長が与えるということは適当でございません。これは警察の独自の判断にまつべきものだと信じております。
#104
○内藤功君 防衛庁は。
#105
○国務大臣(三原朝雄君) 先ほども申しましたように、私としては的確なそうした情報を取得いたしておりませんので、よく内容を検討した上で明確にいたしたいと思います。
#106
○上田耕一郎君 問題は、これは旭川第二師団だけでなくて、全国のすべての自衛隊の師団でこの本の推薦、しかも、異例なことですよ、本を全自衛隊員に必読の書と、しかも経歴書づきだ、自民党の公認の予定候補者だ、これが行われているという疑いが強いこと。
 さらに、明らかにしましたこの文書の中で、自衛隊父兄会の問題があります。この文書を見ますと、「陸上幕僚長の命により」と、「命により」ですよ、そう書かれている。それで父兄会の募金を全方面隊に要請している。幹部は五百円以上、曹は三百円、士は百円だと金額まで指定している。幕僚長の命による全自衛官に対する強制だ。命というのは戦争と同じですよ。それを募金要請で命と使っている。募金期日は三月三十一日。全国で総額二億円から二億五千万円が集め終わったと推定されている。しかも、この募金の発起人の筆頭は竹岡人事教育局長であります。この金集めの強制はどういう法的根拠によるものですか。
#107
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 全国自衛隊父兄会、これは当初、少年工科学校と中学校を卒業して自衛隊に入りました人たちの父兄が、自分の子弟を応援し、あるいはそれによって自衛隊を応援するというようなこと、あるいは防大に入りました人たち、こういう父兄の方々が各市町村でそれぞれの連絡を図り、自衛隊を励ますために父兄会というものが歴史的に発足してまいりました。現在全国で二千支部、会員は十二万人を超えております。これが昨年の、先ほど御指摘あったと思いますが、五十一年にこれを社団法人として正式に認可したわけでございます。これまでの間、この自衛隊の父兄会は実に自衛隊のためによくやっていただくんです。自衛隊の各地連隊なり部隊なり、こういったところに対しましての慰問、激励はしょっちゅうございます。そういったこともあり、また自衛隊員の募集広報につきましても非常な協力を得ております。しかし、これはほとんど資金がございません。皆それぞれの会員が持ち寄っての資金でございますけれども、社団法人として発足いたしましたので、これを機会に、たとえばこの会員の中には、過去藍綬褒章なんかを――募集功労とか、たくさんもらってやってくれておりますので、自衛隊員の多くの者が、この父兄会の会員の方々をわれわれの父兄のような気持ちでこれを応援している者が非常に多うございます。それで、社団法人としての発足を機会にいたしまして、私の名前で全国の隊員の方々に、新たに発足するんだから、少なくともさらに一層の活動をお願いするために、われわれの中からたとえわずかでも資金を出してみようじゃないかということで、私が発起人として趣意書を皆配ったわけでございます。毛頭、私は、これによりまして、それぞれの幹部が、おまえ金額幾らだと、ぜひこれを強制せよとか、あるいは給料から天引きするとか、そういった強制手段は絶対とっていないと思います。個々の財源がそれぞれの隊員が自主的に集めたものと思います。もちろん、その場合に、曹はどれぐらいだろう、幹部はどれぐらいだろうというようなお互いの申し合わせがあって、ある程度の金額は調整したかもしれませんけれども、私の方の趣意書には金額幾らということは絶対明示しておりません。それぞれの隊員の、私は心ある自衛隊に対する支援の気持ちが集まってこの金の募金が進められておるものと確信しております。
#108
○上田耕一郎君 いいかげんですよ。これを見てごらんなさい。「陸上幕僚長の命により」という通達ですよ。それからこれが日本全国の各方面総監に幕僚長の命で行っているんですよ。
 そうすると、命を受けて、北部方面総監の命により総務課長が各師団長、部隊長に全部募金割り当てがなっている。これに違反したらどうなんですか。命令違反じゃないですか、強制じゃないですか。
#109
○政府委員(竹岡勝美君) これは、これだけの大きな組織でございますから、こういう募金活動をやったということを隊内の隊員に周知させますために、部内に対する周知方について協力されたい……
#110
○上田耕一郎君 こういうものを出されたね。
#111
○政府委員(竹岡勝美君) 私、いまこれを持っております。
#112
○上田耕一郎君 持っている。やっぱり現物を証明された。
#113
○政府委員(竹岡勝美君) 部内に対する周知方に一ついて協力をされたいと、これだけの募金をしておるということを周知させることはあたりまえだと思います。ただし、金をぜひ強制的に集めようという文句は一言もございません。募金の呼びかけがなされているので、部内に対する周知方について協力されたいと、こういうことでございます。
#114
○上田耕一郎君 逃げ口上ですよ。募金の基準としてはっきり金が書いてある。送金要領、駐とん地業務隊長、地方連絡部長が取りまとめろと、金の送り方まで、連絡部長がやるんですよ。そういうことになっている。防衛庁長官、どうですか、こういうのはいいと思いますか。あなた、知っていましたか、許可しましたか。
#115
○政府委員(伊藤圭一君) ただいまのにちょっと補足いたしますと、自衛隊の中ではときどき募金をすることがございます。たとえば体育基金というようなものを募集することがございます。これは自衛隊員が海外に遠征をしますときに、個人負担というものを隊員の力で拠金しようというようなことがございます。これはその出す金額その他は全く自由でございますけれども、自衛隊員としてこういうことをやろうではないかという趣旨のことを全国の部隊に連絡をする、そういうような場合にそういう通達を出すことがあるわけでございまして、それと何ら変わるところはないと私は考えております。
#116
○上田耕一郎君 人事教育局長、父兄会の定款にある目的と事業を読んでいただきたい。
#117
○政府委員(竹岡勝美君) 社団法人全国自衛隊父兄会定款「(目的)第三条この法人は、防衛思想の普及高揚を図ることにより、防衛の国民的基盤を確立することを主たる目的とし、併せて会員の研修と相互扶助を図り、その福祉を増進することを目的とする。」以上でございます。
#118
○上田耕一郎君 「防衛思想の普及高揚」ということになりますと、たとえば社会党の非武装中立、こういうものと対立する政治的主張だと思いますが、だとすると、自治大臣にお伺いする。政治資金法や公選法上の政治団体にこの父兄会は当たることになりませんか。
#119
○国務大臣(小川平二君) これは事実を調べてみなければ何とも申し上げられませんが、単なる親睦団体であれば申すまでもなくこれは政治団体には該当いたしません。
#120
○上田耕一郎君 私は政治団体に当たると思う。さらには、自衛隊法施行令の八十七条の三に言う「政治的目的」「政治的行為」、これに当たるものではないかと思う。八十七条の五ですね、「政治的団体」に当たるのではないかと思う。そうしますと、この政治団体のために募金を行うことは、自衛隊法施行令八十七条の三に言う「政治的目的をもつて」する掛付金集め、これに当たると思いますけれども、いかがでしょうか。
#121
○政府委員(亘理彰君) いま人教局長が読み上げましたように防衛思想の普及を目的に掲げていることはそのとおりでございますが、防衛思想の普及を掲げているからといって政治団体に当たるというふうには私どもは全く考えておりません。政治団体の定義というのは政治資金規正法等にございますが、「政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、」または「これに反対することを本来の目的とする団体」ということでありますが、父兄会はその種の団体ではないわけでございます。国をみずからの手で守ると、これは国民の自然の心情であって、この思想を普及することに何ら問題はない。これを掲げているからといって政治団体に当たるということは全く理解できないことです。
#122
○上田耕一郎君 じゃ、親睦団体だとしたら、なぜ陸幕長の命令というような強制的やり方で金を集めるんですか。自衛隊法六十条では、自衛隊は職務専念と、そういう義務を負っていると思います。この職務専念の義務にも違反している、命令でこういう親睦団体のために金を集めると。それから、刑法の職権乱用罪、あるいは強要罪、こういうものに当たる疑惑さえある。自治大臣いかがですか。法務大臣ですな、これは。法務大臣、自治大臣。
#123
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたしますが、自衛隊を支援をいたしまする父兄会がそうした募金をやっておるからということで、自衛隊の組織が、こういうことを父兄会がやっておるので趣旨を徹底をいたしますということをやったわけでございます。そういうことでございまして、実際上そうした命令を出して、必ずせよということでなくて、そういうようなことが行われておるのでその趣旨を徹底させるということを示したものであって、しかし、そういうものに加入し、あるいは出す出さぬということは自由な処置をしておると、そういうぐあいに私どもは受けとめておるわけでございまするから、これ自身が政治活動に、命令をしたとか、いろいろなそういう問題ではないと、そう考えておるわけでございます。
#124
○上田耕一郎君 父兄会の会長並びにこの堀江正夫後援会会長、その氏名を答えてください。
#125
○政府委員(亘理彰君) 衆議院議員の坂田道太さんでございます。
#126
○上田耕一郎君 両方とも同じ人ですね。
 募金をさせられ、著書を推薦された自衛隊員は、この募金は選挙資金に使われるものだとみんな思っているという。この父兄会の募金、絶対選挙資金などには使わないと、使わせないということをはっきり言明できますか。また、防衛庁長官、今度の一連の問題について何ら反省する点はないと、そうお考えになりますか。
#127
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 乏しい給料の中から支出してくれておるのもありますので、この父兄会の集めました金を政治目的に、あるいはある立候補を予定されておる方の後援会の方に金を使うということは絶対ありません。すべて父兄会の発展のために、これを基金として父兄会に全部充てるつもりでございます。
#128
○上田耕一郎君 公安委員長にお伺いします。
 いままで明らかにしましたように、非常に異常な業務通達による、業務連絡による図書の推薦、後援会関係の一連の文書の自衛隊組織を通じての配布、これは先ほどの奈良の封筒に入っていたのと同じものですよ。それから、この父兄会の募金ですね、さらに自由新報一万部の配布も行われている。こういう一連の事態は明らかに公選法並びに自衛隊法違反の疑いがあります。国家公安委員長として徹底的に調査するという決意をお伺いします。
#129
○国務大臣(小川平二君) 繰り返しになりまするが、これは警察が独自の立場で、独自の判断に基づいて必要があれば調査をする、具体的な法律違反の容疑があれば捜査をするという問題でございまして、この場でお言葉を承った時点で調査をする、あるいは捜査をするというお約束は、これはとうていできないことでございます。
#130
○上田耕一郎君 福田総理、お聞きのとおりです。私は今度旭川の第二師団で明らかにされたこういう事態は、恐らく全国の自衛隊でこの三月に行われたと思います。そうしますと、日本における最強の武装集団自衛隊、その一国の軍隊が総ぐるみで一つの政党を推すと、法律に違反して。そういうことを行われたら一体どういうことになるか、私は、これは恐らく自衛隊始まって以来の、自衛隊の全機構を使ったきわめて公然とした選挙違反、自衛隊ぐるみの選挙違反ではないかと思う。総理はこの自衛隊の最高責任者であります。今度内部告発がありましたように、心ある自衛隊員は、こういうまるで自民党の私物化みたいになっている状況に対して怒っているんですよ。これをこのまま放置していったらどういうことになるかという点であります。私は総理に、この問題について、自衛隊の最高指揮官としてこういう疑惑を招く事態は一切やっぱりやめさせるということを求めたい。そして、自衛隊員に自由で公正な選挙を今後保証するために、たとえば隊内での立会演説会の開催、全政党の政策を公平に自衛隊員、自衛官に読ませると、そういう措置をとらなければ、こういうふうな異常な事態は解決できないと思います。総理の方針と態度、明確にお伺いしたいと思います。
#131
○国務大臣(三原朝雄君) 私から先にお答えをいたしますが、先ほどから申し上げておりまするように、自衛隊は公務員として、また自衛隊法六十一条に、厳重に不偏不党、政治的には中立の姿勢をとってやれということを明記しておるわけでございまして、これを遵奉してまいっておるところでございます。
 また、政党の支持につきましては自由であります。自民党だけを云々というようなことを申されまするが、自民党を支持する者も多くあるかもしれません。数的には多くありましょうし、社会党、公明党あたりの方も支持しておることも承知をいたしております。全く自由でございます。
#132
○国務大臣(福田赳夫君) これはまあいま防衛庁長官からお答え申し上げたように、もう自衛隊はいやしくも法令に反するというようなことがあっては相ならぬことでありますが、私は自衛隊の最高責任者として自衛隊のあり方というものをながめておりますが、とにかく規律は非常に厳正でございます。そういうことで私は絶大な信頼を自衛隊に寄せておりまするけれども、なおこの上とも注意はいたします。
#133
○上田耕一郎君 先ほど人事教育局長は私の出した通達を持っておりましたから、このコピーが現実のものだということは明らかになった。
 自治大臣、これだけの事実を私が明らかにしたのに対して、まだ捜査をするということを言っておりませんけれども、はっきりこういう業務連絡その他これだけの証拠が出たんですから、国会で問題になったと、この疑惑について調査するということを御確約いただきたい。防衛庁長官にも、責任を持って調査するという態度表明をぜひいただきたいと思います。
#134
○国務大臣(小川平二君) 自治大臣との仰せでございましたが、自治大臣は調査の権限を持っておりません。
 国家公安委員長としてお答えをするわけでございますが、繰り返して申し上げまするとおり、ただいまこの場で御意見を承ったから直ちに警察が捜査を開始できるものではございません。これは警察が独自の立場で客観的な事実を把握した上で判断を下すべき問題でございまするし、国家公安委員長といたしましては、個々の選挙違反事件について警察に指示するということは適当でないと存じます。警察の判断にゆだねるべき問題だと存じます。
#135
○国務大臣(三原朝雄君) 御指摘の点につきましては実態把握に努めてまいる所存でございます。
#136
○上田耕一郎君 実態把握だけじゃない、調査要求をしている。
 非常に重大な問題なので、防衛庁長官も実態把握という言葉を使われましたけれども、調査ということに受けとらせていただきます、それでいいですね。長官、実態把握というのは調査するということですね。長官、答弁を求めている。
#137
○国務大臣(三原朝雄君) ただいま申し上げたとおりでございます。実態の把握に努めます。
#138
○上田耕一郎君 なかなか調査という言葉は使いにくいと、そこにいまの立場が示されているんでしょうけれども、われわれは厳重に監視する。この実態把握の結果をやっぱり国会で明らかにしていただきたい、そう思います。
 次に、私は前回質問いたしました金大中事件に絡まる自衛官の問題、これに移りたいと思います。
 四月七日、本委員会で玉置議員は私の質問に対し、共産党がデマをまき散らす扇動政治家であるかのように述べ、また私の質問がデマに似たような無責任きわまるなどと、不当な発言をしました。しかし、私の質問はすべて調査した事実と根拠に基づくものであります。だからこそ私は、国民の疑問を代表して徹底的調査を要求し、防衛庁長官と福田総理も自衛隊の名誉のために徹底的な調査をするとお約束したわけであります。長官、私の質問についての調査結果について報告いただきたいと思います。
#139
○国務大臣(三原朝雄君) 防衛庁は、過日の御要求にありました問題について必要な調査を行いました。私自身も直接事情を調査いたしたものもあります。
 そこで、この際申し上げておきたいと思いまするが、専守防衛体制をとっておりますわが国におきましては、情報の収集ということは喫緊の要事でございます。したがって、またこの情報活動についての平素の教育ということも当然なことでございます。こうした情報の収集なり教育について違法的な処置は全くございませんし、また、人権を無視するような行動もございません。そういう見地から、先般御指摘の内容について調査をいたしたわけでございまするが、そうした御指摘の点につきましては全く事実と相反するものであるという調査結果を得たのでございます。
 なお、詳細につきましては政府職員から答弁をさせます。
#140
○政府委員(伊藤圭一君) 調査の結果を御報告申し上げます。
 まず、金大中事件と自衛隊の関係について申し上げます。
 陸幕二部及び元宮術官が金大中事件に加担し、共犯関係にあったのではないかというお疑いでざいましたが、本件は捜査をいたしております警察当局が今日までたびたび明確に否定いたしております。たとえば、事件発生直後の昭和四十八年九月二十五日の参議院本会議におきまして、安永英雄議員の質問に対し江崎国家公安委員長は、「自衛隊が関係しておるとか、自衛隊員が共犯者であるなんていうようなことはとんでもないことでありまして、」と答弁いたしております。また、本年三月二十九日の本院予算委員会におきまして、上田議員の質問に対し、警察庁三井警備局長から、「私立探偵社を営んでおる元自衛官から協力を得て、本件捜査は大変進展をいたした」との答弁がございました。なお、「この二人が事件に犯罪者側に加担しておらないかと、こういうことでありましたならば、さようなことはございません」と明確に答弁いたしております。すなわち、私立探偵社を営んでおります元自衛官二名は、依頼を受けました調査の対象が金大中氏であることを知らずに本事件に巻き込まれ、金大中事件発生後驚いて警察当局に届け出ました。そして、その捜査に協力したものでありまして、当初から金大中拉致事件と知ってこれに加担し、共犯関係にあったという事実はございません。まして、本事件に陸幕二部が、これら元自衛官を使って金大中事件に加担したということは全くございません。なお、防衛庁におきましても、事件発生後の昭和四十八年十二月初め、元自衛官二名について事情を聴取いたしましたが、警察当局の国会における答弁どおりであったことを確認いたしております。
 次に、塚本勝一陸将が金大中事件に加担していたのではないかとの疑いにつきましては、去る三月三十日、陸上自衛隊方面総監会同に出席しておりました塚本陸将に対し、三原長官が直接事情を聴取いたしました。上田議員が御指摘したようなことは全くなかったことを確認いたしております。
 まず、在韓防衛駐在官当時のことについて申し上げますと、塚本氏は、昭和四十二年九月二十日から四十六年八月十八日まで、初代の在韓防衛駐在官として勤務いたしました。防衛駐在官は大使の指揮下にありまして、軍事事情を把握することを任務といたしております。接触する相手はもっぱら軍関係の国連軍司令部とか、韓国国防部等でございまして、KCIAとの接触は所管事項でございませんので全くありませんでした。この間塚本氏は、朴大統領には公式のレセプションであいさつをしたことが一度あるようでございます。また、李厚洛氏とはパーティーで同席した程度でございます。金鍾泌氏、金炯旭両氏とは面識はありませんでした。なお、上田議員御指摘の李厚洛氏は、日本の陸士出身者ではございません。
 次に、陸幕第二部長当時の韓国出張について申し上げます。塚本氏は、陸幕第二部長当時、陸幕長の命令によりまして韓国陸軍軍事施設、部隊等の視察を目的として、昭和四十八年二月十八日から同年二月二十四日までの七日間、随員二人を連れまして訪韓いたしました。その訪問先及び面談相手は、国立墓地、日本大使館及び板門店を除きましては、韓国の軍関係のみで、朴大統領や李KCIA部長などとは一切会っておりません。訪問先は、国防部、合同参謀本部、陸軍本部、首都警備司令部、第一軍司令部、第二軍司令部、陸軍行政学校、保安司令部、第三二師団司令部、第七師団司令部でございます。
 塚本氏の昇任異動の件について申し上げます。塚本氏は昭和四十六年八月十八日に陸上幕僚監部第二部長に就任いたしました。そして、二年後の陸上自衛隊の定期異動でございます昭和四十八年七月一日付で、他の多くの幹部とともに異動いたしておりまして、通信学校長として転出したものでございます。金大中事件との関連は全くないものでございます。
 次に、元自衛官二名に対する肩たたきの件について申し上げます。上田議員御指摘の肩たたきとは退職を勧告する意味だと思いますが、御指摘の元三等陸佐につきましては、塚本氏は陸幕第二部長当時の部下でございますので面識はございました。しかしながら、当時東部方面隊に所属しておりました元二等陸曹については名前すら聞いたことがないと申しております。通常、第二部長が停年前の部下に対しまして退職を勧告する場合は一佐に限られております。三佐あるいは二曹という者に対して行うことはございません。まして、金大中事件に加担してもいない両名に対して、加担させることを目的に塚本氏が退職を勧告したなどということは事実に反しております。また両名も、塚本氏から退職を勧告されたことなどは全然ないと述べております。
 次に、自衛隊ヘリコプターの関与について申し上げます。
 調査の結果、そのような事実は全くございません。自衛隊が使用する航空機につきましては、法令により自衛隊の隊務に沿って使用及び搭乗の要領、運航する場合の手順が明確に定められております。たとえ一機の航空機を飛行させる場合にも、その目的のために多くの関係者が関与をいたしております。したがって、自衛隊の航空機が隊務と無関係な飛行を行うというようなことは全くありません。それに、だれにも知られずにそのような飛行を行うというようなことは全く不可能でございます。また、去る三月二十九日の参議院予算委員会におきまして、上田議員の質問に対して警察庁警備局長も、当時捜査したところによると、自衛隊機という事実は出てきておりませんと答弁いたしております。
 次に、自衛隊には秘密情報部隊JCIAが存在するのではないかということについて申し上げます。
 防衛庁の情報活動を組織の面から見ますと、内局の防衛局におきまして情報業務の総合調整、政策立案及び防衛の基本等に関する国内、国外情報の収集、整理を行っております。統幕二室におきまして統合防衛のための情報の収集、整理を行い、陸海空自衛隊におきましては、それぞれ幕僚長のもとに陸幕では第二部、海幕では調査部、空幕では防衛部が各自衛隊の防衛及び警備に必要な情報の収集、整理を行って、長官を補佐いたしております。このほか、部隊といたしましては、公刊資料を中心に各自衛隊が必要とする情報を収集、整理する陸海空の資料隊がございます。また、自衛隊に対します外部からの働きかけから自衛隊を防護するため、陸海空の調査隊がございます。さらに、軍事に関する通信情報を取り扱う陸幕二部別室等がございます。しかし、陸幕に二部別班という組織は存在しておりません。
 防衛庁の情報活動――
#141
○委員長(小川半次君) 伊藤局長、もっとスピーディーに読んでください。
#142
○政府委員(伊藤圭一君) はい。
 防衛庁の情報活動については、まず大きな情報源としましては公刊の文献資料が挙げられます。次いで、外務省その他関係官庁から提出されます情報資料が貴重な情報源となっております。また、通信の傍受あるいは沿岸監視活動等から得られるもののように、防衛庁自身の耳目を通じて入手する情報資料とか、一部ではございますが、海外旅行者等外部の人からも情報を入手いたしております。さらに、わが国安全保障上のパートナーであります米国防機関とは対等で緊密な協力関係を保持いたしております。このため、自衛隊員が在日米陸海空軍司令部の所在する基地には出入しておりますが、対米従属のごとき関係は全くございません。
 このように、防衛庁には上田議員御指摘のような秘密情報部隊あるいはJCIAといわれるような組織は全く存在しておりませんし、政党情報や治安情報については、防衛庁としては直接収集する必要もありませんので収集をいたしておりません。
 なお、調査学校の件につきましては、担当の政府委員から御説明申し上げます。(「資料として提出せいよ、そんなもの」「上田君の言うのと防衛庁と全然違うじゃないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#143
○上田耕一郎君 いや、私は質問の前にちゃんと文書でくれと言ったんだけど、こういうことでやると言うんだからしようがないでしょう。(発言する者多し)
#144
○委員長(小川半次君) 水問参事官、資料は質問者に提出してください。みんな委員全員が協力しているんですから、防衛庁のために時間がおくれるということは、委員長としてもはなはだ迷惑ですから。
#145
○上田耕一郎君 重要な問題だから聞かなければできないですよ、私は質問が。私は要求したんだから。
#146
○委員長(小川半次君) 委員長の命令でひとつ出してください。
#147
○上田耕一郎君 何を言っているんだよ。ちゃんと報告してくれなければぼくは質問できないよ。前もってくれと言ったんだから。(「短く答弁」と呼ぶ者あり)省かれたら困るよ。
#148
○政府委員(水間明君) 調査学校の関連につきまして、五項目、調査結果のごく概要を簡単に申し上げます。まず、心理戦防護課程でございますが、これはたびたび申し上げておりますとおりでございまして、一般部隊等で心理戦防護の活動を任ずる幹部の教育をやっております。
 そこで、その内容といたしまして、敵の心理攻撃から防御する方法及び技術、その前提として通常用いられる攻撃方法とその効果及び以上の基礎となる戦場心理等の人間行動心理を教えております。
#149
○上田耕一郎君 わからないよ、そういう早口で言われたって。ちゃんとやってくれ。
#150
○政府委員(水間明君) それではもう少しゆっくり申し上げます。
 一般部隊等にあって、これは先ほど防衛局長が申し上げました情報関係の専門部隊ではございませんで、一般の部隊でございます。一般部隊等にあって心理戦防護の活動に任ずる幹部として必要な知識を与える。そのためには有事において敵の心理攻撃を無効にさせるための教育をやっておるわけです。これは内容といたしまして、心理攻撃から防御する方法及び技術、その前提として通常用いられる攻撃方法とその効果並びに以上の基礎となる戦場心理等の人間行動心理等を教えております。それで、有効な防護をするために敵の手法について教育をしておりますが、先生の御指摘の山谷で行って――これはかつて行っておりましたが、といったような実習もその一つであります。
 それから「青桐」については省略いたします。
#151
○上田耕一郎君 省略は困るよ、重要問題だから。
#152
○政府委員(水間明君) それでは簡単に申し上げますと、「青桐」というのは……
#153
○上田耕一郎君 全然問題にならないよ、そんな。
#154
○委員長(小川半次君) 上田君、発言するときば起立してください。
#155
○上田耕一郎君 私は、前もって文書でちゃんとくれと、私はそれを見てきょうやるからと言ったら、文書をくれないんだから。きょう私の質問に対して口頭で答えるというのが防衛庁の態度なんですよ。それを省略とは何事ですか。重大問題なんだから明確に答えてください。時間がたつのは私の責任じゃないんだから、政府の責任なんだから。
#156
○委員長(小川半次君) 上田君、委員長のところに参りました報告では、質問者から防衛庁はそういうことを聞いていないということでした。
#157
○上田耕一郎君 何を言っているんですか、とんでもないですよ。何回も私は要求したんだから、私の秘書を通じて。めちゃめちゃだよ、そんな。何回もやってきたんだから。(「資料要求がないのですか」と呼ぶ者あり)資料要求って何だい。調査報告するというふうにはっきり答えているんだから。(発言する者多し)絶対承服しないですよ。三原防衛庁長官は、四月一日、閣議後の記者会見で、調査結果は予算委員会に報告するとはっきり述べているじゃないですか。述べてください。省略というのは許しません。言っているじゃない。だめですよ、そんなの。何を言っているんだよ。
#158
○委員長(小川半次君) 上田君、委員長が先ほど申し上げましたのは、あなたが資料を出してくれと防衛庁に申し出たが、出してくれないと言ったでしょう。防衛庁はあなたからそういう要求がないという報告を委員長は受けております。
#159
○上田耕一郎君 うそですよ、そんな。めちゃくちゃですよ、そんな。
#160
○委員長(小川半次君) どっちが本当ですか。
#161
○上田耕一郎君 私は、私の秘書を通じて調査結果を報告すると言って、記者会見でも言い、首相も約束したんですから。何度も早く出してくれということを言ったんです。それから、きのうのレクチュアでもそう言ったんですよ。そうしたら、きょう口頭で報告するという、それでやっているんですから。何を言っているんです。
#162
○委員長(小川半次君) 委員長として責任がありますから、あなたが直接防衛庁へ資料を出せと言われたのじゃないんですね。あなたの秘書ですな。
#163
○上田耕一郎君 資料じゃない、調査結果の報告ですよ。
#164
○委員長(小川半次君) あなたの秘書ですな。
#165
○上田耕一郎君 調査結果の報告ですよ。委員長、資料要求じゃないんですよ。この前私の質問に対して、調査結果は報告すると約束して、防衛庁長官が記者会見で予算委員会に調査結果を報告すると述べているんですから。だから、調査結果の報告を私の先月の質問に対して求めたんだよ。資料要求したのじゃないですよ。そうしたら、防衛庁側がきょう口頭で報告すると。で、準備してやっておるんじゃないですか。資料要求したなんて、そういうすり変えは許しません。(発言する者多し)だめだよそんなインチキなやり方は。できやしない、そんなことで。こういう時間のある間に済んじゃうじゃないか、読み上げれば。余りインチキなことをするなよ。ひどいよ、もう。国会の予算委員会なんだぞ。
#166
○委員長(小川半次君) 上田君、進行してください。
#167
○上田耕一郎君 いや、報告途中だよ。断然許せない、そういうやり方は。
#168
○委員長(小川半次君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#169
○委員長(小川半次君) 速記を起こして。
#170
○上田耕一郎君 委員長、委員長、委員長−・
#171
○委員長(小川半次君) 御静粛に願います。
#172
○上田耕一郎君 調査学校についての調査結果を報告してください。(発言する者多し)
#173
○委員長(小川半次君) 着席してください。
#174
○上田耕一郎君 この前の私の国会の質問に対する防衛庁長官と首相の約束に基づいて、また記者会見での防衛庁長官の表明に基づいて、簡単で結構ですから、調査学校についての私の質問に対する答弁を求めます。
#175
○委員長(小川半次君) 簡単明瞭に。
#176
○政府委員(水間明君) 続けます。
 青桐会は昭和四十八年までございました心理戦防護課程の同窓会でございますが、現在は存在しておりません。あくまでも私的な親睦団体でございます。
 それから、「青桐」に記載されました記事でございますが、卒業生の学校における思い出が語られておりまして、その中に山谷地区における体験的実習が記載されております。これば現在は実習しておりませんが、当時この実習を行った目的を調査してみますと、潜行潜在ということを体験させるためのものでございました。当時の学生等の発言をまとめてみますと、昭和四十四年六月七日夕刻に、学校から上野公園に学生十五名で参りまして、そこで分散して各自いわゆる山谷地区ドヤ街に一泊し、その間一回だけ教官に連絡いたしまして、翌八日朝上野公園に集合するという、これだけのきわめて簡単なものでございました。同地区においてビラ配りやビラ張りをした事実はなく、ましてや暴動の扇動というようなことは行っておりません。それからビラ配り、ビラ張りについては、宣伝活動についてのごく軽易なものについて体験させたものでありまして、その細部は調査学校周辺地区において学生各自が作成したビラを一般人に配付したり、ポスターを電柱に張って通行人の反応を見るというものであります。ポスターは実習終了後撤去しております。また夜間、自衛隊の他駐とん地内に潜入して、ポスターを構内に張るというような実習も行っておりました。自衛隊のほかの駐とん地です。これらの実習に用いたビラ、ポスターの内容は学生各自の創作でございましたが、環境浄化等に関するごく一般的なものでございます。これらの実習は、先ほど申しましたように、初歩的なものの一部を直接体験させたというだけのことでございます。
 次に、「秘密戦概論」という資料について申し上げます。
 「秘密戦概論」は旧軍の資料を復刻したものでありまして、かつて対心理情報課程と、これは四十八年前そういうふうに言っておりました。その対心理情報課程と称していた一時期、学生の理論研究の一参考資料として使用されていたもので、さきに私が答弁いたしましたように教科書ではありません。その後教材整備の過程ですでに廃止されておりまして、現在の心理戦防護課程では使用されておりません。
 次に、嘱託の藤本巧郎氏につきまして、藤本巧郎氏は昭和三十年から四十三年まで防衛庁事務官として調査学校に勤務しておりまして、職務は情報戦史の作成等でございました。退職後、学校側から資料整理のため執筆依頼がなされておりまして、この当時、藤本氏は調査学校嘱託という肩書きの名刺を使用していたようでありますが、調本学校には嘱託という制度は現在も当時もありません。人事上藤本氏に嘱託を任命したという事実はしたがってございません。
 以上でございます。
#177
○上田耕一郎君 いまの調査報告、かなり詳しいものをいただきまして今後大いに参考になります。しかし私は、私の疑念を解くことはできません。私の質問以後、やっぱり国民の協力で次々と
 資料が私のところに集まっております。「青桐」も数冊集まってまいりました。その他さまざまな情報が参っておりますが、調査を続ければ続けるほどいろいろな問題があるという疑念を大きくしております。たとえば、いまの答弁で別班はないと言いましたけれども、昨年の四月二十八日、石崎昭防衛局調査第一課長はわが党の中路議員に対して、別班というのは俗称なんだ、正規の組織ではない、しかしそれは別班と言ってもいいし、外勤グループと言ってもいいし、私服グループと言ってもいいと、通称別班ということを認めた、石崎第一課長が。それで、さらに五月四日には情報一班の定員は六名だと、しかし現在員は幹部二十六名だと、二十名隠した定員があることをはっきり認めました。こういう隠した二十名の定員――背広グループ、外勤グループですね、通称別班と石崎第一課長が認めた、これが別班なのであります。こういうものまで全部隠そうとしてもそれは無理で、これまでもたびたび明らかになっていることですから、そういうのをいいかげんに紙の上でやってもそれはだめだということを私は指摘しておきたい。で、数名の別班員ははっきり自分が別班員だったということを認めました。その中には現職の人もいました。そして昭和四十五年当時別班長は蒲原さんだったということも認めているのであります。いいかげんな答弁は許せない。どうですか、こういう通称別班という私服グループ、背広グループ、これもないというふうに言うんですか。
#178
○政府委員(伊藤圭一君) それは当時の石崎課長がお答えしましたように、情報一班という組織はございますが、別班という組織はございません。しかし、仕事をしている仲間同士でそういうことを言っていたということはあったかもしれませんけれども、よその者あるいはまたわれわれが別班というようなことを言ったことはございません。
#179
○上田耕一郎君 だから、そういうこともちゃんと調査結果には入れなければ全面的なものにはならないということです。
 それから、スパイ教育を調査学校でしていないと言うけれども、調査学校で中野学校出身者、この間二、三名可能性があると言われましたけれども、何名いましたか、教官の中に。
#180
○政府委員(水間明君) かつて在職しました者数百名について調べましたところ、中野学校に関係したことがあると、これは入校したということでございますが、認められる者が六人おりました。現在いずれも退職しております。
#181
○上田耕一郎君 二代校長の藤原岩市氏は中野学校の教官であります。それから副校長であった山本舜勝氏も中野学校の教官であります。それから阿部武彦、松浦渉、森山秀彦ら、この人々は中野学校の学生だったわけであります。ですから、調査学校をつくる上で非常にやっぱり中野学校、これはスパイ学校として有名ですから、非常に大きな役割りを果たしたということを指摘しておきたいと思います。
 それから山谷の活動ですね。これは新たに手に入りました「青桐」にはちゃんと写真がございまして、ちゃんと地下たび姿で、中に一人自衛官の制服で写っている人がいますけれども、こういうかっこうをしてちゃんと山谷に入っていたということで、私時間があれば次々にやりたいんですけれども、これにはなお多くの疑惑があると、きょうは時間がありませんけれども、手に入った「青桐」で問題点、付せんを張っただけでこんなにあるんですよ。私はこういうものを次々に、私だけじゃなくて、やっぱり共産党としてはこれだけの重大な問題について今後も追及し、明らかにしていきたいと思います。
 それから長官は、先日の玉置委員の質問に対して、情報収集するとともに、他をだまして行動する行為はない、国民大衆あるいは政党に対してスパイ活動ないというふうに言っていますけれども、だます教育をちゃんとやっているんですよ。この「青桐」に幾らでも書いてある。ちゃんと偽騙という言葉がありましてね、これは変装をしてだますのだと。先ほど答弁にもありましたけれども、他の自衛隊に身分を隠してそっと入ると、門のところでなかなか入れなかったり非常に苦労したと、朝霞とか何とかにやるわけですね。そういう訓練までちゃんとやっているわけだ。これは偽騙ですよ。家族までだまさなければならぬということまで書いている。それからこの中には桧原村に郷土史研究家ということで入って行っていろいろ情報を集めたという思い出も書いてある。それから卒業後もいろいろそういう活動をやって情報収集している、トロツキスト暴力学生に接触して情報を集めたとか、いろいろ身分を隠して偽騙して国民をだまして情報を収集している、これをスパイ行為と言うのです。いいかげんなことを言っちゃなりません。
 私はこういう問題について、もう時間がありませんので、最後に残された時間で金大中事件の問題についてやっておきたいと思います。
 竹岡人事教育局長にお伺いいたします。局長は三月二十九日の私の質問に対する答弁の中で「塚本陸将は、調査学校の経験は全くございません。なお、私の人事当局で塚本勝一氏に金大中事件の件について調査したことがございます。加担、関与したという事実は全くないと言っております」、今回三原長官が三月三十一日にお調べになったよりも前に、二十九日にも、かつて調べたことがあると言っているわけですけれども、一体いつですか、塚本勝一陸将を調べたのは。
#182
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 あの私が答弁しました日がちょうどあの塚本陸将なんかが各方面総監の会同で、その前の日に来ておられました。それで私、非常に懇意な人でございますから、人事教育局長として塚本氏に当時のいきさつをいろいろ私個人的に聞きました。そして翌旦質問があったわけでございますが、それで私もその前に聞いておりましたので、長官にもぜひ塚本氏に会ってもらってよく事情を聞いていただいたらいいんじゃないかということで長官にも会ってもらったわけですが、答弁の前日に私会って話を聞きました。
#183
○上田耕一郎君 答弁の前日にというのは、私の質問があるというのでお聞きになったのですか。それとも金大中事件に関して、塚本氏に何らかの聞いておかなければならないことがあるとあなたがお考えになったからですか。
#184
○政府委員(竹岡勝美君) 陸幕二部というのは私の所管じゃございません。防衛局の所管でございますけれども、かつて防衛駐在官もしておられましたし、あるいは陸幕二部長の御経験もありますし、個人的に非常に親しい方ですから、陸幕二部の活動なり、それから当時あるいは坪山三佐なんかもどの程度知っておられるかというようなことを、自分の勉強のために聞いたわけであります。
#185
○上田耕一郎君 しかし、あなたは「私の人事当局で塚本勝一氏に金大中事件の件について調査したことがございます」、金大中事件について塚本氏を調査したと国会で答弁しているんですから、何らかの理由あるいは疑いがなければ調査するわけないでしょう。
#186
○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。
 これは翌日上田耕一郎先生から質問もあるということも聞いておりましたし、前に内島一佐の関係で昨年答えたこともございますから、私も塚本さんはほとんどそんな関係ないともちろん知っております。知っておりましたけれども、当時二部長でございましたので、自分の勉強もかねて、あすの答弁も控えまして聞いたわけでございます。
#187
○上田耕一郎君 防衛庁は、金大中事件に関連して、自衛官あるいは元自衛官について、ここにいまのような聞き方を含めて一体何人事情を調べましたか。
#188
○政府委員(伊藤圭一君) 四十八年当時何人調べたかということは、記憶いたしておりません。しかし、最近におきましては実は共産党の方から資料の要求がございました。こういう人間がどこにいまいるのかという要求がございましたので、あの人たちについて聞くことにいたしておりましたところが、資料の要求がちょうど私の手元に届きましたその直前に、本人から電話が参りました。実はきのう国会議員の先生と秘書とそれから機関紙の記者と、三人の方が日曜日に自宅に来られました、そしてこういうことを聞かれたというような報告が参りました。そこで、実はその本人は実にびっくりしたわけでございます。国会議員と申しますと、われわれ庶民にとりまして、特に彼にとりましてはテレビあるいは新聞でしか見たことのないようなりっぱな方でございます。国会議員に対しましてはやはりこの隊員といたしましては、まあ……
#189
○上田耕一郎君 委員長、委員長。
#190
○委員長(小川半次君) いま答弁中です。
#191
○上田耕一郎君 答弁と言ったって関係ないよ。私はそんなことを聞いていないよ。何人調べたかと言っているんだから。何を言っているんだよ。
#192
○政府委員(伊藤圭一君) びっくりいたしまして、そのことを言ってまいりましたので、その関係の人々に事情を聞いたわけでございます。
#193
○上田耕一郎君 防衛局長、四十八年当時何人か覚えていないというけれども、坪山、江村以外にも何人か調べたんですか。
#194
○政府委員(伊藤圭一君) それは当然のことでございますが、たとえば二部長あたりには聞いたと思いますが、そのほかには特に聞いたというふうには聞いておりません。
#195
○上田耕一郎君 先ほど塚本氏に対して聞いたけれども何もなかったと言われておりますが、肩たたき問題です。防衛局長にお伺いします。坪山三佐の退職理由はどうなっておりますか。
#196
○政府委員(伊藤圭一君) 当時、四十八年の十二月に事情を聞きました際には、たしか父親が病気であるので家庭の事情により退職したいという理由で届け出が出ておったと記憶いたしております。
#197
○上田耕一郎君 四十八年九月二十六日の参議院外務委員会で、わが党の星野議員の質問に対し、防衛庁は、「本人から出ております退職理由は、父が発病に伴って家業を継ぎたい」と、そう答弁しております。しかし、家業は私立探偵社じゃないんですね。自宅の家業は私立探偵社じゃない、宇都宮のお父さんの家業は。ある別班員はこう言っているんです。坪山氏は家庭の事情で宇都宮に帰って教師をやるつもりと聞いたが、うちへ実際に帰ってみたらやめなくてもよいことになったと、しかし、一度退職願を出した以上、引っ込みがつかないのでやめたと、こう言っている。そうなると、退職理由は家業の都合じゃない。退職理由はおかしいじゃないですか。
#198
○政府委員(伊藤圭一君) それは退職者のいろいろの事情があると思います。その時点においてはそうであったという理由で退職を申し出たものと考えております。
#199
○上田耕一郎君 つまり、この坪山三佐は、三十八歳、前途有望な三佐でしょう。しかも、特別な訓練を受けて、いわゆる俗称別班員をやっている情報マン、そういう人を簡単にやめさせるということはないと思うのですね。特別にうちの事情だと。これはあるいはやむを得ないかもしれぬ。しかし、うちの事情でやめる理由はなくなったんですよ、帰ってみたら。しかし、退職願を一度出しているからやむを得ずやめたと。そんないいかげんな理由でやめさせるはずがないと思う。私は、ですから、陸幕の塚本二部長の指示あるいは承認なしに坪山三佐がやめる理由は全くないと思う。そこで、疑惑が私は依然としてやっぱり残っていると思います。
#200
○政府委員(伊藤圭一君) いま申されましたように、二部長は全くそういうことはしておりません。
 それからいま申されましたように、退職の理由というのは、そのときどきによっていろいろあるわけでございます。いま先生がいみじくもおっしゃいましたが、非常に優秀な人間がやめるときというのは、やはりそれなりの理由というものが必要でございます。そしてまた、自衛隊としてはそういう者はなるべく残ってほしいという気持ちもあるわけでございます。しかしながら、そういう人々が新しい分野に生きていこうというようなときには、やはりそれなりの理由を述べて退職をするものでございますから、その理由につきましては全く自由であると私どもは考えているわけでございます。
#201
○上田耕一郎君 刑事局長、警察は、当時金大中事件に関連して、自衛官あるいは元自衛官に事情聴取も含めて何人話を聞きましたか。
#202
○政府委員(三井脩君) 私立探偵社の二人でございます。
#203
○上田耕一郎君 私立探偵社ミリオン資料サービスに出入りしていた自衛官については調べましたか。
#204
○政府委員(三井脩君) 直接本人から事情聴取はしておりません。
#205
○上田耕一郎君 直接本人からでないにしても、では、ミリオン資料サービスに自衛官あるいは元自衛官が何人か出入りしていたという事実は知っていますか。
#206
○政府委員(三井脩君) あの私立探偵社は自衛隊の出身者がやっておるわけでありますから、自衛隊の関係者が出入りしておったということは存じております。
#207
○上田耕一郎君 われわれはこの点を調べました。坪山三佐の上司の中央調査隊の星加昭三佐、それから坪山氏のかつての同僚で江村の上司である東部方面調査隊の相曽等三佐、またその部下で江村氏の同僚である八木兼雄一曹、室名池寿二一曹、少なくとも四名が金大中事件の前後数回にわたってミリオン資料サービスに出入しております。これは、先ほど防衛局長の話がありましたように、星加――いま二佐ですね、相曽両氏とも認めております。
 それで、先ほどこういう人を調べたかどうか明確でないと言われましたけれども、星加二佐は陸幕二部の総務班の吉田という人物から、また、相曽氏は内局の調査一課長から、当時詳しく事情を聞かれたと、こう述べております。なぜ星加氏や相曽氏に対して当時金大中事件に関連して事情を聞いたんですか。
#208
○政府委員(伊藤圭一君) それはやめました私立探偵社をやっております人に事情を聞きましたときに、昔の同僚であるこういう人たちもときどき帰りなど寄ったというような話が出ましたので、そういう人たちにも一応聞いたものだというふうに考えております。
#209
○上田耕一郎君 この人々と金東雲――日本名佐藤ですが、この佐藤と面識のある人物がいましたか。
#210
○政府委員(伊藤圭一君) それはおりません。
#211
○上田耕一郎君 しかし、この中の一人については、金大中事件の前に、金東雲こと佐藤と飯田橋近くの割烹で会っていたという、そういう通報もあります。ですから、われわれはこれも調査していることをつけ加えておきたい。
 そして、しかも、先ほど三井警備局長は坪山三佐について事件が起きてから届け出てくれたとううことを言っておりますけれども、やはりわれわれの調査では、坪山氏はミリオン資料サービスを開所したときに金東雲こと佐藤が依頼に来たという関係ではなくて、もっと以前から金東雲――日本名佐藤と面識があったという通報もあります。そういう点で、これまでこの人々が協力者であるという警察当局の言い分に私は大きな疑惑を持ちます。疑惑はやっぱり広がっていきます。直接間接金大中事件にかかわってこれまで自衛官あるいは元自衛官の名前が人数が広がるばかりでありすす。坪山晃三、江村菊男氏以外に、たとえば私は塚本勝一氏についても指摘しました。松本重夫、渋谷政義、さらに今回星加氏を初め四名の自衛官の名前も出てきた。現にいまミリオン資料サービスにいるもう一人の人物も自衛官出身ではないかと言われている。こうなりますと、九名から十名の現職自衛官あるいは元自衛官が金大中事件の監視にかかわって――私はもちろん殺人事件まで知って協力したとまで思いません。しかし、在日韓国人の反朴運動についての調査監視、こういう任務を帯びて、中央調査隊や別班員たちが、陸幕二部が、かなり大がかりな仕事を始めていたという疑惑は絶対にやっぱり打ち消すことができないと思う。ますます問題は広がっていくと思う。一体何をやっていたのかということであります。防衛庁長官は、御自分もお会いになって調べたと言う。本人が言うわけはない。防衛庁自身が調べることはできない。調べられるはずもない。これだけの大問題ですから、私が提案したように、国会の国政調査権を発動して、議院証言法に基づいて証人喚問して事実を調べなければ、国権の最高機関の国会が調べなければ、この金大中事件と自衛隊とのかかわりという広く提起されてきたこの疑惑について明らかにすることは不可能だ。これが唯一の手段であると思います。
 私は、最後に、委員長に対して、私が先日提起しました八名の証人喚問、これはいまだ結論がおりておりませんけれども、この問題について証人喚問をぜひ実現してほしい、そのことを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
#212
○委員長(小川半次君) 上田君、ただいま委員長にただされました点は、これは理事会においてまだ結論に達しておりません。
 以上をもちまして上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 午後は十二時五十分から再開することとして、この際、四十分間休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ―――――・―――――
  午後零時五十九分開会
#213
○委員長(小川半次君) ただいまから予算委員会を再会いたします。
 午前に引き続き、昭和五十二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 それでは、これより質疑に入ります。三治重信君。
#214
○三治重信君 まず最初に、日ソ漁業交渉について御質問申し上げます。
 領土と魚とを切り離すということがわが国の要求でございますが、それに対してソ連の態度はどこまでもノーということであるのか、もしノーということであるとすると、これについての交渉というものは非常に長期交渉が予想されるということになるんではないかと思いますが、そういうことについての、この政府の基本的な腹構えをもう一度言明していただきたいと思います。
#215
○国務大臣(鳩山威一郎君) モスコーにおきます漁業交渉におきまして、わが方は御承知のように、漁業問題と領土問題とを切り離して処理をいたしたい、こういう態度で臨んでおるわけでございます。先方の態度が、領土と魚とを絡めておるということは必ずしも言えないのでございまして、園田官房長官が特使で行かれましたときに、コスイギン首相と会われましたときにおきましても、それは漁業は漁業としてやると、こういうことをおっしゃっておりまして、この鈴木・イシコフ会談が再開された経緯から見まして、領土問題と絡んでおるということがはっきりしているわけではございません。わが方といたしまして、この協定がわが方の領土問題に対する従来の主張、立場、これに悪い影響がないようにというところで問題が煮詰まっておると、このように御理解をいただきたいのであります。
#216
○三治重信君 そうしますと、ソ連の閣僚会議の決定による国境線の根室海峡というものをわが方が認められないということになりますと、どうしてもこの北方領土の周辺の領海と日本の二百海里水域の線引きというものを具体的にどうするか、こういう問題が出てくると思いますが、ソ連との交渉に対して、今後二百海里水域の設定についてどう交渉されるつもりでありますか。
#217
○政府委員(宮澤泰君) 新たに日本の領海を定めます場合及び二百海里専管水域を定めます場合に、これら北方四島が日本固有の領土であるということを十分に考慮してまいる方針でございます。
#218
○三治重信君 その問題に関連いたしまして、新聞に出ております、鈴木農相が特殊水域という考え方を示したと、こう報道されておりますが、それは日本も北方領土周辺に線引きをしておきまして、そうしてソ連側の線引きと重なる部分について特殊水域を設定すると、こういうことなのか。それとも日本側は線引きをせずに、ソ連の水域として認めた上で特殊扱いをしてくれという交渉なのか。それをはっきりしていただきたいと思います。
#219
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまお尋ねの点は大変微妙な問題でございます。鈴木農林大臣、一時帰ってこられますので、お帰りになりまして、従来の折衝等も伺った上で態度を決めるべきことであろうと思いますし、いまの段階で、その水域につきましてこのような態度でということは、この際差し控えさしていただきたいのでございます。
#220
○三治重信君 この点、きようの新聞報道やその他見ておりますと、われわれはこの日本政府の態度が、領土と魚とを離すと言いながら、具体的な問題になると非常に態度が微妙な変化が行われている、こういうように感ずるわけなんです。
 そこで、この交渉の中断に対して五月以降再交渉するに当たって、やはり政府はしっかり基本的な態度を、国民的な合意を得る積極的な相当な努力をして再開の日ソ漁業交渉に臨まなければならぬと思いますが、そういうことについて、今後どういう国内的な処置をとろうとされておりますか。
#221
○国務大臣(鳩山威一郎君) 北方四島水域の問題につきましては、わが方としては、あくまで北方四島のわが方の従来の立場を害さないということを基本的な立場として粘り強く主張をしてまいるという態度でございます。
#222
○三治重信君 外務大臣の答弁を拝聴しますと、領土と魚とを離して、しかも領土問題はその態度をはっきりしているんだ、こういう御答弁でございます。ところが、一般の報道はやはりそこに領土問題と魚の問題を必ず絡めて向こうがくるので、それを政府が玉虫色とか日本流の腹芸で解決するのではないか、こういう疑惑、うわさというものが、いまのところまだ相当残っていると、こう思わざるを得ないのでございます。
 そこで、こういう問題を、ソ連という強国との交渉で腹芸なんか通ずるはずはないわけですから、国民をバックにして、そこにアブハチ取らずにならないように、ひとつ福田内閣としてしっかりした姿勢というものをつくっていかなければならぬと思いますが、それに対する政府の決意をお聞きしたいと思います。
#223
○政府委員(宮澤泰君) まさにただいま御質問の点につきまして、鈴木農林大臣その他園田官房長官、日本側の代表団もソ連側を相手に粘り強い折衝を続けられたわけでございまして、今回、一回交渉を中断されてお帰りになりますのも、そういうこちらの主張がまだ十分に通らない、こういう意味でございますので、鈴木農林大臣お帰りになりましてから、総理その他政府内部で協議を重ねられまして、また次の交渉に臨む方針でございますが、日本側の譲り得ない点はあくまでやはり譲り得ない、こういう線で進むべきものと考えております。
#224
○三治重信君 そうしますと、いまの政府の態度からも、この五月の再開交渉もそうたやすく妥結すると、こういうふうな予想をしてないようでございますが、腹を決めてやるということになると長期交渉を覚悟してやらなければならぬと思いますが、そういうふうなことが出た場合には、北洋漁業に関係している漁業者やその関連の経済的な損失というものは非常に大きいと思いますが、そういう人たちに後顧の憂えのない対策をとらなければ、国家の安全保障のための措置だ、また領土問題は離すと言っても、やはり現実的に生活問題にかかってくると、とかくいろいろの動揺が出てくるわけです。だから、政府がこういうことに対して、何と申しますか、被害者といいますか、経済的損失を受ける人たちに対する徹底的な補償、またその対策、短期の当面のやつばかりでなくて、一つのそういうものの長期の未解決ということを考えた基本的な対策も含めて、いまからそういう対策をとる必要があると思いますが、どうですか。
#225
○国務大臣(長谷川四郎君) 漁業家、またそれに関連する方々に対しましては、不安のないように万全を期してまいるつもりでございます。
#226
○三治重信君 この問題が漁業者に不安をもたらさぬということが、やはりソ連との交渉を持っていく政府の強い交渉態度に対して非常に必要な処置だと思います。しっかりひとっこれに対して、この次の国会にでもそれが具体的に政府の施策として出る、出すというぐらいの腹構えでやっていただきたいと思います。
 そうして、ちょうど中断になって、政府がいま急遽行おうとする領海法と二百海里法を今国会で審議の俎上に上すべく提案されてこられたわけなんですが、政府としてはこの二つの法律を通して、これを五月の再開の交渉で、いわゆるソ連の二百海里法に対して対等な立場で交渉に臨もうと、こういう腹でありますか。いや、それは必ずしも一法律まだできなくても、交渉の腹はこちらは決まっているんだから、そう心配は要らないんだと、こういうことですか。
#227
○国務大臣(長谷川四郎君) もちろん今回の交渉はそう簡単なものではないと覚悟しております。したがって、法案を通過をさせていただきながら、また交渉は長期になろうとも、わが方の言い分は当然通していかなければならぬと、これがわれわれの使命であろうと考えております。
#228
○三治重信君 一つ緊急な問題として御質問して、政府の腹が変わらぬようでございますので、さらに五月の再開までにしっかり準備を整えて、万遺憾なきを期してほしいと思います。
 次に締めくくり質問として、財政経済の問題を二、三お尋ねしたいと思います。
 わが党は、常にこの財政問題、経済問題につきましては、中期的な見通しのもとに具体的な経済政策を展開すべきだと、こういう主張を常々しているわけでございますが、政府としても五十年代前期経済計画をつくって、いま目下その計画の過程の中にあると、こういうことでございますが、この計画とは離れて、目下国の財政は予想以上に膨大化し、赤字化していると、こう思うわけです。またそれを直すために、やはり増税問題やいろいろの経費節減対策というものが政府として考えられなくちゃならぬと思いますが、こういうものについて、中期的な見通しの具体化を示して、そうして国民の批判といいますか、国民の協力を得ると、こういう姿勢を示すことができるかどうか。
#229
○国務大臣(坊秀男君) お答え申します。
 現下の財政経済情勢に即して、何か財政計画、中期の財政計画というものを考えにやならぬじゃないかと、こういう御趣旨かと思います。
 私どもは、これからの歳入歳出の計画を内容とした中期の財政計画というものが、これが一つの今後の財政運営に当たっての意義ある手法であるということについては、これはもうそのとおりだと思います。そこで、これにつきましていろいろなことを考えまして、これを財政審だとかあるいは財政審の中の基本問題小委員会にひとつ検討をお願いしようかというふうに考えておりますけれども、何しろ中期財政計画をつくるためには相当長期にわたる経済社会の見通しという相当厄介な問題を、これをまず片づけていかなければならないということだとか、それから、まあいま急いで財政経済の中期の計画をつくりますと、ひょっとしますと将来の財政の膨張だとか、あるいは硬直といったようなことを引き起こさないとも限らないということも懸念をされます。そういうようなことから考えまして、何とかいま申し上げました財政審、財政審の中の基本問題小委員会というようなところにひとつお願いを申しまして、その検討を見守りまして、それとにらみ合わして慎重にこれをやってまいりたいと、かように考えております。
#230
○三治重信君 当然大蔵大臣として、この赤字財政を解消する努力は非常に頭の中に中心的に残るだろうと思いますが、その中で、特にこの赤字財政を解消する場合に増税といいますか、収入の増ばかりではなくして、やはり既存の歳出が本当に国民のためになっているのか、国民経済の発展のためになっているのか、こういう問題をやはり再検討するために、問題となる項目、予算を、やはりそういう計画当局といいますか、この諮問委員会といいますか、そういうところにやはり問題点を出して、そういうものを税金で使っていいのか、またはほかに対策はないのか、こういう問題を議論をしてもらう計画はありませんか。
#231
○国務大臣(坊秀男君) これからの財政でございますが、これ何と申しましても国民生活の安定、福祉生活の充実といったようなところを眼目として決めていかなければならない、そういったようなためには、財政規模というものはある程度のものを確保していかなければならないと思います。そういったようなためにも、いま御指摘のとおり、歳入だけ考えてもだめだと、そのとおりでありまして、だから歳出の面におきまして、そういったような重点的な方向へ日本の財政力というものを持っていくためには、やはり今日の財政における歳出の面を十分よく検討いたしまして、従来の慣行だとか従来の制度といったようなものは、これはひとつ思い切って見直しをする、歳出面において見直しをしていく。それから歳入面におきましては、これまたこれからの税収入というものについて相当程度の見直しをやっていく、それで歳入歳出両面においてこれを検討して、また将来は財政の健全化というものを目標にしてこれをやっていかなければならないということを考えておりますが、それらのことを実現していくということを目標といたしましてこれからの財政の運営をやっていきたい、かように考えております。
#232
○三治重信君 私は、経済政策の目標というのは、やはり雇用の安定と価格の安定を両眼目としていかなければならぬと思います。特に現在の価格安定対策というものについて、ひとつ具体的な一、二を挙げまして質問したいと思います。
 国民生活の関連物資として、食糧関係は、非常に国内農業との関連で、自給率の問題を政策の基本に非常に議論されますが、衣料、通産関係の繊維というものは、こういう国民の重要な生活物資でありながら、いままでが豊富低廉に供給されたということから、先日の質問にもほとんどそういう発想がないようなんですが、これからの国民生活というものを考えた場合に、雇用の場をどう考えるかという場合に、国民生活を維持するための物資の自給率を考える、そうして雇用の安定を図っていく、こういう政策に発想を変えないといけないと思いますが、それについて農林大臣並びに通産大臣の、この経済の運営の政策について基本的な立場をお願いしたいと思います。
#233
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 自由競争という体制のもとで計画を立てるということはなかなかむずかしいということもございまするけれども、この構造改善事業も進まないままに、このまま推移するということは非常に国家的な大問題でございます。さような関係からも、中期的な需給計画を、たとえ困難でありましても、見通しをつけなきゃならぬ、こういうようなこともございまして、昨年の繊維工業審議会の専門委員会におきまして、多くの方々にお集まりをいただき、中長期の需要の見通しを作成いたしておりまするが、この繊維政策の立案に当たりましても、基礎的な資料となりますいろいろの問題を討議いたした次第でございます。
 さて、かような次第で一応の見通しでございまするが、繊維工業審議会の委員会では、消費需要は糸ベースで昭和五十五年までには四十五年を基準にして二・八%、不況時の五十年を基準にすれば七・一%の伸びを示すものというような推定がございます。なお、これらの詳細な計数並びに部門別の問題につきましては、政府委員がおりまするから、担当官からお答えをいたします。
#234
○三治重信君 農林大臣、具体的な数字は結構です。
#235
○国務大臣(長谷川四郎君) まず国民経済の安定、これにつきましては、何といっても農作物、農林関係の安定というものが第一条件に挙げられ一なければならない、こういうふうに考えております。したがって、今後の生産、それから消費面、こういう点についての生産面を特に見直すというような考えを持たなきゃならぬ、こういうふうに考えております。したがって、これらの問題とあわせて、いまの二百海里の問題等々もございますので、この点を十分考慮に入れて今後の生産から消費までの問題を解決していかなきゃならない、こういうふうに考えております。
#236
○三治重信君 その物資の部面と、もう一つ、私はこれから非常に通貨、いわゆる現在、貨幣が管理通貨になっているわけです。この貨幣の価値を維持する、これがまた物価の安定に非常に必要だと思います。そういたしますと、いままでの経済計画では、物の生産量、それに対する価格の動きが示されておるわけですが、通貨の量の変動、いわゆるどれだけ通貨を増発するのか、こういうものについての発表というものや政府の計画というものがないわけなんですが、これは近い将来、こういう物量の経済計画とともに、いわゆる政府発行の貨幣の流通をどの程度にするか、そういうものを国民の前に示して協力を求める姿勢ができるかどうか。
#237
○国務大臣(坊秀男君) 銀行局長に答えさせます。
#238
○政府委員(後藤達太君) 先生の御指摘は、通貨の発行量、これを銀行券とか、あるいはM1、M2、こういうような形でどういうふうに経済政策に反映していくか、こういう点かと思います。私ども現在金融政策の運営に当たりましては、このマネーサプライ、主としてM2を注目をしておりますが、マネーサプライの動向には非常に注意を払ってまいっております。ただ、諸外国で最近若干行われておりますように、このマネーサプライの目標値というのを先に設定をいたしまして、これをひとつあらかじめ頭に置いて政策をとる、こういう点につきましては、なおこのM2の増加率とGNPあるいは物価の動向等との間で、ただいままでの研究しましたところでは、なかなか一義的な関係が見出されておりません。したがいまして、なおこれは勉強をしなければならないことかと思っておりますが、当面この目標値を設定するということはできないと存じます。ただこれは、一つの重要なる指標の一つといたしまして重視をしてまいりたい、こう考えております。
#239
○三治重信君 いまの答弁では、指標としてつくっているけれども、まだそれを外へ発表するほどの自信とか、またはそれはいろいろの与件の変動によって、しっかりした物動の経済計画、経済成長率のようなふうには数字で示されない、こういうことか。これはまあやはり物動計画、経済成長計画とともに、これがもう少し操作が進めば管理通貨等の数量は当然計画の中に入れるべきだと考えておるのか、どちらか。
#240
○政府委員(後藤達太君) ただいまいろいろM2につきまして勉強いたしております。ただ諸外国におきましても最近始めた例などを見ますと、なかなか一義的な目標値というものの設定はむずかしいようでございまして、ときどきこれを変更したり、あるいは実績、精度等も大分変わっているので後から見直したりというところが現実でございまして、実際の注目の仕方というものはわが国の場合とそう変わっているわけではございません。そのあたりは私どもなお一層勉強いたしまして、どういうふうにこれが活用できるかというところをこれからも勉強してまいりたい、こう考えておりますが、直ちにこれをあらかじめ設定するということは目下のところ困難だと思っております。
#241
○三治重信君 総理、いまの通貨の発行量の問題と、もう一つ、外国為替の変動がフリーになっておりますが、これに対して、非常に農作物の不作と同じように、為替の変動というものが今後予想される。そのときの緊急避難的にも私は日本は金の貯蔵といいますか、金の準備をしておく必要があると思うのですが、この通貨量の、政府としての通貨価値の維持の姿勢というものと、外国為替のそういう非常な、ことにドルの変動というものに対処して、やはり一義的な日本の経済の安定のために金を準備する、こういうことについて総理の見解をひとつはっきりしていただきたいと思います。
#242
○国務大臣(福田赳夫君) 経済を通貨量から調整すべしという議論は昔からあるわけです。ありますが、通貨量というものは経済の実態ですね、それに沿うてふえたり減ったりする、こういうような状態で、性質のものでありまして、通貨量を決めてその通貨量の中に経済活動を押し込むという考え方をとりますと、非常に窮屈な経済運営をしなければならぬだろう、こういうふうに思うわけです。しかし、通貨量はとにかく人間で言えば脈摶みたいなものでございまするから、それはその通貨量は非常に大きく伸びているというようなときには、実体経済のかじのとり方につきまして警戒信号が出たのだというたてまえのもとに、この通貨量がそう大きくならないような経済政策自体の運営を気をつけなければならない、こういうものだろうと思うのです。ですから、通貨量というものは経済運営上重要な指標であるけれども、これを決めてその中に経済活動を押し込む、こういう行き方はどうも妥当でないのではあるまいかと、私はそう考えております。
 それから金の問題でありますが、いま管理通貨でありまするから、為替がどういうふうに変動するか、それは変動為替制下でありまするから、まあいろいろ変化はありましょうけれども、さあそのための備えとして金を保有するという必要は私はないと思うのですね。ただしかし、わが国の場合は諸外国に比べますると金の保有高は非常に少ないわけです。自然に金がふえると、こういうような傾向が出てくればそれは歓迎すべきところでありまするが、意識的に金を日本が買いあさって、金相場に変化を起こさせるというようなことは、国際社会の一員としてのわが日本としてはこれは慎まなければならぬところである、そういうふうに考えております。
#243
○三治重信君 次に、公債の問題を私はひとつ論じたいと思うんですが、いま個人の財産形成をやるということは、やはり労働者、勤労者の生活安定、また、国民としての中産階級化のために非常に必要なことだと思っておりますが、それがいままで土地あるいは家というものに集中しておるんですが、いずれこれが国債を抱えた経済からいくと、債券を働く労働者やサラリーマンに持ってもらわなければならぬと思います。この債券を、資本市場の育成のためにこの価値を著しく低下させないような対策、いま偶然にきょうの新聞にも公定歩合の引き下げが予想されるということで、債券相場が暴騰ということになっておりますが、これがやはり投機的にならぬように資本市場の育成をどう考えているか。ことに私は、個人の財産形成をやって、まじめな人が後から目減りでえらい損をすると、こういうことのない政策をひとつ具体的に考えていただきたい。
#244
○国務大臣(坊秀男君) まさに御意見のとおりだと思います。ことに、これからの財政が相当多量の公債を発行していかなければならない。その公債というものが市中、民間から相当のこれは評価をされなければ、全然これは消化がむずかしくなってくるということで、これに対する評価を高めていくということが私は一番大事なことだと思います。さような意味におきまして、これは資産として持っておって魅力のあるものだというような感じを、これを一般の大衆の方々に考えていただくということによって、私は基本的な公債に対する消化というのは進んでいくんだと思いますが、まあそういうようなことの一助ともすべく、この公債に対する優遇税制ですね、そういったようなものも始めておりますし、それからまた、個人が公債を持ちやすいようにするために、中期割引国債といったようなものもこれ出しておりまして、いずれにいたしましても、国債に対する評価の一番の基礎は、個人がこれが魅力があるというふうに感じていただくということでそういうことをやっておりますが、何よりも一番大事なことは、物価というものを、これを余り上昇しないというふうに持っていくことが、これがもう基本的な私は国債の消化、評価――評価してもらって消化していく一番大きな方法だと思いますが、これにつきましては、これから、公債これだけ出していくんですから、鋭意研究いたしまして支障なきように持っていきたいと、かように考えております。
#245
○三治重信君 もう一つ、貯金の関係で、公定歩合の操作によってこの利子を引き下げる下げないという問題で、非常に郵便貯金が問題になっておりますが、郵便貯金は零細庶民の貯蓄と、こういうことで利子は下げたくないと、まあこういうことを考えますと、やはり景気政策のための公定歩合の操作が、庶民の貯蓄との利子の関係でその景気対策がうまくいかぬということは、非常に私はうまくないことだと思うんです。したがって、庶民の相当な貯蓄に対して利子は保証する、そして一般の公定歩合の操作の対象の利子を下げるやっと、この利子についていわゆる二重制度を設けたらどうかと思いますが、それに対する大蔵大臣の考え方……。
#246
○国務大臣(坊秀男君) 一般にこの預金金利を、郵便貯金はもちろんのこと、預金金利を変更していくということは、そのときどきの財政経済の状態、実情、それをしっかりとつかまえていくということが一つと、それからまた、いまもおっしゃられましたように、預金には預金者の立場というもの、そのときにおけるですね、その立場というものがあることはもちろんのことでございますが、そういったような立場ということにも配意をいたしまして、そしてこれを慎重にやっていかなければならないということが私は前提であろうと思いますが、そういうことにつきまして、じゃ将来どういうことを具体的にやっていくのかということを今日ここでお聞きになられましても、いまのところは何ともお答えのしようがないと、要するにそのときどきの経済、預金者の立場といったようなものを、これは真剣になって配慮していって結論を出すべきものだと、かように考えております。
#247
○三治重信君 話題を変えまして、いま景気回復のために公共事業とかあるいは資源開発事業の金融をつけると、こういうことで景気回復を早期に図ろうとしているんですが、現実には現地の紛争があって、環境問題あるいは地域直接住民の被害等、こういう問題を処理しないと、大きなプロジェクトでも、また実際の各地のたくさんの公共事業もずいぶん停滞をしている。きょうの新聞にも五十一年度の住宅計画も七〇%ぐらいしか公営住宅でもできないと、これがさらに今年もこれが実施が非常におくれるということになりますと大きな問題になろうと思いますが、そういう問題について、運輸省では空港の問題、それから通産省では電源開発の問題、建設省では下水道の問題、これがまあ非常にそういう現地の紛争解決の大きな問題になっている。こういうものについて、個々のプロジェクトについて第三者機関による早期の紛争解決、関係機関が集まってやると、こういうような集中的なことをやらぬと事業がいかないと思うんですが、これについての政府の考え方を逐次お願いしたい。
#248
○国務大臣(長谷川四郎君) 御指摘の下水道の問題は、現在われわれにかけられた一番大きな問題であろうと思うのでありまして、したがって、下水道は生活環境の整備と水資源の保全の観点から緊急に整備を必要としているところでございまして、したがって、これらに対する終末処理場、これらのことについては、いまいろいろな点について反対等もございますけれども、この反対――気持ちよく終末処理を引き受けてくれるのにはどのようにやったらよいかということでいろいろ苦心をしておるのでございますけれども、いまその終末処理場の緑化の環境対策、こういうような点と、悪質な下水に対する規制、監視強化と、こういうような方法をとって下水道の終末処理を行っていこうと、こういうふうに考えております。それに伴いまして、さらに下水道の終末処理場を置いてくれる市町村があるとするならば、つくらせてくれる市町村があるとするならば、これらには特別なことの配意をもって進んでいく考え方であります。お言葉のとおり下水道がいかに重要性を持っているかという点については、その点について十分な、現在のやり方をさらに一歩進めて、この五十二年度はこれに対して万全を期していく考え方でございます。
#249
○国務大臣(田村元君) いまの御質問の点は、たとえば関西新空港を例にとって御説明申し上げますならば、まあとにかく空港とか新幹線というのは環境アセスメントをやはり徹底的にやって、地域住民のコンセンサスをいただくということがもう何よりも先決であって、しかも環境アセスメントを十分やることが、かえってその目的を達成するための近道でもあると、結局急がば回れというようなことも言えるかと思いますので、関西空港の場合は五十一年から五十二年まで環境アセスメントを徹底してやることにしております。現にそれをやっておるわけであります。自然現象、社会現象、そうしてそういうものを調べてどういう空港が適切か、その空港をつくったときにどのような影響が出るかということを調べて、そうしてそのアセスメントの結果を公表しまして関係都道府県に御相談をかけて、関係都道府県を窓口にして地域住民の御意向を承ると、でありますから、いまの御質問の御趣旨の第三者的なということにやはり近いものだと自分では思いますが、地方公共団体の御意向というものを十二分に反映せしめる、そのような方途を考えておる次第でございます。
#250
○国務大臣(田中龍夫君) 私の方の所管の問題に対します御質問の中で、御指摘のとおりに発電所、ダムの建設等を初めといたしましていろいろな建設関係がございまするが、これを円滑に進めてまいりまするためには国民的な合意というものもぜひ必要であるわけでございます。こういった観点から、政府におきましても、電源開発に当たりましては、御承知の電源開発調整審議会等々もあり、また環境安全対策等の強化に努めておるところでございまするが、さらに、先般エネルギー問題につきましての今後の強力な推進機構といたしまして、政府の方で特に組織いたしました総合エネルギー調査会におきましても、このパブリックアクセプタンスという特に分科会を設けまして、エネルギー政策の推進の前提となります国民的合意の確立のためにいろいろと方策を検討いたしておる次第でございます。これら環境に対しまする十分な配慮がありましてこそこれらの大きな計画も推進することができると、かように考えておる次第でございます。
#251
○国務大臣(石原慎太郎君) 先生がおっしゃいました第三者的な調停役というのが、開発や公共事業の主務官庁以外の省庁というものでございますのか、それとも一部の野党の方々がアセスメント法の中で提唱されております民間を入れた第三の協議機関のいずれかはつまびらかにいたしませんが、前者の意味では、環境庁としましてはいままでいろんな調停をやってまいりました。先生の地元の渥美の電発の問題も、実は行いました調査の資料を本当に従前に公表しなかったためにいたずらな混乱が起こりまして、環境庁としては指導し、その公開を地方自治体にも事業者にも指導して行わしめてきたわけでございます。
 それから後者の第三者的な調停機関については、いま上程しようとしておりますアセスメント法の中では、環境庁としてはそういう形をとらなくとも、環境庁が警告なり意見を述べるという形で住民の方々に情報の参加をしていただくことで、少なくとも電発の問題等はいま最悪の状態にございますそのところから一歩、二歩はい上がることができるのではないかと思っております。
#252
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして三治重信者の質疑ば終了いたしました。(拍手)
#253
○委員長(小川半次君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村泰君。
#254
○下村泰君 私は福祉問題、ことに母体障害者の問題にしぼってお話を伺いたいと思います。
 まず厚生大臣に伺います。先月の三十日帝国劇場において行われましたあゆみの箱のチャリティショーに御参加いただきましてどういう御感想をお持ちですか、お聞かせください。
#255
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先般来、先生など、森繁久弥さんとか伴淳三郎さんとか下村さんなどが十四年間にわたってあゆみの箱運動というのをやっておられます。これは私が福祉の心ということを言っておりますが、私はそれを民間団体が身をもってすでにもう十数年前から実行されておると、それによって数千万円の全国から浄財を集められて、しかも芸能人の方々がいろんな無料奉仕をされて、そうしてそういう基金をつくっておられる、それを身体障害者の施設等に御寄付を願って、非常に感激をしておるところでございます。こういうような連動が政府ばかりでなくて多くの民間団体によってボランティア活動として行われるということは大変好ましいことでございますし、また最高の敬意を表する次第でございます。
#256
○下村泰君 いま厚生大臣がおっしゃいました数千万円の浄財というのは一年でございます。十四年間で集めた金は八億近い。で、そのお金を各施設に分配するにしてもときどき法が邪魔をいたします。この法をいまさらここでいま話をしておりましても時間が足りませんので。
 ああいう会にお出になった厚生大臣が、あの会場へ来ていらっしゃった身体障害児者をごらんになってどういうふうにお感じになりますか。また、この障害児者をお連れになっている御両親方の悩みというのがおわかりでしょうか。
#257
○国務大臣(渡辺美智雄君) 関係者のお話をいろいろ聞きましても、非常にその手足が不自由であると、したがって、非常に人の前には出たがらないという空気があったんだけれども、そんなことはないんだと、できるだけああいうようなところに出てもらって、そしてやっぱり人のことに接してもらうと、最初はなかなか出たがらなかったけれども、会を重ねるにつれて非常に希望を持って自分の足で歩き、あるいは自分の手でできるだけのことをしながら、また足りないところを人のお世話になって、いろんな歌を聞いたり、あるいは踊りを見たりされると、非常に喜んで楽しみにしてあそこへ来られる、父兄の方も楽しみにして来られたというようなことを聞いております。本当にこういうような社会運動が村でも町でも、あるいは小さな大字単位にでも行われるということになれば世の中がもっともっと明るくなるんでないか、そういうように感じた次第でございます。
#258
○下村泰君 大変御理解を示していただけてありがたいことなんですけれども、あゆみの箱がいかに強力な財団組織でありましても、なかなか全部の方には目が届きません。国がやっていてさえ目が届かないものを、われわれのような微力な人間が集まってやってもそうは簡単にいきません。お国でできることは幾らもあります。たとえば、大臣もごらんになっておわかりのように、あそこへああして集まった障害児の方々が、じゃ一体何に乗ってあそこへ来たか、どういう足を利用して来たか、またあるいは世田谷にあゆみの箱がつくりました重症心身障害児センター、これは相談センターでございまして、そういうお子さんを抱えたお父さんお母さん方の悩みが、その場でお子さん方がリハビリテーションをやると同時に解決されております。ところがそこへ通うについても一般普通のバスへ乗るわけであります。白眼視されます。あるいはいやな目で見られます。時によっては乗車拒否を食うこともあります。銀座の夜の街から乗車拒否を食うんじゃないんですからね。そういう方々に対して、そういう方々のまた集まっているような場所へ厚生省としてたとえばリフトバスを提供するとか、そのくらいのことはできると思うんですが、いかがですか。
#259
○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かに身体障害者の方、あそこへ来られる場合も人の肩につかまって来られた方もおりますし、あるいは松葉づえで来られた方もおります。また自分で車に乗って来られた方もございます。そういうようなリフトバスをつくって車いすのままバスに乗れるようなことができればそれが一番いいことでございますが、なかなか実際問題として全地域にそういうことをやるということは言うべくして非常にむずかしい。したがいまして、せっかくの御提案でございますから、何か身体障害者の方がたくさんおって、それでしょっちゅう通学をなさるというようなところなどに限定をされることになるかと思いますが、各地のよく実情を調べた上で、下村さんのように十数年来も真剣に率先垂範をしてやってこられた方の御提案でございますから、できるだけ実情を調べた上で何らかの助成策を考えてまいりたい、かように考えております。
#260
○下村泰君 大変ありがたいお答えで、どうぞひとつそれを実際に行っていただきたいと思います。
 いま一つ厚生大臣にお願いしますが、べーチェット病という、いわゆるべーチェット病患者というのがございます。このべーチェット病患者の方方が埼玉県の秩父市というところの郊外にリハビリテーションの施設を建設しようといたしましたところが、土地の方々の無理解な反対に遭いまして、測量する日がたまたま雨の降る日で、その雨でぬかるみになった地べたに直接患者の方が土下座して私たちの苦労も察してください、何とかして私たちの厚生施設をここへ建てさせてくださいと言うた姿に対して、このど盲とか、そんなわけのわからぬ病気を持ってくるなというようなことで反対されました。しかし、これは各新聞が取り上げました。私も法務委員会で筋が違いましたが稻葉前法務大臣にお願いして、厚生省の方に何とかお話をしてもらえないか、これは人権無視もはなはだしいということをお願いしました。幸いにして一年ぶりに埼玉県知事も骨を折ってくださいまして、やっと埼玉県内にある療養所の施設の中にお借りするようなぐあいになったんですけれども、こういう問題は小さいようでまことに大きいんです。国会では人権が尊重されないとか、やれ人間を無視するのかと、ほかの大きな問題では取り上げられますけれども、こういう問題は意外に無視されている。こういう問題の起きたときに厚生大臣として、別に介入を政治的にしてくれということをお願いするんじゃありませんけれども、少なくとも労をとってこういう方々の悩みを一日も早く解決してくださるというようなことをお約束していただけましょうか。
#261
○国務大臣(渡辺美智雄君) 下村先生がただいま御指摘になったように、埼玉県の秩父市でべーチエット患者の施設をつくるときにそういう問題がございました。
 一つは住民が、このべーチェット病というのは失明をする病気でございますが、伝染病じゃないかと、そういうような施設ができたら地域住民がそういう伝染病に感染するんじゃないかというようなことがデマになって、それで実際はそうじゃないんだけれども、伝染病でそれが蔓延しちゃ大変だというようなことで騒ぎが大きくなったと。このことは一つは理解が足らなかった。裏返しに言えば、われわれを初め、そういうようなことについて心配ないのだというようなPR不足という点もありましょう。またもう一つは地域エゴ的な問題もございましょう。そこでそういうトラブルが起きるわけであります。できるだけこういうような問題が起きないようにこれからのそういう施設をつくる場合には事前によく説明をする。それからもう一つは、やはりどこかには何かつくらなきやならないわけでございますから、そういうものを邪魔者扱いにするというそういう空気を、社会の空気、それを直していかなきゃならぬ。これはやっぱりほかのところへつくってもらうならいいけれども自分の近くへつくってもらうのは困るというのは一つの地域エゴですから、そういうものをなくすようにみんなが助け合うのだ。本当にそれは福祉の心ということをやっぱり徹底をさせていけばだれかがどこかでめんどうを見なきゃならないわけですから、そういうふうな観念に徹して、誠心誠意その衝に当たる県当局あるいは施設を経営する人あるいはそれに関係する各種の横の団体、一緒になってそれは了解工作をしてもらう。と同時に、やはり厚生省はそういう問題が起きたからといってそれぞれの県なり市町村なりあるところに厚生省が一番先に飛び出していってどうこうということはすべきものじゃないと思いますが、そういうトラブルの起きないような指導、それから万一起きてわれわれとして手をかすべきところがあれば側面的には惜しげなく手をかしてそういうものを事前に防ぐように今後も努力をしてまいりたいと考えます。
#262
○下村泰君 ありがとうございました。
 次に、サリドマイドのことについて文部大臣にお伺いしたいんですが、サリドマイド、これは大変薬害の原点とも言われる公害問題なんですが、これが起きましてからもう大分の年月がたちまして、いまやこのお子さんたちが現在公立高校へ二十九名、これは定時制を二名含みます。私立高校へ二十三名、聾盲学校へ七名、これは高等部です。養護学校へ二名、通信教育、これはNHK学園が一名、児童福祉施設、職業訓練に三名、海外留学一名、未定が二名、不明が一名、こういうふうな数字が出ておるのですけれども、文部大臣、こういう方々が高等学校へ入る、いわゆる高等教育を受けるために入っていきたいんですけれども、試験の段階でお体が不自由なためになかなか試験がうまく受けられないんです。時間がかかり過ぎたり、あるいは両手のないお子さんがいますから、したがって足の指に鉛筆をはめて答案用紙を書かなきゃならないというようなハンディをしょっております。そのためになかなか普通の学校のいわゆる決められた試験の時間の中には書き切れないという問題も多々あります。こういうのを文部省の方で何か指導していらっしゃいましょうか、あるいはそういう報告を受けて何かお考えがございましょうか。
#263
○国務大臣(海部俊樹君) 御指摘のように、現在総計いたしますと二百五十二名にわたるサリドマイド被害児の方が、これは小学校、中学校、高等学校を通じてでございますが、進学をしていらっしゃる。そこで昭和四十九年の十月にサリドマイド被害児の保護のために厚生省が交わしましたいろいろな確認書の中で、文部省といたしましては文部省の教育に関する部分のところにつきまして、その協定の内容を可能な限り実現をさせなければならないということを考えまして、学校においては特殊教育教育課程の研究校を指定いたしまして、そういうハンディを持っていらっしゃる方にどうやったらより教育的効果を上げることができるのか研究をさせたり、あるいはまた可能な限り普通教育を受けられるように教育施設とか教育設備というものを手を加えることができて、それによっていい結果が起こるならば手を加えるべきであると各地方の都道府県教育委員会を通じて指導をいたしました。現在すでに各地方都道府県で各県ごとにこのように細かい事例をいろいろ報告してきておりますけれども、時間がございませんので全部は報告いたしませんが、たとえばそういった方々が受験されて学校へ来られるということが事前調査で一わかったときにはいろいろな設備を改良するという、特別工事をするとかあるいは就学されるときの必要な改善状況について特に配慮するとか、いろいろきめの細かいことをそれぞれの教育委員会で指示指導をしておるようでございます。なお、現在文部省といたしましては学習指導要領というものの改定作業をいたしておりますが、そのときには特に、いまはサリドマイドのことに関してのお尋ねでございますが、サリドマイドも含め身体障害者の方々のために十分な配慮をするように指導をするつもりでございます。
#264
○下村泰君 サリドマイドに限ってお尋ねをしたのにもかかわらず全般にわたってお答え願って結構でございます、ありがとうございました。実は私の手元に……。この間にも時間はたっていきますか。
#265
○委員長(小川半次君) いや、いま時間とめてありますから。
#266
○下村泰君 ありがとうございます。
 海部文部大臣にお見せしたいのですがね、よろしゅうございましょうか。こんな大きな試験用紙がある。これちょっと見ていただきましょう。よろしいですか。
#267
○委員長(小川半次君) どうぞ。
#268
○下村泰君 失礼しました。実はここにこういうものがございまして、これを見ていただいて、そして文部省で今後の参考にしていただければと思いましていまお見せしたわけでございます。
 それから、いまの文部大臣のお答えでございますけれども、もちろんそれは各教育委員会で鋭意やってくださるのは結構でございますけれども、その各県あるいは都道府県に所在する学校全部に全部というわけにいかぬだろうと思うんです。ですから、県内なら県内に一つ推進校をつくっていただいて、そこへ集中的にやっていただけるかどうか。もちろん普通校でないとぐあい悪くて、余り特殊、特殊と申すと大変皆様方は気分を悪くします。で、一般の方々と同様なところでやれるような施設。これが問題があるのですが、たとえばサリドマイドで両方の手がない、いわゆる両上肢がないために、たとえばある一定の年齢になりますると女性ではやはり女性特有のいろいろな問題が出てくるわけです。そういうことをめんどうを見るのは親御さんしかいないわけなんです。介護人しかいない。その介護人が倒れるかあるいはどうしたかというときには、先生方でめんどうを見てくれる人は恐らくおらぬだろうと思う。そういう細かい問題がたくさんございますので、どうぞひとつ文部大臣、そういう細かいところもひとつお気を使っていただいて、よろしく御配慮のほどをお願いしたいと思います。
 次に、そこにもう一つ問題があります。この和解に当たっての確認書というのがございますが、この第四項に「両者は被害児に対して賠償金を支払う。希望者にはその一部を、物価スライド制のともなった年金とする。」、これが大変問題になっておりまして、この中でそれが税金の対象になるかならないか、一部がですね。それで、いま事務の段階でお詰めになっているんだそうで、私はそれをとやかく言いたくないのですけれども、たとえば厚生大臣はお考えになって、こういう賠償金ですからね、これが果たして税金の対象になるかならないか、ちょっとお答え願いたいと思います。
#269
○国務大臣(坊秀男君) 税の実行の問題でございますので、国税庁からお答えさせます。
#270
○政府委員(山橋敬一郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のサリドマイド児に対して支払われますところの損害賠償金でございますけれども、これにつきましては所得税法の規定によって非課税という形になろうかと思います。ただ、損害賠償金の一部につきまして年金で受領することを希望する方々に対しましては、財団から年金が支払われるということになっておるわけでございますけれども、その年金の金額のうちには、元本を信託運用することによりまして生ずるところの運用益が実は含まれております。この運用益の部分を税務上どのように取り扱うかという問題がございますが、これにつきましては、その当該運用益をも含めまして損害賠償金として非課税扱いとするかどうかということにつきまして現在検討しているところでございます。御趣旨の点を十分念頭に置きまして検討いたしたいというふうに考えております。
#271
○下村泰君 厚生大臣に伺っておいてから大蔵大臣に伺ってとどめを刺すと、こういう魂胆でございましたが、見事裏切られましたが、ひとつ大蔵大臣、こういうものはどうであろうとも国家が賠償金として払ったものなんですから、それがよほどの悪質でない限りはどうぞひとつ非課税にしてあげてほしいと思います。これはお願いをしておきます。
 それから、自治省の方に伺いますが、身体不自由者の、重度身障者の在宅投票の件についてお伺いしたいんですが、どのような数の方がどのように利用されていらっしゃいますか、ちょっとお願いします。
#272
○政府委員(佐藤順一君) お答えいたします。
 現在、重度身体障害者の方で、身体障害者手帳あるいは戦傷病者手帳に、その障害の度合いが両下肢、体幹につきましては一−二級の度合いの方とか、あるいは心臓、腎臓、呼吸器の障害につきましては一−三級の方とか、このように手帳に明記してある方、こういう方々について郵便投票ができるようになっているわけでございますが、この資格に該当する方につきましては、現在詳細な数字は現時点ではわからないのでございますけれども、制度制定のころおおむね十万人前後と、こういうふうに理解しておったわけでございます。ところが、現在これを利用されている方につきましては、郵便投票の手続をするための郵便投票証明書の交付を受けていらっしゃる方がおおむね二万五千人前後、そして去る昨年の総選挙の際に、不在者投票を実際郵便によりなさった方は、そのうち一万三千人前後と、こういうふうに伺っております。
#273
○下村泰君 時間がございませんのでもうこれ以上しゃべることができないと思いますけれども、各新聞にも、利用者が少な過ぎる、その利用できない理由は何なんだろうかということを書かれておるんです。実は私は表にしてみたんですが、自治大臣いらっしゃいますか、これ見てください。こんなにややこしいんですよ。電話とかはがきで申し込むんです、まず有権者が。そうしますると、今度はこちらからこういう郵便投票証明書交付申請書というのが来るんです。それをもらってから、今度はその申請書に記入して身障者手帳を送るんです。そうすると、今度は係の方がこれを確認して、はい結構ですよと、そうすると今度は投票用紙請求書というのが来るんです。それをまた有権者が送るわけです。そうすると初めてここで投票用紙と封筒が来る。投票用紙に書いてこの封筒に入れてまた送るんです。七回行くんです、こういうふうに。こんなばかなことやって投票できますか。おまえさんたちはわざわざ来られないくらいなんだからやらなくていいというようなものですよ、これでは。大変これはばかなことだと思うんですよ。われわれが行けば、向こうからはがきが来て、いわゆる投票所入場券というのをもらって済むんです、そこへ行って。それはもう確認という、向こうからあなたはこういう権利があるんですよと来ただけで私はおしまいだと思うんです。そこでこの投票用紙と封筒だけ来ればいいんですよ。それが何回も来る。しかも、もらった権利は四年間で、どこからまたその四年間という期限を決めたのか、これもわからないんですがね、これを聞いていると時間ありませんな。ですから、これは何とか考えてください。もう一回これは改めてほかの時間に質問させていただきます。
 さて総理、御苦労さんです。いままで私のお話をお聞きになって、本当にいわゆる有限のこの時代に入ってきて、総理がおっしゃいました、施政方針演説の中で。もう福祉というのはある程度限られてきます。残ったのは人間と人間の問題しか残ってこないわけです。総理の本当に福祉というものに対するお考えを聞かせていただいて質問を終わらせていただきたいと思います。
#274
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、本当に生活力がない、こういうような人々に社会的な援助の手が差し伸べられるということは、もうぜひこれは必要だ。さあ、いかなるこの世の中に変動がありましても、必要な援助の手はこれは差し伸べられなけりゃならぬ、こういうふうに思います。いま、低成長時代というようなお話がありましたが、世の中がそう変わって、そうなっていけばいくほどそういう配慮が必要であると、こういうふうに考えまして、いま身体障害者のお話でございましたけれども、身体障害者に対しましてはいままでもずいぶん努力を政府としてしてきております。しかし、これから先も身体障害者自身のこと、またその親たちのこと、いろいろ考えてみれば、本当にそういう施策の強化、推進というか、これは努めなきゃならぬと、こういうふうに考えております。
#275
○下村泰君 ありがとうございました。(拍手)
#276
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして締めくくり総括質疑に対する通告者の発言は全部終了いたしました。
 これにて総予算三案の質疑は終局したものと認めます。
    ―――――――――――――
#277
○委員長(小川半次君) それでは、これより総予算三案の討論に入ります。
 討論の通告がございますので、順次これを許します。なお、発言者は賛否を明らかにしてお述べ願います。竹田四郎君。(拍手)
#278
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております昭和五十二年度予算三案について反対の討論を行います。
 日本をめぐる今日の内外情勢はきわめて重大であり、かつ変転の激しさを見せております。この中で日本の行動は世界的注目を集め、内外に対する迅速な対応措置が求められております。これを実施するには国民の信頼と協力が必要です。このために総理も協調と連帯を強調されたのでありましょう。政府与党で要職につかれてきた福田総理に対する国民の期待もあったと思いますが、また、経済の名医と自他ともに許していたのに、経済の実態は政府の言明と異なりきわめて深刻であり、勤労国民は倒産、失業、生活水準の低下にあえいでおります。見通しはお先真っ暗で、こんな状態だと福田内閣も強権政治になるのではないかと不安におののいております。政治に対する信頼はますます低下し、政治とは国民と無縁なものであり、自分の力だけで生きていくほかはないとの失望とあきらめのうめき声さえ聞かれます。
 本年度予算が野党の力で修正されたことは、今後の議会史に残る快挙であったと思いますが、政府、官僚は頑強に抵抗しました。この一事をもってしても、福田内閣が時勢に対応する発想の転換が行われていないことを示しております。国民の納得する公平にして公正な政治の確立こそ政府の基本姿勢でなければならないと強く警告をしておきます。
 以下、反対理由を申し述べます。
 第一は、本年度予算が国民生活防衛の予算でないどころか、インフレを増幅する安易な赤字国債の定着化にあるからであります。三年以上の不況続きの中でありますので、国民生活を防衛すべきが主要目標でありますのに、健保の改悪、国鉄運賃の一方的な値上げ、あるいは政府主導型の消費者物価の値上げ、福祉とその予算額の切り詰めなど、低福祉高負担の押しつけで弱い老いじめをやっております。反対に大企業優遇の税財政措置、不公正税制の温存と大衆課税を指向しておることであります。これでは国民の気持ちが暗くじめじめになるのも当然であります。
 第二の理由は、この予算の組み方では景気が全面的に回復し得ないだろうということであります。私どもは国民消費支出の拡大、生活関連公共事業への大型支出等を主張してきました。しかるに政府は、特定大型公共事業の拡大政策と輸出にもっぱら依存しているようでありますが、これによって真の景気回復を図ることができないことは五十一年度で実証済みであり、一時的な回復はあるとしても、企業間や国民各層間の格差の拡大が生まれるだけであり、集中豪雨的日本型輸出は世界の非難の的となり、世界の孤児的な存在を招くだけでありましょう。
 第三は、地方財政の悪化の対策がないことであります。五十年度以来連続二兆円以上の赤字を出している地方財政は、今年度も二兆七百億に及ぶ不足が予想されております。地方交付税法に基づき当然その税率を引き上げるべきであるのに、これをやらずに地方に借金を押しつけています。地方自治体は国とあわせて車の両輪だと政府は口でば言いながら、地方財政を放置して、何で福祉の向上やよい政治ができましょうか。
 その他、教育費の負担の軽減や教育施設の整備、または農林問題、中小企業の振興に対して真剣さがないことなど数限りなくありますが、最後に、二百海里問題が世界的に大問題になってきていたのに、それへの対応がほとんどなく、今日、日ソ漁業交渉中断という事態に追い込められて、初めて緊急対策を講ずるというどろなわ対策になっていることもきわめて遺憾であり、政府の怠慢が責められるべきであります。
 以上で反対討論を終わります。(拍手)
#279
○委員長(小川半次君) 坂野重信君。(拍手)
#280
○坂野重信君 私は、自由民主党を代表し、ただいま議題となりました昭和五十二年度一般会計予算外二件に対し、賛成の討論を行うものであります。
 最近のわが国の経済を見ますと、景気は基調として回復過程を歩んでおりますが、昨年夏以降景気回復のテンポは中だるみにとどまり、業種や地域によって回復の進度に格差が見られるほか、失業も企業倒産も依然として高水準を続けております。この景気の中だるみ状態から一日も早く脱出して、雇用不安を解消し、インフレと失業のない安定成長路線にわが国経済を定着させることが当面の緊急課題であります。
 五十二年度予算は、このような諸情勢を背景に、当面の緊急課題とする景気の中だるみからの早期脱出と雇用の安定のため、一般会計、財政投融資計画を通じて、限られた財源を、生活関連公共事業を中心に傾斜的に配分し、景気刺激の課題と巨額の国債に依存せざるを得ない財政困難の現実との両立を図られたのであります。政府の苦心と並み並みならぬ決意のほどがうかがわれるところであります。
 次に、主な内容について申し述べてみたいと存じます。
 第一は、五十二年度予算の規模と性格についてであります。
 一般会計においては、二年連続して公債依存三〇%という積極的な公債政策をとり、その規模は前年度予算の一七・四%増として、前年度の伸び率一四%より大幅に上回ったものとし、公共事業の拡充促進を中心とする景気浮揚型予算として編成されており、実質的に政治の優先課題の要請に正しくこたえるものと確信するものであります。
 第二は、公共事業についてであります。
 中だるみからの脱出の緊急課題にこたえて、公共事業費は対前年度比二一・四%の大幅な伸び率とし、その重点を住宅建設、下水道、公園等、生活環境の改善に特別の配意がなされ、社会資本の充実を図っております。さきに成立を見た五十一年度補正予算の公共事業費と相まって、大きな需要創出効果が期待されるところであります。
 財政面からの景気対策は、公共事業と減税のいずれかは言うをまたないところで政府が公共事業の拡充促進を景気対策の中心として位置づけたことは、適切な選択として評価するものであります。
 第三に、社会保障についてであります。
 社会保障関係費の伸び率は前年度比一八%となっておりますが、一般会計に占める割合はおよそ二〇%と最高の比重を占め、五兆六千九百億円が計上されております。これに同じ所得保障の機能を持つ恩給予算を加えますと、一般会計予算規模の二四%、すなわち、ほぼ四分の一の比率を占めております。このことは、わが国の財政において福祉が非常に重要視されていることを証明するものであります。
 これにより、本年度は、厚生年金を初めとする各種年金や恩給、生活保護費等について、経済事情の変化に対応する改善が行われるほか、また各種の医療保険財政も充実され、給付内容の維持改善の措置が講ぜられております。
 また、優先課題の一つに挙げられている雇用対策については、最近の厳しい雇用情勢に対処するため、景気浮揚を図る一方、雇用安定資金を創設し、雇用安定のための事業の拡充を図るとともに、高年齢者についても所要の制度を創設するなど、制度面からも雇用の安定を図られたことは、まことに適切な措置と思うのであります。
 第四は、地方財政についてであります。
 現在、国の財政以上に深刻な地方財政に対し、政府は当面の財政危機を打開するため、最大限の援助を行うこととし、五十二年度は従来に例を見ない特別配慮がなされております。
 すなわち、二兆七百億円と見込まれる不足財源については、国と地方が折半して補てんすることとし、国は地方交付税を政府資金からの長期借り入れにより、特別に一兆三百五十億円増額いたしております。そのうち五千百七十五億円については、実質的には臨時に交付税率を約三・六%引き上げることと同じ効果を持つものであります。
 そのほか、地方債の消化の円滑化を図るため、政府資金による比率を高めるとともに、義務教育施設等については、原則として全額を政府資金で引き受けることといたしております。これによって五十二年度の地方財政が支障なく運営され、特に景気浮揚の一翼を担う建設事業が早期に執行されるものと確信しております。
 以上のほか、五十二年度予算は減税、教育と科学の振興、農林漁業、中小企業対策等、当面緊要な政策についてもきめ細かく配慮がなされており、適切な予算内容であると認めます。
 景気の中だるみにより雇用情勢が深刻化している現在、景気対策は一刻も許されない段階にあります。
 五十二年度予算の執行に当たっては、財政、金融政策の思い切った弾力化、機動化を強く要望して、賛成討論を終わります。(拍手)
#281
○委員長(小川半次君) 桑名義治君。(拍手)
#282
○桑名義治君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました昭和五十二年度予算三案に対し、反対の討論を行うものであります。
 現下の経済は、長い景気中だるみに低迷し、物価は政府経済見通し八・六%を大幅に上回る九・二%の高騰を示し、物価高と長期不況の慢性化がますます進行しております。三月には、中小企業を中心とする倒産は一千七百件という史上最高を記録したほか、一月の完全失業者数も百万人を上回り、国民は生活苦にあえいでいることは、いまさら言うをまちません。わが党は、すでにこうした深刻な事態の救済と減速経済下における福祉型財政への転換を目標とした具体的な申し入れを政府に対して行ってまいりました。しかしながら、福田内閣は協調と連帯を口にしながらも、実際は聞き置くだけのセレモニーにとどめ、国民的要求を無視する高負担低福祉予算案を提出してきたのであります。
 以下、反対の理由を申し述べたいと思います。
 反対の第一は、政府は財政支出による景気てこ入れが急務であると言いながら、現実にはそれに対する対応策のおくれであります。昨年度のロッキード事件による景気対策のおくれ、さらには、五十一年度補正予算のおくれは言うに及ばず、五十二年度予算に対する国民的要求であった一兆円減税要求に対しては三千億円にとどめてしまったのであります。
 反対の第二は、財政再建の元年ともなるべきレールが五十二年度予算に見られないことであります。
 自民党政府の高度経済成長政策の結果、国債政策が失敗し、いまやわが国の財政は、一般会計予算額二十八兆円を上回る三十二兆円に及ぶ国債残高を抱えております。そのうち、赤字国債の残高だけでも五十年度からわずか三年間で十兆円にも達しており、五十五年度まで何らの改革もなし得ず、これを放置していくと実に六十兆円もの国債残高に膨張していくおそれさえあります。しかるに政府は、行財政の合理化、減速経済下における国民の税及び税外負担をいかなる形で増加させ、これらの問題を解決していくかの方策を何ら明示しておりません。また、五十二年度予算において改革の道を明らかにせず、五十三年度以降、大増税で乗り切ろうという国民へのしわ寄せだけを明らかにし、具体的な答弁を避け、国民の知りたい将来の具体的負担を論じようとしないのであります。政府は、一体保革伯仲の国会で、国民のコンセンサスをどう求めようとしているのでありましょうか。政府の態度は断じて容認ができないのであります。
 反対の第三は、経済見通しが著しく整合性を欠いているということでございます。
 政府の経済認識は、景気の停滞、深刻化にもかかわらず、きわめて楽観的な景気判断を続けてきました。最近における物価目標の破綻、企業倒産の激増、失業者数の急増、実質所得の減少などが発表されている中で、四月の月例経済報告は、回復のテンポを持ち直すという無神経きわまる宣伝さえしているのであります。一体、中小企業を中心とする経営危機の現状をどう判断しているのでありましょうか。
 五十二年度経済も、過去の設備投資、公共事業主導の経済に夢を託しており、大きな期待を持つことはできません。
 輸出については、対外摩擦を避けるために低く抑え、貿易収支で七億ドルの赤字を見込んでおるのであります。しかし、すでに輸出は七百億ドルを超え、政府改定見通し六百六十七億ドルを大幅に突破し、増勢傾向が持続しております。経済見通しどおり輸出を抑制し、その分国内需要で引き受けることは不可能であります。内憂外患と口先で悲観する前に、国内不況の現実に真剣に対処し、実現可能な経済見通しを策定すべきなのであります。
 反対の第四は、地方財政対策を指摘したいと思うのであります。
 地方財政は、五十、五十一、五十二年度と三年続きの二兆円を超える赤字財政に苦しんでおります。これに対し政府は、五十二年度には地方財政対策にはより配慮したと言明しております。しかし問題は、地方公共団体の財政が軒並み悪化し、赤字団体が、千四百八十四団体と急増している状態の中で、これまでどおりの補助金制度を存置させ、これらに何らの改善の手を加えていない以上、昨年度と同様の轍を踏む可能性は非常に大きいと言わざるを得ないのであります。
 わが党は、地方交付税率の引き上げ、超過負担の解消など、自主財源の充実、地方財源の確保を主張してまいりましたが、五十二年度予算では、現行法を拡大解釈し、改革に目を覆い、末端の行政にきめ細かな配慮を欠いた予算となっており、断じて認めるわけにはいかないのであります。
 このほか、五十二年度予算におけるきめ細かな中小企業対策の不足、二百海里時代に対する対応策、救急医療施策の不十分さ、公共料金主導の物価高の放任など、指摘すべき点が多数にわたっており、五十二年度予算に賛成するわけにはまいりません。
 以上、反対の理由を申し述べ、五十二年度予算三案に反対の討論を終わります。(拍手)
#283
○委員長(小川半次君) 三治重信君。(拍手)
#284
○三治重信君 私は、民社党を代表して、ただいま議題の昭和五十二年度予算三案に対し、次の理由により賛成の討論を行います。
 およそ、わが党は、深刻な長期に及ぶ景気の沈滞を一日も早く回復さす不況対策を早期に実施すべしと政府に要求し続けてまいりました。しかし、昭和五十一年度はロッキード事件処理と与党内の相克により、予算の成立並びに施行がおくれ、今日においてもなお景気は一向に回復の徴候を見ない現状であります。わが党は、不況対策の決め手として一兆円減税問題を提起し、この一兆円減税問題は、わが党のみならず野党共通の要求となったのであります。かくて、当初より明年度予算案の最大の争点となりました。この一兆円減税問題が、さきの衆議院段階で与野党合意により決着を見るに至ったことに対する民社党としての責任の表明でございます。
 申すまでもなく、わが国経済の深刻な停滞と国民生活を救済するためには、必要最小限の対策として大量の公共事業の施行とあわせて大幅の減税が切望されておりました。しかし、当初政府はこの減税要求をかたくなに拒否し続けてまいりましたが、野党の強い共同一致の要求により譲歩を示し、ついに三千億円の減税上積みと、社会保障給付の二カ月繰り上げ、実施の修正をもたらしたのであります。およそ、国の経済政策の目標は、雇用の安定すなわち完全雇用の維持と物価の安定にあると思います。本予算は、大局的に見れば景気の回復に役立ち、雇用の安定と物価の安定に貢献するものと考えます。
 次に、今回の予算修正の持つ意義は、新しい政治状況をつくり出す端緒となったことであります。すなわち、二十年余に及ぶ与党自民党絶対優位の単独政権時代の予算審議の姿を変えたことであります。昨年末の総選挙の結果、与野党均衡することとなり与野党伯仲の中の初めての国会において、これまでの政府優位から立法府優位の、政治を質的に変化させることへの象徴的あらわれであると評価いたします。およそ議会制民主政治を確立しようとする立場に立つならば、時には多少の不満も残しつつも可能な限り国民の要求を現実的に満たすための不断の努力を積み重ねていかなければなりません。
 私が大乗的見地に立って本案に賛成するゆえんのものは、景気浮揚を一日も早く図らなければならないということとあわせて、与野党交渉の結果、与野党の合意による予算の修正に政府が応じて、円満に解決したという一点であります。
 さりとて私は、この予算案にはわが党として多くの個所において賛成しかねるところがあり、是正すべき問題が数多く残されていることを言及しておかなければなりません。したがって、個々の予算関連法案の審議の過程で、わが党の賛否、是非を明らかにしてまいりたいと思います。
 さて、政府が本予算を実施されるに当たり、次の諸点を特に要望いたします。
 本予算が景気回復に役立つよう、早期施行に万全を期し、五十一年度の轍を繰り返すことのないよう、国民の期待に万全を期すべきであります。
 まず第一は、早期予算成立が切望されているときに、減税問題の処理をめぐり、政府はいたずらに自説を固持し、多くの時間のロスによって暫定予算を組まざるを得なかった政治責任を追及せざるを得ません。
 そして第二は、行政機構改革について、予算審議の過程に見る限りでは、この問題に取り組む十分な姿勢として受けとれません。福田総理は、八月までに大綱を立案すると言明されましたが、その実行は内閣の生命をかけて行わない限り、龍頭蛇尾に終わるおそれがあることを指摘せざるを得ません。膨大な赤字公債を抱えた予算は早期に解消しなければなりません。行政改革に取り組むことによって、政府の経費節減、合理化の強い姿勢を示すべきであります。景気沈滞の中で、中小企業初め多くの企業が懸命に合理化に努力し、石油ショック以来の赤字経営に対処しているのです。企業倒産が累積している今日の状態の中で、政府並びに政府関係企業は、合理化対策に努力を傾注し、合理化の実を示すべきであります。
 さらに第三の問題は、今回も多額の公共事業が計画されましたが、これを受ける地方財源対策がびほう策に終わったことであります。これではせっかくの事業計画もなかなか実効が期せられないと危惧いたしております。
 なお、このほかにも不公正税制の改革、教育の充実等々の諸施策について、今後とも真剣に見直すべきことを強く要望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
#285
○委員長(小川半次君) 内藤功君。(拍手)
#286
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十二年度予算三案に反対の討論を行うものであります。
 以下反対理由を申し述べます。
 第一に、本予算案は慢性的不況と物価高、わが国民生活と経済、財政の危機を克服し得るものでなく、かえって物価を押し上げ、中小企業倒産と失業を一層激しくする危険をはらむものだからであります。このことは、国鉄運賃を初め政府主導型の公共料金、諸物価の引き上げを前提としていること、高速自動車道、本四架橋三ルートの同時着工などの大型プロジェクトなど、景気浮揚対策のみが強調されていることに明らかであります。
 第二に、本予算案は健保の改悪により中小企業労働者の保険料負担を引き上げようとしていることに明らかなように、低福祉と高負担を国民に押しつけようとしているばかりか、地方自治体の三年連続二兆円を超える赤字に対して、依然として借金財政を押しつけようとしているからであります。
 わが党は、労働者、消費者の生活を守ることこそ最良の不況克服策であるとの立場から、具体的に、本委員会でも、為替差益を物価安定に役立たせること、投資の流れを国民本位に転換すること、失業対策、農業振興策、漁業交渉の中断によって大きな打撃を受けている漁民への補償、中小企業対策、婦人の健康を守り賃金差別をなくする問題などを取り上げ、政府に具体的な改善を迫りましたが、これらに対する政府の対策はきわめて不十分であったと言わざる得ません。
 第三に、集中審議でも取り上げられました教育の荒廃に対する政府の姿勢は、国民の、父母の切実な願望とはほど遠いものであります。わが党が審議の中でも明らかにしましたように、詰め込み教育を教育現場に強いている学習指導要領、早期に児童生徒を選別するための五段階相対評価は、一クラス四十五人という世界に類を見ない詰め込み教室と相まって、学校教育をとめどもなく荒廃させております。
 第四に、八兆四千八百億円に上る国債発行は、インフレの大きな要因となっており、昭和五十五年度には五十五兆円に上ると予想されております。まさに財政破綻の道であります。ところが政府は、年間三兆円にも及ぶ大企業、大資産家に対する特権的減免税制度を温存しながら、この財政危機を付加価値税などの大衆課税の強化で、勤労国民にしわ寄せをしようとしております。
 第五に、政府は日米会談により、対潜能力の増強を初めとする米日韓軍事協力の危険な道に一層深く組み込まれております。また、核燃料再処理問題の交渉の行き詰まりは、対米従属的なエネルギー政策の危険性をも明らかにいたしました。また、今日の日ソ交渉の行き詰まりが、ソ連政府の理不尽な態度とともに、千島列島の領有権問題について誤った態度をとってきた自民党政府の方針にその原因があることが明らかになりつつあります。
 以上が本予算案に反対する主なる理由であります。
 わが国は、国内外ともに重大な状況に置かれるに至っております。しかるに現内閣では、今日のこうした国民的危機を解決することができないことを本予算委員会の討論は示したのであります。
 私は、最後に、今日の危機を克服するためには、税、財政、金融の仕組みの抜本的な転換と政治の民主的転換こそが急務であるということを強く指摘して、討論を終わります。(拍手)
#287
○委員長(小川半次君) 以上をもちまして討論通告者の発言は全部終了いたしました。よって、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 昭和五十二年度一般会計予算、昭和五十二年度特別会計予算、昭和五十二年度政府関係機関予算、以上三案を問題に供します。三案に賛成の方の起立を願います。
  〔賛成者起立〕
#288
○委員長(小川半次君) 起立多数と認めます。よって、三案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。(拍手)
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#289
○委員長(小川半次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト