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1976/03/22 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第4号
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1976/03/22 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第4号

#1
第080回国会 農林水産委員会 第4号
昭和五十二年三月二十二日(火曜日)
   午後一時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     山内 一郎君     植木 光教君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         橘  直治君
    理 事
                青井 政美君
                鈴木 省吾君
                粕谷 照美君
                鶴園 哲夫君
    委 員
                岩上 妙子君
                植木 光教君
                大島 友治君
                菅野 儀作君
                初村滝一郎君
                相沢 武彦君
                小笠原貞子君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農 林 大 臣  鈴木 善幸君
   政府委員
       農林大臣官房長  澤邊  守君
       農林大臣官房予
       算課長      石川  弘君
       農林省農林経済
       局長       今村 宣夫君
       農林省構造改善
       局長       森  整治君
       農林省農蚕園芸
       局長       堀川 春彦君
       農林省畜産局長  大場 敏彦君
       農林水産技術会
       議事務局長    下浦 静平君
       食糧庁長官   大河原太一郎君
       林野庁長官    藍原 義邦君
       水産庁次長    佐々木輝夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局職業教育
       課長       久保庭信一君
       厚生省環境衛生
       局食品化学課長  宮沢  香君
       海上保安庁警備
       救難監      山本 了三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
 (昭和五十二年度農林省関係の施策及び予算に
 関する件)
○農用地開発公団法の一部を改正する法律案(内
 閣提出)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、山内一郎君が委員を辞任され、その補欠として植木光教君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(橘直治君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和五十二年度農林省関係の施策及び予算に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、前回すでに説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○鶴園哲夫君 この間、農林大臣の五十二年度の所信表明と五十二年度の農林関係予算の説明を伺ったわけですが、その所信表明を伺って、まず第一に農政の基本的な方向といいますか、あるいは基本的な姿勢といいますか、そういう問題についてまずお尋ねをしたいわけです。あともう一つは、中核的な農業の担い手論というのがあるんですが、それともう一つは基盤整備、もう一つは価格政策、いずれも大臣の所信表明の中で述べられておりますことについてお尋ねをしたいと思います。
 第一番目の農政の基本的な方向といいますか、これは昨年の春に安倍農林大臣が所信表明をされて、五十一年度の農林関係予算の説明をされた。私は、昨年のやっと今度の鈴木農林大臣のやっと比較をしてみまして、これは大臣お忙しいから比較なんかされるひまはないでしょうが、私比較をしてみまして非常に感じますことは、昨年の大臣の所信表明はそれだけの新しい意味合いと意欲があったとくみ取れる。しかし、今度の鈴木大臣のやつは、どうも淡々としまして意欲というものが薄らいでいると、こういう感じを非常に強く受けるわけなんです。一体どこからそういうのが来ているのかということをこれから論議したいわけなんですけれども、昨年とことしとこう見て、そういう私が印象を受けたという点について、大臣何か思い当たる節がおありだろうと思うんです。
 言うまでもございませんけれども、今日の農政の最も大きな特徴というのは、これは四十七年、四十八年の食糧危機そして資源時代、さらに高度経済成長が四十七年に崩れて四十八年に完全にこれが終止符を打って、そして安定成長と言われる異常な不況の時代に入っている。そういうものを踏まえた農政というのが、私は今日の農政だと思うんです。ですから、農政の踏まえている基盤というのはこれは五十一年も五十二年も変わらない。にかかわらず、大変差があるように受けとめられるわけですけれども、大臣はどのように考えていらっしゃるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
#5
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の農林漁業をめぐる内外の諸情勢は、きわめて厳しいものがあると私認識をいたしておるわけでございます。食糧問題を一つとりましても、世界の食糧事情は一両年若干好転の兆しが見られますけれども、しかし在庫は依然として低位にございますし、またわが国の食糧の自給度、この点からいたしましても、政府や関係農民の努力によりまして一つの明るい方向に向かって着実な歩みは見ておりますけれども、自給力というものはまだまだ不十分な状況にございます。さらにまた、二百海里時代というものが現実に到来をいたしまして、国民のたん白食料の五一%以上を占めております水産業におきましても、これまたがってない難局に当面をしておるわけでございます。こういう厳しい環境の中におきましてわが国の食糧の自給度を高めて、そして国民の皆さんに対して食糧の問題に関してはいささかの不安を与えない。また一方、生産者である農林漁業者に対しましても、明日に対する明るい展望を持っていただけるようなそういう農政を展開しなければならない。そのためには、日本の農林漁業の体質の強化、またそのためには基盤整備等のしっかりした基礎を固める必要がある。私は、足腰の強い日本の農林漁業を確立しなければならないと申し上げておるのは、そういう観点に立つものでございます。
 と同時に、やはり農林漁業を推進いたしますものは農林漁業者であり、その後継者の育成確保であると、こういう観点に立ちまして総合的な施策を今後進めてまいる考えでございます。
 安倍元農林大臣が攻めの農政ということをおっしゃっておりますが、私もまたこういう厳しい環境の中で日本の農林漁業が生産者並びに国民の期待にこたえるような、信頼されるような農政に対してしっかりと取り組んでいきたい、こういう考えで取り組んでおる次第でございます。
#6
○鶴園哲夫君 私は、昨年のいまごろの所信表明と今度の所信表明との間に、価格政策の面につきましても、あるいは基盤整備の問題にいたしましても、さらに農業の中核的担い手に対する考え方にいたしましても、相当に後退をしているのではないかという印象を受けるわけであります。
 で、まあもう元になりますが、安倍元農林大臣が昨年にああいう所信表明を述べられて大変新しい意味の、あるいはまた迫力のある所信表明を述べられたんですけれども、しかし、私は農業を取り巻いている諸情勢から言うならば、安倍さんのあの所信表明というのはすでにそういう情勢から遊離しておる。迫力だけはあったけれども、しかし農業を取り巻いている現実からは遊離しておる。鈴木農林大臣の所信表明は、その現実に接近しようとしていらっしゃる。できるだけ接近しようという努力をしておられる。それが、私は昨年とことしの所信表明の大きな差になっているというふうに考えておるわけです。
 で、大臣はどういうふうにお考えでありますか。つまり、農業をめぐっておりますところの食糧危機であるとか、あるいは資源時代であるとかという時代に対して、もう農業はそういう情勢ではないという見方が強いんじゃないでしょうか。だから私は、むしろ農林大臣はそういう現実に接近しようとしていらっしゃる。元農林大臣の安倍さんの方は、そういう現実にはお構いなしにがんとこう勢いのいいのを出された。だから非常に差を感ずるわけですね。どっちがいいというのは別ですけれども、そういう差を感ずる。率直なところ、大臣はどういうようにお考えになりますか、もちろんこれからもう少し中身に入ってまだ論議いたしますけれども。
#7
○国務大臣(鈴木善幸君) 農政の大先生でいらっしゃる鶴園先生ですからいろいろ見方がおありになろうかと、こう思うのでありますが、私は、厳しい現実は現実としてこれを踏まえながら、いかにしてこういう厳しい情勢を切り開いていくかということを、現実的に具体的に取り上げこれに取り組んでいきたい、このように考えておるわけでございます。食糧の自給度を高めるということが農政の大きな柱であり基本である、このように心得ておりますが、そのためにはまずもって土地の問題、人の問題、これに重点を置く必要があると心得ておるわけでございます。
 高度成長のもとにおきまして、農地の壊廃等も進行をいたしたのも事実でございます。また、農山漁村の若い活力ある労働力が他産業に流動していったと、これも否めない事実でございます。また、他産業と農林漁業との間の所得の格差ということも、これも確かに高度経済成長のもとに進んできたと思います。また、生活環境の面におきましても、都市と農村との間には相当の開きがございます。こういう現実を私はしっかりととらえて、そしてこれに対する対応というものを打ち出していかなければいけない。このような反省の上に立っての前向きの取り組み方、これが今日私は農政にとって必要なことであると、このように考えておる次第でございます。
#8
○鶴園哲夫君 私は、いま先ほど申しましたように、遊離論と現実論と、鈴木さんの方は非常に現実に接近しようとしていらっしゃる。安倍さんの方は、私はあの段階ではすでに遊離しておったというように思うんですけれども、もう少し具体的に私は昭和四十五年ごろから、つまり高度成長が終わる直前ごろから今日までの農林省の予算と、それから国の予算との関係をしょっちゅう比較をしながら見ておるんです。それで四十五年、四十六年、四十七年というのは、これは国の予算の伸び率とそれから農林省の予算の伸び率とほぼ同じであります。場合によれば高い場合もあった。それで、国の予算の中に占めている割合というのは一一・五%ぐらいというのが、大体四十五、四十六、四十七年です。四十八年になりますと、がたっと転落をするわけであります。これは四十七年に田中角榮総理が登場されまして、列島改造、そしてたんぼを三十万町歩減らす、こういうことに象徴されますように、四十七年の七月に田中さんが登場されまして、その列島改造の勢いを受けまして、予算としては四十八年に出てくるわけですが、四十八年にがたっと農林省の予算というのは落ちるわけであります。国の予算に占めている割合が一〇・七というように一〇%台に転落した。さらに、国の予算の伸び率を一〇〇としますと、農林省の予算の伸び率は七七という形にダウンするわけです。それが四十九年に歯どめがかかるわけであります。四十九年は、国の予算の伸び率とそれから農林省の予算の伸び率とほぼ同じである、歯どめがかかっている。それは御承知のように、言うまでもありませんけれども、四十七年からソビエトが突如として世界の穀物市場に大量の買い付けが始まり価格が上がる。そして四十八年の、つまり世界的な穀物が不足しているんじゃないかという、あるいは穀物の騰貴、それに石油ショックと、そういうものが反映をいたしまして、そして四十九年の予算というのは、いま申し上げましたように、ほぼ農林省の予算の伸びとそれから国の予算の伸びが同じぐらいになった。ところが五十年、五十一年、五十二年というのはダウンを続けるわけであります。五十年の予算というのは、国の予算が一〇〇伸びたとしますと農林省の予算は七五ぐらいの伸び率、そして五十一年も七五ぐらいの伸び率、そしてついに国の予算に占めておる割合が一〇%を切るという転落をするわけです。それで去年は、五十一年度の予算というのは、私どもは地盤沈下というふうに見ておったわけです。ところか五十二年の予算――ことしの予算は、国の予算の伸び率を一〇〇としますと農林省の予算の伸び率は五五%、ついに一〇%を明確に割りまして九・三ぐらいになりますね。かつてないそれはダウンです。伸び率と言い、国の予算に占めておる割合というのは三十六年以来の状況ですね。ですから私は陥没だと、こういうふうに見ている。こういう関係について農林大臣はどうひとつお考えになっていらっしゃるか。
 ただ、農林省は昨年から新しい予算の説明をしまして、それは食管特別会計が去年は伸び率がゼロでした、だから食管特別会計の繰り入れを除いた農政費というものの伸び率は高いんだと、こういう言い方を去年から始めました。ことしは食管特別会計の繰り入れがマイナスだと、八・六というようにダウンしました。したがって、また食管特別会計を除いてそれ以外の農政の費用の伸び率は高いんだと。国の予算の伸び率は一七・一%だけれども、食管会計を除くと二〇%をちょっと超す、こういう言い方ですね。これは私はよくない考え方だと思う。これから、大臣もおっしゃっておりますように、両米価の接近を図る。食管特別会計の費用というものを、繰り入れというものを減らしていく。来年はまたマイナスでしょう。再来年もマイナスでしょう。その減らした分が農政費の中に取り込めないで外に持っていかれてしまうということになりますと、これは私は、国の予算に占める割合はことしは九・三%ちょっと切っておりますが、来年は八%になりますよ。明後年は七%になるんじゃないでしょうか。しかも、この食糧管理制度というものは、従来農林省の農政の大きな柱です。それを何かもう厄介者扱いにしたような感じですな。これを除いて考えるとかというような言い方は、それはとんでもない話だと私は思います。そういう安易な状態で農政の基本的な考え方というものを進めていかれますと、これはもう八%に落ち、七%に落ちる。かつての昭和三十一、二年ごろの異常な事態に農政の状況というのはなってくるんじゃないかと私は心配するものなんです。それをもう少し私は、この際やはり農林大臣としては四囲の情勢に、現実に歩調を合わせるのではなくて、自主性を持った農政というものをやはり考える必要がある、こういうふうに私は主張をしたいわけなんです。大臣の考え方をお伺いします。
#9
○国務大臣(鈴木善幸君) いま先生から国の総予算の中に占める農林予算、これの比較において農政が後退しておるのではないかと、こういう御指摘がございました。
 これは先生もよく御承知のとおり、五十二年度の総予算の中に占める国債費の割合というものが非常に大きくなってきておるわけでございます。しかし、この国債費を除きますと、農林省関係の予算は一〇・一%台を確保いたしておるわけでございます。この国債費につきましても、過去において使った分が国債費の中の内容を示すものでございまして、農林関係もこの過去の国債の配分を受けておるわけでございます。そういう観点からいたしますと、私は国の総予算の中における農林省の予算というものは実質的には一〇%台を辛うじてではございますけれども確保できておる、このように考えるものでございます。
 なお、食管特別会計の問題にお触れになったわけでございますけれども、何といっても農林省予算の三分の一以上というものを食管の会計が持っておる。これは何といっても、前向きの農政を展開いたします場合におきまして大きな制約になっておることも否めないところでございます。私どもはそういうような観点から食管会計の合理化というものを図り、またその逆ざや関係を段階的に改善をいたしてまいりまして、それから浮きましたところの財源はこれを前向きの農政――土地改良事業、その他基盤整備だとか、あるいは水田総合利用であるとか、あるいは地域農政の展開であるとか、あるいは二百海里時代に対応する予算の措置であるとか、そういう面にこれを使っていく、そういう基本的な考え方で五十二年度予算の編成に取り組んだ次第でございます。したがいまして、昨年の食管におけるところの逆ざやの縮小分、これはおおむね私は前向きの農政費としてこれを確保できたと、このように考えておるところでございます。
#10
○鶴園哲夫君 まあ大臣のおっしゃいますように、考え方としましては国債費を除いてという考え方もあるでしょう。しかし、国債費を含めて予算はつくってあるわけですから、その金は印はついていないわけでありますし、農林省が使っていいわけですから、ですから私は国債費を除いてというのは一つのそれは考え方としてはあり得るとしましても、何にしましても国の予算の中で九・三%を割るというのは異常な事態です。十八年ぶりぐらいじゃないですかね。大変な事態だと私は思うんです。それは食管会計の繰り入れがマイナス八・六というふうな数字なわけです。じゃ、その食管会計の合理性を追求していく、それで節約をする、その金が農政の中に繰り入れられているのかという点が大きな問題だと思う。繰り入れられ方が少ないから、農林省の予算というのがその地位をどんどん低めていく。このままで行きますと、私は先ほど申し上げたように来年は八%になりますよと、その次は七%になりますよと、こういうことを言いたいわけなんです。後で価格政策の中で申し上げますが、農林省の農林関係予算で八千億円ぐらいの価格政策費をやっておられるわけです。その九五%は食管です。その次に大きいのは畜産関係の価格安定約三%ぐらいになっているわけですね。それで、ことし食管会計で非常な節約をなさった。それじゃ、ことしの農林省で考えていらっしゃる価格政策というものの費用はふえているのかというと、減っているんです。約八百億近く減っている。食管会計が八百億節約をした。しかし価格政策というのは八百億減っている。こういうことになっていったんでは、これはどうにもならぬ。あるいはその中のある程度のものは、基盤整備やその他新しい新規政策に使われた分もあるでしょう。私は、今回食管特別会計が従来の行き方でいけば二千億やそこらのものは節約されたと思うんです。ですけれども、それは農政費の中にほとんど入っていないんですよ。だから減るんです。ですから、食管会計を節約なさるんなら、それ以外の価格政策たくさんあります。それ以外の価格政策というものがもう少し有利に展開する、そっちの方に金が回っていくというような努力が払われなければこれは価格政策としてはダウン一方、今後ますますダウンしていくという形にならざるを得ないんじゃないでしょうか。何と言いましても、やはり価格政策の圧到的心棒をなしておったのは食管なんです。それがどんどん減っていく。これからもどんどん減っていくんですね。去年も減った、ことしも減った、来年も減る、再来年も減るということはもう明らかなんです。それ以外のそれじゃ価格政策というものはふえるかといったらふえない、こういうことじゃないかと思うんですね。ですから私は、いまここで大臣がおっしゃっていることについても一理はあると思うし、そういう考え方もあると思うが、しかし私の考え方もあるということを申し上げている。そして来年は八%になりますよ、再来年は七%台に落ちますよということを強調しておきたいと思います。基本的に言っていまの農政の姿勢というものは、食糧危機というのはそう急には来ない、金がありゃ物は買える、思わぬ輸出が伸びて黒字がふえたというようなことで、安心感といいますか、そういうのがいまの現状じゃないでしょうか。そこへ接近しちゃならないと私は思うんです。そういう状態に極力接近している姿勢というのが、いまの鈴木農林大臣の農政の姿勢じゃないかと私は考えるものですから、先ほどから私伺っている。
 そこで私の結論を申し上げますと、四十七年、四十八年の食糧危機というものが出まして、そして農政の立て直しとか、あるいは農政の見直しとか農業見直し論というのが非常に高かったです。それば予算の上で政治の上では四十九年度で終わっている。いまや農政見直し論とか農政立て直し論というのはこれは幻のものだ、看板にすぎないというのが今日の農林省の予算であるし、また農政の考え方でないのかと私は思っております。大臣のひとつ考え方をお聞きしておきたい。
#11
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は食糧の自給力を高める、これはわが国の農政の不動の方針でなくてはいけない、このように認識をいたしております。したがいまして、食糧に関する国際分業論というようなことはこれは大きな誤りである、このようにはっきり認識をいたしておるわけでございます。何といっても、食糧の自給体制を強化をして、そして国民に食糧に関してはいささかの不安も与えない、これが最低限の国の安全保障の問題につながると、このように心得ておるわけでございまして、しかも、国際的な食糧事情というものも予断を許さないものがあるわけでございますので、私は農林水産物、特に食糧の自給度を高めていく、そのために農林漁業の体質を強化する、また農林基盤整備等の問題をしっかりやる、また農林漁業の担い手である従事者並びに後継者の確保を図る、こういうことが大事だと、このように考えておるわけでございまして、こういうような事態をメーファーズととらえてそれにただ対応していくということではないわけでございまして、こういう厳しい情勢を踏まえて日本農業の道を切り開いていかなければいけない、こういう前向きの対応をしていく。情勢は厳しい、しかしこれをわれわれは総力を挙げて打開していかなければならない、このように受けとめておるわけでございます。
 また、近年、稲作復帰の志向傾向というのが依然として根強いものがございまして、過剰基調が続いております。しかし、一方において、麦とか大豆とか、あるいは飼料作物とか、そういう必要とするものの生産が伸びない、こういうことも現実の問題としてとらえまして、五十二年度予算におきましては、水田総合利用の対策を進めるとか、あるいはそれに関連する基盤整備を実施するとか、またそれに対する生産対策、構造対策等も進めるというような施策も展開をいたしておるところでございます。
 二百海里時代というものも、これも大きな厳しい状況に、大問題になってきておるわけでありますが、これに対しましても、伝統的なわが国の漁業実績というものを確保することに全力を挙げる。しかし、漁獲量の削減はこれは避けて通れないという事態に対応いたしまして、これを補うものは何といっても日本列島周辺の沿岸、沖合い漁業の振興である。その前提は沿岸漁場の開発整備である。そして、ただとる漁業から育ててとる漁業、栽培漁業等の振興にある、そういう面に力を入れる。こういう前向きの姿勢、言葉をかえれば攻めの農政という表現が前にございましたけれども、私はその気持ちにおきましてはそれに劣らない、この厳しい状況を切り開いていこうという考え方で農政に取り組んでおるということでございます。
 価格政策につきましては、私、何といっても総合的な自給力を高めてまいりますためには、稲作との間の相対価格の是正、これをどうしてもやらなければいけないということで、農林省の中に価格検討委員会というものを設けまして、これをできるだけ早くひとつ結論を見出して、そして減反政策等が力ずくで行われなくとも、スムーズに円滑にこの転作等が進行できるようなそういう環境と条件を価格政策も含めて実施してまいりたい、こういう考え方で取り組んでおるところでございます。
#12
○鶴園哲夫君 もう一遍私は申し上げておきますけれども、予算課がつくりました五十二年度の農林省「農林予算の説明」というのがあります。それから、私が先ほど申し上げました四十九年度の同じく予算課がつくりました「農林予算の説明」というのがあります。この四十九年度の予算の説明の冒頭は、国内生産の増強というのが出てくるんです、真っ先に。そしてそれに続けて来るのは麦類、なたね、大豆、主要作物の増産と、こう出てくる。非常な意欲です。私は、農政の基本というのはそこだと思うんですけれども、これが五十二年度になりますとそういうものがないんです。ですから、やはり農政を立て直す、あるいは農政を見直す、あるいはそれを受けた農林省が五十年の五月あるいは八月に決めました長期見通しあるいは総合食糧政策の展開、これは私はすでに幻になっている、看板になっている、四十九年度で終わっている、こういうふうに私は見たいわけです。違うんですよ、四十九年度の予算の説明と。見出しがたいと、第一に出てくるんですから。国内の農産物の生産強化です。これは二十年ぶりに聞く言葉ですな。昭和三十年に終わって、それ以後聞かない。これが出てくる、一番目に。よく言ったもんですな、四十九年は。だがしかし、後はまたおざなりになってしまった。これはちょっと困ってしまうんですね。そこのところを私は言いたいわけです。これに象徴されていますよ、冒頭に出てくるんだから。まあそれはそういうことで、私は、いまや四十九年で終わっているのであって、しかし、なお安倍さんはまだこう遊離しちゃって、前に出て元気のいいことをおっしゃった。しかし、どうも鈴木農林大臣になると、現実にずっと接近しておられるという感じですね。
 まあそれは次におきまして、それで最後にいまのやつを、どうも私は、だから鈴木農林大臣の姿勢というものは、やはり先ほど私が申し上げましたように、確かに四十七年、四十八年というのは、政府もそれから財界にいたしましても、食糧危機というものに相当あわてた。こんなに早く食糧危機が来ると思わなかったし、あるいはまた、こういう低成長の時代になって一体買えるかどうか、買っても大変高いものになりはせぬかというような危機感があった。その危機感というのが四十九年度の予算にあらわれている。そこで農林省も真っ先に、国内生産の増強というものを第一番に出した。しかし、その後、輸出が思わず伸びた。これはいろいろ理由がありますが、輸出が多く伸びた。黒字も持っている。一方においては貿易の不均衡がどうだこうだと言われている、国内で増産するというのは損じゃないか、食糧危機というものはそう急には来やせぬ、金はある、価格も国際的にいって落ちついてきたというような考え方というものが、すでに五十年の末ごろから支配的になってきているのじゃないでしょうか。その状態に農政というものは接近しているというのが私はいまの農政の基本的な姿勢じゃないだろうか、基本的な方向じゃないだろうかという気がしてならない。そこで基本的な姿勢を伺ったわけです。
 次に私は、農政は、農業というものは三十五年以来撤退作戦に入ったと思っているんですよ。それを、さらに四十六年、四十七年のつまり米転、何といっても農政の柱は米でしたから、その米転が始まるというところから総合農政というのが言われまして、一層その撤退が始まった。で、一応四十九年度見直し論とか危機論というのがあって、四十九年度でちょっと歯どめがかかったけれども、それからまたダウンが始まっている、撤退作戦が始まっているというふうに見た方がいいのではないか。さらに水産業で言いますというと、大臣も御承知のとおり、国民の目に見えるように水産政策の、水産というもののやはり撤退作戦が始まっている。われわれはもっと前から始まっていると思っている。しかし、国民の目の前には、昨年ごろからことしにかけて特に水産政策というのはこれは撤退作戦が始まったと思っている。林業についても同じであります。これはこれから撤退作戦、撤退が始まっている。一体、農林省の農業なり、あるいは林業なり、水産業というものの撤退というこの状態の中で、農林大臣としてどうその歯どめをかけられようとするのか。異常な状態ですよ。どうしたら歯どめがかけられるのかという点を考えていらっしゃるのかどうか。これは容易なことじゃないですね。大臣がおっしゃるように大変な厳しい時代です、これ。かつてない厳しい状態だと思うんです。言うならば、農業、林業、漁業というのはある意味では孤立しているんじゃないか。日本の経済政策の中では、あるいは日本の経済運営の中では孤立されているんじゃないかという気が非常にするんですね。そういう中で、どうしたら歯どめがかかるのかという点ですね。これは私は大変な問題だと思うんですが、後ほどこの問題についてもいろんな面で論議をしたいと思いますけれども、大臣の考え方をちょっと伺っておきたいと思いますね。
#13
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、端的に食糧問題一つとらえましてもなかなか容易ならぬ事態である。このことは、国会やまた為政者だけでなしに、国民全体としてその厳しさというものを受けとめていただいておると、このように考えるわけでございます。したがって、農林漁業政策、食糧政策、これで、ただ厳しい内外の情勢に押されて後退に次ぐ後退というわけにはまいらない。総理大臣の施政演説でも大きく、この農林漁業の繁栄なくして日本の経済の繁栄はない、農山漁村の安定なくして日本の経済社会の安定はないと、こう言い切りまして、そのために農林漁業の振興、農山漁村の安定という施策を総合的に進めるのだということを施政演説の中でも大きく打ち出しております。私は、このことが今後の国政の大きな柱になる、基本になる、このように考えておるわけでございまして、漁業問題一つとりましても、御指摘のとおり、なかなか沿岸国の資源ナショナリズムと申しますか、海岸を分割支配しようという情勢は抑えられないような状況に相なっております。しかし、この厳しい現実の前にわれわれはいかにして伝統的な実績の確保を図るかと。まあ、幸いにして日米漁業交渉におきましては一%程度の削減にこれをとどめることができました。カナダとの間におきましても、暫定取り決めの段階ではございますけれども前年度程度の漁獲が確保できた。問題は、当面する日ソ漁業交渉でございます。これにつきましては、すでに御承知のように、ソ連におきましても、アメリカ、カナダ、EC、ノルウェーその他の国々との漁業交渉におきまして、日本と同じ遠洋漁業国であるソ連がこれまた相当の漁獲量の削減を強いられておる。そういうようなことから、北西太平洋の二百海里の中でできるだけこれを補っていこうという政策意図に出てきておる、こういう状況にございますわけでございまして、私どもは、しかしながら、北洋の漁業というのはわが国の中小零細漁民、北海道その他の漁民諸君が長年にわたって開発をしまた実績を今日まで積み上げてきた海域でございます。これが国民経済並びにたん白食料の供給源としては大きな役割りを持っておるというような点から、いま私どもとしては全力を挙げて対ソ交渉を進めておる、こういう段階でございます。しかし、それと同時に、日本列島周辺の沿岸漁場の開発整備、また、とった魚はこれを最高度に利用する、そのための加工、保蔵、流通の問題の改善も図る、こういう施策もやっておるわけでございます。
 私どもは、厳しい環境下にありながらこれをいかにして乗り切っていくか、切り開いていくかということに全力を挙げていかなければならない、こういう腹を固めまして努力をいたしておるという段階でございます。
#14
○鶴園哲夫君 次に、担い手論ですね、「中核的担い手」というのが昨年の大臣の所信表明の中で登場してまいりました。さらに今回の農林大臣の所信表明の中でも「中核的担い手」というものが出てくるわけなんです、確かに大きな問題だと思いますし、そこで、去年とことしとこの中核農家の取り扱いが非常に違うわけですね。昨年の所信表明、これは国内自給力を高めるためには中核的担い手の育成が不可欠だとしてあるんです。私もそう思う。不可欠だとしてあるんです。国内の自給力を高めていくには中核的担い手の育成が不可欠だと、こういうふうに所信表明は述べている。今回の鈴木農林大臣の所信表明は、やっぱり同じように所信表明の第二番目に出てくるんですが、何かぼやけちゃって、中核的担い手となる者の育成と後継者の確保は現下農政の重要課題だという言い方です。何のために中核農家をやるのか、何のために中核農家を育成しようとするのか。それは国内における自給力を高めるにはそれが不可欠だと、これを私は評価しておった。ところが、今度は、何かそれがぼけちゃっている。これを私は、冒頭申し上げました現実に接近を図りつつあるんじゃないかという感じがしてしようがない。しかも、今度は五十二年度の予算の説明、五十一年度の予算の説明――予算課でつくったやつ。この取り扱いにも非常な差が出てくる。一体、中核農家というのは何のために第二番目、第二項目として農林大臣は強調されるのか。やはり、国内の生産力というものを、自給力というものを増強するには、中核農家を育成強化することが不可欠だというお考えなのかどうなのかという点を伺いたいわけなんです。
#15
○国務大臣(鈴木善幸君) 表現につきましていろいろ御疑念があるようでございますけれども、私は、先ほども申し上げるように、農林漁業の振興、これを図るためにはまず土地の問題、人の問題、これが二つの大きな柱である、こういう認識を持っておるわけでございまして、したがいまして、農用地の造成確保あるいは優良農地を造成するための基盤整備事業、こういう点に力を入れますと同時に、やはり農業の担い手であるところの農林漁業者並びに後継者の育成確保、これが大きな一つの柱である、これなくして日本の農業の発展もなければ自給力の向上も期し得ない、こういう認識でございまして、そういう意味で私は表現において十分でなかった点がありましても、私の考えております点はいま申し上げたとおりでございます。そういう観点に立ちまして、この国会におきましても農業改良助長法あるいは農業改良資金助成法、そういう法案の提出もいたしまして、そして農業者の育成確保に必要な法的な措置並びに予算の確保も図っておるところでございます。
 なおまた、地域農政特別対策事業というような新規の事業も起こしまして、農民諸君の創意と工夫、盛り上がる意欲をここに結集をして、そして日本の農業の前進と自給力の向上をこの面からも高めていきたい、こういう考えでございまして、私は表現は端的に食糧の自給力を高めるということに結びつけてはおりませんけれども、日本の農業というものをしっかり守り育てていくためには、人の問題が一番大事な問題であるという認識の上に立って農政を進めておるところでございます。
#16
○鶴園哲夫君 中核農家という言葉が初めて農林省の公式の文書に出ましたのは、四十九年の春の白書で初めて登場してきたわけで、見当としては恐らく四十八年の秋ごろからそういう中核農家という言葉が出てきたと思うんです。それで、農業の担い手としての中核農家というのが出てきたわけですが、戦後、御承知のように、農政はすべての農家を対象にして農政を進めてきたわけですね。農協法にいたしましても、農地法にいたしましても、食糧管理法にいたしましても、すべての農家、全農家を対象にした農政を進めてきておる。それが食糧増産であるし、食糧の増産をしていくには全農家を対象にしていく。それが三十五、六年ごろから農業基本法の論争が行われ、農業基本法が三十六年に制定されますと同時に、担い手論としては要するに自立経営農家というのが出てきた。自立経営農家というのが出てきたときには、すでに農業生産を増強しようという立場が変わってきた一農業をいかに合理化しそして国際的に対応できるかという、そういう意味で構造改善的な視角から、そういう観点からのみ出てきたと言っていいと思うんです。そして、農業白書は、常に毎年自立経営農家が何%になった、何%になったという計算をしておる、ところが、三十五年に全農家の八%ぐらいであったものが米転のころには四%に落ちちゃった。そこへ御承知のとおり、食糧の危機というものが出、食糧を何とかしなければならないという危機論が出て、八%ぐらいの、七%か六%ぐらいの自立経営農家では、国内の自給力を高めていく、国内の総農業生産を高めていく担い手にはなり得ないというところから、四十八年から四十九年にかけて中核的農家というのが出てきた。その中核的農家というのは、全農家の三二、三%を占めておる。それが粗生産額の六十数%を占めておる。したがって、そこを押していけば、そこを育成し強化していけば、そうすれば国内におけるところの自給力を高めていくことができるというところから、私は中核農家というのが登場してきたというふうに思うんです。
 ところがこの中核農家でありますが、私はこの中核農家というものをいまの農政の路線の上に乗せていきますというと、とても、後五年たっても八%くらいにしかならないのじゃないでしょうか。いまの自立経営農家と同じ程度の数字にしかならぬじゃないかという心配をするわけです。御承知のとおりに、五年ごとに農業センサスが行われております。五十年の二月一日に農業センサスが行われまして、それが報告が行われております。それによりますと、四百九十五万戸の農家になっておるのです。その農家の中で男子専従者、農業専従者のいる農家というのが百六十一万戸です。三三%ぐらい。それから農業専従者は女子だけの農家というのが六十一万戸 一二・四%。農業専従者のいない農家というのが実に二百七十五万戸、五五・〇%、こういう状況です。三二・五%というのが男子農業専従者のおる農家なんです。ところが、この中には六十歳以上が相当占めておる。そこで六十歳以上の者を除きますと、二五%ぐらいになる。ですから、四十七年当時三三%ぐらいだと考えていらっしゃったわけですけれども、わずか四年ぐらいの間にいま申し上げましたように二五%、これが中核農家の実態。御承知のように、中核農家というのは十五歳から五十九歳という考え方でいらっしゃる。六十歳以上をとっていらっしゃらないわけです。そうしますと、二五%になれば四分の一です、いまの農家の。ところが、二五%の農家の中で、実際は何ともならない農家というのが相当含まれているわけです。というのは、農家経済調査で見ざるを得ないわけですが、百万以下の所得しかない中核農家、百五十万しかない、それしか所得が農業で得られない農家、こういうものはほぼ四〇%近いんです。これは農業の中で中核農家とは言えないのです、百万以下の農業所得では、百五十万以下の農業所得では。それを除きますと一五%になるんですよ。つまり、今後とも農家らしい農家と言え、育成していける農家というのは、私は三五%じゃなくて、その中からさらに――百五十万以下の農業所得じゃどうにもならぬでしょう。一五%ぐらいです。その減少率は非常なものです。これでいまの農政の路線の上に乗せた場合、いまの農政の路線というのは能率化ですよ。大規模化ですよ。そうして労働生産性向上、これが中心です。その農政の上にこれを乗せた場合に一体これはどうなっていくか、私はどんどんまた減ると思う。そうするとぐっと減ってくると思う。五年後には一〇%になっちまう。一体、どうこの中核農家というのを育成強化されようとしているのか。私は、この中核農家をいまの農政の路線の上に乗せますと、何ともならないのじゃないか。また八%ぐらいになっちまって頼りにならぬという、国内の農業の自給率を高めていく担い手として育成していくには足りないものになっちまうんじゃないか、こういうふうに思うんです。ですから私は、そこでそうでないようにするためには、いまの非常に極端な大規模化――大きな機械導入、大規模化、単一作目化、単一経営化という路線を考えなけりゃならぬのじゃないかというふうに思うんです。というのは、いま申し上げました中核農家の単一経営というのは三八%ぐらいを含んでいる。複合経営というのが五八%ぐらいだと思うんです。ですから私は、大変な農政の動きの中で、つまり大規模化、能率化、労働生産の生産性向上、そして単一経営という方向に追いまくったこの農政の中で、あるいは高度経済成長の中で農業が大変な圧迫を受けた。その中で本来の農家というのは、複合経営などという苦しい中で抵抗しながら中核農家として残っていると思うのです。そこのところをやはり私は考えなきゃならぬのじゃないかというふうに思うのですけどもね。
 大体、中核農家、中核農家とおっしゃいますけれども、この中核農家だって、百五十日以上農業に従事する人としてあるんですから、米をつくりますと、単一経営で言いますと、百五十日米つくったら、あとは百日以上外に出かせぎに行くわけですよ。それが一体中核農家なのか。農業で飯を食いたい、農業で生活したいというのが農家のこれは切望ですよ。願望ですよ。しかし中核農家の、たとえば稲作単一経営をとった場合には――酪農とか養豚とか養鶏というのはこれは別です。一年じゅう働いています。米作は、何であろうと百五十日働いたらあと百日は外へ出かけにやならぬ、複合経営すりゃそうじゃないですけれどもね。ですから私は、いまの農政の基本的な大きな流れである、三十五年以来の流れであるところの大型機械を入れていく、そして能率化をしていく、労働生産性を上げる、単一経営化、選択的拡大、こういう流れというものと、本来農民が歩いてきた、農家がこの厳しい中で歩いてきて中核農家として残っているこの複合経営というもの、同時に土地の生産力を上げていくという、その二つのものをいまここで調和を図っていかなけりゃならない、そういう段階に来ておるのではないかというふうに思うんです。そこら辺のことについてお尋ねをしたいと思います。
#17
○国務大臣(鈴木善幸君) いま鶴園先生から、非常に重要な私どもの指針になる御指摘がございました。
 自立農家につきましても一時落ち込みましたけれども、また最近、関係者の努力によりまして復活傾向にございます。現在のところ九・二%ぐらいになっております。もう一つ重要なものは、それよりも幅の広い中核農家である、私もそのように認識をいたしております。そのためには、複合経営であるとか、農林地一体の営農であるとか、そういうようなことが非常に大事な着目されなければならない方向でございまして、五十二年度の予算におきましても、畜産等におきましては、経営規模の拡大もさることながら、この中核的な中小の畜産農家の育成、そのための団地の造成、そういうような点にも着目をいたしまして、先生御指摘のような、やはり自立農家だけでなしに中核農家ということを含めた、本当に中心になり日本農業の中核になっていく農家、これの育成強化に対しましてできるだけの政府としても助成政策を進めてまいりたい、このように考えております。
#18
○鶴園哲夫君 私は、この農業を考えます場合に三十五年当時というものをいつも基準に置いて考えるんですけれども、三十五年当時、農家が五百九十万戸を超しておった。その中の大体九〇%というのが米作農家を含めております。それで、その当時の反当たりの米の生産費調査によりますと、これはもちろん販売する農家の生産費調査ですが、反当たり百七十二時間かかっている。で、今日これが八十時間なんです。二分の一を割っているわけですね、労働時間というものが。それは言うまでもなく大型機械導入、そして労働生産性向上、単一経営という形への大きな農政の流れの一つの成果です。反当たり半分以下の労働力でやれるようになった。それじゃ、その半分以下に節約した労働というのは農業の中に使われているのか。そうではなくて、それが大きな兼業へ走らしたわけです。農業の中で消化されていない。大きな機械を買った借金のために出かせぎに行かなきゃならぬということもあるでしょう。とうとうとして兼業化へ進まざるを得なかったわけです。それは単一経営の奨励を極力進められるからです。私は、複合経営というのが去年あたりから少し出てきた。本当の農家というのはそうじゃない。それはやはり農業で一年じゅう働きたいと考えている。そして農業で食いたいと考えている。それがそういう方向を農政はとっていないんですよ。だから、せっかくこういう反当たりで言って半分以下の労働力になった。半分以下の労働力になったけれども、節約した労働力というのはどこへ行ったかというと、ほとんど農業外と言っていいんじゃないでしょうか。それが、第二種兼業農家がとどまるところを知らない増加ですよ。私は、農政の大きな流れの一つのこれは大きな犠牲だと思うんですね。ですから、もう少し――まあしかし、このころはやむを得なかったんでしょう、三十五年からの農政を取り巻いている情勢というのは、農産物を輸入すればいいという国際分業論が支配的でしたから。だから、どんどんどんどん自由化されるし、農産物が日本に入ってくるし、日本の農民というのは国内の農産物の市場というものをどんどん失っていったわけです。その中で国際農業に対抗できるような大規模農家、大型農業機械を入れよう、能率化、こういう方向で行ったわけですからね。そういう中で、その激しい中で抵抗しながら本当に残っている農民というのは、これは本気になって酪農をやっているとか、豚飼っているという農家、これは違う農家だと思うんです。やっぱり畑作や稲作や、そういう耕地を使った上に乗っかっているその農民というのが中核の中に相当含まれている、私はそう思っているんですけれども。ですから、先ほど私が申し上げたように、食糧危機なんというのはいまもうどこかへ行っちゃったと、金あるから何でも買えるというような形の農政の見方というのでありますと何をかいわんやです。私は、そうじゃなくて、農業というものを日本の産業の中にどう位置づけられるか、日本の経済社会の中で農業をどう位置づけるかというところに農政というのはなけりゃならないと思うんですけれどもね。
 そういう点から言いますと、いまの農政の流れというものをこれは簡単に言いまして、労働生産性の向上一本やりという形と土地生産力を高めるというものとの調和を図らなきゃならない、そういう時期に来ている。よく言われますように、日本的な食生活というのを盛んに農林省が一昨年あたりから言うんですが、日本的な小農家経営ということを考えなければならない。それが中核農家じゃないのかと思っているわけですね。でありますから、せっかく中核農家、中核農家というものを出されて、日本の自給力を高めていくそれが原動力、担い手。しかし、それをいまの農政の流れの中、労働生産性一本の流れの中に乗せるというと、これは没落をしていきますよ、没落をせざるを得ないのじゃないか。私、いまそれは中型機械ですね、そしてこの労働生産性の向上、同時に土地生産力の向上と複合経営というものとの結合を考えなければならない。もう一遍言っておきます、その点を。
#19
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は全く先生御指摘のとおりでございまして、私も全く同感でございます。
 私は、生産性の向上政策というものは一応の成果をおさめておる、こう思います。その生産性の向上によって出てきた労働力の余裕というようなものが、他産業への出かせぎその他の形になって出てきておるというようなことにつきましては、大きな反省期に来ておると思います。また一方において安定成長と申しますか、低成長といいますか、経済情勢もそういう状況に相なってきておりまして、やはり若い生産労働力も都市へ都市へと流れておったものが、農村に還流する傾向にもなってきております。そういうような状況も踏まえまして、土地の生産力を高度にこれを利用する、水田総合利用もその一環でありますし、あるいは複合経営の奨励ということもその一つでございます。また、特殊の地域に特産の農業を助長するという政策もその一つでございます。私は、この生産性の向上をこれを土地の総合利用、高度利用というようなものと結びつけまして、そして食糧の自給度を高める方向にこれを持っていきたい、このように考えておる次第でございます。
#20
○鶴園哲夫君 次に、三番目の農業基盤整備という問題について伺いたいんですが、この農業基盤整備というのは、昭和三十五年の農林省の予算の中に初めて登場するわけですが、その前は食糧増産対策費となっている。その食糧増産対策というこれがなくなりまして、消えまして、そのかわりに出ましたのがこの農業基盤整備。つまり、食糧を増産するというのが必要なくなったわけですね、食糧を積極的に増産していくというのが。もうこの三十年代になりましてから高度経済成長が始まります。工業優先と、そして工業のための農業という形になってきた。だから三十五年になりますと、いま申し上げましたように、従来長いことありました食糧増産対策事業費というものが消えてなくなって、かわってこの基盤整備というものが出てきたわけです。そのことをはっきり真っ先に申し上げておきます。
 そこで登場しました農業基盤整備でありますが、この農業基盤整備がとうとうとして従来の農業基盤整備、土地改良というものから変化していくわけですね。それはなぜ変化するかといえば、これは食糧を増産する必要がなくなった。むしろそうではなくて能率化、労働生産性を高めていくという方向に農政の流れが変わりましたから、したがってこの基盤整備も大きく変わっちゃったですね。つまり土地の生産力を高める、あるいは農地を拡大をしていく、干拓をする、開墾をするというものが急速に薄れてくるわけですね。そして圃場整備とか、農道とか、こういう能率化、労働生産に大きな機械を入れる必要がある、そういう労働生産性を高める基盤整備というものがとうとうとして急激にふえてくるわけです。それをいま私は転換を迫らなきゃならないというふうに思っていますがね、もし国内における生産力を高めていく、自給力を高めていくということであるとすれば。この基盤整備の変わり方というのは、これは従来の土地改良事業、言うならば基盤整備の中心というのは灌漑排水事業というものと農用地の開発です。開墾と干拓です。これは何といいましても、農業を増産していくには絶対に必要であった。それが急速に影を薄めていくわけですね。そしていま言いました近代化、労働生産性を上げていく、大きな機械を導入する、それに必要な圃場整備、そして農道というものが急速にふえていく。三十五年に圃場整備事業というのは基幹灌排事業の二八%ぐらいですよ。ところが、五十二年になりますと大きく逆転して、いまや千二百億円というのが圃場整備に使われている。大きく逆転している。農道だってそうです。農道の予算というものと、それから圃場整備の予算というものと、その二つを合わせますといま基盤整備事業の四〇%ちょっと超すでしょう。そしてそれがふえると、一方においては干拓なんかどんどん減っていく。いまやあわれな形です。開墾なんかもうあり得ない、草地造成というのが出てきましたけれども。そういう農政の方向というのが労働生産性という形に変わると同時に、基盤整備事業というものの内容が大きく変わってきた。これは当然だと思うのですけれども、しかし、いまここで私が先ほど申し上げましたように、再びわれわれが日本の農業というものを立て直し、あるいは農業の生産力を高めていくという場合には、こう限られた狭い国土において土地の生産力を高めるということを考えなきゃならぬと思うのです。それが灌排事業でもあったわけです。あるいは農地を新しく造成するということでもあったわけです。いまそうじゃないのです。農地が造成されるけれども、つぶれる農地の方がはるかに多い。農地面積はどんどん減っている。これじゃ、基盤整備事業というものはまことに大変な事態ではないかと私は思いますですね。確かに農業基盤整備というのは、大臣のおっしゃいますように、今度の予算でも五千三百五十四億円という大きなものです。まとまった金としましては、農林省の中では一番大きな金ですね。食管の繰り入れが七千億ぐらいありますが、それに次いで一番大きなでっかい金、でっかい事業なんです。それがこのように変化いたしておりますが、大きく変わってきたんですが、いま農業を立て直すとか見直すとかいう情勢の中で、この基盤整備事業というものをどうお考えになっていらっしゃるか、このことです。
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) 圃場整備であるとか、農道であるとか、そういうものに重点が余り傾いておるのではないか。一方において灌排事業等、あるいは土地造成事業というようなものがだんだん軽視されておるのではないか、こういう御指摘でございますが、私は必ずしも農林省としてはそのようには考えておりません。現実にもこの圃場整備あるいは農道等のシェアと、それから灌排事業、土地造成等のシェアとはほぼ均衡をとっておるわけでございます。三二・四、おおむね私はバランスがとれておるのではないだろうかと。今後十カ年計画で、長期計画で実施をいたしていくわけでございますが、私はこの生産性を向上すること、それから優良な農地を造成確保すること、これは両々相まってわが国の農業の生産力を高めるものであると、こういう認識の上に立って取り組んでおるところでございます。
#22
○鶴園哲夫君 私、先ほど申しましたように、農道というのは四十二年度予算で九十七億円、それが今日五十二年度で九倍近くなっている。それじゃ基幹的な灌排というのはどうなっているのかといいますと、二倍ぐらいです。それは私は、先ほど申し上げましたように、農業基本法というのができたわけですから、その上に乗っかって、その基本方向で基盤整備というのは動かなきゃならぬわけですから、したがって圃場整備あるいは農道というものがぐうっと伸びてくることはあたりまえだと思う。それを否定しているんじゃないです。それで結構です。ですが、そのかわりに減ってきたのは開墾、干拓。干拓なんというのはいまやもうりょうりょうたるものです。もうなくなる寸前ぐらいのところへ行っているんじゃないですか。ことしの予算では六十九億ぐらいだろうと思うんですよ。ですからそれを否定しているんじゃなくて、しかしこれから、農業基本法というのはこれは変えないというふうにおっしゃるんだから困るんだけれども、それはそれでもいいが、しかしこれで農業というものをここで何とかしていこうという、あるいは国内自給力というものを高めていこうとお考えになるならば、ここでやはり基盤整備というものもいままでのような方向では困るんじゃないかと私は考えるわけです。いままでのことを否定しているわけじゃなくて、いままではそれで流れている。あたりまえのことです。それで結構。しかしそのために、いま申し上げるように、これから考えなきゃならぬことはこれはやはり灌排とか、あるいは農地の造成とか、そういうようなものももっと力をふやして、そして土地生産力を高めるという方向に取り組んでいくべきじゃないのかということを申し上げておるわけです。
#23
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、現時点で長期計画をいま直ちに変更するということは考えておりませんが、しかし鶴園先生御指摘のような灌排事業その他にもっと力を入れるべきであるということにつきましては、今後とも十分意を用いてやってまいる考えでございます。
#24
○鶴園哲夫君 私は、この農業基盤整備事業というのは、二つの意味において転機を迎えているというふうに思っております。一点は、いままで私が主張した点です。
 もう一点、それは、農家の実情というのは大変に変わってきたと。土地改良法というのができたころに比べて、二十四年に土地改良法というのができている。つまり、農地法というものによってできた自作農というものを中心基盤にして、そして土地改良法というのができております。それで御承知のように、受益者の三分の二の賛成を得て申請事業になっているわけですね。ところが、二十五年当時と今日の五十年センサスと比べてみますと、二十五年当時というのは農家数の中で専業農家五〇%、そして一種兼業農家は二八%、これを合わせますと、優にはるかに三分の二を超しておった。いま五十年になってみて専業農家というのは一二%、非常な変化であります。そして第二種兼業農家は六二%。もっとこれはふえていくでしょう。そういう中で、三分の二以上の賛成を得て申請事業として基盤整備事業というのは大きな壁にぶち当たっているんじゃないのかと。いまやそれを避けて通るわけにいかぬのじゃないかと。いまこれは第一種兼業農家と専業農家と合わせましても、これは三分の一ちょっとぐらいしかならないんですよ。三分の二というものをとるには、どうしたってこの第二種兼業農家を入れていかなけりゃ三分の二にはならないんです。ですから、自作農体制というのが、二十五年当時つくった自作農という、そしてその当時できた土地改良法というものは、今日の事態になりますと、これは非常な大きな難関にぶち当たっている。これはもう御承知のとおりだと思う。それを変える必要があるのではないかということと、もう一つは、五十一年度の農業基盤整備事業便覧というのがあります。農林省が出しているやつです。この五十一年度の農業基盤整備事業便覧によりますと、国営の灌排、これは国の負担が六〇%、県が二〇%、地元が二〇%です。しかし、この国営の灌排というのがどんどん減ってきていること御承知のとおり。先ほど申し上げました。そしてどんどんふえているのが県営、団体営の圃場整備。これは国の負担が四五%、そして地元の負担が二七・五%。ですから、基盤整備について農民の負担というのが非常にふえているわけですね。それは、いま申し上げましたように灌排とか干拓とか、そういうような土地生産力を高めていく、土地を確保していく、そういう事業というのが影が薄くなって、そして急速に圃場整備とかそういうものが伸びてきた。それはいま申し上げましたように事業も簡単ですから、だから地元負担というのも大きい、こういうことになっているわけですね。ですから、いまいろんな学者が計算していますように、基盤整備の農家の負担というのは限度を超えているということは、多くの学者が指摘しているところです。
 そこで、私は、この基盤整備についてもう一つ、いまの三分の二という以外に、基盤整備の国の負担について考えなきゃならない段階に来ているんじゃないかと。御承知のとおりに、政府は規模の大きさや小ささによって公益性の差を設けておるわけですね。大きい規模だと公益性が大きいというわけですね。だから補助率が高い。小さいというと公益性が少ないというので、団体営という形になって補助率が低いと。しかし私は公益性という点から言うなら、大きかろうと小さかろうと、公益的なものは公益的なものとしてこれは補助金を出すべきだと。しかも日本の農場というのは、御承知のように、農場制というのは全然確立していないわけであります、分散制の圃場になっているわけですから。そういう中で、公共的なものについてはこれはやっぱり国が負担する。しかし、一歩自己所有に入ったものについてはこれは補助事業でやると、こういうような形に基盤整備事業というものを変えていくべきではないのか。私は、基盤整備事業というのはいま二つの転機に立っている。一つは、基盤整備事業の中身について、土地生産性というものを考える必要があるということを主張しました。もう一点は、いま申し上げました土地改良法に基づくいろいろのやり方について、三分の二という考え方では基盤整備というのは頭をぶっているじゃないかと。何ともならなくなっている。これをしかし抜けて通ってはならない。通れないですよ、いま。もう一つ、負担がふえてきている。それをどういうふうに改正していくか、変えるかという点が必要ではないのかと。この第二番目に申し上げました点について、ひとつ大臣の所見を承りたいと思います。
#25
○国務大臣(鈴木善幸君) 基盤整備事業における農民の負担を軽減することについてもっと政府が積極的に考える必要があるのではないかと、こういう御指摘でございます。
 御承知のように、農林漁業金融公庫等におきましても長期低利の融資の道も開いておりますし、また農用地開発公団等において農地を造成をして、そしてこれを配分をし長期にわたって償還をしてもらう、いろいろの施策をやっておるわけでございますが、しかし、御指摘のように、もっと負担を軽減してほしいという声もございますわけでございますので、今後ともそういう点につきましては、農林省としても前向きで検討してまいりたいと考えております。
#26
○政府委員(森整治君) 先生御指摘のとおり、専業農家が減り兼業がふえ、しかもやはり混住化社会ということまで農村に入ってまいっております。それに伴いまして土地改良事業については、御指摘のようにいろいろな問題が出ておりまして、四十七年の土地改良法の改正でも若干それに対応する改正を行ったわけでございますが、確かに御指摘の問題は非常に重要な問題だと思っております。ただ、やはりあくまでも農地というのは土地の私有権、所有権ということがあるわけでございます。個々の農地につきましての三分の二の同意ということを変更するということは、やはり制度上非常に難点があるのではなかろうかというふうに考えております。ただ、先生御承知のように、基幹的な事業につきましては、同意なしで市町村が事業申請ができるということで四十七年に改正を行いまして、御承知のように、北九州のあの筑後川下流の土地改良事業、そういうこともただいま着工に入ったわけでございます。
 先生御指摘の問題、非常に重要な問題でございますので、われわれも土地改良の研究会等に諮りまして、今後前向きに対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#27
○鶴園哲夫君 大臣が所信表明の中で第五番目に挙げていらっしゃいます。これはいままで昨年はなかったのです、所信表明の中には。ことしの所信表明の中に第五番目に出ているのですけれども、「農村総合整備」というのを挙げていらっしゃる。確かに基盤整備とあわせまして、集落あるいは農村の生活環境の整備というものを強力に推進していくという趣旨について私も賛成であります。これが四十八年には二十六億だったのですが、いまや五十二年になりますと二百十五億という、わずかの間に二倍、二倍、二倍というふうに非常にふえております。このことは今後も必要だと思っておりますが、しかしこれは、食管制度で節約した金を何とかどこかへ持っていかなければいかぬということで――ところが、農業基盤整備に持っていくにはいろいろ障害がある、こういうところへ持っていった方がまあまあ無難で結構だと。これも非常にいいことです。でありますが、私は、基盤整備の本来のいま難関にぶち当たっている問題について、やっぱり次々に解決していくという姿勢で臨んでもらいたいというふうに思っております。これがふえていくことについては、決して私もこれを否定をしているのじゃないのです。大いに賛成であります。でありますが、基盤整備が当面している困難な問題を避けていってはならないというふうに考えておるところであります。
 次に価格政策についてお尋ねいたしますが、所信表明の第四番目に「農産物の価格安定対策」というふうに述べていらっしゃる。これは私は、所信表明の中におっしゃっているように、総合食糧政策の方向をさらに強く推し進めていくというふうに言っておられますから、五十年の八月に出ましたあの「総合食糧政策の展開」というものを進めていかれるという意味だと思います。この「展開」の六番目に価格政策を強調しておられます。ところが、その所信表明の中の価格政策というのと、それから「総合食糧政策の展開」の(六)に出ている価格政策との間に相当開きがあるように見受けるわけです。「総合食糧政策の展開」の中の「価格政策」には相当具体的な問題が出ておるわけです。
 そこで若干伺いたいのでありますが、この「総合食糧政策の展開」の中には、制度的な価格政策の「見直しを行う。」というようになっていますがね。そして、制度的なものを検討する考え方を明らかにしていらっしゃる。ところが、大臣の所信表明の中では制度の運営という言葉になっているのです、価格政策が。米の問題が出ておりますけれどもね、食管会計を漸次是正していくということですね。しかしどうも制度の見直しまではいかない、運用でいこうというような感じがしてならない。一体その価格政策等について、価格政策の制度あるいは政策を見直すというお考えがあるのかどうかという点ですね。
 その前に、具体的な順序としては、あの中にありますのは、「価格政策検討委員会」を――仮称とありますが、「早急に省内に「価格政策検討委員会(仮称)」を設けてとり進める。」となっておるわけです。そういうものが設けられて実際上進んでいるのかどうなのかというのが一つ。
 もう一点は、この「展開」の中の(六)の「価格政策」の中で具体的に言っているのは、「価格政策の基礎資料となる農産物生産費調査の家族労働評価」というのが、農業の臨時雇いの賃金になっているのを、そうでなくて、「農家世帯員が多く就労している地方ごとの」となっているのですね、これ。「地方ごとの主要な産業部門の生産労働者に対して支払われている標準的な賃金に改訂する。」と、こういう指摘をしている。非常に明確に指摘しているのですけれども、それはどのように動いているのか。
 この二点ですね。
#28
○国務大臣(鈴木善幸君) 価格政策は、今後の農業の振興、自給率の向上を図る上から非常に重要な要素をなしておると、このようにとらえておるわけでございまして、価格問題の制度的な問題、運用の面、これを総合的にあらゆる角度から見直しをやる、こういう考えでございまして、現に麦につきましては、米価審議会におきまして小委員会を設けてただいま御検討を願っておるところでございます。と同時に、農林省の中に価格政策の検討委員会というものをつくっておりまして、相対価格の是正、また最近の経済情勢に見合ったところの適正な価格の算定――このねらいは、総合食糧の観点とやはり自給力を高めていくと、こういうような要請にこたえたいと考えておるからでございます。
 農林省の中の検討委員会の進行状況につきましては、官房長から御説明を申し上げます。
#29
○政府委員(澤邊守君) ただいま大臣お答えいたしました価格政策の検討委員会につきましては、昭和五十年の夏から実は発足をしたわけでございます。
 当面、検討の上実行に移しましたのは、畑作物につきまして行政価格の同時期決定、それからパリティ方式による価格の算定方式を統一をするということを、五十年の秋、大豆とか、あるいはバレイショ、カンショ、ビート、キビというものについて行ったわけでございます。五十一年にも引き続きその線に沿って価格を決定したわけでございます。
 なお、長期的な検討といたしましては、その価格政策の検討を行います場合の判断材料を整備するという意味から、統計調査の改善整備にまず着手する必要があるというふうに考えまして、生産費調査におきましては、家族労働評価の基準を実態に即して改善をするということで、これまでとっておりました農業日雇い賃金を生産費の場合農業労賃の評価に、基準にとっておりましたのを改めることにいたしまして、その地域の一般労賃を生産費の中に織り込むというように改めたわけでございます。これは五十一年より実施をいたしておりますので、これが政府が決めます行政価格に反映されますのは――反映されると申しますか、参考にして用いられますのは、この三月からの畜産物の価格決定並びに生糸の価格決定の際に参考資料の一つとして用いられるということになるわけでございます。他の作物につきましても、今後その結果が活用されることになるわけでございます。
 さらにまた、価格政策を検討いたします場合に、中核的な農家の所得確保にどの程度の効果があるかということも大きな検討項目の一つになるように考えまして、農家経済調査の農家の選定がえをこれは五十一年に行いまして、それに基づきまして標本数もふやしまして、五十二年から調査に入っておるわけでございます。
 そのような技術的な問題、統計調査に関する技術的な改善につきまして検討委員会におきまして検討をしたところでございますが、その後昨年の冬と言いますか、十二月から検討委員会につきまして内部で改策的な観点からの検討を深めることにいたしまして、現在農林省内の部長、審議官クラスのところで資料の整備並びに論点の整理から具体的な検討に入っておるところでございます。先ほど大臣がお答えいたしました米審におきます麦価の算定方式の小委員会における検討に際しましても、当然省内の価格政策の検討委員会におきましても議論をしながら資料の提出をし御審議をお願いをしておる、こういう経過になっておるわけでございます。
#30
○鶴園哲夫君 三十五年以来と言ってもいいんですが、日本の農業が撤退縮小作戦をとっておるその一つの象徴として、農作物の価格政策というのがあらわれておったわけですが、したがってここで農業の国内における農業生産力を高める、あるいは農業の総生産を上げていくという段階になりますと、いまいろいろ官房長の方からもお話がございましたが、価格政策というものを従来とはやはり変えていかなきゃならない。
 その場合に、私がいままでの経緯から心配いたしておりますのは、米の値段というものを押えながら、低くしながら、そして畑作物その他との均衡を図ろうという考え方がうかがえてしようがないわけですが、そういうことでは困るんです。とにかく、この価格政策が今後果たすべき役割りというものは非常に大きいわけですから、ぜひひとつ従来とは違った考え方でこの価格政策には臨んでいただきたいというふうに思います。
 あと時間が少なくなりましたので直接の問題に入りますが、いま官房長からお話のございましたように、農産物の生産費調査の中の家族労働報酬というものを、労賃というものを変える、これは非常にある意味では大きな意味を持ってくるだろうと思うのです。それがことしの三月から適用する、つまり繭、それから畜産物ということになるわけですが、それでいま当面しております繭あるいは基準繭価、これにつきまして養蚕農家というのがどんどんどんどん減少してまいりましたことは御承知のとおりでありますが、四十七年度は三十三万戸あったのですけれども、ついに五十一年には二十二万戸というような形の急速な減り方をしている。さらに、桑園面積がこれがまた四十七年に十六万ヘクタールやっていたやつが、十四万ヘクタールというふうに桑園面積がまたさらに落ちる。さらに、生産量も十万トンというのが続いておったのですけれども、さらにこれが五十一年になりますと九万トンを割っちまうというような状態になり、繭の生産そのものも低下をしておる。さらに悪いのは、十アール当たりの蚕繭量がこれがまた低下してきている。かつては七十一ぐらいあったものが六十ちょっとぐらいというところに落ちてしまうというような意味で、養蚕業というのはその意味では統計数字自身を見ましても非常なところに来ている。そこへもってきまして機屋の在庫が多い、さらに蚕糸事業団の在庫が多い、需要がなかなか思うようにない、こういう状況ですね。ですから、機屋にいたしましても、製糸にいたしましても、養蚕農家にいたしましても、大変な時代だ。直接いま問題にいたします養蚕農家にいたしましても、これは浮沈の瀬戸際、本当に衰退していくかどうかという境目にあるのじゃないかというふうに思うわけですが、その場合に重要なことは二つあると思います。
 一つは、生糸については一元輸入ということになって、とにかく生糸についての輸入というものはある程度抑制をされている。しかし織物として、あるいは撚糸としてこれが入ってくる、非常に量がふえてくるという状況ですね。そして在庫になっているものが、そういう質の悪いものが在庫になっておるというような形になっておりますから、一つは撚糸及び織物についてやはり適当な規制をする必要があるというふうに思うのです。その規制の仕方というのは行政指導になるのでしょうが、何らかの形でこんなふうにめちゃくちゃに撚糸が入ってくる、あるいは織物が入ってくる、それが在庫としてたまってしまうというようなことでは、非常に養蚕農家としても大変だと思う。それが一つ。
 もう一つは、繭の価格というものを、やはり生産費を償う考え方というものを持ってもらわなければならぬというふうに思いますね。繭の生産の六〇%を超すのが労賃になりますよ。ですから、労賃を先ほどお話のありましたような評価がえをするということになりますとこれは相当上がるのではないか、ある程度上がるのではないか。いま養蚕の関係の人たちがキロ当たり二千百円という要請をしておられるわけですが、ほぼそういった数字になってくるのじゃないかというように思います。
 ですから伺いたいのは、一つは、撚糸、織物に対する韓国、中国との規制の問題です。もう一つは、基準繭価の問題についてお尋ねしたいと思います。
#31
○政府委員(堀川春彦君) ただいまお話のございました外国から輸入する生糸の製品の輸入の問題でございますが、これは織物にいたしましても、それから撚糸にいたしましても、通産所管物資ということにはなっておりますが、国内の生糸の需給関係、繭の需給関係に大変大きな影響のある問題でございますので、私どもといたしましては通産省と終始緊密な連携をとりまして、これが輸入が秩序化されまして、国内の生糸並びに絹製品の需給に悪影響を与えないように入ってくるということを主眼といたしまして、いま先生も御指摘のございました中国、韓国がわが国に対する輸出の大宗国でございますので、昨年の春から二国間協定をこれらの国々と結びまして、秩序化に努めてまいったわけでございます。
 撚糸並びに織物の輸入の問題については、もちろん行政指導もございますが、法的な根拠といたしまして、貿管令に基づく輸入の承認なり許可制あるいは輸入組合の結成による輸入の秩序化ということをやっておるわけでございまして、私どもといたしまして昨年一年の経過を見まして、この四月から迎えます新年度の輸入につきましては極力織物の形で入ってくるものを何とか減らせないか。次には、糸の形態で入るものにつきましても、生糸につきましては、先生御指摘のように、事業団によります一元輸入によって調整をすることが可能でございますが、より糸、撚糸の関係につきましては、これは直接事業団がタッチをいたしませんので、したがいましてこの関係については、できるだけ糸類の中で入れるならば生糸の形で入れるという方向で、過般来韓国並びに中国と話し合いを進めているわけでございます。まだ結論に到達はいたしておりませんが、国内の生糸並びに絹製品の需給にできるだけ悪影響を与えないような秩序ある輸入を実現をしたいと考えております。
 第二点の、今回三月末ごろに審議会に諮りまして行政価格の決定をしたいと考えております基準繭価なりあるいは基準糸価の問題でございます。これにつきましては、先ほど来御論議のございますように、こういった行政価格の決定に際しまして基礎になりますところの生産費の関係については、生産費調査のやり方が官房長から御説明があったとおり変わっておりますので、そういったつまり基準糸価につきましては生糸の生産条件ということになるわけでございますが、それの基礎にあるそういった生産費の問題について十分新たな調査結果を参酌をいたしまして、そうして一方先生の御指摘にもございました絹製品の最終消費需要というものが大変落ち込んでございます。そういった需給事情なりその他の経済条件、こういうものを勘案をいたしまして、適正な価格決定に努めてまいりたい。私どもとしては、基本的には昨年の夏に蚕糸業振興審議会の方から御提言のございました繭の生産増強という方針が出ておりますので、昨年は天候のぐあいもございまして、九万トンを割るところの繭生産量になってしまいましたけれども、初秋蚕、晩秋蚕の関係等では意欲がかなり戻ってきておるということもございますので、来年度のいろいろの施策、奨励施設をも講じまして、それらの施策とあわせまして、ひとつ繭の生産を国内においてもう少し伸ばしたいということで意欲的に取り組んでまいるつもりでございます。
#32
○鶴園哲夫君 次に食肉価格の安定の問題なんですが、畜産局長も意見を述べられておりまして、私どもも新聞で承知をしました。あるいは大蔵省の主計官ですか、農林省担当の主計官も何か意見を述べていましたですね。競って全く同じような内容で、生産は非常に安定をしているし需要がなかなかだと、そこでいまや価格の問題よりも構造改善の時期だと、こういうような話で、局長の話と大蔵省の話と一致しておるわけですが、余り一致してもらっちゃ困る点があるんですけれども、しかしそういうふうな一致した形になっているわけですね。
 そこで、私は実はこの間、畜産振興審議会のえさ部会に出されました資料を見まして実はちょっとばかりびっくりしたんですけれども、それは牛が二百万頭を超したんですね、肉牛が。これは驚いたですね、いい話だと思ってですね。とにかく四十年に一挙に二百万頭台に落ちましてね、二百万頭というふうにがた落ちしちゃって、畜産局を震駭させたわけです、当時は。大変だったわけです。それが百八十万頭台、さらに百五十万頭台まで落ちまして、そうして百八十万頭という台がずっと続いたわけですね。私も、百八十万頭ぐらいなもんかなと思ってそういう認識でおったんです。もらった資料を見たところが、いや五十二年の一月は二百七万頭だと言う。これは肉牛にとっては大変な喜びですよ。そして、来年の二月一日には二百十三万頭になると言うんですね。これは局長ね、この勢いというのは伸ばさなければいけないと思いますね。それは大変なものですよ。ところが、伸ばさないで水ひっかけようというんですから、これはいかぬですね。何か二、三%じゃないかと、引き上げは。水ひっかけるんですよ。これは大変な勢いになってきたし、いい話です。農業の中で全く明るいのはこれですよ。これを見まして驚きましたね。私、ほっとしましたよ。これは明るいですな。どういうことなのか、つまり二、三頭飼いという、あるいは三頭ぐらいしか飼ってないようなところの農家がふえてきたんじゃないかと思いますけれども、とにかく二百万頭超したと言うんですね。これは畜産局の長い間の悲願じゃなかったんですか、この二十年来の。それがいま二百万頭超したんですから、これはりっぱなものだ。それに水ひっかけちゃいかぬです。私はこれは構造改善じゃなくて、これを伸ばす方向に持っていってもらいたい。これは「総合食糧政策の展開」の中でもはっきりうたっていますように、今後の畜産というのはこの国内の資源というもの、それを使った、つまり草飼料ですね、草資源を使ったそういう畜産というものを伸ばさなければならない。特に肉牛というものを強調していらっしゃるわけですね。二十年間の願望の二百万頭になったんですから、構造改善どころの騒ぎじゃないですよ。いまや構造改善しよる、農家は黙っておったって。値段を少しよくしてもらえばぐっと行くわけです。そして、御承知のように、昭和六十年をもうそこに目の前に控えているんだと。あの長期目標によりますと、これが一番伸ばすことになっているんですね。これは幾らになっているか、三百三十万頭にすることになっているんです。ぼくは、これは夢のまた夢だと思っていたんですよ。どうも行きそうです、この状況だと。それで一八六%にふやす。絶対水かけてもらっちゃいかんです。いまは。願望だったはずです、これは。だから、水かけないでもらいたいですね。いまさら牛の構造改善なんてしようがないですよ。二頭飼いか三頭飼いしかそんなにふえないです、これ。ふえたような牛というのは本物じゃないです。いま私は回ってみまして、百頭飼っている、千頭飼っているという家ありますよ。みんな農家に委託しているんです。牛小作ですよ。本当に飼っているのは三頭、四頭飼っているやつ、これが肉牛を支えているんですよ。副業経営で、これは見るとありがたい感じですね、この農家を見ると。ぼくは肩をたたいてほめていくんですよ。いや、あんた方おるから日本の農業というのは安全なんだ、伸びていくんだと、こう言うんですけれども、水かけぬでもらいたいですな。
 もう一つは、輸入をある程度抑えなければいかぬですね。というのは、この間アンカレッジで飛行機がひっくり返っちゃった。墜落して炎上しちゃった。何と牛が入っておったんですな、生きた牛が四十数頭。これが焼け死んだわけ。人間はもちろんそうですよ。それから、いまこの生きた牛を大変な勢いで輸入するそうですね。ことしはこの半期だけで五千頭か何か、一万頭ぐらいの要望があるんじゃないですか。私は、動検に当たっておりますというと、できると言うんだ、二万頭ぐらいは。五日間でいいと言うんだ、屠殺するやつは。ですから、二万頭ぐらいの処理ができると言うんですね。そうなりますと、これはいま割り当てていらっしゃる八万五千トン、これ以外に生体で入ってくる量というのは、これは一頭六百キロとしましても生肉としては三百キロぐらいになるんでしょうが、それにしましても、一万頭来ますとこれは三千トンという数字になりますわな。二万頭で来ますとちょっと一万トン近いものになってくる。生体輸送というようなものは、これはある程度関税をもう少し何とかするとかして輸入というものをある程度抑えて、そうして六十年の三百三十万頭、一八六%というところへ持っていかなきゃならぬだろうと。それからもう一つ、乳牛がふえたのがいいですね、これも。これは畜産局の願望だったんだけれども、酪農がふえまして百九十万頭になったんですな。これも百九十万頭台に乗ったなんというのは、とにかく四十八年から百七十万頭ふらふらしておったんですからね。それが百九十万頭になって、来年の二月一日にはさらにふえて百九十六万頭になると、こういうわけでしょう。これはいい話ですよ。ですから、これも草資源という関係で、これは六十年の長期目標では二百五十六万頭と、一四一%ふやすという状態ですね。ですから、これはひとつ水をかけないでもらいたいですね、構造改善だなんて言わないで。特に肉牛の場合は、もう構造改善なんと言って騒いで幾らやったって、三・何頭からそんなにふえないですよ。それで、私が言っておりますように、歩いてみて五十頭飼っている、百頭飼っているとか千頭飼っているという人は、全部これは牛小作に出している。月給払っているわけですよ。こういう状況でありますから、この牛の問題について二つですね。先ほど申し上げました牛の――牛は一頭当たり労賃というやつは小さいですからね、六%ぐらいですから、小さいですから、これは労賃をひっくり返してみてもどうもしようがない。これはえさがでかいのと、素畜がでかいですからね。これはまた低いことになるんだろうな、これ。これじゃ、水をかけることになりますわ。何とかこれを伸ばす方向へ努力をしてもらいたいと思いますね。構造改善なんて言わぬこと。農民なんか、わかりませんよ。ひとつよろしく。
#33
○政府委員(大場敏彦君) 御指摘になりましたように、私、畜産物全体が伸びる中で、ことに牛肉は足りないわけであります。長期見通しでも一番の伸びを見ているものの一つであるというふうに思っております。需要が伸びて、生産を一生懸命伸ばさなきゃならないわけでありますが、それでもまだ供給が足りないという状況でありますから、生産に水をぶっかけるつもりは毛頭ございません。あくまで生産を伸ばすような形で、私ども政策の努力を続けていきたいと思っております。そのためには、価格政策もさることながら、それも重要な位置づけをしなきゃならないと思いますが、同時に生産対策あるいは需要増進対策、あるいは流通の合理化対策、そういった各種の対策をバランスをとりながら進めていきたいと思っているわけであります。いずれにいたしましても、今月末に来年度の牛肉の安定帯価格を決めるわけでありますが、それは肉牛の再生産を可能にするような形で、そういうことを旨として決めていきたい。現在、検討中であります。
 それから生牛の輸入の問題これはアンカレッジで飛行機が落ちたためにかなりショッキングな印象を世間に与えているわけでありますが、現在、昨年の実績は大体生体で二千七、八百頭であります。それが生肉に換算しますと六百トン未満でありまして、全体の需給の〇・二%にも満たない、こういうような状況でありますから、直ちにそれが需給に悪影響を及ぼすというような状況ではございません。しかし、スーパー等がいわば目玉商品的な形で、一種の品ぞろえ機能というものの意味でそれを入れているということがございますから、それにつきましては行き過ぎないように、厳重に注意、指導していきたいと思っているわけであります。
 まあそれと同時に、飛行機で一頭当たり七万五千円というかなり高い関税を払って、しかもそれで飛行機で持ってきて合うというようなことでありますから、ある意味におきましては別の御批判もあるわけで、それだけ国内の相場が高いんだという御批判もあるわけであります。ですから、そういったことも踏まえながら、そこにはやっぱり流通の合理化がまだ十分には整っていないということが絡んでおるわけでありますけれども、そういったことへの対策も踏まえながら考えていきたいと思っているわけであります。この問題は過熱にならないように、十分注意していきたいと思います。
#34
○鶴園哲夫君 いま局長ね、やっぱり大体この卸値、牛の行政価格がある程度上がったという感じを持たないと、刺激にならないんですね。これで三%だ五%だという話ではこれはとんでもない、大水ひっかけですよ。それで、今後の畜産の方向としましては、ブロイラーとか豚というものをそんなに伸ばす考えはないわけですよね、穀類食うばかりだから。国内の資源を使ってというこの肉牛とか、あるいは酪農関係を非常に伸ばしていこうというお考えなんですから、その場合にやはり価格というものはこれはある程度の価格も見て、そしてこれは農家がやろうという気にならなければいけない。肉牛で言いますと、三・九頭ぐらいなんですよね、一戸当たりの経営の規模というのは。まあこれは、私は現実の農家というのはもっと小さいですよ。二、三頭ですね、飼ってますよ。それが集まって二百万頭超すようになっちゃった。こんなめでたい話はないんで、絶対に水をかけないように。ところが、輸入やその他で二割ぐらいはやっぱりこう水突っ込むんですな。輸入してきて、大体二割ぐらい水突っ込むんですね。将来の、六十年度の自給率というのも大体八割ちょっとぐらい、やっぱり二割ぐらいというふうに考えていらっしゃるようだが、そうじゃなくて、やっぱり二百海里の問題でこれから水産業大変ですよ、あれ。私は、二百海里問題で、六十年度の見通しというのを変えなければならぬだろうと思ってますね。ここで変えなければならぬだろうと思う。その場合にやっぱり担うのは、どうしても畜産というのが担っていかなければならぬわけであって、そういう場合の畜産について一番必要な肉牛なりそういうものが、あるいは酪農関係というのが、草資源を使ったこういうものが伸びていくという方向に対しては、先ほど局長がおっしゃいました水をかける意思はないと言うから幾らか安心もしますけれども、外へ漏れてくる値段はみみっちい話しか出てこないものですから、大変に心配をしているんです。ある程度まで出ないと、これは農家としてはどうも納得できない。せっかくなってきたんですから、これは。二百万頭超すというのは畜産局のこれは願望ですよ、二十年来の。相当な勢いですね、これは。大変いいことだと思いますから、よろしく。
 あと大臣に。まあアメリカとの二国間協定。漁業の問題で、二百海里の問題で、ソビエトで三月一日の直前に大臣が行かれたりして大変御苦労だったと思うんです。そこで私は、南方、南半球の問題について手おくれのないように、ぜひひとつ努力を願いたいと思っております。どうも余りにもアメリカの方へ手がかかり過ぎちまって、ソビエトとの関係が手おくれになったんじゃないかという気がしているものですから、ですから、南半球の問題についても手おくれにならないようにぜひ積極的な努力を願いたいということと、もう一点は、高度回遊魚、マグロとカツオですね、この高度の回遊魚については、これは国際的な管理をするという考え方が国連の海洋法会議でも出ているわけですけれども、どういうふうに考えていらっしゃるのか。アメリカとの二国間協定の場合には、この高度の回遊魚についても二百海里の規制以外にあるというふうに聞いているんですけれども、どういうふうに管理される考え方を持っていらっしゃるのか、それをお尋ねします。
#35
○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連との交渉、これが対応がおくれたのではないかと、こういう御指摘でございますが、御承知のように、昨年十二月の十日に最高会議幹部会令が出まして、その政令とも言うべき閣僚会議の結論が大幅におくれました。なおまた責任者のイシコフ漁業大臣が、ノルウェー、EC等の交渉のために二月の二十七日までモスクワを外にいたしておりまして、そういうような事情等もございましたので、二十八日にようやく私とイシコフ漁業大臣との会談が行われて、そして今後の日ソ漁業関係についての対応の仕方、これからの会談の進め方、そういう基本的なことで合意をいたしたわけでございます。ああいう国柄でございますので、なかなか開かれた国と違いまして交渉が意のままにいかなかったという点は残念に思うわけでございます。
 次に、高度回遊漁、マグロでありますとか、あるいはカツオでありますとか、カジキでありますとか、そういう魚種につきまして、御指摘のように、アメリカは高度回遊魚はこれは二百海里規制内の対象にしないと、こういう方向を打ち出しております。しかし、これに対しましてお隣のメキシコ等は、これも二百海里の中の指定魚種である、国によりましてこの対応がいろいろ違うわけでございます。私どもはやはり魚種の性格上、これは国際的な共同管理のもとに置くのが正しいと、こう思っておりますけれども、こういう点は、今後海洋法会議等でも十分わが国の意見というものは強調してまいりたい。また、今後二国間交渉等におきましては、そういうラインで交渉してまいる考えでございます。
 なお、これから豪州、ニュージーランド、パプア・ニューギニア等々、南方の諸国との問題もございますが、これにつきましては、すでにいろいろ接触もいたしておりますし、交渉のタイミングを外さないように十分注意をして対処してまいりたいと、このように考えております。
#36
○鶴園哲夫君 終わります。
#37
○大島友治君 農政の基本的な考え方といたしまして、大臣のお話も十分承ったわけでございますが、同時にこの所信表明の中で、やはり国民の生活の安定は、何といったって国民に対する食糧の供給の安定的なものを維持するということが、これ一番大事じゃないかということは御承知のとおりでございまして、それに基づいて大臣も日本の「総合的な食糧自給力の向上を図ることを国政の長期不動の基本方針とし、」というきわめて強い方向づけをしているということはまことに結構だと思うんでございますが、またそれを達成するためには、いわゆる高度経済成長の中で日本の農業というものが非常にゆがめられたり脆弱な体質になった。その体質を強固な体質、足腰にして、いまの目標達成に最大の努力を払う。まことに筋の通った私はお話だと思うんであります。
 そこで、食糧自給力の向上ということは、あくまでもかつて昭和四十七年のいわゆる世界的な天候異変に基づく食糧問題の日本における影響、あるいはまた続いて四十八年の石油ショックということから出まして、日本のあくまでも食糧確保、農業の体質改善と同時にこの問題が強く取り上げられたわけでございますが、そこで、幾ら自給度を高めていくと申しましても、これは米なり野菜なり、あるいは畜産物の一部は一〇〇%ということも期待できますが、それにいたしましても、畜産物もこれは間接的な結果の一〇〇%であって、基本的にはやっぱり穀物、いわゆる飼料というものを加えるというと、これは非常に外国依存度が高いということです。そうなりますと、やはり日本の自給度というものにつきましても、あくまでも限られた国土の利用の中における最大の生産ということと、最小限度の外国の輸入に依存すると、こういうのが基本的になると思うんです。そこで、やはり大臣が、ただいまのようなことからしまして、「一九七二年の世界的な不作を契機として逼迫基調に転じましたが、最近においては生産が良好で小康を得ているものの、在庫水準は依然として低く、さらに長期的に見ても、開発途上地域における需要の増加、先進国を中心とする畜産物消費の増大、農業生産の不安定性等を考慮すれば、予断は許されないものと考えております。」、こういう文句がございます。
 私は、そこでやはり日本の自給度を高めるためには、国内のいわゆる最大の生産をどこに置くか、それから最小の輸入をどこに置くか、こういうところに焦点をしぼっていかなければならないんです。そのためには、やはり輸入の依存度というものについてはあくまでも世界食糧の需給というものの見通しを踏まえていかなければならぬと思う。そういう点からしますと、やはりこの気象に基づく生産の減少、あるいはまた人口の増加に基づく需要の増大と生産とのアンバランスというようなことから、一応つい一、二年前、この食糧の危機の問題が盛んに喧伝されたということでございますが、小康を得ているということと、まだ不安があるんだということの具体的な考え方、これを中、長期的な見通しについてどう一応お考えになっておるのか、ひとつお伺いいたしたいと思うんでございますが。
#38
○国務大臣(鈴木善幸君) 近年、アメリカあるいはソ連、カナダあるいは豪州、その他の主要農業国におきまして、気象条件にも恵まれまして、小麦あるいは大豆、その他飼料作物等の生産の回復が見られておるわけでございますけれども、長期的に見た場合には、所信表明でも申し述べておりますように、人口も爆発的にふえてきておりますし、需要も拡大をしてきておるというようなことで、食糧の需給というのは、長期展望に立ちます場合にはなかなか予断を許さない、楽観できない、こういう私は認識を持っておるわけでございます。また、たん白食料の過半を賄っておりますところの水産物につきましても、二百海里時代という厳しい時代が現実のものとして到来をいたしております。
 そういうようなことから、わが国としてもこの食糧問題につきましてはいささかの楽観も許さない。何としても国民生活の安全保障の最低線を確保するのは食糧問題でございますから、食糧の自給度というものを向上することに全力を挙げなければならない、このように考えております。
 そのためには、何といっても日本農業の体質の強化を図る。また、農林漁業の生産基盤をしっかりしたものにしていく、さらにまた、農林漁業の担い手である農林漁業従事者、後継者の確保、これが非常に大事だと、このように考えておるわけでございます。
 そこで、わが国の食糧の自給率の現状でございますが、食糧用の穀物、これは七四%前後という状況下にあるわけでございますが、飼料作物、この大部分を外国から輸入をしておる。また、麦や大豆も一時大変落ち込んでまいりまして、最近ようやく回復基調に乗ったばかりでございます。私は、まずもってこの食糧用の主要作物の、食糧の自給率を着実に伸ばしていくという政策を進めてまいりたい。また、畜産の問題にいたしましても、草地造成その他えさの問題をやはり力を入れていく必要があると考えております。また、漁業の問題につきましては、日本列島周辺の沿岸、沖合いの漁業の開発振興、さらに栽培漁業等の積極的なてこ入れ、こういうことをやりまして、総合的な食糧の自給力を高めていくように最善を尽くしたいと、このように考えておるわけでございます。
#39
○大島友治君 ずっと一筋のいわゆる農業政策、特に自給率の向上のための対策としての方法論というか、お話になったようでございますが、私はただいま農林大臣が申されましたように、確かに自給度を高めるために基盤整備を当然これはやって、農業の第一条件である土地の整備ということはこれはもう絶対不可欠の条件でございますが、そういうことをやる、それを踏まえて、そして農業の担い手にまで通ずるところの考え方については全くごもっともだと思うんですが、そこで私はただいま世界の食糧の需給の問題ということに触れてお伺いしたいということも、やはり昭和四十七年の危機、四十八年の危機とこう続いて農業に大きな影響を来したときまでは、これは農業生産も過剰基調というようなことでありましたが、それ以来いわゆる不足基調というような状態に入りまして、ことに一昨年あたりから昨年にかけましては農業食糧の不足だというような声があって、農民も農業食糧の不足だということがあるならば農業の生産についてはすべて前向きに政策はとられていいんじゃないかというような感じを持った。にもかかわらず、相も変わらず米の生産調整の問題、名前こそ水田総合利用には転換いたしたものの、本質的には同じだというようなこと。さらにまた、これに拍車をかけるような問題が続いて出てきたというようなことで、どうも農民としては、一体食糧の危機ということが言われながらもそこに思い切って農政の前向きな姿勢がないんじゃないかという非常な不安の問題が絡んできたんじゃないかということでございますが、たまたまこの前の一昨年定められました農産物の長期需給の見通しと総合食糧政策、この問題が具体的に表示されまして、非常にこれをとらえまして、何とかこれを目標に進むんだというようなことは、これは具体的な方法論としてはまことに農業者に期待感を持たせたと思うのでございますが、しからば、これらの問題について最も大事な自給度の進度というものはどうなっているかということもさることながら、基本的にはやはり農地の確保ということが一体どんなふうに進んでおるかということが一つの大きな具体的な証左になるんじゃないか。と申しますのは、やはり六十年をめどに壊廃も七十万ヘクタールであるが、前向きに開発するのは八十六万ヘクタール、差し引き十六万ヘクタールの農地は造成していくんだというような計画もございましたが、絶対的な面積といたしましてもこの実績がどのように来ておるかというふうに私どもがちょっと調べた中では、四十七年の五百七十二万九千ヘクタールというのが五十一年には五百五十三万六千ヘクタール。どちらかというと、むしろこれば三・四%減少をしておる。だから計面というものは、むしろ前向きに増加していくというふうな目標を持ってやっておるわけでございますが、逆に減ってきておるというふうなこともございますが、この辺をどう踏まえてあの六十年を目標とした計画を、まず具体的には一つの農地をとらえてもどう考えているのか。
 また、目標よりもむしろその方が伸びるんではなく、目標に向かって進んでいるんではなくて、むしろ後退しているというような裏づけも実際出ている場合に、あの計画を今後はっきりと見通しをもう一遍再検討の上に立てていくのかどうかというような点について、あわせてお伺いいたしたいと思います。
#40
○国務大臣(鈴木善幸君) 具体的な問題につきましては担当局長の方から御説明いたしますが、この長期計画の達成、これが昭和四十八年以降石油ショックによる総需要抑制政策によりまして停滞をいたしておりますことも御指摘のとおりでございます。
 予算の面におきましては、おおむね五十二年度の予算を含めまして四〇%程度の確保になっておるわけでございますが、今後いままでの平均伸び率の一五・二三%の伸び率でまいりますれば、計画年次には予算額としてはおおむね達成できると、こう思いますけれども、その後における工事費等の値上がりによりまして、実質面積の達成というものはなかなか容易ならぬ段階にあるわけでございます。私ども、今後経済やまた物価、賃金等の安定の時代に入ると思いますので、それを踏まえまして実質的な面積の達成にも全力を尽くしてまいりたいと、このように考えております。
#41
○政府委員(森整治君) 確かに先生御指摘のように、一応六十年見通しと土地改良の長期計画があるわけでございますが、一応土地改良長期計画で投資実績を見てまいりますと、いま大臣がお答え申し上げたとおりでございます。
 もう一つ大きな要素は、やはり壊廃の方がはるかに進んでおるということが、現実として私ども非常に頭の痛い問題になっているわけでございます。ただその中でも、やはり壊廃の中でも宅地、工場、まあそういう需要というのは相当最近は下がってまいっておりまして、壊廃全体を見ましても四十年代の前半に近い、そういう状態になっておりますから、まああと大臣お答えのとおりに、農地の造成につきまして全体の予算額を相当確保してそれの振り向けに努力をするということが先決の問題ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
#42
○大島友治君 ただいま大臣の方から、私どもが六十年目標の長期見通しにつきましては、やはりあれは積極的に八十六万ヘクタールという農地を造成していく。反面、壊廃が七十万だから差し引き十六万の純増になるというような、それに基づいての六十年の計画になっておるわけなんですが、大臣が申されましたいわゆる土地改良の四十八年から実施している十カ年計画とは、これはまた圃場整備なり灌排事業なり、そういう土地改良事業に結びついたあれは計画だと、こういうふうに若干私の質問とちょっと違ったんじゃないかと思います。
 そこで、やはり私は、需給の長期見通しのやつですね。それで、需給長期見通しの中での農地の造成の問題ですから、やっぱり農地を造成して経営規模拡大を図って、そうして生産を向上さして自給度を高めていくというところにあれは結びつくものだろうというふうに理解しておるわけですが、そういう点で、六十年を目標としたあの計画をもう一遍見直す必要があるんじゃなかろうか。まして、今回の二百海里の問題からして、たん白給源が大いに今度畜産の方に依存度が高くなる。そうなると、粗粒穀物の自給ということもどう踏まえていくかという問題にもこれは必ず結びついてくる問題で、これは大きく私はあの長期見通しの計画を検討しなきゃならぬ要素じゃないか。ただ、あれをあのままにしておいて私は政策を進めるということについては若干これは問題があるんじゃなかろうかというので、その点をお伺いしたいと思います。
#43
○政府委員(澤邊守君) 六十年見通しの際の目標としております農地の造成、壊廃、その差し引きで十六万ヘクタールふえるという目標に対しまして、その方向に動いていないということから見直すべきではないかと、こういう御趣旨の御意見であるわけでございますが、私どもといたしましては、六十年見通しは御承知のように五十年の五月に定めたばかりでございますので、まだ始まってからほんのわずかということでございますので、先ほど大臣が申し上げましたような六十年見通しに向かって最大の努力をするということで、できるだけ接近するのに力を尽くしたいというように考えております。
 それからまた、水産物の漁獲高が二百海里設定等に伴いまして減少することに伴い、それに代替すべき畜産の振興を図るという意味からも農地の開発を促進すべきではないかと、こういう御意見であるわけでございますが、この点も御趣旨はわからないわけではないわけでございます。当面、外交努力によりまして、できるだけ海外の二百海里水域での漁獲の確保に努力するということでございますし、また沿岸漁業、養殖漁業等の振興によりまして、水産の中におきまして遠洋漁業で減少する部分を補う努力をするということも最大の力を注ぐ考えでおりますので、その辺、まだ今回の新しい海洋法秩序に基づきます漁獲量の減少というもの、それをどこまで補えるかということにつきましては見定めがたい要素がかなりあるわけでございますので、いましばらく現在の目標を前提にして努力を続けていきたいというふうに考えております。
#44
○大島友治君 重ねてその問題につきまして、五十年に立てたばかりであっていますぐというわけにはいかないが、しかし、今日になって大きな見直すべき要素は発生していると思うんでございます。と同時に、私も一昨年あの問題につきまして、やはり十カ年という計数的なものは出ておるけれども、あれに対する年次的な積み重ねが行われておるかどうかというような点については、そこまで行ってないというようなことでございましたが、やはり年次計画的なものを積み上げたものであってほしいということは私も前から要望しておりましたことと、それからもう一つは、やはり日本の地域における生産というか、計画生産というものが立案できるようなやはり計画をひとつ考えてほしいということでございますが、この問題につきましては、地域生産の指標というものについてはこの前も御質問いたしましたが、これは非常にむずかしいんだということではございますが、今日コンピューターの時代でもございますので、流通にも結びつけることにいたしましても、やはり計画生産というものが地域性を持っておらないというと非常な問題を生ずる、農家経済に及ぼす影響もこれは大きい問題が出てくるということも考えられるので、そういう点からしましてもこの長期計画についてのいわゆる年次性と、それから地域生産計画というものをどう考えていくかという点について、念のためひとつお伺いしたいと思います。
#45
○政府委員(澤邊守君) 二点のお尋ねでございますが、最初の年次別の計画をそれぞれの作物にという御趣旨かと思いますが、樹立をして推進を図るべきではないかという点につきましては、私どもの方といたしましては六十年見通しといいますのは長期にわたるガイドポスト、目標というように考えておりますので、必ずしも各作物につきまして一斉に同じように年次別あるいは中間年次を設定してつくるということは、できれば結構なことだと思いますけれども、農業生産はそのときどきの気象条件はもちろんでございますが、経済条件によっても大きく振れが生ずるものでございますから、必ずしも一斉に同じようにつくるという必要はないのではないかというように考えております。もちろん、個々の作物につきましては、必要なものについては随次年次的な計画あるいは中間的な中間年次を目標とする計画をつくっていく必要があると思います。その意味では、たとえて申し上げれば麦あるいはビート等につきましては一応中間的な目標年次を設定いたしまして、それを目標にして増産を図っていくというようなことをやっておるわけでございますが、他の作物につきましても必要なものについては、今後さらに検討をしてまいりたいというふうに思っております。
 それから地域別の指標をつくるべきではないかというお尋ねにつきましてでございますが、この点につきまして端的に申し上げまして、かつて数年前にも同じようなことを試みたことがあるわけでございますが、国全体でのナショナルベースでの目標と作物別の目標とそれを地域別あるいはさらに細かく府県別に目標を設定するということになりますと、農家なりあるいは市町村なり都道府県の意向を無視して上から割り振るというわけにはまいりません。そこで下からの積み上げといいますか、現地からの積み上げ的な作業もお願いをしてやらなければいけないわけでございますが、どうしてもそこの間に食い違いが生ずる。一番問題になりますのは、米の生産をどの程度にするかということにつきまして、国全体の需給からする目標数字と農家の段階から積み上げましたつくりたいという意欲に基づく目標数字というのにかなりのギャップが出てまいります。したがいまして、他の作物についても同様なギャップが波及的に出てこざるを得ないという点があるわけで、種々努力はしておりますが、なかなかつくりがたい点があるわけでございます。現在もさらに新しい方式も検討しながら内部作業としては続けておりますので、成案が得られ、また下からの現地からの積み上げ数字とうまくマッチするというような段階に至る自信ができますれば、そういうものを作成をしてまいるというふうにしたいと思っております。
#46
○大島友治君 その問題は承っておきますが、まあひとつ今後とも努力していただきたいと思います。
 なお、先ほど農地造成の問題と絡めまして、大臣の方から土地改良十カ年計画の問題について触れられたと思います。私、その問題を改めてお伺いしたい。時間が余りありませんので細かい点は別といたしまして、先ほどの土地改良の十カ年計画について、金額的には大体目標を達せられるんじゃないかというようなことでございますが、金額につきましては、まさに昭和四十七年の当時の事業量と金額とそれを五十一年なりに比べてみますと、金額こそ倍近くにはなっておりますものの、当時の事業分量にさえ到達できないんじゃなかろうかというような程度に、事業量と金額では大変な開きが出てきているのじゃないか。問題は、やっぱり農家といたしましても計画年次が三年なり五年、七年となっているのが、二倍、三倍と年数がたっていくということが非常に不安を持っておりますし、経営基盤の条件が整わないということで、土地改良事業そのものにも問題が問題を生んでおるというようなことで、大変複雑化してきておるということでございますので、とにかく金額もさることながら、やっぱり事業をいかにして縮めていただくかということについて最大のひとつ努力をお願いいたしたい。これが一番、金額の伸びよりも、私は事業を伸ばしていわゆる年次を縮めてもらいたい、これなんですが、これについて大臣の御意見もひとつ承りたいと思います。
#47
○国務大臣(鈴木善幸君) 大島先生の御意見と全く私も同感でございまして、何とかして金額の面だけじゃなしに実質的な面積の造成確保に全力を尽くしたい、今後そういう方向で積み上げていきたいと、こう考えております。
#48
○大島友治君 これらの問題が、基盤整備の問題ができるだけ早く促進されるということが、やがては農業経営の確立であるし、同時に問題になっております後継者なり、あるいは中核農家として農業に対する意欲を持ってくるということにこれは当然結びつく第一の要件じゃなかろうか。そういう点からして、大臣ぜひともこの事業量の促進を本当に図っていただきたいと、こう私は思うんであります。
 これで終わります。
#49
○青井政美君 わずかの時間を二人が分け合うというようなことで大島先生にも大変御迷惑をかけたと思いますが、私は大臣に、特に災害、冷害、御承知のように、昨年は十七号台風以下全国の農村に非常に厳しいものがございまして、また御承知のように、異常寒波による災害が非常に厳しいわけでございまして、特に農産物の被害という問題では、大臣初め関係の方々、非常に御努力もいただいておると思うのでございますけれども、現実の問題といたしますと、やはりこれに対しまする天災融資法の問題なり、あるいは資金枠の問題なり、いろいろ今後の農業を振興するために地帯的に非常に問題があるのじゃないか。雪の被害が、解けなければ被害がわからないという状況の中で、西日本の再生産に努力する農民の不安というものは、漁業と言わず、農業と言わず、畜産物と言わず、すべてのものに非常に大きな影響があるということでございまして、やはり部分的には御指定をいただいたようなものもございますが、非常に多くの問題がございます。
 いま一つ大きい問題といたしましては、いわゆる果樹産業のミカンの関係が、御承知のように、なるべく競合を避けたいということで新品種の導入等によりまして、高接ぎその他等いたしましたのが今回の災害では全部全滅をしたという状況でございまして、この問題を考えてみますときに、やはり国の施策に協力をして仕事を進めてまいったが、また今回の高接ぎが全滅をした。これは農業の努力の中ではなく、いわゆる自然の条件の中でこのような状況が重なるという形のものがございます。また、十七号台風による災害と今回の寒害が二つ重なるという複合災害という状況でございます。このような形のものが、やはりいままでの諸法律の中から考えてみますときには、非常に救済しがたい問題があるわけでございまして、やはり法律の運用なり解釈なり、さらに地域の住民が安心してやれるような諸施策というものを特にお考えをいただきたいということを思うのでございます。
#50
○国務大臣(鈴木善幸君) 昨年来、異常気象によりまして各地に大きな被害が出ておるわけでございます。また、そのほかに、水害、豪雪、いろいろの災害が相次いでおります。特に、西日本関係の柑橘類その他の果樹に対する冷害、異常気象の被害、これは相当深刻なようでございまして、私の手元に地方農政局あるいは各県からの被害の状況の御報告によりますと、二百数十億を超えるだろうと、こういう報告もなされておるわけでございます。一方、豪雪地帯につきましても被害が出ておるわけでありますが、これから融雪期を迎えましてその被害状況が顕在化してくるであろう、こう予想いたしております。
 私はしかし、豪雪とは切り離しても、西日本の柑橘類その他の異常気象による被害、これにつきましては早急に対処する必要があると、こう考えておりまして、天災融資法の適用の問題、それから今日まで融資等をやりました制度金融の償還延期の問題、総合的な冷害対策としての措置をできるだけ早い機会にこれを措置してまいりたい、このように考えております。
#51
○青井政美君 時間がございませんので、実はその次にOPPの問題について大臣の見解と今後の運用についてお尋ねしておきたいと思うのでございます。
 レモン戦争日本、米に負ける、あるいはOPP使用きょう諮問するというふうに新聞が取り上げておるわけでございます。この問題は、五十年の六月に当時の田中厚生大臣にこの委員会にお出ましをいただいて、やはりこれの運用とやり方によると日本の果樹産業は全滅するという問題について御提言申し上げ、善処をお願いをしたのでございます。最近、厚生省のお話を伺いますと、いわゆる厚生大臣から食品衛生調査会の委員長あてに諮問を出されておるということでございます。その内容につきましては、いわゆるOPPというオルトフェニルフェノールという問題とナトリウム塩の諮問のようでございます。特にこの問題が、やはり長期保存ができるということには、確かにそのとおりじゃないかと思います。残留農薬研究所の結論は聞いておりませんが、大体可となるかのようなお話を伺っておるのでございます。
 ただ、二年前になぜこの問題を取り上げたかという関係は、私自身もアメリカへ参りましてその他の関係で出てまいったわけでございまするが、やはりよろしいという状況の問題ではございません。しろうとの批判の問題もございます。今回は、特に輸入業者の申請でこの問題を出されておるということでございます。具体的に申し上げますならば、生産者か消費者が必要とするために研究の結論を出すという御諮問をなすったのじゃなくて、輸入業者というものがやはりそういう提示を厚生大臣にせられ、その諮問を諮っておる。無論これから研究をし、その結論が出るためには若干の時間がかかろうかと思うのでございまして、私は一億の国民というものがより豊かな内容のために必要とするものでございますならば、多少の問題があっても入れようということも一つの考え方でございましょう。消費者サイドで考えますとそういう問題にもなりましょう。あるいはまた、生産者団体からノーだという答えだけを選ぶということも、ある意味においては生産者エゴと言われるかもわかりません。が、しかし、消費者もいけないと言っておるのでございます。生産者もいけないと言っている問題でございまして、これが諮問が答申せられますと、将来の運用の問題においては、農林大臣と厚生大臣とがよくお話をいただきまして、日本の果樹産業が全滅するということのないような特に御配慮を願わなければならないというふうに思うのでございまして、私ども具体的に申し上げますと、巷間伝わる中では、いわゆる造船と鉄鋼とテレビを売らんならぬために農民が犠牲になるという状況でございますと、日本の農業というものは非常に厳しい試練の中で一億の国民を支えるために全力を挙げて努力をいたしておるというのが私は今日の実態だと思うのでございます。このことによりまして、やはり現在いろいろ諸施策を進められていただいておりますけれども、問題が残ってくる。今回これが適用せられるという状況になると、日本の果樹はどうするのかという問題もございますし、輸入する物だけにはつけるという状況では、果実というもののよさというものがどのように考えられるか。私どもはこの問題につきましては、やはり名城大学の花田先生からのデータもいただいております。この中に、いろいろなテストの中の結論を見ますときには、やはり普通の合成保存剤というものの使用はいわゆる果物の皮だけに影響するということでございますが、OPPの場合はやはり中の果肉にまでずいぶん入るという状況でございます。数字的にもちゃんと持っておりますが、時間の関係がございますので失礼いたしますが、どうしてもやはりこの運用が国際親善という名において日本の農業というものの、特に果樹産業に大きな打撃の当たらぬような形のものが、厚生省所管の問題でございまするが、特に大臣なり園芸局長さんなりは格別の御配慮を願って問題をやっていただけるようにお願いをいたしたいと思いますので、現在の時点ではまだ答申ができておりませんので御回答もむずかしいかと思いますが、お気持ちの御見解を伺っておきたいと思うのでございます。
#52
○国務大臣(鈴木善幸君) 最初に、農産物の輸入に対する私の基本的な姿勢について申し上げておきたいと思います。
 食糧の自給率を高め、また国内の生産農民諸君のその意欲に水をかけるような外国からの無秩序な輸入ということは絶対にこれは容認できない。国内の自給力を高めながらその足らざる分を補完的に輸入をすると、こういう基本的な考え方で私取り組んでおるわけでございます。したがいまして、EC等からもいろいろな要請があるようでございますけれども、私はいま申し上げたような基本的な考え方で対処してまいる考えでございます。
 OPPの問題につきましては、先生御指摘のように、これは厚生省の所管の問題であり、食品衛生上の問題でございます。これは国民の健康にも至大の影響をもたらす問題でございますから、慎重の上にも慎重にこの取り扱いはしなければならない。食品衛生調査会に諮問がなされておるようでございますけれども、アメリカ等からいろんなデータも届いておるようでございますけれども、いまお話がございましたように、国内の専門家等の御意見等も十分踏まえながら、これはひとつ慎重に検討を願いたいというのが農林省の考え方でございます。
 一時、OPPが防ばい剤として使われておるということがわかりまして、これに対する国民の不安が出まして、輸入量が相当激減したことがございます。しかし、その後、防ばい剤を使わないで、輸入がまた回復をしてきておるという状況下でございまして、私は日本の国民がこういう食品添加物なりあるいは防ばい剤なり、そういうものに対しては非常にシビアでございますので、そういうものが仮に使われましても、それによって輸入が急激に増加するというようなぐあいには実は考えておりません。しかし、事健康にかかわる問題でございますから、慎重にこれは取り扱うべきものだと、このように考えておる次第であります。
#53
○青井政美君 ただいま農林大臣のお話を伺いまして、ちょびっと安心をしたということでございます。今後の運用の問題は非常に大きゅうございますし、学術的に考えてみましても、従来ジフェニルという防ばい剤が認可になっておるわけでございまして、これを取り扱うのにも認可の諸条件のときにも幾らか不明瞭なものがあったというふうに伺っておるわけでございますが、いわゆる緑カビと白カビとの防ばい剤を使う場合にどのようになるかというようなデータも、まだ、専門家ではございませんが、少ないのじゃないか。一億の国民と、生産者、消費者が安心のできるような状況のもとに、この運用を特に希望しておきたいと思うのでございます。
 次に、大臣は御専門でございまして、私が要らぬことを言うことではございませんが、御承知のように水産行政の中では、やはり日本の食糧自給の問題から見ましても非常に大きな水産行政が、やはり今後沿岸漁業をどのような考え方で進めていこうか。いわゆる遠洋と沖合いと。沿岸は留守であったというふうな状況があったことは、否めない事実だと思うのでございます。まして、今後の海洋法会議その他等を考えてみますときには、やはりこの問題が非常に大きく考えられるわけでございまして、専門の大臣のことでございますので御答弁は要りませんが、特に沿岸漁業のためのもろもろの問題点をよくお考えいただきますことと、今回の災害によりまして、沿岸でやはり御承知のように、船から施設その他等の被害がかなり多くあるのがお集まりのことになっておると思うのでございまして、先ほど来の天災融資法と同じように、規模的に小さいとかという形のもので取り上げにくいということになりますと、その地帯の漁民は大変困るということになろうかと思うのでございまして、きめ細かい行政を特にお願いをしておきたいと思うのでございます。
 最後に、時間がございませんが、特に農産物の価格政策の問題についてお願いをしておきたいと思うのでございます。
 先ほど来、鶴園先生からそれぞれのお立場で御議論がございましたように、日本のこの十年来の農業の足取りを見ますときには、いかにうまく申しましても、やはり農家の人口が減り農業が少なくなった。しかし、機械化なり何なりの合理化の上において、計数的にはそれぞれの、お米の場合も、その他の生産水準というものが維持できている。が、しかし、それは農民なり漁民なりの犠牲の上においてようやく今日の生産量があるという状況にならざるを得ぬのじゃないか。端的に申し上げますならば、より合理化のために機械その他等導入いたしますときには、利子補給なり融資の手当てはございまするが、それを償却していくという方途は今日の農産物価格形成上の中にはいわゆるメリットとしてはないというのが今日の現状でございます。しかし、やはり高い、安いという価格形成上の問題点といたしましては非常にたくさんの問題がございます。これはやはり需給のアンバランスの問題もございまするが、私がここに特に強調いたしたいのは、以前の農民は、ある意味においてはやはり計算する農民じゃなかったかとも思います。しかし現在の農民は、やはり農業の合理化が進んで他の労働に出て自分の労働対価を評価して、そしてそれを農業に振り向けて計算をしてみるというところまで発展をしてまいりましたために、農産物価格というものは、畜産物の場合におきましても一般的な問題におきましても、やはり価格形成上におきまするそれぞれの算定の方法が違うという状況で、今日までお米の問題、繭の問題あるいは畜産物の問題、青果物、野菜の問題というふうに、それぞれのやはりよりどころによる計算をせられておりますけれども、農業労働評価というものはやはりいろいろ算定方式の差によって非常にアンバランスが出ております。このアンバランスも一つになれとは私も申しません。それぞれの理由はあると思いますが、一番低い価格と一番高い価格におきましては、実情に合わないような価格が計算されて、最終的にはそれがそれぞれの農産物価格ということになっておるわけでございまして、この辺の問題はやはり今後農業労働評価というものをなるべく一時間当たりの単価において縮めていただくような御配慮を、それぞれの作物別に御配慮を願いたいと思うのでございまして、最後でございますが、特にこの問題をお願い申し上げておきたいと思う次第でございます。
#54
○国務大臣(鈴木善幸君) 農産物の価格の問題は、今後の自給力を向上させる上からいたしましても、また農産物の需給と長期見通しに基づく総合的なバランスのとれた生産を進めてまいります上からいたしましても、非常に重要なウエートを持っておると私も認識をいたしておるわけでございます。
 政府において、お米だけでなしに麦もつくってほしい、大豆もつくってほしい、あるいは柑橘類等もつくってほしいといろいろの国民的な要請があり、その目標を立てておりましても、しかし末端の生産農民の側におきましては、御指摘のようにやはり有利な作物を選択をする、こういうことにならざるを得ない、こう思うわけでございます。したがいまして、この必要な作目の総合的な自給力を高めてまいりますためには、どの作目を選んでも適地適産で有利な営農ができるというような価格政策を含めて環境と条件を整えてやるのでなければ、なかなか転作等もうまく進まない、こう私も認識をいたしておるわけでございまして、そういうような角度から農林省の価格検討委員会におきましては、相対価格につきまして十分配慮してまいる考えでございます。
#55
○粕谷照美君 私は、大体、農業後継者の問題と農村婦人の問題についてお伺いをしたいというふうに思っておりましたが、先ほどの鶴園理事の質問に対してお答えになりました大臣の答弁にちょっとひっかかるものがあるものですから、確認をしておきたいというふうに思うわけであります。
 農産物の生産問題について大臣は、国際分業論は誤りである、自給体制を強化していく、国民に不安を与えない、この三点を基本にして農政をやっていきたいというふうに大変力強くおっしゃられたわけです。私はそのことを信じたい、そうしていただきたいとこう思いながら、やっぱり確認をしておいた方がいいと思いますのは、昨年の九月二十三日だったと思いますが、日経調が提言をしているわけです。日経調と言えば財界の代表ということになるわけですが、その財界はアメリカの行った一九八〇年の食糧計画の中でよいというふうなことを言っているわけで、これは逆に言いますと、価格問題で刺激をして増産させない方がいいんではないか、こういうことを提言しております。財界に大変弱いというようないろいろなうわさもある中で、大臣が負けないでこの国際分業論は誤りだ、本当に日本の農産物は自給体制をきちんと強化をし、大臣の所信表明のように長期不動のものとしてがんばっていくんだと、こういうお考えで貫かれるのかどうかということを確かめておきたいと思います。
#56
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は財界の諸君との会合におきましても、所信表明で率直に表明いたしましたような私の基本的な考え方というものは機会あるごとに申し述べておるところでございます。経済界もあるいは貿易に携わるものも秩序ある輸出を心がけてほしい、それをただもうかるからといって集中豪雨的に輸出をして、その貿易のアンバランスを一番弱い第一次産業の農林漁業にしわ寄せされては困る、そういうことは断じて私は容認できないということをはっきり申し上げておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、食糧問題というのは国民の安全保障のこれはもう最低限の問題でございます。私は、食糧問題をよその国のかさのもとに民族が生存を左右されるというようなことは断じてあってはいけない、このように考えておるわけでございます。
#57
○粕谷照美君 農林大臣としては大変当然のことであるというふうに思いますけれども、非常に力強い所信を表明していただいて私は喜んでいるんですけれども、逆に言いますと、私は今日ほど農民が自分たちの、あるいは農林漁民が自分たちの職業の将来について非常に深刻な不安というものを感じているときはないというふうに思うわけです。そのことが、この農林水産行政に対する不満だとか不信の声になって大きく上がっているというふうに思うわけですが、大臣がいち早くこのことを正しく受けとめて、国民の信頼を得る農林水産行政の確立が大切と言われていることを私は評価したいというふうに思います。けれども、この言葉を裏を返して言えば、国民が信頼をしていない部分が非常にあるというふうに大臣が感じていらっしゃるからこういう所信表明をされたんだというふうに思うわけですが、農林水産漁民のその信頼を得る政策というものは具体的にはどういうことなのかということをお伺いしたいと思います。
#58
○国務大臣(鈴木善幸君) 高度経済成長時代におきまして、所得の高い方向に挙げて国民の目が向いた、農村の若い活力ある生産労働力もそういう第二次産業等に大きく流れ出たわけでございます。しかし、最近における経済動向等からいたしまして、私は世の中が相当落ちついてきた、また都市に対する魅力というものがだんだん薄れてきておる、また雇用の機会もだんだん狭まってきておる、こういうような状況になってきておると見ておるわけでございますが、そういう意味で、私は今後の農業に対する明るい展望また魅力ある農業、そして健康で快適な農村生活、こういう条件と環境づくりを私はすることが、後継者の確保の面からも基本的に重要な問題だと、こう考えております。私はそういう意味で、後継者対策をいろいろ具体的な問題として取り上げておりますけれども、基本はやはり明日の日本の農業というものが魅力のあるものでなければならないし、農村の生活というものが明るい健康な生活が約束されるような方向を打ち出さなければならない、こういうぐあいに信じておるわけでございます。
 生産者の諸君が所得の面、生活の面でも安んじて農業にいそしめるような状態をつくってあげる。また、国民の皆さんには食糧に関してはいささかの不安も与えない、こういうことが私は信頼される農政である、このように考え、それに向かって最善を尽くしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#59
○粕谷照美君 大臣のそういうお考えはわかるわけなんです。それでは具体的にどうであるかということがやっぱり問題なんでして、国土庁が前に実施しました農村と都市の意識調査というのがありますけれども、この意識調査を見てみますと、国民の大半が、子供時代を農村で過ごして、青壮年期は都市で働いて、そして老後は農村に帰りたいという、こういう結果が出ているわけです。なぜ働き盛りの人たちが農業に従事しないのか、ここの基本線が、やっぱりきちんと政府が真っ正面から課題に取り組んでいかない限り、私は農業は見捨てられる運命にあるのではないかというふうに考えているのですが、そういう意味も含めますと、非常に後継者問題というのは重要になってくるというふうに考えております。しかし、その重要である後継者問題についても、大臣の所信表明がどうのこうのと言うわけではありませんが、やや弱いのではないかという感じを持たざるを得ません。去年の国際化に対応する農業問題懇談会が出しました若い農林漁業者の育成確保に関する提言、さらに全国農業会議所の中間答申、これは農林大臣あてに出ておりますが、その多くが農業後継者対策に充てているということが報告をされておりますけれども、一体どのようなことを提言をしているのか、簡単に個条書き的におっしゃっていただければ、そしてそれを大臣はどのように受けとめて具体的に政策として展開をされていきたいというふうにお考えになっておりますか。
#60
○政府委員(堀川春彦君) 五十年の九月に、全国農業会議所から私どもの方にいろいろと提言をしていただいておるわけでございますが、その中にはいろいろと広範な分野にわたることがあるわけでございますけれども、その中に、中核的担い手を中心といたしまして土地利用なども集中をするというようなことを申しておりますほか、最近、農業の兼業化が進みまして専業農家が非常に減ってきておる。基幹男子農業専従者のいる農家が全体で三割というようなことでございまして、中核的担い手の育成確保を図ることが農業生産の安定的な確保を図るために非常に重要である、こういうことを申しておるわけでございます。
 そのためのいろいろと施策を生産基盤から近代化施設、生活環境の面にわたってまで全体的に推進をすべきであるということを言っておるほか、現在かなりの生産シェアを有します兼業零細規模等の農家につきましても生産の組織化を図りまして、これは中核的農家がその中心に位置づけられて生産の組織化を図って、生産の確保、増大を図っていくというような趣旨が提言をされておるものと考えております。
#61
○粕谷照美君 済みません、事前に質問を出しておかなかったものですからちょっとまごつかれたんだというふうに思います。私は自分なりにまとめてみましたけれども、一つには、農林漁業者教育の体制の整備、二つ目は、農林漁業への就業志望者に対する特別奨学金制度の創設、三つには、農林青年会議――これは仮称ですが、の設置による農山漁村青年の自主組織の育成、そして四番目に、家族協定経営の制度化、そして五つ目には、相続による農林業経営の零細化防止制度、そして六つ目には、農林家出身者以外の者の農林業への新規参入を認めていくようなことをやっていったらどうかという提言があったというふうに理解をしていますが、その中で、特に農林漁業者教育の教育体制の整備というところと、相続による農林業経営の零細化防止制度に話が集中をしたということを聞いておりますが、それは間違いでしょうか、誤りないでしょうか。
#62
○政府委員(堀川春彦君) 指導普及体制、教育体制の整備というようなことでいま先生御指摘のようなことが言われておるわけでございまして、その点は間違いないと存じます。
#63
○粕谷照美君 特に教育の中での提言ですけれども、義務教育の段階から農林漁業や食糧生産の重要性を修得させようと、こう言っているわけです。そうしますと、いまの義務教育の農林漁業に関する何といいますか、教育であっては不十分だという考え方をしているんだというふうに思いますが、それでは一体農林省としてはどのようなことを文部省にやられるのか。予算も必要じゃない部分もあるというふうに思いますね、基本的な問題ですから、そのことをお伺いしたいというふうに思います。
#64
○政府委員(堀川春彦君) 私どもといたしまして、小中学校の義務教育段階から農業に対して理解を深めていただいて、そして他の職業にいずれ将来つくにいたしましても、幼いころそういう体験を深めていただいたということが、大変国民全般の農業に対する理解を深める上で重要であるというふうに認識をしております。そういった問題につきましては、かねがね文部省ともいろいろな形で意見交換を行っておるわけでございますが、私どもも五十二年度の施策といたしまして、地域ぐるみの後継者確保施策ということを展開する必要があるのではないかということを考えまして、市町村を中心といたしまして普及所単位に後継者確保の特別事業というのを推進することにいたしております。
 この事業の中ではいろいろなことをメニュー方式でやっていくということになっておるわけでございますが、その一つに、そういう小中学生というような方々が幼いころから農家に、あるいは農業に親しんでいただくという趣旨で農業の現場に行っていただいて、そして農業の実際というものを見ていただく、あるいは自分で体験していただくというようなことをメニュー事業に加えておるわけでございます。
 さようなことが非常に重要だという認識を持っており、今後普及事業の協力のもとにそういうことを伸ばしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#65
○粕谷照美君 私は、農業が崩壊をし始めているときに、現場の教師たちは非常に苦労しているという現実を知っているだけに、農林省がそういう形式的なことで申し入れをしたんではだめなんだろう。やっぱり本当に農業でこの村をよくしていくんだ、おまえたちは農業でもって食べていかれるんだという自信と希望を持てる教育がいまの農業体制の中にはないから、現場の教師たちは非常に苦労しているんだというふうに思うんですけれども、たとえば厚生省はいま障害者に対して非常に社会の目は冷たいではないか、そこのところに一体何が問題があるかと言えば、やっぱり学校の教育問題で問題があるのではないかということで、福祉教育の強化というものを文部省に申し入れているわけですね。これに対して文部省の方ではもうびっくりしちゃってどうしようかと、こういうふうに考えているなんというようなことがある記事に載っているわけですけれども、そういう具体的な提言というものを文部省にされるお気持ちはあるんですか、いかがですか。
#66
○政府委員(堀川春彦君) 先ほど申し上げましたのは、私ども文部省と連絡はとっておりますが、文部省に単に申し入れをしただけでなしに、来年度の予算で二億六千万ばかりの予算をとりまして、その予算の中でいま言ったような仕事をやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
 そのほか、私どもといたしましては、全国にございます農業高校における農業関係の教育がどうであるかということに非常に至大の関心を持っておりまして、これにつきましては文部省との間に連絡協議会を設置いたしまして、農業高校における教育のあり方というものについて私どもは私どもなりに考えをまとめまして、文部省に対していろいろと連絡協議をいたしておるところでございます。また、そういう場で文部省の御了解も得ながら、高校生がやはり農業に対して理解を持っていただくという趣旨で、休みの期間を利用いたしまして緑の学園というような形で、高校生がやはり先ほども申し上げましたような小中学生よりももう少し高度になりますが、農業に実際に親しんでいただくというようなことも事業としてやっており、それに対して私どもとしては助成をいたしておるというようなことでございます。
 いずれにいたしましても義務教育の課程なり、あるいは高校教育の課程で農業に対しての理解を十分持っていただくということができますように、今後とも努力を続けてまいりたいと思っております。
#67
○粕谷照美君 私は、先ほど義務教育の段階からということで、義務教育に対してどのような問題点を提起されたかという質問をしたんですが、全体的な教育に関しての御回答だったようです。それはそれで結構です、意欲のほどがわかりましたから。
 それでは文部省が来ておると思いますけれども、高校教育の中で本当に林業をやっていこう、漁業をやっていこう、農業をやっていこうというような職業教育の体制というものができているのかどうなのか、そしてそういう職業高校に通う子供たち、入学する子供たち、入学した子供たちには、一体こういう産業の将来に対して本当に自分はそこでやっていこうというような気持ちで入学をしたのか、受験をするのか、そして卒業したときにはそういうような職業につくのかつけないのか、その辺のところもあわせて報告をしていただきたい。
#68
○説明員(久保庭信一君) 御説明申し上げます。
 ただいま高等学校の職業関係学科におきまして、その教育が十分実の上がる教育になりますように産業教育審議会の中に職業教育に関する改善委員会を設けまして、三年ほどにわたって検討をいたしてまいりました。その報告の中では、一つは高等学校では基礎教育を重視すべきであること。また、勤労を重んずる実学教育、それを重視すべきであること。また、職業教育がそれぞれの地域に密着しておる教育でありますことから、できるだけ国の基準は弾力的にして地域に即応した教育ができるようにする。また、入学してまいります中学校卒業生についてはできるだけ、特に農業など地域産業に密着しておりますものにつきましてはその将来の職業、特に農業の場合は就農することが確実な者については中学校長からの推薦をもって入学を認める等の配慮をすることなどが提言されておりまして、教育内容にかかわる事柄につきましては、並行して審議が行われておりました教育課程審議会でも同様な結論になりました。また、推薦入学の方策につきましては、幾つかの県がすでに実施をしまた検討を始めておると、そのような施策が進められておりまして、高等学校におきます職業教育が充実して行われますように、特に農業教育が行われますような配慮は着々としてなされておると申し上げられると思います。
#69
○粕谷照美君 私は、そういうふうにありたいということでみんなが考えているという事実はわかるわけですが、具体的にはじゃそういうふうになっているかどうかということをお伺いしたわけです。たとえば定員に満たないで転科した、廃科したというような学校がたくさんあるではないか、この事実を文部省としてはどのように考え、いまの三年間にわたる研究結果に対してはどのようにやっていきたいというふうに思うか、そのことが私はやっぱり後継者対策と非常に大きな関係があるというふうに思っているからです。それからまた、普通高校志望者であるのに、おまえは成績が悪いから農業高校しか入れないじゃないか、水産高校しか入れないじゃないかということで、職業選択の希望とは全然無関係に農業高校あるいは職業高校、水産高校というようなところに入れられる子供たちというのが相当数いるという事実をどのように考えていらっしゃるか。そういう事実があるからこそ農業に対する、農業高校を出たということに対するひけ目、あるいは農業を継ぐということ自体に対する意欲を失うような事実があるんではないかということを私は心配してお伺いをしているわけです。
 その辺を一体どういうふうに考えていらっしゃるかという問題と、具体的に言えば、水産高校の問題にしたって非常に問題点があるわけですよ。学科構成にしたって、遠洋あるいは沖合い優先の漁業政策になっているわけです。漁船による遠洋、沖合い漁業に従事する者の養成を主とする科が六〇%、沿岸漁業に従事する者の養成を主な目標とする科がこれが六%、養殖業務に従事する者の養成が六%、水産を中心とする食品製造が二七%で、完全に遠洋、沖合い漁業に対する比率というのは非常に大きくなっておる。そうすると今度の漁業問題、専管問題なんかがひっからまって、一体文部省としてはどのように問題を考えていくかというふうなことについてもやっぱりきちんとした考え方を農林省あたりとも詰めていく必要があるんではないんだろうかと、そういう意味を含めてお伺いしたつもりなんですが、言葉が足りなかったのかもしれません。
#70
○説明員(久保庭信一君) 教育は、わが国の産業と卒業した者が出てまいる社会との密接な関連を持つし、また特に高等学校の教育はそれぞれの地域の産業と非常に密接な関係があるわけでございます。国でどのような学科がどの程度わが国にとって必要であるかというような具体的な計画までは、なかなかむずかしいのでございます。農業、水産業それぞれの従事者になると思われる高等学校の農業科、水産科の全国的な配置、これらはそれぞれの地域に即して従来設置され、運営されてきておりますが、特に先生のおっしゃいますように、最近におきましてはその数が相当統廃合なされておるということは事実でございます。特に農業の場合には昼間定時制というようなものが戦後設けられまして、それぞれ地域の必要な職業人の育成に役立っておったわけでございますが、最近の農村社会の変化に応じまして、それぞれその存立の意義がなくなったものについて各県が統廃合を行っておる。統廃合を行うことによってさらに充実した教育か行われるように、配置計画を考えてそれぞれの県で措置しておることと思うわけでございます。
 現在、農業につきまして、特に自営者になることが予想される教育を行う学科は、生徒数にしまして卒業生約三万程度の規模でございます。そのうち自営者になります者は、さらに継続教育に進んだ後に自営者になると考えられる者も含めまして、五十年度の数字では三割程度のものでございます。しかしながら、三割程度では少ないではないかというふうにお考えになられるかと思うのでございますが、五十年度新規学卒者の中で農業につきました者が一万七千ほどでございますが、その八割は高等学校の卒業生でございまして、そのほとんど中心になっておりますものは農業科の卒業生でございます。したがいまして、全国的な趨勢として既農業者が他の職業に転ずるような現象等から、非常に農業につく者が減っておる。そういうことから見ましても、新たに就職する者が減っておるというのは同じわが国の一つの現象でございます。その中で高等学校の卒業者の全体に占める比率はむしろ増加しておる。他の現象よりは少ないということで、新規学卒者の中で中心を占めているのは農業高校の卒業生でございます。その教育は、先ほど申し上げましたような趣旨から、十分力を注いでまいりたいと思っておる次第でございます。それは、教育内容としてそのような配慮が必要と思っております。
 さらにもう一つは、先生のおっしゃいます進路指導の面でございます。これは、学校がある生徒にどういうふうに卒業後対処せよというところまでは、大変教育の作用としてはむずかしいわけでございまして、生徒が自分自身の能力なり適性なり自己理解を深めまして、その上でさらに職業が必要としておる職業や社会の情勢、それらを理解した上でみずからの進路を定めていく、それを指導し援助するのが学校における進路指導でございまして、そこには家庭環境から社会の情勢等がすべて関係してくるわけでございますが、学校といたしましては、鋭意その進路指導につきまして努力はしておるところでございます。
 以上です。
#71
○粕谷照美君 大臣も岩手で十分農業関係の学校がどのような状況になっているかということを御存じだというふうに思うわけですけれども、本当に農民に教育が必要なんじゃなくて、農民こそ教育がきちっとして、基礎的な教育を受けて、そしていい農業の後継者とならなければならないのだという、そういう教育体系をつくるための大臣の御決意のほどをお伺いしたい。
#72
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、実は岩手県の県立宮古水産学校の卒業生でございます。私の体験からいたしますと、当時の旧制の県立水産学校、ここは非常に教育内容も、また設備その他におきましても相当整備をされておったわけでございます。現在の東京水産大学を卒業した方、そういう専門の教員もたくさんおられまして、教育の内容は当時の農林省水産講習所の教授内容と余り劣らないだけの教育をやっておりました。それから実科並びに実習科目というものも普通科目よりも多い、三分の二がそういう科目であり実習であったわけでございます。したがって、まさに漁業、水産業の中核的な指導者を養成する、こういう教育内容に徹しておった、こう思うわけでございます。ただ、地域的に私のところは三陸沿岸でございますが、三陸沿岸に県立の当時の中学というのは宮古水産学校一校しかないというようなことで、必ずしも漁業者なり水産業者の子弟のみが入ってない。学校がありませんので、商家の子弟もいろんな中等教育を受けたいという者がそこに集まってくるというようなことで、卒業いたしましてからも必ずしも全部が漁業、水産の方に携わったと、こういうことになっておりません。地域のそういう特性にもよるわけでございます。
 要は、日本の農業なり漁業というものが、本当に将来に対して明るい展望を持ち、魅力のあるものである、また農山漁村生活というものがそういう希望の持てるものであるということが、せっかく教育を受けた者がそういう方面に定着をすると、こういうことに相なるものだと、こう私は考えるわけでございます。したがいまして、教育の問題と地域の環境の問題、さらにまた農林漁業が本当に青少年諸君のために魅力のあるものでなければならない、そうすれば、教育も生きてくるのではないか、こう考えるわけでございます。
 今後、農林省としても、文部省と連携をとりまして、そういう本当に実の入った教育ができるように私どもも努力してまいりたい、こう考えております。
#73
○粕谷照美君 ぜひそういうふうにしていただきたいというふうに思います。
 時間がありませんから、私は次の婦人問題については一点にとどめます。
 総理府の方から国内行動計画が発表されましたときに、農林省の方で出されている婦人問題対策として取り上げられているのは農村婦人の家をつくることだと、こういうことが出ておりました。私は、国内行動計画としてこの婦人の家が取り上げられたということでは、ちょっと姿勢が悪いのではないか。もっと基本的に、いまの日本の農業を支えている母ちゃん農業と言われている農村婦人の問題をきちんと取り上げた、そういう政策というものを出していただきたいというふうに思うのですが、大臣の所信表明の中にもほんの一言触れられているだけなんですね。農林省としては、いまの農業を支えている婦人問題として、具体的に精神的な問題、思想的な問題としてはどのようなことがあるというふうにお考えになっているのか、労働の問題としてはどのように問題点があるというふうに考えているのか。それからまた、その人たちが農業の担い手であると同時に、家事や育児の担い止であるわけですから、そういう実態の中からどのような悩みを持っているのかという点をどう分析をしているのか、そして、その分析に対して今度予算としてつけている農村婦人の家はどういう役割りを果たしていくのかということをお伺いしたいと思います。
#74
○政府委員(堀川春彦君) 先生の御指摘になりましたような農村婦人は、現在、農業の担い手といたしまして農業生産に従事している者の六割以上を占めておるわけでございます。そういう意味で生産の担い手であると同時に、先生御指摘のとおり家庭の管理の責任者でもあり、また地域社会においてなくてはならぬ役割りを演じておるわけでございます。そういった意味で農村婦人の問題につきましては、健康の問題それから社会活動の問題、農業生産における主宰者としての役割り、また作業の従事者としての役割り、いろいろございますわけで、そういう周囲の条件が変わってくる中で非常にがんばっておられますけれども、なかなか困難な状況が生まれてきておることもまた事実でございます。
 一つ健康問題をとらえてみれば、私どもも調査をしたものの中で相当かなりの割合の方々が血圧の異常等を初めといたしまして、冷えの問題でございますとが、肩こりの問題でございますとか、体の異常を訴えておるというような状況があるわけでございます。このような状況ですと、農業生産の担い手として活躍をいただくということも困難でございますほか、そのほかに家事の責任者として時間を割いて子弟の養育やその他の問題に当たらなければならぬというようなこともうまくできないというような状況になり、また地域社会の活動も停滞をするというようなことになるわけでございますので、私どもといたしましては、そういう視点に立ちまして普及事業の一部でございます生活改善の普及事業を中心といたしまして従来いろいろな形で取っ組んでまいったわけでございますが、特にこれらの問題については個人の力ではなかなか解決ができない問題が多うございます。したがいまして、できるだけグループ活動を促進をするというような形で、同じ悩みを悩む婦人の方々が同志的に集まりまして一つの輪をつくり、それからそれが地域へ大きく広がっていくというような形で、その中で健康問題であれ、あるいは農作業の、あるいは家事作業の労働の適正配分の問題であれ、各種の問題について自分たちの地域に一番適した問題は何か、あるいは一番悩みのある問題についてどういうふうにしたらいいかということを自主的に発見をしていただきまして、それに対して私どもは生活改善の普及事業でお手伝いをして、そうして解決の方向が婦人の方々の自主的な活動で出てくれば、それをお手伝いをするというような形に持っていきたいと思っておるわけでございます。そういう諸活動をするのに、いろいろとやはり施設その他が要るわけでございます。その一つとして私どもは、農村婦人の家が農村の婦人の方々の体験交流なり技術の交流なり話し合いをする場、その他多目的に活用されるものとして必要だという認識に立って予算要求をいたしているわけでございます。
#75
○粕谷照美君 大臣、それでは最後にお尋ねしますけれども、いまのお答えでは私は大変不十分だというふうに思うわけです。農林省の統計情報部の農家経済白書、この中から見ますと、お産の前まで仕事をしていたというのが六九%あるわけですね。それから育児で、産後床についていた日数十日未満、つまり一週間前後というのが四五%、半数近くですぐもう立ち上がっているという、こういう実態があるわけです。しかも、働き仕事というのは長時間の前屈作業を主としている。農村の母性は守られていないんではないか、農村婦人の。私たちはそういうことを考えないわけにはまいりません。それからまた厚生省の調査、三十五年で古いんですけれども、生活時間の切り詰めば育児時間を犠牲にしているというふうになっているわけですが、たとえば人口十万人に対して一歳から四歳の幼児の死亡事故、特に溺死が一番多くて三六・二です。アメリカ四・三、イギリスは三・七、西ドイツが六・〇、それからフランスが六・八、こういうものに比べると群を抜いて多いわけです。それから自動車事故も一五・八と非常に高くなっているんで、こういうような農村婦人が安心して農業につくことができるためにも保育所が必要だろうと私たちは考えているんですけれども、それだって、もう最近は僻地保育所なんか統合になりまして、はるか遠いところの保育所まで連れていかなければならないというような実態がある。これでは農村婦人の問題を重要視しますなんということにはならない、実態的には。その辺のところも含めて大臣の所信をお伺いして、私の質問を終わります。
#76
○国務大臣(鈴木善幸君) 農業従事者の六割を占めておるのが農村婦人でございます。農業の労働に従事をし、また経営の面でも農村婦人が大きな役割りを果たしておる、また健全な家庭を営むということで、育児その他で大変御苦労なさっておるのが実態でございます。こういうような農村婦人の農業における位置づけというものは非常に私は大事だと、こう考えておるわけでございますが、そこで農林省としても生活改善の問題を大きく取り上げまして生活改善普及事業等に力を入れておるところでございます。それからまた農繁期にお子さんを保育所に預ける。これも広い農村の場合におきましては保育所が足らない。そこで季節保育所というようなものを設けたりいろいろやっておりますし、また保育所の定数その他の基準も緩和して厚生省でも努力を願っておると、こういうことでございますが、今後とも厚生省等とも十分連絡をとりまして農村婦人の健康の問題、育児の問題そういう点等につきましてもさらに一層改善ができまするように努力をしてまいりたい、このように考えております。
#77
○相沢武彦君 最初に、水産行政の問題から御質問をしていきたいと思います。
 二百海里時代を迎えてわが国を取り巻く漁業環境というのは大変な危機に陥っているわけですが、今後の日本の漁業、この活路というものは、申すまでもなく沿岸国との二国間協定による以外に打開策はないだろうと思います。
 そこで、まず最初に、アメリカ、カナダ、ソ連、中国、韓国、それからオーストラリア、南太平洋諸国、東南アジア、中近東、アフリカ、中南米、ヨーロッパ諸国、こういったところのいままでの漁業実績と二百海里による影響、今後の見通し、これをまず最初簡単に御説明いただきたい。
#78
○政府委員(佐々木輝夫君) わが国は現在昭和五十年におきまして、外国の二百海里水域の中で総計で約三百七十万トンの水揚げを上げております。その主な漁場は、アメリカ及びソ連の水域内でございます。それぞれ約百四十万トンぐらいの漁獲を揚げております。そのほか主要なものといたしまして、東シナ海、黄海方面で大体三十数万トン、それからミクロネシア等南太平洋の中部及び南部で約三十万トン、それからアフリカ沖を中心とします大西洋の中部及び南部で二十数万トンの漁獲を揚げております。
 それがどういう程度今後影響を受けるかということにつきましては、関係のそれぞれ二国間の交渉を経た上で確定してまいるわけでございますが、アメリカにつきましては、昭和五十一年の漁獲実績に対しまして大体一一%減の百十九万トンという漁獲割り当てを確保することができましたが、そのほか一月一日からカナダとの間で民間ベースでまとめました交渉の中で大体二万三千トン、これも大体前年の実績に近い数字でございます。今後残されておりますソ連その他との交渉結果につきましては現在全力を挙げて交渉中でございますので、的確な見通しは申し上げにくい段階でございますけれども、情勢としては大変厳しい、アメリカとの関係で前年度対比一一%減という程度ではなかなかおさまらないのではないかというふうな厳しい情勢にございます。今後各国間との二国間の漁業交渉には、しかしわが国の伝統的な操業実績を確保するために全力を挙げて交渉してまいりたい、かように考えておる段階でございます。
#79
○相沢武彦君 見通しはきわめて厳しいわけでありまして、たかをくくっていると、大変後から、こんなに早くこんなに厳しく来るとは思わなかった、いつも後からそのような弁解が行われている例が多いのですけれども、今回の所信表明演説で農林大臣は、近年水産業を取り巻く諸情勢はまことに厳しいと、こういう認識を持たれております。これに対処するための水産施策を強力に展開する必要があると述べられておりますが、今年の予算面から見ますと、所信どおりには余りいっていないように思われるんですが、まず、二百海里漁業専管水域に絡む対策費の問題ですが、一千三百九十六億円計上されておりますが、これは農林関係予算総額から見ますと、二兆六千四百億円の五・二五%、昨年度に比べて三百億増加、この程度にすぎないわけですが、これでは農林大臣の所信の決意とはかなりの開きがあるんじゃないかと、こういう率直な感じがするんですが、漁業関係者も項目それから金額ともに漁民の皆さん方が将来感ずる厳しさ、それに対処する政府の強力な取り組み、そういうせつない期待をかけていたものとはかなりかけ離れている、こういう不満を表明していますが、この点どういう見解に立って計上したのか、お伺いします。
#80
○国務大臣(鈴木善幸君) 水産関係の予算はいままで多年にわたって着実に伸びてはきておりますけれども、しかし、農業あるいは畜産等々に比べまして非常な立ちおくれを見ておることは事実でございます。今年度の五十二年度の予算編成に当たりましても、水産予算の伸び率は他に比べまして相当伸びてはおりますけれども、いかんせん分母が小さいものでございますから、金額的にはいま御指摘のとおりでございます。しかし、石油ショック以来の漁業経営の苦しさということを私ども重視をいたしまして、そして経営安定資金六百億を計上するほか、また最近の二百海里時代に対応するための漁業外交の経費、それから海外に漁業顧問あるいは漁業アタッシェの設置を行いますとか、あるいは沿岸漁場の開発整備事業あるいは漁港の整備、さらに新規の漁場の開発調査、またこれから漁獲物をもっと高度に利用する必要があるということで加工面、保蔵面の手当て、そういうものに重点を置きまして予算の確保に努めたところでございます。
 これから厳しい日ソ漁業交渉等をやるわけでございますが、そういう際にわれわれの努力にもかかわらず相当の漁獲量の削減等がなされますと、どうしても減船でありますとか、あるいは再編成でありますとか、そういうことに伴う国の補償なり援助なりという対策が必要になってくるわけでございます。この点につきましては、予算編成の際に大蔵大臣に対して、五十二年度中に現実に減船問題が起こってないけれども、今後の二百海里交渉によってはどういう事態に逢着するかも予測できない。そういう際においては年度中にもその手当てをしなければならないわけでございまして、その際における予備費の使用その他財政措置を講ずる必要があるということを大蔵大臣も十分考えておいてほしい、こういう要請もいたしておるところでございます。
#81
○相沢武彦君 いろいろと諸施策講じなきゃならないわけでして、これまでどちらかというと水産面についての予算配分というのは、どうしても下積みになりがちだということで来たと思うんです。国民食糧を賄う主食、米と野菜とそれから魚があれば生きていけるわけですけれども、米は一千万トン、それに匹敵するだけ魚も一千万トンとってきたわけだから、予算の方も同じぐらいというのが漁民の人たちの率直な感情でありまして、いきなりそうはいかないにしても、いわゆる二百海里時代というものを迎えて今後の漁業をどうするか、またたん白資源をどうするかという重大な局面に立って、やはり漁業専門家でいらっしゃる鈴木農林大臣にかける漁民の期待は大きいわけでありますんで、もう少しまた踏ん張ってもらわなきゃならぬ、こう思うわけです。
 二百海里時代のいま二国間協定による既得権の確保、入漁料、こういった問題、非常に漁業外交というものが重要になってくるわけでありますが、これも予算面で見る限り水産外交維持費といいますか、こういった面の予算が一億四千五百万円、この程度しかないわけですが、もうすでにECが仏領ギアナ沖やビスケー湾から日本漁船を締め出しております。またパプア・ニューギニア、オーストラリア、ニュージーランド、こういった南太平洋諸国がともに二百海里に向けて共同歩調をとってきていると、こういう昨今でありますから、世界の沿岸各国と漁業外交を進めるためには、かなり思い切った予算をとって臨まなきゃまた後手後手に回るでないか、こういう先行き心配をするわけでありますが、この点について大臣、大丈夫ですか。
#82
○国務大臣(鈴木善幸君) いままでのところ、水産庁の次長からも御報告を申し上げましたように、対アメリカ、対カナダの交渉はまあまあという成果をおさめておるわけでございますが、最大の難関は、ただいま行われております日ソ漁業交渉でございます。
 私どもはソ連が対アメリカ、カナダ、EC、ノルウェー、その他の国々との漁業交渉において相当の漁獲量の削減を受けておる。それを北西太平洋の二百海里以内でそれを取り戻そうというようなこと等もございまして、日ソ交渉というのをそういう観点からもなかなか厳しいものがあると、このように心得ております。ただ、今後の南方の国々等とはいろいろ今日までも友好的な、また日本がこれらの国に対する漁業の技術援助、協力、そういう関係もあるわけでございまして、今後そういう国々に対する交渉、対応につきましては万全を期してまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
#83
○相沢武彦君 大臣、日ソ漁業交渉関係は後からまた詳しくお尋ねしたいと思うんですがね。
 一般的に今後の漁業外交に関連してお尋ねしておきますが、相手国に行って何とか魚をもらえないだろうかと、こう言うだけではしようがないんじゃないかなあという感じがするんですが、今後特に東南アジア方面、こういった方の技術援助をして、その協力の中から漁業権の確保、あるいはこれはアメリカが主体になると思うんですが、ソ連、アメリカの入漁料軽減交渉、こういうことを強力に進めるためには、やはりもっともっと交渉の強化とそれを裏づける予算といいますか、そういうものがないとできていかないんじゃないかという不安を感ずるわけです。特に経済開発等の援助費の水産枠、これは今年三十億円ということなんですけれども、この点についてはどういうお考えでいるんですか。
#84
○国務大臣(鈴木善幸君) 水産関係の直接の海外協力なり援助に対する予算額は、いま御指摘のとおりでございます。しかし、そのほかに、海外経済協力事業団でありますとか、あるいは海外漁業協力財団でありますとか、あるいは水産資源開発センターでありますとか、いろいろの漁業関係の外郭機関もあるわけでありまして、それぞれの予算枠等も計上をいたしております。そういうものを総動員をいたしまして、最も有効に、相手方からも喜ばれるような対応をしてまいりたいと考えております。
 なおまた、漁業外交と申しましても、単なる漁業だけの外交では私は成果が上がらない。日本の経済協力なり援助なり、総合的な国全体としてのやはり対応が必要であると、このように考えております。
#85
○相沢武彦君 ぜひその総合的な対策の先頭に立って、大臣がんばってくださいよ。
 それで、漁業関係者に対する予算の問題でお尋ねしておきますが、もうすでに実質的に窮地に追いやられて被害を受けている漁民、死活問題に問われている漁民の人たちからの声としてこの減船問題、これに対する対策、予算措置というものは今回外れているようなんですが、この点はどうなんですか。
#86
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども申し上げましたように、現実に具体的に減船等の問題が起こりませんと予算要求ができないわけでございます。腰だめでこれぐらい減船余儀なきに至るであろうというようなことで予算要求ができませんし、また、これから強力な漁業外交を展開いたします際におきまして、あらかじめもう日本は撤退を条件にして減船の予算を計上しておるというようなことはこれは適当でないと、こう考えまして、当面は伝統的な漁獲実績を、もう幾らかでもこれを日本の要求に近いように確保するということに全力投球をいたしたい。そして、現実に起こった場合につきましては、これは政府としても十分な対策を講じていきたい。特にこの乗組員の諸君の雇用問題、こういう問題につきましては、きめ細かなできるだけのお世話をしなければならないと、このように考えております。
#87
○相沢武彦君 いま大臣おっしゃったように、できるだけこれらの漁業実績を確保して、失業者が出ないように、また減船等の状態にならないように最後までこれ歯どめをし、またがんばり通していただくということが最も大事なことでありますが、万一追い詰められて減船やむなしといったときに、スピーディーな対応がとれるように準備だけはひとつお考えいただきたい。
 それから入漁料の問題、これも大変大きな問題になっておりますが、アメリカの方は漁船一総トン当たり一ドルに船揚げ価格の三・五%を考えておるようでありまして、その上、水揚げ総額算出の基準になる魚種別船出し価格はスケトウダラでトン当たり百五十ハドルというそろばんをはじいておるそうでございますが、鈴木農林大臣もこの問題については、これじゃもう入漁料を払うために操業しているようなものだということで、これではならじとアメリカと交渉をされているようでありまして、その努力は非常に多とするものでありますが、この予算の中に入漁料補償に関してのものは今回入っていない。大蔵省側は入漁料は原則的には魚価に添加すべきものだという見解であって、非常に壁の厚いことは重々承知でありますが、水産庁としてはやはり漁民の側に立って大蔵省との折衝に当たらなきゃならないことは当然だと思うんですが、この点については今回の予算編成に当たってどういう見解に立っておられますか。
#88
○国務大臣(鈴木善幸君) 具体的に入漁料の問題として出ておりますのは対米関係でございますが、結局、いろいろ紆余曲折がございましたけれども、入漁料は二十億円程度を支払うと、しかもそれは前払いであると、こういうことでございまして、相沢さんからもお話がありましたように、石油ショック以来、漁業用燃油あるいは漁網その他の漁具の値上がり、賃金等の値上がり等から経営も苦しくなっておるというようなこと等を考えまして、この二十億円の入漁料に対しましては利子補給をいたしまして、そして中期の資金を融資をいたしたい、このように考えております。そうすることによって、漁業経営並びに漁価に直撃的にこの入漁料の問題等がはね返ってくることをショックを緩和していきたい、そしてなだらかにこの新しい厳しい情勢に対応する漁業経営なりあるいは魚価の安定に資したいと、このように考え、対処をいたしておるところでございます。
#89
○相沢武彦君 現在、日本で一年間の水揚げ量が最高の釧路でありますけれども、ここはこのまま二百海里専管水域で推移して締め出されてくると、大体もう現在の釧路を基地とする水産業は壊滅状態、人口も五、六万減るんじゃないかというようなことで大変憂慮しておるんですが、釧路のある漁業者なんかは、これまで日本の水産行政というのはどうしても大手優先、沿岸漁業はどうしてもその陰へ隠れて抜本的な対策というものはとられてなかった、こういう批判がこれまでもずいぶん言われてまいりましたが、こういった二百海里の時代を迎えてピンチになっても、大手の場合は先の見通しを立てて現地に合弁会社をつくるとか、あるいは零細漁業者から買いたたくとか、こうやって生きていく道を何とかまた見つけ出しやすいと。それに比べてどうしても中小零細漁業者というのはこの高い入漁料に押しつぶされてしまうということで、やはりこのピンチは政府の補償にある程度救済措置をしてもらわなくちゃやっていけないと、こういう非常に悲痛な叫びをしているわけでございますが、この点、本当に大臣、現場のそういう中小零細漁業者の苦衷というものをおわかりの上今後の対策に臨まれようとしておられるのか。
  〔委員長退席、理事鈴木省吾君着席〕
#90
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、日本の遠洋漁業にしてもあるいは沖合い漁業にしても、沿岸漁業はもとよりでございますが、その主体勢力は何といっても中小の漁船であり漁業者でございます。北洋の母船式サケ・マス漁業にいたしましても、母船は大手会社で出してはおりますけれども、実際に漁労に従事いたしますものは、北海道、東北その他の中小の漁船であり漁業者であるわけでございます。したがいまして、この日本漁業を支えておる中小漁業者、これの打撃をできるだけこれを最小限度にとどめる施策を講ぜにゃいかぬと、このように考えておるわけでございまして、私は、大手会社は国からこれという援助をいままでも受けておりませんし、これからも中小漁業者を重点にして、この二百海里時代の困難を乗り切るための対応は中小漁業者を中心に進めてまいる決意でございます。
#91
○相沢武彦君 ぜひその決意どおりやっていただきたいんです。北海道の一番北の端の稚内の漁業者からも大分訴えられておりまして、特に一隻しか持っていないような一隻船主、このまま入漁料を自分たちで負担しなければならないととてもやっていけないと、こういう訴えも来ておりますので、ぜひそういった零細漁業者が今後も成り立つような御指導をぜひとっていただきたい。
 次に、日ソ漁業交渉に関してお尋ねをしていきたいと思いますが、現在モスクワで行われております日ソ漁業暫定取り決めの交渉で、交渉の進捗を図るために岡安水産庁長官も新たに日本代表団に加わりまして、交渉が終了までモスクワにとどまって何としても決着をつけたいんだということでございますが、政府としては同長官に、今回の派遣に当たって硬直状態を打開するための新たな提案を持たせて訪ソをさせたのかどうか、その点をお伺いしたい。
#92
○国務大臣(鈴木善幸君) 私とイシコフ漁業大臣との間で長期の基本協定を締結をする。それには相当の時間を必要とするし、また、国民の権利にかかわるような問題も長期取り決めの中にはあるわけでございまして、どうしてもそれには国会の御承認と批准というものがなければならない。そういうようなことから、一九七七年、この一カ年間の操業については暫定取り決め、行政取り決めでその間をつないでいく以外にないと、こういうことで合意をいたしたわけでございます。その暫定取り決めができるまで、三月三十一日までの間は従前どおり安全操業を認める、こういうことで基本的な話し合いが合意されておるわけでございまして、その際、私はイシコフ大臣にも率直にかつ相当具体的にお話をしてあるのでありますが、行政取り決めとして暫定措置を講じます際におきましては、行政府としてなし得ることとなし得ないことがあるということをるる説明をしてあるわけでございます。そういうようなことでございますので、私とイシコフ大臣が取り決めをいたしました線に沿いまして、先ほど来申し上げておりますような三十数年間にわたるところの日本の伝統的な漁業実績、まあ北洋の漁業というのは、ソ連よりもむしろ北海道等の日本の中小漁船が血みどろの努力によって開発し北洋漁業の振興を図ってきた、こういう事情もございますので、そういう観点に立って努力をするように、また、しかも北洋の漁業は北海道全体の経済はもとより、国民のたん白食料確保の意味からも重要な役割りを担っておるということを踏まえて、この国民的な背景の上に、水産庁長官としても代表の諸君としても全力をひとつ尽くしてほしいということをお願いしてあるわけでございます。
#93
○相沢武彦君 たしか日本側の提案は、あくまでつなぎ的措置として国会の承認が必要なことは一切除外しておりますし、それから裁判管轄権にも触れないというようなことで、ソ連側の友好親善関係の維持にずいぶん気を使った提案をなさっているわけです。ソ連の方は、昨年十二月十日のソ連最高会議幹部会令でうたわれた二百海里の主権を明記しているわけでありまして、この二百海里主権をどう認めるかで根本的な違いが出てくると思うのですが、日本としてはどういう方向でこれを解決するつもりなのか、大臣の御覚悟を聞きたいし、それから、あわせてソ連が主張している漁業割り当て、それから魚種の問題、取り締まりの件、それから操業許可証の発行権、操業水域等についてどういう方向で解決していきますか。
#94
○国務大臣(鈴木善幸君) この北方四島の問題、さらにこれにつながる水域の問題、この問題が一つあるわけでございますけれども、しかし御承知のように、北方四島の問題につきましては、一九七三年の田中・ブレジネフ最高首脳の会談で、戦後未解決の問題を解決をして日ソ平和条約の締結の交渉を今後も継続をする。そして戦後未解決の問題の中には北方四島を含むということが両国の外務大臣間で確認をされておる、こういうことでございまして、北方四島の問題は、これは息の長い今後の交渉にゆだねなければならないということが私は最高首脳間で確認された事項である、このように認識をいたしておりますし、それを踏まえましてソ連の設定しておりますところの海域については、領土とは切り離して現実的に対応をするという考え方でございます。
 したがいまして、イシコフ漁業大臣と私との交渉におきましても、領土問題は公式、非公式にも一遍も出ておりません。また、ソ連側としても、日ソの漁業関係というのは日ソ友好関係のきずなである、日ソのかけ橋である、こういうぐあいに認識をしておると私は確信をいたしておるわけでございまして、そういうような大局に立って、このソ連の二百海里水域内におけるところの日ソの今後の漁業関係の枠組みというものは両国の相互の立場が立つように、また両国国民が了解できるような方向でこれが円満な結論を得られるものだと、このように期待をいたしておりますし、そういう方向で努力をしてまいる考えでございます。
#95
○相沢武彦君 おっしゃるとおり、北方領土を含めた二百海里線引き案は日本としては絶対認めるわけにはいかないので、認めてしまえば領土を実質的に放棄するようになってしまう。ただ、余りたな上げ交渉という姿勢が強く出過ぎると、どうもソ連に既定事実を積み重ねさせる結果にもなりかねないし、今後日本の正当な返還要求を困難にしないように配慮しながらその辺の交渉は進めていかなければならない。その辺、慎重にお願いしたいと思います。
#96
○国務大臣(鈴木善幸君) その点は非常に大事な問題でございます。魚のために領土を売ると、さようなことが断じてあってはいけない、私はそれはもう肝に銘じて、そういう姿勢で取り組んでおるわけでございます。私がイシコフ大臣との交渉の間におきまして、わが国も近く二百海里漁業専管水域を設定をいたしますということを申し上げておるのも、いろいろその辺のことを御推察を賜りたい、こう思うわけでございます。
#97
○相沢武彦君 さきの日ソ漁業閣僚会議において交換書簡が取り交わされたわけでありますが、最初に一部の報道によりますと、この会議の中で日ソ双方において一九七七年に新たな長期協定締結の暗黙の合意があったと、こういうように報道されたんですが、農林大臣、この暗黙の合意はあったんですか、それともなかったんですか、この際はっきりしてください。
#98
○国務大臣(鈴木善幸君) あの交換をされました書簡は、これは公式、非公式の会談を通じてのすべてでございます。そのほかに暗黙の取り決めとか合意とか、そういうものは一切ございません。今後、二百海里時代を迎えて、長期にわたる日ソの漁業関係を基本協定によってこれを締結をしようと、規定しようと、こういう合意でございまして、そのほかには内容に立ち至っての話し合いはございません。
#99
○相沢武彦君 そうすると、三月四日のタス通信でもこれは報道されたようでありますし、また、三日のイシコフ漁業相の調印式後のあいさつで、もこの点触れているわけですけれども、そうしますと、イシコフ漁業相はどういう意味でこれは明言されたのか。その真意はどこにあると大臣はお考えでしょうか。
#100
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、二百海里というものを踏まえて、将来の日ソの北洋における漁業関係の秩序を確立する基本協定を締結をする、こういうことで合意をした、こういうことに私はそのとおり受けとめておるわけでございます。
#101
○相沢武彦君 それから、日ソ暫定協定はもうこの三十一日という時限交渉の中で現在難航中なんですが、さきの両国のトップ会談でソ連側が暫定取り決めの締結をわりあいあっさり認めたというところから、どうも日本政府としては見通しの甘さ、楽観視の向きがあったのではないのかと、こういう一部批判も出てきているわけですが、その辺は農林大臣としてはどういう御感想をお持ちですか。
#102
○国務大臣(鈴木善幸君) 私がモスクワを訪問いたしまして、まず最初に打開をしなければならないと考えておりました点は、イシコフさんとテーブルに着いたのが二月の二十八日でございます。翌三月一日には、幹部会令の決定に基づきまして二百海里を実施するということでございます。その時点におきまして、日本の大中小の多数の漁船、恐らく二千隻に達するであろう漁船があの海域で操業しておるわけでございます。そういうようなことで、何としてもこれは安全操業を確保しなければならないということで、そのためには早急に暫定取り決めをいたしましょう、そして一九七七年の暫定取り決めでございますが、その上で基本協定を結ばなければならない、こういうことでイシコフさんの理解を得まして安全操業も確保されたと、こういうことでございまして、私はその時点で必ずしも、そのように取り運ぶレールが敷かれたからといって、楽観をいたしたわけではないわけでございます。と申しますことは、一つは三月中のサケ・マス並びにニシンの出漁を中止をしてほしいというのが第一点でございます。この経緯は御存じと思うのでありますが、毎年、これは二、三年前から具体的に出てきておった問題でございますが、日ソ漁業合同委員会におきまして、当該年度のサケ・マス並びにニシン、これは日ソ漁業条約の付属書に明記されておる魚種でございます。その当該年度の漁獲量と条件並びに方法をこれから交渉をしようとする際に、その結果を見ないで日本が三月中にもうすでに出漁に入っている、こういうことは条約の精神から言って筋が通らないではないか、こういうことを強く求められてきておったところでございます。しかし、去年までどうにかこれを防戦これ努めて、漁期もこれありということでやってきておったわけでございますけれども、二百海里時代を迎えまして、そういう状況の中で日本が強行出漁するということになりますと、拿捕その他の不測の事態も起こりかねないというようなことで、向こうの言うことも一つの筋論でございますから、日ソ漁業交渉は三月十五日から東京でやるのだということを確保いたしますと同時に三月中の操業を見合わした、こういう経過になっております。そういう時点から、私はなかなかこれは厳しいということを肌で感じておったわけでございます。
 また、先ほども申し上げましたように、ソ連は対アメリカ、対カナダ、EC、ノルウェー等の漁業交渉におきまして相当大幅な漁獲量の削減を強いられておるというようなことから、その削減された漁獲量を北西太平洋でできるだけこれをカバーしようという意図が相当はっきり出ておるわけでございまして、私はレールが敷かれたからといって決して楽観するような状況ではない、今後の交渉は相当厳しいものであるということは受けとめてまいったところでございますし、帰ってまいりまして業界の各団体、組合の諸君にお集まりを願いまして、そういう厳しい情勢下にある今後の交渉ということにつきまして十分報告もし、業界の諸君の協力も要請をした、こういう経過に相なっております。
#103
○相沢武彦君 暫定取り決めの中の漁獲量の問題でお尋ねしますが、ソ連は相手国水域での漁獲量を同じにする等量主義をあくまで主張しているわけです。日本の場合は実績比例削減主張ですね。現段階では、国連海洋法会議の最終的合意もこれはなされていないことですし、それから単一条約草案の漁業条約でも、従来伝統的に漁業を行ってきた国の混乱を最小限度にするということが明記されているわけなんで、ソ連も余り一方的にむちゃなことは強行はしまいとも思うんですが、現在余りにも格差のある方法論で主張が食い違っている、こういうことでやはり懸念も残るわけですが、大臣としてはこの日本民族の置かれた国民食糧確保の立場からこの漁業実績を守る、こういった点でどうソ連に今後理解をさせるのか、それからこの交渉が何とか妥結される見通しがあると確信を持たれるか、それとも場合によっては再度大臣また行かなければならないと内々お考えなのか、その辺の見通しをお伺いしたい。
#104
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はイシコフさんとの会談の際に申し上げたわけでございますが、わが国も遠洋漁業国である、あなたの国も遠洋漁業国である、この二大漁業国として、やはり諸外国におけるところの伝統的な漁業実績というものをできるだけこれを認めるように交渉をしなければならない。そういう際に、ソ連と日本との間に漁獲量を大幅に削減し合うというようなことでは、第三国に対して実績の確保を要求する立場を弱めるのではないか。極端に言うと、日ソの間では実績を尊重し合うというぐらいのことでないと第三国に実績要求を迫る迫力がないではないかということも、私申し上げたわけでございます。そして、ソ連側がバランス論、それは等量主義のようでございますけれども、私はそうでなしに、実績というのはやはりあなたの国が一〇%削減をしたら、日本もやがて設定するであろう二百海里内における実績も一〇%削減をする、これがバランス論であるということもはっきり申し上げてきたわけでございます。私は、そういうやりとりの中で、どうしても今後日本は対ソ交渉、また今後の漁業外交を展開する上からいたしますと、やはり領海は十二海里、そして日本も二百海里漁業専管水域、これを設定をいたしまして、同じ土俵でやはり交渉するということでないと日本の国益を守ることができない、こういう判断のもとに、日本も近く二百海里を設定をいたす方針であるということを明確に打ち出したわけでございます。
#105
○相沢武彦君 現在の北洋各水域におけるトラブルの問題でお伺いしておきますが、暫定措置が決まるまで現在ソ連の二百海里水域でニシン、サケ・マス等、そういうものを除いては操業できることになっているわけですが、現実には各水域で退去命令が出たり、あるいはソ連の監視船が出てきたり、まあ日本の漁船にかなり混乱が起きたわけですが、その後日本政府からの強力な申し入れもあって、異常な警告騒ぎというものは一応おさまったように見受けられます。
 そこで、なぜこのような事態が起きたのか。それから二つ目には、日ソ漁業閣僚会議のときに、こういう事態を予測した突っ込んだ話し合いはしていたのか、してなかったのか、その点。それから、出漁中止で休漁による被害も出ているわけですが、その補償については政府としては一体どういうお考えなのか。それから、今後の操業保証は本当に確保できるのかどうか、その見通し。
#106
○国務大臣(鈴木善幸君) 三月一日から暫定取り決めができ上がります三月三十一日までの間における安全操業、これはイシコフ大臣と私との間で合意した事項でございます。ところが、東京の方から頻々として、ソ連の監視船によって、三月一日からソ連の二百海里は設定をされたと、であるから二百海里のこの専管水域の域外に退去すべしと、こういう警告を大分受けておる、また、照明弾等を打ち込んで威嚇をされた、こういう連絡がございまして、イシコフ漁業大臣に対して私から、これは日本もお約束をしたことは誠実にこれを履行いたします、ソ連側も両責任者の間で合意した三月中の安全操業はこれは守ってほしいということを強く求めたわけでございます。しかし、あの国のことでございまして、漁業省の関係と沿岸の警備といいますか、取り締まりに当たっている指揮系統が違いますのか、それが徹底いたしますまでの間数日間を要したと、こういう状況にあるわけでございますけれども、それは数日後におおむね解消することができたと、このように考えております。
 なお、三月中のサケ・マス並びにニシンの操業中止の問題についてでございますが、サケ・マスは日本海から操業が始まるわけでございまして、三月中はおおむね北海道沖合いまでということで現実には実害がないわけでございます。しかし、ニシンの方は、これはソ連の二百海里水域の中で三月中から操業するということで、これが操業を中止せざるを得なかったということについては、それなりの損失というものがあるわけでございます。
 これに対しましては、二段階に私は処理していきたいと考えております。一つは、三月中の水揚げによって、出漁までの準備のために油を購入した、漁具を購入した、あるいは乗組員に対して前渡し金を渡した、そのために手形等を発行しておる、それが三月中の漁獲というものが皆無になったということになりますと、金融面で非常にお困りになるわけでございまして、そういう面につきましては、金融その他でごめんどうを見なければならない。そして、日ソ東京における漁業交渉でニシンの問題、サケ・マスの問題が最終結論に達しまして、その際いかようになりますか、その結論を十分見届けた上で全体としての救済措置を講ずると、こういう三段構えの措置にいたしたいと存じます。したがいまして、三月中の融資等の手当てをした分もその際は含めて救済措置を講じてまいる考えでございます。
#107
○相沢武彦君 今後の補償、確保できるかどうか、見通し。
#108
○国務大臣(鈴木善幸君) 今後の問題につきましては、まだ交渉中でございまして、いかような結論が出ますか、それを十分最終的に見届けた上で所要の措置を講じてまいる考えでございます。
#109
○相沢武彦君 先ほど大臣、御答弁漏れあったんですが、この暫定交渉ですね、岡安長官が行って何とか三十一日までにまとまるという見通しを強く持っておられるのか、それとも自分が再度それまでに出かけなければならないと内心お考えでいるのか、その辺の見通しはどうなんですか。
#110
○国務大臣(鈴木善幸君) 水産庁長官が責任を持って訪ソをし、代表団の諸君と相談をしながら進めてまいるわけでございまして、毎日必要に応じて私とも連絡を緊密にとって行うわけでございますから、私は、岡安長官が十分その任務を果たし得るものである、そして暫定取り決めも私は、双方が納得できるような結論を見出すであろうと、このように確信をいたしておるところでございます。私は、これから乳価の問題、あるいは肉の価格の問題、あるいは蚕糸価格の問題、国会の問題、いろいろ日程が詰まっておりますので、私自身が訪ソするということは考えておりません。
#111
○相沢武彦君 あと四、五分残っていますけれども、あと農業問題、これは中途半端になりますから後日に譲りまして、私、質問終わります。
#112
○小笠原貞子君 続きまして、日ソ漁業交渉の問題について、少し具体的に細かくお伺いしていきたいと思います。
 十九日、モスクワで開かれている暫定取り決め交渉において、暫定取り決め案が示されたとしてその内容が報道されておりますが、ソ連の原案は、対象水域は北方四島周辺も線引きした二月二十四日の閣僚会議決定の海域とする。二番目には、操業許可証を発行する。三番目、日本漁船にソ連の関係公務員が乗船できる。四番目、ソ連は許可証の発給に対する料金を徴収できる。五番目は、日本漁船はソ連の漁業規制のための規則を遵守しなければならない。こういうふうになっていると報道されておりますが、これは間違いございませんか。
#113
○国務大臣(鈴木善幸君) ソ連側としては、原則を腹いっぱい申し述べたもののようでございまして、そのように報告を受けております。
#114
○小笠原貞子君 さらにソ連案では、生物資源とはすべての種類の魚族資源としていると、ここには当然サケ・マス、ニシンも含めているということなのか。東京での日ソ漁業交渉との関係はどうなっているのか。ニコノロフ代表が来日の際、二百海里内はモスクワ交渉という発言が現在も生きているのかどうか。
 それから、三月三日の交換書簡の中で、日ソ漁業委交渉について何の明記もなくて、玉虫色どころか、相対立する合意というものが成立していたことに見えるわけですね。そうすると、ニコノロフ首席代表は、日ソ漁業委交渉は二百海里外を議題とすることはイシコフ漁業相と農林大臣との間で合意していると、そういうことまで発言されているわけです。この点はどうなんでしょうか。ソ連はうそを言っているのか、ごまかしているということなんでしょうか。
#115
○国務大臣(鈴木善幸君) 日ソ漁業条約というのは現に存在をしておるわけでございまして、この日ソ漁業条約には、領海を除く公海上全部日ソ漁業条約の適用海域であるということが明記をされておるわけでございます。また、条約の付属書の中には、サケ・マス、ニシンというものが対象魚種としてこれまた明記をされておるわけでございます。私は、これは世界的な常識だと思うのでありますけれども、条約というものは国内法に優先をする、締約国両国をやはり義務づけておる、こういう認識に立っておるわけでございまして、したがいまして、日ソ漁業条約の合同委員会が三月十五日から東京で開催をされ、サケ・マス、ニシンを対象として交渉が行われるということはこれはもう当然のことでございまして、イシコフ大臣と私の交換書簡の中にはあえてこれを載せる必要がない、当然のことである、こういうことでございます。
 したがいまして、ニコノロフ代表が二百海里内はどうだとかこうだとかいうようなことは、これは全然われわれの理解できない不規則発言でございます。また、その後における日ソの東京における交渉の議題等におきましても、その点はソ連側もあえて議論をしてないと、こういうことを申し上げておきます。
#116
○小笠原貞子君 それじゃ、イシコフ漁業相と農林大臣との間で合意しているということまで言われているけれども、そんなことは全然ないと……。
#117
○国務大臣(鈴木善幸君) ありません。
#118
○小笠原貞子君 ありません、ということでございますね。
 それでは、モスクワ交渉でソ連側が、日本の総漁獲量について年間五十万トン、等量主義を先取りして主張していると報じられていますけれども、それが事実かどうか。さらに、スケトウについて二十数万トンとされているわけですが、この点はどうなんでしょうか。
#119
○国務大臣(鈴木善幸君) 日ソの、私とイシコフ大臣との間ではバランス論というのは出ました。バランス論というのはさっき申し上げたようなことで出ましたが、具体的な数字を挙げて五十万トンの等量だとか、そういうようなことは一切出ておりません。したがいまして、魚種別の漁獲量につきましても一切触れておりません。これは私も奇異に感じておるところでございますが、ソ側のまあ世論操作といいますか何といいますか、そういうようなことで出てきたのではないだろうかと、このように思っておりますが、正式の代表者間の会合では一切数字は出ておりません。
#120
○小笠原貞子君 スケトウが二十万トンというようなことになりますと、これはいままでソ連の二百海里内の漁獲実績の三分の一にしかすぎないという大変な数になるわけですね。非常に激減すると。そうすると北洋漁業は壊滅の状態になると。で、スケトウは実に四分の一になると。これでは漁民や水産加工業者にとって文字どおり死活の問題だということで、非常に心配しているわけですね。われわれとしてもこういうふうな激減のされ方で押しつけられるというようなことでは困るし、その辺のところを、具体的には数が出てないとおっしゃるけれども、方々でこういうふうに出てきているという数字ですね、スケトウ二十万トンというようなことから考えて、こういう数というものがあるいは具体的に進んできた段階で出てくるのかどうか、その辺非常に心配するわけなんですけれども、その感触、見通しとしてはいかがでございますか。
#121
○政府委員(佐々木輝夫君) 先ほど大臣から御答弁がありましたように、今日までの代表間の会議、交渉の場で具体的な数字は一切出ておりません。いま先生がお示しになったことも、一部の新聞報道で二十数万トンというような報道があったということは私らも聞いておりますけれども、その根拠その他一切私どもも了解できない、わからないというのが現段階でございます。
 私どもとしては、日本の漁業の実績の確保にやっぱり今後全力を挙げていくというつもりでございます。
#122
○小笠原貞子君 大臣としてもこの辺について、スケトウというのは非常に大きなウエートを占めている問題なので、いままでのところで全く心配ないと、そんな数字は全然出てなかったというふうな感触でいらっしゃるのかどうか。
#123
○国務大臣(鈴木善幸君) 北洋の漁業、ソ連の二百海里水域内での一番まとまった漁獲量、そして日本の実績の順序から言いますとスケトウが一番でございまして、その次はイカでございます。また、このスケトウにしてもあるいはイカにしても、北海道その他の中小漁船が主としておる漁獲物でございまして、私はこの割り当て量、実績の確保ということにつきましては全力を挙げて交渉をいたしたい、このように考えております。
#124
○小笠原貞子君 交渉の見通しなんですけれども、三月中に決着するんですか、見通しとして。それを伺わせていただきたいことと、もしも三月中に決着しないという場合の安全操業の確保というような問題をどう考えていらっしゃるのか。
#125
○国務大臣(鈴木善幸君) これはイシコフ大臣と私の約束でございますから、三月三十一日までには決着をつけなければならない、またつくべきものだ。したがいまして、つかない場合の安全操業どうこうということをいま申し上げるわけにはまいりません。
#126
○小笠原貞子君 確かに、約束だから三月中に決着をつけていただかなきゃならないということは当然のことなんですけれども、現地の漁民の中に入っていろいろ聞いてみると、早く決着つけてもらいたいと、きちっとしてもらいたいということと一緒に、もうその時期を切って決着しなきゃならないということで不利な条件になっては困ると、やっぱりそこのところ粘り強くというような点を特にお願いしてほしいという声でございました。
 東京交渉では、ニシンについて全面禁漁ということをソ連側が提案していると伺っておりますが、これはもう当然事実というふうに受け取っていいんでしょうか。で、日本側としてはニシンの全面禁漁という問題について、これはもうやむを得ないというふうに考えなければならない状態になっているのかどうか、その辺のところを。
#127
○国務大臣(鈴木善幸君) 漁民諸君が大変御心配をなさっておるということは、私も本当に身にしみてそのとおりだと受けとめておるわけでございます。したがいまして、限られた交渉日数でございますけれども、その最後の時点まで全力を尽くしたい、このように考えております。
 それからニシンの全面禁漁という問題でございますが、ソ連は北海あるいは北大西洋水域でもニシンの資源が危機的状況にあるということはるる言っております。また、オホーツク海のニシン資源も同様なかなかこれは大変だということを言っておりますか、樺太の西海域――北海道に近い方、この方の資源問題については資源評価についての表現の仕方が若干違うわけでございますけれども、総体としてニシンの問題は、これは最も厳しい状況に置かれておるように私も報告を受けております。
#128
○小笠原貞子君 その厳しいニシンの見通しはどうなんですか。もうやむを得ないというくらい厳しいですか、いまの段階では。
#129
○国務大臣(鈴木善幸君) これは最後の最後まで、私どもは五隻でも十隻でもせっかく関係漁民が操業できるようにということで最善を尽くしたい、こう考えております。
#130
○小笠原貞子君 相当この厳しさをはねのけるための決意というのが必要になってくると思うんですけれどもね。
 それじゃまた、新聞報道をずっと見てますと、サケ・マスについては一船団が減船だと、それからニシンについてはオーストラリア沖のイカ漁などへの全面転換を検討していると、これは政府筋が検討しているというふうに出てたんですけれども、これは事実でございましょうか。
#131
○政府委員(佐々木輝夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、漁獲量についてはまだ今後の交渉の課題でございまして、具体的に数字が双方から全く出ているわけではございません。いま申されました何船団削減あるいは転換というようなことも、現段階では客観的に見て出てくるはずもない問題でございます。今後資源状態の評価を経て、漁業の規制措置その他が決まった段階で逐次問題になってくる性質のものでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、私どもとしては現在の段階では、わが国の漁業実績の確保に最善を尽くすということにすべての力を注いでいるわけでございます。
#132
○小笠原貞子君 それじゃ全く考えていないと、こういうことは。もう報道で、政府筋が明らかにしたというふうにそう流さしておいてというようなことも考えられる。そんなことは全く考えていらっしゃらないですか。
#133
○政府委員(佐々木輝夫君) 情勢といたしまして、非常に日ソ間の漁業の実情あるいは資源の状態その他を考えて情勢が大変むずかしい状況にあるということは、るる大臣の方から御説明があったとおりでございます。しかし現在の段階で、そういった漁獲量を幾らにするか、漁具規制をどうするかということは、まだその話し合いが行われておる段階ではございませんので、いま挙げられましたような数字が何らかの裏づけをもって政府筋から出るということは考えられないというふうに理解しております。
#134
○小笠原貞子君 このニシンについて非常に心配しているんですけれども、北海道稚内なんかはニシン刺し網船主がたくさんいて働く人たちも心配している、交渉三日目で全面禁漁なんていうことは信じられないと言っていましたし、またいつでも心配されるんだけれども、ニシンが結局はカニ、サケ・マスの犠牲になっていくという見方をもういやでもしなければならない。いつでもニシンが取引材料になっているという感じをみんな持っているんですね。その辺のところは、確かに結果的に見ればいつもそういうことになるじゃないかというふうに見られるんだけれども、そういう不信を持っている人たちに対して、大臣としてはそれにどういうふうにおこたえになりますか。そんなことについての御感想を。
#135
○国務大臣(鈴木善幸君) ニシンの資源状況が非常に悪化をしておるということは、これは客観的にも否めないところでございます。
 私は一番心配しておりますのは、日本の漁業界の中が魚種別の漁業者間、漁船間で相互に不信感を持ち合って、そしてみんながこの厳しい情勢を一致結束をして乗り切っていかなければならないという場面を足並みが崩れるということを一番心配をいたしておるわけでございます。と同時に、ニシンの問題につきましては、私今回に始まったことじゃないのでありますが、さきのオホーツク海の抱卵ニシンの出漁直前における全面出漁の中止という場合におきましても、当時自民党の総務会長としてその救済に当たり三十七億余りの救済措置を講じた当事者でございまして、
  〔理事鈴木省吾君退席、委員長着席〕
一番ニシンの問題では苦労してきておる一人でございますので、ニシン業者の諸君の立場というものは、十分私承知しておるつもりでございます。
#136
○小笠原貞子君 まあ本当に現地へ行きましてそうして皆さんとお話ししますと、もう当然行けるものだと、許可証ももらったと、行けるものだと思って網も積み込んだ、燃料も積み込んだというさなかにこういうふうな全面禁漁ということですから、もう本当にここで言葉でしゃべっているような状態じゃないんですね。だから、あの三月十五日の交渉でも、とにかく真っ先にニシンやってくれと、そしてニシンをもう一日も早く解決して一日でもいいから出たいと。まあ三月が量としても一番大きくとっていた、四月、五月よりも三月が多くとるというような時期ですから、もう非常に深刻なんですね。そういうことを考えますと、ましてこれが取引材料となるようなことではもうとてもこれは許せない、こういうことがあってはならないと、切に私もそういうことのないようにお願いしたいと思うわけです。
 で、先ほどからの補償の問題が出ていたわけなんですけれども、具体的にやっぱりちょっとした船でも網から燃料、食糧入れれば少なくとも二千万くらいはかけているというような状態で、そして手形が三月に切れるというような時期的な問題が出てくるわけですね。いろいろもう当然政府の方でもお考えいただいているという御返事を先ほどからいただいたのだけれども、三月に手形落ちるのに三月の三十一日に決まっちゃったなら、これはもう不渡りになっちゃうというようなことにもなって落とせないというふうなことにもなりますけれどもね。一体三月と言ってもいつごろの時点で、どれくらいの額で、利子やなんかはどれくらいで、どういう条件でということを考えていらっしゃるのか。具体的にもう相当詰まった御用意というものがなされているんじゃないかなと思うんですけれども、その辺のところをお伺いしたいと思います。
#137
○政府委員(佐々木輝夫君) 先ほどの三月中の操業の中止に伴いまして、刺し網等を中心にして関係業者から、さしあたりその網の仕込み代とか乗組員の賃金等に対する融資措置についていろんな要請が出てまいったのは事実でございます。それを受けまして農林省としても、北海道の信連その他関係の金融機関に、とりあえずこういう緊急事態に備えて、一般の金融を利用するわけではございますけれども、こういう状況を十分踏まえて当面の救済措置的な融資に当たれということを水産庁からも強く指導いたしまして、それらの金融機関の方の一応了承も得ておるわけでございます。ただ、経営ごとに借りております金の返済期限、手形の内容等それぞれ条件がみんな異なっておりますので、それについては十分金融機関と相談をしながら時期を失しないように、いまのようなつなぎ融資の趣旨が失われないようにスピーディーに処理をするようにということもあわせて水産庁としても金融機関に要請をし、大体了解を得ているという段階でございます。
#138
○小笠原貞子君 それじゃ、その点だけでは大丈夫だというふうに言って大丈夫なんですか。
#139
○政府委員(佐々木輝夫君) 個別の問題については、いま申し上げましたように、金融機関の方と各利用者との間でお話を詰めていただく必要はございますけれども、趣旨から言って、いまのように緊急にかつタイムリーにこういったつなぎ融資の措置をとるということについては、関係者一同も了解をいたしております。
#140
○小笠原貞子君 それじゃそれはよろしくお願いします。
 それで、まあとにかくそう言っても、現実にソ連の二百海里体制下では漁獲量がスケトウなんかというのは非常に激減するというようなことが事実になってくるわけなんですけれども、私も釧路へ何回か足を運びましていろいろ水産加工業者の方たちと話をしたんですけれども、いま大きな問題は、大手水産業者や商社が思惑買いをしていると、それでその値段のつり上がり方というのは非常なもんですね。新聞を見ても、これそのとおり出ているんですけれども、一月五日がキロ当たり平均四十四円で始まった落札価格が、三月の十日には百十九円というまでの値段がついちゃった。これは、非常に大きな思惑買いがどこかの手によってやられているんではないかというふうに考えられるわけです。二倍以上になっちゃった。三倍近くなっちゃうというようなことでは、とても水産業界やっていけないということで、業者の方々からこもごも訴えられたわけなんですけれども、こういうことを考えて、一体この値段が急に上がっていると、漁獲が減ったわけじゃなくて、漁獲量はふえているわけですよね。ふえていてどんどん値段が上がるというのは、思惑買いが出てきているんじゃないかというような点について調査をなすったことがあるか、いままでなかったらなさろうと考えていらっしゃるか、それについてどういうふうな指導をなさろうとするかという点についてお伺いしたいと思います。
#141
○政府委員(佐々木輝夫君) 御指摘のとおり、昨年等に比べて、あるいは昨年末からこのスケソウの産地価格がかなり上昇しております。これは一つは、調べてみますとタラコに対する需要がかなり強気で、ちょうど十二月の末から二月、三月の初めごろまでタラコが入っている時期でございますので、例年でも若干その価格は上昇する傾向にあるわけでございますけれども、ことしはそういった要素も踏まえて見て、なおかつどうも値上がりの仕方が激しいということで、水産庁といたしましては関係のそういう流通関係の業者それから生産者等に対して、どうもいまの価格がやや実勢を必ずしも反映してないのではないか、まあ必ずしも実情は明らかではございませんけれども、昨年どおりの取引から見まして特にことし変わった何か大口に急に新規の参入者がいてスケソウ等を買っているというような事実があるかどうかというようなことを、それぞれ現在照会調査中でございます。
 それから、同時に一般の生産者その他に対しましても、これは取引は公開された市場で入札で行われているわけでございますけれども、加工業に関連して新しい代替原料の開発であるとか高歩どまりの工場であるとか、いろんか技術開発も国としても考えているので、むやみに何か投機的な行為がないようにということを一応念のため指導もいたしておりますが、市場等を通じて取引の実態については調査中でございます。
#142
○小笠原貞子君 また、二月十五日ですか、大洋漁業の中部社長さんがソ連から帰国されたと。そして、漁業プラント輸出の見返りにスケトウダラなど水産物輸入を行うというようなこと。これは、中小沿岸漁民が漁獲量を減らされて職を失うというこの大変な危機にさらされているときであって大きな問題だと。新聞でも私ちょっと見せていただいたわけなんです。そして、みんながもうとにかくこれは大変だと言っているのは、沿岸国自身が消費するならともかく、輸出分も含めてソビエトに自国の漁獲量と主張されてはたまらないと。そしてまた、沿岸漁民がこんなに苦しんでいるのに、プラントを輸出してそして見返りに魚でもらうというようなやり方というのは、これはいまの時期に本当にひどいやり方じゃないか、こういうふうに言っているわけですよ。私も事実そうだと思います。
 また、日本が輸入量をふやすということになりますと、スケトウはIQ品目だから政府は枠を拡大しなければならないわけですね。その辺のところ、こういう事実についてどういうふうにお考えになっているかどうか。
#143
○国務大臣(鈴木善幸君) いま小笠原先生も御指摘になりましたように、スケトウダラはIQ品目でございます。でありますから、私はこういう状況下において、このIQ品目の枠を広げてそして輸入を図るというようなことは考えておりません。私は、日本の漁業を守るということを基本に置きましてすべて対処していきたいと、こう考えております。
#144
○小笠原貞子君 そういうお答えでなければならないと思うわけなんですけれども、この社長さんの記者会見では、訪ソ前に岡安水産庁長官にはスケトウ輸入について非公式に話しておいたというようなことも記者会見でおっしゃっているわけですね。だから、こんなことがあってはならないんだけれども、やっぱり非公式でそういうような話になっている。輸入の枠は広げないとおっしゃりながら、そこに何かがあるんじゃないかというような一抹の不安がやっぱり消えないということなんで、これ新聞報道から私はちょっと不安になったもんですから、その辺のところをもう一度はっきりとお答えをいただきたいと思います。
#145
○政府委員(佐々木輝夫君) この前大洋漁業の社長がモスクワに行ったときに、向こう側から、さっきちょっとお話があったような、プラントとそれから魚のバーターというような話が出たということは聞いております。ただ、こういう非常に日ソ間で漁業交渉が行われている微妙な時期でもございますし、それは自分としては一応慎重に考える必要があるということで承諾はしなかったという報告を、帰りまして水産庁の長官も受けております。で長官の方からも重ねて、先ほど大臣の方から御答弁のありましたような趣旨で、慎重にそういった問題について対処するようにと、いやしくも軽々しくそういった魚とそれからいまの何らかのバーターというような形で安易な解決策というのはとうていとり得るものではないからということを、事後的ではございますが、さらに長官の方から指導もいたしております。
#146
○小笠原貞子君 苦しんでいるときに大手だけがこれまた幸いなんというようなことがないように、その辺のところをしっかり押えておいていただきたいと思います。
 それから、ソ連の二百海里も大変だ、そしてソビエト船がやってきて漁業被害が起こるのも大変だという中で、北海道、特に太平洋岸なんかというのは一番もういま困っちゃったと言って苦しんでいるのが、この前大臣にも党としての申し入れをいたしましたけれども、あの韓国漁船の問題なんですね。特に、三月一日からソ連が漁業専管水域二百海里を実施したということで、北洋海域で操業していた韓国船がもう二月末から本当に大挙して北海道太平洋岸に入ってきていると。十三日以降は日本海留萌海域にもあらわれているわけなんです。きのうちょっと漁協に電話を入れました。門別、荻伏、白老、様似ですか、あの辺入れましたら、いまはないんですね。いまないというのはこれで済んだのかと言ったら、そうじゃなくていまちょうど交代期になっているというふうに見られると、だからもう早く小笠原先生手を打ってもらわないと私らも大変だということを、また電話でも直接いろいろ声を伺ったわけなんです。これが本当に沿岸漁具敷設海域で大変な被害を与えて、この間もその被害の状況を大臣にも出して、差し上げたわけなんですけれども、水産庁としてもこの被害の状況という実情をもうつかんでいらっしゃいますか。最近のいつごろまでつかんでいらっしゃいますか。
#147
○政府委員(佐々木輝夫君) これはまだ内容を十分精査はしておりませんが、北海道庁から水産庁に受けております報告で、三月十五日までに韓国船による漁業被害が年度間累計いたしまして約三百八十件、約一億をちょっと超える漁具被害が出ておるという報告を受けております。
#148
○小笠原貞子君 特に、三月一日から十五日の最近を見ても百四十二件、四千五百六十九万という被害ですね。これは道庁から調べていただきました。これはもうすぐ隣の国なんだし何とかならないかと、こういう問題について大臣一体どう考えていらっしゃるかどうか。
 それからまた、この実情も知って調べていただきたいですね。たまたまひっかかってそして破っちゃったとか、引き揚げちゃったとかいうんじゃなくて、まさに敷設されているところをずっとやられていってしまうというような状態なんですね。知らないでやったというんじゃないというんです、現場でずっと聞いてみると。三月四日広尾漁協の十一そうのスケトウ刺し網が六百反以上切断され、流失させられていると。刺し網を入れたところをねらって、わざとトロールで網を引いていってしまったというふうにしか思えない。十四隻出漁して、一遍に十四隻のうち十一隻がやられているというわけなんですね。だから、被害額だけではなくて、どういうようなひどいやり方をしているかというようなことをどの程度つかんでいらっしゃるか。また、これについてどういうふうに考えていらっしゃるか。
#149
○政府委員(佐々木輝夫君) 韓国の漁船の操業と北海道の沿岸の漁業者との調整の問題につきましては、実は五十年にもちょっと問題がございまして、ある程度の被害が沿岸で起きておったものでございますから、昨年の六月に日韓の民間の漁業協議会が開かれまして、そこで一応今後のこういったトラブルの発生防止にどういうふうに対応するか、それからいままで起きた被害につきましてどういうふうに解決するか、こういうことを話し合いをしていこうということで合意ができております。これに沿って一応その話し合いが進んでいったわけでございますけれども、特に三月に入ってから北海道周辺での韓国漁船の操業が非常に活発になりまして、いま先生の方でお話があったようなことも含めて、いろいろ沿岸漁業者に非常な不安を与えておりますので、水産庁といたしましても韓国の水産庁に対しまして、わが国近海でのいろいろな事故の未然防止なり、あるいは両国の民間レベルでの話し合いを早く促進してそういった事故が起きないように、起きた事故についての処理を早急にとるように業界を指導してほしいということを申し入れをいたしまして、韓国側の方からも、特にわが国の十二海里あるいは沖合い底引きの禁止区域を設定しておりますが、そういった中には入らないように、自粛するように強く指導しますということ。それから、昨年の六月にできました民間の協議会を早期に開催するということについても、そういう方向で韓国側の方の業界を指導しますということ。さらに、韓国の方の北洋漁船の出漁しておりますトロール船のうちの相当数を北海道周辺以外の海域に転換させるということも現在韓国で検討し、指導する用意があるというような連絡を受けております。今後はこういった話し合いの中で、北海道沿岸での韓国船との間のトラブルというものは減っていくのじゃないかということを期待しておるわけでございます。
 さらに追加して申し上げますと、韓国漁船との間のトラブルを未然に防ぐ、そのための指導なりあるいはそういったトラブルの防止の見地から、水産庁も海上保安庁及び北海道庁と連絡いたしまして、それぞれ監視体制を強化しております。水産庁は大体太平洋岸に二隻、日本海側に一隻監視船を配置いたしておりますし、道庁の方も四隻ぐらいの監視船をいまそのために十分行動できるように配置をしておるという状況でございます。
#150
○小笠原貞子君 いまお答えいただきましたように、実際に昨年の六月に日本国・大韓民国民間漁業協議会というのが開かれて、そういうことはないようにすると、まあ北海道周辺海域においては損害を与えるような操業はしないということが合意されているとおっしゃった。そのとおりなんですよね。しかしそれにもかかわらず、具体的にさっぱり改善されていないわけなんです。そして、昨年の十二月には韓国船の被害が非常に集中したわけなんですけれども、そのときにも北海道の漁業団体が韓国へ行っているわけなんです。そして近海の漁具被害防止を強く訴えて、このときも韓国側は、問題海域における操業の中止と、確認された被害の補償をしようという確約をしているわけなんですよ。だから、もうそれを待っていますと相変わらずなんですね。六月に言ったって何にもやらない。十二月にわざわざ行ってちゃんと約束したけども、それも無視してこの三月まででこれだけの被害が起きていると。これはもう全く約束違反、道義的にも全くひどいやり方だということで、やっぱりこの際、もう本当に腰を据えて韓国政府に厳重にきちっとした政府としての抗議をしてもらわなければ、こういう約束で合意されているから改善されるでしょうなんと言っていたら同じなんですよ。ちっとも改善されてない。その辺のところは大臣としてどういうふうに対処していただけるかどうか。もう実際具体的にひどい被害になっておりますので、お考えいただきたいのです。
#151
○国務大臣(鈴木善幸君) 韓国側の責任者であります日本なら水産庁長官、その責任者に対しまして厳重に申し入れをいたしまして、先ほど佐々木次長から御答弁を申し上げましたように、向こうから責任を持っていまの十二海里の中、また底びき網等の禁漁区域の中、そういうところでの操業は厳重に自粛をさせると、こういうはっきりした回答が寄せられております。また、近く民間の協議会の開催も約束をしておりますので、十分な手だてをいたしたいと、こう考えております。
#152
○小笠原貞子君 本当にしっかりやっていただきたい。
 一番最近の厳重に抗議されたというのはいつごろの時点です。
#153
○政府委員(佐々木輝夫君) 先週でございます。先週中ごろ、ちょっと日にちはいまはっきり覚えておりませんが、韓国の駐日大使館を通じていまのようなことを申し入れました。
#154
○小笠原貞子君 それは駐日大使館を通じて口頭でお申し入れになるという程度なんですか。これはひどいじゃないか、何とかやめてくれというような程度なんですか。
#155
○政府委員(佐々木輝夫君) 事は急を要しますので、いまのように早急な連絡をとって、それに対してまた向こう側からもある程度しっかり操業協定その他は――民間での約束したことその他を守らせますというような返事をいただきましたので、私どもとしては日本側の方の業界をさらに指導いたしまして、近々、三月の末ぐらいを目標にしてこちらから今度はソウルの方へ出かけていって話し合いをする番でございますから、こっちからこういう事項について話し合いをしたいという申し入れをさせようということでいま進めております。
#156
○小笠原貞子君 先ほど言いましたように、何回やってもちっとも守らないで次々と被害が出てくるわけですから、こっちもいままでと同じようなやり方で注意してください、やりますということではこれは本当にやり抜けないと思うので、その辺のところをしっかりと、もっと効果的に権威を持ってきちっとやっていくというふうにぜひお願いしたいと思います。
 それで、先ほど監視体制で巡視船が出ているというような話がありました。確かに出していただいているわけですけれども、留萌海域、日本海側の留萌の方ですね、韓国船があらわれたというときにも小樽海上保安庁の「てしお」一隻がパトロールしていたというようなわけで、何といったって広い北海道の海のことですから、三隻、四隻と言われてもこれまた大変御無理なことだと思いますけれども、予算の都合ですぐにはできないということであれば、こういうような時期にはほかの管区からも巡視船を特別に配置を回してもらってそしてきちっと監視するというような、そういう臨機応変の体制というのは考えられないものなんでしょうか。
#157
○説明員(山本了三君) 海上保安庁からお答え申し上げます。
 三月一日にソ連が二百海里の漁業専管水域を実施するという情報を受けまして、二月の終わりに海上保安庁といたしましては巡視船を道東海域に二隻、道南に二隻、道北に二隻、合計六隻前進哨戒をさして三月一日に備えました。その後、韓国漁船が道南にもあらわれるであろうという予測の情報が入りまして、まあ一応海上保安庁としては待ち構えておったという感じですけれども、現実に韓国漁船があらわれてまいりましたので、道南地区にはさらに二隻を増強いたしまして、襟裳地区の東は二隻、西に二隻、計四隻を現在配備して警戒を実施いたしております。道北の方でございますが、留萌の沖に韓国船があらわれたという情報も入りまして、先生御指摘のとおり、道北に二隻常時巡視船を哨戒させておりますけれども、ソ連との間には大してトラブルも発生しておりませんので、その哨戒巡視船を急拠そちらの方面に差し向けて哨戒を実施する、そういうことにいたしました。
 なお、現在の哨戒によりまして、先ほど水産庁の次長からも御説明ございましたけれども、私どもに入った被害の情報もこの月の半ばからは激減いたしております。効果も着実に上がっておるというふうに現在のところ考えて喜んでおる次第でございますけれども、必要であれば、なお被害が増加するようであれば必要に応じて他管区からも巡視船を増援いたしまして哨戒を実施すると、その覚悟であります。なお、現在でも実は塩釜から巡視船を一隻派遣しまして応援さしておる、そういう実情であります。
#158
○小笠原貞子君 本当に頼みの綱は巡視船で、しっかりやってもらいたいというような期待もございますので、いまお答えいただきましたように臨機応変の措置で効果あるように守っていただきたいと、そう思います。
 それから、韓国漁船による被害の補償の問題なんですけれども、確かにこれは韓国側に直接補償責任はあるわけですけれども、その韓国側に補償要求するというときには、確認された場合の被害の補償というふうになるわけです。実際にこの間も電話で聞いたら、夜中にやられてしまうというようなときも多いわけですね。そうすると、またこれがきちっと加害船を確認する証拠を持って出ていくというのは大変困難な状況に置かれているわけなんですよ。事実十七日、広尾町のスケトウ刺し網「第三十八強新丸」という、これは九・九トンなんですけれども、韓国船は三百五十トン、ここに横づけして加害証明を書けとまあ日本語がわかるから迫ったけれども、拒否されて立ち去ってしまった。船長の田中さんという人が韓国船へ乗り移ったその甲板の上には、切断されたうちの網があった。巡視船にも来てもらったけれども、公海ということで臨検もならず非常に残念だというようなことなわけなんですね。こうなりますと、結局漁民がただ泣かなければならないということになるわけなんですね。これは大臣、漁民はしようがない、泣かなきゃならないんでしょうか。それともこういうような情勢の中で起こった被害というものについて、政府としても農林省としても何とか考えるというようなお立場に立たれるかどうか、お伺いしたいんです。
#159
○政府委員(佐々木輝夫君) いま先生の方からお話ありましたように、基本的にはこれは民事上の問題でございまして、当然不当に加害をした方の側が賠償すべき問題でございます。また、韓国側の方もそういうことが立証されれば、確認をされれば補償するという態度でございますので、私どもとしては、やはり海の上のことですからいろいろむずかしい問題はございますけれども、そういったことを集団で操業しながらお互いにその証人をつくって確認をするように指導をするとか、あるいは監視船等をやはり必要な場合には増強をして、そういったものの手助けをかりて相手船をやっぱりはっきり確認をして、賠償させるべきものはさせるということで従来からも指導しておりますが、今後も一層そういう点には力を入れてまいりたいと思っております。
#160
○小笠原貞子君 そういうような被害が出てきて、これどうしようもならないなんて言ってるのは、結局領海十二海里という問題が具体的には出てくるわけですね。だから、やっぱり領海十二海里というものを早急に結論を出して、法案の閣議決定というのが近く行われるというふうに伺いましたけれども、この法案の閣議決定のその時点で各国に宣言してもらうと、その時点からそういう被害が起こらないような一つの手だてにするという点をぜひお願いしたいと思うんですけれども、いかがでございますか。
#161
○国務大臣(鈴木善幸君) できますれば二十九日の閣議で閣議決定をいたしまして、今月中に国会に提案をし御審議を煩わしたいとこう思っておりますが、法律でございますので国会の御承認を一日も早くいただけるように御協力を賜りたい、こう思うわけでございます。
#162
○小笠原貞子君 国会で一日も早くやるのは当然のことなんですけれども、いま私言ったのは、一日、何時間おくれるとそのときにばっとやられるという危険性がいっぱい出てきているわけなんですから、だから閣議決定の時点でこれを各国に宣言するというくらいの態度をとっていただけないですか。これは無理ですか。
#163
○国務大臣(鈴木善幸君) これは法律的な問題でございまして、関係国に対しましては、日本がそういう閣議決定をし国会に提案をしたということは連絡通報をいたしたいと、こう思っております。
#164
○小笠原貞子君 ぜひその時点で各国に連絡をいただいて、被害を最小に食いとめていただきたいと思います。
 沿岸漁民が、いま言いましたように、もっともっと言い足りないんですけれども、大変な苦労をしていらっしゃるその真っさなか、十日からソウルで第九回の日韓民間合同経済委員会というのが開かれた。そして十二日に終了し、日本側は韓国の第四次経済開発五カ年計画に資本、技術両面にわたり積極的に協力していく旨の共同声明を発表しております。そして民間の経済委員会とはいうものの、この被害を受けている漁民の気持ちとしては、やりきれない気持ちというのはぬぐい切れないんですね。この点について大臣はどう考えていらっしゃるか。
 それから続いてお伺いしますけれども、韓国のトロール船なんですけれども、これが日本の商社の資本が入っていると。それから技術面でも日本側から相当入っていると。それだけではなくて、船も日本船が売られ、しかも失業中の漁労長までが韓国漁船で働かないかと、いわゆる船頭買いされているというような事実が報道されているというような状態ですね。これは、事実そういうことがあるということで報道されたと思うんですけれども、こういう立場からの韓国漁船の実態ですね、一体どういうふうになっているのか。当然私は調査していただかなければならないと、そう思うんですけれども、これについて御調査いただくという御意思がおありかどうか。その点も、二つお伺いしたいと思います。
#165
○政府委員(佐々木輝夫君) 後段の方で御質問のございました韓国漁船の実態でございますけれども、私どももいまお話が出ましたような日本の中古船を向こうが買って使っているというような実態が魚種によってある程度あるということは承知をいたしております。しかし、一応漁業者から直接そういうものを売り渡しているわけではございませんで、ある程度制度的にも漁船の輸出については運輸省と協議しながら一応チェックをして、日本の漁業とできるだけ競合しないように隻数その他も限定をして毎年認めておりますので、そういった経路を経て韓国側の方に売られた船がどこでどういうふうに操業されているか、ここまでは実は的確に私どもも把握はいたしておりません。しかし、日韓の中で、特に漁業問題に関しましては、従来から日韓の漁業共同委員会なり、それに基づく民間も漁労長を含めたいろんな人の交流というようなことが頻繁にかなり行われておりますので、そういう機会を通じて向こうの状況も十分われわれも把握をしながら、両方のトラブルが起きないように話し合いの中でそういった問題を解決していく必要があると思います。いま申し上げましたような機会をとらえて、韓国側の漁業の実情につきましてもなおわれわれとしても十分把握をしておきたいというふうに思っております。
#166
○小笠原貞子君 ぜひその間の事情を御調査いただいて、具体的事実を把握していただくというふうにお願いしたいと思います。
 次に、時間わずかになりましたけれども、OPPの問題についてお伺いしたいわけなんですけれども、四十六年にグレープフルーツが許可された、このときも自由化してせいぜい十万トン程度で余り影響ないというふうに言われたのに、実ば五〇%増の十五万トンと、いろいろとこのOPPを通して、先ほども青井先生おっしゃっていましたけれども、政治的な駆け引きの中にいま話題になっていると、こういうふうに思わざるを得ないわけなんです。
 そこで、具体的にお伺いいたしますけれども、現行の防腐剤のジフェニル、これもグレープフルーツを自由化するために許可したと言われておりますけれども、現在、シフェニルは国産の温州ミカンに使用されていますかどうか。
#167
○政府委員(堀川春彦君) 国産の温州ミカンに使われているとは聞いておりません。
#168
○小笠原貞子君 使われていないというのは、認められていないということになるわけでございましょう。
#169
○政府委員(堀川春彦君) シフェニルは使用制限事項がございまして、貯蔵、運搬の用に供する容器の中に入れて四辺に浸透させて使用する場合以外に使用してはならないということになっておりまして、現在では外国から輸入をされる柑橘類に包装の中の底部ないし上部あるいは場合によったら中間部に入れることもございますが、かような形で使われておるというのが実情でございます。
#170
○小笠原貞子君 そういうふうに使われているわけなんですけれども、これは直接果実には当たらないわけですよね、蒸発してというような効果を出しているわけですね。ところが、今度OPPというのは直接レモンに添加されるわけで、皮だけじゃなくて中にまで影響があるというふうに言われている。
 そういうことで、時間がないから端的にお伺いしたいんですけれども、これは安全性があるというふうに言われて、そうして諮問――食品衛生調査会ですか、ここへ出された残留農薬研究所というのがありますね。これはどういう性格の団体ですか。
#171
○政府委員(堀川春彦君) この団体は農林省所管の財団法人でございまして、農薬の残留性等を主として研究する民間の公益法人でございます。
#172
○小笠原貞子君 農林省が入っているからこれは半官だ、そうしてまた半民だと言われている。その半民の中にいわゆる商社が加わっているというふうに伺ったんですが、その点はどうなんですか。
#173
○政府委員(堀川春彦君) これは財団法人でございまして、商社が加わっているということはございません。――これは民法の財団、公益法人でございまして、商社が入っておるということはございません。
 ただ、先生おっしゃいますのは、この機関に民間の外国からの青果物等の輸入を扱っておる団体が委託をいたしまして、そうしてOPPの問題について試験を頼んだという事実はございます。
#174
○小笠原貞子君 その辺のところが余りすっきりしない。先ほども言われていたように、輸入したい、それを商売にしているというところが頼んで、そして結果は大丈夫だ、シロだということで諮問をする、諮問をすれば一カ月後には出てくるだろうと、非常に福田さん訪米のおみやげだという見方をされても仕方がないような時期であり、そしてその手だてなわけなんですね。
 そこでやっぱり大臣にお伺いしたいのですけれしども、なぜいまの時点でこれを許可しなければならないか、許可することがいまの時点でそんなに必要なのか。レモンが腐るなんて言って一ころ騒がれましたけれども、OPPは白カビ防止には効き目があるというふうに言って、これはぜひ必要だと言っていらっしゃるけれども、いま全然使ってないレモンが健全に出てきているというわけでしょう。なぜこれを使わなければならないのか、その辺のところが私はどうしても納得ができない。
#175
○政府委員(堀川春彦君) これは、農林省がOPPの使用をぜひとも推奨しておるとか、その必要性を認めておるとかいうことではございませんで、私ども伺っておりますのは、シフェニルという薬は使用が認められておるわけでございますが、これは先ほど青井先生のお話もございましたように、青カビに強い、ただし白カビには余り効果がないというふうに伺っておるわけでございまして、アメリカのカリフォルニアあたりには白カビがかなり出るという話がございます。そういう白カビ対策ということが主たる動機だと思われるわけですが、アメリカから輸出をしてくる柑橘類にOPPをそういう趣旨で使わせてほしいという話があって、その問題について、しかしこれは食品の安全の問題でございますから、厚生省の方において確たる試験結果がありませんと評価ができないということから、先ほどお話の出ました残留農薬研究所が頼まれてやりました試験結果等について、厚生省は、そればかりではございませんが、全体の資料について食品衛生調査会で今回御諮問に応じて御検討になる、こういう手はずになっておるというふうに承知しておるわけでございます。
#176
○小笠原貞子君 確かにカリフォルニアの方で白カビが出る、白カビには効くのだ、それはあちら様のことなんですよね。私らにすれば消費者の立場であり、そして農民にとっては生産者の立場だ、そこでは何にも必要ないわけですよ。ジフェニルが使われている、そしていまちゃんと出ている。OPPを使わなくたって出ているじゃないか。それをなぜいまそんなに、一月後には答申されるだろうというふうにお急ぎになるのか、その辺がどうもすっきりしない。やはり何かがあるんじゃないかと言われてもしようがないと思うのです。そしてこれは決して簡単なものではない、突然変異が起こるおそれがあると危険性を主張していらっしゃる名城大学の花田信次郎教授のデータ、これが参考資料としてしか扱われていない。なぜ参考資料じゃなくて、こういう反対の意見だったら、堂々とこれは本当の資料としてそしてきちっと審議をなさらないのか。この辺のところも何か臭いぞと言われてもしようがないと思うのですね。その辺ちょっとお伺いしたいと思いますし、それからいまのたとえば慢性、急性の毒性やそれから遺伝性という三つの立場から結論を出さなければならないというふうに言われていますね、添加物の場合。そうすると、やっと出てきた、三つがそろったところですわね。慢性、急性、遺伝性、やっと三つがそろったところなんだから、これから落ちついてこの三つのデータに伴って安全かどうか、本格的な審議をこれからやったっていいのじゃないか。いまレモン、腐ってないです。レモンないと大騒ぎだなんて言うのは一部のことにしかすぎない。やっぱり消費者、農民の立場に立てば、これできちっとこれから始まる時期じゃないかというのに、なぜそうやって急がれるのか、どう考えても私は不思議でしようがないのです。そういう中で厚生省自身としても、国の責任できちっと――どこかに頼んでというのじゃなくて、国の責任でこの安全性があるかないか、毒性実験をするというようなことを考えていらっしゃるのかどうか、その辺のところを、何ともこうすっきりしないものですからお伺いしたいと思います。
#177
○説明員(宮沢香君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生の御質問のオルトフェニルフェノール、OPPと呼んでおりますが、これは一九六九年に国際機関でございますFAOとWHOの専門家委員会におきまして、その一般毒性、つまり急性毒性とか、慢性毒性、あるいはその他の毒性等からいわゆる代謝とか発がんとか、そういう一般的な毒性について審議されまして、人間が一日に体重一キログラム当たり一ミリグラムまで摂取しても害はないと、こういう一つの値を出しておりまして、一九七四年に柑橘類には一〇ppmの残存でよろしいという勧告値を出しております。しかし、先生もよく御存じだと思いますが、日本の食品添加物の安全性については非常に国民の関心も高くなっておりまして、私どもはWHOのこの考え方にプラスして、特殊な事情として遺伝学的にもその安全性について審議をすることが必要になったということで、アメリカではそういうものについてはまだWHOも認めておらないし、どこの国でもそんなデータは要求しておらないのに、なぜ日本はそういうものを要求するのだということでずいぶん議論があったわけでございますが、私どもとしましては、こういった遺伝学的な資料についても、どうしてもこれは内規として決めた以上必要なんだということで押し返しております。ようやくアメリカの方で――ただいま先生の御質問にあった国内の残留農薬研究所に依頼をしてそのデータを昨年の十月に学会に発表いたしまして、そしてその報告書を昨年の暮に私ども出したわけでございまして、私どもがそういうのが出たのでようやく調査会で審議をする全体の資料がそろったと、こういうことで資料を整備しながら、今度三月の十五日でございますか、食品衛生調査会にこの審議について諮問をしたというわけでございまして、先ほどの時期については、大変厚生省がそういうことで手間取ってたまたまこういう時期になったのでございまして、私どもとしては、アメリカがもっと早く出してくればもっと早く審議をするというようなことになっておったわけでございます。
 それから第二点、花田先生のデータを参考程度に使うというふうに申しておられます。これはやはり去年の四月の日本の薬学会で、花田先生が遺伝学的な面からやはり若干問題あるじゃないか、こういうような発表をしております。私どもは、こういった資料についてもあとう限り全部取り寄せておりまして、整理をして、これも同時に審議の資料として食品衛生調査会に諮るというふうに予定をしておるわけでございます。
 また、国の責任でこういうものの安全性をチェックすべきじゃないか、こういう御指摘でございます。これにつきましては、厚生大臣が食品添加物にある時点で安全であるという調査会の意見に従って指定をしまして、それから後で新しい事態が発生した、それを取り消すべきかどうすべきか、こういうようなときには国立の衛生試験所で十分な試験をして、その結果を待ってその指定の取り消しか否かを審議していただくわけでございます。しかし、新しく使用させてほしいと、こういうような申請に対しましては、医薬品とかその他もろもろの化学物質について受益者負担の原則をとっておりまして、指定をしてもらいたい、使わしてもらいたいという者が、ちゃんと権威ある機関から審議のために必要とされる資料を出すというようなことを私どもは申しておりまして、国の機関でこういうものについて実験をすることはかつてもないし、これからもないと思います。
#178
○小笠原貞子君 もう一言。時間が来ましたから一問だけ。
 安全性の問題について本当に検討してもらいたいんだけれども、いままでのAF2にしてもサッカリンにしても、大丈夫だなんて言われてもなかなか信用できないんですよ、はっきり言って、皆さん一生懸命やっていらっしゃるけれども。結果的には信用できないような状態になってきているということで、これを機会にもう一つ、さっきも言ったようにここのところが大事だと思うのね。いまそんなにあわてなくていいんじゃないか。慢性、急性、遺伝性、三つのデータが出たここで、ゆっくり諮問の前にきちっと調査するということをなぜしないのか。もう一月後には諮問の結果が出るというような、ここのところのあわて方をもうちょっと抑えてほしいということなんですよ、私が言いたいことはね。
 それから、大臣にお伺いして御決意のほども伺いたいんだけれども、これが大きな問題になっているというのは、やっぱり生産者農民が非常に苦境に立たされるわけですよね。先ほど大臣は所信表明、いろいろお答えの中でも、やっぱり日本の農民を守るという立場に立っていらっしゃるということなら、いままでもずいぶんいじめられてきているんです。そういう立場で、いまこれが急にこういうふうに動かされてきているということについて、やっぱり農林大臣の立場で生産者が本当に納得できるものであるかどうかということも考えていただきたい。やっぱり日本の農民が反対するというのは、どんなに苦労の中で、いまこれを何としても抑えてほしいというようなこともあると思うんですね。その辺のところを、先ほどの御決意が具体的にどうなるんだということになると思うんですけれども、最後にそれを伺わせていただきたいと思います。
#179
○国務大臣(鈴木善幸君) この防ばい剤の問題は、事、健康と命にかかわる問題でございますから、食品衛生調査会におきましてもあらゆる角度から慎重の上にも慎重に御検討を願いたいと、このように私強く希望をいたしておるところでございます。
 また、これが使われた場合にどうなるかという問題でございますが、この防ばい剤が使われたということで一時輸入が激減をしたことがございます。その後、これを使わないで徐々に輸入量が回復をしてきておるといいますか、上昇してきておるというような状況にあるわけでございまして、私はこういう防ばい剤であるとか食品添加物というようなものは、たとえそれがシロと出ても使わないで、生のままでこれが生鮮の果実なり野菜として国民に提供されることを望んでおるわけでございます。
#180
○説明員(宮沢香君) 先ほど先生が、そうあわてて審議をすることもないのじゃないかと、こういう御指摘でございますが、私どもとしましては決してあわてておりませんで、調査会に諮問をいたしまして、これから委員長の指図に従いまして専門の部会の先生方に連絡をとりまして、そしてそこでいままで私どもが集め得た資料について慎重に審議をしてもらう、こういうことでございます。
#181
○喜屋武眞榮君 だいぶ遅くなりましたけれども、私が最後でございますからよろしくお願いします。
 最初に、大臣の所信表明に関連して二、三お尋ねしたいと思います。
 大臣の所信表明を読んでみますと、大変見事である。ところで、気になりますことは、その裏づけの予算がまさか十分であるとはおっしゃらぬと思いますが、果たして実際問題として政策転換がうまくいくだろうかどうだろうかということの懸念を持つわけであります。たとえば農林省の統計表にも示されておりますように、年々農耕地が減じてきておる。この五カ年毎年減じておる。それから強く強調されております水田の総合利用も、現実の問題としては定着していない。こういう実情と結びつけた場合に、果たしてその政策転換がうまくいくだろうか、こういうことを疑問に思うんです。まずそのことをひとつ大臣に伺いたいと思います。
#182
○国務大臣(鈴木善幸君) 私が所信表明で申し述べたことと、予算の裏づけとの関係についての御質問でございます。
 私は、所信表明で申し上げた点を基本として、五十二年度の予算編成に当たりましても重点的に努力をしたところでございます。しかし、就任いたしましたのが十二月下旬でございまして、五十二年度予算は昨年の夏ころからずっと積み上げてきておった予算でございます。したがいまして、私の考えの重点というものを十二分に予算の中に反映せしめることができなかった点はきわめて残念に思っておるところでございます。しかし、予算編成に当たりまして省内の各部局を督励をいたしまして、あとう限りの努力を傾けたところでございます。
 具体的に農地の壊廃、転用等によって農地の確保また基盤整備等が所信表明のとおりいってないのではないかという厳しい御指摘があったわけでございますが、やはり農地の確保と優良農地にこれを造成改良するということは、何といっても日本農業の体質の強化の上から最も重要な点でございますので、農業基盤整備等の予算につきましては、他の一般公共事業の予算の伸び率よりも私は上回った予算の確保ができたと、このように考えておるところでございます。今後ともそういう方向で一層努力を傾けてまいりたいと考えております。
#183
○喜屋武眞榮君 それじゃ具体的にひとつお聞きしますが、土地改良の長期計画についてお尋ねしたいんですが、長期計画は四十八年から五十七年までの十カ年計画となっておりますね。予算が十二兆円。それでことしは、次年度五年目を迎えるわけですが、それが計画どおり順調に運んでおる、このようには評価できないと思いますが、その点いかがでしょうか。
#184
○政府委員(森整治君) 土地改良長期計画につきましては、先生御指摘のように、来年を含めまして前五カ年ということに相なるわけでございますが、ただいまの予算計上の状況から見ますと、事業費といたしまして約四兆円ということに相なると思います。これは全体から見ますと、全事業量に対しまして進捗率が三三・五%ということに相なるわけでございます。ですから、あと予備費を入れた、まあ五年の全体から言いますと五兆二千億という数字がございます。それと比べますと若干進度がおくれておるというふうに思われますが、いままでついてまいりました投資実績から将来を推計いたしますと、今後毎年一五・四%伸ばしていけば十二兆円の長期計画の達成は可能であろうというふうに思われるわけでございます。こういう関係からいたしますと、全体ならしますと過去の伸び率が一五・三%ということに相なるわけでございまして、そういう意味で申しますと、土地改良長期計画を何と申しますか、事業費ベースあるいは金額ベースといいますか、そういうもので見れば、一応今後その達成は可能ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。あと事業量といいますか、後期の工事費の上がりに伴います事業量がどうかということにつきましては、先般来大臣から御答弁申し上げておるように、その達成はなかなか容易でないという判断はいたしております。
#185
○喜屋武眞榮君 大体こういった長期計画というものは、実際問題としましては、計画は計画、実際はそれに乗っかかっていかぬと、こういうことが実情であると思います。どうかひとつ、この点今度はそうではないぞと、こういう実を示してもらうことを強く要望して次に移ります。
 次に、米の減反政策について、減反目標がことし九十万トンと伺っておりますが、この目標に対して実績は八十万トン程度どまりと、それでしかも古米が二百五十万トンも貯米されておると、こういう実情からしまして、私は減反政策という消極的な政策を打ち出さずに、一応つくるべきものはつくらして、それを国民生活の中で広く消化していくという、消費面を広げていくという、そうしてしかも米を原料とする加工業ですか、こういった面に広く広げていくということがむしろ前向きではないだろうかと思うんですが、大臣いかがでしょうか。
#186
○国務大臣(鈴木善幸君) お説のとおり、農民諸君が額に汗をしてつくっていただいたお米でございますから、これをできるだけ国民の食糧として消費していただくということが望ましいわけでございまして、農業団体等とも連携を取り合いながらこの米の消費拡大運動というものをいま展開をいたしております。農業団体もそれぞれ費用を分担しながら、この運動に熱意を持って努力をしていただいておるところでございます。また、今年度の、五十二年度の予算編成に当たりましても文部省と話し合いをいたしまして、学校給食等の面でもっと米飯を多く導入していただくというような施策もやっておるわけでございます。私は、そういう米の消費拡大によって、やむを得ずとっておりますところの生産調整の量というものをできるだけ減らすように今後とも努力をしていきたい、こう思っております。
#187
○喜屋武眞榮君 所信表明につきましては以上二、三伺いまして、次は沖繩農業の開発に関連して伺いたいと思います。
 なるほど、五十二年度予算を見ますと従来よりは開けておる、予算が大分ふくれておるということは認めます。しかしながら、いままでの調子で行きますと――沖繩農業の基盤整備は五十年のおくれがあると思われる。ところが、沖繩の復帰の時点での合い言葉は、いわゆる目標は本土並みということであったわけであります。そこでこの五十年の、遅々として進まないいまの調子で行きますと、五十年おくれておるというそれを本土並みに取り返し持っていくには何年計画――何年でやってみせるんだという、こういう大臣のひとつ所信を伺いたい。
#188
○国務大臣(鈴木善幸君) 沖繩は離島もたくさんございますし、また亜熱帯性、海洋性の特異な気候風土でございます。私は、また台風であるとか、なかなか災害も大きい、厳しい一方において気象条件等があるわけでございますけれども、亜熱帯性というまた特殊なその特性を生かした農業ということを考えますと、これは沖繩にふさわしい農業の振興を図る必要があると、このように考えておるわけでございます。幸いにしてサトウキビでありますとか、あるいはパインでありますとか、あるいは畜産でありますとか、あるいは冬、春の野菜でありますとか、あるいは肉牛でありますとか、葉たばこでありますとか、いろんな作目が定着してきておるというぐあいに、私は明るい展望を持っておるわけでございます。そういうような観点で、沖繩農業のこの特性を生かし、ようやく定着をしておりますところの沖繩農業の振興には今後ともできるだけの農林省としても努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
#189
○喜屋武眞榮君 いま大臣は明るい展望を持っておるとおっしゃるんですが、まあ明るい展望を否定するわけではありませんが、遅々として進まない現実のもどかしさに私は非常に不安を持つのです。なぜかと申しますと、沖繩の農業だけじゃなく全般的に言えるのですが、多くの問題点で特別措置という措置をされておるわけなんですが、ところが特別措置というのはこれはわれわれは本当は好まないところであります。一日も早くその特別措置をなくするような状態に沖繩を持っていってもらいたいということなんです。ところが、福田総理を初め沖繩の返還の時点、そして今日でも強調しておられることは――沖繩には膨大な基地があることは否定をされますまい。日本全体の五三%は沖繩にある。ところが、計画的に基地の返還を進めておるとおっしゃるけれども、現実はそうじゃありません。復帰後どれぐらい沖繩の基地が返還されたか御存じかと思いますが、基地面積の五・一%しか返還されていませんよ。それに対して、軍で働いておる基地労働者は七〇%一方的に解雇されておりますよ。この矛盾を伏せて、基地も計画的に返還されつつあるということは、これはもってのほかであります。そこで、本土の皆さんの中にも、基地は返せ、労働者を首切るな、おかしいことを言う沖繩の労働者ということをいまでも時に聞くんですが、こういった矛盾の中で農業開発が本当に軌道に乗るはずはありません。これは基本的な問題です。その壁ば常に基地に突き当たるわけなんです。
 それはそれとして追及をいたしますが、現在ある農地、これに対する展望が開けるとおっしゃるけれども、私は現実をここで改めて申し上げたいと思います。五十年のおくれがあると私は申し上げました。それで、沖繩のこの本土並みの目標は、非常にへりくだって謙虚な気持ちで類似県なんという、面積規模、あるいは財政規模、人口規模からしても沖繩と似通った、いわゆる本土で言えば、A、B、Cに分ければC段階の県と比較して類似県と言っておるわけなんです。その類似県に比較してどういう状況にあるかは御存じかと思いますが、念のために申し上げます。お隣の鹿児島県との比較を申し上げますから、よくお聞き願いたいと思います。まず沖繩農業の基盤整備の一つを圃場整備で鹿児島と比較しますと、沖繩の統計が五十一年度見込み、これは本年度の見込みであります。圃場整備が一〇・八%に対して、鹿児島は三七・一%ですよ。その差二六・三%。次に灌漑排水、沖繩がすなわち一カ年おくれて一四・六%、鹿児島は三一・二%。その差二八・六%。農道が五十一年度見込みで四三・三%、鹿児島が八五・五%。その差四二・二%。このような鹿児島の統計は五十年度の末なんです。一年先なんです。で、沖繩は五十一年度の見込み、今年度の見込みを押さえて比較してこういう差を持っておるんです。
 そこで、さらに具体的に申し上げたいことは、沖繩振興開発十カ年計画が昭和四十七年から五十六年まであって後半に入ろうとするわけですが、最終年の五十六年度の達成目安は、たとえば圃場に例をとりますと五四%ですね。五十六年度のその達成目安が五四%である。ところが、私はこれまでの状態で行くならば五十年のおくれがあるということをずばり言いましたが、この五四%と押さえて現在までの事業達成状況は年に〇・五%しか進んでいません。そこで、この目標もこの進度でいくと五十六年度には二〇%達成も可能かどうかというこの経過になるわけなんですが、そういう見通しになるわけなんです。ですから、この進度で行きますというと、まさに五十年以上のおくれがある、開きがあるということなんです。これは数字的にちゃんとはじき出せます。そこで、どうしてもいまさっき大臣がおっしゃたような希望、展望が開ける沖繩の農業開発にしていただくためには、どうしても沖繩に対する農業政策は、私はそのとらえ方を、まあ根本的にと申し上げれば語弊があるかもしれませんが、もっと日本全体の立場から亜熱帯産業としての沖繩の土地を国土開発の一環としてとらえていくという、こういう姿勢で取り組まない限り、いつまでもこの格差は繰り返されるだけだろう、こういうことを私は思うんです。戦前の沖繩農業、戦後の沖繩農業、こういったことを大臣お考えになったことがあると思いますが、戦前の日本における農業政策は、いわゆる外地植民地を台湾や朝鮮あるいは南洋にも、外地をその生産の基盤としてどんどん投資をした。そこで台湾のお米がそれ以前よりも十八倍の増収になったと、サトウキビが十四倍ですか、なったということも聞いておりますが、そのように戦前の沖繩は頭越しに日本のこの食糧政策の谷間にあって素通りされた。ところが、戦後その手足をもがれた日本は、わが国は、亜熱帯産業地としての沖繩を、この産業開発の面からも農業開発の面からも非常に重視してもらわなければいけないのではないか、こう私は強調いたしたいのであります。ところが、終戦後復帰に至るまでの基盤整備に対する投資額は、残念ながらその耕地面積一ヘクタール当たり十六万五千円というまことに微々たるものであります。これは本土の三四%にしかすぎない。このように取り残されてきた。だから、復帰後はそれこそ加速度的に沖繩農業開発に力を入れてもらうのでなければ、本土並みというのはナンセンスと言いたいのであります。このことをいま一応再確認していただいて、沖繩農業をそれこそ本土並みに一日も早く取り戻して引き上げていただかなければいけない、そのためには大型のプロジェクト事業としての取り組みがない限り、私は農業生産力を大幅に高めることが望めない、こう思っておりますが、大臣はそういった立場に立って大型プロジェクト、この計画なくしては五十年のおくれを縮めることは期待できない。何とおっしゃろうが事実は何よりの真実でありますから、どうかその現実を踏まえて、事実を踏まえてひとつ大臣の所見を承りたい。
#190
○国務大臣(鈴木善幸君) 沖繩の農業は、その海洋性、亜熱帯性という特性を十分踏まえながらやっていく必要があると私ども考えております。
 もう一つ沖繩で考えなければならない問題は、水の問題があると、こう思っております。その水の確保の問題につきまして、農林省としても県と連絡をとりながら調査を進めてきておるところでございまして、早急にこの水の問題を具体的に解決するような対応をしてまいりたい。
 また、その開発には大型プロジェクトが必要であるという御指摘でございますが、この問題につきましても前向きでひとつ検討していきたい、こう考えております。
#191
○喜屋武眞榮君 どうかひとつアドバルーンだけじゃなくて、花も実もある沖繩の農業開発を一日も早く本土並みに引き上げてくださるよう強く要望いたしておきます。
 あと一点だけ。次は結論を先に申し上げますと、日本の甘味資源の補給地としてのサトウキビを生産する沖繩、この沖繩糖業を、複合的な開発もあるわけですが、ところがどんなことがあったといたしましても、サトウキビを沖繩の基幹作目として維持していかなければいけない、こう考えるものであります。それは日本の食糧政策の立場からも、いま日本の食糧で年間輸入額にして第一位を占めておるのが砂糖ではありませんか。年間三千三百八十四億三千八百万円。ところが、自給力を高めることが政策であるにもかかわらず、まだ一五%そこそこでしかない。こういう現状からいたしましても、沖繩のサトウキビの生産を上げていくということは沖繩農業の進展にもなる。日本国民の甘味資源の補給地としての沖繩、北にビートとして北海道、そうして鹿児島、奄美大島と限定されておる。こういう立場からも、もっともっと沖繩のサトウキビを大事にしていただきたい。そのためには、どうしても国は国の立場から糖業試験場を沖繩に設置していただくべきだと、こう要望するものでありますが、これは私もたびたび訴えてもきましたが、ところが私だけの主張ではありません。日本分蜜糖工業会やあるいは沖繩の農業関係団体、また県の農水あるいは県の立場からもたびたび強い要請があります。そうして県庁にも糖業課を置けと、こういう強い要望もあるわけでありますが、どうかそういう立場を踏まえて、ひとつ沖繩に糖業試験場をぜひ設置してもらうことを強く要望いたすわけでありますが、なおその背景には、いわゆるサトウキビの戦後の推移を振り返ってみますと、昭和三十九年から四十年のこの年には年間二百五十万トン収穫を上げた。これが最高でありますが、ところが年々耕地が減ってきた、土地が買い占められた、あるいは離農した。海洋博との関連でさらに大きな拍車をかけております。そしてさらに、砂糖の自由化で価格が下落したことや、こういったいろいろの条件から、現在では百二十万トン前後で上下いたしておりますが、だんだん持ち直しつつありますが、約半減しておるわけなんであります。そこに落ち込むまでにはいろいろの理由があるわけですが、特に品種の改良、こういった面からもどうしてももっと真剣に研究していかなければいけない。いま育種という立場で補助は流されておりますけれども、そういう抱き合わせでなくして、独立した糖業試験場を持つべきではないかと、こう思っておるわけなんですが、まずそのことについて大臣の御見解を承りたいと思います。
#192
○政府委員(堀川春彦君) 試験場の問題に入ります前に、基本的に沖繩のサトウキビについて生産対策としてどういう考えでおるかを申し並べたいと思いますが、先生御指摘のとおり、相当の面積がございましたのがだんだんと減ってまいりました。しかし、なお沖繩の農業の基幹作目としての重要な地位をサトウキビが占めていることば申すまでもないわけでございまして、耕地面積の約半分、それから農業総生産額で言えば約三割近いということで重要な作目でございます。いま先生おっしゃいましたように、国内で甘味資源の充実を図ると、生産を伸ばしていくという総体の線にも沿いまして私どもも各種の施策を講じて努力をしておるわけでございますが、生産面におきましては各施策ございますけれども、五十年のこれら施策の予算は大体三億円でございまして、五十一年にはそれを倍以上の六億五千万円にふやし、五十二年は五十年の三倍の十億八千万円ということで、逐年かなり力を入れて実施をしてまいってきておるわけでございます。種苗の問題から始まりまして、防除あるいは作業の機械化というような問題、あるいは土壌改良の問題というようなところに力を入れて生産対策を進めてきており、かつ今後もこれを強化してまいる所存でございます。
#193
○政府委員(下浦静平君) 試験研究体制の問題につきましてお答えいたします。
 沖繩の基幹作物でございますサトウキビにつきましては、その試験研究につきまして、単に補助を流しまして沖繩県農業試験場でやっていただいておるというばかりではございませんで、農林省九州農業試験場におきましても、これは種子島にございます温暖地作物研究室で品種の選抜、育成、栽培につきましての研究を行っております。それからさらに、熱帯農業研究センター沖繩支所、これは八重山にございますものでございますけれども、ここにおきましても育種方法あるいは病害虫の防除等につきましての研究を行っているわけでございます。それから、一方、県の方でございますけれども、これは先生御指摘のございましたとおり、県の方に国の助成を流しまして育種その他の研究をやっていただいておりますけれども、従来、相互助成と申しまして二分の一の助成でやっておりました育種の関係の試験、これを今年度から十分の十の助成ということで、指定試験ということでやっていただくということにいたしておりますし、それからかねてから害虫の関係の指定試験もやっていただいております。なお、この指定試験の関係に絡みまして、私ども人事の面でも配慮をいたしまして、この従来やっておりますサトウキビの関係におきましては、四名の国の研究者、これを沖繩県の方にも派遣をしておるということにいたしておるわけでございます。
 今後ともこれらの国の試験研究の充実を図ってまいるのはもちろんでございますけれども、沖繩県の試験研究の水準の向上あるいは研究施設、装備の高度化という点にも努力をいたしてまいることによりまして、わが国におけるサトウキビについての試験研究の一層の推進を図ってまいるつもりでおります。
#194
○国務大臣(鈴木善幸君) 沖繩農業につきましては、沖繩の特性を十分踏まえまして、沖繩農業が本土並みに一日も早く近づけるように、その特性を十分生かすようなことを重点として沖繩の農業の振興に努力してまいる所存でございます。
#195
○喜屋武眞榮君 それでは時間が参りましたので、最後に一音強く要望いたしておきたいと思います。
 御承知のとおり、北海道にはてん菜を主とする国立の糖業研究機関があり、またいま種子島にもあるとおっしゃったこともよく存じております。ところがサトウキビという立場からすると、県単位にすると沖繩県だけであるわけであります。そういった沖繩県の特殊事情からしても、また副業農業という立場からも、たとえば副産物としてのバガスを飼料化していくという、こういうことも研究されます。あるいは品種の改良、あるいは栽培法の改善、管理技術の改善、こういった広く専門的な立場から独自の研究をしていくためにも、単に育種指定県としての指定と、こういうつけたりではいけないのではないか、こう思って、日本農業の開発と結びつけて、特に亜熱帯産業としての沖繩のサトウキビ農業を発展させるために、ぜひひとつこの国立糖業試験場設置について前向きで検討してもらいたいと思います。
 大臣のお答えをいただいて終わりたいと思います。
#196
○国務大臣(鈴木善幸君) いま、ここですぐに試験場の設置をお約束をするというわけにまいりませんが、先ほど技術会議事務局長が申し上げましたように、いまの試験研究、これは種子島あるいは鹿児島試験場等のそれぞれの研究機関その他を動員をいたしまして、実質的な意味で沖繩農業の特性、特にサトウキビの問題につきまして研究を進めてまいるつもりでございます。
 試験場の設置の問題は、これはいまここでお約束はできませんが、将来の問題としてひとつ私どもも考えていきたい、こう思っています。
#197
○委員長(橘直治君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#198
○委員長(橘直治君) 農用地開発公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。鈴木農林大臣。
#199
○国務大臣(鈴木善幸君) 農用地開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農用地開発公団は、昭和四十九年に設立されて以来、国内で生産が可能な農畜産物の供給体制を整備するため、畜産を基軸とした濃密生産団地の拠点的な建設を積極的に推進してきたところであります。この建設事業の実施方式は、農用地等の造成及び農業用施設の整備等を総合的に行う方式であり、山間地、原野等の農用地の開発適地が相当の範囲にわたって存在する地域において実施してきたところでありますが、最近における国営干拓事業の進捗にかんがみ、これによって造成される干拓地についてもこのような公団事業の対象とする道を開くことにより、当該干拓地における営農の安定を図るとともに、農畜産物の安定的供給に資することが必要であると考えられるのであります。
 また、八郎潟干拓地において、昭和四十年以来新農村の建設事業を行ってきた八郎潟新農村建設事業団は、昭和五十一年度をもって工事を完了し、その目的を達成するところとなりましたので、この際これを解散し、入植者からの賦課金、譲渡対価の徴収等の業務については、類似の事業を行う農用地開発公団に行わせることが適当と考えられるのであります。
 以上のような観点から、農用地開発公団の業務の範囲を拡充整備するとともに、八郎潟新農村建設事業団を解散し、その一切の権利及び義務を同公団に承継させるため、この法律案を提出した次第であります。
 以上がこの法律案の提案の理由でありますが、次にその主要な内容につき御説明申し上げます。
 第一に、農用地開発公団の業務の範囲を拡充し、農畜産物の濃密生産団地を建設するため必要な農用地等の造成、農業用施設の新設等の事業を国営干拓事業により造成される干拓地においても行うことができるようにするとともに、八郎潟新農村建設事業団の業務のうち、土地の整備に係る受益者等に対する費用の徴収及び土地、施設等の譲り渡しの対価の徴収等の業務を追加することといたしております。
 第二に、農用地開発公団が干拓地において行う業務につきましても、都道府県からの申し出を待って実施することとし、その申し出要件を規定するとともに、干拓地の特殊性に応じ、事業実施計画の作成手続等について定めることといたしております。
 第三に、八郎潟新農村建設事業団は昭和五十三年三月三十一日までの間で政令で定める日において解散することとし、同事業団の一切の権利及び義務は農用地開発公団が承継することといたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきまするようお願いいたします。
#200
○委員長(橘直治君) 次に、補足説明を聴取いたします。森構造改善局長。
#201
○政府委員(森整治君) 農用地開発公団法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 この法律案の提案理由はすでに御説明いたしましたので、以下その内容を御説明申し上げます。
 第一は、干拓地における公団の業務に関する規定の整備であります。
 現在の公団の主要な業務は、未懇地等が相当の範囲にわたって存在する地域において、近代的な農業経営を行うために必要な農畜産物の濃密生産団地を建設するため、農用地等の造成及び農業用施設の新設等の事業をあわせて行うことでありますが、この事業を、国営干拓事業により造成される干拓地においても行うことができるよう、公団の業務の範囲に関する規定を整備いたしております。
 なお、干拓地においても、これらの事業とあわせて、災害復旧、農業用施設の譲り渡し及び農機具、家畜等の売り渡しの業務並びにこれらの事業の工事と密接な関連を有する工事の受託も行い得ることといたしております。
 次に、公団の濃密生産団地の建設のための事業につきましては、都道府県から区域を特定して事業実施の申し出があった場合において、農林大臣が一定の要件を備えているものと認めるときは、事業実施方針を定めてこれを公団に指示することになっておりますが、干拓地における事業につきましても同様とするとともに、申し出の要件及び事業実施計画の作成手続について、干拓地の特殊性から若干の規定の整備を行っております。
 干拓地における公団事業の費用負担につきましては一第一次的には、従来の事業と同様都道府県に負担させることとしていますが、都道府県は当該事業の実施に係る区域内の土地につき土地改良法に基づく配分を受け、所有権を取得した者に負担させ得ることとしております。また、負担金の徴収方式は、都道府県が直接または市町村を通じて徴収する従来の方式のほか、新たに土地改良区を通じて徴収し得る道を開くこととしております。
 なお、国営干拓事業を実施している干拓地は農林大臣が管理しておりますので、公団が事業を行うに当たっては、農林大臣が無償でこれを使用させることといたしております。
 第二は、八郎潟新農村建設事業団の解散に伴う規定の整備であります。
 提案理由説明にもありましたとおり、八郎潟干拓地における模範的な新農村の建設という目的は達成され、八郎潟新農村建設事業団の主要な業務が完了しましたので、附則におきまして、同事業団は解散するものとし、その一切の権利及び義務は公団が承継することとするとともに、同事業団への政府の出資金に相当する額は公団へ出資されたものとし、公団はその額をもって資本金を増額することとしております。
 また、八郎潟新農村建設事業のうち、土地の整備に係る受益者等に対する賦課徴収及び施設、土地等の譲り渡しの対価の徴収等の業務につきましては、今後長期間にわたり、相当の業務量が残っておりますので、これを公団の業務の範囲に追加するとともに、徴収事務を地方公共団体に委任できることといたしております。
 なお、これら公団業務の整備に伴い、公団の理事の定数を四人から五人とすることとしております。
 このほか、附則におきまして、八郎潟新農村建設事業団法を廃止し、所要の経過措置を講ずるとともに、関連諸法の規定の整理を行っております。
 最後に、この法律は、公布の日から施行することといたしておりますが、八郎潟新農村建設事業団の解散は、債権債務等の確定を待って行うこととし、その関係規定は、昭和五十二年度中の政令で定める日から施行することといたしております。
 以上をもちまして、本法律案についての補足説明を終わります。
#202
○委員長(橘直治君) 本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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