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1976/05/19 第80回国会 参議院 参議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第17号
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1976/05/19 第80回国会 参議院

参議院会議録情報 第080回国会 農林水産委員会 第17号

#1
第080回国会 農林水産委員会 第17号
昭和五十二年五月十九日(木曜日)
   午前十時四十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月四日
    辞任         補欠選任
     坂野 重信君     岩上 妙子君
     福井  勇君     塚田十一郎君
     後藤 正夫君     山内 一郎君
     上田  稔君     吉田  実君
     佐藤 信二君     佐多 宗二君
 五月七日
    辞任         補欠選任
     和田 春生君     向井 長年君
 五月九日
    辞任         補欠選任
     吉田  実君     梶木 又三君
     瀬谷 英行君     川村 清一君
     青木 薪次君     前川  旦君
     森下 昭司君     工藤 良平君
     対馬 孝且君     辻  一彦君
     向井 長年君     中沢伊登子君
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     粕谷 照美君     対馬 孝且君
     藤原 房雄君     原田  立君
     中沢伊登子君     藤井 恒男君
 五月十二日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     志村 愛子君
     大島 友治君     林  ゆう君
     対馬 孝且君     粕谷 照美君
     小笠原貞子君     須藤 五郎君
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     林  ゆう君     楠  正俊君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     志村 愛子君     初村滝一郎君
     須藤 五郎君     小笠原貞子君
 五月十七日
    辞任        補欠選任
     小笠原貞子君     河田 賢治君
 五月十八日
    辞任        補欠選任
     楠  正俊君     大島 友治君
     河田 賢治君     内藤  功君
 五月十九日
    辞任        補欠選任
     山内 一郎君     佐々木 満君
     工藤 良平君     竹田 四郎君
     内藤  功君     沓脱タケ子君
     塚田 大願君     小笠原貞子君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         橘  直治君
    理事
                青井 政美君
                鈴木 省吾君
                粕谷 照美君
                鶴園 哲夫君
    委 員
                大島 友治君
                佐々木 満君
                坂元 親男君
                塚田十一郎君
                初村滝一郎君
                竹田 四郎君
                前川  旦君
                相沢 武彦君
                小笠原貞子君
                塚田 大願君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       農林大臣臨時代
       理        長谷川四郎君
   政府委員
       人事院事務総局
       任用局長     今村 久明君
       文部省大学局長  佐野文一郎君
       農林政務次官   片山 正英君
       農林省農林経済
       局長       今村 宣夫君
       農林省構造改善
       局長       森  整治君
       農林省畜産局長  大場 敏彦君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        竹中  譲君
   説明員
       人事院事務総局
       給与局次長    角野幸三郎君
       文部省管理局私
       学新興課長    山本 研一君
       厚生省公衆衛生
       局保健情報課長  林部  弘君
       厚生省環境衛生
       局乳肉衛生課長  岡部 祥治君
       水産庁研究開発
       部研究課長    大鶴 典生君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○獣医師法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員
 共済組合からの年金の額の改定に関する法律等
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る四日、坂野重信君、福井勇君、後藤正夫君、上田稔君及び佐藤信二君が委員を辞任され、その補欠として岩上妙子君、塚田十一郎君、山内一郎君、吉田実君及び佐多宗二君が選任されました。
 また、去る七日、和田春生君が委員を辞任され、その補欠として向井長年君が選任されました。
 また、去る九日、瀬谷英行君、青木薪次君、森下昭司君、対馬孝且君、吉田実君及び向井長年君が委員を辞任され、その補欠として川村清一君、前川旦君、工藤良平君、辻一彦君、梶木又三君及び中沢伊登子君が選任されました。
 また、去る十一日、藤原房雄君、中沢伊登子君及び粕谷照美君が委員を辞任され、その補欠として原田立君、藤井恒男君及び対馬考且君が選任されました。
 また、去る十二日、対馬考且君が委員を辞任され、その補欠として粕谷照美君が選任されました。
 また、去る十七日、小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として河田賢治君が選任されました。
 また、去る十八日、河田賢治君が委員を辞任され、その補欠として内藤功君が選任されました。
 また、本日、内藤功君が委員を辞任され、その補欠として沓脱タケ子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(橘直治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっておりますので、この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(橘直治君) 御異議ないと認めます。
 よって、理事に粕谷照美君及び原田立君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(橘直治君) 獣医師法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。長谷川農林大臣臨時代理。
#6
○国務大臣(長谷川四郎君) 獣医師法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 畜産の振興を図り、あわせて公衆衛生の向上を図るため、獣医師の果たすべき役割りはまことに大きいものがあります。
 特に、最近における獣医師を取り巻く情勢を見ると、わが国畜産の振興、食生活における畜産食品の需要の高まり等は著しいものがあり、これに対応して、獣医師が具有すべき知識及び技能の水準を高め、また、これを多様化することが重要な課題となっております。
 このような情勢にかんがみ、獣医師の資質をさらに向上させるため、獣医師国家試験の受験資格を引き上げることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 この法律案は、獣医師国家試験の受験資格につきまして、現在、大学において獣医学の四年以上にわたる課程を修めて、これを卒業した者とされているものを、大学の獣医学の課程を修めて卒業し、かつ、大学院の獣医学の修士の課程を修了した者に改めることにより、大学において学部及び大学院の修士課程を通じて六年間の獣医学教育を受けたことを受験資格とするものであります。
 このような獣医師国家試験の受験資格の引き上げを行うためには、その前提として獣医学教育の改善が必要となりますが、これにつきましては、大学及び大学院の修士課程の積み上げによる六年間の獣医学の一貫教育を実施すべく必要な措置を講ずることとしております。
 なお、この改正は、昭和五十三年四月一日から施行することとしておりますが、在学生等につきましては、必要な経過措置を講ずることとしております。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いを申し上げる次第でございます。
 以上であります。
#7
○委員長(橘直治君) 次に、補足説明を聴取いたします。大場畜産局長。
#8
○政府委員(大場敏彦君) 獣医師法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 現行獣医師法は、現行獣医学教育制度の発足と同年の昭和二十四年に制定され、現在まで二十余年を経過しておりますが、その間獣医師が畜産業の発展及び公衆衛生の向上に果たしてきた役割りは、きわめて大きなものがあります。
 また、この間における獣医師を取り巻く情勢は著しく変化を遂げており、農業基本法制定以後におけるわが国畜産の進展、最近における国民経済の進展による畜産食品の需要の高まり等から、経営規模の拡大に伴う家畜の集団衛生の指導、海外交流、貿易の拡大に伴う海外悪性家畜伝染病の侵入防止、安全良質な畜産物の生産指導、畜産食品等の安全性確保のための衛生監視等獣医師に要請される活動分野はますます広がってきており、獣医師が具有すべき知識及び技能の水準を高め、また、これを多様化することが重要な課題となっております。
 しかしながら、従来の大学四年の獣医学教育では十分な専門教育が行えないのが実情であり、このような社会的要請に対応していくためには、専門教育期間の延長を図ることが緊要となっております。
 また、国際的に見てもこのような獣医学教育制度は世界でもわが国のみであり、諸外国における教育年限は一般的に教養課程を修了した学生に専門教育を四年から五年課しており、また発展途上国に対する獣医技術の援助の面からも獣医学教育の国際水準化が必要であります。
 このような情勢にかんがみ、獣医師の資質をさらに向上させるため獣医師国家試験の受験資格を引き上げるべく獣医師法を改正することとした次第であります。
 なお、これとあわせて大学における獣医学教育につきましては、大学の学部及び大学院の修士課程の積み上げによる六年間の獣医学の一貫教育への円滑な移行を図るため必要な施設の整備、教育課程の改善等を進めることとしております。
 この改正は、昭和五十三年四月一日から施行することとしておりますが、施行の際、現に受験資格を有する者及び施行日前に大学に在学している者については従前どおり大学卒業で獣医師国家試験を受けることができることとするとともに、外国の獣医学校を卒業し、または外国で獣医師の免許を得た者に関する受験資格の認定についても施行日以後五年間は従前の規定を適用することとしております。
 以上をもちまして、獣医師法の一部を改正する法律案の補足説明を終わります。
#9
○委員長(橘直治君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○鶴園哲夫君 私は、獣医師法が久しぶりに出てまいりましたのでいろいろお伺いしたい点があるのでありますが、時間の関係もございますので、二つほどにしぼりましてお尋ねをいたしたいと思います。
 一つは、今日こういうような期限延長をしまして、二年の修士課程を経て、六年の一貫教育で国家試験を受ける資格を持つということに至りました経緯につきまして、若干お尋ねをしたいわけです。
 これは文部省の方と農林省の方両方にお尋ねをしたいんですが、御承知のように、二十四年に学校教育の制度が大変根本的に改革をされまして、その際に、これは恐らく獣医師の関係だけではないと思いますけれども、当面ここにあります獣医師の問題で言いますと、これは四年ではどうにもならない、ぜひひとつ延長をしてもらいたいという、そういう年限延長の要請が日本獣医師会の獣医事審議会の方が教育刷新審議会の方に要請をいたしておるわけですね。それを受けまして二十六年に、翌年に、教育刷新審議会の方は四年では不十分だと認められると、しかし現下の国情でやむを得ないので当分四年とすると、しかし、不足を補充するため専攻科等を置くなどの措置を講ずることが望ましいというのが総会の了解事項だということを回答しておるわけですね。
 で、二十五年、二十六年にこういうことがありまして、それからちょうど十一年間言うならば空白の期間があって、三十七年に同じくやっぱり獣医師会の獣医事審議会が中教審の方に教育年限延長の要請をしている。翌年の三十八年に、中教審の方が文部大臣に対しまして答申を出している。その答申の中でも、現行の制度のもとで改善を加えれば強いて年限を延長しなくてもいい。ただし、上記の措置を講じた上でもなお必要な専門能力を育成し得ない専門分野においては、修業年限の延長もやむを得ない、こういうことを答申をしておるわけですね。それからちょっと七年間、八年間ぐらい空白があって、四十五年から五十二年にかけまして毎年同様に答申が行われたり、文部大臣に対して、あるいは農林大臣に対して要請が行われたり、それから日本学術会議が文部大臣に対して要請をしたりというような形になって、七年、八年かかって今度のような措置がとられるようになった。
 この経緯を見まして、私はまず一つお尋ねをいたしたいのは、昭和二十五年、二十六年にこういうような専攻科等を置くなどの措置を講ずることが望ましいと、こういうことになっておったのですけれども、この専攻科というのがほとんど全く行われなかった。配付されました資料によりますというと、麻布の獣医学校、ここだけに専攻科というのが置かれておって十名、あとはどこにも専攻科の定員というのはない、こういうことになるわけですが、これは一体どういう理由に基づくのか。専攻科を出てみてもどうにもならなかったと、資格要件にも何にもならないということのためなのか。望ましいと言っているにかかわらず、これが実施されなかったに等しい。こういう状況は一体どういうことなのかというのが、文部省に対するお尋ねです。
 それからもう一点は、先ほど申しましたように、それからちょうど十年間というここに空白があって、三十七年、三十八年に、これは言うならば答申というような形でりっぱなものが出ている。それもやむを得ないというような形のものが出ている。この十年の空白があったということは一体どういうことなのか。三十七年にちょうど農業基本法ができまして、そして畜産というものが大きくクローズアップしてき、成長部門として大変な力を油ぐことになったという点から、再びここでそういう問題が出てきたのかどうかという点ですね。なぜこの約十年という空白があったのか。文部省に対しましては、ここでやむを得ないという形になっておるにかかわらず、何らの措置がとられなかった。そして七年という年月を経てきた。それは一体どういうわけか。そのまず二つをお尋ねをしたいわけです。
#11
○政府委員(佐野文一郎君) 専攻科の点でございますが、国立大学におきましては、二十九年から三十四年にかけまして、当時すでに大学院を置いておりました北大と東大以外の八つの国立大学は、実はすべて専攻科を設置をいたしたわけでございます。入学定員は五名ではございましたけれども、それぞれ設置をしたわけでございますが、実際問題としては、専攻科修了による資格上の特段のメリットがないというふうなことも恐らく影響したと思いますが、入学希望者がほとんどなかったということがございまして、大学院が設置をされますのに従って、それぞれ専攻科を廃止をしてきたという経緯があったわけでございます。私立大学の方は、御指摘の麻布獣医が三十二年に専攻科を設置いたしたわけでございますが、この専攻科だけは現に残っております。ただ、これもここ数年間入学者が実はございませんので、これも方向としては廃止ということが検討されているような状況にございます。
 それから、文部省といたしましては、もちろんいま先生御指摘のような戦後の学制改革以来の獣医学教育の充実についての関係者の御要望というのは十分に承知をいたしておりますし、またそれを受けて、それぞれの時点で検討は行われたわけでございますけれども、中央教育審議会の段階までは大勢はやはり年限延長については消極的である、慎重であるべきだというのが大方の御意見であったわけでございます。しかし、四十年代後半に改めて関係団体から御要望があり、またその時点では獣医学を、あるいは獣医師を取り巻くいろいろな情勢も大きく変化をしてきておりましたので、改めて視学委員会、あるいは調査会等を煩わして慎重に検討いたしました結果、年限の延長ということについて大方の合意を得ましたので、農林省とも御相談をいたしまして一修士課程を活用して年限を延長するという当面の措置に踏み切ったものでございます。
#12
○鶴園哲夫君 私は、二十五年、二十六年にせっかくこういう専攻科というようなものが答申があって、そして十校ほどがそれを設けたけれども、しかし実際上は消えてなくなってしまったと。最後に残った麻布の場合も、十名という定員だけれども希望者がないということなんですが、これはやはりいま局長のおっしゃったように、出てきたけれども資格要件として特に変わったものがないという線だったろうと思うんですね。ですが、まあそういう面で私は素人なんですけれども、実際はこの場合にはやはりいまみたいなようなものが考えられれば軌道に乗ったろうと思うんですね。今日のような形のものがこの段階でつくられれば軌道に乗ったんじゃないかとも思うんですけれども、しかしおっしゃるように、せっかくできたけれども雲散霧消してしまったという形で終わっておるわけですが、それからいまお話しのように、四十五年から五十二年までかかりまして約八年間にわたって毎年のように要望があったり、要請があったり、答申があったり、報告が出たりした。しかし、こういうものに七、八年もかかるものかなあという気がしてしようがないんですけれども、どういうわけで八年もかかるんだろうという感じですね。
 それで、具体的に私も初めて――この大学の教育の中身が時間数書いてあるんですね。これを見ると、これじゃこれは確かに困るでしょうね、こういう時間内容では。いまこれは、大学というのは、経済学部でも法学部でもみなどうなんでしょうかね。大学という名前を考えなきゃいかぬですね、局長。大学という名前、これじゃ大学じゃないんじゃないかというぼくは感じがしてしょうがないんですね。ですが、大学という名前がついておるわけですからね。ですけれども、確かにいまの学部の講義内容から見ますと、とてもこれは獣医師として役立つだろうかと思います。これは大変だろうという感じですね。同じようなことがすべてに言えるんじゃないでしょうかね、いまの大学というのは。そういうような気がしてしょうがない、これを見ましてね。それで修士課程の二年を加えてみて何となくという感じがするわけですが、いずれにいたしましても、こういう二年延長して、そして獣医師として国家試験を受ける資格かできるんだというような措置をするのに、言うならば四十五年から五十二年までかかったと。毎年のように答申が行われたり要請が行われたりする中で、七年かかった。言うならば、昭和二十五年から五十二年までかかったということになるわけですね。これは一体どういうことなんだろうかと、そこら辺について局長はどういうふうにお考えになっていらっしゃるんですか。
#13
○政府委員(佐野文一郎君) 文部省の方だけの事情を申し上げることでお許しをいただきたいと存じますが、一つには、修業年限の延長ということを考える場合には、当然獣医学関係の現在の学科を学部として整備をして、そして学部の修業年限を六年にするということが基本的な考え方としては出てまいるわけでございます。しかし実態としては、現在の国立の学科というのは非常に入学定員の小さな小規模のものが十の大学にあるというような状況でございますから、これをそのまま修業年限を六年に延長するということは非常にむずかしいことでございます。したがって、修業年限を延長しますためには、この十の学科の重点的な整備と申しますか、あるいは統合と申しますか、そういったことが具体の施策として伴わないと、修業年限六年がなかなか現実の課題としては取り扱いにくいという点が一つ実際の事情としてはあるわけでございます。
 しかし、片方では、いま御指摘のように獣医学教育の内容について、ことに専門教育の内容について、それを諸外国と同じように充実をするということは緊急の課題になっているわけでございますから、そういったこともあわせて考えながら、関係者の間で鋭意検討が行われてきたわけでございます。その間に、大学院のあり方につきまして、別途、これは獣医に限ったことではございませんけれども、全体の大学院の制度の再検討が行われておりまして、その中で修士の課程の考え方について、研究者養成ということだけではなくて、修士の段階では高度の専門的な職業人の養成というふうな機能も十分に果たすべきであるという考え方がはっきり出てまいったわけでございます。
 そういった修士課程についての新しい考え方というものも基礎にいたしまして、修士と学部とを一貫した六年の教育のあり方というものも、これまた実際の方法として可能になってきたという事情がございました。それらの中で関係者がいろいろ御相談になったわけでございますけれども、基本的な方向としては学部六年ということを考えながらも、当面の措置としては修士を使った積み上げの六年ということで合意に達した。やはりここにまいりますまでには、そういったいろいろな問題についての関係者の意見を詰め、あるいは教育内容の検討をするということに、それなりの時間を必要としたという経緯があったわけでございます。
#14
○鶴園哲夫君 二十五年から今日まで、五十二年まで一貫して要請なり要望なりというのが行われてまいりましたのは、四年制を六年にしてもらいたいという要望なんですね。しかし、文部省の側の考え方というのは、それについては非常に消極的であって積極的では決してない。そして専攻科というような考え方ですね。専攻科というような考え方ということになりますと、今日の二年プラスした形で一貫教育を行って資格試験へというような考え方が、私は二十五年以来あったものだというふうに見なければならぬのじゃないかと思うんですけれども、それが今日二十六年間たって、二十七年たちますか、二十六年たって結実をしたというのか、修士課程を加えた積み上げ方式で資格試験をという形になっただろうと思うんです。だから言うならば、私は先ほど申し上げましたように二十五年かかったわけですね。そのことがどうも私理解がつかない。これは文部省の側にも問題があるかもしれません。農林省の側も問題があるかもしれないと思うんですけれども、初めからそういう考え方があったんじゃないかと。
 修士課程ではない専攻科というようなものを二十六年に設けられたという点等から言いますと、やはり今日出ている二年をプラスをして資格試験を持たせるというような考え方が、やっぱり初めから萌芽としてはあったんじゃないかと。にかかわらず、二十六年もかかるということは、これはどうも理解がつかない。もっとも、養成する側のその熱意といいますか、あるいは客観情勢というもの、そういうものの変化というのはこれは大きくやっぱり影響はしていると思うんです。特に、二十五年ごろから毎年のように集中的に、集中豪雨的に出てきたというのは、それなりの私は客観的な情勢があるというふうには思いますけれども、ただ、全体としてこの一覧表を見ましたときに私の抱きます不信というのは、疑問というのは、なぜ二十六年もかかったのかということですね。初めからそういう考え方があったのじゃないかと、萌芽としては二十六年のときからあったんじゃないか、専攻科を置くというときから。それが実ったのが今度のやり方だというふうに私は理解をするわけなんですけれども、そこのところがどうも大変長いなあという感じです。おっしゃる今度のような修士課程を二年積み上げたやり方については、後でまたもう少しお尋ねをしたいと思いますけれども、これは文部省の方からもお答えをいただきたいし、畜産局長の方からもお答えをいただきたいと思いますね。
#15
○政府委員(大場敏彦君) 確かに御指摘になりましたように、二十五年、二十六年それから三十七年それからずうっと四十年代の後半に入ってから、この六年制に延長してほしいという動きがかなり熾烈にあって、二十数年かかっている、こういうことでございますが、御指摘になりましたように、現在の獣医師法並びにそれから学校の制度でありますが、そもそもこれは、二十四年に発足した当初から、学部四年と、その中で教育課程が二年はきまっておりますから、いわゆる専門課程というのが二年ないし二年半ぐらいということでは短いという議論はかなりあったわけでありまして、それが二十五年あるいは二十六年の獣医事審議会等の要望あるいは教育刷新審議会の意見というような形で出てきているというふうに思っております。最初から六年制をしいておけば問題なかったわけでありますけれども、あの当時の事情を考えてみますと、確かに四年制では短いということはすべての者の議論にあったわけでありますけれども、当時の状況下としては、終戦直後でもありましたし、わが国の家畜数も非常に激減していたと。国全体の経済情勢が劣悪であったというようなことからしてまあやむを得ない、こういうようなことから四年制を当分とったということではないかと思っておるのであります。
 しかし、繰り返して申し上げますが、その当時下で、やはり学問的な立場からは四年というものは短いと、その当時の学制制度では獣医学教育の年限は絶対的に不足しているのだと、こういった議論はあったと、みんなの意識にあったというふうに私どもは理解しておるわけであります。その後、二十五年、二十六年という動きが先生の御指摘になりましたようにありまして、それから三十七年ということで飛んではおりますが、実は、その間でもわれわれ畜産サイドの方からはこの延長について動きをとめたということではございません。たとえば、三十三年には獣医事審議会におきまして教育年限延長を要請をしているという事実があるわけでありまして、獣医師サイドあるいは畜産のサイドから獣医学教育の年限延長というものに対するまあ一種の悲願でありますが、悲願を達成するための運動はやっておったというふうに私ども認識しているわけであります。
 しかし、それが四十年の前半から後半になりまして盛んになってきたということは、やはりそのバックとしていわゆる選択的拡大というようなもとで畜産が急速に伸びてきたと。昔の畜産ではなくなって、非常に畜産そのものも変わってきたということが背後にあって、そういう意味で教育年限を延長しなきゃならないという客観情勢というものがだんだん当初に比べて熟してきたということがあるわけで、そういうものを反映いたしまして、わが省といたしましても文部省の方に、これは別途行政的な立場から教育年限の延長を御要請申し上げているという経緯もあるわけであります。
 それがいろいろな経緯もありまして、今日御提案申し上げているような形での教育年限の延長という形で結論が一応出ているわけでありますが、確かに時間はかかったという点につきましては、私どももっと早くできなかったかなというような意味におきまして、われわれの努力が十分であったかどうかということにつきましては、いろいろ反省しなきゃならない点があると思いますけれども、しかし学制制度は、これは先生御存じのとおり、一たん設定してしまうとなかなか動かしがたいという事情も一方にあるわけで、かなり客観情勢の成熟というものもそういった学制制度を変えるためには一つの前提になるということがありまして、そういう意味でわれわれの努力が十分であったかという点の反省というもの――いままでかかったということは、そういった客観情勢の成熟というものがやはりバックになっていた、こう
 いうふうに認識しておるわけであります。
#16
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、非常に長期を要して今日の段階にまで至ったというのは事実でございますし、その点については余りにも時間がかかり過ぎているという御批判はちょうだいをしなければならないと思います。
 ただ、修業年限を延長するというのは、教育制度と申しますか、学校制度と申しますか、それを考えていく場合にいわば基本的な事柄でございますし、それに取り組むのには勢いわが方としては非常に慎重にならざるを得ないということがあるわけでございます。四十年代の後半に至りまして学術会議あるいは農林省等からの勧告あるいは御要請を受けて、文部省といたしましても最終的にこの問題に取り組むということを決意を固めて、鋭意検討を急いだわけでございます。それでもこれだけの時間を要しているというのは大変恐縮には存じますけれども、関係者の合意を十分に整えて、関係者の理解を得ながら今後の施策を進めていくというためにも、やはりできるだけ慎重な措置をとりたかったわけでございます。
#17
○鶴園哲夫君 今度の措置によりまして、医学部のような形で学部としての六年制をとるというんじゃなくて、学部の四年とそれから修士課程の二年、これを合わせまして六年という一貫教育をすると、こういうような教育の仕方といいますか、これは大変異例なことではないかというふうに私は思うんですけれども、教育関係については不案内でありますからはっきりしませんが、こういうことは大変異例な形になっておるんじゃないだろうかというふうに思うんですけれども。
 そこで、六年制にできない理由につきまして、昨年の三月二十九日に獣医学教育の改善に関する調査研究会議が大学局長に対しまして報告を出しておりますですね。「学校教育法を改正し、」「修業年限を六年とすることが最も望ましい。」と。「しかし、」ということで、現在では問題があると、先ほど局長がおっしゃったようなことが報告の中に出ておるわけですね。つまり三十人、四十人という定員の獣医学科、そういうものが十ぐらいの国立大学の中に散在をしていると、それを学部として認めるには困難である、それが六年制にできない最大の理由だと。もう一つあるのは、獣医学を農学系から外していいのかどうか、あるいは畜産学科とそれから獣医学科とどういうような関連を持たしておくべきかというような点もみんなの意見が一致できない、いろいろ論議がある。その二つを挙げまして六年制は困難である、こういうことなんですけれども、もう少しここのところをひとつ説明をしていただきたい。三十名や四十名では学部にならないという問題です。
#18
○政府委員(佐野文一郎君) 率直に申しまして、全く新たに学部を構想をするということであれば、四十名の学生定員が学部の規模としては成り立たないものであるというわけではないと思います。それは現に北海道の獣医学部の場合でも四十名の入学定員をもって学部の構成をしているわけでございますから、学部の単位として四十名というものが全く成立しないということではないわけでございます。
 ただ、先ほども申しましたように、現在すでに十の学科があるわけでございます。その十の学科を修業年限の六年に延長をするということであれば、またそれを学部にするということであれば、その十のものを現在の学生定員三十名ないし四十名という形のままで、いわば全体として三百三十名の学生定員について十の学部をつくるということは、これは実際問題としては決して適切な措置ではないわけでございます。修業年限の六年を学部の段階で考えるとすれば、やはり獣医学の関係者も言っておりますように、学部を入学定員六十名ないし八十名程度のものとして整備できるように、現在の十の学科の統合なり、あるいは重点的な整備なり、そういったことを考えて少なくとも五つないし六つ程度にする、その上で学部としていくということがやはり考えられるべき施策であるわけでございます。そういった事情で、直ちに十をそのまま学部にするという方針については私どもも不適切だと思いますし、また、獣医学の関係の方々も、いま申し上げましたような方向で学部の整備ということを考えようということを御指摘になっているものでございます。
#19
○鶴園哲夫君 いまのお話については後ほどもう少しお伺いをいたしたいと思いますが、いま局長がおっしゃったように、旧帝大といいますか、俗称旧帝大と言われるその中で、北海道がいまお話しのように学部として獣医学部というのが存在をしているわけですね。ですから、特に八十名でなきゃならないとか、あるいは百名でなければ学部にならないという点も、これは理屈としては問題があると思いますね。看護学部というのがありますね。これは非常に定員が少ないんじゃないですか。これは定員が非常に少なくて学部ができているように思うんですけれどもね。ですから、私は、特にいま何としてもここで学部をつくらにゃいかぬということを主張しているのじゃなくて、いま要望としては六年制にしてもらいたいという、二十六年の念願なんですね、要望なんですよ。ですが、それに大変消極的なお考えを出されて、そうして理由としましても二つを挙げていらっしゃるけれども、その二つの理由についてはいろいろ私の方としても意見があると、また疑問もあるというふうに思うものですから、お尋ねをしておるわけです。
 農学系学部の中から獣医学部を独立さすという点についてコンセンサスを得られないという点も挙げていらっしゃるんですが、北海道の場合に獣医学部というものが学部としてある。私は、まあ簡単に言い過ぎかもしれませんが、農学系学部の中から獣医学部というものを独立さしていく、結構だという私は考え方を持っている。違うですよ、これ。やっぱり医学ですよ、一種の。どうも農学科とか、それから林学科とかいうのと違うですね、あるいは水産学部、学科とかいものと違う。しかし、まあいろいろ長い間の伝統がありますから、明治以来の伝統と言ってもいいかもしれぬですけれども、伝統がありますから、なかなかみんなの意見が一致しないという点もあるかと思いますけれども、しかし私はそういう考え方を持っているんですが、ただ少ないから学部としては問題があるという、しかもそれが最大の問題だと書いてあるわけですね、この報告の中には。人数が少なくて、三十名、四十名という定員でそれが十の国立大学に分散しているという、それが最大の学部にできない理由だと、こう書いてあるものですから、少し文句を言いたくなるわけなんですけれども、局長の見解をひとつ聞きたいと思います。
#20
○政府委員(佐野文一郎君) 四十名が学部の定員の規模として全く成り立たないものでないということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ほかにも、いま御指摘の千葉大学の看護学部を新たにつくりましたが、これは定員六十名でございます。四十名の規模のものとしては、従来歯学部――歯の学部が国立の場合には四十というような非常に小さな定員でスタートをしているわけでございます。歯の学部のような場合には、これは歯科医師の養成ということを考えて逐年定員増ということを進めてまいっておりますし、将来はそれぞれ六十あるいは八十、さらには百というような形で拡充をしながら学部として整備をしていくものでございますけれども、獣医学部の場合には、これは現在の学生定員の規模をさらに拡大をするということは、獣医師の需給の状況等から考えまして適当ではないという御判断が片方にあるわけでございます。
 したがって、どうしても考えるとすれば、現在の国立で言えば三百三十名の学生の入学定員の規模ということを前提として、その中で学部の整備ということを考える必要がございます。その場合に、やはり十の学科をそのまま学部にするということは、きわめて効率の悪い形での学部構成をするということになりますし、獣医学の今後の発展なり充実ということを考える場合にもそれは適切な方法ではない。やはり修業年限六年ということを契機として、わが国の獣医学部の全国的な配置等も考えながら六十名ないし八十名の定員の学部として整備をするということを、困難ではあっても考えるべきであるというふうに私どもは考えているわけでございます。
 農学部から獣医学部を独立させることそれ自体については、私は、御指摘のようにそう基本的に問題があるわけではないと思います。ただ、学部を考える場合に、単独に獣医学部で考えるのか、あるいは畜産獣医学部で考えるのか、それはこれから学部の検討がそれぞれの大学で行われていく場合に、それぞれの大学の事情あるいは整備を図っていく関連の大学の事情によってやはり考えるべきところがございますので、一律に獣医学部というわけではないという点があるのは、これは調査会の御指摘のとおりであろうと思います。
#21
○鶴園哲夫君 いま歯学科の話が出ましたですけれども、歯学科というのは、戦前は大学の中にはなかったわけですよね。それが御承知のように、戦後になりましてああいう形になってきたわけですけれども、もと、あれは大学の中になかった。専門学校という形、三年制という形になっておった。その点から言いますと、この獣医学という関係は、これは昔から三年制の大学の中にあったんですよね。しかも、畜産の大変な発展という、農学系の中にあっては畜産関係というのは大変異常な発展をしてきているわけですね。そういう中で、私は歯学というのができるのと、そんなに差のない形でこの問題はやはり考えていく必要があるんじゃないか。今後これは六年制の学部として考えて検討していくという考えがあるのかどうか、速やかにそういう時代をつくるために検討していかれる考え方があるのかどうか、そういう点をこの問題の最後に伺っておきます。
#22
○政府委員(佐野文一郎君) 修業年限の六年ということを考えます場合に、現在御審議をお願いをいたしております積み上げによる六年という形よりも学部六年の方が望ましいと、それを基本的な方向として努力をすべきだというのは調査会のお考えでございますし、私どももそれを受けまして、学部六年ということを実現できるように努力をしてまいりたいと考えております。関係者もいわば総論的にはそのことについては全く異論がないわけでございますが、いざ十の学科をどのような形で具体的に統合整備をしていくかということになりますと、これは関係の大学にも、それぞれの地域にも、それぞれ異なった御意見があるわけでございます。いろいろとむずかしい点があって容易に実現ができないということは、それは私たちも覚悟の上ではございますけれども、やはり関係者の努力を求めながら、できるだけ早い時期に六年の学部教育というものが実現できるように努力をしてまいりたいと考えております。
#23
○鶴園哲夫君 この局長に対する報告の中に、いま局長から御答弁のありましたように、三十名、四十名という定員では大変問題だ、だから統合するという意見が出ていますね。いま局長もそういうような御答弁をなさったんですが、具体的に統合をするというような考え方でお進めになっていらっしゃるんですか。何か鹿児島の大学と宮崎の大学と、これは旧高農時代から獣医学科というものがあったんですから、それが大学に昇格というわけですか、戦後大学になってそれぞれ獣医学科というのがあるわけですね。たとえばそういうものをどこか一カ所に統合しようという、こういうような考え方でお進めになっていらっしゃるわけですか。
#24
○政府委員(佐野文一郎君) 基本的な方向といたしましては、やはり全国的な配置を考えて、現在の十の学科を五つないし六つに統合整備をすることが理想的な形だというのは、これは調査会のお考えでもありますし、私どももできればそういう形に持っていきたいというふうに考えております。ただ、それぞれの具体の事例について、たとえば宮崎と鹿児島をどうするとか、あるいは北大と帯広をどうするとか、そういった形の具体の論議にまで現在入っているわけではございません。なお、獣医学の関係の方々の御協力を得まして、どういう形でこれからの具体の整備の話を進めていくべきであるか、その点についての御議論をいただいているところでございます。
#25
○鶴園哲夫君 私は初めからお話をしているのは、北海道の大学の場合を考えてみて、四十名で獣医学部という学部があるではないか。三十名、四十名程度の学部があっても差し支えない、看護学部にいたしましても五十名程度のものだと、で、学部としてこれは存在しても差し支えない。先ほど局長のお話のように、少ない数字では効率の問題があるようなお話でありますが、しかし、具体的には存在しておるわけです。北海道においてもそうですし、看護学部におきましても、そうでありますし、局長おっしゃるように、いま十あるものを五つか六つに統合するということになりますと、これは容易じゃないですね。そうなりますと、どうも不可能なことをやりながら引き延ばしていくというような形にしか受け取れない。お役所というのは、よくそういうことをやるところですわな。なかなかむずかしいことをやって延ばしていくというようなことなんです。それはそんなのできないですよ、やろうと思ったって。鹿児島大学なら鹿児島大学は外しましょうと、おたくに持っていきましょうというような調子にはこれはならないですよ、なかなか。そんなことをやられるなら、それは真剣に六年制を検討いたしておりますと言いながら、実際は初めから検討しないのと似たような結果になるんですね。
 ですから私は、若干の、三十名程度でなくて、四十名か五十名程度で学部というものをつくったって差し支えないじゃないか。それから農学科から外したって構わぬと。私は違うと思っているんです。違うと思っていると専門でない者が言うとおかしい感じがしますが、私は農学部を出たものですから、だから考えてみて農学部というのとは違うと思うんですね、獣医というものは。やはり医術ですよ。動物だって血管持っていますし、心臓もっていますし、皆持っているわけですから、脈博も持っているわけですから、その病気を治し予防するわけですから、これはやっぱり違いますわ、植物とは。ですから私は、学部としてそんな統合するというような妙な話をしたら、これは絶対できないですよ、そんなことをしたら。そうではなくて、北海道と同じように――やっているわけですよ、北海道りっぱに。ですから、学部としてひとつやっていかれるというふうな方に努力をしてもらいたいということを要望しておきます。局長が言われるような話じゃ、これはやらぬのと同じですよ。どうです、局長。
#26
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、非常にむずかしい課題であるということは十分に承知をしておりますし、また、足して二で割るような機械的な形で事に臨んでいけないということは十分に承知をしておりますけれども、やはり先ほど来申し上げておりますように、学部六年ということを考える機会に、わが国の獣医学部の将来の発展ということを考えて、やはり重点的な整備ということを考えたいというふうに思っているわけでございます。
 これから地方の国立大学につきましては、獣医学部に限らずに、それぞれの地域の要請なり、あるいは地方における高等教育の機会の拡大ということも考えながら整備を進めていくわけでございます。そういった、これからの地方の国立大学の計画的な整備の中での一つの非常に重要な課題であるというふうにとらえて、関係の大学との協議を進めてまいりたいと存じております。
#27
○鶴園哲夫君 今度のこういう措置によりまして、学部に入った者はほとんど全部と言ってもいいと思いますが、これは修士課程に入らざるを得ないということになると思うんですね。そのことと、学部六年制にすることとどれだけの差があるのかということを考えました場合に、私は局長のおっしゃるようなことにならぬのじゃないだろうか。しかも、学部を出た者がすべてと言ってもいいと思いますが、すべての者が修士課程に入らなければならないという大学の設置基準なり、それから修士課程、大学院の設置基準というものを変えなければならぬ。それこそ修士課程といいますか、あるいは大学の設置基準というか、大学院の設置基準というものの例外をつくることになるという気がしてしょうがない。これは異物がはさまるということになるんじゃないでしょうかね。そうしますと、これはそういう異物をはさましておくよりも、この際私は学部にして、そして六年制にするということの方が、これは大学の設置基準からいって、あるいは大学院の設置基準からいって適当であるというふうに考えなければならぬのじゃないか、こう思うんですけれども、局長の答弁をお願いします。
#28
○政府委員(佐野文一郎君) 先ほど来お答え申し上げておりますように、理想的な形としては、御指摘のように、学部六年ということを考えるというのが筋であろうと思います。しかし、現在の制度のもとにおきましても、学部と修士を活用いたしまして六年一貫の教育を行うということは制度上はもちろん可能でございます。これは設置基準を改正する等の措置を必要とせずに、まさに学部と修士における教育というものを通じての一貫した六年の獣医学教育を行うということはできるわけでございます。学部を六年にするということになれば、これは設置基準の改正を必要といたします。
 ただ、そうではございましても、学部と修士とを一貫して教育をするということになりますと、従来にはなかった試みをするわけでございますから、その教育の内容というものについては十分に検討をし、各大学において御配慮をいただかなければなりませんので、この点については専門の方々の御協力を得まして、教育課程のいわば標準的なものを取りまとめまして、御審議の結果、積み上げ六年が発足をするということになりますと、各大学にこれを示して獣医学の関係の視学委員の御協力をいただきながら、各大学における教育内容の整備には遺憾なきを期したいというふうに考えているわけでございます。
#29
○鶴園哲夫君 もうこの問題は、少し長くなりますけれども、局長がたびたびおっしゃるように、またこの報告の中にありますように、六年制にするということが理想だということなんですからね。しかも、学部として北海道にいい例がある、あるいは看護学部といういい例もある。ですから、そういう面から言いますれば、二年積み上げて大学を出た者が全部修士課程に入らなきゃならぬということと六年制にすることの間については、むしろ私は六年制にした方がいいという考え方を持っているんです。たびたび理想とおっしゃるんですから、そういう方向へぜひひとつ努力を願いたい。統合するなんていう話をされたら、それは容易じゃないです。また二十五年かかりますよ、二十六年。それはどうにもならない。ですから、ぜひそういうことでひとつ局長、努力を願っておきます。
 そこで問題は、こういうふうにいまあります定員の数から言いますと、四年制の大学を出た者が大学院の修士課程に入る、その修士課程の定員というのは、国立の大学の場合におきましては、ほぼ半数の者がいま定員を持っているわけですね。あと大阪の府立に獣医があるんですね。大阪の府立大学に獣医学部というのがあるというのだな、この大都会に。それは結構な話で、ネコ、犬がいますから獣医学部がある。これはまあ半分に足りぬ。大体国立と公立一校、十一校については、四年制の大学を出て二年の修士課程に入る定員というのは半分あるというふうに言っていい。しかしそれは、いずれにしましてもそれを二倍にふやさなきゃならない。さらに問題は、私立大学が五つあって、それらはいずれも修士課程というのは非常に少ない、一割に足りないという程度ですね。そうしますと、この修士課程というものは、定員というものを十倍に広げなきゃならないということになりますね。
 こういう問題について、国立の場合は当然といたしまして、私立大学についてどういうような積極的な援助をなさるのか。これは私はある意味では義務があると思うんです、そうしなきゃ意味がなくなっちゃったんですから。四年制の獣医学部を出てもそれは意味ないんです、二年の修士課程を出ないと。これはそういう法律改正をするわけですから、そうしますと、私はこれはある意味で義務的な援助をしなければならないというふうに思うんですけれども、この私立大学の修士課程に対する援助の仕方について、具体的にお尋ねをしたいわけです。
#30
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、私立は現在大学院の修士の定員は五十名でございますから、したがって、なお五百名程度の定員増をしないと学部学生の受け入れができないという事情にございます。これをどのような形で整備をしていくかということにつきましては、私立大学の側と私どもの方で現在いろいろと打ち合わせ、御相談をしているところでございますけれども、具体的にその整備に入ってまいります場合には、一つにはもちろん私立大学の経常費の助成ということが基本的にはあるわけでございますし、経常費助成の拡大につきましては逐年努力をしているところでございますから、このような修士の拡大に伴う経常費の面での手当てというのは十分にできようと存じます。施設設備の面での拡充、ことに施設の拡充が問題になるわけでございますが、これについては、従来から私学振興財団の方での融資の措置を講じてきておりますので、それによって関係大学の御要望に応じて援助をしていくということができると思います。
 ただ、御指摘のように、通常の状態ではなくて法律の改正に伴うどうしてもやらなければならない拡充でございますから、さらに所管の管理局の方とも十分に相談をいたしまして、たとえば私学助成には経常費助成の中で一般的な経常費助成のほかに特別助成というような制度がございまして、特色のある教育研究を行おうとするものについては特に手厚い助成をするような道もあるわけでございますから、そういったことの活用ができないかというような点の検討を含めて、私学がこの問題に取り組む場合の国の助成については十分に配意をしてまいりたいと存じております。
#31
○鶴園哲夫君 おっしゃるように、国立の三百三十名の大学の定員に対しまして、私立大学がその約二倍に近い五百六十名という定員を持っているわけですね。私立大学は、これで四年卒業したって意味ないわけです。法律によってどうしても意味なくなっちまう。ですから、おっしゃるように、特別の援助をやっていかれるという話でありますから、経常経費に対する援助以外に特別の援助をぜひこれはやっていただかないというと、法律の改正によって無意味になっちゃうんですから、だから私は、そういう意味では義務的な援助が絶対に必要だということを強調をし、またぜひいまおっしゃったように、特別の援助をひとつ要望しておきたいと思っております。
 日本の国ほど、大学に対して援助をしていない国というのはないですね。私は六年ぐらい前でしたか、坂田さんが文部大臣のときに大分この問題について予算委員会でやったことがある。日本の私立大学に対する政府の援助なんというのは、もうなきに等しいですものね。ひどいもんですものね。外国なんか、アメリカでもそうですしヨーロッパでもそうですけれども、こんな援助をしていないひどい国なんというのはありはしないんです。これはちょっとよけいな話ですけれども、六年前ですか七年前ですか、その後五カ年計画ができて逐次援助が出ておりますけれども、まだまだこれはお恥ずかしい話ですよ。私立大学に対する国の援助なんというのは、全く恥ずかしい話です。特に大学の国際交流の問題なんかについては、もう本当に恥ずかしいです。文部省なんて何をしているんだろうと思っていますね。これは政府が悪いんですけれども、文部省も悪いんじゃないのかな、これ。文部省というのはあんまりよくないからな。――よけいな話でありますが、以上でいまの問題については終わりたいと思います。
 そこで次の問題は、農林省と人事院に若干お尋ねをしたいわけです。
 私どものところに配付になっております資料によりますというと、獣医事に従事している者、三十五年以来五十年までのこの十五年間の推移を見ますというと、公務員の関係は、国家公務員として従事しておる人員、これは減少してきておりますね。特に農林畜産関係が一八%減少している。獣医事に従事している者全体はこの十五年の間に二六%増加しているわけですけれども、国家公務員として従事している獣医師は減少している。特に農林畜産関係、これは一八%減少している。それから獣医の教育公務員、これが大幅にこの十五年の間に、特に四十年から五十年の間に二〇%減少している。それから、都道府県に獣医として働いている者は三〇%増加している。それから、市町村の職員として従事している獣医、これは七〇%増加していますね。公務員は減少している。それから教育公務員も大幅に減少している。だが、都道府県が大変増加している。特に市町村が大変な増加をしている。それからもう一つ民間団体、これは農協が十五年の間に一五%減少しています。農業共済が二五%減少している。そして会社は一二七%増加している。会社関係というのはえさの関係、それから最近インテグレーションが大変、豚のごとき、鶏、特にブロイラーのごときはインテグレーションと言ってもいいほどでありますから、農民的経営ではないと言ってもいいぐらいな状態までなっておりますから、したがってこの獣医師というのが大変会社に勤務をするということになるだろうと思います。ですから、一二七%増加ですね。それからあと個人の診療所、施設に勤めている者、これは産業動物については、いわゆる畜産とわれわれが言うこの産業動物については一七%減、犬・ネコ病院、こういう関係が八六%増加、こういう形になっているのですね。
 それで、特にこの農林省の資料によりますと、四十九年までの十年間に獣医を出た大学卒の総数が七千四百六十三名と出ている。その中で、職場の内訳が出ていますね。それを見ますというと、個人開業の産業動物を取り扱っている者はわずかに〇・五%。それで、犬・ネコ、一口に犬・ネコと言っておきますが、犬・ネコ、これが一〇%という割合です。産業動物〇・五%、いま畜産の獣医を出て、産業動物に関係している者は四分の一という状態ですね。異常な状態だと言わなければならぬと思います。六年にしてみたけれどもその後余り効果ないじゃないかという、畜産、畜産とおっしゃるけれども、四分の一というような状態になっているわけですね。これは一体どういうことなんだと、どういう反省をしなければならぬのかという点ですね。
 それで、私は、これは処遇の関係が一番大きな原因を成しているんじゃないだろうかというふうに思いますね。公務員の中で国公の関係が減ってきている、国家公務員というのは賃金が低いということは定評がありますからね、いま。公務員族の中では定評があるわけで、国家公務員の獣医師が減少しているというのは、いろいろ理由がありましょうが、どうも処遇の関係が大きいんじゃないかと思う。それから、民間団体でも農協、農業共済という最も必要なところがどんどんどんどん減少すると。もうはっきりしている、この十五年間の傾向というのは。そして、会社関係が異常に発達する、一二七%ですね。こんなおったまげた数字なんというのは、最近の日本の数字じゃ少ないのじゃないですか。それから診療所の関係につきましても、産業動物については非常に減少している。そして、犬・ネコという関係が異常な発展をしている、こういう状況です。これは処遇の関係というのが、簡単に言うと非常に大きいのじゃないかと。物事は簡単にした方がいいですからね。いろいろ理由はありますけれども、その中で特色としてわれわれが考えなければならぬ点は、処遇の点があるんじゃないかという点を痛切に感ずるわけですけれども、局長のひとつ答弁を願いたいと思います。
#32
○政府委員(大場敏彦君) 御指摘になりましたように、まず、いろいろな職域に獣医師が分布しているわけでありますけれども、国家公務員の関係で農林畜産関係に従事している獣医師というものは、確かに十数年前に比べればかなりの減少をしている。数年前に比べると大体横ばいというような傾向にあります。都道府県の職員でありますが、これは農林畜産部門に従事している都道府県の職員でありますが、これは逆に若干ふえている、こういう状況であります。市町村は減っている、こういった状況でありまして、その半面、これも御指摘がありましたが、たとえば民間団体あるいは個人開業、そういった点で会社、食肉関係あるいはえさ会社とか、あるいは豚その他のいわゆるインテグレーションに従事するような会社の獣医師がふえてきている、これも事実であります。一方、診療業務に従事する獣医師の分布を見ますと、いわゆる産業動物というようなものの診療に従事している獣医師というのは減少の傾向をたどってきている、これは残念ながら事実であります。それからその半面、いわゆるペット獣医師というものはふえてきているということは事実でありまして、獣医師総体の数としては毎年二、三百名ずつやや増加しておりますが、かなり内部の分布が変わってきている。
 達観して申し上げますれば、農林畜産そういった産業部門に密接するような公務員あるいは開業獣医師というものの領域が狭くなってきている。逆に、ペットとか、あるいは産業獣医師以外の部門に従事する獣医師の数がふえるということが言えると思います。そういう意味で非常に問題が出てきているということは御指摘のとおりでありますが、たとえば産業獣医師なんかはいわゆる肝心の畜産振興地、ことに山村とかあるいは僻地等におきましては、産業獣医師の不足あるいは高齢化というようなことが非常に言われている半面、都市の一部におきましてはペット獣医師がこれはむしろ過密の現象を所によっては呈している、こういうような事態がありまして、非常にバランスが崩れてきているということは、私ども寒心にたえない問題の一つだと思っております。
 この原因はいろいろあろうと思います。一般的な風潮の問題もあろうと思います。若い人がやはり大家畜というものに対して魅力をなかなか持っていない。肉体的にもペットの方が楽でありますし、いわゆる工業化社会のもとにおきましては、やはり都市生活においていろいろな利便を享受し得るというような一般の傾向もあります。それから、大学の教育自身におきましてもなかなか大動物、牛とか馬とか、そういった大動物に接する機会が昔に比べて乏しくなってきている。先ほど先生が都会の大学のことに触れられましたけれども、都会の大学等におきましてそういったものを実習するチャンスが少なくなってきているということも、そういった風潮にあずかって力があると思います。しかし、やはり根本的には、実は畜産農業部門いわゆる産業部門における雇用力の問題というものがかなり関係しているのではないか。農村におきまして獣医師が高齢化し不足しているということは、やはりいろいろ報酬の問題あるいは所得の問題という点について問題がある。それから、これも待遇ということに帰着するわけでありましょうが、やはり山村等におきましては、社会生活等の利便というものが非常に欠けている。たとえば子弟の教育等においても非常に不便である、そういった点があって、なかなか若い人をそっちへ誘導するという力が不足しているということもあろうかと思います。
 それから、国家公務員等につきましても、これは給与の問題とどう絡むかはもう少し検討してみなきゃなりませんが、確かに国家公務員の場合には、昔に比べて、十数年前に比べて減少しているということは事実だと思いますが、これは待遇の問題あるいは職種としての問題、いろいろな問題がありますが、確かにほかの方に流れるということから言いまして、そちらの方の職場へ吸引する力が弱いということはやっぱり認めざるを得ないと思います。結局は、まあいろいろ見ますと、広い意味での社会的な待遇、処遇の問題ということが大きく関係しているというふうに認識しております。
#33
○鶴園哲夫君 確かに、必要な農協でも農業共済でも大変減少を続けていると、十年の推移を見まして減少を続けているという状況、あるいは国家公務員の獣医の関係につきましてもやはり減少傾向をたどっているということは、これはやはり大変重要な問題だと思うんですね。さらにまた、個人の開業している獣医師の場合におきましても、この十年の間に〇・五%しか産業動物については獣医の開業医がいないと。それから、犬・ネコのペットについては一〇%の人がいっていると、非常な数の増加ですね。いま局長のおっしゃいますように、根本的にはやはり社会的な処遇の問題というのが最も根底をなしているというふうに思うんです。
 そこで次にお伺いをしたいのは、これは国家公務員の場合は農林省におるんだろうと思うんですが、農林省の場合に動物検疫所というのがあるんですが、これは動物の輸入大変ですからね、いま。ペットの輸入も大変ですよ、大変な輸入ですわな。ペットの輸入の方がでかいのじゃないかなというぐらいに、ペットの輸入を初めとしまして大動物から小動物に至るまで動物の輸入というのは大変なものですね。そういう中で、動物検疫というのが大きな港、港で検疫をしておるわけですね。その動物検疫所の処遇を見まして、私は、これはどうも何ともならぬと、これじゃ。で、横浜に動物検疫所というのがある。そして支所が五つある、出張所が十ある。これが、動物検疫関係の日本の全体ですね。で、入ってくる大変な動物に対する検疫をやっておるんですね。それで第一線におるその出張所の出張所長というのは四等ですよ、四等級。これは出張所という名前をつけるからいけない。人事院は、出張所というと、これはもう四等だと思っているんですからね。そういう人事院がおるところへもってきて、出張所なんてつけたらだめですよ、これ。ですから、四年制の大学を出て、そして自分の先を見たときに、公務員の一生を考えた場合に、四等で終わりですよ、これ。
 ここの横浜にある動物検疫所には所長一人ですよ、課長四名か五名ですよ、そしてあと支所長です。支所長は三等級、五つある。出張所が十ある、その出張所長というのは、これは四等級。いま中学校出て、高等学校を出て四等になってみんな終わるんですよ。ですから、四年制の大学を出てこう上を見た場合に、おれはこれはもう四等で終わらにゃならぬわいと思ったら、だれが入りますか。今度は大学院を出るのですよ、これは。六年制になって先を見た場合に、四等で終わらにゃならぬと、せいぜいうまくいって支所長になって三等です。これはどうにもならぬです、これじゃ。私はこれを速やかに変えてもらいたいと思うんですね。
 で、動物検疫と同じように植物防疫がありますね。これは定数が違いますけれども、植物防疫の場合われわれは植防、植防と言うんですが、一方は動物検疫を動検、動検と言うんですけれども、この動検に対しまして植防の方は本所が五つあるんです。横浜と名古屋と神戸、それから門司、それと沖繩と五つあるんです。それに所長がおる、それぞれ。そして次長に相当する者が二名おる、部長が二名おる、課長が五名おるんです。先は見えているんです、これ。ですから私は、動物検疫所の機構というものを組織変えをしなきゃならぬ。そうしませんというと、これどう見たって四等で終わりです。これは想像を絶しているという状況じゃないかと思うんですけれども、出張所という名前をつけるというと人事院はもうすぐこれは四等だと、こうくるんです。名前変えにゃいかぬです。何かそういうお考えをお持ちじゃないでしょうかね。これから六年制になって出てきた者を――来年から六年制のやつが入ってくるわけですよ。ちょっと頭のきいたやつは、先を見た場合に、おれ三等で終わりだ、四等で終わりだなんていったらならないですよ、だれも。なってくるはずないですよ。
 ですから、私は、少なくとも植物防疫と同じように、本所を四つぐらいつくったらどうですか。いまの支所を変えりゃいいですよ。何かそういうふうにでもしないと、これは見通しはないですね。せっかく六年にしてもらって、国際的な水準を持ったいい獣医師というものが生まれてくるんだけれども、国家公務員の処遇がこういう状況では、これは暗たんたるものですよ。知らぬで出てきて、これは愚弄されたようなものになっちゃう。ばか見ちゃうです、これ、私に言わせれば。ばか見ちゃうと言ってもいいんじゃないでしょうか、来年から入るわけですから、六年制を目当てにした者がですね。大体学生というのは先のことを余り見ないで入る傾向がある。われわれもそうでした。何とかよかろうと思って入ってみると、なかなかそうはいかぬ。もうそれよりもっとひどいですよ、これは。何か、そこら辺を積極的にお考えになるという構想はないんですかね。少なくとももう来年から入ってくるわけですから、その人たちが先を見た場合に、これはおれもあるところまでいけるわいと――四等で終わると言ったらだれも来ませんよ、恐らく私は、これはなり手がないと思うんですね。そこら辺の問題――これは試験研究機関に入る者はまだいいですよ、これはいいです。そうじゃない、具体的に動物検疫所に入る問題。
 それから人事院にお尋ねをしますが、人事院は出張所というと四等だという考え方はおかしいですよ。これは考えを変えてもらわにゃいかぬと思うんです。だから、考えを変えないということであれば、いま私が言うように、組織を変えて名前を変えにゃいかぬです。
 それから、もう一つ人事院にお尋ねをしたいのは、この間私は、何の問題のときだったですかな、獣医の問題についてお尋ねをしたことがあったんですが、何せ獣医さんというのは出てくる数字が少ないもんですからね、まあ九百三十名全体としまして卒業するわけですよね、それで国家公務員になる数字も少ないもんだから、十分な調査はしていないんだろうと思うんですね。ろくすっぽ知っちゃいないのじゃないかと思っているんです、私は人事院というのは。でっかいところしか調査をやらぬですから知っちゃいないのじゃないかと思うんだけれども、たとえば鹿児島に今度空港ができまして、空港には動物がどんどん入ってくるですよ。それでもう鹿児島は動物ががんがん入ってくる、そうして動検が一生懸命作業をやっている。そこの出張所長が四等ですよ。そこに働いておるいま三十、四十代の人たちが何と言っている、おれはこれは四等で終わるんじゃないかと、これじゃどうにもならないですね。私は大変な問題になってくると思うんですけれどもね。
 ですから、人事院にお尋ねをしたいのは、出張所長というのが四等だというその考え方がいかぬということと、もう一つは、これは獣医師の場合は上級職の試験を受けないんですね、そして農林省が行うところの国家試験、それを受けて入るわけ。ですから、上級職としての取り扱いをしてないのじゃないかと思うんです。これも恐らく人事院知らぬのじゃないかな。少ないもんだからな、少ないとこれはもうすぐ人事院は待遇悪いから。そこで、一体どういうふうにこの獣医というものを取り扱っているというふうにごらんになっていらっしゃるか。それから、来年から六年になるやつが入ってくるわけです。六年制を出た者について一体これはどういうふうに処遇しようというふうに、まず検討してもらわにゃ困るわけですよ。そうじゃないと、来年から入ってくる連中がこれは不安でしょうがないです。そういう点等について人事院の見解、それから畜産局長の見解を伺いたい。
#34
○政府委員(大場敏彦君) まず、動検がたとえばほかの機関、植防と比べて非常に不利な待遇を受けているのじゃないか、待遇の改善をしろという御指摘でございますが、動検職員の昇格の問題でありますが、これは先生御存じのように、人事院規則によりまして等級別の標準職務表ができているわけでありまして、それに基づきまして職種別あるいは等級別定数というものが決まっているわけであります。われわれとしては、もちろん同一学歴の他の職種とのアンバランスが生じないように等級別定数の確保ということは逐年努力はしているつもりでありますが、それが不十分だというようなことからいまの御指摘があったというふうに思っているわけであります。いろいろ努力はしているつもりであります。たとえば昭和五十一年度におきましては、いわば本所におきましての次長格と言っていいのでしょう、それに当たる調整指導官、これは四等級でございます。そういうものを新設したり、あるいは五十年度におきましては同様に調整指導官、これは四等級だけでありません。三等級も含めまして二名を設置するというようなこととか、あるいは東京支所長を、従来三等級でありましたのを二等級に昇格するというふうな措置は逐年講じているわけであります。決してわれわれの要望がこれだけで十分に達しているというふうには決して思っておりません。要望どおりにいってないという点はありますが、これはわれわれの努力が足りないというところもありますのでさらに努力はしていきたい、できるだけ上位等級定数の確保を図ってまいりたいというふうに思っているわけであります。
 それから、先生も御指摘になりましたが、そういった等級別定数の確保ということだけではなくて、根本的に組織そのものを改正して家畜防疫官の待遇改善について考えたらどうかという御指摘があったのだろうと思うわけでありますが、組織の改正そのもの、たとえば動検は本所のもとに支所があるわけでありますが、それを植防並みに本所というかっこうに引き上げて、それに伴って職員の待遇改善を図ったらどうか、一種の水平運動を図ったらどうかということがあるわけで、われわれもそれは検討さしていただきたいと思っておりますが、仕事の流れといたしまして本所と支所という関係、支所があって本所がそれを統括していると。すべての仕事の流れを、いろいろたとえば技術だとか、家畜の受け入れ体制の調整の問題だとか、あるいは検査方法の問題だとか、そういったものを本所において調整統一するというメリットも実はあるわけで、片っ方におきましては、支所、本所にやったことに伴ってそれ自身本所で仕事が完結するというふうなメリットもあるわけですから、そのメリット・デメリットを考えあわせて、この本所、支所の問題については考えていきたいというふうに思っております。
 ただ、御指摘になりましたように、植防とのバランスを考えてみますと、たとえば植防につきましては所長が一等級が一人おると、それで二等級は四人おるわけですが、動検につきましては――ほかの全体の定数が違います。全体の定数が植防が六百五十三人で、わが動検は百八十人でありますから、一概にもちろん機械的には論じるわけにはいきませんが、動検の方は長所が二等級が一人というようなことでありますから、少ないという感じはどうしてもやっぱり否めないと思います。それから、植防の場合に部長制をとっている。これは全部ではございませんが、たとえば横浜植防につきましては部長制をとっているということがあるわけでありますが、わが動検につきましてはそういう措置がなされていないということもありますので、実はそういった部長制の創設等につきましても要求はしているわけでありますけれども、現在までのところ残念ながらわれわれの努力が足りないということになると思いますけれども、実現していないということでありますので、そういった一つはポストといいますか、職制の問題につきましてもあわせて検討していきたい。支所を本所にすぐ上げて、それによって職員の待遇改善を図るということは、確かに一つの考え方だと思いますが、片っ方、仕事の流れとの関係をどうするかということもありますので、これはもう少し考えさせていただきたい。
 いずれにいたしましても、級別定数の確保ということをさらに充実するということと、それからそういった申し上げました職制をほかの農林省の機関とバランスを失しないような形で確保するということによって、少なくともそういったことによって、動検の職員の待遇の改善を図っていきたいというふうに考えております。
#35
○政府委員(今村久明君) お答えいたします。
 ただいま先生の方から獣医師につきまして、上級職試験を受けていないで、そして農林省だけの試験を受けているために処遇上の不利があるじゃないかというような趣旨の御質問ございましたけれども、まず初めに、私試験関係担当でございますので、いまの試験関係の問題につきましてお答えいたしたいと思います。
 これは御承知のように、もう先生に申し上げるのは釈迦に説法でございますけれども、公務員の採用試験の原則というのは、一般的には競争試験によるという原則になっておるわけでございますけれども、特別の知識あるいは技術等を必要とする非常に特殊な高度な専門職がございますので、そういう官職等につきましては、むしろ競争試験の対象としないという方が適当ではなかろうかということで、いわば各省庁の選考に任せておるというたてまえになっておるわけでございます。
 したがいまして、具体的に申し上げますと、獣医学もそうでございますが、医学とか歯学、つまり医師とか歯科医師あるいは獣医師といった、そういう関係の専門学科に関する知識あるいは技術を必要とするという官職は現在試験対象官職にいたしておりませんで、人事院としては正規の試験から外しておるわけでございます。ただし、それは各省庁の任命権者の方で選考で採用するわけでございまして、その場合にいろいろなやり方がございますけれども、人事院の正規の試験に準ずる試験というような形のものをいたしまして、そして正規の試験に合格した者と同じような処遇をするという道が開けておるわけでございまして、私どもそういう意味では、これは給与局の所管でございますけれども、たとえばいまの獣医師で言いますと、上級甲試験の合格者と同じ処遇に扱えるというふうになっているはずでございます。
#36
○説明員(角野幸三郎君) 動物検疫所の検疫員の処遇の面についてのお尋ねがございまして、お答えをさしていただきます。
 いま先生のお話の中で、非常に獣医師の数が少ないから人事院は大変不勉強で何も知らないだろうというおしかりを受けましたが、もちろんそれは対象数が多いとか少ないということではございません。みんな等しく公務員でございまして、私ども一般職給与法の職員は皆同じようによく研究をして、よく定数管理などは一生懸命やっているつもりでございます。ただ、個別問題というだんだん小さい部分的な話になりますと、どうしても直接自分が行って実感を持って見届けて差配をするというような関係からは、やはりやや疎いということには相なろうかと思いますが、それはそれで毎年秋に定数の査定、等級別定数の策定をいたしておりますときに、農林省でありますと本省から人事担当官、それから直接の部局からも来ていただきまして、よく検討させていただいております。そういうことをまずお断りさせていただきたいと思います。
 それから、まず検疫所の所長、支所長、それから出張所長と、こういう組織とそれから長の等級別定数の等級の高さ、評価の関係でございますが、やはりこれは農林省あるいはこの検疫所だけではございませんで、現在の給与法の標準職務表の立て方が、やはり組織というものに絡んで職務と責任ということを評価する一つの物差しであることも事実でございます。それは単に職名、組織の名称だけではございません。それはそういう姿のものではございませんで、職務内容の評価と相伴って一つのめどにしておる、こういうことでございます。
 で、具体的に申しますと、動物検疫所の所長さん二等級、先ほど先生お話しのとおりでございますが、支所長さん三等級、出張所長が四等級、二、三、四という、たてまえとしてはそういう関係にいたしておりまして、それはそういう組織を一応頭に置いて、付属機関の中の全体の各省との同等のあるいは同規模のもの、同性格のものとの均衡を考えながら、全体の中で評価をしておるということでございます。先ほど農林省の方からお答えがありましたように、そうは言いましても、その中で、支所の中でありましても個別に規模の特大のものとか、それからあるいは支所長でありませんでも、あるいは一般の課長ではありませんでも、調整指導官とか、そういう特段の職務について評価をしながら四等級なら四等級の数をふやしておるという、やはりそこのところは職務の実態とそれからさらに加えて属人的な要素をやや考えながら、今後の形を考えながら定数の査定をさしていただいておるということでございまして、努力をしておるということの言いわけでございますが、そういう形でここ毎年進んできております。
 それから、今度大学の方の制度改正といいますか、大学院あるいは六年制ということになりまして新しい卒業生が出ますというふうな状況を一応踏まえまして、それに十分間に合うように、この六年間勉強した人たちに対して、従来四年で入ってきた人たちとの均衡を考えながら、これから現にまた、現在大学院の修士課程を卒業して公務員になる採用者、いわば六年というような関係のものもございますので、そういうものとの横との関係も考えながら、それは今後の問題として十分検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。
#37
○鶴園哲夫君 私がいま動物検疫所の問題を取り上げまして処遇の問題について申し上げておりますのは、獣医師全体の十五年の傾向からいって基本的にはやはり社会的な処遇という問題ですね、これが大きな問題じゃないかというところから出て、その一つのものとしていま動検の問題を取り上げている。動検の問題を取り上げているということは、国家公務員にその獣医師が勤めた場合にこういう処遇を受けるということが、直ちに農協なりあるいは農業共済なりその他の職場に勤めている、あるいは地方公務員なりあるいは県なり市町村等に勤めている獣医師の待遇に、直接密接な関係があるから言っておるわけであります。まず、国家公務員として獣医師が勤める場合の処遇というのが、これは獣医師全体の処遇のやはり基礎になるというところから、私はこの動検の問題を取り上げている。
 それで、出張所長を四等と、こうきたわけだ。で、角野さんのおっしゃるように出張所長だから四等だ、こういうことでしょう。いま出張所長というのは、昔で言いますと中学校を出た人たちが皆支所長になっている。こっちの方はちょっと見た場合に、何だおれら四等しかなれない、四等じゃしようがないじゃないか。出張所が十あるんです。支所が五つあるんです。そして、横浜に動物検疫所というのがある。二、三、四と、こうなっている、二等級、三等級、四等級。ほとんどの者は出張所長で終わるというふうに見ても差し支えない。そういう処遇では、これは獣医師というのは非常な不満を持っている。大変な不満ですよ。まして、これから六年制の者が来年から入ってくるという場合に、このような処遇をこのままほうっておいたら、これはもう愚弄するものに等しいと私は思うんです。
 そこで、人事院がおっしゃるように出張所長は四等だ、支所長は三等だというふうなお考えを持つなら、私はいま局長に申し上げておるように組織をお変えになったらどうだと。だから、横浜の動物検疫所、それから支所が五つありますから、その支所を動物検疫所にすればいい。あとは支所にしてしまえばいい。出張所をなくしてしまえばいい。そういうふうにしなければ、これは上がらないですよ。もし人事院がそうじゃなくてお考えになるなら別ですよ、出張所長でも三等だ、支所長でも二等だというふうなお考えになってもらうならこれはまた別だけれども、なかなか人事院そういうところは頭かたいですからね、ですから、これはやはり農林省の方で組織をお変えになった方がいいというように私は思いますよ。そうしなければ、三等、二等というのはふえないですよ。この数字見ればわかるんですから、約百三十名獣医師がおって、そしてこれしかないんですから、こんなものは入らないですよ。だれが入りますか、私なら入らない、絶対に。大変な不満があるんです。そのことが、全体としまして獣医師の取り扱いのやはり基準になっちゃっている。そして、民間全体に波及して影響を及ぼしているわけですね。
 ですから、六年制になさることは結構、国際的な水準の獣医師をつくることは結構ですが、処遇を根本的に考えてもらわなければ困ると、いまでも大変な不満なんですから。ですから、これは植防の場合におきましても五つの植防の本所がありますが、しかしそれは横浜で統轄をしておるんじゃないですか。そういうやり方はできると思うんですよ。ですから、支所というのはそんな大きな支所じゃありませんから、いまから支所というものをつくって、そしてそれの統轄を横浜の動検でやるというようなふうにして、横浜の動検にも次長みないなものは置くべきだと思うし、部長も二人や三人置かなければこれはよくならないですよ、待遇は。ですから、ここら辺を局長もう一遍――これは人事院も悪いんだな、人事院は出張所長というのはもう四等級だと頭にこびりついているから、支所長というと三等だと思い切っちゃっている。違うですよ、これは。先ほど任用局長おっしゃったですがね、特殊な技術を持って人事院の試験を外してあるもので農林省でやっているものについては、上級職甲の待遇として取り扱うことができるというお話ですけれども、そんなことにはなっちゃいないんですよ。なっているとお思いですか。だからぼくは、人事院は知らないじゃないかと言ったんです。角野さんは知っちょる、知っちょると言うけれども、少しばかり後の方で、現場に行っちゃおらぬからというお話でしたから、現場に行ってないからわからない。だから、決して上級職の取り扱いをしてないんですよ。上級職の中の取り扱いなんかしちゃいない。
 ですから問題は、どうしたら獣医師の待遇がよくなるか、さらに来年から六年制を目当てに入っくるわけですから、その人たちが運用をながめた場合に、入ってくるというような状況をつくっていかなければ、せっかく国際的な水準のものができてもしょうがないんじゃないですか。そこら辺について人事院も根本的に考え方を変えてもらう、同時に農林省においてもこれはもっと考え方を変えてもらって、先ほど局長のおっしゃったように、積極的にやってもらうという点について再度要望しておきます。もっと積極的に動いてくださいよ、人事院も。現場に踏み込んでもらいたいな、動物検疫所に。ぼくは案内するよ、鹿児島の動検に。いっぱいいま大変なものが入ってくる。これは大変な動物が入ってくるんですよ。そこでやっているところを見せてやらなきゃわからないんだ、これは。
#38
○説明員(角野幸三郎君) おしかりを受けておりますが、獣医師の資格のある国家公務員がだんだん少なくなって人が来なくなるというようなことであれば、これは大変なことでございます。それをやはり競合いたします民間のそういう資格を必要とする職場、これについていかがということは、これは十分に検討に値すると私思っております。ただ、他のもう一面として、今度は企業的といいますか、組織の中の昇進の問題、入り口だけではなくて、そういう処遇の問題があろうかと思いますが、これはやはり現在の給与法が職務と責任という縦の筋を通しております関係上、非常にごらんいただきますとかたい関係に見えるのも事実でございまして、現にそうやっておりますが、しかしそうは言いましても、たとえば上級職の試験を受けて入ってきます。準ずる試験も大体同じでありますが、上級乙、甲それぞれございます。そういう採用後の職員がだんだん育ってまいります。育ってまいりまして、それで、それぞれの一般の行政事務に比べてそれ相当の状態に育ってきた場合には、やはりそれ相当の均衡を考えながら今後の問題として考えていきたいと、そういうふうに思っております。いまそういう経過途中の段階で、いま一番最後までまだ行っておりません。考え方といたしましては、いずれにしてもそういう職務の実態プラス全体の均衡ということで、標準職務表を頭に置きながらそういう実態を見てやっておるということでございます。
 ただ、特徴といいますと、そういう検疫所だけではございませんが、そういう専門職の処遇の問題としては、一般に等級別定数の縦の組織の中で昇進していくというのとは違って、専門職的ないわば等級の中で真ん中ごろでございますけれども、七等級、八等級から入りまして大体五等級、四等級ぐらいまでは一般の行政事務に比べて非常に有利な運用をしておるというのは、それはやはり理工系のそういう専門職の処遇の特徴でございます。やはり一般の文科系といいますか、そういう行政事務に比べますとそこから先は重たくなるということは事実でありますけれども、それはやはりそういう試験採用者がだんだん育ってまいりますのはよく頭に置きながら今後の問題として検討いたしてみたいと、こういうふうに考えております。
#39
○政府委員(大場敏彦君) 農林省がんばれという重ねての御指摘であります。
 私ども現在、さきに人事院から御指摘がありましたように、上級職に準ずる試験という形で実施いたしまして農林省に獣医師を採用していると。そのときにも、現在たとえば修士課程を卒業して入ってきている者もかなり最近は出てきております。つまり実質的に六年制を終わって農林省に就職してくると、そういう場合に最低少なくとも二年間よけいに学歴を積んでいるわけでありますから、四年制の上級職の甲の者に比べまして二号俸アップという形で処遇はしているわけでありますが、問題はそれから先がどうなっていくかというところに実はあるわけで、それがその優位性といいますか、二年間よけい勉強したという実績が将来のいろいろな任用とかあるいは給与の処遇という点について見られているかどうかという点につきましては、これはさらにいろいろ改善しなきゃならない点があろうかと私は思っております。ただ、現在の時点におきましては、四年制というものがあり任意に六年制というものがある、こういう仕組みですが、そういった形になっているわけでありますが、今回この法律を御可決願えれば、実質的にすべてのものが六年制になってしまうわけでありますから、今後どういう形で任用するかと、任用資格ということと絡むわけです。絡むわけでありますが、任用資格といいますか、任用形態と絡むわけでありますが、そういった点で、六年制の学校を卒業した者、六年制の獣医学というものを勉強した者は、それなりにやはり評価をしていかなきゃならないというふうに考えております。
 それから機構を改革するような形での実質的な待遇の改善と、こういったことの御指摘でありますけれども、これは実は待遇改善の問題、あるいは支所というものがいいのか、あるいは本所という形にした方がいいのかということは、先ほど申しました仕事の流れということがもう一つありますが、やはり根本論としては、そこに勤めている獣医師に対する社会的認識の問題ということと、それからもう少し言えば、獣医師が勤めているところの職場に対する社会的認識、評価ということと実は絡むわけでありますから、そういった点につきましてはさらに検討をして、できるだけ待遇の改善につながるような道は歩んでいきたいというように思っております。
#40
○鶴園哲夫君 先ほど角野さんがおっしゃった、これから検討だという話じゃないんですよ。いま問題なんです。六年制の問題、その上に加わったもう一つの問題、二つあるわけですよ。いま問題なんですよ。
 いまは、御承知のように獣医師も雑多と言うのかな、雑多という言葉は悪いけれども、四年制の学部を出た者と、昔の高農の三年を出た者と、さらに国家試験を受けて出た者と、そういう人たちがあり、また戦争中の軍事関係からできた者と、これはまあ獣医師という形にはなっておりませんけれども、そういう者と、言うならばいろんな種類のものがある。しかし、そういうものはだんだん年齢が高くなりましてやめてまいっておりますから、ほぼ四年制の大学を出た者が獣医師として動物の検疫に活動していると、こういう状態。いまの問題なんです。そして、それにプラス六年制が来年から入ってくるという場合に、いま改善をし、これから着々と着実に改善をしていかなければ、私は恐らく志願者はいなくなりはせぬかと思うんです。
 こういうことまで心配しておりますから、いまが問題だから、これは角野さん、速やかに一遍見る必要があるな。どこでもいいから、農林省と連絡をとって見てもらうんだ。それは大変な尊敬を受けていますよ。これはぜひ見てもらわにゃいかぬな。そうでないと、やっぱり出張所長はもう四等だと思い切っちゃっているからな。支所長は三等だと思い込んでいる。そういうかたいからがあることは知っていますよ。余りかた過ぎるんだ。中身が違うんだからね。それでまた職務とどうだこうだと言っている。専門職ですよ、これ。ですから、いまが問題であると同時に、さらに来年から六年制の者が目標にして出てくる。その場合の公務員の処遇というものが全体に非常に大きな力を及ぼしているわけだから、まず国の方がきちっとした処遇をするというふうにしなければいかぬ。いまの問題なんですよ。これからの問題じゃないですよ。そういうところで、畜産局の方でも人事院の方でも歩調を合わせて、受けざらも人事、院もきちっとつくって、これはおととし問題にしたんです、澤邊さんが畜産局長のときに。さっぱりやっていない、いま聞いてみれば。見てもいない。人事院、こういうことじゃだめだよ。だから、ぼくは人事院というのはだめだと言っているんだ。いい面もあるけれどもな。小さな職場を非常に軽べつする――軽べつじゃなく軽く見ちゃうんだな。それで困っちゃうんだ。やはり、局長おっしゃったですけど、それは組織的な仕事の面というのもありますけれども、処遇というのが仕事をする上の最も基本ですよ。まいっちゃうんですよ、こんな処遇が悪くちゃ。それが仕事を向上さしていく基本になるわけであって、あとその上に組織をうまくやっていけばいいわけですからね。それで組織をある程度変えないと、人事院さんというのは頭がかたいからだめなんですよ。変えないでやってくれれば一番いいんだけれども、変えなけりゃ、やっぱり出張所長は四等だと思い切っちゃっているんだから、だめですからね。やっぱり私は組織を変えた方がいいと思いますね。そして小さな本所にして、そして横浜の動検できちっと統括をする、そういうふうにした方がいいんじゃないですかな。
 そういうことをひとつ要望いたしまして、それを終わって、時間がそろそろ参りますが、もう一つは、先ほど私申し上げましたように、要するに二万一千名おりますところのいまの獣医師の中の大体四分の一程度が、この産業動物に従事してみるわけですね。非常にその意味で、これからますます発展させなきゃならない大動物、肉牛にしましてもそれから乳牛にいたしましても山村地域に入ってくるわけですし、これから畜産局が盛んにおつくりになりますところの畜産基地という大運動ですな、大政策、これらを見ましても、山地に入っていく、入らざるを得ない。というのは、畑と山と連なったところは全部ゴルフ場になっておるわけで、本来ここは牧場にならにゃいかんのだけれども、全部これはゴルフ場。その奥地へ畜産基地をつくらざるを得ないということになるわけですから、そうしますと辺地なところになってしまう。しかし、そこにあっても、何としてもやはり獣医というのがどうしても必要になってくる。しかも、さらに大規模化していくわけですから、集団的な飼育をしますというと、ますます獣医というものは徹底的に必要だということで、そこで農林省としましても、そういう産業動物を取り扱う獣医というのは少なくなっている、それがまた最も必要な山村についてはますます不足しているということで、五十年から御承知のように二千五百万円ぐらいの金を組んで、五十年、五十一年、五十二年と、無医村じゃなくて無獣医村の解消のモデル事業をやっていらっしゃいますね。その事業の効果、見通しというものはどういうふうになっておるか。あるいは無獣医地区というものはどの程度あるかという点を一つお尋ねします。
#41
○政府委員(大場敏彦君) 無獣医地区というのは、産業動物の獣医師不在でありますけれども、町村によって、同じ産業獣医師が不在でありましても非常に影響があるところと、また影響がないところといろいろあるわけでありますが、産業動物の獣医師の不在の市町村数を申し上げますと、市町村含めまして九百五十九カ所あります。そのうちで影響がない、非常に都市化して産業動物の分布も少ないという意味だったと思いますけれども、影響がないというものが五百三十カ所あります。残りが何らかの意味において影響がある。つまり、四百二十九カ所というものは影響があるわけでありますが、その中でも非常に影響があるというのが二十七町、十二村、三十九町村、これは非常に影響があるというところであります。それから、それほど影響がないにしても中程度の影響がある。何が中であるかどうか非常に問題がありますけれども、中程度の影響があるものが二十一市、それから百十二町、七十一村という形で、かなり産業動物獣医師の不在というものによって影響を受けている町村というものが存在している、こういう実態であります。これに対しまして、私ども産業獣医師の畜産振興地域への誘導、定着化という形で、いま御指摘になりましたようなモデル事業というものを展開して実施しておるわけであります。
 この問題につきましては、そもそも発端といたしまして、こういうぐあいに産業獣医師というものがことに山村僻地において数は少なくなって年齢も高齢化しているというところから問題が提起されてきておるわけでありまして、四十八年、四十九年と私ども省内で産業獣医師の問題についての総合的な検討会というものを学識経験者にお集まり願って検討した結果、その検討の一環として実施しているわけであります。それを予算的に申し上げますと、五十年四カ所、二千四百九十二万、五十一年四カ所、二千四百二十四万、五十二年は六カ所三千五百八十九万という形で、これは無獣医地区に獣医師を定着化させるための予算でありますけれども、中身といたしましては住宅施設あるいは診療施設、診療器具等の助成をしている、こういったことであります。
 実施状況、効果ということはどうかと申しますと、五十年度は四カ所、これは全部実施いたしました。非常に残念でありますが、五十一年度におきましては一カ所しか実は実現できていない。これは、私ども行政の方のいろいろ配慮が十分であったかどうか問題があるわけでありますが、最初の五十年度のスタートのとき非常にスムーズに行ったわけでありますが、二年目におきまして、地元の隣接町村との獣医師との調整の問題、いろいろ利害調整とかそういったことが現実問題としてあるわけでありますが、そういった問題がやはり一つのネックになっております。それから、われわれの掘り起こしというような努力が十分であったかどうかという点も絡みまして、残念ながら少なかった。五十二年度におきましては六カ所というふうに予算をとりましたので、これはかなり現実には手を挙げている県も出てきております。山口だとか愛媛だとか、そういったところで手を挙げておりますし、それから全農といった生産者団体が畜産基地の建設事業を各地に展開中であります。そういったところで、やはり診療所を設置するというようなことが、団地建設だけではなくて、団地の建設に伴う獣医師対策というものを具体的に考えておるわけであります。そういうものと結びつけながらこの仕事を進めていきたいと、かように思っております。これはこれなりに、現実に数は少ないわけでありますけれども、そういった獣医師が存在しないために非常に迷惑を受けているというところについては効果を上げている。もちろん、これは悉皆的に全部やるということではございません。一種のモデル的な形でありますから、その中での問題を探って次の施策の展開に備えるための事業でありますから、そういう意味ではある程度のそれなりの効果はやはり上げているというふうに思っております。
 しかし、この仕事はこれだけではありませんで、ほかにいろいろたとえば奨学金の問題とか誘導、定着化ということに、シングル――一つの単一手段だけではありません。ほかの手段とかみ合わせて仕事を進めていくという必要があるのじゃないかというふうに思っております。
#42
○鶴園哲夫君 もう一つだけ、産業動物の獣医師の役割りというのは大変大きいわけで、その場合にいつも問題になっております家畜の防疫体制を進める上で、検査、注射等の医療業務に従事する雇い上げ獣医師手当の問題がありますね。この雇い上げ獣医師の手当の問題について毎年畜産局の方で努力をなさって、ことし五十二年で七千三百円という形になっているわけですが、これなんかもやはり獣医師の評価に非常に大きな影響を与えているわけなんですね。それで、医者の雇い上げ料というのは七千五百円ぐらいだというので、それとの差をある程度つけなきゃいかぬだろうというので七千三百円というふうになっているのだろうと思うんですけれども、しかしお医者さんというのはこれはもうかっておるんですからね。もうかっているわけだから、いろいろな意味で言うならば、ある意味では奉仕的な意味があってもいいと思うぐらいですよ。獣医師の雇い上げ料の七千三百円というのは評価が大きいですからね、獣医師に対する評価として。やっぱり今後も、もっとこれは引き上げるために努力をしてもらいたいと思いますね。評価になるんですよ、これが。ああ七千三百円かというわけですね、獣医師の一日の雇い上げ料が。これはちょっと困るという点があるんですね。ですから、さらにこの七千三百円という問題について今後も一層努力をしてもらいたい。大変評価に影響を及ぼしますから、ひとつ要望しておきます。
#43
○政府委員(大場敏彦君) いまお話しのありました獣医師の雇い上げ手当の問題でありますが、これは具体的には農村地帯における共済組合あるいは畜産局の系統で自衛防疫普及組織という形で推進しております家畜衛生指導協会、そういった団体で雇い上げている獣医師手当の話であります。これにつきましては、私どもとそれから経済局の方と毎年協力いたしまして、その改善については努力はしてきているつもりであります。五十年のときには医師の手当と獣医師手当というものは四百円の格差があったわけでありますが、五十一年のときにはそれを二百円に縮めたということで、格差の解消にはそれなりの、絶対額が多いかどうかという議論はあるにしても、少なくとも医師と獣医師のバランスにつきましては、バランスを失しないように、むしろ格差をできるだけ縮めるような形で予算の獲得を図っていきたいということであります。この問題は、毎年予算の折衝の過程において問題になります。いま御指摘ありましたように、単に共済組合に雇い上げられている獣医師の問題だけじゃなしに、現実に農村で開業している産業獣医師の診療の報酬というものと絡むわけでありますから、そこはわれわれよくわかっているつもりなんです。大蔵省といつも毎年折衡して争点の一つになる事柄でありますので、経済局の方ともよく連絡をとりながら改善には努力していきたいと思います。
#44
○委員長(橘直治君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後二時三十分再開することととし、暫時休憩いたします。
   午後零時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時三十六分開会
#45
○委員長(橘直治君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま塚田大願君が委員を辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。
    ―――――――――――――
#46
○委員長(橘直治君) 獣医師法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 休憩前に引き続き、本案に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#47
○粕谷照美君 午前中の鶴園理事の質問で、私も自分の疑問が大分明らかになりましたから、ダブる部分は省いて時間的にも協力をしていきたいというふうに思います。
 それで、先ほどとの関連で最初に文部省に質問をいたします。
 獣医学教育の年限を六年に延長する場合の教育組織のあり方について、獣医学教育の改善に関する調査研究会議の報告は、「獣医学教育の立場からは、六年間を一貫した効果的な教育を実施し得るよう学校教育法を改正し、獣医学の課程については学部の修業年限を六年とすることが最も望ましい。」、こうしているわけです。
 文部省も、大学局長先ほどからお答えになっておりますが、それが最善の策だというふうに思うと、こうお答えになっておられますが、私はこれは本当にそう考えていらっしゃるのかどうなのかという、まだその辺の疑問が消えないわけです。なぜかといいますと、たとえば文部省が本当にそうしようと思っている場合には、どんなに反対があっても、あの大管法のときでもそうですし、筑波大学法のときでもそうですし、もう強引にやるわけですよね。主任制の問題だってそうです。だから、それだけの何と言うんですかね、いままでの文部省のやる姿勢を見ていくときに、本当にこれが望ましいと思ったのであれば、私はやっぱりここのところでいろいろな御意見もあるでしょうけれども、それはまたいい獣医師をつくるんだ、獣医師の社会的使命を果たすためのこういう教育制度をつくらなきゃいけないんだということで本当に説得するだけの私は実力を持っているというふうに思うものですから、どうも局長の御答弁はまだ腹の底にずしんと落ちない部分があるんですが、本当にそうお考えなんですか。
#48
○政府委員(佐野文一郎君) 修士を活用いたしましての積み上げによる六年の教育でございましても、獣医学教育のあり方を改善をするということについては私は九分通り達成はできると思います。しかし、やはり学部の上に修士を積み上げるわけでございますから、学部だけで卒業する者のことも考える必要があるわけでございますし、そういった制度的な対応を考えると、やはり学部の段階で一つのまとまりを持ったものを考えていく必要がございます。そういう意味では、調査会の先生方が御指摘のように、本当に学部を六年一貫して獣医学の教育をするということからしますと、やはりそこに一つ何と申しますか、不満と申しますか、そういった点が残るということは事実であろうと思います。そういう意味からしますと、教育のあり方からしても、六年一貫ということを学部で達成をするのが最も望ましい姿であると私は思っております。
 それから、現実に各獣医学関係の学部を整備をしていく場合でも、やはり実際問題として三十名ないし四十名の定員のままで整備をするということは、どうしても学生の定員との関係で、当該学部学科の講座その他の整備ということが出てまいりますから、本当にこれまた獣医学の関係の方々がお考えになっているような、十分な講座数を備えた整備された学部ということを考えるとすれば、やはり六年一貫の学部で、しかも相当の規模を持ったものということを考える必要があるわけでございます。そういった両方の面からしまして、学部を六年とするということが望ましいということは当然のことであり、そのために努力をいたしますけれども、同時に、いまのままで十の学部をつくるというのは、決して将来の獣医学の教育を改善していくために適切な方法とは思われませんので、最善の方向を実現すべく、関係者との協議を私どもは熱心に進めてまいるつもりでいるわけでございます。
#49
○粕谷照美君 それでは、一九五二年の十月に大学設置審議会が決定しました大学院設置審査基準要綱には、修士、博士の課程について規定した後、これらの大学院の課程は、研究者養成のたてまえから学部の修業年限を延長したようなものであってはならない、こうされておりますね。この設置要綱の精神からいいまして、四年プラス二年というこの積み上げ方式による獣医学教育というのは、どういうふうに考えていったらよろしいんですか。
#50
○政府委員(佐野文一郎君) 今回の積み上げの方式の場合でありましても、学部教育の足りない分を修士で補うという、そういう単純な考え方ではいけないと思います。学部におきましてやはり幅の広い基礎的な獣医学教育を行って、その基礎の上に、より高度の専門的な獣医学教育を修士のレベルで行うという形での一貫を考えるわけでございます。
 で、修士課程につきましては、もちろん専門分野における研究者あるいは研究能力の養成という、そういう目的を持つものが普通でございますけれども、それ以外に、いま御指摘の基準分科会のお考えにおきましても、高度の専門性を要する職業等に必要な高度の能力を養うことも、あわせて修士の課程の重要な任務として掲げているわけでございます。そういう新しい高度の専門的な職業人の養成ということを担う修士課程として、今回の学部、修士一貫の場合の獣医学の修士の課程は位置づけをするわけでございます。
#51
○粕谷照美君 そうしますと、学部を卒業しましてこの大学院に入れないという、そういう生徒も出てまいりますね。
#52
○政府委員(佐野文一郎君) 制度の上では、学部を卒業した者が入学資格を持つ修士の課程が上に積み上がっているわけでございます。もちろん、その入学定員は学部の入学定員と同じものを修士のところで準備をして、全員を受け入れるということを前提にいたしますけれども、学部の段階で卒業をして、獣医師の関連の分野に進出をするという者ももちろんあるわけでございますし、私どもはそういうことがあってはならないとは思いますけれども、学部の段階できわめて学力が不足であるというようなことで修士の方への入学ができないという者も、これは理論的にはあり得るわけでございます。
#53
○粕谷照美君 そうしますと、私は、文部省の方で関係団体の方々の意向を受けてこういうふうにしたと、こうおっしゃっていらっしゃるわけで、先日、獣医師会の方から獣医学教育の改善に関する要請書というのをいただいているわけですね。そうしますと、この要請書は、学部六年が望ましいということではないわけですね。まず端的に言って、速やかに獣医師法第十二条第一号を改正されたいというわけですから、獣医師会の方では学部六年を望んでいらっしゃらないのではないかという気持ちがするわけです。その辺はいかがお考えですか。
#54
○政府委員(大場敏彦君) 獣医師の方は直接私どもが接触しておりますので私の方からお答えいたしますが、獣医師の方の学校制度に関する御要望でありますが、確かに最近出されております要望は、一つは、獣医師の国家試験受験資格を大学院の修士課程終了者に引き上げるよう速やかに獣医師法を改正してほしいというのが一点と、それからもう一つは、これと付随いたしまして、獣医学の専門教育のための教員組織とか、あるいは講座数というものについて、六年一貫教育が実質的に実現できるよう拡充強化されたいと、この二点を要望しているわけでありますが、この要望は、いろいろ本旨といいますか、本当の気持ちは、学部プラス修士課程二年というような形がいいのだというぐあいに言っているというふうには私どもは理解をしておりません。
 やはり獣医師の学校、獣医学教育の制度改革ということについての本来的な要望は、本来的にやっぱり学校教育法を改正してきちんと六年制にするというのが一番望ましいのだけれども、しかしそのためには、かねて現在の学制制度が発足して以来、獣医師としてはそういう運動を展開してきたわけでありますけれども、しかし、現実にそういった教育法を改正して六年制にするということについては、現在の時点ではまだまだ解決しなければならぬ問題が残っているという意味で、それを待っておってはなかなかまた時日を要するということで、やはり四年プラス二年というような積み上げ方式ということで当面実施するということがより現実的な対応ではないか、こういう判断で二年の修士課程を積み上げることを早く実現してもらいたい、こういう要望をされたというふうに理解しております。ですから、本来的にはやはりあくまで理想は、あるべき姿としては、学校教育法を改正してきちんとした六年制にするのだということがバックにあるというふうに理解しております。
#55
○粕谷照美君 農林省は、そういうふうに畜産局長は理解をされたかもしれませんけれども、私もまた、いないときにいただいたものですから、これを見てびっくりいたしまして、何かいままでの報告と違うんじゃないかという気持ちがしたものですから、文部省は関係団体の意見を大事にするんだと、こうおっしゃったものですから、それじゃ文部省としてはこの意見を大事にしたならば、学部六年にやるということは不可能なんじゃないだろうか、こういうふうに思ったものですからいま質問したわけです。
 じゃあ、文部省はそういうふうにはとっていらっしゃらないで、そのバックにはやっぱり学部六年があるんだということを御存じですか。あるいは文部省にこの要請書は行っていないんでしょうか。
#56
○政府委員(佐野文一郎君) 私どもも、農林省の方からお答えがありましたように、獣医師会の方々は強く学部での六年をお望みであるというふうに理解をいたしております。
#57
○粕谷照美君 そういたしますと、衆議院での附帯決議もあることでありますから、私もぜひ学部六年にというふうな考え方を持っているんですけれども、その学部六年制にするための日程といいますか、それはまた二十五年ぐらいかかるんでしょうか。もっと早いという見通しになりますでしょうか。大分機運が盛り上がっているようですから、私はもっと早くてもいいのじゃないんだろうかというふうに思いますけれども、その辺はいかがでしょう。
#58
○政府委員(佐野文一郎君) 午前中にもお答え申し上げましたように、やはり現在の国立の獣医学科をどのような形で重点的に整備をするかということについてのめどをつけるのに、かなりむずかしさが予想されるわけでございます。しかしそれにしても、現在、昭和五十六年以降の高等教育の計画的な整備のあり方についての検討に入っているわけでございます。五十六年から十八歳人口が再び増加に転じまして、現在の百五十万人台が六十一年度には百八十万人台にふえますので、それに伴って当然地方の国立大学の整備等、これからの高等教育の規模というものにつきまして質量の両方にわたって検討をしなければならないところへ私どもも差しかかっているわけでございますから、そういった後期の高等教育計画の中でこの問題が一つの見通しを得ることができますように、私どもは努力をしたいと思っております。
#59
○粕谷照美君 大体の文部省の考え方がわかりましたので、ぜひ精力的に関係団体と話し合いを進めていただきたいというふうに思うわけでございます。
 では次に、法改正の面でお伺いをしたいというふうに思います。農林省の畜産局長に伺いますけれども、獣医師問題検討会が報告を出しております。その内容は、獣医師国家試験受験資格の改定等についてでございます。この中では四年プラス二年のほかに「(1)獣医師法の目的の吟味、(2)獣医師の社会的使命、(3)診療業務対象動物、(4)医療法的規制、等の問題についても意見の開陳がされた。これらの問題は、いずれも獣医師制度における重要な問題であるが、現在、関係者の間でさまざまな意見もあるので、将来、六年の獣医学教育のもとで養成される獣医師の知識、技能及び獣医師をとりまく社会的環境等をふまえて、別途慎重な検討を行うことが適当である。」と、こう答申をされているわけでございます。私は、これは非常に重要なことだというふうに思いますので、「慎重な」と、こうなりますと、何年かかると慎重なのかという面もあるわけですが、早急にこのことはやらなきゃならないというふうに思うんですが、いかがですか。
#60
○政府委員(大場敏彦君) おっしゃいましたように、たしか獣医師法を初めといたしまして、現在の獣医師制度についていろいろ検討を加えていかなきゃならない必要は出てきていると思います。かなり一ころと周りの環境も変わってきているということがあります。そういう意味で、昭和五十年に農林省内にいま御指摘になりました獣医師問題検討会というものをつくりまして、これは獣医師の方々にもちろん御参加願って討議いただいているわけでありますが、いろいろ制度問題、獣医師法改正、全般的な法改正等について抜本的な検討をお願いしているわけであります。
 それで、ことしの二月に中間的な御答申をいただいたということなんですが、その中間的な御答申は、とりあえず現在御提案申し上げている獣医師法を改正して獣医師の受験資格をレベルアップすると、そのために現在の学部制に二年制の修士課程を積み上げるというような形で早くやってほしい、やるべきであると、こういった中間答申をいただいたわけでありますが、これで獣医師制度についてすべて問題が解決したというふうにはもちろんわれわれも認識しておりませんし、その検討会自身も認識なさっていらっしゃらないわけです。いろいろまだ問題がある、ほかに獣医師法のいろいろな吟味すべき問題が残っているということは認識しながら、それはそれとして、とりあえずこれだけ実施してあとは早急に詰める必要がある、こういった御答申をいただいたわけでありまして、われわれいま全部一遍に出そろって戦医師法を改正するというやり方もありますが、これはかねて二十年来の悲願でありますから、これだけ早く片づけて、その後を追っかけてほかの問題もあわせて検討を進めて解決をしていく、こういった態度でおります。これはもちろん悠長なつもりでありません。できるだけ急いで早く結論を出してもらいたい、こう思っております。
#61
○粕谷照美君 また二十年もかかったのでは困りますので、急いでいただきたいと思うんですけれども、具体的にその内容が少しでもわかりませんでしょうか。たとえば私も獣医師法をちょっと読んでみたんですけれども、第一条の中などには不具者なんという言葉があるんですね。そして医師法を読んでみましたら、盲、つんぼ、おしなんというような言葉がありまして、いま障害者団体の中ではそういうことは軽べつ的、差別的な用語だということで使わないわけですよね。そういうのをいつまでもいつまでも残しておくなんていうのは、ちょっと文化国家の法律にはふさわしくないのではないだろうかというような気持ちもいたしますし、また、この参議院の農水委員会で飼料安全法のときに参考人に来ていただいたときに、その参考人の方々の中からは、第十七条で言う家畜の中には魚類というものを入れるべきではないかという意見なんかも出されておりますので、その辺のところなどは一体どのような形になっているのか。あるいは第二十二条の診療所開設に際しては、この診療所は獣医師でなくても開設できることになっているために、非常に飼料との関連で問題があるという指摘などもなされているわけで、この辺のところなんかも討論がなされたのか。あるいはそこまではとてもいかなくて、概括的な形で話し合いがなされたのかというようなことについてもお伺いしたいと思います。
#62
○政府委員(大場敏彦君) 獣医師問題検討会は、いま御指摘になりましたような個々の問題についてのまだ議論はそこまで深めておりません。そういった問題意識はもちろん持って御討議願うつもりでおりますが、従来は主として獣医師の需給見通しの問題とか、そういったことを中心にして、それからあるいは、いま御審議願っている学校制度の問題、そういったことを中心にして御討議願って、これからそういったような問題について掘り下げていく、こういうふうにしております。
 御指摘になりました中で、たとえば不具というような表現は使ってはおります。しかし、この趣旨は、そういった方々が獣医業務を実際に行う上で支障を来すおそれがある。特に牛だとか馬だとか、そういった大動物治療をするときには獣医師自身が危害が起きる、被害を及ぼすということがありますから、そういうことを未然に防止する趣旨から獣医師免許の相対的な欠格条件というふうにしているわけです。もちろんこれは絶対的な欠格条件でありませんから、そういった方々でありましても、獣医師免許審議会の意見を聞いて獣医師になれる道はもちろん開いているわけでありますが、ただ、不具という表現が、あるいは語感が、体が不自由な方々に与える印象はどうかということについては――これはほかの立法例はあります。たしか恩給法だとか、あるいはいま御指摘になりました医師法ですか、具体的な例はありますが、現在的な時点において適当であるかどうかということについては、さらに検討する必要があろうかと思います。
 それから、そのほかのたとえば診療所開設の問題だとかいろいろありますが、それについてはかなり議論が分かれるところだろうと思います。そういったことは、これから詰めていく事柄だというように思っております。
#63
○粕谷照美君 私は、なぜそういうことを急いでいただきたいかということについては、やっぱり獣医師そのものの社会的な任務と言うんですか、それから社会的な評価と言うんですか、そういうものとの関連が非常に大きいから、早く新しい方向というものを見つけ出していただきたいという具体的な問題点を出してみたいというふうに思います。
 朝日新聞の三月の二十五日、「くらしの相談」というところのコーナーに一人の消費者が投書をしているわけですね。これは国民生活センター相談部が答えているんですけれども、国民生活センター相談部はこのごろがんばっているなと私も高く評価しているんですがね。その内容は、百グラム二百十円の特用牛肉五百グラムを肉の専門店で買って、夕食にすき焼きにしようと思って野菜と一緒に煮て食べたら、肉が苦くて苦くて食べられなかった。野菜のせいかなと思って、残っていた牛肉をサラダオイルでいためてみたけれども、同じように薬草のアロエのような苦味があって食べられなかった。何が含まれているのか調べてほしいといって、兵庫県の多可郡黒田庄町の主婦が同じく兵庫県立の柏原生活科学センターにその肉を持ってきたわけです。センターで調べてみると、もう目で見ただけでも、赤身の中に脂肪とは違う真っ白い部分が固まっていたと。これはその状態から見て、屠殺前に入れた薬物の残存が考えられたために、地元の保健所に検査と調査を依頼したところが、牛肉の筋肉部分から一グラム当たり〇・二五ミリグラム、脂肪部分から〇・〇六五ミリグラムの抗生物質クロラムフェニコールの残留が認められて、それが原因だということを確かめたわけですね。このクロラムフェニコールというのは人間や家畜の感染病の特効薬だということから、この牛は屠殺をされる前にそれが注射をされたということは当然想像がつくわけですね。そしてこの薬そのものは、骨髄の造血機能が侵されて再生不良性貧血を起こすという、こういう副作用を持っているという、大変なことがわかったというふうに書いているわけです。その量そのものは実質的にはどうということは直接ないというふうに思いますけれども、しかし、消費者にしてみれば、そのことだけではなくて、いろいろの複合汚染なども考えてみると非常に心配なわけです。
 で、国民生活センターそのものもこのことを非常に重視して調査をしているわけですが、あり得ないことだというふうに生活センター自身が言っているわけですね。あり得ないというその一つの理由は、まず注射に当たっては、獣医さんはこういう注射をした牛や馬は三、四日間は出荷をしないようにという指導をしているはずだというのです。そのはずがそうではなくなっているということですね。それからもう一遍、殺す前にはと畜検査員がチェックをするはずです。ところが、このチェックが行われていないという事実があるわけです。それからまた、食肉監視員という制度があるから、売られる肉にそんなものがあるはずがない、だからあり得ないということで調査をしているんですが、流通経路を追跡したけれども、その追跡がどこかでわかんなくなっちゃってはっきりしないと、これまたおかしなことが出てきているわけですね。このことについて、違法な肉が売られていたわけですけれども、厚生省及び農林省は、なぜこのような事実が出てきたのかということをどのように分析されますか。
#64
○政府委員(大場敏彦君) まず私の方から、事実関係についてお答えいたします。
 新聞に確かに報道されましたが、その内容について調査をいたしましたが、その調査の結果によりますと、いまお話しありましたように昨年の十月、兵庫県下におきまして一消費者から牛肉が苦くて食べられないという苦情が県の生活科学センターに寄せられたと。そこで、篠山の保健所の検査室で検索を行ったわけでありますが、その牛肉にクロラムフェニコールと推定される抗生物質を検出したと、こういった事実を聞いております。
 兵庫県の衛生部の調査によりますと、これがどうしてそうなったかということでありますが、病牛治療に抗生物質を注射した場合にはおおむね五日ぐらいは出荷しちゃいけないという指示を当然与えるわけでありますが、その所要の日数を経過することなくその牛を屠場に搬入したために、それで出荷したと、そのために注射部位に抗生物質が残留したものと、こういうような推測をされているわけであります。事実きわめて残念な事柄だというふうに思っておるわけであります。抗生物質を注射するというときには、これは当然獣医師が立ち会って注射をしたのだろうというふうに思うわけでありますが、これは事実関係をさらにいま調べておりますが、当然獣医師が、これは注射した後には少なくとも五日ぐらいは出荷しちゃいけないという指示は丹念にすべきであったろうと思います。ただ、これも推測でありますが、獣医師としては当然病畜であります、患畜でありますから、まさかその牛が出荷されるとは思っていなかったということも推測されますが、しかし、そうは思っておっても念には念を入れて、ことに人畜耐性菌というような問題が非常に世間で問題になっておる折からでもありますから、念には念を入れてそういった指導を念入りにすべきであったと、こういうふうに思います。これが流行してしまったら大変なことでありますが、いわば例外中の例外だというふうにわれわれは思っておりますけれども、しかし、例外中の例外でもあってはいけないということでありますので、よく今後この点につきましては、獣医師に指導を徹底するように注意喚起をしておきたいと思っております。
#65
○説明員(岡部祥治君) ただいま御指摘の朝日新聞の記事につきましては、私どもも県に照会いたしました。ただいま大場畜産局長から御説明のあった五十一年の十月のことですので、大体中身は同じことでございます。
 それで、御承知のように、屠畜場におきましては獣医師であると畜検査員が生体検査、解体検査をいたしまして、内臓その他の異常をチェック検査をいたしまして、疾病の有無を検査して、食用の適否を判定しておるわけでございます。
 それで、このような家畜の疾病の治療に用います抗生物質につきましては、当然薬事法で獣医師がみずから使用するか、あるいはそれの指示によって使うべきものでございまして、ただいま畜産局長からも御答弁ございましたように、この指示が十分に行われなかったということで大変遺憾に思っております。
 なお、この点につきましては、兵庫県におきましても今後ともそういうことのないように、特に検査に当たります獣医師と治療に当たります獣医師の連絡を密にする、こういうようなこと。あるいは疑わしいものにつきましては、さらに精密な科学的な検査を行うというようなことで対処しておる次第でございます。
#66
○粕谷照美君 と畜検査員というのは、獣医師でなければなれないわけですね。そのと畜検査員が屠殺をする前にそれを見るわけでしょう。なぜこういうことがわからないんですか。
#67
○説明員(岡部祥治君) と畜検査員は確かに獣医師であるという資格が要求されておりまして、獣医師であると畜検査員が生体検査をするわけでございますが、生体検査の場合に、先生御指摘のように、相手は動物でございますので、あるいは注射部位を見落としたということもこのケースではあったのではないかと考えられます。
#68
○粕谷照美君 牛をどうやって見るんですか、見落としたと言いますけれども。
#69
○説明員(岡部祥治君) 生体検査は、大体右側から頭部あるいは背部に回りまして、左右の状況、あるいは可視粘膜の貧血状況、そういうようなものを見ることにしております。
#70
○粕谷照美君 そうしますと、外からこう見るわけですね。
#71
○説明員(岡部祥治君) はい。
#72
○粕谷照美君 外観から見たときに、注射の跡というものが見えない場合があるといううふうに、私も素人考えでわかるわけですよ。そうすると、そんなことがしょっちゅうあったんでは困りますけれども、それでも往々にしてあるであろうということは考えられます。なぜかなれば、たとえば大腿四頭筋の問題にしましても、学会の方から簡単に注射しないようにという指導があっても、なおかつ次から次へと筋萎縮症の子供たちが出てくる。もう簡単に注射をするお医者さんがやっぱり後を絶たないというふうに、そういう事実から見ても、私たちは心配をせざるを得ないわけですよ。そういうことをなくするためには、何らかの目で見る以外に科学的な反応、科学的といいましても、新幹線も科学の粋を集めていますけれども、しょっちゅうあれがあるわけですから、それでも何か消費者が安心できるようなそういう方法というものは行われるわけですか。
#73
○説明員(岡部祥治君) 先生御指摘のように、生体検査におきまして注射部位というものは大変わかりにくいものでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、こういう抗生物質等の薬剤につきましては、薬事法によりまして要指示薬という制度になっておるわけでございます。したがいまして、それを使用する場合には、獣医師がみずから使用するか、あるいはその指示によって使用するわけでございますので、そこいらのところを十分今後とも連絡を密にいたしまして、遺憾のないようにいたしたいというところでございます。
#74
○粕谷照美君 この国民生活センターの調査によりまして「兵庫県では、この苦い牛肉の出現を機に五十二年度から、屠畜検査に化学的な検査法を導入することを検討しており、また関係団体などに対しても研修の場を通じて、なお一層趣旨の徹底をはかるよう指導することになりました。」と、こういうふうに書いてあるんですけれども、いまの厚生省のお答えよりも県の方が進んでいるという事実があるわけです。厚生省の方ではそういう指導をなさるおつもりがあるんですか。
#75
○説明員(岡部祥治君) 当然、各都道府県ではそういう指導をしておりますが、なお先生御承知と思いますが、五十二年度から兵庫県におきましては、さらに屠畜検査の科学化を図りますために、三ブロックに分けまして三カ所に、さらに精密な科学検査を行うように食肉衛生検査所という制度を設けております。
#76
○粕谷照美君 私は、そういうふうに獣医師の役割りというのは非常に大きいわけですから、獣医師も自分自身の役割りを大きく自覚をしていただいて、本当に徹底をさせるようなこういう体制をつくるためにも、何と言うんですか、屠畜場のと畜検査員なんというのも人数が足りないのではないだろうか、そんな感じがしてなりませんけれども、十分な体制だというふうにお考えですか。
#77
○説明員(岡部祥治君) なかなか一概に言えませんで、都道府県によりましては非常に不足しておると考えられるところもございますが、それで、先ほど申し上げましたように、さらに科学的な検査ということが必要になってまいるわけでございまして、これらの点につきまして十分御期待に沿うように各都道府県を指導いたしまして、これらのと畜検査員の確保に努めてまいりたいと思っております。
#78
○粕谷照美君 そうしますと、農林省にお伺いいたしますけれども、獣医師の数は大体これで間に合っているというふうにお答えをいただいておりますけれども、アンバランスはたくさんあるわけですね。たとえば大都市においていわゆるペットを対象とする獣医師については余っているというふうにおっしゃっていますけれども、私たち消費者にしてみれば、そういう検査とか、あるいは研究とか、こういう物を食べたならば何代かにわたってどうだろうという、こういう追跡のような部分については非常に足りないのではないかという気持ちを持っておりますけれども、それでもなおかつ獣医師の養成はこのくらいで十分だというふうにお考えですか。
#79
○政府委員(大場敏彦君) いま全体獣医師総数二万二千名余りおりまして、数としてはどれが十分でどれが不足だということはなかなか一概に律し切れない面がありますが、しかし、大体逐年二、三百名ずつふえてきているということで、諸外国に比べて決して不足だというような状態ではないというふうに思っております。ただ、午前中にも答弁申し上げましたように、アンバランスが、配置の点であるとか、特に産業獣医師の点において、ことに山村地域においては足りない、非常に不足の声が聞かれる反面、都会等の一部においてはペット獣医師の過密というような声も聞かれるということを申し上げたわけでございます。
 そういう意味で、今回のいま御指摘になりましたようなことについてのわれわれの判断でありますけれども、やはり一つは産業動物を扱う獣医師についての配置をもう少し誘導、定着化する必要があるということ。それから食品の安全性に対する社会的な要求の高まりというものが最近顕著でありますから、それについての獣医師の配置ということがやはりとにかく必要であろう、こういうふうに思います。
 ただ、私は数の問題もさることながら、今回の事例についての一つの教訓という点では、やはり獣医師そのもの自身がもう少し食品の安全性について気を配る必要がある。まさか出荷しないだろうと思って注意を十分にしたかどうかという点について疑問が残っているとすれば、獣医師自身についてもやはり反省する点があるのじゃないか。獣医師自身の教育の問題もあるだろうと思います。それから、やはり食品の安全性という観点から、いろいろの動物医薬品の使用等について新しい知見が要求されているわけでありますから、そういう意味での新しい教育ということも必要になってくるというふうに思っております。
#80
○粕谷照美君 いまのようなことを受けまして、六年一貫教育についての大学院の果たす役割りについては、自信を持って今度のカリキュラムは大丈夫だというふうに文部省としてはお考えでございましょうか。
#81
○政府委員(佐野文一郎君) 専門家の御協力を得まして、学部、修士を通じて教育課程の基準を一つの案として定めるという作業をいたしております。すでに成案を得ておりますし、それに従って具体的にどのようにカリキュラムを組んでいくかというのは、これは各大学のまたそれぞれの特色に応じた御工夫があってしかるべきところではございますけれども、六年一貫による今回の教育内容の充実ということが実際に所期のように実現しますように、視学委員の指導等もさらに行いまして、万全を期したいと考えております。
#82
○粕谷照美君 私は、獣医師の国家試験大学別合格状況というのをいただいたわけですが、非常にアンバランスがあるんですね。アンバランスのない大学というのは北海道だとか帯広だとか岩手あるいは東京農工大、岐阜大、宮崎、鹿児島なんというのは、ここ三年ほどですが、常に九〇%以上の合格率を誇っているようです。なかなか私大においてもいい成績をとっているのもあるんですけれども、たとえば日本大学なんというのは昭和四十九年は九五%近い合格率を出しておきながら、五十一年度は六九・四%とぐっと下がっているんですね。四年間一生懸命に勉強して医師試験も受けられなかったということでは、非常に本人も気を落としているのではないかというふうに思いますが、私はここのところでひとつ学生の質と言うんですか、そういうものを考えてみるべき必要があるのではないかと思います。
 たとえば医師の国家試験、今回は非常に成績が悪かった。しかも、特定の大学の名前まで挙げまして、この新設大学においてはこのような状況だというふうなことが全国的に報道もされているようです。ところが、その後行われた歯科医師試験は大変成績がよかったということが書いてありますが、獣医師の国家試験を通った人たちというのは、獣医師の職業についているんでしょうか。
#83
○政府委員(大場敏彦君) 獣医師の国家試験、これは御存じのとおり、採用試験とかあるいは入社試験とか、そういったものではございません。一種の資格試験でありますから、資格を獲得するために受けるという方々もおります。現実に獣医師という道に歩まれるというようなことを決めていらっしゃらなくても受ける方も、中にはいらっしゃる。そういう意味で、いわゆる獣医事、単にこれは家畜の診療だけではありません。いろいろな獣医学をその職場で利用するそういった職場とか、あるいは公衆衛生上の知識技能を利用して働く職場、そういったいわゆる広い意味の獣医事に従事しないで、その他の部面において、獣医事以外の部面において働いていらっしゃるという方々も中にはございます。これは数は少のうございますが、ございます。
#84
○粕谷照美君 獣医師会の方々がいらっしゃって、最近は女子大生がふえて、獣医師の職業につかない人たちがいるんだというようなお話がありまして、私は婦人労働者として生きてきたものですから非常に残念なことだというように思うわけです。単なる嫁入り道具みたいな形で資格をもらうんじゃなくて、本当に働いていくんだという、そういう気概を持ったような教育をやっていただきたいという考え方を一つ持っているわけですが、ずっと私は予算委員会を通じて医師のモラルとも本当は関連をさせたかったわけですが、時間がありませんでしたので、特に私立大学の財政難ということから私大に対する補助金を出さなければならないだろう、ところがその補助金を出すためにはやっぱり何かおかしなことがあるということで、歯科医科大学の裏口入学金の問題について取り上げていろいろな質問をさせていただき、文部省としても大変な御努力をいただいて、来年度はいい方向が生まれそうだということで喜んでいるんですけれども、その調査について、歯科大、医科大については裏口入学金あるいは入学金の返還問題の調査をした。獣医関係の大学についてはなさいましたでしょうか。
#85
○説明員(山本研一君) 医科歯科系大学以外の学部学科については、特別の調査を行っておりませんので、入学金につきましてもその実態は私どもは明らかにいたしておりません。
#86
○粕谷照美君 獣医関係はしていないということはわかりましたけれども、それじゃその他の大学、学部はいかがですか、たとえば経済だとか法律だとかですね。
#87
○説明員(山本研一君) 私の説明が不十分でございましたけれども、医科歯科系大学以外の学部学科については、全然特別の調査をいたしておりません。
#88
○粕谷照美君 そうすると、文部省としては、たとえば裏口入学金は三千万とか一千万とかという大口はいけないけれども、まあ百万程度とか七十万程度とか、そのくらいのものだったら微々たるものだから構わないのだという考え方なんですか。そうでなくて、それは特別ひどいから調査をしたんであって、やっぱりそういう裏口のお金はない方がいいという考え方に立っていらっしゃるわけですか。
#89
○説明員(山本研一君) 先生いま言われたとおりでございます。
#90
○粕谷照美君 それで、いろいろな指導文書も出されたというふうに思うんですけれども、私五十一年度のそれぞれの獣医学校――麻布獣医科大だとかあるいは酪農学園大だとか、この入学試験要項というのを五十二年度のを取り寄せてみたわけですね。そうして一覧表をつくってみましたら、やっぱり問題が出ているわけですよね。たとえば合否の通知及び発表日ということについては、学校に掲示をする学校と掲示をしないで本人にだけ通知をする学校、あるいはそういうことについて全然触れられていない学校があるわけです。それから、寄付金の問題については触れていないところもありますし、寄付金は別紙とあるけれども、その別紙そのものが、まあ私のところに下さらなかったのかもしれませんけれども、現物がない。それから全然そういう書類がないところもありますし、所定の納入金と、こうあるだけで、入試要項にはそのことが書いてないところもあるわけです。それから納入金の返還については、返還しないと明記してあるところ、全然触れていないところ、あるいは書類のないところ、こういうふうにあるわけですけれども、いかがなんですか。来年度に向けては、やっぱり獣医科大についても同じような方向で進むということを確認してよろしいわけですか。
#91
○説明員(山本研一君) 先生御承知のように、大学の入学者選抜実施要項というのは文部省の大学局長から毎年各大学に通知いたしておりますけれども、その中で入学に要する経費のすべてを募集要項に記載するとか、それからそれに記載されない寄付金等の納入を条件として入学の許可を行うことのないようにすることなど、毎年度注意を喚起いたしまして指導の徹底を図っているところでございますけれども、ただいま先生から御指摘がありましたように、獣医関係学部学科を有する大学の中で、寄付金別紙という募集要項を記載しておる大学もございます。この大学につきましては、私ども大学当局から事情をいろいろお聞きしたのですけれども、合否の条件にはしないのだという御説明でございましたけれども、入学願書の提出時にある一定の、一口十万円三口以上ということでございましたけれども、そういう寄付金の申し込みをさせるような仕方をいたしておりましたので、是正をお願いいたしまして、本年二月、一応理事長さんから文書の形で、五十三年度からは是正の措置を講ずるというふうに確約をいただいております。そういうように募集要項をチェックいたしまして、不十分な点については、あるいは問題のある点については、その大学当局に反省を促すというようなことをいたしております。
#92
○粕谷照美君 ぜひ、そういうことで努力をしていただきたいというふうに考えております。
 私自身は、党として鶴園理事の方が代表されて質問をされましたので、それに関連する質問としていままでずっと一時間にわたってやってまいりましたが、最終的にやっぱり獣医師さんは歯医者さんや普通のお医者さんと同じようにみんなから尊敬されていくという、そういう態勢をつくるためにも、早く学部の六年制というものについて文部省においての努力をお願いをしたいというふうに思いますし、農林省におきましてはそういうりっぱな医師を出すために国家試験は実に厳正にやったと、そして本当に安心して消費者が肉を食べちれる、そしていい健康な生活が送られるような、そういう条件を獣医師さんがつくっていてくださるんだという、そんな雰囲気をつくり出すように努力をしていただきたいということをお願いして、質問を終わりたいというふうに思います。
#93
○相沢武彦君 本改正案について、最初に政務次官から基本的なことを承りたいと思います。
 今回の改正は、獣医師国家試験の受験資格を二年延長しょうというものでありまして、すでに昭和二十四年の新制大学の発足以来、獣医関係者から長年にわたって要望されてきたわけでございますが、この点について、今回改正案が出された根拠についてまず伺いたい。
#94
○政府委員(片山正英君) いま畜産の振興あるいは公衆衛生の向上というのが、最近におきまする情勢の中では最も大事なことだと思います。そういう中におきまして、特に最近におきまする獣医師を取り巻く情勢を見ますと、わが国畜産の進展、食生活における畜産食品の需要の高まり等は大変高いものがございまして、これに対応する獣医師の備えるべき知識技能の水準を高め、それを多様化することが非常にまた重要な課題になっておる、こう思うわけでございます。このような情勢にかんがみまして、獣医師の資質をさらに向上させるため獣医師の国家試験の受験資格を引き上げることとして獣医師法の一部を改正する、これが趣旨でございます。
 以上でございます。
#95
○相沢武彦君 世界の主要国における獣医学学校教育年限を見ますと、ほとんど五年から六年になっております。いただいた資料を見ましても、フランス、西ドイツそれからオーストラリア、これが五年、それからベルギー、ソ連、カナダ、これは六年、イギリスは五年から六年半、アメリカでは六年から七年ということです。また、専門科目の授業時間数を見ましても、ブラッセル大学では講義に千六百八十時間かけている。実習に二千五百九十七時間かけている。合計四千二百七十七時間をかけているということでございます。わが国では、獣医関係者から長年にわたって要望が出されたにもかかわらず、教育年限を六年にこれまでできなかった主な理由はどこにあるのか、何がネックになっていたのか、ここで明らかにしていただきたいと思います。
#96
○政府委員(佐野文一郎君) 文部省の側での問題点を申し上げますが、午前中にも申し上げましたように、学部の六年ということを考える場合には、どうしても現在の国立大学の非常に小規模な十の学科についてそれをどのように整備をするかということが課題になり、その見通しを立てるのにやはりかなりの年月を要するということがあったわけでございます。修士の性格につきましても、これは従来は研究者養成というふうなことで学生の数もかなり少なかったわけでございますが、修士課程の考え方につきまして、研究者養成ということだけではなくて、高度の専門的な職業人の養成というふうなことについても修士課程を積極的に活用をしていくという考え方が出てまいりましたし、そういったこととあわせ、あるいは最近における情勢の変化に伴う獣医学教育の内容の充実についての非常に強い御要請というふうなものを受けて、積み上げによる六年の修業年限ということに踏み切ることにしたわけでございます。
#97
○相沢武彦君 そういう趣旨で踏み切ったにしては、今回の改正では通常の大学の課程が四年、それに加えて大学院修士課程が二年プラスされるということになるんですけれども、これまで獣医師に関する答申がずいぶん出されているわけですけれども、教育年限を学部六年に延長するようにという意見がほとんどを占めていると思うんですけれども、それを学部六年制にしないで大学院修士課程二年を加えて改正したということは、現状どこにまだ問題点があるということで踏み切れないのですか。
#98
○政府委員(佐野文一郎君) 積み上げによる修業年限六年の場合でございましても、もちろん教育内容は現在よりは格段に充実をすることができます。御指摘のように、先進各国は四千時間を超える専門科目の授業時間を持っているわけでございます。わが国におきましても、獣医学関係の視学委員の御指摘によると、やはり専門科目の総授業時間数は四千二百時間以上であることが望ましいというような御指摘もございます。今回の積み上げによる教育課程の改善によって、そういった四千二百時間を超える専門教育の授業時間を確保することは可能になるわけでございます。
 しかし、最も望ましい姿としては、積み上げというよりはやはり学部で六年ということがあるわけでございます。しかし、現在の国立の十の学科というのは、それぞれ学生定員が三十名から四十名程度のものでございます。このままでこれをそのまま学部にし修業年限を六年にするということは、これからの獣医学の教育の整備を考えていく場合に決して適切な方法ではないので、学部で六年ということを考えるとすれば、やはりそれにふさわしいようなわが国の全体の獣医学の学部のあり方というものを検討をし、その見通しを得た上でないと踏み切れない点があるわけでございます。
#99
○相沢武彦君 最も望ましい姿は学部六年ということですが、農林省としては、あとどれぐらいの将来に最も望ましい姿にしたいという希望を持っていますか。
#100
○政府委員(大場敏彦君) 農林省としては、元来、これは獣医師の方も同じでありますけれども、学校教育法を改正して六年制の学部を実現していただきたいということがかねてからの希望であります。ただ、いろいろ現実の問題として、いま文部省の局長の方から御答弁申し上げましたように、みんな解決しなければならぬ問題が残っているわけでございますので、それを待っていたのじゃまたおくれてしまうということで、いわば次善の策という表現が適当であるかどうか知りませんが、現実的な対応として、現在の学部四年プラス修士課程二年という形で対応するのも当面の現実的な対応策ではないかという判断で獣医師法改正ということに踏み切った、こういう経緯であります。ですから、本来のわれわれの希望といたしましては、できるだけ早くその準備が整い次第、学校教育法を改正した形で六年制の学部をきちんとした形でつくっていただきたいというのがわれわれの希望で、できるだけ早くそれをしていただきたいと思います。
#101
○相沢武彦君 大学院修士課程二年プラスで今回踏み切ろうというわけなんですけれども、文部省としては、将来、大学の課程としての六年一貫した教育年限へ一日も早く踏み切る、こういう方向で努力をされる決心は持っていらっしゃると思うんですが、大学院修士課程の二年プラスの今回の改正のようなものも二十五年かかってようやくできるわけなんですけれども、少なくとも十年以内にはやれるという決心で臨まれますか。
#102
○政府委員(佐野文一郎君) 年限を何年と限って御返事を申し上げることが現在の時点ではきわめてむずかしいということを御理解を賜りたいと思うわけでございますが、私どもは関係者の理解と協力を得まして、できるだけ早く最も理想の姿を実現できるようにしたいと思います。十の学科の統合ということを申し上げているわけでございますが、もちろん全部の統合が済まなければ学部の六年ができないというような性質のものではなかろうと思っております。しかし、全く統合の見通しというものがないままで学校教育法を改正するというわけにはまいりませんので、関係者と協議をしながら、今後の獣医学部の整備の方向というものが見定められて、そうして統合の見通しが具体的に立ってきた時点で学校教育法の改正を考えたい、その時期をできるだけ早くするように努力をしたいと存じております。
#103
○相沢武彦君 私たちは統合の見通しというものは現状では非常に困難を伴うと思うのですが、これはすでに関係者との間に非公式でも協議をされたことはあるのですか。
#104
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のとおりに、非常に微妙であり、かつ、むずかしい問題でございます。総論的には関係者は全く異論がございませんが、個々具体のケースについてどのように運ぶかというのは、これはきわめて慎重を要しますので、特定の大学についてそれをどういうふうにするというふうなことについては、まだ話し合いは行っておりません。
#105
○相沢武彦君 大学の四年の課程と大学院修士課程とでは制度が異なっているわけですけれども、この法案が施行されますと、獣医師になるためにはどうしても大学院に入って修士課程を修了しなければならない。この場合、また新たに大学院の入学試験を受け直すというかっこうになるんでしょうか。
#106
○政府委員(佐野文一郎君) 具体的にどのように制度を運用するかというのは、各大学の御判断でおやりになることでございます。もちろん、学部と修士の間に制度的な区切りがあるということは先ほどもお答えをしたとおりでございますけれども、しかし、制度の趣旨が趣旨でございますから、修士の課程において成業の見込みがないというふうな者は特別といたしまして、それ以外の者については、各大学とも、もちろん修士に進学させることを前提とした上で学生を学部に受け入れるというふうに考えております。
#107
○相沢武彦君 この改正された獣医師法を施行するに当たって、この法案に該当する卒業生と、それ以前の現行制度のままに卒業する人との間には当然格差というか、不公平が起こってくるだろうと思うんですけれども、この点についてはどういうようなお考えを持っていますか。
#108
○政府委員(大場敏彦君) 改正によりまして六年制獣医師が出現するわけでありますが、この六年制獣医師と従前の獣医師とでどうなるかということでありますが、法的な意味で獣医師としての権利義務について差をつけるということは考えておりません。それが獣医師制度の基本というふうに考えておるわけであります。
 ただ、いろいろな社会的な待遇と、そういう点ではいろいろ問題があろうかと思います。六年制獣医師の待遇の問題、獣医師の処遇の問題、結局職域における需給の問題だとか技能の習得の難易度の問題だとか、いろいろそういった要因によって規定されるわけでありまして、単に六年制になったからといって待遇がそのこと自身でよくなるということにはならないわけでありますけれども、しかし、午前中にも御議論ありましたように、組織に勤務する獣医師については、少なくとも二年間よけいに獣医学を学んだという実績は何らかの形で反映されなければおかしい、アンバランスがあってはおかしいというふうに考えておるわけでありまして、そういう意味におきまして、六年制獣医師というものが出現した場合に、それの処遇についてはアンバランスの生じないようにいろいろ配慮をしていく必要があろうかと思います。
 繰り返しますが、法的な意味で獣医師に差等をつけるということは考えておりません。
#109
○相沢武彦君 その辺のところの徹底といいますか、意識の浸透というものは、関係者には相当なされているんでしょうか。獣医師関係の方たちは、今回の改正については長年望んでこられたし、また私個々に聞いても賛成の方が多いようでありますが、一部にはどうもというような疑念を持っていらっしゃる方もあるんですが、いま局長おっしゃったその辺の法的に差異はつけられない、それは心配ないということはわかると思うんですけれども、社会的な待遇、処遇についての心配点はどうしても持たれる人は若干いるんじゃないかと思うのですが、その点について、農林省としてはもっともっと今後配慮が必要じゃないかと思うのですが、この点はいかがですか。
#110
○政府委員(大場敏彦君) 六年制になりましたら、二年よけいに勉強したという実績は何らかの形で社会的評価のときには考える事柄だと思います。ただ、現実には獣医師の世界、官公庁というような組織に勤務する場合はいろいろ別の要因で処遇が決まってくる点はありますけれども、しかし、一般的な開業獣医とかそういった形のときには、そういった分野では平たい言葉で言えばむしろその獣医師の持っている知見だとか実力ですね、そういったことがいろいろ処遇とかいうものを規定するのじゃないだろうかというふうに思っております。六年制という形で従来の四年生の者よりもかなり高度の知識なり技能というものを習得すれば、それだけ社会的評価が高まっていくというふうに思っておるわけでありまして、そういう意味で四年制の者と六年制の者ということで実力の差が出てくれば、それに見合ったような形での処遇というものは当然出てくると思いますけれども、しかしわれわれが獣医師を遇するときに、この人は四年制である、この人は六年制であるというような差別はつけないというふうに考えております。
#111
○相沢武彦君 これは農林省と文部省両方からそれぞれお聞きしたいのですけれども、獣医師について、現行までの四年制で教育内容そのものについて不十分であったという考え方に立つんですか。
#112
○政府委員(大場敏彦君) 不十分であったという表現がいいのか、あるいはいろいろ改善すべき点があるというふうにお答えした方がいいのかわかりませんけれども、少なくとも現在の四年制の獣医師は、教育制度は少なくともその半分、二年は一般教養課程でありますから、いわゆる専門課程というのは二年ないしは二年半ぐらいであって、先ほど先生が御指摘になりましたように、諸外国が専門課程が四年ないし五年というのに比べますと極端に低いわけで、絶対的にも時間数は不足しているというふうに認識しております。
 それから、獣医師の任務というのは、これは畜産の振興上の役割り、あるいは公衆衛生上の役割りという形で多方面にわたる役割りを期待されているわけでありますけれども、そういった外側の環境はかなり変わってきている。畜産についても、いろいろ畜産の飼養形態も変わってきておりますし、海外との交流という形で悪性伝染病の予防というような新しい任務も出てきているし、それから食品衛生の食品の安全というような意味からの社会的な要請が高まってきておるということもありますから、そういう意味で獣医師のレベルアップということは、このところ急速に社会的に要請されてきておるというふうに考えます。そういう意味からすれば、現在の四年制の教育というものは、これは元来学制制度を創設した当時から短いという議論はあったわけでありますが、やっぱり短い。それから中身が不足しているということはやはり否定できない、そういうふうに思います。そういう意味で、いま六年制というような形での獣医師の何といいますか、レベルアップというものをお願いしているということであります。
#113
○政府委員(佐野文一郎君) 農林省からお答えを申し上げたとおりに私たちも考えておりますが、やはり獣医師に対して要請される職責というものがいよいよ重要になってきているし、対象が拡大をしてきているという点がございます。また、諸外国と比較した場合に、専門教育において時間数が少ないという点があるわけでございます。そういった点を考えまして、より十分な獣医師の教育を実現するためには、現在の四年の修業年限では不十分であるというふうに考えております。
#114
○相沢武彦君 そうすると、ちょっと意地悪い質問になって悪いのだけれども、五十年十二月いっぱいまでに、獣医師法第二十一条の届け出によりますと二万二千八百五十三人の方が獣医師になっていらっしゃる。もっとも獣医事に従事しない人がこのうち千百七十七人いらっしゃるわけですが、この人たちはこれまでの国家試験にはりっぱに合格をされているわけなんですが、これまでの国家試験の中身は低いとか甘いとかいうことは私は言うつもりはございませんけれども、それぞれの分野で獣医事に従事をして、それぞれ実績を挙げているわけでありますので、不十分だという点についてあんまりこれは強調されるのはおかしいし、その点を問題視されますと、先ほど言ったように、法的には差はないのだけれども、社会的な処遇云々ということに、ちょっとこう微妙に影響するのではないかという点、非常に心配するわけですが、その点についての配慮と、それから今度六年制の人が卒業される前から考えなければならない点は、公害防止とかあるいは食品の安全性の確保あるいは予防、公衆衛生の管理、こういうことで新しく獣医師に対して求められる分野がふえてきたということで、専門科目をふやして大学修士課程を二年ふやすということなんですけれどもね、すでに四年制を卒業された方たちはそういったものを実地の上でいろいろと勉強されるとは思いますけれども、何らかの形で研修とか、あるいは論文提出だとかいうことで資格をさらに追認するとか、そういうような方向での考え方は持っていらっしゃいますか。
#115
○政府委員(大場敏彦君) 二万二千人余りの方が獣医師名簿に登録されているわけでありますが、それらの方々が現在非常に多くの職域で多面的に活躍なさっていらっしゃるという形で、この方々には私は評価を申し上げたいと思います。決してレベルが低いという意味で申し上げているわけではありません。そういう方々は、それなりに実際の活動面において自分のレベルをそれぞれ上げて社会の要請にこたえていらっしゃるというふうに思ってはおります。しかし、今回制度を改めて、個々の方々が御勉強なさるというよりも、制度を改めてレベルアップした方が適切であるというふうに認識したわけで、そういう意味で制度を切りかえているということでございます。
 それから、一たん学校を出まして獣医師の資格をとって社会に出て活躍している、そういう方々につきましても、これは獣医師に関する知識あるいは公衆衛生に関する知識技能というものは日進月歩でありますから、絶えず新しい知見というものをやっぱり自己に注入するなり、あるいは体験というものを積み重ねることによって技能をみがくと、そういった練摩ということは必要であるわけであります。そういう意味で、ゆえに社会に出ました獣医師につきましての再教育ということは必要でありまして、農林省におきましても、たとえば都道府県に勤務する獣医師につきましては、家畜衛生試験場においてこれはずうっと昔からきちんきちんと定期的に研修制度をやっておりますし、それからその他の末端に勤務する、末端で活動している獣医師につきましては、都道府県の家畜保健衛生所の研修所がありますから、そこで再教育の研修をしていくと、こういうような形で研修については力を注いでおります。
#116
○相沢武彦君 そうすると、獣医師の職域、この区分を見ますと、公務員、農林畜産関係、比率でいきますと二一・六%、四千九百三十九人、公衆衛生関係二〇%で四千五百八十一人、それから教育その他で四・二%、九百六十九人、それから農協、共済という団体、これは一二・九%、二千九百四十八人、それから会社関係が七・五%、一千七百十三人、それから個人開業医が二一・九%で五千十人、その他六・六%の千五百十六人と、こうなっていますが、その再教育云々の研修の範囲は、これは全部該当して漏れなくできるようになるんですか。それとも、どうしても漏れる部分が出てくるんですか。
#117
○政府委員(大場敏彦君) 私がいまお答えいたしましたのは、主として産業動物を対象としている獣医師、県の段階で対象としている、あるいは市町村、農協その他生産者団体、あるいは自営防疫組織、そういった団体で産業動物の治療あるいは予防というものを対象にしている者の再教育であります。それから、別途、これは従来におきましても四年制大学の課程におきまして、都会では学生がなかなかそういった大動物、産業動物に接する機会が少ないわけであります。だから、実地に研修する機会がややもすれば乏しくなるおそれがありますから、そういった教育をやはりする必要があるということは言えるわけです。そういう意味で、国の種畜牧場とか、あるいは県のいろいろ試験場とか、そういったものがありますが、そういったところで実際の大動物に接してもらって、牧場という場の中で実地に研修をしてもらう、こういった機会を喜んで提供しているというふうな実態であります。
#118
○相沢武彦君 この改正による教育年限の延長によって、今後の獣医師国家試験の内容がどういうような傾向に移り変わってくるか、その辺の検討はどうなっていますか。
#119
○政府委員(大場敏彦君) 獣医師試験は、農林大臣の指示に従って獣医師免許審議会で実施しているわけでありますけれども、どういう科目の試験を六年制移行に伴ってするか、あるいは試験問題の作成をどうするか、試験の実施をどうするかと、そういったことについては、これは六年制移行に伴って新しい試験をするまでに、その審議会において検討していただいて結論を出していただきたいと思っておるわけであります。しかし、まあ基本的には、二年プラス四年という六年制で一貫したカリキュラムが今度はつくられるわけでありますから、それに即応した形でのやはり試験というものを実施していく必要があるだろうと思います。
 なお、現在四年制のもとにおいて実施しております試験は、学術試験ですね、これは十二科目あるのですが、学術試験、これは獣医学の基礎的な筆記試験でありますが、そのほかに実地筆答試験、実地口述試験というぐあいに、実物ないしは写真等、そういったものをもとにして実地的な知見を確かめると、そういった試験を実施しております。私ども、ことに産業動物獣医師の養成の緊急性という立場からは、単に基礎的な学問だけ、あるいは学術的な学問のことだけではなくて、でき得るならやはり実地面、そういう実習技術というものを習得しているかどうかといったことも試験の大きな要素として取り入れてもらいたいというふうには思っておりますが、基本的には先ほど申し上げましたように、審議会で検討していただくということになると思います。
#120
○相沢武彦君 その獣医師免許審議会について若干伺いたいんですが、この獣医師免許審議会のメンバーの人選の基準はどういうふうなことになっているのか、それから任期についてはどうなっているのか、それを今回の改正で変える考え方に立つのか、それとも従来どおりでいくのか、その辺明らかにしてもらいたい。
#121
○政府委員(大場敏彦君) 獣医師免許審議会は、獣医師であるということが一つは資格の要件でありますけれども、選考範囲といたしましては、獣医師の団体あるいは学識経験者、そういった方々から選んでいるわけであります。それから任期は二年というような形であります。それからそういった獣医師審議会の委員を選任する場合には、当然日本獣医師会の御意見を聞くというようなことにもなっているわけであります。ちょっと落としましたが、審議会の委員につきましては獣医師であるということが第一でありますが、その選考範囲は獣医師が組織する団体を代表する者、それから学識経験者、関係行政庁の職員ということで、合計二十五名ということになっております。
 この審議会の人選についてどうするかということでございますが、これは六年制移行に伴うこと自身によってどうするか、直ちに変えるかどうかということにつきましては、そのこと自身については変える必要はないと思います。しかし、いろいろ獣医師問題検討会でそのほかのいろいろな現行獣医師法、現行獣医師制度についての検討を煩わしておりますから、その中で獣医師免許審議会をどうするかという議論もあるいは出てくるかもしれませんけれども、出てさましたらその結論に従って処理をしたいと思いますが、現在四年制を六年制に移行することに伴っては、直ちにこの獣医師免許審議会の構成を変更するという必要は発生していないというふうに考えております。
#122
○相沢武彦君 国家試験についてですけれども、今後全国の地域単位についてはどういう範囲でやるようにお考えになりますか。
#123
○政府委員(大場敏彦君) 現在は、たとえばことしの三月で実施した国家試験の例を見ますと、全国八カ所でやっております。この八カ所の場所の選び方でありますが、結局実地試験を試験の中に組み込んでいるわけでありますから、実地試験を行えると、そういう場所が前提条件になるわけであります。そういう意味で、全国で国公私立十六大学があるわけでありますが、そういったところで試験の実施場所を持ち回り的に実施している、こういうのが現在の実態であります。今後六年制移行に伴いましてこの場所をどうするかということでありますが、これもまだ結局、先ほどお答えいたしましたように、試験の実施方法、内容についてどうするかということと実は絡むわけでありますから、この試験の場所につきましても現行のままでいいかどうか、これも改めて審議会で検討してもらいたいと思っておりますが、現在結論は出しておりません。
#124
○相沢武彦君 修士課程二年を含めて六年制になりますと、いままでやっていたカリキュラムに当然変更が出てくると思うのですけれども、現行の体制とどの辺がどのように変わるのか、その方向性だけでも教えてください。
#125
○政府委員(佐野文一郎君) 現在は四年の中で前半をいわば一般教育で行い、後半二年余りを専門教育に当てているわけでございます。そういう形で基礎、臨床を通じての獣医学教育を二年半の期間で実施をしているという形になるわけでございますが、今後は、まず学部の段階ではもちろん一般教育を行うわけでございますけれども、そのほかに基礎獣医学に重点を置きながら、さらに畜産学を初め農学関係の幅広い知識技術を与えるということを考える。そうして修士の方では、その基礎の上に臨床獣医学を中心として家畜衛生学、公衆衛生学、実験動物学、応用獣医学等を履修をさせ、より高度の専門教育を行う。さらに、学生の進路に応じまして専門別、職域別に突っ込んだ専門教育も履修できるようにしようということを考えているわけでございます。
 こういったカリキュラムにつきましての基準につきましては、専門家の協力を得て案をつくりまして各大学にお示しをし、各大学それぞれそれを大綱的なものとして決めているわけでございますから、それを活用してそれぞれの大学において御工夫をいただきたいというふうに考えております。
#126
○相沢武彦君 このカリキュラムについて多少意見があるんですけれども、いま家畜の有害物質の残留、移行等の畜産食品の安全性というのがしばしば問題に取り上げられておりますし、さらに食品添加物、それから合成食品、新薬、農薬、これの安全性の問題などについて、獣医学術も非常に社会的なものに範囲が及んできているわけであります。そこで、こういった面について今後重点を置いて、しっかりしたカリキュラムを組んでやっていただきたいと思うんですが、この点についてはどの辺まで検討されておりますか。
#127
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のような問題については、現在におきましても、たとえば家畜の健康維持に関する問題であれば家畜衛生学の中で、あるいは家畜生産物の利用面での人間の健康に及ぼす影響の問題につきましては獣医公衆衛生学の内容として実施をする、あるいは獣医薬理学の中で、慢性中毒症の授業を行う際にその一部として御指摘にある諸問題を取り上げているというようなことがございます。こうした分野の教育は、それぞれ各大学で次第に重視されるという傾向にございますし、事柄が大変重要な問題でございますので、今回の制度改正の機会にそういった点が一層充実して実施されるように、視学委員等の指導も加えながら、各大学の御努力をお願いをしたいと考えております。
#128
○相沢武彦君 次に、受け入れる大学側の問題ですけれども、この改正によって大学院の修士課程は大幅に施設それから人員も拡大されなきゃならないわけですが、この点すでに各大学との間に了解が得られているのかどうか。
#129
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、修士課程の入学定員は学部の入学定員と見合ったものにいたしますから、国立も公私立もそれぞれかなりな定員増を行う必要があるわけでございます。で、公私立の大学につきましては、それぞれ関係大学と打ち合わせ等を行いまして、それぞれ今後における整備の方向というものが固まりつつあるわけでございますが、国立の方は、先ほど来申し上げておりますように、今後の学部としての整備ということを頭に置きながらそれぞれの学科の整備の仕方というのを考えていかなければなりませんし、またそれぞれの大学によりまして、たとえば畜産学科との関係等事情が若干ずつ異なります。そういった点を考えながら、もちろん修士に学生が進むまでの間には、それぞれの学科について大学と十分に協議をしながら必要な整備はやってまいりたいと思っております。
#130
○相沢武彦君 獣医関係大学の定員が五十一年五月で国公立十一校で三百七十人に対して修士過程が百八十三人、私立では五校五百六十人に対して修士課程の定員は五十人と大きな格差があるんですが、これに対する教員の問題はどのような解決を図っていこうとしますか。
#131
○政府委員(佐野文一郎君) 修士の課程をふやすわけでございますから、それに必要な教員の充実ということは当然実施をするわけでございます。
#132
○相沢武彦君 大学院の施設も大幅に拡充しなけりゃなりませんけれども、これについて大学側の反応はどんなものでしょうか。それから、特に私大の場合は、施設や教員の拡大に伴って資金的なものが非常に逼迫すると思うんですが、これに対する国の補助の体制は現状どうなっておりますか。
#133
○政府委員(佐野文一郎君) 私立の大学の方とは、先ほども申し上げましたように十分に打ち合わせを行っているわけでございます。それで、今後修士の課程を整備していく場合には、それに対する国の助成ということを十分に考える必要がございます。基本的には経常経費の補助の現在の制度の拡充を図るということが一つございますが、それと並んで施設の整備については私学振興財団の融資の制度がございますから、その活用ということが考えられるわけでございます。さらに、私学経常費補助の中におきます特別助成の制度もございますので、そういった点を活用しながら十分な援助ができるように、管理局とも相談をして努力をしてまいりたいと考えております。
#134
○相沢武彦君 急速に修士課程の場合定員増されるわけなんで、これは特に私大に対しては格段の助成の措置をしていかないと、せっかく法律が通ってもすぐ行き詰まってしまうということになりかねないので、これは十分対応していただきたいということを要望しておきます。
 それから、獣医が不足している地域、無獣医地域獣医師定着化モデル事業というものが五十年以降実施されていると、こう聞いておりますが、この事業を行うに至った経過と内容、その後の効果について、簡単にこの際紹介していただきたいと思います。
#135
○政府委員(大場敏彦君) 産業獣医師がことに山村僻地において足りない、いても高齢化している、中には獣医そのものが存在してない地域と、非常に畜産農家の需要にこたえられない、こういった問題が逐次顕著になってきておるということが残念ながら実態であります。そういう意味で、この産業獣医師の問題をどうするかということを四十八年、四十九年にかけまして農林省内部でいろいろ学識経験者にお集まり願いまして、産業獣医師問題総合検討会というものを開きまして、いろいろ多面的な検討をしていただいたわけであります。その中の一つとして、やはりそういった山村僻地に獣医師を誘導、定着化する必要がある。そのためには、それだけですべてができるということじゃもちろんございませんけれども、たとえば住宅とかあるいは診療器具、診療所の建物、そういった物的施設を整備するとかいうことによって、誘導、定着化を図るということも効果的ではないだろうか、こういうような議論がなされました。
 そういったことを踏まえまして五十年度から予算化をしたということで、五十年、五十一年、五十二年というふうに変化しておるわけでありますが、それぞれ、これはモデル事業でありますからまんべんなくということじゃありませんで、そのモデルということで事業をやっておりますので、それなりに現実に適したところにつきましては一応効果は上がっているというふうに思っております。希望も決して少なくはない、逐次だんだん周知徹底するにつれて手を挙げる、設置をいろいろ要望するところも出てきているということであります。
 ことに最近におきましては、全国農業協同組合連合会――全農協におきましていろいろ畜産団地というものを設置する動きが出てきているわけで、もちろんわれわれはそれを奨励しているわけでありますが、そういった畜産団地を設置するときに、一つ問題になるのは、獣医師がやはりそれに伴っていかないと、団地建設だけやっても意味がないわけであります。獣医師が必要だと。ところが、現実には、団地という場合には特に豚とか鶏という畜種が多いわけでありますが、そういった豚、鶏についての獣医師が不足しているということもあるわけであります。そういう意味で、農協自身、生産者自身、団地対策と照応して、バランスをとって獣医師の設置と診療所の開設というようなことを進めておりますが一そういうものとタイアップしながらこの予算を消化していくということは、今後のわれわれの大切な考え方ではないかというように思っております。
#136
○相沢武彦君 現在、獣医が特に不足しているという地域は主にどこになりますか。それから、その獣医不足地域は、この無獣医地域獣医師定着化モデル事業のモデル地域に全部含まれているのかどうか、含まれない地域については今後どういう対策を考えておられますか。
#137
○政府委員(大場敏彦君) これは私どもで調べた五十二年三月の調査でありますが、全国の市町村数が三千二百五十六市町村あるわけでありまして、その中で獣医師が不在の市町村数というものを調べたのがありますが、九月五十九市町村であります。ただ、これは獣医師が存在しないといいましても、場所によっては影響が全然ないというところもありますし、かなり迷惑をこうむっているというところもあるわけでありますが、それをさらにしさいに調べましたところ、五百三十カ所は獣医師はおりませんが、これは影響がないという反応が来ております。残りが影響があるというところでありますが、影響がかなりあるというところが三十九市町村。中くらいの影響――中くらいというのはおかしな表現でありますけれども、それが二百四。軽微な影響にとどまっているというのが百八十六というような状況でありまして、三十九というのが非常に影響がある、困っている。それから、やっぱり困っているというような中くらいの影響が二百四、こういう状況であります。
 このモデル事業は、いわば文字どおりモデル事業でありますから、このところをべた一面にあの対策で塗りつぶすということは予算の趣旨ではないと思います。一種の手法を、効果を測定するためのモデル事業でありますから、モデル事業というものの効果を確認して次の施策をどうするかということは今後の課題として検討していきたい。単にモデル事業ということだけの単一な手法だけではなくて、かなりいろいろ総合的に対策が必要になってくるのではないか、こういうふうに思っております。
#138
○相沢武彦君 そうすると、この三十九市町村ですね、かなり影響があるというところに対する対策は余り具体化してないわけですか。それとも、ある程度三年とか五年とかという計画を立てて臨まれようとするのか。その辺はどうですか。明らかにしてください。
#139
○政府委員(大場敏彦君) 年次計画というところまで高めているというわけではありませんが、具体的に町村名はわかっておりますから、むしろその町村の当局と具体的に相談をして、どういうやり方がいいかということを御相談申し上げて、それに見合ったような形での対策をしていった方が現実的ではないかというふうに思っております。
#140
○相沢武彦君 厚生省に次はお伺いしたいと思うんですが、二百海里時代を迎えてさまざまな観点から動物たん白源として畜産物がますますふえるでしょうし、非常にその重要性が増してくると思います。今後大いに畜産振興が必要であることは当然でございますけれども、それに伴っての家畜伝染病に対しても十分な注意が払われていかなきゃならないと思います。
 そこで、家畜伝染病に関して患者数が厚生省に報告されているのは、牛、馬、ヤギなどから感染する炭疽ということなんですけれども、この炭疽についていままでの患者数、伝染経路、病状対策、これについて伺いたいと思います。
#141
○説明員(林部弘君) 炭疽についてでございますが、これは届け出伝染病になっておりますので、昔から患者数とその疾患によって死亡した数が調べられております。
 ここ十年間程度の経緯について申しますと、昭和四十五年ごろからの経過について申しますと、四十五年が患者数が二名、四十六年が届け出患者数が一名、四十七年が届け出患者数が三名、四十八年が届け出患者数同じく三名でございまして、四十九年以降直近のこの二、三年間は患者の届け出数がないようでございます。それから死者につきましては、昭和三十五年以来死者についての報告例はございません。
 この炭疽という病気でございますが、これは先ほど先生おっしゃいますように、牛、馬、羊、ヤギの間に流行を起こしてくる病気でございまして、人にうつるということは比較的まれで、ただいま私が発生届け出数について申し上げましたように、非常に散発的な症例でございます。これはいわゆる一般人の中での発生というのは非常にまれなのでございまして、原則的には非常に職業病的なものでございまして、感染動物を取り扱う機会のある獣医、それから農業者、牧畜、それから皮革、毛髪、羊毛といったような、そういうような動物と関連のあるものに接触する機会がある方々のいわば産業労働者に見られるものでございます。わが国での発生というのは、いま申しましたように非常にわずかでございますし、家畜間の発生もそれほど多くはないというふうに言われております。
 これがどのような経路を通じまして人体の方にうつってくるかということになるわけでございますが、大きく分けましては、結局は死んだ動物の組織とか、汚染された動物の一部が感染源になるわけでございまして、伝播の様式といたしましては、皮膚、それから呼吸する形で入ってくる場合、それから経口的に食べて入ってくるというような三つの場合が考えられるわけでございます。皮膚の場合には、皮膚に何か小さな傷があったような場合にそこから入ってくるということが考えられますし、伝播性の炭疽肺炎というものがございますが、恐らく細菌が芽胞形成の状態になっているものを吸入して肺炎が起こってくるということもあるように記載がございます。それから、消化器系の炭疽というのは、汚染された肉を食べるというようなことで、小腸内で繁殖をいたしまして敗血症を起こしてくるというようなことが起こっております。一般に潜伏期間は一週間以内と言われておりまして、大体四日程度で発病してくるようでございます。病状につきましては、それぞれの伝播の様式によって症状が違うわけでございますが、皮膚から入ってくる場合には、やはり皮膚のはれあるいは水泡形成、さらにはそれが崩れてかさぶたができる。さらには、深部に進行いたしますと隣接するリンパ節等に病気が寄る、さらには血液中に入れば敗血症を起こすといったようなこともございます。肺炎の場合には、先ほど申しましたように、これは当然上気道感染に似た形で発病するということになりますし、消化管の場合には、先ほど申し上げたような経過で敗血症に至れば非常に致命的な場合もあると思います。一般に人にうつったものにつきましては、ごく普通の感染症の治療と同じような形で、ケースによって治療が行われるというのが現状であります。
#142
○相沢武彦君 御説明のように、これまでは職業病的に特に汚染毛皮との接触ということで患者数が多かったと思うんですが、人への感染経路の中には汚染肉の食用、経口も入っているわけでして、今後いろんな形で汚染肉がどうもふえてくるような傾向が、これはときどき新聞紙上をにぎわすのでして、これに対するやはり予防対策というものは非常に重要になってくると思います。そこで、家畜伝染病については、いま言ったように、肉の摂取から感染する例が多いわけですけれども、食品衛生法でも疾病した家畜を食用に供しちゃいけないと、こう定められているのですけれども、家畜が病気にかかっているかどうかを見分けるのは、どこでだれが責任を持ってやるのか。
#143
○説明員(岡部祥治君) 食用に供する獣畜につきましては、先生御指摘のように、食品衛生法で省令に書かれた、省令で定める疾病にかかった獣畜の肉あるいは斃死した肉の食用としての提供は禁止しておる。さらに、と畜場法におきまして、食用に供する獣畜につきましては、食用に供する目的で解体屠殺する場合は屠畜場で行わなければならない。この屠畜場には、先ほど申し上げましたように、獣医師であると畜検査員がおりまして、それが疾病の有無について生体検査あるいは解体検査をしておるわけでございます。
#144
○相沢武彦君 先ほども話が出ましたように、獣医師の職域区分が非常にアンバランスである。今後、検査に当たる獣医師の部門がやっぱり人員不足ぎみだと思うんですけれども、しかも家畜数はどんどんふえていく、こういう点で非常にその対策が後手になるのじゃないかという心配があるんですが、農林省としてはこの食肉の検査に当たる獣医師の区分、これは比率で言って大体どの程度、人員それから全体の比率が必要だと思いますか。
#145
○政府委員(大場敏彦君) 全体の総獣医師数の中でどの程度のパーセンテージが適切かどうかというお尋ねでありますが、これはちょっと私も一概には申し上げにくいと思っております。ただ、現実の屠場等あるいは市場等において食品衛生監視員という形で獣医師がいろいろ食品の安全監視という点で活躍しているということは事実で、こういった部門における職域というものは、今後ますます拡大していくだろうと思います。
 現在、不足しているかどうかということにつきましては、これは厚生省の方からの御判断かと思いますけれども、われわれとしては、量的に不足しているということよりも、食品の安全性に対する社会的な要請の高まりということから、そういった方々に対して、従来ややもすれば、そういった点の教育というか知識というものが十分であったかというと、残念ながらそれは必ずしもそうでないわけでありますから、そういう面での安全性の確保のためのいろいろ知見なり技能というものを充実していく、そういった対策が必要じゃないかというふうに思っております。
#146
○相沢武彦君 家畜伝染病の場合、牛とか馬、豚、鶏、ヤギなど、日ごろから人間がよく親しんでいるものばかりですし、またこの家畜伝染病は、一遍かかるとなかなか治りづらいという疾病でありまして、今後畜産の振興がますます大事になっていくと思いますけれども、この防疫対策にしっかりいまから取り組んでおかなければならないと思いますが、それに対する厚生省、農林省の方針を承って、質問を終わりたいと思います。
#147
○説明員(林部弘君) 先ほど私から炭疽の問題についてお答えいたしましたが、いままでの人体への感染の事例というものは非常に統計的にはまれなものでございますし、感染源が家畜のうちの病気にかかっているものということになりますので、先ほど申しましたように、非常に限られたところでの感染という問題になりますので、やはり実際にその家畜が病気にかかっているかどうかということについて、常日ごろから扱いなれておられる獣医さんなどのお力によって、実際に家畜を飼っているところについてその感染のおそれのある作業に従事している人々に対して、どういう経路でうつるんだということがわかっているわけでございますから、そういう予防のための正しい知識の普及というようなことに努めていただくということが、一番実際的じゃないかというように思うわけでございます。現実にうつった方の治療というものは、現在、治療の方法があるわけでございますから、それは先ほど申しましたように、万一不幸なそういう感染例につきましては、適切な治療につきましては一般の医師が行うということになるわけでございますけれども、私がいま申し上げましたような対応の仕方が一番現実的ではないだろうかというふうに考えます。
#148
○政府委員(大場敏彦君) まあ、良質安全な畜産食品を生産するための指導というのが一つあります。それからもう一つは、出回った食品が安全であるかどうかという食品衛生上の観点からの監視、そういったことも最近とみに高まっている社会的要請の一つだろうと私は見ております。それからもう一つは、いま御指摘になりましたように、人畜の共通伝染病というものも、これは産業動物だけに限ったものじゃないと思います。ことにペット、人口の都市集中ということに伴いまして、ペットを飼うことがだんだん多くなってきて、それに伴いまして、場合によっては犬・ネコ等から感染する病気だってないとは言えないわけであります。そういう意味で、ペット、産業動物を通じまして、やっぱり人畜共通の伝染病と、家畜伝染病というものに対する予防態勢は、これからますます充実していかなければならぬというように思うわけでございます。
 そういう意味におきまして、現在御審議を煩わしております四年制を六年制にするというようなことも、そういったカリキュラム、教育内容ということの編成の中へ、そういった思想をわれわれは織り込んでいただきたいというぐあいにかねがね要望申し上げているわけで、それが、われわれの意見がかなり反映していただいているというふうに思っております。そういう意味で、いま申し上げましたようなラインに沿っての教育と、獣医師の知識なり技能のレベルアップということが急務であろうと認識しております。
#149
○喜屋武眞榮君 私は初めに、いままでの他の委員の皆さんの質疑の中で大分私も理解できましたので、ほかの面から、まず第一点はこの学制の改革、制度の改革に伴う当然のこととして、資質の向上あるいは待遇の改善、こういった立場から当然この現職教育というのがなさるべきだと思うんですが、その点どのように計画しておられますか、まずその点をお聞きします。
#150
○政府委員(大場敏彦君) ちょっと恐縮ですが、現在ある獣医師の再教育でございますか。
#151
○喜屋武眞榮君 そうです。現職というのは、現在その職場におるわけですね、その方々の資質向上について。
#152
○政府委員(大場敏彦君) 当然、新しい六年制移行に伴いまして、いまのレベルアップというものを期待しているわけでありますが、そのときに特にわれわれ留意しなければならないのは、現在すでに獣医師になっている者、つまり四年制という学制のもとにおいて獣医師になっている者を置いてきぼりにしていいかどうか、こういう話であります。これはまさに非常に大切な問題でありまして、新しいこれから社会に出ていく獣医師のレベルアップをすると同時に、現在いる獣医師のレベルアップをしていくということは、非常に大切なことだと思っております。
 そういう意味で、私どもの方でも国立の家畜衛生試験場でこれは毎年都道府県の獣医師を計画的に集めて、それにいろいろ新しい知識を注入して再教育の研修をしている。それから、都道府県の家畜保健衛生所にこれは国が助成をいたしまして、研修所をつくっているわけであります。その研修所で、市町村あるいは農協その他の獣医師の再研修、教育というものをしている、こういうことであります。
 それから、最近において新しく始めた事業といたしましては、非常に衛生技術というものが日進月歩でありますから、それをいろいろ視聴覚システムで、単に書物の上の議論だけではなくて、マザーテープとかビデオとか、そういったものを使いまして、そういう視聴覚システムを使って新しい技術を普及する事業というものも新規事業として展開していく、そういうようなことは随所においてやっていく。それから、獣医師の団体の方でもいろいろ、たとえば動物医薬品の適性化使用運動だとかそういった運動その他の中で、やはり自己の傘下の獣医師の再教育、研修というものをしていくと、これからますますしていかなければならないと思いますが、そのように考えております。
#153
○喜屋武眞榮君 これは当然のことですので、十分計画をされると思いますが、教育内容も程度も上がってきますし、またそれに伴って技術も、同時に待遇も改善されていかないといけないと思いますので、十分ひとつ落ち度なく配慮していただきたいと思います。
 次に、この資料によりますと、卒業生の就職状況ですね、これを見てみますと、特に「その他」がずいぶんウエートが高い、二七%、市町村公務員獣医師二六%、それを上回って「その他」が二七%になっておりますね。その内容はどんなもんでしょうかな。
#154
○政府委員(大場敏彦君) いま先生が御指摘になりました資料に掲載されている「その他」でありますが、これは調査方法上いろいろ分類がむずかしいというものがあります。分類といたしましては、国、都道府県、市町村、団体、個人開業というような分類をしておりますが、それになかなかはまりにくいというものがあるわけでありまして、そういった分類が困難な者と、それから就職がまだ決まっていない者、それからわれわれの調査ではなかなかその実態がつかみ切れない、そういった不明者が含まれているということであります。しかし、われわれが調べた限りでは、「その他」というのは大体こんなような状況であります。
 かなり多方面にわたっておりますが、私立学校関係が一二人で一・三%、競馬会関係が十一人で一・一%、それから病院検査室が八人で〇・八%、法人研究所が一人で〇・一%、自営――自営というのはまさに自営なんですが、いろいろ商店をやっておったり、あるいは農業を営んでいたりするような方々でありますが、これは五十人で五%、海外に行っている者は四人で〇・四%、それから研究生、たとえば大学に残っているという者が六十三人で六・二%、あとはその他未定というような分類に分かれるわけでありますが、大体そのような、一言で言えばいろいろな形で散っているといいますか、分布をしていると、こういうような状況であります。
#155
○喜屋武眞榮君 よくその他大勢と言いますと、何かりっぱな資格を持っておりながら職場が十分に資格とつながっていないという、こういうことも考えられるわけでありますが、それぞれの部署において資格を生かして十分働いていると、こういうふうに理解していいですね。
#156
○政府委員(大場敏彦君) そのようだろうと思います。たとえば競馬会関係というのがありますが、これはまさに獣医師の知見を使って競馬というサークルで働いているというふうに見ていいでしょうし、それから研究生というものはかなり多うございますが、これも大学に残って獣医学の知見を深めている、こういうような働き方をしている人もいるでしょうし、病院検査室、学校等につきましても、これはやはり獣医学、獣医ということと無関係じゃなしに、まさに広い意味での獣医学というものの活動範囲に入っているというふうに思いますから、いま先生がおっしゃったとおりだと私は思います。
#157
○喜屋武眞榮君 これは要望ですが、普通の場合の「その他」というのは、パーセンテージの上からもごくわずかですね。いまの御説明によれば、非常に重要な職場で働いておると、こういうことでありますので、それを一括「その他」に片づけられませんで、明記してほしいですね。これは市町村公務員獣医師の二六%でしょう。
 それから飼料、畜産、医薬品等の会社勤務獣医師が一一%でしょう。それから農協、家畜共済組合等団体勤務獣医師が一〇%、それから個人開業獣医師が一一%、こういうパーセントで、「その他」が二七%になりますと、何か異様に感ずるんですね。だから、その点ひとつ要望いたしておきます。りっぱなお仕事にみんながんばっておられるんですから、ひとつ「その他」で片づけられぬで、誇りを持たしてくださいよ。
 次に、これもいまの質問とも関連がありますが、資格を持っておりながら獣医事に従事しない者が相当おりますね。これと関連して、この需要供給の関係ですね。一体獣医の数は足りておるのか、足りていないのか、その状況はどうなっていますか。
#158
○政府委員(大場敏彦君) 五十年現在で獣医師の総数でありますが、二万二千八百五十三人ということでありまして、四十五年が二万七百七十六人でありますから、大体年別にすると二、三百人ずつぐらいふえている、こういう状況であります。これは世界的に見ますと、大体アメリカ、ソ連に次いで、かなり数は多い方だというふうに認識しておりますから、足りないというような事態ではないだろうと思います。
 しかし、過剰であるか、あるいは足りないかと、こういう議論はなかなかむずかしいわけでありまして、これは具体的に職域に即して考えなければいけないと思うわけでありますが、端的に言えば、ある職域においては足りないという部面があるし、ある職域においてはやっぱり余っているという過剰現象が出てきているということがあるのじゃないか。たとえば農山村におきましては、やはり産業動物獣医師の数が足りないという声が聞かれております。一方、ペット獣医師というのが最近ふえてきておりますが、これも過剰と言うには適切な表現ではないわけでありますが、しかし、一部の地域については、それは過剰現象が言われているというところもあるわけです。ですから、全体として過剰であるか、足りないかという議論よりも、私どもの認識としては、中での分布といいますか、配分といいますか、そういった点について過不足は現実問題として出てきているというふうに思っております。
#159
○喜屋武眞榮君 この点もちょっと疑問になりますのは、表によりますと、せっかく資格を持っておりながら仕事に従事しない者が一千百七十七名おりますね。これももったいないことだと思って実は感じたものだから、資格を持っておりながら仕事に従事していないのが千百七十七人、こういう数字が出ているんですが、これはどういうわけなんでしょうかな。
#160
○政府委員(大場敏彦君) 獣医事に従事しない者が二万二千八百五十三名の総数の中で千百七十七名、これは五十年の数字でありますが、おるわけであります。これは、いわば広い意味で獣医師が自分の持っている獣医学上の知識だとか、あるいは公衆衛生上の知識だとかというものを使って働いている、そういうような者は獣医事に従事しているというふうにわれわれ分類しているわけでありますが、そういったものとは全く無関係な形の職域で活躍している方ということを分類しているわけでありますが、この実態は必ずしも明らかではないわけでありますが、農畜産という分野、あるいは公衆衛生というような分野とは無関係な形で会社経営をなさっている方とか、あるいは御婦人の方で主婦という形で家庭に入られた方とか、そういった者、あるいは獣医師であってもいろいろ家庭の事情で家業を引き継いだ者とかというような方々がおるわけでありまして、結局獣医師試験というのは採用試験とか入社試験というものとは違いまして資格試験でありますから、資格を取って当初は獣医師を目指しておった方々もかなりこの中にいらっしゃると思うのですが、その後それぞれの家庭の御事情だとか周りの環境の変化によって違う道を歩まれたという方が、この二万二千人の中にはかなりいらっしゃるということではないかと思います。
 これは獣医師だけじゃなくて、率直に申し上げまして医師だとかあるいは歯科医師、そういった方々にもやはりそういったいまの現象はあり得るわけでございます。
#161
○喜屋武眞榮君 いまおっしゃるように、これは問題は、日本の教育のあり方の問題にもなるかと思うんですがね。たとえば農業関係の学校を出た者が必ずしも農業に従事していないという傾向が、これもいつも問題になりますがね、そういった点からもこれは問題にすべきものじゃないかなと、こういうことを感じながらお尋ねしたわけです。これは今後の問題にいたしましょう。
 次に、水産庁の方見えておられますか。――水産庁をお呼びいたしましたのは、日本の漁業が御承知のとおり沿岸漁業、そうして養殖漁業になる傾向がだんだん強くなるわけで、これは当然だと思うんです。特に沖繩の立場からもそれは非常に養殖漁業を大事にするわけですが、そのことで考えられることは、たとえば人間でも集団生活をする場合に伝染病というのが予想される、そこで栽培漁業とも関連したいろいろ魚の病気が考えられるわけです。そういった点から魚病技術者の養成を急げという要望もあるわけですが、その魚の病気ということになると、これはそれを診る資格のあるのはだれでしょうかな。
#162
○説明員(大鶴典生君) 現在の実態を申し上げますと、養殖漁業関連、いま先生御指摘のように、養殖の管理技術というものが非常に分布して管理しておりますので、かなり環境を含めました水産の知識のある人たちがこれに当たっておるわけでございますが、現在は都道府県の水産試験場の職員が主として漁業関係の予防及び診断、それの指導に当たっております。
#163
○喜屋武眞榮君 そうすると、れっきとした有資格者はまだ養成されていないということなんですね。たとえば、畜産であると獣医師がおられるわけですね。魚の病気を指導する資格を持った者は、養成されていないということなんですか。
#164
○説明員(大鶴典生君) 畜産の場合は、獣医師法に基づきましてそういった資格を持ったものが制度化されておるわけでございますが、魚の場合は現在はそういった制度の裏打ちのある資格というものはございません。
 で、ただいま申し上げました都道府県の水産試験場の職員あるいは県の改良普及員を対象にいたしました魚類のいわゆる魚病診断技術者の養成を毎年やっておりまして、そういう人たちがそれぞれ主要な養殖県に配置されておりまして、そういう人たちによって診断予防を行っております。
#165
○喜屋武眞榮君 大まかで、詳しいことはお尋ねする時間がありませんが、魚の病気というと、どういう主な病気がありますか。
#166
○説明員(大鶴典生君) 細菌性のものあるいは寄生虫あるいはカビによる病気、こういうようなものが実はあるわけでございますけれども、現在養殖の対象になっております主なものでございますハマチを事例に取り上げますと、細菌性の病気としてはビブリオ病、あるいは類結節症、それからノカルディア病、連鎖球菌症と、こういったいわゆる細菌性の病気がございます。それから寄生虫による病気といたしましては、クドア症、ベニ症、ハダンシ症、その他、そのほかカビによる病気としてイクチオコンス病、こういった病気が現在知られております。
#167
○喜屋武眞榮君 実はそれをお尋ねしましたのは、沖繩では例の海洋博の時期にアクアポリス、御承知かと思いますが、その近くの海面にハマチの養殖漁場があったわけですね、栽培漁場が。愛知県と高知県から一歳魚が二万二千尾、それから二歳魚が三千尾、合計二万五千尾、五十年の二月に持ち込んだわけですね。それが非常にうまくいきまして、いわゆる養殖栽培漁場としても大成功したわけなんですよ。見てももうはっきりわかりましたですね、だんだん大きくなっていくのが。ところが一カ年後に、五十一年の三月に二万四千八百尾全部焼却したんです。焼き捨てたんです、いわゆる病気を持っておるハマチであることがわかって。残り二百尾は研究のために残して、あと全部焼き拾てる。素人ながらまことにもったいない話だと思って、いつも気にしておったんですよ。それできょうお尋ねするわけですが、その病名は何かクドア症という病気、いまあなたがおっしゃらないんですが、クドア症という魚の病気であったと、こういうことが明らかになっておる。沖繩の栽培漁場はハマチも非常に有望だと言われておるんですが、ところがその病気があって以来、現在沖繩県では、県でも民間でもハマチの養殖はもう全然やっていないという報告を受けておるわけです。これもまことに困った問題だと思って、それをいまお尋ねするわけです。そのことを御存じですかね。
#168
○説明員(大鶴典生君) 海洋博の際に発生いたしましたハマチの病気については、ただいま先生のお話になったような状況でございまして、実はこのクドア症と申しまするのは寄生虫による寄生でございます。筋肉に寄生いたしましていわゆるこぶができるということで、お刺身その他非常に不向きになるということで、商品価値が著しく落ちてしまうというわけでございます。病害としましては、これはいまのところ人畜に無害であるという程度のことは実はわかってはおるわけでございますが、そういうことと関連いたしまして、現在東京大学に補助をいたしまして、クドア症のいわゆる伝染機構とその予防対策の研究を実はやっていただいておりますが、その結果、中間的にわかってまいりましたことは、スズメダイという南方におります小さい魚でございますが、これがいわゆる中間宿主になっておりまして、それを食べることによって経口的に体内に寄生すると、こういうことが明らかになっておるわけでございます。で、大体クドア症の分布しております範囲が、奄美以南に主として分布いたしておるわけでございます。
 したがって、現在ハマチ養殖の南限としては鹿児島の種子島が一応南限だということで、それ以南になりますとこのクドア症、クドアが寄生する。商品価値のあるハマチの生産には不向きである、こういう状態に実はなっておるわけでございます。そういうことで、海洋博が終わりまして、いわゆる商品価値、出荷しても商品として売りがたいということが一つと、それからその段階でクドアのいわゆる生態等につきまして、先ほど申し上げました中間的な知見がまだ得られていなかったわけでございます。そういうようなこともございまして、クドアのいわゆる全国蔓延という心配も実はその当時懸念された結果、海洋博終了後、飼育したハマチを一部標本を残して全部処分したと、こういう経緯でございます。
#169
○喜屋武眞榮君 よくわかりました。
 それで、政府にお願い申し上げたい点は、ぜひひとつ魚のお医者さんを、これは日本の将来、そして特にまた政策面からの沿岸漁業あるいは栽培漁業の立場からもどうしてもこれは大事なことだと、急がなければいけないのじゃないかと、こう思っておりますので、その点早く実現できるようにひとつ御検討を願いたい、進めていただきたいということを強く要望しておきますが、いかがでしょうか。
#170
○説明員(大鶴典生君) ただいまの御趣旨、まさに私どもも緊急に体制を整備する必要があるというふうに考えております。したがいまして、現在大学等において、水産系の大学でも漁業に関する講義等もやっていただいておりますけれども、私どもとしましても、先ほど申し上げました魚類の魚病診断知識を持った人たちを、できるだけ精度の高い知識を修得していただくということで、技術者の育成に現在努めておるところであります。
#171
○喜屋武眞榮君 もう一つお尋ねいたします。
 次に、畜産面の立場から、特に沖繩に多いと言われている牛につくダニの問題、そのことを一つお尋ねしたいと思います。
 沖繩の農業開発の点で、基幹作目はサトウキビとパインであることは御存じかと思うんですが、特に畜産、水産に力を入れる、こういう沖繩の開発の重点となっておりますが、特に沖繩でも畜産の方は宮古、八重山等で、宮古島は牧場ではありませんが、特に八重山は放牧を、比較的沖繩では土地が広うございますから、そういうことですが、八重山地域と言えば農業の島だというわけなんですが、ところが気候的にも独特の亜熱帯の島でありますので、いまさっき申し上げましたサトウキビ、パインそれから畜産、この三つが八重山の島の特殊な農業と、こういうことになっております。ところが、この畜産のあり方が非常に粗放的で、土地は比較的広うございますが、牛は肉用牛が主でずっとやっておりますが、県も国も力を貸していただいて非常に伸展しつつありまして、たとえば昭和四十六年復帰前ですね、そのころは牛の頭数も七千五百頭程度であったのですが、現在はその一倍半――一万三千九百頭を超しておるという、このようにだんだん伸びてきておるわけなんです。そして八重山地域の出荷総額の九〇%は農産物でありますが、その筆頭は肉用牛であります。八重山地域は、沖繩の約八〇%を占める広大な広い牧野を持っておりますが、子牛の産地としても広く知られておる島であります。
 一方、また肉用牛の飼養形態は、省力管理に重点が置かれてほとんどが放牧されておる。そして、その飼育の仕方も終年放牧するというこういう状況で、この形態は他府県では余り見られないのではないかと、こう思うのです。この飼育形態と関連して、沖繩県はわが国唯一の亜熱帯地域であるために、放牧病とも言われておるピロプラスマ病を媒介する独特のダニが旺盛に発生しておる。特に八重山地域は戦前からその発生が著しかったのですが、なお今日でもその被害は少なくない、こういう状況にあります。そこで、八重山地域の一番大きい肉用牛の振興の上から、これが一番阻害要因になっておる。そのダニ対策について農林省はこれまでもいろいろ御苦労してくださったわけですが、まだまだ撲滅しておりません。農林省はこれを徹底的に撲滅してもらわなければいけない。こう思って、その指導助成をこれまでどのようにやってこられたか。また、これを徹底的に撲滅するために技術的にも予算面でもどのようにやっていきたいと考えておられるか、それをお伺いしまして、私の質問を終わります。
#172
○政府委員(大場敏彦君) いまお話しありましたように、八重山地区の基幹産業として肉用牛が中心になっているわけでありますが、これは終年放牧をしております関係上、他府県で見られない特色を持っているわけでありますが、反面また、いわゆるピロによってダニの被害がかなり多発しているということはかねてから問題になっているところであります。
 これに対しましては、四十六年度から石垣市それから四十九年度から竹富町と与那国町、そこを対象にいたしましてそれぞれ三カ年、合計六カ年ということになるわけでありますが、航空機による薬剤の散布あるいは牧野のダニの生息調査とか、ピロの原虫の検査とか、そういった事業をやってきております。それはそれなりに効果は逐次発揮してきているというふうにわれわれは思っておりますが、五十二年度から新たに過去六カ年にわたったこういった事業の効果を維持するために、新規事業として引き続き沖繩牧野のダニの清浄化対策というものを進めているわけであります。
 この事業の中身は、いま申し上げました石垣市とかあるいは竹富、与那国と、そういったところでのダニの駆除をさらに一歩進めるということで、かつての空中散布に加えて、それを一歩進めた形で薬槽につけてそして有体から付着したダニを駆除するというようなやり方をとっております。それから牧野ダニの生息状況の調査だとか、ピロプラスマ病の検査だとか、そういったこともあわせて実施して、これはたしか私の記憶では、十分の十の助成というようなことで国もお手伝いしているというようなことであります。これも、五十二年度から入りましてたしか五カ年、数カ年計画で事業が展開中でありますが、これも適確にやっていきたいというように考えております。
#173
○小笠原貞子君 まず、獣医学教育の充実の問題についてお伺いしたいと思います。
 本法案の改正によりまして、獣医師の国家試験を受ける資格というのが二年延長になると。そのために、だから教育体制はどうなるかということになりますと、法的には何らはっきりして出されていないわけです。
 そこで、具体的にお伺いしていきたいと思いますが、まず大学院修士課程の入学定員について、現在国立大学の場合、学部入学定員の約半数になっています。それから私立の場合は十分の一以下となっているわけです。で、獣医師国家試験資格が修士課程卒業となるということになりますと、学部入学の定員と同数の修士課程定員ということになるというふうに考えてよろしいんでございますか。
#174
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のとおりでございます。
#175
○小笠原貞子君 全員修士課程に上がるということになると、それに対応して博士課程についても拡充されるというふうになるわけですか。また、具体的に計画をお持ちでしたら、計画はどうなっているのか。現在、博士課程というのは、国立大学の場合北大と東大のみでございますけれども、獣医学の充実という点から考えますと、研究者の養成というのが非常に大事な課題だと思うんです。そういう意味から、いかが御計画なすっていらっしゃいますか。
#176
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、獣医学関係で博士の課程を置いておりますのは国立では北大と東大、それからあと公立が一校、私立が四校でございます。今回の制度改正に伴いまして、修士の課程がいわば性格を変えまして、学部と一貫をした高度の専門教育を行うという、そういう性格を持つことになります。したがって、研究者養成のための大学院というのは、いわば博士課程一本ということに相なります。したがって、博士課程については、これまでとは違った新しい考え方と申しますか、それを検討する必要が出てまいっております。この点については、北海道大学等でも新しい博士課程のあり方等について御検討が進められているというふうに承知をしておりますけれども、文部省としましても、今年度は関係の専門の方々の御協力を得まして、今後における獣医学の大学院のあり方について御検討を願いたいというふうに考えております。
 国立の関係大学につきまして具体的にどういうふうにするかというのは、これは個別の問題として各大学における検討の結果も見ながら対処してまいりたいと考えております。
#177
○小笠原貞子君 それじゃ、各大学個別に検討する結果というのは、大体どれくらいのめどでそれを出すというふうに御計画になるんですか。
#178
○政府委員(佐野文一郎君) もちろん北海道大学のように、すでに大学院に博士課程を持っていて、しかもその内容について今後の新しい改善を検討されているところもございますけれども、一般に修士だけを持っている大学の場合には、これは先ほど来申し上げておりますように、今後のそれぞれの学科の整備の方向というもの自体が問題になっているわけでございます。そういった学科のこれからの重点的な整備の進展ということも見ながら、博士課程の問題というのは考えていく必要がございますので、そういうことを踏まえながら検討してまいりたいと思います。
#179
○小笠原貞子君 筋道はそのとおりなんですけれども、これで法改正になると五十二年度からというふうにこっちの方はきちっと進んでいくわけですね。そうすると、その筋道はわかるんだけれども、それが問に合うように大体いつごろにはどうだというふうな、そういうところはいまのお答えで伺っているところでは、こうやりたいという道はあっても、具体的にはどの程度のめどでというところまでは行ってないというふうに理解してよろしいんですね。
#180
○政府委員(佐野文一郎君) もちろん修士の方の整備は、これは一貫による学生が修士の課程に入学するまでにはきちっと整備を終わらなければなりませんが、大学院のうちでも博士課程につきましては、これは必ずしも現在の時点でどのように整備をするかということが決まっているわけではありません。
#181
○小笠原貞子君 それじゃ、それに伴っていろいろ教職員の体制の問題をお伺いしたいと思います。
 まず、五十年、五十一年、五十二年度国立農学部関係の講座数の大学側が出している要求と実績がどうなっているか、お知らせいただきたいと思います。
#182
○政府委員(佐野文一郎君) 毎年度の概算要求に先立ちまして、各大学からそれぞれ大学としての御要求が出てまいるわけでございますが、これは非常に膨大なものでございます。したがって、農学関係に限りましても、いまの時点でどれだけの御要求があったかということを的確に申し上げることができないわけでございますが、私どもが大蔵省に要求をいたしましてそしてとっている状況を申し上げますと、五十一年度で七十七講座、五十二年度で七十一講座を各大学から御要求がございまして、これは講座だけに限って申し上げているわけですが、講座の御要求がありまして、そのうち実現したのが五十一年度で八講座、五十二年度で六講座という状況でございます。
#183
○小笠原貞子君 五十一年度八で五十二年度六で間違いないですね。私の方も、一体どれくらいの要求が出て、どれくらい実績としてとれたのかと、本当にいまおっしゃったようにあんまりたくさん要求が出ていて、全然私の方につかみ切れないでいまお伺いしたんですけれども、いまおっしゃったように五十一年度七十七の要求に対して実績が八と、五十二年度七十一に対して六とまことに微々たる実績にしかすぎなくて、ずいぶん御苦労なすっていると思うんですけれども、この辺がひとつ問題だと思うわけですね。北大獣医学部の場合も学部三講座、大学院三講座増の要求が出ていたと思うんですけれども、この要求も一貫して取り上げられない、無視されてきたというふうに私聞いたんですけれども、この理由はどういう理由でございましょうか。
#184
○政府委員(佐野文一郎君) 北大の獣医学部は、全国の獣医学部の中では最も整備をされている現在十三講座を持っている学部でございます。かねて獣医微生物学講座をつくりたいということを中心とした御要求が、大学側からは出てまいってるわけでございます。しかし、全体的に国の財政事情が厳しいし、また定員の状況も非常に苦しくなっておりますので、どうしてもその限られた範囲の中で地方の国立大学の整備を考えていくということになりますと、地方の高等教育の機会の拡充、あるいは地域の要請に対する対応ということを考えますと、苦しい中でも計画的に学生定員の増というものを図っていかなければならない面がございます。そういった学生定員の増を伴うものについて、やはり講座の増設というのは優先して考えるというふうなことになりますので、北大の獣医学部の場合には年来御熱心な御要請があることは承知をしておりますけれども、獣医微生物学講座の増設がなかなか現実の実現を見ていないということでございます。
#185
○小笠原貞子君 本当にしていただきたいんだけれども、無理もないし、ほかから見れば北大の場合は充実していると、おっしゃったとおりなので、そういう理由ということでお伺いしたいと思います。
 修士課程も含めて実質六年の教育年限となると、獣医学の専門教育の講座が現在二千三百時間ですか、これを視学委員会が検討している四千二百時間ということになりますと、教員定数を大幅にふやさなければ、教官一人当たりの負担というのは、これは大変なものになるのではないかと思うんです。また、学部、修士を一貫した獣医学教育を行うというためには十六講座は必要と言われているけれども、いま講座増は大変困難ということをおっしゃっていましたけれども、この講座増と教員増にういて、いままではわかっているけれどもなかなかできないというふうに、具体的には何ら実質的に取り上げていただけなかったと。今後、計画的にこの際体制を整備するということをどうしてもしなければならないと思うんですけれども、それについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#186
○政府委員(佐野文一郎君) 修士の入学定員をふやす等の今回の制度改正に伴って必要になります定員増ということについては、これは事の性質上、各大学それぞれ個別の事情がございますから、その個別の状況を詰めながら必要なものについては優先的に考えていくということでございます。ただ、御指摘の十六講座の問題は、これはいわば入学定員百二十人を前提にした考え方でございます。視学委員会の方では、六十ないし八十の入学定員で十四講座は必須だというふうなことを御指摘になった経緯もございますけれども、いずれにしましても、そういった獣医学部としてのいわば十分な整備というのを考えますためには、現在の小さな学科のままではどうしてもぐあいが悪い面がございますので、困難ではあっても学部の重点的な整備ということを考えるのとあわせて、そういう講座の抜本的な改善というのは考えていくことになろうと思います。
 そういった基本的な問題はそういう対応をいたすわけでございますが、今回の制度改正に伴います分については、もちろんそれとして必要な措置はいたします。
#187
○小笠原貞子君 本当に二年延ばすというのは簡単なんだけれども、延ばして一体中身がどうなるかということを考えていきますと、これを機会にしてやろうというお気持ちはわかるんだけれども、いままでの実績から見ていきますと、なかなかそういうお気持ちだけでは予算というのはつきませんし、やっぱり相当その辺のところを腹をくくってやっていただかないと、今後一生懸命やりたいということではだめなんで、もう一度、再度お伺いしたいのですけれども、見通しとしまして、こういう法案が法律になったらこれはしなきゃならないということで押していけば、見通しとしては、相当いままでと状況は変えられるというふうにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#188
○政府委員(佐野文一郎君) もちろん、具体的にどのように措置ができるかというのは、毎年度の予算における大蔵との協議になるわけでございますが、この法案をお願いをするということについては、もちろん政府として決めていることでございますし、財政当局も十分承知をいたしております。少なくとも、現在国立大学で申しますと、七講座の大学がたしか五大学あったと思います。その他いろいろと実情が大学によって違いますけれども、こういったものについては整備を考えていきませんと、十分に修士課程一貫の教育に対応できない面があることは承知をしておりますので、それらについては今後の予算折衝を通じて十分に対応をしてまいりたいと思いますし、また、その見通しは私どもはあると思っております。
#189
○小笠原貞子君 学部、修士一体の教育体制というものを本格的に整備していかなければならないということになると思うのですけれども、文部省として、獣医学部学科についての特別の大学設置基準を定める必要がどうしてもあるのではないかということについてはどうお考えになるか。現在の医学部、歯学部については六年制ということで、他の学部と別表で別に定められているわけなんで、その点はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#190
○政府委員(佐野文一郎君) 学部の修業年限を六年にいたします場合には、もとより大学設置基準の改定が必要でございます。当面の修士を活用しての一貫の教育の場合には、これはそれぞれ現在の大学設置基準なり、あるいは大学院設置基準で対応できるわけでございます。問題は、大学院の段階での教員の基準を具体的に決めるかという問題があるわけでございますが、これは現在の大学院は決して一色ではなくて、いろいろなものがございます。ことに独立大学院であるとか、あるいは連合大学院であるとかいうような新しい構想も出てまいっておりますので、それらを通じての教員の基準ということを決めることは、現時点では必ずしも適切でない。むしろ個別のそれぞれの課題について、大学設置審議会の方と御相談をしながら、その取り扱いを決めていくということを進めるのが適切であろうと思います。
#191
○小笠原貞子君 次に、私立大学の問題についてお伺いしたいと思います。
 私学の場合、国立大と違って、まず目立つのは学生数が非常に多いということでございます。入学定員が約三ないし四倍で、そもそも定員そのものが多い。その上に実際の入学する数というのは、さらにその入学定員を非常に大幅に超えているということで、まず、五十一年度の場合、私大の獣医学部、大学別の入学定員と入学者数というものを、大きなところで結構でございますが、どうなっているか、お知らせいただきたいと思います。
#192
○政府委員(佐野文一郎君) 私立の五大学の入学定員が五百六十名でございますが、実際に五十一年度入学した者の数は八百八十一名でございます。一・五七倍のいわゆる水増しの状況がございます。全大学が平均してそういうことだというのではなくて、一番低い倍率のところは一・三一倍、最も高いところが二・〇二倍という状況でございます。
#193
○小笠原貞子君 これはちょっと大変な数だということで、まず私学全体の問題がここにもあるというふうに考えなければならないと思うわけです。こういうふうにして水増し入学させても、施設というのは入学定員分しか当然整備されていない。それも非常に苦労の中でやっていらっしゃるというわけですから、私もいろいろ聞いてみたら、入学した一カ月はもう教室の中は満杯で大変だけれども、五月の連休が過ぎると何とか座れるようになるよというようなことで、連休が境になっているというような実情を聞きまして、これはまさに大変だと、入れりゃいいなんというものじゃないというふうに考えるのですね。いろいろ御指導なすっていらっしゃると思うのだけれども、漸次改善はされてきているというのはわかるのですけれども、これでいいというわけではないし、これからの御指導をどういうふうに強めて、どういうふうに改善というものが実現できるかどうか、お見通しのほどをお聞かせいただきたい。
#194
○政府委員(佐野文一郎君) 御指摘のように、私学全体としてはかなり改善が進んでおります。ことに五十一年は各大学の御努力によりまして、前年度一・八四倍であったものが、五十一年度には一・五五倍まで水増し率が改善をされたという経緯がございますが、獣医学部の場合には、その改善のテンポはむしろ横ばいに近い状況が近年あるわけでございます。医学部の場合には一・一五倍くらいのいわゆる定員超過の状況でございますし、獣医の場合には一・五七倍というのはいかにも学部の性質からしましても多過ぎると思います。ことに、今度は学部に入った者が修士に入っていくのが原則になりますから、そういう意味でも入学定員は厳守をするということが必要になるわけでございます。私学助成をいよいよ強化をしていくということと相まって、大学側に十分な自粛と改善をお願いをしてまいりたいと存じます。
#195
○小笠原貞子君 それと同時に、問題なのは先生の負担、先ほどもちょっと申しましたけれども、授業を行う場合の学生数、いわゆるクラス編成というのがどうなっておるかと、まあ麻布獣医大の場合伺ってみたら、入学定員が百二十だと、そして実際入学者が百九十一と、これ二クラスかなと思って聞いたら一クラスなんですね、百九十一人が一クラスとして講義されていると。講義の場合は少々詰め込んでもできるけれども、問題は実験の問題、実験百九十一人ではどうなんだということになると、実験室が五十人定員だということなんです。そうすると、四回に分けてこれをやらなきゃならないと、こういう実情というものを文部省としてはどういうふうに見ていらっしゃるでしょうか。
#196
○政府委員(佐野文一郎君) もちろん、基本的にはそういった定員超過をして学生を入れてもらっては困るということがあるわけでございますが、そのことをもちろん強くお願いをしながら、同時に、現に現実の問題として学生が定員を上回って入っている場合には、その教育に支障のないように、教員についても、あるいは設備の面でも十分な対応をしてほしいということは、これまでも大学側にはお願いをしてきているところでございます。もちろん大学の場合には、講義の内容により、あるいは実験の場合、演習の場合等によってもちろん対象とする学生のグループの数は違うわけでございますけれども、獣医の養成というようなかなりマン・ツー・マンに近い養成の形をとらなきゃならないものの場合としては、麻布獣医の場合の一・五九倍という倍率はやはり高きに過ぎるわけでございますので、改善を求めてまいりたいと存じます。
#197
○小笠原貞子君 最低基準を定めている大学設置基準の二十九条ですか、「大学が一の授業科目について同時に授業を行う学生数は、おおむね五十人とする。」ということになっていると。これはまさに四倍というようなことになっているわけで、こういう点がわかっていてもすぐに改善というのはなかなかむずかしいと思うんですね。金のかかることでもあるし、人の問題もありますし、まあしかしこういうことが解決されなければ、本当に年限だけ延ばされてもマスプロ教育の弊害というもので、そんなことをするよりも、実質的にちゃんと施設をつくって補助をたくさんくれりゃ四年で済むじゃないかと、六年にしてもらうということをまんざらありがたがってないという層もたくさんあるということですから、その辺のところを具体的にどうやったら改善のめどが立つかということについてお考えいただきたいし、後でまた財政の問題についてもお伺いしたいと思うんですが、その財政にひっかかって、裏口寄付金という問題なんですね。
 私も、北海道なものですから獣医さんたくさん知っていますし、そして、獣医はこのごろ非常に希望者が多うございますね。もう酪農大学なんかもことしは十倍でございましたよ。それで、どうなっているんだと、ぜひ入れてほしいんだというような話になったら、特別入学ですかと、こう聞かれるわけなのね。特別入学って何だって聞いたら、これは特別に二百万とか五百万とかを入れれば、これまた問題なんだけれども、成績に関係なく入れるというような制度もあるというようなことでございますね。これで一般の医学部、歯学部などの問題がここにも来ているという、同じ性質の問題なんです。先ほどもちょっとございましたけれども、十六日に私立医科歯科大学、私立系の大学の裏口入学、寄付金の問題で両協会とお話し合いをなさいました。その内容が報告されているわけですけれども、これに今後どういうふうに具体的に臨んでいかれるか、いつの時期にどの程度まで次の段階では進めるかというふうに考えていらっしゃるか。
 それともう一つ、この法改正に伴って獣医学校の方でも、獣医学部や獣医大学なんかの場合にも、相当施設も拡充しなきゃならないという問題が出てくると、当然そこにはね返ってくると思うんですね。だから、そういう点について、いま法改正の時期だからそういう獣医大学なんかとお話し合いをなさると、事前に問題について要請なさるということをしていただけるものかどうか、そういう姿勢を持っていただけるかどうか、お伺いしたいと思います。
#198
○説明員(山本研一君) お答えいたします。
 最初の医科歯科大学の問題でございますけれども、高額の寄付金が入学時に徴収されるということが非常に社会問題になりまして、それぞれ当事者である医科大学協会あるいは歯科大学協会、真剣にこの問題に取り組んでおりまして、私どもも側面から検討を早急に行いまして、よい改善策を示されることを期待しているわけでございますけれども、先ほど先生からお話のございました、十六日に医科大学協会、歯科大学協会の責任者とお会いいたしまして、現在までの進捗状況等をお聞きしたわけでございますけれども、特別委員会をそれぞれの協会で組織して、いろいろ非常に多額の経費を必要としますので、一体必要経費はどのぐらいになるのかという額の計算の仕方ですとか、あるいは実際にやはりいわゆる正規の学生納付金あるいは補助金の収入だけでは不足する面がございますので、そういうもののお金をどういう方法で今後確保していくか、こういう問題について検討いたしておりまして、大体私どもの期待している方向の方へ進んで検討していただいておりますので、なおしばらく状態を見守りました上でまた随時話し合いの場を持ちまして、できるだけ効果のある対応策が立てられるように見守っていきたいと思っております。
 次に、同じような問題がまた、獣医学教育の今後充実を進めていくということになりますと相当多額の経費を必要といたします。学生納付金あるいはこれまでの補助金の収入だけでは当然経費が不足する、また施設設備を充実するということになりますと、資金の確保に非常に困難な思いをされるということは当然予想されます。そういうことで、私どもとしては従来も力を入れてまいりましたけれども、私学助成の拡充に努めましてこれに対処していきたいというふうに思っております。
 それで、私立大学に対しては各種の助成策を講じているわけですけれども、一番大きな柱と申しますと私立大学の経常費補助、それから日本私学振興財団を通じて行っております融資の制度と両方でございます。経常費補助金の配分につきましては、従来からも獣医学部につきましては格別な配慮をいたしておりますけれども、これにつきまして基礎的な資産内容の改善を図るという面と、それから総額をふやしていくと、この二つに力点を置いていきたいと思っております。また、五十年度から私立大学経常費補助金の中で特別補助という方式の補助を始めております。こういう特別補助の活用についても、今後の獣医学教育の充実のために寄与できるように検討を進めたいというふうに思っております。また、日本私学振興財団の融資についても、年々その充実に努めてきておりますけれども、特にお金のかかります医師、理工系、あるいは獣医学、こういった分野の施設設備の融資については、できるだけよい条件でお貸しできるような、そういう対応策も講じてまいりたいと思います。
 そういう検討を進める中で、必要がございましたらば獣医学の関係者とも話し合いの場を持っていくということになろうかと思いますけれども、現在のところ、来年度の概算要求に向けましていろいろ拡充の方策、あるいは充実の方策ということにとりあえずは検討を進めて、必要に応じましてその関係者とのお話し合いというようなことも考えたい、そういうふうに思っております。
#199
○小笠原貞子君 本当にもうこれは大変なんですね、寄付金取るなと言われればこれまた学校としては運営がいかないというような問題なんで、だからやっぱりいまおっしゃったように、一体なぜこうかかるんだ、どれくらい大変なんだと。それじゃどういうふうにしなければいけないというようなことを、はっきり方針を出すためにも、岐阜大生の自殺があったりして、いまもう時期だから、ぱっとこういうふうにお話し合いいただけたと思うんだけれども、これで延びますとまた問題が冷えてしまいます。だから、必要に応じてというのをいつも頭に置いていただいて、忘れないでそういう協議をやっていただきたいし、獣医学関係についても、この際ぜひ協議をしていただきたいということはよろしゅうございますね。獣医学関係についても協議していただくということ。――はい、じゃいいです、首を振っていらっしゃるから。ありがとうございます。
 そこで、特別寄付金の問題、さっきもお話ししたんですけれども、獣医学科関係の特別寄付金というようなものを具体的にお調べになるとか、お聞きになったりというように大体掌握していらっしゃいますか、どういうものだということを、
#200
○説明員(山本研一君) これは、先ほど粕谷先生の御質問にもございましてお答え申し上げたのですけれども、医科歯科大学の寄付金については特別の調査をいたしましたが、実は医科歯科大学以外の大学については特別の調査をいたしておりませんので、この実態について私ども明らかにいたしておりません。
#201
○小笠原貞子君 普通のお医者さんの場合と、額はもうけたが違うというようなことにもなるかもしれないけれども、ぜひこの実態をお調べいただくような御努力をいただきたいと思うんです。
 これは、私はいろいろこの問題を調べるんで聞いていて唖然としたんだけれども、お金だけの問題ではないと。二年延長になってもう父母負担が大変になるしという、そのお金の面だけではなくて、まさにこれは一つの教育の場として考えていかなければならない。これは教育の荒廃にもう本当に結びついているということでびっくりしたわけなんですね。先ほど言いましたように、二百万から五百万の特別寄付金を出せば、それぞれ教授の顔だ、同窓会の有力者の顔だで入るわけです。これはもう全然成績に関係なく入るわけですね。そうすると、成績に関係なく入るから、ついていけない子供というのは当然出てくるわけですわ。そうしたついていけない子供に対して、先生の方、教官の方は一生懸命教えようと思って、しっかりしろと、何だと、一生懸命にこう叱咤激励する場面もあろうと思うんですね。そのときにどういうことを言ったかと言うと、先生そんなこと言うけど、ぼくは五百万出したんだと。だから、五百万円分教えてくれるのが先生の義務ではないかと、こういう形になって返ってくると。これは子供が悪いんじゃなくて、子供にとったら、いまの子供から言えば当然の理論発想ですね。私は、これはだからお金ではなくて、本当に教育の荒廃につながるもう恐ろしい問題だと思う。先生なんかもそう言われれば、まさに本当に自分としては、もう二の句が継げないというようなこととしておっしゃっていたわけなんですね。
 そういう点についても、私はこれは単なる金があるとかないとかいう問題ではなくて、教育という立場から、文部省も、金の問題じゃない、教育の問題というものを同時に考えて、こういう裏口入学をしないでいいようにという問題の解決の方法を考えていただきたいわけです。そうしますと、結局国立と私立の教育条件の格差を解決して、私立大学においても充実した獣医学教育を行うというために出てくるところは、国の助成をもっと拡充しなければならぬというところに来るわけですけれども、今回の法改正との関係で、獣医学部学科についても、医学部、歯学部並みの国庫補助をしてほしいという要望がこの改正の時期に非常に多く私どもお伺いしたわけです。
 こういう点で、今度は農林省にお伺いしたいのですけれども、農林省としても、この国庫補助を医学部、歯学部並みにしてくれという、相当の熱意がなければこれはなかなか出てこないと思うのですけれども、どういうふうな姿勢で、具体的にどういうふうに農林省として御努力なすっていらしたか、農林省としての立場を伺わせていただきたい。
#202
○政府委員(大場敏彦君) 私ども、獣医師の資質を向上させるために本法案をお願いしているわけでありますけれども、その裏打ちとなる教育制度の問題につきましては、先ほど来るる申し上げましたように、本来はこういう形は次善の策であって、やはり学校教育法を改正して六年制の学部をきちっとつくってもらいたい、こういうようなことを要望申し上げたわけでありますが、現実的な接近として、四年プラス二年という積み上げ方式ということもこれも一つの対応策であるというふうに判断して踏み切ったわけであります。しかしその前提といたしましては、――前提という言葉がどうかわかりませんが、われわれの頭としては、それに伴う六年制一貫の教育がきちんとできるような意味で、物的施設は当然でありますし、それからあるいは教員の確保ということ、それから六年制一貫のカリキュラムというものがきちんとできる、そういったことが前提となって、それが大丈夫だなという前提で私どもは踏み切ったわけであります。
 これは、政府部内でそういうふうに意思統一をしているわけであります、財政当局を含めまして。そういうつもりでおりますから、いま御指摘になりましたこの法律施行に伴いまして実質的に六年制というものに踏み切るわけでありますから、それが万粗漏のないような形で、ことに私大につきましては、いろいろな財政援助ということは当然日程に上らざるを得ないと思いますので、私どもも法律はつくったわ、絵にかいたモチになっては困るわけでありますから、精いっぱい努力はしたいと思います。
#203
○小笠原貞子君 先ほども言いましたけれども、本当にこれは財政的にも相当の国の援助がなければできないし、私学との格差というのも非常に大きいということで、先ほど子供の一面を言いましたけれども、もう一つここでつけ加えさせていただきたいのは、とにかく金払って、できるできないにかかわらず入っちゃったと。それでとにかく学年は進んでいったと。進めばいい方だけれども、進めないで、結局その子の将来というものはそこでつまずいてしまうというのもありますよね。やっと卒業したけれども、今度国家試験には特別入学なんていうのがないわけだから、そうするともう国家試験では外されると。そうすると、獣医学部出たと言っても、結局国家試験も受けられないと。非常に子供自身の人生というものを狂わしてしまっているわけですね。
 そういうことから考えると、やはり教育の場という立場に立つということは、さっき言いませんでしたけれども、やっぱり本当にいまの青年たちを生きがいのある青年としてのそういう生かし方をするのかどうかですよ。もしもそのお金がなかったら、その学校へ入れなかったら、その子は大学へ行かなくったってほかの仕事で生きがいを見つけたかもしれない。たまたま特別寄付金なんというものでそこに入ったばっかりに、卒業もできない、獣医にもなれないというので、一代めちゃめちゃにされていくということですね。この辺のことを、重ねて私は、しっかりと子供たちを考えて善処していただくという姿勢でお願いをしたいと思います。
 いろいろ重複している問題を避けますので、次に獣医師の待遇改善の問題としてお伺いしたいと思います。これは主に農林省になります。
 北海道の酪農地域、農村地域での獣医師の確保とその待遇ということの問題になるわけですけれども、北海道の、私は獣医師さんにお友だちがいまして――別海町です、別海町では牛の数が八万頭いるわけです。人間より牛が多いですからね。御存じかと思いますけれども、あの辺に行きますと、自動車道路に人間の横断歩道じゃなくて、大きく牛の横断歩道につき注意というのが出ているような場所でございます。そこで牛が八万頭に対して獣医師は二十六人、獣医師一人三千頭の扱い数になるということなわけです。政府の見通しでは、獣医師一人に対し一千頭というふうに私お伺いしたんですけれども、別海町という北海道道東のまさに酪農の中心地域です。ここでその三倍の三千頭を一人の医者が持たなければならないということ、これは大変なことなんです。このため、獣医師さんたちはまさに年中無休です。私も行くたんびにお世話になってお話を聞いてくるわけですけれども、全く昼も夜もないです。ゆっくり話している暇もなく、電話がかかってくるといっても飛んでいかなければならないと。こういうような酪農村地域への獣医師獲得と、数はあってもとても足りないというような対策をどういうふうに考えていらっしゃるか。
 特に、今後修士課程を卒業して獣医師になるということになりますと、やっぱりそういう酪農地帯、つまり僻地になりますが、こっちには一層行かないと。修士様になっちゃったら町に集まっちゃうというようなことも懸念されるので、こういうような一番大事な産業動物を扱う獣医師さんの不足についての対策、その見通しですね、どういうふうにお持ちになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
#204
○政府委員(大場敏彦君) 北海道の例を御引用なさってお話がありたわけでありますが、北海道の畜産は、これはそもそも馬産という形でかなり発展しておりますし、酪農を現在は中心として発達しておりますから、やや他府県と事情は異なっておるように思います。結局、生産者団体が獣医師をみずから雇用をして、いわゆる開業獣医師ではなくて、団体の勤務獣医師という方々が組合員の家畜の診療に当たっておられる、こういうような形でありまして、北海道の家畜共済組合の獣医師が担当しているというのが実態であります。そういう意味で、産業動物の獣医師中の職域別分布を見ましても、家畜共済組合の職員がきわめて高い割合で、具体的に言いますと七四%というような高い率を示しているということでありまして、北海道の酪農の家畜衛生は共済組合の勤務獣医師が担っているというふうに言っていいのじゃないかと私は思うのです。
 それから重ねて御指摘のあった別海町でありますが、これはもう一回私ども調べてみますが、私どもの調査では産業動物獣医師が五十一名、この内訳として共済組合等の勤務医師が四十七名、開業獣医師が四名ということでありますから、かなりいまおっしゃった二十六人と数字は違っておりますけれども、ぼくらの方も調べてみますけれども、そんなに現状時点において診療体制が不備であるというふうには認識しておりません。しかし、地域によって産業動物獣医師の供給不足対応策が違ってくると思うわけでありまして、北海道の場合にはそういった実態でありますから、共済組合の診療体制、これは私どもの直接所管ではございませんが、経済局とよく相談をしながら家畜共済組合の診療体制を整備していくということが一つの対応であろうかと思います。
 それからほかの都府県等につきましては、これはやはり開業獣医師がかなりウエートを占めておりますから、そういった不足の地域にはいろいろ対策を総合して、たとえば物的施設の整備ということも必要でしょう、住宅だとか、診療施設とか、あるいは診療器具等の整備も必要だと思います。そういったことを整備しながら、産業動物獣医師の誘導をし、定着化をするといういろいろな対策をしていく必要があると思っております。
#205
○小笠原貞子君 その人数、調べてください。別海町で五十何人というのは多過ぎます。二十六人と私の方は調べたんです。
 それで、いまおっしゃったように、一般的には北海道の場合、共済の獣医さんが多いんですよ。しかし、また同じ別海町なんですけれども、別海町に開業医さん四人いるんですよ。だから、共済の方のお医者さんはまだいいんです。今度、開業医が大変なんですね。その開業医さんも、四人いてがんばってて何とか別海町もっているわけなんですよ。このうちの一人は、北大の獣医学部を卒業して、そして非常に獣医さんを熱意を持って志望していらした方なもので、一人北大の獣医学部を卒業している人がいるんです。その人に、いろいろ私この問題で話を聞いたわけですよ。そうすると、一日十軒近く診療して車で走る距離は百キロにも及ぶというのに、月収が本当にうそみたいなんですよ、十二万から十三万だというんですよ。それで開業医だから、ボーナスもないというわけですね。その人、一人で開業しているのじゃなくて、もう一人の開業医さんと二人で開業医さんやっているわけです。
 それで細かく聞いてみたの、十二、三万なんてとっても考えられないから、聞きましたら、去年の一年間で二人の獣医師、仲間の二人の獣医師で収入が約一千万なんです。薬代が三百五十万、それから車代がガソリン代含めて二百万、そして租税の負担が百万、残りが三百五十万ですわ。これを二人で分けるとそうなっちゃうわけですね。若い人じゃないですよ。もう、一人の方は四十からの方ですし、こうなりますと、共済で抱えて共済で間に合っているところはいいけれども、共済で抱え切れない、開業医だという力も借りなきゃならないとすれば、どうしてもこの開業医に対して、獣医師に対しての個人的な努力、善意だけではとてもじゃないけれども頼ってはいけないという状態なんです。これは別海の話ですからね、その辺頭に置いて、問題を考えていただきたいと思います。
 時間をなるべく節約しますので、次にそれと関連して移りますけれども、農業災害補償法に基づく診療点数ですね、これが非常に調べてみたら低いですよね。筋肉注射一本で二百十円でございましょう。それから静脈注射で三百十円ですわ。また往診料が四キロで四百九十円、十六キロで八百八十円と、こういうことになっているわけです。そうしますと、十六キロのところを往診して注射一本打ってくると二時間はかかります。ところが報酬は千円そこそこと、こういう形になるわけです。これでは、さっき言ったような安い給料しか出せないということは当然のことだと思うんですね。そうすると、やっぱりそこのところの問題として、診療点数を改定していくということがなければ獣医師さんたちを確保することができない、まして今度入ってもらうなんということにはとてもならないと思うんですけれども、その改善を検討すべきときがいま来ているんじゃないかと思うんですが、その辺、いかがお考えになっていらっしゃいますか。
#206
○政府委員(今村宣夫君) お尋ねの診療点数の改定でございますが、診療点数は御存じのとおり、農家負担の掛金の改定につながるわけでございますので、共済掛金標準率の改定の時期に合わせて三年ごとに改定をすることにいたしておりますが、次期の改定期は昭和五十三年でございますから、その改定に当たりまして、私たちとしまして診療技術部分でございますが、これは診療します獣医師さんの人件費の上昇を十分勘案いたしまして、また往診点数直接費部分につきましては、往診用の車でございますとか、燃料費等の価格の変動を織り込みまして適切な改定を行いたいと考えております。
#207
○小笠原貞子君 その車の問題なんか、開業医さんの場合にも当然適用になるということで考えていいんですか。
#208
○政府委員(今村宣夫君) 当然に適用になります。
#209
○小笠原貞子君 本当にそう早くなっていただきたいわけです。もうとにかく別海町というのは、一つの町で香川県より多い、御承知のとおりの広大な地域なので、一日百キロ、年間四万キロも車を走らせているという車だったわけです。道路も整備されていないところを飛んで歩くと、だから新車が大体一年半から二年でだめになってしまうということなんですね。ですから、この車の点についても御配慮いただけるそうですが、ぜひ手厚く考えていただきたいと思います。
 で、いまもおっしゃいましたように、支払い側が措金に苦しむ酪農家だということで、五十頭ぐらいの家畜共済に加入すると、いまのところたしか三十万くらいになるんじゃないかと思うわけで、この掛金というのが非常にやっぱり重荷にもなってくるわけなんです。だから、点数ふやすから掛金ふやすなんというと、そうすると今度それはもう入らないよということにもつながってくるわけで、やっぱり点数をふやしていただくということのために掛金をふやすとストレートに持っていくんじゃなくて、何としてもそこで国の補助を強く求めるというのが、具体的に回ってみた問題点だと思うんですが、その辺のところをどういうふうにお考えになっていただけるかどうか、どなたでも結構ですがお伺いさせていただいて、終わりにいたします。
#210
○政府委員(今村宣夫君) 家畜の場合におきますと、掛金の大体現在五〇%国庫補助でございまして、相当補助率としては高いと思っておりますが、お話のような点もあわせまして、補助率等につきましても今後一層努力をいたしてまいりたいと思っております。
#211
○小笠原貞子君 よろしくお願いします。
    ―――――――――――――
#212
○委員長(橘直治君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま山内一郎君及び工藤良平君が委員を辞任され、その補欠として佐々木満君及び竹田四郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#213
○委員長(橘直治君) 速記を中止願います。
  〔速記中止〕
#214
○委員長(橘直治君) 速記を起こしてください。
 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#215
○委員長(橘直治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 獣医師法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#216
○委員長(橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 ただいま可決されました獣医師法の一部を改正する法律案に対し、各派共同提案による附帯決議案が委員長の手元に提出されておりますので、これを議題とし、便宜、私から案文を朗読いたします。
   獣医師法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、獣医師の畜産の振興と公衆衛生の向上に果たす役割の重要性にかんがみ、獣医学の教育内容の整備充実を図り、獣医師の処遇の改善について検討するとともに、本法施行に当たつては、左記事項の実現に努めるべきである。
     記
 一、将来の獣医学教育のあり方については、学校教育法改正による学部六年制方式を実現するよう引き続き検討すること。
 二、六年制獣医学教育の実施に当たつては、六年一貫教育が実質的に実現できるよう措置するとともに、修士課程の急速な定員増に対応した教員の確保及び施設設備の整備について、特に私立大学に対し、格段の助成等の措置を検討すること。
 三、獣医学教育年限の延長に伴い必要となる学資の負担増に対しては、奨学金の活用等により、その軽減に努めること。
 四、産業動物獣医師の農村定着化のための施策を一層強力に推進するとともに、雇上げ獣医師手当の改善及び家畜診療所の整備等に努めること。
 五、今後における魚病対策の重要性にかんがみ、急病に関する研究体制を整備し、その教育内容を充実するとともに、魚病技術者の養成確保に努めること。
  右決議する。
 以上であります。
 それでは、本附帯決議案の採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#217
○委員長(橘直治君) 全会一致と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、長谷川農林大臣臨時代理から発言を求められておりますので、この際、これを許します。長谷川農林大臣臨時代理。
#218
○国務大臣(長谷川四郎君) ただいまの附帯決議につきましては、適切なものと考え、その御趣旨を尊重し、十分努力してまいる所存でございます。
#219
○委員長(橘直治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#220
○委員長(橘直治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#221
○委員長(橘直治君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改正に関する法律等の一部を改正する法律案、以上両案を一括して議題といたします。
 まず、政府から両案の趣旨説明を順次聴取いたします。長谷川農林大臣臨時代理。
#222
○国務大臣(長谷川四郎君) 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由及び内容を御説明申し上げます。
 農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことによって、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、農業者の老後生活の安定と福祉の向上に資することを目的として昭和四十六年一月に発足したものであり、昭和四十九年度及び昭和五十一年度にはその改善充実が図られたところであります。
 本制度につきましては、年金給付の額を物価の変動に応じて自動的に改定するいわゆる物価スライド措置が設けられておりますが、今回の改正はこの物価スライド措置につきまして、最近における社会経済情勢及び国民年金法等において制度の改善が図られようとしていることにかんがみ、昭和五十二年度におけるその実施時期を昭和五十三年一月から昭和五十二年七月に繰り上げようとするものであります。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
 次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農林漁業団体職員共済組合制度は、農林漁業団体職員の福利厚生の向上を図り、農林漁業団体の円滑な運営に資するための制度として実施され、その給付内容も逐年改善を見てまいりました。
 今回の改正は、その給付に関しまして、恩給制度、国家公務員共済組合制度その他の共済組合制度の改善に準じて改善を図ろうとするものであります。
 今回の主要な改正点は、次の三点でございます。
 改正の第一点は、既裁定の年金の額の引き上げであります。これは、退職年金等の年金額の算定の基礎となった平均標準給与を、昭和五十二年四月分以後、昨年度の国家公務員の給与の上昇率を基準として引き上げることにより年金額の引き上げを行おうとするものであります。
 改正の第二点は、退職年金等についてのいわゆる絶対保障額の引き上げであります。これは、恩給制度の改善に準じ退職年金等の絶対保障額を昭和五十二年四月分から引き上げるほか、六十歳以上の者等に係る遺族年金については、その絶対保障額を同年八月分から、さらに引き上げようとするものであります。
 改正の第三点は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。
 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
 以上であります。
#223
○委員長(橘直治君) 次に、昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の補足説明を聴取いたします。今村農林経済局長。
#224
○政府委員(今村宣夫君) 昭和四十四年度以後における農林漁業団体職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 この法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 まず第一は、既裁定年金の額の引き上げであります。これは、昭和五十年度以前に給付事由が生じた退職年金、減額退職年金、障害年金、遺族年金、通算退職年金及び通算遺族年金につきまして、その年金額の計算の基礎となった平均標準給与を、昨年度の国家公務員給与の上昇率を基礎として、当該平均標準給与の年額に一・〇六七を乗じて得た額に二千三百円を加えて得た額まで引き上げることにより年金額を引き上げることといたしております。なお、その改定時期につきましては、毎年繰り上げてきており、本年度は、昭和五十二年四月といたしております。
 第二は、いわゆる絶対保障額の引き上げであります。これは退職年金、障害年金及び遺族年金につきまして、年齢及び組合員期間の区分に応じ、その絶対保障額を昭和五十二年四月分から引き上げることといたしております。たとえば、六十五歳以上の者については、その退職年金の絶対保障額を五十五万円から五十八万九千円に引き上げる六十歳以上の者等に係る遺族年金につきまして、その絶対保障額を同年八月分からさらに引き上げることといたしております。
 第三は、掛金及び給付の額の算定の基礎となる標準給与の月額の下限及び上限の引き上げであります。すなわち、標準給与の下限につき農林漁業団体職員の給与の実態、私立学校教職員共済組合制度との均衡等を考慮して五万八千円から六万二千円に引き上げるとともに、上限につき国家公務員共済制度に準じて三十四万円から三十六万円に引き上げることといたしております。
 以上のほか、所要の規定の整備を図っております。
 以上でございます。
#225
○委員長(橘直治君) なお、両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十分散会
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ソース: 国立国会図書館
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