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1976/05/19 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 運輸委員会 第9号
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1976/05/19 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 運輸委員会 第9号

#1
第080回国会 運輸委員会 第9号
昭和五十二年五月十九日(木曜日)
   午前十一時十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     和田 春生君     中村 利次君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     林  ゆう君     中山 太郎君
     中村 利次君     和田 春生君
 五月十九日
    辞任         補欠選任
     中山 太郎君     福井  勇君
     小林 国司君     木内 四郎君
     羽生 三七君     青木 薪次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上林繁次郎君
    理 事
                岡本  悟君
                中村 太郎君
                瀬谷 英行君
                三木 忠雄君
    委 員
                小林 国司君
                佐藤 信二君
                福井  勇君
                青木 薪次君
                安武 洋子君
                和田 春生君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  田村  元君
   政府委員
       資源エネルギー
       庁次長      大永 勇作君
       運輸省海運局長  後藤 茂也君
       運輸省港湾局長  大久保喜市君
       海上保安庁長官  薗村 泰彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        村上  登君
   説明員
       水産庁漁政部企
       画課長      大坪 敏男君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部日
       本鉄道建設公
       団・本州四国連
       絡橋公団監理官  佐々木建成君
       海上保安庁警備
       救難監      山本 了三君
       海上保安庁警備
       救難部長     久世 勝巳君
       海上保安庁警備
       救難部航行安全
       企画課長     馬場 一精君
       海上保安庁燈台
       部長       高橋 顕詞君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○海上衝突予防法案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(上林繁次郎君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 海上衝突予防法案を議題とし、質疑を行います。
 御質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○青木薪次君 運輸大臣にお伺いいたしたいと思うのでありますが、近ごろ海上交通の態様の変化というものは、私は著しいと思うのであります。特に超大型のタンカー、五十万トン以上のタンカーができているというようなことや、コンテナ船やプッシャーバージというのですか、あのような貨物船とかコンテナ船とか、いろいろ出現いたしまして、また、この航海の計器も、きわめてレーダー等の航海計器が進んでまいりまして、操船方法の変化も大きいと思うのであります。こういうことに対応いたしまして、技術の進歩に即応するわれわれ人間の体制というものがきわめて重要な段階に入ったと思うのでありますが、海の交通安全の問題はその最も大きな態様の一つだと思うのであります。
 海上衝突の予防に対しては、すべての努力を集中しなきゃならぬと思うのでありますが、今回の改正法の提出が大幅におくれて、すでに条約の発効を間近に控えて国会審議をしなければならぬというようなことは、私ははやっぱりどろなわ的じゃないかというように思うんでありまするけれども、おくれた理由について御説明願いたいと思います。
#4
○国務大臣(田村元君) 本条約を締結いたしますためには、一九六〇年の国際海上衝突予防規則に準拠しまして制定されております海上衝突予防法の改正など、所要の措置を講ずる必要があるところでございます。海上保安庁は、この法律が海上交通に関する基本ルールであるところから、各国の加入状況を勘案しながら関係省庁と十分に調整いたしますとともに、海運関係者や漁業関係者等の関係者の理解を得るために十分時間をかけたということが、おくれた理由といえば理由でございます。率直に言って、一方立てれば一方立たずといったような状況がありまして、大変長官以下苦労したという現実の経緯はございましたが、おかげさまでどうやらコンセンサスを得たものでありますから、御提案申し上げたと、こういう経緯でございます。
#5
○青木薪次君 海上安全船員教育審議会の海上安全部会における、いま大臣のおっしゃいましたこちら立てばあちら立たず、両方立てるには場所がないというような状態でおくれてきたという話があったわけでありますが、漁業者と船主と、それから船員と、それぞれの立場があると思うのでありますけれども、いま大臣のおっしゃったことは、簡単に言って三者どんな意見だったんでしょうか。
#6
○政府委員(薗村泰彦君) ただいまの大臣の御説明を補足をさせていただき、お話をさしていただきます。
 法律の前に、一九六〇年条約が一九七二年条約に変わったんですが、実は利害関係がふくそうしているという前提は、これは狭い海をお互いに一般商船、それから漁船が交通の場として利用しておりますし、また一方、漁業関係はその生業として漁業を営んでおるものでありますから、お互いに海を利用し合うという面では利害関係がふくそうしているということが基本的にございますけれども、今度の一九六〇年から一九七二年の条約に変わりますことによって、皆さんの間の利害関係が変わったということではこれは全くないのでございます。
 一例を挙げますと、一九七二年の条約の中に、狭い水道で漁船と一般船舶がどういうふうに航法をするか、航海の方法をとるかということがございますが、これは現在、一九六〇年の国際条約で変わっておりますことと全く同様のものが一九七二年条約の中にもなったわけでありますが、その条文の立て方などがどうも変わっておる、構成が変わっておるというような点がありまして、端的に申し上げますと、条約の中にあります十八条というところに、一般の船舶は漁船の進路を避けなければならぬということを書いてありますし、それから一方、法律の九条では、狭い水道では漁船は一般船の通航を妨げてはならないというようなことが分けて書いてございますが、その一方を見まして、たとえば漁業の方では、狭い水道では一般船舶の通航を漁船は妨げてはならないんだというようなことも、その部分だけ読みますと、どうも瀬戸内海で今度の条約ではその漁業の生業ができないんじゃないかというような誤解を生みまして、今度の法律――一九七二年の条約を法律化することに反対だというような声がありました。
 で、そういう誤解を解きまして、九条では狭水道でそういうことが付加された条件として書いてありますけれども、また片一方では、十八条で一般の船舶は漁船の進路を妨げてはならないという基本原則も書いてある。両方合わせて読みますと、現在の国内法の二十六条に書いてあります一般船舶と漁船との航法関係というものと何にも関係ないということをおわかりいただくというようなことを十分時間をかけて――大事な基本ルールですから、またお互いに利用をし合う海の上ですから、時間をかけて御説明をして、誤解を解いて今度の国内法ということに準備をしてまいったということでございます。
 そこで、一年八カ月ほど多分かかったと記憶しておりますが、この国内法の改正の検討委員会というものをつくりまして、漁業の側の方、それから商船の側の方、それから船員の立場を代表する方、皆さんに寄ってもらって一年八カ月ほどかけていろいろそういうことを御討議を願って、どういう国内法をつくっていくことがいいかという御審議を仰いで、その結論としてことしの三月に、仕上げの意味で海上安全船員教育審議会というものを開いて御審議を最後に仰いだというつもりでございます。
 そういう次第で、時間をかけてやってまいったという経緯がございますので、先生御指摘のように、七月十五日を控えて時間がない、余裕がないという御審議をわずらわすようになったということは、そういう事情があったということを御理解いただきたいと思うのでございます。
#7
○青木薪次君 長官の努力については私も多といたします。ただ現行法二十六条、それから条約の一般原則の十八条、それから狭い水道の中における第九条、これらの関係の中で、現行法二十六条の「漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶は、漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない」ということがあるわけです。ところが、「但し、この規定は、漁ろうに従事している船舶が航路筋において他の船舶の航行を妨げることができることとするものではない」。ややこしい表現でありますけれども、これらの関係と、「狭い水道」の中における「漁ろうに従事している船舶は、狭い水道又は航路筋の内側を航行している他の船舶の通航を妨げてはならない」という中における、いまのこの改正案に持っていくための努力だというように理解いたしているわけでありますが、これが現行法の前文を抜いちゃって、ただし書きというものだけを新しく改正案の中に盛ったというこの推移について、実は非常にはかりかねている点もあるわけです。この点については、どうお考えになっておられますか。
#8
○説明員(山本了三君) 先生御承知のとおり、海上衝突予防の国際規則は、従来の模範的な規定といいますか、これと若干構成を変えております。現行法は法令の構成といたしまして、総則の次に燈火、霧中航行、それから航法、その次に針路信号という構成をとっております。で、新しい条約に基づきます国際規則は、総則の次に航法、それから燈火、音響信号という順番に構成を変えております。なおまた、この航法の中身でございますが、現行法のもとになっております規定は、航法につきまして一定のルールといいますか、そういったものに従わずに、まあいわば雑然と書いてあるということでございますけれども、新しい国際規則は一節、二節、三節に分けまして、「あらゆる視界の状態における船舶の航法」というのと、「互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法」、それから「視界が制限されている状態における船舶の航法」と、この三つの枠をつくりまして航法を規定いたしております。
 こういった関係、これはもちろん衝突予防規則を遵法いたします船舶乗組員の便宜のためわかりやすく、錯覚を生まないためにこういった構成にいたしたわけでございますけれども、そういった構成をとりましたために、狭水道におきます航法は、これは「あらゆる視界の状態における船舶の航法」というところへ含まれ、一般のいわゆる船舶の航法関係というのは、その次の「互いに他の船舶の視野の内にある船舶の航法」というところに含めました。こういった関係で、現行二十六条の前文は十八条、いわゆる第二節の方に、ただし書きは第一節の「あらゆる視界の状態における船舶の航法」という方へ含めました。こういったことで、先生御指摘のように若干現行法と違うというような観念も生まれてきておるわけであります。
#9
○青木薪次君 何かちょっとわからないんですが、要するに私の申し上げたいのは、遠洋漁業者のような大型の鉄船の、インド洋や果ては大西洋まで行っている船があるわけですよ。そういう人を代表する漁業関係者の意見だけではだめだと、やっぱり狭い水道で、しかも好漁場で操業している漁船の皆さんが、現行法と改正法とでは、われわれの立場というのはどうなるんだろうかと、こういう心配が実はあるわけですよ。そういう点について、私の聞いたところによりますと、必ずしも現行法と同じであるということは言えないという不安があるということを言っているものですから、この点について、これをどういうようにお考えになっているかということなんです。
#10
○政府委員(薗村泰彦君) 先ほど漁業関係の方が集まっていただいたということを申し上げましたが、実は大部分がやはり先生いまお話ございました沿岸関係――私、先ほど瀬戸内海と申し上げましたけれども、それに類するような日本の沿岸周辺で漁業を営んでいる方が、先生お話がございましたように、一九七二年の条約は、一九六〇年の条約と、特に大事な狭水道における一般船舶と漁船の通航関係において、航法関係が変わったのじゃないかという御不安が実はあって、私、先ほどそれは誤解に基づくものだから十分御理解を得るように努力をした、こういうことを申し上げたのですが、私からも申し上げますけれども、一九六〇年の条約と一九七二年の条約との間に、狭い水道を通るときの一般船舶と漁船との間の航法関係というのは何にも変わっておりません。これは私どもは、条約の審議の過程であるとか、あるいはまた、それに対処する外交上の対処方針、そして、会議に出席する者どもが持っていきましたような方針に基づいてそれは確認しておるわけでございます。
 それから一方、したがって、一九六〇年の条約を国内法化した現行法の海上衝突予防法と、私どもがきょう御審議を仰いでいるところの新しい改正法は、これは一九七二年条約に基づいて用意をしておるものですが、その現行法と、いま御審議を仰いでいる改正法案との間に、狭い水道における一般商船と漁船との関係の航法関係というものは、現状とは何も変わりはないということを明確に、いろんな検討委員会だとか、審議会で申し上げて、そういう面の誤解を解いていただいたということであります。
 ただ、いま警備救難監が申し上げましたように、一九七二年の条約がどうも九条と十八条に分かれて書いてありまして、先生お話しのように、十八条の方では、一般船は漁船の進路を妨げてはならないよという基本原則を書いてあって、九条の方に、狭水道においては、漁船は一般船の通航を妨げてはならない。その一般の船舶の通航を妨げてはならないというのは、狭い水道ですから一ぱい、べた一面に漁船が張りついて、もう一般船舶が基本原則によって、仮に漁船の進路を避けようと思っても避けられないように航路を閉塞してしまう。一面にふさがってしまうというようなことをしてはならないよという付加的な条件を書いてございます。それが十八条と九条に分かれておるものですから、そういう誤解を生んだということに、いろんな会議の席上で御意見をいただいたものですから、私どもは現行の二十六条と変わってないという趣旨を明らかにする意味においても、ほとんどもうそれと同じような言葉を使って、新しい法案の中に、いわば条約で二つに分かれている部分を一緒にして表現した方が誤解を生まない、皆さんの御理解を得るゆえんであるということで、そういう整理をさせていただいたという経緯でございます。
#11
○青木薪次君 わかりました。そういたしますと、改正案の第三条第四項で、「漁ろうに従事している船舶」の定義が、現行法と並びに一九七二年の国際規則と若干異なっているんです。「漁ろうに従事している船舶」の範囲は一体拡大されたのかどうなのか。それから縮小されたのかどうなのか。これは明確にしてもらいたいと思うんでありますが、さらに漁労者側からその範囲をできるだけ拡大してもらいたいという要望が出されているわけでありますけれども、どのような見解を持っておられますか。
#12
○説明員(山本了三君) まず、「漁ろうに従事している船舶」の範囲が、現行法と国際規則では変わったかどうかという点でございますが、国際規則におきましては、「「漁ろうに従事している船舶」とは、操縦性能を制限する網、なわ、トロールその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶」というふうに規定いたしております。これは、「操縦性能を制限する」ということが「漁ろうに従事している船舶」にするかしないかということの基準になります。操縦性能を制限する漁具を用いているかどうか、これが新しい国際規則でいう「漁ろうに従事している船舶」の範囲であります。現行法は、こういった「操縦性能を制限する」という言葉を用いてはおりません。これは網、なわ、トロール等の漁具を用いて漁労をいたしておる船舶と、こういうふうに規定いたしております。したがいまして、現行法よりも国際規則はその範囲を広げておるということがまず言えます。
 その次に、国際規則の表現と新しい国内法の表現が若干違っておるがこれはどうかという御質問であったかと思いますけれども、「漁ろうに従事している船舶」に対します国内法の定義では、「船舶の操縦性能を制限する網、なわ」ここまでは同じでありますが、その次の「トロール」という言葉を抜いております。で、「その他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶」、こういうことになっております。これは、国際規則と新しい国内法は範囲が違うのかと申し上げますと、そうではなくて同じであるということであります。と申し上げますのは、トロールというのは「網、なわその他の漁具」で成り立っておる、このように私ども考えておりますので、国際規則はここでダブって規定いたしておるというふうに考え、これを削除いたしております。したがいまして、漁労に従事している範囲は、国際規則と国内法では相違はないと、このように考えております。
#13
○青木薪次君 そういたしますと、船主並びに船員側の立場から見れば、狭い水道における一般の船舶と、「漁ろうに従事している船舶」との航法の規定の表現が、国際規則と同一でない点を指摘していると思うんですね。そういう点から、その解釈の明確化を求めてきていると思うんです。で、現行法や国際規則や改正案の規定の内容は全く同じであるかどうかについて、これはひとつ説明を求める必要がある。
 それから、関係者への周知徹底について船主と船員側は求めていると思うんでありますが、これは今後どういう措置をとっていかれるかお伺いしたい。
#14
○政府委員(薗村泰彦君) 狭い水道における漁船と一般船舶との間の航法関係について七二年の国際規則と国内法との間に条文の立て方、表現、あるいは用語において違いが一部ございますけれども、これは先ほど御説明をいたしましたとおり、あくまでも解釈上疑義が生じないように、七二年の国際規則の趣旨を国内法の表現上明確にするとともに、改正法ではございますけれども、現行法との連続性をはっきりさせようと、変わりはないんだというところをはっきりさせようというための手当てを行っているものでございまして、その趣旨の点において七二年の国際規則と国内法との間では何にも変わりがないということを申し上げたいと思います。
 また、航法関係の基本的ルールでございますので、私どもはその周知徹底、その航法関係については、従前からこの七二年の国際規則を皆さんにまずわかっておいていただかなければいけないという意味で、ここにもございますけれども、パンフレットを用意をいたしまして、講習会その他で頒布をしたり、いろんな機会をつかまえて周知徹底方を図ってきたわけでございますが、特に大事な点につきましては、その解説というものをまたつくりまして、今度は国際規則だけではなくて、国内法ができ上がりました機会にぜひそういった誤解のないように理解を得るための航法関係、周知宣伝関係をあらゆる方法で、いろんな方法でとっていきたいと思っているところでございます。
#15
○青木薪次君 衆議院の質疑で、「漁ろうに従事している船舶」の具体的な内容は、今後漁業関係者との間で詰めていきたい旨答弁されているんですね。それから、少なくともこの法律が施行される七月十五日ですか、いま長官のおっしゃったように、具体的内容をはっきりさせなきゃならぬと、その用意についてはもうすでにできているんですか。
#16
○説明員(山本了三君) 私ども、先生御指摘の点につきましては、海上安全船員教育審議会の席上での漁業者、あるいは関係者の要望事項でもございましたので、早速水産庁と協議をいたしまして、「漁ろうに従事している船舶」の範囲について七月十五日までには明確にするということで、現在鋭意作業を進めさせてもらっているところであります。
#17
○青木薪次君 海上交通の基本的ルールをこの法律は決めていると思うんです。したがって、この法律のうち、たとえば運航関係の規定違反等に対して、罰則規定等の関係については、違反行為に対する担保すべきものは私はないと思うんです。それらの点についてどうなっているかまず説明を願いたいということと、それから燈火、形象物や信号等の設備、その技術的基準や表示すべき位置等を運輸省令で定めるということになっておりますね。そういう点について、具体的には船舶安全法等の省令に盛り込まれて、船舶安全法等の体系で担保をされるということになると思うんですけれども、どういうふうに理解したらいいですか。
#18
○説明員(山本了三君) 先生御指摘のとおり、この海上衝突予防規則には罰則がございません。しかし、三十九条に「(注意等を怠ることについての責任)」という条文があります。これは、この規則等に違反し、あるいは船員の常務、これにも怠るとか、そういったことによって海難が発生したような場合には、「船舶、船舶所有者、船長又は海員の責任を免除するものではない。」というように規定いたしております。したがいまして、そういった事故が発生いたしました場合には、その事故に関する過失責任等を問われます。刑法あるいは民法によって、刑法ではもちろん刑事罰、民法では民事責任を負うということになります。本法では直接罰則はないけれども、他の法律によって効果が担保されておる、そういうことであります。
 それから第二の点といたしまして、燈火、形象物等の設備基準でありますけれども、先生御指摘のとおり、船舶安全法の中においてこれは整備されていく、そのようになっております。
#19
○青木薪次君 改正案で新たに規定されることになりました分離通航方式ですね、これに対する規定第十条によって、政府間の海事協議機関、これはIMCOですか、が採択した分離通航方式について適用することになっているんですね。で、現在までに政府間海事協議機関で採択されている分離通航方式は一体何カ所あるのか、それから具体的にはどのような方式をとっているのか、説明してもらいたいと思います。
#20
○説明員(馬場一精君) 現在、世界でIMCOの勧告ということで決定されておりますのは六十四カ所ございます。最も典型的なのは、ドーバー海峡等に設定されているものかと考えます。
#21
○青木薪次君 そういたしますと、六十四カ所ある。で、マラッカ海峡も入っておりますね。
#22
○説明員(馬場一精君) まだ入っておりません。
#23
○青木薪次君 マラッカ海峡もいずれは入ると思うんでありますけれども、私はやっぱり一番問題になるのは、マラッカ海峡について将来どうなるのか。さきに発表されました沿岸三国の外相宣言との関連もあわせて、想定される状態について説明してもらいたいと思います。
#24
○政府委員(後藤茂也君) お答えいたします。
 今年の二月にマレーシア、インドネシア、シンガポール三国の外相がマニラで、御指摘のような共同宣言をいたしました。その内容は、十数項目について、マラッカ海峡の安全確保のための基本的な三国の考え方というものを表明したものでございまして、で、その中にはいろいろと新聞紙上言われておりますようなUKC――アンダー.キール・クリアランスを三・五メーターにするとか、あるいは特定の海域において速度制限をするとか、また海の深い海域という使い方をしておりますけれども、前にお話に出ました航行分離制度をここで行うとか、そういった考え方が含まれております。
 この三国の外相が声明をいたしました考え方が、今後どのような形でこのマラッカ海峡に適用されることになるのか、そこにどういう手続等が経られ、またどういう日程が考えられておるか、また、いまわかっておりません、今後、たとえば通航分離方式の具体的な海の上の線引きがどのようになるのかといったようなことにつきましては、この外相の共同宣言の前も後も、私どもといたしましては政府レベル、あるいは民間レベルでこの三国といろいろと接触をしておりますけれども、ただいまのところはいずれの点についてもはっきりしたことはわかっておりません。
 したがいまして、どうなるかということについてははっきりいたしませんけれども、海の上の線引きのやり方いかんによりましては、あのマラッカ海峡の一番引き潮のときの、大潮のときの一番浅いところの水深は二十一・二メーターであるというふうに言われておりますし、そういったようなところについても三・五メーターの余裕をとってタンカーが走るというようなことを考えますと、現在この航路を通航しております大型タンカーの相当のものはそういう数字には、現状のままではその条件は全うできないということになります。
 ただ、線引きが具体的にどのようになされるかによりましてはそのような問題の個所が避けられるかもしれませんし、それから今後海図をさらに正確につくる、あるいは潮の満ち干についても現在知り得る状態というものは比較的完全でないというふうに承知しておりますけれども、そういった潮の満ち干についての詳細なる調査が完結いたしまして、詳細なそういったデータが得られるとか、航行援助施設がこの海峡にたくさんできるとか、そういうこととの関連において、現実的にこの外相会議の共同宣言で言われておりますことが、そういった配慮をしながら適用されるのであるならば、この影響は非常に小さくなるというふうに見られております。
#25
○青木薪次君 UKCの三・五メーターというのは、日本は大体この沿岸三国の会議へ出られる立場ではないし、それからマニラ会議にももちろん出席もしなかったと思うんでありますが、日本は二メーターですね。それからシンガポールは三メーターですね。それからマレーシアとインドネシアは四メーターというように聞いておりますけれども、その点の対応についてちょっと説明してもらいたいと思うんです。
#26
○政府委員(後藤茂也君) 三国が集まって三・五メーターということについて、そういう数字を三国で考えておるということを明らかにされた。そのような数字が三国によって明らかにされるまでのいきさつといたしましては、それぞれの国がそのマラッカ海峡の安全な余裕水深というものはいかにあるべきかについてはいろんな数字がうわさされておったというのも事実でございます。ただ、それぞれの沿岸国の立場から、目の前に最近急激に大型タンカーが世界にあらわれ始めている。そして、それらのタンカーが、その沿岸国の立場からするならば、自国の沖合いをただかすめ通るだけであって、その国の便益、利益というものには直接何の関係もないかっこうで沖合いをかすめ通る。そしてあの海峡は、先ほどもお話ございましたように、ところどころ浅いところがあって非常に難所である。潮の満ち干がどうである、潮の流れがどうであるというようないろんなむずかしい問題がある。
 そこのところを非常に巨大化したタンカーが喫水も海の底、所と場合によりましては、感じの上ではすれすれでたくさん通っておるというふうな事態、その上にさらに、昨今そういったことから、ときどき不幸にしてタンカーがその海峡で事故を起こして、そして油をその海峡に流してしまうという事故が起きる。したがいまして、その三・五メーターという数字はその沿岸国の立場から、いまお話し申し上げましたような歴史的な、あるいは経済的な事情と、そして沿岸国の国民の皆さんのいわば感情というものもみんな入った上で出てきた数字でございます。そのようにわれわれは理解しております。
 もちろんこういった三国の考え方というものは、先ほども申し上げましたように、どういう手続を経て現実のものにするかについての三国の考え方というものは必ずしも明確ではございませんけれども、従来の例からいえば、IMCOといったような権限ある国際機関の討議を経て、そこで採択というような手続を経る。その過程において、いろいろな専門的な立場からその考え方というものに対しては、三国以外の人たちが意見を述べる機会もございましょうし、また実際上の問題としては、今日ただいまわが日本国として、あるいは日本の民間レベルのいろいろな人たちとして、そういった考え方というものをその三国に対して述べることはこれは自由だと思うんであります。それがまた現に行われております。
#27
○青木薪次君 マラッカ海峡の航行規制の始まったのは昭和五十年の一月の「祥和丸」の座礁事故に端を発したと思うんであります。今日までいま海運局長のおっしゃるようにインドネシアの立場、シンガポールの立場、あるいはまたマレーシアの立場というものについては、それぞれこの問題に対する考え方と対応の仕方が違っている点は私も知っております。しかし、今日率直に言って、これらの国々の対応する姿勢についてちょっと説明してもらいたいと思うんです。
#28
○政府委員(後藤茂也君) 御質問の第一点でございますけれども、マラッカ海峡の安全という問題は、タンカーが非常に大型化してきて、あそこの交通がふくそうしてくるようになりましてから、漸次いつからとはなく問題になったわけでございまして、すでに十年も前にこの海峡における航行安全の方策について、日本国がIMCOにおいて一つの提案と申しますか、問題の提起をしたような事実もあるわけでございますし、それからこの航路において精密な水路測量をやっております日本の財団法人マラッカ海峡協議会が設立されたのは一九六八年であるというふうに理解しております。非常に長いいきさつのあるものでございます。
 ただ、御指摘の「祥和丸」事故というものがタンカーなり、あるいは日本との関係において、この安全問題というものに非常に三国の気持ちの上で一つの問題を大きくするような結果になったということは否めないかと思います。
 その三国のそれぞれの立場でございますけれども、それは先ほども申し上げましたように、その自国の沿岸というものに大型のタンカーが次々と走っておってときどき事故を起こす。その事故の結果、沿岸国の漁業なり、あるいはそれらのいろいろな生物に悪い影響を与えるのではないだろうかということについて非常な危惧の念を持っておる。マレーシア、あるいはインドネシアのそれぞれの国の考え方というものの背景にはそういったそれぞれの国の国民感情、これがあると思います。
 シンガポールの場合には多少そういった感情のほかに、御承知のように非常に工業化しておりますし、そのシンガポールの領域の中に大規模な製油所がございまして、そのシンガポールの領域に向かって走るタンカーが相当ある。またシンガポールには船舶の修繕施設、最近は造船施設もできておりますけれども……
#29
○青木薪次君 あの、海運局長ね、話し中だけれどもね、時間がないから簡単にやってください。
#30
○政府委員(後藤茂也君) シンガポールはそのようにして非常に工業化しており、そして、目の前をそういった海運がどんどん走るということについて、シンガポールの経済としてそれに裨益されている分野が非常に大きい、そういった立場から、海運に対してはどちらかといえばよく海運の立場で物を考えるという事情がございます。もちろんそのほかに、インドネシアなりマレーシアなりとして、全体としてこの海峡というものを踏んまえたそれぞれの国の英米、西側の国とのいわば基本的な外交政策、こういった海峡問題というものをどういうふうに位置づけていくかということについては、次元の高い判断がそれぞれの国の場合にあるようでございます。
#31
○青木薪次君 大臣ね、どこかの財界の代表が言ったんですけれども、マラッカ海峡は日本にとって生命線であるというような、かつての大東亜共栄圏ののどもとを占めているというようなことを言った人があるんですけれども、こういう考え方をいま持っておられますか。
#32
○国務大臣(田村元君) 私は、戦時中に青少年時代を送りましたから、そういう言葉を聞くと非常に不快な気持ちがいたしますが、生命線というのがどういう意味か、端的に私よくわかりませんけれども、マラッカ海峡がわが国にとって玄関口に当たるということはタンカーの実態等から見てあるいは言えるかもしれません。非常に重要な関係にある海峡ということは言えると思います。
#33
○青木薪次君 保安庁長官ね、この方面における海図の作成とか、水路の測量等について、タンカーを通すことだけ考えて、いままで非常にこの面における根本的な対策というものを怠ってきたという非難があるんですよ。したがって、この点については後で申し上げるロンボクの問題もあるんですけれども、今日なかなか困難でしょうけれども、ひとつさらに積極的にこれらの海図作成、水路の測量といったような問題について一層取り組む決意ですか。
#34
○政府委員(薗村泰彦君) 私どもは水路、灯台の業務を通じて、結論的に申し上げますと国際協力、技術援助の実を上げたい、また、いままでそれは実行してきたと思うところでございます。それから、決して日本のためだけと言うんじゃなくて、関係の三国と日本とは共同をして、すでに四十四年から五十年ぐらいにかけて数回の海図の調査を行ってきましたし、それからさらに今後のことについては、実は一週間ほど前に水路部長が現地から帰ってまいりましたが、続いてやる仕事は二つでありまして、三国にまたがるところの共同の海図を、ひとまず大事な三カ所ぐらいについて五十三年じゅうに調査を終わりたい。それから潮汐、潮流の調査については少しおくれますけれども、五十四年にその調査を終わりたいということで、今後も引き続いて水路、灯台業務を通じて関係三国と共同で、また必要な援助の形でやっていきたいと思っております。
#35
○青木薪次君 マラッカ海峡の船舶通航量は、これはシンガポールが一九六九年に調べたところによれば、一カ月間四千十二隻で、うち日本が五百七十一隻、三万重量トン以上の大型船については百七十一隻のうち四三・八%、七十五隻が日本ので、過半数に当たる隻数が大型タンカーを含めて航行しているという点について認められますか、お伺いしたいと思います。簡単でいいですよ。時間がありませんから。
#36
○政府委員(薗村泰彦君) 私ども海上保安庁ということで申しますと、実は率直に言うて正確な調査は少なくとも領海、あるいは日本周辺の大事な海峡というようなところに限られますので、マラッカの状態については海上保安庁としてはつまびらかにしておりませんが、とにかく日本の船舶がその通航量のうちの大事な数字を占めているだろうということは推察できるところでございます。
#37
○青木薪次君 ロンボク・マカッサル海峡を迂回して通航している日本船は現在四十万トン以上という超大型タンカーに限られておりまして、隻数もごく少ないけれども、しかし、今回のマラッカ沿岸三国による協定が実施されると、おおむね二十万重量トン以上の大型タンカーはロンボク・マカッサル迂回航路を通らねばならない。しかも、大型タンカーの原油積み荷を減らして喫水線を上げるということとかなんとかというような形のものをとらなきゃならぬので、先ほど海通局長の言われたように、潮の満ち干の関係等も考えて航行しなきゃならぬということになると思うんでありますが、いずれにいたしましても沿岸三国の対応――先ほどの説明にもありましたように対応が違うと思うんでありますが、いずれこのロンボク・マカッサル海峡を回ることになると思うんであります。この運航経費等については、片道で三日間の航海日数が必要だと、二十万トン以上で一日一千万円以上の経費がかかるというように言われているわけであります。
 通産省にお伺いしたいと思いますけれども、ロンボクにおけるCTS建設の計画と、そして、インドネシアはこのことについてどう考えているのか。インドネシアは独自で領海内規制をしようといたしている。祥和丸もインドネシア側の領海で座礁したんですね。そういうふうなことから、裏街道のマレーシア、シンガポールは、インドネシアの考え方には反対だというようないろんなことがあるんでありまするけれども、いずれにしても海の銀座と言われるマラッカ・シンガポール海狭について、インドネシアが一人占めしてしまうということについては反対ですし、しかも、日本がまたこのことについて、マラッカ海峡は日本のためにあるというような感情については、これは絶対納得できないというのが、沿岸三国を中心とした東南アジアの考え方でもあると思うんです。
 そこで、インドネシアは日本の油の供給源ののど元を押さえておきたいということなんでありまするけれども、ロンボクを回る、それからロンボクから今度はパラオを回って、パラオから日本へ通ずる航路というものについては、いまの申し上げましたマラッカ・シンガポール海峡という今日のラッシュの状態、航行安全というような状態、三国の対応というような問題から考えて、早晩この方面の航路を回ることと同時に、CTSの建設計画についてどうなっているか、それを説明していただきたいと思います。
#38
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘のように、マラッカ海峡の航路規制が強化されますると、ロンボク海峡を回るようになると思うわけでございますが、その際には、運賃にいたしまして、現在基準運賃でラスタヌラ−喜入をとってみました場合に、マラッカの場合とロンボクの場合と、ロンボク回りの方が一割弱程度高いわけでございますので、そういった一つには影響が出ようかというふうに考えておりまして、マラッカ海峡におきます航行制限については非常に関心を持っておるところでございます。
 それから、先生御質問のCTSの計画でございますが、これは民間の団体でございます海外CTS協会というのがございまして、そこで現在検討しておるわけでございますが、検討地点といたしましてはインドネシア、それから先生いま御指摘ございましたパラオと、それからタイと、この三点ございますが、その中では比較的進んでおりますのがインドネシアのCTS計画でございまして、インドネシアといたしましては、地域振興といったような観点からもかなり前向きでございますが、このCTSを設置いたしますれば、このCTSのところまでは四、五十万トンのタンカーで中東から油を運びまして、そこからこちらはまあ二十万トンクラスのもう少し小さいやつで運ぶということになろうかと思うわけでございますが、その際に採算がどういうふうになるかというふうな問題もございまして、まだ民間ベースでも結論は出てないというふうな状況でございます。
#39
○青木薪次君 日本の石油の備蓄九十日間の関係について、説明によると七十七日間はいま備蓄をしているということのようでありますが、サウジアラビアのアブカイクですか、あそこの油田の爆発によって、メジャーは日本に対する石油供給量を三割減ということを通告してきましたね、けさの新聞ですか。そういたしますと、まあ石油はいま備蓄してるからそう痛痒を感じないということはあったにしても、先ほど大臣は、マラッカ・シンガポール海峡については、重要な海峡であることは認めるけれども生命線とは考えない。ということは、早晩このロンボク、マカッサルを通らにゃならぬ時代になってきたと。いまも資源エネルギー庁の次長のおっしゃるには、四十万トンないし五十万トンでロンボクまでアラブから運んできて、そこから二十万トンタンカーに積みかえるという話を聞いたわけです。
 で、私は二、三年前にパラオ諸島へ行ってきたんです。で、あなた方がいま考えているいわゆるコロール島南西のあの無人島の二つ、特にサンゴ礁のところをドイツがこれを切って、そして外洋とつなげたという場所も見てきました。いま考えてみると、この辺は大変な緑したたるすばらしい景勝地なんです。現地の人たちは、アメリカの原子力潜水艦の基地にする問題でも騒いでいるし、もちろんCTSの関係等についても賛否両論がいま闘わされておりますが、主にこの、あなた方がお考えになっている地域においては、酋長を初めとして反対の意見が多いんです。これは御存じのとおりだと思うんです。そういたしますと、いまお話にありました南タイの東西をパイプラインでつなぐというようなことの計画もあるようでありますけれども、これはまあ次善の策だと思うんです。
 そうすると、いまこれらの関係を総合いたしますと、採算の点と、それから備蓄の点と、それからマラッカ・シンガポール海峡の関係等について、それらを重点としてこのような計画があるのかどうなのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#40
○政府委員(大永勇作君) 備蓄との関係でございますが、現在の考え方といたしましては、先生御指摘の九十日備蓄というのは、国内で九十日の備蓄をするというふうに考えておりますので、インドネシアのロンボク島にCTSができましても、それを国内の九十日備蓄の中に計算するということはむずかしいというふうに考えております。したがいまして、CTSをつくるといたしますと、やはりロンボク回りになりました場合のその経済性をどう考えるかというところが中心になろうかというふうに思っておるわけでございます。
#41
○青木薪次君 日韓大陸だなの関係で、七億キロリッターが埋蔵されてるんじゃないかと。しかし、これは共同開発地域だけでなくて尖閣列島まで含んだ、いわゆる日本と中国との中間線を位するその範疇におけるものが七億キロリットルというように言われているし、あるいはまた共同開発地域だけだと。どっちだか答弁できないですよ、いま。しかし、いずれにしても中国は今日大陸だなを中心として油田開発を図ろうとしているんです。このことはアラブのそれをずっと上回るということで、実績が着々と上がっているわけでありますが、そういたしますと、CTSの関係等について相当考え方を基本的に変えなきゃならぬということになると思うのですけれども、その点の兼ね合いはエネルギー庁どう思っておるのですか。
#42
○政府委員(大永勇作君) これは、中国からは油の長期契約の話等もございます。中国は御承知のようにOPECに入っておりませんので、中国からの油の供給、あるいは先生先ほど御指摘の日韓大陸だなでの供給といったようなものは、近場におきます供給源としまして、いわゆる安定供給源になり得るというふうに考えておりますが、ただ問題はその量でございまして、やはり中国におきましても石油の開発は相当考えておるようでございますが、われわれ漏れ聞くところによりますと、現在中国が考えております石油の開発は、主として内陸における開発を先にやるという考え方のようでございまして、それほど大きな供給源には当分の間はならないのではないかと承知しておるわけでございますが……
#43
○青木薪次君 渤海やっているんですよ、すでに。
#44
○政府委員(大永勇作君) 十分なことはよくわからないわけでございます。
#45
○青木薪次君 時間が来ましたから終わります。
#46
○委員長(上林繁次郎君) 午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十八分開会
#47
○委員長(上林繁次郎君) 運輸委員会を再開いたします。
 海上衝突予防法案を議題とし、質疑を続行いたします。
#48
○瀬谷英行君 海上衝突予防法のほかにも、いままでいろんな法律で海上の交通安全のために法規が決められてきておりますけれども、いかに法律を整備をしてみたところで、船に乗る人たちがそれをよく理解しないと、現実の問題としては空文に等しくなっちゃうんじゃないかという気がするわけです。
 前回の委員会で、前にここで成立をさせた法案の審議の際にいろいろ問題になりましたけれども、たとえば船の乗組員ですね、マルシップであるとか、あるいは便宜置籍船といったようないろいろな船の乗組員が必ずしもその教育が十分でない、こういう人たちがいると、こういう例がありました。衝突事故を起こした船の中にもそういったような船の乗組員が、要するに未熟によって事故を起こしたという例があったということを聞いております。
 そうすると、そういう未熟な船員が大きな船を操作して事故を起こすということになると大変なことになるわけでありますけれども、それらの未熟な船の乗組員というものをやっぱり規制をして、ある程度の資格、技術を持った乗組員でないと航行させないといったようなことが必要になってくるのじゃないかと思うんでありますが、たとえば便宜置籍船のような場合には、日本の行政上の手は届かないのかどうか、もうこれはやむを得ないといってあきらめる以外に手はないのかどうか、その辺のところをまず法律を強化をする前の問題としてお伺いしたいと思うんですが。
#49
○政府委員(薗村泰彦君) 便宜置籍船に限らず外国船の中に、国によりましてはどうも技術が未熟である船員の乗っている国の船があるということは事実でございます。私ども海難事故を取り扱っております中にも、やはり外国船の事故が多いということはもう現実に数字が示すところでございます。そこで、やはり基本的なことは、国際的にそういった低い船員の資格をどう上げていくかということが国際会議の場で論じられなければならぬということで、これは国際的に取り扱われて、国際会議で資格要件を上げる、当直の船員の訓練規定をはっきりすると、こういうようなことで進められているのが現実だと思います。これは国際的にもまた最近進んでおるようでもあります。
 ただ、私どもの仕事として、日本に来る外国人船員に対してどういうことをやっていけばいいかということですが、これは法律的にはやはり無差別に取り扱わなければいけないので、特別な取り扱いは私どもとしてはできないという考え方が基本的にはございます。しかし、いずれにしても、日本の近海にやってきて、どうも日本の海図もよく持っていないとか、日本の地形、海象に非常になれていない、不勉強である、こういうようなことが事故の原因になっては困りますので、私どもとしてはやっぱり入港した外国人船員に対してできるだけ協力をしていくということに考えていきたい。
 そこで私どもとしては、外国人の船員の意識調査ということも含めて、実は調査だけじゃなくて指導をしていくというつもりで、昨年もかなり一定の期間をかけまして、一体日本に来る外国人船員がどんな意識を持って、日本の近海での航海に当たるための基礎的な知識なり、具体的な教育なり訓練なりというものを意識として持っているであろうかということを、訪船をしてその調査をするとともに、足りないところはよく補ってほしいという指導をいたしたつもりでございます。なおまた代理店を通じて、あるいは外国の船主の協会を通じて、そういったパンフレットなどをつくるときには必ずわれわれこのごろ少なくとも英文のものは用意してそういう機関に配布していくということで、外国人船員の教育と事故防止に当たっていきたいということを考えております。
#50
○瀬谷英行君 今度の法律を決めるに当たっても、関係当事者間のいろいろな問題があったということだったのですが、それをさらに突き詰めて言えば、狭い水道で船が航行する場合に漁労に従事する船はどうしろとか、一般の船はどうしろとか、要するにそういう大きな船と漁船とのお互いの注意義務といったようなことをどういうふうに強調するかということでいろいろと問題があったようにお聞きしているわけです。
 日本人だってなかなかこれは細かいから理解をするのに骨が折れると思うんですが、外国の船が日本に入ってきた場合には狭い水路がいっぱいある。狭い水路でもって漁船が操業しているということになると、なかなかわれわれ考えてみてもむずかしいのではないかと、航海をするのにですね、こういう気がするんです。だから、これらの外国船の連中に教育をするつたって、日本の政府機関が強制的に教育するわけにいかないでしょう。どうやってこの外国船の乗組員に周知徹底をさせるということができるのか、それらの実績というものは過去において上げてこられたのかどうか、その点はどうでしょうか。
#51
○政府委員(薗村泰彦君) まず基本的には、今度御審議をいただいておるわれわれの用意しました海上衝突予防法の改正の法案というものは、一九七二年の国際条約を忠実に私どもは国内法化したと思っておりますので、一九七二年の条約で決められている狭水道における一般船舶と漁船との関係の航法というものは、条約に決められているとおりわれわれは国内法化したというつもりでございます。したがって、国際的なその一九七二年のルールと、今度私どもが用意をさせてもらっている法案との間には乖離はない、違いはありませんので、そういったことで外国船と日本船との間で、あるいは外国船が日本近海へ来た場合にそれによって混乱を生ずるということはまず基本的にないということを私どもは考えております。
 ただ、しかし、やはり先ほどもお話が出ましたように、日本の近海において外国人の船員に事故を起こさせないように指導するということは大事なことですから、私どもは、このルールを英語で解説をして平易にわかるようにして、それを外国船関係にできるだけ配布をしたいということを考えております。
#52
○瀬谷英行君 いままでの事故ですね、海上における衝突事故、これをトータル的に検討した場合、日本人の船員の過失による率と、それから外国船の乗組員の過失によるものと分ければ、どちらがどのくらいの割合で多いか、その点は大ざっぱなところでいいんですがわかりますか。
#53
○説明員(山本了三君) 外国船の本邦近海におきます海難は、五十一年度は百七十四隻であります。で、日本近海の海難の総数は二千六百六十五隻ということになっております。なお詳細に先生の御指示に従って検討いたしてみますと、外国船舶の海難は百七十九件でありますけれども、そのうちで千トン以上の船舶について見ますとこれは七十七隻ありまして、日本船舶を含めた千トン以上の要救助海難の六〇%を占めております。また、一万トン以上の船舶について見てみますと、これは一万トン以上の要救助船舶の七一%ということになっております。相当外国船の海難の発生率は高いということであります。
#54
○瀬谷英行君 恐らくこの日本の近海というのは、外国の船にとってもむずかしい海域になっているのではないかという気がいたします。特に東京湾、あるいはまた瀬戸内海等はむずかしいところではないかというように素人目にも思われるのであります。先般も釣島水道でタンカーと貨物船の衝突事故があったということなんでありますが、海上交通安全法の指定航路から除外をされておったと、こういうことであります。これらの航路の除外というのは一体どういうわけで除外になっておったのか、このような事故があったということと関連して、これからこの水道の問題はどういうふうにするつもりなのか、その点もお伺いしたいと思います。
#55
○説明員(山本了三君) 四十七年に海上交通安全法の御審議をいただきまして、海上交通安全法が成立いたしたわけでございますけれども、その際東京湾、伊勢湾、瀬戸内海、すなわちわが国近海におきまして、最も船舶交通のふくそうしておる海域でございますけれども、その海域の中でなおかつ最もふくそうしております狭水道十一につきまして、海上交通安全法の航路というものを設定いたしました。
 この海上交通安全法におきます航路の設定の基準といいますか、どういう考え方で設定したかということでございますけれども、これは一つは、異なる方向への交通の流れが互いに交錯いたしまして船舶交通がふくそうしているため、これらの交通の流れを整理する必要がある、こういった海域。それから二番目といたしましては、可航水域が狭い、狭隘でありますために、これを一方通行とした方がよかろうと考えられる海域。三つ目は地形、潮流等の自然的な条件が悪くて、船舶交通がふくそうしておるものを分離する必要がある、こういった海域。こういった条件に合致する十一の水道を航路として指定したわけであります。
 で、先般釣島水道におきまして、先生御指摘のとおり、大型タンカーと貨物船の衝突事故がありました。釣島水道につきましてはこの十一の航路からはずされております。その理由でございますが、先刻申しました三つの条件から見まして、釣島水道は当時航路として指定する必要がなかったと考えたわけであります。と申し上げますのは、可航水域が比較的に広いということ、なおかつこれは直線的でわりと短いということ、それから潮流等も必ずしも複雑な動きはしていない、こういったこと。それからまた海難等も従来からそれほど他の航路として指定いたしました狭水道に比較して多くないと、そういった関係から当時航路を設定しなかったという経過がございます。
 現在ではどうかということでございますけれども、四十七年当時の船舶交通の状況と現在の船舶交通の状況を比較いたしますと、釣島水道においては当時と比較して必ずしも多くなってない、むしろ若干減っているんじゃないかというような観測実績がございます。こういった関係もありますので、釣島水道に航路を設定するかどうかにつきましては、これからの船舶交通の実態の変化、あるいは関係者の意見等を十分にまた検討いたしまして、航路設定についての必要の有無についての検討をなお続けてまいりたい、そのように現在は考えるところであります。
#56
○瀬谷英行君 浦賀水道も大変に交通のふくそうする地域になっておるようでありますけれども、先般も生々しい事故があったばっかりでありますけれども、あそこで航路をさらに狭くしている第三海堡といったような徳川時代の遺物を一体どうするつもりなのか、これは前から問題になっておるようでありますけれども依然として手がつかないようであります。大臣としては、浦賀水道の航行の障害になるような昔の遺跡をどう処置されるのか。成田空港問題もなかなか深刻でありますけれども、海の方でもこれは問題はあろうかと思うのでありますが、これは除去するかどうか、莫大な金をかける必要もあると思いますが、漁民との問題もまた出てくるかと思われます。しかし、これは政治的な決断でもって処置をしなければならぬことだというふうに考えますので、大臣の見解を承りたいと思います。
#57
○国務大臣(田村元君) 以前私も海堡へ行ったことがありますが、何とかしなきゃならぬということだけは現実の問題であろうと存じます。ただ、いま瀬谷さんちょっとお触れになったように、いろいろと経緯もございますので、そういう経緯も踏まえて慎重に検討をしなければならぬと考えております。なお従来の経緯につきましては、港湾局長から御答弁をさしたいと思います。
#58
○政府委員(大久保喜市君) 第三海堡の撤去につきましては、これまでも数年前から予算措置が講じられておりながら着工できないで今日に至っております。この点、私ども非常に残念に思っている次第でございますが、最近の状況を申し上げますと、何分にもこの東京湾というのが利用の競合している海域でございまして、やはり漁業関係者の同意を得ませんというと工事にかかれないわけでございます。
 それで、現在までのところ、私どもといたしましてはまず港湾法に基づくところの開発保全航路として政令指定をしたい。それで、その政令指定をした上で航路整備事業として撤去をやりたいということで、なぜそれをやらなければならないかということにつきまして神奈川県、それから千葉県の漁業関係者によく事情を説明してまいりまして、すでに神奈川県の関係漁業協同組合の方々は、まあ開発保全航路の指定ということの必要についてはわかったと、ただ、現実にそういう工事に伴って、漁業者がいろいろ漁場価値の低下とか、漁業に対する影響がある面についてやはりしかるべく漁業者の言い分に対しても誠意をもって対応してもらいたい、その同意なしには着工してはならないということで、それは私どもといたしましても当然でございますので、そのお約束はいたしましょうということで、神奈川県の漁業協同組合は一応開発保全航路の指定については同意をしていただいたわけでございます。
 それで、一方東京湾では、千葉県の漁業者も非常に、むしろ量的に言いますと千葉県の漁獲高が高いという面もございますので、千葉県ともいま鋭意折衝しております。それで、千葉県側の場合には、第三海堡の問題と、いま一つ中ノ瀬航路のしゅんせつの問題と二つございますので、これをあわせまして千葉県の漁業関係者と折衝してまいったわけでございますが、千葉県といたしましても、県当局といたしましても、やはりどうも国だけが一生懸命やっていても十分でない点もあるかもしらぬと、それで、国の方から漁業者の方に対してよく説明した上で、必要があれば千葉県といたしましてもその仲立ちしてあげましょうというところまできております。
 それで、私どもといたしましては、ともかく誠意をもって個々の漁業組合の方々にこの必要性を説明しておる状況でございます。大分詰まってきておりますので、何とかして今年度中には了解をとり、できれば着工というところまでいきたいというふうな意気込みでいま努力しておる次第でございます。
#59
○瀬谷英行君 漁業問題といったって、あの東京湾の湾内でしょう。場所が限定されているわけですね。北洋漁業とは規模が違うと思うんですよね。どのくらいの漁民の数か、それから漁獲高、その種類はどんなものなのか、これは解決できないようなものじゃないような気もするんですが、その点はどうでしょう。
#60
○政府委員(大久保喜市君) その点につきましては、私どもの方でもいろいろ資料も集めて把握しているわけでございますが、何分にもどうもこれまで私ども、漁業関係者の方々と折衝して得た感触といたしましては、行政当局に対する不信感というものが非常に根強く存在している。それで、第三海堡の撤去をすることによりまして魚礁価値が低下するとか、あるいは漁民が操業しているときに、第三海堡が撤去されるというと大型船がスピードアップして操業に非常に悪い影響を与えるんじゃないかとか、こういう不安感というのが非常に大きく障害になっているようでございます。
 それで、私どもといたしましては、もしここでもって事故が起こった場合には、それによって油等の流出があれば漁場価値は本当にとんでもないことになってしまうんで、そういうことを考えてもここのところは第三海堡を撤去し、それから、できることならば中ノ瀬航路の増深もやりまして、東京湾の船舶航行の流れをスムーズにして安全な航路とするということ、もちろんその上に海上保安庁の指導によるいろいろ航行の規制等も加える必要があろうと思いますけれども、そういうことを図らなければともどもに成り立つことは不可能なんだということを、繰り返し繰り返し漁民の方々に説得しておりまして、現在のところ大体の方は相当に理解を示してくださっております。
 それで、私どもといたしましては、やはり海上交通の安全というのはこれはもう不可欠のことでございますが、さりとて漁業関係者の生活基盤を脅かすようなことがあってはこれは申しわけありませんので、そこいらにつきましては誠意をもって対処するということで努力を続けている次第でございます。
 なお、不信ということの一つの背景といたしましては、もう東京湾の中は漁業をさせないということにするんじゃないかというような不安感があるようでございますが、これは私どもといたしましては、海上交通のためにはこういうルート、しかし、漁業をやること、漁業が安全にできる空間は、これは水産庁にもお願いいたしまして、やはりそれなりの所を得るようにしなきゃならぬと、そういうふうに考えていま努力しております。行政不信を何とか取り除きたいということで対処しておる次第でございます。
#61
○瀬谷英行君 まあ私らから見れば、東京湾の中のごく一部の漁場だから大したことないんじゃないかなという感じを持つんですけどね。しかし、これはよく、道路を広げようと思っても立ち退かない家が一軒あって、そのために車が渋滞をするといったような事例があるわけです。そういう事例と同じように比較をしていいのか悪いのかわかりませんけれども、何かこの第三海堡の問題も、昔つから問題になっておりながらなかなか決着がつかないわけです。そうすると、よほどの漁業がここで営まれているのかなという感じもするわけでありますが、常識的に考えて東京湾の中でそんなに大量な漁獲高があるようには思われないのでありますけれども、具体的にはたとえばどんな魚がとれるんですか、ここは。
#62
○政府委員(大久保喜市君) いま手元に詳細の資料は持ち合わしておりませんが、許可漁業といたしまして、いろいろの漁法で漁業をやってるのがございますし、それから第三海堡の付近ではタコとかワカメとか、そういう沿岸部の漁獲というものもございます。
 それで、実は全体の水産の額から見ればそう大きな率とは申せないといたしましても、現にその漁業を営んでおられる方々にとっては生活にかかわる問題であるというところから、いろいろと言い分もあろうかと思います。それで、私どもといたしましては、もし第三海堡の魚礁的な価値が低下するということが問題であるならば、海上交通に支障ない所で漁場価値を創出できる所に代替魚礁をつくるとか、そういうようなことも考えますということで対応しようとしております。それで、そこいらのところにつきましては大体最近のところ理解が示されつつございます。そういう状況でございますので、私どもといたしましては誠意をもって折衝すればわかってくれるというふうに自信を持っておる次第でございます。
#63
○瀬谷英行君 これは当事者との間の話し合いの問題でありますから、成田のような騒動にならないように円満な解決方法を急いでもらうことができれば一番いいんじゃないかと思います。
 それから、この前もちょっと御質問いたしましたが、プッシャーバージ船の問題であります。この法案の説明の中にも、巨大タンカー、コンテナ船、ホバークラフト、プッシャーバージの出現といったようなことが載っているんでありますけれども、プッシャーバージ船の入港によって港湾関係の労働組合が仕事を奪われるといったような問題があり、関係者はソビエトを訪問をしていろいろと折衝したということなんでありますが、労働組合の当事者が直接モスクワを訪問して話をするという以前に、行政当局としてもこれはソビエト側との間に立って関係者との話し合いをまとめるということができれば一番よかったのではないかという気がいたします。しかし、これからも問題は再燃をするおそれがあると思うのでありますが、このプッシャーバージ船の取り扱いの経緯並びに今後の対策等についてお伺いしたいと思います。
#64
○政府委員(大久保喜市君) 今回特に問題になりましたプッシャーバージは、プッシャーバージの中でも、木材を積んで来ましたプッシャーバージを、これを特殊な装置でもってそのままちょっと斜めにして一遍にその木材を落とし込んでしまうという、そういう特殊な機能を持ったプッシャーバージ、これが北洋材の輸入に使われたということから、港湾労働者の方々が、職域が奪われるという懸念を持っていろいろと陳情等にお見えになっという経緯があるわけでございますが、これは、これまでにも御答弁申し上げましたように、私どもといたしましても、やはり港湾における荷役作業がスムーズに行われなければわが国の経済活動、国民生活にも非常に問題を引き起こすおそれがございますので、私どもといたしましては、この関係者から事情を聴取することにまず努力をしたわけでございます。
 それで、これまでのところソ連政府関係に対しましては外務省を通じまして、このプッシャーバージによる北洋材の輸入の計画について説明を求めようとしたわけでございますが、実はこのプッシャーバージで運んでおりますのがFESCOという船会社でございまして、そのFESCOという船会社の日本における代理店でございます東洋共同海運という会社がございます。ソ連の通商代表部とのコンタクトの結果、ここから事情聴取してくれということになりまして、この四月一日にどういうような考え方であるかを伺ったわけでございます。
 ソ連側といたしましては、北洋材の輸入の計画が年々増加する、その増加する分をこのプッシャーバージ方式によるのだというようなことでございまして、それでソ連が運航する、運ぶということが契約されているので、どこに入れてどういうような荷役方式をするかというのは、これは商社の問題であるというようなことでございまして、そういうことから四月の五日に日本側の関係商社においでをいただきまして説明を聞きました。そういたしましたところ、商社といたしましては、やはりこれはどうも労働組合と港湾労働者を雇用している港運業者を飛ばしてじかに当たるということはできないという姿勢でございますし、またもっともなことでございます。
 そういうようなところから、私どもといたしまして、ともかく両者からいろいろと事情を聞き、一方港湾運送事業者の団体でありますところの日本港運協会等ともコンタクトいたしましたところ、その後、その日本港運協会と、全国的な規模を有する労働組合でありますところの全国港湾との間で、プッシャーバージの運航に関する恒久的な措置が合意されるまでの間における暫定措置につきまして四月二十六日に確認がなされました。
 これは、一つはプッシャーバージの入港は、港湾運送事業法上の指定港湾とすること、それから二番目には、荷役方式は在来型荷役とすることというこの二つの事項を、四月の二十六日に暫定措置として確認いたしまして、このプッシャーバージの入港港湾の決定者であります商社サイドも、この港湾関係労使の確認事項に同意いたしたというふうに報告を受けている状況でございます。
 これによりまして、一応現段階におけるトラブルは回避されたわけでございますが、この労使の確認の線に沿ってすでに新潟港及び小名浜港に入港したプッシャーバージの荷役も行われた次第でございますし、これを踏まえまして、なお関係者におきまして引き続き恒久的な措置に関する協議について努力してもらおうと考えている次第でございます。なお、この協議もすでに行われているというふうに聞いておりますが、早急にこれが整いまして、円滑にこの輸送が行われることを期待しておる次第でございます。
#65
○三木忠雄君 この法律案を提案するまでにいろいろ先ほどから議論がありましたけれども、やはり漁業団体との調整というものが一番大きな問題点であったというふうなことを聞いているわけでありますけれども、具体的にどういう点が問題になってきたのか、その経緯についてちょっと。
#66
○政府委員(薗村泰彦君) 端的に申しまして、狭い水道において漁船と一般商船との間の航行がどちらが優先するかというような関係が一番問題でございまして、それで特に一九七二年の条約では、現行の二十六条では一本に書いてある狭い水道のところの航法関係を九条と十八条に分けて書いてありまして、十八条では基本原則を書いてあって、それで一般船舶は漁船の進路を避けなければならないということを書いてあり、それと離れた、それよりも前の九条で、狭水道においては、漁船は一般船の通航を妨げてはならないという、こういうことを書いてありますので、どうしても漁業の方からいいますと、やはり自分のところに危害が及ぶということを非常に疑心暗鬼を生むものですから、この九条関係の狭水道のところの規定だけを重く見て、今度は一九七二年条約では、その六〇年条約と違って大変なことになった。狭水道では漁船は一般船の通航を妨げてはならないということを書いてあるので、どうやら瀬戸内海が全部狭水道みたいなことになるようで、一切生業として漁業はできないようになるのじゃないか、こういうような議論が片一方で漁業側から非常にあったわけです。
 そこで、私どもはそうじゃないんで、一九六〇年と七二年条約の間で、狭水道における一般船舶と漁船の間の関係の航法関係というのは変わっていないので、
  〔委員長退席、理事瀬谷英行君着席〕
一九七二年条約では九条と十八条に分けて書いてあるけれども、いままでの、現行法の二十六条と同じような考え方だ。といいますのは、基本的な一般原則としては、一般の船は漁船の進路を避けなければならないということになっているけれども、特別に狭水道においてはそれに付加された条件として、漁船の方も一般船舶の通航を妨げてはならない、言いかえたら、狭い水道であたり一面に漁船が張りついて航路を閉塞してしまう、妨げてしまう、ふさいでしまうというようなことになってはいけないんだということを、条約では二つに分かれておるけれども、国内法の現在の二十六条とそういう関係は何も変わりはないんですと、そういう、端的に申すと誤解を解くことにもかなり時間がかかった。漁業の団体と申しましてもやはり中央だけで御説明してもなかなかわかっていただけない。地方のそれぞれのもう各府県単位、あるいは漁協単位に皆さんお集まりいただいてやらなきゃいかぬというようなことで、わりあいにそういう点で時間がかかったというのが率直に言って事実、実情なんでございます。
#67
○三木忠雄君 ここで、これは大臣にちょっと伺いたいんですが、船舶の航行安全の問題と、それから漁業振興の問題をどういうふうに具体的に考えていくかということが非常に重要な問題だと思うんですね。これについて大臣の所見を伺っておきたいと思うんですけれども。
#68
○国務大臣(田村元君) 広々としたところで、完全にそれは割り切れりゃ一番いいんでしょうけれども、日本の地形上の特徴、特に狭窄部、あるいは湾内等におきます双方の安全を基礎として共存共栄を図っていくということに対しての知恵とコンセンサスということが当面考えられる一番いいことじゃないかというふうに思います。
#69
○三木忠雄君 それで、まあ知恵とコンセンサスを得る方法をね、今回の二百海里の問題等も含めまして、これは水産庁の方の施策になってくる問題でありますけれども、運輸省と水産庁、あるいはこれから二百海里等の問題では外務省との関係もいろいろ出てくるでしょうけれども、日本の漁業振興をどういうふうな方向に持っていくか、これはやはり基本的なポイントにもなってくるのではないかと思うんですけれども、これと、後でちょっと質問したいと思っておりますけれども、航路の設定等の問題を絡めて船舶の安全航行という問題を、まあ私は割り切れるものではないと思うんですけれども、やはり外務省、水産庁、運輸省というんですか、こういうところで連絡調整機関、あるいは日本の漁業振興、まあたん白源を確保するという意味においても、こういう日ソ漁業交渉等に見られるようないろんな問題がある。
 この観点に立っても、こういう対策を今後長期にわたったこういう問題を検討すべき機関とか、あるいは内閣で意思統一をして、日本の漁業振興策に対する船舶航行の安全とか、あるいは二百海里問題をどうするかという、漁業外交等も含めた問題をやるべきではないか、こういうふうに考えるんですけれども、この点については。
#70
○国務大臣(田村元君) 私は、以前に労働省を担当したわけです。また、現在通輸省を担当しておるわけですが、確かに日本の官僚というのは非常に有能である。これはもう理屈抜きに認めてよいと思うんですけれども、日本の官僚にとって、つまり官庁的な立場で物を言えば、最大の欠点は私は縦割りであって横の連絡がないということだろうと思うんです。まあないと言えばちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、欠くる面がある。
 でありますから、そういう点、まあちょっと余談になって恐縮ですが、運輸省という役所はとりわけ陸運、海運を問わず、一方を立てれば一方立たずという競合関係にある場合が多いですね。でありますから、これは運輸省全体として言えることかもしれませんが、十分省内の横の連絡もとっていくことは必要でしょうし、いわんや海上保安庁というのは、単に海上警備等を担当しておる海上警察であるという気位だけで平素の行動をしておってはいけない。むしろ水産庁とも漁連とも、つまり漁民大衆とも、あるいは船会社ともいろんな面において、あるいは船員諸君とも常時平素の対話の場がなければならないと思うんです。でありますから、いま御指摘の面は確かにそのとおりでありまして、これからそのような機関を常置するかどうかということは、これはまた双方の話し合いが必要でしょうけれども、でき得る限りの対話を求めていく、保安庁がむしろ求めていくというふうに指導いたしたいと、このように考えます。
#71
○三木忠雄君 これは一例ですけれども、いみじくも大臣がいま言われたこの縦割り行政というか、横には余り関心を持たないということで、谷間に残されている問題が非常にあるわけですよ。たとえば、私もこの委員会で取り上げたのですけれども、ソ連漁船による被害の一つの問題をとりましても、やはりどこが、だれが認知をするかというような問題が非常に、いわば責任がないような感じになっているわけですね。私、ソ連行ったときに、イシコフ漁業大臣にこの問題で、うちの党の野村君が話をしました。これはもうソ連としても早くやらなければならない問題だけれども、まだ申告が限られた件数しか来ておりませんと、こういうふうな程度で、非常に処理が遅いわけですよ。
 四月までに来た問題については、紛争処理委員会から提案された問題はすぐに解決しましょうという。まああそこの国ですから、私は全面的には信用しませんけれども、もうすぐに訓令は出ているわけですね。そういう点を考えてみましても、やっぱりそういう点が横の連携というか、あるいは漁業の振興の問題にしましても、あるいは二百海里を迎えてから外務省に水産専門の何か課を置くような、担当課を置くみたいな後ずさり的な、その場その場の行政対応というような感じが非常に多いわけです。
 こういう点で、これからやはり日本の国として漁業振興を図っていかなきゃならない、特に沿岸等の漁業においても振興していかなければならない。こういう問題にやはり重要になってくるものは、船舶の航行との問題が私は非常に大きな問題点になってくると思う。こういう点についてはやはりもっと突っ込んだ議論をしっかりしておかなければならないのではないかと、こういうように思うわけですね。この点については海上保安庁の長官の立場ではどうですか。
#72
○政府委員(薗村泰彦君) 先生おっしゃるとおりです。ひとつ水産庁と私どもの間で何か考え方の違いなんというようなことがあったら、いまお話が出た狭い海も、お互いに漁業という生業とそれから海上交通という船舶交通、船舶活動と両立して、共存共栄でやっていくということが、両方の役所の考え方が違ってできっこないと。で、一例を挙げたらこの衝突予防法もそうでした。一緒に国際会議には行くんですけれども、帰ってきたらお互いに海上保安庁と水産庁と、こういうことで離れ離れになってはいけないんで、この法律も、実はおしかりを受けているとおり大分かかったのですけれども、その前に、本当に水産庁と私どもがその誤解がないように、解釈の違いがないように、特に条約との関係があったら外務省を入れてそういう違いがないように、それからさらに、国内法化するに当たっては多少表現、構成を変えるというような点があったら、どこまで許されるかということについて、法制局との関係ももちろんこれは別途の問題として、法技術的な問題としてありますけれども、これは別として、三省の中がもう仲よくいかなければいかぬのは当然のことでございます。
 それから、実は領海法とそれから漁業水域法とをめぐって、本当に三省が共同でやったという実績は、私、これひとついい実績として残しておきたいということでありまして、十二海里の領海をどうするかということそれから二百海里の特に漁業水域を設定するということなどについてもそれぞれ外務省、水産庁、私どもの立場から、本当にいろんな角度から、同じ結論を見出すためにそれぞれの立場の違いというものを議論していかなければならぬ点がたくさんございましたので、ぜひそういう実績を私ども残していきたい。恐らく水産庁の方も、今後の方向としては、沿岸漁業の振興ということが大きく今後クローズアップされてくる。数年前から手をおつけになって、数年間の計画でやっておられるということは私どもも承知をしておりましたけれども、さらに今度の十二海里、二百海里の水域をめぐっては、沿岸漁業の整備というのは出てくるだろうと思いますので、そのときにお互いに利用し合う側として、私どもは水産庁とよくお話をしていきたいと思います。
 今後とも、先生のおっしゃることはよくわかりますんで、せっかくいまの関係わりあいにうまくいっておりますんで、この実績を残して、今後ともそういうことでやっていきたいと思います。
#73
○三木忠雄君 きょうは、その具体的な問題等には触れませんけれども、ぜひともこういう漁業振興の立場、船舶の航行安全の立場、どう調整していくかということは、これは非常に重要な問題ではないかと思うんですね。考えてみれば、漁業者の方が優先するような国民は感じを受けるわけですよ。たとえば昔から沿岸漁業をやっておった、あるいは航路水域が非常にいい漁場であった。そこへ経済成長によって大型タンカーが入ってきたと、こう言われてみれば、どちらがどうだという問題になってくれば、やはり漁業者の方という意見に傾かざるを得ないような問題にもなってくるし、だからといって、それをないがしろにすれば、日本の経済振興というものは考えられないわけですね。こういう問題をどう調整するかということはやはり国民の合意というか、そういう調整というものが私は非常に両方がこれお互いに衝突しているんでは日本の経済混乱するだけですから、そういう問題をどう調整していくかということが今後に残された非常に大きな問題だと思うんですね。これは今後の私は議論の場の問題にしたいと思うんですけれども……。
 そこで、この法律案の第三条の第四項の「漁ろうに従事している船舶」の定義ですね。この範囲を具体的に、パンフレット等に出ておりますけれども、説明願いたいと思います。
#74
○説明員(山本了三君) 第三条の四項の「漁ろうに従事している船舶」という概念のこの中身でございますけれども、法律案にありますとおり、「船舶の操縦性能を制限する網、なわその他の漁具を用いて漁ろうをしている船舶」、これが漁労に従事している船舶であるというのが条約の規定であります。現行の漁労に従事している船舶の定義と申しますと、網、なわ、それからトロールにより漁労をしていることを「漁ろうに従事している」というと、こういうふうに規定いたしております。
 で、現行法と新法とどう違うかと申し上げると、現行法はこの漁労の種類といいますか、網、なわ、トロールと、こういうことに限定してあった。ところが、本来漁労に従事している船舶という概念が必要になりますのは、海上交通のいわゆる避航といいますか、一般船舶といわゆる漁労に従事している船舶とが、どういう権利義務関係にあったらいいかということの場合に必要になるわけでございますけれども、海上衝突予防法は、御承知のとおり、操縦性能が悪い船をいい船が避けて通るというのが、これが海上衝突予防法の原則であります。操縦性能がいいか悪いかというのがいわゆるそういった避航のいわば権利義務関係ということに該当するわけですから、新しい条約、あるいは国内法は、船舶の操縦性能を制限するいろいろの漁具を用いて操業している船舶が漁労している船舶だと、こういうふうに概念を何といいますか、本来の筋に返して規定いたしたということでございます。したがって、現行法よりも漁具の種類がふえる可能性がある。それから現実にマッチしたいわゆる漁労に従事している船舶の範囲が決まってくる、こういうことになろうかと思います。
 こういった関係で、海上保安庁と水産庁、あるいは漁業関係者とは、この漁労に従事している船舶のいわゆるその中にはどういう漁法が入るのかという具体的な詰めを早急にやりたいということで、法律を施行されるまでにはそういった概念を明確にいたしまして、誤解のないようにして関係者を啓蒙していきたい、そのように考えておるところであります。
#75
○三木忠雄君 それは省令かなんか、そんなところか、どういう規定で、あるいはまた何か告示かなんかで定めるんですか、そういう問題は。いま言われたようなことは。
#76
○説明員(山本了三君) 政令とか省令でそれを明確にしていくという考え方は現在考えておりませんで、解釈通牒でもって関係者に周知してまいりたい、一応そのように考えております。
#77
○三木忠雄君 ちょっと聞き取れなかったんですが、解釈、何ですか。
#78
○説明員(山本了三君) 解釈通牒を流しまして、漁労に従事している船舶は、たとえばどこどこ地区ではどういう漁法だとか、やっぱり地区によって同じ網を使っても、あるいはなわを使っても、操縦性能を制限するかしないかという違いがあるというふうに、非常に複雑なものだそうでございます。したがって、どういう漁法とか、あるいはそれはどこどこの地区――場合によってはですね。全国的な場合は、それは制限は要りませんけれども、部分的な場合にはどこどこ地区のどういう漁法とか、こういうことになろうかと考えております。
#79
○三木忠雄君 そこが私たちもちょっとわからぬのですがね。その範囲がどういうふうにきて、どういう方法で確定できるのかということになると、これから、いまのおっしゃったように、性能のいい方が悪い方を守るのだという衝突予防法の精神からしますと、そういう感じで解釈をされてくると、おのおのもうパターンが、いろいろの形が出てくるのじゃないか、こう思うのですね。したがって、そういうふうに決めたものはだれが判断をし、たとえば衝突した場合に、どういうふうな基準になるのかということは非常にわからないんじゃないかというような感じが私はするのですけれども、その点いかがですか。
#80
○説明員(山本了三君) 先生の御指摘があったように、実際の場合にはなかなかむずかしい問題があろうかと思います。しかし理論的には、要するに漁労船が使用いたしております漁具が、その船の操縦性能を制限しておるかどうかということで判断をしろというのが条約の精神であります。したがいまして、漁業関係者からなるべくこれを広くしてくれという要望は実はあるのでございますけれども、それも条約の許す範囲内においてということを漁業関係者は申しております。ですから、私どもが関係者寄り集まって、この漁法がいわゆるこれに該当するのだということを具体的に詰めていかなければやりようがない、方法がない、実はそのように考えております。
#81
○三木忠雄君 そうしますと、漁法もこれから変わってくると思うのですね、漁業の振興、あるいは沿岸漁業を拡大していくというような問題になってくると。そうすると、そういうふうな問題が具体的に告示でも定めてなければ、省令とか委任規定とかいろいろな問題なんかにはないと。ただもう、一方的な解釈でぱっと流されるというような形になりますと、ちょっとこの衝突予防法の問題から考えてもなかなか理解しがたいのではないかというような感じがするんですけれども、どうも納得できないような答弁なんだけれども、何か場当たり的にやるような感じを受けるんですけれども、いかがですか。もう一度、念のために……。
#82
○説明員(山本了三君) 先生のおっしゃるのもわかるような気がいたしますけれども、本来この衝突予防規則と申しますのは、海員の常務といいますか、船舶運航者のいわゆる常識といいますか、慣行ですね、そういったものを成文化したというのがこのいきさつでありまして、そういった要するに船舶職員の常識なんでございます。で、あくまでそういった相手が何であるかとかいう判断は、全部船舶操縦者の判断に任されておるというようなところがあります。
 また御承知のように、この規則にはいわゆる船員の、海員の常務といいますか、これに反した場合も責任をとれというような規定があります。そういった関係がありますので、そういった関係者の何ですか、合意といいますか、そういったものを強めていくという以外に方法はないかと思います。なお検討をいたします。
#83
○三木忠雄君 どうも、私は関係者の合意とかなんか言われても、なかなか納得できないような答弁に感ずるんですけれども、どうもこれは海上保安庁の独特の解釈で、漁労に従事する人や、あるいはその関係者が混乱するんではないかという、私は素人考えながら思うんですけれども、これもう一遍、長官でもいい、どなたでもいい、答弁願って、この問題だけに二十分、三十分かけてやっておるわけにいきませんので、もう少し明確にしておいていただきたいと思います。
#84
○説明員(久世勝巳君) ちょっと先生の質問に的確なお答えにならないかもしれませんが、ただ、こういうことじゃないかと思うんです。漁労中の船舶というものはこういうものだよということがいろいろ水産庁、あるいは水産団体と詰めをしまして一応関係者が納得したと、確かにこの船は、要するに漁労をしていて航行、操縦の制限を受けている船だということが決まりましたら、それにはっきり通知すれば、その船が今度は逆に狭水道等で漁労した場合には、漁労中の船舶が上げる形象物とか夜間の燈火のあれがございます。したがいまして、それを今度は漁船が上げる。それを見まして一般の船舶が適切なコースをとると、こういうことによって狭水道等における漁労船と、それから一般船舶との航行の安全は担保される、このように私ども考えております。
#85
○三木忠雄君 そうしますと、漁業団体からこの漁労に従事する船舶を拡大してくれと、こう言われて調整してきたわけでしょう。当初の海上保安庁の考え方と、それから漁業団体等のこの要望とどう調整されたんですか。どこを調整されて、漁業団体が納得をしてこの法律案の提案になってまいったわけですか。
#86
○説明員(山本了三君) 現在のところまだその概念的なものの合意を見た段階でありまして、特定の漁法、漁具がこれに該当するという詰めば現在水産庁が関係者と鋭意詰めておる。で、その水産庁の詰めがあったところで海上保安庁とかその他についてのまた協議に入ると、そういう段階であります。
#87
○三木忠雄君 そうすると、水産庁からの要請によって海上保安庁は概念を具体化するという感じになるわけですか、端的に言ってみれば。
#88
○説明員(山本了三君) 水産庁からの要請というわけではございません。水産庁に私どもがこの概念について早く現場の漁業者と詰めてくれという依頼をいたしておりますので、水産庁が目下鋭意詰めておると、あくまで海上保安庁と水産庁がよく協議をいたしまして、そして、そういった概念についての決定をすると、こういうことになろうと思います。
#89
○三木忠雄君 そうしますと、私も資料でいろいろもらったんですけれども、漁労に従事している船舶の範囲を拡大してもらいたいという漁業団体の強い要請というものは、この法案成立の過程の中に何を取り入れたんですか。
#90
○説明員(山本了三君) 具体的にはこれこれというふうな漁法についてはまだ決定を見ておりませんし、したがって、何を取り入れたという段階ではございません。概念的なものが話し合いがついておるということであります。
#91
○三木忠雄君 そうしますと、これが法律施行されるまでにあれですか、具体的に水産庁からのいろんな意見の調整が行われると、こう解釈していいわけですか。その日程、スケジュールはどういうぐあいになっていますか。
#92
○説明員(山本了三君) この法律は七月十五日には発効するわけでございますので、なるべく前広に、それをなるべく早くといいますか、そういう概念も決めて確定していきたい、そして関係者に周知してまいりたい、このように考えます。(「間に合わぬ」と呼ぶ者あり)
#93
○三木忠雄君 いまの御意見どおりですよ。なかなかそれじゃ間に合うかどうか非常に心配ですけれども、そこばかりやっているわけにいきませんので、これはひとつ混乱のないように海上保安庁においては取り計らっていただきたいということを要請しておきます。
 それから、先ほど来からもいろいろ問題になっておりますこの第九条第三項のただし書きのところですね。第三項のところの「船舶の進路を避けなければならない」と、それから狭い水道のこの条約の方の第九条(C)項の「船舶の通航を妨げてはならない」と、この問題ですけれども、この点については、これは漁業団体等は納得をしたわけですか。この点について。
#94
○政府委員(薗村泰彦君) この点につきましては、漁業関係の方との間では一番問題であった点でありますので、これは完全に当初の誤解が解けて御了解をいただいたということで、今度のここに用意させていただいた、現行の二十六条とそんなに違わない、ほぼ同じような表現で九条の三項に入っておりますが、そういう原案を提示をして、最終的には海上安全船員教育審議会で御審議を得て全会一致で御承認を願ったということでございます。
#95
○三木忠雄君 表現を何か違えたところには、やっぱり違えた何か意味があるように私たちはとれるわけですね、ここが。その点をなぜ同一規則にしなかったのかというのが――国際規則に合わさなければいけないというような強い意見がやっぱり船主側の方にはあったわけでしょう。あるいは船長の方にあったわけでしょう。ここはどうなんですか。
#96
○政府委員(薗村泰彦君) 船主側と、それから船長さんの実務者側からは、やはり条約をそのままなるべく表現に取り入れてくれという要望があったことはそのとおりであります。片一方、また漁業側からは、先ほど申し上げたように、もう瀬戸内海で仕事にならないというような、条約の九条だけを取り上げて疑心暗鬼を生んだという経緯がございます。そこで、検討委員会の場でいろんな議論をされたわけでありますが、一番最終的には、やはり現状と変わらないんだということが私どもの説明としても皆さんに納得していただいたわけです。
 で、これは別に私どもがあの条約の解釈を変えたとか、意図してどうしたとかということでは絶対にございません。それは一九六〇年条約から一九七二年条約に至る審議過程、それからそれに外交会議に出席するところの対処方針ということで、この点は、狭い水道における航法関係については一切変わらないんだということを確認の上で会議にも出席してきたし、会議の審議にも加わったし、それから日本政府としてのその賛成という表決にも出席してそういう態度をとってきたということであります。
 そういう点をよく御説明をいたしまして、それで、したがって条約の上でも変わりはないし、したがって現行の法規とも変わりはないということについて、一方では変わったんじゃないかという疑心暗鬼と、それから片一方では、なるべくその国際条約そのままに表現をしてほしいという一部の御要望があったことは、これはもう率直に言って事実ですが、そういう点をいろいろ検討委員会で審議をしてもらって、私どももそういう解釈についてはいろいろ申し上げて、それで私どもは皆さんの御意見をそんたくしながら考えて、それならば一番誤解のない、率直に理解をいただける方法は現行の二十六条に近い表現を用いることが、改正案と申しても現在の衝突予防法と変わりはないということの周知徹底方を図る方法として一番いい方法だから、それを現行の二十六条と同じような表現で用いるということを考えまして、それから、それはもう全く条約の趣旨とは変わってないと、表現は変わっておるけれども、という点を外務省ともよく詰めましたし、それから国内法化するためにどの程度許されるかということについて、法制当局ともよく相談をして原案を作成したという経緯であります。
#97
○三木忠雄君 われわれ審議しておって、経緯をそう聞けばある程度納得できますけれども、これを関係者にどういうふうに徹底していくかとなると、やはり非常にむずかしい問題だと思うんですね。そういう解釈が違わない、あるいは言葉は違うけれども内容は同じというんであれば、何もこの表現を変えなければいけないというような理由には私はならないと、こう思うんですね。これはこういう経緯がわかっておる人、あるいは説明された人はわかるけれども、端的に言って第三者がこれ見た場合、やっぱり表現が違う以上は意味が違うんじゃないか、こうとらざるを得ないと思うんですね、常識的に考えて。そこまでわざわざ踏み込んだ何か深い意図があるんじゃないかというような勘ぐりをせざるを得ないわけですね。その点が私にはちょっと、もう少し端的にできなかったのかと、こう思うんですけれども、もう一度この点を。
#98
○政府委員(薗村泰彦君) 一方では、そのまま直訳で国内法化するということが国際ルールとして統一性を保つゆえんであるということの御要望があったことはもう私どもよく承知しております。また違う意味で、現在の法律とは全く違わないんだから、何かの方法でそれを端的に示す方法を考えろという要望も、特に漁業を中心として御要望があったことも事実なんです。そこで私どももいろいろ考えましたが、よくそのために誤解のないように御理解を願うとともに、現在の法律とほぼ同じ条文でお示しすることが、もう解釈として説明するよりも、法文自体としての表現でそういう方法をとることが一番いいということを考えたわけであります。
 したがって、何か意図してとかいうことでは全くないんでありまして、長い間理解をいただいた経緯をそのまま法文上の本文自体にあらわしていくというつもりで現行法の二十六条とほぼ同じ、ちょっと一部まどろっこしいような、何とか「できることとするものではない」というような表現まで現行法規と変えないで用いたというのは、御批判はあるでしょうが、関係者の間では実は定着した概念となっておるものですから、私どもはそういう現在の法律との連続性をとうとんで、それが一番新しい法律としても法的にも安定するゆえんだと思ってこういう表現をとったということであります。
#99
○三木忠雄君 では次の、この第九条の狭い水道という問題について一、二伺いたいんですけれども、これは日本の領海の中で、大体狭い水道というのは、該当するのはどのくらいあるんですか。
#100
○説明員(山本了三君) この狭い水道に関します定義というのが明確に条文の中には示されておりません。したがって、これは従来からの解釈といいますか、慣行といいますか、判例といいますか、そういったものから判断する以外にないと思いますけれども、いままでの衝突事件を裁きました判例等から見ますと、幅が二マイルの狭い水道は、これはいわゆるここで言う狭い水道に当たるであろう、四マイルぐらいになるとこれは当たるまいというような判例がございます。したがいまして、幅三マイルぐらい程度の水道は狭水道であろう、こういうふうに判例上考えられております。
 で、過去に出されましたそういった関係の解説書等にもそういったことを書いておるわけでございますけれども、しからばどういうところが狭水道かといえば、そういったいわゆる解説書等を見ますと、たとまば明石海峡であるとか、来島海峡であるとか、浦賀水道であるとか、こういったところは狭水道に当たるであろうと、こういったことを言っております。そういうことでございますけれども、瀬戸内では、狭いいわゆる水道というのが相当たくさんあろうかと思います。数を具体的にこれこれと数えたわけじゃございませんけれども相当たくさんあるだろう、このように考えております。
#101
○三木忠雄君 数を一々計算して報告しろとは言いませんけれども、狭い水道という定義が非常にわかりずらいような感じも受けるし、狭い水道の中には、航行規則等を見ますと、狭い水道一つ一ついろいろな事故の場合に判断しなければならぬような問題点が出てくるのではないかということを心配するわけです。
 それから第十条の分離通航方式ですね、この分離通航方式を認定する場合の手続とか方法については、具体的にどういうふうにしていくのですか。
#102
○説明員(山本了三君) この法律で定めております分離通航方式を設定する場合の手続でございますけれども、まず沿岸国といいますか、当該国が分離通航の原案を作成いたします。この原案をIMCOに採択してくれるよう提案いたします。IMCOにおきましては、それぞれのいわゆる委員会等を経由しまして、最終的にはそれでいいということであるとIMCOで分離通航方式として採択すると、そのようになります。この採択を見た場合に初めて沿岸国は、これを当該国のいわゆる分離通航方式として設定する。わが国でいいますと、もしそういうことになりましたら、海上保安庁長官が設定の告示を出すと、そういうことになります。
#103
○三木忠雄君 いまの十一航路は海上交通安全法で指定されていますね。この第十条を適用するような分離通航方式、こういう制度を設けるような予定はあるのですか、あるいは意思はあるのですか、日本の国では。
#104
○説明員(山本了三君) 海上交通安全法で十一の航路を設定いたしております。しかし、この海上交通安全法の航路は、IMCOに提案しまして国際的ないわゆる分離通航方式に認定してもらうというのか、採択してもらうとか、そういう考え方は現在いたしておりません。なお日本といいますか、海上保安庁といってもいいと思いますけれども、海上保安庁におきましては、日本近海でこういったいわゆるIMCOの採択をする分離通航方式は、いまのところ考えていないということでございまして、将来船舶の通航の実態等を考慮して、こういったものがどうしても必要であるということになった場合に関係者と協議をして考えよう、そういう考えであります。
#105
○三木忠雄君 次に、海難事故の問題で一、二伺っておきたいのですけれども、海上交通安全法が四十七年でしたか制定されて、十一航路が設定されましたね。たとえばこの十一航路について考えた場合に、四十七年以前と、四十七年以後の海難の状況はどういう状況ですか。
#106
○説明員(山本了三君) 四十七年に海上交通安全法が制定されまして、その後のこの十一の航路内で発生した海難の数を拾いあげてみますと、四十八年には二十六隻、四十九年は二十九隻、五十年は二十四隻、五十一年は十七隻ということでございまして、四十九年から少しずつ下がっておるというふうに考えてもいいかと思います。なお、この海上交通安全法は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海のこの三海域について適用されておるわけでございますけれども、この三海域について海難の発生状況を見てみますと、四十八年は三海域で……
#107
○三木忠雄君 端的に、以前と以後でいいですよ。
#108
○説明員(山本了三君) ああそうですか。だんだん減っておるというのが海難の発生の実態であります。だんだん法律が施行されて年を経るに従って減ってきておるということです。
#109
○三木忠雄君 そうすると、これは当然の常識でしょうけれども、航路を十一カ所設定しましたね。先ほども意見が出ましたけれどもその他の狭水道ですね、これについて新たに航路設定をしようという考え方はあるんですか、あるいはないんですか。それともこの十一を、先ほども航路指定の基準をいろいろ説明された。私も文書をもらってますけれども、その検討の段階にこの十一がやはりすぱっと入って、十二以後のこの狭水道についてはどういう対応をしたんですか、ここらの問題について。
#110
○説明員(山本了三君) 先ほど航路設定の基準を申し上げましたけれども、この航路を設定いたします場合に問題になりますのは、やはりその設定されました航路内における漁労に従事している船舶と巨大船との航法関係だろうと思います。で、この衝突予防規則では、一般船舶は漁労に従事している船舶を避けなければならない。たとえそれが狭水道であろうと何であろうと同じことなんでございますけれども。ところが、海上交通安全法の航路内では、漁労に従事している船舶でも巨大船の進路は避けなければならない、こういうことになっております。要するに、海上交通安全法の航路の中では、巨大船の方がより操縦性能を制限された船だと、漁労船よりもより避航能力を持たない船だと、そのように当時考え、判定したわけです。そういった海上交通安全法以上の漁労船舶に対する、漁労に対する制限がかかっております。
 こういったことがありますので、海上交通の安全と同時に、いわゆる漁労の実施についての何といいますか、調整といいますか、これをよほど上手にやらないといけないという問題が出てまいりますので、安全のためには航路をたくさん設定した方がいいと思いますけれども、漁業者サイドにはそういったことに対する反対意見があるということであります。
 私ども、海上交通安全法を制定いたします段階におきましては、どこまでの航路がいわゆる巨大船が通る場合に操縦性能が制限されると考えるべきか。要するに、よほど狭くなければそういうところは巨大船の方が性能が悪いというふうには判断しにくいわけですね。広いところではやっぱし巨大船といえども漁労船よりもそういう性能がいいというふうに考えるわけです。ですから、それがだんだん海域が狭くなってきまして、あるいは潮流が激しいとか、そういうことになってまいりますと、いよいよ巨大船が身動きができない。もう自分で相手の船を避けて通るなんていうことはもちろんできなくなってくる。そういうところが初めて航路に指定すべきところということで、相当厳密に考えて航路を設定したという経過であります。
#111
○三木忠雄君 そうしますと、たとえばこの五十一年の狭水道における海難の発生状況、ちょっと資料いただいたんですけれども、たとえば明石海峡で合計十七件ですか、備讃瀬戸三十四、あるいは関門海峡二十六と、こういうようないろんな事故件数が多いわけですね。こういうところの問題については今後どう対処していくのか、その問題についてまず伺いたいと思います。
#112
○説明員(山本了三君) 先生御指摘のような、備讃とか明石とか、そういったところでは従来からも海難が非常に多いわけでございます。で、こういった海域におきます海難の予防ということにつきましては、海上保安庁といたしましても、毎年二回行っております海難防止強調運動ですか、そういった場合とか、その他の機会あるごとに海難の防止についてのいろんな専門的なアドバイスなり指導をしていくということをやっておるわけでございます。
 で、何とか海難をこういったところでも減らしたいということを考えておるわけでございますけれども、明石あたりは一日の船舶の通航隻数が非常に多い。たとえば浦賀水道に比較すると二倍近くもあろうということで、やはり海難の方もそれに近い数が出てくる。通航船舶の量とある程度比例したものがどうしても出てくるということでこういう実態になっておるわけでございますけれども、それで私どもは必ずしもいいと考えておるわけじゃございません。やはり一生懸命海難ゼロに向かって努力してまいらなければいけないと常々そう思っているところであります。
#113
○三木忠雄君 時間があれば、航路指定とこの問題でちょっと論議したいんですけれども、ほかのことでちょっと聞きたいんでね。
 それで、備讃瀬戸等でもこの三十四件海難があるわけですね。そこで海上保安庁長官に、本四架橋ができますと、この瀬戸の海上交通の問題がどうなってくるか、端的に言って。――長官じゃなくてもいいですよ、じゃあ。
#114
○説明員(山本了三君) 備讃瀬戸でこんなにたくさんといいますか、三十四隻の海難がございます。で、ここへ本四架橋がかかるわけでございます。そういうことになりますと、やはり架橋という若干の障害物的なものがそこに建設されるということはこれは明らかなところでございます。しかし一方、この障害物的なものがいろんな設備をいたしますと、ちょうど航路標識の役目をするということも考えられます。
 そういったことで、この海難の増加といいますか、防止といいますか、この架橋に伴う海難の防止をどうしたらいいかということを海難防止協会――神戸にありますけれども、こういったところで関係者が集まって数年にわたって鋭意検討いたしましてその結論も出てまいりました。で、こういったことをやればといういろんな施策がありますけれども、そうすれば海難は防止できるであろうと。場合によっては、もっと何といいますか、手の込んだ、東京湾で考えておりますような航行の管制的なもの、こういったものも場合によっては考えていこう。で、そういうことによってむしろ海難が減らせるものなら減らしていこうではないかと、そういうぐらいの積極的な姿勢で架橋に取り組んでおります。
#115
○三木忠雄君 それで、本四架橋の方の問題について、大体現在の計画、それからどのぐらいにでき上がる――まあ予算との関係もあるでしょうけれども、どういう建設計画になっているんですか、その概要をひとつ説明してください。
#116
○説明員(佐々木建成君) 建設状況でございますけれども、当初四十八年の十一月……
#117
○三木忠雄君 時間がないからね、端的でいいですよ、要領よく。
#118
○説明員(佐々木建成君) 当初の計画といたしましては、四十八年当時計画されていたものとしまして、三ルート並行で建設するということであったわけでございますけれども、その後、経済情勢の変化によりまして、いわゆる一ルート三橋という方式が五十年の八月に関係閣僚の協議で決定されたわけでございます。
 それで、現在着工しておりますのは五十年の十二月に尾道−今治ルートの大三島橋というのが着工されております。これは道路橋でございます。それから五十一年の七月には神戸−鳴門ルートの大鳴門橋というのが着工されております。それから本年の一月に入りまして尾道−今治ルートの因島大橋というものが着工されておりまして、それぞれ現在、下部工の工事が行われているという状況でございます。
 それで、これをいつごろまでに完成するかということにつきましては、いま御指摘のように予算の状況等もございますけれども、おおむねのめどといたしましては、大三島橋につきましては五十四年度中に供用開始をする。それから大鳴門橋につきましては、これは当面は道路橋として供用開始されるわけでございますけれども、五十七年度中ぐらいというのが見当でございます。それから因島大橋につきましては、五十六年度末ぐらいの見当で工事を進めております。
 なお一ルート三橋方式のうちの一ルートというものが従来決定しておらなかったわけでございますけれども、先般、四月二十六日に、当面早期完成を図る一ルートというものが関係閣僚の協議の結果内定をいたしておりまして、児島−坂出ルートというのが当面早期完成を図る一ルートということになっておるわけです。で、これの着工につきましては、着工前に環境影響評価を相当やらなくてはならないという問題がございますし、それから旅客船対策と、あるいは船員の雇用安定というものがございますので……
#119
○三木忠雄君 そっちの方はいいから、大体児島ルートでいつごろになるのか。
#120
○説明員(佐々木建成君) そういう問題を解決しまして、着工しましてからおよそ十年ぐらいの工期を要するということを考えております。
 以上です。
#121
○三木忠雄君 本四架橋のこの三ルートの問題について私もいろいろ異論があります。ここは論議する問題じゃありませんけど、そこで、特に運輸省関係の問題としまして海運局長に、この旅客船協会の要望、あるいは日本海員組合の要望事項等について今日までどのように対処してきたのか、この点について伺いたいのです。
#122
○政府委員(後藤茂也君) 本四の連絡橋ができますと、旅客船事業者、それからそこに働いている人たちが仕事を失うことになる、そういった影響に対処するということで数々の御要望がございます。昨年の十月に内閣で本州四国連絡橋旅客船問題等対策協議会、これは建設大臣が会長さんでございますけれども、そういうものを閣議決定に基づきまして御設置をいただきまして、いま各種の御要望がありましたような問題について、政府としてこの組織を中心にして検討を始めるということにお決めいただきました。また、この対策協議会と別に、運輸省と建設省との間で学識経験者あるいは関係者の人たちに、つまり外部の人たちでございますけれども、そういう人たちにお集まりいただきまして、対策懇談会というものを設置していただきました。で、この対策懇談会を昨年から今月の月末に第四回目をやる予定になっておりますけれども、たびたび回数を重ねて、そこで学識経験者を交えて今後のこの架橋に対する対策というものを御検討いただいております。
 で、私どもといたしましては、そのような懇談会の御議論、あるいは閣議決定で設置されました建設大臣を会長さんにした各省間の組織というもので、これから架橋に伴ういろんな影響に対する政府としての対策を検討し、実施に移していただきたいと思っております。
#123
○三木忠雄君 懇談会が四回か五回というのですけれども、協議会はまだ一回も開かれていないわけでしょう、各省の。どうなんですか、これは。
#124
○政府委員(後藤茂也君) 開かれておりません。
#125
○三木忠雄君 そういう意味で、この対策協議会は実際つくったけどなかなか進まないというようないろんな意見があるわけですね。確かに重要な論議しなければならない問題いろいろあるでしょう。そのために懇談会でいろいろ意見を聞いているのでしょうけれども、やはりこういう点が、海員組合にしても、あるいは旅客船協会にしてもなかなか納得できないというような問題があるわけですね。したがって、具体的にこの方針、特に補償の問題ということでいろいろ要望が出ているけれども、政府の方は対策という感じでその問題を切り抜けようと考えているといういろんな意見があるらしいのですけれども、この点について具体的にいつまでに、こういうこの本四架橋の補償の問題について方針を打ち出すんですか。そういう結論をまとめるんですか。
#126
○政府委員(後藤茂也君) 御指摘のように、対策を要望される方が補償という言葉を使われ、それに答える場合に役所側が補償という言葉をきらうというようなところに、いわゆる対策のめんどうなところがあるというふうに承知しております。しかし、言葉はどうであれ、いつまでにどうするかという点につきましては、前に御説明いたしました懇談会を設置して御議論をいただくにつきまして、この懇談会をおおむね一年間をめどに、つまりこれは昨年の十一月に始めていただきましたけれども、一年間をめどに結論を出していただきたい、御議論を終わっていただきたいということを政府側からお願いをしているという事情にございます。
 それから、いままで公団監理官から御説明しました各種の橋の実際の着工の機会のたびに、旅客船協会なり海員組合の方々と、政府の担当の役所との間には毎回毎回非常なお話がございました。そこいらでも、大体今後一年くらいをめどにこの施策の大綱について一つのめどを立てるというふうな趣旨のことを、役所側からそういった団体の方に申し上げているという事実がございます。
#127
○三木忠雄君 ちょっといまあれしたんですが、懇談会して協議会でいつ結論を。
#128
○政府委員(後藤茂也君) 一年。
#129
○三木忠雄君 懇談会一年、都合二年ですね。
#130
○政府委員(後藤茂也君) いいえ違います。私が一年と申し上げたのは、学識経験者からなる懇談会の御議論を一年、それだけでございます。
#131
○三木忠雄君 そうすると、対策協議会の方はまだ結論はお預かりということですね、懇談会だけで。
#132
○政府委員(後藤茂也君) 協議会の方については、いま申し上げたような一年とか半年とかいうような問題は……、政府――建設大臣を会長さんになさった協議会の方についていつまでに結論を出すというようなお話は、これは表には出ておりません。私が二つ目に申し上げましたのは、これは今年の一月に最後の橋が、因島大橋が着工される直前に、三回目でございましたけれども、旅客船協会の方々と道路局、あるいは海運局の間でたびたび要請しておるこの対策について、いつまでにどうするんだというふうに協会からのいわば詰問がございまして、それに対して私どもがお答えしておるお答えの中に……
#133
○三木忠雄君 お答えはもう回りくどいのはいいから、大体いつまでと、きちっと線は引けないですかね、大体。
#134
○政府委員(後藤茂也君) 「遅くとも次期橋梁の着工までに適切な対策を策定し、すみやかに」「行政的な措置及び必要な場合の法的措置を講ずること」といたしたいというふうにお答えをしております。これはことしの一月でございます。
#135
○三木忠雄君 そうすると、公団監理官ね、「次期橋梁の着工までに適切な対策を」という、次期橋梁の着工というのはいつですか。
#136
○説明員(佐々木建成君) 先ほどお答えした中で若干触れたわけでございますけれども、次期橋梁の着工と申しますのは、当面早期完成を図る一ルートというのが内定いたしましたので、今後着工までに環境アセスメントをやるとか、あるいは旅客船問題について詰めるということをやりまして、それから、恐らく南備讃瀬戸とか北備讃瀬戸というようなところから着工するのではないかと思われますけれども、着工の時期と申しますのは、環境アセスメントにどれぐらいかかるかとか、旅客船問題の詰めぐあいとか、そういったものと関係がありますので、確定的にいつごろというふうには申し上げられませんけれども、そういう問題をできるだけクリアして、できるだけ早く着工したいという考えでございます。
#137
○三木忠雄君 橋梁の着工をめぐっての論議をしても、ここで時間をとるばかりですけれども、私の心配は航路権の問題なんですよ。やはり航行の安全という問題、客船の航行安全の問題を考えますと、基本方針が全然定まっていないわけでしょう。したがって、いずれはこの航路は廃止になっていくわけですね、橋ができたところは。そうしますと、これから何年後にか廃止をしなきゃならないルートでしょう、航路でしょう。そうしますと、廃止をしなきゃならないと。そうすれば、新規投資をしてやろうやというような考え方はないわけですね。あるいは船の改造をしようとか、補修をしようという費用なんかはなるべく投じないような形になってくると思うんです。そうしますと、航行安全上非常に問題になってくるんじゃないかということを実は危惧するわけですね。そこらの問題についてどう考えていますか。
#138
○説明員(佐々木建成君) 先ほど海運局長の方から御答弁のありました懇談会の事務局を、建設省と私ども鉄道監督局の方でやっておるわけでございますけれども、その懇談会の場で、従来三回開いて、今月末にもう一回開く予定にしておりますけれども、旅客船協会なり、あるいは全日海の方から、この方々は委員として入っておられますので、そういう方々から協会として、あるいは全日海としてどういうことを要望されるかというような事柄について、いま先生の御指摘の供用開始前に輸送需要が非常にふえた場合の船舶の手当てであるとか、そういったことについて事情をいろいろ懇談会の場でお聞きしておるわけでございます。
 そういう御要望を一つの材料にいたしまして、また事務局といたしましては、関係各局といろいろ連絡をとって、今後どの程度の船舶が必要になるか、あるいは船員数が必要になるか、それが架橋後にどのように減るかというような基礎的な作業をいろいろやっておるわけでございまして、次回の段階では、旅客船協会の方からどういう見通しになるのかというような事情もお聞きすることにしておりますので、そういったものを踏まえて、できるだけ早く結論を出していきたいというふうに思っております。
#139
○三木忠雄君 この問題についてはまた別な機会に論議をしたいと思いますけれどもどうも対応が遅い。あるいは将来の問題について旅客船協会の人、あるいは海員組合の人たちは非常に不安を持っているわけですね。この点についてはひとつできるだけ早い処置を、あるいは基本方針を早く設定するということが大事じゃないかと思うんですけれどもね、この点について強く要請をしておきたいと思うんです。
 最後に、お約束の時間が来ましたので、あと一、二点だけちょっと伺っておきたいんですけれども、海上保安庁で航路標識の整備状況ですね、これはどういうふうな実情になっていますか。
#140
○説明員(高橋顕詞君) これはたとえば……
#141
○三木忠雄君 簡単に言ってよ、もう時間がないから。
#142
○説明員(高橋顕詞君) はい。
 整備状況と申しますと、施設か何か。それとも整備の方針でございますか。
#143
○三木忠雄君 整備状況といえば、整備状況だよ。
#144
○説明員(高橋顕詞君) まず五十二年度の整備の方針を申し上げますと、電波標識としまして、大きなものとして、御承知と思いますがデッカチェーン、それから東京湾の交通問題等いろいろとございますが、東京湾の海上交通情報機構、こういったものが大きなものでございます。それから各港湾の港湾標識とか、それからいろいろな障害に対する障害標識、これら光波標識になりますが、こういったものを重点的に整備していく……。
#145
○三木忠雄君 それでこの航路標識を五十一年には何ぼですか、灯台が八十五、灯浮標が十九、電波標識四、海上交通情報機構が一つで、合計百九、五十億か六十億の予算でやる計画になっているわけですね。五十二年の予算要求した時点においてこの航路標識――灯台とか灯浮標、電波標識等は、日本じゅうでどうしてもやらなきゃならない個所数というのはどのぐらいあるんですか。
#146
○説明員(高橋顕詞君) どうしてもやらなきゃならないという点が、毎年の時点と絡んでちょっと一言で申し上げにくいんですが……。
#147
○三木忠雄君 要求をしたときわかるだろう。五十二年の起点の数字があるだろうが……。
#148
○説明員(高橋顕詞君) これは整備の方針としましてふえてくる船舶の数、それから予想される海難の可能性、こういったものをにらみまして毎年度整備しているわけでございます。ですから、ある年度で落ちたものがこれは全く要らないんだとか、そういうふうには言えないわけでして、必要なもののうち、緊急度のあるものから毎年順次整備していく、こういうことになっております。
#149
○三木忠雄君 私は、時間がないから端的に言いますとね、航路標識で必要最小限といいますか、たとえば百なら百つくらなきゃならないと。ところが、海上保安庁の予算のこれ問題のとり方にもあるんですけれども、航路標識というのは安全航行の上で非常に大事な問題でしょう。パーセンテージの積み上げでこうとっていく。たとえばいままでの推移を調べてみますと、確かにこれは海上保安庁だけ全部予算がとれるわけじゃないわけですけれども、昭和四十五年にたとえば二十四億で灯台が百十五できたわけですよ。ところが、人件費、物件費、いろんなことが上昇しております関係で、たとえば五十一年までにはどんどんどんどん予算はもう――予算の伸び率と、この灯台等を含めた航路標識ができる数字とは逆比例しているわけですよ。同じような率で伸びていって設置できるような関係にはなっていないわけですね。
 ここら辺から考えますと、やはり安全問題等を考えたときに、それほど大きな金額がかかるこの灯台の設置とか灯浮標の設置の問題ではないわけですね。こういうところの問題についてはやはりこれは運輸省全体の問題になってくると思うんですけれども、運輸大臣、こういうところに予算を早くつぎ込んで、そして――公共事業の景気刺激だとかいろんなことを言っているけれども、早く公共事業の景気刺激の一環を担うんであれば、こういうところに予算を投入すべきじゃないかと私は思うんですよ。
 時間がないから一方的に言ってみますけれども、たとえばこの予算を見ましても、六十五億で八十基ほどの灯台をつくると言うけれども、実際に六千万とか七千万、あるいは五千万の小さな仕事でしょう。こういう点から考えますと、大手と中小企業の割り当て数字から見ましても、灯台のこういう小さな工事まで運輸省として大手業者に委任をしなけりゃならないような仕事がそんなに多いのかという感じを実は受けるんですよ、この点についてどうですか。
#150
○説明員(高橋顕詞君) これは、御指摘の点は、大手業者の数がかなり多いということでございますけれども、たとえば灯台の体をほかの場所でつくって、それを海の上を運んでいって置くというような工法をとらなけりゃならない、こういうようなものがございます。こういうことになりますと、やっぱり起重機船のような技術的設備を持った大手業者でないとできないと。こういうことでございまして、いまおっしゃいました数千万以下というようなものは大体中小へいっておりますが、場合によってそういう大手業者でなければ技術上できないというものが出てくるわけです。
#151
○三木忠雄君 これは、きょうは時間がありませんので、細かく私別な機会に一遍、実際調査し、耳にしている問題が数多くあるわけです。したがって、きょうはここで指摘しませんけれども、これは港湾局にも、わが党の中尾委員がこの前予算委員会でも指摘をした。やはり運輸省の発注工事の中に、中小企業向けの発注というのは非常に比率が少ないんですよ。それは確かに安全という問題、技術という問題を私は決して無視するわけじゃないんです。
 しかし、どこの港湾へ行っても下請業者が実際やっているわけですよ。やれる仕事まで大手に発注して、まあ悪い言葉で言えば、もう系列化してしまっているという、こういう実例が非常に多いということは、運輸省関連事業というものが、運輸省発注工事の中に非常に占める割合が多いんですよ。こういう点を私は改めなければならないんじゃないかということ。中小企業向けの官公需をふやすという意見が閣僚会議ではいろいろ出るけれども、運輸省の実態はそうではないということを、私は港湾にしろ、たとえばこの灯台の問題にしろ、あるいは鉄道の問題にしろ、いろんな点が指摘をできるわけです。
  〔理事瀬谷英行君退席、委員長着席〕
 したがって景気浮揚、あるいは中小企業の官公需の拡大という問題についても、運輸省の姿勢を改めるべきではないかという点を私は強く感ずるわけでありますけれども、この点については運輸大臣の見解を伺って、時間がありませんので質問を終わりたいと思うのです。
#152
○国務大臣(田村元君) この前、予算委員会でも同じような御指摘を受けたわけでありますが、私は、特にこれは港湾局長にでありますけれども、建設業者というものは大きかろう、よかろうというものじゃあるまい。一遍、中小企業というか、零細企業というか、いわゆる俗に言う県内業者と言われる業者たちにどんどん渡していくということを検討してみたらどうか、こういう指示をいたしました。
 港湾なんか、とりわけ非常に特殊な工事、埋め立てその他大変な工事がありますから、一概に道路工事とか、一般の河川工事のような感覚で見るのもいささかちょっと酷ではあろうと思いますけれども、先ほど御指摘のとおりですね。しかし、現実に下請というのがおっしゃるようにやっておる事例が多い。しかし、下請がやっておるというけれども、その安全は大企業が担保しておるのじゃないかという意見もあるかもしれません。けれども、下請でやれるものなら、もうダイレクトにやらしたらどうだというのが私の意見でありますので、先般の予算委員会の御指摘の直後に強くこれを指示しておきました。これからも十分気をつけるようにいたさせます。
#153
○三木忠雄君 一点だけ追加で。
 私は、何も大手が全部悪いと言っているわけじゃないのですね。やっぱり大手でなければできない部分は確かにあるんですよ。しかし、地方の小さなところまで実際に、いまの大臣の答弁じゃないけれども下請業者でやれる。もしできなければ、将来にわたってそういう県内業者でも技術指導して、中小企業でもできる分野をしっかり運輸省もつくらなければならないと思うのです。そうしませんと、やはり工事に対する不信感、手抜き工事、いろいろな問題点が、下請の中で意図的な問題が出ることになってくるのじゃないか。この点がまた安全面からも、あるいは労務対策上からも非常に問題になってくるのじゃないかということ、あるいはコスト的な問題からも、公共事業の発注の問題でいろいろな問題点が非常に出てくるのじゃないかということを私は強く考えるので、実はもっと時間があれば具体的に指摘をしたいと思ったわけでありますけれども、そのことを強く要望をして、私の質問を終わりたいと思います。
#154
○安武洋子君 本法案は、海上安全船員教育審議会、そこの中の海上安全部会、ここで論議をされておりますけれども、漁船側からの主張として、この中では「総じて漁船側は、沿岸漁業の不振に加え、海上交通量の増大に対応して、海上交通法規が益々細密化してゆく傾向自体を、不満とする空気が強かった」、こういうふうな指摘があります。具体的には「第九条三項のように、狭い水道等で漁船が少しでも規制を受けるようでは、沿岸の零細な漁業は成り立たない」。また「第九条五項のように、狭い水道等を他船の通航を妨げないで横切ることは、一日に千数百隻の商船が往復する瀬戸内海などでは、自分の漁場に通うことすらままならぬ状態で、非常な不便と危険を感じている」、こういう指摘がされているわけです。
 このような漁船側の主張に対して海上保安庁、水産庁はどのような見解を示されたのか、お伺いいたします。
#155
○政府委員(薗村泰彦君) いま安武先生から、主として漁業者側からの御意見というものが提出された経緯をお示しになりました。ちょっと先ほども申し上げましたとおり、実は、海を利用して一方には漁業という生業の場がございますし、片一方では商船を初めとして一般交通の場として利用しているグループの人たちがございます。私どもは両方の、ある場合には利害を調整しなければならぬ場合もございますし、また、この法律に関しましては、条約に決められているとおりのことを国内法化するということだけでありまして、私どもどっちの味方をするわけでもございません。不偏不党ですけれども、国際規則をそのまま御理解を得ること。
 それから、いまお話が出たような一、二の点については、たとえば狭水道の話ですね、現在の法律と何にも変わっていないのだということを、皆さん全部に御理解を得ることが私どものとるべき態度だと思って、時間をかけてそういう機会をつくってやってきた、そして、この法案を用意したということでございます。狭水道の場合など特にそうだったと思いますが、そういうことが、原則であるとお答えいたしたいと思います。
#156
○安武洋子君 漁船側の主張について、私は特に検討しなければならないと思うのは三点あると思うのです。一つは、沿岸漁業の振興です。一つは、狭い水道での安全操業の問題です。それから一つは、安全航行の問題だと思うわけですけれども、たとえば瀬戸内海ですね、ここでは淡路島付近といいますのは漁場の宝庫なんです。同時に、タンカーとか、カーフェリーとか、商船、これが頻繁に航行している地域です。すなわち、狭い海域にたくさんの船、特にタンカーとか商船が通航するために、漁民が安全操業が非常にやりにくく、沿岸漁業の存立基盤というのが非常に縮小されている。こういう地域であるわけなんです。ですから、いま二百海里時代を迎えているわけですけれども、漁業の振興が叫ばれて、沿岸漁業をどう振興していくかということが見直されている中で、特にこういうふうな沿岸漁業が存立基盤を奪われつつある、危機に瀕しているというふうな問題は大変重要な問題であろうと思うわけです。
 私は、この問題の背景としては、瀬戸内海沿岸にコンビナートが林立をしているというふうな産業立地の問題があると思うわけです。あの風光明媚な、特に漁場の宝庫と言われる瀬戸内海にコンビナートを林立させてきた、こういう狭い水域を巨大船が通らなければならないようにしてしまったというのは、私はやはり自民党政府の大企業優先、それから環境破壊、こういう政策が、漁業をここまで追い込んでいった沿岸漁業切り捨ての姿勢だろうと思うわけですけれども、いまこそこういう姿勢を見直していただかなければならないというふうに思うわけです。
 で、私は大臣にお伺いしたいと思うわけですけれども、沿岸漁業についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。それからまた、漁民の切実な要求にこたえる姿勢をお持ちなのでしょうか、この点をお伺いいたします。
#157
○国務大臣(田村元君) 私は大変幸せな男でありまして、私の選挙区は沿岸漁民ばかりでありまして、まだコンビナートが林立いたしておりません。全然ありません。でありますから、沿岸漁民いちずに今日まで考えてまいりました。
 この問題につきましても、運輸大臣になりますまではきわめて批判的な立場をとっておったことを白状いたしますが、しかしこういう問題は、仮に二つの意見があるとすれば、足して二で割るべきではない。航行安全ということが基本になりますから、その考え方の根幹を失うことなく、いろいろと話し合って航行安全を保っていくということが必要であろうと思います。その意味において、沿岸漁民側の私もこの案に賛成をいたした次第であります。
#158
○安武洋子君 私は不幸せながらコンビナートが林立している選挙区なんです。
 そこで、私は明石の林崎の漁業組合の皆さんの御要望を聞いたわけなんです。この中で皆さんの御要望は、一つは、海難事故というのは夜が非常に多い。これは統計の中でも昼の事故に比べて夜は二倍になろうか、船がたくさん通っている場合では三倍になろうかというふうな統計も出ているわけですけれども、夜に漁に行きますと、はるか向こう見えていた灯が急に目の前に迫ってビルがのしかかってくるような感じだ。これで事故が起きないのは不思議だと言われておりますけれども、ぜひ夜間航行は巨大船については禁止をしてほしい、大型船については禁止をしてほしいと、こういう要望が一つ出ております。
 それから、明石海峡の航路でも大型船、巨大船、これのスピード制限をしてほしい、こういう要望が出ております。巨大タンカーでもいま十六ノットぐらいの速度で走っているというふうなことで、あの戦前の帝国海軍の艦隊ですら、この明石海峡を通るときには速度を落としていった。あの帝国海軍よりもまだいまの巨大船、商船は横暴である、こういうふうな意見が出ております。
 それから三番目には、巨大船の水先案内船ですけれども、漁業中の漁船に避難するようにというふうなことを言われても、わずか前を五百メートルから千メートルのところを走っているので網を上げる暇がない、もう少し早く知らせてほしい。こういうふうな要望が出ておりますけれども、この要望についておこたえくださいますでしょうか。
#159
○説明員(山本了三君) 明石海峡につきましては、漁業と船舶交通が錯綜しておるということが言える海域の一つであります。
 第一点といたしまして、夜間の明石海峡における巨大船の通航を制限してほしいという要望があったということでございますけれども、夜間におきます船舶の航行を制限するというのは、やはりその航路の状況、あるいは通航船舶の実態とか、いろんな安全上の問題を慎重に審議し、たとえば漁業との調整をいかにすべきかといったようなことを十分検討しなければならない問題でございますけれども、現在私どもは明石海峡においては、先生御指摘のような場合もあろうかと思いますけれども、夜間の漁船の操業状態、あるいは船舶の通航状態、こういった点を考慮しても、大型巨大船を現時点で通航制限をいたす、そういうような事態には現在まだなっていないというように、一応判断をいたしております。
 第二の点でございますが、明石海峡におきまして巨大船等の速力が非常に大きい、上限規制してもらいたいというような要望があったということでございますが、昭和五十二年の一月に海上交通安全法の見直しを行いまして、省令の改正を行いました。現在設定いたしております十一航路における速力制限の区間をどうしたらいいかということを検討いたしたわけであります。この検討におきまして東京湾の中ノ瀬とか、あるいは備讃とか、そういったところで速力制限区間を増加いたしまして、このときに私どもは明石海峡をどうしたらいいかということを関係者と鋭意協議いたしたわけでございます。
 その協議、検討の結果は、明石海峡におきましては、現時点では速力を抑えるということは必ずしも安全につながらないという結論になりました。そういう結論を踏まえまして、明石海峡は速力の制限を行わなかったということでございまして、漁労の実施と、それから巨大船の航行、この双方の安全関係といいますか、これを十分考えた上でこういう決定を五十二年一月の段階では下したということでございます。関係者の意向を踏まえておりますので、そのように御理解いただければありがたいと思います。
 進路警戒船を配備をいたしまして、明石海峡は巨大船が通るわけでございますけれども、その進路警戒船が千メーターくらいのところを通る。したがって、千メーターぐらいのところに来てどいてくれではどく暇がない、だから危ないんだ、こういうことを漁業者の方が言っておるということでございますが、私ども、明石海峡等におきましては、関係漁業団体に指導警戒漁船というものを配備させるということにしております。
 これは、こういった巨大船等が通過いたします場合に、前広に操業船舶に対してその通航を予報し、避難を指導するというようなものでございますけれども、そういった制度もやっておりますし、それから海上保安庁から、巨大船の通航等についての連絡も関係漁協にはいたすということにしております。いろんな手を使っております。したがいまして、この千メーター前を通ります進路警戒船のみによって避航を指導しておるというわけではございません。したがいまして、こういったいろんな手段を尽くしまして、航路周辺で操業をいたしております漁業船舶と巨大船の通過に伴うその安全問題、これを解決を図っていきたい。これからもそうしてまいりたい、そのように考えております。
#160
○安武洋子君 明石海峡で実際に仕事をされている漁業者の意見をお聞きになったことがございますか。一方的な判断をしていただいて、私どもはそういう必要がないのですというふうにお答えいただくのは私は困ると思います。ここのところでは漁民の方どういうふうにおっしゃっているかといいますと、明石海峡を漁場とする漁民の方は、毎日命がけなんだ、こうおっしゃっているわけです。ここが特定水域になってから漁師にとってよいことは何一つないのだ、こういうふうにも言われております。
 ですから、浦賀水道とか水島水道では、海交法によって船舶は十二ノット以上で走ってはいけないというふうになっているわけですけれども、明石海峡だって、漁民の方は六ノットぐらいで走ってほしい、帝国海軍よりも無謀なんだ、この速力では危ないのだというように実際仕事をしている人が言っているわけなんです。それが速力を落とすのが安全につながらないという、どういうところでそういう御判断が出るのか大変疑わしいわけです。
 それで、私はひとつここで明石海峡で起こった事故を例に挙げたいと思います。これは四十九年七月十九日の午前五時十五分、明石海峡の航路の中において漁船の「明石丸」、これはミトンです。それからリベリア船籍の原油タンカー「ラコーニック号」です。これは船の長さが二百四十メートル、ですから海交法の巨大船に当たりますけれども、これが衝突しているわけです。漁船はメバルとかアナゴとかの底びき漁業、これは操業中だったわけです。「ラコーニック号」といいますのは八ノットで姫路に向かっていたのです。そしてこの「ラ号」の前を、警戒船が五百メートルから千メートルのところを航行していたわけです。これは天気静穏なんです、この日は。
 この「ラ号」は、右前方に二隻の漁船を認めたわけです。ですから、あわてて船首を左に転回したのです。そうすると、この左の方に「明石丸」がいて、その「明石丸」の船尾の引き綱に接触して「明石丸」は転覆して、そして乗組員は投げ出されてしまった。船は大破して、この方は後遺症のために二年ほども通院されるという大変な状態になったわけです。この事故については、高等海難審判庁で裁決がされております。これは五十二年の二月ですけれども、漁船側が、海上衝突予防法第九条八項に規定する形象物を掲げるべきであったのにこれを怠った。だから、同人の運航に関する職務上の過失によって発生したものである、こういうことで、漁船側が一方的に悪いという判決が出ているわけですけれども、このとき非常に多数の漁船が操業中だったわけです。
 この明石海峡の操業というのは、まさにこの例で見られるように命がけのわけなんです。八ノットの速力、こういうのは巨大船にとっては比較的緩やかな速度なんです。しかし、操業中の漁船を認めたけれども避けることができなかった。この巨大船には水先人が乗船しておりますし、また進路警戒船による警戒もやっていたわけです。でも、漁船を避ける余裕がなかったということをひとつお考えをいただきたい。
 それから漁船は、この底びき網漁業を行うために網を投入して、引き綱を四百五十メートル繰り出して一・三ノットで進行しているんです。一たんこういうふうになりますと、操業を開始した漁船というのはほとんどその航行能力においても大きなハンディを負うわけなんです。だから、こういう点で現在の海上衝突予防法の第二十六条で、漁船に接近する場合の航法として、「漁ろうに従事している船舶以外の航行中の船舶は、漁ろうに従事している船舶の進路を避けなければならない」、こういうふうに定めているわけです。しかしこの海難審判では、漁船側が、漁労中の形象物を掲げていなかった、こういうことで、タンカー側の、相手船が形象物を掲げていなかったために漁労船かどうかわからなかった、こういう言い分を全面的に認めているわけなんです。
 この事故で教訓を得たのかどうかしりませんけれども、明石近海、淡路周辺では、もう漁労中でないにもかかわらずずっと形象物を掲げっぱなしと、こういう漁船もたくさんあるわけなんです。ですから、私はこの事故の例から見ても、やはりこういう林崎漁協の皆さんの要望というのは、巨大船の方ばかりを優先するのじゃなく、せめてこれぐらいの要求は聞かれるべきだと、こういうふうに思いますけれども、いかがなんでしょうか。
#161
○説明員(山本了三君) 昭和五十二年一月に海上交通安全法の省令の改正を行ったと先ほど申し上げましたが、五十一年一月でございますので訂正をいたしておきます。
 この五十一年の海上交通安全法の省令の改正の場合でございますが、先ほど関係者と鋭意協議をいたしましてそういう結論になりましたと、こういうふうに申し上げましたが、そのもちろん協議をいたしましたメンバーの中には漁業者、漁業関係者、これは含まれております。で、漁業関係者と申し上げましても、中央の漁業関係者だけではなくて、地方の漁業関係者も当然に入っております。たとえば明石海峡の漁業組合の代表者も――そういう漁業関係者と協議をして……
#162
○安武洋子君 いまのところおかしいです、文章つながらない。明石海峡の何とおっしゃったのですか、そこもあるのですか。
#163
○説明員(山本了三君) 明石海峡とか、その他の漁業関係者の意見も組み入れて、こういう……
#164
○安武洋子君 入ってないでしょう、明石海峡は。入っていますか。
#165
○説明員(山本了三君) 入っております。
#166
○安武洋子君 出席しているのですか。
#167
○説明員(山本了三君) 審議会には、海上安全船員教育審議会の席上の委員としては入ってはおりません。しかし、全漁連の関係のいわゆる安全の担当者としてそういうところの人たちが入って、こういったものに対して審議をやっております。そういった意味で入っておる、私はこう申し上げるわけでございますけれども、そういう手続を経て、ここが速力を制限すべきかどうかということを関係者が十分協議をいたして、で、ここははずした方がよかろうという関係者の意見を尊重してこの決定を下したと、そういうことであります。
 それからその次に、リベリアのタンカーと漁船「明石丸」の海難の御説明がございましたが、審判庁が漁労中の形象物を掲げていなかった、したがって、漁労船と認められないということから、漁船側の過失といいますか、これを認めたという裁決になっておりますけれども、衝突予防法のそういったいわゆる漁労船としての資格、あるいは新しい衝突予防法にもいろいろな船の何といいますか、操縦性能制限船とか深喫水船とか、いろんな操縦性能を制限された船舶の燈火とか形象物が定められておりますけれども、そういった船舶は、そういう燈火なり形象物を掲げることによって、自分の船のいわゆるその船舶に該当するという表示をいたして他船の注意を喚起し、航行の安全を図ると、そのようになっております。
 したがいまして、この「明石丸」の場合にはそういった裁決が出たわけでありますけれども、私どもといたしましては、こういった形象物あるいは燈火の表示、あるいは掲揚、こういったことも含めて、あるいは巨大船等が明石海峡に近づくということの予告といいますか、そういった方法をこれからもよく徹底させまして、で、漁船と巨大船の航行の安全といいますか、これを今後とも図ってまいりたいと、そのように考えます。
#168
○安武洋子君 いまね、全漁連の幹部が入っているから漁民の要求はみんな聞いたというふうなおっしゃり方ですけれども、全漁連は全国のいろいろな漁民の要求があるわけです。ですから、私は細かく明石海峡に限ってこういう要求もありますよと、こういう要求について聞く姿勢がないんですか。こういうふうに漁民の人は毎日が命がけなんだと、せめてこれぐらいはしてほしいというふうに要望を新しく出しているわけですよ。五十一年に検討したからもう検討しなくていいと、そんなものじゃないと思います。いま大臣は漁民の要求を聞こうと、こういう姿勢を持っているとおっしゃったのに、新しくこういう要求がありますということを私が申し上げているのに、もう検討しているから、全漁連から聞いたから、もうそれは検討しないんだと。検討する姿勢をお見せになるのが私は至当だと思いますけれども、いかがなんでしょうか。何でしたら大臣お答えくださいませ。
#169
○政府委員(薗村泰彦君) 私ども何も一部の、部分的に何か耳を傾けなくて、何も聞かぬということを申し上げておるんじゃないんです。やっぱり皆さんの意見を聞くときにはそれ相当の手続がありますし、組織がありますし、どこまでも一人いろいろとこういうことになりますと、かえってどうもこの取りまとめができないというようなことがありますんで、ひとつその辺は適当にまた御勘弁を願わなければいかぬこともあると思います。この問題どうも、先生に御説明するのが余り専門家過ぎてまずいんですけれども、要するに五十二年一月に検討したばかりなんですけれども……
#170
○安武洋子君 五十一年でしょう。
#171
○政府委員(薗村泰彦君) 五十一年一月に。そのときに私も経緯を知っております。よく存じておりまするが、いろいろ検討したわけです。それで、要するに明石海峡というのは、私ども素人ですから端的に申し上げるんですけれども、スピードを落としたら潮の流れがきつくて流されるというんですよ。
#172
○安武洋子君 違います、違います。
#173
○政府委員(薗村泰彦君) そうですか。
#174
○安武洋子君 そんなこと言ってもらったら困りますよ。だからね、もう少しね……
#175
○政府委員(薗村泰彦君) いや、ちょっとお待ちください。それは専門家にまた正しく答えさせますが、そういうことでありまして、私ども一部の人の意見を特に聞かないとかなんとか言うんじゃございません。明石海峡においてはそういう御意見があるということも、私どもこれは現地に五管本部もございますし、いろいろ出先機関もありますんでこれはわかっているわけです。しかし、そういう手続、組織で御意見を承った場でいろんな要素を考えて、明石海峡はそのスピードを落とすことがほかの備讃瀬戸、中ノ瀬と比べてちょっと事情が違うぞということで判断した事情を私その当時のことを覚えておるわけでございます。
#176
○安武洋子君 その判断基準が違っているということをいまはしなくも暴露なさったわけ。ですから、私はせめてこれくらいのことはお聞きになったらいかがでしょうかと、交通安全を願われている立場なんですよね。漁民が一番よく知っている。交通安全はこうしたらせめて守られるんじゃないかと、自分たちが命がけで漁業をしなくてもこれで何とかいけるんじゃないかという意見を出しているんです。なぜお聞きにならないんでしょう。大臣、いかがでございますか。
#177
○国務大臣(田村元君) 地域のことでございますから、私はその辺のことを存じませんし、先ほど来の警救監の説明もあることでございますので、一度私自身警救監に一遍聞いてみたいと思います。
#178
○安武洋子君 検討をするということで確認させていただいてよろしゅうございますか、こういう要求は。
#179
○国務大臣(田村元君) 検討するのかしないのかということを一遍検討してみたいと、こういうことです。
#180
○安武洋子君 あの、そんな日本語は私よくわかりませんので、こういう要求が出ているので、私はこういう要求については本当に実行するものかどうかということは検討していただかないといけないと思う。それはあたりまえのことだと思うんです。そういう検討をしていただけますかということをお伺いしております。
#181
○国務大臣(田村元君) 警救監や長官の話では、すでに十分検討した上でこのように決めたと、こういうことでありますから、すでに検討をしたということがどういう検討をしたのか、それを私はまず聞いてみなきゃしようがない、こういうことです。
#182
○安武洋子君 友ケ島の水道につきましても同じような要求が出ております。これは、安全操業するために巨大船のスピードを落としてほしいという要求なんです。といいますのは大型船、巨大船が通りますと横波をくらうというふうなことで非常に危ない。しかも、海が濁って漁業に差し支えると、こういうふうな意見が出ているんです。
 私はさっきから一貫して言っているのは、そこで御仕事をなさっていらっしゃる方が、せめて仕事がしやすいように、安全になりたいからということで出している要求です。ですから、安全操業を言われ、漁業を大切にすると言われるなら、こういうことは、なるほどそういう要求もあるのか、検討してみようと、こうおっしゃるのが私は至当だと思いますけれども、この友ケ島の要求も検討していただけますでしょうか。
#183
○説明員(山本了三君) 友ケ島水道におきまして、航行船舶の速力を制限してほしいという御要望でございますが、そういう要望があるということは一応承知をいたしております。ただし、この速力の制限をすると申しますと、やはり一般船舶の何といいますか、自由通航権を制限するといいますか、そういったものですから、やはり法律でやらなければならないと思いますけれども、海上交通安全法のいわゆる航路内でございますと、そういった制限を付するということが法的に可能になってまいります。
 しかし、ここは海上交通安全法の航路になっておりませんので、法的にはその制限をすることはできない、むずかしいということであります。しかし、行政指導ではそういったことが可能になります。で、私ども友ケ島水道におきましてどういった船舶が、現にそういった漁労船舶に対して安全上の懸念を与えているかといったことについてさらに検討いたしまして、行政指導で、必要あればそういった指導を行ってまいりたいと、そのように思います。
#184
○安武洋子君 法案の中に、分離通航方式、こういう方式を採用されておりますけれども、これは具体的にどのような航路に採用されるのか。これが一点です。
 それからこの十条七項、これと八項の関係でお伺いいたしますけれども、先ほどの事故の例の漁船の場合です。この場合は、漁船は長さが十メートルの木造漁船なんです。こういう場合は、漁労中ということであれば七項、それから二十メートル未満、こういうことであれば八項の規定をそれぞれ受けるのかどうか。それから分離通航帯での操業はどういう位置づけになるのか、このことをお答えいただきます。
#185
○説明員(山本了三君) まず第一点目の分離通航方式をどこで採用するのかという点でございますが、現在わが国といたしましてといいますか、海上保安庁といいましょうか、海上衝突予防法で定めますこのIMCOの承認を得た分離通航方式は、日本の周辺海域では設定するという考え方はございません。したがって、明石等の海上交通安全法の航路は、このいわゆる衝突予防法でいう分離通航方式ではないということであります。で、そういった関係でありますので、この十条の七項、八項というのの適用はないということであります。
#186
○安武洋子君 友ケ島水道いいますのは、これは五十年の八月一日から第五管区海上保安部の航行についての勧告、こういう措置がとられております。これは友ケ島水道に一定の中心線を引くと。そして、それぞれ中心線から百五十メートル以上離れてそれぞれの右側を通行すると、こういうことが定められておりますけれども、この勧告の法的な位置づけ、これは何なんですか。
#187
○説明員(山本了三君) 海上保安庁が行っております行政指導であります。
#188
○安武洋子君 法的な位置づけはありませんのでしょう。今後このような勧告措置でなくて、本法案の分離通航方式、こういう形で実施するつもりがおありなんですか。
#189
○説明員(山本了三君) 現在、五管区で行っております行政指導の結果を注視いたしておりますけれども、現在のところこれを法的に通航分離帯を設けるとか、そういった考え方はいたしておりません。
#190
○安武洋子君 こういうようなときには、法的な位置づけがなくってもいろいろとおやりになって、安全のためだとおっしゃる、こういうふうな漁民の要求がいろいろ出てくると、そうするといろいろと理由を言われて検討することすら渋られる。しかし、先ほど検討というお約束をいただきましたので、その検討の結果を私はお待ちすることにします。
 次に伺いますけれども、私は五月の九日、第五管区海上保安本部をお訪ねしたんです。といいますのは、これは大阪湾にひそかにグリーンベルト、こういうものを引くという構想をお持ちだということを聞いたわけなんです。私は、保安本部に資料をお出し願いたいということを申し上げましたけれども、お出しいただけないというふうなことで第五管区をお訪ねしたわけです。ここで大変渋っておられましたけれども、最終的には保安本部として、航路区域と漁業区域を分離する計画を進めているというふうな御説明を受けました。
 これは大阪湾のグリーンベルト構想ということで、第五管区の航行安全課では具体的に線引きをなさっていらっしゃるということで、漁連の幹部や単位漁協の組合長、ここに提示をして、これでいいかということでお返事を待っていらっしゃるというふうなことなんです。本省の方にもこのことは連絡をしたというふうに聞きました。これは大阪湾全域に、海交法に基づく航路設定を行うという大変な計画なんですけれども、その具体的な内容、これをお示し願いとうございます。
#191
○説明員(山本了三君) 先ほど五十一年一月に海上交通安全法の見直しを行ったと申し上げましたが、そのときに東京湾におきまして、東京湾の船舶交通の整理ということにつきまして、関係者の審議を仰ぎまして答申をいただきました。そういった経過もあるかと思いますけれども、先生御指摘のとおり、大阪湾の船舶交通の安全と漁業の調和と、こういったテーマを解決すべく、先生御指摘のような、大阪湾グリーンベルトと通称いたしております航行安全対策上のルートを設定したいという考え方があります。
 これは海上保安庁全体にあるという考え方よりも、むしろそういった考え方も検討のいわゆる価値があるということで現在検討を進めておるというところでございますけれども、この案自体はまだ本格的に海上保安庁としてとか、あるいは運輸省としてとか、そういったところで固まったという案ではございません。一つの試案でございまして、こういった考え方でそういった大阪湾の船舶交通と漁業の調和が図れるであろうかと、そういった検討をしようということで漁業組合の幹部に提示したり、あるいは一般船舶の商船の会社に提示したり、あるいはそういう打診をしておるという段階であります。
 したがいまして、現在こういったのが腹案でございますという程度しかございません。余り何といいますか、固まった案ではないので提出を渋っておると思いますけれども、そういった程度のものでございますので御了承いただければありがたいと思います。
#192
○安武洋子君 その案は具体的に単位漁協なり、それから漁連の幹部などにお示しになっていらっしゃるわけです。これでいいかどうかと、こういう線引きでと、いうことになりますと、これは返事を待つという段階になっておりますんでしょう。ですから、こういうふうな線引きをしておりますと、こういう構想ですということをお出しくださいということで私は御質問しているんです、それをおっしゃってくださいませ。
#193
○政府委員(薗村泰彦君) 私ども、先ほどからもお願いしておりますように、狭い日本の沿岸周辺の海域を、漁業と海運とがいかに上手に使い合うのかということがもう一番大事な日本の国に与えられた宿命みたいなものだと思いますんで、特に私どもの仕事としても、その利害関係の調整ということをいろいろ考えながら海上交通安全を図っていかなければならぬというのがいつもの私どもの仕事なんです。
 それで、東京湾についてもやはり海上交通がふくそうしてきますので、現在の海上交通安全法の措置だけではどうも不十分だということで、観音崎に海上交通センターの施設もつくって、レーダーだとかも設置しましたんで、そういう施設を使いながら、東京湾を一方通行にしたいというのは、私ども実は考えているんです。それで、海上交通安全法をどう変えたらいいかというようなことを東京湾でやりたいと思って、先ほどからもお話が出ている海上安全船員教育審議会にこれは正式にお諮りしたんです。
 遺憾ながら機いまだ熟せずというか、そういう必要もわかるけれども、漁業関係の方の、その東京湾でまだ魚をとっているんだと――まだじゃないです、今後も大事な仕事としてとっていくんだという方の御賛同が得られなくて、いまのところ、その計画はとまっておるということでありまして、そこで先ほど五十一年の一月にスピード制限を、瀬戸内海のところと中ノ瀬についてやったと申しますのは、実は法律が手につかないから政令、省令で速力制限をやったわけです。速力制限のときには、先生から漁業関係のお話が繰り返しございましたが、実はまた一方では海上交通の立場から、瀬戸内海を夜、旅客船に乗って高松だとか九州から神戸や大阪に着きたいという人があって、部分的にですね……
#194
○安武洋子君 グリーンベルト構想を聞いているんですよ。
#195
○政府委員(薗村泰彦君) はい。カーフェリーを利用する旅客の人たちの反対もあったと、しかし、政省令でできることはやったわけです。東京湾についても法律でやりたいことが、実はそういう皆さんの利害関係の調整が済まないからということで、私ども東京湾の一方交通もまだ手がついてない、中止しているという段階ですが、大阪湾についても、いずれふくそうしてくる事態を考えたら、やっぱりある程度漁業と海上交通の両立を考えなければいかぬぞというのはこれは当然のことなんで、五管はその点についても二案を立てて、関係の方の御了解を得られるかどうかということをいまやっているということでありまして、決して漁業を踏み台にして交通だけがまかり通るということではありません。
 そういう漁業の方も立ち行くように、海上交通も大阪湾を利用できるようにということで、両々相まってやれる利害調整の場がないかということを模索している、計画しているという五管の本部の立場でございますんで、そういうことを関係の方々の御了解を得るということがまず先だと思いますんで、いま国会のこの大事な場で先生にお目にかけるというようなまだ計画になっていないということを申し上げたいと思います。
#196
○安武洋子君 グリーベルト構想について、具体的にもう提示をなさっていらっしゃる、現場ではこういうふうになってしまうんだというふうに受け取っているわけなんですよ。それで、私どもはこのグリーンベルト構想については基本的に重要な問題があるというふうに判断しているわけです。
 まず第一番目にどういうことかと申しますと、瀬戸内海で友ケ島水道から明石海峡に向けて一本の大きな航路を指定して引いてしまう、しかも、大阪湾の方にも引いてしまう、そして、大阪湾から明石海峡につなげていくと、こういうふうなことをしますと、ここの航路内での漁業操業ですね、これはもう大きな致命的な打撃を受けるわけなんです。たとえば淡路における漁船漁業では小型機船底びき網漁業、それから機船船びき網漁業、こういうようなのがあるわけです。それから引きなわ漁業、こういうのが主流なんですけれども、引き網による生産高、これは漁船漁業の五〇%を超えているわけなんです。
 この漁業といいますのは、船団を組んでやるわけなんです。二そうの船が前に行きまして、そして網をずっとたれて走っていくというふうなことですから、これは潮に逆らって、しかもいそに沿いながら、走っていくわけです。ですから、ここは航路だということでその航路を避けることはできないんです。そういうことをしていると漁業は成り立たない。こういう大きな航路指定がされますと、成り立つのは一本釣り漁業ぐらいというふうなことになりまして、引き網漁業というこの網を引くような漁業というのは、もうこの区域ではできないというふうなことになってしまおうかと、こういう重大な問題なんです。そして、私どもはこういう大きな計画、これを水産庁にお示しになったかどうか、大変疑問に思っているんです。
 水産庁にお伺いしますけれども、こういう計画が進んでいることを水産庁は御存じなんでしょうか。
#197
○説明員(大坪敏男君) ただいま先生御指摘の件につきましては、早速昨日大阪府等に照合したわけでございますが、県当局も承知をしていないということでございますので、改めてその実情並びに漁民の対応につきまして調査を依頼したところでございます。したがいまして、水産庁といたしましてはその調査結果を踏まえて適切な対応をいたしたいと、かように考えております。
#198
○安武洋子君 航路の安全と漁業、この調和を図りたいとおっしゃりながら、こういうことを漁協の幹部に示している。具体的に線引きもされている。それにもかかわらず、水産庁にこのことを知らしていらっしゃらない、これは大変なことなんです。私は水産庁に、直ちに海上保安庁は資料をお渡しになるべきだというふうに思います。水産庁としても資料を取り寄せて、これが本当に漁業の振興になるのかどうかと、この漁業の見直しを迫られている時期にこういうことをやっていいものかどうかというふうなことで検討をすべきだと思いますけれども、御検討いただけますでしょうか。
#199
○説明員(大坪敏男君) ただいま申し上げましたように、私どもといたしましては県当局を通じまして地元の対応なり実情につきまして調査をいたすつもりでございますので、その調査結果を踏まえて対応を考えたい、かように考えております。
#200
○安武洋子君 その調査結果をぜひ私の方まで御報告いただきたいと思います。
 それから海上保安庁にお願いいたしますけれども、このグリーンベルト構想、これを私にぜひ資料として提出していただきたいと思います。
#201
○説明員(久世勝巳君) グリーンベルト構想につきましてちょっと再度補足的に説明をさしていただきたいと思いますのは、実は先生いま御指摘になったような問題点も当然あるということになると思いますけれども、実は本当に五管本部の試案として、一応の一つの図を書いたことはやはり検討材料としてやったわけでございます。そして、これにつきましては五管本部もいろいろ問題点があるということは重々承知しておるわけでございまして、先生の御指摘になりましたルートの設定に伴いますいろいろ漁業の障害、あるいは小型船をどう取り扱うか、大型船ばかりじゃなくて、小型の鋼船がやはり大阪とかあるいは明石、瀬戸を通るときどうやって通るか、そういうふうなルートを設定された場合にも、いろいろ小型鋼船でも、大型船と違って一般商船でも問題があるだろう、漁業ばかりじゃなくて。あるいはブイをどうして設置したらいいだろうとか、いろんな非常に問題点がたくさんあるわけでございます。
 そういう意味で一応関係者にどうだろうかと、そういうふうな考え方でいまいろいろ意見を――これは意見を求めたというよりは、このグリーンベルト構想の試案というものは、私どもとしては一応五管本部の考え方としては関係者、これはもう水産、海運、これ全部含めまして、要するに海上の生活関係者の合意に基づく自主規制ということを前提にしたらどうだろうか。いろいろまた法律上の問題でこいつをぴしっと決めますと非常に問題がありますし、またすぐ直ちに置けないということで、先ほど申しました友ケ島水道の自主規制に近いような形におきましてこのグリーンベルト構想というものをつくってみたらどうか、そういうことで、ほんとの一試案ということで関係者に提示したわけでございます。
 したがいまして、いろいろな問題点があった場合には当然その問題点を取り入れまして、その上で慎重に検討したい。このような段階でございますので、ほんとに試案の試案ということになっておりますので、私どもがまだ外にいろいろ、たとえば東京、中央においてこれを取り上げてこれがどうだろう、こうだろうというような段階にはなっておりませんので、先ほどからくどいようでございますけれども、ほんとの一試案だと、こういうふうに申し上げて、まだ五管本部においても外部には出さなくて、関係者だけでひとつ検討してみようじゃないかと、こういう段階でございますので御了承願いたい、このように考えております。
#202
○安武洋子君 そうはおっしゃいますけれども、外部にちゃんとお出しじゃございませんですか。単位漁協の組合長さんにまで出せるものが、なぜ私に出せないのですか。私は単位漁協の組合長さんよりもだめなんですか、国会議員というのは。資料いただけないのですか。
#203
○説明員(久世勝巳君) 実は私ども単位漁協に出したとか出さないとかというのじゃなくて、関係者でいろいろこれから検討したいということで、お互いに集まってたたき材料にしなくちゃいかぬじゃないかということで、たまたま地方の試案でございますので、またずっといろんなことで変わるのじゃないか、当然これからは非常にバリアブルなものである、このようにとっているわけでございますのでそのように申し上げたわけでございます。
#204
○安武洋子君 いろいろおっしゃいますけれども、本当はそうじゃないのです。私はそうじゃないというふうに断言してもいいと思います。といいますのは、これは海上の安全を図るというふうなことなら堂々とお出しになると思うんです。しかし、このグリーンベルトを設置しようというあなたたちの御意図というのは、先ほど私がこの委員会で問題にいたしましたけれども、姫路地先のあのLNG基地、ここにLNG船を導入するための線引きにすぎないというふうに思います。
 その一つの例として、大阪瓦斯はすでにLNG船航行の通過料という形で漁業補償金を出しております。金額は二億円です。うち一億円は兵庫県の公害基金、残り一億円は兵庫県瀬戸内海漁業操業安全協会の協力金とする、こういうことでお金はすでに出、そうして行き先も決まっておりますが、しかし、このいま私が申しました兵庫県瀬戸内海漁業操業安全協会、これはこういうお金を受ける受けざらとしていま組合ができつつある。組合の方が後から受けざらとしてできつつあるということで、私はここに安全協会の設立趣意書も持って来ておりますし、設立構想要綱、これも持って来ているわけです。具体的にこう動き出しているのに、これはあくまでも試案の試案である、資料も提出できない、こういうことについて大臣、いかがお考えでございましょうか。
#205
○政府委員(薗村泰彦君) 別に私どもは、私どもも交通安全の仕事をしておりますので正々堂々とやりたいのでありまして、逃げ隠れをして何か臭い物にふたをして、国会の先生にお目にかけないというふうにとられたらちょっとそれは違いますので、誤解のないようにしていただきたいので、結論的に申しますと、実は五管本部の、いまその試案の試案と言っておりますが、その計画自体をどういうふうにして単位漁協の方々にまでお目にかけたのか私自身も知りません。
 そこで、一遍私も見てみます。それで先生にお目にかけられるようなりっぱなしろものであるかどうか、私自身させていただいて、私ども決して隠したりするというようなことを考えているわけでございませんから、いまの段階でまとまりぐあいを見た上で、その現物を私ども目を通させていただいて、先生にお目にかけられるしろものであればお目にかけるという判断を私なりにしてみたいと思いますので、どうぞ御了承を得たいと思います。
#206
○説明員(久世勝巳君) それから、先ほど先生おっしゃいました操業安全協会とグリーンベルトの関係でございますが、実は私どもは全く関係がない、このように思っておりますし、またいま初めて聞いた、このように思います。
#207
○安武洋子君 思っていただいても困るわけで、御調査をしていただきたい。私は関係者からこの話を聞いております。それから、私はやはりどうおっしゃろうとも、LNG船を入れていくというふうなことでこの線引きをなさった、それでなければ大阪瓦斯がこういう補償金を出すはずない。いまのようにあくまでも試案であって、本当に堂々と出せるものなら私は早くお出し願いたい。といいますのは、関係漁民はもう大きな補償金が出るんだというふうな、こういううわさが流れまして、その補償金をめぐっていろいろうわさをしている、こういうふうな段階なんです。ですから、本当にそうでなければ、そのことをちゃんと提示していただいて、そういううわさを取り消すようにしていただきたい、こう思います。
 それから私は、やはりこれはどうおっしゃってもLNG船のために引かれた航路だというふうに断定せざるを得ないわけですけれども、このLNG船の危険性については、海上保安庁は十分に御承知のはずなんです。
 日本海難防止協会で「危険物積載船の安全対策に関する調査研究報告書」、これを出しておられますけれども、これは学者とか、それから運輸省とか、海上保安庁、こういう関係者の方が集まられて危険物積載船の安全対策に関する調査研究委員会、こういうことで専門的に研究をなさっていらっしゃるわけです。この報告書の中で「安全運航上の問題点」、こういうふうなことで問題点を提起なさっていらしゃいますけれども、この中で巨大船は運航が非常にむずかしいというふうなことを言われているわけです。ですから、「沿岸海域では大きい船ほど海難の確率は大きい」、そうして具体的な危険度としてはこれは天候、それから風潮、こういう危険度、あるいは霧の中の危険度、夜間の衝突の危険度、それから狭視界のときの減速航行の必要性、これをそれぞれ分析しているわけです。
 たとえば霧の中の危険度については、浦賀水道や友ケ島水道、明石海峡、こういうところでは衝突、乗り揚げとも霧の中は平均して九十倍前後の危険の発生率がある。また、視界が十分の一になった場合、危険度というのはほぼ十倍になる、こういう分析もなさっていらっしゃるわけです。夜間においても明石海峡では昼間の二倍の危険度、それから交通量が加味されると三倍になる。だから、LNG船の安全基準として、友ケ島や明石海峡では夜間はできる限り航行しないこととしているのは私は当然だろうと思うんです。こういう観点からも先ほど明石海峡の漁民の要求もまた至当だろうというふうに思うわけなんですけれども、この報告書の中ではセパレーションスキームの確立も必要だというふうなことも指摘をされております。現在東京湾が実施をしておりますけれども、海上交通情報機構の整備が必要である、こういうことも強調もされているわけです。
 こういうふうに、LNG船の安全対策を指摘しておりますけれども、現在発表されておりますアセスメントでは、LNG船という特殊な問題についての検討が私は十分になされているとは思われないわけです。その例として挙げますけれども、LNG船の避泊地について全くアセスメントでは検討されていないわけです。LNG船というのは非常に受風面積が大きいわけです。こういうLNG船にとって避泊地問題というのは、これはなおざりにできない重要な問題なんです。大阪湾内にはそういう避泊地の余裕がないし、播磨灘にもまたそういうところは非常に少ないわけなんです。
 五管本部に聞きますと、タンカーの待避のためのアンカーというのは適当なところでよいんだ。水深さえ合えばよいんだ、こんな無責任なとんでもないことをおっしゃっている。一体台風のときとか、それから突風のとき、あるいは霧で待たなければならないとき、夜間航行しないで待たなければならないとき、どこに一体避泊地を求めるのか、避泊地についてはどういうふうになっているのか、私はお伺いしとうございます。
#208
○説明員(山本了三君) LNG船の安全については、先生御指摘のとおり、日本海難防止協会におきまして相当長い年月をかけてその安全性の検討をいたしております。
 で、またこの姫路等におきまして、姫路にLNGの基地が設置されるということにかんがみまして、このLNG船の航行の安全、これの安全にはいかにすべきかということを、これまた先生御指摘のとおりに、神戸の海難防止研究会に学識経験者を網羅した特別委員会を設置しまして相当きめの細かい安全上の検討をいたし、報告書が提出されております。この報告書に基づきまして海上保安庁は必要な安全上の手を打っていくという考え方をいたしております。
 この神戸の海防研が出しました報告書の中には、避泊地問題については触れてなかったと記憶いたしておりますけれども、こういった大型の危険物積載船の安全につきましては、LNG船はもちろんでありますけれども、やはり大型原油タンカー等も多数大阪湾を航行いたしておるわけでございますので、同じような問題があろうかと思います。
 で、もちろん台風時におきましては、台風対策委員会が臨時に設置されまして、こういった大型危険物積載船舶の避泊をどうするかという問題、あるいは避泊しないで湾外に出すというような問題、こういったことを細かく計画をしていろいろ指導するわけでございますけれども、このLNG船の安全対策の中には、先生の御指摘のような避泊地というのは一応考えられていないということであります。したがいまして、神戸の専門家どもがまだ特定の避泊地といいますか、そういったものを設定する必要があるとは考えなかったということだろうと思います。
 しかしいずれにしても、明石海峡が狭視界とか狭視界時、そういったときにはやはり明石海峡を通航できないというような事態も起こってまいると思います。そういった場合の安全対策等につきましてはやはり考えておく必要があろうと思いますので、そういったものに対する海上保安庁の安全上の指示、こういったことについても検討してまいりたい、そのように思います。
#209
○安武洋子君 アセスメントには避泊地が抜けているわけですよね。ですから、そういうアセスメントの不備は認められますね。いま避泊地がなくてよいなんということは、私はそういうことにはならないと思うわけです。完全に避泊地についてそういうふうにアセスメントされていない、避泊地については全く検討されていない。五管に聞けば水深さえあればどこでもとめる。そんなことをすれば交通安全もあったもんじゃないわけです。ですから、この点について十分アセスメントを追加するようにということを要求いたしますが、よろしゅうございますね。
#210
○説明員(山本了三君) 私の答弁が若干間違って先生に御理解いただいたようでございますが、神戸の海防研のこの安全上の検討は、それはそれなりに避泊地を忘れられたというものではなかろうと思います。私も、特別に避泊地をどこかに設定をして特定の避泊地を決めてやる、その避泊地を決めた場合に、何らかの避泊上の何といいますか、メリットがなければ避泊地を決める価値がないわけでございますけれども、そういったことが現実にそのメリットを与えられるという見通しも実はないわけでございます。
 そういったこともありますので、避泊地を決めるということはなかなかそう簡単な問題ではなかろうと思うし、しかし、狭視界時には確かに明石海峡を通航できないときもあろうと、そういった場合にはどういったところで避泊をさした方が安全かといった検討、あるいはその場合の安全措置等についてどういうことを運航者に要求しておくかと、そういったことを海上保安庁は海上保安庁なりに安全上の観点から検討して、必要があると認めた場合にはそういうことを指導してまいりたいと、そういうことを申し上げたわけであります。
#211
○安武洋子君 私は、こういう重要なアセスメントが抜けているということを指摘しているわけでます。
 それから、いまおっしゃったように、確かに神戸海難防止研究会、ここは「LNG船の安全対策について」と、こういうことでLNG船のアセスメントを行っております。これは海上保安庁の「液化(石油、天然)ガスタンカーの安全性に関する指導について」、こういう通達による指導基準を参考にして私は行っていると思います。この指導基準によりますと、安全対策確約書の問題とか、それから航路航行時の安全対策、こういうことが定められておりますけれども、これは安全対策上これだけは確保しなければならないというふうな私は最低基準だろうと思うわけです。
 ですから、LNG船のような危険物積載船、これはこういう基準を上回らなければ本来はいけないというふうに思うわけなんです。この指導基準では海交法の航路とか、それから友ケ島水道などの狭水道の航行時、それと港内航行中ですね、それから停泊中、こういうときにはボイル・オフ・ガスの放出は行わない、こういうふうに指摘しているわけなんです。これらのところでこのボイル・オフ・ガスを放出したらどのような危険があるのかお答えいただきます。
#212
○説明員(久世勝巳君) ボイル・オフ・ガスは、原則的に可燃物というふうにも考えられますので、特に船舶の往来の激しい海域、あるいは港内に入った場合には、万が一付近に火煙等火気があった場合には、それに引火するおそれがあるということで、万が一のことをおもんばかりまして、ボイル・オフ・ガスの放出というものはやめてもらいたい、そのように考えたわけでございます。
#213
○安武洋子君 ボイル・オフ・ガスが狭水道でそのまま発散されますと非常な危険があるというふうに思うわけですけれども、それはいかがなんですか。
#214
○説明員(久世勝巳君) LNGのガスは、実は私ども実際に体験したわけでございますけれども、LPGに比べますと非常に比重が軽くて、上空に飛散するわけでございます。したがいまして、原則的にLPGに比べますとそう危険ではないと。よく陸上でLPGの爆発事故がございますけれども、そう危険はないというふうに思いますけれども、しかし、そのような可燃ガスでございますので、大型LNG船ということもありまして、やはり安全面というものを十分担保するためには、この際ボイル・オフ・ガスの放出をとめた方がいいんじゃないか。やはり船舶というのは万が一のとき非常に接近して、火気のある船が近づくおそれもあると、たとえばエンジンの火気が煙突から出て飛ぶおそれがある、このようなことも懸念されますので、一応万全の安全対策をとったと、このようなことでございます。
#215
○安武洋子君 神戸海難防止研究会が行っておりますアセスメントで友ケ島水道、それから明石海峡の航行時、それから港内、これはボイル・オフ・ガスについてはどのようになっておりますか。
#216
○説明員(久世勝巳君) 一応ボイル・オフ・ガスを放出しないようにしてございます。
#217
○安武洋子君 そんな不正確なことを言っていただいては困ります。明石海峡、友ケ島はこれは入っておりません。港内だけしかなっておりませんけれども、確認してください。
#218
○説明員(久世勝巳君) ちょっと、大変失礼いたしました。先ほど申しましたように、ボイル・オフ・ガスにつきましては、非常に船舶交通の激しいところと、特に船舶が接近して通航するような港内というもの、港域内について中心に検討したわけでございます。そして、やはりその危険というものは、先ほど申しましたように万全の安全を図るためにボイル・オフ・ガスの放出を禁止したということで、特に港内重点に禁止しておりますので、狭水道等、要するに一般的な港域以外の海域においては特に禁止する必要はないと、このような判断がされたわけでございます。
#219
○安武洋子君 指導基準ではちゃんとボイル・オフ・ガスの放出は狭水路内ではやってはいけないというふうに言っているわけなんですよね。そして、今度はこのアセスメントでは港内だけと、いまもそういうふうなお答えになる。これは意識的にそういうふうにおっしゃっているわけですか。
#220
○説明員(久世勝巳君) ちょっと大変説明が足りなくて恐縮ですけれども、港内が非常に危険であるということで、港内中心に一応この神戸海難防止研究会では検討したわけでございます。そして、特に港外におきましては一般的に航法というものを中心に検討したわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、今度、安全対策というものをとるためには原則的に東京湾、あるいは大阪湾等、船舶のふくそうする海域においては海上保安庁としては一応ボイル・オフ・ガスというものの放出を禁止するという原則に立って指導していきたい、このように考えております。
#221
○安武洋子君 航法じゃないんです、私が言っているのは。ボイル・オフ・ガスの問題を言っております。これは明石海峡とか狭水道の航行時はボイル・オフ・ガスの放出をしたらいけないというふうに指導基準ではそうなっているのにそれを下回っているじゃないか、これはおかしいじゃないかということを指摘しているわけです。
 で、私はこういう問題については知らないとは言えないと思うんです。と申しますのは、姫路港の港湾審議会において第五管区本部長さんが出席されて発言をなさっておられますけれども、「現時点での私どもの判断といたしましては、この神戸海難防止研究会によって研究結果として提出されましたものを基本としていろいろな施策を講ずるということで当該船舶の航行の安全は一応期し得られるのではないかというように考えております」と。これでは具体的に検討したと言われる友ケ島、明石海峡の航路を航行する際のアセスメント、これが国の指導基準さえ守っていない。これで十分な安全対策だと、こういうことをおっしゃっている、こういう矛盾が出てくるわけなんです。これについてはいかがお考えでしょうか。
#222
○説明員(久世勝巳君) 実はちょっと説明がとぎはぎになりまして恐縮でございまして、実はこの神戸海難防止研究会の研究報告、先生これをいろいろ御参考に御質問されていると、このように考えておりますが、これの中でも二十四ページに、実は「発生するボイル・オフ・ガスは、日本沿岸では、次の処理によって放出しないようにすること」というような、保安上の一般的な中でアセスメントとして取り上げているわけでございます。ですから、やはりこの神戸海難防止研究会のアセスメントの総合的な研究報告にも、原則的に「発生するボイル・オフ・ガスは、日本沿岸では、次の処理によって放出しないようにすること」というような表現を使ってここに記載されているわけでございます。その、次のようなことというのは、「航行中は全量を推進用燃料として消費する」とか、あるいは「錨泊中は全量をボイラーで燃焼する」とか、あるいは「係留中は陸側ボイル・オフ・ガスラインと接続し処理する」ということでございます。
#223
○安武洋子君 だから、アセスメントの中では具体的に港内のことしかアセスメントがされていないというふうなことで、航路は私は意識的に抜かしてしまっているんですかというふうなことを申し上げているわけです。やはりアセスメントをやらないといけないわけです。
 それからアセスメントについては、私はお金のかかる管制システム、これについては何ら整備しようとしていないということを指摘しないわけにはいかないわけです。この海域を利用している漁船を含めて、他の船への影響がどんなものかというふうな点も、これも私はアセスメントをやらないといけないと思うんです。しかし、これにも何一つ触れていないわけです。明石海峡の過密というのは、これはもう私が申し上げるまでもなく、先ほどからの御答弁で何度も出ております。大変な過密地帯であるというふうなことです。
 海上保安庁さんの調査でも、通航船舶の実態調査報告、これを見ますと、明石海峡では一日平均、貨物舶六百九十二そうです。タンカーが二百七、旅客船が九十三、カーフェリー百三十七、漁船六百四十、計千八百七十四そう、これだけ通っているわけです。友ケ島水道でも五百八十三そうなんです。他の船への影響というのが私は考えられなければならないというのは、これはまだ船の航行がふえるというようなことが十分予測されるわけなんです。
 現在でも姫路の東部工業地帯には年間九千そうの入港船がありますけれども、一万トン以上の大型船は百十そう以上入港しているわけです。昭和六十年にはこれが一万一千八百六十そうになる、大型船は百六十そうになる、こういう予測が出ているんです。しかし、この予測には姫路の出光石油の兵庫製油所の精製能力十万バレル、これが解除されましたけれども、これによるタンカーの急増というのが予測されていないわけなんです。こういうふうに私は他船へ与えるアセスメント、こういうものは絶対にやるべきだというふうに思いますけれども、これが抜けているのについて、どういうふうにお考えでございましょう。
#224
○説明員(久世勝巳君) いま船舶交通の実態等をお示しになりまして、いろいろな御質問がございましたけれども、それに対しましてこの研究会でも、いろいろ船舶交通の実態というものを当然実は、これはおととしになりますけれども、五十年にいろいろ調べた上でこのような研究報告書を出してきたものと、このように考えております。
#225
○安武洋子君 それについて私は不十分だと申し上げているんです。他船への影響を考えないアセスメントなんてあり得るんでしょうか。しかも非常に過密な明石海峡、そして瀬戸内海なんです。ですから、第五管区でもそうおっしゃいました。安全対策はこれからデータを調べてから検討するんだと。出光がふえますよと言いましたら、こういう無責任なお返事をなさるわけなんです。しかし、私は船舶がますますふくそうする、急増する、こういう真っただ中の狭水路にLNG船を通そうとなさる。アメリカの五大湖の中の一番小さな湖よりまだ小さい瀬戸内海、しかもここに漁船も含めてたくさんの船がひしめいている。この中に何が何でも巨大船の危険船、LNG船を通そうとなさるというようなことは、私はまことにむちゃだと言わざるを得ないわけなんです。
 しかも、お金をかける管制システム、こういうものをおとりにならないというふうなことなんです。だから、大阪湾にグリーンベルトを引くんだ、これでLNG船だけは何が何でも通すんだというふうにならざるを得ないというふうに思います。こういうことをやられますと――この大阪湾、それから瀬戸内海周辺は魚の宝庫なんです。ここは漁場が寸断されてしまいます。沿岸漁業は大打撃を受ける。漁民は死活問題なんです。私は、その地域の漁民から漁業権を買い上げる、お金を与えればいい、こういう問題でない。
 国民がいま漁業の問題について見直しをしなければならない、こういうときに、こういうむちゃなことがやられていいものかどうかというふうなことで、私はこういう計画、グリーンベルト構想そのものは中止すべきだ、こういうことを申し上げたい。そして、グリーンベルト構想を中止するとともに、瀬戸内海を航行する船舶、これを安全にするためには、私はさきの委員会でも申し上げました。やはり東京湾並みに管制システムを引くべきだと、そして瀬戸内海全域を強制水先区にすべきだ、そういうふうにして初めて瀬戸内海の航行安全はある程度図れるのではないかというふうに思うわけです。この点について大臣、いかがでございましょうか。
#226
○政府委員(薗村泰彦君) いろいろ先生から御指示がございましたあの大阪湾のグリーンベルトについては一遍、私先ほどお答えしましたように、私どもも一番いいのは基本的にもう工業立地をやめましてLNG船が走れなければいいということですが、その辺はちょっと、先生のお説そのままいただくわけにいかないので、私ども海上保安庁としては、やはり通る船の安全を考えて、日本の工業も発展してもらわなきゃいかぬというところの私どもの交通安全の問題として、当庁に与えられた任務というものの責任を果たさなきゃいかぬということございますので、東京湾のグリーンベルトもどうぞ先生一遍ごらんになっていただいて、先ほどお話し申し上げましたように、先生にお目にかけられるものかどうか一遍判断をさせていただいて、なるべくお目にかけられるものであることをこいねがっておりますが、ひとつ見ていただいて、交通安全のために役に立つんだったら一遍先生も大阪湾の交通安全のためにお考えをいただきたいということであります。
 それから、いま御指示がございましたように、水先も考えていくべきでしょう、それから交通センターのような管制施設も考えていくべきでしょう、それ全部一遍に、またいつからやるというようなこともできませんが、その必要の都度私どもも考えていきたいということは、もういちずに私どもも交通安全をこいねがうということにほかなりませんので、ひとつその辺を御了解いただきたいと思います。
#227
○安武洋子君 私は、交通安全どうでもいいなんて一言も申し上げておりません。私、具体的にいま管制システムを引くべきだ、強制水先区にすべきだというふうなことを具体的に御提案もしております。でも、漁業との調和とおっしゃりながら、一方的に内密にグリーンベルト構想をお立てになるからこそ、私はこういうものをおやめいただきたいと、漁業者の意見を十分に聞いて、日本の漁業を守るためにそれをやはり考えていただかなければならないというふうなことを申し上げております。それはよろしゅうございますね。おわかりいただけましたね。一度大臣にお答えいただきます。大臣、いかがでございますか。
#228
○国務大臣(田村元君) きわめて内々で検討しておるということでありまして、私にも内々にしておったようでありますので、私はグリーンベルトの構想をまだ存じません。でございますから、やることも決まっていないものをやめろと言われても、これどうにもお答えのしようがないわけでありますが、先ほど来長官が申しました考え方には私も同調できるといいますか、わかるような気もしますので、今後この問題、少し警救部長の答弁が、全部の言葉をつなげばいい答弁になるんですが、どうも表現的にちぐはぐの答弁をしておったような感じもいたしますので、十分実情を聞いてみたいと思っております。
#229
○安武洋子君 実情をやはり把握をされて、そして一番最初に大臣が言われた、やはり漁業を大切にするという姿勢をお捨てにならないで私は検討していただきたいということを重ねて申し添えます。
 それから、四月二十八日の午後、東京湾の千葉県浦安沖で常盤運輸所属の鋼材運搬船の「第八大鋼丸」、これが強風波浪注意報が出されている中で運航して、転覆して船長さんが死亡すると、こういう事故が発生しておりますけれども、この事故の概要について、簡単で結構です、お知らせいただきます。
#230
○説明員(山本了三君) 「第八大鋼丸」転覆海難につきまして概要を御報告申し上げます。
 昭和五十二年四月二十八日午前八時十五分ごろ、京浜港鶴見を出港しまして船橋に向けて航行中の常盤運輸株式会社の貨物船「第八大鋼丸」、九十七総トン、乗組員二名、鋼材二百六十四トン積載でございますが、これが同日午前十一時四十五分ごろ、千葉県の東葛飾郡浦安町、浦安埋め立てD地区沖合い五百メートル付近の海上におきまして転覆をいたしております。この転覆によりまして、船長は海上に投げ出され行方不明となり、機関長は船内に閉じ込められる、そういうことになりました。
 救助の状況でございますが、情報を入手しました海上保安庁は、直ちに巡視船艇三隻、航空機一機、これに特殊救難隊を出動させまして、転覆中の同船の救助活動を行ったわけでございますけれども、折から同船が沈没するほどの悪天候でございましたので、なかなか早急な救助活動が困難でございまして、翌早朝、転覆船内の反応を確かめて、中に人が入っておるということを確かめて、特殊救難隊が船底を開放いたしまして、機関室内に閉じ込められておりました機関長を二十時間ぶりにようやく救出いたしたと、そういうことであります。船長は鋭意捜索をいたしたのでございますが、五月の六日、東京湾の京葉シーバース付近で遺体となって発見されております。
 当時の気象、海象でございますが、天候は曇り、南南西の風が十六から二十メートル、瞬間では三十メートルぐらいになったようであります。波浪は二ないし四メートル、強風波浪注意報が発令されておったというような状況であります。
 海難の原因でございますが、これは現在調査中ということでございますけれども、異常に発達しました低気圧によりまして、その突風と高波、これによって転覆したものであろうと考えられております。
 以上です。
#231
○安武洋子君 南西の風十五メートルから二十メートル、しかも瞬間最大風速三十メートル、こういう異常天候時にあの運航が強行されたというところに私は問題があると思うんです。死亡事故に至らなくなっても無理な荷役作業、これが強いられることによって労働災害というのがたくさん起こっているわけなんです。はしけ労働の場合、労働災害の発生件数、これ調べてみたわけですけれども、昨年の十二月を例にとってみますと、休業八日以上、こういう労働災害が十件発生しております。で、そのうち三件といいますのが強風波浪注意報の日に発生をしているわけなんです。
 海難防止に直接責任のある海上保安庁として、強風波浪注意報が出た場合、どのような方法で周知徹底をされているのか。また、今回のような無線機をつけていないような小さな船、こういうものについてはどのようにされているのか。また、港湾荷役をしているはしけに対してどのような対策をとられているのか、お伺いいたします。
#232
○説明員(山本了三君) 海上保安庁が行っております気象警報等の関係船舶への伝達でございますが、海上保安庁は、気象庁が発表いたします気象警報、津波警報、高潮警報、波浪警報、こういったものに関する予報及び警報、こういったものを航行中の船舶に対しては定時、臨時の場合にはその都度、全国十三カ所の海上保安庁の通信所から、和文と英文によって放送をいたしております。また、沿岸の主要な航路筋にあります二十四カ所の航路標識におきましては、一般の予報で周知できない、予報できない局地的な気象、海象の現状を航行船舶向けに船舶気象通報として通報をいたしております。
 海上保安庁が行っております定時的な気象警報等の周知は以上のとおりでございますけれども、このほか異常な台風とか、非常に危険が予想されると、そういったような場合には、そういった無線で放送すると同時に、必要な場合には巡視船艇等を港内に派遣しまして、そうしてそういった警報の発令等を周知すると、そういう手も使っております。
#233
○安武洋子君 無線機を持たない小型船舶に対しては巡視をなさって知らせるといまおっしゃいましたんですね、これが私の調査ではほとんど適切にやられていないんです。これは必要だと思いますけれども、十分におやりになる必要はありませんか。
#234
○説明員(久世勝巳君) いま巡視船艇で気象警報が出たときに全港内を回って周知しろということでございますが、私どもとしてもできるだけそういうふうにした方がいいと、このように考えております。ただし、港内によりまして非常に広い場所もございますし、またそのとき海難等が起こりまして巡視船艇が出かけなければいかぬということがございますので、原則的には御意見どおりだと考えますが、現実的にそれが一〇〇%できるかどうかということは、現地の事情でいろいろむずかしいことがあると、このように考えられます。
#235
○安武洋子君 その原則がほとんど原則どおりになっていないんです。ときどきやられるのが大阪湾だけで、神戸とか東京湾とか横浜、こういうところではやられていないんです。だから、これはおやりになるべきだ、原則どおりおやりいただけますね、念のためにお伺いします。
#236
○説明員(久世勝巳君) そのとおりだと思いますし、そのとおりに今後原則的にやりたいと考えております。
#237
○安武洋子君 私は、このような無理な運航がやられるというふうな背景を考えなければいけないと思うんです。これは経済性を優先して労働者の命、これを軽視する荷主、海運会社の経営姿勢だというふうに思うわけなんです。私が調査しましたところでは、風速十三メートル以上、それから波の高さが一・五メートルから二・五メートル、こういう強風波浪注意報が一体どれくらい出ているかということで聞いたわけなんですけれども、横浜港の場合は、昨年一年間で百七十四回なんです。それから神戸港では七十二件出ております。ですから、単純計算をしますと、横浜は二日に一回はこういう状態である。神戸港は五日に一回は注意報が出ているというふうな状態なんです。
 こういう危険な状態の中で労働が強いられるから、こういう労働災害も起きていくというふうなことなんです。安全性を無視したこのはしけですね、こういう港湾荷役に対して、海上保安庁としても、荷主とか船会社に対して、そういう無理なことをしないようにというふうな注意、改善を指導なさるべきだというふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。
#238
○説明員(久世勝巳君) 荒天によります海難を未然に防止するためには、やはり適確に気象、海象状況を早期に把握して、これに対応した船舶の運航等、適切な措置を講ずるということが原則でございます。そのためには私どもとしましては、各地におきまして海難防止講習会等、あるいはパンフレット、その他によりまして無理な運航をしない、海難を未然に防止しようということを強調しまして、春秋には全国海難防止強調運動というものまで展開しまして、これは海事関係者、もちろん運航者もそうでございます。全員に対して広く周知しているところでございます。まさにおっしゃるとおりだと思いますし、今後ともそのような海難防止というものについては十分力を入れていきたい、このように考えます。
#239
○安武洋子君 機動ばしけ以外の動力のついていないはしけについては、これは仕事中に強風波浪注意報、これが出まして非常に危険な状態になった場合でも、当然引き船が来ないと岸に戻れないわけなんです。そのような場合、海上保安庁としては、港内艇の巡回のときに、本船の荷役監督の責任者であるフォアマンに対しても、仕事を中止してはしけを引き戻すように注意をなさるべきだと思いますけれども、このようにやっていただけますか。
#240
○説明員(久世勝巳君) 船舶の運航等につきましては、現在の船員法でも、やはり船長がその責任を負っているところでございます。したがいまして、海上保安庁としましては、こういう条件でこういうことだというような指導勧告はいたしますけれども、これをそうしなさいというようなことは、まあ指示とか命令というものは現在なされないわけでございますので、一応先ほど申しましたように、海難防止という面から海事関係者に広く指導したい、このように考えております。
#241
○安武洋子君 いま機動ばしけ以外のはしけについては、引き船が来ないとだめなわけです。で、荷役を中止するというふうなことは、フォアマンのやはり判断によるわけなんです。ですから、こういう人たちにも、危なくなりましたよということを海上保安庁としてもおっしゃらないと、はしけの人たちが、自分が危ないと判断して帰りたいと思っても帰れないわけです。だから、海難防止という観点からも、安全上からも、こういう人たちにも注意をなさったらいかがですかということを言っているわけなんですけれども、これはいかがなんですか。
#242
○説明員(久世勝巳君) 当然その人たちも含めまして、広く海事関係者にそのような指導というものはしたいと、このように考えております。
#243
○安武洋子君 ですから荒天時に巡回されたと、行かれたと、じゃあ、こういうふうなフォアマンにも言っていただける、こういうふうに解釈してよろしゅうございますね。
#244
○説明員(久世勝巳君) 原則的には、そのような場合で、できたらそのようにしたいと、このように考えます。と申しますのは、一〇〇%先ほど申しましたように、荒天の場合にまた海難出動しなくちゃいかぬ、あるいはほかの仕事もしなくちゃいかぬということでございまして、一〇〇%そういうことはできないということでございますので、私どもは先ほども何回も申しましたとおり、海事関係者、船主、運航者に対しまして、原則的に、こういうときはこういうふうにしてくださいというような海難防止の指導をお願いしているということでございますので、できるときには必ずやりたいと思いますけれども一〇〇%できないということでございますので、広く海難防止の中において取り上げていきたい、このように考えておるところでございます。
#245
○安武洋子君 原則は十分実行されるように、私は強く要望いたしまして質問を終わります。
#246
○委員長(上林繁次郎君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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