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1976/05/24 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 商工委員会 第11号
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1976/05/24 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 商工委員会 第11号

#1
第080回国会 商工委員会 第11号
昭和五十二年五月二十四日(火曜日)
   午前十時二十二分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         加藤 武徳君
    理 事
                熊谷太三郎君
                福岡日出麿君
                竹田 現照君
                須藤 五郎君
    委 員
                青木 一男君
                植木 光教君
                小笠 公韶君
                剱木 亨弘君
                斎藤栄三郎君
                林田悠紀夫君
                吉武 恵市君
                阿具根 登君
                対馬 孝且君
                森下 昭司君
                桑名 義治君
                向井 長年君
   国務大臣
       通商産業大臣   田中 龍夫君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       藤田 正明君
   政府委員
       内閣審議官    大橋 宗夫君
       公正取引委員会
       委員長      澤田  悌君
       公正取引委員会
       事務局官房審議
       官        水口  昭君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  吉野 秀雄君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  野上 正人君
       通商産業省産業
       政策局長     濃野  滋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
 律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
 送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(加藤武徳君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○対馬孝且君 まず、この法案は本国会の重要な法案の一つであります。また今国会で、国民の願望からいたしましても、われわれこの法案の成立にこたえなければならない、こういう前提に立ちまして、これから御質問を申し上げたいと思っております。
 まず私は、今日における独占禁止法改正のねらいについてお伺いをいたしたいと思います。
 昭和四十九年の秋に公取試案が発表され、その後五党共同修正案が衆議院を通過をして、史上初めての独禁法強化の機運が盛り上がってまいりましたのは約二年前であります。当時の社会的背景は、御案内のとおり、石油危機をきっかけに爆発した狂乱物価や物不足、その過程で明らかになったのはあの田中内閣時代の買い占め、売り惜しみ、便乗値上げなどの大企業の反社会的な行動に対して、国民は非常な強い怒りを持って盛り上がってまいりました。課徴金は、不当利得を没収をしてカルテルのやり得をなくすのがねらいであったし、企業分割は、独占的状態にまで巨大化した今日の企業が市場支配をほしいままにするのを防ぐ目的であり、株式保有の制度は商社、金融機関の企業支配をチェックするという、つまり大企業の横暴に対する厳しい批判精神に裏づけられたものである、こう考えるわけであります。そこで公正取引委員会が一応の試案を出しました。それに従って、五党の修正案も世論の強い支持において五党修正案を確立したことは政府も御承知のとおりであろう思います。
 その後、長期にわたる不況時代を経て、わが国の経済環境も当時とはすっかり異った様相を呈するに至りました。昨年は、御案内のとおり企業倒産あるいは失業者の増大、厳しい経済情勢の中で企業の復権が唱えられて、これに便乗した政府・自民党は、肝心の企業分割条項を削除した骨抜きの改正案、政府案をつくってまいりました。これはいまの案の前であります。その結果、審議未了に終わっている。今回これで三回目の提案ということになるわけであります。したがいまして、景気が依然として停滞をしている現在の経済情勢の中で、今回提出をされている改正案のねらい、そして改正の意義がどういうところにあるのか、この点まず長官にひとつお伺いをしたいと思います。
#4
○国務大臣(藤田正明君) 過去の経緯におきましては、対馬先生が言われたとおりでございます。御承知のように、昭和二十八年にこの独占禁止法が一部改正をされまして以来、この二十四年の間に何ら改正をされずに今日まで至った次第であります。その間におきまして、世界の経済情勢はもちろんのこと、日本の経済的地位も、また日本の経済力も、あるいは国内の種々の産業のバランスも非常に変わってまいりました。昭和四十年代の後半に入りまして、ドルショックというものがまず起こりました。それから、御承知の四十八年の暮れの石油ショックが起こりました。それから狂乱物価ということに相なっていったわけでございますけれども、そういうふうな狂乱物価があったからということが一つの要因ではあるにしろ、基本的にはやはり二十四年間の大きな経済構造の相違、その間における対応できなくなってきた独禁法というものを、どうしても対応できるように直さざるを得なかったということが基本的な問題でございますし、そして不況下といえども好況下といえども、公正で国民の理解の得られるような自由経済の確立というものが必要であろう、かように思っておる次第でございます。
 五党合意案との相違ということもございますけれども、これらも若干の相違は御承知のようにございますが、基本的には五党合意案とさほどの相違はないものだと、かように思っております。
#5
○対馬孝且君 いま長官から、二十四年間の空白を終えての今日の独禁法の改正の必要性、これについては私が主張した意見と同意見のようでありますが、ただ問題は、構造的な今日の二十四年間の経済変革というものの中で、やっぱり公正な経済秩序、このルールをいかに基盤的に確立をするかということが、独禁法の今回の使命であろうとこう私は思うわけであります。そういう点で、私は長官のお答えになったことについては一応了といたします。
 そこで私は、いま五党修正案と今回の提案がそう大差はないという見解ですが、これは各論にわたって指摘をいたしてまいりたい。われわれの心配をひとつ問いただしてまいりたいと思っております。
 その前に、今回の改正案、これは自民党が完全に自民党試案として、しかも政府案として提案をされたわけですが、いまなお財界の一部あるいは自民党の一部に、どうもこの独占禁止法は通すべきではない、こういうつまり端的に反対の方向というのを、むしろこの法案をつぶすがごときそしりを免れないような顕著な動きをわれわれ知っております。どうもきょうは通産大臣来ておりませんから、来た段階で私も通産相に問いただしてまいりたいと思うのでありますが、こういった改正の動きに対して批判的意見、反対の意見があるのですが、こういった問題の中で、この法案を担当しておる最高責任者として、長官はどのようにお考えになっているか、これひとつお伺いします。
#6
○国務大臣(藤田正明君) まあ自由民主党も非常に幅広い政党でございますし、各種の意見が自由に述べられるような政党の内容であろうかとも思います。その数多くの方々の中には、反対もあり中立もあり、賛成もありというふうなことでございますけれども、しかし自由民主党の党としての意見は、百有余時間の山中調査会の意見というものを得ましてこういうふうな法案を作成し、そして政府に渡され、政府が若干のごくわずかな修正はございましたけれども、修正をいたしまして国会に御提案を申し上げたと、こういう経緯でございますから、自由民主党といたしまして、党としましては、この法案に対して賛成であることはもう間違いない事実であると思います。
 財界の方につきましては、いろいろ御批判もあるようでございますが、私たちは財界とは全く縁を切って、この法案の推進に努めておる次第でございますから、そういう財界の方のお声は直接には一切聞いておりません。
#7
○対馬孝且君 そこで長官ね、五党修正案というものは、五党が一致をして衆議院を通過をして、参議院では一回も、私の質問も予定をしておりましたが、質問をやらずに終わっておるわけですよ、廃案になったわけであります。
 そこで、今回政府案をつくるに際して、当時の五党修正案というものがこれはどの点が欠陥であったのか、どこが悪かったのか、それがなけりゃ修正の要がないと思うんです。皆さん方も、自民党も入ってあの五常修正案というのは、言うならば国民のコンセンサスという基盤の背景のもとに成立をしたわけですから、何で今回変えるということについて、どこに一体手違い、間違いがあったのか、どこに欠陥があったのか、五党修正。どこに悪い点があるのか、この点がなければ修正ということにならないと思う。この点どうなんですか。こういう態度に至ったという、そのどこが悪いのか、どこが欠陥があるのか、当時の五党修正案。その考え方はどうお持ちになっているのか。
#8
○国務大臣(藤田正明君) いいとか悪いとかということになりますと、それぞれ主観的な判断がございますから、一概にどちらがいい悪いというふうなことは申せませんけれども、五党合意案があった五十年の六月のことでございますが、そのときには自民党の内部は完全にまとまっていなかったということは事案ではないかと思います。ですから、衆議院においては確かに五党合意で賛成として参議院に回ったわけでありますけれども、参議院の内部におきましては、自由民主党におきましてはいろいろと御批判があったことだと思うんです。それでそういう結果といたしまして、ああいうふうな結末に相なったと、かように思います。そこで今回はその山中調査会におかれましては、衆参のそれぞれの関係者の方々が集まられまして、徹底的に論議をされたために、そして与野党の合意が得られるという線を目標にして徹底的に議論をされたと思うのであります。そういう結果生まれたのが今回の政府提案でございますので、いいとか悪いとかという判断ではなくて、それぞれのお考えのもとに五党合意案もこれあり、それでまた新しい政府案もこれあったと、かように思っております。
#9
○対馬孝且君 これはまあ長官はかなり苦しいことを言っておりますが、結果的には私は五党の修正案がまとまったという経緯から判断して、つまりルールですよ、一つのルールとしての考え方、それが今日、どう言おうとその五党修正案どおり今回の政府案が出てこなかったということは、どう言葉を言いあらわそうと、私は結果的にはやっぱり財界の圧力なり政府の一部の反対があって、自民党の反対があって、結果的に手直しをせざるを得なかったということだと思うんですよ。これはもう世論がそういうふうに率直にこれは言っておりますから私は申し上げるんでありますが、しかし、いずれにしてもどこが悪かったか、欠陥があったのかと私はなぜ聞くかと申しますと、そういうことなければ改正する必要ないんだよ、この五党修正案を。やっぱり修正したということは、先ほど言ったようにそれは悪かったとかよかったかという以前の問題だというニュアンスのお答えあったけれど、私は結果的には自民党の中の反対、そして財界の圧力、そういったものが加わって、結果としては五党修正案を変えていかざるを得なかったということの経過があるということについては、この機会に明確にやっぱり指摘をしておきたい、まことに遺憾であるということを率直に申し上げます。
 それから次の問題に進みますが、私は景気対策と物価対策の関係についてお伺いいたします。これ本当は通産大臣がまだこないんで非常にあれなんだが、観点としてはひとつ長官にお伺いしますが、産業界は、不況下における独禁法の改正強化に反対が多いが、そういう意味でも反対が多いわけですが、むしろ今日の長期的不況をもたらした要因というのは、私は独禁法をないがしろにしてきた企業の行動自体に求められる点も少なくないのではないか、こう思うんです。すなわち、一つには狂乱物価のころのあくどい反社会的な行動、つまり消費者大衆に購買意欲の減退と節約マインドを定着させることになったことが現実にあるわけであります。そこでもう一つの問題は、やっぱり私は物価対策の面でも、本来需要管理政策と市場価格対策の二本立てでいくべきであったにもかかわらず、独禁法の改正が不成立に終わった。そのために市場規制の面には全くメスを入れることができなかった。したがって、このための物価抑制は、勢い財政金融面からの総需要抑制一本に頼らざるを得ないという結果になったのではないか、こう私は思っております。そこで、これが過渡期の無理な引き締め政策を余儀なくされたために、深刻な不況を引き起こしたのではないかという懸念を持っております。
 こうしてみると財界の言い分とは逆に独占禁止の政策の強化、競争促進政策の推進による市場価格の安定こそが、今日における景気対策と物価対策の調和を図るかなめであると私は考えるわけであります。したがいまして、こういった考え方に対しまして政府の考え方は一体どう考えておられるか、ひとつ長官の考え方をお伺いしたいと思います。
#10
○国務大臣(藤田正明君) 独占禁止法の改正というものは、やはり基本的にはその短期的な景気の問題であるとか、あるいは物価の問題であるとか、基本的にはこれらとかかわりはなく行われるべきものだと思うんです。しかし、全然かかわりはないかといいますと、それはそうはいきません。やっぱりそれはかかわりを生ずるわけでございまして、いまのような独禁法の改正を強化いたしますと、長期的には物価をやはり抑えていくということに通じていくわけでございます。それからまた、景気の面におきましても、自由な競争を刺激をし活発化する、活力のある産業経済社会をつくるということが基本でございますから、いま不況であるからこういうことはやらぬでもいいとか、いま好況であるからこういうことはやらぬでもいいというふうな問題ではなくて、やはり全体の構造が変わってき、日本のみならず世界的に変わっていく、あるいは企業のたたずまいといいますか、行儀というものに対して国民が不信感を持つできておる、こういうときに、やはりそういうふうな基本的な経済ルールを敷き直さなきゃならぬ。それがまた、景気に対しても競争の結果による刺激にもなっていくというふうに考えます。ですから好況時は好況時なりに、やはりたたずまい、行儀というものを正してもらわなきゃならぬとともに、不景気のときは不景気なりに、そういう競争を刺激することによって景気を回復していくということにも相通ずるかと思います。
#11
○対馬孝且君 これはこの前の予算委員会で私申し上げたけれど、今日卸売物価が下がった下がったと政府は言っているけど、結果的には不況による減産値上げですよ。つまり操業率の八七、八八、九〇割って、現在九〇近くまでいっていますけれどね、そういう操業率が下がって、結局、減産主導値上げ、減産による不況値上げというものが結果的には卸売物価を鎮静化していったと、私はこの前指摘しましたね。私はいまだに確信を持っているんですよ。それは数字であらわれてきているわけです、実態問題として。数字上から言っても。そういう面からいくと、私はとうからずっと指摘しているんだけれども、好、不況にかかわらず、特にいま最近の不況傾向の中で、私は独占禁止法の持つ意義というのは、役割りというのは、そういう意味では物価と不況との調和という観点で果たす役割りというのは非常に大事ではないか、こういう視点で申し上げているわけですから、考え方としては、長官もそういうことは否定いたしておりませんので、そういう視点でひとつ取り組んでもらいたい、これを申し上げておきます。
 そこで、公取にちょっとお伺いしますがね。時間もありませんから、簡潔でいいですから、海外の独禁の諸政策の傾向について端的に。
 独占禁止政策の強化が昨今は世界的趨勢で、アメリカ、西ドイツの先進工業国でありますが、この中で大企業の寡占的市場構造に対して、企業分割あるいは価格の引き下げ命令等に厳しい措置が、特に西ドイツではとられています。私も一応検討してみましたが、わが国だけがいつまでも諸外国の禁止強化の流れにさお差すわけにいかないんではないか、こういう認識で、次の点をちょっとお伺いをしたいんであります。先進諸国における近年の独占禁止法制をめぐる動きの態様について一つは説明をしてもらいたいと思います。これから私は質問を申し上げますが、一番根本の独占状態に対する企業分割の各国の処置についてどういう徴候があるか、これは特徴でいいですから、お答え願います。
#12
○政府委員(水口昭君) お答えいたします。諸外国における独禁法制のうち、特に独占的状態に対する規制、これを中心にしてその運用状況等、どうなっておるかということもあわせてお答え申し上げたいと思います。
 まず、アメリカでございますが、アメリカは先生御承知のようにシャーマン法という法律が基本になっておるわけでございますが、このシャーマン法第二条、これはかなり抽象的で簡単な法律でございます。ちょっと関係の部分を読んでみますと、第二条には、数州間または外国との間の取引もしくは商業のいかなる部分をも独占し、独占を企図し、またはその目的を持って他のものと結合もしくは共謀をするものは重罪を犯したものとし云々と、こういうような規定があるわけでございますが、この中にはいわゆる企業分割といったような言葉は使ってございませんが、アメリカではこの規定を根拠にいたしまして、かなり厳しい運用をいたしております。それで裁判所等は司法省の請求に基づきまして、現在まで企業分割を含む広範な措置を命じておるところでございます。
 次に、イギリスでございますが、イギリスの場合には法制の中に公正取引法という法律がございまして、そこでいわゆる企業分割についての規定が明記してございます。それも簡単に申し上げますと、イギリスの公正取引法では、独占及び合併委員会が独占状態にある企業について調査し、公共の利益に反すると認定した場合、物価・消費者保護大臣は弊害を是正しまたは防止するために必要なとき、議会の同意を得て、企業の分割その他必要な措置を命ずることができると、こういったような規定がございます。なお、カナダにもこういったような規定がございます。これは省略いたします。
 それから、次に西ドイツでございますが、西ドイツは有名な競争制限禁止法二十二条という規定がございます。これも簡単に申し上げますと、独占的状態にある企業がその地位を乱用する場合に、その乱用行為を規制しておるわけでございます。ただ、西ドイツの場合には企業分割といったようなことは法律にも書いてございませんし、やっておらない。そういったような独占的状態の乱用として物価を引き上げた、カルテル等によって物価を引き上げたというふうな場合には、その引き上げを撤回せよというふうな命令をいたしておるわけでございます。
#13
○対馬孝且君 いずれにしても、各国の状況を見ますと、いまお答え願ったように、つまり独占の横暴というものに対してやっぱり構造的な規制、あるいは弊害規制というものを設けている。強弱の違いはあっても、根本を流れるものはこういう規制をしている、こういう実態であることは間違いないと思います。したがって、私はこれから次の点で公取委員会に対してお伺いをいたしたいと思います。
 まず改正案の性格についてお伺いいたしますが、今回の改正案は、全体を通して見ますと実体規定の面では強化されておりながら、つまり手続の面では非常に骨抜きになっているんじゃないかという心配をしているわけです。後から各論について申し上げますが、そこで公取委の権限に制約を加えたり、手続をことさらに繁雑化しているのではないか。せっかく盛り込まれた独占状態のカルテルに対する規制措置が、実際上は容易に発動できないような歯どめがかけられているのではないか。この点一つとってみても五党共同修正案より大幅に後退したと、――私は後退していると見ているわけであります。まあ、しかし後退しているからこれはだめだというのではなくて、まとめるものはまとめなければならぬ、こう思っているわけでありますが、そこで深田委員長はかねてから、公取の立場から五党修正案が最も望ましい姿であるという発言をしてまいりました。しかし、今回の改正案について公取委員長としてどういうふふうに評価をされているか、これをちょっとお伺いいたします。
#14
○政府委員(澤田悌君) 大事な問題でございますのでお答えを申し上げたいと思いますが、先ほど総務長官からも、立法の過程についてのお話がございました。何回も国会に御提案になりました法案が、今度はぜひ成立を見るようにというお気持ち、国会におきましてお話し合いのできる新しい案、ぎりぎりのところということで御提案の運びになったと私理解をいたしておるのでございまして、私かねがね申しておりますように、あれだけ大きいいきさつのありました問題が、いわゆる立党修正案の線まで非常に集約、調整されたのでございます。今後、この改正が検討されるときには、ぜひこの五党修正案の線によって御検討を願えればという希望を、何回も申してきたのであります。今回の政府提案はそれに可能な限り近づくということで、率直に申しますと、一度落ちました非常に重要な項目が、再び復活するというようなことはなかなか大変なことだと私は存じます。そういう苦心の末、とにかく並び御審議願えるような案になって御提案になったわけでございますので、先ほど長官のお話もございましたように、どちらがいい悪いとこの段階で申すのではなくて、調整ができて御意見が一致される法律が成立するということが、私ども実務の立場から申しますと最も願わしいことである、このように考えておるわけでございます。
#15
○対馬孝且君 一応公取委員長の評価はわかりました。しかし、この問題はこれからの運用問題にやっぱりかかってくると思いますので、その中でまた考え方を聞いてまいりたいと思います。
 次に、独禁法の運用に当たる公取委の姿勢についてまずお伺いしたいのでありますが、一昨年の五党修正が行われたときの経過を見ると、カルテルの排除措置や同調的値上げに対する措置などの例に見られるように、現行法の規定そのままでも、運用いかんでは改正案の規定よりも厳しい運用が可能である部分の存することが明らかになっております。厳格な運用が行われるか否かは、要は公取委の姿勢の問題ににかかっていると思います。法律がせっかく強化されたとしましても、その執行に当たる公取の姿勢いかんでは、仏をつくって魂入れずということにもなりかねないわけでありますが、この改正案が成立した場合、この運用に当たる澤田公取委員長の私は決意のほどをお伺いしたいのであります。
 昨年の政府の第二次改正案が企業分割の条項がなしという骨抜きの形で提案されたときに澤田委員長は、五党修正案はベターではあるが、第二次改正案でも現行法よりは前進であるから成立を望むとあなたは発言をしています。間違いであれば撤回いたしますが、しかし、私のこれは感じでありますが、前高橋委員長の新聞論調などを、過去のあれをずっと読んで私思い出してみましたが、あの人の感じからいくならば、こんな改正案ならない方がましだと、ずばりこう言ったんではないだろうか――これは感じです、私の。いままでの文献などを読ましていただいて、また高橋委員長に私は物価問題でずいぶんここで公取の見解をただしておるんです、本委員会で。そういう感じを申し上げているのでありますが、深田委員長は穏健な、円満な人柄でありますからそれなりの人柄を了といたします。しかし、余りに政治的柔軟な姿勢だけでは私はやっぱり公取委というのは独禁法の番人でありますから、番人が余り柔軟、それから柔和な姿勢だけでいくと、私は法の目的は達成されないんじゃないかということを非常に心配をしている一人であります。
 言うまでもなく、公取委員長、財界から政界から仮に圧力があったとしても、むしろこれは目的にあるように、公正な競争の秩序、消費者の利益を守るという立場で、法の番人としてやっぱり貫いていくべきではないか、そういう姿勢をお持ちになるのが、私はそういう意味ではやっぱりベターではないのか、こういうふうに考えるのでありますが、この点について、少なくともこの独禁法が改正をされて成立した時点では、こういう毅然たる態度でひとつ処してもらいたい、こういう考え方を持っておるのでありますが、委員長のこれに対する考え方をひとつお伺いをしておきたいと思います。
#16
○政府委員(澤田悌君) 独禁法の運用につきましての姿勢は、法の目的に照らしまして、規定の許容する限度において厳正に運用いたしますことは、もう私かねがね申しておるとおりでございまして、本法案が成立いたしました暁には、当然その姿勢をもって厳正な運用に一層努力することは申すまでもないところでございます。
 先ほど法案の問題につきましての御指摘がございました。七十七国会に第二次の政府案として提出されました案につきまして、いろんな機会に御質問等がありましたのでお答えした点を先ほど申されましたが、そのとおりでございます。その私の気持ちは、私どもは日々独禁行政の運用に携わっておるのでありまして、いわば法の弱点というようなものもよく知っておるのであります。したがいまして、ある改正法案を国会で御審議を願います場合も、重要な部分とはいえ、一つ落ちたかちといって全部がだめになるというのは実務的立場から申すとはなはだ残念である、前進できる部分は前進していただいて、そしてその場合、実現しなかった部分についてはなおいろいろ御議論のあるところですから、時間をかけて実現の方向で御審議を願う、こういう気持ちから申したのでありまして、それ以外に他意はない次第でございますので御理解を願いたいと存じます。
#17
○対馬孝且君 公取委員長は円満な人柄ですから、私は決して意図的だとか、そういう考え方で申し上げているんではないんです。やっぱり法の番人として、特に消費者は、これは私率直に申し上げるんですが、石油カルテルの場合も私やりました。北海道では苫小牧で酒乱売、乱売でなくて酒を安く売った、この問題についても十九条の不当取引制限の問題があるんじゃないかと公取に駆け込みました。消費者も訴えました。ところが、いざ実際北海道の苫小牧の酒安売りの問題についても、大メーカーに全部村八分にされちゃって、結果的には最近つぶれちゃったんです。そのときに公取委員会で十九条の不当取引の行為があるということの疑いがある、これは札幌でも認めました。認めていながら現実の行動がとれなかったという、こういう実態が現実にあるわけですよ。それからこの間予算委員会で澤田委員長にお答え願って私は意を強くしたのですが、いわゆる北海道における御承知のガスの問題、これだって相変わらず十キロボンベのプロパンガスが千九百五十円ぐらいで結果的にカルテル協定をやっておる。これは公取委員長いまお調べになっているということで予算委員会で私にお答えになりました。これだってもう公取委の調査結果が出るころは相手は全部手直ししちゃって、うまくコントロールしちゃって終わっちゃうわけですよ。こういう例がずいぶんあるのだ。
 私は灯油のやみカルテルの場合も非常に腹立ってここでやったことがある。四十九年にやりました。私はこういうふうな問題なおかつやってすらこういう状況になるのだから、今回改正をした機に公取としてはやはり公正な競争秩序あるいは消費者の利益の目的と、これに対応するためには相当厳格でなきゃならぬ。法の運用についてやっぱり公取委員長としてはそういう意味で厳しさがあっていいのじゃないか。厳しさを持たなければ法の目的は達成されないのじゃないかということを私は事実をもっていま申し上げているのでございまして、委員長のお答え聞きましたから、どうかそういう点でこれからひとつ法の運用に、成立した法の運用に当たってもらいたい、これをひとつ再度お伺いしておきます。
#18
○政府委員(澤田悌君) 御指摘の御趣旨に沿いまして、厳正な運用に努めてまいりたいと思います。
#19
○対馬孝且君 それでは次に各論についてひとつお伺いしたいのでありますが、この前の当委員会で先生方の御意見にお答えをされているのでありますが、問題は企業分割の問題であります。これを率直にお答え願いたいのでありますが、私は寡占体制下の巨大企業は、お互いの行動について丹念に調べて知り尽くしているから、カルテルを結んだり協議したりすることなく、いわばあうんの呼吸で、さっきプロパンの例を私申し上げましたが、あうんの呼吸で共通の利益を反映する価格を容易に設定することができるというのが、これは現代資本主義における管理価格の私は問題点だと思っている。そこで不況の中の物価高の中で、消費者である国民大衆は、一部の大企業が寡占的市場支配力を行使して堂々と価格を引き上げて独占的利益を獲得し、しかもこれがカルテル行為と言えないがゆえに、何らの法的規制を受けないで放免されているというこれまでの独占禁止政策に強い不満を持ち続けてきました。そこで現行の独禁法は、カルテルを伴わない管理価格に対しては規制手段を全く欠いている、私はいまだにそう思っている。公取が長年にわたって管理価格規制の方法を研究、模索してきた中からようやく結論がまとまり、生まれてきた発想が市場構造の規制であります。すなわち企業分割を手段とする私はこれは構造規制条項である、こう理解をしているのですが、この点間違いがあれば別でありますが、構造規制としての条項であると今回の改正を受けとめているんでありますが、この点どう考えておりますか。
#20
○政府委員(澤田悌君) 法案の二条には独占的状態が規定されておる、そこにはいわゆる構造的要件と弊害要件と両方ございますわけであります。それでこれが構造規制だ弊害規制だといういろいろ議論がございますが、私は弊害規制ということを柱にして、最後には構造に及ぶそういう規制である、こういうふうに実は申しておるのでございます。逆に申しますと、大きくなったからいきなり構造に手がつくのではなくて、弊害があって初めて問題とされる。その両者が要件の内容でございますから、これを単純に構造規制、弊害規制とは申せないのでありますが、先ほど申しましたように、弊害規制というものを柱にした最終的には構造に及ぶ規制であるというふうに私理解をいたしておるわけでございます。
#21
○対馬孝且君 わかりました。
 総理府総務長官として、これ、どういうふうにお考えになっておりますか。
#22
○国務大臣(藤田正明君) ただいまの公取委員長のお答えと結果は同じありますけれども、弊害的色彩の強い構造規制である、かように考えております。
#23
○対馬孝且君 そこで、私はこの間の委員会の質疑を聞いておりまして、非常に心配したというよりも、困ったなという、こういうことなのかなと思って懸念を持ったのを具体的に申し上げますが、公取委員長にちょっと言うのでありますが、これを発動することは当面いまの段階ではないとあなたおっしゃいましたね。将来のことは別だが、ほとんどこれを発動することはないのではないかというような、私は非常にその点、この間の答弁を聞いておって強く感じたのです。これまた、やっぱり大事なことなんで、私は、構造規制あるいは弊害規制というものの理解については同感であります。だから、そういう理解で理解をしております。公取委員長あるいは総務長官にお答え願ったとおりでありますが、理解しているのでありますが、この点は変わりはありませんが、問題は、これを発動することがないんだと言うなら、何のために企業分割というものをつくるのかということですよ。これは、伝家の宝刀が竹刀に変わるということになったんではこれは大変なことなんで、つまりこの間の答弁聞きましても、なかなかこれは抜くことはないんだというようなニュアンスを受け取ったんでありますが、この点はどうなんですか。これ大事なことですから、ぜひ今回はっきりしてほしいというふうに私は考えておるんで、これはむしろ総務長官はひとつどうお考えになっておるのか。この法律はやっぱり発動する、この条件にかなえば、この条件の弊害なりあるいは構造規制というものが伴えば当然発動しなければならない、こういう基本に立つのが当然だと思うのでありますが、これは公取委員長と総務長官にお伺いしておきたいと思います。
#24
○政府委員(澤田悌君) この問題につきましては、いろんな角度から非常に行き過ぎた心配をしたような感じ、あるいは行き過ぎた甘い意向というようなのがございまして、それに対してその折々に答えておりますので、その質問と答えの組み合わせによって、あるいは御懸念のようなお感じをお受けになったかと思いますが、問題は簡単だと私は思うのであります。現在いわゆる九業種というようなことを言われておりますが、現時点において法第二条に決められておる諸要件をすべて備えているものは現時点にはないと思う、これは法案が通りましてから詳細に調べてみる必要があるのでありますが、現在暫定的に国会にお出し申し上げているガイドラインによります九業種については、当面その、要件を全部満たすことはあるまい、したがって、そういう規定が発動される事例はあるまい、こういうことを申したのであります。これは逆に申しますと、すべての、要件を満たす事例が出てまいったら、当然発動されるということは明らかだと存じておるわけでございます。
#25
○国務大臣(藤田正明君) この法律の基本的な物の考え方といたしまして、企業分割であるとか一部営業譲渡ということが最後の手段として考えられておるわけでございますから、しょっぱなから、もう大きいから悪いんだ、一部弊害があったからすぐ企業分割だという考え方ではないわけでありまして、ほかに競争し得る手段があれば、それをもってかえることができる、こういうふうなことにもなっておりますし、しかし、そういうふうな手段がないし、また弊害も相当期間にわたって行われておる、そうして構造も一号要件、二号要件によって、やはりその分割の対象となり得る構造要件も持っておる、こうなりますれば、これは分割、一部営業譲渡ということにならざるを得ないわけでございますから、なるたけそうはならないように、他に競争をし得る手段があればそれにかえていきたい、これが基本的な考え方でございます。
#26
○対馬孝且君 いまお聞きしまして、つまり公取委員長の答えの中で、どうも私ちょっとやっぱりまだ胸にすとんと落ちない点があるので、かえって総務長官の方がちょっときょうはすきっとしたような答弁になっているんですがね。とにかくこういうことはあってはならない、いまの状態ではこういうことは考えられない、しかし裏返しすると、そういうことをやるということなんだと、こういうことなんだが、もちろん最初から宝刀を抜くなんて私も思っていませんよ。あれだけの条件が具備されなければならない、こういう条件、こういう条件とあるのを。幾つかの構造的構成条件、弊害条件、これは率直に言って五つあるわけですよね。一つは五百億、一つは一社で五〇、二社で七五、これは構造的要件だと私は思うんですよ。三、四、五へ行くと若干構造的と弊害と絡んで――販売の利益の問題だとか、あるいは新規参入の問題だとかとなりゃ、これまた私は、構造的要件と弊害要件とは、これは絡んでくると思います。
 そこでいま公取委員長にぼくはだめ押しするんだけれども、こういうことはいまの段階では予想されない、しかし、それを裏返して言えば発動することなんだと、こう言うんだが、やはり私は考えられないということじゃなくて、この法律のいまさっき言った、幾つかの私が言ったこういう構造的規制、弊害規制が伴ってなおかつほかの手段で弊害の除去が行われなければこの企業分割、常業一部譲渡は、これはやっぱり発動するものである、発動しなきゃならないんだという法律だということのぼくは基本をはっきりしてもらわぬと、何か裏返しで国民が理解すればこうなるんだというようなことでは――私は総務長官の答弁ならまだ百歩譲るよ。しかし公取委員長の、番人の最高責任者がそんな判断で、そういう幅のある判断で、それじゃ今後悪質な反社会的な大企業が出てきたときに一体それじゃやれるのか、そんなことで。こういう心配しますよ、私。あなたの人柄から言ってそうなんだろうけれども、人柄だけでは法律運用できないので、やっぱり法律というのは、人柄であろうと何であろうと、法律に定めていることは厳格にやってもらわなければ困るので、そういう視点で私お伺いしているんですが、いかがでしょうか。
#27
○政府委員(澤田悌君) 従来九業種とかなんとかいう問題との関連においていろいろ質問が多いものですから、それを持ち出したわけでありますが、法の性格なり手続から申しますれば、先ほど総務長官が申されたとおりでございまして、いろんな条件を満たしたと、独占的状態にあると思われる企業がいろんなほかの手段によって競争を回復する、あるいは弊害を除去するということができない場合、最終的には営業の譲渡ということにいかざるを得ないというのは総務長官のお話のとおりでございまして、これはもう手続上はその順序を踏んでいくというのは明確であると存じます。
#28
○対馬孝且君 なぜこういうことを言うかと言ったら、これは経団連の土光会長と財界の親玉が、エコノミストでこの独禁法の問題で懇談会で言っているんですよ。どうもこれからできる法案というのは、独禁法の企業分割、営業一部譲渡というのは、これは地下三千尺に埋めてあるもので大体地下の上に上がってくることないんだ、大したことない、そんなもの大したことなかったら、とにかく並べておけばいいじゃないか、あるいは発動できないものならつくる必要もないんじゃないか、こういう、エコノミストでざっくばらんなというか、全く露骨なことを言っているんだよ、これ。こんな地下三千尺に埋まったような企業分割、営業一部譲渡だったらつくる必要ないんだよ、ぼくに言わしたら大体。こんな法案を出すこと自体国民を冒涜しているよ、ぼくに言わしたら。そういうことになるんであって、私がなぜ聞くか、問いただしたかということは、なぜ公取委員長に何回も問いただすかということは、一部財界側ではそういうことを言っている、そこへ持ってきて、公取委員長があたかもそれに幅の広い柔軟な態度で処するようなことがあったら、これは結果的にはやっぱり財界の親玉が言っているように、この法律はつくったけれども、実際は地下に眠ってしまって地表に浮かぶことはないんだというようなことになったのじゃ、これはあなた、われわれだって法律を通した責任者として、議員としてこれは重大な責任を感ずるわけですよ、やっぱり。その点で問いただしたので、先ほどあなたがそういうふうに態度を明確にしておりますから、その精神でひとつやってもらいたい、その姿勢でひとつこれからも企業分割に処してもらいたいということを明らかにしておきます。
 そこで、先ほどのことでちょっとお伺いしますが、構造規制の問題で、現行法でも第七条で私的独占の弊害については営業の一部譲渡を命じ得ることになっており、独占的状態に対する措置が弊害規制というならば、現在の法律に比べて実際上どのような相違があると思いますか。この点ちょっとお伺いしたいのですが。現行法でもできるわけです、弊害規制だけだったら。
#29
○政府委員(澤田悌君) 七条の現行規定は、いわゆる私的独占の行為があった場合、それを排除するための規定と理解するのでありますが、今回の営業一部譲渡の案は独占的状態が生じた場合にどう対処するかという違いがあると考えております。
#30
○対馬孝且君 それで次の点、いま言った独占的状態が云々ということでありますから、それはそういうことに私も理解をしておるのでありますが、そこで問題は、具体的に先ほど私、申しましたが、具体的な例として独占的状態というものに対して、つまり今度の改正案によりまして、これは総務長官にもお伺いしたいのでありますが、つまり通商産業大臣に独占的状態の有無について意見を出すことができる、こういうことですね。これは、前回の五党修正案の前の案で、審決と審判の前に二回協議をしなければならないというのがあって、五党修正ではこれは一つになったわけですね。二度の歯どめが一つになった。今回また新たにこれが出てきたということは、結果的にはやっぱり主務大臣の協議と意見の違いはあると言ったって、やっぱり独占の状態というものについての有無を聞くということになれば、結果的に、私はどうもこの法律を見て、これは通産大臣の権限がどんどん広まって、公取委員長の権限は逆に制約されていく、こういう感じを持つのですよ。通産大臣の権限が拡大、増進をしていって、公取の委員長の権限は逆に縮小される、こういう懸念をされるので、この点一体五党修正案とそう違わぬと冒頭総務長官お答えになっておるのですが、かなり違っているのじゃないですか。この点どうですか。公取委員長にもお伺いします。
#31
○国務大臣(藤田正明君) 公正取引委員会が長年の間にわたって独占的状態の有無ということについては調査をいたしておるわけでございます。その結果によりまして、独占的状態がありと思考したときに通産大臣にそれを通知し、通産大臣はその有無について意見を述べることができる、四十五条の二でございますが、そうなっておるわけでございます。思考したときに四十条の強制調査というものが発動されるわけでございますから、この四十条の強制調査というものは処分というものを、非常に担保権を持った強制力のあるものでありますから、ですから、これらが発動される時期において、長年の豊富なる知識を持った、そしてまた資料を持った主務官庁に一応通知もし意見を聞くということは必要ではないかと思います。これは四十条が発動されて、その企業に対してはあるいは致命的なことになっていくかもしれない、ただ単に四十条が発動され強制調査権が発動されたことだけによっても、その企業は大きなダメージを受けるかもしれない、そういうふうなことでございますから、公正取引委員会が独占状態ありと「思料」したときにそれを主務大臣に対して通知をし、意見を述べさせるという慎重さは今後必要であろう。
 先ほど来先生の御質問がありましたように、これは企業分割までいくわけでございますから、ですからそのときに必要であろう。特に審査に入って、後は四十六条の強制処分を伴うところの、それにつながっていくわけです。四十六条につながっていくわけです、四十条から。これはまあ大変なことになっていくわけですから、私はそういう意味合いにおいて豊富なる知識と「資料」を持った主務官庁に一応通知もし、意見を述べさせることはこれは必要な処置ではないか。しかし、それによって公正取引委員会の自主性が損なわれるものではない、かように考えております。
#32
○対馬孝且君 いま長官にお答え願ったように、四十条では調査のための強制権限というのが明らかにされていますね。四十三条で必要な事項の公表ということがあるわけだ。そうでしょう。それで、いま四十六条の調査のための強制処分と、こういう流れがきちっとあるとすれば、私はあえて通商産業大臣の意見を聞かなければならぬと――意見を聞くということは、言うならば、それじゃ全く公正取引委員会に調査権というものはないのか、調査権があるわけでしょう、現行法では。あって、日常そういうものについての独占状態というものは、絶えず私は公取が調査してないという事態がこれはおかしいと思うんだよ。当然調査なさっているでしょう、これは後から答弁してもらうんですけれども。だとすれば、あえて主務大臣がそういうことを意見を言うということは何を言うのか。私から言えば公取に対するどちらかと言うと制約条項だな、制限的なことを、あえて言うならいやがらせ的なことを言う以外に、足を引っ張ることを言う以外にないんじゃないかと私は思う、極端なことを言えばね。
 それじゃ、この前も青木先生の質問や斎藤先生の質問にお答えになって、あくまでも公正取引委員会の性格は内閣には所属しているけれども、これは司法独立の行政機関である――これは間違いありませんね。そういう司法独立の機関であるとすれば、その一例だけれども、公害裁判が起きた、公害裁判の問題で公害等調整委員会の意見を聞くとか、環境庁に主務大臣の意見を聞くとか、そんなことはないんじゃないですか、やっぱり。独立した公正取引委員会という機関であるとするならば、私は、主務大臣の意見を後でちゃんと審決の前に協議するというのがあるのに、また、その状態の以前に意見を聞かなければならぬと。これは結果的には、私は公取の権能というものを全く制約するだけじゃなくて、通商産業大臣の権限のウエートを高めて、公取の権限を侵してしまうということになるんじゃないか、つながっていくんじゃないかという私は懸念を持っているわけですよ。この点、再度ひとつお伺いします。
#33
○国務大臣(藤田正明君) 私は、そういうふうな御懸念というよりも、もう一つの懸念があると思うんです。と申し上げますのは、長年の間公正取引委員会が、相当な長期間にわたって独占状態ありやいなやということを取り調べておるわけです、調査をしておるわけです。これは何も強制的なものではございません。一般に公表された資料を積み重ねながらそういうことをやっておるわけで、いよいよこれは独占状態ありと「思料」したときに、弊害もある、そしていまの構造的要件もある、こういうことになったときに強制調査に入るわけでございますから、もう入ると――入ったときに、もう一度主務大臣に、豊富な知識と豊富な資料が長年の間整っているところの主務官庁にそれを通知もし、相談もしてみる。しかし、それによって制約はされない。ということは、意見を述べることができるわけでございまして、それを聞かねばならぬとか、そういうことではないのでありますから、公正取引委員会の自主性を損なうものではないわけであります。そういうふうな豊富な知識なり豊富な資料を持って、公正取引委員会がもう一度再考するということはあり得るかと思います。しかし、それによって公正取引委員会が何ら動かされることはない。しかし、再考した結果、豊富な資料を持って、それで、これは独占的有無ということに関してもあるいはほかにも競争を回復し得る手段がありと、こう認定をする場合もあり得るかもしれません、それは。しかし、それをもって公正取引委員会の権限を制約するものではない、かように解釈いたしております。
#34
○対馬孝且君 公取委員長、ひとつ。
#35
○政府委員(澤田悌君) 趣旨は総務長官のお話と同様でありますが、公正取引委員会の立場から申しますと、独占的状態の有無につきまして、あるいは競争を回復するに足りると思われるその他の手段があるかないかというようなことにつきまして、主務大臣に通知してその意見を聞いて、そして要すれば関係資料の提供も受けて、効率的に調査を進めることは有効である、そういう趣旨と理解をするのでありまして、その結果、いやしくも国務大臣の意見でありますから尊重はいたしますけれども、それに左右されることはない。総合的に独自の判断で結論を出すということは、いまの長官のお話のとおりでございまして、私はこの通知という点、そのように理解をいたしておるわけでございます。
#36
○対馬孝且君 これは最終的には公取委員長のいま言ったような考え方で結論を出す、審決をするということですから、もちろんそのとおりだと思います。ただ問題は、やっぱり私はどう言っても公正取引委員会の独立権限というものがありながら、それじゃ他のいま言った公害問題を私ちょっと例に出したが、それじゃ環境庁、主務大臣の意見を聞くということがあるかということになるんですよ、公害裁判で。そんなことはないんだよ。どうもそこらあたりが、やっぱり準司法的に独立している行政機関として、これに主管大臣がいろいろ制限をする、制約を加えるということは、どう言ったって私は客観的に見ても、主観的にこれから運用するにしても、一つは時間かかる、意見を聞くということは。ところが、常にそういうことは公取がおやりになっておることなんだから、公取がおやりになっておることまで通商産業大臣が意見を言うということは、むしろ公取のそういう目的に進む方向に対して規制を加えると、こういうことになりはしないかと、現実になっていくんじゃないかということが心配されますので、この点いまお答えがありましたが、ひとつこの点はそういう心配があるということを十分に踏まえて、これからの運用に当たってもらいたいということを特に申し上げておきます。
 そこで私は、独占状態を判定するための市場構造基準について、第二条七項についてちょっとお伺いします。
 市場占有率一社五〇%、二社七五%以上の事業分野、年間出荷額五百億円というのはさっき言ったようにあるわけですが、これは公取案でいくと九業種ですか、通産省案でいくと三十一と、これはこの生産集中度の度合いが公取と通産省の考え方がどうして違うのか、この点ちょっと公取の考え方をお伺いします。
#37
○政府委員(水口昭君) お答えいたします。
 ただいまの点は衆議院の委員会でもしばしば御質問が出たところでございますが、この二条七項の独占的状態、これを解釈するに当たりましては、この事業分野、ここにいろいろ定義が書いてございますが、これをどういうふうに考えるかというのは必ずしも容易でない。そこで衆議院の商工委員会の方から、公取のガイドラインを出すようにということで、これは提出してございますが、その事業分野の取り方、これが通産省の場合と異なる。それがただいま先生のおっしゃいました公取の案でいけば九業種、通産省の場合には三十何業種、その違いになった一番大きな原因であろうかと思っております。
#38
○対馬孝且君 それじゃ通産省にお伺いします。
#39
○政府委員(濃野滋君) いま水口審議官から御答弁ございましたのと同じでございますが、私ども実は約三十業種拾い上げた資料を内部資料としてつくりました。これをつくりましたのは、今回の改正案が自民党の内部で、山中調査会で御議論ございました段階で、私どもの内部資料としてつくったわけでございますが、つくり方といたしましては工業統計の商品分類をベースといたしまして、一応この五百億ということを頭に置きましてつくったわけでございます。ただ、いま御答弁にございましたように、一番問題点は事業分野ということの解釈でございまして、特に同種の商品あるいは類似の商品をどこまでとるかということの、私どもはそれを余り同種あるいは類似という商品をくくらないでとってみたところ三十くらいあるなと、こういうことでございまして、結局この法律の運用を公正取引委員会が行われますわけでございますから、ただいま御答弁にございましたようなガイドライン、公正取引委員会で今後つくられるわけでございまして、そこで確定をする、こういうわけでございます。
#40
○対馬孝且君 それじゃ公取はビールあるいはフィルム九業種、通産省のこれはちょっといまお聞きしますと、板ガラスの例でいくと、板ガラス、普通板ガラス、みがき板ガラスというような板ガラス加工というようなことで分類ちょっとしてましたね、細かく。そういう違いですか、やっぱり事業分野の。ただそれはいまお答えを聞きますと、公取としてのガイドラインをつくって、その点は通産省のいまたまたま出た批判とかそういうことではなくて、ガイドラインによってこれからの事業分野というのは定められると、こう理解していいですね。その点ちょっと。
#41
○政府委員(水口昭君) 先生のおっしゃるとおりでございます。そこでガイドラインでございますが、これは関係業界その他非常に関心の深いところでございまして、ただいまわれわれが国会の委員会の方に提出をしてございますのは、事務局の暫定的な試案でございます。ガイドラインと申しますものは、法律が成立してその後につくるものでございますから、この独禁法改正法案が成立しました場合に、速やかに正式のものとして公取のガイドラインをつくりたい、その場合には広く関係者の御意見も聞いてつくりたい、こういうふうに考えております。
#42
○対馬孝且君 それでは次の問題でひとつお伺いしますが、この中で新規参入が困難と考えられる業種は一体何があるのか、新規参入。新規参入が困難と考えられる業種は一体何があるのか。
 それから新規参入が困難な事情はどういう方法でこれを一体判定をするのか、これをちょっとお伺いします。
#43
○政府委員(水口昭君) 先生が新規参入は困難な業種とおっしゃいましたのは、その九業種の中でということでございますか。
#44
○対馬孝且君 そうです。
#45
○政府委員(水口昭君) これはやはりケース・バイ・ケースと申しますか、そういう事態が起こりました場合に、一件ごとに委員会でもって検討するというのがたてまえでございますので、私がお答えすることはどうかと思いますが、一応この九業種の中で新規参入が行われているものと考えられるものといたしまして、たとえば化学調味料、それから腕時計、こういったものはかなり新規参入が行われている例ではないかというふうに考えております。
 それから法律に書いてございますその新規参入困難という基準をどう考えるかということでございますが、これはやはりなかなか一律に申し上げることはむずかしいので、ケース・バイ・ケースで考えたい、かように考えております。
#46
○対馬孝且君 いずれにしても新規参入の業種認定というのは、これからの非常に私はガイドラインを含めてやっぱり問題点だと思いますので、この点はやっぱり少なくともこの法の趣旨にかなったガイドライン、それからそういうものを、ただ当然これが企業分割発動されないであろうなんというような、いやそういうことはないんだなんという認識でつくられたんじゃ困るんであって、少なくともそういうものはやっぱり発動されるという基本に立って、ガイドラインなり新規参入というものを考えてもらわぬとならぬわけでありまして、そういう点をひとつ基本にすえていただきたい、これは強く申し上げておきます。
 それから次の問題で、この間もこの委員会で私非常にやっぱりこれも気になった点で、だめ押しの意味でひとつはっきりしておきたいのでありますが、企業分割に対して、企業分割命令と株主総会の特別決議の効力との関係ですよ、これは総理府長官にもお伺いしますが、商法第二百四十五条、第三百四十三条の問題になっているが、命令を受けた企業の株主総会が、営業譲渡に関する議案を否決した場合、両者の効力が一体どうなるのか。公取としてこの問題についてどういうふうにお考えなっているのか。その際当該企業の役員・経営者の責任はどうなるのかということです。それから企業が譲渡命令に従わなかったときにどういう措置を一体とるのか、この点をちょっと初め、冒頭聞いておきたいと思います。
#47
○政府委員(大橋宗夫君) 営業の一部譲渡命令が出ました際の審決が確定しました際に、その内容が重要な一部の譲渡であるということになりますと、これは商法上の手続として株主総会の特別決議を経なければ、会社の中の手続としては営業譲渡ができないと、こういうことになるわけでございまして、この場合に特別決議が得られなかった場合、そういう場合に審決はどうなるか。これは審決の効力はそのまま残るわけでございます。そして、特別決議が得られなかったという状態は会社の商法上の手続がとれなかったという状態でございますから、これはやはり私法といいますか、商法の手続としては営業の一部譲渡が実施できないというような形になるわけでございます。ただ、その場合の取締役の責任ということになりますと、取締役は会社の機関として会社が拘束される審決に、やはりこの審決を実現するための努力をする義務があるわけでございますから、その特別決議が得られなかった事情がどういうところにあるのかというようなことを検討いたしまして、特別決議の得られるような努力を続ける義務がある、こういうふうに理解するわけでございます。したがいまして、この会社の取締役の責任というものは審決に従う義務がございますから、もし、これに意図的に従わないということが明らかな場合は、審決違反の罪に問われることがあり得るということでございまして、この際、この審決を強制する手段としては現行法の十七条の二の場合と同様でございますけれども、会社の取締役に対する刑事責任の追及というものを柱にいたしまして、取締役の最善の努力を期待している、こういうことになっているわけでございます。
#48
○対馬孝且君 公取の方もちょっと。
#49
○政府委員(澤田悌君) 趣旨はただいまのとおりでございまして、審決を命ぜられた責任者の取締役がその審決の実現のために真剣な努力をしない、怠っておるというようなことに相なりますると、刑事責任が追及される場合もあり得ると考えておるわけでございます。
#50
○対馬孝且君 わかりました。この点は一番大事なところでありまして、この間の答弁でいきますと、もう株主総会で特別決議が否決されたら、これは営業分割の審決がもうできないんだということが、ぼくはあなた方の答弁を聞いておって非常に心配されたんですが、これは明快なことは前の植木総務長官の会議録、前回の委員会でもお答えになっておりますが、明快なんだね。植木総務長官は、そういう事態が起こった場合については、これはやっぱり刑法上の適用をせざるを得ませんと、きわめて明快なお答えになっているわけであります。それから前の高橋公取委員長もこの前回の審議の際にも、三カ月の間にもしだめだということに取締役会で出た場合については、これは当然所定の手続に従って高裁に訴えるべきである、訴える措置をとりますと、こういうふうに明快になっておりますので、この点はもう一度だめ押しの意味で申し上げますが、そういう考え方でそのとおりである、こういう理解でよろしゅうございますか。
#51
○政府委員(澤田悌君) 先ほどお答え申し上げましたように、やはり審決の実現のためには責任者の努力が中心でございまして、それを怠っておる場合には、刑事責任を追及されることがあると考えております。
#52
○対馬孝且君 総務長官もちょっと。
#53
○国務大臣(藤田正明君) ただいまのお答えのとおりでございまして、取締役会はその義務を負っておるわけですから、審決を実行する義務を負っておるわけでございますから、その義務の履行に忠実である限りは、これは何回も、特別決議を得るような努力をいたさなければならぬわけであります。どうしてもそれができなかったという場合もこれまたあり得るかもしれません。それからまた義務を誠実に履行していないとするならば刑事罰を負うわけでございます。どうしてもできなかったというときには、これはこれなりに正当なまたそこに理由が存しなくては……万人の納得する理由がそこになくてはならぬわけでございますから、その際には特別なまた手段が講じられるということでございます。
#54
○対馬孝且君 通産大臣、あなたが来るのを待っていたのですが、見えましたので、いまちょうど――後からまた、二、三点お聞きしますが、とりあえず企業分割の問題で各論についてちょっといま総務長官、公取委員長の見解を聞きました。きわめて明快にお答えを願っておりますが、そこであなたが、今回の改正案によりますと、つまり独占の状態の有無について通産大臣に公取は意見を聞かなければならない。意見を出すということになっているわけですが、通商産業大臣としてその場合の意見を出すということはどういう……一項目から七項目ございますね。先ほどちょっと申し上げましたが、七項目の問題で、国際的な状況の関連はどうなるとか、あるいは収益率、一体販売収益率はどうであるとか、あるいは先ほど言った五百億、あるいは一社五〇%、二社七五、こういう問題、新規参入の問題等々がございます。等はございますが、こういった問題はもちろんでありますけれども、その場合意見を言うが、最終的に通商産業大臣としては、もちろんこれは公取委員長が決定をしたことについては当然協力をしなくちゃならないということになるわけでありますが、この場合、独占的状態の有無に対するあなたの大臣としての、どういう具体的な意見を、見解を申し上げ、また、その場合の最終的な通商産業大臣のとるべき態度としてはどういう態度をとるのか、これをちょっとお伺いします。
#55
○国務大臣(田中龍夫君) 大変おくれまして失礼をいたしました。
 突然のことでありまして、間違っておるかもわかりませんが、ただいま通産大臣としての所見を問われました際におきまするわれわれの答えと申しますものは、やはり当該大企業が、日本経済の中におきまして行っておりまする活動の分野において、それが果たして公正な国民経済の伸展に対してどのような影響を持っておるかということに対しての通産大臣としての判断を申し上げるということに帰するのではないかと存ずるのでございます。
#56
○対馬孝且君 どうも抽象的でぴんとこないんだけれども、そういうことでなくて、もっと私は突っ込んで聞きたいんですが、つまり、いま言った独占の有無ということについて、私いま言ったでしょう、構造規制あるいは弊害規制という要件の問題について。こういうものについて御意見を出すということになるわけですから、その場合の通産大臣として、つまり産業的な立場を優先的に云々ということの答えを言うのではなくて、独占禁止法の目的である公正な経済秩序のルールを確立する、公正な経済秩序を確立をする、消費者の利益の目的のために行おうという、この目的に合致した意見というものを基本にして、あなたが通商産業大臣として反映をされる、また意見を申し上げるということでなければならないんじゃないかというふうに私は考えているわけです。
 だから、その基本をあなたはどうもお答えにならないのでは、いま入ってきたばかりだからぴんとこなかったんだろうけれども、私はその目的に向かって当然大臣としてお答えになるものと、こう理解しておるのでありますが、その点はどうお考えになりますか。
#57
○国務大臣(田中龍夫君) 国民経済の観点に立ちまして、ただいま対馬先生のおっしゃったようなこともございまするしまた産業経済的な価値観の問題もございましょうし、これはケース・バイ・ケースによって見解が、主張が異なる場合があるんじゃないかと思うのであります。つまり言えば、公正取引委員会の、取引の公正という立場に立ち、またその意味だけではなく、通産大臣といたしましては、やはり国民経済におきまする産業政策ということもあわせて配慮した当然回答になるだろうと私は考えます。
#58
○対馬孝且君 これは通商産業大臣としての意見を申し上げる場合、もちろん産業のことも考えるだろうけれども、私はここではっきりしておきたいことは、独占禁止法の目的、この基本にやっぱり立ってもらわなければ、産業の方に優先をしたような、産業に偏った、重点を置かれたような有無を言うことではなしに、独占禁止法の目的に向かって、特にあえて私は二つを挙げましたね、公正な経済秩序、それから国民の、消費者の利益の目的と、この基本を外れてもらっては困るんだと。概して通産大臣というのは、産業の方にいって国民の方に目を向けていない、あなた来る前に、大臣来るまで私は申し上げたんだけれども、石油カルテルの問題、私はここで三年間やっておるんだ、この問題だけで。それからプロパンの問題、例を挙げました。こういう問題のときにどうも解決というのは全部企業側に立って解決をされて、国民、消費者の方には目を向けていないというのが通産省の姿勢であるので、今回の独禁法の目的を設定した限りは、そこらあたりを基本にしての独占状態というものを、きちっとやっぱりしてもらわなければ困るんだということを私は言っておる。そういう姿勢を聞いているんです。
#59
○国務大臣(田中龍夫君) 考えますることは、国民経済の伸展と国家の隆昌でございます。その中におきまする消費者に対しまする、大衆の便に十分に配慮いたしまするとともに、国際経済の厳しい中に立っての日本経済を守っていくという意味もやはり当然産業政策としては持っておるわけでございます。つまり、いまお話しのように、あるいは公取委員長の御見解、あるいはまたわれわれの、通産行政をあずかる者の意見、これらは必ずしもすべてが全く同じでなければならぬというのではなく、むしろ立場を異にするところに両々相まっての整合性、あるいは国運の進展ということが考えられると私は存じます。
#60
○対馬孝且君 それでは次の問題、企業分割の問題でもう一つだけここで明らかにしておきます。
 この間もこの当委員会でありましたけれども、労働組合がこれを反対した場合にどうにもならないんじゃないか。率直な感じとしては当該組合が反対だと言ったらもうこれは営業一部譲渡はこれではい終わりなんだというような印象がありましたけれども、これは私はおかしいと思うんですよ。この点についてもう一回ちょっとまず考え方を聞いておいて、それからひとつ解明したいと思うんですが、どうですか。
#61
○政府委員(澤田悌君) 独占的状態に対しまする措置を命ずるに当たりましては、法案によりますと、対象事業者の従業員の状況等につきまして調査を十分行った上で、これらの者の生活の安定等に配慮しなければならないこととなっておるのでありまして、その労働者なり労働組合の意見は審議の過程におきまして、公聴会でありますとか、参考人でありますとか、伺うことができるわけでありますが、その他の機会におきましてもいろいろな事情の説明等を聴取する機会が多かろうと存じます。そこで、基本的に労働組合と頭から対立するというような問題ではないと存じまして、万人の納得いくような措置について理解が得られますれば、公正取引委員会の審決の線で物事が進むと考えますけれども、と同時に、これは労働者がその企業に籍を置くという事情、これは十分また考えなければなりませんので、そこの兼ね合いは十分意を尽くしてまいるというのが実際のやり方であろうかと存じておるわけでございます。
#62
○対馬孝且君 これは委員長、非常に大事なことなんで、これは私はどうも労働組合が反対するなんということは、常識的にも客観的にもそういう状態が出てこないと思うんですよ。なぜならば、私は申し上げますが、少なくとも企業分割で営業一部譲渡命令を出さなければならないような、発動しなければならない企業なんというのは、これは反社会的な企業ですよ、私に言わせれば。相当悪玉で、もうもうけるためには手段を選ばない。そして、そのために社会秩序も乱す、あるいはもうとにかく売り惜しみ買い占めをやって、とにかく手段を選ばないでどんどんやる。そして国民のことも考えない、つまり反社会的な行動だと思うのですよ。そういう会社が労働組合の生活条件なり労働条件がいいわけないんだ、これは、私に言わせれば。そんなものあんた答えは明快でしょう、その点については。
 ただ、少なくとも労働組合が反対をするという状態というのは、そういう反社会的な悪質な経営者、企業というものは、当面やっぱりむしろ労働組合の方がこの際消費者の目的のために、あるいは公正な経済秩序のためにひとつ公取の審決に従ってやるべきである、労働組合のやっぱり姿勢としては私は当然そう客観的になると思うのです。だからたまたまどういう意味でこの答弁されたか、私はそれは意図的ともそういうふうに思いませんけれども、少なくとも審決に伴って労働条件の変化あるいは労働者の生活権の問題というものは当然労使間における労働協約上の問題なり労使間の団体交渉なり、労使間のルールの中で労使協議会等を通じて決めるということであるわけですから、だからよもや公正取引委員会としては労働組合の反対があったから、これはとにかく営業一部譲渡はできないのだなんていうようなそういう逃げ腰の姿勢というか、ぼくはそういうことはいま委員長ないということ言っておるから、審議を尽くすと言っているからいいのですが、その点もう一回それらを明快にしてもらいたいですよ。そういうことは客観的にないし、もしそういうことが出たとすれば、それはやっぱり公正取引委員会の権限と、それからそういう審決に伴う、審議を尽くしての態度が決定されたわけですから、その場合の責任はきちっと持ってやはり所期の目的を達成する、こういう所信を貫きますということをひとつ明らかにしてもらいたいと思うのですよ。
#63
○政府委員(澤田悌君) 御趣旨はよくわかるのでありますが、事柄が何せ重要な問題でございますから、審決に至ります前には十分調査をいたしまして、労働組合の意見を十分聞いて、できれば納得の上で審決するというのが本当はよろしいかと思うのであります。これはいずれにしてもケース・バイ・ケース、諸般の状況を丹念に調査いたしまして進めるべき事柄であると存じますが、御趣旨の点については十分気をつけて運用に当たりたいと考えておるわけであります。
#64
○対馬孝且君 この間の答弁の変わったニュアンスとしてきょう私がだめ押ししているのは、どうもそういう理由をもって足を引っ張ろうというような意図があるとすればこれは大変なことなんで、そういうことでないということだけをこれをひとつこの機会にやはり明確にしておきたい、この点だけをひとつはっきりしてほしい、冷静にひとつこれに対処してもらいたいと思います。
 そこで通産大臣にお聞きしたいこと二点ばかりあるのですが、この間は予算委員会で私はあなたに申し上げたことなんですが、どうも通産省はこの改正案をつくるに際してとにかく願望としては――これは五党修正案で前回でもう五十一年度に決定を見たのですよ、本当ならば。それが自民党の指導力や自民党の混乱で独占禁止法の五党修正案流れたわけですよ。これは重大な自民党政府としては責任があるのだよ。それにもかかわらず、今度の山中案で改正案が出たときに、政府案が出たときに、もろ手を挙げて反対しているのはこれは通産省ですよ。そのために本来約半月から一月前に提案されるはずだったものが、私が聞いている限りでは半月以上それは政府部内における閣議決定がおくれた。この責任は明らかに通商産業大臣の、通産省の財界だけの意向を聞いた、財界の意に沿った反対で、全く審議が今日までおくれてきておる、こういうことを率直に申し上げなければならないわけですよ。これはひとつ大臣ね、いまなお至って、きょうは二十四日ですよ、あなた。今期は会期は二十八日よりないのだから、少なくとも通産大臣としては、この政府案が決定をして衆議院を通過した今日の段階では、一刻も早く、これはやっぱりむしろ積極的に資料を提供したり積極的な協力をして、これを仕上げるということが目的であって、今回の改正案に対して通産省の態度というのは全く私は理解できなかった。そのために審議が延びてきた。しかも、今日の段階で通産省としてはどういう姿勢になっているのか、この点ひとつお伺いしたい。
#65
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおり、通産省といたしまして所掌いたしておりまするいわゆる産業、経済、企業の経営等の問題につきまして、政府部内における意見を各省間において調整いたす段階におきましては、所掌事項について十分に意見を述べた次第でございます。しかしながら、一たび閣議決定をいたしました現時点におきまして、政府として、内閣として、本案の成立に対しましては全幅の努力を払っておる次第でございまして、その点は全く御懸念は要りません。
#66
○対馬孝且君 懸念がないと言うけれども、結果的にあの手この手で、何か通産省がこの法案を通すためのどうも協力姿勢というか、積極性というのがどうも欠けている、われわれにはそう見えてならないのですよ、やっぱり。これはもう予算委員会のときにもあなたの姿勢をただしたが、やっぱりあれ以来どうも通産省の動向を見詰めてみると、何か法案に対して足を引っ張るというような動きがあるやに聞いているし、ただ、そういうことではないようにするといういま答弁があったけれども、少なくとも積極的にやっぱり協力体制をつくり上げる、これの成立のために協力する、これは何が何でも成立をさせるという、この姿勢を強く申し上げておきます。
 次に、同調的値上げについて、ちょっと長官にひとつお伺いいたします。これは、同調的値上げについては第十八条の二というのが出てきましたね。ところで、この条項の対象となる、年間出荷額が三百億を超え上位三社のシェアが七〇%を超える業種に該当するものについては、現在どのくらい一体あるのかということが一つ。
 それからこの規定は、トップ企業−業界第一位が参加し、しかも三カ月以内に同調的値上げが行われた場合に限って値上げの理由の報告を求めることになっておるわけです、三カ月に限って。ところが問題は、トップ企業の参加しなかった場合に、または同調的値上げについては三カ月を少しでもはみ出した場合には値上げの理由の報告を求められないことにしたのは一体どういうことか。三カ月を超えた場合は報告をしなくてもいいということになるわけですか。これではむしろ寡占企業に対して同調的値上げの抜け道をむしろこの法律では教えてやったようなかっこうになってるんじゃないか、こういう懸念を持ちますので、この点ひとつ明らかにしてもらいたい。この点いかがですか。
#67
○国務大臣(藤田正明君) 数の問題は、公取の方から後ほど御答弁があるかと思いますが、三カ月という期限を切ったということでございますが、これはもう四カ月でも五カ月でもいいわけなんですけれども、しかし一年を四半期というふうに三カ月ごとに区切るという一つの習慣がございますし、まず大体九十日ぐらいでいいのではないか。これは、しからば九十一日目になったらいいのか、こういう疑念は、これはもう半年にいたしましても一日超えればいいのかということで同じでございまして、まず三カ月というのは一応の基準ではなかろうか。一年を四つに割って四半期と言いますから、そういうふうな関係で三カ月ということにしたんであって、これは本当に確たる、いや三十一日でいいのか悪いのかという議論になりますと、これははなはだ困るわけでありますけれども、そうせざるを得ない。常識的に三カ月ということにしておるわけでございます。
#68
○政府委員(水口昭君) 十八条の二に関連いたしまして、年間出荷額が三百億円を超え市場占拠率が三社で七〇%を超える品目の数でございますが、現在公、正取引委員会におきまして暫定的に、四十九年における生産集中度、それから四十九年工業統計表における出荷額、こういった統計が一番新しい数字でございますので、これをもとにいたしまして数を数えてみますと、一応八十六ということになっております。八十六でございますが、これはなお、法律が通りましたら事業分野の場合と同じように、関係者と御相談したいと思いますので、若干の増減はあろうかと思います。
#69
○対馬孝且君 その点は、同調的値上げの一応のここにあります九の対象が三百億あるいは上位三社のシェア七〇というのがありますから、これもさっきのガイドラインのようなひとつ認識に立って、これは毅然たる態度で処してもらいたい、これ、一つ申し上げておきます。
 そこで、この十八条の二の規定が今回浮かび上がってきたというのは、どうも私がわからぬ点は、五党修正のときに有害無益であるとしてこれ削除したわけですよ。五党修正のときは、各党、与野党一致で削除したわけです。またこの十八条二というのが浮上してきたわけだ、これ。この点がどうも私問題だと思うのは、つまり第四十条で言いますと、公取の職務、公取の権限というのを結果的には十八条二によって第四十条が制約されることになるんじゃないかと、こういう心配をするわけです。心配しておるというよりも、そういう結果にならないかということを、まず懸念をしておるわけです。これでいきますと、四十条は、先ほど申しましたが、調査のための強制権限というのが明快にうたわれているわけですよ。これが結果的には十八条二によって薄められるというか、あるいは陰に隠れるというか、そういうことになってくるんじゃないかということをあえてお聞きしたいわけです。
 なぜかと言えば、私は二年前の衆議院商工委員会の会議録をちょっと読んでみたんですが、当時の高橋公取委員長は、この条項に対しては、巧妙な脱法行為を図るような企業については、第四十条で必要な報告をとり、次が大事なんですが、公表することが可能であるという答弁をしておるんです、時の高橋公取委員長が。それならば、この条項は全く意味のない規定ではないかということになるわけでありまして、それから十八条二というのは、どうも私わからぬのですよ。これは何かニュアンスに、衆議院なんかの論議を聞きますと、四十条の次に、この前のときは四十条の二ということで飛び出してきて、どうも四十条が強制調査権があって、次に四十条の二というのはどうもうまくない、ぐあいが悪いということで、むしろこの条項を変えて出してくれば、余り刺激が強くないんじゃないかというような、何かテクニックみたいなことで考えて出してきたのかどうかは別にして、どうも私は、これはむしろ本質的な問題じゃないか。この四十条の本質的な問題、これを十八条二によって結果的には、いま、高橋前委員長が、言っているようなことになってしまうのではないかという心配するんですが、懸念するんですが、この点、何で十八条二をあえてここでどうしても出さなければならぬのかどうか。その目的、それから考え方がわからないんですが、この一点どうですか。
#70
○国務大臣(藤田正明君) おっしゃいますように、四十条の二としてこの十八条の二が前、五党合意案のときには上がっておりまして、そこで削除になったという経緯がございます。そのときは四十条の二は四十条を制限するものであるという意見が非常に強かったわけです。今回はそういう制限する意味はございませんということであって、別段に章を立てて、十八条の二ということで起こしたわけであります。
 しからば、なぜこれが必要であるかということでありますが、現在のこの独占禁止法の改正の法体系の中で、中小――下の方はカルテルの強化、課徴金まで取るということになっております。それから上の方は、独占、寡占に対しては第二条でいろいろと決めております。強化をいたしております。ところが、真ん中がぽかっとあいておるというふうな形にもなりますので、ここでやはり三百億以上の一定商品を売り上げる業界においては、寡占の状況も、これ、あるではないかということがございますので、上の方も強化し下の方も強化しておる、しかし真ん中がぽかっと抜けている、しかもそこには寡占の状態があり得る、こういうことでございますので、この十八条の二を特段に章を改めてここで起こしてきた、こういう意味合いでございます。
#71
○対馬孝且君 一応総務長官のお答えはそれなりに政府の立場からのお答えですから、そういう見解であろうと思うんであります。私は、大事なことは、もう一回確認しておきたいですが、四十条は現行で生きている。ただ問題は公表ということですよ、問題は。強制調査と公表ということは、これは四十条に従って現行ではやっていくんだと、こういう姿勢だということを、むしろ公取委員長にこの点をお伺いしておきたいんです。
#72
○国務大臣(藤田正明君) ちょっとその前に。
 四十条を制限するものではございませんし、四十三条をまた制限するものでもございません。しかし、四十三条の中には企業秘密は除くと、こう書いてございます。ですから、企業秘密は除いてこれを公表することを制限するものではございません。
#73
○政府委員(澤田悌君) ただいまのお答えと同様でございます。
#74
○対馬孝且君 いまそれではそういうことでひとつこの問題を理解をしておきますが、そういうことでこれから運用に当たって、これもひとつ四十条、四十三条の精神というものをきちっとやっぱり踏まえて十八条の二というものをひとつ運用してもらいたい、そのことをひとつお願いいたします。
 次はカルテルの問題につきまして、課徴金及び排除措置の問題についてお伺いいたします。
 カルテル課徴金については、課徴金の制度が新設されることになったわけですが、これが従来のカルテルではやり得という風潮に対する有効な規制手段であるということは私は評価をいたします。そこで、課徴金のあり方として本来の姿は、カルテル行為によって獲得した不当利得を企業から没収をして、損害を受けた消費者に還元させるのが筋だと考えるわけです。だが、法案に示された課徴金の算定方法は、第七条の二のカルテル実行期間の売上高に三%を乗じた額の半額の一律方式であって、カルテルによる不当利得の金額とは直接関係なしに、不当利得の額に比べて僅少に過ぎるという感じがするわけです。
 そこで第一点の問題としましては、改正案に示されている課徴金算定方法の根拠は一体何か、簡潔でよろしゅうございます、時間もありませんから。その兼礎にある考え方について示していただきたい。
 二つ目は、不当利得の相当額ずばりそのものを課徴金として取り上げる方法をなぜとらなかったのか。やっぱり企業に甘いという国民の批判は免れないのではないか、こういう考え方を持ちますが、この二点をひとつお伺いいたします。
#75
○政府委員(大橋宗夫君) 課徴金の計算方法の考え方でございますけれども、これはカルテルの実行期間中の売上高に、売上高経常利益率を乗じたものが、カルテル対象商品の売り上げによる通常の得られる利得であろうというふうに考えまして、その全部がカルテルによるものではないと思いますので、まあ二分の一にしたという考え方でございます。
 こういうことにいたしまして、それは本来カルテルによる利得というものは、カルテルによる価格と、競争状態があったときの価格というものを想定された価格との差額であるというふうに考えられるわけでございますけれども、そういう個々のケースに応じて課徴金の額、単価といいますか幅が違うということになりますと、これは公正取引委員会の職務の遂行上はほとんど不可能なことになるんではないだろうかというような配慮から、行政的な実務に支障のないという考え方で、一応のみなし利得を考えたわけでございます。これはやはり、あくまでカルテルによって得られたであろう経済的な利得を、こういう形で計算するのだという一つのみなし規定であるというふうに御理解いただきたいと存じます。
#76
○対馬孝且君 そこで問題は、今回の法律では損害を受けた消費者に還元させないということは、ぼくは非常に総務長官、これね、あなたもこの間、予算委員会で私が物価問題を取り上げた際に、政府は三月末に物価の年率を合わせるために瞬間風速的にフードウイークをやったのはけしからぬ。しかもやった結果は、多少瞬間的には下がっている。しかし、それは結果的には物価指数のごまかしではないかと私は申し上げました。しかし、ごまかしだけではなくて、私の言いたいのは、物価を現実に下げてもらいたいということを言っているわけで、あなたもお認めになったわけです、当時。
 それと、フードウイークをやることがけしからぬと私は言っているんじゃないんだ。たまたま一年のうちに三月と十一月をやるから問題だと私は言っているだけなんで、それは毎年一回全国的に――全国十三大都市だけやらんで、私は北海道だが北海道札幌だけやらんで――札幌だけの指数をもって、いや物価は下がりましたと、こんな言い方はちょっとごまかしだと思うんだよ。やるなら毎月一回、全国至るところでやっぱりやりなさいということですよ、私は。そうすると、前回あなたが、明年三月末で七・七なんだから、そういうものを達成するために、この間も三月末にぼくが調べてみると、農林省と通産省が使った金というのは四億使っているわけでしょう、フードウイークに使った金が。これはわれわれの税金を四億使っているわけだ。これは当然課徴金で吸い上がった金を、何も個々対馬孝且に返せと私は言っているんじゃないんだよ、消費者に。少なくともそういういまフードウイークならフードウイークというものをおやりになっているとすれば、それを三月末だけにやって春闘を抑える、そんなことをやらぬで、一年じゅうやっぱりフードウイークは月一回ずつやる。そういう財源のために消費者に返すというのは、物価安定のための目的に使うというのは、これは筋が通るじゃないですか。どうして政府はこういうことを、課徴金をむしろ物価引き下げのための、私が言うような対策のために生かすということを考えられないのか、私はそれをお聞きしたいんですよ。
#77
○国務大臣(藤田正明君) いまの御意見は大変ユニークないい案だと思います。ですから、これは新しく検討すべきものであって、ただフードウイークは年二回やるから何か物価指数をごまかすためにやっておるんだと言われますと、これは不本意至極でございまして、これは年に四回にふやすとか六回にふやすとか、そういう意味合いにおきまして、こういうふうな課徴金を使えるかどうか、予算編成上いろいろな項目のことがございますので、目的は物価を下げるということもこの法案の中にはあるわけでございます、消費者のためにということはあるわけでございますから、いまの案は非常にいい案だと思いますから、これは検討さしていただきます。
#78
○対馬孝且君 総務長官から非常にユニークな案で検討してまいりたいということですから、私は物価に執念を燃やしておりますので。これは大臣御存じのとおり、せめてやっぱりそういう課徴金ぐらいは消費者に潤って物価が下がっていったということがなければ、私はせっかく近代的な独占禁止法をやる限りは、それはぜひひとつ実らしていただきたい、実りある検討をしてもらいたいということを強く要望しておきます。
 次に問題は、カルテル行為によっての課徴金の制度ができ上がったために、問題は事務の繁雑化、あるいはまたせっかくつくったんだからこれは現在の公取の事務局体制で、実際にわかっておっても人手がなくて調べができない、あるいは課徴金を取り立てることができないということになるんじゃないかということを私は非常に心配するわけです。これは、この間の衆議院の委員会等でも毎回附帯決議出てきていますが、やっぱり公取の事務局体制が強化されなければ、せっかくつくった課徴金も取れなくなる。それから、事務能力が対応できなければ実効力が上がらない。こういうふうに考えますので、この点公取委員長としてひとつこれからの独禁法が成立した時点で、課徴金を含む事務局体制をどういうふうに強化されようとしているのか、これは総務長官にもひとつ、公取の意を受けておやりになることだと思いますけれども、その点ひとつお伺いしたいと思います。
#79
○政府委員(澤田悌君) 公正取引委員会の機構、人員、予算等につきましては、従来大幅とは申せませんが、逐次充実されてきておりました。今回の法案が成立いたしますと、審査部を中心に若干の充実が図られることになっておりますが、今後も事務量、事態の推移を見まして、必要な措置は要請してまいりたいと考えておる次第でございます。
#80
○国務大臣(藤田正明君) 当然事務量の増加は伴いますので、その実情に応じて人員の増加は公正取引委員会と御相談の上で図ってまいりたい、かように思います。
#81
○対馬孝且君 それでは次に、新証拠の申し出制限の緩和について、今回の改正案によりますと、公正取引委員会の審判で、過失があった証拠を提出しない場合であっても、高等裁判所に新しい証拠として提出することができるということで、現行の独禁法の八十一条の新証拠申し出制限の規定と独占禁止法八十条の実質証拠の規則の制定とは一体不可分の関係にあるんではないか、これは切り離した問題ではないんじゃないか。このことについて学説的にも争いのない、学者の間でも争いのないというような現状でございますので、この点どういうふうにひとつお考えになっているのか、お答え願います。
  〔委員長退席、理事福岡日出麿君着席〕
#82
○政府委員(大橋宗夫君) 実質的証拠の原則というのは八十条でございますが、この八十条と八十一条との関係でございますけれども、八十一条の現在ございます第3項、この「裁判所は、第一項の規定によるあたらしい証拠を取り調べる必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、当該事件を差し戻し、当該証拠を取り調べた上適当な措置をとるべきことを命じなければならない。」、この規定は、裁判所が事実認定を新しくやり直すことがないという規定でございますから、非常に密接に関連した規定でございます。今回の八十一条の改正におきましてもこの八十条及び八十一条の3項については手をつけない、こういう実質的証拠の原則の基本的な部分については手をつけていないわけでございます。今回の提案しておりますのは八十一条の現在の一項の第二号、この分でございまして、現在は「公正取引委員会の審判に際して当該証拠を提出することができず、且つ、これを提出できなかったことについて過失がなかった場合」というものをこれを「重大な過失がなかった場合」に改めるものでございますが、この証拠の提出の制限というものにつきましては、程度の問題ではございますけれども、課徴県を新設する等の規制を強化する場合には、やはり公正取引委員会の審判訴訟を通じまして、被審人の側の納得できるような手続というものが必要になってくるのではないかと存じます。
 実質的証拠の原則との関係につきましては、この点の改正というものは実質的証拠の原則について余り関係がないのではないかというふうに考えております。
#83
○対馬孝且君 この現行八十一条でいきますと、これもあなたがおっしゃったように、つまり公取が裁判所に対する証拠に対して、当該証拠に対しても、つまり公取の審決あるいは証拠というものは、実証というものは裁判所をも拘束するということになっているわけだ。間違いありませんね、これは。そうしますと今回の八十一条でいきます新しい証拠が重大な過失――つまり軽い過失、こういうものを忘れておった、汚らしいけど机の中に入れておって、意図的にやるとすれば机の中に入れて、証拠はそろった、これは新しい証拠でございますと、こういって出されていったらこれ大変なことになるんじゃないですか、率直に言って。逆に言えば現行の八十一条をむしろ改悪したということになるんじゃないですか、改正じゃなくて改悪した。
 しかも証拠物件が次から次に出されちゃって、審決は早くしなければならぬ、したと、しかし問題は相変わらず次から次へと証拠が出て、飛び出してきて、もうさっぱりこれは問題は解決しない。そのうちに相手側は対応の仕方を考えて、ようやく証拠が上がったころには、全部解決しようと思っても、違う面で企業側の方がうまく手を尽くしてやっておったなんということできかねない、私はあえてそんなことはする必要がないと思うんだな。明快にここの八十一条では「新証拠の申出・差戻」それから八十二条では「審決の取消」、明快になっているんだよ。それから八十三条では審決変更のための差戻」と、明快にあるんだからこれをあえてうたったということに、あなたの説明では私納得できませんよ、これ。
  〔理事福岡日出麿君退席、委員長着席〕
#84
○政府委員(大橋宗夫君) 八十条と八十一条の関係でございますが、これは現行法にも証拠の提出制限はございます。制限はございますけれども、証拠を提出できる場合というものがあるわけでございまして、この範囲を若干拡大したという改正でございますから、本質的な制度の考え方は違いがないわけでございます。
 それでどうして重大な過失がなかった場合、単なる過失の場合は認めることにした方がいいと考えるのかということでございますが、これはたとえば課徴金を取る、カルテルが認定されて課徴金を取られるというような場合に、一人の被審人にとっては、実際はそのカルテルには参加していなかったんだというようなアリバイがあるような場合が仮にあるといたしますと、このアリバイを提出すれば、その被審人については事実認定が変わって、課徴金が実際は取られない、取られないはずのものである、済むという、こういう場合がありましたといたしました場合に、これを審判手続においてどうして出さなかったのだ、おまえ過失があったんじゃないかということで、取るべきでない課徴金を取りっ放しにしてしまうというようなことができる手続というものは、やはりこれからの独占禁止法というのは国民の支持を受けて、納得のできる形で過営されなければならないということを考えますと、余り適当ではないんじゃないだろうか。
 現実にはそういうように認定される。事実に変更が起きるような重要な証拠について、単なる過失で提出できなかったというようなことが起こり得る審判の運営のあり方というようなことは若干問題がございますので、これからは公正取引委員会といたしましても単に証拠がないんだろうけれども、あるだろう、持ってこいということではなくて、ちょっと考えてみろという程度の注意を促しているということを経ることによりまして、審判手続そのものの中でやはり必要な証拠を調べていくという努力が行われるものと考えております。
#85
○対馬孝且君 公取委員会の方から。
#86
○政府委員(水口昭君) この八十一条の改正は、いろいろ改正がございますが、内容的にはいまお話がありましたように、「過失」という言葉が「重大な過失」に改正された、この点だと思います。それでこの点は特に公正取引委員会の方から改正をお願いしたわけではございませんけれども、さっき御説明にありましたように、今回は課徴金という制度が創設される、そうなればやはり被審人の立場というものも考慮せざるを得ないだろう、それでこういう改正をした場合に、公取にとって支障があるかということでございますが、まあ今後はともかく、現在まで訴訟というものは数が非常に少のうございました。それからここに書いてございます「過失」ということが問題になった、問題になったことはあるんですが、裁判所がその点について判断をしたということはございません。
 したがってまあ理屈といたしましては、若干先生のおっしゃったようなことで、裁判所から公正取引委員会に差し戻されてくるというものがふえるのじゃないかという懸念はあるわけでございますが、実際問題としてはさほどの支障はないというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
#87
○対馬孝且君 この問題はやっぱり私はさほどの問題点――いまお答え願ったけれども、私はこれは相手が意図的に出られたら、この法律を盾にとられたら困ると思うんですよ、私は。むしろ公取の方はこういうことはやめてもらいたいという答弁があると思ったけれども、いやさほどの影響はないとこうおっしゃるのだけれども、私はやっぱり問題は何といったって、いままでの八十一条というものは新証拠提出の制限規定なんだから、極端な話言うけど、さっき言ったように公取がむしろ「裁判所を拘束する。」と、こういうふうに八十条はうたっているんですから、それも今度はやっぱり過失ということで証拠物件はどんどん挙がっていけるのだということだったら、そうでなくても公取のいままでの審決なり決定というものが非常にどうも手ぬるい。
 やっぱり消費者に言わせれば、期待しているいま、ここに答えを求めているときにさっぱり答えが出てこないのじゃ、公取というのは一体どういうことなんだと、石油カルテルの場合でも、私先ほどプロパンの例も申し上げたし、新聞代値上げの場合もぼくは北海道だけれども、ずいぶんやったけれどもね、結果的に新聞代値上げの場合のこの公取の結論というものは、全くこれは忘れたころになって出てくる。消費者はそういう不満を持っているわけですよ。ですから少なくともやっぱり何事もスピーディーに、独禁法の目的を達成するというためには、あえてこういうまぎらわしい、現在でさえできるのに、証拠を出せるようなことを、過失の証拠物件がどんどん出ていったら結果的にその分だけずうっとおくれるということですよ、これははっきり言うと。そういうことをかえってここに持ち出す必要はないんではないかというのが私の意見でありまして、これからの公取の運用について、最後に公取委員長、ひとついま申し上げた趣旨に従って、それからスピーディーにやっぱり公取の結論というものは出してもらいたい。この独占禁止法は、成立した時点ではあくまでもそういう公正な経済秩序、それから消費者の利益のために、公取委員会は厳正にしてかつ勇断を持って、この法律に従ってスピーディーに結論を出す、こういう最後にひとつ決意のお声をお聞きをして、終わります。
#88
○政府委員(澤田悌君) 公正取引委員会といたしましては、法の運用につきましては厳正に努めることはこれはもちろんでございますが、同時に敏速に結論を出すと、厳正、敏速ということを今後一層事務処理の基本として考えてまいりたいと存じております。
#89
○対馬孝且君 きょうの段階は、一応これで私の質問は終わります。
 総務長官にひとつ、先ほど申しましたそういう私が懸念をしている点について、ひとつ法執行に際してきめの細かい政令なり、こういう問題についての配慮をしてもらいたいということを特に申し上げます。
#90
○国務大臣(藤田正明君) 立法の趣旨につきましては、たびたび申し上げたとおりでございますので、その趣旨にのっとって公正取引委員長及び公正取引委員会の方では御執行願えるということを確信をいたしております。
#91
○対馬孝且君 以上で終わります。
#92
○委員長(加藤武徳君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、休憩いたします。
   午後零時二十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時二十五分開会
#93
○委員長(加藤武徳君) ただいまから商工委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#94
○桑名義治君 わが国の今後の経済というものは、好むと好まざるとによらず、減速経済あるいはまた安定経済、この道を歩まなければならないわけでございますが、このような経済の減速の状態のときに、産業の集中化あるいは寡占化というこの時点をとらえた場合に、どういうふうになるというふうに考えられておられますか、まず通産大臣と公取委員長にお伺いをしておきたいと思います。
#95
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御指摘の今後の日本経済のあり方という問題でありまして、その展望につきましては非常にむずかしい次第でございまするが、わが国の国内経済も、高度成長の段階から低成長時代になってまいりますれば、必然的に構造的にもひずみが生じてくる。その中におきまして、いわゆる大規模企業というものの重圧というものが中小企業に来るというようなことで、かような意味におきまして中小企業対策というものに特段に努力を要する次第でありまするが、反面、御指摘の要点は、独占禁止といわゆる寡占企業という問題であろうと存ずるのでありますが、これまた一概には申し得ない問題でございまして、国際競争力といいますか、国際社会というものがまことに厳しく相対立いたしておりまする中におきまして、日本経済の特徴といたしまして、無資源工業大国でありまする以上、貿易立国ということが非常に重要な要素をなし、あるいはまた、国際経済の中におきまする対外経済というものの重要性を、改めて見直さなければならぬというような状況でございます。
 今回御提案の独禁法等々も、かような一つの大きな視野と展望のもとに政府といたしましては御審議を願っておる、かように存ずる次第でございまして、われわれといたしましては、一日も速やかな本案の通過を待望いたす次第でございます。
#96
○政府委員(澤田悌君) 日本経済の現段階と展望でございますが、これは非常にむずかしいところに来ていると私は考えます。大正時代の後半、第一次世界大戦の後、その大戦の結果膨大な設備投資が行われ、生産設備が行われたわけでありますが、その後それを支えることがなかなかむずかしい、そういう生産力を十分活用できない時代から昭和の初期にかけて、日本経済が非常に重大な局面に至ったことは御承知のとおりでございますが、高度成長時代に養われた、投資された生産力、それが成長率が半減した現在、これをいかに支え、活用し、国民の生活に役立つようにしていくか、その能力と需要、そのギャップをいかに、どのくらいの期間にアジャストしていくか、これがもう今後の基本問題だと私は考えます。いわゆる構造問題が各業界に伴っているというのはそれと深い関係があるわけでございます。
 そういうむずかしい時代に独占禁止法なり独禁政策というものとの関連を考えますというと、しかし、そういう時代であっても公正にして自由な競争秩序というものを大事にしなければいけない。どうしても企業は、自己防衛的で協調的な方向でこれを切り抜けようとしがちでございます。場合によってはいろいろな方策が必要でありますけれども、基本的にはやはり長い目で見て真に公正な競争秩序を維持促進し、その面においてこの難局を打開するということが必要ではないかというふうに考えておる次第でございます。
#97
○桑名義治君 私の質問の中身と少しお答えがお二人とも違うようでございますが、私はこういう日本の経済というものが、いわゆる安定成長あるいはまた安定経済といいますか、あるいは減速経済といいますか、そういうその道を、好むと好まざるとによらず歩まなければならない状態に入っている。こういった経済情勢の中では、産業の集中化あるいは寡占化が進むとお考えですか、それとも後退するとお考えですか、その認識をお尋ねしているわけです。
 なぜかといいますと、昨日来からこの問題を、今回のこの法案に対する審議の中で与党の方々は、こういう不況の時代あるいはまた減速経済の時代に、こういう独占禁止法の改正を行うということは、今後の経済に大きな支障を来すと、こういう意味の論調が盛んに行われたわけです。ところが、経企庁の経済研究所長の馬場さんは、こういう減速経済の場においては、産業の集中化というものは非常に加速的に多くなってくる、こういう論調の論文をエコノミストにも出されているわけです。したがいまして、公取委員長あるいは通産大臣はどういうふうな認識をなさっているのかということを聞いたわけですから、その点についてのお答えを願いたい。
#98
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお話は私も同様に感じております。
  〔委員長退席、理事熊谷太三郎君着席〕
この何と申しましても非常に躍進いたしました五年前と比べまして、今日のような低成長、ことにOPEC以来の不況というものは、これはいろんな言葉で表現されますけれども、やはりそこには集中度というものが一層進むのではないかということが考えられると同時に、それに対処する行政なり、あるいはまた構造的な改革なりというものを必要とするのでありまして、そういう意味でこの独禁法をとらえてみる見方も確かに私は当然である、かように考えております。
#99
○政府委員(澤田悌君) 先ほどの私のお答えの後半は、実は御質問の趣旨に沿ったつもりでございまして、こういうむずかしい時期にとかく企業は、やはり協調的、共同的あるいは先ほどは集中という言葉は用いませんでしたけれども、そういう方法でこれに対処するということになりがちでございます。そういう観点から、これに対応しての独禁法の心構えということを申し上げた次第でございます。
#100
○桑名義治君 いろいろな論文を読んでみましても、産業の成長と産業の集中化の問題とは関連は非常に厄介な関連があるわけでございます。そういった立場を踏まえて、今回のこの独禁法の改正というものが、いわゆるそういう事態に完全に対処し得ると、こういうふうにお考えになっていらっしゃるかどうか。この点については総務長官と公取委員長にお願いしたいと思います。
#101
○国務大臣(藤田正明君) 不況下の中におきましても企業の集中化というものは進んでいくということは、これはおっしゃるとおりでございます。そしてまた、この安定経済の成長にならざるを得ないということもおっしゃるとおりでございますが、こういう低速経済の状態におきまして、日本が資源弱小国として多くの資源を輸入せざるを得ない、それだけにまた多くのものを輸出せざるを得ない、そういう貿易立国であることも、過去から通じて安定経済成長の時代にも、そういう状態にいかなくてはならないということでございます。そういたしますと、日本の国内におきまして、私は過度に経済力が集中することは特別といたしましても、寡占の状態あるいは企業が大きくなることは決して悪いことではないと思うのです。そしてその安いいいものを、国民の方々にそれを供給していくことは悪いことではない。またその力をもって、世界の経済競争力の中で立ち向かっていくということも必要でございます。
 ただ過度にそういうものがありますれば、これは問題が生じてくるということでございますし、またそういう力があるがために、悪いこともできる。悪いことをすぐやるということではございませんが、悪いこともできるということでございまして、そういう点におきまして、国内においても、そしてまた国際的な競争力を保ち得るという面においても、このような公正な自由な経済の競争ができるというふうなものが、新しく競合されることは意義のあることだと考えております。
#102
○政府委員(澤田悌君) こういうむずかしい時代の政策のあり方、それとの関連におきまして独禁政策がどの程度貢献し得るかという問題、非常にむずかしい問題でございますが、長官からもお話がございましたように、こういうときにこそ、やはり自由で公正な競争秩序を維持しておく。そして企業の行動についてのルールが定められたり、そういう基盤が大事であろうと思うのであります。その上に総合的な経済政策が行われ、企業がそういう基盤の上で活力を維持しながら経済行動をすると、こういうことによって総合的に解決を図っていくものではないかと思う次第でございます。
#103
○桑名義治君 先日から各新聞紙上において公取委の秘密漏洩問題が掲載をされております。先日来の当委員会におきましても、与党の各委員からこの問題が指摘をされたわけでございますが、この点についてはいろいろな疑惑の点が指摘されていますけれども、そういう事実があるとするならば、これはやはり重大な問題であろうと思います。しかし、この問題はあくまでも明確にしておかなければ、今後の独禁法の改正された法を運営する上において大きな蹉跌を来すことは事実であろうと思います。そういった立場から、公取の立場を明確にしておく必要があると思うのですが、この点については公取委員長はどのように対処なさっておられるか、まず伺っておきたいと思います。
#104
○政府委員(澤田悌君) 御質問の件につきまして、疑惑を受けましたということは誠に遺憾なことでございまして、これは事実を究明し、明白にする必要があると思いまして、現在その調査の努力を続けております。
 これは先週出委員会においても御質問がございましたので、これを明らかにして御報告をすると申し上げたのでありますが、そのいま結論を急いでおるところでございますが、やり方としましては、問題の出版物と、私どもの方のその徴求いたしました資料との突き合わせ、それから、それに関係いたしておりました職員に対する個別の調査、それから、出版物の出版社の責任者からの事情の聴取というような角度からこれを進めておる次第でございます。
#105
○桑名義治君 そこでこの問題に関しまして、先日来の議論の中で、このような不祥事件が明確にならなければならないわけでございますが、独禁法の改正をすべきでないと、こういう問題が浮き上がっているから独禁法の改正はすべきではない、こういう論議が一部あるわけです。したがいまして、この種の問題の解明と独禁法の改正問題とは私は全く別問題だと思うんです。にもかかわらず、混同されて、こういう問題があるから独禁法の改正は今回は控えるべきじゃないかというような意味の論議が行われおるということは、非常に私は遺憾だと思うんです。
 そこで、この五月の十七日の日刊工業新聞の中で、田中通産大臣はこう発言したように報道されているわけです。「そういう話はまだ聞いてはいない。しかし、そういうことも起こりうるのではないかと思って独禁法改正にも反対したんだが……。」と、まだ事実が完全に明快になってない時点、それと同時に、先ほどから申し上げておりますように、独占禁止法の改正問題とこの種の問題は別問題でありながら、混同してこのような発言をこの時点でなさるということは、非常に軽率という言葉をかけられても免れないのではないかと、こういうふうに思うわけでございますが、通産大臣、この点についてはどうでございますか。
#106
○国務大臣(田中龍夫君) 実は、この五月十七日の日刊工業新聞のあの記事の末尾に、私がさように申したように記事が出ております。このことにつきましては、私も秘書官やその他関係者もたくさんおりますが、あの記事は間違っております。で、その点につきまして私の方から強く日刊工業新聞には訂正、抗議を申し入れまして、そうして編集局長が五月十八日、省の官房長のところに参りまして、私の談話につきましては、真意でなかったということを改めて陳謝をいたしたような次第であります。
#107
○桑名義治君 そうしますと、この日刊工業新聞に書かれてあるこの記事は間違いであって、こういう気持ちは毛頭ない、こういうことでございますか、そうですね。
#108
○国務大臣(田中龍夫君) さようでございます。
#109
○桑名義治君 そこでまあ、公取委員長にお尋ねをしたいわけですが、こういういろいろな方向が論議をされているわけでございますが、私は先ほど申し上げましたように、独禁法の改正問題とこの種の疑惑の解明とは別問題だというふうに考えているわけですが、公取委員長の所見を伺っておきたいと思います。
#110
○政府委員(澤田悌君) 公正取引委員会がただいまその疑いをかけられておるものでございます。しかも、一方非常に重要な法案、独占禁止法改正法案が御審議に相なっておる時期でございます。その疑いの解明にいま努力をいたしておるのでありますが、私からこれは別問題であると申すのははなはだ潜越のようでもあり、申しにくい点でありますけれども、御質問でございますからお答え申し上げますと、私も別問題であると存じます。例を引いてはどうかと思いますけれども、お許しを願えれば、たとえばあるほかの制度について重要な改正が行われるというようなときに、それに関連する職員に不正があったといっても、その改正等は別の重要な国家的必要の角度から行われるということであろうかと存じます。規律を正す、それについての結末をつけるということと分けて考えるべきじゃないと思いますけれども、これは、御質問があったから申し上げたので、実は私からははなはだ申し上げにくい点であることは御理解を願いたいと思います。
#111
○桑名義治君 では、この点につきまして総務長官の御意見を伺っておきたいと思います。
#112
○国務大臣(藤田正明君) 独禁法の改正とは私も別問題だと思うんです。と申し上げますのは、独禁法の従来あります現行法の中の三十九条、これはもう秘密保持ということを完全にうたっております。それから四十三条の「公表」のところにも、企業秘密を除いてということをうたっておりますから、ですから当然そういうふうな企業秘密、あるいはまた職務上知り得た秘密を外部に漏らしてはならぬということは現行法にはっきりとうたってあるわけでございますから、何も強化するからこういう秘密漏洩が問題になるとか、また強化してはいけないんだということには通じない問題だと、かように考えております。
#113
○桑名義治君 では独禁法の中身に入りたいと思います。
 独禁法は一般的には経済憲法だと、また一方では経済刑法であると、あるいはまた競争条件を整備するための経済法にすぎない。こういったさまざまな意見が、あるいは主張が述べられているわけでございますが、つまり独禁法を、経済政策の運営の上でいかに位置づけるかによって改正案の内容、あるいはまた運営も必然的に変わってくるものと考えます。ところがこの点が、依然として明快でないように思えるわけでございますが、まあ政府は独禁法をどのように位置づけて、今回は改正作業を進められてこられたのか、総務長官に伺っておきたいと思います。
#114
○国務大臣(藤田正明君) 私は産業政策とこういうふうな独禁法というふうな政策、あるいは環境保全の政策、これは一応産業を規制するふうな政策にもなるわけでございます。こういう産業政策といまのような政策は縦横の関係にあると思うんです。縦が産業政策であるならば、環境保全の政策あるいはこういう独禁法というふうなものは横の糸であると、この縦の糸と横の糸が十分に組み合わさり、そして整合されてこそ健全な産業なり経済というものが育成発展していくと、かように思いまして、片方が強過ぎればこれは不健全にもなりますし、また逆に規制し過ぎれば経済、産業の発展のためにもならないと、まあかように思います。この組み合わせば非常に大切なことであると、かように考えております。
#115
○桑名義治君 独禁法を遵守しようとする産業界の姿勢でございますが、欧米諸国とわが国とは非常に大きな差があるように思われるわけです。つまり欧米の場合は独禁法に違反する行為を摘発をされた場合には、産業人として致命的な打撃を受ける。ところがわが国では公取に摘発されましても、さほど痛痒を感じないというような態度があるように思われてならないわけです。独禁法に対する欧米とわが国とのこの差は、どこからきているというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#116
○国務大臣(藤田正明君) いままではカルテルに関しましても課徴金を取るということもございませんし、また「独占的状態」云々ということにつきましては抜けておりました。まあ一部営業譲渡ということが第七条にはうたってはありますけれども、これは「独占的状態」ではございません。今後はこういうふうな「独占的状態」における――この中には弊害があるわけでございますから、まさに社会の敵としてこれは受け取られるわけでございます。今後は私はいままでのようなことではなくて、やはり欧米並みにこの独占状態を醸し出し、そして弊害をたれ流すというふうな事業主、企業に対しては社会の敵としての取り扱いを受けられるであろう、それだけに、またそういう企業主は慎まれるであろうということを期待をいたしております。
#117
○桑名義治君 わが国の場合は欧米先進国とは異なる種々の事情があったにせよ、一般的にいいまして産業や企業に少し甘過ぎたように思われてならないわけです。本来産業政策と独禁とは対立的にとらえるべきものではないと、こういうふうに私も考えるわけですが、いま大臣のお答えの中にもそのようなお話があったわけです。縦糸と横糸というお話があったんですが、戦後の経済政策の流れを見てみますと、いわゆる産業政策を主として、独禁を風下に置いてまま子扱いにしてきたところに、その最大の原因があったのではなかろうか、まあこういうふうにとらえたいわけであります。
 そこで、独禁法を生かすも殺すも、言ってみれば、最終的には運用次第だと、こういうように思うわけですが、澤田委員長は衆議院の審議の過程で、今回の改正案は十分評価し得るものだと、こういうふうに述べておられるわけです。前回の公取試案と比べた場合は、果たしてもろ手を挙げて満足の意を表してよいものかどうかということは、私たちから見るとちょっと疑問があるわけでございますが、いずれにしましても独禁法の運用強化を含めて、委員長の決意のほどをまず伺っておきたいと思います。
#118
○政府委員(澤田悌君) ただいま公取試案という御指摘がございましたが、当初、公正取引委員会から出されました試案、これはなかなか広範な内容の厳しいものでございます。しかし、これが各方面の意見を総合し、調整して、そして結局落ち着きました姿が七十五国会の衆議院におきまして修正可決されましたいわゆる五党修正案というのでございまして、いろんな問題が整理縮小されておるわけでございますが、私はその当時はまだこの関係をいたしておりませんでした。就任後、今後やはり引き続き改正問題が取り上げられるべきであるし、その際にはこのいわゆる五常修正案、この線に沿って御審議願えることが望ましいとしばしば申してきたのは御承知のとおりでございます。
 それに対しまして今回の政府案は、午前中も総務長官からその経過についてお話がございましたように、非常な苦心の末、五党修正案と国会において並んで御審議願えるような非常に近づいた案になっておる、この経過を私は高く評価すると申したのでございまして、ここまで来ればこの両者を御比較の上、御意見の一致を見て法が成立することを切に希望すると申したのが真意でございます。御理解を願いたいと存じます。
#119
○桑名義治君 そこで、一般的に経済法を解釈をする場合には司法裁判所であるわけですが、独禁法に当たってはその法解釈を決定する機関は公取であるとするのが独禁法の運用の特性だというふうに言われておるわけでございますが、そこで、たとえば七条の二、あるいは十八条の二などの解釈は、政府あるいは公取、あるいは近代経済学者など、それぞれ異なった解釈をしているように思えてならないんです。最終的には公取の解釈が有権的なものだろうというふうに私は考えるわけでございますが、この点について、総務長官及び澤田委員長の見解を伺っておきたいと思います。
#120
○国務大臣(藤田正明君) いろいろ争い、訴訟ということになりまして、最終的には裁判所の見解ということになりますけれども、しかし、立法の精神、これは確固たるものがございますし、そこにまた運用の方もその立法の精神によって運用していただけるというふうに確信をいたしております。
#121
○政府委員(澤田悌君) 法律のあり方といたしましては総務長官のお話のとおりでございまして、法の運用についての解釈は公正取引委員会が適用いたしてまいるわけでございます。争い等が起こりますれば、これは裁判の結果にゆだねられるということに相なるわけでございます。
#122
○桑名義治君 そこでこの独禁法の解釈については、お二人方の御答弁を伺って、公取が優先をするというふうに私は受け取れたわけでございますが、それにもかかわらず今回の改正案には、本来公取の告示に委任すべきことが政令事項になっている。なぜに、たとえば十八条の二、七条の二などについて政令事項になぜしたのか、この点が疑問でならないわけです。また、政令は閣議で決定され、公取委員長はその決定にあずからないのではないかという危惧があるわけでございます。そこで、公取委は政令制定作業にはどのようにかかわるのか、これを明快にしておく必要があると思うんですが、この点を伺っておきたいと思います。
#123
○政府委員(水口昭君) お答えいたします。
 政令の改正は、まず第一義的にはこれは総理府が担当するわけでございますが、中身が独占禁止法の政令でございますから、公取から意のあるところは十分伝えて、これが実現されるように努力をしたいと思っております。
#124
○桑名義治君 それは公取の方からいわゆる意見を出すということですか、それとも公取と政府との間に合意がなされなければ出さないかという、この点ですよ。ただ意見を出すというのと、合意がなされてそしてそれが閣議にかけられるという場合とはずいぶん違うと思うのですが、その点はどちらをとるわけですか。
#125
○政府委員(水口昭君) たてまえといたしましては総理府の審議室、ここが政令作業にとりかかることになろうと思います。しかし、先ほど申しましたように、その内容は、公取の方が独占禁止法の運用をやっておるわけでございますから、われわれの意見が十分実現されるように意見の調整を行いたい、このように思っております。
#126
○桑名義治君 この点について長官の御意見を伺っておきたいと思います。
#127
○国務大臣(藤田正明君) これは運用によって非常に変わってくるということは御承知のとおりでございますから、この政令につきましては合意に基づいてやりたい、このように思っております。
#128
○桑名義治君 この点については了解しました。
 そこで七条についてもう一遍伺っておきたいと思うのですが、確認事項になるかとも思いますが、政府原案の七条の二項は衆議院の修正によって削除されたわけでございますが、私たちの主張は、政府原案の七条二項の削除は当然のこととして、現行第七条に含まれているという、こういう判断であったわけでございます。そこでまず公取委員長に伺いますが、将来において公取は七条についてかつて公取試案で示したような原状回復措置がとれるように考えているのか、あるいはまた今後そういう方針で進もうと思われているのか、その点についてはどうでしょうか。
#129
○政府委員(澤田悌君) この七条の改正問題につきましては、御承知のように七十五国会におきましても非常にいろんな角度から議論のあったところと承知いたしておりまして、しかし価格の原状回復命令というのはこの七条に含まれるかどうか、あるいは現在の独禁法で価格の原状回復命令というような、価格に直接公取が介入するようなことがなじむのかどうかという問題についてはいろいろ議論のあるところでございまして、私はこの現行第七条で現在まで公正取引委員会がやってまいりました措置はすべてとれる、したがいまして、カルテルの排除命令を出しまして、同時にそれについて価格の再交渉命令を出したことがございます。これは価格の原状回復とか、あるいは直接価格の指示とかいうのではございません。お互いの間でもう一遍交渉してカルテル価格でない価格をお決めなさい、こういうものでございまして、私はやはりそこまではやれるし、その辺が妥当な限界ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
#130
○桑名義治君 現行七条の排除措置でございますが、私たちは相当広い排除措置を含んでいる、こういうふうに思っているわけでございます。
 それは昭和三十六年の東京高裁の新東宝、東宝に対する判例からも読み取ることができるのではないかと思います。この判例は不公正取引の事件で一応あったわけではございますが、このように述べられております。「一般に独占禁止法違反の行為があるとき公正取引委員会はその違反行為を排除するために必要な措置を命ずるのであるが、ここに違反行為を排除するために必要な措置とは、現在同法に違反してなされている行為の差止、違反行為からもたらされた結果の除去等、直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すことがその中心となるべきことは当然であるが、これにのみに止まるものと解するのは、’同法のになう使命に照らして狭きに失する。」こういうふうに判決が下っているわけでございますが、この点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#131
○政府委員(水口昭君) ただいま先生がお読みになりました東宝と新東宝に関する東京高裁の判決、これは七条に関する判決でございますが、ここに書いてございます精神は学会の通説でもございますし、われわれもそのように七条は広く解して従来措置をいたしておるところでございます。
#132
○桑名義治君 そうしますと、この判決の中にあるように、冒頭に読み上げましたように「一般に独占禁止法違反の行為がある」と、この「一般」に力点を置いて幅広く解釈してもいいわけですね。
#133
○政府委員(水口昭君) さようでございます。ただ、一言申し上げさせていただきますと、この判決でもわれわれは原状回復命令、そういったところまでは含まない。先ほど委員長がお答え申し上げました再交渉命令、この辺が限度であろうかと、こういうふうに考えております。
#134
○桑名義治君 いまあなたのおっしゃったくだりになりますが、これは「違反行為からもたらされた結果の除去」と、そして「直ちに現在において違反行為がないと同一の状態を作り出すこと」、これに当たるわけですか。
#135
○政府委員(水口昭君) いま先生がお読みになりましたあたりの解釈でございます。
#136
○桑名義治君 で、その後に「これにのみに止まるものと解するのは、同法のになう使命に照らして狭きに失する。」これはどういうふうに解釈しますか。
#137
○政府委員(水口昭君) この判決にはいろんなことが書いてございますが、一番後の方に書いてございます「将来にわたって右の違反行為と同一の行為を禁止することは、」云々と、ここに重点があるのではなかろうかと思いまして、この辺はわれわれの措置の中にも取り入れてございます。
#138
○桑名義治君 次に、独占的状態に対する措置、つまり企業分割規定ですが、独禁法改正案の今回の目玉であろうと思います。しかしその実効性という点について言えば、多くの識者が指摘しておりますようにその可能性はきわめて低く、強い本規定の持つ実現的機能を挙げれば、それは独占的企業に対し、不当な価格を設定したり、独占的利益を得たり、販売費、管理費を過度に支出してはならないという行為規範を示したにすぎず、その弊害の発生を企業の自己抑制にゆだねるところにある、こうする意見が支配的であるわけですが、現に公取委は、衆議院商工委員会におきまして、構造基準に該当する九業種については独占的状態にないとの見解を発表しているわけです。参議院の当委員会におきましてもこの論議はいままで尽くされてきたわけでございますが、そう結論づけられた根拠はどこにあるわけですか。
#139
○政府委員(澤田悌君) 独占的状態にあるかないかということは、御承知のように法案二条の構造的要因とか弊害要因とかいわれるものすべてを備えた場合に申せることでございます。それで、あの中でいわゆる構造的な要素、五百億円の市場、それからシェア、この二つに該当するものとして暫定的に調査いたしましたのがいわゆる九業種ということになっております。これらを現在の時点でながめてみまして、果たして全部独占的状態の要件を備えているかどうかということに相なりますると、それは、たとえば新規算入が行われているかいないかとか、相当の期間、需給の変動あるいは供給に要する費用の変動に照らして、価格の上昇が著しく高いかどうかとか、いろいろ判断をいたしますと、これらの要件をすべて備えていると現時点で認められる業種は、九業種の中にもまず現時点ではない、こういう意味で申し上げた次第でございます。
#140
○桑名義治君 それでこの九業種の調査については、多分一般的な資料に基づいて経済部での調査によってそう結論づけられたものだろうと、こういうように思います。そこで問題は、調査の基礎とした一般的な資料が、公取委が判断するに必要にして十分なもので、かつ信頼できるものであったかどうかということが、また一つの問題になるんじゃないかと思うんです。立ち入り調査などをしなければ企業の本当の実態は明らかにならないのではなかろうかと、こういうふうに私は判断をしているわけでございますが、そういった立場で、前半に申し上げたような立場でこの判断を下すのは、少し早いのではなかろうかというふうに思うんですが、公取委の御意見はどうですか。
#141
○政府委員(水口昭君) 現在われわれが暫定的に九業種と言っておりますものが、独占的状態に定義されますところの要件のすべてには該当しないと申し上げているわけですが、その根拠は、たとえば有価証券報告書であるとか、あるいはその他いろんな経済統計であるとか、あるいはまた公取が得ております情報であるとか、そういったものに基づいて判断をしておるわけでございます。そこで、仮に立ち入り調査等をいたしましてより真実に近いものが出てきたという場合には、それはその真実に近い資料に基づいて判断するということになるわけでございますが、われわれがいま考えておりますのは、この独占的状態に対する措置につきましては、これは一応所管は経済部でございます。経済部で所管しております場合は、立ち入り調査のようなことはいたしませんで、いろんな、ただいま申しました経済諸統計とか、あるいはそういった既存の資料を中心に調査をしておりまして、そのうちに、これはどうもおかしいのではないかというふうなものが仮に出てまいりました場合には、審査部に移管をいたしまして立ち入り調査等も行う、こういう考えでおるわけでございます。
#142
○桑名義治君 そうしてみると、ここでいわゆる九業種が独占的状態にないということを断定するということは、これはちょっと無理があるんじゃないかというふうに思うわけです。ただ、そういう一つの資料としてこれを見る場合には、これは差し支えないと思いますけれども、独占的状態に現実にはないんだという断定を下すのは、私は実際に立ち入り調査等を行った上でないと断定できないのではないかと、こう申し上げているわけです。そこで、独占的状態に対する措置を手続的に見ますと、まず、先ほど申し上げましたように経済部の一般的調査、それから公取委が独占的状態にあると「思料する」、それから主務大臣に通知、意見聴取、審査部の審査、主務大臣と協議、それから審判、こういう順序になるわけでございますが、この場合、やはりスタートである経済部での一般的調査が重要なウエートを占めているように私は思われてならないわけです。そこで、経済部での調査は主観が入ってはならず、しかもあくまでも客観的なものでなくてはならない、こういうように思うわけですが、公取委はどのような運用方針を考えておられますか。
#143
○政府委員(澤田悌君) 経済部におきまする日ごろの資料の整備、調査等はおっしゃるとおり客観的な資料によりまして、長期間にわたって絶えず調査をいたしておるところで、それで先ほど審議官から申しましたように、さらに突っ込んだ調査を必要とするというような段階まではそういう客観的な調査を続けていく、こういうふうに考えておる次第でございます。
#144
○桑名義治君 独占的状態に対する措置の内容につきましては、「営業の一部の譲渡その他当該商品又は役務について競争を回復させるために必要な措置」となっているわけでございますが、いかなる場合に営業の一部の譲渡を命じ、どのような場合にその他の措置を命ずることになるのか、その基準を明確にしていただきたいと思います。
#145
○政府委員(大橋宗夫君) これは一般の原則でございますけれども、営業の一部の譲渡その他の措置を命じます場合には、事業者の負担のなるべく軽いもので、目的が達成されればそれに従っていくという段取りでございます。したがいまして、どうしても営業の一部譲渡というものが、これが仮に事業者にとって一番強い措置だといたしますと、そういうものをとらなければ競争を回復できないというような判断がなされました場合には、営業の一部譲渡という措置が選択されるわけでございます。ただ、その措置の選択につきましては八条の四の第一項にはただし書きがございまして、そのときその措置をとることによりまして、事業規模が縮小し過ぎるとか国際競争力が失われるというようなことが消極要件として掲げてございます。措置を選択いたしましても、そのただし書きの精神に照らしてチェックして、やはりそのただし書きに該当するような場合には、該当しない限りで競争を回復するための措置を幾つか選択していくということが必要になります。
 さらに申しますと、八条の四の第二項には種々の配慮要件がございまして、あれもやはり措置の選択の基準になるわけでございますから、営業の一部譲渡という措置を選択する場合には、どうしても事業の円滑な遂行ということがいかなくなるというような場合には、それ以外の措置を選択するように心がけていかなければならないというようないろいろな原則がございますので、そのケース・バイ・ケースの、公正取引委員会のもちろん審判手続を経て関係者の意見も聞きながらのケース・バイ・ケースの判断でございますけれども、その基準となる考え方はただいま申し上げましたようなことでございます。
#146
○桑名義治君 たとえば独占の弊害を除去するのに、必ずしも営業の一部を譲渡しなくても、いまの御答弁のように、他に競争回復の手段があればよいということではございますけれども、その他の措置が広義に解釈され、また優先し、まず第一段階で競争回復の手段を命ずる。そしてそれによってもなお弊害がある場合には、第二段階として営業の一部の譲渡を命ずるという、こういういわゆる二段方式が採用されるように思うわけです。いまのお答えにもありましたように、そういう段階を踏むわけでございますが、あいまいな競争回復策によって独占的状態が排除されるということになりかねないというふうに私たちは憂慮するわけですが、その点については公取はどのような方針を考えておられますか。
#147
○政府委員(水口昭君) 独占的状態、こういうものができました際に、これは弊害を含んでいるわけでございますから、そういう状態でなくするということが大事であろうかと思います。そのための手段として営業の一部譲渡という方法もございますし、その他の措置もございます。しかし公正取引委員会といたしましても、営業の一部譲渡というふうな、非常に社会経済に大きな影響を与える措置をとるよりも、その他の措置でもってそういう弊害を除去することができるならばそちらの方がベターであり、どうしてもほかに方法がないという場合には営業の一部譲渡を命ずる、こういう基本的な姿勢でございます。
#148
○桑名義治君 特に競争回復の手段の中に、行政指導による一時的ないわゆる措置まで含むことになると、せっかくの企業分割規定が一層空文化されるといういわゆる論調の論文が散在しているわけです。行政指導によって弊害が除去されても、それは一時的なものである。構造的には少しも改善をされない、だから行政指導による処置を含めることには問題があるんだというふうに一部では言われているわけでございますが、またその他競争を回復させるために必要な措置の具体的内容はどのようなものを考えているのか、伺っておきたいと思います。
#149
○政府委員(大橋宗夫君) その他の措置としてただいま改正案作業の段階で考えましたのは、たとえば資産の譲渡、営業を伴わない工場だけの処分ということもあるかと思います。それから株式の処分あるいは営業方法の変更、これはリース方式を用いているような場合、特にこれが閉鎖的だということであればそれを販売方式に切りかえるというようなものも考えられると思います。それから流通機構が非常に閉鎖的であればこれを開放していく、あるいは特許実施権の許諾というようなものが一応現在の段階では考えられますけれども、現実に適用される場合にはそのうちで最も適切な措置を公正取引委員会が選択されるということになろうかと思います。
#150
○桑名義治君 売上高五百億、それから市場占拠率一社五〇%、二社七五%という市場構造基準は、諸外国の例から見ても実情に合ったものだと言い切れるかどうかというこの点でございます。それから公取は独占的状態の対象業種は九業種、一方通産省は三十業種、こういうふうに言っているわけですが、もちろんこれは政府の説明にもありますように、事業分野の取り方の相違によるものと一応私たちは思うわけですが、同時にボーダーラインにある業種が多数あることを示唆しているようにも思えるわけです。そこでたとえば二社七〇%とした場合、三社八〇%とした場合は対象業種はどのようになりますか。
#151
○政府委員(水口昭君) 先生の御質問の中の後の方からお答えさせていただきますが、現在の独禁法二条七項は、御承知のように一社五〇%、二社七五%でございますが、これを仮に二社七〇%、三社八〇%というふうに試算いたしてみますと、これはなかなか試算がむずかしゅうございまして、なかなか正確なところを申し上げにくいのですが、われわれの感じといたしましては、先生おっしゃるように試算いたしてみますと、あと一つ、二つの業種がふえるんではなかろうかと、こういう感じでございます。
 それからこの五〇%とか七五%という数字が、諸外国に比べて甘いんではないかというふうなことでございまして、これはたとえば西ドイツにおける競争制限禁止法、この二十二条等に規定がございまして、たとえば特定の商品またはサービスに関し、一社で三分の一以上、三社で二分の一以上五社で三分の二以上の市場占拠率を有する場合にはというふうな規定もございますし、たとえばイギリスでは、特定の商品またはサービスの供給において一企業が二五%以上の市場占拠率を有する場合には独占状態にあるとみなされ云々と、こうございまして、こういう数字に比べれば確かに今度の改正は高くなっておりますが、これはやはり制度の内容も違いますし、それぞれの国の事情もあると思いますので、われわれは今回の改正案程度が妥当ではなかろうかと、こういうふうに思っておるわけでございます。
#152
○桑名義治君 冒頭に申し上げましたように、やはりこの独占禁止法に対する物の考え方、これが諸外国とそれから日本と違う、基本的に差異がある。
  〔理事熊谷太三郎君退席、委員長着席〕
ここら辺にやっぱり問題があるのじゃないか。そこで今回のこの法改正の中でも諸外国との間に大きな格差ができているんじゃなかろうかというふうに私は考えるんです。
 そこで独占的状態の定義の中で規定されています標準的な利益率、それから販売費、管理費とはどのようなものを指しているのか、これが一つと、またそれは一定不変なものとして設定、制定できるものではなく、経済情勢の変化によってかなり弾力的に考えていかなくてはならないのではなかろうかというふうに思うわけですが、どういう決め方をなさるんですか、この点については。
#153
○政府委員(水口昭君) ただいまのお尋ねは独禁法二条七項の三号このイとロがございまして、イの方が利益率の問題、ロの方が販売費及び一般管理費の問題でございまして、ここのお話だろうと思いますが、まずイの方の利益率でございますが、これが「標準的な」「利益率を著しく超える」と、こう書いてございます。それで何が著しく超えるかということでございますが、これはやはりそのケース・バイ・ケースと申しますか、一律に何%を超えればというわけにはまいらないと思います。ただ一応のめどを示せという御質問がございますので、それに対しましては一応のめどでございますが、他の会社に比べて、他の業種に比べて五〇%を超えて上回っておる、そういうふうなのが一つのめどでございます、こういうことは申し上げております。ただその場合にはこの三号の柱書きに書いてございますように、短期間で判断するのではなしに「相当の期間」という言葉がございますので、その長期にわたってその標準的な利益率を超えておるということが、要件になるわけでございます。
 それからもう一つのロの方の販売費及び一般管理費でございますが、これは同業他社の平均に比べまして非常に上回っておる、それで、それをちょっとわれわれのめどといたしましては、ややむずかしいんでございますが、その上回っている分を差し引いて、それを利益の方に回したとした場合に、イの方の、先ほど五〇%という数字を申しましたが、そういったイの利益率に達するというふうな場合には、ロの方に該当する、これは一応あくまでもめどでございますが、そういったようなことを頭の中で考えております。
#154
○桑名義治君 これは先ほども申し上げましたように、経済情勢などの変化によってかなり弾力的に物を考えるという考え方はあるわけですね。
#155
○政府委員(水口昭君) それは申すまでもないことでございまして、ケース・バイ・ケースでその実態に合ったような判断をしたい、いま私が申しましたのは、あくまで単なるめどでございます。
#156
○桑名義治君 そこで、公正取引委員会が独占的状態があると判断して、主務大臣に通知した場合で、主務大臣が意見を述べ、主務大臣の意見が通ることとなると、一切、通知とか主務大臣がどのような意見が述べられたかわからないままに処理をされることになってしまう、こういうように思うわけですが、すべてオープンに行う気持ちはございませんか。あるいはまた、こういうことを年次報告に載せる考えはないのかどうか、この点はどうでしょうか。
#157
○政府委員(澤田悌君) 内容にもよりますけれども、官庁間の交渉ごとでございますので、すべて公表するというのもいかがかと思いますが、差し支えのないもの、あるいは公表する方がいいと考えられるもの、これは適宜判断して差し支えないのではないかと存じております。年次報告に記載することが妥当であるとすれば、そういうものがあればまた考慮されるのではないかと考えます。
#158
○桑名義治君 これは、やっぱり私は、オープンにすれば公取はどういうふうないわゆる姿勢をいま持っておるかということも明快になりますし、あるいはまた、独占的状態にある企業というものがどういうふうな状況になっているのかという、こういう一般的なめどが国民の中に示されることが非常に大事なことではないかと、こういうふうに思うわけですが、これやっぱり一切をオープンにするわけにはいかないわけですか。
#159
○政府委員(澤田悌君) その間には企業の秘密もございますし、官庁間のいろいろ話し合いの問題もございますので、原則的に一切オープンというのはやはりいかがかと思いますけれども、差し支えのないものは公表していいものと考えております。
#160
○桑名義治君 次に、同調的値上げの報告の徴収についてお伺いをしたいと思いますが、政府の第一次案では、第四十条の次に同調的値上げの報告の徴収の規定が設けられていたわけですが、今回の改正案、いわゆる第三次案といいますか、これは十八条の二ということで規定の場所を変えています。その意図はどこにあるのか。これは総務長官にお聞きをしておきたいと思いますが、また、規定の場所を変えることによってその意味、あるいは解釈というものが変わるのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
#161
○国務大臣(藤田正明君) 四十条の二というところで、強制調査のところに二としてくっついておったわけでございまして、同調的値上げの報告ということは四十条を相当に制限するものではないかという疑いを持たれてこの前削除になったわけでございます。そこで、章を改めまして、全然四十条とは関係なくて、こういう同調的値上げについての報告を求めるということにして、これを制限するものでないことを明らかにしたつもりでございます。
 それからもう一つは、なぜ十八条の二が必要なのかということでございますが、これは先ほども、午前中も御答弁で申し上げましたように、カルテルは強化いたしまして、課徴金は取ることになっておりますし、上の方の独占、寡占の状態につきましては、これも厳しい措置をとることになっております。ところが、その中間におきますところの、一定商品の三百億以上の売り上げという分野にも寡占の状態はこれあることは確かでございますので、そこが空洞のように全部あいてしまうということは法体系としておかしいではないか。やはりそこに寡占の状況が現在も見られるとするならば、ここで同調的値上げの報告はとるべきではないか、まあかような考えで、法体系を整えたという意味合いもございます。
#162
○桑名義治君 そうしますと、今回の改正案の十八条の二というこの規定は、政府としては非常に法体系上これはどうしても削除ができない、あるのがベターであるというふうにお考えの上に立ってこれは挿入されているわけですね。
#163
○国務大臣(藤田正明君) そのとおりでございます。
#164
○桑名義治君 そこで、年間売上高が三百億、それから三社七〇%を超える事業分野はどの程度あるのか。また、それは全事業分野の何%に当たるのかお聞かせ願いたいと思います。
#165
○政府委員(水口昭君) ただいまお尋ねの、市場規模が三百億円を超え、三社七〇%を超えるこの事業分野でございますが、現在、われわれが把握しております一番新しい数字が、昭和四十九年分の生産集中度調査の数字、まあそういったものでございますが、それから昭和四十九年の工業統計表、こういった数字から計算をいたしましたところ、まあ暫定的なものでございますが、八十六業種と考えておりますが、これにつきましてもやはり独占的状態の規定における事業分野と同じように、なお法案が通りました後で関係業界といろいろ意見を詰めまして、確定をしたい。したがって、若干の増減はあるであろう、こういうふうに考えております。
 それから、それが全事業分野において何%ぐらいになるかということでございますが、大まかに出荷額でパーセントを計算いたしましたところ、ほぼ一割強といったところでございます。
#166
○桑名義治君 価格の同調的値上げは、違法カルテルとは異なりまして、それ自体は何ら違法ではないから、この価格を直接規制するのは企業の自由な経済活動を抑制するものである、こういう主張があるわけでございます。しかし、同調的値上げは違法ではないかもしれませんが、まあ不当という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、少なくとも、実態的にはやみカルテルと同一の性格を持つものだと、こういうふうに考えるわけでございますけれども、同調的値上げの違法性について、公取委員長はどのような見解をお持ちでございますか。
#167
○政府委員(澤田悌君) これはもうすでに御指摘のように、実は、従来それについて的確に対応する手段が独占禁止法にないということでもわかりますように、違法とは端的に申せないわけでございます。従来、幾つかの業種につきまして任意調査で同調的値上げの実態を徴収いたしました。それについて問題点を指摘するというような措置をとっておりましたのも、違法と言えないけれども、しかし、そういう行き方がやはり問題含みであるという意味においてとっておった措置でございます。十八条の二の規定は、そういう場合に端的に形式要件に当たれば「報告を求めることができる。」こういう規定が案に盛られておりますのも、そういう過去の問題点に対応したものではないかと考えておるわけでございます。
#168
○桑名義治君 いま申し上げましたようないわゆる同調的値上げというものが違法性を持たない。しかし、これを何とか一応の規制をしていかなければならない。そういったために十八条の二が今回は上がってきたと、こういうことですか。
#169
○政府委員(大橋宗夫君) 規制という言葉の考え方でございますけれども、これは形式的な要件があった場合に、値上げの理由の報告を求めて、それを通常の場合には国会に対する報告に記載するという形をとるだけでございます。ですから、規制と言えるほどのものかどうかはちょっと余り私どもとしては自信がありませんけれども、同調値上げについての国民の独占禁止法の立場からの関心というものを示しまして、その同調値上げという形式的な要件の中でも、国民の理解し得るような価格形成が行われていくように期待している条文でございます。
#170
○桑名義治君 そこで、同調的値上げ理由の報告徴収ですが、いわゆる高度寡占と言われる売り上げ高三百億円、三社七〇%というこの基準を設けているわけですが、これは対象外の分野に同調的値上げを認めることになる、で、むしろ基準にとらわれず同調的値上げはすべて厳しく取り締まるべきではないかと、こういうふうに思っているわけでございますが、この点はどうでしょう。
#171
○政府委員(水口昭君) いま先生のおっしゃいましたのも一つの考え方であろうかとは思いますが、従来公正取引委員会がいろいろいわゆる同調的値上げ、こういったものに類するものを見ておりますと大体三百億円超のものが多いし、それから七〇%というのも従来の経験から割り出された数字でございまして、確かにおっしゃるような面はあろうと思いますが、こういう基準でやれば大体のところは把握できるのではなかろうかと考えております。
#172
○桑名義治君 対象外の分野において同調的値上げが行われた場合、公正取引委員会は必要がある場合は四十条の調査権で調査をすると、こういう答弁をなさっておられるようですが、どのような場合が当てはまるか、何か事例がございますか。
#173
○政府委員(水口昭君) ただいまの先生の御質問は、ちょっとわれわれそういう答弁をいままでしたことはございませんで、その点を説明さしていただきますと、今回こういうふうに十八条の二という規定が新設されまして、これが同調的値上げに関する規定であると、そこにちゃんと要件も書かれておると、こういうことでございますから、これ以外のもの、たとえばこの要件に該当しないもの、ここには三カ月と書いてございますが、たとえば三カ月と十日たったもの、こういったのはやはり十八条の二のらち外でございますし、それを直ちに四十条でもって処理をするということは問題があろうかと思いますので、そのようなことは現在のところ考えておりません。
#174
○桑名義治君 そこで、公正取引委員会が同調値上げの報告を徴収した場合には四十四条によって、年次報告によって概要を示すことになっているわけでございますが、私はこの同調値上げの報告を徴収した場合には直ちに公表するのが望ましいんではないかというふうに考えているわけです。
 政府はまた必要がある場合は四十三条の一般公表権によって公表すると、こう言っているようでございますが、どのような場合これに該当するのか。また、国会質疑のような場合によっても明らかにするのかどうか、この点はどうですか。
#175
○政府委員(水口昭君) 同調的値上げの報告を求めました場合に、必要があれば四十三条でもってそれを公表いたします。いまのお尋ねはどのような場合が必要な場合かと、こういうことでございますが、これはちょっと一概に申し上げにくいかと思いますが、ケース・バイ・ケースで、非常に国民の関心を集めているものであるとか、そういったような場合には公表をいたしたいと、かように考えております。
#176
○桑名義治君 さらに、年次報告で国会へ概要を示すということでありますけれども、どの程度のものが示されるのか、これはひとつの大きな関心事だろうと思います。
 かつて新聞事件の審査概要が公表されたことがありますけれども、こういう程度のものは示されるのかどうか、めどとしてこの新聞事件の審査報告を、概要を出したわけですが、この程度なら公表できるということですか。
#177
○政府委員(水口昭君) ただいま先生が御指摘になりました件は、これは原価といいましても一社一社の原価ではありませんで、その業界全体の平均的なものと、こういったものであろうかと思いますが、それは従来は公正取引委員会としては企業秘密に該当しないと思いますから、その程度のものは今後も公表をすることはございます。それで、四十四条でどういった報告をするかということでございますが、もちろん企業秘密にわたるものは一切公表はいたしません。しかしながら、やはり国民にわかる程度のそういった報告をする必要があると、こういうふうに考えております。
#178
○桑名義治君 公正取引委員会が同調的値上げだと判断し、その値上げ幅が不当なものだと考えられる場合ですが、公取委は価格変更を勧告することはできるのかどうか、この点どうですか。
#179
○政府委員(大橋宗夫君) これは条文の趣旨からいたしまして、個別の価格の引き上げについていいとか悪いとかいう判断をするためのものでございませんから、公正取引委員会はこのことについての判断を仮に内心いたすことはあるかもしれませんが、委員会としての判断をいたすべきものでもございませんし、まして事業者に勧告するという性質のものではございません。
#180
○桑名義治君 次に会社の株式保有制限の問題について少し触れたいと思いますが、最近における株式保有の傾向を見ますと、企業間株式保有が著しく進みまして、法人株主の比率が高まり個人株主の比率が低下をしているというような実情にあるわけです。また、商社、金融機関の株式保有が顕著に増加をしている。それから旧財閥系を初め一つの企業集団グループに属する企業相互間の株式の持ち合いが増加をしている。以上のことが指摘ができると、こう思うわけでございますが、公取委はこうした最近の傾向についてどのような見解をお持ちでございますか。
#181
○政府委員(澤田悌君) 株式の相互持ち合いの傾向についての御質問と存じますが、相互持ち合いがひどくなりますと、企業間の相互依存関係が強化されることによりまして、競争に対する影響が出てくるという面は考慮しなければならないところでございますけれども、今回の改正によります事業会社の株式保有総額の制限という規制の導入によりまして、大規模会社について相当程度そういう持ち合いの行き過ぎ等に対しても対処できるということ。それから株式の相互持ち合いによりまして、一定の取引分野における競争が実質的に制限されるというような場合には、これは現行法第十条の規定で対処できるというようなこともありまして、今回の改正には相互持ち合いを直接取り上げる規定は入っていないのでございます。また御存じのように商法改正の問題でもこれが取り上げられて検討中の問題でございます。その面からの研究もあろうと思いますが、今回の改正案に相互持ち合いが入らなかったのはそういう理由と理解をいたします。
#182
○桑名義治君 いま御説明がございましたけれども、今回のこの改正案の中では先ほども申し上げたような企業間の株式保有の傾向に対しては、せいぜい府社、金融機関ですか、こういう株式保有にわずかな規制を加えているだけでございまして、企業間の株式保有による弊害は除去されないのではないかというふうに私たちは心配をするわけでございますが、商法改正等いろんな問題が絡まっているというお話でございますが、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#183
○政府委員(大橋宗夫君) 現在の独禁法におきましても、企業が他社の株を持つことによりまして競争を実質的に制限する場合というものは制限されているわけでございまして、現在のところその会社の総額保有制限、あるいは金融会社の株式保有制限の強化というようなことで十分であろうと考えておるわけでございますが、特に株式の相互持ち合いというものにつきましては、商法との関係が非常に深いわけでございまして、現在法務省において法制審議会等を開催して検討中の項目の中にも、株式の相互保有の問題がございますので、やはり商法の立場からの検討ということが先行するべきではないだろうかというふうに考えております。
#184
○桑名義治君 株式の相互持ち合いというものが、商法の改正がなされなければこれは非常に無理な問題だというふうなお話でございますが、独禁法という立場から見た場合に、これを早急に、商法を改正をしてもこういった状態をなくさなければならないというふうにお考えになっていらっしゃるのか、いわゆる消極姿勢をとるのか、積極姿勢をとるのか、その点はどうですか、今後の課題として。
#185
○政府委員(大橋宗夫君) 株式の相互保有そのことが直ちに独占禁止法の立場から問題かどうかという点は、相互保有の形態その他にもよるわけでございますから、現在、緊急性を持って相互保有について独禁法の改正をする、あるいは独禁法の立場から商法の改正を推進していくということが必要である、切迫感があるというふうには考えておりません。
#186
○桑名義治君 規制基準を超えて株式を保有している会社の実態を見ますと、前回の改正案提出当時、昭和四十九年九月ですが、十五社であったものが今回では二十二社にまで増加をしているわけです。前回の改正案で、基準超過の株式保有は好ましからずということが明瞭になったにもかかわらず、その数が増大していることにいわゆる大企業の姿勢が示されているのではないかというふうに思うわけですが、この現実を、総務長官あるいは澤田委員長はどのようにお考えになっておりますか。
#187
○政府委員(澤田悌君) 御指摘のように両時点の調査によりまして、保有制限超過の会社がふえていることはそのとおりでございますが、その中身、原因を分析いたしてみますといろいろございます。非常に不況が長続きいたしまして資産を処分するというようなことで、基準額が減少したために超えたというのもございます。それからいろんな理由で株式を買い増したために超えたということ、それから両方の理由が重なっておる会社もございます。それで、若干の会社はそこから抜け、あるいは新たに入った会社もございます。いろいろでございますので、一概にこの間のここ二、三年の間に企業のビヘービアについて云々することもむずかしい点はございますけれども、やはりこういう傾向については注目はしていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
#188
○国務大臣(藤田正明君) 四十九年の十二月から五十一年の十二月にかけまして確かにふえておりますけれども、しかし、四十七年の十二月から四十九年の十二月にかけてのふえ方、これは約五〇%近くふえておるわけでございます。今度の四十九年から五十一年の十二月までは七・四%ぐらいしかふえておりません。会社の数としてはふえておりますが、その持ち株数からいきますと非常にトーンダウンしておる。やはり四十九年のそういう状況がその後に響いてきておるというふうに解釈いたしておりますから、確かに会社の数はふえておりますが、量的にはふえていないので、こういうふうな立法をもって相当な規制をし得るというふうに考えております。
#189
○桑名義治君 いわゆる大規模な会社の姿勢を見るにつけまして、株式の放出に十年の長期間にわたって経過措置がとられておるわけでございますが、実態を無視した、企業に甘い措置ではないかというふうに考えるわけでございますが、この点公取はどのようなお考え方ですか。
#190
○政府委員(水口昭君) いわゆる今度の改正法によります限度超過額、こういったものを見てみますと、これは五十一年末の数字でございますが、総額規制の方だけでやはり四千億円を超えておる、それから銀行の方で申しましても二千億円を超えておる、こういったようなことでございますから、株式市場に与える影響、そのほかいろんな影響が出てまいると思いますので、その辺を考慮いたしまして十年間の経過措置は妥当ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
#191
○桑名義治君 また話がちょっともとに戻って申しわけないんですが、それぞれの企業のお互いの株式の相互持ち合いでございますが、いろいろと私どもも調べてみましたけれども、紙の関係あるいは鉄鋼の関係、これは非常に複雑な形でもってお互いが株式の相互持ち合いをやっているわけです。紙の場合は王子製紙を中心にして、それぞれこういう図表になるわけでございますが、それから新日鐵の場合にはこういう図表になるわけでございます。これは一々説明したのでは時間が物すごくかかるわけでございますが、こういう状態を見ましたときに、これは、株式の相互持ち合いというものはある一定限度やっぱり制約する必要があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。たしか、また、高橋公取委員長の時代に、委員長は、株式の相互持ち合いについては規制すべきだという見解を示されたというふうに記憶があるわけでございますが、この点どうでしょう。
#192
○政府委員(澤田悌君) 前委員長の発言、実は私承知いたしておりませんけれども、先ほどもお答え申し上げましたように、今回の改正につきましては、まずこれを取り上げるには及ぶまいということであったと理解するのでありますけれども、一定の取引分野における競争を制限する結果になるというような、独占禁止法の精神なり規定上の規制の対象になるというような事態には、これは厳重に対処しなければなりませんけれども、現在、さらに積極的に独占禁止法のたてまえからこの相互持ち合いを規制するというところまでいくのはいかがか。先ほども説明がありましたように、商法の改正問題ともにらみ合わして今後の問題として考えていくべきではなかろうかというふうに思う次第でございます。
#193
○桑名義治君 この株の相互持ち合いというものは、ただ単なる株の相互持ち合いだけではなくて、大きな株を持っている場合には、いわゆる中小のそういう一つの同列の企業の中にたくさんの役員がまた投入をされる、出向をさせられているという、この二面性を持って業界全体が動いていくという弊害が起こってくるわけです。単なる株の持ち合いだけで終わればそう大した弊害はないかもしれません、現段階におきましては。しかし、それに付随して役員の投入ということになってくれば、これは同列の会社がお互いに社長会を開き、役員会を開くという形の中で、同調的値上げにまたつながっていく、あるいは同業種の寡占状態が起こってくる可能性を生み出してしまうというようなおそれがあると私は思うわけでございますが、この点どうでしょうか。
#194
○政府委員(大橋宗夫君) 役員の兼任の制限につきましては、やはり株式の保有につきましてと同様、競争を実質的に制限することとなる場合には禁じられているのは御承知のとおりでございます。それで、相互持ち合いか一方的な株式の保有でも、独禁法の立場からは同じような考え方をしていい面が非常に強いんではなかろうか、そういう考え方でございまして、相互に持つというだけでなくて、一方的に上の会社から下の会社に対して株式を持っていると、それだけでもやはり競争制限ということは起こってくるわけでございますから、この独禁法の立場から言いますと、これが相互であるか一方的な株式保有であるかという点は、それほど強い意味があるんだろうかという考え方でございます。
#195
○桑名義治君 次に、審判手続の改正についてでございますが、審判手続の改正について一点だけ聞いておきたいと思います。
 改正案の五十三条の二の二で、公正取引委員会は被審人から申し出があるときにはこれらの者が直接公正取引委員会に対し陳述する機会を与えなければならない、このようにあるわけですよ。どの時点で申し出があるときに陳述する機会を与えるように考えておられますか。
#196
○政府委員(水口昭君) 現在、公正取引委員会の審判を見てみますと、法律のたてまえは委員会が直接審判をやることがある。それを審判官という制度がございまして、それがいわば審判官が委員会の代理として審判に当たる、こういうたてまえになっておるわけでございます。現実にはもう大部分が審判官による審判が行われておりまして、委員会がみずから審判を行ったということは、最近では八幡製鉄と富士製鉄が合併した際の案件、これだけでございます。そういう実情でございますが、今度委員会に対する直接意見陳述という規定が挿入されることになった。
 そこで、いまの御質問でございますが、この具体的なやり方につきましては、審査審判規則という規則がございますので、そこにいろいろ規定をいたしまして措置をしたい、こういうふうに考えておりますが、われわれが現在考えておりますのは、先ほど説明しましたように審判官審判をやっておるわけでございますから、その途中で被審人の方から委員会に直接意見を申し述べたいと、こう言われては非常に審判が遅延することになりますので、審判官審判が一応終結した、終わったと、そういう段階で、しかも引き延ばしにならないように回数をしぼりまして、意見陳述の機会を与えるように審判規則等で措置をしたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#197
○桑名義治君 この意見陳述のときに新たな証拠が出た場合にはどうなるんですか。
#198
○政府委員(水口昭君) 証拠が出た場合に、これを採用しないというわけにはまいらないというふうに考えております。
#199
○桑名義治君 そこで、私はこの意見陳述は一回に限るべきじゃないかというふうに思うわけです。この機会に新たな証拠の提出は認めないようにすべきだ、そうでなければ故意に、先ほどからもちょっと質疑があったと思いますが、審判を長引かせるような行為が横行する懸念があると、こういうふうに思うわけですが、この点についての御意見はどうでしょうか。
#200
○政府委員(水口昭君) 審査審判規則に一回に限るというふうに書けるかどうかは今後検討したいと思いますが、まあいずれにいたしましても、引き延ばしを防ぐための措置、これを規定いたしまして、同時に適切な審判指揮を通じてそのようなことがないようにしたいと、かように考えております。
#201
○桑名義治君 公取委員長とそれから通産大臣にお聞きをしたいわけですが、米国は、昨年の六月西ドイツの間で競争制限行為についての相互協力協定を結んだと、こういうふうに言われておるわけですが、わが国は日米あるいは日独とのこうした協定を結ぶ考えはないのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
#202
○政府委員(澤田悌君) 御承知のようにOECDには多国間のガイドラインというようなものがございますが、アメリカは西ドイツと二国間協定を結んで、いろんな情報交換等をしておるわけでございます。それで、日本との間にもそういう結びたいという、最初昨年非公式なアプローチがございましたが、正式に外交ルートを通じて申し込みがあれば、ひとつ検討しようという返事をいたしておりまして、その正式な連絡がございましたので、それを受けて現在外務省、通産省等関係の官庁の間で検討を始めておるところでございます。
#203
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま公取委員長が申しましたように、ドイツに対してのお話と同じように、日米間におきましても米国の方から反トラスト協力協定というものが、申し入れがございまして、私の知る限りにおきましては、ただいま外務省の方でこれを扱っておるように聞いております。われわれの方としても、ただいま公取委員長の答えましたと同じような見解を持っております。
#204
○桑名義治君 この問題につきましては、新聞報道によりますと、通産省は反対の態度だと、こういうふうに報道されているわけですが、これは反対じゃなくて賛成の方向ですか。
#205
○国務大臣(田中龍夫君) まだその点は内容の問題の検討も必要といたしますので、反対も賛成もございません。向こうの方の申し入れをフェアに聞いておるような状態であります。
#206
○桑名義治君 そうしますと、公取委員長の方の御答弁はこれは検討の段階だというお話でございますが、いわゆる賛成の方向の検討なのか、それとももう白も黒も何にもない、とにかく検討してみるんだと、こういう検討なのか、どちらですか。
#207
○政府委員(澤田悌君) これにつきましては、独占禁止法運用の立場にあります公正取引委員会といたしましては、国際間にいろいろ多国籍企業等問題の多い現状でございますし、できることなら国内の関係官庁と意見を調整して、前向きに検討したいと考えている次第でございます。
#208
○桑名義治君 いま公取委員長からお話がございましたように、最近の経済情勢あるいは形態というものは、多国籍企業というものがお互いに入り組んでいるということは、これは事実なんです。そういった立場から考えますと、やはり相互協力協定等を結ぶ私は必要があるんじゃないか、そういう方向で検討すべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、考え方に変わりはございませんか、先ほどの御答弁と。
#209
○国務大臣(田中龍夫君) 私もその点はただいま御質問ございまして、こちらに参りますにつきましては、深く事務当局の方とフォローして来たわけではございませんから、問題は内容の問題だろうと思いますので、その点外務省が通産省の方とともに検討いたしておるということだけを聞いてまいっておりますが、問題は内容の問題であろうと思います。
#210
○桑名義治君 そうすると消極的姿勢ということでございますか。事務当局からまだいろいろと内容について、あるいはその意見についてのフォローがしてないというお話でございます。事務当局どうですか。
#211
○政府委員(濃野滋君) ただいまの大臣及び公取委員長からお話ございましたように、本件はこういうトラスト協力協定を結ぶことについての非公式な打診が米国からございまして、その内容はまだ向こうから何らの提案もないと私了解しております。もし、米独の協定、私ども勉強しておるところでございますが、私ども先ほど大臣御答弁のようにその内容いかんだという感じを持っておりまして、ここで申し上げるのはいかがかと思いますが、一つの問題点は米国、ドイツとも御案内のように、独禁法が域外適用をやっておりまして、日本はすべての法律が国内適用で、そこが根本的に違うわけでございますから、その辺がどうかということによりまして、前向きにとるべきかあるいはそういうものが自主的に日本の国益から見てどうか、こういう判断をしなければいかぬと思っております。
#212
○桑名義治君 いずれにしましても、公取委員長と通産省の考えが少しニュアンスが違うような感じがするわけでございます。いずれにしても、これは今後の世界経済という立場から考えた場合には非常に重要な事項になってくるんじゃないかというふうに思いますので、これは積極的な姿勢でいわゆる政府部内の統一的意見をまとめていただきたい、これを要望しておきたいと思います。
 きょうはこの程度で一応終わらせていただきます。
#213
○須藤五郎君 公取委員長、総務長官、私どもは独禁法改正案は一日も早く成立させるべきもの、こういうふうに考えております。今回の改正点につきましては、現行独禁法を後退させる幾つかの重要な問題点を指摘しなければなりませんが、他面さまざまな制約が加えられてはいるものの、国民が求めた法強化の規定が取り入れられている、こういうふうに考えるからでございます。また、これまでの独禁法改正の経緯から見て、改正を実現することが国民の期待に応ずることであり、この点は特に政府自民党の責任が囲われるところとなっているのでございます。私は特にこの点だけを強調するにとどめて、まず質問に入りたいと存じます。
 まず第一は、七条二項の削除について政府の見解を伺うことにいたします。
 御承知のように、この条項は公取試案で価格の原状回復命令となっていたものが、第一次政府案で、違反行為の影響を排除するためにとるべき措置についての報告命令、こういうふうに改められ、意味内容が変えられたのでございます。そのために衆議院では全会一致で修正され、影響排除措置命令とされたのであります。ところが、政府は再度届け出、報告命令を回復したのでありますが、先般衆議院において削除されたのでございます。私は五党修正、そして今回の削除というたび重なる措置によりまして、立法趣旨は言うならば完全に否定されたと考えますが、どうでございましょうか。
 また七条二項を前提にして、行為と影響を分離した議論が行われたわけでございますが、削除という措置がとられた以上、行為と影響を二分した考え方、政府の答弁も意味を失ったものと考えますが、どうでございましょうか。
#214
○国務大臣(藤田正明君) 七条の二項がありました節は、確かに影響の排除を主眼点として七条の二項をつくったわけでございます。この七条の方は違反行為の排除というのが主眼点でございまして、影響の排除はその主眼点ではありません。しかしこの違反行為の排除ということにつきましても、これは広義に解釈しますと、影響の排除まで及ぶということは当然考えられます。ですから、第七条の二項をこれは影響の排除を主目的として政府案としては入れたわけでございますけれども、まあ衆議院の段階におきまして、影響の排除も七条だけでできるではないかというふうな意味合いのことを強く申されまして、それは解釈の範囲の問題でございますから、それならばそういう解釈で第二項の方は削除されるということに相なったかと了承いたしております。
#215
○須藤五郎君 公取委員長はこの件に関して御意見はございませんですか。
#216
○政府委員(澤田悌君) まあ総務長官のお話と同様でございますが、これは二項が削除されましても、現行七条の規定によりまして、従来公正取引委員会がとっておりました措置はすべてとれるし、何ら影響を受けるものではない。同時にカルテルによって行われた結果の排除というように、高裁の判例にもございますように、その影響とは申せなくとも、そういう本体の違法行為の排除の効果を全からしめるために、同時に行える従来行っておったような措置、たとえば価格の再交渉命令でございますとか、将来にわたっての不法行為の再発の防止のための命令であるとか、そういったような趣旨のことは従来どおりできるものと、こういうふうに考えておりまして、総務長官のお答えと同趣旨でございます。
#217
○須藤五郎君 公取委員長ね、前の高橋さんの意見も私はずっと聞いたわけですが、政府案の中には公取の権限を抑えよう、抑えようという、そういう傾向が見えるわけなんですね。ですから政府案が、これで公取として意見ありませんかと、私はむしろ公取の立場を守っていこうという、そういう精神のもとにおいてそういう質問をしておりますから、この際、公取委員長は何ら遠慮なく、あなたたちの立場上そういう政府の意見は困るんだなら、因るということをはっきり……。
#218
○国務大臣(藤田正明君) 遠慮されておりませんよ。別段遠慮されていませんから……。
#219
○須藤五郎君 そうですか。いや私たち見ていると、遠慮なすっているように見えるものですから、どうぞ遠慮なしに、ここは公取の味方がたくさんおるんだということを考えて大いにやられたら私はいいと思うんです。
 それじゃ、次の質問に入ります。
 もともと価格の原状回復命令はカルテルによる価格が一向に下がらないため、不当なカルテルによる価格をもとへ戻せという国民の声を反映したものであると思います。そこで政府によって持ち込まれたのが、影響を排除するための措置を当事者の判断にゆだねることにより、公正取引委員会の排除措置命令を限定し、せいぜい協定の破棄にとどめるという考え方であったわけだと理解しております。これは立法によって公正取引委員会の権限を縮小し、独禁法の運用解釈を狭めようとするものであり、今回の改悪点の一つでありました。政府のこういう考え方のもとで、公正取引委員会も現行法を後退させるような解釈を持ち出さざるを得なくなったことは私は非常に残念に思うわけでございますが、しかし基本的な責任は公取委の権限に介入しようとした政府にあることは明らかでございます。
 私は五党修正、今回の七条二項の削除は大きな意味を持つものと思うのでございます。それはカルテルの規制方法について幅広い議論が国民的に行われ、監視が厳しくなったということであります。課徴金制度の導入もその一つでございますが、排除措置命令について政府の立法趣旨が否定されたことは、国民的議論の発展と相まちまして、公正取引委員会は不当な影響を排して、考え得る排除措置をとることが可能になったということであります。カルテル規制について一歩進んだ国民的な認識、共同認識が生まれたことを意味するものと考えられるのでございます。もともと政府は公取の運用、解釈に介入できるものではないのでございますが、今回の立法措置をとろうとしたことは、公正取引委員会にさまざまな圧力となっております。国会の意思を尊重し、七条については立法趣旨を撤回すること、価格をも含めて公取の判断に基づく排除措置について干渉しないこと、さらにこの点について通産省など関係省庁に政府の態度を周知徹底すべきだと、こう私たちは考えます。その手立てを含めて政府の見解を伺っておきたいと思います。
#220
○国務大臣(藤田正明君) 政府といたしましては、この七条を拘束するつもりは毛頭ございませんでした。七条の二項を撤回されたのは衆議院におきまして与党、野党で御相談の上で撤回をされたので、政府としてはそれを聞き入れざるを得なかったという立場でございます。と申し上げますのは、七条の二項ということはあくまでも影響の排除を中心としてありましたし、七条の一項はこれは違反行為の排除が中心でございます。ですからその両方の、違反行為の排除と影響の排除と二つに分けたわけでございますので、何も二項をつけたからといって、第一項を規制するものでも何でもなかったと、われわれいまもって解釈いたしております。それで、そういうふうな与野党の合意の上で七条の二項を削除しろ、こういうことになったわけでございますので、政府としてはやむを得ず第二項を削除したわけでございます。
 先ほど来申し上げましたように、七条の一項というものだけ残ったわけでございますが、それは現行法としてあるわけでございますから、そのままあるわけでございまして、あくまでもこれはカルテルの違法行為の排除を主目的といたしておりますし、影響の排除を主目的としておるものではございません。しかし、影響の排除ということに全然手がつかないかと言えば、まあ広義に解釈すれば、それはそこまで手が及ぶのかなあということも言えないわけではないのであります。その辺の解釈の仕方でございまして、これをもって原状回復命令まで出せるんだというふうなことは、われわれはいまでも考えておりません。
#221
○須藤五郎君 公取としまして原状回復をできるようにしておいた方がいいとお考えなんですか、これでいま総務長官がおっしゃったようにやっていけるというふうなお考えでしょうか。
#222
○政府委員(澤田悌君) 決して総務長官に御遠慮してお答えするわけじゃありませんが、この七条の二項につきましては、御承知のように七十五国会におきまして以来非常に議論のあったところでございます。今回、第二項を削除されたのでありますけれども、価格の原状回復命令というのが、果たして独占禁止法のたてまえ上、そこまで入るのが妥当かどうかということにつきましては、私やはり問題であると、公正取引委員会が価格にそこまで介入するのはどうかというふうに率直に考えております。
 それで、現行第七条では、先ほども申しましたように価格の再交渉命令、カルテル価格でない新しい価格を再交渉して決めなさいというような命令までしておるわけでございますが、その辺がやはり限界でなかろうかと。それ以上の価格介入はやはり現在の独禁法にはなじまない、これは学者にもそういう意見が多いのでありますが、そのように考えますので、先ほど御指摘のように第二項が削除されましたけれども、従来七条によりまして公正取引委員会がやっておりました数々の措置、これは従来どおりできるというたてまえで、その辺でよろしいのではないかというふうに考えております。
#223
○須藤五郎君 価格の原状復帰、この点を一番国民としては問題視している点なんでございまして、それができないというようなことになってしまうと、もう公取何しているんだということにもなりかねないわけですね。ですからその点はよく考えてやっていっていただきたい。
 次に、あくまで現行法の範囲内、枠内でのカルテル規制問題について、公正取引委員会に何点か質問をいたしたいと存じます。
 カルテルは、明白な独禁法に違反する行為であるにもかかわらず、一向に後を絶たないのでございます。しかも、独禁白書すなわち公取の年次報告でも指摘しておりますように、累犯事件が増大し、ますます悪質、巧妙になっております。公取委員会は、こういう事態がどういう要因によってもたらされているとお考えになりますか。また、カルテル事件の審査処理に当たっての事実認定に際し、一番ネックになっているのはどういうことなのかお聞きしておきたいと思います。
#224
○政府委員(澤田悌君) 御指摘のように、カルテルが後を絶たないことは非常に遺憾なことでございますが、どうしてこういうふうなのかということは、なかなか原因を探ることはむずかしいのでございますが、遠くの原因を探れば、戦争前は大体日本はカルテルによって経済が運営されておったと、軍事目的のためにいろんな共同行為がむしろ進められておるというようなことも言われております。それが戦後独占禁止法が持ち込まれたわけでございますけれども、やはり国民の感覚なり経営軒の感覚というものが、なかなかそれになじまないという点が私は基本にあるのではないか。戦後初めてできた新しい法律いろいろございます。憲法もしかり、あるいは労働三法等もそうであります。しかし、これはもういやおうなしにだんだんとなじんできておりますが、独占禁止法というのはなじみ方がやはりかなりおくれておるというような感じが私しないでもないのでありまして、そういう点で、カルテル行為ができないということは非常に邪魔だと、企業の存立なり経営なりに共同行為が非常にむしろ逆になじみやすいと、そういうようなことが基本にあるのではなかろうかというような気が私個人としていたすのであります。
 だんだんとこの法律が理解され、なじんでまいりますと、こういう風潮は少なくなっていくことが期待されますし、このたびの改正で、そのやり得をなくすための課徴金制度というようなのが取り入れられ、そういうことによりまして理解を深めると同時に、この法律にのっとって、自由な秩序ある経済活動をしようという機運が出てくれば、一層改善されるのではないか、こんなふうに思うのでございますが、いかがなものでございましょう。
#225
○須藤五郎君 私は、カルテルが後を絶たず、悪質、巧妙になっているという状況を招いた一つの原因に、公正取引委員会の消極的な姿勢があると、こういうふうに思うんです。カルテルを非常に狭く考えるものだから、排除措置も当然限定されるんでございます。カルテルというものは、二条六項にあるように、ある事業者が特定の目的のために他の事業者と結合、共同することでございましょう。その結合、共同の度合いは、もちろんそれぞれの違反行為によりまして異なりますが、問題になるのは、事前の連絡交渉と事後の行動の一致でございます。この際、契約、協定という形をとらなくても、共同目的が達成されるなら、カルテル行為の一つの要件になると考えられます。カルテル行為成立後の排除措置を考える場合には、協定や契約その他どのような名義であるかを問わず、これらの有無はカルテル行為の存在を認定する場合の大きな障害となるものではないと考えますが、どうでございましょうか。これは条文を素直に読めば当然だと思うんでございますが、どういうふうなお考えでございましょうか。
#226
○政府委員(澤田悌君) 規制対象となりまするカルテルは、契約とか協定とかその他どういう名義をもってするかを問いませんが、その方法を、いかなる手段、名称によらず共同行為が行われるということでございまして、御指摘のとおりだと思います。
#227
○須藤五郎君 カルテル共同行為の目的が、対価の決定、維持、引き上げ、すなわち価格、主にその引き上げにあり、数量制限や設備制限はこの目的達成のいわば間接手段であることは当然だと思いますが、確認しておきたいと思いますので、お答え願いたいと思います。
#228
○政府委員(澤田悌君) 御指摘のように、カルテル行為には、数量に関するもの、あるいは生産設備に関するもの、いろいろな形がございます。価格カルテルももちろんでございます。しかし結局は、それによって共同して価格を維持し、あるいは引き上げるということが究極の目標となると理解されるのでございまして、結局、価格の引き上げを図ることを目的とすると申してもいいのではないかと考えます。
#229
○須藤五郎君 カルテルは、ある事業者が価格引き上げを目的とする共同行為でございますが、協定という形があるかどうかを別にしまして、事業活動を拘束し、一定の取引分野で競争を実質的に制限することであると思います。カルテル違反行為の審査に当たっては、個々のケースの事実を認定し、共謀を確認することは困難ではございますが、あくまで法の目的から考えるなら、協定による拘束の確認は重要な要素でありますけれども、カルテルの構成要件のポイントは実質的な競争制限にあると思いますが、どうでございましょうか。
#230
○政府委員(澤田悌君) 先ほども申しましたようにカルテルの究極の目的、これは価格ということに帰着するとは思いますけれども、そのカルテルの様態は、先ほども申しましたようにいろいろな形はありますけれども、結局は一定の取引分野における取引を、不当に拘束するというふうに申せることは御指摘のとおりでございまして、われわれもカルテルの規制に対処いたします場合には、そういう観点から臨んでおる次第でございます。
#231
○須藤五郎君 カルテルの構成要件のポイントは、実質的な競争制限にあると、こういうふうなお考え、一致するわけですね。
#232
○政府委員(澤田悌君) そのとおりでございます。
#233
○須藤五郎君 七条は、実質的に競争を制限するカルテル全体を排除し、実質的に競争制限がない状態に回復するために、必要な措置をとることを意味することは明らかでございます。この措置は、これまで指摘したように、単に協定の破棄にとどまるものではないことは言うまでもございません。また、カルテル全体の主要な目的である価格についても、競争条件の回復を図る一手段として排除措置がとられることは当然だと思いますが、どうでございましょうか。その際、引き上げられた価格が競争制限以前の価格と同一となる可能性もあると考えられますが、どうでございましょうか。
#234
○政府委員(澤田悌君) 七条によりまするカルテル排除の措置、これはおっしゃいますように行為そのものの排除と、それからそれに付随しまして、その排除を有効にするための付随的な命令――これはいろいろ先ほどから申しましたとおりでございますが、そういうことによりまして、その目的を達するために従来行いました措置は、主たる協定を維持するためにやっておる付随的な協定や手段の破棄命令等を伴うわけであります。
 それから先ほど言ったように、価格が以前のカルテルのときの価格と同じまま維持されるというようなことが顕著であることが予想されるときには、カルテルの排除命令と同時に、カルテル価格によらない新しい価格の再交渉命令を出すというようなことを同時に行いまして、カルテルの排除の目的を達するというふうに、いろいろな工夫をいたしておるようなわけでございます。
#235
○須藤五郎君 次に、審判手続及び訴訟に関する規定を整備するという名目で改正点が出されておりますので、これについて幾つか質問をいたしたいと思います。
 まず第一は、審判手続については五十一条の二、五十二条の二、五十三条の二の二、五十四条の三について改正ないし新設されることになっております。公正取引委員会ではこの改正点につきまして、日常業務を遂行していく上で支障を来したことがあったのかどうかという点、また、今回の独禁法改正が国民的に議論され始めた四十九年以降、これら全体について公の場で改正すべきことを積極的に提起したことがあるのかどうか、この二点を伺います。
#236
○政府委員(澤田悌君) 御指摘のように、五つの点につきまして手続関係の改正案があるわけでございます。審判手続及び訴訟に関する規定の整備は、全体といたしまして、独占禁止法違反事件の処理手続の公正を確保する、それから信頼性を高めるという観点から行われるものであると理解をしておるのでありますが、公正取引委員会としてこれら改正につきまして、基本的には現行法の運用に支障が生ずるものとは考えておりません。それで、特に問題はないと考えるのでありますが、従来の法運用上支障があったかどうかと言いますると、別に支障はなかったと申し上げられると思いますし、改正の必要性について特に主張をしたということもございませんでした。
#237
○須藤五郎君 何ら支障はなかったというお答えですが、それじゃなぜこう改正されたかというのを伺いたい。
#238
○政府委員(澤田悌君) それは冒頭申しましたように、やはり手続でございますから念を入れて、被審人の立場、あるいは公取の手続についての信頼性を高めるというようなことにおいて改正が行われるものと理解しておるわけでございます。
#239
○須藤五郎君 それじゃ、公正取引委員会としてはこの改正を強く要求する、望むといいますか、希望するというそういうことではない、積極的にはどういうふうなお考えでこういうふうになされたか。これまで論議をされたこともないし、問題を提起されたこともない、一向公正取引委員会として不便を感じていなかったというような意味の先ほどのお答ですが、それがどういうふうにしてこういうふうになったわけでしょうか。
#240
○政府委員(大橋宗夫君) これは今回の改正のように、課徴金の新設でありますとか、いろいろな意味で独占禁止法によります規制が強化されているわけでございますが、この強化された独占禁止法というものを円滑に進めてまいりますためには、規制される側から見ても、その手続が納得のいくものであるということが、結局のところ独占禁止法違反事件の円滑な解決に資するものというふうに考えております。そういう意味におきまして、この審判手続におきます改正、いずれも手続の公正を確保するという立場からの改正でございますが、こういうことをすることによりまして、被審人の側から見ましても、独占禁止法の手続について信頼をできるような手続にしていくということが円滑な独占禁止法の施行のために必要であるというふうに考えた次第でございます。
#241
○須藤五郎君 五十一条の二は、事件の審査に関与したことのある審判官にその事件の審判手続を行わせてはならないと、こう改正するものでございますが、これは現行法第五十一条の二にあるとおり、公正取引委員会の規則で定められているものでございます。現行法の規則で規定しているものを、法律規定に載せることについては、公取委の日常業務の経験から見て合理的な根拠、緊急性があって初めて妥当な措置と言い得ると思うのでございますが、公正取引委員会として日常業務の経験から、その必要性ありと認めているのかどうか。また、この改正によって実質的にどういう変化が生じ得るものと考えていらっしゃるかどうか、伺っておきたいと思います。
#242
○政府委員(水口昭君) 五十一条の二の規定の趣旨はただいま先生がおっしゃったとおりでございます。それでこの趣旨は規定は、ただいま御指摘のように、現在、公正取引委員会の審査審判規則に、二十六条の二項でございますが、同趣旨の規定がございます。したがって今回の改正は、現在審査審判規則にある規定を法律に引き上げたと、こういうことでございます。そこで今回の改正によりまして、公正取引委員会の職務がますます重要となるわけでございます。そこで、この規定は公正取引委員会が行っております審判が公正に行われるための規定でございまして、現在は規則に書いてございますけれども、今回この改正に伴って法律に引き上げた方がよろしいのではないかというふうに私どもも考えたわけでございます。現在規則にあるものを法律に引き上げるわけでございますから、実質的にどういう変化があるかということに対しましては変化はないとお答えできるわけでございます。
#243
○須藤五郎君 私たちは、何か特別な根拠があり緊急性があったから、こういうことになったかというふうに考えたわけでございますが、そういうことはないんだと、ただ便宜上と、こういうふうな意味ですか。
#244
○政府委員(水口昭君) 特に緊急性ということが適切かどうかはわかりませんが、先ほど申しましたように、今回の改正によって公正取引委員会の職務はますます重要になる。そういう場合に公正取引委員会が行います審判、その公正を保つための規定でございますから、規則に書いておくよりも法律に引き上げて、国民の皆様によくわかるようにした方が妥当ではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#245
○須藤五郎君 じゃ、この法改正によって実質的に何ら変化が生じるものではないんだということでございますか。
#246
○政府委員(澤田悌君) 実質的には変化はございません。
#247
○須藤五郎君 ない。
#248
○政府委員(澤田悌君) はい。
#249
○須藤五郎君 五十二条の二は、「証拠を採用しないときは、その理由を示さなければならない。」という項目を新設するものでございますが、政府にお尋ねしますが、この立法趣旨はどこにあるのか、実質的な効果があるのかどうか。
#250
○政府委員(大橋宗夫君) これは審決の取り消しの訴訟におきまして、当事者は第八十一条の第一項第一号によりまして公正取引委員会が認定した事実に関しまして、公正取引委員会が審判手続において正当な理由がなくて特定の証拠を採用しなかったということを理由といたしまして、これは新しい証拠としての申し出をすることができることになっておるわけでございます。そこで審判手続におきまして、公正取引委員会あるいは審判官が、当事者の請求いたしました証拠をどういう理由で採用しなかったかということを明らかにするということが必要になるわけでございますが、現在の運用も、その審判手続の段階で理由は明らかになるようになっているわけでございますけれども、そのことを法律に定めまして、被審人の側からの防御権がはっきりするような形にいたしたわけでございます。
 この規定は、さらに申しますれば、公正取引委員会または審判官の審判手続におきます証拠の採否というものについて、一層慎重かつ公正ならしめる効果もあわせ持つものと考えております。
#251
○須藤五郎君 次は公正取引委員会にお聞きいたしたいと思いますが、現行法の運用に当たって被審人やその代理人から証拠不採用の理由を示せと言われたときに、どう処理していらっしゃるのでございましょうか。
#252
○政府委員(水口昭君) 先ほど大橋審議官の方から答弁いたしましたように、現在も審判におきまして審査官または被審人等から証拠の申し出があったという場合に、これを採用しないという場合には、今回の改正法と同じようにその理由を示しておるところでございます。したがって、今回この改正法ができたからといって、現行の運用と全く異なるところはない、こういうことでございます。
#253
○須藤五郎君 五十三条の二の二は、被審人に直接陳述の機会を与えるものでございます。これは公取委の業務に実質的な変更を加えるものとなるものでありますが、一体こういう新設要求はどこから出てきたのでございましょうか。必要性を感じないと衆議院で参考人として出席しました入江弁護士も発言していらっしゃるのでございますが、どうでございましょうか。
#254
○政府委員(大橋宗夫君) これは昨年の政府案を検討いたしました際に、いろいろと審判手続についての検討を加えられたわけでございますが、その過程において五十三条の二の二を新設することが適当であるというふうに考えるに至ったわけでございます。
#255
○須藤五郎君 ぼくは衆議院の議事録を読んだわけですが、その中では弁護士の入江さんですね、参考人の。その必要性がないんだというふうなお答えをしていらしたのですが、やはり政府としてはそうじゃない、必要なんだ、こういうことで改正されたんだろうと思うんですが、どうですか、そこは。
#256
○政府委員(大橋宗夫君) 入江参考人が必要ないと言われましたのは、現在も実務上そういうことが行われているというような御判断だったのではないかと存じますが、そういうことだといたしますと、ちょっと入江参考人の御認識が若干違っていたんじゃないだろうか。現在実務上はといいましても、現在の審判規則によりますと被審人の側から直接公正取引委員会の委員に陳述する機会を請求する権利はないということになっておりますので、若干御認識が違ったんじゃないかというふうに、私伺っておりましたときにはそう感じたわけでございますけれども、ちょっといま速記録で確認できませんので、もし間違っておりましたら大変入江参考人に失礼だと思いますが……。
#257
○政府委員(水口昭君) この問題につきまして公正取引委員会の側の意見を若干申し上げさせていただきたいと思いますが、御承知のように現在の独禁法におきましては、審判はたてまえは委員会がやることになっております。しかし、それでは実情に合わないということもございまして、審判官制度というものを設けまして、審判官が委員会にかわって実際には審判を行っておるわけでございます。ところが被審人の方は、いろいろその意見を述べる場合に、いわば代理人である審判官にばかり意見を述べて、委員会に直接意見を申し述べる機会がないといったことに対する不満もあるようでございます。そこで、われわれの方といたしましては、これが審判の引き延ばしに使われてははなはだ困るわけでございますが、その精神はよくわかりますので、これが審判の遅延につながらない限度においては、こういうことも一つの方法ではないかということで賛成をいたした次第でございます。
#258
○須藤五郎君 八十条は公正取引委員会の認定事実の拘束力を定めておる条項だと思いますが、この八十条は事実認定を行うのは行政委員会であり、かついわゆる準司法機関としての公正取引委員会の専属的な権限であり、裁判所は、その認定が実質的な証拠によって支持されているかどうかを審査するということを規定しておるのでございます。ある違反行為があった場合、証拠から、かくかくしかじかの事実ありと推論するのはもっぱら公取委員会の役目であって、裁判所の本来的な仕事ではないということでございます。この拘束力の規定は、このように公取委員会が行政委員会である、かついわゆる準司法的機関であるということを前提として、また公取委員会をそのように機能するものとして規定されているものと考えますが、どうでございましょうか。
#259
○政府委員(大橋宗夫君) 八十条の趣旨につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
#260
○須藤五郎君 現行法八十一条では、事実認定の専権を公正取引委員会に与えることにより、新しい証拠を提出することは、いわば例外的な場合にのみ認められているのでございます。被審人いわゆる違反企業などに不能を強いることを避けるために、故意も過失もないが、審判手続の際、証拠を提出できなかった場合に、新証拠の提出ができることを定めております。このように現行法の八十条と八十一条は公正取引委員会の行政処分としての機能、審判機能すなわち準司法的な機能という二つの基本的な性格を規定したものでございまして、密接な関係を持つものでございます。
 ところが改正案によりますと故意または「重大な過失がなかった場合」とされ、過失があったにすぎない場合には、取り消し訴訟では新証拠が容易に提出できるようになるわけであります。新証拠提出要件の緩和は、実務的に見て意識的な手続の遅延が図られるおそれがあると同時に、公正取引委員会のあるべき基本的な性格を、否定する要素を無理やり持ち込むものと考えざるを得ないのでございます。一体改正の根拠はどこにあるのか、伺っておきたいと思います。
#261
○政府委員(大橋宗夫君) ただいま御指摘の八十条と八十一条の関係でございますけれども、私どもは八十一条の第一項と八十条というものが、先生御指摘のようにそう密接な関係あるものかどうかという点については、いささか疑問に感じておる次第でございます。八十一条の第三項は「裁判所は、第一項の規定によるあたらしい証拠を取り調べる必要があると認めるときは、公正取引委員会に対し、当該事件を差し戻し、当該証拠を取り調べた上適当な措置をとるべきことを命じなければならない。」とございまして、証拠調べが必要だという場合であっても、その証拠調べは公正取引委員会で行う。そしてその公正取引委員会で調べ直したことにつきまして、やはり実質的な証拠があるという場合には裁判所を拘束するという形になっておるわけでございまして、八十一条の第三項というものが八十一条と密接に結びついているというふうには理解いたしますが、八十一条の第一項そのものは、八十条とのつながりというものについてはそれほど密接なものではないのではないかというふうに考えております。
 そこで八十一条の第一項で新しい証拠の申し出を制限している趣旨でございますけれども、これは従来御承知のとおり排除措置命令だけについての手続が、従来は審決で行われていたわけでございます。今回は課徴金が加わる、あるいは排除措置の中にも八条の四のように非常に強い排除措置が加わるというようなことを考えますと、排除措置についても審判手続において過失があって提出できなかった証拠というものが仮にあったといたしましても、その証拠を提出すれば審決の内容が変更になる、事実認識が変わるというような重要な証拠だといたしますと、これを調べないで、もう調べないことを決めてしまって、その証拠抜きで事実を認定する、それは結局事実に反する事実になるわけですけれども、それを裁判所を拘束するのだということになるわけでございますが、こういうことは若干今回の独占禁止法を強化する意味での改正が行われました場合には、疑問があるのではないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
 ちなみに刑事事件の場合には、これは公正取引委員会が、幾ら審判手続で調べた証拠ではカルテルがあるというふうに認定したといたしましても、刑事事件におきましては全く別の証拠調べということが行われるわけでございます。ですから課徴金あるいは強化されました規制内容というものは、現在の単なる排除措置というものと刑事事件というものとの間に、どういうふうに位置づけるかということの問題ではなかろうかと思います。実質的証拠の原則をいささかでも乱したというものではございません。
#262
○須藤五郎君 被審人の保護を重視してやったものだというふうに理解していいのですか。
#263
○政府委員(大橋宗夫君) これはあくまで保護されます被審人といいますのは、提出できなかった証拠が認められれば違反事実がなかった、あるいは違反事実が非常に不利に認定されているものが、そうでない真実に近づく権利でございますね、被審人の側から見て。被審人の側から見て真実に近づく権利を認めよというものでございますから、この場合に被審人の側に立つということは、真実の側に立つということだと思います。
#264
○須藤五郎君 私は被審人の保護、防御権を保障することはこれは当然なことだと思います。さきにも述べましたように、現行法においても新証拠の提出が認められているのでございます。
 公取委にお尋ねしますが、これまで過失を理由として新しい証拠の申し出があったことがあるのでございましょうか、どうでございましょうか。
#265
○政府委員(水口昭君) お答えいたします。ただいま先生お尋ねの八十一条一項二号、この規定に基づきまして裁判所に対し、新しい証拠の申し出をした事例は、われわれが調査したところでは現在まで三件ございます。たとえば昭和二十六年の東宝株式会社の審決取り消し訴訟、それから同じく昭和二十六年の大阪綜合食品株式会社の審決取り消し訴訟、それからもう一件は、昭和四十六年の明治商事株式会社及び和光堂株式会社の審決取り消し訴訟、この三件がございます。いずれもその訴訟におきまして会社側は過失がなかったことを理由にいたしまして、新証拠の申し出を行ったわけでございますが、これに対しまして裁判所は、いずれもそれを正面から取り上げませんでした。したがって過失の有無については判断をしないでその他の理由でもって処理をした、こういうことでございますので、ただいまお尋ねの件に対する判例はいままでのところないと、こういうことでございます。
#266
○須藤五郎君 私たちの立場、側から判断しますと、どう考えましても審判手続、訴訟に関する規定の整備については積極的な理由が見当たらない、こういうことなんですね。もともと規則にあるものを法律にのせるものであり、その他も公取委の答弁で明らかなように、運用に当たってすでに実行されているものでございますね。直接意見陳述も、公正さに名をかりて公正取引委員会の手続に一つの歯どめをかけることであり、もっぱら被審人の立場を擁護しようとするものである、こういうふうに理解するわけなんです。直接意見陳述にしましても、新証拠の条件緩和にしても、実務上の遅延などが予想され、これも運用に当たっては軽視できない問題でありますが、私はこの規定の整備のねらいが、公正取引委員会の独自の性格に、何とかして風穴をあけようとするところにあると考えざるを得ないのでございます。これまでの答弁からもこれは明らかではないでしょうか。公正取引委員会の独自の判断、権限を何とかして抑制しよう、縮小しようとする条項は、今回の他の改正点にも見られるのでございます。
 いわゆる企業分割に当たっての主務大臣への通知や協議もそうでありますし、公正取引委員会の調査権を制限するおそれのある同調的値上げについての報告徴収もしかりであります。今回の改正に当たって国民は公正取引委員会の権限を弱めることを要求したわけではございません。逆に公取委の強化であります。公取委自身が自己の権限の縮小を求めるはずがないと思っております。この規定の整備なるものは、公正さや信頼性を口実として、経団連に代表される大企業や通産省の意向を受けて、公正取引委員会の機能、権限を制約しようとするものでございます。公正取引委員会の権限を弱めようとする動きは一貫して根強いものがあるのでございます。
 改正が論議され始めたころ、当時の経団連産業政策委員長は、企業に救済措置を保障せよとか、認定事実の拘束力についても疑いがあるという趣旨の発言をしているのでございます。先日の当委員会でも公取委違憲論が展開されましたし、通産大臣も、貿易立国、国際競争力強化をうたい、産業政策を強化すると答弁しております。本来、独禁法の解釈、運用は第一次的に公正取引委員会が、その職権行使の独立性に基づいてこれに当たるものであり、最終的には裁判所が決定するものでございます。政府は公正取引委員会の解釈に介入することはできないのでございます。この点は昭和五十年六月の衆議院商工委員会で、当時の植木総務長官が言明しているとおりでございますが、この際政府の態度を再確認しておく必要があると考えますので、明確な答弁をしていただきたいと思います。
 また、公正取引委員会の独立性に制約を加えることを目的として、公取委員会の機構を改革せよという論議があることは周知のことであります。私はいかなる名目をつけようと、これは許されないことだと思いますが、どうでございましょうか。政府は明確な態度を表明すべきではないかと思います。
#267
○国務大臣(藤田正明君) 政府の方が公正取引委員会の権限なり機能なりを束縛しようとか拘束しようとかいう気持ちは毛頭ございません。政府は初めから、たびたび各種委員会で明言をしておりますように、本国会におきまして与野党の合意を得てこの独禁法の改正強化案を決着をつけたい、こういうことをしばしば予算委員会その他において総理以下言明をいたしております。そういう意味合いにおきまして、自民党内部におきましても、山中調査会におきまして百数時間というふうな研究を重ねられまして、与野党の間で合意し得る案だということをもって政府の方に与党から提案があったわけでございます。その提案を、若干の変更はございましたが、ほとんどのみまして政府案として提出をしたところでございまして、これは若干の五党合意案との変更はございますけれども、本筋においては何ら変更がないものと考えております。
 それからまた、公正取引委員会の運用につきまして政府が介入するかと、こういうふうな御質問があったかと思いますが、介入する意思は毛頭ございません。そのことを申し上げまして御答弁といたします。
#268
○須藤五郎君 私も総務長官の言葉を率直に受けとめておきたいと思いますが、仮にそういうことがあるとするとこれは大きな私は間違いだと、こういうふうに思っておりますし、いわゆる国民各層も政府が公取委を拘束するような、独立性を侵すようなことは決して黙って見ていないと私も思います。そういう場合は私たちは許すことができないという決意をいたしておりますから、その点は厳重に守っていただきたいと思います。公取委の方も、いま政府はああいうふうにはっきりと政府当局の意思を述べておるんですから、公取もそれを受けとめて、公取の立場は国民の利益を守る立場だと、国民の生活を守る立場だという、これをはっきりと認識して私はやっていっていただきたいと思うのです。
 それで、私は最後の質問に移ってまいりますが、この機会にこの法案を成立させないと、この独禁法というものは再びなかなか国会の論議の場に上ってくることはむずかしいというのが世間で言われている言葉なんですね。だから総務長官もそれほどはっきりした認識を持って、ぜひともこれを成立させなきゃならぬという御決意ならば、この法案の成立のためにもより一層努力をしていただきたい。私たちも不満ではありますけれども、そういう立場に立って国民の意思を尊重して、私はこの法案を早く成立させるべきものだと、こういうふうに考えて取り組んでおるわけですから、その点公取の方も政府当局も、よく認識しておいていただきたいと思うのでございます。
 最後の質問になりますが、多少意見も交えております。
 もともと今回の独禁法改正は、大企業の許すべからざる反社会的、反国民的な行動、不法行為によって直接被害を受けた国民の側から提起されたものでございます。独禁法を国民のために強化することが改正の主眼でございます。企業はもとより、通産省を初めとする関係省庁が独禁法を厳守すること、そうして中心となる公正取引委員会が、その機能を積極的に生かして活動することを国民は見守っているのでございます。公正取引委員会の権限を制約しようとする後退面が幾つか含まれてはいますが、私は強化された点や改正の過程で国民的に論議され、解明された点は、積極的に評価すべきものが多いと思うのでございます。公正取引委員会は法の運用を怠ることなく、文字どおり改正点の趣旨も生かして、国民の期待にこたえるべきだと思いますが、どうでございましょうか。
 独禁法の厳正な運用を担当する者は、公正取引委員会を弱体化することではなく強化することであると考えます。公取の委員長を国務大臣にすることは公正取引委員会の機能を弱めるものであって、むしろ国民の代表、たとえば消費者代表などの有資格者を公正取引委員にすることの方がはるかに有効な手だてだと私は考えます。また、公正取引委員会を質的にも量的にも強化することが緊急の問題であります。法改正による業務の増大に見合う人員増はもちろんのこと、一層の質的強化が必要なのでございます。この点について総務長官、公取委員会の具体的な考えを伺って、私は質問を終わりたいと思います。
#269
○国務大臣(藤田正明君) 公正取引委員会の質的、量的な充実強化ということでございますが、その点は全く賛成でございます。
 それからまた、大臣を、内閣の一員をその長にすべきというふうなことは毛頭考えておりません。適正な公正な人物が公正取引の委員長であるべきであるというふうに考えております。
 それから、消費者代表ということがございましたけれども、消費者代表を公正取引委員会の長にするということもこれまた考えておりません。それよりも、これはあくまでも経済ルールをしくわけでございますから、そういう広い視野を持った方を長にすべきであるというふうに考えておるわけでございます。よろしゅうございますか。
#270
○須藤五郎君 誤解があります。公正取引委員長に消費者代表をせいというのじゃない、公正取引委員に消費者代表をするということです。
#271
○国務大臣(藤田正明君) その点それでは取り消さしていただきますが、そういうふうな公正取引委員にいたしましても、「法律又は経済に関する学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が、両議院の同意を得て、これを任命する。」というふうに第二十九条でなっておりますので、それらの趣旨に従いまして、経済なり法律なりに十分な経験を有する有識者、そういう人を任命をさしていただきたいというふうに思っております。
#272
○政府委員(澤田悌君) 本改正法案が国会におきまして御賛同を得て成立いたしました暁には、公正取引委員会といたしましてはその改正の重要性と責任ということを一層認識を深めまして、新たな構想と決意のもとに、日本経済の発展のために役立つような、民主的な健全な経済の発展に貢献するような独禁行政の推進に、全力を挙げて国民の期待にこたえたいという決意でございます。またそのために、この改正のために機構、人員等いろいろと拡充の必要が一層必要になろうかと思いますが、それにつきましては、先ほど総務長官のお話のように、その必要、事態の進展に応じて要請をし、充実に努めてまいりたいと考える次第でございます。
#273
○須藤五郎君 最後に、この人員増について公取委員長としても何か不安があるのか、そして政府は公取委員長の案に対して反対をせず、賛成してこの強化のために尽くしてくださるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
#274
○政府委員(澤田悌君) 公正取引委員会の機構、人員、予算等につきましては、大幅とは申せませんけれども、毎年逐次充実していただいておるのでありますが、今回の改正が実現いたしますと、審査部を中心に充実される案がもうすでにできておるわけでございますけれども、今後この改正案の実施によりましての推移を見まして、必要に応じて一層の拡充についてお願いをする、こういう意味でございます。
#275
○国務大臣(藤田正明君) もちろん政府は、公正取引委員会の充実の点につきましては協力をいたす所存でございます。
#276
○向井長年君 質問時間一時間もらっておりますが、簡単に要点だけを質問いたしたいと思います。
 この独禁法改正問題は、当時のインフレ、異常なインフレを背景にして昭和四十九年から論議され、昭和五十年に政府が提案されたものでございます。その後経済情勢は非常に変化をしております。いまでは景気回復が大きな課題になっておりますけれども、そこで総務長官に伺いたいことは、独禁法改正の必要性はこのような経済情勢の変化は関係なく、現在の独禁法行政の不備な点を改めるということが、これが普遍的なものであるかどうか、普遍的に解釈されておるのかどうか、こういう点について背景をまずお聞きしたいのです。
#277
○国務大臣(藤田正明君) 全然現在の不況と関係がないかと言われますと、これは全然関係ないとは言い切れませんけれども、実はそれは基本的なものではないと思うのであります。昭和二十八年に独禁法が改正されまして以来二十四年間というものは、独禁法は何ら改正されず今日まで至っております。ただいま向井先生がおっしゃいましたように、昭和四十九年の九月に公正取引委員会から骨子案なるものが出されました。まさに狂乱物価の後でございます。しかしながら、その前に高度経済成長時代を通じまして、企業に対する国民の不信頼感というものが徐々に蓄積されつつあったことも、これも事実ではないかと思います。そういうふうな中におきまして、四十年代の後半におきましてまず最初に来たのがドルショックでございますし、それから四十八年の暮れのオイルショックが参りまして、それからいま申されました物価狂乱、そこで四十九年の九月に公取の改正骨子案なるものが出されたという経緯でございます。
 直接の引き金になったのはそういう狂乱物価ということではございましょうけれども、実際にはもう世界経済、日本経済、それらに対応するような独禁法ではなかったわけでございますので、今後とも公正中立な自由な競争がますます活力を持ってやられることが、自由経済というものが伸びていくゆえんでございますから、そのような意味におきましても、企業に対する不信頼感を払いのける意味におきましても、このような独禁法の改正というものは必要であったのではないか。不況の中においてどうして出したかということも御質問の一つにございましたが、不況であるからといって企業に対する集中度といいますか、支配力の集中といいますか、そういうものは進んでいくわけでございますし、この際独禁法を出したということにつきましては、そのような背景のもとに出したいということを御理解願いたいのでございます。
#278
○向井長年君 いま総務長官は、経済情勢には全く無関係ではないけれども普遍的なものと解釈していいと、こういうことですね。それでいいですね。
#279
○国務大臣(藤田正明君) はい。
#280
○向井長年君 そこで委員長、わが国の経済がこれまでの高度成長から減速経済にいま移行しつつある、こう考えられるわけでありますが、企業の行動がどのように変化するのかは、非常に大きなこれは関心事です。そういう中で、一般的には低成長になれば企業の価格競争は非常にこれは少なくなる。しかし、非価格競争が強まってくる。そこで、企業の集中化傾向が加速度に進むんではないかという感じがいたします。こうなってまいりますと、公取委員長並びに通産大臣はどのような考えを持っておられるのか。この点ちょっと公取委員長に、この事態の中でどう考えられるか、お聞きしたいと思います。――通産大臣は来てないんですか、まだ。
#281
○政府委員(澤田悌君) 経済の成長率が落ちてまいりまして、不況が長く続くというようなことに相なりますると企業はいろんな面で苦しくなってまいります。といたしますと、やはりそれに対する対応措置としていろんな協調的な、あるいは共同的な、あるいは合併その他の集中的な傾向があらわれてくるのが大方の認めるところでございまして、こういうことが独占禁止法の趣旨、規定に違反しない形であれば問題はないのでありますが、それがそういう規定の精神に反する形で行われ、あるいは規定に抵触するというような形が多くなってまいりますというと、不況の時代とはいいながら、やはりそこに経済の自由な活力というものが阻害されまして、長きにわたって見ると、一国の経済の衰弱のもとになるというおそれがあるわけでございまして、そういう不況である時代におきましても、自由にして公正な競争秩序、これが維持されるということがやはり大事な点ではなかろうかと考えておる次第でございます。
#282
○向井長年君 通産大臣がおられないが、通産大臣にはまたお聞きしますが……。
 経済の実態認識について、私は公取と通産との意見が何か食い違っておるんじゃないかという感じがするんです。これは経済の集中化、寡占化が進行すれば、その供給する製品価格はどのように変化するのか、非常にこれは興味ある問題ですね。こういう問題が、これに対する認識というものが、公取委の調査では価格の硬直化現象が進んでいるという調査を発表しておりますね。一方通産省は、寡占品目ほど価格上昇率は低い、安定しているという調査を通産は発表しておるんですね。この基本的な認識というものが、通産行政の中で考えることと公取の立場とはおのずから若干これ変わっておるんじゃないか、こういう感じがいたします。これについて、まず公取委員長にお聞きし、それから通産大臣来られたらお聞きしたいと思いますが、変わってないという感じを持つのかどうか、ちょっとお伺いいたします。
#283
○政府委員(澤田悌君) 昨年十月に、公正取引委員会におきまして主要産業における集中度調査を発表いたしたのでありますが、それに関連するお尋ねかと存じます。その調査は、昭和四十六年不況と四十九、五十年不況との比較におきまして、企業の集中度にどういう変化が起こったか、その集中度と価格の関係はどうかという点の調査でございまして、集中度に関しましては、いわゆる上位三社及び十社集中度が昭和四十三年から四十六年ごろまではかなりの勢いで上昇いたしておりますが、四十七年以後ではほぼ横ばいというような形が出ております。ただし、これにいろいろ比重をかけましたいわゆるハーフィンダール指数で申しますと、やはり一貫して上昇傾向にあるんだと言えるのでございますが、今度は、その集中度と価格の動向につきましてお尋ねと存じますけれども、集中度をたとえば二〇%刻みで企業のグラフをつくってみますと、お尋ねのような問題に関しまして、価格の下方硬直化とそれから価格水準の急上昇という問題とは必ずしも同列に比較することが適当でない面がございます。
 私どもの方の観察によりますと、集中度の高い業種におきましては、価格の傾向が大体一貫して下方硬直的に動いておる。しかし、それが集中度の低い業種の商品の価格よりも非常に水準が高くはね上がっているかというと必ずしもそうではない。二〇%刻みぐらいの比較をいたしてみますと、そのグラフは必ずしも高い方だけが、集中度の高いものの価格の線が高いということではない、しかし高いのもあるし低いのもある、まちまちでございます。ですから、その比較は、ちょっと比較の基準が違う。素材産業などにおきましては、下方硬直的ではあるが価格の上界曲線は比較的安定しておるというようなものもあるわけでございます。その辺を率直に比較いたしてみますと、私の方の問題としますのは、どうしても寡占度が高いというようなのは価格がなかなか不況のときも下がらない、下方硬直的な動きをしておるという指摘でございますし、通産省の資料によりますと、寡占度が高いからといって、ほかの寡占度のものよりも常に高い水準の上昇をしているというのではない、こういうような趣旨のように思えますので、統計のとり方あるいはそれを解釈するものの見方によって違いが出てきておるように思うわけでございます。
 いずれにしましても、私の方の独占禁止法の観点からの指摘は、集中度はだんだんと上がりつつあり、しかもその集中度の高い企業の価格は下方硬直的傾向を示すことを免れない、こういう指摘なのでございます。
#284
○向井長年君 どちらにしても、やっぱり通産とは若干食い違っていますね。ということは、寡占品目ほど価格上昇率は低いと通産省は言っておるんでしょう。これはそれだから安定だと、こう言っておりますし、あなたの方は必ずしもそうであるとは発表してないわけですね。この点、通産大臣どうですか。――おわかりですか。では答えてください。
#285
○国務大臣(田中龍夫君) 遅く参りましたので、前段のお話はともすると食い違うかも存じませんが、寡占企業なるものが物価に対しまして、必ずしも当初言われておったように独占の威力を十分に発揮して、非常に高い価格につり上げるんだというような一般的な批判に対しまして、調査をいたしてみた結果必ずしもそうではない。寡占企業、案外寡占なるがゆえに不当な物価のつり上げに対しても抑止力を持って善処しておる。これは、私はあえて善処という言葉の方がいいんじゃないかと思うんですが、経営者みずからが自粛自戒し、国民経済、国家経済という点を認識して、自己の威力を、高物価あるいはまた弱者圧迫というような方向に使わないで、国家的な見地に立った価格を維持しておったと、こういうのが一つの調査の結果にあらわれておる。こういうことでございまして、私は、やはりこのことは、今後の独占禁止政策あるいはまた経済の自由競争、公正な経済という意味から申しましても決して悪いことばかりではないと、かように存じます。集中度が価格の動向にどの程度影響を及ぼすかは一概に判断しがたい問題でございます。
 なおまた、公取委員会の方でお考えになる見解は、寡占企業というものは下方硬直化して、もっと価格政策の上から言って下げなければならないものも、むしろ下げないでおるということについての御指摘もあるかもしれません。問題は一つの実態に対する縦の表、裏を両者が考えて表現しておるんだろうと、かように考えておる次第でございます。
#286
○向井長年君 これは通産大臣なり公取委員長ね、いろいろと言い回し方もございますけれども、やっぱり根本的にこれは経済政策、産業政策の基本についての、言うならば官庁間の考え方が違うんじゃないか、イメージが違うと、こう私は思うんですよ。これは少なくとも自由経済を守るということでは一致しておるんですよ。そういう中で、資本主義社会において自由競争というのはあたりまえなんですね。そういう中で、強弱に対するやはり弊害というものが生まれてくる、この弊害をなくさなければならぬというのがこれはひとつの今回の大きなねらいであるわけですよ。そういう中で経済政策、産業政策の基本がやはり違うと、そういう問題が問題になってくるわけです。そういう意味で私は公取委員長なり通産大臣にお聞きしておるんですが、自由競争は公正競争をやらなければならぬと、こういう立場だと思います。
 だからやはりこの点はもっと通産行政と公取の立場、これはもう少し詰めなければ、基本的なものの考え方が若干私は相違するような感じしますよ。これは多くは述べませんけれども、そういう点を十分ひとつ、今後両者間でこれは一本のやはり形で行政指導をしなければならぬという感じを持つわけであります。よろしいですか。
#287
○国務大臣(田中龍夫君) 御指摘のとおりに、さような面もあるかとも存じます。しかし、公取委員会にいたしましても私どもにいたしましても、思いますところは国民経済の安定と国家経済の躍進でありまして、そういう点では思いは同じということでございましょうが、しかし、富士山の高ねも、吉田口もあれば御殿場口もございます。そういう点がお互いが切瑳琢磨して、お互いがそれを批判もし、反省もし合うところに公取委員会と通産省とがこれ競争の自由でいいところが出ておるんじゃないかと、かように考えますが。
#288
○政府委員(澤田悌君) 御指摘の点ごもっともでもありまして、同じ経済現象を違った角度から言い放しでは同じ政府内でぐあいが悪いので、よく連絡調整をいたしまして、その点問題のないようにいたしてまいりたいと考えます。
#289
○向井長年君 次に総務長官にお聞きしますが、これは改正の問題についてですが、企業分割規定ですね、企業分割規定の発動の条件の中には、弊害が生じた場合という項目がございます。これは価格あるいは利益率、一般管理費、こういうものが基準になるわけです。このような弊害は分割命令を発動し、競争条件を整備すれば弊害も自動的になくなるという解釈をしておられるのか、それとも分割しても弊害がなくなるかどうかわからないけれども、これについては大きなひとつの抑止力となると、こういう感じなのかどうか、この点総務長官。
#290
○政府委員(大橋宗夫君) これは特に第二条七項の第三号の要件でございますが、この要件にあらわれておりますような弊害は、競争が抑圧されているということによって出てくる弊害であるというふうに考えております。したがいまして、八条の四の規定に基づきます競争を回復するための措置がとられれば、こういう弊害もあわせてなくなってくると、こういう理解でございます。
#291
○向井長年君 そうなると、むしろこの分割したがために新たな限界企業が生じますね。こういう限界企業を救済せんがために、価格を同調的値上げをしなければならぬという場合が起きてくるんじゃないですか。こういうことが私は想像されると思いますよ。だからこのときに企業分割対象業種というものがいまの業界内にはほんの数社しかないのではないかという感じです。この分で、分割が一社が新たに生まれたからといって競争が激しくなり、価格競争にまで発展するということはむしろ考えにくいのではないか、こういう感じがしますが、いかがですか。
#292
○政府委員(大橋宗夫君) 八条の四の規定に基づきます措置で、新しい限界企業をつくるというような措置は競争を回復するための措置とは認められないというふうに考えております。
#293
○向井長年君 そうすると、この分割された企業が非常に厳しい状態に置かれる、そういう場合においてはやはり同調値上げという問題が起きてくるんじゃないですか。
#294
○政府委員(大橋宗夫君) これは措置をとりました後の状態が競争を回復される状態になるはずでございますから、先生御指摘のような限界企業をこしらえて、そのためにみんなで値上げしてやるという状況が予想されるような場合には、当然これは措置の目的を達成したものになりませんので、そういう措置を命令することはないと存じます。また、八条の四の第二項に配慮条項がいろいろございますが、ここでは事業者の事業の円滑な遂行というものが期待されるように配慮することになっておりますので、できたばかりの会社が仮に企業分割という形をとったといたしまして、できたばかりの新しい会社が成り立っていかない、みんなに助けてもらってやっとやっていくというものは、これはこの措置の目的から見れば命ぜられるはずのない措置ということになるわけでございます。
#295
○向井長年君 そうなりますと、これはもう政策効果をねらうということですね。分割というよりも、まず抑止というところに重点を置いた問題であると解釈していいんですか。
#296
○国務大臣(藤田正明君) 抑止というのはその次の問題でございますが、いまのような分割というのは最終的な措置でございまして、どうしても分割をしなければ、一部営業譲渡しなければ競争が回復できない、あるいは弊害がどうしても出ていくと、こういう場合に最終的措置として、そういうふうな分割が行われるわけでございますから、その前の時点におきましていろいろと競争を回復する措置なり、それからまた配慮条項というものもございますし、そしてまた縮小することによって経理が不健全になり、あるいは国際競争力を失うというふうな場合には、別段のまた処置をとらなければならぬ。分割ということは最終的な措置でございます。ですから、そういう措置をとらないように、ただいま先生が言われましたような抑止ということが主目的になろうかと思います。
#297
○向井長年君 さらにもう一点、技術的な問題でございますが、シェアの形式要件はどの時点をとらえて認定するのか、この問題。たとえば先日公取が発表しました分割対象種目においては、これら企業は昭和四十九年の統計を使っていると思います。そういう中から、もう時計業界ではこれは電子時計のように進んでおりますね。こうなってくると、この企業の基準ですね、言うならば。これはいつの時期を認定してやるのか、こういう問題についてどう思いますか。
#298
○政府委員(大橋宗夫君) これは条文では政令で定める最近の一年間ということで判定することになっておりまして、この政令で定める一年間というのは一般的に資料の整います一年間ということでございます。したがってただいまの場合で言いますと、五十年の資料が整っているといたしますと五十年ということになるわけでございますけれども、この規定は単に現在の時点ですと四十九年の資料ということになるかもしれませんけれども、審判という一つの手続をとるわけでございますから、これはかなり配慮条件にございますような八項目を調べるとかというようなことを考えましても、相当の期間を必要とするわけでございます。この審判期間中にシェアが低下しまして要件に満たなくなったというような場合には、結局のところ手続規定にございますが、何らの措置を命じないということになりますので、安定して一社五〇%あるいは二社七五%を超えるシェアで推移するという見通しがない場合には審判手続を開始されるということには至らないというふうに考えておりますので、先生御指摘の時計のような場合に、業界資料等で現在すでにシェアが低くなっているというような新しい資料がありますれば、それは現在の政令で定めた一年間の資料というものにこだわった運用は行われないものというふうに考えております。
#299
○向井長年君 先ほどもお答えいただきましたこの分割規定が抑止効果を大きくねらうと、こういうかっこうになってくると、当該企業は本業よりも他の関連商品の製品あるいは進出に力を入れてくるんではないかと、そうなってくると産業の集中の抑制になってくるんではないか、一般集中の促進等、こういう問題についてどう考えておられるのか、総務長官。
#300
○国務大臣(藤田正明君) 産業が過大になり、そして寡占化が進み、また独占の状態になってくる、これが必ずしも悪いわけではないのでありまして、そういうことによって国民に安い、いい品物が供給されていく、国民経済が民主的に健全に発展していくことを望むというのは、この独占禁止法の基本的な精神でありますから、ただそういうふうな寡占が進み、独占状態になってくるということは、その中に弊害があらわれやすいということでもございますし、また弊害をもたらす力があるということでございますから、そういう要件をこの中には整えておるわけでございます。ですから、ただ単に寡占である、あるいは独占状況が進んでおる――独占といいますと中には弊害が伴いますが、ただ単に寡占が進んでおるということだけで、これは分割の対象になるわけではございません。そういう点で、少し誤解が世間にあるのではないかと思うんです。
 ですから、九業種、九業種と言われますけれども、私たちはこの九業種を何も対象として考えておるわけでも何でもございません。九業種が何か弊害をもたらし、いわゆる独占状態があったときに初めてこれが分割なり、一部営業譲渡の対象となるということでございます。いま盛んに九業種と言われることに対しましては、いたずらに九業種の方々を刺激するだけではないか、この優遇すら考えております。ですから、九業種が何らいま弊害をもたらしてないときに、あれを独占の状態であるとは言いがたい、かように考えております。
#301
○向井長年君 たとえば、九業種の中の麒麟麦酒、この場合をひとつ考えてみた場合に、数年間非常に問題になって、企業みずからが出荷制限をしている。そこで、小売業者に対しては卸売業者から割り当てをしているという現状ですね、現在。これは実際から言えば――私は酒飲みませんけれども、大体嗜好品でしょう、ビールは。キリンもありゃ、サッポロもあるし、アサヒもあるんでしょう。そこで、キリンが飲みたいという消費者の欲望、これを満たすために出荷制限をされて、小売業者と消費者と卸売と、この三つの間で非常にトラブルが起こっていますよね、現在。こういう問題について、これは当然消費者を保護する立場、あるいは嗜好品でございますから、出荷制限なんかしなくていいんじゃないですか。そうすると、シェアがどんどんふえてくる、いまでもシェアが高い、こういう問題についてはどうお考えになるのか。私は、たばこでも一緒だと思うんですよね。それぞれ国民が嗜好品としてそのものを希望すると、そういう場合にシェアが高くなる、これに制限をしなければならぬという形でいまやっておりますね。
 これは私は企業としては、少なくともそういう出荷制限をしたために、他に利益をもたらさなければいかぬというので、他のキリンレモンとかそういうものを抱き合わせでやっているという現状が現在あるんですよね。したがって、もしキリンを何ぼ何ぼそこへ卸すのだったらこれを買うかというような形が現在あらわれております。こういう問題の不備が生まれてくるんですよ。要らぬ物を買わなきゃならぬ、欲しい物はもらえないと、こういう現状は、大きく出荷制限しなければ、消費者に渡るわけでありますけれども、しかしシェアがますます大きくなるとビール業界でも問題でしょうが、そういう点はどう考えられますか。
#302
○国務大臣(藤田正明君) いまキリンレモンがビールと一定商品の中に入るか入らぬかということは、これは別問題にいたしまして、キリンビール――特定の名前を出すのはちょっとはばかられますけれども、名前を出されたのでそれを申し上げます。
#303
○向井長年君 たとえばですね。
#304
○国務大臣(藤田正明君) たとえば、キリンビールがどんどんと国民に好まれ、飲まれ、そしてシェアが拡大していく、しかしながら独占という弊害があらわれてない、安い値段で好まれる品物を供給していく、そのためにどんどんとシェアが拡大していく、これはもうやむを得ない事実である、やむを得ないと申しますか、この独占禁止法の基本の理念であるところの国民に対する民主的な、健全な利益をもたらす経済行為であるという範疇に入るわけでありますから、弊害さえなければ、これを分割するとかというふうなことは考えられない、かように思っておるわけであります。
#305
○向井長年君 そうすると、公取こういうことを調べたことありますか、キリンのそういう出荷制限等は。それが一つと、それから出荷制限をしなくてもいいではないかという総務長官のお考え方ですから、だから自由にそれを大いに消費者に消費をしてもらうようにすべきである、こういう考え方ですね。公取どうなんですか、その点は調べられましたか。
#306
○政府委員(澤田悌君) ただいま挙げられましたビールの営業政策につきまして詳しく承知いたしておりませんし、具体的に調べたわけではございません。しかし、もしシェアが高いというだけで直ちに独占的状態の規定を適用されると考えて、それに対応する措置をとっておるといたしますというと、若干規定の誤解があるのではないかというふうに考えるわけでございます。
#307
○向井長年君 そうすると、通産省どうなんですか、そういうようにしてみずから業界内部で出荷制限をしておると、こう考えていいわけですね、そうでしょう。そういうものはそんな出荷制限せずにどんどんとつくって、消費者にどんどんとあれすべきじゃないかというような行政指導しますか。いま総務長官は弊害がないと言ったんだから、弊害がなければいいと言ったんだ。
#308
○国務大臣(藤田正明君) その問題は大蔵省でしたね。
#309
○向井長年君 大蔵省だ。大蔵省だけれども、そういう点はどうですか、あなたたち政府の各大臣じゃないの。
#310
○政府委員(澤田悌君) 先ほど調べたことはないと申しましたが、それは出荷制限等について申し上げました。ほかの商品の抱き合わせというようなことがあるということで、これはひょっとすると拘束条件つきの取引になりますので、不公正な取引方法に該当するおそれがございます。それで事情を聴取したことはございます。
#311
○向井長年君 ありますか。
#312
○政府委員(澤田悌君) はあ。
#313
○向井長年君 現にそういうことはありましたか。
#314
○政府委員(澤田悌君) 独占禁止法違反と認定するだけの事実は認められませんでした。
#315
○向井長年君 そうなれば、出荷制限はなぜしているのですか、これは。出荷制限は自主的に企業がやっておるのですか。
#316
○政府委員(澤田悌君) もしそういうことがあるとすれば、自主的に一つの営業方針としてやっているのではないかと推定されるわけでございます。
#317
○向井長年君 いま私が言ったように、キリンビ−ルが欲しければ、これが欲しければこれを抱きなさいというような取引ですよね。だからあなたの方調査されたというのだったら、その理由は那辺にあったか、また公取違反とは見当たらないと、こう言うのだったら、どういう意味でそういうもの抱き合わせされておるのか、そうじゃないんですか、実績が欲しいから買っているんですか。
#318
○政府委員(澤田悌君) ビールだけの単純な出荷制限ということであれば、私どもの方は、それが規定の誤解であるというような解明の努力は必要かもしれませんが、現行独禁法の問題ではないわけでございます。私どもの調査いたしましたのは、ビールを売る場合に、ほかのたとえばレモンでありますとか、それを抱き合わせでやっておるという疑いがあるということでございますので、それについては不公正な取引に該当するおそれがあるということで調査をいたしたわけでございます。しかし明確に不公正な取引に該当するという事実は認められませんでしたので、それでその調査を打ち切ったということでございます。
#319
○向井長年君 まあ弊害が起きなければいいということだから、出荷制限せずして、どんどんと卸にも小売にも消費者にもこれは大いに売るべきであると、こういうことになりますな。そういうことでいいんでしょう。どうなんですか、総務長官、公取委員長、それをやれば、そういう抱き合わせもなくなるんですよね、自由にレモンが欲しけりゃ買うんですから。したがって、いまはそういう形が制限されているためにそんなことが起きてきていると、こう小売者は言っているんですがね。あるいは消費者も言っているんですよ。だから自由にこれがどんどんと欲しいだけ買えると、また卸されるという状態になれば、そういうことはなくなってくるわけですから、自由にこれは出荷制限せずして販売すべきであると、こういう形になってくるんですが、これでいいんですか。
#320
○国務大臣(藤田正明君) 独禁法の一条に「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」と、明らかにこう書いてあるわけでございますから、弊害さえなければ、国民が喜ばれるような安いよい品物をどんどんと出していくことは何ら差し支えがないと、シェアが拡大することも何ら差し支えがないと、かように信じております。
#321
○向井長年君 次に、価格の同調値上げ問題ですが、この同調値上げ問題で、公正競争の維持という観点からこれがぎりぎりの措置であるのか、それとも強化した形の対策も、今後とも独禁法を前提にして講じていくのか、どっちなんですか、同調値上げ問題。
#322
○国務大臣(藤田正明君) ぎりぎりの措置と言われると、ちょっと返答に困るんですが、これはもうあくまでも同調値上げにつきましては、三百億以上の売り上げに関しまして、この辺の方に寡占が進んでおることも間違いがないことでございます。ですからここに何ら対策も手も打たず、上の方の五百億以上は問題にし、下の方のカルテルにつきましては課徴金を取るというふうな強化をしながら、この中間がぽこっとあいているということは法体系としてもおかしいではないか。やはりこれは素材メーカーその他に多いかと思いますが、同調的値上げにつきましても、この規制もいたさなきゃならぬ。かような考えのもとに報告を徴収すると。そういうことによって、そういうメーカーなり、あるいは業者が国民に納得し得るような価格を今後とるであろうということも期待もしておる次第でございます。
#323
○向井長年君 それから公取委員長、この同調値上げの場合に公表することになっていますね。これについて公取の意見を付するんですか、これはもう公取はそんな意見言わずに、ただそのままを公表するんですか、この点いかがですか。
#324
○政府委員(澤田悌君) 国会の年次報告に記載するということであります。それから必要がありますれば、一般の公表ということもあり得るかと存じます。これは事実を記載するということで、それについての意見を付することはまずないであろうと考えております。
#325
○向井長年君 最後に一言、公取委員長に確認しますが、今回の衆議院の修正でこの七条の二項が抹消されたが、特にカルテル行為の排除を規定した現行法でも、行為の影響について公取が何らかの措置を講ずることができると解釈してもよいのかどうか。いままでにそれと類似した例があるかどうか、これをひとつお聞きします。
#326
○政府委員(澤田悌君) 七条二項と申しますか、この七条の改正問題につきましては、いま御質問の点をめぐっていろいろ御議論のあったところと承知いたしておるのでありまして、今回衆議院におきまして二項が削除されたのでございます。しかしこの二項の方は影響の排除を主眼としております。それから一項の方は違反行為の排除が主眼であることはこれは申すまでもないのでございますが、その境目がこれは絶対的なものかといいますと、なかなか微妙な点もございます。それで私は従来現行法で行っておった措置命令等は、二項がなくなってもすべてできると、そしてその中には、たとえば価格の再交渉命令というようなのがございます。これは絶対に影響の排除と全く無関係かと申しますと、そうも言えないような感じのものでございまして、その他将来に向かっての禁止命令でありますとか、いろいろございますが、そういうものを含めまして、従来七条でやっておりましたものは今後も実行できる。しかし、それは直接価格介入というような強いものまでいくことは問題であろう。やはり価格の再交渉命令、そのカルテルでできた価格でない価格を話し合いでお決めなさいと、こういうようなところがまあ限界ではなかろうか。それが影響の排除であるかどうかということは微妙でございまして、そのように考えておるところでございます。
#327
○向井長年君 他に今日までそういう実例がございますか。類似した例がありますか。
#328
○政府委員(澤田悌君) 七条によりまして、排除措置の主要な具体例はたくさんございますが、これは私どもは影響の排除として命じておるわけではございません。やはり本体の違反行為の排除と同時に、その違反行為の排除を有効にするために、あわせて命じたものという解釈でございまして、たとえば将来の違反行為の禁止または防止、あるいは株式の処分でありますとか、取引先及び需要者への周知徹底の措置をとらせるとか、それから談合のための機関の廃止――解散でございますね、廃止でありますとか、事業者団体の解散でありますとか、それから先ほど申しましたような価格の再交渉命令と、こういうものを本体のカルテルの排除命令とともに出しておる例がいろいろとあるわけでございます。
#329
○向井長年君 結構です。
#330
○委員長(加藤武徳君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十九分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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