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1976/05/18 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 商工委員会 第9号
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1976/05/18 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 商工委員会 第9号

#1
第080回国会 商工委員会 第9号
昭和五十二年五月十八日(水曜日)
   午前十時十七分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 武徳君
    理 事
                熊谷太三郎君
                福岡日出麿君
                竹田 現照君
                須藤 五郎君
    委 員
                青木 一男君
                小笠 公韶君
                剱木 亨弘君
                斎藤栄三郎君
                林田悠紀夫君
                吉武 恵市君
                阿具根 登君
                対馬 孝且君
                森下 昭司君
                桑名 義治君
                加藤  進君
                向井 長年君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   参考人
       協同組合連合会
       日本専門店会連
       盟専務理事    新木精之助君
       中小企業事業分
       野確保法促進協
       議会会長     佐藤 公彦君
       立教大学教授   加藤 誠一君
       全国中小企業団
       体中央会副会長  稲川 宮雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○中小企業の事業活動の機会の確保のための大企
 業者の事業活動の調整に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律案を議題といたします。
 本日は、ただいま議題といたしました法案審査のため、参考人として、協同組合連合会日本専門店会連盟専務理事新木精之助君、中小企業事業分野確保法促進協議会会長佐藤公彦君、立教大学教授加藤誠一君、全国中小企業団体中央会副会長稲川宮雄君の以上四名の方に御出席願っております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、ただいま申し上げましたようないわゆる分野法案につきましての審査に当たりまして、皆様には御多忙の中を本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、本法案につきましてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして今後の本案審査の参考にいたしたいと存じておりますので、何とぞよろしくお願いをいたします。
 なお、参考人の方々には、順次それぞれ十五分程度御意見をお述べ願い、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 なお、先ほど申しましたように、各党の質疑者、二十分で五名でございますから、約百分の質疑時間、かようなことでございます。昼食を抜きにいたしまして引き続き会議を持ちたいと、かように考えますので、おおむね午後一時ごろまでかかろうかと思い、長時間にわたりますが、何とぞよろしく御協力をお願いいたしまして、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
 それでは、まず新木参考人からお願いを申し上げたいと思います。協同組合連合会日本専門店会連盟専務理事新木精之助君。
#3
○参考人(新木精之助君) 新木であります。
 分野法案は、小売業を含めないということでありますが、私どもはこれに反対でありました。しかし、これにかえて今国会で現行商調法を改正して分野法小売業版といったものをつくっていただくということでありますので、これなら結構だと存じます。
 まず、小売業をなぜ含めてほしいかという理由でありますが、御承知のとおり、いま全国の地方自治団体では、条例とか要綱をつくって、大規模小売店舗法に定められた届け出基準面積末満の大規模小売店の進出による紛争調整に苦慮いたしております。知名度の高い大規模小売店が、中規模の店舗といえども地方の小都市に進出すれば、その地域の中小小売商に与える影響は非常に大きいものがあります。したがって、当然紛争が起こるわけであります。
 大規模小売店は、一昨年あたりまでは大都市中心に大型店が進出しておりましたが、いまや大都市の拠点作戦から面作戦に移り、小都市にまで無数の中規模店舗を進出させております。したがって、今後は小都市における調整が一層重要となってくるものと思われます。この調整を分野法によってしていただきたいというわけでありました。
 分野法の制定、商調法の改正とともに並行してぜひ御審議をいただきたいものがもう一つございます。それは大規模小売店舗法の改正であります。大規模小売店舗法は四十八年制定されたのでありますが、高度成長時代の当時と今日とではかなりずれができております。また、その後の運用によって不備なものが出てまいりました。そこで、分野法、商調法とも密接な関係がありますので、ぜひ今国会で改正していただくようお願いする次第であります。
 その改正要点は、第一に、届け出制を許可制にすることでありますが、これは旧百貨店法、また現行商調法の市場の新設も許可制となっております。許可制であってこそ法の秩序、体系の一貫性が保たれるものと信じます。
 第二に、現在の大店法は建物主義規制ですが、企業主義規制も同時に併用するよう改正することであります。届け出基準面積以下の中規模店といえども大規模小売店等、資本金額によって調整の対象にするということであります。
 第三は、大規模小売店の進出調整のためには調整基準、すなわち物差しをつくり、これによって各都市における大規模小売店の進出許容総量を設定し、その許容範囲で大規模小売店の進出を認めるという、いわば総量調整方式を採用することであります。
 第四は、大規模小売店の進出によって複数の都市の中小小売商に影響を与えるおそれのあるものについては、広域商調協の制度を設けることであります。
 第五には、閉店時刻六時、休日、月四日は、基準ではなく遵守事項とすることであります。
 最後に、届け出基準面積の引き下げでありますが、基準未満店舗を商調法の改正によってカバーできるとするなら、大店法での改正をこれに譲ることとしてもよいと思います。
 また、これと関連して、商調法の改正に当たっては、生協、農協の事業活動を何らかの形で調整の対象にしていただくようお願いいたします。生協は生協法で、農協は農協法でそれぞれ規制されているから他の法律の規制対象にはならないと言う人もおりますが、生協、農協が本来の使命を逸脱することがなければ商調法の調整の対象にする必要はないのであります。逸脱するから調整の対象にしてほしいというわけであります。
 分野法制定及び商調法の改正に当たって一つ気にかかることがあります。それは分野法案第五条二項に「当該申出に相当の理由があると認めるときは、」という文言がありますが、これの削除を検討していただきたいということであります。同様に、現行商調法の第十五条、第十六条四項、第十七条、第十八条一項に「必要があると認めるときは、」の文言があります。これも削除の御検討をお願いいたしたいのでございます。実は以前に、現行商調法の規定によりまして、ある県の知事にあっせん、調停を申請したことがあったのでありますが、却下となりました。その理由は、必要があると認めないということであります。つまり知事は、自分の都合の悪いときにはこの文言によって却下ができるわけであります。どうか御一考をお願いしたいと存じます。分野法制定、商調法改正、大店法改正は三位一体の関係にあります。大店法を制定する際に、中小小売商業振興法というのを一緒に制定していただき議した。しかし、この振興法も今日的なものではなくなりました。もっと前向きな積極的な振興施策に改正する必要があると存じます。どうかあわせて十分御検討くださるようお願いいたします。
 次に、分野法の制定に関連いたしまして、われわれ中小小売商の組合の重大問題ともなる銀行及び銀行系クレジットカード会社による割賦購入あっせん事業分野への進出阻止について要望並びに意見を申し上げます。
 われわれ中小小売商の組合は、昭和二十五年以来、チケットあるいはクレジットカードによって消費者に加盟店から割賦で商品を買ってもらっていたのでありますが、これはいわゆる割賦購入あっせん事業と申しまして、組合は加盟店に消費者にかわって一括代金の支払いをし、同時に消費者からは毎月分割で代金を徴収するという方法であります。その事業による収入は組合の維持経費の九〇%を賄っているという重要なものであります。現在全国でこうした事業を行っている組合は約一千五百団体ありまして、その加盟店は約十五万店であります。一千五百団体の年間売り上げは約二千億円であります。組合以外のものが割賦購入あっせん事業を行うときは認可が必要であります。銀行系クレジットカードというのは、カード利用会員に一回払いで加盟店から商品を買わせ、その代金は会員の銀行預金から引き落とすというシステムであります。この原則を破って、かつ認可を受けず、われわれ組合が行っている割賦購入あっせん事業分野に進出しようとするのであります。われわれはそれを阻止するために十数回にわたって大蔵省、通産省に陳情いたしました。大蔵省、通産省は行政指導によって阻止してまいりましたが、どうも一向にその成果が見られないのであります。銀行及び銀行系クレジットカード会社がわれわれの組合の事業分野に進出し、それによって組合の維持経営が不可能になった場合はどうなるか。第一には、組合を通じて行われる政府の指導も助成も受けられなくなる。第二には、加盟店が不況下に有力な販売手段としている割賦販売ができなくなる。第三には、長年にわたって消費者大衆に親しまれてきた便利な割賦購入ができなくなるということであります。
 銀行自身による割賦購入あっせん類似行為というのは、預金引き出しのためのバンクカードに提携する大型店のシールを張って、バンクカードで消費者にその大型店から割賦購入をさせようというものであります。いまここにポスターがございますが、これはある相互銀行が出したそういう割賦類似行為のPRのポスターでございます。また、このパンフレットもそうでございます。銀行系クレジットカード会社の割賦類似あっせん事業というのは、これまでの監督官庁の行政指導による禁止を逃れようとするものであります。方法としては、提携している大型店に十カ月の割賦をさせようとするときは、売り上げ伝票を十枚つくらせ、毎月一枚ずつカード会社に送らせて消費者の預金から分割で引き落としをするというシステム。あるいは回転信用を消費者に供与し、実質的に分割返済によって割賦購入ができるよいにしたもの。さらには、大型店と銀行とが出資してその大型店の信販会社をつくり、その信販会社が消費者の割賦購入をあっせんする。ただし、銀行系カード会社は信販会社の割賦債権を買い取り、信販会社は単なるトンネル会社にしかすぎないというものであります。そのような銀行系カード会社の割賦類似あっせんを消費者にPRしようとしたものが実はここにたくさんあるわけでございます。
 銀行系カード会社はもはや銀行のダミーと言っても過言ではありません。まず出資では、JCBは銀行の持ち株比率は六七%、ユニオンクレジットは七三%、ミリオンクレジットは五六%、ダイヤモンドクレジットは五四%等になっております。
 第二に、信用販売事業にとって不可欠の販売代金の立てかえ資金は提携金融機関が負担しております。
 第三に、たとえばJCBは二百二十八の金融機関と提携いたしておりますが、その本支店の数は一万数千店があり、これが加盟店やカード利用会員の募集をいたしております。カード会社は六社ですが、その提携金融機関の本支店の数は大変なものがあると思います。銀行系カード会社六社が僅々十年間で加盟店五十五万三千店、カード会員七百三十万人、年間売り上げ五千百二十億円を上げているのも全国金融機関の力であります。
 私どもは四十四年八月に衆議院に請願書を提出いたしました。その結果、大蔵省の回答が官報に掲載されましたが、「銀行の職員は銀行の業務に専念すべきであって、別法人であるクレジットカード会社の加盟店及び利用会員の勧誘を行なうことは許されない。」、もう一つ、「銀行系カード会社の運営については、既存の割賦購入あっせん事業団体と摩擦を起こさぬよう、銀行を通じて充分指導している」というのでありますが、本当に指導がなされているのでありましょうか。いまここに銀行から出されておりますカード会員募集のパンフレットがたくさんございます。銀行がカードの会員をいろいろ募集しているわけであります。また、ここに写真が十数枚ございますが、この写真は現在東京都内の各銀行の店頭にカード会員募集をしている看板を写したものでございます。官報に掲載して、銀行はカード会員の募集をしてはならないと言っているのに、これはどういうことでありましょうか。
 銀行系クレジットカード会社が割賦や割賦類似の購入あっせん事業を始めたとなりますと、現在の年商五千億円は一挙に二兆円にも二兆五千億円にもなるでありましょう。そして、われわれの組合はたちまち経営不振に陥ることと思います。銀行系カード会社がわれわれ組合がやっているものと同じ事業を始めたとなると当然競争状態に入るわけであります。そうなると、われわれの組合は銀行から事業資金を借りて運営しているのでありますが、銀行はちょうど水道のじゃ口を握っているようなもので、われわれの事業規模を半減させようと思えば、これまでの融資額を半分にすればいいわけであります。いわば銀行及び銀行系カード会社はわれわれ組合の生殺与奪の権限を持っていると言っても過言ではありません。このような間柄にあるものに事業分野の進出を許してよいものでしょうか。十分諸先生方の深い御理解を賜りたいと存じます。
 これで私の意見を終わります。
#4
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。
 それでは次に、中小企業事業分野確保法促進協議会会長佐藤公彦参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(佐藤公彦君) 私は、中小企業事業分野確保法促進協議会の佐藤公彦でございます。
 まず、本委員会にお招きをいただきまして、現在御審議中の分野法案につきまして意見を申し述べる機会をお与えくださいましたことに対し、心から厚く御礼を申し上げます。
 さて、私どもは、大企業が進出をしているか、あるいはそのおそれのある中小企業団体が業種の違いを超えて団結し、二年有半にわたって分野法の制定を関係各方面に働きかけてまいったものであります。いまその運動の成果が実り、この国会におきまして政府提案がなされ、現在御審議を賜っている次第であります。
 さて、私どもが本運動を進める中で、現実に大企業の進出を受けた経験をもとに、分野法の内容につきまして次の七項について要望を続けてまいったのであります。その一つは、大企業の進出を事前にチェックできる業種指定等の措置を講ずること。第二に、小売業における個々の業種に対する進出は同法の対象とすること。第三は、大企業の進出に対する自粛規定を設けること。第四は、規制措置のとられた中小企業業種に対する振興措置を講ずること。第五、同法の実効性を確保するために命令、罰則規定を設けること。第六、審議会は当該中小企業者の意見が十分反映されますよう、その構成並びに運営に留意していただくこと。第七、主務大臣の権限は都道府県知事にも委任できるものとし、都道府県審議会を設置することという以上七項目でありました。幸い、それらの多くは衆議院における審議の過程でお取り上げをいただき、政府案の修正が行われたわけであります。
 しかしながら、基本的な点で一抹の不安を抱いているのでございます。一つは業種指定の問題でございます。私たちが業種指定の導入を一貫して主張し、それに期待していたのは次の理由によるのであります。もともとこの法律の制定の目的は、あくまでも中小企業の事業分野を確保するということであります。さらに、大企業の進出を事前にチェックすることによって、進出の既成事実がつくられることを未然に防ぐことであります。こうして経済的に弱い立場にある中小企業側の立場を制度的に補完する必要があるとしたからであります。しかしながら、業種指定制を取り入れることは、法技術上不可能であるとの理由で政府案には採用されなかったのであります。
 そこで、諸先生にお題いいたしたいのは、現在御審議されております法律の運用の面において、私どもが業種指定に期待したその趣旨が十分に生かされますよう御配慮をいただきたいということであります。また、政府案には事前調査制度が設けられ、できる限り早い機会に大企業の進出をとらえ調整していくとしておりますが、調査や調整勧告が発動するのはあくまでも中小企業団体の申し出がその必要条件となっております。したがいまして、中小企業団体が組織力が弱く調査能力がないなどのためにそれに気づかなかった場合は大企業が進出を行い、すなわち既成事実ができてから調整が行われるということになるわけであります。事前調査の目的である大企業の進出の事前チェックを実現するためには、中小企業団体の調査能力を補完し、すなわち煙の段階でこれをとらえられますよう機動的な行政体制がとられる必要があると思うものであります。また、主務大臣は所管の業種分野の動静については日常的に調査を行っているものと思えます。そこで、その業種に対する大企業の進出は、中小企業団体の申し出がなくとも当該中小企業団体に通知するなど運用面における措置をとっていただきたいと思うものであります。いずれにいたしましても、本法の実効性の確保は一にかかって法の運用のいかんにあると思うものであります。
 また、小売業は分野法の適用除外となりましたが、小売商業調整特別措置法を分野法に準じた諸手続を取り入れた形で改正し、小売業問題に対処していくとしておるようでありますが、商調法もまた分野法と同様に、運用面における強化体制等でその趣旨が十分生かされますよう、これまた特段の御配慮をいただきたいと思うものであります。また、大企業の進出は全国市場、または一定の地域を対象として行われることもありますが、特定の地域に対して行われる場合は中央段階での調整ではなく、地域経済の実態に合わせた調整が必要だと思うものであります。したがいまして、都道府県知事が何らかの形で対処し得るよう運用面における御配慮を賜りたいと考えるものであります。
 次に、私どもの最大の関心事は審議会の構成とその運用についてであります。先ほども申し上げましたように、本法を実効性の高い法律とするか否かは、かかって審議会の構成とその運用のいかんにあると思うのであります。そこで、私たちは、審議会の構成員には真に中小企業者の代表を相当数加えていただき、特に当該中小企業者の意見が十二分に反映されますよう特段の御配慮をいただきたいと思うものであります。なお、本法制定に当たっては一部から若干の意見もあるようでございますが、中小企業が国民経済の中に果たす役割り、とりわけ地域経済に果たす役割りを積極的に評価していただきたいと思うものであります。規模の利益のみを追求する現経済システムは、すでに市場の寡占化、系列化を生み、多くの弊害が生じておるのであります。分野法の制定によって中小企業の事業分野を確保し、中小企業の積極的な育成強化を図ることは、このような経済力の過度の集中への対抗措置としても重要であると考えるものであります。
 何とぞ慎重な御審議を賜り、一刻も早く本法が成立されますよう関係各位の格段の御尽力をお願いいたしまして、私の意見陳述を終わります。ありがとうございました。
#6
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。
 それでは次に、立教大学教授加藤誠一参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(加藤誠一君) 中小企業政策審議会の分野調整小委員会の委員の一人といたしまして、昨年十二月に発表されました「意見具申」の考え方には原則として賛成でございます。この「意見具申」では業種指定方式を避けまして、消費者代表を含む学識経験者などによって分野調整審議会を構成し、中小企業団体の申し立てに基づいて紛争処理のための行政上の措置を講じるということになっておりますけれども、現状ではこうした審議会による紛争処理方式が適当であるというふうに考えます。ただ、個人的には若干の不満もございまして、その問題点につきましては、すでに新聞とか雑誌などで指摘したとおりでございますけれども、その主な点につきましては、すでに衆議院の審議の過程で修正、改正されておりますので私としては納得しております。
 第一に、小売商業が分野法の対象から外されていることにつきましては、大規模店舗小売法や商調法の運用改善を図るというだけでなく、法律改正までやってもっと厳しく取り締まるべきではないかというのが私の考え方でございました。これは四月二十四日の衆議院商工委員会におきまして、小売商業に関するこの二つの法律は早急に基本的な検討を進めるということになったので、私としては解決しております。
 第二に、「意見具申」では、消費者利益の保護という観点から中小企業者の自助努力を強く要請しておりますが、中小企業に自助努力を要請するのなら大企業の行動倫理にも言及すべきであり、そうでなければ片手落ちではないかというのが私の考え方でございました。これは法律案の第三条に大企業の責務がつけ加えられることによって一応解決いたしました。なお、これにつきましては大企業の良識ある行動を期待すればそれでいいんではないかという意見もございましたけれども、実際には大企業が良識ある行動を行っていないからこそいまのような問題が生じているのでございまして、この第三条は必要であると考えます。
 それから第三に、大企業に対する調整につきましては、これも勧告、公表だけで果たして効果があるのだろうかという心配がございましたけれども、法律案では第十一条に「調整命令」がつけ加えられておりますので心配はなくなったわけでございます。調整命令まで出すことにはいろいろ問題もございますし、命令が出されることは実際にはないと思いますけれども、命令が出されることがあるという背景があるだけで、大企業はそれなりの厳しさを持って勧告を受け入れるのではないかと思いますので、この規定も必要であると考えます。
 以上のように当初私が持っておりました若干の不満は、国会審議の過程ではそのほとんどがすでに解決されております。さらに、法律案では、第五条の事前調査、第九条の「一時停止勧告」がつけ加えられましたので、大企業の進出が既成事実として先に出てしまう心配もなくなったわけですし、またそれを阻止することもできるようになったわけです。したがって、中小企業にとって分野調整法の効果が十分に期待できるまでに修正されたというふうに考えております。ただ、紛争申し立て団体には、商工組合のように法律でつくられた組合の方が行政上は処理がしやすいということもございますけれども、調整審議会を駆け込み寺にするという考え方なら、法律によってつくられた組合だけでなく任意団体も申し立て団体に加えるべきではないかと思います。どこまでを任意団体とするかは検討の余地があると思いますけれども、任意団体でも申し立てができるように道を開いていくことは必要ではないかと思います。
 いずれにしても、分野調整法案は国会審議の過程で議員修正などがありまして、中小企業にとっては効果のある内容になったことは間違いないと思います。ただ、一部には、それによって規制色が強まったのではないかという意見もありますけれども、立法化する以上この程度の規制は当然であると考えます。また、これによって自由競争が阻害されることもありませんし、消費者利益が損なわれるとも思いません。法律案では業種指定方式を避けておりますので自由競争の否定にはなりませんし、この法律が制定されても中小企業同士には激しい競争がございまして、競争は決してなくなることはないのですから、中小企業者は勝手に値段を上げて消費者に不利になるようなことはするわけがなく、したがって消費者利益を阻害するということは考えられません。ただ、中小企業者もこの法律に甘えないで、体質強化に自助努力を積極的に行わなければならないということは言うまでもない点でございます。
 また、大企業との紛争につきましては、団体法の特殊契約がありますし、従来は行政指導でやってきたのですから法律はつくる必要がないんだという意見もございますけれども、紛争が中小企業調停審議会に持ち込まれた例はまだ一件もございませんし、行政指導だけでは十分でないという点もございますので、この法律案のように行政指導は残してもやはり新しい法律の制定が必要であると考えます。ただ、問題は法律の運用でございます。この法律案では、中小企業分野等調整審議会の意見を聞いて勧告、指導、命令が行われることになっておりますけれども、審議会の構成は幅広く公正な意見を反映するものでなければなりませんし、その運用につきましても適切かつ機動的に行われるよう特に配慮することが必要だと思います。中小企業者も、法律さえつくれば自分たちは守られるのだという安易な気持ちはこの際捨てて、消費者利益の立場から企業体質の強化に努力すべきであり、それがこの法律の趣旨を生かす道であると考えます。
 以上述べた理由から、私は分野調整法の制定には賛成でございまして、この法律が一日も早く成立し、中小企業の適正な事業活動の機会が確保されることを希望いたしまして、私の公述を終わります。
#8
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。
 それでは次に、全国中小企業団体中央会副会長稲川宮雄参考人にお伺いいたします。
#9
○参考人(稲川宮雄君) 全国中小企業団体中央会の稲川であります。
 このたび国会に提出されておりますいわゆる分野法につきまして、簡単に意見を申し述べたいと存じます。
 この法律は、私どもがかねてから多年にわたって要望してまいりました法律でございまして、そういう大企業の進出という関係は、すでに戦前に百貨店法ができておりましたいきさつから考えましてもわかりますように、非常に重要な問題がございまして、毎年開催いたしまする全国大会を初めといたしまして各種の会合におきまして、ぜひ大企業の進出を調整する法律制度の制定を強く要望してきたのでございます。この法律が今回の国会に提案されましていろいろ御審議をいただいているということはまことに感慨無量でございます。私どもの多年の要望が実現するということで敬意と感謝の意を表したいと存ずるのでございます。
 次に、この内容につきまして二、三の点を申し上げたいと思うのでございますが、まず第一に、最も問題となっております分野の確定と申しますか、あるいは業種の指定という問題でございますが、この点につきましては、私どもといたしましては、できれば業種を指定し確定いたしまして、大企業が中小企業の分野にみだりに入ってこないような措置を強く希望しておったのでございますが、私どもの内部にこのための特別の委員会を設定いたしまして研究を重ねてまいりました結果、技術的に見ましてそれが大変困難である、こういう結論に到達いたしましたので、残念でございますが、私どもといたしましては業種指定はあきらめたのでございます。したがって、本法案におきまして業種指定が入っていないということにつきましては、私どもは特に異論はございません。
 第二に、中小企業団体の申し出を受けまして主務大臣が調査を行う、あるいはまた学識経験者によって中小企業調整審議会を設けるということ、あるいはまたその調整案に基づきまして勧告、公表が行われる、さらにその勧告に従わない場合におきましては、衆議院の段階におきまして、命令、罰則を加える、こういうことが案になっておるのでございますが、これらの点につきましては、いずれも私どもの委員会におきまして検討し大体その方向において私どもの案ができておるのでございまして、基本的にいずれも賛成でございます。
 第三に、問題となっておりますのは、小売商業を対象から除外しておる点でございまして、この点は私どもの委員会の案と基本的に違う、まあ唯一と言ってもいいかと思うんでありますが、点でございます。私どもは、いま一番大きな問題になっておりますのは、製造業におきましてはもちろんございますけれども、しかし、一番問題になっておりますのは小売商業でございまして、これを外しては分野法制定の意味の大半を失うと、こういうように考えておりましたので、政府の中小企業政策審議会におきましても、小売業を外すということにつきましては、かなりわれわれは意見を述べたのでございますが、中小企業政策審議会におきましても、結論といたしましては、この小売業に関しまする現在の法律の運用等に引き続いて改善を加える、こういう結論でございます。
 現在、小売に関しまする他の法律体系がございますので、それと重複したり矛盾したりするということのないようにその方を改善していくという結論でございますので、私どももそれに同調いたしまして、したがいまして、この分野法から小売業が外されておりますことはいたし方ないと思うのでございますが、しかしながら、同時に、それならば小売に関しまする他の法律の整備を必要とする、こういうように考えておったのでございますが、幸いにいたしまして、衆議院の段階においていわゆる商調法の改正が議決されたようでございますので、ぜひともそれを参議院におきましても御採用いただきたいというように考えるわけでございます。そういうわけでございまして、大体この案におきましては、私どもが希望しておりました点はほとんど入っておりますし、また入ってない点も別の措置によって処理するということが大体見通されますので、私どもといたしましては特に異議を申し立てる点は何もございません。全面的に賛成でございまして、一日も速やかにこの法律が制定されることを強く希望するものでございます。
 そういうわけでございますので、特にこれ以上申し上げることはないようでございますが、せっかくの機会ではございますので、この法律の運用等につきまして、二、三の問題となっております点についての意見を申し述べたいと存じます。
 まず、第一点といたしましては、ただいま加藤教授からもお話がございましたように、私どもは法律をつくるということが必ずしもいいことであるとは思っておりませんけれども、しかしながら、どうしても法律の制定によっていただかなければ問題が解決しないという現実を踏まえて、これを要望してきたものでございますが、したがいまして、この法律制度の運用につきましては、まず第一に大企業者の自粛ということが何よりも私は肝要であるというふうに私は思っております。この点は第三条におきましていわゆる「大企業者の責務」という規定が入っておりますので問題はないのでございますが、しかしながら、基本は何といいましても大企業者が自粛をしていただくということが基本でございまして、もしそれが完全に行われておるならば、こういう法律自体も不要なんでございますが、それがなかなか行われないというのでこの法律がとられた。したがいまして、この自粛ということを特に考えていただく。これは経団連におきましてもそういう御方針のようでございますから、大企業におきましても恐らく御異議はないと思いますが、ぜひこの自粛ということを前提として、これからものを考えていただきたいというように思うのでございます。もちろんこの第三条の規定は単なる精神規定であり、あるいは訓示規定でありまして、特に強制力を伴うものではありませんけれども、しかしながら、法律の明文上こういう規定が設けられたということは私は非常に意味があるというように考えておりますので、これは今後の運用においてぜひとも十分考えていただきたい点の一つでございます。
 第二の点は、この法律は、場合によりましては中小企業の合理化努力あるいは近代化努力を阻害することになりはしないか、こういう御心配があるようでございますが、この点につきましても加藤教授から先ほどお話がございましたように、中小企業の間には非常な過当と言っていいほどの競争が激烈に行われておるのでありますから、大企業が入っていただかなくても、中小企業の間における競争がなくなるものではないのでございますから、中小企業の近代化努力あるいは合理化努力というものが阻害されることはゆめにもないというように私どもは確信をいたしております。また、中小企業もみずからの努力あるいは経営の改善ということがなければ、とうてい今日の社会において生きていくことはできないのでございますから、仮にこういう法律ができましても、それによって中小企業がその上に安住するというようなことは許されるものではないというように考えておりますので、大企業の自粛規定とともに中小企業の近代化、合理化努力、あるいは新しい技術の開発という努力を、今後一層この法律制定を機会に、していかなければならない。そうしなければ消費者の信頼を失い、中小企業みずからの発展もできなくなるということをかたく信じておるものでございます。したがいまして、また別の言葉から申しますならば、この法律は中小企業の過保護につながるものではないか、こういうような御指摘もあるのでございますが、私どもは中小企業が他の業種や業体に比べまして、特に過保護を受けておるというようなことはないと思うのであります。
 しかしながら、中小企業といえどもやはり保護は私どもは必要であるというふうに思うのでございます。中小企業の発展のためにはやはり中小企業の経済的な合理性というものが前提であるということは、中小企業政策審議会に設けられました小委員会において、二回にわたって結論されたところでありまして、中小企業が本当に発展していくためには、中小企業自体が経済的な合理性を持たなければならぬということでございまして、この点に私どもは少しも異議があるものではございませんが、しかしながら、零細なあるいは小規模の中小企業というものは、単に経済的な問題だけではなく社会的な機能というものを持っておるのでございまして、この中小企業の社会的な機能、すなわち国民の多くに重要な職業を与える場であるということ、あるいはまた中小企業は、それ自体が中産階級といたしまして、中等階級といたしまして、非常に重要な社会の安定勢力であるということ、そういう点から考えますと、単に経済的な面だけではなく、社会的な面におきましても非常に中小企業は重要であるという点を特にお考えいただきたいというふうに思うのでございます。
 言うならば、中小企業は経済的な合理性ということがなければ発展はしないのでありますが、同時に中小企業は社会的な合理性も持っておる。社会的な合理性があるから経済的な合理性がなくてもいいというわけではございません。やはり経済的な合理性は必要でありますが、同時に中小企業の持っておりますその社会的な機能、その意味というものを考えていただくということが、やはり中小企業を保護していただくということの必要性につながるものと思うのでございます。そういう意味におきまして、この法律は重要な意味を持っておると思うのでございますが、しかしながら、私どもは中小企業がただ保護されればそれで発展するというようには考えていないのでありまして、保護は必要でございますけれども、真の発展はやはりみずからの合理化努力である。それをこの法律が阻害するというようなことは私どもはない、こういうふうに考えておるのでございます。
 次のもう一つの点は、独占禁止法との関係でございますが、独占禁止法が今回の国会において審議されております。その内容は、要するに競争をもっと促進しよう、こういうのが内容でございます。しかるに、今回のこの分野法は、大企業が中小企業分野に入ってくることを阻止して、そうしてある意味においては競争を制限するものではないか、同じ国会において、また同じ委員会において競争を促進する法律、競争を制限する法律とが同時に審議されるということははなはだ矛盾である、そういう論調を見受けるのでございますが、これは私は非常に誤りであるというように考えておるのであります。私どもはやはり競争の促進ということが必要であるということは原点であると思うのでございますが、しかしながら、競争は何でもその放任的な自由競争であっていいというものではないのでございまして、独占禁止法におきましても、その競争には「公正且つ自由」というように、自由競争の前には「公正」という字が入っておるのでありまして、何でも競争すればいいというものではなく、公正かつ自由な競争こそこの独占禁止法の精神であるというふうに思うのでございます。
 分野法におきましても、それは単に競争を制限するというものではなく、大企業が不公正な競争によって中小企業分野に進出してくるというのを調整していただきたいということで考えられておる法律でありますから、それは決して単なる競争の制限ではなく、公正かつ自由な競争を促進するためには大企業の無謀な進出というものに調整を加えていただきたいということでございますから、両法案には何らの矛盾はないと言うよりは、むしろ私どもは、分野法というのは、この独占禁止法の延長線上にあると言っても過言ではないというように考えているのでございます。要するにこれらの、これからこの法律が制定されまして、その運用に当たりましては、そういう角度からいろいろ運用していかなければならない。単に中小企業の保護だけということでありましては中小企業の発展を阻害されますので、そういうことのないように運用していくということが必要であるというように考えておる次第であります。
 いずれにいたしましても、ぜひともこの法律が速やかに制定されますことを強く要望いたしまして、私の意見を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
#10
○委員長(加藤武徳君) ありがとうございました。
 以上で参考人の四方の御意見の陳述を終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑に入りたいと思います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○福岡日出麿君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいまの参考人の御発言に御質問を申し上げたいと存じます。
 まあ大体四人の参考人のお方の結論は、今回のいわゆる衆議院で修正を受けた内容の法律につきましては大体御承認、御賛成だと、こういうふうに受け取ったわけでございます。そういうことでございますが、やはり附帯決議にもございましたように、商調法とそれから大店法と、この三つの柱の上に立って運営をすると、こういうことが前提だと、こういうふうに受け取ったわけでございますが、いろいろ分野調整法の関係で衆議院段階でもって一応命令、罰則と、こういうふうなことでチェックをしたということは私どもも高く評価しておるわけでございます。
 ただ、ここで特に佐藤参考人にお伺いしたいのは、事前チェックということが非常に私は大事だと思うんです。それで、現在では団体が一応申し出をして、これによって主務大臣が調査をすると、これについて非常に御心配、われわれも杞憂いたしておりますわけですが、まあそういうことのためには、いわゆる現在の段階では業界が早く情報をとって、そしてこれを連絡すると、こういうことが残されておるわけでございますが、そういう問題に対する今後の一つの対策ですか、そういうふうなお考え方についてひとつお伺いしておきたい。
 それからもう一つは、先般来いろいろいわゆる零細企業、中小企業に対する大企業の殴り込みが一時大きな問題になっておったわけでございますが、その後いわゆる行政指導というようなことにおいて大体おさまりがついていたというような報告を受けておりますけれども、これにつきましてのなにはその後どういうことになっておるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
 それから、時間がございませんから、何せ後で御返事をいただきたいと思いますが、一応そういったような審議会の運営ですね。まあ消費者を含めて審議会でこれをひとつ話し合いをしていくと、こういうことでございます。こういうことになりますと、審議会のメンバーということが非常に問題になるわけでございますが、私どもがいままでの体験によりますと、たとえば関係の市の会議所を中心とした委員であるとか、いわゆるそういったような地域的に非常に近接した団体の委員さんが出ておる。しかし、大型が出た場合にはむしろ非常に広範囲にわたるいわゆる被害者が出ると、こういうふうなことからいろいろ御意見が出ておりますが、これに対する御感触をひとつお伺いしたい。
 それから稲川参考人にお伺いしたいんですが、いろいろ業種指定の問題につきましては、われわれもずいぶんこれは主張したのでございますけれども、情勢から推し進めてまいりますと、非常に困難だというようなことでこういうことになったわけでございますが、小売商を除外をしたというのは、まあ商調法と大店法の適用によってこれを解決をしていくということ、そのためには抜本的な改正をしていくということと、それからもう一つは、いわゆるこの運用面について厳にひとつこれを推し進めていくということ、そういうことでございますが、こういう面につきましての具体的の、たとえばいままで私ども考えますことは、やっぱり商調法でもってある程度の大企業の規制はできる法律があったけれどもこれが運用されていないという面がありますね。それからもう一つは、たとえば中小企業団体の組織に関する法律の一部の改正によりまして、いわゆる商工組合が大企業との特殊契約ができると、こういうふうな法律がありましたけれども、これに対していままではなかなか実際面に運用されてない。こういう面があるわけでございますが、先ほどから三つの柱の上に立っていくということになりますと、こういった面の運用について非常な問題点があるんじゃないかと私は思っているわけですが、そういう面についての今後のいろいろ考え方なり、そういうことがお気づきでございましたならばひとつお教えいただきたいと思います。
 それからもう一つは、何といたしましても合理化、自助努力ということが大事だというようなことでございますが、まあいろいろ国会でもこの問題につきましては論議をいたしておりますけれども、具体的の問題が出てこないと、ただ漠然と中小企業対策というようなことで御意見が出ておるわけでございますが、今後の問題といたしましてはやはりそういったような具体的な問題を取り上げていくということが非常に私は大事じゃなかろうかと、こういうふうなかっこうで考えておるわけでございます。そういう問題につきましてひとつお考え方をお聞きしたいと思う。
 以上でございます。
#12
○参考人(佐藤公彦君) 私がお答えするのは大体三件であろうかと思いますが、まず事前チェックの方法につきましてでございますが、これは私どもが最も心配したところはここなんであります。ですから私、先ほど申し上げましたように、この業界には業種を指定して、入るときは事前に届け出制をとるというような方法によって事前チェックをしていきたいと、こう思ったのでありますけれども、法技術上大変むずかしいと、困難であるというためにこれは取り上げていただかなかったのであります。そこで、その次善策として、事前チェックをするためにどうするかということでございますが、私どもは私どもなりに――私は社団法人軽印刷工業会に所属する者であります。したがいまして、全国に各都道府県の支部がございますので、その支部をフルに動かしまして情報をキャッチしてまいります。同時に、私ども促進協といたしましては、各業界それぞれが同じような、いま私が申し上げましたような方法によって事前チェックに努力すると同時に、さらにこれを横の連携を十分にして、そして促進協の中に事前チェック委員会とでも言いましょうか、そのようなものをつくって十分事前チェックの責めを果たしてまいりたい。しかしながら、それでもなおかつ隠密裏に行われるのが常識でありますから、そこで先ほど申し上げましたように、監督官庁は常にそこに注意を払っているはずでありますから、それらの御助言をいただきまして、おまえたち気がつかないけれども、こういうのもあるぞというような助言をいただくと。その両々相まって事前チェックの実を上げていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
 第二点の、行政指導で従来うまくやってきたというようなことでございますけれども、私どもはいわゆる行政指導ではその実績は上がらないと、こう見ているのであります。なぜ実績が上がらないかと申しますと、私どもは、私自身が体験した中で事前チェック――たとえば行政指導というものはまずその物差しがございません。どのようなことでやるのか、ないのです。ですから、私どもから申し上げるならば、事前チェックをするときは、その行政指導をするその人の性格によって、個人差によって大変な相違が出てくる。同時にまた、いろんな関連法案等の関係から非常に表現が束縛される。ですから、運用の面においてこうすればいいではないかというようなものがあるわけであります。と同時に、これは人がかわりますときは、今度はそれらのことはほとんど顧みられないで文章にあらわれたことだけでもって処理される。そうすると、結果におきまして、いわゆる行政指導というものは、大企業の進出はこのような出方でしなさいと、まさにそのレールを敷くにとどまる。同時に行政指導は常に有限であります。向こう二年間云々ということでありますから、逆に言いますと、その進出の時期を二年後にしなさいと、こういうようなことになるのでありまして、行政指導では一向にその実を上げられない。それは同じような意味合いにおきまして私ども苦い体験を持っておりますけれども、一例を申し上げますと、大日本印刷との問題の場合でキュープリントが北海道に出た。行政指導で決められたことを全く無視している。しかしながら、それらが一たん出てしまうと監督官庁も既成の事実としていかんともしがたい。だから、それはその文章に、行政指導に合ったような形でこれを認めてしまうということになるのでありますから、私どもは行政指導によってはとうていこの問題は解決できないと、こういうふうに考えたわけであります。そこで、どうしてもこれらを規制するためには法律によらなければいけないという考え方に立って法制定運動を展開したと、このような経緯でございます。
 さらに、その第三点でございますが、審議会の運営のことでございます。そのメンバーはややもすると本当の中小企業者の立場を代弁できない人が入る可能性が十分あるわけであります。私は常に体験と言っておりますけれども、体験とはすなわち体で試すことでありますから、体で試したことのない人が中小企業問題を云々しても、時には机上の空論になるおそれがある。同時にまた、その進出を受けた人が初めて深刻な死活の問題にかかわる生活権の問題として受けとめておりますから、そこに真剣な意見が出されるのでありますから、あたりの人の理解を得ることもできるのではないかと、こういう意味合いにおきまして審議会の構成メンバーに対しては特に私どもは注意をしていただきたい。同時に、でき得るならば私ども促進協こそ――まだ未公認の団体ではありますけれども、この中から、工業会もございますし、あるいは社団法人もございますし、それらの資格に該当する者を選んでいただきまして、少なくとも何名かの者を入れていただかないと困ると、こういうふうに考えているわけであります。
 以上でございます。
#13
○参考人(稲川宮雄君) 私に対する御質問にお答えいたしたいと思います。
 まず第一は、小売商業調整特別措置法、いわゆる商調法の関係でございますが、中小企業関係の法律はきわめて多いのでありますが、私どもはこの商調法というものはいわゆるざる法の代表であると、こういうように従来考えてきたのであります。そういう法律のあることも知らない。いわんや、これを運用するということを余り中小企業は考えていなかったのでございます。しかしながら、いまこの分野法の問題が出てまいりましていろいろ検討してみますると、これはきわめて大切な法律であり、また有意義な法律であり、活用の方法によりましてはいろいろ効果がある、こういうことがわかってまいりました。これを今後大いに活用していくべきではないかという感じを持っておるのでございます。特に、今回衆議院におきましてその改正の法律が通過いたしまして、これがもし国会全体において成立いたしますならば私は非常に意味のある法律になるのではないかということで期待いたしております。もちろん大店法でありますとか、あるいは小売振興法でありますとか、そういう法律の改正も今後検討していかなければならない問題でございますが、この商調法というものによって小売関係の問題はかなりカバーできるのではないか。場合によりましては分野法に足りないところが商調法にはあるという点もございますので、したがいまして、私どもは分野法の中に小売関係を入れることを強く主張してまいったのでございますが、この商調法をうまく活用していただければ十分カバーできると、こういうように考えておるのでございます。
 それから、商工組合の特殊契約でございますが、この特殊契約というものは先ほど加藤先生からもお話がございましたように、長い歴史の中で一回もまだ調停審議会にかかったことはございませんし、またその前段階におきまして大企業と中小企業との間に特殊契約が実際に結ばれたという例はないわけではございませんが、余り行われていないというのでございますが、しかしながら、だからといって私どもはこの特殊契約なりあるいは調停審議会というものが無用なものだったとは少しも考えていないのでございます。私も中央調停審議会の委員を長いことやっておりましたけれども、それはこの委員会にかかる前に行政庁におきましていろいろ調停が事実上行われておりますので特に調停審議会にはかからないのでありますが、それは場合によりましては調停審議会において調停裁決をするという前提と申しますか、伝家の宝刀を背景にして行政庁が調整をしてきていただいておりますので、それで問題は片づいてきておる。したがって、調停審議会に一つも案件がかからなかったということは、これが無用の存在であったとは考えていないのでございます。しかしながら、この特殊契約とかあるいは従来の調停審議会の調停だけではやはり十分でないという点がございますので、ぜひとも今回の分野法というものの制定をお願いしたのであります。
 まず第一点といたしましては、商工組合をつくらなければ、商工組合でなければ調停に持ち出せないと、あるいは特殊契約を結べないということでございますが、商工組合というのは県単位以上の地区でないと認められない。また、同業者の半数以上がこれに加入するというものであります。そういう問題が起こったときに、急にそういう組合をつくるということはほとんどできないのでありますから、したがいまして、この商工組合だけで特殊契約をするとか、あるいは調停審議会に持ち込むというのは非常に範囲が限定されますので、先ほど加藤先生からお話がありましたように、やはり駆け込み寺という観念であるならば、もっとこの団体を広げていくということが必要である。そういう意味におきまして、今回の法律はきわめて重要であるというふうに思っております。
 それから、自己努力に対する具体的な方法は何かと、こういうことでございますが、これは自己努力のやり方をいろいろ検討しますと際限がないくらいあると思うのでありますが、何が決め手かということになりますと、まず中小企業施策というものが非常にたくさん行われておりまして、世界どこへ参りましても日本ぐらいけた外れにたくさんの中小企業施策が行われておる国はないのでございます。そういう施策をもっと十分に活用していくということが必要ではないか。せっかく制度がありましても、なお十分に活用されてない面がございますので、これを活用していくということが必要である。
 それから、いろいろございますけれども、もう一つの問題といたしましては、私どもの従来の主張は、やはり個々の中小企業では自己努力と申しましても限界がどうしてもございますので、お互いの力を合わせて共同化ということによって問題を解決していくということがこの自己努力の非常に重要な柱である。ことに、これからの低成長の中におきましてはいわゆる知識集約化というものを中心にしていかなければならない。その知識集約化というものも個人では限界がありますので、共同の力によってこれを開発していくということがこれからは非常に重要ではないか、それがいわゆる自己努力につながっていくものである、こういうふうに考えております。
#14
○森下昭司君 まず最初に、佐藤参考人にお伺いしたいと思いますが、これは各参考人の方々の共通した御意見でありますが、業種指定がなかったのは非常に残念であります。しかし、法の運用面で配慮をしていただきたいということになると思うんであります。私は、業種指定ができなければ、少なくとも中小企業の範囲というものは、この法の対象の業種の範囲というものは、たとえば中小企業基本法で言う中小企業というものを一つの基本にして考えていくのか、あるいはまた出荷額とか、あるいは一つの生産の業種の中で一定パーセント以上の中小企業者があった場合には、その業種を中小企業性の業種としてこの分野法の対象にしていくのか。つまり、分野法の対象になる業種というものは、指定がなくても、私どもは中小企業性業種と申し上げておりますが、中小企業性業種というものはどの範囲が妥当なのかどうか、御意見がありますれば最初にそのことをちょっとお伺いいたしたいんです。
#15
○参考人(佐藤公彦君) いま先生のおっしゃるとおりでありまして、私どもも法技術上大変むずかしいということでありましたから、まあ事前チェックができればということで一応満足の意を表しているわけであります。しかしながら、中小企業性業種といま先生言われましたように、いわゆる大企業はミサイルからラーメンまで、あるいはコンニャクまでというようにありますけれども、それらを分けてみました場合に、この分野は中小企業が担当するのが当然であり最も適当であるという常識的に考えても中小企業性の業種というものはあると私は考えております。そういう意味合いにおきまして、本来ならばどうして指定ができないのか、どうしてむずかしいのか、たとえば出荷額その他いろんなところから見ますと、大体中小企業性業種というものは三百二、三十種類あるそうでございます。しかしながら、中小企業性業種といっても大企業と混在する中でそれで生活をして、それで満足している業界もあるでありましょうし、私どものような促進協の傘下の実際に被害を受けて死活にかかわる業界がありまして、どうしてもこうしていただきたいという業界もあるわけであります。ですから、私どもは絶対にできないという考え方は持っているものではありませんし、よく常識的に判断していったならば、豆腐は中小企業性業種でこれでいいではないか、コンニャクもこれもいいではないかというようなのはないとは私は思っておりません、いまでも。ですけれども、しかし、せっかく各党、先生方があらゆる知恵と力を合わせていただきまして、そしてそのような結論を得ました以上、私どもはそれに従っていくことでと覚悟しております。ただ、今後は事前チェックが十分できるようにして、そしてそのような横暴な進出がないようにしていきたいと、こういうふうにこいねがうだけであります。
#16
○森下昭司君 いま御指摘がありましたように、やはり私ども大企業のシェアが非常に高い、たとえば例といたしまして、鉄鋼業でありますとか重電機でありますとか自動車関連産業で、仮にこれ中小企業がその産業で従事しておりまして、このいま申し上げた例として鉄鋼業とか重電機のように大企業が進出してまいりました。これはこの分野法の対象にならないんだと、これは常識的に私は判断できると思うんです。ただ、そうした意味からまいりますと、やはり中小企業性業種というものについて業種指定ができなければ、何らかの私は標準的な考え方というものが必要になってくるのではないだろうかという感じがいたすわけであります。そういうものについて、もしも皆さん方の分野確保法協議会の方で具体的に御論議がありまして、いま申し上げたように出荷額でいくのか、中小企業基本法で言う中小企業団体に限っていくのか、あるいは概念でいくのか、あるいはいま申し上げた企業数で何分の一以上の企業がその業に従事しておればその業種自体は中小企業性業種だと、そういう何か具体的な案がおありになればこの際ひとつ御説明いただきたいと、かように思うんですけれども。
#17
○参考人(佐藤公彦君) 私どもの方は大体出荷額とかあるいはそういう面で一応の目安は持っておったのでありますけれども、これといっていま明確に申し上げる材料をここに持っておりませんけれども、それは確かにございます。特に、私がいま付言さしていただきますと、いま大企業が出てくると非常にいいんだと言うけれども、たとえばめがねの業界、レンズの業界等におきまして、あれはほとんどみんな中小零細がつくっているんです。ただ、大企業のブランドがぽっと入りますと、すぐそれで大企業の製品になるんです。ですから、本来なら中小企業がつくって二万円のめがねのつるがたちまちブランドが入ると一万五千円になるんです。一体だれがつくっているのかというと、これは小零細企業なんです。レンズも同じ、です。そうすると、一体それはどこに違いがあるのか。これはまさに宣伝広報力の差なんです。宣伝広報力があるために、それが大企業の製品だからということで信頼を得る。年じゅうテレビで、あるいはあらゆるものを通じて宣伝しますから、消費者の大多数がこれはいいんだと思ってしかも高く買っている。その実は中小零細企業がつくっているということでありますから、はっきり実態を調査いたしますと、先生おっしゃるように、紛れもない中小企業業種は明確に出てまいると私どもはいまもって確信しております。
#18
○森下昭司君 重ねて佐藤参考人にお尋ねをいたしておきますが、先ほどいろいろ法の運営面で配慮をしなければいけないということの中で、大企業の進出を事前にチェックすることが一番必要なことではないか、既成事実がつくられてしまってからではたとえいわゆる調整審議会にかかって調整になっても本来の調整ができ得ない心配があるという趣旨のお話がございました。私もそう思うのでありますが、先ほど佐藤参考人が言われましたキュープリント、これは五十年の五月に北海道の帯広に、通産省とあなた方との間において――いや軽印刷業界との間において合意条項が成り立った後に、ひそかにフランチャイズ制のプラントを設けているのですね。あるいは五十一年の九月にも千葉市においても同じような行為を行っている。それが明らかになりまして通産省に善処を求めましたところ、できたものは簡単に言えば仕方がないじゃないかということで、ついに認めざるを得なかったというような実態がありますね。
 それからもう一つは、よく問題になりますが、理化医ガラスに進出いたしましたアメリカのコーニング社と日本の旭硝子の合弁会社でありますああいう岩城硝子ですね。これも四十年設立当時念書が入って、業界を混乱させませんという約束をしておきながら、実際には四十九年にひそかに自動成形機を契約をいたしまして、業者の知らない間にこの自動成形機を設置いたしまして、大量生産に入った。気がついて、みんながこれじゃだめだというので通産省に申し入れて、そして結果、自動成形機の撤去にはならないで生産を制限をするというかっこうで一応紛争にけりがついた。しかし、これも五十二年度末という一つの目安がついておりまして、五十二年末以降はどうなるかわからない。こういう私は実態がありまするときに、お示しになりました大企業の進出を事前にチェックすることが非常に大切だという意見は十分わかるのであります。そこで、いまお話があった全国の各支部云々、それからできれば主務大臣以下のもとにおいてそういった大企業を、事前に申し出がなくてもチェックできるような対応策を示せという要望がありまして、全く私同感だと思うのでありますが、このいわゆる事前チェックの制度をさらに完全に運用するためには、先ほどお話しになりました以外にどういうことをひとつしていただきたい、政府にやってもらいたい、あるいはこういうことを希望したいというようなことがございますか。
#19
○参考人(佐藤公彦君) 大変ありがたい御理解のある質問をいただきましたけれども、もうちょっとだけ触れておきますが、例の行政指導は、先ほどの先生の御質問にもお答えしましたように、行政指導は大体物差しがない、と同時に有限である。つまり、先生いまおっしゃるように、五十二年三月までとか有限である、同時に拘束力がありません。ですから、出てきてしまった以上は、たとえそれが従来の行政指導をじゅうりんされておっても、いわゆる主務官庁がそれに対していかんともなしがたい。ですから、いろいろ考えて、その行政指導に合うような措置を講じながら合法的にして、それを認めてきているというのが現在までの行政指導の実態だと思うんであります。帯広の場合はこっそりと言いますけれども、隠密裏でも別になかったようであります。大いばりに行政指導のこの契約を掲げて、こんなものは何の役にも立たないんだ――それはそうです、何にも拘束力がないのですから。それで堂々とつくった。つくったけれども、これは、通産省はそれはけしからぬとは言ったものの、いわゆる既成事実が出た以上、これをまたもとの状態に戻させることも不可能である。だから、このような状態にして納得しろ――これはそうなんです。
 また、先ほど申し上げました有限の問題でありますが、私どもの業界も五十三年の三月十五日かな、で終わるんですけれども、そうしますと、その後どうなるのかというと、これも従来の行政指導、また今度の法律だってその懸念は十分私持っておりますけれども、向こう二年間の間に中小企業は体質を改善して、大企業と競争し得るように体質改善をしろというようなことがその前提になっていると思うのでありますけれども、中小企業と大企業とはもともと違うんであります。中小企業はいわば自転車であり、大企業はトラックであり自動車なんです。ですから、二年間の間に幾ら自助努力をし、体質改善に体質改善を重ねてみても、しょせんは自動車にはならないのであります。ですからそのようなのは、生産性の低いものはカットしてしまえという論理に発展するかもしれませんけれども、道の広いところは自動車でいいですけれども、狭くなったときは小回りのきく自転車でなければならない。ですから、大企業の分野もあるように中小企業の分野も必要だ、トラックの分野も必要なかわりに自転車の分野も必要だというのが私どもの今度の分野法の制定を求める根拠の重大な理由の一つでもあります。
 さらに、いまの事前チェックの方法でありますが、これに対しましては本当にいまのところ私どもはこれという名案を持っておりません。これから促進協の中に各団体を網羅した委員会を設置して十分検討をして、そして少なくとも事前チェックのできるようにせっかく法でこのようにつくっていただいたのでありますから、煙の段階でチェックできるような委員会を構成する。しかしながら、それといっても中小企業団体のやること、そしてやる場合は大体人が――大企業は隠密裏に出てくるということでありますから、これもとうていその実を上げることはむずかしいのではないかという懸念も十分持っております。精いっぱいの努力をしてみた結果、どうしてもだめなら改めてまた先生方にこういう方法にしていただかなきゃいけないというお願いを、陳情行動を展開することになるのではないかといまから考えておるわけであります。
#20
○森下昭司君 いま佐藤参考人のお話を聞きまして、私、岩城硝子の件でよく理解することができます。たとえば、いまお話がありましたように、岩城硝子のときには五十二年末に生産制限をするかわりに、御指摘ありましたように、三十七社の既存の理化医ガラスを製造いたしておりまする中小企業は合理化を図れと、こういうことは合意条項ですね。ところが、五十二年末――もうことしあと半年しかありませんので、まだ近代化促進法によって指定業種に入っていないんです。事実上、業者自体が合理化をやろうとしても、政府自体はそういう行政指導をしていないんですね。全く私は合意事項は単なる形式に終わっているということを思うわけでありまして、全く同感であります。
 最後に、ちょっと私、加藤参考人にお尋ねいたしておきたいんでありますが、これは私の聞き間違いかどうか存じませんが、先ほど御意見の中に五条以下、あるいは第三条の大企業の責務等がございまして、大企業はこれから先に中小企業の分野に出てくる、つまり知らない間に大企業が出てくるというような心配はなくなるであろうというお話がございましたが、いまの岩城硝子だとか、あるいはその他の問題等考えますと、私ややちょっと不安感がありますので、その点について先生の御見解ありますればお伺いしたいと思うんです。
#21
○参考人(加藤誠一君) 運用の問題になると思いますけれども、第五条の事前調査がつけ加えられたということはベターになったという理解でございます。
#22
○対馬孝且君 二点だけ簡潔にお伺いをいたします。
 加藤参考人ちょっとお伺いをしますが、この中小企業団体等の認知の問題ですね。きのう私、大臣側にも質問しているのでありますが、一応中小企業団体等は認知をする場合に、いま通産省側の答弁で、私の質問に対しましてきのう言っておりますのは、つまり漁業協同組合、商工組合、工業会、その他地域に点在をして全国的な横のつながりのあるものについては検討をする必要がある、これがきのうの企業庁長官の私に対する質問の答弁でございました。
 端的にお伺いするのでありますが、たとえばいまの小規模零細のこの建設業界ですね、かなりこれは大企業にシェアをプレハブであるとかどんどん進出をされまして侵されているわけです。したがって、これが各地域にかなり点在をしておりますので、そういうものが、つまり一定の三分の二、あるいは二分の一が署名団体によって登録したものは、これはやはり一つの団体として認知していいんじゃないか、こう私は考えるのでありますが、この点、加藤先生の立場から考えて、団体の認知ということについてどういうふうにお考えになっているか、これを伺いたい。
 それから、佐藤促進協会長に一言だけ。予算委員会でも参考人で大変貴重な御意見を賜っておりますので……。先ほどの審議会の運用が、私はきのうも申し上げたのですが、まさしくこれからの、法案はつくったけれども仏つくって魂入れずということになっては困るんだ。やはり何といってもこの審議会の構成、運用がこの法律の最大のこれからのやはり決め手になるだろう。こう思うのでありますが、先ほど同僚議員からもちょっと関連の質問がございましたが、率直に申し上げまして、在来でいきますと、学識経験者あるいは企業団体の一部、消費者団体等、これが通称言われる審議会形式なんですね。ですから、私はそれだけではだめだと。この機会にお伺いをしたいのは、先ほど促進協の代表の方々、もちろん入れてもらいたいというのは当然でありますが、私はこの審議会の中にかなり業種指定を、代表的なものを全部入れるべきじゃないか。本来なら業種指定は、私はこれは予算委員会でも主張したのでありますが、遺憾ながら事前チェックになりましたけれども、審議会構成の中に少なくともこの豆腐業界あるいは印刷、あるいはこの前話したガラスあるいは理化医、こういういろいろありますが、全部と言いません。少なくともこの審議会構成の三分の二は中小企業の代表でなければならない。その下には私は専門部会を構成をして、この専門委員会の中には業種別代表を全部、業種指定とみなされる代表を全部網羅させる。こういう審議会構成にしなければ実際的には審議会というものは本当にわれわれ考えるような方向にいかないんじゃないかと、こういうふうに私なりにきのう政府側には追及をいたしておるのでありますが、こういう意味での考え方が入ってまずいのかどうか。あるいはその点もっとこうしてもらいたいと、この方がいいのじゃないかという御意見があったらこの機会に御説明をいただきたい、こう思います。
 二点であります。
#23
○参考人(加藤誠一君) どこまでを任意団体と考えるかという問題ですけれども、これは先ほど申しましたように、その点については検討すべきだと思いますけれども、私の考えたのは、少なくともその業界で中小企業の意見を正当に代表しているというふうに思われる団体だったら、やはりそういう団体も申し立てができるように道を開く必要あるんじゃないか。つまり、私の申し上げているのは、何でもかんでも団体をつくれば申し立て団体になるということではなくて、やはり市民性を持ったそういう団体なら道を開く必要があるというふうに考えているのでございます。
#24
○参考人(佐藤公彦君) ただいまの先生の御質問に私は全く同感であります。それでありますから、最初の趣旨を申し上げました中におきしても、私どもは最大の関心事は審議会の構成とその運用だと申し上げているわけであります。実際にこの法律が本当の実効性の伴う法律になるのか、あるいはざる法に堕してしまうのか、これはまさにこの審議会の構成と運用にあるわけです。ですから、私どもはいま先生のおっしゃったような万全を期していただければ幸いでありますけれども、そこまではできないとするにしても、よりベターなものを取り入れていただきまして、少なくとも当該被害を受けている団体の代表、あるいは私ども被害を受けている団体の集まり、これから受けるであろうということを危惧しながら促進協に加盟を申請中の団体等々の代表は入れていただきたいと思うのであります。ただ私どもは、よく言われるように、中小企業のみずからの業界エゴで申し上げているのではありませんから、その中に、審議の過程の中において十分に理解を得るならば、決してそのようなわがままを言ったり甘えたりするのではありませんので、その辺も御配慮をいただきまして、先生方の方で十分委員会構成に対して配慮していただきたいと、こう思うのであります。
#25
○対馬孝且君 終わります。
#26
○桑名義治君 先ほどからの御質問の中でもうすでに私の質問をしたい事項につきまして出ているものがございますので、重複を避けてお聞きをしておきたいと思います。
 最初に、佐藤参考人に対してお伺いをしたいわけでございますが、先ほどの陳述の中にもございましたように、要望事項として七項目あったわけでございます。これはおたくの方で出されておりました決議の中で明確にされているわけでございますが、この中で、先ほどからの陳述にもございましたが、いわゆる業種指定の問題がこれは欠落をしているわけでございます。この問題については、もう先ほどから質問がございましたので省かさしていただきますが、第七番目に、いわゆる「主務大臣の権限は、都道府県知事にも委任できるものとし、都道府県審議会を設置すること。」というのが第七項目に挙がっております。この問題は今回の法律では欠落をしているわけです。したがいまして、この問題について私昨日も委員会の中で通産側の意見を聞いてみたわけでございますが、全面的に否定しているわけではございません。この法律がいまから先、執行する段階におきまして、必要と認めるような事項が出てくるならば考えなければならないでしょうという意味の答弁がなされているわけです。したがいまして、こういつた決議の中でうたわれている以上は、促進会といたしましては、大きな意味を持って第七項目に主張されていることと思いますので、その意味合いをひとつお聞かせ願いたいと思います。
 それから、衆議院の修正案で問題の解決が十分に図られたと、このようにお考えになっていらっしゃるのかどうか。これは非常に抽象的な御質問になるかとも思いますが、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
 それからもう一点は、調整に当たりまして消費者利益の確保について中小企業団体としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。これは消費者連盟の方から大体非常に消極的であったというような意見もいろいろお聞きしておりますし、消費者といたしましては、この消費者利益という事柄に非常に大きな視点が置かれ、ているんじゃないのかというふうに考えるわけでございますし、こういった点を明快にしておくことが、また今後この法の運営の上において非常に重要なことではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 それから、加藤先生に御質問をしたいことは、これは非常にまた抽象的な問題になって申し訳ございませんが、今回の中小企業分野問題の基本的性格はどんな点であると御理解をなさっておられるのかという点でございます。
 それからもう一点は、先ほどもう質問に出ましたので省かしていただきますが、この任意団体の問題でございます。
 それからもう一点は、先生の本の中にもお書きになっていらっしゃるようでございますが、本法案では小売業を除外しております。したがいまして、大企業の進出で一番問題が生じているのは小売業である、こういう先生の御認識のようでございますし、私たちもこの点の認識は一致しているわけでございますが、関係法律の改正により規制を強化すべきである、こういうふうに思います。この点についての先生の具体的なお考えがございましたら、きょうここでお聞かせ願えれば幸いだと思うわけでございます。
 以上でございます。
#27
○参考人(佐藤公彦君) ただいまの私どもが要望申し上げました七項のうちの第七点でありますが、私どもの要望はいま申されましたように、主務大臣の権限は、都道府県知事にも委任できるものとし、都道府県審議会を設置すること。」といったんでありますが、これは実はその中で、衆議院の附帯決議の中で「本法の規定により大企業の進出に関する調整措置を講ずるに当たっては、関係都道府県知事の意見を十分反映させるよう努めること。」というようなことになっておりますので、幾らか私どもの意のあるところも受けとめていただいたんではないかと、こういうふうに理解しているわけであります。
 ただ、私どもがなぜこれだけの第七項に盛り上げたかということでございますが、実はこの大企業は国全体、全国的に出るわけではなくて、たとえば私がこの前長野県支部結成に行きましたところが、長野県の中に一万坪の土地を買い占めて、そしてある製紙会社がそこに紙の、いわゆる紙器です。紙の箱です。それをつくる工場をつくってやるということなんですよ。そうしますと、長野県下の紙器業者は一瞬にして壊滅すると、こういうことになるわけであります。しかし、それは全体、国全般ではありませんで地域に限っているわけでありますから、そういう意味合いで私どもは要望している。同時に、いろんな意見書が現在まで三十四都道府県にわたる――二十九の都道府県議会が全会一致でこれ決議しておりますし、さらに全国知事会あるいは全国都道府県議長会等からも意見書が出ております。その意見書の中で目頭に、本県においては、あるいは本県においてはというようなことが幾つも多く出てきているんであります。したがって、地域的にそのような問題が発生していく。さらには、地場産業を守る等々、いわゆる各都道府県の段階でそのような問題が多く発生しているわけでありますから、中央、だけではなくて、それを都道府県の段階に落としていただきたい。審議会を設置し、知事にもそれを委任すべきであるというのが私どもの要望申し上げた根拠であります。
 それから次に、消費者利益でありましたか――この法案に満足しているかということでございますね。満足しているかということになりますと若干――いわゆるあくまで調整であり、したがって規模の縮小あるいは進出時期の繰り延べ等でありまして、別にいかに中小企業性の業種であっても進出の停止ということはないわけでありましょう。だから、そこでまあ多少若干のものはあります。けれども、私どもは、ベストを求めているのは私どもでありますし、御審議をいただいて私どもにくださるのは、まあそうはなかなかまいりません。そこで、ベターであるならばということで、よりベターなものとして一応満足していると、こううふうにお答えするわけであります。
 次に、消費者利益でありますが、消費者利益は、何かといいますと今度の問題ですぐに消費者利益と関連しておりますけれども、私どもがまず冒頭申し上げなきゃいけないのは、私どもは分野法こそがまさに消費者利益を守るために必要だと、こういう考えさえ持っているんであります。しかも消費者の中には、多くの消費者は一般にやはり消費者の利益を守る――中小企業を甘やかす余り消費者利益をそれは即損なうんだというような論理が展開されておりますけれども、消費者の中は決してそのようなものではなくて、これもある大会に私が参りましたときに、消団連の代表が私どもにあいさつをくだすった中において、消費者は決して分野法に対して反対するものではない、むしろ積極的にこの推進をしていくために大いに応援をする、ですからがんばってください。それはなぜだと、それは即消費者利益を守ることにつながるんだからと、こういうものあります。これちょっと簡単に読み上げますと、「中小企業事業分野確保法に対して、消費者団体は積極的に賛成していないという見方があるようですが、たとえ部分的にそうであっても、私はこの法は将来必ず消費者の生活を守ってくれることを確信し、制定のために消費者も共通の認識の上に立つよう訴えていきたいと思っています。」と、こういうふうに持っていっております。そこで、私が先ほど申し上げましたように、大企業は「最初のうちは羊頭をかかげていますが、一定のシェアを確保すると必ず消費者からの収奪を強め、もうけ第一主義に転化することは、多くの地域で経験づみのことです。従ってこのことは、中小企業の生活権の問題であると同時に、消費者の生活権の問題でああります。為政者は一日も早く弱肉強食の経済運営を規制し、中小企業に事業分野を与えて営業権を確立し、共に日本経済の成長・発展に寄与してもらうようにすべきだと考えます。そのためには、」というふうに持っていってあるわけです。
 ですから、消費者利益と中小企業の分野というものはまさに手の表裏一体でありまして、私ども中小企業が甘えて、そしてぬるま湯につかってなんかいたならば、たちまち大企業どころかみずからの仲間の中小企業にけ落とされまして生活権を奪われるのでありますから、まさに激烈な競争を展開しているんです。中小企業の特質というものは、御承知のように数が多くて、小さくて、そのかわり小回りがきくというところにありますから、競争は最大の競争を依然として続けなければならないし、同時にまた先ほど稲川先生おっしゃいましたように、大企業が出てきて中小企業に刺激を与えて体質改善をするというのは重大な誤りでありまして、これは、大企業が出てくるのは別に消費者利益を考えて出てくるのでもなければ何でもなくて、まずその前にみずからの利益を追求するために出てくるんですから、その結果、最初のうちは安くて、一見消費者利益になるようでありますけれども、結果においてはそうではないということは過去の実例が明確に示しているわけであります。そういう意味合いにおいて、私どもは消費者利益と中小企業分野法はまさに表裏一体で、消費者利益を守るためにこの法律は必要なんだという考え方に立っているわけであります。
#28
○参考人(加藤誠一君) 第一点の分野調整法の基本的性格でございますけれども、これはただ大企業が中小企業の分野へ進出してくるから中小企業分野に高い障壁をつくってそこから一歩も入れないんだということではなくて、大企業の進出が資本の横暴であるということがはっきりすれば、中小企業の事業分野の機会を確保するためにそれをチェックするというふうな性格のものであるというふうに私は考えております。
 それから第二点の任意団体ですが、これは分野調整審議会を駆け込み寺というふうにもし考えるんなら、法制組合だけに限定しなくてもいいんではないか、任意団体にも道を開いてやったらどうなのかということです。どこまでを考えるかということは先ほどお答えいたしましたけれども、中小企業団体なら、団体というか中小企業のグループなら何でもいいということではなくて、やはり中小企業のその業界における意見を正当に代表するというものなら、法制組合ではなくても申し立てができるような道を開いてやるべきではないか、こういう考えであります。
 それから第三の小売商業を適用除外にしたということにつきましては、確かに、単に法律の運用を云々するというだけでなく、法改正までやるべではないかというのが私の意見でございますけれども、これにつきましてはいろんな意見がいま出ておりまして、私自身としてももう少し整理してからお答えしたいと思います。
#29
○桑名義治君 加藤先生にお伺いをしたいと思いますが、これは先ほど佐藤参考人にもお答えを願った問題でございますが、先生のこの雑誌の中にも消費者利益の保護という観点を第四番目に挙げられているわけでございます。それに対する加藤先生の御意見もあわせてお伺いをしておきたいと思います。
#30
○参考人(加藤誠一君) 消費者利益の保護ということは、もうこれはいうまでもございませんので、すべてその上に立って問題を考えるという以外ないと思うんです。ただ、この程度の法案、法律内容でしたら消費者利益を阻害することにはならないんではないか。それは、先ほど触れましたけれども、もちろん中小企業者自身の自助努力も必要ですけれども、中小企業者自身には競争が非常にありますし、先ほど稲川副会長も御指摘になりましたけれども、むしろ過当競争的な性格も持っているわけでなんで、その中で自助努力を絶えずやっているわけでして、法律ができたからそれに甘えて何にもしないということではないと思うんです。ですから、消費者団体におきましてもその辺をぜひ理解していただきたいと思うんです。中小企業の中にはやはり余りよくない方がいることはもちろんでございますけれども、それをもって中小企業全体が消費者利益に反することをやっているんだというふうには私は考えておりません。
#31
○桑名義治君 最後に、私の簡単な意見を述べさしていただいて質問を終わりにしたいと思いますが、先ほどから消費者利益の問題を表に立ててずいぶんと質問をさしていただいたわけでございますが、これは私はそれを阻害するという意味合いから申し上げたわけではございませんので、あくまでもそういったいわゆる声がある、その声を納得させた上で、さらにこの法の運営の万全を期していくことの方がむしろベターであろう、こういう立場から御質問申し上げたわけでございます。したがいまして、この法律がいよいよ動き始めましても、実効を期するためにはなお一層きょうここに参考人として来られておられる皆様方の厳しい目、そして実態に合ったいわゆる法の運営がなされているかどうか、いろいろな事象ですね、またお聞かせ願えることによって最も有効な法の運営ができるのではなかろうかと、こういうように考えるわけでございますので、そういった事柄を要望をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#32
○須藤五郎君 本日は参考人の皆さんには大変御苦労さまでございます。まずお礼を申し上げておきたいと思います。
 私どもはこの分野調整法が出る以前から独自の分野確保法を国会に提案いたしました。その成立のために促進協を初めとする中小企業の皆さんとともに努力してまいったものでございます。若干の不十分さを持つとは言いながら、修正されましたこの本案は、現状に比較しまして相当前進したものであると、こう思いまして、早くぜひとも成立させたいという念願を持っておるものでございいます。
 そこで、各参考人にお伺いいたしますが、さてこの法律を見ますると、主務大臣の運用姿勢がここの法律を本当に実効あるものにする上では大きなポイントとなっていると私は考えます。この点について御希望等も含めて皆さんの御意見を承りたいと存じます。
#33
○委員長(加藤武徳君) どなたという特定の御質問ではないのでございますが、いまの須藤委員の質問に対しまして御意見のおありの方は御発言を願います。
#34
○参考人(新木精之助君) ただいま先生のお説ののとおりでございます。たとえば、すでに四十八年に制定されました大規模小売店舗法を今日ぜひわれわれ小売商は改正していただきたい、こういうことで冒頭私がいろいろ意見を申し上げましたけれども、この法律の条文だけではなくて、まさに先生御指摘のような運用面についての改正が非常に大事じゃないかと。今日各地でいろいろ大規模小売店の進出によりまして紛争が起きております。が、しかし、この法の適用の問題もさることながら、その運用についての妥当を欠くということで非常に問題が起きている。あるいはその処理が非常に長引いているというのが非常に多いわけでございます。したがいまして、特に今後小売業を除くということから商調法の改正を行う、あるいは私どもが要望いたしております大店法の改正ということを御検討をちょうだいするという段階におきましても、特にこの運用をどうするかということが非常に今後考えられなければならないんではないかというように思います。
 その運用姿勢のポイントでございますが、今日の中小小売商という立場におきまして、先ほど佐藤参考人さんからもお話がありましたように、われわれ中小企業は単にエゴを言っているというような誤解をまずのけていただく。たとえば、われわれ中小小売商の立場で申しますと、確かにまだまだ大企業からはおくれておりますけれども、全国百五十万の中小小売商が山村津々浦々までありまして、そして消費者のために身近にいて心ゆくサービスあるいは長い間の親しい間柄で奉仕をしている、こういうことでございます。単に今日言う安いからというだけの問題ではなくて、本当にいい物を安くする、あるいはたとえば品物、価格でなくても納得のいくサービスと、そしてお互いの消費者との気持ちの触れ合いの中で商売をしていくということが中小小売商に最も大事なことではないか。そういう中小小売商というもの、あるいは中小企業というものを御運解いただいて、そういうことに主点を置いた運用の姿勢と申しますか、そういう姿勢でひとつ今後そこにポイントを置いて考えていただきたい、かように考えるわけでございます。
 いずれにしましても、この運用ということが、いままでのいろいろな法律を施行する段階におきまして非常に大事である、そしてその姿勢は、中小企業というものはエゴを言っているという、そういうことをもう一度お考え直していただいて、そして中小企業を、日本の産業というものは中小企業を基盤として今日まで世界列国が驚異的に見たほどの成長発展を遂げた、それはやはり中小企業が今日忍苦に耐え、そして大企業の下積みになって働いてきたんだと、その辺を十分御認識いただいて、今後ますます日本の経済がこのまま発展成長するような中小企業の運用、そういうふうなものについての御理解にポイントを置いていただきたい、かように考えるわけであります。
#35
○委員長(加藤武徳君) 他の参考人で何か御意見がございますか。
#36
○参考人(稲川宮雄君) 今後のこの法律の運用につきましては、ただいまお話がございましたように、主務大臣の運用姿勢が非常に重要なポイントになることは言うまでもないと存じますが、そのためにはまず第一点といたしまして、この調整審議会の構成並びにその運用に十分配意をしていただきたい。特に私は、先ほどからいろいろ御意見がございましたけれども、国民経済的な立場に立って公平に処理をするということのできる委員が必要であるということを考えるのでございます。
 それから、現在この分野問題につきましては、すでに行政措置といたしましてそれぞれ調整官が各通産局単位に設けられ、あるいはまたモニターが商工会議所、商工会あるいは私どもの中央会にも配置されておるのでございますが、この調整官とかモニターというものをもっと強化していただきまして、先ほどいろいろ問題に出ました事前チェックということはなかなかむずかしい問題でございますけれども、このモニター等を十分に活用していただくように、予算等も十分ではないと存じますが、そういう点をもう少し強化していただくことがこの法律運用の上における一つの重要なポイントではないかというように考えるのでございます。
 それからもう一つは、この法律の規定の中にも大企業の自粛でありますとか、あるいは中小企業の合理化指導ということがございますが、これも先ほど私申し上げましたように、きわめて重要な前提でございますので、こういう点も十分配慮をしていただく。
 なお、すでにお話がございましたように、私どももこの法律が決して消費者の利益を害するものであってはならない。もし消費者の利益に害するような法律であるならば、それはどういう調整がどういうふうに行われましても結局中小企業のためにはならない。長い目で、結果的にはそういうことになりますので、したがいまして、そういう角度から法律を運用していただきますとともに、また消費者なり国民一般の方々の御理解もいくように主務大臣の方におきまして十分御留意をいただきたいということを希望しておるわけでございます。
 以上でございます。
#37
○参考人(佐藤公彦君) 私は、今後の運用で一番問題になるのは、やはり消費者利益との関連で消費者利益を損なうんじゃないかというようなことが非常なブレーキになってみたり、あるいは重要なポイントになってくると思うんであります。したがって、これからの運用の面においてちょっとだけ御要求を申し上げておきたい。
 と申しますのは、私はこの問題が発生しまして、特に商調法の問題も絡めまして、いままで行ったことありませんけれども、よくスーパーに出かけて実態を見てまいっております。そうしますと、まず私が感じたことは、行って、私は家族が二人でありますから三個しか要らないのにもかかわらず、十個のパックに入っておる。それしか買えない。数の選択がまず奪われるのであります。したがって、七個よけい買ってきますから、それを保存すればいいじゃないかと言うけれども、保存のきかないものもありますから、そこで非常な浪費につながる。こういうことがまず第一点あります。
 それからその次には、もう一つは、きれいにパックされておりますから、確かにその包装の手間あるいはレジの関係等で省力化されますので、スーパーそのものは安くなるかもしれません。けれども、その後は一体どうなるかという問題、ポリパックの問題であります。あるいはゴミになって、私、燃やしてみましたけれども、大変な臭気を発散します。あのような臭気が発散するということは、かなりの毒性を持っているものと見なければいけない。これが第二点です。
 と同時に、それを運搬していって一体どのようにするのか、焼却しなければいけません。焼却しますと非常な高熱を発するということでございます。ですから、これは焼却炉が早く痛んでしまう。それをだれが負担するのか、これは国あるいは地方自治体だと思います。さらにまた、内容を見ようと思っても、パックされておれば見られません。持って帰ってみますと、よくかびが生えていたなどという事実があるわけです。これらのものをよく考えていただきませんと、単なる安いから、目先だけで安いから、それが即消費者利益につながるんだ、だから大企業が出てくるといいんではないかという考え方は大いに間違いで、この辺で発想の転換をすべきではないか、こういうように思っております。
 さらにもう一つは、プラスチックには一体毒性はないのかどうか、どこで一体それはチェックされているのか。厚生省で完全な調査が行われたかどうかというような問題。それを具体的に申し上げることを差し控えますけれども、そのような問題も含めまして、単なる目先の値段が安いからそれは即消費者利益につながるんだ、だから大企業が出てきておまえたち引っ込んでもやむを得ないんだという論理はこの辺で修正を加える必要もある。また、修正を加えるための参考にしていただかなければいけないと私は痛感しておるわけであります。
#38
○参考人(加藤誠一君) 主務大臣は、調整審議会の意見を聞かなければ勧告、公表、命令ができないということになっておりますので、分野等調整審議会の構成なりその運用を先ほど公述の中で述べましたように十分御検討いただきたいというふうに思います。
#39
○須藤五郎君 ありがとうございました。
 まあ審議会の構成の問題について佐藤参考人初め稲川さん、皆さんから御意見が述べられました。皆さんの御意見に私も実は賛成の意見を持っております。従来政府が任命する審議会というものの構成にはいろいろな問題がありまして、私たちはその内容についていつも意見を述べてやってまいったものでございます。今後も皆さん方の御意見の実現のために私たちは努力をしてまいりたいたいと、こう思っております。
 次に、促進協の佐藤さんにお尋ねいたしますが、今日大企業の中小企業分野への進出が激しくなった背景にはいろいろの要素があると思います。私は、そのうちの一つといたしまして、通産省、中小企業庁の姿勢の問題があるのではないかとかねがね思っておるわけでございますが、たとえば五十一年度中小企業白書を見ますと、大企業の中小企業分野への進出動機が規模の利益の追求、つまりスケールメリットのときは消費者利益の増進につながると、こういうふうに分析しております。私は、過去の現実は大企業の利益にはつながっても消費者の利益にはつながらなかった、また、分野法あるいは独禁法の改正もまさにこうしたことも背景になっていると、こう考えておりますが、佐藤さんの御意見を伺っておきたいと思います。
#40
○参考人(佐藤公彦君) 私もある意味においてはそのように考えております。ただ、私が申し上げたいのは、いわゆる通産省の白書の中に、大企業の進出は規模のメリットにつながる、いわゆる規模のメリットということは、たくさん量産しますから経済の原則として供給が高まる、したがって需要をはるかに供給が高まれば安くなる、だからそれはイコール消費者利益につながるんだという、こういう論理だと思うんでありますけれども、私はいまやそのような発想はこれまたある程度修正すべき時期に入っていると思うんであります。必要以上に物をむやみやたらにつくって、一体これはどういうことなのかと言いますと、私は先に申し上げるならば、まさにこれは資源浪費の経済であると言わざるを得ないんです。たとえば、百要るときになぜ三百も五百もつくって、そのために安くなるからそれはいいのかということになるわけです。
 問題は、振り返ってみるとわかりますけれども、どんどんどんどんいわゆる規模の利益、消費者の利益イコールそれは量産につながる、だからそれは消費者利益であるという発想のもとにつくられましたけれども、その結果、つくった以上大企業はこれを処分しなければいけないという当然の結果が出てまいります。そこで、どういうことになったかと申しますと、実は「消費は美徳」だ、「消費者は神様」だと、このようなキャッチフレーズのもとに大きく宣伝広報されていったということです。ですから、一例を上げるならば、若い人たちは、はだ着を買っている、そして洗たくはしないで銭湯に捨ててしまって新しいのに着かえると、だから銭湯はその若い者の着かえた、まさに新しい一回しか着てないはだ着で山のように積もってしまう。これは紛れもなく私は資源浪費の経済だと思うんであります一したがって、統制経済では――そのようなことを言うんではなくて、単なる規模の利益のみを追求することは、それは消費者利益にイコールつながるんだという考え方はこの辺で修正していただきまして、必要なもの、同時に流通機構の面において物価を引き下げる程度の役割りの規模の利益は当然必要でありますけれども、それ以上にやることは消費者利益とは逆に、そこに資源浪費の経済だと、こういうふうに私は考えておりますので、いまのようなスケールメリットにはもう限界があると、こう思っております。ですから、先ほども申し上げましたように、スケールメリットの度が過ぎますと、あるいは地域の公害につながり、あるいはごみの問題を生み、あるいは先ほど申しましたような資源の浪費につながる等々、幾多のデメリットも生じているということも御考慮いただきたいと、こういうふうに思うんであります。
#41
○須藤五郎君 時間がありませんから、もう一問だけ質問さしていただきますが、分野法の制定に関連いたしまして、消費者の利益が阻害されるとか、中小企業の近代化、自助努力が行われなくなるなどという意見がございます。私は決してそうは思わないのでございますが、各参考人にこの点についての御意見を簡潔にお願いをいたしたいと思います。
#42
○参考人(新木精之助君) 消費者の利益、自助努力がなくなるという疑いがあるがどうであろうか、こういうふうな御質問と思いますが、先ほどから各参考人の方々のいろいろ説明がありましたように、私も決して消費者利益が損なわれるというようには考えておりません。たとえば、今日われわれ小売商が一生懸命になっていろいろやっておりますけれども、実際に当たっている商売の中で、大企業がやっているものが非常に質が悪くなっている、そして結果的にはそれは高くなっている。方々にたくさんの店をつくる。今日非常に高い土地に高い建設費をかけてお店をつくる、大企業が大規模小売店舗をつくる、そういうふうな経費というものは結局は商品にみんなかかってくるわけでございます。したがいまして、表面的に一時は大型店同士の競争のために、あるいは目玉商品とかおとり商品とかいうことで安いものも一時はあるけれども、それは決して長続きするものではないんでありまして、結局はそういういろんな建設費等々がどっかで入っている。また同時に、先ほど佐藤参考人が言われたように、省力化とか、あるいは何といいますか、セルフサービスということが利益につながるということで、本当に親切な商品知識の立場からお客さんに、これはこれだけの値段はするんですけれども、これが本当にいいんですよと、あるいはその家族構成を聞いて、それではこうこうした方がいいんですよと、こういうふうに親切に消費者に教えて、そしてやるとそれが中小企業の特徴であり、また心の通う商売こそがやはり本当に消費者の利益を考えているんだ、そこには安かろう悪かろうというものが入る余地がない。あるいはまた、昔から持った自分の家で自分の土地でやっているわけですから、そういう新しい大型店の建設に必要なそういうものの経費は全然含まれる余地がないということでございます。したがいまして、小売商の立場から言いますと、われわれ今日やっている、あるいは今後分野法あるいは商調法の改正をやっていただくということにおいて、決してそれが消費者の利益に反するものではなく、また逆に、日本は非常に欧米諸国に比べまして過当競争でございます。小売商は非常に過当競争でございます。したがって、過当競争の中で真剣な価格の引き下げ、あるいはいい物をお勧めするということが行われておりますので決して過当競争ではない、かように存じます。
#43
○参考人(佐藤公彦君) 簡単に時間の都合で申し上げます。
 いま新木参考人から申されましたように、安かろう悪かろうでは困るということでありますが、私ども促進協傘下の中に全国豆腐油揚商工組合連合会というのがございますが、これは豆腐をつくっているわけであります。それに対して森永乳業あるいはヤクルト――ヤクルトは一応撤退したことになっておりますが、つくっております。そこで、それらの豆腐は安い、安いのはどうしてなのかということを私ちょっと調べてみたんですが、大企業の豆腐は一キロに対して十七丁、小さいですから換算して大体十六丁だと思います。それに比べまして町の豆腐屋さんのは十一丁しかできません。そこで私は、そのようにロスがあるのかということになったわけでありますが、決してそのようなことはない。とするならば、百という分子に対して十六で割ったら十六分の百、十一しかできませんから十一分の百であります。で、何らかのそこにいわゆる豆腐としての価値に差が生じなければいけない。これが日本食糧研究所で分析した結果、大企業の豆腐は一番少ないのでカロリーで申しますと一丁四十一カロリーしかございません。同時に一番いいのでも五十です。町の豆腐屋のそれは六十三カロリーあります。したがって、単純に考えても二丁食べると百二十六カロリー町の豆腐はありますけれども、スーパーの豆腐は三丁食べてなおかつ百二十三カロリーしかないという事実であります。このように安いからいいのかということにはならないのであります。しかしながら、このようなのは中小企業の宣伝広報力の欠如でこういうことを消費者の皆さんに周知徹底させることはむずかしい。そういう意味合いでもありまするので、ただ単に安いからそれは即消費者利益だということにはつながらないということであります。いま新木参考人言われましたように、安かろう悪かろうということも十分ありますので、これらの点も御考慮に入れておいていただきたいということを申し述べさしていただきます。
#44
○参考人(加藤誠一君) 問題は自助努力の方向だろうと思います。西欧の中小企業を見ますと、付加価値が非常に高いので、小さいのは規模だけでして、質的には大企業との間に格差が余りございません。これに対して日本の中小企業は規模の面で格差があるだけでなく、質的にも大企業との間に大きな格差があるわけです。したがって、量的拡大だけではこれからはやっていけないという、こういう低成長の時代になりますと、質的格差をいかに埋めるかということが一番問題になってくると思います。これにつきましては昭和四十七年の八月に中小企業政策審議会で「意見具申」を出しまして、いままでの高度成長時代の量的拡大政策に対しては質的な見直しが必要であるということで、知識集約化という方向づけが出てきたわけです。私は、これからの中小企業の自己努力の方向としては、そういう知識集約化の方向に向かって大企業との質的な格差をできるだけ埋めていく、こういう方向が必要だと思います。したがって、自己努力と言いましてもそういう側面での考え方を直していく必要がある、こういうふうに思っております。
#45
○参考人(稲川宮雄君) この法律が消費者の利益を阻害したり、あるいは中小企業の近代化を阻害するのではないかということがよく言われておりまして、それらの点につきましては先ほど私は申し述べたつもりでございますし、各参考人からもお話があったとおりでございまして、中小企業はこの消費者の利益を無視しては存立し得ないものでございます。いわゆる消費者は神様である、こういうふうに言われておりまして、あるいはまたその声は天の声というふうに考えていかなければならない時代でありますから、したがいまして、消費者の利益を無視し中小企業の近代化を怠って中小企業は発展するわけではございませんから、そういうことのないようにしていかなければならないし、また短期的に見ますと、新木さんからお話がありましたように、それは消費者の利益に必ずしも合わないというような面が出てくるかもしれませんけれども、長期的に見れば必ずしもそうではないというような点も十分理解をしていただきたいのでございます。
 しかしながら、ただ一つ、これはよけいなことかもしれませんけれども、たとえば大企業が出てまいりますと百円のものが九十円でできるとか、あるいはその品質も必ずしも劣っていない、こういうような現実の問題が仮に出てきた場合にどうするかということが、私は必ずしも起こってこないとは断言できないと思うのであります。そういう場合には長期的な観点から見ていただきたいのでございますが、しかしながら、国民経済あるいは消費者というものの利益がすべてに優先するものではありますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、中小企業というものの社会的な意義、中小企業がもし倒産していけばどれだけのロスが国民経済あるいは社会的に出てくるかという点も考えていただく、これがやはり消費者利益の一部ではないか。大変逆説的と申しますか、牽強付会と申しますか、意見でございますけれども、ただ目先の単価の比較だけではなくて、中小企業の不合理のものが多数に存在しておるということがいいことではございませんから、それは近代化を図っていかなければならぬのでありますが、ただ目先だけを見まして、そして大企業のものが安いから、あるいは品質がいいからというだけではなく、もっと総合的な見地、国民経済的あるいは社会的見地から考えていただくという点もぜひ今後の運用の上において考えていただきたい。それはしかしながら、中小企業の合理化、近代化というものを阻害していいということにはなりませんが、しかしながら、中小企業の合理化、近代化、あるいは消費者の利益ということを前提にせずしては中小企業は繁栄しない、こういうことを考えてまいりますれば私はおのずから問題は解決していくのではないかというように考えております。
#46
○委員長(加藤武徳君) 他に御発言もなければ、参考人の方々に対する質疑は、これにて終了いたします。
 一言、御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には御多忙のところ、長時間にわたり御出席いただき、また、貴重な御意見を拝聴させていただきましてありがとうございました。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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