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1976/04/26 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第13号
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1976/04/26 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第080回国会 農林水産委員会 第13号
昭和五十二年四月二十六日(火曜日)
   午前十時八分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     遠藤  要君     初村滝一郎君
     後藤 正夫君     山内 一郎君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     福井  勇君
     辻  一彦君     対馬 孝且君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         橘  直治君
    理 事
                青井 政美君
                粕谷 照美君
                鶴園 哲夫君
    委 員
                大島 友治君
                初村滝一郎君
                福井  勇君
                対馬 孝且君
                相沢 武彦君
                小笠原貞子君
                塚田 大願君
                和田 春生君
                喜屋武眞榮君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   参考人
       北海道知事    堂垣内尚弘君
       根 室 市 長  寺嶋伊弉雄君
       全国漁業協同組
       合連合会副会長  宮原 九一君
       学習院大学教授  波多野里望君
       漁業雇われ船頭
       会代表      石川 勇作君
       日本遠洋底曳網
       漁業協会長崎支
       部長       浜崎 直之君
       全日本海員組合
       中央執行委員乗
       組員代表     二見 俊男君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○領海法案(内閣送付、予備審査)
○漁業水域に関する暫定措置法案(内閣送付、予
 備審査)
○派遣委員の報告
○連合審査会に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、遠藤要君及び後藤正夫君が委員を辞任され、その補欠として初村滝一郎君及び山内一郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(橘直治君) 領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案、以上両案を一括して議題といたします。
 本日は七名の参考人の方々の御出席を願うわけでございますが、午前中は便宜三名の参考人の方方の御出席を願っております。早速御意見を承ることといたします。
 現在御出席されております参考人の方々を御紹介申し上げます。
 北海道知事 堂垣内尚弘君、学習院大学教授波多野里望君及び日本遠洋底曳網漁業協会長崎支部長 浜崎直之君でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は御多忙中のところ、当委員会に御出席を賜りましてまことにありがとうございました。本日は、領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案に対する諸問題につきまして、それぞれ御専門の立場からの忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の当委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の順序について申し上げます。御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上お一人二十分程度とし、その順序は、堂垣内参考人、波多野参考人、最後に浜崎参考人といたします。参考人の方々の御意見の開陳が一応済みました後で、委員から質問がありましたらお答えを願いたいと存じます。
 それでは、堂垣内参考人からお願いをいたします。
#4
○参考人(堂垣内尚弘君) ただいま御紹介いただきました北海道知事の堂垣内でございます。
 本日、領海法案及びいわゆる二百海里法案等を御審議されるに当たりまして、私に参考意見を述べる機会を与えていただきましたことに対しまして深く感謝申し上げますとともに、御出席の諸先生方には、本道の農林水産業の問題を初め、従前より各般にわたり特段の御配慮をいただいておりまして、この点厚く御礼を申し上げます。
 御承知のとおり、北海道の開発は漁業から始まっておりまして、その歴史はわれわれの先人による北洋漁業開拓の歴史でもございまして、そしてまた、本道の漁業は今日まで順調に発展を続けてまいりまして、たとえば昭和五十年には二百五十万トン以上の水揚げを示しておりますが、毎年北海道はわが国全生産量の大体四分の一を占めております。したがって、本道は農業だけでなく魚によるたん白資源供給基地といたしまして、食糧資源の乏しいわが国における食糧自給確保の上できわめて枢要な役割りを担っております。しかしながら、ただいま申し上げました本道の水揚げ二百五十万トンのうち、百六万トンは隣接するソ連邦の示した二百海里に依存しておりまして、また近年、特にソ連、韓国漁船等の本道近海での操業によりまして、沿岸漁業に多くの被害と不安を与えられているという現状にございます。
 以下、このような立場から申し上げたいのでございますが、結論といたしまして、領海の幅を十二海里に拡張する領海法及び漁業水域二百海里を設定する漁業水域に関する暫定措置法の可及的速やかな成立、施行をお願いいたしたいのであります。また、日ソ漁業交渉におきましては、北方領土に関するわが国の基本的立場をあくまでも堅持して、漁業権益を確保するため、ただいま非常に高まっております国論を背景として、強力な漁業外交の展開をしていただきたいのであります。さらに、どうしても避け得られないでありましょう北洋漁業に関連する休漁、減船その他諸対策を、国の責任において迅速確実に推進していただきたいのであります。
 以下、その理由等について申し述べたいと思います。
 まず第一点は、領海法についてでございます。本道の太平洋沿岸では、昭和三十七、八年ごろから、ソ連邦のトロール漁船やまき網漁船の進出が見られましたが、その当初におきましては船団も小規模でありまして、比較的沖合いでの操業でもありまして、大きな被害はなかったのであります。しかし、四十三年ごろからは、船団規模も大きくなり、沿岸へ接近し、漁具被害が発生し始めました。特に昭和四十九年以降は、一万トン級の母船や三千トン級の大型トロール船など百隻以上の大船団が操業を続けましたために、漁具被害が相次いで生じました。加えて、四ないし五トンクラスのわが沿岸漁船が、これら大型漁船に引き回されるなどの人命に危険のある事故をも発生いたしまして、休漁を余儀なくされるケースが頻発してきております。これは北海道だけではございません。さらに最近では、ソ連の二百海里実施に関連して韓国漁船の進出が一段と多くなりまして、被害もまた急増してきているのであります。
 これらによる被害の状況は、昭和四十九年からこれまでにたとえば漁具などの直接被害だけを見ましても、四月上旬現在におきましてソ連船によるもの一千八百七十四件、五億六千百万円、韓国船によるもの八百三十三件、二億四千六百万円、合計二千七百七件、八億七百万円に及んでおりまして、いずれも中央に報告をしてございます。
 このような外国漁船の操業の実態に対処いたしますために、北海道といたしましては、距岸十二海里から外国漁船を排除する措置につきまして、昭和四十一年道議会におきまして要望意見を決議しまして以来、今日まで十有余年にわたりまして関係者ともどもその実現について要請を重ねてまいりました。また、これは全国的な問題でもございますので、全国知事会や北洋漁業関係都道県知事会議といたしましても、特に昨年以来同様趣旨の強い要望を続けて今日に至っております。この間、昭和五十年十月には、日ソ政府間で被害処理を含む漁業操業協定が成立しまして、また五十一年六月には、韓国との間に民間ベースによる本土近海における操業についての取り決めがなされましたが、協定は無視され、不法操業が依然として後を絶たず、今日なお被害が続発している現状であります。
 したがいまして、以上のような実情から、これら沿岸漁業者を外国漁船の操業による被害から守るためには、領海の幅員を拡張することが何よりも緊要と考えられますので、一日も早く領海法の成立、施行を望むものであります。
 また、本道の場合、法案によりますると、津軽、宗谷海峡がいわゆる国際海峡として規定されるようでございますが、両海峡は今日までのところ外国漁船による被害問題は生じておりませんが、ともに沿岸各種漁業の良好な漁場でもありますので、将来とも外国漁船の操業による問題が絶対に起きないように、特段の配慮をしていただきたいのであります。
 さらにこの機会に、現在未解決となっている漁具被害につきまして早急に解決が図られるように御配慮を願いますとともに、相手のあることでもありますので、当面の措置として、被害漁業者に対する特別な国の手厚い救済がなされるように強く訴える次第であります。
 第二点は、わが国の二百海里実施についてであります。昨今の米ソなど海洋主要国の相次ぐ二百海里実施に見られる国際情勢の急激な変動に対処して、今後強力な漁業外交を展開し漁業権益を確保するため、また、領海外における外国漁船の操業から沿岸漁業を保護するためにも、漁業水域に関する暫定措置法が一日も早く成立されるよう望むものでありまして、このことは特に昨年以来領海決定とあわせて要望を続けてきたものであります。
 ここで私は、次の二つの事項について、北海道の立場から特に御要望申し上げたいのであります。
 その一つは、北方四島の取り扱いについてであります。これは冒頭に申し上げましたように、二百海里実施に当たりましては、わが国の基本的立場を絶対に堅持するとともに、漁業における権益の確保と操業の安全確保を図られるようお願いいたします。
 もう一つは、漁業水域暫定措置法の適用についてでございますが、最近の本道周辺における韓国漁船の操業の実態にかんがみまして、特定の国が法の適用を除外されることによって本道漁業者が不利益、これは単に漁業者の被害のみでなく水産資源保護の立場からも申し上げるのでございまして、このような不利益をこうむることのないようにしていただきたいのであります。
 次は、警備体制の整備強化ということでございまして、この関係二法実施に関連して、北方海域における警備指導の現行体制は必ずしも十分な体制とは言えません。今後さらに領海の拡大、二百海里の実施に伴う外国漁船対応、わが国漁船の保護指導など、操業秩序を維持していく上できわめて困難が予測されているのであります。したがいまして、大型巡視船や航空機の増強などをも含む大規模な警備指導体制の拡充強化について、特段の御配慮をお願いいたします。
 これで関係法案につき申し上げましたが、ここで日ソ漁業交渉の問題につきまして申し上げたいのでございます。
 まず、私は今回の交渉に当たりまして、衆参両院の代表団が訪ソされて交渉の進展に御尽瘁いただくなど、日夜御努力を傾注されておりますことにつきまして、道民を代表して厚く敬意と感謝を申し上げます。
 今回の交渉は、ソ連邦の二百海里漁業専管水域実施を前提としてのきわめて厳しい環境の中で鈴木農相の再度の訪ソ、政府代表の懸命の努力にもかかわりませず、基本的問題でついに早期解決が得られず中断されましたことは、まことに残念であります。私自身も、北洋漁業に大きく依存している北海道の知事といたしまして、また北洋関係の都道府県知事の代表といたしまして、モスクワではイシコフ漁業大臣と直接お会いいたしまして、北洋漁業におけるわが国の伝統と実績を強調いたしまするとともに、特に中小漁船を主体とした零細規模の漁業が多いことや、交渉の円滑な進展に協力するため出漁を見合わせていること等による加工業者及び関連産業への影響、さらにはそこで働く方々の窮状など、地域全体に大変大きな影響を及ぼしている実情を訴えまして、理解を求めるよう働きかけてまいりました。
 そこで、本道の実情をこれから御説明いたしますとともに御要望を申し上げたいのであります。
 まず、強力な漁業外交の展開ということで、中断されました交渉を打開し、漁業実績を確保するための漁業外交の推進について申し上げたいのでございます。
 このたび、当委員会の参考人として出席するに先立ちまして、釧路、根室に赴いて関係者から直接意見を聴取してまいりました。現地ではそれぞれ、できるだけ早い出漁を期待しながら耐えがたきを忍んでいるのが実情でございますが、今次交渉が北洋漁業の将来の命運を決するものであって、またわが国の立場に重大な意義を持つものであることを理解して、出漁できないのはまことにつらいけれども、国として早期妥結を急ぐ余り将来に禍根を残すような安易な形での解決を決して望んでおりません。しかしながら、今次交渉の決着がおくれていることに伴いまして、本道では三月の五十二度以南ニシンの全面休漁に続きまして、四月以降のソ連の二百海里内での操業が不能になったことによって、休漁漁船約五百五十隻、その乗組員約七千八百人を生じまして、主要漁業基地での漁獲は、ほとんど皆無の状態が続いております。
 さらにこのため、原魚不足から、道内水産加工場約二千のうち、休業あるいは操業短縮している加工場七百四十五カ工場、関係従業員約二万人に及んでおりまして、ひとり漁業者のみならず水産加工業、原魚運搬業、魚箱製造業など、またこれらに働いている従業員の経済的損失も大きく、生活も窮乏し、漁業基地の地域経済にも重大な影響を及ぼし、社会不安を招来しております。
 このため、道といたしましては、業界に対しまして、操業秩序の維持、これは出漁停止も含みますが、これを指導する一方、漁業者、水産加工業など関連業界に対しまして、緊急融資百四十億円を準備いたしましてこの緊急融資を行いつつあるのでございますが、これら企業に働く従業員の雇用対策あるいは母子家庭の援護対策、道立高校の授業料の減免など、その他万全を期しております。しかし、何といっても、国の手厚い緊急救済措置が絶対必要であると考えます。
 すなわち、漁業に対する休業補償、減船補償、緊急融資などの措置とともに、あわせまして休業、操業短縮を余儀なくされている水産加工業、原魚運搬のトラック業界、魚箱製造業など関連産業に対する救済と、さらにこれら企業に働く従事者の雇用安定対策など、きめ細かい対策がぜひとも必要でありまして、また地元関係者からは、順不同でございますが、たとえば休漁、減船や操業短縮などに対し、国による完全な補償と低利な融資。遠洋、沖合い漁業の沿岸へのuターンの阻止。雇用調整給付金の適用範囲の拡大や船員保険法の失業保険部門の改正など、離職乗組員救済対策の積極的な推進。秩序ある輸入制度の確立。漁業基地周辺の救漁公共土木事業の実施、地方財政への援助、生活維持のための特別立法、順序不同でございますが、その他数多く強い要望がなされておりまして、これらの問題を含めまして、目下政府に対し早急に対策を講ずるよう要請を続けております。
 さらに、国際漁業の恒久対策について申し上げます。私は、かねてから二百海里時代に対処して国際漁業の体制の整備、強化のための助成、融資、補償、漁業従事者の救済などの総合的対策を網羅した基本法の制定と、それに基づく恒久的対策の推進が今後の漁業、水産業の安定のためぜひとも必要であると考えておりまして、これについても現在要望をしつつございます。
 以上、種々申し上げたのでありますが、実はけさニュースを聞いて驚きました。それは御承知のモスクワにおけるサケ・マス交渉の暫定調印を目前にいたしまして、突如としてソ連側の領土主張、すなわち「ソ連閣僚会議の水域外」を議定書に盛り込むことを持ち出してとんざしたことでありまして、サケ・マスにつきましては、心配された減船問題を政府の考え方に沿って調整するように各地区とも全力を挙げて努力中で、何とか月末の出港を目指していた矢先でもございまして、全く日本国民の感情を逆なでするような態度であり、憤慨にたえないところであります。したがって、わが国としてはわが国の領土権を確固とした基礎のもとに、さらに鈴木農林大臣の一日も早い派遣を要請するものであります。
 いずれにいたしましても、現地関係者はかつてない国難とも言うべき非常事態に、歯を食いしばってがんばっておりますが、その努力も限界に達しようとしていることも事実でございまして、したがって諸先生方におかれましては、この実情を御賢察の上、何とぞ領海の拡張とわが国二百海里の設定を一日も早く実現していただきますととも県今日国際漁業の変動の中で大きく揺れ動いております水産業並びに関係業界に対しまして、周到な総合的対策が講ぜられるように強く切望いたしまして、私の意見陳述を終わらしていただきます。ありがとうございました。
#5
○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(橘直治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、辻一彦君及び梶木又三君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君及び福井勇君が選任されました。
#7
○委員長(橘直治君) 次に、波多野参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(波多野里望君) ただいま御紹介にあずかりました波多野でございます。こういう偉い方方の前で発言する機会を与えられましたことを、大変光栄に存じております。あいにく、ちょっとかぜを引きましてお聞き苦しい声でございますが、お許しいただきたいと思います。
 さて、本日の主題となっております領海法案及び漁業水域法案と簡単に申しますが、は、いずれもきわめて複雑な問題を数多く含んでおります。私自身も国民の一人といたしまして、わが国の漁業の将来、ひいては国民のたん白源の確保の問題等に大きな関心を寄せております。そして私なりの意見も持っております。しかし、残念ながら委員長から与えられました二十分という時間の中では、それらの問題点のすべてについて触れることは不可能でございます。他方、一部の方々からは、海洋法会議の結論が出ないうちに領海を十二海里に拡張したり、あるいは二百海里漁業水域を設定することは国際法上問題があるのではないかという疑念が表明されているように承っております。私は学習院大学で国際法を教えておりますので、本日はその領海十二海里法案及び二百海里の漁業水域法案が、きょう現在の実定国際法に照らして違法とされるおそれが果たしてあるかどうかという、最も根本的な問題に焦点をしぼって私見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず第一に、わが国が領海を十二海里にまで拡大することに対して、他国から異議を申し立てられることがあるかないか、さらに、もし異議の申し立てがあって、事件が国際裁判にかけられた場合、日本が負けるおそれはないかという問題を考えてみたいと存じます。私の見ますところでは、これらの懸念に対する答えはいずれもノーであります。言いかえれば、他国が異議を唱えることは万に一つも考えられませんし、仮に国際裁判で争われることになったとしましても、日本が負ける可能性はゼロに近いと思われます。
 次に、その理由を述べてみます。
 第一に、領海の幅がはっきりしている国は、ことしの四月一日現在で百二十一カ国ありますが、そのうちほぼ半数に近い五十九カ国がすでに領海十二海里制をとっております。
 第二に、十二海里を超える幅の領海を主張し、宣言している国が二十六カ国あります。自国が十二海里以上の領海を宣言しておきながら、他国の領海十二海里宣言に異議を唱えるということは常識では考えられませんから、結局百二十一カ国のうち八十五カ国からは異議の出る可能性がないと考えてよかろうかと思います。
 第三に、現在領海を十二海里未満と定めている残りの三十六カ国も、決して領海十二海里に積極的に反対なわけではございません。その一部は海洋法会議の結論が出るのを単に待っているというだけでありますし、他の一部は、国際海峡の通過通航の保障を取りつけるための取引の道具として三海里制を堅持しているにすぎないというのが実情でございます。
 第四に、もし右の三十六カ国のうちいずれかから異議が出るとしましても、日本の領海拡大に直接的な利害関係を有しない南米やあるいはアフリカの国がわざわざ異議を申し立てるとは考えられません。したがって、可能性のあるのは日本周辺の国々に限られるということになりますが、ソビエト、中国及び北朝鮮は御承知のようにすでに十二海里をとっております。また、日本が領海を十二海里に拡大いたしますと、日韓漁業協定に基づいて設置された漁業水域の一部がわが国の領海内に取り込まれる結果になりますので、韓国に対してはその旨をすでに通報し、同国の了解を得たとのことでございますから、韓国との間におきましても問題が生ずるとは考えられません。
 このように、いずれの角度から見ても、日本の領海十二海里制に異議を申し立てる国はおそらくあり得ないと思われますが、万一そのような国があらわれまして、事件が国際司法裁判所に付託されたと仮定いたしました場合、なおかつ日本が負ける可能性はゼロに等しいと言ってよいと思います。
 なぜならば、第一に、日本の沖合い三海里以遠十二海里以内でいままでに漁業らしい漁業を行ったことがあるのはまあせいぜいソビエトと韓国ぐらいのものかと存じますが、これら両国はすでに述べた理由から異議を申し立て得る地位にございません。他方、その他の国々は日本の沿岸における漁業実績がありませんのですから、裁判所に訴えましても、訴えの利益なしとして門前払いを食わされる公算が大きいからでございます。
 第二に、万一門前払いでなくて、事件の内容について裁判が始まったといたしましても、さきに述べたような理由によりまして、領海十二海里制度はすでに国際法違反とは言えないほどに普遍化、慣行化していると認められる蓋然性がきわめて高いからでございます。
 第三に、そのことは国際司法裁判所の構成によっても十分裏づけられようかと思います。すなわち、裁判所の十五人の裁判官の本国を領海の幅別に分けてみますと、三海里をとっている国が四カ国、十二海里をとっている国が七カ国、三十海里が一カ国、百五十海里が一カ国、そして領海二百海里をとっている国が二カ国ございます。で、国際司法裁判所では大国にも拒否権が認められておりませず、出席する裁判官の過半数の賛成が得られれば判決を下すことができます。したがって、十五カ国のうち十二海里以上の領海を定めている国が十一カ国を占めているとなれば、判決の帰趨はおのずから明らかでありましょう。もとより裁判官は個人の資格において選ばれ、良心に従って判決を下すのであって、それぞれ本国政府の指示を受けるわけでは決してありません。しかし、それにしましても、自国政府が十二海里ないし二百海里の領海を定めているのに、他国が領海を三海里から十二海里に拡張するのを国際法違反ときめつける裁判官が三人も四人もあらわれようとは、とうてい考えられないのであります。
 以上に述べましたようなもろもろの理由から、領海十二海里が国際法上すでに確立した原則とまでは言えないにしましても、わが国が領海を十二海里にまで拡大することによって、国際法違反のそしりを受ける可能性は万に一つもないと確信いたします。
 ところで、領海法案につきましては、国際法上の合法性が問題とされている点がもう一つございます。それは、領海を一般に十二海里にまで拡大しておきながら、五つの国際海峡においてだけ領海を三海里のままにしておくのは国際法、特に日本が一九六八年に批准いたしております領海条約第六条の規定に違反しないかという問題でございます。
 結論から先に申し上げれば、そのような懸念は全くの杞憂であると考えます。なぜなら、第一に、一国の領海の幅はすべての沿岸について画一的でなければならないという一般国際法は存在しておりません。したがって、条約によって特に制約を受けない限り、国家は一定の限界内においては領海の幅を自由に決定できるわけでございます。
 第二に、問題となっております領海条約第六条は、次のように規定しております。「領海の外側の限界は、いずれの点をとっても基線上の最も近い点からの距離が領海の幅に等しい線とする。」、これは領海の外側の限界を定めるための特別な方式をうたったものにほかなりません。すなわち、領海の外側の限界と申しますのは、普通は海岸線とほぼ平行するのが原則でありますが、凹凸の激しい海岸では、その原則に従いますと領海の一部分の幅が狭くなることがございます。そこで、そのような場合には突出部――みさきでありますが、みさきの先端を中心として領海の幅を半径とする円弧を描き、それが連なる場合にはその連続した円弧を領海の外側の限界としてもよいという趣旨でありまして、決して領海の幅が画一的でなければならない旨を定めた規定ではございません。
 第三に、同じ領海条約第十二条は次のように定めております。「二国の海岸が向かい合っているか又は隣接しているときば、いずれの国も、両国間に別段の合意がない限り、――中間線をこえてその領海を拡張することができない。」、すなわち、向かい合う二国の海岸の間の距離が仮に十海里しかないとすれば、両国は五海里以上に領海を拡張することができないわけです。したがって、他の海岸において領海を十二海里と定めているといたしますと、領海の幅は画一的ではあり得ない。しかし、実は条約そのものがそういう事態を想定しているのでございますから、国際法上問題となることはあり得ないということになります。
 第四に、しかも右の規定は両国間に別段の合意がある場合にはそれを優先すべきことを明記しております。したがって、当事国の一方が領海三海里で他方が領海七海里と定めてもよく、あるいは両国ともいままでどおり領海は三海里として、真ん中に四海里の公海部分を残すことも自由でございます。さらに、中間線を越えない限り相手国の同意は必要としないのですから、仮に当事国の一方が中間線いっぱいまでを領海とした場合でも、他方の当事国が自発的に領海の幅を三海里にとどめることは少しも妨げられません。
 第五に、海岸によって異なった幅の領海を定めた実例も皆無ではございません。すでに御承知かと存じますが、フィンランドの現行領海法は、同国の領海の幅を一般的には四海里としながら、バルチック海にありますボグスカールという島については特に領海を三海里と定めております。しかし、これに対して国際法違反その他のクレームがついたという話はついぞ耳にいたしておりません。
 以上に述べてまいりました五つの理由から、わが国が領海を一般に十二海里に拡張した後も、いわゆる特定海域の領海だけを現行どおり三海里にとどめるということは、それが政策として最も賢明であるかどうかは別といたしまして、少なくとも国際法違反のそしりを受けるおそれがないということは言い切ってよかろうかと存じます。
 そこで次に、漁業水域法案に目を転じることにいたします。領海の場合にはその幅についてこそ主張が大きく分かれておりますが、その国際法上の地位については、海洋法会議において目下焦点の一つとなっております国際海峡の通過通航という新しい問題を除きますれば、各国間に意見の不一致はほとんどございません。そこには、グロチュースの「自由海論」から数えて三世紀半以上にもわたる歴史の裏づけがあるからでございます。
 それに反して二百海里水域は、いわば第二次世界大戦後の産物で、たかだか三十年そこそこの歴史しか持ち合わせておりません。ひとしく距岸二百海里の水域を、アジア、アフリカの国々は経済水域と呼び、ラテンアメリカの国々は父祖伝来の海域と名づけているごとからもうかがわれますように、二百海里水域の場合には、その空間的な広がりの大小が問題だというよりは、むしろ概念そのものが十分に固まっていないというところに本質的な問題があろうかと存じます。したがって、海洋法会議の結論が出る前に二百海里水域論を先取りするのは、多分に危険を伴うと言わなければなりません。しかし、海洋法会議での議論及び最近の国家慣行を詳細に検討してみますと、少なくとも漁業資源だけはすべての二百海里水域に共通ないわば公約数となっていることがはっきりしてまいります。
 すなわち、距岸二百海里の水域に何らかの権利をすでに設定した沿岸国は三十六カ国に上りますが、それらは三つのグループに大別されます。第一のグループは二百海里水域を領海とする十一カ国で、この場合、同水域内の漁業資源に対して沿岸国の排他的な主権が及ぶことは言うまでもございません。
 第二のグループは、二百海里水域をいわゆる経済水域または父祖伝来の海域とする国々で、その数は十三カ国でございます。経済水域または父祖伝来の海域という場合には、沿岸国の主権的権利が漁業資源だけでなく、海底の鉱物資源にも及ぶとされますが、いずれにしても、漁業資源が沿岸国の主権的権利のもとに置かれるという点では変わりがございません。
 第三のグループは、もっぱら二百海里水域内の漁業資源だけを沿岸国の主権的権利のもとに置こうとする国々で、その数は現在のところ十二カ国にすぎませんが、二百海里漁業水域設定の方針をすでに固めた九カ国を合わせますと、二十一カ国といったちょっとした大世帯になります。
 このように、二百海里漁業水域をすでに設定し、あるいは近い将来設定することを決めた国々は現在のところ合計四十五カ国で、海岸を持つ国の総数である百二十四カ国の三分の一強に当たるにすぎません。したがって、領海十二海里と比べますと、二百海里漁業水域は国際法上の妥当性がはるかに薄弱であると言わざるを得ません。しかし、二百海里漁業水域を設定している国の内訳をつぶさに検討しますと、十二海里領海のときとは違った幾つかの特徴が目につきます。
 第一は、領海十二海里に対しては、米、英という二大海洋国が現在のところ消極的な態度をとっておりますのに対し、二百海里漁業水域は、いわゆる五大国がいずれもすでに実施している、あるいはそれに近い態度をとっていると伝えられております。
 第二は、右の米、英を初め現在でも領海三海里という立場を貫いております西ドイツ、オランダ、ベルギー、デンマーク、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、パプア・ニューギニア、ニカラグアといった国々や、あるいは領海四海里をとっておりますアイスランド及びノルウェーが、二百海里漁業水域の設定には積極的であるという点が注目されます。
 第三に、領海十二海里のときの例にならって国際司法裁判所の裁判官の本国の態度を調べてみますと、十五カ国のうち十カ国がすでに二百海里漁業水域を設定いたしております。したがって、これらの点を総合いたしますと、二百海里漁業水域を設定することの国際法上の合法性は、領域十二海里に比べますとやや薄弱の感は免れませんが、しかし、五大国を含む世界の海洋国の大多数がすでに設定しているという以上、日本に対してだけ異議を唱える国が出てくるとは考えられませんし、万一そのような国があらわれたと仮定いたしましても、事件が国際司法裁判所に付託されれば、日本勝訴の判決が下ることはまず間違いないと考えます。
 以上で、領海を十二海里にまで拡張すること、特定海域において現行の領海三海里を維持すること、そして二百海里漁業水域を設けることのすべてが国際法上違法とされるおそれのないことはほぼ十分に論証し得たかと存じます。しかし、そのことは、決して現在私どもの前にありますこの二法案が唯一絶対の選択肢であるということを意味いたしません。同じように、国際法上合法な方法というものはほかに幾らでも考えられるからでございます。それら数多くの選択肢の中からいずれを選ぶかは、まさに本日ここに御出席の委員の皆さんを初め、政治に直接携わっておられる方々がお決めになるべき問題でございますから、一介の学徒にすぎない私がよけいな口出しをすることは差し控えたいと存じます。ただ、それらの点につきましても、もし御質問があれば、私に判断のつく限りにおきまして喜んで私見を述べさしていただく所存でございます。
 以上で参考人としての私の陳述を終わります。御清聴ありがとうございました。
#9
○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。
 次に、浜崎参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(浜崎直之君) ただいま御紹介をいただきました浜崎でございます。私は、底びき網漁業を経営しておりますので、その点について主として西日本漁業の実態、特に底びき漁業についての現況なりあるいは意見を申し述べまして、皆さん方の参考に供したいと存じますが、本委員会にわざわざ私たちを参考人として招集いただきまして意見を述べる機会を与えていただきましたことについて、深甚の謝意を申し述べる次第でございます。
 本日は、領海法案並びに漁業水域に関する暫定措置法案についての意見を述べろということでございまするが、私は実ば、現在以西の状況がどうなっておるかということを先生方にまずもって申し上げたいと存ずるわけでございまするが、以西底びき漁業というのは、明治の末期にトロールから始まりまして現在に至っておりまして、終戦後も国民のたん白質の供給源であるということで大変業務に励んでまいりましたけれども、実は昭和四十七年に一斉に一五%の減船を実施いたしまして、現在の根拠地といたしましては、下関、戸畑、福岡、長崎、佐世保の五カ所でもって、実は根拠地を持ちながら営業を実施をしておりまして、その漁船数は五百五隻ございます。それから、その総トン数は六万九千トンでございますけれども、その内訳は二百トンから百五十トンあるいは百十四トン、小さい船になりますと九十トンという船でございまして、主に東海、黄海を主漁場に営業をしておるわけでございますけども、一航海の平均は大体四十日から四十五日間を一航海に定めまして、鮮度保持のために託送をしながら、十日間くらいで陸上に持ってきてそれを皆さん方に供給しているというふうな状況でございます。
 それで、年間の漁獲でございまするけれども、これは約二十万トン、それから水揚げ金額にいたしまして大体七百億前後というのが推定数字でございますが、これの陸上、海上合わせての従業員というものは八千人ございます。それから、関連その他を含めますと、一万五千人ぐらいの方がこれに従事をしておるのじゃなかろうかという推定をしておるわけでございまして、私たちは現在までこの漁業に従事するに当たりまして、終戦後この方大変むずかしい悲しい時期も迎えてまいりました。それは、韓国におかれましては、二十二年の二月から三十九年の六月までに三百二十七隻の拿捕をみたということでございます。それから台湾の方からは、二十三年の五月から二十九年の十一月までに五十八隻の船が拿捕せられております。それから中国の方からは、二十五年の十二月から四十年の一月にかけて百八十一隻、これだけの非常に悲しい拿捕事件がございました。それで合計拿捕せられた漁船数は五百六十六隻、それから抑留せられました船員は六千八百三十五名の多きに達しまして、そのうち不幸にして死亡した方が七十二名に達しておるというふうなことでございまして、そういうふうな東海、黄海の漁場というものを、私たちはもう平和なそうしてまた乗組員が安心して操業できるような漁場にするために、政府当局あるいは先生方皆さん方に大変お願いをしてまいったわけでございますけども、幸いにいたしまして、日韓とは実は二十八年の第一次会談から会談が始まりまして、大変難航の末に、実はやっと四十年の六月に日韓協定というものができ上がったわけでございまして、これが四十年の十二月の十八日から効力を発効をいたしまして現在に及んでおる次第でございます。
 それから対中国の問題でございますけども、本件は国交が開かれなかったというふうなことで大変苦労いたしましたが、参議院におられました田口先生その他諸先生方の大変なお骨折りによりまして、昭和三十年に実は民間で私たちの先輩がもう百日間の長い苦労を重ねた交渉の結果、実は民間協定ができたわけでございまするけども、この三十年の協定も、実はその後すぐまた長崎における国旗事件その他でもって破棄されまして、そうして第二次の民間協定が実は四十年に実施をせられまして、そうしてその後実は五十年の十二月に政府間の協定を皆様方先生方の御尽力でもってやっとできて、平和な操業ができるというふうなことに至っておるわけでございまして、私たちは本当にこういうふうな協定ができたことにつきまして、先生方初め政府当局に対して深甚の謝意を申し述べる次第でございますけども、まだ北朝鮮及び台湾とは協定が実施されておりません。しかしながら、現在のところ操業に支障を来しておるというふうなことはございませんので、その点私たちは大変喜んでおる次第でございます。
 次に、東海、黄海、いわゆる東シナ海の底魚の状況について参考までに申し上げますと、現在の中国の沿岸の海底というのは非常になだらかな大陸だなになっておりまして、揚子江なり黄河なんかから非常に栄養分に富んだ水がたくさん流れてまいりまして、そのために大変中国沿岸というものは魚の住みやすい状態のところでございまして、ここにたくさんな魚が生息をするというふうなことでございます。これは非常に水深が適しておる、それから水温が非常に適当であるということもございまして、私たち以西底びきではこの方面から実は百種類以上の魚を捕獲をしております。その種類は、つぶし物に使われますグチであるとかエソであるとか、あるいはタイ、イカ、タイショウエビ、カレイ、ヒラメというふうなことでございますけれども、現在は価格の面もございまして、四十年ごろにスケトウの練り製品というものの開発ができまして、現在は主としてカレイとかイカであるとかいうふうなものに、惣菜物の方に重点を移して実際操業をしておるというふうな実態でございます。
 それから次の朝鮮半島の西側でございます。これは済州島周辺を含めまして非常に水深が適当である、それから暖流、寒流の行き合うところで非常に魚の生息に適しておるというようなことから、私たち西日本の漁業家というものはこの辺で大変な漁獲を上げておるというのが実態でございます。
 それから、さらに目を転じて沖繩周辺でございますけれども、この周辺は水深が非常に深うございます。日本海溝という大きないわゆる深溝で水深が深いため、この付近は試験操業いたしますけれども、なかなか私たちの操業に適した魚というものが捕獲ができないというふうな状況でございまして、現在は東海、黄海で主として操業しておるわけでございますけれども、現在までは日本の傭船というものが装備が一番よくて非常な成績を上げておりましたけれども、最近に至りまして韓国、中国も大変りっぱな船をたくさんつくって、そこで操業しておるというふうな状況でございます。私たちは、この漁業のいわゆる魚族の乱獲に陥りないというふうなことのために、実は日中の協定におきましても保護区あるいは休漁区を設けまして、いわゆる魚の繁殖の時期はできるだけ捕獲をしないように努力をしよう、それから日韓協定におきましても、共同規制区域を設けまして、入漁隻数を制限をしてある程度魚族の資源の増殖に努めようというふうな取り決めもしておるわけでございますが、今後ともひとつこういうふうな魚族資源の保護については万全の措置を講じていくのが非常に良策であろうということで、それについても関心を寄せておるわけでございます。
 私たち以西底びきにおきましては、現在、東シナ海にどのくらいの依存度があるだろうかということで、私たちはちょっと統計を見ましたところ、中国の二百海里以内で上げておる漁獲というものは十五万トンぐらいであろうと、それから朝鮮半島で上げている魚というのは二十四万トン、計三十九万トンぐらいが現在この海域で日本が捕獲しておる魚であろうというふうに推測をされております。それで、実は私、来る前に長崎県の五十年の統計を見ましたけれども、以西底びきにおいてはやはり八〇%以上というものが中国、韓国の二百海里内の魚である。それから大中のまき網にいたしましても三六%、大型イカ釣りとかあるいは小型のイカ釣りにいたしましても、九〇%から六〇%以上のいわゆる魚というものが両国の海域でとられておるんじゃなかろうかという状況でございます。
 私たちは、実は今度の二百海里法案につきましてずっと経緯を非常に心配をしながら詳細に見てまいりましたけれども、四十八年の第三次の海洋法会議で実は大変議題になったようでございまして、今回実は第三次の国連海洋法会議の第六会期が実は近く五月からニューヨークで行われるということでございますが、それに先立ちまして、アメリカは昨年の七月に漁業管理保存法というものを設定いたしましたし、ソ連も昨年の十月に最高会議の幹部会令を公布いたしまして、先ほど波多野先生からるる御説明ございましたように、まさに二百海里時代に突入するというふうな気がして非常に私は心配をいたしておるものでございまするけれども、いままでの日本政府の考え方というものは、第六次の海洋法会議の結果を見て善処をするというふうなことで、私たちもそういうふうなことであろうかというふうな感触を持っておったわけでございまするけれども、非常な速いスピードでもって諸外国というものが二百海里に踏み切ったというその事実に、実は大変心配をいたしておるわけでございまして、私たちは今後どういうふうなことでいわゆるこれに対応するかということで、実は内々に心配をしながら対策を考えておるわけでございまするけれども、いわゆる二百海里の漁業水域の設定に当たりましては、現在東シナ海というものが韓国、それから北朝鮮、中国、台湾、日本がいわゆる共同で漁業に従事している国際漁場であるというふうな特殊の関係でございまして、もしこれが各国が二百海里だということで線を引きますると大変なことになって、また平和な海域というものが乱れるというふうな懸念を大変するわけでございまして、私たちはこの漁場の水域に対する考え方といたしましては、現在協定が実施中でございまするので、こちらの方から寝る子を揺り起こすような、日本の方から二百海里を線引きをするというふうなことだけはひとつ差し控えていただきたいというのが、私たち業界の願望でございます。
 したがいまして、東シナ海はもちろんのこと、朝鮮半島で日本海に面した方面につきましても、どうぞひとつ二百海里の線引きはしばらく猶予を願って、向こうの各諸外国の出方を見て、ひとつ国民の全力を挙げて善処をして、私たちの漁業というものが比較的秩序ある状況になり行くまで十分に見守ってほしいというのが私たちの切なる願いでございまして、いまここで、北海道の方はやはり対等の話をしなければならないので二百海里というものは私は賛成でございまするけれども、どうぞひとつ日本海の一部、東海、黄海の方面についての二百海里の線引きはぜひもう少し延期をしてほしい、こういうふうにお願いをするわけでございます。
 それから最後に、十二海里の領海の件でございまするけれども、私たちは遠洋でございまして、直接意見を申し述べるのは控えたいと思いまするけれども、現に外国からその領海の近くで漁民が大変な被害をこうむっておるんだという事実に照らしまして、私たちは漁業者の一員として漁業者を救済するために、ぜひひとつこの制度というものはしっかりと制定をしてほしいというふうなことを意見を申し上げる次第でございまして、非常に私は身勝手なことを申しましたけれども、今後ひとつ皆さん方のお力添えでもって東海、黄海というものが平和な海でありますように、そしてまた向こうの出方を見ながら今後の対応策をつくるためにもひとつ日本海における朝鮮半島の海域なり、あるいは東シナ海に対する線引きというものは差し控えてほしいという陳情を申し上げまして、私の参考人としての意見の開陳を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#11
○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。
 それでは参考人の方々に対し質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#12
○対馬孝且君 参考人の方々に、きょうは貴重な御意見を承りましてありがとうございました。
 北海道知事に対しまして、二、三考え方をお伺いをしたいと思います。
 まず第一に、北方四島の水域の問題が、これは日ソの交渉の段階で、決定的な段階というものがまさに行き詰まっているわけであります。そこで、この北方四島の水域の取り扱いをめぐって、現実に北海道を統括している知事として、何とかしてもらいたいと言うだけでは解決にならないわけでありまして、つまりこの四島水域については当面暫定的に、つまり漁業の問題として共同規制区域もしくは共同管理の方式を採用してはどうかと、こういう強い漁民の声が起こっております。この点について知事としてどう考えているか、どういう考え方をお持ちかということをこの機会にお伺いをしたい。これが一つであります。
 それから第二の問題は、Uターンに対する沿岸漁業対策について、これも多くの沿岸漁民の声であります。すでに遠洋漁業は行き詰まり、結果的にはUターンをして沿岸の漁民はすでに圧迫をされている、こういう現実が非常に大きな声であります。これに対する、先ほどの御意見の中にはなかったのでありますが、こういった沿岸漁民を守る立場からもUターンに対する漁業措置をどのように対処したらいいか、これをもしお考えがあったらお聞かせを願いたいと思います。
 それから第三の問題は、水産加工業者が非常に資源が枯渇をしてきているという問題ですでに社会をにぎわしておりますが、特に釧路においては、非常に大きい水産加工業者がもうすでにあらゆる釧路沿岸、根室沿岸の魚は全部買い占めている。つまり、こういうエコノミックアニマルの加工業の業者の典型的なあらわれがすでに出てきている。まあ名前を言ってもいいのでありますが、名前は避けますけれども、社名は避けますが、こういう状態が出てきております。こうなってまいりますと、一方ではこの漁業権を守る漁業交渉を促進をしてもらいたい。一方では、水産加工業者が逆に漁業権益を守るために、漁夫の利を占めるためにこういう対策をとる、こういうやり方では私は漁業交渉にもマイナスであり・また一方、便乗値上げとして消費者の魚が値段がつり上がってきている。かまぼこの値段が現にもう上がってきている。こういった対策が一番いまここで国論として、あるいは当面現地を預かっている知事としても、これらに対する考え方をやっぱりはっきりしておく必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えますので、この機会にひとつお伺いをしたいと思います。
 最後の問題は海峡の問題で、ちょっと知事が触れられましたが、私は、北海道では宗谷海峡、津軽海峡は重要な課題であります。知事は漁場を守る立場から、この際、十二海里、三海里という問題についての考え方はどうもそこははっきり私は聞き取れなかったんでありますが、つまり十二海里宣言をするということは国の主権であります。国の権益でありますから、そこで三海里という問題になりますと、結果的にはいま韓国トロール船、外国船で悩んでいる漁民の漁場の権益を守り、外国船の被害を守るという立場からも、この際十二海里、三海里ということがあってはならないのじゃないか。十二海里ということはやっぱりきちっと海峡であろうとどこであろうと、あとは無害通航という原則に立ってこの際やるべきじゃないか。これはもちろん非核三原則という立場がある限り十二海里は堅持をすべきである、こういう考え方を持っておりますが、この点をお聞かせを願います。
 以上四点であります。
#13
○参考人(堂垣内尚弘君) ただいまの御質問でございますが、総体的に申しまして、これから参議院でいろいろ御審議もされることでもございますが、私の基本的立場をまず申し上げますと、私ばやはり外交とかあるいは防衛という問題は国に協力すべきだと、こういう態度を持ってきておるわけであります。これは私の基本的な態度であります。
 そういうことからまず申し上げますると、北方四島の線引き問題につきましては、すでに福田総理が各党首会談までしていただいて統一されておるわけでございますから、私としましては、その線でひとつ何としても通していただきたい。特に、この管理区域あるいは共同規制というような問題、まあ一応私ば共同規制と言っておるわけでありますが、お互いにダブらせる、向こうも主張する、こちらも主張する、そこに工夫があるのでございまして、鈴木農林大臣もいろいろと秘策を練っておられると、こう思うんでございます。特に私、この点で申し上げたいのは、北方四島というものは現在も北海道の行政区域であり地方交付税もいただいておるんです。こういうことでありますから、絶対これは譲られない、こういう考えでございますので、よろしくごしんしゃくいただきたいと思います。
 また、沿岸へのUターンでございますけれども、この問題につきましては現在でも問題がございます。そのトロール船等につきまして沿岸の零細な漁民との問題がございまして、一年か二年ごとに話し合いの場を持たせまして、一応の基準を持たしておるわけであります。両方の代表で話し合いをさしておりますが、これは非常に心配なことでございますので、現在あります基準というようなものを、まあ北海道は四面海でございますから、それぞれの海域でございますが、これらの基準といたしましてさらにいま頭をひねっておるところでございまして、全体の数量が、数量といいますか、全貌がわかり次第すぐにでも乗り出すという考えでおります。
 それから加工業者のこの問題でございますが、これはやはり現地でも、あるいはモスクワでも耳に入ったわけでございますが、すでにこの業界の買い占めという問題が入っている。そういうことで、現地でも特にこれらについて強い姿勢で国として規制をしてもらわなければ大変なことになる、こういうことで、これは政府にも私申し入れておるわけでございますが、これも余り早くもできません。何せいま交渉を早くやってもらってそうしてできるだけたくさんとらしてもらう、こういう立場をとっておりますので、あわせて御検討をしていただく、私の方もぜひこの規制のことで自治体としても協力していきたい、こういうふうに考えております。
 それから、この十二海里、国際海峡についての疑問の点を指摘されたのでございますが、幸いにしましていまのところ外国漁船が操業しておりません、いままでも。そういうことでございますから、これは領海十二海里はもちろんのことでございまして、二百海里においても、外国でありますようにその二百海里の中でも規制すべきだと、はっきりこの地域はもうとっていけないところだとか、あるいは別な規制をするとか、まあこういういろんな工夫をしていただいて、外国漁船がこの国際海峡で絶対操業できないようにしていただきたい、この考えが私の主張でございます。
#14
○相沢武彦君 北海道知事に二点お尋ねをしたいと思います。
 先ほどの知事の意見陳述で、現在北海道が置かれているいろんな困難な問題点、現状についてはよくわかるわけなんですが、いよいよ二百海里時代を迎えまして、一番北海道が大きな影響を受けることは当然であろうと思います。
 そこで、この影響を受ける中で、特に北海道に居住するいわゆる中小漁船や沿岸漁業の振興を図るために北海道の知事という立場でどのようなお考えを持っていらっしゃり、また政府に対していまからどういうことを要望されようとするのか。特に新漁場の開発については北海道は非常に熱心で、ミッドウェー島の北にある天皇海山の近海における魚種の探索調査も道自体でおやりになったというお話も聞いているんですが、そういう問題とか、あるいは未利用資源の開発の問題、そういう問題についての御見解を承りたい。
 それから第二点は、先日、プラウダの東京支局長が根室を訪れて漁民と懇談をした際に、島々はもうソ連の領土だ、だから夢を追っても日ソ間の友好を崩すだけだ、あるいは根室市内には領土返還の標識が多過ぎる、こういった運動をすることが漁業問題に不利益になるぞと言わぬばかりの発言をずいぶんされているわけなんですが、この発言に対して北海道の知事としてどういう考えで今後対処をされようとするのか。
 以上二点、お答えいただきたい。
#15
○参考人(堂垣内尚弘君) 相沢先生にお答え申し上げます。
 第一点は、中小企業を主としている北海道で振興策をどう考えるか、こういう点でございますが、私の方は、大体十トン以下の船を持っております船持ちでも零細と申しますか、これが九四%を占めております。また、根室等におきましては、もう三トン未満の船が毎日北方四島周辺に出かけてはとってきておるわけです。こういうような現状がございます。また、北方漁業を開拓したのはわれわれの先祖だという気概も持っておるわけでございまして、いろいろな観点から現在振興策を図っておるわけでございます。
 そこで、これらを含めまして私はまず申し上げたいのは、これも前々から要望してございますけれども、いま官庁などふやすというようなことは非常にきらわれますけれども、まず水産行政というものをやはり担当する専門の大臣を置いていただいて、いわゆる水産省を設置してもらう。農業と同じように水産も設置してもらわなければ、これは食糧問題でございますし、外国との関連が非常に多いわけでございます。これをいま要望を続けております。また、これからの問題に対処して基本的な問題として、私はやはり資源を見つけるということ、また資源をつくるということ、また資源を利用するという基本的な考え方を持っておるのでございまして、第一点の資源を見つけるということにつきましては、先ほど御指摘もいただいたのでございますが、天皇海山、これは戦前日本が発見したところでございますが、東経百七十度、北緯三十度付近で、カムチャツカ半島からハワイを結んだような線上にあるわけでございますけれども、昨年から私の方で調査船を出しまして、少し海が深くなりますけれども、深海魚をたくさんとってまいりまして、婦人団体その他の方に試食をしていただいて、まあ見かけは悪いけれども味はいいという評判も得ておるんでございますが、これは今年度も続けることにすでに予算をつけております。やはり他国よりも先んじて権利を獲得すべきだ、このように思っておるのであります。また、東京に、農林省の方で海洋水産資源開発センターというものがございます。たしか四十六年からで、いろいろ新漁場等につきましてもやっていただいておりますけれども、特にこれらについて、今度の経過から見まして大企業だけでなくて中小の企業に対して、中小の漁業と申しますか、これに対しても新漁場が与えられるようなそういう方向で努力をしてもらいたい、こういうことも申し述べておるわけであります。また、南水洋などオキアミが相当ございます。こういうのもやはり中小の方に参加させていただく、こういうようなことがまず大事じゃなかろうか、こういうことであります。
 また、資源をつくり有効利用するというようなこと。私は四年ほど前にアラスカの方と話を決めまして、向こうの未利用資源の調査をやったわけであります。ところがその後、拿捕の船の中に、三隻の中に北海道の船が一隻ありまして、いまのところ無期延期に延ばされて、一回だけは調査したわけでありますが、こういうような未利用資源その他も調査してこれを育てるということでございますが、特に、つくり、有効利用につきましては、現在問題になっております二百海里内の海の利用といいますか、二百海里の中をもう一度徹底的に調べる。そうしてこれを振興させ利用するということをまず考えなければいけないと思っておりますし、またその中で、沿岸漁業振興のために沿岸漁場整備開発法に基づきまして、五十一年から七カ年でございますか、二千億の大体全懇が、事業費が決められておりますが、これなどもうんと早めていただきまして早期にこれらをやっていただく。もちろん、地方自治体としてもいろいろやっておりますけれども、そういうようなことであわせて進めていきたい。また、もちろん漁家の負債整理とかあるいは制度資金の活用、金融対策、今度の補償、こういうようなことはいろいろとそれに絡み合わせて、とにかく最初にはつなぎ融資から始めましていろいろと元気を出すような方策を進めていきたい、このように考えております。
 さらに、先日も、私の方で七つ研究所を持っておりますが、所長を集めまして、やはりこうなると試験研究というものが大事だから、さらに工夫をして高度加工からあらゆる面を含めてもっと勉強していただく、こういうことで要請をいたしました。また、市場などもときどき見ておりますけれども、消費者団体等に、婦人団体等に昨年あたりからお願いしておりますが、高級魚だけでなくて大衆魚をもっと食べていただくような方向、あるいはもうたとえば切り身などきれいなものだけでなくて、骨つき、頭つきみたいなものもできるだけ買っていただくというような、こういうような資源の有効利用といいますか、こういう面も含めまして、いまいろいろと御努力、御協力を願っておる、こういうことが実情でございます。長くなりますので、第一点につきましては以上申し上げたいと思うのであります。
 第二点のプラウダの問題でございます。これは私も先日、根室、釧路の方へ行ってまいりましたので、向こうの方で、特に根室の市民あるいは市長、市議会議長あたりから強く要請も受けました。また北方領土、あすこは四十七団体がまとまっておりまして、向こうに不法占拠されたときから、あすこへ引き揚げた方々が最初に領土返還の運動を始められたその記念すべきところでもございますから、非常に敏感なのであります。しかし、反ソ的な感じは持っておりません。北海道全体は親善の行事等も考えていろいろと交流もやっておるわけであります。そこで、私なりに調べました点を申し上げたいと思うのでございますが、釧路市でたまたま東北海道日ソ友好貿易協会、これは昨年できたようでございますが、民間のものでございますが、その日ソ友好貿易会館をつくることで起工式をやったのだそうでございますが、これは私がちょうど訪ソしている間でございます。そうして、大使館から参事官初め関係者、またプラウダの支局長方も行かれたそうであります。根室の日ソ友好貿易協会の支部では、この機会に漁民との懇談を計画したいということでこの懇談が持たれまして、主な懇談者は歯舞の漁民とか根室商工業者とか、あるいは市議会の柳田議長、根室市はちょうど市長がおらないで助役が対応されたそうでございます。
 そこで、いろいろな人の話を総合し、地元の新聞等で出た内容を申し上げますると――これは私直接聞いておりません。また聞き、または新聞を参考にしたものであります。この島々、北方四島はソ連領土です。夢を追っても日ソ間の友好を崩すだけです。また、領土絡みで漁業交渉がもつれているようだけれども、領土問題はあきらめて漁業問題にしぼらなければというような発言。また、世界各国の二百海里実施に大きな損失をソ連はこうむっておる。今回のソ連二百海里はソ連の世論に従ったものである。また、沖繩には日本人が住んでいた。ところが、北方領土については戦争で国境線が変わり、四島には現在ソ連人が住んでいる。現実と夢を交えると、日ソの話し合いは非現実的な話し合いになる。根室市内に反ソスローガンが目立ち過ぎる。釧路の場合、市長が先頭に立って日ソ友好運動を進めている。ソ連の中には、根室市長は反ソ運動の中心になっているという考えの人が多い。これが拾った会話の向こうの主張であります。また、柳田議長に聞きますと、二、三年前にも領土問題で議論しておりますので、今回は何と言っても二本立てで行くという福田総理の方針のこともあり、向こうへ行っても漁業問題を主に話そうというようなことで対応したように聞いております。
 そういうことで、私が行きましたときに、大ぜいの百人ぐらい集まりましたところで、私に領土関係の話をしてくれというようなことで、やはり国の方針に基づいて、また北方領土は北海道なんだからこれを基盤にして耐えがたきを耐えながらも、これを通しながら漁業問題の推進を図ってまいりたいというような皆さんの御意見でもございました。私も、特に北海道が領土問題を抱えながらも、スポーツ、経済、文化、これはほかの地区で見られないほど、相沢先生も北海道出身でございますからおわかりと思いますが、親善関係を行っておるわけでございまして、特に私は知事として残念なことは、ソビエトのモスクワに私は三回ほど前も行っておりますけれども、 こちらのニュースは即日自由な、非常に日本みたいな自由なところはございませんから、ああいういろんな意見が即日入る。向こうは統制しておるわけでございますから、また英語と違って取っつきづらい言葉でもございますし、さっぱり記事も見られない。こういうような外交というのは、どうも私は腑に落ちない気がいたします。よっぽどこれは注意しないとすっかりこちらの手の内、いかにも世論が乱れておるような、こういう印象を与えるようなことであってはいけない、こういうようなことを私は知事として強く感じました。
 したがいまして、これらについては、特に何と申しますか、反日的な言動につきましては、外国では国外追放とかいろいろございますけれども、いま日本はそこまでは行っておりませんが、やはり政府としてそういうふうな言動があった場合、これはやはり注意をしていただきたい。もう明らかに反日的な、あるいはいま漁業交渉のさなかに領土問題と絡めて撹乱するような、こういう行動については厳重に注意してもらいたい。こういうことで、この間帰ってすぐわかりましたから、園田官房長官にも申し上げましたし、あした総理にも私お会いして申し上げようと、こういうふうに思っておるわけであります。
 以上、かいつまんで申し上げる次第でございます。
#16
○小笠原貞子君 知事にお伺いしたいと思います。
 直接漁業に携わっていらっしゃる方の被害というのも大変な問題ですし、これも早急に手を打っていただかなければならない。しかし政府の対策で言えば、日ソ漁業交渉の結論待ちで、当面つなぎ融資というような形で、補償は減船対策と絡めてというような考えだと思うんです。しかし、もうすでに損失がはっきりしている分については速やかに補償を具体化する必要があるというふうに考えるんですが、その点についてどうお思いになっていらっしゃるか。
 それから、数でも多いし、また業界としても雇われている者としても大きなウェートを占める分が、先ほどもおっしゃいましたように、加工業者と関連産業でございますね。そうしますと、大蔵省の緊急融資には加工業者や関連産業については対象に含まないという方針が表明されているわけなんです。これについては、もうこれはけしからぬと私たちは思っているわけですが、知事としても当然そうだと思いますけれども、その辺のお考えと、それから道は独自に北洋漁業緊急特別資金制度というのを設けて緊急融資を実施するということでございますが、大蔵省の意向について、これと絡めてどういうふうに考えていらっしゃるかということをお伺いしたいと思います。
 それから、きのう私も道漁連から加工連、機船組合等五つの漁業組合関係を回ってきたわけですけれども、たとえば水産物加工協同組合連合会では融資額や適用基準というのを具体的に出されて、知事の方にも御要望になっていらっしゃると思いますけれども、その点はどのように知事としてお考えになっていらっしゃるかという補償関係の問題です。
 その次に、二百海里法に関係してでございますけれども、漁業水域に関する暫定措置法の関連で、相互主義という考えから、先ほど知事もちょっとお触れになりましたけれども、線引きから西日本水域を除外して、その上、さらに韓国等に対しては第五条の外国人に対する漁業禁止区域も含めて適用除外ということになっております。御承知のとおりです。この点、いま北海道にとっては非常に大きな問題になって、韓国船による操業被害というのが甚大になっている。北海道周辺二百海里水域に韓国船が公海と同様に何の規制もなしに入ってくるというようなことになってまいりますと、これはもう非常に大変な事態を引き起こすわけで、きのうもたくさんの方々が陳情に見えまして、この辺のことを非常に心配していらしたわけなんです。その辺のところの態度をはっきりとさせて、知事のお考えも伺いたいと思いますし、それから二百海里法は管理権がソ連に対してだけ及ぶというようなことになりますので、新聞を見ますと、ソ連の漁業次官のジガロフという方が日本の二百海里法案は韓国、中国などを除外しているが、それは相互利益の立場から日ソ交渉に新しい困難をもたらすものだという発言が新聞に載っていたわけです。これでは日ソ交渉を有利にということで、日ソだけに目を向けているというこの二百海里法を制定していることは、逆に大局的に見ればいろいろと不利な点が出てくるのではないかという点が大変危惧される問題だと思うんですけれども、その辺についてのお考えも伺いたい。
 それから、最後に領土との関係の問題ですけれども、領土と絡めないでということは当初から言われておりましたし、いまも知事もそういうふうにおっしゃっていましたけれども、こちらで絡めないでと言っても向こうは絡めてきているわけですね、現実に。この間私もモスクワの会議に出ていきまして非常に強調されましたことは、現実を重視して現実から客観的に解決へ持っていきましょうと、こういうことを強調しているわけです。その現実とは何かと言えば、もうすでに千島というのはソビエトの領土なんだと、戦後三十年たっていると、そしてそこに人も住んでいると、だからこの現実から考えていこうというふうに主張していますし、また、先ほど最後にお触れになりましたように、サケ・マスでも二百海里というものを千島からきちっと線引きというものを承認せいというようなことを言ってくるわけですね。そうすると、現実からというこの現実を考えたとき、これは切り離すと言っても切り離しようがなくここでもつれてきているんだという点を、どういうふうに考えていらっしゃるかということなんです。私たち共産党としては、北方領土という呼称についてはいろいろ意見もあります。しかし、千島そのものが日本の領土であるということは、歴史的な条約との結び合わせから、また戦後処理の誤りから考えても、まさにこれは日本の領土だという主張は正しいと思うんです。そして、特に堂垣内知事も一生懸命御尽力いただいております。地元根室でも一生懸命、道民もまたいまや全国的に千島はわれわれのものだという大きな運動になってきているわけですね。その運動が、本当に政府として漁業と分離すると言うならば、漁業でやると同時に千島というのはわが国のものだといままで堂々と発言し、主張するというような点が非常に弱腰だった。このままでいけば現実を重視して、そして漁業問題でという解決だけでは、もう本当に向こうの意見をのまされて、何ぼかことしとらしてくださいというようなことで、将来的に見れば非常に禍根を残すのではないか。そういう点で、いままで政府の外交政策というものは非常に弱腰であったという点を私たちは残念に思っているわけですけれども、その領土と絡めていま困難な状態になっているときに、いままでの政府のやってきたこと、総決算がここで出てまいりました。これについては、知事としてはどういうふうな見解をお持ちでいらっしゃるか、その点についてお伺いしたいと思います。
#17
○参考人(堂垣内尚弘君) 小笠原先生にお答えいたしますが、項目が多いので順序が多少不同になるかもしれません。
 一番、二番、三番。損失補償とか、つなぎ資金の問題、あるいは加工業者の問題、それから特別の金融、道独自の特別金融、この三点をまとめて申し上げたいと思いますが、三点目の特別金融から申しますると、私の方は二十トン以上と二十トン未満と、それから加工業者以外の業種につきまして、たとえば冒頭私陳述に入れました製箱、魚箱でございますとか、あるいは原魚を運搬するトラックとか、こういう方々、業界に対してもつなぎ融資を行うということ。また、すでに政府の補償がまだ決まっておりませんけれども、韓国とかソビエトの船による沿岸近所の損失、この直接被害等につきましても、いままで道で持っております金融制度を拡大しましてとりあえずやってまいりまして、今回別に百四十億を設定したわけでございます。その中で関連産業の分は、新たな道の制度として道議会の専決処分もいただきましてこれを決めたわけでございまして、二十トン以上、二十トン未満などは、いま道が持っておる制度を利用して行おうと、こういうものであります。そういうことでございますから、国が決められた要綱、三要綱では加工業者までということになっておりますから、私の方はそれじゃ困る、加工業者以外でも対象にしてもらいたいということでいま折衝を続けておるわけでございまして、そういうことで、とりあえずはつなぎに遺漏のないように、また政府でも百四、五十億ですか、きのうきょうの新聞にも見えておりましたし私も報告を受けておりますが、急いでやってくださる態度を示していただきましてまことにありがたく思っておりますが、つなぎはつなぎとして、これは減船から何から将来大変なことになると思っておりまして、私はやはりこれから先は、予備費だけでなくて補正も考えていただくぐらいな気持ちで取り組んでもらいたい、こういうことを申し入れておるわけであります。
 それから、漁業の各団体ごとの御要望を聞かれたそうでございまして、特に水産加工につきまして、たとえば損失が五〇%とか、あるいは千万までとか、こういう問題がございまして、これらについてはいま水産庁と鋭意折衝しておりまして、水産庁の方も今月じゅうによく話し合ってこの問題等について対処してくださるというお話も聞いておりますが、具体的なことはわかりませんけれども、金利のこともございますしいろんな点いま急いで取り決めたいと、このように思っております。
 それから、五番目の二百海里の設定問題でございまして、韓国の問題、西日本のいまの代表の方のお言葉、こういうことでございますが、私としましては、北海道にも声があるんです。西で攻めて北の方でとられると、江戸のかたき長崎というのは、逆に長崎のかたき北海道でというような言葉も出るわけでございますが、私はこれらについては、まだはっきりとした原因もわかりませんし、こういうことが明らかになれば知事会等を通じて申し入れようという考えを持っておりますけれども、現在におきましては、先ほど申し上げましたように二百海里の中でも禁止区域もとれますし、また当然規制を加えていただきたいということでございますので、これらにつきましては、また国会の審議もあろうかと思いますので私は発言を差し控えたい。基本的な態度は、冒頭申し上げましたように、私は外交という問題についてはやはり国が一本で行かなければいけないと、こう思っておりますので、国会で決められたらその線でひとつきちっと進めていただきたい。したがって、野党に応援するというわけにもいきませんし、この点はひとつ御理解いただきたいと思います。
 それから、六番目は何でございましたか、ソ連に対してのみ日本が新しいという一これはちょっと後でもし何なら補足さしていただきます。
 それから七番目でございますが、向こうが現実の面を言っておる、三十年ももう住んでおる、こういうようなことを言われるのであれば、現実に一万六千人がもう終戦直後の不法占拠で逃げ帰ってきておるわけです。そうして、逃げ帰った方で年長者はもう亡くなろうとしておるわけですね。そうして、その子孫がもう三世、四世ができつつある、この大部分が北海道にいる、また一部は本州におる、こういうのも現実でございます。そういうことで向こうを父祖の地と称しておるわけでございますので、私はやはりこれこそ日本政府、また日本国としてのこれからいかにうまく相手と対応するかということに期待をしておるわけでございまして、きょうの一部新聞を見ますと、領土と魚を切り離して二本立てで行くというけれども、何かこれじゃ相手が領土を絡めてきているから領土を先頭に立てなきゃいけないと、こういう新聞のニュースも私拝見いたしました。したがいまして、これらの面をどううまくやるか、これはやはり外交問題だと思います。私は、外交の過去についてとやかく言いたくありませんし、いまここで悪かったとかおくれをとっているとかいう気持ちはあったって、ここで私はやっぱり先ほど申しましたように、日本のこの考え方というものは即刻向こうに響くわけでありますから、そういうことで一本になるように、早く二百海里、十二海里を決めていただくことがまず第一で、その間国会の論議を踏まえまして日本国が一つになって相手と早く交渉をしていただきたい、このように考えておるわけであります。
 それから六番目のソ連に対してだけ二百海里を設定する、日ソ関係で云々というお言葉だといま思い返しましたけれども、これは基本的な問題をさらに逃れて韓国問題を利用しようという向こうの戦法じゃないかと思います。私はそういう点素人でございますけれども、やはりソビエトはソビエトで基本的なことをやればいいんであって、一一日本のほかの方まで持ち出して言うということは大国、まあ大国ですから、大国に私はふさわしくない、このように考えておるのであります。
 以上であります。
#18
○和田春生君 きょうは、参考人の皆さん本当に御苦労さまでございます。まず最初に二点ほど波多野さんにお伺いいたしまして、あと共通問題について浜崎さんと堂垣内さんにお伺いいたしたいと思います。
 現在審議に提供されている領海法並びに漁業水域法が、国際法の観点から見て別にそれに背馳するというものではないという御意見でございましたけれども、ただし、いま提案されているものが政策的な選択肢として望ましいかどうかということについては、また別個の問題だという御指摘があったわけです。そこで、その波多野先生のあとの方に関連してお伺いしたいわけですが、実は私どもも現在の領海法並びに漁業水域に対する政府提案につきましては、非常に問題が多いので、これは国会の審議の中で明らかにしていきたいと考えておるわけでございます。その一つは国際海峡についてでありますけれども、今度の領海法でいきますと津軽それから宗谷、対馬東・西、大隅、五つの海峡に限って国際海峡扱いをいたしまして、特定水域としてその水域内は領海三海里で凍結をしていることは御承知のとおりであります。しかし、国際海峡の国際的な定義がまだ国連の海洋法会議で最終結論には至っておりませんけれども、非公式単一交渉草案改訂版の中におきましても、公海と公海あるいは公海と経済水域、経済水域の一部と他の部分、これを結ぶ船舶並びに航空機の航行の用に供せられるものが国際海峡であるという定義があるわけです。そういたしますと、現在の提案をされている政府案によりますと、先ほど指摘した五つの海峡以外は、全部現行領海条約の無害航行の原則を適用してしまうという形に必然的にならざるを得ないわけであります。そうなりますと、たとえばトカラ列島から奄美群島、沖繩群島という形では、東海と太平洋との間をずっと日本の領海で閉塞をする、通航する場合には自由通航あるいは妨げられざる通航よりもはるかに厳しい無害通航の条項が適用されるだけである、あるいは伊豆七島でも同じような問題が起こると思います。そういたしますと、片方で日本は国際海峡についての自由通航を主張している、そこで日本が率先してそれに反するようなことをやって刺激をしてはぐあいが悪いので、五つの国際海峡については三海里で凍結して公海部分を残すと言いながら、実は日本周辺に六十幾つあります他の国際海峡に該当する部分についてはきわめて厳しい無害通航を、特に現行の領海条約並びに日本がこれに参加をして公布いたしておりますけれども、それで締め出してしまうということは、逆に今度は外国が領海に含まれる国際海峡の通航について、自由な選択のもとでこことここは通ってもいいけれどもあとは自由通航じゃないんだ、全面的な主権のもとに置かれる無害通航の場合に限ってのみやるというような根拠に引用されるという可能性もはらんでいる。今後の国連海洋法の審議におきましても、はなはだまずい選択であるとわれわれは考えているわけです。民社党の場合はそういう小手先細工をせずに、一律領海十二海里にいたしまして、国際的な合意ができるまでは国際海峡に該当する部分については従来どおりの通航を認めるという措置を講ずれば、すべての問題は円満に解決をして将来に備えることができるのではないか、こういう考え方を持っているわけであります。こういう点につきまして、先生のいろいろ御意見がありましたらお伺いをしたいというのが一点です。
 それからもう一つは、漁業水域法に関してでございますけれども、これは御承知のように、二百海里の漁業水域といっておりながら二段構えで、片方では政令で定める海域を外すといっている。そしてさらに、もう一つ政令で定める海域ないしは外国人を外すという形になっておりますが、これは時間の関係もございますので私どもの方の所見を申し述べるのは遠慮いたしたいと思いますけれども、へたをいたしますと、運用によって国旗差別の問題を引き起こしまして激しい国際紛争の原因をつくる可能性がある。で、先生おっしゃるように、国際法との関係はありませんが、政令による運用によりますと国旗差別の問題を引き起こすのではないか、そういう点に関しましてもし御見解がございましたら、この際、御教示をお願いしたいと思います。
 あと、浜崎さんと堂垣内さんに対しましては、先ほど来懸念が表明されておりましたけれども、各国が二百海里を引いて二百海里時代になりますと、やはり日本の漁業が沿岸から沖合い、沖合いから遠洋へと行っておったんですが、遠洋はもう御承知のとおりむしろ各国の沖合いでとっていたのがほとんどでございます。これがだんだん帰ってくるという形になると、必然的に日本の沿岸、沖合い漁業との間に、すでに若干トラブルが起こりつつありますけれども、拡大をしていく可能性があるように思います。さらに北転船が南転をして、今度は九州方面の漁場が大変な問題になるのではないかというような懸念が、実はこの前鹿児島に現地視察に行ったとき出されておりましたけれども、対外ではなくて対内の国内における遠洋、また沖合い、沿岸と各漁業間のいろいろな競合関係、調整問題というのは大変深刻になってくると思うんです。この点、日本でも非常に大きな漁業県として北海道あるいは長崎県があるわけですが、この点に関しまして漁業者の間から、現行の漁業法を根本的に見直さないと――事は都道府県知事だけではできない問題が出てきます。国でもむずかしいといいますのはもう先刻御承知のとおり、大臣許可の指定漁業と知事許可の漁業との間の相互のトラブルが出てくるわけでございます。そういう点を踏まえまして、漁業法を改正をするというような声も現に現地で聞いておるわけでありますけれども、特に都道府県の立場から見ましてどういう点に配慮してもらいたいか、どういう点が一番問題か、重要なポイントについて若干御意見を承れれば大変幸いだと、こういうふうに思います。
#19
○参考人(波多野里望君) 和田委員の御質問にお答えいたしたいと思います。御質問は二点ございまして、第一点の国際海峡の方から私の考えを述べさせていただきます。
 それで御指摘がありましたように、ただいま海洋法会議ではもちろんまだ結論が出ておりませんし、その単一草案の改訂版におきましてやや定義めいたものがあるにすぎない段階でございます。そこで、この段階におきましては、御指摘があったように、六十九ぐらいあります国際海峡に当たりそうなもののうちの五つだけを特に取り出すというところの一つの恣意的な問題が出てくるかと思います。それは五つであっても六つであっても、いまの和田委員の御質問にはこの五つがどれであるかということは特に問題になるのではないだろう、一部分だけをそういうふうに特定化するということが問題だというふうな御指摘だと受け取りましたが、この場合に私はこう考えております。最終的な海洋法の結論が出ればそれに伴うと、これは大原則であろうかと思います。そしてその結論と申しますのが、だれが見ても客観的に認定ができるようなそういう形の定義になるか、あるいは沿岸国の主観がある程度入る余地のあるようなそういう形の定義に落ちつくかということが、私まだわからないのではないかと思っております。前者であれば、これはもういま和田委員が御指摘になりましたような心配というものは実は払拭されるのでありまして、そろばんみたいに二一天作の五ではじいてみれば、六十九のうちの十七は国際海峡であるというような答えが当然出てくるかと思います。その場合にはそれに従うので、それまでの暫定措置としましては、私は五つであれ六つであれ、日本が選ぶことも特に不都合だとは思いません。それからもう一つ、結論が日本なり沿岸国の主観が入るようであれば、これはまた五つ選ぶことが当然にオーソライズされるわけでございます。その場合も問題ないわけでございます。
 ただ問題は、日本がそういうふうに途中で幾つかを任意に選びますと、相手の国も選びはしないかと。たとえばマラッカ海峡を外されましてほかのところが国際海峡になって、肝心なところが国際海峡から外されるおそれがないかと。これは私、現実に確かにあると思います。その危険はあろうかと思います。ただ、それをそれではなくすためにどういうことが考えられるかと言えば、先ほど和田委員は、全部十二海里画一的にしてしまってとりあえず通航だけを従来どおりという方法を御示唆なさいまして、それも一つの方法だろうと思いますけれども、反対に、六十九あります国際海峡をとりあえずは全部国際海峡としてしまうという選択肢もあろうかと思います。で、その二つのうちのいずれがより有利といいますか妥当かと言いますと、私はまあ一長一短だろうという気がします。さきに和田委員が御指摘になりました方法もいいかと思うんですが、これはいままでの外交の慣例に照らしましても、ある国が一つの行為をとりまして若干の留保をつけます。しかし、その留保というものはしばしば落ちてしまいまして、とった行為だけがひとり歩きをしている。また、そういうふうに解釈をされやすいのでございますね。ですから、さっきの和田委員のお話では、一応五つの特定海域も領海十二海里まで広げておいて、ただし通航は従来どおりだと、つまり無害通航以上の自由通航を認めると言っておきましても、私は、和田委員が御懸念になるような国々はその後の部分は落としてしまって、日本は五大海峡までもこれを領海十二海里でかぶせてしまったというその前段だけを、まあ揚げ足取りといいますか、利用する危険というものも多分にあるのではないかと。和田委員の御懸念私も同感なんですけれども、そういう面のマイナスの方がむしろ大きいのではなかろうかというのが一つ心配でございます。それからもう一つは、当然これは外国との関係だけではなくて、例の非核三原則の問題が出てまいりますから、十二海里まで領海だというふうに引いてしまって、そこで通航だけは自由であると、いままでどおりだというので核を積んだ船が通っていった場合に、果たして文句は出ないかと。これは国内政治の問題であろうかと思いますけれども、その二点を考え合わせますと、残念ながらどうも十二海里にして通航だけはいままでどおりという選択肢も、まあ一長がないとは申しませんけれどもやはり一短があるのではないかと、かように考えます。
 それから第二の漁業水域法の問題で、これは政令の運用の仕方によっては国旗差別になるおそれがないかと。これは御指摘のとおりだと思います。したがって、そういう点は十分注意する必要があろうかと思いますけれども、ただ国旗差別と言いますときに、一つは、相互主義と申しますか、互恵主義という問題をこれは抜きにしては考えられないだろうと思います。ですから、たとえば日本を取り巻く国がABCDありまして、先方は全部日本に対して二百海里を主張しておるのに、日本の方ではABに対してだけ二百海里を主張しCDに対して主張しないということであれば、これは国旗差別でございますけれども、しかし、ABCDのうちのABが日本に対して二百海里を主張しておって、CDは日本に対しても二百海里を主張していないということになりますれば、日本もABに対してだけ二百海里を主張してCDに対して主張しないということは、これは国旗差別の問題にはならないというふうに考えております。
 お答えになりましたかどうかわかりませんが、一応私の考えを述べさしていただきました。
#20
○参考人(堂垣内尚弘君) 和田先生にお答えいたします。
 現行漁業法を改正しなけりゃならないという声で、どういう内容かというお問い合わせだと思います。私、先ほど陳述の中に申し上げましたが、やはり根本問題としては、二百海里時代、これに対応して現行法を総点検して改善してもらいたい。まずその中で、いままでは公海の自由といいますか、自由航行、公海自由という原則でありましたものが、今度は規制をしなければならない、あるいは規制を受けるわけでございますから、そういう問題に関連しまして、特に資源保護とかこういう問題が入ってくるんじゃなかろうか。また、外国との関連が出てくるんじゃなかろうか。たとえば共同事業みたいなものもその中に出てくるんじゃなかろうか。それから関連業者が、やはり今回見ましても、たとえば釧路でも根室でも稚内でも、いまの漁業の問題に端を発しまして、関連企業を含めますと全体の町の経済の七、八〇%が非常に影響を受けて困るという姿が出ておるわけでございまして、こういうような関連の問題についても盛られるべきじゃなかろうか。それからもう一つは、やはりわれわれ特に中小の企業が大部分でございますから、中小の企業、中小の漁業者あるいは船主、こういうものに対する振興策というようなものも入るべきじゃないか。こんなようなことでございまして、特に沿岸漁場整備開発法などもございますから、これらの関連におきまして、やはり何といいますか魚田開発も含めた将来の振興策も織り込んだ、また国際的な関連も織り込んだ法律の改正が必要であろう、このように思って、いま寄り寄り協議をさせておるところでございます。
#21
○参考人(浜崎直之君) 和田先生にお答えをいたします。
 ただいまは実は一方の方で二百海里を設定しながら一方では二百海里の水域の設定をしない、非常に差別ではないかということでございますけれども、波多野参考人が申し上げたように、私はやはり互恵主義でもってこの問題を処理していただきたい。と申しますのは、中国あるいは韓国にいたしましても、いまのところ協約がございまして向こうの方から一方的な宣言はないわけでございますので、それに対応いたしまして、こちらの方も先方さんの出方を見ながら対応していただく。特にその決定的な要因になるのは、今度開かれます国連海洋法会議であろう、それで方向づけがある程度また具体的に出るんじゃないかというふうなこともございまするので、私は当初参考人として陳述申し上げたような線でひとつ御処置を願いたい。
 それから第二点の、沿岸、それから沖合い、それから遠洋という問題でございまして、この点につきましては今後の状況の変移に照らし合わせまして、いろいろ皆さんのお知恵を拝借しながら交通整理というものをぜひやるべきだというふうな感触でございます。と申しますのは、いま北の方に出ている船が南の方に帰ってくるというふうな状況、あるいはまた遠洋漁業の方がやはり狭い地域に縛られるというふうなことで、非常にむずかしい問題が当然起こるということを予測されるわけでございますので、この遠洋なり、あるいはまた沖合いなり沿岸の交通整理というものをどうするかということについては、皆さん方でひとつよく御検討いただいて、私たちの意見も御聴取願った上でひとつ善処をお願いしたい、かように私はお願いを申し上げる次第でございます。
#22
○喜屋武眞榮君 時間もございませんので、特に私がお聞きしたいと思っておりましたことは、いままでの委員の皆さんの御質疑の中でほとんど解けて理解できましたので、一つだけ波多野参考人、そうして実際の面から浜崎参考人に、いままでの質疑の趣旨が北方が主でありましたが、実は今後、南方の方にも国際紛争の火種になるんじゃないかという問題を抱えておるわけです。それは例の尖閣列島でございます。ここがもう今後、また南でも国際紛争の火種になるんじゃないかと心配しておるわけです。それに対する波多野先生の御見解ですね。
 それから、実際面からのサケ・マス確保に関する御見解をお聞かせ願えたらと、こう思っておりますので、それで終わりたいと思います。
#23
○参考人(波多野里望君) 喜屋武委員の御質問にお答えしたいのでございますけれども、尖閣列島が日本領であるかどうかというようなことについての国際法上の根拠ということでございましょうか。それともそれを前提として、今度の海洋法と絡めて特にどう考えるかという点にしぼっていらっしゃるのですか。いずれでございましょうか。もし後の方でよければ――
 いま御指摘ありましたように、確かに南方の方も今後大きな問題になってくると思っております。それから南方でございませんけれども、例の竹島の問題も当然ひっかかってこようかと思います。も
 で、いま御指摘になりました尖閣列島の方につきましては、それは領土としては、私はこれは日本領土というふうに理解いたしておりますので、あと領海十二海里、それから二百海里の漁業水域というものは、北方四島と同じように、一応日本としては当然これはその線で進めていくべきだというふうに考えております。ただ尖閣列島については、今度中国が二つと言いますか、二つと言ってはいけないのですが、実は台湾の方も絡みますし、それから中国政府と、さらには韓国と四つどもえになりますものですから、ちょっと北方とは違ったむずかしさがそこに入ってくるだろう。やはりそういう点では、私は将来は、こちらの方はいずれにせよ共同規制的な形をとらざるを得なくなるのではなかろうかというふうには思っておりますけれども、まだ事態がそこまで煮詰まっておりませんので、具体的な見解を申し述べることはできない現状でございます。
#24
○参考人(浜崎直之君) ただいまの御質問は、尖閣列島のいわゆる漁業から見た場合の価値はどうかというふうな御質問であろうと解しましてお答えをいたしますけれども、あの尖閣列島周辺は、長崎あるいは西日本の遠洋まき網の船が、あそこはアジ、サバが大変とれる地域でございまして、漁業的に見てみますと大変価値のある地域でございますので、あそこの問題につきましては、西の業者も大変関心を持っております。波多野先生いまおっしゃられましたように、これは中国、台湾との絡みで、領土問題が大変ふくそうする非常にむずかしい問題がまた惹起されるなあということで、大変心配しておりますけれども、漁場的に見ましては私は大変価値のある海域であると、こういうように解釈しておりますので、お答えいたします。
#25
○委員長(橘直治君) 以上をもちまして、参考人の方々に対する質疑は終わります。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。本日は皆様御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会の今後の審査に多大の参考になることと存じます。委員会を代表いたしまして重ねて厚く御礼を申し上げます。
 午前の会議はこの程度にいたし、午後一時再開いたすこととして、暫時休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時八分開会
#26
○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案、以上両案を一括して議題といたします。
 休憩前に引き続き、四名の参考人の方々の御出席を願っておりますので、早速御意見を承ることといたします。
 ただいま御出席されております参考人の方々を御紹介申し上げます。
 根室市長 寺嶋伊弉雄君、全国漁業協同組合連合会副会長 宮原九一君、漁業雇われ船頭会代表
 石川勇作君、全日本海員組合中央執行委員乗組員代表 二見俊男君、以上でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は御多忙中のところ、当委員会に御出席を賜りましてまことにありがとうございました。本日は、領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案に対する諸問題につきまして、それぞれ御専門の立場からの忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の当委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の順序について申し上げます。御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上お一人二十分程度とし、その順序は、寺嶋参考人、宮原参考人、石川参考人、最後に二見参考人といたします。参考人の方々の御意見の開陳が一応済みました後で、委員から質問がありましたらお答えを願いたいと存じます。
 それでは、寺嶋参考人からお願いをいたします。
#27
○参考人(寺嶋伊弉雄君) 先ほど御紹介をいただきました根室市長の寺嶋でございます。
 今回、参議院の農林水産委員会に参考人として出席を命ぜられたわけでございますが、まず最初に、日ソ漁業交渉に当たって総理を初めとする農林大臣あるいは外務大臣、さらにまた先生方が大変この問題について御腐心をされ、また御努力をされているについて心から敬意と感謝を表するものでございます。
 私どもソ連と国境を接しております根室市民といたしましては、この二百海里の問題をきわめて深刻な問題として受けとめておるわけでございます。かつてドルショックあるいはオイルショックという言葉がございましたけれども、私ども市民にいたしますというと、これは回復のない二百海里ショックだと、こういうふうに受けとめて、地域といたしましては深刻にこの問題を討議をし、また政府要路に対しても実情を訴えてまいったところでございますが、この機会にその実情を申し上げたいと存じます。
 実情を申し上げるに先立って、先般この委員会に参考人として出席を命ぜられた段階において、根室支庁管内の八つの漁業協同組合がございます。さらにまた、一市四町でございますので、そうした関係の市町村長並びに議会その他商工会議所を中心といたしますところの産業団体、こうした関係の方々からも十分意見を拝聴いたしまして、今回ここに私の意見を申し述べたい、かように考えているわけでございます。最初に、二百海里問題と北方四島の関係でございますが、これは根室市として当然申し上げなければならない立場にございますので、お聞き取りいただきたい。その他のことにつきましては知事さんから総体的にお話があったと存じますので、私は、北方四島と根室地方における漁業という立場で御意見を申し上げたいと存じます。
 北方四島は、御承知のとおり、戦後ソ連によって占有されて戦後三十二年間経過しているわけでございますが、政府の見解どおり、私ども根室地方の住民は四島は日本の固有の領土である、こういう考え方は政府の考え方と全く一致しているものでございまして、戦後三十二年間、忍従と苦難の三十年でございましたけれども、しかし、これは一地方の産業とか、あるいは経済という問題でこれを処置するものではない、こういうことから、地域の漁民はもとより関係の産業関係におきましても、もちろん大きな経済的な打撃を受けているわけでございますけれども、しかし、これは国家的な問題であるという見地に立って、国とともに返還運動を進めているわけでございます。それで、今回ソ連が二百海里の線引きをいたしましても、私どもは、それはあくまでも日本の固有の領土であるから、日本としてはやはり択捉島と得撫の中間でこれは二百海里の線引きをすべきであろう。したがって、ソ連と重なり合うわけでございますけれども、このことについては、そうしたお互いに領海二百海里を線引きした段階においてお互い交渉のテーブルに着くべきであろう。ソ連の一方的な二百海里線引きをこのまま容認するわけにはまいらない、こういうのが私ども根室地方の住民の一致した考え方でございます。一部にはこの問題について、それを固定するようなお考えの方もあるようでございますけれども、と申しますのは、共同管理方式あるいは入漁方式、こういうような方もいらっしゃるようでございますけれども、私ども地元の一貫した考え方は、あくまでも固有の領土であるからこれは話し合いで解決をすべき問題である。しかし、これは相手のあることでございますので、なかなか容易な問題でないということは容易に想像がつくわけでございますけれども、少なくとも国家百年の大計を誤らないためには、この際多少時間と苦労が伴っても根本的な解決を図るべきだ。しかし、先ほど申し上げましたとおり、これは大変時間と労力を要する問題でございますので、現段階ではそのことが不可能であるとするならば、少なくとも現状維持に凍結をすべきであろう、これが地元としての一貫した考え方でございます。ソ連の領有権を認めるものでもなし、またソ連の領海十二海里を認めるものではございませんけれども、現段階ではやむを得ずそれをたな上げをして現状で凍結をする。現在ソ連が二百海里の線引きをいたしておりますけれども、その十二海里を引いた後の百八十八海里については、従前同様に日本漁民が操業できる、こういう態勢に少なくともしていただきたい、こういう考え方が地元にあるわけです。一部共同管理方式あるいは入漁方式、こういうような意見もございますけれども、地元の漁民としてはこれについては全く反対である、このことをこの機会にはっきり申し上げておきたいと思います。
 本来、漁民は領土よりも魚をとらせろと、こういう意見の方が先になるべきであろうというふうにお考えでございましょうけれども、このことについては地元でいろいろ漁業関係者とも十分討議したわけでございますけれども、その基本的な考え方としては、いま安易な妥協をして千載に悔いを残すようなことをしてはならない。いわゆる領土を放棄して魚をとるということは、これは根本的に間違いである。たとえソ連が、いま日本が領土権を放棄をすればそのかわり全面的に魚をとらせると言っても、これは過去のサケ・マスの日ソ漁業交渉に見るごとく、二十一年前には二十数万トンというサケ・マスの割り当てだったものが、今日においてはわずかに六万二千トン、こういう実績からまいりましても、最初はそのようにいろいろな諸条件が整っておっても、五年あるいは十年後には領土も失い魚の操業もできない、こういう実態になることは火を見るよりも明らかである、これが根室地方の漁民の一貫した考え方であります。そういう意味において、現在操業ができなくても、たとえ一年や半年がまんをしても、じっくり時間をかけてこの問題を基本的に解決してほしい。このことは、私がこちらに出立に先立って漁業関係者から特にそういう要望のあったことをこの機会にお伝えし今後善処を願いたい、かように存ずるわけでございます。
 もちろん、このことは長年月がかかってよろしいということではなく、できることなれば短期間にこの問題が解決することが一番望ましいことでございますけれども、漁民にいたしますというと、やはり基本的な問題を解決をしなければ今後に悔いを残す、こういう考え方であることもひとつ御理解をいただきたいと存じます。もちろんそれが長期間になりますというと、やはり漁民も生活がございますので政府の手厚い援助をいただかなければならない、こういうこともあらかじめお含みおきをいただきたいと思うわけでございます。
 特に根室の場合は、御承知のとおり終戦の一カ月前に、人口四万五千でございますが、その八割が戦災によって焼失いたしました。さらにまた、生活の場である北方海域を失ってしまった、あるいは島を失った。それらの島にいた一万六千五百人の引き揚げ者のほとんどが根室市に引き揚げてきた。戦災で焼けた町の中でお互い苦労をして生活をしなければならなかった、こういう忍従の三十年でございました。今回また、こうした二百海里の問題は、根室地方の住民にとっては全く戦争の悲哀を再び感じている。全国の中で恐らく戦後の終わらないのは根室であろう。いわゆるいまにして敗戦の惨めさをしみじみと味わっている、これが根室地方の実態でございます。
 特に、こうした海域に操業する漁民は、御承知かもしれませんけれども、あの沿岸で操業しているのが約三千隻でございます。これも百トンあるいは二百トンという大きな船ではなく、三トンから五トン程度の船が約八割を占めている。御承知でもございましょうけれども、これはみずからが船主であり船長で、朝出かけていって夕方に帰ってくるという、いわゆる自営の漁業でございます。漁業のランクからまいりますというと、きわめて零細な漁業者である。まあこの二百海里の問題に関連して、北海道でも稚内あるいは釧路と、こうした大きな基地では報道関係でもにぎやかに取り上げておりますけれども、私の方はこうした零細な企業であるということによって、漁獲のトン数も少ないということで報道関係には余り登場いたしませんけれども、実際の中身からまいりますというと、釧路あるいは稚内というのは三百トンあるいは五百トンという大きな底びき船でございます。そのために漁獲するトン数も非常に多いわけでございます。うちの場合にはきわめてトン数も少ないと、こうしたことではございますけれども、実態としては個々の船が自営でやっていると。非常に諸条件の悪いいわゆる小企業でございます。漁業の中では全く零細な漁業でございます。そうした実態等もお考えをいただいて、この問題についても善処をいただきたいものだと。
 また、こうした操業の中で、御承知でございましょうけれども、昭和二十一年来いわゆる北方海域において拿捕された船が千百そう余り、人員にいたしまして八千人と、いまだに抑留されて帰れない漁船員が十二名もいると、こういう悲惨な海域で操業しているということもひとつお考えをいただいて、今後法案の審議等にも十分御配慮をいただきたいものと、かように考えるわけでございます。
 それから、この二百海里をこの海域に設定されますというと根室地方としてどれだけの被害があるかということでございますけれども、大体昨年の実績を見ますというと、これは根室市だけの実績でございますが、大体十六万四千トンの水揚げをいたしているわけでございます。これはウニとかホタテ、カニあるいはタラと、こうしたいわゆる雑魚に属するものでございます。そうしたもの七〇%が削減をされると、三〇%しか生産ができないという、こういう実態でございます。これに従事する漁業者が大体六千七百人でございます。こうした者がいわゆる二百海里の線引きによって職を失うという問題が出ております。御承知のとおり、ソ連の言うあの線引きでまいりますというと、根室地方の漁民は全く漁場を失ってしまって、生活に困り転業する方法がない。他の魚種に転換することができないわけです。ですから、ソ連の言う二百海里の線引きをされますというと、好むと好まざるとにかかわらず、生活をするといたしますならば他の業種に転換をせざるを得ない、こういう実態にあるわけでございます。そのほかに、水産加工並びにそれに関連するようなものでございますけれども、これは根室支庁管内合わせて二百六十二の事業者がございます。従業員の数にして六千名。これが線引きになりますというと、約五割こうした従業員の失業が出るということ。もちろん業者といたしましては、他から原魚を輸入しても加工業は続けてまいりますけれども、それにいたしましても、こうした従業員が五割程度失業をするであろうと、このように推測をいたしておるわけでございます。
 それから今回のソ連の漁場規制に伴って、金額的な面ではおよそ現在で十四億円の損失をこうむっている、これが実態でございます。
 それから水産加工業の関連でございますけれども、水産加工は現在は全面休業という実態でございます。一部には、冷蔵庫にストックした魚を細細としていわゆる従業員を確保するためにつなぎとして操業しているものもございますけれども、これはごく限られた工場でございまして、ほとんどの工場は休業していると、こういう実態でございます。これらに伴うところの緊急融資の希望等も取りまとめいたしましたけれども約三十一億円の資金を要すると、こういう実態でございます。
 それから、ソ連が二百海里を線引きいたしますというと、当然ここで操業上トラブル等も生じてくると、こういうことから、いわゆる海上の保安体制の確立をぜひ確立をしていただきたい、こういうこともこの機会にお願い申し上げる次第でございます。
 そういうようなことで、町の経済はただいま申し上げたようなことで大きな打撃を受けるわけでございます。したがって、私がお預かりしている市の財政にいたしましても、相当な影響を受ける。市の財政の場合、その年度に不漁であれば二カ年財政に響くと、こういうふうに言われているわけです。不漁の年については税金の納入率が非常に悪い。次の年になりますというと、前年の所得を基礎にして課税をされるということで、二カ年市の財政に影響を受ける。あるいはこれは農村地帯でも同じかもしれませんけれども、凶漁になりますというと、二カ年財政に影響を受ける。今回の場合は凶漁ではございませんけれども、現実に水揚げがないとするならば、やはり市の財政に二カ年影響を与えると、こういう状況でございます。それでなくても、オイルショック以来、地方自治体の財政というのはきわめて重大な危機に直面しているわけでございますが、今回またさらにこういう状況になりますというと、いろいろと地方財政にも大きな影響を来すと。このことについても、できる限り国の手厚い対策をお願いしたいものだと、かように考えているわけでございます。
 それから、こうした状況でございますが、特に私どもの場合はほかの海域と違いまして、現実にソ連が占有してしまう。従前はいわゆる北方海域の十二海里以外についてはいわゆる根室地方の漁民が自分の生活の場とし、いわゆるむしろ自分の庭先の漁場、どこに行けば何がとれるということはもう頭の中に入っている。極端に言うならば、目をつぶってもその場所に到達できると、本当の庭先漁業である。そうした、いわゆる農民で言うならば自分の耕作する畑を取り上げられるのと同様なのが根室の漁民でございます。そういうことの事情をひとつお含みいただきまして、今後万が一ソ連の線引きどおり決定した場合には、根室の漁民は全くこれはもう生活の手段を失う。こういうことでございますので、できるなれば産炭地振興法等に準じたようなお取り扱いを願いたいものだと、かように考えるものでございます。一部には、それであれば他に魚種を転換したらと、こういう御意見もございますけれども、根室の場合は狭い海域でございまして、旧マッカーサーラインというのがございまして、納沙布岬から千七百五十メートル行けば国境と、こういう実態でございまして、全くほかの魚種に転換するわけにはまいらないと、こういう地域であることもひとつ御理解をいただきたいと存じます。
 それから、簡単に申し上げますけれども、地域の要望といたしましては、水産日本でありながらこうした問題でいろいろ問題があると、こういう観点から漁業の専任の省を設けてほしい、したがって専任の大臣を設けてほしいと、こういう意見もございます。それから今日のような食糧危機に面して水産の位置づけを明確にしてほしいと、こういうこともございます。それからへ今回のような二百海里規制に伴って、従来の漁業制度そのものを根本的に見直すべきだと、こういう意見もございます。これらについてはすでに御検討はいただいているとは思いますけれども、たとえば定置漁業のようなものにつきましても、たとえば国がサケ・マスの増殖事業をやって特定の免許を持った漁業者だけがこれをとると、こうしたことも現在の漁業制度からまいりますと、漁民の意識からまいりましても必ずしも適当でないと、こういう意見等もございます。そうした意味において、これを機会に漁業制度の根本的な解決をお願いしたいと、かように考えます。
 次には、こうした状況でございますから、相当商社が原魚を輸入するというようなことはすでに行われているようでございますけれども、これはやはり、国の統制と言ったらちょっと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、秩序ある輸入をすべきである。これはある意味においても過当競争を防ぎ、あるいは生産者である漁民の立場を擁護するためにも、こうした秩序ある原魚の輸入を政府が統制をしてほしい、こういうことでございます。
 さらにまた、こうした沿岸資源が限られてまいりますというと、増養殖あるいは水産物の加工、こうした面についても、政府機関がそれぞれ施設を持って限られた資源を活用するように特別な御配慮をいただきたいと、かように考えているわけでございます。それから、従前もそうでございましたけれども、加工業に対して国の施策というものはきわめて手薄い。たとえば事業拡張のための資金にいたしましても、非常に融資の道が閉ざされている。こういう実態等もございますので、こうした面についても、今回これを機会に加工業の振興に対して特別な政府の対策を特にお願いしたいと、かようにお願い申し上げるわけです。
 以上、時間が参りましたのではしょって申し上げましたけれども、できることであれば、今後こうした実態等もつぶさに御視察をいただきたいと、かように思いますので、今後機会を見て現地を御視察をいただきたいと、かようにお願い申し上げまして、私の意見を申し述べさしていただいた次第でございます。よろしくお願いいたします。
#28
○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。
 次に、宮原参考人にお願いいたします。
#29
○参考人(宮原九一君) 御紹介をいただきました全漁連の副会長をしております宮原でございます。
 本日は、本院に参考人として意見の開陳の機会をいただきましたことを厚く御礼申し上げる次第でございますが、ただいま衆参両院で御審議をいただいております領海法案並びに漁業水域に関する暫定措置法案の御審議につきましては、私ども全国の漁業関係者の立場から、これらの二法案が一日も早く成立、発効を心から期待しておる、と申しますよりも、まさに一日千秋の思いで待っておるということを、まず第一に申し上げたいと存ずる次第でございます。
 この領海十二海里問題につきましては、私どもはもう十数年前からこの必要性を痛感をしておったわけでございまするし、最初に大きく提唱されたのは、水産界の大先輩でございます石原円吉翁でございますが、その当時は水産業界の中にも、残念ながら異論があったりいたしまして、じんぜん今日に至っておるというような状況にあるわけでございます。
 その後、御案内のように、最近急激に増加してまいりましたソ連の大型漁船による日本沿岸での不法操業といいますか、そのたびにおびただしい漁船、漁具の被害あるいは操業の制約といったような重大な漁業被害が出てまいったわけでございまして、それらの被害を受けた直接の北海道の漁業者、あるいは東北、関東にかけての漁業者が立ち上がりまして、早期十三海里宣言につきまして政府に要望いたしますとともに、われわれ全漁連といたしましても二度にわたる漁民大会を開催するとか、あるいはまた衆参両院の諸先生方の署名をお願いする。この結果、五十年の十二月には、衆議院の諸先生方四百八十一名に出さしていただいた中で四百五名、八四%という、それから参議院の諸先生方では二百五十二名中二百十八名、八七%といったように、領海十二海里法に対する御賛成の署名をいただいた。あるいはまた、各政党に対して質問状を全漁連会長の名においてお出しをするといったようなこととか、さらにまた、地方の県議会あるいは市町村会というようなところでの決議をお願いをして、それを政府並びに国会にお願いをするといった、可能な限りの運動を続けてまいったわけでございます。
 その結果、この十二海里問題につきましては、おおむねの御理解をいただいたというわけでございまするけれども、残念ながら事実は、海洋法の帰趨を見守ってからとか、あるいはまた各党それぞれのお考えの違いとかいったようなものもあって今日に至っておるようなわけでございまして、私どもとしては大変遺憾に感じておるわけでございまして、まあ言ってみますれば、まさに国難とも言うようなこういう現状を踏まえて、漁業者といたしましては、残念ながら政治に対する不信感をすら表明せざるを得なかったという一時期を持ったような次第でございます。
 その間、私どもは代表をよりすぐってソ連大使館に抗議要請に参りますと、日本が十二海里法を施行すればわれわれソ連漁船も絶対十二海里の中には入りませんというようなことで一蹴されたことも何度もございます。しかしながら、十二海里法がいま目の前に来たところで、今度はソ連は、モスクワの会議におきましても十二海里の中の実績を尊重せい、操業を認めよといったように無理難題を吹っかけてくる。こういうきわめてわれわれ常識で考えて頭をかしげるような国際感覚の中で無理強いをされる相手国と交渉をしていくということになりますと、いまや速やかに、しかも強力な政治決断というものがなされない限りにおいては問題の解決に至らないのではないか、このように考えておるわけでございます。
 で、ようやく出ましたこの法案の提案理由の説明の内容を拝見いたしますと、その中には「沿岸漁業の保護等を図る」ということで、明瞭に数年間にわたる私どもの訴えを取り上げていただいたという点については、まあその苦労が実ったのかなというようなわけでございますが、それでございますだけに、国際海峡の凍結に関する問題につきましては、この点については本当にやむを得ない措置である、むしろ窮すれば通ずるという道もあったのだなということを知らされたようなわけでございまして、こうなるのであるならば、なぜもっと早くこの道が探し求められなかったのかといったことで残念に思う次第でございます。したがいまして、われわれ漁業界といたしましては、国際海峡の一部凍結という問題につきましては、当面やむを得ないと了承するわけでございますけれども、しかしながら、正直申しまして、その海域に接する地域の漁業者の間には、果たしてこれでわれわれの漁業操業の安全が期し得られるのかどうかといった危惧もあったことは事実でございます。
 しかしながら、幸い並行して御審議をいただいております二百海里法案によりまして、特定海域における外国人の漁業等を禁止するという条項が設けられておりますので、現段階におきましては、私どもとしては政府のこのお考えを信じて、それらの海域における漁業操業、あるいは漁業者の保護ということに関しては、政府として十分な措置を講じていただくということを願わずにはいられないわけでございます。
 で、次に、十二海里の外二百海里の漁業水域におきましては、暫定法にありますように、わが国が管理権を行使して、一定条件のもとに外国漁船の入漁を認めるということになるわけでございますけれども、この場合に、その海域におけるいわゆる許容漁獲量といいますか、それに基づく他国に対する実績の割り当て、漁獲量の割り当てといったようなものをされる場合におきましては、そこにおける漁獲数量というものが、たちどころに十二海里内の沿岸漁業の漁獲に影響を及ぼす。沿岸漁業、十二海里内に魚類が回遊してくるということに対して強い影響を持ってくるという点につきまして、二百海里の漁場というものと沿岸漁場との関連の不可分さというものについて、特に深い御認識をいただきながら御配慮をお願いをいたしたいということでございます。
 また、これらの漁業水域におきます外国漁船との操業秩序が保たれない場合におきましては、それらによって出てくるところの被害の発生も憂慮されるわけでございまするけれども、これは二百海里法案によってこれらのルールが保障されたといたしましても、先ほど申しましたように、外国船が水揚げの対象とする魚はサバであり、イワシであり、スケトウであるというようなことを考えますと、どうしても沿岸における影響というものを考えずにはおられませんので、再度その点について申し上げる次第でございます。したがいまして、国の管理権の行使、あるいはなかんずく操業規制であるとか、あるいは不法行為の取り締まりというものに当たりましては、現在の日本の実力からしてどこまで信用していいのかという点、われわれとしては疑わしい次第でございます。したがいまして、そういった意味での体制をすみやかに整備をしていただきたい、このように思う次第でございます。
 次に、漁業被害の救済に関する問題でございまするけれども、御案内のように、現在日ソ間の取り決めによりまして、損害賠償請求処理委員会といったようなものでその詰めが急がれておりますけれども、残念ながら現在の場合は日本側がその被害の実態を実証しなければならない、挙証責任がわが方にあるということから非常に延びておることも事実でございます。そこで、二百海里法ができますと、これからのことについては監視もある程度十分いけるということで一つの規制が行われるであろうけれども、この際は二百海里法の制定を契機に、いままでの漁業被害につきましては、韓国の分も含めて一括して救済されるような措置を一刻も早く講じていただきたい、このように考えております。
 それからまた、次に日中、日韓の問題につきましても今後どのように推移してまいりますか、きわめて微妙な国際関係にありますだけに、特に西日本一帯の漁業者といたしましては、薄氷を踏む思いで成り行きを見守っておるというのが実情でございます。さらにまた、太平洋岸におきますいわゆる二百海里内に韓国漁船が大挙して来襲するといったようなことの憂慮もあるわけでございまして、そういう意味になりますと、これからいろいろと起こってくるであろう問題につきましては、その処理につきまして事前に十分な対応をいただいて、いやしくも後手後手に回らないという処置の御検討をこの機会に特にお願いを申し上げる次第でございます。このように、いまこそ日本の漁業界は挙げてこの難局を切り抜けねばならないときでございますだけに、外国船に刺激されたわが国の漁業者相互のトラブルの発生ということも皆無ではないのかという心配をするわけでございまして、この辺の事態に対応するために、国の適切な措置をお願いを申し上げたい、このように思います。
 それから、先ほども根室市長からも申されましたが、ソ連海域での出漁船の減船、休業といった問題は、すでに現実のものとなって論じられておるわけでございますが、漁業以外に生きる道のわからぬ漁業者の状況というものにつきましては、単なる融資とか補償とかという措置だけではなしに、新局面に活路を求められるような適切な救済措置につきましても、この機会に特にお願いを申し上げます。
 以上、るる申し述べたわけでございまするけれども、現在当面いたしております漁業者の苦しみというものは、領海法とか二百海里法が制定されることによってすべて解消される、解決されるというものでもございません。しかしながら、この両法案が速やかに発動されて、それと並行して自後の適切な措置がとられない限り漁業者は浮かび上がってくるわけにはいかないということも真実でございまするので、法律施行は三カ月を超えない範囲でというように附則に書かれておりまするけれども、速やかに国内外の手続を完了されて一日も早く施行をされるように、私ども漁業者としては心からお願いを申し上げる次第でございます。
 最後に、この両法案が制定されることによって、日本として外国に対する体制という構えができるわけでございまするけれども、漁業の食糧産業としての将来ということ、それから担うべき役割りということを考えます場合に、引き続いて沿岸漁場の整備開発といったようなものを含めた諸般の施策が並行的急速に実行されねば、決してこの両法案が有終の美を飾るというものにはならないのではないか、このように考えられますので、将来起こるであろう水産物の輸入問題等も含めて一層御配慮をいただきますように、心から御要望申し上げまして、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#30
○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。
 次に、石川参考人にお願いいたします。
#31
○参考人(石川勇作君) 私は、ただいま御指名を受けました北海道釧路市の沿岸漁業従事者代表の石川勇作でございます。本日は、領海法案の御審議に関しまして、沿岸漁民の一人としていま感じておりますことを申し上げる機会をお与えいただきましたことは、まことに光栄に存ずる次第でございます。最初にお断りしておきますが、私は十七歳から沿岸漁業一筋に生きてまいりました無学な者でありますから、あるいは失礼なことを申し上げるかもしれませんが、何とぞお許しのほどお願いいたします。
 先生方にはすでに御承知のとおり、私たちの住む釧路市は、昭和四十四年以来水揚げ連続一番を保っている大漁業基地であります。年間八十万トンから九十万トンの魚を扱う漁港区であります。そして、その魚を余さず処理する加工施設などは、他の都市に見られない機能を持っていると私は思っております。しかし、いまや二百海里時代を迎えて、釧路にもその余波が急速に押し寄せてきたわけでございます。その表情を最初に申し上げたいと思います。
 ソ連の二百海里の設定により三月三十一日をもって北洋漁業は操業を全面的に打ち切り、全船が撤退をいたしました。そのため、漁業基地釧路ではいま深刻な問題が起きております。現在、港には約七十そうの遠洋底びきと沖合い底びきが、日ソ漁業交渉の成り行きを見ながら出漁できないかできるか待っているのであります。例年ですと、これらの船によって連日数千トンの魚が市場に水揚げがされるわけでありますが、いまはわれわれ沿岸漁業による魚が少々水揚げされているだけであります。休漁中の漁業乗組員は陸上待機を余儀なくされ、操業した場合にしか出ない歩合手当が支給されないため、最低保障の固定給だけで生活をしなければならない苦しい状態に陥り、漁業経営者も水揚げによる収入が全く絶たれ、大変苦しい状態にあると聞いております。これに関連して、水産加工業も四月中旬から全く原料魚がなくなり、市内にある百六十工場の大半は休業あるいは操業短縮の状態で、特に六千数百人を数える従業員のうち解雇された者が一千八百人に及ぶと言われております。これからの情勢によってはまだまだふえるのではないかと思われます。
 また、水産に関連する企業も非常に深刻なものがあるように思われます。特に魚が市場に揚がらなくなってから、魚専門のトラック業者は車を他に転業することもできず、約三百四十台が眠ったままであります。このままだと、運転手の解雇問題も近いうちに出るだろうと言われております。さらに、関連企業としては魚箱の製作工場、造船場、鉄工場、船具、漁網、内燃機、電機や塗装などと幅広い範囲にわたって影響が出始めております。釧路市役所では、もし外国の二百海里水域内で全く魚がとれなくなった場合の最悪の条件で市の経済に及ぼす影響を計算されましたそうでございますが、その結果では、市内の総生産額五千五百億円に対して一千五百五十億円の影響を受け、働いている方々は九万人に対して約二万人が失業し、人口二十万人に対して約五万人が流出するというきわめてショッキングな計算をしたと私は聞いておりますが、万が一現在のような事態が長期化すれば、この計算に近い影響が出てくるのではないかと心配するものであります。領海問題及び二百海里問題を考える場合に、以上のような水産都市の実情を御理解していただくことが必要と思い、あえて申し上げた次第でございます。
 さて、私たちの沿岸漁業は、大漁業基地の全体水揚げに比較しますと微々たるものでありますが、経営体は約百九十経営体で、年間の水揚げは約二万トン、金額では四十五億円程度でありますが、釧路の海域は、御承知のように、南下してくる親潮寒流と北上してくる黒潮暖流との交わるところであります。時期的に春はサケ・マス、夏から秋にかけてサバ、イワシ、イカ、サンマ、カジキマグロと回遊魚がやってくるわけでございまして、その好漁場となっているわけであります。また、タラ、カレイ、メヌケ、シシャモ、毛ガニなどの底魚も豊富であります。沿岸、沖合い漁業も盛んに行われております。特に、大陸だな周辺海域は資源の密度も高く、重要な漁場となっております。地元では、昭和三十年以来、漁業協同組合を中心に魚類資源の繁殖のため並み型魚礁や大型魚礁の設置に協力をしてまいりました。また、サケ・マス、シシャモなどについては人工ふ化事業を年々拡大をし、資源の再生産を官民一体となって協力しております。近年はさらに道、市の補助事業として、ホッキガイまたホタテガイの稚貝放流にも力を入れております。私たちは、先祖や先輩が血と汗で開発したこの大切な沿岸漁場の魚を減らしてはならないと、孫子の代まで資源を大切に保護しようと懸命になっておるわけでございます。操業の面でも、資源の生産率の低い毛ガニ、シシャモなどについては、自主的に計画生産をしておるわけでございます。また、大陸だな周辺の漁場は、沖合い底びき漁業と私たち沿岸漁業とが競合する場所でありますので、底びきの禁止ラインを設定いたして操業協定を結び、円満な操業と資源の保全を図っているのであります。
 このような状態の中で、私たちの沿岸漁業は最近まで平穏な操業を営んでまいりましたが、予測もしない事態が発生したのであります。それは、ソ連、韓国などの大型外国漁船の沿岸漁場への出現であります。私たちの漁法は主として底の刺し網、底はえなわ、けたびき網などであり、刺し網とはえなわの場合は、午後漁具を海上に設置をし港に一時帰るわけであります。翌朝漁具を上げる形をとっておりますが、昭和四十三年ころの外国漁船は船型も百トン前後で、とる魚はサンマ、サバなどの浮き魚であったため余りトラブルはなかったわけですが、四十九年以降からあらわれた外国船は船型も二千から四千トンと大変大きな船になり、私たちの五トンから十トンの沿岸漁船から見ると商船のような大きさになっておるわけであります。そして、漁法もスターントロール方式で完全な底びき漁業であります。このような大きな船が領海ぎりぎりの沿岸まで入り込み、時間に制限なく操業しているわけです。私たちはこれを見て、ただただ悩んでおるわけです。
 私たちが朝漁場に到着するころ、彼らは距岸十海里ぐらいまで移動しております。そして、私たちが昨日入れた漁具は全く姿がないわけであります。たまに標識を見つけて漁具を揚げてみますと、ずたずたに破られた網や切られたロープだけが残っているわけでございます。修理をしても使える状態ではないのです。予備の漁具を使いますが、これも二、三日してまたやられてしまうわけでございます。私たちの親方は零細漁民ですから、そんなによけいな予備の漁具を持っているわけはありません。そして、組合もこれに対しては積極的な融資はしてくれませんから、あるところでは全く休漁をしているようなわけでございます。しかし、漁民にとっては死活問題であります。このような被害について道東の太平洋海域だけについて見ますと、昭和四十九年百六十五件、七千八百六十万円、昭和五十年には二百六十一件、八千三百四十三万円、昭和五十一年には二百四十八件、八千八百五十二万円となっておりまして、年々ふえているわけでございます。また、被害は漁具だけではありません。昨年、沿岸のけたびき網船が操業中に外国トロールのロープと交わりまして、十トンの船が三千トンの船に数十分も引きずられるという事故があり、みずからロープを切断して逃げたわけでありますが、もしこのような判断、措置がおくれた場合には漁船は沈没または転覆、死者を出すような大事故になったかもしれません。
 私たちは、このような状態を放置しておくことは漁場を失うことであり、漁民を殺すことであると考え、早くから国に対して、相手国に対して補償並びに操業に関しての話し合いと、わが国の領海幅拡大を早く実施するよう訴えてきたわけでございます。昭和五十年十月に日ソ漁業操業協定が結ばれ、ソ連との関係については一応漁具被害等の損害賠償の道が開かれましたが、私たちは定められた標識を購入し操業しているにもかかわらず、その後も事故は続発しております。そうして、これだけたくさん起きた事故の賠償が、まだ一件も解決されていないとはどういうことなのでしょうか。
 さらに、最近の問題を申し上げます。米国、ソ連の漁業専管水域設定により、締め出された韓国の大型漁船団が四月に入ってから道東沖にあらわれ、このため地元の沖合い底びき船ば全船操業を打ち切り帰港いたし、現在も休漁を続けております。百トンもある底びき船でさえ危険を感ずる状態でありますから、まして私たちの船が出漁するわけにはいきません。このようにして、日本の沿岸の一部が外国漁船のために失われようとしていることを放置してよいものでしょうか。
 以上、申し上げましたように、沿岸の資源と漁業を守るためには、一日も早く領海十二海里の設定をしてもらわなければなりません。これは、私たち零細または中小漁業者の願いなのであります。しかし、沿岸における外国漁船とのトラブルは、領海十二海里を設定しただけで全面的な解決はできません。つまり、十二海里の外側でも漁具被害などが多数起きておるわけでございます。したがって、領海拡張とあわせて二百海里の漁業専管水域設定も急ぐ必要があります。そうして外国漁船の入漁許可に当たっては、事故の防止措置を明確に条件としていただきたいと思います。したがいまして、この両法案をワンセットとして早く成立されますよう、心からお願いする次第でございます。
 最後に、私たちの最大関心事である日ソ漁業交渉が中断しておりますことは、まことに遺憾であると思います。釧路の漁業はサケ・マス漁業を初め沖合い底びき漁業など、四島周辺でのとる魚も決して小さいものではありません。特に、サケ・マス漁業は、年間の漁業経営の中心であります。本年はサケ・マス漁船の二〇から三〇%の減船という方針を水産庁が打ち出したようですが、もしサケ・マス漁業ができなくなった場合、これにかわる漁業もなく、すでに出漁準備を終えた漁船は一体どうすればよいのでしょうか。私たちは陸に上がっては食ってはいけないのであります。また、私たちには失業手当も退職金もないわけであります。どうか四島周辺漁場での安全操業と、漁獲実績の確保を念願する次第であります。
 いまや二百海里時代を迎えて、わが国の沿岸漁業の重要性も見直されつつあります。外国の水域で減った漁獲量は可能な限り沿岸で補わなければなりません。このためには、沿岸漁場の開発整備を一層積極的に進めていかなければならないと考えております。また最近、わが国の漁業の将来を先取りし、商社が魚の輸入に走っていると聞いておりますが、私たちは今後も国民のたん白食料確保のため、全力を挙げて努力する所存でおりますので、みだりに魚を輸入に頼らないように、私たちの沿岸漁業のことも特に御理解をしていただき、御配慮をお願いするものであります。また、外国の二百海里を締め出された大型漁船のuターンによって、平和な沿岸漁業に混乱を起こさないような漁業調整もお願いする次第であります。
 私は、冒頭に申し上げましたように、昨日までサケ・マス漁業出漁のためその準備に追われていた漁民の一人であります。沿岸漁業を永久に守るために、人前でしゃべったことのないことを忘れ、恥を忍んで先生方に私の考えていることを申し上げた次第でございます。非常にまとまりのないことを申し上げましたが、沿岸漁民の立場を十分に御賢察いただきまして、領海法案並びに漁業水域の設定に関する暫定措置法案の早期成立をお願いするとともに、もし日ソ漁業交渉の結果、不幸にして休漁あるいは減船などが出た場合、国において完全な補償措置及び離職者に対する救済対策などをとられるようお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
#32
○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。
 次に、二見参考人にお願いいたします。
#33
○参考人(二見俊男君) 海員組合の二見でございます。漁業労働者の立場を代表いたしまして御意見を申し上げたいと思います。
 まず第一点は、三月一日からいままで政府の指導によりまして、それぞれ北海道、東北の主要の基地で待機をしておるわけでございますが、これらのメンバーは日増しに日ソ漁業交渉がむずかしい状態があらわれるたびごとに、自分たちの先行き不安、生活不安ということに非常にあせってまいっております。きょうも現実、根室、釧路で中部鮭鱒のショッキングな報道がありまして、直ちに全船の組合員、船主を集めて集会を持って、今後どうするかという協議をやっておるような次第でございます。さらにまた昨日は、北海道、東北の北転沖底サケ・マス並びに母船の乗組員が上京してまいりまして、外務大臣、農林大臣にそれぞれ要望を出しておるわけです。本日は運輸大臣、厚生大臣にもいわば合法的なあり方ではございませんけれども、どうしても現場の代表が直接大臣に会って自分たちのやはり苦衷を述べたいということで上京して、この二十八日までおるわけでございますけれども、だんだんせっぱ詰まってまいりますと、われわれが仮に冷静に行動せよと言っも行動しがたい情勢が生まれてまいります。
 一昨日、私のところに函館から電話が来たわけでございますが、サケ・マス母船の四母船が削減によって、その母船に乗っていくことによって大枠北洋で三カ月働いて、そして得た収入を延ばし延ばししながら八カ月程度で一年間の生活を担保していこうと、こういう従業員が数多くおるわけです。従業員と言っても皆さんはおわかりにならぬとは思いますが、母船そのものは工場でございますから、かん詰めをつくるためにかん詰めの工員だと考えていただければいいわけで、いわば出かせぎの労働者でございます。こういった人々は失業保険はございません。船員保険法の関係で、われわれがずいぶんと運動は二十年来展開しておりますけれども、現行法の阻害によって失業保険の給付がされない。したがって、せめてもの自分たちが働く場所で、一年間のうち約三分の二はそれによって生計を支えている唯一の綱である母船が出れないということになれば私たちどうなるんでしょうかと、自分の息子もようやくことし高校に上がったばかりで、お父さんも無理をしてローンで借金してうちをつくったけれどもこれを返す目安さえもないと、あるいはまた親類に病人の奥さんがおったりいたしますけれども、そういう生計の不安というものが随所にあらわれてまいるわけでございます。
 東京におりますと、そういう現実というものはなかなかつかみがたいわけでございますけれども、そういった漁船の労働者というものが漁場を失った場合には、自分たちは食うところがないという非常な悲壮感に置かれておるわけでございます。これは単に従業員のみだけではございません。北洋転換船が今日存在したゆえんのものは、昭和三十二年に沖合い底びきが北海道周辺、東北周辺でかなり勢力が、漁獲努力が多くなりまして、沿岸との競合が出てまいりました。その結果、沿岸の漁場を守らなければならぬということで、おまえたちは沖へ出ていけということでやられまして、しかも、その当時は沿岸の方が何と申しましても、先生方いらっしゃいますが、選挙がらみのたびごとに悪魔のごとき存在が沖底だと言わぬばかりに私どもは締め上げられて、そして生きる場所を沿岸から離れた沖合いに向かって、そうして外国の距岸二百海里水域でわれわれは魚をとって今日の漁業を形成をしてきたわけです。そこにはいろいろな見方やいろいろな批判の仕方がありましょうけれども、働いておる漁船船員は一切罪はないわけでございます。ただひたすらに魚をとって、夜も寝ないで、そして自分の肉体の限り働いて妻子を養ってきたというのが北転の歴史であり、沖底の歴史であります。
 そういう見地から、われわれといたしましても何としても日本人船員によって、そして日本の船で日本人の食べる魚はわれわれ自身が供給する義務があるではないかという考えのもとでそれぞれ運動も進めてまいりましたし、現場指導もしてきたわけですが、今日の段階、歴史の転換点に差しかかりまして、悲しいかなソ連の二百海里締め出しによって、北転船では百八十二隻、それから沖合い底びきにおきましては二百五十八隻、これが現在休漁をしておるわけです。これを合わせますと乗組員が大体九千七百四十四名程度、一万名近いわけですが、このほかにサケ・マスが大体二千五百隻ありまして、これが従事者が二万五千五百人、こういう労働者がこの船で働いておるわけで、このほかには北洋に依存しておる業種は大体十六業種ありますが、五千二百八隻、乗組合の数にいたしまして七万四千人がございます。これはあくまでも北方四島周辺を除いた数でございますから、北方四島周辺を含むならば、そこに依存する隻数を入れますというと優に一万十五隻で、漁業従事者は十一万四千人に及ぶわけでございます。
 こういった十一万に上る従事者のパンをどこでわれわれは見つけていけばよいのか。なるほど、外交上ソ連とやはり漁業交渉の結果妥協は当然あり得るわけでございますし、そのことによる漁獲量の多寡によって減船もある場合によってはやむを得ないとわれわれは考えますが、現在の段階におきましても、従来の経緯を見ましても、すべて政府の施策は後手後手、後手後手に回ってまいりました。かつて昭和四十七年の日魯漁業の信濃丸減船のときでさえも、乗組員に対しては政府は何ら責任をとろうといたしませんでしたし、わずかに昭和四十九年、五十年の段階の抱卵ニシンから索餌ニシンに転換した際に、休業資金として、見舞い金として七十日分を船主と乗組員に、もちろん乗組員は給料分でございますが、その程度休業補償があったという程度で、その前はずっと日ソ漁業関係では減船減船になってきましたが、一文も政府の筋において乗組員がめんどうを見られたというためしはございません。
 今日段階で、私どもはそういった補償をとやかく言うわけではございません。少なくとも日ソの交渉は漁業交渉でございます。したがって、漁獲量を決め、そして二百海里内の操業というものをどうやはり秩序立って決めていくかということが基本的な目的であるわけでございますけれども、残念ながらいわゆる二百海里基線の引き方、北方四島を含むところのソ連の自国領とする線引きの問題でとんざしてまいってきたわけでございますが、これは非常に私はむずかしい問題ではないかと考えておるわけです。新聞紙上でも領土か魚かと、こう言われておりますけれども、いずれもやっぱりわれわれは確保しなければなりませんし、領土においても固有の問題でございますが、もしこの領土問題がかつての日ソ平和条約の問題で論争したように、一年も二年も決着がつかないということに相なるならば、一体漁業はどういうことになるのかと。
 なら、漁業については政府がすべて補償したらいいじゃないかと、こういう理由もあるだろうと思うけれども、単に漁業労働者は補償をもらえばそれでいいというわけではございません。少なくとも海で働きたいというのが願望でございますから、それをどうしても曲げるわけにはいかぬ。また、政府が言っているように、職業転換であるとかいろいろおっしゃっておりますけれども、陸上は〇・七の求人倍率、海上は〇・二の求人倍率、どこにこれだけの、仮に十一万の従事者のうち漁獲量が五割削減されるならば五万五千人という者が町からあふれるわけで、それを収容するに足る準備と体制は現在何もないわけでございます。そういった意味で、これは日ソの関係で、われわれが働く労働側としてどうしたらいいのかというのが、日夜われわれの念頭を離れないわけでございます。
 それからもう一つは、現実先ほど石川参考人も申しておりましたが、北海道周辺は御承知のように底びき禁止区域が引かれまして、沿岸と沖合いの操業秩序というものは保たれております。しかし、禁止ラインの外側に試験操業として板びき操業、いわゆるオッタートロールを使ってよいという政府の試験操業容認がございまして、そこがソ連の二百海里から締め出された沖合い底びきが基地に帰ってきて、かろうじて細々ながらも操業できる水域でありますけれども、過般の韓国の四千トン、大体三十杯のトロール船団があのかいわいに乱入いたしまして昼夜兼行でひっかき回して、いまは魚は一匹もおりません。そういうところへ出ても油代にもならぬような状況でございますから、船主も出てくれと、あるいはまた加工業者も物がないから一匹でも二匹でもとってきてくれやということで言われても、これはみすみすむだな操業になるわけで、これはまだ静かに待機せざるを得ないというのが乗組員の心情であるわけです。
 さらに、水産庁はアメリカ、べーリングのトロール、北転に対する枠があると、大体一隻当たり四百トン程度あるわけですが、これは年間四百トンでございまして、一航海四百トンじゃないわけでございまして、一隻当たり四百トン。こうなりますと、まず五月一日以降出たらどうかということを言われておりますが、北洋転換船の百八十人、二隻が仮に出ても、べーリングかいわいはアリューシャン列島沿いで操業するということに相なります。千二百メーターから千三百メーターの深さですから、いまのスケトウは大体魚体も小さい、夏場に向かっていくから全然もう卵は持っていない。そういうところへ一遍に殺到いたしますと、細い狭い漁場で日本漁船同士の操業安全の面もさることながら、アメリカのコースケガードが、ソ連から締め出された日本のトロール船ないしは北転船がこのかいわいに集中するであろうということは予想にかたくないわけです。そうしますと、たちまちにしてわずかなことであっても厳戒体制の中で操業違反ということに問われるならば、これは罰金だけでは済みません。来年の日米漁業交渉の漁獲割り当ての上に取り返しのつかない汚点を残すような危機もあるわけでございますから、少なくとも日ソ漁業協定ができた上でそういうべ−リングかいわいに出漁するというのであるならば、これは国際間の関係においてうまくいくでありましょうが、いまの段階においてそういうことを行政指導をするというようなことはまずいのではないか。もちろん、船を遊ばせておくというのが能ではございませんから、沿岸と話し合いがつき、あるいはまた向こうのサイドと十分に事前の了解がついておるならばそれは操業をしてもよいわけでございますけれども、何らそういう外交的な事前の了解の手だてもないままにいきなり殺到をするというようなことは避けるべきだというふうに、私は漁業労働者の立場で意見として申し上げておきたいと思います。
 それから、サケ・マスの問題は申し上げましたが、現在の政府試案というものが母船は四割ですよと、北洋独航船は大体二六%ですよと、中部は大体一九・八%であると、これはもちろん漁獲量の削減の五十一年度の実績との対比においてバランス、減った量を掛けてその掛けた分を減船にしたわけでございますけれども、本来的には母船式サケ・マス漁業においては母独一体となって従来操業してきた、こういう歴史の経緯から見ても、母独を別々に扱うということは不公平ではないかということで、公平の原則に立って少なくとも四母船削減というのはきつい。そこを修正をすべきだ。その理由は、裏に雇用問題に関するところの具体的な措置がないからでございます。これは単に資本漁業であるからそんなものはもうかっているんだからやめたっていいじゃないかというように単純にお考えになるお方もありましょうが、決してそうではないわけで、サケ・マス部門あるいはまたがっての捕鯨の部門におきましても縮少縮少になってきましてその部分では減ってきておるわけで、そういう意味でサケ・マスだけで支えられておる会社もあるわけで、そういった点、雇用問題の裏を考えますならば、当然公平の原則の上に立って措置をされなければならないと思うわけでございます。
 それから、まず今後どういうぐあいに日ソ間の話し合いが決まるかわかりませんけれども、みんながやっぱり先行き不安のことがありまして、最近補償の問題がいろいろとやかく言われておりますが、私どもの考え方をもってするなれば、現在の漁業法体系の上では、大臣許可の漁業に関し許可を取り消すような場合には、その結果損害を与えたとするならば、社会通念上通常の損害とみなされるものについては政府はそれを補償しなければならないという条項があるわけでございます。したがって、ただ単に融資であるというようなことだけでは問題の処理は済みません。したがって、そういった漁業法体系の上に立って政府が補償をする。補償の方法はいろいろあると思いますが、査定の方法もいろいろあると思いますが、その中にはどうしても水産資源保護法第十二条でうたっておる漁業従事者の賃金についても当然補償をされなければならないわけでございまして、その辺のところがどうも政府の言い分から見ますとあいまいな点がないわけではございません。
 さらに、私どもはもっと抜本的に考えるならば、今後の日本の漁業の体制というものを新しく立て直していくためには相当の予算、国費を導入しなければどうにもならぬわけでございます。今日、沿岸振興は盛んに言われておりますけれども、魚礁を幾らほうり込んでみても、ビニールがあれば、あるいはまた油の問題やそういった沿岸自身が汚染されたままの状態の中で、いかにそういうものをほうり込んでみても魚が居つくわけがない。その前にまず海をきれいにする公害防除大作戦というものを考えて、もし許されるならば、仮に日ソ交渉の結果減船というものが出るとするならば、そういう減船の出た遊休漁船というものを使って海底をきれいにまず掃除をする、その上で新しい発想の上に立って魚が居つくような施策を講じていかなければならないと考えるわけです。
 さらに、二百海里の資源の問題でもこれは的確につかんでおるわけではございませんし、そういう資源の調査というものを明確にやって、外国沿岸から締め出されたUターン現象の沖合い底びきなり北転船なりをどこに活用していくかということもあわせ今後考えていただきたいと思います。もちろん使えるところにつきましては、未利用資源の開発にも使えるでしょう。あるいはまた深海漁業の開発にも使えるでございましょうけれども、そういう沿岸と近海の一体的な漁業体制というものを今後考えていかなければならぬのではないかというふうに、私どもは感じておるわけでございます。その意味においても、財源がない、どこから財源を持ってくるか、もし北方の漁業で百七十万トンソ連の二百海里の中で水揚げしておって年間三千億上げておるが、それに見合う資金をどこから持ってくるかと言えば、いろいろありますけれども、場合によっては漁業債券を発行するなり何らかの方法をやって、とにかく漁業の再建整備をするという財源は別途の方法で考えてもいいのではないか。かつては、昭和二十五年に以西の減船のときには、政府が、当時はマッカーサー司令部がおりまして強権でもってやったわけでございますけれども、許可を全部買い上げて乗組員の生活も保障したわけでございますから、そういう歴史の事実もあるわけでございます。今日の曲がり角におきまして、何と言ってもわれわればこの雇用労働と二百海里という問題の点において、さらにまた、日本漁業の新しい食糧供給あるいは食糧産業としての漁業の位置づけにおいて、それらを十分諸先生方にお考え願って日ソ交渉に対応していただきたいと考えます。
 したがって、最後に領海の十二海里の問題、さらに漁業水域に関する暫定措置法案に関して、法律論的にはいろいろ中身は問題ありましょうが、とにかく当面、ソ連とも対等の立場に立って勇気あるやはり交渉ができるという意味合いにおいて、この法案を一日も早く参議院を通過させていただきたいということをお願い申し上げまして、意見を開陳申し上げます。時間を過ぎて申しわけございませんでした。
#34
○委員長(橘直治君) どうもありがとうございました。
 それでは参考人の方々に対し質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#35
○対馬孝且君 どうも参考人の皆さん、御苦労さんでございました。貴重な御意見を賜りましてありがとうございました。
 簡潔にお答えをお願いをすることにしまして、寺嶋根室市長さんにちょっとお伺いしますが、先ほど北方四島の取り扱いの問題に関しまして公述がございましたが、それなりに現地の実態はよくわかるんでありますが、いま石川参考人、二見参考人からも、ともあれひとつ海で働くという漁業労働者の生きがいというものを何とかしてもらいたいという切実な訴えがございました。そこで、いま市長さんからの冒頭のあれでは、むしろ固有の領土を守ってきちっとしてもらいたいという、これは何人を問わず否定をしないのでありますが、むしろ政府側として、これは私も予算委員会で福田総理にはっきり言明をしていただいているんでありますが、あくまでもやっぱり魚と領土は切り離す、当面何と言っても魚を解決する以外にないんだ、いま領土という問題を持ち出すことは絶対に政府側としては避けるべきである、それはもう一貫した方針でございますということを言っておるわけであります。いま現地の感じは、むしろ領土のこともきちっとしてもらいたいということなんですが、私はいまの段階で、先ほども知事さんにも見解を聞いておりますが、結論的にはやっぱり魚と領土を切り離して解決をせざるを得ないだろう。そうしますと、やっぱり一部の方というのは、あなたの御意見がございましたが、双方互恵平等の原則に立つとするならば、やはり当面共同の管理方式ということは考えざるを得ないんじゃないか。そうしなければ、現実の魚の問題というのは解決つかぬだろう。これとても、これはソ連側が簡単にオーダーを出しているのではない。しかし、そこにやっぱり接点というものを求めなければ今日の問題の解決がないんですから、むしろ私は、いまお二方の漁民労働者の訴えを聞きますと、そこらあたりにやっぱりいま悲願を込めての領海十二海里であり、二百海里早期成立ということをわれわれに訴えられているんだろうと、こう私は思うわけです。この点、ちょっと市長さんのお考えが、一部の方の共同管理というようなことがありましたが、むしろわれわれが聞いている限りでは、漁民の方々はこれでひとつせめてやってくれということを私らに陳情に来ているわけです。その点について率直にひとつ考え方を聞かしていただきたい、それが一つであります。
 それから、石川参考人にちょっとお伺いしたいんでありますが、非常に生々しい体験をお聞かせ願ったわけでありますが、全く今日の置かれておる段階、実態ですね、これは実際に働いておるあなたとして今日の漁業が行き詰まった、こうなっているというこの実態をどう受けとめているかという、一言で言って何が一体問題なのか、何がこうなったのかという、一口に言って率直な感想をひとつお聞かせ願いたい。それが一点であります。
 それから、次の問題はUターンの問題がございました。何とか被害対策をしてもらいたいということなんでありますが、これも率直に申しまして、具体的にUターンとしてそういうトラブルが生ずる、これは現実に一部に起きているわけです。そうしますと、この問題についてどういう一つは基準をつくってやるんだというようなことを言ってますが、実際には基準というのは守られるのかどうか。やっぱり大型船が、力あるものが来てしまえば、実際上いま外国船が来たと同じに、泣き寝入りせざるを得ないという実態だと訴えられているわけです。この点についてもしお考えがあったらお聞かせを願いたい。
 それから第三点目としましては、先ほど失業手当もその他も全然受けておらないという実態を訴えられました。具体的にこれからそういうものに対して、皆さん方の生活を保障するための考え方として、雇用保険法なりどういう体系が望ましいと考えていられるのか。これは二見参考人にもあわせましてひとつお聞かせ願えれば幸いであると、こう思っている次第であります。
#36
○参考人(寺嶋伊弉雄君) ただいまのお尋ねでございますけれども、これは私どもといたしましても魚と領土を切り離して交渉が成立すれば一番いいわけでございますけれども、いままでの日ソ間の漁業交渉の推移を見てまいりますというと、私どもよりもソ連が領土問題に絡めてきているという印象を受けております。ですから、私は、政府が考えているとおり、魚と領土は別だということについては基本的に賛意も表しております。そういうふうにできることが望ましいと考えております。しかし現実には、交渉の経過からまいりまして、ただいま申し上げたとおり、むしろソ連側から、この際領土問題を一気に解決したいという兆しがあるというふうに私は考えております。もちろん私だけでなく、私どもの地方の住民も漁民もそのように考えております。
 で、問題は、先ほどの参考人から、海で働く者は魚をとることに生涯をかけている、このことは心情としては理解できるわけです。しかし、それは現実の問題であって、それ以前にやはり領土の問題というのは国民的な課題の問題である。そういう観点からいけば、このことについてはやはり耐え忍ぶところは忍ばなければならないのではないだろうか、私はそのように考えております。特に、この領土と直接関係のない方は、こう言っては大変申しわけございませんけれども、私どもの根室地方の住民ほどこの問題には深いかかわりはないと、こういうことから、どうしても飛躍したといいますか、現実的な考え方に立つということは考えられる。根室の人間だけが領土の問題を考えているんだという口幅ったいことを申し上げる考えはございませんけれども、やっぱり三十二年間というものは、いわゆるいろんな苦難をしてきて、しかもこの領土の灯を消さないで来たのは、口幅ったいようでございますけれども、まず根室の住民でないだろうか、こういうふうに判断します。
 そういう観点から言っても、今回は安易な妥結によって、将来領土の返還を求める領土権を失うことはマイナスだと、だから魚と領土を引きかえにするということについては政府としても厳に慎んでほしいということで、先ほどお話ございました、相互互恵の平等というふうなお話もございましたけれども、それは時と場合によっては当然そういうことは考えられるのでございますけれども、もともと日本の固有の領土であるものについて、私どもは、根室地方の住民は、ソ連が不法占領している、言葉は過ぎるかもしれませんが、気持ちの上ではそういう考え方を持っております。ですから、この場合には互恵という考え方は生じてこない。したがって、先ほども申し上げました共同管理方式というのは、いわゆるソ連に潜在の主権があるという前提に立った共同管理方式であれば、これは全然問題にならないというのが根室地方の考え方です。あくまでも日本の固有の領土であって、ソ連はこれは過って占領しているんだ。もっと過ぎた言葉で言いますと、不法に占領しているんだ。だから、これはもう原点に返って、日本に領土権があるんだと、したがって、共同管理方式というものは認めるわけにいかない、少なくとも現状凍結、ソ連の領土権あるいは領海権を認めるものではないけれども、現状で凍結をすべきだ、こういう一貫した考え方を持っております。
#37
○参考人(石川勇作君) Uターンの問題ですけれども、私たちはいまサケ・マスも短縮されると、中型船ですね、このような船たち、またミシン網がいま取りやめになっているんですけれども、この船たちはこの後われわれ太平洋の海に来まして、イカとか、またマグロ、カジキ、そのような操業をするんじゃないかと思われるわけでございます。現在でもこの海区は船で船でもうごちゃごちゃになっているわけです。もしこのようなことが起きましてUターンするということになったら、これは大変なことだと思います。
 失業保険とか、この問題でございますが、われわれは春、四月に準備にかかって、五月、六月からサケ・マスにかかるわけです。それから七、八、九、十と、イカ、サンマ、マグロ、このように分かれてサケ・マスの裏作として操業するわけです。そうして十月に帰ってきまして、十一月から釧路の沿岸のババガレイ、このような操業をするわけでございますが、ここ二年くらい前から韓国、ソ連のこのような大きな船がわれわれの漁場と一緒になってやっているわけです。で、先ほども言ったように漁具被害、また魚を根からさらっていくというような漁法の仕方で、もう沖に出てもどうにもならないというようなことで大半の船は休んでいるわけです。そうして出ている船も、十一月からやってわずか四百万足らずより水揚げできないわけです。それで、親方も仕方なく若い衆、乗組員のために動いているわけでございますが、ことしあたりはもう全く商売にならない、このように思っているわけです。もしこれにかわるような魚をとるところを見つけてくれれば、このような失業保険とかこういうものは要らないんですけれども、このような魚をとるところがなければ失業保険などもぜひやっていただきたいと、かように思っているわけでございます。以上です。
#38
○委員長(橘直治君) 二見参考人、簡潔にお願いいたします。
#39
○参考人(二見俊男君) 失業保険の問題につきましては、先生も御承知のように、昨年、漁業再建整備特別措置法、根拠規定がございましたですね、あれだけでは不十分なんです。なぜならば年齢制限があるからです。御承知のように、漁船の船員は労働年限が短いわけです。ですから、年齢制限で四十歳以上でないとだめだということになりますと、その下の者は何ら恩恵を受けないという矛盾があるわけです。かつての炭鉱は年齢制限はなかったわけです。そういうやはり今日の国難ですから、そんなことを言わないで、少なくとも年齢制限は撤廃をしてそして救済の措置を考えるべきだ、そのためには私どもの方から政府に対してもそれぞれ漁船船員、漁業従事者臨時措置法というものを中身を添えて、こういう法案にしてみてはどうかという試案は出してあるわけです。以上です。
#40
○相沢武彦君 参考人の皆さん、大変どうも御苦労さまでございます。寺嶋参考人と宮原参考人にそれぞれ簡単にお尋ねをしたいと思います。
 最初に寺嶋参考人にお尋ねしますが、先ほどの陳述で、父祖伝来開拓してきた固有の北方四島、これを断固守り抜き、またこの水域の権益を絶対確保するために安易な妥協をして将来に悔いを残してはならない、こういうふうに関係者の皆さん方が結束して意思を固めていらっしゃる。この国難に対して耐え忍んでいこう、こういう気持ちで結束されている漁師並びに関係者の皆さんの心意気を本当に胸の熱くなる思いで承りました。それで、一部にはこの問題を何とか打開したいということで共同管理方式というような声も上がっていますが、これも領土放棄を潜在的に認めてしまうことにならないか、こういうおそれから賛成できないということでありまして、現地の漁業関係者としては現状凍結はこの水域においては許せるぎりぎりの限界である、この半年から一年ぐらいまではしんぼうしているからその間に何とか交渉をまとめてもらえないか、こういうように承ったのですが、この待てるぎりぎりの限界というのはもうやっぱり一年ぐらい、この間いろいろと国内の政府の救済措置等はあったとしても、一年ぐらいが限度だと。それを超えた場合にはやむを得ないということなのか。そのときは特別立法による生活維持の恒久的な対策を講じてほしい、それが講じられるならば、あえて妥協してまで漁業を続けなくてもいいというぐらいの気持ちなんだ、こういうふうに理解をしていいものなのかどうなのか。その辺のところをもう少し詳しく承りたいのです。
 それから二点目が、苦しい地方財政の中で北方領土復帰啓発宣伝等に根室市も独自で取り組んでいらっしゃるわけですが、国民世論の喚起と結集を図るために新しい運動を展開しようという計画もおありになるように聞いております。たとえば記念切手の発行などですね、政府関係省庁にも要請したいということなんですが、それ以外にもまた新しい要請等があれば、この際述べておいていただきたいと思います。
 それから三つ目に、秩序ある輸入体制の確立を訴えられておりましたが、現地関係者の立場から見て、これまでにも目に余るような輸入商社の実態をつかんでいらっしゃるのか。あるいは今後影響を及ぼすようなおそれのある動きがもうすでに見えているのか。その辺のところ、差し支えなければ実情をお話しいただきたい。以上三点です。
 それから宮原参考人は、今後二百海里設定された場合、国内漁業者相互間のトラブルが想定される、早急に政府は関係法令を整備すべきだ、こういう御意見がありましたが、従来までも当然、こういう事態になると整備をしなければならないという問題点は浮き彫りにされていると思うのですが、その際、全国漁業協同組合として政府に対して、この問題についてはこういう方針で臨んでほしいとあらかじめ注文をつけることがあれば、この際お述べになっておいていただきたいと思います。以上です。
#41
○参考人(寺嶋伊弉雄君) 第一点の問題でございますけれども、これは先ほど来申し上げましたとおり、単に根室地方の経済だけでなく、日本の国益という観点から、また固有の領土であるという観点から、当面する問題を解決するために安易にこれは妥協してはならない。あくまでも漁業権益を確保して、将来にわたって領土の返還を求める場合に当たってそれが支障になるようなことになっては相ならぬ、こういうことで地元の人間は考えているわけです。先ほど申し上げました一つの妥協案と申しましょうか、この問題を解決するための実務的な問題として共同管理方式というようなもの、あるいは入漁方式とか、あるいは民間協定による方法とか、いろいろなことが言われておりますけれども、私ども地域の住民としてはやはり日本全体の国益という観点に立って、この場合安易な妥結は排除すべきだ、特に共同管理方式、入漁方式というものはソ連の潜在主権を認めるような形になりはしないかと、こういう心配でございまして、これが法律上、あるいは条約上といろんな面から見てその心配はないんだということであればこれは別でございますけれども、私どもの通常的な考え方からまいりますというと、やはりソ連の潜在主権をある程度認めた形になる、将来の返還要求に支障があるんではないか、こういう判断で先ほど来も申し上げたような次第でございます。それで、私どもとしては、現状凍結がこの場合の一つの解決方法であろうと、これが最も実情に合った解決方法だ、こういうふうに考えております。
 その場合でも、相手のあることであるからこれは相当時間がかかるであろうと、一年あるいは二年という期間政府がこれを救済をしてくれるならばこれもやむを得ないと、そういうことで待とうということですが、これは将来に永久にわたって政府としても救済をするわけにもまいらないということも私ども承知いたしております。その場合それではどうするのかと、こういうことでございますけれども、このことは非常に重大な問題で、私がここで一存でこうするああするという結論を下すことは非常にめんどうな問題でございまして、今後関係者あるいは地域の問題としてこの問題はやはり地域の中で検討して将来政府に対して御要望申し上げたいと、こういうことでございますが、当面はやはり従前の漁業権益を確保することと、領土の返還要求に後退を余儀なくされるような妥協を排したいという、そういう心情でございます。
 それから第二点の地方財政の問題でございますが、これは従前からもいろいろ国民世論の結集ということで各政党にもお願い申し上げたことがございます。これは一番私どもこの運動を進めていて隘路になっているのは、各政党間によって返還を求める地域が違うということです。いわゆる国民世論が統一をされていないということは、やはりソ連をして言わせるならば、これは国民全部の声ではないと、一部の官製の運動だというそしりを受ける一つの大きな要因にもなっていると思います。このことについては、一昨年各政党間に私ども参りまして、少なくとも国会の場においてこの返還を求める、領土返還のいわゆる意思統一を図ってほしいという要請を申し上げたこともございます。それで各党ではひとつ検討してみるという御回答をいただいておりますけれども、まだ的確な御回答をいただいておりませんけれども、これは願わくはこの国会の場において国民の意思の統一を図っていただきたいと、こういうふうに考えております。
 それで、これは財源確保の問題と、もう一つはこの返還運動の世論を喚起するということで、先般もいわゆる記念切手を発行してほしいということをお願いしたわけでございますが、これは万国郵便条約というようなものがあって、やはりこういう政治的な問題について切手を発行することにはいささか問題があると、こういう御回答をいただいております。私どもは、領土返還は必ずしも政治運動だとは考えておりません。これはあくまでも国民運動だと、こういうふうに理解しておりますけれども、これはいろいろな都合があって発行できないというような御回答をいただいております。それからたばこについても、いわゆる春の交通安全運動とかあるいは火災予防のときにはいろんな記念たばこを発行されておりますので、これをひとつ活用して北方領土返還の国民世論の喚起のための記念たばこを発行してほしいというような要求をいたしておりますけれども、これもなかなか思うようにまいりませんので、ただ観光面の観光記念たばこと申しますかそういう中で、歯舞島を臨むという、そういうたばこを発行して発売していただいておりますが、これは私どもから言わせると、単にそういう観光ではなく、歯舞島を臨むではなくあくまでも北方領土を臨むというような強い表現をしていただきたいものだと考えておりますけれども、やはりこれもそうした何といいますか、政治的な配慮と申しますか、それが実現しないと、こういう実情でございます。
 それから根室市の場合、大体普通、その年度によっても多少の出入りはございますけれども、直接間接の経費を合わせますというと、この北方領土問題の返還運動に支出しております経費が大体四千万くらい使っております。ですから、戦後三十年でございますから、いまの金に直しますというと約十二億のお金をこの問題に使っておる、こういうことでございます。年間四千万でございますけれども、この中で地方交付税において二千万程度、それから道費補助で年間四百五十万、この程度の補助金をいただいております。その他一千五百万程度の金は一般市民の血税によって賄っている、こういう実態でございます。今後こうした返還運動の経費についてはできるならば国において負担をしていただく、決して補助金をいただきたいという意味ではなく、そうした機関もあることでございますから、国が直接一つのPRを実施してほしい、こういうふうにお願いするわけでございます。
 それから第三点目の秩序ある輸入対策の問題でございますが、これは実態をつかんでいるかというお話でございますけれども、いまこの二百海里問題と領土問題に関連いたしまして、ソ連の出方から参りましていろいろな論議をしたわけでございますが、その中で日本の商社がすでにモスクワに四十社ほどが行って魚の買い付けをしている、こういうことであるからソ連にこの漁業交渉についてもやはり日本の足元を見られるのだ、そういうことであってはならないと、こういうことでお話を聞いたので、私自身は実態をつかんでおりませんけれども、これはモスクワの方にもすでに四十社ほどの商社が行って買い付けをしている、このことは先般訪ソされました堂垣内知事さん自身もそういう話をされておりますので、そのように私どもも承知をしておるわけでございます。以上でございます。
#42
○参考人(宮原九一君) 先ほど私が申し上げましたのは、たとえば北海道沖における韓国船の締め出しが尾を引いて、西の方に韓国の方の強硬な意見が出てきた場合に、北と南の漁業者の間で問題が起きるというようなことに対して政府としては適切な措置を事前にとっていただきたい、こういうことでございますので、法制上の問題御質問がありましたけれども、やはりUターン現象等も考えますと、十二海里はもちろん、二百海里海域における日本漁船の漁業操業の秩序化といったことが大切になってまいりますので、いわゆる漁業制度全体の見直しというものがこの際特に必要である。その場合に、私どもとしては協同組合運動というのはいままで流通面を主体にしておりましたが、生産面の協同組合運動ということに一歩踏み出さねばならないのではないか、その辺のことが法制の中で可能かどうかといった点について政府に対しても要望してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#43
○塚田大願君 どうも御苦労さまでございます。塚田でございます。時間がございませんから要点だけお聞きしたいと思うんですが、最初に寺嶋参考人にお尋ねいたします。
 いまも大分論議になっておりますが、寺嶋さんの、北方領土は本来の固有の領土である、安易な妥協は許しちゃいかぬ、しかしやむを得なければそれは現状凍結でいいではないかという御意見、私もよく理解できるわけでございます。北方四島は、もちろん歴史的に根室の漁民が開拓した漁場でございますし、この領土はもう本来の日本の領土でございまして、歴史的にも間違いない。そこでもう一歩進めてお尋ねしたいのは、さらにこの得撫島からの北千島の問題であります。北千島も私どもはこれは日本の領土であって決して力で奪取したというふうな領土ではない、明治の初めに樺太との交換条約でちゃんと正確に日本の領土になった領土なんであって、その北千島も含めて私どもはこの千島全島が固有の領土であって、このたびの日ソ交渉によるあの二百海里の線引き、この中に含ませるべきではないというふうに私どもは考えておるわけでございますが、寺嶋さんといたされましては、この北千島の問題をどのように考えていらっしゃるのか。もっと具体的に言いますと、線引きですね、これも含めた先ほどの御見解であるのかどうか。あわせて、根室の漁民の皆さんがやはりいままで実際北千島の方での漁場の開発であるとか、その他操業であるとか、そういうものをどんなふうにやっていらっしゃったのか、そういうこともあわせてひとつ御見解を伺いたいと思うわけであります。
 次に、宮原参考人にお伺いしたいんでありますが、今日この二百海里問題では、ソ連だけではなく、今度は韓国も近く二百海里を設定するということも言っております。また、ニュージーランドあたりもそうだという話を聞いております。そうしますと、全体に大変な厳しい環境になるわけでございます。そこで先ほども参考人おっしゃったように、商社がもう相当猛烈に動いていると、これは間違いないことだと思います。そのためにスケトウやニシンが暴騰していると、これも事実だと思うわけでございますが、そういう中で本当に国民のたん白資源を確保するための魚の供給あるいは価格の安定ですね、これは国民にとりましては大変緊急な課題でございますが、これについて参考人はどのような御見解なのか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
 きょうはせっかく四人の方がいらっしゃいましたので、石川参考人と二見参考人にも一言ずつお伺いをしたいのでありますが、問題は共通であります。先ほどもるるお話を伺いまして、実際に漁業労働者がどんなに苦しい立場にあるかはよくわかりました。そこで補償の問題でございますけれども、こういう漁業労働者に対する補償は私どもは給与相当の補償をすべきであると、単につなぎ融資であるとか何とかといういいかげんなものではなくて、それは経営資本家やあるいは業者に対してはそういう融資ということも必要でありましょうけれども、体で生活をしている漁業労働者の皆さんに対しては給与相当の補償を政府はやるべきではないか、こういうふうに考えているわけでございますが、その問題についてひとつそれぞれ御意見を伺わしていただきたい。以上でございます。
#44
○参考人(寺嶋伊弉雄君) 問題は、北方四島以外の千島列島の問題でございますけれども、これはお話のとおり、確かに千島、南樺太の交換条約によって日本の領有に帰したといういきさつもございますけれども、これはサンフランシスコ条約の中ではいわゆるクーリール・アイランズといって連合国に対して放棄をしていると、こういうふうに私どもは承知しております。私どもも決して法律の専門家でも何でもございませんので、見たりあるいは聞いたりという程度の知識しかございませんけれども、その範囲内においては、やはり国際法上からまいりましても、条約上からまいりましても、日本の固有の領土というのはいわゆる四島に限られると、こういうふうに理解しております。その他の地域については四十八カ国の連合国に対して放棄をしていると、ですからまだ帰属はどこの国と決まっているわけではないわけで、ソ連が領有するものとも決まっていない。むしろ、今後の四十八カ国の決定によってその帰属が決定される、こういうふうに理解をしているわけであります。
 ですから、私どもは、とりあえずこの北方四島については日本の固有の領土であって、この領土権は主張し得るものだと。その他の地域についてはサンフランシスコ平和条約において放棄したものだと、このように理解しておるわけです。お答えにならないかもしれませんけれども、私どもはいろんな面で聞いた範囲で承知して、また読んだ範囲で承知していると。もっとそれ以上になりますと、やっぱり国際法上の問題で専門家でなければちょっと回答いたしかねると思いますが、その専門家の間においても意見がまちまちだということで、これはまあこうしたことは大変問題がございますので、近い将来においてはやはり国論を統一していただきたい、このように考えております。
#45
○塚田大願君 漁業のあれはどうですか。いままでの実績、北千島の……。
#46
○参考人(寺嶋伊弉雄君) いままでのですか。開拓関係ですね。根室の経済圏から考えますというと、色丹、歯舞、それから国後島というのが根室の経済圏だった、択捉島というのが函館の経済圏、ただ定地関係が多かった。それで函館から直接択捉の方に船がまいりまして、商取引も全部函館、それから択捉島の居住者もほとんどの方が函館近郊の人が多かった。ですから、いまでも北方領土の返還運動は根室市と函館市が熱心にやっている、こういう実態でございます。それから得撫以北の問題でございますけれども、よく承知いたしておりませんけれども、当時、得撫には農林省の養狐場、キツネを飼うところがございましたし、それから戦時中は千島調査室というのがございまして、それらの管轄をしておりましたけれども、その他のシュムシュ島という一番北の島がございます、端に。ここには日本人の別所さんという方が越冬されて居住しておったという記録もありますし、またその方は根室にも引き揚げてきておりますと承知しておりますが、ほとんど陸上の面では開拓をされていない。海上ではその近海は当然漁業されておったわけですが、その程度のように承知いたしております。
#47
○参考人(宮原九一君) 輸入の問題につきましては、やはり高級魚が中心になりますので、国民の食生活の安定、あるいは価格供給の安定を図っていくという面からまいりますと、やはり多獲性魚の活用という問題を中心に考えるべきである。そのためには流通の合理化、特に容器の問題等を含めた流通改善と、それからマンション等ですぐに食べられるような加工技術をもう少し開発しなければならぬ、その辺を含めてわれわれ協同組合が中心となって、主要都市に公設市場をつくるといったようなことで価格の安定を促進していくという、そういった問題を今後の問題として考えておる次第でございます。
#48
○参考人(石川勇作君) 補償の問題ですけれども、われわれの船は五トンから十トンの船で、いままでわれわれは、現在もそうですけれども、海員組合とか労働組合というものには入ってもいませんし、わからないわけです。それで、たまたま小型漁船にも道から被害補償も以前に出たことがあるわけですけれども、船主にはおりてくるけれども、乗組員には一銭も一度もおりたこともないし、もらったこともないわけです。さらにまた、このたびの韓国の被害もかなり大きいわけです。そうして被害もこれだけ出ているわけでございますけれども、まだ何の解決もついていないと。もしこの解決がついたならば、乗組員は魚がかかっているまま網もとられたわけですから、当然乗組員にもその分の補償をしていただきたいと思うわけです。その補償の額は船主さんたちもよくわかると思いますけれども、とにかくいままではただの一銭も乗組員はもらったことがないわけです。そういうことです。よろしくお願いします。
#49
○参考人(二見俊男君) 私どもの方は固定給と歩合がありまして、固定部分はこれは家族送金に充てられるわけですね。一人歩で大体沖底で十万ぐらいです。ですから、これは船主に融資した場合には、船主は賃金を支払うわけですから、当然賃金原資を船主にぴちっとしてそれは賃金に充てるなら充てるということをしてもらわぬと、ただ単に船主融資だからといって、船主は油代の方が多いからそれを回しちゃったとか、あるいは船の修理代が多いから回したということになれば、給与の家族送金分の賃金さえ補償されぬという面はありますから、その点ははっきり政府はすべきだと、こう思います。
#50
○和田春生君 きょうはどうも御苦労さまでございます。
 寺嶋参考人にお伺いしたいと思っておったこともございますけれども、先ほど来の同僚委員のいろいろなお尋ねに対する御説明で私どもよくお立場わかりました。大いにがんばっていただくと同時に、私たちもその気持ちを体しまして運動したいと、こういうふうに考えているわけでございまして、どうも御苦労さまでございます。
 時間も大分過ぎておりますので、一、二点ずつ要点的にお伺いいたしたいと思うんですが、まず宮原さんにお伺いしたいんですが、先ほど、これからの漁業協同組合運動を、従来の流通面から生産面へ移していくということも必要ではなかろうかというふうにお話を承ったわけでございますが、確かに新しい転換期において非常にいろんな問題が出てくると思うわけであります。そこで、そういう生産面に関しての漁業協同組合運動を積極的に伸ばしていくという場合、法的あるいは制度的にこういうことを考えてもらう必要があるのではないかと、あるいはこういうことがネックになっているというような点がございましたら、要点で結構でございますが、承らしていただければ幸いだと思います。
 それからもう一つは、流通面に関してですが、先ほど来大変問題になっている商社その他のソ連あるいは他の国からの魚の買い付けの問題でございますが、日ソ漁業交渉で日本が追い詰められていると、その機に乗じて魚価の値上がり、あるいは思惑から大量に買い付けるというようなことがあったのでは日本の漁業をつぶすことになるわけですが、同時に、二百海里時代になりますと、総漁獲量と日本の食糧、加工その他の原料との兼ね合いで、ある程度輸入をしなくてはならぬという場合も出てくると思うんですが、その場合、秩序ある輸入が必要であるということがよく関係者からも言われているわけですが、そういう秩序ある輸入を、漁業の発展も考えながら国民生活を考慮してやるという場合に、漁業協同組合として何らかの果たす役割りがあるものかどうか、お考えがあるかどうか、その点をお聞かせ願えれば幸いだと思います。
 それから、参考人の二見さんと石川さんにお伺いいたしたいのは、大体六万二千トンにサケ・マスの割り当てが減らされました。それから現在出漁も全面的にストップをしているわけであります。降ってわいたようにソ連側から領土問題を絡めてまいりまして、閣僚会議の線引き、つまり根室海峡、ソビエト海峡をソ連の国境と認めるということを前提にしないと判こをつかぬと言い出しておるものですから、こうなりますと、予定された四月末の出漁も危ういという形になりまして、農林大臣が向こうにお出かけになって五月の中旬にやりましても、大体出られるというのは早くても十日かあるいは中旬になるんではないか。そういたしますと、当然サケ・マス等についてはこれは移動していきますから、中部B地区に行きましても、もぬけのからと言っては言い過ぎだけれども、ほとんど漁獲が落ち込んで予定どおりの水揚げを上げることが不可能になると、こういう深刻な問題も出てくるわけでありますから、そういう点で、これはどうなるかということを予測するのはむずかしかろうと思いますけれども、いまのところ割り当てが減ったと、仮にここで十日ないし二週間出漁がおくれるといった場合に、はみ出すことになる、犠牲をこうむる船員は大体どれぐらいの規模になるか。あるいはそのことによって水揚げが落ち込むと当然収入減になるわけでありまして、船主の方も当然それで相当の負担をこうむるわけでありますが、また船員の方も歩合給その他において非常に減ってくるわけです。そういう面でどれぐらい減ることになるか。また沿岸の方につきましても、石川さんの方いろいろそれらの影響があるわけでございます。そうなってまいりますと、裏作その他を含めてもかなり影響が出てくるわけですが、大体どれぐらいの船員あるいは乗組員の方々が被害をこうむるというか、あるいははみ出すことになるか、おおむねの見当でも結構でございますが、この機会にお伺いをしたいと、こういうふうに思います。
#51
○参考人(宮原九一君) お尋ねの生産面の共同化の問題につきましては、いまいろいろ検討をしておりまして、まだ具体的にこの問題という点で詰めができておりませんので、お答えはお許しいただきたいと思いますが、輸入対策につきましては、もう早速全漁連を中心にそれぞれの漁業団体が集まりまして、水産物輸入対策協議会というものを近く発足させるという合意を取りつけております。やはり輸入によって漁業者サイドにおいても問題が出てくるという点もありますので、その辺を好むと好まざるとにかかわらず、今後輸入をふやしていかなければならないとするならば、漁業者にも悪影響を及ぼさない形で消費者にアピールできるような輸入方法というものは、やっぱり自分たちでやるべきであろうということで、全体の各業者集まってもうすでに第一回の会合を開いて今後の詰め方の協議に入ったと、こういう事情でございますので、また後ほどできましたときにはお願いに参りたいと、このように考えております。
#52
○参考人(石川勇作君) 私は、サケ・マスも三十年以上漁労長をして沖へ出ているわけでございますが、この二百海里の外で六万二千トンと、このようなことになりますと、もし十五日おくれることになりましたならば、その後は二百海里の中に皆魚が入るわけです。二百海里の外では一匹もとれないと言ってもいいくらいとれないわけです。われわれ小型の海区です。これは、五十三度ですね、この海区までは。それで、十五日も二十日もおくれるような状態であれば、もう出ない方がいいと言いたいくらいです。それから、この時期には船主の水揚げは三千万から四千万、乗組員で七十万から八十万。これは三月からの乗組員の支度期間も入れまして三、四、五、六と、これで七十万から八十万ぐらいかせぐわけです。これはもう一年間のサケ・マスだけです、このぐらいの水揚げがあるというのは。以上です。
#53
○参考人(二見俊男君) 母船式サケ・マス漁業の方を申し上げますと、これは独航船で、これは員級エーブルシーマン一人歩のところで固定給が三カ月働いて三十四万八千三百円、それから生産奨励金が一人歩三カ月働いて大体百十万になります。ですから、合計金額といたしますと、三カ月働いたとして百四十四万八千三百円、これは独航船の一人歩のところでそれだけ失う。それを九十分の十で割れば十日分のなにが出るわけですね。中部の方は若干多いわけです。中部流し網が、これは四カ月稼働期間ありますから、一人歩で大体二百四万一千六百円になります。
#54
○和田春生君 員数は。
#55
○参考人(二見俊男君) 員数ですか。員数は母船式で大体六千六百人になります。
#56
○和田春生君 はみ出すのは。
#57
○参考人(二見俊男君) 母船式では独航船が三百三十二隻、それから中部では三百六十八隻、こういうことで大体七千名ぐらい。ですから、中部とこの母船式合わせて大体一万四千超えますね。それから母船は大体四百名ですから、十船団として四千名です。
#58
○和田春生君 お伺いしたのは、いまの割り当てでやった場合に、はみ出すというか、犠牲をこうむる船員の数はおおむねどれぐらいの見当になるだろうかということです。
#59
○参考人(二見俊男君) 母船では一千六百人、それから中部の方が七千名の一九・二%減です。それから母船式が六千六百名の二六・二%減です。掛けていただければ数字が出るわけです。
#60
○和田春生君 大体三千名。
#61
○参考人(二見俊男君) 三千名強になりますね。
#62
○喜屋武眞榮君 どうも先ほど中座いたしまして失礼いたしました。二つだけお尋ねしたいと思います。
 一つは寺嶋参考人に。去年何月でしたか、北海道へ調査に参りましたときに、過疎対策としてホタテガイの加工場をつくったために、Uターンが多くなって大変若者が希望を持って喜んでおる、こういうことを話しておられたのですよ。そうしますと、今日のこの問題がそのままで行くというと、このような希望に向かって発展しつつある加工場が結局閉鎖、つぶれてまたもとのもくあみになるという、過疎になるという、こういう心配も多分にあるわけなんですね。そういった点の関連、今日のようなこのままでこう行った場合に、過疎対策が、その状況がどうなっていくのであるか、その点。
 それから宮原さんにお伺いしたいのは、先ほどのお話の中で、領海と二百海里を設定した場合に、外国の漁船とのトラブルの問題をいろいろ話しておられたのですが、その中で、日本漁船同士のトラブルも十分配慮しなければいけないというお話がございましたが、その内容、実態はどういうことなんでしょうか、お聞きしたいのですが。
#63
○参考人(寺嶋伊弉雄君) あるいは聞き漏らしたかもしれませんが、ホタテガイの工場というのはうちの方にはないんで、御視察いただいたのは花咲港のミール工場の違いではないかと思いますが、いかがでしょう。これは、ミール工場の場合、加工した残滓がたくさん出ます。たとえば頭とか骨とか、それを飼料にするいわゆる工場なんですが、これはおかげさまで最近市場の価格も持ち直しまして、現在それぞれやっておりまして、ただいまは順調になっております。
 ただ、そこで今後この海洋法と過疎の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、ソ連が主張する二百海里を、言うなれば根室海峡を線引きした場合には、根室の零細な漁民が全く漁する場所がないということで、他に転換する魚種もございませんので、当然転業ということにならざるを得ないだろう。となりますというと、根室の場合は工場誘致とか、その他立地条件が悪くてできないところですから、勢い他管内に転出ということになる。したがって人口は激減するだろう、このように判断しているわけでございます。今後そうしたことも踏まえてこうした対策もしなければならないだろう、このように考えております。
#64
○参考人(宮原九一君) 私の先ほどの陳述の中では、日本漁業者相互のトラブルというような言い方で、北と南の漁業者がそれぞれ韓国、中国の問題あるいは北海道の問題、ソ連の問題等で団結して事に当たらなければならないのに問題が起きると大変だということを申し上げたわけですが、御指摘の日本漁船相互のトラブルということも当然考えられるわけでございまして、たとえばUターン現象で大型漁船が近海操業を始めるということになりますと、いままで平穏に操業されておった日本沿海の十二海里から二百海里の範囲の漁業において、大中小入りまじっての操業という問題が当然できてきますので、そういう意味からしますと、やはり漁業制度全体をこの際見直してかかりませんと、二百海里を引いてもかえって混乱が起きるということになるのではないか、この辺に対する政府の配慮を特にお願いをいたしたい、このように申し上げたわけでございます。
#65
○委員長(橘直治君) 以上をもちまして、参考人の方々に対する質疑を終わります。
 参考人の方々に一言御礼を申し上げます。本日は皆様御多忙中のところ、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。当委員会の今後の審査に多大の参考になることと存じます。委員会を代表いたしまして重ねて厚く御礼を申し上げます。
 参考人の方々、どうぞ御退席ください。
#66
○委員長(橘直治君) 先般、当委員会が行いました領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案の審査に資するため、大隅海峡における国際航行及び漁業の実情調査の委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。御報告を願います。粕谷君。
#67
○粕谷照美君 御報告いたします。
 去る二十三日、二十四日の両日、本委員会から派遣された鈴木、大島、相沢、塚田、和田、喜屋武、それに私粕谷の七名は、領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案の審査の参考とするため、鹿児島県の大隅海峡を調査してまいりました。
 なお、佐多、久保の両議員も現地参加されました。
 現地では、第十管区海上保安本部、水産庁、内閣官房領海法準備室及び県当局の方々から、概況説明を受けるとともに、地元漁業関係者の方々との懇談、県当局からの意見聴取も行いました。また、海上保安本部のビーチクラフト機で、上空から大隅海峡を視察いたしました。
 大隅海峡は、鹿児島県の大隅半島と種子島、屋久島などの島々の間に形成された最峡部が約十六海里の海峡で、中国の旅大、上海等と、パナマ、シアトル、ホノルル、サンフランシスコ等を結ぶ国際航路であります。保安本部の最近の調査では、二昼夜で二百隻余りが特定海域に予定されている海域を航行しており、その中には、かなりの数の外国船も含まれているようであります。私どもが上空から視察したときも、眼下には、白い航跡を引いた大型の貨物船やタンカーが行き交っておりました。
 一方、この海峡では、漁業も盛んで、イワシ、アジ、サバなど、年間約二万六千トン、約四十八億六千万円が水揚げされております。これは、鹿児島県の総漁獲量の二五%、総漁獲金額の二%に当たります。特に、大中型まき網及び沖合い底びき網は、その漁獲量が、鹿児島県の同種漁業の総漁獲量の六〇%にも達しているほどであります。
 地元の漁業者の方々からは、大隅海峡の領海も十二海里にしてもらいたい、もし三海里に凍結するなら、外国船の操業を防止するための万全の漁場保護措置を講じ、万一、外国船による被害が発生した場合には、国は責任を持って補償してほしいとの要望を受けました。また、カツオ・マグロ漁業者の方々からは、ミクロネシアなど南方漁場の確保と、入漁料に対する国庫助成等についての要望がありました。
 このほかにも、商社、大手水産会社による無秩序な水産物の輸入の規制、買い入れ数量の増大等調整保管事業の充実による魚価の安定、禁止区域を侵す沖合い底びき網漁業の規制、不漁準備金制度の創設と漁業税制の再検討、クルマエビ等に被害を出すおそれのあるマツクイムシ防除剤スミチオンの毒性の再検討、沿岸漁場整備開発事業の促進、はなはだしく立ちおくれている離島や僻地の漁港整備の促進、食糧基本法の制定と、食糧産業としての水産業の位置づけの明確化、水産予算の充実と水産省の設置等多くの要望を受けました。
 なお、県当局からも、漁業関係の要望とともに、南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法の延長、桜島の降灰激化に伴う防災営農対策の継続実施、総合的な林業振興対策の強化、治山事業の拡大強化等についての要望がありました。
 終わりに、土曜、日曜にもかかわらず、多数の方々が私どもの調査に御協力くださったことを申し添えます。
 以上、御報告いたします。
#68
○委員長(橘直治君) どうも御苦労さまでございました。ありがとうございました。
#69
○委員長(橘直治君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 領海法案及び漁業水域に関する暫定措置法案、以上両案について、運輸委員会、外務委員会及び内閣委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(橘直治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#71
○委員長(橘直治君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後三時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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